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2013年2月27日 平成24年度第3回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成25年2月27日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 6階 共用第8会議室


○議事

○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 化学物質リスク評価に係る企画検討会(第3回)を開会します。
 委員の紹介ですが、資料の参考1に参集者名簿を付けています。今回から、連合の向澤部長に委員として参加していただいています。
○向澤委員 連合の向澤と申します。どうぞよろしくお願いします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 本日は、清水委員と堀口委員が都合により欠席されています。以降、議事の進行を櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 進行を務めます。どうぞよろしくお願いします。最初に事務局から、今日の議事予定、資料の確認をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 お手元に議事次第、裏面に資料一覧がありますので、御覧になりながら確認いただければと思います。
 本日の議事は、「発がん性評価の加速化に関する検討結果の報告」、「発がん性試険(中期スクリーニング試験)対象物質の選定について」、「発がん性試験結果の評価について(平成24年度)」、「リスク評価結果を踏まえた政省令改正の状況について」、「23年度ばく露実態調査対象物質のリスク評価結果について」を予定しています。
 資料1「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化に関する検討結果」、資料2「リスク評価に係る企画検討会における発がん性試験対象物質の選定について(案)」、資料3-1「スクリーニング発がん性試験対象物質の選定について(案)」、資料3-2「スクリーニング発がん性試験の対象物質選定リスト」、資料3-3「中期発がん性試験(二段階発がんモデル試験)の情報」、資料4「発がん性試験結果の評価について(平成24年度)」、資料5「リスク評価結果を踏まえた政省令改正の報告」、資料6「23年度ばく露実態調査対象物質のリスク評価結果の報告」。参考資料1「参集者名簿」、参考資料2「発がん性試験の試験結果、対応状況等」、参考資料3「関連制度における変異原性の判定基準」。パンフレットで、インジウム化合物等の改正、「塗装業者のみなさまへ」という1枚紙、「塗装業者のみなさまへ」というホチキス留めのものです。資料は以上です。
○櫻井座長 議事に入ります。議題1について、事務局から説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料1「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化に関する検討結果」です。前回6月にお集まりいただきまして、今後のリスク評価の対象物質を選定いただいたところなのですが、そのときに、リスク評価対象物質の選定の根拠になる化学物質の発がん性の評価についても効率化していくことを、リスク評価検討会で検討すると御説明をしていたところです。
 これは、リスク評価の対象物質を労働安全衛生法の安全データシートの交付義務が提供時にある物質から選んでいるところですが、この物質の中に発がん性物質は相当選んできておりまして、残りがわずかになってきていることが直接の要因なのですが、関連して昨年3月に労災請求のあった印刷事業場での胆管がんの事案を考えますと、職場で多数使われている化学物質の発がん性の評価は加速化して行っていく必要があるのではないかということで、労働基準局では、従来から長期の発がん性試験を委託試験により行っているなどの取組をしているところですが、こういったものをもう少し速められないかということで検討いただいたところです。
 2ページです。リスク評価検討会の中に、慶應義塾大学の大前先生を座長とする有害性評価小検討会がありますが、こちらで昨年9月から12月にかけて御検討いただきました。検討に当たっては、こういう課題ですので、特別に、特別参集者として小野寺先生、櫻井先生、福島先生、吉田先生の4名にも加わっていただきまして、御検討いただいたところです。
 検討結果は書き物が2つあります。別添2「職場で使用される化学物質の発がん性スクリーニングについて」は、職場で多数使用されている化学物質の中から、どのように効率的に発がん性物質の可能性のあるものを見つけていくかということで、検討いただいた結果です。8ページの別添3は「国が行う長期発がん性試験の試験方法について」です。これは、先ほど申し上げました委託で行っている長期の発がん性試験の効率化ということで検討いただいたものです。大きくこの2点に分けて検討いただきましたので、書き物も2つあるということです。
 別添2は、文書が3ページから6ページにわたっていますが、7ページに全体のフロー図がありますので、これを基に概要の御説明をします。フロー図の一番上です。職場で使用されている化学物質は約6万物質あると考えていますが、この中で年間1t以上の製造・輸入量があるような物質が7,000物質です。このうち、確かに発がん性に関する試験などが行われていて、情報のある物質がいくらかございます。ただ、これは何百かというオーダーで、もちろん発がん性の証拠のあるものは、左の線がずっと下りているように、それを基にいろいろな指導、あるいは発がん性の可能性があるということで長期の発がん性試験を行ったり、この企画検討会で従来からずっと選定してきていただいていますが、リスク評価の対象物質として選びまして、労働安全衛生法の特別規則の規制の対象にするかどうかの判断の材料にしているところです。
 ただ、ほとんどの物質は、そういった発がん性の情報について、証拠になるような情報がないので、「情報なし、又は判断不可」という四角囲みに入ってきます。先ほど7,000物質と申し上げましたが、これから100のオーダーのものを引いても、7,000ぐらい残るということで、これを効率的にスクリーニングをすることを考えますと、発がん性物質の中で、DNAなどの遺伝物質に直接影響のある物質とそうでない物質、遺伝毒性のある物質とない物質というのが、相当扱いが異なってきます。あとでまた出てきますが、遺伝毒性のある物質は、発がんに至る経過の端緒になる最初の部分で、ここに特に重要な役割をしているということです。そういうこともありまして、遺伝毒性のあるものとないものを、既存の情報や化学物質の構造からその活性を推定する構造活性相関などによって、振るい分けることを考えています。
 ただ、遺伝毒性がある物質は、確かにない物質よりも少ないですが、相当の数がありますので、その中で更に発がん性の試験を優先的に行うとすれば、遺伝毒性が強い物質のほうを優先すべきであろうということで、「遺伝毒性あり」と判断された物質については、遺伝毒性の強さを試験の結果の情報などによって判断することを考えています。なお、既存の情報で判断できない物質については、遺伝毒性試験ということで、来年度から細菌を用いた復帰突然変異試験を委託試験により実施していくことを考えています。
 さらに、遺伝毒性のない物質のほうですが、これは遺伝毒性試験をやっても、そもそも遺伝毒性がないのでスクリーニングができません。いろいろなパターンで、慢性的な炎症、ホルモンの異常を引き起こしたりして、発がんを起こすという物質がありますので、そういったものをスクリーニングするためには、発がん性そのものをより簡易な手法でその可能性を測る試験を行っていく必要があるということです。これについては、まだいろいろなガイドラインが確立しているような試験がありませんが、昨年の検討においては、培養細胞系で物質を投与して、その変化を見て、発がん性の可能性を検討するin vitroの形質転換試験、あるいはネズミに一定期間、例えば4週間程度その化学物質を投与した場合に、どういう遺伝子が発現して反応しているかを調べまして、それを材料にして発がん性の予測をするといった試験方法が開発されてきています。
 こういった試験方法について、昨年の検討会で、開発あるいは実施されている方からお話を聞いたわけですが、まだ新しい手法ですので、来年度からすぐにということにはなりませんで、もう少し検討が必要だという御意見もあったものですから、役所で予算が取れるかという問題もありますが、平成26年度以降に検討をしていきたいと考えています。
 こういったことでスクリーニングをしていったときに、次に実際の発がん性試験ですが、従来ですとこの時点から2年間、ラットやマウスの発がん性の試験を行っておりましたが、今回は発がん性の試験の中で、更にもう少し短い期間で、動物で発がん性の有無を判断できるような試験が開発されてきておりますので、そういったものを組み合わせていきます。
 まず「短期・中期発がん性試験」の所で、従来の試験で一番短くて、10分の1、8週間程度の試験でも、検出できる精度は若干下がりますが、そういった試験を実施して、スクリーニングをしていきます。さらに、長期の発がん性試験でも、今はラットとマウスの2種類の動物で2年間の試験をしておりますが、これについても、1種類は長期で行って、もう1種類は短期・中期の試験を入れることで、効率化していこうと考えています。
 その間に、二重線で行政対応を書いていますが、これは宿題を頂いたということです。遺伝毒性の強いものについては、従来から指針によって通達で健康障害防止のための指導を行っていますが、今回のスクリーニングで遺伝毒性が強いと判断される物質については、同様に指導を行っていく必要があると、行政で考えていく必要があるということ。あるいは短期・中期の発がん性試験の結果についても同様で、こういうところで発がん性の可能性が見られれば、通達によるのか、もう少し法的に基づいたものでやるのか、そういった検討が必要であるということがあります。
 最後の「リスク評価」の所が、この企画検討会で対象物質を検討いただいているところですが、こういったところにも反映させていくということで、有害性評価小検討会でおまとめいただいたところで、行政対応は役所の宿題になっているところです。
 8ページの別添3は、先ほど申し上げました2種類のげっ歯類の使用をしているものを、1種類は長期、もう1つはもう少し短い期間の試験というところをまとめていただいています。
 こういったことを行うために、10ページの別添4です。スクリーニングなり試験の実施に当たって、いろいろ専門家の御意見、御判断を頂かないと進まないところがありますので、有害性評価小検討会の中に2つワーキンググループを設けました。1つは発がん性の専門の方によるグループと、もう1つは遺伝毒性の専門家の方によるグループを設けまして、こういったものを推進していこうと考えています。
 発がん性のほうは、14ページに構成員がありますが、国立医薬品食品衛生研究所の西川先生を座長に、5名の方にお願いをしています。遺伝毒性のほうは16ページに構成がございますが、中災防の清水先生に座長をお願いして、5名の専門家の方にお願いをしているところです。有害性評価小検討会の検討結果の報告でした。
○櫻井座長 ただいま説明をいただきましたが、内容について御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。
○石井委員 別紙についての質問です。まず「既存の発がん性に関する情報による判断」の情報ありの中で、発がん性の証拠なしというものはありますか。ここには書いていないということでよろしいでしょうか。
 あと、「既存の試験結果」については、どういったものを考えているのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 1点目ですが、発がん性の証拠なしという物質は、あるとは思っています。例えば国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価の中で4「発がん性がないことが示唆される物質」というのが、イプシロン-カプロラクタムがあります。ACGIHの分類ですと、A-5に当たっているものがもう少しあるかと思います。そういったものはここには書いておりませんが、情報があるけれども、恐らく発がん性はないだろうということで、このスクリーニングからは除外されていると考えています。どこまで除外かというのは、先ほどのワーキンググループで検討いただくことを考えています。
 既存の情報というのは、これもどこまで調べるかというのは、先ほどのワーキンググループで検討いただくのですが、発がん性の場合はいろいろな評価を行われている根拠になるもの、既存のいろいろな著明なデータベースがありますので、遺伝毒性についても同様で、まずは既存のデータベースを当たる。特に遺伝毒性などですが、これは委託調査でその辺を当たって収集した上で、先ほどのワーキンググループで検討をしていただくのかなと考えています。
○石井委員 既存の試験結果については、安衛法の中で集められたデータも、事業者のデータもこの中に含まれると。
○松井化学物質評価室長 含まれます。
○石井委員 今、ヨーロッパのEUのECHAからかなりデータが公開されてきていますが、必ずしも企業データで、書誌情報が分からない場合があるのですが、そういったものについても、この中で考えているのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 利用できるものは考えております。まず、一番身近なところで、私の所に安衛法のデータもあるのですが、化審法で事業者から届けられるデータもあります。そういったものをできる限り利用していきたいと考えております。ただ、そういった仕組みで届けられているデータなどについて、情報管理の問題がありますので、その辺はどのようにしていくかというのは、これから検討していかないといけないというところです。
○櫻井座長 そのほかに何かございますか。特にないようでしたら、次の議題に進みます。議題2です。今日の主な議題になると思いますが、事務局から説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料2を御覧ください。資料1の検討結果を踏まえて、来年度から発がん性の評価の推進に取り組んでいくわけですが、その中でこの企画検討会においては、従来から発がん性試験の対象物質の選定を頂いてきております。今回、試験の種類が先ほど申し上げましたように、従来の2年間の長期試験に加えて、その長期試験に至る前に、発がん性の評価をするための少し短い試験も入れていくということがありました。その辺で、この企画検討会でどの試験の物質を選んでいただくかというのをまず提案したのが資料2です。1は、今まで行っている取組を書いてきております。2は先ほど御説明したようなことで、この中で従来の2年間の発がん性試験に加えて、もう少し短い期間の試験を実施することにしております。
 この短期・中期の発がん性試験としては、従来よりずっと短い、本試験の期間が約8週間の肝臓を標的にした試験をまず実施することにしております。平成25年度には2物質を対象として実施するということで、委託試験の公示を今しています。平成26年度以降については、まだ予算等の関係がありますが、平成25年度が初年度ですので、2物質で始めて。背景データとして、試験対象物質を加えなかったときにネズミにどれぐらい発がんが出るか、腫瘍が発生するかというようなデータの収集も含めて2物質ですので、平成26年度以降は同様の予算であれば4物質はできるのではないかと。もう少し予算なり対応する機関の体制などを考えれば、4物質あるいはそれ以上ということで検討をしております。
 今後、長期の2年間の試験は短期・中期の試験の結果を見て実施することにしております。ですので4番、これは御提案ですが、こういうことを踏まえると、先ほどの遺伝毒性の強さや発がん性の可能性などのいろいろな試験データを踏まえた上で、それぞれの物質の製造・輸入量や社会的な必要性といったところを勘案いただいて、この企画検討会で短期・中期の対象物質を選定いただいてはどうかという御提案です。
 2ページの別紙1は先ほどの取りまとめ資料の抜粋で、書いてあることは同じです。3ページ以降の別紙2は、日本バイオアッセイ研究センターの福島所長が説明資料として作られた資料の抜粋ですが、この短期・中期の肝発がん性試験というのを若干簡単に御説明しておきます。3ページの上のスライドを御覧いただくと、発がんに至る経緯は初期のDNAなどの遺伝物質への働きかけ、損傷などから始まりまして、幾つかの段階を経て悪性腫瘍に至ることが分かってきております。例えば、ネズミに化学物質を投与して腫瘍ができるかどうかを見るときに、この幾つかの段階の少し進めた段階で試験をする物質を投与して、かつ、この幾つかの段階の最後の悪性腫瘍に至らないようなもう少し前の段階で、これは腫瘍の発生が増加するということが判断できれば、試験の期間は短かくなることになります。
 3ページの下に「2段階発がん試験法」というのがあります。この2段階というのは、先ほど申し上げたDNAなどの遺伝物質に化学物質、紫外線やいろいろな要因がありますが、そういったことで働きかけて、上のスライドにある何段階かの過程の最初のスイッチが入れられるのをイニシエーションと呼ばれていて、その段階が始まってからだんだん悪性腫瘍に近づいていくのをプロモーションといわれています。この2段階があると。最初に問題になる物質、試験をする物質を投与する前に、化学物質でDNAなどの遺伝物質への働きかけをして、腫瘍を形成させることが分かっている物質を最初に投与して、段階を進めてやった上で試験をする物質を投与するということがあります。これが、2段階発がんモデルを利用した期間の短い試験と呼ばれているものです。
 4ページの上のスライドを御覧いただくと、先ほど悪性腫瘍に至るまでの前の段階で腫瘍の増加が判断できれば期間が短くなると申し上げましたが、いろいろな臓器でこういったものが調べられておりまして、特に肝臓についてはよく調べられています。上のスライドの左上のGST-Pというのは酵素の略称で、下にフルネームを書いておりますが、こういったものが陽性に出てくる細胞の塊が出てくると、悪性の腫瘍のほうに行くということが分かってきております。これが出てくると腫瘍が増加するのだということが分かるということで、この段階までいけば試験結果に結び付けられること。こういったことで試験期間を短くして、肝臓についてはこういったことが特によく調べられていて、特に短くできる。
 4ページの下を御覧いただくと、肝臓についてよく調べられているので、肝臓をターゲットにした試験を実施すると期間が短くなることと、いろいろな国際がん研究機関IARCや、アメリカのNTPのデータによると、動物試験で発がん物質であることが分かった物質のうち、50~60%は肝臓に腫瘍を増加させているということがありますので、肝臓にターゲットを絞って調べると効率的にがんの発生の可能性が検出できるのではないかということがあります。
 4ページの下にある「ラット中期肝発がん性試験(伊東法)」という方法は、まず発がん性物質であることが分かっているDENという物質を最初に投与して、試験をしたい被験物質を投与する。更に1つ加えられていて、矢印が下向きに付いている「2/3部分肝切除」というのがありますが、がんは増殖の秩序を失ったものですので、細胞増殖を急速にさせてやったほうが検出がしやすいということで、ネズミのラットの肝臓を途中で切除して、肝細胞の増殖を急速にするという操作をする。こんなことがありますので、8週間程度で試験結果が出てくるということです。
 5ページの上を御覧いただくと、少なくとも肝臓に発がんが見られる物質については、相当の効率で発がんの可能性をチェックすることができる。もちろん肝臓だけですので、肝臓で陰性になったものについてほかの臓器はどうするかという話で、5ページの下のスライドから6ページにかけて、ほかの臓器もやる試験方法があるので、これも必要に応じて行う必要があるということですが、7、8か月の試験期間がかかるということがありますので、まず8週間で済む肝発がん性試験を最初に行う。
 これは数がある程度できますので、先ほど申し上げたように1年間で4物質ができますので、従来の準備期間を入れて最後の取りまとめまで5年間かかっている試験に比べると、単純に言うと10倍とかそのぐらいの期間の短縮ができるというようなことがあります。大雑把に言って、1/10の期間で精度としては50%以上が得られる。非常に単純に言うと、そんなことがあります。こういった物質の対象を今後企画検討会でたくさんある物質の中から、遺伝毒性などの情報を基に選んでいただければということで御提案させていただきます。
○櫻井座長 資料2に基づいて御説明があり、当企画検討会での仕事の進め方の枠組みの案を御提示になったわけですが、何か御質問、御意見がありましたらよろしくお願いします。特にないようですね。資料2については了承ということにしたいと思います。
○山口委員 この短期・中期の試験は、どういう兼ね合いで。短期は短いから数ができますよね。中期と短期と両方をやるのかの判断はどういう形で。
○松井化学物質評価室長 昨年の検討会の中でいろいろな御意見がありました。まず肝臓の短くて済む試験をできるだけたくさんやったほうがいいのではないかという御意見が多数だったのですが、それで陽性になったら長期試験にいきましょうと。ここまではほぼ合意されたのですが、陰性になったらどうするかという話で、5ページの下にある多臓器の発がん性試験のほうに行くべきだという御意見と、多臓器という1つの方法がありますが、これ以外にもいろいろな臓器を絞ってする試験といったものもあるのでどうするかというお話と。あとは効率化の問題で予算や期間の問題もあるので、全て陰性になったら多臓器発がん性試験というのは果たして効率的なのかどうか、という御意見も一方でありました。そこは先ほどの肝発がん性試験で陰性になった物質の扱いについては、その結果をよく見て、先ほどの発がん性の専門家のワーキンググループで検討いただきましょうというところまでが合意された。
○山口委員 短期発がん性試験で、陰性のものに対して専門家で判断して、場合によっては中期多臓器発がん性試験、一部はこちらに行くという理解でよろしいですか。落ちたものに関して、さらに必要性に応じて中期をやって、そこで引っかかれば長期に移るということで、中期に関しては専門家のところである程度の判断を加えるという理解でよろしいですね。
○松井化学物質評価室長 今のお話は2ページの取りまとめ結果を抜粋しているところの(5)のイが真ん中にありますが、イの文頭から「肝発がん性試験で陰性となった場合は、必要に応じて、げっ歯類を用いた、多臓器発がん性試験を含むその他の2段階発がんモデルによる試験等を実施して」ということで、正に必要に応じてというふうなところで。
○山口委員 という表現のところで、ここで判断する。
○松井化学物質評価室長 はい。
○山口委員 分かりました。
○宮川委員 言葉が混乱しないように、説明をされるときには「中期肝発がん性試験(伊東法)」が8週間の短いほうの試験で、「中期多臓器発がん性試験」がもう少しかかる長いほうの試験で、どちらも試験法には「中期」という言葉が入っていますが、枠組みの中で短期・中期の試験と言っているときには、それぞれがどう対応するか、多少混乱しやすいと思いますので、御説明のときには是非世の中に分かりやすい説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 はい。
○石井委員 先ほどの加速化の図を見たほうがいいかと思いますが、「遺伝毒性なし」で発がんありとなったものについての、「遺伝毒性あり」の発がん物質とのリスク評価の違いというか、進み方の違いはどのように表されているのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 基本的に非遺伝毒性のもので、いろいろな新しい試験などを使って発がん性の可能性があるということになった物質と、遺伝毒性が強い物質の考え方というのは、事務局ではそこは次のステップに行く選定段階で考えていただくことにしております。特にこうしようという方針はなくて、同じく発がん性の可能性がある物質と。ただ、遺伝毒性のほうを選定の段階でどんなふうに扱うかというのは、事務局でどうするという案を持ち合わせているわけではないです。
 もう1つはリスク評価の段階では、細かく言うとリスク評価をするときの評価値を発がん性に基づいて低く、行政指導なりが必要なレベルとして考える一次評価値のほうですが、これは規制に至るかどうかの判断をしている評価値ではないですが、そちらの設定方法が異なってきます。もちろん、閾値の有り無しと密接に関連してきますので。
○山口委員 3番で、別紙2の下の「2段階発がん試験法」に書いてあるように、イニシエーションとプロモーションで、非遺伝毒性発がん性物質についてはイニシエーションが陰性で、プロモーションだけプラスですよね。このマイナスの部分に関しては、がんの種を付けてやるわけですから、基本的には短期発がん性試験というのは非遺伝毒性も引っかかるという理解でいいのではないのですか。
○松井化学物質評価室長 両方が検出できる試験です。
○山口委員 100%ではないでしょうけれども、種を付けているわけですから、基本的には非遺伝性に関してもかなりの確率で引っかかるはずだという理解でよろしいですよね。
○松井化学物質評価室長 それは両方が検出できるということです。
○石井委員 そうであれば、遺伝毒性のあらかじめ集めた情報を基に、そこで非遺伝毒性か遺伝毒性有りかを判断した上で、リスク管理をするということでよろしいでしょうか。
○松井化学物質評価室長 ただ、労働分野の場合は食品のような場合と違って、そこの遺伝毒性の有り無しによる閾値の有無という議論が、日本産業衛生学会やACGIHで設定している許容濃度をまず守りましょうということでやってきていますので、例えば閾値がなければ使えませんとか、そんな極端な違いは労働分野ではないというのが実情です。
○石井委員 福島先生が御提唱されていますよね。発がん物質には閾値があるというお話もあるので、そこまではここの中では考えられないということでよろしいですか。
○松井化学物質評価室長 もちろんリスク評価の中では、まず従来から非遺伝毒性の物質は発がん性も閾値がありと。これはいろいろな分野で共通認識になっていて、労働分野のリスク評価でもそういう扱いにしてきております。
 もう1つ、福島先生などが言われている、遺伝毒性があっても、遺伝毒性試験で陽性に出てきても、閾値は実際的にあるのではないかというお話があって、これはケース・バイ・ケースで今後リスク評価の検討会、特に有害性評価の小検討会で議論いただくことになるかと思います。
○櫻井座長 その他よろしいですか。ありがとうございました。いろいろな議論で分かりやすくなった点もあったなと思いますが、一応この資料2の「案」は消していただいて、了承としたいと思います。
 引き続き、資料3について事務局から説明をお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 ただいま、松井のほうから資料2に基づいて、こちらの企画検討会では、今後、短期・中期の発がん性試験対象物質を選定していただくということで御説明いたしました。私からは、具体的には平成25年度に行う短期・中期の発がん性試験の対象物質の選定について御説明し、その後、御検討をお願いいたします。
 資料3-1ですが、「平成25年度におけるスクリーニング発がん性試験の実施」ということで、平成25年度については、2物質を対象として中期肝発がん性試験を予定しております。ただいま、松井のほうで説明いたしました資料2の中で出てきた、中期肝発がん性試験、2段階のモデルを使っての肝臓をターゲットとした発がん性試験です。本日の企画検討会では、この対象となる2物質を選定していただきます。それが、資料3-1の2にある、?2物質を選定していただきます。?「ただし」で始まっていますが、一番下に「念のため、上記2物質に加えて、さらに2物質選定しておいていただく」ということで、計4物質を御検討いただくことを予定しております。
 予備のものを追加で御検討いただく理由として、本日御検討いただく候補物質を資料3-2で10物質挙げておりますが、そういう物質の中には化学物質として、ターゲットとする臓器として肝臓以外の物質が入っているかどうかというのは、まだ詳細な検討をしておりませんので、肝臓以外をターゲットとするものであれば、中期肝発がん性試験ではなくて、ほかの手法のほうがいいということもあり得ますので、そういう詳細な検討を4月以降の発がん性評価のワーキンググループでしていただく予定としております。最終的な絞り込みはそちらのワーキンググループで行いますので、その前段階として、ターゲット臓器は分からないけれども、今回は4物質を候補物質として挙げていただきます。
 ?として、資料3-2に10物質挙げておりますけれども、その中に2物質が既に何らかの方法で中期発がん性試験が行われているという情報がありますので、そういう物質については発がん性のワーキンググループで御検討いただいた上で、どうしていくかという判断をする必要があるかと思っております。
 資料3-1の大きな3番で「選定のための候補物質について」ということで、後ほど説明いたします資料3-2の10物質をどういう考え方で挙げてきたかを御説明いたします。今後の発がん性のスクリーニング評価のスキームについては、資料1で松井から説明させていただきましたが、全体のスキームとしては資料1の7ページにフロー図があります。全体のスキームとしては、約7,000物質ぐらいの中からいろいろな情報を収集し、整理しながらこういうスキームを順に追っていくということです。
 今回は、その約7,000物質についての情報収集がまだ十分できている段階ではありません。基本的には、既に公表されている、容易に入手できる情報の範囲からということで今回は作業をさせていただきます。中期肝発がん性試験の対象物質をどういうものから選ぶかというと、基本的には7ページのフロー図の中で、遺伝毒性が強いものを短期・中期発がん性試験に持っていくという原則は決まっておりますので、遺伝毒性が強いという情報があって、それが容易に入手できるものという範囲の中から、今回はリストアップさせていただきました。
 資料3-1の3の(1)に書いてありますように、今回は既に先行している化審法におけるスクリーニング評価、化審法で優先評価化学物質を選定するためにスクリーニング評価を平成23年から行っております。その化審法のスクリーニング評価のデータ等を活用し、遺伝毒性の強さを指標として候補物質を選定ということでリストアップ作業をいたしました。
 具体的にはということで2ページで、化審法のスクリーニング評価の中では、化審法の旧第二種、第三種監視物質の評価、そのあとで現在は一般化学物質のスクリーニング評価が始まっていますが、今回については旧の第二種、第三種の監視物質の関係のスクリーニング評価の結果を活用しています。このスクリーニング評価の中で、変異原性において上位のクラス、具体的には化審法の変異原性のクラスでいくと、クラス2の物質が97物質あります。その中から???の条件のいずれかに該当することが分かっている35物質をピックアップし、更に、既にIARCとかACGIHといった所で、発がん性の評価が既に終わっているようなものについては外し、また製造・輸入実績のないような物質については落とすということで、今回は10物質を候補物質としています。
 ?から?の条件について簡単に説明させていただきます。いずれも遺伝毒性に関する条件ですが、?は、細菌復帰突然変異試験で陽性で、かつその強さを表す指標である非活性値が1,000以上のもの。?は、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験で陽性で、かつこの指標であるD20値が、0.01?/ml以下のもの。D20値は、数字が小さいほど強さが強いものです。?として、in vivoの変異原性試験において陽性のもの。この?から?のいずれかの条件ということです。
 こういう条件に該当するものということで、次の注の所に、上記?から?のいずれかに該当することは、現時点で確認されている物質には次の(a)又は(b)の物質があります。(a)として、厚生労働省労働基準局の委託試験の結果で、上記の?又は?に該当しているような物質。(b)として、化審法の旧第二種、第三種の監視物質の中で、PRTR法の対象物質から選んだもの以外のものということです。PRTR法の中でも、遺伝毒性の分類があるのですけれども、PRTR法の遺伝毒性の分類というのは、ここに書いてある?から?よりももう少し範囲が広いものですので、PRTR法を根拠で監視物質になっていたものは除いて、それ以外のものが?から?に該当するという整理で今回は選んでいます。
 具体的な資料として資料3-2に、こういった考え方で整理した物質を10物質挙げています。資料3-2は表裏両面コピーになっております。今回の10物質を順に簡単に御説明いたします。
 1番は「2-ビニルピリジン」です。微生物の変異原性、染色体異常のどちらも陽性の物質です。性状としては、無色ないしは淡黄色の液体で、蒸気圧が1.33kPaという情報があります。用途は、自動車のタイヤコード接着用樹脂・医薬・界面活性剤用合成原料があります。製造・輸入量については、平成21年度と平成22年度のデータを書いてありますが、こちらの情報については若干補足させていただきます。
 裏側のページの表の下に注1、注2が書いてあります。注1で、平成21年度の数字については、第二種監視化学物質の製造・輸入量とありますが、これは化審法の旧第二種監視化学物質の製造・輸入量のデータです。化審法は法改正で制度が変わり、こういう数量の把握の制度も変わっております。平成22年度からの数字については、一般化学物質の製造・輸入量のデータから取ってきています。それぞれについて、どういう場合にデータを示し、どういう場合に示さないかは若干ルールが違っていますが、それぞれこんな状況です。
 表のページに戻り、平成21年度の製造・輸入量は871t、平成22年度は×と書いてあります。これは、化審法では、届出が2社以下の場合については、数値を公表しないということなので、値がゼロというわけではないのですけれども、2社以下のため、具体的な数字は公表されておりません。このような状況です。
 2番は「1,3-ジブロモプロパン」です。エームス試験、染色体異常試験それぞれ陽性のものです。物性としては液体の物質で、蒸気圧は0.18kPaです。用途は医薬中間体。製造・輸入量は、平成21年度は合計数量が100t未満ということで、この場合には具体的な数字は何トンということは示さないというルールですので、100t未満という情報だけしか公表されておりません。平成22年度は1,000t未満となっています。平成22年度の数字については、数字を事細かく表すというよりは、1,000t単位での表示になっていますので、このような表記の仕方になっております。かつ、こちらの数字は1,3-ジブロモプロパンだけの数字というわけではなく、括弧で書いてありますが、(α,ω-ジブロモアルカン)の合計の数字となっています。備考として、この物質の類縁物質である2-ブロモプロパン、ブロモが1個だけ付いたようなプロパンについては、平成25年度に発がん性試験を開始する予定です。
 3番目「1,4-ジブロモブタン」です。エームス試験、染色体異常試験の両方とも陽性のものです。物性としては液体の物質です。蒸気圧はちょっと低めですが、0.082kPaです。用途は医薬原料です。製造・輸入量は平成21年度は合計で100t未満、平成22年度は2社以下ということで数値は公表されておりません。備考の所で、類縁物質である1-ブロモブタンについては、国の委託試験で発がん性試験を実施し、陽性の結果が得られ、がん原性指針の対象物質になっております。
 4番は「3,3'-ジメチル-4,4'ビフェニレンジイソシアネート」です。エームス試験、染色体異常試験の両方とも陽性の物質です。物性は固体の物質です。用途は、ウレタンエラストマーの原料、パッキング材原料です。平成21年度の製造・輸入量は704t、平成22年度は1,000t未満です。
 5番は「1,2-ジクロロ-4-ニトロベンゼン」です。エームス試験、染色体異常試験とも陽性です。物性は固体です。用途は、医薬・農薬・染料・顔料の中間体です。製造・輸入量は、平成21年度が100t未満、平成22年度は1,000t未満です。ただ、平成22年度の情報については、ジクロロニトロベンゼンの異性体の合計ということで、ベンゼン環にクロロが2つとニトロが付いている物質ですが、置換の位置の違いによって幾つか異性体があって、その合計です。備考欄は、その異性体の関係の情報です。1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン、2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼンについては、既にがん原性指針の対象物質になっています。国の委託試験で、発がん性があったものです。
 6番は「4-{[1-n-アルキル(C=1~6)-n-アルキル(C=6~12)](ただし、炭素数の合計は10~13)}ベンゼンスルホニル=アジド」というもので、炭素数で少し幅があって、こういう長い名前の物質になっています。エームス試験は陽性で、染色体異常試験は陰性の物質です。物性の関係では、粘性の液体ということですが、混合物ですので、特に融点とか沸点で一定の値はありません。用途は、医薬品の原料です。製造・輸入量は、平成21年度は100t未満、平成22年度は2社以下ということで非公表です。参考として、化審法の関係で平成20年度の数字があり、172tです。
 7番は「10H-9-オキサ-10λ(5)-ホスファフェナントレン-10-1-オン・1,4-ナフトキノン・(フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物の1-クロロ-2,3-エポキシプロパンによるグリシジルエーテル化変成物)重縮合物」という長い名前の物質で、ポリマーです。エームス試験が陽性、染色体異常試験が陽性です。D20値がかなり大きな物質です。物性として、具体的な数字として公表されているものはありませんが、非常に分子量が大きくなると思われますので、固体であろうかと推測されます。用途も公表されているものがありませんでしたので、非公表と書いてあります。製造・輸入量は、平成21年度が4,577t、平成22年度は2社以下ということで非公表です。
 8番は「4-tert-ブチルフェノール」です。エームス試験は陰性、染色体異常試験は陽性です。物性は固体です。用途はいろいろ幅広いようで、ポリカーボネート樹脂の分子量調節材、油溶性フェノール樹脂、各種合成樹脂変性(改質剤)、香料原料、安定剤原料、界面活性剤等があります。製造・輸入量はかなり多く、平成21年度は2万6,938t、平成22年度は5万t、ただしこちらはモノアルキルフェノールの合計です。
 備考の所に、2段階発がんモデル試験の情報ありということで資料3-3を御覧ください。中期発がん性試験の情報ということで、4-tert-ブチルフェノールを1ページに記載してあります。NITEで評価書が作成されていて、その中に情報がありました。まとめが1ページの下に表になっています。ラットを使った51週間の試験がされています。2段階の試験ということで、ニトロソグアニジンを最初に投与し、その後に4-tert-ブチルフェノールを投与する試験です。先ほど、中期肝発がん性試験の所でやったのとは若干方法が違い、肝臓の部分切除は行われておりませんが、このような試験が行われております。2段階の試験によって、プロモーションの作用が認められた、陽性の結果が認められたという情報があります。
 資料3-2に戻って、9番は「1,2,3-トリクロロベンゼン」です。エームス試験については情報なし、染色体異常試験は陰性です。in vivoの小核試験が行われていて、陽性という結果が得られています。これを根拠に遺伝毒性の強い物質に判断されております。物性は白色の結晶です。用途は染料・顔料中間物、トランス油、潤滑剤等です。製造・輸入量は、平成21年度は100t未満、平成22年度は2社以下のため非公表です。このときは、トリクロロベンゼンの異性体の合計という統計の取り方になっています。
 備考の所で、2段階発がんモデル試験の情報ありと記載してあります。資料3-3の2ページは、1,2,3-トリクロロベンゼンの情報です。環境省で行っている「環境リスク初期評価書」に情報がありました。発がん性の知見の関係で、実験動物の知見として、ラットを用いた2/3部分肝切除での試験が行われています。最初にジエチルニトロソアミンを投与し、その後、対象物質の1,2,3-トリクロロベンゼンを投与する試験です。この試験で、1,2,3-トリクロロベンゼンについてはプロモーション作用がないことが分かったという情報があります。
 1点おわびを申し上げます。引用文献の所に23番の文献のことを書いてありますが、こちらの中期の試験については22番の文献を本来引用しなければいけなかったので、資料は後ほど訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。
 資料3-2に戻って、10番は「(三フッ化窒素)」です。括弧書きにいたしましたのは、備考欄にもありますが、常温で気体の物質ということです。気体の物質の場合には、その物質で中期肝発がん性試験ができるかどうかについては、事前に試験用のガスが適切に発生できるかどうかといった実験をしなければならないので、平成25年度すぐに中期の試験を始めることはできないということを備考欄に書いてあります。
 物質の情報として、微生物を用いる変異原性試験は強い陽性の物質で、染色体異常試験については情報がありません。物性は、ただいま申し上げましたが気体の物質です。用途は、エッチングとかクリーニングに使われているそうです。製造・輸入量は、平成21年度は3,570t、平成22年度は4,000tということで、それなりに多い物質です。
 事務局でリストアップした物質は、以上10物質です。長くなりましたが、説明は終わります。
○櫻井座長 資料3-1と資料3-2についての説明がありました。具体的な選定の枠組みと、更に資料3-2で候補物質等を提示されました。御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
○吉田委員 4番のジイソシアネートですが、発がん性のスクリーニング試験において、ジイソシアネートは非常に反応性が高いですが、そういう物質でも今後スクリーニング試験に適用できるということで考えてよろしいのですか。大丈夫かどうかということです。腹腔内投与のようですから、投与時に使用する溶媒と反応しなければ大丈夫ということで考えればよろしいのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 投与方法ですが、経口投与です。経口投与したときに、何か試験に障害が生ずるかどうかというのは、それを選んでから検討してみないと、細かなところまでは分からないことがあります。先ほどありましたように、まず2物質を選んでいただいて、予備でまた2物質を選んでいただきます。詳細なところでもし障害が生じた場合は、予備と差換えということで対応させていただきます。
○吉田委員 だからということで、ここで除外する必要は全然ないということですね。
○松井化学物質評価室長 それはないです。
○櫻井座長 4物質を選ぶわけですが、まず2物質、それから2物質というように2つの段階に分けて選んでほしいということですね。
○松井化学物質評価室長 はい、そうです。
○向澤委員 質問が2点あります。1点目は、7番の物質の用途が「非公表」というのは、先ほどの説明にもあったのですが、情報としてないということなのか、あえて公表されていないということなのかを確認いたします。2点目は、10番は準備期間が少しかかるので、備考の所に「25年度の試験実施は不可」とありますが、これは今回の2物質ないし4物質の選定の候補に10番も含まれるのかどうかを確認いたします。
○大淵有害性調査機関査察官 1点目の用途の関係ですが、化審法で一般化学物質の届出をしていただくときには、製造・輸入量プラス用途情報などの収集がされていますが、その場合にも用途については公表できるケースと公表できないケースがあります。今回の物質については、情報はあるけれども公表できないということでした。それ以外の所で用途情報が書いてあるのは、一般の書籍に書いてある情報であったり、物質によっては私ども厚生労働省として強い変異原性物質の通達を出しているときには、それに併せて用途情報も公表していますので、そういう情報を記載しております。
 10番の「三フッ化窒素」については、平成25年度の試験はできないので、平成26年度以降の候補ということで上げていただくことは可能かと思います。平成25年度分の2物質に含めるのは難しいという整理です。
○松井化学物質評価室長 用途情報については、企業秘密に関連する部分があります。この物質については、化審法のほうの届出はされているのですが、そういう配慮から、情報はある所にはありますけれども、公表できないということです。
○宮川委員 備考欄に、「類縁物質」あるいは「異性体」についてのコメントが書かれています。類縁物質については、その類縁物質に毒性があるということになっている場合と、ないということが分かっている場合と、まだ分からないけれども、そのうちに試験が終了して判明する場合があると思います。類縁物質で作業が行われているから、これは後回しにしましょう、という考え方をしたときには、その類縁物質のほうが黒となったときにどうするかをある程度配慮しておく必要があります。
 類縁物質でも、結局試験をして、その物質について黒と出ない限りは、何も行政的な対応がしにくいということがあれば、黒が出そうな類縁物質があるものについては積極的に試験に入れなければいけないと思います。逆に、類縁物質で黒と出たときには、当該物質について試験をしなくても、行政対応は可能だという場合には、それについてはそういうことができることを確認した上で、効率的な推進のためには省いていくという考え方もあると思います。備考欄にこういうことが書いてあるわけですが、その辺りの考え方をお聞かせいただければ、選ぶ上での参考になります。
○松井化学物質評価室長 事務局としては、あくまで参考で書いております。例えば、2番目の物質は2-ブロモプロパンを、平成25年度に発がん性試験を開始するのですが、これは長期試験ですので、結果が出るのはずっと先になります。今回選んでいただく物質は、平成25年度中に結果が出るので、タイムスパンが全く従来とは異なります。従来ですと、その長い試験の物質を選ぶので、先にやっている物質の結果を待ってからということはあるかもしれませんが、その度合が相当低くなっていると考えていただければと思います。
 類縁物質でがん原性指針だから、この類縁物質も何かできるかというと、現行はそのようにはなっておりませんので、そこもあくまで参考ということでお考えください。
○石井委員 先ほどの吉田先生の御質問にも関係するのですが、イソシアネートについては、私はGHSの国の分類結果だけサッと見てきたのですが、そこでは反復投与とか、それ以外のエンドポイントについてもデータがなくて、結果が出ていないです。分類ができていないことから、そもそも刺激性と感作性ぐらいしかなかったと思いますので、そもそも反復投与もまだやられていないところで、今ここでやる必要があるかというところは考えていただけたらと思います。1番の2-ビニルピリジンも余り反復投与データ等々はなかったような気もしていますので、その辺を見ていただけたらと思います。
 変異原性試験で、ここではin vitroの試験結果を挙げていただいていますが、これは1つの試験結果に基づいた定量的な結果ということでしょうか。できたらvivoの試験、小核試験の結果も見た上のほうがいいかなと思っているのですが、vitroだけで今決める必要があるかというところをお聞かせください。
○松井化学物質評価室長 私どもとしては、先ほどのスクリーニングで有害性評価書検討会でまとめていただいた方向に沿ってこれをリストアップしています。お考えの中には、あくまで反復投与試験を最初にやって、毒性を見てからのほうがいいのではないかというお話でした。必ずしもこの考え方はそうにはなっておりません。
 本試験は8週間の試験ですので、飽くまで反復投与試験を先行していないからという観点では見ておりません。そこは選考していただくときに、もしそういうことが必要ということであれば考慮していただければと思います。
 遺伝毒性の強さの判断の所は、資料3-1の2ページの?から?は、いずれかがこうなっているということです。基本的に化審法のほうもそうなのですが、このメルクマールについては、???で、例えば?が非活性が1,000以上で、?が陰性であっても、特に?のみで強い変異原性があるという観点でリストアップしております。
○櫻井座長 選び方の考えるべきポイントとして、製造・輸入量とか用途が重要だろうと思うのです。その他に蒸気圧の問題もありますが、何を優先するかという点からいくとどうなのでしょうか。製造・輸入量でしょうか。
○山口委員 私は、ばく露量を優先的に考えるべきではないかと。あとは用途で、ばく露の多い作業であれば、優先的に考えるべきではないかと思います。
○櫻井座長 製造・輸入量で多い物質をピックアップすると、1が871t、4が704t、7が4,577t、8が2万6,938t、10が3,570tとなっています。10の三フッ化窒素はいかがでしょうか。今回の2物質、2物質と選ぶ中には入れないでおくという考え方でよろしいでしょうか。
○山口委員 入れてもできないということですよね。
○櫻井座長 入れてもできないと。
○山口委員 私は、ばく露から考えたら、できるのだったらやったほうがいいと思いますが、これはできないわけですよね。
○櫻井座長 論外なのです。ばく露しやすい物質だし、気になる物質だけれども。
○山口委員 これは、ばく露が多い可能性のある作業なので。
○櫻井座長 できないと思いますので、今回は一応除外していかざるを得ないということにさせていただきます。それ以外で、もし製造量だけでいうのならば、1、4、7、8になります。用途を見ると、比較的多様な場所で使われそうな用途なのか、特殊な限定された用途で使っているのか。7は、もしかすると非常に限定されているのではないか。
○山口委員 これは非常に限定的ですので、多少後回しでもいいと。用途の広いものは、様々な使われ方をする可能性があるので、きちんとやっておくべきかと思います。
○大淵有害性調査機関査察官 事務局から補足して申し上げます。7番の物質そのものの用途は公表されていないのですけれども、この物質と比較的構造が似ているポリマーの用途の情報としては、電気とか電子の材料に使われるという情報は持っております。この物質イコールではないのですが。
○櫻井座長 何の材料ですか。
○大淵有害性調査機関査察官 電気とか電子の材料です。
○山口委員 接着剤なのか、半導体の何か巻くのか。
○大淵有害性調査機関査察官 そうだと思います。
○櫻井座長 量がとても多いですね。いろいろな事業場で使われるか、それともごく限られた事業場で使われるか、という点も重要なのではないかという気がいたします。そういう点からいくと、届出が2社以下というのは、ちょっと優先順位が低いのではないかという気がするのです。それでいくと、7が外れて、6も外れて、3も外れるかと。もし、それを前面に出して考えるならば、1も外れることになります。外し過ぎになるかもしれないのですけれども。
○山口委員 優先順位が落ちるということですね。
○櫻井座長 外すというよりも、優先順位が落ちるということです。1は、届出は2社以下だけれども、用途を見るとかなり幅広い用途がありますので、どうなのですか。
○大淵有害性調査機関査察官 届出というのが、製造・輸入の会社なので、この情報からは、使っている会社が多いか少ないかは分からないです。用途が広いということは、ユーザーが多い可能性はあります。
○櫻井座長 分かりました。1番の優先順位は高い感じがします。製造・輸入量は多いし、用途はかなり拡散している。しかも。
○山口委員 反応性もありそうです。
○櫻井座長 反応性もありそうだし、沸点が160℃ぐらいだと、常温でもそれなりの蒸気圧もあるということで、有力候補になるでしょうか。4番は、先ほど来イソシアネートということで話が出ていましたが、量が多いですね。
○大淵有害性調査機関査察官 はい。
○吉田委員 候補としては、私も4番はプライオリティが高いと思います。
○櫻井座長 石井先生が先ほどシアネートのことをおっしゃいましたが。
○石井委員 その試験の方法によるのだと思います。恐らくほかの試験をやっていないというのは、そのものを見ることがなかなかできないからということもあるのだと思います。
○櫻井座長 これは、優先順位が高いということでよろしいでしょうか。沸点が314℃ですけれども、その下に書いてある蒸気圧は93℃だから余り当てにならないですね。
○山口委員 そうか、ばく露としては少ないですけれども、これが固体でも微粉なのか、ある程度の粒なのかでも違います。
○櫻井座長 イソシアネートは感作性も強いでしょうし。
○宮川委員 毒性としてはそこが気になりますのでやはり入れておいていただいて、もしフィージビリティスタディをして、試験が実際にできないということが分かればその段階で落とすのがよろしいと思います。
○櫻井座長 そうですね。これは、扱いが非常に難しそうな気がいたします。ただし、優先順位を高くするという点で、御意見がかなり一致しているようなので、その2つ。それから8番はどうでしょうか。
○山口委員 発がんモデル試験の情報はありというところなので、もう一回やってみるかどうか。
○櫻井座長 情報があるけれども、胃だけポジティブに出ています。もう一回敢えて肝臓についてやったほうがいいかどうか。
○山口委員 これを見ると、プロモーションとしての効果があるということですよね。
○櫻井座長 そうです。
○山口委員 逆に言ったら、そういうプロモーションだけの発がん性物質という意味ではなかなか興味があるというか、どんなものかなという。
○宮川委員 新しい方法で評価するということで私が重要だと思うのは、初めからそれで固定して考えてしまうのではなくて、これから取る方法が適切な方法かどうかということを見ながら、ということも重要だと思います。そういう意味では、それ以前に2段階発がん試験等があるものについて敢えてやってみて、それと比べて同じような結果が出るのかどうかということを見るのは意味があると思います。
 もう1つは、この資料によると、既にある試験というのが1988年でかなり古いものです。そういうところを見ると、この辺を新しい試験でやったときにどうなるかということをみることでも、ある程度情報量が得られるのではないかと思います。
○山口委員 8番は1988年と古いのか。
○櫻井座長 納得のいく御意見だったように思います。取りあえず4つ選んで、その中で更に2つを特に優先順位を高くするという方針でいくとしたら、今のところ1、4、8の3つ上がってきています。
○宮川委員 同じ論点から言うと、1,2,3-トリクロロベンゼンについても、23番は1985年と古い論文です。22番は引用がないのですが、これがどの程度の、いつ頃のものかというのが私には気になります。
○櫻井座長 どれでしょうか。
○宮川委員 資料3-3の裏側の上のほうに抜粋されている上で、2つのパラグラフがあって、上のパラグラフのほうは、引用が22番ということなのですが、これはいつの論文かリストがないので分かりません。
○櫻井座長 そうですね。22というのは、ここに引用されていないから分からないけれども、2段階発がんモデル、この場合はプロモーション作用がないことが示唆されたということですが、これがいつ頃かということを知りたいところではあります。
○宮川委員 中身は、今度考えているのと同じような方法のように読めます。
○櫻井座長 そうですね。部分切除しているというようなところ。だから、肝臓をターゲットにして見ている。陽性細胞巣が違うものを見ている。
○大淵有害性調査機関査察官 22番の文献は、1986年です。
○櫻井座長 1986年ということは、それほど新しくはないですね。これは結晶なのに、25℃の蒸気圧が割合高いのです。0.028kPaと。これが飽和になると280ppmぐらいに相当します。多分相当ここにあっても臭いの強いものだと思います。昇華性の物質だと思います。だから、ばく露しやすいと思います。
○宮川委員 用途も、ばく露しやすい用途が書かれていると思います。
○櫻井座長 そうですね。そうすると、これも優先順位が高いということにしてもよろしいでしょうか。今4つ上がりました。それ以外のもので、特にそれよりも気になるものがあったらおっしゃってください。あとは100t未満で、しかも医薬中間体というような、あるいは医薬原料というようなものです。ただ、先ほど来1,3-ジブロモプロパンとか、1,4-ジブロモブタンというのは、いずれもプロパンとかブタンぐらいまでで、ハロゲンが1つとか2つとか付いているというのは、発がん性からいくと、システマティックに調べなければならないものではあると思います。
○宮川委員 先ほどの場合と同じですが、類縁物質について指針の対象になっていたり、発がん性試験が片方では開始予定となっていたりするものについて、敢えて類縁物質についてこちらでもやっておいて関係を見るという観点も重要なのかという気もいたします。
○櫻井座長 そうですね。
○宮川委員 それから、今、先生がおっしゃいましたように、ハロゲンの付いたブタン、プロパン辺りは、基本的に少し力を入れて見る必要がある物質かなという気がいたします。
○櫻井座長 そうですね。
○宮川委員 「医薬中間体」と書いてありますけれども、本当にそれ以外に用途がないかというのも多少気になるところであります。
○櫻井座長 いかがいたしましょうか、この2つ。8番と9番を比較してどちらを優先的に。
○山口委員 2と3であれば、考え方としてはどちらか選べばいいですよね。それであれば、長期発がん性試験が開始される予定なので、2と3であれば2のほうが後々。
○櫻井座長 なるほど。2と3を比較するならば。
○山口委員 2のほうをやっておけば、長期発がん性試験との関係が分かるわけです。
○櫻井座長 なるほど。そうすると、例えば2を優先して入れて、それで8と9のうちどちらか1つを取るという手もありますか。使用量からいって8を優先する。
○山口委員 私は8です。かなり白っぽいのですけれども、白っぽいものを、本当に白かという意味で。かなり量が多いのと、用途がこれだけ。
○櫻井座長 そうすると、今までの御意見をまとめると、1、2、4、8の4物質になります。その中で、特に優先する2物質は1と4ですか、それでよろしいでしょうか。あるいは、その他何か御意見はありますか。微妙なところで、なかなかあれですけれども1と4という感じで。石井先生いかがですか、そんな感じでよろしいですか。
○石井委員 はい。
○櫻井座長 よろしいでしょうか。先生方に合意していただいているように思われますので、1と4の2物質をまず最優先順位に、それから次の候補として2と8ということにさせていただきます。以上で議題の2は終了とさせていただきます。今の主な議論についてはどうもありがとうございました。議題の3は、発がん性試験結果の評価です。これ以降は主として報告事項ですが、よろしくお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 資料4の報告をさせていただきます。国が行っております発がん性試験の評価の関係です。これまで実施している物質のトータルは、参考資料2を御覧いただけるとよいのですが、本日については、本年度、24年度に評価した2物質について御報告いたします。
 発がん性試験結果の評価ですが、リスク評価検討会の中の有害性評価小検討会というところで評価を行っております。本年度評価した2物質のうち、まず1物質目は「メチルアミン」です。こちらの物質のラット・マウスを用いた吸入による発がん性試験結果の評価を行っております。評価したのは昨年の9月10日に開催しました第1回の小検討会です。評価結果としては、ラットの雌雄・マウスの雌雄、いずれに対しても発がん性は認められないという評価結果となっております。
 続いて2物質目は「3-アミノフェノール」です。こちらについては、ラット・マウスを用いた経口投与、水に混ぜる混水の試験です。こちらについて、10月31日の第3回の小検討会で評価を行っておりまして、こちらもラット・マウス、雌雄とも発がん性は認められないという評価でした。簡単ですが、以上でございます。
○櫻井座長 いかがでしょうか。何か御質問ございますか。明快な結果になっておりますので、これは御報告を承ったということで、次に進みたいと思います。
 次は、議題4、資料5です。お願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料5について御説明させていただきます。「リスク評価結果を踏まえた政省令改正の報告」ということで、昨年の9月、10月にかけて、特定化学物質障害予防規則等の改正を行っておりますので、その報告をいたします。
 1枚目に記載しておりますのは、昨年4月にこちらの検討会に報告をさせていただいた事項になりますが、改めて説明させていただきます。ここにありますように、平成23年7月に「化学物質のリスク評価検討会報告書」ということで、インジウム化合物、エチルベンゼン、コバルト及びその化合物の「詳細リスク評価」を取りまとめまして、リスクが高いと認められたため、健康障害防止措置の検討をすべきと報告されております。
 これを受けて、平成23年12月に「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」の報告を公表しまして、その中身が下にある表の一覧のとおりです。こちらで、インジウム化合物には金属インジウムは含まないことであるとか、エチルベンゼンは、塗装の作業に限ること、コバルト及びその無機化合物、これらについて、右に示すような健康障害防止措置が必要であるという提言を頂いております。
 これを踏まえて、行政のほうで行った政省令改正の内容が裏面にあります。具体的にどういった内容になったかということですが、?インジウム化合物、?コバルト及びその無機化合物、?エチルベンゼン、この???が全て特定化学物質として追加をしております。特定化学物質に追加することによって、作業主任者の選任、作業環境測定の実施、特殊健診の実施が必要になりますが、個別・具体的な対策として、特化則の所を御覧いただくと、?のインジウムは、例えば◆の3つ目の「呼吸用保護具の着用」の義務付け、4つ目の「作業場の清掃、呼吸用保護具等への付着物の除去」といったものを義務付けております。?のコバルトについても、最後の◆の所に「作業場の清掃」というものがあります。
 ?のエチルベンゼンですが、新たなカテゴリーとして「エチルベンゼン等」というものを新設しております。基本的にエチルベンゼンは特定化学物質に指定をしておりますが、有機則の発散抑制措置、呼吸用保護具に関する規定を準用して、ばく露防止措置を規定しております。少し詳細なことが、2番目、3番目、4番目の◆の所に記載しておりますが、呼吸用保護具の種類について、リスク評価の結果を踏まえて少し限定をしていたり、作業主任者については、有機溶剤作業主任者の技能講習修了者から選任ができるようにするなどの措置をしております。
 一番右の欄のエチレンオキシド及び酸化プロピレンは、もともと特定化学物質であったものですが、くん蒸作業についての措置の対象ということで追加をしております。
 これらの政省令については、一番下にあるように、昨年9月20日に政令を公布、10月1日に省令を公布しておりまして、いずれも本年の1月1日に施行しております。
 今回の内容は、従来どおりパンフレットを作成しております。こちらに網羅的に記載をすることのほか、エチルベンゼンの規制については、新たに「エチルベンゼン等」というカテゴリーを作って、特化則の規制と有機則の規制の両方がかかるような形での仕組みにしております。その含有率によってどの規制がかかるかについて、もう少し複雑な仕組みになっていますので、分かりにくいということもあり、特にこのエチルベンゼンを用いた塗装の作業をする方々向けに、分かりやすいものをという業界からの要望もありまして、一枚もののリーフレットを作るとともに、参考資料の後ろにあるように、「塗装業者のみなさまへ」というようなパワーポイント資料で説明を行って、網羅的に分かっていただけるような形での取組をしております。以上です。
○櫻井座長 ただいまの御説明の内容について、何か御質問がありましたらどうぞ。
○山口委員 質問と申しますか、コバルト系に関して、結構、金属合金のようなものに不純物的に多少入っていると分析すると出てくるというので、そういったものが該当するのか。結構、微量に入っているものが、どうもちょこちょこあるようなので、それが、このコバルト及びその無機化合物に該当するかどうかという質問を、いろいろな説明会で受けましたので、設問の内容を精査していただいて、御対応いただければと思います。結構、微量に入っているものがいろいろなものにあるようですので。
○寺島化学物質情報管理官 超硬工具であるとか金型であるとか、鋳物の釜であるとか、非常に広い範囲で、あるいはバネのようなものとか、いろいろあるようなのですが、こちらにもいろいろ質問があり、この法令にしたがって回答するようにしております。
○櫻井座長 あらかじめ濃度の程度で、除外規定等は決まっていなかったのでしたか。
○山口委員 0.1%です。
○櫻井座長 0.1%ですか。
○松井化学物質評価室長 特化則自体は、1%を超えて含有するものということです。それでも銅製品などは微量に含まれているものがあるので、若干、ボーダーのところなどもあるのかと思いますけれども。
○山口委員 大きな固まりだけで、ばく露を考えずによろしいかと思うのですが、いろいろな形状のものが考えられるのかなと。
○櫻井座長 そのほか、特にございませんでしょうか。それでは、これも御報告を承ったということで、次の議題で最後になりますが、議題5、資料6についての御説明を事務局からお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料6について御説明させていただきます。毎年行っておりますリスク評価の結果が、昨年の8月1日に取りまとめられております。表題にあるように、平成23年度にばく露実態調査を行った対象物質のリスク評価結果の報告です。
 大きく「初期リスク評価」と「詳細リスク評価」に分かれておりますが、まず「初期リスク評価」では、5物質についてリスク評価をまとめて、そのうちアンチモン及びその化合物については、特にそのうちの「三酸化ニアンチモン」で高いリスクが認められたため、詳細なリスク評価が必要とされております。その結果を受けて、平成24年度にばく露実態調査の詳細リスク評価のための調査を行っているところです。
 「詳細リスク評価」ですが、ここにあるように4つの物質について詳細リスク評価書を取りまとめております。このうち酸化チタンについては、ナノでないもの、あるいはナノも混ざっていましたが、ナノということで限定せずにリスク評価書をまとめたわけです。これについては中間報告という形としていますが、IARCでのモノグラフの結果等から、ナノサイズのものについて掘り下げて調査をした上で全体としての評価をする必要があるだろうということで、今回は中間報告としまして、併せて、酸化チタンのナノサイズのものについてはばく露の実態調査等を進めて、今後、リスク評価書を取りまとめる予定としております。以上です。
○櫻井座長 資料6について何か御質問ありますか。大体、時間もちょうどいいぐらいのところまできております。以上で、本日の議題1から5については終わったかと思います。
 最後に、何かその他、事務局からありましたらどうぞ。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 年度明けに、平成25年度第1回を開催させていただきたいと思っておりまして、現在、日程調整中です。日程が固まり次第、また御連絡させていただきますので、来年度もよろしくお願いいたします。
○櫻井座長 それでは、これで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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