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2012年8月10日 独立行政法人評価委員会労働部会(第78回)議事録

○日時

平成24年8月10日(金)8:55~11:52


○場所

専用第23会議室


○出席者

今村部会長、宮本委員、加藤委員、川端委員、本寺委員

○議事

(以下、議事録)

○今村部会長
ただいまから第78回「独立行政法人評価委員会労働部会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、朝早くからお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は松尾委員、高田委員、伊丹委員、中野委員が欠席です。初めに事務局から、本日の議事について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
本日の議事は、まず労働政策研究・研修機構と、勤労者退職金共済機構の業務実績に関する総合評価を、法人ごとに行います。
勤労者退職金共済機構については、冒頭で財務諸表の承認について、財務担当の加藤委員からご発言いただいたあとにご審議をいただく流れになっています。次に、労働政策研究・研修機構については、中期目標期間終了後の最終評価、勤労者退職金共済機構については、暫定評価及び組織業務の見直し当初案の審議を行います。このほか、不要財産の国庫納付についての審議があります。部会の途中で法人と所管課の入替えがありますので、よろしくお願いいたします。
まず、財務諸表に関する意見についての審議について説明いたします。財務諸表については、独立行政法人通則法の第38条に基づいて、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされています。評価委員会としての意見(案)については、担当委員の加藤委員からご発言いただいて、それを踏まえてご審議いただくことになります。なお、労働政策研究・研修機構については、中期目標期間終了時における積立金等の承認に係る手続の関係上、既に持ち回りで承認をいただいていますので、今回は審議の対象とはなっていません。
次に、平成23年度の業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づいて、起草委員のほうで起草をいただいた総合評価案について、ご審議いただく流れになっています。なお、各委員のお手元には、ご記入いただいた評定記入用紙の原本及び評価シートと各委員の評定結果の一覧表を置いています。個別評価における評定結果については、今回の審議などを踏まえて修正が可能となっています。後ほど評定を修正・確定させる時間を設けていますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○今村部会長
労働政策研究・研修機構の総合評価について審議をいたします。まず、起草委員を代表して、川端委員からご報告をお願いいたします。なお、議事運営の都合上、報告時間は概ね10分程度でお願いします。

○川端委員
評価結果の案について説明いたします。業績評価について総論的に説明したあと、具体的な評価内容についてご説明いたします。
1頁の(2)です。機構の第2期中期目標では、厚労省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修をより一層効果的かつ効率的に実施する観点から、労働政策研究事業の重点化を実施することとした。このため、機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が、我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するものになったかという視点が中心になります。
評価結果全体を通しての講評は、この下段ですが、こうした視点から評価を行った結果、平成23年度の業務実績については、中期目標・中期計画に沿った取組が行われ、中期計画に掲げられた目標値の達成、利用者からの高い有益度及び満足度が確保されており、適正な業務運営が行われていると評価できます。今後も機構に課せられた使命を高いレベルで効率的に達成していくため、それぞれの業務のバランスを考慮しながら重点化を進め、業務間の連携を密にして業務運営を行っていくことが望ましいと考えます。
2頁、2「具体的な評価内容」。具体的な事業ごとの評価の概要をご説明したあとで、関連閣議決定及び政・独委の評価の視点等に沿った項目ごとの評価については、ポイントを絞ってご説明していきます。(1)業務運営の効率化について。さまざまな取組の結果、平成23年度予算において、一般管理費、業務経費、人件費のいずれについても節減するとともに、中期計画における削減の目標値を達成しており、評価できます。
(2)国民向けサービス、その他業務の質の向上については、まず[1]業務全般に関する措置です。経営会議において、毎月の業務実績報告や四半期ごとの内部評価を実施するとともに、総務省政・独委からの指摘事項についても適切に対応がなされている。外部有識者からなる総合評価諮問会議においても、年度計画の事前評価及び業務実績の事後評価を受けているほか、国民からの意見を募集し、各部門の業務改善に役立てている。これらの取組によって、適切な事業進行管理等、質の高い業務運営が行われていると評価ができます。
[2]労働政策研究。行政や国民各層のニーズに対応し、かつ、政策立案につながるようなタイムリーなテーマを扱っている。3頁のところですが、また、喫緊の政策課題に機動的に対応するため、短期間での調査を実施する「緊急調査」を設けて、8テーマの調査を実施したことは高く評価できます。これらの取組の結果、「労働政策審議会」をはじめ、官邸の「社会保障改革に関する集中検討会」など、他府省においても多くの成果物が利用されており、とりわけ審議会・研究会での引用件数が過去最高となるなど、研究の質・量両面での労働政策の立案に大いに寄与しているものとして評価できます。
中段辺り、厚生労働省との連携については、厚生労働省の幹部と理事長をはじめとする機構役員等との意見交換の場である「ハイレベル会合」や、厚生労働省政策統括官と理事長との定期協議を開催するとともに、厚生労働省の担当者制を導入することとし、平成24年度の研究テーマについて意見交換を行うなど、密接かつ十分な連携が図られており、評価ができる。研究の実施体制については、任期付研究員の育成や研究員の業績評価制度の運用等、研究水準の向上のための取組を実施した結果、外部評価においても中期計画の目標値を上回る評価を得るなど質・量ともに高い成果を上げていると評価できます。また、学会活動や図書発行の奨励などにより、研究員の意欲・業績の維持向上に努めたことは評価できます。
[3]労働行政担当職員その他の関係者に対する研修。研修コースの新設・科目の見直しによる研修内容の充実や、4頁、研究員の研修講師への参加やイブニングセッションの開催により、研修部門と研究部門の一層の連携が図られ、研修生からも高い評価を得ていることは評価できます。また、東日本大震災で被災した新卒者への支援に積極的に取り組んでいることは評価できます。なお、今後、研修実施後における実際の職場での研修効果測定のための適切な仕組みが構築されることを期待します。
[4]労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理。各種統計データについては、白書・審議会での引用件数が中期計画の数値目標を大きく上回るなど幅広く活用されています。今後も、高成長下にあるアジア諸国やBRICSなどの情報収集の強化を図るなど、より一層情報の収集・整理の在り方を工夫していくことを期待します。
[5]研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣。中期計画どおりに実施されており、労働政策研究や労働政策の推進に資するものになったことは評価がされております。その一方、当委員会において海外の研究者等との連携をさらに強化すべきとの意見があったことから、引き続き対象者の厳選や効果の検証を行いつつ、研究者の招へい等の在り方について工夫していく必要があります。
[6]労働政策研究等の成果の普及・政策提言。5頁、メールマガジン、ニュースレター、労働政策フォーラムなどさまざまな手段を通じて効果的に行われており、利用者の評価も高く、中期計画に掲げた目標以上の成果を上げており、評価できます。特にホームページの改善や動画配信、研究報告会の開催などの積極的な取組は高く評価したい。今後は成果の普及等がさらに幅広い国民を対象に行われるよう、工夫がなされることを期待します。
(3)財務内容の改善及び人事に関する計画について。予算執行等については、一般競争入札等の積極的な導入等を推進するとともに、効率化に向けた取組を積極的に実施し、中期計画における予算の削減目標を達成しており、評価できる。人事に関しては、中期計画に定めた目標以上の人員の削減を実現する一方、優秀な人材の確保・育成に向けた取組を推進し、研究の質の確保を図っていることは評価できます。なお人員抑制が継続される中で、引き続き職員の士気を維持し、能力・活力を高めるための工夫することが望まれます。
(4)関連閣議決定及び政・独委の評価の視点等への対応については、ポイントのみをご説明します。6頁の[2]保有資産の管理・運用等についてです。労働大学校の宿泊施設について、平成22年度政・独委2次意見において「利用率が低調である」旨指摘を受けたところであるが、これを踏まえ、労働行政職員以外を対象とした研修や東日本大震災で被災した地域の学生等の就職活動のための宿泊への活用などの取組を行っているのは評価できます。金融資産の真ん中辺りですが、また、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を踏まえ、出資金約3.4億円の国庫納付を行ったことは適切と認められます。
7頁、[3]人件費管理について。給与水準は、国家公務員を100とした場合の機構職員の給与水準について、年齢差、地域差、学歴差を調整した後の指数が、事務職員については101.3、研究職員については97.2となっており、事務職員の俸給・手当の引き下げ等の取組により前年度と比べて改善が見られた。事務職員については、平成24年度には概ね100となるよう改善を図ることとしており、職員のモラル低下を来さぬようマネジメントに留意しつつ、目標実現に向けた努力を期待する。
[4]契約(随意契約の適正化等)について。100万円を超えるすべての契約案件について、契約担当部門以外の部門による内部審査を実施しております。さらに随意契約案件及び一者応札・一者応募となった案件ついては、契約担当部門以外から構成される随意契約等審査委員会による内部審査を実施し、結果を公開している。8頁。また、「随意契約等見直し計画」の進捗状況については、競争性のない随意契約が目標の18件に対し、平成23年度のフォローアップベースでは14件となっており、既に目標を達成していることは評価できます。
[6]内部統制について。機構の中期目標、中期計画、年度計画においては、機構のミッションを達成するための事務・事業と当該事務・事業の性質等に応じた適切なアウトプット・アウトカム指標及びこれらを達成するための計画が、当該事務・事業単位で具体的かつ明確に規定されております。また、役員・幹部職員をメンバーとする経営会議を毎月開催し、年度計画などの重要方針その他の諸課題についての共通認識の醸成を図るとともに、9頁、監事も会議に出席し、機構の業務運営の状況を把握することで、監事・会計監査人との連携体制も適切に構築されており、統制環境は適切に整備されていると評価できます。
リスクの識別・評価・対応については、経営会議、監査機関、外部評価機関、コンプライアンス委員会・内部通報調査委員会、随意契約審査委員会といった各種スキームを整備し、対応しています。
モニタリングの最下段のところですが、モニタリングについては、先述の経営会議における業績評価や、監事監査等の独立的評価等によりモニタリング体制が整備され、適切に機能していると評価できます。
ずっと省略して、最後、10頁の?事務・事業の見直し等。霞ヶ関事務所、キャリアマトリックス等の廃止については、平成22年度中に措置済みであり、労働大学校で実施している研修のうち、都道府県労働局で実施可能な研修についても平成23年4月から都道府県労働局に移管するなど、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を踏まえた適切な対応を行っている。なお、労働大学校の国への移管については、「独立行政法人労働安全衛生総合研究所」との統合と併せて実施することとしており、当委員会としても引き続きその検討状況や検討結果について注視していく。評価結果は以上のとおりです。

○今村部会長
ありがとうございます。ただいまご報告いただいた総合評価書(案)についてご意見等がありましたら、お願いいたします。

○宮本委員
7頁の給与水準のところですが、機構に伺うべきかと思いますが、研究職員の97.2ということで、これはあとの総合評価のところでもあるのですが、相当低くなってきているのですが、これはどこまでこれをもっていく計画をもっていらっしゃるのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
これは公務員の給与水準が100ということですので、概ね100とすることを考えています。ただ、研究員が途中で大学に転出されたりして、その後に若い方が入られたりすると、在職年数が短いこともあり、若干ラスパイレス指数が下がることになります。そういうこともありますが、今後も100を上回らないような形で適切に管理をしていきたいと考えています。現在、特に研究職の給与削減のための措置を講じているということはございませんので、現在の水準を維持していきたいと考えています。

○宮本委員
ですから、いま100をかなり切っているのですが、これは年齢構成の問題からきているということでよろしいのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
ある程度、年齢構成もラスパイレス係数を弾く時に見てはいますが、どうしても在職年数が短くなりますので、低めに出ているというところもありますので、そういうことも勘案しながら、あまり低いようであれば引き上げもありますが、いまのところは状況を見ながら運用させていただいています。

○宮本委員
研究成果は相当きつく求めながら、いま改めてラスパイレス指数を見るとかなり低いなと、他の機構と比べてもという感じがしたものですから、そのあたりは十分に注意されながらということが必要かなということで伺いました。

○川端委員
評価結果とは直接関係ないのですが、キャリアマトリックスをやめましたね。7月にキャリアコンサルティングの審査みたいなのを行ったときに、そういう専門の人たちが、あれがなくなって非常に困っているという話をよく聞くのですが、そちらのほうには何かそういう感想とか意見は入っていませんか。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
現場からそういうお声もいただいています。私どもの中ではもう廃止ということで、ホームページ等で出すということはやってないのですが、研究成果として出てきている職業情報とかそういったものについては、今後、厚生労働省のホームページ等で公開できるように、いま検討しているところです。

○今村部会長
いかがでしょうか。修正意見等はないでしょうか。修正意見は特にないようですので、平成23年度の業務実績の評価結果として、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なお、このあと誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定の修正・確定を行いたいと思います。修正に当たって、事務局から補足説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
修正については、赤鉛筆でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。また、評定理由の修正・加筆も可能となっています。机上配布させていただいている個別項目に関する評価結果については、現時点でいただいている評定のSは5点、Aは4点、Bは3点、Cは2点、Dは1点ということで点数化して、それを平均化したものとなっています。なお、委員の名前は空欄となっており、委員の皆様にはご自分の名前のみ分かるようになっている状況です。作業に当たって、これまでの個別評価に係る資料をご覧になりたいということであれば、事務局に用意がありますので、お申し付けいただければと思います。以上です。

○今村部会長
それでは、10分間ほどの間に評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。
(評価シートの修正・確定)

○今村部会長
よろしいでしょうか。それでは、これをもちまして、労働政策研究・研修機構の平成23年度業務実績評価に関する意見の取りまとめといたします。
評価書には評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されていますが、本日、評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更された場合、またコメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シートの集約版を添付いたします。これら修正が必要となった場合の対応については、私にご一任をいただけますでしょうか。場合によっては個別に各委員にご意見を賜ることもあるかもしれませんので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。
(各委員了承)

○今村部会長
次に、労働政策研究・研修機構の最終評価について審議いたします。まず、法人からの中期目標期間の業務実績について説明をいただき、そのあと起草委員から最終評価書(案)についてご報告をいただき、最後に質疑応答という形で進めたいと思います。法人より20分程度で説明をお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
JILPTで総務部長をしています友藤です。お手元の資料の1-2-[1]「最終評価説明資料」に基づいて説明させていただきます。別紙として、その後ろに「第2期中期目標期間の最終評価のための業務実績評価シート」を入れていますが、それを要約した説明資料でご説明します。
2頁です。私ども機構の事業ごと、いわゆる機構法において各号列挙されている事業ごとに、それと合わせて6にありますが、機構の事業運営の管理関係について、数値目標とその結果について取りまとめたものです。各項目ごとに[1][2][3]と書いてありますが、その後ろに書いてある数字が目標数値になっていまして、赤字で入れているのが実績になっています。各個別の数字については、後ほど個別のシートに基づいてご説明させていただきますが、いずれも数値目標を上回る成果を上げていまして、目標を達成しています。
各シートごとの実績です。3頁、評価項目シート3「労働政策研究の種類及び実施体制」についてです。真ん中にありますとおり、「プロジェクト研究」については、平成19年度、平成20年度は7テーマ、平成21年度以降は6テーマという形で実施しています。平成21年度以降は、平成19年12月の独立行政法人整理合理化計画で、研究の重点化を図るということがありまして、テーマを6テーマにして実施してきたということです。
そのほか「課題研究」「緊急調査」とあります。課題研究のほか、先ほどの個別評価の報告書にもありましたが、平成22年度から、概ね四半期ごとに厚生労働省のニーズを取りながら、3カ月程度で結果をまとめるといった、喫緊の課題に機動的に対応する緊急調査を導入しまして、調査研究を実施させていただいています。いずれも厚生労働省のニーズ、意見を的確に捉えて調査研究を実施していまして、下にあるように研究成果の引用状況についても、毎年度かなりの数を上げる、審議会・研究会での引用件数も毎年度増加するといった形で、政策の企画・立案等に大きく貢献したと考えているところです。
4頁、評価項目シート4「厚生労働省との連携等」です。政策研究の質を高めるため、厚生労働省との認識の共有化を図るということでして、厚生労働省の局長幹部等、私ども機構理事長以下、機構の幹部との意見交換を行う「ハイレベル会合」のほか、下にあるとおり、機構理事長と厚生労働省の労働政策の総合調整担当である統括官との定期協議の場を設けさせていただいていますし、政策担当者との勉強会など実務レベルでも頻繁な意見交換を実施させていただいたということです。また、囲み枠のところにありますが、海外研究機関との連携も進めてきたということです。
5頁、評価項目シート5「労働政策研究の成果の取りまとめ及び評価」です。下にあるとおり、取りまとめにおいては必ず一連のピアレビューを行います。その上で、内部評価、外部評価を適切かつ厳格に実施してきました。外部評価の対象でない調査シリーズ、資料シリーズについても、内部研究者等の査読を導入する形で、質の高い成果の確保のための仕組みを整備させていただいたということです。研究成果について、取りまとめ件数については真ん中の記載のとおりです。
6頁、評価項目シート6「達成すべき具体的な目標」です。「中期計画の概要」にあるとおり、外部評価で研究成果総数の3分の2以上、高い評価を受けるという形になっていますし、行政からはプロジェクト研究では80%、課題研究では90%以上、労働政策の企画立案、実施への貢献について「有益である」といった評価を受けるということになっていますが、下の表にあるとおり、いずれも目標水準を大きく上回って達成しているところです。
7頁、評価項目シート7「優秀な研究者の確保と研究水準の向上」です。任期付研究員の採用は、平成21年度3名、平成23年度2名という形で採用させていただきましたし、下にあるとおり、外部研究者等の参加、企業等へのヒアリングを実施する、あるいは関連専門誌等への論文掲載を積極的に奨励するなど、研究員の質・量の維持・向上に努めてきたところです。
評価項目シート14「労働関係事務担当職員等に対する研修」です。こちらは約70コース強から80コース、約3,000名を対象に実施させていただいてきました。JILPTならではということで、研究員に研修に参画していただく、あるいはイブニングセッションということで、調査研究のうち研修生の関心が高そうなものを研究員が解説し、みんなで討議していくといった課外授業ですが、そうしたものも数多く実施させていただいたということで、研修と研究との融合にも力を入れてきました。
そういうこともありまして、研修生の有意義度も高く、目標数値が85%以上ということですが、目標数値の85%を大きく上回る高い数値の98%程度になっています。また、下の最後の囲み枠にあるとおり、震災により被災した新卒者等に対して、労働大学校の宿泊施設の無料提供といったことにも尽力させていただきました。
9頁、評価項目シート8「国内・海外労働事情の収集・整理」です。そこにあるとおり、白書への引用件数で、目標値が括弧で書いてあります。年100件を目標数値としていますが、いずれも大きく上回る成果を上げています。そういった形で、目標を十分に達成させていただいたということです。
評価項目シート9「各種統計データ・図書資料の収集・整理」です。収集、あるいは機構で加工して作成した統計データについては、刊行物あるいはホームページ等で提供させていただいています。とりわけホームページでの統計情報、真ん中にページビューを入れていますが、大幅に伸びるなどその成果が幅広く活用された状況になっています。
11頁、評価項目シート10「研究者等の海外からの招へい・海外派遣」です。招へいは毎年度1名、派遣については平成19年度は7名ですが、それ以降は3、4名という形で派遣をさせていただいています。計画どおり実施しまして、プロジェクト研究に大きく寄与したと考えています。また、その研究成果等を活用して、日本の労働問題、あるいは労働政策研究に関する英文情報を整備しまして、海外研究機関等に印刷物あるいはホームページを通じて提供させていただいたところです。いちばん下にホームページビュー数を記載していますが、平成23年度は89万件といった数字になっています。
評価項目シート11「労働政策研究等の成果の普及」です。成果については、ニュースレター、いわゆる『ビジネス・レーバー・トレンド』といった雑誌あるいはメールマガジン、研究雑誌を通じて提供させていただいていますが、読者アンケートでも極めて高い評価をいただいているということです。とりわけ真ん中のところにあるように、メールマガジンについては読者数が毎年大きく伸びるなど、ニーズに合致した情報提供ができたと考えています。
13頁、評価項目シート12「政策論議の場の提供」です。毎年度、労使の実務家をはじめとする国民各層における政策論議の活性化を図るということで、労働政策フォーラムを年度計画で6回でしたが、それを上回る7回開催させていただいています。有益度についても、目標数値が80%ということですが、それを大きく上回る90%程度台の数字を得ているところです。また、下から2つ目の囲み枠にあるとおり、平成23年度からは厚生労働省幹部との政策論議の活性化を図るという目的のため、厚生労働省幹部等に対する「研究報告会」を新たに実施しまして、いろいろ意見交換するといった場を新たに実施しています。
評価項目シート13「労働教育講座事業の実施」です。こちらについては、概ね500名程度を対象に実施させていただいています。総合講座と専門講座がありますが、すべての講座で有益度は85%以上となるなど、高い評価を得ています。
15頁、評価項目シート1「業務運営の効率化」です。私ども、創意工夫を凝らしながら節減に取り組んでいるということです。特に、一般競争入札を積極的に導入し、経費の節減を図ったということでして、一般管理費については15.01%、業務経費については36.69%の削減を図ることができていますし、人件費についても17.6%ということで、目標数値がそれぞれそこにあるとおり、15%、25%あるいは14%以上という形になっていますが、すべてにおいて目標を達成しています。
評価項目シート2「業績評価制度の運用」です。こちらについては外部評価も取り入れつつ、オープンな評価制度を適切に運用し、評価結果を適切にフィードバックするということで、業務改善を図ってきています。こうした取組もありまして、真ん中のところにあるとおり、事業活動全般に対する有益度について、有識者アンケートで90%台を確保するという状況になっています。
17頁、評価項目シート15「予算、収支計画及び資金計画」です。平成21年度から、一般管理費の一部について期間進行基準を採用し、業務の効率化の見える化を図っています。そうしたこともありまして、損益のところですが、平成21年度から当期の利益を上げるという形になっています。その他、いちばん下のところにありますとおり、内部統制の徹底、土地・建物等の効率的な活用、福利厚生費の見直しなどにつきましても、努めさせていただいたということです。
18頁、評価項目シート16「人事に関する計画」です。こちらについては、人員の抑制を図りつつ本俸の削減を行うなどしまして、特に事務職の関係ですが、ラスパイレス指数については低下を図ってきたということです。
19頁、評価項目シート17「施設・設備に関する計画」です。私どもの機構の施設は特に老朽化が進んでいるということで、それに適切に対応していくことが必要になっていますが、一般競争入札を実施するなど、経費の大幅な削減を図りつつ、計画どおり実施させていただいたということです。以上、簡単ですが、5年間の中期期間中の業務実績の報告に代えさせていただきます。

○今村部会長
次に、労働政策研究・研修機構の起草委員を代表して川端委員からご報告をお願いいたします。報告時間は10分程度でお願いいたします。

○川端委員
「最終評価結果(案)」を見てください。昨年暫定評価をされまして、それをベースにして、その後追加・修正を加えたものです。1頁の1で、中期目標の業績評価についての総論を申し上げます。(1)評価の視点で機構の第2期中期目標では、厚生労働省の労働政策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修をより一層効果的かつ効率的に実施する観点から、労働政策研究事業の重点化等を実施することとしました。このため、機構の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業務が、我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するものになったかという視点が中心になります。
評価結果全体を通しての講評です。2頁の中段ぐらい、こうした評価を行った結果、平成19年度から平成23年度までの5年間の機構の業務実績については、中期目標・中期計画における目標を上回る業務運営の効率化を実現するとともに、中期目標・中期計画における数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を上げ、労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に大きく寄与しているものといえることから、高く評価できます。
2「具体的な評価内容」です。業務運営の効率化のためのさまざまな取組の結果、平成23年度予算において、一般管理費、業務経費、人件費のすべてについて、中期計画における削減の目標値を達成し、特に業務経費については、目標値である平成18年度予算比マイナス25%を大幅に上回る36.7%の削減を達成したことは評価できます。
2の(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上についてです。まず[1]労働政策研究ですが、中期目標に定められた中長期的な労働政策の課題に対応する6つのテーマに沿って実施するプロジェクト研究と、厚生労働省からの要請に基づき実施する課題研究につき、平成19年度から平成23年度までに合計149のテーマを実施するとともに、平成22年からは喫緊の政策課題に機動的に対応するため、短期間での調査を実施する「緊急調査」を新たに設け、積極的に実施しています。研究テーマについては、機構役員等と厚労省政策統括官等とで意見交換を行う場である「ハイレベル会合」や労使懇談会等を通じて得た厚生労働省や労使関係者のニーズや意見を踏まえて選定し、また、研究の実施過程においても、厚生労働省と意見交換を行うなど、厚生労働省や労使関係者と連携を図りながら各研究を適切に推進している。
研究成果の取りまとめに当たっては、内部研究者によるピアレビュー、内部評価、外部評価等の研究評価制度を整備し、重層的かつ厳格な研究評価を行うなど、研究水準の向上のための取組を適切に実施しており、こうした取組の結果、外部評価において高い評価を受けた研究成果の割合、審議会・研究会、白書等での研究成果の引用件数は、中期目標・中期計画における数値目標や第1期における実績を上回っている。
このように、厚生労働省や労使関係者のニーズや意見を十分に踏まえながら、労働政策の立案等に資する労働政策研究を機動的に実施した結果、質・量ともに中期目標・中期計画の数値目標や第1期の実績を上回る高い成果を上げるとともに、その研究成果が労働政策の立案等に幅広く活用されていることは高く評価できます。4頁です。なお、機構においては研究評価をさらに的確に実施するため、研究テーマごとの事前・中間・事後における新たな評価制度を試行的に実施し、その結果を踏まえ、平成23年度には平成24年度の研究テーマごとに事前評価を実施したところであり、当委員会としては、研究のさらなる効率的・効果的な推進に資する評価の実施が徹底されることを期待いたします。
[2]労働行政担当職員その他の関係者に対する研修です。毎年度、約3,000人の研修生に対し、75コース程度の研修を実施しているが、研修コースの新設・科目の見直しによる研修内容の充実や、研究員の研修講師への参加やイブニングセッションの開催により、研修部門と研究部門の一層の連携が図られ、研修生からも高い評価を得ていることが評価できます。なお、機構においては、平成21年度の業務実績に係る当委員会における指摘を踏まえ、研修終了後一定期間経過した時点における、実際の業務運営での研修効果の測定を平成22年度から試行的に実施しているところであるが、今後、試行結果を踏まえ、研修実施後における実際の職場での研修効果測定のための適切な仕組みが構築されることを期待します。
[3]労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理です。厚生労働省からの要請を踏まえるとともに、政策研究の基盤を整備するため、国内外の労働情勢・労働政策に関する情報の収集・整理を、アンケート調査やヒアリング調査等を有機的に組み合わせて、効果的・機動的に実施した結果、白書・審議会等での引用件数が、平成19年度から平成23年度までのすべての年度で、中期計画・年度計画の数値目標を上回るなど、高い成果を上げており、評価できます。今後においても、高成長下にあるアジア諸国やBRICSなども含めた情報収集の強化を図るなど、より一層情報の収集・整理の在り方を工夫し、政策立案や他の研究機関の研究等に貢献していくことを期待します。
[4]研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣です。研究者等の招へい・派遣については、労働政策研究との関連をより重視して対象者を厳選した結果、いずれの年度についても、中期計画・年度計画に沿って適切に実施されている。また、これらの事業については、すべての年度の招へいした研究者等が機構のプロジェクト研究の推進に大きく貢献するなど、機構内外の研究活動に貢献し、機構の研究目的に沿った成果を上げており、評価できます。
その一方、当委員会において、機構が行う労働政策研究等に資する観点から、海外の研究者等との連携をさらに強化すべきとの意見があったことから、引き続き対象者の厳選や効果の検証を行いつつ、研究者の招へい等が機構の目的にとってより有効なものとして行われるよう、その在り方について工夫していく必要がある。
[5]労働政策研究等の成果の普及・政策提言です。ホームページ、メールマガジン、労働政策フォーラムの開催等、さまざまな手段を通じて効果的かつ効率的に行われており、ホームページの改善や動画配信など積極的な取組を実施しています。この結果、利用者の評価も高く、中期目標・中期計画に掲げた目標以上の成果を上げており、評価できます。今後においても、成果の普及等がさらに幅広い国民を対象に行われるよう、工夫がなされることを期待します。
(3)財務内容の改善及び人事に関する計画についてです。予算の執行等については、省エネ対策の推進、業務効率化等による経費の節減、役職員給与の見直し等の取組を行った結果、平成23年度においては、平成18年度と比較して運営費交付金全体で22.2%の削減を実施するなど、中期目標・中期計画等を踏まえ、適正な取組がなされていることは評価できます。人事に関しては、中期計画に定めた目標以上の人員の削減を実現する一方、優秀な人材の確保・育成に向けた取組を推進し、研究の質の確保を図っていることが評価できます。なお、人員の抑制が継続する中で、引き続き職員の士気を維持し、能力・活力を高めるための工夫をすることが望まれます。
6頁の(4)総務省政・独委による個別の指摘についてです。同委員会による個別の指摘に対する対応については、平成22年度政・独委の2次意見における労働大学校の宿泊施設の利用率が低調であるとの指摘を踏まえ、労働大学校の宿泊施設の有効活用を図るため、労働行政担当職員以外を対象とした研修や、東日本大震災で被災した地域の学生等の就職活動のための宿泊への活用など、労働大学校の宿泊施設等の利用率向上に向けた具体的な取組を行うなど、適切に対応していると評価できる。
(5)事務・事業の見直し等です。霞ヶ関事務所、キャリアマトリックス、高校生への就職関係副読本及び労働関係図書・論文表彰の賞金については、平成22年度中に廃止するとともに、労働大学校で実施している研修のうち、都道府県労働局で実施可能な研修を平成23年4月から都道府県労働局に移管し、規模の縮減を図るなど、基本方針等を踏まえ、事務事業の見直し等、適切に実施しており、評価できます。なお、労働大学校の国への移管については、「独立行政法人労働安全衛生総合研究所」との統合と併せて実施することとしており、当委員会としても引き続きその検討状況や検討結果について注視していきます。以上です。

○今村部会長
ただいまご報告いただいた業務実績の説明、最終評価書(案)について、ご意見等がありましたらお願いします。

○加藤委員
機構への確認だけなのですが、評価項目シート10で海外との連携ということで、最終評価がB、各年度もすべてBということで、ほかの評価項目と比べて目立ってしまうという印象だと思います。昨今の社会情勢からいって、海外との連携というのは非常に重要視されるべきものなのかなと私は思うのですが、例えば海外研究機関等からの問合せへの対応件数が、3年間で年々減少してしまっているとか、反省点がいろいろあるかと思いますが、在り方というか、どのようにお考えなのかなという確認をさせてください。

○労働政策研究・研修機構総務部長
このシートについては、目標が、「招へい」「派遣」については、そこに記載があるとおり、招へいについては、中期計画中に10人以下とするという形になっていますし、派遣する研究員については20人以下です。毎年にしますと、招へいについては2人以下、派遣職員については4名以下という形になっていまして、以下ということは、ゼロであったらいちばんいいのか、目標数値がよくわからないところがありますので、そういうこともありまして、委員の皆様方からの評価も、これまで平成19年度からずっとB評価という形になっています。今回5カ年通じての数字ということですので、平均値ということで、最終的にも記載のとおりB評価という形での評価になるのかなと思っています。
当然第3期においては、よりプロジェクト研究推進に寄与するという観点で注視をして、海外への情報提供といった面も少し力を入れて、委員の皆様方からも、アジア諸国との関係について強化すべき、調査研究についても、欧米諸国だけでなくて、そちらを重視していくべきではないかという話もいただきましたので、第3期においてはそういった国にも力を入れて実施していく形にしていますので、第3期においては評価を上げるような努力を、さまざま取っていこうかと考えているところです。

○加藤委員
重要視しているという理解でよろしいですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
おっしゃるとおりです。

○加藤委員
もう1点ありまして、期間進行基準で一部執行なされて効果が出たということで、大変いいことだと思います。参考までに、具体的にどういう費目で、どのくらい効果が出たのかを説明していただけるとありがたいと思います。細かい話は抜きにして、大雑把なイメージだけでも、せっかく効果が出たということですので。

○労働政策研究・研修機構経理部長
まず1つは期間進行基準の対象経費ですが、事務所の維持管理費、例えば清掃や警備など、そういう維持管理の年間契約に係る経費について、期間進行基準を適用しています。効果はシートのところで説明がありましたが、資料17頁ですが、平成21年度から期間進行基準の関係で益が出ていまして、平成21年度は570万円、平成22年度は1,300万円、平成23年度は1,900万円ということで、年々利益が増えている状況です。

○宮本委員
6頁の(4)ですが、労働大学校の宿泊施設の利用率低調ということで政・独委からの指摘があったということです。労働行政担当職員以外を対象とした研修というのは、機構がなさるということだったでしょうか。震災のあとの被災した方々への利用ということでいまやっているのですが、これは将来的には宿泊施設に関しては、どういう方針で考えているのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
1つは、ほかの団体への貸出しということで、厚生労働省の医療関係の職員に対する研修といったものに施設の貸出しをしています。直接機構職員が研修を行うという形ではありません。
それ以外に施設の有効利用ということもありまして、先ほど話のあった被災された新卒者の就職支援として宿泊施設の無料提供を、機構の取組として実施しています。被災された学生が来られた場合には、私どもならではの取組として、就職に関するノウハウなどがありますので、セミナーを開催して、こういうところに力を入れたほうがいいといったような、履歴書の書き方ですとか、そういったセミナーも開催させていただきながら、提供させていただいているということです。
将来的には、6頁の下、最終評価結果の報告書(案)の下に記載があるとおり、労働大学校については国に移管するということになっています。統合時に合わせて国に移管する方針でございまして、将来的には国に移管されるものと考えています。

○今村部会長
先ほどの加藤委員の1つ目の質問に関して気がついたのですが、11頁の「中期計画の概要」の目標期間中に延べ10人以下の招へい、20人以下の派遣というのは、いささか海外との連携を強化する上で、このような「以下」という中期目標の設定の仕方というのは奇妙な感じがするのですが、これは過去からの経緯があってこうなったということは理解できるのですが、これについては次回の中期計画の目標については、同じように設定されるのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
しておりません。

○今村部会長
これは外れるわけですね。

○労働政策研究・研修機構総務部長
はい。プロジェクト研究に資する観点からの招へい・派遣を厳選して行うという形の記載に変更させていただいています。

○今村部会長
付け加えになりますが、例えば最近JILPTはOECDのLEEDと提携したり、いくつかヨーロッパでもそういう非常に重要な研究をしているネットワークはたくさんありますので。これを見ると、派遣の仕方によって、ネットワークの中にドンと放り込むことでかなりの情報が取れるということもありますので、次回はこの足かせが取れるということですから、そういうことを通じて、アジアはもちろんですが、ヨーロッパなどでも非常に参考になる政策の情報が実際にあります。私も経験がありますが、飛び込まないと情報が入ってこないし、Face to Faceでないと質の高い情報が入ってこないということで、評価も低いということもありますから、是非向上を目指してご努力いただければと思いますので、よろしくご検討いただければと思います。
特に修正意見はよろしいですか。修正意見は無いようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)として、8月31日に開催される総会に報告したいと思います。なお、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
そのようにさせていただきます。次の議題は「不要財産の国庫納付について」です。事務局から、不要財産の国庫納付の取扱いの枠組みについて説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
不要財産の国庫納付については、独立行政法人通則法の第8条第3項の規定に基づき、不要財産とされたものについては処分しなければならないとされております。この不要財産を国庫に納付または譲渡し、譲渡代金を国庫に納付しようとするときには、同法第46条の2第1項または同条第2項の規定によりまして、厚生労働大臣の認可が必要とされております。さらに同条第5項において、「(厚生労働大臣が不要財産処分の)認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない」こととされており、今回、委員の皆様のご意見を伺うものとなっております。

○今村部会長
法人から説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構経理部長
不要財産の国庫納付について説明します。資料1-3です。資料は、当機構が厚生労働大臣に提出した国庫納付の認可申請書の写しです。1「現物による国庫納付に係る不要財産の内容」ですが、雇用勘定現金及び預金のうち347万円です。この財産347万円については、職員の借上宿舎に係る敷金の返還金です。職員の借上宿舎の敷金については、前身の旧特殊法人の時代に、政府の労働保険特別会計の補助金で措置されていたものです。平成15年10月の独立行政法人に移行する際に、政府から現物出資として平成15年10月現在で、823万1,000円の現物出資を受けたところです。それで、当機構が独法化に際し承継したものです。この借上宿舎については、平成26年度に完全廃止するとしているところですが、平成23年度までに契約を解除した物件に係る敷金の返還分について、今般国庫に返還することとしたものです。
2「不要財産と認められる理由」をご覧ください。先ほども説明しましたが、当該財産については、職員借上宿舎の不動産賃貸借契約に基づく差入敷金のうち、平成23事業年度までに契約を解除したものの返還金です。機構においては、今後使用する見込みがないということで、国庫に返還するものです。
3「その取得の日及び申請の日における不要財産の帳簿価額」です。取得日が平成15年10月1日、申請日が平成24年8月1日ということです。帳簿価額については同額で、347万円ということです。
4の会計区分については、労働保険特別会計雇用勘定です。
5「現物による国庫納付の予定時期」ですが、平成24年9月に実施する予定です。私からの説明は以上です。

○今村部会長
ただいまの説明について、ご質問等がありましたらお願いします。特にありませんでしょうか。それでは、本件については、当部会として了承したいと思います。今後の手続の過程で内容に変更があった場合については、事務局から私に連絡を入れてもらい、委員の皆様へのご報告とするか、改めて意見を伺うか等を決めることにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
労働政策研究・研修機構関係の議事は以上になります。最後に山口理事長からコメントをいただけたらお願いします。

○労働政策研究・研修機構理事長
本日は私ども機構の平成23年度の業務実績の総合評価、第2期中期目標期間の最終評価等についてご審議をいただき、大変ありがとうございました。この評価結果及び評価の過程で、委員の皆様からいただきましたご指摘を守りつつ、私どもの政策研究機関としての役割を今後とも十分に果たすように努めてまいりたいと思います。また、皆様にはいろいろご指導賜らなければいけない点もございますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

○今村部会長
ここで法人・所管課が退室しますので、休憩とさせていただきます。10時15分から再開とします。お疲れさまでした。
(法人及び所管課入替)

○今村部会長
それでは、よろしいですか。勤労者退職金共済機構の審議に入ります。まず初めに、財務諸表に関する意見について審議を行います。それでは、財務担当の加藤委員からご説明をお願いします。

○加藤委員
財務諸表の適正性等について、意見を申し上げます。平成23年度の法人全体の財務数値は、お手元の財務諸表に記載されているとおり、総資産額が5兆4,160億円、負債総額が5兆5,328億円、純資産額がマイナス1,167億円となっています。他方、損益計算書は、経常費用の合計が5,995億円、経常収益の合計が6,349億円、臨時損失が約1億円ありまして、内容は、国庫納付金が6,700万円ほど、減損損失が3,900万円ほど、合計して1億円の臨時損失が計上されています。以上の結果、当期純利益が352億円ほどとなっています。
同機構の財務諸表全般につきまして、前年度比の増減の内容とか、あるいは比率分析といった手続を行い、また、特に必要と思われる個別の会計処理の内容の確認など、質疑を行ってその妥当性を確認しました。また、会計監査人である有限責任あずさ監査法人さんが実施なさった、監査の方法及び概要に関しまして、同監査法人から提出を受けた参考資料において、重要な指摘事項等はないことを確認しています。監事の方々及びあずさ監査法人さんの監査の結果は、財務諸表に対する適正意見が表明されております。以上から判断して、同機構の平成23年度の財務諸表は適正に作成されていますので、申請どおり承認することが適当であると私は考えます。
併せて簡単にコメントを申し上げますと、累積欠損の額が約1,168億円になっているので、もちろん確実な解消に努めていただきたいということ。そのために、運用収益の確保、あるいは効率的な運用経費の支出の一層の工夫という観点から、工夫なされることを期待します。以上です。

○今村部会長
ありがとうございました。ただいまご報告いただいた勤労者退職金共済機構の財務諸表について、ご意見等があればお願いします。よろしいですか。
それでは、平成23年度の財務諸表に対する意見としては資料2-1の案のとおりで、修正意見はないようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいですか。
(各委員了承)

○今村部会長
では、そのようにさせていただきます。それでは、勤労者退職金共済機構の起草委員を代表して、私から総合評価について報告します。お手元の資料2-2をご覧ください。業務実績の評価について、平成23年度の報告を申し上げます。1の(2)平成23年度の業務実績全般の評価があります。機構は、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もって中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする中小企業退職金共済制度と、勤労者の計画的な財産形成を促進することにより勤労者の生活の安定を図る財形持家融資制度の運営主体であることから、機構の目的に照らし、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が「確実な退職金支給」「退職金制度への着実な加入」及び「財形持家融資制度の普及」にどの程度寄与するかという視点が評価の中心になります。
平成23年度の業務実績につきましては、全体としては、機構の目的である「確実な退職金支給」「退職金制度への着実な加入」及び「財形持家融資制度の普及」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、以下の点に留意する必要があることを申し上げます。
3頁目です。まず、[1]制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入できるものとなるためには、累積欠損金を解消することが重要であります。累積欠損金を計上している中退共事業及び林退共事業においては、一定の累積欠損金が解消されたものの、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえ、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが重要です。
[2]加入促進についてです。制度の安定的な運営のため、第2期中期計画の達成に向けて、平成24年度もさらに効果的な取組を行うことが求められます。特に、2年続けて加入者が目標に達しなかった建退共事業及び今年度目標に達しなかった林退共事業につきましては、業界の状況等も勘案しつつ、確実な加入に向けてより一層の努力が求められます。
[3]中退共事業における退職金未請求者、建退共事業における共済手帳の長期未更新者及び証紙の未貼付については、意識的な取組がなされたものの、このところ改善していないため、未請求の発生要因や建設業の労働市場の特殊性に配慮しつつ、さらなる取組を行い、改善することが求められます。
[4]です。管理部門のスリム化や、各共済事業それぞれの資産を区分して管理することを前提とした、効率的かつ柔軟な資産運用体制の構築など、さらなる効率化に努めることが求められます。
[5]財産形成促進制度については、中小企業における融資の利用促進を図るため、移管を機にさらなる取組の工夫がなされることを期待します。
2「具体的な評価内容」についてです。(1)「業務運営の効率化に関する措置について」の[1]「効率的な業務実施体制の確立」です。平成24年度から資算運用業務を一元化することを決定しまして、それに向け規程等の整備や業務実施方法の検討を行ったほか、平成24年度からの清退共事業及び林退共事業の業務運営の一体化に前倒しして役職員の削減に取り組み、役員1名、管理職員1名の削減を行う等、目標を超えた取組を行い、大きな成果を上げている点は高く評価できます。
[2]「中期計画の定期的な進行管理」についてです。業務推進委員会や加入促進対策委員会を定期的に開催し、業務の進捗状況の把握、検証を行っているとともに、評価結果、年度計画の進行状況を職員一人ひとりに周知させることの努力が見られるなど、中期計画の進行管理は着実に行われていると認められます。
[3]「内部統制の強化」です。理事会、幹部会及びコンプライアンス推進委員会において、「独立行政法人勤労者退職金共済機構コンプライアンス基本方針」の改正を行うとともに、財形融資ALMリスク管理委員会を設置したほか、監査の効果的実施のため、業務監査前後で理事長と監事がディスカッションを行うこととするといった、新たな取組を行うなどの積極的な取組は評価できます。
[4]「業務運営の効率化に伴う経費節減」につきましては、超過勤務管理などの努力がなされており、人件費は15.0%削減と、目標を上回る経費の削減がなされている点や、運営費交付金の廃止に着実に対応している点は評価できます。また、随意契約の見直しについては「随意契約等見直し計画」に基づく取組を着実に行い、計画を達成した点は評価できます。
次に、4頁の下ですが、(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。1.「退職金共済事業」の[1]「確実な退職金支給のための取組」につきましては、まず中退共事業における退職金未請求に対する取組として、引き続き「加入通知書」や「加入状況のおしらせ」の発行により、被共済者の意識を高める取組等を行ったほか、電話による請求手続要請等の新たな取組等を実施しており、努力は認められるものの、未請求率についてはこのところ改善していないため、目標の達成に向けて一層の努力を求めます。また、これまでに累積した退職金未請求者に対する取組についても、時効完成直前の未請求者のうち、住所等の情報提供がされた者で未だ請求をしていない者に対し、2回目の請求手続を要請するなど、着実な取組が認められます。
建退共事業における共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組としては、新規加入時及び共済手帳の更新時における被共済者の住所把握や、既加入者に対する長期未更新調査による長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われており、努力が認められます。共済証紙の適正な貼付に向けた取組については、加入履行証明書発行の際の共済手帳及び共済証紙の受払簿を厳格に審査すること等の努力が認められますが、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額の解消が当中期目標期間の目標値に大きく及んでおらず、目標達成に向けてさらなる改善を期待します。
また、清退共事業及び林退共事業についても、新規加入時及び共済手帳の更新時において把握した被共済者の住所のデータベース化を行う等、対策の強化を行っている点は評価できます。今後は、それぞれの業界の特性や機構の実施体制等を勘案しつつ、成果を把握し、その結果を今後の対策に反映させるなど、引き続き目標の達成に向けての取組を期待します。
5頁の下、[2]「サービスの向上」についてです。退職金給付に係る処理期間について、中退共事業については25日以内、建退共事業、清退共事業及び林退共事業については30日以内とする目標を達成するとともに、これを維持できたことは評価できます。
6頁の[3]「加入促進対策の効果的実施」です。加入者数の目標達成率が、中退共事業109.1%、清退共事業105.7%となり、その結果、機構全体としても加入目標を上回ったことは評価できます。一方、建退共事業と林退共事業については、90.7%、98.8%と加入実績が目標に達しなかったところです。今後は、各事業の特性に応じて効果的な加入促進対策を行うとともに、特に建退共事業については復興需要なども注視しつつ、今後の拡大を期待します。
6頁の下のほうですが、2.「財産形成促進事業」についてです。貸付決定について平均6日で対応した点、周知広報についてホームページの積極的な活用、外部委託の活用や関係機関との連携等に努めることにより、ホームページのアクセス件数、リーフレット配布ヶ所数など、目標を大きく上回った点は評価できます。中小企業における融資の利用促進を図るため、移管を機にさらなる取組の工夫がなされることを期待します。
7頁、(3)「財務内容の改善」についてです。1.「退職金共済事業」の[1]「累積欠損金の処理」につきましては、中退共事業においては、平成22年度末時点の2,058億円が平成23年度末時点では1,741億円となり、316億円が解消しました。林退共事業においては、平成22年度末の14.09億円が平成23年度末時点では13.04億円となり、1億500万円ほど解消できました。両事業とも単年度の解消すべき目安額を達成した点は評価できます。引き続き累積欠損金解消計画を踏まえ、資産運用について安全かつ効率的な運用を基本としつつ、着実な解消に努めることが求められます。
[2]「健全な資産運用等」についてです。委託運用において、内外債券高、内外株高、円高修正により、清退共事業を除き概ねベンチマークと同等以上のパフォーマンスを達成し、利益を確保したことに加え、自家運用においても安定した収益を確保した結果、当期純利益を確保することができた点は評価できます。
7頁の下のほう、2.「財産形成促進事業、雇用促進融資事業」についてです。財産形成促進事業における累積欠損金は、着実に解消が進んでいると認められます。雇用促進融資の財政投融資への償還も約定どおり実施されており、財務内容の改善が着実に進んでいると認められます。
7頁のいちばん下、(4)「その他業務運営に関する措置について」です。8頁では、退職金機構ビル及び同別館について、外部有識者で構成する「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」の意見を踏まえ、平成24年5月の移転に向けた準備、土地・建物の売却処分についての主務大臣への認可申請等の対応を速やかに行った点は評価できます。また、越谷宿舎について、平成24年3月末に現物による国庫納付を行っており、着実に取組を行っている点は評価できます。退職金共済事業と財産形成促進事業の連携については、一定の取組が認められますが、今後、普及促進における両事業のさらなる連携を図られることを期待します。
(5)「評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応について」の[1]「財務状況について」です。清退共事業を除いて、各共済事業とも当期純利益を計上しています。その他は2の(3)で評価したとおりです。
[2]「保有資産の管理・運用等」についてです。これは2の(4)で評価したとおりです。
9頁[3]「組織体制・人件費管理について」です。平成23年度における給与水準の検証につきまして、対国家公務員指数は年齢・地域勘案で100.2、年齢・地域・学歴勘案で101.5とやや高くなっており、特別都市手当について、引き続き国家公務員の地域手当18%よりも低い水準に留めることが求められます。また、一般管理費及び退職金共済事業経費につきましては、平成23年度予算に対し10.3%削減し、人件費については、削減目標である平成17年度比6%削減を大きく上回る平成17年度比15.0%削減を達成しており、評価できます。
9頁の下のほう、[4]「事業費の冗費の点検について」です。執行計画額に対して支出実績額が20.1%の削減となっているなど、冗費の削減について適切に取り組んでいるものと評価できます。また「平成23年度の庁費及び旅費の類に関する支出状況」から、事務経費等の駆け込み執行はないものと認められます。
10頁[5]「契約について」ですが、2の(1)の?で評価しています。
10頁[6]「内部統制について」です。2の(1)の[3]で評価したほか、退職金共済業務を取り扱う法人特有のリスクとして、[1]なりすまし等による退職金の詐取や、[2]市場の変動にともなう運用リスク等が考えられます。これらについてはそれぞれ、a対応マニュアルを作成の上チェック項目を複数設けて複数の者によるチェックを行う、b基本ポートフォリオの構築等について外部の専門家の助言を受けるほか、資産運用の実績について外部の専門家に評価を受ける等の対応がとられており、評価できます。
[7]「事務事業の見直し等について」です。これは「独立行政法人の事務・事業の見直し基本方針」や行政刷新会議事業仕分けでの判定結果を受けて、各種の取組を着実に行っていると認められます。また、退職金共済事業及び財産形成促進事業において、東日本大震災による被災者に対する各種の特例措置等を迅速かつ適切に実施した点は評価できます。
11頁[8]「法人の監事との連携状況について」は、当委員会では評価の実施に当たり、監事の監査報告書の提出ならびに監事監査の実施状況及び業務運営上の検討点について説明を受け、評価を行っております。
[9]「国民からの意見募集について」は、当委員会では評価の実施に当たり、平成24年7月17日から同7月31日までの間、法人の業務報告書等に対する国民からの意見募集を行いましたが、意見は寄せられませんでした。
以上が、勤労者退職金共済機構の平成23年度業務実績の評価概要でございます。ただいまご報告した総合評価書につきまして、ご意見等があればお願いします。

○加藤委員
機構さんへの確認だけなのですが、11頁のいちばん最後のところです。[9]の「国民からの意見募集について」で、1件もなかったことはどう解釈すればいいのかということなのです。例えば、7月17日から7月末までの約2週間ですね。2週間という期間が短過ぎるのか、あるいは、アピールのし方が力強さが足りなかったのか、何か原因があると思いますが、そこら辺はどういうお考えか、参考までに聞かせてください。

○事務局
パブリックコメントの関係につきましては、厚生労働省の所管しているものを事務局のほうで取りまとめて、一斉に7月17日から31日まで同じ様式で公募しております。この期間が短いのではないかというご指摘がありましたが、他省庁さんのほうも最近は2、3週間という所が結構多くなっていまして、その情勢に合わせた形で、今回、総合評価までの期間が短いこともあったので、短くした次第です。

○加藤委員
理解いたしました。参考までに教えていただきたいのですが、ほかの機構さんも意見がなかったとか、そういう状況なのでしょうか。

○事務局
先ほどの労働政策研究・研修機構は1件ございました。それ以外は医療系の独法で、数件の意見がありました。あとは、今回の業績評価とは関係ないような特殊な意見も大量にありますが、概ね各法人、意見がないか、1、2件という所が多いと思います。

○今村部会長
参考までに、パブリックコメントの周知徹底は、現状はどのようになされているのですか。例えば、日程が決まる前であっても、大体このぐらいの期間にパブリックコメントを募集するという予告とかをして、少しでも情報の掘り起こしに努めるとかはされているのですか。

○事務局
特段そういったことはしていなくて、いつも通常この時期、7月の上旬から下旬にかけて行っていますので、他省庁も同様の形で行っております。こちらのパブリックコメントの掲載のし方なのですが、総務省のeガバメントのホームページに、各省とも共通の様式で登録しています。以上です。

○今村部会長
いかがですか。特に修正意見がないようですので、平成23年度の業務実績の評価結果として、各法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なおこのあと、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますか。
(各委員了承)

○今村部会長
では、そのようにさせていただきます。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定の修正・確定を行います。修正に当たりまして、事務局から補足説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
修正については、赤鉛筆でお願いします。また、評定理由の修正・加筆も可能となっております。それから、机上に配付している「個別項目に関する評価結果」については、現時点でいただいている評点について、Sを5点、Aを4点、Bを3点、Cを2点、Dを1点ということで点数化しまして、平均化したものとなっております。なお、委員の名前のほうは空欄となっていまして、委員の皆様にはご自分の名前のみわかるようになっております。それから、作業に当たりまして、これまでの個別評価に係る資料をご覧になりたい場合については、事務局のほうで用意がありますので、お申し付けください。よろしくお願いします。

○今村部会長
それでは、10分ほどの間に評定記入用紙の修正や確認をお願いします。
(評価シートの修正・確定)

○今村部会長
それでは、これをもちまして、勤労者退職金共済機構の平成23年度業務実績評価に関する意見を取りまとめます。評価書には、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されていますが、本日、評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更された場合、また、コメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シートの集約版を添付します。これら修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただけますでしょうか。場合によっては各員に個別にご意見を賜ることもあるかもしれません。その際にはどうぞよろしくお願いいたします。
(各委員了承)

○今村部会長
次に、勤労者退職金共済機構の暫定評価についての審議に入ります。まず事務局から、「暫定評価」及び「組織・業務全般の見直し当初案」について説明してください。

○政策評価官室長補佐
暫定評価についてご説明申し上げます。暫定評価については、評価結果を次期中期目標の策定などへ反映させる観点から、中期目標の期間の最終年度において暫定評価を行うこととなっております。暫定評価に当たっては、中期目標期間に係る一次評価を行った上で、総会において暫定評価を決定する流れになっております。これまでの各年度の実績評価などを基に、起草委員の先生に暫定評価結果(案)を作成していただいておりますので、これについてご審議をお願いいたします。
組織・業務全般の見直し当初案については、独立行政法人の通則法第35条において、「主務大臣は独立行政法人の中期目標期間終了時において、業務全般等について検討を行い、その結果を踏まえて所要の措置を講ずること」とされており、その際に評価委員の意見を聞かなければならないことになっております。具体的には、青い資料集の171頁に閣議決定があります。「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」に基づくものとなっております。全体の流れについては170頁にもありますので、こちらもご参照いただければと思います。
例年、対象法人に対しては、総務省の行政管理局より6月、7月辺りに方針が示され、8月末の予算の概算要求の提出日までに提出をしている状況です。本年度については、予算の概算要求の提出日がまだ定まっていないこともあり、行政管理局から正式な作業依頼がまだなされていない状況にあります。したがって、本年度の対象の法人については、昨年度と同様の様式ということで作成していただいておりますのでご了承ください。以上です。

○今村部会長
法人より、中期目標期間の業務実績について15分ほど説明をしていただき、次に起草委員から10分程度の暫定評価書(案)について説明、最後に質疑応答を10分程度という流れにいたします。それでは、法人より中期目標期間の業務実績について説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
資料2-3-[1]「第二期中期計画暫定評価説明資料」に基づいてご説明させていただきます。表紙をめくり、各評価項目を1枚ずつにまとめております。評価項目が多岐にわたりますので、簡単にポイントのみご説明させていただきます。それぞれの項目について、平成20年度から平成23年度までにいただきましたご評価、なお平成23年度については前回の委員会でいただいた段階での評価について示させていただき、それらの平均として暫定評価期間中のものを併せて示させていただきました。
評価項目1「効率的な業務実施体制の確立」です。真ん中の箱にあるように、1つは「業務・システム最適化計画」を実施し、平成22年10月から新システムを稼働させたところです。これにより、システムのオープン化等ができました。併せて「システム管理業務の一元化」にあるように、この新システム稼働に合わせ、各事業本部の外に新しくシステム管理部を設置し、システム管理業務の一元化を実施いたしました。
下の箱は「業務実施体制の効率化」で、左側のいちばん下は資産運用業務の一元化ということで、平成24年4月から、これも各事業本部から資産運用業務を取り出し、機構全体として一元化いたしました。右側は、清退共及び林退共の業務運営の一体化を本年4月から実施したわけですが、これに前倒しして、役員、管理職員の削減などを昨年実施いたしました。また、適格退職年金からの移行業務の終了に伴う担当組織を廃止し、これらを含めて平成23年度末で7名の定員削減を実施してきました。なお、この間のご評価としては、平成20年度から平成22年度まではA評価、平成23年度はS評価を頂戴しております。
評価項目2「中期計画の定期的な進行管理」については中段の箱にあるように、職員の意識の向上を各種取組によって図ったことと併せ、機構全体の進行管理として各委員会、各本部の進行管理としては、そこにあるような会議を定期的に開催いたしました。これについては、平成20年度から平成23年度まですべてB評価をいただいております。
評価項目3「内部統制の強化」です。真ん中の図にあるように、PDCAサイクルに基づいて計画策定、実行、評価・検証、改善というサイクルを回しながら業務に取り組んでいるところです。下にあるように、「コンプライアンス推進委員会」を平成21年度に設置し、そこでコンプライアンス基本方針の策定、財形融資ALMリスク管理委員会の設置、あるいは監事が業務監査を実施するに当たって理事長とディスカッションを行うことを決定等々、各年度で取組を進めてきているところです。評価結果として、平成20年度はB評価でしたが、コンプライアンス推進委員会を設置した平成21年度以降はA評価をいただいております。
評価項目4「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。中段の箱は経費の削減の数値目標として、運営費交付金については、中期計画最終年度までに平成19年度予算額に比べて18%以上の削減ということであったわけですが、真ん中に書いてありますように、平成21年度の段階で17.5%ということでほぼ目標を達成していましたが、平成22年度から運営費交付金は廃止されております。平成22年度、平成23年度については右側にあるように、予算額に比べ決算額はかなり節減に努めております。人件費については、表にあるように数値目標を大きく上回る削減を実施しております。超過勤務の削減の取組、計画的な定員削減等によるものと考えております。評価結果については、平成20年度から平成23年度までA評価をいただいております。
評価項目5「随意契約の見直しについて」では、まず随意契約の適正化を推進するということで、平成20年度に締結した59件の随意契約を見直し、5件に縮小するという、随意契約見直しに基づく取組を実施し、平成23年度末に達成いたしました。また競争性・透明性の確保等について、各種達の改正、改善方法・方策の作成等に取り組んでまいりました。併せて、監事監査を四半期ごとに実施するほか、契約監視委員会を開催し、外部の先生方によるチェックを行っていただきました。なお、これらについてはホームページ等ですべて公表しております。評定については、平成20年度から平成23年度までA評価をいただいております。
評価項目6「確実な退職金支給のための取組」の中の(1)一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組です。目標としていただいておりました、未請求率の縮減、数値目標として2年経過後の未請求率を1%とするということでしたが、取組前の3%前後というところから平成20年度以降だんだん縮減をし、平成22年度は1.6%まで進んでおりましたが、平成23年度は1.8%と若干増加いたしました。さらに取組について工夫をし、この縮減に取り組んでいきたいと考えております。
下のところに、「新たな未請求退職金の発生を防止するための対策」ということで、各年度ごとに、例えば「加入通知書」「加入状況のおしらせ」の発行、住所情報の提供の依頼、あるいは住所情報を取得した未請求者への請求手続要請、中でも2回目の請求手続を要請する、電話での請求手続要請など、各種の取組を進めてきております。また、退職時の住所を「被共済者退職届」で取得し、OCR処理化してデータベース化する取組を行っておりますので、今後ともこれらを活用し、この未請求率の縮減に取り組んでまいりたいと思っております。さらに周知の徹底、調査・分析等を実施してまいりました。評定については、平成20年度から平成22年度まではA評価をいただいておりましたが、平成23年度は取組が数値的に悪かったこともあってB評価になっております。
次の頁は評価項目7「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」です。「長期未更新者調査等の実施」ということで、前回更新時から3年を経過した方に対し、その方の現況を調査する。いま働いているかどうか、あるいは手帳更新、もし手帳がいっぱいであれば手帳更新を要請し、もし引退している方がいれば請求の勧奨をするということで、建退共、清退共、林退共とも適切に進めております。
下の※に書いているように、建退共においては平成21年度に、これまで長期未更新者調査の対象とならなかった被共済者に対してシステムを整備し、すべての方々について現況調査・手続要請を行い、これによって建設、清退、林退すべてを含め、3年以上未更新の方への現況調査の取組は完了いたしました。今後、また3年間未更新になった方々に対しての取組は進めてまいりたいと思っております。
併せて、新規加入時の加入通知書の発行と、新規加入時等における被共済者情報のデータベース化をそれぞれ進めてきております。また、長期未更新者を縮減するための対策として、周知、注意喚起等を行っております。
右側は「共済証紙の適正な貼付に向けた取組」ということで、手帳更新の手続をしない共済契約者に対する要請などいろいろ取り組んでまいりましたが、いちばん下の○のように、共済証紙販売額と貼付確認額の差額について、19年度と比較して目標の130億円程度に対し、70億円の縮減にとどまっております。これについては、各諸般の事情があると考えておりますが、今後ともさらに取組を強化し、この縮減に取り組んでいきたいと考えております。
評価項目8「サービスの向上」ということで、業務処理改善について、機構内事務処理、加入者に実施していただく手続等に関しての改善に取り組んできたことと併せ、特に東日本大震災に係る被災地域への対応として、各種特別措置、事務手続の迅速化、簡素化を図りました。また処理期間についても、中退共事業においては、受付から25日以内に支払うほか、清退、林退においては、これまで39日以内とされていたものを、システム最適化によって30日以内に支払いを短縮することができました。評定として、平成20年度と平成21年度はB評価でしたが、清退、林退における短縮が実現した平成22年度以降はA評価をいただいております。
評価項目9はサービスの向上の中の「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」です。情報提供については、ホームページにおいて最新の情報をわかりやすく掲載する、迅速に行うということで情報提供の充実を図っております。各個別には下の箱の中に書いてあるとおりです。これらにより、右側のようにホームページのアクセス件数は、第1期中期計画最終年度と比べて47%の増加ということで、目標の10%を上回っております。
「照会・要望等への適切な対応」として、ホームページからの「ご意見・ご質問」「ご利用者の声のアンケート」などを基に、ご利用者の声を伺うこととさせていただいております。特に苦情をいただいた場合には、その点について組織的に職員に注意喚起を行い、今後の相談業務に反映するべく情報提供を図っております。評定としては、平成20年度から平成23年度までA評価をいただいております。
評価項目10はサービスの向上の中の「積極的な情報の収集及び活用」ということです。情報収集としては、外部の有識者からなる参与会、右側にある「退職金制度の実態調査」を実施しております。特に平成23年度においては、左下の箱のように東日本大震災による「被災状況確認調査」ということで、震災に遭った被共済者に対して確実な退職金を支給するための現況調査を調査対象として、被害が甚大であった地域と、福島第一原発の事故による避難地域での共済契約者に対して実施し、被共済者の住所情報等の把握に努めました。評定としては、平成20年度から平成22年度まではB評価、平成23年度はA評価をいただいております。
評価項目11「加入促進対策の効果的実施」ということで、中段に機構全体としての加入目標数及び実績を掲げております。平成20年度、平成21年度、平成22年度、平成23年度の各年度とも、目標に対して達成率100%を超えました。期間全体としても104.2%となっております。
各事業本部別の目標達成率と加入促進対策として、中退共においては適年からの移向促進の各種措置ということもあり、達成率105.4%。また建設、清退、林退についてもそれぞれの取組により、それぞれの期間全体を通じて目標を達成しております。評定としては、平成20年度から平成23年度までA評価をいただいております。
評価項目12「財産形成促進事業」については、平成23年度の10月から私どもの機関に移管されましたので、平成23年度後半についての評価と取組のご報告になります。融資業務についての貸付決定までの処理日数、周知に関するアクセス件数等について、いずれも目標を上回っていて、平成23年度はA評価をいただいております。
評価項目13「累積欠損金の処理」についてです。「中退共給付経理」及び「林退共給付経理」とそれぞれ2つの表を掲げておりますが、折れ線グラフについては累積の欠損金の額、棒グラフは各年度の欠損金の解消額、あるいはゼロより低いところは逆に増加した額になっております。
例えば中退共給付経理では、独法承継時の欠損金は3,230億円だったものが、第2期中期計画の始まる平成19年度末には1,564億円まで減少しておりましたが、第2期中期計画期間中は市場環境がかなり悪かったときもあり、平成23年度末の累積欠損金は1,741億円となっております。林退共においても、同様に承継時は21億3,700万円、平成19年度末では13億5,700万円であったものが、平成23年度は13億400万円ということで、若干は削減しておりますが、計画にはまだ及んでいない状況です。累積欠損金が拡大した平成20年度についてはC評価、かなり解消した平成21年度はA評価等と、各年度の市場環境等に基づく累積欠損の解消状況はかなり大きくぶれたこともあり、こういう評価を頂戴しております。
評価項目14「健全な資産運用等」です。資産運用については資産運用の目標、基本ポートフォリオを定めた「資産運用の基本方針」に基づき、安全かつ効率を基本として実施しているところです。委託運用については、委託運用機関を適切に選定、管理、評価を実施し、概ねベンチマークと同等のパフォーマンスを上げています。下の○のように、外部の専門家で構成する「資産運用評価委員会」を開催し、各年度の資産運用実績についてのご評価をいただくとともに、留意事項については今後の資産運用に反映させております。
右側に、各経理別の各年度ごとの決算運用利回り、当期純利益を挙げております。先ほどの累積欠損のところでもご説明いたしましたように、市場環境がかなり大きく動いていることもあり、運用利回りがマイナス、あるいはプラス、あるいは当期の純利益等についても大きな動きがあります。評定については、平成20年度から平成22年度までB評価でしたが、平成23年度はA評価をいただいております。
評価項目15、財務内容の改善で「財産形成促進事業」と「雇用促進融資事業」です。財産形成促進事業の累積欠損金については、棒グラフにあるように毎年度確実に解消していて、平成24年3月末時点で28億円と減少し、今年度内に解消が見込まれるのではないかと考えております。債権管理についても、適切な管理に努めております。右の雇用促進融資事業についても同様に、金融機関に対する業務指導等の実施により、適切な管理に努めるとともに、財政投融資への償還についても約定どおりの償還を行っております。これについてはB評価をいただいております。
評価項目16「その他業務運営に関する事項」ですが、「退職金機構ビル及び同別館」については、外部の有識者からなるビル検討委員会の意見を踏まえて移転し、土地を売却することが合理的であると考え、公募により移転先を池袋に決定し、平成24年5月の移転に向けて準備を行いました。なお、これについて各種の申請等についても実施させていただいております。現在は既に移転は完了し、新しいビルで業務を開始するとともに、旧ビルについては売却の手続に入っております。「松戸宿舎・越谷宿舎」においても、それぞれ平成23年3月、あるいは平成24年3月に現物による国庫納付を行いました。「退職金共済事業と財産形成促進事業の連携について」も、各種取組に努めております。平成20年度と平成21年度はB評価、平成22年度と平成23年度はA評価をいただいております。
評価項目17「予算、収支計画及び資金計画」等についてです。「予算、収支計画及び資金計画」については既存経費の見直し、システムの最適化や最適化等に係る調達等について、すべて競争入札とし、随意契約の適正化の推進を図る等々により、予算の削減を図り、予算の範囲内で適正に執行するように努めております。右側の棒グラフにあるように、毎年度予算の範囲内で、できる限り効率的な執行に努め、経費の削減に努めております。
「短期借入金の限度額」にあるように、資金繰り上発生した資金不足に対するつなぎ資金として、借入限度額の範囲内での借入れを行っております。これについては、各年度ともA評価をいただいております。
評価項目18「職員の人事に関する計画」について。職員の採用に当たっては、資質の高い人材を広く求めるということで、概要のところに書いてありますように、毎年度新たな人材を求めるための取組をしております。応募者については、就職状況の厳しさということもあろうかと思いますが、平成20年度は121人だったのが、平成22年度は229人、ちなみに今年度は400人を超える応募者が出てくるなど、かなり多くの幅広い人材を求めようということでの取組を行っております。
職員の資質向上を図るための、専門的、実務的な研修等を実施するほか、真ん中の箱にあるように、人事評価結果等の活用、いちばん下にあるように、平成22年度から理事長と管理職の個別面談の実施等による、職員の意識等の向上を図る取組に努めております。評定については、平成20年度と平成21年度はB評価でしたが、平成22年度と平成23年度はA評価をいただいております。非常に早口でしたが、これで報告を終わらせていただきます。

○今村部会長
続いて、勤労者退職金共済機構の起草委員を代表し、私から説明をいたします。資料2-3-[2]「独立行政法人勤労者退職金共済機構の中期目標期間の業務実績の評価結果」の、2頁の1の(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」です。機構は、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もって中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与することを目的とする中小企業退職金共済制度と、勤労者の計画的な財産形成を促進することにより、勤労者の生活の安定を図る財形持家融資制度の運営主体であることから、機構の目的に照らし、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が「確実な退職金支給」「退職金制度への着実な加入」及び「財形持家融資制度の普及」にどの程度寄与するかという視点が評価の中心となります。
中期目標期間の業務実績については、全体としては機構の目的である確実な退職金支給、退職金制度への着実な加入及び財形持家融資制度の普及に資するものであり、適正に業務を実施していたと評価できますが、以下の点に留意する必要があります。
3頁の[1]制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入できるものとなるためには、累積欠損金を解消することが重要であります。累積欠損金を計上している中退共事業及び林退共事業においては、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえ、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが求められます。
[2]加入促進については、平成23年度末で適格退職年金からの移行が終了したことも踏まえ、制度の安定的な運営のため、実施体制も含めた対策の見直しを行い、一層効率的かつ効果的な取組を行うことを期待いたします。
[3]中退共事業における退職金未請求者、建退共事業における共済手帳の長期未更新者及び証紙の未貼付については、意識的な取組はなされておりますが、未請求の発生要因や建設業の労働市場の特殊性に配慮しつつ、今後も工夫等をしながら取組を進められることを期待いたします。
[4]システム管理業務の一元化や、清退共事業・林退共事業の業務運営組織の一体化など、効率的な業務実施体制を確立するための取組を積極的に進めてきたところですが、今後も不断の見直しを行うとともに、さらなる効率化に努めることが求められます。
[5]財産形成促進制度については、中小企業における融資の利用促進を図るため、移管を機にさらなる取組の工夫がなされることを期待いたします。
3頁の下のところの「具体的な評価内容」のポイントを申し上げます。(1)「業務運営の効率化に関する措置について」です。[1]「効率的な業務実施体制の確立」については、「業務・システム最適化計画」に基づき新システムを稼働させたこと、同計画の実施に併せ、資産運用業務及びシステム管理業務の一元化を行ったこと、事業処理の効率化や人員及び経費の縮減を図ったこと、独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴う財形事業の移管を円滑に進めたことなどが評価できます。
[2]「中期計画の定期的な進行管理」です。業務推進委員会や加入促進対策委員会を定期的に開催し、業務の進捗状況の把握、検証を行っているとともに、評価結果、年度計画の進行状況を職員一人ひとりに周知させることの努力が見られるなど、中期計画の進行管理は着実に行われていると認められます。
[3]「内部統制の強化」です。年度計画について、理事会において理事長から幹部職員に対して各職場へ周知を指示したほか、人事制度の期初面接等において、一人一人に年度計画における各職員の位置づけ、役割を明らかにし、意識改革を図るなどの取組を行っており評価できます。また理事会、幹部会及びコンプライアンス推進委員会において「独立行政法人勤労者退職金共済機構コンプライアンス基本方針」の策定・改正を行うとともに、財形融資ALMリスク管理委員会を設置したほか、監査の効果的実施のため、業務監査前後に理事長と監事がディスカッションを行うこととするといった新たな取組を行うなど、積極的な取組は評価できます。
[4]「業務運営の効率化に伴う経費節減」についてです。一般管理費及び退職金共済事業経費について、平成19年度予算に対し削減目標は18%以上のところ、平成21年度決算では17.5%を削減し、平成22年度には退職金共済事業における運営費交付金を廃止しております。運営費交付金廃止後の平成22年度以降も、各年度予算に対し平成22年度決算で7.6%減、平成23年度決算で10.3%減となっており、着実に削減を行っている点について評価できます。
人件費の削減については、超過勤務管理などの努力がなされており15.0%削減と、目標を上回る経費の削減がなされている点は評価できます。給与水準については、東京都特別区に勤務する国家公務員の給与水準と比較すると、平成23年度において、年齢・地域勘案指数で100.2となっておりますが、年齢・地域・学歴勘案では101.5とやや高くなっております。特別都市手当について、国家公務員の地域手当18%よりも低い水準に引き続き留めること等によって、給与水準の適正化を行うことが求められます。今後も、職員の労働インセンティブの低下につながることがないよう留意しつつ、人件費の削減に引き続き努めることを期待いたします。5頁の随意契約の見直しについては、「随意契約見直し計画」に基づく取組を着実に行い、計画を達成した点は評価できます。
(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。1.「退職金共済事業」の[1]「確実な退職金支給のための取組」については、まず中退共事業における退職金未請求に対する取組として、「加入通知書」や「加入状況のおしらせ」の発行により、被共済者の意識を高める取組等を行ったほか、電話による請求手続要請等の新たな取組等を実施しております。新たな取組により、未請求率は、取組開始前の2.8%前後から、目標数値1%程度に対して、平成23年度末時点において1.8%となっており、これまでに把握した未請求者等に対する調査結果等も基に、今後も工夫等をしながら取組を推進することを期待いたします。また、これまでに累積した退職金未請求者に対する取組についても、時効完成直前の未請求者のうち、住所等の情報提供がなされた者で未だ請求をしていない者に対し、2回目の請求手続を要請するなど、着実な取組が認められます。
下のほうの、建退共事業における共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組としては、新規加入時及び共済手帳の更新時における被共済者の住所把握や、既加入者に対する長期未更新調査による長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われており、努力が認められます。共済証紙の適正な貼付に向けた取組については、加入履行証明書発行の際において、共済手帳及び共済証紙の受払簿の厳格な審査等を行い、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額が、平成19年度と比較して平成23年度末時点において約70億円減少するなど、縮減の努力が認められますが、引き続き目標達成に向けてさらなる改善を期待いたします。
6頁で、清退共事業及び林退共事業についても、新規加入時及び共済手帳の更新時において把握した被共済者の住所のデータベース化を行う等、対策の強化を行っている点は評価できます。今後も、それぞれの業界の特性や機構の実施体制等を勘案しつつ、成果を把握し、その結果を今後の対策へ反映させるなど、引き続き目標の達成に向けての取組を期待いたします。
[2]「サービスの向上」について、退職金給付に係る処理期間については、中退共事業については25日以内、建退共、清退共事業及び林退共事業については30日以内とする目標を達成するとともに、これを維持できたことは評価できます。
[3]「加入促進対策の効果的実施」については、加入者数の目標達成率が機構全体として、先ほどありましたように加入目標を上回っており評価できます。今後は、各事業の特性に応じつつ、一層効率的かつ効果的な加入促進対策を行うことを期待いたします。
7頁の2.「財産形成促進事業」です。貸付決定について平均で6日ということで対応した点、それから周知広報についてホームページの積極的な活用、外部委託の活用や関係機関との連携等に努めることにより、ホームページのアクセス件数、リーフレット配布箇所数など、目標を大きく上回った点は評価できます。中小企業における融資の利用促進を図るため、移管を機にさらなる取組の工夫がなされることを期待いたします。
(3)「財務内容の改善等について」です。1.「退職金共済事業」の[1]「累積欠損金の処理」については、中退共事業においては平成19年度末時点の1,564億円が、平成23年度末時点では1,741億円となり、177億円増加いたしました。林退共事業においては平成19年度末時点の13.57億円が、平成23年度末時点では13.04億円となり、5,300万円解消できました。これは、金融市場の状況など外性的な要因も大きく影響していることに留意する必要がありますが、累積欠損金の解消は、制度の持続的な運営に当たって加入促進と並び最重要課題であることから、今後とも引き続き累積欠損金解消計画を踏まえ、資産運用について安全かつ効率的な運用を基本としつつ、着実な解消に努めることが求められます。
8頁の[2]「健全な資産運用等」についてです。第三者による外部評価を反映しつつ、資産運用の目標、基本ポートフォリオ等を定めた「資産運用の基本方針」に基づき、安全かつ効率的運用を基本として実施した結果、市場の低迷等の影響から、当期純損失を計上した年もありますが、全体として各共済事業とも概ねベンチマークと同等のパフォーマンスが達成されていると認められます。引き続き、健全かつ効率的な資産運用の具体的成果に向けて一層の取組が求められます。
2.「財産形成促進事業、雇用促進融資事業」です。財産形成促進事業における累積欠損金は、着実に解消が進んでいると認められます。雇用促進融資の財政投融資への償還も約定どおりに実施されており、財務内容の改善が着実に進んでいると認められます。
(4)「その他業務運営に関する措置について」は、退職金機構ビル及び同別館について、外部有識者で構成する「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」の意見を踏まえ、平成24年5月の移転に向けた準備、土地・建物の売却処分についての主務大臣への認可申請等の対応を速やかに行った点は評価できます。また、松戸宿舎は平成23年3月、越谷宿舎は平成24年3月に現物による国庫納付を行い、着実に取組を行った点は評価できます。退職金共済事業と財産形成促進事業の連携については、一定の取組は認められますが、今後、普及促進における両事業のさらなる連携が図られることを期待いたします。予算については、毎年度の決算額が当初予算額より減少するなど、範囲内で適正に執行されており、評価できます。
以上が、勤労者退職金共済機構の中期目標期間の業務実績の評価結果です。説明は以上です。ただいま説明いたしました中期目標期間の業務実績の報告についてご質問、又は暫定評価結果についてご意見等がありましたらお願いいたします。

○加藤委員
機構に確認いたします。評価項目8の「サービスの向上」のところで、業務処理の期間が迅速化されている、というのは評価できるということだと思います。
この頁のいちばん下に書いてある「処理期間の短縮」で、中退共事業は25日以内、建退共・清退共・林退共事業は30日以内ということですが、この違いは何でしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
中退共事業と、建設・清退・林業等の特退共事業の処理期間の違いということですが、1つは業務運営システムの違いとして、中退共事業においては毎月金融機関から引き落として、仮に退職金請求がある場合には私どもの本部に直接来られ、それまで機械処理されていたものに基づいて支払いを行うという手続をとっております。特退共事業については、いわゆる証紙制度ということで証紙を1年ごとに更新。更新実績があるわけですが、最後の手帳に貼られているものは退職金請求書が提出されたところで最後の手帳に貼られているものは一枚一枚計算しなければいけないということです。また、その退職金請求の手続を各県の支部を通じて行っているため、その支部から本部への連絡等においても一定の日数がかかるというように、業務運営手順の違いがあります。
あるいは掛金支払いの方法の違いにより、実績確認の手間暇の違いがあり、こちらにあるように中退共事業においては25日以内、ほかの特退共事業については30日以内となっております。

○今村部会長
旧雇用・能力開発機構の事業を移管された高齢・障害・求職者雇用支援機構にも同じような問題を指摘して質問したのですが、評価項目18にある「職員の人事に関する計画」のところで、これまでのいろいろな情報を集めると理事長と管理職の30分程度の個別面談、その他職員とのコミュニケーションに力を注いでいるということです。
そのほかにいま見た資料では、職員の採用に当たっては質の高い人材を求めると書いてあります。平成22年度の概要の2番目に、「集団討論による面接を実施」と書いてあります。こういう研修において、対話力というかコミュニケーション能力を採用において重視したり、研修において力を入れて養成したりということはされているのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
先ほどもお話にありましたように、採用選考に当たり、これまでは学科試験及び最終面接だけだったわけですが、課題を設定して7、8人程度のグループ・ディスカッションを行い、応募者だけにその運営をすべて任せ、彼らの中で例えばまとめる方、司会者、筆記する方というものをそれぞれの中で選んでいただき、そういう中で組織としての役割の中できちんと自分たちが考えながら運ぶことができるかどうかという新たなグループ・ディスカッション方式を導入し、そういうことがきちんとできる方々の採用に結び付いているのではないかと思っております。 研修などにおいても、民間のいろいろな研修を積極的に利用させていただくことにより、幅広い考え方を持ち、かついろいろな問題意識を持てる方を養成するよう研修には取り組んでおります。

○今村部会長
効果は上がっているという実感というか、評価はいかがですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
新しい方式を含めてから入ってきた方は、まだ1年、2年というところですので、これからどういう形でその方々が伸びていくかということであろうかと思っております。ただ、新人を配属した部署の方の話によれば、今年の人は比較的良いねという話を何度かいただいております。

○今村部会長
応募者状況もかなり良好だということなので、良い人材を採れるかと思います。組織の今後の維持のためにも、コミュニケーション能力とか、個々のそういう能力が必要だと思いますので、是非今後とも引き続き努力をされることを期待しております。よろしくお願いいたします。
ほかにはいかがでしょうか。特に修正意見はないようですので、8月31日の総会で私から委員会へ報告をいたします。なおこの後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
それでは、そのようにさせていただきます。次に、勤労者退職金共済機構の「組織・業務全般の見直し当初案」についての審議に入ります。担当課より説明をお願いいたします。

○労働基準局勤労者生活課長
勤労者生活課長です。資料2-4で、これまでの業務実績やその評価を踏まえ、次期中期目標期間に向けた組織・業務全般の見直しについての当初案を作成いたしましたのでご説明いたします。資料の3枚目以降が、昨年ベースの様式に整理したものです。この中の、見直しの方向性に関する部分を中心に1枚目、2枚目を整理しておりますので、この上2枚を用いてご説明いたします。
1.「事務事業の見直し当初案のポイント」です。「中小企業退職金共済事業」の関係では3本の柱を掲げております。1つ目は、「確実な退職金支給のための取組」です。一般の中退共と特定業種に分けまして、[1]が一般の中退共です。第2期の中期目標期間では、新たな未請求退職金の発生防止、累積した未請求退職金の縮減対策を実施してまいりました。中でも5年以上未請求の人については、全員を対象に住所調査を実施し、住所が判明した方には請求勧奨を実施しました。しかし、未請求の退職金が存在する状況は残っております。どのようなものが残っているのかを見ると、5年以上未請求のうちの73.6%が、退職金額が5万円未満であるという、比較的少額のものが多くなっております。
退職金についてはお支払いをするのが基本であることを前提としながら、併せてこのような実態にあることも踏まえ、今後の対策については下の囲みの中のように、効果の観点から重点化することを考えています。具体的には今期の中期目標で、退職2年経過後の未請求率を1%程度にする目標を示しておりますが、なかなかそこに近づかない状況にあることも踏まえ、新たな未請求退職金の発生防止に重点的に取り組む、退職直後からの取組を強化することを考えております。
そのための請求勧奨をするためには、未請求者の住所把握が必要となりますが、これまでは退職をして時間が経ってから、事業主を通じて住所の提供依頼を行っていましたので、把握が困難な場合も少なからずありました。平成23年度に住所提供を依頼した人のうち、住所が把握できて、手続が要請できたのは半数以下という状況にあります。そこを、今年度からはここにありますように「被共済者退職届」によって、退職時の住所を把握できるように進めております。これにより、今後は退職時の住所把握を確実に行い、これを活用して退職後3カ月経過時、さらにはその後一定期間経過後に、退職金の請求勧奨を行うこととしております。
また、5年以上の未請求者については、既に全員の住所調査を行うなどの取組を行ったこともあり、今後の個別的な取組としては、既に住所が把握できており請求が見込まれる方を中心に請求勧奨を実施するなど、効果の観点からの工夫を行いたいと考えております。
もちろん、こういう方以外についても、ホームページや各種広報の機会を通じて一般的な周知を行うなど、未請求の解消に向けた取組を進めていく、全般的に進めていくことは必要と考えておりますが、対策についてはこのような重点化を図っていきたいと考えております。
次の頁の[2]は特定業種の関係です。第2期中期目標期間では、過去3年間共済手帳の更新がない方について現況調査を実施し、手帳更新や退職金請求を勧奨してまいりました。特定業種の場合は、業界の引退時に退職金をお支払いいたしますので、手帳未更新の方の中には、引退はしていないけれども手帳更新に時間がかかっている人と、引退したけれども退職金を請求していない人とが混在しております。また期間雇用者であり、職場を移動するため、事後的な住所把握が困難な状況にあります。それでも、比較的加入者が少ない清酒製造業や林業についてはかなり把握が進んでおりますが、業者の数も被共済者の数も多い建設業については、現実的に特に困難な状況にあります。
こういうことを踏まえ、今後は被共済者の情報を整備し、引退者に確実に退職金を支給できるよう対策を強化する必要があると考えております。具体的には新規加入時、手帳更新時に住所把握を徹底し、3年間未更新だけではなく、その後一定期間未更新の場合にも退職金請求等を勧奨するようにする。そして、このような勧奨を効果的に実施できるように、コンピューターシステムの整備を行うものです。なお、長期未更新の方は、これまで現況調査を行ってまいりました。そういう方々については、住所が把握できている方に対して、一定期間経過後に請求勧奨等を実施するなどの取組を行うこととしています。もちろん、未更新を減らしていく一般的な対策として、ホームページの活用、業界団体等の協力もいただいた、未更新解消に向けた取組を進めていくことは必要だと考えております。
次の頁で、中小企業退職金共済事業の2つ目は「効果的な加入促進対策の実施」です。多くの中小企業・零細企業従業員に退職金をという制度の趣旨からしても、加入者数を増加させることは勤労者退職金共済機構にとっても基本的な任務ですので、現在も積極的に取り組んでいただいております。第2期についても、機構の定める中期計画の中で、具体的な数値目標が設定されており、これまでもその目標数値と同程度か、上回るペースで加入が進んでおります。
今後も、さらに引き続き効果的な加入促進対策を実施し、加入者数の増加を図るべく、中退共事業については、中小企業が多い大都市等での対策を強化するほか、中小企業と関係の深い地域の金融機関との連携強化といった、新たな視点での取組も必要かと考えています。この金融機関との連携強化については、開始を来年度まで待つ必要もありませんので、既に取組を開始していただいていると承知しております。特定業種については、業界が限定されていることもあり、関係行政機関や、関係事業種団体等との連携を強化して加入促進を進めていくことが適当であると考えております。
3つ目は「財務内容の改善に向けた取組」です。具体的には、一般の中退共事業と、林業退職金共済事業における累積欠損金の解消です。これらは機構が平成17年度に策定した「累積欠損金解消計画」に沿って進めておりますが、第2期の期間においては、リーマンショックに代表されるような問題もあり、計画に比べて解消ペースに遅れが生じております。この累積欠損金の解消の問題については、安全かつ効率的な資産運用に努めつつ、引き続き着実な累積欠損金の解消を図ることが基本となると考えております。
次の頁は「勤労者財産形成促進事業」の関係です。ここでは制度の普及と、財政運営について示しております。上の◎は、各種調査においても中小企業には財形制度が普及していない状況にあります。即ち、中小企業の従業員については、機構の業務である財形持家融資についても利用が進んでいないと言えるかと思います。これまでの評価の中でも、財形に関し、機構の取組についての期待をお示しいただいておりますけれども、こういう中小企業に制度導入が進んでいない状況を踏まえ、中小企業に対する制度の導入及び運営に係る情報提供の充実を図っていきたいと考えております。
また、機構が行う財形融資業務に関しては、国から運営費交付金、平成24年度の予算額では約4億円ですが、運営費交付金を交付しておりますが、今年度で財形業務に係る累積欠損金の解消が見込まれ、来年度からは運営費交付金がなくても、制度の運営が可能となると見込まれますので、平成25年度からは運営費交付金を廃止し、自立的な財政規律の下、安定的かつ効率的な財政運営を実施することとしております。
2.「組織・運営の見直し当初案のポイント」です。ここでは4点掲げております。1点目はサービスの向上という観点で、コールセンターの充実等により、ニーズに即した相談対応、情報提供が行えるようにすることを予定しております。
2点目は、業務の電子化や情報処理の推進を進めて業務を効率化するとともに、情報セキュリティの強化等、安全・確実性を向上させることを予定しております。
3点目は経費の問題です。機構は退職金共済事業のほうも財形のほうも、国費以外の財源が中心となります。そうは言っても、経費削減ということが必要であることには変わりないと考えております。業務運営の効率化等により、経費の削減を行うという基本的方向性は維持する考えです。
4点目は、災害時の事業継続性を強化するため、システムの機能停止やデータ破損等に備えた対策。業務運営を確実に実施していく観点から、災害時対応についても対策の検討・実施を予定しております。見直し当初案の説明は以上です。

○今村部会長
ただいま説明のありました、組織・業務全般の見直し当初案についてご質問等がありましたらお願いいたします。

○本寺委員
質問というか要望みたいなものですが、いちばん最初の退職金未請求の対策です。例えば、会社で社員が辞めるときの退職時の手続リストみたいなものが大体の会社にあります。会社で持っていた備品はちゃんと返しましたかとか、そういうチェックリストみたいなものがあります。その中にこちらのこともスルリと忍び込ませてもらうような工夫がもしできるのであれば、もうちょっと効果的な解消につながるのかなと。もし、そういうことが検討できるのであればお願いできればというのが1つ目です。
2つ目はシステムのことで、災害時のシステムのところでハッと思ったのです。機構の退職金の情報システムのバックアップの体制はどうなっているのですか。その点はいかがでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
バックアップデータについては、一定程度離れた、埼玉県の非常に地盤の強い所に保管しています。このバックアップデータの保管は1週間分、一定期間分まとめて持っていく形にしておりますが、必要なものについてはリアルタイムで転送するような仕組みも考えられないのかということで現在検討しております。

○本寺委員
そうすると、東京にすごい地震が起こってしまったら全滅ですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
関東地方でも地盤等を考えた上でバックアップ情報を取っておりますが、そういうことも含め、どういう形でそういう事業継続の確実性を図っていけるのか、というのが今後の大きな課題かと認識しております。できることから手を付けていきたいと考えております。

○今村部会長
冒頭の1頁、2頁の新たな未請求者・未更新者への対策なのですが、基本データとしてお伺いしたいのは、一般の中小企業退職金共済事業と特定業種の退職金事業で、平均勤続年数みたいなものが、その退職に至るまでの期間というのは相当違うような気がするのです。新たな取組として、新規に発生するものを防止するということなのですが、その効果が現れるのは何年後かという想像をしました。
おそらく建退共などでは勤続年数が短いから比較的効果が現れるのは早いでしょうけれども、中小企業の場合は勤続年数が結構長いとしたら、かなり先の話になるのかという印象を持ったのですけれどもいかがでしょうか。労働市場の状況の違いです。

○勤労者退職金共済機構総務部長
いま直ちに勤続年数のデータを持っていないのですけれども、中退・特退も合わせて、特退共事業の場合に先ほど勤続年数が短いのではないかということでしたけれども、個別の企業における勤続年数というのは期間的な労働者ですので短いわけですが、私どもの制度としては、それらをすべて通算し、引退時に払うということですので、退職金支給の対象となる期間という点において大きな違いがあるかどうかというのは、ちょっとわからないです。
過去に退職された方については、いままでの間で住所調査を実施しておりますので、今後は新たな発生を防止することを重点に置くとともに、過去の取組によって住所情報が得られている方々に対して効果を見つつ、さらに2度目、あるいは3度目という形での請求勧奨をしていくことを現在検討しております。

○今村部会長
新たな発生を防止するという戦略は、1%を目標にしたのだけれども1.8%でとどまってしまったことをどう対応するかという、1つの即効薬ではないにしても非常に重要な取組だと思うのです。そういうバックグラウンドの状況をもう少し、労働市場の状況みたいなものを把握して確認したほうがいいのかという印象を持ちました。その辺は是非検討していただければと思います。
ただ、建設業なら建設業に滞留する人、清退の場合はかなり特殊ですから滞留する可能性はあるのですけれども、建設業の場合にはほかの業種に行ってしまって出入りが激しいと。その結果、退職金そのものの額が大したことなくなってしまい、それでインセンティブがないという影響はかなり大きいような気がするのですが、その辺はどうなのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構理事長
おっしゃるとおり中退共の場合と、特定業種の場合では、もともと退職金を支給する対象になっている勤労者の勤務体制が違います。私どもとして、中退共については退職時に住所情報をデータベース化することとしましたので、これによって効果は早い時期から顕現すると思っております。
ご質問の、特定業種の場合はいろいろな状況があり、退職するかどうかということが基本的には本人の意思にかかっているわけです。そういう意味で今後の私どもの対応としては、本人がその業務を辞めて違う業界で働くのかどうか、という意思確認を定期的にきちんと行うことが重要だと考えております。そうした意思確認といいますか、そのような本人への状況調査を定期的に、また確実にやっていくことが、退職金の未払いを防止する上で非常に重要だと思っており、そのような対応を進めていきたいと考えております。

○今村部会長
是非よろしくお願いいたします。もともとこの制度の発足時は自己責任による請求という方針だったので、そもそもそういう制度を理解していないという影響も未請求率の低下につながらないのかもしれません。今回こうやって新たに情報を徹底するという努力は非常に重要だと思います。是非よろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。特に修正意見もないようですので、8月31日の総会において私から委員会へ報告いたします。それから、これは総務省から正式な依頼がまだ来ておりませんので、正式な依頼によって微修正をさせていただくことがあるかと思います。また、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○今村部会長
ありがとうございます。次は、「平成24年度長期借入金及び債券発行の実績報告(第1四半期)」についての審議に入ります。まず事務局から説明をしていただき、続いて法人から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
資料集141頁の右側をご覧ください。本部会における勤労者退職金共済機構の長期借入金等に係る意見の取扱いについて取りまとめたものです。具体的には、年度を通じた長期借入金計画及び債券の発行計画については部会の了承事項になっていて、この計画に基づく長期借入金または債券発行の個別の認可については、部会長の一任事項となっております。部会には事後報告することとなっております。平成24年度の計画については、3月の部会で既にご了承いただいております。ご了承いただいた内容で協議を終え、認可を行っている状況です。本日は、この年度計画に基づく平成24年6月の長期借入金の実績及び債券の発行の実績のご報告をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長
勤労者退職金共済機構の債券発行と、長期借入金の実績についてご説明いたします。資料2-5は、平成24年6月期の調達実績です。当機構で行っております財形持家転貸融資のために、毎年度6月、9月、12月、3月の年4回資金調達を行っております。平成24年6月期においては、左の欄のように、長期借入金によって133億円を平成24年6月22日、償還期限平成25年6月21日、借入利率1.586%、満期一括償還で調達しております。また、財形住宅債券については、右の欄のように、285億円を平成24年6月26日、償還期限平成29年6月26日、借入利率0.2%、満期一括償還で調達しております。6月期の実績については以上のとおりです。よろしくご審議いただきますようお願いいたします。

○今村部会長
ただいまご説明いただきました、平成24年度長期借入金及び債券発行の実績報告第1四半期についてご質問等がありましたらお願いいたします。特にないようでしたら、勤労者退職金共済機構の長期借入金及び債券発行実績について、当部会として報告を承ったということにいたします。最後に額賀理事長からコメントをお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構理事長
本日はご審議を賜りまして誠にありがとうございました。ご審議の結果を踏まえ、今後とも機構運営に改善を重ねてまいりたいと思います。引き続きご指導を賜りますようお願い申し上げまして、大変簡単ではありますが私からのご挨拶といたします。本日はありがとうございました。

○今村部会長
本日の議事は以上です。なお、本日ご審議いただきました総合評価と財務諸表についての意見については、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会への通知、公表の手続が行われることになります。さらに、労働政策研究・研修機構の最終評価書(案)及び勤労者退職金共済機構の暫定評価書(案)、組織見直し当初案については、8月31日に行われる総会に私から報告いたします。事務局から今後の予定と、連絡事項について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
今後の予定等についてご連絡させていただきます。本日ご審議いただきました法人の総合評価書については、事務手続を進めさせていただき、後日、委員の皆様に確定版を郵送いたします。また、労働政策研究・研修機構の最終評価書及び勤労者退職金共済機構の暫定評価書についても、8月31日の総会で決定次第お送りいたしますのでよろしくお願いいたします。
既に開催案内でご連絡済みですけれども、次回の労働部会については8月30日(木)の15時から、場所は経済産業省別館1111会議室にて行う予定です。正委員においては8月31日の総会は9時30分から行われます。場所は専用第14会議室となっておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○今村部会長
本日は長時間にわたってご審議をいただきましてありがとうございました。どうもお疲れ様でした。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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