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2012年4月17日 平成24年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成24年4月17日(火)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館11階 共用1111会議室


○議事

○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。ただいまより、「第1回リスク評価に係る企画検討会」を開催いたします。本日は、清水委員がご都合でご欠席となっております。それと、お手元の参考資料1を見ていただいて、参考1に要綱と裏面に名簿がございます。今回から、化学物質評価研究機構の石井課長様に新たに参集者になっていただいておりますので、ご紹介申し上げます。それでは、櫻井座長に進行をお願いいたします。
○櫻井座長 議事進行を務めます。どうぞよろしくお願いいたします。今日は、「平成23年度のリスク評価の実績について」などの議事を予定しております。最初に、事務局から今日の資料の確認をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 本日の資料です。次第といたしまして、議事が平成23年度のリスク評価の実績、平成24年度の労働者の健康障害防止措置にかかるリスク評価の実施方針案(平成24年度)、ジフェニルアミンのがん原性試験の評価、他の制度と連携したリスク評価の推進のための対象物質選定方法の検討についてを予定してございます。
 資料1といたしまして「平成23年度のリスク評価の実績について」、そのあとに資料1の別紙1、別紙2が付いてございます。資料2-1といたしまして「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(案)(平成24年度)」、資料2-2といたしまして「平成24年度のリスクコミュニケーションの進め方(案)」、資料3といたしまして「ジフェニルアミンのがん原性試験の評価結果について」、資料4といたしまして「他の制度等と連携したリスク評価の推進のための対象物質選定方法の検討について(案)」です。
 参考1といたしまして、いま見ていただきました「開催要綱」、参考2といたしまして「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成23年度)」、参考3といたしまして「平成23年度リスク評価の進捗状況」、参考4といたしまして「リスク評価の実施予定について」、参考5といたしまして「これまでのリスク評価の進捗状況一覧」、参考6といたしまして「ばく露実態調査の実績状況」、参考7といたしましてジフェニルアミンの経口投与によるがん原性試験結果」、参考8といたしまして「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」、参考9といたしまして「リスク評価物質選定参考資料」、それと「有害ばく露作業報告書の書き方」のリーフレットを付けています。過不足等ありましたら、お申しつけください。
○櫻井座長 皆さん、お手元に資料はそろっておられるようですので、今日の議事に入ります。最初の議事は、「平成23年度のリスク評価の実績について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料1「平成23年度のリスク評価の実績について」をご覧ください。前回2月に大まかな実績を報告いたしましたが、化学物質のリスク評価に係る企画検討会、この検討会ですが、平成23年度6月29日に開催いたしまして、リスク評価物質案件の選定ということで、これは参考5を見ていただければと思います。参考5に、最初のころはリスク企画検討会がありませんでしたが、平成21年度から設置しておりまして、その中で対象を選定しております。その中でいちばん最後の頁になりますが、平成25年ばく露作業報告ということで、アクリル酸メチルからメタクリル酸メチルまで選んでいただいております。それがその実績です。
 次に、また資料1ですが、ナノマテリアルのリスク評価ということで、ナノマテリアルにつきましては国内外で関係機関における調査研究が進展していることから、ナノマテリアルのリスク評価の実施についての検討をするため、化学物質のリスク評価検討会において、ナノマテリアルのリスク評価の方針の検討を行うことを決めていただきました。また、平成23年度のリスク評価に係るリスクコミュニケーションの開催予定についても、議論していただきました。
 第2回目としまして、平成24年2月21日に開催していますが、ナノマテリアルのリスク評価の方針ということで、リスク評価検討会から報告をいただいたということです。それと、がん原性試験のフィージビリティーテストの対象物質の選定をしていただきまして、「ブチルアルデヒド」と、ナノマテリアルからは「酸化チタン(ナノ)アナターゼ型を平成24年度のフィージビリティーテストの対象物質として選定いただきました。それと、平成23年度のリスクコミュニケーションの結果、および3月に行う予定を検討いただきました。
 次に、化物物質のリスク評価検討会のことです。これが平成22年度に調査をした物質の関係につきまして、平成23年5月10日、27日、6月15日に合同検討会を開催いたしまして、7月14日に報告書を公表しました。これは、後ろに付いています資料1の別紙1、化学物質のリスク評価検討会報告書という形で取りまとめて報告、公表しております。中身につきましては、詳細リスク評価の結果といたしまして、インジウム及びその化合物、エチルベンゼン、コバルト及びその化合物について、制度的対応を念頭に置いたばく露リスク低減のための健康障害防止措置等の対策の検討を行うべきということを決めていただきました。
 それと、詳細の結果として、1,2-ジブロモエタン、酢酸ビニルにつきましては、事業者が自主的なリスク管理を行うように指導すべきであるという報告になっております。また、初期のリスク評価のほうですが、酸化チタン、これはナノではございませんが酸化チタン全体、1,3-ジクロロプロペン、ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト、パラ-ジクロロベンゼン、4-ビニル-1-シクロヘキセンにつきましては、詳細評価をすべきということでまとめて報告しております。
 オルト-ニトロアニソール、カテコール、ニトロメタンにつきましては、ばく露実態調査の結果、リスクは高くないと考えられることから、事業者が自主的なリスク管理を行うよう指導していくということでまとめています。
 ナノマテリアルのリスク評価の方針につきまして、企画検討会からの話で、平成23年10月11日、27日、11月30日に合同の検討会をし、リスク評価の方針を取りまとめていただいております。
 リスク評価検討会小検討会として有害性評価小検討会がありまして、そちらのほうでは平成23年2月22日、4月14日、10月18日、平成24年2月7日、3月8日、22日に開催しておりまして、リスク評価に係る物質の有害性の評価、評価値等を決めていただいております。
 それと、いままでは、発がん性に着目して選んでおりましたが、今後発がん性以外の有害性に着目して選んでおりますので、そういった物質に係る一次評価値の設定について検討いただき、「リスク評価の手法」の改訂案を作成しております。
 ウとして、国が行う有害性試験に関連する検討で、がん原性試験といたしまして、フィージビリティー試験が終了した7物質のうちから、平成24年度からはメタクリル酸ブチルを対象物質として選定していただいております。試験結果の評価といたしましては、アクリル酸、2-アミノエタノールの2物質について、「がん原性はない」という試験結果を確認しております。
 このあとまた報告を申し上げますが、平成23年度にとりまとめたジフェニルアミンの試験結果についても評価をし、これについては労働安全衛生法第28条第3項に基づく指針の対象とはせずに、有害性情報を幅広く収集した上でリスク評価を実施するよう、企画検討会に報告することを決定しております。
 イ)として、平成23年度から新たに実施することとした生殖毒性試験については、リスク評価の対象物質として選定された化学物質の中から生殖毒性試験の情報が特に必要と考えられるものを対象とするということで、平成23年度、平成24年度の試験の対象としてはアクリル酸メチルを選定しております。
 リスク評価検討会のもう1つの小検討会としてばく露評価小検討会ですが、平成23年3月2日、4月6日、20日に開催いたしまして、平成22年度にばく露調査を行った詳細評価5物質と、初期評価の8物質の結果についての検討を行っております。イとして、今後ばく露実態調査を行う8物質に係る測定分析法についての検討をしていただいております。
 (3)といたしまして、化学物質の健康障害防止措置に係る検討会、これはリスク評価の結果を受けて具体的な措置内容を検討していく検討会ですが、平成23年10月11日、25日、11月8日、28日、平成24年2月28日に開催しております。
 4頁に行きまして、アといたしまして、リスク評価結果を踏まえた健康障害防止措置の検討ということで、インジウム、エチルベンゼン、コバルトにつきましての検討を行っております。検討に当たりましては、関係事業者団体等から、健康障害防止措置の採用状況や今後の導入に当たって、考慮が必要な事故等について調査をするとともに、必要に応じて関係事業者団体に出席を求め、意見交換を行っております。これにつきましては、資料別紙2に、「平成23年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」ということで、12月に公表しております。
 また資料に戻っていただきまして、内容といたしましては、インジウム化合物の吸入性粉じんによる健康障害を防止するために、特定化学物質障害予防規則の対象とすることが必要であることをまとめていただいております。エチルベンゼンにつきましては、エチルベンゼン含有物を用いた塗装の作業について、有機溶剤中毒予防規則の対象とすることが必要であると。エチルベンゼンにつきましては、キシレンの不純物としてどうしても入っている物質ということで、業界団体の方等の意見も踏まえまして、キシレンのほうが有機規則で規制されているということもありまして、このような対応をしたほうがいいということで取りまとめをしていただいております。
 コバルト及びその化合物ということで、粉じん、ヒューム、ミスト等による健康障害を防止するため、特定化学物質障害予防規則の対象とすることが必要である。これにつきまして、二次発じんによる健康障害の防止措置が必要、コバルト及びその化合物を触媒として取り扱う作業については、健康障害防止措置の適用を除外することが妥当であるという取りまとめをしていただいております。
 今月12日のリスク評価検討会、いちばん下の※印ですが、有害性情報の再点検を行いまして、制度的規制の対象といたしましては、「コバルト及びその無機化合物」ということで、ビタミンB12等の有機コバルト化合物につきましては、制度的な規制の対象ではなく、自主的な取組みをしてもらうということで対応をするということです。
 裏面に行っていただきまして、エ)としてその他ですが、その物質のほかに、くん蒸作業ということで、臭化メチルだけではなくて、現在、臭化メチル等が入っているのですが、エチレンオキシドとか、酸化プロピレンにつきましてもくん蒸に用いられるということで、これらについての具体的な措置が必要であるということです。現在、安全衛生関係法令の改正を準備しているところです。
 イといたしまして、がん原性試験を踏まえた指針の検討ということで、がん原性試験結果を踏まえまして、1-ブロモブタン、2-アミノ-4-クロロフェノールの2物質を安全衛生法第28条第3項の指針の対象に追加するための技術的検討を行っていただいております。
 次に、2といたしましてリスク評価に係る情報提供等の推進です。リスクコミュニケーションにつきましては、3回実施させていただいております。1回目は平成23年9月28日、大阪で開催いたしておりまして、「コバルト及びその化合物」「エチルベンゼン」等々のリスク評価と化学物質の管理ということで、リスク評価検討会の委員でもある圓藤先生、あとは業界から日本塗料工業会の奴間常務、それとまた実際にコバルトを扱っている事業者ということで、新日本製鐵の安福部長にお話をしていただいております。意見交換につきましては、この企画の委員会の委員であります堀口先生にコーディネーターになっていただきまして、行政からも出席していろいろの意見交換を行っております。
 6頁に行っていただきまして、第2回といたしましては10月5日に「インジウム及びその化合物」ということをテーマに、同じくリスク評価検討会有害性評価小検討会座長の大前先生に入っていただきまして、また、「インジウムの健康リスク」ということで九州大学の田中先生、業界からは住友金属鉱山の阿部部長に出席していただきまして、お話をいただいております。また、意見交換につきましては、堀口先生に参加していただきまして、約80人ほど集まりましての意見交換会ということです。第3回目は3月5日に、化学物質のリスク評価検討会を踏まえた労働者の健康障害防止措置に係る意見交換会ということで、インジウム、エチルベンゼン、コバルト、今後規制の対象となる物質についてをメインに、名古屋先生、菅野先生にお話をいただきました。意見交換につきましては、また同じ事項です。
 7頁に行きまして、パブリックコメントの関係です。パブリックコメントにつきましては、正式なパブリックコメントとそのパブリックコメントに準ずるものというものという形になるのですが、政府のホームページ等に掲載いたしまして、意見を広く募集したということです。
 1つは、化学物質による健康障害を防止するための指針の対象となる化学物質の追加及び当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針に係る意見募集をいたしております。それと、リスク評価の対象になる物質・案件についての意見募集です。あとは、平成22年度ばく露調査対象物質に係るリスク評価に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底についてのパブリックコメントです。最後に、12月暮れになりますが、労働安全衛生規則第95条の6の規則に基づき、厚生労働大臣が定めるもの等の一部を改正する件、告示の関係ですが、これの意見募集を行っています。
 リーフレット関係につきましては、がんを起こす恐れのある26の化学物質について、労働者の健康障害防止するための指針が変わったことと、お知らせということで周知のリーフレットを作っています。それと、資料10にありますが、有害物ばく露作業報告の書き方ということで、事業者が書くときにわかりやすいようにリーフレットを作っています。資料1は以上です。
○櫻井座長 平成23年度のリスク評価の実績について説明がございましたが、何かお気づきの点、あるいは記載しておいたほうがよいかと思われる事項がもしございましたら、ご指摘いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。特にないようですが、よろしゅうございますか。それでは、ただいまのご報告の内容を平成23年度のリスク評価の実績ということで整理してください。
 続きまして、2番目の議事ですが、平成24年度リスク評価方針(案)について、事務局から説明をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料2-1をご覧ください。平成24年度の労働者健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(案)です。基本は、平成23年度のスタイルを踏襲しています。頭を読ませていただきますと、職場における化学物質の取扱いによる健康障害の防止を図るためには、事業者が自らの責務として個々の事業場でのばく露状況等を把握してリスクを評価し、その結果に基づき、ばく露防止対策を講ずる等の自律的な化学物質管理を適切に実施することが基本である。しかし、中小企業においては自律的な化学物質管理が必ずしも十分ではないことから、平成18年度から、国は、重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質について、労働者のばく露状況等の関係情報に基づきリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが高い作業等については、リスクの程度に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を講じてきている。平成24年度においては、以下の方針により、化学物質のリスク評価を実施する。
 各検討会におけるリスク評価。化学物質のリスク評価に係る企画検討会、この検討会ですが、まず24年度のリスク評価にかかる方針の策定を行う。
 ○2といたしまして、リスク評価対象物質の選定作業を24年夏ごろまでに実施することにより、平成24年12月までに告示が発出される25年有害物ばく露作業報告の対象物質に反映されるようにする。
 また、リスク評価対象物質の選定については、他の制度等と連携したリスク評価の推進のための対象物質選定方法についての検討を行う。がん原性試験に関連して、長期試験終了物質、吸入試験といたしましてメチルアミン、経口投与試験といたしましてはジフェニルアミンの有害性評価小検討会評価結果を踏まえた今後の対策の進め方について検討をする。さらに、国によるがん原性試験の実施に当たり、25年度にフィージビリティーテストの実施が必要な物質の選定を行う。
 ○3といたしまして、リスク評価に関する関係者間の相互理解を促進するため、労働分野におけるリスクコミュニケーションの実施について検討をする。
 (2)といたしまして、化学物質のリスク評価検討会ですが、平成23年度ばく露実態調査の対象物質(詳細評価5物質、初期評価5物質)について、平成24年6月末を目処に「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書(案)」を取りまとめる。また、ナノマテリアル(酸化チタン外)については、有害性評価の検討を進めるとともに、関係省庁、関係業界団体とも情報を密にし、ばく露実態調査を行う。2つの小検討会においては、以下の検討を行う。
 有害性評価小検討会については、国内外の疫学、毒性等に係る情報を基に、今後、初期リスク評価を行う物質の有害性評価を行うとともに、発がん以外の有害性から選定した物質の一次評価値について引き続き検討を行う。また、国によるがん原性試験、長期試験終了予定物質といたしまして、吸入試験はメチルアミン、経口試験といたしまして3-アミノフェノールの結果について、評価を実施する。
 ばく露評価小検討会におきましては、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」に沿って、平成23年度ばく露実態調査の対象物質(詳細評価5物質、初期評価5物質)の結果の評価を実施する。また、今後リスク評価を行う物質の測定分析法について、検討を行う。
 化学物質の健康障害防止措置に係る検討会におきましては、リスク評価結果が取りまとめられた物質について政策ベースの検討が可能となるよう、関係事業者、保護具メーカー等からもヒアリングを行うなどして、最新の技術開発動向や規制の導入に当たって、考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な健康障害防止措置の導入を目指すための検討を行う。
 平成24年度においては、化学物質のリスク評価検討会において取りまとめられる平成23年度の「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書」を踏まえ、物質ごとの健康障害防止措置の検討を行う。また、有害性評価小検討会において行われる国のがん原性試験結果の評価を踏まえ、必要に応じ、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく指針に関する技術的検討を行う。
 リスク評価に係る情報提供等の推進といたしましては、規制措置の導入に際して、パブリックコメントを通じて国民の意見を積極的に募集するとともに、リスク評価の節目にリスクコミュニケーションを実施し、意見交換やパンフレットの作成などを通じて国民にわかりやすい情報提供に努める。このほか、ばく露実態調査のために策定された測定・分析方法についても、積極的に情報提供をし、事業主自らのリスク管理の導入を支援する、となっております。
 参考3を見ていただきたいのですが、先般のリスク評価検討会の提出資料ですが、現在の状況です。平成21年1~3月まで報告があった20物質につきまして、初期評価や再告示をしたもの等がございます。
 現在、酸化チタン、1,3-ジクロロプロペン、ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト、パラ-ジクロロベンゼン、4-ビニル-1-シクロセキセンについては、詳細リスク評価を今後詰めていくことになっておりまして、アンチモン、キシリジン、ニトロベンゼン、2-アミノエタノール、メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネートについては、初期リスク評価を行っていくという流れの図です。
 参考の4は、同じ趣旨ですが、平成21年までに報告いただいた物質、平成23年1~3月に報告いただいた物質について、このような状況でいま動いているということです。中身的には、いまのと同じです。
 参考5ですが、先ほども見ていただきましたが、毎年報告をいただいている物質の処理状況が一覧になっています。それと同じ趣旨ですが、参考6を見ていただきますと、ばく露実態調査は、実際に事業場に行きまして、労働者がどの程度ばく露しているかを委託事業として調査をしていただいております。これは物質を扱っている事業場の数が少なければ、例えば平成20年度のようにたくさんの物質ができるのですが、それなりに物質を扱っている事業場が多いと、どうしても作業環境測定、個人ばく露調査の関係で数が限られてきますので、実績としては10物質前後を調査しているという流れになっております。
 また、初期評価を行ったあとに再度詳細をしなければいけないとなりますと、年間に10前後ずつ評価が進んでいるということになっております。いちばん右のほうに平成25年度以降の測定見込みとなっておりますが、平成24年1~3月に報告いただいた物質につきましては、今後測定手法の検討とか、そういったものを行いまして、平成25年度以降に実際に評価をしていく流れになっていきます。現状でのリスク評価、ばく露作業報告をいただいている物質についての対応については、以上のとおりです。
○寺島化学物質情報管理官 資料2-2、リスクコミュニケーションの進め方について説明いたします。リスクコミュニケーションにつきまして、冒頭のところを読まさせていただきます。リスコミは、国が決めたリスク低減措置について一方的に説明を行い、その内容に理解を求めるものではなくて、利害関係者双方向の情報交換や対話を通じて相互理解を促進し、措置の円滑な導入を図ることを目的とするものです。このことから、平成24年度においても、引き続き双方向の意見交換の促進を基本にリスコミを実施することといたしたいと思います。
 1のパブリックコメントにありますように、パブリックコメントについては、実施時期といたしまして、対象物質の追加の選定、リスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入等が予定されておりますので、各段階において行政手続法に基づくパブリックコメントを実施することといたします。その際には、(2)にございますように関係事業団体への周知を行い、意見の提出の機会が確保されるよう配慮するとともに、ここで示された疑問や意見等に丁寧に対応することとするものです。
 2.意見交換会、これがリスクコミュニケーション会合と言っているものですが、(1)は開催時期でして、基本的には昨年度と同様、年間3回を予定しております。○1にありますように、リスク評価の結果の公表後2回、○2健康障害防止措置案のパブリックコメントの開始直前ということで1回ということにしております。
 (2)開催要領といたしましては、平成23年度の3回の会合は一般公募型のリスコミとして、講演者の説明のあと、事前または当日参加者から募集した質問、意見に応える形でパネルディスカッションを行って、意見交換を実施いたしました。
 裏面へ行っていただきまして、平成24年度においては以下の点に留意いたしまして開催するということです。参加者の募集については、地方開催については、特に参加者への周知が必要であるということで、「全国産業安全衛生大会」や「日本産業衛生学会」等に情報提供をするとともに、消費者団体等幅広に情報提供することを考慮しているということ。開催地及びテーマの選定については、テーマごとに参加者の利便性を考慮した開催地を選定する。平成24年においても、地方の事業者の参加が容易になるように、東京のほか主要地方都市での開催の検討。会合の持ち方ですが、リスコミの現在のやり方ですが、全体で3時間、意見交換1.5時間とすることが妥当。参加者から当日募集した質問や意見に応える形で、パネルディスカッションを行う現行の方式がよいのではないかと。あらかじめ意見が出やすいように、質問等のシートを配付する方法が適当であろうということで、参加者についても100名程度を目途として開催するということです。
 (3)リスクコミュニケーションの普及促進の立場から、国は業界団体にリスコミの開催を呼びかけるとともに、連携を強化していくということ。リスコミに係るPDCAとしてリスコミの事業評価を行う必要がある。評価手法の1つとして、参加者へのアンケートを行っておりますが、次年度においてもアンケートやパネラーへのインタビュー等の結果を踏まえまして、ニーズにマッチした開催を行うこととするとしております。
 3はパンフレットですが、昨年と同様に随所随所でパンフレット等で情報提供周知に努めてまいるということを書いております。
○櫻井座長 資料2-1と2-2に基づきまして、平成24年度の評価方針についての説明がございました。これについてご意見をいただきたいと思います。1つ伺いたいのは、初期評価から詳細評価へ移行するとき、初期評価で1カ所ぐらいしか使用がなかった場合も、詳細評価はもう1回やっていますね。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 1つしか対象がない場合ですね。
○櫻井座長 1とか2ぐらいの場合、もう1回告示を出して。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 いえ、再度告示という手続は踏んでおりません。
○寺島化学物質情報管理官 過去の物質の中にもそういう物質がありまして、1カ所調べてばく露が高かったというのもありました。関係団体の日化協さんや化成協さんに依頼をいたしまして、ほかの事業場がないかどうかを調べていただいて、そこにばく露調査に行くということをしたことがございます。今後は、またその都度検討ということになろうかと思います。
○櫻井座長 今後また個別のケースごとにある程度情報を集めて、詳細評価をやるかやらないか決めていくということですね。
○寺島化学物質情報管理官 はい。
○松井化学物質評価室長 一応ばく露作業報告は、1年間に500kg以上取り扱った事業場からいただいておりますので、出てきた事業場以外にないかというと、500kg未満で扱っておられる事業場があり得ることもございますので、ばく露が高ければもう少し詳細に情報収集してということで、基本的にはそのような進め方をしております。
○櫻井座長 わかりました。特にその他ご要望事項等はございませんか。リスクコミュニケーションにつきましても、PDCAサイクルで、より改善するという方向も出していただいております。もしよろしければ、それでは、この評価方針につきましては、(案)を取って今年度の評価方針とさせていただきます。ありがとうございました。
 次に、議事の3番目ですが、「ジフェニルアミンのがん原性試験の評価結果について」、事務局から説明をお願いいたします。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 資料3と参考7をご覧いただきたいと思います。参考7が有害性評価小検討会に提出している資料ですが、バイオアッセイ研究センターのジフェニルアミンの経口投与によるがん原性試験結果です。これの4頁に「まとめ」ということで、ラットの雄では、脾臓の血管系腫瘍の発生の増加傾向等ということで結果が書いてあります。それを踏まえて検討いただいた結果について、有害性評価小検討会から企画検討会への意見ということで資料3になっています。
 資料3のジフェニルアミンのがん原性試験の評価結果について、1.評価結果ですが、有害性評価小検討会は、日本バイオアッセイ研究センターが実施し、平成23年8月25日に報告のあった試験結果報告書(参考7)について、平成23年10月18日及び24年3月22日に評価を実施した。
 ジフェニルアミンを2年間(104週)雄、雌のラットに経口投与したがん原性試験において、高濃度ばく露群(4000ppm)で、雄では皮下組織と脾臓を含む全臓器に血管肉腫の発生の増加傾向がみられ、血管腫と血管肉腫を合わせた発生は、4000ppm群で増加した。雌では子宮の腺癌、並びに腺腫と腺癌を合せた発生の増加傾向が認められた。
 マウスの雄では、高濃度ばく露群(1000ppm)で脾臓に血管腫と血管肉腫を合わせた発生増加が認められた。雄の皮下組織、骨髄、脾臓、肝臓及び心臓を含む全臓器における血管腫の発生は、増加傾向が認められ、血管腫並びに血管腫と血管肉腫を合わせた発生は1000ppm群で増加した。
 一方、雌では腫瘍の発生増加は認められなかった。
 この結果、ジフェニルアミンは、ラット及び雄マウスではがん原性を有すると判断した。
 また、ジフェニルアミンの変異原性試験について情報収集した結果、日本バイオアッセイ研究センターが実施した「哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験」は強い陽性を示しているものの、他の機関が実施した各種の変異原性試験は陰性であることから、ジフェニルアミンは、「閾値のあるがん原性物質」と判断した。
 2.評価結果を踏まえた意見ですが、当該物質については、経口投与によりがん原性物質と判断したものの、そのがん原性には閾値があると判断されることに加え、腫瘍の増加が認められた最小投与濃度(ラット雌雄で4000ppm、マウス雄で1000ppm)を気中濃度に変換し、ACGIHのTLV-TWA 10mg/m3と比較すると、ラット雄で160倍、雌で200倍、マウス雄で98倍の高濃度であった。
 このため、当該物質について、製造され又は取り扱われる場合におけるリスクは低いと考えられ、当該試験結果をもって、直ちに、健康障害を防止するための指針を発出するなど、新たな対応を採る必要性は低いと考えられる。
 しかしながら、今回の試験結果における血液/造血系への影響を考慮すると、がん原性の評価のみをもってリスク管理を不要と判断することは早計であり、当該物質については、すみやかにリスク評価対象物質とし、有害性に関する情報を収集し、これらをもとにリスク評価を慎重に進める必要がある。
 これが、有害性評価小検討会からリスク評価企画検討会への意見ということです。
○櫻井座長 これについて、何かご質問あるいはご意見がございましたら、どうぞ。
○山口委員 1頁の下の「閾値のあるがん原性物質」と判断したというところですが、この理由は、バイオアッセイ研究センターで実施したテストでは強い陽性が出たものの、ほかの所では陰性ということの理由なのでしょうか。この論理がわからないのですけれども。
○櫻井座長 わかりにくいように思いますね。
○山口委員 どういった論議で、この閾値が決まったのでしょうか。
○櫻井座長 総合判断的な判断かとも思いますけれども。
○山口委員 バイオアッセイ研究センターでやったところのばく露の量が非常に高くて、それ以外の所は低いと。そういう低い所は出ていないので、ある高い所で出た結果から閾値があるのではないかということなのでしょうか。ここら辺の論理がちょっとわかりにくいです。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 がん原性試験とはまた別に変異原性試験のほうで、バイオアッセイのやった変異原性試験は陽性を示しているのですが、ほかの所が陰性ということで、変異原性試験についての実験結果から、閾値のあるがん原性物質という判断をしたということで、その2つの試験は別ということです。
○山口委員 それは学術的に、そういう論理が成り立つということでしょうか。
○櫻井座長 そういうことのようです。
○山口委員 これは、はっきりとした論理がわかりにくいところがある。あと雄と雌で若干傾向が違うようですが、こういった場合に最近は女性則で、女性に対して生殖毒性に問題がある場合に取扱いを限定するということが決まったと思いますが、男性に出たときに男女で極端に差が出て、男性に非常に有害性が高いということが出た場合は男性に限るというのでなく、そういう場合は一般的に男女に限らず規制する方向になるのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 これは発がん性に関する試験ですので、生殖毒性とは違うのですが、当然、おっしゃるように生殖毒性の場合も雄の生殖器などへの影響ということも考えられるわけですから、生殖毒性の中身は吟味しないといけない部分は、おっしゃるようにあると考えられると思います。
○山口委員 生殖毒性でも発がん性でも、男女で極端に違いが出る場合の規制のあり方として、どういった規制をするのかですけれども、女性則というのは女性の母性保護のためにやっていますよね。もし男性に対してそういう逆の面があったときにしないということで、男女で考え方が違うのはどんなものなのか。安全を見て、その場合は男女どちらも同じ規制でいくということになるのでしょうか。
○松井化学物質評価室長 男性の生殖器等への影響については、検討課題なのかなと。
○山口委員 現状はないのですが、将来的にそういった有害性が出てきた場合のことですけれども。
○櫻井座長 山口委員が課題としてご指摘なのは生殖毒性ではなくて、この場合は発がん性ですけれども、その他、一般の毒性を広く。
○山口委員 いろいろな毒性に対して男女で違いが出た場合です。
○櫻井座長 男女あるいは雄雌の差を、どう取り扱うかということですね。こういう動物実験をさまざま見てくると、両方ほとんど同じということは滅多になくて、雄がより低い濃度で影響を示す場合もあるし、雌がより低い濃度で毒性を示す場合もあるというのが実態です。ですから性差というのは非常に大きいものだとつくづく感じます。これなども驚くほど違いますね。そういう実態があって、もしばく露限界値を決定して全員を保護しようとする場合、雄だろうと雌だろうと、より低い濃度で異常を起こすそのデータを使っています。
○山口委員 要するに男女格差関係なしに、決定としては。
○櫻井座長 関係なしに最も低い濃度で。
○山口委員 保護を中心に考えるということでしょうか。
○櫻井座長 そのデータを使って不確実性係数で割って、通常、ばく露限界値を設定していますので、動物実験のデータを基に決めている場合には、一応、それは考慮されている。
○山口委員 女性則でありましたよね。女性則に関しては母性保護という観点で進めるということですね
○櫻井座長 そうです。
○山口委員 女性、男性というよりも、子どもへの影響といった意味で対象とするという考え方ですね。
○櫻井座長 そのとおりです。あれは生殖毒性があるものについて限定し、女性の生殖機能に対する影響のあるものを列挙して、それについてはより厳しい取扱いを求めている。これは宮川委員がよくご存じなので、ご発言をお願いします。
○宮川委員 女性則のことですけれども、あの規則では母性保護を対象としたということで、物質列挙で規制するということですが、より厳しいかというと、実際の規制濃度は管理濃度を超えた所で働かせてはいけないという規制になっているので、実際の基準の濃度というのは男女で同じものになっている。強いて言えば防毒マスク、防塵マスク等を使っても駄目だというところが男女の違いになっていると思いますので、基本的には動物実験から考える場合と同じように、最終的な管理濃度に相当するものは、女性と男性で別のものを定めて厳しくしたということではないと私は認識しています。
○櫻井座長 ですから現在、あれでリストアップされている物質のばく露限界値が、女性の生殖毒性を完全に保護できるかどうか、きちっとチェックはしていないかもしれないです。これはこれからの課題です。今まで使われてきたばく露限界値を使っている。
○山口委員 母性への配慮の観点から作業は若干限定するということでしょうか。ただし、逆の場合はどうすべきか私は想定しております。
○櫻井座長 マスクを使うような場所で働かせてはならない。
○山口委員 その逆のケースが起きた場合です。男性の生殖機能に極端に何か影響が出た場合に、同じような考え方が出てくるのかどうか。必要性がどうか、その場合に議論しないといけないのではないかと思いますので。
○櫻井座長 ご指摘の点は、確かに検討課題だろうと思います。
○山口委員 将来的に、もしそういうケースが出てきた場合です。
○櫻井座長 いま、そういうふうに私は答えましたけれども、それでよろしいですか。検討課題だということ。
○松井化学物質評価室長 検討課題であることは確かです。ただ、すぐにどうこうというのは、いま事務局あるいは他の担当局でも、おそらくまだないのかなと思われます。
○名古屋委員 委員会に出ていたのですが、そのときに話したのは、濃度として管理濃度を使っていて、我々が濃度設定するときに生殖毒性を考えに入れていなかったから、これから生殖毒性を考えた管理濃度を設定する方向で、管理濃度検討会では検討したいという話を母性保護の専門家会合でしました。また、これからリスク評価するときに生殖毒性もちゃんと見て、濃度を決めていったほうがいいと受け止めましたということです。
○櫻井座長 ただ、一般論として、生殖毒性はいちばん低い濃度で起こるかというと必ずしもそうではなくて、比較的高い濃度で起こっているものが多いのです。それより低い濃度でほかの毒性が起こるので、それを予防する措置が取られているから、生殖毒性があると言っても、現実には、それより低いところでコントロールされている場合が多いというのが実態です。
○山口委員 むしろ低いところでコントロールされていると考えてよいということでしょうか。
○櫻井座長 コントロールされている場合のほうが多いと思います。ほかにご指摘事項は。
○宮川委員 先ほどもご指摘があった資料3の1頁のいちばん下にある、ジフェニルアミンについては閾値のあるがん原性物質と判断したということで処理されると。これは遺伝毒性のデータをいろいろ見比べた上での最終的な総合判断だと思います。
○櫻井座長 総合判断です。
○宮川委員 これもリスク評価の事業において、がん原性物質について閾値が有る無しというのは、これまで原則として遺伝毒性があるかどうかで、遺伝毒性がない場合に閾値があると判断していましたが、今後、その辺でいろいろと判断に迷うようなものが、特にナノ材料に関しては出てくる可能性がありますので、その辺のところは、基本を変えるときにはよく吟味して原則がわかるように、もちろん総合判断はどんな場合でも必要かと思いますけれども、その辺の議論がわかるような形で、是非、有害性評価小検討会で議論していただきたいと思います。
○山口委員 特にがん原性に関して閾値が有るか無いかというのは、大きな違いがあるところですので。
○櫻井座長 これでも、バイオアッセイ研究センターが実施した哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、これはin vitroの試験ですね。これで強い陽性ということは、それだけで言うと閾値のあるがん原性と判断しにくい。この1つのデータを見るとそうですね。その他のネガティブだったデータが多いので、総合判断がされていると私は理解していますが、一般論として原則を決めるのはなかなか難しそうではあります。
○堀口委員 たぶん認識は皆さん、総合的判断と認識していると思いますが、言葉として「強い陽性を示しているものの」というところです。ものの、これこれは違ったからと書くと、総合的判断と受け止め難い言い方になってしまうという気がしました。たぶん表現で総合的判断と読み込めない人が出てしまう気がしました。認識は総合的に判断されていると私も認識しています。例えば「強い陽性を示していた一方、他の機関が」と書けば、たぶん。
○櫻井座長 そのほうがいいかもしれませんね。
○堀口委員 はい。示していた一方、他の機関が実施した各種の変異原性試験は陰性であった。総合的にジフェニルアミンは、「閾値にあるがん原性物質」と判断した。
○櫻井座長 陰性であったので、「総合的に」という言葉を入れたいですね。
○堀口委員 はい。
○山口委員 それのほうが論理がわかりやすい。
○堀口委員 誤解を受けないかと思います。
○櫻井座長 そうしたいと思いますが、これは小検討会から来た分なので、ここで修正するというわけでもないのですけれども、私どもとしてはそういう希望事項です。いずれにしても2.のところの判断として、「直ちに、健康障害を防止するための指針を発出するなど、新たな対応を採る必要性は低いと考えられる」。その後の「血液/造血系への影響を考慮すると、リスク管理を不要と判断することは早計で、この物質について、すみやかにリスク評価対象物質とする」というところについては、よろしいですか。「血液/造血系への影響を考慮すると」というところについて、資料3には特段、データとして紹介はないけれども、参考7を見ればわかるかと思います。これは腫瘍発生だけに限定して書いていますか。3頁にありますね。
○松井化学物質評価室長 3頁の4-2のマウスの上の4行です。
○櫻井座長 そうですね。
○松井化学物質評価室長 マウスについても同様に次の頁のまとめの前のところで、腫瘍の増加以外のエンドポイントでLOAEL等を求めている部分があり、この部分に不確実性係数を掛けていくと、一定の濃度で労働現場でも問題になるような濃度になってきますので、発がん性では用量は水準が高いけれども、ほかのエンドポイントでは検討しないといけないということです。
○櫻井座長 そうですね。よろしいですか。それでは資料3に関して、これからのリスク評価の対象物質として取り上げることにしたいと思います。事務局では今後の対象物質として整理をお願いいたします。次に入りたいと思います。4番目の議事ですが、「他の制度等と連携したリスク評価の推進のための対象物質選定方法の検討について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○松井化学物質評価室長 資料4をご覧ください。この企画検討会においては次回(6月28日)の第2回検討会で、今後のリスク評価の対象物質を選んでいただく予定にしていますが、リスク評価に当たって、労働関係の他の制度や労働関係以外の化審法といった制度と連携したほうが、より効率的あるいは効果的なリスク評価が図れるということで、とりあえず対象物質の選定に当たっての当面のご提案と、あと今後、こういったことも検討していく必要があるということで、ご意見を伺えたらと思っています。
 この資料の最初の部分にありますように、当初、発がん性に着目して対象物質の選定を行っていましたが、現在、生殖毒性や神経毒性などの重篤な有害性にも着目して選定を行っているところです。1頁に○1○2とあって○1をご覧いただくと、これは当面の提案で、現在、対象物質の候補の検討を各委員にお願いして、その候補をもって検討会でまた検討しているところですけれども、その材料として、生殖毒性及び神経毒性のGHS分類「区分1」の物質のリストをお配りし検討いただいています。もちろん、これらの物質に限って検討いただいているわけではないのですが、参考としてお配りしているということがあります。他の制度に関する情報も、こういった参考資料に加えて次回、検討いただいたらどうかというのが、当面の事務局からの提案です。
 ○2の「さらに」とあるのは、他の制度と効果的な連携について、さらに検討していく必要があるということで、ここの部分について事務局から具体的な提案というのは、このペーパーには含まれていません。ご意見をいただきながら検討していくのがいいのではないかと考えています。
 1頁の真ん中辺の「なお」書きですが、またこれに加えて化学物質管理に関係する他の省庁と共同の検討会を開き、化学物質の一元的な有害性情報の収集・評価・提供等について検討を行うということで、検討会の開催を予定しています。そういった検討状況も踏まえて、今後、さらに、他の制度等との連携を検討していってはどうかということです。この検討会自体は今後始まりますので、またその検討結果を踏まえ、こちらで検討すべきことがあれば検討していくことでどうかと考えています。
 1頁の真ん中から少し下で、先ほど話題になっていましたけれども、1として、母性保護のための有害化学物質へのばく露の防止ということで女性則の関係です。先ほど既にお話がありましたように女性労働基準規則では、非常に重い物を取り扱う作業と特定の有害な化学物質を取り扱う作業について、女性の就業について制限を加えています。このうち特定の化学物質についてですが、これはかなり古い制度で、今回、検討が行われて見直しが行われたところです。見直しが行われた結果、生殖毒性または生殖細胞変異原性がGHS分類で「区分1」等に該当する25物質について、一定の環境での女性の就業が禁止されることになっています。今月10日に公布されていて今年10月に施行されるということです。
 対象物質は、先ほどもお話がありましたように安全衛生法の制度の対象になっている物質で、こちらのリスク評価との関係で申し上げると、リスク評価を行い、リスクが高くて特化則等に追加をしていくことになりますと、その物質の生殖毒性等のGHS分類が「区分1」であれば、この女性則のほうにも追加されていくことがあります。生殖毒性に限ったことではないですが、特に注意して精査し、評価をしていく必要があるということがあります。
 この検討会では対象物質の選定をいただきますので、○1にありますように、生殖毒性を有する化学物質の選定に当たっては、GHS分類の根拠となった有害性情報の内容を参考資料の情報として書き込み、とりあえず、そういったことも当面は参考にしていただく。○2として、先ほどご指摘がありましたように生殖毒性を有する化学物質について、さらに体系的にリスク評価を行うことを検討することも考えています。
 2頁の2ですが、これは労働基準法の業務上疾病の範囲の関係です。一定の化学物質に伴って疾病が生じた場合に、労働者の療養の費用、休業した場合の補償といったものの対象となる化学物質と、それに組み合わされた特定の疾病を、労働基準法の施行規則等で規定しています。この制度自体は直接リスク評価に関係するわけではないのですが、いま有識者の検討会で、この業務上疾病の範囲について少し検討が行われています。その検討に当たっては、疾病の症例報告の情報をかなり広範に収集して検討していますので、こういった情報も、対象物質の選定に当たって役立てることができるのではないかと考えています。
 次に3の安衛法の中の他の仕組みの関係ですが、これは既に皆さんご存じのように、(1)のMSDSの交付、(2)の国による有害性試験の実施、これは先ほどのがん原性試験ですけれども、それぞれ(1)(2)については、リスク評価と何らかの関係を持って活用しているということです。(3)の新規化学物質については、事業者が製造・輸入を行おうとする際に、変異原性の試験結果を国に届け出ることとされています。もう30年やっていますので相当のデータが集まっているところですが、こういったところの活用も今後、考えられるのではないか。いまのところ新規化学物質として届け出られた物質は、必ずしもその時点で製造・輸入等が多いわけではないので、具体的にリスク評価に役立てているということではないのですが、今後、何か役立てる方法もあり得るのかなと考えています。
 3頁で(4)は有機則の対象物質で、既に昨年までに有機則対象物質として3物質をリスク評価の対象として選定いただいています。さらに有機則対象物質の中で、実はIARC等の発がん性の区分を見ると少し高いものも含まれていて、発がん性の恐れのある物質としての特化則の扱いに比べると、少しアンバランスである物質もありますので、そういったところも、今後、選定に当たっての参考にしていくことが考えられると思います。
 4は化審法の既存物質のリスク評価で、これは平成21年の化審法改正で付け加わった制度ですが、昨年4月から本格的に動き出していて、今年3月までに優先評価化学物質が95物質告示されています。化審法の仕組みの中で事業者から有害性の情報を収集してリスク評価していきますから、これとの連携、あるいは化審法で収集された有害性情報の活用といったところも考えていくことができると思います。とりあえず物質の選定に当たっては、化審法の優先評価化学物質とわかるようリストに情報を加えて、これについても今後、さらに連携等を検討できると思っています。
 5はその他です。これは他の制度等の関係ではないのですが、有害性評価小検討会で今後、発がん性以外の有害性に着目して選定していただいた物質を、少しタイムラグがありますので、いよいよ今年度から本格的にリスク評価をしていくということがあります。発がん性物質に関しては、一次評価値を、先ほどの閾値の有無の関係で、閾値のないものは過剰発がんリスクで設定し、閾値のあるものについては、LOAEL、NOAELから不確実性係数を掛けて一次評価値を設定していましたが、発がん性以外の物質について、例えば先ほどの生殖毒性、神経毒性といったものについて、必要なものについては一次評価値を検討してはどうかということで、小検討会で今後、検討方法を決めていただいて検討していくということです。実は先ほどの生殖毒性以外についてもGHS区分の根拠になった情報等を、選定いただくときに参考にしていただこうと考えているところです。
 5頁以下の別紙1ですが、先ほどの女性則の関係で5頁の真ん中辺りに女性労働者の就業を禁止する業務ということで、作業環境測定で「第3管理区分」となった屋内作業場での業務や、その下にある呼吸用保護具の着用が義務づけられている業務が規定されていて、対象となる25物質がその下に出ています。特化則等の対象物質のうち、先ほどの生殖毒性あるいは生殖細胞変異原性がGHS区分で1であるものということで、選定されているところです。
 9頁の別紙2で、先ほどの業務上疾病の関係ですが、35条の専門検討会ということで検討がなされていて、いま検討されている中身というか概要が11頁にフローで出ています。例えば左上にありますように症例報告のある物質ということで、MSDSの交付義務のある640物質のうち、大臣告示に規定されている物質を除いたものについて、症例報告が3以上ある物質については、その症例が整理されていますので、こういった情報をリスク評価対象物質の選定に当たって役立てることができるのではないかと考えられます。
 13頁の別紙3です。化審法の改正については大部分の方はよくご存じだと思いますが、13頁の右側にありますように既存化学物質の評価を、今回、本格化しているということです。14頁のフローにありますように、既存の化学物質について一定の製造・輸入数量、用途等の届出がなされて、その中の一定の基準に当たるものについては、右の真ん中辺にある優先評価化学物質として選定されてリスク評価され、右下にある第二種特定化学物質に該当するか否かの評価がされるということです。
 15頁に、いまのスクリーニング評価・リスク評価の話があります。優先評価化学物質の選定に当たって、一般化学物質の中から、従来の2種、3種の監視物質もあるのですが、有害性の程度とばく露の程度を勘案して、優先評価化学物質のスクリーニングが行われてきています。
 16頁をご覧いただくと、人の健康と環境への影響ということで化審法の場合は2つ影響があります。大部分は人の健康に係る物質で、環境のみというのは一部分ありますけれども、先ほどの94物質の中では大部分は人の健康に係るものが占めている。人の健康と環境と両方に当たる物質がほとんどを占めているということです。右側にありますように4つの項目について独立にクラス分けして、クラスのいちばん厳しいものを有害性のランクとします。4つの項目というのは、一般毒性、生殖発生毒性、変異原性、発がん性です。
 17頁以下が95物質です。96まで番号があって1つ欠番がありますので、95物質が今のところ選定されていて、今後、さらに追加されていくということです。
 参考8に現行のリスク評価物質・案件の選定の考え方があり、参考9に先ほど申し上げた神経毒性と生殖毒性のGHS区分1の物質のリスト、これは昨年お送りしたものをイメージとして付けています。資料4のご提案としては以上です。
○櫻井座長 ただいま対象物質選定方法の案が説明されたわけですが、何かご質問、ご意見がございましたら、ご発言をお願いいたします。
○宮川委員 1点目は、別紙2にある労働基準法施行規則35条関係のところで出てくるのですが、実際、この35条に載せるかどうかというのは、かなり厳密な議論が行われていると認識しています。そこで絞り込む前にILOの職業病の一覧表リストがあって、そこにある化学物質を35条の委員会で全部取り上げることにはなっていませんが、情報源としては、ILOのような国際機関が作ったリストに載っている物質については、もしこれまでの制度でリスク評価の対象になっていないようであれば、積極的に取り入れていってもよろしいのではないかと思います。
 もう1点、いろいろな国の制度等で、こういう情報が集められているので広く取り入れるという案だと思いますが、基本的には非常に結構なことです。いろいろな事業ごとに違う所でやるのは効率が悪いので、国全体で有害性情報が集められるのであれば、それは積極的に集めたほうがいいと思いますし、新しく化審法関係とか今の35条でもありますので、それを是非進めていただきたいと思います。
 もう1つちょっと抜けていると思ったのは、35条関係ですと症例報告を集めることになって、3例以上という文言も出てきましたけれども、より積極的には厚生労働省自体で労災の事例等、個別に起きているものについては把握していると思います。それが可能かどうかわかりませんが、実際の事故事例について個別具体例が挙がってきたものについては、そうたくさんでなくても実際にあったものについて逆に挙げていただくと、それを機会に一般的な有害性情報の精査に進むことができると思いますから、その辺もご検討いただきたい。
○櫻井座長 ありがとうございます。ただいまのご指摘、私も同じ意見です。
○山口委員 有害性情報が1つの所で全部わかるというのは、非常に大事だと思っています。いまでも若干、こっちとこっちで違うというケースがあるので、省庁間抜きにしてここにもありますように一本化していただければ、使う側にとっては紛らわしくなく非常に好ましいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○吉田委員 同じような意見ですが、いまのご意見に続けるとすれば情報の随時更新と言いますか、最新の情報に置き換えていただくことも、各省庁が一緒になって進めていただきたい。一度決まったらそれで終わりということでなく、新規の情報を入れて適時改訂していただくこともやっていただければと思います。
○櫻井座長 これはそれほど重要なことではありませんが、化審法における優先評価化学物質が95リストアップされています。この内容を見ると、既に厚生労働省で行っている国によるリスク評価の対象となっているものが4分の1ぐらいです。ほかの4分の1ぐらいは安全衛生法絡みで既に規制されているもので、大体半分ぐらいはそのどちらにも引っ掛かっていない。95あるうちの半分ぐらいですね。それなりに大量に使われているものであって、しかも有害性の面で優先順位が高いと判断されたものですから、やはり優先度はやや高いなという感じがしています。ほかに特にございませんか。それでは今、いくつか出していただいた意見を反映してリスク評価対象物質の選定を進めるように、事務局のほうとしてよろしくお願いします。
 最後、その他ですが、事務局から何かございますか。
○瀧ヶ平化学物質評価室長補佐 次回の開催ですが、次第にありますとおり、6月28日を予定しています。その際に今後のリスク評価の対象物質の選定ということになりますが、また改めてご案内を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
○櫻井座長 予定された議事は以上でございます。これで閉会とさせていただきます。今日はありがとうございました。


(了)

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