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2012年12月27日 第3回小児がん拠点病院の指定に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年12月27日(木)


○場所

ホテルフロラシオン青山 3階 孔雀
(東京都港区南青山4-17-58)


○議題

1 開  会
   
2 議  題 
 (1)小児がん拠点病院申請医療機関からのヒアリング
 (2)その他

○議事

出席構成員:垣添座長、天野構成員、石井構成員、小俣構成員、豊田構成員、韮澤構成員、道永構成員、柳澤構成員、山本構成員

○事務局 それでは、定刻よりも少し時間は早いのですけれども、全員おそろいですので、ただいまより第3回「小児がん拠点病院の指定に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。
 事務局の健康局がん対策・健康増進課の秋月でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに構成員の出欠状況ですが、本日は全員の構成員より御出席の連絡をいただいております。
 次に資料の御確認をお願いいたします。
 座席表、議事次第、それと前回も配付いたしましたけれども、前回は資料1でございましたが、参考資料1として「小児がん拠点病院選考に当たっての経緯と書類選考結果」
 参考資料2が「小児がん拠点病院の整備について」
 参考資料3が「小児がん拠点病院申請医療機関一覧」となっております。
 また、本日ヒアリングをさせていただく11の医療機関から提出された資料を配付させていただきました。
 構成員の皆様には、各申請医療機関からの申請書類の一式、本日ヒアリングをさせていただく医療機関の発表者、同席者の名簿を配付させていただきました。
 お手元に一昨日使用いたしました評価表のほうも御用意ください。
 以上でございますが、資料に不足、落丁等ございましたら事務局までお申し出ください。
 1点補足なのですけれども、本日ヒアリングをいただく京都府立医大のプレゼンテーションの資料なのですが、事務局側にミスがございまして、事前に委員の皆様には郵送させていただいたのですけれども、ページ数が不足しておりまして、今、お手元に配付させていただいている京都府立医大の資料が20ページでそろったものですので、そちらを使用して説明させていただくことになります。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速前回に引き続きヒアリングを行いたいと思います。
 まず、九州大学病院の皆様、席のほうへ移動をお願いいたします。
(九州大学病院関係者着席)
○事務局 田口先生、御発表お願いいたします。
○九州大学病院 資料に基づきまして、九州大学病院におきます小児がん拠点病院の準備状況について説明させていただきます。
 最初にスライドの2枚目でございますけれども、この資料は日本小児血液・がん学会の評議委員会の資料の一部でありますが、小児がんの小児血液・がんの2006年~2011年までの症例数であります。この最初のスライドは小児の血液腫瘍です。主に白血病の症例数ですけれども、これに示しますように、九大病院は全国で症例数が6位であります。九州地区のその他の施設は黄色で示しておりますけれども、九州地区でも1位の症例数でございます。一応、6年間で121症例あります。
 次のスライドは、今度は悪性の固形腫瘍の症例数であります。これは2008年~2011年までの4年間の症例ですけれども、134例でございまして、全国で2位の症例数。九州では圧倒的な1位の症例数であります。固形腫瘍に関しましては、九州のその他の地域に比べまして大体3倍くらいの症例数があるということでございます。
 次のスライドは、九州大学に入院している小児がん患者の居住地・紹介元を示したスライドです。居住地に関しましては、福岡県を中心としまして、九州の各県、中国・四国といったところの患者さんが入院しております。
 紹介元に関しては、通常の医院とか診療所は37%でございまして、大部分は病院からの紹介でありまして、それも九州各県の中核的な病院からの紹介の患者さんが多いという状況でございます。一部は中国・四国からの紹介もあります。
 次のスライドは、各年別の症例数の過去5年間の推移でございます。1年間の症例数がほぼ70例という状況でございまして、血液腫瘍が少し増加しているという状況です。
 右のスライドは症例の内訳でございますけれども、これに示しましたように、再発とか難治ということで、そのほかの施設からの紹介患者がかなり多い状況でありまして、九大病院の中の症例で、そのうちの20%ぐらいは再発症例ということでございますので、こういった再発とか難治症例が大体半数を占めているという状況で、九州の中でも拠点病院としての機能を果たしている状況でございます。
 次のスライドは実際の治療の現状でございますけれども、これは造血幹細胞移植の実績でございます。5年間で73例の造血幹細胞移植を行っていますが、九大の特徴としましては左に示しますように、いわゆるアロのトランスプランテーション、要するに同種の移植が非常に多いということで、GVTの効果を期待したような治療が積極的に行われています。
 右側は原疾患の内訳でございますけれども、これを見ていただいてわかるように、大体半数は血液腫瘍ですが、残りの半数はいわゆる神経芽腫等の固形腫瘍についても、こういった造血幹細胞移植という治療が行われている状況でございます。
 その次が小児の外科的疾患でございますけれども、胸腹部の悪性固形腫瘍についてここに示しますように、左側が実際の治療として腫瘍の全摘、生検です。いわゆる造血腫瘍につきましても、化学療法の目的のためのルート確保です。これは外科のほうで行っています。
 九大病院の特徴としましては、肝臓移植ができるのが一つの大きな特徴でありまして、このスライドに示しますように肝腫瘍というのは見つかったときは大体、非常に大きな腫瘍が多いのですけれども、化学療法である程度縮んできます。それが左右に残った場合には肝切除が可能ですが、中央に残った場合にはどうしても肝移植が必要になってきますので、肝臓を全摘して新しい肝臓に入れかえる治療が必要です。
 九大の小児外科では今まで70例ぐらいの肝移植を行っていますけれども、生存率90%ということで、非常に良好な成績でございます。
 次にそのほかの固形腫瘍ですけれども、頭の脳腫瘍、眼部の網膜芽細胞腫といったものに対しても積極的に治療を行っていますが、ここに示しますように非常に成績は良好であります。網膜芽種につきましては、眼球保存といった非常に新しい治療を行っています。
 骨肉腫につきましては、整形外科の岩本教授が厚生労働省の骨軟部腫瘍の研究班の班長をしているという状況もありまして、全国の骨軟部腫瘍の中心的な存在として治療を行っております。
 次は放射線治療です。これも全国調査で九州の放射線腫瘍学会の認定医の数を調べてみますと現在8名いるということで、標準的な施設では平均が2.5名とか0.8名と非常に放射線治療医が不足している状況ですけれども、九大の場合は数が十分にいるということが一つの特徴です。
 2番目に示しましたように放射線治療の新患に占める15歳以下の割合ですけれども、これも非常に多くて3.9%と、全国平均の0.6%と比べますと非常に放射線治療の症例数が多いという状況であります。
 施設としましては、リニアック、サイバーナイフ等の設備がありまして、高精度放射線治療に対応できることと、重粒子線のがん治療センターが来年、福岡の近くにオープンしますので、それに関連する重粒子線がん治療学講座というのがことし開講しまして、この治療に対応できる状況がつくられております。
 次のスライドは思春期のがん患者の診療体制でありますけれども、造血器腫瘍、固形腫瘍いずれも小児医療センターを中心として治療が行われています。固形腫瘍に関しましては、いろいろな診療科が対応しまして、すぐに手術ができる対応ができています。
 小児の思春期に必要な、いろいろな精神的なサポートとか家族のサポートにつきましては、下に示しているような利点がありますので、小児医療センターを中心とした診療体制というのは、思春期がんの診療体制に非常に重要だと考えております。
 次のスライドですけれども、長期のフォローアップについてです。ここに示しますように、訴えがなくて異常がない患者につきましても、いわゆる定期的なフォローをしていますが、それ以外に黄色で示しましたような内科的な問題点、ピンクで示しました外科的問題点、オレンジで示しました精神的な問題点、いずれについてもきちんと対応できる体制をつくっております。緩和ケアチームといったものもこの中で活躍している状況です。
 次のスライド12ですけれども、これは臨床試験に関する状況です。九大病院に関しましては、全国で走っております臨床試験のほぼ全てに関与しておりまして、前半の上半分は大体、血液腫瘍に関係する臨床試験、下半分は固形腫瘍に関する臨床試験ですけれども、いずれも積極的に関与している状況であります。
 次のスライド13は、九大病院の小児がんにおけるチーム医療の体制でありますけれども、中心に書いています医師、看護師については、ここで示しましたがん化学療法認定看護師・緩和ケア認定看護師・がん性疼痛認定看護師といったような専門看護師が存在していますし、それ以外にもちろん緩和ケアチーム、臨床心理士、ボランティアグループ、社会福祉士、がん専門の薬剤師といった者が全てそろっておる状況です。さらに外側にこれをサポートするようなシステムというのも構築しております。
 次のスライドは地域の医療機関との連携であります。九州大学は福岡にありますが、各県に関連病院がありますし、福岡の中のいろいろな大学との関連も非常に深い状況です。北のほうには5島、壱岐とか対馬の離島がありますけれども、そういったところにも関連病院があって、ネットワークを構築している状況であります。
 次は、小児がんの患者さんの家族の宿泊施設に関してですけれども、左側に示しますように九大病院のすぐ近くに2つの大きなファミリーハウスがありまして、右側の3つは小児病院の近くにあるものですが、いずれにしても福岡市内にこういった設備がそろっておりまして、それぞれキッチンがついて、調理スペースがあって、自活できる状況になっています。
 次は、次の時代を担う人材の確保ということですけれども、九大病院の小児科、小児外科がここに書いてある大学に教授とか准教授を派遣しておりますし、下にあるような関連病院がたくさんありまして、そこから実際に小児がんに興味がある人というのを九大のほうで教育している状況でございます。
 実際のカリキュラムは次のスライドでございますけれども、ここに示しましたような小児がんを診療する医師を育成するプログラムをつくっておりまして、九大病院の中では下に示しますような研究会とかカンファレンス、勉強会といったものを定期的に開催しているということでございます。
 次のスライド18でございますけれども、これは相談支援・情報提供ということです。九大病院の中にはがん相談支援室というのがありまして、そこに常駐で看護師、ソーシャルワーカーというのが存在しておりまして、そこで実際に相談を受けていまして、機能しております。
 患者団体との連携につきましては、「がんの子どもを守る会」との連携が一番強いのですけれども、その中でも九州北支部は非常に活動が活発でございまして、こちらといろいろ連携しまして、1年に2回ほど勉強会とか個別相談会といったものを開催している状況でございます。
 次は情報提供ですけれども、これは九大病院のホームページを中心に情報提供をしておりますが、九大病院のがんセンターのホームページです。それから、小児科のホームページ、小児外科のホームページといったものでいろいろな情報を提供していますけれども、その一例としましては治療成績とかについてです。ちょうど進行神経芽腫の治療成績を示しておりますが、こういった具体的な成績といったものもホームページに示しております。
 最後のスライドでございますけれども、これは将来的な小児がん拠点病院としての継続性ということでございます。現在、小児血液・がん専門医研修施設がありますし、骨髄移植推進財団認定施設、さい帯血バンクネットワーク登録施設、日本小児外科学会の認定施設ということで、これに必要な人材は全て維持しておりまして、十分に人的にも余裕がある状況であります。小児がんに関しましては、年間小児外科の手術が600例ありまして、それを含めた麻酔、集中管理といったのも十分にできる体制ができております。
 ということで、今後病床数の増加とか、スタッフの増員といったことについても病院で現在検討中という状況でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○事務局 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問をお願いいたします。天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。私からの質問は2点ございます。
 まずスライドの14ページで、地域医療機関との連携ということで具体的に病院名を上げていただいているかと思いますが、一見したところ九州ブロックということですと、沖縄県ももしかしたら含まれてくるのかと考えております。
 沖縄県から今回、小児がん拠点病院の申請が出ていませんので、もし九州ブロックで仮に九州大学が拠点病院となるのであれば、沖縄県の医療機関ともぜひ連携をお願いできればと考えておりますが、現在の連携状況、もしくは今後の連携状況についてお考えなどがありましたらぜひお聞かせいただければと思います。
○九州大学病院 具体的な例につきましては、沖縄に南部小児医療センターというのがありますけれども、そこの外科をやっている先生が今、うちに来ていまして、うちの大学院生として横紋筋肉腫の研究をしている状況です。ここの病院とは九大の卒業生が結構、前期の研修医として行って、そこからまたうちに入局したり向こうに行ったりといった人的な交流が行われておりますので、今後そういったことを中心にさらに連携を深めて、実際に臨床例の相談とかも時々ありますので、こういった軸を中心として連携を深めていきたいと考えております。
○事務局 石井構成員、お願いいたします。
○石井構成員 最後のスライドに、がん拠点病院としての継続性が書かれてありますけれども、大学病院の場合、教授が変わりますと専門性が変わっていくという問題があります。確かに人数的には確保できているとはいえ、大学全体のシステムとしてはそういうところにちょっと問題があるのではないかと思います。そういう面での継続性の担保というのはいかがでしょうか。例えば、小児血液腫瘍科みたいなものを標榜するとか、その辺を教えてください。
○九州大学病院 その点はまだ十分検討ができておりませんが、小児科で言いますとそれぞれのグループがありますから、そこの継続性は必ず続きますので、その点で専門医がいなくなるということはないと思います。
○九州大学病院 外科に関しましては、小児外科のいろいろな専門医とか指導医というのがありますけれども、その要件の中に小児がんの施設というのが必ず入っております。小児外科の指導医を養成する上では、必ず小児がんの施設というのは必要ですので、そういう面でも、小児外科の中の一つの重要な分野でありますから、小児外科が継続する限り小児がんというのはずっと診療し続けるという状況だと思います。
○事務局 垣添座長、お願いいたします。
○垣添座長 私も今の継続性に関してお尋ねしたいのですけれども、5ページの左側のグラフで、年間、大変立派な業績を上げておられますが、圧倒的に固形腫瘍が多いわけです。これは先生が小児外科と言いましょうか、それを御担当だからこれだけの患者さんが集まっているという感じを受けるのですが、そういう意味での継続性というのはいかがでしょうか。
○九州大学病院 最近は小児がんの固形腫瘍につきましても、手術というのももちろん一つの重要なファクターなのですけれども、やはり化学療法というのは非常に重要でありますから、実際の今のうちの状況としましては、外の病院とかで治療に難渋した症例というのが小児医療センターに入院してきます。そこの化学療法に関しましては全て小児科が中心に行っていまして、手術が必要な際に我々がそこでやるという状況ですので、やはり治療の主体というのは小児科が中心で、それで血液腫瘍と固形腫瘍と両方ともバランスよく行われている状況と私は判断しています。
○垣添座長 2つ目は、14ページでいろいろな病院と連携をしているという状況を御説明いただきましたが、長期フォローアップの観点から、総合病院を出たときに長期のカルテの保管とか、そういう体制に関しては大丈夫でしょうか。
○九州大学病院 電子カルテになって、保管に関してはスペースもとらずに、かなり長期間のものが保管できるようになると思います。
○垣添座長 もう一点、19ページの右側の真ん中に進行神経芽腫の治療成績が上がっていますが、小児医療センター開設前と開設後で大きな違いがありますが、これはどう説明しますか。
○九州大学病院 一番上の無増悪生存率が100%から、最近2例再発しましたので少しは落ちます。ただ、小児医療センター開設前と開設後では、やはり大きな差が有意差をもってございます。この原因としましては、外科系とのコミュニケーションが非常によくなって、一番最適な時期に適切な手術が受けられるようになったことが一番大きいかなと思いますが、そのほかにはキャンサーボードと言いまして、大学の中で小児科、小児外科に限らず、あらゆる外科の先生と放射線の先生と薬剤師さんとという会議がございます。それも小児医療センターを開設した後にキャンサーボードができましたので、そういうことも関係しているかと考えております。
○事務局 小俣構成員、お願いいたします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 3点ほど質問がございます。
 1点は、15ページの患者家族に対する支援についてなのですが、ファミリーハウスの料金的なことなのですけれども、少しほかよりも高いような気がしておりまして、何か検討いただくことがあるのかなということが1点です。
 それから、AYA世代に対しての環境整備というのはあるのかと思うのですが、こちらの資料にないものですから、教えていただけたらということが1点です。
 もう一つは相談支援の体制についてなのですが、院内では社会福祉士が3名で、がんの相談支援のほうに2名ほどソーシャルワーカーがいるということで、長期フォローアップに関しても医学的なことではなくて、心理、社会的な問題についての支援体制、仕組みというものがありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○九州大学病院 この件は住江先生からお願いします。
○九州大学病院 まず1点目としまして、宿泊施設の料金設定なのですが、1泊1室800円が確かに高いと言われれば高いかもしれませんが、2000円のほうですか。
○小俣構成員 はい。
○九州大学病院 これは一番新しい施設でありまして、このうちの2室を小児科として使っておりますが、そのほかの科も使っておりますので、それとの兼ね合いでここは全部同一料金にしかできなかったという経緯がございます。全てリネン系のクリーニング等々の料金も含めております。
 2点目としましては、AYA世代ということで、思春期というところにまとめたつもりだったのですが、10ページです。思春期がん患者、AYA世代を含みますが、小児医療センターでは現在、10代の患者さんまでは入院しております。先ほども発表にありましたように、人数が多いものですから、同年代の患者とコミュニケーションができるところは大きな点かと思っております。
 また、小児医療センターとして一つのまとまったところにベッドがありますので、サポート関係、心療内科や精神科の先生もちょくちょく足を運んでいただけることが現実的にあります。
 また、院内に同じフロアではないのですか、小中の院内学級がありますし、高校生はボランティアさんが定期的に来てくれまして、お勉強を教えてくれるというシステムがございますので、そのようにしております。
○小俣構成員 コミュニケーションの場というのはどこかにあるのでしょうか。
○九州大学病院 ございます。談話室というところもあります。もちろんAYA世代の人しか使ってはいけない部屋ではないのですが、少しこじんまりとした談話室や家族が集えるようなデイルームもございます。
○事務局 柳澤構成員、お願いします。
○柳澤構成員 九大病院で、ほとんど全ての施設、共同研究には加入しているとおっしゃいましたけれども、それ以外には基礎的、あるいはトランスレーショナルリサーチといった面の取り組みというか研究はどうでしょうか。
○九州大学病院 まずTRにつきましては、神経芽腫についての樹状細胞を使ったいわゆる細胞治療につきまして、今、白血球を使った臨床試験まで行っていますけれども、実際の臨床例での使用までは行っていませんが、一応トランスレーショナルリサーチのシーズとして今、九大病院の一つのシーズとして行っております。
○事務局 豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 2つ御質問です。
 たくさんの症例を手がけられていますが、小児がんのほとんどの症例に対しても対応できる状況でございますか。
○九州大学病院 造血腫瘍、固形腫瘍全てという意味ですか。
○豊田構成員 はい。
○九州大学病院 もちろんそういう状況であります。固形腫瘍については、もちろん我々が扱っているような胸腹部の腫瘍だけではありませんで、脳腫瘍からがん腫瘍から耳鼻科領域、整形外科領域全てをカバーしている状況であります。
○豊田構成員 もう一つ、造血幹細胞についてなのですが、非常に今、ドナーが少ない状況ですよね。例えばHLAの不適合についても可能ですか。
○九州大学病院 それは肝臓ですか。
○豊田構成員 骨髄です。
○九州大学病院 小児科の領域では、患者さんの体重が平均的に大人よりも小さいので、さい帯血移植をもし選んだ場合には、ドナーが見つからないことは現時点ではまずありません。さい帯血移植はHLAが2座不一致までは許容範囲と考えられておりますので、登録をしましたらまず見つかるというのが現状です。
○事務局 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 御発表ありがとうございます。
 私から3点御質問させていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、本日の発表資料の中にありませんでしたのでお聞きしたいと思います。地元の行政との連携協力体制についてです。小児がんに関して連携の現状はどうなっているのでしょうか、また今後どうしていくおつもりなのかについて御教示いただけたらと思います。
 2点目は、地域における小児がんの中核的な病院との連携についてです。先ほど天野構成員から質問があったかと思いますが、現在、既に連携がとれている病院についてのお答えはありましたが、仮に南九州で現在、連携が余りとれていない小児がんの中核的な病院があったとした場合、九州大学病院が小児がん拠点病院に選定された場合には、どのようにリーダーシップを発揮してそういった病院とも連携を強化していくおつもりなのでしょうか、御教示いただけたらと思います。
 3点目は、参考までにお聞きしますが、小児がんについては、難治再発症例を集約化するべきであるという理念がうたわれておりますが、仮に九州大学病院が小児がん拠点病院に選定されなかった場合であっても、この理念に賛同、御協力はいただけるものなのでしょうか。
以上3点について御教示いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○九州大学病院 まず1点目は地域がん登録、院内がん登録ということだろうと理解してよろしいですか。
○山本構成員 それらも含めてですが、どちらかと言うと、例えば、今回の小児がん拠点病院の申請に際して、地元の行政との話し合いの中で、県の新たながん対策推進計画の中でどう位置づけられるのか、あるいは行政から宿泊施設の補助などがあるかどうかなど、そういったことをお聞きしたいと思っています。
○九州大学病院 特に地方公共団体からは、こういうがん拠点病院という話が県のほうに来ていましたので、九大のほうでそれに応募したらどうかというお話はありましたけれども、今、おっしゃったような具体的な患者団体へのサポートとか、そういったことについてはちょっと情報がよくわかりません。
 地域がん登録、院内がん登録につきましては、院内がん登録は小児がんも一応その中に入って登録しておりますし、地域がん登録といったのにも全て九大病院として協力している状況でございます。
 2点目は何でしたか。
○山本構成員 既に連携されている病院はもちろん、それ以外の病院との連携強化についてはどのようにお考えでしょうか。
○九州大学病院 一つは、九州の中で九州地区の小児悪性固形腫瘍研究会というのを1年に1回開催しておりまして、九州内でのいろいろな悪性腫瘍に関するがん登録というのをそこである程度まとめているということがありますので、そこで大体皆さん症例を持ち寄って、ディスカッションしているのが現在の状況ですけれども、実際に今度は患者さんの紹介という形になりましたら、病病連携、病診連携となってくると思いますが、それも今まで逐次構築してきております。九州大学病院に地域連携室がありますので、そこを窓口にしてそういう地域連携は構築してきておりますので、それを軸にしてさらに進めていくという形になるのではないかと思います
 もちろん、先ほど示しましたようにセカンドオピニオンの紹介もかなりありますので、こういったものを今後、もし拠点病院ということになりますと、さらに強化していく必要があると考えております。
 3点目をもう一度お願いします。
○山本構成員 仮に九州大学病院が小児がん拠点病院に選定されずに、ほかの病院が選定された場合の協力体制についてです。
○九州大学病院 もちろんそれは九大病院としては、今まで小児がんにずっと力を入れてきておりますので、今後ともどこが拠点病院になってもそこに協力するし、我々も従来どおりのがんの治療は行っていくつもりでございます。
○事務局 最後に韮澤構成員、申しわけありませんが手短にお願いいたします。
○韮澤構成員 緩和ケアについて実績はあるのか、もしくは訪問看護等のことをやっておられるのか手短にお願いします。
○九州大学病院 実績は少数ですがございます。小児がんの子どもが亡くなるとき、緩和ケアをイコールエンドステージのみとりのがんケアと考えましたときに、なかなか痛みが強かったり輸血が必要であったりして自宅で過ごすことは難しいのですが、その中でも少数の脳腫瘍の症例等々は家でみとることもあります。その場合には、訪問看護や小児専門の診療所もありますので、そこと連携して自宅に行っていただいたり、自宅で実際点滴をしたりということがあります。
○九州大学病院 それにつきましては、スライド14の一番下に「小さな診療所」とありますけれども、そこがそういう在宅の医療を専門にやっているところで、そこの院長は実は小児外科の教室の出身者でありまして、そういった小児の在宅のいわゆる末期の患者さんなどは一緒に診てもらっている状況であります。
○事務局 九州大学の皆様どうもありがとうございました。
 次に鹿児島大学の皆様、席に移動をお願いいたします。
(鹿児島大学病院関係者着席)
○事務局 河野先生、よろしくお願いいたします。
○鹿児島大学病院 鹿児島大学病院の河野と申します。お手元に「南九州の小児がん拠点病院」というタイトルをつけた鹿児島大学病院の資料を配付させていただいております。全部で18枚の資料になりますので、これに基づきまして御説明させていただきます。
 最初に2ページ目、鹿児島の地理的な特徴を説明させていただきます。
 当病院が担当いたします鹿児島県は人口170万人の県ですが、南北613キロメートル、東西272キロメートルの範囲にありまして、28の有人離島には約19万人の方々が在住いたしております。小児人口は約3万人となっております。
 3ページ目、鹿児島大学病院のカバーエリアを東日本の地図に当てはめた同縮尺の地図を右側に示しました。東北全域と同等になります。このような広範囲に発生する小児がん患児の診断と治療を行うことを求められてきたのが鹿児島大学病院です。
 4枚目から小児がん治療の現状を示させていただきました。
 私ども鹿児島大学病院小児診療センターは、離島地域の7つの医療機関と本土の9つの基幹病院と連携し、小児がん患者を集約するための治療連携を実施しております。さらに、宮崎大学病院を初め、宮崎県南部の病院と連携して小児がん患児の治療に当たっております。
 白血病など、治療期間が特に長期になる病気につきましては、初期治療を当院で行い、落ち着いた段階で近隣の鹿児島市立病院のほうに転院して治療を継続するという病床連携を実施して集約化に対応してきました。
 5ページ、特に専門医が少ない小児外科分野の状況を5枚目にスライドとして示させていただきました。右下の小児外科専門医・指導医数を見ていただきますと、鹿児島が専門医17、指導医6。宮崎が専門医3、指導医ゼロ。沖縄が専門医4、指導医2という状況で、鹿児島大学病院が南九州の拠点となるべき状況が御理解いただけるかと思います。
 6ページ、このような鹿児島大学病院で、過去20年間に担当しました500例の小児がん患児の内訳を示しました。白血病が193、その他神経芽腫、胚細胞腫瘍以下ずっと固形腫瘍が並んでおります。小児内科と小児外科の連携チームを中心といたしまして、正確な診断と集学的治療を担当してきました。ごらんいただいたらわかりますように、ほぼ全ての小児がんを取り扱うことができると思っております。
 7ページ、小児がん治療体制は、小児内科と小児外科がチームを構成し、小児内科医が化学療法の全てを実施しております。脳神経外科、整形外科等の関連分野との連携も十分で、基本的に院内の小児がん患者の化学療法は全て小児内科チームが担当いたします。同時に、がん診療の院内基盤組織であります腫瘍センターや臨床腫瘍学講座と密に連携し、各部門がここにお示ししましたような役割を担いながら、小児がん患児だけではなく、保護者や兄弟のサポートもできるように心がけております。
 このような適切な役割分担で総合力を高めるチーム医療の実践が私どもの特徴かと思います。
 8枚目、長期フォローアップ体制です。
 2年前から小児がん経験者のための長期フォローアップ外来を、小児血液腫瘍外来から分離独立させました。肉体的、精神的諸問題の解決に向けて努力するとともに、文書で同意を得た小児がん経験者には定期的な案内を出して、ピアカウンセリングの場の提供もしております。
 次に9ページ、緩和ケアチームについて示しております。
 緩和ケアにつきましては、各部門のスキルアップとカンファレンスを通してチームの総合力アップを目指してきました。今後は、年少児への介入と、診断時からの緩和ケアチームの参加を従来以上に促進することが重要だと考えております。
 10枚目は各種臨床試験への参加状況です。
 私ども鹿児島大学小児がん治療チームは、JPLSGの各種臨床試験に参加しておりまして、実際の登録数も常に全国上位11施設以内にあります。JPLSGから抗がん薬の第1相試験を担当する施設に推薦されまして、全国施設で実施されたクロファラビン第1相試験も実施いたしました。このほか国際共同研究の実施施設として、米国の小児がんグループCOGの国際メンバーとしても登録されております。
 11ページの人材育成に関しましては、日本小児血液・がん学会の暫定指導医を初め、日本血液学会指導医、日本小児外科学会指導医等が確保できておりますので、研修医や若手医師への指導は十分に実施されております。同時に、九州地区基幹施設との交流によりまして、九州山口地区の専門医の養成にも努力しております。
 12ページは教育環境を示しました。
 入院中の子どもたちの教育環境は、県立養護学校との連携で、小中学生のための院内学級を設置しております。入院時に養護学校に転籍して教育を受ける体制を保護者の皆様からも御理解いただいて、年間十数名は常に在籍しております。
 復学支援のために、月1回の学級カンファレンスに医師と保育士等が参加いたしまして、円滑にもとの学校に復学できるように努力をしております。
 13ページ、14ページは家族支援について書かせていただきました。
 鹿児島大学病院では離島を含む広範囲から患者を受け入れているため諸問題があります。表の左側が入院中の家族の具体的な問題、右側が外来中の問題になります。例えば急性白血病を例にとりますと、診断から8カ月程度は入院治療をし、その後2年以上外来治療を継続いたします。自宅から遠く離れての入院のため、ここにお示ししましたような家族内の問題が多々発生いたします。
 本来であれば頻回の外泊や短期入院を繰り返す方法をとるべきなのですが、自宅から遠く交通費が高いためにそれもできません。外来治療では2週間に1回程度の受診が理想なのですけれども、交通費を含め、家族への負担が非常に大きく、地域の保健師さんや小児科医ではない診療所の先生方との連携が非常に重要な大きな問題です。
 14ページには、そのような我々特有の諸問題を解決するために「こども医療ネットワーク」というNPO法人を設立して、僻地、離島での医療相談会を実施し、保健師さんや地域の医師と顔を合わせて相談をし、連携を強化している状況を示しております。
 また「がんの子どもを守る会(CCAJ)南九州支部」と協力いたしまして「鹿児島ファミリーハウス」という宿泊施設を運営しております。この施設を利用することで、少しでも家庭内からの出費を節減し、自宅まで帰ることができない入院中の子供たちに外泊気分を味わってもらっております。
 15ページは情報提供に関することなのですが、相談支援や情報提供は、当院が都道府県がん拠点病院として院内に設置しております各部門と協力しながら、小児がん関係の適切な情報発信に努めております。その中でも重要な役割を果たしているのはやはり私どもとの直接の相談かと考えております。病院内だけではなく、講演会や相談会等で個別に相談を受けることは、院内での説明と同意の場とは異なる質問や、あるいは悩みを聞くことができ、実に有効であることを実感しております。
 16ページ、今後小児がん拠点病院に指定された場合には、現在も実施している鹿児島市立病院など近隣小児科との病床連携を発展させ、当センターは再発難治例の治療、臨床試験等に特化することを考えております。
 現在、鹿児島大学病院は病院再開発計画が進行中で、小児医療センターを設立することで病床数の増加が可能になり、人員増にも対応できる見通しです。また、現在はNPO法人が運営している家族支援施設を病院で充実させることも計画されております。それらによりまして、南九州各地、あるいは沖縄からの患者数増加に対応できると考えております。
 17ページは継続性に関して記載しました。
 小児がん拠点病院に指定された場合には、継続性が大きな問題です。当院は、都道府県がん拠点病院であり、九州がんプロ養成推進基盤プランによる臨床腫瘍学講座を持つ病院の体制があります。また、充実した小児診療体制、さらに大学病院という教育機関の利点を発揮することができます。専門医養成の計画的な推進と関連各分野の専門医との連携によって、継続的にレベルの高い診療が提供できると思います。
 最後のスライド、私どもが担当いたします南西諸島の合計特殊出生率は全国平均1.39に対しまして全ての離島が2.0以上と高く、小児医療にとっても非常に重要な地域です。また、昨今の我が国におかれた国際事情を考慮いたしますと、離島の住民が安心して住めるように、医療的利便性を高めることが非常に大きな問題になると思います。私たちは、今回お示ししましたような内容を発展させることによって、将来的に沖縄県と協力して、南日本全体の小児がん治療の向上に貢献できれば幸いだと考えております。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
○事務局 どうもありがとうございました。
 それでは、質問はいかがでしょうか。小俣構成員、お願いいたします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 どの病院さんにもお聞きしていることなのですが、AYA世代の方たちへの支援というところで、場所も含めてどのような体制をとっておられるのかが1点。
 もう一点、8ページに長期フォローアップ体制の内容が書いてございます。充実した内容かと思うのですが、発症してから長期フォローアップまで相談支援の体制は、情報提供だけではなくて、具体的な社会問題への対応であるということは、どなたがどのようにされているのかをお聞きできたらと思います。よろしくお願いいたします。
○鹿児島大学病院 最初の御質問のAYA世代に関しましては、思春期、ヤングアダルトという状況のところですので、主に血液腫瘍内科との役割分担等が重要なのですが、現在のところ、病院の中では患者サロンという病院全体としての場所はありますが、AYA世代特有の場所というのは現在ありません。個々の患者さんに対しまして、私ども小児科医と血液腫瘍内科医等が個別に相談する状況が現状です。将来的な展望は、きょう院長も参っておりますので、後で発言していただこうと思います。長期フォロー体制に関しましては、岡本と山木が担当しております。
○鹿児島大学病院 8ページのスライドにありますように、担当しているのは主に小児血液腫瘍医である私と山木ですが、山木は小児内分泌も専門にしておりまして、同時に診療します。この日に小児神経科医がすぐ横で診療しておりますので、同日に複数の専門医の診療を受ける体制が基本になっています。
○小俣構成員 済みません。医療的なことではなく、それ以外の社会的な問題などについてお願いします。
○鹿児島大学病院 これは正直に申しますと、我々としてはまだ発展途上だと考えておりまして、例えば学校に戻っていく、あるいは就職する、結婚する、職業の問題をどうするか、あるいは中には肢体不自由の認定が必要だという人もありますが、これは全て今のところ小児科医の医師の間でやっているのが現状で、一部ソーシャルワーカーの人にも入ってもらっておりますが、専属のフォローアップをする体制はまだできておりませんので、今後やりたいと思います。
○事務局 天野構成員、お願いします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは2点ございます。
 まず1点目が13ページから14ページにかけて、特に南九州ということで離島への支援、離島での小児がん医療の問題点について細かく記していただいていたと思います。私が申し上げるまでもなく、離島の医療状況は非常に大変な状況にあると聞き及んでおりますし、私自身も沖縄県のがん診療連携協議会の外部委員を務めておりまして、離島医療の厳しい状況というのはつぶさに聞いておりまして、こういった離島医療に対して御理解と御支援をいただいていることに大変敬意を表したいと思っているところでございますが、南九州以外、九州エリアということで考えた場合、例えば長崎のほうにも離島とかございますし、長崎や福岡のほうの小児がん医療ということもあるかと思うのですけれども、仮に九州ブロックということで指定を受けることになった場合、九州北部のほうとの連携についてはどのようにお考えであるのかを伺わせていただければというのが1点目の質問です。
 2点目の質問が、8ページに「NPO法人にこスマ九州」と連携されてキャンプを実施されているということで、参加の経済支援をされているという記述があったと思うのですが、これは具体的にどういったことをされているのか。これもすばらしい取り組みだと思うのですが、これについても教えていただければと思います。
○鹿児島大学病院 8ページのほうから先にお答えさせていただきます。「にこスマ九州」がキャンプを行うときに、鹿児島県の小児がん経験者の方々のために旅費と参加費等を提供するからということで、これは具体的にはNPO法人「こども医療ネットワーク」ということで私が理事長を務めているNPOなのですが、ここのほうから費用を出して参加しようということを呼びかけて参加していただいております。
 最初は九州ブロックというところでの北部九州との連携ということだと思います。正直申し上げますと、本部九州のほうは南九州に比べ圧倒的に人口も多く、南九州に立地する我々が北部九州の患者さんを担当できるとは考えておりません。北部九州はたくさんの患者さんとたくさんの大きな病院、充実した医療があるのは承知のことですので、私どもとしましては、今回で言えば九州大学病院さんが手を挙げられておりますので、九州大学病院さんと今までと同様に連携をしていろいろなことをやっていきたいと考えておりまして、鹿児島県の私どもの役割は、南西諸島の広範囲の子供たちにどういう医療を提供するかというのが自分たちの本分だろうと考えております。
○天野構成員 ありがとうございました。
 離島支援は本当に大変だと思いますが、ぜひこれは引き続き継続して行っていただければと切に願っております。よろしくお願いいたします。
○鹿児島大学病院 済みません、今の質問に関連して1つ。
○鹿児島大学病院 北部九州とのことですけれども、スライドの4ページに連携状況が書いてあります。特に左上の九州がんセンターという病院が小児がんの非常に重要な病院だと思うのですが、こちらのほうに研修に鹿児島大学病院から行く。研修だけでなく、スタッフとしても実際に行っておりますので、そういう意味では連携しているのがまず一点。
 もう一つは、九州地区には「九州・山口小児がん研究グループ」というのがありまして、それは九州の主の病院のおよそ半分くらいが含まれていると思うのですけれども、その九州・山口グループの代表が河野教授であって、私も委員をしておりますし、学術委員会というのをつくりまして、他の病院と連携して臨床研究を今、進めているところで、10個を超えるプロジェクトも進めておりますので、そういう意味での人の交流、教育としての交流は十分リーダーシップを発揮できると考えています。
○事務局 石井構成員、お願いいたします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 天野構成員と同じような質問になりますけれども、やはり鹿児島の場合はどうしても離島医療というのが切り離せない部分だと思いますが、13ページに離島の医師とか保健師との連携というのがありますが、実際離島の先生に小児がんの治療をしてもらうのは難しいと思うのです。そうなりますと、例えばそちらに行って治療をするとか、あるいはドクターヘリを使うとか、そういう何か工夫のようなものは考えておられますでしょうか。
○鹿児島大学病院 現実を申しますと、離島の診療所の先生に化学療法をやっていただかないと進まないというのが実際のところです。もちろん固形腫瘍の頸静脈的なものはビンクリスチンぐらいしかお願いをできませんが、経口の6MPとかメソトレキセートとかは離島の診療所の先生と私たちが連携をとってやらないと患者さんが来られない。患者さんをこれ以上鹿児島市に滞在させますと家庭が崩壊してしまうという実情がありますので、現実にやっていただいております。さすがに髄注だけはお任せできませんで、髄くう内投与だけは鹿児島市に来ていただくことにしております。
○鹿児島大学病院 小児外科のほうなのですけれども、離島の医療に関しましては、5ページに示しておりますが、それぞれの地域の中心になるところに外科医を派遣しています。それぞれの距離が600キロ離れていると実はドクターヘリでは往復できないのです。600キロですと、自衛隊の2つのプロペラのものでないと行って戻って来られないくらい離れています。
 今度、県立奄美大島病院がヘリコプターの基地を持つようになりますので、そこに私たち小児外科医も増員して、離島の中心にしようと考えております。
 その間の医療情報のやり方は、今度診療情報部でITカルテを運用することになりましたので、遠隔地のカンファレンスが可能になるのでないかと考えています。
○事務局 山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 御発表ありがとうございます。
 私から3点質問があります。
 まず1点目ですが、行政との連携協力体制についてどのような状況なのか、あるいはどのようにお考えなのか、お伺いできたらと思います。特に、県のがん診療連携拠点病院で必須事項とされている連携協力以外に、小児がん対策についてこれからどうすべきかといった連携協力体制について御説明いただけたらと思います。
 2点目ですが、先ほどからいろいろ質問が出ている地域の医療機関との連携についてです。素人ながらこれまでの報告書などを読みますと、難治、再発の症例については小児がんの医療の質を高めるために集約化するべきであるとの理念があったかと思います。現時点の体制で大丈夫な話であれば問題ないのですが、今回、小児がん拠点病院の理念に照らし合わせると、小児がん拠点病院として選ばれた場合には、鹿児島大学病院はどのようにリーダーシップをとって、集約が必要な場合があるならば、どのように集約を進めていくお考えなのか、可能な範囲で結構ですので、御教示いただけたらと思います。
 3点目ですが、仮に拠点病院に選定されなかった場合、何らかの症例を集約化すべき話があるとすれば、それについて御賛同、御協力いただけるものなのかどうなのかについてもあわせてお考えを御教示いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○鹿児島大学病院 最初の行政との連携なのですが、これは一県一医科大学の県でございますので絶えず全ての情報を交換しております。これは院長のほうから補足の説明をお願いします。
○鹿児島大学病院 保健医療計画が今度、改定の時期になっていまして、それをかなり私も委員となりまして行政とやっておりますけれども、その中にがん対策基本計画の変更点等を組み入れるために、特に小児のがん拠点になるならないにかかわらず、いろいろそこに盛り込もうと今、文章的にも考えておるところでございます。もちろん評価する基準をしておりますので、実行できるものを組み立てることを考えております。
○鹿児島大学病院 2番の集約化という場合に、九州の人口を考えますと、九州に1カ所の集約というのはなかなか施設的にも現実的ではないのではないかなと私たちは考えております。人口がかなり多いですし、いろいろな施設は十分整ってはいるのですが、1つの施設で全ての難治例を対応できるかということになりますと、非常に現実的に難しいのではないかなとがん治療の専門家の一人としては思っております。
 選定されなかった場合に協力することはやぶさかでございませんし、地理的な状況を考えますと、従来からも鹿児島、宮崎の患者さんが福岡に行きたいというのは当然ありましたし、そのときに何ら妨げることなく九大病院とか、あるいは九州がんセンターの先生方と連携をとって患者さんの治療をしてきましたので、その場合も全く心配をしておりません。
 ただ、拠点病院としての役割としてどの程度できるかということは、自分たちができる範囲の精一杯をやるぐらいしか今のところ答えようがないです。
○鹿児島大学病院 小児外科に関しましては、5ページの表にある例えば宮崎県の症例は宮崎大学で治療をすることをベースラインでやっています。手術が難しい場合は鹿児島でする。宮崎で手術をするときは私どもが応援に行って、現在もがんの手術をやっております。そこに実際、宮崎県から難しい症例で手術を受け入れた症例が12例、沖縄が昨今1人ふえましたので2名来たという状況でございます。
○事務局 最後に韮澤構成員、いかがでしょうか。
○韮澤構成員 鹿児島大学が拠点病院にもし選出されたとして、先生方は今、九州、宮崎等のことは言及されていましたけれども、沖縄県に対しての対応はどうお考えになっているのでしょうか。
○鹿児島大学病院 沖縄県も当然私たちと同じ問題を抱えている県だと考えております。私たちが今まで努力してきたことも一緒になってやっていけるとは思います。ただ、現在まで沖縄県の患者さんが鹿児島に治療に来ているのかということになりますと、ほとんど来ておりません。小児外科のほうで何例か手術を担当しているという状況でした。
 現実に琉球大学の移植をやられている先生方とか、あるいは南部医療センターの先生方の患者さんの特に沖永良部以南、沖永良部与論の南の半分のほうは明らかに那覇のほうが近いですので、そちらに行っている患者さんもいらっしゃいますので、その患者さんに関して相談をしてという実績はあるのですが、沖縄県の患者さんが鹿児島に来ているというのは非常に少ないので、今後は、拠点病院にさせていただいた場合には、それをどうやって解決していくかということを沖縄の先生方と一緒に考えていくことになるかと思います。
○事務局 鹿児島大学病院の皆様、どうもありがとうございました。
 次に京都大学医学部附属病院の皆様、席に移動をお願いいたします。
(京都大学医学部附属病院関係者着席)
○事務局 平家先生、よろしくお願いいたします。
○京都大学医学部附属病院 京大小児科教授並びに病院長補佐の平家でございます。本日は、三島病院長、加藤事務部長、足立教授、渡邊講師も同席させていただいております。よろしくお願い申し上げます。
 まず、最初の3枚のスライドで、理念、特徴、診療体制について御説明申し上げます。
 理念は「高度で安全な集学的医療の提供」「子どもの成長と未来を見据えた全人的、包括医療」「次世代を担う医学研究、人材育成」を掲げております。
 2枚目のスライド、診療面での特徴でございますが、高い専門性を有する診療科・部門が連携し、京大がんセンターを中心として、集学的がん診療を実践いたしております。その中で、全ての造血器・固形腫瘍に対応実績を重ねております。造血細胞移植、臓器移植の強固な基盤を有しております。
 支援・環境面での特徴でございますが、近畿ブロック一円の施設との良好な連携はもとよりのこと、臨床研究中核病院事業としての臨床研究総合センターによる支援、患児の発育、教育に配慮した環境整備等、必要な事項を継続的に整備いたしております。
 3枚目のスライド、診療体制でございますが、京大がんセンターの中に小児がんユニット、小児脳腫瘍ユニットを整備し、診療科横断的な体制のもと、集学的医療の実践を行っております。
 外来化学療法部には、小児専用の化学療法スペースを確保して小児の治療に対応いたしております。
 また、入院に対しましても、京大がんセンター病棟に思春期・若年成人用小児科病床を配置していることも特筆すべき事項でございます。
 緩和の実践も踏まえて、切れ目のない診療体制を実践いたしております。
 4枚目のスライド、集約化を進めさせていただく疾患でございますが、京大病院の総合力を活用し「骨・軟部腫瘍、脳腫瘍を中心とし、他施設で集学的な診療が困難な小児がん」「再発・難治性腫瘍」「同種・自家造血細胞移植を要する疾患」「臓器移植を要する症例」等を中心に集約化を進めていきたいと思っております。現在、そのような症例は入院症例の約半数を占めております。
 今後の集約化に伴い、小児科病棟、京大がんセンター病棟にさらに10床程度の病床の確保を予定いたしております。あわせて、地域専門施設と連携して集約化を担保していきたいと考えております。
 5枚目のスライド、思春期患者への診療体制でございます。
 京大がんセンターの成人診療各科と連携するとともに、京大がんセンター病棟に先ほど申し上げましたように小児科病床を配置しておりまして、思春期患者への対応の充実を図っております。
 さらにがんサポートチームによる実践、AYA世代の交流、勉強の場を準備中でありまして、思春期患者へのシームレスな診療体制の拡充を図っております。
 次のスライド、6枚目です。
 地域医療機関との連携のもと診療する疾患・病態でございますが、先ほど申し上げさせていただきました集約化する疾患が中心にあるものと思います。
 京大病院におきましては、高度な専門性を有する診療科、部門のもと、集学的がん診療が可能でありまして、あらゆる小児がん診療において最終的な受け入れ機関となっております。
 次のスライド、7枚目、地域内医療機関との連携でございます。
 資料に記載の近畿ブロック全ての府県に位置する中核病院との緊密な連携実績を重ねております。京都府立医科大学や、その関連病院とも患者のやりとりを含めて非常に密接な連携実績がございますし、今後も協力いたしまして、小児がん医療ネットワークの構築に邁進していきたいと考えております。
 カバーする予定地域といたしましては、資料にお示ししますとおりでございます。
 8枚目のスライド、長期フォローアップでございますが、京大病院小児科におきましては、通常の小児血液・がん専門外来とは別個に、長期フォローアップ外来を行っております。
 思春期以降の晩期合併症についてですが、まず二次がんに対しましては京大がんセンターと連携、それ以外の晩期合併症に関しましては、院内各診療科と連携して長期フォローアップの質の担保に努めております。
 また、遠隔地にお住まいの方などに対しましては、長期フォローアップ指定病院であるとか、地域連携医療機関といったあたりを中心に長期フォローアップの充実に努めております。
 小児緩和ケアでございますが、京大がんセンターがんサポートチームを中心に行っております。がんサポートチームは資料に記載の職種から構成されておりまして、小児科、小児病棟と密接な連携のもと実績を重ねております。
 予後不良症例ばかりではなくて、症状緩和、心理的サポートを要する症例の対象実績を重ねております。
 今後、小児専門看護師や臨床心理士を加えた小児に特化した小児緩和ケアチームを編成いたしまして、院内ばかりではなく、ブロック内の小児緩和医療体制に貢献していきたいと考えております。
 10枚目のスライド、チーム医療でございます。安全・安心・機能回復に配慮したチーム医療を行っております。
 薬剤師ですが、京大病院では既に病棟薬剤師が配置されておりまして、通常の薬剤管理ばかりではなくて、患者家族への説明、指導も行っております。
 また、作業療法士は高次脳機能障害等の高度なリハビリにも対応できる体制を整えております。
 看護師に関しましても通常の業務に加えて、患者家族が抱えておられますいろいろな問題を抽出して、各専門職へのコンサルト、統括を行いまして、患者家族にとって必要なケアが十分に行える体制を整えております。
 11枚目のスライド、人材の確保でございますが、京大小児科連携病院であるとか地域連携医療機関との活発な人事交流を含めております。
 診療経験の年数に応じまして、入門、養成、強化の3つの小児血液・がん専門医研修プログラムを実践いたしております。
 協力関係にある医療機関でございますが、京大小児科連携病院とか、全国のいろいろな病院と協力関係にございますし、実際、国立がんセンターとか聖路加病院からの医師の受け入れもございます。
 京大病院はあらゆる小児がん診療において最終的な受け入れ機関でありまして、包括的な診療・教育が可能でございます。
 12枚目のスライド、医療従事者の育成でございますが、小児がん診療を担うのに必要な多種の専門医を既に配置しておりまして、包括的な教育ができるようになっております。
 前述させていただきましたように、医師に関しましては診療経験の程度に応じた柔軟な研修プログラムを実践しておりますし、学会、研究会への参加、発表、論文作成等の指導ももちろんのこと行っております。
 また、3カ月、6カ月、1年、2年とニーズに応じた柔軟な研修期間の選択を可能といたしております。
 受け入れ実績でございますが、この3年間で約10名。今後、平成25年度には3名、26年度には4名の希望者がございます。
 小児専門看護師の配置ももうすぐでございます。
 13枚目のスライド、復学支援についてですが、入院中の患者さんにつきましては、院内学級カンファレンスを月1回行い、病状であるとか、生活・学習状況について情報交換をいたしております。
 退院予定者に関しましては、復学に向けた問題を抽出して検討いたしております。退院が決まりますと、復学先学校の教師とともに症状であるとか学校生活での注意点などを話し合って、問題点に関して解決を図って、復学支援が順調に行えるように施行しております。退院後も小児科外来であるとか院内学級を通して復学状況のフォローアップをいたしております。
 また、ウェブを活用して復学先学校との交流を行って、復学支援をより強固なものといたしております。
 14枚目のスライド、病棟保育士による発育支援、環境整備、小児科専属臨床心理士による心理的支援に重ねまして、遊びの提供といたしましてボランティア団体による「にこにこトマト」、ホスタピルクラウンの活動実績を重ねております。
 施設面といたしましては、プレイネームはもちろんのこと、兄弟と過ごせる面会室整備であるとか、図書コーナーの整備であるとか、この一角に近々AYA世代に対しての部屋も開設する予定でございます。
 長期宿泊施設ですが、京大病院の近辺に既に位置する芝蘭会館宿泊施設とか京都ファミリーハウスが稼働いたしております。この施設は1日2,000円程度の比較的安い料金で御利用いただけることが可能です。集約に伴い、さらに宿泊施設の必要性が高まりますので、今、京大病院に隣接するマクドナルドハウスの設置を予定いたしております。
 16枚目、患者相談、情報提供についてですが、京都がんセンターがん相談支援室は小児がんの相談にも対応しておりまして、対応実績を重ねております。
 また、小児科外来病棟の看護体制は一本化されておりますので、看護師による継続的看護が可能で、充実した患者相談、情報提供が行えております。また、小児がん患者団体との連携も密でございます。
 17枚目、臨床研究への参加状況ですが、JPLSGにおける主要な臨床研究に全て参加いたしております。また、京大小児科の多くのスタッフが各種委員会の委員長であるとか、委員を務めておりまして、その運営、臨床研究立案実施に深く関与いたしております。また、中央診断等にも深く関与しておりますし、固形腫瘍に関しましても、臨床研究に積極的に参加、各種委員も務めております。
 18枚目のスライド、京都大学における臨床研究実施体制でございます。京都大学は、臨床研究中核病院に指定されておりまして、臨床研究中核病院としてアカデミックリサーチオーガニゼーション機能を整備し、小児がんを含めた臨床研究を支援する機能を強化して、ますます小児がんに対する臨床研究を推進していきたいと考えております。
 最後のスライド、継続性でございますが、既に京大がんセンターの一部として小児がんユニットが位置づけられています。今後、小児血液・腫瘍科への発展も予定いたしております。
 また、多くの小児血液・腫瘍スタッフによる診療・指導、研修プログラムの継続を行い、小児血液・がん専門医研修施設として、次世代の人材育成に大きく貢献いたしたいと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○事務局 御発表ありがとうございました。
 質問をお願いいたします。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは3点ございます。
 まず1点目が7ページでございます。「地域(ブロック)内医療機関との連携」ということで、具体的な病院名を挙げていただいているかと思うのですが、いわゆる大学病院ということですと、関連病院との連携ということがもちろんあるかと思うのです。いわゆる関連病院以外の施設との連携も、もし仮に拠点病院に指定された場合は必要になってくるかと思いますが、そういった施設との今後連携の広めていかれる方向性みたいなものについて、もしお考えがあればお聞かせいただければというのが1点目でございます。
 2点目が、京都府立医科大学と連携されているということが先ほどの御発表の中であったかと思うのですけれども、その連携されている具体的な内容というか、もし役割分担というものがあれば教えていただければと思います。
 最後3点目で、15ページの宿泊施設のところで、マクドナルドハウスが設置予定と御発表いただいていたかと思うのですけれども、完成はおよそいつごろの予定であるかということと、現状マクドナルドハウスができるまでとなりますと、現在の施設で2,000円と料金が書かれていますが、現在申請されているほかの施設と比べると若干割高な設定となっているかと思うのですけれども、その負担軽減等についてもしお考えがあれば教えていただければと思います。
○京都大学医学部附属病院 まず第1点目の質問でございますが、もちろんここで書かれております病院といたしましては、先生がおっしゃったような病院が中心でございます。これは第2点目の質問と関係するのですが、例えば京都市内の府立医科大学の関係病院からの患者のやりとり、御紹介もございますし、近畿各県のいわゆるここに記載されていない病院からの患者さんの受け入れとか、相互の患者さんのやりとりというのも実際ございますし、そういったことに関しては可能でございます。
 府立医科大学との関係でございますが、これは後ほどの府立医科大学の先生もおっしゃることになると思うのですけれども、いわゆる京大と府立医科大学は例えば研究会とか、そういったことを定期的にやっておりますし、そこで非常に患者さんのやりとりであるとか、患者さんの相互の紹介であるとかをやっていますので、既に京都府立大学とそういう形で同じ土俵に乗って、診療したり患者さんの相談をしたりとか、各病院の特徴を生かしながら、どういう形で治療をすればいいのかとか、お互いの病院とも全ての診療ができると思うのですが、やはり各々の特徴を生かした患者さんへの診療の対応が可能かと思っております。
 第3点目のマクドナルドハウス等のことですが、まず料金が2,000円程度と書いていますけれども、一番高いところを書いていて、低いところは1,000円くらいで借りられる施設もございます。ただ、ここで間違ったことを申し上げても困りますので2,000円と書かせていただきましたが、最高2,000円で最低1,000円くらいから提供いたしております。
 マクドナルドハウスに関しては、まだ病院の実行として十分事務方ともお話をしなければならないのですが、この建物というのが、実際ある企業が持っている建物でございまして、そこを建てかえて全て京大のほうで使っていただいていいという提案をされております。そこの中にマクドナルドハウスの担当者の方に来て見ていただきまして、その中で十分できるだろうという形で今、話を進めているところでございます。
 以上でございます。
○京都大学医学部附属病院 追加が2点ございまして、1つは京都府立医大様との連携ですけれども、がん拠点病院に全国の都道府県でただ一つだけ2つの大学が指定されておりまして、うちは放射線のほうを特に一生懸命にやっておりますし、府立医大様もいろいろなレベルの高い診療をされていますけれども、特に緩和医療が非常に充実しておりますので、その辺の役割分担をして、いわゆる府政に貢献しております。
 マクドナルドの件ですけれども、大体2年か3年先になると思いますが、今、準備を進めている段階です。
○事務局 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 京大のがんセンターというのがちょっとよくわからないのですが、これは建物があって、その中に小児科があるというのとは違うのですか。
○京都大学医学部附属病院 建物が積貞棟と言いまして、任天堂の山内さんから寄附された建物が主にがんセンターという実態でございます。その中に血液内科の病棟もあるのですが、その血液内科の中に小児科のベッドを確保しております。
○石井構成員 それと小児科の関係というのはどういうことですか。
○京都大学医学部附属病院 小児科の医師がそこに行って、小児科の診療をする。小児科の病床は小児科の病床で別個にありますし、京大病院では、血液内科だけではなくて、ほかの内科の病床の中に、どうしても15歳以上の患者さんを小児科で抱えますので、そういった方の診療体制をきっちりさせるために、内科の中に内科病棟の混合病床としてではなくて、小児科のベッドとしてベッドを確保してしまおうと。しっかりここは小児科であるということを担保いたしまして、医療スタッフ、看護師も含めまして、その病床は内科系の病床なのだけれども、そこには小児科のベッドがあるのだという意識にきっちり変えていただいて、小児に対する医療の質の担保と言いますか、向上に努めているという形でございます。ですので、名前だけではなくて、実態があるということでございます。
○京都大学医学部附属病院 少しだけ補足なのですけれども、がんセンターの中には、幾つかのユニットがございまして、例えば前立腺とか肺がんとか、それぞれの疾患に対して診療科が集まってユニットをつくっているのです。そのうちの一つに小児がんユニットというのがありまして、結局そういう診療科を横断した形で診療ができる体制を整えています。例えば、小児の脳腫瘍のユニットというものがあるのですけれども、これは小児脳腫瘍外来というのをやっていまして、実際にその外来には小児科医と放射線治療医と脳外科医がブースを並べて外来をするという体制を整えています。
 ですので、そういう形をとることで、京大病院のほかの科との連携が非常にスムーズにいく体制を整えていまして、こういう小児がんユニットががんセンターの中にあることで、例えば思春期とかAYA世代の患者さんも、大人と子供と切れ目なく診療できるという体制をとっています。
○事務局 垣添座長、お願いします。
○垣添座長 私も京大と京府大の連携に関してお尋ねしたいのですけれども、先ほどの御説明からすると例えば京大が得意とされる放射線治療に関して、京府大のほうから患者さんが紹介されるとか、あるいは京大の小児がんの患者さんが緩和医療に関して京府大に紹介されるとか、そういう実績はおありですか。
○京都大学医学部附属病院 実際、京大の中での放射線治療とかそういう形で府立大の関係病院から来られる患者さんもいらっしゃいます。実績はあります。もちろん全ての患者さんではありません。ただ、そういう実績もありますし、お互いのやりとりというのも実際、患者さんを通してあります。
○京都大学医学部附属病院 今のことにちょっと補足です。実際には府立大の白血病の患者さんが我々のところに造血幹細胞移植、骨移植目的で転院してきていただいて、治療している症例が過去複数例ございます。
 このネットワークに関しては、がん拠点病院という構想が始まる以前から、特に白血病、リンパ腫に関しては各地区の関連病院、京大と府立医大の関連病院の若手の先生も含めた研究会というのを既に数年前から始めておりまして、そういう意味で府立医大さんとはコミュニケーションは非常に良好に保てるものと思っております。
○垣添座長 小児がんの患者さんというのはそんなに数は多くないですから、京都という狭い地域で京大と京府大どちらも拠点病院に手を挙げられることが、若干私は気になるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○京都大学医学部附属病院 先ほどの具体的なやりとりについてなのですけれども、先生におっしゃっていただきましたが、京都大学の放射線はかなり高度な照射装置がありますので、実際、府立医大の患者さんで例えば脳腫瘍とか、あるいは脳に転移した患者さんが京都大学で手術と放射線を行って、府立医科大学で化学療法を継続していただいた症例もございます。
 固形腫瘍に関しては、府立医大さんのほうが神経芽腫を中心に横紋筋肉腫などかなり実績を積んでおられまして、我々の患者さんでも実際に転院はされなかったのですけれども、セカンドオピニオンとか症例の相談という形で相談をして、連携しながらやっています。
 ですから、そういう形で2つの施設とも小児がん全般に関してかなり高度な医療ができるのですけれども、若干今までの実績ですとか、得意とするところが違ってきていますので、そういうところですみ分けて連携していければと考えております。
○京都大学医学部附属病院 今、座長がおっしゃったことは非常に大事なことだと思います。どちらが選ばれてもいいのです。変な言い方ですけれども、もし京大が選ばれなくても、こういう協調型の小児がん医療は今までどおり府立医大と連携してどんどん前に進めていくつもりであります。
○事務局 最後に山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 御発表ありがとうございます。
 私から、3点ほどお伺いさせていただきます。
 1点目は、地元の行政との連携協力体制についてです。現在、あるいは今後の小児がんに関する連携協力体制について御教示いただけたらと思います。
 2点目ですが、既に議論になっていますが、現時点で連携がとれていなくて、(集約化に向けて)今後連携すべき病院があった場合、どのように連携あるいは連携強化を図っていくべきなのでしょうか。具体的な手法等についてもし御意見等があれば御教示いただけたらと思います。
 3点目ですが、今回近畿ブロックでは5病院がヒアリングを受けます。優れた病院ばかりでどこが選ばれてもおかしくない状況だと思います。先ほどお答えがあったかとは思いますが、仮に京都大学病院が選定されなかった場合であっても、しっかり連携協力体制を図っていただきたいと思いますが、もう一度この部分について御説明いただけたらと思います。
 以上、よろしくお願いいたします。
○京都大学医学部附属病院 まず行政についてですが、今、小児科医に特化したという形で御質問があったのですが、全般的な形ではもちろんがん拠点病院とかそういう形で連携しているし、京大病院の運営の監査委員として京都副市長とかも入っていて、そういう全体的な連携がございます。その中で、小児科医に関するような問題が出てきたときに、そういうパイプを使って連携していくとともに、今、京都府の小児科の医師会長が小児科医の先生でございますので、そういった形を通して行政側のほうにパイプをつないでいただいてとか、そういった形で連携いたしております。
 2点目がほかの病院との連携の形でございますが、先ほどお話がありましたように、近畿地区、京都地区におきましては、そういった研究会というのを非常に和気あいあいとやっています。その中で患者さんが、どこで診療を受けたらいいだろうという形でディスカッションを通して話を進めまして、そういったところの病院との連携、患者さんの受け入れというのもありますし、繰り返して申し上げますが、府立に対しても京大からの患者さんが行っていることもありますし、府立の関係病院から私どものほうに入院されている患者さんも実際いらっしゃいますので、相互に非常にいい連携が保てていけると思っています。
○京都大学医学部附属病院 追加なのですけれども、先ほど申しましたように、もし選定されなくても、府立医大との連携を初め、小児がん診療には貢献していきたいと思います。
 やはり、小児がん診療のプロジェクトというのは、地域の医療の充実というのも非常に大事なミッションですけれども、全体の小児がん診療のレベルをより高めていくのも大事なミッションでないかと思います。そういう意味で京都大学は、先ほど申し上げましたように臨床研究中核病院になりまして、新しい海外に発信できるような臨床試験の体制の充実とか、創薬の迅速化。今、京大の中にもいわゆるデルタ細胞とか、そういう小児がんの免疫療法に寄与するようなシーズもございます。
 それと放射線です。いわゆる追尾型の放射線装置と言いまして、体が動いてもそれを予測して追尾するような機器を開発しておりますので、そういう意味で小児がん診療全体の発展には貢献できるのではないかと思っています。
○事務局 先ほどは失礼いたしました。小俣構成員、お願いいたします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 1点だけ相談支援に関してでございます。
 がん相談支援室がそちらにあるということですけれども、その発症から長期フォローアップまで、相談支援ということではどのような仕組みになっておられるのか。具体的なことをお伺いできたらなと思います。よろしくお願いいたします。
○京都大学医学部附属病院 ありがとうございます。
 平家教授のプレゼンにも示させていただいたように、がん相談室にパンフレットを置いたりとかをしているのですけれども、実際には患者会と一緒にキャンプとか、つい先日は次の府立医大さんの患者会の方も参加していただいた市民公開講座。がん臨床研究のほうで厚労省から私が研究代表者でお金をいただいているのですが、それで市民に対する公開とか、そういうところに実際に患者経験者の方とか、いろいろな医療従事者の方に来ていただいて公開講座でも報告はしております。
 実際にそういうところに地域医療ネットワークの方も参加していただいていますので、府立医大さんと一緒にやっているのですけれども、YMCAのキャンプとか、患者会のキャンプも年合計3回ほどやっております。そういうところを通じて毎月の定例会とかで情報発信とか報告会とか、こういうところに相談したらこういうシステムがあるんだよということはしっかり情報発信させていただいております。
○小俣構成員 ありがとうございます。患者会についてはよくわかりました。院内で治療中だったり、あるいは退院後の患者さんに関しての相談支援の仕組みについて教えていただければと思います。
○京都大学医学部附属病院 先ほど平家からも報告がありましたけれども、病棟と外来が一体化しておりますので、実際に看護婦さんが病棟のときも担当ナースがありますし、外来のときもそういった要フォローの患者さんに関しては、外来の看護師のほうで担当ナースを決めておりまして、そういうところに例えば外来の心理療法士の方とか、先ほど申し上げた地域の医療ネットワークの方が入っていただていて、フォローに関しては一体化した、要するに病棟と外来が途切れない形というところのシステムを既に確立しております。
○事務局 京都大学医学部附属病院の皆様ありがとうございました。
 続きまして、京都府立医科大学付属病院の皆様、御席に移動のほどお願いいたします。
(京都府立医科大学付属病院関係者着席)
○事務局 細井先生、よろしくお願いいたします。
○京都府立医科大学附属病院 よろしくお願いいたします。本日は私どもの小児医療センター長で、大学の附属病院長でもある三木も同席しておりますので一緒に発表させていただきます。
 まず、私どもの小児がん診療の特徴を最初のスライドでまとめております。京都府立医科大学の小児医療センターは、本学附属病院に従来よりありました小児病棟と、昭和57年に本学の敷地内に別途建設されました「こども病院」を昨年統合、新設した整備でございまして、私どもは京都府のがん診療連携病院でございますけれども、その中に小児がんに特化したスタッフ、設備を備えた小児医療センターということで建設をされております。そこで我々は「大学病院」と「こども病院」の利点を生かした小児がん診療を行っております。
 スライド2枚目、集約化を進めていく疾患・病態でございますが、当施設ではそこにありますように、神経芽腫と骨・軟部腫瘍、特に横紋筋肉腫と骨肉腫、高リスクの造血器腫瘍の診療と研究を特に推進しておりまして、これら3種の小児がんの集約化を今後も進めていきたいと考えております。
 次に3枚目、当施設で再発・難治症例をどの程度診療しているかでございますが、スライドの左の図のように、年間のべ平均250例ほどの固形並びに造血器腫瘍患者の入院がございまして、再発・難治症例が約半数を占めております。
 右には再発の副腎皮質がんなど、他の施設で治療後再発されて当施設で受け入れている例の一部を挙げております。
 次に4枚目、集約化した場合、病床が足りるのかということでございますが、スライドの左にお示ししておりますように、小児医療センターの病床に加えまして、難治例が少なくない思春期がん患者さんには、附属病院の成人病棟や来年開設予定の緩和ケア病棟を含めまして、最大同時に110名程度の受け入れは可能と考えております。右の写真のように外来化学療法センター、小児緩和ケア外来でQOLを重視した在宅医療も行っております。
 5枚目、思春期のがん患者の診療体制でございますが、左下の青の四角の中に記載しておりますように思春期の造血器腫瘍は血液内科、思春期の固形腫瘍は関係専門外科と連携しておりまして、化学療法は小児科が主体で行っております。また、男性不妊、妊孕性低下、心のケアなどにつきましても、治療前から関係する医療スタッフ全員が参加するキャンサーボードで、関係成人科、その他医療者と検討計画に当たって実施しております。
 6枚目、地域医療機関と連携して診療する疾患でございますが、京都府立医科大学には右のピンクの四角にありますように、小児がん診療の専門医が多数おりまして、自施設で十分な診療経験のない疾患というのは特にございませんが、標準リスクのがんは本学から専門医を常勤医として派遣している、例えば舞鶴医療センターなど左に示す4地域医療機関病院で治療をしております。我々はこのネットワークで、右下の黄色四角にお示ししておりますけれども、年間新規に造血器、固形を合わせまして70例程度の腫瘍患者を治療しております。
 7枚目、カバーする地域でございますが、関西地区を中心に北陸も含めまして8府県から患者を受け入れております。今後、カバーする地域につきましては、これらの府県に加えまして、患者さんが京都府の病院に直接来院されることも多い奈良県も含めてカバーは可能と考えております。
 8枚目、長期フォローアップの具体的な方法につきましては、我々のオリジナルである長期フォローアップカルテ、通称「10年カルテ」と「思春期記録カルテ」これは昭和50年から活用して右のように本学のほぼ全診療科部門と連携を行っております。
 晩期合併症の対応につきましては、例えば妊娠年齢の女性サバイバーでは、下段の青四角に記載しておりますように、産婦人科と連携して無事健康な赤ちゃんを出産されたという例も複数経験しております。
 スライド9枚目、長期フォローアップと地域医療機関との連携ですが、先ほどの「10年カルテ」を用いまして、地域の医療機関と連携して、そこでは月1回から年数回程度、大学の小児医療センターでは年1回から2回のフォローアップを行っております。左下のように行政と連携して健診や予防接種、在宅治療支援は、本学から医師を派遣している地域の保健所などで行っております。また、右下のように、当院では全国のどこの施設で治療を受けた患者さんでも対応する「小児がん経験者のための相談窓口」を開設しております。
 10枚目、当院では来年、小児専用病床のある緩和ケア病棟が完成し、より専門的な緩和ケアの提供が可能となります。終末期のみでなく、初診時から定期的なカンファレンスを行い、患者、家族も含めた全人的な緩和ケアを以前より実施してまいっております。
 緩和ケアチームへのコンサルテーション方法は、左の図のように、あらゆる職種、患者、家族からの依頼に対応が可能でございます。
 11枚目、当院では小児がん診療を専門とする多様な職種が連携してチーム医療を行っておりまして、それぞれの専門職の果たす役割はスライド下段にお示しするとおりでございます。
 スライド12、小児がん診療を担う人材の確保ですが、左の図にありますように京都府立医科大学は、近畿では7名しかいない日本小児血液・がん学会認定の小児がん認定外科医を3名有しております。そのほかにも小児がん診療の指導医、専門医が多数おりまして、屋根瓦方式の教育システムにより、層の厚い継続的な小児がん専門医の育成と人材確保が可能となっております。
 具体的な方法ですが、右下に示しておりますように、卒後3年目から5年目の医師には小児がん研修コースで実践を、卒後5年目以上の医師には小児がん専門医研修コースで基礎、臨床研究を行わせみずから治療計画を立案、実践でき、地域で小児がん診療の指導者となれる人材の育成を行っております。
 自施設での診療経験が乏しい疾患というのはございませんが、医療機関との協力、人事交流としましては、スライド右の中ほどにお示ししているような例もございます。
 次に13枚目、地域で小児がん診療を担う医療従事者の育成についてですが、京都府立医科大学ではさきのプログラムに基づきまして、出身大学を問わず全国から例年10名前後の若手医師の研修受け入れの実績がございます。今後、年間計20名程度までの受け入れは可能と考えております。
 14枚目、患者の教育に関する環境整備につきましては、退院時の院内学級での前籍校の教師、両親らを含めたカンファレンスによる復学支援ももちろん行っております。
 スライド15、患者の発育及び教育を支援する専門職といたしましては、保育士7名、臨床心理士2名、社会福祉士2名が在籍しておりまして、発達段階に応じた遊びの提供や心理・社会的な支援を行っています。
 センター内のプレイルームや空中庭園では、親の会やNPOなどのボランティアの協力を得まして、四季折々のイベントやコンサートなどが開催されております。
 スライド16、長期宿泊施設など家族への支援でございますが、本学小児医療センターには無料で利用できる家族用宿泊施設が5部屋完備されております。また、小児医療センターより徒歩1分から15分の立地に、一泊1,500円から宿泊できる長期宿泊施設も14室ございます。その他行政が援助する宿泊施設も近隣にございます。なお、我々の小児医療センターでは家族が24時間面会、付き添いが可能となっております。
 次に17枚目、がん相談支援・情報提供体制でございますが、当院ではがん相談窓口を設置し、看護師、社会福祉士、臨床心理士の3名が全国からの相談をお受けしております。既に小児がんの相談にも対応しておりまして、小児科領域に関する専門的な知識を持つ社会福祉士が相談を担当しております。きょうも同席しております。
 また、患者御本人、御家族からのセカンドオピニオンと、全国主治医からのメール相談を合わせますと、最近3年間で180件以上の相談を受けております。
 スライド18、小児がんに関する情報提供でございますが、左の写真に当施設の医師が患者向けの書籍、医療者向けの小児がん診療のための教科書を多数執筆している例をとっております。
 また、患者団体の連携につきましては、親の会の代表に小児がんサロンに世話人を依頼し、患者家族の声を生かした運営を行っております。患者会が発行するガイドブックの作成や、病児と兄弟を対象としたキャンプの開催にも協力しております。
 小児がん経験者の市民公開シンポジウムでは、社会人となった経験者が講演をしてくれたり、あるいは闘病中のAYA世代の患者自身が入院中の年少の患児の勉強を教える塾を開いてくれたりと、ピアサポートもございます。
 19、臨床研究への参加状況ですが、当施設はほぼ全ての我が国の小児がんの多施設共同研究に参加しておりまして患者を登録しております。また、それだけでなく当施設の医師がそれらの臨床試験を主導し、そこで主要な役割を演じていることを左に示しておりますけれども、これはほかに例を見ない特徴と考えております。右には我々が行っているトランスレーショナルリサーチの例を挙げております。
 最後の1枚でございます。我々は西日本で唯一の「大学病院併設こども病院」の利点を生かした小児がん診療を今後ますます発展させていく所存です。今後も学生・研修医のときからの長期的で継続性のある小児がん専門医の育成と人材の確保を図ります。
 小児科学教室があり、小児科学教室には独立した小児腫瘍・血液部門に医師スタッフが6名配置されておりまして、地域と連携した継続的な小児がん診療の提供が可能です。臨床試験を推進し、小児がん診療体制をさらに発展させます。骨・軟部腫瘍を集約化しサルコーマセンターセンターの設置を目指します。トランスレーショナルリサーチを推進し、世界に向けて情報を発信し、我が国はもとより、全ての小児がん患者とその家族に貢献できるよう尽力するつもりでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問はいかがでしょうか。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは3点ございます。
 まず1点目でございますが、6ページから7ページにかけて地域医療機関との連携について御説明いただいたと思います。これは先ほどの京都大学さんと同じ質問になってくるのですが、まず一般的に大学病院で関連病院との連携というのがあると思いますが、関連病院以外との連携を今後どのように確立していくかについて、もしお考えがあればお聞かせいただければというのが1点目でございます。
 2点目は、これも先ほどの質問と同じになるのですが、先ほど京都大学さんのほうから京都府立医大との連携についてお話をいただいたのですけれども、京都府立医大のほうで京都大学との連携についてもしお考えとか現状のことについて教えていただければと思います。
 3点目でございますが、4ページのほうで新設緩和ケア病棟に7床の小児専用病床を設置予定ということですばらしいことだと思うのですが、これに関連して現状の緩和ケアチームとしてのケアの体制はどのようになっているかということについて、詳しく教えていただければと思います。
 私からは以上でございます。
○京都府立医科大学附属病院 質問ありがとうございます。
 まず、地域医療機関との連携の仕方でございますが、私どもは患者をやりとりするだけではなくて、そこに常勤医、小児がんの専門医を派遣して、そこでもできる治療はそこでできるようにというのは、歴史もございまして既に確立しております。それの関係病院がスライド7にございます。
 関係病院以外との連携ですけれども、これは近畿圏内だけでなく、全国にまたがるのですが、いろいろなトランスレーショナルリサーチ、遺伝子診断とか検体をいろいろ送っていただいて、その結果を返すだけではなくて、そのときにいろいろ治療相談を受けておりまして、そういう形で全体の底上げと言いますか、医療レベルのアップに貢献しているつもりでございます。
 京都大学との連携でございますけれども、京都大学とは先ほども申したように非常に良好な連携はできていると思いまして、特に小児医療センターが昨年の秋にできるまで4年間実は大工事がございまして、その間、患者様には大変御迷惑をおかけしたのですが、そのときに京都大学の先生方には大変助けていただいて感謝しております。
 御発表になっておられた平家先生、足立先生、渡邊先生が大学で小児がん診療を始められる前から私どもはやっておりまして、そのときからいろいろ情報提供したり、教えられることはお教えしたりして仲良くやってきたつもりですので、今後もそういう形で連携病院として京都府、あるいは北陸、滋賀県も含めた小児がん診療の充実を図っていきたいと考えております。
 緩和ケアチームの体制ですけれども、それにつきましては、緩和ケア病棟は来年できるということで、現在建設中なので詳細な看護体制等は今後決定されていくと思うのですが、現在の草案としては、がん疼痛認定看護師がおりますのでそれが中心となりまして、小児看護の経験豊富な看護師、保育士による看護が行われる予定ですし、そのための人員確保もされる予定でございます。
 在宅の緩和、訪問看護というのは、私どもから小児科医で地域の保健所に技官として勤務しておる者がおりまして、その者が地域ごとで患者さんの親御さんとか、退院した方のまとめ役で集めて会を開いてくれたりとか、そういう形で連携をしております。
 3つ目の質問については、当院の臨床心理士の森田からお答えします。
○京都府立医科大学附属病院 がん相談を社会福祉士として担当しております森田です。緩和ケアチームにも所属しておりまして、週1回の緩和ケアのカンファレンスに参加しています。
 がん相談については、診断前からでも幾らでも全国から御相談をいただけるところになっておりまして、どんなふうに病気を受けとめて子供さんに話していくといったところあたりから長期フォローまでの御相談を受けています。
 緩和ケアチームの中での役割としましては、そういった病気の初期からのかかわりについての情報提供をさせていただいたりとか、私自身は社会福祉士ですので、地域の社会福祉資源についての情報提供であるとか、私個人としては患者会での活動の経験などがありまして患者会の方の紹介とか、経験者の紹介などといったことをさせていただいて、心理的なサポートということにつなげること。
 それともう一人がん相談の中で心理士がおりまして、やはり緩和ケアの段階になりますと精神的にもサポートが必要になってきますので、心理士のほうが精神科のサイコオンコロジーのカウンセリングなども手がけていますので、必要な方にはそういったカウンセリングを提供することもできます。
○事務局 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 京都府立の場合は固形腫瘍で日本のリーダー的な存在だと思うのですけれども、一方で造血幹細胞移植は従来は外の病院でやられていて、学内でやられていなかったと思うのですが、今後はそれについてどういう方向性でやられるのかということが一つ。
 もう一つは確かに、6ページにありますように、小児がんの専門の先生が各地域に行って各地域で治療をされるというのは非常に理想的であると思うのですが、その一方で看護師さんとかが、症例数が非常に少ないとなかなか経験が積めないのではないのかなと思うのです。その辺を含めてどう考えられているかを教えてください。
○京都府立医科大学附属病院 まず血液腫瘍を余りやっていないのではないかという御質問であったかと思うのですけれども、これまでは松下記念病院とか京都市立病院で造腫の骨髄移植をやっていた経緯はそのとおりでございますが、昨年の11月に小児医療センターができて、そこに骨髄移植ができる2床の無菌ルームができてということで、松下病院で20年間で109例ほどの造腫骨髄移植の経験があるのですけれども、そこで部長、リーダーをしていた者をことしの4月から大学のスタッフに戻しまして、この3月から既に5例行っています。年度内の3月までにさらに4例の予定がございまして、そのうち2例はバンクドナーでございます。
 そういったことで、これからは私どものところで関係病院に行かなくても全部できると考えておりますし、決して造血器疾患ができていないわけではなく、何でもできると申し上げても過言ではないと思います。
 地域の看護師の状況ですが、京都というのは日本海まで突き抜けておりまして、近隣には福井県がございますけれども、京都府の与謝の海病院というのが今度附属病院化されまして、そこには看護学校がございます。そういったところで医師と同じような高度な教育をして、専門性の高い看護師を育てていくことが可能だと思います。高度な技術が要るものはもちろん大学に来てやりますけれども、標準リスク部門に関してはそこに行った専門医が指導して、実際今、スタンダードリスクのロイキン2などは舞鶴等でも治療しておりますし、そういう形で現実的に可能かと。患者さんが遠く離れて家族が散り散りにならなくても、最寄りのところでスタンダードなものについては治療ができる。そして情報共有ができる。逆に高度なものでも退院になれば、最寄りのところでフォローアップをして、年に1~2回程度だけ大学に来てもらうとかはこれまで十分実践できていますし、今後もそれは拠点病院にしていただいた場合にはさらに発展させられると考えております。
○事務局 山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 御説明ありがとうございます。
 私から2点御質問させていただきたいと思います。
 まず1点目は行政との連携協力体制についてです。先ほど人事交流を通じて技官が保健所で会の開催をされるという御説明があったかと思います。それも含めて小児がんに関する普及啓発や患者の支援等いろいろあろうかと思いますが、いわゆる予算事業としてどのようなことをやられているのか、もう少し具体的に御説明いただけたらと思います。
 また「こども病院」が統合されて「小児医療センター」が新設されたということですが、この新設に当たって、独立した腫瘍・血液小児科学部門を設置したということですので、京都府として議会に対する説明の中で府の小児がん拠点病院のような形で整理されたのかどうか、あるいは次期の京都府がん対策推進計画の中に何か記載される予定であるのかといったことについて、御教示いただけたらと思います。
 2点目ですが、病院連携について先ほど御説明があったかと思いますが、京都府立医科大学病院が小児がん拠点病院に選定された場合、あるいはされなかった場合において、今回近畿ブロックでヒアリングを受けた5病院間の連携協力体制について改めてお聞きしたいと思います。
 また、診療のみならず教育支援等も含めてですが、拠点病院が設置されない県、すなわち今回申請がない近畿ブロックの県の病院に対する連携協力体制について、小児がん拠点病院に選定された場合には、どのような形でリーダーシップを発揮して、近畿ブロックにおける質の高い小児がんの医療提供体制を構築していくのか、その意気込みについてぜひ御教示いただけたらと思います。
○京都府立医科大学附属病院 ありがとうございます。
 まず、行政との連携を具体的にということでございますけれども、前は大学で小児がんの患者の主治医をしていたような者が保健所に行ったりしているのですが、そこで専用の相談窓口を開設したり、ピアカウンセラーの養成講座を開いたりとか、保護者同士の交流会を開催したりとか、そういう形で保健所の予算、あるいは京都府の予算を獲得してやっております。
○京都府立医科大学附属病院 附属病院長の三木でございます。
 京都府との関連ということなのですけれども、私は附属病院の院長でありますし、がんセンターのセンター長もやっておりまして、京都府のがん診療連携協議会委員等々をやっておりますが、そのときにやはり京都府との折衝で、今後新病棟を建てるときに小児子供病院ですから、子供病院から小児医療センターにするときに京都府との折衝の中で小児がんに特に力を入れるということで、京都府のほうの施策の中にもそれを盛り込んでいただいておりまして、予算立てもそんなに巨額が出るわけではないのですけれども、そのために特殊な設置設備も一応認可をいただいているところでございます。
 がん診療連携拠点病院としても小児がんを特に、京都府は子供病院をつくっているところから見まして、20年以上も前から特に子供さんの病気には、がんもそうですけれども、力を入れてきた経緯がありまして、今、小児がんが大きな脚光を浴びているということで、京都府もそれは十分に認知されておりまして、府立医大のほうに特に予算をとっているところでございます。
○京都府立医科大学附属病院 あと行政との連携では、長期宿泊者に対して京都府の補助制度もございますし、京都府だけではなくて近隣の滋賀県、福井県の行政の方からも人材派遣の依頼が毎年のようにございまして、応えられるところで応えておりますし、京都府以外の地域とも連携を図っていることを補足させていただきます。
 近畿県内の小児がんをやっている病院は、神経芽腫とか私が特に専門としている横紋筋肉腫といった患者さんで、常に診断治療相談をいただいておりまして、そういう形で既に良好な連携関係が私はできていると思っておりますし、学会等でもアフターで一緒に飲みに行ったりする人間関係もございますし、そういったものを私どもがもし指定していただいた場合は中心になってやっていけるのではないかと思っております。
○京都府立医科大学附属病院 私は小児外科を担当している者ですけれども、小児外科の立場から地域の5病院とか、ほかの病院との関連について申し上げさせていただくと、やはり小児がんの手術の場合は、当然ただ外科医が手術をすればいいというわけではなくて、小児がんに精通した特性をわかった小児外科医が手術をしないと、10年後20年後の患者さんのQOLにかかわっていると思われますので、小児血液がん学会のほうから、小児がん認定外科医という制度が設けられて、そういうところで人材を教育していかなければいけないと思っていますし、実際、地域の5病院を含めて、私どもの外科に関して言いますと手術の相談とかをたくさん受けさせていただいておりますので、もし拠点病院になってもならなくてもなのですけれども、なりました場合、外科に関しましてはリーダーシップをとらせていただいていろいろな相談にも乗らせていただきますし、連携してやっていきたいと考えております。
○事務局 韮澤構成員、お願いいたします。
○韮澤構成員 研修の実施体制ということに関して、卒前研修というのは初めて出てきた文言なのですけれども、貴大学が何か特別な学生に対して、小児がんに関して卒前教育を行っている点があれば御教示いただきたいと思います。
○京都府立医科大学附属病院 私どもは小児がんの患者さんが多数入院しておりますので、ポリクリ等の臨床実習のときには直接患者さんを担当させて、患者さんと接触させております。
 その中で患者さんの生の姿を見て声を聞き、お母さんの声を聞くということが一番の卒前教育だと思いますし、不幸に亡くなられるケースもあるのですけれども、そういうときには霊安室で御焼香を一緒にしたり、お見送りするところまで学生と一緒にやっております。そういったいいところだけを見せて後は地方の病院でではなくて、最初から最後まで見せることで本当に心ある小児がん医療ができる専門医というのを育てることができるのではないかと私は考えております。
○京都府立医科大学附属病院 小児科医の家原と申します。1点補足させていただきます。
 学生ですが、自主的に入院中の小児がんの高校生たちに家庭教師を申し出てくれたりという姿勢も見られますし、講義の中でもそういった子供たちの状況をお伝えするようにいたしておりますので、そういう成果は出ているのかなと感じております。
○事務局 柳澤構成員、お願いいたします。
○柳澤構成員 京都府立医大における小児がん医療の中で、サルコーマセンターを目指すというのはユニークだと思うのですけれども、具体的にどのようなことを構想されているのですか。
○京都府立医科大学附属病院 セカンドオピニオンをやっておりまして一番相談が多いのが思春期の肉腫の患者さんで、なかなか本人には申し上げにくいのですけれども、最初の治療をこうしてればこうならなかったのではないかなという例も結構ございまして、やはり最初のリスク評価と適正な初期治療導入というのが一番の決め手だと肉腫は思います。そこのところを最初から我々のところで治療ができるような思春期、20歳、30歳の方も含めて小児科だけでなく病院全体でサポートして、不幸な方が一人でも減っていくような取り組みができたらということを私は考えておりまして、がん拠点病院という指定をいただいたらそれが追い風になるのではないかと考えております。
○事務局 京都府立医科大学附属病院の皆様どうもありがとうございました。
次に、大阪府立母子保健総合医療センターの皆様、よろしくお願いいたします。
(大阪府立母子保健総合医療センター関係者着席)
○事務局 井上先生、よろしくお願いいたします。
○大阪府立母子保健総合医療センター 大阪府立母子保健総合医療センターです。
 発表は、私、血液・腫瘍科部長の井上が担当いたします。
 きょうは、当センターの総長の福澤、そして、事務局マネージャーの西村が同席させていただいております。
 よろしくお願いいたします。
 私たちの病院は、1981年に周産期医療センターとしてスタートしたのですけれども、1991年に小児部門が増設、開設いたしまして、そこから私たちの小児がんに対する取り組みが始まりました。私たちのコンセプトは、資料の1枚目にございますように、「晩期合併症なき治癒を目指す!」をスローガンにして小児がん医療に取り組んでおります。
 きょうは、御指示いただいた項目に沿って順次説明してまいります。
 2ページ目、再発・難治症例について御指示賜りました。
 再発症例については、特に私たちが強調したいのは、右の造血器腫瘍、固形腫瘍と書かれている中の再発例のうちの紹介数です。要するに私たちの施設で診断から治療を始めたのではなく、ほかの施設で診断、治療が開始されて、再発後の治療を依頼された症例数をそこに記載してございます。
 造血器腫瘍は29例再発症例があるわけですが、そのうちの19例、半数以上が紹介症例で、固形腫瘍は18例のうち6例が紹介の症例でございます。
 難治症例についても御指示賜ったのですけれども、正直申し上げまして、疾患ごとに難治症例の定義が異なりますし、左のほうに造血幹細胞移植数という数字を挙げさせていただきました。
 他の施設の症例数も書かれているのですが、これは日本造血細胞移植学会が公開しているデータなのでここに記載してもよろしいかと考えて書いております。要するに難治性小児がん、あるいは難治性白血病に対して造血幹細胞移植、骨髄移植に代表される治療ですが、これが最も究極の治療という位置づけでございますので、この数字が参考になるのではないかと思い掲載しております。
 2010年の実績を書いていますが、私たちは過去10年の成績でも、実績は日本一の移植数を実施していますので、この治療に関して大変自信を持っております。
 3ページ目、思春期のがん患者の診療体制です。
 Adolescent and Young Adultということで、AYAと表現されていますが、15歳~29歳の白血病、悪性リンパ腫など、小児がんを積極的に受け入れております。ただし、私どもは小児病院・母子医療センターですので、いわゆる5大がんの診療実績はございませんので、その症例に関しては、成人病センター等に依頼しております。
 左下の写真をごらんください。
 全国に先駆けて青少年ルームというものを小児病院に開設いたしました。子ども病院の中で、孤立しがちな思春期、若年成人の患者さんに家庭的な空間、あるいはその年齢に特別に必要とされるようなアメニティをそろえております。
 4ページ目、地域医療機関等の連携あるいは診療する疾患・病態ですが、私たちは先ほどから申し上げておりますように、難治症例あるいは再発症例を得意としておりますといいますか、その疾患群をテーマに臨床研究を行っておりますので、逆に標準リスクの白血病や固形腫瘍の転移のないような症例に関しては、地域の他の医療機関等にお願いする、連携することが可能かと考えております。私たちは難治症例に対する先駆的な治療を担当したいと思っております。
 下の連携実績医療機関は、連携という言葉が適切かどうかわかりませんが、今まで患者さんを私たちが依頼を受けた、あるいは私たちのところから他の医療機関に患者さんの治療をお願いしたような医療機関の名前を列挙しております。
 5ページ目、地域医療機関との連携その2ですが、私たちは大阪府のがん診療連携協議会、これは大阪府の組織ですけれども、その中の小児・AYA部会を担当させていただいています。
 また、大阪府が認定する大阪府の小児がん診療拠点病院の認定をいただいております。横におります福澤は近畿小児がん研究会の代表世話人でございます。
 また、小児がん・白血病ホットラインという医療者を対象とする24時間体制で相談を受ける窓口を開設しておりまして、電話があれば適時、症例の受け入れ、アドバイスをするようなシステムを構築しています。
 下の写真は、第34回近畿小児がん研究会、ことしの春ですけれども、私たちが主催した研究会で患者さん、患者さんの御家族も含めて医療者のみならず、AYAに対する取り組みということで、アメリカのオレゴンから専門にされているレベッカ・ブロック先生をお招きして講演会も開催いたしました。
 6ページ目、これも連携にかかわる話題ではあるのですけれども、少し地域という枠から外れてしまいますので、ここにこういうデータをお示しするのが適切かどうかわからなかったのですが、いかに私たちが日本全国から患者さんを受け入れているかを御理解いただきたく、この図をお示しします。
 他府県からの紹介症例が95人。要するに30%、約3人に1人の患者さんを他府県から受け入れている。その多くの患者さんが移植を行っているような患者さんでございます。要するに難治症の小児がんの患者さんでございます。
 7ページ目、長期フォローアップ外来は、血液・腫瘍科、消化器・内分泌科が協力して行っております。
 他府県在住者の患者さんの場合には、ふだんはその地域の医療機関に診療をお願いして、私たちは年に1回の長期フォローアップ外来で評価をして、方針を立て直して、またお願いするということをしております。
 晩期合併症によっては、成人後、必要に応じて内科専門外来を紹介していますし、院内で対応可能な専門外来でも対応しております。
 年令階層別患者数は右の棒グラフをごらんください。
 15歳~19歳、20歳~24歳、25歳~30歳も相当数の患者さんを見ております。ただ、本人さんは大人になりますと小児病院に来るのが少しためらわれる場合もありますので、その場合は積極的に他の成人を見られる医療機関にお願いしております。
 8ページ目、長期フォローアップ外来の流れですが、治療終了から5年経過した患者さんを1つの目安として長期フォローアップ外来に通常外来から移行しております。
 まず、長期フォローアップ外来に来ていただいて、診察をし、検査をして、その日は御帰宅いただいて、月1回開催している医師・看護師・診療情報管理士による総合的な合同カンファレンスでその患者さんの状態を評価し、情報を共有し、対応策を協議して、約1カ月後にもう一度、受診していただいて、結果を説明し、特に大きな問題がなければ年に1回の受診を継続していただいて、もし何らか介入を必要とする課題がありましたら、そこに書いてございますような専門外来へ紹介をしています。あるいは他の医療機関に紹介しております。
 9ページ目、晩期合併症に対する対応策はもちろん重要な課題ですが、そのような晩期合併症を軽減する、あるいは回避する治療が非常に重要と考えておりまして、そこにミニ移植という言葉を書いていますが、従来型の骨髄破壊的な前処置ではなくて、骨髄非破壊的前処置による移植を推進しております。
 この移植によってどの程度、晩期合併症が回避できるかというのが右のほうで、これはもう既に論文化して、報告しているものですけれども、骨髄非破壊的前処置では、移植後に女の子の場合、80%以上の患者さんが月経が再来しますが、従来型の骨髄破壊的移植では、もうほとんど再来しない。わずか1名の方のみが月経の再発が認められたというデータがありますので、このような治療に取り組む重要性を認識しております。
 また、晩期合併症というのではなくて、新たな治療を、移植をプラットホームとしたHLA不一致移植による強い抗がん作用、免疫学的な抗がん作用を期待する。
 移植後にWT1ペプチドワクチン、これはがんワクチン療法ですが、そういう治療に取り組んでおります。
 10ページ目、緩和ケアの実践ですが、私たちは「QOLサポートチーム」という名前をつけて活動しております。
 医師、看護師だけではなくて、心理士、薬剤師、ホスピタル・プレイ士、これは恐らく全国で唯一、常勤職員として私たちは採用しているのですが、このような小児専門家が関与して、週1回のカンファレンスと回診をしています。
 通常の職員、スタッフが利用できる「緩和ケアマニュアル」も策定しております。
 ターミナルケアに関して、私たちはターミナルケア専用の病床を保有しておりませんが、個室対応しておりますし、小児ホスピス、最近、開設された淀川キリスト教病院との連携を行っております。
 11ページ目、チーム医療体制ですが、麻酔科医師、病理医師、PICU、複数の職種のコメディカルと連携して行っておりまして、週1回のTumor Board、Cancer Boardとも呼びますけれども、合同カンファレンスを開催していまして、各科医師だけではなくて、コメディカルにも参加していただいて、一人一人の患者さんの診断、治療方針、サポートが必要な内容について話し合っております。
 12ページ目、人材の確保については、もちろん他施設からの紹介を受けて人材を受け入れておりますし、私たち自身のところで若手を育てることも行っております。
 13ページ目、医療従事者の育成です。
 小児血液・がん、造血幹細胞移植研修、1-2年ですが、短期コースも設けております。
 その下のところをごらんください。
 小児血液・がん暫定指導医、全国251名中15名で、当センターに在職が4名。小児がん認定外科医は同様に39名中4名、うち在職が2名です。
 14ページ目、患者の発育・教育に関する環境は、保育士やホスピタル・プレイ士を常勤として配置していますし、心理士によるカウンセリングを行っています。支援学校との連携も行っていて、退院前にはミーティングを開催して、教育の継続性を確保しております。
 15ページ目、長期宿泊施設は、敷地内にファミリーハウスと称する施設を保有しております。1泊1,000円です。
 また、平成26年3月と書いておりますが、前倒しで25年10月に稼働できるように新ファミリーハウスをつくっております。
 相談支援・情報提供に関しては資料をごらんいただいたらいいかなと思います。
 以上、ちょっと時間が押しましたが、臨床研究に対する参加は18ページに書いておりまして、例えばJNBSGは小児外科ドクター、JWiTSは福澤が主任研究者として行っている多施設共同研究に積極的に参加しております。
 小児がん拠点病院としての継続性は19ページに書いておりますように、小児がん診療・研究の最先端を担って、小児医療の専門家がそろっており、センター挙げての取り組みがございますので、全く心配ないと考えております。
 最後のスライドは、私たちは子ども病院という位置づけから、子どもたちに対する細やかな医療ができるのではないかと思って自負しておりますので、よろしくお願いいたします。
 ちょっと時間を延長しました。申しわけございません。
○事務局 どうもありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは2点ございます。
 まず1点目ですが、4ページに連携実績医療機関ということで幾つか挙げていただいていて、その中で今回、別の施設で申請いただいている大阪市立総合医療センターの名前も挙がっているのですけれども、大阪市立総合医療センターとの連携の現状、また今後の展望などがもしあればお聞かせいただければと思います。
○大阪府立母子保健総合医療センター 市立総合センターとの連携ですね。その施設に限定してのお話でしょうか。
○天野構成員 はい。
○大阪府立母子保健総合医療センター 市立総合医療センターで診療をずっと受けておられて、私たちのほうでの治療、セカンドオピニオンという形で聞きに来られて、その後、私たちの施設で診療を継続して受けたいという方を引き受けた経緯がございますし、逆に私たちのところで診療していた脳腫瘍の患者さんが市立総合のほうでセカンドオピニオンを聞かれた後で、市立総合での治療を希望されるということで、お願いした症例がございます。そういうような形で、患者さんのやりとりをしています。
 それともう一つは、大阪府が組織している大阪府のがん対策推進委員会の小児部会の中で市立総合医療センターも参画しておられますし、私たちも参加していますので、意見の交換をしています。
○天野構成員 ありがとうございました。
 もう一点ですが、長期フォローアップについて7ページで御説明いただいていたと思うのですが、成人後の長期フォローアップについては、具体的に例えば患者さんの希望もあると思うのですが、どこが主体になって診るという体制になっているかについて教えていただければと思います。
○大阪府立母子保健総合医療センター 幸いなことにメンバーの入れかえがないものですから、私たちが主体として診ているのですが、今後、スタッフの入れかえなどがございましたときにどうなるかというものも1つの大きな課題かと思っていますが、いずれにしても、病院全体のシステムとして構築しています。そして、将来的には、やはり最低でも年に1回は顔を見たい、あるいはどんな状況でいらっしゃるかということで、私たちの施設に来ていただきたいのですが、例えば生活習慣病のような状態になられた場合には、私たちの得意とするところではございませんので、成人病を扱っている施設にお願いする。例えば大阪府立成人病センターなどの施設にお願いすることになるかと存じます。
○事務局 先に石井構成員、お願いいたします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 大阪母子は、全国的には非常に有名な施設だと思うのですけれども、1つは、かなり独自の臨床研究をされていて、かなり高度な臨床研究をたくさん立ち上げられていると思うのですが、それを例えば地域あるいは日本全体でもいいのですが、そういうところにどう還元していくのか、発展させていくのかということをお聞かせいただければと思います。
○大阪府立母子保健総合医療センター ありがとうございます。
 私たちのところで行っている臨床研究に関して、単独ではできるかもしれないけれども、それを広げるにはかなり時間が必要ではないかという御指摘を先生以外にも受けることがございます。ただ、先ほど申し上げましたWT1ペプチドワクチンなどは全国レベルで行っていて、当該施設の倫理委員会さえ承認が得られれば、こちらのほうからペプチドワクチンを提供することはできますし、それ以外に移植に関しては、ただいま私たちが得意としている分野ですので、ほかの施設の先生方がしり込みするような移植もやっているわけですけれども、今後はそれを学会発表、論文という形で出して、どのような方法であれば安全にできるのか、成績を向上できるのかということをお示しして、もし必要であればこちらから出向いて、一緒にやらせていただくことも可能だと思いますし、私たちのところに全国から研修を希望されて、移植を勉強したいということで若手の先生方が来られて、こうやるのですねということでマニュアルを持って帰っていただくということもしております。
○事務局 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほど質問がございます。
 先ほど、多分、時間の都合上で十分に説明がなかったと思うので、16、17ページに相談支援のことが書いてございます。発症から医学的なことではなくて、さまざまな社会的な問題が発生するかと思いますので、その辺の相談の仕組み、病院ですと最初からかかわるということがあったりもしますのでということが1点です。
 もう一点は、2ページに小児がん専用病床35床と書いてあるのですが、これはどんな形なのか。ちょっとこれだけだとわからなかったので、教えていただけたらと思います。
○大阪府立母子保健総合医療センター わかりました。ありがとうございます。
 小児がん相談窓口に関しましては、こういう窓口の職員がございまして、まずはお話を聞かせていただいて、どのような内容かによってそこに書いてありますように、医師が担当すべきなのか、看護師が相談相手になるべきなのか、あるいはケースワーカー、メディカルソーシャルワーカーなのか、心理士なのかということをそこでトリアージして、そして、その担当者ともう一度、面談の時間をじっくりとるという形にしております。
 1点目はこれでよろしいでしょうか。
○小俣構成員 部署は何かあるのでしょうか。場所があるのでしょうか。
○大阪府立母子保健総合医療センター 小児がん窓口は地域医療連携室の中にこの窓口をつくっています。
 2点目、小児がん専用病床35床は、私たち血液・腫瘍科が単独で使わせていただいている病棟が1つございまして、そこはベッド数が30です。プラス外科病棟に5床、小児がんのためのベッドを保有しています。ですので、これは専用病床として35床という表現にさせていただきました。
○小俣構成員 どちらに入院したいかということは患者さんが選べたりするのですか。
○大阪府立母子保健総合医療センター どちらにというのは。
○小俣構成員 外科のほうでとか。
○大阪府立母子保健総合医療センター そうですね。それはその治療内容によってそのようにしていますので、化学療法あるいは骨髄移植に代表される造血幹細胞移植が私たちの病棟で、そして、手術を行う際には外科病棟に移るということで、治療内容によって入院していただく病棟、病床を決めています。
 ありがとうございます。
○事務局 豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 9ページについてお尋ねしたいのですが、専門ではないのでよくわからなかったのですが、骨髄非破壊的移植についてわかりやすく教えていただけますか。
 それともう一つ、その下のワクチン療法、こういう治療法はほかのところでもやっている治療法でしょうか。
○大阪府立母子保健総合医療センター では、まず、骨髄非破壊的移植のほうから説明させてもらっていいですか。
 従来型の骨髄移植というのはノーベル賞をもらわれたシアトルのトーマス先生が始められた全身放射線あるいは大量化学療法を前処置として、total cell killというような言葉がありましたけれども、骨髄の中を空っぽにする。そして、そこにドナーさんからいただいた骨髄なり造血幹細胞移植、最近は臍帯血移植も行っていますけれども、入れるという治療です。そうしますと、前処置として行っている放射線照射や大量化学療法が非常にダメージを与えますので、結局、成長しつつある子供さんにとってはその成長が阻害される。あるいは先ほど言いました不妊の状態になる、その他の内分泌障害が来るということで、それがずっと小児科医にとっては大きな課題となっていたのです。
 それを何とかできないかということで、私たちは前処置によるがん細胞の根絶ではなくて、免疫学に何とかできないかということで、2番目に書いています、あえてHLA不一致、これは白血病の型ですけれども、血液型とはまた違う、白血病型が違う親からあえて移植をして、白血病細胞、がん細胞に対する免疫効果を得ながら、組織ダメージをできるだけ軽減する移植方法に取り組んでいて、それが骨髄非破壊的前処置移植で、俗称といいますか、一般的にミニ移植というような言葉を使われています。
 ただ、私たちが気をつけないといけないのは、ミニ移植というと非常に安直な移植というイメージを持たれると困るので、やはり専門的な知識がないとできない移植だと思っていますが、そういう移植でございます。
 WT1ペプチドワクチン療法に関しては、内科のほうでも先行しています。全国規模あるいは世界的にこういう治療が臨床試験として行われていまして、小児科では私ども母子医療センターと大阪大学の小児科の両方でこれを全国展開しています。
 ただ、正直申し上げまして、がんワクチンというと、魔法のような治療ではございませんで、体の中に残っているわずかな腫瘍細胞、がん細胞、白血病細胞を抑えるという効果を期待したいということで、どういうことかと申し上げますと、包括的な医療、化学療法あるいは手術、放射線治療、移植という治療に加えて、ワクチン療法を行うことで初めて力を発揮できる。このワクチン療法だけでがんを治すのは非常に難しいのではないかと思っております。
○事務局 それでは、最後に山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 いろいろ御説明ありがとうございます。
 私から3点お聞きしたいと思います。
 まず1点目ですが、行政との連携協力体制についてです。
 大阪府立母子保健総合医療センターは府立ですが、大阪府がん診療連携協議会に参画されていると先ほど御説明いただきましたが、それ以外の行政との連携協力体制について、例えば今回、小児がん拠点病院の申請に際して、府としてセンターが拠点病院としてふさわしいという整理で申請したのか、あるいはそうではなく、センター独自に申請したのか、そのあたりのことも含めて御説明いただけたらと思います。
 2点目は、人材育成についてです。
 大学病院等の医育機関であれば、そこで人材を育成し、人材を派遣して、派遣された人たちと連携をとる形で、地域の医療機関とも連携をとっていくというパターンが大部分かと思いますが、大阪府立母子保健総合医療センターの場合は、これまでの医療従事者の育成で、修了者が4ないし12人ということですが、これらの方がプログラム修了後、近畿ブロックの地域の中核となるべき病院に勤務しているのかどうかということをぜひ教えていただけたらと思います。
 3点目ですが、今回ヒアリングを受けた近畿ブロック5病院のうち、拠点病院に選定されるところとそうでないところがでてくるかと思いますが、他の4病院との今後の連携協力体制や連携の意気込みについて、加えて拠点病院の申請がない県、例えば日本海側や太平洋側の地域の中核的な病院との連携協力体制についてのお考えを御教示いただけたらと思います。
 よろしくお願いいたします。
○大阪府立母子保健総合医療センター 1点目、大阪府とは連携をとっておりまして、いわゆる大阪府の政策医療課といつもこの辺は、大阪としては、がんというのは非常に大きな重点項目で、府立成人病センターがありますし、そういう点でぜひ拠点になっていただきたいということで、大阪府のほうからも要請があったと思っていただいたらと思います。
 もう一つ、最後の地域の連携ですけれども、先ほどありました近畿小児がん研究会というものを既に15年前に私とカワ先生という、前の母子医療センターの院長ですが、ともにやはり近畿が一丸となってやるべきであろうということで立ち上げまして、現在、私が代表世話人をやっているわけです。また3月にもしますけれども、常に近畿全体が連携をとってやっていきましょうと。そういう意味では、先ほどの京都府立医大とありましたけれども、全国の中では一番、連携体制がとれていると思っていますし、今後もそういう方向でやっていきたいと思っております。
○大阪府立母子保健総合医療センター 2点目について説明申し上げます。
 人材に関してですが、私たちのところで勉強したいという方が全国から来ていらっしゃるので、近畿だけではないのですけれども、特に近畿のことだけ申し上げますと、大阪大学の小児科で働いている先生方、奈良医大あるいは和歌山県立医大の先生方が私たちのところで1年なり2年研修して、戻られて、また小児がんに携わっておられる先生方がいらっしゃいます。
 私たちは研修を希望されて、それをお断わりするということはこれまで一度もありませんので、希望されたら来ていただいて、しっかり勉強していただいて、専門医を目指していただいてということで体制を整えております。
 ありがとうございます。
○事務局 それでは、大阪府立母子保健総合医療センターの皆様、どうもありがとうございました。
○大阪府立母子保健総合医療センター ありがとうございました。
○事務局 次に、大阪市立総合医療センターの皆様、御準備をお願いいたします。
(大阪市立総合医療センター着席)
○事務局 原先生、よろしくお願いいたします。
○大阪市立総合医療センター では、最初にメンバーの紹介をさせていただきます。
 私が小児血液腫瘍科兼副院長の原と申します。
 左側が小児緩和医療の多田羅でございます。
 その向こうが緩和ケア認定看護師、小児緩和ケアチームをやっております佐藤です。
 小児医療センター小児脳外科部長の坂本です。
 ホスピタル・プレイ・スペシャリストの山地でございます。
 では、私のほうから説明をさせていただきます。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、2枚目のスライド、当院の概略を話させていただきます。
 1965年に日本で初めて設立された小児病院である小児保健センター200床と周産期センターである母子センター80床のほか、3つの市立病院を統廃合して、1993年に設立されました。そのため、総合病院の中に小児病院が入り込む形となり、小児病院と総合病院の両者の利点を兼ね備えたユニークな病院です。小児系診療科は17科あり、病床数、医師数とも病院全体の2割を占め、年間の小児全身麻酔約2,000件、大阪府の小児重篤救急患者の約半数をICU、ECUに収容するなど、大阪府の小児医療の拠点として機能しております。
 3ページ、当院の初発初診で最初から一貫して治療を行った18歳以下の患者数ですが、毎年50例前後でしたが、ことしはこれまでのところ約30%増の64例と増加しています。大阪府全体の初発患者の約4割を診療していることになります。
 再発・難治例の受け入れですが、再発あるいは治療に難渋してから紹介された患者数は年間7~9例となっており、固形腫瘍と脳腫瘍が大半を占めております。
 そのほかに当院でフォロー中に再発した患者さんも治療しており、ことしは9例でした。
 初発初診患者も固形腫瘍、造血器腫瘍のそれぞれ約3分の1は造血幹細胞移植が必要な患者であり、脳腫瘍も6例の脳幹グリオーマなどの悪性グリオーマを含め、15例中10例が難治例でした。
 このように、初発患者でも3分の1から半数は難治と呼べるような患者さんたちでした。
 以上の患者数に18歳以上の新規症例も加えますと、ことしは合計83名の新たな患者さんを診療したことになります。
 ちなみに、造血幹細胞移植は、ことしは31例に実施しました。
 左下に集約化を進めたいと考える疾患を記載しましたが、いずれも治療の難易度の高い疾患であります。
 4ページ、過去4年間の患者居住地です。
 オレンジ色が当院の所在地です。大阪市内が5割で、大阪市を含む人口の比較的多い大阪府の北半分からが全体の9割を占めています。
 5ページ、右の図の中の赤丸が大学病院などの主な医療施設の位置で、黄色が当院です。
 再発・難治例は初発例と異なり、大阪市在住の割合が減少して、府下からが5割と増加。さらに近畿以外からが6%から25%へと増加しており、難治例はより遠方から紹介されることがわかります。
 カバーしたいと考える範囲は記載のとおりですが、協議会などを立ち上げて調整を図っていく必要があります。
 6ページ、患者増に対する対応と人材育成ですが、現在、35名から40名ぐらいの患者さんが入院しておられますが、来年度、9床の増床と医師2名の増員を予定しており、容易に対応できます。
 なお、当院の1,063床の稼働率は85%程度ですので、さらに必要であれば、増床を行うことは容易です。
 7ページ、思春期がんへの対応です。
 当院では、小児病棟の年長児用または臨床腫瘍科や血液内科の成人病棟のどちらかに患者希望に応じて収容しています。
 診療については、化学療法など小児血液腫瘍科が中心的役割を果たしますが、当院はがん診療連携拠点病院でもあり、カテーテル塞栓術などを含めた総合的ながん診療を行う能力を有しております。
 グラフは、当科で診療したAYA世代の新規症例数の年次推移ですが、20歳以上の患者数が増加しています。
 なお、感染症の子供たちは10階の小児感染症専用の病棟に収容しているため、それ以外の病棟の子供たちは病室を出て自由に行動することができます。
 8ページ、地域医療機関との連携ですが、拠点病院や学会認定研修施設などと協議会を立ち上げ、相互の役割分担の確認、さらに定期的な合同カンファレンス、コンサルテーションの実施などで連携を行います。
 大阪府では、既に大阪府がん診療連携協議会、大阪府がん対策推進委員会の小児がん部会、AYA部会を通じて連携が進みつつありますが、この仕組みを他府県の委員会を通じて拡大したいと思います。
 人材育成については、従来の3年間のレジデントプログラムのほか、最短3カ月から1年間の研修プログラムを用意し、特に当院の特徴である緩和ケアや脳腫瘍医療、造血幹細胞移植などの研修で貢献していく予定です。
 他施設との連携を要する部分は右に示したとおりです。
 9ページ、長期フォローアップですが、当院は他の小児系診療科でも多くの成人を診療しているため、成人年齢になってからのフォローアップも問題はなく、小児系診療科で実施しています。
 グラフに示すように、フォロー中の多くは20歳以上になっています。
 週1回の定期検診外来のほか、週7コマの血液腫瘍外来でフォローを行っています。
 併診診療科で最も多いのが小児代謝内分泌科で、そのほか小児言語科、児童青年精神科などです。必要に応じて心理士が随時介入を行います。
 10ページ、緩和ケアの提供体制ですが、当院には成人の緩和ケアチームのほかに子供専用の小児緩和ケアチームがあり、こどもサポートチームと呼んでいます。
 疼痛緩和のペインチーム、心理サポートのこころのサポートチーム、プレパレーションなどを行うプレイチーム、退院支援の在宅ケアチームの4つのサービスチームからなっています。
 毎週、チームミーティングとラウンド、病棟カンファレンスを行っており、来年度からは自宅訪問の開始を予定しております。
 なお、小児がん患者には、全例、最初からこころのチームとプレイチームがかかわっており、以後、必要に応じて他のチームもかかわっていきます。
 11ページ、小児緩和ケアチームの構成メンバーは記載のとおりで、フルスペックのスペシャリストによる専門チームとなっています。AYA世代では年齢に応じて成人の緩和ケアチームが担当いたします。
 また、当院の特徴として、緩和ケア病棟があり、その中に40平方メートルの小児専用の病室があります。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとフランスベッドの御好意で母親の添い寝ができる特殊なベッドの設置や、スヌーピーなどのキャラクターの内装が施され、ユニバーサル・ワンダールームと呼んでいます。家族みんなや友達と宿泊することができます。
 まことに痛恨の思いがいたしますけれども、どうしても救えない命があることも現実で、当院では年間十数名の子供たちをみとっていますが、昨年は5名を緩和ケア病棟でみとっております。
 12ページ、こどもサポートチームへの相談内容です。
 家族からの相談もさることながら、子供自身からの相談が多く寄せられています。子供自身からは、治療に対する不安や病気が本当に治るのか、あるいは同室の子供や医療スタッフとの人間関係についてなどの相談が多くあります。
 13ページ、チーム医療ですが、これまで述べてきたほかに小児病棟専属のがん薬物療法認定薬剤師や理学療法士、退院支援看護師、保育士などの配置のほか、患者団体による学習支援などのサポートもあります。
 地域での人材育成ですが、先ほど一部述べましたが、医師のほかに小児緩和などについての看護師などのコメディカルの受け入れも行います。
 また、緩和ケアについては、小児緩和治療、緩和地域連携カンファレンスを行い、人材育成につなげる予定です。特に脳腫瘍診療や小児緩和ケアの均てん化は極めて重要な課題であり、人材育成を通じて均てん化に貢献する所存です。
 14ページ、復学支援です。
 退院前には必ず担当医、看護師、心理士、教師でカンファレンスを行います。その際、前籍校の担任のみならず、必ず校長や教頭といった幹部職員にも来ていただくようにしております。そのほか、入院中や外来通院中、終末期なども事例に示しますように、適宜、カンファレンスを行っております。
 次に、療養環境ですが、特別支援学校の分教室があり、5教室を有しております。生徒数は現在、小学生24人、中学生10人です。退院後は必要に応じて訪問教育を行っております。高校生は在籍校から訪問教育を受けることができます。
 年長児が勉強するためのゴールドリボンの寄附による学習室やマニュライフ生命寄贈による年長児のための癒しのコーナーがあります。また、ともすれば孤独になりがちな思春期の子供たちのピアサポートを推進するための10代の会を心理士が毎週開催しています。
 16ページ、ファミリー・ルームについてはごらんのとおりです。
 17ページ、下半分にセカンドオピニオンの概要を記載しておりますが、脳腫瘍を中心に年間20件以上実施しています。
 18ページ、患者団体との連携ですが、主な団体について記載してあります。
 学習支援が人材派遣や心理士の派遣、ビリーブメントケア、きょうだい保育などで連携をしています。
 19ページ、臨床試験につきましては、以前提出した資料に詳細を記載しておりますが、そのうち現在登録中あるいは今年度中に開始予定のもののみを記載いたしました。
 標準治療確立のための試験が13件のほか、適応外薬、未承認薬の治験、臨床試験が11件あります。
 これらのうち再発や脳幹グリオーマなど、治癒の可能性の極めて乏しい難治例に対しての新規治療の機会提供を目的としたものを右に記載しております。
 当院で立案した独自の試験が4件、ほかに医師主導治験2件などがあり、うち3件はがんワクチンです。
 このようにして、極めて難治である患者さんに対する新薬による治療機会を提供し、かつ希望をもたらすことは、難治例を多く治療する当院の責務であると考えております。
 20ページ、今後の予定ですが、拠点化により集約化が進むと思われますが、同時に患者とその家族からは均てん化も求められています。そのため、円滑な地域連携、在宅医療を推進し、入院治療から外来治療への転換を図り、診療所も視野に入れたネットワークの構築を行います。
 具体的には、小児がんの臨床経験のある緩和ケア認定看護師やがん化学療法看護認定看護師、がん専門看護師、MSWに研修を行った上で小児がん専門訪問看護を行います。これにより、在宅緩和ケアや化学療法後の在宅ケアを推進します。
 また、地域に戻った患者さんに対する担当MSWを決め、各種相談や地域医療機関との調整、外来受診や宿泊などの手配を行います。このようにして、当院、地域の連携する病院、診療所などとネットワークを構築したいと考えております。
 最後にAYA世代に対する対応ですが、AYA世代の患者はがん難民化していることも多く、今後、AYA世代への対応が容易である当院が大きな役割を果たすべきと考えております。
 26年度には、小児医療センターを小児・青年医療センターと改称し、AYA世代に対応することを明瞭にする予定であります。
 このように当院では、今後も小児がんの子供一人一人に寄り添った質の高い医療を提供してまいりたいと考えております。
 以上です。
○事務局 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問をお願いいたします。
 小俣構成員、お願いいたします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほどですが、長期フォローアップの外来ということではなくて、成人の方も多いということで、そのまま小児科の中で受診をということですが、最後の今後の計画というところでもソーシャルワーカーを専任でということを考えると、別にその外来や部署というか、相談の場所とかというような、相談も含めて外来ということをお考えになっておられるのかということを1つお聞きしたいです。
○大阪市立総合医療センター まず、長期フォローアップの外来ですが、定期検診外来と申し上げたものが、週1回やっておりまして、これが事実上の長期フォローアップ外来です。ですから、長期フォローアップ専用の外来を設けてはいます。ただ、どうしても患者さんのニーズで曜日が限定されると非常に不都合であるということもありまして、実際、ほぼ毎日、午前・午後の外来を我々はやっておりますので、どうしても患者さんの希望に応じた曜日あるいは時間に受診されるという形になっております。
○小俣構成員 そうすると、医療以外の相談ということになりますと、場所としては、がん相談支援センターとどういう関係があるのかというのがちょっと、その辺がわからなかったものですから。
○大阪市立総合医療センター 基本的には、長期フォローアップの患者さんの診療は身体的な合併症のチェックというものももちろんありますけれども、いろいろ会話をしたりしながら、その患者さんの現在の置かれている状況だとか、背景あるいは今度、結婚するのだとか、そういう話をいろいろ伺いながら、その中で、実際は担当医、主治医と相談をしているというのが実情です。ですから、別にまた改めて何らかの相談が必要ということであれば、当院の相談窓口を介してということもあるかと思いますが、実際、余りそういうニーズは大きくないように思っております。
○事務局 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 非常にすばらしい施設だと思いますけれども、先生の施設のところの問題は、やはり人材の継続性だと思うのです。今、先生がおられて、非常に強いリーダーシップでこういう形でやっておりますが、先生がいなくなった後どうなるのかとか、その辺が非常に心配なのです。
 それともう一つは、市立の病院なので、ほかの施設に移ることが多々ありますね。今まで聞いた中でも何度かあったと思うのですけれども、そうしますと、今まで行われていた小児がんの診療体制が崩れるということもあり得るのではないかと思うのですが、その辺も含めて御説明いただきたいと思います。
○大阪市立総合医療センター 御心配いただきまして、ありがとうございます。
 まず、人材に関してですけれども、基本的に我々は自前で養成するというのを原則にしたいと思っております。当院の場合、初期研修が2年終わった後に後期研修医を募集するのですが、それに関しては、毎年ありがたいことに定員を超過する応募をいただいております。そこで3年間、内科系の診療科、8診療科と一般市民病院で半年、その3年間で全ての疾患に対応できる小児科医を養成して、その中でサービススペシャリーとして我々の診療科を選ぶ人を3年間養成するというのを原則としております。ですので、当院で賄う人数に関しましては、そんなにたくさんの人員を必要とするわけではありませんので、今後の人員に関しては特に心配しておりません。
 先ほどおっしゃいました転勤等に関することですが、それに関しましても、必要な人材ということであれば、しっかりと確保していくということで、それに関しても御心配には及ばないと思います。
○事務局 天野構成員、お願いします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私から2点ございます。
 まず、1点目でございますが、5ページで患者居住地ということで、それぞれお示しいただいて、各地から患者さんが来院されているということは記されているかと思うのですけれども、具体的に例えば連携している医療機関についてどういった医療機関と現状、連携されているかについてお示しいただければと思います。あと、各地域の医療機関との連携システムを整備する予定との一文がありましたので、このシステムについてもし具体的な展望等があったら教えていただければというのが1点目でございます。
 2点目は、先ほど大阪府内から出ている府立母子センターにも同じ質問をさせていただいたのですけれども、府立母子センターとの現状での連携体制がもしあれば教えていただければということでございます。
 2点お願いします。
○大阪市立総合医療センター ありがとうございます。
 まず、連携ということですが、実際、正直申し上げて、今まで組織的な連携をきっちりやってきたわけではありません。ですので、現状では、連携と申し上げるのは、こちらのほうへ患者さんを紹介してこられる施設あるいはこちらから特殊な放射線治療等、肝移植等でお願いをする施設、そういう形での連携です。
 あと、先ほどお話が出ました府立母子センター、結局、母子センター、大阪府内でいいますと、近畿大学、大阪市立大学、大阪大学、それから我々の施設と全て大阪大学の出身者が勤務しているところですので、まずはそういうあたりでの連携をスタートし、さらに拡大していくことは比較的容易にできるのではないかと思っております。
 ただ、このあたりはこれを機会に、恐らく全国的に同じようになっていくのだろうと思いますが、しっかりと連携ということを前提に考えてシステムを構築して、具体的な役割分担をどうするのか、あるいは相互の相談、合同のカンファレンスを通じて各施設の診療内容の透明化だとか、公開性だとか、そういうことを進めていきたいと考えております。
○事務局 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 御説明ありがとうございます。
 私から2点ほどお聞かせいただけたらと思います。
 1点目ですが、行政との連携協力体制についてす。
 まず、大阪市立総合医療センターは市立ですが、大阪市で小児がん拠点病院という位置づけがあった上で申請したのか、あるいは病院独自の判断で申請したのかという部分も含めて、行政との協力連携体制について御教示いただけたらと思います。
 2点目ですが、地域医療機関との診療連携体制についてです。先ほど、協議会を通じて調整を図っていくという趣旨の御説明がありましたが、この協議会というのは大阪府のがん診療連携協議会という意味なのか、それとも今後、新たに立ち上げる近畿ブロック全体を対象とした協議会ということなのか、もう少し明確にしていただけたらと思います。
 よろしくお願いいたします。
○大阪市立総合医療センター ありがとうございます。
 まず、大阪市というものの体制ですが、これは大阪府の病院機構と大阪市立病院の病院機構は、一応、予定では、1年半後に統合するという予定にはなっております。現在、その方向で進んでおります。ただ、政治的な部分で波乱があるかもしれませんが、そういう予定があります。
 大阪市のバックアップ体制ということですが、これに関しましては、もちろん市を挙げてのバックアップということでしていただいております。病院局長を初め大阪市の議員の先生方からの支援を得て立候補させていただいております。
 あと、協議会についてですが、現在ある大阪府の協議会という範囲では、どうしても府内にとどまりますので、先ほど申し上げたのはそうではなく、今後さらに近畿ブロック全体を視野に入れてということであれば、その全体を含める形での何らかの協議会を立ち上げることをしないとなかなかうまく連携だとかは進まないと考えておりますので、そういう意味での発言であります。
○山本構成員 ありがとうございました。
○事務局 それでは、よろしいでしょうか。
 では、大阪市立総合医療センターの皆様、どうもありがとうございました。
 それでは、これから休憩に入ります。今、事務局の時計で50分を少し過ぎたところでございますが、5時までということでよろしくお願いいたします。

(休  憩)

○事務局 それでは、時間になりましたので、再開をしたいと思います。
 兵庫県立こども病院、小阪先生、よろしくお願いいたします。
○兵庫県こども病院 兵庫県立こども病院血液・腫瘍内科の小阪嘉之と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 それでは、早速始めさせていただきます。
 2ページ目をお願いいたします。当院の医療スタッフです。血液・腫瘍内科医は、現在、常勤9名で、そのうち小児がん化学療法を10年以上専門としている腫瘍医は4名です。また、当院には小児専門の各分野医師が表のとおりスタンバイしており、全ての小児がんに対応可能となっています。特筆すべきは小児麻酔科医が18名いる点で、いかなる小児手術にも24時間対応が可能です。以上のことから、小児がん患者がさらに集約化され、増加しても、医療スタッフのキャパシティーに問題はないと考えます。
 次をお願いいたします。当院では毎週水曜日にキャンサーボードを開き、腫瘍医以外に当該脳外科系医、さらには放射線医、病理、場合によっては他職種も加わり、診断、治療方針につき検討をしています。そこで導かれた結論を全ての職種で共有し、ベストと考えられる集学的治療を患者さんに提供できるように心がけております。
 次をお願いいたします。当院の平成21年から3年間の新規患者さんの居住地分布を示します。なお、新規患者さんの人数は当院初診患者さんの集計であり、新規発症患者さん以外も含むことを御承知ください。図からおわかりいただけるように、かなり遠方からも来院され、この3年間に受け入れはありませんでしたが、島根県からも患者さんを多く御紹介いただき、鳥取県とあわせて中国地方の日本海側をカバーし、さらには外科系専門医不足の四国東部からも患者さんを御紹介いただいております。
 次をお願いいたします。平成21年から3年間の診療実績です。この表は先ほどの患者さんの地域分布図とは異なり、純粋に新規発症患者さんのみの人数です。造血器腫瘍、固形腫瘍、そのうちの脳・脊髄腫瘍とバランスよく診療しているのがおわかりいただけるかと思います。患者数では近畿地区では最多となっております。兵庫県下発症数の約70%をカバーしております。また、これらの約半数はいわゆる難治・再発例です。
 次をお願いいたします。当院の造血幹細胞移植の実績です。図からわかりますように、近年、症例数が増加しております。今後も難治例には積極的に施行していく方針です。同種移植は全体の約60%です。また、先ほどもございましたが、骨髄非破壊的移植が占める割合は今のところ約30%ですが、ここ2年間は晩期障害を考慮して造血幹細胞移植の大半を占め、その成果は先日の日本小児血液・がん学会で報告させていただきました。今後、ますます増加していくものと思われます。また、特筆すべきは、この2年間、移植100日以内の早期死亡がゼロという事実です。これは、当院の無菌室での治療体制が充実していることを物語っているものと自負しております。
 次をお願いいたします。初回造血幹細胞移植103例の成績です。2年全生存率は約72%となっております。2011年の造血細胞移植学会のまとめでは、16歳未満の造血幹細胞移植の全国平均2年全生存率は同種移植で52%、自家移植で56%であり、当院の成績は良好であると言えると思います。
 次をお願いいたします。他施設との医療連携を示します。連携先には小児腫瘍医がいる病院も含まれております。今後、集約化が進んだ場合、例えば、急性リンパ性白血病では、初期治療層は当院で行い、患者さんの状態が比較的落ち着く維持療法層は連携病院で行うことも可能と考えます。また、晩期障害を考慮して重粒子線、陽子線治療が必要な場合は、ここに挙げる施設と連携して治療を依頼した実績があります。AYA世代につきましては、当院は小児専門施設ですが、新規の患者さんであっても積極的に受け入れ、個室を優先的に使用することでプライバシー保護に努め、外来受診は遅めの時間に設定し、学校に行っていただけるように努めております。
 また、当院では一定期間、血液・腫瘍学のトレーニングを受けた小児救急医が24時間、3次救急に対応しており、いかなるOncologic emergencyに対しても対応が可能です。さらに当院の特徴の一つとして、親の付き添いが不要な看護体制が挙げられ、これは造血幹細胞移植を受ける患者さんに対しても同様であり、全国的にも珍しいことから、遠方から親御さんが付き添えない乳幼児の小児がん患者さんの造血幹細胞移植の要請がしばしばあり、積極的に受け入れております。
 次をお願いいたします。この図に示しますように、当院は先進医療施設が集積する神戸ポートアイランドに平成27年度に新築移転の予定です。新病院はポートアイランドで最も標高が高い中央緑地に建設され、その隣接地には、晩期障害の少ない放射線治療を可能とする低侵襲がん医療センターや、臓器移植に対応できる先進医療センターがあります。さらに現在、新病院隣接地に粒子線治療センターを設立する計画が検討されております。また、隣接の神戸市立医療センター中央市民病院とは、長期フォローアップ面で密に連携できると考え、協議を進めております。新病院では病床数が266床から290床に増床されるため、小児がん患者さんのさらなる集約化にも十分対応可能と考えます。
 次をお願いいたします。長期フォローアップ体制です。当院では小児循環器科医、代謝内分泌医を初めとする各分野専門医とのチーム医療の体制が整っており、現在も長期フォローアップで協力いただいております。さらに当院は神戸大学大学院の連携大学院として今年度中に協定書の締結がなされる予定で、神戸大学病院との密な連携に加え、神戸中央市民病院やその他の病院との連携を深めることで、キャリーオーバー患者さんの長期フォローアップ体制を整備しております。
 次をお願いいたします。緩和ケアへの取り組みを示します。当院では、図に示すメンバーで緩和医療チームを構成し、月1回のカンファレンスで患者さんの状況等を共有するとともに、緩和ケア勉強会を開催しています。さらに、血液治療病棟に配属の臨床心理士と腫瘍医が週1回のカンファレンスで種々の問題解決に当たっています。今年度、介入した症例数は14症例です。また、小児麻酔科医18名体制の特徴を生かし、痛みを伴う処置は全て麻酔のもとでとの基本方針で、骨髄穿刺、腰椎穿刺は麻酔科医が病棟に出向き、吸入麻酔下にて行っており、したがって、患者さんには苦痛を与えることなく処置することができております。現在、緩和ケア病室は1室ですが、新病院では家族とともに過ごせる緩和ケア病室を5室に増設する予定であります。
 次をお願いいたします。最近、当科が受けたセカンドオピニオン事例です。種々の病態や疾患に対して、関東、四国、九州地域など、遠方からも表に示すような内容で依頼を受け、対応させていただきました。
 次をお願いいたします。当院は積極的に種々の臨床試験に参加しています。ここ6年間に参加した主な臨床試験を提示いたします。造血器、脳腫瘍を含む種々の固形腫瘍に対する臨床試験に参加していることがおわかりいただけるかと思います。JPLSGや小児固形がん臨床試験共同機構の臨床試験には、ほぼ全て参加しています。いずれの臨床試験でも多数例の患者さんを登録することができ、成果を上げております。
 次をお願いいたします。臨床試験の続きを示します。小児がんは希少疾患であるため、単一施設ではよりよい治療法を導くことが難しく、多施設共同臨床研究は極めて大切と考えており、今後もこの姿勢は継続し、積極的に参加していく予定です。
 次をお願いいたします。臨床試験以外の研究活動をお示しします。当院は紹介症例数が多いことから、他の施設からの研究協力の依頼が多く、ここでも希少性ゆえの小児がん研究の大切さを重視し、積極的に取り組んでおります。小児への適用拡大や新規薬剤の臨床治験にも積極的に参加しております。12番の神経芽腫の微小残存腫瘍解析のトランスレーショナルリサーチは、神戸大学大学院との共同研究で、ANRAという進行神経芽腫の国際研究会で高い評価を受けました。
 次をお願いいたします。小児がんに携わる医師の養成についてです。当院は表に示しますように、さまざまな分野の小児の専門医、指導医を有しており、小児血液・がん学会、日本血液学会、小児科学会、小児外科学会などの専門医研修認定施設として、専門医養成と人材育成に努めております。特筆すべきは小児科専門医が37名いることで、これは全国的に有数であると思います。お手元の資料では35人となっておりますが、その後、2名が新たに小児科専門医に認定されました。当院では、全ての小児科専攻の後期研修医は3~4カ月間の血液・腫瘍内科をローテーションすることが必須となっており、他大学、他施設からの短期研修も積極的に受け入れております。
 次をお願いいたします。入院中の患者さんの保育体制です。当院では42年前の開設時から、専属の病棟に資格を持つ専属保育士1名と病棟保育士1名が配属されています。プレイルームは神戸の海が見渡せる最高のロケーションにあり、写真のように広いスペースで、おもちゃ、図書も多数取りそろえられており、子どもたちの憩いの場となっております。
 次、お願いいたします。教育支援と復学支援についてです。入院中の学童は「わらび学級」という訪問学級で神戸市立友生養護学校の小、中学専属教師による授業を受けることができ、学習室には写真のごとくIT機器が設置されております。退院時にはもとの学校にスムーズに復学できるよう、地域の学校担当者とカンファレンスを持ち、医師を初め5職種10名からなる指導相談部による相談を受け付けています。また、当院では10年前から、造血幹細胞移植後の無菌室での学童の授業、保育士による乳幼児の保育を実施しております。
 次をお願いいたします。家族の宿泊施設です。病院内敷地内に設置されており、現在は11室で、キッチン、風呂、トイレがついています。料金は1泊1,600円です。なお、新病院では16室に増室し、ドナルド・マクドナルドハウス財団に運営を委託することになっております。
 次をお願いいたします。最後に、患者さん御家族への相談支援です。相談支援センターでは、専属の臨床心理士が1人配属され、種々の心の相談に乗り、精神的ケアに当たっています。写真は臨床心理士が患者家族の相談を受けている様子です。また、下の表のように、近隣の施設と共同で患者家族への勉強会や説明会を積極的に開催し、血液・腫瘍内科がかかわる2つの患者及び家族の会にも積極的に参加して、交流を深めております。
 以上、述べてきましたように、当院が小児がん拠点病院になれるように、スタッフ一同、精いっぱい取り組む所存でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 これで私の発表を終わらせていただきます。
○事務局 ありがとうございました。
 では、質問をお願いいたします。天野構成員。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私から3点ございます。まず、1点目でございますが、8ページで関係医療機関、具体的医療機関名を挙げていただいていて、実際、患者さんも各地から受け入れられているというふうに御説明いただきましたが、例えば、実際に近畿圏ブロックで拠点病院として指定された場合、さらに各地の病院との連携を進めていただきたいと思っているのですけれども、今後、そういった近畿ブロックの各種の病院との連携を進めていく上で、何かお考えとかがあれば、それをお聞かせいただければというのが1点目でございます。
 2点目でございますが、10ページで、長期フォローアップ体制、充実している体制について御説明いただいたのですけれども、成人期以降の患者さんのフォローについては、どこが主担当というかメインとなって診ていっている体制になっているかについて教えていただければというのが2点目です。
 3点目は、ちょっと細かいのですが、6ページでいわゆるミニ移植について、ふえているということで御説明いただいたのですけれども、いわゆるGVL効果で腫瘍が抑制できる病型の患者さんというのは一定程度限られているかと思うのですが、主にどういったタイプの患者さんに対していわゆるミニ移植を施行されているのかについて教えていただければと思います。
 以上、3点でございます。
○兵庫県こども病院 ありがとうございます。
 まず、近畿ブロックの各病院との連携でございますが、私が発表でも述べさせていただきましたように、当院は近畿でも一番西にあります。したがって、どちらかといいますと中国地方の東部、当院は高速道路のインターのすぐのところにありまして、四国からも非常に車でのアクセスがいいのですね。ですから、四国、中国地方との連携を考えております。それと、東の大阪のほうにはたくさんほかに立派な病院がありますが、ただ、これまでも大阪の病院とは、例えば、私どものほうで再発して、患者さんがセカンドオピニオンに行かれて大阪の病院で移植を受けられた方もいらっしゃいますし、またその逆に、全身照射をできないということで我々が移植を引き受けたケースもありましたし、そういったことで今後も交流を続けていきたいというふうに考えております。
 それから、2点目の成人期の問題でございます。これは、当院は小児専門施設でございますので、やはり何十歳になってもということはなかなか難しいのですが、現状では御本人の社会的な背景にもよるのですけれども、大学の卒業ぐらいまでは我々のところで面倒を見させていただいて、その後は現在では神戸大学の付属病院、あるいは、今度、隣に引っ越す予定の中央市民病院、そういったところに御紹介さしあげているというところでございます。
 それから、3番目のミニ移植でございますが、これは、基本的にはリンパ系の腫瘍以外は、現在はかなりミニ移植のほうへ流れております。ただ、急性骨髄性白血病でも、非常に病気の進んだものに対しては、まだミニ移植が本当にいいのかどうかというエビデンスはないかと思いますので、そこらは少し、まだ解決しなければいけない点だと思います。
○事務局 ほかにいかがでしょうか。
 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 内容的にはすばらしいと思うのですが、16ページの専門医育成、人材育成の部分ですけれども、確かにいろいろな分野のたくさんの指導医、専門医の方がおられるのですが、実際に小児がんの専門医を育成するための何か特殊なプログラムとか、そういうものをつくっているのかどうかということを教えていただきたいと思います。
○兵庫県こども病院 ありがとうございます。
 血液・腫瘍科におきましては、日本血液学会の研修施設でもございますので、日本血液学会のプログラムに沿った、例えば、この時期にきちっと腰椎穿刺ができるようになってとかいうプログラムは全部用意してありますので、それに沿ってやらせていただいております。
 それから、きょうはちょっと外科医が来ていないのですけれども、小児外科のほうも小児外科認定医が1人おりますので、その者を中心に、小児がん関係の年間で何件手術をして、それをきちっと報告するというようなプログラムに沿って研修させていただいております。
○兵庫県こども病院 脳神経外科の長嶋ですけれども、脳腫瘍のような固形腫瘍は非常に少ないものですから、その専門の医師というのはいないわけですけれども、脳外科医の中の小児脳外科の中で、日本癌学会のがん治療認定であるとか緩和ケアの認定というのは全員受けるようにしております。
○事務局 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほど御質問がございます。一つは、先ほど天野構成員からの質問にございました点に関連してなのですけれども、長期フォローアップについては大卒までということで、その後、神戸医大とか中央市民病院にということですが、医療についてはそうかと思うのですけれども、医療以外の社会的な問題などの相談についての継続した支援ということについてはどのような仕組みになっているのか。また、これから構築されるのであれば、そのお考えをお聞かせいただければと思います。
 あともう一点ですが、病児のきょうだい支援については院内でどのようなことが行われているか、もしあれば教えてください。よろしくお願いいたします。
○兵庫県こども病院 ありがとうございます。
 1点目でございますが、先ほど申し上げた神戸大学とかに御紹介申し上げても、例えば、そちらのほうに数カ月に1度行っていただいて、年に1回は、できたら関係を保つようにさせていただいております。これは御本人の居住地の問題とかがございますが、私個人的には、たくさん結婚とか出産に対しては御相談を受けておりますし、また、私のほうから何かそういう問題があったら、当時のことは新しい担当医の先生にいつでも資料をお出しするので、何でも言ってきてくれということで、実際に時々そういう相談を受けることがありますので、それに対しては積極的にお応えするようにさせていただいております。
 それから、2点目、きょうだい支援でございます。お母さんが連れてきて、うちは血液・腫瘍病棟の中にはやはりごきょうだいを入れないようにしていますので、その間はちょっとボランティアの方に保育をお願いしたり、あるいは、当院の保育士にお願いしたりして、そういうところで対応させていただいております。
○事務局 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 いろいろと御説明ありがとうございます。
 私からは2点お聞きしたいと思います。まず1点目は行政との関係についてです。兵庫県立こども病院は県立ですが、今回の拠点病院申請の際に県がどの程度関与したのでしょうか、県からある程度お墨付きを得て申請したものなのか、それとも、病院独自の判断で申請したのかについて教えていただければと思います。また、あわせて、小児がんの診療に関して行政とのこれまであるいは今後のかかわり方や連携強化についてもお考えがあれば御教示いただけたらと思います。
 2点目ですが、ほかの構成員の先生方からも質問がありましたが、地域の病院との連携についてです。連携に際しての具体的な方策については、ほかの病院からは具体的な説明が出てこないことも多かったように思いますが、兵庫県立こども病院では拠点病院として選定された場合、拠点病院としてどのようにリーダーシップを発揮してきちんと連携をとっていくのか、具体的な方策があれば、ぜひ御教示いただけたらと思います。
○兵庫県こども病院 1点目のほうだけ、私は院長の丸尾でございますが、お答えさせていただきます。2点目は小阪部長にお願いします。
 行政とのかかわりについてでありますが、これは兵庫県も非常に積極的に、この小児がん拠点病院の指定ということが動くということをきっかけに、全面的に支援をしてくれております。もちろん、当院としても積極的に動きましたが、フィフティー・フィフティーというぐらいのところでしょうか。
 その具体的な例としましては、ちょっと発表の中で伝えましたが、兵庫県が兵庫県の粒子線医療センター、西播磨の姫路の随分離れたところ、兵庫県の一番西の端にあるのですが、そういうものの神戸ブランチをポートアイランドなんかに持ってきて、子ども病院の敷地内、あるいは、少し紹介させていただきました神戸低侵襲がん医療センター、建築中でかなり建ち上がってきましたが、その敷地内に置くかどちらかで動かしていこうということで、今、検討がなされておりまして、小児がんの子どもたちにとって必ずや、より晩期障害の少ない、侵襲の少ない、ピンポイントの治療が可能になると思っております。それができるのは、やはり隣接地であるということが大きな強みだと思います。当院には小児麻酔科医が来年には20名になろうかとしておりますが、そういう小児麻酔科医が小児がんの子どもたちに寄り添って、隣接地、歩いても行ける距離の中にあれば、一緒に治療に向かうことかできるということで、今の孤立した立地では救えない命が救えるようになるというふうに強く考えておりまして、兵庫県のこういう後押しに対しては大変感謝しております。さらにもう一つ付け加えますならば、当院の新病院の移転建てかえというのは本当はまだ先のことでありましたが、3年後に、平成27年度という中で、後ろを決めてやっていただく。2年、前倒しで進めていただいております。
 これは、いずれにしてもやはり独立型子ども病院の限界。特に、きょうも何度かお話ししておりますように、これだけキャリーオーバーの患者さんがふえてきますと、やはり総合病院との連携、近接しての連携が求められてくる。もちろん、連携大学院として神戸大学が当院を指名してくれた、そして年度内に協定書を締結という運びになっていることも大きな力になりますが、やはり選択肢がふえるということは、さらに患者さんと御家族に対して安心を提供できると、このように信じています。そういう面で、県あるいは大学機関の全面的なバックアップに強く感謝しているところであります。
○兵庫県こども病院 2点目でございますが、現在も兵庫県の小児がんを診ていない施設も含めまして、とりあえず小児がんの診療に興味を持っていただこうということで、小児がんあるいは血液疾患を専門としていない医師もたくさん集まっていただいて、いろんなカンファレンスを開いております。兵庫県下では実は小児がんを診ている病院は我々のところを含めて4施設ほどしかないのですけれども、そういう施設とは非常に密に連携をとりまして、われわれがイニシアチブをとって定期的なカンファレンス、それとうちのキャンサーボードは実はオープンにしております。兵庫県のほかの施設からも若い先生に来ていただいて、一緒にディスカッションに入っていただいている。今後もそういったことで連携を深めていきたい、あるいは、リーダーシップを発揮していきたいというふうに考えております。
○山本構成員 兵庫県のみならず、近畿ブロック全体としての考え方もぜひあわせてご教示をお願いします。
○兵庫県こども病院 私が申し上げたことは、近畿に広げてもいいかと思います。阪神地区ではたくさんの研究会等がございまして、私も幾つか代表の世話人等を務めさせていただいておりますので、今後ますます若い先生の育成も含めまして他施設との連携を深めていきたい。それと、先ほど申し上げましたように、ふだん小児がんを診ていない施設にもお声かけをして、少しでも小児がんに対する理解をそういった病院の先生にも深めていきたいというふうに考えております。
○山本構成員 ありがとうございます。
○事務局 では、垣添座長、それから豊田構成員、短くお願いいたします。
○垣添座長 大変充実した小児がん全般の活動を展開されているというふうにお聞きしました。
 小さい質問なのですが、緩和ケアについて、痛みを伴う処置を吸入麻酔下でやるというのが子どもの心理発育上どんな効果があるのかという学問的なエビデンスがありましょうか。私は、たくさんの小児麻酔科医がおられるから実現できていることで、大変望ましいことだと思うのですが、そういうエビデンスがあるかどうかだけ教えていただけますか。
○兵庫県こども病院 具体的なエビデンスはないと思います。ただ、これは我々は学会で発表したのですが、ちょうど過渡期のとき、まだ局所麻酔でやっていた時期に両方経験した患者さんがかなり多数でおられたので退院時に御意見を聞いたら、ほぼ100%は吸入麻酔が非常に楽だったし、精神的な負担、入院がつらいというのが随分楽になったという御返事をいただいております。
○豊田構成員 簡単に申し上げます。私も緩和ケアについてなのですが、在宅緩和ケアについての取り組みといいますか、かかわりはいかがされていますでしょうか。
○兵庫県こども病院 実は当院も最近は在宅でお亡くなりになっている方も結構出てきております。これはうちの緩和医療チームで十分にディスカッションをして、また、地域の在宅医を指導相談部が見つけてくれるというのか確保していただいて、最近では特に長嶋部長のところの脳腫瘍の部門などは、在宅で亡くなっておられる方もふえてきていますので、今後、そういう方向だということはないのですけれども、地域との連携を深めてやっていきたいというふうに思っております。
○事務局 それでは、兵庫県立こども病院の皆様、ありがとうございました。
 続きまして、新潟大学医歯学総合病院の皆様、お願いいたします。
(新潟大学医歯学総合病院関係者着席)
○事務局 では、今井先生、よろしくお願いいたします。
○新潟大学医歯学総合病院 よろしくお願いします。新潟大学小児科の今井と申します。
 私どもは、まず、ここに呼んでいただいたことに感謝の気持ちを表したいと思います。リストを見ますと、日本の小児血液・腫瘍の名立たる病院の中で呼んでいただいたということに、非常にありがたく思っております。
 少し私がこれからお話しさせていただくのは、今、兵庫県立こども病院のように1施設で全てを担うような形ではなく、私が提示したい内容としましては、私ども新潟大学医歯学総合病院と新潟県立がんセンター、この2施設で、両者、足りないところを補いながら複合的な診療施設としての御提案を示していきたいと思います。
 まず、2ページ目をごらんください。最初に、新潟における小児血液・腫瘍の特色についてお話しさせていただきます。まず、小児固形悪性腫瘍に対していち早く、1973年と約40年近く前になるわけですが、Niigata Tumor Boardと称しまして、小児科、小児外科を中心としまして、そこに放射線科、病理、整形外科、脳外科などの関連科が一堂に会する形で、随分と昔から全県レベルで統一した集学的治療を実践してまいりました。
 また、私ども一地方大学としては、ずっと小児科医不足が叫ばれて久しいわけでございますが、新潟大学小児科においては、比較的順調に新しい入局医師を確保できているということも、今後このような立場をもし与えていただけた場合に、それを支えていく一つの背景の力ということでお示しできるのかなということで、ここに書かせていただきました。
 3ページ目に参ります。新潟県における小児の抗がん剤治療、造血幹細胞移植、緩和医療は、私ども新潟大学及び新潟県立がんセンターにほぼ完全に集約化されております。この両者は密接な協力関係のもとで運営されておりまして、さきに述べましたとおり、検討会も固形腫瘍あるいは造血器腫瘍は私ども小児科、2診療科が集まりまして、それぞれ毎月1回定期的に行っておりまして、相互に診療の内容をチェックし、診療レベルの向上維持に努めてまいっております。
 その位置関係でございます。協力関係を築いていく、維持していくということに非常に重要な問題として、その距離感でございますが、非常に近いところに幸い新潟大学とがんセンターがございまして、新潟市の中心部で1.5キロ、歩いても行けますし、車だと5分程度というような位置関係にあり、いろんなやりとりが可能になっております。新潟市の特徴としましては、上越新幹線の最終駅でありまして、新潟空港は市内の近接にございます。また、北あるいは東、南に向かう各高速道路網、そこのかなめのような形で四方に延びておりますので、比較的、交通のインフラというものが整っているかというふうに考えております。
 集約化と地域連携ということでございますが、4ページ目につけさせていただいたのは、この数年の再発・難治例に対する診療の実際の内容でございます。
 そして、その背景となる病院のインフラというところで少し御説明させていただきますと、5ページ目になります。現状では、新潟大学10~15床、新潟がんセンターが10~30床という枠の中で診療中でございます。2病院での協力体制によって、仮に集約化が必要である場合あるいは災害時の病床増加にも十分フレキシブルに対応できるかというふうに考えております。
 ここに書きませんでしたが、現在の診療のメンバーとしましては、新潟大学が私を含めまして血液・腫瘍グループが5名、新潟がんセンターが常勤医師として4名という体制でやっておりまして、そのほかに大学院生あるいは留学に出ている者というような状況でやってございます。
 もう一回、病棟のインフラのほうに戻らせていただきます。それぞれの2病院で無菌室あるいは準無菌室の状況でございますが、新潟大学、がんセンター、それぞれ3床の無菌室がございまして、一応、血液内科との共同運用ということになっておりますが、いわゆる病棟の準無菌室、セミクリーンルーム、小児科が単独で運用する部屋に関しましては、私ども大学小児科が個室3床に4人部屋の無菌室が1床、がんセンターが個室が6床、2人部屋が5床という形で、ある程度、余裕を持って診療できる体制になっております。
 現状で、新潟県内及び私ども大学の関連地域、主に人口がある程度あるところということでいいますと、山形県の沿岸部、庄内地方というところがありまして、そちらで発生した小児期、思春期の血液疾患、腫瘍性疾患については、ほぼ完全な集約化が現時点で達成されているというふうに考えます。新潟県内、今、説明しました山形県の沿岸部もそうですが、新潟大学、私どもの医局の出身の病院で固めておりまして、そこの辺の事情は逆に、中央の診療、いろんな出身母体の施設が入り混じってというところとは少し違う点かなというふうに考えております。
 今、申しましたように、血液腫瘍あるいは腹部固形腫瘍、2施設でほぼ均等に診療しておりまして、それ以外には、一つの特徴を申しますと、新潟大学では、脳腫瘍及び骨軟部腫瘍を主に請け負うような形をとっておりまして、また、新潟がんセンターでは、後で述べますが、ここにおられる小川医師が班長となっている小川班を中心として、新薬の治験や医師主導臨床試験などで、それぞれの特色を出しているかと考えております。
 次の6ページに行きまして、現状での思春期患者への対応ということでございますが、思春期、15歳以上の肉腫患者については、新潟大学整形外科との密接な協力体制により、大学病院、新潟がんセンター、いずれとも良好な関係で患者のやりとりをしております。できるだけ、この思春期、15歳以上の対象の患者さんも空きがある限り受け入れている。しかしながら、残念ながら、現状では100%応じているかというと、そこが応じ切れていないのが現状であることを正直に申しておきます。ただ、もし拠点の選定ということになりまして、それを弾みに人員の強化ということがなされれば、今後、対応可能になるということを期待しております。この先々には思春期のみならず、若年成人の肉腫あるいは血液、特に急性リンパ性白血病、こういったものもできるだけ小児科がかかわっていくということが患者さんのために大切かなというふうに考えております。なお、新潟大学及び新潟がんセンターの小児病棟においては、15歳を超える年齢の患者の診療において特段の制限はありませんで、引き受けることができます。年齢的な制限はございません。この辺については外来も同様です。
 次のページに参りまして、地域(ブロック)医療機関との連携のもと診療することを想定している疾患としては、一つは、新潟大学には脳研究所という施設がございまして、そちらの脳外科、あるいは、整形外科も日本で4番目の歴史を持つ診療科となっておりますが、脳外科には小児班という独立したグループがありまして、脳腫瘍に非常に力を入れておりますし、整形外科も分子生物学的な検討を含めた大変パワフルな診療科であるということが申すことができるかと思います。脳腫瘍につきましては、現在、脳外科、小児科、放射線腫瘍科の協力体制によって、術後超早期照射及び自家抹消血栓細胞救援による治療期間の圧縮を骨子とした自主臨床試験を実施中であり、現在のところ、中間成績は非常に良好であります。また、整形外科においても自施設における分子診断も整備されておりまして、高いレベルで診療体制がなされているということが言えると思いますので、この領域に関しまして、ブロックから患者さんを集めることができないかということを考えております。逆にこちらから診療をお願いしている現状を申しますと、陽子線治療あるいは粒子線治療ということが先ほどありましたが、そのような施設が新潟にはございませんので、現状は筑波大学にお願いしている。あるいは、網膜芽細胞腫に対する眼動注は国立がんセンターに主にお願いしております。
 カバーできる地域ということですが、現状で新潟県全域に加えて、山形県、福島県、こういうところから受け入れてもいますが、新潟県は非常に広うございまして、実質、あとは近県で長野県、富山県、群馬県、こういったところをカバーできないかということを考えておりますが、ここで一つだけ若干強調させていただきたいことは、私どもがここにお呼びいただけた日本海側唯一の施設であるということが、余り考えたくないことではございますが、太平洋側の激甚災害時の対応というようなことが、2年前のところでもありましたが、そういうところで一つの位置づけがあるかなというふうに考えております。
 時間が来ましたので、少し中途半端になってしまいましたが、よろしくお願いします。ありがとうございました。
○事務局 それでは、質問はございますでしょうか。
 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 地域性から見ますと、新潟は広いのですけれども、先ほど挙げられました山形とか、信州大学もこれに書いてありますけれども、石川県とか富山県、あちらのほうとの連携はどうなるのかということと、あと小児外科は新潟がんセンターにはないですね。そこのところを含めた各分野別の連携をどうやるのか。それを教えてください。
○新潟大学医歯学総合病院 富山県、石川県に関しましては、白血病、リンパ腫の治療研究グループであるCCLSGで、私ども、長らく一緒に仕事をしてまいりましたので、拠点選定の際には、また改めて十分な話し合いのもとで、どういう患者を集約できるか話し合っていけるかなというふうに考えております。
 そして、小児外科の問題ですが、そもそも正直に告白しまして、新潟大学小児科というのが血液・腫瘍診療で伝統がどうかということを問われるかなというふうに思うのですが、新潟がんセンターのほうが非常に長い歴史があり、この領域で分野を引っ張ってきたかと存じます。特に長期フォローという点では、浅見先生を中心に頑張ってこられたので、そこで新潟がんセンターと私どもが補完し合いながら、がんセンターが出せればよかったのですが、そこは小児外科がないということで、私どもが候補として挙がったわけです。現在、新潟大学の小児外科の窪田教授が定期的に新潟がんセンターのほうに回診に行かれて、手術は全て新潟大学小児外科に集まっておりますので、化学療法あるいは造血幹細胞移植の際に新潟がんセンターに移った患者のその後の外科的フォローも、そのまま新潟大学小児外科のほうでできているというようなことになっております。
○事務局 ほかにございますか。
 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほどなのですけれども、時間がなかったので、16ページの相談支援・情報提供のところで御質問がありますが、「相談支援センターの体制(新潟がんセンター)」となっていますけれども、これはどちらの体制のことですか。
○新潟大学医歯学総合病院 御指摘のとおりで、こちらに記載させていただきましたのは、新潟がんセンターの現状システムを提示いたしました。新潟大学小児科では、このような周りを埋めてくれるサポートというのは、その点まだまだこれからの構築が必要というところで、現状では私どもドクターが、例えばいろんな手当とかそういったものも積極的に御紹介をして、診断書を書き、というようなことをやっております。
○小俣構成員 認定看護師さんとかはいらっしゃらないのですか。
○新潟大学医歯学総合病院 小児病棟という点では新潟大学にはおりません。
○小俣構成員 わかりました。
加えて、相談の例えばソーシャルワーカーであるとかというのも配置はしていないということですか。
○新潟大学医歯学総合病院 病棟という形では配置はしておりません。病院にはもちろんメディカルソーシャルワーカーの方が何人かおられます。
○小俣構成員 ありがとうございます。
○事務局 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 いろいろ御説明ありがとうございます。
 私から2点御質問させていただければと思います。1点目は行政とのかかわり、行政との連携協力体制についてです。新潟大学病院の場合、新潟県立がんセンターの病院と連携されるということですが、今回の申請に当たって、県のバックアップなど県の関与はどの程度あるのかについてまず教えていただきたいと思います。その上で、県の次期がん対策推進計画の中での小児がんに関する病院の位置づけや、あるいは、その他の小児がんに関する行政との連携状況について、ぜひ御教示いただきたいと思います。
 2点目ですが、新潟大学病院は日本海側に位置しています。日本海側にある地方行政の立場から言えば、拠点病院が全て太平洋側にあれば患者のアクセスを考えると非常に不便ではないかと思います。先ほどの御説明では新潟県内と山形県沿岸部とはうまく連携がとれているものの、富山県、石川県との連携は今後の話し合いでということでしたが、仮に新潟大学病院が小児がん拠点病院として選定された場合、話し合いに加えて何かリーダーシップを発揮して調整していただけるようなお考えはありますでしょうか。その点についても、ぜひ御説明いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○新潟大学医歯学総合病院 まず、行政のバックアップということでございますが、そもそも、新潟大学と新潟がんセンター両者ともに、それぞれ単独で出ていくには少し不備があるというのが、やはり正直なところだと思います。その点を逆にこのような形で2病院合同で出ていこうということの御提案は、実は新潟県からの御提案です。これに関しては、新潟県の保健福祉部副部長の山崎さんが非常に熱心にかかわってくださいまして、私ども2病院の取りまとめも、県庁の福祉保健部の副部長さんが積極的になさってくださったというようなことがございますので、県からのバックアップ、もちろんこれがある意味空手形みたいなところもありますが、あくまで発端というのはそこから始まっておりますので、その点は私としては安心してこのような場に出てこられたかなというふうに思っております。
 これから、今後の隣県との連携ということでございますが、先ほど述べておけばよかったのですが、まずは信州大学のほうとは、もともとの新潟がんセンターあるいは我々と信州大学との長いつながりがございまして、信州大学の小池先生からは、もしも拠点に選定される場合にはぜひ積極的に協力したいということが、私どもがこの申請を出す少し前にお話をいただいております。ただ、実際にこのような書面に全て書き起こすタイミングとしては少し間に合わなかったものですから文書化はできませんでしたが、そういうようなことをいただいております。富山あるいは石川県、この体制に関しましては、整形外科や先ほど述べた脳外科、必ずしも強力な体制がない部分に関しては、ぜひ積極的にリクルートしていきたいなというふうには考えております。
 あとは長期滞在施設の問題であるとか、実のところはまだ整備すべきところがございますが、もし拠点に選定していただいた場合には、そこの辺は新潟県のほうも何らかのバックアップをしていきたいというようなことは、一応お言葉としてはいただいておりますので、何とか知恵を絞ってやっていきたいと思います。
○山本構成員 ありがとうございます。
○事務局 天野構成員、最後の質問をお願いします。
○天野構成員 ありがとうございます。
 私から3点ございまして、1点目でございますが、プレゼンの資料の中で、小児がん拠点選定による人員強化がなされればというふうな記述があったかと思うのですけれども、仮に選定された場合、その人員強化の確保の当てというか、そういったのは既に現時点では何らかの見込みがあるのかということについて教えていただければというのが1点目です。
 2点目が長期フォローアップ外来について、これは成人期の経験者の方については、どのような対応をされているのかというのが2点目でございます。
 3点目、ちょっと細かいのですが、一番最後のスライドの部分で、小児血液腫瘍科の新設ということについて記述があったかと思うのです。しっかり患者さんを診ていただけるのであれば小児科でもいいのかなというふうに思ってしまうのですけれども、これは何か理由があるのかということについて教えていただければと思います。
○新潟大学医歯学総合病院 私、ただいま医歯学総合病院病院長を務めております内山と申します。昨年まで小児科の教授を務めていたものですから、その人員強化についてお答えさせていただきます。
 現在でも、例えば小児科を初め、病院全体で二十数名の特任教員を病院の経費でつけております。ですから、こういったものに選ばれましたら、病院のほうの診療経費あるいは補助金の一部を使わせていただくのか、全て病院で出すのかにしましても、特任教員をつけて強化をするということは全く100%お約束できると思います。
 あと、またほかの点につきましては今井のほうから答えさせていただきます。
○新潟大学医歯学総合病院 人員強化という点に関しましては、やはり大学病院という一つの問題点は、ポストと言ってしまうとあれなのですが、しっかりと長期間継続して診療を行うのにポストが足りないということがございますので、その点を少し強く書かせていただきましたが、その当てとしましては、今現在、比較的定期的に若手が私どものグループに加わっていただきまして、また、今、研究中であったり留学中であったりという人材がおります。また、若手でこれから加わりたいという方がおりまして、逆に言うと何年かしますと、これから私どもの今のキャパシティーでは行き場がないようなことももしかしたら生じるかもしれないという点では、そういう意味では十分な当てがあるかと思います。また、ポストについては、今、院長が述べたとおりだということです。
 長期フォローについては、新潟がんセンターのほうでは、長らく一つの枠を設けて長期フォローアップをしていることは言えるのですが、新潟大学のほうは一般診療がほとんどありませんので、私どもの通常の血液、腫瘍外来のほうで、20代、30代の患者さんも一緒に診させていただいております。
 それから、最後の継続性という点では、これは、いただいた方向性、この点で書いてくださいというところの、小児血液腫瘍科の新設の可能性はあるのかということに対して答えたつもりであったのですが、これもまた一つ、小児科という大きな枠組みの中でというよりは、継続性という点を考えると、こういう独立の方向がやはり望ましいのかなと思いまして記載させていただきました。ありがとうございました。
○新潟大学医歯学総合病院 済みません。1点だけ。
 新潟がんセンターの小川ですけれども、長期フォローに関してです。新潟大学の患者さん、がんセンターも含めて、長期フォローに関しては当院のほうに長期フォロー外来ができておりますので、そちらで積極的に、あるいは長期間に診ていくことが可能です。がんセンターですので、成人がんの専門家あるいは成人がんのキャンサーサバイバーを診るという体制がうちの病院ではそろっておりますので、そのシステムにのせて私たちが窓口になって、ずっと一生診ていけるという体制は整っているというふうに御理解いただければいいかなと思っています。
○事務局 では、新潟大学医歯学総合病院の皆様、ありがとうございました。
 続きまして、静岡県立こども病院の皆様、よろしくお願いいたします。
(静岡県立こども病院関係者着席)
○事務局 では、瀬戸先生、よろしくお願いいたします。
○静岡県立こども病院 静岡県立こども病院の病院長をしています瀬戸です。よろしくお願いします。隣が血液腫瘍科の科長の工藤です。よろしくお願いします。
 私は全体にページにのっとって概略を説明した後、専門的な御質問がありましたら、工藤のほうからお答えしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、始めます。表紙が当院の全景で、静岡市内の北東部に位置します。
 2枚目をごらんください。まず、2枚で当院の概要を示します。
 当院は病床数が279床で、ICU病床が39床と多いのが特徴です。標榜診療科27科で、ほぼ全ての診療科がそろっていまして、小児の全ての疾患に対応でき、県内、県外から重症患者を受け入れる最終病院です。また、PICUを中心に24時間、重篤な小児救急患者を受け入れる体制が整っています。主に小児がんにかかわる診療科を青色で示しました。職員数は734名、医師数は133名で、全国から医師が集まり、多くは医局人事にはよりません。看護師数は411名で、小児入院管理料1の施設基準で運営しています。
 次のページをお願いします。平成23年度の診療実績ですが、完全紹介制をしいており、紹介率が96%、退院患者数5,356人中、県外患者525名、約1割を占めます。手術件数は小児外科が848件、脳神経外科が268件と全国的にもトップレベルの実績があるかと思います。また、救急搬送件数842件で、ドクターヘリ等も活用して県内全域、時には県外からも重症患者を断らずに受け入れています。地域医療指定病院、静岡県の小児がん拠点病院など各種の指定を受けております。
 以上、医師、看護師スタッフの人材育成を重視しておりまして、各診療科の密接な協力とチーム医療を推進し、近年では国際交流の推進にも力を入れております。
 次のページをお願いします。小児がん診療の説明に移ります。左の表の造血器腫瘍の症例数はALLを中心に年間20例余りで、15%が再発症例です。右の表の固形腫瘍の症例数は年間30例余りで、ほとんどが新規症例です。その他症例は主に脈関係の腫瘍です。
 小児がん患者の診療病床ですけれども、造血器腫瘍取扱病棟28床で利用率は約80%、固形腫瘍取扱病棟は外科系の45床で利用率が70%強であり、集約化により患者数が今後増加いたしましても、対応が可能と考えております。
 次のページをお願いします。地域の連携医療施設を示します。当院は静岡県の真ん中に位置します。東部には静岡県立がんセンターがあり、陽子線治療の適用患者や、あるいは整形外科領域の腫瘍の治療を依頼しています。また、病理の合同カンファレンスを実施しており、現在、血液腫瘍科のほうから研修医をローテーションで派遣しています。当院では現在、耳鼻科と眼科は非常勤による外来診療のみですので、そういった領域の手術に関しましては、浜松医大や県内の総合病院に依頼しています。今後、常勤医の確保により、耳鼻科、眼科の手術も実施できるように整備する予定です。
 次のページをお願いします。他施設からの小児がん患者の受入状況を示します。平成23年度は93名を受け入れ、静岡県中部、東部からがほとんどでありますが、小児の肝細胞移植が可能なのは県内で当院だけですので、西部からも若干名受け入れています。県外からの受け入れは7名でした。紹介元の病院は60施設に上ります。今後の当院の役割としては、移植適用症例、再発・難治症例、外科手術症例の受け入れが重要であると考えております。カバー可能な地域としては、後に述べますように、家族の長期滞在施設が整っていますので、中部地域から広く受け入れが可能であります。
 次のページをお願いします。長期フォローアップにつきましては、基本方針の4項目を示しましたが、具体的な内容を下の表に挙げました。目的と内容では、晩期合併症のフォローを各診療科の協力のもとに実施しております。また、成人医療機関への移行支援も重要な課題で、がん化学療法認定看護師とともに、患者教育、指導、相談対応を行っています。第4水曜日が長期フォローアップの専門外来日ですが、来年度、外来増築に合わせて専門外来を拡充する予定です。また、同時に成人移行外来、外来化学療法センター相談室を新設します。これによって、思春期の患者の受診と対応がよりスムーズになると思われます。長期フォローアップ外来の実績は5年間で241件でした。成人移行先の医療施設は表に示すとおりですが、当院にも成人移行病床を数床設けることを計画中です。なお、移植患者フォローアップ外来も本年7月から開始いたしました。
 次のページをお願いします。チーム医療について述べます。緩和ケアチームを平成21年6月に設置し、表のような内容で活動しています。診療実績は27件です。本年6月から緩和ケア外来を開始し、半年で61件の外来患者さんを診察いたしました。カンファレンスを週1回実施しています。写真は緩和ケアチームのメンバーで、真ん中が緩和医療学会の暫定指導医です。また、本年4月からグリーフケアチームを発足しました。CLSと看護師が大きな役割を担います。まだまだ手探り状態ですが、今後とも充実させていきたいと考えております。
 次のページをお願いします。院内キャンサーボードですが、平成7年から血液腫瘍カンファレンスを月2回、脳腫瘍カンファレンスを月2回、実施しています。移植カンファレンスは、多職種合同で幹細胞移植患者の診療方針決定、ケアの課題の検討などを随時行っています。
 次のページをお願いします。小児緩和ケアの提供体制を図式化しました。入院中、外来通院中、いずれも主治医あるいは担当看護師が緩和ケアチームに依頼し、主治医等が参加する形でカンファレンス、病棟訪問、緩和ケア外来受診により対応しています。
 次のページをお願いします。人材の確保状況ですが、各診療科の人材が豊富で、現在、血液腫瘍科には8名、小児外科に8名、脳神経外科に5名、ここには書いておりませんけれども、麻酔科には8名、児童精神科には5名の医師が在籍しています。小児がん専門医も示すとおりです。写真は血液腫瘍科のスタッフと認定看護師で、各大学からの若手医師の派遣を受けています。
 次のページをお願いします。人材育成ですが、がん関連の研修施設認定を青色で示しました。その他さまざまな小児関係学会の研修施設認定を受けています。研修プログラムは、4年前から小児科専門医取得のための後期臨床研修医プログラム、3年コースとして毎年5名の定員で受け入れており、血液腫瘍科にはその間、1カ月ないし3カ月ローテーションします。現在、修了者5名で、うち2名が在籍しています。また、小児血液・がん専門医取得のためのプログラムとしては、2年の期間で卒後5年目以降の医師を受け入れています。現在、修了者6名で、2名が在籍し、4名は全国各地に赴任していきました。その他、各大学医療機関から随時、短期研修生の受け入れを行い、敷地内に滞在施設を完備しています。
 次のページをお願いします。患児の教育については、訪問学級「きらら」を設置しています。同じ敷地内の静岡県立中央特別支援学校から派遣された専属の教師が5名常勤しています。専従の管理者は置いていないため、組織上、訪問学級ですけれども、実質的な院内学級と同等の機能を有しています。小学生、中学生を対象に、平均の在籍人数は16名。約8割以上が小児がん患者です。入退院を繰り返す患者は退院後も通学が可能になっています。そこで病院スタッフ、教師が一緒になり、本人と家族に対して復学支援を行っています。具体的な内容については表のとおりです。
 次のページをお願いします。保育士等の配置はCLS1名、保育士7名で、うち6名がHPSの研修を終了しています。CLSは外来病棟におけるプレパレーションなど多岐にわたって活躍しています。病棟に1人配属された保育士は、面会中の患者きょうだいの保育にも対応しています。また、患者図書館「わくわくぶんこ」から絵本などを病棟プレイルームに配備し、ベッドサイドではボランティアが読み聞かせを行っています。
 次のページをお願いします。タイラー基金の協力により、3年前から全国に先駆けてセラピードッグが導入されました。非常にすばらしくトレーニングされたラブラドールレトリーバーですけれども、毎日午後に看護師資格を持つトレーナーとともに病棟を訪問し、患児を元気づけています。不安を軽減するために、手術室の中まで同行し、眠るまで同伴しますとか、また、長時間の安静強要時には、患児に添い寝をしたりしてくつろがせます。診療に与える効果は非常に大きなものがあると思います。
 次のページをお願いします。長期滞在施設ですが、敷地内にコアラの家という6室の施設がございます。在宅復帰に向けた外泊訓練にも利用します。1人1泊1,050円です。病院内部には内線電話でつながっています。稼働率は70%でよく利用されています。また、病院内にも短期滞在の部屋が8室用意されています。
 次のページをお願いします。小児がん相談センターとして、兼任の医師2名、看護師1名、MSW2名を配属しています。院内掲示板やホームページで案内し、小児がんの種類や受診歴の有無にかかわらず相談を受け付けています。希望があれば対面面談も実施します。来年度の外来増築時には、さらに充実する予定です。
 次のページをお願いします。小児がん患者団体との連携です。当院の患者家族の会として、ほほえみの会というものが存在し、月に1回、院内で定例会が開かれ、新規の患者家族の皆さんに入院生活などへのアドバイスなどが行われています。昨年、患者の会においてさまざまなアドバイスを網羅したDVDが作成され、配布されました。また、病院に対する要望事項の取りまとめ役として重要な働きをされています。当院の小児がん患者とその経験者が集うPeerという会も活動しており、年に1回キャンプを行い交流することにより、現在の小児がん患者さんにとって大きな励ましとなります。その他、2つの県全体の患者の会にも参加しています。
 次のページをお願いします。臨床研究への参加状況です。過去5年間の実績でJPLSG関連に11件、JNBSG関連に2件、その他4件の臨床研究に参加しています。
 次のページをお願いします。今後の実施計画を挙げました。最も重要と考えていますのは、長期フォローアップの他病院との連携強化です。一般診療は地域の病院に依頼し、専門的なフォローは年に一、二度、当院で行うというふうな、スムーズに行う体制づくりです。また、思春期以降に備えて、成人移行外来を経由し、成人医療機関でシームレスに患者をケアする体制づくりも大きな課題と考えています。また、県内、県外の医療施設との小児がん専門医療の連携強化も重要な課題です。最後に、教育、人材育成は当院の中心的な方針の一つで、一層の努力を傾注する所存です。
 御清聴ありがとうございました。以上です。
○事務局 ありがとうございました。
 それでは、質問はございますでしょうか。
 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほど質問がございます。今、まさにお話しされていた継続性のところで、今後、長期フォローアップを受診できる体制をということですが、具体的にどのような形の構想があるのかというのを一つお聞きしたいということと、それから、小児がん相談センターのほうをさらに充実させるというようなお話が先ほどございましたが、具体的にどのように充実していくのかということがもしありましたらお聞かせください。お願いいたします。
○静岡県立こども病院 まず私のほうから、追加して工藤のほうからあるかと思いますけれども、長期フォローアップに関しましては、今、月に1回、定員が5名、ちょっとキャパシティーが少ないのですね。それで、担当する医者の数を2人にして、それから、今、ブースが少なくて専用ブースがないので、来年ちょうど新築で外来をつくりますので、そのときに専用のブースをつくってやりたいということが一つ。
 もう一つは、35年前にできた外来ですので、相談窓口というソフト的なことがなかなか難しいのですね、現在は。だから、来年度、全てそういうことも含めまして、総合相談窓口の中に全ての相談機能を集約化して、その中にがん相談室も一員として入れる。ということは、MSW2名、並びに、医師、看護師というのは、医師は常駐しませんけれども、少なくとも看護師とMSWは常駐して、いつでも窓口で、直接来院してもいいし、あるいは、ファクス、電話等で相談を受けるということをよりスムーズにするという構想です。
○静岡県立こども病院 長期フォローアップに関してですけれども、約5年前に、割と全国の中でも早く長期フォローアップ外来が立ち上がったと思います。そこで、試行錯誤の中ですけれども、こども病院ですので生育ということで、年齢に合わせて、成人移行のことも踏まえて、高校卒業もしくは二十歳をめどにして、そこまでに、いろんな過去の治療歴だとか、今後、自分の体に対するヘルスケアとかそういったことも踏まえて、一緒に勉強しながら知識を持っていただいて、治療サマリーを持って成人医療機関に紹介していこうというふうに考えております。
 移行先に関しましては、移植とか特別な医療を受けた方は、やはりある程度専門的な、例えば総合病院の血液内科とか、そういうところを考えておるのですけれども、サバイバーの方々で、割とエーレルで小さいときに治療された方とかであれば、総合診療的な面でクリニックでもいいのかなということで、この秋にそういった受け入れ先に関する調査等も行っております。
○小俣構成員 加えてお聞きしたいのですが、その診療科についても成人科への移行というのは必要かと思いますので、例えば先ほどありました充実させる相談センターには二十歳以降でも相談が可能なのでしょうか。
○静岡県立こども病院 できれば、そういうふうに外来受診のついでに寄っていただく、プラス、こども病院を卒業したけれども、また誰かに会いたいというか、自分が治療したところに戻ってきたいというような方も気軽に寄っていただけるようなスペースだといいなというふうに思っております。
○事務局 ほかにございますでしょうか。
 天野構成員、お願いします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私から1点、質問がございます。5ページのほうで、地域連携の体制について御教示いただいたのですけれども、この5ページの資料を見る限りは、静岡県を中心とした地域連携をしてきていただいているかと思うのです。今回、拠点病院の選考ということになって、東海、北信越というエリアで見ると、他地域との連携も求められてくるかと思うのですが、そのあたりについて今後のお考えなどありましたら、教えていただければと思います。
○静岡県立こども病院 まず私のほうから現状といいますか、診療圏としてやはり、静岡は300万の人口があるのですけれども、広いという、先ほどの新潟県と同じような状況で、患者数も多いですから、今まで静岡県が主で、近隣の県、例えば愛知県の東のほうとか、山梨県、あるいは神奈川県の西のほうから来られることも間々ありますし、特別の疾患であれば遠くから来られることもあったのですけれども、医療圏という意味ではそういうことで、病院連携あるいは病病連携、病診連携という面でも、やはりそのエリアにとどまっていたのは実態です。今後どういう展開になるかというと、なかなか予測がつかないところがありまして、実際にどういうことが要求されるのかにもよりますけれども、いわゆる専門医療的な意味では、今まで、広い範囲内のグループスタディーの一員として、中部地域の大学並びに総合病院との連携ということは今までも図ってきましたし、そういうことが継続されることは当然ですけれども、もっと草の根的な話になりますと、今のところ具体的なアイデアは、そのエリアを越えてはないというのが実情です。
○事務局 ほかにございますでしょうか。
 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 御説明ありがとうございます。
 私から1点、質問があります。行政とのかかわりについてです。静岡県立こども病院は県立ですが、今回の申請の際に、どの程度県が関与しているのかということ、また、同じ県の組織として、例えば保健所などとも連携して地域での小児がん患者を支援するといった実績も、もしあれば御教示いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○静岡県立こども病院 先ほども少し述べましたように、平成22年7月に静岡県単独での小児がんの拠点病院の指定を受けまして、そのためのサポートを受けています。今回の国のお話に関しましても、静岡県のほうからむしろ積極的に推薦されたという実情がありますし、それから、もう一つの県立病院でありますがんセンターのほうからも、あちらは成人ですけれども一部に小児もありますので、一緒にやっていこうということでの強いバックアップを得ています。そういう意味で、県の中のがん対策担当課があるのですけれども、そこの部署が県立こども病院の支援をする担当課と隣り合わせで、いわゆる情報共有をして、これから一緒にそういったがん診療全体に関して県立こども病院を支援していくというふうなことで伺っています。
 保健所の絡みですけれども、今、どうですか。
○静岡県立こども病院 保健所のほうとは、静岡ですと神経芽腫のスクリーニングをまだ一部やっておりますので、そういったことも踏まえて協力体制が整っていると思います。
○山本構成員 ありがとうございます。
○事務局 ほかにございますでしょうか。
○静岡県立こども病院 一つ付け加えますと、国の指定の有無にかかわらず県の指定を受けていますので、どちらになっても支援は同じように続けるということは、県がおっしゃっていました。
○事務局 では、よろしいでしょうか。静岡県立こども病院の皆様、どうもありがとうございました。
 続きまして、名古屋大学医学部附属病院の皆様、よろしくお願いいたします。
(名古屋大学医学部附属病院関係者着席)
○事務局 それでは、小島先生、よろしくお願いいたします。
○名古屋大学医学部附属病院 名古屋大学医学部小児科教授の小島と申します。よろしくお願いします。
 向かって左から、脳神経外科教授の若林先生、私の隣は石黒福病院長、整形外科の教授です。そして右隣は高橋小児科准教授、そして安藤小児外科教授が今回は同席しておりますので、よろしくお願いします。
 まず、お手元の資料に沿って御説明したいと思います。
 名古屋大学医学部附属病院、これからは名大病院と略させていただきますが、名大病院は名古屋駅からJR中央線で6分と名古屋市中心部の交通至便な場所に立地しております。総病床数が1,035床、職員数が1,857人と、中部地方でも屈指の総合病院です。
 次のページをめくってください。愛知、岐阜、三重、静岡の4県を含む東海地方の総人口は1,500万人に達しておりますが、我が国の総人口の12.5%の人口集積地帯です。愛知県の小児がんの患者数は造血器腫瘍、固形腫瘍ともに、東海4県の半数を占めており、東京、大阪に次いで全国で第3位です。名大病院の年平均の新規小児がん患者は、造血器腫瘍が21例、固形腫瘍が47例、うち20例が脳腫瘍で、あらゆる種類の小児がん患者に対応しております。このほか、新規発症例ではありませんが、再発小児がん患者を対象に、年間25~30例に造血幹細胞移植を行っております。また、小児科と化学療法部が協力して、積極的に外来化学療法を実施しております。また、1970年代から関連施設を含む小児がんの登録が行われており、長期フォローアップが行われております。
 次の3枚目をお願いします。再発・難治例には、固形腫瘍を含めて積極的に造血幹細胞移植を行っております。名大病院は我が国における小児造血幹細胞移植のパイオニアで、1980年の第一例から累積症例数は1,000例に達しております。2010年の移植症例数は28例、全国で第2位でした。化学療法では、根治が不可能な難治性白血病も新規薬剤と移植の併用で、著明な予後の改善が得られております。
 4枚目です。各診療科を合計した小児病床数は82床ですが、常時50%以上は小児がん患者で占められております。このほか、集中管理が必要な患者は、小児救急医療医がメディカルICUで対応しております。患者数に応じて、小児がん患者に使用するベッド数の増減が可能です。また、思春期がん患者については、それぞれ対応する各診療科に、親と子どもの診療科が、これは児童精神科医の部署なのですが、加わって精神的ケアを担当しております。
 ページをめくってください。図に示す東海4県下の病院との連携は合意がとれております。名大病院は主に再発・難治例や造血幹細胞移植が必要な症例に対応します。名古屋医療センターは日本小児白血病リンパ腫研究グループ、愛知医大は小児癌・白血病研究グループの全国事務局であり、また、名古屋第一赤十字病院は造血幹細胞移植、名古屋西部医療センターは陽子線治療施設と特色ある施設と連携しております。拠点病院に選定された場合には、三重大学や静岡県立こども病院との連携も視野に入れております。
 6枚目です。関連病院が分布する東海4県からの紹介が主ですが、これまでも難治例を中心に全国各地からの紹介があります。選定の結果、北陸地方との連携が必要となれば、連携協力病院との間でウエブによるカンファレンスシステムを構築することも考慮しております。
 次のページです。長期フォローアップは、小児がん専門医と小児科の各サブスペシャリティー、さらに関連各科の専門外来との併診で行っております。成人に達した場合も、院内各科との連携が容易です。紹介元の地域基幹施設や名古屋医療センターの長期フォローアップ外来との連携も図っております。経済産業省による小児がん長期ケア事業にも参加しております。
 8ページです。患者及び家族は多職種から構成される緩和ケアチームに支援を要請することが可能です。緩和ケアチームは、定期の回診のほかに必要に応じて緊急に対応しております。
 9ページです。各領域の小児がん専門医を軸に多職種が参加するキャンサーボードを通じて、情報が共有されております。なお、化学療法は全て小児血液・腫瘍医が担当しております。このほか、栄養サポートチーム、褥瘡対策チーム、呼吸サポートチーム等が活動しております。
 次のページをお願いします。全国的に大学医局への入局者の減少が問題となっておりますが、名古屋大学においては、小児がんの診療に関係する各科において十分な新入局者が確保されております。これらの入局者を対象に、各診療科で小児がん研修プログラムが用意されております。関連施設との人事交流も密で、小児科を例にとれば、名古屋第一赤十字病院、名古屋医療センター、静岡県立こども病院血液腫瘍科等の東海地方の基幹小児がん診療施設との人事交流があります。全国的にも日本大学、岡山大学、成育医療センター腫瘍科で当科の出身者が小児がん診療スタッフとして活躍しております。
 11ページです。愛知県4大学では、平成20年から4大学小児科合同研修プログラムを立ち上げて、大学間の垣根を越えてサブスペシャリティーの育成を行っております。また、東海4県下を対象にした各小児がん関連研究会の事務局は名古屋大学に置かれ、各研究会とともに活発な活動を行っております。
 12ページです。平成24年度から文部科学省支援事業として、名古屋大学が主幹校となって東海7大学による「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」が開始されました。このプランには、小児がん専門医、小児がん看護師養成プログラムも含まれております。
 次のページです。発育、教育に関する院内環境整備を示します。2つのプレイルームには、2名の保育士、2名のチャイルドライフスペシャリストが運営にあたり、院内小、中学校には常勤7名、非常勤3名の教諭が配置されております。院内及び地元学校あるいは主治医、ディスチャージプランナーによって復学支援も行われております。2名の常勤チャイルドライフスペシャリストが勤務する、全国的にも数少ない病院です。
 次のページをお願いします。これまでは、病院敷地内にある宿泊施設が利用されていましたが、来年10月には病院敷地内に小児患者家族を対象にした、12部屋を有するマクドナルドハウスなごやが完成します。愛知県民のマクドナルドハウスに対する関心は高く、これまで既に1億円を超える寄付が集まっております。
 15ページです。小児がん患者や家族への相談支援や情報提供を目的に、相談支援センターが開設されています。平成24年度は、11月現在、小児がん関連の相談件数は91件に上ります。患者情報センターや患者図書室も院内に併設されており、患者団体との連携にも積極的に取り組んでおります。
 次のページをお願いします。臨床研究への参加状況を示します。日本小児白血病リンパ腫グループ、日本神経芽腫研究グループなど、全国的ながん臨床研究グループの主要メンバーとして、数多くの研究に参加しております。50人のスタッフを抱える先端医療・臨床研究支援センターが設置されており、新薬の臨床試験や細胞療法、遺伝子治療などの先端医療開発支援が行われております。本研究の支援体制は、厚生労働省「臨床研究中核病院」と、文部科学省「橋渡し研究加速ネットワーク」の研究費で運営されております。
 次のページです。先端医療の開発にあたっては、金沢大学など北陸を含む中部7大学と30以上の大規模病院が参加する中部先端医療開発円環コンソーシアムが設立され、臨床研究の推進が図られております。
 次のページをお願いします。実際に我々が取り組んでいる臨床研究の実例を示します。臨床研究支援センターの支援のもとに、名古屋大学小児科が日本代表事務局となって、全国15施設及びヨーロッパ神経芽腫研究グループと共同で、平成25年、来年4月から米国においては、標準的な難治性神経芽腫の治療薬である抗GD2抗体の国際共同医師主導治験を開始することが決定しております。また、橋渡し研究の一つとして、造血幹細胞移植後に、いわゆる難治性ウイルス感染症に対して、ウイルス特異的細胞傷害性T細胞の体外増幅法を開発しました。この技術を用いて、我が国では初めて移植後、難治性ウイルス感染症を対象に臨床第1相試験を行っております。
 次のページをお願いします。大学病院としての小児がん拠点病院のあり方について、私たちの考えを述べます。我が国の小児がん臨床研究の問題点は、治療プロトコルの多くが欧米の既存のプロトコルの模倣にとどまり、新規の治療プロトコルを立案するのに必要な、斬新なアイデアに基づくパイロット研究が乏しいことです。研究施設を有する大学病院の責務として、基礎研究、橋渡し研究を担う研究グループと診療グループが両輪となった難治性小児がん治療チームの形成を目指しております。
 最後のページです。現在、名古屋大学小児科には3名の教授がおりますが、診療に欠かせない人材の確保を目的に病院教授制度が制度化されております。さらに、継続性への対応を考慮して、名古屋大学小児がん治療センターの開設も来春に予定しております。
 以上です。
○事務局 ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 非常にすばらしい内容だと思いますが、一つは臨床研究、小児がんの臨床治験、それから、TRですね。その辺を積極的にやられていると思うのですが、その内容、成果を、地域あるいは日本全体に、どういう形で還元していくのか、何かアイデアがあったら教えてほしいというのと、先ほど、病院教授というのが非常に継続性につながるということですが、病院教授自身というのは、余り形だけのものということが多いと思うので、先生が最後におっしゃったように、小児がん治療センターをつくって、そこにセンター長を置く、そういう形で継続性を維持しようというふうに理解してよろしいでしょうか。
○名古屋大学医学部附属病院 まず、前者の点なのですが、私たちがTRとして全国に先駆けて細胞療法あるいは遺伝子治療を始めています。それは以前からこの施設を使って、実際それを展開するために、実はこの後も厚生省の班会議があるのですが、私たちの手術をこれから全国へどう展開するかという話し合いが当大学と科研で、この後、待っているのですが、そういった形のことを今いろんな形で務めている。脳腫瘍に対する遺伝子治療も、全国にシステムを、脳外科の若林先生のほうからの説明がいいかなと思っていますが、配備しております。
 次の質問なのですが、先生が、臨床教授ということに関して少し名前だけのものをということでしたが、そういった問題点があるからという形で、名古屋大学においては、まさに私たちの教授とほとんど同じシステムの形の教授にしようと、教授会も全てしていきます。それは既存の病院教授とは全く違う形のシステムを実は立ち上げました。これに関しては、石黒先生、よろしくお願いします。
○名古屋大学医学部附属病院 病院のシステムについて説明させていただきます。当院における病院教授というのは、ほぼ講座教授と同等の権限を持つ。診療科長を併任するようになっております。ですから、名前だけのものではなくて、組織を伴うものであるというふうに理解しておりますし、そのような設立になっています。
 ですから、この文書も現在兼任ですけれども、御指摘のとおり、将来的に発展性があるということになれば、その後、病院教授という形になっていくと思います。
○事務局 ほかにございますでしょうか。
 韮澤構成員、お願いします。
○韮澤構成員 5ページのところでございますが、この小児がん拠点病院の構想に当たっては、拠点病院というのは、標準的な治療を行うのではなくて、難治例とか再発例を主に扱うような体制を整えたいということが出発点なのですが、この5ページの表を見ますと、連携協力病院の、ここに書いてあります愛知県の各病院に標準リスク郡の治療を担当と書いてありますけれども、現実的に今、名古屋大学とその連携病院との間では、私は小児内科医ですけれども、例えばステージ1の比較的簡単なものは大学でやるのではなくて連携協力病院にお願いして、ステージの進んだもの、もしくは再発だけを大学で引き受けているという実情というのですか、例はあるのでございましょうか。
○名古屋大学医学部附属病院 今、韮澤先生がおっしゃられたとおりで、私たちのところでは難治例、ステージ4、3以上というのがほとんど前例で、あるいは、ほかのところで肝臓移植もしているので、肝転移が来ているもの、あるいは肝芽腫であれば両葉に行っている、そういうかなり限定された疾患のみをやっていて、ステージの若い例に対しては、逆にそちらの病院に僕たちのスタッフが出かけていってやるという、そういうシステムをとっております。
○事務局 ほかにございますか。
 天野構成員、お願いします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私からは2点ございます。まず1点目でございますが、5ページのほうで他県との連携についての具体的な施設名を挙げて記載いただいていると思うのですけれども、いわゆる大学病院の関連病院以外にも、実際、拠点病院に選定された場合は、ある意味リーダーシップをとっていただいて、連携を進めていただきたい。視野に入れているというところにとどまらず、ぜひ連携していただきたいというふうに考えているのですが、既に、例えばウエブシステムの構築など書いていただいているのですけれども、改めてそのあたりの地域のネットワークの構築ということに関して、具体的にどういった方向性というか決意というか、そういうものをお持ちかというのを教えていただければというのが1点目でございます。
 2点目でございますが、滞在施設についてです。今回、申請いただいている各施設と比較すると、新しく設置される予定の施設ではなく既存の施設に関しては比較的、高い料金設定になっているかと思うのですけれども、その料金設定について、例えば、今後、負担軽減などを考慮していただくことは可能かということについて教えていただければと思います。
○名古屋大学医学部附属病院 まず、一つは愛知県内だけでも実は小児がん患者が150名あるのですね。そういう意味では、それを全て拠点病院、名古屋大学でというのはとても難しい。あるいは、それ以上に愛知県の幾つかの病院は非常に全国的に、実はこの分野のリーダーなのですね。名古屋医療センター、愛知医大も全て。そういう意味で、なかなか私たちの全てというわけではないのですが、実を言いますと、例えば小児外科だとか、あるいは放射線とか、いわゆる集学的治療ができる場は名古屋大学だけだというような形で、今回、実は愛知県の指導がありまして、県の健康福祉部が今回に関してどういうような形でこれに対応するかという話し合いがされて、4大学あるいは基幹病院が集まった上で、やはり愛知県に関しては当院が中核になって連携する体制をつくろうということで、私たちが今回、申請することになりました。
 あと、東海地区においては、非常に以前から同じプロトコルスタディーあるいは研究会も非常に活発にやっております。幸い、静岡にしても三重にしても1時間で名古屋に来られますので、夕方6時半から研究会をやって9時、10時に帰るという形もございます。そういう意味では、全く私たちは同じようにいろんな研究あるいは診療の連携体制はとっているのですが、今回に関して少し話し合いをしたのですが、非常に有力な病院が多いので、まずアプライして、話はそれからだということになりました。
○事務局 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 私からは1点だけお聞きしたいと思います。名古屋大学病院は地域のリーダー的な病院であり、また、リーダーシップを発揮して、関係機関と連携協力体制をとっているということは十分理解いたしました。
 私からの質問は、仮に拠点病院の選定から漏れた場合であっても、他の病院としっかり連携をとって協力していただけるかどうか、そこだけ確認させてください。
○名古屋大学医学部附属病院 もちろん、それはそういうつもりで皆さん、望んでいるわけですので、今までと連携体制あるいは協力体制は全く変わらないと思います。
○山本構成員 ありがとうございます。
○事務局 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 3点ほど。4ページに思春期がん患者の診療体制ということで書かれておられますが、その療養環境として、例えば小児科に入院したりとか病棟を選ぶということができるのかどうかということと、プレイルームが2つあるというお話をいただきましたが、思春期、AYA世代の人たちの交流というところでは、療養環境はどのようになっているのかということが1点です。
 それから、センターを開設するということですので、例えばですが、そのときには、長期フォローアップ外来というものが開設されるのかどうか。また、現在でも相談支援センターがございますし、しっかりと体制が整っていますが、長期フォローアップについてどのように相談の仕組みがあるのかということの3点、お聞きしたいと思います。
○名古屋大学医学部附属病院 まず、第1点なのですが、いわゆるAYA世代というか、アドレセントあるいはヤングアダルトに関しては、私たちは総合病院ですので、いろんな科が非常に成人に関して強いです。端的に言いますと、血液内科は実は日本の白血病のリーダーをしているので、なかなか15歳以上の患者さんを私たちが診るということはしていません。ただ、私たちが診ている患者さんで、中学生が高校生になるとかそういうケースは多々ありますので、そういうケースで例えば移植が必要という形に関しては、私たちも3床を持っている、あるいは、血液内科やほかの科が持っている無菌病棟が実は共有ですので、アドレセントあるいはヤングアダルトの患者さんは、そこでいろんな対応をするようにしております。そして、中、高校生の会というのがありまして、私たちのカンファレンスルームとか、非常に立派なダイニングルームがありますので、そこを使った形の、月に2回、中、高校生の会という形で、チャイルドライフスペシャリストが音頭をとった形のいろんな交流の場は設けております。
 それと長期フォローアップに関しては、基本的には今は併診という形で、私が診ると、サブスペシャリティーの例えば内分泌科医だとか、ウイルス外来だとか、あるいは神経科医、腎臓科医が、ちょうど一緒の外来をやっていますので、それで診るのと、あと、併診して、ちょうど横に見える安藤先生と同じ外来ですので、それも外来が小児科だと小児内科が同じ外来なのですね。そういう意味では、非常にうまく、その点に関しては行っております。
○小俣構成員 ソーシャルワーカーとか相談支援センターの方たちのかかわりというのは、どうですか。
○名古屋大学医学部附属病院 ソーシャルワーカーに関して、今、メディカルソーシャルワーカーが7人、退院に関して、地域医療センターに勤めているのですね。あるいは、小児科のもとの看護師がディスチャージプランナーを、そういうような形で、何かソーシャルな問題があった場合に関しては、努めてソーシャルワーカーのほうに相談するようにしておりますが、先生、いかがでしょうか。
○名古屋大学医学部附属病院 今、地域医療センターにソーシャルワーカーが配置しておりますし、退院後の支援ということでやっております。
 それと、先ほどの天野構成員からの質問の、料金が高いのではないかということですけれども、ここで明言します。下げます。
○事務局 では、最後に垣添座長、お願いします。
○垣添座長 短くお話しします。東海4県をカバーして、大変、充実した活動を展開されていると思いますが、5ページの連携図で、前のプレゼンの施設だった静岡県立こども病院との連携に関して教えていただけますか。
○名古屋大学医学部附属病院 静岡県立こども病院の血液腫瘍科は、私たちのスタッフが、今、派遣していまして、その下のローテーターも行っていますので、そういう意味では非常に連携を密にやっておりますが、今回に関しては、なかなか両雄というような形で、この結果を待って、どういうような形でこれまで以上に東海4県下で連携しようかという話し合いの場を設けようと思っています。
○事務局 では、名古屋大学医学部附属病院の皆様、ありがとうございました。
 続きまして、三重大学医学部附属病院の皆様、よろしくお願いいたします。
(三重大学医学部附属病院関係者着席)
○事務局 では、駒田先生、よろしくお願いいたします。
○三重大学医学部附属病院 三重大学小児科の駒田でございます。
 同席者を紹介申し上げます。
 左から内田恵一小児外科の准教授でございます。
 小児看護専門看護師の河俣あゆみでございます。
 右隣が小児科准教授の平山雅浩でございます。
 病院事務の小林康之でございます。
 まず初めに、このような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
 三重大学では、ドクターヘリを持つ新病棟が本年1月から本格稼働いたしまして、スタッフ一同張り切っております。
 それでは、当院が目指します小児がん拠点病院につきまして御説明申し上げます。
 資料1、当院は、昭和50年から本格的に小児がん診療を開始し、現在までに1,200例を超える小児がんの診療実績がございます。また、造血幹細胞移植症例や再発例に関しましても多くの経験があり、愛知、岐阜、静岡等、県外からも症例を御紹介いただいております。
 小児病棟43床のうち一般病室30床、無菌室5床、準無菌室8床で、末梢血幹細胞採取、保存のための細胞プロセッシング部門が設けられています。
 入院患者の多くは小児がん症例で、小児科、小児外科、脳神経外科、整形外科等、多くの診療科の医師が勤務し、集約化治療を提供しています。
 また、当院は海岸線近くのオーシャンビューの病院で、プレイルームやティーンズルームからも伊勢湾が一望できます。
 新病棟に移転してからの1年間の病棟稼働率を見ますと、まだ余裕があり、造血幹細胞移植や強力な化学療法を必要とする難治例、再発例を積極的に受け入れていきたいと考えています。
 次に、小児がん診断、診療面での地域連携につきまして、資料2をごらんください。
 診断面では、当院は、造血器腫瘍の中央診断センターとしての役割を担っています。全国の小児がん診療施設に入院された症例の明確的診断を実施しています。解析数は初発例だけでも年間200例を超えていますし、平成21年度からは微少残存腫瘍細胞の解析を開始いたしましたので、今後さらにふえると思われます。
 診療連携では、記載いたしました施設と連携して、難治例を積極的に受け入れていきますし、遠方の施設からは当院のドクターヘリを用いて患者を搬送いたします。
 また、岐阜大学病院、豊橋市民病院、名古屋市立大学病院及びその関連施設では、三重大学のスタッフを派遣して、現在、小児がん専門外来の診療を担当しておりますが、今後は、藤田保健衛生大学病院も加えて診療連携をさらに推進していく予定です。
 次に、長期フォローアップ外来の状況、資料3をごらんください。
 当院では、昭和48年より小児血液がん専門外来を開設し、当初は長期フォローアップも同外来で実施していましたが、受診者数の増加もあり、平成10年に長期フォローアップ専門の外来を開設いたしました。そして、平成19年からは長期フォローアップ拠点モデル病院に指定されています。
 昨年度の集計では、545名が長期フォローアップ外来を受診し、その受診継続率は、診断後10年で87%、20年でも52%を維持しております。
 資料4の長期フォローアップ外来の体制ですが、小児科医だけでなく、コメディカルスタッフを含めたチーム医療体制をとっています。担当スタッフの勤務異動や退職があってもフォローアップが途切れることのないように、チームとして長期フォローアップを実施しています。
 また、晩期合併症へは内分泌、神経、循環器の小児専門外来との連携、内科、産婦人科、精神神経科、泌尿器科等の成人診療科との連携、診療移行を行っています。
 地域の家庭医や医療機関との連携も、特に居住地が遠方である場合には必要になりますが、JPLSG長期フォローアップ委員会の「治療のまとめ」を活用して連携しています。
 続きまして、小児緩和ケアの提供体制ですが、資料5に最近、20年間の小児がんの子供たちが亡くなる直前の療養場所を示しています。
 平成11年までの前期は大学病院が大部分を占めています。しかし、資料左上の御遺族へのアンケート調査では、約4分の3が自宅での療養を希望されていました。この結果を踏まえ、在宅医療の充実と自宅での緩和医療の実施に努めています。その結果、最近の10年間では、自宅で過ごされるケースが29%まで増加いたしました。
 当院の小児緩和ケア提供体制ですが、資料6のように院内と院外の支援からなっています。
 院内支援としては、緩和ケアチームと小児病棟の担当者が連携し、緩和ケアを提供します。院外支援としては、昨年設置されました小児在宅医療支援部が関連施設と連携して在宅ケアを実施しています。私たちのアンケート調査では、小児の在宅医療を実施している在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションは1割から2割と少なく、小児在宅医療支援部では、啓発のために研修会を積極的に実施しています。
 次に、小児がんにおけるチーム医療ですが、資料7のように多くの専門職と医療チームがかかわっています。そして、チーム医療カンファレンスを実施して、患児・家族が治療に専念できる環境の提供とトータルケアを目指しています。
 当院は、三重県がん拠点病院の指定を受けており、緩和ケアチームやNSTの活動が充実していますし、外国籍の方のための医療通訳士も診療チームに加わっています。
 次に、小児がん診療を担う人材とその育成環境についてですが、資料8をごらんください。
 小児がん診療に関する専門研修病院の指定及び小児がん診療を担当する専門医と医師以外の専門職の数を示しました。小児病棟で一緒に診療を行っていますので、連携は極めて良好です。
 また、三重県は医師不足、看護師不足の県ですが、県内唯一の小児がん診療施設である当院に担当する人材を集約化して対応しております。
 次に、資料9に研修プログラムをお示ししています。
 小児がん研修プログラムとしては、小児血液・がん専門医の取得を目指すプログラム、小児がん看護研究、白血病診断の研修プログラムを実施しています。
 また、がんプロフェッショナル養成基盤推進プランの各養成コースには、小児がんの研修が組み入れられています。
 小児看護専門看護師養成コースは本学には設置されていませんが、県内の近接する四日市看護医療大学に平成25年より同コースが認定される予定であり、小児看護専門看護師の養成を推進していきたいと考えております。
 資料10、小児がん患児への心理社会的支援を示しています。
 当院では、昭和55年にがんの子どもを守る会の講演会・相談会が開始されて以来、院内教室の設置、病棟でのレクリエーションの開始、三重ファミリールームの設置、学生ボランティアの導入、中部小児がんトータルケア研究会の設立、チャイルド・ライフ・スペシャリストの導入、小児がん経験者と家族のためのキャンプの開催など、さまざまな取り組みを行ってきております。
 次に、幾つかの取り組みを御紹介申し上げます。
 まず、資料11の院内教室ですが、平成8年に設置され、平均35名の子供たちが通学しています。
 院内教室の連携は、毎朝の打ち合わせ会や医教連絡会議を通じてスムーズに行っていますし、退院後も前籍校復学までの間、引き続き院内教室に通学することが可能です。
 現在の院内教室は小児病棟からは少し離れた場所にありますが、外来管理棟が平成27年に完成しますと、新しい院内教室へは6階の小児病棟から直接、連絡通路を通って通学することが可能になります。
 資料12、復学支援ですが、退院前と退院後の支援に分かれています。
 退院前には院内教室の復学支援コーディネーターが中心となって医療関係者、前籍校、患児とその家族の合同カンファレンスを開き、復学体制を整えていますし、独自の学校生活管理表を作成し、利用しています。
 また、退院後には看護師、医師が復学先の学校に出向き、教員への啓発や児童生徒への出前授業を行い、復学を支援しております。
 資料13は、小児病棟におけるレクリエーションの様子です。
 入院中も遊びは子供たちにとってとても大切であるという考えのもとにチャイルド・ライフ・スペシャリスト、保育士を中心に病棟スタッフ、ボランティアが協力して楽しい遊びが催されています。
 資料14、長期宿泊施設として、三重ファミリールームを平成11年に開設いたしました。
 設置主体は、三重ファミリールーム運営委員会で、県内の小児科医や保護者の方、学生の協力のもとに運営維持されています。
 現在の宿泊施設は4室ですが、地域の企業の方からの出資により、新しい施設を設置する予定ですので、さらに多くの家族に利用していただけると思います。
 資料15、当院では、平成19年より小児がん経験者と家族のためのキャンプを実施しています。非常に大好評で、年々参加者が多くなり、ことしは1泊2日のおひさまキャンプとデイキャンプのどんぐりキャンプの2回を実施いたしました。
 このキャンプは、医学部の学生が主体となって実行委員会を組織し、参加者全員が笑顔になることを目標に企画運営されています。
 キャンプ中には、小児がん経験者が自身の体験を話したり、同胞を含めた家族と医療スタッフとの交流や相談の場にもなっています。
 資料16には、相談支援・情報提供及び小児がん患者団体との連携をまとめました。
 長期フォローアップ外来は、相談支援においてもとても大切な機能を担っていますし、在宅医療の相談件数が少しずつふえていますので、小児在宅医療支援部の重要性はますます高まっていくと考えます。
 小児がん患者団体との連携も資料のように活発に行われています。前述の小児がんキャンプも保護者の会、小児がん経験者の会と連携して開催いたしております。
 資料17には、小児がん臨床研究の実施状況と体制を記載いたしました。
 全国規模の他施設共同研究には積極的に参加しておりますし、癌学会の先生方が小児がん看護研究を継続的に実施されています。
 また、臨床研究開発センターが設置されており、臨床研究の発案の段階から生物統計科やデータマネージャーに支援していただいております。
 資料18の小児がん拠点病院としての継続性につきましては、当院は県内唯一の小児がん診療施設として50年以上の歴史を持つこと、三重県では昭和60年までに小児医療の役割分担が確立し、小児がんに関しては当院に集約化されていること、三重県がん拠点病院に指定され、がん診療に積極的に取り組んでいること、県内唯一の小児外科専門医を研修している病院であることにより、当院は今後も小児がん診療の拠点としてさらに発展していくと考えられます。
 最後の資料19ですが、当院では、昭和39年に故井澤道先生が小児がんの診療、研究を始められ、昭和50年には白血病の治療研究が開始されています。その後、次第に共同研究のフィールドが広がり、昭和60年には東海地区の研究事務局として、白血病の多施設共同治療を実施しています。平成9年からは全国規模の小児がん治療研究が開始され、当院からは7名のスタッフが運営委員、委員会委員として参画しております。
 今後も先輩の先生方の築かれた歴史と伝統を大切にしながら、さらにレベルの高い小児がんのトータルケアを目指して診療、研究を続けていきたいと思っております。
 以上で発表を終わらせていただきます。
○事務局 ありがとうございました。
 それでは、質問をお願いいたします。
 石井構成員、お願いします。
○石井構成員 ありがとうございました。
 三重大学は、歴史と実績に裏づけされたたくさんのデータがあると思って、非常にすばらしいと思うのですが、やはり何といっても、名大が近くにありますので、どうしてもバッティングしてしまうのではないかという危惧があるわけですが、三重大学がすぐれていると先生が思われている部分がありましたら、1つないし2つアピールしていただきたいのですが。
○三重大学医学部附属病院 1つ、2つではないので、たくさんすぐれていると思っているのですが、小島先生がおられますので、余り言うと怒られますが。
 どうしても大きな病院ががん拠点病院となると思うのですけれども、私たち三重大学のよさをぜひきょうのプレゼンテーションで理解していただいて、本当にしっかりとしたデータのもとに一つ一つの対策が積み上げられてきたということを御理解いただけたらいいのではないかと思います。
 例えば緩和ケアが重要であると言われますけれども、何で重要なのかということをデータを通して、保護者たちが緩和ケアを自宅で望まれているからそういうことをやったのだという一つ一つの施策がそういうステップを踏んでいるということを理解していただければと思いました。
○事務局 ほかにございますか。
 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 御発表ありがとうございます。
 2点ほどですが、多分ここに書いていなくて対応されているのかと思うのですが、若年性の患者さんに対してどのような対応をされているのかということと、資料12に復学支援コーディネーターという職種がございましたが、これはその職種として働いていらっしゃるのか。誰かが兼任されているのか教えていただけたらと思います。
 よろしくお願いいたします。
○三重大学医学部附属病院 コーディネーターは院内学級の先生です。1人そういうことを担当されていると考えていただければと思います。
 若年者というのは赤ちゃんということでしょうか。どういう意味でしょうか。
○小俣構成員 若年性の患者さん。AYA世代の方です。
○三重大学医学部附属病院 これはティーンズルームがあって、そこでコンピューターとか読書とか、確実に勉強ができます。そういうスペースを確保していることが1つ。
 部屋に関しましては、なかなか病棟を分けるわけにはいきませんので、部屋に入室する場合に、例えば新規の方はそういう部屋をあてがうことになりますけれども、それがいいかどうかはまた問題で、以前、4人部屋に4人入っていましたら、ずっと麻雀をしていましたので、それはいいことかどうかというものも、どうかなと思いますけれども、でも、彼らは非常に入院生活をエンジョイしておったことは事実でありまして、そういう方法もあるかなと思いました。
○小俣構成員 発症したAYA世代の方たちのお引き受けもしていらっしゃるのですね。
○三重大学医学部附属病院 もちろんです。最高は27歳の警察官が我々の病棟で、小児に多い腫瘍だったので、入院していただきました。
○小俣構成員 入院をする病棟は選べるのでしょうか。
○三重大学医学部附属病院 内科のほうから私たちのほうへ御紹介をいただきました。いわゆる小児がんの腫瘍というのは大人にない腫瘍ですので、治療に慣れているということもあって、ただ、その方はたばこを吸われましたので、禁煙していただいて入院していただきました。
○事務局 天野構成員、お願いします。
○天野構成員 御発表ありがとうございました。
 私から2点ございます。
 まず1点目ですが、先ほど先生からもお話がありましたが、いわゆる終末期における小児の在宅緩和ケアということで、小児の在宅医療支援部を設置されて積極的に取り組まれているということで、本当にすばらしいことだと思うのですけれども、これは対象となる患者さんの居住地域みたいなものは何かあるのかについて1点質問です。
 もう一点が、今回、東海北信越のエリアの拠点病院として出てきていただいていると理解しているのですけれども、資料2のほうで連携施設を具体的に挙げていただいていると思いますが、今後そういった広い地域での連携を進めていく上で何かお考えなどがあれば教えていただければと思います。
○三重大学医学部附属病院 緩和医療に関してでしょうか。
○天野構成員 拠点病院に指定された場合のお話でございます。
○三重大学医学部附属病院 緩和医療に関しましては、私どもは去年で120件ぐらい、大学のスタッフがお宅へ訪問して、訪問看護をさせていただきましたが、やはりそれは近隣の地域に限られています。遠隔地の場合はそういうことをやっていただける施設あるいはセンターを見つけなければいけないということで、先ほど申しましたように、診療所ですとか、訪問看護ステーションへアンケートをとったのですけれども、1割か2割ぐらいしか小児の在宅の経験がないということで、そういうことであれば、在宅支援部が啓発をして、実習、研修会をまずやって、県下どこでもそういうケアが受けられるネットワークみたいなものをつくりましょうということがまず第一段階で、これは県の医師会、看護協会との共同で複数回、しっかり研修させていただきまして、かなりの参加者がございまして、それが根づいていけばいいかなと思っています。
 近隣の県との共同ですけれども、一番大切なものはやはり私たちが赴いていくのは名古屋ぐらいですので、遠い北陸のほうにはなかなか向けないということで、向こうから研修の先生にまず来ていただいて、今も富山ですとか、遠くは宮崎、大分の大学から私どもの病院で小児がんの研修をして、研修した後、帰っていただいて、しっかりした研修をやっていただくと。
 あと、患者さんのデータに関しましては、地域連携ネットワークがありまして、私たちのデータは向こうの病院が見られることができますので、例えば検査データですとか、画像ですとかが見られますので、そういうことを利用してもやれるのではないかと考えております。
○事務局 山本構成員、お願いします。
○山本構成員 御説明ありがとうございます。
 私から3点ほど質問させていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、行政とのかかわり、行政との連携協力体制についてです。
 今回、小児がん拠点病院に申請するに際して、県との何らかの調整があったのでしょうか、また、現在あるいは今後でも結構ですが、小児がんに関して県との連携協力体制について何かあれば御教示いただけたらと思います。
 2点目ですが、今、御説明のあった病病連携についてです。地域連携ネットワークについては、NECのID-Linkを使っているのかなと思っていますが、恐らく県内だけしか使えず、県外の北陸、信越地方の病院全てと連携できないのではないかと思いますが、そのあたりの状況についてご教示いただけたらと思います。
 最後に、今回、東海北陸信越ブロックでも優れた病院ばかりが申請していますが、仮に三重大学病院が選定から漏れた場合であっても、ほかの病院に御協力いただけるのでしょうか、御教示いただけたらと思います。
 よろしくお願いいたします。
○三重大学医学部附属病院 まず、行政との連携ですけれども、非常に密で、私も実は行政で2年間ほど保健所長をやっていましたので、そういうことでたくさん知っているのですけれども、例えば現在、県の保健医療計画に小児がんを入れていただきましたので、ここにいる平山が委員として参加して、どう小児がんの診療医療を構築していくべきかという5年計画を立たさせてもらいました。もちろん県の方にもお電話をいただいたり、サポートをしていただいております。
 最後の質問は、はいです。小島先生はいい先生ですし、みんな仲よくやっていきたいと思います。1つに絞るというのはなかなか難しいので、大変でしょうけれども、公平に評価していただければいいかなと思っております。
○三重大学医学部附属病院 ID-Linkに関しましては、先生御存じのとおり、NECが、エスイーシーというメーカーがつくっているものですけれども、三重県につきましては、三重医療安心ネットワークという形で、三重県内で構築しております。病院のカルテの画像であったり、検査データであったり、開示施設は奈良病院が今、やっております。確かに先生のおっしゃるとおり、三重県内でやっておりますけれども、いわゆる閲覧施設という形で、三重大学病院のデータを見に来るという形につきましては、ネットワークが外部のネットワークとつながっていれば、それの設定をすれば、例えば福井県の大学病院さんがうちの三重大学病院のカルテの中を見に来るというのは可能だと思っております。その辺は大丈夫です。
○山本構成員 ありがとうございました。
○事務局 それでは、ほかに質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、三重大学医学部附属病院の皆様、ありがとうございました。
 それでは、長い時間ありがとうございました。
 本日のヒアリングは終了となります。
 評価票のほうですが、このままお持ち帰りください。申請書類と今回のヒアリングをもとに評価票を完成していただいて、後ほどメールさせていただきますが、1月9日水曜日までに事務局のほうへ御提出ください。電子媒体で御提出を希望される方もいらっしゃるかと思いますので、後ほど電子媒体も送らせていただきます。
 次回の検討会の開催につきましては、各構成員の御都合を照会させていただいておりますけれども、1月末を予定しております。
 それでは、最後に座長、お願いいたします。
○垣添座長 本日は、構成員の皆様、大変長い間、御苦労さまでした。各医療機関の皆様からは大変すばらしいプレゼンテーションをいただいたことを御礼申し上げたいと思います。
 時間が参りましたので、これで本日の検討会を終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

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