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2013年2月27日 第1回生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会

○日時

平成25年2月27日(水)


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○議題

1.検討会の開催について
2.地域における中高年齢者の就労をめぐる現状と課題
3.主な論点について
4.意見交換

○議事

○中山高齢者雇用対策課長 皆様、こんにちは。ただいまから、第1回「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」を開催します。御参集の皆様方には、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。座長が選出されるまで、事務局のほうで進行させていただきます。私は高齢者雇用対策課長の中山です。どうぞよろしくお願いします。
 事務局のメンバーを紹介します。職業安定局長の岡崎ですが、国会関係用務で途中から出席、また中座をさせていただくということで、よろしくお願いします。続いて、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長の小川です。同じく職業安定局高齢者雇用事業室長の上田です。社会・援護局地域福祉課長の矢田です。老健局振興課長の朝川です。
 それではここで、検討会の開催に当たりまして、部長の小川から御挨拶を申し上げます。
○小川高齢・障害者雇用対策部長 本来であれば岡崎から御挨拶するところですが、国会関係用務で遅れておりますので、私から簡単に御挨拶を申し上げます。
 「人生70古来稀なり」と読んだのは杜甫ですが、今日は午前中、自民党の会議に出ると、「何を言っている、もう人生は100年だ」ということで、65歳までは継続雇用で何とかなるかもしれないけれども、それから35年もあるではないか、どうするのだという話がありました。
 確かに今回の高齢法の改正で、65歳までについては、企業における継続雇用の義務化ということで一段落ついたわけですが、では65歳を超えて、どうやって生涯現役を達成するかということについての政策通念につきましては、少なくとも現在、職業安定局では、シルバー人材センターを中心とした事業があるというところではあります。
 ただ問題は、そのシルバー人材センター事業については比較的、業務が割と固定化しているという問題とか、なかなか会員数が伸び悩んでいる等々の問題がある中で、今後、団塊の世代が65歳になっていくということがありますので、あと数年で65歳層が1,000万ぐらい増えていくという状況になっています。
 今日の資料にもありますが、結局どこが増えたかというと、どちらかと言えばやはり東京とか首都圏の各近県において55歳が増えているという状況です。そうした中で高齢者の方々をいかにして社会で活用していくのかという仕組みづくりを、今後考えていく必要があるのではなかろうかということを考えていまして、今日お集まりの委員の皆様方にも、そういった観点からいろいろと御見識を賜りたいと考えています。なかなか難しい問題で、簡単には変わらないかもしれませんが、皆様の忌憚のない御意見をよろしくお願いいたします。
○中山高齢者雇用対策課長 ありがとうございました。それでは資料説明に入ります。まず、この検討会の趣旨と今後の大まかな流れについて、御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。この検討会の趣旨ですが、今、部長からも話がありましたように、人生100年時代を見据え、働く意欲のある高齢者が能力や経験を活かし、生涯現役で活躍し続けられる社会環境の整備が必要となっているということです。これについては、高齢者の健康づくり、生きがいづくり、あるいは労働力の効果的配置、様々な側面があろうかと考えているところです。部長からも話がありましたように、団塊の世代、1947~1949年生まれの人たちですが、この方たちが2012年から既に65歳を迎えて、労働市場から引退過程に入っています。要はサラリーマンとして仕事中心の生活を送ってきた人たちが、地域に戻りつつあるということです。
 一方で、65歳以上の高齢者については、就業希望は多くありますが、就業率はそれ以前の年齢層に比べて低い水準にあります。また、企業での雇用やシルバー人材センター、NPO等による就業機会の提供も限定的であるというのが実情です。
 また、中高年齢者についても、一旦離職しますと、従前と同様の就業形態で企業に再就職するのは難しいといった状況でして、地域で受け皿等を考えていくことの重要性は大きかろうと考えているところです。
 生涯現役社会を実現していくためには、高齢期にさしかかる時期に定年等を理由として現役から引退した後についても、就労等を通じて地域社会で、いわゆる「居場所」、「出番」、こういったものを得ることによりまして、更に高齢者自身が、知識・経験を活かして地域の課題解決の「支え手」になるといったことが、健康で意欲を持ち続ける、生涯現役であることには必要でないかと考えています。
 こうした観点から、高齢者の地域での活用に関する好事例を収集・整理して、高齢者が地域社会に貢献できるような就労、そういった形でそれを支援する施策の方向性等について、検討を行っていただきたいということです。
 続きまして資料2を御覧ください。今後の検討会の大まかな流れです。開催期間を2月の下旬、今回が第1回目ですが、大体毎月2回程度開催しまして、5月下旬に報告を取りまとめていただければと考えています。今回は現状と課題について幅広に御議論をいただきまして、第2回、第3回で好事例のヒアリングを行い、第4回、第5回で論点整理、第6回、第7回で報告書について議論、取りまとめという流れで進めていくことを予定しています。
 続きまして、本日は第1回目ということですので、参集者の方々とオブザーバーの方々を御紹介させていただきます。資料1の2ページ、研究会参集者名簿を御覧ください。これは五十音順で並べてあるものです。まず、大橋勇雄 中央大学大学院教授です。労働経済学、人的資源開発論を御専門とされ、労働政策審議会職業安定分科会の分科会長も務めておられます。ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員の澤岡詩野さんです。老年社会学、都市社会学などを専門領域とされまして、高齢期の居場所等をテーマに幅広く多彩な研究活動をされています。志藤陽子 国際長寿センター事務局長です。国際長寿センターで少子高齢化に伴う諸問題を国際的・学際的な視点で調査研究をされています。長島剛 多摩信用金庫価値創造事業部長です。地域の事情に精通されまして、ビジネスニーズの発掘から育成まで、高齢者が活躍する事案も含めて数多く手がけておられます。原野哲也 江戸川区福祉部長です。自治体の福祉を担当するお立場から、高齢の区民の方々、江戸川区においては熟年人材と位置付けておられるそうですが、そうした方々と協働しながら、多くのユニークな施策を展開されています。山田篤裕 慶應義塾大学経済学部教授です。社会政策、労働経済学を御専門とされ、社会保障審議会人口部会等の委員も務めておられます。また、本日は御欠席ですが、藤井賢一郎日本社会事業大学准教授です。社会保障、取り分け介護の分野に造詣が深く、ビジネスマネジメントの観点等から幅広く研究活動をされています。
 続いてオブザーバーの方々を紹介します。内閣府政策統括官付共生社会政策担当及び高齢社会対策担当の原口参事官です。文部科学省生涯学習政策局社会教育課の、本日は伊藤課長の代理で、新木企画官がお見えです。以上が参集者の方々とオブザーバーの紹介です。
 次に要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきます。座長の選出については、要綱の4、研究会の運営等におきまして、参集者の互選により選出するとされています。座長の選出について、どなたか御推薦、御意見等がありましたらお願いします。
○山田氏 大橋勇雄委員を推薦します。アカデミアにおいて高齢者の研究にお詳しいだけでなく、先ほども御紹介があったように、職業安定分科会の分科会長、雇用対策基本問題部会の部会長を務められていて、高年齢者の雇用対策全般に非常にお詳しいということで推薦します。
○中山高齢者雇用対策課長 ありがとうございました。その他、ございますでしょうか。ただいま山田委員から、大橋委員を座長にという御推薦がありましたが、皆様、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○中山高齢者雇用対策課長 ありがとうございました。それでは、本研究会の座長を大橋委員にお願いします。大橋委員は座長席にお移りいただきまして、これからの議事進行をお願いします。
○大橋座長 頼りない座長になりそうですので、よろしく御協力のほどお願いします。まず、議事の公開について申し合わせをしておきたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○中山高齢者雇用対策課長 それでは、お手元にある参考資料を御覧ください。会議の公開については、「厚生労働省における審議会等会合の公開に関する指針」において、懇談会等行政運営上の会合は、これから申し上げる4つの場合、1つ目が「個人に関する情報を保護する必要がある」、2つ目が「特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意志決定の中立性が不当に損なわれる」、3点目として「公開することにより、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせる恐れがある」、4点目として「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え不利益を及ぼす恐れがある」、このような場合を除き公開することとし、特段の事情により会議又は議事録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示することとされています。これに従いまして、本検討会についても、議事及び議事録については、原則公開という扱いになりますが、会議の開催の都度、その議題を踏まえ、会議及び議事録の公開についての取扱いを判断することとしたいと考えています。
 また、配布資料については、原則として公開するものとしますが、取扱いに注意が必要な資料の場合は、その旨を表示し、非公開の扱いとするものとさせていただきたいと思います。
 なお、本日の会議については公開の取扱いとしています。議事録については、議事の最後に御議論いただき、差し支えがないということでしたら、各委員に内容の確認をとった上で公開とし、差し支えがあるようでしたら議事要旨のみの公開ということにしたいと考えています。以上です。
○大橋座長 それでは、この会議の公開方法に関して、何か御意見がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋座長 それでは、早速ですが本日の議事に入ります。議題2の「地域における中高年齢者の就労をめぐる現状と課題」について、及び議題3の「主な論点」について、事務局から御説明を受けたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○中山高齢者雇用対策課長 それでは、お手元の資料3「地域における中高年齢者の就労をめぐる現状と課題」を御覧ください。要点のみかいつまんでお話をさせていただきます。まず4ページ、就労の現状の関係です。これは日本の人口の推移を示しています。真ん中より少し右に点線が示されていますが、これが現在、2013年時点とお考えください。国勢調査等の直近、2010年の数字では、一番上にある1億2,806万人、これが総人口。それから、真ん中辺りにある23.0%、これが65歳以上人口の割合、高齢化率です。これが2060年になりますと、一番右端ですが、人口が8,674万人、約3分の2に減少。高齢化率については39.9%、5人に2人が65歳以上といった人口構成になるということが推計されています。
 続いて5ページ、人口ピラミッドの変化です。先ほど部長からもお話がありましたように、団塊の世代が引退過程に入っています。2010年、3年前ですが、この実績を御覧いただきますと、61~63歳層、これが団塊の世代、突出しているところです。
 続いて6ページです。これは都道府県別の高齢者人口の推計で、これも先ほどお話がありましたが、2005年と2020年、これは右側のほうを見ていただきますと、埼玉、千葉、東京、神奈川といった所で65歳以上人口が7割ないし5割、このくらいのスケールで増大するということです。高齢化率自体は秋田、島根、高知といった所が高いわけですが、分量的な増加はこれから都市部で大きくなっていくということです。
 次は14ページ、高齢者の就業率の長期的な推移です。一番上の点線が55~59歳層、これは1980~1990年代にかけて大きく伸びていますが、この間、1986年、昭和61年に高年齢者雇用安定法が改正されまして、60歳定年の努力義務といった規定が盛り込まれています。次の60~64歳層は傾向的に減少していましたが、2000~2010年にかけて、やはり大幅に増加しています。これも高年齢者雇用安定法の改正で、2006年、平成18年から、65歳までの高齢者雇用確保措置が義務化されたことを反映しているものと考えています。それから、65~69歳、70歳以上については傾向的に減っている。これは自営、家従の減少と、そういった就業構造の変化等ともリンクをしているのではないかと考えています。
 15ページには、今申し上げた話とも重複していますが、中高年齢者の就業状態割合が出ています。55~59歳層について、それから60~64歳層、時系列で変化をしていますが、雇用者の割合が高くなっているということです。また、65~69歳、70歳以上については、その隣にあります自営業種、家族従業者、この割合が傾向的に減っていることが見て取れるかと思います。
 続いて16ページです。これは2030年までの就業者数のシミュレーションということで、2010年の実績値、約6,300万人が就業しているというのが直近の数字でして、これがその横の2020年、左と右にグラフがありますが、左側は何もしないとこうなってしまうということで、労働力人口が360万人減ってしまう。一方、右側のケースですが、これは経済成長、実質2%、名目3%という水準で、更に政策効果等によりまして、労働力供給が実現しますと、約10万人の減少で済むといった推計です。これが、いわゆる全員参加型社会と言われているように、高齢者、女性、若年者、こういった人たちに労働市場に出てきていただく必要があるということでして、60歳以上の高齢者層については約160万人、当初想定されているものから増加させなければならないというシミュレーションです。
 17ページは高齢者の高い就業意欲を示したものです。これは60歳以上の方にアンケートしたものですが、「65歳以上」あるいは「働けるうちはいつまでも」というところまで含めますと、約9割の方が65歳以上。70歳以上で見ても7割近い方が働きたいという、高齢者の高い就業意欲が現れているかと思います。
 18ページは就業率の国際比較です。欧州諸国に比べて、日本の就業率の水準が、60~64歳、あるいは65歳以上、非常に高くなっているということが明らかかと思います。また、その高齢者の高い就業率ですが、就業理由が19ページに出ています。これはマルチのアンサーですが、60~64歳層、これは一番左側の「生活の糧を得るため」というものが非常に多くなっていますが、65~69歳層になりますと、その隣にあります「健康にいいから」「生きがい、社会参加のため」「時間に余裕があるから」といったところが増えてきていまして、60歳代前半と後半では、就業の意味合いが若干違っているのではないかということが現れています。
 20ページ以降は、高年齢者の社会貢献活動への取組状況です。グラフで見ていただきますと、一番左側が「取り組んでいる」。これは、シルバー人材センターの紹介による仕事は含まれていませんが、60歳代前半層から後半層にかけて、この取り組んでいる人の割合が高くなっているということが見て取れるかと思います。
 21ページは、どういったセクターを通じて取り組んでいるかということで、一番左側にあります「町内会・自治会」が4割前後。それから2つほど飛ばして「NPO・ボランティア団体」が10%台半ばから20%弱といったところです。
 それから22ページは、このような社会貢献活動に取り組んでいる高年齢者ですが、左から2つ目の赤い帯ですが「無給の役員」。それから2つ飛んでオレンジ色が「無償ボランティア」、こういった形で社会貢献活動に取り組まれているということが明らかになっています。
 続いて、高年齢者の就業・社会参加の施策の説明をさせていただきますが、25ページに高齢者の雇用就業対策の体系が出ています。冒頭の部長の挨拶にありましたように、65歳までは企業・企業グループ内で雇用を確保していく。これが右端にある楕円形です。それから左端にあるのは、高年齢者等の再就職の援助・促進ということで、この企業・企業グループから出てきてしまう人、あるいはそういった中での雇用を希望しない方、そういった方々に対しては再就職支援をしていくということです。そして一番上にある楕円が、「生涯現役社会」のコアともなるところですが、主に定年退職、あるいは継続雇用が終了して出てくる方々の対策ですが、左側は企業支援ということで、年齢に関わりなく働くことができる人については、その企業内で雇っていただくということもある。その一方で右側の方が、今回の検討会の議論の中心となります、地域で働ける場、社会を支える活動、そういった場面を増やしていこうということで、現在、シルバー人材センター等がその中心となっているということは、先ほどお話のあったとおりです。
 24ページについては、就労・社会参加のスタイルのイメージを概念図にしたものです。報酬が高いものが右側にありまして、拘束度が高いもの、独立性が低いものは下側という整理をしているものです。
 27ページは今申し上げた「シルバー人材センター事業の概要」です。右側の枠の外にありますが、団体数が1,294、会員数が76万人です。月平均の就業日数が9.2日、月平均の配分金収入3万5,154円、これが現状です。
 左側にありますように、臨時的かつ短期的又は軽易な就業を希望する高年齢者に対する事業に仕事を提供するということで、仕組みの(2)にあるように、家庭、事業所、官公庁等から、地域社会に密着した臨時的・短期的な仕事等を有償で請け負い、これを希望する会員に提供する。会員はこの実績に応じて配分金、報酬を受け取るということです。
 その典型的な業務内容ですが、清掃、草取り、自転車置き場の管理といったものが典型的ですが、その下にありますように、地域のニーズに応えつつ、高齢者の活躍の場を創出するという意味で、企画提案方式事業ということで、子育て、観光、教育、あるいは環境、そういった分野でのシルバー人材センター事業というものも、拡大をしているところです。
 続いて30ページです。社会福祉協議会、高齢者が活躍するセクターとしての社会福祉協議会についての説明です。国、都道府県、政令指定都市、市町村といったレベルで設置されています。その事業の内容は29ページに戻って、アにありますように、ボランティア活動に関する支援。それからウの民生委員・児童委員等による地域での見守りネットワークづくり。更にカやクにありますように、高齢者・障害者への生活支援サービス、児童への生活支援サービス、こういった事業を実施しているところです。
 31ページはこういったものも含めて表にしています。高齢者が活躍している場面ということですが、ボランティアについては今申し上げた社会福祉協議会が中心にやっていますが、活動者730万人のうち、3分の2が60歳以上ということで、60代は約300万人、70代は164万人、80代は17万人、これが一番左上の箱に書いてあります。
 その関係の事業が、32ページにあります「地域資源・人材育成支援事業」ということですが、地域におけるインフォーマル活動の機能強化を図っていこうということで、平成25年度の予算要求の中身が付いています。
 それから31ページに戻って、民生委員、児童委員数ですが、約23万人の委員の方がおりますが、いわゆる4年以上の中堅民生委員870名のうち、8割が60歳以上ということです。それから、地域での福祉を推進するという観点では「安心生活創造事業」、これは平成24年度、49の市区町村で実施をしていますが、一人暮らし世帯への「基盤支援」「見守り」「買い物支援」を行う。更に、これが平成25年度以降は「安心生活基盤構築事業」ということで、全国100市区町村で機能を強化して、実施をしていくということです。これが33、34ページに出ています。
 35ページには「介護の将来像(地域包括ケアシステム)」ということで、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムということで、その中に5つの視点というのが出ていますが、4番目に、見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保といったことが出ています。
 36ページは「地域包括ケア」ですが、一番上の箱にありますように、「元気な高齢者の参加」というのが出ています。このような生活支援の担い手としての高齢者の参加ということが、ここで謳われているわけです。特に37ページには、その意義も出ていまして、一番上の○ですが、団塊の世代が退職する中で、高齢者の健康寿命の延伸や地域活性化のため、高齢者の社会参加を支援するということが言われています。冒頭に申し上げましたように、高齢者が働くということが、高齢者の健康寿命の延伸あるいは地域の活性化、そういった幅広な側面を持っているということです。
 それから、38ページは「介護予防・日常生活支援総合事業」ということで、やはり日常生活支援ということが書かれていまして、このチャートの中でも生活支援サービスということで、配食、自立支援を目的とした定期的な安否確認・緊急時対応といったようなことが書かれています。
 更に39ページは「高齢者生きがい活動促進事業」、これはモデル事業ですが、事業の概要の所に書かれているように、企業退職高齢者等が、有償ボランティア活動等による一定の収入を得ながら、自らの生きがいや健康づくりにもつながる活動を行い、同時に介護予防や生活支援のサービス基盤となるということで、企業退職高齢者、それから生きがいづくり、健康づくり、そういったキーワードがいろいろちりばめられている事業ということです。以上が資料3の説明です。
 続きまして、資料4に基づいて、この検討会の論点について御説明します。課題設定ということで、対象となる高齢者をどのように設定して把握をしていくかということが、まず第1にあろうかと考えていますが、次の段階で、現状と課題をどのように見るかということで、これは地域側の観点、高齢者側の観点、それぞれあろうと思いますが、特に地域側の観点からは、2つ目の・にありますように、地域のニーズ、高齢者の就労に対するニーズがどのようなところにあるか。今、資料の中でいくつか御説明させていただいておりますが、地域のニーズをどのような領域・職種に見いだすかということ。それから、高齢者の3つ目の○ですが、高齢者の就労に対するニーズを十分に掘り起こすことができているか。あるいは、それは今後可能なのかといったようなことが、論点になるのではないかとお示しをしています。
 また、高齢者の側からは、高齢者が何を求めて働こうとしているのか。あるいは2つ目の・ですが、地域で高齢者が就労する強みは何か。それから、高齢者の就業の制約となっている要因とはどのようなものがあるか。そして、それぞれ双方の観点から、この就業、働くことが、健康・生きがいづくりにどのような効果があるのか。あるいは、地域の支え手になるというのはどのようなメリットがあるか。こういったことも問題設定をする必要があると考えています。
 そのような課題を設定して、更にその解決策ということで、まず一番最初に、地域のニーズと高齢者のニーズをどのようにして結び付けていくのか、どのような仕組みが考えられるのかということ。そして、行政機関としては何が求められるのかということ。更に2つ目の○として、就業機会の発掘、確保策としてどのようなやり方があるか。また、それともリンクをしますが、高齢者をそのように発掘した就業機会へどのように結び付けていくか。すなわち、地域がどのような高齢者を求めているのか。そうすると、高齢者の意識改革も必要になってくるのではないか。それをマッチングしていく上ではどのような点に留意する必要があるのか。こういったことが挙げられるかと思います。最後に、高齢者への相談対応のあり方として、退職後に何をやったらいいのか分からないという方もおられるかと思いますが、そういった人たちに一元的な、いわばワンストップ的に相談体制のようなものを作れないかということで、ここは提示をさせていただいております。資料の説明は以上です。
○大橋座長 それでは、本日は、フリーディスカッションということですが、その前に、ただいまの事務局からの説明を踏まえて意見交換に入りますが、皆様の御専門の観点から、何か参考となる事例の紹介や検討すべき問題点、あるいは着眼点がありましたら、御指摘願いたいと思います。いかがでしょうか。
 資料を読んで、主な論点としまして、課題設定と解決策。課題設定を見ますと、対象となる高齢者をどのように設定するか、現状と課題はどのように見るかということですので、まず、課題設定から、皆さん方の御意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○澤岡氏 非常にわくわくするような検討会なのですが、一つ私の中で感じておりますのが、高齢期の就労として、今もいろいろな統計データをお示しいただいているのですが、その就労というものが何を定義しているのかということが、すごく重要な部分なのかなと感じています。
 私はあえて自分の研究の中では、高齢期の「就労」という言葉ではなく「新たな働き方」という言葉で定義を付けさせていただいているのですが、例えば、コミュニティビジネスを最近起業される高齢の方々もいらっしゃいますが、正直、儲かっているかというと、儲かっているものなどほとんどないような所で、そこの中で、とりあえず交通費程度が出ればそれこそコミュニティビジネスとして自立している、独立している形だと、御本人たちは考えていたりしています。
 そういうところから見ますと、高齢期の就労のどこからどこまでをこの検討会の中に含めていこうかという部分は、すごく重要な設定といいますか、すべきところなのかなと感じています。
○岡崎安定局長 24ページを開けてください。私どもとしては、これを全部含んだような意味で考えています。それぞれ区分はいろいろあるのですが、私どもは、これまでどちらかというと、このいちばん下のところだけで詰めてきました。
 それで、60歳とか65歳ぐらいを視野にしていたのですが、今後の人口構造の変化とか、いろいろなことを考えた場合に、そういう部分だけでは、やはり、いろいろな意味で対応できないだろうと。そうすると、どの部分というよりは、全体の中で、地域のニーズはどうあって、そこに地域の高齢者の方がどうコミットしていくか。
 だから、我々としては、できるだけ幅広いところで御議論いただいて、難しいのですが、できるだけ総合的な政策を、というのが私どもの期待といいますか、この検討会にお願いしたいところだということです。
○大橋座長 就労の中で、いちばん出てくるのは、多分雇用だと思いますが、雇用につきましてはすでに65歳までの希望者全員の継続雇用という高齢法の改正があります。ですから、雇用だけではないでしょうと。それでは、プラス何があるのですかと。そうしたらボランティアという働き方が、いちばん端のほうにあります。その間に、例えばシルバー人材センター、これは有償の請負があります。これは就労に入ると思いますが、その辺の何かスペクトラルがあって、その中のいちばん端から端の方まで考えていいという御意見ですね。その他、いかがでしょうか。
○原野氏 江戸川区の原野です。私をメンバーに入れていただいたのは、自治体で高齢者の皆さんと日々会話をする機会が大変多いので、そういう意味で、現場の声をお届けできればということではないかなと勝手に思っております。実は、東京23区は今何を課題認識しているかというと、若者の就労支援です。これを一生懸命やらなくてはいけない。これがきちっといかないと将来的に日本はえらいことになるぞという危機感もあります。先だってそのシンポジウムがあり、その中で、放送大学の宮本みち子先生が、今、生活保護を受けている中に30歳代と60歳代が増えているということをおっしゃったのです。
 私の部署は生活保護も担当しているのですが、年金をきちん掛けていなかったりしますと、勤めている時には生活できたけれども、退職後の生活が、子供の世話にもなれないとなると、なかなか成り立ちにくいのです。まだ働きたいと思っても働く場所がなかなかうまい塩梅に見付からないという御相談も結構あります。
 ですから、先ほどの統計ではないですが、働く意欲があって、まだ働ける方はたくさんいらっしゃると思うのです。世界的に見れば、能力と体力で人物を採用する、採用しないは決めるけれども、年齢では決めないという国もあります。日本の場合は、もうここまで急速に高齢化していますので「年金をもらう世代」というワクに決めつけるわけにはいかないのです。この方々に社会参加していただくことは、国家的な課題なのかもしれません。私ども地域で見ていると、どうやってその人をその気にさせるかということが大事だと思います。その気になった方はボランティアもおやりになりますし、いわゆる老人クラブみたいなものにも入っていますし、いろいろな活動をなさるのです。
 ですが、なかなか腰が重いといいますか、地域デビューができないといいますか、そういう方々をどうやって社会参加させていくかという、ここのきっかけづくり、先ほどちょっとお話に出ましたが、ここがまず大事かなと思っています。
 江戸川区の場合、65歳以上の方は、人口全体が約68万人ですが、12万5,000人いらっしゃいます。ですから、まだ高齢化率からいえば20%もいってないのですが、固まりとしてはすごく多い人数です。その中で老人クラブに入っている人は2万人です。シルバー人材センターで活躍なさっている方が4,000人です。介護保険のお世話になっている方も一部にはいらっしゃいますが、まだまだ「社会的に使える人材」はたくさんいらっしゃるのです。
 ですから、そういう方々にその一歩を踏み出すきっかけを、うまく社会的な仕組みの中でつくることが大事です。つまり、やる気のある人は放っておいても外へ出て行きます。そうでない方に一歩を踏み出すきっかけをつくることも、何かうまいアイディアが出るといいなと思います。以上です。
○大橋座長 ただいまの御発言でちょっと質問させていただきたいと思います。最初、若者の話が出てまいりまして、それと高齢者と、その辺のつながりをどう考えておられるのですか。
○原野氏 短絡的ですみませんでした。江戸川区は23区の一番東の端にあるのですが、特別区として、現在一致して課題認識しているのは若者の就労支援だということです。江戸川区は高齢者という呼び方をしないで、熟年者という言い方をしているのですが、高齢の方々の力の活用をうまく国家としてやっていくこともとても重要だと思います。
 高齢者の方々が働けば、若者の就業機会を奪うのではないかという議論もあります。立場も経験も技術も全然違いますので、高齢者の方々の働く場所というのは若者とは別にあると私は考えています。
○大橋座長 その他いかがでしょうか。
○山田氏 非常に興味深いテーマで、資料についてもいろいろとまとまっていて、大変わかりやすく、どうもありがとうございました。私は、高齢者の所得分配問題を研究してきて、その中から、今御報告を伺って、つらつら考えたことを少し述べたいと思います。
 これは釈迦に説法な方も多いと思いますけれども、諸外国と比べて、日本の高齢者の特徴というのは、年金と就労所得を組み合わせて働いている人が大変多いということです。要するに、就労所得というのが、年金とともに、高齢期においても圧倒的に重要な意味をもっている。特に就労所得の喪失にともなって、よくあるパターンは、夫が就労所得を稼いでいたのだけれども、夫が亡くなってしまったと。結局、夫の就労所得がなくて、女性の就業率というのは日本は低いですから、高齢期はやや高いのですが、それでもスウェーデンに比べれば、男性に比べたら低いということで、なかなか就業できなくて、残された女性のほうが、いわゆる相対的に貧困ラインの下に落ちてしまうということが非常に問題なわけです。
 ですから、年金の問題が実は重くて、それがうまく機能してない場合に、どうしても生活保護のほうに入ってきてしまうという方が多いというのは、今お話があったとおりだと思います。
 それ以外にも、高齢者の就業が重要だと申し上げたのですが、その就労所得が重要というのは、所得分布の低いほうと高いほうで言えることで、実は、その就労所得が占める割合が高い人たちというのは、所得が低い人と所得が高い人なわけです。
 ですから、こういったデータを前提に考えますと、それぞれの所得階層の就労ニーズがどのように異なるのかをまず把握することが重要なのではないかと考えています。とりわけ、改正高年齢者雇用安定法の導入によって、かなりの人が就業し続けることができるようになったと。非常に雇用環境が改善されてきたというのがあります。
 これも釈迦に説法で恐縮ですが、考えなくてはいけないのは、2013年以降どうなるのかということです。2013年までは定額部分は受給開始年齢が引き上げられてきましたが、所得比例の部分については、出ていたものが出なくなってしまった時に一体、今就労している年金受給者は2極化していると申し上げましたが、これがどうなるのか、気を付けなくてはいけない。その大きなコンテキストの中でこの問題を考えなくてはいけない。高齢者の就業というものを考えなくてはいけないと。特に、厚生年金の受給権者の中でも年金を前倒しにして、要するに、繰上げ受給をしている人たちが一定程度あって、その人たちというのは、繰上げ受給を利用してない人に比べて3倍程度相対的貧困線の下に落ちてくる人が増えてくるということで、高齢者の中でも、同じ高齢者というのでも非常に多様といいますか、今申し上げたように2極化しているので、その中のどこのグループを狙うのだという話を、まず考えなくてはいけないところだと思います。
 そういった点から、新しい動きというのは事例研究から始めなくてはいけないのですが、一方で、データ的にも考えなくてはいけないのです。やはり気になるのは、こういった新しい動きに従事されている高齢者が一体どういう人なのかというデータが圧倒的に足りないと。
 これは今回の研究会のメインテーマではないと思いますが、やはり高年齢者就業実態調査が2004年の調査をもって廃止されたのが、実は大きな問題で、その中でJILPTが似たような調査をやっているわけですが、こういう人たちは一体どういう人たちなのか。データをとるところから、2013年の問題が始まっているので、悠長なことは言っていられないのですが、一方で、そういうデータをとって考えなくてはいけないというところは、長期的な課題としては考えなくてはいけないかなと。すみません、ちょっと雑駁になりましたが、以上、私がこの資料で考えたことです。
○大橋座長 今のお話の中で、特に貧困線以下に落ちる人たちは、結局、高齢の女性が多いという状況ですね。特に御主人を亡くされて、1人で生活費を稼がないといけないと。その時になかなかいい就業先がないと。そういう点では、60歳代の女性のニーズという視点で、ここのところはどうですかね。こういったニーズについては、もちろん、いい雇用があれば申し分ないのですが、その辺になると、もう生活保護と職業安定の一体化の話につながってきてしまいますね。ここでのメインの論点ではないと思いますが、一応ニーズとしてはあるという認識はあったほうがいいと思いますけどね。
○岡崎安定局長 就業の動機のところを見ていくと、やっぱり経済的な理由、あるいは生活の糧が必要だという方が。ですから、そういう方々だと、どのぐらい必要かということになってきて、それも一方で意識しなければいけない。ただ、一方では、若者こそ、フリーターとかいろいろな問題もある中で、高齢者の方々がどういう所であれば働けるのか、あるいはそういう方々の得意分野といいますか、例えば高齢でそうなってきた場合、では、今保育所の関係とかいろいろある中で、そういう所で何か手伝ってもらえるのかとか、あと、その収入がどのぐらいかというのもありますけれども、そういうのをいろいろ考えていって、だんだん議論していく中で、こういう可能性があるというところを少し、まずやってみるとか、やっていかないと、全部、一律にパッといくのはなかなか難しいと思います。
 山田先生が言われたように、やっぱりいろいろなニーズ、こういう年齢層のこういう方々はこういうことを望んでいるとか、そういうのを見ながら議論を進めていかないと、何か抽象的にこういうのをやるのは、なかなか難しいと思います。原野部長さんもおられますけれども、やっぱり、地域によっても違うのかなと。都市部と地方でも違うかと思いますので、一挙になかなか進まないような気もしますが、少しいろいろなやり方を考えて進めていくことも含めてご議論いただけるといいかなと私は個人的に思っています。
○長島氏 本日は資料をお持ちしました。どのような会になるのか分からなかったので、このようなものを持ってきてみたのですが、お手元のカラーの資料を御覧いただけますでしょうか。
 私どもの信用金庫のある多摩地域は、議論の中で出てきました、都市部における高齢化が一番進んでいくであろうと想定される場所だと思います。そこに、10数年前にこの「多摩らいふ倶楽部」をつくりました。それは、私どもの職員が集金活動でお客様のところを回っているときに、男の人たちが増えてきたという感じがしたからです。主婦の方のお相手をしているときには、天気の話など、布団を干せていいですねというような話をすると好感が持てて良かったのですが、男性が増えてくると、なかなかややこしくなるわけです。経済の話も必要ですし、お話が進まないので、どうやって御機嫌を伺おうかという感じになるのです。そういう中で、地域の支え場所がどこにあるだろうかということを10数年前に考えたのです。公民館に行くのかとか、図書館に行くのかとか、シルバー人材センターで働くのかとか、いろいろなことを考えた中で、どうもそろそろそういうことではなくなってきたのではないかと。サラリーマンとして大きい企業に勤めている方々が増えてきた時代の中で、地域に戻ってきた方々には、そう簡単に戻れない人たちがたくさんいる。それをどうしていこうかということで、この倶楽部をつくりました。
 いろいろなものがあります。例えば、表にカラーの寄席の落語の会があります。左上の所に「多摩らいふ倶楽部懇親会」と書いてありますが、これは地域の方と触れ合う懇親会をやりましょうというものです。「28回」と書いてあるのは、28回目ということです。これを10年以上、毎年2回ぐらいずつやってきています。左のほうには、ハイキングとか、いちご狩り、椎茸狩り、たけのこ掘りというのがあります。これは全部地元なのです。これが地方へ行くのであればJTBさんがやることになると思うのですが、自分の地元の中に良い所があるということを御存じない方が多いので、そういう方に理解していただこうということでやってきたものです。この数を見ていただくと、「多摩のとっておき」で183回と出てきますので、これがどれほど人気があるかが分かっていただけると思います。
 それから、裏を御覧ください。右のほうに「イキイキらいふ」と書いてありますのは、ボランティア活動で、地域に戻ってきた男性や女性を支えようというグループの方々なのです。卓球をやっていたり、笛を吹いていたり、健康のことをしたり、パームセラピーのようなことをやったりしているのです。それらの方々は参加者を集めるのが意外と不得意なのです。でも、やるのは好きな人が多くて、その人たちをつなぐようなコーディネーションをする人が誰かいなくてはいけないのだなということで、我々が1回やった後うまくいったらそのまま続けていただきます。そうすると、そこで事業としてスタートしやすくなります。
 左に、最近多くなってきたもので、「中高年のためのイロハ講座」です。ここに出てくる左のほうは、地元でコンサルティングをやっている方で、シニアの方々にどうにかして仕事を、エンジニアの仕事をやってきたらエンジニアの仕事で、地元の中小企業で何かできないかということでつなぎ合わせている団体なのです。その隣は、地元に戻ったシニアの方で起業した方が、お魚を飛行機で運んでくるという、日経新聞にも大きく出ていましたが、そういう事業をやった方が調布にいらっしゃいます。その方の成功事例を見ていただいて経験していただこうというようなことをやっているものです。
 こういうものを年間に300本ほどやっておりまして、見ていただくと分かりますが、全部お金をいただいています。独立採算で回るようにお金を取って事業をやっています。誰に言われたわけではなく、何となく感触としてそういうものを感じてしまいまして、このようなことを10年前からやってきたということです。
 それから、地域というのは田舎と都市部の両方があると思いますが、やはり、田舎の方は今でもコミュニティが続いていると思うので、今回の議論は都市部の問題だと捉えていいのではないかと、伺っていて思ったのです。そのように捉えてもよろしいのでしょうか。国の事業ですから、もちろん全部やるのでしょうけれども。その中でも、やはり都市部に大きな影響が今後出てくるだろうという想定で検討されているということなのでしょうか。
○小川高齢・障害者雇用対策部長 必ずしも都市部に限ったわけではありませんが、先ほどの資料にもありましたように、今後は特に都市部において顕在化する、大きく増えていくことは間違いないわけです。逆に、長島さんがおっしゃったように、田舎であれば、自治会とか昔からのつながりなどがしっかりあるので、自分の田舎に帰ればそういうつながりがある中での話だと思います。都市部でずっとサラリーマンをやっていた人が、これからリタイアをどうしようかというのが、恐らく一番問題が顕在化しやすいところだとは思っています。
○大橋座長 参加される方は、大体どういう方が多いのですか。
○長島氏 今、3万人ぐらいの方が会員になっておりまして、その方々に参加していただいています。自然と出てくるのは年金受給者の方です。やはり2層いまして、70代と60代とは物事の考え方が全然違います。参加されるイベントが全然違いますので、少し種類が違う方と分けたほうがいいのではないかと思います。それから、男性が全然参加してきません。男性が参加するものははっきりわかります。女性は何でも出てきますが、男性はやはり女性に連れられて出てくるという文化もどうもまだあるようなのです。その辺もどうやってうまくつなぎ合わせていくかのヒントになればと思います。
○大橋座長 夫婦をターゲットにやるとか、そういう企画もありますか。
○長島氏 夫婦をターゲットに狙ってみたりですね。どうも見ていると、まずは奥さんだけが来られるのです。当分の間、地ならしをした後に、たまに旦那さまを連れて来るようなことがよく見られます。
○山田氏 男性が出てくるものは決まっているとおっしゃったのですが、具体的にはどういったものなのですか。
○長島氏 一番分かりやすいもので、囲碁の教室は女性と男性が半々ぐらいになります。今、女性に浸食され始めています。麻雀や囲碁や将棋みたいなものは、やはり男性の率が高くなります。それから、日本画などの絵の関係は、サラリーマン時代ではできなかったので、やっと時間ができたのでやりたいという、趣味の講座の中でも少し時間がかかるものは、男性が得意のようで、そういうものに参加する方が多いようです。
○大橋座長 会費を取られますね、1,500円などと書いてありましたが。それから、写真を見ますと結構な人が集まっていますね。人が集まれば何らかのビジネスができますけれども、会費以外のビジネスは何かありますか。
○長島氏 私どもとしてということですか。
○大橋座長 地域としてです。
○長島氏 例えば卓球等のスポーツをやっている方など、何かやられている方が、地元の方、つまりお客さんをつかむためのきっかけづくりをしていければ結果的に地元の活性化につながります。金融機関である我々にも最終的にはメリットが出てくる。そういうことを支援して、地元の企業だけではなく、NPOも市民団体も含めて応援することによって、地域の活性化が成るのではないかと考えています。
○山田氏 せっかくの機会なのでいろいろとお伺いしたいと思います。資料の31ページに「高齢者の社会参加等の現状と課題について」という大変分かりやすい表がまとまっていました。先ほど、相対的貧困線の話をしましたが、それ以外にも、地域での様々なこうした支援、特に生活困窮者の支援など、いろいろなニーズを抱えている人が地域の中にいる一方で、非常にやりがいを持っている、社会的貢献の意図を持ってやってくれそうな、非常に人口の多い団塊の世代に期待したいと思うのです。そのときに、やりがいを持っている人と重要な地域福祉の推進をどうやってつなげているのかについては、私もデータをいじって研究している立場なのですが、よく分からないのです。平成24年度にやって、まだ終わっていないところもありますけれども、何か課題とか、このようにやってニーズを掘り起こせばいいとか、そういうものは見えてきたのでしょうか。お分かりになる範囲で教えていただきたいと思います。年度が終わっていないのでなんとも言うのが難しい、ということであれば、また機会を改めて教えていただきたいと思います。
○矢田社会・援護局地域福祉課長 1つは、ボランティア活動に参加する方々を養成していくというやり方。もう1つは、ボランティアセンターを活用しないで、地域住民で地域のために何かしていこうということで、行政と住民の方々と、それから、例えばNPOや商工会議所など、そういった所で地域づくりをやろうという動きをする方法。大きくはその2つがあるのではないか。そういうことで、実は、「安心生活創造事業」という地域のためのモデル事業を3年間やっています。昨年その成果を分析しまして、どういった課題があるのかなどもまとめましたので、機会がありましたら御報告させていただきたいと思います。
 そのモデル事業は、地域の中で高齢者とか障害者などのいろいろな生活のニーズを、洗い出していこうという活動をしていく、そして、そのニーズに対して自分たちが支援していこうというものです。そういった支援をするためには費用がかかる。その費用をどうしていくのか。これを行政が出し続けるのはなかなか難しいので、地域の中で自分たちがその経費を何とか賄っていこうといったことも併せて検討していただく。例えば、地域の中で皆さんで新しくNPOをつくって、ジャム作りなど物を作って売って、その売上を活動のために充てるとか、それから、商工会議所と連携して、商工会議所に買物に行けばポイントがたまって、それを商工会議所として地域に寄付という形で還元するとか、そういった動きをモデル事業の中でやっている所がいくつかあります。こういったことも含めてまた御報告させていただきたいと思います。
 強いて言えば、継続的に人材をうまくつくっていく、コーディネーターをつくっていくところが1つの課題ではないか。それから、先ほどの、経費を自分たちで賄っていくところが、やはり大きな金額になりませんので、どのように企業と組んでいくか。企業のほうでは、今、CSRなどいろいろなことをやっていますので、そことどのようにつなげられるのか、そういったところも含めて課題が出ていました。
○大橋座長 ちょっとお聞きしてよろしいですか。ボランティアと就労はかなり違うと思うのです。就労ならば、キーになるのはその仕事ができるかどうかということです。ところが、ボランティアというと少し人間関係のようなものが入ってきて、例えば、65歳で仕事を辞めて、急に地域のボランティアに入れるかというと、私は余り自信がないのです。何かのけ者にされてしまいそうで。そういう点では、ボランティア活動などに入っていくのに多少の何か準備のようなものが要るとか、要らないとか、その辺についてはどうですか。皆さん、簡単に入れますかね。
○矢田社会・援護局地域福祉課長 地域地域に、その地域の人のたまり場のような、公民館とまでは言いませんが、小さなたまり場のようなサロンを今つくっているところです。そういう所に出てきていただく。そのためには、待ちの姿勢ではなく、お誘いを掛けることが必要。それも、先ほどおっしゃいましたが、女性の方は非常に積極的に出ていらっしゃいますので、奥さんを通じて旦那さんを引っ張り出していただくというような、そういったところがキーになっているようです。それから、ボランティアの場合ですと、各社協にボランティアセンターがありますので、そこで友達同士とか、同じ企業で働いていた方の関係であるとか、同じ学校の方であるとか、そういうつながりで引っ張ってきていただくという方法が効果があるようです。
○大橋座長 そういう声掛けの仕組みのようなものは、きちんとしたものがあるのですか。
○原野氏 ちょっと例をお話します。江戸川区は「総合人生大学」というものを数年前につくりました。これは何かと申しますと、正に、リタイアされた方々が地域デビューするきっかけづくりなのです。すぐ地域へと言っても、きっかけもないし、何の知識もないし、そういう状況で、何かやりたいという気持ちはあったとしても、どうやっていいか分からないわけです。それで、江戸川区ですので江戸川学科とか、介護福祉学科とか、国際交流とか、4つ学科をつくっています。全部で2学年です。、25人ずつで1学年100人なのです。年間3万円いただきます。有名な講師もおられますが、江戸川区だけにいても分からないようなことも含めて、いろいろな角度から自分たちで勉強できるようにしています。2学年になりますと、何となく意見の合う方々でグループができてきまして、自分たちはここを卒業したら何をやろうかと考えはじめられます。子育てを手伝おうか、それとも自分たちと同年代の方々の地域での生活を支える、一人暮らしの目配りなどをやろうかとか、年代を問わないで子供も大人も障害者もみんな来てくれて構わないような何かをつくろうかとか、そういうものが今もう100近くグループができています。先ほど、どうやってきっかけをつくるかと言いましたが、総合人生大学も1つの方法だと思います。入学してくる方は限られるかもしれませんがそういうものを私どもは現場で仕掛けて、成果も出ているということがあります。
○大橋座長 そういう視点から先ほどの報告を読んでいますと、例えばシルバー人材センターであれば、その人の職人的な技能がベースになってそれに出ていく。ところが、地域包括ケアシステムというと、これはまた別の仕組みですね。
○矢田社会・援護局地域福祉課長 介護保険のことです。
○大橋座長 なおかつ、そのあとの、「介護予防日常生活支援総合事業」というのがありますね。これもそういった仕組みになるのです。こういったいろいろなタイプの仕組みが社会にあって、いろいろなニーズに応えていく体制がうまくできれば、呼び掛けにもなるし良いことだと思うのです。それぞれの仕組みについて、一度、どういう問題があってどういうメリットがあるかということを少しお話を伺えると有り難いと思います。
○小川高齢・障害者雇用対策部長 それについては次回以降で御説明します。
○志藤氏 私どもは国際長寿センターという団体です。実践の団体でもありませんし、シンクタンクでもありません。基本的にはアドボカシーと言いますか、啓発や広報、教育を担っているつもりでおります。うちの団体の理念をご紹介しながら、私どもが整理として考えていることを申し上げたいと思います。「International Longevity Center」と申しまして、22年ほど前にできましたが、省略して「ILC」と呼んでおります。私どもILCの理念は「プロダクティブ・エイジング」です。この団体は現在は世界14か国にあり、発祥はアメリカです。アメリカのロバート・バトラーさんという老年学の大家の方が、エイジズムという老人差別的な発想、高齢になったらもう働く能力もないし醜いし役に立たないという、アメリカで特に強い若者志向というか、年寄りをもう駄目だとするようなエイジズム的な考えに反対する意味で、高齢者であっても能力があるしプロダクティビティもあるのだということで、「プロダクティブ・エイジング」という言葉をつくられました。
 時代は大きく変わりまして、年寄りだからもう能力がないからあっちへ行ってという、そういう時代ではなくなってきて、むしろ今は高齢者の能力を活用しなければ世の中は成り立っていかない時代になってきています。そういう意味でのプロダクティブ・エイジングへの認識はできてきたかと思いますが、私どもはもう1つの側面を考えています。つまり弱くなっていく高齢者がこれ以上弱くならないようにするというか、現状をキープするというか。経済活動などに貢献することによるプラスのプロダクティビティもありますが、医療費や介護費を使わないですませるという形で、本人のプロダクティビティを持続するという側面もあるわけです。そこが案外大事なことで、そういう視点からのでのプロダクティブ・エイジングを、今はむしろ大事に考えなければいけないと思っています。
 先ほどから就労についてお話が出ていますが、プラスのプロダクティビティとマイナスを底上げすることの間をつなぐものとして、よく言われる言葉ですが、「自助・互助・共助」の「互助」の部分を、高齢者のプロダクティビティの基礎・土台部分として考えたいと、私どもの団体としては今そんなふうに整理しています。
 国際なネットワークで活動をしておりますが、今日本はフロントランナーで走っていますので、世界の国々が当然日本に注目しています。はっきり言えば、各国とも医療費・介護費の出費をできるだけ抑えたい、特に経済環境が厳しさを増すヨーロッパの国々は、日本がどのように舵取りをしていくのかを見ているところがあります。その意味で考えますと、弱くなっていく高齢者を支える高齢者が絶対に必要になってくるだろうと、私どもは思っています。日本がフロントランナーという意味で期待されているのですけれども、案外と地域のネットワークが弱いので、弱いというよりは戦後の高度経済成長期に一旦解体してしまって、それがまたうまくつくり上げられていない面もあると思いますが、地域のつながりの中での互助という動きがうまくは機能していない。その点、ヨーロッパ、もちろん一口にヨーロッパとかアメリカと言い切ることはできませんが、教会などを核にした、ボランティアやチャリティが根付いている国のほうがそういうものが入っていきやすい。
 先ほどから、どうやって引っ張り出してくるかということお話になっていましたが、日本の場合はそこが確かに一番の肝のような気もします。地域が活性化してくれば出てきやすくなるし、たくさんてくれば地域も活性化する、これは本当に裏表のようなところがあります。単に高齢者が長く働き続けるということではなくて、いかに地域に根差して、元気な高齢者が弱い高齢者を支えていけるかと、そういうことを考えていくことが大事なのではないか。私どもは今のところそう考えて、そのような活動をしています。2週間ほど前もそういう趣旨での会議を、ILCアライアンスの理事長をお招きして行いました。非常に雑駁ですが御報告させていただきました。
○大橋座長 確かに医療費は、私も最近、月々に送られてくる医療費を見て、どんどん増えてきています。私と家内の両方を合わせるとすごい額になりますので、これは確かに元気でいないといけないと思います。
○志藤氏 個人的にも、国としても大変なことになります。
○澤岡氏 私はプロダクティブ・エイジングについて御一緒に研究させていただいています。今「互助」という言葉が出てきましたが、ここの課題設定の中に、「高齢者が地域で就労する強みは何か」という部分があります。医療費の部分もありますが、もう1つ、これは医療費にもつながると思います。私は、特に企業退職された男性の方がいかに元気でいていただくか、おじさんを対象に研究しているので、そちらに特化させていただきます。
 地域にネットワークがない、地域の中で社会的な役割、ここでは、「居場所」と「出番」という言葉で語られていますが、社会的な役割がなかった方々が、少し体が弱ってきて、少し介護が必要、また、周りの見守りが施策として進められていますが、いきなり見守られる側になることは、彼らにとって抵抗のあることです。自分が今まで地域の中で社会的な役割を担ってきたからこそ、自分が何か必要になったときに助けてと言えるのです。そう考えますと、特に企業退職者の方々が地域でどういった社会的役割を持っていくか、きっかけとして何が一番適当なのかと考えますと、いろいろな切り口が出てくると思いますが、「働く」という言葉、その中身はボランティアなのかNPOなのか何なのかは分かりません。なかなかボランティアセンターに登録しにくい方、来ない方が多いと思いますが、そういう方々が地域の中で役割を見いだす、一番関わりやすい切り口として、働くことがこれから大きくウェイトを占めてくるのではないかと感じています。その方々が地域の中で働くことでデビューをして、何か役割を見いだすことで、恐らく御自身たちが介護が必要になったときには、自分たちから助けてくださいと、孤立しない、孤独死しないという地域の循環も生まれてくるのではないかとも感じています。
○小川高齢・障害者雇用対策部長 長島さんに質問があります。本日お配りいただいた資料の中に、「あなたの業界キャリアが社会に生きる」という講座の話が載っています。これは恐らく企業を退職された方にとっては魅力的な講座なのではないかという気もするのです。実際にこういった講座に参加されて、地場の中小企業のコンサルタントとして活躍されている方はどれぐらいおられるのでしょうか。
○長島氏 こういう講座はどうやったら成り立つのか試行錯誤をしている段階です。そろそろ数が増えてきたので講座はいけるのではないかということでスタートしています。地域の中でのコンサルティングが何かとか、戻ってきた人はどうやってそのきっかけができているかというと、やはり先輩なのです。例えば東芝に勤めていたら、東芝に勤めていた先輩があそこにいるからここに行こうというような形で、芋蔓式というのでしょうか、何かルートがありまして、そうやってくっ付いてくるケースが多いと感じます。それ以外はほとんどないのではないかというぐらいに、そんな感じを得ています。
 先ほどの解決策にも関係すると思っていますが、今私が考えているのは、地元の多摩地区には大きな企業がたくさんありますが、大きい企業には信用金庫は行っていません。大手銀行さんが行っているわけです。その大手企業さんの中から地元に戻ってくる方が大量に出てくるのです。大手企業さんも、少し前のときにセカンドライフ・セミナーみたいなものをよくやっているのですが、それもノウハウを教えてくれるだけ、年金のもらい方とシルバー人材センターに行けばいいというようなことを教えてくれるだけで、余り画期的なことというか、戻り方をきちんと教えてくれないので、あそこの部分をやらせてほしいと最近思っているのです。
 そうすれば、例えば55歳になったときに、そろそろあなたは地域に戻ってくればいいと。日野に戻ってくると、この町の中にはこういうものがあるよというものとマッチング会を開く、それを毎年やっていくとかですね。お祭りに出てきたら「ようっ」て声を掛けられることが重要だと思うのです。そのようなことを3年とか5年かけてやっていかないと、地域に戻るなんて絶対にできないと思います。地域の中には昔から住んでいる人たちがたくさんいますから、新しく新参者で入ってきた人たちが、その人たちと同じように馴染むなんていうことはあり得ないことだと思っています。答えになっていませんが、そのようなやり方をしていかないと循環しないのではないかと感じています。
○原野氏 今、長島さんがおっしゃったことは大変重要なことです。地域デビューのきっかけはどの辺から始まるかというと、幼稚園のPTAなのです。非常に若い、30代ぐらいのときから、実は押し付け合いかもしれませんけれども、そういうところから始まります。小学校・中学校ぐらいになりますと、特に男性は働いている方が多いので、「オヤジの会」のようなものがPTAのもう1つの形としてあったりします。それは、校庭にテントを張って防災訓練のを兼ねたキャンプのようなものを夏にやったりして横のつながりを持って、お父さん同士の知り合いが増えてくるのです。町会や自治会の役員さんたちは、そういう方々を見ていまして、「この人はもう少し年取ってくると地域で使えるな」ということがありまして、ネットワークの中でだんだん地域のいろいろな活動の中に引っ張り込んでくるという、目に見えない流れのようなものがあるのです。どこかから生まれてくるのかもしれません。そういう方々が、誠に残念ながら、子供が高校・大学に行くようになりますと、なかなかPTA活動というものもありませんし、ちょうど中堅どころになって仕事も忙しくなってきたりしまして、断絶するのです。子育てが終わって自分も定年が近くなってきたりしたときに、何人か昔の知り合いとうまくそこを切り抜けた方々、断絶しないでつながっていた方々が町会や自治会活動をなさるという構図もあります。民生委員活動もその一つかもしれません。
 人というものは、自分が住んでいる地域で少し役目があって、頼られて、やることがあるほうが生きがいにもなりますので大変良いと思うのです。年代的な流れからすると、リタイアするから地域デビューをするということよりも、人生はずっと続いているので、もっと早い段階からつながっているんですね。いずれにしても、急に何かをやろうと言われてもなかなか難しいでしょうね。
○大橋座長 1つ、お聞きします。引っ込み思案の人だと仲間に入りにくいのです。だから、どうしたらそこのところをある程度うまく解決できるのかということです。やはり、これはリーダーの役割が大きいのでしょうか。あるいは、先ほどおっしゃった、「この人は使いものになりそうだ」という人とか、そういった人たちに対する、何か人材のマネジメントのようなことはどうなるのでしょうか。
○原野氏 こういうやり方をすれば必ず大丈夫だというものはないと思うのです。その方の人格・性格に合わせたアプローチの仕方があると思うのです。ただ、皆さんに共通しているのは、自分が住んでいる地域で自分が少しでも役に立てる、「ありがとう」とか、感謝されることは、人間とても気持ちの良いことです。町会の月1回の清掃でもいいので、そういうものに皆さんが最初に参加する。最初のときに、その本人が参加してよかったとお思いになるか、つまらないなと思うかが、2歩目を踏み出すか踏み出さないかになると思います。やはり人間ですから、みんないい人ばかりではなくて、意地悪な人も中にはいたりします。1回だけでやめるのではなくて、いろいろな角度で、長島さんがおっしゃったように、その方の興味があるようなものを、釣り糸を垂れるというと適切ではありませんが、そういう中に引っ張り出すことが一番良いのではないかと思います。
○大橋座長 ほかに何か、いかがですか。
○志藤氏 これも、私たちの活動の中でよく使われる言葉ですが、「エイジング・イン・プレイス」という言葉があります。「そこで老いていく」ということです。高齢化の問題というのは、住まいも関わってきますし、地域も関わってきますし、介護、福祉、あらゆるものが関わってくるのです。一時、年齢と環境の変化による住み替えが推奨されましたが、今は、自分が住んでいるこの場所でどうやって老いていくかという、エイジング・イン・プレイスという考えが大事なのではないかという気がします。今の先生のお尋ねに関して言えば、やはり自助努力で、自分もこの地域の中で、好かれなくてもいいから、せめて嫌われない人として認識されるような努力も一人一人に必要なのではないか。それは政策とか何かに関係なく、やはり、ここで生きていこうと思ったときに、高齢者自身も自分で何らかの形でアプローチしたり働きかけをすることも心構えとして、常に誰かがいろいろなことをお膳立てしてくれるのではない中で暮らしていく覚悟も、これからは求められるだろうと思っています。
 先生が御質問なさった件に関しては、ずっとホワイトカラーでしかも知的レベルの高い仕事をしてこられた方が、地域の中に入るのは非常に難しいということは誰もがおっしゃることです。皆さんもう御存じかもしれませんが、東京大学の、正確な名前が思い出せませんが、ジェロントロジー研究機構だったか、秋山弘子先生と辻哲夫さんが専ら引っ張っていらっしゃるプロジェクトがあって、柏と福井、大都市圏のベッドタウンと地方で2つプロジェクトを持っておられます。そこで男性の方をどうやって引っ張り出すかというと、やはりボランティアの壁は高いので、逆に先に就労させてしまう。背広を着て出掛けるというのは体に馴染みがあるけれども、セーターやTシャツを着て行くことに対して馴染みがないのであれば、取りあえず、背広を着てネクタイをして「行ってきます」という形を崩さないまま、まずハードルの低いところから始めようという、そういう取組もなさっていると伺っています。その資料などを私も頂いていますので、お出しできるようであれば皆様にもお配りしたいと思っています。いろいろなやり方で社会に出ようという動きがあるということをお伝えしたいと思いました。
○大橋座長 先ほど、つながりの中での「互助」という言葉をお使いになりました。互助というのは、相手にも行使するし自分も何らかを期待するというのが互助の意味だと思いますが、奉仕となると一方的な作業ですね。その辺は意識されているのですか。
○志藤氏 特に意識はしていないのですけれども、「お互いさま」という言葉が日本語で言えば、私としてはいちばんふさわしい言葉かと思っています。少し堅く互助と言ってしまいましたが、お隣りの85歳のおばあちゃんのお風呂場の電球が切れてしまったら、隣の家のもう少し元気な67歳ぐらいの男性が脚立に登って換えてあげればいいのではないかと、雑駁な言い方ですが、そのようなイメージを考えています。
○大橋座長 その他、いかがでしょうか。
○山田氏 今までのお話は、どちらかというと、確かにどのように潜在的な人材を引っ張り出すのかというお話だったと思います。更に関心があるのは、引っ張り出すにも引っ張り出す場所があり、その場所が願わくばその地域への貢献、地域の活動の充実となる部分に結び付いていくといいわけです。その前に、現場の知見を伺いたいのは、そういったニーズをどうやって見ていくのかです。というのも、要するに単にそのようなものに貢献しただけでは、政策として考えた場合に足りないわけで、一体どのようなニーズがあり、それがどのように満たされていて、どこが足りないから、例えばいろいろな働く形で65歳で定年を迎えた孤立しやすい男性を結び付けていくのかが軸になってくると思います。まず、ニーズをどのように把握されておられるのかについて、もしお伺いできたらと思います。
○原野氏 特別区も地域でそれぞれだとです。江戸川区の場合、68万区民と申し上げましたが、40万世帯ぐらいあります。そして、その3分の1は一人暮らしです。先ほども話に出ていますが、これからはどちらか連れ合いが先に逝けば、一人暮らしになってしまいます。一人で暮らす方々に対しての、地域としての目配りは大事なのですね。ここのところ、一人暮らしで何日も発見されなくてお亡くなりになっていたというのがニュースになったりしておりますが、これは若い方もです同様。地域でそのようなことが近くであったりすると、皆気分的にいいものではないですね。地域のコミュニティの体制がきちんと取れていればいいねというのは、皆思っているわけです。ですが、勤め人や日々家には夕方にしか帰ってこない人までは、なかなか目配りが行き届きません。一人暮らしの熟年者への目配りは、誰ができるのだというと、同じ熟年の方で昼に時間のある方が友愛訪問的なことをやっています。
 江戸川区には、12万5,000人の65歳以上の方がいらっしゃると申し上げました。いわゆる老人クラブ的なものに入っている方は2万人だということも申し上げました。ただ、この2万人は増えていないのです。なぜ増えないのだろうかといろいろと考えてみました。今、山田先生がおっしゃったように、受け皿側といいますか、ニーズという言い方とは違うのかもしれませんが、85歳の人が老人クラブの会長をやっていて、65歳で入ると新入社員のようなものなのですね。そうすると、折角縦社会から解放された方が、また1つの地域の組織に1から出直しというのは、ちょっと辛いものがあると思うのです。それから、先ほど長島さんもおっしゃいましたが、60代、70代、80代、90代の価値感が、戦前戦後の関係もあるのでしょうが、かなり違います。ものの考え方1つにしても、全然違います。そのような方々が1つのグループをつくるのは、非常に困難な部分もありますね。仕事であれば、組織として我慢するところもあるのでしょうが、地域で何か、ましてやボランティアでしたら、嫌な思いをしてまでこの組織に属してという気持ちになれないと思うのです。 先ほど志藤さんがおっしゃっていましたが、シルバー人材センターに昨年の4月「シルバーお助け隊」というものをつくりました。一時間で済むような用事をシルバー人材センターが請け負います。電球の取り換えや箪笥を右から左に動かすとか、換気扇の掃除などもあったりします。それで、その方の家でその方と会話をする。御本人は1時間で300円払えばいいのです。500円を区が補助をして、800円が本人の手取りになります。そういうことで、ニーズというのは、例えば一人暮らしの女性の方で、そういうことが不得意な方や、力仕事でちょっと駄目だとか、丸1日かかって何かをやってもらうほどでもないのだが、ちょっとした困り事にお手伝いをすることを始めました。
 それから、もう1つニーズで大きいのは子育てです。やはり年の功で、こうやればいいのだというのを年配の方はよく御存じなのですよね。ですから、江戸川区では今度「お隣さん事業」を始めました。この子は放っておかれているのかなと思う時には、余計なお世話までしてしまうようなお隣りさん状態になって訪ねていきます。さらに、放課後の子どもたちの居場所づくりでは、「すくすくスクール」をやっております。これは、学童保育を熟年者に任せるということではなくて、異年齢の交流をすることによって子どもたちの命を磨いていくという事業でもあります。ニーズというのは至る所にあるような気がします。財政的には、行政が全部背負うわけでも何でもありません。、何かしらの収入があってもいいのかもしれませんが、やはり御本人の生きがいと喜びがまた健康にもつながります。そのようなことを組み合わせることによってやっていただきたいのです。ですから、ニーズは今私が言った例以外にもたくさんあると思います。
○大橋座長 シルバー人材センターの場合にはきちんと場所が確保されていますし、電話も備え付けてあります。ところが、こういったプログラムの場合には、場所は今は公園を使っておられますが、高齢者が集まる場所はどのように確保されているのですか。
○原野氏 江戸川区には、地域にコミュニティ会館があります。これは、いわゆる公民館の大型みたいなもので、集会室がいくつもあったり、この会議室の大きさの体育館的な所があります。高齢であるということで減免も効きますので、そのような集まる場所があります。それから、町会会館がそれとは別に何十箇所もありますので、そういう所も御利用いただけます。
○大橋座長 そこには、いろいろな団体がオフィスを持てるようになっているのですか。
○原野氏 オフィスは持てません。集まって会議ができたり、レクリエーションができたりの場所です。今は空き家対策も1つの課題です。古い建物でもそのまま放っておかれている大家さんもいる反面、いろいろな事情の中で、まだ新しいのだが空いている家があったりするのです。ですから、そういう所をどううまく活用していくかも、いろいろな観点で今実態調査をしています。ですから、そういう所は、今座長がおっしゃったように、オフィスの場所としても十分使えるようなことはあると思うのですね。可能性は見つけていきたいとは思っています。
○大橋座長 ここでは、「居場所」と「出番」を探すということで、まず物理的な居場所がないことには、心理的な居場所もないだろうと思うのですが。
○澤岡氏 原野さんに御質問させていただいてよろしいですか。今、地域のニーズがこんなに無限大にあるというお話をされていました。恐らく、今後10年、20年で、今の企業退職をされた方というと、もう暗に、男性は可哀想ねという話になっていきます。10年、20年後には、恐らくお一人様と言われている結婚をしていない、いわゆる育児として地域に関わったこともない女性で、退職される方がたくさん出てこられると思うのですね。そういう方々が、今のいろいろな所の事例でインタビューをさせていただきますと、ずっと働いてこられて退職された独り身の方は、そのような地域デビューの講座などに行くと、男性がたくさんいて自分の居場所がないと皆さんおっしゃいます。だからといって、地域活動に行こうとすると、やはり主婦だった女性がボスを張られていて、どこに行っていいか分からない方が結構いらっしゃるのですね。恐らく、10年、20年後は、特に江戸川区のような所は、そういう方々がたくさん出てこられるのかなと思っています。今、そういったような方々に対しての何か居場所づくりはされていらっしゃるのですか。
○原野氏 確かに、頭の痛い問題だと思います。女性は男性よりも社交的な傾向はあるような気がします。ただ、今おっしゃったことは多分あり得る問題だなと思います。私は、今しか分からないのですが、いろいろな団体に属さない方等もたくさんいらっしゃるのですが、皆さん女性の場合は年を取りたくないというか、いろいろな健康食品などを結構召し上がったり、フィットネスクラブなどに行くと、びっくりするようなカラーの水着で泳いでいらっしゃったり、もう昼間のフィットネスクラブに行くと元気な中高年の女性の方だらけですよね。驚きます。何でこの方々は、こんなに元気ではつらつとしていらっしゃるのかなと思います。
 そんなに元気ではつらつとして、そのエネルギーをどこに使うのだろうと思うと、今正におっしゃったように、地域デビューにはボスがいたりして、なかなか使いにくいのかもしれません。
○長島氏 居場所の問題なのですが、やはり現場でやっていてすごく感じるのは、そういう人たちが行く場所だと分かってしまうと行きたくなくなるという傾向があるので、多分行政の方と違う感じです。行政のサービスとして提供される所には、プライドとして行きたくないという欲求が多分働くだろうなと思っています。やはり、何らかの形で民が民の力でつくっていくようなものを仕組みとして後押ししていくようなやり方をしていかないと。図書館にはときどき行くのですが、公民館はパスだなという方もいらっしゃるのですよ。ですので、我々みたいなベッドタウンの郊外ですと、地元の活動に参加したくないからここにきたのだという方も意外といらっしゃいます。その方々が、同じ趣味を持って130円の切符で行ききできる所に友達が欲しいという欲求を持っている人がすごく多いわけです。そういう人たちのニーズをそのまま叶えてあげるとすれば、やはり民間がやっていくいろいろな細かい事業を応援していくようなやり方を取っていかないと、どこかに寄せて、地域に戻ってきたらここに行かなくては駄目と言われてしまうと、多分今の団塊の世代以降の人たちは、ギブアップしてしまうのではないかと感じます。
○山田氏 今おっしゃったとおりで、なるほどなと思います。やはり、民が民をというのは非常に重要なことだと思います。一方で、もし活動を促進していくために何か補助をとなったときに、先ほどニーズのことについてなぜお聞きしたかというと、やはり公共サービス的なものは、単に民が供給してくれればいいわけですが、それがなかなか供給されないところに公共サービスを提供するような意義があるわけですね。そのときに、公共サービスをいろいろな高齢者のボランティアに結び付けていくときに、地域のニーズは一体どうやって把握したらいいのかと。もう1つポイントとなるのは、そういった公共サービス的なボランティアを進めていく場合に、そのプライオリティをどのように付けたらいいのかと。そこを、先ほどニーズということでお尋ねしました。もし何か補足的にあればと思います。
 今、山ほどニーズはあるとおっしゃったのですが、多分進めていくときには何らかのプライオリティを付けて、ここが非常に足りていないからここの部分をと。やはり、人材にも資源にも限りがありますから、やみくもにやっていらっしゃるのではないと思うのですが、何かプライオリティを中で付けていてやっていらっしゃると思います。そこのプライオリティの付け方は一体どのようになっているのかを教えていただければと思います。
○原野氏 今のお話で一番ポイントになっているのは、防災です。江戸川区は平たい地域で、区の7割が海抜0メートルです。今回の東日本大震災のこともありますし、東京もいつ大地震がくるか分からないと言われたりしますと、やはり多くの方々が防災について意識が大変高いです。いわゆる防災弱者と言われる熟年者の方の一人暮らしや障害者の方などが地域にはおられます。よく言われるのですが、個人情報保護法の関係と、どこに誰がいるかは分からないから助けようがないではないかという問題はあります。発災直後に何ができるか、そういうときに名簿を持っていようが何しようが、自分で自分の命を守っていただくことをまずやってもらわないと、正直申し上げて行政は2,3日ぐらいは当てになりません。ですから、私どもも今までつくっていた防災のための計画を全部破棄しまして、今作り直しております。
 江戸川区は高層マンションの地域と、昔からの平家建てのたくさんある地域があります。地域によっても、どのように防災をやっていくかは、それぞれで事情が違うのですね。ですから、やり方は全部違います。そういうことを地域の皆さんと協議をしていき、そこで元気な熟年者の方にどのように力になっていただけるかも含めて、これはまだ組み立てているところですが、そのようなことをやっています。
○山田氏 それ以外にも、子育てのプライオリティが高いということでしょうか。
○原野氏 はい、そうです。
○長島氏 私も同じなのですが、割合でいくとプライオリティの付け方で少し違うなと思っているのは、地域の課題で圧倒的なのは防災と防犯なのです。次が、子育てや高齢者の話につながってきます。そのときに、民間と公共はどのように分けたらいいのかと考えています。地元でそれに対する事業が起きやすいのは、子育てや高齢者向けのビジネスです。自分の親がいるから、このような商品を作ったら売れるのではないかと、直感的に分かるようなものが多いのですが、防災や防犯に関しては、やはり公共サービスとして提供されるのではないかと考えてしまうのではないかと。無料で提供されるサービスという認識がすごく強いのではないかと思います。ですので、配食サービスや子育てのためのママサークルや保育何とかは、バンバン民間のものが出てきていますので、そのサービスにどんどん切り替えていったほうがよく、そのお金は防災や防犯に向けていったほうが、地域の中では活用の度合いが高くなってくるのかなとは、お話を伺っていて感じました。
 もう1つ、これはお願いなのですが、社会福祉協議会のお話を少しの時間でもいいので、どこかでお伺いできないでしょうか。地元の社会福祉協議会とは、今かなり連携をさせていただいております。実は、社会福祉協議会から、ビジネスモデルがつくれないボランティアの相談に乗ってあげてくれないかというお電話をいただくぐらいに、関係が密になっており、かなりいい感じになっているなと思っています。やはり、現場の方々とお話をしていると、これは福祉の政策ですからと言われてしまい、市民活動やボランティアに関してもう一歩踏み込んできていただけないなという感じがしています。ある意味、このようなボランティアやNPOの方々を支えるような中間支援機関としての公共サービスとしての社会福祉協議会のあり方や、あるいはこれはもう民間がやればいいのだということで、民間の中間支援組織が動いていくのがいいのかなというのは、いつもしどろもどろになりながら現場でやっています。社会福祉協議会が今どのようになっているというお話を、5分でも10分でも結構ですので教えていただけるとありがたいなと思っています。
○小川高齢・障害者雇用対策部長 本日の資料の28~30ページ辺りにいろいろと書いてあります。
○矢田社会・援護局地域福祉課長 どの辺りを中心にお話申し上げればいいのかはありますが、社会福祉協議会はもともと社会福祉法の中にその設立の根拠がありますので、社会福祉関係を中心にやっております。社会福祉協議会の中にボランティアセンターもありまして、ボランティアを進めてもいます。それから、先ほどモデルのお話もしましたが、地域の活性化も含めて取組を始めておりますし、以前からもやっております。そういった意味では、地域活性化のために事業を立ち上げていこうということに取り組んでいる所も、地域としてはあります。
 社協も各市町村段階までいきますと、幅広く取組をやっている所と、そうではなくて行政のお手伝い的な所もあり、かなり取組の差があります。しかし、昨年地域福祉のためにしっかりとNPOなどとも協働して、地域政策を積極的にやっていこうというアクションプランを作りました。全社協が中心になって、各市町村社協も取組を進めていこうとしております。要するに社会福祉協議会の活動の強化策を作っておりますので、時間があればそれも資料としてお出しして、少しコメントもしてみたいと思います。そのようなことで、全国の社協の質を均等化して押し上げていこうという取組も行っていますので、徐々にその辺りの効果も出てくるのではないかと思っています。
○長島氏 お話させていただいたのは、地域や町のことが分からなかったときに、どこに聞きに行けばいいだろうなと、我々も考えていたわけです。そのときに、一番情報を持っているのは、実は社会福祉協議会だなということがよく分かってきました。その方々と話していると、細かいことまでよく回っていらっしゃるのですよ。その情報が入ってくるのですが、それが行政とうまく連携が取れていない所があったり、取れている所は非常にうまくいっていたりするものですから、それこそ、社協の88選ではないですが、何かいいところを取り上げていただいて、そこを核としてやっていくのも、1つの戦略としてあるのではないかというのが、現場観として感じるところです。
○矢田社会・援護局地域福祉課長 29ページの中にも、主な事業という所に書いてありますが、実はイに「ふれあいサロン」「いきいきサロン」「住民とのつながり」と書いてあります。これは、まさしく地域での小さな居場所をたくさんつくっていこうというようなことをやっています。その中で、いろいろなニーズを把握していくようなことをやっています。それで、先ほどのモデル事業のような形で、行政と一緒に地域の充実を図っていくときに、そのニーズを踏まえ次にどのような仕組みなり支援策を作っていけばいいのかを進めている所もあります。
 全国で49のモデル事業を3年間やっていますが、その中でも社協が中心になってやっている所もありますので、これも併せて資料として提供させていただきたいと思っています。
○大橋座長 地域へのニーズと、地域のニーズに対する対応は、この検討会の大きなテーマです。その中で、いろいろな好事例を見つけていく。もう1つ、仕組みとしてここに出てきているのは、シルバー人材センターと社協の話と、地域包括ケアシステム、その他支援センターなど出てきていますので、いろいろな仕組みも一応点検しながら、特に好事例があれば非常に趣旨に合いますので、是非御紹介いただければと思います。時間がきてしまいましたが、ほかにどうしてもおっしゃりたいことがあれば、どうぞ。
○原野氏 今回、タイトルが「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」ということなので、どうしても就労というキーワードが頭の中から離れないわけです。今日のお話ですと、御本人の出番であり、役割でありということも、かなりあったのですね。今後の話の進め方の中でどのようになっていくかは興味深いところなのですが、2年ぐらい前に「カーネーション」というNHKの番組がおりまして、年を取った主人公が、「老いというのはチャンスなのだ」とおっしゃって、「神様がくれた贈り物なのだ」という表現をされたのを覚えています。つまり、若い人たちからみて、高齢者の人たちは結構いきいきしてすごいねと思うようなモデルを、この会でいくつか提案できればいいかなと思いました。
○大橋座長 多分、この担当部局で、高齢法の改正を担当されたのです。それは、要するに希望者全員が継続雇用もしくは定年延長で65歳までと。それが、一応今年の4月からスタートしますので、そういう意味では、漠然とですが、何となく65歳ぐらいまで雇用されて働いておられて、そのあとどうするの、というのが問題になるというイメージがあります。ただ、山田委員の御指摘にもありましたように、とは言いながら、高齢者のニーズとして、要するにかなり貧困線に近い方をどうするかという問題を忘れてはいけないと思います。全体としては、働いたあとどうするのと、あるいは更にどこかで就業されるのといったようなイメージで考えております。ですから、そういう点では幅広にボランティアも含めて考えていただければいいと思います。本日のところは、これでよろしいでしょうか。
 それでは、本日はこの辺りで終了させていただきたいと思います。本日の議事について、議事録を公開して差し支えないと考えますが、御都合が悪い方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
(異議なし)
○大橋座長 それでは、次回の日程について事務局からお願いします。
○中山高齢者雇用対策課長 次回は、3月13日(水)、15時から17時の時間帯での開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。議題としては、高齢者の就業事例のヒアリングと、本日指摘いただいた事項等について、間に合えばこういったことも含めて対応させていただければと思います。
○大橋座長 では、どうもありがとうございました。


(了)

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