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2012年12月4日 第1回 除染廃棄物等の処分に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成24年12月4日(火)18:00~


○場所

厚生労働省 労働基準局第1・2会議室
(16階)


○議事

○得津電離放射線労働者健康対策室長 本日はお忙しい中ご参集いただきまして誠にありがとうございます。
 定刻になりましたので、ただ今より「第1回除染廃棄物等の処分に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会」を開催いたします。検討会の開催に当たり、初めに厚生労働省安全衛生部長宮野からご挨拶申し上げます。
○宮野安全衛生部長 安全衛生部長の宮野でございます。この度は第1回目の検討会の開催ということで、冒頭、一言ご挨拶させていただきます。まず、就任をお引受けいただきました委員の皆様方、あるいは関係省庁の皆さん、お忙しい中、ご足労いただきまして大変ありがとうございます。特に委員の先生方のほとんどは除染作業についての放射線管理の検討、あるいは復旧・復興工事に伴う放射線管理の検討から昨年来非常にタイトな中、いろいろな形でご議論、ご検討いただきまして、その度ごとにもうこれで終わりだと思いますがと言いながら、またこういった形でお集りをいただく次第になりました。引き続きましてよろしくお願いをいたします。
 いずれにいたしましても、東電福島第一原発の事故によります上下水道施設、あるいは除染作業から発生をする放射性物質に汚染された廃棄物につきましては、来年度から順次、中間処理、あるいは最終処理が本格化するという見込みになっております。こうした処分施設における作業につきましては、管理区域の設定が可能であるということから、除染電離則ではなくて、従来の電離則が適用されるということになっております。しかしながらその一方で、現在の電離則はこうした原発事故による廃棄物の中間処理、最終処分を想定して作成をしておりません。従って、こうした作業に従事をする労働者の放射線障害防止のための新たな措置について検討をしていく必要があります。本日はその具体的な対策内容を検討するために、専門家の先生方にお集りをいただいたという次第でございます。この検討会の検討の対象となる作業としては、焼却、破砕等の中間処理、中間貯蔵、最終処分となっております。これらに対する適切な規制内容を決定する必要があります。引き続きこれまでと同じ形で非常にタイトなスケジュールで申し訳ありませんけれども、2月半ばまでには報告書を取りまとめていただきまして、それを基に私どものほうで必要な事項について、法令に盛り込んでいきたいと考えております。いずれにいたしましても、迅速確実な廃棄物の処理・処分、作業員の安全確保を両立できるようにご協力をいただきますよう、お願いを申し上げます。
 最後に、この検討会の自由闊達なご議論をお願いいたしまして、冒頭、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
○得津室長 次に、出席者をご紹介いたします。資料1の2ページになりますけれども、参集者の名簿の順にご紹介させていただきます。ご紹介の際には一言、ご挨拶をいただければ幸いでございます。
 まず、独立行政法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長の大迫委員です。
○大迫委員 大迫でございます。廃棄物処理ということでいろいろと放射性物質を含む廃棄物処理の適正な在り方に関していろいろと検討をさせていただいております。よろしくお願いいたします。
○得津室長 独立行政法人放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センター長の杉浦委員です。
○杉浦委員 放医研の杉浦でございます。専門は放射線防護です。どうぞよろしくお願いいたします。
○得津室長 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団の技術部担当部長の鈴木委員です。
○鈴木委員 鈴木でございます。今、PCBの作業安全衛生の担当をしております。これからもよろしくお願いいたします。
○得津室長 早稲田大学理工学術院教授の名古屋委員です。
○名古屋委員 名古屋でございます。労働衛生工学を専門にしております。よろしくお願いいたします。
○得津室長 公益社団法人産業安全技術協会参与の松村委員です。
○松村委員 産業安全技術協会の松村でございます。産業用の防じんマスク、防毒マスクの国家検定の試験をやっております。
○得津室長 産業医科大学産業医実務研修センター長・教授の森委員です。
○森座長 森と申します。私は産業保健全般を専門としています。よろしくお願いいたします。
○得津室長 独立行政法人日本原子力研究開発機構、福島技術本部福島環境安全センター技術主幹の門馬委員です。
○門馬委員 門馬です。今、福島のほうで環境回復に関する研究開発に携わっていますが、こちらに携わる前は、東海研の原科研のほうで放射性廃棄物の処理施設の管理に携わっておりました。そういった観点で協力したいと思います。よろしくお願いいたします。
○得津室長 続きましてオブザーバーの方のご紹介をいたします。環境省廃棄物・リサイクル対策部指定廃棄物対策チーム室長補佐の東様です。
○東環境省廃棄物・リサイクル対策部指定廃棄物対策チーム室長補佐 東でございます。環境省で8,000Bq/kgを超える指定廃棄物の最終処分を担当しております。どうかよろしくお願いいたします。
○得津室長 環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課課長補佐の胡桃澤様です。
○胡桃澤環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課課長補佐 産業廃棄物課の胡桃澤と申します。産業廃棄物全般、それから今日ご説明申し上げます廃棄物関係ガイドラインを担当しております。よろしくお願いいたします。
○得津室長 環境省水・大気環境局総務課課長補佐の中野様です。
○中野環境省水・大気環境局総務課課長補佐 環境省の中野でございます。後ほどご説明いたしますが、福島県内で除染等に伴って生じる土壌等の中間貯蔵を行う施設の担当をしております。よろしくお願いいたします。
○得津室長 ありがとうございました。カメラの撮影はここまでにさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本検討会には座長を置くことになっております。事務局としましては、除染電離則の制定・改正にかかる検討会で座長をお務めいただいた、産業医科大学の森先生に本検討会の座長をお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
                 (異義なし)
○得津室長 それでは、今後の議事進行につきましては森先生にお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。
○森座長 ご指名でございますので、今回も座長を務めさせていただきます。
 これまでも大きく2回にわたって除染電離則関係の議論をしていただきましたが、毎回作業員の安全と健康、既存の規制との整合性、そして現実の作業という3つの要素の調整という困難な作業を求められる中、非常に前向きの議論をいただき、何らかの形の成果を上げてきました。今回も、多くの皆さんとまたご一緒できることを大変感謝しております。
 今回も非常に限られた時間の中で議論が進んでいきますので、また後でも申しますが、途中段階で宿題が出たりとか、いろいろな形で皆さんに時間を使っていただく形になると思いますが、是非多くの作業員の安全と健康を守るということ、それから地域への貢献も含めた目的のために、積極的にご議論をいただければと思います。
 それでは議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安井室長補佐 資料の確認をさせていただきます。資料1開催要綱。3ページ目、資料1-1法令の適用関係。5ページ、資料2検討会の進め方。資料3環境省の特定廃棄物関係ガイドライン。資料4指定廃棄物の最終処分場の構造に関する考え方。資料5福島エコテッククリーンセンター。資料6東京電力福島第一原発事故に伴う環境汚染対処に必要な中間貯蔵施設等の基本的考え方について。資料7放射性廃棄物管理の例。資料8廃棄物処理の概要と施設管理。資料9除染廃棄物の焼却処理の検討に当たって。最後に73ページの資料10対策の検討に当たっての論点。資料は以上です。
○森座長 ありがとうございました。資料の不足や落丁等はありませんでしょうか。なければ、本日の議題に入りますが、1回目ですので、本検討会の進め方について、事務局から資料に基づいてご説明をお願いします。
○安井室長補佐 資料1の開催要綱からご説明をさせていただきます。趣旨としまして、先ほど部長からも説明がありましたが、東電福一原発事故により放出された放射性物質が事故由来放射性物質というものに汚染された廃棄物の処分の業務につきましては、電離放射線障害防止規則が適用されることになっています。今後、除染等の進展に伴い、この廃棄物の中間処理・最終処分の業務が行われる見込みになっておりますので、これらの業務に従事する労働者の放射線障害防止対策について検討を行うということで、有識者の方々の参集を求めて検討を行うというものです。
 検討の項目ですが、まず、対象の施設としまして、事故由来放射性物質の汚染された廃棄物等を取り扱う施設ということで、現在リストアップされていますのは4つですが、焼却施設、破砕等施設、これは減容、濃縮等を行うものも含みます。それから中間貯蔵施設、それと最終処分施設です。放射線障害防止対策の検討としましては、これらの廃棄物を焼却、破砕等、あるいは中間貯蔵、埋め立てるなどの業務を行う場合の対策で、ここのアからケまでのこういった項目についてご検討をいただくということです。
 構成ですが、本検討会は安全衛生部長が参集を求めるということです。検討会は原則として公開ということですが、個人情報、企業秘密等を取り扱う場合などにおきましては非公開にすることができるということです。
 続きまして3ページの資料1-1についてご説明をいたします。これは除染、今回の事故由来放射性物質にかかわる法令の適用関係を整理したものです。施設の外において、除染等業務を行う場合につきましては、赤い点線で示しております、廃棄物収集等の業務、除染特別地域等での土壌等の除染等業務について、まず今年の1月1日に除染電離則というものを制定して規制をかけたということです。黄色い枠の除染特別地域等で除染以外のインフラの復旧などで汚染された土壌を取扱う業務。それから汚染物質を取扱いませんけれども、一定の線量以上で作業をする業務について、7月1日に改正をしまして、新たな規制の対象としたというところです。
 今回は一番左側の施設内管理状態での放射線業務です。この部分については従来から電離則という規則がありますけれども、今回の検討としましては、廃棄物の処分、施設内での中間処理、最終処分について行うということです。現在予見されている状況は今回の検討で除染に関する一連の作業について、規制が完結することを予定しているところです。
 続きまして、資料2検討会の進め方、対策に盛り込むべき事項の検討ですが、検討会の役割としまして、中間処理、最終処分の放射線障害防止対策に関して専門的見地から検討していただいて、報告書をまとめていただきたいと。その検討に当たりましては可能な限り多様な作業の内容を収集し、具体的かつ実用的な対策ということにしていただきたいということです。この対策は労働者を対象といたしますが、必要に応じては農業従事者等の自営業者も活用するということも念頭におくということです。当然のことながら既に施行されている電離則、除染電離則、あるいは環境省の基準との整合性に留意するということです。厚生労働省としましては検討会の報告を踏まえ、必要事項について、法令改正案を作成して改正を行うということです。また、法令以外に事業者向けのガイドラインを作成し、これも検討会のご意見をお伺いしつつ定めていく予定にしております。
 検討会のスケジュールは、本日が第1回目で現状把握、論点の提示を行います。第2回目で論点ごとの議論をしていただき、可能であれば第3回に骨子案の提示、それに対するご議論。第4回で報告書案の提示を行い、それに対するご議論をいただきまして、可能であれば2月の上旬ぐらいに報告書の公表までいければ有り難いと考えております。その後、法令事項とは異なる、厚生労働省の定めるガイドラインについてご意見を伺うことを2回程予定しております。説明としては以上です。
○森座長 ありがとうございます。ただ今の議論の進め方について、何かご質問、ご意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、具体的な議事に入りたいと思います。今回は第1回目で新しいテーマでもありますし、それぞれの分野の専門家の方にご参集いただいておりますので、議論の前提について共通の理解を得るというために、除染廃棄物等の処理について、資料に基づきご説明をいただきたいと思います。また、本日は、先ほどご説明がありましたように、大変たくさんの資料がありますので、時間の都合上、是非1人10分以内を厳守いただきまして、その説明が一区切りした段階でまとめて質問を途中に入れていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 まず資料3について、環境省の胡桃沢補佐からご説明をお願いいたします。
○胡桃澤課長補佐 産業廃棄物課の胡桃澤です。資料3特定廃棄物関係ガイドラインのご説明を申し上げます。本日は中間処理の基準ですので、ここに絞ってご説明いたします。制度の概要としましては、「法」とありますが、これは放射性物質汚染対処特措法という法律で、第20条で特定廃棄物、これの定義については括弧書きに記載がありますとおり、対策地域内廃棄物又は、指定廃棄物ということになっています。対策地域内廃棄物というのは放射性物質の濃度によらない全て該当するというものです。指定廃棄物は8,000Bq/kgを超えるものということで、それを収集、運搬、保管、処分する者(国及びその委託業者)はその処理基準に従わなければならない、ということで基本的に括弧書きのように特定廃棄物は国が処理をするという形になっております。
 その下の表の4-1に概要がありますが、これ以降、詳細をご説明いたします。次のページの基準が適用される場合は、規則25条に、特定廃棄物の処分については以下のことを守ってくださいと書いています。4-1の2特定廃棄物の処分ですが、第1項1号2号のところでは、処分については飛散、流出しないよう、それから悪臭、騒音、振動によって生活環境保全状の支障がないよう等の規定があります。これは特措法に限っての話ではありませんけれども、廃措法の一般規程として定められているものと同様です。ただ、対策の趣旨の5行目の、特に事故由来放射性物質で汚染されている特定廃棄物については、廃棄物の飛散、流出を防ぐことは事故由来放射性物質による汚染の拡大を防止する観点からも重要であるという規定になっております。
  続いて11ページの特定廃棄物の焼却ということで、このページに記載しているものについては1項第3号特定廃棄物を焼却する場合には次のように行うことということで、イに掲げているのは構造についての規定。ロの方法による規定があります。これも特措法特有のものではありませんが、現行の廃棄物処理法の施行規則にならっているものです。
 次のページは焼却におけるポイントで、対策の趣旨で5行目、排ガス中の放射性セシウムは、ガスの冷却に伴い、ばいじんに凝集・吸着することから、高度の機能を有する排ガス処理設備として、除じん効率の高い処理設備が求められると。こういった実際には図の4-1のバグフィルターとか電気集じん器というものがあります。これは焼却施設の下流側にあるのですが、ここできちんと放射性物質を捕捉して大気中に飛散しないようにするためのものです。こうしたものを有する施設できちんとセシウムを捕らえるということです。あとその下から9行目の、特にばいじんには高濃度の事故由来放射性物質が付着していることが想定されるためとあります。これは、ばいじんにはセシウムがくっつきやすいという性格もありまして、こういったものを保管する場合には、遮蔽効果の距離を保つとかいった形で管理することが望ましいという記載があります。
 次に13ページの特定廃棄物の破砕です。特定廃棄物を破砕する場合には破砕によって生じる粉じんの周囲への飛散を防止するため、建物の中に設けられた設備を用いて破砕する等必要な措置を講ずることという規定があります。通常破砕と言いますと、イメージで浮かびやすいのは、コンクリートとかの破砕等が思いやすいと思いますが、基本的に破砕をすると粉じんが舞うのが一般的です。ただし、これは相当濃度の放射性物質が付着しているものを破砕するということですので、対策の趣旨の、建物内に設置をするとか、密閉構造の破砕設備として、これも大気中にセシウム等が発散しないようにしなければならないと。それからもう1つ、通常ではあまり考えられないことですが、3ポツ目の2行目のただし書きの、通常そうした粉じんを抑えるためには、積極的に散水を行うのですが、こちらの場合については放射性物質を含んだ排水が大量に発生しないように最小限に留める必要があると。通常は散水を積極的に行い、粉じんを抑えるのですが、放射性セシウムは水に溶けやすいという性格もありますので、こちらの場合についてはあまり水を撒きすぎてしまうと、またそのセシウムを含んだ水の処理が課題になってくるといった問題点があります。
 次の14ページは特定廃棄物の処理に伴う排ガス、排水の測定・濃度監視ということで、これは処理施設から発生する排ガスと排水について、濃度限度を設けているものです。具体的にはそのページの下の対策の趣旨の、大気中の濃度134セシウムと137セシウムの濃度、これの3か月の平均濃度の和が1を超えないように第5号の大気中の濃度、第6号の水中の濃度をきちんと管理しなさいという規定です。
 15ページの下の周辺への影響のモニタリングということで、敷地において空間線量率を7日に1回以上測定し、記録することという規定です。
 16ページは記録の作成・保存で、実際、どういう特定廃棄物を処理したのか、どのくらい処理したのか、処分を行った日など諸々必要な情報を、きちんと施設が廃止されるまでの間、記録して保存するという規定があります。以下につきましては記載例等が掲載してあります。駆け足ですが、以上です。
○森座長 ありがとうございました。続いて資料4と資料5を、環境省の東補佐からご説明お願いいたします。
○東室長補佐 続きまして資料4と資料5のご説明をさせていただきます。8,000Bq/kgを超える廃棄物については国が指定廃棄物に指定して、国の責任の下に処分することになっていますが、実は今、我々環境省のほうで考えているのは、福島県とそれ以外の所で処分の考え方は若干変えております。資料の46、47ページに図がありますので、これを簡単にご説明してから資料のご説明をさせていただきます。福島県内につきましては、8,000Bq/kgを超えるもので10万Bq/kg以下のものについては既存の管理型処分場を使って、ここで最終処分をしようと考えております。10万Bq/kgを超えるものについては後ほどご説明いたします、中間貯蔵施設、こちらで数十年単位で保管するということになっております。それに対して47ページにそれ以外、福島県以外でも実際8,000Bq/kg以上の廃棄物が発生しておりますが、こちらはどうするかと言いますと、基本的には既存の処分場を使える所は使うという方針ですが、なかなか既存の処分場を使うのは難しいということで、今、5県について国のほうで最終処分場を用意しようということになっています。そちらについては、遮断型の処分場を新設してここで最終処分をすると。この遮断型にした理由は、10万Bq/kgを超えるものも実際出てくる可能性があり、現に10万Bq/kgを超えるものもありますし、今後、例えばもし減溶化とすれば、濃縮の際に10万Bq/kgを超える可能性もあるということで、遮断型の構造のものを造ろうというように考えているところです。
 21ページの資料4のほうは、各県5県ですけれども、こちらで造る遮断型構造の処分場の記載をしております。次の22ページに各県にこういった形で1つ処分場を設置して、その中には埋立地のみならず、8,000Bq/kgを超える稲わらなどの農業系の副産物といったものも焼却できる、いわゆる焼却施設も置く予定にしております。その構造については22ページの後段に、原則的には廃棄物処理法に基づく遮断型の構造基準に従って、コンクリート製のしっかりしたものを造ることにしております。その辺が22~23ページになります。23ページの中程に、埋立ての方法ですが、基本的にはフレキシブルコンテナで、清掃工場を初め保管されているのですが、それをそのまま持ってきて、ここで二重構造の、後ほども出てきますが、遮断型の処分場にフレキシブルコンテナに入ったまま搬入する予定です。23ページ下のほうのモニタリング、これは継続的に監視していこうということで、2段階で考えておりまして、廃棄物をフレキシブルコンテナに入れて、それが埋まった状態がこの25ページの図の3-2、こういった形で管理点検廊という大体2mぐらいの通路を設けまして、ここで継続的に管理をしていくと。もちろんコンクリート構造物で、永久的に持つわけでもないので、適宜補修しながらこういう形で管理をしていこうと考えています。ある程度いくと放射性物質ですので、減衰していくということで、放射線レベルが安全なレベルと判断できるようになった際には、その下に移行しまして、我々は第二監視期間と呼んでいますが、ベントナイト混合土ですき間、点検廊を充填し、そのあとは観測制で定期的にモニタリングをしていくことを考えています。
 一応、この辺の廃棄物の搬入には、やはり労働者の人力が必要ですので、そこで労働者の安全管理をどうしていくかというところを、今回からご議論をいただきたいと思っております。
 少し飛ばしましたが、24ページに搬入している最中はどういう状況なのかを絵で示しています。基本的にはそういった廃棄物などが飛散、流出しないよう屋根を設けて、その中で完全密封した形で作業を行う予定としています。搬入するフレシキブルコンテナについても、封を縛った形で搬入するということで、その廃棄物が飛散することがないように行っていきたいと考えています。
 25ページの後段から26ページは併設する仮設焼却炉です。これは8,000Bq/kgを超えるものを焼却するということで、既存の炉にバグフィルターなどの集じん器を噛まして、これも安全対策はしっかりしていきたいと考えます。
 26、7ページの別途、焼却炉を含めた埋立地の配置については、放射線の安全評価が必要だろうということで、JAEAの先生方にもご協力をいただきながら、まず、施設を造る前に評価シナリオを元に、安全を確認してから造るということを考えています。
 29ページ以降は、作業員の安全管理として、電離則に基づいてしっかりと安全管理を行っていくということです。
 30、31ページは観測制等で、モニタリングの概念的な計画を書いております。資料4は以上です。
 続いて37ページの資料5は、福島県内の、8,000~10万Bq/kgの指定廃棄物については、既存の処分場を使わさせていただくということになっていますが、今我々が考えているのは、福島のエコテック社が所有している最終処分場です。ただ、今日はこういう形で委員会でオープンに出ていますけれども、この処分場を使いたいということを環境省は意思表示をさせていただいているのですが、まだ、地元富岡町がうんと言っていない状況なので、一応、こういう形の管理型処分場で搬入作業をしたいということで、今日は委員会の資料として提供させていただいたということでご理解いただければと思います。
 38、39ページは、航空写真の、上から見た絵ですが、処分場自体はまだほとんど搬入されておらず新しく、平成13年3月に処分業の許可があるとありますけれども、96万m3あるのですが、ほとんど埋め立てられてなくて、この中で福島県内全ての8,000~10万Bq/kgの廃棄物を処分できるのではないかと考えます。搬入方法は先ほどご説明した資料4は完全密封構造でしたが、こちらは既存の処分場ということで、なかなか屋根で覆うことは、物理的に難しいということで、実際、トラックでフレコンバックに入れて搬入していくわけです。基本的には1つずつ手作業で置いていくということで、作業スペースを完全に密封することはできないというところで、実際、どういう形が認められるのかというのをご意見いただくかと思いますけれども、原則的に廃棄物は密封して飛散しない状況で搬入するということであります。ちょっと駆け足になりましたが、以上です。
○森座長 ありがとうございました。
 続きまして、資料6を中野補佐にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○中野課長補佐 私から資料6についてご説明します。こちらは中間貯蔵施設等の基本的な考え方について、昨年の10月29日に私どもが公表させていただいた資料です。私どもは「中間土壌施設ロードマップ」と呼んでいます。特に中間貯蔵施設がどんなもので、これからどのように設置していくのかということ等について、基本的な考え方をまとめた資料です。
 41頁の2.をご覧いただくと、中間貯蔵施設の位置づけと配置ということで、先ほど東のほうからも若干、ご説明させていただきましたが、特に今後、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって生じた、放射性物質による環境汚染の対処ということで、具体的には除染等を行うことになってきますが、除染等に伴って、大量に除去土壌と言われる土や廃棄物が発生することになっていくのですが、福島県内はその発生量がかなり膨大な量に上ると既に見込まれていまして、本来であれば最終処分を適切に行うということが必要ではあるのですけれども、あまりにも膨大な量が一遍に出ることが想定されていますので、すぐに最終処分の方法について、明らかにするということが難しい状況にあるということです。
 それを踏まえまして、これを一定の期間、安全にかつ集中的に管理・保管するための施設として、国としては中間貯蔵施設が必要ではないかと考えています。特に除去土壌が大量に出てくるということで、当面考えられるのは、福島県内に中間貯蔵施設を設置させていただく必要があると書いていますのが1頁目の下の部分です。
 どういったものが対象になるのか、先ほどもご説明しましたが、重複しますが46頁をご覧ください。46頁に福島県内で出る放射性物質に汚染されたものが、どういう処理フローになるのかということが書いてありますが、一番右下に中間貯蔵施設と書いてあります。こちらは、基本的に福島県内で発生する除染に伴い生ずる土壌や廃棄物、県内で発生する対策地域内廃棄物ですとか指定廃棄物と言われるような、合わせて特定廃棄物と呼んでいますが、こうしたものの一部を中間貯蔵することになります。具体的には除染に伴って生ずる土壌については基本的に全量、更には廃棄物関係については可燃性のものについては可能な限り焼却等の処置を行った上で、基本的には10万Bq/kgを超えるような濃い濃度のものについて、中間貯蔵施設に搬入するという、原則そういった方針で施設を設置しようと考えています。
 お戻りいただきまして42頁です。この中間貯蔵施設については、3.どういった施設になるかということですが、基本的に特に保管対象、保管容量、具体的な保管方法につきましては、やはり実際に中間貯蔵すべきものがどういうものか、現行の除染作業がongoingで進んでいますので、こうしたものから出てくる土壌等の量や性状、汚染度などを踏まえながら、技術的な処理方法を今後は明らかにしながら決めていく必要があると考えています。
 この時点で明らかにできるところについては、5点ほどにまとめています。一つはおそらく貯蔵すべき土壌や廃棄物の種類や汚染度が多様になるということが想定されています。これは福島県内全域から発生することを想定していますので、濃いところ、薄いところというのが除去土壌等についても、地域によってはっきりするでしょうし、場合によっては、その他いろいろな処理を施されることになっていますので、例えば廃棄物の焼却等が行われた場合も若干あるということがありますので、おそらくそういった汚染度、あるいは種類ごとに区別して適切な技術を用いて保管するということが必要になってくるのではないかと考えています。
 更には2)ですが、かなり大量のものが短期間に出てくることになっていますが、これを受け入れる中間貯蔵施設の受け皿を全部を一遍に作って共用を開始するのではかなり時間がかかります。後ほどスケジュールをご説明しますが、できるだけ短期間に処理する必要があるということになりますと、とにかく小ブロックですとか、小セル単位の集まりで順次整備をしていきつつ、できたところから共用を開始するというようなやり方を採る必要があるのではないかと考えています。
 具体的にその辺は48頁をご覧ください。こちらでは基本的な当時のイメージだけをお示ししていますが、48頁では上の段は先ほど私が申し上げましたとおり、小分けの区画から順次共用を開始して、建設と共用開始がおそらく同時に進行していくことにならざるを得ないというような進行になろうかと思います。
 それから、下段については、特に放射性セシウムなどの溶出性の多寡に応じて、管理の仕方が変わるであろうと。それをいまの段階ではこの図では2段階ですが、必要な段階数についても、今後技術的な検証をしながら考えていきつつ、物の性状に応じて適宜最も適切な中間貯蔵方法を定めて管理していくことになろうと考えてます。
 42頁にお戻りいただきまして、そのほか中間貯蔵につきましては、単に貯蔵するほかにも、3)技術的に可能で、安全な管理と減溶に資する効果的な処理手法による中間処理設備-減溶化設備とも呼んでおりますが、そういった施設も併設する必要があろうと考えています。この資料にはないのですが、既にいろいろ地元との調整を進めていく中で、私どもが申し上げているのは、おそらく中間貯蔵施設には、より機能を分別化すると、受入れ分別施設や貯蔵する施設の中間貯蔵をする貯蔵施設、更にはいま申し上げました減溶施設のほかにも、モニタリングを常時行う施設やあるいは後ほど申しますが、最終的な処分を改めて検討する必要がありますので、そういった諸々のことを検討する研究等施設、あるいは施設の運営・管理を透明化するための情報公開センターなどを併設した一群の施設をおそらく中間貯蔵施設と呼ぶようになるのではないかと考えています。
 4)現時点も含めてなのですが、中間貯蔵すべきものの量としては、今後の除去土壌の発生状況にもよるのですが、かなり大まかな試算をさせていただいた結果、おそらく1,500万m3~2,800万m3程度の、東京ドームで換算しますと、20個前後の数が容量的には必要になってくるのではないかと今のところは見込まれています。この資料の中では、乱暴ですが、仮に大体1箇所に集めると、面積として必要なのは、3平方メートルから5平方キロメートル程度と考えられますが、これ自体も出てくる量やあるいは実際に設置場所に取り得る構造によっても敷地面積が大分変わってくるだろうと思いますが、当座の試算としてお示ししているのはこういった数字です。
 4.です。ではこの中間貯蔵施設をどのような工程で進めていくかということですが、基本的なスケジュールとして大きく二つのことをお示ししています。一つはいまも除染は少しずつ進んでいますが、仮置場の確保が一部報道にあるように問題を抱える場面もございます。こういった仮置場に本格的に搬入されるようになってから、おおむね3年程度を目処として、中間貯蔵施設が共用を開始できるように、政府としては最大限の努力をさせていただくということを、この時点で公表させていただきます。いまもなおこの努力をさせていただいています。
 それから、中間貯蔵はあくまでも最終処分のそれまでの間の当座の間の貯蔵施設ですから、いつまでということを第2段落でお示しをしています。基本的には国は中間貯蔵開始後、30年以内に福島県外で最終処分を完了するというようなお約束をさせていただいています。ただ、この最終処分の方向につきましては、最後の段落ですが、放射性物質の効果的な分離・濃縮等の技術の発展等が必要となってまいりまして、それに応じてかなりやり方が変わってくることが想定されますので、まずは国としては、技術開発の評価を当面はさせていただいて、最終処分の考え方を検討することが必要かと考えています。
 5.です。ではこの施設の設置場所ですが、基本的にこれは適切な場所を関係市町村及び地域住民の理解と協力を求めながら、選定していくことにしており、遅くとも平成24年度内に立地場所を選定するとしています。これまで地元との調整の中では、我々の手前勝手な検討の中において、少なくとも双葉郡という福島第一原子力発電所が設置されている地域にある、双葉町、大熊町、楢葉町の3箇所が場所としていろいろと検討条件はありましたが、その条件で私どもが手前勝手に検討しますと、そこが設置候補地として、検討をする余地があるのではないかと考えています。更にその検討をより進めて、地元で検討するためには具体的な材料をお示しするために、現地に入って調査をするための調査候補地を更に12か所ほどお示ししていまして、そちらについていろいろ調整させていただいておりますのが、現在の状況です。
 最後になりますが、全体の構成として、49頁です。49頁に全体の工程表を示しています。特に今行っているフェーズは、2番の中間貯蔵施設の場所の選定ということで、福島県や、今申し上げた関係市町村を含む周辺関係市町村などと調整を重ねています。この調整の中ではやはりどのような構造で安全性を保つのか、あるいは周辺環境への影響をどうやって防止していくのかということについて、もっと明らかにすべきではないかというご示唆も賜っているところでございまして、それを明らかにするための調査等が必要になるようなことについても、現在調整中ということです。最終的には仮置場から本格搬入開始から、3年を目処と申し上げましたが、具体的にはこの工程の段階では、緑の矢印で搬入開始と書いてありますが、当面平成27年1月の共用開始を目途として、政府としては最大限の努力を進めさせていただいています。私からの説明は以上です。
○森座長 ありがとうございました。環境省のほうから三つに分けて、大変詳しい説明をいただきました。座長として少しお願いなのですが、中間処理施設と最終処理施設の搬入の方法は、絵で大変よく分かりましたが、そもそも我々は作業者の安全や健康の問題をやろうとしているので、作業者がどのように介在しているか、どこに立ってどのような作業するかといったことや、最後ところで中間処理施設のエリアというのが想定されていますが、エリアそのものの空間線量が高ければ、両方の被ばくがあるわけで、その関係についても、次回、少しまとめて説明いただくと、更にイメージがしやすくなるのではないかと思いましたので、是非ご検討いただければと思います。
 ここで少し質問の時間を用意してありますので、何かご質問がありましたらお願いいたします。
○松村委員 中間貯蔵施設や最終処分場への搬入ということですが、その前にこの作業全体の中では、減容化のための焼却とか粉砕というものもあるわけですね。そういう状態では非常に細かい状態の灰とか、粉砕された粉のようなものも出るわけで、そういう物を取り扱う作業も入っているということを確認したい。10万Bq/kg以上ということですが、初期の委員会では汚染土壌の最高汚染度として、確か50万Bq/kgぐらいに相当する土壌汚染が、局部的でしょうけれどもあった。また、灰にしたときには、相当濃縮されていると思うのですが、最高どのぐらいのBq/kgまで想定するのかということをお伺いしたいのですが。
○東室長補佐 まず最初のご質問の我々は最終処分場はこちらで、中間貯蔵施設として。そこに至るまでの破砕や焼却なども当然1万Bq/kgを超えるものも扱いますので、今日は資料としてはお出ししていませんが、必要でしたらそういった資料も用意したいと思います。
○松村委員 粉砕とか焼却を実際にやるときに、焼却すると発生するばいじんを集めるとか、袋に入れるとかの作業は、当然人が立ち合うわけですよね。それは非常に厳しい条件だと思うのですが、そういう作業も当然含まれることを確認したいのと、最大汚染濃度としてどのぐらいが想定されるのかということをお伺いしたいです。たぶんフレキシブルコンテナに入っていれば、それは、袋が破れるというようなことを想定しなければ、クレーンとかそういうもので扱うと思うのですが、破砕とか焼却は非常に厳しい労働になるのではないかなという気がするのですが。最高濃度がどのぐらいになるのでしょうかね。
○東室長補佐 最終処分場に搬入するものにつきましては、ちょっと状況は正確には分からないというのが実態なのですが、100万Bq/kgとか、そういったものも、量は少ないのですけれども、あると聞いております。
○森座長 いずれにしても粉砕・焼却については、次回追加で資料をいただくということで、事務局の方はよろしいでしょうか。
○安井室長補佐 協議させていただいて、できる範囲で対応させていただきます。
○森座長 わかりました。確かに中間処分や最終処分の段階より、粉砕や焼却は、作業員のばく露を考えると、とても重要な工程だと思います。
○安井室長補佐 ご用意できる範囲でご紹介したいと思います。
○中野課長補佐 中間貯蔵施設については、先ほどご説明しましたとおり、そもそも構造ですとか、それらも含めて技術的な検討が正にこれからになっていきますので、ちょっと今の段階でこのスケジュールの中で施設の構造がどうなるですとか、処理するもの。特に中間貯蔵施設の場合は、県内の除去土壌が対象になりますから、最も濃度の濃い地域の除染というのが、除染作業の順番を踏まえると除去土壌がすぐに出てくるものではないので、中間貯蔵施設については若干このスケジュールの中で、皆様方に具体的に検討できるまでの情報をお出しできるかどうかはちょっと難しいかもしれません。
○森座長 そのような不確実性も含んで、我々は検討をしなければいけないということと理解しました。ほかにいかがでしょうか。
○大迫委員 今のご指摘なり、座長から環境省の説明に対してご指摘された、作業者の観点での情報提供は、今からきちんとやっていかなければならないと考えています。また、今日、環境省から説明があったのは、正に今からやる内容が多いわけですね。その中でこれまで放射性物質は余り含んでいないのだけれども、災害廃棄物としてこれまで宮城や岩手やいろいろな破砕・選別など中間処理が行われてきた状況があって、それが今度は福島のかなり警戒区域に近いところでも津波の廃棄物はいっぱいあるところで行われる可能性があるわけです。そういったものを処理しなければならないということも出てくると、やはりそこでの災害廃棄物、従来宮城や岩手でやられていたことの中で、高粉じん作業として可能性があるのはどのぐらいあるのか。粉じん濃度自身はある程度いろいろなデータが出ているという理解を私はしています。
 一方、中間処理の焼却とかになると、内閣府からJAEAがいろいろと受けて門馬先生のところがされたモデル事業もあります。いろいろと知見があって、例えば警戒区域内でかなり大熊町の濃度汚染の高いところで、そこの草木類とか除染するわけです。その草木類の枝葉等を燃すと、飛灰が数100万Bqになってしまう。そんなデータもかなり出ておるという状況がありますので、いろいろな実態を踏まえるための情報収集は、多分できるのではないかと思っています。
○森座長 直接的なデータよりも間接的なデータを集めればかなりのことが推定できるというようなお話しだったと思います。
 それでは、まだまだ質問はたくさんあると思いますが、たくさんの資料がありますので、また、追加の質問は後日という、いつもの方式を取らせていただきたいと思います。
 続いて資料7に入ります。資料7は、日本原子力研究開発機構の門馬委員にお願いしたいと思います。
○門馬委員 それでは51頁から放射線廃棄物の管理の例ということで簡単に紹介させていただきます。ここで紹介させていただく施設は、原子力機構の中の東海にある原子力科学研究所、以前は原子力研究所と言っていた施設です。こちらは主に原子力に関する基礎研究をやっている施設で、廃棄物としては、例えば原子炉で照射されて、放射化された材料を用いた研究ですとか、燃料そのものの研究ですとか、あるいは放射性同位元素RIを使った研究ですとか、様々なことがなされております。この処理施設につきましては、そういった観点で、原子炉等規制法、RI法、いわゆる障害防止法の規制を受けた施設となっております。
 51頁の下のほうに、固体廃棄物の処理の流れということで例を示しております。左側は放射能の区分ということで、全体は一般で言う低レベル放射線廃棄物を扱うのですが、所内の中で比較的線量の高いものと低いものということで、低放射性、高放射性というような形で分けています。基本はβγで、例えば2mSv/h未満をいわゆる低放射性として扱っています。それを越えるものを高放射性と。A-1と書いてありますが、量的にはほとんど0.5mSv/h未満の廃棄物がほとんどです。この後、一部紹介しますと、焼却施設、分別する施設で取り扱うものもほとんどがA-1に該当します。この中で、流れとしては大型のものを分別する解体分別処理、可燃物を焼却する焼却処理、比較的燃えづらい難燃物や不燃物を処理する圧縮ですとか溶融処理、それと、比較的高いレベルのものを扱う圧縮封入処理と言っておりますが、この第二廃棄物処理棟での処理は、当然セルの中で行われています。そういった流れになっております。
 次の頁です。焼却をしている焼却処理施設の例です。3分の2と書いております、系統図を使って簡単にポイントを説明させていただきます。基本的には一般の焼却炉と大きな違いはございませんが、運転中は必ず負圧状態を維持する。入口等、基本は必ず二重扉以上で、直接灰や廃棄物そのものが作業室内に出ていくということを防いだ構造となっております。フィルタは、原子力の使用ということで、高温のセラミックフィルタで粗く除じんしたあと、いわゆるヘパフィルタと呼ばれている高性能フィルタを使った体系になっております。
 こういった状況で、基本的には作業室内の空気中の放射性物質濃度は検出限界値未満というような管理をしております。ただ、線量としてはやはり灰が溜まるポイントは、ある程度高くなります。例えば、主灰を取り扱うような灰取りのエリアですと大体10μSv/hぐらいの空間線量の環境となります。
 高いポイントとしては、やはりフィルタの近辺、例えばここで二次セラミックフィルタというところですが、この辺りの一部内部で灰が固着するような場所は比較的高くて、100μSv/hぐらいのポイントがあります。そういったところについては、立入り制限などの管理をして、過度な外部被ばくが起きないような管理をしているというのが実態です。
 53頁は一例ということで写真を載せていますが、焼却炉。右側のほうは対象となります廃棄物ということで20Lサイズの紙カートン、カートンボックスと呼んでいますが、紙製のボックスで、これは各実験室に置いてありまして、これを酢ビシートで二重梱包して、持ち込んでくるということで、こういった処理前の廃棄物からの汚染を防止するような管理をしております。
 53頁の下から次の頁です。こちらは大型廃棄物を細かくする分別処理、解体分別処理を行う施設です。比較的多様な大型なタンク類やグローボックスですとか、そういったものを最終的に減容処理する前に、ある程度200Lドラム缶のサイズにまで小さくする必要がありまして、そういった作業を行っています。
 基本的には物に応じて適切な治具を使って小さく刻んでいくのですが、54頁の下にありますが、例えば大型のタンクを刻む際には、あらかじめ内部のライニングの剥離とか、そういった前処理が必要になってきます。54頁の左上の写真ですと、線量当量率を事前に測定している絵が載っていますが、こちらはまだ表面汚染がない状態での管理になりますので、基本的には通常の管理区域内での作業服で作業しておりますが、右側のライニング材の剥離につきましては、内部被ばくのおそれがある作業になりますので、タイベックスーツと全面マスクを使って直接肌が外に触れないような状態で作業をすることになっております。
 切断のほうは、更に火気という観点でこのタイベックの上に防護服というか、耐熱服を着て作業しているような状況です。こちらのほうが比較的直接汚染に触れるような作業の代表例となっております。
 55頁のほうは、主に原子炉から出てくる金属廃棄物を圧縮する装置の例を載せております。55頁の下のほうに簡単なポンチ絵が載っておりますが、基本、200Lのドラム缶を圧縮して、また200Lに入れるという工程の装置になっておりまして、全体が鋼製のチャンバーで覆われていまして、いわゆる圧縮の際に、内容物が吹き出るような環境の部分については、チャンバーの中に封じ込めておりまして、作業員はチャンバーの外で作業するという状況になっております。これも先ほどの焼却の例と同じように、運転中はチャンバー内は負圧状態になっておりまして、中の放射性物質は外に漏れ出ないような構造となっております。
 56頁の上のほうの図は、圧縮装置の写真を載せていますが、右側の圧縮前後のドラム缶の比較という絵は、これはチャンバーの中の作業になります。左側の上が、チャンバーの中にドラム缶を入れる搬入部分の絵が載っております。この左側の鋼製の部屋の中で全ての処理が行われているという状況です。
 次が比較的放射能レベルの高いものの例として、圧縮封入処理を載せております。
 57頁の上の図に、全体の流れが書いてありますが、こちらはこれまでに紹介したものよりも放射性物質を閉じ込めるという観点では、少しレベルが高くなっておりまして、先ほどまでの施設は運転中は負圧状態、ただし、仕事が終わると全体の換気を落として、外と基本的には差圧は付けないという管理になっています。それでも、放射能レベルが低いので、管理上は全く問題がないという状況です。
 一方、こちらの比較的高いものについては、セル構造になっておりまして、基本は24時間負圧状態を維持する施設になっております。取扱いも廃棄物の取り出しから封入まで全て一貫して遠隔操作となっております。それが先ほどの施設との違いです。57頁の下の写真は、その1例としての写真を載せております。
 最後の58頁ですが、これらの処理をした廃棄物、それらは「保管体」と呼ばれる形で、基本的には200Lのドラム缶若しくは絵は載せておりませんが、角型の1m3とか3m3の鋼製の容器、こちらを使って、基本的には密封した状態で、保管廃棄施設に保管しているという状況です。
 下の図は保管施設での保管状況になっております。このようなパレット構造でドラム缶の例ですと、3段、若しくは施設によっては4段積みで管理をしています。研究所から出た廃棄物につきましては、最終処分がまだ決まっていない状況ですので、最終的な埋設処分に向けて、保管・管理を継続しているという状況です。
○森座長 ありがとうございました。質問は資料9まで終わって、時間があれば元に戻ってお受けしたいと思います。それでは、資料8について、国立環境研究所の大迫委員にお願いします。
○大迫委員 それでは、資料8です。今回最初に部長のほうからも、除染等が今後本格化する中で出てくる廃棄物の問題ということで取り上げられておりますが、実際には既に除染以外で、例えばホットスポット、ホットゾーンと呼ばれているような、福島県内はもちろんですが、例えば柏市を含む東葛地域では、8,000Bq/kgを超える、あるいは数万Bq/kgという灰が、昨年の夏場を中心にして出ているわけです。既にそういう指定廃棄物となっている灰も6万トンぐらいが焼却施設内に保管されています。その点では、作業者の問題というのは、ある意味ピークを過ぎている。いまはかなり濃度が下がっています。放射性物質の混入という意味では、枝葉とかの由来が多くて、1年目は付着したものがかなり入って、それで数万Bq/kgまで上がりました。それが2シーズン目になるとかなり落ちてきているので、今指定廃棄物に指定されるような8,000Bq/kgを超えるものもかなり少なくなっているという状況です。したがって、今後除染という面では問題になるので、これまで従来の電離則を勉強しながら何とか適用し対応してきた経験を、きちんと今回の作業に生かすということがいろいろな知見、実態も踏まえた対応ができるのではないかと思います。
 そういう意味では、資料8は、現在の廃棄物処理の部分で、これまで放射性物質への対応がなされてきたということをフロー上で示しています。
 59頁の下ほうに流れが書いてありますが、一般ごみ、これは正に草木類、枝葉類が混入して、高濃度の焼却飛灰が出てきたというような問題を含む一般ごみ、それから、産業廃棄物も一部指定廃棄物となる8000Bq/kgを超えるものもかなり出てきております。
 先ほど申し上げた災害廃棄物、福島県内の災害廃棄物処理はこれからですので、先ほど申し上げたように、宮城に関してはいろいろな処理が進んでいるということで、全体の3割ほど、処理が済んだところでございます。
 それが運搬され、中間処理として今回中心は焼却だと思いますが、その他破砕選別や堆肥化と、中間処理は様々な種類がございます。そういったものから出てくる残渣とか、これは焼却灰を含むわけですが、残渣とか有価物などが運搬され、最終的に最終処分や再生利用をされていくと。ただ、放射性物質が問題になるようなものに関しては、それが再生利用されるということは、可能性は低いですので、今回はこの最終処分というところが中心になろうかと思います。
 廃棄物焼却施設の1つのフローを60頁に示しております。これはちょっと特殊なタイプで溶融炉が付いたタイプですが、先ほど門馬委員のほうからは、原発から出てくるいろいろなごみ、廃棄物の関係の焼却等のお話がありました。一番大きな違いを認識していただきたいのですが、原発から出てくる廃棄物の焼却というのは、1日当たり多くて4トンとか5トンぐらいのキャパなのですが、一般の廃棄物の焼却施設というのは、1日100トンとか200トン、300トンとか燃やすわけです。ですから、全く規模が100倍ぐらい違うということで、出てくる量も、例えば100トンのゴミを燃やすと、3%ぐらいですから、焼却飛灰という濃縮されたものが3トンぐらい出てくるのです。ですから、濃度の問題だけではなくて、これまでのいろいろな放射性物質を含むものとして扱ってきた濃度や総量として、例えば1万Bq/kgとか、あるいは1万Bqという世界ではなくて、廃棄物処理施設の場合では、量、マスがある世界を扱うのだということの認識をしていただく必要があろうかと思います。ただ、原発で出てくるごみの焼却というのは、私が聞いたところだと、大体平均すれば10万Bq/kgぐらいのものがインプットして焼却されるということに対して、現状でいうと、例えば福島の中通りの辺りの線量が高いところでも、ごみとして燃やす部分は高くて数千Bq/kgぐらいというように言われておりますので、そこのレベルが違うということの中で、排ガスの処理系とか、そういったものも違ってきているということになります。
 焼却施設の処理のイメージは、60頁の下の絵にあるような形で、先ほど門馬委員からありましたが、こういったところも負圧で外に漏れないように管理がされています。この中で作業として、例えば日常点検でいろいろなところを見て回ったり、定期点検で炉を1回止めて、温度が下がってから炉内に入って、その炉内の耐火物のチェックをしたりとか、貼り替えをしたりとか、あるいは掃除したりとか、そういった行為も、炉内作業として出てくるということがあります。
 61頁の上の写真で、特に線量の高くなると思われるところは、焼却炉の耐火物に蓄積して、線量が高くなるところもあるのですが、あとはやはり焼却飛灰というばいじん、排ガスと出てくるばいじんが溜まりやすいところが線量が高くなります。左の写真はバグフィルターです。よく報道等でも出てきますが、バグフィルター自身は、フィルターで漉し取ったあと、パルスジェットと言ってガスのかなり強い気流で払い落しをしますので、蓄積はそんなにしません。ですから、そんなに線量は高くないのですが、むしろ、下のほうに溜まる右側のダスト貯留槽のところが線量が高い状態になります。見てのとおり、折れ線とダスト濃度のピークがずれているということがお分かりかと思いますが、ダスト濃度は、やはり後段に行くほど気化したセシウムがどんどん温度が下がって、付着していくので、濃縮されていくということで、濃度が高くなります。ここでいうと、ばいじんとして、大体2万から3万Bq/kgのばいじんが出てくる施設ですが、線量の一番高いところは、やはり炉の中の後段の部分、そこに、煉瓦などの耐火物が中に浸透して蓄積します。そういう意味では総量としては、この辺りが一番大きくなって、線量が高くなる。大体ここで9μSv/hということで、これは原発のごみ焼却施設に比べたらかなり低いとは思いますが、こういう状況があります。これは、右側を見てみますと、耐火物が表面から奥にどのぐらい浸透しているかということを見てみても、結構中まで耐火物まで浸透しているということが見て取れるので、こういった蓄積が炉内の空間線量に影響するということになります。
 62頁の上の写真は、既に昨年の夏ぐらいに、今も続いていますが、大きく問題になっている焼却飛灰の保管の実態です。こういう灰が溜まるところから、ホッパーから開けて、漏斗のようなところで受けてフレコンに入れるように工夫しているわけですけれども、ここで、粉じんが舞う状況がある。ですからフレコンに入れ、施設内に保管されているということです。除染電離則はオープンな場で除染から出てくる廃棄物等の運搬までは扱っていますが、施設内でも、いま実際保管されている実態もあるので、こういったことも今回どのように扱うのか、議論すべきかと思います。62頁の下に関しては、宮城県における災害廃棄物処理ということで、いま正に進んでいるところなのですが、津波による廃棄物というのは混合廃棄物で、家屋がグチャッとつぶれたような、いろんな家材とか、建物の残骸が一緒になっています。そういったものを破砕とか選別しながら、例えば燃やせるものだけを選別するとか、いろんな作業が起こります。そのときには粉じんたるやすごい状況になります。ですから、屋内でやる場合も、仮設テントみたいな形でやるのですが、その中の作業は、大変劣悪な状況になります。ですから、こういった作業を本当に福島の線量の付着物の多いものでやるかということ自体議論があるのですが、それは労働者の被ばくを含めながら、福島での災害廃棄物の処理をどうやっていくかという課題になるかなと思います。実際としてデータもいろいろと取られていますので、こういったことを踏まえた対応が必要だと思います。
 それから、埋め立て処分場は、模式図だけで書いてありますが、運搬車による搬入と荷卸しして、重機で均らして覆土による被覆ということになりますので、こういったところで、できるだけ舞わないように散水等も必要なわけですが、ただ、先ほど環境省からも説明があったように、今回、飛灰、ばいじんは、一旦揮発したものがセシウムが凝縮しています。そうすると、塩化物だとか炭酸塩だとか、水に極めて溶けやすい塩みたいな状態にありますので、散水することによって、逆にそこで流れ出て、土壌とかを汚染してしまう可能性もあるということを踏まえれば、そこら辺のトレードオフをどうするのかということもあります。冒頭で既にいろいろとピークが過ぎているのだとお話しましたが、そういう中でもいろいろと焼却施設はご存じのように、ダイオキシンの問題が10年ぐらい前に大きく取り上げられて、そのときに厚労省のほうでかなり適切な具体的なここに書いてあるダイオキシン類のばく露防止対策ということで、要綱みたいなものをきちっと作っていただいていたのです。それが機能をかなりしていまして、そのときのいろいろな作業管理や防護服のレベル1からレベル3とか、あるいは第1管理区域から第3管理区域ということの中での、いろいろな管理が適切に行われてきたことがいまの電離則に基づき、実際の作業者管理に焼却施設では対応がある程度はできています。個人線量計を付けてどのぐらい被ばくするのかというデータ等も積み重ねているので、そういった作業実態なども情報提供がなされると有意義な議論ができるのではないかと思います。後ろのほうは、そういう意味でダイオキシンとの比較で、今回のセシウムというのがどういう物性を持っているのかということで整理させていただいたのですが、ダイオキシンよりも、更に塩化セシウムのようなものというのは、蒸気圧が低くて、ほとんど気体としては存在し得ないと。ガスが冷却されたあとでは。そういう意味では、ダイオキシン以上にばいじんに濃縮度が高いということも言えるので、ばいじん対策をいかにやってきたかということが中間処理では大きなポイントになるかと思います。以上です。
○森座長 最後に資料9について、産業廃棄物処理事業振興財団の鈴木委員にお願いしたいと思います。
○鈴木委員 内容は、いままでの資料とだいぶ重複しますので、掻い摘まんでお話したいと思います。検討に当たって、どのようなことを課題として整理すべきかということを書いたものです。
 まず、除染廃棄物と一般廃棄物の違いを考えて、除染廃棄物の特殊性を考慮しなければならないと考えています。と申しますのは、一般廃棄物のように生活ごみという限定ではありませんし、放射性廃棄物のように限定した品物ではないというものですので、67ページの赤印に書かれているように、やはり粗大性を有するものだなと。場合によっては、重金属に汚染されたものも入ってくるのではないだろうか。これは否定はできないかなと。それと、もちろん放射性の感染性ということで、なかなか難しいものだなということと、大迫委員が言われたようにいままでの焼却炉は小さくて、かつ処理量も少量でしたが、除染廃棄物となると大量な廃棄物を扱わなければならないということで、施設に入ってくるものも多種多様かつ大量ということですので、これをどのように扱うかがポイントになってくると思います。
 私は考えを二つに分けておりまして、焼却施設の搬入前の現場対応が必要になってくるかなと。焼却施設というのは万能ではありませんで、焼却不適ごみの仕分け、除去、粗大物の破砕というものが必要になってきます。そういう作業上での汚染状況を考えた対策を考える必要があるかなと。焼却施設搬入法の施設対応ですが、68ページに一応工程を整理して私なりに考えております。まず、ものを受け入れて焼却炉に搬入するところで、放射性の廃棄物がここに大量に保管、貯蔵されるということで、ここでの作業環境安全というのを考慮しなければいけない。ただ、操作の場合は大体受入・供給設備で、大型焼却の場合はピット&クレーン、中規模はホッパ&コンベアという構成になってきますので、操作は遠隔操作で可能ではないか。しかし、機械ですので維持管理というものがどうしても年1回、2回、点検として週1回ぐらい発生するということで、その施設内に入ってきますので、そこでの作業環境を考えなければいけないなと思っています。焼却設備については資料9までにお話になったように、焼却については特に問題になっていないという報告が多くありますので、これについては環境省の特定廃棄物ガイドライン第4章の中間処理の基準の適用を考えております。
 焼却した後のものについては、排ガスと灰になります。先ほどの資料でもご説明があったように、放射能はばいじんに多く存在して、それを排気処理のフィルターで取得して灰処理にまいりますので、灰処理に多くの放射能が蓄積されることになります。よって、ここの灰処理地域の区域の作業環境安全というのを重点に考えなければならないのではないだろうかと思います。それから排気処理についても、当然、維持管理の作業環境安全について考慮しなければならないと考えております。
 最後に、実際放射性廃棄物を焼却した事例を私なりに調べた結果が69~71ページに書かれていて、だいぶ重複していますが、宮城県女川町の災害廃棄物の焼却試験を東京都の大田清掃工場と品川清掃工場で行っておりましたが、現場処理として選別と破砕が実施された。それでコンテナで搬送して焼却した。ただし、焼却の状況は通常のごみ焼却時と同程度で特に大きな影響はなかったという結果が出ております。同様に、福島県内の災害廃棄物の一般焼却施設での結果も、特に問題は出ていないようです。千葉県柏市についても、そのような結果が出ております。
 NIESの環境の焼却班の報告ですが、除染作業で発生した落葉・草木は大体1,664Bq/kgということですが、生活ごみと30%混焼した結果でも特に問題がなかったというような結果が出ております。以上です。
○森座長 余り時間がありませんが、ここで特にご質問があればと思いますが、いかがでしょうか。
○名古屋委員 焼却処理とかいろいろされていますが、確かに飛灰とかいろいろ出てきています、このときはモデル事業として行っているのですか。その時粉じん濃度測定をしてのでしょうか。
○大迫委員 福島県のいろいろな所では実務としてそれは行われております。ばいじんの濃度の実態や作業環境測定としては、いろいろとやられているデータもあるとは思います。それは、もちろん放射性セシウムということではなくて、従来の作業環境測定としてはあると思います。
○名古屋委員 そうではなくて個人サンプルを付けて、曝露濃度測定を行っているかです。ばく露濃度のほうが環境測定よりは高いと思います。そういう測定をされているのかなと。
○大迫委員 個人ばく露というのは、粉じんの内部的な吸入とかですか。
○名古屋委員 そうではなくて個人サンプルを付けて、作業環境とこういう作業は、ばく露濃度のほうが環境測定は高いと思います。そういう設定をされているのかなと。
○大迫委員 粉じんということですか。
○名古屋委員 粉じんとしてです。あとは、線量としてそれを換算すれば、内部被ばくは出てきます。
○大迫委員 そこは分からないですが、もちろん放射能のこの問題が起こってからは個人線量計は付けておられます。
○松村委員 大迫委員にお伺いします。63ページの図では焼却灰というのは特にコンテナや袋詰めをしないで、直接地面に撒いたような形で埋め立ててしまっているのですか。
○大迫委員 いまは8,000Bq/kg以下はこういった形で埋めたり、もちろん土壌層を敷いたりセシウムが溶けやすいということの対応はしていますが、特に今から問題になるような8,000Bq/kg超ものはまだ何も進んでいません。
○松村委員 鈴木委員からご報告になった69ページの大田区や品川区などで引き受けているごみというのは、あらかじめ放射能汚染が非常に低いということで引き受けているごみですよね。だから、今後対象にするものとはかなり違いますよね。
○鈴木委員 だいぶ低いごみだと思います。
○名古屋委員 もう一つ聞きたいのですが、解体のときに金属を溶断していますよね。そのあとで、これは溶融はしないのですか。昔、原子力のときは溶融していましたよね。それはしないのですか。
○門馬委員 51ページの全体の流れの中にも、溶融処理というのがあります。いま施設はありますが、まだ実際は試験段階で、ホットの実廃棄物は扱っていない状況です。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。この三つの資料についても、後日ご質問追加があれば、ご提出ください。今後、このような情報を随時いただきながら具体的な対策の検討を行っていくわけですが、対策の検討に当たっての現時点での論点について、事務局からご説明いただきたいと思います。
○安井室長補佐 73ページの資料10についてご説明をいたします。これは今回検討に当たって、こういったことについて議論して結論を出す必要があるという論点を列挙した資料です。全部で10点ほどあります。1点目は法令を前提とする適用範囲というのがありますので、それをどうするか。2点目は75ページの被ばく線量管理の方法をどうするかという議論です。76ページの3は被ばく低減のための措置で、作業環境の管理という観点でどうするかということです。78ページの4は、設備の構造としてどのような規制が必要なのかという観点です。80ページの5は作業の管理で、労働者の作業管理としてどのような汚染拡大防止や内部被ばくを防止するための措置が必要なのかという観点です。6は緊急措置で、事故が起きた場合にどうするかということです。7は労働者教育の関係。84ページの8は健康管理、主に健康診断です。85ページは安全衛生の管理体制で、あとはその他で置いております。それぞれについて基本的に73ページでご説明いたします。まず既存の法令という枠組がある中で、それをご説明をさせていただいて、枠で括った「検討のポイント」で今回のいろいろご紹介いただいたような作業の中に、どのように当てはめていくのかを検討のポイントで整理をしています。
 1の新たな対策の適用対象です。これは、法令の適用の関係を示しているもので、まず電離則があります。これは管理区域というものを設定して、そこに放射性物質を封じ込めて、その中で作業をする。なおかつ、その区域の中に入る人間については被ばく管理を行うといった概念です。放射性物質という定義は国際的に決まっている核種ごとの基準がありまして、セシウムであれば1万Bq/kgを超えて、かつ量として1万Bqある。この両方を満たしているものを放射性物質とするという定義があります。
 除染電離則の考え方については管理区域という概念は使いませんので、除染特別地域等という地域を区切った上で、そこで土壌等の除染等の業務を行う場合について線量管理をするという作業で抑えています。2にあるように、濃度限度については同じ1万Bq/kg使ったということで、汚染土壌の収集、運搬、保管する業務については一定の規制をかけたということです。
 電離則と除染電離則の切り分けは法令上にも定義されていて、一つは除染電離則で定める業務については、電離則は適用しないという区切りを入れているということです。ただし若干の例外というか適用の部分がありまして、廃棄物収集等業務、これは廃棄物の収集、運搬、保管ですが、処分については除かれていて、処分については上下水道の施設や焼却施設、中間処理施設といった施設の中だけで扱うということで管理線源ということになりますので、除染特別地域等内であってもこの施設の中における作業については、引き続き電離則を適用するという整理にして現在に至っています。今回は検討の対象となる業務については、先ほど来ご説明した中間処理、最終処分が対象になっています。
 検討のポイントは、大きく3点あるのではないかと考えています。1点目は放射性元素の種類です。除染電離則はご案内のとおり、事故由来に限定しておりまして、今回の福島の事故に限った対応となっていることにするのか、もっと幅広く仮に原発から出てきたものも含めた対策とするのかが1点大きな問題としてあります。2点目は放射性物質の定義として、下限値をいじるのか、いじらないのかです。ウは若干テクニカルですが、廃棄物の収集、運搬、保管という除染電離則の適用と、今回検討する電離則の切れ目をどう入れるかで、施設の敷地内で、敷地の境界でやるのか建屋でやるのかの技術的な問題があるということです。
 75ページは、被ばく管理の方法です。計画被ばく状況という管理線源を扱う場合については確立した考え方がありまして、まず管理区域を設定した上で、その中で作業をする人については被ばく線量測定をします。そして、被ばく限度を超えないように管理をするという大原則となっているわけです。検討のポイントは、管理区域の基準というのがありますが、これを動かすのは実際は難しいと思いますが、これをどうするのかという問題。それから、被ばく線量測定のやり方です。従来は管理区域については、外部被ばく線量は当然個人線量計を付けるわけですが、内部被ばく測定についても放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれがある場所に立ち入りした方については、須く全員内部被ばく測定という扱いをしています。一方、除染電離則については取扱いを放射性物質の濃度と空気中の粉じん濃度に応じて、リスクによって内部被ばく測定の場合分けをしております。こういった概念を入れるのか、従来の電離則のやり方を貫くのかという問題があります。被ばく線量限度についてはICRPの職業被ばく限度がありますので、5年100mSv、年50mSvを大前提に考えるということです。
 3の被ばく低減のための措置(作業管理)がご議論をいちばんいただかなくてはいけない部分で、電離則と申しますのはご案内のとおり、基本的に非密封の放射性物質を扱う作業を限定的に捉えていて、例えばラジオアイソトープや、そのサンプリングされたものをドラフトチャンバーのようなところで、言ってみればピンセットのレベルで扱うようなものを前提に規制が組み立てられています。非密封の放射性物質を取り扱う作業を行う場合、専用の作業室で作業をしなければいけないという規定があった上で、その施設における線量の限度を定めています。これは1週間につき1mSvを超えないということで、実際の被ばくではなくてポテンシャルを測ることになっていて、外部と空気中の放射性物質による実効線量合計になっていますので、空気中の放射性物質の濃度を超えてはいけない。そういう厳しい作業管理を課しているということです。そういった施設においては表面汚染の限度も規定していて、40Bq/cm2を超えてはならないという厳しい規定になっています。
 エとオについては、こういった作業室以外の規定です。空気中の放射性物質の濃度については、空気中濃度限度10分の1を超えてはいけない。作業室等の外で放射性物質をこぼした場合は、表面汚染限度10分の1まで除染せよといった規定になっている。作業環境測定については、いま申し上げましたような作業環境の基準を満たすために定期的な測定をする必要があるといった形になっています。
 検討のポイントは、一つ目は非密封の放射性物質の取扱いの作業室について、従来の放射性物質取扱作業室で取り扱うというアプローチをするのか、全く新しいカテゴリーの作業室を作るのかという大きな問題があります。二つ目は、作業室における線量等の限度です。これも、従来の週1mSvの線量限度を貫くのか、先ほど来ご説明がありますが、粉じんがモウモウとするような所で作業を行うことを前提にする場合は、保護具あるいは保護衣、表面汚染限度といったもので被ばくを管理するのかという二つの選択肢があることになります。
 ウは、表面汚染限度についても同様で、放射性物質の粉じんが常に舞っているような状況で、表面汚染限度を維持するのは極めて困難になるわけですが、そういった場合においても表面汚染限度を規定するのか、マスクや保護衣といったもので管理をしていくのか、あるいは検査の頻度を変えていくのかとか、様々な組合せがあることになります。エとオは、非密封の放射性物質を扱わない場所においての基準については、従来どおり空気中の濃度限度は10分の1、汚染限度は10分の1を変える必要はおそらくないだろうと考えています。作業環境測定についても、作業環境の基準が変わってくれば、それに見合う形で作業環境測定の内容も変わってくることになろうかと思っております。
 4は設備の構造要件です。従来の電離則の考え方は、まず容器にものを入れることで安全性を担保するのが大前提になっていて、保管、貯蔵、保管廃棄、一時的な貯蔵といったものについて、原則として容器を使うということです。容器を使えない部分については、先ほどの作業室のみで認めることになっていて、作業室の床、壁については除染がしやすい素材でなければならないという発想になっています。また、放射性物質の粉末、飛沫等が飛来するおそれがある場合には、板とか幕といった設備で封じ込める設定になっています。作業室から出てくる排気、廃液については、排気、廃液が漏れるおそれのない構造、腐食、浸透しにくい材料という規定があるということです。ウとオが事実上同じような貯蔵施設、保管廃棄施設ですが、ここについては容器に入れることを前提に作っている関係上、外部と区画された構造であればよいということで、封じ込め、密閉系の規定はない形になっています。エは焼却炉で、これはダイレクトに非密封のものを扱いますので、密閉の規定があるということです。
 今回の検討のポイントは、容器をどこまで使えるのかです。容器の中に完全に封入されている状態であれば、粉じんによる、あるいはそういった放射性物質のばく露というのは相当程度厳重なわけですが、それが必ずしもできない状態もあるということですので、それをどうするかということです。オプションとしては、従来どおり原則容器というのを守ることと、ある程度容器をどうしても使えない状態を想定した上で、設備要件として密閉性を求めるのか。それに保護具の組合せで担保していくという考え方もあるということです。作業室の床、壁等については除染をしやすくするのは当然ですが、今の現状はドラフトチャンバーみたいな所に封じ込めた上で、その周辺を作業室ということにしていて、大量の放射性物質がそこに出てくることは大前提としてないということで、ここは密閉性の規定がないことになっておりますので、そういったものも必要になってくると思います。現在の規定では作業室の出口だけで汚染検査をする規定になっていて、それ以外の部分からいろいろものが出てきたときの汚染検査についての規定がないということですので、そういったところの規定を広げる必要もあろうかと考えております。
 ウの飛沫・粉末の被害防止については、従来どおりの封じ込めにするのか、ただ破砕施設とかでどうやって封じ込めるかの現実問題もありますので、その場合は保護具で対応することもオプションとしてはあるのではないかということです。エの排気、廃液については密封性は求められますので、余り変更ないのかなと考えております。オとキは貯蔵あるいは保管廃棄ということで、従前の規定は容器に入れることを前提にしておりますので、外部から区画されていればいい、あるいは鍵を掛ければいいという設定になっていますが、容器に入っていないものを扱うことを前提にすれば、漏れ、腐食、浸透しにくい材料等の規定の追加は必要ないことになります。
 クの最終処分、埋立処分に関する施設の要件については現時点の電離則では規定がありませんので、外部との区画、扉等の閉鎖等、標識等を設けるのは当然として、容器に入れることを前提にするということがあります。あるいは、今後の検討の中で容器に入れない廃棄物というものがもしあるのであれば、それに対しては施設の構造で担保する必要がありますので、その構造要件も必要になってくるということです。中間貯蔵についても同じ議論があるということです。
 5は作業管理です。労働衛生対策の基本は、作業環境を整えることでこういった作業管理、マスクや保護具に頼らないのが大原則ですが、それをどうするのかということです。汚染検査が電離則上は規定がありまして、現状の規定では放射性物質取扱作業室の出口だけに汚染検査をすればいいとなっております。持出し物品、身体の汚染限度については、表面汚染限度の10分の1という規定となっています。放射性物質の取扱用具についても若干規定がありますが、例示で出てくるのがピンセットですので、いま想定している作業には合わない形になります。容器の規定があります。保護具ですが、マスクについては先ほどご説明しましたように、空気中の放射性物質の濃度を作業環境で担保することが大前提になっておりますので、放射性物質がこぼれた、あるいは緊急作業で特別な場合を除いて、呼吸用保護具の義務がない状態になっておりますが、これをどうするのか。表面汚染限度についてはかなり厳しく、表面汚染限度10分の1を超えるようなものを扱う場合については、特別の作業着が必要であるという規定があります。喫煙等の禁止についても、放射性物質取扱作業室のみならず、そのほかの場所でも放射性物質を吸入、経口摂取するおそれの場所においては、原則喫煙を禁止する。これはかなり広範の規定があります。
 検討のポイントは、汚染検査については汚染検査の実施、汚染限度は当然に行う上で、現状のように作業室の出口だけでは多分足りないということですので、汚染検査の適用場所を広げる必要はあろうと思います。用具等についてはピンセットの規定では耐えられないので、具体的には工具や場合によっては建設機械、トラックといったものも入ってくることになりますので、それに対する規定をどうするのかという問題があります。容器は、運搬についてはおそらく議論がないところだろうとは思います。一方、呼吸用保護具はいくつかオプションがありまして、従前のように空気中濃度の規制を行って呼吸用保護具については義務化しない。空気中濃度の規定を置きつつ、呼吸用保護具の使用も規定する。あるいは、どうしてもやむを得ない場合に限って、空気中濃度の規定を外した上で呼吸用保護具の被ばく防止の担保をするという三つのオプションがあるということです。保護衣の規定については、従来からの表面汚染限度を超えるおそれについては保護衣を着るというのは多分変わらない。喫煙等の禁止についても、おそらく変える必要はないと考えています。
 緊急措置です。これは、まさに今回の福島第一のような事故が起きたときに、事故によって受ける実効線量が15mSvを超えるおそれにある場合は、一般的な作業者を退避させた上で、緊急作業従事者だけが作業をするという規定です。被ばく限度を超えたようなトラブルがあった場合については、医師の診察を受けるという規定があります。これについては、なかなか変えるような性質のものではなくて、今回も事故というのは考えられますので、それに関係する規定というのは置いていくことを考えています。
 労働者教育の内容は、現在電離則においては加工施設、原子炉施設における特別な教育というのが規定されています。除染電離則においては、除染等業務にかかる特別な教育と特定線量下業務にかかる特別教育が規定されています。これについては、今後必要な措置についてご議論いただいた上で、過不足のない特別教育というのを義務づけていく必要があるのではないかと考えています。
 健康管理の規定は具体的に申しますと、特殊健康診断と一般健康診断とありますが、これも基本的には管理区域の中で作業をする場合には適用があるということですので、おそらくこれは改正することなく、管理区域で作業を行う場合については須く健康診断をする形になるのではないかと考えています。
 安全衛生管理体制は、従来除染では建設業のような重層下請構造を前提にして、元請に対して責任を課すようなガイドラインになっていますが、今回の場合は施設の管理者という概念、どちらかというと原子力発電所に近いような形になりますので、現状の原発に対する指導としては、通常作業においては施設管理者自らが下請を含めた管理をきちんとすること。定期点検、修理といったものを行う場合については、プラントメーカー等が元方で一義的には対応するということですが、この場合であっても被ばく管理については施設管理者がゲート管理、出入管理も含めて行うという対応を行っておりますので、これをベースに考えていくのではないかと考えています。
 最後はその他として、何かほかに盛り込む事項があればということです。説明は以上です。
○森座長 ご説明ありがとうございました。非常にたくさんの論点があります。このあと各委員には、これまでの資料の質問とともに、論点についてご意見を出していただきます。その前に、特に事務局に対して、ここのところはもう少し確認をしたいというところがあればこの時点で確認をしていただき、それらの情報を含めて持ち帰って意見を考えていただくということを基本としたいと思っています。たくさん論点がありますから、どこからでもいいですが、1の「新たな対策の適用対象」から3の「被ばく低減のための措置(作業環境管理)」のところまでで、何か論点の意味も含めて確認をしたいというところがあればご質問ください。
○大迫委員 前半部分だけではないかもしれませんが、私はこれまでの電離則の中身に関して十分理解していないので、今日ご説明にあったことが今回の廃棄物の作業場のリアリティと、どこがどう結び付くのかのイメージが余りできていないので、今後勉強させていただきたいと思います。なんとなく思っているのは、電離則をベースに網羅性をきちんと議論していくのは確かに重要だと思います。ただ、実態として作業室とか、そういった概念というよりは、例えば炉内作業を行うときには、もう粉じんがモウモウとしているわけです。全てが粉じんだらけの中で作業をするわけです。そうすると、環境をどう規定するか、というよりは正に保護具とか、そういったものでどう対応するかという感じでないと、作業自体ができないので、そうなると先ほどプレゼンの中で申し上げたダイオキシンの要綱の中で、かなり網羅的に細かく状況に応じた保護具等の対応みたいなことが書かれてあるわけです。案外、そこもベースにうまくマージして考えていくような検討の仕方もあるのではないか。これは焼却施設の問題ですが、そういう点がいちばん大きい。
 その中で、これは次のステップでもいいかもしれませんが、ダイオキシンの要綱では解体作業が詳しくウェートを割いて議論されていて、今回の場合も比較的すぐに役目を終える仮設焼却炉、数年経てば壊さなければいけないわけです。となると、解体作業まで含めた議論もしておくべきではないかと思います。そうなると、解体前にどういう事前調査をするかとか、かなり広範な議論が出てきて、これもダイオキシンのところで既にいろいろと一通りはやっていますので、議論の仕方をもう少し工夫していただくといいかなと思いました。
○森座長 大変参考になるご指摘、ご提案をいただきました。資料の63ページに出てきた平成13年のダイオキシンに関するものは、それぞれの委員がインターネットから入手すればいいのでしょうが、事務局から各委員に送っていただいて次回までにそれぞれで読んでくるといったことでお願いしたいと思います。事務局の方で、是非よろしくお願いします。
○名古屋委員 一つお聞きします。ダイオキシンの場合と今回の場合を考えると、ダイオキシンはガス化している部分が多いですよね。
○大迫委員 ダイオキシンでは、作業としては既に炉が止まっているときに点検したりする作業なので、ダイオキシンと今回の問題の大きな違いは外部被ばくをどう考えるかです。ダイオキシンは低温では揮発性も極めて低いですが、セシウムの場合は一層揮発はしない性質なので、内部被ばくという観点からはダイオキシンと比較的同じ考え方でやっていいのではないかと思っていて。
○名古屋委員 基本はそうです。ただ、もう少し言うと粒子を扱っているところの粉砕などを見ると、意外と粉じん作業とほとんど似ている作業が多いので、そこまで厳しくなくてもいいのか。ただ、勉強することは要るけれども、ダイオキシンまで厳しくなくても、普通の粉じん作業プラスアルファぐらいで十分対応できるのかなと。扱っている粒径が粉砕だとか焼却の形のものですとね。
○大迫委員 ダイオキシンの内部被ばく的なもののリスクと、今回のどれぐらいの濃度になるかという点で、先ほどご指摘があったのですが、50万Bq/kgで高粉じん作業の10mg/m3以上になる作業がどこまであるのか。そういった実態も踏まえて、先生のおっしゃるような議論をしていけばいいと思います。
○松村委員 私も大迫委員のダイオキシンというのは非常に参考になると思っていますが、焼却施設の場合には建物の中にエアラインが設置されていてエアラインマスクが使用されます。いちばん厳しい作業は焼却炉の中で燃焼がうまくいかない場合に、燃焼中のゴミを長い棒でかき回す作業です。その作業はエアラインマスクでやっています。エアラインマスクではエアラインから供給される清浄空気を吸入するので、周辺空気中の粉じんとかガスとか関係ない呼吸ができますから、いちばん安全性が高いです。放射性物質の場合に、建屋の構造をエアラインマスクが確保できるような設備ができるところとできない作業があると思います。それは区別して考えなければいけないのではないかなと思っています。
○杉浦委員 既に大迫委員もご指摘だと思いますが、除染電離則ではなくて電離則を適用するのは、場所が限られているから電離則だというお話になっていると思いますが、線源があって出入口を1か所で管理しているようなものではなくて、多分いろいろな所からものが入ってきて、区域が少しは限られているよというところで、電離則の改正で本当に対応できるのか、もう一つ何か別なことを考えなければいけないのかというのは状況によって、今日いろいろご説明いただきましたが、そこはいま外部被ばくだけを考えればいいとありましたが、実際に扱うものの量がすごく多かったりしますので、検討事項かなと感じました。
○森座長 個別の問題ではなく、大きな枠組みの問題ですが、この大きな枠組の問題だけで今日は終わると思いますので、1から3とか関係なく、全体の枠組でご質問いただければと思います。
○松村委員 福島原発で、水素爆発を起こしている原子炉で対応した自衛隊の話を最近聞いたのです。タイベックスーツを着ていたのですが、タイベックスーツをそのときはオフサイトセンターに戻って脱いだあとの下に着ている服が、ものすごく汚染されていたといいます。タイベックスーツというのはその程度のものです。ですから、それは無いよりはいいですが、それの使い方も余り過信できない気がしています。その辺はアスベストのときもそうですが、本当のことを言うと下に着ているものも全部取り替えてシャワーを浴びるぐらいのことが必要ですが、日本はその辺は余り徹底していないです。アメリカの例では、アスベストでも「作業後にシャワー」というのが書いてありますが、そこまで日本はいっていません。
○鈴木委員 PCPでも防護服を着て作業しますが、真夏ですと作業時間として大体90分程度が限界です。ものすごい疲労が多いので、作業環境を第一にして、しょうがない場合に防護服という考えにしないと、何でもかんでも防護服というのは実際の話、かなり難しいなと思います。マスクして仕事をするというのは、非常につらいです。
○松村委員 そういう意味では、エアラインマスクのほうが楽です。加圧空気がマスク内に来ていますから。
○大迫委員 一律に余り考えては、今回は実態がかなり多様です。濃度レベルもかなり多様です。粉じんが伴うような作業も限られていて、炉内に入るときというのはダイオキシン対策も含めてそれなりの防備をしてやっているので、対策としては共通性があって、それで既にある程度担保できていると最初のプレゼンでは言いたかった部分もあった。あとは外部被ばくといっても、いまは高い所でも数万Bq/kgぐらいです。ただ、今後の除染廃棄物を仮設焼却炉で燃やすとか、福島県の災害廃棄物を燃やすといったことになると、いままでやったことのない高濃度のものが生じ、かつ大規模な処理になってくるので、そこまではきちんと今回考えていただきたいです。ただ中間貯蔵で今日中野補佐からもご説明があったようなものは先の話で、最終処分に向けて更に減溶化を図るとなると、今度は何百万、何千万Bq/kgというものをむしろ廃棄体として最終処分場に持っていくというケースがあるかもしれませんが、そこはどうなるかは分からないので、そこを含めて議論するというのは今回やめにしたほうがいいと思っています。ちょっと多様なので、一律には議論できないと思います。
○松村委員 だから、いくつかの対応の方式が必要かなという気はしております。
○森座長 今回、論点は作業環境や作業管理と大枠で並んでいますが、作業の多様性を横軸で整理しながら議論することを、今後の議論の進め方として検討することが大変重要だと思いましたので、よろしくお願いします。
 大きな枠組としてご意見をいただいておりますが、そろそろ時間が参りましたので、具体的な事項の議論については、次回以降にさせていただきたいと思います。次回までに追加の質問、追加のご意見がありましたら出していただきまして、それを事務局のほうで取りまとめていただきたいと思います。事務局の方も、先ほど申しましたダイオキシン関係の資料、作業ごとの要素も入れた論点の整理、その他を少しやっていただきまして、次回につなげていければと思っております。質問やその他の意見についての期限は、事務局から来週10日(月)までということで依頼を受けております。毎回、本当に短い期間で申し訳ありません。それらを受けて、事務局でかなり整理をする形になるだろうと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 次回の予定について、事務局からご説明をいただければと思います。
○安井室長補佐 次回の予定は、12月25日(火)の午前10時に開催予定ですので、また場所等についてはご案内を申し上げます。
○得津室長 以上で、第1回除染廃棄物等の処分に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。


(了)

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