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2012年12月27日 化学物質のリスク評価検討会の「第6回有害性評価小検討会」

労働基準局安全衛生部

○日時

平成24年12月27日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○議事

○大淵有害性調査機関査察官 第6回有害性評価小検討会を開催します。本日は年末のお忙しい時期にかかわらず、先生方にはお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日御欠席の連絡をいただいております先生は、池田先生、高田先生、津田先生、吉田先生です。以下の議事進行については、座長の大前先生にお願いいたします。
○大前座長 今日は年末のお忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。配布資料の確認をお願いします。
○大淵有害性調査機関査察官 議事次第の裏側が配布資料一覧ですので、御確認をお願いいたします。
 資料1「職場で使用される化学物質の発がん性スクリーニングについて(案)」、資料2「発がん性スクリーニングの実施のためのワーキンググループの設置について(案)」、資料3「国が行う長期発がん性試験の試験方法について」です。参考資料1から参考資料11については、これまでの検討会で配布している資料を参考として改めて付けています。資料項目の読上げは省略いたします。本日の資料は以上です。
○大前座長 議事に入ります。「発がん性のスクリーニングの迅速化について」の説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 資料1ですが、前回の御議論と、それ以降に御指摘いただいた点を修正しています。一番最後の別紙のフロー図から御説明いたします。
 このフロー図で修正した点ですが、上から3つ目の四角囲みの「遺伝毒性の有無の判断」で、前回のフローでは「判断不可」という物質を遺伝毒性のないグループに合わせてスクリーニングをしていたのですが、そうではなくて、どちらかというと「遺伝毒性あり」のグループに近いような扱いで、真ん中の「判断不可」というのは、「遺伝毒性試験の実施」のほうに矢印を下ろして、そのあとのスクリーニングをしていくということで、書き換えています。
 もう一つ、その下の四角囲みに「遺伝毒性の強さの判断」というのがあります。前回のフロー図では、「弱い」と判断されたところについては、特段、下への矢印がなかったのですが、遺伝毒性の強いものを優先して以下の試験を行うにしても、遺伝毒性が弱いと判断されたものについても、何らかの対応をゆくゆくはしていかないといけないということで、点線ではありますが「短期・中期発がん性試験」のほうに矢印を伸ばしております。
 もう一つは「遺伝毒性の有無の判断」のところで、「遺伝毒性なし」と判断された非遺伝毒性物質のスクリーニングについてですが、前回のフローでは、この下に発がん性の構造活性相関を行って、その下の「新しい手法の試験」に矢印を下ろしていたのですが、非遺伝毒性の発がん性物質の構造活性相関というのがどの程度の精度があるのか、あるいはそもそもそういうものが使えるのかという御指摘がありまして、第3回のときに広瀬室長から、構造活性相関の御説明をいただいたので、広瀬室長に確認しましたところ、今、使おうとしているモデルを作るときには、確かに非遺伝毒性の発がん性物質の発がん性試験のデータは使われてはいるけれども、非遺伝毒性の物質のみに限って、発がん性の構造活性相関の精度を検証されているというのは見たことがないので、そういう意味で、非遺伝毒性物質のスクリーニングの決定的な要素として構造活性相関は余り適当ではないのではないかということでした。
 前回、精度が低いのであれば、発がん性の構造活性相関のほうは、スクリーニングの対象とする物質全部に網の目を掛けて、構造活性相関を行っておいて、全体のスクリーニングの参考としてはどうかという御意見がありましたので、このフロー図では、2つ目の四角囲みの部分で、既存の発がん性情報がないか、それでは判断ができない、大部分がこのグループに入るのですが、その2つ目の四角囲みの下のところに、「発がん性に係る構造活性相関を行い、以下のスクリーニングの参考として活用」と書き込んでいます。
 本文にいきまして、1ページです。本文は見え消しにしていますので、修正部分を順次御説明します。
 1ページの真ん中辺りに「参考」というのがありまして、スクリーニングの対象は幅広くということなのですが、参考の一番下の行で、「同法の対象とならない物質(農薬等)等については、別途検討が必要」という表現があったのですが、前回、農薬などに関しては別途の制度で有害性がチェックされているので要らないのではないか、という御指摘がありまして、ここは消しております。
 2ページにいきます。上からイ、ウ、エとあって、エには全部下線が引いてあります。これが、先ほどの発がん性の構造活性相関の部分で、「構造活性相関による発がん性の推定を行い、スクリーニングにおける判断の参考として活用する。構造活性相関の実施に当たっては、複数のモデルを組み合わせて予測の精度を向上させることとする」という文章を入れています。
 2ページの下の(3)です。これは、遺伝毒性の有無が判断できない物質の扱いを変えたことによって、(3)のタイトルですが、「遺伝毒性のある化学物質等」にしていまして、「等」という1字を入れました。文章としても、最初の文章は2つ段落がありまして、最初の段落については、遺伝毒性があると判断された物質についてで、ここの下線部は下の段落との関係で入れただけで、内容的には変わっておりません。
 2つ目の段落で、「また、上記(2)で遺伝毒性の有無が判断できないとされた物質については、試験の実施により遺伝毒性の有無を確認したうえで、遺伝毒性があると判断された場合は、その強さにより、発がん性のスクリーニングを行う」としています。これに沿って、ア、イということで、段階に分けて書いています。下線部については、先ほどの説明のとおりに沿って、下線部を挿入しています。イのなお書きのところは、発がん性の構造活性相関も、この時点までにはやっておりますので、それを参考にして試験の優先順位を決めるという意味で、なお書きの下線部は入れております。
 (4)遺伝毒性のない化学物質等のスクリーニングについては、先ほどの説明のとおり、大幅に書き換えておりまして、遺伝毒性がないと判断された物質については、判断材料を列挙しています。まず、発がん性の構造活性相関をしているので、その情報があると。それから、蒸気圧などの物質の性状の情報も勘案して、かつ、製造・輸入量の多い物質という判断基準もあるので、これらの中から対象物質を選定して、3行ほど飛びまして、in vitro形質転換試験、又は遺伝子の発現量測定による発がん性予測試験を実施しとしています。
 3ページの下の(5)短期・中期発がん性試験の実施です。これは文章表現を、前回の検討会のあと御意見をいただいたものがありまして、発がん性の可能性というのが「ヒトへの」発がん性の可能性であるということと、3ページの一番下の行に「優先して」と書いているのは、先ほどの遺伝毒性の弱い物質の扱いは、遺伝毒性が弱いからといって、そこでスクリーニングをやめるのではなくて、あくまでも強いものを優先をするだけであるという意味で、「優先して」と書いています。
 4ページです。文章表現で、発がん性の可能性については「ヒトへの」発がん性。試験については、げっ歯類やラットなど動物を用いた試験で、ヒトの発がん性の可能性について検討していることが分かるように書いています。
 4ページのイですが、3行目の「原則として」を「必要に応じて」に変えています。これは前回の御議論で、伊東法の肝発がん性試験で陰性となったものについて、原則としてほかの2段階発がんモデルによる試験を行うのでは、少し効率が悪いのではないかという御指摘がありましたので、「必要に応じて、げっ歯類を用いた、その他の2段階発がんモデルによる試験」と書き換えています。
 それから「多臓器発がん性試験等」と、はっきりと多臓器発がん性試験を書いていたのですが、前回の検討会以降にいただいた御意見で、多臓器発がん性試験だと、例えば女性に特有な臓器には使えないので、もう少し軟かいというか、特定の試験方法を書かないほうがいいのではないかという意見をいただきましたので、今回の配布資料はそれに沿って、そのほかの2段階発がんモデルによる試験としています。
 ウの「構造活性相関」というのは、最初のほうに御説明しました発がん性の構造活性相関をやっているので、それも情報としてあるという意味で書いています。
 3の(1)のイも、同じ意図で書いています。
 それから、前回の御議論の中で、社会的要請についてもスクリーニングで考慮すべきという御意見があったのですが、この文章に落とすと、なかなか適切な表現が事務局で見つけられなかったので、先ほどの絞込み過程のいろいろな要素を書いている「等」というのがありますので、この中で考えるという意味で、配布資料の案は作っています。事務局からは以上です。
○大前座長 前回の御議論を受けまして、今日の修正案のようにしていただきました。前回の御議論については、皆さんの御記憶の中で大体反映されていますでしょうか。抜けているところがあれば、まず御指摘いただきたいと思います。
○西川委員 事前にコメントする時間がなくて申し訳なかったのですが、1つは別紙の2つ目の四角で、「既存の発がん性に関する情報による判断」で、情報ありというのは、発がん性がある場合も、ない場合もあると思うのです。したがって、情報ありが全て「健康障害防止措置の指針による指導」にいってしまうのは問題かなと思います。
○松井化学物質評価室長 情報ありで、恐らく発がん性がないという場合は、当然、下の指針や長期発がん性試験にいかないので、そこは考えさせていただけますでしょうか。
○西川委員 2点目は、2つ目の四角の下に「発がん性に係る構造活性相関を行い」とあります。これは、その下の3つ目の四角の「構造活性相関により判断」ということと、ほぼダブるのではないかと思います。したがって、2つ目の四角の下の記載は削除してもいいのかなと思いました。
○松井化学物質評価室長 おっしゃる意味は確かにそのとおりですが、意図としては、2番目の四角囲みの下は発がん性の構造活性相関で、3つ目の四角は遺伝毒性の構造活性相関ということで書き分けてはあるのですが、要らないということであれば、また。
○西川委員 御説明にもあったように、発がん性に係る構造活性相関というのは、基本的に遺伝毒性を想定したQSARであるので、したがって、おおむねダブってしまうのではないかという気がします。
 3点目は、3つ目の四角で遺伝毒性の「判断不可」、要するに、あるかどうか分からないものについて、その下に「遺伝毒性の強さの判断」とありますが、判断不可のものは当然判断不可になってしまうはずなので、これは分けて矢印を付けるべきであり、この書き方はまずいかなと思いました。
○松井化学物質評価室長 先週お送りしたフローは、遺伝毒性ありと判断不可が1つの四角囲みになっていたのですが、そのあと同様の御指摘を受けまして、今日の配布資料では、2つ目の四角囲みを3つに分けまして、3つ目の四角囲みを「遺伝毒性あり」「判断不可」「遺伝毒性なし」の3つに分けました。おっしゃるように、4つ目の四角囲みにいっても判断不可になるので、遺伝毒性試験の実施のほうにいかないとしようがないので。
○西川委員 分かりました。今日配布されている最後のバージョンを見ていなかったので。
○松井化学物質評価室長 御指摘を受けたものですから、そのように直しております。
○西川委員 あとは「in vitro形質転換試験」の記載のある四角囲みですが、これは進行中のもので、OECDのガイドライン化はなっていないのですね。そういうものをここに書いていいかどうかというのは、慎重にすべきかなと思います。
 同じ四角の「遺伝子の発現量測定による発がん性予測試験」についてですが、やはりバリデーションが十分になされているとは理解しておりません。したがって、この辺りも、例えば「等」を付けるとか、これらの試験に限定した形ではないほうがいいのかなと思いました。
○大前座長 今、御指摘があったのは、2つ目の四角の「情報あり」の中に、発がん性がないという情報もあるので、それは分けてくださいという話がありました。2つ目は構造活性相関で、2つ目の四角の下に書いてあるのと、実質的には遺伝毒性に関する構造活性相関とほぼイコールなので、この部分は要らないのではないかと。3つ目の四角の中の括弧の中の「既存の試験結果、構造活性相関により判断」に含まれるのではないかという御意見ですが、この点に関してはいかがですか。
○福島委員 確かに西川委員の言われることもよく分かるのですが、丁寧さからいうと、ここに入れておいてもいいのではないかと思います。上の段階では、まだ遺伝毒性のことについては全然入っていませんので、丁寧さを含めて書いて、あくまでもこれは添え書きだと思いますので、このまま入れておいてもいいのではないかと思います。積極的にこうでなければならないという意見ではないですが。
○大前座長 そのほかの先生方、あるいは西川委員はいかがでしょうか。
○小野寺委員 今のに関してですが、箱の外には参考として活用するのですが、箱の中は判断です。同じような構造活性相関を調べるのに、どのように活用しているのか、その辺はどう判断するのか。活用するのと、判断するのとはどう違うのですか。
○松井化学物質評価室長 事務局の意図は、遺伝毒性の有無の判断のときには、既存の試験結果のないものがあって、それについて、例えばエームス試験なりの構造活性相関をしたときには、ある程度精度が確認されているので、かつ複数の構造活性相関のモデルを使って、使ったモデルが2つとも陽性の予測がされたときは遺伝毒性ありのグループに入れて、2つとも陰性の場合は遺伝毒性なしに入れてしまうと。それのみで判断をして、下のグループ分けをするという意図で、こちらは判断と書いています。
○小野寺委員 実質的には一緒というか、1つの構造活性スクリーニングをして判断するということと、文書に書けば福島委員が言ったように段階的になりますが、現実的にはこれで判断するということですね。
○大前座長 そのほか、御意見はいかがでしょうか。そうしますと、2つ目の括弧の下のただし書というか、この部分は、実質的には削除してもいいのではないかという御意見が大勢のような感じがしますが。
○宮川委員 私は福島委員がおっしゃられたように、ここは残したほうがいいと思います。場合によっては、将来に非遺伝毒性のもので引っ掛かるようなものが出てくるかもしれないので、細かいフローの判断チャートではなくて、概念的な考え方を示したものということでは、一番左のほうまでを含めて、大きな2番目の四角全体に、発がん性に係る構造活性相関を活用するという考え方で残していただいたほうが、私はよろしいかと思います。
○西川委員 もしもそういう御趣旨であれば、このフローに書かず、どこかに一文を付記する形のほうがよろしいかと思います。非遺伝毒性の発がんメカニズムというのはものすごくいろいろなものがあって、それをQSARで一括して引っ掛けるというのは、現段階では不可能だと思いますので、将来的にそういうことを考慮するということであれば、とりあえずはここに書かずにいたほうがいいのかなと思います。
○大前座長 そのほかの先生方からいかがでしょうか。
○江馬委員 2番目の四角と3番目の四角の中の「判断不可」というのは、「情報なし」も含まれるのですか。
○大前座長 ちょっと待ってください。今の話を解決してから次に進みたいと思いますので、すみませんが。
○江馬委員 分かりました。
○大前座長 そうしましたら、一応残しておくということでしょうか。西川委員は取ったほうがいいという話で。
○小野寺委員 ここにこういう例文を書くのは煩雑になってくるので、例えば「*」などを付けて、脚注か何かで、これから先こういう発がん性に関わるいい構造活性相関のキューサーのようなものが出てきたときにはそういう手法を使ってという、付加的なほうがいいような気がします。文章の中に入れると、必ずしもそれを行うと見られる可能性がありますので。いかがでしょうか。
○清水委員 発がん性の部分を見ると、同時に結局は変異原性も見ざるを得ないのです。ですから、ここはあえてなくてもいいのではないかと思います。どっち道、3番目の四角でやってしまうわけですから。そう思います。
○大前座長 そうしましたら、「*」等で参考で残す可能性はあるにしても、原則的には要らないだろうと。その次に西川委員がおっしゃったのは。
○福島委員 西川委員、これは文章ではどの辺りに入れたらいいですか。
○大前座長 本文のほうのことですね。
○福島委員 私は入れ込むのはそれはそれでいいと思うのです。小野寺委員が言うのは、「*」か何かを付けて、別紙の下のほうに入れるということですか。
○松井化学物質評価室長 本文では、2ページの上のエに、4本ほど下線を引いてあるところはありますが、ここに挿入しています。以下、いろいろな優先順位を決めるときに、構造活性相関も1つの要素として考えるという意味で入れてあります。
○大前座長 抜いてしまうと、エが全部抜けてしまうことにはなるわけですね。先ほどおっしゃったように、エは遺伝毒性の判断の有無のところと重複するので、余りエの意味がないのではないのかというのが、西川先生の御意見ということだと思います。本文からエを抜いてしまえという御意見ではなかったかと思います。そこはそのようなことでよろしゅうございますか。別紙のフロー図の文書は、付加的な形でどこかに表現するか、「*」で却注で書くか、いろいろな方法があると思います。あるいは2番目のボックスを左側に寄せて、右側に書くこともできます。
 その次に西川先生が指摘されたのは、in vitroの形質転換試験はまだOECDのガイドラインにもなくて、その下の遺伝子発現量に関してはバリデーションがまだ十分ではないのではないかということで、必ずしもこの2つの試験のみに限定しないで、西川委員の御提案ですと、「等」を付けて、これも使えるし、これからバリデーションができたり、あるいはOECDのガイドラインができた場合は、それを使うような意味合いで、あるいは別の試験があればということも含めて、「等」を付けたらどうかということです。これはよろしいですね。そういう形で、少し広めに取っておくと。
 西川委員、このこと以外にいくつかあるというお話でしたが、いかがですか。
○西川委員 下から2つ目の四角に、1種類の動物での長期発がん性試験の実施プラス短期・中期試験とありますが、実は既に、短期・中期発がん性試験は終わっているので、これをまた更に別の形でやるということになりますね。そういうことですか。
○松井化学物質評価室長 これは前回も西川先生から違うところで御指摘をいただいたのですが、基本的に長期発がん性試験は、1種の動物での長期のものと短期・中期試験ということなのですが、その場合に、スクリーニングの前段で短期・中期の試験を行っている場合は、それを活用するという考え方があって、それは別途長期試験の効率化のとりまとめに既に書いてあるのです。動物の種の関係ですとか、いろいろ考えると、前段のスクリーニングの短期・中期試験が、伊東法なり2段階発がんモデルのものとすると、ラットのものしかないので、そうしたときに組合せとして、長期試験をマウスにしてラットの試験を活用するのか、あるいは長期試験も短期・中期試験もラットにするのか、あるいは長期試験をやったときにラットの長期試験とマウスの短期・中期の試験にするのか、いろいろなことがあります。前回の議論で福島先生から、「それはケース・バイ・ケースで判断してはどうか」というお話がありました。ここは少し誤解は招くかもしれないのですが、一応、長期試験プラス短期・中期ということを書いています。
○小野寺委員 ここで、最初の短期・中期発がん性試験、予備の試験というか、それをしたときに、この矢印というのは、陽性の場合に次に進むということですね。
○松井化学物質評価室長 はい。
○小野寺委員 陰性だとするならば、ここで試験は終わりという考え方でいくと。そのあとに、長期発がん性試験をするときに、1種の動物の標準になるのはラットだと思うのですが、実施して、これで陰性だとするならそこで終わるわけですよね。陰性の場合でも、プラスというのは短期と中期の試験を行うということですか。それとも。
○松井化学物質評価室長 そこは少し御議論の必要なところなのです。御指摘のケースですと、ラットの短期・中期試験をスクリーニング段階でやっていて陽性だったと。長期試験にいって、長期試験は陰性だったという場合なのですが、その場合の動物の組合せがラットとラットの場合はどうするかとか、その辺りです。ラットとラットの組合せで、長期試験でラットで陰性だった場合はどうするのかというところは、本当にケースに分けてどうするかという議論を、まだ実はしていないというところです。
○大前座長 西川先生、先ほど御意見がと。
○西川委員 そういう、いわゆるエキスパートジャッジに関わるようなことは、資料2にあるようなワーキンググループで検討しつつと思うのですが、どの試験をやったらいいかということが項目に入っていないので、それを加えた上でワーキンググループで検討するというのはいかがでしょうか。それはいろいろなケースが考えられるので、今、議論をしても時間が足りなくなってしまうと思います。
○福島委員 別紙は非常に簡略化して書いてあるのです。だから、別紙のチャートというのは簡略化していいと思うのです。西川委員が言われたことを、文書化のほうで読み取れるようにするということだと思うのです。そうすると、今日のこのあとの案件にありますが、委員会マターになっていくと思うのです。だから、それぞれの委員のエキスパートの判断が働いてということになると思います。だから、基本的には西川委員も理解していただけたと思うのですが、私は別紙はこれでいいのではないか、余りここに細かいことを書き込まないほうがいいかなという意見です。
○小野寺委員 おっしゃることは分かるのですが、普通の人たちは別紙のチャートを見て判断していくので、ここで誤解のないようにしておかないと、皆さんが文書を読み込んでくれればいいのですが。今の議題に関しては、結局、短期と中期の伊東法なり2段階発がんモデルをして、陽性になったものが長期発がん性試験を実施されるわけです。そうなった場合に、ラットでやって、ラットで陽性の場合にはそれ以上はやる必要がないと思います。それでもしも陰性になった場合には、結局短期では陽性になって、長期のラットで陰性になった場合の判断としては、そのときにワーキンググループで検討して、短期・中期の試験を追加するとか、最終決着を付ける方法をとると思うのです。
 ここはプラスということではなく、1種類の動物で実施して、必要に応じて短期・中期試験もやるとか、何かの方法をしないと、両方を必ずするのだと解釈される可能性があるので、その辺はもう少し誤解のないようにしたほうがいいのかなと思います。
○大前座長 いかがですか。チャートの中でも、プラスではなくて必要に応じて短期・中期試験を追加するような形でと。文章になってしまうと、チャート全体の整合性から見ると、少しうまくいかないかもしれませんが。いずれにしても、プラスだと両方ともやらなくてはいけないという誤解を生む可能性があるということで、必要に応じてやるというような意味合いの表現にしてはどうかと。
○福島委員 そうすると、少し原則論に入ると思うのです。職業がん対策に向けてのこれまでの方法というのは、2種類の動物の発がん性試験を調べるというのが原則になっているのです。それが今の話になりますと、そうではなくて、もう1種類だけでいいというケースもあるのだという方針変えをすれば、今、小野寺委員が言われるような方法がとれると思うのです。
○小野寺委員 その話は、中・短期の発がん性モデルの予備試験がない場合の話で作ってあります。この場合は、中・短期で2段階発がんモデルの予備試験を優先的に実施して、その結果が陽性の場合の物質についての話だと思うのです。そうなってくると、改めてそこでまた中・短期をする意味があるか。全部の試験が黒でなければ評価ができないかということだと思うのです。数をたくさんやるとするならば、そういう同じ物質で重複しながら陽性の結果を積み重ねていくことが大切なのか、それとも最低限の試験を実施して、その中の判定基準で評価していくことが大切なのかだと思うのです。
 このチャートを見る限り、最初に西川委員が指摘してくださったように、中・短期の試験を、一応予備試験なりにやって、陽性の結果を持っているものに関しては、まずはラットの2年間のフルの試験を実施してもらって、その結果が陰性だったなら、陽性にしてもですが、またそこでワーキンググループの中で検討していただき、それに必要でしたならば追加の試験を実施するとしたほうが、効率がいいような感じがするのですが、いかがでしょうか。
○大前座長 いかがでしょうか。
○西川委員 基本的に賛成で、最初からプラス短期・中期とあるのは、やらざるを得ないように読めるので、ちょっと問題かなと思いました。
○櫻井委員 上から2番目の、既存の情報で「情報あり」と書いてあるものは、一番下から2つ目のところへいってしまうわけです。そうすると、やはりプラス短期・中期という条件になると理解していますが。
○大前座長 要するに、ダイレクトにこちらにきた場合は、両方要るのではないか。プラスではないかと。事前の中期・短期をやっている場合は、プラスに関しては必要に応じてということだけれどもということだと思いますが、この辺はプラスの解釈を変えなくてはいけないと。そこはよろしゅうございますか。
○西川委員 そのとおりだと思います。上から、既に短期・中期が終わったものと、それを飛ばして、情報ありで、長期の発がん性にきたものは分けて考えるべきかなと。
○大前座長 その点はよろしいですね。少なくとも、今の櫻井先生の御指摘に関しては分けて書くべきだと。それで、事前にスクリーニングを短期・中期でやっている場合に関しては、プラスではなく必要に応じてという意味合いで書き直すと。ありがとうございました。
 西川先生、ほかに何かございますか。
○西川委員 下から4番目の「短期・中期発がん性試験」で、ここに「2段階発がんモデルによる肝発がん性試験を優先的に実施」とあるのですが、これも優先するかどうかというのは、いわばエキスパートジャッジに相当するものではないかという気がします。
 2段階発がんモデルで、これまでの議論でいろいろ出てきたと思うのですが、まず肝臓を標的としないものは検出率が悪いとか、吸入試験の実績がないとか。もう一つ、DENという発がん物質を使って、肝の部分切除という手術処置をする点。実際問題、こういう試験を受託する施設というのは相当限られると思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○大前座長 これができる施設は、事務局から何かございますか。
○松井化学物質評価室長 施設ですが、平成25年度予算においては、長期発がん性試験を受託している機関と同じ機関、実質的にはバイオアッセイ研究センターです。平成26年度以降はどうするかは、まだ決まっていません。
○西川委員 そうすると、福島委員のところで、一括して試験をされるということなのですか。
○福島委員 知りません。
○西川委員 キャパシティーが間に合えばいいと思うのですが。
○大前座長 平成25年に関しては決まっているという話で、平成26年以降は、短期・中期に関してはまだ分からない。
 西川委員、そのほかはよろしいですか。
○西川委員 結構です。
○大前座長 江馬委員、お待たせいたしました。
○江馬委員 3つ目の四角の中の「判断不可」というのは、情報なしが含まれるのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 情報なしのものについて、構造活性相関をやった上で更に判断不可と。つまり、構造活性相関を複数のモデルでやって、プラスとマイナスが両方出てきてグレーの場合は判断不可に入ってしまいますので、そういった場合が当てはまります。
○江馬委員 もう一つです。先ほどからずっと話が出ていたのですが、「情報あり」から下へずっときて、3つ横の矢印が付いているのですが、一番上の「健康障害防止措置の指針による指導」と、一番下の「リスク評価」というのは、情報で発がん性がありという情報ですね。
○松井化学物質評価室長 はい。
○江馬委員 真ん中の「長期発がん性試験の実施」というのは、発がん性はないという意味の情報があるという物質についてでしょうか。
○松井化学物質評価室長 真ん中の「長期発がん性試験の実施」というのは、このフローにおいて最初からたどっていくと、短期・中期の発がん性試験、少なくとも伊東法で陽性になったものが長期発がん性試験にきます。既存の情報で、それと同等の発がん性に関する情報があった場合は、こちらにくるということです。
○大前座長 そのほかにいかがでしょうか。西川委員、江馬委員から、前回の議論に加えて御指摘がありましたが。
○宮川委員 今更ながら申し訳ないのですが、下から2番目の四角で「長期発がん性試験の実施」で、「1種類の動物での実施」と書いてあります。これは場合によっては、必ず1種類でなければいけないと本当に限定してしまっていいのかというのが、多少気になります。「必要に応じて2種類必要」とか、「これだけ問題になると2種類必要」とか、「こういうところが分からない場合には、やはり2種類必要」だというのが出てくる可能性もありますので、「原則として」とか、緩める言葉を入れておいていただいて、1種類しかやらないのだ、2種類はやらないと日本が決めたのだと思われないようにする必要があると思います。
○大前座長 今の御指摘について、いかがでしょうか。原則として1種類とするが、場合によっては2種類やらなくてはいけない場合もあるかもしれないと。1種類に限定しておかないほうがいいと。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○大前座長 それでは、ここは「原則として1種類の動物で実施」というような書き方にするとします。
○櫻井委員 今日のメインの話ではないのですが、1ページの1「スクリーニングの対象物質」の中の一番下の「同法の対象とならない物質等については、別途検討が必要」というのは、前回消してしまったのです。その理由は、既に毒劇法、農取法、薬事法、食品衛生法等の規制対象物質は除外されているわけですが、こういった物質については有害性等の情報は十分にあるから必要ないだろうという趣旨だったと思います。
 そうであっても、職場で使用される状況においては、いろいろなことがあり得るという立場から考えますと、一応、最初から今回の発がん性のスクリーニングと限定したとしたらそれでもいいのかもしれませんが、例えば別紙に書いてあるように、発がん性のスクリーニングに限定せず、評価が最終目的ということになりますと、リスク評価を最終的にはやる場合もあるということを考えますと、この「対象とならない物質等については、別途検討が必要」という文は、残しておいたほうがいいのではないかと思います。
○大前座長 前回は消すという議論でしたが、ここは残しておいて、別途検討ですから、そういう意味では、その上の7,000物質よりも優先順位は落ちるということで書いてあると思うのですが、いかがでしょうか。これは復活ということでよろしいですか。
(異議なし)
○大前座長 そのほかに何かございますか。
○福島委員 4ページのイの3行目です。「げっ歯類を用いた、その他の2段階発がんモデルによる試験等」と変わっているのです。ここで問題になるのは、先ほど西川委員が別紙のほうで、in vitro形質転換試験とか、遺伝子の発現量測定値について、これはバリデーションについてinternationalで認められていないのではないかという話がありました。
 確かにそうだと思うのです。認められていないものが別紙に入っていて、ICHそのほかの行政機関で認められている肝発がん性試験、多臓器発がん性試験という文章が削除されてしまっていますと、その他の2段階発がんモデルというのは何なのか、これは実はたくさんあるわけなのです。多臓器発がん性以外にも、各臓器、胃、腎臓、子宮、いろいろな臓器について、個々の臓器についてモデルがあるのです。そこの辺りというのが、非常に曖昧になってしまうのです。
 したがって、ここは「多臓器発がん性試験」という言葉をどこかに残して、そして2段階発がんモデル。例えば「多臓器発がん性試験を含む、他の2段階発がんモデル」とか、そういうような書き方にしたほうがいいのではないかと思うのです。
 もう一つ、小野寺委員にお聞きしたいのは、医薬の中では、ラットの短期・中期発がん性試験として、正式に文書上はどのような名称を使っているかです。
○小野寺委員 文書上になってきますと。
○福島委員 例えばICHでは、肝発がん性試験とか、多臓器発がん性試験というのは、確か、あったと思うのです。
○小野寺委員 ICHの通知の文書の中では、そういう言葉を使っていませんで、2段階発がんモデル、イニシエーション・プロモーションモデルと言っています。あとはトランスジェニック動物ということで、ラット、マウスに限定していませんし、トランスジェニックの系に関しては、今、使われているのはp53とか、ras-H2があるのですが、そのときによって使える系を使うということなので、例えばこのイニシエーション・プロモーションモデルにしても、どの試験系をということは限定しておりません。
○福島委員 ICHもですか。
○小野寺委員 はい。そのときに使われているものをrecommendするということは言っていますが、そのときに米国のFDAとしてはp53モデルを推奨してきまして、日本としてはras-H2モデルです。ただ、その時代によって使える動物はどんどん変わってきますので、そのときに適切な動物を使うことに関しては、指定はありません。
○宮川委員 質問なのですが、テストガイドラインに載っていてバリデーションの済んでいる試験法に限定されて使われているわけではないということですね。
○大前座長 どうぞ。
○清水委員 まだ今日、御説明いただいていませんが、資料2で「発がん性評価ワーキンググループ」というのができますよね。ここで議論すればいいことではないのかなという気もするのです。
○大前座長 福島委員の意見は、多臓器発がんの試験の2段階発がんモデルというお話で、清水委員は、そのことも含めて、あとで議論になるワーキンググループの中に入れたらどうかという御意見だと思うのですが。
○松井化学物質評価室長 ワーキンググループではここの文章を議論するわけではないので、書き物としては一応何か。細かな内容はワーキンググループでということです。
○小野寺委員 ワーキンググループの役目としては、ここで評価や試験の実施の方法などを具体的に細かく議論すると思うので、ここの場は、そういうことがそこにいく過程の筋道を立てるのがこのグループかなと思うのです。そういうことで、具体的な細かな試験法とか、細かいことを入れておきますと、それを変更するときには今度はワーキンググループではなく、こういう委員会を持たないと文章が変更できなくなる危険性があると思うので、ここでは1つの試験を限定しないで「等」ということを付けながら、適宜、その場で一番適切な試験法を選ぶというのをワーキンググループで検討していただくのが現実かと思うのですが。
○清水委員 私もそういう趣旨です。
○福島委員 その趣旨は分かります。現実問題として一番対応されるというのは、肝臓と多臓器だと思うのです。だから、少なくとも「多臓器発がん性試験を含む」とか、そういう言葉を入れてもいいのではないかと思うのです。
 というのは、そうすると絵面のほうで、バリデーションでICHがいろいろ認められてというより、こういう固有名詞を入れること自体、どういう問題かということに発展してくるのではないかと思うのです。「等」で、in vitroとか遺伝子の発現量測定による試験等、ここには固有名詞が入っていて、片方では「中期発がんモデル」ということで、ぽんと括ってしまうことがいいのかどうかということなのです。
○大前座長 事務局からは何か御意見はありますか。
○松井化学物質評価室長 事務局で申し上げられることがあるとすると、ここの部分を直したのは、今日御欠席の委員で、「もしも検討会のほかの委員の賛同が得られれば、多臓器発がん性試験という固有のものを書くのではなくて」ということでいただいております。あくまでも「検討会の賛同が得られれば」という条件でいただいておりますので、検討の結果はそれに従いますと伺っております。
○大前座長 たくさんのモデルがあって、臓器ごとに全部あるという話です。とりあえず多臓器に関しては、多臓器発がん性試験を含むという形で、固有名詞というか、それを入れておいたらどうかということなのです。実際に、何をどのように使うかというのは、ワーキンググループで具体的に検討してもらうと。そのときに、多臓器発がん性試験が落ちるような判断をされる可能性はないことはないということだと思いますが、それはそのワーキンググループの判断でいいだろうと。
○宮川委員 今のように、例示として入るということであれば、よろしいかと思います。そうだとすると、3ページで非遺伝毒性のものについて、「in vitro形質転換試験、又は遺伝子の発現量測定による発がん性予測試験を実施し」と書いてありますので、ここについても、当然これを包括したような言葉にして、もし例示として入れるのであれば、同じような形にしていただいたらよろしいと思います。
○大前座長 3ページのところは、少なくとも「等」が入るのですが。
○小野寺委員 ICHのガイドラインの本文の中には細かいことは入れていなくて、注釈にそういう名前を入れているのです。
○福島委員 注釈で入っていますよね。
○小野寺委員 本文にはラットのほかに、「短期あるいは中期のin vivoげっ歯類系試験系として、可能性のある試験として、in vivoにおける、がん原性指標を考慮したモデルに注目すべきである。その例として、げっ歯類の2段階発がんモデル、イニシエーション・プロモーションモデルやトランスジェニック、げっ歯類動物、ないし新生児げっ歯類動物を用いた発がんモデルなどが挙げられる」で止めてあります。そして、注として脚注に、「今、考えられるものに関しては」ということで、いろいろな種類を書いています。
○福島委員 固執するわけではないのですが、ここには「多臓器発がん性試験」という言葉をどこかに入れておいたほうが、現実に対応しやすいと思うのです。確かに宮川委員から説明があったように、本文の中にもin vitroうんぬんという言葉が入ってくるわけですよね。
○大前座長 そうしましたら、先ほどのin vitroうんぬんというところもあるということで、例示的に「多臓器発がん性試験等の2段階発がんモデル」という形で入れておくということですね。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○大前座長 ここは少し御意見の相違がございますが、そのようにさせていただきたいと思います。
○福島委員 3ページの(4)の9行目に、「形質転換試験、又は遺伝子の発現量側定による発がん性予測試験等を実施し、発がん性の可能性について」とあるのですが、「発がん性の可能性」というところは、みんな「ヒトへの」という言葉が入っていますが、ここには入れるべきなのか、入れないべきなのか。
○大前座長 これは「ヒト」という言葉は入れてもいいわけですよね。
○福島委員 全部入れるのか。要するに、考え方の思い違いが出てくるのですよね。
○小野寺委員 ここの場合はチャートからいくと、右の真ん中辺りで、ここからまた動物試験を行うわけですよね。
○福島委員 そうですね。
○小野寺委員 ですから、必ずしもヒトにおける発がん性とは限らない。
○福島委員 だから、考え方によるというのです。考え方によれば入れなくてもいい、考え方によると、ここも統一して、揃えて入れていく。
○小野寺委員 そういうことですね。
○福島委員 全部揃えて入れていくのか、個々の発がん性物質の可能性の考え方によって、「ヒトへの」と入れてみたり、入れなかったりということなのです。
○小野寺委員 動物試験を行う前のところというのは、動物、ヒトを含めて、発がん性の可能性は検討すべきだと思うのです。そして動物試験を行って、その結果によっては、ここの発がん性の評価というのは、今度はヒトの外挿性の評価になるわけです。そういうことになると、全体的なものが発がんポテンシャルを持っているのかという評価の時期と、動物試験とかいろいろな結果をもって、その結果からヒトへの発がん性の評価をするかによって、時期によって、ヒトと動物という使い分けは必要だと思うのです。入れるときと入れないときに。
○福島委員 それは分かりますが、このプロジェクトというか、今までの対策としてとられた方法というのは、動物で発がん性が見られた場合の発がんのメカニズムを考えて、ヒトへ外挿するかどうかまでは追求していないのです。基本的にはね、遺伝毒性発がん物質をやる。そうすると、遺伝毒性発がん物質は、まず、ヒトに外挿するでしょうという原則論があるわけです。だから、その意味を含めて、ここのところをどうするかということです。私は入れても入れなくてもいいのです。ほかは全部入りまして、ここだけは抜けていますから、これはどういう考え方かなということなのです。
○大前座長 結論としては、「ヒト」という言葉も入れておこうということですね。
 前回の議論、今日の議論を踏まえて、これ以上議論がなければ、案、別紙をreviseするということになりますが。
○松井化学物質評価室長 事務局から確認が2点ございます。先ほどの発がん性の構造活性相関の話ですが、2ページの上のエの4行は削除ということでよろしいのでしょうか。
○大前座長 はい。
○松井化学物質評価室長 基本的には全体に網の目を掛けて、発がん性の構造活性相関をするということは、当面は行わないという整理でよろしいのでしょうか。
○小野寺委員 いや、行わないことではなくて、既存の情報がない場合には、使える活性相関、これからまたいろいろなシステムが出てくると思うのですが、最新の情報をそこでまずはスクリーニングを掛けて、そういうin silicoを使って情報を多く集めるということは、ただ構造を入れてあれば答えが出てくるものなので、そんなに手間と時間がかかるものではないので、まずは数多いものをこれでスクリーニングして、そこの中の判断を得ることは必要だと思うのです。ですから、例えば「遺伝毒性の有無の判断」をもう1段にして、構造活性相関による結果ということで分けてもいいと思うのです。
○松井化学物質評価室長 それで、フローの「遺伝毒性の有無の判断」のところは、エームス試験なりの構造活性相関の結果についてはかなり精度も検証されていますので、先ほどの話で、ここは残して、上の四角囲み以外に書いてある「発がん性に係る構造活性相関を行い、以下のスクリーニングを参考として活用」というところを削除するのかなと受け取ったのですが、そうすると、この段階では行わずに、遺伝毒性の既存の試験情報がないときは、主に遺伝毒性の構造活性相関を行って、判断に使うということでよろしいでしょうか。
○大前座長 はい。
○松井化学物質評価室長 もう1点は非常にテクニカルな話で、別紙の下から2つ目の「長期発がん性試験の実施」のところで、上の発がん性に関する「情報あり」から下りてくる矢印の扱いと、「短期・中期発がん性試験」のほうから下りてくるものの扱いで、扱いが異なるので、矢印を変えたり、書き分けてというお話だったのですが、そうするとテクニック的に非常に煩雑になってしまいますので、ここは「1種の動物での実施」という文章のあとに、括弧書きで、「(プラス短期・中期試験)」と書いておいて、本文で書き分けるということでもよろしいでしょうか。
○大前座長 この別紙だけで判断しないで、本文も見ろということですね。
○松井化学物質評価室長 上から下りてくる矢印が2本になると、分かりにくくなるかなと。ただテクニック的な話だけなのですが。
○大前座長 これを2本の矢印で書くとすると、下から2つ目の「長期発がん性試験の実施」のところを左側に寄せて、そのスペースに上から矢印を下ろすという形になりますかね。その矢印の下りた中には、「原則として1種類の動物」ということで、必用に応じて、短期・中期のように書き分ける形ですが、絵としては煩雑に見えるかもしれませんが。
○小野寺委員 「既存の発がん性に関する情報による判断」というのが上から2つ目です。これが「情報あり」ということは、ここで判断が可能な場合もあるということですよね。
○松井化学物質評価室長 はい。
○小野寺委員 そうなってくると、そこから下に落ちたときに、必ずしも「長期の発がん性試験の実施」をすることとは限らないわけで、そのときの話合いで、情報が足りない場合にはすると。必要に応じてするし、情報において発がん性が既に評価されている場合には、新たな動物の実施は必要がないわけです。そうなったときに、ここの右にいくところを点線か何か、実線ではない方向のほうがいいような気がするのです。情報があるにもかかわらずするとなっていると、誤解をする可能性があるので。それでここは解決すると思うのですが、いかがですか。
○大前座長 下から2つ目の横の実線は点線にするということです。場合によってはやることもあるし、十分な情報があればやる必要は全然ないので、点線にしておくということです。よろしいですね。それで、今の室長の御心配も大体解決できるのではないかということです。
○松井化学物質評価室長 そうすると、長期発がん性試験の実施は、原則として1種の動物での実施で、括弧書きで、必要に応じて短期・中期試験を追加ということですか。
○大前座長 そういうことです。
○福島委員 わざわざ括弧は要りますか。
○大前座長 括弧は要りませんね。そのほかにございますか。
○福島委員 確認ですが、2ページのエは削除になったのですか。
○大前座長 先ほどの御意見で削除ということです。2つ目の四角の部分は、遺伝毒性のところと同じだろうからということです。
○福島委員 そうすると、本文に書かれている「構造活性相関の実施に当たっては、複数のモデルを組み合わせて予測の精度を向上させることとする」というのは、どこかに入れ込むということですか。
○大前座長 (2)のイに「構造活性相関の実施に当たっては、複数のモデルを組み合わせて」ということがありますので。
○福島委員 ああ、そうですね。
○大前座長 そのほかはよろしゅうございますか。そうしましたら、前回の御意見、今日の御議論を含めて、この案と別紙をreviseして、今日はたくさん議論がありましたので修正していただいて、皆さんに回していただいて、見ていただいたあと、座長に一任という形でよろしゅうございますか。
(異議なし)
○大前座長 そのようにさせていただきます。2つ目の議事です。資料2の御説明をお願いします。
○松井化学物質評価室長 先ほど御議論いただいたスクリーニングの実施に当たって、既に議論の中で御指摘がありましたが、様々に専門家の方の御判断が必要なことが出てきますので、内容としては、発がん性についての御専門の方と、遺伝毒性についての御専門の方のワーキンググループを設置し、具体的には来年に入ったら準備をして、来年の春ぐらいから必要に応じてお集まりいただき、御検討いただくということで考えております。
 検討内容としては、1「発がん性評価ワーキンググループ」、2「遺伝毒性評価ワーキンググループ」と、ほぼ同じようなことで、それぞれの評価の基準、個別物質の評価に当たって専門家の判断が必要なものが出てきますので、そういったことの評価、それからスクリーニング試験の実施に当たっての物質間の優先順位の関係、「その他」として、先ほどの議論で、いろいろな試験の選択、試験方法についても、御議論いただく必要があるのかなと思っています。
 このようなことで、具体的にはまた御相談をさせていただいてと思っております。このようなことで提案をさせていただきます。
○大前座長 発がん性の評価と遺伝毒性の評価のワーキンググループを作って、?から?にあるようなことについて御議論していただく、あるいは決定していただくというようなことです。?から?以外に抜けていること、あるいはこれは要らないのではないかということも含めて、御意見をお願いいたします。
○宮川委員 先ほどの議論で出ているように、具体的にどのような試験をするかについても議題になると思いますので、対象物質の優先順位だけではなくて、個別にどのような試験が相応しいかも、入れていただく必要があると思います。
○大前座長 試験法の選択に関しても入れるということですね。
○宮川委員 構造活性相関等のデータを利用した判断が入ると思いますので、どちらにも、それにある程度通じた方がいらっしゃったほうがいいと思います。
○大前座長 構成員の中には、構造活性相関に関して、よくご存じの方を入れたほうがいいということですね。今の2点はよろしゅうございますね。
(異議なし)
○大前座長 そのほかに何か御意見はございますでしょうか。なければ、今の2点を追加していただいて、来年度からでしょうか。
○松井化学物質評価室長 年度末にはいろいろ御相談をさせていただいて、来年度の初めから必要に応じてお集まりいただくようなことで考えています。
○大前座長 そういう形で進めさせていただきます。
○福島委員 来年度からですか。
○松井化学物質評価室長 会合として開くのは、来年度と思っているのですが。
○福島委員 分かりました。
○大前座長 ワーキンググループの設置については、今のようなことでよろしくお願いします。資料3についてはよろしゅうございますか。
○松井化学物質評価室長 資料3については、長期発がん性試験の効率化ということで、前回まで御検討いただきまして、前回の御指摘で、言葉の使い方がまずいところがあるという指摘をいただきまして、そこを直すことを条件に承認していただいています。
 この資料の太線の見え消し線と、下線の部分が修正したところです。入っているのが結構数はあるのですが、直したところは大きく2種類あって、「動物の種類というのではなく、動物は種である」という御指摘がありましたので、それに関するところを直しています。よく見ると、10か所ほどで、全部「種類」と書いてありましたので、それを「種」と直しています。追加試験という言葉は誤解を招くので、追加試験と書いてあるところを試験と書き換えておりまして、「追加」を消しているところは2か所です。
 このようなところで、一応前回のご指摘は反映できているかと思っております。
○大前座長 いかがでしょうか。動物を「種類」から「種」にしたということと、「追加試験」の「追加」を外したことが、非常に大きな変更というか。
○宮川委員 先ほども申し上げたことですが、長期については1種の動物でいいというのは、どこかに「原則」と入れていただかないと。「必要に応じて」、「こういう場合には2種の動物を使って」ということが出てくる可能性はあると思います。はっきりと「1種」と「中期試験」と書かれてしまうと、ここで決めたことに反していると誤解を受けるといけませんので、「原則」という言葉を入れていただきたいと思います。
○大前座長 2ページの一番上の(1)1種の実験動物を使用した長期発がん性試験の「1種」の前に、「原則」としてと入れると。これは先ほどの議論のあれですが、よろしゅうございますか。では、今の宮川委員の指摘を加えるということで、資料3の議論を終わります。
 そのほか、事務局から何かございますか。
○松井化学物質評価室長 特にございません。
○大前座長 先ほどの繰り返しになりますが、審議事項1に関しては、今日の御議論を修正した原稿をもう一度先生方に見ていただいて、最終的には座長一任ということで作らせていただきます。来年の1月の早い時期に、メールか何かで資料が回ると思いますから、よく確認をしていただきたいと思います。
 そのほか皆さん方が御意見がなければ、これで第6回有害性評価小検討会を終わります。皆さん、ありがとうございました。


(了)

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