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2012年10月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年10月26日(金)15時~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名) 五十音順

 佐 藤 田鶴子、 佐 藤 雄一郎、 手 島  玲 子、 豊 見 雅 文、

 野 田 光 彦、 林   邦 彦、 檜 山  行 雄、 古 川   漸、

 増 井   徹、◎松 井   陽、○松 木 則 夫、 村 田 美 穂、

 本 橋 伸 高、 山 田 清 文 

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名) 五十音順

 加 藤 総 夫、 木 村   剛、 鈴 木 邦 彦、 千 葉   勉、

 成 冨 博 章、 西 澤   理

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 赤 川 治 郎 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中、御参集いただきありがとうございます。
本日は、「その他」の事項に関して、独立行政法人国立循環器病研究センター先進医療・治験推進部の山本晴子先生をお呼びしております。
 本日の委員の出席についてですが、加藤委員、木村委員、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、林委員、村田委員、増井委員より、遅れていらっしゃるとの御連絡をいただいております。現在のところ、当部会委員数20名のうち11名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。議事次第に記載されている資料1~9をあらかじめお送りしています。このほか、資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告します。
 1ページ、「ボトックス」です。本品目は「重度の原発性腋窩多汗症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから、競合品目はなしとしております。
 2ページ、「マキュエイド」です。本品目は「糖尿病黄斑浮腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3~4ページ、「エルカルチンFF内用液及び同静注」です。本品目は「カルニチン欠乏症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 5ページ、「トビエース錠」です。本品目は「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。今の説明に対して、何か特別に御意見等はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、皆さんの了解を得たものとします。
 それでは、申出状況について報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況についてです。
議題1「ボトックス」、退室委員はなし、議決には参加しない委員は松木委員、本橋委員です。
議題2「マキュエイド」、退室委員はなし、議決には参加しない委員は野田委員、村田委員、山田委員です。
議題3「エルカルチン」、退室委員はなし、議決には参加しない委員は山田委員です。
議題4「トビエース」、退室委員はなし、議決には参加しない委員は野田委員です。以上です。
○松井部会長 本日は、退室委員はなしということですね。本日は審議事項が4議題、報告事項が4議題となっております。本日は参考人の山本先生においでいただいておりますので、「その他」の事項から始めたいと思います。山本先生、よろしくお願いします。
○山本参考人 独立行政法人国立循環器病研究センターの山本でございます。
資料9を御覧ください。硫酸マグネシウムの公知申請の該当性に関して、検討会議での検討結果を御説明します。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の循環器ワーキンググループの座長ですので、私から報告させていただきます。
 3ページを御覧ください。今回は、日本妊娠高血圧学会より、重症妊娠高血圧症候群における子癇の予防及び治療の要望ということで提出されております。3~4ページにかけて、要望内容の医療上の必要性についての記載があります。重症妊娠高血圧症候群患者が子癇に至った場合、母体、胎児ともに重篤な障害を伴う可能性があること、国内外のガイドラインに標準的療法として記載がなされていること等を踏まえ、検討会議では本要望について医療上の必要性は高いと判断しております。
 12ページから、国内外の公表論文、ガイドライン等の記載をまとめております。いろいろありますが、硫酸マグネシウム4~6gをゆっくりと静脈内投与し、その後1時間当たり1~2gのスピードで持続投与するというのが、おおむね共通した方法として記載されております。また、国内において、子癇の治療及び切迫早産における子宮収縮の抑制の目的で、硫酸マグネシウムは既に投与がなされておりますが、安全性において特段の問題は生じておりません。以上より、重症妊娠高血圧症候群における子癇の予防及び治療に対する本剤の有効性・安全性は、医学薬学上公知であると判断しております。
 30ページに、効能・効果、用法・用量についてまとめております。効能・効果ですが、「重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療」としております。また、用法・用量については、「初回量として40mL(硫酸マグネシウム水和物として4g)を20分以上かけて静脈内投与したのち、毎時10mL(1g)より持続静脈内投与を行う。症状に応じて毎時5mL(0.5g)ずつ増量し、最大投与量は毎時20mL(2g)までとする」と設定することが妥当と考えております。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。
特に御異議がなければ、委員の先生方にはこの点を御確認いただいたということにしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。山本先生、どうもありがとうございました。
── 山本参考人退室 ──
○松井部会長 議題1に移ります。機構より概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ボトックス注用50単位、同注用100単位の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
 本剤の有効成分であるA型ボツリヌス毒素は、アセチルコリンの放出を阻害することにより筋弛緩作用を示す神経毒素であり、本邦においては1996年10月に眼瞼痙攣、2000年1月に片側顔面痙攣、2001年6月に痙性斜頸、2009年2月に2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、2010年10月に上肢痙縮及び下肢痙縮の効能・効果で承認されております。
 今回の申請効能・効果である腋窩多汗症については、本邦においては2010年4月より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。また、海外における承認状況として、米国を含む69の国又は地域で腋窩多汗症に係る効能・効果が承認されております。
本申請の専門委員としては、資料11に記載されている4名の委員を指名しております。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明します。
まず、多汗症についてです。審査報告書7ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」を御覧ください。多汗症は体温調節に必要な発汗量を超えて発汗する病的状態と定義され、多汗が認められる部位により全身性多汗症と局所性多汗症に、また原因疾患の有無により原発性多汗症と続発性多汗症に分類されます。原発性局所多汗症のうち、腋窩に多汗が認められるのが原発性腋窩多汗症であり、社会的な活動範囲が広く生産性のある年代の罹患率が非常に高く、日常生活及び社会生活において制限があるばかりでなく、心理的又は精神的苦痛をきたす難治性疾患とされております。
 有効性について、審査報告書9ページ、表1を御覧ください。重度の日本人原発性腋窩多汗症患者を対象とした臨床試験が実施され、ベースラインと比較して、重量測定法による両腋窩の平均発汗重量が50%以上減少している被験者をレスポンダーと定義し、そのレスポンダー率が主要評価項目とされました。国内臨床試験における投与4週後のレスポンダー率は、プラセボ群45.9%に対して本剤50単位群96.2%、本剤群とプラセボ群との群間差は50.2%であり、本剤群とプラセボ群との比較において統計学的な有意差が認められました。本試験成績に基づき、効能・効果は「重度の原発性腋窩多汗症」と、重症度を限定したものとされました。
 安全性について、審査報告書13ページ、表7を御覧ください。原発性腋窩多汗症に特有の有害事象として代償性発汗が認められておりますが、すべて軽度であり、投与8週までの早期に発現しております。国内外臨床試験での代償性発汗の発現割合は低かったものの、本事象は原発性腋窩多汗症に特有の事象であることから、本剤を投与した際に代償性発汗が発現する可能性があることを、医療関係者及び患者に対して十分に説明する必要があると考えております。そのほかの有害事象については、既承認効能・効果において認められているリスクを上回るものではなく、現在の注意喚起を継続することで大きな問題はないと考えております。本剤の使用は、既承認の適応と同様に資格講習を受講した医師のみに限定し、本剤の安全性については製造販売後調査において引き続き検討を行っていく予定です。
 以上の審査を踏まえ、「本剤についての講習を受け、本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師によってのみ用いられるよう、必要な措置を講じること」及び「本剤使用後に失活・廃棄が安全・確実に行われるよう、廃棄については薬剤部に依頼する等、所要の措置を講じ、廃棄に関する記録を保管すること」、以上を承認条件とした上で、本剤の原発性腋窩多汗症に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新投与経路医薬品であり、再審査期間は6年とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○佐藤(田)委員 一つ教えていただきたいのですが、今までの、筋肉の痙攣を抑えるのが主だった、ボトックス注の目標と少し違う感じがします。今回の使用について、右なら右、左なら左という形で片方だけ起こるのではなく、両側性で起こると思うのですが、筋肉の中に注射するのではなく、皮内に注射をするということで、この文献を見ると効果が約4か月以内ぐらいということですが、連投の後、効かなかったときにはヨウ素デンプン反応で確認するのでしょうか。また、そのときに、中和抗体のチェックをPCRでやるということが出ていたのですが、血中に回っているのだとすると、ほかの筋肉の方に作用が及ぶことが逆にあるのか、使用法が今までとは違うので、ほかの器官への影響、筋肉への影響について教えてください。
○松井部会長 二つ御質問があったかと思いますが、いかがでしょうか。
○機構 まず、汗の分泌に関しては副交感神経支配となっているので、本剤はアセチルコリンの放出を阻害するということで、汗が分泌される所に投与することによって、直接汗の分泌を抑えるという機序となっております。確かに筋肉の痙攣等に対するこれまでの効能・効果とは少し違っておりますが、作用機序自体は同じものになります。
○松井部会長 効かなかったときのことについて、よく理解できなかったのですが、ヨウ素デンプン反応とおっしゃいましたか。
○佐藤(田)委員 添付文書にそう書いてあります。
○機構 ヨウ素デンプン反応については、添付文書に記載がございます。汗が分泌される部位を特定し、投与部位を限定するために必ずヨウ素デンプン反応のMinor’s法を使っています。Minor’s法以外の方法でもいいのですが、それらの方法を使用して汗の分泌される部位を特定することになっております。
○佐藤(田)委員 そうすると、4か月か6か月以内が投与中止になっていますから、効果が落ちるのが4か月以降になると思うのですが、それのチェックの際は同じような部位で見るのですか。それとも、血中の中和抗体のチェックか何かでされるのでしょうか。
○機構 再投与の判断については、患者の訴えと医師の客観的な評価によって判断されますので、特に検査といったことを必要とするものではありません。
○松井部会長 もう一つのほかの組織への影響についてはいかがですか。
○機構 投与局所とは違う部位への作用については、臨床試験の中ではそういったものに関連する有害事象は見られておりません。しかし、投与によってそういった可能性がないわけではないので、製造販売後調査の中では投与部位以外での有害事象が見られたかどうかについても調査をしていくつもりです。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。御質問、御意見は特にありませんか。
 それでは、議題1について議決に入ります。なお、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。
 議題2に移ります。機構より概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品マキュエイド硝子体内注用40mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
 本剤は、合成副腎皮質ステロイドであるトリアムシノロンアセトニドを有効成分とする、添加剤を含有しない用時懸濁して用いる粉末注射剤であり、本邦では、硝子体手術時の硝子体可視化を効能・効果として、2010年10月に承認されています。
 今般の申請は、糖尿病黄斑浮腫(以下、DME)に係る効能・効果を新たに追加するものです。DMEは、糖尿病網膜症を基礎疾患として眼内の黄斑部に生じる浮腫であり、黄斑部は神経が密集し視力に直接影響する部位であるため、視力障害の原因となり、失明する危険性もある疾患です。DMEの治療の主体は、レーザー光凝固、硝子体手術等の外科的療法であり、現時点では本邦においてDMEに係る適応症を有する薬剤は承認されていません。一方、本薬の硝子体内投与により、DMEにおける浮腫が軽減することが文献報告されており、DMEに対して本薬が国内外で広く適応外使用されている実態があること等から、本剤の開発が行われました。なお、海外においては、本剤とは別の本薬眼内注射剤が市販されておりますが、本剤の開発は行われておりません。
本申請の専門委員としては、資料11に記載されている5名の委員を指名しました。
 主な審査内容について簡単に説明します。
審査報告書8ページ「(2)第II/III相試験」の項を御覧ください。本申請における検証的試験として、日本人DME患者100例を対象に、本剤4又は8mgを硝子体内投与した際の有効性及び安全性を、非投与群(針の付いていない注射筒の先を眼に当てる処置を施された群)と比較する無作為化単遮蔽並行群間比較試験が実施されています。9ページ中段の表4に示していますように、主要評価項目である最終評価時のETDRS視力検査表による最高矯正視力スコアについて、本剤8mg群と非投与群との群間差は4.0、本剤4mg群と非投与群との群間差は4.7であり、いずれも統計学的に有意な差が認められています。なお、ETDRS視力検査は、視力表上の大きさの異なる文字を合計何文字読めたかにより視力を評価する検査であり、この結果はそれぞれ4.0文字、4.7文字改善したことを示しています。本試験結果に加え、本薬の有効性を支持する公表文献が多数報告されていることも勘案し、機構は日本人DME患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。また、本剤4mg群及び8mg群のいずれにおいても視力の改善効果が認められていますが、忍容性については低用量である4mg群の方が優る傾向が認められていることから、臨床推奨用量は4mgが妥当であると判断しました。
 次に、12ページ「(2)安全性について」の項を御覧ください。国内臨床試験2試験の併合データにおける主な有害事象の発現状況を表8にまとめております。本剤の硝子体内投与では、副腎皮質ステロイドの作用に関連すると考えられる、眼圧上昇及び水晶体混濁・白内障が臨床予定用量の4mg群においていずれも約20%認められ、特に留意すべき有害事象と考えられることから、これらについて重点的に検討を行いました。
 まず、眼圧上昇について、12ページの後段~13ページにまとめております。眼圧の推移は13ページの表9のとおりであり、いずれの本剤投与群においても、非投与群と比較して投与後12週まで眼圧が上昇する傾向が認められております。発現例は、いずれも眼圧下降点眼薬等の処置により回復していますが、本邦における本薬の適応外使用実態調査において、硝子体内投与後の眼圧上昇により手術に至った例も報告されていることから、本剤による治療中は定期的な眼圧検査を徹底する必要があると考えています。
 次に、水晶体混濁・白内障について、13ページの後段~15ページにまとめております。水晶体混濁・白内障の新規発現又は進行の発現状況は、14ページの表11のとおりであり、非投与群及び本剤1mg群に比べ、4mg群及び8mg群で発現率が高く、12週以降の発現例が多く見られていることから、本剤投与後には十分な経過観察が必要であると考えております。
 このような眼圧上昇、白内障の発現・進行等の発現リスクを踏まえると、本剤の投与に当たっては、リスク・ベネフィットバランスの判断が非常に重要と考えられることから、本剤の使用は網膜疾患に関する専門知識を有し、硝子体内注射の手技に関する十分な知識と経験を有する医師に限定することが適切と判断しております。
 次に、22ページ「(2)再投与について」の項を御覧ください。本剤の臨床試験においては再投与時の有効性及び安全性に関する十分なデータは得られていないこと、公表論文において、長期投与により有効性の減弱、白内障のリスク上昇等が報告されていることから、維持的治療を目的とした本剤の長期投与は避けるべきであり、再投与はリスク・ベネフィットを勘案して必要と判断される場合に限り、最小限の回数で考慮されることが適切であると判断しております。
 製造販売後調査としては、23ページ「(3)製造販売後調査等について」の項に記載しているとおり、観察期間を1年とし、使用実態下での眼圧上昇、水晶体混濁・白内障の発現状況、再投与が実施された症例についての安全性・有効性等を確認する予定としております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請に係る再審査期間は4年とすることが適当と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○松木部会長代理 懸濁液ということで、2点、気になることを質問します。12ページ、表8の副作用の中で、硝子体浮遊物が結構多く、これが残存している本薬粒子によるものということですが、これはいつまでも残るのですか。それとも、時間が経てばなくなるのですか。また、この観察時間というのがよく分からないのですが。
○機構 硝子体浮遊物、あるいは眼内異物といった有害事象は、本剤の粒子が眼内に残存したことによる事象であると考えられます。有害事象の発現については、ほとんどの事象が、臨床試験の観察期間である12週間のうちに消失が確認されております。12週以降に起きている有害事象として、白内障は12週以降に起きておりますが、それ以外の事象については投与直後から多く起きて、比較的速やかに消失しております。
○松木部会長代理 懸濁液の添付文書(案)でも、激しく振盪して、投与直前にまた回転させるような指示が書いてあったのですが、それが不十分だとか、そういうことではないということですか。
○機構 本剤は溶解性が低いので、投与後、眼内に本薬粒子が出てきてしまうのはある程度避けられないことだと考えております。
○松井部会長 よろしいですか。
○松木部会長代理 はい、分かりました。
○手島委員 12ページ、表8の副作用ですが、視力低下が4mg群で20%ほど見られています。一方で、この薬は視力に改善があったというのが表4にあったと思いますが、表8で見られる視力低下というのは、白内障を併発したことによる視力低下と考えてよろしいのでしょうか。
○松井部会長 糖尿病性白内障などの影響によるものかどうかということです。
○機構 原因の一つとして、白内障の進行は考えられると思います。そのほかの要因として、効果不十分といったことも考えられると思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○山田委員 添付文書上の記載について確認したいのですが、添付文書(案)の2ページの「重要な基本的注意」に「(2)白内障が発症あるいは悪化することがあり、投与後6ヶ月以降に発症あるいは悪化した例も報告されている」と記載があります。先ほどの説明で、12週前と12週以降で、12週以降発症が増えるという御説明がありましたが、ここでは投与後6か月ということが強調されています。これは何か特別な理由があるのでしょうか。
○機構 説明のところで12週と申し上げたのは、臨床試験のデザインとして12週までが必ず観察を続ける期間であり、12週以降も追跡期間として白内障の発現や眼内微粒子の残存の消失を観察するという計画となっており、12週までと12週以降とに大きく分けると、他の有害事象は12週までに起きていたのが、白内障に関しては12週以降の追跡期間での発現が多く認められたためです。その中でも3か月ごとに区切って見ると、6~9か月の3か月間で白内障については多く認められていることから、添付文書では6か月以降といった記載になっております。
○山田委員 臨床の場では、このように数字が出ると大きく影響を受けるかと思いますので、臨床試験で12週以降特に発症が多かったということであれば、そのように書いていただいた方が活動しやすいのではないかと思いました。御検討いただければと思います。
○松井部会長 「特に白内障手術の既往のない眼では」と書いてありますが。
○機構 白内障の発現時期については幅があるわけですが、臨床試験の12か月まで追跡した結果の中では、6か月以降の遅い時期に発現した症例が比較的多く認められており、特に投与から時間が経って発現することがあるということを注意喚起するために、添付文書では6か月以降でも症例が認められたとしております。
○山田委員 分かりました。
○松井部会長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。
 それでは、議題2について議決に入ります。野田委員、村田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮ください。本議題について承認を可としてよろしいですか。
 御異議がないようですので、承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。
 それでは、議題3に移ります。機構より概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品エルカルチンFF内用液10%及び同FF静注1000mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
 レボカルニチンは、食事による摂取と生体内での生合成により供給される生体内物質であり、小腸粘膜に存在するカルニチントランスポーターを介して主として骨格筋、心臓、肝臓などの組織に取り込まれ濃縮されて存在しており、長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックス内への輸送、TCA回路や尿素回路などの代謝に重要な遊離CoAプールの維持、さらに細胞毒であるアシル化合物をカルニチンエステルとして細胞内より除去し尿中へ排泄する役割を有しています。細胞内のカルニチンが欠乏すると、これらのカルニチンの機能が不十分となり、肝臓、脳、骨格筋、心筋などの種々の臓器で異常が生じ、重篤なカルニチン欠乏症では低血糖発作による昏睡など生命を脅かす臨床症状を呈し、重篤で不可逆的な臓器障害を来すことが知られています。
 本邦では、有効成分としてレボカルニチン塩化物を100mg又は300mg含有する錠剤(以下、「エルカルチン錠」)が、プロピオン酸血症及びメチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善について、平成2年に承認されています。一方、その後プロピオン酸血症及びメチルマロン酸血症以外の原因によるカルニチン欠乏症を含んだ効能・効果への変更、及び乳幼児や急性期の患者への投与が可能な剤形の開発について、日本先天代謝異常学会及び日本小児科学会から申請者に要望書が提出されました。以上の背景を踏まえ、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下、「検討会議」)における検討、医薬品第一部会における事前評価を経て、公知申請により、平成23年3月に「カルニチン欠乏症」への効能・効果の変更が承認されました。検討会議においては、乳幼児や急性期の患者並びに経口投与できない患者に対しての経口液剤及び注射剤の開発についても、医療上の必要性が高いと評価され、当該検討結果を受けて、厚生労働省より申請者に開発要請がなされました。今般、申請者は、経口液剤及び注射剤を速やかに本邦の医療現場に提供することが重要と判断し、海外でSigma-tau社が上市している経口液剤及び注射剤(ただし、有効成分のレボカルニチンは、本邦で既承認のエルカルチン錠(塩化物)と異なりフリー体)を導入するための承認申請が行われました。
2012年7月現在、レボカルニチン(フリー体)を有効成分とする経口液剤は欧米をはじめ31か国、注射剤は32か国で承認されています。
本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床成績等を中心に説明いたします。
有効性については審査報告書31ページ「(2)有効性について」の項に記載したように、検討会議において分子量に従い用量を換算すれば、レボカルニチン(フリー体)に関する海外臨床報告等を、レボカルニチンの塩化物の評価に活用できるとされ、有効性について評価済みであること、レボカルニチン(フリー体)投与時の薬物動態において、日本人と白人との間に問題となるような大きな違いがないことが示されたことから、カルニチン欠乏症に対する本剤の有効性は期待できると考えました。
 安全性については、31~33ページ「(3)安全性について」の項に記載したように、レボカルニチン経口液剤について、情報は限られているものの、公表文献及び海外市販後報告において、安全性に特段の懸念は認められていないこと、活性本体が同一である既承認のエルカルチン錠(レボカルニチン塩化物)と同一の投与経路であること等を考慮し、安全性は許容可能と考えました。また、レボカルニチン注射剤についても、公表文献及び海外市販後報告において、安全性に特段の懸念は認められておらず、安全性は許容可能と考えました。
 製造販売後調査については、36~37ページ「(7)製造販売後調査について」の項に記載したように、経口液剤を投与開始する患者及び注射剤を投与開始する血液透析患者、それぞれを対象とした長期特定使用成績調査において、患者背景、経口液剤又は注射剤の投与状況、有害事象、臨床検査値、心電図所見等を調査項目とし、安全性及び有効性について情報収集される予定です。
 以上のとおり、機構での審査の結果、「カルニチン欠乏症」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤の再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会での報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明に関しまして、委員の先生方から御質疑をお願いします。
付け加えますと、4ページの上方に、一次性のカルニチン欠乏症と二次性のカルニチン欠乏症があると書いてありますが、トランスポーター異常にしても、プロピオン酸血症にしても、メチルマロン酸血症にしても、それぞれ一つひとつは稀です。特にプロピオン酸血症、メチルマロン酸血症というのは、肝臓移植の適用になります。適用になるときにカルニチンの欠乏が長く放置されますと、腎臓もやられてしまうので、大変問題なのです。そのほかにも肝硬変やファンコニ症候群という少し頻度の高いものでも、肝臓、腎臓、その他の細胞が二次性にやられますので問題になっているということで、この必要性が強調されているわけです。
委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
 よろしいですか。もし御質疑がなければ議決に入ります。なお、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。
次に議題4に移ります。機構より概要説明をお願いします。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品トビエース錠4mg、同錠8mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。
 まず、審査報告書3ページを御覧ください。本剤はフェソテロジンフマル酸塩を含有する製剤であり、経口投与後、血中で非特異的エステラーゼによって速やかに加水分解され、ほぼすべてが活性本体であるトルテロジン5-ヒドロキシメチル体(以下、「5-HMT」)に変換されます。5-HMTは、膀胱平滑筋や膀胱知覚神経の神経終末に存在するムスカリン受容体に結合して、膀胱収縮、排尿反射の亢進を抑制し、尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁といった過活動膀胱の症状を改善する薬剤です。5-HMTは、本邦で既に過活動膀胱治療薬として承認されている酒石酸トルテロジン(以下、「トルテロジン」)の活性代謝物と同一で、トルテロジン未変化体と同等の活性を有します。またトルテロジンの経口投与後には、血中にトルテロジン未変化体と5-HMTが、おおむね1:1で存在します。なお、トルテロジンの国内外における通常用法・用量は1日4mgで、QT延長などの安全性の問題から増量できません。
本剤の開発は、通常用法・用量で効果が不十分な場合に、高用量への増量が可能な薬剤として臨床現場に提供することを目指して始められました。
 海外では2000年よりドイツのSchwarz Pharma社により本剤の開発が進められ、2007年に欧州で、2008年に米国で承認されて以降、2012年8月末現在、43か国で承認されています。
本品目の審査に関しては、専門委員として資料11に記載されている委員が指名されました。
 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
審査報告書60ページ10行目以降「(2)臨床データパッケージについて」の項を御覧ください。本開発では、ブリッジング戦略に基づく開発が行われ、アジア共同第II相試験(A0221005試験)をブリッジング試験、海外第III相試験(SP584試験)をブリッジング対象試験と位置づけたブリッジング戦略がとられました。審査報告書61ページ20行目「2)ブリッジング成立の可否について」の項に記載したとおり、両試験の本剤4mg及び8mg群における切迫性尿失禁回数、平均排尿回数、及び尿意切迫感回数の成績の類似性からブリッジングが成立したものと判断し、海外第III相試験2試験の成績を日本人に外挿可能と判断しました。
 有効性については、審査報告書51ページ17行目「(3)第III相試験」の項を御覧ください。海外第III相試験(SP584試験)では、過活動膀胱患者を対象に、本剤4mg及び8mg又はプラセボが1日1回12週間経口投与され、52ページの表17にお示ししたとおり、主要評価項目とされた投与12週時の24時間当たりの平均排尿回数、平均切迫性尿失禁回数のベースラインからの変化量について、本剤4mg及び8mg群共にプラセボに対する有意な改善が認められました。また、もう一つの海外第III相試験(SP583試験)の成績については、審査報告書53ページ「2)海外第III相試験」の項を御覧ください。本試験では本剤4mg及び8mg、そして対照群のトルテロジン4mg又はプラセボが1日1回12週間経口投与され、54ページ、表19にお示ししたとおり、投与12週時の24時間当たりの平均排尿回数、平均切迫性尿失禁回数のベースラインからの変化量において、本剤4mg及び8mg共にプラセボに対する有意な改善が認められました。またSP584試験、SP583試験の両試験の評価項目における各用量群の成績から、本剤4mgから8mgへの増量により、更なる有効性が期待できることが示唆されました。
 次に、安全性について御説明いたします。審査報告書65ページ「(4)安全性について」の「1)臨床試験で見られた有害事象について」の項を御覧ください。アジア共同第II相試験(A0221005試験)では、類薬の臨床試験と同様、本剤群に抗ムスカリン薬に特徴的な口内乾燥、便秘及び排尿困難が主に認められ、いずれも4mg群と比較して8mg群で多く認められました。また、同ページ3段落目に記載したとおり、海外臨床試験においても、本剤4mg群及び8mg群で認められた主な有害事象は口内乾燥及び便秘等であり、用量依存的に増加する傾向が認められました。しかしながら、本剤4mg及び8mg投与時に発現したこれら抗ムスカリン作用に基づく有害事象は、休薬や減量によりほとんどが軽減し、また、抗ムスカリン作用以外に本剤に特有の副作用も認められないことから、本剤4mg及び8mg群投与時の安全性は臨床的に許容可能と判断しました。
 用法・用量について、審査報告書71ページ28行目「4.用法・用量について」の項を御覧ください。国内外の臨床試験においては、プラセボに対して本剤4mg及び8mgの有効性が示されており、また、本剤8mgの有効性は本剤4mgを上回ることが示唆されている成績が得られております。一方で本剤8mg群は4mg群に比較して、抗ムスカリン作用に起因する有害事象の発現割合が高く、国内長期投与試験では本剤4mgで継続される症例や、8mg増量後に忍容性の問題で4mgに減量する症例が存在したことから、4mgを通常用量とし、本剤4mg投与で効果不十分で、かつ安全性に問題がない症例において、8mgに増量を検討する用法・用量を設定することが適切と判断しました。
 また、審査報告書71ページ10行目「3.安全性について」の「(2)心血管系への影響について」の項を御覧ください。本剤のQT/QTc評価試験の結果が陰性であったことから、申請用法・用量の範囲内において、本剤によるQT延長リスクは低いことが想定されます。なお、トルテロジンではQT/QTc評価試験において、国内承認用量の2倍に相当する非徐放性製剤8mgを投与した際に、臨床的に意味のあるQTcの延長が認められており、QTc延長に関する注意喚起がなされています。
 最後に製造販売後調査について、審査報告書73ページ7行目「8.製造販売後調査について」の項を御覧ください。予定症例数2,000例を対象とした使用成績調査を実施し、本調査において12週間での本剤の安全性及び有効性に関する臨床使用実態下での情報収集を行うほか、増量用量である本剤8mgが継続投与された症例については、投与開始から52週後まで、長期間投与した場合の安全性及び有効性に関する情報を収集する予定です。また、本調査では、本剤を増量又は減量した場合に、その理由及び用量変更前後の安全性及び有効性に関する情報を収集する予定です。
 以上の検討を行った結果、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁に対して本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。再審査期間は8年とすることが適切であると判断しております。原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、豊見委員より事前に御質問をいただいております。「4mg錠と8mg錠の大きさを全く同じにしてあるのは理解できますが、色を少し変え、刻印が「FS」と「FT」との違いです。この刻印の省略理由が分かりません。一包化した後の確認が行いにくいのではないかと思います。」との御意見を頂戴しております。机上に製剤見本と、製剤・錠剤の写真の資料を置かせていただきました。写真で分かりにくい点等がありましたら、実際の錠剤を出していただくことも問題ありませんので、御覧ください。本剤の刻印を4mg錠で「FS」、8mg錠で「FT」とした経緯について、申請者に確認しました。その結果、海外におけるフェソテロジン(fesoterodine)の英語表記にちなんで付けられたとの回答がありました。すなわち、両製剤に共通の「F」は、英語名の頭文字に由来するものです。4mg錠の「S」は、頭文字「F」の後に続く次の子音の「S」に由来しております。8mg錠の「T」は、さらにその次の子音の「T」に由来するとのことでした。
 日本で製造販売予定の本剤は、海外で製剤が製造されて、日本では当該製剤を輸入してPTP包装を行っているのみです。したがって、日本だけが独自の刻印を使用することは非常に難しい状況です。また、刻印の使用については製薬企業で自主的に管理されている状況です。識別しやすいもの、しにくいものもありますけれども、本剤4mg錠と8mg錠の識別に関しては、本剤に2規格あることを御認識いただいた上、色の違いと刻印の「S」と「T」の違いの両者を御確認いただくことで、御対応いただくことになると考えます。説明は以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。御質疑をお願いします。
私も教えてもらったのですが、1.5の8ページにフェソテロジンとトルテロジン、その活性系でしょうか、5-HMTの関係が図示してあります。
○佐藤(田)委員 この疾患は最初のときに効能として、過活動膀胱や尿意切迫感というように、きちんと診断されているので、感覚異常のようなものに対して投与する薬であって、決して尿量が減少するような効果を持つものではないのですね。それを確認させていただきたいです。
○機構 過活動膀胱の概念は症状症候群で、患者の尿意切迫感や頻尿、切迫性尿失禁の訴えを臨床現場で問診して、それに対して処方されるという位置付けの薬です。尿量等に関しても実際に尿流動態の試験等を実施しており、改善等は確認しておりますので、実際に作用はあると思います。
○松井部会長 尿量もですか。
○機構 失礼しました。実際に尿の生成等に作用するわけではないということです。
○松木部会長代理 55ページ、表20の有害事象についてです。今までこういうものがあったのかよく分からないのですが、ここにインフルエンザがあります。これは本剤とは関係のない有害事象ですが、2%以上あったから必ず書かなければいけないということでしょうか。臨床試験をした時にたまたまこれが流行していると、これが大きな数字で出てくるのですか。それとも臨床試験の質を表すということで出ているのでしょうか。とにかくこのデータが出ていても、あまりこの薬の評価の参考にはならないのです。
○機構 御指摘のとおり、このインフルエンザの発現が本剤の投与によるものという認識ではないのですが、今回実施された臨床試験で発現した有害事象に関して幅広く記載するということで、審査報告書には2%以上という基準を設けて掲載しております。
○松木部会長代理 もし意味のあるデータだとしたら、多分認知症との関係だと思います。これはそんなに若い人には投与していない薬だと思うので、ないかもしれないのですが、インフルエンザ脳症などの関係で、血液脳関門に対して影響されている可能性があります。そうすると、その人たちには認知症に対する影響が出てくる可能性があるかと思ったのです。もし、そういうものを取るのだったら、罹患した人とそうでない人との違いを見るというものがあればという気はしました。それがないから特にどうということはないのですが、そういう意見です。
 もう一つが認知機能に関するものです。71ページ「(3)認知機能に及ぼす影響について」というのがあります。本剤では確認できなかったけれども、一般的に抗コリン薬にはそういうものがあるということだと思うのです。「(3)認知機能に及ぼす影響について」の3行目に、「本薬についても、他の臨床試験の中で認知機能障害に関連するとも考えられる有害事象が認められている」というのは、ほかの臨床試験をしているということですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 まず直近で御質問いただいた、認知機能障害に関連する有害事象が他の臨床試験で起こったという記載に関しては、海外の臨床試験で発現しておりましたので、このような記載をしております。審査報告書で申し上げますと、67ページ「3)認知機能に及ぼす影響について」の2段落目です。日本人が組み入れられたアジア共同第II試験と国内長期投与試験では、認知機能障害に関連すると考えられる有害事象は認められなかったのですが、こちらに記載した海外試験では、わずかながら認められていたというところを記載しました。
○松木部会長代理 では、この薬による副作用として、海外では認められたということですね。
○機構 因果関係自体は否定されています。有害事象として認められたということで、必ずしも本剤に起因してという情報ではありません。この海外臨床試験の成績も考慮して、添付文書においては類薬と同様に「慎重投与」の項で、認知症や認知機能障害のある患者に対しては、注意喚起を行っているという状況です。
○松井部会長 どこに記載がありますか。
○機構 「慎重投与」の項の11番目にあります。
○松井部会長 3ページですね。認知症・認知機能障害のある患者さんには、症状を悪化させる等の報告があるとありますね。よろしいですか。
○松木部会長代理 分かりました。あくまでも本剤による明らかな認知機能障害は、臨床試験では認められておらず、ただ念のためということですね。
○機構 そうです。
○檜山委員 本剤の方が安全性が高いことが想定される、というところから経緯が始まっているのですが、これはトルテロジンの未変化体の方がより安全でないというのが、初めから分かっていてされたのでしょうか。これを見ている限り、トルテロジンの未変化体と5-HMTだけがプレーヤーのように見えるのです。もともとトルテロジンの場合、1:1で未変化体と活性代謝物があるということで、その状態と今度は5-HMTだけが存在するところでの差というように見えるのです。
○機構 先ほど申し上げたトルテロジンのリスクに関しては、トルテロジンでQT/QTc評価試験を実施しています。CYP2D6遺伝子多型でPoor metabolizerという患者層では、トルテロジン未変化体がたくさん血中濃度で上がってしまう患者さんがいらっしゃいます。その患者はExtensive metabolizerの患者に比べて、QT延長がより顕著に見られたという結果があります。そういったことも踏まえて、トルテロジンの方が未変化体にリスクがあるのではないかという考察がなされております。今回の本剤に関する開発も、こういった経緯もありましてされたものと、こちらでは考えております。
○檜山委員 ありがとうございました。
○佐藤(田)委員 先ほど私が最初に質問したところに関係あるのですが、松木委員が質問された55ページ、表20を見ますと、口が乾くとか便秘とか目が乾くという有害事象が、本薬投与によってかなり有意に出てきているというところから、尿量が減少することはないのですか。それによって頻尿感がなくなるのかということで御質問しました。それはないのですね。
○松井部会長 尿の総量の減少はないと考えてよろしいですね。
○機構 そうです。口渇は、抗コリン作用に基づく有害事象として見られております。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。ありませんか。
それでは議決に入ります。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への御参加を御遠慮ください。本議題を承認可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を「可」として、薬事分科会に報告いたします。
以上が審議事項です。全体として、特に大きな問題はないでしょうか。
よろしければ、報告事項議題1~4まで、続けてお願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料5「医薬品モビプレップ配合内用剤の製造販売承認について」、事務局より御説明します。
本剤はポリエチレングリコール、塩化ナトリウム等の電解質、及びアスコルビン酸類で構成される高浸透圧性の腸管洗浄剤であり、類薬として、等張性の腸管洗浄剤であるニフレック配合内用剤が承認されております。
今般、味の素製薬株式会社より、大腸内視鏡検査、大腸手術時の前処置における腸管内容物の排除の効能を取得することを目的に、類似処方医療用配合剤としての製造販売承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認しても差し支えないとの判断いたしました。
 続いて、報告事項議題2、資料6「医薬品トラクリア錠62.5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」です。
本剤は、エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンを有効成分とするフィルムコーティング錠であり、「肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスIII及びIVに限る)」の効能・効果で承認されております。
今般、既承認の効能・効果であるWHO機能分類クラスIII及びIVよりも軽度な、クラスIIの肺動脈性肺高血圧症の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認しても差し支えないと判断いたしました。
○事務局 続いて報告事項議題3、資料7「医療用医薬品の承認条件の解除について」、事務局より御説明します。
ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLは、平成22年10月27日に「中等症又は重症の活動期にあるクローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で承認されております。その際、2ページの下線で示すような全例調査の承認条件が付されております。今般、この承認条件に関してアボットジャパン株式会社よりデータが提出され、医薬品医療機器総合機構における審査が終わりましたので御報告します。
 3ページ上にございますように、本剤の特定使用成績調査については、目標解析症例数は600例、観察期間は24週間とされております。1,680例の調査票が収集され、調査結果がまとめられました。
 安全性については5ページ(5)に記載しております。安全性解析対象704例のうち、副作用が発現した症例は16.1%です。主な副作用は「感染症及び寄生虫症」が5.0%、「一般・全身障害および投与部位の状態」が4.1%、「胃腸障害」が3.3%となっております。9ページの感染症等の重点調査項目については、添付文書で更なる注意喚起を要するような状況は認められておりません。
 有効性については11ページ(6)から記載しております。国内臨床試験と同様の集団78例の投与4週時及び24週時の寛解率は、それぞれ48.7%、52.6%であり、国内臨床試験成績より劣る傾向は認められておりません。
 これらのことから、感染症に関する注意喚起を継続して行う必要はあるものの、承認条件の内容については確認できたものと判断しております。報告は以上です。
○事務局 続いて報告事項議題4、資料8「医療用医薬品の再審査結果について」、事務局より御説明します。
一般名称は「ベラプロストナトリウム」、販売名は「ドルナー錠20μg及びプロサイリン錠20μg」です。この品目につきましては、製造販売後の使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項についての変更の必要がない「カテゴリー1」と判定したものです。報告は以上です。
○松井部会長 ただ今の報告事項について、何か御質問・御意見はありますか。よろしいでしょうか。
 本日の議題は以上です。事務局から報告があればお願いします。
○事務局 次回の部会の予定です。既に御案内のように、11月30日(金)、午後3時から開催する予定です。よろしくお願いいたします。
○機構 先ほどのフェソテロジンの認知症のところで訂正がございます。資料4「トビエース」です。先ほど、有害事象として出た認知症に関連する症状は、因果関係が否定できると申し上げましたが、中にはできないものがありました。これはすべて外国の試験で、具体的に言いますと否定できなかったのが健忘、注意力障害、失見当識が各1例見られております。後は注意力障害が2例認められております。ほとんどが軽度で、すべて薬の投与が持続できたものです。1例だけ中止に至ったものがあります。これは薬を中止したところで症状が軽減、治っているということです。認知症そのものが本薬に因果関係が否定できなくて現れたのではなくて、抗コリン作用を有する薬で、こういう症状が出ることがあるというのは知られているのですが、その範囲内で現れているので、ほかの薬と同様に、この薬についても万が一そういう症状が出るかもしれないというところについて、注意喚起しておく必要があると判断したということです。
○松井部会長 松木先生の御質問でしたね。よろしいでしょうか。
○松木部会長代理 はい。
○松井部会長 ほかに御発言はないでしょうか。ないようでしたら、本日はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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