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2012年7月10日 平成24年度第2回目安に関する小委員会 議事録

労働基準局

○日時

平成24年7月10日(火)
17:00〜19:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

【公益委員】

今野委員長、仁田委員、藤村委員

【労働者委員】

石黒委員、須田委員、田村委員、萩原委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、矢口委員、横山委員

【事務局】

森岡大臣官房審議官、本多大臣官房参事官(併)賃金時間室長
藤永主任中央賃金指導官、川田代副主任中央賃金指導官、亀井賃金時間室長補佐

○議題

平成24年度地域別最低賃金額改定の目安について

○議事

○今野委員長
 それでは、時間ですので、ただ今から第2回目安に関する小委員会を開催いたします。
 本日は、勝委員が欠席です。
 それでは、まず資料の説明を事務局からお願いします。

○本多参事官
 資料の説明に入ります前に、今日はお手元の資料の他に各種団体からの要望書を回覧させていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、初めに資料No.1とNo.2について御説明をいたします。
 まず、資料No.1をご覧ください。平成24年賃金改定状況調査の結果でございます。こちらの調査の対象地域は、各都道府県の県庁所在地と人口5万人未満の市から選んだ地方小都市が対象地域です。
 調査産業は、県庁所在地につきましては製造業、卸売業,小売業、宿泊業,飲食サービス業、医療,福祉、その他のサービス業です。地方小都市については製造業を対象にしております。
 事業所の規模は、常用労働者が30人未満の企業を対象としております。
 集計している事業所数は県庁所在地から約3,000、地方小都市が約1,000で合計約4,000事業所です。これらの事業所に雇用される労働者は、約3万1,000人です。
 主な調査事項は、昨年6月と本年6月の所定労働日数、所定労働時間数と所定内賃金額でございます。そこから賃金の上昇率を算出しております。
 第1表をご覧ください。こちらは今年の1月〜6月までの間に賃金の引上げ、あるいは引下げを実施した、あるいは実施しなかったという区分で、事業所単位で集計をしております。
 一番左の産業計及びランク計のところをご覧ください。1月〜6月までに賃金の引上げを実施した事業所の割合が35.3%。括弧内は昨年で30.3%でしたので、今年は増加をしております。ランク別にみますと、Aランクが37.0%、Bランクが36.6%、Cランクが36.1%、Dランクが32.3%となっております。
 一方、賃金の引下げを実施した事業所の割合は1.7%。昨年の2.3%から減少しております。また、賃金改定を実施しなかった事業所の割合は53.3%で、昨年よりも減少しております。
 なお、この改定を実施していない事業所の割合は、他のランクよりもDランクがやや高いということになっております。また、7月以降に賃金改定を実施する予定の事業所ですが、9.7%で昨年とほぼ同様の水準でございます。
 産業別にご覧いただきますと、1月〜6月までに引上げを実施した事業の割合が高いのは、右から2つ目の医療,福祉で58.4%です。一方、低いのはその左の宿泊業,飲食サービス業で21.2%となっております。
 続いて、第2表をご覧ください。こちらは事業所の平均賃金改定率です。
 これも事業所単位で集計をしております。各事業が、どの程度引上げを行ったかを集計しております。
 一番左が賃金引上げを行った事業所の平均の改定率です。こちらは2.6%です。
 一方、賃金引下げを実施した事業所では、平均がマイナス6.9%です。
 この引上げを実施したところ、引下げを実施したところ、凍結した事業所のすべてを合わせて全体を加重平均した改定率が一番右でございます。これでご覧いただきますと、産業計は0.8%で、昨年の0.6%よりもやや高いということになっております。
 続きまして、第3表をご覧ください。こちらは事業所の引上げ率の分布の特性値でございます。引上げ率がどういうふうに分布しているかをみたものでございます。
 産業計のところをご覧いただきますと、第1四分位数が1.2%、ちょうど真ん中に当たる中位数が1.9%の上昇率、第3四分位数が3.2%で、分散係数は0.53でございます。おおむね昨年と同じ状況ですけれども、変化がみられるのは、第3四分位数が昨年に比べると少し高い上昇率となっております。
 続きまして、第4表をご覧ください。こちらは一般労働者とパートタイム労働者の賃金上昇率です。1が男女別にみたもの、2が一般・パート別にみているものでございます。
 まず、1の方の産業計の男女計、左上のところをご覧ください。こちらをご覧いただきますと、昨年6月の賃金が1,349円、今年は1,352円で賃金上昇率は0.2%です。ランク別でみますと、Aランクが0.1%、Bランクが0.4%、Cランクが0.5%、Dランクが0.3%となっております。
 次に産業別にみますと、製造業が0.1%、卸売業,小売業がマイナス0.1%、宿泊業,飲食サービス業が1.0%、医療,福祉が0.5%、その他のサービス業が0.3%となっております。
 男女別にみますと、男性が産業計で0.1%、女性が0.6%となっております。
 次のページの2で一般・パート別にご覧いただきますと、一般労働者が0.5%、パートタイム労働者がマイナス0.2%という上昇率となっております。
 次のページから参考1〜5までございます。こちらは、今、御説明をした第1表〜第4表までで扱った賃金の引上げの実施時期ですとか、賃金改定を実施しなかった事由、平均賃金改定率、賃金引上げ率の分布の特性値などについて、調査地域の県庁所在都市と地方小都市別にご覧いただけるようにしたものでございますので、適宜御参照いただければと思います。
 資料No.1の最後に付表を付けております。
 まず最初に、労働者のパートタイム労働者の比率ですけれども、パートタイム労働者比率は今回の調査で24.4%です。昨年に比べて比率が1.3ポイント上昇しております。
 次に、男女別の比率でございます。平成24年は女性の比率が0.7ポイント上がって45.6%です。
 次の年間所定労働日数ですが、変化はございませんでした。
 資料No.1については、以上でございます。
 続けて、No.2の生活保護と最低賃金の比較の資料を説明させていただきます。
 まず、資料No.2の1ページ目ですけれども、こちらは生活保護水準と最低賃金額との関係を都道府県別に示したグラフです。これはこれまでの公益委員見解で示された比較の考え方に基づいて、最新のデータである平成22年度の生活保護水準と、平成22年度の最低賃金額の手取り額を比較したものです。
 なお、生活保護に関するデータはここに掲載している2年度前の、今で言いますと、平成22年度のものが最新のものとなっております。
 右上にグラフの説明を付けております。破線と△でマーキングをしているのは、生活扶助基準値を都道府県内で人口加重平均したものに、住宅扶助の実績値を被保護者世帯で加重平均したものを加えたものでございます。
 その下の実線に◇でマーキングをしているのは、各都道府県の最低賃金額に月の法定労働時間として173.8時間を掛けて、そこに税・社会保険料を考慮するための可処分所得比率0.849を掛けたものでございます。
 ですので、△が◇より上になっている都道府県が、生活保護水準が最低賃金の手取り額を上回っている県ということになります。このグラフでご覧いただきますと、そうした逆転現象が起きているところが12都道府県あります。
 2ページ目は、今年度から追加した資料ですけれども、1ページ目は22年度の生活保護と22年度の最低賃金を比較したものでしたが、2ページ目は最低賃金額を23年度のものに改めております。
 これでご覧いただきますと、1ページ目では12都道府県で逆転現象が起きていましたが、平成23年度の最低賃金額の引上げによりまして、秋田県1県で逆転現象が解消されまして、2ページ目では11都道府県で逆転現象が生じているということになっております。
 次に、3ページ目にはその乖離が生じている11都道府県で、乖離額を時間額に直して示しているものです。
 一番左の列、(A)としてありますところが平成22年の生活保護と最低賃金を比較した乖離額です。先ほどの1ページ目のグラフの乖離の状況が、ここに示されております。
 今年度の解消額の議論の際には、平成23年度の改定後の最低賃金額と比較する必要がありますので、(A)から引上げ額の(B)を引きまして得られるのが(C)、最新の乖離額ということになります。こちらが今年度、御審議いただく最新の乖離額となります。
 なお、一番右側の列は、参考としまして昨年度の改定後に残された乖離額をお示ししております。網かけの部分は、昨年度の改定で一旦乖離が解消された地域でございます。その際には、一旦残りは3道県となっておりましたが、今回11都道府県で乖離が生じた状況になったということでございます。
 次に4ページ目をご覧ください。こちらは、そのように乖離額が変動した要因を分析しております。
 左の(C)と(D)の列は前のページの資料と同じものでございますが、(E)の列は今回乖離が拡大した額でございます。この乖離額の拡大の要因を、住宅扶助の実績値の変動と、手取り額に換算するために使っている可処分所得率の変動に分けて記載しております。
 可処分所得比率は、具体的には21年度の0.857から22年度の0.849に低下しておりまして、この影響額が出ております。
 北海道を例にとって御説明をいたしますと、北海道は乖離が17円から30円に広がったということで13円拡大をしておりますが、その内訳は住宅扶助の実績値が増加したことによる分が5円、可処分所得比率の低下によるものが7円ということでございます。
 端数処理の関係で、e1とe2を足したものが乖離額の全体と合わないケースがございます。北海道も5と7を足すと12ですけれども、端数処理の関係で、全体では13円になっております。
 資料2の説明は以上でございます。

○今野委員長
 ありがとうございました。ただ今の説明について御質問をお願いいたします。いかがですか。
 それでは、まだ他にも資料が用意されておりますのでそちらを説明していただいて、一括して議論をさせていただければと思います。続きまして、残りの資料について説明をお願いします。

○本多参事官
 それでは、資料No.3〜No.7を説明させていただきます。
 まず、資料No.3をご覧ください。こちらは第1回で会長から御指示のありました、地域別最低賃金の未満率および影響率のランク別の推移でございます。今回追加したのは、一番右の23年度のところでございます。
 未満率をご覧いただきますと、Aランクが1.5%、Bランクが1.7%、Cランクが1.8%、Dランクが2.0%、ランク計では1.7%となっております。平成22年度と比較をしますと、Aランクが若干低下しておりますが、C、Dは若干上昇という状況になっております。
 また、影響率はAランクが4.0%、Bランクが2.9%、Cランクが3.1%、Dランクが3.4%、ランク計が3.4%となっておりまして、平成22年度と比較しますと、いずれのランクも低下をしております。
 続きまして、資料No.4をご覧ください。資料No.4は各都道府県別の賃金分布です。使っておりますのは、平成23年の賃金構造基本統計調査でございます。
 一般労働者と短時間労働者のデータがございますが、資料No.4-1は一般労働者と短時間労働者を合わせたもの、No.4-2が一般労働者のみを取り出したもの、No.4-3が短時間労働者のみを取り出したものでございます。
 資料の並びですが、AランクからDランクの順に、更にランクの中は総合指数の順に都道府県を並べております。
 1ページ目の左上、東京を例に見方を説明いたしますと、下の横軸が時間当たりの賃金額です。10円刻みの棒グラフになっております。グラフとしては、まだ右にずっと続きますけれども、最低賃金との関係をみるということで、グラフは1,500円までのところで切っております。
 縦軸は、賃金構造基本統計調査は母集団に人数を復元しておりまして、その復元後の人数を書いております。
 また、東京であれば821円ということで線を引いておりますが、この調査が昨年6月の賃金についての調査ですので、ここでは昨年の改定前の最低賃金額、この調査時点での最低賃金額に線を引いております。
 それぞれ非常に細かくなりますので適宜ご覧いただければと思いますけれども、都道府県によって、いわゆる最低賃金額に賃金の分布が貼りついているところと、一方それほど貼りついていない、まだ大分空きのある県と、県によって状況がかなり違うのがご覧いただけるかと思います。
 続きまして、資料No.5をご覧ください。こちらは、最低賃金の引上げに向けた中小企業への支援事業の概要と実施状況をまとめた資料でございます。
 支援事業ですけれども、まず1ページ目に24年度の予算額ということで、総額が35.2億円でございます。
 この事業には3つの柱がございまして、1つ目は、ワンストップで経営面と労働面の相談を無料で受け付けられる相談窓口を全国的に設置するというものでございます。こちらの予算が5.5億円です。
 2つ目は、最低賃金の引上げの影響が大きい業種を選びまして、予算上そこから15団体を支援する。団体での研修ですとか企業で共同購入を行っていただく、そういった取組みを助成する業種別団体の助成金でございます。こちらの予算が3億円となっております。
 3つ目が地域別の支援策で、最低賃金額が700円以下の県を対象として、賃金水準の底上げを支援する業務改善助成金でございます。予算が26.7億円となっております。
 この助成金の仕組みは、まず事業場内の最も低い時間給を800円以上に引き上げるという計画をつくっていただきます。その計画をつくっていただきまして、そのための就業規則の作成、労働能率の増進に役立つ設備・機器の導入などを行っていただき、その経費の2分の1を事業所当たり上限100万円まで支給するという助成金でございます。
 次のページに実施状況を載せております。
 まず、相談支援事業でございますが、6月12日の時点で相談窓口を全国122か所に開設しております。そちらで1,965件の相談を受け付けております。うち専門家を派遣したものが266件となっております。
 なお、括弧内に昨年度の数字を書いておりますが、これは昨年度1年間の数字でございます。左側の数字は4月と5月、2か月分の数字でございますので、比較していただく際にはその点に御留意ください。
 続きまして業種別の団体助成金でございますが、こちらについては、予算上は15団体ですけれども、3億円が上限ということで、上限になるまでは受付ができることになります。現在21件の申請を受け付けておりまして、審査をやっております。3億円の枠内で受付をする予定でございます。なお、昨年は11団体を対象にいたしました。
 続きまして業務改善助成金ですが、こちらは6月末時点で461件の申請を受け付けまして、388件の交付決定をしております。昨年度は、震災の影響もありまして申請が延び悩んだところでございますが、利用促進を積極的にいたしまして、今年度は比較的順調に事業が実施できると思っております。
 次のページからは、前回委員から、この事業の効果についての資料というお求めがございましたので、利用状況の例を御紹介いたしております。
 まず、柱の1つ目の相談支援事業でございます。例をご覧いただきたいと思うのですが、例えば一番上で、工場の生産体制の抜本的な改革をしたいという御相談がございました。それに対して、経済産業局との事業とも連携をして、専門家と相談窓口が連携をして会社を訪問し、経営革新計画をつくっているという例でございます。
 次のページは、業種別の団体の状況でございます。こちらに挙げているのは、今年度申請が出てきている団体の申請の内容を例示しております。例えば業種では、飲食料品小売業の食肉の関係の団体からの申請がございました。こちらの団体では、食肉であまり使われない内臓などの部位を使った新たな加工品の開発、また、その技術の習得のための研修会を開催する、冊子やDVDをつくって技術の普及を行うといった事業が申請されているところでございます。
 その次の次のページに、業務改善助成金の利用状況を掲載しております。こちらもいろいろと例を御紹介しておりますが、例えば一番上に挙げている例でございますと、造園工事業の事業所の申請でございますけれども、ここでは軽トラックに替えてクレーン車を導入するということで、それによって作業能率がアップし、生産性が向上した事例でございます。
 資料No.5については以上でございます。
 続きまして、資料No.6に最新の経済指標の動向を挙げてございます。こちらもいろいろ指標を挙げておりますけれども、おおむね昨年度より改善している状況でございます。
 個別にご覧いただきますと、まず名目の経済成長率ですが、今年の1〜3月期で1.2%、年率換算では4.9%の成長となっております。
 続いて生産ですけれども、こちらも今年の3〜5月では14.2%、12.9%、また、速報値で6.2%といった数値となっております。
 第3次産業の関係ですけれども、こちらもプラスで推移をしております。
 また、企業収益でございますけれども、こちらも1〜3月期では前年同期比で9.3%のプラスとなっております。
 倒産については、減少基調で推移をしております。
 商業販売の方も、前年比でプラスの推移をしております。
 次のページの一番上に個人消費がございますが、こちらも足下では前年同月比でプラスとなっております。
 業況判断ですが、マイナスの水準ではありますけれども、昨年度と比較しますとマイナス幅が小さくなっておりまして、基調としては改善傾向だと思われます。
 続いて賃金でございますけれども、こちらでは現金給与総額を御紹介しております。前年同月比では、おおむねプラスで推移をしております。
 労働時間につきましても、所定内・所定外とも前年比でプラスとなっております。
 次のページは、経済成長率の数字でございます。特に審議会で重視されている名目成長率の動向を掲載しております。名目の経済成長率は、2010年度はプラスの1.1%でございました。2011年度はマイナスの2.0%でございます。その後、四半期の推移を書いておりまして、直近でご覧いただきますと2012年の1〜3月期は1.2%、年率換算では4.9%、前年比では1.4%となっております。
 また、経済見通しでございますけれども、内閣府の試算、また、日本銀行の政策委員の見通しは、今年度はまだどちらも公表されていない状況でございますので、こちらは空欄にしております。
 資料No.6については以上でございます。
 最後の資料No.7でございますが、こちらは東日本大震災の関係の資料でございます。復興庁が6月11日に被災地の復旧・復興状況の全体をまとめた資料がありましたので、こちらを加工せずに御用意しております。この資料の被害状況ですとか被災者への支援の状況、また、復興関連の施策の関係の資料がいろいろ入っておりまして、枚数の多い資料になっておりますので、特に関係が深いと思われますインフラと産業と雇用に絞って、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず、インフラの復旧状況ですけれども、資料の7枚目、右下に薄くページ番号が振られておりますが、ページ番号ですと13ページ、14ページのところをご覧ください。こちらにインフラの応急的な復旧状況ということで、1と2の資料がございます。
 主なライフラインについては、復旧率はおおむね80%以上となっておりまして、家屋流出地域、原発警戒区域などを除いては、ほぼ復旧している状況でございます。
 また、ここの図にはありませんけれども、高速道路、空港、堤防などについても復旧が進んでいる状況でございます。
 下の通信、郵便、病院、学校などの公共サービスもおおむね復旧している状況でございます。
 少し飛びまして産業の関係ですけれども、右下のページ番号ですと21、22のページ番号のところをご覧ください。
 まず、上の産業の復興状況1の資料でございますけれども、左側の図が被災地域全体をまとめた鉱工業生産指数です。こちらは平成17年を100とした数字でみますと、平成24年4月には95.1ということで、ほぼ震災前の水準に回復をしております。
 また、右側の棒グラフですが、津波が浸水をした地域に所在する事業所の鉱工業生産額を試算したものでございます。これをご覧いただきますと、震災直後の平成23年5月は前年同月比でマイナス99%でございました。これが24年2月にはマイナス31%と大幅に回復はしていますけれども、依然としてマイナスの状況で、浸水地域での本格的な復興が今後の課題となっております。
 同じページの下半分のグラフですが、これは特に被害が甚大であった3県の鉱工業生産指数を取り出しております。ご覧いただきますと、震災後は回復している状況であることがみてとれると思うのですが、真ん中の宮城県のグラフをご覧いただきますと、岩手、福島に比べましても、宮城県は沿岸部の生産設備の被害が著しかった影響で、回復が遅れている状況でございます。
 最後に1枚めくっていただいて、ページ数で言うと26ページに雇用の状況がございます。こちらは被災3県の雇用情勢をまとめたものです。3県の雇用情勢については、依然として厳しい状況ということでございます。
 細かくご覧いただきますと、求職・求人の動向ですが、有効求職者数は有効求人数を上回っておりまして、特に沿岸部の多くの地域では有効求職者数が増加をしております。例えば石巻所での求職者数が、前年比で62.3%増えているといった数字が挙げられております。ただ、新規求職者数でみると、新規に求職を出される方は減少しておりまして、傾向としては受給の状況は改善しております。
 就職の状況です。左の下の方ですけれども、震災後の1年間で17.7万人以上が就職をされていらっしゃいます。地元の課題としては、女性の求職希望に対する求人が不足していることですとか、建設業の求人が増えているけれども、建設業では未経験者の就職が困難といったミスマッチ、そういったことが課題となってございます。
 一方、雇用保険の受給者ですけれども、今年の4月には前年同月比で7.3%減少しておりますが、男女別で差がありまして、女性の受給者数は6.2%増加しているという状況でございます。
 ちょっと駆け足でございましたけれども、資料の説明は以上でございます。

○今野委員長
 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。

○須田委員
 資料No.6の経済指標の動向の3枚目で、名目成長率の動向は内閣府、日銀が未定になっていますけれども、この発表予定日がわかるかどうかということと、例えば民間のシンクタンク等々も調べていると思うのですけれども、そういった数字がないのか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

○本多参事官
 まず、内閣府の年央試算ですが、こちらについては発表日のめどがわからない状況でございます。日銀の政策委員の見通しですが、7月の半ばごろかと思われます。はっきりと公表されているわけではないのですけれども、例年の動向からして大体そのころかなと思っております。
 また、民間のものですが、昨年度の目安に関する小委員会の際には震災後のいろいろなデータを集めた関係で、ESPフォーキャスト調査という、民間のエコノミストが出している成長率の予測を平均したものを御紹介しておりました。そちらについては毎月公表されております。

○今野委員長
 よろしいですか。

○須田委員
 これから議論になるとは思っているのですが、昨年も実績と足下の経済情勢をみて総合的に判断した認識がありますので、今年また議論するときには、ESPフォーキャスト調査の数値を用いるのか用いないのか。今、決めなくてもいいかもしれませんが、ちょっとそこが気になって質問をさせていただきました。

○今野委員長
 用いるか用いないかはやってみなければわからないですけれども、資料として用意するかどうかということですね。今、須田さんの意見は、用意したらどうかという話でしょうか。

○須田委員
 はい。

○今野委員長
 どうですか。別にいいかなという気はします。

○仁田委員
 私は去年からしか知らないのですけれども、こういう数値をみるのは、どういう経緯でこういうふうになっているかということによると思います。経済見通しがどうなるかということが、我々が何か判断する場合には結局重要にならざるを得ないのではないかと思うのです。例えば有効求人倍率については、普通、我々が景気の動向を判断するときに使っているものですけれども、一応そういうものを資料として集めて、皆さんにみていただく方がいいのではないかと思います。
 私は、大分前までは春闘をみていましたけれども、今、春闘のときは過年度平均の物価上昇率ではなくて、瞬間風速をみてやるようになっていると理解しているので、そういうことは考えられないことはないかなと思います。

○今野委員長
 御意見ございますか。なければ用意していただいてはどうですか。

○本多参事官
 皆様の御同意が得られれば、経済見通しについては、先ほど御紹介をしましたESPフォーキャスト調査の資料を、次回に提出させていただきたいと思います。
 有効求人倍率についても御要望があったということでよろしいでしょうか。

○仁田委員
 そうですね。

○高橋委員
 経済見通しというのは所詮見通しです。資料No.6の3ページで、名目経済成長率の動向で、2011年度はマイナス2.0%だったわけですね。内閣府が出した試算では、2011年度はマイナス0.4%と見通していたわけです。ところが、実際はマイナス2.0%だった。日銀は実質GDPしか出していませんけれども、ちょっとバウンドがありますが、0.2〜0.6で、2011年度の実質はここまでいってなかったということですから、どうしてそんなに見通しにこだわるのかがよくわからない。

○今野委員長
 私が決めるわけではないけれども、使うか使わないかはわかりませんが、経済の見通しについてどうかということも、総合判断の1つとして考えなければいけないことがあるかもしれないということで、資料を用意しておくという程度かなと私は理解しています。それをどう使うかというのも決めてかかるのでしたら、私もちょっといろいろ考えますけれども、用意しておく程度かなと思っているので、高橋さんがおっしゃられるように、見通しだから本当に当たるかどうかはわからないということも含めて、使うときには使う、使わないときには使わないということだと思います。総合判断するときの多くある材料の1つであると思っているので、私はいいかなと思っているのですけれども、どうですか。
 ついでにもう一つ。有効求人倍率は、仁田さんの言われた意味が私にはよくわからなかったのだけれども、どういう有効求人倍率なのか。足下のものですか。

○仁田委員
 足下というか、割と直近で動向がわかるものがよい。

○今野委員長
 そういうことですね。

○本多参事官
 第1回で有効求人倍率をお示ししているのですが、都道府県別の有効求人倍率は、資料のつくりの関係で年平均しかお出ししておりません。その後、今年に入ってからの月別の有効求人倍率は、当然出ている数字ですので御紹介することができるかと思っております。

○今野委員長
 そうすると、趣旨は今日の資料No.6のような形式で有効求人倍 率の項目があった方がいいということですね。何か問題がありますか。資料No.6のような形を出しているわけだから、それの雇用版みたいなものですね。よろしいですか。

○亀井室長補佐
 皆様に御意見いただけるのであれば、現在の資料No.6も近々公表されれば数値が埋まる部分もございますので、資料No.6をリバイスする形で、今、お求めのありました数値を入れて、次回に出させていただければと考えます。

○今野委員長
 そうすると、賃金、労働時間があるから、この並びで有効求人倍率の項目が入るということですね。

○高橋委員
 私は昨年も申し上げましたが、資料No.6の体裁があまり好きではありません。すなわち、直近の3か月ないしは直近の四半期と1年前を比べるだけですと、経済指標の見方としてはいかがなものか。先ほど仁田先生もおっしゃいましたけれども、やはりトレンドとか、水準とか、経済指標はそういうものをもってみていくものだと思うのです。特定の時期だけを切り出して比較するみたいな資料のつくり方は、やや不十分ではないかと私は思っています。

○今野委員長
 もう年単位では基礎資料があるわけですから、そこに直近のものを接続して、接続した直近のものも含めて全体のトレンドをみようという趣旨かなと思います。極端なことを言うと、基礎資料の後ろ側につなげてもいいのだけれども、つくりがそうなってないので、資料No.6のような形式になっているのかなと私は思っているのです。ですから、これだけをみるということではないと思います。

○高橋委員
 これとこれを一緒になってみるというのは、非常にみにくいですね。

○今野委員長
 みにくいのは賛成です。ただ、あちらのつくりは、ルールということはないけれども、今までのやり方でずっとつくっているので。
 では、今後は直近もあそこに入れてつくるようにしてしまいますか。本当はその方がみやすいですね。

○小林委員
 前回の資料の全国統計資料編の中で、求人倍率が24年の1月、2月、3月、4月、5月という形で。

○今野委員長
 入っていましたか。

○小林委員
 2ページのところです。事務局、そうですね。

○本多参事官
 先ほど申し上げましたのは、そちらに全国のものは入っているのですが、都道府県別の数字が同じ資料の29ページにございまして、都道府県別の数字は23年までの年平均しかお出ししていないものですから。

○今野委員長
 仁田さんが言ったのは、都道府県別ではないですね。全体でいいのでしょう。

○仁田委員
 全体でいいかなと思います。

○今野委員長
 では、ここにあるんだ。これは4月までしか入っていませんね。最新の有効求人倍率は、いつごろまでわかるのですか。

○本多参事官
 翌月末発表ですから、今ですと5月のものは出るかと思います。

○今野委員長
 6月は出ないんだ。5月は入るのですね。

○本多参事官
 入れることはできます。

○今野委員長
 仁田さんが言われたのは、2ページ目のここに5月が入ればいいですか。

○仁田委員
 そんな感じですね。

○今野委員長
 それでいいですね。

○本多参事官
 では、都道府県別の方は特によろしいということですか。

○仁田委員
 経済指標は一応全国版の話なので、ここの資料とはならないと思いますが、後でA、B、C、Dのランク別の議論をするときに、いずれ必要になるかもしれない。

○今野委員長
 それはそのときにもう一度言ってもらえますか。

○仁田委員
 29ページの辺りに都道府県別の各年のものが出ていますので、A、B、Cのランクとか、そういうのを検討するときには、いずれもう少し足下の方の有効求人倍率もみた方がいいので、24年度のわかるものをここに付けていただければ、資料としては参考になるかなと思います。

○今野委員長
 今、仁田さんが言われたのは、次のページの失業率は24年1〜3月期が入っているのだけれども、こんな感じで入ればいいわけですね。

○仁田委員
 そうですね。

○今野委員長
 それは議論する際にわかった方がいいですね。

○高橋委員
 でも、3ページにランクごとの有効求人倍率も出ています。

○今野委員長
 出ていますね。とりあえず要らないということにしましょう。

○仁田委員
 みたくなったら出してもらいます。

○今野委員長
 また特別必要になったときには仁田さんに言っていただいて、そのときは御相談させていただく。こうやってランク別にあるということは、県別にデータがあるということだから、そのときにまた考えさせていただくということにしましょう。
 他にいかがですか。4表で感想か何かないですか。1表でも、2表でも、3表でも結構です。

○高橋委員
 資料No.2の生活保護と最低賃金に関するものですけれども、例年、乖離額がある都道府県だけではなく、47都道府県ごとに、それぞれ時間額に変換した後の変動要因分析をしていただいた表を出していただいていたと思うのです。是非、今年もお出しいただいた方がよろしいのではないか。これはお願いです。

○本多参事官
 それでは、次回よろしければお出ししたいと思います。

○今野委員長
 ついでにコメントとしては、住宅扶助の寄与率と可処分所得での寄与率みたいなものは例年と違いますか。

○本多参事官
 今回は特に可処分所得比率の変動幅が大きかったので、今年は可処分所得の寄与分が大きくなっております。

○高橋委員
 あと、まだ続いてもう一点あります。
 これは質問なのですが、資料No.5です。「最低賃金引上げに向けた中小企業への支援事業の概要及び実施状況」ということで御説明いただいたところですが、残念ながら資料が、利用状況例とか申請状況例というだけにとどまっておりまして、恐らく前回、使用者側の委員の方からお願いをしたのは、こういう特定の事例をいくつか紹介していただくことをお願いしたつもりはないのではないかと、私なりには理解しておりまして、むしろ実際にこれをやった結果、生産性がどの程度上昇したのかといった数的な把握といいましょうか、評価といいましょうか、そうしたものを求めたのではないかと思います。
 当然ですけれども、税金の有効な使い道かどうかを検証する意味でも、こうした事業がどのような形で有効に用いられているかということであれば、単にこうした生産性が向上したとかいう文字だけではなくて、具体的にどの程度向上したのかということを把握する必要があるかと思うのですけれども、その辺りの把握状況などがどうなっているのか、もしわかれば教えていただきたいと思います。

○本多参事官
 特に業務改善助成金の個別企業向けのもののことではないかと思うのですが、今おっしゃられたような、この助成金を利用したことによる生産性の効果を把握しようと思いますと、まず利用していただいた企業御自身に、投資をしたことなどによる効果を測定していただかないといけないことになります。そうしますと、今、手持ちの業務改善の助成金の利用に際していただいている資料では判断ができませんので、改めて企業にそういったデータをお出しいただくことが必要になるかと思いまして、必ずそういうデータを出すべきであるということであれば、今後検討させていただきたいと思いますが、今、企業からの申請の際にいただいている資料では、そういった生産性の定量的な把握はなかなか難しいかと思っております。

○今野委員長
 ということは、これを受けた企業から経営情報をとるということですね。例えば売上高、利益、生産高でもいいですけれども、そういうことになりますね。

○本多参事官
 物的な生産性をとるにしても、付加価値生産性をとるにしても、労働効率がどれだけ上がったのかですとか、その助成金の利用によって付加価値がどれだけ増えたのかというデータを企業御自身でお出しいただかないと、生産性の計測は行政だけでは難しいのかなと思います。

○今野委員長
 いずれにしても、今は難しいということですね。

○高橋委員
 それは理解しています。

○今野委員長
 売上げが伸びたといっても、これで効いているのか、他で効いているのかが非常に難しいところですね。厳密にやろうと思うほど、中小企業に財務データをいっぱい出してもらわないと無理で、そうするとこれに手を挙げない。なかなか難しいところですけれども、いずれにしても何かいい工夫があったら考えていただくということにしましょう。

○藤村委員
 私はこの審査に関わってきましたので、ちょっと一言いいですか。特に2つ目の業種別支援策です。
 この事例の中には載っていないですが、例えば豆腐屋さんの全国組織があって、今、スーパーで売られている豆腐は本当に安くなっていますね。いわゆる地場の豆腐をつくっているところが、どうやって付加価値を上げるかというので、天然のにがりを使ったおいしい豆腐をつくろう。これはなかなか技能が要るもののようで、それを全国のこういう団体が、1つはマニュアルをつくり、講習会をやって、地元でおいしい豆腐を買いたいという人にちゃんと届けられるようにしよう。これはまさに売上げをどうやって伸ばすかというところで、私はそれをみながらなかなかいい取組みだなと思いました。
 逆に、今度はコストをどう下げるかということで、この中で言うと、例えば2ページの上から3つ目ですね。一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会は、まさにどうやってコストを下げるかというところで、業界として取り組もうとしてらっしゃるもので、こういう取組みをすることによってコストを下げる。つまり、支払いの原資ができてくるわけですから、その結果として賃金を上げる余裕が出てくる。
 あくまでも、これをやるとうまくいくだろうなというところに対する助成をしていますから、私はなかなかいい取組みだなと思ってみています。以上です。

○今野委員長
 他にはいかがでしょうか。
 それでは、資料の説明と質問はこの辺で終わりにさせていただいて、本日の最後の議題になりますが、前回委員の皆様には、目安についての基本的な考え方を表明していただきたいとお願いいたしました。
 まず、労働側からお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。どなたからいきますか。須田さん、どうぞ。

○須田委員
 労側としての基本的なスタンスをお話させていただきたいと思いますが、私の方から総括的にお話させていただいて、その後、メンバーに細部の補足をしていただきたいと思っております。
 26日に諮問がなされたわけですけれども、昨年は触れなかった雇用戦略対話をという局長のお話もあり、まずは第1回の小委員会で、今回改めてそれを尊重する審議を求められているんだなという印象を持っております。
 その上で、今日いろいろな調査資料の説明があったわけですけれども、それらも踏まえつつ、現段階での我々の認識と視点について触れたいと思います。
 「失われた20年」等々言われていますけれども、我が国の社会経済が抱える構造的問題の解決が遅々として進展していないことに対していら立ちが募っている。社会問題化しつつあることに強い懸念をしております。
 その1つに、勤労者の4割近くが非正規になっていることから、低賃金・不安定雇用の増大、社会保険の適用がない等々、セーフティーネットが十分機能してない状況に対して不安感等々がある。ワーキングプアと言われている年収200万円以下の労働者は、1,100万人を超えてしまった。生活保護の受給者も、この3月末の数字でみますと152万世帯、210万人を超える。格差あるいは貧困問題が深刻化している。
 こうした社会情勢の中で、最低賃金制度の役割は更に重要度が増している。社会のセーフティーネットとして有効に機能するための水準が求められている。我々的には、これを社会からの要請という認識をしておるところです。
 いろいろと生活保護の不正受給等々の問題がありますが、それは論外の話で、そのこととは別に、実直に働いている人のワークペイできちんとした生活が営める社会をどうしてもつくっていかなくてはいけない。そのことで労働力の再生産の源泉になるという認識をしておりますし、これは我々連合の春闘方針でも言っていますが、消費者が消費をすることで、内需の拡大あるいは企業の売上げ増という好循環にしていかなければいけないということが、まず全体としての認識です。
 その上で、まず冒頭申し上げましたが、雇用戦略対話合意の目標達成に向けた流れ。当然これは前提条件がついていますから、2020年という時間軸がどうかということは議論していけばいいと思っていますが、いずれにしても政労使が具体的な数字について合意をして、それに向けて達成していこうではないかという部分については、きちんと踏まえた審議が必要だという認識でいます。
 2011年の審議終了時点においては、800円を超えている地域は東京、神奈川の2つしかない。一方で、700円に未達という地域がまだ32も残っている。ここに大きな問題意識を持っております。我々は、できるだけ早急に全国最低800円を確保するという基本的な考え方については変えておりませんし、先ほど言いました、政労使が具体数字を掲げたことは尊重したいと思っております。
 先ほど言いました、32の地域においてはまだ700円に未達だというところの引上げをどうするのか、あるいは引上げをしなくてはいけないというのが我々の基本的な認識にあります。
 視点の方は後ほど詳細をお話しますけれども、だれもが生活できる水準、被災地復興のためにも賃金の底支えが必要、生活保護との乖離額の早期解消といった視点が重要だという認識をしております。
 本日示していただいた資料は、これから細部の点検もいたしますけれども、感想として言えば、賃金改善がなされている状況にある、景気は回復基調にある、中小企業の生産性は向上していることを示している数字だという認識をしております。
 最低賃金法改正から5年が経過するわけですけれども、この間、残念ながらリーマンショックあるいはその後遺症、昨年の東日本大震災を含め、タイの洪水等々の自然災害等々の中で、我々側からすれば、審議が経済状況を注視した、直視した議論をせざるを得なかったわけですけれども、本来は法改正趣旨にのっとって最低賃金を引き上げるというか、基本的にあるべき水準議論が行える状況にあるという認識をしております。
 いずれにしましても、10月1日発効に向けた真摯な議論を行っていく所存であるということを改めて表明させていただいて、細部の説明に入らせていただきたいと思います。

○石黒委員
 続けていいですか。

○今野委員長
 どうぞ。

○石黒委員
 やはり特に強調したいのは、だれもが生活できる水準の最低賃金の目安を出さなければならないと思っています。
 私も目安をやって今回で5年、6回目になりますけれども、初めの頃は、時間給で働いているパートタイム労働者の方たちなので、あれはお小遣い稼ぎではないのかという認識も使側の方からあって、乱暴な言い方をするとそういうことも言われていましたけれども、今や既に、私のところのJSDでも調査をしていますが、例えば労働政策研究・研修機構が調べたデータによると、非正規の方々で主たる生計の担い手だと回答しているのが2010年の調査で38.7%。4割近いところが、非正規で働きながら主たる生計者だと答えている実態を考えると、今の一番低い645円の最低賃金額に173.8を掛けると月額でもわずか11万2,000円ちょっとだということは、総務省の家計調査の単身の世帯での支出額の15万3,000円にも全然達しませんし、連合調査でやっている単身者の最低の生計費の15万2,000円、これは時給に換算すると800円ですけれども、そこにも全然満たないような今の最低賃金では到底生活できない。主たる生計の担い手の人たちが、普通は正社員が働いて非正規の方は補助だという前提が、今、もはやかなり崩れている中で、きちんと生活できる水準の最低賃金を是非ともつくっていかなければならないと思っています。
 同時に、先ほどもお話がありましたように、非正規労働者は4割近いということを考えて、また、同時に年収200万以下の人たちが1,000万人を超えているという様々な状況を踏まえても、やはり生活できる水準ということを一番に考えながら、今回の目安をやっていきたいと思っております。
 今回何か感想はないのかと言われた、いわゆる賃金改定状況調査の結果についても、久しぶりに男女計の第4表が0.2%ということでプラスに転じました。ただ、労側は第4表も重要な指標の1つだと思っていますが、1つは第3表も重視していく必要があると思いますし、絶対額を検討するのであれば、私たちはまだまだ影響率が低いと思っていますので、きちんと影響できるような水準という方を目指していくべきではないかと思っています。
 特に指標については、先ほどもいろいろ御意見がありましたけれども、総合的に判断していくということをきちんと考えながら、最終判断をしていきたいと思っております。
 最低賃金の引上げに対しては、使側の方からいろいろな御意見があると思いますけれども、引き上げることによって賃金全体が支えられる。そして、可処分所得が増えれば内需が拡大する。どういう形にせよ、デフレからの脱却のためには、ずっと申し上げているように最低賃金を引き上げて、賃金全体の底上げ、下支えができることが不可欠だと思っていますので、日本の経済の活性化のためにもきちんと最低賃金を引き上げて、なおかつ、その水準とはだれもが生活できる水準ということを目指していきたいと思っています。

○荻原委員
 私の方は、震災の関係について発言をさせていただきたいと思います。
 今日、事務局の方から資料の方も用意してもらっています。これをみますと、いわゆる被災3県の方の復興事業の方も、地元の方々からみるとまだまだという部分があるかもしれませんが、数字的にみますと復興事業というのがかなり進んでいるのではないかと感じております。
 あと、私もこの間、被災3県の地域を回らせていただきましたが、地域あるいは職種によっては人手不足感が出ている状況になっているということも聞いております。いわゆる人手不足感が出ているのはいいのですが、細かくみると、職種のミスマッチも出ているのではないかということも考えざるを得ないのかなと思います。勿論、一つ一つの職業に貴賎がありませんので、いい職業悪い職業というのはないですが、やはり需要が増えているのが建設だとか土木、あるいはそれに伴う保守だとか警備、また、そういった方々が多く県内に流れてきていることによって、いわゆるサービス的な仕事に雇用が出ているのではないかと思っております。
 勿論、こういった雇用が生まれることはいいのですが、被災の復興というのは年度的にみれば早いにこしたことはないですが、丸2年だとか3年だとか、こういった短いタームの中の雇用であることを考えなければならないと思っております。そうしますと、この被災3県においても、この後、いわゆる本格的な復興を目指すということであれば県内に働く先がある、良質な雇用、継続的な仕事がある、まずそういった職場をつくることが大事ではないかと思っております。
 残念ながら、せっかく技術を持った方々も職を求めて県外に移っていくという事情も聞いております。こういった方々が県外に出ないために、やはり県内でとどまって生活ができる賃金を確立していかなければならないと思っております。
 それに必要なのは、その下支えとなる最低賃金の引上げをやっていかなければならないのではないかと思っております。やはり短期的なもの、中期的なもの、長期的な視点、雇用の面から復興を支える取組みが、最低賃金の審議に求められているのではないかと思っております。
 いわゆる被災3県を考えるときですが、今日用意していただいた復興の関係の資料をみましても、岩手、福島、宮城の3県の復興の状況は、県によってかなり差があることがみてとれます。ですから、仮に我々が何らかの目安の中でこの3県について言及するのであれば、この3県については一くくりにするのではなく、基本的にはこの3県、各県内で労使がその状況を踏まえて話し合いができる、我々としてもそういったことができるように触れることが必要ではないかと思っております。特に各地域によって一律的な判断ができるようなことはなく、やはり我々は各県が各県の状況を踏まえた審議ができるような目安を求められているのではないかと思っております。
 更にもう一言踏み込めば、この3県において様々な取組みができるような、積極的な文言であればいいのでしょうけれども、もし被災3県のことを記載するのであれば、そういった様々な施策がとれるような形で触れる必要があるのではないかと思っております。
 被災3県については、以上のような考え方を持っていることで御理解をいただければと思っております。

○田村委員
 私の方からは、生活保護に関わる施策との整合性の在り方について申し上げたいと思います。
 法改正は2007年に行われましたけれども、そのときに、生活保護費と地域別最低賃金との逆転現象の解消が急務の課題として法に記されました。経過措置として解消年数に幅を持たせたり、更に年ごとの更新でデータが変わりますので、そこで発生した乖離についてはその都度解消を図ってきたという経過があります。
 昨年、2011年の地域別最低賃金の改定が終わった時点で、まだ残っていたのは北海道、宮城、神奈川の3県で解消ができていなかったということでございますので、当然これについては本年のうちに解消すべきだという立場でございます。
 今日、2010年のデータが示されましたけれども、それによりまして更に8都府県が追加をされて、新たな乖離が発生したということになっています。労働側としては、これまでの解消ルールとして公益見解で示されてきたものは、先ほど述べました2007年の法改正に伴う激変緩和措置に近いものだと考えておりますので、それでいきますと、その期間はもう既に終了しているのではないかという考えを持っています。
 改正以降5年を経過して、いまだに最低賃金法の9条3項の趣旨が達成できていないことをかんがみますと、更にまたこれを来年にも延ばすことについては、私どもとしては非常に不本意な状況にあると思っておりますので、この11都道府県を含めて、本年ですべての地域の乖離が解消されることが必要であると考えているということでございます。
 しかし、これまで示されてきました公益見解の解消ルールは、生活保護費は各都道府県の人口加重平均で計算されたものをベースにしてということになっていますけれども、労働者側委員はこれまでもこれがいいとは思っておりません。法改正のときの1つのルールとしてはそれがベースになったことは理解しておりますけれども、少なくともこれまでも県庁所在地の級地で計算すべきであるということを、本年も主張したいと思います。
 更に、労働者1人たりとも最低賃金が生活保護費を下回ってはならないのではないかという主張でございます。
 これらの問題点がありますので、解消ルールについては、今年の目安に関する小委員会の中で議論を詰めていくことはできないと思いますし、これまでも議論をし、若干先送りをしてきたこともございます。ただ、それぞれの単年度では公益見解ということで処理をしてきたと思っております。次回の全員協議会では遅過ぎると思っておりますので、しかるべき協議の場を設定して、整理する必要があるのではないかということを提案したいと思います。是非御検討をよろしくお願いします。

○今野委員長
 よろしいですか。それでは、使側、お願いできますか。

○小林委員
 では、私から使用者側の見解を申し上げたいと思います。
 初めに、我が国の経済の現状について申し上げたいと思います。
 我が国は、未曾有の困難の渦中にあるという認識でございます。欧州の金融不安と世界の経済への波及、資源価格の高騰といった海外の要因に加えまして、国内にあっては長期にわたるデフレ、進まぬ震災復興などの他、超円高、高い法人税、社会保障負担、環境、労働規制の強化、電力不足など、いわゆる6重苦という立地競争力上の問題を抱え、国民や企業は将来の見通しすら描けないでいます。
 特に震災以降、電力の安定確保とコスト上昇の抑制が企業経営上の最優先課題となっています。電気料金の値上げは、東京電力管内では既に現実のものとなっており、また、節電対応による生産抑制、労働負荷の増大など、コスト増を伴う節電が必要となる状況が長期化すれば、企業の生産性の低下は避けられません。このような問題が山積している我が国では、立地競争力の弱まりを受け、産業の空洞化が加速しています。
 昨年の我が国の対外直接投資額は1,157億ドルに上っており、5年前との比較で実に2倍以上に増えています。更に、日銀の資金循環勘定をみると、3月末の対外直接投資残高は前年比で約18%増加しており、空洞化が一気に加速していることがわかります。
 中小企業のことについて、若干触れさせていただきます。
 中小企業の置かれている状況は、とりわけ厳しいものと認識しています。中小企業庁が発表した今年4月〜6月期の中小企業景況調査では、全産業の景況判断DIはマイナス幅が縮小しているものの、製造業ではマイナス幅が拡大しています。これは先に申し上げた超円高による取引先の生産拠点の海外シフトなどが要因で、こうした動きは今後も続くものと思われます。
 民間の調査によると、昨年度の倒産件数は全体では減少にあるものの、負債総額5,000万円未満の零細企業の倒産件数は、むしろ増加しております。過去10年で最多となっています。また、製造業においては、電気料金の値上げによる製造コストへの影響が大企業より中小企業の方が大きく、収益悪化が懸念されているところであります。
 こうした大変厳しい経営環境に置かれている中小企業、とりわけ零細企業の現状にかんがみれば、実態にそぐわない最低賃金の引上げが行われるとなれば中小企業の活動意欲を減退させるどころではなく、事業の存続自体を脅かし、雇用や地域経済にも悪影響を及ぼすことになります。
 以上のような認識に基づき、今年度の目安審議における使用者側の基本的な考え方を申し上げたいと存じます。
 最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金、通常の事業の賃金支払い能力の3要素を考慮して定めなければならないと法律に規定されています。
 また、昨年2月の目安制度のあり方に関する全員協議会報告では、法の原則及び目安制度をもとに、時々の事情を総合的に勘案して議論を行うことの重要性が確認されているところです。今年の目安審議においても、こうした認識に基づいた審議を行うことが大原則であります。すなわち、目安制度の重要な指標である賃金改定状況調査、とりわけ第4表の数字を十分に踏まえるべきと考えます。
 中央最低賃金審議会は、地方最低賃金審議会が地域の実情に応じて適切な最低賃金を決定できる目安を示すことが重要であり、地方から疑問視されることがないよう議論を進めていく必要があると考えています。
 次に、雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意について申し上げます。
 合意内容については、政労使が努力していくことは必要ですが、経済成長率の数値目標の達成や中小企業の生産性の向上が大前提であります。その際、目安審議において考慮されるデータは、昨年と同様に実績値を用いているべきであるということは、ここで改めて申し上げたいと思います。
 そこで、昨年度の名目GDP成長率がマイナス2.0%であること、更に中小企業の生産性向上のための支援策の効果が確認できないことを踏まえれば、雇用戦略対話合意で掲げられるような最低賃金引上げを目指した特別な配慮は、議論に及ばないものと考えています。
 以上を踏まえて、今年度の目安額の在り方について申し上げます。
 厳しい国内経済情勢、とりわけ中小零細企業を取り巻く深刻な経営環境をかんがみると、賃金改定状況調査第4表の結果や昨年の名目GDP成長率の実績値を踏まえますと、本年度は極めて慎重な目安を示すことが重要であると考えます。
 更に、原発事故の影響が甚大な福島はもとより、進まぬ震災の復興の状況を最大限考慮し、被災地のうち特に被害の大きい地域については特段の配慮が必要であります。
 生活保護水準との乖離解消については、生活保護水準の引上げにより、今年は11の都道府県で乖離額が生じており、このうち昨年度までに乖離を解消したにもかかわらず再び乖離が生じた都府県が8つあります。生計費が下がっている県もある中、乖離額が解消しても、再び乖離が生じる逃げ水のような生活保護水準の引上げ状況を考えると、機械的に生活保護水準との乖離解消に取り組んでよいものか、大いに疑問であります。
 まず、今年度中に乖離解消を予定していたものの、今回新たに大幅な乖離が発生した地域、北海道、宮城、神奈川については解消年数を延長するなどの柔軟な対応が必要であります。
 また、今回新たに乖離が生じた地域については、その乖離額が非常に大きいことから、引上げ額を原則どおりの一律2年以内で解消するのではなく、当該地域の経済情勢や賃金分布の状況などを踏まえながら、例外的な対応についても検討することが必要と考えます。
 最後に、これはまた労側と相反するところですけれども、最低賃金と生活保護との整合性の在り方について、ちょっと申し上げたいと思います。
 最近では、生活保護制度の様々な問題が露呈しております。制度自体への国民の不信感が高まっています。また、生活保護水準や社会保険料の上昇に伴う可処分所得比率の低下など、当初想定していなかった事態が生じており、現行の乖離解消ルールには明らかに限界が生じていると考えます。
 現在、政府において制度の見直しが行われておりますので、今後とりまとめが出された後、目安制度のあり方に関する全員協議会を早期に開催し、最低賃金と生活保護水準との整合性の在り方について、再度議論をする必要があるということを申し添えます。
 以上が、今年度の目安審議における使用者側の見解であります。

○今野委員長
 ありがとうございました。まだ小林さんしか話してないのでどうぞ。

○横山委員
 内容は、今、小林委員の方から申し上げたとおりなのですが、若干補足というか、念押しというか、しつこいようですが、少しお話をさせていただきたい。
 2点あるのですけれども、まず雇用戦略対話の合意について、しっかり踏まえてというお話がございました。使用者側は毎年申し上げておりますけれども、その前提条件がある。その前提条件は、平均して名目で3%程度の経済成長ということになっております。これは約束ですから、それを目指していこう。それが前提ですよ、とあるのです。
 これまではそこにとどかなくても、それなりの変動の中で、毎年若干の上下動はあっても、足りないけれども、3%にとどかないからゼロだという回答はなかなかできない。そういう主張もできないということでやってまいりましたけれども、この実績をみますと、昨年度の実績はマイナス2%とかなり大きいです。これまでは、マイナスの幅もそれほど大きくなかった、あるいはプラスでも大して大きくなかったということで、交渉事だからということもあって、ある程度はのんできたと言うとおかしいですが、ある程度はやむを得ないかなというところで話が決まってきたと思いますけれども、今年はあまりにマイナス幅が大きいところから、是非この点については特段の御配慮をお願いしたい。
 もう一点は、これも繰り返しですし、言っていることは労働側と一緒で理由は全く反対ですけれども、生活保護との関係です。
 法律の条文をみますと、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮する」という文言で、これをよりどころに下回らないようにとやってきたわけですが、そもそも最低賃金法という法律と生活保護法という法律との整合性がどれだけ検証されているのか。
 ちょっと言葉は悪いですけれども、当時この法律の中に入り込まれた経過を考えますと、かなり拙速な形で法律の中に入り込んだ。法律で決まった以上はそれを否定することはできませんけれども、先ほど労働側委員からお話がありましたように5年が経った中で、どうも制度的におかしいのではないかというところが、かなり強く出てきたと思っておりますので、金額の整合性とか斟酌するとかいう話ではなくて、法律そのものの在り方が相当まずいというか、整合性がとられてないのではないかということは大変大きな問題だと思っておりますし、当時想定してなかった。
 これは去年も申し上げたことなので、またかと言われるかもしれませんが、本当にいつまで経っても追いつかないのです。もしこれを端的に言うなら、生活保護の水準というのと、最低賃金がそれを埋めるために年度計画でやればいいということであれば、極論すればこの委員会は要らないですね。何年間で解消しましょうと言えば、差額をみて、それを割り算すればいいだけです。多分、そういうことではないはずで、これをこの場で論議することには少しそぐわないかもしれませんけれども、我々が法律を変えることはできませんが、再度、全員協議会なりの場で問題提起をしないと、いつまで経っても労使で、どうも違うところでやりとりをする。そういう意味では、実りある論議ができないと思っておりますので、是非その点について御配慮をお願いしたい。
 私の意見の最後として1点申し上げたいのは、労使関係そのものが相当変遷をしてきておる。そういう中で、安ければいいとか、値切ればいいとかということを考えている経営者は、恐らく極めて少ないと思うのです。その中で我々が何を主張しているかというと、最近のはやりの言葉で言えば財源なのです。払う金があれば払いたい、それはだれも否定しない。シャイロックみたいな者がうろうろいるわけではないです。ただ、その財源をどこに見出すか。
 それと、今、一番苦しい状況にある中小企業の経営者がどこまで出せるのか。やはり私たちが言った数字が目安になりますので、その中で、無理のないところで出せるものは出していこう。いたずらに低い金額にこだわるとか、マイナスを主張するつもりは毛頭ございませんが、是非実態を踏まえた論議をやっていきたいと考えておりますのでよろしくお願いします。以上です。

○矢口委員
 今、大体言われているので繰り返しになりますけれども、1つは生活保護。今回特に目立って社会保険料が上がった、協会けんぽが上がったことで可処分所得が低下して、それが大きな乖離につながったわけですけれども、これは企業側からすると、社会保険料率で支払い負担が増えているわけです。その結果乖離が増えて、最低賃金との乖離を埋めるために最低賃金を上げなければいけないということになりますと、あまりにも負担が大きい。今、横山委員が言ったように、生活保護と最低賃金というのはそもそも性格が違うものです。最低賃金というのは経済活動から出てくるものですので、そこら辺の配慮が必要だということです。
 もう一つは、基本的な認識の違いだと思いますけれども、最低賃金を上げることによって景気をよくする、あるいは景気がよくなるというのは、私は何ら根拠があることではないと思うのです。むしろ雇用戦略会議の中でもあるように、中小企業の生産性を上げる。つまり経済が成長して、その中で給料も上がっていくというのが正論であって、経済の実態を無視して機械的に最低賃金を上げるということになりますと、むしろ雇用が縮小する。特に地方の場合は零細企業が多いですから、そういったところは最低賃金ぎりぎりのところで雇用している業者さんが多いですので、そこに対するダメージというものを考えないと、少なくとも我々は、ただ単純に賃金が上がると内需が拡大して、成長して好循環という判断にはならないし、むしろ雇用の縮小ということで、経済に対してマイナスに働くのではないかということを申し上げたいと思います。以上です。

○高橋委員
 では、最後に私から1点だけ、生活保護との乖離の関係を申し上げたいと思います。
 このルールが定まって4回適用して、本来でしたら今年は、最初に出した5年以内のという北海道の解消年ではありますけれども、なお北海道は30円以上の乖離が生じているところに端的に代表されるように、現行の解消ルールは、当初はこの委員会の中で合意をして、これでやってみようという形だと思いますが、これは永続的にこれでいくべきというものではなくて、これまでの経緯も踏まえながら、柔軟に見直しをしていくべき年に来ているのではないかと思っております。
 また、今年の乖離額の拡大が、これまで以上に大きくなっているということも踏まえますと、先ほど小林委員が申し上げましたように、これまでのルールを機械的に適用すればいいというものでもないような気がします。基本的なルールの在り方については、全員協議会を開いて決めるべきものだと私は思いますけれども、今年の乖離解消の取組みに当たっても、過去のルールをそのまま適用するのがいいのかどうかということについても、十分に実態を踏まえる必要がありますので、とりわけ賃金分布の貼りつき状況などをよくよく勘案しながら、具体的な当てはめをどうするのかということについて、是非議論をしていきたいと思っております。

○矢口委員
 今、事務局の方から示された資料に対する考え方ですけれども、労側の方はかなり数字がよくなってきたということで、確かに数字だけをみますと若干改善していますが、大事なことはようやく少し芽が出てきたところに、更に景気の拡大に後押しをして、本格的な成長につなげて、幸いにもそれを通じて市場の有効求人倍率も少しずつ上がってきております。あるいは賃金改定も少しよくなっている。それを労使のそういったものに任せてその方向にいくか、強制的に最低賃金を上げてそれに冷や水をかぶせるかということで、私はここで、ちょっと数字がよくなったということで最低賃金を大幅に上げるようなことがあれば、少なくとも中小企業の経営者の雇用意欲というものをそいで、むしろようやく少しやってみようかと思っている企業の意識に、冷水を浴びせかけるのではないか。
 少なくとも、もう少しそこら辺の数字がきちんと定着をする。先ほどの実績をみてやるべきだという話にもつながりますけれども、そういうふうに考えるべきではないかと思っております。

○今野委員長
 ありがとうございました。それでは、それぞれ主張していただきましたので、何か御質問があればどうぞ。

○須田委員
 それぞれの局面をどういう立場からみているかという違いは認識しつつ、そう言ってしまえば見解の相違になってしまうのですが、1つだけお願いしたいのは、いろいろお話を聞いていますと、例えば経済成長は実態をみて淡々とやるべきだ、その他は数字を淡々ととるのではなくて、幅を持って議論すべきだと使い分けておられるので、そこはどっちも幅を持ってみなくてはいけないのではないのかという気がして聞いておりました。
 個々のテーマについて、今の段階でどうのこうのと言うつもりはないですけれども、雇用戦略対話の前提もどう解釈するか、それは見方があるのでしょうが、中小企業に対する支援の効果までみてと私は読み取れない。
 逆に言うと、中小企業の付加価値が伸びている。売上げが減っている中で付加価値が伸びているということは、固定費を下げているのでしょう。固定費の最たるものが人件費ではないですかということをどうしても言いたくなってしまう。だから、そこはいろいろな角度で、それぞれ問題意識を持っているのはわかりますけれども、何となくいいとこ取りをしていっているような気がしているということだけは申し上げたい。
 我々も生活保護との乖離のルールについて、この場でなくて別の場で議論すべきだという提起はさせていただきました。その上で10月1日発効を目指してと私が言ったのは、今月予定されている時期に目安を示した方がいいと、労側は思っています。そのためにどれだけの議論ができるかというのはこれからやるにしても、全く振出しに戻ってという話はないと思います。
 それから、聞いていると、あたかも生活保護基準に到達するのがゴールみたいな主張に聞こえますけれども、そうではないと思っているわけで、現に47都道府県のそれぞれの地域別最低賃金と生活保護との関係をみれば、生活保護をはるかに上回っている県もあるわけで、生活保護に届けばそれがゴールでいいみたいな思いはない。そういう意味で、横山さんから算数で、何年で割って、この審議会は要らないではないかみたいな話がありましたけれども、そういうことでない議論をするために我々はここにいるんだということだけは、是非、今日段階で申し上げておきたいと思っています。

○田村委員
 同じようなことになりますけれども、5点ございます。
 1つは、我々は雇用戦略対話を大事にしたいと思っていますし、これまでの委員会の過去の経過の中で、2020年までのできるだけ早い時期とはいつなのですかと委員長とやりとりをして、いただいた答えは7年だったように思いますけれども、そういう期間も大事にしたいと思っています。

○今野委員長
 7年なんて言っていましたか。

○田村委員
 生活保護との乖離の問題については、いわゆる生活保護に関わる施策との整合性であって、額にこだわっているわけではない。生活保護費を1つのベンチマークにしたことは事実ですけれども、それから離脱していかないと、そちらで言うといつまでも逃げ水。我々でいくと、それは踏み台にして、もっと上のところがあるべきではありませんかという意見があることも、お知りおきをいただきたいと思います。
 企業側には6重苦、もっと多いいろいろな苦しみがあると言われますけれども、労働者にとっては収入のすべての源泉が賃金でございますので、そこは大事にしたいと思いますし、我々は労務費全体を上げろと言っているわけではなしに、一番低いところの賃金をどうするのですかという議論をしておりますので、是非その視点もみていただきたいと思います。
 当然、水準という話をしましたけれども、働いた仕事に対するペイはどうなのかということの議論も、是非お願いをしておきたいと思います。
 中小企業は頑張っているという話もありましたけれども、資料4の中で分布をみますと、人数の多いところが貼りついているのは、北海道と青森と沖縄。他の県は、ピークの山がちょっと高いところにありますので、そこは分布でいくと貼りついているということですけれども、他の県は貼りつきに近い状態にありますが、ピークはもうちょっと高いところにありますので、そんな意味での分布の見方もあるのではないかと思っております。以上です。

○荻原委員
 まさに今、使用者側から言われて、賃金と社会保障は違う。これは我々としても、いつも心に置いています。ですから、賃金はどうあるべきかという同じ土俵に乗れたらなと思っております。その地域の賃金を踏まえて審議をする。まさに賃金とは、水準があっての賃金だと考えております。
 そういった実態も踏まえた審議、まさに賃金とは何か、最低賃金とは何かという賃金の話が、この中でも労使で話し合いができたらと思います。多分ゴールは違うのでしょうけれども、問題意識としては一緒ということが理解できましたので、是非そういった議論もこの中でさせていただければと思います。

○高橋委員
 先ほどの労働者側の見解表明の中で、中小企業の生産性が向上しているというコメントがあったのですけれども、具体的にどのように上昇しているのかを教えていただければと思います。

○今野委員長
 須田さん、準備しておいてください。他にいかがですか。
 1つだけ、横山さんが先ほど言われた、生活保護との整合性に配慮するという法律上の問題があるのではないか。ここというのは、全員協議会を考えてらっしゃると思いますけれども、そこでも議論すべきだという趣旨でお話になったので、少しコメントさせていただきたいのですが、結局ここの審議会というのは単なるオペレーションしかやらない審議会なのです。ですから、法律上の問題で何かをやるときは違うところでやって、ここはその法律を前提にして、オペレーションの仕掛けについては全員協議会でやりましょう。
 乖離解消ルールも、オペレーション上のルールとして全員協議会でやっているということですから、全員協議会を開いたとしても、そこが議論になる。問題だということがあってもいいですけれども、そこで議論をして何かを決めるということにはならない。御存じだと思いますけれども、一応話をさせていただきました。

○小林委員
 今、生活保護の話がありましたけれども、1つは、法改正があった当時の生活保護者数は90万ぐらいだったと思うのですが、現在の生活保護者は209万とか210万とか言われるほどに、かなり増加しているのです。これは日本経済全体の問題でもあるとは思うのですけれども、そのような中で環境が大きく変わったのかなというのは1つ大きく感じているところです。
 もう一つ、これは先ほど質問すればよかったのですけれども、事務局にお伺いしたい。生活保護の住宅費の扶助費が毎年毎年追いかけっこの状況になっているのは、たしか15歳〜19歳の単身者ですね。その方々が実際に住む地域で、特に都市部の大きな政令指定都市を抱えるような県で乖離が発生したり、乖離幅が広がったりしているということは、住宅費も当然高いところで、それも都心部とか家賃が高いところに住んでいるのが、1つ要因にあるのかな。これは実績値をとらえているので、その数も増えているのが大きな要因になっているのだと思うのです。これは、法改正の当時は決して考えられなかったことでもあるので、今、言ったような話が本当にそうなのか、確認をお願いしたいということが1点でございます。
 もう一つ、生産性について申し上げますと、今回の第1回目の委員会のときに出された資料の27ページで、「法人企業統計でみた労働生産性の推移」というのがあります。いくつかの生産性を出してくださいということで、過去の小委員会で、付加価値がこの推移を表すようなデータを出してくださいと毎回言っている中で、これしか出てこないですけれども、決して中小企業の生産性が上がっている状況はみられないと思います。大企業の製造業で資本金1億円以上のところが、ちょっと下がってから少し伸びたというのはあっても、前の状況、2006年とかリーマンショック以前の状況には、到底戻らない、戻っていない。ましてや、非製造業とか製造業でも小さいところについては、付加価値額は非常に低迷しているところがございます。この辺は十分考える必要がありますということを申し上げたい。
 もう一点、毎年言っていることでございます。審議の進め方でございますけれども、次回は17時から、その次も17時から。次回は夜10時になるのかわからないですが、次の次の会は、翌日になだれ込むというのが例年でございます。幾度も申し上げていますけれども、私どもの事務局の職員は労働組合がございまして、深夜労働のお約束を労使で交わしております。10時以降12時までの勤務が深夜労働、12時以降は帰せということになっていますので翌日越えの審議にならないように、私どもも真摯に対応いたしますけれども、労側の皆さんもよろしくお願いしたいということを申し上げておきます。

○今野委員長
 今、3つほどおっしゃいました。最後はちょっと私に関係するところですので、それこそお願いをしたいと思います。まず、1点目の生活保護の住宅扶助の点について事務局に質問がありました。

○本多参事官
 御質問の点は、住宅扶助額の増加が、生活保護受給者の都市部への集中と関係しているのではないかということでしょうか。昨年もいろいろと御質問がありまして、検討して、データがなかなか潤沢にはない状況ですが、何か関係のあるものが出せるかどうか、検討してみたいと思います。

○今野委員長
 昨年の範囲内では、そういう要因ということでしたね。

○本多参事官
 昨年は、持ち家と公営住宅と民間の借家に入っている方。民間に入る方が増えているというデータはあったのですが、今の都市部かどうかという辺りでどれぐらいデータがあるのか、調べてみたいと思います。

○今野委員長
 大変興味がありますから、是非とも調べてください。生産性について、須田さんお願いします。

○須田委員
 小林さんが言われたように、我々も27ページの資料でみています。この資料がいいかどうかは別として、昨年も一昨年も、これでみてのとおり下がっていると言われたので、今年は上がっていますねと言っただけです。

○今野委員長
 他にいかがですか。よろしいでしょうか。
 それでは、今、お聞きになったとおり、例年になく1点だけは労使が一致したということで、思いは違うと思いますが、生活保護との乖離解消ルールについての見直しをきちんとやろう。それは全員協議会になると思いますが、そういうことはやるべきだということでは一致した。ただ、とりあえず従来の解消ルールを考えながら進めざるを得ないことは事実ですので、それでやっていかざるを得ないと思いますが、この点については労使が一致された。
 ただ、経済環境の認識とか経営環境の認識は全く違うということですし、最低賃金を決める方向についても労使の御意見は全く違うというのが、今日のお話だったと思います。
 したがいまして、例年そうなのですが、目安をまとめていくためには、少しずつ歩み寄っていただくことが非常に重要でございますので、次回までに、今日のそれぞれの主張をお聞きになったことを踏まえて、もう一度どういう形でいくかということの御検討をお願いして、改めて主張をしていただきたいと思っております。
 最後に、本日用意してもらった資料を含めて、質問が残っていることがあったらもう一度お聞きいたしますけれども、よろしいですか。
 それでは、今日はこの辺にすることにいたしまして、事務局から次回に向けた事務連絡をお願いいたします。

○亀井室長補佐
 それでは、次回に向けた事務連絡をさせていただきます。
 まず、資料につきましては本日の御議論も踏まえまして、資料No.2の生活保護と最低賃金の末尾にお付けしておりました要因分析の部分について、乖離が生じていない地域の状況についてもわかるような資料を、次回提出したいと思います。
 あと、資料No.6の最新の経済指標の動向につきましても、本日の御議論の状況を踏まえて修正したものを提出させていただきます。
 生活保護の都市部への集中がわかるかどうかということにつきましても、調べまして何かお出しできるものがあれば、次回お出ししたいと思います。
 日程の関係でございますけれども、次回の第3回目安に関する小委員会は、7月19日木曜日の同じく17時から。場所は、当省の22階の専用第14会議室で開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○今野委員長
 それでは、本日の小委員会はこれで終了といたします。
 議事録の署名ですが、須田委員と横山委員でお願いいたします。
 ありがとうございました。終了いたします。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室 最低賃金係(内線:5532)

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