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2012年5月22日 第12回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門会検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成24年5月22日(火)
15:30~17:30


○場所

厚生労働省省議室


○議事

○椎葉労働衛生課長 第12回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会を開催いたします。出席者を紹介させていただきます。本日は、大迫委員、建山委員から、ご欠席の連絡をいただいております。オブザーバーとして、原子力災害対策本部から、茶山班長です。男庭補佐です。農林水産省からは、田雑課長補佐です。林野庁からは井出室長です。国土交通省からは、石川工事監視官です。復興庁の尾澤参事官は遅れるとのことです。
 本日の議題です。前回5月11日の第11回検討会において、改正する除染電離則の内容に加えて、事業者が実施すべき事項を取りまとめたガイドラインと特別教育テキストの案について、ご議論いただいたところです。また、検討会終了後にもたくさんのご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 本日は、これまでいただいているご意見等を踏まえ、修正したガイドライン(案)と、特別教育テキスト(案)についてご議論をお願いしたいと考えております。今回は除染と同様に、汚染物を取り扱う特定汚染土壌等取扱業務の扱いについて、現行の除染等業務の一部の業務として位置づけまして、除染等業務ガイドラインを改定して組み込んでいます。
 一方、汚染物を扱わない特定線量業務については、新たに作成しております。後ほど説明させていただきますが、テキストも同様に2つに分けて作成しております。本日は、除染等業務の特別教育テキストの改定案についてご議論いただき、特定線量業務のテキストについては、不要な部分を削除して作成することとしたいと考えています。本日の議事進行は、森座長にお願いいたします。
○森座長 本日は、ただいまありましたように、ガイドラインと教育テキスト(案)について、前回からの議論の継続ですが、少し枠組みを修正をいただいた部分もありますので、前回からの変更点を中心に、引き続き議論をしていきたいと思います。ご協力よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 1枚目が次第です。資料1は開催要綱、資料2は前回の議事概要、資料3は適用等、7頁から資料4で、除染等業務のガイドライン改定(案)、45頁から資料5で、特定線量業務のガイドライン、57頁からは古田委員からいただいている資料6です。続いて別綴じで、63頁から「除染等業務特別教育テキスト」です。資料は以上です。
○森座長 2つのガイドラインについての議論に入ります。前回からの変更点を中心に、資料3の枠組みについても触れていただいた上で、資料4、資料5を併せてご説明いただければと思います。事務局からお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 資料3です。いちばん左が除去土壌あるいは汚染廃棄物の処分ということで、これは従来からも、これからも電離則というもので適用するということです。次の真ん中辺りが赤くなっていますが、土壌等の除染等の業務、廃棄物収集等の業務については、従来の除染電離則あるいは除染等ガイドラインでカバーをしていたエリアです。
 今回検討会でご議論いただいたのは黄色のエリアの実線の部分で、特定汚染土壌を扱うような作業、あるいは土壌は全く扱わないけれども、2.5μSv/h以上の地域で作業を行う作業の2つでご議論いただきました。今回、この黄色の部分だけを改正するということですが、その位置づけとして、従来から除染類似作業という形で、除染のガイドラインを準用する形で対策についてお願いをしてきたという経緯もありまして、発注機関あるいは建設業界等のご意見を踏まえますと、除染等業務ガイドラインの中で読めるようにしてほしい、一体的な運営をしてほしいということでしたので、これはまとめることで作業をしています。
 当然のことながら、特定汚染土壌等取扱業務から出てくる残土等の取扱いについては、廃棄物収集等業務で読みますので、そういった関係の整理も、このほうがつけやすいということです。
 いちばん右側の特定線量業務については、汚染物を扱わないので、全く切り離したガイドラインを作るということです。これも運輸業界の方からご意見をいただいた中に、いまのものですと、適用のあるものとないものが混在していてわかりにくいというご指摘もありましたので、これだけを切り離したガイドラインを作り、ガイドラインを2本立てにするという整理をしたということです。
 続いて7頁の資料4です。この資料は「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン改定案」で、下線の部分が従来のガイドラインを改定したものです。そのうち、前回の議論を踏まえ、前回のガイドライン(案)から変更されているところについては、二重線で示しています。実質変更になったのは二重線の部分ですので、重点的にそこの説明をさせていただきます。
 まず、第1の「趣旨」です。これは全面的に改定になっていますが、前回お配りしたガイドラインと変更はありません。
 第2は、2頁以降について、若干変更しています。まず、(3)の「除去土壌」の定義です。従来は「土壌等の除染等の措置から生じた土壌」といっていたわけですが、これに「特定汚染土壌等取扱業務から生じた土壌についても含まれる」と改正しています。当然名前が「除去土壌」ですので、例えば埋め戻すとか盛り土をするように、作業場所から持ち出さない土壌については、「除去土壌」とは言わないので、この適用にはしないことを明確にしています。
 (5)ですが、本文部分の「1万Bq/kgを超えるものを取扱う」については変更はないのですが、汚染土壌等取扱業務については、前回いろいろとご議論がありましたので整理をいたしました。テキストで整理していましたのは作業別ではなくて、どちらかというと工事名で並べるという形で整理をしたほうがわかりやすいということで、再整理したものです。具体的には、生活基盤の復旧等の作業での土工です。土壌そのものを対象とする土木工事は当然適用があります。それから、基礎工、仮設工、道路工事、上下水道工事、用水・排水工事といったものは、その作業の一部として必ず土工が含まれるので、この土工関連の作業については適用があるということです。営農・営林については耕起ですから、土の掘り起こしは、土壌そのものを取り扱うものですので、当然付け加わります。施肥、田植え、育苗、根菜類の収穫等は、その作業の一貫として土壌を取り扱うので、これについても適用ということです。
 ただし、これら作業を非常に短時間で終了するような形で、臨時の作業として行う場合は当然適用しない。例えば少し砂場の土を入れ替えるとか、1、2時間で終わるような作業について、いちいち作業計画を立てることはないということです。いま「臨時の作業」と書いていますが、この前に「短時間で終了する」という言葉を入れて、1、2時間、数時間で終了するような作業については、「臨時の作業と認める」という方向で明確にしたいと考えています。
 (6)です。マニアックな話ですが、東京電力福島第一原子力発電所については、全面的に電離則を適用していたわけですが、状況もかなり進展いたしまして、全体的に安定をしてきたということもありますので、いわゆる本当の原子炉の施設及び蒸気タービンの付属施設、その周辺といったものを除いて、例えば野鳥の森など、そういったところについては除染電離則を適用するという整理にさせていただきたいということです。
 9頁の第3「被ばく線量管理の方法」です。まず第1の「基本原則」については、従来説明したものとあまり変わっていないのですが、イのなお書きで、「あらかじめ実施されるべき除染等の措置は、別発注である必要はなく」と書いてあったのですが、発注のやり方はいろいろあるから、あまり書かないでほしいというご意向もありましたので、ここは削除しています。
 ウについては、除染等の措置を実施するために最低限必要なものについてはやむを得ないという内容ですが、これも絶対にできないということではないので、例えば3行目にいうように、「除染等の措置を実施できない場合があること」、あるいはいちばん最後の行のように、「除染等の措置を同時に実施しているとみなしても差し支えない」ということで、要するに除染ができる場合もあるので、やるべき場合はやるべきではないかというご指摘が発注機関からありましたので入れております。あとは変わっておりません。
 10頁です。これについては下線部がありますが、(1)のイについては前回ご説明したとおりで、2.5μSv/hを超える場所において作業に就くことが見込まれるような方に限って、外部被ばく線量を測定するということです。
 (2)については、もともとこれは除染のガイドラインにありましたので、除染を行う場合、あるいは従来の除染類似作業である伐木といったものが書いてあったのを削除した上で、特定汚染土壌等取扱業務を行う自営業者、個人業者の取扱いについて、(3)に入れています。ここに書いている内容自体は、前回ご説明した内容と基本的に変わらず、基本的には除染等を行った上で、適用がないような状態で作業を行うことが望ましいということを書いています。
 11頁の「被ばく線量限度」については、(2)で、電離則上の放射線業務を行った被ばく線量に加えて、このガイドラインに出てこない特定線量業務の被ばく線量も合算して管理してくださいということを書いています。
 12頁です。(4)は前回ご説明しましたように、平成24年1月1日を基準とする、その辺りは従来から変更しないということです。ただ、1年間または5年間は、期間の途中で施行してしまいますので、改訂前の被ばく線量については把握しているものは合算してほしいということを入れています。
 (6)にありますように、放射線業務は通常は4月1日管理ですので、そういった業務で、従来から行っているものについては、引き続きそれで構わないという規定をそのまま残しています。
 13頁の第4「事前調査」です。これも前回のものと基本的に同じですが、2週間に1回測定という規定が加わっています。(3)「空間線量の測定の方法」ですが、これも別紙5によるということですが、これも前回ご説明しましたように、明らかに2.5μSv/hを超えているとわかる場所については、「文科省の航空機モニタリング等の結果をもって空間線量の測定に代えることができる」という規定です。
 (4)ですが、従来はいろいろなところに散らばっていたものを全部集中させています。趣旨としては、イに書いてあるように、農地、森林等については、別紙6-2、別紙6-3の平均空間線量率からの放射能濃度推定を使って、それが1万Bq/kgを下回っている場合は、特定汚染土壌等取扱業務に該当しない取り扱いをして差し支えないということを明確に書いています。ただし書きで、前回と同じですが、耕起されていない農地を扱う場合ではこの限りでないということになります。
 ウ「生活圏」については、農地のように均一ではないため、従来の土のうなどを使った簡易測定をしていただいて、それを下回っていれば、特定汚染土壌等取扱業務に該当しないものとして扱っていいということです。これについても、ただし書きで地表近くのものを扱うものについては除外規定を書いています。エについては空間線量と同じように、明らかに1万Bq/kgを超えていると判断する場合には、わざわざ測定を行う必要はないということを書いています。
 2.作業計画については従来と同じで、特定汚染土壌等取扱業務については、空間線量率2.5μSv/hの場合に限るということです。それは16頁の作業指揮者、作業届の提出についても同じだということです。
 17頁の第5「汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置」です。粉じんの発散の抑制については、特定汚染土壌等取扱業務は適用しないことを明確にしています。2「容器の使用等」です。前回のガイドラインでは、ここにかなりいろいろな細かな記述があったわけですが、これは今回はガイドラインを結合しましたので、記載をシンプルにしています。
 改正部分としては、例えば容器に小分けして入れるために、かえって高い被ばくをするような場合については、容器に入れることが著しく困難なものとみなして、遮水シートなどでよいということを入れています。二重波線で書いていますが、土壌等の除染等の業務または特定汚染土壌等業務の一環として、作業場所において発生した土壌を作業場所内において移動したり、埋め戻したり、仮置きしたり、盛り土をしたりといった事業場内で動かすものについては適用しません。これは従来からの除染で、校庭の土を剥ぎ取った瞬間というのは山積みになっていますので、そういったものと同じで、あくまでも作業場所から外に持ち出すときに汚染拡大防止の観点から規制をかけるということで統一したということです。
 18頁は(3)で、事前の除染ということをもう1回書いています。汚染検査については、従来からの変更はございません。
 20頁の上で、サージカルマスクを不織布製マスクと呼び替えるという改定と、なお書きで、使い捨てマスク等については、1日の作業が終わったときに廃棄する、あるいは使い捨てでないものについても、フィルターについては基本的には廃棄するという廃棄系の記述を付け加えました。
 21頁の「教育」です。従来は全く別の教育を立てておりましたが、今回は除染等業務の教育の中を若干改正する形で盛り込むということで、具体的には2の(1)のアの4で、「機械等の概要に関する知識」を入れる。イでは、「除染等作業の方法」を入れ、補講をする際、どこを補講すればいいのかが非常に明確になり、わかりやすくなったと考えています。
 22頁の「健康管理の措置」については、前回ご説明しましたとおりで、特殊健診は、特定汚染土壌等取扱業務については、2.5μSv/hを超える場合に限っています。一般健康診断を年2回実施することは同じです。それ以外のものについては、23頁の(2)にあるように、1年に1回ということを書いています。
 25頁です。これは全く新しく入れているわけですが、「東京電力福島第一原発緊急作業従事者に対する健康保持増進の措置等」です。原発の緊急作業の経験者が除染作業を行う場合については、その方の被ばくをトラックする必要がありますので、報告を厚生労働大臣あてにしなければいけない。これは従来から義務づけられていますので、それをより重ね書きで書いたということです。
 それから、緊急作業中に50mSvを超える被ばくをした者が除染等業務をされる場合は、指針に基づく眼の検査等があることを重ね書きしています。これは、もう既に法令上で整備されているものを注意書きのように書き加えたということです。
 26頁の別紙1ですが、これは基本的に変わっておりませんが、汚染状況重点調査地域が若干増えていますので、それを改定しています。別紙2については、全く変更はありません。別紙3も変更はありません。別紙4も変更はありません。
 別紙5については、2「基本的考え方」で、2週間に1回の測定と、測定値がおおむね1割ぐらいを下回れば、その後は測定する必要はないということを書いています。
 3の(3)にありますが、従来は区域の四隅と2つの対角点の交点の計5点を測定して、平均を取っていたわけですが、特定汚染土壌等取扱業務の場合はそれほどばらつきがないことが想定されるので、基本的には放射性物質の濃度が高いと思われる所を数点選んでいただいて、その平均を取ればいいという緩和をしています。
 34頁の別紙6で、「濃度の測定」です。これについても、継続の作業を行う場合で、2週間に1回としています。ただ、1万Bq/kgを10週間程度、連続5回程度下回れば測定の必要はないということを規定しています。
 35頁の(3)「試料採取箇所」については、特定汚染土壌業務については深さを深くするということで、地表から15cm程度と規定しています。
 4「分析方法」の(2)「簡易な方法」のウとして、1万Bq/kg前後と見込まれるような試料については土のう袋を使ったほうがいいということを書いています。
 (3)で、「空間線量率と放射性物質濃度の関係に基づく簡易測定」というものを新設していまして、農地、森林の場合については、別紙6-2、別紙6-3といった簡易測定を認めるということにしています。
 42頁の「教育」です。43頁の下線部分が追加の部分です。上のほうの下線の部分で、「特定汚染土壌等を取り扱う業務を行う者」というところで、1から7まであります。2から7というのは、全く上と同じで、事前に研修を受けた者は適用除外できますし、1は作業の方法及び順序ですから、ベテランの土木作業員あるいは営農、営林の方であれば、省略できる。除染の特別教育を事前に受けていれば、改めてやる必要はないということになります。下のほうに、「使用する機械等の概要に関する知識」とあります。これも、30分と短くしていますし、土木作業員であれば、既に資格を持っているので、十分な知識があるということで省略できることになろうかと思います。
 44頁の実技についても、いちばん下のほうに、特定汚染土壌の取扱いに関するものについて入れています。これは1から6までありますが、これは機械の部分を除いたということですので、既に除染の実技を受けている方については実技の補講は必要ないという整理です。
 続いて資料5「特定線量業務に従事する労働者のガイドライン」です。これについては、先ほどご説明したものから不要なものを削除しているのが実態ですが、若干変わった部分だけ説明いたします。
 まず46頁です。「特定線量業務」について、自動車運転作業ということで規定していましたが、当然それに付帯する荷役作業についても同じ月40時間の考え方でやるということです。そのため、無人ガソリンスタンドで給油する、無人のATMにお金を入れる場合も含めて、月40時間であれば適用はないということを書いています。
 47頁の(3)ですが、特定線量事業者は特殊健康診断の義務がないので、被ばく歴を確認できるチャンスがないということで新たな義務措置として、特定線量業務を行う前に過去の被ばく歴を確認するというものを入れているということです。48頁の始期の問題については、先ほどの除染等業務と同じ扱いとなっています。
 51頁の下のほうに、東電福島第一原発緊急作業者に対する健康保持増進の措置も同様ですので、付け加えているところです。
 53頁の別紙1については、新しく付け加わった市町村が入っている以外は変わっていません。別紙2についても、2週間に1回の測定が付け加わっている以外は変わっていません。
 55頁の「労働者に対する特別教育」です。これは特定線量業務だけを切り出していますが、すべて現状の除染の特別教育の中に含まれていますので、それを受講している方については、重ねて教育し直す必要はないことを明確にしています。私の説明は以上です。
○森座長 「μSv」の「μ」についてですが、大文字と小文字がかなり混在していますので、統一をお願いいたします。
 本日は追加で、資料6で古田委員からご意見をいただいています。このご説明をいただいた上で議論をすることにします。古田委員、説明をお願いします。
○古田委員 原子力機構の古田です。今回の資料では、いま厚生労働省からの説明を聞きましたら、結構改善されているところもありますが、前回の検討会での内容をベースに作っていますので、そこのご了解をお願いします。
 除染作業以外のインフラ整備、復旧作業における放射線管理についての原則的なことをまとめてみました。放射線管理の考え方ですが、通常の放射線管理は、線源が存在して、それを管理します。そういうことをして、作業者の被ばく管理、作業場以外への汚染の防止をしています。そのため、事故後の除染作業についても、集められた線源を管理することはわかりやすいのですが、除染作業以外のインフラ整備、復旧作業は除染を目的としていないため、降下したセシウムからの外部被ばくがメインであって、周りが線源だらけという状況だと思います。ということは、特定の線源が存在しないということで、あたかも自然放射線による被ばく状況に類似していると。こういう場合には、現存被ばく状況では線源管理ではなくて、被ばく経路の管理とICRPがいっております。具体的には線源の隔離や除去ではなく、作業時間の短縮、線源との距離をおくことによって、放射線の防護をする。こういうことを考えますと、除染作業以外のインフラ整備、復旧作業については、場所の線量管理をきちんと把握して、先ほど言いました作業時間の短縮、重機の活用による遠隔操作といった低減策で、被ばく管理を重点に置いた放射線管理がメインになると考えられます。
 作業に付随して、側溝に堆積した土砂などは除去すると思うのですが、こういうものは線源が特定できますので、除染作業と定義するか、特記事項として別に定めることが必要ではないかと思います。
 それから、土壌測定の問題点です。セシウムは地表面に主に沈着していますので、土木作業をすると、一般に深いところまで掘りますので、表面付近の放射能濃度よりも低減することが予想されます。現場での簡易測定による土壌中セシウム濃度の測定というのは、周りのバックグラウンドが高いということで、かなり困難だろうと。例えば1万Bq/kgの土壌をV5容器に封入しますと、容器表面で0.4μSv/hぐらいに予想されるのですが、周辺の線量は2~3μSv/hということで、周りが高くて対象物が低い場合になるので、バックグラウンドがさらに低い所に移動しないと、測定ができないことになります。土のうによる測定についても、先ほどのV5容器に比べると測定はしやすいと思いますが、周囲のバックグラウンドが高いという同様の問題はあります。
 汚染拡大防止の考え方ですが、セシウム自身は土壌中の粘土鉱物と一体化していて、かつ作業に伴って土壌中の濃度は希釈される傾向にあるということですから、2.5μSv/h程度を超える場所から、それよりも線量の低い場所へ退出する場合には有効だと思います。
 いま3.8μSv/h以下の場所でも居住が可能になっていて、居住者は日常的な草取り、家庭菜園など、どこまでやられているかはわかりませんが、ルール上は汚染管理が義務づけられていません。それより大幅に線量の低い場所で土壌測定、汚染管理を義務づけるということでも、かなり違和感があって説明は困難だと思います。現実的には、車両サーベイ、一時帰宅者のサーベイから汚染の検出例は非常に少ないと聞いていますので、実際に計算してみますと、2.5μSv/hの線量率が約1万Bq/kgぐらいにはなります。
 次の頁の添付資料1です。地上高1mで2.5μSv/hにおけるセシウム濃度ということで、航空機サーベイでは、文科省のマニュアル、これはゲルマニウム半導体検出器を用いたin-situ測定法放射能測定シリーズ33というものですが、これに基づいて、ここに書いてあるような換算係数を使っています。これを計算していきますと、2.5μSv/hでは、大体1万Bq/kg程度という数値が出てきます。ということは、1万Bq/kgにあまりこだわらなくて、線量の2.5μSv/hを指標にして、線量で管理したほうが管理はしやすいのではないかということです。
 結論ですが、以上のように除染を目的としないインフラ整備、復旧作業では線源が特定できないことから、放射線防護の観点からは線源管理ではなくて、被ばく経路の管理による被ばく低減を基本とする。具体的には、特定線量業務のみを規定して、線源管理である汚染土壌等取扱業務は規定しなくてもいいのではないかと思います。汚染管理については、汚染拡大の防止の観点から、2.5μSv/hのところで義務づけるようにすればいいのではないかと思います。一部の高いところについては、線源が特定できますので、除染則や特記事項として規制をかければいいのではないかと思います。
 添付資料2です。汚染検査のスクリーニングレベルの40Bq/cm2との関係ですが、先ほど説明しました参考資料で、1μSv/hでは270kBq/m2と書いています。2.5μSv/hですと、ここに書いてある675kBq/m2です。これらは地表面汚染=作業者の汚染という仮定ですので、このうちの半分が作業者に付いたと考えますと、大体33.8Bq/cm2となってスクリーニングレベルである40Bq/cm2を下回るということで、何とか管理はできそうだと。
 ところが、現実的にはセシウムは土壌の中に取り込まれてしまっていますから、作業などをして、1万Bq/kgの土壌が厚さ1cmで付着したと仮定しますと、ここに書いているように汚染密度で表すと、13Bq/cm2ぐらいになってしまいます。40Bq/cm2に達するためには、3万Bq/kg以上の濃度をもつ土壌が必要になります。実際には土壌自体で遮へいしていますので、それ以上が必要となります。このことから、1万Bq/kg程度の土壌の場所では、汚染検査よりもむしろ土壌をきちんと管理したほうが有効だと考えます。
 最後の資料ですが、ICRPでいっている計画被ばく状況、緊急時被ばく状況、現存被ばく状況についてまとめたものです。計画被ばく状況は、放射線源の意図的な導入と運用を伴う状況と定義されています。その中では、線量限度と線量拘束値を使ってくださいとなっています。一方、現存被ばく状況は、管理についての決定をしなければならないときに既に存在する、緊急事態のあとの長期被ばく状況を含む状況ということですので、今回の作業にはこれが適用されると思います。ただし、長期的な改善作業、影響を受けた場所での長期的雇用によって生じる被ばくというのは、その線源は現存するとしても計画職業被ばくの一部として取り扱うとなっていますので、これは作業計画を立てて、いまは職業人に対しても線量限度を用いてやっています。
 このように、計画被ばく状況では放射線源の意図的な導入と運用ということがいわれていまして、線源管理できるのですが、事故後の現存被ばくの状況では、個々の線源は特定できないような状況で、そういうときは長期的な改善作業、影響を受けた場所での長期的な雇用が予想されるということから、計画的な被ばくとして線量限度をうまく使って、防護の手法は被ばく経路の管理とか、この辺で低減化を図るのがいいのかなというコメントです。
○森座長 これでガイドラインと、古田委員からの資料の説明をいただきました。古田委員が最初にお話になられたように、今回ガイドラインでは2つに分けたことによって、かなりすっきりした議論ができるのではないかと思います。すべて広げて議論をすると拡散してしまいますので、とりあえず、いま古田委員からのご意見をいただきました点についてご意見をいただいて、その上でそれ以外の議論もしていくという順番で進めていきたいと思います。それでは、いまの1万Bq/kgの測定の必要がある、なしというところで何かご意見がありましたらお願いいたします。
○杉浦委員 添付資料2ですが、GMサーベイメータの窓面積は5cm直径だから、60cm2ではなくて20cm2ぐらいですよね。20を掛けて20で割っているから、60を掛けて60で割っていて、結論には関係ないのですが、一般的な面積が違うなということです。
○古田委員 すみません。
○杉浦委員 古田委員がご心配になっているのは、一面が広く汚染されているような状況だと、土壌が1万Bq/kgを超えていて、作業をやってもいいでしょうけれども、ときたま超えているのをしらみつぶしにやらないと、何かまずいことが起こるのではないかということで、こういうことをおっしゃられていると私は理解しているのですが、1つには添付資料1で書かれているように、空間線量率2.5μSv/hで1万Bq/kgにほぼなるというのは、先ほど紹介がありましたように、農地とか何とかはある程度余裕があって、それで代えられるというところなので、2.5μSv/hは1万375ではなくて、これが8,000ぐらいだったらいいのかなと思うのですが、ここが規制する側の方としては弱いのかなと思います。
 それから、そもそも除染特別地域ではなくて除染実施区域みたいな所で、0.23を超えているような所で、やらなければいけない所というのは、私の理解では、除染電離則は、中の厳しいところは労働者の安全を守るために厳しい規制もあるけれども、外のところはガイドライン的にやるということで、今日のご説明にもあって、「臨時のときは」とか、いろいろ逃げられるところはあると思うので、ときたま超えてしまった所をあとでやらなかったから罰せられるとか、そういう法律の精神にはなっていないのではないかというのが私の考えなのですが、古田委員のご心配と私が思っていることが違ったら、いまの発言は全く意味がないのですが、そのようなことです。
 それから、ガイドラインをきっちりと分けて、どちらのガイドラインを使えばいいかということが入り口で分かれているので、そういう心配はないのかなというのが私の感想です。
○森座長 ほかにいかがですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 基本的に杉浦先生のご意見に賛同するのですが、58頁の4の「結論」で、「特定汚染土壌取扱業務を規定しない」というご意見ですが、これを適用いたしますと、どのような高濃度の土壌を扱っても、どんな高濃度粉じんでも、マスクも要らないということになりますので、計画被ばく、現存被ばく以前の問題として、最適化原則に照らして、問題があるのではないかと考えています。
 それから、もう一つの点として、2.5μSv/hを汚染検査の免除レベルとして使えないかというご提案だと理解しておりますが、これについては、先生の別添2にありますように、2.5μSv/hの表面線量率は67.5Bq/cm2で、40Bq/cm2を超えているということです。半分しか付かないという前提がどれだけ正しいかということが1点です。
 それと、下のほうの3万Bq/kg以上の濃度がないと濃度を超えないということについても59頁にあるように、その前提として深さが5cmになっていますので、前回ご説明しましたが、深さ1cmの所に約50%から60%の放射性物質が入っていますので、1cmということになりますと、大体2.5から3倍になりますので、まさにこの3万Bq/kgぐらいになってしまうので、2.5μSv/hですと40Bq/cm2を超える、あるいはその前後になろうと思います。
 免除レベルというのは、ご案内のとおり免除しようとするものの1桁落ち、もしくは2桁落ちが通常ですので、この数字で汚染検査を免除するのは厳しいかなと。0.23μSv/hで、ちょうど10分の1ぐらいですが、それであればいいということですので、現状の枠組みである0.23μSv/h以上については全検査になるのが適当ではないかと行政としては考えております。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○古田委員 高濃度のものがあれば線量は必ず高くなりますので、線量のほうで引っ掛けられると思います。
 それから、表面だけを取り扱う作業は除染の作業に非常に近いと思います。通常の土木作業ですと、例えば最低でも何かを埋めるとなると30cmは掘る。ケーブルなどだと60cm掘るとか、そういう基準がありますので、そういうところを掘るような作業ですと、濃度は薄まる傾向にあるかと思います。
 あと私が線量でいいのではないかと言っているのは、例えば地域によっても、例えば福島県以外の0.23μSv/hを超えるような所でも、今回はこのガイドライン等が適用されてしまうかと思うのですが、そうすると必ずそういう場所で作業をする前には、どんなに低くても土壌を測らなければいけないというルールになってしまうと思うのです。私の理解が違っていたらコメントしていただきたいのですが、例えば東海村のような所でも、土木作業をするとなれば、線量が低い所でも必ず土壌は測って、1万Bq/kgを下回っていることを確認しないと作業ができないと読めてしまうので、この辺を非常に心配しています。
○森座長 最後のところは重要なのですが、見解はどうでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ガイドラインの14頁の測定のところに書いていますが、農業、林業については事実上、空間線量率を測れば免除される規定になっています。生活圏については状況は多様ですので空間線量率だけでは駄目ですが、土のう等を使った簡易測定を行えばいいということと、エにあるように、最初から土壌の表面を扱うということであれば、わざわざ測らなくても最初からマスクを付けて作業することもあるとしています。
 あと、業者としてはどちらかというと汚染検査のほうが大変だというところが正直な感想で、土壌を測ることで適用をきっちりと除外した上で、汚染検査は一切やりたくない、こちらのほうが負担が重いということですので、こちらの規制体系のほうがいいいということが建設業界のご意見でした。いまの古田先生のご意見にありましたように、除染特別地域は宿泊ができませんで、全員押し並べてどのような濃度を扱ったかどうかも問わずすべて汚染検査となりますので、却ってそれは非常に負担は重いという意見が多くありました。
○森座長 この件についてこのまま議論をしていっても、平行線になる可能性が高いので、ここで座長としての見解を述べさせていただきます。ある目的の規制をするときにいくかの方法論があると思います。今回の意見は、できるだけ簡易的にやるべきだというものですが、規制する側としては、それで絶対に大丈夫と言えるかという不安が残るという関係にあります。今回に関しては、現時点で我々が議論しているのはガイドライン段階で、このガイドラインはすでに本委員会で出した二次報告書に基づいているという段階に入っています。事務局側の立場では、まずは安全サイドに立ってきちんと規制ができることを優先したいということでありますし、報告書のその方向でまとめられていますので、現時点の考え方として土壌の濃度の測定は行う、ただ、うまくガイドラインを二つに分けながらわかりやすくしていくという考え方で、このまま進めていくことが妥当と座長としては考えています。
 ただ、今回いろいろな点について修正を加えて、分かりやすくなった点や簡易的になった点も、古田委員からの意見に基づく部分が多いわけですし、この件についても貴重な意見として記録させていただいて、今後状況に応じて改善していく際の重要な参考にさせていただくということで、今回は取り扱いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○古田委員 実際に作業をやる方が、どれだけ負担に思ってやられるかというのがいちばん気になるところですので、作業をされる方が納得されて、問題ないということであれば、私は問題ないです。ただ、変に厳しくして、復興作業の計画を遅らせるというところについては気になっていますので、そういう意味でご提案したという背景があります。
○森座長 今後作業をされる方の情報収集のチャネルは、厚生労働省ではいろいろお持ちであると理解してよろしいのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。実はこの件については2回ほど意見交換をしておりまして、それを十分に踏まえた形のガイドラインになっています。
○森座長 それでは、今後も作業を実際していく中で発生するさまざまな点について、情報収集を行っていただいて、必要な対応していくということにしたいと思います。それ以外の部分について、ご意見があればお願いいたします。あまりにも広すぎるので、最初の「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン改定案」について、何かご意見があればお願いいたします。
○古田委員 確認です。例えば52頁ですが、東電で作業された方を別扱いで管理するという条文が追加になっているのですが、これは、東電で作業された方は何かの形で特定できて、実際にそれを雇う業者の方はこういう管理ができるような状況なのでしょうか。
○森座長 52頁と併せて25頁もそうなのですが、お願いします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 まず雇入時に特殊健診をする必要がありまして、そこで過去の被ばく歴の調査をしなければいけないことになっています。これは東電で働いていたかは問わず、過去の被ばく歴を調査して合算しなければいけないルールになっています。その場合に、当然どこで働いたかという情報も取れるという前提で書いています。
○古田委員 ということは、被ばく歴だけで判断するということになってしまうのですか。被ばく量が多いか少ないかで判断するという理解ですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 両方です。例えば52頁の(1)に付いている部分ですが、これは単に報告です。データベースを整備していますので、追加被ばく線量を厚生労働省に報告しなさいということです。これは線量は問わないわけです。(2)は、例えば保健指導、必要な検査等があるわけですが、これは50mSv以上の高被ばくをされた方を対象にしています。そういう意味では両方ということになります。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。両方のガイドラインを含めてで結構です。
○金子委員 質問です。特定線量事業者についてですが、独立行政法人、大学などで、この2.5μSv/hを超える地域に調査や研究を行うことがあります。そういう場合、独立行政法人や大学もこの事業者に該当することになるのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 独立行政法人は民間扱いになりますので、事業者扱いになります。
○森座長 1カ月当たり何時間入るかということも含めて、検討することになりますか。
○金子委員 そうですね。短期間で調査に入るのも適用になるのかがわからなかったものですから、質問したのですが。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 適用のところに書いているのは、例えば自動車運転業務のように、通過するだけのような場合は除外するとなっていますが、そこに立ち入って何日間か調査するということになれば、線量管理はしていただくということになると思います。
○金子委員 そうしますと、教育とか安全の管理とか、すべて必要になってくるということなのでしょうか。というのは、たぶん研究などで入る場合は年度当初から計画して入ることもありますが、必要に応じて年度途中で入ったりとか、いろいろなケースがあります。急に調査しなければいけなくなって入るときにも、全部適用されるということになると、かなり負担が大きくなります。やはりこれを適用しないといけないのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 具体的に適用になる条文は、線量の測定ぐらいだと思いますので、ガラスバッジを付けていただくということになろうかとは思います。
○森座長 いまおっしゃったのは、特定線量業務に従事する労働者に対する特別教育の話ですね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 特別教育も適用にはなりますが、研究者の方であればここに書いてある内容については熟知されているので、ほぼ簡素化できるとは思いますが、それは人によるかとは思います。
○森座長 我々が普段行っている労働安全衛生の分野でも、病院や研究者はよく知っているからいいという意見がでることがあるのですが、実は十分な管理がされていない場合が多いことを経験します。やはり調査研究の分野であっても、負担の少ない範囲できちんとやっていただく必要があるのではないかと個人的には思います。
○金子委員 私どもの場合、研究所内でルールを作って管理していますので、大丈夫と思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。ガイドラインについてはよろしいでしょうか。先ほど申し上げましたように、いろいろな意見をいただいていますので、ガイドラインに反映できなかったところについても、貴重な意見として議事録などに残させていただいて、今後の情報に基づいた更なる改善に役立たせていきたいと思いますので、事務局もよろしくお願いいたします。
 続いて、資料7「除染等業務特別教育のテキスト」について説明をお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 63頁です。これは先ほどご説明しましたとおり、特定線量業務はまた別途定めますが、こちらの除染等業務テキストから不要なものを削除していくと、自動的に特定線量業務になりますので、ご審議いただくのはこちらだけということです。
 これについては、前回お配りしたものと違いまして、除染等業務に今回改正になったものを盛り込む形になっていますので、その盛り込む部分については下線を引いていますので、そこの説明をしていきます。下にツーアップになっていますが、それぞれ13頁、14頁がありまして、そちらの頁でご説明します。
 14頁です。これは被ばく線量管理のところですが、特定汚染土壌等取扱業務等については、2.5μSv/hを超える地域あるいはそこに入っていくことが見込まれるような方に限るということが書いてあります。
 18頁です。これもガイドラインどおりですが、例えば作業計画で、特定汚染土壌等取扱業務については2.5μSv/hを超える場合に限定するとか、19頁の作業指揮者についても、同様で、ガイドラインと全く同じ内容の措置を書いています。
 24頁です。「特定汚染土壌等取扱業務の留意点」ということで、ここからが新しく書いているところです。前回定義の部分について、いろいろとご議論いただきましたので、ガイドラインでご説明しましたように、定義の部分については全体に差し替えをしています。特定汚染土壌取扱業務として考えられるものの分類を24頁から25頁にかけて入れています。これは小林先生、建山先生、金子先生にご協力いただいて作成しているところです。
 26頁については、前回と変わっていません。27頁ですが、「特定汚染土壌等取扱いに該当する可能性のある作業」という形で整理を変えていまして、土工については全部適用がありますので全部書いていますが、営農・営林については、先ほどご説明しましたように、土壌を取り扱う作業だけが列記されている限定列挙で、ここに書いてある業務は適用があるということがわかるように改定しました。
 34頁です。これは測定のところですが、特定汚染土壌取扱業務の場合は、空間線量率の測定が若干緩和されていますので、それを書いたところです。
 あとは大きなところで申しますと、39頁から40頁については、これも放射能濃度の測定ですので、ガイドラインで大きな改定を行って簡易測定を入れていますので、その辺りが丸ごと44頁に至るまで入っています。
 46頁は「汚染防止措置」です。これは従来から入っているものですが、これもガイドラインに基づいて書いており、前回お示ししたテキストでは、いろいろ書きすぎの部分がありましたが、すっきりさせて、廃棄物の収集業務というのは作業場所から持ち出すときだけに該当がある。持ち出すときについては従来どおりの廃棄物収集等業務の規制を適用するという意味では改定されていません。あとは除染の部分が延々と続きますので、ここは飛ばさせていただきます。
 103頁です。ここは機械の概要です。論理的には全くの素人が特別教育を受けることも想定されますので、機械の概要については入れるということです。103頁から105頁については、土工で使用する機械です。これは建山先生に事実上執筆いただいた形になっています。それから、106頁には、各機械を使用するために必要な資格をまとめています。109頁に、これは労働安全衛生法上だけですが、必要な資格の一覧を入れています。こういった資格がありませんと、もともと作業できませんので、ここで改めて機械の教育が必要な人間はほとんどいないという前提にはなります。
 107頁が、小林先生にご協力いただいた農業機械の内容です。108頁は、金子先生、林野庁さんにご協力いただいた形で、林業の機械の概要を入れています。あとは変更していません。以上です。
○森座長 ガイドラインに基づいて、追加、修正をいただいたという内容になっていますが、何かご質問、ご意見はございますか。特定汚染土壌等取扱業務をされる方の中に、これまでの除染作業をする方としない方がありますが、基本的にはすべてこのテキストに基づいて受けてください、どちらも区別せずにという理解でよろしいのでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 いままで受けていなかった方については、このテキストで全部受けてくださいということになります。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ガイドラインのほうで随分ご議論いただきまして、それを盛り込んだ形のテキストになっていますので、そういった趣旨で改訂をいただいたということになります。ご意見もないようですので、本日はここまでとします。本日で検討会も1つの区切りがきましたので、最後に安全衛生部長よりご挨拶をいただければと思います。
○宮野安全衛生部長 一言ご挨拶を申し上げたいと思います。今回の報告書あるいはガイドライン、テキストの検討に際しましては、委員の先生方あるいは関係省庁の皆さんも含め、本当にご熱心なご議論をいただきまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。
 今日のご議論にもありましたように、復旧・復興をいかに迅速に進めるかという課題と、そうした作業に従事する労働者の皆さんの安全、健康管理をいかにきちんと維持をしていくか、図っていくかという2つの課題を両立させることは、非常に困難な課題であると思っております。
 本日、こうした形で取りまとめをいただきまして、実際これから具体的な復旧・復興の作業に入るわけですが、これもいまご議論いただきましたとおり、実際上の作業に当たり、またいろいろこうしたガイドラインなり、あるいは新しい省令なりの運用に当たりましても、いろいろな課題なり疑問点なり等々が生じてくる場面というのも多々あろうかと考えております。これは昨年お願いした除染等業務も含めてだと思います。
 したがって、この検討会としては本当に今回はこれで終了ということになろうかと考えております。また、新たなタイプの業務が出てくるとは現時点では想定はしておりませんけれども、ただ、個別にまたいろいろな所で、実際の運用をしてみたところ、こうした問題点が発生した、こうした点はどう考えるのかというようなことについて、また先生方のお知恵を拝借したりというような場面というのは、これからも正直あるのではないかなというふうに考えておりますので、先生方には引き続き、そうした場面において、ご協力、ご指導を是非お願いをしたいと考えております。
 改めまして、昨年の除染業務に係るガイドライン、報告書等々も含めまして、本当に長い間、かつ非常に短いスケジュールの中、熱心なご議論をいただきましたことについて、改めてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
○森座長 座長としましても、皆さんのご協力をいただき、重責を果たすことができまして、大変ほっとしております。ご協力ありがとうございました。
 最後に事務局より追加の連絡等、また今後の予定等についてご説明いただければと思います。
○椎葉労働衛生課長 本日のご議論を踏まえまして、厚生労働省としましてはガイドラインとテキストを発出する予定です。今後のスケジュールは、先ほど部長の挨拶の中にもありましたが、現在施行に向けて準備を進めている除染電離則の改正案については、来る5月29日に労働政策審議会、安全衛生分科会に諮問させていただく予定です。ご審議いただき、答申をいただいた後に、公布は6月中旬ころ、7月上旬の施行の予定です。ガイドラインとテキストについては、この公布に合わせて公表させていただくという予定です。連絡事項は以上です。
 12回にわたって除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会を開催させていただきまして、ありがとうございます。これをもちまして一区切りということで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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