ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成24年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)> 化学物質のリスク評価検討会の「第1回有害性評価小検討会」




2012年9月10日 化学物質のリスク評価検討会の「第1回有害性評価小検討会」

労働基準局安全衛生部

○日時

平成24年9月10日(月)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館827号会議室


○議事

○大淵有害性調査機関査察官 定刻になりましたので、ただいまから「第1回有害性評価小検討会」を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。まず事務局より出席者のご紹介をさせていただきたいと思いますが、参考資料の1に本日の出席者の先生方の名簿がございますので、ご参考にしていただけたらと思います。本日は本年度の有害性評価小検討会としては第1回目になりますが、小検討会のメインのメンバーの先生は、この春以降の先生方と同じでございまして、池田先生、江馬先生、大前先生、清水先生、高田先生、津田先生、西川先生、宮川先生となっております。清水先生はまだお見えではありませんが、始めさせていただきます。
 今回から少し新しいテーマでしばらく検討を続けることになり、発がん性の評価の加速化ということで、そのための特別参集者といたしまして、リスク評価の企画検討会の座長であります中央労働災害防止協会の櫻井先生、本日お越しいただいております日本バイオアッセイ研究センター所長の福島先生よろしくお願いいたします。本日はご都合によりご欠席でございますが、国立医薬品・食品衛生研究所の吉田緑先生を含め3名の先生にしばらくの間メンバーとして加わっていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、以下の進行につきましては、座長の大前先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○大前座長 大前でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず最初に資料の確認をよろしくお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 お手元の資料ですが、議事次第が1枚目にあり、その裏面の配付資料の一覧があります。まず資料1「化学物質の発がん性評価の加速化の検討について(案)」、資料2「中期発がん性試験:二段階発がんモデル 」で福島先生の資料です。資料2に関係する資料として、別添1、別添2で、それぞれ論文を付けています。別添1、別添2につきましては委員の先生、それから事務局のみの配付となっておりまして傍聴者の方には入っておりませんので、よろしくお願いをいたします
 資料3「遺伝子組み換え実験動物による発がん試験代替法」で、津田先生の資料です。資料3に関係するものとしまして別添1、別添2、別添3、別添4が関係する論文の資料です。こちらも机上のみの配付ということでございます。
 続きまして資料4-1「メチルアミンの吸入ばく露による発がん性試験結果」で、試験結果の概要に当たるものです。これに関係する資料としまして、資料の4-2「メチルアミンのラットを用いた吸入によるがん原性試験結果報告書」、資料4-3が「メチルアミンのマウスを用いた吸入によるがん原性試験結果報告書」です。資料4-2、4-3も机上配付です。
 資料5「今後の予定について」、そのあと参考資料の1は先ほどご紹介しました「リスク評価検討会参集者名簿」、参考資料2「国が実施するがん原性試験について」。参考資料3医薬品のがん原性試験に関するガイドライン(抜粋)」です。以上資料でございますが、何か不足のもの等がございますでしょうか。
○大前座長 よろしいですか。議事に入りたいと思います。今日は3つございますが、実質的には2つです。まず最初に「発がん性評価の加速化に関する検討について」、事務局からご説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 資料1、「化学物質の発がん性評価の加速化の検討について(案)」というタイトルを付けています資料をご覧ください。事務局では今回から年内にかけまして、「発がん性評価の加速化」について、ご検討をいただこうと考えております。内容について簡単に資料にまとめております。1番の労働基準局のこれまでの取組です。発がん性に関連する取組ですが、(1)にありますように、長期の発がん性試験を日本バイオアッセイ研究センターに委託いたしまして、昭和50年代から47物質について試験を実施してきております。
 (2)にありますように、このリスク評価検討会で行っているリスク評価ですが、発がん性を基準として選定をした48物質について、現在までリスク評価をしてきております。2の「発がん性の評価の加速化の必要性」ということで、いま1の(1)(2)のところで40いくつという物質の数を申し上げましたが、職場で使っている物質の数が相当多くて、更にその数も増えているということがある中で、?にありますように、今年、印刷事業の労働者の胆管がんの発生に関する労働災害補償の請求がありましたが、これと業務との関連については調査をしているところなのですが、広く労働者の安心を確保するためには、更に発がん性についての取組を進めていく必要があるのではないかと、そのためには、発がん性の評価をより迅速に行うことが必要であろうと考えております。
 2頁の?、リスク評価に関してもIARCなどの評価されている物質をいままでやってきましたが、相当部分リスク評価を終えてきているというようなことがありまして、今後そういった国際機関の評価以外の面からも、発がん性の評価を考えていく必要性が一方でございます。
 3、「当面の検討」ですが、事務局では検討内容として、大きく2項目考えていまして、(1)の検討内容のア、イがありますが、アの長期発がん性試験の効率化につきましては、昭和50年代からずっと着々とやってきているわけですが、これをもう少し、信頼性は確保しつつ、効率化できないかという検討です。(参考)のところにありますように、現在の長期の発がん性試験につきましては、OECDのテストガイドラインに沿って、2年間の試験期間でやってきているわけですが、試験結果の信頼性を確保するために、2種類の動物を使用してきております。
 一方で、医薬品の製造・輸入の承認に必要な発がん性試験では、日本、EU、アメリカと共通の考え方を取るような仕組みがありまして、いま取られている考え方として、一応、1種類は2年間の試験で、残り1種類は所定の方法であれば中期の試験でもよいことになっていますので、この辺の考え方について、どのように考えるかというのが事務局で考えた検討課題がアです。
 イですが、更に長期発がん性試験を効率化するにしても、長期発がん性の試験にいく前に、もう少し何らかの方法で発がん性の可能性を判定することはできないのかというのが2つ目の課題です。
 そういったスクリーニングによって、発がん性の可能性が一定程度ある物質については、行政上の指針とか、安衛法に基づく指針などで、事業者を指導していってはどうかということと、こういうものはリスク評価の対象として順次考えていってはどうかというような事務局の素案です。
 (参考)のところにありますように、開発されている発がん性の可能性の判定方法として、?やはり中期の試験をスクリーニングにも使えるのではないかという考え方がある。?として、遺伝毒性発がん性包括試験法だとか、?として、関連遺伝子の発現量を測定する手法だとかいったものが、新しく開発されてきていますのと、?の遺伝毒性の試験を発がん性のスクリーニングに利用していくという考え方もある。従来とってきているところです。?として、構造活性相関やカテゴリーアプローチというのも使えるのではないかということです。
 (2)の検討スケジュールですが、おおよその目安ですが、まず長期発がん性試験の効率化については、3回目ぐらいまで方針を検討していただいて、来年度以降、委託試験に徐々に反映させていく必要があるのではないかと考えております。?のスクリーニングについては、年内に方針を検討するということでどうかと考えております。
 (3)の検討体制につきましては冒頭に出席者の紹介のところでご説明しましたように、有害性評価小検討会の参集者に、更にこの分野に詳しい3名の方にお願いをすることを考えております。
 最後に別紙があります。主に先ほどの検討内容でいきますと、イのスクリーニングに重点を置いて全体の構想図の素案のようなものを、一応イメージが湧くように事務局で作成をしてみました。職場で使われている物質が約6万物質と言われていますが、このうち1事業者1トン以上の製造・輸入量があるものが7,000ぐらいあるのですが、そのうち発がん性に関する情報があるものは、相当限られたものしかありませんので、下の段の「情報なし、又は判断不可」に、大体が該当してくるわけです。発がん性を考えるときに、従来の考え方では、遺伝毒性のあるものとないものというのは、相当扱い、考え方が違うのではないかということがありまして、その中でどのようにスクリーニングするかということで、遺伝毒性のあるものは、従来の考え方で遺伝毒性の強さが発がん性のスクリーニングに使えるのではないかということがあるのと、遺伝毒性のないほうは、非常にスクリーニングが難しいのですが、構造活性相関などを使って、何か絞り込みをして、実際に試験を実施する物質も必要であろうと。その中で遺伝毒性試験を補足的に実施するものもあるのですが、点線で囲んでいる中期の発がん試験などの新しい手法をどのように活用していくのか、あるいは活用できるのかできないのかというようなところの検討もいただいて、長期の発がん性試験、あるいはリスク評価というところに繋げていくことを、相当大雑把ではありますが考えています。長期発がん性試験の効率化についての議論を今回と第2回でやっていただきまして、このスクリーニングの議論を第3回以降に考えています。ただこのスクリーニングのほうは相当議論があるかと思いますので、別途メールで先生方のご意見をあらかじめ伺いながら、徐々に進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。事務局からの説明は以上です。
○大前座長 ありがとうございました。いまの事務局のご説明についていかがでしょうか。化学物質の発がん性評価の加速化をやりたいということで、やり方やスケジュール等を説明していただきましたが、いままではラット・マウスの2種類を使いまして、吸入できるものは吸入、それからできないものは経口ということで、たしか毎年吸入試験を1物質、経口試験を1物質の形で国が評価をしていたと思います。それはいまの加速化、同じ予算と同じ期間の中でできるだけ早くたくさんの物質をやりたいという考え方だったと思いますがいかがでしょうか。私もこの辺はあまりよくわかっていないのですが、この加速試験というのは、吸入でも経口でもあり得る。経口の加速試験はたぶんあると思うのですが、吸入でもできるということですか。 
○福島委員 我々という言い方をしていいかどうかわかりませんが、いままで検討をしてきた、少なくとも二段階の試験法、もう1つはマウスを用いたいわゆる遺伝子改変動物を用いた代替法。その両方とも手法としては経口ということで今まで検討されてきましたが、これはあくまで投与方法だけの問題ですから、投与する物質によっては吸入に置き換えて評価することに関しては、それは別に問題はないと思っています。
○大前座長 そのほか何かいかがでしょうか。具体的には後ほど福島委員、津田委員からご紹介いただきます。もう1点は医薬品のほうでは、中期の試験はいま実用化されているというお話ですが、医薬品とこういう化学物質との相違というのは、どのように考えたらいいでしょうか。医薬品の場合は代謝等、当然、薬として使う有効性のある範囲内でたぶんやって、かつその投与期間は短いと思うのですが、工業薬品の場合は当然非常に長いわけで、何10年といううレベルですが、その辺の差というのは、どのように考えたらよろしいでしょうか。
○福島委員 むしろ医薬品のことに関しては西川先生のほうがよく知っていらっしゃいますので、あとでご意見をいただければと思います。少なくとも医薬品では、先ほど松井室長から説明がありましたように、特にマウスのほうですが、マウスの2年間に代って、代替法で補完できるという形でいま進めております。
 我々労働衛生の面でそれが利用できるかということになりますが、利用できるかというか、現実的にその考え方というものについては、私は労働衛生の面に発がん性評価試験に導入してもいいだろうと思います。ただ、出た結果をどうするかについては、これ先ほど松井室長が言われたように、どうするかの前にいろいろな検討をして導入していったらいいのではないかなと思います。
 医薬品の場合にはラットを主体で2年間して、マウスのほうは代替法でするというのが、いま現実的に動いています。これはアメリカのFDAが動いて、日本もそれで動いているという姿です。何か西川先生からコメントがありましたらお願いいたします。 
○西川委員 福島先生のおっしゃったとおりですが、基本的にがん原性の評価については、医薬品も労働関係の化学物質も同じだと思います。現状としては原則ラットの2年間の試験をやって、その代替といいますか、以前マウスの長期試験をやっていたのですが、それに代わる試験として、2段階のラットのイニシエーション・プロモーション試験、それから遺伝子改変マウスを用いた試験、あるいは新生児マウスを用いた試験も一応容認されることになっているのですが、実際に行われているのは遺伝子改変マウスを用いた試験です。p53ノックアウトか、rasH2マウスの試験成績が主に蓄積されている段階です。
 もう少し言いますと、いま医薬品のほうで更に動きがあって、まだ決定はされていないのですが、ラットの長期試験もある意味、省略できるのではないかという動きがあります。ただ、それは明らかに薬理作用等からがん原性があると予測されるもの。あるいは毒性成績等からがん原性がないと予測されるものについても、要するにがん原性試験をやる必要がないというスタンスで、ガイドラインを改定しようという動きがありますが、いままだそれは動いている途中なので何とも言えません。現状としては福島先生がお話しされたとおりです。
○大前座長 医薬品の場合はいいのですか。
○福島委員 もう1つ先の、少し違っているというのは、医薬品の場合等については、発がん性が出た場合でも、いかにそのMOAをきちんとするということをしているのですね。ところがいま労働衛生のここの場合においては、そこまでは要求しない、発がん性がありという形で、実際にはそれで規制が行われています。その辺の考え方をどうするかということが出てくると思います。そういう意味でちょっと違ってくると思います。
○大前座長 その点をお伺いしようと思ったのですが、医薬品の場合は、たぶん発がん試験をやる前にMOAなどを結構詳しく調べますよね。それで、そういう……の情報が十分あった状態で発がん試験をたぶんやられると思うのですね。そして中期もということで判断される。ところが労働関係の場合はそういう情報がほとんどない状態でやるということがあるので、例えば中期でなかった場合、ネガティブだった場合ですが、大丈夫かなという疑問が若干あるのです。
○福島委員 いま言われたように、医薬品のほうは吸収から代謝まで含めた、いわゆる体内動態をきちんと調べる。それがMOAに結び付いてくるということがあるのですね。ところが一般労働衛生の面の、我々が扱うような化学物質については、そこのところまでは調られているのがあるかもわかりませんが、現実的にはないのがほとんどだと思いますね。だからその辺りのところで、いま大前座長が言われたように、結果をどうするのかという考え方は、いま松井室長が言われた3回以降のディスカッションになるのではないかと思うのです。
○大前座長 そのほか先生方、ご意見いかがでしょうか。  
○江馬委員 マウスでほかの試験をやるというのが選択だということなのですが、マウスとマウスの発がん性の鋭敏度と言いますか、ヒトの発がん性の相同性というのは、ラットと比べてラットのほうが高いのですか。
○西川委員 代替法を導入した理由の1つが、マウスでは偽陽性が多いというデータがありまして、あえてやる必要もないのではないかということが理由で、遺伝子改変動物とか二段階モデルを使ったらどうかということになっていると思います。
○江馬委員 そうするとラットの長期の発がん性試験を実施して、発がん性があればマウスの試験は不必要ということも言えるわけですよね。発がん性がないということをマウスで示しても否定できないので、片一方のラットで発がん性が出ればマウスの試験は不必要だということですか。
○西川委員 大雑把に言えばそのとおりだと思います。
○福島委員 ただいま江馬先生の言われたように、1つはラットで出た標的部位と、それからマウスで出た標的部位の違いというのは当然あるのですね。そういう意味で2種はすべきだと思います。それからもう1点、ラットとマウスで、現実によく問題になるのは、MOAの面からマウスの肝腫瘍をどうするか。例えばマウスの肝腫瘍でCARが絡んでいる系、PXRが絡んでいる系、それからPPARが絡んでいる系といろいろあるわけですね。特にCARが絡んでいる系については、どうもそのメカニズム、それからヒトにおける疫学データ、特に言われているのはフェルバルビタールですが、そのものがヒトではどうも起こらないといういままでの事実。そこからマウスの発がん性については、ヒトへの外挿を考えると、ラットよりは劣るだろうという考え方ですね。そういう意味でラットが主体に使われているということです。
○大前座長 いまマウスとラットの発がんの部位の相違というのがございましたが、例えば今回問題になりました、胆管がんの原因の可能性がある物質ですが、ジクロロメタンはラットとマウスでは発がんの部位が違う。それからジクロロブロバンはラット・マウスで違って、かつ投与方法で違う。吸入で出てくるがんの部位と、あるいは経口で出てくるがんの部位が違う。これは種差だけではなくて投与方法にも差がある。当然、労働現場は経皮もあるかもしれませんが、吸入がメインだと思いますが、その辺を先ほど福島先生がおっしゃったのは、吸入試験でも十分中期はいける。いままでは経口のみがほとんどだったかもしれませんが、そういう話だとすれば、少なくとも投与方法の差はキャンセルできると考えていいわけですよね。
○福島委員 いま外挿のことを言いましたが、今回いみじくも胆管がんの話をされましたので申し上げますと、現在ヒトでの胆管がんが1、2ジクロロブロパンに求めていいのか、それからジクロロメタンに求めていいのかどうかは別にしまして、少なくとも2つにフォーカスを絞るとすると、明らかな種差があるのですね。いままで私たちが考えていた、いつも動物実験を通じて、これがヒトに外挿するだろうかと思っていた考え方を、私は少し考え直すチャンスだろうという意味は、ラット・マウスで出ている腫瘍の発生部位が、いままではどちらかというと、それはヒトに外挿できるかという意見が一方にあって、ところがヒトではそのものが胆管がんでは非常に重要なところ、標的臓器、器官と言ったらいいでしょうか。そこについて起こっているという現実、だから明らかにヒトヘ外挿できない部位にマウスでは起こっている。ところがヒトでは胆管がんですね。だから私はマウスの肝細胞がんは、それではメカニズムから見て、ヒトには外挿しないというように一気に言い切れない面が出てきたなと。
○大前座長 ほかにいかがですか。
○津田委員 胆管がんについて言えば、動物実験ではほとんどできない。実験で胆管がんを発生させようとしてもほとんど不可能な臓器です。それが多数の人にできたということには、非常に驚いています。そういう意味では、動物実験と照らし合わせると必ずしも発がんする臓器は一致しない。それはいくらでもあることでして、例えばIARCの評価を見ているとGroup 1になっているのは、ヒトに発がん性があるわけですが、発がんする臓器については動物実験の臓器が必ずしも一致しているわけではありません。
○大前座長 臓器の発がん部位に関しましては、あまり考えることはないと、そのような考え方でよろしいのではないか、というまとめでよろしいですか。とにかく発がんするということが重要なので、それがヒトとラットとマウスと3種類で違っても、それは特に安全の面から見てということだと思いますが、特に問題がないだろうと。
○池田委員 データに基づいてお話をするわけではないのですが、トランスポーターと言いますか、薬を運ぶタンパク質というのがございますね。あれに相当大きな種差があって、例えば肝臓でその発がん性のものが出来て、そしてあちこちに運ばれるのですが、胆汁中に発がん物質がもしも出ていきますと、胆管のほうに影響が出る可能性があるわけです。ところが胆汁中に出すトランスポーターというのがずいぶん種差がありますので、そこがもしも違うと、胆管に動物で出なくてもヒトでは出るという可能性がありますので、だから発がん性そのものは動物でも一応わかるけれども、場所はもしかすると違うということはあり得るのではないかと思います。
○宮川委員 メカニズムのことではないのですが、そもそもこの議論のところでは、発がん性評価の加速化ということが書いてあります。いままでラットとマウス同時に一つずつやっていたのが、片方が2年間ではなくて半年で終わるにしても、そうすると早く終わるほうを次々とやっていかないと加速化には結び付かないですね。毎年2つの物質を選んで、片方は2年かかっても片方は半年で終わったというだけでは、トータルとして加速化に結び着かない可能性がある。もし短い期間で評価する方法を導入するのであれば、少なくともマウスのほうだけでもよりたくさんの物質を心掛けないと、加速化という結果にはならないような気がいたします。だから、結果として加速化に繋がればいいことだとは思いますが、そこで空白ができてしまっては何もならないのかなということで、よろしくお願いしたいと思います。
○大前座長 先ほどのお話ですと、まずはマウスで2年間やって、それから発がん性があればそれでおしまいと。それから発がん性がない、もしくは怪しい場合はマウスでやっていく、そのようなイメージで先ほどお話を聞いたのですが、そういうタイムコースになるのですか。実際に始めたとした場合、医薬品などの場合はそういう形になっているのですか。あるいは両方同時にですか。
○福島委員 医薬品の場合はそれぞれメーカーが開発しているのを中心にいくものですから、あまり問題にはならないですね。いま加速化の問題になるのは、当然いま宮川委員が言われたように、例えばラットならラットにしても2年間かかるわけですから、その間どうするかという問題ですね。私の考え方は、一方ではその評価に当たってはきちんとした手法、ラットの2年間というのは必要。マウスかもしれません。その間、次にもう1種のほうで空いた時間に今度スクリーニングの考え方を入れていく。そういうのも1つの加速化かなと思っているのです。そうすると、スクリーニングでやっておいて洗い出しをずっとしていって、そこでもしクエッショナブルなものが出てきたら、それを発がん性試験にもっていく。すべての物質をきちんとしたパッケージとしてやれればいいのですが、現実的に不可能ですから、両方をミックスした形、考え方でいくと。そうすると化学物質の数はある程度洗い出しできるのではないかなと思っています。
○大前座長 そのスクリーニングにもこの二段階モデル等々を使ってしまうと、そちらで早く進めておいて、そこで怪しいものは今度は逆に2年間実験までもっていく。
○福島委員 はい。
○大前座長 そのほかご意見はいかがでしょうか。よろしいですか、ではまた後ほどいろいろな意見が出てくると思います。とりあえず少し前に進めたいと思います。
 議事の2番目ですが、有識者からの意見聴取ということで、最初は福島先生から「二段階発がんモデルに基づく手法を中心に」ということで、ご説明をよろしくお願いいたします。
○福島委員 それでは資料2を見ていただきたいと思います。「はじめに」というところですが、言わずもがなのことが書いてあります。1つ目には、新規化合物の発がん性の確認が重要であるということ。2つ目は、その新規化合物の発がん性をすべて検討するというのは不可能であるということです。ここのところからスクリーニング法、これは恩師の伊東先生を中心にして、少し前の話ですが、発がんのスクリーニング法という形で、2つ目のポツの点から検討してきました。「二段階発がんモデル」というのは、その結果です。
 3つ目は、先ほど来話題になっているICHの動き、さらにそれがガイドライン化されて、1種類の長期試験、通常はラットということになっておりますが、それに加えもう1つの試験は代替法でいいだろうということです。即ちさらにスクリーニング法が発展して代替法としての考え方が出てきたということです。枠に囲ってあるのは、代替法として二段階法と遺伝子改変動物を用いる法。3つ目には、新生仔のモデルです。
 2頁目は、簡単な発がんのメカニズムということで載せました。これは発がん物質は基本的には代謝されて、究極発がん物質となって、それがDNA付加体形成し、そしてDNA損傷の修復過程を通じてエラーが起こるだろうと。その結果として、突然変異が固定化されてしまう。これは発がんでもポイントミューテーションを主体とするところの考え方を書きました。ここまでをイニシエーション・プロモーションという考え方にするとイニシエーション、さらに固定化された細胞が増殖して前がん病変になる。そしてがんになる。そこをプロモーションと言っている。ここではプロモーション・プロフェッションという書き方をしておりますが、少なくとも、イニシエーション、プロモーションに分かれるだろうということです。4つ目のスライドで、イニシエーション・プロモーションという考え方に立つと、遺伝毒性発がん物質というものは、考え方ですがイニシエーション活性とプロモーション活性の両方を持っているだろうと。非遺伝毒性発がん物質はプロモーション作用を持っていると整理ができるだろうということです。
 したがって、プロモーション作用にフォーカスを絞ると、3頁目の上のスライドですが、中期発がん性試験法としては、既知発がん物質をイニシエーションの段階に投与して、プロモーションの段階に被験物質を投与する。そういうモデルが検討されたということです。
 それではイニシエーション・プロモーションモデル、基本的にはこの考え方というのは、肝臓、胃、大腸、膀胱、腎臓、非常に多くの臓器で開発されており、また、いろいろなメカニズムとか、修飾要因の研究に使われているわけです。4枚目のスライドを見てもらいたいのですが、いわゆる未知の発がん性を検出するためのスクリーニング法として、どの臓器にフォーカスを絞ったらいいかということですが、IARCでは肝臓を標的にする発がん物質は、ラット、マウスの両者合わせてですが、約59%。NTPのプロジェクトでは54%。ここには載せていないのですが、バイオアッセイ、我々のデータでは約60%。21/36が肝臓を標的すると。言ってみると、いずれも約60%が肝臓を標的にしているということになります。そういう意味で「ラット中期肝発がん性試験法」と書いてありますが、肝臓を標的とした手法の伊東法というものをまず紹介したいということです。それが未知の発がん性検出に当たっては、二段階のほうではキーポイントになるものだということです。
 4頁目には、それをもう少し詳しく書いてあります。この方法は肝臓を標的とする化合物、発がん物質であるDEN、いわゆるdiethylnitrosarmineをイニシエーションの段階で1回投与して、そのあと2週から被験物質を投与する方法です。投与期間は8週間です。その間、3週目に2/3肝部分切除をして、8週後、そこに白黒となってしまっていますが、GST-P陽性細胞巣ということで、これはラットの肝発がんのサロゲートマーカーです。これをイメージアナライザーでカウントすることによって被験物質の発がん性を評価する。もっと正確に言うと、プロモーション作用を評価しようということになります。ですから、ここでの結果、プロモーション作用を評価するという意味は、発がん性、発がん物質ないしプロモーターを評価するということです。
 現実的には、これで用いた手法で、我々は327の物質について検討しました。その結果が4頁の下に書いてあります。ここで標的臓器を肝臓に絞ってみますと、Ames Testが陽性の物質のうちでは31/32で97%が、伊東テストで陽性になったということです。
 Ames Testが陰性のものは29/33で88%が陽性になったということです。この内訳を見ますと、Ames Testが陽性で、1物質のみの判定で伊東テストでNegativeになった物質は、4,4’-Diaminodiphenylmethaneです。この物質はシェンタールらが発がん性ありということで報告した物質ですが、我々の結果ではNegativeだったということです。この結果がどうしてかわかりませんが、私自身も4,4’-Diaminodiphenylmethaneに対する発がん性の検討を若いときにやったのですが、この物質は、むしろNegativeではないかと思っているのです。そういうことからひいき目に見ると、伊東テストでNegativeというのは、私はうなずけるなと思っています。
 Ames Testで陰性の4物質は、下の「脚注」を見ますとClofibrate以下、4つ書いてあります。これはいずれもペルオキシゾーム プロリファレーターです。これらの物質というのは、GSTPの発現を抑制する作用を持っていますので、伊東テストにおいては基本的にはGSTP陽性細胞巣で判断します。そうすると、反対に減ってしまうという結果で、陰性になってしまう。この4物質に関しては、実はHE染色でずっと再評価しています。そうすると、HE染色で見る、いわゆるエオジノフィックフォーサイとか、バゾフィックフォーサイなどを調べると陽性に出ているということになります。ただ、GSTPで調べるとNegativeだったという意味です。そういう意味からすると、伊東テストでの感度というのは非常に高いことが言えるだろうと思います。
 肝臓以外の標的としている発がん物質について、2つ目のカラムを見ると、Ames Testが陽性の物質6/27で27%が陽性になったということです。この意味は肝臓には発がん性はないが、肝臓にプロモーション作用を持っているという意味です。
 Ames TestでNegativeのものを見ますと2/15、これもやはり肝臓に発がん性はないが、プロモーション作用としては2つ物質を持っていることを意味しているということです。そのほかのところは、Not carcinogenicと書いてありますが、発がん性のないものを6物質調べております。Ames Testで陽性のものが6つです。Ames Test陰性のもので42調べておりますが、そうすると、ほとんどないということになります。Ames TestがNegativeで発がん性のない42の中で1つだけPositiveに出たというのは、脚注で見ると、これはMalathioneです。おそらくこの物質も発がん性はないが、プロモーション作用は持っているのではないかということが言えるということです。そういう結果です。あとのは未知の物質の結果が書いてあります。
 5頁目、4つの化合物がリストとしてあります。2-NitropropaneはAmes Test陽性、発がん性ありの物質です。これはちょっと変わりまして低用量の発がん性、要するに遺伝特性発がん物質の閾値があるかどうかということで、低用量を押さえようということで、伊東法を用いて検索した結果です。そうすると、高用量の5~20?のところでは陽性ですが、その下をずっと押さえていくと、高用量はNegativeということで、低用量の発がん性を伊東テストで証明はできるだろうということです。
 もう1つは、6頁、Quinolineも同じ考え方です。Quinolineに関しても、低用量をずっと追っていくと、こういう結果だったということです。6頁の「まとめ」にいきますと、「長期がん原性試験の結果と一致する」というのが第1です。2番目には用量反応関係が明確、これはすべていろいろ反応関係を追っています。肝発がん性あるいは促進作用の強度の推定ができるでしょうということです。3番目には非遺伝毒性発がん物質の肝発がん性も検出できる。4番目には2年間の発がん性試験に比べると、被験物質が少量で済む。5番目には開発の時間や動物等、そのほか諸々のものを削減できるということです。6番目にはマウスにのみ肝発がん性を示す物質も検出可能。先ほど肝臓を標的にするといった場合に発がん物質、先ほどラット、マウスをまとめて言いましたが、6番目にそのまとめを付けました。
 7頁、先ほどの伊東法というのは、あくまで肝臓を標的にしていると。そうすると、もっと幅広く検出できないかという考え方が出てきます。その考え方で実施したのが、多臓器発がん性試験法ということです。これもイニシエーション・プロモーションに基づいておりますが、この試験法では、3つ目の主要臓器についてのスクリーニングが必要という考え方に基づいております。したがいまして、消化器、消化管、即ち舌から大腸まで、それから肝臓、泌尿器系、さらに呼吸器系、呼吸器系でも特に主体としての肺です。そういう主要臓器だけに絞っております。その他の臓器については、まず発がん性のスクリーニングという考え方から除外して進めようという考え方で、7頁の方法は、我々はDMD modelと言っておりますが、イニシエーションの段階で3つの発がん物質、ここではDHPN、DEN、MNUを使っております。それを投与して4週から20週までの間に被験物質を投与するという方法。これでは臓器が限られるだろうということで、8頁の上にBBN、DMHがあります。BBNは膀胱、肝臓、DMHは大腸を標的としております。これらの臓器を標的とする発がん物質を検出するという、いわゆるDMBDD modelと呼んでいるモデルですが、5つの発がん物質を投与し、その後被験物質を28週まで投与する。その2つを最終的に作りました。我々がリコメンドしているのは、DMBDD model、より広く主要臓器にイニシエーションをかけようという、このmodelのほうをいま現在進めているということになります。
 8頁の下のところは、繰り返しになりますが、正常からがんへの移行がわかっていますので、発がん性の場合には少なくとも腫瘍ということで判定しておりますが、前がん病変、前腫瘍性病変という、肝臓ではGST-P陽性細胞巣、大腸では、変異クリプト巣。こういう病巣を調べることによって、短い期間に発がん性が予測できるだろうということです。したがいまして、このところで重要なことは、従来のHE染色のみならず、いろいろな手法を用いて発がん性を検討することになるということです。
 9頁「結果」、我々の結果では、肝臓を標的とするものは、ここでは全部で65調べておりますが、肝臓を標的とするものがAmes Testで陽性のものはすべて、12/12。ここではDDPM、先ほど言ったシェンタールの物質は含まれておりません。Negativeのものは5/5ということです。肝臓以外でもAmes Testが陽性のものは10/11。Ames Testが陰性のものは8/10という形で、高率に検出できる。ここの意味で陽性になっているというのはこういう結果で、3つ目の発がん性がないというところでは、1物質、4物質と数は少ないのですがNegativeだったということで、そういう結果が得られているということです。
 9頁の下は中期発がん性試験法を用いた実験結果を示しております「ヒ素の発がん性」ということで、ヒ素の発がん性というのは、人ではよくわかっているのですが、実験的にはどうもはっきりしない。これまで無機ヒ素というのを中心に実験では考えられておりましたが、我々はむしろ有機ヒ素に絞ったということです。10頁を見ますと、ヒ素の代謝が書いてあります。5価や3価の無機ヒ素にフォーカスを絞って実験的に調べられましたが、我々は有機のDMA、5価のDMAにフォーカスを絞って、中期発がん性試験で発がん性を検索したということです。DMBDD modelで調べますと、矢印で書いてありますが、肝臓、膀胱、腎臓、甲状腺に発がん性ないしプロモーション作用があることがわかったということです。
 もう1つは逆の方法をとったのですが、11頁を見ますと、伊東テストで調べてもやはり陽性に出ているということです。11頁の下のほうでは、膀胱の発がん性というものを、それではもっと低用量ではどうかということで調べてみたのが、ラットを二段階膀胱発がんモデルで調べた結果です。
 12頁を見ますと、最終的に2年間発がん性試験をやめました。そうしますと、膀胱にきれいな発がん性が認められたということです。いまはヒ素研究の世界では、有機ヒ素に絞って実験的に研究が進められております。
 最後にまとめが書いてあります。「まとめ」を見ますと、中期肝発がん性試験法(伊東法)では、肝臓発がん物質をほぼ100%の確率で検出でき、しかも偽陽性や偽陰性になる確率が極めて低く、信頼性が高い試験法であるということです。中期多臓器発がん性試験法では、全身主臓器における発がん性を1固体で総合的に検索して、臓器標的性を明らかにできるということです。
 ただし、中期発がん性試験法については、実は労働衛生面から見て検討すべき問題点がまだまだあります。その1つは、標的臓器をあくまで主要臓器に絞っているということです。労働衛生のところで、我々バイオのデータを見ますと、比較的多いのは中皮腫が出たり、ハーダー腺の腺腫が出るとか、そういうことがあります。そういうところの発がん性を検出することができないことです。
 2つ目は、吸入ばく露ですから、当然のことながら鼻の変化、鼻腔の発がん性に評価を絞りますが、この手法では鼻の変化を見ることができないということがあります。というのは、鼻腔にイニシエーションがかかっていないということです。もう1つは、我々検索してきたのは、言いませんでしたが、雄です。femleについては検討していないということです。従いまして、女性性器の子宮、卵巣、乳腺。乳腺はこちらのオスでも検出は可能ですが、特に子宮や卵巣については見ることができないという欠点があります。そこをどのように解釈していくかというのは、これからの議論にしていただきたいということです。以上です。
○大前座長 ありがとうございました。いまの福島先生のお話はいかがでしょうか。ご意見、ご質問、そのほかございますか。
○西川委員 二段階の中期モデルにおいては、肝臓を標的とする発がん物質の…。
○福島委員 すみません。別添1、2を付けたので、まず、別添2を見てください。これをどのように利用するかということで、これは津田先生がWHOのIARCのミーティングで発表されたものです。6頁の右、いわゆるディシジョンツリーといいますか、ストラテジーが書いてあります。被験物質をまず伊東テストでやって、陽性のものについては肝発がん物質でやると。Negativeのものについては、マルチ法の中期多臓器発がん性試験をやって、陽性の場合には肝臓以外の発がん物質だろうと。Negativeの場合は2年間の発がん性試験、これは医薬品や農薬を特に意識したものについての取組を書いたものです。そういうストラテジーがあるということです。
 別添1の6頁、私は勝手に「労働衛生における発がん性物質の評価と管理に対する判断樹」を作りました。化学物質の遺伝毒性と非遺伝毒性物質に分けて、遺伝毒性の物質を特に中心に私は考えておりますが、伊東法をまずやって、伊東法で陽性の場合というのは、下のほうに「許容濃度に基づく管理または禁止」と。陰性の場合には、多臓器中期発がん性試験法をやって、それでも陰性の場合には、従来の発がん性試験を判断する。非遺伝毒性に関しても同じような考え方で、要するに、下のところで、「許容濃度に基づく管理または禁止」、「管理の必要なし」、「許容濃度に基づく管理」、こういう判断樹にしたということです。何が違うかというのは、「または禁止」というのは、実際にはあり得ないことですが、遺伝毒性物質の閾値がないという前提に立っての話で、私自身は閾値があるということで、「禁止」というのは削除すべきだという考えを持っています。こういう判断樹、勝手に私見だけですが、この総説ではさせていただいたということです。それを追加しておきます。
○西川委員 ちょっと質問を変えて、例えば別添2の6頁の図を見ますと、関連性がないということを最終的に証明するためには、中期モデルをやって、多臓器モデルをやって、2年間の試験をやらないと結論できないということになりますが、そうすると、いまよりもはるかに時間がかかるような気がしますが、いかがですか。
○福島委員 私が思っているのは、特に労働衛生の面から見ますと、すべてのものについて2年間やるというのは、むしろやる必要がないだろうと。Negativeのものについては、むしろ、検索対象から外すという考え方を私は持っています。2年間の発がん性試験はやらないという考え方です。
○西川委員 そうすると、この図とは少し違うスキームでということですね。
○福島委員 これはあくまで医薬品等の開発を目指して、医薬品の開発の場合には、発がん性がないことを押さえる必要があります。発がん性があったら、そこで開発はやめなさいという、むしろ考え方なのです。そういうスキームです。
○西川委員 最初質問しようとしたことは、中期発がん性モデルは、肝臓を標的とする発がん物質の検出力が高いということですが、肝臓に対する標的性があるかどうかについての情報は、どんな情報があればいいのでしょうか。
○福島委員 理想としては、キューサになると思うのです。化学構造活性相関になると思います。理想としているという意味は、現段階において、発がん性において構造活性相関のところが、まだそれほど進んでいないということです。そういう意味で、理想的にはということです。当然のことながら、構造活性相関を頭に入れて検索は進めていくべきだと思います。
○大前座長 ほかにいかがでしょうか。もしこのモデルをやるとした場合は、2種ということで、2年間の発がん試験はマウスでやるということになるわけですね。
○福島委員 ラットです。
○大前座長 2年間ラットで、これもラットですか。要するに、ラット、ラットでやるということですか。
○福島委員 ごめんなさい。いまスクリーニングと代替法という形で、両方またいでです。先生が言われるのは、代替法としてとなると、マウスを2年間やった場合にはラット版を使うことになると思います。
○大前座長 そのほかいかがでしょうか。
○高田委員 先ほどからばく露経路の話が出ていますが、先生がいま実験されている方法で、吸入ばく露でも同じような結果が出ると考えてよろしいのですか。
○福島委員 おそらく、正確に言うとケース・バイ・ケースだと思います。すべて吸入でやっておりません。
○津田委員 実施されています。
○福島委員 ごめんなさい。伊東法で2つやっています。化評研と一緒にやっています。陽性結果を得ています。ただし、マルチ法のほうではやっていないです。吸入で違いというのは、当然吸入ですと、肺から入って、そして肺から循環系に入って肝臓へ行くという血行動態です。一方は、腸管に対して、おそらくバクテリアフローラルなどは悪さをするかもわからないし、しないやつもいる。いずれにしても吸収する。門脈系に入って肝臓へ行くという、その代謝がどうなるかということで、その違いによって究極発がん物質が変わってくるかもわからない。その辺は全然調べていないですが、まず基本的には同じような臓器に出るだろうと想像されます。ただし、ケース・バイ・ケースでしょうということしか言えないのです。
○高田委員 ありがとうございました。
○大前座長 そのほかいかがでしょうか。ご意見、あるいはご質問はありますか。実際、もしこの方法を取り入れるとした場合には、先ほどおっしゃった雌のデータがないということですので、雌のデータをある程度確認してからということになりますか。
○福島委員 確認というか、現実的には、先ほどの構造活性相関を見てやるわけですが、特に卵巣をいままで標的としているというのは、まずほとんどないのです。子宮はあります。問題は子宮のほうをどうするかということなのです。そうすると、子宮のモデル、私は実際には雌としては乳腺、卵巣、子宮、3つの臓器を標的とするモデルができないかと一生懸命やったのですが、なかなか卵巣自身にイニシエーションさせる代表的な発がん物質がないものですから、あまりリコメンドできるようなデータは出ていない。そういう意味からすると、乳腺と子宮を考える。乳腺の場合には、比較的多いですから、構造活性相関のほうから何か言えるということはできると思います。
○大前座長 この方法はあらかじめイニシエーションをしておいて、プロモーションの作用、あるいは両方の作用かもしれませんが、それを見つける方法ですと、過剰にポジティブな結果は出ませんか。要するに、過剰評価するのではないか。
○福島委員 過剰というのは、要するに被験物質の質的な面ですね。過剰という意味として、1つはその物質が発がん性がない、しかしプロモーション作用は持っている。そういう物質は検出できます。それを過剰と言われるかどうかは別ですが。
 もう1つは、量的に見ると、従来の発がん性試験と、用量相関を比較する伊東法の実験を持っておりまして、用量相関はきちんと出ております。ただし、我々のDMAのデータを見てもらいましても、プロモーション作用という、要するに中期発がん性試験法での結果というのは、低い量までポジティブに出ます。発がん性はもう少し上から出るということで、そういう量的なものはあるということです。
○津田委員 いまの伊東モデルで雌ではどうかというご質問だと思いますが、この方法では雄のみで実施されていますが、雌でも報告がありまして、感度はむしろ高いという結果が出ています。ですから、雌で感度が低くなるということはないと考えています。
○大前座長 時間のこともありますので、次は津田先生からお願いいたします。
○津田委員 それでは資料3ですが、がんに関係する遺伝子を入れて感度を高くし、検索する期間を短くしようという試みで、マウスとラットがあります。簡単にご紹介いたします。同じようなことで、遺伝毒性のほうもありますので、一応ここに書いておきました。遺伝子を改変するにあたっては2つの方法がありまして、がん原遺伝子を入れることと、がん抑制遺伝子を抜くという方法で、動物の発がん感受性を上げることです。
 2頁に個々について書いてあります。そのうちのひとつにrasH2マウスというのがあります。これはヒトのプロト型のc-Ha-ras遺伝子を導入したものです。どこの臓器に入っているかということですが、これは遺伝子は受精卵の中に入れてあるので、全臓器に入っていることになります。rasH2マウスの発がん感受性に関してはかなり十分な背景データがあります。日本では実中研、アメリカのNIEHSでプロジェクトを組んで実施したデータがあります。それについては添付の論文を見ていただければ要約してあります。
 方法は、普通に食べさせるなり、飲ませるなりする投与で、吸入はないと思うのですが、26週ぐらいでがん原性物質については陽性結果が得られることがわかっております。そして、非遺伝毒性についてはあまりはっきりきれいにデータは出ていないのですが、遺伝毒性のあるものについては、かなりよく合います。先ほどの伊東モデルでは8週、多臓器モデルでは20週ぐらいです。rasH2マウスでは26週を要します。長い理由としては、がん遺伝子が入っているために、自然発生の腫瘍が出てきて、それが背景ノイズとなるためにそれがある程度出てきて、しかも飽和しない状態で見ないと有意差が出ないということで、試験期間は26週となったようです。
 腫瘍が発生する臓器は、マウスですから、もともと自然発生腫瘍の多い肺です。それに加えて、皮膚に発がん性の感受性が高いことがわかっております。そのためにいろいろな系統を交配して背景ノイズを低くしたりしています。現在C57ブラックとバルブを交配した種類が市販されています。
 次のTg.ACマウスは、やはりがん原性の遺伝子を入れたもので、プロモーターはβグロビン、ヘモグロビンのhemタンパクを除いたグロビンのほうのプロモーター遺伝子のプロモーター下に、v-Ha-ras、先ほどのrasH2はヒトのc-Ha-rasですが、これはウイルス由来のHrasを入れたものです。よく似たものができると期待されたのですが、実は出る腫瘍が主に皮膚でして、他の臓器の感受性についてはあまり高くないということです。これはTaconic Farms社から市販されていると思います。また、被検化合物についてのデータがそれほどたくさんあるわけではなく、NIEHSがかなりお金を使ったのですが、rasH2、いちばんのほうほど有用性はあまりないのではないかというのが最終的な結論です。
 次は、ノックアウトに移ります。これはがん抑制遺伝子を抜くという方法です。こちらは遺伝子ターゲッティングという方法で、p53がん抑制遺伝子が働かないようにしてあります。したがって発がん感受性は高くなります。このマウスは上皮性腫瘍というよりも、間葉系の腫瘍、すなわちリンパ腫がよくできます。そのほか交配によって、肝腫瘍もできるという系統もあります。実験期間は、やはり半年、26週がいいだろうということです。これも日本というよりは、アメリカのNIEHSがプロジェクトを組んで実験をやったのですが、結論としては、rasH2についでp53ぐらいか、というようなことが書いてあります。
 4番目に、XPAノックアウトマウスというのがあります。これはヒトの色素性乾皮症という紫外線に当たると発がんするという疾患で、XPAというがん抑制遺伝子が働かないまれな遺伝性疾患です。この遺伝子異常によって高率に多くは皮膚に発がんするが、皮膚だけでなく、内臓臓器も光が当たるわけではないのですが、腫瘍が多いということもわかっております。これを動物に作ったのがXPAノックアウトマウスで、ノックアウト状態は、ヘテロとホモとあります。-/-つまり、完全に抜いたものでは皮膚にDMBAという発がん物質を塗りますと皮膚乳頭腫ができます。先ほど伊東モデルでは陰性結果を示すペルオキシゾーム増生物質等では、その作用がいちばん強いWY-14643という物質では発がんします。ClofibrateあるいはDEHPという物質では、発がんしない等々のデータがあります。
 そういうことならば、ということで、XPAとp53を交配してみると、非遺伝毒性発がん物質で、合成ホルモンの17-βestradiolでは、XPAのホモノックアウトとp53のヘテロノックアウト交配系で陽性を示したというデータがあります。非がん原性物質等では、陰性結果であったということですが、今のところ、これは本格的に検証をしていないので、実用化はされていないようです。
 5番目はトランスジェニックラットです。ラットについては、つい最近、やっとES細胞が取れるようになりましたので、がんに関してノックアウトラットはまだありません。現在得られる動物はトランスジェニックラットです。そのラットはヒトプロト型トランスジェニックラットですが、これは先ほどのrasH2マウスと全く同じ遺伝子を導入したラットです。先ほどrasH2は皮膚と、本来持っている肺と肝発がんの自然発生が上がって、それが発がん物質によって誘発されて早くわかると言いましたが、同じ遺伝子を入れたものでも、ラットのほうは乳腺発がんが非常に亢進します。そして、マウスと共通するのは、皮膚発がんの感受性が上がることがわかっています。
 実験期間ですが、マウスは26週と言いましたが、こっちは、10週から10数週ぐらいで結果が出てくるということです。いちばんよいのは乳腺の発がんを見るということです。乳腺にがんを作らない物質でも、この動物に投与すると乳腺発がんするという状態になります。外見上乳腺腫瘍が観察できるので、生かしたまま経過を観察できるという利点があります。これは私が国立がんセンターにいるときに確立した系なのですが、残念ながら資金がそれほどなくて、バリデーション(検証)についてはせいぜい10数種の発がん物質ぐらいです。その意味では背景データが十分ではないので、すぐに実用ということは難しいと思います。試験した範囲ではがん原性については大体合っています。
 SV40T Antigenのトランスジェニックラットは、がん原物質のスクリーニングということで企図されたわけではありません。モーターとして使うと、たとえばPEPCK系という糖代謝に関係する酵素遺伝子のプロモーター下に入れると、ラ氏島腫瘍ができる。またprobasinプロモーター下にがん原性のSV40TAgを入れると前立腺ができるというのがありますが、発がん物質のスクリーニングとしての利用は現在あまり考えられていません。
 以上についてオーバービューしますと、一応ICHでは先ほど福島先生がお話されたように、発がん試験のどちらか一方は代替法を使ってよいことになりますので、片方に2年もののマウスがあれば、ラットのほうを使える、ラットがあれば、マウスが使えるというように使い分ければいいわけです。いまのところ得られたデータのまとめが、マウスだけですが6頁に書いてあります。モデルとしてHESI(Health and Environmental Sciences Institute)、これは国際NPOで企業とアカデミック、主としてアメリカのレギュラトリーの人たちが一緒になって、環境物質あるいは医薬等の毒性とその行政についてサイエンスに基づき勉強する会ですが、rasH2では遺伝毒性発がん物質がすべて陽性になるとは限らないという問題点が挙げてあります。ホルモンに対して陽性結果が得られたけれども、メカニズムは不明であるとしています。
 p53については、遺伝毒性発がん物質についてはすべて陽性にはならないが、発がんした場合のメカニズムとしては、必ずしもp53変異・欠損が関与していないかもしれないということがあります。ras遺伝子を入れるのは、マウスでもラットでも、導入した遺伝子が標的となって必ず変異を起こしています。そのようなことではっきりするのですが、p53の場合、確かに発がん感受性が上がっていて早くわかるのですけれども、p53の欠損ががどこまで関与しているかはよくわかっていないということです。Tg.Ac、XPAについてはバリデーションも少ないし、結果が発がん性ときれいに合わないので、あまりお勧めではないということになっています。
 7頁ですが、HESIがこのことについてもう少し書いております。p53とrasH2が一応候補になってきますので、両方を比べてありまして、左側にはいろいろな発がん物質等があって、下のほうにはNon-genotoxic noncarcinogen、下にネガティブが出るかということです。rasH2とこれだけ調べた化学物質の範囲では、ポジティブレイトとしてはrasH2のほうがやや高い。ネガティブ物質に関しては、やはり両方ともネガティブに出るので、フォールスポジティブは少ないだろうというのが、このときの結論です。まとめると、マウスのほうがバックグラウンドが歴史的にもたくさんあるということ、そしてrasH2とp53は試験期間は半年もかかりますが、使い良いだろうということです。
 次は付録的ですが、変異原性を見るin vitroの系で、どこの臓器にそれが標的にできているかということは全く情報が得られないので、変異原性を示す遺伝子をマウスまたはラットに入れまして、その動物に披検物質を投与した場合、それは全臓器に入っていますから、その動物の臓器を採取して、入れた遺伝子(レポーター遺伝子)の変異を見ますと、臓器によって変異を起こしているところと起こしていないところがあるわけで、変異を起こしている臓器には発がんするであろうということが予測されるわけです。そういったことに使えるということでいくつかの動物、例えばMutaマウス、gpt△(デルタ)マウス/ラット、BigBlueマウス/ラット等が作られております。化学物質をやった場合、どこの臓器に変異が起こっているかということはわかるのですが、それを調べるには臓器を取ってきて、最終的にはin vitroの系にまで持っていって遺伝子変異を見る、レポーター遺伝子によって変異を見るということなので、かなり手間がかかり、どこでも行われているというわけではなく、実施できる研究施設にお願いすることになると思います。そのような方法で一応あるということです。  遺伝子改変動物のまとめを申し上げます。ラットまたはマウスで2年間の発がん試験があったとする場合、それがラットであればマウスにrasH2とp53ノックアウトが、どちらもバックグラウンドも豊富にあって使うことはできる。マウスの方に2年ものがある場合は、残念ながら今のところHras2のラットを使うと、10週という短期間ですが、背景となる検証は少ないということになります。したがってむしろ遺伝子改変動物を使うよりは、伊東モデルのほうが背景データが300物質以上あって有利と考えております。
 文献についてですが、資料別添1はrasH2とp53について、Storerという人がかなり詳しく比較しております。コピーではなく本物ですとよく分かりますが、4、5頁は色が付けてありまして、非常にわかりやすく、p53とrasH2についての比較がしてあります。先ほど申し上げたようなことがよくまとめられてあります。また、別添2はrasH2のデータでして、実中研でのデータを広範にまとめたものです。非常に多くのケミカルがやっておりますので、豊富なデータがあります。次の小さな文字のサマリー、アブストラクトが付いておりますが、rasH2とp53についての比較がありまして、結論的に言いますと、先ほど申し上げたようなことになっております。最後の別添4はHrasを入れたラットのほうで乳腺発がんが非常に短い(10週程度)で起こると。また、乳腺を標的としなくても発がんするということをまとめた論文です。以上です。
○大前座長 ありがとうございました。ただいまの津田先生のご説明について、ご質問あるいはご意見があればお願いいたします。
○西川委員 資料3の4頁の表に、Hras128の結果があるのですが、例えばNNKでネガティブとか、DENでネガティブとか、結構強烈な発がん物質もネガティブになっているのですが、これには何か理由があるのですか。
○津田委員 これは1回でやっていないので、容量が低かったことによります。内輪を申しますと、これらは非常に高価な物質でしたので、ラットはマウスよりも、大体10倍ぐらい用量が要るのです。お金が足りなくて、用量が低かったのです。そのために出なかったということです。diethylnitrosamineは毒性が強かったので、やはり用量設定で出なかった。相当お金をかけてバリデーションをやらなくてはいけないことになります。
 実はこのラットについてNIEHSから働きかけがあって動物を出そうとしたのですが、そのときは特許を申請中でして、当時のCREST(科技庁)からいただいて作ったラットなので、CRESTと私の所属しておりました国立がんセンターが50%ずつ特許を持っておりまして、相談しましたら、外へ出すのはまだ早いということで、いい話が得られなかったのです。私は種ラットを出して全部やってほしかったのですけれども、タイミングが悪かったのです。許可が出たときには、向こうはもう予算がなくなっていて駄目になってしまって、検証試験を実施していただけなかったというのが実情です。
○大前座長 非常に基本的な質問ですが、受精卵にマイクロインジェクションをして、それをやった中の0.1~1%程度の確率でマイクロインジェクションの効果があるものが出てくるということですけれども、こんなに少ないというのは、こういうものが出てきた動物自体に何らかの問題があるのですか、あるいは単なる偶然ですか。
○津田委員 どれですか。
○大前座長 1頁のトランスジェニック動物の4行目です。
○津田委員 これは技術的な問題で、顕微鏡下で細いガラス管を使って受精卵にDNAを入れるのですが、全部の卵に入るわけではなくて、どの施設でも大体このぐらいの確率です。
○大前座長 単純にテクニックの問題で、選択された卵が残ると言いますか、そういう問題はないということですか。
○津田委員 単純にテクニックの問題です。たくさんの卵に、とにかく力仕事で多くの卵に入れて、そのうちいくつかに出来ることになります。一応は2系統以上できれば論文として認められる。そして、同じ形質であるということが重要なことなのですが、そういったことはここに紹介したのは全部クリアしております。
○江馬委員 資料3の7頁のHESIのまとめですが、Nongenotoxic carcinogenが各3例ずつでネガティブになっています。この3例はいろいろなタイプの化学物質を使っているから、大体ネガティブはネガティブと出るだろうと読むのか、3例しかネガティブデータがないと読むのか、どちらでしょうか。
○津田委員 やはり代表的なものをやっているだけで、ニトロサミンはrasH2でも陽性に出ていましたけれども、両方やってあるのをHESIで取り上げたものです。やはりあまりたくさんやっていないことがいちばんの原因だと思います。発がん性が全くネガティブの物質を探すのは、かえって難しいぐらいなのです。たとえばIARCで完全にネガティブ(Group 4)というのが1つだけありまして、カプロラクタムというナイロンの製造原料に使うものだけなのです。それ以外、もっとあるかもしれません。
○大前座長 そのほかのご質問、ご意見はいかがでしょうか。
○福島委員 西川先生がおわかりでしたら教えていただきたいのですが、p53にしろ、Hrasにしろ、肝腫瘍、基本的にフェノバルビタール、Dieldrinマウスで肝腫瘍を発生する物質が、p53やHrasでもネガティブなのです。ネガティブでありながら、最終的にICHで代替法として使おうということが提案されて、さらにそれをガイドライン化し、特に医薬品のガイドラインに採用されたという、そこら辺のことについて、最終的にどういう結論でこのようになったのか分かりますか。
○西川委員 詳しいことは存じませんけれども、フェノバルビタールによる肝腫瘍というのはCAR経由の可能性が高いので、ヒトには外挿できないというmode of actionの観点から、そのような結論になっているという理解をしております。
○福島委員 マウスでネガティブでもいいのだという考え方だということですか。ICHというか、こういうので代替法として、Hrasないしp53マウスを採用したという理由です。
○西川委員 Tg.マウスではネガティブ、ラットではPhenobarbitalはポジになるのですか。
○福島委員 ラットは基本的にネガティブです。これも非常に強いプロモーション作用があって。
○西川委員 質問の意味がちょっとよくわからないのですが、Tg.マウスでネガティブで、ラットでネガティブだったら。
○福島委員 マウス代替法ではネガティブなのに、どうして代替法として採用したか、そこら辺の議論を何かご存じでしたらという意味です。
○西川委員 最初に申し上げましたように、その辺の詳細なことは知りませんけれども、なぜ代替法として採用したか、Phenobarbitalはポジにならなくてはいけないということでしょうか。
○福島委員 そうです。Phenobarbitalなどはこれらのマウスでも出るのだから、代替法として採択しようというのだったらわかるのです。
○西川委員 すみません、細かいことは存じませんので何とも申し上げられませんけれども、ネガであれば、それが正しいという判断なのではないでしょうか。
○福島委員 反対に。
○西川委員 はい、逆に。
○福島委員 ヒトの外挿から見ると、ネガティブだということですね。
○西川委員 そうです。
○大前座長 そのほか何かあればお願いいたします。この方法はイニシエーターを見る方法ということですね。これはプロモーターは見られないと。
○津田委員 どちらもあります。がん原物質であるかどうかということで始まっていて、この方法は二段階法というわけではありません。がん原遺伝子を導入したことを、もし二段階法に当てはめればイニシエーションをしたことになると考えます。ですから、どちらかと言えばプロモーションを見ているのかもしれません。そこまでははっきり言っていません。
○福島委員 結論というかリコメンドされているのは、genotoxicな物質に対してはp53がいいでしょうと。HrasのほうはNon-genotoxic、Genotoxicの両方いけますと。いけますという言い方はおかしいですけれども、そういう考え方が定着しているのですね。
○津田委員 Hrasのほうは入れた遺伝子が変異を起こしているということで、ある意味1つのメカニズムとして説明ができているということで、非遺伝毒性物資でも変異がおこるので同じことです。
○池田委員 p53±あるいはrasH2を、仮にスクリーニングに使うとすると、両方とも、あるいは片方がポジティブに出たら、がん原性の試験をやったほうがいいということになって、両方ともネガティブになれば、もしかするとポジティブになるかもしれないけれども、取りあえずは先に延ばしてもいいかもしれないという考えになるのでしょうか。と言いますのは、Nongenotoxic carcinogenというのはネガティブでも、現実にはcarcinogenであるわけですよね。ですから、いずれはやらないといけない、あるいはこの結果では結論は出ないという判断になるのでしょうか。これをスクリーニングにした場合ですけれども、私の質問は、ちょっと要領を得ていないのかもしれません。これはあり得ないですけれども、Phenobarbitalがいちばん上に書いてありますが、がん原性の試験を何もやっていなくて、これからやらなくてはいけないという物質だったときに、スクリーニングで何種類かある化合物の中から、Phenobarbitalをがん原性の試験をやらなくてはいけないですかと考えたときに、p53とrasH2をやってネガティブだったので、いずれはやるかもしれないけれども、取りあえずはもっと別のポジティブな化合物について、がん原性の試験を先にやりましょうということになるのかなと思ったものですから。
○津田委員 個人的にですが、そのとおりだと思います。両方もしくは片方でもネガティブに出れば、プライオリティとしては2年のがん原性実験の実施は、下位におかれると考えてよいと思います。
○大前座長 そのほか何かあればお願いいたします。今日はお二人の先生に2つの方法を紹介していただきまして、それに関する我々の知識をレベルアップさせたと言いますか、今日の段階ではこういう状況だということです。時間の関係もありますので、以上で区切らせていただきたいと思います。あと20分しかありませんけれども、3つ目のテーマとして、メチルアミンのがん原性試験結果の評価が出てきましたので、これをどうするかということを議論していただきたいと思います。頭をちょっと切り換えていただきまして、よろしくお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 まず、事務局より説明いたします。用います資料は4-1と参考資料2です。始めに、参考資料2からごく簡単に説明いたします。いままでの議論はこれからの試験をどう見直していくかという話ですが、これからのテーマは、現在まだやっている試験をどう評価していくかというところです。国は労働安全衛生法第57条の5に基づき、化学物質による労働者の健康障害防止のために、国自らがん原性試験を実施しております。具体的には日本バイオアッセイ研究センターに委託して実施しております。有害性評価の小検討会においては、がん原性試験を実施するに当たっての物質選定の関係、出てきた試験結果の評価の担当をしていただいているということで、全体のスキームとしては2頁のフロー図に示しております。
 これまで実際に試験を実施してきた物質、現在試験中の物質について示しておりますのが、別紙2です。今年度、小検討会でデータを評価していただく予定の物質としては、2つの表のうち、上の表は既に試験が実施済みの物質、下の4分の1ぐらいにあるのが試験実施中の物質です。評価予定の物質は、平成23年の吸入試験のところにあるメチルアミンで、これを今回評価していただく予定です。もう1つ、経口試験の物質としては、平成24年に終了したもので酸アミノフェノール、こちらは2回以降、具体的には第3回になると思いますけれども、こちらの2物質のデータを今年度の小検討会で評価していただきたいと思っております。
本日評価していただくのがメチルアミン、吸入試験ですけれども、試験の関係については概要の資料が資料4-1です。私からは物質の性質等の話をさせていただきまして、実際の試験結果については、試験を担当しましたバイオアッセイさんから説明していただくこととしております。
 まず、資料4-1をご覧ください。1.被験物質について。名称は「メチルアミン」、構造式はメチル基とアミノです。物質の性質としては、沸点が-6.3℃、常温では無色の気体です。水やエタノール、アセトンなどに容易に溶解するものです。1-4の用途としては、農薬医薬品、染料、爆薬などの原料として使用されます。何か物を作るときの原料として使用されるので、使っている事業所はある程度限定されてくるかと思います。1-5の生産量等は、年間100t~1,000tの間のボリュームで、製造業者、輸入業業者等はこちらに書いてあるとおりです。1-6の許容濃度等ですが、現在こちらは国が規制している物質ではないので、作業環境測定の管理濃度は設定されておりません。また、学会等で設定されている濃度としては、日本産業衛生学会で10ppm、アメリカのACGIHでTWAとして5PPM、STELとして15ppmです。
 法規制という面では、労働安全衛生法の施行令で、危険物として可燃性のガスといった規制、同じく施行令第18条の2、名称等を通知すべき危険物及び有害物、いわゆるMSDSの対象物質ということです。
 また、発がん性の評価ですが、ZARCでの評価というのは、まだなされておりません。1-7として、変異原性の関係の情報ですが、メチルアミンの変異原性については、微生物変異原性試験での陰性の報告が2報と、マウスリンパ腫を用いた遺伝子突然変異試験での陽性の報告が1報あります。微生物の試験については、NTPでの試験結果がありまして、これはメチルアミンを溶媒に溶かして行った試験です。こちらは代謝活性化系あるいはそれを用いない系のいずれでもネガティブ、陰性という結果が出ております。
 もう1つの微生物の試験は、日本バイオアッセイさんが行ったガスばく露法による試験です。こちらについてはラットのS9を用いた系と用いない系の両方で試験をしておりますが、こちらでも代謝活性化系の有無にかかわらず、陰性という結果が出ております。2行ほど飛びますが、マウスリンパ腫を用いた遺伝子突然変異試験は水に溶かした試験で、代謝活性化系によらない場合のみですけれども、陽性という結果が出ております。以上が概要的な説明ですが、試験結果の関係はバイオアッセイさんからお願いいたします。
○西沢氏(日本バイオアッセイ研究センター) メチルアミンのがん原性を検索する目的で、ラット・マウスの吸入の長期試験を実施いたしました。動物はF344ラットとB6D2F1マウスで、投与群は3群、対照群1群で、ラット・マウスとも400匹を使用しました。投与は1日6時間、1週5日間で104週間のばく露を行い、投与濃度はラットは雌雄とも5、20、80ppm、マウスは雌雄とも5、15、45ppmです。
 3頁に入りまして、結果です。ばく露の結果、ラットでは生存率にばく露の影響は見られませんでした。一般状態では雌の80ppm群で外部腫瘤の発生がやや多かったのですが、それに関連する腫瘍の発生増加は見られませんでした。体重は雄の80ppm群で初期に軽度の増加抑制が見られましたが、回復し、後は対照群と同様な推移を示しております。エサにはメチルアミンの影響は認められませんでした。
 9頁はラットの生存率を示しておりますが、上段が雄の生存率、下段が雌の生存率となっております。投与群の生存率には大きな低下はありませんでした。10頁はメチルアミンのラットの体重推移を示しております。上段の雄、下段の雌、ともに体重に大きな差は見られておりません。
 3頁に戻りまして、病理の検査結果を示しております。まず、雄の腫瘍性病変ですが、7頁に雄のラットの主な腫瘍発生の表を示しております。腫瘍に関して、雄のラットでは下垂体の腺腫の発生が対照群8匹、5ppm群が11匹、20ppm群と80ppm群で17匹見られ、Peto検定で増加傾向を示しまして、Fisher検定では20ppm群と80ppm群に有意な増加が見られました。しかしながら、20ppm群と80ppm群における下垂体の腺腫の発生17匹(34%)は、当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲である最大33匹(66%)の範囲内でした。また、表にはありませんけれども、下垂体の腺腫と腺がんを合わせた発生はPeto検定とCochran-Armitage検定で増加傾向を示し、Fisher検定では20ppm群と80ppm群に増加が見られましたが、これらも当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲内でした。したがって、下垂体の腺腫の発生及び腺腫と腺がんを合わせた発生は、被験物質のばく露による影響ではないと判断いたしました。
 また、脾臓の単核球性白血病の発生が、Peto検定で増加傾向を示しております。しかし、各投与群の単核球性白血病の発生は5ppm群が6匹、20ppm群が4匹、80ppm群が10匹で、これらは当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲である最大22%(11匹)の範囲内であることから、脾臓の単核球性白血病の発生は被験物質のばく露による影響ではないと判断いたしました。それ以外には発生を増加した腫瘍はなく、結論としては、被験物質のばく露による腫瘍の発生増加は見られなかったとしております。
 また、雄の非腫瘍性病変は、鼻腔で呼吸上皮に病変の増加が観察されました。呼吸上皮の炎症と扁平上皮化生の発生匹数の増加が80ppm群で認められましたが、多くの動物で軽度でした。さらに、80ppm群では移行上皮の過形成の発生がわずかに増加し、呼吸上皮の潰瘍が少数例に認められております。
 次に、雌の腫瘍の発生に移ります。7頁下段に雌の腫瘍発生の表を示しております。雌では乳腺の線維腺腫の発生が、Peto検定とCochran-Armitage検定で増加傾向を示しました。しかし、各投与群の線維腺腫の発生は、5ppm群3匹、20ppm群5匹、80ppm群10匹で、当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲である最大20%(10匹)の範囲内でありました。また、表にはありませんが、線維腺腫、腺腫、腺がんを合わせた発生は、Peto検定とCochran-Armitage検定で増加傾向を示しました。しかし、これも当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲内でしたので、乳腺の線維腺腫の発生及び線維腺腫、腺腫、腺がんを合わせた発生の増加は、被験物質のばく露による影響ではないと判断いたしました。それ以外は発生が増加した腫瘍はなく、結論としては、被験物質のばく露による腫瘍の発生増加は見られなかったとしております。
 また、雌の非腫瘍性病変についても、鼻腔で呼吸上皮に病変の増加が観察されました。呼吸上皮の炎症と扁平上皮化生の発生匹数の増加が80ppm群で見られております。これらの所見もほとんどが軽度でした。腫瘍の増加が被験物質の影響では見られなかったということで、これらの結果より、本試験におけるメチルアミンのラットに対する2年間の吸入ばく露の無毒性量は、鼻腔への影響をエンドポイントとして20ppmであると考えております。
 次に、マウスの結果です。まず、ばく露の結果ですが、生存率及び一般状態にメチルアミンの影響は見られませんでした。体重は、雄の45ppm群で投与期間の初期に軽度の増加抑制が見られ、投与期間の終盤もやや低値でした。雌では15ppm群と45ppm群が26週以降にやや低値でしたが、その後は回復しております。雄では摂餌量にメチルアミンの影響は見られておりませんが、雌では18週から54週にかけて、やや低値でした。11頁にマウスの生存率を示しております。上段が雄ですが、雄の生存率に差は見られておりません。下段は雌ですが、いちばん下がっているのが対照群でして、投与群には生存率の低下は見られておりません。対照群は生存率が50%を切っておりますが、切ったのが99週目でしたので、試験は中止せずに最後まで続行しております。
 5頁に戻りまして、真ん中から腫瘍性病変について示しております。雄に関しては、発生が増加した腫瘍は見られませんでした。非腫瘍性病変については、鼻腔の移行上皮に病変の増加が観察され、移行上皮領域の炎症と上皮の過形成の発生匹数の増加が、45ppm群で認められております。また、雌の腫瘍性病変については、8頁の下段の表に示しております。まず、骨肉腫の発生が対照群の1匹、5ppm群と15ppm群はなく、45ppm群の3匹に見られました。Peto検定とCochran-Armitage検定で増加傾向を示しました。45ppm群の3匹は、当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲である最大2%(1匹)を超えておりますが、45ppm群の発生は3匹とわずかであり、また対照群でも1匹の発生が見られたことから、骨肉腫の発生増加は被験物質のばく露による増加とは判断いたしませんでした。
 また、下垂体の腺腫の発生は対照群の4匹、5ppm群の9匹、15ppm群の8匹、45ppm群の13匹に見られ、Peto検定とCochran-Armitage検定で増加傾向を示しまして、45ppm群はFisher検定で有意な増加となりました。しかし、各投与群の発生率は当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲である最大34%(17匹)の範囲内でしたので、下垂体の腺腫の発生増加は被験物質のばく露による影響ではないと判断いたしました。それ以外に発生が増加した腫瘍はなく、結論として、被験物質のばく露による腫瘍の発生増加は見られなかったとしております。また、雌のマウスの非腫瘍性病変ですが、鼻腔の移行上皮と嗅上皮に病変の増加が見られております。移行上皮領域の炎症と上皮過形成の発生匹数の増加が、15ppm以上の群で見られ、扁平上皮化生の発生匹数の増加が45ppm群で見られております。また、嗅上皮のエオジン好性変化の発生匹数の増加が45pp群mで見られております。これらの結果より、本試験におけるメチルアミンのマウスに対する2年間吸入ばく露による無毒性量は、鼻腔への影響をエンドポイントとして5ppmであると考えております。
 最後にまとめとして、ラットでは雌雄とも腫瘍の発生増加は認められず、メチルアミンのラットに対するがん原性はない。マウスでは、雌雄とも腫瘍の発生増加は認められず、メチルアミンのマウスに対するがん原性はない。以上のように結論づけております。
○大前座長 ありがとうございました。参考資料2頁の別紙1にフロー図が書いてありますが、このフロー図のところで発がん性のおそれがあるか、ないかで指針を作るか、作る必要がないかということになりますので、いまバイオのほうからはラット・マウス両方とも発がん性がないという結論をいただきましたけれども、この結論でよろしいかどうかについてご議論いただきたいと思います。
○西川委員 それはいいと思うのですが、ちょっと確認したいのは、ヒストリカルコントロールデータについてです。これはどういう期間のデータで、試験はいくつのものであるかを教えてください。相当長い期間、たくさんの試験をした実績なのか、あるいはごく最近の話なのか。
○西沢氏 それは長い期間の試験の結果です。
○西川委員 何年間ぐらいなのか、大体でいいです。
○西沢氏 現在までのすべての発がん性試験からまとめております。
○西川委員 最初の試験を開始した時期はいつごろでしょうか。と言いますのは、逆にたくさんのデータがあると幅が広がり過ぎて、すべて入ってしまうということにもなりかねないので、その辺り。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 参考資料2の3頁に、いままでやってきた実験が書いてあるのですが、これがすべて。
○大淵有害性調査機関査察官 物質を一覧表にしているこちらの、当初の四塩化炭素などもそうだと思いますが、ヒストリカルだと思ってよろしいですか。
○西沢氏 はい。
○大淵有害性調査機関査察官 これの四塩化炭素から始まっている昭和62年度の報告がありますが。
○西沢氏 四塩化炭素から始まっているのですが、報告書の最後にヒストリカルのデータが載っておりまして、そこに試験数が全部書いてあります。
○西川委員 結論に異論はないのですが、あまり古い試験の対照群のデータですと、動物の性質もだんだん変わってくるということがあります。自然発生腫瘍はずっと一貫して同じような発生のパターンですか。
○西沢氏 そうですね。最初のときからFisherとPDF1しか用いておりませんので、それをずっと積み重ねております。今はちょっとはっきりしていないですけれども、40何試験分のコントロールデータを積み上げたものとなっております。
○西川委員 結構です。
○相磯氏(日本バイオアッセイ研究センター) ラット・マウスともに約2,000匹を使っておりますが、ラットのほうが少し多いです。ヒストリカルの変動ですが、それほど大きな変動はありません。
○大前座長 ヒストリカルコントロールデータについてはそういうことだそうです。そのほかにご意見はいかがでしょうか。よろしいですか。ラット・マウスに関して、メチルアミンは今回の試験では発がん性は認められなかったという結論でよろしいでしょうか。
(了承)
○大前座長 それでは、本物質については発がん性はないということで、これで終わり、これから先には進まないという先ほどのフロー図で、そのようにしたいと思います。そのほか事務局から何かあればお願いいたします。
○大淵有害性調査機関査察官 時間が過ぎてしまいましたが、先生方にはある程度ご案内してあるとおり、第2回、第3回はそれぞれ10月16日、10月31日で計画を立てております。近いうちに開催案内等をお送りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大前座長 今日のお話が進みますと、いままでの発がん試験の方針を変えるということになりますので、資料等を十分にご検討いただきまして、次回、次々回の委員会でご意見等をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。本日は少々延びてしまいましたが、以上で議事を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成24年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)> 化学物質のリスク評価検討会の「第1回有害性評価小検討会」

ページの先頭へ戻る