2012年6月1日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成24年6月1日(金)15:00~
場所
厚生労働省専用第15・16会議室
出席者
出席委員(15名)五十音順
佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、 清水秀行、 鈴木邦彦、
宗林 さおり、 手島玲子、 野田光彦、 林邦彦、
檜山行雄、 古川漸、◎松井陽、○松木則夫、
村田美穂、 本橋伸高、 山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(6名)五十音順
加藤総夫、 木村剛、 千葉勉、 成冨博章、
西澤理、 増井徹
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、 清水秀行、 鈴木邦彦、
宗林 さおり、 手島玲子、 野田光彦、 林邦彦、
檜山行雄、 古川漸、◎松井陽、○松木則夫、
村田美穂、 本橋伸高、 山田清文
(注) ◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(6名)五十音順
加藤総夫、 木村剛、 千葉勉、 成冨博章、
西澤理、 増井徹
行政機関出席者
平山佳伸 (大臣官房審議官)
赤川治郎 (審査管理課長)
俵木 登美子 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森和彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
佐藤岳幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
議題
1 医薬品アミティーザカプセル24μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について
2 医薬品ソマチュリン皮下注60mg、同皮下注90mg及び同皮下注120mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について
3 医療用医薬品の再審査結果について
詳細は資料へ
2 医薬品ソマチュリン皮下注60mg、同皮下注90mg及び同皮下注120mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について
3 医療用医薬品の再審査結果について
詳細は資料へ
議事
○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。本日の委員の出席についてですが、加藤委員、木村委員、千葉委員、成冨委員、西沢委員、増井委員より欠席の旨御連絡をいただいています。
現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告します。矢守隆夫医薬品医療機器総合機構審査センター長です。本日、6月1日より着任しています。
それでは松井部会長、以後の進行をお願いします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をしてください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~15をあらかじめお送りしています。このほか、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由について、資料18を御覧ください。
まず1ページを御覧ください。「アミティーザカプセル」ですが、本品目は「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。「ソマチュリン皮下注」ですが、本品目は「先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。「イメンドカプセル」ですが、本品目は「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)を効能・効果としており、同様の臨床的位置付けの薬剤は無いことから、競合品目はなしとしております。
4ページを御覧ください。「ペンレステープ」ですが、本品目は「伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。「リリカカプセル」ですが、本品目は「線維筋痛症」に伴う疼痛を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目はなしとしております。
6ページを御覧ください。「ミガラスタト塩酸塩」ですが、本品目は「ファブリー病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページを御覧ください。「メトレレプチンですが、本品目は「脂肪萎縮症に起因する糖尿病又は脂質異常症の治療」を予定効能・効果としており、類似の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 ただ今の説明に関して、委員の先生方から何か御質問、御意見はございませんか。特に無いでしょうか。それでは、ただ今の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆様の御了解を得たものとします。
続いて、委員からの申出状況について御報告ください。
○事務局 議題1アミティーザカプセルは、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、村田委員、山田委員です。
議題2ソマチュリンは、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、村田委員、山田委員です。
議題3イメンドカプセルは、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題4ペンレステープは、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題5リリカカプセルは、退室委員 なし、議決には参加しない委員、野田委員です。
議題6ミガラスタトは、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、松木委員、村田委員、本橋委員です。
議題7メトレレプチンは、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。以上です。
○松井部会長 本日は、審議事項が8議題、報告事項が7議題です。それでは、議題1に移ります。機構から概要を御説明ください。
○機構 審議事項議題1、資料1-1、1-2「医薬品アミティーザカプセル24μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
便秘は何らかの原因で排便に困難を感じる状態であり、排便の無い期間の長さ、排便量、残便感等で診断され、主な症状は腹痛、直腸残便感、腹部膨満感等です。また、発症経過から、急性便秘と慢性便秘に大別され、さらに原因や病態等により器質性便秘、機能性便秘等に分類されます。現在使用されている便秘症治療薬としては、センノシド等の刺激性下剤、酸化マグネシウム等の塩類下剤等が主に用いられています。これらの薬剤には、それぞれ長期連用による習慣性の問題、高マグネシウム血症等の問題点があるため、有効かつ安全に長期使用できる薬剤の開発が望まれています。
ルビプロストン(以下、「本薬」)は、腸管上皮に存在するClC-2クロライドイオンチャネルの活性化により腸管内への浸透圧性の水分分泌を促進し、便の水分含有量を増加させることにより便秘症状を改善することが期待される薬剤です。申請者は、国内外の臨床試験成績から慢性的な便秘症状を有する患者に対する本薬の有効性及び安全性が確認されたと考え、本薬の承認申請に至りました。
なお、本薬は2006年1月に米国で、2009年11月にスイスで「慢性特発性便秘症」の適応で承認を取得し、米国においては、2008年4月に「便秘型過敏性腸症候群」の適応で本薬の8μg製剤が承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料17に示しますような専門委員を指名しました。以下、本薬の有効性、安全性等について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
主な臨床試験成績として、国内用量反応試験、国内第III相試験、国内外長期投与試験4試験の成績が提出されています。有効性に関してですが、報告書41ページの表16を御覧ください。慢性的な便秘症状を有する患者を対象に、プラセボ又は本薬24μg1日2回(48μg/日)4週間経口投与した国内第III相試験において、主要評価項目である「投与第1週における自発排便回数の観察期からの変化量」の結果を示しています。表16より、プラセボ群に対する本薬48μg/日群の優越性が検証されたことから、本薬の有効性は示されていると判断しました。
続いて安全性に関してですが、同じく報告書41ページの表17を御覧ください。国内第 III相試験におけるいずれかの群で2例以上に認められた有害事象の発現状況を示しています。また、報告書50ページの表31及び表32を御覧ください。国内臨床試験における中止・減量・休薬の原因となった有害事象の一覧を示しています。これらの表から、臨床試験では本薬の薬理作用に起因すると考えられる胃腸障害が多く認められましたが、重度の事象は少なく、有害事象により投与中止に至った患者も11.5%と多くはなかったことから、症状に応じて適宜1日1回への減量又は休薬を行うことで忍容可能と考えられました。ただし、特に長期投与試験において下痢、悪心等による減量・休薬例がそれぞれ45%、16.3%と多く認められていることから、有害事象により多くの症例が減量又は休薬した旨を添付文書で情報提供すると共に、製造販売後調査において安全性情報を十分に収集して本邦の臨床使用実態下でのこれらの発現状況について調査すること、また、減量・休薬等の原因となった有害事象とそれらの患者の投与量の推移の確認を行い、必要性に応じて低用量製剤の開発について検討していくことが必要と考えました。
効能・効果に関してですが、報告書68ページの「(3)効能・効果について」の項を御覧ください。申請者案として提案された効能・効果である「慢性特発性便秘症」という疾患名に関しては、本邦の医療現場において広く疾患概念として確立されているものではなく、効能・効果名として適切ではないと考えました。
一方で、本薬が既存の便秘症治療薬とは異なる作用機序を持つこと、また、作用機序から器質的疾患による便秘に対しては効果が無いことから、国内臨床試験で対象とされた患者層に対して本薬が使用されるよう、効能・効果を「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」とすることが妥当と判断しました。
以上、機構での審査の結果、慢性的な便秘症状を有する患者に対する本薬の有効性は示され、安全性は適切な注意喚起の下で許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本薬は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。
また、審査報告書の1ページに誤記がありましたので、御説明させていただきます。審査報告書の1ページに記載しています、「化学構造式」の項の化学名についてですが、英名、日本名共に最初に記載されています「(-)」という記載が誤記であること、また、英名の方の中程に記載されています、「1,1-difluoropentane」の最後の「e」の記載については不要であり、誤記ですので、ここについては訂正の対応をとらせていただきたいと思います。
以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。特にございませんか。
○宗林委員 長期の投与試験で、45%の患者さんに対して休止したり、減量が行われるという結果になっていると思います。その場合、中止すれば回復ということですが、この用量を48μg/日よりも、もう少し少ない量で設定という考えは無かったのでしょうか。あるいは、もう少しここの対処を行うということはないのでしょうか。私は、これがかなり高い数字であると思うのですが。
○機構 お答えさせていただきます。その点に関しては、審査の中でも議論したところです。具体的には審査報告1の57ページを御覧いただけますでしょうか。御指摘のあったところについて、やはり48μg/日という用量は高すぎるのではないかというのは、我々の方でも考えましたし、専門協議の中でも、専門委員の先生から御指摘として上がったところです。実際、国内の第II相試験については、16μg/日と32μg/日、48μg/日の3用量で実施されていまして、32μgという用量であっても、ある程度有効性の面でプラセボ群に対する優越性も示されていて、有効性が期待できる面もあったという結果ではありました。ただ、32μgと48μgを比べた場合の有害事象の発現状況として、48μgが許容できないかというと、そうではないという結果もあったので、第III相試験については48μg/日で実施されたというところです。実際に有効性として検証された用量というものが、48μg/日しかないという状況ですので、確かに国内長期投与試験で45%の患者に減量が行われたというのは、決して低くはない数字であると我々としても理解はしていますが、減量対応していくこと、科学的に検証された用量が48μg/日しかないというところもありますので、今回は48μg/日の用法・用量で差し支えないと判断させていただいたところです。
ただ、実際には今後の臨床現場で使用されるに当たって、いろいろと使用されていく中で、やはり減量症例が多かったですとか、そのような情報が市販後調査の中で得られてくることになるかと思いますので、そういった情報が得られた時には、やはりある程度、下の用量を検討する必要が出てくるかと思います。その旨は申請者の方にも伝えさせていただいているというところです。
○宗林委員 確かにその数字しかないというような御説明なのですが、こういった蠕動運動などが少し弱くなってきた高齢者等が飲むケースも多いだろうと思います。この添付文書を見ると、すごく曖昧で「このようなケースがあれば減量してください」というような書き方になっていますが、もう少し具体的に、どのくらいの量にする等の記載をしたり、下痢だけならまだいいですが、吐き気等も伴っているようなので、もう少し具体的な注意等があればいいと思いました。それ以上データが無いということなので、私はこれ以上お話することはありませんが、やはり半分近くがこの量で長期投与できないというのは、やや問題かと思っています。
○機構 少しだけ補足させていただきますと、実施された長期投与試験に関しては、基本的には48μg/日を継続する必要がある、そのように規定された試験なのに対して、実際の臨床現場では、ある程度便秘の症状が改善された場合には、患者さんの症状に応じて、減量ももちろんあり得ますし、休薬も十分あり得る話だと思います。そのような観点では、確かに45%という数値は、少し大きく出てしまってはいますが、現場に出た段階では、ある程度医療現場で、患者さんの各症状に応じてコントロール、適宜用量調節がされるのかと考えています。
あと、少しお話のあった高齢者のところについては、確かにおっしゃるとおり懸念しておりまして、添付文書の2ページの冒頭でも、高齢者に対しては、やはり十分な観察が必要だという旨は注意喚起していますし、高齢者ではある程度腎機能の障害等いろいろな障害があったりする可能性もありますので、腎機能障害のある患者、肝機能障害のある患者もそうですが、そのような患者には用法・用量を下から検討するようにという注意喚起もしていますので、そういった形で対応していきたいと思っているところです。
○松井部会長 清水委員どうぞ。
○清水委員 今の副作用の話ですが、「用法・用量に関する使用上の注意」の1.に、その注意喚起の文が載っていて、臨床試験の項には、長期投与試験で実際に45%に減量が必要であり、16%が休薬をしたというデータが載っているので、その「用法・用量に関する使用上の注意」の1.の後に、「臨床試験の項を参照」という文言を追加すると状況が分かりやすくなるかと感じたのですが、いかがでしょうか。
○機構 お答えさせていただきます。御指摘のとおり、そこで引用した方が、より分かりやすい添付文書になるかと思いますので、申請者に伝えて、対応させたいと思います。
○松井部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。
○佐藤(雄)委員 流産の誘発のことですが、動物実験でそのような傾向があると、添付文書にもそのような記載があるのですが、一方で第III相試験で流産が認められたという記載があるのですが、これは、まず一つは除外されていなかったのかということと、もう一つは因果関係を否定されているのですが、もしそのことについて何か情報がありましたら教えていただきたいということです。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 お答えさせていただきます。選択除外基準に関しては、除外基準として設定はされていました。されていたけれども、結果として入ってしまっていたというところかと思います。これに関して、詳細なところにつきましては確認しきれていないのですが、細かいところまで報告書上で書いていない理由は、治験薬との因果関係が否定されているということ、また、作用機序の面から、この薬剤がプロスタグランジンの類縁体というところもございますので、いずれにしても妊産婦さんに対する使用は、やはり禁忌にすべきだろうと、非臨床の観点から考えていたというところもありますので、ここの自然流産に関して詳細な記載はしなかったところです。ただ、詳細については、再度確認してみます。また後ほど御報告させていただくということでよろしいでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。よろしいですか。他にはございますか。特に無いでしょうか。それではこの議題について、今の点については報告をしていただくということで、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、野田委員、村田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、次の議題に移ります。よろしくお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ソマチュリン皮下注60mg、同皮下注90mg及び同皮下注120mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、ソマトスタチンアナログであるランレオチド酢酸塩を有効成分とする4週毎に1回皮下に投与する注射剤です。ソマトスタチンは、脳の視床下部などから分泌される14個のアミノ酸から成るホルモンであり、下垂体前葉からの成長ホルモン(以下、「GH」)の分泌を抑制することが知られています。
本薬は、ソマトスタチンのアミノ酸の個数と種類を変えることで生体内での安定性を高めた合成環状オクタペプチドです。本薬は、ヒトソマトスタチン受容体サブタイプのうち、GH分泌抑制に関連する2型及び5型に高い親和性を示し、これらの受容体への結合を介してソマトスタチンと同様にGHの分泌を抑制します。
本申請の効能・効果である先端巨大症及び下垂体性巨人症は、本邦における年間発生率が100万人あたり3~4人又は5.3人と推定されている希少疾患です。現在、それらの疾患の治療に用いられているソマトスタチンアナログとして、オクトレオチド酢酸塩を有効成分とする連日投与のサンドスタチン皮下注が1991年6月に、4週毎に1回筋肉内投与をするサンドスタチンLARが2004年4月に承認されています。
本剤は、2012年3月現在、欧米を含め海外54か国で承認されています。本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書79ページの表61を御覧ください。国内第III相試験である003試験において、開始用量を90mgとし、平均血清GH濃度、血清インスリン様成長因子I濃度(以下、「血清IGF-I濃度」)、及び臨床的活動性を示す症候を基に、60mg~120mgの範囲で用量調節された結果、最終評価時に本剤群全体の46.9%の被験者で平均血清GH濃度がコントロール不良ではないと判断される2.5μg/L未満となりました。また、最終評価時に53.1%の被験者で血清IGF-I濃度が年齢・性別基準範囲内となりました。さらに、国内外における本剤の有効性に大きな違いはみられていないことを含めまして、本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性については、国内外の臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況や海外市販後データ、審査報告書83~93ページに示しましたように、胆石症、心機能への影響、血糖コントロールへの影響、胃腸障害等の個別の事象について検討した結果等から、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、105ページの「(6)製造販売後調査の計画について」の項に示しましたように、胆道系障害、胃腸障害、注射部位反応、過敏症反応、血糖コントロール指標への影響等に関する情報が収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、「先端巨大症・下垂体性巨人症」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤共に劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○佐藤(田)委員 一つ質問させてください。派生的な問題かもしれませんが、審査報告書の98ページの辺りから、高齢者というのが国内の002と003試験で、それぞれ65歳以上くらいの方が4例、3例であり、安全であったということが示されていますので、安全なのでしょうけれども、実際にこのような症例で、この薬が65歳以上の方にも適用されていく薬なのかどうかということを参考に教えてください。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。この疾患ですが、過剰分泌されたGHが正常域にコントロールできていれば、心血管のイベントなどによる死亡率が、一般人口と同程度に抑えられるという報告がありますので、高齢者等にも投与されるという可能性はあると思っています。ただ、希少な疾患ですので、実際に試験に組み入れられた高齢者の人数というのは少ないです。
○佐藤(田)委員 今聞き取りにくかったのですが、高齢者の場合には先端が伸びるとかではなくて、心血管がどうかされたということですか。
○機構 成長がある程度終わった発育期後に発症すると、GHの過剰分泌によって、手足の先端の容積の増大などが起こります。先端巨大症の方は、いろいろと合併症を起こしてしまうということが、治療しなければいけない要因の一つなのですが、その中で心血管イベントなどが起こる割合が高くなるということが報告されていまして、血清IGF-I濃度が正常域にコントロールされていますとか、血清GH濃度が正常域にコントロールされていれば、死亡率が、一般人口と変わらなくなってくるという報告があります。
○佐藤(田)委員 そうすると、高齢者など成長が終わった人たちについては、そちらの効果があるということが予測できるので、使うということですか。
○機構 そのように考えています。
○佐藤(田)委員 わかりました。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。特段、御意見はございませんか。清水委員、どうぞ。
○清水委員 接種部位について審査報告書にも書かれているのですが、大腿部への接種について、これは恐らく自己注射が認められている国でのデータかと思うのですが、その辺りの情報提供というのは、どのようにお考えでしょうか。
○機構 御意見ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。注射部位は添付文書4ページの「用法・用量に関連する使用上の注意」にありますように、原則として、やはり臀部の上部外側とすることを想定しています。それは、国内での臨床試験はすべて、臀部の上部外側となっているというのもありますので、局所の忍容性などを考えますと、臀部の上部外側がいいと思っています。ただ、仮に臀部の上部外側に投与できない場合を想定しまして、国内では、まったく投与されていないのですが、大腿部への投与についても、医療現場から問合せがあった時に、すぐ対応できるような使用手順というのも企業の方に作っていただいております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○手島委員 これに対しての過敏症のことですが、市販後調査の中で調査していくということも書かれているのですが、91ページの5行目の確認ですが、「必要に応じて抗ランレオチド抗体を測定する予定である」とあるのですが、これは抗IgG抗体、それからIgE抗体、両方含めた測定ということを考えておられますか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。ランレオチドに対して反応する抗体について、海外に検体を送って測定していただく準備を企業の方にしていただいております。これは、先生が必要だと判断した場合に限りますが。
○松井部会長 よろしいですか。少し読みが足りないのですが、実際に抗体が出来ることで、過敏症反応、その他を起こしたことがあるわけですね。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。過敏症の項で、90ページの辺りから議論させていただいておりますが、002試験について、中段くらいの辺りになりますが、過敏症を含めて、抗体に起因すると考えられるような副作用はありませんでした。また、003試験におきましても、過敏症を含め、抗体に起因すると考えられるような副作用はありませんでした。ただ、市販後にそのような症例がまったく出ないということは言えないかと思いますので、そのような症例が出た場合には、抗体を測定していただくように準備しているという状況になります。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。特に無いですか。それではこの件につきまして、議決に入ります。なお、野田委員、村田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
議題3に移ります。機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品イメンドカプセル80mg、同カプセル125mg及び同カプセルセットの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
シスプラチン等の抗悪性腫瘍剤を投与すると、消化管粘膜からのセロトニン分泌が亢進し、消化管の5-HT3受容体又は延髄のCTZを介して嘔吐中枢が刺激されることにより、悪心・嘔吐が発現します。また、抗悪性腫瘍剤投与により、消化管粘膜からのサブスタンスPの分泌が亢進し、中枢神経系のNK1受容体に結合することにより悪心・嘔吐が発現することが報告されています。これらの悪心・嘔吐は、がん化学療法の継続を断念させる原因の一つとなっています。
アプレピタント(以下「本薬」)は、NK1受容体拮抗薬であり、悪心・嘔吐に対して他の制吐剤と併用して使用されています。本邦では、「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)」の効能・効果で2009年10月に承認され、NK1受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗剤及びコルチコステロイドの3剤併用療法が普及しつつあります。
申請者は、抗悪性腫瘍剤投与時の悪心・嘔吐は小児患者においても成人患者と同様に大きな課題となっていること、また、2008年3月に「日本小児血液学会」から、同年8月に「日本小児がん学会」から厚生労働省に本薬の小児適応取得に関する要望書が提出されたことを踏まえて、本カプセル剤について、服用が十分可能な12歳以上18歳以下の患者を対象として本薬の開発に至りました。また、12歳未満の小児患者に対しては、本薬のプロドラッグであり、投与や用量調節が簡便な注射剤であるホスアプレピタントの開発が現在進められています。なお、本薬は、海外では抗悪性腫瘍剤投与時の悪心・嘔吐の予防の適応で2012年2月現在、欧米を含む世界76か国において承認されていますが、小児に対する臨床試験成績は国内外共に限られており、現時点では海外において小児に対する用法・用量は確立していません。
本品目の専門協議では、本日の配付資料17に示すような専門委員を指名しました。
以下、本薬の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。主な臨床試験成績として、12歳以上の小児患者を対象に、本薬を抗悪性腫瘍剤投与初日に125mg、2日目及び3日目に80mg投与し、さらに、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾンを併用投与した国内第III相試験、及び同様の用法・用量で本薬又はプラセボを投与し、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾンを併用投与した海外第III相試験各1試験の成績が提出されています。
がん化学療法を予定している小児の悪性腫瘍患者を対象とした臨床試験について、国内第III相試験から得られる情報は限られることから、海外の12歳以上の患者を対象とした海外第III相試験成績、成人の国内試験成績等も参考に、12歳以上の患者における有効性及び安全性について総合的に評価することとしました。
有効性に関してですが、報告書17ページの表10を御覧ください。「0~120時間における『Complete Response(嘔吐なし、かつ救済治療なし)』の患者割合」(以下、「Complete Response」はCR)をはじめ、主な評価項目についての国内第III相試験と海外第III相試験の結果を示しています。
また、報告書19ページの表11及び表12を御覧ください。「0~120時間における『CR』の患者割合」等の評価項目について、国内外の成人と12歳以上の小児の成績を比較した結果を示しています。表11及び表12から、国内外のいずれにおいても、12歳以上の患者の臨床試験成績は成人に比べて劣る傾向にありましたが、17ページの表10から、海外第III相試験では「CR」及びその他の評価項目の患者割合について、本薬群はプラセボ群に比べて高い傾向にあり、「CR」の患者割合についてプラセボ群との群間差は成人と同程度であったこと、また、同じく表10から、国内第III相試験における本薬投与時の成績は海外第III相試験の本薬群に比べて劣る傾向は認められなかったということから、機構は、本薬を含む3剤併用療法の有効性は、12歳以上の患者においても期待できると考えました。
安全性に関してですが、報告書22ページの表15を御覧ください。国内外の第III相試験における血球系の有害事象の発現状況を示しています。また、併せて報告書25ページの「(2)成人の臨床試験成績との比較」についても御覧いただければと思います。
国内第III相試験では、海外第III相試験に比べて有害事象の発現率が高く、特に血球系に関する有害事象の発現率が高い傾向にありました。しかし、成人においても国内試験では海外試験に比べて血球系の有害事象発現率が高かったこと、成人では国内外のいずれの試験においても本薬群と対照群との有害事象の発現状況に問題となる差異は無かったこと、血球系の有害事象は、成人の国内試験に比べて発現率が高いものの抗悪性腫瘍剤の投与による影響も大きく、医療現場ではがん化学療法施行時には既に血球減少に関して十分な注意が払われていることから、血球系の有害事象に関する本薬での新たな注意喚起は不要と考えました。また、その他の事象については、成人の国内試験と比べて特に問題となる傾向は認められなかったことを確認しました。
以上より、12歳以上の患者においても、本薬を含む3剤併用療法の安全性について、許容可能と考えました。ただし、国内第III相試験に組み入れられた症例数は限られていることから、製造販売後調査において、血球系の重篤な有害事象の発現状況について確認していく必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、12歳以上の小児における本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、本薬の12歳以上の小児に対する用法・用量について承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本薬は12歳以上の小児に対する新たな用量を追加する新用量医薬品であるため、再審査期間は残余期間(平成29年10月15日まで)とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。
○松井部会長 ただ今の説明について、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。
○佐藤(田)委員 先ほどの説明の最後の方に出てきたノイトロ、好中球の減少についてです。幾何的に証明するとこうなるとの判断で今説明をされた訳ですが、審査報告書の25ページの上段から中程ぐらいのパラグラフに出てきますが、最終的にこの薬は単独で使われるわけではなく、抗悪性腫瘍剤と使われて、副作用が出てきたので使うわけです。ですから、どちらが原因かが分からないということですが、安全性は大丈夫だということで、むしろ好中球減少について伺いたいのですが、6行目にあるように、最終的には患者数が少ないので偶発的な結果だったと書き出して、決定とされているのでしょうか。それとも、その下のパラグラフで、機構は海外を見ると少し気になるので、ということですが、結局はどちらとも分からなかったということですか。そこがはっきりしないのですが、簡潔に説明をお願いします。
○機構 簡潔に御説明します。御指摘のあった「偶発的な結果と考えた」というところは、申請者の考察として記載しています。その下の段落が我々機構の考えです。御指摘のあったように、好中球、血球系の減少に関しては、抗がん剤が投与された時に、ある程度骨髄抑制や強い抗がん剤はありますので、それに伴って出てくるということで、そこは仕方ないという面があるかと思っています。機構の判断としては、抗がん剤による影響はかなり大きいであろうと考えているのですが、実際に有害事象として、この程度認められていることから、製販後調査の中でも認められた場合には、しっかりと情報収集して、情報提供していくようにしてくださいと申請者に伝えたというところです。
○佐藤(田)委員 ありがとうございました。大変重要なところだと思いますので、しっかりと記載をし、きちんと伝えていただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○山田委員 私も今の血球系の副作用について少し気になるのですが、添付文書上の記載について見ますと、副作用のところに小児という項目を付けて、発生件数、パーセンテージが書いてあるだけのような気がするのですが、使用上の注意等に記載するまでの必要性は無いという判断なのでしょうか。
○機構 お答えします。報告書の11ページを御覧ください。こちらに表4と表5として、今回実施された12歳以上の小児患者を対象とした国内第III相試験の有害事象と因果関係が否定できなかった有害事象、副作用の表を示しています。好中球減少に関しては、ほかの血球減少もそうですが、要は本薬との因果関係を抜きにした有害事象としてはほとんど出る状況ですが、実際に治験をされた責任医師、分担医師の判断ではありますが、因果関係を否定できないとなったものについては、好中球減少に関すると21例に対して4例まで減っています。添付文書の副作用の項については、基本的には因果関係が否定できていない有害事象に関して載せることになりますので、御指摘のあった2ページの下については、そのように記載しているところです。これらの血球減少については、確かに有害事象でのパーセンテージで見るとかなり高く、ほとんど出ているのがおっしゃるとおり事実だと思うのですが、先ほどから何度もお話しているように、シスプラチンであったり、カルボプラチンであったり、そのような抗がん剤を使用した患者さんに対して吐き気止めという形でこの薬を投与されていますので、どうしても事象として血球減少が出てくることは止むを得ないかというところです。したがって、少なくともこちらの薬剤の影響というよりは、そのような抗がん剤の影響の方が強いだろうと考えて、副作用の項での注意喚起のみで十分ではないかと考えたところです。
○山田委員 それにしても、海外の試験に比較してもかなり多いということは、海外の試験でも同じように抗がん剤は使用されているかと思うのですが、22ページを見ますと、海外での試験結果と国内での試験結果に少し差がある気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
○機構 その点の差について申請者に考察をお願いし、審査報告書の22~23ページ辺りにかけてが申請者の考察です。機構の考えとしては、先ほどから説明しているように、申請者の説明に関しては、22ページの4行目辺りに書いていますが、血球系の有害事象の発現について臨床検査の規定日の違いが影響したと言っていますが、それが本当に影響したのかは、はっきりするものではなく、我々の結論としても、23ページの下から12行目に書いていますが、外国人に比べて日本人で血球系の有害事象の発現率が高かったことについて、申請者の考察からでも明らかにはなっていないと結論しています。ただ、今回、報告書の中でデータとして提示しているわけではないのですが、成人でも同じような傾向が認められていました。そういったこともありますので、今回の結果を踏まえて、血球減少に関しての注意喚起をより上位でするほどの必要性は無いのではないかと考えたところです。
○山田委員 現場では、副作用でこの数値だけが書いてあることで、臨床試験での結果が十分に伝わるかという懸念が少しあったので質問しましたが、引き続き調査をされるのですね。そのようなことで了解しました。
○松井部会長 市販後ということですね。ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 教えてほしいのですが、今回12歳以上の小児を入れたということで、これは5-HT3の拮抗薬とデキサメタゾンなどと併用をしているのですが、5-HT3やデキサメタゾンそのものは抗悪性腫瘍薬の副作用に対する小児の効果・効能は認められているのですか。
○松井部会長 いかがですか。質問の趣旨はお分かりですか。
○審査第一部長 資料1.7の同種同効品一覧表があります。そこでいろいろな制吐剤の添付文書に書かれている内容が書いてあるのですが、そこを見ますと、成人の用量だけのものが多いです。小児の用量まで規定されているものは少ないですね。
オンダンセトロンがその10ページにあります。表1.7-3でオンダンセトロンがあり、そこを見ていただきますと、用法・用量のところで成人とシロップとして小児があるということです。その他のものは、小児の用法・用量はまだ設定されておりません。
○機構 グラニセトロンとオンダンセトロンに関しては、小児用量は書かれています。一方で、ステロイド、デキサメタゾンについては記載されていないのが現状です。
○松木部会長代理 そうすると、二つの単純な疑問が起こるのですが、一つは、この薬の併用との効果に差があるかどうかを見るのが普通ではないかということです。それから、小児の今回の試験の時に5-HT3やデキサメタゾン単独の小児に対する効果もよく分かってないのに、さらにこの3剤を併せて臨床試験を組んでも良かったという理由もよく分からないのですが。
○機構 グラニセトロンとオンダンセトロンについては、小児用法・用量も記載されているというところもありますが、実際、海外のこのような制吐療法に関するASCOやNCCN等のガイドラインや、あるいは日本のがん治療学会の制吐剤に関するガイドラインでは、それらグラニセトロン、オンダンセトロンとデキサメタゾンを併用してNK1受容体拮抗薬を乗せることを、成人では推奨されている状況です。NK1受容体拮抗薬が承認される以前も、グラニセトロンとデキサメタゾン、セロトニン受容体拮抗薬とステロイドでの併用に関して、その当時ガイドラインは無かったのですが、抗がん剤使用時の悪心・嘔吐に対する治療法として使用されていた実態もありますので、少なくともグラニセトロンやオンダンセトロンとステロイドに対して上乗せ効果を見るという観点については、恐らく現場の感覚として大きな問題にはならないのではないかと思います。
○松木部会長代理 要するに、これを承認するかどうかは、プラスアルファの作用があるから承認するのであって、それを示すデータが無くても、成人では多分効いているだろうからということで、小児でも恐らく効くだろうということですか。
○機構 プラスアルファという観点でいきますと、海外の第III相試験に関して、審査報告書の17ページですが、2剤の併用に対して3剤併用した時についての成績を示しています。ここではプラセボ群と記載していますが、これについてはセロトニン受容体拮抗薬とデキサメタゾンとの併用群になります。本薬群との記載は、アプレピタントとセロトニン受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用になります。上乗せ効果という観点では、2剤併用だと全期間や特に遅発期はほとんど効いていないものに対して、乗せたことで効果が上がっているという結果は得られているのではないかと思います。
○松木部会長代理 分かりました。では、プラセボという表現は適当ではないということですね。
○機構 誤解を与える表現だったかもしれません。
○松木部会長代理 もう1点の質問の小児の臨床試験を組む場合に、3種混合で行う時に、その対照薬のデータは当然無いわけですが、既存の薬物でも小児のデータが無くても使ってもいいということですか。この場合、5-HT3拮抗薬は、オンダンセトロンとグラニセトロンだけを使っているのですか。
○機構 お答えします。基本的には、国内の試験はグラニセトロンを使った試験、海外の試験はオンダンセトロンを使った試験になります。それ以外のセロトニン受容体拮抗薬について使えるか使えないかに関しては、15~16ページにかけてのところで、セロトニン受容体拮抗薬の違いが、どれだけ有効性や評価へ影響を及ぼすかどうかという観点からの記載にはなっているのですが、そこについて少し触れています。実際、いろいろ各種ガイドラインを見ますと、NCCNガイドラインなどでは、セロトニン受容体拮抗薬の場合は、有効性が同等で副作用は軽度、かつ、まれであることが示されているといった記載もなされていますので、現場の感覚としてセロトニン受容体拮効薬に関しては、パロノセトロンと言いまして、半減期の長いセロトニン受容体拮抗薬に関しては別かもしれませんが、少なくともそれ以外のセロトニン受容体拮抗薬に関しては、どれを使ったとしても、ある程度効果としては一定なのではないかと認識されているようです。そういった観点から考えますと、今回グラニセトロンとオンダンセトロンだけでの検討ではありますが、恐らくそこについては、ほかのセロトニン受容体拮抗薬が使われたとしても、効果に影響を及ぼすことは少ないのではないかと思います。国内の第III相試験でグラニセトロンを選択された背景としては、国内では多くの施設でグラニセトロンが使われていたこともありますので、それほどほかの薬剤が使われる可能性も少ないのかとは考えています。
○松木部会長代理 質問がうまく伝わらなかったようですが、要は3剤の臨床試験を組む時に、ほかの二つが小児に対する効果、要するに安全性等を十分分かっていてならいいのですが、今回の場合はそうではない場合もあるわけですね。デキサメタゾンなどは、まだデータが無いですので、そのような時にもこのような臨床試験を組んで良かったのかどうかという質問なのですが、いかがでしょうか。
○審査第一部長 臨床試験の併用薬は大変難しい問題で、特に小児の場合はすべての薬剤について、その小児用量が確立しているかというと、そうではない場合も大変多くございます。また、小児だけで有効性・安全性について対照を置いて臨床試験を組むのは、なかなか難しい場合もあります。そのような場合が多いものですから、通常は海外の試験を利用したり、成人のデータをある程度利用するという形で戦略を組みます。
そのような意味で、この薬剤を評価する時に、通常、ガイドラインで3剤併用をして嘔吐を抑える形になっていますので、そのような形で実際に使われる時にどのように評価するかと悩んだ時に、小児用量が確立していないものであっても、臨床試験の中に組み込んで評価する場合もあり得るということです。これは実際のものの評価の時に、どのようなものが使われるかによって、臨床試験の組み方はその都度その都度考えざるを得ない状況だということで御理解いただければと思います。
○松井部会長 小児の臨床試験というのは、ここで出ているのは12歳以上ですが、もっと幼弱な例についてはもっと根拠が弱いということがあります。そのような問題を抱えているということです。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りますが、よろしいですか。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続いて、議題4について機構から概要を御説明ください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ペンレステープ18mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。
本剤は、アミド型局所麻酔薬であるリドカインを有効成分とする貼付剤であり、本邦では1994年10月に「静脈留置針穿刺時の疼痛緩和」を効能・効果として承認されています。
本申請においては、伝染性軟属腫摘除予定の患児を対象とした臨床試験を実施し、本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料17に記載しています5名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明します。有効性について、審査報告書6ページ、「(2)第III相試験」の項を御覧ください。日本人伝染性軟属腫患児を対象とした第III相試験において、各患児に本剤及びプラセボ0.5枚をいずれも4枚に切って体幹又は四肢の伝染性軟属腫に貼付し、本剤貼付部位、プラセボ貼付部位の順又はプラセボ貼付部位、本剤貼付部位の順の2群に分けて、伝染性軟属腫を摘除した時、主要評価項目である疼痛緩和効果の優劣比較判定による有効率は83.6%、その95%信頼区間は71.9~91.8%でした。また、審査報告書8ページ、表3を御覧ください。先に伝染性軟属腫の摘除を行った治験薬貼付部位の疼痛VRSは、本剤貼付部位ではプラセボ貼付部位と比較して有意に低値であり、日本人伝染性軟属腫患児における伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に対する本剤の有効性は示されたものと判断しています。
安全性について、審査報告書10ページ、表5を御覧ください。伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に関する第III相試験、静脈留置針穿刺時の疼痛緩和に関する使用成績調査及び副作用自発報告において、認められた副作用はいずれも多くは投与部位局所の事象であり、小児又は疾患特有の事象は認められませんでした。なお、臨床試験において検討された症例数は限られていることから、本剤の小児における安全性については、製造販売後調査において更に確認する予定です。
以上の審査を踏まえ、本剤の伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に対する効能追加について、承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新効能及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年とすることが適切と判断しています。なお、薬事分科会には、報告を予定しています。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ただ今の御説明について、御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 少し派生した質問かもしれませんが、審査報告書の5ページで、これはもしかすると私は認識が無かったので知らないことなのか、妙なデータが出てきているように思うのです。この患者さんは、皮膚の疾患についての適応を通っていて、それから、この前通ったものについては、静脈留置針を置くために、その痛みを取るという目標で行っていたと思うのですが、中ほどのグラフの図1の下の辺りに、確かに抗菌薬などでは血中移行がどのくらいで、組織移行はどの程度いったのか、口蓋扁桃の扁桃摘出を行う時に、行う前に投与したりして、どれだけ移行をしているのか、取ってしまうのですから、そこに移行しているかというチェックはできると思うのですが、この目的と口蓋扁桃適出手術の時に、その予定の患者さんの手背に1時間貼付したというのは、扁桃摘出するには、恐らく静脈留置針を入れて、麻酔で静脈鎮静法を行うために、それを使ったわけではないと思うので、少し意外なこの事象を申請者が言ってきたということで、機構はこれをここに持ってきていますが、どう考えるのでしょうか。それとも、当たり前の審査方法なのでしょうか。虫垂を取る時に行ってみるとかいうことと同じ感じがして、意外なところの組織移行等を見ているように思うのですが。質問の意味はお分かりでしょうか。
○機構 機構より御説明します。この試験については公表文献になりまして、今回、今まであるような静脈留置針穿刺の疼痛緩和と違う効能ではないかと思われるかもしれないのですが、口蓋扁桃適出手術を行うための処置に際して、静脈留置針穿刺を行った試験ですので、静脈留置針穿刺時に血中にどのぐらい移行するかを調べたという報告を申請者が出してきたということです。ですので、口蓋扁桃適出手術に対してこのペンレステープが用いられたという報告ではありません。
○佐藤(田)委員 分かりました。それでしたら、そのように分かるように書いていただきたいと思います。
○機構 申し訳ありません。
○佐藤(田)委員 突飛もなく、ここに出てくること自体が少しおかしいと思いました。静脈鎮静法を行うために、そこに貼ったというテストを行っているということですね。その時に扁桃摘出を行い、移行がどうであったのか、血中はどうであったのかということであれば理屈は通りますが、少し読んでいる方からすると分かりにくいと思いました。
○機構 分かりました。御意見ありがとうございました。
○松井部会長 ほかにございますか。
○古川委員 報告書の9ページに安全性というところがあり、そこの中ほどから「重篤な副作用、小児4例」と書いてあり、「ショック2例、心肺停止、痙攣・意識変容」とあります。この解析が、2例は過量投与による中枢神経系の症状であるということです。残りの2例は、この文章を読みますと、量が少ないのでアナフィラキシー様症状やアナフィラキシーショックによるものだと記載されているのですが、アナフィラキシーと診断した根拠はほかに何かありますか。量が少ないからアナフィラキシーというのは、少し飛び過ぎている感じがするのですが。
○機構 機構より御説明します。報告書の記載が読みにくかったのかもしれませんが、この症例については、元々ショック、アナフィラキシーの症状として上がってきたもので、用量が少ないからこのように考えたというものではなく、症状から見てショック、アナフィラキシーという副作用として上がってきたというものになっています。
○古川委員 その場合の症状を、もっと具体的に出していただきたい。といいますのは、もしアナフィラキシーということだと、リドカインか添加物によるアレルギーですね。それは非常に珍しい症例になるかもしれません。しかし、もしこれが子どもによっては非常に吸収率がよくて、1枚か2枚貼っただけでも非常によく吸収したという例だったら、アナフィラキシーではないわけです。そうすると、すべての子どもに少ない量でも起こり得ることを喚起しなければいけません。ですから、アナフィラキシーだという根拠は非常に大事だと思うのですが、症状は具体的なものは何か出ているのですか。あるいは、もう一度このような試験を行うことはできないでしょうけれども、どの辺まで分かっているのかという点を教えてください。
○機構 機構より御説明します。この症例については、自発報告が上がってきた症例ですので、臨床試験の中で捉えた事象ではなく、細かい内容までがきちんと終えているわけではないということです。1例ずつ御説明してもよろしいですか。
○古川委員 それらしいところの説明をお願いします。
○機構 7歳の男児で起こったショックの事象なのですが、貼付した20分後に顔面蒼白や頭部がボーッとする感じがするという訴えがあったということです。血圧は正常で、貼付部位の発赤を認めなかったという内容でショックの疑い、ショックという事象で医師が判断しています。
もう一例目については、2歳の女児になるのですが、本剤を貼付して10分後に顔色が悪くなり、冷汗が出たために連絡があり、その後受診医療機関に行った際には、受診時には顔色等は悪くはなく、戻ってはいたのですが、その後医師の判断によりその症状がショックと判断されています。
○古川委員 判定自体、なかなか難しいところもありますね。
○松井部会長 2例でよろしいですか。
○古川委員 2例はアナフィラキシーという診断をしたものの症状のようですが。症状からはそうとも言えるような、言えないような微妙なところのような感じがします。これは今議論するつもりはないのですが、これからもしこのような症例の時に、本当にアナフィラキシーなのか、アナフィラキシーですと、リドカインか添加物ですから、だいぶ違ってくると思うのです。そのような人は、そういるわけではありません。ですから、安心して貼れるということですね。しかし、吸収率による問題であれば、すべての子どもに注意しなければいけないことを喚起しなくてはいけないと思うのです。ですから、その辺がこの添付文書を見ても、過量投与による中枢神経の抑制ということです。もう一つはアナフィラキシーショックということです。ですから、その辺の位置付けが今ひとつはっきりしないのですが。
○機構 補足します。リドカインを含めて、アミド系の局所麻酔薬がアレルギーの要因になることは知られており、今回審査報告書に記載したのは、今まで集積された静脈穿刺留置針に対して承認された後に集積された安全性情報を確認し、その際に小児の有害事象を特に注視してみました結果です。併せて成人も確認しており、ショックは小児のみならず成人でも報告されています。23歳の症例で、自発報告としてなので、今おっしゃっていただいているような詳細の部分は我々も確認はできないのですが、自発報告として具体的には事例が挙がっていますから、その点については通常の添付文書の改訂と同様に有害事象が出ていることに基づいて副作用を追記したものです。今回小児に対しての適用ということで、小児の事例の先ほど申し上げた2例については、審査報告には詳細は記載されていますが、特に小児だけということではないのではないかと考えています。
○古川委員 お話を聞いていて、本当のショックみたいではない感じですね。アレルギー的な症状があったのは何となく感じました。アナフィラキシーやアナフィラキシーショックと言われると、少し大きなイメージを持つのです。ですから、もう少しアレルギー的なものがあったという程度であれば、余り心配しなかったのですが、アナフィラキシーショックと言われるとどうでしょうか。片や多い方は、意識障害か痙攣等をしているわけでしょう。片やショックというから、すごく重いイメージを持ちます。しかし、ショックはそれほどでもなさそうな感じなのですが。
○機構 補足します。おっしゃるとおりかもしれません。ただ、実際に医師が副作用を報告する際に重症度も含めて報告されており、その報告のレベルは一応重篤な事象という形での報告でしたので、内容としては先ほど説明したとおりなのですが、扱いとしては、医師の報告に基づいて我々としては重篤な事象と捉えたということです。
○松井部会長 ほかに御発言はありませんか。
○清水委員 今回の承認事項の中に、効能・効果1.の用法・用量にかかわるところで一文削除になることも、今回の審査の範囲なのでしょうか。
○機構 機構より説明します。そのように考えています。今回一文削除というのは、「本剤摘除後直ちに静脈穿刺を行う」という一文が削除になっていることかと思いますが、今回の適応症ではないのですが、基本的には内容としては変わらず、本剤を除去した後にすぐに処置を行うことには変わりません。ただ、そこまでを用法・用量の中まで入れておく必要も特には無いかとの判断もあり、すべての適応症をまとめて本剤摘除の後にすぐに処置を行うと注意喚起することで問題無いのではないかと判断しています。
○清水委員 そのことは理解しますが、考え方としては、この文言そのものに変更があるわけではないのであれば、「適用上の注意」の項目へ移す等という方法も考えられるかと感じましたので、御検討いただければいいかと思います。
○機構 機構より説明します。実は背景としては、この後も新たな効能追加の開発が実施されており、その各効能ごとに貼付後すぐに処置を行うという注意喚起を用法・用量の中に記載する必要も無いだろうということで、注意喚起のレベルとしては「関連する使用上の注意」が適切と考え、今回整理をしています。
ただ、一方で、それを「適用上の注意」、いわゆる添付文書のもう少し後ろの方で注意喚起をする形になると、30分又は約60分貼付して、剥がした後にすぐに処置を行っていただかないと、局所麻酔の効果が薄れてしまう可能性がありますので、そういった意味で除去後直ちに処置等を行うという注意喚起は、この「用法・用量に関連する使用上の注意」として残しておくべきではないかと考えています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにありますか。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
議題5の説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品リリカカプセル25mg、同カプセル75mg及び同カプセル150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるプレガバリンは、γ-アミノ酪酸誘導体であり、本邦においては2010年4月に帯状疱疹後神経痛、2010年10月に末梢性神経障害性疼痛の効能・効果で承認されております。今回の申請効能・効果である線維筋痛症(以下、FM)に係る効能・効果については、本邦においては、2009年3月より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
また、海外における承認状況としては、米国を含む33の国又は地域でFMに係る効能・効果が承認されております。しかしながら、欧州においては、2009年4月に、欧州医薬品庁から、FM患者に対するベネフィットはリスクを上回ることが示されておらず、FMの適応追加の申請について承認を推奨しないとする見解が出され、欧州におけるFMに対する開発は中止されております。この経緯については、後ほど御説明させていただきます。
なお、本申請については、FMが一定の重篤性を有する疾患であること及び本邦においては当該疾患に対する効能・効果を有する薬剤が存在しないことをかんがみ、優先審査の対象とする旨が平成23年12月27日付で厚生労働省から通知されております。
本申請の専門委員としては、資料17、5ページに記載されております4名の委員を指名しております。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性についてですが、審査報告書8ページの表1を御覧ください。日本人FM患者を対象とし、プラセボ又は本剤300~450mgを投与した結果、主要評価項目であるFASでの最終評価時における平均疼痛スコアにおいて、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。
次に、安全性についてですが、審査報告書14ページの表6を御覧ください。本剤による有害事象として、傾眠、浮動性めまい等の発現が認められておりますが、帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性神経障害に伴う疼痛患者を対象とした臨床試験と比較して発現状況に大きな差異は認められませんでした。したがって、添付文書においては、現在の注意喚起を継続することで大きな問題は無いと判断しておりますが、製造販売後調査において、さらに検討したいと考えております。
次に、欧州において本剤が不承認となった経緯について御説明いたします。審査報告書20ページを御覧ください。欧州においては、2009年4月に本剤のFMに対する効能追加の承認を推奨しないとの見解が出されており、その主な根拠としては、1.疼痛及び機能改善に臨床的に意味のある一貫したベネフィットが認められていない、2.治療効果の持続について説得力のある証明がなされていない、3.欧州の代表的な集団において本剤の有効性及び安全性は明らかにされておらず、米国の集団の成績を欧州に外挿することはできないといったことが指摘されております。
日本人を対象とした臨床試験においても、本剤群とプラセボ群の平均疼痛スコアの群間差は海外試験と同程度ですが、機構は、1点目として、FMの主徴は「痛み」であり、疼痛においては本剤のプラセボに対する優越性が検証されていること、2点目として、疼痛に対しては、投与期間を通じて鎮痛効果が示されていること、3点目として、現時点では本邦においてFMに対して承認された薬剤が存在しないこと等を踏まえて、日本人FM患者の疼痛に対する本剤の有効性は示され、一定のベネフィットは示されていると判断しております。
審査報告書23ページ「(3)本剤の臨床的位置付け及び効能・効果について」を御覧ください。このように、国内外の臨床試験においては、本剤の疼痛に対する有効性が検証されていること、FMは、全身の広汎な慢性疼痛と解剖学的に明確な部位の圧痛を主徴とし、多くの患者において、疲労・倦怠感、睡眠障害、機能低下、不安感、抑うつ等の多彩な症状を呈しますが、多様な症状の中でも疼痛に対する有効性が示されていることは明確化すべきと考えることから、本剤の効能・効果は「線維筋痛症に伴う疼痛」とすることが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤の線維筋痛症に伴う疼痛に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品であり、再審査期間は帯状疱疹後神経痛に係る再審査期間の残与期間である平成30年4月15日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○鈴木委員 この薬は同じような臨床結果が出たにもかかわらず、有意差が有ったとはいうものの、日本では差が有った、欧州では差が無かったと読んで、承認と不承認と分かれたような気がするのですが、本邦ではそれでも承認に値すると判断された理由が、鎮痛効果として十分な効果が得られるということなのか、それとも他に薬が無いということを重視されたのでしょうか。心理的な要素もある疾患のようですので、そういった効果も期待してということなのか、その辺の考え方を教えていただけますでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。御指摘ありがとうございます。審査報告書にも記載しておりますように、FMは非常に多彩な症状を呈する疾患であります。今回の日本における臨床試験では、少なくとも疼痛に関してはプラセボに対して本剤の優越性が検証されておりますので、やはりそこを重視いたしました。効能・効果についても、「線維筋痛症に伴う疼痛」と明確化した効能・効果として承認することが適切と考えております。
○松井部会長 その他、いかがですか。
○宗林委員 末梢性神経障害性疼痛の場合は600mgまでということですが、線維筋痛症については450mgを超えないようにということで、これが上限になっております。もしかすると、試験成績書に600mgが余り無いのかと思いながら見ていたのですが、この量の設定をした理由と、先ほどからもお話がありますように、実際にはいろいろな症状があって、診断基準は一応あるけれども、何を機序とするのか、発端とするのかということでは、かなり難しいかと思うのですが、600mgまでとしなかった理由について教えてください。
○機構 まず、国内臨床試験は450mgまでの用量で実施されておりますが、その設定根拠は、米国で行われたFMを対象とした臨床試験が、300~600mgの用量範囲で実施されましたが、審査の過程において、450mgと600mgとでは有効性に大きな差は無いという結論が出され、米国での承認用量がFMに関しては450mgとなったことにあります。国内でもその用量の範囲で臨床試験を実施し、十分な有効性が検証されていることから、本邦のFMに対しても450mgまでを推奨用量とすることが適切と判断しております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○機構 PMDAから補足説明いたします。先生が御指摘のとおり、600mgまでの有効性がFM患者であるのかどうかというところになるかと思うのですが、基本的にこの臨床開発は、日本では国内試験を一つ行っておりますけれども、海外の多くの試験も参考にした上で、主にアメリカで承認されているといったところも考慮した上で、この薬剤の線維筋痛症に対する有効性を検討しているというところです。アメリカでの用量反応性から、450から600mgに増量した時のベネフィットが無いというところを考慮して、国内試験は450mgを最大用量として実施した結果、線維筋痛症の用量は450mgを最大という承認用法・用量という形を考えております。実際に450mgから600mgに増量した時の効果はどうかというのは、日本人では分からないところですが、米国のデータなどを考えますと、ベネフィットは余り期待できないのではないかと考えております。
○宗林委員 確認ですが、末梢性神経障害性疼痛の場合は、450mgから600mgに増量した時に有意に有効性があるということですね。
○機構 疼痛に対する薬剤で用量反応性を議論するのは中々難しいのですが、末梢性神経障害性疼痛の600mgに関しては、過去に国内で実施した臨床試験の中でも600mgの有効性というものが示されておりますし、アメリカなどの用法・用量を考えますと、600mgのエビデンスというものはあると考えております。線維筋痛症に関しては、450mgから増量した時のエビデンスが乏しいことから、450mgが最大用量と考えております。
○松井部会長 皆様よろしいでしょうか。ほかに御意見はございませんか。それでは、この議題につきまして議決に入ってよろしいでしょうか。議決に入ります。野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
次に、議題6について御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題6、資料6「ミガラスタト塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
御審議の対象となる品目は、「ファブリー病」を予定効能・効果とするミガラスタト塩酸塩です。資料6の機構からの評価報告書に沿って御説明いたします。申請者はグラクソ・スミスクライン株式会社です。以下、評価報告書に沿って、指定要件である対象者数、医療上の必要性及び開発の可能性について順に御説明いたします。
まず、そのページの下から始まる対象者数についてですが、古典ファブリー病及び遅発型のファブリー病の患者数について、各種文献・調査の内容を踏まえて推定しますと、本邦における患者数は両者合わせて15,707~19,298名と推定されます。また、近年報告されたイタリアにおける文献を踏まえても、本邦における患者数は多く見積もっても4万人程度と推定されますので、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えます。
次に、「2.医療上の必要性」について御説明いたします。2枚目の下から次のページにかけて諸々書いてありますが、ファブリー病は、遺伝子変異によるα-ガラクトシダーゼA活性低下により引き起こされるリソソーム蓄積症です。広範囲に重症な臨床症状が及び、平均死亡年齢は40~50代と言われており、腎不全、心疾患、脳卒中などにより生命予後に影響を及ぼす場合があり、本邦では難治性疾患克服研究事業の対象とされていることからも、重篤な疾患であると考えられます。
また、現在ファブリー病の治療には、対症療法と酵素補充療法があり、それぞれ既に治療薬の承認がある状況ですが、酵素補充療法では補充した酵素に対する抗体産生の惹起の可能性、各臓器への酵素活性へのばらつきの可能性、また、点滴静注製剤であり、各週ごとに通院が必要とされている状況です。本剤については、α-ガラクトシダーゼAの活性部位に結合し、酵素の安定化を行い、結果として酵素活性の発現を図るという点で、これまでの酵素補充療法と異なる作用機序の治療法であり、また、低分子であることによって抗体産生の可能性が無いことなどから、医療上の必要性は高いものと考えられます。
最後に開発の可能性ですが、既に複数の第II相試験が完了又は進行中という状況であり、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□予定とされていることから、本剤の開発の可能性は高いものと考えております。以上の3点から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ただ今の説明について、御質疑があればお願いいたします。よろしいですか。
それでは、議決に入ります。なお、野田委員、松木委員、村田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告いたします。次に、議題7について事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題7、資料7「メトレレプチンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
御審議の対象となる品目は、「脂肪萎縮症に起因する糖尿病又は脂質異常症の治療」を予定効能・効果とするメトレレプチンです。こちらについては、3枚目の機構からの評価報告書に沿って説明いたします。申請者は、塩野義製薬株式会社です。以下、評価報告書に従い、希少疾病用医薬品の指定要件である対象者数、医療上の必要性及び開発の可能性について順に説明いたします。
報告書1~2ページにかけてあるように、対象者数は2007年に実施された国内学会のアンケート調査などの結果と同調査を実施した病院での診療例数を勘案したところ、本邦での脂肪萎縮症患者の数は約40人と推定されました。また、米国における有病率の報告を踏まえて、本邦での有病率も同様と仮定した場合には、約100人と推定されました。これらの結果を踏まえると、本邦における患者数は40~100人と推定されますので、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えられます。
同ページから次のページにかけて始まる「医療上の必要性」について説明いたします。脂肪萎縮症の病態生理は明確には解明されていないところですが、高血糖、高中性脂肪血症、インスリン抵抗性などの重度の代謝異常を含め、様々な臨床症状が現れ、平均寿命が30~40歳とも言われる、極めて予後不良な難治性疾患であると言われていることから、重篤な疾患であると考えられます。脂肪萎縮症の治療には、現在、原因治療は無く、標準治療も確立されていない状況で、対症療法も効果は極めて限定的です。脂肪萎縮症に伴う代謝異常の主な原因は、脂肪組織の欠損又は消失に伴うレプチンの欠乏に起因すると考えられており、レプチンの補充療法については、非臨床試験からの結果からも重度の代謝異常を改善する効果が期待されております。また、本剤はヒトレプチンアナログであり、レプチンと同様に脂肪萎縮症に伴う糖尿病又は脂質異常症の治療薬として有用な薬剤であるということは期待されておりますので、医療上の必要性は高いものと考えられます。
また、3点目の「開発の可能性」についてですが、米国において既に第III相試験が実施されており、これまでの結果から、脂肪萎縮症患者における糖代謝と脂質代謝性肝機能の改善効果及び忍容性が確認されております。国内においては、脂肪萎縮症患者を対象とした臨床研究及び医師主導治験が既に実施されており、臨床研究の結果から、糖代謝、脂質代謝及び肝機能の改善効果が示され、安全性にも問題が無いことが既に確認されております。これらのことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。これら3点から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 議題6と議題7のように、希少疾患と言っても、かなりの数のものもあります。例えば、以前出てきた遺伝子病、遺伝子関連で、全国で10名以下などというのはよく分かるのですが、かなりの数がある疾患も規定で希少疾患に入ってくるわけです。通常の希少疾患該当ではない以前の薬は、汎用される薬剤と言っていいかどうか分かりませんが、かなりの数があるので、有害事象については詳しく規定され、ピックアップされて出されています。希少疾患というのは、診察とか治療をする人が固定されて、限定された患者さんを診るので、何か起こる可能性があるということが該当する患者さんにはっきりと伝わっている、若しくは患者さんが子どもであれば親に伝わっているものの、まだ途中の段階のように感じるのですが、それはいいのでしょうか。逆に、私が見る時に有害事象について、ここまで見なくてはいけないということも、甘く、そのような疾患であったら、その程度は仕方が無いかと相殺して考えるのか、どのように考えてこれから評価するのでしょうか。希少疾患に対する薬は今までよりも多く出てきていると思うので、判断基準として安全性をどう見るのか、この薬にということではなく、そのポイントだけ教えていただきたいと思います。
○事務局 事務局よりお答えいたします。希少疾病用医薬品の指定については、薬事承認の審議とは別でして、これから開発をしていくものについて開発助成などを行い、開発の促進をしていくというものです。指定を受けた後、安全性の情報、有効性の情報といったことをまとめて承認申請が行われて、改めて御審議をいただくという形になります。希少疾病用医薬品の指定の可否の審議に当たっては、御指摘のように安全性情報も限られているところは多いと思います。ただ、今後開発をしていく上で、開発の見込みというのを一つの評価項目としておりますので、安全性情報は限られてはおりますけれども、重篤な副作用が出ているとか、そういった観点から開発の見込みが無いのではないかということで御意見をいただければと思います。
○松井部会長 審査管理課長、いかがですか。
○審査管理課長 佐藤先生の御質問は、どちらかと言うと有効性・安全性の判断で、これは承認審査の方へのお尋ねではないかと思います。希少疾病用医薬品の指定に関しては、ただ今担当から説明したとおりです。薬事法上の製造販売承認に当たりましては、まず有効性が認められないものについては承認しないということです。有効性は認められるのだけれども、有効性に比して著しく有害な作用が生じて、医療上の価値が無いと認められるものについても承認しないことになっております。また、その他の品質が著しく劣るようなものについても承認しないという三つの要件が、いわゆる承認する際の「承認しない事由」として掲げられているところです。先生が指摘された点は2点目の有効性と安全性のバランスというところだと思いますので、そこは他剤が無いなどといったところで、そのバランスをどのように考えるか、承認審査した結果について、有効性・安全性のバランスが問題無いかどうかというところをこの場でさらに入念に御審議いただいて、その答申を受けて承認するというシステムになっておりますので、そのような位置付けにあることを御理解いただければと思います。
○佐藤(田)委員 理解としては、ここでの審査は今までのものの承認と違って、中間的な審査、中間的な評価をすればいいという感覚の判断でよろしいのでしょうか。治験に至るものも、治験に至らないものも、種類によってはありますし、そのデータが出てから本当の審査をしていくと今おっしゃったわけですから、現段階でここに出てくる時には、中間的という言葉が正しいかどうか分かりませんが、「大方いい」ということを審査するということでよろしいのでしょうか。先ほどまでは、有効率何%で、投与量がどうで、というところまでシビアにチェックをし、見ていったわけですけれども、希少疾患の薬に関しては感覚が少し違うので質問したのです。今お答えになったことは、私が理解したことと違っていますでしょうか。
○審査管理課長 希少疾病用医薬品の指定に際しての正にここで御審議いただいている趣旨ということでしょうか。そういたしますと、特に医療上の必要性についての点かと思います。この点については希少疾病用医薬品の開発ということもありますから、そもそも得られている情報が限られているということも予想されます。限られた情報の中で、特に忍容性上も問題があって使えない、臨床上、使用に耐えないということであれば、これは排除されるべきだと思います。ただ、そのようなものでなく、他に治療方法が無いという状況のものについては、臨床上試してみる価値があるということであれば、ここではお認めいただければと思います。最終的に臨床試験を開始する際には、もちろん私どもも届出を受理する際に、先ほど申し上げた忍容性といったところで、特に安全性上、開始するに当たって問題が無いかどうかについては、PMDAの方で、特に初回の治験届の際にはチェックしますので、その辺は私ども行政が責任を持ってさせていただくということです。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに特に御発言がなければ、議決に入ります。
本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
次に、議題8について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題8、資料8「放射性医薬品基準の改正について」事務局より説明いたします。
配付資料2枚目が資料8-2です。基準の改正の背景などについてまとめておりますので、これに沿って説明いたします。まず、放射性医薬品基準は、薬事法第42条第1項の規定に基づき、放射性医薬品について製法、性状、品質、貯法などの基準を定めております。現行の基準においては、平成8年に全面的な改正を行っておりますが、その後、新医薬品の承認にあわせた各条の追加などの一部改正を行ってきたところです。今回、前回の改正から一定の時間が経過しておりますので、最新の科学的な技術の知見に則した試験方法への対応とか、日本薬局方との整合性を図ることなどを目的として、今回見直しを行うことといたしました。なお、当部会で御審議いただく今回の改正の内容については、昨年度、放射性医薬品基準の改正のための検討委員会を設置し、国立医薬品食品衛生研究所を含む専門家の先生方、この中には当部会の委員でもある手島先生にも御出席いただき、御議論いただいた結果を取りまとめたものです。
次に、改正案の概要を説明いたします。まず、通則についてですが、日本薬局方との整合性を図るための改訂が主な改正です。そのほか「放射性物質の数料等に関する基準」に合わせた直接の容器や被包へのいわゆる放射能標識等の記載に関する部分の変更、放射性医薬品の特性を踏まえた有効期限を表示できるといったような改訂を予定しております。 製剤総則については、パラメトリックリリースの導入、注射剤については各種試験方法の追加、エンドトキシン試験法の規格の設定などを予定しております。一般試験法については、試験法の規定順、並びの見直し、各放射線測定方法の見直しなどを行っているところです。
医薬品の各条についてですが、既に承認整理された品目の削除や、有害試薬を用いたこれまでの試験方法の代替となるような試験方法の設定を行っております。最後に今後の予定ですが、本日御審議いただき、基準の改正について御了解いただくことができましたら、次は幅広い意見の募集の機会として、パブリック・コメントの実施やWTO通報を実施いたします。その後は、その際いただいた御意見を踏まえて、内容を適宜修正の上、分科会で御審議いただき、告示する予定としております。以上が改正の概要です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から、御質問や御意見をお願いいたします。
○清水委員 放射性医薬品の基準の中での取扱いについては不勉強なところがあるのですが、「通則」の3点目に「有効期間」とあって、医薬品で一般的に使われているのは「使用期限」という用語になると思うのですけれども、放射性医薬品については「有効期間」と「有効期限」という表記が妥当なのでしょうか。よく理解できなかったので、教えてください。
○事務局 御質問ありがとうございます。事務局よりお答えいたします。御指摘いただきました有効期間の表記方法についてですが、資料の別添の5ページの「(4)有効期間」に、下線を引きまして、「又は有効期限」という形で、医薬品によって有効期間、つまり製造から3年間有効という期間を示すか、または有効期限、つまりいつまで有効なのか、期限を明確にできるような表記を今回予定しております。これは放射性医薬品の特性として、半減期が非常に短いものを使っており、短いものであれば、検定日時から2.4時間以内に使わないと効果が得られないといったものがあります。したがって、通常の薬のように3年とか、何年間有効という期限は、現場では余り意味が無く、先生の手元に届いてからいつの時点まで有効であるのか、そのようなものが表記できるのが現場でも使い勝手がいいということで、いつまで有効なのかという期限を加えることを予定しております。
○清水委員 一般の医薬品では「使用期限」という言葉を使っておりますが、放射線については「有効期限」という言葉で、ただ今説明されたことを表記していくと理解していいわけですね。
○事務局 原案のとおり「有効期限」ということで考えております。
○松井部会長 そのほかはいかがでしょうか。
○檜山委員 少し細かいところで、製剤総則の1点目に、「パラメトリックリリースの概念を取り入れること」とありますが、これは何ページのどの項目の箇所に書かれているのか教えていただければと思います。例えば9ページの(10)辺りを指しているのか、どこであるのか教えてください。全体的に専門家の方が見られているので問題は無いと思いますが、どこに書かれているのかということをお聞きしたいのです。
○事務局 御説明いたします。御指摘いただいたとおり9ページの(10)の部分について、パラメトリックリリースの概念が反映されていると考えております。
○檜山委員 ありがとうございました。
○松井部会長 その他特段の御意見が無ければ、議決に入ります。
本議題について、放射性医薬品基準の改正を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、放射性医薬品基準の改正を可とし、薬事分科会に上程し、審議することといたします。
以上で審議事項は終わりですが、報告事項についてお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料9「医薬品エパデールカプセル300、同S300、同S600及び同S900の製造販売承認事項一部変更承認について」事務局より報告いたします。
各製剤は、1剤中イコサペント酸エチルを300mg含有する軟カプセル剤、並びに同有効成分を300、600及び900mg含有する球形の軟カプセル剤です。
今般、高脂血症の効能・効果に対し、900mg、1日2回投与の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料10「医薬品ネキシウムカプセル10mg及び同カプセル20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料10を御覧ください。本剤は、エソメプラゾールマグネシウム水和物を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤であり、現在「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」等の効能・効果で承認されております。
今般、アストラゼネカ株式会社より、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料11「医薬品ノボラピット注100単位/mLの製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料11を御覧ください。本剤は、インスリン アスパルト(遺伝子組換え)を有効成分とする超速効型インスリンアナログのバイアル製剤であり、「インスリン療法が適応となる糖尿病」の効能・効果で承認されております。今般、ノボノルディスクファーマ株式会社から、静脈内注射、持続静脈内注入及び筋肉内注射を追加するなどの用法・用量を一部変更するための申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題4、資料12-1、12-2「医薬品レニベース錠2.5、同錠5、同錠10、エナラート細粒1%、同錠2.5mg、同錠5mg及び同錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
資料12-1、12-2を御覧ください。各製剤は、ACE阻害薬であるエナラプリルマレイン酸塩を有効成分とする製剤です。
レニベース錠について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年1月27日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、MSD株式会社及び共和薬品工業株式会社から、高血圧症の効能・効果における小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題5、資料13-1、13-2「医薬品ゼストリル錠5、同錠10、同錠20、ロンゲス錠5mg、同錠10mg及び同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料13-1、13-2を御覧ください。各製剤は、ACE阻害剤であるリシノプリル水和物を有効成分とする製剤です。ゼストリル錠及びロンゲス錠について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年1月27日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、アストラゼネカ株式会社及び塩野義製薬株式会社から、「高血圧症」の効能・効果における小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題6、資料14-1、14-2、14-3「医薬品ノルバスク錠2.5mg、同錠5mg、同OD錠5mg、アムロジン錠2.5mg、同錠5mg、同OD錠2.5mg、同OD錠5mg、アムロジピン錠2.5mg『アメル』、同錠5mg『アメル』、同OD錠2.5mg『アメル』、同OD錠5mg『アメル』、アムロジピン内用ゼリー2.5mg『トーワ』、同内用ゼリー5mg『トーワ』、同OD錠2.5mg『トーワ』、同OD錠5mg『トーワ』、同錠2.5mg『トーワ』及び同錠5mg『トーワ』の製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料14-1~14-3を御覧ください。各製剤は、カルシウム拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする製剤です。ノルバスク錠、アムロジン錠について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年1月27日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、ファイザー株式会社、大日本住友製薬株式会社、共和薬品工業株式会社及び東和薬品株式会社から、「高血圧症」の効能・効果における小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題7、資料15-1、15-2「医療用医薬品の再審査結果について(アザチオプリン)、(タクロリムス水和物)」について報告いたします。
資料15-1、15-2ですが、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
資料15-1、一般的名称は「アザチオプリン」、販売名は「イムラン錠50mg、アザニン錠50mg」です。
資料15-2、一般的名称は「タクロリムス水和物」、販売名は「プログラフカプセル0.5mg、同1mg、プログラフ顆粒0.2mg及び同1mg」です。
これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要は無い「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。
○松井部会長 ただ今の説明に対して、委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○清水委員 ネキシウムの低用量アスピリン投与時の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制のところですが、添付文書にも記載されているのですが、臨床試験でゲファルナートを全例で併用するというプロトコールになっているようです。どういった背景でゲファルナートを併用するプロトコールになったのか、分かる範囲で結構ですので教えていただきたいと思います。
○機構 機構より御説明いたします。ゲファルナートを全例で併用することになった背景としては、審査報告書31ページに記載しております。本薬の投与対象であるLDA(Low Dose Aspirin)の継続投与によって、消化性潰瘍発症の可能性が高い患者に対して現場では、明確に効能・効果等を持っているわけではありませんが、潰瘍予防の目的で胃粘膜防御因子増強剤が予防の目的で使用されているケースもあります。今回、プラセボ群を設定していることから、そこに対する倫理面の配慮という観点で、申請者の方でゲファルナートについて両群共に全例併用するように設定したということです。
○松井部会長 よろしいですか。その他いかがでしょうか。
○宗林委員 1点確認させてください。資料9のエパデールの添付文書ですが、【使用上の注意】に(1)~(3)まであります。「慎重投与」ということになっていて、(1)、(2)は分かるのですが、手術を予定している患者も、投与を中止ではなくて慎重投与でしたでしょうか。
○機構 機構よりお答えいたします。注意喚起については変更がありませんので、既承認の時の注意喚起のままとなっております。
○宗林委員 組織上はそうだと思うのですが、内容的に投与を中止しなくて良いのかを確認させていただきたかったのでお尋ねいたしました。
○機構 ここに関しては、現在、市販後において、この注意喚起で不都合ということは特にありませんので、見直す必要は無いと考えております。
○宗林委員 医療現場では投与を中止しているということは無いのかと思ったものですからお聞きしたまでです。結構です。
○機構 医療現場の判断で必要であれば中止ということもありますし、中止する必要が無いと思えば慎重に投与するという場合もありますが、出血などを助長させる恐れがあって危険が考えられる場合は、医療現場の判断で中止することもあるとは思います。
○松井部会長 医療判断によるということです。よろしいですか。それでは、ただ今の報告事項については御確認をいただいたものとして、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。本日の議題は以上ですが、事務局から報告があればお願いいたします。
○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のとおり、8月3日(金)午後3時から開催の予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 何か特別に御発言がありますでしょうか。無ければ、本日は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。
(了)
現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告します。矢守隆夫医薬品医療機器総合機構審査センター長です。本日、6月1日より着任しています。
それでは松井部会長、以後の進行をお願いします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をしてください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~15をあらかじめお送りしています。このほか、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由について、資料18を御覧ください。
まず1ページを御覧ください。「アミティーザカプセル」ですが、本品目は「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。「ソマチュリン皮下注」ですが、本品目は「先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。「イメンドカプセル」ですが、本品目は「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)を効能・効果としており、同様の臨床的位置付けの薬剤は無いことから、競合品目はなしとしております。
4ページを御覧ください。「ペンレステープ」ですが、本品目は「伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。「リリカカプセル」ですが、本品目は「線維筋痛症」に伴う疼痛を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は無いことから、競合品目はなしとしております。
6ページを御覧ください。「ミガラスタト塩酸塩」ですが、本品目は「ファブリー病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページを御覧ください。「メトレレプチンですが、本品目は「脂肪萎縮症に起因する糖尿病又は脂質異常症の治療」を予定効能・効果としており、類似の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○松井部会長 ただ今の説明に関して、委員の先生方から何か御質問、御意見はございませんか。特に無いでしょうか。それでは、ただ今の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆様の御了解を得たものとします。
続いて、委員からの申出状況について御報告ください。
○事務局 議題1アミティーザカプセルは、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、村田委員、山田委員です。
議題2ソマチュリンは、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、村田委員、山田委員です。
議題3イメンドカプセルは、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題4ペンレステープは、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。
議題5リリカカプセルは、退室委員 なし、議決には参加しない委員、野田委員です。
議題6ミガラスタトは、退室委員なし、議決には参加しない委員、野田委員、松木委員、村田委員、本橋委員です。
議題7メトレレプチンは、退室委員なし、議決には参加しない委員なしです。以上です。
○松井部会長 本日は、審議事項が8議題、報告事項が7議題です。それでは、議題1に移ります。機構から概要を御説明ください。
○機構 審議事項議題1、資料1-1、1-2「医薬品アミティーザカプセル24μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
便秘は何らかの原因で排便に困難を感じる状態であり、排便の無い期間の長さ、排便量、残便感等で診断され、主な症状は腹痛、直腸残便感、腹部膨満感等です。また、発症経過から、急性便秘と慢性便秘に大別され、さらに原因や病態等により器質性便秘、機能性便秘等に分類されます。現在使用されている便秘症治療薬としては、センノシド等の刺激性下剤、酸化マグネシウム等の塩類下剤等が主に用いられています。これらの薬剤には、それぞれ長期連用による習慣性の問題、高マグネシウム血症等の問題点があるため、有効かつ安全に長期使用できる薬剤の開発が望まれています。
ルビプロストン(以下、「本薬」)は、腸管上皮に存在するClC-2クロライドイオンチャネルの活性化により腸管内への浸透圧性の水分分泌を促進し、便の水分含有量を増加させることにより便秘症状を改善することが期待される薬剤です。申請者は、国内外の臨床試験成績から慢性的な便秘症状を有する患者に対する本薬の有効性及び安全性が確認されたと考え、本薬の承認申請に至りました。
なお、本薬は2006年1月に米国で、2009年11月にスイスで「慢性特発性便秘症」の適応で承認を取得し、米国においては、2008年4月に「便秘型過敏性腸症候群」の適応で本薬の8μg製剤が承認されています。
本品目の専門協議では、本日の配付資料17に示しますような専門委員を指名しました。以下、本薬の有効性、安全性等について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
主な臨床試験成績として、国内用量反応試験、国内第III相試験、国内外長期投与試験4試験の成績が提出されています。有効性に関してですが、報告書41ページの表16を御覧ください。慢性的な便秘症状を有する患者を対象に、プラセボ又は本薬24μg1日2回(48μg/日)4週間経口投与した国内第III相試験において、主要評価項目である「投与第1週における自発排便回数の観察期からの変化量」の結果を示しています。表16より、プラセボ群に対する本薬48μg/日群の優越性が検証されたことから、本薬の有効性は示されていると判断しました。
続いて安全性に関してですが、同じく報告書41ページの表17を御覧ください。国内第 III相試験におけるいずれかの群で2例以上に認められた有害事象の発現状況を示しています。また、報告書50ページの表31及び表32を御覧ください。国内臨床試験における中止・減量・休薬の原因となった有害事象の一覧を示しています。これらの表から、臨床試験では本薬の薬理作用に起因すると考えられる胃腸障害が多く認められましたが、重度の事象は少なく、有害事象により投与中止に至った患者も11.5%と多くはなかったことから、症状に応じて適宜1日1回への減量又は休薬を行うことで忍容可能と考えられました。ただし、特に長期投与試験において下痢、悪心等による減量・休薬例がそれぞれ45%、16.3%と多く認められていることから、有害事象により多くの症例が減量又は休薬した旨を添付文書で情報提供すると共に、製造販売後調査において安全性情報を十分に収集して本邦の臨床使用実態下でのこれらの発現状況について調査すること、また、減量・休薬等の原因となった有害事象とそれらの患者の投与量の推移の確認を行い、必要性に応じて低用量製剤の開発について検討していくことが必要と考えました。
効能・効果に関してですが、報告書68ページの「(3)効能・効果について」の項を御覧ください。申請者案として提案された効能・効果である「慢性特発性便秘症」という疾患名に関しては、本邦の医療現場において広く疾患概念として確立されているものではなく、効能・効果名として適切ではないと考えました。
一方で、本薬が既存の便秘症治療薬とは異なる作用機序を持つこと、また、作用機序から器質的疾患による便秘に対しては効果が無いことから、国内臨床試験で対象とされた患者層に対して本薬が使用されるよう、効能・効果を「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」とすることが妥当と判断しました。
以上、機構での審査の結果、慢性的な便秘症状を有する患者に対する本薬の有効性は示され、安全性は適切な注意喚起の下で許容可能と考えられたことから、本薬を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本薬は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。
また、審査報告書の1ページに誤記がありましたので、御説明させていただきます。審査報告書の1ページに記載しています、「化学構造式」の項の化学名についてですが、英名、日本名共に最初に記載されています「(-)」という記載が誤記であること、また、英名の方の中程に記載されています、「1,1-difluoropentane」の最後の「e」の記載については不要であり、誤記ですので、ここについては訂正の対応をとらせていただきたいと思います。
以上でございます。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。特にございませんか。
○宗林委員 長期の投与試験で、45%の患者さんに対して休止したり、減量が行われるという結果になっていると思います。その場合、中止すれば回復ということですが、この用量を48μg/日よりも、もう少し少ない量で設定という考えは無かったのでしょうか。あるいは、もう少しここの対処を行うということはないのでしょうか。私は、これがかなり高い数字であると思うのですが。
○機構 お答えさせていただきます。その点に関しては、審査の中でも議論したところです。具体的には審査報告1の57ページを御覧いただけますでしょうか。御指摘のあったところについて、やはり48μg/日という用量は高すぎるのではないかというのは、我々の方でも考えましたし、専門協議の中でも、専門委員の先生から御指摘として上がったところです。実際、国内の第II相試験については、16μg/日と32μg/日、48μg/日の3用量で実施されていまして、32μgという用量であっても、ある程度有効性の面でプラセボ群に対する優越性も示されていて、有効性が期待できる面もあったという結果ではありました。ただ、32μgと48μgを比べた場合の有害事象の発現状況として、48μgが許容できないかというと、そうではないという結果もあったので、第III相試験については48μg/日で実施されたというところです。実際に有効性として検証された用量というものが、48μg/日しかないという状況ですので、確かに国内長期投与試験で45%の患者に減量が行われたというのは、決して低くはない数字であると我々としても理解はしていますが、減量対応していくこと、科学的に検証された用量が48μg/日しかないというところもありますので、今回は48μg/日の用法・用量で差し支えないと判断させていただいたところです。
ただ、実際には今後の臨床現場で使用されるに当たって、いろいろと使用されていく中で、やはり減量症例が多かったですとか、そのような情報が市販後調査の中で得られてくることになるかと思いますので、そういった情報が得られた時には、やはりある程度、下の用量を検討する必要が出てくるかと思います。その旨は申請者の方にも伝えさせていただいているというところです。
○宗林委員 確かにその数字しかないというような御説明なのですが、こういった蠕動運動などが少し弱くなってきた高齢者等が飲むケースも多いだろうと思います。この添付文書を見ると、すごく曖昧で「このようなケースがあれば減量してください」というような書き方になっていますが、もう少し具体的に、どのくらいの量にする等の記載をしたり、下痢だけならまだいいですが、吐き気等も伴っているようなので、もう少し具体的な注意等があればいいと思いました。それ以上データが無いということなので、私はこれ以上お話することはありませんが、やはり半分近くがこの量で長期投与できないというのは、やや問題かと思っています。
○機構 少しだけ補足させていただきますと、実施された長期投与試験に関しては、基本的には48μg/日を継続する必要がある、そのように規定された試験なのに対して、実際の臨床現場では、ある程度便秘の症状が改善された場合には、患者さんの症状に応じて、減量ももちろんあり得ますし、休薬も十分あり得る話だと思います。そのような観点では、確かに45%という数値は、少し大きく出てしまってはいますが、現場に出た段階では、ある程度医療現場で、患者さんの各症状に応じてコントロール、適宜用量調節がされるのかと考えています。
あと、少しお話のあった高齢者のところについては、確かにおっしゃるとおり懸念しておりまして、添付文書の2ページの冒頭でも、高齢者に対しては、やはり十分な観察が必要だという旨は注意喚起していますし、高齢者ではある程度腎機能の障害等いろいろな障害があったりする可能性もありますので、腎機能障害のある患者、肝機能障害のある患者もそうですが、そのような患者には用法・用量を下から検討するようにという注意喚起もしていますので、そういった形で対応していきたいと思っているところです。
○松井部会長 清水委員どうぞ。
○清水委員 今の副作用の話ですが、「用法・用量に関する使用上の注意」の1.に、その注意喚起の文が載っていて、臨床試験の項には、長期投与試験で実際に45%に減量が必要であり、16%が休薬をしたというデータが載っているので、その「用法・用量に関する使用上の注意」の1.の後に、「臨床試験の項を参照」という文言を追加すると状況が分かりやすくなるかと感じたのですが、いかがでしょうか。
○機構 お答えさせていただきます。御指摘のとおり、そこで引用した方が、より分かりやすい添付文書になるかと思いますので、申請者に伝えて、対応させたいと思います。
○松井部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。
○佐藤(雄)委員 流産の誘発のことですが、動物実験でそのような傾向があると、添付文書にもそのような記載があるのですが、一方で第III相試験で流産が認められたという記載があるのですが、これは、まず一つは除外されていなかったのかということと、もう一つは因果関係を否定されているのですが、もしそのことについて何か情報がありましたら教えていただきたいということです。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 お答えさせていただきます。選択除外基準に関しては、除外基準として設定はされていました。されていたけれども、結果として入ってしまっていたというところかと思います。これに関して、詳細なところにつきましては確認しきれていないのですが、細かいところまで報告書上で書いていない理由は、治験薬との因果関係が否定されているということ、また、作用機序の面から、この薬剤がプロスタグランジンの類縁体というところもございますので、いずれにしても妊産婦さんに対する使用は、やはり禁忌にすべきだろうと、非臨床の観点から考えていたというところもありますので、ここの自然流産に関して詳細な記載はしなかったところです。ただ、詳細については、再度確認してみます。また後ほど御報告させていただくということでよろしいでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。よろしいですか。他にはございますか。特に無いでしょうか。それではこの議題について、今の点については報告をしていただくということで、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、野田委員、村田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、次の議題に移ります。よろしくお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ソマチュリン皮下注60mg、同皮下注90mg及び同皮下注120mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、ソマトスタチンアナログであるランレオチド酢酸塩を有効成分とする4週毎に1回皮下に投与する注射剤です。ソマトスタチンは、脳の視床下部などから分泌される14個のアミノ酸から成るホルモンであり、下垂体前葉からの成長ホルモン(以下、「GH」)の分泌を抑制することが知られています。
本薬は、ソマトスタチンのアミノ酸の個数と種類を変えることで生体内での安定性を高めた合成環状オクタペプチドです。本薬は、ヒトソマトスタチン受容体サブタイプのうち、GH分泌抑制に関連する2型及び5型に高い親和性を示し、これらの受容体への結合を介してソマトスタチンと同様にGHの分泌を抑制します。
本申請の効能・効果である先端巨大症及び下垂体性巨人症は、本邦における年間発生率が100万人あたり3~4人又は5.3人と推定されている希少疾患です。現在、それらの疾患の治療に用いられているソマトスタチンアナログとして、オクトレオチド酢酸塩を有効成分とする連日投与のサンドスタチン皮下注が1991年6月に、4週毎に1回筋肉内投与をするサンドスタチンLARが2004年4月に承認されています。
本剤は、2012年3月現在、欧米を含め海外54か国で承認されています。本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書79ページの表61を御覧ください。国内第III相試験である003試験において、開始用量を90mgとし、平均血清GH濃度、血清インスリン様成長因子I濃度(以下、「血清IGF-I濃度」)、及び臨床的活動性を示す症候を基に、60mg~120mgの範囲で用量調節された結果、最終評価時に本剤群全体の46.9%の被験者で平均血清GH濃度がコントロール不良ではないと判断される2.5μg/L未満となりました。また、最終評価時に53.1%の被験者で血清IGF-I濃度が年齢・性別基準範囲内となりました。さらに、国内外における本剤の有効性に大きな違いはみられていないことを含めまして、本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性については、国内外の臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況や海外市販後データ、審査報告書83~93ページに示しましたように、胆石症、心機能への影響、血糖コントロールへの影響、胃腸障害等の個別の事象について検討した結果等から、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
製造販売後調査については、105ページの「(6)製造販売後調査の計画について」の項に示しましたように、胆道系障害、胃腸障害、注射部位反応、過敏症反応、血糖コントロール指標への影響等に関する情報が収集される予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、「先端巨大症・下垂体性巨人症」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤共に劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○佐藤(田)委員 一つ質問させてください。派生的な問題かもしれませんが、審査報告書の98ページの辺りから、高齢者というのが国内の002と003試験で、それぞれ65歳以上くらいの方が4例、3例であり、安全であったということが示されていますので、安全なのでしょうけれども、実際にこのような症例で、この薬が65歳以上の方にも適用されていく薬なのかどうかということを参考に教えてください。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。この疾患ですが、過剰分泌されたGHが正常域にコントロールできていれば、心血管のイベントなどによる死亡率が、一般人口と同程度に抑えられるという報告がありますので、高齢者等にも投与されるという可能性はあると思っています。ただ、希少な疾患ですので、実際に試験に組み入れられた高齢者の人数というのは少ないです。
○佐藤(田)委員 今聞き取りにくかったのですが、高齢者の場合には先端が伸びるとかではなくて、心血管がどうかされたということですか。
○機構 成長がある程度終わった発育期後に発症すると、GHの過剰分泌によって、手足の先端の容積の増大などが起こります。先端巨大症の方は、いろいろと合併症を起こしてしまうということが、治療しなければいけない要因の一つなのですが、その中で心血管イベントなどが起こる割合が高くなるということが報告されていまして、血清IGF-I濃度が正常域にコントロールされていますとか、血清GH濃度が正常域にコントロールされていれば、死亡率が、一般人口と変わらなくなってくるという報告があります。
○佐藤(田)委員 そうすると、高齢者など成長が終わった人たちについては、そちらの効果があるということが予測できるので、使うということですか。
○機構 そのように考えています。
○佐藤(田)委員 わかりました。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。特段、御意見はございませんか。清水委員、どうぞ。
○清水委員 接種部位について審査報告書にも書かれているのですが、大腿部への接種について、これは恐らく自己注射が認められている国でのデータかと思うのですが、その辺りの情報提供というのは、どのようにお考えでしょうか。
○機構 御意見ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。注射部位は添付文書4ページの「用法・用量に関連する使用上の注意」にありますように、原則として、やはり臀部の上部外側とすることを想定しています。それは、国内での臨床試験はすべて、臀部の上部外側となっているというのもありますので、局所の忍容性などを考えますと、臀部の上部外側がいいと思っています。ただ、仮に臀部の上部外側に投与できない場合を想定しまして、国内では、まったく投与されていないのですが、大腿部への投与についても、医療現場から問合せがあった時に、すぐ対応できるような使用手順というのも企業の方に作っていただいております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○手島委員 これに対しての過敏症のことですが、市販後調査の中で調査していくということも書かれているのですが、91ページの5行目の確認ですが、「必要に応じて抗ランレオチド抗体を測定する予定である」とあるのですが、これは抗IgG抗体、それからIgE抗体、両方含めた測定ということを考えておられますか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。ランレオチドに対して反応する抗体について、海外に検体を送って測定していただく準備を企業の方にしていただいております。これは、先生が必要だと判断した場合に限りますが。
○松井部会長 よろしいですか。少し読みが足りないのですが、実際に抗体が出来ることで、過敏症反応、その他を起こしたことがあるわけですね。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。過敏症の項で、90ページの辺りから議論させていただいておりますが、002試験について、中段くらいの辺りになりますが、過敏症を含めて、抗体に起因すると考えられるような副作用はありませんでした。また、003試験におきましても、過敏症を含め、抗体に起因すると考えられるような副作用はありませんでした。ただ、市販後にそのような症例がまったく出ないということは言えないかと思いますので、そのような症例が出た場合には、抗体を測定していただくように準備しているという状況になります。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。特に無いですか。それではこの件につきまして、議決に入ります。なお、野田委員、村田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
議題3に移ります。機構から概要を説明してください。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品イメンドカプセル80mg、同カプセル125mg及び同カプセルセットの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
シスプラチン等の抗悪性腫瘍剤を投与すると、消化管粘膜からのセロトニン分泌が亢進し、消化管の5-HT3受容体又は延髄のCTZを介して嘔吐中枢が刺激されることにより、悪心・嘔吐が発現します。また、抗悪性腫瘍剤投与により、消化管粘膜からのサブスタンスPの分泌が亢進し、中枢神経系のNK1受容体に結合することにより悪心・嘔吐が発現することが報告されています。これらの悪心・嘔吐は、がん化学療法の継続を断念させる原因の一つとなっています。
アプレピタント(以下「本薬」)は、NK1受容体拮抗薬であり、悪心・嘔吐に対して他の制吐剤と併用して使用されています。本邦では、「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)」の効能・効果で2009年10月に承認され、NK1受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗剤及びコルチコステロイドの3剤併用療法が普及しつつあります。
申請者は、抗悪性腫瘍剤投与時の悪心・嘔吐は小児患者においても成人患者と同様に大きな課題となっていること、また、2008年3月に「日本小児血液学会」から、同年8月に「日本小児がん学会」から厚生労働省に本薬の小児適応取得に関する要望書が提出されたことを踏まえて、本カプセル剤について、服用が十分可能な12歳以上18歳以下の患者を対象として本薬の開発に至りました。また、12歳未満の小児患者に対しては、本薬のプロドラッグであり、投与や用量調節が簡便な注射剤であるホスアプレピタントの開発が現在進められています。なお、本薬は、海外では抗悪性腫瘍剤投与時の悪心・嘔吐の予防の適応で2012年2月現在、欧米を含む世界76か国において承認されていますが、小児に対する臨床試験成績は国内外共に限られており、現時点では海外において小児に対する用法・用量は確立していません。
本品目の専門協議では、本日の配付資料17に示すような専門委員を指名しました。
以下、本薬の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。主な臨床試験成績として、12歳以上の小児患者を対象に、本薬を抗悪性腫瘍剤投与初日に125mg、2日目及び3日目に80mg投与し、さらに、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾンを併用投与した国内第III相試験、及び同様の用法・用量で本薬又はプラセボを投与し、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾンを併用投与した海外第III相試験各1試験の成績が提出されています。
がん化学療法を予定している小児の悪性腫瘍患者を対象とした臨床試験について、国内第III相試験から得られる情報は限られることから、海外の12歳以上の患者を対象とした海外第III相試験成績、成人の国内試験成績等も参考に、12歳以上の患者における有効性及び安全性について総合的に評価することとしました。
有効性に関してですが、報告書17ページの表10を御覧ください。「0~120時間における『Complete Response(嘔吐なし、かつ救済治療なし)』の患者割合」(以下、「Complete Response」はCR)をはじめ、主な評価項目についての国内第III相試験と海外第III相試験の結果を示しています。
また、報告書19ページの表11及び表12を御覧ください。「0~120時間における『CR』の患者割合」等の評価項目について、国内外の成人と12歳以上の小児の成績を比較した結果を示しています。表11及び表12から、国内外のいずれにおいても、12歳以上の患者の臨床試験成績は成人に比べて劣る傾向にありましたが、17ページの表10から、海外第III相試験では「CR」及びその他の評価項目の患者割合について、本薬群はプラセボ群に比べて高い傾向にあり、「CR」の患者割合についてプラセボ群との群間差は成人と同程度であったこと、また、同じく表10から、国内第III相試験における本薬投与時の成績は海外第III相試験の本薬群に比べて劣る傾向は認められなかったということから、機構は、本薬を含む3剤併用療法の有効性は、12歳以上の患者においても期待できると考えました。
安全性に関してですが、報告書22ページの表15を御覧ください。国内外の第III相試験における血球系の有害事象の発現状況を示しています。また、併せて報告書25ページの「(2)成人の臨床試験成績との比較」についても御覧いただければと思います。
国内第III相試験では、海外第III相試験に比べて有害事象の発現率が高く、特に血球系に関する有害事象の発現率が高い傾向にありました。しかし、成人においても国内試験では海外試験に比べて血球系の有害事象発現率が高かったこと、成人では国内外のいずれの試験においても本薬群と対照群との有害事象の発現状況に問題となる差異は無かったこと、血球系の有害事象は、成人の国内試験に比べて発現率が高いものの抗悪性腫瘍剤の投与による影響も大きく、医療現場ではがん化学療法施行時には既に血球減少に関して十分な注意が払われていることから、血球系の有害事象に関する本薬での新たな注意喚起は不要と考えました。また、その他の事象については、成人の国内試験と比べて特に問題となる傾向は認められなかったことを確認しました。
以上より、12歳以上の患者においても、本薬を含む3剤併用療法の安全性について、許容可能と考えました。ただし、国内第III相試験に組み入れられた症例数は限られていることから、製造販売後調査において、血球系の重篤な有害事象の発現状況について確認していく必要があると考えました。
以上、機構での審査の結果、12歳以上の小児における本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、本薬の12歳以上の小児に対する用法・用量について承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本薬は12歳以上の小児に対する新たな用量を追加する新用量医薬品であるため、再審査期間は残余期間(平成29年10月15日まで)とすることが適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。
○松井部会長 ただ今の説明について、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。
○佐藤(田)委員 先ほどの説明の最後の方に出てきたノイトロ、好中球の減少についてです。幾何的に証明するとこうなるとの判断で今説明をされた訳ですが、審査報告書の25ページの上段から中程ぐらいのパラグラフに出てきますが、最終的にこの薬は単独で使われるわけではなく、抗悪性腫瘍剤と使われて、副作用が出てきたので使うわけです。ですから、どちらが原因かが分からないということですが、安全性は大丈夫だということで、むしろ好中球減少について伺いたいのですが、6行目にあるように、最終的には患者数が少ないので偶発的な結果だったと書き出して、決定とされているのでしょうか。それとも、その下のパラグラフで、機構は海外を見ると少し気になるので、ということですが、結局はどちらとも分からなかったということですか。そこがはっきりしないのですが、簡潔に説明をお願いします。
○機構 簡潔に御説明します。御指摘のあった「偶発的な結果と考えた」というところは、申請者の考察として記載しています。その下の段落が我々機構の考えです。御指摘のあったように、好中球、血球系の減少に関しては、抗がん剤が投与された時に、ある程度骨髄抑制や強い抗がん剤はありますので、それに伴って出てくるということで、そこは仕方ないという面があるかと思っています。機構の判断としては、抗がん剤による影響はかなり大きいであろうと考えているのですが、実際に有害事象として、この程度認められていることから、製販後調査の中でも認められた場合には、しっかりと情報収集して、情報提供していくようにしてくださいと申請者に伝えたというところです。
○佐藤(田)委員 ありがとうございました。大変重要なところだと思いますので、しっかりと記載をし、きちんと伝えていただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○山田委員 私も今の血球系の副作用について少し気になるのですが、添付文書上の記載について見ますと、副作用のところに小児という項目を付けて、発生件数、パーセンテージが書いてあるだけのような気がするのですが、使用上の注意等に記載するまでの必要性は無いという判断なのでしょうか。
○機構 お答えします。報告書の11ページを御覧ください。こちらに表4と表5として、今回実施された12歳以上の小児患者を対象とした国内第III相試験の有害事象と因果関係が否定できなかった有害事象、副作用の表を示しています。好中球減少に関しては、ほかの血球減少もそうですが、要は本薬との因果関係を抜きにした有害事象としてはほとんど出る状況ですが、実際に治験をされた責任医師、分担医師の判断ではありますが、因果関係を否定できないとなったものについては、好中球減少に関すると21例に対して4例まで減っています。添付文書の副作用の項については、基本的には因果関係が否定できていない有害事象に関して載せることになりますので、御指摘のあった2ページの下については、そのように記載しているところです。これらの血球減少については、確かに有害事象でのパーセンテージで見るとかなり高く、ほとんど出ているのがおっしゃるとおり事実だと思うのですが、先ほどから何度もお話しているように、シスプラチンであったり、カルボプラチンであったり、そのような抗がん剤を使用した患者さんに対して吐き気止めという形でこの薬を投与されていますので、どうしても事象として血球減少が出てくることは止むを得ないかというところです。したがって、少なくともこちらの薬剤の影響というよりは、そのような抗がん剤の影響の方が強いだろうと考えて、副作用の項での注意喚起のみで十分ではないかと考えたところです。
○山田委員 それにしても、海外の試験に比較してもかなり多いということは、海外の試験でも同じように抗がん剤は使用されているかと思うのですが、22ページを見ますと、海外での試験結果と国内での試験結果に少し差がある気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
○機構 その点の差について申請者に考察をお願いし、審査報告書の22~23ページ辺りにかけてが申請者の考察です。機構の考えとしては、先ほどから説明しているように、申請者の説明に関しては、22ページの4行目辺りに書いていますが、血球系の有害事象の発現について臨床検査の規定日の違いが影響したと言っていますが、それが本当に影響したのかは、はっきりするものではなく、我々の結論としても、23ページの下から12行目に書いていますが、外国人に比べて日本人で血球系の有害事象の発現率が高かったことについて、申請者の考察からでも明らかにはなっていないと結論しています。ただ、今回、報告書の中でデータとして提示しているわけではないのですが、成人でも同じような傾向が認められていました。そういったこともありますので、今回の結果を踏まえて、血球減少に関しての注意喚起をより上位でするほどの必要性は無いのではないかと考えたところです。
○山田委員 現場では、副作用でこの数値だけが書いてあることで、臨床試験での結果が十分に伝わるかという懸念が少しあったので質問しましたが、引き続き調査をされるのですね。そのようなことで了解しました。
○松井部会長 市販後ということですね。ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 教えてほしいのですが、今回12歳以上の小児を入れたということで、これは5-HT3の拮抗薬とデキサメタゾンなどと併用をしているのですが、5-HT3やデキサメタゾンそのものは抗悪性腫瘍薬の副作用に対する小児の効果・効能は認められているのですか。
○松井部会長 いかがですか。質問の趣旨はお分かりですか。
○審査第一部長 資料1.7の同種同効品一覧表があります。そこでいろいろな制吐剤の添付文書に書かれている内容が書いてあるのですが、そこを見ますと、成人の用量だけのものが多いです。小児の用量まで規定されているものは少ないですね。
オンダンセトロンがその10ページにあります。表1.7-3でオンダンセトロンがあり、そこを見ていただきますと、用法・用量のところで成人とシロップとして小児があるということです。その他のものは、小児の用法・用量はまだ設定されておりません。
○機構 グラニセトロンとオンダンセトロンに関しては、小児用量は書かれています。一方で、ステロイド、デキサメタゾンについては記載されていないのが現状です。
○松木部会長代理 そうすると、二つの単純な疑問が起こるのですが、一つは、この薬の併用との効果に差があるかどうかを見るのが普通ではないかということです。それから、小児の今回の試験の時に5-HT3やデキサメタゾン単独の小児に対する効果もよく分かってないのに、さらにこの3剤を併せて臨床試験を組んでも良かったという理由もよく分からないのですが。
○機構 グラニセトロンとオンダンセトロンについては、小児用法・用量も記載されているというところもありますが、実際、海外のこのような制吐療法に関するASCOやNCCN等のガイドラインや、あるいは日本のがん治療学会の制吐剤に関するガイドラインでは、それらグラニセトロン、オンダンセトロンとデキサメタゾンを併用してNK1受容体拮抗薬を乗せることを、成人では推奨されている状況です。NK1受容体拮抗薬が承認される以前も、グラニセトロンとデキサメタゾン、セロトニン受容体拮抗薬とステロイドでの併用に関して、その当時ガイドラインは無かったのですが、抗がん剤使用時の悪心・嘔吐に対する治療法として使用されていた実態もありますので、少なくともグラニセトロンやオンダンセトロンとステロイドに対して上乗せ効果を見るという観点については、恐らく現場の感覚として大きな問題にはならないのではないかと思います。
○松木部会長代理 要するに、これを承認するかどうかは、プラスアルファの作用があるから承認するのであって、それを示すデータが無くても、成人では多分効いているだろうからということで、小児でも恐らく効くだろうということですか。
○機構 プラスアルファという観点でいきますと、海外の第III相試験に関して、審査報告書の17ページですが、2剤の併用に対して3剤併用した時についての成績を示しています。ここではプラセボ群と記載していますが、これについてはセロトニン受容体拮抗薬とデキサメタゾンとの併用群になります。本薬群との記載は、アプレピタントとセロトニン受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用になります。上乗せ効果という観点では、2剤併用だと全期間や特に遅発期はほとんど効いていないものに対して、乗せたことで効果が上がっているという結果は得られているのではないかと思います。
○松木部会長代理 分かりました。では、プラセボという表現は適当ではないということですね。
○機構 誤解を与える表現だったかもしれません。
○松木部会長代理 もう1点の質問の小児の臨床試験を組む場合に、3種混合で行う時に、その対照薬のデータは当然無いわけですが、既存の薬物でも小児のデータが無くても使ってもいいということですか。この場合、5-HT3拮抗薬は、オンダンセトロンとグラニセトロンだけを使っているのですか。
○機構 お答えします。基本的には、国内の試験はグラニセトロンを使った試験、海外の試験はオンダンセトロンを使った試験になります。それ以外のセロトニン受容体拮抗薬について使えるか使えないかに関しては、15~16ページにかけてのところで、セロトニン受容体拮抗薬の違いが、どれだけ有効性や評価へ影響を及ぼすかどうかという観点からの記載にはなっているのですが、そこについて少し触れています。実際、いろいろ各種ガイドラインを見ますと、NCCNガイドラインなどでは、セロトニン受容体拮抗薬の場合は、有効性が同等で副作用は軽度、かつ、まれであることが示されているといった記載もなされていますので、現場の感覚としてセロトニン受容体拮効薬に関しては、パロノセトロンと言いまして、半減期の長いセロトニン受容体拮抗薬に関しては別かもしれませんが、少なくともそれ以外のセロトニン受容体拮抗薬に関しては、どれを使ったとしても、ある程度効果としては一定なのではないかと認識されているようです。そういった観点から考えますと、今回グラニセトロンとオンダンセトロンだけでの検討ではありますが、恐らくそこについては、ほかのセロトニン受容体拮抗薬が使われたとしても、効果に影響を及ぼすことは少ないのではないかと思います。国内の第III相試験でグラニセトロンを選択された背景としては、国内では多くの施設でグラニセトロンが使われていたこともありますので、それほどほかの薬剤が使われる可能性も少ないのかとは考えています。
○松木部会長代理 質問がうまく伝わらなかったようですが、要は3剤の臨床試験を組む時に、ほかの二つが小児に対する効果、要するに安全性等を十分分かっていてならいいのですが、今回の場合はそうではない場合もあるわけですね。デキサメタゾンなどは、まだデータが無いですので、そのような時にもこのような臨床試験を組んで良かったのかどうかという質問なのですが、いかがでしょうか。
○審査第一部長 臨床試験の併用薬は大変難しい問題で、特に小児の場合はすべての薬剤について、その小児用量が確立しているかというと、そうではない場合も大変多くございます。また、小児だけで有効性・安全性について対照を置いて臨床試験を組むのは、なかなか難しい場合もあります。そのような場合が多いものですから、通常は海外の試験を利用したり、成人のデータをある程度利用するという形で戦略を組みます。
そのような意味で、この薬剤を評価する時に、通常、ガイドラインで3剤併用をして嘔吐を抑える形になっていますので、そのような形で実際に使われる時にどのように評価するかと悩んだ時に、小児用量が確立していないものであっても、臨床試験の中に組み込んで評価する場合もあり得るということです。これは実際のものの評価の時に、どのようなものが使われるかによって、臨床試験の組み方はその都度その都度考えざるを得ない状況だということで御理解いただければと思います。
○松井部会長 小児の臨床試験というのは、ここで出ているのは12歳以上ですが、もっと幼弱な例についてはもっと根拠が弱いということがあります。そのような問題を抱えているということです。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りますが、よろしいですか。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
続いて、議題4について機構から概要を御説明ください。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ペンレステープ18mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。
本剤は、アミド型局所麻酔薬であるリドカインを有効成分とする貼付剤であり、本邦では1994年10月に「静脈留置針穿刺時の疼痛緩和」を効能・効果として承認されています。
本申請においては、伝染性軟属腫摘除予定の患児を対象とした臨床試験を実施し、本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料17に記載しています5名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床成績を中心に説明します。有効性について、審査報告書6ページ、「(2)第III相試験」の項を御覧ください。日本人伝染性軟属腫患児を対象とした第III相試験において、各患児に本剤及びプラセボ0.5枚をいずれも4枚に切って体幹又は四肢の伝染性軟属腫に貼付し、本剤貼付部位、プラセボ貼付部位の順又はプラセボ貼付部位、本剤貼付部位の順の2群に分けて、伝染性軟属腫を摘除した時、主要評価項目である疼痛緩和効果の優劣比較判定による有効率は83.6%、その95%信頼区間は71.9~91.8%でした。また、審査報告書8ページ、表3を御覧ください。先に伝染性軟属腫の摘除を行った治験薬貼付部位の疼痛VRSは、本剤貼付部位ではプラセボ貼付部位と比較して有意に低値であり、日本人伝染性軟属腫患児における伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に対する本剤の有効性は示されたものと判断しています。
安全性について、審査報告書10ページ、表5を御覧ください。伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に関する第III相試験、静脈留置針穿刺時の疼痛緩和に関する使用成績調査及び副作用自発報告において、認められた副作用はいずれも多くは投与部位局所の事象であり、小児又は疾患特有の事象は認められませんでした。なお、臨床試験において検討された症例数は限られていることから、本剤の小児における安全性については、製造販売後調査において更に確認する予定です。
以上の審査を踏まえ、本剤の伝染性軟属腫摘除時の疼痛緩和に対する効能追加について、承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新効能及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年とすることが適切と判断しています。なお、薬事分科会には、報告を予定しています。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ただ今の御説明について、御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 少し派生した質問かもしれませんが、審査報告書の5ページで、これはもしかすると私は認識が無かったので知らないことなのか、妙なデータが出てきているように思うのです。この患者さんは、皮膚の疾患についての適応を通っていて、それから、この前通ったものについては、静脈留置針を置くために、その痛みを取るという目標で行っていたと思うのですが、中ほどのグラフの図1の下の辺りに、確かに抗菌薬などでは血中移行がどのくらいで、組織移行はどの程度いったのか、口蓋扁桃の扁桃摘出を行う時に、行う前に投与したりして、どれだけ移行をしているのか、取ってしまうのですから、そこに移行しているかというチェックはできると思うのですが、この目的と口蓋扁桃適出手術の時に、その予定の患者さんの手背に1時間貼付したというのは、扁桃摘出するには、恐らく静脈留置針を入れて、麻酔で静脈鎮静法を行うために、それを使ったわけではないと思うので、少し意外なこの事象を申請者が言ってきたということで、機構はこれをここに持ってきていますが、どう考えるのでしょうか。それとも、当たり前の審査方法なのでしょうか。虫垂を取る時に行ってみるとかいうことと同じ感じがして、意外なところの組織移行等を見ているように思うのですが。質問の意味はお分かりでしょうか。
○機構 機構より御説明します。この試験については公表文献になりまして、今回、今まであるような静脈留置針穿刺の疼痛緩和と違う効能ではないかと思われるかもしれないのですが、口蓋扁桃適出手術を行うための処置に際して、静脈留置針穿刺を行った試験ですので、静脈留置針穿刺時に血中にどのぐらい移行するかを調べたという報告を申請者が出してきたということです。ですので、口蓋扁桃適出手術に対してこのペンレステープが用いられたという報告ではありません。
○佐藤(田)委員 分かりました。それでしたら、そのように分かるように書いていただきたいと思います。
○機構 申し訳ありません。
○佐藤(田)委員 突飛もなく、ここに出てくること自体が少しおかしいと思いました。静脈鎮静法を行うために、そこに貼ったというテストを行っているということですね。その時に扁桃摘出を行い、移行がどうであったのか、血中はどうであったのかということであれば理屈は通りますが、少し読んでいる方からすると分かりにくいと思いました。
○機構 分かりました。御意見ありがとうございました。
○松井部会長 ほかにございますか。
○古川委員 報告書の9ページに安全性というところがあり、そこの中ほどから「重篤な副作用、小児4例」と書いてあり、「ショック2例、心肺停止、痙攣・意識変容」とあります。この解析が、2例は過量投与による中枢神経系の症状であるということです。残りの2例は、この文章を読みますと、量が少ないのでアナフィラキシー様症状やアナフィラキシーショックによるものだと記載されているのですが、アナフィラキシーと診断した根拠はほかに何かありますか。量が少ないからアナフィラキシーというのは、少し飛び過ぎている感じがするのですが。
○機構 機構より御説明します。報告書の記載が読みにくかったのかもしれませんが、この症例については、元々ショック、アナフィラキシーの症状として上がってきたもので、用量が少ないからこのように考えたというものではなく、症状から見てショック、アナフィラキシーという副作用として上がってきたというものになっています。
○古川委員 その場合の症状を、もっと具体的に出していただきたい。といいますのは、もしアナフィラキシーということだと、リドカインか添加物によるアレルギーですね。それは非常に珍しい症例になるかもしれません。しかし、もしこれが子どもによっては非常に吸収率がよくて、1枚か2枚貼っただけでも非常によく吸収したという例だったら、アナフィラキシーではないわけです。そうすると、すべての子どもに少ない量でも起こり得ることを喚起しなければいけません。ですから、アナフィラキシーだという根拠は非常に大事だと思うのですが、症状は具体的なものは何か出ているのですか。あるいは、もう一度このような試験を行うことはできないでしょうけれども、どの辺まで分かっているのかという点を教えてください。
○機構 機構より御説明します。この症例については、自発報告が上がってきた症例ですので、臨床試験の中で捉えた事象ではなく、細かい内容までがきちんと終えているわけではないということです。1例ずつ御説明してもよろしいですか。
○古川委員 それらしいところの説明をお願いします。
○機構 7歳の男児で起こったショックの事象なのですが、貼付した20分後に顔面蒼白や頭部がボーッとする感じがするという訴えがあったということです。血圧は正常で、貼付部位の発赤を認めなかったという内容でショックの疑い、ショックという事象で医師が判断しています。
もう一例目については、2歳の女児になるのですが、本剤を貼付して10分後に顔色が悪くなり、冷汗が出たために連絡があり、その後受診医療機関に行った際には、受診時には顔色等は悪くはなく、戻ってはいたのですが、その後医師の判断によりその症状がショックと判断されています。
○古川委員 判定自体、なかなか難しいところもありますね。
○松井部会長 2例でよろしいですか。
○古川委員 2例はアナフィラキシーという診断をしたものの症状のようですが。症状からはそうとも言えるような、言えないような微妙なところのような感じがします。これは今議論するつもりはないのですが、これからもしこのような症例の時に、本当にアナフィラキシーなのか、アナフィラキシーですと、リドカインか添加物ですから、だいぶ違ってくると思うのです。そのような人は、そういるわけではありません。ですから、安心して貼れるということですね。しかし、吸収率による問題であれば、すべての子どもに注意しなければいけないことを喚起しなくてはいけないと思うのです。ですから、その辺がこの添付文書を見ても、過量投与による中枢神経の抑制ということです。もう一つはアナフィラキシーショックということです。ですから、その辺の位置付けが今ひとつはっきりしないのですが。
○機構 補足します。リドカインを含めて、アミド系の局所麻酔薬がアレルギーの要因になることは知られており、今回審査報告書に記載したのは、今まで集積された静脈穿刺留置針に対して承認された後に集積された安全性情報を確認し、その際に小児の有害事象を特に注視してみました結果です。併せて成人も確認しており、ショックは小児のみならず成人でも報告されています。23歳の症例で、自発報告としてなので、今おっしゃっていただいているような詳細の部分は我々も確認はできないのですが、自発報告として具体的には事例が挙がっていますから、その点については通常の添付文書の改訂と同様に有害事象が出ていることに基づいて副作用を追記したものです。今回小児に対しての適用ということで、小児の事例の先ほど申し上げた2例については、審査報告には詳細は記載されていますが、特に小児だけということではないのではないかと考えています。
○古川委員 お話を聞いていて、本当のショックみたいではない感じですね。アレルギー的な症状があったのは何となく感じました。アナフィラキシーやアナフィラキシーショックと言われると、少し大きなイメージを持つのです。ですから、もう少しアレルギー的なものがあったという程度であれば、余り心配しなかったのですが、アナフィラキシーショックと言われるとどうでしょうか。片や多い方は、意識障害か痙攣等をしているわけでしょう。片やショックというから、すごく重いイメージを持ちます。しかし、ショックはそれほどでもなさそうな感じなのですが。
○機構 補足します。おっしゃるとおりかもしれません。ただ、実際に医師が副作用を報告する際に重症度も含めて報告されており、その報告のレベルは一応重篤な事象という形での報告でしたので、内容としては先ほど説明したとおりなのですが、扱いとしては、医師の報告に基づいて我々としては重篤な事象と捉えたということです。
○松井部会長 ほかに御発言はありませんか。
○清水委員 今回の承認事項の中に、効能・効果1.の用法・用量にかかわるところで一文削除になることも、今回の審査の範囲なのでしょうか。
○機構 機構より説明します。そのように考えています。今回一文削除というのは、「本剤摘除後直ちに静脈穿刺を行う」という一文が削除になっていることかと思いますが、今回の適応症ではないのですが、基本的には内容としては変わらず、本剤を除去した後にすぐに処置を行うことには変わりません。ただ、そこまでを用法・用量の中まで入れておく必要も特には無いかとの判断もあり、すべての適応症をまとめて本剤摘除の後にすぐに処置を行うと注意喚起することで問題無いのではないかと判断しています。
○清水委員 そのことは理解しますが、考え方としては、この文言そのものに変更があるわけではないのであれば、「適用上の注意」の項目へ移す等という方法も考えられるかと感じましたので、御検討いただければいいかと思います。
○機構 機構より説明します。実は背景としては、この後も新たな効能追加の開発が実施されており、その各効能ごとに貼付後すぐに処置を行うという注意喚起を用法・用量の中に記載する必要も無いだろうということで、注意喚起のレベルとしては「関連する使用上の注意」が適切と考え、今回整理をしています。
ただ、一方で、それを「適用上の注意」、いわゆる添付文書のもう少し後ろの方で注意喚起をする形になると、30分又は約60分貼付して、剥がした後にすぐに処置を行っていただかないと、局所麻酔の効果が薄れてしまう可能性がありますので、そういった意味で除去後直ちに処置等を行うという注意喚起は、この「用法・用量に関連する使用上の注意」として残しておくべきではないかと考えています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにありますか。それでは、議決に入ります。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
議題5の説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品リリカカプセル25mg、同カプセル75mg及び同カプセル150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるプレガバリンは、γ-アミノ酪酸誘導体であり、本邦においては2010年4月に帯状疱疹後神経痛、2010年10月に末梢性神経障害性疼痛の効能・効果で承認されております。今回の申請効能・効果である線維筋痛症(以下、FM)に係る効能・効果については、本邦においては、2009年3月より臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
また、海外における承認状況としては、米国を含む33の国又は地域でFMに係る効能・効果が承認されております。しかしながら、欧州においては、2009年4月に、欧州医薬品庁から、FM患者に対するベネフィットはリスクを上回ることが示されておらず、FMの適応追加の申請について承認を推奨しないとする見解が出され、欧州におけるFMに対する開発は中止されております。この経緯については、後ほど御説明させていただきます。
なお、本申請については、FMが一定の重篤性を有する疾患であること及び本邦においては当該疾患に対する効能・効果を有する薬剤が存在しないことをかんがみ、優先審査の対象とする旨が平成23年12月27日付で厚生労働省から通知されております。
本申請の専門委員としては、資料17、5ページに記載されております4名の委員を指名しております。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性についてですが、審査報告書8ページの表1を御覧ください。日本人FM患者を対象とし、プラセボ又は本剤300~450mgを投与した結果、主要評価項目であるFASでの最終評価時における平均疼痛スコアにおいて、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。
次に、安全性についてですが、審査報告書14ページの表6を御覧ください。本剤による有害事象として、傾眠、浮動性めまい等の発現が認められておりますが、帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性神経障害に伴う疼痛患者を対象とした臨床試験と比較して発現状況に大きな差異は認められませんでした。したがって、添付文書においては、現在の注意喚起を継続することで大きな問題は無いと判断しておりますが、製造販売後調査において、さらに検討したいと考えております。
次に、欧州において本剤が不承認となった経緯について御説明いたします。審査報告書20ページを御覧ください。欧州においては、2009年4月に本剤のFMに対する効能追加の承認を推奨しないとの見解が出されており、その主な根拠としては、1.疼痛及び機能改善に臨床的に意味のある一貫したベネフィットが認められていない、2.治療効果の持続について説得力のある証明がなされていない、3.欧州の代表的な集団において本剤の有効性及び安全性は明らかにされておらず、米国の集団の成績を欧州に外挿することはできないといったことが指摘されております。
日本人を対象とした臨床試験においても、本剤群とプラセボ群の平均疼痛スコアの群間差は海外試験と同程度ですが、機構は、1点目として、FMの主徴は「痛み」であり、疼痛においては本剤のプラセボに対する優越性が検証されていること、2点目として、疼痛に対しては、投与期間を通じて鎮痛効果が示されていること、3点目として、現時点では本邦においてFMに対して承認された薬剤が存在しないこと等を踏まえて、日本人FM患者の疼痛に対する本剤の有効性は示され、一定のベネフィットは示されていると判断しております。
審査報告書23ページ「(3)本剤の臨床的位置付け及び効能・効果について」を御覧ください。このように、国内外の臨床試験においては、本剤の疼痛に対する有効性が検証されていること、FMは、全身の広汎な慢性疼痛と解剖学的に明確な部位の圧痛を主徴とし、多くの患者において、疲労・倦怠感、睡眠障害、機能低下、不安感、抑うつ等の多彩な症状を呈しますが、多様な症状の中でも疼痛に対する有効性が示されていることは明確化すべきと考えることから、本剤の効能・効果は「線維筋痛症に伴う疼痛」とすることが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤の線維筋痛症に伴う疼痛に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品であり、再審査期間は帯状疱疹後神経痛に係る再審査期間の残与期間である平成30年4月15日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○鈴木委員 この薬は同じような臨床結果が出たにもかかわらず、有意差が有ったとはいうものの、日本では差が有った、欧州では差が無かったと読んで、承認と不承認と分かれたような気がするのですが、本邦ではそれでも承認に値すると判断された理由が、鎮痛効果として十分な効果が得られるということなのか、それとも他に薬が無いということを重視されたのでしょうか。心理的な要素もある疾患のようですので、そういった効果も期待してということなのか、その辺の考え方を教えていただけますでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。御指摘ありがとうございます。審査報告書にも記載しておりますように、FMは非常に多彩な症状を呈する疾患であります。今回の日本における臨床試験では、少なくとも疼痛に関してはプラセボに対して本剤の優越性が検証されておりますので、やはりそこを重視いたしました。効能・効果についても、「線維筋痛症に伴う疼痛」と明確化した効能・効果として承認することが適切と考えております。
○松井部会長 その他、いかがですか。
○宗林委員 末梢性神経障害性疼痛の場合は600mgまでということですが、線維筋痛症については450mgを超えないようにということで、これが上限になっております。もしかすると、試験成績書に600mgが余り無いのかと思いながら見ていたのですが、この量の設定をした理由と、先ほどからもお話がありますように、実際にはいろいろな症状があって、診断基準は一応あるけれども、何を機序とするのか、発端とするのかということでは、かなり難しいかと思うのですが、600mgまでとしなかった理由について教えてください。
○機構 まず、国内臨床試験は450mgまでの用量で実施されておりますが、その設定根拠は、米国で行われたFMを対象とした臨床試験が、300~600mgの用量範囲で実施されましたが、審査の過程において、450mgと600mgとでは有効性に大きな差は無いという結論が出され、米国での承認用量がFMに関しては450mgとなったことにあります。国内でもその用量の範囲で臨床試験を実施し、十分な有効性が検証されていることから、本邦のFMに対しても450mgまでを推奨用量とすることが適切と判断しております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
○機構 PMDAから補足説明いたします。先生が御指摘のとおり、600mgまでの有効性がFM患者であるのかどうかというところになるかと思うのですが、基本的にこの臨床開発は、日本では国内試験を一つ行っておりますけれども、海外の多くの試験も参考にした上で、主にアメリカで承認されているといったところも考慮した上で、この薬剤の線維筋痛症に対する有効性を検討しているというところです。アメリカでの用量反応性から、450から600mgに増量した時のベネフィットが無いというところを考慮して、国内試験は450mgを最大用量として実施した結果、線維筋痛症の用量は450mgを最大という承認用法・用量という形を考えております。実際に450mgから600mgに増量した時の効果はどうかというのは、日本人では分からないところですが、米国のデータなどを考えますと、ベネフィットは余り期待できないのではないかと考えております。
○宗林委員 確認ですが、末梢性神経障害性疼痛の場合は、450mgから600mgに増量した時に有意に有効性があるということですね。
○機構 疼痛に対する薬剤で用量反応性を議論するのは中々難しいのですが、末梢性神経障害性疼痛の600mgに関しては、過去に国内で実施した臨床試験の中でも600mgの有効性というものが示されておりますし、アメリカなどの用法・用量を考えますと、600mgのエビデンスというものはあると考えております。線維筋痛症に関しては、450mgから増量した時のエビデンスが乏しいことから、450mgが最大用量と考えております。
○松井部会長 皆様よろしいでしょうか。ほかに御意見はございませんか。それでは、この議題につきまして議決に入ってよろしいでしょうか。議決に入ります。野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
次に、議題6について御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題6、資料6「ミガラスタト塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
御審議の対象となる品目は、「ファブリー病」を予定効能・効果とするミガラスタト塩酸塩です。資料6の機構からの評価報告書に沿って御説明いたします。申請者はグラクソ・スミスクライン株式会社です。以下、評価報告書に沿って、指定要件である対象者数、医療上の必要性及び開発の可能性について順に御説明いたします。
まず、そのページの下から始まる対象者数についてですが、古典ファブリー病及び遅発型のファブリー病の患者数について、各種文献・調査の内容を踏まえて推定しますと、本邦における患者数は両者合わせて15,707~19,298名と推定されます。また、近年報告されたイタリアにおける文献を踏まえても、本邦における患者数は多く見積もっても4万人程度と推定されますので、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えます。
次に、「2.医療上の必要性」について御説明いたします。2枚目の下から次のページにかけて諸々書いてありますが、ファブリー病は、遺伝子変異によるα-ガラクトシダーゼA活性低下により引き起こされるリソソーム蓄積症です。広範囲に重症な臨床症状が及び、平均死亡年齢は40~50代と言われており、腎不全、心疾患、脳卒中などにより生命予後に影響を及ぼす場合があり、本邦では難治性疾患克服研究事業の対象とされていることからも、重篤な疾患であると考えられます。
また、現在ファブリー病の治療には、対症療法と酵素補充療法があり、それぞれ既に治療薬の承認がある状況ですが、酵素補充療法では補充した酵素に対する抗体産生の惹起の可能性、各臓器への酵素活性へのばらつきの可能性、また、点滴静注製剤であり、各週ごとに通院が必要とされている状況です。本剤については、α-ガラクトシダーゼAの活性部位に結合し、酵素の安定化を行い、結果として酵素活性の発現を図るという点で、これまでの酵素補充療法と異なる作用機序の治療法であり、また、低分子であることによって抗体産生の可能性が無いことなどから、医療上の必要性は高いものと考えられます。
最後に開発の可能性ですが、既に複数の第II相試験が完了又は進行中という状況であり、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□予定とされていることから、本剤の開発の可能性は高いものと考えております。以上の3点から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ただ今の説明について、御質疑があればお願いいたします。よろしいですか。
それでは、議決に入ります。なお、野田委員、松木委員、村田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告いたします。次に、議題7について事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題7、資料7「メトレレプチンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。
御審議の対象となる品目は、「脂肪萎縮症に起因する糖尿病又は脂質異常症の治療」を予定効能・効果とするメトレレプチンです。こちらについては、3枚目の機構からの評価報告書に沿って説明いたします。申請者は、塩野義製薬株式会社です。以下、評価報告書に従い、希少疾病用医薬品の指定要件である対象者数、医療上の必要性及び開発の可能性について順に説明いたします。
報告書1~2ページにかけてあるように、対象者数は2007年に実施された国内学会のアンケート調査などの結果と同調査を実施した病院での診療例数を勘案したところ、本邦での脂肪萎縮症患者の数は約40人と推定されました。また、米国における有病率の報告を踏まえて、本邦での有病率も同様と仮定した場合には、約100人と推定されました。これらの結果を踏まえると、本邦における患者数は40~100人と推定されますので、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えられます。
同ページから次のページにかけて始まる「医療上の必要性」について説明いたします。脂肪萎縮症の病態生理は明確には解明されていないところですが、高血糖、高中性脂肪血症、インスリン抵抗性などの重度の代謝異常を含め、様々な臨床症状が現れ、平均寿命が30~40歳とも言われる、極めて予後不良な難治性疾患であると言われていることから、重篤な疾患であると考えられます。脂肪萎縮症の治療には、現在、原因治療は無く、標準治療も確立されていない状況で、対症療法も効果は極めて限定的です。脂肪萎縮症に伴う代謝異常の主な原因は、脂肪組織の欠損又は消失に伴うレプチンの欠乏に起因すると考えられており、レプチンの補充療法については、非臨床試験からの結果からも重度の代謝異常を改善する効果が期待されております。また、本剤はヒトレプチンアナログであり、レプチンと同様に脂肪萎縮症に伴う糖尿病又は脂質異常症の治療薬として有用な薬剤であるということは期待されておりますので、医療上の必要性は高いものと考えられます。
また、3点目の「開発の可能性」についてですが、米国において既に第III相試験が実施されており、これまでの結果から、脂肪萎縮症患者における糖代謝と脂質代謝性肝機能の改善効果及び忍容性が確認されております。国内においては、脂肪萎縮症患者を対象とした臨床研究及び医師主導治験が既に実施されており、臨床研究の結果から、糖代謝、脂質代謝及び肝機能の改善効果が示され、安全性にも問題が無いことが既に確認されております。これらのことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。これら3点から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤(田)委員 議題6と議題7のように、希少疾患と言っても、かなりの数のものもあります。例えば、以前出てきた遺伝子病、遺伝子関連で、全国で10名以下などというのはよく分かるのですが、かなりの数がある疾患も規定で希少疾患に入ってくるわけです。通常の希少疾患該当ではない以前の薬は、汎用される薬剤と言っていいかどうか分かりませんが、かなりの数があるので、有害事象については詳しく規定され、ピックアップされて出されています。希少疾患というのは、診察とか治療をする人が固定されて、限定された患者さんを診るので、何か起こる可能性があるということが該当する患者さんにはっきりと伝わっている、若しくは患者さんが子どもであれば親に伝わっているものの、まだ途中の段階のように感じるのですが、それはいいのでしょうか。逆に、私が見る時に有害事象について、ここまで見なくてはいけないということも、甘く、そのような疾患であったら、その程度は仕方が無いかと相殺して考えるのか、どのように考えてこれから評価するのでしょうか。希少疾患に対する薬は今までよりも多く出てきていると思うので、判断基準として安全性をどう見るのか、この薬にということではなく、そのポイントだけ教えていただきたいと思います。
○事務局 事務局よりお答えいたします。希少疾病用医薬品の指定については、薬事承認の審議とは別でして、これから開発をしていくものについて開発助成などを行い、開発の促進をしていくというものです。指定を受けた後、安全性の情報、有効性の情報といったことをまとめて承認申請が行われて、改めて御審議をいただくという形になります。希少疾病用医薬品の指定の可否の審議に当たっては、御指摘のように安全性情報も限られているところは多いと思います。ただ、今後開発をしていく上で、開発の見込みというのを一つの評価項目としておりますので、安全性情報は限られてはおりますけれども、重篤な副作用が出ているとか、そういった観点から開発の見込みが無いのではないかということで御意見をいただければと思います。
○松井部会長 審査管理課長、いかがですか。
○審査管理課長 佐藤先生の御質問は、どちらかと言うと有効性・安全性の判断で、これは承認審査の方へのお尋ねではないかと思います。希少疾病用医薬品の指定に関しては、ただ今担当から説明したとおりです。薬事法上の製造販売承認に当たりましては、まず有効性が認められないものについては承認しないということです。有効性は認められるのだけれども、有効性に比して著しく有害な作用が生じて、医療上の価値が無いと認められるものについても承認しないことになっております。また、その他の品質が著しく劣るようなものについても承認しないという三つの要件が、いわゆる承認する際の「承認しない事由」として掲げられているところです。先生が指摘された点は2点目の有効性と安全性のバランスというところだと思いますので、そこは他剤が無いなどといったところで、そのバランスをどのように考えるか、承認審査した結果について、有効性・安全性のバランスが問題無いかどうかというところをこの場でさらに入念に御審議いただいて、その答申を受けて承認するというシステムになっておりますので、そのような位置付けにあることを御理解いただければと思います。
○佐藤(田)委員 理解としては、ここでの審査は今までのものの承認と違って、中間的な審査、中間的な評価をすればいいという感覚の判断でよろしいのでしょうか。治験に至るものも、治験に至らないものも、種類によってはありますし、そのデータが出てから本当の審査をしていくと今おっしゃったわけですから、現段階でここに出てくる時には、中間的という言葉が正しいかどうか分かりませんが、「大方いい」ということを審査するということでよろしいのでしょうか。先ほどまでは、有効率何%で、投与量がどうで、というところまでシビアにチェックをし、見ていったわけですけれども、希少疾患の薬に関しては感覚が少し違うので質問したのです。今お答えになったことは、私が理解したことと違っていますでしょうか。
○審査管理課長 希少疾病用医薬品の指定に際しての正にここで御審議いただいている趣旨ということでしょうか。そういたしますと、特に医療上の必要性についての点かと思います。この点については希少疾病用医薬品の開発ということもありますから、そもそも得られている情報が限られているということも予想されます。限られた情報の中で、特に忍容性上も問題があって使えない、臨床上、使用に耐えないということであれば、これは排除されるべきだと思います。ただ、そのようなものでなく、他に治療方法が無いという状況のものについては、臨床上試してみる価値があるということであれば、ここではお認めいただければと思います。最終的に臨床試験を開始する際には、もちろん私どもも届出を受理する際に、先ほど申し上げた忍容性といったところで、特に安全性上、開始するに当たって問題が無いかどうかについては、PMDAの方で、特に初回の治験届の際にはチェックしますので、その辺は私ども行政が責任を持ってさせていただくということです。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに特に御発言がなければ、議決に入ります。
本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議が無いようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
次に、議題8について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題8、資料8「放射性医薬品基準の改正について」事務局より説明いたします。
配付資料2枚目が資料8-2です。基準の改正の背景などについてまとめておりますので、これに沿って説明いたします。まず、放射性医薬品基準は、薬事法第42条第1項の規定に基づき、放射性医薬品について製法、性状、品質、貯法などの基準を定めております。現行の基準においては、平成8年に全面的な改正を行っておりますが、その後、新医薬品の承認にあわせた各条の追加などの一部改正を行ってきたところです。今回、前回の改正から一定の時間が経過しておりますので、最新の科学的な技術の知見に則した試験方法への対応とか、日本薬局方との整合性を図ることなどを目的として、今回見直しを行うことといたしました。なお、当部会で御審議いただく今回の改正の内容については、昨年度、放射性医薬品基準の改正のための検討委員会を設置し、国立医薬品食品衛生研究所を含む専門家の先生方、この中には当部会の委員でもある手島先生にも御出席いただき、御議論いただいた結果を取りまとめたものです。
次に、改正案の概要を説明いたします。まず、通則についてですが、日本薬局方との整合性を図るための改訂が主な改正です。そのほか「放射性物質の数料等に関する基準」に合わせた直接の容器や被包へのいわゆる放射能標識等の記載に関する部分の変更、放射性医薬品の特性を踏まえた有効期限を表示できるといったような改訂を予定しております。 製剤総則については、パラメトリックリリースの導入、注射剤については各種試験方法の追加、エンドトキシン試験法の規格の設定などを予定しております。一般試験法については、試験法の規定順、並びの見直し、各放射線測定方法の見直しなどを行っているところです。
医薬品の各条についてですが、既に承認整理された品目の削除や、有害試薬を用いたこれまでの試験方法の代替となるような試験方法の設定を行っております。最後に今後の予定ですが、本日御審議いただき、基準の改正について御了解いただくことができましたら、次は幅広い意見の募集の機会として、パブリック・コメントの実施やWTO通報を実施いたします。その後は、その際いただいた御意見を踏まえて、内容を適宜修正の上、分科会で御審議いただき、告示する予定としております。以上が改正の概要です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から、御質問や御意見をお願いいたします。
○清水委員 放射性医薬品の基準の中での取扱いについては不勉強なところがあるのですが、「通則」の3点目に「有効期間」とあって、医薬品で一般的に使われているのは「使用期限」という用語になると思うのですけれども、放射性医薬品については「有効期間」と「有効期限」という表記が妥当なのでしょうか。よく理解できなかったので、教えてください。
○事務局 御質問ありがとうございます。事務局よりお答えいたします。御指摘いただきました有効期間の表記方法についてですが、資料の別添の5ページの「(4)有効期間」に、下線を引きまして、「又は有効期限」という形で、医薬品によって有効期間、つまり製造から3年間有効という期間を示すか、または有効期限、つまりいつまで有効なのか、期限を明確にできるような表記を今回予定しております。これは放射性医薬品の特性として、半減期が非常に短いものを使っており、短いものであれば、検定日時から2.4時間以内に使わないと効果が得られないといったものがあります。したがって、通常の薬のように3年とか、何年間有効という期限は、現場では余り意味が無く、先生の手元に届いてからいつの時点まで有効であるのか、そのようなものが表記できるのが現場でも使い勝手がいいということで、いつまで有効なのかという期限を加えることを予定しております。
○清水委員 一般の医薬品では「使用期限」という言葉を使っておりますが、放射線については「有効期限」という言葉で、ただ今説明されたことを表記していくと理解していいわけですね。
○事務局 原案のとおり「有効期限」ということで考えております。
○松井部会長 そのほかはいかがでしょうか。
○檜山委員 少し細かいところで、製剤総則の1点目に、「パラメトリックリリースの概念を取り入れること」とありますが、これは何ページのどの項目の箇所に書かれているのか教えていただければと思います。例えば9ページの(10)辺りを指しているのか、どこであるのか教えてください。全体的に専門家の方が見られているので問題は無いと思いますが、どこに書かれているのかということをお聞きしたいのです。
○事務局 御説明いたします。御指摘いただいたとおり9ページの(10)の部分について、パラメトリックリリースの概念が反映されていると考えております。
○檜山委員 ありがとうございました。
○松井部会長 その他特段の御意見が無ければ、議決に入ります。
本議題について、放射性医薬品基準の改正を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、放射性医薬品基準の改正を可とし、薬事分科会に上程し、審議することといたします。
以上で審議事項は終わりですが、報告事項についてお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料9「医薬品エパデールカプセル300、同S300、同S600及び同S900の製造販売承認事項一部変更承認について」事務局より報告いたします。
各製剤は、1剤中イコサペント酸エチルを300mg含有する軟カプセル剤、並びに同有効成分を300、600及び900mg含有する球形の軟カプセル剤です。
今般、高脂血症の効能・効果に対し、900mg、1日2回投与の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題2、資料10「医薬品ネキシウムカプセル10mg及び同カプセル20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料10を御覧ください。本剤は、エソメプラゾールマグネシウム水和物を有効成分とするプロトンポンプ阻害剤であり、現在「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」等の効能・効果で承認されております。
今般、アストラゼネカ株式会社より、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題3、資料11「医薬品ノボラピット注100単位/mLの製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料11を御覧ください。本剤は、インスリン アスパルト(遺伝子組換え)を有効成分とする超速効型インスリンアナログのバイアル製剤であり、「インスリン療法が適応となる糖尿病」の効能・効果で承認されております。今般、ノボノルディスクファーマ株式会社から、静脈内注射、持続静脈内注入及び筋肉内注射を追加するなどの用法・用量を一部変更するための申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題4、資料12-1、12-2「医薬品レニベース錠2.5、同錠5、同錠10、エナラート細粒1%、同錠2.5mg、同錠5mg及び同錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
資料12-1、12-2を御覧ください。各製剤は、ACE阻害薬であるエナラプリルマレイン酸塩を有効成分とする製剤です。
レニベース錠について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年1月27日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、MSD株式会社及び共和薬品工業株式会社から、高血圧症の効能・効果における小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題5、資料13-1、13-2「医薬品ゼストリル錠5、同錠10、同錠20、ロンゲス錠5mg、同錠10mg及び同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料13-1、13-2を御覧ください。各製剤は、ACE阻害剤であるリシノプリル水和物を有効成分とする製剤です。ゼストリル錠及びロンゲス錠について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年1月27日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、アストラゼネカ株式会社及び塩野義製薬株式会社から、「高血圧症」の効能・効果における小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題6、資料14-1、14-2、14-3「医薬品ノルバスク錠2.5mg、同錠5mg、同OD錠5mg、アムロジン錠2.5mg、同錠5mg、同OD錠2.5mg、同OD錠5mg、アムロジピン錠2.5mg『アメル』、同錠5mg『アメル』、同OD錠2.5mg『アメル』、同OD錠5mg『アメル』、アムロジピン内用ゼリー2.5mg『トーワ』、同内用ゼリー5mg『トーワ』、同OD錠2.5mg『トーワ』、同OD錠5mg『トーワ』、同錠2.5mg『トーワ』及び同錠5mg『トーワ』の製造販売承認事項一部変更承認について」報告をいたします。
資料14-1~14-3を御覧ください。各製剤は、カルシウム拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする製剤です。ノルバスク錠、アムロジン錠について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年1月27日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、ファイザー株式会社、大日本住友製薬株式会社、共和薬品工業株式会社及び東和薬品株式会社から、「高血圧症」の効能・効果における小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項議題7、資料15-1、15-2「医療用医薬品の再審査結果について(アザチオプリン)、(タクロリムス水和物)」について報告いたします。
資料15-1、15-2ですが、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
資料15-1、一般的名称は「アザチオプリン」、販売名は「イムラン錠50mg、アザニン錠50mg」です。
資料15-2、一般的名称は「タクロリムス水和物」、販売名は「プログラフカプセル0.5mg、同1mg、プログラフ顆粒0.2mg及び同1mg」です。
これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要は無い「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。
○松井部会長 ただ今の説明に対して、委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。
○清水委員 ネキシウムの低用量アスピリン投与時の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制のところですが、添付文書にも記載されているのですが、臨床試験でゲファルナートを全例で併用するというプロトコールになっているようです。どういった背景でゲファルナートを併用するプロトコールになったのか、分かる範囲で結構ですので教えていただきたいと思います。
○機構 機構より御説明いたします。ゲファルナートを全例で併用することになった背景としては、審査報告書31ページに記載しております。本薬の投与対象であるLDA(Low Dose Aspirin)の継続投与によって、消化性潰瘍発症の可能性が高い患者に対して現場では、明確に効能・効果等を持っているわけではありませんが、潰瘍予防の目的で胃粘膜防御因子増強剤が予防の目的で使用されているケースもあります。今回、プラセボ群を設定していることから、そこに対する倫理面の配慮という観点で、申請者の方でゲファルナートについて両群共に全例併用するように設定したということです。
○松井部会長 よろしいですか。その他いかがでしょうか。
○宗林委員 1点確認させてください。資料9のエパデールの添付文書ですが、【使用上の注意】に(1)~(3)まであります。「慎重投与」ということになっていて、(1)、(2)は分かるのですが、手術を予定している患者も、投与を中止ではなくて慎重投与でしたでしょうか。
○機構 機構よりお答えいたします。注意喚起については変更がありませんので、既承認の時の注意喚起のままとなっております。
○宗林委員 組織上はそうだと思うのですが、内容的に投与を中止しなくて良いのかを確認させていただきたかったのでお尋ねいたしました。
○機構 ここに関しては、現在、市販後において、この注意喚起で不都合ということは特にありませんので、見直す必要は無いと考えております。
○宗林委員 医療現場では投与を中止しているということは無いのかと思ったものですからお聞きしたまでです。結構です。
○機構 医療現場の判断で必要であれば中止ということもありますし、中止する必要が無いと思えば慎重に投与するという場合もありますが、出血などを助長させる恐れがあって危険が考えられる場合は、医療現場の判断で中止することもあるとは思います。
○松井部会長 医療判断によるということです。よろしいですか。それでは、ただ今の報告事項については御確認をいただいたものとして、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。本日の議題は以上ですが、事務局から報告があればお願いいたします。
○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のとおり、8月3日(金)午後3時から開催の予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 何か特別に御発言がありますでしょうか。無ければ、本日は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)