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2012年8月30日 第3回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会議事録

医政局国立病院課

○日時

平成24年8月30日 18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎5号館講堂(低層棟2階)


○議題

1 国立高度専門医療研究センターの現状等について
  ・国立成育医療研究センターからヒアリング
  ・国立長寿医療研究センターからヒアリング
2 その他

○議事

○猿田座長 時間になりましたので、第3回「国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会」を始めさせていただきます。
 今日は、本当に暑い中、それから大分遅い時間からのスタートということで、委員の先生方、それから成育医療研究センターの皆様方、どうも御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
 早速ですけれども、本日の委員の出欠状況に関しまして、事務局の方からお願いできますか。
○河内国立病院課長補佐 本日は、佐々木委員、祖父江委員、手代木委員、新浪委員が御欠席でございます。
 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、裏に名簿、この2枚のほか、資料1といたしまして、「国立成育医療研究センターの現状・取り組み・展望」、こちらが1ページから7ページまで。資料2といたしまして、「国立長寿医療研究センターの現状と展望」、こちらが1ページから10ページまでとなっております。資料の欠落等ございましたら、事務局の方までお申し出ください。よろしいでしょうか。
 それでは、以降の進行は、座長にお願いしたいと思います。また、カメラ撮りの方はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○猿田座長 それでは、早速、今日の会議を始めさせていただきます。始めに、今日は委員の欠席がございまして、代わりに出席される方の扱いにつきましては、事前に事務局を通じて座長の了承を得ること、そして当日の会議において承認を得ることにより参考人として発言いただくということにしております。今日は手代木委員が御欠席ということで、日本製薬工業協会から稲垣参考人に来ていただいておりますが、出席を認めて頂けますでしょうか。

(異議なし)

異議なしとのことですので、よろしくお願いいたします。
 早速、議題1でございます。「国立高度専門医療研究センターの現状」ということで、まず、成育医療研究センターからのヒアリングということで入らせていただきます。
 本日は、理事長の五十嵐先生初め、皆さんにおいでいただいておりますので、早速、五十嵐先生から20分ぐらいで御説明いただき、その後、質疑をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○国立成育医療研究センター 御紹介いただきました総長の五十嵐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、説明の機会をいただきまして大変ありがとうございます。
 それでは、資料の1ページをご覧いただきたいと思います。センターの概要について、初めにお話をさせていただきます。本年で3年目の独法化を迎えたセンターですけれども、成育医療については、なかなか馴染みがない方もいらっしゃると思いますので、ちょっとお話をいたします。
 成育医療というのは、女性が妊娠をして、赤ちゃんができて、出産をして、そして乳幼児期を過ごし、小児期を経て、そして思春期、さらに成人になって次のお子さんを産むという長いライフスパン全体を考えまして、その過程で生じるさまざまな問題に対して適切な対応を取る。そして、それに関する研究を行う。これが成育医療という概念でございます。
 CKDだとか、メタボとか、何か新しいことを推奨する時にはキーワードが必要なわけですけれども、残念ながら、まだそこまでこの成育という言葉は至っていないのが現状ではないかと思います。そういうわけで、このセンターの行う業務に関しましては、この成育医療に関する調査研究、その他医療を行うことが私どもの使命でございます。理念・基本方針はここに書いてございますので、ご覧いただきたいと思います。
 センターの組織は4に書いてありますけれども、臨床に関しましては、小児科だけではなくて、小児系の外科、あるいは産婦人科、小児に関する精神科とか、心の問題を扱う科とか、非常に多岐にわたった臨床のチームがございます。それから、研究部門があるということで、このセンターが成り立っております。役員数は常勤が1人、非常勤が5人。職員の数はここにありますように常勤が878人、非常勤が452人から成り立っております。
 ベッドは490床ありまして、入院の患者数は380人ぐらいです。小児系の疾患というのは季節的な変動がありますので、夏休みはほとんど満床ですけれども、秋や春先は大分患者が減るという傾向がございます。外来患者は1日1,000人弱に及んでおります。
 2ページ目に中期計画の概要がございますが、これは6つのナショナルセンターに共通のものですのでご覧いただきたいと思います。
 3ページ目に行っていただきたいと思います。主な取り組み実績として、臨床研究に関しましては、やはり臨床を志向した研究・開発というのが一番大事なものですけれども、その中でも特に、産学、あるいは官との連携強化を目指すということで、知財・産学の連携室がございますけれども、産業界や研究機関と連携して共同の研究を始めておりますけれども、この数は、平成23年度の契約締結数は、平成21年度に比べまして18.8%と増加しております。
 それから、臨床治験をするには様々な基盤整備が必要ですけれども、特に連携するということが大事です。その連携先として私どもは、日本には小児病院の連合体がございまして、日本小児総合医療施設協議会と言いますが、大学病院も一部入っており、日本には小児の専門の施設が29施設ございまして、同じような診療をやっているグループとして活動しております。こういうグループを小児治験ネットワークという形で立ち上げまして、臨床治験の標準的な業務の手順書等、色々必要なことを揃えておりまして、統一化を達成することができました。それから、このネットワークが一つの医療機関として機能するように相互理解、あるいは共同で色々な開発を進めているところでございます。
 2番目に「病院における研究・開発の推進」ということで、やはり臨床研究機能を強化することが非常に重要ですが、御存知のように我が国では、臨床治験あるいは臨床研究をサポートする体制が非常に不備であることが指摘されております。簡単に申し上げますと、臨床研究を実施するプロトコールを書ける専門家が非常に少ない等、いろいろ問題がございまして、当センターでは、そういう方を育成することから始めて、ようやく臨床研究の支援体制が整備されつつある状況になっております。
 その結果として、当センターが支援する臨床研究数は非常に増えておりまして、例えば、計画・立案の支援の件数が、平成21年度は3件でしたけれども、23年度は7件増えた10件に増加しております。データマネジメント機能の充実等も、平成21年度は3件でしたけれども、23年度には15件増えた18件にまで増加しております。
 次に、4ページに移りたいと思います。研究について、ちょっとお話をしたいと思います。ナショナルセンターは6施設あるわけですけれども、その中で成育医療研究センターが担わなければいけないものというのは幾つかありまして、その中の特徴的なものについてお話をさせていただきたいと思います。
 私どもは、大事なものは幾つかありますが、その一つとして、やはり再生医療の確立ということが大事ではないかと考えています。ES細胞といいまして、様々な異なる細胞に分化・増殖する能力を持つ発生初期の胚細胞、すなわち受精卵の初期の細胞を使った研究ということで、これを培養するときに、牛などの異種のタンパクを使ったもので通常は培養するわけですけれども、これを使った場合に、生体に入れた場合に様々な問題が起きることも考えられておりますので、異種の成分を全く使用しないヒトのES細胞を樹立いたしました。
 さらに、皮膚などの体細胞に特定の遺伝子を入れて、ES細胞と同じように様々な異なる細胞に分化・増殖する能力を持つ細胞であるiPS細胞、これにつきましても研究をしておりまして、ヒトの羊膜、子宮内膜等から作ったこのiPS細胞は、長期的な異常メチル化が見られないということも明らかにすることができました。
 そういうような研究を通じまして、和文・英文の原著論文数も増加しておりますし、特に英文論文数は非常に増えているということが、私どもの成果ではないかと思います。
 それから、具体的な疾患につきましても色々研究しておりまして、例えば、哺乳類の卵子エピゲノムの全容の解明に初めて成功する仕事にも参画いたしました。それから、日本では毎年1万人の患者が出ている川崎病、この病気の原因解明のためにもゲノム解析、その他、この病気の9割の患者にはガンマグロブリンが有効ですけれども、なぜガンマグロブリンが有効であるかの解明等につきましても明らかにすることができました。
 最近は、赤ちゃんの牛乳アレルギー、消化管アレルギーが増えておりまして、これが注目されておりますけれども、そのメカニズムについても明らかにすることができました。もう一つ、こういう風に病気に特化した研究ではなくて、病気全体を、人間全体を見ることによって、その子どもたちがどういう風に育っていくかを見ることによって、長期的な視野のもとに病気が発症するような成因、あるいは環境を明らかにする、こういう出生コホート研究が日本で行われておりますけれども、その対象者として1,273名の方たちからゲノム解析を開始しておりますし、これは20年、あるいは30年後に成果が出るための基礎的な取り組みはこれから始まったところでございます。
 5ページをご覧ください。医療分野の高度な治療あるいは研究をすることが私どもの使命でありますけれども、高度先駆的な医療ということで、何と申しましても、生体肝移植の移植数が、昨年度は36例ということで世界最多を誇っております。かつ、その成績も生存率が90%ということで、世界トップレベルになっております。併せて、小児脳死移植の施設に認定されまして、小児脳死肝移植2例を昨年行いまして、成功しております。
 それから、胎児治療といたしましては、一卵性双生児が胎盤を共有した場合に、時々片方の胎児に血流が非常にたくさん行ってしまって、もう片方の胎児には血流が行かなくなって不均衡が生じて、その結果として血流が行かなかった子どもが亡くなってしまったり、あるいはその結果として血流が行き過ぎた子どもにいろいろな病態が起きるということで、これは双胎間輸血症候群という病気が知られておりますけれども、胎盤にレーザー治療をすることにより子どもを助けるという治療も行っております。昨年度は40例ということで、日本で最多の症例数を誇っております。成功率も95%ということで、世界でトップレベルであるということも、誇るべき成果ではないかと思います。
 その他、患者さんの視点に立った、例えば、セカンドオピニオンの外来を充実したり、医療安全の体制を強化するなどもしております。
 もう一つ、昨今、お産をする施設が非常に少なくなっておりまして、世田谷区でもお産のできる病院は数か所しかないという状況になっておりますけれども、私どもは分娩件数が1,637件、今年はさらにそれが増加しておりますし、何と申し上げましても、通常の分娩ではなくて何らかの色々な問題があるような、いわゆるハイリスク分娩がその7割を占めているということが担うべきミッションではないかと考えています。
 もう一つは、小児救急医療体制について、都会におきましてもなかなかこれが問題になっておりまして、救急外来の患者数は3万3,800人を超え、救急車の受け入れ台数も3,200台ということで、恐らく日本でも1、2位を争う数の小児救急を担っているのではないかと思います。受け入れた患者さんの11%は重症であるということも特徴ではないかと思います。
 6ページをご覧いただきたいと思います。もう一つ大事なことは、人材育成だと思います。ナショナルセンターですので、日本全国の小児医療の中枢にならなければいけないわけですけれども、良い医療を行うということだけではなく、将来日本全国に戻っていただいて、その地域でのリーダーになる方を作ることが大きなミッションだと考えています。研究所と病院における人材交流を推進し、あるいは、日本全国に色々な先生方を招いて講演会等をするということも行っております。
 医療の均てん化ということで、ネットワークの構築を推進して、色々なカンファレンスの共有化なども行っています。それから、情報発信その他、ITを用いた広報活動にも努力をしているところでございます。
 それから、成育医療研究センターは、国への政策提言の機関でもありまして、特にヒトのES細胞を含むヒト幹細胞を用いる臨床研究について、国が示している指針の改定について提言をさせていただきました。
今年度は10年に1回行われる母子健康手帳の改定の年に当たりましたけれども、胆道閉鎖症の早期発見のための便色カードというのを、母子健康手帳につけまして、お母さんたちが赤ちゃんの便の色を見ることによって、胆道閉鎖症の可能性があるのではないかということをできるだけ早く見つける。2か月以内に発見して治療するということが救命には必要とされていますので、このような取り組みをして、母子健康手帳に取り入れていただくことになりました。
その他、生体肝移植をエジプトで行ったり、外国人の研究者を受け入れることも行っております。
それから、センターそのものの効率的な運営が求められておりますけれども、まず、人件費率につきましては、前年度41%の実績を38.8%に減らすことができました。経常収支率につきましても、2.6%のプラスの黒字を得ることができました。これは、関係省庁の御協力があって初めて成ったものと感謝しております。
最後7ページです。今後の展望・課題についてお話をさせていただきたいと思います。中期計画を確実に達成するためにはどういうことを考えているかと言いますと、ここにありますように、成育医療分野において世界をリードするような実績を作りたいと考えております。
1番目に、先ほど申し上げましたように、やはりヒトのES細胞を用いた治療方法を確立するということで、これを小児の難治性疾患に応用したいと考えています。それから、6つナショナルセンターがありますけれども、昨今増加している子どもの事故あるいは虐待。虐待は昨年児童相談所に通報されている数だけでも5万5,000件を超えておりまして、今年度はさらにそれを超えるだろうと言われています。
それから、子どもの事故による死亡は、例えば、1歳から4歳までの死亡の原因の2位を占めておりますし、5歳から14歳の死亡の原因の1位、15歳から19歳までの死亡の2位を占めているということで、我が国では、子どもの事故による死亡が非常に多いというのが特徴なわけですけれども、こうした研究あるいは予防活動をするのは、他のナショナルセンターでは多分できないと思いますので、私どもに課せられた重要なミッションだと考えています。
先ほど御紹介しました小児治験ネットワークを活用することによって、希少疾患に対する新規治療法を開発したり、あるいは、小児がん克服のための拠点施設化を目指しています。さらに、胎児医療とか移植医療もさらに推進したいと考えています。
 このような業務の実施のためには、やはり、どうしても優秀な人材を確保すること、経営基盤が安定化しているということが絶対に必要な条件だと考えています。それを達成する上で、3つ、いろいろな問題があると考えています。
 その1番は、総人件費削減ということで、毎年1%ずつ行革推進法によって削減の対象になっているわけですけれども、やはり独法化しているので、自由な判断を認めていただいて、この枠を外していただきたいと考えています。
 それから2番目に、運営費交付金が毎年少しずつ削減されるわけですけれども、来年度は大幅に削減されるというような情報もいただいております。これは、大変大きな影響でして、研究、あるいは他ではできないような治療を担っているというミッションをこれから行う上で、将来大変大きな問題になるのではないかと危惧しております。
 3番目は、目的積立金の認定基準に関してですけれども、利益が上がった場合に、次の年に事業に充当するための目的積立金というのがあるわけですけれども、簡単に申し上げますと、この認定が、財務省が判断されるわけですけれども、なかなか厳しいところがございます。
 ですから、病院の努力によって、こういうものがプラスになって出てきた場合に、なかなか目的積立金として認定していただくことが難しい状況がありますので、経営努力して黒字が出ても、センターの運営の改善のために投資することができないというようなことにならないように、大変心配をしております。
 そういうわけで、なかなか問題点が多々ありますけれども、ぜひとも御理解いただきまして、御支援をいただきたいと考えている次第です。
 以上です。どうもありがとうございました。
○猿田座長 五十嵐先生、ありがとうございました。五十嵐先生からこのセンターの特徴、特に研究の状況、医療の状況、運営の状況、さらには将来展望ということで、特に国に対する要求も言っていただけたということで、非常にクリアカットに御説明いただいたと思います。
 それでは、いつものとおり、30分ぐらい時間をいただきまして、これから色々なことを質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、委員の先生方、どうぞ御自由に御質問していただければと。永井先生、どうぞ。
○永井委員 人件費抑制の計算の仕方ですけれども、これは人件費相当分の1%ずつ削減ということでしょうか。それから、削減されても、経営がよければ雇用することは可能であるということなのでしょうか。あるいは、もう一律にとにかく人件費を減らしなさいということなのか。
○国立成育医療研究センター 前年度の人件費に対して翌年度1%減をしなさいということでございます。ですから、毎年度1%ずつ減らしなさいということでございます。
○永井委員 ただ、病院の経営が良ければ、また事業が拡大していけば、その中で運営費交付金には依存しない人件費を確保することはできないということですか。
○国立成育医療研究センター 経営が良くなっても、やはり人件費は別扱いであり、減らしなさいということになっています。
○永井委員 国立大学の法人とは随分違いますね。そこはどうでしょうか。かなり見直しが必要ではないかと思いますが、でも、国立大学病院ですと、どんどん病院雇用は可能になっています。
○猿田座長 松本先生、どうぞ。
○松本委員 こんなところで議論してもなんですが、基本的に運営費交付金で賄っている承継教職員の人件費を1%ずつ下げなさいと言われていて、特任の方とか、短期雇用、非正規の方々の人件費は、これは全く別です。
○永井委員 それも許されていないと。
○松本委員 それは多分許されているのだと思います。
○国立成育医療研究センター いわゆる常勤職員と言われる方の人件費を毎年1%ずつ減らしなさいということでございます。
○永井委員 ただ、経営が良い限りにおいて雇用できる分というのは確保できるわけですね。そうしないと、病院の責務は果たせないと思いますが、それもだめなのですか。
○猿田座長 国立病院課長の方から。
○片岡国立病院課長 現在は、独立行政法人というのは基本的に一律の規制になっていて、NCの場合は22年度に独法化しましたので、21年度の人件費が発射台になっていて、それの1%を毎年カットしなさいという形になっています。
○永井委員 基盤の部分ですか。
○片岡国立病院課長 研究部門は運営費交付金で、病院部門は診療収入で賄っていますが、それとは関係なく、NCの人件費は全て1%ずつ削減するようにという閣議決定に基づいています。それで、現在は色々努力していますが、医師、看護師等については、医療の安全性を確保する上で、また、質の向上を図る上で必要ということで、そのようなルールにはなっていますが、そことは別に、やむを得ないということで1%カットは達成できていない状況になっています。
○永井委員 ですから、やっぱり全くそこは別に考えるべきだと思うのです。特に、色々なミッションが増えてくるわけですし、これからもっと発展が期待されているのであれば、自己の責任においてですけれども、その中で人は増やせる、人件費を増やせるようにしないと、これは立ち行かなくなるのではないでしょうか。
○猿田座長 今、永井先生がおっしゃったように、そこの問題が非常に重要なポイントで、他のナショナルセンターからも同じような意見が来ているのです。
 もう一つは、最後に五十嵐先生がおっしゃった目的積立金に関することの考え方とか、そのあたりは、やはりこれからの運営ということを考えた時には、非常に重要なポイントになると思うのです。
 ですから、特にナショナルセンターの場合、先ほどお話がありましたように、医師だとか、あるいは看護師だとか、そういう人がどうしても集まりにくいことが出てくるということになると、人件費のことも余程うまく考えていかないと、なかなか大変だろうということは事実かと思います。
 他にございますか。花井委員、そうぞ。
○花井委員 今の件はどこの独法も言っていることなので確認しておきたいのですけれども、普通に考えると結構不合理な制度設計になっていると思うのですが、21年度から1%ずつ下げていくということになると、最初は、通常であれば事務部門とか、普通に考えると、外注できるのだけれども内部に雇用した部分をまず削り込んでいきますね。
それを削り切った後は、今度は、例えば研究とか、病院の職員まで行ってしまうと、これはパフォーマンス自体が下がるので難しいとなると、今度は給料下げましょうという話にしかならないと思うのですけれども、この辺は、元々この制度が作られた時の議論としては、21年度からということなので、ある程度一定の期間まではそれでしましょうという議論だったのか、ずっとこの制度は存続する前提で議論されたのかというのはあるのでしょうか。ずっとこれだったら、いつかはもう削り込めなくなるということになると思うのです。
○片岡国立病院課長 法律上は、平成18年からと思いますが、5年間、22年度まではそういうことをやりましょうとなっていて、23年度については、閣議決定でもう1年延ばすという形になっています。24年度以降は、具体的な数字はまだ決まっていませんが、今は6年間で23年度までは決まっていて、24年度以降はまだ決まってはいません。
 関連する情報として、復興財源用に給与削減というのが24年度から独法も国と同じようにということで国から要請をしておりまして、それができていると平均7.8%削減になりますので、おっしゃられるように、従来であれば1%だったところが逆にもっと減るというのが今、要請されているという状況です。
 そういうことが必ず直結するわけではないですが、24年度の枠というのは決まっていなくて、いつ決まるのかというのも、まだ今の段階では明確にはなっていませんが、状況としては、一応時限的にということです。
○花井委員 そもそも作られた時は、22年度までの話だったということですね。
○片岡国立病院課長 はい。それで1年延期になって23年度までになっています。
○花井委員 1年延期になって、このままずっとこれだという話になりかねないということで、今問題があるということですね。
○片岡国立病院課長 そうです。
○猿田座長 他にございませんでしょうか。財政的なものが一番問題になるかと思いますが、どうでしょうか。どうぞ、永井先生。
○永井委員 先ほど移植の話が出たのですが、その他の小児外科領域の充実度というのはどうでしょうか。例えば心臓外科とか、イギリスなどでは、かなり小児の心臓外科というのは集中して行っているようなのです。もし、日本でそういう時代が来れば、当然成育が中心にならないといけないと思いますけれども、ちょっと教えてください。
○国立成育医療研究センター まず、先生も御存じのように、日本で小児の心臓移植をする認定施設は3か所あるわけです。それも、成人での心臓移植の経験が十分あるというのが附帯条件なのです。ですから、現時点で、私どものところが小児の心臓移植をするということを担うことができないのです。肝臓に関しては2件、昨年行いました。
○永井委員 移植以外、先天性疾患一般について、小児の心臓外科とか。
○国立成育医療研究センター 病院長の松井でございます。心臓以外の特に小児外科領域の実績でしょうか。
○永井委員 心臓の先天性奇形の手術がどうなっているかということでお聞きしたいのですが。
○国立成育医療研究センター 例えば先天性心疾患の移植医療ですか。
○永井委員 移植ではなくて普通の心臓手術です。
○国立成育医療研究センター それは、非常に症例数も多く、また、好成績を残しております。
○永井委員 これは、かなり日本のセンター的な役割を果たしておられるかどうか。
○国立成育医療研究センター そのように理解しております。
○猿田座長 私、先進医療のことをやっていて、やはり循環器病研究センターにも申し上げているのですけれども、どうしても成育医療研究センターと連携してその辺はやってくれるようにお願いしております。ですから、その点もやはり連携を取っていくことが非常に重要なポイントだと思っています。
○松本委員 臨床研究機能の強化というのが出ておりますけれども、極めていい成績を上げておられると思います。こういった施策の結果、随分数が増えていますが、どういうところが実際に問題だったのか。その問題を解決したやり方はどうだったのか、是非テクノロジー・トランスファーをやっていただきたいと思うのですが、そのあたりはどういうところが最大のポイントで、どういう風に解決されたのか。それが、色々なところに波及可能であるのかどうか、教えていただければ。
○国立成育医療研究センター 臨床研究センター長の藤本でございます。今の御質問にお答えしたいと思います。
 まず、基本的に、元々子どもの治験ということに関しては、10年前のナショナルセンターになった時から治験管理室というのを設けまして、子どもの治験の推進を図ってきたという素地がございました。その中に、これからはそれだけではなくて、いわゆる治験以外の臨床試験も充実させないといけないということで、意識改革をしていったというようなことがございます。
 ただ、ではどうしたかと言いますと、まだまだ専任のスタッフの数というのはそれほど多くはございませんが、とにかく丁寧に、どんなクエスチョンでもいいから小さいクエスチョンからまず出してもらって、それを我々のスタッフと一緒にディスカッションしながら、1つの研究の形に仕上げていくという地道な努力と言いますか、そういうことをやってきたということが1つございます。
 そういう中で、施設の中の色々な臨床試験の数がだんだん増えてきたということが1点と、もう一つは、この10年ぐらいの間に全国規模の色々な臨床試験のグループが立ち上がってきまして、それの中央的なデータマネジメントとか、あるいはプロトコールの作成の作業だとか、そういうものを支援させていただいているという事情もございまして、それがこういう形で実を結んできたと思います。
 それにつきましては、色々な分野で、要するに中核病院拠点医療施設の色々な研究費をいただき大分充実してきたということがあったと思います。
○猿田座長 よろしいですか。どうぞ、福井先生。
○福井委員 そのような治験も含めて、研究サポートのグループにはどれぐらいのスタッフがいるのでしょうか。
○国立成育医療研究センター 臨床研究センターの人員ですが、直接担当しておりますのは治験推進室長と臨床研究推進室長の2名です。それから、治験推進室には専属の医師が1人おります。それが基本になりまして、それ以外にCRCの方は看護部あるいは薬剤部から協力をいただきまして、常勤の人が数名おります。
 それ以外に、CRCあるいはデータマネージャーという方が研究費雇用で、数字は正確には申し上げられませんが、やはり数名いるという状況でして、全体で非常勤も含めますと12~13人の体制でございます。
○猿田座長 どうぞ、松本委員。
○松本委員 そういった方々の将来のキャリアパスというのは、どういう風に確立しているのでしょうか。
○国立成育医療研究センター 非常に難しい問題でございまして、そこまで考える余裕は実はまだないという状況ですが、まずは、きちんとした雇用を実現するということが大事だと思います。
 といいますのは、色々な子どもの分野での治験なり臨床試験のノウハウを得ていただいても、研究費ベースだと3年単位ということで、やはり次のポジションを考えてしまわれるので、そこは、きちんとした安定した雇用をまず目指していきたいと考えております。
○猿田座長 どうぞ、仁科委員。
○仁科委員 成育医療研究センターと申しますと、どうしても小児、子どものことと私ども一般人は思いがちですが、先だってダウン症の検査の記事がありましたけれども、出産年齢がだんだん高くなってきていることが、そういうハイリスクのお産につながっているのが原因なのでしょうか。
 それと、どうしても子宮頸がんの発症の年齢とお産の年齢がクロスするようなところがありますから、私などは経験者として、それがとても心配するところなのですけれども、そういった面において、妊婦というのはどうしても心の精神状態が非常に不安定だと思うのですけれども、そういう小児も含めて、心のケアについての何か取り組みとか、そういう枠とか考えていらっしゃることがあったらお尋ねしたいと思います。
○国立成育医療研究センター お答えします。心のケアに対しましては、心の診療部という部を設けまして、そこの専属の医師がスタッフとともに当たっております。当然のことながら、子どもばかりではなくて、妊婦さん、あるいは妊娠可能年齢の女性に対しても、あるいは妊娠した後も、産前産後のケアについて専門の者が当たっております。
 それから、子ども生活安全対策室というのを設けることにしまして、例えば事故の予防であるとか、あるいはいじめ、虐待、そうした問題についても組織として十分に対応できるように心掛けております。
○猿田座長 他はどうでしょうか。よろしいですか。近藤先生、どうぞ。
○近藤委員 せっかくですから、治験のことでちょっとお伺いします。世界的に見て、お子さんの治験というのはなかなか十分されていないのは御存知だと思いますけれども、実は、大人の用量をある程度予想して子どもさんにやっているのが現実だろうと思います。
 しかしながら、これからはやはり明確な治験体制というのでしょうか、できる限りの形で、そういう方に対してフォローできるような研究というのは、今後しっかりやっていかなければいけないだろうと思うのですけれども、まず、お伺いしたいことは、今後の子どもさんに対する治験に対して、どのようなおつもりでおられるか、最初の質問をさせていただきたいと思います。
○国立成育医療研究センター 藤本でございます。幾つかポイントがあると思うのですけれども、まず1つは、従来から、これは日本だけではなくて世界的にそうですけれども、薬というのは大人用に開発されているというようなことで、では、その薬をどうやって子どもに適用するかというようなことですけれども、おっしゃいますように、想像で投与しているというのが実情ですが、それ以前に、例えば、せっかく企業が一生懸命形を整えて安定させているのを、すり鉢ですり潰したり、あるいはカプセルを崩してまた分けるというようなことが現場では行われているわけです。では、そこがまず標準化されているかどうかというのは、全くそれは施設任せであるということで、まず薬の剤形といいますか、そういうものからきちんと検討していかないといけないだろうと思います。子ども用の薬の開発ということが、まずやはり大事ではないかと思います。
 そういう点では、我々だけではできませんので、これは色々な製薬企業さんと一緒に開発していきたいというようなことでございまして、実は、日本の製薬会社さんの中にも、子ども用の薬の開発のチームを作られているところがございますので、今そういう方たちと一緒に検討を始めています。
 もう一つは、ではそういう形になれば、何と言いますか、子どもに対する治験も進むのではないかということで、子どもを対象にした薬物の動態の試験なども含めたような治験ができるようになるだろうと思っています。それが1点。
 2点目は、先ほど総長からも説明しましたけれども、治験のネットワークというのがございますので、そもそも子どもの病気は希少ですので、どこに患者さんがいるのか分からないということを多くの病院を結集して、企業さんが入りやすいような形を作るということを考えております。
 最後は、やはり外国のように、それだけではなくて、上から被せるような法律かガイドラインか何か分かりませんけれども、企業にとっても子どもの薬を開発することがやはりインセンティブになるのだというようなものを日本でもぜひ作っていただければ、もっと開発が進むのではないかと思っております。以上です。
○近藤委員 恐らく、成育医療研究センターも行政的な研究機関であると御理解していただきたいと思います。ですから、一緒にやっていかなければならないことで、我々がやることではなくて、ぜひそういう方向でしっかりと方針を明確に出していただきたいと思うところです。
 今後ともPMDAとか、厚生労働省、製薬企業とも力を合わせてやる所存で、特に今、臨床研究がどんどん進んでいるとおっしゃったということは非常に頼もしいことなのですけれども、やはりそこでも、ICH-GCP基準とかしっかりございますので、単なる臨床研究で終わらないで治験レベルの研究で進めていただきたいと思います。
○国立成育医療研究センター ありがとうございます。頑張りたいと思います。
○猿田座長 今の関連したことで、成人に関しましては、御存知のとおり、今、臨床研究の中核拠点病院が作られて、まず今年は5つ作られましたが、先ほどお話しを伺っていると、全部で29ぐらいの連携の病院がございます。そうなると、小児としてそういう治験を推進させるためのいわゆるセンターというのは、本当に必要ないのでしょうか。
○国立成育医療研究センター それはまさに必要だと思いますけれども、そういう役割をやはり当センターが担うべきだと思います。
○猿田座長 やるとすれば私も成育医療研究センターだと思うのですが、そのあたりのところは、余程これからの治験を推進させるということでは、本当に考えてやっていくことではないかと思います。
○稲垣参考人 製薬協医薬品評価委員会に所属しております稲垣と申します。本日は手代木の代理で発言させていただきます。
 まず、成育医療研究センターには、我々製薬企業の立場からいたしますと、早い段階から小児治験ネットワークという形で、また書式の統一化等も色々と図っていただいているということで、治験の環境整備に他に先駆けて取り組んでいただいていると認識しておりまして、大変ありがたく感謝しております。
 先ほど話題になりました小児用の製剤のことなのですが、実はこれも成育医療研究センターの先生方から、こういう小児製剤は作れないのかという要望はかなりいただいておりまして、各会社それぞれ社内で検討させていただいているところです。
 実際のところ、うちの会社の例ですと、検討を始めまして、実際子どもに飲ませる、元々が錠剤の形で安定性を確認していたものですので、それを粉砕した時の安定性は当然ながら確保できませんし、小児の体重当たりで換算して投与できるようにしてくれという要望に対して、そうすると散剤か、あるいは液剤かで、それぞれ散剤、液剤での安定性等やはり問題があって、ではドライシロップとか色々な形で相談等をさせていただいている時も成育医療の先生方は結構相談にも乗っていただいて、分包機にかけられるとか、かけられないとか、ちょっと具体的なところまで含めて色々とやらせていただいておりまして、そういう点でありがたく思っております。
 ただ、小児の治験は経済性の問題もありまして、なかなか全てにお応えできる環境にはないというのが、実際企業の立場としての、余り言いたくもないところではあるのですけれども、そういうところも実際ございまして、そこは申し訳なく思っております。
 ただ、先ほどのように、ここの場のあれではないですけれども、ちょっとインセンティブがやはり出てくるとありがたい。また、これから先、小児の治験の話では、我々としてもこれは今後必要なものだと思っておりますし、それぞれの会社の規模、状況の許す範囲の中でまた協力は進めていくという流れになっていくのではないでしょうか。
 特に最近の未承認薬・適用外薬の中で小児用の薬剤を作ってくれという要望が結構来ておりまして、そこは各社対応しているところかと思っております。
 1つ私も教えていただきたいのですが、先ほど逆に小児医療の環境整備の中で、まず共同研究の契約数が増えているという話、あと、医師主導治験を含む研究体制が増えているというところですが、実際、産官の連携での共同研究の増加というのは、どの分野、医薬品、あるいは機器、また、共同研究で純粋に研究と、あと何か製品化を目指した研究とか、そういったものがあるかと思うのですが、どの分野の増加が大きいのでしょうか。
○国立成育医療研究センター それは、基本的には医薬品といいますか、やはり薬の開発に関係すること、それと、成育医療研究センターの特徴でもございますけれども、治療用の細胞を使った研究というものが企業と一緒にやっているというものが多いと思います。
○稲垣参考人 そのような研究が増えてきた結果として、今後ちょっと期待したい、お願いしたいところは、日本の場合は、先ほどの研究成果のところでも華々しい成果を見つけられているわけなのですけれども、やはり臨床研究での高質な論文というのが、今後日本で治験をやるぞという、我々からしても必要なところでございまして、ここですと、色々とそういったものも期待できるかというところで、ますます進めていただきたいというのを強くお願いしたいと思っております。
○猿田座長 よろしいでしょうか。どうぞ、荻野委員。
○荻野委員 今、医療機器という言葉が出ましたので、ちょっと様子を教えていただければと思うのですが、少子高齢化の時代ですので、将来に向けて次世代を担う人材といいましょうか、人を増やさなければいけないということから考えますと、大変重要な使命を担っておられるように思うのでありますが、医療機器の開発ということになりますと、どうしても臨床現場で一体になって改良・改善を重ねながらやっていくという、しっかりした環境がないと、なかなか思うように進まないと思うのでありますが、この成育という分野で、今、医療機器に対しての開発というものがどの程度あるのか、あるいは、将来へ向けての必要性というのをどんな風にお考えになっているのか、その辺の感じを教えていただければと思います。
○国立成育医療研究センター 当センターは医療機器につきましては、特に胎児治療あるいは移植治療に利用可能な機器の開発を目指しておりまして、主に2つの分野で推進しております。
 1つは内視鏡です。内視鏡は硬くて短いものと、長くて柔らかいものがありますけれども、我々が扱っていますのは硬性という硬いものです。それを使いまして、例えば、胎児治療に応用可能なもの、あるいは非常に濁った環境あるいは暗い環境でも、なるべく明確に見えるような技術です。それは、例えば、NHK技研さんと協力して、非常に暗いところでもよく見えるようなカメラを付けたようなものが1つございます。
 それともう一つは、治療にも応用可能なものとして、超音波診断装置も開発中でございます。その2つが主なものです。
 もう一つは、今、医師主導治験で、まずは調査費がつきましたのは、心臓のステントが今後進んでいくだろうというようなことが1つございます。
○猿田座長 どうぞ、荻野委員。
○荻野委員 端的に考えて、医療機器の開発をもっと強力に取り組まなければいけない状況とお考えでしょうか。その辺はどんな感じでしょうか。
○国立成育医療研究センター 勿論、一般論としましては、要するに我々独法は研究開発型でございますので、当然その医療機器につきましても、新しい技術を導入したものを作っていかないといけないと基本的に考えております。
○猿田座長 他にございませんでしょうか。福井委員、どうぞ。
○福井委員 2、3伺いたいと思います。1つは、前回の会議で診療事業での常勤職員は846名という資料を出していただいていますが、ドクターは何人ぐらいいるのでしょうか。分からなければ結構です。
○国立成育医療研究センター 常勤で現時点では150人ぐらいです。
○福井委員 それには研修医は入っていないようですね。
○国立成育医療研究センター 入っていません。常勤医ということで150人です。
○福井委員 私が知っている範囲でも、診療面での研修に行かせていただいている病院がいくつもあります。色々な施設から研修目的で若い医師を受け入れられているはずですので、それもアピールされたらどうでしょうか。話の中では出てこなかったと思います。成育医療研究センターに短期間の診療面での研修に行かせていただいて、私たち外部の施設ではすごく助かっています。
 もう一つ、研究費の配分機能というのは成育医療研究センターにはないのでしょうか。がん研究センターのような機能はないわけですね。
○国立成育医療研究センター 現時点ではありません。
○猿田座長 他にございますか。
 私の方からお伺いしたいのは、この成育医療研究センターができる時に、研究面はもちろん重要だとありましたけれども、もう一つは、診療面として、特にハイリスクの分娩その他に関して、できるだけ普通の分娩は扱わないで、本当に各所で困るような分娩をできるだけ扱ってもらいたいという希望が最初からあったと思います。実際、今、1,600何件のうち7割ぐらいがハイリスクですが、実際、今の先生方の人数あるいは看護師の人数であとどのぐらいまで増やせますか。
○国立成育医療研究センター 去年の分娩数は1,700件弱でございます。今年は昨年よりも増えておりまして、恐らく1,800件近くになるだろうと予測しております。しかし、今のスタッフでは、これは医師だけではなくて看護師も、それから助産師も、そろそろ限界に達しつつあるという認識でおります。
○猿田座長 何でそんなことを聞くかというと、日本医師会の賠償審議会の委員をやっているのですけれども、現在トラブルが一番多いのが分娩の問題です。ハイリスクであれば、できるだけ早くそういうセンターに送るべきだろうと考えられますので、どのぐらいの余裕があるかということを伺わせていただいたわけです。
○国立成育医療研究センター 付け加えさせていただきます。産婦人科・産科、周産期のスタッフがこれまで開院以来10年やってきたわけですけれども、この間に、そういうハイリスクの分娩を扱っているにもかかわらず訴訟が今までないということは密かに誇りとしているところでございます。
 しかし、もちろん、先生方お気付きのとおり、明日は何があるか分かりません。それだけスタッフが努力してきているということの1つの証であると思っています。
○猿田座長 ありがとうございました。他にございませんでしょうか。もしなければ、予定の時間になりましたので、これで成育医療研究センターのヒアリングを終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

(国立成育医療研究センター関係者退室)

(国立長寿医療研究センター関係者入室)

○猿田座長 大島理事長を初め長寿医療研究センターの皆様方には、大変お忙しいところ、また遅い時間においでいただきまして、どうもありがとうございました。
 今日は、成育医療研究センターとおたく様と2か所のヒアリングをさせていただくということで、20分ぐらい大島理事長から概略をお話しいただいて、それから30分ぐらい質疑応答をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。それでは、早速お願いします。
○国立長寿医療研究センター 国立長寿医療研究センターの大島でございます。よろしくお願いします。
 資料の1ページからお話を進めさせていただきたいと思います。1ページの概要ですが、私どものセンターは、平成16年、2004年の3月に6番目の最後のナショナルセンターとして設立されたもので、最も新しいナショナルセンターであります。元々、1980年代に今のような高齢化を予測しまして、その対応策として、老化・老年病研究センターのようなものが必要であるというところから構想されてきたものであります。
 規模は6センターのうち最小でありまして、常勤の職員数は約450人、財政規模が約90億で、他に比べると本当に小さなセンターであります。しかし、小規模ではありますけれども、現在、日本はもちろん、世界から最も注目され、かつ期待もされている施設であるということは間違いがないと自負をしているところであります。
 理由は、日本が世界一の高齢国であること。そして、世界中なかでもアジア、そのなかでも東アジアについては物凄い勢いで高齢化が進んでいます。特に東アジアにつきましては、日本の後を10年から20年追うような形でもって著しく高齢化が進んでいます。今、日本が抱えている高齢化に伴う問題の全てが、10年後から20年後には東アジアで同じような形でもって課題として出てくるわけであります。
 私は、世界における21世紀の最大問題の一つは高齢化問題であると考えておりまして、その証拠に、世界中が日本のこれからのあり方に注目をしています。その期待を一身に背負っているのが当センターであろうと、妄想ではなく自負をしているところであります。
 当センターのミッションは、右側に書きましたように「私たちは高齢者の心と体の自立を促進し、健康長寿社会の構築に貢献します」というものであります。
 2ページです。これは、今、お話しした私どものセンターの目指すものについてポンチ絵で示したものであります。若い人の病気というのは、大体1つの臓器に1つの障害という形で現れることが多くて、それを治すことがすなわち救命・延命であり、また、QOLの向上につながってきたわけでありますけれども、今まで20世紀に私たちが目指してきた医療というのは、まさに治す、徹底的に治すという医療を目指してきたわけです。
 しかし、高齢者につきましては、老化という全身の虚弱化に加えて生活習慣病という慢性疾患が加わります。そして、そういった病態に対して臓器ごとに専門家が別々に診ていくというようなことをしますと、かえって全体の調和が崩れ調子がおかしくなってしまうということもよくあることであります。
 したがって、高齢者を診ていくという見方というのは、若い人を診ていくやり方とは根本から違うということであります。このポンチ絵が、これから私たちのセンターが目指す方向について示したものであります。
 次のページです。では、具体的にはどう考えていくかということであります。問題は非常に多岐にわたりますけれども、全て同じようなエネルギーと時間、あるいはお金をつぎ込むというわけにはいきませんので、何が課題で何が問題なのかということを集中的に取り上げまして、センターの柱を国の政策としても重点課題になっている認知症、そして介護予防、そしてQOLや生命予後に非常に大きな影響があるということが最近色々な研究で分かってきました口腔疾患対策というところに置きまして、これらの対応・研究に向かっているところであります。
 基本的な考え方は、病院と研究所が一体となって研究を進めるというナショナルセンターの基本方針の実現ということを根本に置きまして、基礎と臨床を一緒にしてセンター化するという方向で進めてきています。
 具体的な成果は、あくまで政策に提言できること、あるいは患者さん、あるいは国民に還元できるというところを具体的な成果目標にしています。
 政策提言の柱につきましては、今年が在宅医療元年と言われていますように、一つは在宅医療対策に置いています。今、地域における医療のあり方の再編が求められているということでありまして、多少大げさな言い方をすれば、20世紀型の医療から21世紀型医療への大転換の時期にあって、それを先導していくということが私たちに求められている役割であろうと考えているところであります。
 4ページです。これは、今、お話ししたセンター化を推進しているポンチ絵であります。 研究に対する基本的な考え方は、繰り返しになりますが、研究課題を明確化すること、選択と集中というような言い方もあります。そして、臨床と基礎の共同体制をしっかりと作ること。3つ目は、論文の作成は研究施設である限り当たり前のことですが、これがゴールではなく通過点であるということ。ゴールは、基礎研究から臨床研究へ、そして臨床研究から市場、そして国民へということにゴールがあるという考え方で進めているところであります。
 次のページは私どものセンターに求められる研究について、その背景となる社会的状況の一端をお示ししたものであります。認知症は、最近のデータで高齢者人口の14.4%、既に400万人強の方がなっている。予備軍であるMCIについても同程度いるということで、800万人がその対象になると推測をされています。
 既に明らかになっていますように、要介護、要支援高齢者につきましては400万人を超えている。今のような高齢化のスピードを考えますと、これが一体どれぐらいになるのかというのは、恐らく10年後、20年後にはこの倍になってくるだろうと予測されるわけであります。
 一方、在宅医療が求められている背景には長期入院ということがありまして、70歳以上の患者さんでは平均在院日数が43日ということで、今の外来の患者さんの平均年齢が65歳を超えている。そして、入院患者さんの平均年齢が70歳を超えているというような状況が社会の中にはあるわけであります。
 次のページは、認知症についての取り組みを示したものであります。認知症研究についての考え方のゴールにつきましては、創薬というところに的を絞っていまして、現実的には既に、大手がかかわっている薬剤が1つありまして、これはもうすぐに臨床研究に持っていけるということ。それから、その候補になるのが今2、3あるということで、あくまで認知症の基礎研究から臨床研究に向かう研究については、創薬を目指すということを合言葉にして進めているところであります。
 臨床につきましては、もの忘れセンターをつくりまして、これはそれこそ世界一のセンターであると自負をしておりまして、年間1,200例以上の認知症の患者さんを診ています。この規模も世界一でありますけれども、これを全てデータベース化して臨床研究の解析につなげていこうということで、着実に、今、進んでいるところであります。
 他に認知症対策については、これだけではなく総合的に関与しておりまして、認知症の原因・予防・診断・治療、全般にわたってこれを進めていくということと同時に、認知症にきちんと対応していくという人材育成にも力を入れています。
 医者についてはサポート医を養成するということで、約2,000人のサポート医養成を既に終わっておりまして、そのサポート医が地域へ戻って、かかりつけ医の要請で、2万5,000人の研修が既に終わっているところであります。
 他に看護研修、あるいは家族教室、あるいは社会人研修ということにも手を広げておりまして、そういった研修活動も積極的に行っているところであります。
 次のページです。高齢化になればなるほど虚弱化が進みますが、この虚弱の予防ということは要介護になることを防ぐ最も大きな要因であると考えておりまして、この点で1つ、最近明らかにできた我々の研究の成果があります。これは介護保険データの基本チェックリストの解析を通して、世界で初めて一国の虚弱高齢者の推計が可能になるということを明らかにしまして、これも世界から、今、注目をされているところであります。
 次のページです。長期入院医療につきましては、在宅医療を推進することによってこれの解消を進めていこうということでありますが、このスライドの原稿を見ていただければ全体像が分かると思いますが、特に今年は在宅医療元年ということで国が進めているということと関連してお話をさせていただきます。在宅医療推進会議を私どもセンターが、主宰してという言い方が適当かどうかわかりませんけれども、これを運営しておりまして、各関係団体の方たちに集まっていただきまして、意見を集約いたしまして、地域医療計画への提言、あるいは医療法の改正に対する提言、それから、今、在宅医療の拠点形成という事業が進みつつありますけれども、これに対して私どものセンターで何ができるのかということで、積極的に関与をしているということであります。
 次のページです。「在宅医療推進の研究体制基盤整備」という書き方がしてありますけれども、具体的に、今、国が進めようとしている拠点事業とリンクするような形で、こういった全国展開を進めているところであります。
 最後のページです。要望事項ということで幾つかお話をさせていただきたいと思います。 第1が「総人件費の削減義務の廃止」ということでありますが、これは、他のセンターも全く同じかと思いますけれども、現業部門である限り、固定した人員だとか、固定した人件費でいわゆる病院経営をやるというのは非常に難しいというか、無理な話であります。経営についての考え方について、厳しく監視をしていただくということに関して異論はございませんけれども、人数を限定するとか、人件費を限定するとか、これでは病院の経営の発展だとかそういったことが非常に難しいということでありまして、この点については本当に再考を願いたいと思っています。
 2つ目が「情報部門の確立」と書きました。私は、これからの時代は、どんな組織も情報の価値が大きくなっていくだろうと思っています。したがって、各部門というのか、領域ごとに情報を片手間に扱っているという時代ではない。情報部門というのを1つに集約して、そこでセンターにかかわる全ての情報をその部門が一括して管理をしていくという方向に行くべきであると考えております。そういう意味で、情報部門というのを独立するような方向で、私どもは考えていますが、是非ともこういったことに支援をしていただきたいと考えているところであります。
 3つ目が「目的積立金の認定基準の緩和」ということですが、これも極めて当たり前だと思いますが、努力して上がった収益については、独立行政法人だからみんな国に納めろということではなくて、お金の使い方についてはきちんとチェックをしていただくということを大前提にして、センターの裁量にできるだけ任せていただきたいということであります。
 そして、最後に「センターの建替整備(案)」と書いてありますが、当センターの病院部門はもう45年以上経っておりまして、夏冬の冷暖房の故障が頻繁に起こるという、本当に信じられないような状況が、今、起こっています。これはもう言うまでもなく、その結果、患者さんが一体どうなるのかということで、特にとんでもなく暑い夜など、こんなことが起こるともう大変な事態になりまして、扇風機を40台、50台かき集めるためにどうするかなどということで職員が振り回されるということも現実に起こっていることであります。
 もちろん、センターの努力で収益を上げて病院の改築に向かおうという決意を職員はしておるわけですけれども、これは私どものただ単に決意だけでできる話ではありませんので、そういったようなことも十分に御理解いただいて、国からのバックアップをしていただければということを考えているわけであります。以上です。どうもありがとうございました。
○猿田座長 どうもありがとうございました。
 大島理事長からは、日本の高齢者医療の現況と、今の国立長寿医療研究センターの状況、それから、特にこれからの展望ということを含めて分かりやすくお話しいただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、質問に入りたいと思います。先生方、どなたでも結構でございます。どうぞ、福井先生。
○福井委員 再生医療的な研究は触れられていないようですけれども、行っていないのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター 再生医療につきましては、高齢期におきまして、よく歯がだめになってしまいます。この歯というのは、今、歯医者さんに行くと抜歯を一般にやりますが、そこにインプラントを入れたり、あるいは入れ歯をかぶせたりというのが一般的な療法でございますけれども、私どもは、その歯から健常な歯髄の部分を抜き出しまして、この歯髄を再生させて、もう一度抜けた歯のところに植えてやる。そこにもう一度歯を再生させるという再生医療に取り組んでおります。
 昨年までに前臨床が終了いたしまして、今年度、今、厚生労働省にヒト臨床試験の申請をしている段階でございます。歯科領域でございますけれども、歯牙の再生に関してはかなり進んでいる、一定の進歩があるのかなと考えております。以上でございます。
○福井委員 確認ですが、この研究所での研究テーマは、3ページに挙げられている認知症対策関係、介護予防対策関係、口腔疾患対策関係の3つの大きな柱から成っているということでよろしいでしょうか。
○国立長寿医療研究センター はい。それでよろしいのですけれども、例えば、今、先生が御質問されましたような再生医療というのは、ある意味で別なカテゴリーだとすれば、再生医療として歯科、それから、申し忘れましたけれども、高齢期にやはり多くなります尿失禁についても、骨盤底筋を再生させるということから基礎研究を、今、進めている段階でございまして、そういう意味では再生というカテゴリーを作ってもいいのかもしれませんが、ここでお示ししたのは、特に大きな柱として、認知症、介護予防、口腔疾患を挙げさせていただいております。
○福井委員 この研究所の職員は、常勤職員が49名と伺っていますけれども、この中で実際に研究をされているのは何人でしょうか。つまり、この49人の中には事務職員とかそういう人が入っているのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター 49人は全て研究者でございます。
○猿田座長 どうぞ、永井先生。
○永井委員 人件費が削減されている折、なかなか規模を拡大するのは難しいと思うのですが、これから地域医療の包括ケアシステムですか。在宅医療とか色々な社会と一体になったシステムを作らないといけないですね。そういう時代への備えといいますか、それから、データベース化ということも重要になると思いますけれども、その辺はどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国立長寿医療研究センター 地域包括ケアというのは、実は介護の方から出てきた概念ですが、実際にはもちろん、これは医療を抜きに考えることはできない話でして、先ほども少し触れましたけれども、今までの病院中心の医療では21世紀の高齢社会は乗り切れないと考えておりまして、一言で言えば、今までの病院中心の医療から、地域全体でカバーしていく医療への大転換が、医療再編がどうしても必要だろうと思います。
 その具体的な、エビデンスも含めて、どのような方向に向かっていくのかというのは、モデルづくりとかそういったような、在宅医療が核になるだろうとは考えているのですが、在宅医療を核にして、地域包括ケアのあり方のモデルづくりというものを具体的に進めていくということを考えているところです。
○猿田座長 他にいかがですか。松本委員、どうぞ。
○松本委員 関連して、むしろ永井先生が色々お考えになっていたことを実現する必要があるのだろうと思うのですけれども、在宅医療とICTの活用というのが、重要になってくると思います。その時に、取得したビッグデータをどう活用できるのか、そういう医療情報をどううまく用いることができるのか、もう一つは、在宅医療だと、原則としてお医者さんへ行かないという制限がありますね。例えば、テレビ電話では診断できないということになっていたかと思うのですけれども、そういったことがもしできるとすると、どのくらいのメリットがあるのかということをうまく発信していただくということが重要だと思います。先生がお考えになっている中で、在宅医療の展開における最大の課題、すぐにでも解決しないといけない課題というのはどういうところにあるとお考えですか。
○国立長寿医療研究センター 色々ありますけれども、最も大きく直面している課題は何かと言えば、国の政策的な方向性というのは、多分10年、15年前から見えてきていると私は理解していますが、現場が変わっていないのです。現場が変わっていないというのは何かと言えば、医者の意識が変わっていない。医者の意識変革というのは、今、最も求められる大きな課題で、1つだけ言えといえばそれだと考えております。
○松本委員 次の御質問は、どうやればそれができますかということなのですが。
○国立長寿医療研究センター これは本当に非常に難しい話なのですが、もう既に現場というのか、社会全体の要請というのがどうにもならないぐらい大きなうねりになってきていると理解をしています。
 したがって、20世紀には病院中心、あるいは診療所中心に、患者さんの家まで行くなどという発想というのはほとんどなくてやってきた、医者がそういう考え方でやってきたわけです。しかも専門分化型に、専門医ばかりが作られてきたという医療をやってきたわけですけれども、これは医者が悪いかと言ってしまうと、決して医者だけが悪いわけではなくて、社会全体がそれを求めてきたという背景もあったと思うのです。それで、世の中が変わったから皆さん変わってくださいと一言で言っても、これはなかなか変われない。
しかし、もう事態はそんなことでは済まない状況まで来ていますという社会的な背景が非常に大きなうねりになってきていますので、そのことについては、医師会も含めて、あるいは大学も含め、あらゆる医療関係者が気がつき始めてきているというふうには言えるのではないかと思っています。
○猿田座長 ですから、その点では、先ほど大島理事長が言ったモデル的なものを作っていただいて、第一線の現場の先生方がどうやって入っていったらいいか非常に戸惑ってしまっているのです。介護の世界、介護士の問題と現場の医師の関係など、今度どのように連携してやっていくのか大変重要な問題です。大島先生のお話にありましたように、モデルができてこういう風に行けば良いというのを早く見せていただきたいと思います。
 近藤先生、どうぞ。
○近藤委員 PMDAの近藤です。先生方のところでも、もの忘れセンターでやるとか地域で認知症予防モデルとか、色々な研究をなさっておりますけれども、基本的に申し上げますと、非常に評価のしにくい疾病ですね。そして、恐らく製薬企業からすると、それに基づいていろいろな基準を作ってやっていくわけですけれども、やはり先生のところのような病院で一番期待するところは、評価のモデルをしっかり作ってほしいと思うところです。恐らく、先ほど大変大勢の患者さんを抱えておられる。また、それを長い年月やって苦労されている。きっとそこから、世界的に見て評価に値するようなデータが出てくるだろうかなと期待しているところなのですけれども、ただ、見方が悪いと何でもない患者さんの固まりになってくるわけです。
 ですから、評価の基準というのをしっかり研究いただいて、我々にとっても役に立つようなデータを提供していただきたい。このエバリュエーション、評価基準というのは、今、世界中で一番困っているところの一つだろうと思うのです。ですから、これは物凄く頭の要る研究ではないかと思うのですけれども、是非そこら辺に力を入れていただきたいと思っています。
○国立長寿医療研究センター ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。 認知症というのは、やはり非常に漠とした領域だと正直言って思っております。ただ、そういう中で、1つは予防ということ。もう一つは早期診断ということ。薬物治療まではかなり先になると思いますけれども、今、もの忘れセンター、あるいは私どもにあります認知症先進医療開発センターの中で、特に地域での認知症予防をどうするかという、まさにエバリュエーションというか、スタンダードをどういう風に構築するかというところは非常にしっかりやっているつもりでございます。例えば、先ほど総長の方から御説明がございましたし、それから、つい数日前に厚生労働省から発表がありましたけれども、認知症が360万人、筑波の朝田班の研究ですと400万人ぐらいおられます。
 御存知のように、認知症というのは色々なタイプがございます。そのタイプをできるだけ早く鑑別していくということがまず1つあります。それから、どのタイプになるにしても、その前のいわゆる認知機能が衰えている段階、MCI、Mild Cognitive Impairment、言ってみれば軽度認知機能障害の段階は必ず経ます。この段階できちんと患者様というより、患者様になっていない、地域で普通に暮らしている方、この方を早く見つける。そして、その方々であれば、ある介入をしますと、認知症へ移行するのが少なくとも1年か1年半は先送りされるというのが今の最新のデータというか、我々が知っていることでございます。
 この研究は欧米で多かったのですけれども、日本で初めて、私どものセンターがあります愛知県大府市との協働で、まずMCIの方を正確に抽出して、その方々をいわゆるRCT、ランダム化試験で頭を使うとか、運動を行うとかということによって、本当にMCIの状況が少しでも改善するかどうか。それは脳画像も全部含めてでございます。そういったような地道な研究によって、今、先生が御指摘なされたような評価基準というものが決まってまいります。さらに、物忘れ外来に来た方々についても、今、1,000例以上のデータベース化を取っております。
 その中で、例えば物忘れの中でもアルツハイマーと呼ばれる一つの非常にやっかいな病態がございますけれども、アルツハイマーというのはアミロイドベータという特殊な物質が脳の中にたまっていく状態なのですが、それを画像で早い段階から抽出するといったような、画像を中心として、できるだけ鋭敏な画像診断ができるようにということで特に力を入れる。そのところへの評価基準というものを、今、作成している。それはADNIと呼ばれるオールジャパンで組んだ体制の中での一翼でございますけれども、そういった評価基準を作っているというのが現状でございます。
○猿田座長 どうぞ、近藤委員。
○近藤委員 私は脳外科医なので、くも膜下出血の経験からお話しさせて頂きます。また、私は人事院の公務災害について判断するお手伝いを長らくして参りましたが、国家公務員のくも膜下出血の背景として過労が認められています。現状、脳動脈瘤の破裂がどうして過労と直結するのか実は誰も議論されていません。
 このように、この世の中で過労というものの正しい研究は余りされていないのです。恐らく、恵まれた環境の中にある方々は結構長生きするのかなということと、非常に厳しい環境にある人は結構色々な病気になってきますね。免疫ということなのだろうと思うけれども、その免疫に関して言うと、ほとんど免疫疾患という言葉がしだいに出て、過労との関係というのがほとんどされていないのです。
 ですから、お年をとられてくると、恐らく免疫力が自動的にだんだん低下してくる。どこがどうやられると、そういう動脈瘤が破けやすくなるのか、こういう研究を先生のところは、基本的に言うと社会科学的な研究は多いのだけれども、もう少し自然科学的なというか、医学的な研究も含めてやってもらうと、老齢者をいっぱいおられるので、是非お願いしたいと思っています。
○国立長寿医療研究センター 今、御指摘ございましたけれども、基礎研究でも加齢に伴う免疫機能の低下というのは、老化機構研究部門で取り組んでおります。うちは専門ではないのですけれども、いわゆるBセルとかTセルなどの免疫細胞の、加齢に伴う機能の低下と、それから、それが肺炎とどう結びついているかという基礎的な研究は臨床と組んでやっているのが現状ですから、残念ながらくも膜下出血までは手が出ていないというのが現状でございます。
○国立長寿医療研究センター 社会学的な研究が多いと言われましたけれども、ちょっとそこを強調し過ぎた嫌いがありますが、実際には全然違っています。主なものだけを挙げたということです。
○猿田座長 国立精神・神経医療研究センターとの研究でも、かなり連携を取ってやられているのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター すみ分けが少し微妙なところがありますが、認知症に関しては私どもで、高齢者の鬱ということに関しては精神・神経研究センターで、これについては共同研究といった形でもって進めさせていただいています。
○猿田座長 他にいかがでしょうか。どうぞ、花井委員。
○花井委員 今、今後の独法の制度のあり方を考えようということなのですが、総じて我が国の医療の最も喫緊、最大の課題が高齢化であるということはもう議論をまたないところですけれども、その割にはここのセンターに国として力を入れてくれていないのではないかと感じます。例えば、大府市内ではかなり在宅との連携というのをやられていて、もちろん、地元でそれがうまくいくということは一つはいいのですが、例えば医療法で位置付けたりとか、診療報酬で何かやったりとか、一生懸命やろうとしていて、平成25年ぐらいまでには何とかしなければいけないということなのですが、このペースでいくと、私の理解では、これはかなり楽観できない状況だと思います。
 そういう中で、真っすぐに聞きますと、このナショナルセンターとしては、建物の新築というのもおっしゃっていましたけれども、着手するためには、規模はこのくらい大きくしてもらわなければみたいなことがあれば、もうこの際ですから、お聞かせ願いたいと思います。
○国立長寿医療研究センター ありがとうございます。余り愚痴っぽい話を最初からするのはどうかと思いましたので、そんな風に言っていただくと非常にありがたいのですが、例えば、在宅医療を今年本当に国が真剣に取り組もうという姿勢を具体的な形でもって出したのです。
 それで、これは全国展開で105か所の拠点を全国に作って、そこの評価からこれを全て私どものセンターで担うということになりました。そこで105か所全ての拠点、各県に全て散らばっているわけですけれども、それがどういう機能を持っていて、1年後には点から面にするためにどれだけの働きをしてくれるのか、その評価基準は一体何で見ていくのかということを、この4月ぐらいから一挙に来たわけです。
 しかし、これは余り言うと後で大変なことになりそうな感じがしないでもないですが、それだけの事業が来て、普通であれば最低でも10人や20人の人を雇っていいということを、医者もあるいは事務も全部含めて、うちの職員は1人も増やすことができないのです。それぐらいあっても当たり前だと思うのですが、これが実態なのです。
 全体を考えた時に、各課題一つ一つが、これから日本の高齢化と、そこから生ずる医療問題、あるいは社会問題も含めて、それに対してどういう研究体制が必要なのかということを細かく言い始めると、一体どれぐらいになるのかというのは積算したことはないのですが、今、直面している問題でそういった事態にあるという状況にあります。
 したがって、先ほど病院の改築というお話もしましたが、世界中から人が見学に来るという、多少大げさですけれども、アジアからも本当にしょっちゅう見学に来るのですが、日本がこれからの高齢化に向けて本気で取り組んでいるという風に、最初に来た時に施設を見て、日本が本気か、本気でないのかというのは、ある程度想像しますね。この施設では本気なのかというふうに思われるかというのは、ちょっと苦しいところがあるのも事実です。
○花井委員 ありがとうございます。国の本気度という意味で言えば本気なのだとは思うのですけれども、やはり在宅医療連携拠点というのですか、比較はできないですけれども、昔、1989年にエイズの拠点病院360施設を選択したけれども、ほとんど機能しなかった。機能するのにそれから10年以上かかっているのですけれども、選んだから急に機能するということはないと思うのですが、やはりそこについては、このセンターに対する期待というのは大きいと思うので、国の本気度が見えるようになればいいかなと私も思います。
○国立長寿医療研究センター 是非とも応援よろしくお願いします。
○猿田座長 他にいかがでしょうか。どうぞ、仁科委員。
○仁科委員 我々も認知というものに対してすごく恐怖を感じている年齢になってくるのですけれども、私も昨年、父と母を次々に亡くしまして、病院の状況とかを見ていますと、すごく乱暴な言い方で、知識のない一般人から言いますと、逆にメディアにかかわる人間として責任もあると思うのですけれども、普通のサプリメントとかそういうものが、これは認知に効きますとかと言うと、皆さんがわあっとこぞって買われるではないですか。私も父や母に買ってあげてしまった方なのですけれども、そういうものを専門科の病院として、センターとして何か発表するとか、予防に対しての取り組みをなさったら、そういうものが利益として還元できるのではないかというのはいけないことなのでしょうか。できないことなのでしょうか。
○国立長寿医療研究センター 認知症を予防するということで、サプリメントとか、一般の方々が大きな関心を持っておられますが、本当に有効なのかどうか。あるいは、特に今サプリメントという面について御質問がございましたけれども、日本では、どのサプリメントが本当に認知症を予防するというより、先ほど申しましたけれども、そういうものが効くとすれば、認知症の予備軍の方の方が効きやすいのです。だけれども、例えばどのサプリメントを飲むと本当に認知機能が維持されて、認知症になるのが先送りされるかという科学的なデータは残念ながら出ておりません。
 ただ、例えば欧米の研究で有名なのは、赤ワインの中に含まれるポリフェノールですとか、お魚に含まれるような不飽和脂肪酸といったような物質は、かなり認知症にならない可能性があるというふうにはデータが幾つか出ておるのですけれども、それが本当かどうかを確かめるためには、同じ状態の人をくじ引きで2つの群に分けて、片方にはサプリメントを、1年間なら1年間お飲みいだたく。もう片方には、そのサプリメントは飲まないで、今までどおりの生活をしていただくという手法の研究が必要なのですけれども、これは言うのは非常に簡単なのですが、実際にやろうとすると、ネズミとかそういうものは十分できるのですけれども、人の場合には、このサプリメントを飲まないでくださいとは言えない。あるいはこちらの方にサプリメントをあげても、この人たちもいつかどこかで食べたりしているということもあって、正直に申しますと、科学的に本当にそのサプリメントが認知症予防に効くかどうかということに関する科学的データは、残念ながら日本ではまだ出ていないというか、世界でもほとんど出ていないのが現状です。
○仁科委員 予防薬としてセンターで発表できるということは、今の段階ではもう不可能なわけですか。
○国立長寿医療研究センター 不可能というか、科学的なレベルを少し落とした方法、例えば認知症が最初なかった人たちが、5年経ったら認知症になっていた人たちとならなかった人を比べて、一体、食生活で何が違うのか、あるいはサプリメントで何が違うのかというのを調べると、このサプリメントを飲んでいる人たちの方が認知症の発症が少なかったというデータはあるのです。そのぐらいのレベルのデータであればかなりたくさんあります。
ですから、そういう研究レベルで言うと、偶然というよりもっと強いレベルでの根拠です。この場合には、このサプリメントは認知症を予防する可能性があるというふうに言っていいと思います。ただ、本当にならないかどうかは、先ほど申し上げましたが、同じ人たちに、片方にサプリメントを1年、2年飲んでいただく。片方は一切、それをお飲みにならないで過ごしていただく。その上で、本当にその後、認知症の発症が違ったのかどうかという評価をしなければいけないのですけれども、それはなかなかできない。
○仁科委員 それでは、それをセンターとしては利益とか還元できるという状況はないわけですね。
○国立長寿医療研究センター 利益と申しますのは。
○仁科委員 それを売って利益になるようなことはないわけですか。
○近藤委員 ちょっといいですか。仁科委員の質問に答える格好になると思いますけれども、薬効が定かでないものを効いていると言うと薬事法違反なのです。ですから、色々なサプリメントが世の中にありますけれども、よく宣伝の話を聞いていないといけませんが、効くと言ってはいないと思うのです。
 ですから、もしもあれが効くと言ってしまったら、瞬間的に薬事法違反です。まだ確証されていないことばかりなのだろうと思うのです。だから、なかなか難しいわけです。
○仁科委員 そういうのを売れば、何か少しは利益が生み出せるのかと思ったのですが。
○近藤委員 だから、曖昧なところでみんな商売をしているところがあるかもしれませんけれども、本当にそうであれば、恐らく長寿医療センターが一生懸命お調べになるだろうと思います。
○猿田座長 どうぞ。
○国立長寿医療研究センター 栄養で申しますと、例えば認知症についてはまだ分かっていないのですけれども、認知症と同じぐらい困るのは、頭はしっかりしているのだけれども、体の筋肉が全部衰えて虚弱になってしまうこともあるのです。そういう場合、今までは運動がいいと言われていて、確かに運動は効くのです。だけれども、運動だってできないぐらいの人もたくさんおられるのです。
 最近わかってきたことは、アミノ酸という物質があるのですけれども、その中で特定のアミノ酸、ロイシンと言われるものなのですけれども、それを3か月ぐらい普通の食品に3割増しか5割増しぐらい入れて召し上がっていただくと、筋肉量が余り減らない、減り方が少なくなるということが分かってきています。ですから、そういったことも先ほど言った2群にくじ引きで割りつけてやった試験できちんと評価が定まってきたのです。
 ですから、私どもは認知症についても、アルツハイマーが主になりますけれども、近い将来、そういった、本当にあるサプリメントが効いてくるのかどうかということは決して不可能ではないと思っております。
○猿田座長 他に少し焦点を変えて御質問ありますでしょうか。どうぞ、松本先生。
○松本委員 年をとってくると色々な病気を発症して、それらは関連があって出て来ると思うのですが、その中でどういう治療をしていくと効果があるのだというようなことが、たくさんのカルテの中から出てくると思うのです。その辺りはいかがですか。
○国立長寿医療研究センター 確かにおっしゃられるように、先ほど総長からの説明でもございましたけれども、若い人というのは、その病気は確実に臓器で判断するし、それから、治療しやすいというのは語弊ですが、治療というものが優先いたします。
 しかし、高齢期になりますと、そういう急性疾患というのはそれほど多くなくて、いわゆる慢性疾患、加齢に伴って、簡単に言うと目が見えづらくなる、腰が痛くなる、歩きが悪くなる、それこそ認知機能が悪くなる、色々なものが一緒に入ってきます。これらは必ずしも、先ほど申し上げましたように、治る見込みという意味では、急性の疾患よりははるかに低いのです。だけれども、大事なことは、若い時は無病息災であること、病気がなくて社会の一員として頑張っていけることが健康の証になりますけれども、高齢期になりますと、無病息災ではなく、一病息災、二病息災といって、どうやってそういう慢性疾患などと折り合いをつけていくかということが非常に重要になります。
したがって、実際の老年医療の現場では、病気そのものも診断しますけれども、おっしゃられるように、たくさんの病気をリンクしてお持ちになる方が多いので、その場合に一番大事なことは、その人がその病気とどのように折り合いをつけながら自分の家の中で自立して暮らせるかということを最初に判断する。それから、どの状態をどこまで治すと家庭の中での自立というものがより増加するかというところが治療の一番基本的なコンセプトになるかと思います。以上でございます。
○猿田座長 やはり色々やることが多いですね。たくさんのことをやらなければいけない。
 他にどなたかございますか。どうぞ、おおたわ委員。
○おおたわ委員 では、1点だけ。他のナショナルセンターと決定的に違うのが、お話を伺っていて、先生方が相手にしているのがエージングという、老いというものです。一つのがんであれ、先天性疾患であれそれを完璧に治療すればいいというゴールが見えているところと、どうやってもデメンチアとかが進んでいくのを1年、2年延ばせれば良しというところで手を打たなければいけないところとの差というのは非常に大きいと思うので、他と横並びで考えるのはちょっとお気の毒かなという気もしました。
 あと、これだけ高齢化社会が来ていて、とんでもない数の高齢者がいる中で、この321床に全てがかかっているのもとんでもない話だというふうには凄く強く感じました。その中で、多分、国が考え出した策というのが在宅支援ということなのだと思います。今、病院で死ぬということではなく、在宅で見られるものはぎりぎりまで在宅で見ていくという手段を取らざるを得ないという現状がある中で、恐らくやらなくてはいけないのは、やはり先生が最初に医師の意識改革というのはすごく大事だとおっしゃって、それと同時に、多分、我々は医師なので、どうしてもこういう言い方になってしまうのですが、患者教育というか患者の家族教育というか、国民全体の意識改革を国と一緒に、もっと国が旗を振ってやっていってもらうということが同時にすごく急務として必要とされるような気がします。
もう一つ、同時に、今、ありながらにして余り機能していない介護認定制度です。やはり介護保険、私もたくさんの高齢者の患者を抱えていますので、申請はするものの、40代からずっと介護保険を払い続けてはいるものの、どう考えても、どう見ても元を取らずに死んでいく老人がたくさんいるのです。だから、そこをやはり、介護保険の制度改革も含めて先生方のお知恵をいただいて、国民が在宅で安心して暮らすための介護保険制度の新しい時代というのを作らないといけないのかなということを感じました。
意見なので、特にお答えがなければ結構ですが、何かお答えをいただけるのであればお願いします。
○国立長寿医療研究センター ありがとうございました。全く同感です。一言つけ加えさせていただければ、非常に大きな時代の転換期に来ているという認識を我々は持っていまして、これは医療だけではなくて国全体が、したがって、医療だとか社会保障では高齢化ということとリンクさせて考えると物凄く分かりやすい話題ではあるのですが、国全体が高齢化によって物凄く大きく変わりつつある。こういう時は、国が一体どういう方向へ向かうのかという大きな総合計画があって、その中で医療・介護というのを一体どういう風に位置付けていくのかという、言ってみれば、国が何を目指すのかという、その羅針盤がどうしても必要なのだろうと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。そろそろ時間が近づきましたが、もう一方、どなたか最後に。どうぞ、稲垣参考人。
○稲垣参考人 日本製薬工業協会の医薬品評価委員会に所属しております。創薬の方も結構やっていただいているということで、ありがとうございます。また、MCIを取り組んで、そこから実際、治療といいますか、薬剤のあれは難しいと思いますので、それでありがたいなと思っているのです。
そのことと関連して、言ってみればエージングという自然に変化していくものを対象にした研究ということになりますと、ある意味で疫学、あるいは前向きなコホートスタディーみたいなものを取り組んでいかないといけないのだろうと思っているのですが、それに対する取り組み、どれぐらいの規模でやられているかとか、そういったものも含めて教えていただけますでしょうか。
○国立長寿医療研究センター 御指摘のとおりで、疾病をターゲットとしたものではなく、エージングをターゲットとしたコホート研究というのは非常に重要でございます。今、日本で走っているのは2つございます。その最大のものが私どもの国立長寿医療研究センターで、これは平成7年からNILS-LSA、National Institute for Longevity Sciences - Longitudinal Study of Aging、加齢に関する長期縦断研究、これは1年間に1,200人、2年間で2,400人、これは長寿医療研究センターのある大府市とか東浦町とか、そういうところの住民台帳からランダムサンプルで選ばれた方々です。この方々が2年に1度ずつ1ウエーブとして、現在、第7ウエーブに入っております。1日に大体5人~7人で、本当に頭の先から足の先まで全て調査をさせていただきます。それから、3日間の食事調査では、全部食事のときにインスタントカメラをお渡しいたしまして、食べる前と食べた後、何を食べたか全てその写真を撮ってもらいます。例えば食事、心理検査、脳画像の検査、もちろん、循環器、呼吸器、筋骨格系、ありとあらゆる検査をさせていただいております。1日に大体7人で、年間200日で1,200人、掛ける2年間で2,400人。これが1ウエーブです。
 こういう風にして得られた長期縦断研究というのがございます。これは国家の非常に貴重なデータということになっております。来年度からは、第7次が終えましたので、いわゆるこのデータを使って、どういうエージングのところのどこを見たいのかということに対して、解析まで含めた、解析方法も非常に複雑でございます。横断的なクロスデータとは違って、縦断データですので、分析方法も非常に複雑になります。コンピュータで相当時間をかけてやらないといけないのですけれども、そういったもののサービスも含めて来年度から発足させようと、今、考えております。以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。
 それでは、時間も参りましたので、これで長寿医療研究センターのヒアリングを終わりたいと思います。どうも、御協力ありがとうございました。

(国立長寿医療研究センター関係者退室)

○猿田座長 委員の先生方におかれましては、これで6ナショナルセンターのヒアリングを一応終わらせていただいたということで、これからの残りの4回をどうやってまとめていくかということで議論していくことになりますけれども、事務局の方から今後の予定をお願いいたします。
○河内国立病院課長補佐 遅くまでありがとうございました。
 6センターのヒアリングが本日で終わりましたので、次回、開催日は9月27日の木曜日14時から、場所は厚生労働省の専用第22会議室になります。
 次回からの内容といたしましては、6センターの役割・機能・業務などにつきまして、また委員の皆様方に御議論いただく予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○猿田座長 どうも先生方、遅くまで御協力いただきましてありがとうございました。これで第3回を終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

 医政局国立病院課
  課長補佐  河内(内線2675)
  企画調整官 本橋(内線2610)
 (代表) 03(5253)1111

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