ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成24年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)> 化学物質のリスク評価検討会の「第4回有害性評価小検討会」




2012年11月28日 化学物質のリスク評価検討会の「第4回有害性評価小検討会」

労働基準局安全衛生部

○日時

平成24年11月28日(水)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館827号会議室


○議事

○大淵有害性調査機関査察官 先生方がお揃いになりましたので、第4回化学物質のリスク評価検討会 有害性小検討会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。
 最初に、本日の出席者を御紹介させていただきます。参考資料1に参集者名簿を付けておりますので、御覧いただければと存じます。本日は特別参集者として、お二人にお越しいただいております。特別参集者の化学物質評価研究機構の齋藤様は、所用により遅れるという御連絡をいただいております。同じく特別参集者の食品薬品安全センターの田中先生にも、本日はお越しいただいております。名簿のほうにはありませんが、共同研究者である酒井先生にもお越しいただいております。よろしくお願いいたします。委員の先生の中で、本日は高田先生は所用により御欠席ということで御連絡をいただいております。出席者については以上です。
 以下の進行については、座長の大前先生にお願いいたします。
○大前座長 今日は御参集ありがとうございます。早速議事に入りたいと思いますが、その前にまず資料の確認を事務局からお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏側のページが配付資料一覧となっておりますので、御確認をお願いいたします。資料1「培養細胞を用いた発がん性予測試験法」は田中先生の資料。資料2「遺伝子の発現量測定に基づいた発がん性スクリーニング手法について」は、後ほどお見えになる齋藤様の資料、資料3「国が行う長期発がん性試験の試験方法について(案)」、資料4「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化(案)」、資料4-2「発がん性のスクリーニングに関する主な御意見」、資料5「今後の予定について」。
 参考資料1がいま御覧いただきました参集者名簿。参考資料2「国が実施するがん原性試験について」は毎回お配りしております。参考資料3から参考資料7については、第1回から第3回の検討会において御発表いただいた先生方の資料を参考資料としてお付けしております。参考資料3と参考資料4は、第1回のときの福島先生、津田先生の関連の資料です。参考資料5は、第2回の検討会の小野寺先生の資料です。参考資料6と7は、第3回の検討会の資料で、広瀬先生、西川先生に御発表いただいた資料です。以上です。
○大前座長 お揃いでしょうか。
 それでは本日の議題に移りたいと思います。最初は、培養細胞を用いた発がん性予測試験法について、食品薬品安全センターの田中先生からよろしくお願いします。
○田中委員 おはようございます。食品薬品安全センターの田中です。よろしくお願いします。今日は、大変光栄に思っております。我々が開発したBhas 42細胞形質転換試験法に関して、一緒に来ております酒井と御説明したいと思います。
               (パワーポイント開始)
本日ご紹介するBhas42細胞の形質転換試験に用いるBhas42細胞は私どもの佐々木澄志が国立衛研の細胞バンクに在籍していた1988年頃に開発したもので、歴史的にはそれほど新しい細胞ではありません。形質転換試験法は、1970年代に開発されたエームス試験よりも古く1950年代に開発された試験法です。発がん物質の検出系として用いられる形質転換試験は後で述べるようにいくつかの方法があります。現在、発がん性予測に用いられている短期アッセイ系としては、エームス試験、マウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、小核試験などがあり、これらの試験系を組み合わせて発がん性が予測されています。しかしながら、ほとんどの系がDNAに傷を付けて突然変異や染色体異常を起こすことを指標にした変異原性試験で、発がんのイニシエータを検出するものです。ところが、がんを引き起こす化学物質のうち、20%ぐらいは非変異原性の発がん物質が含まれていることがわかってきました。しかしながら、このような非変異発がん物質を検出する良い方法がないわけです。佐々木の開発したBhas 42細胞は、当初イニシエートされた細胞の開発ということで作られた細胞です。この細胞を用いる形質転換試験は、非変異発がん物質の検出に対して非常に感度が高く有望ですので、我々は、これまで共同研究とか様々な試験を実施してこの試験の発がん性予測への適用性について検証してきました。
 そもそも形質転換試験というのは、細胞の有する形質が悪性に転換することを指標にした試験です。いくつかの試験法があります。阪大からNIHに行かれた角永先生が開発されたBALB/c 3T3細胞は、発がん物質を非常に感度よく検出する細胞株ですが、Bhas 42細胞はこのBALB/c 3T3細胞にras遺伝子を導入して作った細胞です。これらの細胞を用いる形質転換試験は、フォーカスの形成を指標としています。BALB/c 3T3細胞やBhas 42細胞は、増殖の接触阻害という性質があり、増殖してシャーレにいっぱいになるとそこで成育が止まります。そのような細胞に発がん物質を処理すると、異常増殖能を獲得し悪性化した細胞が増殖してフォーカスを形成します。よって、薬剤処理後、一定期間培養して生じたフォーカスの数をカウントすることで簡単に発がん物質を検出する方法です。
 一方、現在OECDに提案されている方法でSHE細胞を用いる形質転換試験系があります。この方法はシリアン・ハムスター胎児細胞(Syrian Hamster Embryo)から分離した初代細胞で、妊娠ハムスターから得られた胎児細胞をストックしそれを試験に用います。特徴として、化学物質を処理して1週間培養後に増殖したコロニーの形態の変化を指標にします。培養期間は、BALB/c 3T3細胞が1か月かかるのに比べて、SHE 細胞の方法では1週間です。SHE細胞の系ではフォーカスのカウントでなくて、コロニーの形態変化を検出する方法ですので、観察者の主観になるという欠点はありますが、短期であることから海外で用いられております。BALB/c 3T3細胞やBhas 42細胞に発がん物質を処理して得られた悪性化し形質転換したフォーカスの細胞を、ヌードマウス皮下に106個程度埋植すると、30~40日くらいで瘤状の腫瘍ができるという特徴があります。しかし、正常なBALB/c 3T3細胞やBhas 42細胞を植えても腫瘍はできません。これも形質転換と発がんを直接的に結び付けるエビデンスの一つになると思います。しかしながら、SHE細胞の場合は初代細胞ですので、異常なコロニー形態を示す形質転換コロニーの細胞をヌードマウスに移植しても造腫瘍性は示さずSHE細胞での形質転換のメカニズムは不明です。
 これまで、形質転換試験はNIH 3T3細胞を用いras、myc、などの発がん遺伝子の検出にも使われております。細胞形質転換試験は、イニシエータやプロモータを検出することができ、培養系の発がん試験と言っても良いかと思いますが、正常細胞が悪性化して腫瘍ができるまでの動物における多段階発がん過程をシュミレートしたものであるということが言えるかと思います。
 ここにSHE細胞、BALB/c 3T3細胞、Bhas 42細胞の3種の試験系の特徴を書いてみました。SHEの系は10数年前にフランスから、BALB/c 3T3の系は4年前に厚労省を通じてOECDのガイドラインに提案されました。両試験系は同時にECVAMでバリデーションが実施され、ESAC委員会でのピアレビューが昨年終了し、現在ガイドラインにするかどうかの審議が始まっています。BALB/c 3T3の方は若干追加実験の要求もあり、厚労省、経産省とも相談し日本としてはむしろBhas 42の系の方が優れている系なので、こちらを強力に推薦しようということで、一昨年、Bhas 42の系をOECDのガイドラインに追加で提案しました。このBhas 42 細胞形質転換試験は後で酒井も述べますが、すでにバリデーションも終了し、最近ECVAM/ESACでピアレビューが実施されたところです。
ご覧のようにこの三つの試験系を比較すると、培養期間はSHE細胞では1週間、BALB/c 3T3細胞で1か月、Bhas 42細胞で3週間程度かかります。Bhas 42細胞はBALB/c 3T3より短い培養期間ですからコストも少なく薬剤への感受性も高い特徴があります。試験の難易度については、Bhas 42の系ではトランスフォームしているかどうかを検出するのに、生じたフォーカス数をカウントするのみで非常に簡単です。
 これはBALB/c 3T3からBhas 42細胞を開発した経緯です。ras遺伝子をトランスフェクションして細胞に導入し、rasを含むクローンだけを選択して、さらにTPAで形質転換するクローンを選択しております。したがって、TPAタイプのプロモータには非常に感受性が高いです。その後、プロトコールを少し変えることでイニシエータも検出できるというデータも公表しており、それもうまくいくことも分かっており試験系に組み込まれました。
この写真は導入したras遺伝子がどの染色体のどの部位にローカライズされているかを示したものですが、#17と#19染色体上にガッチリと組み込まれており、全ての細胞に遺伝子が導入されていることが分かります。
 Bhas 42の系はプロモータを良く検出できることから、10年ぐらい前に企業の方々や国立研究所の皆さん方と共同研究をしました。そして、プロモータを検出するには非常に良いという論文を既に多数報告しております。その後、プロモータだけでなくイニシエータも検出できるという論文を報告し、最終的にイニシエータとプロモータを区別して検出できるというのがこの試験系の特徴です。何度も申し上げておりますが、培養期間は3週間程度で親株の5~6週間に比べると短く、作業時間も短くさらに器材や培地量も少ないということです。
 これは得られたフォーカスをヌードマウスに植え、どのぐらいでがんができるかの造腫瘍性を示したものです。これはメチルコランスレンで採れた#14のクローンで、移植細胞数を4種類変えておりますが、たくさん植えたものだと早く出ますし、少ないものはやや遅れて、それでもきちんとヌードマウスで腫瘍を造ることが示されます。異なるクローンでも同様に造腫瘍性がみられ、TPAで誘発したクローンに関しても同様に造腫瘍性の確認をしております。
 これはBALB/c 3T3とBhas 42の系で誘発された形質転換フォーカスです。ご覧のように、BALB/c 3T3ではメチルコランスレン処理で誘発されます。しかしながら、TPAのみの処理では誘発されません。よって、BALB/c 3T3細胞を使う場合、プロモータを検出するためには、まず少量のメチルコランスレンを前投与して、そのあとTPAを処理するとこの様に誘発されます。したがって、プロモータの検出には二段階の処理になるという煩雑さがあります。一方、Bhas 42の場合ですと、既にras遺伝子が入ってイニシエートされている状態になっていることから、メチルコランスレンのみの処理でも、またTPA単独処理でも形質転換が誘導されます。この様に、Bhas 42の系では前処理をすることなく、プロモータを検出できるという利点を持っております。
 これは、プロトコールの概要を示したものです。まず、被験物質がイニシエータであるかプロモータであるかを知るために、通常2つのプロトコールを同時にセットして実験をしておりますが、イニシエータの場合には細胞の増殖期に3日間ほど処理します。あとは培地交換するだけで、3週間目に固定染色。プロモータの場合ですと、細胞の密度を増やして播種し、定常期に入ろうとする細胞に、被験物質を10日ほど処理します。そして21日目に固定染色します。この方法でその物質がイニシエーション作用を持つかプロモーション作用を持つかを分別して検出できます。
 この図では、イニシエーション試験ですとメチルコランスレンではこの程度でますが、プロモータのTPAを入れてもほとんどでない。逆に、プロモーションの試験ですとMCAはこのぐらいしか出ないですが、TPAはたくさん出るという様に分別できるというのがBhas 42の系の極めて有利な方法かと思います。
 OECDに提案したBhas 42細胞形質転換試験の方法は、6-well plateを用いる方法と96-well plateを用いる方法です。原理的には全く同じで結果も同じですので、使用者がどちらも選択できるように2つの方法を提案しております。6-wellの場合ですと、1個のwell中に形成されたフォーカスの数をカウントします。96-wellの場合ですと、フォーカスを有するwellの数をカウントするということで、自動化することが可能になっております。
 現在のところ、このBhas42の試験法が世の中でどのぐらい使われているかということも含めて、将来どういう利用の仕方があるかを示したものですが、この系は既にOECDのガイドラインに提案しておりますので、もし採用されますと世界中で皆さんが使ってくれるだろうと思っております。また、試験法についてもBhas 42細胞そのものについても特許は申請しておりません。その理由は、皆さんが自由に使えるようにということで、Bhas 42細胞は既に細胞バンクにも寄託しており、リクエストがあれば無条件で世界中に頒布しております。このバリデーションを実施した際に、アメリカとヨーロッパの試験施設が参加しましたが、彼らは既にパンフレットを作って営業用にBhas 42細胞を使って試験しております。
 産業界でのスクリーニングの利用と書いておりますが、ある物質がプロモータ作用による発がんの可能性が新聞などで報告されますと、まず何をやるかということになると、in vivoでは名市大の伊藤先生が開発された動物を用いる二段階発がんの試験系を使うという方法はありますが、in vitroでのBhas 42細胞形質転換試験は簡単ですのでプロモータの検出にはしばしば応用されております。特にプロモータの検出には日本だけではなくて海外でも利用されておりますし、学会発表等もされています。
 ということで、利用の仕方としてはイニシエーション、プロモーション両方の試験を実施してイニシエータ、プロモータの両方を検出するか、若しくはプロモータ検出だけに利用するかということになります。現在、安衛法で使われている発がん性予測試験はエームス試験のみです。エームス試験はfalse negativeを多く示す試験ではありますが、イニシエータ検出の試験系としては相当の蓄積データもありますので、エームス試験とBhas 42試験とを組合せて使えば、発がん物質の検出に効果的ではないだろうかと思っております。
次に、Bhas 42細胞形質転換試験の発がん物質予測法としてのデータを酒井から簡単に紹介します。
○酒井氏 この方法は大変良い方法だというので、OECDのガイドラインにしたいと思ったわけですが、いくら私たちが主張しても、公認されなくてはなりません。ある委員会で、がんセンターの牛島先生から「あなた方が、これが本当に良い方法だと証明したいのだったら、100個ぐらいの化合物をこの系で試験してみないと駄目だよ」というふうに言われました。「じゃあ、やります」ということで、まず食品薬品安全センターが大よそ100物質に対してBhas 42細胞形質転換試験を適用しました。その結果の概要を示したのがこのスライドです。この表は発がん性があることが分かっている物質についてまとめております。この表と、その次の表がそうです。この欄がBhas 42細胞形質転換試験のイニシエーション試験の結果、こちらの欄がプロモーション試験の結果です。こちら側に既存の遺伝毒性試験のデータを文献から引用して示しています。赤で示した化合物は、代表的な遺伝毒性試験のエームス試験において陰性であるか、陽性であったり陰性であったりその結果が一致しない化合物を、示しています。そうすると、エームス試験で陰性または結果が一致しない化合物をBhas 42細胞形質転換試験ではよく検出しています。しかも、それを検出するのはプロモーション試験の方であることがこの表からもわかります。  これも、赤で示した化合物は前のスライドと同じです。これらも発がん物質ですが、青で示したのはエームス試験において陰性または結果が一致しないもので、しかもBhas 42細胞形質転換試験でも陰性になってしまうものです。そういうものも存在するということです。他の試験法の欄を見ていただいても発がん物質でも陰性になるものがあって、全く完璧な試験法というのはないのだということをよく現しているわけです。この欄はマウスリンフォーマ試験であり、この欄は染色体異常試験ですが、これらの試験法は、よく陽性に検出しているではないかと反論されるかもしれませんが、次のスライドを見てください。
これは発がん性がない物質についての結果を示したものです。そうすると、Bhas 42細胞形質転換試験は、かなり特異性が高いことが分かりまして、発がん性のないものをほとんど陰性と判定します。ところが、先ほどの発がん性物質についてのスライドではよさそうだったマウスリンフォーマ試験や染色体異常試験は、この発がん性がない物質の表においても、非常に陽性率が高い方法であることを示しております。
このスライドでは、98物質の試験結果から、Bhas42細胞形質転換試験の発がん性予測法としての性能を計算してみました。98物質の中で動物を用いた発がん試験で、発がん性があること、あるいはないことが分かっている物質は89物質でしたので、その物質について計算をしてみました。そうすると、Concordanceというのは一致率でこれは先生方はよく御存じだと思いますが、78%でした。感受性というのは発がん性物質をこの方法が陽性に検出する割合。Specificityは、発がん性がないものをこの方法が陰性と判定する割合。Positive Predictivityというのは、この方法で陽性に出たものが本当に動物実験で陽性である割合。Negative Predictivityというのは、この方法で陰性であったものが動物実験でも陰性である割合。False Negativeというのは、発がん物質をこの方法が陰性に検出してしまう割合。False Positiveは発がん性がないものを、この方法が間違って陽性に検出してしまう割合。ということで、誤った結果を示す可能性は低くなっております。
 Bhas 42細胞形質転換試験の結果をそのほかの細胞形質転換試験の結果と比べてみました。結果としては、かなり良いか、同じくらいの発がん性物質検出法としての性能があるということを示しています。
 これは、Bhas42細胞形質転換試験の結果を既存の遺伝毒性試験と比べたものです。先ほど言うのを忘れましたが、いちばん上は対象となった化合物の数です。Bhas 42細胞形質転換試験は、既存の遺伝毒性試験に比べて優れているか、あるいは同等の結果が得られる試験であることを示しています。
 先ほどの表では分かりにくいので、各試験の性能をレーダーグラフにしてみました。普通、栄養の摂取量などに示すように、丸いきれいな円が描けるものほどバランスが取れて良いと考えられていますが、この場合は、これが特異性で、感受性で、これが一致率で、これがPositive predictivity、Negative predictivityですので、この五つが上にあって円状を示し、間違った結果を示すFalse NegativeやFalse Positiveが下にあって小さい値を示す状態、すなわち、火星人のような、エリマキトカゲを正面から見たような形をしているのが理想なわけです。これはBhas 42細胞形質転換試験の結果ですが、かなり良い形をしていると思います。これがSHE細胞を用いる形質転換試験のデータをグラフ化したものですが、これもFalse Negativeが少し高いですがほぼ良い形を示しています。
 これは染色体異常試験ですが、これはわりと円に近くなってしまいますが、False Positiveが高い。特にマウスリンフォーマ試験では、False Positiveが高く、何でもかんでもPositiveにしてしまうような傾向があります。これがエームス試験で、エームス試験はかなり特異性が高いということで信頼されています。確かに特異性は高いですが、どうしてもその反動というかFalse Negativeも高くて、間違って陰性にしてしまう。つまり見落としてしまう可能性があります。Sensitivityと対にして考えてもらうといいようなグラフになりました。
 いまご紹介したデータというのは、食品薬品安全センターで98物質を試験した結果です。開発ラボが行った結果というのは、OECDガイドライン化では、それだけでは認めてもらえないので、物質をコード化して、外部の施設や海外の研究所にもお願いして試験を実施します。また、第3者の立場による国内外の専門家による、VMT(validation management team)委員会を組織して、試験法のバリデーション研究を行いました。これまで三回のバリデーション研究を行ったのですが、1回目はプレバリデーションとして、物質をコード化したバリデーションを実施しました。2回目、3回目は、6-well法と96-well法についてVMTを組織して、バリデーション研究を行いました。
 詳しい結果の一部は、既にMutation Research 誌に出しております。96-wellは論文にはしていませんが、その二つの正式な700ページを超えるバリデーション研究の結果をバリデーションレポートにまとめて、ECVAMにPeer Reviewを依頼しました。Peer Reviewそのものは先週終了し現在そのレポートが作成されているところです。Peer Reviewでどういうことが評価されたかというと、ECVAMではそれをModuleという単位に分けて審査をしていますが、いちばん最初のTest definitionは日本語にしにくいのですが、Module 1は、その方法がscientificにきちんとした方法であるかとか、目的はきちんと合っているかとか、試験の進め方はよかったかを審査します。Module 2は施設内再現性。同じ施設の中で、その方法を用いて試験したときに同じ結果が得られたかどうか。Module 3は技術移転性で、ほかの施設にその試験法を持っていった時に、同じような結果がえられるか。Module 4は施設間再現性。違う施設との間でも、同じ結果が得られるかどうか。Module 5は予測能で、先ほど何枚かのスライドで示したように発がん物質を検出することができるか。発がん性のないものを陰性と判定しているかということについて評価されます。
 普通ならばこの5項目ですが、我々の場合は6-well法と96-well法の両方をOECDのガイドラインに入れたいということで申請しています。その二つの方法が違う結果を出しては困りますので、その同等性も同時に審査してくれるようにバリデーションレポートを書きました。ECVAMのESAC(ECVAM Scientific Advisory Committee)の中に、Peer Reviewをやるための小委員会が組織され評価が実施され、そのESACの評価報告書は来年の3月ごろまでに提出される予定です。我われは開発ラボですので、これまでの審議の過程で質問など色々問合せが来ており、その対応をしておりますが、最終的にOECDのガイドラインを作成することの指示がでることを期待しているのが現在の状態です。以上です。
○田中委員 以上で、プレゼンテーションを終わります。
○大前座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について何か御意見、御質問、その他いかがでしょうか。
○福島委員 1点お聞きします。まとめのところでFalse Negative 27%とスライドにもありますが、その内容をお聞きします。この細胞のBALB/c3T3由来だと。最初の実験系を見てみると、皮膚やファイブロにSensitivityがあるなと。False Negativeの27%を見ると、お聞きしたいのはNegativeのものの発がん物質の標的臓器はどこだったかというのが大体分かったら教えていただきたいです。
○酒井氏 ここら辺のスライドで分かっていただけるかなと思いますが、全ての標的臓器を知っているわけではないですが、こういうものが発がん物質であってもNegativeになったという結果です。特に難しいのは、性ホルモンのようにレセプターを介してというものは、特にエストロジェンは検出できていない。Diethylstilbestrol(DES)もNegativeです。そこは難しいような気がしています。でも、例えばTPAにもレセプターがあるわけですが、そういうのはもちろん検出できているわけで、レセプターを介するものが全部駄目というわけではないです。特別なレセプターを介するものは、難しい傾向はあるかなと思います。ライン化された細胞ですので、全てのレセプターが残っているというわけではないのではないでしょうか。
○吉田委員 いまの福島先生の御発言に関連しますが、9ページの上のスライドのフェノバルビタールが陰性ですね。ということは、これはマウスの腫瘍を見つけるものですか。ヒトの発がん性を予測するものですか。
○酒井氏 それはマウスとヒトの発がん性が、どれだけ重なっているかということにも関係があると思います。
○吉田委員 恐らく発がん性において、それがいちばん重要なポイントで、いくらネズミに出てもそれはあくまでネズミの腫瘍であって、ヒトには該当しないというものがいま非常に多く分かってきて、特にフェノバルビタールなどはその代表的で、マウスで肝臓でフェノバルビタールで出ないとなると、フェノバルビタール用の発がんメカニズムというのは肝臓の腫瘍の場合は多いのです。あとは、それに炎症が関わったり、そういうものは検出できないということですか。
○酒井氏 そういうものもあると思います。というのは、vitroの試験法で全てを検出することが可能であるかどうかというと、この表を見ていただいたら明らかなように、どの方法であっても完璧なものはないわけですよね。やはりvitroで検出しようとするからには、我々の考え方としては、いくつかの試験法、しかもできたら遺伝毒性試験と、そうでないメカニズムによって発がんを促進する物質を捕えることができる、例えば細胞形質転換試験を組み合わせて、できるだけ多くを検出したい。確かに動物を使えばいいのですが、でもいま言われたように動物でもヒトと動物の間には種差があるわけで、たくさんの試験をやりたいと思ったら、vitroというのはとても大切な方法だと思います。特にヒトで試験することはできない。ヒトについての発がん性は疫学でしか調べられないわけですから、そこは限界があるので一つ一つの化合物を取り上げて議論するとなると、またそれはそれでいろいろと考えなければいけないし、それにこだわると大切なもの、できるだけ多く物質について予測・評価したいという面から、発がん性物質の予測・評価の効率が悪くなってしまうということはあると思います。
○西川委員 BALB/cにv-Ha-ras遺伝子を導入してあるという経緯ですが、導入遺伝子に対する変異というのは確認されていますか。
○酒井氏 導入遺伝子は、遺伝子そのものはv-Ha-rasで活性型のras遺伝子なので、入っているものは分かったものを入れています。
○西川委員 その導入した遺伝子に。
○酒井氏 導入したあとで、また新たに変異が起きたのではないかというご質問でしょうか?一応シークエンスしたのですが、rasの活性のある領域は導入時と同じでした。ただ、シークエンスできていない部分があります。というのは繰り返し配列、LTRでしたっけ、ウィルスの遺伝子なので、この繰り返し配列の部分にシークエンスできていないところもあります。rasそのものの活性のある部分のシークエンスは導入時と同じでした。
○西川委員 要するに、導入遺伝子に変異のある場合もあるし、ない場合もあるということですか。
○酒井氏 クローンについてですが、導入した遺伝子でrasのたんぱくをコードしている部分は、入れたウィルスのv-Ha-ras遺伝子と同じシークエンスを持っていました。
○清水委員 この表にはないので、まだやっていらっしゃらないのかもしれませんが、染色体異常試験ですとアスベストなどが検出できますよね。試験方法での可能性はどうですか。
○酒井氏 可能性はあるかもしれませんが、やっていないです。アスベストは試験も危ないというので、それなりの設備でやらなければいけないですよね。
○清水委員 Phagocytosis(貧食作用)があって取り込んでということですが。
○酒井氏 可能性はあるので、やりたいと言った人もいたのですが、まだやっていないです。
○江馬委員 22の図ですが、最初にこの試検法とエームスを組み合わせるということをおっしゃったと思いますが、このグラフをエームスと組み合わせると、どのようになりますか。False Negativeが若干変わると思いますが、それはどうですか。
○酒井氏 合わせたグラフというのは作っていないので、この表から推測していただくしかないのですが、青いところはどちらもNegativeになってしまうので変わりませんが、赤いところは結構プロモーション作用があると言われるようなものを検出できるようにはなると思っています。
○大前座長 そのほか、いかがですか。
○江馬委員 青のところも物性が同じようなものがあるとか、溶媒が同じようなものを使ったとか、そういうことはないですか。
○酒井氏 溶媒は大体水かDMSOなので、検出を妨害するような溶媒はないと思いますが、ベンゼンとかジオキサンとか、結構揮発性が強いですよね。そういうのも出にくいかなとも思います。でも、そういうのはエームスでもNegativeなのです。100化合物ぐらいでは駄目で、もし、それを明らかにしたければもっとたくさんやらないと無理かなとも思います。
○池田委員 エームス試験とこの細胞と、考え方はイニシエーターに関しては同じですよね。たぶん代謝活性化をして、DNAを傷つけて破綻に至るということだと思いますが、エームス試験でFalse Negativeが多いというのは、活性化のところが細胞の外でやっていますよね。……外側に加えて、そこで……が活性化されて、それが細胞の中に入っていって効くわけですよね。この場合ですと細胞そのものを使っているので、細胞の中で活性化されているのではないかなと思います。それで、よりFalse Negativeが少ないのかなと思いましたが、そこの考え方はいかがでしょうか。
○酒井氏 確かに細胞の外ではなくて、遺伝子の近くで被験物質が活性化されることが大切だと思うので、おっしゃるとおりだと思います。ただ、この細胞も全ての代謝系を維持しているわけではないわけで、なくしているものもある。ただ、多環芳香族系のものについては、持っていることがはっきり分かるのですが。
○池田委員 恐らくヒト幹……の1A1というものだと思いますが。
○酒井氏 代謝酵素を保有していることは、確かに有利だと思います。細胞の中で、つまり遺伝子の近傍で被験物質が代謝されますので。
○池田委員 あと問題があるとすれば、活性化の代謝酵素が何種類もありますので、どのぐらいの種類のものをこの細胞が持っていてということだと思います。だから、本来活性化されるけれども、この治験系でNegativeなものは、それを活性化する代謝酵素がないのかなとチラッと思いましたので質問させていただきました。
○酒井氏 そういうことはあると思います。
○田中委員 それと、よく質問をいただきますが、Bhas 42の系で代謝活性化の組合せの可能性はどうだということで、ラットのS9を使った方法は、別途にプロトコールを作成しております。エームス試験でS9を用いるように同時に試験するのはBhas 42の試験系では非常に煩雑で大変なので、代謝活性化が示唆されるような場合には、オプションとしてS9の系を組み合わせてやるという考えです。
○大前座長 そのほか、いかがですか。よろしいですか。この系はガスが多いのですが、ガスにも使えるのですか。
○田中委員 ガス状物質の場合はin vitro系ですので、一工夫する必要があるかと思っていますが、福島先生のバイオアッセイ研究所の浅倉先生がそれを簡便にやる方法などを開発しています。培養器を回転させてガス等を細胞にばく露するチャンスを作ってやる方法ですが、その様な工夫が必要だろうと思っております。
○大前座長 そのほか、よろしいですか。先生方、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、遺伝子の発現量測定に基づいた発がん性スクリーニングの手法ということで、齋藤先生よろしくお願いします。
○齋藤委員 化学物質評価研究機構の齋藤です。本日は、このような御報告の機会をいただきまして、関係各位の方々に深く感謝いたします。
(パワーポイント開始)
 我々は、遺伝子発現量測定に基づいた発がん性スクリーニング手法として、CARCINOscreenという新規のスクリーニング手法の開発を行いました。その内容について御報告致します。
 まず、現行のがん原性試験は御存じのとおり、長期間、高コスト、多数の動物、大量の化合物と、非常に重い試験です。これを、短期間、低コスト、動物数削減、また化合物量の削減を考え、新規の発がん性スクリーニング手法を開発しようというのが研究開発の発端でした。どのようにしてそれを実現させるのかについて注目したのが遺伝子の発現量です。セントラルドグマであるDNA→RNA→タンパク質が相互に作用して病態/毒性などが現れることを考えますと、遺伝子の発現量は病態/毒性が現れる以前に早い段階で変化するため、より早期かつ分子レベル、メカニズムベースで発がん性をスクリーニングできるのではないかと考えました。NTPのデータベースでは、げっ歯類では化学物質の標的は45%が肝臓だというデータがあるため、発がん性試験は、まず、肝臓の遺伝子発現量に着目しました。
 こちらが、システム開発時の実験デザインです。通常、がん現性試験は2年間の投与期間が必要ですが、その24分の1である28日間を最大投与期間とし、1、3、7、14、28の5時点でサンプリングを行っています。肝臓からRNAを抽出し、遺伝子を網羅的に一度に測定できるDNAマイクロアレイというツールで測定しました。得られたデータをバイオインフォマティクスの技術を使って統計処理等を行い、最終的にプレディクション・システムの構築を行いました。
 本システムに用いた化合物は68化合物です。そのうち、20化合物がジェノトキシックのカルジノジェンです。このジェノトキシックはエームス試験陽性か陰性かで判断しています。ノンジェノトキシックのカルジノジェンが26。ジェノトキシック、ノンカルジノジェンが11。ノンジェノトキシック、ノンカルジノジェンが11化合物です。このシステム開発にはこれら68化合物を供しています。
 予測システムの構築についてです。トレーニングデータとして、先ほど紹介した68化合物。ラットの系統としては、F344の雄、肝臓、1群4匹です。マイクロアレイの方法は二色法を使っています。
 68化合物には発がん性も非発がん性も含まれています。発がん性には様々なメカニズムがあることが既に分かっていますので、まず、階層的クラスタリングという化合物を分類する方法で遺伝子の発現量から発がん性グループを分類し、その結果、三つの化合物に分かれましたので、それぞれの化合物について予測遺伝子の選定を行い、その予測遺伝子を使って予測式の構築を行いました。更に予測式の最適化までを行うまでが構築の条件の大まかな流れです。
 解析の結果分かった三つの化合物グループについて構築した予測式A、B、Cの3種の予測式を用いて、フロー形式で化合物の発がん性を予測する手法を取っています。つまり、化合物は全て三つの予測式で予測しますが、全ての予測式でNegativeとならなければ、本システムではNegativeの判定にはなりません。どれか一つでもPositiveと判定されますとPositiveの判定になります。この内容については、2011年と2012年のCancer Infomaticで論文化を行っています。
 三つの予測式を用いたものを一つのシステムとして、「CARCINOscreen」という名前を付けました。これに取得したGene expression dataをインプットしますと、この中で計算され、予測値(Prediction Value)、「PVC」と名付けていますが、これが定量的に得られるシステムになっています。
 実際に、CARCINOscreenで68化合物の投与28日目の結果を予測した結果です。表の見方は、縦軸にPVCの値がプロットされており、値がゼロよりもプラス側であれば発がん性あり、ゼロよりマイナス側であれば発がん性なしという判定です。この一つ一つが化合物のPVCを示しています。このエリアがジェノトキシック/カルジノジェン、このエリアがノンジェノトキシック/カルジノジェン、こちらがジェノトキシック/ノンカルジノジェン、こちらがノンジェノトキシック/ノンカルジノジェンの、四つの化合物の分類のとおりプロットしています。
 こちらにあるとおり、非変異原性の発がん性物質は全て正当しています。大きな特徴としましては、非変異発がん性物質を高精度に予測できることです。全体のConcordance、accuracyは94%で、Sensitivityが100%、Specificityが82%です。また、先ほども出ていましたが、False Positive・False Negativeのレートは、それぞれ18%、0%でした。ノンジェノトキシックの発がん性を予測できていると同時に、変異原性はあるものの発がん性を示さないものも2化合物で外れていますが、比較的よく正当していることが大きな特徴だと思います。
 これは、構造異性体の予測精度にフォーカスしたグラフです。例えば、2,4-ジアミノトルエンと2,6体は両方ともエームス試験ではPositiveと判定され、2,4体は発がん性あり、2,6体は発がん性なしという物質です。我々のCARCINOscreenで、それぞれ正しく値が算出されていることが分かると思います。同様に、キノリンと8-ヒドロキシキノリンでも発がん性がある構造異性体についてはPVCがPositiveに算出され、発がん性がないものはPVCがNegativeに計算された結果になりました。このように、構造異性体についても非常に高い精度で予測できることを確認しています。
 どのような遺伝子を予測に使ったかについてです。化合物のグループを三つに分けた中での代表的な化合物のジエチルニトロソアミン(DEN)の遺伝子発現量のパターンを図にしています。この一つ一つの○、△、□などが遺伝子で、赤色を付けているのはその媒体対象に対して投与後に発現量がどれだけ増加したかを示しています。赤が強ければ発現量の増加が大きく、緑色は発現量が減少したもの、色が付いていないものは媒体の対象に対して変化がなかったものです。遺伝子の名前は伏せていますけれども、例えば、アポトーシスやDNA修復、細胞周期の停止など修復系に関係するような遺伝子群が非常に高発現していることが分かりました。一方で、セルサイクルの停止とは対照的に、セルサイクルをprogress、更新するようなものも同時に発現が増加しています。更に、Drug metabolismやTransportに関係するような遺伝子群も高発現していることが分かりました。少し図が見にくいのですが、中央に、p53という有名ながん抑制遺伝子があり、これらと関係する遺伝子が非常によく選ばれていることも、この解析から分かりました。
 この遺伝子ネットワークをほかの化合物グループと比較した結果です。同じグループAで、3'-Me-DABはエームス試験Positiveの発がん性物質で、チオアセトアミドはエームス試験Negativeの発がん性物質です。色の変化を見ていただきますと、発がん性はどちらもあるというのは共通していますが、エームスPositive、エームスNegativeにもかかわらず、発現パターンが類似していることが分かると思います。一方で、違う化合物グループでは、クロフィブレートはグループB、フェノバルビタールはグループCです。これらではグループAで動いている遺伝子にはあまり変化が見られていないことが比較から分かりました。つまり、化合物グループごとに特徴的な遺伝子やパスウェイ、ネットワークを持つので、発がん性物質と一括りに言っても、物質のグループでそのメカニズムが異なることが分かりました。こちらは1例で、グループAについてのみ示していますが、クロフィブレートやフェノバルビタールで発現量が大きく変化する遺伝子も抽出し、それで発がん性予測式のB、Cを構築しています。
 以上のように、68化合物でCARCINOscreenという短期の発がん性予測システムを作りましたが、ほかに例のない新しい手法なので、予測システムの精度がどの程度あるのかを十分にvalidateする必要があると我々も考えています。そこで、こちらに示すような六つの検証を行いました。前半の三つから説明します。
 まず、検証の一つ目として、施設間バリデーションを行いました。方法は、三つの研究機関で同一のプロトコールを用いて、同一物質について、動物実験からアレイ実検まで実施しています。その際には、先ほどエームスと発がん性のあり・なしで四つに分けたグループに分けたそれぞれから1化合物を選び、4化合物で実施しています。
 検証の二つ目としては、適用性の拡大のため系統差の確認を行っています。試験に用いたF344は、過去のNTPの試験で非常に多く用いられている系統ですが、国内の動物実験ではSDラットが多く使われているため、F344で取得したデータがSDラットにもきちんと適用できるかを検証しました。同様のストラテジーで、Wistar-Hannoverの適用性検討も行いました。こちらは、2007年頃からNTPがF344ラットに替えてWistar-Hannoverを推奨していますので、やはりこちらにも適用できるかを検討しています。
 こちらは、施設間バリデーションの結果です。機関A、B、C、それぞれ4物質ずつ実験を行いました。全てConcordanceとしてはTrueで、3機関とも4物質全て発がん性のあり・なしを正しく予測できたことが分かりました。このことから、プロトコール等の大きな問題はないのではないかと結論しています。
 検証?の、適用性拡大については、SDラットに対する予測率を調べました。こちらが実際に用いた16化合物です。Cはげっ歯類で発がん性があるかないか、Crはラットの肝臓での発がん性があるかないかを示しています。Mutaはエームス試験のPositive/Negativeを示し、このpredictionがCARCINOscreenで予測された結果です。つまり、発がん性があるものをプラスと予測するばTrueですが、発がん性があるものをマイナスと予測すればFalseという形になっています。このような予測で集計しますと、全体の一致率は87.5%で、Sensitivityは81.8%、Specificityは100%という結果が得られました。Wistarラットについては、まだ4物質でそれほど多くないのですが、先ほど示した構造異性体の2,4-ジアミノトルエンと2,6-ジアミノトルエンの両方とも実験を行い、全て正しく予測されています。4物質と少ないのですが、一致率は100%という結果になっています。
 以上の結果から、F344ラットの遺伝子発現量データをトレーニングデータとして構築したCARCINOscreenのシステムに、別系統であるSDラットとWistarラットの遺伝子発現量データは、ある程度適用可能ではないかという判断に至っています。
 続いて、外部バリデーションとして検証?、検証?、更に検証?を行いました。検証4は外部バリデーションAです。先ほどのトレーニングデータを形成する68化合物に含まれない18化合物について、動物実験から行い、遺伝子発現量データを予測しました。検証5は外部バリデーションBとして、厚生労働省のTox-Omicsプロジェクトで取得された遺伝子発現量データから、発がん性情報が明らかな36化合物を選定し、それらを予測しています。検証6は、その他の発がん性スクリーニング法との予測精度の比較です。一つ目が、中期発がん性試験です。二つ目が、培養細胞を用いた発がん性スクリーニング試験、Bhas22の細胞形質転換試験との予測精度の比較を行っています。
 まず、外部バリデーションAの、トレーニングデータに含まれない18化合物とその予測結果です。全体の一致率は83.3%、Sensitivityは92.3%、Specificityは60%です。発がん性物質の中で一つ外れているものは、マウスの肝臓で発がんする物質で、我々のシステムでは予測が正当しないという結果になりました。ただ、トレーニングデータに含まれない化合物、外部データに対して80%以上の精度で予測が可能であることを確認できました。
 これは、TGP、厚生労働省のTox-Omicsプロジェクトのデータです。これは完全にオープンになっていて、ウェブからダウンロードできるデータです。こちらの条件は、SDラット、14日間投与、肝臓、GeneChipデータという別のマイクロアレイを使っています。発がん性について明確な情報が得られた36化合物についてです。内訳は、発がん性が11化合物、非発がん性が36化合物です。これらを我々のシステムで予測しました。TGPのデータには、低用量、中用量、高用量の3用量のものがあるので、それぞれを予測した結果、91.7%、97.2%、94.4%で、いずれの投与量でも90%以上の精度で発がん性を予測することができました。
 検証?、予測精度の比較です。別のスクリーニング手法と予測結果がどの程度一致するのかを調べました。まず、中期発がん性試験との予測結果の比較です。20化合物です。これは1992年の論文から情報をピックアップしました。その結果です。中期発がん性試験とCARCINOscreenのConcordanceを示しています。中期発がん性にいくつか外れているものがありましたが、我々のシステムでは、20化合物に限定した中では全て正当しています。全体の一致率を計算すると、中期発がん性試験では80%、CARCINOscreenでは100%の精度で予測できたという結果になりました。両試験で共通して実施された20化合物については、CARCINOscreenでは100%の精度で予測できたことを確認しました。
 続いて、先ほど発表のありました、Bhas42のin vitro試験との予測結果の比較です。これも酒井先生が2010年に出された論文から情報をピックアップし、我々の試験と共通している22化合物について比較しています。これは、Bhas42の試験結果とCARCINOscreenの結果で、それぞれの物質のTrue/Falseを一覧表にしています。一致率を計算すると、22化合物に限定した場合という条件付きで、Bhas42試験では68.2%、CARCINOscreenでは86.4%という結果になりました。両試験で共通した22化合物については、CARCINOscreenでは86.4%の精度で予測できましたが、いくつか我々のシステムでも外れている物質があります。マウスも含めてのげっ歯類で、多臓器など、発がん性は認められていますが、ラットの肝臓で発がんしないものは検出力が低いということが、我々のシステムのまだ弱いところだと考えています。
 検証?、検証?の結果をまとめます。外部バリデーションでは、トレーニングデータに含まない18化合物については83.3%の精度で予測可能。また、TGPのデータで得られた36化合物について、低用量、中用量、高用量で、91.7~97.2%の予測精度でした。これらの結果から、外部データに対しても高い予測結果を示したことが確認できました。ただし、ラット肝臓で発がんを示さない物質や、肝毒性が非常に強い非発がん性物質に体しては予測が外れる傾向にあると分析しています。そのほかの発がん性スクリーニング手法との予測精度の比較では、中期発がん性試験と重なった20化合物では100%、Bhas42試験と重なった42化合物では86.4%の精度で予測できました。このことから、その他の発がん性予測スクリーニング手法と比較しても高い予測精度を示したと考えています。
 このスライドは、これらを一つの図にまとめたものです。まず、トレーニングデータには、F344ラットで68化合物を用い、一致率が94%。これに対し、施設間バリデーション、適用性、外部バリデーションを、それぞれ、F344ラット、SDラット、Wistarラット。TGPデータは、SDラット。外部バリデーションは、F344ラット。このように、ラットの系統も多岐にわたるもので検証しています。一致率は低いもので85%、高いもので100%を得ています。そのほかのスクリーニング手法との比較を行い、中期発がん性試験では20化合物で100%、Bhas42試験では22化合物で86.4%という結果を得ました。
 SDラットの適用性検討では、現在もMETIの研究を通じてデータを蓄積中です。そちらも少し紹介します。METIで行っているTox-Omicsプロジェクトは昨年度からの5か年計画で、遺伝子発現量を基に、発がん性、一般毒性、神経毒性、免疫毒性を高感度に早期に予測しようというものです。この中に、発がん性という一つのエンドポイントが入っていますので、これを活用してCARCINOscreenの検証試験を現在でも進めています。
 昨年度に得られた成果です。昨年度はTox-Omicsプロジェクトで5物質の動物実験によって、CARCINOscreenによる発がん性予測を行いました。その結果です。物質名は略称で示しています。既知の2年間の発がん性試験では、NTPのデータによると、5物質とも全て陰性でした。BDCMのみ、我々のCARCINOscreenのprediction valueではプラスと予測されました。BDCMはブロモジクロロメタンです。過去のNTPのデータを調べると、マウスの肝臓で、雌では発がん性を示しますが、雄では発がん性を示しません。F344ラットの雄においても、高用量で50分の4例の肝発がんの所見の報告がありましたが、用量依存性がなく、有意差がついていない、それでNegativeの結果になっています。参考までにお知らせします。
 このようなシステムを構築しましたが、我々が開発したCARCINOscreenをどのようにregulatoryに活かすかについて考えてみました。これは、本委員会の第2回に示された構想図の素案です。最初に既存の有害性情報によるスクリーニングを行い、有害性試験実施によるスクリーニングを行うという、このようなフローでregulatoryでの管理が考えられています。CARCINOscreenでは最短で14日間の投与期間で発がん性を予測できますので、この中では、遺伝毒性試験の次の辺りに入れることができれば非常によい活用ができるのではないかと我々は考えています。
 以上で報告を終ります。その後の資料は参考資料として載せていますので、御質問などがあったときに説明したいと思います。
○大前座長 御質問、御意見はいかがでしょうか。
○江馬委員 PVCの値は、例えばプラスの場合は、発がん性の強さと相関するのですか。
○齋藤委員 はい。発がん性の強さとPVCとの相関性も、今、我々は調べています。発表の中では説明しませんでしたが、用量を細かく振り、それとPVCの値がどのように関係するかを調べた検討も行っています。更に、TD50値とどのような相関性があるかの検討も行っております。現在、物質数がそれほど多くないのですが、相関係数が0.8程度の相関が見られています。将来的に何らかの形でPVCから発がん性の強さが分かるような指標に導くことができないか、検討を行っています。
○江馬委員 濃度を上げるとPVCが上がるのですか。
○齋藤委員 上がります。
○江馬委員 そうすると、マイナスでは何に関係するのですか。
○齋藤委員 濃度を下げていくとマイナスになります。これはジエチルニトロソアミンで、非常に強い発がん性物質です。濃度を下げていきますと、肝臓における遺伝子発現量変化が見られなくなってしまいますので、そうなると、我々のCARCINOscreenでもNegative、マイナスの方向に値が下がります。要は、用量相関性がPVCにはあるということは分かっています。
○江馬委員 そうすると、ラットに投与するときは、かなり高い量を投与するのですか。
○齋藤委員 そうです。現在のところ、CARCINOscreenを使って実際に試験も行っていますが、そのときの用量設定は、14日間若しくは28日間のMTDを必ずTop doseにして、そこからコウヒ5で2用量以上を設定することを勧めています。
○宮川委員 PVCについてです。今、発がん性の強さに関連するとおっしゃいましたが。
○齋藤委員 可能性が。
○宮川委員 基本的には判別のための指標ですよね。
○齋藤委員 はい。
○宮川委員 そうすると、その値のプラスあるいはマイナスが低いほうは判別の確率、当たっている可能性が高くて、真ん中の変の場合では、もしかすると判別できるかもしれないというぐらいに高い、そのようなものだと私は聞いていたのです。その辺りはいかがですか。
○齋藤委員 実際の予測式の構築の方法について、これも発表の中では省略しましたが、SVM(Support Vector Machine)という記述子を使って予測式を構築しています。この考え方ですが、まず、発がん性物質が赤、非発がん性物質が緑です。これらをうまく選り分ける境界線を引くような計算式なのです。これは画面が2次元なので模式的にどうしても2次元ですが、変動要因が3になれば3次元になり、5になれば5次元、10になれば10次元になるような、かなり複雑なものです。このときに、この境界線により近ければ発がん性が曖昧ということになり、この境界線より緑のグループからより遠くなれば、発がん性の可能性が低い。このような考え方で、最初はspeculationで予測式を構築しました。
 先生のおっしゃるとおり、もしかすると発がん性の確度が値に出ている可能性もあるのではないかという懸念もありましたので、先ほどお示したように、用量をかなり振りました。これは3物質程度しかお見せしていませんが、実際は18物質程をしています。その中で発がん性があるものについては、投与量に依存してPVCが上がる傾向にある。クロフィブレートはここで一旦下がっているのですが、実は、別の予測式で予測すると値が上がるのです。恐らく、投与量の違いにより生体内で起こっているメカニズムが変わったのではないかと我々は考えています。BAについては、低いところでは値が延びませんが、高いところでPVCが高くなります。やはり、どの用量で影響が出ているのかが反映されている可能性があるのではないか。
 更に、発がん性がない物質についてです。先ほどは一つのラインだけでしたが、こちらは三つの予測式全てをプロットしています。このように、発がん性がない物質については、いずれの予測式、いずれの投与量においてもマイナスの値を示すことが、今、データで分かっています。やはり、先ほどSVMで求めたものは、発がん性の有無の確度よりも、用量に依存したresponseを反映している可能性が高いのではないかと考えています。
○池田委員 分からなかったところを質問します。方法論としては、ネズミに化合物を投与して一定時間後に肝臓を取ってきて、メッセンジャーRNAの発現を調べるという方法ですね。
○齋藤委員 そうです。
○池田委員 分かりました。そうするとin vivoの実験ですが、投与は経口法ですか。
○齋藤委員 はい。投与法については、今回は強制経口投与で統一しています。ただ、例えばコンジ投与などでも検証した経験があります。そういうものでも発がん性があるものは正当しますし、ないものは外れることは分かっています。
○池田委員 アスコルビン酸のデータを見ても、あれはあまり吸収がよくないので、経口投与ではほとんど出ないのではないかと思うのです。ですから、例えば腹腔内にディムソブで溶かしたような溶液を投与しますと肝臓には確実にいきますので、それで投与量を変えるほうがよりよいのではないかと、ちらっと思いました。
○齋藤委員 ありがとうございます。
○池田委員 もう一つです。結局、これはToxicogenomicsですよね。
○齋藤委員 はい。
○池田委員 そうすると、いろいろな遺伝子の動きを見るのですが、この場合は、特殊なある企業秘密的な遺伝子を選んで行うと予測できますという、そういうことでしょうか。
○齋藤委員 開発の前半の部分の説明を省略させていただいたのですが、予測遺伝子に使っている遺伝子は、ラット肝臓のライブラリーから我々のプロジェクトで作りました。ライブラリーの中から反応性の高い配列をスクリーニングして、最終的にカスタムの形でマイクロアレイの上に搭載しています。配列によっては市販のマイクロアレイにはないものもあります。それは、どちらかと言うと、新規の遺伝子というよりは、splice variantのようなものが含まれています。発がん性に至る過程では、遺伝子としては一つの配列だという固定概念がありますが、そこに向かうときにsplice variantのようなものも関係している可能性もあるのではないかと考えたのです。
○池田委員 いずれにしても、網羅的にはやっていなくて、いくつか関連のありそうなものについて網羅しているということなのですね。
○齋藤委員 そうです。ただ、現在は、我々がライブラリーからminingしてきてスクリーニングした発がん性遺伝子と、ホールゲノム、一般に使われているプロブも全て載せた形で試験は行っています。我々はこの試験法を一般に広めたいので、発がん性予測しかできないとなるとなかなか使ってもらえないのではないかということがあります。例えば、肝臓の遺伝子発現を見たいときに、発がん性のリスクも見たいけれども、薬効を見たいとか、そのものの肝毒性がどのようなメカニズムで起こっているのかを見たいというニーズもあります。基本的に、ホールゲノム、一般に市販されているプロブも搭載されているし、我々の少し特別な配列のものも、どちらも搭載しています。
○福島委員 今のことに少し関連するかもしれません。当然、発がん性を見るとなると、投与期間はある一定期間必要で、非常に短かい投与で急性な変化を見てもそれは関連しないだろうということを鑑みて、基本的には投与期間を4週間とした。SDでしたか、一部のデータでは2週間というデータがある。2週間と4週間で違いがあるのかどうか。それが1点です。それから、2週間の試験は、先ほどのマイクロアレイではありませんが、違うGeneChipのアレイを使っている。なぜ違ったアレイを使っているのか。その辺を説明してください。
○齋藤委員 時間の関係で説明をかなり省略しました。まず1点目の、14日間と28日間については、F344で、我々が開発したTox-plusで予測すると、28日間では96%でしたが、14日間では88%に落ちます。2点目の、GeneChipでなぜできるのかという点です。開発当初からTox-plusと同時にGeneChipのデータも取得していました。つまり、68化合物に全てGeneChipのデータも同時に持っていました。TGPのデータについては、GeneChip版で構築した予測式にGeneChipのデータをapplyしています。システムとしては複雑なので、説明するとconfuseしてしまうので、主立ったところだけしか本日は発表していませんでした。
○福島委員 細かいことですが、先ほど、クロフィブレート、フェノバルビタール、典型的な遺伝毒性発がん物質という1枚のスライドがありました。田中先生のところでは陰性で出たというのは、いわゆるAhレセプタが絡むのですか。
○齋藤委員 そうです。
○福島委員 そういうものについては行う予定はあるのですか。
○齋藤委員 これはメリハリがあるので比較のために載せているのです。例えばクロフィブレートならばクロフィブレートでかなり動くパスウェイや遺伝子はもちろんあります。
○福島委員 お聞きしたいのは、Ahレセプトが絡むような発がん物質についてやるのかどうかということです。田中先生のところはNegativeですね。ステロイドほか、ダイオキシン、いろいろなものです。
○齋藤委員 ダイオキシン系ですね。ダイオキシン系はデータベースにはなかったと思います。取扱いが難しいので、動物実験となりますと、どうしても量も要りますので。候補には上がっていましたが、結果的に断念した記憶があります。ダイオキシン類は入っていません。
○津田委員 ホルモンはどうですか。
○齋藤委員 ホルモンは、デスや、ホルモン直接ではありませんが、フタル酸系などもデータの中に入れています。その辺りは予測できています。グループとしては、グループCに属するものが多くて、メカニズムとしては変異を起こして発がんに至るような、Denなどとはメカニズムが全く違うことは押えています。
○津田委員 検出率全体についてお話されましたが、肝臓を標的としないものに対する検出率はどうですか。
○齋藤委員 こちらには肝臓を標的としないものも入っています。それに対しても、トレーニングデータでは100%という結果です。
○津田委員 この表ではなくて、肝臓を標的としない発がん物質だけを選んだ場合に、この予測値では何%になるかということです。
○齋藤委員 一覧表がないので具体的な数値は何とも言えません。そのほかの臓器に対する発がん性物質も、この中には全て含まれています。数値的には、トレーニングデータの中では100%になります。ただ、検出力では、いろいろな外部バリデーションを行いますと、ラット肝臓で発がんしないベンゾピレンなどはFalseになるなど、こういうものがありますので、やはり全体的に見ると、ラット肝臓を標的としない化合物については先ほどのPVC値が低くなる傾向にあります。ですから、白黒では100%という数字になってしまいますが、実はこのように際どいものがかなりあります。この際どいものは、ラット肝臓では発がんしないものが非常に多いです。ぎりぎり正当しているという、Concordanceの数値上では出てしまいますが、DHPなど、この辺りはラット肝臓で発がんしないものなので、そういうものはPVC値が低い傾向にあり、外部バリデーションで外部データに対しても若干外れる傾向にあります。パーセンテージでは、この中では100%というお答えしかできませんが、一覧表があります。そのほかのもので違うものについては、1物質が外れているような形になります。
○西川委員 聞き漏らしたかもしれません。このデータは雄ラットだけですか。
○齋藤委員 雄ラットだけです。
○西川委員 そうすると、未知の物質をスクリーニングするためには、雌ラットも必要ということになりますか。
○齋藤委員 そうです。
○西川委員 そうすると、それに応じて予測式もまた違うものが必要になりますね。
○齋藤委員 検証してみないと分かりませんが、雌の発現量データでも同じ予測式で予測できることが一番理想です。実際に雌に発がん性物質を投与し、それで得られたデータをCARCINOscreenにapplyしてどの程度の予測精度を得られるかを、まずは検証する必要があると思います。
○吉田委員 先ほどの PVC値についてです。肝臓において非常に強い発がん物質のENUがほぼゼロに近いところです。先ほどから多くの先生方がPVC値について御質問されていますが、むしろ、どのようなプロファイルのPVC値であったかが問題なのではないか。これがコメントとして1点あります。もう一つは、スライド18についてです。ラットの肝臓で標的でないものを検出できるとおっしゃっていますが、その前に、これはメカニズムベースだとずっとおっしゃっているのと矛盾するような気がします。
○齋藤委員 そうですね。
○吉田委員 むしろ、例えばfore signが出てくるとか、ポテンシャルはあるが発がん性には至らなかったものがどうかを比較していただきたいと思います。
○齋藤委員 1点目のENUに関しては鋭い御指摘で、ありがとうございます。先ほどの、どのような投与量でapplyするかという御質問で、MTDを投与するとお話しましたが、システム開発時にはプロトコールさえもない状態で、どのような投与量を設定したらよいかが決まっていない状況で基礎データを取りました。その当時は、既知の発がん性情報から投与量を計算したと言いますか、実はDT51などから計算して算出し、このシステムにかけていました。そうなりますと、先ほど先生の御指摘にあった、ENUや、ほかにもDMNなど、本当はもう少し強く出てほしかったのに低く出てしまった。これをよく見ると、投与量が非常に低いのです。ですから、開発当初では投与量設定のプロトコールがまだfixされていなかったこともあり、2年間の投与用量を基準にして低めでやってしまうと、我々のシステムではなかなか検出しづらい。そういう意味で、ENUやDMNなど、本来ならばもう少し強く出るべきものが低く出てしまった。DMNについては、後ほど、投与量を振った形で再実験しましたところ、やはり高い用量ではかなり値が高くなったことを考えますと、我々のシステムには投与量が非常に重要だと考えています。
 2点目の、そのほかの発がん性物質についてです。Concordanceとしては一応当たってはいますが、私個人としては、そのほかの臓器の発がん性まで予測できるレベルまでは至っていないと思っています。やはり、メカニズムベースであるので、PVC値自体が全体的に低めに出てくる、それがぎりぎりプラスだという結果が非常に多いのです。全体の一致率としては比較的優等生な数字ですが、それが本当にその他の発がん性物質も予測できるかということに関しては、私個人はイエスとは言えません。基本的に、ラット肝臓で発がん性を示すものについては非常に高い確率で予測できるということは言えると思いますが、そのほかのものについては参考値のような取扱いではないかと、現時点では思っています。
 説明の最後のほうで、METIプロジェクトの紹介をしましたが、やはりメカニズムベースでは臓器でのresponseがかなり予測結果に影響することが分かっています。このプロジェクトで、今回お話した肝臓の次にターゲット性の高い腎臓について、現在データを取って、腎臓に対する発がん性のプレディクション・システムも構築しているところです。標的性については、肝臓が45%、腎臓が20%程度と言われていますので、合わせると60%程度の化学物質の発がん性はカバーできるようになるのではないかと考えています。
○清水委員 5枚目のスライドで、ジェノトキシックでノンカルジノジェンとか、ノンジェノトキシックのノンカルジノジェンなど、マイナスのほう、Negativeのこれは、doseをもっと上げればどうなのですか。
○齋藤委員 Doseに関しては、28日間反復投与の、最高doseが1,000mg/kgだったと思いますが、毒性が出ないものについては、1,000mg/kgの最大値までapplyしています。毒性が出るものには動物が死んでしまいますので。先ほどの説明とかぶりますが、発がん性があるものは発がん性情報があるので発がん性の既知の情報からdoseを設定しています。発がん性がないものについては、いわゆる発がん性doseがありませんので、予備試験を行いまして、そういう意味ではMTDで行っています。それで毒性が全く出ない場合には、top doseは1,000mg/kgに設定していますので、それ以上に上げた試験は我々はやっていません。
○福島委員 もう一つよろしいですか。試験のデザインについてお聞きしたいのです。期間、投与量、投与方法などについてです。投与期間が4週というのは、おそらく化審法で4週間と決めたのですね。
○齋藤委員 はい。
○福島委員 今回でも、low doseとhigh doseの2量ありますね。いろいろな理由があると思いますが、敢えて2doseにした理由、根拠。それから、もう一つは、思い出しますので、それだけ答えてください。
○齋藤委員 分かりました。1点目は、先生のおっしゃるとおり、28日間をmaxとしたのは、もともとこちらの研究開発であるNEDOプロジェクトで行っていたものです。既存の化審法にこのような新しい手法をプラスアルファすることで構成できないかというのが、もう一つのアイディアのもとになっています。それで、28日間です。これは発がん性から考えると非常に短くて、あまり科学的な設定ではないことは重々承知していますが、regulatoryに合わせた形で28日間にしています。
 投与量については、もちろん、たくさん設定できればよかったのですが、基本的に予算の関係が大きいのです。Doseを一つ上げると、その分、動物もデータも必要になりますので、それよりは物質数を稼ぎたいとして、全体的なバランスを考えました。1 doseですと、ノイズなどで値が出てしまったときに修復ができませんが、2用量であれば、linerにはなってしまい、統計処理はできませんが、用量相関性も若干はできます。それで、最低ライン2用量ということで2用量を確保しています。現在はいろいろと検討しまして、先ほどのような、PVC値の用量相関性については4用量を設定する試験を別に組むなどしています。2用量以上を設定すれば、発がん性がある場合には当たることが分かってきていますので、現在はこの試験をする場合でも媒体以外に2用量以上という設定で進めています。
○福島委員 もう一つは、敢えてnを4とした、その理由です。
○齋藤委員 これも、マイクロアレイの高価なツールなので。
○福島委員 分かります。その理由ですか。
○齋藤委員 はい。最初は、n5で、化審法がn5でされていると思います。n5で全てアレイ実験をしていましたが、その中で、相関解析などをしたところ、イメージと違って遺伝子発現力とかなり相関性がよいのです。今回はデータに示しています。こちらは我々のバックグラウンド・データです。アレイ実験は、一昔前まではノイズが大きい試験だというので敬遠される先生方もいらっしゃいました。これはセルフ実験で2回繰り返しのものですが、アレイデータはかなり高精度に再現性よく検出できます。
 こちらは、ラットの1群4匹での総当たりの相関性を見ています。つまり、1匹目対2匹目、1匹目対3匹目、1匹目対4匹目という形で、4匹を総当たりするので6組合せあります。決定係数は相関係数よりも厳しい値ですが、0.97~0.99です。個体間差も非常に小さい。もちろん、Circadian Rythmなどがあるため外れるものが全くないわけではないので、こういうものはどうしてもバイオロジカルにばらつくものですが、アレイの測定として、かなり正確にできれば、データとしてのバラつきは全体的に抑えられることが分かりました。それで、まず、5匹から4匹に少なくして、アレイの枚数をほかの物質に回せるように行っています。実は、現在は最低3でやっています。
○福島委員 3でいけますか。
○齋藤委員 はい、3でいけます。非常に値が安定していますので、有意差を持って検出することができます。どうしても心配される方は4や5に設定されますが、それに応じてどうしてもアレイの実験費用がかさばります。費用対効果の面から、今は最低3あれば統計処理ができますので、現在は3以上という設定をしています。
○大前座長 もう時間もありませんので、後で個人的に質問していただくことに致します。次で最後の質問にしたいと思います。
○櫻井委員 聞き漏らしたかもしれません。1、3、7、14、28の5つの時点でそれぞれ屠殺したというのは、それぞれのところで4匹とか3匹ということですか。
○齋藤委員 そうです
○櫻井委員 それは必要なのですか。フォローする時間のデータが必要なのですか。
○齋藤委員 我々としては28日をmaxとしていたのですが、より短いところで予測できるのがよいだろうということで、7日間、3日間、1日の投与での予測式構築もトライしているのです。結果としましては、28日間が最も予測率がよく、短くなればなるほど予測率が悪くなるのです。
○櫻井委員 分かりました。では、28日間でやればよいということなのですね。
○齋藤委員 はい。一番精度が良いのは28日間ということです。ぎりぎり14日間までが80%以上の精度で予測できるという結論は得ています。
○大前座長 ありがとうございました。申し訳ありませんが、あとは何かございましたら後ほど個人的に御質問等をしてください。
 少し時間が押してまいりましたので次の議題です。「国が行う長期発がん試験の試験方法について」、事務局から説明をしてください。
○松井化学物質評価室長 資料3、これは前々回のこの小検討会で議論いただき、その結果修正をして前回もお配りしておりました資料と同じです。修正点は裏の(3)が真ん中辺りから始まっておりますが、二重下線を引いてある3箇所、第2回の資料から修正をしております。いちばん上、「原則として吸入ばく露によることとし、」というのは、短期・中期試験の投与方法について労働現場で使用することを勘案すると、吸入ばく露がよいということで、多くの先生から御指摘がありました。それを明記して、原則として吸入ばく露としております。その下3行、また書きで二重下線を入れている所、これは試験の堅牢性の担保をする必要があるので、「堅牢性の担保されている最適な試験方法を検証する」ことを書き込んでおります。
 最後の(4)は前々回の小検討会の中で、この短期・中期試験をスクリーニングに使ってはどうかという意見が複数ありましたので、そうした場合には長期発がん性試験のときにその結果を活用できることを書き込んでおります。前回の小検討会で議論いただく時間を事務局で取っておりませんでしたので、前回の小検討会終了後にメールで御意見を伺いましたところ、1つだけコメントが出てきております。資料に書いて配付はしておりませんが読み上げます。御意見の中で1、2など出てくるのは、資料3の番号です。
 ここでおっしゃっているのは先ほど御覧いただいた資料3の裏、(3)の?は二段階発がんモデルによる試験、?が遺伝子組み換え動物を使用する試験ということで、短期・中期試験の方向についての御指摘です。
 コメントに読み上げると、「1と2に関しては特に異論はありません。3-(3)、?と?について以下のように考えます。既知の発がん性が明らかな物質とどの程度一致するのか。また変異原性(少なくともエームス試験や染色異常試験等)とどの程度一致するのか。さらに既に二段階発がんモデル試験が行われ、報告されている物質は事前にどのような根拠により選んだのかが疑問として挙げられます」ということで、既知の試験や変異原性試験との一致の程度、それから二段階発がんモデルを行った物質の選定根拠についての疑問点というコメントです。
 以上のようなコメントをいただいておりますので、今回、更に御議論いただければと思っております。
○大前座長 この資料3、国が行う長期発がん性試験の試験法について、前回も同じ資料が出ており、二重下線の所で前回までの議論で修正をしていただきました。それプラス、今のコメントを含めて資料3について何か御意見、御質問はございますでしょうか。
○福島委員 最後の質問のことについて、私の所ですからお答えしたいと思います。参考資料3です。まず発がん性との一致では、4ページのは、いわゆるイトウモデルの結果です。ここに書いてあるとおり、肝臓を標的とするものについては、MutagenicityがPositive、NegativeそれからUnknownという結果が得られているということです。この表を見ていただきたいということです。
 2点目、エームステスト云々ということですが、私もしっかり見ておけばよかったのですが、ここのテーブルに記載してあるエームステストというのは遺伝特性と大きく捉えてもらったほうがいいと思います。ただし多くがエームステストでPositiveなもの。一部にはエームステストでNegativeのものもあります。そういうように私は今記憶しております。
 それから被験物質を選んだ根拠ですが、例えば肝臓のイトウテストなどについては、最初に我々が行ったのは、ポピュラーな肝臓を標的とする発がん物質からスタートしております。そういうものを追ってきまして、その後IARCの中での検索の結果。それからNTPなどそのほかのもの、さらに文献的な考察を加えて選んでいるということです。詳しいことについてはむしろ私よりは津田先生、突然御指名して申し訳ありませんが、津田先生のほうがもう少し正確に答えられるかもわかりません。津田先生、追加はございますでしょうか。
○津田委員 今、福島先生が御説明された4ページの表、327ケミカルの所です。Liver、Other than liverのところにunknownというのがあります。これは実際に発がん性は分かってないので、この表は確かどこか学会に発表されたなど、そのようなことから聞かれたと思います。これは省かないと、この表の最終的なパーセンテージのいわゆるSensitivityとSpecificityのデータに少し変な修飾がかかっています。ですから正確に言うには、これを抜いた値で計算をされればきちんと出てくると思います。
○宮川委員 私は今の点で、資料3の2ページ、二重線が引いてある下から2番目、(3)の最後の文言の意味が少し不正確ではないかと思います。「堅牢性の担保されている最適な試験方法を検証する」というのは、この試行的導入によってどういう試験であれば堅牢性が担保されるのかを検証するということでしょうか。それとも堅牢性がある程度担保されている証拠のある試験を使って何かほかのものを検証するのか。この文の意味が分かりにくいかなと思いました。
○松井化学物質評価室長 意図は、今回、試行的に導入しますので、その試行的に導入した試験を利用することによって、堅牢性が担保されている最適な試験方法を検証するという意図でここは書いております。
○宮川委員 もう1回言うと、そうすると今回試験的に導入していくつかやってみて、このような試験であれば、ある程度ロバストネスがきちんとしているなということを捉えるという、そういう趣旨でしょうか。
○松井化学物質評価室長 今回の試行的導入で労働者の健康障害防止の目的にうまく合った最適な試験方法を併せて検証するということです。おっしゃったとおりです。文章を修正したほうがよろしければいたします。
○大前座長 まだもう1つテーマがございます。このテーマと次のテーマはたぶん次回でも検討できると思いますので、時間がないので、次の発がん性のスクリーニング迅速化について事務局から説明をしていただきます。時間が余まれば、この2つをまとめて少しディスカッションしたいと思います。
○松井化学物質評価室長 資料4と資料4-2です。資料4は前回の資料と同じです。資料4-2は、前回までの小検討会、主に前々回での御議論、それから前回以降にメールでいただいた意見をまとめております。既存の有害性情報によるスクリーニングに関しては、発がん性に関する情報については、機関間で評価が分かれている場合などは情報の詳細を検討する必要がありますというような御意見がございました。
 (2)遺伝毒性の有無の判断については、試験方法についていろいろ御指摘をいただいております。(2)の1つ目の○の7行目、「マリグナントリンフォーマ」とありますが、「マウスリンフォーマ」の間違いです。申し訳ございません。それで遺伝毒性の有無の判断については、利用すべき試験についていろいろ御指摘をいただいております。
 2ページの(3)の遺伝毒性物質のスクリーニングについて、これは遺伝毒性試験の強さについて、例えばエームス試験では比活性があるという御指摘をいただいており、あとは変異原性試験でガス状物質などの吸入の関係の御指摘などをいただいております。
 (4)非遺伝毒性物質のスクリーニング、前々回の議論の中で、2つ目の○、「非遺伝毒性の発がん性物質については、今まで見落としているものが多いかも知れない」というようなコメントがありましたので、ここに挙げております。
 2の有害性試験の実施によるスクリーニングについては、特に前々回の御議論の中でいろいろな御指摘がありました。メールでいただいたものを含めて以下3ページの終わりの所まで一応簡単にまとめて整理しております。今日はまた時間がございませんが、次回には、資料4の本体の修正案も含めてお出しして、御議論いただきたいと考えております。
○大前座長 時間があまりなくなってしまいましたが、今の資料4、特に4-2の辺りで何か御追加、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。
○宮川委員 今日の発表にありましたように、構造活性相関をやっていらっしゃる場合には、PositiveかNegativeか、Concordanceがどうかという所に集中しますが、全体的なスクリーニングの枠組みを考えたときには、情報の確度がどの程度かを考えて、確度が高いかどうか通知手法をある程度はっきりさせた上で、比較的確度が高い情報が出た場合で、それがNegativeだったらそこでストップという可能性もあると思いますが、確度が低いときには少しそこでどうするかを慎重に考えたほうがよろしいと思います。簡単にNegative、Positiveでスクリーニングの構造活性相関のときに、そこで二分法でということではなく、ある程度検討が必要な場合もあることが分かるようなスキームにしていただけるとよろしいかと思います。
○大前座長 今の御意見よろしゅうございますか。そのほか何か御意見はございますか。
○吉田委員 一部重なってしまうかもしれませんが、資料4の(2)、有害性試験の実施によるスクリーニングで、遺伝毒性の実施は遺伝毒性の強さの判断が強いから負荷までのものに行っていくということになっていますが、むしろ既知の情報で疑い大の場合であった場合は、構造活性相関は100パーセントでは今のところはないという現状を踏まえると、これを横に延ばして疑い大についても遺伝毒性を実施してから、中期発がん等にいくことがよろしいのではないかと思います。
○大前座長 いかがでしょうか、今の御意見。特に反論もございませんので。
○松井化学物質評価室長 一応、構造活性相関で発がん性の疑い大の場合も更に実際の試験が必要だというお話で、それはそのとおりです。一応、このフローとしては遺伝毒性が無しのほうを主に発がん性の構造活性相関に流れているので、どちらかと言うと遺伝毒性試験というよりは、ほかの種類の今日発表になったような試験など、御説明のあったような試験など、そういう試験のほうが効率的かなという気はいたしました。
○吉田委員 私が気にしておりましたのは、表4の真ん中、判断不可という所も遺伝毒性をしないで、スキップしてしまうものですから、判断不可については、または判断不可を遺伝毒性ありのほうに持っていくならばいいのですが、判断不可というのは判定、私が誤解しているのかもしれません。遺伝毒性なしについては、私は同意見です。
○大前座長 今おっしゃった判断不可というのは、真ん中の所の判断不可ですね。
○吉田委員 はい。
○大前座長 強い、弱い判断かの所の判断不可。
○松井化学物質評価室長 遺伝毒性の有無の判断のいちばん右端の判断不可は、発がん性による構造活性相関だけで下のほうに行ってしまうと、不十分だということですね。わかりました。
○田中委員 要するに、非変異性の発がん物質はもう全部検査しないということになるわけですね。……遺伝毒性なしという判断不可ということになる。それではやはり非変異の発がん物質は漏れてしまうわけですよね。何らかの非変異発がん物質を捉える系を入れないと。
○松井化学物質評価室長 資料4は上から3つ目の四角囲みの遺伝毒性なしという所については、一応この案では構造活性相関を経て中期の発がん性試験に流れております。ですからこの中期発がん性試験等という欄にどういう試験を持ってくるかというような所をまた御検討いただく必要があるのかなと。試験は構造活性相関で少なくとも疑いが大きければ、何らかの試験が必要だというフローになっております。
○大前座長 よろしいですか。疑いが大だとこれは試験はきちんとやるのだ。遺伝毒性がなし、若しくは判断不可の場合は構造活性相関を経て試験をやるのだと。構造活性相関で疑いがなければ、小さいと書いてありますが、それはそこでストップというフローということですか。これも次回また少し時間を取って検討していただけると思います。それでは最後に次回の予定等について事務局からお願いします。
○大淵有害性調査機関査察官 次回以降の予定は資料5になります。次回は12月13日、最終回第6回は12月27日を予定しております。本日は資料4、資料4-2の関係はまだ検討時間がまだ不足しておりますので、その辺りの検討をさらに詰めていただく予定をしております。予定は以上です。
○大前座長 次回は資料5のように12月13日です。どうぞ御予定ください。今日は資料3、資料4の討議時間が短くなってしまいました。申し訳ありませんでした。それでは今日は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成24年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)> 化学物質のリスク評価検討会の「第4回有害性評価小検討会」

ページの先頭へ戻る