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2012年11月19日 第6回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会議事録

医政局国立病院課

○日時

平成24年11月19日 18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第22会議室(18階)


○議題

1 第5回検討会宿題事項について
2 国立高度専門医療研究センターの組織等について
3 その他

○議事

○猿田座長 それでは、「第6回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会」を始めさせていただきます。皆様方の御予定があって大分遅くからのスタートということ、また、寒い中をお集まりいただきましてどうもありがとうございました。
 前回は非常に多くの議論をしていただきまして、誠にありがとうございました。それに対して事務局で非常に苦労して色々な資料を集めていただきまして、どうもありがとうございました。
 まず、本日の委員の出席状況その他に関しまして、事務局からよろしくお願いいたします。
○河内国立病院課長補佐 本日は、新浪委員と松本委員が御欠席です。
 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表と名簿の1枚紙の他、資料1としまして、第5回検討会宿題事項。
 資料1-1としまして、特許取得数について、片面1枚紙です。
 資料1-2としまして、疾患別患者割合についてが、片面3ページ。
 資料1-3としまして、病院機能等について。
 資料2-1としまして、国立高度専門医療研究センターの組織について。
 資料2-2といたしまして、6法人とするメリットと1法人とするメリット。
 資料2-3としまして、NC独法化の経緯。
 資料2-4といたしまして、医療や創薬に関係する他の研究所について。
 資料2-5としまして、法人制度の比較について。
 参考資料1としまして、国立高度専門医療研究センターの法律上の業務等について。
 参考資料2としまして、各センターの概要をまとめたものが両面で6ページ。
 参考資料3としまして、前回、第5回までの主な意見が両面で9ページございます。
 最後に、参考資料4としまして、アメリカNIH関係の資料が両面で21ページございます。
 資料の欠落等がありましたら、事務局にお申出下さい。よろしいでしょうか。
 では、以降の進行は座長にお願いいたします。また、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。資料の方はよろしいでしょうか。
 それでは、早速、今の議題に従いまして、第1番目といたしまして、第5回検討会宿題事項についてということで、事務局から御説明をいただきたいと思います。それでは、よろしくお願い申し上げます。
○河内国立病院課長補佐 それでは、前回の検討会での宿題事項などにつきまして御説明させていただきます。
 初めに、資料1の横紙をご覧下さい。前回は、出願数は分かるのですが、それで1例も特許がおりていないのだったら話にならないので、どのくらいの成果が出ているのでしょうかといった御意見がありましたので、特許の取得数の資料をお付けしました。また、NCの最大の目的が調査研究だとすると、患者さんの何%が本当に調査研究の対象になっているのかが分かるといいという御指摘もいただきましたが、実態の把握については難しかったので、資料1-2として疾患別患者割合という形で出させていただきますことを御了承下さい。
 それでは、資料1-1をご覧下さい。こちらは、特許取得数ということで2つグラフがありますが、左側が年度別のNC合計の特許の取得数です。21年度までですが、国時代に比べて独法化以降、22年度以降ですが、取得数が伸びているのが分かります。右の収益額ですが、特許から得た収益額になります。単位の明示がなく申し訳ありませんが、単位は円ということでございます。完全な右肩上がりではありませんが、やはり国時代と比べて増えているのが分かります。収益額の増加の要因としましては、新規の特許取得、既に取得している特許の運用見直しによるものと思われます。
 次に、資料1-2をご覧下さい。先ほど申し上げましたように、各センターの各先生が病理組織を調査研究のために患者さんに断って使用するケースは多々あるようですし、また、疫学研究で臨床データのみの解析の場合は、必ずしも患者さんの同意が必要ではないとのことから、その実態の把握はできませんでしたので、本年8月の各センターの入院患者さんの疾患別患者割合をお示ししております。疾患面につきましては、国際疾病分類ICD10という大分類の構成のものを使用しております。まず、がん研究センターですが、ほとんどというか、100%が新生物でありまして、若干その他というのがありますが、これは消化器系の疾患でかかった患者さんの数になっております。次に、循環器病研究センターについては、71%が循環器系ということでございます。1枚めくっていただきまして、精神・神経医療研究センターにつきましては、神経系の疾患と精神疾患が89%ということになっております。国際医療研究センターにつきましては、これは全て100%ということになっておりますが、個別に感染症及びその他の疾患に関する医療を行うということになっておりますので、100%として出させていただきました。ただし、国際医療研究センターの柱であります感染症、内分泌・代謝疾患、免疫疾患は、約3割程度ということになっております。3ページ目でございます。成育医療研究センターにつきましては、この表に表示してある疾患の他に、子供の呼吸器科、消化器科、眼科等の疾患が入っております。
 最後に、長寿医療研究センターについては、加齢に伴う疾患という定義の場合、疾病分類は多岐にわたりますが、新生物、循環器系の疾患、神経系の疾患、損傷、中毒等で約5割程度を占めております。
 次に、資料1-3をご覧下さい。6センター、8病院ありますけれども、病院ごとの診療情報等をまとめさせていただきました。入院点数ですとか、外来患者数ですとか、表記しているものを参考までに整理いたしました。2枚目でございますが、こちらが平成23年度の各センターが行った高度先駆的な医療の一例でございます。がん研究センターは、胸部悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法を初めとした8種類の治療を提供するとともに、センターのみで受けられる高度先駆的な治療として、眼腫瘍科や放射線治療科による眼内腫瘍に対するルテニウム小線源治療を初めとした19種類の治療を提供しています。循環器病研究センターは、新たに先進医療として経胎盤的抗不整脈薬投与法胎児頻脈性不整脈の治療が承認され、従来から承認されている先進医療とあわせ、6つの先進医療を実施している。具体的には、内視鏡手術支援ロボットの心臓手術への使用について、医療保険の適用を目指した治験を開始し、23年度は重度僧帽弁閉鎖不全症の手術を7例実施しています。精神・神経医療研究センターでは、ミトコンドリアDNA検査を109症例行い、全てにミトコンドリアDNA全体の塩基配列決定検査や光トポグラフィーを実施し、パーキンソン病患者に薬剤血中動態モニターに基づく高度先駆的治療を実施しています。国際医療研究センターは、HIV・エイズ患者に対し、薬剤耐性や薬剤血中濃度のモニターに基づき、個々人の病態に即した医療を年間150例以上提供するという計画に対して682例実施した。また、先進医療については、先進医療既存技術2件について実施した。先進医療既存技術2件、先進医療新規技術3件及び高度医療新規技術1件の申請に向けて準備しているところです。成育医療研究センターは、年間小児肝移植症例数は世界最多となる38例を実施し、生存率90%と良好な成績であるとともに、先進医療である双胎間輸血症候群に対するレーザー手術は、最新のEBMで双胎間輸血症候群に対する第一選択治療となっており、40例を施行するなど、最新のEBMに基づく成育医療を提供しています。長寿医療研究センターにおいては、運動器疾患の転倒における共通で重要なポイントとして、姿勢と転倒という新たな概念を提唱し、歩行と転倒の動的観察に基づき、足関節筋力と柔軟性、膝関節屈曲、脊椎後弯と転倒の関連を明らかにし、姿勢による転倒危険度を測定するDorsiflex meterを開発しました。24年度は既に300名に実施しています。
 ちなみに、平成24年10月1日現在で、先進医療は65種類627件、高度医療技術は38種類364件全国で行われていて、6NCでは20種類22件実施しております。各センターは研究もやっておりますが、当然のことながら、高度先駆的な医療等も担っているということで御紹介させていただきました。説明は以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。前回の検討会の時に、各センターで一体どのくらい特許を取っているか、また、それによってどのくらいの収益が得られているかということと、それから、病院がございますので、一体、病院がどれだけ専門的な診療をしているだろうかということ、これは疾患別でまとめていただいてありますけれども、それが資料1-2ということです。
 それから、3番目には、実際にどれだけ高度先進的な医療をやっているだろうかということで、各センターに関しまして、これは1例ずつ主なものを挙げていただいていますけれども、実際にはかなりのものがやられているというのが、まず、この間、宿題として出させていただいたものに対して事務局が調べていただいたものでございます。
 それでは、どうぞ、1、2、3、どの点でも結構でございますので、御意見を。どうぞ、おおたわ委員。
○おおたわ委員 特許に関しては私が質問させていただいた関係もございますので、まずそれに関して感想を述べさせていただきます。
 独法になってから特許の出願数、取得数も増えているということで、努力されていることは非常によく伝わってきます。ただ、これによる収益というのを見ると、医療業界の動くお金の中で、どう考えても1,213万というのはかなり少ない金額としか言いようがなく、これだけの特許数を持っていながら収益につながっていないということは、役に立たないもので特許を取っているか、もしくはいい内容で特許を取っているのですが、それをビジネスとしてつなげるノウハウがないかのどちらかとしか考えられないと思うのです。もちろん、収益を上げる団体としてどんどん稼げという話ではないのですが、やはり国の財政状況を考えた中で、これからやっていくことを考えると、こういうところで少しでも収益を生むような何かの解決策を持っていかないと、このままの状況だと横ばいな感じがいたしました。ありがとうございます。
○猿田座長 ありがとうございます。その点に関しまして、私が感じますことは、第一にトランスレーショナルリサーチが始まって、まだ特許が取れたばかりのところですと、どうしてもこれからどのくらい伸びていくかということが重要な点です。もう一つは、どういう特許かによってかなり違ってきます。こういうセンターではかなり難病的なものが多いのです。ですから、本当に利益を生むようなものをこれから特許として取っていただきたいという点が、私が感じるところです。事務局、そのあたりのところは何かございますか。
○河内国立病院課長補佐 確かに、今、座長がおっしゃっているように、タイムラグが若干あるのかなという気がしまして、当然、今後、独法以降件数が伸びておりますので、22年、23年度のものが今後どれだけの収益を生むかというのは、まさにこれからなのかなということは感じておりますが、御指摘のとおり、金額が本当に多いのかと言われてしまうと、分かりません。
○猿田座長 今、おおたわ委員が言われるのは、本当に利益を生むような大きな特許がぼんと取れれば物凄く伸びるということですね。
○おおたわ委員 そうですね。グローバリゼーションも視野に入れてですね。国内だけで利益を生むのではなく、やはり日本の医療は素晴らしいので、海外にもそれを買ってもらえるような特許の使い方ですね。ありがとうございます。
○猿田座長 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、他にどうぞ。
○福井委員 私が発言したために疾患別患者割合を出していただいて、大変な労力をかけて申し訳ありませんでした。ミッションに沿ったアクティビティーの一つとして、どういう患者さんを診ているのか知りたかったわけですけれども、データの取り方がなかなか難しいと思います。でも、ほとんどのナショナルセンターでは、大まかに言ってミッションに沿った患者さんを診ているように思います。国際医療研究センターは、性格上、なかなか一つの疾患に絞れないということですので、これはこれでいいのではないかと思います。ありがとうございます。
○猿田座長 ありがとうございました。他に御意見、どうでしょうか。
 疾患別の方は、今、福井委員がおっしゃったとおりですね。各特徴がありますけれども、やはり国際医療研究センターは、今おっしゃったような幅広い形でやっていますので、こういう形になるのかもしれませんけれども。それでは、他はどうでしょうか。これを見ていただきますと、3番目の問題、病院機能等についての、先進医療に関しては、やはり6つのナショナルセンターはかなりしっかりとしたことをやっていますから、随分多くの先進医療、高度医療の仕事はやられているというところかと思います。
 どなたか御意見ございますか。どうぞ、荻野委員。
○荻野委員 特許のお話で資料を見ながら思っていたのですけれども、収益額というのもさることながら、取られた特許の内容が問題だというふうに思うわけでして、この特許が時間が過ぎないとなかなか評価し切れないという問題はもちろんあると思いますが、例えば、医療の安全性ですとか、質だとか効率だとか、あるいは医療というものの経済にどう影響するのかとか、特許というものの具体的な成果なり、特許の質というものをどう評価するのかというのはなかなか難しいと思うのです。ただ、件数とか特許料の収入によって見るということも、それは一つの評価の仕方だと思いますが、何かもう少し本質的な特許というものが持つ評価をどういうふうにするのかと思いながらこれを見ておりまして、色々な評価の仕方があるのかもしれませんが、医療技術の開発の拠点になるのであれば、そういう特許の評価の仕方を、あるかどうか分かりませんけれども、そういうことも考えていったほうがいいのかという感じがしましたので、一言だけ。
○猿田座長 ありがとうございました。貴重な御意見で、確かに各ナショナルセンターによって、それぞれ特許の性格もかなり違うものですから、そういった点は大切なことだと思いますので、これはまた、ぜひ各ナショナルセンターからもそういったことを出していただくことが必要なのかもしれません。
 どうぞ、近藤委員。
○近藤委員 荻野委員がおっしゃった点は極めて重要でございまして、いきなり収益につながることとは関係なく、特許を出願しようとする気持ちが重要だろうと思うのです。ですから、これは日本全体の話でもあると思いますから、その中で、もちろん本当に収益につながるのもあるでしょうけれども、せっかく開発した素晴らしいものがお金にならなくてもしっかり取っておかれるぐらいのセンターというのは、やはり増えているというのは非常に素晴らしいことかなと思いました。
○猿田座長 ありがとうございました。どうぞ、花井委員。
○花井委員 資料1-3の2枚目で高度先駆的な医療の例が挙がっていますが、患者の立場からするとここが意外に分かりにくいところなんです。つまり、保険外の部分は高度な医療なのかということです。もちろん制度的には、混合診療は基本的にできないので、いわゆる高度医療という形でやって、混合を一部できるという形になっているわけですね。そうすると、医療の延長の部分と臨床研究的な部分というのは、なかなかクリアカットにできないものがあると思うのです。だから、色々やっているよといって案内してもらっているのですけれども、例えば、それが国費の研究費で行っているものなのか、あるいはちゃんと申請して、先進医療という形で持っているものなのかというのは、ある程度金額分類しないと、厳密には概念では分けにくい部分でありますけれども、いわゆる税が入って、それが医療の部分で使われているのか、いや、これは研究だというのかというのはあって、ここに入っている中でも研究ベースで走っているものもあるかもしれないし、そこが研究なのか医療なのかというのはなかなか分けられないので、お金ベースで、例えばこれは厚生科学研究でやっていて、半分は保険で見ているとか、そういうのは何かうまく整理してデータ化できないものでしょうか。保険外医療の内実についてというのは、なかなか見えにくいので、ナショナルセンターの場合は、その辺がもう一度クリアに見えた方が分かりやすいのですが、難しいでしょうか。
○猿田座長 そこはなかなか難しいですね。やはり色々なシーズによって全部違ってきまるものです。もう一つは、そのシーズに対してどのくらい国が援助しているかというのは、みんなバラバラでございますので、これはもちろん調べれば、ちゃんとどのくらいか分かると思いますが。
○花井委員 民間から入っているものもありますね。
○猿田座長 それは、多分、各ナショナルセンターの先生方にお願いすれば、どのくらいのをやって、どのくらいというのは、各先生方はお持ちでございますので。
○花井委員 可能であれば、それが可視的になるような資料があるとありがたいです。
○猿田座長 言えることは、かなりの部分は、やはり国のものが入って臨床研究がやられているということは確かだと思います。
 どうぞ。
○祖父江委員 資料1-2ですけれども、先ほど来、ちょっと議論があるように、これは、私も何か見えてくるかなと思ったのですけれども、なかなか見にくい資料になっていまして、がん研究センターでがんが100%というのは、当たり前といえば当たり前ですね。それから、循環器病研究センターで循環器の患者さんが多いというのも、どちらかというと当たり前ですね。ですから、ここで出ている資料は、それぞれの看板に沿って来ておられる患者さんの種類をあらわしているだけで、この前からの議論で、ミッションというのはどういうミッションを意味して、ミッションに合うと言っているのかちょっと分かりにくいのですが、例えば研究の対象としてどう扱ったのか、高度先進医療の対象としてどう扱ったのか、あるいは治験の対象としてどれぐらいの患者さんがおられたかというような、本当はそういう分け方をしていただけると、もうちょっと理解が進むかと思ったのですけれども、実際にデータとして作ろうと思うと、なかなかその辺は難しいのですか。
○河内国立病院課長補佐 センターにもお願いしたのですけれども、当初はそういう御指摘だったので、そういう形で出せればよかったのですけれども、それがなかなか難しいということで、こちらの方で出させていただいたということです。例えば血液とか組織とか、各先生方が採取して御自分の研究とかに使っているというのもあるということなのですが、もちろんそれは患者さんの同意を得てやっている場合ですとか、それから、疫学的な研究となると、必ずしも患者さんの同意を取らなくて学会に発表したりするというのはあるように聞いていますし、それが一体どこからどこの部分がそうなのかというのを出すのは、センターでなかなか難しいということで、そういった集計ができなかったものですから。
○猿田座長 例えば、成育医療研究センターの場合も、生まれる前のことからあとずっとということを考えると、どこまで。
○祖父江委員 どこまでかミッションかはなかなか難しいですね。
○猿田座長 そうなのです。そういった点でなかなか読みにくい。それから、国際医療研究センターのデータもそうなのです。なかなかそのあたりは非常に難しいかなという感じは受けます。
○祖父江委員 ただ、今後、病院の在り方をどうするかというのがずっと続いています。ですから、その中で、どういう患者さんの、扱いという言い方はおかしいかもしれませんけれども、先ほど言ったような研究とか治験とか、そういうことにどれぐらいコミットしている患者さんがどれぐらい入っているのかというデータは、非常に欲しいなという感じはします。
○猿田座長 ありがとうございます。他にございますか。大体そのくらいのところでございましょうか。なかなか正しい把握は難しいですけれども、一応一つの目安として見ていただければということで、それでは、もし御意見がなければ、議題1はこのくらいにしまして、それでは、続きまして議題2の国立高度専門医療研究センターの組織等について、事務局から御説明をお願いできますでしょうか。
○河内国立病院課長補佐 それでは、資料の説明に入らせていただきます。議題2につきましては、ただいま座長がおっしゃいましたように、前回の検討会の続きということでございます。資料の2-1から資料2-5、及び参考資料1、2については前回と変わりませんが、前回御欠席の委員もいらっしゃいますので、簡単に御説明させていただきます。
 まず、資料2-1をご覧下さい。こちらはセンターの組織についてですが、法人制度の類型はどのような類型が適当か、また、その際に6法人のまま移行するのか、それとも1つの法人に統合するのが適当か、さらに、創薬に関係する他の研究所との統合や機能面による再整理についてどのように考えるか。
 次に、資料2-2をご覧下さい。ここでは、6法人とするメリットと1法人とするメリットを記載させていただきました。
 次に、資料2-3をご覧下さい。NC独法化の経緯でございます。平成17年11月まで遡ります。非公務員型の独立行政法人として個別の法人とするとされましたが、1つに統合した場合のメリットもしっかり検討すべきとされました。2ページ目に移りまして、中段でございますが、国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議の報告書では、各NCごとに法人化する必要があるとされましたが、下段の第42回行政減量・効率化有識者会議では、委員から1法人化することについてのメリット、デメリットをさらに具体的に検討する必要があるとされました。その後は、国会議員各党への説明が行われ、平成20年12月にNC法が成立し、平成22年4月に独立行政法人となったものです。
 次に、資料2-4をご覧下さい。医療や創薬に関係する他の研究所を一覧にしたものですが、研究所の目的は、各個別法から抜粋し、中期目標は医療や創薬に関する部分を抜粋しました。下段のその他の欄にありますように、いずれの研究所も平成26年に他の法人と統合することが閣議決定されております。
 次に、資料2-5をご覧下さい。法人制度の比較についてですが、一番左が現行制度で、新制度となりますと、中期目標行政法人がありまして、また、その中に国立研究開発行政法人があります。一番右に医療関係法人とありますが、これは下の欄外にありますように、現在、国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会において、検討中の内容であるということで、これは参考に付けさせていただきました。センターのこれまでの業務の実施状況ですとか、前々回までの委員の皆様の御意見等を考慮すると、研究開発行政法人でいくのではないかということで、国立研究開発行政法人の欄の文字を大きくした資料ですが、前回の検討会では、類型を決めるのは最大限に議論を尽くして、今後委員の皆様が各センターに期待することが最もふさわしい枠組みはどれかで決めるべきではないかとありましたので申し添えます。あくまでも、これは前回の資料と同じということでご紹介しております。
 次に、参考資料1のセンターの法律上の業務等についてと参考資料2のセンターの概要につきましては、この説明は既に終わっておりますので割愛させていただきます。
 次に、参考資料3をご覧下さい。これまで5回検討会を行ってきまして、委員の皆様の主な意見を掲載させていただきました。1ページ目は「NCの役割、機能、業務について」ですが、「各センターの共通」、2ページ目から4ページ目の上段までは各センター個別のことが書かれております。それから、4ページ目から6ページ目にかけまして、まさに前回、そして、本日議論していただきますことの内容が書かれております。前回の検討会では、ここにも4ページから6ページ目にかけまして書かれているように、アメリカのNIHのことが話題となりました。
 そこで、参考資料4をご覧下さい。これは、今年の3月に当国立病院課が海外における研究等機関調査ということで、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに依頼し、作成していただいたものです。調査の発端となりましたのは、NCのように病院機能を持ちつつ、研究所機能を持っている海外の施設はないのか、あればその比較をして職員数ですとか予算、設立目的、使命、あるいは国がどのように関与しているか等についてまとめまして、今後のNCのあり方について参考にしたかったためです。まさに、この検討会が始まる前にこういう調査をしていましたが、NCと全く同様な組織というのは存在しないというのが表面的な結論でございまして、実際にその比較対象のための資料とはなりませんでした。とはいえ、せっかく調査したので御紹介させていただきます。
アメリカには国立衛生研究所、通称NIHというものがありまして、24の研究所・センター・機関を要する組織で、アメリカ最大の生命医学研究所であるということです。24の内訳は1ページの表にあるとおりでございます。単純な比較はできなかったものですから、あえてNCとNIHの比較表を一覧表にはしなかったのですけれども、NIHの今年度の予算は308億ドル、日本円にして約2兆4,640億円でございます。ちなみに、6NC全体の今年度の予算は1,635億円で、およそ15分の1でございます。なお、NIHは予算の80%を外部機関、外部研究所に競争的資金として提供しております。32万5,000人以上の研究者と3,000以上の機関が支援を受けたとのことです。この点もNCとは大きな違いで、NCは逆に競争的資金を獲得しているという状況です。職員数は約1万7,000人、NCは、6NC全体で6,546人、これは4月1日現在です。
 3ページ目の中段をご覧下さい。こちらに書かれておりますのは、24機関のうち、唯一ベッドを持っているのが臨床研修センター、略称CCと言われる施設でございまして、1,200人の医師、歯科医師、研究者が所属しており、ベッド数550床、NIH内の臨床研究を行うとともに、外国の大学、病院、研究所、企業と契約して研究開発を行っており、若手臨床科学研究者に対して広範囲な研究トレーニングも行っています。NIHの内部の関係がその下の図の表のようになっております。
 次に、4ページから9ページ目までが、NIHの中で一番歴史が古く、予算もNIH全予算の6分の1を占めております国立がん研究所、略称NCIと言われる施設のデータです。職員数が2,300人、附属の研究部門としてがん研究センター、略称CCRを持ち、250人以上の科学者や臨床医が所属しているということです。NCIの予算編成は特殊で、NIH全体の予算と、監督省庁に予算案を提出するのではなく、独自に作成した予算案を大統領に直接提出する権限を持っているということです。実は、この5ページとか6ページ、7ページ、空欄のところがあるのですが、この辺を埋めて、6NCといろいろ比較できたらと思ったのですけれども、必ずしも情報が得られなかったということで、バーになっているところが多々あるかと思います。
 それから、10ページから14ページ、これが先ほど少し触れましたCCのデータです。今年度の予算は5.2億ドル、約416億円ということですので、6NC全体の運営費交付金よりも多い額になっております。使命は、NIHの使命である「人類の健康の促進」を実現するための多面的な臨床研究環境を提供することを使命とし、疾病原因の調査、公共に対し大きな影響力を持つ疾病やまれな疾病に対する先進的な臨床実験の実行、最先端の診断、予防、治療法等の発展、研究者の育成、臨床研究が倫理的で効果的、また、高水準の科学的成果を伴うよう、保証等を主な活動として実行することとしております。また、主要な研究課題を定め、公示し、クリニカル・トライアル(臨床治験)に適合した患者を選択している。臨床センターが公示している文書には、「患者の病気や健康状態はNIHが進めている特定研究課題に適合したものでなければならない」との規定があります。通院患者はいますが、通常の病院のような紹介状のない外来患者は受け入れない。入院治療を受ける患者は年間7,000人だが、治療研究契約に基づいてNIHが指定したプロジェクトに参加している患者数は7万8,000人以上に上るということです。
 15ページから最後までは、国立心肺血液研究機関ですけれども、時間の関係上、説明は省略させていただきます。説明は以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。前回の検討会で出た、例えば1つということであると、余り似たところはないけれども、NIHの状況は調べていただくのがいいだろうということで、今、御説明いただきましたような形でお調べいただいたということです。前回の議論では、先ほどの資料にありました1法人か、6法人かという議論をさせていただきましたけれども、その紙を中心に、今御説明いただいたことを含めて、どうぞ活発な御議論をいただければと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。先ほどの資料2-2でございます。前回も使いましたけれども、6法人とするメリットと1法人にするメリットのまとめが出ておりますけれども、これを含め、今のNIHのことも含めて御議論いただければと思います。
 どうぞ、福井委員。
○福井委員 これまでの議論で出てきたか分かりませんが、6つのナショナルセンターの横の連携について、例えば定期的に話し合いが持たれていて、一緒になることのニーズを関係者の間で認識されているのでしょうか。
○猿田座長 それはよろしいですか。あるいは、実際に色々な協力も度々やっているのですけれども、全部が一緒になるということはなかなか議論は、どうですか。
○福井委員 つまり、今、別個に運営されていることで何か不都合があるとか、そのような議論がこれまでに責任者のミーティングなどで出てきたことがあるのかを伺いたいのですが。
○猿田座長 そのあたり、お願いできますか。
○河内国立病院課長補佐 総長会議というものを大体3か月に一回やっておりますし、その他に研究所長会議とか、事務方の総務部長会議とかも頻繁に行ってはおるのですが、実際に今のお話で、6法人が1法人になるとか、そういった話は当然出ていないと思いますし、不都合というようなことについても、厚生労働省として把握しているのでは、そういったことはないというふうに感じております。
○松尾大臣官房参事官 補足しますけれども、先ほど御説明しました資料2-3の独法になった時の経緯の?のところですが、19年7月の有識者会議の報告書をもとに、実はこれらの報告書を読んでいただいた上で、結果的には個別の法人で運営していくというところからスタートしたものですから、今、御紹介しました総長会議では、1つの法人になるということよりも、いかに各NCが連携できるかという議論はございますが、1法人の方がいいというような御指摘はまだいただいておりません。
○猿田座長 ありがとうございました。私が伺っているところでは、例えば人事の問題で事務系の色々なことであるとか、あるいは色々な物品の仕入れの問題であるとか、そういったことをうまく少しでも無駄なくやっていければということで色々な話し合いをしているということは伺っております。
 どうぞ、祖父江委員。
○祖父江委員 このNIHの資料についてちょっと教えていただきたいのですけれども、なかなか比較は難しいということはそのとおりのような感じがしましたし、内部へのお金と同時に外へまいているという部分があって、なかなか評価は難しいと思うのです。例えば、国立がん研究所の予算の内訳を9ページに書いてありますけれども、先ほどの日本円にして大体4,800億円が、内訳を見るとほとんど研究的なことに使われているような感じがするのですが、メンテナンスとか人件費とか、NCで使われているような使い道とちょっと違う感じがするのですが、これを見ると、リサーチプロジェクトにほとんど全てが使われているという感じがするのですけれども、その辺の中身をもうちょっと御説明いただけるといいなと思いました。
 日本のものですと、研究費というセグメントとアメリカでの研究費のセグメントが比較できるといいなと思ったのですけれども。
○土生国立病院課長 私ども、現時点では、きょうお示ししました資料以上に深く情報を持っているということではございませんので、委員の御指摘にどの程度答えられるかというのはあるのですけれども、この資料を見ていただきますと、私も若干、かつて仕事でかかわったこともあるのですが、基本的にはNIHは国立の研究機関ということでございまして、当然、内部の研究者のために研究費をつぎ込むという性格もあるわけですけれども、1ページでごらんいただきますとおり、資金的に見れば、むしろ8割が外部にグラントとして提供しているということでございますので、そういう意味では、研究所と、日本で言いますと行政の役割というものも一体の性格を持っているということは1つ言えるのではないかということでございます。
 先ほど説明の中で申し上げましたとおり、病院部門というのも持っておりますけれども、そこは、むしろ1つに集約をされていて、CCという略語で出てまいりましたけれども、臨床センターというのが基本的には1つに限られておりまして、若干もう一つ小ぶりのものもあるという情報もありますけれども、基本的に患者さんも、むしろNIHの側が選択をして治験に資する方だけを医療として提供しているということですので、そういう意味では、先ほどNCの方の病院機能の資料もごらんいただきましたけれども、研究機関としても、あるいは病院の機能としても、相当全体の立て方が違っております。それによりまして現実の予算の配分も、例えばがん研究所というのを見ましても、一番大きいところは外部への研究費、次いで内部での研究費で、そのほかの費用がその他の予算に使われている、そういうようなことになっているのかというふうに事務局の一つの学習の中では思っておりますけれども、もしほかの先生方の中でもう少し突っ込んだ情報ですとかがあれば教えていただければありがたいと思います。
○猿田座長 一番違うところは、病院のやり方が全く違いますから、NIHで使っているベッドというのは、より最先端の研究に使うという形で主にやっています。NCの方は各センターでしかできないような医療を色々と行っているので、NIHの病院とは違うと思います。
○福井委員 日本では、研究費で研究者の人件費は出せないですね。NIHのグラントの中には研究者や支援スタッフの労務費、人件費が全部含まれていますので、純粋に日本で言う研究そのものに使っている費用との比較は同列ではできないと思います。
○猿田座長 どうぞ、御意見をいただければと思います。人数的な面、お金の面、組織の面とかかなり違うものですから、余り比較にはならないのですね。ただ、1つずつ考えると、日本が将来こういったことを目指すのかどうかというと、よほど国としてしっかり考えたものでいかないと、なかなか大変な問題であると思います。国がしっかり考えて協力してやっていかないと進まないと思います。せっかくの機会でございますので、御意見をいただければと思います。
○花井委員 資料の関係ですけれども、NIHでこういうことを行っているという内容を出していただいたのですが、病院のありよう自体が違うと、今のように比較もしにくいと思うのですけれども、医療制度から言うと、EU圏では日本と似たような国もあると思うのですけれども、そういったところもこういったイノベーションや臨床研究は国の関与の仕方というのがちょっとあれば、もしかしたら、素人っぽい発言ですけれども、例えばイギリスとかドイツで政府はどのように研究に対して支援しているかとか、国立の機関というのがどのような形になるかみたいなものがちょっとあると、もしかしたら参考になるかもしれないと思いました。
○土生国立病院課長 実は、この委託調査では、アメリカ以外にフランス、ドイツ、イギリスも調べさせていただきましたが、率直に言って、余りここでの議論に参考になるかというのはありまして、これまで、先ほど補佐の方から申し上げた経緯で、あえてその資料としてはお出ししなかったということですが、もちろん何か隠し立てするようなものではございませんので、そこは改めて整理をして提供させていただきたいと思います。また、率直に言いまして、やはりそれぞれの国のやり方というのは、ちょっと違いは色々な面でありますので、なかなか一覧表にして、こことここがという感じにはなかなかなりにくいということだけはあらかじめ申し上げさせていただきたいと思います。
○猿田座長 他に御意見ございますか。どうぞ、近藤委員。
○近藤委員 まず、アメリカというのが極めて戦略的な国です。FDAもそうだし、NIHもそうだし、CDCもそうだし、国防に直結しているわけなのです。つまり、国民の為に病気と闘うことは国防の大きな要になっているわけですから、それに向かって最も効率的な仕組みを作ってあると僕は理解しているのです。
 ところが、日本のナショナルセンター、PMDAも含めて、必ずしもそういう国防という感覚ではないのかと思うのです。PMDAは国防的な感覚で少し整理していこうかなと思っているところでありますけれども、日本のナショナルセンターについては、元々がんの治療が遅れていたとか、循環器の治療が遅れていたとか、それを追いかけて先進国に向かっていく体制として作り上げた仕組みだろうと思うのです。ですから、今日まで非常に大きな活躍をして、信頼を得ていることは間違いないと思います。
 ただ、こういう特定の疾病の治療だけを目的とした病院を中心とした機能についてですが、現実的には多くの大学とか、他の専門的な病院でもその機能やレベルについては共通化されて、すでに全国的に分散しているのだろうと思うのです。ですから、この時代にこういう病院として集中する機能が必要かどうか。一部であっていいかもしれない、無くすことはないと思いますが、やはりNCなどは研究中心で物を見ていかなければならないのだろうと思うのです。それはなぜかというと、これから戦略的に日本の医療機能、医療全体を含めて、イノベーションしていかなければならないし、臨床的な研究で中心になっていかなければならないのは、国としての役目はNCにあるのだろう。もちろん、自発的な色々な研究は大学がしているわけですけれども、戦略的な医療はNCにかかっている。そうした時に、僕は前から申し上げていますように、NCが1つになる必要があるかどうかは別として、研究面でのインテグレーションは強化していくべきだろうと思うのです。ですから、今後、その意識を高めていく必要はあると思います。そこで、それをどういう格好で高めるかというのは、皆さん方の英知を集めたいと思います。
○猿田座長 非常に重要なポイントで、実際、今まで各ナショナルセンターが作られた経緯を見ても、がん研究センターができて、今度は循環器病研究センターができた。さらに、今度は成育医療研究センターと、そういう形に本当に国がしっかり将来まで見据えた形で、ナショナルセンターがどれだけ必要で、どう作ったというところではなく、五月雨式にできてきたという感じでございますから、そういった点は、今まで作られた経緯を見ると問題があります。これからは、もう少しちゃんと日本全体としての方向を考えなければいけないのだろうと思います。おっしゃるとおりだと思います。
 どなたか御意見ございませんでしょうか。こういうものはなかなか難しい問題なのですね。大切なことは、今この状態でどういうふうにしていったらいいかということは、この検討会として絶対出していかなければいけない重要な点と思います。ですから、そこが先ほど資料2-2でありました6つの状態でのメリット、1つの状態でのメリットで、これも頭に入れながら、今後どういうふうに持っていくのがいいのか、この検討会としてのまとめをしていかなければいけないと思います。ぜひ活発な御意見をいただければと思います。永井先生、御意見はいかがですか。
○永井委員 非常に難しいところですが、やはり日本とアメリカの違いというのは、分散しているかどうかということと、臨床にどのくらいウエートを置いているかですね。医療の状況というのは国によって違いますから、この臨床のところは、それぞれの国に合った方向で行くしかないのだろうと思います。今、大学病院も随分自主採算というか、独立するようになってきましたから、この6つのセンターが、まずしっかり臨床を独自に動かせる、その代わり自由度を与えて独立していく方向をきちんと見据えていかないといけないのではないかと思います。独法化後も色々な人件費の制約等がありますので、まだ自由度は十分得ていない、したがって十分に自立もしていないという感じがします。開発については、もっと頑張っていただかないといけないので、これはしっかりと保護も必要ですし研究費の配分を考える。また、知財の問題を含めて、もっとリーダーシップを発揮して、日本のTRのパイオニア、リーダーとなるように各ナショナルセンターは求められるのではないかと思います。
 したがいまして、臨床の問題というのは国によって違いますし、なかなかこれを切り捨てるのは難しいのではないか。むしろ自立できる道を探って、また自分たちでも努力ができるような体制を作ってあげるということが大事ではないかと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。どうぞ、祖父江委員。
○祖父江委員 今の御意見に賛成なのですが、何をやるのかということが、ナショナルセンターは議論があるようでなかなかないと思うのですけれども、今話が出ましたように、今までの流れから言うと、そこへ行けば最高の医療が受けられるという、いわゆる先進医療的な部分からずっと来ているというのが1つあります。
 それから、最近、このイノベーティブなことで、今ちょっと話が出ましたが、開発研究の拠点としてイノベーションをやっていくということがもう一つあります。僕がこの前も発言させていただいたのですが、非常に大きな、これは厚労省の機関だということもあって、例えばがんならがん、循環器なら循環器、あるいは認知症なら認知症を全国スケールで統括するというか、統括という言葉がいいかどうか分かりませんが、非常に大きなコホートを国レベルで統括するところというのは、今、大学はなかなかその力が出ていないのです。ですから、これを疫学的な意味も含め、コホート研究的な意味も含め、あるいは現状把握、政策医療に結びつけるという観点も含めて、ナショナルセンターの非常に大きなミッションではないかと思うのですが、NIHのこれを見ると、必ずしもNIHはそういう疫学的なことは、僕の印象では余り得意ではなくて、むしろアメリカではそれを大学がやっているという感じがしているのですが、日本では、大学がなかなかそういうところまでいっていないので、むしろこういうところに集約してもっとミッション性を出していくというほうがいいのかと思っているのです。何をやるかということは、もうちょっと議論する必要があるかと思ったのです。
○猿田座長 ありがとうございます。非常に重要な点だと思うのです。やはりやるとすれば確かにナショナルセンターで、かなりがんは一応できていますからね。
○永井委員 今、最高の医療ということを言われたのですが、必ずしもそうでもないと思うのです。これはなぜかというと、今、高齢者で合併症が増えてきてしまって、例えば心臓が悪くて、糖尿病があって、消化器に病気を持っていて、さらに肺がんがあったとか、これは縦割りの臓器別のセンターではできません。それを求めるのであればジェネラル・ホスピタルが付随していないとできないわけで、そういう方向を目指すのか、むしろそうではなくて、もう特定の守備範囲のところで最高の医療をするというふうにしませんと、何でもかんでも最高の医療といったら非現実的だろうと思います。その辺の整理ももっと必要ではないかという気もします。
○祖父江委員 先生の言う意味で、むしろ、がんならがん、あるいは認知症なら認知症の、最高かどうかは分かりませんけれども。
○永井委員 ですから、がんでも合併症のないがんとか、糖尿病、心臓の悪くない人のがん、何歳から何歳までのがんとか、そういうふうにならざるを得ない、現実にはそうされているのです。非常に複雑ながんは大学病院の方に送られてきますし、心筋梗塞が起これば、すぐに大学病院が対応します。もう一つは、むしろタイアップの仕方を考えていくというのも大切です。
○猿田座長 ですから、今、がん研究センターは慌てて、そういう色々な合併症を持った人がいるから、そういう部門を作っておかなければ手術を受けられないということになって準備しています。
 他に、どうぞ。
○おおたわ委員 私は、逆に患者様の立場である方に伺って、例えば、仁科委員にちょっとお聞きしたいなと思うのは、実際、病気になられた、今後、もし御家族が病気になられたとして、がんのようなものになったとします。その時に、今後、ナショナルセンターがもっともっと研究によっていった施設に変化して、今は研究という部分と臨床という部分の非常に綱渡りのような状況の中で、ぎりぎり何とか保ってきている状態なのですけれども、より研究色の強い団体、施設に変わっていったとします。そうなったときに、例えば患者様は、それでも研究色の強い、研究材料になる可能性の高いナショナルセンターを選ぶのか、もしくはお近くの国立病院で優秀ながんの先生がいるというところがいれば、どちらにかかりたいと思いますか。究極はそういうことなのだと思うのです。今の直感のイメージだけでお答えいただいて大丈夫です。
○仁科委員 とても難しい問題だと思いますけれども、私としては、大学病院、その他国立病院にしても、研究の協力はしますという署名はしますから、ナショナルセンターに限らないと思うのです。なので、それは個々の意識の問題であるから、区切ることはできないと思います。例えば、私が選ぶとしたら、私が信頼できる先生であったり、話を聞いてくださる先生であったり、人間同士のことですから何となくフィーリングが合う、合わないもありますでしょうから、そこでナショナルセンターと国立病院と普通の大学病院という区切りではないかと思います。
○おおたわ委員 分かりました。ありがとうございます。患者様がみんな仁科委員のように物分かりのいい、インテリジェンシーな方ばかりであれば、我が国は全く苦労がないわけですが、実際、大学病院でも研修医に診察されたといってクレームが1日に何十件来るというのは現実問題としてあるわけです。若手の医者が採血して失敗したといって、夜中に何度も電話がかかってくるというのが現実なのです。その中で、実際、例えばNCでなければできない治療が、日本でそこでしかできないというのであれば、例えそれが自費であっても、研究材料とした感覚が強くても、そこでしかできないということであれば、それは譲れない点として選択肢に挙がってくる一つの動機付けになるとは思うのです。
○仁科委員 患者にとって、ここではだめだとか、新しい治療方法とか手術の方法が何らかの小さな情報でもあった場合は、多分、終末期になった場合は、そちらを選択する人は多いと思います。それが研究の中の一環であったとしても、何か希望が見出せるのであれば、そこは多分すがるのではないかと思います。
○おおたわ委員 ありがとうございます。
○猿田座長 おおたわ委員がおっしゃったことは、これからどう持っていくかというのは非常に重要な点で、NCとして、国としてはかなり研究、研究と言いましたけれども、もう一つ、やはり臨床面も非常に重要なのです。ですから、これからどういうふうにやっていったらいいかということをこの検討会として示さなければなりません。
 まず1つは、1つにするか、6つでいいのかということはもちろんありますけれども、それともっと重要なことは、本当に研究をどのくらいどうやっていくのか、あるいは臨床をどうやっていくのかということで、今までナショナルセンターというのは、例えば、私は成育医療研究センターを作る時に2つ言われたのです。本当の最先端の研究をすることと、ここへ行ったら絶対に専門的な本当に難しい治療をして下さる。その一つが、例えば小児の肝移植は、今、世界で一番やっています。ああいうことは本当に大切なことであると思います。各センターがどういうふうに持っていくか、それだけの自覚をしてもらわなければいけないし、ただ、この検討会としては、そのウエートをどうしていくかということは、ぜひ決めなければいけないと私は思っています。
 どうぞ、佐々木委員。
○佐々木委員 先週、岩手県の盛岡で岩手がんフォーラムというイベントがあったのです。たまたま行ってまいりまして、びっくりしたのは、そこで地元の患者さんが乳がんで放射線治療を勧められたのだけれども、放射線が怖くて、放射線治療を受けたらいいのか、どうしようかと、そういうお話がごく当たり前にされているのです。ここでこれだけ高度なお話を皆さんでやっていますけれども、実際、日本の地方ではそういうレベルなのです。ですから、国民の半分ががんにかかると言われているがんを、治せるがんをどうやって治していくのか。このナショナルセンターが本当に最先端の医療技術の開発をしているのか。例えば、がんで言えば、放射線治療で言うと重粒子線という一つのジャンルがありますけれども、ここでは持っていないのです。放射線医学総合研究所、あるいは兵庫、群馬大に行かないとない。ですから、本当に最先端の医療技術を開発するのであれば、ここでやるのか、あるいは放医研とどういうふうな連携をしていくのか、それをどうやって伝えていくのかということが、まず考えられなければならないだろうと思っております。ですから、このナショナルセンターで最先端の医療技術を開発していくのか、あるいは、今あるものをもって患者さんを治していっているのか、その辺のすみ分けがよく見えないと思います。
 もう一つの問題というのが、医療というのがそもそもこういった議論の中では、お医者さんのため、あるいは病院のためという視点にどうしてもなってしまう。我々は患者のためにそういったものを動かしていってほしいと願うわけなのです。ところが、一つの病院に行って、セカンドオピニオンをもらいたい。日本の中では一番嫌われてしまう。私のところを信じないのですかと。他に行けないわけです。仮に他に行くと、またゼロから画像診断して、検査をして、一通り全部検査しないとセカンドオピニオンがとれない。仮にそういった画像データなり、カルテなり、患者のものであったら、自分のデータを持ってほかの病院に行けるわけです。そういったことすらやっていないということは、どれだけ多くの検査費用が無駄にかかっているかということにもなる。やはり、医療費をいかに抑制するかということを考えれば、そういったことも研究する部署がなければならない。
 ですから、先ほど病院はどこを選ぶか。岩手がんフォーラムでも病院はどこを選ぶかというのがテーマであったのですけれども、客観的に患者が病院を評価するすべがない。客観的な病院の評価というのは公表されていない。週刊誌とか雑誌とかありますけれども、生存率の高いところは重篤な患者は受け付けなければ高くなるわけですから。そういったのも患者にとって欲しいデータだと。それをどこでやってくれるのか。そういった医療というのは、ただ単に医療の技術を開発するだけではない。本当に患者のための医療がどうあるべきか、というところを考えていただけるような機関が欲しいと願っております。
○猿田座長 今おっしゃられたことは、かなり色々な機関ではそういう方向へ向かっているのですけれども、まだ不十分なところがあって、特に広報の問題、どれだけの実力を持っているか。それから、特に医療費を無駄にしないようにセカンドオピニオンに全部データを出せるように、今は随分変わってきているのですけれども、まだ浸透していないということで、そういったことは非常にこれからの、特にナショナルセンターを進めていくときに、そういった面はぜひともオープンにしていかなければいけないと思うのです。これでもかなり努力はしているのです。
 どうぞ、花井委員。
○花井委員 これまでの中で、今の御発言は非常に重要な発言の1つだと思います。先ほど、患者の立場での良い病院という議論がありましたが、恐らく日本のナショセンは、いわゆる医療格差、つまり欧米との医療格差を埋めなければいけないというミッションがまずあったということだと思うのです。では、その医療格差というと、先ほどがんの患者さんを例に挙げていましたけれども、ドラッグラグという問題があります。欧米で使えて、普通のスタンダードのラインで使えるものが使えない、これは明らかに格差なのですけれども、がんのドラッグラグという問題もありますし、幾つかはあるのですけれども、いわゆるそういう部分については、欧米と日本の医療の格差というのはほぼなくなりつつあります。日本の苦手なところは、ケアと合体した、すなわち合併症もあり、在宅ケアとか、北欧とかの比較では極めて遅れていると思います。しかしながら、いわゆる臓器ベースとか疾病治療というクリアカットな部分については、格差はほぼ埋まっている。
 そうした時に、先進的と簡単に言いますけれども、欧米並みという言葉では言えなくなっているわけだから、ナショナルセンターが受け持つ医療というのは、どの範囲なのかというところをここで決めないと、日本は皆保険ですから、ある程度エビデンスが挙がったものは保険で対応するのだから、保険で医療についてはかなりのレベルをカバーしてしまうわけです。かなり日本の保険はカバー率が高いので、例えば保険でカバーしている医療行為であっても、どこでもできないような高度なものもカバーしているわけです。その部分の整理もあるし、だから、ナショナルセンターでここに行けば助かる。エイズの例で言えば、ACCを作ったのは最後の命綱の砦である。つまり、ある種、国内での医療格差を埋めるというミッションと、最後はそこに行ったら救われるということでありましたけれども、十何年たちまして、今は同レベルの、つまり最先端の医療は、少なくとも8ブロックの拠点でも十分提供されている。つまり、国立病院機構の病院では提供可能で、ACCと比べて遜色あるとは到底思えない。つまり、ほとんど同水準か、それ以上の医療を提供可能になっているわけです。そうした時に、エイズに関してはACCのミッションは何ですかと問われるわけです。そうすると、今度はアメリカ、ヨーロッパも含めて、さらに先の先端研究ができるかということになるのであって、そうするとACCの位置付けも変わってきて、先端医療はこういう部分、それから、研究部分というふうに丁寧に見ていかないと分からない部分が出てくるのではないかと思います。
 紹介率、逆紹介率というのが今は問題になりますけれども、逆に言えば、ナショナルセンターの場合であれば、むしろ開業医からの紹介率、逆紹介ではないわけです。ある種、国立病院機構から紹介され、国立病院機構に帰っていくとか、そういうレベルで逆紹介、紹介というのがナショナルセンターの場合はあるべきでしょう。でも、やはり長寿医療研究センターなんかでいえば、医療のカテゴリーからすれば、地域の後方支援的な役割も果たしている。それは十分おやりになられて非常に結構だと思うのですけれども、しかし、ここで整理するのであれば、ある種、臨床をばっさり切ることはできないという永井先生のおっしゃることに私は賛成ですけれども、やはりどこでもできる臨床もある程度整理してしまうと、結局何も変わらないということになるので、もし病院機能であれば、そのミッションを国民の視点、患者の視点から見て、診療に関しては何をしろということをここで議論して、クリアにして診療部門はこれというふうにする必要があるのではないかと思いました。
○猿田座長 貴重な御意見、ありがとうございます。近藤先生、何かございますか。近藤先生が随分頑張ったから、確かにドラッグラグとかデバイスラグも少なくなったということは事実でございますので。
○近藤委員 一言述べさせていただきますと、花井委員のお話にも関連しますけれども、やはりHIVに対する我々も昔一生懸命やった時がありますけれども、ああいうミッションが明確な仕事というのは、これからも非常に重要だと思うし、ですから、例えばがんもそうだろうと思うし、明確にして、色々なテーマがいっぱいあるだろうと思うのです、循環器だってあるだろうと思うし。その明確に夢を置いた計画をどんどんそれぞれのナショナルセンターが作ってもらって、より先端のことを考えていただいて、それを実現していく方向に、例えばアルツハイマーなんていうのは、まだまだ国民の満足度は低いですね。ああいったものをどこら辺まで持っていけるものにするかとか、お医者さんや研究者のレベルで、バラバラではなくてしっかりとチームを組んでやると、国民目線から見ても頼もしいなと思うわけで、やはりHIVのときの僕の経験から言うと、ああいうテーマを決めた仕事はなかなか気持ちのいいものであろうと思うので、夢はどんどん志を高くして作っていくと、ナショナルセンターでやることは一杯あるのではないかという気がします。ちょっと思い出して言いましたけれども。
○猿田座長 他に御意見。どうぞ、手代木委員。
○手代木委員 私も花井先生の整理の仕方は、口幅ったい言い方ですけれども、とても近くて、やはり国民皆保険というのは非常に優れてはおりますけれども、世界の中でも非常に特殊な状況なので、その下で健康保険で償還されるような治療をプライマリーにナショナルセンターでやるのか、やらないのかというのはとても大事なポイントだと思います。いわゆる、カバーされないものというのはどういうものなのかというのを一個一個定義していくと非常に難しいことにはなると思うのですが、でも、やはり国立病院機構、あるいはその一般の公立という、都道府県立であるとか、市立みたいなものにも病院はありますし、そういったところでやれることとナショナルセンターでやる治療というのはどういう分類かというと、一般の総合病院にかかられる方とは違うものなのだろうと思います。
 それから、開発研究についても、これは参考資料3の今までの議論の中でも、各センターともに、特に研究部門の人件費であるとかトータルの費用をどの程度にするのかというのは、ナショセンで全体的な収益みたいな枠の中では、例えば人件費もカットであるとか、開発研究にかかわるような研究者もどのレベルの方々が継続して雇い続けられるのかという問題もございますので、そこは収益と切り離せといったらまた怒られますけれども、そこでないとなかなか最先端の研究を継続していくのは難しいのだろうと。それをやらないのなら、大学であるとか国立の別の研究所でそちらはやるというのならばそれでもいいのですが、疾患特異的な研究をここでやるのだということであれば、それは一定のお金で、余り採算ばかりに追われないような形でやらないとできないだろうと。
 あとは、祖父江先生がおっしゃっておられるコホートみたいなやつは、確かに大学の場合には、残念ながら地域性があるのでどこが中心になりますというと何かと問題もおありになる場合もあるだろうから、そういう時にはここが中心になって、日本における疫学であるとか、そういったことを提供することで医療の発展に尽くす。
 そういうことからすると、治療の部分と開発研究の部分とそれ以外の部分と分けて、ナショセンがどの部分を今後プライマリーにやっていくのかというところが議論のポイントなのかと思っています。
○猿田座長 ありがとうございます。1つ言えることは、結局、日本の事情を考えると、今の研究のことと、ナショナルセンターの臨床のこと、この2つをうまくやっていかざるを得ないだろうと思うのです。それをどういうふうにやっていくかということを、この検討会である程度の方針を示すことができればと思います。日本の場合は、日本としての特徴がございますから、研究と臨床と両方をどういうふうにやっていってもらうかということが大切です。
 永井委員、どうでしょうか。
○永井委員 あるミッションにのみ特化しているということだと思うのですが、ただ、医療というのは採算が取れるものと採算が取れないものがあるのです。それをトータルして何とかバランスを取っているわけで、不採算のことだけをしていた時に、果たして日本の医療提供体制あるいは皆保険制度の中で成り立つかという計算もしてみる必要があると思います。恐らく採算の取れるようなこともしつつ、それを不採算のより研究的な医療に回しているというのが現状ではないかと思うのですが、それは近藤先生がお詳しいと思いますが、いかがですか。
○近藤委員 一番端的な例で言うと、お薬の使用量がお子さんは3分の1とかなると、大体1人の患者さんを見ていても、その部分は物凄く低くなってくるわけで、これもおかしな話かなと前から思っていたのが話の一つであります。
 いずれにしろ、国民皆保険はいい制度に違いないと思うし、多くの製薬企業だって、医療機器産業にとっても非常に大きな支えになっていることは間違いないと思います。
 ただ、今は国民皆保険に甘えている状況が多少はあるのかなと、国民が非常に恵まれた状況にあることは間違いないです。やはり日本初の医薬品、医療機器を育てる同時に大事な母地でもあるわけだから、それをただ優れた医療をやっているというだけではなくて、開発を支援するというのも大きな役目の一つかなと。
○猿田座長 それは物凄く重要で、ナショナルセンターのベッドの使い方が重要で、やはりある程度のベッド数を持って、最先端の研究をそこでできるようにしないといけないと思います。立派な基礎をして、そこのセンターのベッドで臨床研究ができることが大切と思います。
 どうぞ。
○花井委員 先ほどの発言の追加的なものなのですが、もう一つだけ患者の希望的な観測で、手代木委員にも聞きたいのですけれども、何かの検討会で御一緒になったがんの患者さんの話で、要は治験とか研究レベルでも患者は効くかもしれないという希望だけでもいいのだと言い切っておられたのです。それは、ある種、言葉のあやだと思うのですけれども、治療法が今後何もないという時に、このような研究がなされている。治験も一緒ですけれども、それにアクセスしたいと思うのです。では、どこでそれに乗れるのか。もちろん、それはプロトコルに自分が当たらなかったらはじかれるのですけれども、それを一覧で検索できたらいいというのをずっと僕は言っています。民間の治験は、余り公開的にやり過ぎるとちょっとというのがあって、そういう御意見も出たようなのですけれども、やはりナショナルセンターでの研究というのは、患者から言えば研究も医療も同じになって、私は人体実験をされたいですという患者はいませんが、何らかの治療というエビデンスはないけれども、それに懸けたい、もしくは懸けてもいいというところにあるわけです。変な話ですが、患者から言えば、研究も治療になるわけです。そこをちゃんとナショナルセンターが、例えば、このような研究をやっていますといえば、全国からやってくると思うのです。がんではちょっと進みつつあるのかもしれないけれども、全体の疾患でそういう枠組みをぜひやっていただきたい。本当に色々な情報はネットで多くありますが、半分以上は嘘なわけです。その時にちゃんとオフィシャライズされたところで、先端医療というのも研究の部分ですが、そういうところをかなり期待します。
○猿田座長 今おっしゃったことは大切なことです。ですから、この前一緒になった高度医療、先進医療では、できるだけそのあたりをオープンにさせて、少しでも患者さんに、どこまでいっていて、どういうことをやっているのだということを分かるようにということで、厚生労働省からすぐ決まった途端に全部オープンにしているわけです。
○花井委員 高度医療はすぐオープンになりますね。
○猿田座長 そういう形にして皆さんが分かるようにしています。
○花井委員 それでも、やはり聞くと、高度医療であってもなかなかアクセスできない患者さんがいるのです。私の患者会グループは、移植してもウイルスは消えないので予後がそんなに良くない肝がんの患者さんが非常におられて、毎年10名余りはうちのグループでも亡くなっています。臨床研究に関しましては、患者さんは色々なことをやっておられるのです。もちろん、これはというのもあるのですけれども、しかし、それをある大学ではやっているのに、エイズセンターなりブロック拠点病院では何でこれをやってくれないのだという意見があります。しかし、それをやっていいかどうかは今研究している境で分からないわけです。そうすると、そういう研究にアクセスするということは、これをやれば治るよとは言えないけれども、しかし、患者さんがそれを見付ければ、もしかしたら患者さんがアクセスするかもしれないというふうになっていなければいけないですが、それもなかなか難しい状況にあって、そういう部分もナショナルセンターが全体として担っていただけると、しかも民間の治験とも連携してやっていただけると、それは国民のニーズに当たるのではないかと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。どうぞ。
○近藤委員 ちょっとアグレッシブな話をさせていただきます。恐らく手代木委員なんかは物凄く自信を持っておられると思いますけれども、日本は物凄くシーズの開発の進んだ国だと思うのです。世界第2位か3位かという医薬品に関しては、元々凄く発達していて、医療機器に関しても同じだと思うのです。ただ、それらが日本国内で物になっていないというのが一つあって、多くの場合、言われていることが、日本での治験が何かやりにくいのがあって、外国でやった方が早くそのものになるような雰囲気がありまして、実は、私たちが今考えていることは、そういう日本初の医薬品であるとか医療機器を世界に提供していかなければならない義務というか、夢があると思うのです。ですから、そういうことをどんどんできるような体制というのは、治験の体制であるとか、臨床研究の体制をしっかり作っていかなければいけないわけです。それは、元々見てみますと、日本は人間というのを物凄く尊重している国だと思うのです。ですから、案ずる以上に、日本は患者さんのことを大事にして物事を開発しようとしている国でありますから、ぜひそれなりのナショナルセンターが音頭をとって、そういうところを国民の信頼のあるような形で治験を進めていくという体制を作り上げていってほしいと思うのです。ですから、6つのナショナルセンターがバラバラというのもいいのですけれども、もっと大きな志を持って1つにまとまるような格好で、要するに救国というのですか、救国戦線を作って欲しいなと思っております。
○猿田座長 ありがとうございました。他に御意見ございませんか。どうぞ、祖父江委員。
○祖父江委員 先ほどの議論もそうなのですけれども、例えば、独法評価委員会で私が担当させていただいたのは、精神・神経医療研究センターと長寿医療研究センターですが、未解決の問題をそこで疾患オリエンテッドに、インテンティブにいつもやっているという状態は、なかなか大学病院とかでは得られない環境だと思うのです。ただ、よく考えるとTRとか日本の治験の開発、あるいは開発研究というのも、TRとか中核病院というのがあって、これは結構大学オリエンテッドでやられています。ですから、このナショナルセンターと大学病院、中核になるナショナルセンター以外の病院とどうやって区別していくのかということになると、精神・神経医療研究センターであれば精神神経疾患に特化してそればかりやっているという、それがいいかどうかは分かりませんけれども、そういう環境を持った場があるということが、他のところではない非常にメリットだと思うのです。ですから、そこからどういうミッションを考えるのかということを振り絞って考えないといけないのではないかと思います。
○猿田座長 おっしゃるとおりで、あと、やはり非常に重要なのは、日本全体が連携をとることです。大学と連携をとり、それから、大きな病院と連携を取る、これが一番大切なことです。ですから、これからの病院の進め方、研究の進め方に関しても、一番重要なことは、連携を取っていなかったら全く意味がないのです。おっしゃるとおりだと思います。
 どうぞ、仁科委員。
○仁科委員 花井委員の発言にというか、私の患者としての気持ちなのですけれども、患者にとって、どこの病院が黒字だとか、どこの病院が赤字だというのは全く問題外のことであって、それ以上に、どこの病院が何の専門かというのが非常に知りたいところであるから、正しい情報をもっと提供した上で、ナショナルセンターは臨床の部分では逆に一本化してしまうと、専門的な部分が希薄になってしまいかねないと思うので、臨床は臨床として今の専門としての役割を果たしていただけたらと思うのです。ただ、研究とか開発については、経済的に格差があってはならないと思うので、国がもうちょっとリーダーシップをとっていただけるような関連性を持って、定期的に情報交換をするとか、国の支援とか管理、統括する何か部門とか人材という部分を作るとか、そういった意味で人事とか資金とか、医薬品の共同購入とか、それと組み合わせて医療費を削減できるような仕組みも組み立てていったらいいのではないかと思うのです。
○猿田座長 昨日もがんに関するテレビを見たのですが、要するに、正しい情報がしっかり伝わっていないですね。ですから、私どもがいかに正しく広く広報していくことが物凄く重要だと感じております。今おっしゃったことは非常に大切なことだと思います。
○仁科委員 今、ネットとかPCとかが凄く盛んですけれども、御高齢の方はそういうことにアクセスするということも無理だと思うのです。それをもう少し一般人の方が理解できるような方法も必要ではないかと思うのです。
○猿田座長 ありがとうございます。貴重な御意見を賜りました。どうぞ。
○佐々木委員 本質論ではないのですけれども、13年前に治験を受けた患者の一人として、その時の感想ですが、実は唾液腺の復活を目指した新薬の開発ということで治験を受けたのですけれども、その治験の期間の1年間全ての検査とか治療とか、それこそ病院にタクシーで行けば、そのタクシー代までみんな開発の製薬会社が払ってくれるというのです。びっくりしました。1つの薬を作るのに何百人の治験者を集め、その経費を払っているのか。実は、その時は明らかな優位性が認められなかったということでその薬がボツになってしまったのです。我々はただのボランティアで手を挙げたのですけれども、そんなところに経費がかかっているのか、薬が高くなるわけだと思いました。開発したのがみんな新薬で認められればいいけれども、そうやってボツになる薬がどれだけあるか。その経費がみんな認証をとった薬に上乗せされるわけですから、これは誰のためにもならない。やはりボランティアで手を挙げてもらうような仕組みを考えたらどうかと。今回の話では全く本質から外れていますけれども。
○猿田座長 ありがとうございます。何かございますか。手代木委員。
○手代木委員 佐々木委員がおっしゃるとおりでございまして、実態としては、ただ一日も早く、本当にいいであろうというお薬を患者様のお手元に届けようとすると、非常に早いスピードで多くの患者様にその臨床試験に乗っていただかないといけない。佐々木委員のように御理解が進んでいらっしゃる方はかなり少なくて、基本的には通常の診療で保険の中で認められているもの、イコール、ある意味で有効性、安全性が確立しているので、自分としてはそちらにして下さいという方が非常に多い中で、一定以上のインセンティブをどうしてもおつけしないとスピードがなくなってしまうということと、それから、治療満足度の高い領域でのお薬ですと、さらなる高みを目指しますので、どうしても症例数が多くなってしまう。治療満足度の低い領域ですと、もともと疾患の成り立ちすらよく分かっていないというような疾患が非常に多うございますので、治験薬のサクセスレシオというのはどうしても下がってしまいます。病気がきっちり分かって、メカニズムもきっちり分かっていればアプローチのしようもあるのだけれども、原因も分からない病気にチャレンジするとなると、ある意味でかなりハイリスクなところにいくということで、名古屋大学の坂巻先生のデータによると、7.7個の薬で1個の開発費を全部吸収せざるを得ないというのが現在の統計だということなので、例えば、そこが6個になり5個になっていけば、それはおっしゃいますように、製薬会社としては少しメリットも出てくるのかなと思いますが、現状はそんなところです。
○猿田座長 ありがとうございます。他に御意見。どうぞ。
○福井委員 一般病院との違いを際立たせるという意味では、フェーズ1などを含む臨床試験に移るまさに取っかかりのところの仕事をしてもらえれば、一般病院はそれから先はかなりできますので、猿田座長がおっしゃったように、フェーズ1の部分を今まで以上に強調してほしいと思います。
 それから、もう一つは、先端的な医療の追求について、同じテーマが30年も40年も続くということはあり得ないと思います。したがって、大きなくくりとして循環器や神経系があるのはいいのですが、その中で、どちらかというと課題解決型というか、問題解決型の視点から、10年間は循環器の中のこれを解決するためにほとんどのエネルギーを注入するぐらいの、また、そのためにはスタッフも大きく入れ替えられるくらいのフレキシビリティを持って、ダイナミックにナショナルセンターがテーマをに変えられるような在り方が今後はますます求められるのではないかと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。おっしゃるとおり、研究面でも絞り込みが必要ですし、臨床の面もただバラバラではなくて、そのあたりのところは、これから先をどうしていったらいいかということを詰めていかなければいけないと思うのです。
 どうぞ、おおたわ委員。
○おおたわ委員 今のダイナミックという言葉は、私もそのように思っていたところで、先日、何かのニュースを見ていたら、日本はかつて電機メーカーも世界のシェアナンバーワンの国であったと。でも、ちょっと気を抜いている知らない間にコリアに抜かれ、今やチャイナにも抜かれるような状況になっている。クオリティーがそんなに悪いわけではないだろうと。ただ、では、何がいけないのかというと、日本は最終的にいつの場合も決断力が遅かったというのが、あるエコノミストの判断だったのです。これは日本における医療にもそれがすごく適応できてしまうなと考えたら恐ろしくなって、花井委員などのおっしゃるドラッグラグは、そのとおりですね。それ以外でも、保険適用のない、まだエビデンスの出ていない治療法もたくさんありますけれども、それが国として、NCとして手をこまねいてどうなのだろうと判断をしあぐねている間に、インターネットなどで告知の上手な個人クリニックみたいなところがどんどん手を出して、エビデンスは出ていないのですから、患者さんはそれを頼りに、藁をもすがる思いで大枚はたいて、何百万投じて頑張ったのだけれども不幸な結果を招いている現状というのは、日本国中にたくさん起きているというのが目にするところなのです。
 そう考えると、やはり患者さん自身は、いつも流動的なものだし、病気は1日として同じ状況にとどまってくれないものだし、こうしている間にでも新しい薬、新しい治療と思っている人は確かに何万人もいらっしゃることなのでしょうから、やはりもっとダイナミックに決断する権限というのをNCというものに持たせてあげる。そのためにスピードアップできるのであれば1法人化もいいでしょうし、逆に1法人化することによって、上に上がくっついてしまってハンコを押す人が増えるだけだということであれば、6法人のままでいいと思うのです。1つは、スピードアップを図るダイナミクス性を持たせるためにという尺度も1つ持ってみてもいいのかなと思いました。
○猿田座長 ありがとうございました。非常に貴重な御意見だったと思います。どうぞ。
○祖父江委員 ダイナミックに色々な研究を含めて展開していくというのは、僕も全く賛成なのですが、もう一つ、ダイナミックではなくて、30年ぐらいかからないと出てこない仕事もあると思うのです。例えば、先ほど来申し上げている前向きなコホート研究なんかは、やはり5年や10年ではとてもできないもので、20年、30年かけないとやっていけない。そうなると、大学でできるのか、どこでできるのかという問題がありますけれども、今、東北でもそういうのをやろうとしておられるようですけれども、やはりそういう非常にベーシックであるけれども、医療のイノベーションの根幹を担うような時間のかかる仕事というのも担ってほしいと思っております。
○猿田座長 ありがとうございます。他に御意見ございますか。どうぞ。
○福井委員 もう一つ重要な視点は、祖父江委員がおっしゃったように、色々なタイプのものがあって、全部1つでというわけにはいかないと思います。佐々木委員が先ほどおっしゃったように、例えば重粒子線などにしても、やはり限られたところでしかできないというのも事実で、がん研究センター一ヶ所にがんにかかわる先進的なこと全てを集めるのは無理ですね。そういう意味では、世界に伍することのできる研究と診療をそこで開発するということですので、どこかに特化をして、何か課題を選ばざるを得ないということもこれからますます明確になっていくのではないかと思います。
○猿田座長 そういうことを各ナショナルセンターの理事長がよく分かってくれなければいけないわけです。それをやるにはどういうふうにやっていったらいいだろうか、どういうふうに連携を組むのか、どんな形をとっていくのが重要だと、非常に重要だと思うのです。上に立つ人が、本当にそのあたりはしっかりやっていただくことが大切です。
○福井委員 加えて、ますます重要になるのが、新しい知識や技術の普及のスピードアップで、他の医師や病院に新しい知識や技術を普及させることにも今まで以上に努力が必要ではないかと思います。
○猿田座長 特に御指摘いただきましたがね。どうぞ、永井委員。
○永井委員 そういう意味では、研究はもっと横断的な場合によっては1法人でもいいような気もするのです。今は循環器であるとか、がんとか、精神とかシステム別になっています。しかし、ベースになる病態、ゲノム、細胞、ステムセルあるいは炎症とか、こういうのはかなり共通の基盤の上に成り立っているわけです。場合によっては研究所というのは、1法人になり得るような気もするのですけれども、そういう切り口から考えてみるのもいいのではないかと思います。
○猿田座長 確かに今の医療で、遺伝子医療と再生医療が同じようなベースで動いていますから、そのあたりのところは、確かに研究で連携はある程度とれると思うのですけれども、そのあたりはぜひとも言うべきです。しかしながら、病院はだめですね。
○永井委員 でも、ヘッドクオーターがあって調整する機関があってもいいと思います。日本の医療あるいは医学研究の方向性を今後50年、100年に亘って示していくようなヘッドクオーターがあってもよろしいのではないですか。
○猿田座長 そういう形ですね。それは、よほど国としてしっかり準備して考えていかなければいけないだろうと思います。
 どうぞ。
○荻野委員 医療というのは日本の中だけであるわけではなくて、完全に国際競争の場で動いている。ですから、新しい世界に先駆けたものができないとかいうことになりますと、どうしても海外のものがどんどん入ってきてしまって、基本的に医療費が高くなるとか、あるいは使いたい薬とか機械がなかなか入らないとかということで、結果として国民の方、患者さんにとっても不利益になる。ということになりますと、国際競争で世界のトップのレベルをやっていかなければいけない。そういう環境の中で、先ほどのNIHの状況を見ますと、予算も一桁違っているわけですし、やっている内容もかなり違って、ある意味、効率のいいやり方として、臨床もその病院が1個しかなくて、だけれども、実は非常に広く国の中に患者さんがいて、色々うまくやっている。そういうことになりますと、やはり国際競争をどう乗り切っていくかということが極めて重要で、そういうことからすると、ナショセンというのは日本の医療そのものを国際的な環境の中でどういう方向でやっていくか。採算の取れるものもあるし、取れないものもあるし、そういう非常に大きな視点から方向付けをしていく機能がないと、今、永井委員がその本部のようなことをおっしゃいましたが、まさにそういう機能が何らかの形でないと、個々の動きだけでは対抗し切れない。予算が一桁少ないような中で、ますます余計戦略的な戦略性を持って動かないとなかなか国際競争にならない。そういうことになりますと、屋上屋になりかねないということはあるかもしれませんけれども、6つのナショナルセンターから外れた、上になるか横になるかどうかは別にして、総合的に日本の医療をどういう方向で持っていくのか、それを考える機能がどこかにないと、これはなかなか競争を維持するということにはならないし、結果として採算に走ってしまうことになっても面白くない面が出てきますでしょうから、そういうふうに考えますと、一つの大きな戦略を考える部隊が必要ではないでしょうか。
○猿田座長 コントロールタワーですね。
○荻野委員 それがやはりないと、あって、それをうまく機能させるということが必要のような気がします。
○猿田座長 ありがとうございました。確かに長い目で見る時に非常に重要なことだと思います。あと10分ぐらいございますので、何か。どうぞ、花井委員。
○花井委員 先ほど永井委員がおっしゃられた、つまり、医業と研究という部分、それから、一本化という部分、これは2つ大きなテーマだと思うのですけれども、ケースとして、国立病院機構は、実は研究論文は独法化以降、すごく増えているのです。あれは医業をやるところなのですけれども。それから、あそこは全体で300個ぐらいあるのですかね、ガバナンスでもかなり苦労して、独法化してから奇跡的な仕事をしたと思うのです。
 今、永井委員が提案された医業と研究というのはどういうバランスで、どういう実態かとか、それから、全体を取りまとめることをやったということについて、その内容をもう一回見直してみるというのは、この議論に寄与するのではないかと思いました。だから、例えば矢崎先生に来てもらうとか、国立病院機構の誰かに来てもらうとか、資料提案でもいいのですけれども、そういうので1回、国立病院機構はその辺はどうしたのかということはいかがでしょうか。提案です。
○猿田座長 実は、私、ずっと評価の委員長をやっているので、大体状況は分かっておりますけれども、やはり病院144が、国立病院・療養所と一緒になりましたけれども、それがまとめやすい状況だと思うのです。ただし、矢崎先生や他の理事の方は非常に苦労して、それをいかにうまくまとめるか。例えば、総合的に言うと、機械を入れていく、使っていくということで、そういう点では非常にうまくいったと思うのです。今度の場合には、ナショナルセンターはみんな違います。そこで、その点を結びつけるにはなかなか難しいだろうと思います。
○花井委員 研究の件はどうなのですか。研究論文はかなり増えていますが。
○猿田座長 研究は、臨床研究で一番やりましたことは、144あれば各病院が協力して一つの治験をやりましょうという形なのです。Aの研究、Bの研究、Cの研究を、このグループはこういうことをやりましたというように、本部がまとめ役となり、各病院が協力してうまくやっておられると思いました。
○花井委員 ということは、治験とか臨床研究に関しては、割と本部で、ここでこういうふうな振り分けをするみたいなことはやられたということですか。
○猿田座長 ちょっと研究の内容が違うのです。
 どうぞ。
○福井委員 私も国立病院機構の理事をしていますが、国立病院機構の本部が素晴らしい仕事をしたと思います。診療面についても、臨床研究についても、ヘッドクオーターが方針をしっかりと立てて徹底するという方向でやられて、収支も含めて素晴らしいパフォーマンスを示したのも、ヘッドクオーターの働きが大きかったと思います。臨床研究についても本部が大変な働きをしたと思います。
○猿田座長 今、花井委員がおっしゃったことも、その考えはもちろんこちらのナショナルセンターもやっていかなければいけませんが、その内容的には違いがあるものですから。
 あと、他にございませんか。だんだん会議の回数も減ってきて、この検討会に与えられた任務を果たすために、しっかりと方針を示さなければいけないと思っています。どうぞ。
○祖父江委員 ずっと議論で出ていますNIHの先ほどちょっと御指摘があったと思うのですが、やはりアメリカのこれを見ると、非常に戦略的といいますか、結果を見据えたやり方をしている感じがするのです。日本のナショナルセンターは、最初のころにちょっと御議論がありましたけれども、でき具合とか、国民感情とか、患者さんの色々な団体からの要請とか、そういう諸々のことを考えると、こういう木を割ったような非常に戦略的な1点絞りの物の考え方というのはどこで考えたらいいのかというのが、なかなかそういう日本のしがらみから抜け出せない感じがするのですが、これはやはり、ぜひここでも考えるべきだと思うのです。
○猿田座長 そうですね。これは、やはり将来のことを見据えた時に、しっかり国として本当にそれをやっていかないと、だらだら作ってきましたから、そういうことではないということです。
○祖父江委員 日本はこういうのが下手ですよね。
○猿田座長 どうぞ、佐々木委員。
○佐々木委員 独立行政法人で収益性が求められ、採算を考えなければいけないという中で、じっくりとした研究が本当にできるのですかというのがそもそも心配です。採算性を考えて研究費をけちけち使っていたら、まともな研究ができるわけがないだろうと。短期的な研究成果を求められても、これもまたじっくりと腰を据えた研究ができるわけない。ですから、よほど誰かがしっかりと判断して、そういった研究をゆっくりやっていいよという環境を作ってやらなければ、世界の中で勝ち抜けるような研究成果というのは望めないだろうと思っています。
○猿田座長 ありがとうございました。他に御意見ございますか。今日は非常に貴重な意見をいただきましたけれども、この次はもう絞っていかなければいけないものですから。
 永井委員がおっしゃった、研究面におけるコントロールタワーみたいなものは一つの考え方として重要ですね。
○永井委員 理研がそういうふうになっているわけですね。各地に色々なシステムがあります。しかし、理研というヘッドクオーターで統括して、最近は医療にも乗り出して、また、理研とナショナルセンターが一緒になって共同研究しているところもありますが、あんなイメージで医療についてナショナルセンターを考えてみるというのもよろしいのではないかと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。非常に大切なことだと思います。他にどなたか御意見ございませんでしょうか。もしなければ、今日出ました意見をもう一回まとめさせていただきたいと思います。どうぞ。
○佐々木委員 また、これは岩手がんフォーラムの話ですが、岩手県の病院に素晴らしい放射線の治療機械が入ったが動いていない。どうしてと聞いたら、専門医がいないのですと。動かす医者がいない。機械はお金を出せば買ってこられるけれども、せっかく買ってきた機械が動かない、そんな状態だということで愕然としますね。
○猿田座長 ありがとうございました。他にどなたか、どうしても今日言っておきたいという御意見があれば言っていただければと思います。
 幅広く意見をいただきましたので、これでさらに絞り込みまして、この次までに事務局とまとめたいと思います。現在、言えることは、病院のあり方、それから研究のあり方、それをまとめてどうやっていくかということ。それから、今日いただいた、特に広報の問題も非常に重要ですから、そういった点も考えてやっていきたいと思います。
 何か課長から御意見ございますか。
○土生国立病院課長 今日は、色々と密度の高い御議論をいただきましたので、どこまで作業できるかということはありますけれども、座長とよく相談させていただきまして、整理させていただきます。
○猿田座長 いつも宿題でお忙しくさせていますので、今度はまとめる方向で少しやっていきたいと思います。
 それでは、時間が参りましたので、もしよろしければこれで第6回目の検討会を終わります。どうも御協力ありがとうございました。最後に事務局から何かありますか。
○河内国立病院課長補佐 次回の開催については、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○猿田座長 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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  課長補佐  河内(内線2675)
  企画調整官 本橋(内線2610)
 (代表) 03(5253)1111

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