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2013年3月13日 第125回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について

雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課

○日時

平成25年3月13日(水)10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

公益代表委員

林分科会長、権丈委員、佐藤委員、田島委員、中窪委員、山川委員

労働者代表委員

齊藤委員、中島委員、半沢委員、松田委員

使用者代表委員

川﨑委員、瀬戸委員、中西委員、布山委員、渡辺委員

厚生労働省

石井雇用均等・児童家庭局長、成田雇用均等政策課長
中井職業家庭両立課長、田中短時間・在宅労働課長
田平均等業務指導室長

○議題

1 男女雇用機会均等対策について
2 その他

○配布資料

配付資料No.1 雇用均等室における行政指導等の状況
No.2 性差別に係る諸外国の実効性確保措置の概要
No.3 平均勤続年数・管理職に占める女性割合・賃金等のデータについて(補足)
参考資料参考No.1 参照条文
参考No.2 若者・女性活躍推進フォーラム等最近の女性雇用に関する各種会議の動き等について
参考No.3 「意思決定ボード」のダイバーシティに向けた経営者の行動宣言~競争力としての女性管理職・役員の登用・活用~

○議事

○林会長
 予定の出席者は全員おそろいのようですので、ただいまから第125回「労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。本日は關委員が欠席です。議題は「男女雇用機会均等対策について」です。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○成田雇用均等政策課長
 資料は、本日の論点である「法の履行確保について」に関するものを中心に用意しております。資料1から資料3までと、参考No.1から参考No.3まであります。資料1から順に御説明させていただきます。
 資料1は、「雇用均等室における行政指導等の状況」です。2ページから6ページまで表がありますが、昨年10月15日の分科会にお出しした表と同じものです。2ページは「相談件数の推移」です。男女雇用機会均等法に係る相談件数は、法律が改正されたあとの平成19年度には、事業主からの相談も多くありましたので、全体で3万件近くありましたが、最近では2万3,000件台で推移しています。平成23年度の相談件数は2万3,303件です。相談内容別の割合は、セクシュアルハラスメント関係が約半数、次いで妊娠・出産等を理由とした不利益取扱い、母性健康管理等が多くなっています。
 3ページは「報告徴収等の件数の推移」です。平成23年度の助言の件数は1万0,008件です。助言件数を内容別に見ると、セクシュアルハラスメントが約64%、母性健康管理が約32%等となっております。4ページは、助言だけではなく指導、勧告の件数も内容別に示したものです。
 5ページは、「労働局長による紛争解決の援助申立件数の推移」です。最近の申立受理件数は600件前後で推移しています。内容別に見ると、平成23年度ではセクシュアルハラスメントが半分強、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いが約4割となっています。
 6ページは、「機会均等調停会議による調停申請件数の推移」です。申請受理件数は少しずつ増加していて、平成23年度は78件です。内容別に見ると、平成23年度はセクシュアルハラスメントが3分の2強、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いが4分の1強となっています。
 7ページは、前回セクシュアルハラスメントについて御議論いただいた際に、雇用均等室に相談に来られる方は、退職したあとや退職を決意してから来られることが多いのではないかといった御指摘がありましたので、前回、セクシュアルハラスメントについて御議論いただいた際に、資料で御紹介いたしました相談等の事例と、前々回に妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いについて御議論いただいた際に用意した資料の中で御紹介した相談などの事例の中から、退職後に相談等に来られた事例をピックアップして改めて御紹介しております。7ページの上が「相談における事案」です。妊娠を報告したところ、退職勧奨を受けた、セクシュアルハラスメントを受けて退職したけれども、行為者はそのままであったといった事案がありました。7ページの下は「労働局長による紛争解決の援助における事案」です。妊娠・出産等を理由に、あるいはセクシュアルハラスメントを受けて退職を余儀なくされたという事案がありました。
 8ページは、調停における事案です。出産前後に執拗な退職勧奨を受けたあとに解雇された、セクシュアルハラスメントについて会社に相談したところ、一方的に退職したことにされていたといった事案がありました。8ページの下の※に記載してありますが、昨年度の調停申請件数78件のうち、調停を申請した時点で、既に労働者が退職していた事案は49件でした。
 9ページは、調停などの打ち切りの中身が分からないのかという御指摘を前回頂きましたので、平成22年度と平成23年度の調停の事案で、打ち切りの内容を改めて確認したものです。平成23年度は26件打ち切りがありましたが、これについては事業主が出席しない、出席をしても調停での解決に消極的といった、事業主の理由が19件で約7割を占めています。これ以外に労働者理由、その他の事例がありました。
 10ページは、「過料制度、公表制度関係」です。平成9年の改正で、事業主が勧告に従わなかった場合の公表の規定、平成18年の改正で報告徴収の際に報告をしなかった場合などの過料の規定が追加されました。上の表がこの実績です。過料を科した事案が1件、公表を行った事例はありません。一方で下の方で事例を紹介しておりますが、1つは過料制度があることにより、是正指導につながった事例です。事業主が、つまらない調査に応じている暇はないと言っていたのですが、過料について説明した結果、報告徴収で必要な資料を閲覧し、指導・是正につながった事例もあります。下は、公表制度があることにより、是正につながった事例ということで、多忙を理由に勧告書の入った封筒の開封もしていなかった事業主が、公表について説明したところ、指導に従っていただけた事例を御紹介しております。以上が資料1です。
 資料2は「性差別に係る諸外国の実効性確保措置の概要」です。以前、分科会に提出させていただいた資料を、事務局で把握できる範囲で修正したものですので、御参照いただければと思います。
 資料3は「平均勤続年数・管理職に占める女性割合・賃金等のデータについて」です。先月21日に「平成24年賃金構造基本統計調査」の結果が公表されましたので、昨年10月30日の分科会で、「男女雇用機会均等関係資料(改訂版)」をお出ししましたが、こうした資料のうち、関連する資料について数字を更新したものを用意いたしました。
 1ページが、「一般労働者の平均勤続年数の推移」です。平成24年は男女とも前年に比べて0.1年短くなっています。男性が13.2年、女性が8.9年です。2ページは「規模別一般労働者の平均勤続年数」です。2ページに平成18年と平成24年の比較を掲載しています。3ページに参考として、以前お出しいたしました平成23年のデータを掲載しております。規模別に見ると、平成23年と平成24年では、ほぼ全体的に少しずつ勤続年数が短くなっています。4ページと5ページは、「産業別一般労働者の平均勤続年数」です。平成23年と平成24年を比べると、短くなっている産業もありますが、女性で見ると、情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業など、平均勤続年数が長くなっている産業もあります。6ページと7ページは、「学歴別一般労働者の平均勤続年数」です。平成23年と平成24年を比べると、女性は中学卒と高校卒で短くなっています。
 8ページからは、管理職に占める女性割合の関係です。8ページは、「役職別管理職に占める女性割合の推移」です。平成23年と平成24年を比べると、いずれの役職でも女性の割合が少なくなっています。9ページは、これを規模別に見たものです。「課長級以上」について、平成23年と平成24年を比べると、1,000人以上規模と500~999人規模で、女性の割合が減少しています。10ページと11ページは、産業別に平成23年と平成24年を比較したものです。「課長級以上」を見ると、女性労働者が多いと思われる医療,福祉、卸売,小売業などで女性の割合が減少しています。
 12ページからは、「男女間賃金格差」の関係です。12ページの左側が推移です。平成23年の70.6から平成24年は70.9に縮小しています。13ページで規模別に見ると、1,000以上規模で賃金格差が少しだけ拡大しています。14ページと15ページは産業別に見たものです。格差が縮小している産業が多くなっておりますが、製造業、学術研究,専門・技術サービス業、医療,福祉などで僅かに格差が拡大しています。16ページと17ページで学歴別に見ると、高専・短大卒、大学・大学院卒で僅に格差が拡大しています。
 19ページと20ページは、「男女間賃金格差の要因」です。平成23年同様、平成24年でも、職階や勤続年数等に差異があることが大きな要因となっています。職階については、調整した場合の格差の縮小の程度が、平成23年よりも平成24年の方が大きくなっています。以上が資料3です。
 参考No.1は、関係する均等法と施行規則の条文です。参考として、6ページと7ページに労働局長による紛争解決の援助と、調停の手続の流れを付けてあります。8ページからは、均等法の履行確保に関する規定の改正の経緯も御紹介しております。8ページは、平成9年の改正で、援助を求めたり、調停を申請したことを理由とする不利益取扱いの禁止に関する規定が追加されたり、先ほども申し上げましたが、公表に関する規定が追加されました。平成18年の改正で、過料に関する規定が追加され、9ページで、紛争解決の援助や調停の対象事項が追加されています。
 参考No.2は、最近、政府の中にいろいろな会議が設置され、これらの会議において女性の活躍促進などに関する様々な発言等がありますので、そういう状況について御紹介しているものです。1ページと2ページに関係する会議を御紹介しています。1ページの左側が「経済財政諮問会議」です。右側に「日本経済再生本部」や「産業競争力会議」の概要や構成員を御紹介しています。2ページの左側は、2月13日に開催された「第1回若者・女性活躍推進フォーラム」の概要です。右側に、フォーラムの出席者一覧を御紹介しています。
 3ページから、こういった会議における御発言や資料の関係部分を御紹介しています。3ページは、1月23日の「第1回産業競争力会議」における御発言や資料の一部です。経営職の女性比率や、女性の労働参加率といった話が出ています。4ページは、2月5日の「第4回経済財政諮問会議」の民間議員の提出資料です。ここでも、女性が能力を十分に発揮できる環境整備といったことが中ほどに書いてあります。5ページと6ページは、2月13日の「第1回若者・女性活躍推進フォーラム」での、一部の有識者の御発言です。5ページの中ほどから下に、企業の女性の活躍ぶりの情報開示、見える化といったこと、6ページの上のほうに、女性の労働力の活用が特に必須といった御発言があります。
 参考No.3は、経済同友会が昨年5月に公表した「『意思決定ボード』のダイバーシティに向けた経営者の行動宣言~競争力としての女性管理職・役員の登用・活用~」という資料です。前回の分科会においてお出しするようにという御発言があり、用意させていただきましたので、御参照いただければと思います。資料の説明は以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○林会長
 ただいまの事務局の説明について、委員の皆様から御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○中島委員
 資料をありがとうございます。資料1の2ページで、第7条関係で、間接差別の所に3つの要件とその他というのが入っています。この「その他」についてはどのような案件があったのか、分かれば教えていただきたいと思います。

○成田雇用均等政策課長
 間接差別というのは、省令で3つの措置が決まっています。それには該当しないけれども、それに関連するような、近いようなものはここに掲げてあります。

○林会長
 具体的にはいかがですか。

○成田雇用均等政策課長
 例えば、家族手当の世帯主支給は均等法違反に当たらないか、非正規職員から正社員に転換すると転勤がある、といった相談がありました。

○中島委員
 資料1の7ページと8ページに、退職後に相談を行った事案の事例があります。退職をやむを得ず決意してしまってから、それでも納得がいかないので相談に行くケースは非常に多いと思うのです。これらの労働局長による紛争解決の援助における事案ということで具体的な事案なのですが、これらが結果的にどうなったかが分かれば説明してください。

○成田雇用均等政策課長
 紛争解決の援助の事案でよろしいでしょうか。

○中島委員
 はい。

○成田雇用均等政策課長
 最初の事案は、何らかの金銭を支払うことなどで解決しております。2例目も同じような形で合意しております。3例目も、謝罪と金銭で解決しております。
 先ほどの間接差別の事例ですが、第121回分科会で、間接差別等の事例を御紹介しており、お手元の資料にもありますので御参照いただければと思います。

○半沢委員
 9ページの「調停打ち切りの理由」で、打ち切りを平成23年度で見ると26件で、そのうち事業主理由が19件、そのうち出席しないが14件となっています。これは、打ち切りに至るまでに、出席しないことに対しての指導をしていると思うのですが、どのような指導をしているのでしょうか。

○成田雇用均等政策課長
 それは事案によると思いますが、当然制度の趣旨を説明し、御協力いただくようにお願いしても、こういう形になっているということで御理解いただければと思います。

○半沢委員
 こちらで感じた意見ですが、指導してもなお出席しないということで、26件のうちの多くが打ち切りとなってしまったというのは、少し残念な思いがしています。せっかく調停という形での解決に向けた動きが、途中で打ち切りになってしまうということですので、法律の履行確保の面からも改善ができる何か、例えば調停への出席に関する応諾の義務を課すといった何かの改善ができないのかと感じております。

○林会長 
ほかに御質問、御意見はありませんか。

○山川委員
 もしないようでしたら、資料2の外国の法制の話で、細かく申しますと幾つもあるのですが、若干申し上げます。資料2の1ページで、アメリカの行政機関についてEEOCは中心であることは間違いないのですが、ほかに州の機関もあります。それから、このあとにまた出てくるかもしれませんが、アファーマティブ・アクションに関してはOFCCPという機関もあります。そういうことも、ここでなくてもいいかもしれませんが言及いただければと思います。
 同じくアメリカでは、(5)に広報・啓発活動があります。昨年アメリカへ行ったときに、EEOCの問題ではないのですが、全国労働関係局でのポスター掲示の義務付けが裁判例等になっていました。それは別の法分野ではありますが、雇用機会均等法では、広報・啓発等について具体的に何かあったら御紹介ください。
 2ページでも細かく言うといろいろあるのですが、アメリカの実効性確保措置で、裁判所というのがアメリカでは抜けていて、イギリスでは雇用審判書にかなり詳しく書いてあります。フランスでは括弧とか、ドイツも括弧とか、これは未定稿ということなので平仄を考えていただければと思います。ドイツについては「陪審員」という言葉が出てきますが、これはどうかと思います。よりブラッシュアップしていただければと思います。

○林会長
 ありがとうございました。

○齊藤委員
資料3に、賃金格差のデータがたくさん入っています。これまでの審議で、雇用管理全般における男女間の格差や差別があり、その結果として賃金格差が生じていることを、こちら側で発言させていただきました。今回の資料でも、それはきちんとデータとして出ているということです。
 履行確保を強化するということは大きな課題であり、例えばパート法改正の建議には、「労働局長が勧告を行う場合であって、必要と認められたときに、措置計画の作成を求めることができるようにすることが適当である」と記載されています。履行確保の強化の1つの手段として、均等法第29条にも同様の規定を盛り込むほうがよろしいのではないかと考えております。その場合に措置計画は、労働組合若しくは過半数代表への説明・協議又は労働組合若しくは過半数代表の意見聴取と意見書の添付を、法律で義務付けることがより効果的で望ましいと考えています。
 事業主にとってはこうした計画について、行政に対する責務であって、労働者に対しては責務を負わないなどということも聞いておりますが、計画は労働者に対する義務でもある旨の明確化が必要であり、第29条に基づく措置計画の作成や提出が求められた場合には、労働者や労働組合に周知しなければならないという規定を第29条の2に追加するか、第29条の3を新設して盛り込むべきと考えております。
 以前にも労側委員が述べておりますように、労使ともに均等法の内容について十分知らないのが現状であることもあり、法の趣旨や事業主の講じている措置について、労働者に周知・啓発することを事業主に法律で義務付けるなどの対策を講じ、労使で法の周知と定着に取り組むことが重要なのではないかと考えております。以上です。

○布山委員
 今ご発言があったパート法の関係については、昨年6月の建議されたところで、そのあとに法律の改正がされたという形にはなっていないのではないかと思っています。そうすると、パート法の中でどう規定されるかわからない中で、齊藤委員がおっしゃったように、建議を前提にして議論をしていいのかというのが1つです。
 周知に関しては、確かに一義的に事業主が行うということはもちろんですが、事業主では限界があることもあるという現状があるとしたら、どのような仕組みで、どのようにしていくかというのは、事業主だけではなくて全体的に考える話なのかと思っています。

○林会長
 ほかにはいかがでしょうか。もしないようでしたら、今まで考えられる論点案として挙げられた論点のうちの、「履行確保について」までを議論してきました。今までの論点で言い残されたこと、それ以外の論点について御意見があれば議論いたしたいと思います。

○中窪委員
 次に移ったのに、先ほどのところで忘れていたのを思い出しました、履行の点です。個人的な意見になってしまうのですが、「均等調停会議」という言葉が、法律上は紛争調整委員会でその規則レベルでそういうのを作っているものですから、外から見ると紛争調整委員会であって、括弧してそのようにやったほうが法律との関係では分かりやすいのではないかと私は常々思っているものですから、御検討いただければというのが1つです。
 それとは別に、先ほど出ていたパート労働法の関係でいろいろ議論していたときに、雇用均等室が都道府県に1つしかないということもありますし、なかなか知られていない、アクセスできない、学生もよく知らないとか、失礼なことも含めて私はいろいろ申し上げた記憶があります。その後、そういうところについて検討されて、このようなことをやっているということがもしありましたら教えていただきたいのです。

○成田雇用均等政策課長
 雇用均等室の周知については、日頃からいろいろとやってきているつもりではありますけれども、均等分科会でも、退職すると決めてから相談に来る方がいるという事案を今回御紹介いたしました。そいう意味ではどういう形で均等室を知ったのか、どういうことをきっかけで相談に来たのかということも踏まえ、実態把握なり調査もした上で、今後どうやって均等室の周知を進めていくのか更に検討したいと思います。

○石井局長
 補足させていただきます。パート法の議論のときに、いみじくも中窪委員からその指摘を頂きました。中窪先生から法律を学んでいる学生すら均等室を知らない人がいるというのは、かなりショックでした。以来、私も全国の労働局長会議とか、雇用均等室長会議でその旨を引用しながら、とにかく周知、存在を知ってもらうことについては、これまで以上に心を配ってほしいと指示しております。問題意識としては、政策課長が申し上げましたように、せっかくこうした組織がありながら、知らないままに、また法律についても十分理解のないままに辞めてしまってから、おかしいなと思って事後的に相談に来るというのは非常に残念なことです。そうなる前に、まず均等室の扉を叩けるように、そういう意味で存在を知ってもらう周知、あるいは広報についてより力を入れるようにということで、実はこの間の労働局長会議のあとも分科会を開き、いろいろ工夫をしてやっている取組を集約し、共有化し、やれることをどんどんやっていこうということで取り組んでおります。同じ問題意識に立ってやっておりますので、また良いお知恵を頂ければ大変有り難いと思います。

○佐藤委員
 次の議論に移る前に。資料3で今後調べていただければということがあります。今回、賃金構造基本統計調査で、女性の勤続年数は短くなっていますし、女性の管理職比率も下がっています。これは何かということを調べておいていただくのがいいのかと思います。
 賃金構造基本統計調査はサンプル数が多いのですが、調査対象になっている企業は変わっています。今、私は別のデータを使って、500社ぐらい同じ会社をパネル化して、同じ会社で勤続年数と管理職比率はどうかということを3年間ぐらいで調べています。やはり同じように、500人以上企業なのですが、女性の勤続年数と管理職比率は下がっています。同じ会社を3年間で比較しても下がっています。勤続のほうでいえば両立の取組をいろいろやっていますし、ポジティブ・アクションもそれなりに定着してきていると思うのです。なぜかというのを少し検討していただけるといいかなと思います。現状でも、比較的女性社員のほうが定年の前に辞める方が多いので、多少そのことも影響しているのかと思うのですが、それはよく分かりませんので検討課題かと。これは、そのうちにやっていただければと思います。
 均等法なり、パート労働法などが余り知られていないということですが、厚生労働省全体として労働教育みたいなことをきちんとやろうということで、各労働局がやってきています。つまりこの法律だけではなくて、全体として基準法も含めてやっていただくといいかと思います。ついでに言うと、組合員とそうでない人を比較してみると、残念ながら組合員が知っているわけでもないのです。法定は知らなくても、大企業だと就業規則で上回っていたりします。
 法定を知らないのです。例えば、残業の割増率についても、うちの会社はこうなっていますと。それで、法定を聞くと知らないのです。それはそれでいいのですけれども、転職して、組合のない所には法定の基準があったりするので、そういう意味では労使も、いろいろな行政も、文科省でもやっているようですので、連携してやっていただくといいのかと思います。

○林会長
 法の履行確保について、もう少し意見のある方はいますか。

○中島委員
 資料の所で触発されました。資料3の10ページと11ページで、7の「産業別役職者別管理職に占める女性割合」で、平成23年と平成24年を比較すると、非常に管理職割合の多い医療,福祉の現場等でも、結果として平成24年度は減ってしまっています。課長級は気持ち増えていますけれども、部長級と係長級はかなりダウンしているところがあります。その辺についての理由というか、事情の分かる資料があればと。ほかの産業を見ても、相対的にいうとやや下がっているように思われますので、よろしくお願いいたします。今後、資料なり情報なりがあればということでお願いいたします。

○林会長
 それは、もし提出できる資料等があれば提出することにさせていただきます。ほかに、法の履行確保について御意見等はありますか。御質問でも結構です。ないようでしたら、先ほど申し上げましたように、今までの論点で言い残したこと及びそれ以外の論点についてを議論していただきたいと思います。

○中島委員
 今までの論点で言い残したこと、ないし新たに追加していただきたい課題ということで、これも言い残しといえば言い残しなのですけれども、それらについて少し意見を申し上げます。私がまず指摘したいのは、第28条にパート労働法の建議と同じように、職務評価を調査の作業の中に入れていただきたいというのが発言の趣旨です。
 差別の可視化という意味で、旧労働省の通知を見ると、コースで区分した雇用管理においての留意事項というのがあります。その中で、「総合職と一般職の業務内容の違いは必ずしもはっきりしておらず、コース区分の合理性が明確でない事例で、一般職の勤続年数が長期化する中でのコース区分の合理性や、コース間の処遇の格差についての納得を得られにくくなっている事例など、コースごとの職務内容と、それに対する評価や処遇の在り方等が、必ずしも実態にそぐわなくなっている面も見られ、現にそうしたことに着目して必要な見直しを行っている企業も見られます」という記載があります。
 雇用管理区分ごとのコース別雇用管理における職務内容や処遇についての合理性、透明性の向上のためにも、職務評価の手法の活用が有効ではないかと思っております。まずは調査ないし手法の開発をやっていただきたいと思います。
 国際的にもこの間ILOの理事会から、2011年の結論と勧告の中で、「労基法第4条はILO第100号条約の要請を充足しており、異なる仕事や雇用管理区分でもこれを適用し、賃金格差を是正できる」と政府見会を申し述べています。これに対して、「実際の司法救済や労働監督は、そうした政府の姿勢を踏まえたものとは言い難い」という具体的な指摘をはっきり受けております。評価制度の普及ないし充実の取組というのは非常に急がれるのではないかと思っております。
 先ほど申しましたように、パート法改正の建議の中で、調査・研究資料の整備に努める課題として、職務評価を入れていただいておりますので、これらを必要な事業主なり労働組合に提供していただくことが適切であると思います。したがって、均等法第28条に、「厚生労働大臣は、男女賃金格差の改善に関して必要な事項、特に職務評価、職業能力評価について、調査・研究資料を整備し、事業主等への提供を行うように努める」という規定を置いたらどうかと思って提案いたします。以上です。

○布山委員
 今の御意見に関連して、現行の第28条は職務評価の部分は入っていないという理解でいいのですか。この調査・研究の中に、当然厚生労働大臣のほうで必要と思うものが入るというように私はイメージしているのですが、そういうことではないのでしょうか。

○成田雇用均等政策課長
 ここに規定されているとおり、必要な調査研究をやるということです。

○布山委員
 そうすると、例示的に殊更書く必要があるかどうか。これはパート法のときにも同じような議論をした覚えがあるのですが、必要性についてはちょっと疑問に感じます。必要であれば、厚生労働大臣が行えばいいということが、現行法の中で十分可能だと思っています。

○中島委員
 少なくとも具体的に明記をして、作業に入れるような形をとっていただく必要があると思います。一般的な規定だと、例えば第100号に基づいて具体的な職務評価の在り方について開発をするということは、なかなか予算の確保もできないと思います。予算を確保して事業に着手するためにも、明記が必要ではないかと思っております。

○林会長
 今の中島委員からの御提言に対して、付け加える御意見等はありますか。反対の御意見でも結構です。

○布山委員
 意見としては、先ほど言ったのと同じように、入っているからいいのではないですかとしか言いようがないので。

○林会長
 これ以外に言い残したこととか、新しい点についての御意見はありますか。

○半沢委員
 本日は資料3ということで、新しく賃金構造基本統計調査の結果を出していただきました。これまで論議をしてきた論点の繰り返しの部分もあるとは思いますが申し上げます。
 労基法第4条では、男女同一賃金原則の規定があります。最新のデータを見ても、その格差はなかなか解消していないのは、皆さんも御覧になったとおりだと思います。性別で見た賃金差別の禁止や、男女の均等取扱いというのは、実質的な男女平等の実現に向けた重要な課題だと思います。均等法においては、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図ることなどを目的として明記し、職場における男女の均等な取扱い等を規定しています。この待遇に賃金が含まれるということが、明示されているわけではないように感じています。性別による賃金差別の禁止や、賃金の男女均等取扱いの定めが明確にはないのではないか。目的には、男女の均等の待遇の確保と、これは第1条に当たるのかと思いますが、うたっています。これを受ける条文に、待遇の中でも最も重要である賃金に関する項目がないのは、目的と条文に大きな落差があるのではないかと思います。
 男女間の賃金格差というのは御存じのとおり、雇用管理の各ステージにおける男女の扱いのアンバランスが積み重なって生じるものだということは、皆さんも御承知のとおりかと思います。法の目的の、先ほど申し上げました男女の均等な機会及び待遇の確保には、賃金の男女均等取扱いが含まれるということを明確に示していただくとともに、例えば指針等において、各条文の性差別禁止条項が、賃金格差是正を念頭に置いても運用されるものであるということを明記していただきたいと考えております。

○林会長
 今の御意見に対して御意見はありますか。第2条をどのように考えるかということだと思うのです。今の点について特に御意見がないようでしたら、ほかの御意見をお願いいたします。

○齊藤委員
 法の基本理念の所なのです。以前もこちらで申し上げましたが、均等法では、労働者が性別により差別されることなく、また女性労働者が母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営めるようにすることが基本理念として掲げられています。しかしながら、いまだ多くの女性が仕事と家庭の両立の困難等を理由に離職しておりますし、男性の長時間労働も是正されていない現実があります。
 育・介法などで、仕事と生活の調和のための法制度は充実してきたのですが、現実的に制度を利用しているのは女性であって、まだ育児は女性という考え方から抜け出せていません。このことが男女格差の要因にもなっていることもあります。雇用分野における男女平等の達成には、男女双方の仕事と生活の調和が必要であり、労働契約法にもこのことは入っております。均等法第2条にも、仕事と生活の調和を明記していただきたいということです。また、法律の名称については、諸外国のように「男女雇用平等法」とすることが望ましいということも、改めて強調させていただきます。以上です。

○林会長
 この論点については、今までの議論の中でも議論を交わしておりますが、今、再度出ましたので、特に使用側のほうからもう一回言っておきたいことはありますか。

○布山委員
 今の齊藤委員の御意見に関しては、私どもの考え方は以前の分科会で既に示しましたので、同様の意見ということにさせていただきます。蒸し返すようで申し訳ないのですが、先ほどの半沢さんからの賃金に関しては、まず、労基法できちんと明記されているので、均等法にということは私どもとしては考えておりません。処遇というのは、均等法の中の各雇用ステージの中の機会の均等を図ることによって結果として伴ってくるものですので、そういう手法でよろしいのではないかと考えております。
 それから、関連して1つお聞きしたいのが、資料3に海外との比較が出ております。確かに日本は諸外国に比べて格差が大きいということは、12ページの国際比較を見ても分かるのですが、例えば、この男女平等という形に関して先進国といわれているスウェーデンでも、やはり100パーセントではない。この差はスウェーデンとしてどのように考えていらっしゃるのかということは御存じですか、要因としてどのように考えていらっしゃるのかと。お分かりになったら教えていただきたいのです。

○成田雇用均等政策課長
 諸外国がどのように考えているかということについては、網羅的に調べていないので、全体的なことは申し上げられないのですが、例えば、職種や産業で、女性が多い職業などがあって、そういうことが結果として格差につながっているというようなことがあるということを聞いたことがあります。

○中島委員
 私たちのお付き合いのある北欧の労働組合などでは、やはり男女の賃金格差を問題にしているわけです。その場合に、特に北欧諸国の場合ですが、性別職務分離。要するに女性向きの仕事、例えば医療とか介護とか福祉とか、そういうものがあるために家事労働の延長というように見られて、相対的に評価が低いのではないかと思われているということを指摘しております。

○佐藤委員
 特に意見というかデータのところで今のところに関わって、資料3の18ページの要因分解、私よりも権丈さんのほうがいいのかも分からないですが。
 皆さん御存じのように、今、男女のフレームをそのまま比較すると、男性を100とすると女性が7割ぐらいで、この3割がどういう要素で決まるのかというのを分けていただいたのです。これで見ると「職階」です。つまり、管理職としての昇進の差が一番多くて1割、11%です。次が勤続です、勤続と管理職のところは多少重なるわけですけれども。ですから、女性がライフイベントで働き続けられて管理職に必要なスキルを高める機会があれば、かなり、15%ぐらい縮まるということです。これを全部やると、大体9割ぐらいです。ですから、残りの10%ぐらいがこの要素では説明できない賃金差です。ここで挙げている要素では説明できない賃金格差が1割ぐらいです。
 可能性としては、1つは地域です。これは地域をコントロールしていないので、御存じのように最賃も違うわけですから、事業所の立地が違うのは。多分、地域の部分と、もう1つは今言った職種です。一般職のところの職種はコントロールしていないので。ですから、その部分が残りの1割の中に入っている。その職種と地域を入れても説明できないのが何かで、ここが、もしかすると差別みたいなのがあるのかという話です。もう1つ、勤続でいうと、継続できない要素があるというような話になると思います。
 ですから今言った、職種がこれに入っていないので、仕事の違いというのは。でも、多分、それも違う可能性がありますし、地域もかなり効いている可能性があるので、それをもし入れると、その残りの1割は説明できるかなという気はします。という話です。ですから、現状でいうと、これでいうと、やはり女性が勤続でき、かつ、管理職に上がれる機会、能力を高める機会ですね、それはポジティブ・アクションだと思うのですが。そうすると、ここの部分だけでも16%ぐらい縮まるということです。

○半沢委員
 今のお話を受けて、若しくは先ほどの御意見を受けてですが。労基法第4条に書いてある男女同一賃金原則については、大切な規定だと思っておりますので、大事にすべきだと思っております。賃金格差について、今、佐藤委員からお話がありましたが、例えば、「職階」というところが同じになればと。その同じになればというところは、やはり雇用管理各ステージにおけるいろいろな、順を追ったステージのアンバランスを是正していくことによって解消されるものであって。だとすれば、そういったことについて実効性を保つ雇用機会均等法の中でも、併せて明示していただいたほうがいいのではないかと思っています。

○林会長
 その明示というのは、待遇の中に賃金という趣旨でおっしゃっているのですか。

○半沢委員
 そうですね、待遇というのは賃金が含まれるということ。

○林会長
 そういう趣旨ですね。

○半沢委員
 はい、指針等もあるでしょう、と思います。

○林会長
 ほかに御意見等はございますか。

○中島委員
 先ほどの「仕事と生活の調和」のところですが、育児・介護休業法があるから法体系としてはそれでいい、というような御意見も前に頂いたと思うのです。私たちが問題だと思っておりますのは、確かに育児・介護休業法が整備されて、以前よりも大分利用しやすくなり、それでも辞めていらっしゃる方などがかなりいるわけですが。
 問題は、育児・介護休業法が出来て、それを使う方が圧倒的に女性に偏っているという状況があります。結果的に、女性が取得することで雇用における差別が再生産されているという循環があるように思います。そこをどう解決するかというのが、今、私たちの問題意識としては非常に重要だと思っております。男性の取得をどう促進していくかとか、それから、例えば障害者の権利条約などを見ますと、直接差別、間接差別ともう1つ、合理的配慮という考え方が入っているのです。妊産婦なり育児・介護に従事する労働者に対する合理的配慮という考え方が、今日の段階では「考え方」と申し上げておきたいと思いますが、入ってもいいのではないかと。でないと、女性が育児なりに専念することの構造的なその結果といいますか、差別の再生産というところがなかなか止まらないような気がいたします。意見です。

○林会長
 ほかに御意見等はございますか。

○半沢委員
 先ほどの賃金にも関連しまして、コース別雇用管理についてです。女性は、やはり一般的に家庭責任が重い場合が多いわけです。そういったことが原因となっている場合も多いと思いますが、正社員として採用機会が乏しい上に、転勤を含めた人事異動の幅や頻度が条件になるような総合職といったところになるのが難しい、というような現状もあると思っております。
 いわゆるコース別雇用管理といわれるものの内容については、コースの区分、コース間の処遇格差の合理性が乏しいということもありまして、事実上、男女別の雇用管理となっているような場合もあります。これが結果として処遇格差の要因となっている、こういった指摘もあるわけです。私たち労側は、法違反の判断を雇用管理区分ごとに行うとしている指針があるわけですが、この規定があるために、いわゆるコース別雇用管理における一般職女性と総合職男性の処遇格差等は法の対象とならない。そういった意味においては、差別というか、そういったものの認定の範囲を狭めて、それがなかなか是正されないということの要因になっているということを、これまでも指摘してまいりました。
 先般、労働契約法が改正されたわけですが、その第20条においては有期労働契約の労働者と無期労働契約の労働者における不合理な処遇の差異が禁じられているわけです。この中においても、双方が同一の雇用管理区分であるというような縛りはないわけです。そういった現状の法体系の中から見ましても、均等法の中の指針も、そういった形で雇用管理区分ごとにしているというところについては、少し見直しが必要ではないかと思っています。
 また、判例を見てみますと、職種や資格、雇用形態、就業形態等の区分に基づく待遇格差が、労基法第4条の趣旨に照らして違法とするような例もあります。そういった整合性の観点からも、この指針の規定については削除をしていただきたいと思っています。

○松田委員
 性別を理由とする差別の禁止の第5条、第6条について、1点意見をさせていただきたいと思います。
 均等法では、雇用管理全般において性別を理由とする差別が禁止されております。禁止される措置の具体的な内容が指針に明記されていますが、いまだ男女格差が改善していないというのは、皆さんも御覧になっているとおり、各種資料でも明らかだと思います。この差別を是正する上での障害の1つは、人事・労務管理に関する資料を事業主が独占していますので、労働者が性別を理由とする差別を立証するのは容易でないことがあるかと思います。
 その具体的な解決策ということで、「事業主は第6条に規定された事項の基準や運用のあり方を明らかにすること」「労働者から説明を求められた場合、事業主は説明しなければならないこと」「説明を求めたことを理由に不利益取扱いをしてはならないこと」を指針に明記すべきであると考えます。パート法第13条では、「事業主は、パート労働者から求めがあったときは、待遇の決定に当たって考慮した事項について説明しなければならない」とされており、先般の建議でも「事業主は、パートタイム労働者がパート法第13条に定める待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由として、解雇その他、不利益な取扱いをしてはならない旨を法律に位置づけることが適当である」という旨が盛り込まれたところです。均等法の条文でも同様の規定を行うことが効果的であると考えます。

○佐藤委員
 雇用管理区分ということも何度も出てきて、この説明が5ページ、均等法のところ。組合が言われるように、男女差別と判断できるような雇用管理区分があることを私も否定はしないのですが、組合は、雇用管理区分自体が問題だと言われているのか、男女差別につながる雇用管理区分は無くせと言われているのかということなのです。
 私は人事管理が専門なので、例えば、いわゆる専門職と管理職コースというのも雇用管理区分なのです。多くの企業でありますね。これも雇用管理区分です。もちろん、そういう雇用管理区分でも、場合によっては男女差別というようなものもあることもあるのです。ただ、そうではなくて、合理的な雇用管理区分もあります。例えば研究所などでいえば、専門職コースなどエンジニアの人が希望して作っているような所もたくさんあるわけです。そうすると、雇用管理区分一般がいけないと言われているのか、男女差別に結び付く雇用管理区分がいけないと言われているのか、そこがすごく大事な点かなと思っています。何となく、雇用管理区分イコール男女差別と言われているように聞こえるときもあるのです。今後の議論に結構大事かなと思っています。

○半沢委員
 その点に関しては、男女差別につながる雇用管理区分だと思っています。いわゆるコース別というのは、一般的な定義がどうかというのはありますが、私としては男女差別につながると。

○佐藤委員
 そこは、コース別全てがそうだと言われているのか。コース別と、いろいろな言い方がありますが、その中にも差別に結び付くようなコース、コース別でも何でもいいのですが、実態としていろいろな雇用管理区分があるのです。ですから、コース別というのは全て男女差別に結び付くと言われているのか。ですから、そこを分ける基準を今、厚労省が出されているのです。1つは、この区分が不十分だというのはあり得ると思うのです。この区分だと、男女差別があるようなものが排除できないといいますか、分かりにくいというのももちろんあると思うのですけれども。今日、別に。ちょっと気になったので。

○松田委員
 今のコース別雇用区分のところについては、コース区分の基準の合理性というところが問われると思っております。例えば転勤が要件にあってコースが違うといったときに、本当にその転勤の要件に合理性があるのかとか、そういったことを考えていかないといけないのではないかと思います。

○布山委員
 今、佐藤先生からの御質問に対する回答で、雇用管理区分自体を否定されているということではなさそうなのでいいのですが、雇用管理区分というのは、結局、人材活用、育成を含めたトータルな区分なので、それ自体を超えた形で男女を比較しろというのは、事実上難しいと思っています。

○中島委員
 雇用管理区分についてです。逆から言うとというか、少なくとも現状では、雇用管理区分を超えた職務の比較なり評価というのができないわけですよね。そういうあり方自体も問題にしています。だから区分の基準という考え方、確かに管理職コースとか一般職コースというのがあるのかもしれませんが、今、非常に多様な区分がある中で、雇用管理区分の中でしか比較できないというような人材育成のあり方とか、評価のあり方を私たちは非常に問題にしております。

○佐藤委員
 今日は議論するのかどうか。感想だけです。パート労働法でいえば、パートといわゆる社員というのは違った雇用区分と考えればですが、有期、無期もあるのですが。それが実態としては、有期でも継続されていたり、人材活用、仕組みの場合、これは一緒にしなさいという話です。賃金制度もそろえなさいというのです。もう1つは、合理的な区分であっても均衡というのがあるので、賃金水準のバランスを取れというのがあります。これは、今、中島さんが言われたことを見ろという話になっているのかなと思います。
 ですから、区分自体が合理的であっても、賃金水準について、余りに差があるというようなことに納得できるかどうかというのが、多分、均衡なのです。均衡というのは、今日は均等法ですが、パート労働法の中では、一応そこを見るようになっているのかなというのが感想です。
 もう1ついいですか、先ほどの両立をここに入れるかどうかですが。育・介法のほうの両立は、基本的には育児・介護でいいですよね。育児・介護と仕事の両立を図るような支援ということで。均等法第2条に「職業生活の充実」とありますね。多分「職業生活の充実」の中身は時代とともに変わってきていて、均等法が出来たときの「職業生活の充実」とは何かなどは、多分変わってきていると思うのです。ですから、これを現在でいえば、当然、この「職業生活の充実」の中には、広い意味では、仕事だけが充実すればいいのではなくて、仕事が充実するためには仕事以外でやりたいこと、やらなければいけないことができるような働き方があるということは、例えばワーク・ライフ・バランス憲章が出来ている背景を考えれば、多分あるかなと。
 ですから、多分この「職業生活の充実」というのは育児・介護よりもっと広くて、というように解釈することも可能かなと。例えば、社会人大学に行って勉強するというような時間を確保できる働き方があるということが、実は「職業生活の充実」に結び付くという。だからそれは、つまり、解釈で十分やれるのか、あるいは、こういうものは解釈が変わってくるのではないかという気もするので、その辺、法律家の方々はどうなのかなと、よく分かりませんが。

○山川委員
 直接、お答えになるかどうか分かりませんが、「職業生活の充実」の中に、例えば働きがいみたいなものでしょうか、そういうことも含めるというのは、これまでもそういう表現も使われているかと思いますが、これは正に職業生活の問題であろうかと思います。ただ、先ほど来議論に出ておりますワーク・ライフ・バランスそのものの実現というようなことになると、法の理念みたいなものとしてはちょっと違うのかなという感じがあります。二重に法律が存在するというのは、なかなか法制的には難しいところがあろうかと思います。
 ただ、先ほど来の議論を伺っておりますと、佐藤先生からもその前に御指摘があったように、今の男女間の待遇格差の問題というのはいろいろな要因が絡み合っていて、ある1つだけを取り出して解決できるというようなことが、諸外国でも言われていますが、難しくなっているということがあると思います。つまり、理念としては均等の実現ということであっても、様々な制度との関連性があって、それをどういう手法で達成していくかというようなかなり大きな議論になる可能性があります。例えば、ポジティブ・アクションとか間接差別の問題などにも関わりがあることで、例えばコース別管理等についてもそうです。合理的配慮も、諸外国では、男女の格差の問題を合理的配慮で対応するというのは余り例はないのではないかと思います。
 要するに、ある問題が様々な要因を持って生まれてるときに、その要因にどうやって対応するかという仕組み方の問題、それはポジティブ・アクションであったり間接差別の問題であったり、合理的配慮という御意見が出ましたが、そういういろいろな手法をどうやって選択して組み合わせていくかと、ちょっと抽象的になるのですが。
 ただ、この要因というのを法律でどこまで細かく、細かく詰め出すときりがないですし、そもそもできるのかという問題があって。企業内で分析して改善を図るという、「企業内」といえるかどうか分かりませんが、各企業の自己分析と対応みたいなことによらざるを得ない部分もかなりあるのかなと。そのためにどういう法的仕組みを作るかというのが、先ほど申し上げたようないろいろな手法を考えるということですが、なかなか一筋縄ではいかない問題なので、新たな考え方、対応のようなことも検討する必要があるのかなと思います。ちょっと抽象的で申し訳ありませんけれども。

○林会長
 ありがとうございました。

○松田委員
 先ほどのコース別雇用管理区分のところで申し上げた、それの合理性自体が問われるというのは当然のことなのですが。すみません、今日、議論することではないかもしれませんが、この雇用管理区分に基づく不合理な格差については、労働契約法で禁止されるというようにもなりました。それから、区分に基づく待遇格差を、労働基準法第4条の趣旨から違法であると判断する裁判例が出てきていますから、均等法でも整合性を図る必要があると考えています。コースが違うから不合理な格差があってもいいというようにはならない、ということを申し上げたいと思います。

○布山委員
 労働契約法に関しては、雇用管理区分により不合理な、ということではなかったと思います。有期であることをもっての、ということなので、それがイコール雇用管理区分ということではないのかなという、解釈としてはそうなのではないかと思っております。

○林会長
 20条はその趣旨で書かれていると思います。

○川﨑委員
 先ほど山川委員からも、格差があることに関しては様々な要因があるというお話がありましたけれども、そこに関して感想を少し述べたいと思います。企業においては、女性が働きやすい環境ということで育児や介護の休職制度といったものも充実してきていますし、男女の差のない処遇というところでのポジティブ・アクション的な活動も随分やってきています。ただ、女性の働き方が何によって決まるかというと、企業が準備するそういったものに加えて、社会保障とか年金制度、税制といったものも含めて判断し、どう働くのか、企業の中でどう働きたいのかといったことを決める傾向が非常に大きいと感じています。
 例えば勤続年数が短くなってしまう、あるいは年収をある一定の高さで規制して、働くことを抑制していくなどといったものにつながっていると感じていまして、そういったものが資料3に出てきている賃金の格差の背景にも大きく影響していると感じています。現行の雇用機会均等法の分野だけでは解決できない、複合的な問題があってのデータであることを認識しておりますので、そのような意味では、現行の法律についてはかなり完備されているものだと認識しています。以上、感想として述べさせていただきました。

○林会長
 ほかに御意見があればお願いいたします。

○齊藤委員
 今のお話ですが、賃金格差のデータはパート労働者を除いた一般労働者のデータでやっていますから、女性がそうした働き方をしているから賃金の格差が生じているというものではないと思っております。また、格差があることに関しては様々な要因があると先ほど言われましたが、どのような要因があるかをそれぞれの企業が把握することが一番大事なのではないかと思っております。その把握がポジティブ・アクションにつながっていくような形にしていければ一番いいかなと思っております。
 データは企業が持っておりますので、どういった部分が違うのか、男女の割合はどうなっているかなどのデータを企業がきちんと取って、それに対してどのような改善をしたら同じようになっていくかというのが見えるように、データの作成や集計等を企業の努力義務として持ってもらえればと思っております。その上でポジティブ・アクションの計画策定、格差の要因について説明の義務を求められたときに応じることを義務規定にするといったものも、格差を是正するための1つの方法ではないかと思います。もちろん、そういったことに関しては事業主のメリットやインセンティブについても、別途検討する必要があるとは思いますが、少なくとも賃金格差については少なくなっていくのではないかと考えております。

○松田委員
 婚姻を巡る差別について1点申し上げます。これまでの議論でも出ていますが、一応確認のために申し上げたいと思います。婚姻を巡る差別ということでは、例えば夫婦が同じ職場にいることを上司が嫌がって、一方を配転するといった事例は非常に多いと思いますが、配転の対象になるのは女性であることが多いわけです。また、結婚という基準は、現行の性役割に触れて、男性と女性とでは異なる意味を持つわけです。「男性は結婚すると一人前になるけれども、女性は半人前に見られる」、このような言い方もありまして、これを聞いたときに、「ああ、そうだな」と自分の体験からも思ったことがあります。職場の実態として、婚姻を理由とする差別というのは、やはりまだ多く存在すると思っています。
 「結婚を理由とする労働条件などの差別待遇」については、以前の事務局答弁では、女性のみが婚姻を理由として差別的に職種が変更されれば、第5条、6条で禁止されている「性別を理由とする差別」として禁止されると考え得るということでしたが、指針では、職種変更と定年については、婚姻に係る記載がなく、不明確です。婚姻を理由とする差別を迅速に是正できるようにするために、第9条を改正して、妊娠・出産等を理由とする労働条件の不利益な取扱いと同じように、結婚を理由とする退職・解雇以外の差別も第9条で禁止をするか、第5条、6条で禁止される差別であることを指針で明確にすべき、このどちらかで明確にするべきだと思います。

○林会長
 これについて御意見がありますか。なければ、そのほかの御意見等をお願いいたします。

○半沢委員
 セクシュアルハラスメントについてです。これまでの労側の主張として、指針において性的な言動の定義に「性別により役割を分担すべきとする意識に基づく行動」あるいは「性差別に関わる言動」である、いわゆるジェンダーハラスメントといわれるようなものを追加したほうがいいのではないか。また、第11条におけるセクシュアルハラスメントの防止義務に、今申し上げたような行為に関する防止義務も課したほうがいいのではないか。若しくは指針等で被害者救済のための規定を拡充することなどを求めてきました。
 これまでの審議の中で、公益側の委員からはセクハラ、イコールわいせつ行為といったような理解が多くあるわけですけれども、その背景には性差別の意識があるというお話もありました。そういった意味で現行法においては、その部分の表現が不明確であり、整理すべきではないかと思っております。外国の例を見ますと、性に基づく排除の意思があることを示すような性差別的な言動、これについては以前の分科会で幾つか例を出しましたけれども、こういったものも差別の1つの類型であることから、やはりこれも本来的には禁止をされるべきではないかと思っております。
 まとめますと、指針の性的な言動といった定義の中に、性別役割分担意識に基づく意識を背景とした言動、いわゆるジェンダーハラスメントといった内容も追加したほうがいいのではないか。また、その防止をする努力といいますか、義務を事業主に求めていくといったことも必要ではないかということを改めて述べたいと思います。

○松田委員
 セクシュアルハラスメントについて、もう1つの観点で申し上げます。セクハラについては、被害者の保護と権利保障についても、特に強調しておきたいと思います。現行の法制度は、被害者の働き続ける権利を確保するという視点では不十分だと思っております。事業主にはハラスメントによるトラウマを抱えた被害者の仕事と雇用を守り、職場で働き続けられるようにするためのルールや手続を明確にして、必要な積極的措置を講じなければならないという義務を課すべきだと思います。使側の委員からは、辞めたい被害者もいるという御発言もありましたけれども、そうした状況に追い込まれないための対策の検討が求められると思います。
 具体的には、指針の3の(3)に、被害者の保護と現職復帰の項を新たに設けて、ハラスメントの回避や、健康を害して療養が必要な労働者の休業と復帰の権利を保障するためのルールや手続、それらの過程で不利益が生じないようにする具体的な定めを記載することなどが考えられると思います。今日見た資料1の事案にもありましたが、被害者が精神的苦痛から休職や退職を余儀なくされる例は多いわけですから、被害を受けた労働者が自信や誇りをそがれて、もう退職しか道はないと思い込まされて、退職届を上司に提出したときに、上司は具体的にどのような対応を取るべきかなどについても、指針で明記する必要があるのではないかと思います。

○布山委員
 まず、セクシュアルハラスメント自体は、いわゆるわいせつ行為だけを禁止しているものではないのかなと思っております。その上で、多分セクハラを均等法の中に入れるかどうかを議論したときに、性的役割分担意識というものは、確か解釈通達にも書いてあったと思うのですけれども、例えばお茶くみなどについては、これは性的な言動そのものではありませんが、女性はお茶くみという感じに捉えるのであれば、配置という点でどうするかの対象となるとか、そのようなことが書いてあったと思います。そういうことで読めないのでしょうか、というところが私の意見です。

○半沢委員
 恐らく解釈通達の中に、そういった例はあると思います。解釈通達の中だったと思いますし、その背景にある意識がそういうものなのだということによって、いわゆるセクハラについてこれが駄目、あれが駄目といったような理解、職場でも「これは駄目なんだよね」といったような理解である場合も時にはありますので、その背景にある性別役割分担意識といったことを、解釈通達の中だけでなく、指針などもう少し大きな形で明記することも必要ではないかなと感じております。
 言葉を継ぎますが、そのことによってそうした例だけでなく、そのような意識を背景にしたいろいろな例が、避けるべき行為であると理解されることにつながってくるのではないか。それが、セクシュアルハラスメント自体を少なくしていくということにもつながってくるのではないかと思うところです。

○布山委員
 今の御意見を聞いていても、それ自体がセクシュアルハラスメントであるということに、何か違和感を持ちます。ただ、それをどうするかということも重要だということは当然認識しますが、それを定義の中に入れてというのは、どうなのかなと思ったというのが1つです。また、いわゆる休業補償や雇用保障という話もされましたが、セクハラによって精神的にダメージを受けて休まれることもあると思うのですけれども、一方で被害者が被害者だと分からないように守る、要はセクハラが起こったのではないかというときの対応として、当然そういうことが起こり得るのですけれども、休業を取らせるとすると、どのような理由で休ませるのか。つまり、それらも含めて実際にそれをどうするのかというのは、なかなか難しい点もあるのではないか、前回と同様の意見ですが、述べさせていただきます。

○成田雇用均等政策課長
 セクハラについては、前回も申し上げて、繰り返しになるかもしれませんが、指針の中で、例えば、セクハラの発生の原因や背景についても労働者に御理解いただくことが重要とか、相談に対応するときには広く対応することなどといったことが、既に書かれているところです。

○中島委員
 先ほど布山さんが言われたお茶くみの話は、確かに解釈通達の中に書いてあります。性的な言動とは何かというところに書いてあるのですけれども、問題は「性的な言動」と「性差別的な言動」と両方あるということで、それをできるだけ可視化しておくということは、被害者にとっても、加害者にとっても、大変重要なことだと思っております。私どもとしては、もう少し分かりやすいところに入れておく必要があるのではないかと思っております。

○林会長
 セクハラについて、そのほか御意見があればお願いいたします。

○中島委員
 今日言っておかないと後悔すると思いますので、改めて間接差別について発言したいと思います。以前から申し上げておりますとおり、間接差別については、本来的には間接差別法理を導入して、個々の事例について、間接差別かどうかを問うていくというのが本来の在り方だと思うのですが、現在は限定列挙となっております。私どもとしては、少なくとも研究会の中で例示された7項目、例えば将来の転勤可能性だったり、世帯主の扱いであったり、パートと正規との比較の問題であったり、もう1つは、学歴、学部のフィルターというものが現在でもかなり強くかかっておりますので、そうしたものについて少なくとも例示列挙という形で広げて、その他にもグレーゾーンはたくさんあると思いますけれども、間接差別であるということを施行規則に明記すべきだと思っております。

○林会長
 間接差別については今までも議論できましたけれども、最後に繰り返しで使側からの御意見はありますか。ないようでしたら、ほかの項目についても御意見があればお願いいたします。

○中島委員
 先ほど山川先生でしたでしょうか、御発言いただいた件に触発されて申し上げます。今、女性が働きながら妊娠・出産をするということが非常に困難な現状があります。妊娠・出産なり、育児がリスクと考えられるような状況があるというのは事実だと思うのです。妊娠・出産というのは性差別ではない、要するに女性だけが行うことということで、残念ながら差別の定義としては具体的に含まれていないように思いますけれども、リスクと考えて本当にいいのかというところは、大きな考え方として問われると思っております。
 具体的にどうするかですが、一つ一つ細分化をして対応を考えていくという方法もあるでしょうし、全体としてかぶせていくという方法もあると思うのですけれども、例えば男性が育児休業を取ると、今でも評価が下がったり、キャリアの中断と見られてしまう現実もあるのです。やはり、男性の側にとっても不利益に働いているということを、改めて考えておく必要があるのではないかと思っております。これは意見です。

○林会長
 そのほかに全体を通して御意見等があれば、お願いいたします。特にないようでしたら、本日の議題は以上で終了といたします。
 最後に本日の署名委員は、労働者代表は半沢委員、使用者代表は渡辺委員にお願いいたします。長い間、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局
雇用均等政策課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1ー2-2
電話(代表)03-5253-1111(内線7835)

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