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2012年7月26日 第37回中央最低賃金審議会 議事録

労働基準局

○日時

平成24年7月26日(木)
13:00~13:30


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

【公益委員】

今野会長、武石委員、仁田委員

【労働者委員】

石黒委員、木住野委員、小林委員、須田委員、田村委員、萩原委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、中西委員、矢口委員、横山委員、吉岡委員

【事務局】

金子労働基準局長、森岡大臣官房審議官、本多大臣官房参事官(併)賃金時間室長
藤永主任中央賃金指導官、川田代副主任中央賃金指導官、亀井賃金時間室長補佐

○議題

平成24年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)

○議事

○今野会長
 それでは、ただ今から第37回中央最低賃金審議会を開催いたします。
 本日は、勝委員、土田委員、藤村委員が欠席でございます。
 本日の議題は、平成24年度地域別最低賃金額改定の目安についてです。本年度の地域別最低賃金額改定の目安については、目安に関する小委員会において熱心に御審議をいただきました。一昨日から昨日にかけて、4回にわたって小委員会を開催いたしまして、報告が取りまとめられましたので、委員長の私から報告をさせていただきたいと思います。
 今年度の目安審議については、去る6月26日の総会において諮問が行われるとともに、目安に関する小委員会に付託されました。その後、小委員会においては、6月26日、7月10日、19日、24日の4回にわたって会議を開催し、委員の皆さんには大変熱心に御議論をいただきました。
 第3回と第4回にわたって、小委員会報告をまとめるべく、公益と労使の個別の打ち合わせを数回にわたって開催し、とりわけ第4回については、一昨日の晩から昨日の朝10時ごろまでにわたって議論をいたしましたが、労使の意見の一致を得ることができませんでした。
 しかしながら、公益委員の見解を小委員会報告として地方最低賃金審議会に示すよう、本審議会に報告することを了承いただき、お手元にあります報告をまとめた次第でございます。
 それでは、まず小委員会報告を事務局に朗読していただきます。よろしくお願いします。

○川田代副主任中央賃金指導官
 それでは、朗読いたします。
 中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告。平成24年7月24日。
 1 はじめに。平成24年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議を開催し、目安額の根拠等についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分審議を尽くしたところである。
 2 労働者側見解。労働者側委員は、非正規労働者の増加など低賃金・不安定雇用が拡大している例を挙げながら、日本の社会は、セーフティネットが十分機能していない状況が続いており、構造的問題の解決が遅々として進展していないと主張した。
 また、年収200万円以下の労働者は1,100万人を超え、生活保護受給者は約210万人を超えるなど格差・貧困問題が深刻化している中、最低賃金をセーフティネットとして有効に機能する水準に引き上げることが求められており、最低賃金の引上げにより、労働者の可処分所得の増加、内需の拡大を通じてデフレの脱却につなげ、経済成長も促される好循環を構築していくことが重要であると主張した。
 現行の地域別最低賃金最低額の645円を月額換算とすると約12万円に過ぎず、これは到底生活できる水準とは言い難く、「誰もが生活できる水準への早期引上げ」といった視点が重要であると主張した。賃金改定状況調査第4表は前年比の賃金上昇率を示しているが、最低賃金額の審議にはその地域における賃金水準の絶対値を参考にすべきであり、上昇率にのみ着目することは現下の状況にあっては必ずしも合理性があるとは考えていないことから、同調査の第3表や、非正規労働者で主たる生計の担い手という回答が3分の1を超えた調査結果、家計調査等の水準、影響率などを総合的に判断するべきと主張した。
 さらに、東日本大震災の被災地についても、賃金の高い地域への労働人口の流出などの実態を踏まえ、生活再建の基盤である働く場を、質の高い安定したものとすることが復興を促進すると主張した。
 以上の点を踏まえれば、地域別最低賃金については、ナショナル・ミニマムにふさわしい水準とすべきであり、とりわけ、雇用戦略対話合意で確認された「全国最低800円」の確保に向けた道筋を確かなものとするためには、700円にすら未達の32地域(C、Dランク)の引上げが急務であると主張した。
 また、生活保護との乖離解消については、解消年数に幅を持たせてきたことは、法改正に伴う経過措置と認識しており、法改正以来5年を経過した現在にあっては、昨年乖離が解消されなかった3道県は当然、新たに乖離が生じた8都府県においても、今年すべての乖離を解消すべきと主張した。加えて、労働者一人たりとも生活保護水準を下回ってはならないと主張した。
 3 使用者側見解。使用者側委員は、企業を取り巻く環境は、欧州金融不安を始めとする海外要因に、国内では長期のデフレ等の他、超円高などのいわゆる六重苦をも抱えて国難ともいえる厳しい経済情勢にあり、産業の空洞化が加速しているとの認識を示した上で、中小企業については、かかる厳しい環境の下、超円高による取引先の生産拠点の海外シフト等により、製造業のDIの悪化や、電力料金値上げによる収益悪化の懸念、零細企業の倒産件数が過去10年で最多という状況にあり、こうした実態にそぐわない最低賃金の引上げが行われれば、中小企業の事業の存続自体をおびやかし、雇用や地域経済にも悪影響を及ぼすことになると主張した。
 また、雇用戦略対話における最低賃金引上げに関する合意については、前提である経済成長率には今年も実績値を用いるべきであり、平成23年度の経済成長率の実績値がマイナス2.0%であること、前提のひとつである中小企業の生産性向上に係る支援策の効果が確認できないことから、議論に及ばないと強く主張した。
 以上の点を踏まえれば、今年度の地域別最低賃金額改定の目安については、法の3要素と、昨年2月の目安全協報告で確認された、法の原則及び目安制度を基に、時々の事情を総合的に勘案することが重要という認識に基づいた審議を行うことが大原則である。具体的には、中小企業を取り巻く厳しい情勢や深刻な経営環境にかんがみるとともに、賃金改定状況調査第4表の結果等を踏まえて、極めて慎重な額を示すことが重要であると最後まで強く主張した。
 さらに、東日本大震災の被災地域のうち、特に被害の大きい地域については、特段の配慮が必要であると強く主張した。
 また、生活保護の水準は、毎年逃げ水のように上昇を続け、住宅扶助の増加や可処分所得比率の低下など、当初は想定していなかった事態により大幅に上昇したことを踏まえ、3道県については解消年数を延長するなどの柔軟な対応を、8都府県については各地の経済情勢や賃金分布の状況などを踏まえた例外的な対応を検討することが必要である。加えて、生活保護制度の見直しがなされれば、最低賃金と生活保護の整合性のあり方について、再度議論することが必要であると強く主張した。
 4 意見の不一致。本小委員会(以下「目安小委員会」という。)としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなかった。
 5 公益委員見解及びこれに対する労使の意見。公益委員としては、今年度の目安審議については、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議のあり方や、雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意(平成22年6月3日 雇用戦略対話第4回会合)及び中小企業への支援に関する合意(同年12月15日同第6回会合)を踏まえ、また、一定の前提の下での比較(当該前提の下での最新のデータに基づく比較は、別添参照。)を行った結果、生活保護水準と最低賃金との乖離額が生じている地域については、実際の賃金分布との関係等にも配慮しつつ、上記の労使の小規模企業の経営実態等への配慮及びそこに働く労働者の労働条件の改善の必要性に関する意見等にも表れた諸般の事情を総合的に勘案し、下記1のとおり公益委員の見解を取りまとめたものである。
 なお、公益委員としては、上記の合意については、できる限り早期に全国最低800円を確保すること、その前提となっている経済成長、また、中小企業の生産性向上、中小企業に対する支援等の実施状況に配慮すべきものと考える。
 目安小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、これを公益委員見解として地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することとした。
 また、地方最低賃金審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点並びに平成20年度以降の公益委員見解で示した考え方に基づく生活保護水準と最低賃金との乖離額の解消方法の見直しに関し、下記2のとおり示し、併せて総会に報告することとした。
 さらに、政府において、上記の合意に掲げられた目標の円滑な達成を支援するため、「最低賃金引上げに向けた中小企業への支援事業」をはじめとする中小企業に対する支援等に引き続き取り組むことを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 なお、下記1及び2の公益委員見解については、労使双方ともそれぞれ主張と離れた内容となっているとし、不満の意を表明した。
 記。平成24年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解。
 1 平成24年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、表1中の下線が付されていない36県(生活保護水準と最低賃金との乖離額(比較時点における最新のデータに基づく生活保護水準と最低賃金との乖離額から、前年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお残る乖離額をいう。以下同じ。)が生じていない県)については、表1の金額欄に掲げる金額とし、表1中の下線が付された11都道府県(乖離額が生じている都道府県)については、当該金額と、以下の(1)又は(2)に掲げる金額とを比較して大きい方の金額とする。
 (1)表2中の下線が付されている3道県(昨年度の地方最低賃金審議会において、今年度に乖離額を解消することとされていた道県)については、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を今年度に解消した場合の額を原則としつつ、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案すれば、地域の経済・企業・雇用動向等に著しい影響を及ぼすと考えられることから、昨年度の時点においてそれぞれの地方最低賃金審議会が定めた予定解消期間の年数から1年を控除した年数(以下「予定解消残年数」という。)に1年を加えた年数で除して得た額も踏まえて、審議を行うものとする。ただし、そうした場合に、今年度の引上げ額がこれまでに例を見ないほどに大幅になると見込まれる地域については、乖離額を、予定解消残年数に1年を加えた年数で除して得た額を原則としつつ、この年数にさらに1年を加えた年数で除して得た額も踏まえて、審議を行うものとする。
 (2)表2中の下線が付されていない8都府県(最新のデータに基づいて最低賃金と生活保護水準の比較を行った結果、乖離額が再び生じた都府県)については、原則として、それぞれ同表のC欄に掲げる乖離額を2年以内で、地方最低賃金審議会が定める予定解消期間の年数で除して得た金額とする。
 表1。ランク。都道府県。金額。
 A、千葉、下線、東京、下線、神奈川、下線、愛知、大阪、下線、5円。B、茨城、栃木、埼玉、下線、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、下線、兵庫、下線、広島、下線、4円。C、北海道、下線、宮城、下線、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡、4円。D、青森、下線、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、4円。
 表2。都道府県。平成22年度データに基づく乖離額(A)。平成23年度地域別最低賃金引上げ額(B)。残された乖離額(C)(=A-B)。
北海道、下線、44円、14円、30円。青森、7円、2円、5円。宮城、下線、20円、1円、19円。埼玉、21円、9円、12円。千葉、10円、4円、6円。東京、36円、16円、20円。神奈川、下線、36円、18円、18円。京都、10円、2円、8円。大阪、22円、7円、15円。兵庫、15円、5円、10円。広島、18円、6円、12円。
 2(1)目安小委員会は、今年度の目安審議に当たって、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度のあり方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議のあり方を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、雇用戦略対話における合意に掲げられた目標についても特段の配慮をした上で、東日本大震災による地域への影響にも配意し、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等にも配慮する等、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところである。
 目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては、地域別最低賃金の審議に際し、上記の見解を十分に参酌され、かつ、上記の資料を活用され、東日本大震災により経済・企業・雇用動向等に甚大な影響が生じた地域においては地域ごとの被害状況、復旧・復興状況等にも十分に配慮し、地域の実情を踏まえ、その自主性を発揮することを強く希望する。
 (2)昨年度の地方最低賃金審議会において、原則として今年度に乖離額を解消することとされていた3道県(北海道、宮城及び神奈川)については、今年度の乖離解消額は、平成20年度以降の公益委員見解で示した考え方を踏まえれば、最新のデータに基づいて算出された乖離額を、予定解消残年数で解消することを前提に定められるものである。
 しかし、最新のデータに基づいて最低賃金と生活保護水準との比較を行った結果、昨年度の地域別最低賃金引上げ額を控除してもなお生活保護水準と最低賃金との乖離額が残されていた3道県のすべてにおいて、乖離額が昨年度に増して大きく拡大するといった状況が見られ、前提どおりとした場合に、地域別最低賃金と実際の賃金分布との関係等を勘案すれば、地域の経済・企業・雇用動向等に著しい影響を及ぼすと考えられるところである。
 このため、地域別最低賃金の具体的な水準は、地域における労働者の生計費なかんずく生活保護のみによって定められるものではなく、労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力も含めて総合的に勘案して決定されるべきものであることにかんがみれば、今年度においては、上記の公益委員見解で示した考え方に基づく乖離額の解消方法を見直すこともやむを得ないものと考える。
 具体的には、今年度の乖離解消額の目安については、乖離額を今年度に解消した場合の額を原則としつつ、昨年度の時点においてそれぞれの地方最低賃金審議会が定めた予定解消残年数に1年を加えた年数で除して得た額を踏まえた審議を行うことが適当である。ただし、そうした場合に、今年度の引上げ額がこれまでに例を見ないほどに大幅になると見込まれる地域については、乖離額を予定解消残年数に1年を加えた年数で除して得た額を原則としつつ、この年数にさらに1年を加えた年数で除して得た額も踏まえた審議を行うことが適当である。
 (3)上記(2)の見直しに伴う乖離額の予定解消期間の見直しについては、昨年度の地方最低賃金審議会において、原則として今年度に乖離額を解消することとされていた3道県については、予定解消残年数に1年を加えた年数までと見直すことが適当と考える。
 一方、最新のデータに基づいて最低賃金と生活保護水準の比較を行った結果、乖離額が再び生じた8都府県(青森、埼玉、千葉、東京、京都、大阪、兵庫及び広島)については、平成20年度以降の公益委員見解で示した考え方を踏まえれば、乖離額を原則として2年以内に解消することとなるが、最低賃金法第9条第3項の趣旨にかんがみれば、できるだけ速やかに解消を図ることが適当と考える。
 なお、具体的な予定解消期間については、地域の経済・企業・雇用動向等も踏まえ、地方最低賃金審議会がその自主性を発揮することを期待する。
 (4)また、今後の最低賃金と生活保護水準の比較については、引き続き比較時点における最新のデータに基づいて行うことが適当と考える。
 (5)目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が今年度の地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。
 別添については、省略させていただきます。

○今野会長
 ありがとうございました。
 小委員会の皆さんには、大変御苦労をおかけいたしました。皆様の御尽力を得て、今、朗読いただきましたが、小委員会報告をまとめることができました。重ねて御礼申し上げたいと思います。
 なお、この報告にありますとおり、小委員会としては、政府が最低賃金引上げに向けた中小企業への支援事業を始めとする、中小企業に対する支援等に引き続き取り組むことなどの要望をしておりますので、今年度の答申においても、この趣旨を盛り込みたいと考えております。
 報告は以上ですので、ここまでの内容について、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、当審議会としての答申を取りまとめたいと思います。よろしいですか。

(異議なし)

○今野会長
 それでは、事務局から答申(案)を配付してください。

(答申(案)を配付)

○今野会長
 事務局に朗読していただきます。

○川田代副主任中央賃金指導官
 朗読いたします。
 (案)。平成24年7月26日。厚生労働大臣小宮山洋子殿。中央最低賃金審議会。会長今野浩一郎。平成24年度地域別最低賃金額改定の目安にいて(答申)。
 平成24年6月26日に諮問のあった平成24年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。記。
 1 平成24年度地域別賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
 2 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
 3 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
 4 政府において、雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意(平成22年6月3日雇用戦略対話第4回会合)に掲げられた目標の円滑な達成を支援するため、「最低賃金引上げに向けた中小企業への支援事業」をはじめとする中小企業に対する支援等に引き続き取り組むことを要望する。また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 以下、別紙1の公益委員見解、別紙2の小委員会報告につきましては、御了承いただいたとおりでございます。

○今野会長
 ありがとうございました。
 このようにまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○今野会長
 それでは、この答申でまとめさせていただきます。
 それでは、答申を金子労働基準局長にお渡ししたいと思います。答申を用意していただけますか。

(答申文手交)

○今野会長
 それでは、局長から一言ごあいさつをお願いいたします。

○金子労働基準局長
 平成24年度の目安につきまして、答申を取りまとめていただきました。厚く御礼を申し上げます。
 今年度の審議におきましては、各ランクの目安、特に生活保護との乖離解消の問題などにつきまして、誠に難しい議論を尽くしていただいたと承知をしております。皆様方の御尽力に心より感謝申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
 この後、答申を各都道府県労働局に伝達いたしまして、各地の地方最低賃金審議会における地域別最低賃金額の改定審議が円滑に進められますよう、対応してまいります。
 本日はどうもありがとうございました。

○今野会長
 ありがとうございました。
 それでは、これで終了したいと思いますが、何かございますか。
 須田委員、どうぞ。

○須田委員
 一昨日からありがとうございました。今野会長には、この間、大変お世話になりまして、聞き及ぶところでは10年お務めになられまして、この間、円卓会議あるいは法改正、雇用戦略対話、その間、リーマン・ショックもあり、震災の影響もありという、10年間という長きに渡って御尽力いただきまして、本当にありがとうございました。
 労使は、今年こそは合意できる目安をまとめようと一応頑張ったのですが、そうならずにすみませんでしたけれども、まとめていただきまして、ありがとうございました。改めて感謝申し上げるところです。どうもありがとうございました。

○今野会長
 他にございますか。どうぞ。

○高橋委員
 それでは、私からも今野先生に一言御礼を申し上げたいと思います。
 先生は2003年に中央最低賃金審議会の委員に御就任されまして、今、須田委員がおっしゃられていましたように、今年は節目の10年目の年でございます。また、2005年からは審議会の会長と併せまして、目安に関する小委員会の委員長を兼務していただきまして、目安審議の中心として御活躍をいただきました。最後となる本年も極めて難しい審議の中で、答申をおまとめいただいたところでございます。
 先ほど須田委員がおっしゃられていましたとおり、最低賃金制度をめぐりましては、ちょうど私が委員に就任させていただいた前後から、成長力底上げ戦略推進円卓会議の合意に始まりまして、改正最低賃金法の施行に伴います生活保護との乖離解消、雇用戦略対話の合意などの大きな変化が生じてまいりました。また、リーマン・ショックに加えまして、東日本大震災による大きな影響も受けたところでございます。
 もともと最低賃金の目安というものは、法に定める3要素を基本にしながら、様々な要素を総合勘案して定められてきたわけですが、今、述べました大きな変化を受けまして、考慮すべき要素が大幅に増えておりますので、審議は2006年以前に比べまして、各段に複雑かつ難しいものになっているわけでございます。
 労使双方の主張は、当初から真っ向から対立し、こうした複雑過ぎる要素が増加いたしまして、マラソン審議が常態化する中で、先生の一方ならぬ御尽力なしに着地点を見出すことは困難でありました。
 使用者側にとりましては、大変厳しい意向が示されることも再三ございましたけれども、我々を導いていただいたのは、先生の人間的な魅力であったと思っております。
 目安審議は来年以降も続いてまいりますけれども、会長が積み上げてこられましたよき点を労使各側で共有し、伝承しながら、審議をしてまいりたいと存じます。これからは是非我々の審議を温かくお見守りいただきながら、特に適切な御助言をいただければ幸いでございます。
 最後にこれまでの先生の御功績に改めて敬意を表しますとともに、長年の御尽力に心から感謝を申し上げます。
 私からは以上でございます。

○矢口委員
 私からも発言させていただきます。恐縮です。
 まず最初に公益委員の先生方、事務局の皆様方、目安小委員会で労使の意見が非常に隔たる中、夜を徹して、公益委員の見解をまとめていただいたことに、敬意を表したいと思います。
 そして、今、何人かの方からお話がありましたように、とりわけ会長の今野先生につきましては、その中で大変なリーダーシップをとられまして、今年で10年というお話ですけれども、この間、発揮されましたリーダーシップと大変な貢献について、改めて感謝申し上げたいと思います。
 最後に1点だけお願いがございます。これも今まで何度か申し上げたことでありますけれども、生活保護と最低賃金の乖離につきましては、社会の関心が非常に高まっておりますので、現在、政府で行っている生活保護制度の見直しの結果が出た段階で、是非最低賃金と生活保護の整合性の在り方につきまして、議論の場を設けていただきたいということをお願いしたいと思います。
 本当にどうもありがとうございました。

○今野会長
 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 審議会らしくない温かいお言葉をいただきまして、大変ありがとうございます。それでは、これで第37回中央最低審議会を終了いたします。
 本日の議事録の署名は、木住野委員と吉岡委員にお願いいたします。

○高橋委員
 閉会に当たりまして、一言会長からもお願いできますでしょうか。

○武石委員
 一応答礼があってしかるべきではないかと思います。

○今野会長
 そういう意味ですか。私は10年間いろいろやってきましたけれども、最後に大変温かいお言葉をいただいたわけですが、交渉の場でもこういう温かいことばかりを言っていただければ、もう少し苦労なく、毎年最低賃金を決定できたのではないかと思います。
 いずれにしても、この審議会もそうですし、小委員会もそうですが、労使の皆さんには大変お世話になって、私も大変勉強させていただきました。
 ちなみに、あまりこういうことを言うとあれですが、毎年やっていますと、我々もそうですし、労側の皆さんもそうですし、使用者側の皆さんもそうですけれども、毎年違う論理を展開すると、当然のことながら、お互いの信頼関係はできないのです。したがって、論理は年度を越えて一貫しなければいけないわけです。勿論状況が違いますから、主張の仕方は違いますが、そういう一貫性がないといけない。そうしないと、三者の中の信頼関係はできないと思って、その辺は自分なりに注意をしてきました。
 もうひとつ、これは労使の皆さんに感謝しなくてはいけないのですが、論理が一貫すると、論理展開は毎年似てきます。論理展開は似てくるのですけれども、そのときに労使が発言される中身の雰囲気、強さ、ニュアンスというのは、多分労使のバックにある現実を反映して異なります。我々公益はそういうところから現状の日本の状況を把握しながら、どういう方向でいくのがいいのだろうかということを考えながらやっていく。したがって、感受性がよくなければいけないと思いながらやっていました。皆さんが話されているときの目をじっと見て、その背景には何があるのかなとか、そういうことを参考にさせていただきながら、やらせていただきました。
 いずれにしても、10年間、私にとっても大変いい経験でしたので、改めて感謝を申し上げます。
 それでは、終わりでいいですね。ありがとうございました。これで終了いたします。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係(内線:5532)

代表: 03-5253-1111

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