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2013年2月13日 第2回 職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会議事録

○日時

平成25年2月13日
15:30〜17:30


○場所

厚生労働省17階専用第21会議室
(千代田区霞ヶ関1−2−2)


○議題

(1)改訂指針案について検討
(2)その他

○議事

○調査官
 定刻になりましたので、ただ今から第2回「職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会」を開催いたします。本日は、参集者の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。本日は第2回ということでございます。お一人遅れていらっしゃるようですが、一応全員参加ということを聞いておりますので、始めさせていただきたいと思います。
 では、早速ですが、まず資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧ください。第1回の後、作業チームとしまして、甲田委員、それから、岩切委員、北原委員のお三方に、指針改訂のたたき台を作っていただきました。どうも大変ありがとうございました。それで、資料の3ページからの資料2は、作っていただいた改訂案です。四角で囲った中が、腰痛予防対策指針の本文、それから、その後ろに続く部分が解説です。「指針」、それから、「解説」、これは1本の局長通達で公表することになるので、併せて提示しております。本日は一緒に議論していただければ幸いです。
 それから、厚い資料の後ろ2枚でございます。35ページですが、こちらが資料3で、第1回でのご意見、それから、その後にメールでいただいた各委員のご意見とその対応状況を取りまとめた表にしています。対応欄については、今のたたき台での意見への対応状況を書いているものですが、ペンディングなど、今日議論するべきものもありますので、その旨を書いています。
 それから、机上のみの配付となりますが、「全身振動の許容基準」という資料です。これは机上のみ配付をしております。後ほど説明があるかと思います。
 資料については以上ですが、不足等はありませんか。よろしければ座長に進行をお願いします。よろしくお願いします。
○甲田座長
 ありがとうございます。引き続き座長をさせていただく安衛研の甲田です。よろしくお願いします。
 それでは、今回から「腰痛予防対策指針」の具体的改訂内容の検討に入ります。恐らく今回だけでは全部終わらないので、次回も当てることになるとは思いますが、それでも本日は2時間ということなので、時間が大変限られております。進行等に関しては是非ご協力のほどをよろしくお願いします。
 改訂案のたたき台につきましては、先ほど紹介していただいたように、私ども3名の委員が中心になって作成しておりますが、中心になって作成した者が逐次簡単に説明いたします。その後に、各委員からのご意見をいただくよう進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○調査官
 撮影のほうはここまでとさせていただきます。
○甲田座長
 それでは、かなり多いものですが、一つ一つというよりは、できれば二つぐらいずつブロックに区切って進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。1の「はじめに」という所と2の「作業管理」という所に関して、担当された岩切委員のほうからまずご説明をお願いします。
○岩切委員
 手元の資料ですと、資料2の3〜6ページに改訂案を記載しております。下線部分が、新たに書き加えた、又は修正した部分です。時間が短いものですから、掻い摘んでお話ししますと、指針本文にて書き加えた部分は、まず腰痛の発生要因です。これまでは動作要因、環境要因、個人的要因の3つだったのですが、それに心理・社会的要因を加えております。また、指針本文で「リスクアセスメントや労働安全衛生マネジメントシステムの考え方を職場の安全衛生活動に導入すること」を加えております。
 別紙作業態様別対策のタイトルである(2)の部分についても変更しています。これは、今回、問題として挙がっている介護に関して取り上げた箇所で、もともとは「重症心身障害児施設等における介護作業」となっていました。これを、改訂案では「社会福祉施設等における介護・看護作業」としております。このタイトルに病院や保育などの用語を入れるかどうかは検討の必要があると思いますが、内容にはそれらを加えていくことを考えております。
 5ページ上部に記載の(ホ)「振動」には「車両系建設機械等」とあります。これは産業車両と置き換えても良いかもしれませんが、産業車両というと、タクシーとかバスとかいうものも入ってくると思います。その場合、それらの取扱いをどうするのか。また、振動に長時間ばく露されることを入れるかどうか、といったことが大きな問題になってくるため、これらは検討事項だと思います。あと、5ページ下部の(3)「労働衛生管理」の中では、先ほど指針本文のほうで述べた「リスクアセスメントや労働安全衛生マネジメントシステムの考え方を導入すること」を加筆しております。
 引き続いて、「作業管理」の説明をさせていただきます。「作業管理」のほうは、今回、構成を変えさせていただきました。現行版では、まず(1)「自動化、省略化」という項目がありまして、次に(2)「作業姿勢、動作」、3つ目に「作業標準等」、4つ目に「休憩」、5つ目に「その他」という構成です。改訂案では、(1)「自動化、省略化」、(2)「作業姿勢、動作」、ここまでは同じですが、3つ目に「休憩、作業の組み合わせ、勤務形態」、4つ目に「靴、服装等」、5つ目に「組織体制」、そして、最後の6つ目に「作業標準」としております。この作業標準は、先ほどの(1)から(5)までのことを加味して、作業ごとに、また個人ごとに作業標準を作成する必要性を明記しています。
 また、腰部保護ベルトの取扱いについては、推奨というよりも、個人によって効果が異なるため、一律に使用するのではなく、ベルト自体の効果や限界を理解した上で使用することに変更しています。その他の部分に関しては、構成は変わっていますが、基本的には現行の指針と同様の内容を記載し、又は表現を変えて記載しています。以上です。
○甲田座長
 ありがとうございました。先ほど説明にありましたように、今回、改訂している所、そして、更に新しく加えた所等は下線がしてあります。多分、改訂作業がぎりぎりまで行われたため下線についてもまだごご確認していらっしゃらないかもしれませんが、ごご意見等に関しては1つずつやっていきたいと思います。まず、「はじめに」の所に関してはいかがですか。
 先ほど出たように、意見でもいろいろといただいていたのですけども。従来は、動作要因、環境要因、個人的要因と、この3つの要因が腰痛に影響を与えるということだったのですが、いろいろと意見も頂きまして、ストレスの問題も取り入れたほうがいいのではないかということで、表現としてはどういう表現をとるか、いろいろと検討、議論したのですが、これは心理的・社会的要因という形で、4つの要因に整理しております。
 これもここ10年ぐらいの調査研究の中で、ストレスが様々な筋骨格系の疾病に影響しているという報告もされておりますし、ストレスコントロールを行うことが職場の腰痛の予防対策でもやはり重要な課題として挙がってきていることもありますので、その辺を考慮して、4つ目の要因という形で独立させています。多分、独立したほうが、事業者等もリスクとして認識していただければそれに対して対応するということになり、期待できます。今回はそういう形で入れております。それが3つの中の1つのポイントになってくると思います。
 そして2つ目が、従来では3管理1教育と言われた作業管理、環境管理、健康管理、更に労働者教育と言われた安全衛生活動ですが、それらを効果的に推進していくために、OSHMS、労働安全衛生マネジメントシステムと言っていますが、その考え方を効果的に職場の労働衛生管理に取り入れていくことが必要だろうと。これはここ10年ぐらい厚生労働省も推奨していることです。それから、具体的にリスクアセスメントをしましょうとか。ご意見でもいただいたのですが、リスクアセスメントを推奨するために、例えばチェックリストも、厚生労働省が平成21年に介護作業で提示しておりますので、そういった考え方からも、ここで具体的に示したほうがいいのだろうということで書かせていただきました。
 もう1つのポイントは、先ほど出たように、最初の通達では「重症心身障害児施設」という表現だったのですが、それよりは「社会福祉施設等」という形でまとめたほうが一般的にすんなり受け入れてくれるのではないかということで、この表現にして。介護の中では看護の作業も当然出てきますので、この作業を2つ書くという形で(2)を書き換えさせていただきました。いかがでしょうか。
○浦野委員
 (2)の所で、更に括弧内に「※病院、保育を入れるか要検討」とあります。保育は一応社会福祉施設になっているので、社会福祉施設等に含まれると思いますが、病院は別ですので、その「等」の中に入れるかどうかというぐらいのことで。
○甲田座長
 そうですね。
○浦野委員
 社会福祉施設、医療施設等とされるのか、どうなのか、その辺は後段の書きぶりにもよってくるのかもしれませんけども。保育が、一応社会福祉施設に該当していることは念頭に置いていただいて。
○甲田座長
 正に言われるとおりだと思います。他に、もしございましたら。
○萩尾委員
 特に、このストレス等の心理・社会的要因というのは、対人援助の職場では非常に起こりやすいものですね。それですので、4つ目の要因としてここに入れていただいたのは、これに書かれていることによって取組ができていくかと思います。それと、「はじめに」の解説の所で、個人的要因の中に年齢及び性と、これも新たに入っていますね。入っていましたか。
○甲田座長
 入っていました。
○萩尾委員
 そうですか。でも、「年齢とともに」とか、線を引いた所は新しいことですね。
○岩切委員
 現行版でも、個人的要因、年齢及び性は入っていますね。
○萩尾委員
 そうですか。下線の部分もですか。
○北原委員
 下線部は新たにですね。
○萩尾委員
 そうですね。
○北原委員
 必ずしも歳をとっていると腰痛が増えるという訳ではなく、実際に、社会福祉施設などでは若い人の腰痛が結構多いですね。それも勘案した形で入れさせていただきました。
○萩尾委員
 なるほど。今、介護人材がなかなか難しいような状況が続いていまして、傾向としては、年齢の高い方が結構参入してこられていますので、そういったところで、これが読み取れるかと考えたのです。
○甲田座長
 もう1つ、先ほど出ていましたが、それこそ、若年の女性がかなり入ってきているので保護するというか、配慮するというか、そういうこともしないと、そこで腰痛になって、ドロップアウトしてしまうと2度と職場に戻ってきてくれない可能性があって、これは労働力の損失ということになります。
○萩尾委員
 そうですね。
○岩切委員
 現行版だと、「年齢とともに腰痛による欠勤及び痛みの持続時間が増加」と書いてあるのですが、実際には業種・職種によっては若年者で多く腰痛が起きています。もちろん、高齢者で多い業種・職種もあります。改訂案では、年齢に関係なく、腰痛対策を考えていかなければいけないという意味です。
○萩尾委員
 そうですか。分かりました。
○岩切委員
 あと、心理・社会的要因について補足させて下さい。今回、新たに加えたことなのですが、実をいうと、まだ時間が間に合っていなくて、心理・社会的要因に対する対策を具体的にこの中に加筆しておりません。第3回検討会までには、加筆したいと思います。
○甲田座長
 あと、振動の所ですが、いかがでしょうか。
○安藤委員
 ここの5ページの上、(ホ)ですが、車両系建設機械等だけではないのですね。これは指針のほうにも、(5)で「長時間の」と入っているように、皆さんは普通にマイカーを運転していても、長い距離を運転すれば腰が張ってくるようなことがあると思いますが、機械とか車だからということではなくて、ここは「長時間の運転・操作によって腰部に著しい粗大な振動を受けること」としたほうがいいのではないかと思います。車だけではなくて、例えばクレーン操作とか、やはりそういったものでも起きますので。
○甲田座長
 そうすると、例えばここでいうと、車両系の建設機械、最初のパラグラフは、著しく粗大な振動を受けるというか、そんな意味あいだったのですが、それを受けることと、併記して、長時間の運転労働によって振動を受ける、というのを加味したほうがいいというご意見ですか。
○安藤委員
 はい、そうです。加えてということです。
○北原委員
 机上資料で、全身振動の許容基準を配らせていただいています。去年、産業衛生学会の振動障害研究会が腰痛予防の観点からこの許容基準を出しました。暫定値ですが、A(8)という、8時間ばく露で0.35m/s2のという許容値を出しました。これは、振動の大きさとばく露時間の長さのことを勘案して決められていますので、まさしく、今言われたようなことが当てはまるかと思います。
○安藤委員
 分かりました。
○甲田座長
 ありがとうございました。では、「作業管理」にいきたいと思いますが、「作業管理」のほうでご意見等があれば。ここは下線部が付いているのがかなり多いので、そういう意味でいうと、チェックするべきポイントが多いかもしれません。構成が大分変わっているというのが先ほどの話のご報告ですね。そういう意味では、前回、自動化、省力化とか、姿勢と標準の話、作業標準の話、あとは休憩というようなことだったのですが、今回はその欄に、例えば作業組織だとか、そんなものも別個に付け加えることになると思います。
○岩切委員
 解説部分は、短縮できるものは短縮していきたいと思います。今回、取りあえず、既存の指針に書かれていた部分のものはできるだけ削除せずに記載しております。ですから、今後はもう少し、言葉とか表現の仕方などを考えて精査していければと思います。
○甲田座長
 事前に頂いているご意見の中で、安藤委員のほうから、レイアウト等によって、例えば、目線の高さだとか、それが姿勢に影響するというお話があったので、全くそのとおりだと思います。ただ、書く場所として、次の作業環境のほうでレイアウトの話が出てきますので、そこの解説の部分で、負荷のかからないようなレイアウトとか、ゴチャゴチャになって、作業者にとって腰痛の負担が加わるような、そんなところでもいかせればと思っているので、いただいた意見を参考にさせていただければと思います。
○安藤委員
 分かりました。よろしいですか。言葉なのですが、省力化という言葉と機械化という言葉が出てくるのですが、これは別々に使い分けているのですか。例えば、指針の(1)は「自動化、省力化」になっていて、本文の中では「自動化又は機械化し」というふうに。これは何か定義があるのですか。
○岩切委員
 これは、現行版がそのような表現になっているので、それを活かしているだけなのですが、我々も同じことを考えていて、省力化の中に機械化はあると思います。
○安藤委員
 そうですね。一応これでいいのですか。
○岩切委員
 はい。ですから、どちらかに統一し。
○北原委員
 「機械化」というのは道具(ツール)ですね。
○岩切委員
 ツールという意味合いで使っているのですね。
○甲田座長
 今おっしゃられた用語のチェックは、最終的にもう一度、確認するところだと思いますので。
○岩切委員
 あと、この段階では、比較的具体的な数値は入れない方向で、改訂案を作成しています。具体的な数値が必要であれば、別紙の「作業態様別の対策」のほうで入れていければと考えています。ただ、ご意見があれば、検討させていただきます。
○甲田座長
 事前にいただいた意見の中でいいますと。今、来られて早々にご意見をいただきたいのですけど。神代先生のほうから、改訂案のほうの7ページの(ハ)の所で、作業台の高さに関わらず、腕の曲げ角度の話がありました。これは、およそ90度になるような高さに調整してくれという話で、そして、90度から100度、最大100度ぐらいというようなご提案で、これも特に人間工学のほうの要望としてよろしいのでしょうか。エルボールールとかアームの法則とか書いてありますけども。
○神代委員
 はい。エルボールールとかアームの法則というのがあって、ILOでもこの用語を使っていると聞いています。
○甲田座長
 ILOは使っているようですね。
○神代委員
 はい、そのようです。
○甲田座長
 だから、その辺のところでいうと、この書き方でよろしいでしょうか。一応いただいた意見を踏まえたつもりではあるのですけど。
○神代委員
 理想的な適正角度は90度ですから、いいと思います。
○甲田座長
 およそ90度ぐらいの。
○神代委員
 はい。およそ90度ぐらいという表現でよいかと思います。ちなみに肩から臍までとなると100度までの許容範囲になるということですから。
○岩切委員
 神代先生、ハイヒールの高さは、今回、数値を入れていないのですが、先生からご提案のあった3cmという数値を入れた方がよいでしょうか。
○神代委員
 いえ、敢えて数値は入れなくてもいいと思います。
○岩切委員
 よろしいですか。
○神代委員
 はい。
○甲田座長
 あと、提案の中にあった。多分、7ページの(4)の所になると思いますが、作業服の中に保護ベルトの話がありますね。表現としてこういう形で出しています。保護ベルトは学術的にいろいろと調査されていますが、非常に効果があったというのと、そうでもないというのと、両方の結果の報告があります。作業者によっても非常に、使い方等によるのだろうと思いますが、実際問題、効果があったというのとないというのが両方あるみたいです。ですから、その辺に関していうと、作業者がある程度理解をして着用したほうがいいというような書き方をしたということで、こういう表現になっているのですが、ご意見はいかがでしょうか。
○岩切委員
 補足しますと、アメリカの労働安全衛生研究所(NIOSH)では、腰部保護ベルトの効果は明確にはないと公表されています。一方、同じアメリカの労働安全衛生庁(OSHA)では、逆に、有効性は全く否定できないという形になっています。このように同じアメリカ国内でも見解が別れています。我々が労働現場に入りましても、必ずしもいいとか、必ずしも駄目だというのはどうも明確にできないところがあります。このことから、今回はこういうふうな書き方をさせていただきました。少なくとも、一律に、強制的に使用させることだけは避けるべきではないかと考えています。一度使用してみて、その上で、効果がありそうであれば継続するのがよいのではないかと思います。
○甲田座長
 今言ったような形で、基本的には、騒音に対する耳栓とか、有害ガスに対するマスクとかいう形での、JISの評価を受けている保護具とはちょっと違うということですね。タイプもいろいろあったりすることもありますが、表記としては一応こういう形で、選択できるような形です。懸念することは、事業者が、腰痛にならないためにこれをしなさいという形で、一律に付けさせられるような形ではうまくいかない可能性があると。その辺でこういう表現になっていると思います。
 これはよろしいですか。前後してもかまいませんので、ご意見はございませんでしょうか。
○本村委員
 (5)の「組織体制」の所のロの、「腰部に過度の負担のかかる作業では、無理に1人で作業するのではなく、複数人で」とあります。要介護者を抱えるときに、2人で抱える場面がよくあるのですが、その場合も腰痛になるリスクが高いということで、なるべく2人で抱えるのではなくて、リフトとか他の福祉用具を使って対応したほうがいいのではないかということです。
○甲田座長
 組織体制の話になりますでしょうか。
○本村委員
 ここには当てはまらないかもしれないのですけども。
○甲田座長
 多分、「自動化、省力化」の所との関連ですよね。その内容になるので。多分、組織体制のほうとして書かれていると私は理解したのですけども。
○岩切委員
 基本的に、指針では、現状に合わないものを推奨することは難しく、意味がないかもしれません。一方で、推奨しようという意味合いを含めて記載すべきかもしれません。両方を加味出来ればよいのですが、この指針ではどうするのか議論の余地があります。その中で、私も同じ考えなのですが、介護においてリフトなどの福祉機器の導入は重要だと思います。ただ実際に、それを導入できていない職場も多くあります。その場合、この指針が使えなくなるのは良くないと思いますので、機器を使用出来ない時の対応として、複数人での介護は書かざるを得ないかと考えています。そして、解説において複数人での介護のリスクを加筆したいと思います。
○本村委員
 そうですね。そこで触れていただければありがたいです。
○岩切委員
 分かりました。加筆します。
○甲田座長
 それでは、次のセクションの説明をさせていただき、併せていろいろとご意見をいただくことにしたいと思いますので、次の「作業環境管理」と「健康管理」について、北原委員からご説明をお願いしたいと思います。
○北原委員
 配布資料の11ページ、「作業環境管理」です。現行指針では「温度」「照明」「作業床面」「作業空間」「設備の配置等」の5つが書かれていたのですが、今回の改訂版では(1)「温度」、(2)「照明」、(3)「床面」、そして(4)に「作業空間や設備の配置等」として、(5)に「振動」を追加しました。現行指針で、「はじめに」の解説で振動のことが書いてあるにもかかわらず、「作業環境管理」のところにはなかったものですから、合わせておいたほうがいいということと、重要な要因ですので、5番目に「振動」を加えています。アンダーラインが修正点です。寒冷ばく露の問題や保温、照明のことなどを書かせていただいております。先ほど、振動について「長時間ばく露」という話がありました。ここには「著しく粗大な振動を受ける場合」ということしか書いていませんが、先ほどのご意見を受けて、「長時間」を入れることについて検討したいと思います。
 解説について、前回から特段大きく変わった所は「振動」ぐらいで、後は文言の修正や少し補足という形です。許容基準の話は先ほどさせていただいたので、説明は省きます。
 次に「健康管理」です。「健康管理」の構成としては、配置前の健康診断、定期健康診断、事後措置、それから体操です。一番大きく変わったのが体操のところです。現行指針では、作業前の体操と腰痛予防体操に分けられていましたが、2つに分けてやる意味があるのかという議論がありました。基本的に、腰痛予防体操はストレッチをメインにして、それを作業前・作業中・作業終了後などやれるポイントがあると思うので、適宜、必要に応じてしていただくという形にしました。特に現行指針にある腰痛予防体操、筋力増強目的である非常に腰部負荷の強い体操のイラストは省いたほうがいいのではないかということで、ストレッチ主体のものを新たに提案させてもらおうと考えております。
 解説で、健康診断の中身については、腰痛の診断にレントゲン検査は有用かということが、新たな腰痛の診断ガイドライン(日本整形外科学会・日本腰痛学会監修)にも述べられていますし、レントゲン検査は医師が必要と認める者に実施、としております。また、事後措置が非常に重要であることを、しっかり書かせていただいています。
 その後の資料に、問診票と個人票があります。問診票は特に自覚症状が重要なので大事です。個人票に関しては、上に「←削除すべきでは」と書いていますが、この個人票を丸ごとそのまま使うのだったら、削除したほうがいいのではないかと思ったのです。しかし、個人票で所見をチェックしていく項目は必要なので、個人票の中身を修正して、不要なものは削除し、新しい個人票を提案してはどうかということを考えております。
○甲田座長
 それでは、討論は別々にやっていきたいと思います。まず、「作業環境管理」についてご意見をいただければと思います。振動の問題が上がっていますので、環境の要因として、5番目に「振動」を入れております。また、先ほど安藤委員からご指摘がありましたように、粗大な振動プラス長時間の振動ばく露という形で、腰痛との関連で懸念されている問題は明記したほうがいいのではないか、という形で付け加えさせていただきます。従来ですと、4番目の作業空間と設備の配置がバラバラに分かれていたのですが、空間の問題と設備の配置を、1つの問題としてまとめて整理しております。ほかは温度、照明、作業床面の話です。これは一応従来どおりです。下線部が引いてあるのは分かりやすくということで文言を変えました。いかがでしょうか。
 これも先ほどと同じで、本来、作業環境管理というのは数値が付き物ですが、今回、数値は入れておりません。例えば、照明だったら何ルクスというのが当然あるでしょうけれども、その辺は今回は入れておりません。飽くまでも定性的に、足元の安全が分かるようにという形にしております。
○神代委員
 振動の所で、「腰部に著しく粗大な振動を長時間受ける場合」というときに、「全身」を入れて「腰部及び全身振動」としなくていいのですか。
○甲田座長
 「振動」と言っておられるのは全身振動ということですよね。用語としてもどういうようにするかです。5番として「振動」としているので、多分「振動」と書いているのです。そこを「全身振動」とするかどうか。
○北原委員
 私たちは「全身振動」と用語はピンときますし、専門家の間では、手腕振動と全身振動に分けて話をしますが、現場ではどうなのでしょう。私もここは「全身振動」と書いたほうがいいかなと迷ったところではあったのです。実際はどうでしょうか。
○甲田座長
 安藤委員、いかがでしょうか。全身振動というのはピンときますか。
○安藤委員
 余り聞かないですね。
○甲田座長
 産業保健をやっている人の特殊な使い方かと思っています。多分、局所振動は振動工具と言ったほうが分かりやすいと思うのです。それとはちょっと違うということで振動にしたのですね。それは検討させていただきます。
○神代委員
 現実には腰部だけではなくて、ほかの所に振動が負荷されるから、それをかばうために腰部の筋を不自然に使って腰痛を起こすメカニズムも考慮する必要があります。
○甲田座長 先ほど言った「重機等」と言うと粗大な振動の場合、特にそういう傾向が強いですよね。
○北原委員
 あと車両の振動の軽減の所で、もう少し具体的に述べることになると思います。
○甲田座長
 ここは事前にいただいたご意見でも、特にご指摘が多い所ではなかったのですが、よろしいでしょうか。それでは「健康管理」のほうに移りたいと思います。健康管理のほうは逆に作成しているほうからすると悩ましかったところなのです。1つの大きなポイントとしては、健康診断というものが現行あるわけですので、それを残すのか、現状でいいかどうかというところも議論しながら作成して、こういう形になったのだろうと思っております。
 構成としては配置前の健康診断と、定期の健康診断が出ています。これも議論があったのですが、かなり細かい診断票と言いますか、個人票を残した背景も、かなり議論がありました。現実はやはり整形の先生が診るべきだという話になると、事業所では健康診断の対象者がかなり多うございますし、これから重量物取扱いの姿勢の話になってくると、全ての業種に関わってくるので、それを整形の先生が診なければいけないとなると、難しいかもしれない。内科系の産業医の先生であっても、ある程度診察のポイント等も分かって判断していただくことも重要だと思い、私としては個人票等である程度診察のポイントというものが分かって、それに沿って書いていただくというのも、1つ重要かと思って、これは残したほうが良いと判断しました。ですから医師による健康診断はそのまま残しております。
 これも議論のあるところで、X線の検査、レントゲンをどうするかという話は当然出てくるわけですが、これも我々も専門医などで共同研究者としてやっている整形の医師、研究者等に伺ったのですが、腰部のX線の診断的な価値はそんなに高くない。そういう意味では、全員にそれを受けさせることにメリットはさほどないのではないか、最終的には項目として(ヘ)として入っていたり、定期もcという形で入っているのですが、なお書きで「配置前の健康診断と定期健康診断において、医師が必要と認める者について」とするという書き方をしたということです。
 心因性要素に関わる検査を必要に応じてというのがあったので、これも悩んだのですが、ここに挙がっている心因性の要因のテストの診断の精度で、それをどう使うのかというところもあり、今回それに関して落とさせていただいたという実情です。ですから、前回のものからいうと、それは今回は提案の中から外れているということになります。その辺が健康管理の中で重要な健康診断になるのだろうと思います。
 対象としては、そこに挙げたように重量物の取扱い作業を行う、従来は「介護作業等」だったのですが、先ほどの社会福祉施設でもありましたように、「介護・看護作業」でこれを付け加えたところです。健康診断に関していうと、そういう形で今回少し手を入れさせていただいたということです。
 2つ目の「腰痛予防対策」に関しては、従来は作業前の体操と腰痛予防体操という2本柱で、それぞれ目的の違った体操が一応提案されていたわけですが、やはりストレッチを主体とする体操に統一したらいかがかというのが今回我々の提案となりました。時期等に関しても、もちろん事業所によっては一勢にやるほうが効果的だというところも当然あると思うので、そういうところはそういう形で検討していただいて構わないと思うのですが、適宜やっていただくという形で変えたらどうかとまとめております。例示として挙げる腰痛体操も今回はまだ提案していないのですが、旧通達でやられている腰痛体操自身はリスクが高いものがあるのではないかとも思っておりますので、その辺もこういう体操をしてみてはどうか、こういうエクササイズはどうですかというのも、少し時間を頂いて提案できればと思います。大体そういうことでよろしいですか。
○岩切委員
 1回目の検討会資料の「介護業務/運搬業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」に記載されている、ストレッチ体操を参考にできればと考えています。ただ、これらの資料は、介護と運送業務のみを対象としていますので、それ以外のことについてはどうするのか、検討しなければいけないと思っています。
○甲田座長
 先生のほうからも、ストレッチに関しては例えば非常によく使う筋肉ということになってくると、必然的にどういう作業か決まってくるわけですが、それに応じてストレッチのポイントを解説する。現場で、自分の所は例えば立ち作業が多いので、こういうストレッチを中心にやってみようとか、その辺の、逆に言うと自由度があってもいいのかと。衛生管理者、又は事業者が自分の事業所の中の作業態様といいますか、そんなものからストレッチ体操を検討していくことがあってもいいのかと、実は思っております。そういう意味では、いくつかストレッチ体操の例示をして、その中で健康管理の1つとして効果的なものを選んではいかがですか、というスタンスでもいいのかとも思っております。
○神代委員
 ここは是非、一緒にイラストを掲載して下さい。
○甲田座長
 そうですね。解説で、このようなストレッチ体操というイラストが付いています。
○神代委員
 非常に実務的な話ですが、職場でストレッチの導入を勧めても現実は面倒くさがってやらないのです。だから、休止時間に、ストレッチ等をしてもらうために職場改善チェックリストなどに1人でできる、あるいは組で2人でできるストレッチ体操の漫画を取り入れました。これは結構、現場では有効でした。
○甲田座長
 是非、そういうのを参考にさせていただいて。
○岩切委員
 そうさせていただきたいと思います。
○甲田座長
 安藤委員からもご提示していただいたのがありますので、幾つかその辺のところを参考にしながら、まだ今回はそこまでやり切れていないのですが、次回以降はこんなストレッチが提案されていますという形で出せればと思っております。
○神代委員
 お願いします。
○安藤委員
 18ページの参考2の右側に「(削除すべきでは)」と書いてある、これは重なっているからですか。
○北原委員
 現行の個人票だと項目が多すぎて、また専門的すぎて書けない部分もあるので、これは私が「削除すべき」と書いたのですが、そのまま継続するのはやめたほうがいいという意味で書いたのです。先ほど座長から言われたように、実際に整形外科医でなくてもチェックできる項目はあったほうがいいので、実際にはこの中身を修正して使っていくということです。削除という言葉は不適切で申し訳ございません。
○甲田座長
 具体的には、必要に応じて行う健康診断の中で、ここまでやらなくてもいいだろうというのが幾つか出てくるかもしれないということで、その辺も少し整理できたら、次回以降提示できればと思います。
○安藤委員
 はい、お願いします。
○萩尾委員
 この健康診断の問診票は、これの定期健康診断の問診票ですよね。それは配置前の健康診断の要素も入っているというのでいいのですかね。腰痛歴が書いてあるので、その要素も一緒に入っているということでいいですか。
○甲田座長
 はい。
○北原委員
 これも項目としては多いのです。腰痛は自覚症状が非常に大事なので、詳しく聴き取りをするためですが、見直して、削除できるものは削除したらいいと思うのです。基本的には、自覚症状は丹念に聴くというスタンスで残しております。
○甲田座長
 過不足なくという意味では、多分これはマックスに近いぐらいの症状をとっているのです。これをそのまま採用している事業所もあれば、この中からA4、1枚程度まで圧縮して使っている事業所もあるので、例示として挙げられればと思って、今回は資料に載せさせていただいたということです。イメージとしては、こんなものを考えてやろうかと。
 次に移りたいと思います。5番目の「労働衛生教育等」と、今回起こした6番目の「労働安全衛生マネジメントシステム」です。これに関して、岩切委員からご説明をお願いいたします。
○岩切委員
 お手元の資料の20ページに5「労働衛生教育等」という項目があります。指針本文での構成は変えておりません。(1)労働衛生教育、(2)その他です。ただ、(1)の労働衛生教育に[1][2][3][4]という項目があるのですが、その項目を少し変えております。つまり、リスクアセスメント、リスクマネジメントといった観点の構成となっております。最初の[1]「腰痛に関する知識」は変えておりませんが、2番目には「腰痛の発症に関連する要因」、3番目には「腰痛の低減策(作業方法、作業環境等の改善、作業機器、補助器具等の使用)」、4番目には「ストレッチを主体とした腰痛予防体操の方法」としております。[2]には解説で神代委員からご指摘頂いた職場ごとにチェックリストの作成を実施するといったことなども、今後含めていきたいと考えております。
 解説の部分では、特に重量物取扱い作業と介護・看護作業について1文加えており、更に「グループワーク」という表現を使っております。「休日には疲労が蓄積するようなことは避け、疲労回復や気分転換などを心がける」という文も加えております。
 次に、21ページ、「労働安全衛生マネジメントシステム」についてです。こちらは新しく起こした内容で、3管理1教育を効率よく推進するために、マネジメントシステムを取り入れていこうというものです。「はじめに」の部分に記載しましたように、腰痛の発症には動作要因、環境要因、個人的要因、心理・社会的要因の4つが複合的に関与しています。しかし、これらの要因はいずれも有害要因ではありません。それを特定することは難しいものですから、複合的に、総合的に対策をとっていかなければいけないということを考えております。そのためには、腰痛の発症に関与する要因のリスクアセスメントを実施し、作業管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生教育を適切に行っていくために、労働安全衛生マネジメントシステムを導入して進めていく必要があると考えております。指針本文にはその内容を記載しております。
 解説の部分では、リスクアセスメントと労働安全衛生マネジメントシステムと、2つ項目に分けて記載しております。基本的には、労働安全衛生マネジメントシステムの中にリスクアセスメントという考えが入っているのですが、あえてこちらでは別にしております。アセスメントをする必要性を特徴付けるために別項目としています。また、効果的な予防対策を導き出すために、腰痛という項目に関してもアセスメントするということを(1)で書いています。(2)ではマネジメントシステムについて、計画を立てて(Plan)、計画を実施し(Do)、実施結果を評価し(Check)、評価を踏まえて見直し、改善する(Act)といった、一般的に言われているPDCAサイクルを繰り返して、改善を実施していくことを書いております。以上です。
○甲田座長
 「労働衛生教育等」から見ていきたいと思います。今、ご説明がありましたように、旧指針では、例えば[1]は一緒なのですが、[2]は作業環境、作業方法等の改善、[3]は補装具の使用方法、[4]は体操の仕方という項目立てだったのですが、ここではきちんと作業者自身にも教育するべきこととして、腰痛の発症に何が影響するのか。そのあとの言葉で言うと、リスクアセスメント、自分の身の回りのリスクに気付いていただくことが非常に重要なのだろうということです。それに関する教育をまずしっかりしましょうということで、2番が入っているということです。
 さらに、そういうものに対して、要因に対する低減対策も学習していただくということです。事業者が当然やるべきことなのですが、作業者等も例えば重量物の持ち上げ方とか、姿勢の保持だとか、危険な動作だとか、環境要因でも作業空間、レイアウトの問題だとか、目の付け所は最終的には事業者というよりは労働者が気付いて日々やっていくことになるので、そういう意味で3番が入ってくるということです。
 もう1つ、ストレッチの方法です。ストレッチの方法も、先ほど作業態様ごとという話もしたのですが、症状の出方は個人によって違ったりします。背中が張ってきたなとか、足が張ってきたなということも、当然個人によって違ってくると思われますので、ストレッチの方法も自分の症状に合った、ないしは自分の作業に合ったものをいろいろやっていただく、幾つか労働者自身もストレッチの手法を学んでいただくという形で、この4つのポイントが教育として入ってくるというご説明でした。いかがでしょうか。
○萩尾委員
 労働衛生教育の中に、腰痛予防に対する知識等ありますが、要因別には先ほど4つの要因があるということで、要因別に心理的・社会的要因の1つであるストレスコントロールとかいうものが、ここには低減策で「作業方法、作業環境等の改善、作業機器」と書いていますが、ストレスコントロールは個人が実施するのですが、方法の事例のようなものが解説かどこかに入っていればいいかと思いました。
○甲田座長
 そうですね。最初に話をしたように、心理的・社会的要因を立てたときに、その対策はなかなか書き切れなかったもので、そういう意味で言うと、今回落ちている部分です。[3]として、補助具等の使用の次ぐらいに、ストレスコントロールの手法が入ってもいいのかと思います。
○岩切委員
 是非、検討させていただきたいと思います。
○甲田座長
 もちろんストレスコントロールといっても、個人でできるストレスコントロールと組織がありきという話で、例えば上司等のサポートなども入ってきますので、かなり広い内容が入ってくるのです。
○神代委員
 ストレスコントロールに関して、ストレスコントロールの手法と教育を並列にしないほうがいいのではないかと思います。主要因としては、ここに書かれている動作要因とか環境要因といった4つの要因があって、それらを増幅するかしないかの因子として個人的要因があって、さらに、もう1つの外的な増幅要因として心理・社会的な要因があるという位置付けをきちんと書いた後にストレスコントロールの手法等に関する教育をしないと、現場はどこに対策の力を入れていいか分からなくなってくると思われます。せっかく教育をしても、また腰痛を起こすようなリスクの高い現状に戻るのではないかと危惧されます。
○甲田座長
 そうすると、先生のおっしゃる2番をもうちょっと解説したほうがいいということになりますか。
○神代委員
 解説の所でフォローしていったほうがいいのではないかと思いますけれども。逆に言うと、ストレスコントロールはストレスコーピングを上手にすればよいと思います。
○北原委員
 物理的要因は腰痛対策に必須であって、いくらストレスコントロールがうまくいっていても、物理的要因への対策が抜けていたら本末転倒だと思うので、その辺も区別して書く必要があるかと思います。
○甲田座長
 安藤委員の所で、教育として何かやられているところで強調しておきたいことはありますか。
○安藤委員
 会社としてはないのですが、解説のいちばん下で、なお書きで喫煙の話が出てきますね。ここへ書くより、指針の中に入れてもいいのではないかと思うのですが、何か配慮があるのですか。
○甲田座長
 いや、それはそこまで考えていなかったのですが、確かにバランスのとれた食事、睡眠、休暇の過ごし方まで書いてあるので、禁煙というか、そんなものが入っているのかもしれません。
○岩切委員
 現行版がこのようになっていたので、このようにしているのですが、検討させていただきます。
○北原委員
 レビューを見ても、喫煙が筋骨格系症状に影響を与えることはかなり言われていますよね。それをどこまで踏み込んで書くかということかと思います。
○甲田座長
 各方面でいろいろご相談して、書き込めればという話を宿題とさせていただければと思います。
○安藤委員
 21ページのマネジメントシステム、OSHMSは非常に良いと思うのです。リスクアセスメントは、今、努力義務になっていたりするのですが、腰痛の観点でのリスクアセスメントは非常に少ないと思うのです。ですから、これを強調していただけるといいなと思います。
○甲田座長
 今回そういう意味合いもあって、わざわざ(1)としてリスクアセスメントを起こしました。従来のリスクアセスメントと腰痛は結び付かなかったところがあるのです。それで、前回、北原委員からご紹介があったISOの考え方で、腰痛というか、基本的には重量物取扱いのリスクアセスメントも国際的な提示もされているし、厚生労働省も平成21年に腰痛予防対策のためのチェックリストを具体的に出されているので、もう既に始まっているところを強調しているというのがあるのです。ただ、書いていて多分議論になると思うのですが、リスクアセスメントを職場で誰がするのかといった問題は、実は大きな宿題かと思っております。リスクアセスメントをしなさいと言っても、実際、職場で誰がするのか。最終的には、事業者の責任でということになるのでしょうけれども、かなりトレーニングも必要かと思っており、その辺の手当ても考えないと、この指針ができても普及といった場合には、先ほど言った管理で言うとOSHMSを進めていくときに少し具体性に欠くので、その辺もちょっと考える必要があるかという印象は持っているのです。
○安藤委員
 現場では、安全衛生委員会単位で、安全衛生委員会は大きな職場だったらその下に班を作ったり、グループを作ったり、そういう単位でやっている所がほとんどですね。メーカーなどで非常に進んでいる所は個人リスクアセスメント、一人一人がリスクアセスメントすることをやりますね。そこまでいければかなりレベルが高いのですが、厚生労働省でリスクアセスメントをかなり推していただいているので、大分浸透してはいると思いますが、今おっしゃったようにけが防止が一番メインですから、その辺りは強調したら本当にいいと思います。
○甲田座長
 事前に意見を頂いておりますが、北原委員から海外の例をご紹介下さい。
○北原委員
 海外では理学療法士や作業療法士、PT・OTの役割は非常に大きくて、労働衛生職域のPT・OTが養成されていますし、介護の分野でもPT・OTがアセスメントをして、腰痛予防効果を上げているという報告もあるぐらいです。日本で、実際、理学療法士や作業療法士がアセスメントできるかというと、マンパワーの問題もありますし、それはまだまだだと思うのです。日本理学療法士協会は、認定・専門理学療法士制度を立ち上げられ、職域に踏み込んだ形で研修が開始されているのはされているのですが、実際に腰痛の発生する職場にPT・OTが入っていけるかという点では、まだまだ先の話ではないかと。誰がリスクアセスメントをするかという点で言うと、先ほど座長が言われたように、養成をして、労働安全衛生の視点を持った人、衛生管理者、衛生推進者という人たちが中心となってやっていただくことのほうが現実的ではないかと、個人的には思っております。
○甲田座長
 議論は6番に入っているのですが、いかがでしょうか。
○岩切委員
 追加なのですが、リスクアセスメントでは、恐らくチェックリストの作成が必要になってくると思っています。そのチェックリストは、職場に合ったものを作っていくことが望ましいと考えています。ただ、何も分からない状態で作りなさいというのは非常に難しいので、ある程度参考になるものを作ってあげられるとよいのではないかと考えております。それを基にアセスメントして、そこからマネジメントにつなげていただく。今回はそこまで間に合いませんでしたが、できれば作り方みたいなものも簡単に紹介したいと考えています。具体的には作業態様別対策のところで、どのようなチェックリストを作っていくと有効か、提案できればよいと考えております。
○甲田座長
 今回マネジメントシステムは従来なかった項目として、1つ独立させている項目なので、その分メッセージ性としては、先ほどのストレスの問題と同じように、事業所の中での労働衛生管理の進め方として、こういう考え方を取り入れてくださいと。リスクはきちんと評価する、改善を立てましょう、そういうものを実施してください、さらに評価しましょう、そういう衛生管理の進め方をやってくださいという意味合いで、今回独立させたということですので、先ほど出たようなチェックリストだとかいろいろなものも付け加えながら、具体的にイメージしやすい形でまとめられればとは思っております。
○萩尾委員
 マネジメントシステムの中では一番最初に、アセスメントをしてそこで何が問題なのかとか、どれのリスクがどういう場面であるのかというような、それがチェックリストなのかどうなのかはありますが、そこがスタートなので、それが分かりやすくまだまだ社会福祉施設では腰痛対策をしている所はどれだけあるかというと、余り多くはないと思うのです。そこが取り組めるようなアセスメント表みたいなものがあって、そして誰がするかと先ほど言われましたが、誰がしたらいいのか。衛生委員会みたいなところなのか、PT、OTなのか。PT、OTがいない職場は誰がするのかなどとあるので、「望ましい」という書き方しかできないのかもしれませんが、その辺も具体的に進められるようなものを解説に書き込んでいただければいいなと思います。
○甲田座長
 誰がするかというところで、何かお知恵がありましたらお願いします。
○神代委員
 第一に腰痛予防のための改善チームを職場で作ることを勧めます。第二にチェックリストの採用を勧めます。基本的な改善チェックリストは既に多く出回っています。一般的なチェックリストはその職場職場で合う、合わないがありますから、それをベースとして対象現場に見合ったチェック項目を加筆修正していくというのが必要ではないかと思います。私が執筆・編集した職場改善チェックリストも腰痛を予防するためのチェック項目が含まれています。これは製造業を対象として作ったものですが、いろいろな職場でも利用できるようになっています。実際にはそれが対象現場で役に立つように表現等を変えていかなければいけないわけです。チェックリストと合わせて、その職場その職場での知恵で成功した事例がありますから、そういうグッドプラクティスのを水平展開するように絵とか写真で教育することは非常に大事ではないかと思うのです。
○北原委員
 関連して、私が産業医をしている老健施設などでもチームを作っています。各フロアでのリフトリーダーを中心にチームを組んで、月1回会議をして、どういうところが危ないとか、ここは改善しようとか、介護方法も含めて、チームが検討していくことで随分対応も変わってきました。トレーニングにもなるりますし、ひとつのやり方だと思います。
○甲田座長
 分かりました。いろいろとご意見を頂いたところを参考にして、また手を入れて、より具体的な新しい提案ですので、分かりやすい現場で取り入れやすいような形で、情報というか、いろいろ提供できるようにしたいと思っています。
○神代委員
 解説の所で、チェックリスト作成手引きのようなフローチャートを入れてあげるといいですね。もう1つ、「労働衛生教育」のその他ですが、日常における運動習慣を意識付けるのは、一番大事ではないかと思うのです。そこまで細かいのを入れていいのかどうか分からないのですが、食事、睡眠と、先ほどの議論ではないですが、そういう視点からの対策を意識付けることも必要だと思います。
○甲田座長
 確かに運動習慣はないですね。
○神代委員
 いろいろな事業所を見ていても、運動習慣をつけさせて、あとフォローで見ていると、結構痛みの訴えは少なくなってきています。
○甲田座長
 ちょっと検討させていただいて、先ほどの禁煙の話と同じような形で、運動習慣は当然あっていいものですので。ありがとうございます。
○岩切委員
 マネジメントシステムは、事業主も一体となってやっていかないとなかなか進みません。そのことを今回は加えていません。先ほど主語がない部分があるという話がありましたが、ここも当てはまります。今回、どこまで書いてよいのか、検討する必要があると思います。
○甲田座長
 本来のマネジメントシステムの考え方だと22ページです。これも主語を付ければいい話なのですが、かなりのところでこれは事業主の宣言なのです。だから、そこを明記させる手はあると思うのです。
○岩切委員
 主語を記載するということですね。
○甲田座長
 だから、事業主が自分の職場から腰痛を減らしますと、まず目標設定を提示してもらう。それに沿った形で、プランを組み立てていっていただく。こういう言い方をしたらあれですが、事業主の覚悟がまず重要ですということになると思うのです。一般的なPDCAサイクルというか、マネジメントシステムでもそこのところは重要ですと、はっきりと明記するということ。
○岩切委員
 では、加えておきます。
○甲田座長
 よろしいでしょうか。ここまでが今まで議論してきたのは本文になりますが、これからは作業別の態様を議論していきたいと思います。今回、ご提示できるのは2つになります。一応説明して、その上で再度意見を頂くという形式にしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、25ページから「作業態様の対策」の1として重量物の取扱いですが、岩切委員からご説明をお願いします。
○岩切委員
 まず、この「作業態様別の対策」の全般的な話ですが、ここではリスクアセスメントとマネジメントシステムを加味した具体的な内容にしていきたいと考えています。しかし、今回ご提示する「重量物取扱い作業」については、その部分が欠けております。今回は時間的に間に合わなかったのが理由です。しかし、介護作業のみはマネジメントシステムを加味した内容になっております。
 後から作業態様別対策の構成についてご相談させていただきますが、まずは重量物取扱い作業に関して大きな変更点をお話しします。それは重量物の取扱いにて、「55kg以下にすること」という文章を削除しております。最初は30kg以下と記載をしようかとも考えました。この30kgという重量は、女性労働基準規則と年少者労働基準規則の最大重量kgです。こちらの値を用いようかとも思ったのですが、人間工学的な観点から考えて、人の体格によって持てる重量は違ってくるだろうと考えました。そうであれば、体重に対して何%という形で制限するのが現実的ではないかと考えた次第です。また、現行の指針では、女性の重量制限は解説の部分でのみ書かれているのですが、今回の改訂版では指針本文に入れることにしました。さらに、物を対象とした作業だけではなく、人を対象とした抱え上げ等の作業においても同様であるということで、人の作業にも重量制限を適用することを明記しました。
 26ページ、指針本文の「その他」には、腰部保護ベルトの記載があります。ここでは、腰部保護ベルトの記載を削除しようかとも思ったのですが、とりあえずは残しております。記載の仕方も先ほどと同じように、使用する場合には強制的ではなく、「労働者がベルトの効果や限界を理解した上で使用すること」という記載にしております。さらに、27ページの図a、図bは、できれば違うものに変更したいと考えております。大きな変更点は以上です。
○甲田座長
 多分いろいろ議論があるところだと思いますので、意見を言っていただければと思いますが、改訂のポイントとしては、重量で「55kg」というのを外したということです。この考え方自身は前のところにもあるのですが、40%以下になるようにという形で記載しており、女性は更に取り扱うことのできる重量は60%以下と本文に書いたということです。一番議論すべきところというか、大きいところはそこなのかもしれませんが。
○神代委員
 私も55kgを外すのは大賛成なのですが、「40%以下となるように努める」のところで、「(ただし、最大何kgを超えない)」と書かなくていいのですか。今は80kgの体重とか多いですよね。
○岩切委員
 はい、32kgになりますので、そこが悩み所です。みなさまから、意見を頂ければと思っております。55kgはILOに書かれているのですが、ILOの基準に書かれている55kgをそのまま採用して良いのどうかかというと、議論はあると思いますが、個人的には反対です。それでは何kgがよいのかというと、非常に難しい問題となってきます。
 例えば、引っ越し業者や運送業者は、実際に重たいものを持って作業されています。そうなると、これは指針なので罰則があるわけではないのですが、そちらの作業は推奨できない形になってくるわけです。今回、どのように記載するのか検討する必要がありますす。
○甲田委員
 多分これは神代先生のほうがご存じだと思いますが、ILOは男性に関しては55kg、女性に関しては30kgkgをマックスとするというのは、1960年代の提案なのです。あれを出して以降、ILOですから、いろいろな国がそれを基準として作業をするかしないかを検討するときに、途上国から猛反対が出てきて、途上国は55kgだと仕事にならないというところがあったと伺っています。ですから、根拠となる数字も、これで良いのかという議論もあります。先ほど言ったように、ただしマックスとしてどれぐらいという基準を書いたほうが親切なのは親切なので、そこをどう判断するかということで、提案としてはこれでとどめているのですが、少しご意見を頂ければと思います。
○岩切委員
 もう1つ言いますと、40%と60%にも根拠があるかというと、難しいところです。なぜこの値になったかは、当時、このぐらいの値だと妥当な範囲だと考えられたからと思います。この点を議論し始めるとかなりの時間がかかるため、今回、数値の変更は難しいかもしれませんが、本当は検討箇所ではあります。
○甲田座長
 安藤委員に教えていただきたいのですが、最近、宅配便も大分重量制限がされていますね。それは、先ほどの40%というのは重いだろうという話になるぐらいのところで、もっと低いですよね。
○安藤委員
 もっと低いですね。
○甲田座長
 だから、その辺の事情もあったりするのです。ただし、岩切委員からも指摘があったと思いますが、この指針の中に人を対象としたというところも入れているのです。そうすると、余りにも小分けができないという話になってきて、10kgとなると、60kgということは6人で持てという話なのかということになって、それも非現実的なので、その辺りの兼合いもあってこういう提案になっているということです。そういう意味で、是非皆様のお知恵も頂ければと思います。
○本村委員
 ここは運送業と介護の現場の持ち上げとが一緒になっているから、こういう書き方になっているのだと思うのです。それを書き分けると、介護はISOの基準で3〜25kg、それ以上はリフトを使いなさいと推奨されているので。そういったところとリンクした形で書けないかなという気がしています。だから、運送業と介護の重量物との書き分けができたらいいのかなと思います。
○岩切委員
 1つの方法だと思います。ただ、リスクはリスクになってしまいます。そうすると、介護で人を抱え上げている方たちのほうが、結局リスクが高くなってしまいます。それで良いのかという議論もあるのかと思います。しかし、本村委員のご意見のように、できるだけ改善できるところからやっていくという方法がすごく良いと思います。
○甲田座長
 この指針の構成では5つの作業態様があって、最初に重量物取扱いが来て、真ん中ぐらいに社会福祉施設が来て、最後に長時間の運転労働が来て、その間に姿勢が来るのです。この5つは非常に質の違うものが入っていて、社会福祉施設と運転は非常に具体的な業種指定なのですが、他は一般なのです。だから、はっきり言って書きづらいのです。
 そういう意味で、後で介護を読んでいただければ分かりますが、きちんとリスクアセスメントのできているものとこういう形の文は非常に書きづらいので、全体の整合性も含めて考えると、意見としては重量物取扱いはやめてしまうという手もあるかもしれない。ここでは業種別だけ提案する。でも、そうしなかったのは、先ほど言った社会福祉や運輸業以外でも、共通して重量物取扱いは全産業であるわけですから、そういった意味合いでは重量物取扱いに関してもある程度考え方を示せればということで、今回は落とさないで、こういう形にしているということです。
○岩切委員
 5つの作業態様別対策が書かれてありますが、重量物取扱いと立位と座位は、動作や姿勢のことです。介護と車両は実際の具体的な内容になっています。ですから、最初の重量は残すと考えた場合に、ある程度の大まかな重量規制をして、個別の介護といったところで細かく数値を記載するという方法もあると思います。ただ、それをどのように記載していくかは委員の皆さまのご意見を頂く必要があると思っています。
○甲田座長
 ここは非常に悩んでいるところで、いまだに悩んでいるのですが。
○萩尾委員
 指針を活用して、実際に役立てるというところからすると、社会福祉施設における介護・看護作業にも自動化、省力化、重量物の取扱い等についても入っていれば、使いやすいと思うのです。社会福祉施設における介護・看護作業をみれば自動化、省力化、重量物取扱いが記入されている編集の方が活用できると思うのです。
○岩切委員
 考えているのは、作業態様別対策ではできるだけ具体性を持った対策が提案できたらよいと思っています。3管理1教育+安全衛生マネジメントシステムでは汎用的な書き方をして、作業態様別対策のところではリスクアセスメント、マネジメントを加味した対策、取組ができるように内容を変えていきたいというのが希望です。
 ですから、できるだけそういう方向でいきたいのですが、問題はどうまとめるかで、確かにおっしゃるように、個人的にはそこだけ見れば分かる書き方をしたいと思っております。そうすると、ほかの部分をどのように改訂するかということです。介護作業に関しては比較的まとめやすいのではないかと思っています。ほかの部分をどういうカテゴリーでまとめていくのか、また、どのような職種や業種を取り上げてまとめていくのかということが、問題として挙がってきます。この点について何かお考えはありませんか。
○甲田座長
 提案になるかどうか分かりませんが、重量物の取扱い重量の(1)で言うと、「これらの取扱い重量」以下は逆に書かない。原則なので、先ほどの40%の原則とか60%の原則を書いて、マックスを入れるか入れないかだけを考えると。これらのことに関しては、詳細は基本的には社会福祉施設とか長時間運転労働のほうで書くという手もあるのです。
○北原委員
 それはあるかもしれません。
○甲田座長
 重量に関して言うと、例えば社会福祉施設の人の取扱いは原則自動化、省力化、機械化をしてくださいと。何kg超える場合にはという形で言うと、例えばそれができない場合には2人でやりましょうという話になってくる。運輸関係はそれでは持たないのです。要するに、回数が多いわけです。個数が多い。ですから、もう少し標準化となると、10kgといった具体的なものは、現行では流通していますね。そういう現実に沿った形のものを作業態様別のところで、例えば社会福施設で書いて、又は長時間運転とか荷扱いといったところでそのような書き方をする形にしたほうがいいのかなとも思うのです。だから、原則は原則。個別の作業ごとにこういう提案をするというのも、まとめ方の1つのアイディアではあるのかなと思います。
○安藤委員
 振出しに戻るようですが、「重量物取扱い」という表現が気になっていて、私どもの世界で「重量物」というのはトンの世界なのです。人間の手ではとても持てない、動かせない世界のものを「重量品」と言ったり「重量物」と言ったりして、手で持てるものは「重量物」と言わないのです。さらに、取扱いというときに、起こす作業をするときにはある程度重量が床に掛かっているので、30kgのものを30kg全て持ち上げるわけではなくて、重量上げみたいに上げるわけではないので、それと箱を持って配達に行くのとはまた全然違う作業ですから。だから、細かいことを言ってもしょうがないのですが、「荷物取扱い作業」みたいな言葉にしてしまって、1つの目安としては体重の大体40%ぐらいにするという表現にして、介護の、人を取り扱うところと分けたほうがいいのではないかと思うのです。人間も重量物みたいな感じになってしまうと、また変な問題になってしまうのではないかと思います。
○甲田座長
 重量物の取扱いというのは、トンとかいう話ではなくて、基本的には人力のみによって取り扱うものということですね。
○安藤委員
 そういうことです。
○甲田座長
 そういうところの限定で、リフティングという話になるのだろうと思います。議論されているときに当時から言われているのは、持ち上げるのか押すのか引くのか、どこまで入るのだという話があって、取扱いというのは多分そういうものが全部入ってくるということで議論されているのだろうと理解していますが、おっしゃるように、その辺を一緒にして原則とするのは、かなり無理があるのかもしれないですね。
○岩切委員
 本村委員と同じ意見で、私もそれで良いと思っているのですが、どのような数値を入れてくるかということになると、何かお考えはありますか。
○安藤委員
 この「40%以下」という表現は良いと思います。ただ、女性労働者がその6割なのかなというところが少し気になっています。
○岩切委員
 先ほど神代委員が言われたように、80kgの人だと32kgになります。その値でも大丈夫でしょうか。
○安藤委員
 そこはいいのではないでしょうか。今、女性の運送従業員が多いのです。佐川急便なども「佐川女子」という言葉を使って女性のドライバーの雇用を増やしているような状況がありますが、60というのは、少し女性を見くびっているのではないかと。もう少し力強いのではないですか。
○甲田座長
 現実的には、前の通達にそういう形で入っているので、それをいかしているのだろうと思いますが、実際問題そういう研究はありますか、女性が何%までという。私は余り見たことがないのですが。
○岩切委員
 イギリスなどの重量物規制では、男性と女性の持上げ重量は確実に違う値を出しています。北欧でもそうです。それは恐らく平均体重も違うし、筋の作りも違うので、それらを加味して作られていると思うのですが、それが60%につながるかというと、少し違う値にはなっています。
○安藤委員
 スポーツなどの成績も当然違うわけですから、そこは分かりますが、難しいですね。
○北原委員
 目安として捉えていただくのがいいのかなと思います。男女で筋力が違うことははっきりしているので。前回これが作られたときの委員会でも、随分ここは議論されたようです。
○甲田座長 少しお時間を頂いて、委員の先生方からも何かこういう基準があるということがあれば教えていただければ有り難いと思います。最終的にはこれも宿題なのかなと思います。今の話で、人を対象としたのはここで言うのではなくて、それは作業別のほうでやってもらうと。そんな形で、ここでは飽くまでも重量物取扱いの原則という形で、表記としてはこれに近い形、ないしはmaxを入れるか入れないかはもう一度検討させていただいて、女性の60%も検討させていただくということで、もう少し検討する時間を頂ければと思います。
○神代委員
 もう1つ、方針としては、先ほどご意見が出たように、取扱い対象を物と人間に分けることを決めておいたほうがいいように思います。私は先ほどのご意見に賛成で、非常に柔かい人間を抱え込むのとハードな品物を取り扱うのは全く違います。人間を取扱い対象とした場合には人間であることを明示した取扱い法を記述した方が良い気がします。
○甲田座長
 そうですね。
○神代委員
 数値は全員の宿題で文献を探してくると。
○甲田座長
 分かりました。一応そういう形にさせていただきます。
○本村委員
 (2)の2人以上で行わせるようにするというのは、先ほどの組織体制のところと同じように、推奨をしないようにしてもらいたいと思います。
○岩切委員
 解説のほうに入れさせていただきます。
○神代委員
 それに関しては、26ページで「2人以上での作業の場合、可能な範囲で、身長差の大きな労働者同士を組み合わせないようにする」と。これは非常に大事なことなのですが、これが8ページには入っていないのです。この辺は合わせて、書いておいたほうがいいですね。「体力・身長」とか、その程度でも入れておいたほうが整合性が合うのではないでしょうか。
○岩切委員
 分かりました。
○甲田座長
 よろしいですか。それでは、提案の最後になりますが、2「社会福祉施設等における介護・看護作業」について、北原委員からお願いします。
○北原委員
 本文の29ページです。ここは全文書換えになっていますので、下線は引いておりません。先ほどお話がありましたように、ここはリスクアセスメントの考え方に沿った形で書いています。
 最初に、どうしてリスクアセスメントが必要かということを書いています。「なお、訪問介護、乳幼児の保育、障害児の教育等、その他対人労働に係る腰痛の予防についても同様とする」としています。基本、社会福祉施設における介護・看護なのだけれども、そういう人たちも準ずるということを書いております。
 1番目は、リスクを同定することです。どういう観点でリスクを同定するかということについて、6つ挙げています。介護・看護される人、実際に介護・看護をする人、福祉機器、作業姿勢・動作、作業環境、組織。後でご意見を頂きたいのですが、ここでは「介護・看護される人」を「対象者」としておりますが、介護現場では、介護・看護サービスを利用する「利用者」という言葉が一般的だと思うのです。ですが、病院だと「患者」になるし、保育だと「利用者」ではないし、ということもあって、あえてここでは「対象者」という言葉を使っております。社会福祉施設等ということで「利用者」というほうが馴染みが良ければ、そちらでもいいのかなと思っております。ご意見を頂ければと思います。
 2番目に、危険性の評価です。同定した危険が許容範囲なのか、推奨できないのか、避けるべきなのか、3段階に分けて、できるだけレベル1に近付けるということです。
 3番目に、危険性の回避・低減策です。まず1つ目、対象者の状態を確認して、残存機能もいかしながら介護・看護方法を選択することにより負担軽減につながります。
 2つ目に福祉機器・補助具の利用ということで、ここは省力化に相当すると思います。一人で抱え上げはしない。福祉機器・補助具を使用する。人力で抱え上げざるを得ない場合は、いろいろな点を考慮して、2人とは書かず、複数人ということです。このときに道具がどれだけ必要かとか、質的に見合った車椅子やリフトを使用する、といったことも書いております。
 3つ目に作業姿勢・動作の見直しということで、抱え上げ、不自然な姿勢、不安定な姿勢、これは動作なのかもしれませんが、3つ挙げています。抱え上げに関しては、積極的にリフトを使うこと。ただ、対象者が立位保持や座位保持ができる場合には、何でもかんでもリフトで丸抱えするということではなくて、その人たちの残存機能を活かした形で用具を選択するということを書いております。不自然な姿勢のところでは、前傾姿勢等を改善すること、ベッドの高さ調節といったことを含めて書いています。
 4つ目は作業環境の整備で、部屋、通路の空間確保などが書いてあります。また、仮眠や休憩室の環境整備のこともハに書いています。
 5つ目が休憩、作業の組合せ、勤務形態ということで、イは休憩時間、ロは介護業務に付帯するパソコン作業なども含めて同一姿勢が長時間連続しないということを念頭に入れています。ハは夜勤の問題を書いています。
 6つ目に組織体制として、作業人数、協力体制、教育・訓練、指針・マニュアル等、4点書いています。協力体制のところでは、先ほどストレスのお話もありましたが、組織としてのサポートとか個人間のサポートといったことにも触れております。
 最後に、作業標準の策定ということで、対象者の状況、あるいは職場で活用できる福祉機器などを考慮して策定し、また状況に応じて作業標準を見直すということです。
 大きな項目の4は、評価、見直し、継続について、PDCAサイクルで言うとCheck、Act、Doに当たるところを書いています。まだ解説を付けていません。全く新しい文章なので、解説のところは今作成中ですが、これからご意見を踏まえながら、「こういうことを解説に書いたほうがいい」というご意見をいただければ、踏まえて書いていきたいと思っております。以上です。
○甲田座長
 今のご説明にあったように、全文書換えですので、全て新しい提案になりますが、ご意見はいかがですか。
○浦野委員
 先ほども少し言いましたが、社会福祉施設の枠外で介護はどんどん広がっているのです。つまり、介護付き有料老人ホームとか、何万という利用者が既にいるわけです。ですから、もちろん「等」が付いていますが、「社会福祉」という言い方をするよりは、例えば「医療介護」という言い方のほうが、むしろ対象範囲を明確にするのかなという気もするのです。
○甲田座長
 具体的に言うと、「医療・介護施設」ということになりますか。
○浦野委員
 はい、「医療・介護施設」という言い方のほうが、恐らくこれからの時代の流れとしては、社会福祉施設以外の様々な介護施設がますます伸長していく趨勢にはあるだろうと思うので、「社会福祉施設」と言うと、何となくうちは有料だから違うみたいな、つまらない理解のされ方をするよりは、そのほうがいいのかなという気がします。現実に行われている介護ということでは、同じことが行われていたわけですが。
○北原委員
 基本的に私はそのご意見に賛成です。余り職種とか場所を限定してしまうと、これに当てはまらないものはやらなくて良いという話になってしまうので、網羅できるような形の表現のほうがいいと思います。腰痛多発職種としては、業務上疾病の統計上、「社会福祉施設等」で腰痛が増加しているため、今回の改訂作業になったということなので、「社会福祉施設等」という言葉を残したのですが、これは検討のしどころだと思います。
○甲田座長
 我々の中でもそういう意見があったので、それは基本的には検討すべき課題だと認識しております。そこまで広げてできるのかという話も当然付いてくるわけですから、その辺も十分検討しながら、行政のお知恵もお借りしながら書きたいと思っていますので、そういう意見があったことは重々認識しております。ほかに何かありますか。
○萩尾委員
 (1)の「対象者」というのは、私は介護・看護される人に対しての対象者でいいのではないかと思いました。
 また、2の「危険性の評価」ですが、レベル1〜3までの許容範囲には何か基準があるのでしょうか。
○北原委員
 実際には、どこまでがレベル1で、2で、3でというのを図示しないと、ここは意味がないだろうと思うのですが、まだそこの作業はできておりません。既に平成22年に出している「介護作業者のチェックリスト」の中にはそれに似たものがあって、当てはまる項目が幾つだと危険だということも書いてあるので、そういうものを参考にしながら作れればいいかなと思っておりますが、まだその核とするものがありません。
○甲田座長
 解説の中で、ある程度紹介するという手はあるのだろうと思います。ただ、表現としてGreen Zone、Yellow Zoneという形で書くかどうかは要検討ですね。
○萩尾委員
 そうですね。
○岩切委員
 レベルをどこに引くかは難しいところではあるのですが。
○萩尾委員
 例えば、レベル1で許容範囲とはどういうことなのかみたいな。
○甲田座長
 これは、基本的にリスクアセスメントの評価の話なのです。そういう意味では、リスクアセスメントを実施するプロセスをもう少し丁寧に書く必要があると思います。それを解説に書いたほうがいいのかどうなのかは、検討すべきところかもしれません。
○岩切委員
 以前、「介護作業者の腰痛予防対策のチェックリスト」を作成したときに、例えば重量物の持上げでは、作業姿勢、重量、頻度などを基にリスクを総合的に評価するようにしました。リスクの高い項目については、優先的に対策を取らなければいけないことにし、ここで言うRed Zoneみたいな区切り方をしています。ただ、区切りをつけるには、検証が必要ですので、職場でZoneをわけるのは難しいと思います。ある程度目安を作ってあげることが重要と思います。。
○浦野委員
 これは具体的なことではないのですが、どこかでこういう視点をきちんと表示しておいてもらいたいということです。腰痛予防を含めて、労働者の安全・健康を守ることと、利用者が安全で快適な介護を受けることとがニアリーイコールの話であって、正しい介護をやるということは、労働者を守ると同時に利用者をけがさせないということにもなっているので、腰痛を別のテーマとして考えなければいけないというよりは、むしろ利用者の安全を守ることと利用者に快適な介護を提供することと表裏一体ですよということを、どこかに入れていただきたいと思います。
○北原委員
 全く賛成です。非常に大事な視点だと思います。これまでは、「腰痛を起こして一人前」みたいな考え方があったかもしれないけれども、そうではなくて、腰痛を起こさないようにしてこそ安全に利用者を介護できるのだということが大事な視点ですので、どこに書くかということはありますが、検討させていただきたいと思います。
○甲田座長
 だんだん時間も近付いてきておりますので、いろいろとご意見を言っていただければと思います。
○萩尾委員
 30ページの(3)「作業姿勢・動作の見直し」の抱え上げのところで、先ほど議論した重量物の何%までみたいな基準があるといいかなと思います。
○甲田座長 除けた所ですね。抱え上げのところで重量に関しての記述が必要だろうという話ですね。
○萩尾委員
 はい。
○岩切委員
 対人労働の場合の重量をどうしようかというのが、非常に悩み所です。基本的に人の場合だと、例えば介護施設などでは、どんなに小さなおばあさんでも40kgの体重はあります。パーセンテージでいくと、先ほどの60kgの体重の40%計算では、男性介護者でさえ要介護者を抱え上げることはできません。そうなると、人の抱え上げでは、割合に意味がありません。女性介護者が2人作業をしたとしても、2人のやり方は難しいのですが、それでも2人分で30kgぐらいになってしまい、40kgの体重のおばあさんを抱え上げることはできません。このようなことから、対人の場合の重量の規制の仕方はどうすべきか考える必要があります。
○甲田座長
 多分、書き方としては人の抱きかかえは何と何と何を除いて原則禁止みたいな。
○北原委員
 原則、「人は人を抱えてはいけない」ということですね。保育は別ですが。
○浦野委員
 保育の場合には、せいぜい5kgとか10kgぐらいなので。
○岩切委員
 原則としては、禁止になるのかもしれません。
○甲田座長
 考え方として、その辺を出すか出さないかですね。これを原則ということで書くのかどうなのか、重量物の考え方から言うと。それで現場が持つのかどうなのかというところはもちろんありますが。そうなると、基本的には最初に言ったように、自動化、省力化して福祉機器や介護補助具やツールを使いましょうということですね。
○岩切委員
 実際に、福祉機器の普及率はかなり低いのが現状です。導入率も低いし、使用率も低いものですから、禁止して、その後どうするのかというのが問題となります。ただ、福祉機器の利用を推奨していくという意味合いで指針を改訂することには意味があるとは思います。
○萩尾委員
 抱え上げや持ち上げは腰痛の大きな要因ですね。大体そこの繰返しで腰痛が起きてくるので、ここは原則論を書いて、実際には介護現場で全部リフトが導入されて持ち上げないかというと、そうではなく、それに代わるものとして2人でとか複数で介助するのが現実なわけですね。
○甲田委員
 そういう意味では、(3)なのか(2)なのか、(2)で今の話を書くと。もう少し膨らませて書くと。
○本村委員
 重量物を持ち上げるということではなく、中腰姿勢になること自体、その反復が腰痛になるという見方もあるのです。重量物に関係なく、2人で抱え上げようとする中腰姿勢が駄目なのだと。だから、それをなくすためにリフトなどを使いましょうという形で、その辺を推奨したほうがいいのではないかと思います。
○甲田座長
 ここは指針の本文なので、そういう形で書いていただいて、解説のところで少しカバーすると。多分一番ホットな職種だから、ここはある程度長くなっても仕方がないかもしれません。
○北原委員
 原則論を書くということですね。
○甲田座長
 それも1つの手ですね。いかがでしょうか。膨大な量なので、その場で渡されていかがですかというのも酷な話ではありますが、時間も迫ってきているので、これに関しては持ち帰っていただいて、もう一度検討して意見を頂くという作業をしないと、量的にもかなり多いので大変かもしれません。
 私から1点、31ページの評価のところで、定期的な何々を確認することというのは、主語を付けたらどうですか。
○北原委員
 「事業者は」ということですね。
○甲田座長
 職場における腰痛の予防対策は事業者の仕事なのですよ、と。
○北原委員
 はっきりと書くということですね。
○甲田座長
 予定されていた時間になりましたが、それでも?までしか進んでいなくて、?等も一応提示してあるのですが、先ほど言いましたように、古い通達で言うと5つの作業があって、まだ検討していないのが3つ残っています。この作業別対応で、今話をした社会福祉施設等と長時間の運転は、非常に具体的な業種のイメージができているところですが、それ以外はいろいろな産業、いろいろな仕事で出てくる重量物の取扱いや流通作業とか腰部に負担の何かる作業になってくるので、この3つと2つは質的に違うといえば違うのです。同じような形で作業対応別の構成で書けるかというと難しいところがあって、その辺もまだ我々も案を提示し切れていないところでもあります。その辺りも含めて、これからもう一度案を作りますが、扱いをこうしたほうがいいということがありましたら、是非お知恵をお借りできればと思っていますので、後ほどご意見を頂ければと思っております。
 時間になりましたので、いろいろな意見を頂いて、更に踏まえた形で案を作っていきたいと思っております。議論できなかったところ、又は宿題としてご提案いただいたところは、次回の検討会でもう一度議論していきたいと思っております。次回の進め方等について、事務局からご説明をお願いします。
○事務局
 本日、議論を十分できなかったところについて、議論をしたところの追加についても、ご意見等がある場合は、2月19日をめどに事務局までメールで頂ければ、展開させていただきますので、よろしくお願いします。
 次回の検討会は、事前にある程度ご予定を伺っていて、3月13日14時ということでお願いいたします。
○調査官
 どうも長い時間ありがとうございました。それでは、これで第2回職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部労働衛生課

調査官: 毛利 正
業務第4係長: 吉岡 生博
(代表)03(5253)1111(内線5498)

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