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2012年11月9日 第11回社会保障審議会生活保護基準部会議事録

社会・援護局

○日時

平成24年11月9日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

駒村 康平 (部会長)
岩田 正美 (部会長代理)
阿部 彩 (委員)
庄司 洋子 (委員)
栃本 一三郎 (委員)
林  徹 (委員)
道中 隆 (委員)
山田 篤裕 (委員)

○議題

・これまでの部会における議論を踏まえ、具体的な検証方法等の確認
・その他

○議事

○駒村部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第11回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
 まず、本日の委員の出席状況について事務局より御報告をお願いいたします。
○伊沢補佐 本日の委員の御出席の状況でございますが、道中委員より御欠席との御報告を受けております。また、庄司先生に関しましては、10分程度遅れるということで御連絡をいただいております。
 それでは、部会長、議事進行のほうをよろしくお願いいたします。
○駒村部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 既に事務局において分析作業はスタートしていますが、今回は前回に引き続き、これまでの部会における議論を踏まえ、実際に数値に基づいた検証に入っていくため、具体的な検証方法等のうち、前回確認できなかった部分について確認したいと思います。
 このため本日の部会では、こうした点について事務局からの資料の説明をしていただき、皆様に御議論をしていただきたいと思います。
 それでは、まず事務局より提出された資料1と参考資料について、あわせて御報告をお願いいたします。
○伊沢補佐 それでは、資料1と参考資料の説明をさせていただきます。
最初に参考資料のほうでございます。「生活保護の動向(速報)」平成24年7月分ということでつけさせていただいております。
 被保護実人員につきましては、昨年7月に過去最高でございました昭和26年の204万人の数値を超えた後、引き続き増加傾向は衰えずに、過去最高を更新し続けているという状況でございます。平成24年7月の時点で被保護者数が、お手元の資料にございますとおり、212万人を超えております。保護率は1.67%。対前年度月の伸び率を見ますと、被保護実人員では3.6%の増、被保護世帯では4.3%の伸びとなっております。なお、被保護実人員は前月に比べまして、9,192人増加しているという状況でございます。
 引き続きまして、資料1「第10回部会における委員の依頼資料等」について御説明いたします。前回の部会で御依頼のありました資料等につきまして、整理をしたものでございます。
 2ページをごらんいただきますと、前回この部会におきまして、社会保障審議会に設置されております「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」に事務局から御提案いたしました、勤労控除制度の見直しに関する部分を提示させていただきました。
 その中に特別控除の廃止も含め検討という部分がございましたことから、取り急ぎ私どもで特別控除の現状につき調査を実施いたしました。都道府県本庁等の御協力をいただき、全国にございます1,250カ所の福祉事務所に悉皆で調査をかけております。特別控除につきまして、制度の活用状況や現行制度に対する自治体、または全国の福祉事務所の考え等につきまして、アンケート形式で調査を実施しております。現時点で約8割程度でございますが、978福祉事務所から回答を得ている状況でございます。
 まず、特別控除を適用した例について、主にどのような考え方で適用したかとの問いに対しましては、全体の74%、約4分の3に当たります662福祉事務所から臨時的就労関連経費の支出の有無にかかわらず、年に1~2回程度定期的に適用しているという回答を得ております。特別控除の本来の趣旨であります臨時的就労関連経費の支出があった月に、そのつど適用しているという事務所はわずか5%の47事務所といった結果でございました。
 次の、特別控除の適用による効果についてどのように考えていますかという問いに対しまして、可処分所得の増加によって就労インセンティブの促進に効果的につながっていると答えた事務所が全体の半数を超えているという状況でございました。特別控除の本来の趣旨でございます臨時的就労関連経費の補てんといった役割に関しましては、既に機能していないのではないかといったことが推測されるという結果になっております。
 この資料につきまして、本日御欠席でございますけれども、事前に資料をお示ししまして、道中委員からコメントをいただいております。紙としてお出しするのは間に合わなかったものですから、概要のみとなりますが、読み上げさせていただきたいと考えます。
 以下、読み上げでございます。
 最初の問いに対しまして、「マル2の選択肢を選んだ福祉事務所が多かったことから、保護の現場では必要経費の補てんという意識は低いことがうかがえる。また、年に1~2回程度定期的に分割して適用するというケースは、稼働者の就労収入が少なくすぐには保護の停止・廃止が想定されないケースであり、賞与・ボーナスなどが支給されていないケースが主であると推認できる。これらの結果から、現時点では制度創設当初の臨時的就労関連経費に対応した特別控除の目的・役割は既に果たされ、現下の雇用システムを勘案すれば、特別控除はその役割を終えているものと判断される。
 また、2つ目の問いに対する結果から、前の質問のコメントと同様に臨時的就労関連経費を補てんするという本来の役割は終えていることがわかる。就労関連経費の補てんよりも、むしろ就労インセンティブに効果があると考えられるとの回答の割合が51%ということであるが、これは低すぎる。現行の勤労控除の仕組みが保護からの脱却インセンティブを弛緩させ、出口(保護廃止)をふさいでいることへの福祉現場のあきらめが表れているのではないか。保護からの脱却インセンティブは前回発言したとおり、特別控除相当額を保護からの脱却時に備える。そういったことで、より効果が期待される。」
 以上、概要だけでございますが、道中委員からいただいたコメントを御紹介させていただきました。
 3~6ページでございますが、全国消費実態調査の結果から年間所得階級を十分位に分けて見た場合の世帯年収等のシェアを確認いたしております。前々回の第9回部会におきまして、6ページの下段にございます2人以上世帯のシェアのものにつきましてお出ししておりましたが、今回、総務省の公表ベースで改めてシェアを計算し直したものをおつけさせていただいております。前回お示ししましたデータより若干第1十分位のシェアが低くなっていることが確認できますので、このデータの解釈等について後ほど御意見を賜われればと考えております。
 7ページ及び8ページでございます。ここでは耐久消費財の保有状況を平均的世帯であります第3五分位と、今回の比較対象世帯であります第1十分位を比較しております。対比しております項目、品目につきましては、表の下のアスタリスクにございますとおり、本部会の委員でございます阿部委員が平成23年に実施されました社会的必需品調査のほうで回答者の50%以上が「『必要であり、入手することができるべきである』と答えた項目」とさせていただいております。総世帯と夫婦と子1人世帯ともに第1十分位の保有率は、第3五分位の保有率とおおむね同程度という結果になっております。
 9ページ、今回の検証では過去の検証指標等を踏襲いたしまして、年間所得階級第1十分位を比較対象世帯階級として実施しております。そのため、第1十分位に属する世帯が生活扶助基準の比較対象として妥当か、つまり第1十分位に属する低所得層はほかの十分位の世帯に比べまして、消費水準が大きく異なる層であるかどうかといったことにつきまして、確認する必要があるのではないかといった点がございまして、9ページ及び10ページにおいて、実態としてどの分位階級が消費構造において他の分位階級と大きく変化が認められるのか。統計的手法を用いまして、検証を行ってみてはどうかという御提案を事務局からさせていただいているペーパーでございます。
 詳しい説明は割愛させていただきますが、夫婦と子1人世帯など特定の世帯類型を対象にした分析を行います。その分析手法として集計結果に基づく分散分析といった手法をこのページで説明させていただいております。
 10ページは、特定の世帯類型に限定することなく、全世帯を対象にした場合の消費構造の変化を確認するための手法である回帰分析を用いたChowテストといったものについて説明しております。これら分散分析及びChowテストといった統計的手法を適用することによりまして、その他の分位間での差と比較し、第1十分位と第2十分位の間において最も大きな違いが認められるようであれば、第1十分位に属する低所得層は他の十分位の世帯に比べ、消費水準が大きく異なることが確認できたと言えるのではないかという点につきまして、専門的な視点から御意見を賜りたいと考えております。
 最後のページでございます。現在、生活扶助の基準の第2類費、冬季加算といったものに関しましては、規模の経済、いわゆるスケールメリットを考慮して、世帯人員がふえるごとに基準額が減額されるという仕組みが基準額表上に盛り込まれております。同じように日常生活費等への充当が想定されております期末一時扶助につきましても、スケールメリットを考慮したほうが自然と考えられますが、この点につきまして、委員の御意見をお聞かせ願えましたらと考えております。
 資料1及び参考資料の説明は、以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの事務局の説明について、質問等があればお願いいたします。質疑に先立って、阿部委員が実施した資料が7~8ページで紹介されていると思います。この社会的必需品調査について、阿部委員のほうから概要あるいは補足説明があれば、お願いできますでしょうか。
○阿部委員 非常に簡単な概念のものですけれども、社会的必需品を使った必需品の保有状況を見て貧困であるかの判断をするというのは、1970年代からイギリスで開発され、もうかなりOECDやEU等でも採択されている、一般的に普及している貧困を測定する方法でございます。
 黄色い表は一般市民の方々に「あなたは新しい下着が1年に1回以上必要ですか」と聞くのではなくて、「あなたは日本にいる全ての人が普通の生活をするためには、1年に1回くらい新しい下着を買うことが必要だと思いますか」という、あくまでも自分以外の一般市民全てが当てはまるものという形で聞くところが一つのみそでございます。
 個人個人にはそれぞれ自分のニーズに対して、それぞれ違うものがありますし、私はこれは要らないわ、私はこれを要るとか特別要るとか、いろいろなものがありますが、普通の人がこれは持っているべきでしょうみたいな、そういう概念が社会的必需品です。
 そこで少なくとも過半数の人が、これは絶対に普通なら持っているでしょうというようなものを社会的必需品と選定して、それらがちゃんと充足されているかどうかをもって貧困かどうかの指標にするという方法でございます。
 ですので、これはある意味でネガティブテストで、もしこれらの必需品が欠けていたら、やはり貧困であると判別できる種類のものです。今回ここで青いほうの表で出していただいたのが、全消での第1十分位相当の層の方々が、これを欠けているかどうかを示しているものです。もちろん特に生活実態調査では、私はこんなものを欲しくないですよといった場合は除外をしているのですが、それでも100%にならないというのがあります。それは第3五分位でも100%になっていないところがあります。
 ですので、観点としては第3五分位の標準的な世帯に比べて、第1十分位の層が著しく必需品の保有状況の違いがあるかどうかを見るわけですが、そこで見ていただきますと、ほとんどが0.9、最後の生命保険の加入だけが0.6と低くなっているのですが、ほとんどの項目については1に近い割合で、同じくらいの割合で持っているということがありますので、このデータを見る限りにおいては、第1十分位の人たちが社会的必需品がない状態。つまり貧困状態にあるということは言えない。つまり、おおむね差はなく必需品は充足されているだろうと考えられるということです。
 ここで社会的必需品であるかどうかという一つのスクリーニングをこの項目についてかけることは非常に重要で、例えばこの青いほうの表の項目が宝石とか車とか言えば、これは当然ですが、第1十分位と第3五分位では大きな差が出てくるわけです。ですけれども、その差はあっても、それは仕方がないのではないかというのが社会的必需品です。それは当然所得の違いがあれば、その保有率の差はある。
 ただ、必需品に関しては、こんなに差があってはならないというところで、表で見る限りはその差は認められないので、第1十分位の方々も必需品は充足されているのではないかと推測されるということが言えると思います。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 山田委員、どうぞ。
○山田委員 質問というか意見でありますけれども、特に3~6ページにかけて、さまざまな定義の所得十分位でそれぞれのシェアを確認してくださいというお願いを前回しておりまして、このように基準検証で参照する2つの定義の所得十分位を含めて、第1所得十分位のシェアを多角的に検証するための丁寧な作表をいただき、ありがとうございます。これを見ていたのですけれども、3つくらいのことが言えると思います。
 まず、第1点目です。第1十分位のシェアが幾つかの定義で見ると、わずかではありますけれども、下がっているということです。大体0.1~0.2ポイントくらい第1十分位のシェアが下がっているということが、まず1点挙げられます。
 第2点目としては、幾つかやっていただいた定義の所得十分位では、その真ん中ですね。第5十分位のシェアも下がっているのがもう一つ重要な点ではないかと思います。
 さらに3点になりますけれども、ほかの所得階層のシェアが下がっている。単に第1とか第5だけではなくて、ほかの所得階層のシェアも下がっている。そうすると、ではシェアが下がっていない、むしろシェアが上がっているところはどうかということになりますけれども、それはよくよく見ますと第10十分位、要するに最も所得の高いほうを10~20%でシェアが上がっているのが、ここから言える3つ目の点かと思います。
 こうした3つの数字からうかがえる傾向を見ていますと、2つの重要な意味を実はこの表は持っているのではないかと思います。
 1つは、世帯所得のシェアが第1所得十分位で下がっていて、一見その0.1ポイントとか0.2ポイントは小さい値のように思えますけれども、インパクトとしては第1所得十分位にいる人たちにとってのインパクトとしては大きいのではないか。
 例えば4ページでは、ここ10年間に総世帯の数字で見ますと、3.12%から2.91%に下がっているのですけれども、この第1所得十分位側からすると、シェアが7%も減ったということで、結構そのインパクトは大きいということですね。
 2点目として、さらに重要なのは中間所得階層を含め、高所得層以外の全体の所得シェアが下がってしまっているということです。この中でこれまで従来やってきた水準均衡のようなものをどういうふうに考えていったらいいかを問いかけているように思います。今回の基準検証では、前回のお話では世帯員や年齢階級などに応じた基準の展開の仕方というものやスケールメリットなどのパラメーターについて、まず消費実態と整合的かを検証しようということだと理解していますし、そういった方向性は確認しておくべきだと思います。
 そうした基準展開の検証について、これまで使用されてきた第1所得十分位を使用するのは、今回は2つの定義の所得十分位とも比べるということで非常に適当なことだとは思います。ただ、その基準展開をやった後の基準自体を考えるについて、やはりこのシェアの低下については慎重に考える必要があるというのが私からのコメントです。
 それ以外にも幾つかこの資料にはコメントを差し上げたいことがありますけれども、長くなりますので、とりあえずこの点についてコメントを差し上げます。
○駒村部会長 ありがとうございました。
 ほかの委員はいかがでしょうか。
 岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 今の山田委員の御意見と全く同じです。私もこれを拝見しまして、最近の所得不平等の問題が、真ん中から下がっていくというのではなくて、上位20%くらいが断トツに上がっていって、それ以外は全体に下がるというかたちですね。このことは言われてきたことですが、本当にこれを見るとはっきりわかります。
 もともと格差縮小から水準均衡へと行く前提となった考え方は、所得倍増計画の中で一番下の所得層の所得も上がっていったのに、保護世帯だけが置き去りにされたということで、格差縮小方式に転換し、そして、平均の大体6~7割水準が妥当という考え方でこれまで検証がずっとされてきたのですけれども、こういう所得分布の姿を見ると、今後はそれをどう考えるかはかなり抜本的に考え直す必要もあるかなと。これは今回の検証にはもちろん間に合わないわけですけれども、同じようなやり方で今後やっていいかどうかは課題になるかと思っています。
○駒村部会長 ほかの委員、いかがでしょうか。
 山田委員、岩田委員がおっしゃったように、緩やかに第1分位は落ちてきている。極端に落ちているわけではないのですが、もともと取り分が少ないわけですから、落ちているという、この落ち方ですら、きついのではないか。
 もう一つは、今のお話であった中間層だけではなくて、それから少し上の層まで含めて沈んでいる。例えば6、7、8まで見ても取り分がどんどん下に沈んできて、上のほうが社会全体のパイの取り分がふえてきている。この状況をどう考えていくのか。従来どおり周囲との相対的な距離だけで考えて位置づけていいのか。
 岩田委員の問題の御提起は、今回は従来の方法でやるというのが、この第1十分位の全体の動きからして不連続に変わっているわけではないのでとりあえずはいいとしても、このままの傾向が続いて、上位の取り分がどんどんふえていく中で、真ん中を基準にした相対的なものの考え方でいいのか。そういう問題提起をされたと思います。
 ほかの委員はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、この資料は前回から積み残されていた部分でございます。この中で11ページでありますけれども、12月の特別需要に対応するために期末一時扶助についての生活扶助基準本体と同様に、これについてのスケールメリットを考えることができるのではないかというような資料もついておりますが、これについて委員の皆さんから少し議論をいただきたいと思います。
 資料1の最後のページであります。今までの部分は宿題のところと阿部委員の御説明のところと計量分析の考え方が整理されていますが、一番最後のところは性格が違うかもしれませんけれども、期末一時扶助に対するスケールメリットについての委員のお考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 質問です。一番最後のページの12月の増加分の集計は全世帯の平均ですか。それとも第1十分位とか第2十分位とかでしょうか。
○伊沢補佐 第1十分位でございます。
○駒村部会長 山田委員、お願いします。
○山田委員 こちらにも枠で囲われておりますように、一般国民の生活習慣として親族等が集まる機会も多いから食料の消費量が増加するとか、そういったいろいろな理由で一般的な実感としても12月は物入りであって、この期末一時扶助自体は重要かつ生活者の一般的な実感として必要なものと私も理解をしています。
 ただし、こちらに書かれておりますように、今、平均でやっておりまして、スケールメリットが働いているかどうかが、例えば1類とか2類で展開の仕方ということでスケールメリットを確認するわけですけれども、そこでスケールメリットが確認されたということであれば、1類的な性格なのか、2類的な性格なのかによってスケールメリットが異なるのかもしれませんけれども、それに合わせてスケールメリットを効かせるのは一つの合理的な判断だろうとは思います。
 ただ、この期末一時扶助自体、スケールメリットが考慮されていないことに関しては、そういったやり方で一つ今回の検証の結果、おのずとこちらにもスケールメリットを効かせるべきかどうかという答えが出てくるのではないかと理解しております。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 11ページの資料を見ると、給付の計算は全くスケールメリットがないようになっていて、実態はスケールメリットがあるのではないかと。スケールメリットの程度についてはこれから検証に入るわけですけれども、考え方としては同様の考え方でいいのではないかという御意見だと思いますが、ほかの委員はいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 ただ、私も多分恐らくスケールメリットは期末の商品にもあるとは思います。ただ、それが通常の一般のスケールメリットと同じかどうかを勘案しなければいけないなと思いました。例えば同じ食費でもスーパーマーケットで買う食費と、家族でお正月のお祝いでどこかに出かけるという食費は全くスケールメリットが違うと思います。ここではほとんど食料品が出ていますけれども、お年玉をあげるとか親戚のところに行くための旅費とか、そういうものも全然違うスケールメリットで動くので、そこのところを考慮するべきだと思います。
○駒村部会長 そうすると余り単純なスケールメリットというよりは、多少その社会的なお付き合いの部分とか慣習・慣行の部分で、スケールメリットが必ずしも出にくい部分もあるかもしれないので、スケールメリットを考慮するのだけれども、その辺は少し留意しておきましょうという御意見ですね。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 今、阿部委員がおっしゃったとおり、私ももちろん全て全く同じスケールメリットを使えというわけではなくて、そういったスケールメリットがこの12月の一時的な増加額で効きにくい部分もあるということは理解をしておりましたので、そこら辺は慎重にスケールメリットを効かせるにしろ、慎重に考えなくてはいけないということについては全く同じ意見です。
○駒村部会長 この点については、ほかの委員はいかがでしょうか。また後で気になれば、戻っても結構ですけれども、よろしければ、とりあえず前に進みたいと思います。
 前回の部会において、庄司委員より「加算や生活扶助以外の他扶助の議論については今後整理してほしい」という御意見がありました。
 今回の検証では、まず食費や水道光熱費などの基本的な日常生活費である生活扶助の基準について、一般低所得世帯の消費実態と均衡を確保できているかどうかということを優先して検証してきています。
 こうした生活扶助基準本体の検証でも、かなりの時間と労力を必要としていますので、その他の扶助や加算については、データなども集めて、かなり慎重に準備をしなければいけないと思います。
 今このタイミングでばたばたと少ない資料で議論するのは時間的に厳しい状態でございますので、庄司委員からお話があった加算や生活扶助以外の他扶助の議論については、この部会が常設部会でございますので、引き続き今後の課題として検証をしていきたいと思いますけれども、ほかの委員はこの点についていかがでしょうか。
○庄司委員 おっしゃるとおり、ちょっと無理があると思います。急いで議論して、どうするかという結論を出すところに行く問題ではありませんので、まずは本体のほうをやりながらということで、ただ、そうなのかどうなのかを確認しておきませんと、いつも頭にちらちらとその問題があって、私についてはそういう意味で御質問をしましたので、結構です。ほかの先生方にむしろ御判断をいただきたいと思います。
○駒村部会長 これは必ず忘れずにやっておく必要があると思いますけれども、ほかの委員はいかがでしょうか。もし後で何かありましたら、またつけ加えていただくことにします。
 では、栃本委員、お願いします。
○栃本委員 よくわかりました。その上でですけれども、今回は最終的に、今精力的に事務局が進められている作業が公表される際、ないしはこの基準部会でこういうことであるということを出す際には、留意事項というか、引き続きそういうことについて検討をするのだということを必ず書く。それは必要なことだと思います。
 以上です。
○駒村部会長 ありがとうございました。
 この点については、まずは今回の本体の基準の報告書の際には、留意事項として書き込むということで対応したいと思います。ありがとうございます。
 よろしゅうございますか。
 では、次に資料2について、事務局より御報告をお願いいたします。
○伊沢補佐 引き続きまして、資料2について御説明させていただきます。前回の部会におきまして、今回の検証は年齢及び人員並びに級地の3つの要素、この3要素に焦点を当て、詳細な消費実態の分析に基づく評価検証を行い、その結果を踏まえた上で水準の検証を行うといったことを基本方針として御了解いただいたところでございます。分析作業は既に事務局のほうでスタートをしているわけでございますけれども、具体的な作業内容までは本部会での御確認をいただいておりませんので、手戻りを避けるという意味で今回改めてこの場で御報告をさせていただき、委員の皆様との認識を共有させていただきたいと考えております。
 では、資料の説明に入らせていただきます。
 2ページ、これも復習になりますが、分析の必要性または分析の観点ということで、前回御承認をいただきました基本方針を再度確認させていただいております。仮に体系及び級地の検証の結果、低所得世帯の消費実態と基準額との間に差があった場合、水準の検証を行う際に、その差の影響を調整することが必要であるといったことが考えられます。調整のためには、その年齢、人員並びに級地間較差でございますが、こういった3つの要素が実態に合っていない影響がどのくらいあるのかといったものを定量的に評価する必要があるということでございます。
 その定量的に評価するという作業内容を3ページ以降で、項目に沿って説明しております。3ページで基準検証の流れをお示ししております。検証の順番も年齢、人員、級地の順になっておりますので、資料の順番に沿って御説明をさせていただきます。まず、年齢体系の検証でございます。
 3ページの「1.年齢体系の検証」。
 「(1)検証に用いるデータ」ということで、2つの箱をつけております。このデータの設定ですが、年齢体系の検証のみではなく、人員や級地の回帰分析を行う際にも使いますので、その点は御注意をいただきたいと思います。
 まず、マル1とマル2の2種類のデータを用意いたしまして、それぞれ金額を低いほうから高いほうに並べ替えをいたします。それを十等分した一番低い階層、第1十分位でございますけれども、ここを比較対象世帯として設定するということでございます。
 マル1、マル2と区分しておりますが、マル1のほうは単純にその世帯の年間収入に着目しまして、分位を設定しているものでございます。一方、マル2でございますが、こちらは1人当たりの世帯年収をまず算出しまして、その金額に着目して分位を設定していくというやり方をとっております。
 年間収入で単純に並び替えをしてしまいますと、多人数世帯か単身世帯かで1人当たりの可処分所得に大きな差が生じてしまいますので、区分けをした後の第1十分位の中に余裕があると思われる世帯と困窮した世帯、これが混在してしまう可能性も高いといったことが懸念されます。
 マル2のように1人当たりの世帯年収で並べ替えを行うことによりまして、1人当たりの可処分所得をそろえることも可能となりますので、世帯レベルでの困窮度の似通った世帯が集まる可能性が高まるといったことがございます。そういった違いをスケールメリットが厳しめ、またはスケールメリットが緩やかという表現で整理をさせていただいております。
 4ページで今回の年齢体系に係ります「(2)検証手法」を説明しております。今回の検証では、世帯に属します未成年者や世帯主である未成年者等についても、その消費実態をデータに基づき把握できるよう、統計的な手法である回帰分析を採用したいと考えております。
 真ん中に回帰分析のイメージ図を添付させていただいております。ばらばらなデータから最も当てはまりのよい直線を探して、この直線でデータのばらつきを平均化してしまうといったイメージでございます。この最も当てはまりのよい直線を計算により求める作業が回帰分析に当たりますが、その直線をあらわす数式で理論値を推計することも同時に可能になります。その式、いわゆる回帰式のイメージをデータマル1及びデータマル2のそれぞれについて、その4ページの下の箱2つに仮置きということで書かせていただいております。
 実際の作業ではこの等式の右辺に入る説明変数をいろいろ工夫して置き換えてまいります。現在、こういった作業を何度も繰り替えし、最も当てはまりの良い回帰式を探しているという状況です。
 5ページでは、最も当てはまりのよい回帰式を見つけた上で理論値を算出し、その結果を指数化するといった段階を説明しています。例示といたしまして、データのマル1を用いて回帰式から0~2歳以下の消費の理論値を算出しております。同じように各年代でデータマル1によって算出される理論値と、データマル2を用いて回帰式で算出される理論値とを5ページの(3)の検証結果のイメージという表がございますが、こちらの空欄の中に計算結果として埋めてまいります。
 既に現行の基準額は決まっていますので、60歳代を1とした場合、各年齢層は幾つになるのか表の一番右側の現行1類基準額といった欄に予め記載しています。同じように各データマル1、データマル2で算出しました理論値をこちらに入れて、60代を1とした場合の指数化を実施するというイメージでございます。
 データマル1に関しましては先ほど申し上げましたとおり、スケールメリットを厳しめに想定したものでございますし、データマル2に関しましてもスケールメリットを緩やかに想定したというものでございますので、この中位あたりが偏りもなく、おおむね実態に該当するであろうという仮定を置き、この中位と現行の第1類の基準額とを比較したいと考えております。
 6ページでは、世帯人員体系の検証指標について説明を下段のほうに記載しております。人員体系の検証で用いますデータですが、こちらは単身世帯、2人世帯~5人世帯とございます人員別でそれぞれの世帯の年間収入に着目し、第1十分位を設定しております。単身世帯、2人世帯といったグループのそれぞれの平均消費支出額を求めた上で単身世帯を仮に1とした場合、それ以外の世帯員2人、3人、4人、5人の世帯の消費支出は単身1に対してどのくらいのものなのか。指数化するといったイメージです。
 検証結果のイメージは7ページ、左上に表としてつけています。これも先ほどの年齢のところと同じように、現行1類基準額はもう既にでき上がっていますので、現行の基準額の指数をこちらの単身世帯、2人世帯、3人、4人、5人といったところに既に記載しています。現行の1類基準では、4人世帯以上の世帯にパラメーターとして0.95とか0.90をかけているという関係がございますので、単純に4とか5にはなっていません。
 現行基準の2類に関しましては、世帯共通経費といった性格から、そこにはスケールメリットが効くであろうという前提で、今の現行基準の1人の1.0に対しまして、2人は2ではなく1.11、3人は3ではなく1.23といった形でスケールメリットの影響を反映しています。
 世帯人員体系につきましても、7ページの下のほうに例示をさせていただいております。年齢と同じようにデータのマル1とデータのマル2を使いまして、回帰式から、それぞれの消費支出の理論値を算出いたします。データ集計によって得られた検証結果と回帰式で求めた理論値とを比較し、その整合性を確認したいと考えております。
 8ページ「3.級地間較差の検証」でございます。データに関しましては、世帯員1人当たりの実質の世帯年収で並び替えた第1十分位をデータとして使用いたします。級地ごとに居住する世帯の平均消費支出額を求め、全国の平均を仮に1とした場合、ほかの級地が幾つになるのか指数化するということをイメージしております。
 検証結果のイメージは9ページの左上にございます。年齢、人員と同じように表として、現行基準額の指数化したものを既に入れております。検証結果をその下の欄に埋めていきます。級地間格差に関しても、年齢、人員と同じように、年齢で使用していますデータマル1及びデータマル2から求めた回帰式を用いて、消費支出の理論値を算出し、データ集計によって得られた検証結果との整合性を確認したいと考えております。
 10ページでございます。以上、年齢、人員、級地の要素ごとに検証した結果を受け、現行の保護基準額をそれぞれの要素ごとに消費の実態に合わせることで、各要素が消費の実態に合っていなかった影響。こちらを算出することもこれで可能になります。分析のイメージを10ページの上の段に図式化しております。
 以上で資料2の説明は終わらせていただきます。
○駒村部会長 どうもありがとうございました。
 極めて技術的な部分の説明が多かったと思いますけれども、委員の皆様からは、今、進めている作業の考え方について御質問をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 林委員、お願いします。
○林委員 教えていただきたいのですけれども、5ページです。下の表の現行1類基準額はこの数字をかけると思いますが、0~2歳、3~5歳、この辺で仕切りが設けられているのはよくわかるのですが、70歳以上が0.9だけというのは違和感を覚えるのですが、高齢化していって、これが社会で80代でも90代でも全部0.9で現在やっているということでしょうけれども、これは検証の対象にはしないということで、このままでやるということですか。
○駒村部会長 これは刻みの話ですね。年齢刻みはこういう刻み方で従来やってきて、70歳以上が一くくりでいいのかどうなのかという御質問ですけれども、どうしますか。事務局のほうからお答えがあればと思います。
○西尾補佐 林委員から御指摘のございました年齢の区分につきましては、基本的に生活扶助基準の考え方としまして、どうしても1歳刻みにやるわけにはいかないものでございますので、一定程度の年齢区分をもうけざるを得ないといったところでございます。70歳以上で一区切りにするのがベストかどうかというのはもちろんあるとは思いますが、現状は特にそれで問題が生じているというわけではございませんことから、今回はこちらでいかせていただければと考えております。
○駒村部会長 従来から分けている刻み方が果たしてどうなのかというのは、確かに議論の余地はあるのかなとは思いますけれども、どこで切るのかというのは75でいいのか、80でいいのか、なかなか難しい判断」だと思いますけれども、山田委員、何かありますか。
○山田委員 私は、これは要は現行基準の展開の第1段階目としては実態とあわせてどうなっているのかという比較ですから、現行基準の刻みでいかないと、むしろ何をどう比較しているのかがわからなくなるので、この刻みでまずはいくしかないと思います。その上で林委員のおっしゃるように、その刻みがどうかというのは別問題としてあるかという気はします。
 ただ、基準検証ですから、まずはこの基準の年齢区分に基づいてやるというのが出発点としては、今のこのやり方としては妥当かと考えております。
○駒村部会長 今回のやり方が従来とは違うやり方になっていますので、まず現状を押さえた上で、その上でこういう仮定を置いて、70以上を全部0.99に置いていった場合とそれを分けた場合に下がるかどうかは、今回はさらに細かい計算をしていますので、年齢区分の検証自体は今回は難しいかと思いますけれども、問題提起としては70歳以上が一くくりでいいのかどうかは一つ報告書の中でも年齢区切りについて検討すべきということで意見があったことを残しておきたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。それぞれのページにマトリクスがあって、5ページ、7ページの上下、9ページの上下、ここを今後、数字を埋めていくという作業に入っていくということをお願いしているわけであります。今回の報告書の肝の部分になってくるということですけれども、ほかの委員はいかがでしょうか。
○栃本委員 10ページの部分です。もし仮に水準の検証における現行基準額の体系・級地が消費実態に合っていないという場合、どういう寄与をしているかという見積もりについて、10ページでこういう形で示されているわけだけれども、まずは生活扶助基準額で、その次が年齢に来て、次が人員でという感じの流れにしてあるのですが、それについてもう一回説明してもらえますか。
○駒村部会長 現状との比較が、この流れがどうしてなっているのかということですね。
○栃本委員 要するにこれだけ流れがこういう形でなっていて、まずは年齢から入って、次が人員、スケールメリットの部分、最後は級地みたいになったのか。
○西尾補佐 なぜその順番になっているのかという考え方でございますが、3ページ以降の流れとしまして、まずは年齢体系の検証をしたといたします。そうしますと年齢体系の検証の結果を用いまして人員数体系のところで年齢構成の影響を除去するといった対応をしておりますので、まずはその年齢体系だけを変えてみた影響を見ているということでございます。
 その次に、人員数体系と級地体系の順番でございますが、こちらは今度は級地間較差の検証におきまして、データを並び替える際に人員数体系の検証結果でございますスケールメリットの指数といったものを使うことになっておりますことから、級地間較差を消費実態並みにするといった影響を見るためには、人員体系の検証が終わっていることが前提になってまいりますので、前の段階で年齢人員数、級地間較差とそれぞれ前の段階で検証した結果を後ろの段階で使っているという順番上、そのようにならざるを得ないといったところでございます。
○駒村部会長 現行の展開の仕組みからやると、この順番でしかできないということですね。実態と基準を比較して、どこの部分でひずみが出ているかを見つけ出すためには、順番としては、年齢、世帯規模の効果、級地という順番で探り出していくしかやり方がないという説明だったと思います。これでいいですか。
○西尾補佐 一言で言っていただければ、そのとおりでございます。
○駒村部会長 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 最後の報告書のプレゼンテーションの仕方にもなるかと思いますが、つまり年齢体系と人員体系と級地間体系でやりますと、それぞれの係数が少しずつ変わってくるので、ほとんど無限に近いいろいろなコンビネーションが世帯タイプによって出てくるわけですね。○.○、△.△、□.□と全部違う数字になるわけですね。
 ですので、最終的に今まではモデル世帯といって1世帯タイプしか出さなかったわけですが、何世帯くらいこういうのを出されるおつもりなのか。それとも、また違うやり方でプレゼンをするのか。例えば最後の□.□が0.8~0.9が何世帯で、0.9~1.0が何世帯で、1.0~1.1が何世帯でとやられるのか。そこら辺はお考えがあればと思ったのです。
○駒村部会長 10ページの●●世帯には、ある種の世帯類型が入ってくると。そうなってくると、影響の出し方が本当に世帯類型によって様々考えられると思います。
○阿部委員 世帯類型の中の人員の年齢によっても違います、どこに住んでいるかによっても違うので、この●●世帯は本当に無限大にコンビネーションだと思います。
○駒村部会長 かなりの組み合わせがあって、今までのような一個一個の比較ではなくなるということで考えると、どのくらいのパターンでこれを評価するのかという御質問だと思います。
○西尾補佐 まず、データのサンプル的な制約から申し上げますと、全国消費実態調査も決して悉皆調査ではございませんので、例えば●●世帯を余りにもサンプル数が少ない世帯に限ってしまいますと、この影響も評価できなくなってしまうことがございますので、まずはサンプル数的に十分とれるようなものになるかと思います。
○阿部委員 そうではなくて、全ての年齢体系と人員体系と級地関係のこの検証結果のイメージの升が埋まれば、想定的に例えばある世帯ではと言って、サンプルとか消費実態も関係なく、どれくらいになるのかが計算できるはずです。ですので、それをどのくらいの世帯類型でやられるつもりなのかということです。3世帯モデルとして出すのか、10世帯出すのか、それとも今の被保護世帯の全てにかけてみるのか、そういう話です。
○西尾補佐 こちらの●●世帯のイメージとしましては、検証結果をお示しする際にはごく具体的な、例えば夫婦と子供がいる世帯なり、若年の単身世帯なり、そういった人数なり年代が明確な世帯構成を、何タイプかというのはなかなか現時点では申し上げにくいのですけれども、代表的な世帯タイプについてお示しをできればと考えてございます。
○駒村部会長 阿部さんのほうから逆に御希望があれば、つまり従来のような一本でやるということはなくて、多様な世帯で効果を見るということになると思います。どれくらい多様なのか、何か御希望があれば今のうちに。
○阿部委員 ぜひ子供のある世帯をとっていただきたいです。それも級地もここで聞きますので、同じ子供のある世帯の例えば母子世帯で38歳のお母さんと5歳の娘でもどこに住んでいるかで違いますし、38歳のお母さんでなくて45歳だったら違うかもしれないし、すごく変わってくるわけです。そこら辺は恐らくそこでタイプを少なくしてしまうと、好意的にある一方の傾向のものを選んできたタイプだけを出しているのではないかとか、そういうような懸念も働くのではないかと思われますので、そこをなるべく多くというところでお願いします。
○駒村部会長 課長、お願いします。
○古川課長 御懸念はよくわかりますが、まさに先生におっしゃっていただいたように、今回この方式で検証させていただくことになりますと、非常に多くのパターンができてまいります。
 それは逆に考えますと、今までの一つのモデルケースをベースに全ての世帯について考えるというよりも、実態に近いものが出てくるということで、より精度の高い検証結果になるのではないかと、私は期待をしているところでございます。さはさりとて、そうした全てのケースを報告書に記載することは困難ですので、、典型的なものをお示しすることになることはあるだろうと思います。
 しかし、御指摘の点は配慮したいと思います。
○駒村部会長 岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 今のことともかかわるのですが、最後の10ページのところで、こういう展開をしていって、最後の基準額の水準と消費水準に残差がある可能性があるというときの消費水準ということと、基準表それ自体を消費の実態と比べて、ここでは回帰分析等を行って、基準表の年齢体系、人員体系、級地較差を補正するというときの実態との対比という意味と、そこで得られた水準をどう考えるかというのは質が違う話ではないかと思います。というのは、今、阿部委員がおっしゃったように、いろいろなパターンが基準表からは限りなく作成できますけれども、比較に耐えられるデータが全消の中にあるかといったら、多分ないと思います。
 例えば標準3人世帯でも夫婦の年齢がそれぞれ決まっていて、子供の年齢も決まっていますね。こういうグループを全消から、しかも第1十分位で取り出すと、それは非常に小さいグループになってしまう。ですから、やるとしても夫婦と子の3人世帯くらいしかできなくて、この年齢まで限定できなかったりすると思います。まして級地を限定するのは非常に難しいので、残差の理解が非常に難しくなるのではないかと思います。
 つまり基準表を今回のような形で、消費実態との関連でかなり徹底的に検証しようというのは、この前2回の検証に比べて非常に進歩した点だと私は思います。その上ででき上がったものを実態と比較するときに、実態データが実はそれほど多様な世帯類型の検証に耐えられるかというと、そうではない。そこの違いを理解した上で、仮に差ができたときですね。それをどう解釈するかという問題がもう一つ出てくるわけです。
○駒村部会長 今回はいろいろな世帯のパターンによって効果が違ってくることになりますので、従来のような形の検証方法とは違って、見え方も違ってくるのかなと思います。でも、今、先生がおっしゃったように、この方法を使ったとしても10ページの(4)の下の括弧のところにあるように、恐らくこの調整方法だけでは現在の基準と第1十分位の消費実態との間の差は残る部分はある。これは全て調整をしても基準と消費水準の間に残差がある可能性が残っていると思います。
 この残差が一体何なのかは非常にさまざまな要因が輻輳して入っておりますので、ここをさらに何なのかを分析するのはかなり難しい。現在の学術的なアイデアとしては、ここがどの程度残るかわかりませんけれども、難しいところかとは思ってはおります。この辺は比較するパターンのサンプルが第1十分位の中でも決して多いわけではないですから、どうしてもこうした形の残差が残ってしまうのだろうなとは思います。
 この辺については、何か委員のほうから御意見がありますでしょうか。やってみなければわからない部分があって、どのくらいの残差が出てくるかはわからないです。
 岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 きょうの前半の議論の資料1の9ページに、第1十分位の妥当性の問題を見るときの分散分析について示していただいておりますけれども、仮に第1十分位が非常に分散の大きなといいますか、ばらつきの大きい階層であるとすると、よけいにその残差の解釈が難しくなる。
○駒村部会長 そうかもしれないですね。ばらつきがある可能性もありますからね。この辺は留意点としてはあるのだろうかと思います。
 ほかの委員はいかがでしょうか。
 阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 資料1で第1十分位のシェアまたは第5十分位のシェアも若干下がっている。だとしても、それほどその下がりが急激に大きいというわけでもなくて、とりあえず十分位でやるという方向としては、それは致し方ないということを確認したかと思いますが、今回の最後の10ページまで来て、□.□まで来て、その後の第1十分位や第5十分位が下がったことに対する配慮するところは、この後にくると考えていいのでしょうか。
 報告書では10ページまで書いて、留意するとだけ書くということで、その後の調整やそういうものはこの部会は検証できるたぐいにものではないですし、そういうことなのでしょうか。
○駒村部会長 今回は第1十分位を分析対象として使っていく。それが適切なのかどうかは第5十分位との比較において一定の距離の中に入っているということだから使えるということは、今回については言えるだろう。ところが一方、留意事項としては比較すると第5も第1も、ともに全体の社会の取り分がどんどん減っていっている状態である。その点をきちんと留意しておかなければいけない。
 出てきた数字については政策にどう反映するかも含めて、その点は非常に注意をしなければいけない点であろうと思いますし、今後の検証の考え方として、この第1十分位が例えば3ページが2.13とか3.01とか、こういう状態ですけれども、あるいは第5十分位が足していくとどのくらいあるかはわかりませんけれども、多分二十数%くらいにしかならないと思います。これはどんどん下がっていったときにも、今後もこの方法で果たしていいのだろうか。もっと極端に言ったときに、将来この方法を使えるだろうかという懸念があります。
 傾向としては、上の2~3つ所得階層と下の7つの所得階層の乖離が広がっている状態になっている中で、さっき岩田先生がおっしゃったような、ある種、経済成長があった時代、真ん中が膨らむような社会のときに決められた基準の考え方でいいのだろうかということは、最後のところで問題提起はしておかなければいけないのかなと思いますし、こういうふうに下がっている中での相対方式であることは、この従来型が水準均衡の考え方に従って、手法を援用したこの方法を評価するときにも、十分慎重に政策に反映しなければいけないだろうとなってくるのではないかと思います。
 いかがでしょうか。岩田先生、この辺は83年あたりの背景も先ほどお話しいただきましたし、この傾向が続くとかなり難しいことも出てくるのではないかと思いますけれども。
○岩田部会長代理 ですから、所得分布の形は気にしていくべきだということははっきり言えると思います。それにもかかわらず、矛盾をした言い方ですけれども、今回の新しい検証のやり方は従来の検証のやり方の中で課題に残っていたいろいろな問題をクリアして、それを相対的な方法でやったというところに意味があると思います。特に年齢体系についてはマーケットバスケット時代のものが残っていたので、先ほど林委員の御質問があった年齢区分はどうもその辺が残っているのですね。
 それと、世帯人員については従来マルチプル係数という言い方でなされていた、多分昭和60年くらいまでは統計局が何とか計算をしていたものがあったのですけれども、その後は改訂していないのを使っていたのです。そういう問題点がこれまでもあったので、その点はかなり徹底してやれることになるのではないかと。
 私の一番の懸念は、その上でさっきの形もそうですけれども、全消データが最終的な残差額を比較して残差があるとかないとか、つまり高いとか低いとかいう議論になるときに耐えられるだけのいろいろな世帯パターンや標本層を持っているかというと、やはりそれはすごく難しいので、これは前に母子加算のときもそういうことが問題になったわけですけれども、世帯類型ごとにこの残差を確かめるのは、もしかすると難しいかもしれないと思います。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 ほかの委員はいかがでしょうか。きょうは前半が宿題にしていた資料の確認で、これによって幾つか重要な留意事項がわかってきたということを挙げたと思います。後半は事務局に対して具体的にどういう作業をしてくださいというオーダーを確認して、それぞれのページにあるマトリクスを埋めていただくことによって、最後の10ページの効果が見えてくる。こういう作業をお願いしているということを確認したと思います。
 きょうはそういう意味では確認作業の内容が多かったのですけれども、委員の皆様から、もしまだあれば、議論をしたいと思います。
 林委員、お願いします。
○林委員 しつこいようですけれども、5ページの表のところです。これは理論値を求めて、実際に指数を出す比較をするためのマトリクスの表をつくって埋めていくわけですね。現行は0.9、70歳以上にこだわるのですけれども、これはこれでいいと思いますが、別に80以上とか分けても別にできるわけですね。どれくらい違うのかなというのを出したらだめというわけではないと思うので、それはそんなに難しいことなのですか。
○駒村部会長 おっしゃっていることは、現行は70以上は0.9だから仕方がないので、0.9としては置いておきましょうと。仮に75とか80で切ったときにマトリクスは埋められないでしょうかという話ですか。
○林委員 そうです。
○駒村部会長 事務局、いかがでしょうか。
○西尾補佐 技術的に不可能ではございませんが、先ほど山田委員からも御指摘をいただいたとおり、まずは現行基準の体系として検証させていただきたいところでございます。
○駒村部会長 かなり今回は大きなことをやっていますので、これに更に加えて年齢刻みの検証をやるとなると、もう一段3次元から4次元へ、みたいなことになってきて、もしかしたらこのデータの最後のインパクトの分析のところは、少しわかりにくくなる可能性があるかもしれないわけです。
 この辺がどう影響をするかはわかりませんけれども、この表が仮につくれたとしても、こちらのほうに与える影響はどうなるのかは、すぐには想像がつきませんので、まずはやっていただいて、その辺はどうするかは作業量との関係もありますから、また事務局に聞いてみますけれども、まずは従来の一本に比較して丈比べみたいな形から、そうではなくて、基準額と現実の第1十分位の消費実態のパターンがどれだけ違うのかを抽出する作業に重点を置かせていただければと思います。
 栃本先生、お願いします。
○栃本委員 さっきお尋ねした10ページの現行の基準額から年齢体系で、さらに人員体系、こういう流れでしかできないということがわかったのですが、そういう意味でも先ほどの話も含めて、今回重要なのは年齢体系と世帯人員と級地間較差の検証が中心であって、一番最後の10ページは付録というか、アペンディックスというか、これを本格的にということだと大変だと思います。ここが中心になるということはないと思いますが、付録というのは重要な付録という意味がもちろんあるわけですけれども、そういう感じにはなるのですか。
○駒村部会長 事務局からお願いします。
○西尾補佐 栃本委員の御指摘は2ページに根本となる考え方が書いてあるのであれば、10ページはそれを技術的にどうやるかと書いたに過ぎないのではないか。そういった意味では、2ページの内容を掘り下げて書いたということでございます。
 こちらは前回、技術体系の影響を見積もると申し上げながら、やはり具体的にどうやるかが十分に資料に書き切れていなかったということがございましたので、そういった意味も含めますれば、今回は10ページまでを含めてトータルとして資料全体を出しているとお考えいただければ幸いでございます。
○駒村部会長 私の理解は、個別の影響は先生のおっしゃるとおり一個一個抽出していくわけですけれども、その個別の影響を抽出してまとめた効果がある特定世帯、●●世帯にとってはどれだけの効果があるのかを見るわけですから、そういう意味では付録というか、最後の効果を見る。一番大事なのは、中のマトリクス指数の変化が非常に重要だと。それはそのとおりです。ただ、わかりやすさをするためには、こういう効果が最初に出ますということだと思います。
 いかがでしょうか。ほかによろしいでしょうか。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 何かというわけではなくて、テクニカルに非常に透明性が高い、何をやるかということまでこと細かに書いてあるので、私も精読したつもりですけれども、気づいた点が事後的にあれば、部会長か何かにお知らせするということでよろしいでしょうか。
○駒村部会長 もし、わかりづらかったり、あるいは理解ができない部分やおかしいのではないかということがありましたら、私のほうに御一報をいただければと思います。その辺は事務局とどう反映するかを相談いたしますけれども、いずれにしても今回はこういう形で非常に再現性があるというか、透明性がある手法でやっておりますので、ある種、検証方法の仕様書は正確に書かないといけないと思いますし、報告書の中でもそれをみれば再現できるようにしたいと思っております。
 阿部先生、お願いします。
○阿部委員 プレゼンテーションの問題に戻るのですが、きょうの資料2は非常にテクニカルで、私たちのような専門家と世の中の人から言われるような者であっても理解するのに時間がかかりますし、これは恐らく一般の方々に何をしたかをわかっていただくのは非常に難しいと思います。
 そこで、その説明する機会や何らかの工夫をしていただかないと、何かわけがわからない数式がいっぱい並んでいて、後でぽんと出てきて、これで私たちの保護基準が上がるのか下がるのかがわからないという状況だと非常に不信感も出てくる。いろいろな数式を並べてごまかしているのではないかと言われるのも何ですので、そこら辺を説明する機会ですとか、またはわかりやすい形でのプレゼンで、先ほど申し上げた、例えばこういう世帯だったらこれくらいこうなりますよという形で出すのは、そういう意味で申し上げたということです。それだったら私のところはこれだから、うちの保護基準はこうなのだとわかるようにしていただきたいというところです。そこを工夫していただければと思いました。
○駒村部会長 御指摘のとおり大変テクニカルな、しかも初めての手法で、従来から本来ならば検証しなければいけなかった部分がずっとたまっていたところを今回明らかにしたので、さっき岩田先生がおっしゃったように、非常にわかりにくい部分もあります。事務局のほうには、分析の手法のフローチャートをわかりやすく示すとともに、効果もわかりやすい形で発表できるように工夫をしていただきたいと思います。
 ただ、別の専門家が同じ手法を使って同じ方法をやっても同じ結果になるような形で、再現可能な形で発表をしなければいけないと思いますので、ブラックボックスでという話にはならないように、丁寧に説明をしなければいけないと思います。
 まだ時間は30分ほど余裕がありますので、もしあれば続けますし、これ以上の議論がないようでしたら、とりあえず、きょうは宿題開示と作業確認ということでやや早めに終わりますけれども、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 では、最後に次回の開催について、事務局から連絡をお願いいたします。
○伊沢補佐 次回でございますが、調整中でございますので、追って御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○駒村部会長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。
 御多忙の中、ありがとうございます。


(了)

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