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2012年7月26日 独立行政法人評価委員会労働部会(第75回)議事録

○日時

平成24年7月26日(木)16:00~19:00


○場所

共用第8会議室


○出席者

今村部会長、宮本部会長代理、高田委員、川端委員、中野委員、本寺委員

○議事

○今村部会長
ただいまから第75回独立行政法人評価委員会労働部会を開催いたします。本日は高齢・障害・求職者雇用支援機構の審議で、個別評価となります。なお、本日は松尾委員、加藤委員、伊丹委員が欠席となっております。
それでは高齢・障害・求職者雇用支援機構の個別評価に入ります。最初に、小林理事長からご挨拶と平成23年度における業務実績概要の説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
小林でございます。本日は大変お忙しい中、また大変お暑い中、私どものためにお集まりいただきましてありがとうございます。また、先生方には平素から私どもの機構の運営に関しまして大変お世話になっております。この場をお借りしまして、厚く御礼を申し上げます。
本日は、当機構の平成23年度の業務実績についての評価をいただくということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。ご承知のように、私ども昨年10月に雇用・能力開発機構から職業能力開発業務等の移管を受けまして、業務の範囲と職員の数が大幅に拡大をしたところでございます。それから約10カ月が経過しようとしているわけでございます。この間、理事長として、特に心掛けてまいりましたのは、やはり法人としてのコンプライアンスの徹底ということでございます。言うまでもなく、言葉を換えれば、組織内の規律の維持あるいはモラルの維持ということでございまして、国民の皆様方からの信頼のベースとなるものでございます。
当機構は、高障機構の時代から労働関係の他の法人に先駆けまして、民間企業の例も参考にしながら、公益通報制度、いわゆる内部通報制度を導入しまして、そしてまた役職員全員が遵守すべき「行動規範」というものを作りまして、その徹底に取り組んでまいったところです。昨年度は、いま申し上げましたように、新しい業務と多くの新しい人の移管を受けたこともありまして、さらに、その「行動規範」等の浸透を図るべく、いくつかの工夫をしたところでございます。
1つは、「公益通報制度」の関係でございます。私どもの組織の略称でございますJEEDというものを頭に付けました「JEEDホットライン」という名前をつけ、カラーのポスターを作り、すべての施設に掲示をし、さらなる利用を促したということでございます。大きなポスターに赤で、「不正やルール違反を見過ごしていませんか」という大きな文字を書きまして、そういうタイトルをつけて作りました。そして通報内容の例示もいたしました。具体的には、利用者に対する不適切な対応、それから取引業者との不適切な関係、不適切な経理処理、ハラスメント、パワハラ、こういうものを通報してくださいと、例示をしたわけでございます。2月にそのポスターを作ったわけですが、以後、徐々にではありますけれども利用件数が増えており、少しずつ効果が出ているなということを実感しているところでございます。
もう1つは「行動規範」の関係でございます。いわゆるパワーポイントで作りましたシートと、その解説テキストを本部で作りまして、全国のすべての施設の長に配り、これを使って皆さん自らの言葉で、自らが部下に対して教育をしてくださいと。1年に1回必ずやってください、本部としてもフォローします、こういうスキームを作ったということでございます。こうした工夫を行いつつ、あらゆる機会をとらえて、私からも直接コンプライアンスの重要性とその徹底を指示しているところでございます。幸い私の就任以来、大きな問題は生じておりませんけれども、油断は大敵でありますし、また、こういう問題は繰り返しやらないと意味がないとも思っておりますので、こうした取組を続けてまいりたいと思っております。
業務運営全般でございますけれども、当部会の委員の皆さまからいただきましたご指摘等も踏まえて、いわゆるPDCAによる厳格な進捗管理の下、特にCとAについては内部監査室も使いまして、フォローをしながら中期計画及び年度計画に掲げられた数値目標の達成はもとより、さらに効率性というものにも留意しつつ、国民の皆さまに提供するサービスの質と量を高めるという観点から鋭意取り組んでおるところでございます。
平成23年度は大震災や円高の影響もございまして、雇用情勢は厳しい状況が続いたわけでございますけれども、計画に定められましたすべての目標について、その目標を上回る成果が上がったものと考えております。それでは、本日も指標が多うございますけれども、これらについてご説明をさせていただきますので、どうぞよろしくご審議の程、お願いを申し上げます。

○今村部会長
これからの進め方ですが、高齢・障害・求職者雇用支援機構の個別評価については、評価シートの個別項目を5つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきます。まず、グループ1、業務運営の効率化、業務の質への向上の取組及び高齢者事業の項目について評価を行います。使用時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分となっております。それでは法人から説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
平成23年度の業務実績について、お手元の資料1-1に沿ってご説明を申し上げます。今回評価をお願いいたしております事業区分は、次頁の目次のとおり20項目ございます。目次のあとに、1頁から3頁ですが、業務実績のポイントと自己評価を事業区分ごとに短くまとめておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。なお、当機構においては、自己評価の厳正・公正を期すため、あらかじめ外部の有識者からなります外部評価委員会において、本労働部会と同様の方法により評価をいただいており、その結果をそのまま、当機構の自己評価として記載させていただいたところです。早速ですが、最初のシートからご説明を申し上げます。
評価シート1は、「業務運営の効率化」です。6頁をご覧ください。効果的・効率的な業務運営体制の確立に向けて、まず平成23年10月に、雇用・能力開発機構からの業務移管を機に、管理部門の総職員数の約1割に当たる20名を削減するとともに、平成24年3月には東京港区と横浜の借上げの本部事務所の契約を解除し、現在の千葉の幕張への集約化を終えたところです。
また3点目ですが、高齢者雇用・障害者雇用の助成金、給付金、障害者雇用納付金関係の窓口業務について、平成23年4月から機構によります直接実施を全国で開始いたしました。一括調達あるいは業務運営体制等の合理化を図っています。
続いて7頁ですが、経費の削減です。左上段の一般管理費ですが、22年度と23年度では比較可能な高障機構分の予算、中ほど上の囲みの中に、目標削減率3%とありますが、それを大きく上回る5.2%の削減を実現したところです。さらに、予算の執行段階でも節減を徹底いたしました。その結果、23年度決算ベースでは高障機構分で予算額の18.5%の減、棒グラフの上になりますが能開機構からの業務移管分を含めますと、合計で21.5%の減となっております。
また下半分ですが、業務経費です。同様に、高障機構分の23年度予算額が、前年度比で1.9%の減という目標が設定されておりますが、それを大きく上回ります29.6%の減となりました。また、決算ベースですが、予算額に比べて、高障機構分で13.2%の減、能開機構からの業務移管分を含めますと12.6%の減となりました。
こうした経費節減の背景ですが、右上にありますように、システムの計画に基づく最適化とか、その下ですが、これまでの随意契約を見直し、より競争性のある総合評価方式の拡充、あるいはより価格の引下げが見込まれる複数年度契約の拡大等に努めたことも1つの要因かと存じております。
なお、個々の契約についてですが、右下のように監事あるいは会計監査人によります各監査、それから契約監視委員会によりますチェックを受け、監事監査では「合規性を損う事象の発見はなし」、また、会計監査人による監査では、「無限定適正意見」を受けたところです。また、契約監視委員会でも、すべての案件について「適切である」という評価をいただきました。
8頁、給付金及び助成金業務の効率化です。この左下にあるように、事務手続の効率化、それから申請方法の周知・利用者の利便性の向上、審査能力の向上に引き続き努めています。
23年度ですが、左上の囲みにありますが、実は障害者の助成金について、処理期間のさらなる短縮を目指してシステムの改修を行いました。年度当初に不具合が生じ、一時処理の滞留が生じたのですが、年度内に正常化を図り、その結果、給付金と助成金の平均処理期間については48.1日となり、目標の19年度比で5%の短縮という目標については、それを大きく上回る7.1%の短縮となりました。以上が評価シート1で、自己評価は「A」とさせていただいております。
続きまして、評価シート2は「業務の質の向上への取組」です。11頁、関係者のニーズ等の把握・業績評価の実施及び公表です。当機構では、国民の皆様のニーズを幅広く把握し、業務の改善につなげていくため、公労使、障害者団体の代表からなります評議員会を開催させていただいております。また、各種サービスの利用者を対象としたアンケート調査等も実施しており、こうした取組を通じ、ご意見やご要望、それからご批判をつぶさに把握・分析し、現場へのフィードバックと業務改善に取り組んでいます。
その下の業績評価をご覧ください。先ほども申し上げましたが、機構においては内部評価委員会のほかに、厳正・公正な業績評価の観点から、左下のように、外部の有識者からなる外部評価委員会との2本立てでの業績評価を行い、その結果を厚生労働省に報告しますとともに、その評価の結果や、評価の過程でいただいたさまざまなご意見やご批判等を全職員及び役員に周知し、PDCAサイクルを通じて、確実に業務への反映及びその改善に努めています。さらに、中段右の囲みにありますが、重要課題においては理事長が本部のすべての課長級職員を対象に1人ずつヒアリング、いわゆるサマーレビューと私ども称しておりますが、それを実施して目標達成の意識向上、効果的な業務推進を図るように努めています。
12頁は、内部統制の在り方等です。当機構では、先ほど理事長からのご挨拶にもございましたように、内部統制の向上に向けてさまざまな取組をしております。左上の図のように、まずコンプライアンスを担当する総務部と、その厳正な監査を行います内部監査室による二元構造のコンプライアンス体制のもと、厳格な内部監査を実施しています。
次に、さらなる内部統制の向上を図るために、昨年10月の雇用・能力開発機構からの業務移管を機に「行動規範」を策定し、カード化による携帯等を通じ、全役職員の意識への浸透を図ったところです。また、コンプライアンスの一層の推進を図るため、「推進計画」の策定、職員研修、各部、施設等での取組状況の点検、リスク管理を徹底するためのリスク管理委員会の開催、理事長によるヒアリング等を行ったところです。いちばん下の左ですが、さらに公募により募集したモニターを100名委嘱し、機構業務に関するさまざまなご意見、ご提案等をいただき、こちらのほうも業務への反映に努めています。
右側ですが、高年齢者等業務と障害者業務の連携です。まず、高年齢者雇用アドバイザー等と障害者雇用支援担当者の連携ですが、日頃からお互いに、他方の、いわゆる非専門業務を含めた研修、あるいは情報共有を行い、いずれの担当者のもとに事業主等からの照会や相談がありましても、基礎的なところは即時に対応できるようにしますとともに、専門的な内容については担当者に伝達し、当該担当者が確実に対応できるようにしました。また、給付金や助成金業務についても共通のリーフレットの作成、あるいは不正受給やその未然防止に係る事案、そういったものの情報共有による不正受給防止の徹底などに努めています。
さらに実践的な手法の開発・提供業務においても、ホームページに高齢者雇用と障害者雇用の連携コーナーを新設し、高年齢者担当部門と障害者担当部門が連携して開発した成果、あるいは関連調査研究等の資料を掲載し、高齢者業務、障害者業務を通じ、高齢者や障害者がともに働きやすい職場づくりのための情報提供に取り組みました。
13頁は、当機構のホームページを用いたさまざまな情報提供です。23年度においては前年度を上回る月平均7.9回のペースでホームページの更新をしますとともに、東日本大震災関係の情報をトップページに掲載し、また、職業訓練の情報検索システムの導入など、内容の充実を図ったところです。また、左下のように、定期刊行誌「エルダー」と「働く広場」について、一般書店販売を継続・拡大しますとともに、このうち「エルダー」についてはインターネットからの購入も可能としました。右上の問い合わせへの迅速・的確な対応ですが、問い合わせ件数については年間で600件となり、前年度と比べて2割ほど件数が増加しておりますが、平均回答日数については、過去最短の昨年度の1.48日と、ほぼ同水準を維持しています。
その下に、ホームページの利用しやすさの向上の項目があります。いくつか書いてありますが、代表的なものを次の14頁でご紹介しておりますので、ご覧ください。まず左側ですが、職業訓練情報を検索しやすくする取組です。右側については知的障害者の方向けのホームページの内容について、支援団体や障害者の方にも参画していただき、よりわかりやすい表現方法にするなどの充実を図ったところです。
前の13頁の右下をご覧ください。こうしたさまざまな取組により、当機構のホームページのアクセス件数ですが、3,410万件を超え、前年よりもさらに12%の増となったところです。
15頁以下ですが、東日本大震災に係る対応です。まず15頁、上からですが、障害者関係の対策としては、23年4月から被災7県の地域障害者職業センターにおいて、特別相談窓口を設置し、障害者の雇用管理に不安を抱える事業主の方々や、在職中の障害者の方からの雇用継続に関する相談等に機動的に対応しています。また、下のほうですが、今後事業所の復旧等に伴い、こうした障害者の方の職場復帰や再就職の相談の増加が見込まれる3県には、24年2月にジョブコーチをそれぞれ1名ずつ増配置し、支援体制の強化を図りました。
16頁は納付金・助成金等に関する対応です。4つありますが、例えば、納付金では納付期限の延長、障害者雇用助成金では支給要件の緩和や請求期間の延長、左下ですが就労支援機器の貸出しでは貸出期間の延長、さらに右下ですが高齢者給付金では申請期間の延長等を図ったところです。
17頁は職業訓練に関する対策です。まず、震災復興訓練として仮設実習場の確保、あるいは全国からの指導員の応援派遣などを行い、被災地等、合計6県において20訓練科を機動的に立ち上げ、実施し、23年度は534人が訓練を受けました。今年度は約1,000人の定員を設定しているところです。このほか、訓練生の中で被災された方に対するメンタル面でのケアとか授業料等の免除等の措置を行いました。
18頁ですが、雇用促進住宅です。東日本大震災の被災者を対象として最長3年間、平成26年3月まで家賃を無料で貸与しています。以上が評価シート2で、自己評価は「A」とさせていただいております。
評価シートの3と4は、高齢者雇用対策です。まず評価シートの3ですが、「給付金の支給業務」です。22頁をご覧ください。冒頭の支給件数は22年度の2万1,000件余りに対し、23年度については合計で4,000件弱と大きく減少しております。これは右側の「支給実績減少の主な背景」にありますように、いずれも制度の廃止・改正によるものです。支給業務に関してはこの部分を当機構で担っているところですが、左側のように、周知・広報に関しては、制度改正後7日以内にホームページで公開するという数値目標が設定されておりますが、23年度においては4月1日の制度改正に伴い、即日ホームページで公開しました。また、関係機関と連携した積極的な周知活動の展開や、一部申請書類の省略などの手続面の簡素化を図ったところです。不正受給防止対策として、職業安定機関が保有している雇用保険の事業所や被保険者データを基に第1次チェックを行い、給付金ごとの基準を設け、さらに絞り込んだ事業所調査を行うなど、徹底した取組を行いました結果、23年度については右下にありますように、不正受給件数0を維持しました。以上が評価シート3で、自己評価は同じく「A」です。
評価シートの4ですが、「高齢者雇用に関する相談・援助、実践的手法の開発、啓発等」です。25頁をご覧ください。高年齢者雇用アドバイザー等による相談・援助についてです。まず左上の囲みで、「70歳まで働ける企業」の普及・促進に向け、具体的な事例の紹介や、企業のメリット等の説明を交えて、個々の企業の実情に即したきめ細かい相談・援助に努めたところです。また、高年齢者雇用安定法改正に向けた動きも受け、希望者全員が65歳まで働ける企業の普及・促進が今後最も急がれることから、9月にはアドバイザーの追加委嘱を行い、特に大都市圏における取組を強化しました。加えて、その下の囲みですが、中高年齢従業員の能力特性を把握・分析し、図表化し、高齢者が意欲と能力を十分に発揮することができるための改善策を提案します、いわゆる仕事能力把握ツールと称しておりますが、こうしたツールを活用した企業への提案を効果的に進めるための研修の新設や、本部にゼネラルアドバイザーを配置し、各地域のアドバイザーの支援を行う体制を整備しました。
これらの結果、23年度の実績は、中央上にありますように、相談・援助件数では、目標の3万件に対して、23年度は3万5,929件と過去最高となり、目標に対する達成度は119.8%となりました。そのうち、70歳まで働ける企業に係る相談・援助については、1万8,653件、前年度比で約16%増となるなど、着実に増加しています。
また、その下の企業診断システム等のツールの活用件数ですが、目標2,600件に対して2,961件となり、目標を13.9%上回る結果となっております。右上の追跡調査ですが、「課題改善効果があった」とお答えいただいた割合が78.8%となり、目標の7割を大きく上回る結果が得られました。
26頁は、高年齢者雇用に関する実践的手法の開発・提供です。右上の青い囲みです。企業の関心の高い賃金管理についての調査研究とか、まもなく65歳に到達しはじめる団塊の世代に対する継続的なパネル調査など、企業側だけではなく、労働者個人の生活や社会基盤整備も含めた幅広い内容の調査研究に取り組みました。これらの調査研究結果ですが、報告書にまとめておりますが、今回新たな取組として、より多くの企業の方々に関心を持っていただくために研究成果のエッセンスを簡潔にとりまとめたパンフレットを、左側の囲みのように、2つのテーマについて作成しました。これらの調査研究のほか、右下ですが、全国の私どもの地方業務部門を通じ、70歳までいきいきと働ける先進企業の事例を収集し、「70歳いきいき企業100選」等を刊行し、併せて左側ですが、シンポジウムを開催したところです。これらについてはマスコミ等からも注目をいただいており、度々報道していただいたところです。
27頁は共同研究についてです。高齢者が能力発揮しやすい職場作りに向けて、先駆的なモデルを企業と当機構が共同で構築するものです。23年度は目標どおり10件実施したところですが、右側に、企業グループによる取組事例をご紹介しました。下の段ですが、産業別ガイドラインの策定支援です。こちらは各業界が抱える課題等を改善し、高年齢者雇用を促進するということで、産業別の団体が自らガイドラインを策定し、傘下の企業に普及することを支援する事業です。こちらも23年度は目標どおり10団体について実施し、事業の最終年度を迎えたこのうち5団体については、ガイドラインを作成して企業に配布し、また団体主催のセミナーの開催等を通じて普及を図りました。セミナーの参加者に対するアンケートからは、96.3%が「満足している」という回答をいただいています。
28頁は、高年齢者雇用に関する啓発事業です。まず、こちらは高年齢者雇用支援月間の中心的行事として、10月に高年齢者雇用開発コンテスト表彰式、記念講演、さらにコンテストの入賞企業や共同研究実施企業など先進企業による事例発表と、トークセッションを開催したところです。こちらには263名のご参加があり、こうした入場者の方からの満足度ですが、91.1%と、高い評価を得ました。
29頁は定期刊行誌「エルダー」の発行による啓発・広報です。「エルダー」については高年齢者雇用の専門誌として毎月6万部を発行しておりますが、事業主の方を中心に幅広く関係者に配布しています。また、70歳までの雇用を主なテーマとして、左下の囲みにありますように、編集委員や読者アンケート等の広範な意見を踏まえ、誌面の充実に努めたところです。その結果、右上にありますように、読者アンケートでは8割以上の方から、「非常に役に立つ」「参考になる」といったご評価をいただきました。また右下ですが、さまざまな啓発・広報活動として、高年齢者雇用に関する実践的手法の開発の成果等をマスコミ等に積極的に情報提供した結果、その内容が広く報道されるに至っています。以上が評価シート4で、自己評価は「A」とさせていただいております。以上が、グループ1の説明です。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いいたします。ご質問等ありましたら、適宜ご発言ください。かなり情報量が多いので、書き込むのが大変かと。
資料で若干わかりにくいところだけちょっとお伺いしたいのですが、最初の1頁の[1]業務運営の効率化で、2つ目のマルポツですが、「地方業務の機構による直接実施により」と書いてあって、「予算上63%節減」と書いてありますが、この数字は、後ろの評価シート1のところで、どこに載っていますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
評価シートのところですが、6頁の右下です。22年度の予算額と23年度の予算額は赤い矢印をはさんで併記しておりますが、前年度に比べますと63%の節減となってございます。

○今村部会長
この評価の基準ですが、63%というのは、目論見としては大きいのですか、少ないのですか。基準が、63%、確かに大きな数字なのですが、それをどう評価したらいいのかというのが若干わかりにくいかなと思ったので、あえて質問させていただいたのですが。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
国における事業仕分け等の結果や、あるいはご指示をいただいて一部業務の見直しをして廃止した事業もございますが、基本的には、大半におきまして業務の質と量を維持するという観点を踏まえつつ、抜本的な見直しをさせていただいたところです。具体的には、これまで当機構以外の各都道府県にありますほかの法人に対して、委託業務として実施していたところですが、当機構が直接実施をするということに踏み切りまして、そこで予算の大幅な削減を図ったところです。63%という数字についてはかなり踏み込んだ数値ではないかと、私どもとしては考えてございます。非常に限られた人員、事務所や機材を投入いたしまして、従来からの業務が、当初はいろいろ混乱もございましたが、いまのところ順調に運営されているという点と併せて、ご評価いただければと思っております。

○今村部会長
地方業務の機構による直接実施による予算削減効果というのは、この63%のうちのどのくらいを占めていらっしゃるのですか。まさに、地方業務の移管による予算削減が丸々63%ということなのか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
大きな部分を占めているのは間違いないのですが、例えば、この中で地方業務の直接実施によります部分ですが、大体22年度の予算額で40億円ぐらいでしたが、それが23年度では24億円ぐらいになってございます。

○本寺委員
1個目の目標のところで、最初に人員数の話、209人のところが189人、20人減ったということなのですが、この減った20人の方はどうされたのですか。
あともう1つは、それ以降に出てくる一般管理費とか業務経費、10%以上削減されているのですが、ほかの2番とか3番とかの目標達成度合いからして、そこはAなのだけれど、ここもAレベルで自己評価されているので、何か肌感覚で言うと、こちらのほうがすごそうに感じるのですが、それを自己評価Aとしているのは、どういうふうにこの数字をとらまえたらいいのかと、ちょっと迷っているので、少しその点も含めて教えていただけますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
最初に、20名の関係をご説明させていただきます。これは、要するに旧能開機構からの業務移管に際して、20名を管理部門から削減して、189名という数にしたということでして、その20名は実質上は業務部門に動いたということです。ただ、全体的な人数というのは従前の退職等で補充をせずに、ずっと人数を減らしてきて、それで管理部門にいた20名は業務部門に入れて、最終的には全体の数値としても下がるようにしてきたということです。

○本寺委員
そうすると、これ3年か4年かけて、この20人が減ったということですか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
これは一度にということです。管理部門については、要するに別々にオフィスがあったわけです。横浜と竹芝に管理部門がそれぞれございまして、それを一緒に統合して、事務所が分かれていたのですが、その統合できる部分とか一緒に処理できる部分は併せて、この189人まで減らしたということです。

○本寺委員
わかりました。ありがとうございます。

○今村部会長
もう少し確認しますが、20人というのは組織全体として純減と考えていいですか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
純減と考えていただいて結構です。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
それから一般管理費や業務経費の節減のところが、目標に比べまして大幅に桁が1つ大きいぐらい削減されているという点ですが、去年は大体このような成果について、自己評価もSをつけて、それから実際にSの評価をいただいたところです。実は、こちらのほう私ども、先ほどのご説明の中にもございましたように、自主的にやった部分もございますし、それがかなり大きなところもございますが、そのほかに大変残念といいますか、私どもの本当はやりたい事業を仕分け等で、あるいは所管省庁の厚生労働省のほうから廃止のご指示をいただきまして、結果として、それもトータルとしてこれだけの削減につながったところです。本労働部会あるいは私どもの外部評価委員会でも、これで本当に国民のためのサービスが維持できているのかというふうな、ご意見等も頂戴したところです。その後、私どもも逡巡といいますか、いろいろ悩ましい思いをしていたところです。ちょっと複雑な思いがございまして、今回はAとさせていただいたところです。

○今村部会長
全体を通じてお伺いしたいことがありまして、満足度90%とか、満足度何十パーセントで達成とかいうところあります。具体的に言いますと、業務の質の向上のところ以降で見ますと、アクセス件数、13頁ですね。件数が増えましたとか、それから満足度は25頁、具体的な改善効果が見られた、78.8%とか、28頁、トークセッションの満足度91%、数字はわかるのです。それからいまちょうど開いていただいている29頁あるいは28頁の記念講演とか、トークセッションとかで、著名人を招いてインパクトを与えるということは結構なのです。お伺いしたいのは、この満足度あるいは著名人を招いた成果が、具体的に個々の参加者なり、個々の職場にどの程度浸透しているかというような指標はお持ちかという、ちょっと突っ込んだ質問かもしれませんが。
つまり、これはJILPTなどでもあったのですが、いろいろコミュニケーションをして、本当に相手にその効果が伝わっているかということが、これからの評価の基準ではないかと思うのですね。つまり、政策効果とか、社会的価値とかいうものをどう実現していくかというときに、個々の職場なり、個々の政策対象にどう影響しているかということに関しては、ただ、よかったよとか、ただ、こうやったよとかいうことではなくて、もう少し踏み込んだコミュニケーションの質に関する評価みたいなものがあったらいいなというのは、私が従前から指摘しているところであります。
それで、例えば障害者の方たちをこの関係者のニーズの把握の中で入れて、意見を聞くとか、いろいろとコミュニケーションのほうは作っていらっしゃいますが、こういうところのコミュニケーションの運用方法というのは具体的にはどうしていらっしゃるのか。つまり、ただ意見を聞いて、それを書きとどめておいて、組織として受け持つのか。あるいは、もう少し積極的に何かステークホルダー、利害関係者として意見を引き上げていくような努力をしているか、その辺のコミュニケーションの手法ということについてお伺いしたいと思うのです。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
まず、こういう事業の効果ですが、会議に出席していただいた方の満足度、その場での満足度のみならず、例えば25頁の高年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助については先ほどもご説明しましたが、右上にございますように、相談・援助した結果、実際にその就業規則を改正したとか、あるいは高齢者雇用が進んだとか、そういう具体的な課題改善効果が見られたというような、1つ1つの効果を確認した上で、統計上78.8%の改善効果ありと判断しているところです。
また、満足度あるいはいろいろな調査においては、冒頭の国民の皆様からのニーズの把握のところでもご説明いたしましたが、必ず「自由記述欄」等を設けております。そこでは、単に満足したのみならず、少数ながら、いや、これはおかしいとか、これはこうしてもらったほうがいいとか、いろいろご意見・批判もいただいております。また、満足という方におかれましても、いや、さらにこうすべきではないかというような意見を頂戴しております。
こうした意見については、もちろんこの労働部会における意見も同様ですが、また私どもとして必ずテイクノートして把握・分析し、機構の組織を挙げて、それぞれの業務部門でどう反映していくかということを議論しておるところです。
その1つの区切りとして、この労働部会が終わった8月終わりから9月にかけて、先ほども11頁でご紹介しましたが、理事長からそれぞれの課題について今後どう運営していくのか、あるいはご意見をどう反映させていくのかというヒアリングをして、さまざまな課題を通じて業務のPDCAサイクルの一環として回していっているところです。

○今村部会長
冒頭で理事長がおっしゃってくださったようにガバナンス、つまりコンプライアンスが維持された上でのガバナンスをどう維持していくか、個々の機構の職員の方々がどう利用者というか、対象者の方と接していくかというときに、まさにそういう1つ1つをきめ細かくコミュニケーションして汲み上げていくという、我々の言葉で言うと、リレーショナルな関係というのですか、個人対個人の。それがすごく大事になってくるかと思います。是非ご検討いただければと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
わかりました。

○中野委員
些末かもしれませんけれども、12頁に内部統制の課題として、「行動規範」をカードに印刷して、全職員が、役職員ですか、携帯しているということなのですが、具体的にどういう効果がおありですか。紙というのは主体的に見ないと、なかなか効果が出ないのではと思いますが。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
こういうものなのですが、これを研修の場とか、あらゆる所で示して、ここには法令遵守であるとか、利用者の信頼向上で、しっかりその利用者のニーズをつかんでサービスを提供するとか、そういうのがきめ細かく書いてございます。当然その業務運営の透明性とか、そういうことについて常日頃、これは各人が持っているだけではなく、例えば構内の大きい掲示板とか、あらゆる所に貼って周知を徹底しています。もう1つは、こういうものの徹底の上で、やはり信用を築くには3年とか長い期間がかかるわけですが、信用を失うのは一瞬ということでありますので、それも徹底して職員に繰り返し周知をしていくということです。これを1回見たからどうこうというわけではないわけですけれども、先ほど理事長からもご説明申し上げましたとおり、これは繰り返し飽きるほど徹底させていくことが必要だと考えております。

○中野委員
変な話ですけれど、その印刷費が別のところに使われたらどうかなとか、いろいろ思ったものですから、その効果の確認をさせていただきました。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
これは印刷費はそれほどかかってございませんので。

○中野委員
もう1点よろしいでしょうか。別のことなのですが、障害の担当の部分と高齢とが情報を共有しながら効果を上げているというお話があったのですが、具体的に言うと、業務上どういうところで情報共有の効果というのは上がるのでしょうか。教えていただきたいと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
これは、例えば私どもは、地方に助成金や給付金、それから障害者の納付金の申告申請の窓口を持っているところですが、それぞれ係が固有の業務を、例えば高齢者の給付金であれば給付金担当、納付金制度の申請受付等であれば納付金担当が、それぞれ担当をしているところです。さらに、後ほども出てまいりますが、私どもは地域障害者職業センターを持っており、そこでも障害者の方に対する職業リハビリテーションのサービスをいろいろやらせていただいているところです。そういうようなそれぞれ個々が専門の担当を持って、ともすれば縦割りで動いている組織が、せっかくこの地方業務部門も私どもの直轄運営をすることになりましたし、元々長年にわたってのノウハウを持っております地域障害者職業センターのような組織もありますので、こうした組織が、それぞれ事業主や、あるいは障害者の方、高齢者の方に接する機会がある中で、自分の担当業務のみならず、当機構はこんなサービスを行っていますよということを、ついでの機会にいろいろ周知をさせていただくと、いろいろ今まで考えられなかったような幅広いリアクションがございまして。そんなところから、自分の担当業務以外にも当機構のやっている業務を幅広く日頃から勉強して、それでいろいろな周知や、あるいは制度の事業の活用を促していくという取組をしております。その効果が上がっているということです。
また、12頁の右下にもございますように、本部としてもそうした現場での取組を後押しできるように、いろいろ高齢者と障害者が実際に同じ職場で働いているという、あるいは同じ人がその両方であるという可能性もございますので、そうしたときの実践的な支援、手法を開発するとか、それをまたさらに現場サイドにフィードバックしていくとか。本部、それから地方におきます両面的な取組を、まずはやらせていただいているところです。

○中野委員
ありがとうございました。

○宮本部会長代理
雇用・能力開発機構から業務移管ということで、非常に大きな組織が移管したということですので、その移行過程で大変ご苦労があったと思うのですが、どういうご苦労があり、いまどの辺りのところまできたのか、その辺り少しお話していただけますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
業務移管に当たりましては、労働条件の調整であるとか、それに伴って職員組合との調整、あるいは、さまざまな規程が2つの機構で違っており、そういうものの調整です。そういう規程の類を膨大な数を直しております。業務移管の後には、また事務所も半年後に千葉に移転しており、そのための事務所の改装とか、引越し作業です。3カ所にあったものを1カ所に集中させました。諸々そういうことで、膨大な事務作業が発生したということです。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
補足しますと、いま残っている作業のいちばん大きな問題は、処遇制度の一本化なのです。それぞれの機構が違う制度を持っております。これを今年1年かけて一本化すべく作業しているのですが、最終的に一本化する中で、当然上がる人もいれば、下がる人もあります。そこへもってきて、今度の公務員全般、全体を下げるという流れがあり、またラスパイレス指数も下げるという、全体下げ基調の中で一本化し、そしてまた下がる人もいる。当事者から見れば、一生懸命働いて成果も上がっている、だけど処遇は下がると、こういうことによるモラルダウンをどう最小限にするかと。納得してもらうしかないわけですけれども、ただ、その納得してもらうための説明をどうしていくかということが、おそらく最後の難物として残るのではないかと思っております。

○今村部会長
次にグループの2番目、障害者事業のうち、職業リハビリテーション業務の項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明を35分、委員の評定として20分、合計55分の予定となっております。それでは法人からの説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
まず評価シートの5、「地域障害者職業センターの業務」についてです。33頁をご覧ください。このセンターは、他の就労支援機関では対応困難な精神障害者、発達障害者に対する支援、事業主ニーズを踏まえた専門的支援の積極的実施、厳しい雇用情勢に対応した就職実現特別対策の展開に重点を置いて取り組みました。その結果、平成23年度は12ある業務指標のすべてについて目標を達成したのみならず、赤い字で記した9指標については、平成22年度の実績をさらに上回り、過去最高を記録したところです。
以下、主要な業務、各論についてご説明いたします。34頁をご覧ください。「支援を必要としている障害者の積極的な受入れの推進、きめ細かな職業リハビリテーション計画の策定」という項目です。職リハネットワークの活用や関係機関との連携強化により、支援を必要とする障害者を積極的に受け入れました。その結果、職リハサービスの利用者は3万857人と、初めて3万人台に入り、過去最高を更新いたしました。その内訳も、就職や職場適応が困難な「精神障害者」や「発達障害者」等の割合が55.4%です。実は平成22年度に初めて5割を超えたところですが、それがさらに上昇したのです。また、個々の障害者の特性を的確に把握するとともに、支援の各段階における状況や本人の意思等を確認し、きめ細かな職業リハビリテーション計画を策定しています。そして就職実現のためのタイムリーな支援を行うべく、支援の期間途上であっても積極的に計画の見直しを行っています。
さらに、下の表のように就職困難性の高い精神障害者、あるいはその他の障害者については、職業指導等を重ね、きめ細かい支援を行いました。その結果、職リハ計画策定件数は、目標の1万7,000件を大きく上回る2万4,328件と、こちらも過去最高を更新したところです。利用者アンケートでは85.3%の方から、「満足」という評価をいただいております。一方で「不足」あるいは「不満がある」とお答えいただいたところにおいては、その内容を分析し、改善策を検討・実施したところです。
35頁は「就職等に向かう次の段階への移行の促進」です。地域センターにおいては職業準備支援ということで、基本的な労働習慣の体得、職業に関する知識の習得等のための支援を行いました。平成23年度は厳しい雇用情勢が続く中で、中段下、就職実現特別対策として、ハローワークの参加による具体的な求人情報に基づいたケース会議の実施、センター所長による経営者団体や企業訪問をして、求人要請をするといった積極的な行動をしました。その結果、他の就労支援機関では支援が困難な精神障害者とその他の障害者の利用が増加し、初めて7割を超えるという中で、職業紹介あるいは職業訓練など、就職等に向かう次の段階への移行率が88.5%、さらに修了者の就職率が68.1%、就職者数も1,454人と、それぞれ過去最高を更新しました。そのアンケート結果ですけれども、95%の方から「効果があった」という高い評価をいただいております。もちろん「不足」「不満」等のご意見に対しても、先ほどと同様に、具体的な改善の取組をしました。
36頁が「精神障害者、発達障害者に対する支援力の強化」です。平成23年度は発達障害者に対する専門的支援の試行実施を全国で3カ所増やし、合計13センターで実施しました。この取組に当たっては、プロジェクト委員会を設置して円滑な試行をバックアップするとともに、支援技法に係る効果の検証と改善を図りました。具体的には対人技能講座や職場実習等から構成される支援プログラム全体ではなく、個人の状況に応じて、その一部を組み合わせて適用することも有効であり、小規模センターでも対応可能であるという検証結果を取りまとめて、全国のセンターにフィードバックしたところです。これらの成果を踏まえて、このプログラムは平成24年度から2年計画で全国展開していくこととしました。
また中段、精神障害者、発達障害者等に対する支援ノウハウの蓄積・共有化ですが、[1]にありますように、全国の地域センターのカウンセラーや職業訓練指導員等が参加する職リハ業務研究会を開催して、リワーク支援で、うつ病と併せて発達障害者の特徴が窺われる方に対する支援内容と、その効果等の報告や意見の交換を行いました。[2]の研修では、カウンセリング技法や障害特性に応じた実践的な支援技法の演習等により、支援力の向上を図ったほか、新たにリワークアシスタントや評価アシスタントを対象とした研修を実施したところです。右側、機構内LANを活用した取組ですが、平成23年度は各地域センターの支援カリキュラム、教材、ツール等を新たに作成した事例、あるいは工夫を講じた事例を新たに287件追加して掲載して、全国の地域センターで広く共有し、支援に活用しました。
さらに、一人ひとりの状況に対応した創意工夫ですが、発達障害者等の利用者の増加に対応して、他者とのコミュニケーションを要する集団作業を引き続き実施するとともに、うつ病等の気分障害を有する利用者に対応して、リワーク支援のストレス対処に関する講習をカリキュラムに追加するなどの対応を実施したところです。
37頁は「ジョブコーチ支援の推進」です。ジョブコーチ支援については、当機構の地域センターにおけるジョブコーチによる支援と、福祉施設等のジョブコーチによる支援を実施しているところです。まず、当機構の地域センターのジョブコーチによる支援です。左上にありますようなものを通じて、他の機関では支援が困難な障害者に対する支援を重点的に実施しました。下の棒グラフです。平成23年度に支援を受けた対象数は3,342人ということで、目標の1,900人を大幅に上回り、こちらも過去最高を更新したところです。
内訳としては知的障害者が減少する一方で、職場適応の困難度が高い精神障害者、その他の障害者が増加しました。このため、個々の障害者に応じて支援に工夫や配慮を講じるとともに、定着促進に向けて、ジョブコーチの支援の終了後の職場適応指導にも積極的に取り組みました。また、ジョブコーチ支援スキル向上研修を開催し、精神障害者、発達障害者に対する支援力向上のためのケーススタディ等を実施しました。これらの結果、指標[6]にありますように、6カ月後の定着率は87.4%と、目標の80%を上回り、過去最高を記録した昨年度とほぼ同じ水準を維持しました。利用者アンケートにおいても90.3%から、「効果があった」という高い評価をいただいております。右上です。また知的障害者など、福祉施設や当機構以外の機関でのジョブコーチで対応可能な支援については、できるだけそちらの機関に委ねるべく、「ジョブコーチ支援事業推進協議会」を効率的・効果的に開催することを通じて、支援方法に係る専門的援助、技法の移転を積極的に行ったところです。その結果、福祉施設のジョブコーチによる単独支援が年々増加しています。
38頁が「精神障害者の雇用支援の推進」です。こちらは本人・事業主・主治医の3者で合意形成を図りながら、職場復帰、雇用継続、就業実現に向けた総合的な支援を行うものです。中でも本人の適応力・集中力の向上や職場の受入体制の整備により、精神障害者の職場復帰を促進するリワーク支援については、支援対象者が大幅に増加し、赤の囲み、「全国展開後の状況」の課題[1]にありますように、支援を受けるための待機者が多数生じて、一時は4ヶ月待ちという状況も見られました。待機者の多い地域にはリワークカウンセラーの配置、あるいはリワークアシスタントの増員を行った結果、待機が解消できました。課題[2]ですが、休職と復職を繰り返す、休職期間が長期化するといった、復職支援の困難な事案の割合が高まったことに対しては、個別実践型リワークプログラムということで、個々の対象者の状況に応じて、復帰後の新たな職務や環境に対する対応力の向上、キャリアプランの再構築に関する支援等を実施し、その支援効果を一層高められるように、対象者の主体的な取組を促進する手法も実施しました。
加えて更なる工夫として、療養地等と復職先の所在地が異なる場合に、私どもの複数のセンターが連携して対応した支援を行いました。さらに精神障害者雇用支援ネットワークとして、医療機関や産業保健推進センターなど、さまざまな関係機関との連携関係の構築に向けて、全国で3,600を超える機関に積極的に足を運んで働きかけを行いました。その結果、医療機関としては1,500を超える機関との連携関係が図られたところです。それらにより、左下、指標[8]にありますように、支援対象精神障害者の数は目標を大きく上回り、2,666人となりました。指標[9]の復職・雇用継続率も、84.0%と目標を上回り、いずれも過去最高を更新したところです。右下、指標[10]の利用者アンケートでは97.8%から、「効果があった」という回答があり、目標を上回る高い評価をいただきました。
39頁が「障害者の雇用管理に関する専門的な支援の実施」です。ハローワークが行う雇用率達成指導への協力や、ジョブコーチ支援等により、前年度を大きく上回る1万6,673事業所に対して支援を行いました。また右上、地域センターの助言の下、共通の問題を抱える企業同士で意見交換等を行う事業主支援ワークショップを、前年度を大きく上回る166回開催して、企業の自主的取組を促したところです。こうした結果、中段の指標[11]、支援計画策定数は1万1,219件と、目標の5,500件を大幅に上回る前年度比103.2%と、こちらのほうも過去最高を更新したところです。
この支援計画に基づき、採用計画、受入れ準備、具体的受入れ、職場定着・適応という各段階において、体系的な支援を積極的に実施しました。指標[12]として、支援終了3カ月後に実施した事業主に対する追跡調査の結果ですが、「効果があった」という回答が92.2%と、こちらも過去最高を更新しました。なお、右下の小さい囲み、平成23年度から納付金関係業務を当機構が直接実施していることに伴い、職リハ関係業務と納付金関係業務の連携により、事業所への同行訪問、事業主説明会の合同開催など、積極的に取り組んだところです。以上が評価シート5で、自己評価はSとさせていただきました。
続いて評価シート6、「地域の関係機関に対する助言・援助等」です。42頁をご覧ください。この業務は平成21年4月から地域センターの業務として、地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助が法的に位置づけられたことを受けて、引き続き地域の関係機関のより効果的な職業リハビリテーションを実施できるように、当機構のノウハウを基に技術的な支援を実施したところです。
具体的な内容ですが、左上の助言・援助の実施については●でお示ししておりますように、職業前訓練などの職リハサービスの見直しや、支援ツールの利用方法といった技術的な事項に対しての提案や解説をはじめとして、合計4つの手法により、積極的に助言・援助を展開しました。また左上の吹出し、地域の関係機関の職リハ実施状況等の情報を集約し、意欲的な機関に対して、地域センターからの提案による助言・援助を行ったほか、真ん中上、助言・援助業務を一層円滑に進めるため、新たに障害者職業カウンセラーの専門研修に、問題発見力の向上と会議等における参加者の合意形成や相互理解を援助する手法について、講義、演習科目として導入しました。
さらに、平成23年度は新たにモデル事例として、全国すべての地域センターにおいて、新設の機関、あるいは連携が十分に形成されていない機関等を重点的に助言・援助するための地域の関係機関として、それぞれ1カ所以上選定し、協同支援や実習受入れ、マニュアルや教材の提供、研修の実施等を組み合わせた総合的な助言・援助を計画的に実施し、その効果を蓄積・共有する取組を開始したところです。
次に、実務的研修等の実施です。関係機関向けのマニュアル・教材について、地域の関係機関からのご要望をいただき、それらを踏まえ、最新情報を盛り込むなどの改訂を行い、また、当機構が実施する就業支援基礎研修の受講者、あるいは、そうした機関自らが研修する関係機関の職員等に対して、その内容や活用方法を解説しながら提供しました。このうち、就業支援基礎研修については、前年度の受講者の要望を踏まえて、意見交換や演習の割合を高めるとともに、ケーススタディ等では就労支援経験年数等によるグループ分けを行うなど、取組上の工夫をした結果、目標の47回を大幅に上回る64回開催し、受講者数も前年度を上回りました。さらに、一定の実務経験を有するジョブコーチを対象に実施しているジョブコーチ支援スキル向上研修ですが、ご意見では「詰め込みすぎで理解が追いつかない」といったご批判をいただいたことを踏まえて、平成23年度からは研修期間を従来の2日から3日間に延長し、ケーススタディ1事例当たりの検討時間を長くするなどの工夫を行いました。
その下、その他の援助ですが、各地域センターにおいて発達障害者の障害特性に関する勉強会を開催したほか、他の機関が主催する研修や講習会への講師派遣等の協力も積極的に行いました。これらの結果左下、赤字の指標にありますように、助言・援助等を受けた関係機関からは、目標を上回る97.7%から「有用」という評価をいただきました。また、研修受講者の所属長に対する調査においても、前年度を上回る95%から「有用であった」という評価をいただきました。
「地域関係機関との職リハネットワークの形成・整備」では、連携が必要な地域の関係機関を広く集めて、地域職リハ推進フォーラムを開催しております。精神障害者や発達障害者等の雇用促進等をテーマにしたシンポジウムや、小集団による意見交換、事例発表等を行い、ネットワークの重要性の相互認識を深めたところです。さらに、これまでに連携関係をある程度構築できている機関については、連絡会議を開催して、就労支援に関する役割分担を調整する一方、連携関係がまだ十分形成されていない機関に対しては、前年度を大幅に上回る951機関に対して個別訪問をして、ネットワークへの参加を呼びかけるなど、新たな機関の参画を得て、さらなるネットワーク形成の強化が図られるように努めたところです。
43頁は「専門的な人材の育成」です。アンケート調査による意見、あるいはご要望を踏まえて、その内容の充実・改善を図りました。発達障害者就業支援セミナーは、受講者の拡大を図るために、新たに各都道府県の高等学校の校長会、あるいは受講ニーズが見込まれる企業にも開催案内をお送りしたほか、各種学会等でも周知するなど、周知・広報活動の強化を図ったところです。その結果、受講者数は前年度を上回りました。特に教育関係機関からの受講者数が伸びました。またその下、新たに就労支援に関する基本的な術語について解説した用語集を作成・配布したほか、研修効果を一層高めるために、実際の就労支援のプロセスとカリキュラムの内容の対応関係を示した資料を新たに作成し、オリエンテーションのとき等に配布するなどの見直しを行いました。
就業・生活支援センター職員研修については、「主任就業支援担当者の役割」の講義時間を延長し、グループワークのための話題提供を充実するとともに、意見交換の時間を十分確保できるよう、改善を図りました。ジョブコーチ養成研修については、アンケートで高評価をいただいたために、前年度と同じ内容で実施しました。いちばん右、職リハ実践セミナーは発達障害者就業支援セミナーと同様に、開催案内の送付先を拡大するとともに、各種学会での周知等を行った結果、受講者数が前年度の実績を大きく上回りました。また、「職業生活に必要なサポート」については、新たに当事者の支援者から支援のポイントについて説明を加えるなどの工夫を行いました。
いちばん下にアンケートの結果をまとめて載せております。これらの取組の結果、直後のアンケートでは98.3%の方々から、研修終了後6カ月後の追跡調査、研修終了後2カ月後の所属長によるアンケートでは、それぞれ前年度を上回る94.8%ないし94.6%の方々から、「有用」あるいは「役に立っている」という評価をいただき、いずれも目標値を大きく上回りました。
以上が評価シート6で、自己評価は「A」です。
次に評価シート7、「調査・研究の実施」です。46頁をご覧ください。「職業リハビリテーションに関する調査・研究」です。1から4までの重点項目を定めて、厚生労働省における政策ニーズや当機構の広域・地域センター、就業・生活支援センター等からご要望をいただき、それらを踏まえて、平成23年度の研究計画を策定しました。具体的には新規テーマを4テーマ、継続テーマを8テーマの合計12テーマで調査・研究を実施しました。このうち、平成23年度に終了した6テーマについて報告書を作成したところです。
研究成果については、外部の学識者等からなる研究評価委員の評価を受けることになっており、目標値は4段階中上から2段階、すなわち「優れている」あるいは「やや優れている」という評価を得るという目標が設定されております。平成23年度の調査においては、いずれもこの目標を上回り、すべてのテーマについて評価者全員から上位2段階の評価を得ることができました。このうち3テーマについては、すべての評価委員から「優れている」という最上位の評価をいただきました。
こうした報告書については、内容を7頁ほどに集約したサマリーと、さらにコンパクト化して、内容を1頁ほどに取りまとめたパンフレットを作成し、見る方のご関心の程度に応じてパンフレットからサマリー、報告書へと順次お読みいただくということで、ニーズの掘り起こしとか、利用者ニーズに即した適切な情報提供に努めました。
その他の研究としては左下の囲み、支援現場の課題解決に資する資料シリーズの作成があります。9テーマの調査・研究を行い、資料集やマニュアルを作成しました。
47頁は「職業リハビリテーション技法の開発」についてです。当機構では、従来の支援技法では対応が難しい障害者のための就労支援技法の開発と普及を行っており、平成23年度は目標どおり、3テーマで取り組みました。まず1つ目は、発達障害者の就労支援技法の開発です。平成23年度は発達障害の多様性に対応した事例の蓄積とプログラムの改良を行ったほか、就職支援のノウハウをマニュアル化した「支援者のためのハンドブック」とともに、支援者が対象者の障害特性等を書き込みながら事業主に説明できるように、同ハンドブックのポイントをまとめた「個別支援型リーフレット」を作成し、広く関係者等に情報提供をさせていただきました。2つ目の高次脳機能障害者の就労支援技法、3つ目の精神障害者の職場再適応支援技法についても、重点取組に沿って新技法の開発を行い、報告書あるいはマニュアル等を取りまとめ、下の欄の関係機関の担当者に広く情報提供をしました。
48頁が職リハ研究の成果についてです。当機構内はもちろん、福祉、医療、教育、NPO、企業など、実践現場において広く活用していただくための取組を行いました。具体的には、まず研究発表会です。平成23年度は中央で1会場、地方で5会場ということで、目標を上回る回数で実施しました。このうち、12月に幕張で実施した中央会場における発表会は、参加者数が1,003人と、2年連続で1,000人を超えたほか、発表題数は115題と、過去最高を更新しました。アンケート調査でも96.6%の方から、「参考になった」という評価をいただいております。また、地方会場として、平成23年度は山形、香川、佐賀、宮崎、沖縄の5地域を選定しました。このうち、例えば沖縄では農業分野での障害者雇用について、農村工学研究所と連携して実施するなど、それぞれの地域に即した、密着したテーマ設定と工夫を行いながら開催しました。学会等での発表は、目標の20件を上回る24件の発表を行ったほか、機構内外の192件の研修において講義を行うなど、積極的に研究成果の普及を行いました。
これらの研究成果は、機構の研究部門のホームページに掲載しています。同ホームページへの平成23年度のアクセス件数は800万件と、非常に多数に達しております。こちらは前年度比84.6%増です。また、昨年11月に開催した「障害者ワークフェア2011in さいたま」においても、成果物の展示あるいは研究活動の紹介などの取組を行いました。
右上です。現場で直ちに活用できるマニュアル、教材等についても、目標の4件を上回る6件を作成し、企業の支援者に提供しました。加えて右下、研究成果が広域・地域センターや就労支援機関などで幅広く活用されているという状況を、アンケート結果によりお示ししました。また、下の円グラフにありますように、障害者就業・生活支援センター等の調査で95.7%の方から、「有用である」という評価をいただくなど、実践現場で有効に活用されていると承知しております。
以上が評価シート7で、自己評価は同じく「A」です。
次に評価シート8、「障害者職業能力開発校」です。51頁をご覧ください。機構が運営業務を行う障害者職業能力開発校は、全国の広い地域から、職業訓練上特別な支援を要する障害者を受け入れており、他の障害者、職業能力開発校等に成果を提供できるように、先導的な職業訓練を行っています。平成23年度は地域における応募状況等を勘案して、発達障害者、精神障害者、高次脳機能障害者等の職業訓練上特別な支援を要する障害者について、障害特性ごとの訓練科のみならず、一般の訓練科での受入拡大を図るなど、定員を超えた弾力的な受入れを行いました。
なお、定員充足に向けては、新たに重度視覚障害者が在籍する大学や、近隣の難病相談・支援センターを直接訪問するとともに、全国の盲学校や大学に、事例入り・音声コード付き視覚障害者用リーフレットを作成・送付し、周知を図るなどの取組を行いました。さらに、新たに全国5地域で開催した障害者雇用促進月間ポスター原画展では、両校の紹介用パネルの展示を行いました。このうち、吉備校では新たな取組としてオープンキャンパスを開催して、280人ほどのご参加をいただきました。これらの取組の結果、受講者に占める職業訓練上特別な支援を要する障害者の割合は、51.1%と初めて5割を超えるとともに、定員充足率も101.4%と、3年連続で定員の完全な充足を果たし、いずれも目標を上回りました。
職業訓練上特別な支援を要する障害者に対する職業訓練の充実については、企業ニーズを把握するために、企業向けの見学会等を開催したほか、職業訓練上特別な支援を要する障害者の採用実績のある企業を訪問し、重度視覚障害者の採用実績が少ない事務系職種の職務内容とか、事業主が採用時に持つ不安事項等の把握を行いました。これらを通じて把握した企業ニーズを踏まえ、電話応対や生産現場での安全管理に係る訓練を盛り込むなど、訓練内容の見直しを図ったほか、重度視覚障害者については、応募書類の作成や採用面接時に訓練生自らが習得した技能を的確に表現できるよう、訓練内容の充実を図りました。
右下の精神障害者、発達障害者に対する支援技法の向上と支援ノウハウの共有です。職業訓練指導員に対して支援技法の向上のための研修を実施したほか、カリキュラム、教材・ツール等の作成例や工夫例を、機構内LANに新たに287件掲載しました。職員がこれらの情報を共有することにより、中央校、吉備校においても、より効果的な支援に活かせるように努めました。
次に52頁の左側をご覧ください。平成23年度は平成21年度に導入した特注型企業連携訓練の内容の充実と、受入れ企業の拡大に努めました。この訓練は、通常の訓練では就職、職場定着が困難な方々、例えば就労環境が変わりますと強度の不安や緊張などに襲われ、業務の円滑・的確な遂行が困難になる精神障害者などについて、オーダーメイド型の訓練イメージに基づく企業内訓練と、機構の訓練施設内での就業継続に向けた技術的支援を一体的に実施するものです。
左中段の内容の充実です。平成23年度は新たな職場環境において、作業のスピードや正確性について、周囲の期待に応えることに強い不安を抱え、一度の企業内訓練では事業所での適応が難しい対象者に、同一企業内で複数回にわたり、段階的に時間を延長しながら企業内訓練を実施し、徐々に課題解決を図るという手法を新たに導入したところです。受入れ企業の拡大に向けては、ホームページの活用、パンフレットの配布、事業主団体に対する機関誌への周知記事の掲載依頼を通じて、また、吉備校では新たに職員用マニュアルを作成し、訓練受入れの働きかけを強化しました。
その結果、平成23年度は前年度を上回る46人を対象に実施し、過年度からの受講生を含めた修了者49人のうち、40人が訓練をお願いした先での就職に至りました。残りの9名については、別の企業で就職が決まるなど、この訓練を受けた全員の就職が実現しました。障害別では精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者への実施率が高まりました。
右側は、厳しい雇用情勢に対応した就職促進対策です。機構内に対策本部を設置し、特別対策を機動的に実施しました。具体的には就職希望地の事業主団体への求人確保の協力依頼、就職面接会での人事担当者への訓練生の求職情報の提供、ハローワークと連携して、求人事業所情報の収集や求人開拓等の試み、さらに吉備校においては、新たに社会保険労務士会の協力を得て、その会報に訓練生の求職情報の取得方法等について、事業主への情報提供を依頼する記事を掲載していただきました。中央校では新たに労働局を通じて、各ハローワークに定期的に訓練生の求職情報を提供し、求人開拓など、就職促進への協力を依頼するとともに、ハローワーク等の担当官を招いての特別職業相談会を実施しました。併せて、訓練生に対しては訓練期間中の早い段階からの就職支援の開始、就職経験がない者に対する体験型の短期職場実習の実施などに取り組みました。その結果、厳しい就職環境の中で就職率は86.4%と、目標値を超えて、前年度実績を上回ったところです。
53頁は障害者に対する指導技法等の開発・普及です。平成23年度は前年度に引き続き、知的障害を伴わない発達障害者と重度視覚障害者の訓練技法について、マニュアルを作成しました。これらの成果物については、ホームページへの掲載を通じて普及促進を図っております。平成23年度のアクセス件数は96万件余りと、前年度比4割増となりました。また中段、機構本部においては職業能力開発校をはじめ、専修学校、企業等での障害者の職業能力開発に携わる方々を対象に、障害者能力開発指導者交流集会を開催して、訓練技法の普及を図りました。参加者は90人と昨年度を上回るとともに、参加者のアンケートでは過去最高の97.6%の参加者から、「有用であった」という高い評価をいただきました。同様に中央校、吉備校でも交流集会等を開催し、実践的な指導技法の普及を図りました。
指導技法等の開発成果に関するアンケート調査ですが、平成22年度に作成した発達障害者、重度視覚障害者の職業訓練実践マニュアルについて、過去最高となる98.2%の方から、「有用」との高い評価をいただいております。アンケート調査によりますと、新たな訓練科の開設等を検討していた機関のうち、当機構のマニュアル等の存在を知っていた機関の93.9%で、マニュアル等が訓練カリキュラムや教材の作成に活用されたという結果が出ております。
以上が評価シート8で、自己評価は「A」です。以上がグループ2のご説明です。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
ありがとうございました。委員の皆様は評価シートへの評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら、適宜お願いいたします。

○高田委員
3点お聞きしたいことがあります。第1点は、評価シート6です。職リハに関する技術的事項への助言・援助を行う法的な裏づけができたと、たしか最初にご説明があったように思うのです。これはどういう法律改正があったのか、ご説明いただけますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
職業リハビリテーション部です。障害者雇用促進法に、地域障害者職業センターの業務が規定されております。それが平成21年4月施行ということで、新しく地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに係る技術的な助言・援助業務が追加されたということです。

○高田委員
第2点は、39頁に「事業主に応じた的確な支援の推進」という枠があります。その中の指標?の支援計画策定が、1万1,219件で過去最高であるというご説明がありました。平成22年度も1万件を超えているわけです。それに対して目標値が5,500件というのは、ちょっと控え目かなと思うのです。それはともかく、2年連続1万件を超えているというのは、何か目立った状況の変化が背景にあるのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
障害者雇用促進法の改正で、障害者雇用納付金の適用対象が200人を超える事業主に拡大されております。そういうことで、障害者を雇うにはどうしたらいいかというご相談が、事業主から非常に多くなっているということがあります。今回も法定雇用率が1.8%から2%に引き上げられますので、その前段ということでも、いろいろな相談が増えているという状況です。

○高田委員
3点目は52頁で、就職率が非常に高くなったというご説明がありました。一般的な雇用情勢とか、こうした障害者雇用のこれまでの推移から考えますと、特筆すべき成果だと思うのです。こういう良い成績が上がった原因の分析は、どのようにされておりますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
当機構の障害者職業能力開発校については、訓練と併せて、障害者職業カウンセラーというのを配置しており、訓練の指導だけではなく、職業生活についてのいろいろなカウンセリング指導をやっております。併せて全国に障害者職業センターがありますので、そこと連携をして、受け入れていただく事業主を探すということをやっております。そういうのは1つ特色のあるところで、全国ネットワークの活用と訓練と通常の就業支援を併せて実施しているところで、高い効果が出ているのではないかと考えております。

○高田委員
いまのご説明の中で、全国ネットの利用が効果があるのではないかというお話でしたけれども、そうしますと、現在住んでいる所から離れて就職される方も結構いらっしゃるということでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
はい。広域的に訓練生を受け入れております。例えば平成23年度ですと、41の都道府県から訓練生が来ております。

○川端委員
52頁ですけれども、就職率が非常に高いというのは大変優れた成果ですが、就職できることと同時に、どの程度定着できるかというのが、こういう人たちにとっては重要ではないかと思います。そういう定着率のようなもの、あるいは通常の一般労働者の新人、新採に比べた定着率と比較したらどうかというところは、何かお調べになっているのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
障害者職業能力開発校として、定着率を把握しているわけではありませんが、一人ひとりの就職先には地域センターで、こういう人が就職しているというのが分かりますので、例えば途中で不適応が起こればジョブコーチを付けるとか、カウンセラーに相談するとか、そういうフォローはやっています。

○川端委員
定着率のようなものはつかんでいないわけですね。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
はい。

○中野委員
いくつかお尋ねしたいと思います。52頁、53頁の職業能力開発校に来られる方が、平成23年度は41都道府県ですか。そこへアプライするのは誰ですか。ご本人が自分の職業的な課題を認知しつつ、自分の暮らしている場も離れてここへ来られて、また元へ戻るという、人生を非常に切った形でここで訓練を受けるということは、ご本人にとってはどういう効果があるのかというのが気になるのです。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
まず訓練生の募集については、いちばん大きいのはハローワークです。基本的にハローワークに求職登録をしている方から、ハローワークと相談の中で、吉備や所沢にある訓練校に行ってみてはどうかというのがあります。あと、当方の訓練校でも内容を説明しながら、全国の特別支援学校やいろいろな施設を勧誘に回っております。そういうところから推薦して来ていただいています。例えば、所沢の訓練校ですと、地域から首都圏に就職したいという方もわりとおりまして、そういう方々が来ています。吉備のほうは、わりと地元に帰るということがあります。特に職業訓練上、非常に課題が大きい方に対する全国の能開校をリードするような、先導的な訓練を実施しておりますので、指導が難しい方に来ていただくというのが中心になっております。ほかではなかなか訓練ができない。

○中野委員
それは本人にとっては、大変な満足度なのでしょうか。すごく穿った見方をすると、昔ほかの領域でありましたけれども、研究的に全国から特別な人たちを1カ所に集めて訓練をするという方向性がありましたので。地方で「こんな面白い人がいるよ」という感じで抽出されたけれども、それは全国で5人しかいないということで、決して汎化しないというのであったら、先ほどの連携で、もっと地方の中でよりそういう技法が開発されるのではないかと。つまり能開のスタッフが地方へおいでになって、そこの方の場所で開発されるという方向性は、今後はあまり考えておられないのですか。やはりここへ集中してするほうが、効果が上がるということでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
もちろん全国には、県立の障害者職業能力開発校というのがありますので、そちらに技術移転をして、地域でも訓練機会を拡大していくのがいちばん望ましいことだと思います。そういうことでいろいろな技術の移転に努めているわけですけれども、発達障害や高次脳機能障害など、訓練ノウハウが必ずしもまだ確立していないところは、まずは一定のスタッフと技術、設備のある所でやってみる必要があるのではないかということです。ご本人については、あくまでもご希望を尊重してやっているわけですし、応募倍率も2倍近くありますので、そういうことで何か実験的に連れてくるということでは全くありません。もっと申し上げれば、訓練校の世界ではわりとステータスが高うございます。何と言いますか、いい学校というイメージがある所です。

○中野委員
技術を地方に移行させていってということが、大きな狙いと理解してよろしいでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
はい、おっしゃるとおりです。

○中野委員
それから、精神障害の方とか高次脳機能障害の方とか、課題がたくさんあるところへ具体的な支援をしておられることは、大変評価できると思うのです。例えば38頁に、精神障害の方の雇用の支援の推進ということで、かなり成果を上げているとありますが、リワークの場合、特に戻ってきたときに職場で受けとめるほかのスタッフの力量に対しては、この中ではどのような支援を組み込んで、その効果はどういうように図っていらっしゃいますか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
もちろんリワーク支援を行うときには、主治医と職場の方とご本人の所に、地域障害者職業センターのカウンセラーが入って、どういうように進めていくか、どのぐらいの見込みでリハビリ出勤をするか、三者合意の下で全体の計画を作るということでやっています。併せて復帰後の職場の環境の調整、あるいは周りの同僚の意識啓発などが重要ですので、そこはスタッフが出かけていって、いろいろな調整をさせていただきます。さらに必要があれば、復帰後にこちらからジョブコーチを派遣して、しばらく仕事ぶりを見ながら、不適応が生じないかというところでケアをするということでやっておりますから、復職率も非常に高いという状況です。

○中野委員
復職率イコール定着率の良さと考えてよろしいのですね。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
復職率が定着率そのものではありませんが、たしか数年前にサンプル調査が行われており、記憶が定かではありませんが、半年後か何かにまた休職に至った方が、10数パーセントではなかったかと記憶しております。正確には出てきませんが、そういう意味でかなり成功率は高いということです。もちろん、休職と復職を繰り返すような方もだんだん出てきており、ケースが難しくなってきているのは間違いありません。

○中野委員
最後に1つ、43頁です。障害者自立支援法以降、「福祉から雇用へ」ということで、かなり議論になっていますけれども、福祉機関に職リハの専門的な人材を入れることで、福祉から雇用へ移動したほうがいいのか、福祉機関ですでに職リハ人材を入れれば、かなり働く人をそこに生み出せるのか。そこら辺の福祉と雇用の統合の見通しみたいなところですよね。就労継続支援A型などと言っても、本当になかなか難しい。その辺はどういうような見通しで人材育成をしておられるのでしょうか。やはり「福祉から雇用へ」というための人材を育成しておられるのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
いわゆる授産施設から就労移行支援事業所へ転換されているというのは、「福祉から雇用へ」というところの支援を強化しようということです。そういう転換を進める中で、そこのスタッフの就労支援についてのノウハウが、まだ若干足りない部分がありますので、そこを我々の研修で強化していただきたいということです。

○宮本部会長代理
37頁のジョブコーチについてです。ジョブコーチの対象者数が過去最高の3,342人になったということですが、これはどういう形で決まっていくのかがわからないのです。左のグラフで言いますと、身体障害は減少し、知的障害も減少し、精神のほうは増加し、その他がかなり増加しているということです。まず身体障害、知的のほうで、ジョブコーチが減っていくというのがどういうことなのかが1つです。あとの2つに関しては、ジョブコーチが増えていくのですけれども、増えていくときにどういう見極めをして増やしていくのか。それから、これには自ずと予算があると思いますが、ニーズに応じて必要だと考えれば、1年の間にジョブコーチをどんどん増やしていくのか。その辺りがどういう計算になっているのかお願いしたいと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
まず知的障害者、身体障害者については、大体支援のノウハウが確立しておりますので、福祉施設等に配置している第1号ジョブコーチに、できるだけお任せしていきたいと考えております。その第1号ジョブコーチなど地域の皆さんと推進協議会の中で役割分担をしながら、お願いするものはお願いするということで、次第に減少しています。精神障害者、その他の障害は、主に発達障害者、高次脳機能障害者、難病の方等が含まれています。この辺は今のところ、第1号ジョブコーチではなかなか支援が難しいという状況がありますので、そちらは我々のほうで引き受けるということで、数が増えてきております。ただ、こちらについてもジョブコーチの研修もやっております。そうした中で技術移転をして、ゆくゆくは第1号ジョブコーチでもやっていただくようにしていくということを、基本として考えておりますので、私どものジョブコーチの人員体制的にも全然増やしていないという状況にあります。

○今村部会長
時間も押していますが、どうしても1つだけ聞きたいことがあります。大まかに言って、例えば評価シート5にあるように、事業主に関しては助成金とか障害者雇用率などの数字が上がって、ニーズが積極的に作られたと言うと変ですけれども、増えてきたということですね。障害者についても数が増えていますね。一方で個々の満足度は高いのですけれども、若干下がっているのです。つまり簡単に言うと、問題の数自体が大きく膨れてきているのかなと。そのために、ニーズとしてはたくさんあるけれども、もともと高かった高障求機構の訓練のノウハウが、どうしてもニーズの高まりに応じて、必ずしも高い質を維持できていないという大まかに言うとそういう印象を受けるのです。それはどうなのか。
それから地域のところです。これは前から宮本先生とも、NPOやサードセクターなどをうまく活用したらということを申し上げているのですけれども、ここには全く書いていないのです。ニーズが膨れている中で、関係機関の中で幅広く取らえていくということは、これからますます必要ではないかと。ただ残念ながら、サードセクターというのはノウハウの低い所が多い。そういう意味では高障求機構の持っていらっしゃる非常に高いノウハウをどうしていくかというのは、重要な問題だと思います。その辺の全体像を、本当に簡単で結構ですからお答えいただければと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
確かに地域センター利用者のアンケート調査を見ますと、前年度と比較して数パーセントずつ低下している部分があります。これを障害種類別などで分析しているのですけれども、特に目立った特徴があるわけではありません。しかも、「どちらとも言えない」という方が少し増えているという状況です。細かく見ていきますと、例えばジョブコーチですと、「もう少し頻繁に来てほしかった」とか、「職業リハビリテーション計画の説明を受けたけれども、少しわかりにくかった」というのがあります。回答のフリーアンサーでご指摘されているところは、細かく1つずつ対応するということで、地域センターにも指示しております。ですから数パーセント落ちているとは言うものの、今のところ評価としては、まだ高い水準を維持していると考えておりますし、取扱い量は多いけれども、就職率や定着率はジリジリと上がっているので、そういう意味では着実に前進しているのではないかと考えております。

○今村部会長
あとは、地域のサードセクターとの関係を簡単にお願いします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
ここにいろいろありますように、関係機関とのフォーラムをやるとか、連絡会議をやるということでつながりを付けて、他の機関のニーズを掘り起こし、必要な技術移転をするという努力をしております。今年度、特に各地域センターに指示しておりますのは、障害者福祉圏域ごとに、関係機関のネットワークがどういうように動いているかというのを検証しましょうと。その中で中心となる関係機関を探し、手薄な所はそこに働きかけて、福祉圏域のネットワークがよく機能するように働きかけていきましょうということをやっています。

○今村部会長
それでは次に移りたいと思います。グループ3、障害者雇用納付金関係業務等の項目について評価を行います。法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分となっています。それでは法人からお願いします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
グループ3は「障害者リハビリテーション以外の障害者関係業務」です。評価シート9、「納付金制度」です。56頁の左上の○ですが、納付金制度に対する理解の促進に向けては、事業主説明会の開催、パンフレット等の作成、配布、職業安定機関との情報交換会等を実施して、このうち事業主説明会については目標数を大きく上回る458回開催しました。また、新たな取組として、初めて手続を行う担当者向けの説明会を開催しましたほか、この説明会の席で障害者の雇用に関する事業主の課題を把握するための「相談票」を配布いたしまして、事業主から寄せられた課題等に対して、必要に応じ納付金窓口、それから先ほど出た職業リハビリテーションの業務を担当する地域障害者職業センター等が連携をして、迅速かつ効果的な支援ができるように取り組んだところです。
次の2つ目の○ですが、調査の効率的かつ的確な実施です。前年度に申告があった事業主を対象として、これまでいろいろな調査をかけていたところですが、平成23年度は制度改正によって初めて申告・申請を行った中小企業の事業主についても、年度内に調査を実施して誤りを早期に発見し是正指導するなど、前年度の2倍に及ぶ調査需要に限られた調査人員を効果的に振り向けて、的確に対応したところです。
3つ目の○ですが、事業主の利便性の向上です。電子申告・申請システムの平成24年4月の稼動に向けて、平成23年度は準備と周知を行うとともに、その下の電子納付システムの利用促進に向けては「利用促進チーム」を組織しまして、事業主訪問地域を、これまで全国12地域であったものを23地域に拡大するとともに、取扱金融機関の増加にも努めました。その結果、利用件数は前年度から倍増して、2,651件となりました。
これらの事業主に的確・円滑に申告・申請していただくための取組と併せて、資料の右側中ほど、申告された納付金の収納を確実に行うため、未納の事業主に対しては電話、文書、訪問による納付督励・督促を積極的に実施しました。
この結果ですが、常用雇用労働者数が300人を超える事業主の収納率が99.87%と、数値目標の99%以上を大きく上回るとともに、過去5年間で最も高かった前年度の実績99.80%をさらに超えて、平成になって最高水準の収納率を達成しました。また、目標が中期目標期間終了、すなわち平成24年度までに99%以上を目指すとしていた、制度改正で初めて申告納付の対象となった中小企業に対する収納率ですが、法改正後、早い段階からすべての事業主を当機構で個別訪問して周知を徹底したこと、また、納付手続の遅れている事業主に対しては電話、訪問等によって未納付の理由等を個別具体的に把握して、その事情に応じた方法で働きかけを早期に実施するといった取組を粘り強く実施した結果、99.91%と、引き続き厳しい企業を巡る経営環境が続く中にあって、また、先ほど申し上げた初めての申告納付であるにもかかわらず、目標を大きく上回る実績が上げられたところです。加えて、過年度の未収分についても、着実に収納を進めている状況を記載しています。
なお、左下の青い囲みです。今後平成27年4月からは、新たに常用雇用労働者数が100人を超え200人以下の事業主についても納付金制度が適用されるので、平成23年度においては、これらに向けて改正制度の幅広い浸透を図ったところです。以上が評価シート9でして、自己評価は「S」とさせていただいています。
評価シート10の障害者雇用に関する「助成金の支給業務」です。まず59頁、効果的活用に向けた周知・広報・活用促進についてですが、ホームページによって各助成金の認定申請書・支給申請書のみならず、それに添付する事業計画書についてもダウンロードができるようにしました。また、助成金の効果的な活用を促しますため、ハローワーク・地域センターとの連携強化による助成金を必要とする事業所情報の確実な把握や連携強化の好事例を、私どもの地方の業務実施部門にフィードバックするといった取組を実施しました結果、助成金の支給件数が前年度を上回るといった成果を上げています。
次に中段の適正な支給業務の実施ですが、平成23年度は不正受給防止事務実施チェックリストによる厳正な審査点検の実施、支給額が一定以上のすべての事業所への直接訪問調査を実施したところです。ただ、こうした取組にもかかわらず平成23年度には不正受給が1件発生していますが、当該事案を受けて全国の地方業務部門はもとより、労働局等の関係機関にも、その手口等に関する情報を提供し、相互の連携を強化し、不正受給防止対策の一層の徹底を図りました。以上が評価シート10で、自己評価は「A」です。
評価シート11、「各種講習、相談・援助等」です。まず62頁の上段ですが、障害者職業生活相談員資格認定講習です。平成23年度は前年度の受講者アンケートの内容を踏まえて、講習内容に発達障害者等の障害特性や精神障害者の職場復帰に向けた支援内容を盛り込んで、内容の充実を図るとともに、近隣県での、受講など受講者の利便性への配慮、手話通訳者の配置など、障害のある受講者が受講しやすい環境の整備、助成金制度等の最新情報を盛り込んだテキストの改訂等を行ったところです。
その結果、講習実施回数及び講習修了者数はともに前年度を上回り、アンケートでは「有用であった」との回答が96.6%と大変高い評価が得られました。下段の事業主に対する雇用相談・援助です。機構本部に特例子会社の経営の経験等を有する障害者雇用エキスパートを新規に配置して、特例子会社の設立、経営、今後の障害者の雇用方針あるいは雇用管理面について難しい課題を抱えている企業や、あるいは、初めて障害者雇用に取り組む中小企業に対して、個別相談や集団方式の支援を実施しました。相談件数は、今回初年度ということで1,100件を超えて、各種講習等を活用した集団的手法による支援は48回、さらに受講者数は3,000人近くに上ったところです。
63頁は事業主ニーズ、国の施策動向を踏まえた実践的手法の開発です。左側青い囲みです。平成23年度は3点実施しました。1つ目ですが、多様化する特例子会社における雇用管理・経営の実態あるいは課題について、アンケート及びヒアリングによる調査・分析を行ったものです。その右側、報告書では企業が特例子会社を設置・運営する際の参考としていただけるように雇用管理等のデータ、事例、留意事項を紹介したところです。2つ目は、雇用ノウハウが不足している発達障害者について、雇用管理、職場環境の改善事例を広く募集し表彰するとともに、取組の「キーワード」を設定して、改善内容をわかりやすく説明する職場改善好事例集を作成しました。3つ目は、同じく発達障害者の雇用管理等についてわかりやすく解説した、コミック形式のマニュアルを作成したものです。こちらは、本日お手元に現物を用意していますが、これらの成果物についてはホームページで公表するとともに、事業主等の求めに応じて報告書等の配布を行っています。右下に事業主や支援機関から得られたアンケートの結果を示していますが、93.3%の方から障害者雇用に取り組む上で「役に立った」という高い評価をいただきました。
64頁は障害者の就労支援機器の普及・啓発です。まず、支援機器の普及に向けた取組ですが、ホームページに新たに17機種を追加掲載するなど、常に最新情報を提供し活用を呼び掛けたほか、私どもの地方業務部門において目標を設定して周知活動の徹底を図り、また本部においても障害者雇用エキスパートを事業主講習会等に派遣して、積極的に周知・啓発等を行ったところです。
一方、支援機器の貸出しを受けた事業所に対しても、福祉情報技術コーディネーターの資格を有する職員が、機器の選定段階から貸出しの期間中に至るまで、きめ細かい相談・助言を行ったほか、貸出し終了後はアンケートを実施してその結果をさらなる機器の整備、相談・支援内容の改善に反映させたところです。こうした取組によって利用率は75.6%と、目標の60%を大きく上回って過去最高を記録したところです。また、アンケート結果は92.5%の方から、「大変役に立った」、「役に立った」との高い評価をいただきました。左側には貸出し事業所に対するフォローアップの事例、右側には新規の貸出機器の整備例を参考までに記載しています。
65頁は障害者雇用に関する啓発事業です。左上の啓発イベント、障害者ワークフェアについてですが、これは例年全国障害者技能競技大会、いわゆる全国アビリンピックと合同開催しているところですが、平成23年度は国際アビリンピック開催年の関係で全国大会がありませんでしたので、11月に、このワークフェアについてはさいたま市において単独でのイベント開催をしました。しかしながら、今回も前年度同様、151機関という多数の企業あるいは団体からの出展をいただきました。今回開催に当たって工夫した点ですが、中段のポイントにありますように、まず県・労働局をはじめとした地元関係機関との連携協力により、幅広い周知・広報に努めたほか、来場者が見学・参加しやすい会場設営、それから障害者の就労や障害年金等の相談コーナーの設置に加えて、新たに東日本大震災の被災地の事業所、福祉施設の紹介、アビリンピック競技種目のデモンストレーション、技能体験等の実施を行って、効果的な啓発、関係者間の交流の促進に心がけました。
その結果、来場者数は3万7,100人と、全国アビリンピックと合同開催した前年度の実績を上回りました。また、来場者アンケートにおいても、「障害者雇用に関する理解が深まった」との回答が97.2%と、目標の8割を大きく上回る高い評価を受けたところです。
右側です。9月の障害者雇用支援月間を中心とした啓発活動です。障害者雇用優良事業所等表彰式を開催するとともに、また、全国5カ所で優秀作品を紹介する月間ポスター原画入賞作品展を開催したところです。さらに、マスコミを活用した広報・啓発活動として、当機構の職業リハビリテーションの取組について積極的な取材協力や情報提供を行いまして多くの報道がなされたところです。
66頁、定期刊行誌「働く広場」の発行についてです。目標どおり、月5万4,000部を発行したところですが、これらは主に障害者雇用促進に向けた啓発が不可欠な、雇用率未達成事業所等に配布しています。さらに、それ以外にも読者層を拡大するため、当機構ホームページで公表し、ダウンロードできるようにしているほか、書店での試行販売先の拡大、機構が開催する各種行事や講習あるいは会議の場において、チラシ、見本の冊子を用いた周知活動を行いました。内容面ですが、いちばん下にあるように、学識経験者、企業の人事労務担当者の方からなる編集委員会の意見を踏まえて、特集として東日本大震災により被災した障害者や事業主が復興に向けて力強く取り組んでいる姿を掲載しました。また、タイムリーな話題を取り上げるコーナー「NOTE」では、職域拡大が求められている「視覚障害者」の事務職種、あるいは企業内ヘルスキーパーといった新しい職種での雇用事例を取り上げて、誌面の充実を図ったところです。その結果、読者アンケートでは、「個々が抱える障害に合った働き方が参考になる」というご意見など、91.6%の方から「非常に参考になる」、「参考になる」という高い評価をいただきました。
さらに、右側の囲みですが、内閣府主催の「障害者週間連続セミナー」に参画して「働く広場公開座談会」と銘打って、精神障害者の雇用をテーマに労使、行政、医療、職リハに携わる方々をお招きしてのパネルディスカッションを開催しました。当日は企業や支援機関等から多くの聴講者にも討議にご参加いただいて、熱い議論が行われました。その結果、入場者のアンケートでも96.6%から、「大変参考になった」、「参考になった」との評価をいただきました。以上が評価シート11で、自己評価は「A」です。
評価シート12、68頁「アビリンピックの開催」です。アビリンピックについては、職業技能競技を通じて障害者の職業能力の向上と啓発を目的として実施していますが、先ほど申し上げたように平成23年度は4年に1回の国際アビリンピックの開催年に当たっていまして、国内の全国大会は開催されていません。第8回の国際大会は昨年9月に韓国ソウル市で開催されました。52の国と地域から1,533人が参加したところですが、我が国からは16種目に参加する31人の選手団を派遣しました。今回の派遣に当たっては、初めての試みとして事前に6カ月間にわたる強化指導を実施しました。そこでは選手一人ひとりの強化指導計画を作成して、特に英文で書かれた課題や英語環境の機材にも対応できるように、徹底した支援を行いました。
また、右側にありますが、今回の参加選手では障害が多様であったこと、また、車椅子利用者等の重度障害者が多かったということを踏まえて、選手の安全・健康面への配慮、海外での慣れない環境の中で万全のコンディションでの技能競技に臨むための準備、選手への考えうる限りのさまざまな支援を実施して、選手とサポーターが一体となって大会に臨んだところです。また、専門家による競技直前までの強化指導、それから携帯電話の配付等による選手団相互の綿密な連絡体制の確保に努めました。その結果が左下です。海外開催大会では、過去最高となる金メダル2人を含む計18人が入賞という大変大きな成果を納めることができました。
69頁、この国際アビリンピックの参加選手の声とマスコミの反響についてです。参加選手から具体的には、「さまざまな国の人たちと交流でき、良い経験になった」。あるいは、「職業能力の向上の次の目標が見えた」、「大会で学んだことを後輩たちに伝えていきたい」といった大変前向きな多くの声が寄せられました。また、マスコミによって入賞者の情報等が全国に紹介されて、広く人々の関心と理解を深めることができたと思っています。左下です。選手の活躍等を記録したDVDを作成して、障害者ワークフェアでの上映、ホームページでの公開を通じて、啓発活動に役立てたところです。
右側半分は国内の地方アビリンピックについてですが、全国大会実施種目に沿った競技種目への見直しを行うとともに、地元自治体等の協力も広く得て参加を呼び掛けた結果、全47都道府県での開催が行われて、競技参加選手数は2,547人、競技実施種目数は延べ334種目、全国大会実施種目はそのうち91.9%、さらに総来場者数は4万4,000人を超えるなど、いずれも過去最高となりました。以上が評価シート12で、自己評価は「S」とさせていただいています。以上がグループ3についてのご説明です。よろしくお願いします。

○今村部会長
委員の皆さまは評価シートへの評定の記入をお願いします。質問等ありましたら適宜ご発言ください。

○本寺委員
評価シート9の収納率99.87%から99.91%。これはすごい数字なのだろうなと思いつつ、これがどのぐらいすごいのか、対比と言うと変ですが、例えば地方で自動車税の徴収率だとか、あれと比べてこっちのほうがすごいんだというベンチマークがあれば教えてください。要は税金の未納に比べても、これはしっかりとまき取っていますっていうベンチマーク情報があれば。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
すみません。手元に詳細なデータはございませんが、例えば、同じように義務化されてる社会保険料の徴収率、国税の徴収率、それは明らかに9割には届いていないわけです。そういう中で99.9%台の後半というのも、ほぼ100%に近いということで、ほかに強制的な支払い義務がある制度の中では間違いなく最高の水準だと考えています。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構納付金部長
国の医薬品関係の拠出金で、安全等対策拠出金というものがあるのですが、実はこれが比較的新しく創設された制度です。新たに納付金制度の対象となる200人を超え300人以下の事業所に係る収納率の目標値を設定する際に、ある程度参考にしたのですが、これが初年度は93.4%で、3年度目に98.3%まで上がっています。
また、納付金制度でも、これは昭和51年からある制度ですが、初年度は99.34%、その後は99.8%とか、90%台後半まで上がっています。
このように、新たに対象となった事業主に係る収納率についても初年度は低い数値を覚悟せざるを得ないと考えていたところですが、結果的には、他の同様の制度、あるいはこの納付金制度の創設時と比較しても、非常に高い数値となったと考えています。

○今村部会長
いかがでしょうか、よろしいですか。次はグループ4「職業能力開発事業」の項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明35分、委員の評定と質疑は10分の合計45分となっております。それでは法人から説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
グループ4「職業能力開発事業」についてです。まず、評価シート13「離職者訓練」についてです。72頁、離職者訓練につきましては、全国のポリテクセンター等におきまして、離職者の早期再就職を図るための施設内訓練を実施しております。訓練終了3カ月後の就職率80%以上という数値目標が課されています。結果としましては右上の囲み及び折れ線グラフも示していますが、平成24年1月までに修了いたしましたコースの4月末時点の就職率は、84.6%と目標を大きく上回りまして、過去最高を記録しました。
また、東日本大震災や円高の影響等による厳しい雇用情勢の中で、このように目標を大幅に上回る就職実績が上げられた理由ですが、あとで出てまいります地域の人材ニーズを踏まえた効果的な訓練を実施したということと併せまして、73頁、機構内で高い就職率を達成しています指導員の就職支援に係る行動特性やノウハウを集約化した就職支援行動ガイドや、就職支援マップを活用いたしまして、訓練の開始時点から段階的にきめ細かい面接指導を行いました。また、採用意欲のある求人企業の開拓を行い、さらには訓練生の採用面接等に指導員も同行して訓練内容を説明するなど、組織を挙げて徹底した就職支援に努めたことが挙げられるのではないかと思っております。また、いちばん下にありますが、機構が持つこうした就職支援のノウハウにつきましては、都道府県や民間教育訓練機関にも積極的に提供いたしました。
74頁、訓練の内容と質についてです。上の段にありますように、都道府県ごとに学識経験者や労使の代表、労働局あるいは都道府県行政の担当者等を構成員とします会議で協議、あるいは情報共有を通じまして、地域の人材ニーズを踏まえた、真に必要とされている訓練のコースを設定しますとともに、それらについては都道府県や民間が実施する訓練と競合関係にないかという点もチェックしていただいています。これによりまして、例えば左下に掲げる訓練コースのように、主にものづくり分野で、当該地域において民間では実施できないものに限定して実施する体制を確立いたしました。
その結果です。右下の棒グラフにありますように、施設内訓練では、実際にそのほとんどが民間では実施していないものづくり分野の訓練コースに重点特化して実施しました。なお、わずかながら非ものづくり系の訓練を実施していますが、こちらのほうは着実に減少していますとともに、内容的には地域ニーズがありながら訓練の提供が十分でない地域におきまして、地元の自治体からのどうしてもというご要請があって実施したものです。内容的には、主にビジネス系の訓練科目を実施したものです。以上が評価シート13でして、自己評価は「S」です。
次に評価シート14「高度技能者養成訓練」です。76頁、ポリテクカレッジにおいて行っています高度な技能・技術を持った若年人材の育成に向けた取組です。訓練終了後、1カ月時点での就職率が95%以上という大変高い数字目標が課されています。そこでこの訓練では、全体の65%の時間を実技・実習に充てる実学融合の質の高い訓練を実施しますとともに、4年間、あるいは2年間の全課程におきまして、その第1年次からきめ細かいキャリア・コンサルティング、それからインターンシップ、ジョブカードを活用した個別の就職支援を行いますとともに、求人確保にも強力に取り組んだところです。その結果、右側の上にありますように、平成23年度の修了生の就職率は東日本大震災や円高の影響等による厳しい雇用情勢の中にありまして、目標を大きく上回る98.1%に達しました。
77頁、ポリテクカレッジにおきましては、中期目標で掲げられていますように、ものづくり力を活かして、関係機関と連携し、地域に開かれた施設運営を行うことにも努めています。具体的には上段の青い囲み、中小企業の生産ラインの改善、製品の試作など、技術的支援を共同研究、あるいは受託研究という形で実施しています。こうした取組は企業現場の生きた課題として実習に反映できるとともに、指導員の実践的なノウハウの蓄積にも役立つものと考えております。
実績としましては、上段右側にありますように、共同研究と受託研究の合計で89件と、前年度実績の77件を約16%上回る結果となっています。ご参考までにそこでは北陸能開大の共同研究と、青森短大の受託研究の事例をご紹介しています。
78頁、同様にポリテクカレッジの資源を地域社会に開放する取組についてです。具体的には上段にありますように、若年者に対する実践的な技術教育を充実させるため、工業高校や高等専門学校、大学等と連携した教育訓練の実施や、研究発表会等での情報の提供、あるいは指導員の派遣、カリキュラムの作成支援というように、平成23年度は218件実施しました。
中段にありますが、ここではご参考までに地域の中小企業に対して、人材育成や技術支援面から協力をした滋賀短大と北陸能開大の事例を紹介しています。下の段はものづくり体験教室についてです。地域におけるものづくりの啓発と小中学生といった若い人にものづくりに興味をもってもらうことを通して、将来のものづくり人材の育成を図るべく、各施設におきまして地域の関係機関と連携して実施しました。題材もNC旋盤を使ったアルミニウム製のこまの製作など工夫をこらした結果、全国における参加者数は前年度比10%増の3万3,000人余りとなりました。以上が評価シート14で、自己評価は同じく「S」です。
評価シート15、「在職者訓練及び事業主等との連携・支援」です。81頁、まず在職者訓練についてですが、これはポリテクセンター等で中小企業の労働者等を対象に、2日から5日程度の訓練を実施するものです。上段の青い囲み2つにそれぞれ分けて書いています。訓練受講者と受講者を送り出した事業主の双方から、訓練に対する満足度80%以上を得るという数値目標が課されています。このため在職者訓練におきましては、訓練受講者とその所属先事業主に対して、訓練実施ごとにアンケート調査を行いまして、満足度のみならず不満やご要望もお聞きし、訓練の改善につなげています。その積み重ねによりまして、平成23年度においては、訓練受講者とその所属先事業主の満足度がそれぞれ98.7%、97.6%というように前年度を上回る高い評価が得られました。なお、アンケート分析による訓練内容の改善に当たりましては、中段下にありますように、「訓練カルテ方式」というツールを活用しまして、常にPDCAサイクルによる検証を行い、在職者訓練の質の向上に取り組みました。ここではアナログ回路の設計等のコースにおける改善事例を参考までに記載しております。
82頁、在職者訓練に関して、中期目標では中小企業等を主な対象として、ものづくり分野を中心に、真に高度な訓練を実施することが求められています。この点につきまして、中段左側、在職者訓練の希望者数の63.4%が中小企業在職者となっています。その右側の棒グラフが示していますように、ものづくり分野の割合が100%となっています。また、訓練の質的側面ですが、上段にありますように、外部専門委員により審議・決定し、ホームページにも公表しています設定基準を用いて、中程右側の4段階のレベルのうち、(レベル3)と(複合・統合)という最上位の2つのレベルの訓練コースについてのみ実施しました。さらに訓練効果の把握と訓練内容の改善についてですが、左下の青い囲みです。受講者が習得した能力について、受講者とその所属先事業主にアンケートを行いまして、訓練受講後の職場での適応状況であるとか、ご意見・ご要望といった結果を得まして、それを分析・評価し、訓練コースのさらなる改善につなげています。
いちばん下の受講者の費用負担についてです。受講者の多くが中小企業の従業員であることをはじめ、厳しい経済情勢や、あるいは民間企業における教育訓練コースとの実情を踏まえて、適切な費用負担を求めました。
83頁、在職者訓練とは別に、事業主等が自らの従業員に対して、効果的に職業訓練を実施できるよう、機構が行う連携・支援についてです。具体的には職業訓練指導員の派遣であるとか、職業能力開発施設、あるいは設備の貸与・事業主等の人材育成計画の作成支援といった内容です。これらを積極的に実施しました。実績は左上の青い囲みと右側の緑の棒グラフに示しています。平成23年度は支援を受けた延べ人数は31万4,000人と、前年度比で1万6,000人ほど減少となっていますが、仮に東日本大震災の影響がなかったということであれば、前年度を上回る実績が上がっていたのではないかと考えている次第です。また、支援を受けた事業主団体からは、知識・技能やモチベーションを高める上で、大変役立ったという高い評価をいただきました。
いちばん下ですが、この事業主支援についても、在職者訓練と同じように、職業訓練指導員の派遣や、施設・設備の貸与等に係る電気代などの、実費相当額の費用負担を求めました。以上が評価シート15でして、自己評価は「A」です。
評価シート16、職業能力開発総合大学校、いわゆる総合大における「指導員養成、訓練コースの開発等」についてです。86頁、まず総合大における指導員養成についてですが、新たに指導員を目指す若い方々を対象に、産業構造の変化等に対応できる幅広い能力を習得できるように努めました。具体的には左中程の指導員養成カリキュラムにありますように、全体の約7割を占めるものづくり関係のほか、訓練指導関係、就職支援のためのキャリア・コンサルティングやコース・コーディネート関係といった、広範な内容について、国立大学工学部の約2倍の時間をかけて徹底して教育しました。その結果、右上にありますように、卒業生の就職率は98.3%と高水準を維持し、また、職業訓練指導員としての就職実績も向上しています。
87頁、総合大では機構のほか都道府県や認定訓練校、それから民間における現役の指導員を対象に、その専門性の拡大・レベルアップ、さらに新しい職種を担当するための研修を実施しています。平成23年度の受講者数は2,392人で前年度に比べ33%増加しました。これは下の棒グラフにありますように、都道府県の指導員が受講しやすいように現地に出向いて実施する、いわゆる「出前型訓練」に積極的に取り組んだ成果と考えています。左下の囲みですが、指導員が新たな職種の訓練指導員免許を追加的に習得する専門課程や、あるいはポリテクカレッジの応用課程に携わる指導員に必要となる高度な知識や技能等を付与する応用研究課程も実施しました。
88頁、職業訓練に関する調査・研究についてです。総合大では、訓練現場で必要となる訓練コース、あるいは職業訓練技法の開発など、職業訓練を効果・効率的に行うための調査研究について、平成23年度においては、厚生労働省からの要請があった内容のほか、都道府県や民間教育訓練機関等のニーズを踏まえて、具体的には左側の黄色い囲みにありますテーマについて実施しました。これらの成果物については、機構の訓練現場で活用することはもとより、ホームページへの掲載や、報告書の配布等を通じて、広く提供させていただきました。なお、ホームページのアクセス件数が前年度比でやや減少しているように見えますが、これはカリキュラムをこれまでの科目ごとに一つひとつダウンロードするのではなく、分野ごとに一括してダウンロードできるようにしたことによる成果というように考えております。一方、報告書の配布件数については、引き続き大幅に増加しました。なお、左下にありますように、平成21年12月の新成長戦略に基づきまして、環境・エネルギー分野のイノベーションに対応できる人材の育成を図ろうということで、職業能力開発大学校等において、平成24年4月から開設します「電気エネルギー制御科」に向けまして、標準カリキュラム45科目の作成を行いました。
89頁、人づくりを通じた国際連携・協力です。機構では職業能力開発分野における政府間技術協力事業に関して、厚生労働省やJICA、国際協力機構からの依頼を受けまして、当機構の有する職業訓練のノウハウを活用して開発途上国への支援を行いました。具体的には左上の囲みですが、開発途上国の職業訓練分野の中核を担う人材を対象にした短期研修では64カ国、計168人の研修員を受け入れました。また、総合大での職業訓練を指導する人材の育成・養成におきましては、国費留学生として平成23年度新たに14名を受け入れまして、在校生総数は61名となりました。さらに下の段の4つの囲みですが、JICAの実施する技術協力プロジェクトの一環として、機構の職員を開発途上国4カ国、計5名派遣しました。以上が評価シート16でして、自己評価は「A」です。
評価シート17です。「効果的な職業訓練の実施、公共職業能力開発施設等」です。92頁、こちらは地域のニーズを踏まえた効果的・効率的な訓練の実施を行う上で不可欠な関係機関との連携についてです。上段の青い囲みです。機構の本部には運営協議会を、また、47都道府県すべてにおいて、地方運営協議会を設置しまして、十分な連携を図りました。中段以下は地域における関係機関との連携の1つの成果としまして、震災復興訓練について例示しておりますが、先ほど評価シート2において説明しておりますので、説明は割愛させていただきます。
93頁、企業のニーズに応えた訓練コースの設定に向けた努力ですが、中段上の緑の帯以下、機構は技術革新等に対応し、職業訓練のサービスの質を向上するために、恒常的な見直しを行う訓練マネジメントシステムを運用しています。具体的には訓練の質保証の取組を明文化した「機構版教育訓練ガイドライン」を定めまして、PDCAサイクルによりまして、品質管理を徹底しています。また、国際規格でもあるISO29990の策定に当たりましても、我が国唯一の品質保証システムとして紹介され、その発行にも貢献しました。この品質管理の流れにつきましては、訓練ニーズの把握、カリキュラムコースの設定を行うプランにおいて、指導員など職員が全国の3,000近い事業所等を訪問し、企業が求める人材像についてヒアリング調査を行いました。また、事業所が行う職務分析結果を活用しながら、コース設定を行っています。さらにチェックでは効果の評価と問題点の把握を行っています。職業訓練サービスのモニタリングとしましては、訓練中及び訓練後の受講者の職業能力習得状況などを確認しまして、さらに事業主が求める人材とのマッチングも確認しております。特に、訓練による習得度の測定としましては、資料ではTIG溶接における32面体容器の作成を例示していますが、このように訓練コースにおいて異なる習得度の測定の課題を設定していますほか、評価シート15でも説明させていただきましたが、「訓練カルテ方式」によりまして、職業訓練サービスの分析評価を行い、その結果に基づいて改善・見直し等といったアクトを実施しています。
94頁、離職者訓練及び在職者訓練に係る訓練コースの設定と見直しについてです。訓練コースの設定や訓練内容の変更に当たりましては、機構が策定した訓練計画案について、外部の有識者からなる訓練計画専門部会において審査を受けています。平成23年度における見直しの結果は、平成24年度の訓練実施に反映されますが、その状況を右下の表にまとめております。離職者訓練と在職者訓練ともに、約3割のコースについて見直しを行いまして、こうした成果については年度末にホームページでも公表しました。
95頁、職業能力開発促進センター等の都道府県移管と総合大改革についてです。まず、上段のグレイの囲みにあります職業能力開発促進センター等の都道府県移管についてですが、これは厚生労働省が都道府県と交渉をすることとなっておりますが、私ども機構の役割としましては、譲渡対象施設の評価額等の基礎数値を資料に取りまとめて厚生労働省に提供をしました。
その下は職業能力開発総合大学校の改革についてです。まず東京校への集約化の準備です。平成22年12月の閣議決定を踏まえて、平成24年度末までにすべての機能を小平市にある東京校に集約しますとともに、相模原校のすべての敷地については、平成25年度以降に売却することとされております。このため、平成22年12月に「職業大改革プロジェクト推進会議」を本部に設置しまして、重要事項の進捗管理を行いましたほか、平成23年11月には総合大に移転準備室を設置して、そのための準備を進めています。
その下は総合大における訓練内容の見直しについてです。中段左のハイレベル訓練については、最先端の技能・技術や訓練技法など、訓練指導員に必要な能力を付与するための訓練としまして、平成26年度から実施できるよう必要な準備を進めています。その右側のスキルアップ訓練については、全国の現役指導員等を対象に、専門分野の不断のスキルアップを図るための訓練として、平成24年度から実施できるよう準備を進めました。
いちばん右側の総合課程ですが、生産技術・生産管理部門のリーダー、あるいは将来的に質の高い職業訓練指導員となり得る人材を育成するための訓練として、平成24年度の開始に向け、準備を進めました。また、学位授与機構に学位の申請をしまして、学士、これは生産技術ということですが、その学士号を取得できるように努めました。
いちばん下のセグメント情報の整備・活用についてです。平成23年度は施設ごとに訓練の種類をセグメント単位として、決算報告書の支出額のほか、各施設の業務実績等を用いて、訓練等に要した経費はもとより、訓練生一人当たりの経費を算出して、ポリテクセンター等の各都道府県への譲渡に関する基礎数値の作成に活用しました。以上が評価シート17で、自己評価は「A」です。
評価シート18、求職者支援制度に係る業務です。97頁です。この求職者支援制度については、冒頭の囲みにありますように、平成23年5月に成立した法律に基づきまして、平成23年の10月から開始された新しい制度です。内容的には雇用保険の受給資格を有しない、いわゆる特定求職者の就職の促進に資する職業訓練等を実施するものです。当機構の役割としましては、右側の囲みに4つの○で記載しました制度の周知広報・説明会の開催等々とされていまして、これを積極的に実施しました。このうち職業訓練の認定については中段左にありますように、特定求職者の就職に資する効果的な訓練内容となっているかという点を重視して審査を進めました。
平成24年3月末現在の実績としては、全体で9,751コース、定員にして20万9,000人分余りの訓練計画について審査を行いまして、右側にありますように、このうち5,745コース、定員規模12万人分余りについて認定を行いました。
これに伴いまして審査コースの残り4割の部分に当たる約4,000コース、定員規模8万7,000人分余りについては不認可としました。その主な理由ですが、この帯グラフにあるように、そもそも認定基準に達していないものが約1割ありましたほか、残り9割については、新規参入枠、あるいは訓練分野、実施地域、訓練の開催時期等によって、細かく設定されています認定上限値を超える申請があったことによるものです。こうした状況につきましては、厚生労働省に報告し、今後の対応を協議した結果、平成24年度は実践コースの新規参入枠について、これまでの5%以上10%以内とされていました認定上限値が5%以上20%以下と拡大されました。
98頁、求職者支援訓練の実施機関に対する巡回指導についてです。平成23年度は年度内に訓練が開始されました3,422コースについて、延べ8,816件にわたる巡回指導を実施しまして、認定申請に基づく適切な訓練実施ができているかという確認や、訓練ノウハウの提供などといった助言・指導を積極的に実施しました。具体的には訓練の認定後、開始に至るまでの間に、機構のホームページや事前説明会を活用して、面接における質問項目であるとか、訓練日誌の記載方法、退校者が出たときの処分の判断の仕方等につきまして、関係情報の提供や助言を行いました。また、訓練期間中においては、すべての訓練実施施設に対して、出欠確認など適切に訓練が実施されているかどうかといったチェックを行いまして、必要な指導等を実施、この新制度である求職者支援訓練が適切に実施されるように努めました。以上が評価シート18で、自己評価は「A」です。以上でグループ4についてのご説明を終わります。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
ありがとうございました。委員の皆さまは評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。質問等がありましたら適宜ご発言ください。

○高田委員
求職者支援制度に関係する職業訓練の認定ということですが、巡回指導をされているというのが98頁に出ているのですが、このアンケートを受講者にされていて、問題としては5%弱しか指摘がないということですが、どのような内容の問題点が多くこの中では出ているのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
これにつきましては、教育実施機関の方には席を外していただく中で、受講生に直接アンケートをしているわけなのですが、多いのが教え方といいますか、「板書の字が見えない」とか、「声が小さい」とか、中には設備もありますが、そういった訓練を受けていく上での不満といいますか、改善を願いたいという点が多く出てきております。

○今村部会長
ありがとうございました。この部分はかなり重要なのでこれまで時間をかけてやってきたところですので、いろいろ質問があるかと思います。

○中野委員
公共職業能力開発施設の全体についてなのですが、ここは要するにものづくり文化といいますか、日本の、その技術等を継承するための支えであるというように理解してよろしいのでしょうか。非常に経済状況とか国の雇用政策とか、経済動向の中で揺れ動く領域かなと思ったりする中、確固としてこうして領域を固めてこられた背景は、何が支えとなっているかという辺りですね。経済界がかなりバックアップ的に地方でもしていらっしゃるのか、それとも、やはり政策でしたからということなのか、それは今後の経済動向と非常にリンクしてくるのかなと思うのですが、それはどういうふうに理解していったらよろしいのでしょうか。

○職業能力開発局能力開発課長
今後のものづくりの継承ということを冒頭おっしゃられましたが、いまの日本の経済がいろいろ抱える意味としては、いろいろな意味合いがあると思うのですが、たぶんこの能力開発施設ということで見れば、やはりこれ日々発生する求職者・離職者に対する対応ということであり、まずはそこの求職者から見て欠けているというか足りない能力を、特にものづくりという分野で向上していただく、そして就職していただく、まずそこに意味がたぶんあるのだろうと思うのです。ただ、そうやって訓練を実施していく結果として、そこで訓練を受けた者が就職して、中小企業等でまた活躍していただくということは、基本的には比較的若い人が多いとは思うのですが、それはやはり、そのままだと抜け落ちていってしまうような企業の労働力を一面補う、という意味では中小企業等に有意に担われているものづくりの継承みたいなことが果たされる。ただ、ものづくりの継承ということで言えば産業の、あるいは国際競争力を有するものづくりということで言えば、例えば経済産業省も商工会議所とか、商工会とかいう経済団体のほうも、いろいろ経営指導というか、経営の人材といった観点で中小企業庁も取り組んできているということもあって、そういったようないろいろなところの取組がマッチして、ものづくりの継承という意味では、それなりにいろいろな主体によって担われていくのかなというふうに認識はしているところです。

○中野委員
そうしますと、経済産業省とのリンクというのですか、機構と、そのリンクというのはかなり地方レベルでは大きいように思ったのですが、リンクを張るということはないのですか。ここだけで集中してやっているのですか。

○職業能力開発局能力開発課長
やはり労働省系列でやっている訓練事業は訓練事業なのだと思いますし、経産省系列の経済団体の活動というのは、それはそうなのだと思うのですが、やはり共通する点というのは、ユーザーとしての事業主さんは1人しかおりませんので、やはり、それを集めていただくというのは、あまり個々ばらばらに集めるというのは、また非効率的なものもあって、意識的に経産省サイドに、機構の各センターが向かっていくというわけではないのだと思うのですが、やはり必要に応じて、地域で連携してやっていっているという、本当にいま事業主が何を求めているかというところから発想して、連携していくという態度というか、そのような形でやっていくのではないかなというふうには考えています。我々は厚生労働省という中央省庁レベルでは、やはりそれはそれなりのレベルが対応して、産業政策、労働政策を、効果的な連携はどうやってやるべきかというのは、いつも常に話し合ってはいるのですが、やはりもう少し政策の企画の中の、企画実施という実施のレベルでは、やはりそのようなアプローチで取り組んでいっているのではないかなというふうに理解しています。

○中野委員
そうすると機構さんとしては、いちばんその鬩ぎ合いの中で、ご自分たちの方向性をどう見極めるか、大変難しい立場におられると理解してよろしいのですか。

○職業能力開発局能力開発課長
そういうことです。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長代理
一つはいま課長がおっしゃったことと同じようなことになりますが、私どもは経済産業省とか経済産業省のブランチと直接連携しているということはあまりないですが、いちばん大事なのは、例えば商工会議所であったり商工会であったり、あるいは産業別の団体であったり、毎日現場でやっておられる事業主とどう結び付いていくかということについては、非常に密接にやっているというのが一つです。それから、どう違うかということで言いますと、経済産業省のいろいろなブランチでやっておられることというのは、例えば先端的な技術を開発していくというところについては、これは大変やっておられますけれども、いま現実に中小企業がやっておられるようなものづくりの、いわば手に職を付けていくところについては、圧倒的に我々がノウハウの面でも施設の面でも担っているということは、自信をもって言えるだろうと思います。

○今村部会長
少しだけこれは感想なのですが、例えば74頁の離職者訓練ですね、民間では実施ができないものに限定してとか、それが82頁では「民業補完に徹する観点から、ものづくり分野を中心に真に高度なもの」のみに限定して、だから、自分で手足を縛られるということにされるので、全体像は一体どうなっているのかなと、逆にいまのような質問が出てくると思いますが、そういうプレゼンの仕方は工夫されたほうがいいのではないかなという感じはするので、少しご検討いただければなと思います。
進行管理を厳しくしてまいりましたけれども、特に何かなければ、また後で出していただければと思います。次、最後のところに進ませていただきたいと思います。
次はグループ5で、予算、人事等の項目についてでございます。所用時間は法人からの説明5分、委員の評定と質疑5分の合計10分となっています。それでは法人から説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
予算、人事等についてでございます。まず評価シート19の「予算等」ですが、102頁です。こちらのグラフは評価シート1で業務運営の効率化でもご説明したところですが、一般管理費、業務経費ともに目標を大きく上回る水準での予算の節減を図りましたほか、さらに予算の執行段階におきましても、自主的な取組におきまして、相当額の節減を図ったという説明をさせていただきました。
103頁、左上の運営費交付金の推移ですが、地方業務の委託方式廃止等に伴う業務の効率化や業務運営体制の合理化等によりまして、予算額の節減を図るとともに、その執行段階においても職員の諸手当の見直しによります人件費の節減や、あるいは地域障害者職業センターの賃借料の引き下げ、それからさらに一般競争入札や複数年度契約の積極的実施による経費の節減等に努めて、国庫負担軽減に寄与したところです。
右側、平成23年度における競争性のない随意契約の件数は164件、金額にして17.8億円、下の小さい表にこの金額があります。平成23年10月に雇用・能力開発機構の業務が移管されたことによりまして、高齢・障害者雇用支援機構ベースで記載された平成22年度の81件、9.4億円からは件数、金額ともに大幅に増加した形になっていますが、契約全体に占める競争性のない随意契約の割合については、件数で27.8%から14.8%に、金額ベースでも19.6%から16.9%へと、いずれも減少するなど、競争性のある契約への移行を着実に進めたところです。
さらにこの右下の表の下から2段目にあります平成23年度における一者応札あるいは一者応募となった契約件数と金額ですが、それぞれ271件、16.7億円というように、平成22年度の129件、28.8億円から金額ベースで大幅に減少し、また、件数ベースでは増加していますものの、一般競争入札等に対する一者応札等の割合は61.4%から28.8%と減少していまして、一者応札等の改善が着実に進展していると考えております。
104頁、雇用促進住宅の管理・運営についてです。雇用促進住宅は遅くとも平成33年度末までにすべての譲渡・廃止を完了することとされていますが、必要と認められる間は解雇等に伴い住居を喪失した求職者や震災による被災者の方々の支援策として、廃止決定した住宅も含めて、最大限有効活用することが求められています。譲渡の進捗状況ですが、厚生労働省から平成25年3月までは入居者の退居促進の取組を実施しないように求められている中にありまして、平成23年度は入居者付きで地方公共団体へ譲渡に向けた努力をした結果、22住宅を地方公共団体に譲渡し、また、その他の13住宅については退居を完了し空き家になりました。その結果、年度末時点での住宅数は1,310住宅となっています。
左下にあります管理運営に係る委託業務ですが、最低価落札方式によります一般競争入札を実施するなど、合理的な運営に努めました。
105頁は、雇用促進住宅の活用状況ですが、いわゆるリーマンショック後の解雇等により、住宅を喪失した求職者を対象に、緊急一時入居を進めています。平成24年3月末時点での入居戸数は4,088戸となっています。右側は東日本大震災等による被災者等への一時貸与ですが、同時点で5,034戸となっていまして、うち、岩手・宮城・福島に約5割が入居していらっしゃるということです。
いちばん下です。利益剰余金については、雇用・能力開発機構の平成23事業年度の決算後に剰余金約634億円ありましたうち、必要経費である約278億円を差し引いた約356億円について国庫納付しました。以上が評価シート19で、自己評価は「A」です。
最後に評価シート20です。「人事・人員等」です。108頁、まず人件費削減への取組ですが、当機構としては、左上の枠内にありますように、数次にわたる給与制度改革を着実に進めた結果、平成18年度から6年間で6%節減するとの目標に対して、右上の囲みでありますが、平成23年度で22.7%の節減を果たしています。ラスパイレス指数の年齢勘案の数値ではありますが、107.6となっていまして、これは大卒以上の職員の占める割合が高いこと、全国異動が多く、住居手当を支給される者の割合が非常に高いことを背景としたものです。平成24年度については、年齢勘案で103ポイント程度にすることを目標に、昇給号俸数の抑制等の措置を講じたところです。
左下の効率的な人員配置ですが、地方業務の直接実施に伴う業務の運営管理体制、それから先ほどもご紹介しましたが、地域センターにおける発達障害者に対する専門的支援の本格的実施に向けた体制の強化、それから震災復興訓練などの被災地支援等で大幅に業務量が増加する中で、機動的な人員配置等により、利用者ニーズに的確に対応するように努めました。
このように業務量の増加が続きまして、組織の効率化も求められる中で提供するサービスの質と量を維持するためには、まず優秀な人材の確保、それから職員一人ひとりの能力の開発、モチベーションの向上が不可欠です。このため、右下の枠にありますとおり、人材の確保では面接重視で、真に優秀な人材の採用に努めました。また、職員の専門性と意識の向上を図るべく、人事評価制度に係る評価者の研修を実施しましたほか、雇用・能力開発機構から移管された業務に適切に対応するため、研修体系を整理し、研修の充実を図ったところです。
109頁、「モチベーションの維持・向上のための取組」です。左の利用者の視点に立ったサービスの向上として、経営トップである理事長があらゆる場を活用しまして、機構のミッションの浸透、利用者本意のサービスの提供の徹底を図りますとともに、全国の施設に直接出向いて、意見交換・指導を実施しました。また、モニター制度や「ご意見箱」等の設置等によりまして、利用者からのご意見・ご要望を積極的に募りまして、業務に反映させました。内部統制の向上については、評価シート2で説明したので割愛させていただきます。
最後に右側ですが、職員全員の参加の職場活性化の取組です。職場単位の職員による自発的な改善運動であるEサービス運動を推進しました。利用者へのサービスの向上、個人情報保護などをテーマに、全国で73件の報告がありました。そのうちの優れた取組11件を表彰しまして、全国会議で事例発表を行いますとともに、機構内LANを通じて、全役職員に周知し活用できるようにいたしました。以上が評価シート20で、自己評価は「A」です。これでグループ5の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○今村部会長
ありがとうございました。委員の皆さま評価シートに評定等の記入をお願いいたします。質問等がありましたら適宜ご発言ください。特にございませんか。よろしいですか。それでは以上ですべての項目の評価が終わりました。事務局からこの後の取り扱いについて説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
本日お配りしている資料の送付をご希望される場合につきましては、部会終了後に事務局に申し出ていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。また、評価の記入が終わっていない委員の方は、本部会終了後、こちらの会場でお残りになって記入いただくことが可能です。若しくは評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能です。また、先日送らせていただいております評定記入用紙の電子媒体にご記入いただいて、ご回答いただいていただくこともできますのでよろしくお願いします。なお、お持ち帰りになる場合につきましては、7月31日(火)までに事務局までに評定記入用紙をご提出いただくか、部会出席の際に事務局にお渡しいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。

○今村部会長
最後の議題でございます。役員給与規程の変更についてです、まず事務局から説明をお願いし、続いて法人から説明をいたしてください。

○政策評価官室長補佐
高齢・障害・求職者雇用支援機構の理事長から、厚生労働大臣に対しまして、役員給与規程の変更について届出がございました。独立行政法人通則法第53条第1項におきまして、「(厚生労働大臣は、)届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知する」こととされております。また、同条第2項におきまして、「評価委員会は、その通知に係る報酬等の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、意見を申し出ることができる」こととされております。つきましては、この度の役員給与規程の変更が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、ご意見をお伺いしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

○今村部会長
それでは法人より変更の内容の説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
役員の給与規程の改正についてご説明申し上げます。資料2-1に新旧対照表がありますのでご参照いただければと存じます。私どもの役員の給与水準については、これまで国家公務員の給与水準の改定を踏まえて、必要な改正などを行ってきています。今回につきましても、平成23年度の人事院勧告に基づく国家公務員の給与改定及び臨時特例に関する法律の施行を踏まえまして、2点の改正を行っております。
1点目は本俸月額の引き下げです。左が改正後ですが、第4条で常勤役員の本俸月額を規定していますが、人事院勧告を踏まえ、指定職の俸給表が月例給で-0.5となっておりますので、これと同等の引き下げを行っております。また、第10条の非常勤役員手当につきましても、常勤の役員と同様の考え方で引き下げを行っております。附則第3条は当分の間、この第4条の規定にかかわらず、低い額で本俸月額を支給することを規定しております。これも第4条と同様に引き下げを行っております。
2点目ですが、臨時特例に関する法律の施行を踏まえた改正です。資料2-2の役員給与規程に基づきご説明させていただきます。9頁の附則第2条、臨時特例措置につきましては、東日本大震災に対処する必要性などから、国家公務員の人件費を削減するために定められたものですが、これを踏まえた改正です。具体的には、平成24年5月1日から平成26年3月31日までの間、常勤役員の給与の支給に当たって9.77%に相当する額を減額することとしております。
続いて附則第3条、人事院勧告に基づきます本俸月額の引き下げは、本年の5月1日より施行しておりますので、第1号で、平成23年4月から平成24年4月までの月例給における較差相当分を、第2号で、平成23年6月期と12月期の賞与における較差相当分を、国家公務員の例に準じて、平成24年6月期の期末手当で減額することを規定しております。また、第3号で、国家公務員につきましては平成24年4月からこの当該支給減額措置が講じられていますので、平成24年4月分の減額相当分について、平成24年6月期の期末手当で減額する旨を規定しております。以上の改正につきましては、5月1日より施行しております。説明は以上でございます。

○今村部会長
ただいまの内容についてご質問等がありましたらお願いいたします。特にないでしょうか。それでは本部会といたしましては、この変更について意見なしということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

○今村部会長
それではそのようにさせていただきます。本日の議事は以上となります。次回の開催等について事務局から案内をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
次回の開催案内につきましては、既に連絡が行っていることと思いますが、次回は7月31日(火)の朝の9時30分から、場所は厚生労働省内の専用第18・19・20の会議室になっております。以上です。

○今村部会長
本日は以上とさせていただきます。長時間にわたりご熱心なご審議をありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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