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2012年7月23日 独立行政法人評価委員会労働部会(第74回)議事録

○日時

平成24年7月23日(月)8:56~12:49


○場所

専用第22会議室


○出席者

今村部会長、宮本部会長代理、川端委員、高田委員、本寺委員

○議事

(以下、議事録)

○今村部会長
 ただいまから「第74回厚生労働省独立行政法人評価委員会労働部会」を開催いたします。本日は松尾委員、加藤委員、中野委員、伊丹委員が欠席です。それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日は勤労者退職金共済機構の個別評価、それから労働政策研究・研修機構の個別評価、最後に両法人の役員給与規定の変更についてご審議いただきたいと思います。

○今村部会長
 それでは、勤労者退職金共済機構の個別評価に入ります。最初に額賀理事長から、ご挨拶と平成23年度における業務実績概要の説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構理事長
 おはようございます、理事長の額賀でございます。よろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料1-1をご覧になってください。表紙をめくっていただきますと、当機構の事業体系図が出ております。当機構は中小企業事業主の相互共済の仕組みと国の援助によりまして、手軽で、安全・確実な退職金制度を確立することを目的として運営されてまいりました。しかし、雇用・能力開発機構の解散に伴い、平成23年10月より財形業務の移管を受けました。下のポツですが、財形業務は国と事業主の援助、協力により、計画的な貯蓄、持家の取得など、勤労者の財産形成を促進する役割を担っております。
 退職金共済事業につきましては下の囲み、「将来にわたる確実な退職金給付」が課題となっております。中退共、林退共には累積欠損金がございましたが、平成23年度は中退共が316億円、林退共1億円の当期純利益を計上いたしまして、いずれも累損が減少いたしました。
 [2]ですが、退職金未請求者につきましても未請求率、これは退職2年経過後の率ですが、これを1.8%と縮減することができました。手帳更新者も着実に増加しております。
真ん中の枠、「退職金制度への着実な加入」について申し上げます。中小・零細企業にとりまして厳しい経営環境が続いておりますが、自治体、業界団体への働きかけ、あるいは説明会の開催等、効果的な加入促進対策の実施によりまして、平成23年度は加入目標を超える達成率、104.8%の実績を上げられました。
一方、移管を受けました財形持家融資制度ですが、「現状と課題」の[2]をご覧になっていただきたいと思います。財形勘定には累積欠損金がございましたが、平成23年度は当期利益を23億円計上いたしまして、平成24年度中に累積欠損金を解消できる見込みとなっております。
下の枠、「適切な業務運営のための組織・予算」です。[1]は経費節減です。一般管理費・退職金共済事業経費につきましては、平成23年度予算額に対して10.3%の削減、また人件費につきましては、基準となります平成17年度対比15.0%の削減を実現いたしました。
[2]は効率的な組織体制の構築についてです。平成24年度から資産運用業務を一元化することを決定し、それに向けて対応を進めました。また、清退共、林退共の業務運営の一体化につきましては、前倒しで役職員の削減に取り組み、昨年10月より役員1名、管理職員1名の削減を行いました。以下、割愛させていただきます。
次の頁の16「その他業務運営に関する事項」についてご説明いたします。退職金機構ビル及び同別館につきましては、平成23年3月11日の大震災により損傷を受けましたので、移転し土地を売却することが合理的であると考えまして、公募により移転先を池袋に決定し、平成24年5月の移転に向けまして準備を行いました。その後、予定どおり移転を進めまして、現在は新事務所にて執務をしておりますが、業務の安定的な運営・継続という面で格段の改善をみたと考えております。
最後に「退職金共済事業の概況」の下の表の数字について、被共済者の数字だけご説明いたします。被共済者というのは、退職金受給者ということです。その数が機構全体として、平成24年3月末で621万人になりました。前年度末が606万人でしたので、1年間で約15万人、率にして2.4%の増加となっております。
当機構は中小企業を中心とする621万人という、膨大な勤労者の方々の大切な退職金をお預かりしております組織です。間違いのない、安定した業務運営と財務内容の健全化に今後とも心がけてまいりたいと考えております。私からは以上です。

○今村部会長
ありがとうございました。続きまして評価の進め方ですが、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきます。まずグループ1、「効率的な業務実施体制の確立」から「業務運営の効率化に伴う経費節減」までの項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分となっております。それでは、法人から説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
勤労者退職金共済機構総務部長の清川です。私から、個別項目につきましてご説明させていただきます。
「評価項目1」と書かれているところから、ご説明させていただきたいと思っています。まず評価項目の1、第1として「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」ということで、1「効率的な業務実施体制の確立」です。「評価の視点」としては、資産運用業務及びシステム管理業務の一元化に向けた取組が行われているか、業務実施体制の効率化及び人員・経費の削減が図られているか等々が挙げられているところです。
下の頁にまいりまして、まず「効率的な業務実施体制の確立」です。まず中期計画、あるいは年度計画に定められております取組として、最初の○ですが、「資産運用業務の一元化に向けた取組」を実施したところです。なお、システム管理業務につきましては平成22年10月から一元化されておりまして、もう1つの課題でありました資産運用業務について、平成24年度から資産運用業務を一元化することを決定し、それに向け規程等の整備、業務実施方法の検討を行ったところです。計画どおり、本年度4月から資産運用業務を一元化しております。
なお、方法としては区分経理が定まっているため、中退、建退、清退、林退、それぞれの資産は別々に運用せざるを得ないわけですが、その運用を行う業務組織を一元化することにより、例えばこれまで別々に行っておりました金融情報サービスの調達ですとか、契約を一元化することができたということと、金融資産運用に関する知識・情報の共有化による運用体制の強化が図られたと考えております。
2つ目の○、「業務実施体制の効率化及び人員・経費の縮減」として、平成23年度末をもって適格退職年金からの移行業務が終了したため、担当組織である「適年移行課」を廃止したところです。これに伴い、7名の定員削減を行っております。
3つ目の○、「各種業務の電子化、機械処理化の推進に向けた取組」ということで、平成22年10月から最適化計画の第1フェーズが終了、オープン化したわけですが、それにより稼働した新システムの下で法令改正に伴うシステム調達業務、あるいは中退共電算システムにおける退職被共済者の住所情報のデータベース化のシステムの構築、手帳の一斉更新に伴うOCRシステム等の一部改修などを行っているところです。なお、システムがオープン化されましたので、これらの調達はすべて一般競争入札で行うことができております。
最後、4つ目の○です。「その他」として、本部事務所の移転を平成24年5月に計画し、電話応対業務の効率化を図るということをまず検討いたします。共済契約者あるいは被共済者など、顧客との直接の連絡が多くあります中退共においては、コールセンターシステムを新たに構築する。一方、支部ですとか関係省庁、業界団体など、特定の者からの電話が多い部署、総務部あるいは特退共部門においては、ダイアルインを導入することで、効果的な電話応対業務の構築を図ったところです。
次に下の括弧をご覧ください。青いところで「それ以外の取組」です。これは、中期計画等には定められていなかったものを新たに実施したものです。まず、規模がかなり小さくなっておりました清退共及び林退共の業務運営を一体化することを決めまして、まず前倒しして役職員の削減に取り組み、役員1名、管理職員1名、これは2つの部の部長を併任するという形にしたわけですが、管理職員1名の削減を10月1日付で行っております。また、本年度から両事業の業務を一体化することを決定し、それまで2つの部で行っていた業務を1つの部にまとめ、その部の業務も「業務課」「経理課」と機能別に編成し直しまして効率化を図り、規程等の整備、あるいは業務実施方法の検討を行ったところです。
2つ目の○として、独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴い、財産形成促進事業の移管を10月に行いました。これにつきまして規程等の整備、あるいは円滑な業務移管の実現を図るということとともに、新たに入りました財形部門を含め、機構の組織全体の一体的な運営に努めたところです。
最後に3つ目として、本部事務所の移転を機に事務所のレイアウトというものを徹底的に見直しまして、効率化を図り、事務所の面積を30%削減と、ずいぶん効率化したところです。また、理事長からもお話がありましたように耐震性の高いビルに入居することで、災害時における各種システムの安全性を高め、事業継続性の強化を図るということです。
このように、中期計画に定められていた大きな課題、あるいはそれ以外の取組も実施したということで、今期の自己評価として「S」とさせていただいているところです。
評価項目2をご覧ください。「中期計画の定期的な進行管理」ということで、「評価の視点」としては、業務の遂行状況を管理するための会議が適切に開催されているか、あるいはこれらの会議での進捗状況の把握により、一体的な業務運営を行い必要な措置を講じているか、ということが「評価の視点」とされているところです。
まず、「職員の意識の向上」として最初の○、独立行政法人評価委員会の評価結果、あるいは年度計画の進捗状況というものを職員一人一人に周知を行うことから意識の向上を図るとともに、とりわけ職員の人事評価を私どもは実施しておりますが、年度始めに各課室長が中期計画、年度計画などに基づいて、当該課の目標管理表というものを作成する。これに基づき、各職員が自分の業務に関する業績評価シート、目標、あるいはウェイト、達成目標などを作成し、年度の終わりにその業績評価シートによって達成度の評価を実施する。これらにつきましては、高評価の者については勤勉手当等への反映という措置をとっております。
このように職員の意識の向上を図ることと併せ、左側、「機構全体の進行管理」をご覧ください。業務推進委員会を四半期ごとに開催し、進捗状況を把握検証、あるいは業務運営の方針を指示する。また、理事会を毎月実施いたしまして、業務運営全般の遂行状況の把握、あるいは重要事項、運営方針の決定等を行っています。また、中期目標につきましては、雇用・能力開発機構の廃止に伴う財産形成促進事業の移管により、中期目標を変更しているところです。
右側につきましては「各本部の進行管理」ということです。私ども機構の大きな課題である加入促進を「加入促進対策委員会」ということで、中退共事業及び建退共事業で四半期に一度開催しております。例えば、中退共事業におきましては本年度、最終年であります適年移行の取組を徹底するために、期日までの申込み、移行漏れ等がないように受託機関と連携した対策を実施する。あるいは建退共事業ですと、未加入事業者に対するダイレクトメールによる加入勧奨の拡大等々、加入促進に対しての議論をしたところです。また、各本部内でも会議をしております。
ただ、これらにつきましては中期計画どおり進行したということで自己評価としては「B」としているところです。
3「内部統制の強化」です。「評価の視点」としては、職員の意識改革を図るための取組が着実に実施されているか、あるいは内部統制を強化するための取組が着実に実施されているか等が挙げられているところです。これは私どもがずっと取り組んでやっていることですが、PDCAサイクルの下に「計画策定」「実行」「チェック」、そして「改善」を行っているところです。なお、評価検証のチェックとして、先ほどご説明した私どもの内部で「業務推進委員会」を四半期ごとに開催することと併せ、外部の専門家で構成いたします「資産運用評価委員会」を年3回開催し、運用実績の評価を受け、評価結果を事後の資産運用に反映する。あるいは「契約監視委員会」を開催し、点検・見直しを実施する。また「監事監査」を四半期ごとに4回実施するというようなことを行い、これを改善に結びつけております。
下のところですが、「内部統制の強化に向けた新たな取組」ということです。私どもは平成21年度に「コンプライアンス推進委員会」を設置し、毎年開催しているところです。今年度はまず財形業務が移管したことに伴い、コンプライアンス基本方針の改正を行うとともに、財形業務につきましてはかなり多額の資金を調達し貸出を行っているというようなこともありますので、「財形融資ALMリスク管理委員会」というものを新たに設置することをこの委員会で定めているところです。
また併せて、コンプライアンス推進委員会を1月18日に開催し、チェック機能としての監事監査をより適切に、それを効果的に私ども機構の業務運営に活かすという観点から、業務監査の前後に理事長をはじめ役員とディスカッションを行うことを決定し、監査の前に理事等役員が日ごろの懸念事項、「こういった事が気になっている」ことを監事に伝えるとともに、監事の監査結果について役員間で意識を共有する。また、改善に向けての議論を行うことを図ったところです。
こういった新たな内部統制の強化に向けた取組を行っているということもあり、私ども自己評価は「A」とさせていただいております。
評価項目4「一般管理費及び退職金共済事業経費の節減」及び「人件費の節減」です。「数値目標」として、運営費交付金を充当する一般管理費及び退職金共済事業経費については、中期目標の最終年度までに、平成19年度予算額に比べ18%以上の削減を行う。3つ目、人件費については平成17年度を基準として6%以上の削減を行う、というような数値目標をいただいています。
それにつきまして、下の頁、まず「一般管理費及び退職金共済事業経費の節減」であります。財形分については平成23年度は半年分ということもありますし、それ以前の経費との比較ということもありますので、ここでは財形分は除いた表としています。
まず「運営費交付金」ですが、平成19年度は34億頂戴しておりまして、平成21年度にもう既に平成24年度末の目標である18%に迫る17.5%の削減をしていたわけですが、平成22年度より運営費交付金そのものが廃止されたということですので、ここにつきましては目標が達成されているということではなかろうかと思っています。
なお、運営費交付金がなくなりましたので、一般管理費及び退職金共済事業経費の効率化がどのように図られているのかということを測る指標として、まず平成23年度の予算額と決算額の比較を中段でやっています。平成23年度予算額69億円強に対し、決算額は62億3,000万円余ということで、予算に比べ10.3%の削減がなされております。なお、平成22年度決算額との比較を右のほうにグラフで付けています。平成22年度に比しても、平成23年度は7.0%の削減がなされております。
削減要因としては、上のところに書いてありますように、契約状況の点検・見直し、システム関係の大部分が一般競争入札になったという点が大きいわけですが、そういったことによる競争契約等の拡大、あるいはあとで述べます人件費の削減等により、予算の適正な執行を行ったということです。
なお、人件費ですけれども、いちばん下のグラフには人件費の削減率の推移が書いてあります。括弧書きで財形を含む場合の数字を併せて書いております。真ん中の辺り、対17年度比というところを見ていただきますと、平成23年度は18億2,400万円ということで、平成17年度比では目標を大きく上回る15.0%の削減を実施しております。括弧内は平成17年度の勤労者退職金共済機構の基準額に雇用・能力開発機構の財形部分の基準額を足したものとの比で、財形部門を含めた削減率を示しておりますが、こちらも18.5%と高い削減率となっています。
削減要因としては、引き続き超過勤務の削減の取組をしたということがあります。職員の超勤状況を毎月チェックいたしまして、人事部門から各課室長に月45時間以上という高い超過勤務時間を行っている場合には注意を喚起し、その課室内での業務配分の見直し等々を行うようにと要請した結果、多くの超勤時間、職員の健康状況を守るということも目的の1つではありますが、そのような取組を進めたということがまず第1点です。併せて、計画的な定員削減を行ったということから、このような削減がなされたものというように考えております。
なお、給与水準ですが、下に書いていますように、私ども東京都の本部にすべての職員がおりますので、地域勘案指数を見ますと100.2、地域・学歴勘案指数は101.5ということで、国家公務員と同程度に抑えられているところです。なお、類似の業務であります民間の保険業と比較したところ、93.8と低い数値となっています。
こういった経費の節減は業務経費及び人件費、双方で図られていることから、自己評価「A」としているところです。
次に評価項目5「随意契約の見直しについて」です。「評価の視点」としては、「随意契約見直し計画」に基づく取組が着実に実施されているか、あるいは契約事務手続に係る執行体制、あるいは審査体制について、適切性等、必要な評価が行われているか、というようなことが挙がっているところです。
下の頁を見ていただきますと「随意契約の適正化を推進」ということで、平成22年4月に公表させていただいた「随意契約等見直し計画」に基づき、見直しを実施したところですが、平成23年末の契約状況としてこの見直し計画に基づく取組を着実に推進し、平成23年度末時点においてこの計画を達成したところです。平成20年度に締結しておりました59件の随意契約を見直し、計画どおり5件に縮小することができました。平成21年度から23年度にかけて一般競争入札、あるいは企画競争・公募へ移行する、あるいは事業の廃止等によりこれを達成したところです。
なお、残っている5件ですが、下に書いておりますけれども、これらは随意契約を取ることがやむを得ないものかと考えているものです。1つは料金後納付郵便、これは現在信書の取扱いを行っているのが1社のみですので、やむを得ないと考えております。また退職給付債務計算委託、これは私ども機構職員の退職金です。私どもの機構が加盟しています厚生年金基金が金融機関と委託契約を結んでおりまして、委託契約を結んでいる金融機関でないと私どもの計算ができないということから、やむを得ずその金融機関と随意契約を結んでいるというものです。
名古屋退職金相談コーナーの事務室、これは新たに2年ごとで契約しておりますので更新することになります。コーナーを移転せずにそのまま更新いたしましたので、引き続き随契という形で結んでおります。併せて、独立行政法人勤労者退職金共済機構の平成23事業年度財務諸表を官報で公告するわけですが、その官報掲載を取り扱っているのは1社ですのでこれも随契となっています。なお、※で書いておりますが、5件のうちの1件の電話料金につきましては平成23年12月に入札を実施、平成24年度からは一般競争入札になったということです。
また、「随意契約以外の契約も含めた競争性・透明性の確保」ということで、企画競争、公募を行う場合にも競争性・透明性が十分確保されるような方法により実施する。これと併せ、「一者応札・一者応募」に係る改善方策、改善を行うということで、できる限り公募期間を長く取る、あるいは入札参加資格を広げる等々により、見直しを実施したところです。これらにつきましては、すべてホームページ等で公表しているところです。
また、チェックとして「監査の実施」ということで、監事監査を四半期ごとに実施することと併せ、外部の契約監視委員会を平成23年度は年3回開催、平成23年度の契約状況につきましてご報告申し上げ、競争性の確保のための改善方策について審議を受け、契約内容は概ね適正であるという意見を得ているところです。
 こういった取組から、私どもの自己評価は「A」としているところです。以上、グループ1に対してのご報告を終了させていただきます。

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様は評定記入用紙への評定等の記入をお願いいたします。質問等ありましたら、適宜ご発言ください。

○宮本部会長代理
 評価項目4の下の頁、「人件費の節減」というところで、超過勤務の削減の取組をしたというお話でした。いま、超過勤務はどのような状況にありますでしょうか。全体としては、どこの機構も人員削減をしながら成果を上げるということですので、労働時間は下手をすると過剰になってくる可能性があります。その辺、見直したということですが、どのようになっていますか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 まず、数字的なことを申し上げますと、年間、職員1人当たりの平均超過勤務時間ですが、平成22年度が84時間強、84.9時間でした。平成23年度は60.5時間ということで、28.3%の削減をしております。この要因としては先ほども申しましたように、1点はどうしても超過勤務が1人の方、あるいは一部の方に偏る傾向がありますので、課室内での業務配分というものを毎月チェックいたしましてならすようにしていただいた。それと併せ、年度ごとにそういった中でやはり業務がかなり多い課には、機構内で定員を見直し、他の課から人員配置を行うことにより、できる限り原則的には時間内で勤務が終わるような体制を組んでいくというのが基本かと思っています。
 ただ、やはり業務の繁忙期というのはどうしてもありますので、一定の超過勤務は残っているわけですが、先ほど申しましたように、平成23年度は前年度に比べて平均28.3%の削減がなされております。

○川端委員
 給与水準なのですが、特に今回の評価にはかかわらないのですが、今年度から国家公務員はかなり給料を下げましたね。これについて、今後はどういう対応をされるのかお伺いしたいと思います。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 後ほど、役員の給与改定についてはご報告させていただこうと思っています。職員につきましても、国家公務員に準拠した給与の引下げということで労使の間でいろいろ話し合いをさせていただき、7月より国家公務員と同等の給与引下げを行うことで決定させていただいたところです。

○本寺委員
 2つ質問があります。評価項目4のところで、人件費の計画的な削減というのがあります。民間企業を見ていて、若年層をどんどん絞っていて、ある日突然、この人たちが脱けると業務が回らない。そういう形のことが起きるような危機にさらされている組織が、ちょろちょろ出てきています。適切な人件費削減というのは重要だと思うのですが、中期的にそういう状態にならないように人員計画を組まれているのかなというのが1つです。
 あと、評価項目1のところで「本部事務所移転」とありました。前のものを所有していて、こちらが賃貸だったら、単純な対比コストができないのかなと思うのですが。新しい所に移って事務所面積も小さくなったので、対事務所に関するコストというのは落ちているという理解でよろしいのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは、まず2点のご質問のうち第1点目、人員の採用等ですけれども、もちろん人件費削減に努める一方、確実な業務を行うための必要な人員の確保というものは重要であると思っています。そこにつきましては、それぞれ年齢層の偏り等をなくすことも念頭に置きながら、計画的な採用等にも取り組んでいるところです。
 2点目のビルの賃料コスト、ビルのコストの関係です。古いビルにおきましては私どもの保有ではあったわけですが、中退共の給付経理、要するに掛金を預かっている経理から業務経理がそれをお借りする、機構内での賃借契約というものを結んでいたわけです。その古いビルでの賃借のコスト、それから今回新たに入りました財形のコスト、財形の賃貸コストを合わせたものが旧ビルにおきましては年間2億5,500万程度であったわけですが、新たなビルにおきましては、先ほど申しましたように面積が30%削減されたということもありまして2億100万円強。坪単価は若干上がったわけですが、賃料全体から見れば21.1%のマイナスということで、経費の削減が図られているということです。

○今村部会長
 随契から競争入札にいくので、ずいぶん削減効果が大きいのですが、競争入札に移行する中で我々が思うのは、長期的に同じ業者と取引すると、いろいろな意味での情報共有ができているので、長期的にはコストが低く抑えられると思います。競争入札をこういうように急速に導入して、そのために新たにいろいろやり取りをしないといけないようなコストがずいぶん発生しているかと思います。人員が減っている中でそういうことをよく対応されたなと思うのですが、その辺の大変なところというのはなかったですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 ご指摘のとおり、確かに一般競争入札をする場合、私どものいちばん心配するところとしては価格が安いときにきちんとした業務が提供されるであろうか、もう1つはやはり新しい業者ですので、きちんと引継ぎ等がなされて、適切な業務運営ができるかという2点です。
 まず、1点は一般競争入札を行う上においても、例えばその取引先の技術等を加味する必要があるという場合、総合評価方式ということで技術点と価格点を加味して入札するという取組を、必要に応じて行っているということがまず1点です。
 もう1点、一般競争入札をした場合、当然、業者が変わるというリスクがあります。これについては、できる限り早い段階で競争入札を行い、引継ぎ期間を長くするということを図っていかなければいけない。業務との関係でなかなか難しい面もありますが、できる限り工夫させていただいているということです。
 併せてもう1つの効果として、仮に委託するところが変わらなかったとしても、一般競争入札をすることによって、その業者の入札コストが前年よりも下がってくるということもあります。それも一般競争入札の隠された効果かなと思っています。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○高田委員
 評価項目3の「評価の視点」の3つ目に「具体的なイニシアティブを把握・分析し、評価しているか」という項目があります。私が聞き漏らしたかもしれないのですが、これに関してどういうことが行われているのでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 具体的なイニシアティブということですと、Actionの例のところで少し書いていますけれども、例えば契約監視委員会のご指摘を踏まえ、一者応札のような場合、可能な限り他業者が入札に参加しなかった理由を調査するということも行いました。また仕様書を見直して、よりたくさんの人が参加できるという形を取ったということ。あるいは、資産運用評価委員会等で指摘されたことにつきまして、資産運用で翌年度は注意するということを実施しているところです。

○高田委員
 ありがとうございました。

○今村部会長
 それでは、次はグループ2「確実な退職金支給のための取組」について評価を行います。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それではグループ2の「確実な退職金支給のための取組」について、ご説明させていただきます。まず評価項目の6ですが、「一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組」です。「数値目標」としまして、請求権が発生した年度における退職者数に対する当該年度から2年経過後の未請求者の比率を、中期目標期間の最終年度(平成24年度)までに1%程度とすること。及び「評価の視点」として、未請求者の縮減に向けた取組に進捗が見られるかということが挙がっています。
 下の表を見ていただきますと、まず「平成23年度退職金未請求者に対する主な取組結果」です。未請求率の縮減ということに関しては、取組を平成20年度から本格的に始めたところですが、取組前の平成17年から19年度が概ね3%から2%台後半だったものが、取組後は2%、あるいは1%台となっています。
 平成23年度は昨年度の1.6%に比して1.8%と、やや数字が上がったところです。この原因について、いろいろ分析はしているのですが、明確にはわかっていないところですが、1つ考えられるのは後ほど申しますが、未請求者の住所情報を事業主からいただきまして、未請求者に対して請求勧奨をお願いするのですが、これまで脱退後、退職後6ヶ月の段階でやっていたのを3ヶ月と、少し早めに行うこととしたわけです。そのため対象者がかなり増えたということもありまして、経費削減という旨の観点もありまして、従前は連絡するときに返信用封筒を入れて、それから事業所の名前、「あなたはここの会社だったんですよ」ということも書いて簡易書留で送っていたのですが、これを普通郵便でやるとしてしまったことが1つの原因なのかと思いまして、23年度は遅くなりましたが2月から3月にかけて、未請求だった者に対してもう一度簡易書留で送り直しています。その効果があったのか、7月20日、7月時点では、この数字は1.6%台まで縮減することができています。
 それから中段の表ですが、「新たな未請求退職金の発生を防止するための対策」ということで、引き続き実施した取組として、新たに加入した者への「加入通知書」の発行ですとか、あるいは「加入状況のお知らせ」を行うとともに、退職後3ヶ月経過しても未請求者がいる事業所への住所情報の提供依頼等々も行ったところです。
 さらに新たに平成23年度に実施した取組として、平成21年度脱退者の未請求比率が高かったこともありましたので、1つはこれまで郵送、郵便で調査あるいは勧奨を行っていましたが、電話番号が確認できた被共済者の方に対しては、電話で請求手続を要請するということ。また、事業主から住所を聞くわけですが、その住所情報について回答がなかった事業所に対しては、新たに電話で未請求者の住所を教えていただくように依頼するという取組を行ったところです。また、退職時の住所を、本年度から退職届によりまして、住所情報を事業主から退職時に取得することとしていますが、そのためのデータベース化等を昨年度に実施したところです。
 右ですが、「累積した未請求退職者に対する取組」として、引き続き実施したものとして、退職後5年以上を経過した未請求者のいる事業所へ、住所情報の提供依頼を計画的に実施しています。これは本年度の第2期中期計画中をもって、計画的な取組を全て終了、全員に対して提供依頼が完了する予定です。また、これによって住所情報を得られた未請求者へ、請求手続を要請しています。それから、時効が5年で一応完成することになっていますので、平成18年度脱退者に対しては未請求の方に請求依頼をして、なおかつなかった方に対して2回目の請求要請を実施しているところです。
 それから下のところですが、「未請求者縮減のための周知の効果的な実施」ということで、ホームページに加入事業所の事業所名を掲載することですとか、その他に各種の周知啓発を図り、注意喚起を行ったということです。
 「調査・分析」として、中退共制度に加入している企業の事業主で、特に未請求者がいる事業主にターゲットを絞りまして調査を実施して、制度及び未請求者の現状等について把握するということで、請求手続をどのように周知しているか、あるいは事業所の未請求者へどのような対応をしているか等々についての調査を行い、今後の検討資料としたところです。
 このような取組を行ったところですが、2年経過後の未請求率というものが、3月末時点では1.8%と高くなってしまったということもありまして、自己評価は「B」としているところです。
 1枚めくっていただいて評価項目の7「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」です。「数値目標」として、共済証紙の販売額の累計と、貼付確認額の差が130億円程度減少すること。併せて、共済証紙の貼付状況等に関して把握し、取組の充実を図ることとしています。また「評価の視点」として、共済手帳の長期未更新者への個別の要請等の取組を着実に実施しているか、というものが挙がっているところです。
 ここで調査の結果についてご報告する前に、まず未更新の調査について少し考え方といいますか、概略をご説明したいと思います。未請求、未更新と並んでいますが、その性格は全く異なるものであると私どもは認識しています。特定業種退職金共済事業はご案内のように、季節的に働いたり、あるいは事業所を転々として働く労働者に対して、個々の企業を退職した時点ではなく、その労働者が業界を引退したときに、まとめて退職金をお支払いする制度となっています。
 「手帳の更新」という言葉を使っていますが、1年分フルに働けば1冊分の手帳が終わって、新しい手帳に切り替えるというものを、私どもは更新手続と呼んでいるわけですが、先ほど申しましたように、特定業種退職金共済事業においては、例えば清酒業界だと杜氏さんのように、季節的にしか働かないという方もありますし、例えば建設事業などにおいても、当制度に加入していない事業所で働くということもあります。あるいは景気の変動などがあって、一時期、他の産業で働く。それで、また景気が良くなって建設業の需要が出てくれば、そちらで働くという方もやはりかなり見られるということですので、そういう意味では長期間、手帳の更新がされていないということについても、それは制度が本来的に予定しているものでして、そのこと自体が問題であるということではなかろうかと思っています。
 ただ、前に更新してから長い年月が経っている方については、場合によっては既に引退してしまっているとか、あるいは更新を忘れているということも可能性として考えられるわけですので、前に手帳更新してから3年間経っている方について、注意喚起のために調査をしている、現況を調べているということです。
 「長期未更新者調査」ですが、建退共事業、清退共事業、林退共事業、それぞれ表にしています。まず建退共事業については、過去3年間、先ほど申しましたように手帳更新のない被共済者について、最後に更新された事業所を通じて、調査・把握を行い、必要な場合には手帳更新、あるいは退職金請求等の手続を取るように要請を行っています。また、調査に無回答の事業主に対しては、電話による再調査も実施しています。
 建退共事業は3年前に更新してから、まだ更新がない方々、2万9,201人いるわけですが、そのような方々に調査を行いまして、手帳更新2,944人、退職金請求1,366人という結果が出ているところです。なお、この表には書いていませんが、2万9,201人のうち1万1,053人ということで、ほぼ半分の方は、現在まだ調査対象企業で就労している方であったということも、申し述べさせていただきます。
 次の清退共事業ですが、これは林退共事業も共通ですけれど、かなり規模が小さいですので、3年後を迎えた方というのは、かなり少なくなっていますので、この清退共事業、林退共事業については建退共事業と違って、これまで行ってきた通算の数字を挙げているところです。過去3年以上、共済手帳の更新がなく、かつ、24ヶ月以上、これは退職金を支給する権利がある方ですが、こういった方についての調査を行ったところですが、清退共事業の場合、長期未更新者は7,393人中、手帳更新は100人、退職金請求は4,073人となっています。それから林退共事業についても同様ですが、6,260人に対して手帳更新は631人、退職金請求は3,454人という結果が出ているところです。
 これら全てですが、いろいろ業界に対する周知啓発ですとか、共済契約者に対して、引退の場合には退職金の請求を行うよう指導してくださいというお願いを進めているところです。
 1枚めくっていただいて、「新たな長期未更新者の発生を防止するための対策」ですが、ここはむしろ、きちんと必要に応じて更新をしていただく、あるいは退職金の請求をしていただくための対策ということだろうと思っています。1つはやはり制度に入っているということを、きちんと各人にご認識いただくことが、きちんとした請求に結びつくのであろうということから、機構から新規加入者に対して「加入通知書」を発行し、共済制度に加入したことを通知したところです。
 また、被共済者の住所ですが、やはり特退共事業の場合には、事業所を転々と移り変わるわけですので、どうしても各事業所とのつながりが中退共事業に比べて薄いということもありますので、直接私どものほうで住所を把握して、データベース化しようという取組をやっています。建退共事業、清退共事業、林退共事業、それぞれについて、新規加入被共済者についてのデータベース化を行っているところです。併せて新規加入時だけではなくて、更新時についても画像データの読取りという形で、住所把握を行っているところです。清退、林退については、更新時のものについてもデータベース化をしているということです。
 真ん中ですが、こういったきちんと更新をしていただく、あるいは退職金の請求をしていただくための対策として、更新あるいは請求手続を行うよう注意喚起を行うということです。ホームページ、ポスター、パンフレット等で周知啓発を行うことと併せて、共済契約者に対して、被共済者の退職時に業界からの引退の意思の有無を確認し、引退される場合には退職金の請求を指導していただくよう、事業主に対して要請を行ったところです。
 いちばん下の段ですが、まず私どもからご購入いただきました共済証紙を、働いた日に応じて確実に貼っていただくことが、制度の適正な運営上、非常に重要なことかと思っていますので、逆に制度に加入はしているけれども、2年間、手帳更新をやっていないという事業主については、きちんと手帳更新など必要な措置をとってくださいということで要請をしています。
 2番目の○です。「加入履行証明書の発行」とありますが、私どもの制度に加入していただいているということについては、公共工事の受注の際に有利に加点されるということもありまして、加入履行証明書を事業主の方がお求めになるわけです。これは例えば年間で10万枚以上発行しているわけですが、その発行する際には、「共済手帳及び共済証紙の受払簿」とありますが、きちんと加入事業主の方には手帳を渡したり、あるいは証紙を何枚買ってどのように貼ったかというものを、記録に残しておいてくださるようお願いしていますので、そういった受払簿がきちんとなされているかどうかというものを、加入履行証明書の発行という機会をとらえて、きちんとチェックさせていただくということを行い、就労日数に応じた共済証紙の適正な貼付が行われるよう指導の徹底を図っています。また、各種説明会等の機会もとらえまして、同じような要請を行っているところです。
 ただ、これらの取組によりまして、平成23年度末で目標とされている共済証紙販売額と貼付確認額の差は、平成19年度と比べて、平成23年度段階で70億円の減少ということで、平成24年度末は130億円の減少の目標に比べて、ちょっと難しい数字になってきています。要因として考えられるのは、東日本大震災の影響もありまして、例えば工事現場への通行がなかなか難しかったり、あるいは最も多いだろうと思っていますのは、資材の入手不足などによりまして、工事が中止されたり延期されたりということが、東北地方だけでなくその周辺にも出ているわけです。
 私どもの証紙は、工事を計画していた段階で、工事の予定日数及び就労予定数をあらかじめご購入いただいておいて、それを働いた度に貼っていくというシステムをとっていますので、先ほど申しましたような影響で、予定していた工事が順調に進まなかったという場合に、どうしても販売額と貼付確認額の差として出てくるということがあります。本年度はやや減少が少なかった、逆に増加してしまったというのは、そういう要因があるのではないかと私どもは思っています。
 ただ、いずれにしても、この目標数値がなかなか難しかったということもありますので、評価項目7について、私どもの自己評価は「B」とさせていただいているところです。以上です。

○今村部会長
 ありがとうございます。それでは、委員の皆様は評定記入用紙への評定等の記入をお願いします。ご質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○高田委員
 引退を認定する根拠というか、証拠というのはどのようにされるのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 基本的にはご本人、就労する方の意思によります。例えば他の業界で働くことを決めたとか、あるいは自ら起業された、事業を起こしたとか、あるいは期間労働者ではなくて正規雇用の常用労働者として雇われたというような場合には、この制度から外れて退職金の請求資格を得るということもありますし、一定年齢以上の方でこの業界で働くのを辞めるという方についても、退職金の請求ができるという形にしています。

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長
 補足させていただきますと、一般の中退制度ですと常時雇用の方々を対象としていますので、会社と労働者が1対1に対応しています。したがいましてその場合は、退職したときに企業のほうから「Aさんが退職しました」という通知がまいりますので、私どもの組織として認識するわけですが、特定業種の場合は全て3業種とも期間労働者ですので、A社で働くときも、B社で働くときも、C社で働くときも、可能性としてあります。したがいまして、いつをもって退職したかは、ご本人の意思でしか確認できませんので、「退職しました」という通知をいただくのは、退職金の請求をいただくときになってしまいます。

○高田委員
 そうすると、かなり調査が困難なケースがいろいろ出てくるということですね。

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長
 ええ、したがいまして先ほど総務部長からご説明しましたが、あまり長期間、手帳の更新がない場合、具体的には3年間を目処として調査対象としていますが、3年間手帳の更新がない場合には念のため確認といいますか、ご機嫌伺いというわけではありませんが、どうされていますかと。最近手帳の更新がありませんが、いかがお過ごしですかという意味合いの調査をしています。注意喚起という意味です。

○高田委員
 ありがとうございました。

○宮本部会長代理
 評価項目6ですが、未請求退職者の取組の中で、いろいろ努力されているということは理解できたのですが、住所の確認をして注意喚起するということですが、郵便で3ヶ月経過した後に送って、住所がわからなくて返ってくるという例がどれくらいあるのでしょうか。それから、そういう形で支払いができなかった。これは1.8%の方ですが、1人当たりどのくらいの退職金になっているか、おわかりになったら教えていただきたいです。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 まず未請求の方はかなりいるわけですが、古い方、累積した方も含めますと、既に事業所自体が廃業していたり、あるいは倒産していたりとなると、私どもは連絡のつけようがないのですが、そういった方が4割強を占めるということ。かつ、既に事業所も住所がわからないという方もかなりおられますので、そういう意味では相当多くの方の住所がつかめないでいるという状況です。
 あと、金額階級別で言いますと、退職金が1万円以下の方というのが37%で、これに5万円未満の方も加えますと、合わせて73.5%ということで、4分の3程度の方が5万円未満ということもありますので、なかなかそういった意味で請求に結びつきにくいケースがどうしても出てくるということかなと、私どもは思っています。

○宮本部会長代理
 自宅の住所がわかって郵便物を送ったときに、不明で返ってくるのはどのくらいありますか。おおよそで結構ですが。

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長
 23年度実績で言いますと、3ヶ月経過後にこれをやりましたが、それともう1つ、ここは引き算をしなければいけないのですが、平成23年度計画では8,600人に対して返ってきたのが525件、そういう意味では10%以下という数字が出ています。

○勤労者退職金共済機構理事長
 いまのことについて補足しますと、いろいろ私も職員から状況の報告を受けているのですが、住所がそもそもわからないというのがかなりありまして、その結果として、どうしても連絡が取れないということが、かなり大きなネックになっているのです。いちばん大事なのは、退職時の住所把握なのです。その点について平成23年度で、先ほどもご説明しましたがシステム化して、データベース化するような対応をしましたので、その点は平成23年度における大変重要な進捗だろうと私は考えています。

○今村部会長
 数値目標の設定についてお伺いしたいのです。奇しくも6と7はいずれも1%、130億円という目標は、どうも平成24年度までには達成できないかもしれないという状況になっているわけですが、数値目標の設定が適正だったかどうかという、そういう反省ですよね。つまり、ちょっと厳しすぎたのかなというところもあるかと思うのですが。1に対して1.8、ないしは現状で1.6ということですが、その0.数パーセントの差というのは、やはり当初は見込めなかった要因なのか。あるいは130億円に対して70億円という場合の、その未着工事の比率というか、どのくらいの数字が現状で震災の影響で予定外に発生したのか。そういうことは把握されていますか。数値目標が達成できなかった背景にあることに対して、もう少しさらに数値的な裏付けといいますか、そういうのはいかがでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 現在、来期の中期目標等も考えながらいろいろ分析しているところですので、確実なことはなかなかこの場で申し上げるのは難しかろうと思っていますが、5年前の時点で目標を、例えば1.0%程度というのを立てた時点で、どのくらいのものであれば達成可能かどうかというのを判断するのは、実はかなり難しかったと考えています。そういった意味で、当時3%程度であったものを1%程度に下げるという目標を立てて、平成20~22年と順調に、1%程度の目標に向けて下がってきたわけですが、ここに来てかなり落ちるスピードといいますか、それが難しくなってきている。
 というのは、やはり辞められる方、退職される中で、どうしても最近調査の中で、私どもがどんな調査をしても出てくるのですが、事業所がなかなか退職金請求を逆に従業員に促さないというのが出てきています。せっかく従業員のために貯めているのに、従業員に「退職金が出るよ」ということを示唆しないというのが、1つは懲戒免職、あるいは事業所とトラブルがあったような場合というのがございます。
中には小規模のところですと、調査の中で突然来なくなって、いなくなってしまって、連絡がつかない。ですから退職金請求書を渡せないというご回答をされたところもかなりあります。あるいはもう1つの要因として、各事業所はそれぞれ退職金規程を各社内で設けているのですが、私どもが未請求者がある事業主のところを調査したところ、そのうちのかなりの比率が、私どもが退職金をお支払いできる期限を1年以上としているのですが、そこの会社での規程は3年以上となっている。それよりも早く辞めてしまった方に対しては、退職金請求書を渡さないとか、そういったこともあります。
 そういった方々が、やはりかなりの程度いるかなということもありますので、そういった方が1.6%のうちでどれだけいるかというのは、なかなかつかみにくいわけです。そういう意味ではかなり取り組んできたつもりですが、縮減スピードが遅くなってきているというのは、その辺りの方々が思ったよりもかなりいるのかなと、いまの段階では思っているところです。

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長
 ギャップの目標が130億というのは、ちょっと過大ではなかったかというご指摘については、今期の中期計画でどのような考え方で130億を設定したのか、そこを改めて復習した上で、次期の中期計画に適正な目標を設定したいと思っています。
 それから、70億で少し後退したのは東日本大震災の影響はどの程度かということについても、これは私どもの推測でして、全般的に公共事業の執行が遅れているということで、システム的に公共事業の場合、契約時点で契約額に応じた証紙を購入していただく運用をしています。そうしませんと、現金で下請、孫請と流れていきますと、それが証紙になって、ちゃんと払えるかどうかが担保できませんので、元請事業者さんと契約を結ぶ時点で、基本的には工事金額に応じた証紙をご購入いただくという運用をしています。
 ただ、その工事の期間が遅れていることは厳然たる事実でして、工事の執行が公共事業全般で遅れていまして、予算も執行が遅れていて、次年度以降に繰り越されていますので、かなりの要因として効いていることは間違いないと思っていますが、130億とのギャップのうち、どの程度が70億にいくまでの過程で、そのうちの例えば130億と70億の差の60億のどの程度がそのギャップによるものか、そこまでは残念ながら把握できていません。以上です。

○今村部会長
 例えば震災復興というのは、工事が一方的に減るだけではなくて、震災復興のための建設需要というのですか、新たな工事の需要も増えているわけですよね。だから、そこのプラスマイナスもあるわけで、どのくらいの未着工でキャンセルになったものと、あるいは震災によって逆に新たに建設工事が発生したという例もあるわけで、その辺は的確に把握されて、実際に130億に対して70億という差額の中身がどのくらいの影響だったということは、もう一度次回の設定のために是非資料を、できるだけそういうものを把握していただければと思います。

○勤労者退職金共済機構理事長
 どの程度正確な数字がご提示できるかどうかということは、いまの段階ではお答えしにくいのですが、いまは平成24年度で中期計画の最終年度に当たっています。したがいまして、平成24年度については、とにかく当初与えられた目標に対して、できるだけのことはしてみないといけないと理事長としては思っています。1%にできるだけ近づける、130億円にできるだけ近づけるための努力を、今年度については最後まで頑張ってやりたいと思っていますが、ただいまの部会長のご指摘もありますし、私どもが5年間いろいろなことをやった結果として、いろいろな事情があるのだなということが、先ほどご説明したとおり、よくわかってきた面もあります。そうした事情を含めて、次回の計画にはどのような目標が適当なのだろうかということを、この経験を踏まえて考えてみたいと思います。
どうもありがとうございます。

○今村部会長
 私の趣旨は、厳しいことを申し上げるのではなくて、目標に努力していることに対して、ちゃんとそれが正当に評価されるように、事情はしっかり説明されたほうがいいなということ。もう1つは、やはり政策実施ですから、政策の効果をより達成するためには、いま理事長がおっしゃった、新たにわかってきたいろいろな労働市場の構造的な要因、建設工事の要因があるわけで、そういうものをしっかりフィードバックして、政策のより適切な実現に反映させていただければと思いますので、どうぞよろしくご努力をお願いします。

○勤労者退職金共済機構理事長
 承りました。

○今村部会長
 それでは、次のグループ3「サービスの向上」から「加入促進対策の効果的実施」までの項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明に20分、委員の評定と質疑に10分の合計30分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは、評価項目8、サービスの向上の中での「業務処理の簡素化・迅速化」について、ご説明します。「数値目標」としては、中退共事業においては受付から25日以内。建退共事業、清退共事業、林退共事業においては受付から30日以内とされています。
 「評価の視点」としては、加入者が行う諸手続、提出書類の合理化を図るとともに、機構内の事務処理の簡素化・迅速化を図る観点から、諸手続及び事務処理等の再点検を行い、必要な措置を講じているかということなどが挙げられております。
 次頁は「事務処理改善」です。平成23年度においては事務処理の簡素化・迅速化を図る観点から諸手続及び事務処理等の再点検を行ったところです。併せて東日本大震災に関して、各種手続を簡素化するなど、加入者の利便性の向上のための措置をとったところです。
 まず事務処理の簡素化ですが、大きく分けて「機構内事務処理に関すること」と、「加入者が行う手続に関すること」があります。機構内事務処理に関しては、新たに平成22年度から加入対象が広がった、同居の親族関係の事務処理を円滑にするためのシステム開発を行ったこと。また、手帳の一斉更新に伴うOCRシステムの一部改修を行ったことがあります。また、加入者が行う手続に関することとして、加入者ではないのですが、取引先ということで金融機関用の代理店事務取扱要領を加除式に変更したこと。これは加入者に効果が大きいのではないかと思っていますが、建退共においてホームページにパソコンで入力できる様式を掲載して、申請書の作成を簡素化したところです。
 一方、東日本大震災に関する手続を簡素化したわけですが、これは平成22年度の年度末に実施し、平成23年度はずっとこの簡素化を進めてきたわけです。2つ目の○は、共済証紙の再発行の特例を実施し、また退職金等の請求手続の簡素化を行っております。なお、具体的には退職金の請求書を郵送ではなく、電話やファックス等でも可能としたこと。あるいは退職金請求等に必要な書類についても、各種いろいろなものでの代用が可能という措置をとったところです。
 「その他」、これは当初ご説明しましたが、本部事務所移転を機に、電話対応業務の効率化を図ったところです。
 もう1点の「処理期間の短縮」です。これについては目標に沿って、中退共事業においては受付から支払いまで25日以内を維持し、その期間が維持されていることの検証を行っています。また、特退共事業においても、平成22年度システムの最適化により、清酒、林業はこれまで39日間かかっていたものを、受付から支払いまでを30日以内と短縮しましたが、これを維持するとともに、その期間が維持されていることの検証を行っています。
 以上、事務処理改善に取り組んでいることから、自己評価を「A」とさせていただいております。
 次に評価項目9「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」です。「数値目標」として、第1期中期目標最終年度と比べて、ホームページのアクセス件数が10%以上増加しているかということ。「評価の視点」としては、ホームページの活用による情報提供の充実、共済契約者等からの要望苦情に対して分析対応など業務改善の取組を講じているかということです。
 次頁の「情報提供の充実」ということで、ホームページに最新の情報を迅速にわかりやすく掲載するようにしております。例えば、東日本大震災に関して、被災加入者に対する特例措置あるいは退職・死亡した場合の退職金請求勧奨をトップページに掲載するとともに、被災地限定でフリーコールを設置する等を行っています。また、被災地域の共済契約者に対して、退職・死亡した被共済者の住所等を調査する。これによって被共済者や遺族に対して退職金請求を勧奨するという調査を行いましたが、このことについて地方紙あるいは業界専門誌に広告を掲載し、周知を図ったということです。
 次のポツは、平成23年度AIJ投資顧問に関する問題が大きく報道され、私どもの資産運用がAIJに関係しないかどうかという問合せがかなり寄せられました。機構のトップページに、AIJが私どもの委託運用先ではないということをきちんとご説明するとともに、私どもの委託運用先は既にホームページで掲載しておりますので、その頁にそのまま飛べるようにホームページ上の工夫をしたところです。
 また、今年最終年度になった適格退職年金からの移行について、トップページに掲載することとか、建退共においてパソコン上で入力・保存できるPDFフォームをダウンロードページに掲載するというように、私どもの各種取組をホームページでわかりやすく情報提供するように努めたところです。
 「照会・要望等への適切な対応」として、ホームページからの「ご意見・ご質問」あるいは「ご利用者の声アンケート」を基に、相談業務の満足度を集計したところですが、下のグラフにあるように、「参考になった」「非常に役に立った」という数字が多く出ています。一方、ここで出てきた苦情、その他機構に寄せられた苦情については、組織的にそれぞれの部署の職員等に注意喚起を行い、今後の相談業務に反映させるべく職員等に情報提供を行う。必要に応じて苦情を寄せられた方には直接お答えをし、丁寧にフォローアップすることに努めているところです。
 なお、これらの結果もあって、第1期中期目標最終年度の平成19年度と比べて、機構ホームページアクセス件数は、平成23年度は46.9%増加ということで、目標をかなり上回っています。こうしたことから自己評価、評価項目9に関して「A」としています。
 評価項目10「積極的な情報の収集及び活用」です。「評価の視点」は、関係団体の有識者から機構の業務運営に対する意見・要望等を聴取し、ニーズに即した業務運営を行っているか。あるいは各退職金共済事業に関する統計・調査の結果を事業運営に反映させているかということがあります。
 次頁に情報収集の方法を左側に括弧で書き、それぞれの効果というか結果を右側に書くというまとめ方をしております。まず「参与会」ということで、私ども外部の有識者に集まっていただき、各種要望等をお聞きし業務に反映しております。例えば、そこで出た要望としては、適格退職年金についてのフォローアップの要請等々が出ております。
 一方、「退職金制度の実態調査」を中退共事業で行っており、調査対象としては、未請求者のいる中退共制度加入企業6,400所を対象に実施しております。
 「主な調査結果等」は右側の1つ目のポツ、制度加入の周知方法については「入社時に説明している」が51%、「退職時に説明している」が45.6%です。2つ目のポツの退職金支給事由について、先ほども少し申し上げましたが、未請求者がいる事業所においては「支給対象となる勤続年数」が77.8%で、一般の事業所と比べても相当高い率になっているということもあります。「退職事由による支給要件」、主に懲戒解雇について対象とするかどうかですが、ここも「異なっている」という回答が3割に近く上っています。なお、未請求退職者縮減に有効な方策としては「従業員が退職する際に事業所から周知する」が63.2%と、いちばん多い割合となっています。
 次頁は「同居の親族の加入に関するアンケート」です。これはこれまで対象となっていなかった同居の親族だけでの事業主・事業所に対して、法令の改正により平成22年度より加入対象となったところから、今回新たに加わった方々に対するアンケートを実施したところです。そちらでは同居の親族の月額基本給とか、中退共制度加入のきっかけなどを聞いており、きっかけは税理士事務所あるいはホームページ、パンフレットなどが高い比率となっております。
 いちばん下は「被災状況確認調査」を、平成23年度第3次の補正予算を活用させていただいて実施したところです。調査の目的は、今回の東日本大震災の共済契約者の被災状況を確認することと併せて、その震災によって離職した方の状況確認を行い、こういった方々については突然退職された、場合によっては死亡された場合には、退職者あるいはご遺族がこの制度に加入していることを知らないままである、ということが多く考えられるのではないかと思っております。そういう場合には、退職金を請求できるのに請求できない事態になってしまう。そのようなことがないように確実な退職金を支給するという観点から、事業主に対してその状況把握を行い、住所が判明した被共済者、辞めた方に対して、退職金支給請求についてお願いしたところです。
 平成23年12月、翌年1月から実施しているわけですが、調査対象は被害が甚大であった東北3県、福島第一原発の事故による避難地域の共済契約者、合わせて1万1,678事業所ということで、かなり大がかりな調査になっています。そちらの方々に対して、離職あるいは死亡した被共済者・ご遺族に対して退職金請求を勧奨しています。なお、特退共は既にデータベースで住所把握も行っておりますので、この調査と併せて機構独自のデータベースから判明している住所を利用して、退職金請求を併せて勧奨しています。
 調査結果として、中退共の数字をここでご報告しております。被害状況は、3県すべて仙台市等も含む事業所ですが、「全壊」の事業所10.8%、「半壊」が13.8%、「一部破損」が28.9%と相当多くの事業所が被害を受けています。ただ、調査時期が平成24年になってからですので、事業活動については、既に「営業中」というのが多くを占めていますが、未だ「営業中止」あるいは「営業不可能・廃業」という事業所もかなり数多く出ています。なお、被共済者状況については、「在籍」の方が93.3%ですが、「離職」してしまったというのが3.9%、「不通(連絡とれず)」が1.7%出ています。
 事業所からいただいた住所等の情報提供を得て、3月末現在で97人に請求勧奨を行い、現在57人の請求が確認されておりますが、今後引き続きこの作業を続けて、できる限り確実に退職金請求をしていただくよう要請してまいりたいと思っています。この調査と併せて、厚生労働省のご協力を得て、国の労災保険のデータと私どもの被共済者データを突き合わせ、こういったところからも情報を把握して、必要な方々に請求勧奨を行ってまいりたいと思っています。
 以上のような取組を行っておりますので、積極的な情報の収集及び活用については、自己評価は「A」とさせていただいております。
 評価項目11「加入促進対策の効果的実施」です。「数値目標」として、中退共事業においては40万5,600人、建退共事業においては12万4,000人、清退共事業は140人、林退共事業は2,300人、合計53万2,040人という目標をいただいております。「評価の視点」は、加入目標数の達成に向けて着実に進展しているか、あるいは対策を効果的に実施しているかということです。
 まず、これの結果を先に申しますと、加入の実績は中退共で44万2,567人です。これは中退共にとって過去最高の加入実績となって、目標を大きく上回る109.1%となっています。これは後ほど申しますが、適格年金からの移行促進を確実に進めた成果ではないかと思っています。一方、建退共においては11万2,000人で達成率90%と、やや目標に満たない状況になっています。清退共は105%、林退共は98.8%となり、機構全体としては55万7,000人余で、目標に比べて達成率104.8%と上回っています。
 上のほうに戻り、「とりまく環境」です。橙色で囲っているところですが、特に建退共においては、東日本大震災の影響等により建設業を取り巻く環境が非常に厳しい状況にあるとなっています。とりわけ震災直後の4月、5月の第1四半期はかなり厳しい状況で、4月、5月は前年度実績の6~7割というかなり厳しい状況が続いていたのが大きな要因だろうと思っています。ただ、年度後半はやや盛り返しを見せており、特に第3四半期は前年度実績を上回る実績を上げておりますが、年度トータルとしては、達成率が9割強にとどまったということです。一方、林退共についても、国産材価格の低迷など、依然厳しい状況にあります。
 「加入促進対策の重点項目」です。中退共では適年移行の最終年度であるということで、期日までの申込み、移行漏れがないように徹底した連携した対策を実施しております。また、既加入の全事業所宛に追加申込書を送付する等々を実施しているところです。また、建退共においても、未加入事業主に対するダイレクトメールによる勧奨、あるいはマスメディアの活用、現場での標識の掲示の徹底などの対策を実施しているところです。
 清退共については、お酒離れということもあって、加入事業所についてはほとんどが入っているという状況ですが、現在加入している事業所において、新たに雇われた方々について、完全に加入していただくことを徹底するということから、新規雇用労働者の制度加入勧奨について、すべて文書を送付しお願いをするということで、本年度は加入目標を上回りました。
 林退共においても、緑の雇用対策事業との連携とか、国有林野事業の受託事業体、都道府県の認定事業体の未加入事業所リストを作成し、私どもで文書による加入勧奨を行うことと併せて、未加入事業体名簿を林野庁に提供し、林野庁に加入指導をお願いするという取組も実施しています。
 以上のような取組もあり、今年度機構全体として加入目標数を5%程度上回ったこともあって、自己評価は「A」としております。第3グループは以上です。

○今村部会長
 委員の皆様は評定記入用紙への評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら、適宜お願いします。
 評価項目9のアンケートの評価は若干厳しいですね。参考にならなかったのが若干多いという感じがします。私はたまたまこの間、イタリアの学会で見たのですが、ホームページを文書解析して、いろいろと評価に当てるという新しい手法も開発されているようなので、是非、そういういろいろな手法を利用されて、特にインターネットのホームページ関係の情報は利用価値が非常に高いと思います。情報を提供しますので、是非そういう評価手法を活用されたらと思います。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 よろしくお願いします。

○今村部会長
 特になければ次に進ませていただきます。次はグループ4「財産形成促進事業」、評価項目12から評価項目18の「職員の人事に関する計画」まででよろしいですか。それでは、法人からの説明15分、委員の評定と質疑10分、合計25分となっています。それでは、説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは、多項目にわたりますので、概要のみ、かいつまんで説明したいと思います。評価項目12は「財産形成促進事業」ということで、「数値目標」として財形取扱店において借入申込書を受理した日から18日以内に融資の貸付決定を行ったか、あるいはホームページのアクセス件数、リーフレット等についての数値目標をいただいております。私どもに移管されたのが10月以降ですので、平成23年度下半期の実績でまとめています。
 まず「融資業務について」は、通信講座の受講等によって担当者の融資審査能力の向上に努めたこと。また、貸付金利の設定等について、関係機関と連携を図り適切な調整・設定を行った。また、住宅金融支援機構との意見交換、連携を図った。
 いちばん下の●の東日本大震災の被災者の生活の安定に資するため、返済に係る特例措置。例えば返済金の据置や返済期間の延長、据置期間中の金利引下げ等を行っておりますし、特例措置ということで新規貸付について、当初5年間の金利をゼロにする等々の措置を新たにとっているところです。なお、目標については、18日以内という目標に対して、平均6日で貸付決定を行っています。
 次頁の「周知について」です。パンフレット等の作成、Q&Aの作成、ホームページ上の公開、貸付利率の変更等を的確に実施しているところです。なお、貸付利率については四半期ごとに見直していますが、変更が確定した日の当日にホームページで公開するようにしています。ホームページへのアクセス件数は8万2,936件で、目標を上回る件数を得ています。なお、前年との同期比では43.2%の増加となっています。
 [5]の退職金共済事業との広報等に係る連携ですが、機構内の連携の会議を開催して、中退共加入の30万社に送付している平成24年度発行予定の「中退共だより」に対して周知のための広告を掲載するとか、建退共支部窓口へのパンフレット設置等を決定したところです。
 また、広報業務について、外部委託を活用し、より効果的な制度の周知、利用促進を図ったということで、インターネットを利用して、例えば特定の用語とか特定のサイトを見た方に対して、広告が出るというようなターゲットを絞った広告など、民間のマーケティング手法を利用する取組を委託で行っています。また、リーフレットについても、目標数を上回っています。
 下半期は財形部門にとって、勤労者退職金共済機構への業務移管、あるいは3月末に池袋事務所へ先行して移転するための準備等々、業務がかなり繁忙な中で、きちんと目標数字を達成したということもありますので、この評価については「A」としております。
 評価項目13「累積欠損金の処理」です。「数値目標」として解消計画、年度ごとの解消目安額としては中退共180億円、林退共9,200万円を達成しているかです。
 次頁は、中退共、林退共それぞれグラフにしています。線が何本かあるのでわかりづらいかと思いますが、累積欠損金の解消状況で、青の折れ線グラフが累積欠損金額となっており、赤の直線グラフが解消の目安額である180億円を示しています。緑の棒グラフは上に行ったり、下に行ったりしていますが、その年にいくら解消できたか、逆に増加してしまったのかを示すものです。
 いちばん右側の平成23年度末を見ると、平成23年度は316億円ということで、目安額の180億円を130億円余り上回る解消を実施しました。なお、これは下の表で当期利益あるいは掛金等収入、運用等収入などを挙げていますが、運用等収入が660億円とかなり伸びたことも反映したものです。次に林退共給付経理も同じような表になっていますが、平成23年度を見ますと、累積欠損金1億500万円の解消ということで、目安額の9,200万円を上回って解消しています。
 以上、両方とも累積欠損金について数値目標を上回って解消できたことから、自己評価は「A」としています。
 評価項目14「健全な資産運用等」です。「数値目標」は、各事業本部の委託運用について、概ねベンチマークと同等程度以上のパフォーマンスが達成されたかです。
 「評価の視点」として、「資産運用の基本方針」に基づいた安全かつ効率的な資産運用が実施されているか。あるいは、外部の専門家からの運用実績の評価結果を事後の資産運用に反映させているかなどということがあります。
 下の頁に「23年度運用実績に対する運用目標等の部分に関する評価結果概要」とありますが、これは外部の専門家からなる資産運用評価委員会に平成23年度の結果についてご報告して、当委員会に諮るために、運用目標等の部分についての評価結果をまとめていただいたものです。平成23年度の評価を行うに当たっては、資産運用の基本方針に沿った運用がなされているかどうかを中心として評価することとしたということです。
 「運用目標の達成状況」についてです。3つ目の○で書いていますが、「全体で見ればベンチマークとほぼ同等のパフォーマンスになっている。」という評価をいただいております。「基本方針の遵守状況」も赤い字で書いていますが、「各共済事業とも、全般として基本方針に沿った運用に努めていると評価できる。」という外部委員会の評価をいただいています。
 「委託運用のパフォーマンスを向上させるための取組」ということで、まず委託運用機関を適切に選定し、管理、評価するための取組に努めています。なお、委託機関はいちばん規模の大きい中退事業で34社程度、建退が18社、残りもそれぞれ委託していますが、まず委託運用機関を決定するに当たっては定性評価を行い、その機関の運用方針、運用体制あるいは情報公開がどうなっているのかについて審査し、選定させていただくほか、四半期ごとにそれぞれの会社から運用状況のヒアリングを実施しています。そこで運用実績や個別銘柄売買についての報告、そしてそれがきちんと当初設定した運用方針に合っているがどうかの確認などを実施しています。
 こういったことで、例えばAIJのような運用機関であれば、当然、私どもはチェックをして弾くことができるだろうと考えています。また、毎年度、年度が終了した時点で、どこまでベンチマークに対して勝っているかどうかという定量評価と、体制がきちんとなっているかどうか、あるいは実際の売買等において、きちんと方針に合った取組がなされているかどうかといった定性評価を行い、必要に応じ解約あるいは増減額を実施しております。平成23年度は中退共は1ファンド増額、解約もここには書いてありませんが、2社あります。1ファンド減額。建退共は4ファンド減額となっています。
 併せてこういった運用を行う上での私ども機構自体の運用能力を上げるという意味から、専門性の高い実務経験者を公募、選考するということで、平成24年4月から課長クラスで、ずっと金融関係あるいは投資関係の業務を行っている方を公募により採用したところです。また、職員向けの講習会の開催等に努めているところです。
 こういった取組の結果、資産運用に係るパフォーマンス状況は、経理がたくさんありますので、それぞれ表にしております。例えば中退共事業を見ますと、上の表のいちばん下の決算運用利回りは1.80%です。これは国内債権、国債等に基づく自家運用と委託を合わせて1.80%で、運用等収入660億円を上げています。そのうち委託で運用は、時間加重収益率2.50%ということで、多くの収益を得ています。建退共事業についても、決算運用利回り1.77%、委託運用は2.89%となっています。
 下の頁ですが、それぞれの経理とも自家運用については1%、1.5%程度。委託運用は2%台後半あるいは3%台となっています。なお、清退共事業の特別給付経理については、資産運用額が3億円程度となっています。委託というのはなかなか難しい額になっておりますので、全額国債等による自家運用とさせていただいています。
 「22年度運用実績に対する評価結果概要」、一昨年の評価に対する結果とそれに対する対応は、次の頁にまとめておりますが、割愛させていただいております。
 ということで、委託運用先に対する各種指示あるいは選定等、実際の収益が今年度は一定程度上がっていることから、健全な資産運用等に関して、自己評価は「A」としております。
 評価項目15「財産形成促進事業」と「雇用促進融資事業」に関する財務内容の改善に関する事項です。財形融資について、累積欠損金の解消に向けて必要な取組がなされているか、あるいは金融機関等の連携を通じて、債権の適正な管理に努めたかということです。
 平成23年度下半期の実績を申しますと、まず[1]の累積欠損金は、平成23年度下半期で、利益として23億円を計上しており、平成23年度上半期と合わせると44億円の利益が出ており、右側の棒グラフにありますように累積欠損金は72億円から28億円と減少しています。これについては順調に行けば、平成24年(本年度)中に累積欠損金は解消される見込みです。また債権の管理についても、金融機関との連携を密にして、債務者あるいは抵当物件に係る情報の収集、現状把握等、管理に努めたところです。これらによって財形事業についての回収率は99.9%になっております。
また、雇用促進融資事業ですが、やはり債権管理ということで、債務者・抵当物件に関する情報収集やリスク管理債権についての受託金融機関に対する業務指導の徹底、把握あるいは債権の回収・処理に努めているところです。業務指導は、実際に金融機関に私どもで伺わせていただき、確認・指導を行っているところですが、下半期で23回。法的措置(競売の実施)は1回実施しています。なお、財政投融資に関しては計画どおり、合わせて14億円の償還を実施しています。
これについて、累積欠損金は解消されていますが、これはほぼ計画どおりですので、自己評価は「B」としています。
評価項目16「その他業務運営に関する事項」です。「評価の視点」として、退職金機構ビル及び別館について早急な検討は実施されているか。松戸・越谷の宿舎について検討は実施されているか、といったことが挙がっています。
「保有する資産についての措置」として、退職金機構ビル及び同別館ですが、先ほど来申しておりますように、退職金機構ビルについては、ビル検討委員会の意見を踏まえて、移転し土地を売却することが合理的であると考え、公募により移転先を池袋に決定して、5月移転に向けて準備を行ったところです。その過程で移転先レイアウトの作成等々を行う「移転分科会」を20回、システムの移設等について検討する「システム分科会」を10回開催し、その結果、レイアウトについては30%の面積削減、システム分科会については、移転に伴うシステムトラブルが発生するのを私どもは非常に懸念したわけですが、そういったものもなく順調に業務を円滑に継続することができたと考えています。
なお、残された本部の土地・建物の売却については独法評価委員会からの意見聴取あるいは厚生労働省の認可を受けたところですが、現在、売却に向けて入札公告を実施しており、9月に入札の上、できれば9月中に売買契約を締結したいと考えています。宿舎の関係は、松戸の宿舎は平成22年度に国庫納付したわけですが、残された越谷の宿舎についても、平成24年3月、現物により国庫納付を実施しました。また、退職金共済事業と財産形成促進事業の連携についても、先ほど申しましたとおり、取組を進めているところです。
以上から、この項目に関しての自己評価は「A」としております。
評価項目17「予算、収支計画等」です。「評価の視点」として、中期計画の予算の範囲内で適正に予算を執行しているかです。次頁に予算の収支、各年度の予算・決算の状況を棒グラフにしてまとめています。最初にご説明したとおり、予算額に比して、決算額で8億円の削減、前年度実績と比べても6億円の縮減で、適正に実施しているかと思っています。なお、この取組ですが、真ん中の括弧に書いているように、既存の経費の見直し、業務・システムの最適化、あるいは未請求・長期未更新対策等に係る調達をすべて競争入札にしたこと等々、あるいは四半期ごとに予算の執行状況を把握し、各事業へ経費節減を指示したこと等の取組を行ったところです。
なお、短期借入金を財形融資事業及び雇用促進融資事業で行っていますが、債券の償還、資金調達のために四半期ごとに債券を発行し、それを償還しているわけで、その償還と発行の間に、通常なら1日、カレンダーによっては3日のずれが生じますので、その間、短い間ですが、つなぎ資金として金融機関より借り入れていますが、限度額の中での借入れになっています。
以上、予算の範囲内で適正に予算を執行しているということで、自己評価は「A」としております。
評価項目18「職員の人事に関する計画」です。まず意識の向上を図る観点から、本年度も理事長と管理職の間で概ね30分程度の個別面談を実施し、業務上の問題把握、業務遂行における役割等を明らかにし、意識等の向上を図ったということです。また、研修についても各職務に応じて、右側に研修実績及び体系表を書いておりますが、研修を実施しました。なお、管理職研修においては、民間企業の職員が参加するセミナー等を積極的に活用すること等の取組を引き続き実施しております。
最後は「職員の採用」です。平成24年度の職員採用については、平成23年度末に事業推進部の適格年金移行課を廃止ということで、全体として7名の定員削減を行いましたので、今年は新規採用は行わず、職員の再配置によって対応したところですが、別途、雇用・能力開発機構から財産形成業務の受入れに当たり、「採用候補者名簿」をいただいた方々について、書類選考・面接を実施し、10月1日付で21名の職員を採用しました。なお、採用した職員について、円滑な業務移管に向けて一部総務部門への配置等も行うなど、一体的な管理に向けての体制の確立を目指したところです。
以上のことから、この項目についての自己評価を「A」としております。以上です。

○今村部会長
それでは、委員の皆様は評定記入用紙への評定等の記入をお願いします。質問がありましたら、適宜ご発言をお願いします。

○本寺委員
財産形成事業ですが、事業で利益を上げるというのはどういうことですか。累積欠損金を解消というのがテーマなのですが、逆にいうと、この事業で利益を上げるというのは、どういう仕組みでできるのかということです。

○勤労者退職金共済機構総務部長
私どもは金融機関から調達を行って、それから貸付を行っているわけですが、まず累積欠損金がかなりあったというのは、調達金利の設定の仕方と貸付金利の設定の仕方が異なっており、調達金利のほうは10年間の債券を発行し、貸付のほうは変動金利で、市場実勢に合わせておりましたので、逆鞘が生じてしまったために累積欠損金が膨らんでしまったこともあって、平成11年に制度を改正して、両方の金利設定の仕組みを合わせて5年間として、調達は5年債券を発行する。貸付は5年固定という形で貸付を行い、その調達金利に一定のスプレッドを乗せる形で貸付金利を設定したわけです。スプレッド中に累損解消ができることを見越してスプレッドを設定しており、それによって、確実に累損の解消が進んでいるということです。

○川端委員
最後の頁に、雇用・能力開発機構から21名を採用した。候補者名簿に記載された者全員に、というのは基本的に全員になったのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
実際の名簿提出までの間もいろいろお話などもさせていただいていたのですが、名簿に記載していた21名、全員について書類選考及び面接の結果、採用しております。

○川端委員
最終的には全員ということですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
はい、そうです。

○宮本部会長代理
財形持家融資の伸びですが、いまはどのような状況でしょうか。私は聞き漏らしたかもしれません。

○勤労者退職金共済機構総務部長
財形持家融資については、近年若干減少傾向にあって、平成23年度の実績としては、貸付決定ベースで件数が556件、貸付額が108億円という形になっています。

○宮本部会長代理
理由は、財形持家融資をあえて借りるメリットがあまりないということでよろしいですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
各種理由があろうかと思いますが、1つは民間の金融機関等がかなり低いレートで貸していることもあろうかと思っています。
もう1つの原因として、累積欠損金の解消のためにスプレット中に累損解消のための一定比率を乗せておりましたので、そういったことも1つの原因となっているかもしれないということもあって、平成24年度中に累積欠損金が解消される見込みですので、そのあとどうしていくのかについて、最初に申し上げた財形融資ALMリスク管理委員会等々から、今後の見通し等も判断しつつ、これについてある一定のスプレッドの引下げ等々についても検討していきたいと思っています。

○今村部会長
いかがでしょうか。いずれにしても記入は全部終わらないかもしれませんが、よろしいでしょうか。
以上で説明は全部終わらせていただきましたが、事務局から扱いについて説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
本日、お配りしております資料の送付を希望される場合については、部会終了後に事務局にお申し出いただきたいと思います。評価の記入が終わっていない委員の方については、本部会が終了した後、会場にお残りになって記入いただくことが可能となっています。また、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能です。なお、お持ち帰りになって記入いただく場合は、26日(木)までに事務局まで評定記入用紙をご提出いただく、もしくは部会に出席される際に事務局へご提出いただければと思います。それから本日、送付する予定の電子媒体でご回答いただくことも可能ですので、よろしくお願いします。

○今村部会長
それでは、次の議題ですが、「役員給与規程及び役員退職手当支給規程の変更について」です。まず、事務局から説明をいただき、続いて法人から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
勤労者退職金共済機構理事長から厚生労働大臣に対して、役員給与規程の変更について届出がありました。
独立行政法人通則法の第53条第1項において、「厚生労働大臣は届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知する」こととされており、同条第2項で、「評価委員会は、その通知に係る報酬等の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて意見を申し出る」ことができることとされています。つきましては、この度の役員給与規程及び役員退職手当支給規程の変更が、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、ご意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

○今村部会長
それでは、法人のほうで変更の内容の説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
それでは、お手元に資料2-1と資料2-2があると思いますが、よろしいでしょうか。資料2-1が今回の役員給与規程の改定に伴う新旧対照表、資料2-2が新たな改正が加わったものが溶け込んだものとなっていますが、説明は横長の資料2-1で行いたいと思います。
改定部分についてはアンダーラインを引いており、まず「給与の支払」の第3条の2項です。第1項は全額の通貨による直接払いを規定していますが、第2項で、前項の規定にかかわらず申し出があった際には、金融機関への口座振込の方法によって支払うことができるとなっています。これは給与の口座振込の規定で、これまでも実施していたわけですが、他法人の例に倣って、今回改定に合わせて規程の整備を図ったものです。
実際の改定の中身として、今回は国家公務員の給与改定に準じたものです。1つは、平成23年9月に行われた人事院勧告に沿ったものと、東日本大震災に対処するための臨時特例的な引下げに関するものと2つに分かれています。
まず第4条を見ますと、これは人事院勧告に沿ったものですが、本則第4条で理事長等役員の本給月額を、左の現行と比べると、4,000円~5,000円引き下げています。この引下げ率は0.4%~0,5%となっており、公務員の引下げ率以上のものとなっています。
次頁の附則を見ますと、附則の部分で給与の特例措置分の引下げを書いています。給与の特例措置第2項ですが、平成24年6月1日から平成26年3月31日までの間において、役員の給与の支給に当たって、次の各号に掲げる給与の額から当該各号に定める額に相当する額を減ずるということで、俸給については9.77%、特例調整手当9.77%等々について減額することとしています。これは国家公務員と同等です。
併せて私どもの改定が6月1日となったことから、附則第3項において、いわゆる4月から5月までの分、あるいは人事院勧告の平成23年度部分について遡及して引き下げるための措置を書いており、要するに遡及分について、6月に支給する期末手当の額で調整を行うこととしたものです。これによって役員の給与について、国家公務員と同等の引下げを今回実施したということです。以上です。

○今村部会長
ただいまの内容について、ご質問等がありましたらお願いします。よろしいですか。それでは、本部会といたしましては、この変更について意見なしということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

○今村部会長
ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。それでは、法人及び法人所管課の入替を行いますので、5分休憩とさせていただきます。再開は11時8分ぐらいとさせていただきます。よろしくお願いします。

(法人及び法人所管課入替・休憩)

○今村部会長
それでは、始めます。まず、3月8日の労働部会で審議しました労働政策研究・研修機構の第3期中期計画について、部会後に財務当局との調整により若干の変更があったと伺っていますので、報告してください。

○労政担当参事官
3月8日の労働部会においてご審議いただきました中期計画案につきまして、部会後の財務当局との調整による変更点について報告します。資料3「独立行政法人労働政策研究・研修機構第3期中期目標・中期計画対照表」をご覧ください。
まず、第1の「業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」です。4頁の上から2つ目のパラグラフにアンダーラインを引いています。ここでは、機構の給与水準について、「国家公務員の給与水準も十分に考慮し、国民の理解と納得が得られるように厳しく検証を行い」とした点につきまして、その検証結果や取組状況を公表する旨の内容を追加しています。これは、左側の「中期目標」の記載内容と合わせるための修正です。
そのすぐ下の(3)自己収入で、「運営費交付金を縮減する観点から」という文言を削除しています。これは、平成22年に閣議決定された「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」の記載内容に合わせるようにとの財務省の指摘を踏まえた修正です。
次に、16頁と18頁です。16頁の第5「不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画」です。ここには、労働大学校の土地建物について、国への移管のときに国庫納付することを記載しています。それから、第6の「重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画」、18頁の第11「積立金の処分に関する事項」については、いずれも「なし」ですが、ここは、独法通則法第30条第2項に規定されている事項については該当がないものについても項目立てはすべき、との財務省の指摘を踏まえた形式的な修正をしています。報告は以上です。

○今村部会長
ただいまの内容についてご質問等がありましたらお願いいたします。よろしいですか。特にないようでしたら、報告を承ったとして次の議題に移ります。

(各委員了承)

○今村部会長
次に、労働政策研究・研修機構の個別評価に入ります。最初に、山口理事長からご挨拶と、平成23年度における業務実績概要の説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構理事長
本日は、独立行政法人評価委員会の先生方には、大変お忙しいところを私どものために時間を割いていただきまして、感謝申し上げます。また、日頃から業務実積の評価をはじめ、私どもの運営につきましていろいろとご意見を賜りまして、大変ありがたく心から感謝いたしております。本日は、私どもの平成23年度の業務実績について個別評価をいただくことになっています。3月に労働部会で第3期の中期目標・中期計画をご審議いただきましたが、それを踏まえまして、4月から第3期の計画をスタートさせております。その中でご指摘いただきました事柄、それと第2期の業務実績の評価結果等を踏まえまして、改善できる点は改善いたしまして第3期の計画を進めてまいりたいと考えております。本日もどうか忌憚のないご意見、ご指摘を賜りますようお願い申し上げます。
業務実績の内容につきましては、後ほど総務部長から詳しくご説明を申し上げますが、平成23年度の特徴的な点を3点ほど私から簡単に申し上げたいと思います。1つは、政策論議の活性化です。私どもは政策の立案・実施のための基礎的な研究を行っていますので、政策論議との結びつきが私どもの大きな使命です。研究計画を実施する段階では、テーマの設定や実施の方法について担当の部局等と連絡をしてやっていますので、それなりの結びつきがあるのですが、研究成果が出ましてから、政策の立案のために厚生労働省にそれをどのように伝達して、利用していただけるかという点については、文章で書きますと簡単ですが、実際にはなかなか難しい点がありました。
そこで、平成23年度から政策の立案・実施のための研究報告会を本省と私どもとで企画し、それを新しいやり方として設定することにしました。大変忙しい中、厚生労働省では厚生労働審議官、官房長、各局長が出席してくださいまして、立案の責任者の方に直接、研究成果について報告申し上げ、ご意見を伺う機会ができました。昨年は1回目でしたから、やり方はいろいろ改善していかなければいけない点がまだあろうかと思いますが、新しい試みとして、私どもとしては非常によかったと思っています。
2つ目は、震災対応の取組です。震災以後、雇用や企業運営がどうなっているのかなど、必要の度に調査してまいりました。その結果はフォーラムを開催して報告しています。その中で、日本の場合は自然災害が非常に多いのではないかということで、研究成果、調査結果をうまく蓄積して、もう少し制度的に対応が可能になるように、震災対応の調査研究をもう一段深掘りしたいと考えています。これも平成23年度に私どもがとった対応の1つです。
3つ目は、研究所内の運営です。どの組織でもそうですが、所員のモチベーションを高めることは私どもも課題でした。試みに所員全体で意見を言い合う会を作りました。まだ4月からなので3回か4回やっただけなのですが、手前味噌のようで恐縮ですが、会議そのものよりもサイドエフェクトが非常によいものが出ています。研究員同士が、そこで議論して面白いテーマを見つけるなどすると、小人数で研究会をやるようになったのです。今までは、どちらかと言うと、テーマごとに研究が進んできましたが、中で若干、蛸壺のようになっていました。その蛸壺が壊れて、大きな1つの部屋にまとまって、動き出したとまでは言えませんが、動き出す方向になっています。この点が研究所内では新しい点だと思います。
3つの点について、甚だ口幅ったいことを申し上げましたが、これが平成23年度の特徴点だと思いますので簡単にご報告申し上げました。では、どうぞよろしくお願いいたします。

○今村部会長
続きまして、評価の進め方です。労働政策研究・研修機構の個別評価は、評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行います。まず、「労働政策研究」及び「労働行政職員研修」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明に20分、委員の評定と質疑に10分の合計30分となっています。それでは、法人から説明してください。

○労働政策研究・研修機構総務部長
総務部長の友藤と申します。長丁場になりますので座って説明させていただきます。
まず、グループ1「労働政策研究」と「労働行政職員研修」について説明します。主に資料4-1を使って進めます。7頁をご覧ください。評価シート3「労働政策研究の種類及び実施体制」です。JILPTにおいては、右側にありますように、平成23年度は6つのプロジェクト研究の下、サブテーマとして25テーマを選定して実施しています。1年単位のテーマで実施する課題研究は、3テーマを設定して研究を実施しました。
その下にありますように、「行政への機動的対応」として、喫緊の行政課題により機動的に対応するため、平成22年度から新たに緊急調査の枠組みを設定しています。厚生労働省の調査ニーズを四半期ごとに把握しまして、時機を逸することなく3ヶ月ほどで調査を実施し、速報で担当部局に早めに調査結果をお返しすることも実施しています。このような緊急調査を平成23年度は8テーマ実施しています。
このテーマ設定については左側をご覧ください。まず、当然、要請元の厚生労働省からの内容があります。いちばん上にありますように、私どもでは部門間で横断的に議論をして、問題意識や考え方を整理していますし、労使懇談会のような形で労使のニーズも把握しながら内部で政策課題について検討しています。それらを、厚労省との「ハイレベル会合」でぶつけて、厚生労働省のご意見も十分
に踏まえながら、行政、労使のニーズ、意向を十分反映した形で決定し調査研究を実施しました。平成23年度の具体的なテーマは8頁に入れています。非正規雇用や新成長戦略等、国策といえる問題を視野に入れた重要性の高いテーマについて研究を実施しました。
7頁に、成果を記載しています。いちばん最初のところにありますように、白書、審議会・研究会、専門図書等への引用件数は580件になっています。中でも審議会・研究会等での引用件数は185件で、前年度の153件を上回る過去最高になっていまして、政策の企画・立案への貢献を強めていくという、日頃からの理事長の指導、意向が各研究員にも浸透してきた結果ではないかと思っています。政策への企画・立案の貢献度合いが高まった状況になっています。労働政策審議会といった厚労省の審議会だけではなく、新成長戦略実現会議や社会保障改革に関する集中検討会議などの政府全体での重要政策課題の検討会議においても使われています。
具体的な例として、9頁の各審議会・研究会での引用件数等の内訳にありますとおり、内閣府、文科省、経産省などの審議会でも活用されています。また、その右側にありますように、研究成果の引用だけではなく、私どもの研究員が直接、審議会・研究会の場に参画して、政策の企画・立案に貢献しています。そういった件数は平成23年度では54件ありました。
以上のような結果を踏まえ、自己評価は「S」としています。
続いて、11頁の評価シート4「厚生労働省との連携等」です。真ん中にありますように、平成23年度も、ハイレベル会合、トップによる定期会議、政策研究会、政策担当者との勉強会など、さまざまな意見交換の場を設けて厚生労働省との連携を図りつつ、調査研究を実施しました。特に平成23年度は、2つ目の○にありますように、新たに厚生労働省が実施するテーマ別研修に研究員を講師として派遣しまして、職員の方に労働問題についての知見を与えました。また、3つ目の○にありますように、平成24年度から研究テーマごとに厚生労働省の研究担当者の登録制を新たに導入することになっていますが、その前段として、平成23年1月から3月にかけて、平成24年度から実施するすべての研究テーマについて、担当者と研究員とが計画段階での意見交換をしまして、政策課題の把握や研究テーマへの反映のための取組を実質的にスタートさせました。以上のように、非常に密接な形で連携を進めてまいりました。
その他、下にありますように、「海外研究機関との連携」を強めています。1つ目の○にありますように、日韓ワークショップ、日中韓ワークショップ等を実施しています。日韓ワークショップでは長時間労働についての議論、日中韓ワークショップでは能力開発やキャリア形成支援について議論しました。
また、下にありますように「国際比較労働法セミナー」を行っています。これは海外の研究機関や大学の先生等にお集まりいただいて議論するもので、「企業における従業員代表制」について議論していただきました。研究の質を高める1つの要素になったと考えています。
「外部機関との連携」では、大学あるいは地方行政機関等へ、研究員が講師として講演という形で記載しているとおりの件数を行っています。
こうした取組を踏まえ、このシートの自己評価は「A」としています。
続いて、13頁の評価シート5「労働政策研究の成果の取りまとめ及び評価」です。平成23年度については、赤字で書いてありますように、第2期最多となる68件の研究成果を公表しています。
研究の評価はしっかり実施するとして、右側にそのプロセスを記載しています。まず、所内研究発表会で揉みます。そのあと、内部の研究者によるレビュー、それから、内部評価、外部評価の3段階での評価を実施しています。特に第3期、平成24年度の研究テーマからは、左の中段に記載があるように、本格的にテーマの妥当性について事前・中間・事後評価を行うことになっています。平成23年度は、平成24年度の研究テーマについて外部評価機関である総合評価諮問会議の「リサーチ・アドバイザー部会」で事前評価を実施しました。そうした新たな取組も実施しています。
外部評価等を厳格に実施し、質の高い成果を確保したとして、評価シート5の自己評価は「A」としています。
続いて、16頁の評価シート6「達成すべき具体的な目標」です。私どもの研究成果は、外部評価、具体的には15名の学識経験者で構成される「リサーチ・アドバイザー部会」において評価を受けています。そこにありますように、目標数値は3分の2以上の高い評価を受けることとなっています。平成23年度は、外部評価対象の23件について「S」が2件、「A」が18件で、「A(優秀)」以上を獲得した件数は全部で20件、率にして87%で、3分の2以上の高い評価を受けるという目標数値を大幅に上回りました。
中段にありますように、有識者アンケートでも、「有益である」の回答割合数、これも3分の2以上の方から得るという目標数値ですが、これについても97.4%で、3分の2を大きく上回る高い評価を得ています。それから、私どもの研究結果については、厚生労働省の労働政策にいちばん関連の深い担当部局から、政策に役立っているかどうかの評価を受けています。これは、プロジェクト研究で80%以上、課題研究では90%以上が数値目標です。結果はお手元の資料にあるとおり、プロジェクト研究で97.8%、課題研究で100%という数値で、いずれも目標を超えて、「政策に役立っている」という評価をいただいています。
17頁に、「主な研究成果の概要」と行政での「活用状況」を載せています。いずれも、政策に活かされた、あるいは近々政策に活かされるという回答をいただいています。
以上の結果を踏まえ、評価シート6の自己評価は「A」としています。
続いて、19頁の評価シート7「優秀な研究者の確保と研究水準の向上」です。「任期付研究員の採用」で平成23年度は任期付研究員として、公募で多くの方においでいただきました中から2名の方を採用しました。いずれも労働法関係です。
「研究員の育成」として、任期付研究員の方に対しては、最新の政策動向や政策課題を一早く吸収していただくために、「政策研究会」や「研究成果勉強会」に参加を促し、また、能力育成の観点から、外部評価の対象となる研究成果の取りまとめを奨励しました。結果としては、いずれも「優秀」以上の評価を得ています。
「研究員の能力開発」として、先端の研究動向にも接するため、学会への加入あるいは学会会議への参加を促しています。平成23年度は46学会に加盟しています。その結果、赤字で書いてあるように、日本産業カウンセリング学会において「第1回実践賞」を受賞しています。研究員は着実に力をつけていることが窺えると思います。
また、研究員には学会誌・専門誌への論文掲載も促しています。平成23年度は26件ありました。ほかに、右側に記載がありますように、研究員の研究の質の向上と意欲を高めるために、平成23年度は通常の報告書だけではなく、機構の研究業務として行った成果を中心に、本を出す取組をしています。「研究双書」という形での発行を奨励しています。そこにありますように、昨年9月に発行した研究双書『労使関係のフロンティア 労働組合の羅針盤』が、第26回「冲永賞」を受賞しています。これも研究員の能力が高まってきた1つの表れだと考えています。
このような状況を踏まえ、評価シート6の自己評価は「A」としています。
次に、21頁の評価シート14「労働関係事務担当職員等に対する研修」です。「研修内容の充実」として、厚生労働省の要望に対応し、研修コースの新設、研修科目の見直し、教材の改善等を実施しています。特に赤字で書いてありますように、平成23年度からは、地方における研修を支援するために、厚労省と協力して、新任職員を対象とした労災補償業務と雇用保険業務の研修テキストを開発しています。行政刷新会議の仕分けの関係で、地方でできる研修は中央で行うのではなく地方で行うべしという指示をいただいていますので、中央研修を少し削っています。また、地方での研修が行いやすいように中央でテキストづくりをしています。
平成23年度の中央研修の実績は、75コース、2,946名を対象に実施しています。以上のことにより研修生の数は平成23年度に若干減少しています。研修生からの有意義度については98%で、85%以上の目標数値を13ポイントほど上回る高い数値となっています。
当研究機構での研修の実施においては、研究との連携も非常に重要な事項となっています。「研究と研修の連携」として、研究員が研修に参画したのは延べ80名になっています。イブニングセッションの開催が23回です。これは、課外活動の時間を利用してワークショップにおいて研究成果を紹介し討議を行う形で、現場の問題意識あるいは課題を吸い上げるというものです。また、職業指導・キャリアガイダンスツールの講習会も5回開催しています。参加した研修生からの意見は、そこに記載されているとおりで、大変好評です。
それから、震災対策の新たな取組として、そこにありますように、東日本大震災で被災した新卒者等を対象として、労働大学校の宿泊施設を無料で提供しています。併せて、機構ならではのものとして、2つ目の○にありますように、研修・研究を通じて得られた知見を活用して就職支援のためのセミナーを実施しました。そうした取組により、宿泊者数は延べ321名、セミナー受講者は143名になっています。
以上を踏まえ、評価シート14の自己評価は「S」としています。以上です。

○今村部会長
それでは、委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いいたします。ご質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○本寺委員
いまの「労働関係事務担当職員に対する研修」について、自己評価を「S」とされていますが、これは例えば、研修実績、満足度、有意議との回答を得たなど、前年とそれほど変わっていないのです。確かに目標を上回っていると言えば上回っているかもしれませんが、逆に言うと、この目標自体の数値設定が正しかったのかという疑念があります。過去5年間をずっと見ると似たような状況なのです。機構として「S」にするポイントを是非教えていただけますか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
1つは、震災対策で特別に宿泊施設を無料提供してセミナーを実施し、面接会を実施したことが売りになっています。こういった、通常にない業務を新たに、校長以下の発案でこのような取組をしたということが大きなものです。もう1つは、研修の人数と満足度はそれほど変わっていませんが、例えば、地方のための新たな取組をした、地方研修の枠組みを作るということで、通常の業務をやりつつ、新たにテキストづくりをしたところがいままでにない頑張りだったとして、私どもは「S」という評価にしたものです。
もともと、目標数値が甘かったのではないかというご指摘もありましたが、98%というのは相当高い数字でありまして、これ以上はなかなか上がりようがないものです。この98%を取るためにかなり講師の方は苦労されて、同じことをしていれば研修生の方は慣れてきて、「ああ、またああいう話か」ということになります。常に最先端の情勢をつかんで、そういうことを加味して教えていかないと、有意義度は現状を維持できない状況にあります。そういった新たな知見も入れ、研修生の関心も毎回アンケートを取ってどのようなところがわからなかったのかも調べ、どのようなことを聞きたいのかも分析する。こういった日頃の調査の積み重ねの上で綿密な講義をして、はじめてこれだけの数字になったと私どもは思っています。そういった土台があって、先ほど申し上げたようないろいろな取組をしたということで、今回「S」評価にしたものです。

○今村部会長
それに関連して、ちょっとお伺いしてよろしいですか。こちらに研修実績として、新規職員研修、労働基準監督官研修等とあります。私の誤解かもしれませんが、採用年次に応じてルーティーンで年次ごとに研修されていくのではないですか。同じ科目名の研修を同じ人が2回受けることはあるのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
同じ科目を同じ人が受けることはありません。

○今村部会長
ないですよね。年次更新によってどんどん新しい研修にシフトしていくのですよね。

○労働政策研究・研修機構総務部長
そうです。基本的に1回です。

○今村部会長
ですから、同じ講義を同じ人が2回受けて評価が変わっていないということはあり得ませんね。

○労働政策研究・研修機構総務部長
はい。ただ、同じ研修を受けるわけではないのですけれども、研修から帰ってきて回りの人にも教えたりもするので、現場ではもう当たり前のことになっていくのです。ですから、常に新たなことを教えないと、研修でいいことを習ってきたねという形で現場では評価されないということです。やはり、本人の満足度を高めていくには日頃知らないことを教える。大学院と同じで、大学院では最先端のことを教えないとなかなか評価が高まらない。そのようなことで講師の方は日夜勉強されて講義をしています。

○今村部会長
それに付随して、統計の専門家がいらっしゃるので少しだけお伺いします。「まあ有意義だった」が29.4%ありますが、それも含めて「有意義」という評価はどうなのかという議論は以前からされています。指標が高過ぎるとか低過ぎるということが問題ではなくて、評価手法そのものを不断に向上させるという発想はないのか。つまり、アンケートを記述的にして構文解析をして、その中から、前向きな表現、後ろ向きな表現をピックアップして、より具体的な統計にしていくなど、そのような手法の改善の余地はあるのではないかと思うのです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
ありがとうございます。手法につきましても、第2期の終わりから試行的に、研修生の評価だけではなくて職場の上司からの評価も取ることは大切だろうとして、平成23年度から取り始めています。平成24年度、第3期から本格実施することになっています。それから、確かに、研修生に対する有意義度の回答も、役に立ったということで、評価が甘いこともありますが、そこも少し見直して、対象をもう少し細かくして評価を取るような形で、第3期からはそのように改善することにしています。

○宮本部会長代理
優秀な研究員の確保の頁についてです。任期付研究員の採用になってからもうだいぶ経っていると思いますが、これは何年期限で採用されているのですか。それから、任期付研究員で採用した方が、その後、任期付でなくなる辺りについては、どのような状況になっているのかお話いただけますでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
任期付研究員につきましては、一応、3年間の期間で採用しています。そのうち、外部評価による評価で2回B以上の評価を取った場合には、パーマネントの研究員として採用するよう委員会にかけまして、了解が得られればパーマネントに採用することになっています。いままで、B評価を2回以上取られてパーマネントに採用すべしとして委員会に諮った者は、いずれも採用しています。一定以上の評価を取った方は、すべてパーマネントで採用しています。

○宮本部会長代理
ということは、一定以上の評価がなくパーマネントにならないケースもあったということですね。

○労働政策研究・研修機構総務部長
過去には、B評価が取れなくて、そのまま任期付で終わられた方もあります。

○宮本部会長代理
そうですか。わかりました。

○今村部会長
いかがでしょうか。引き続き、記入していただきながら、次の項目に移ります。
次は、グループ2「労働事情・労働政策に関する情報収集」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分となっています。それでは、法人から説明してください。

○労働政策研究・研修機構総務部長
23頁、評価シート8「国内情報及び海外情報の収集・整理」です。まず国内の方からご説明します。労働現場における最新の事情・動向を収集・整理して、労働政策研究の基盤を整備するということで、企業、勤労者等を対象とするアンケート調査を中心に8件実施。そのほかモニター調査を8件、有識者アンケートを2件、調査員が企業、組合を回って情報収集したのが84件。それからビジネス
・レーバー・トレンド研究会といった民間企業の方、あるいは組合の方を対象に研究会を開催してますが、そういったもので意見聴取するのが2回あります。そういった情報収集、調査を実施しています。
特に23年度、東日本大震災の発生を受けまして、理事長からもお話がありましたとおり、ここでの情報収集を蓄積しておくというのが非常に大切だろうということで、特にこの問題については「緊急調査」で3本ほど実施をしたということです。震災による影響、対応について、機動的な実態把握ができたのではないかと考えています。
収集した情報ですが、25頁に資料を入れています。左側にありますとおり『ビジネス・レーバー・トレンド』といった雑誌の上で特集をしたりして公表しています。活用についても25頁の右側にあるとおり審議会・研究会でも活用されていますし、白書でも引用されています。
23頁に成果の全体を記載していますが、全体で23年度154件ということで、前年度の145件を上回っています。数値目標が年間100件以上ということになっているので、数値目標を十分達成しています。白書・審議会での活用実績は28件、新聞・雑誌は126件という状況です。
24頁が「海外情報の収集・整理」についてです。海外の情報収集・整理については、国別と課題別に分けていますが、「国別労働情報収集」については常時収集をしているものですが、英・米・独・仏などの主要国、国際主要機関(ILO)等に絞ってプロジェクト研究テーマとも関連する政策課題を重点に情報収集をしています。集まった情報については、ホームページでの情報提供件数が95件。それからビジネス・レーバー・トレンドでの情報提供件数が101件という状況になっています。
「課題別情報収集」については、目標数値が4テーマ実施ということになっていますが、そこにあるとおり「諸外国における職務評価を通じた均等賃金促進の取り組みに関する調査」、「労働時間規制に係る諸外国の制度についての調査」、あるいは「諸外国における能力評価制度」。これはいずれも要請と書いていますが、厚生労働省からの要請に基づく調査です。そのほか私どもが問題意識を持って取り組んだものとして、「アメリカの新しい労働組織とそのネットワーク」といったものの調査にも当たっています。
「海外労働情報研究会の開催」ということで、海外の行政の方あるいは大学の先生が来日した際に、私どもの研究にも関連する問題点、現状についてお話をいただくといった研究会を開催しています。「OECD加盟国の移民政策の現状」、「イギリスにおける労働市場の変貌・若年者入職・選抜の長期化」の状況について、そこに記載のある先生方にお話をしていただいております。
「情報収集の成果の活用状況」です。右側にあるとおり新聞・雑誌等での引用、マスコミ・行政官への説明件数は84件ということになっていまして、大幅に増加しています。行政官アンケートでも政策立案の参考として活用したのが21件という形になっています。
3つ目の○にあるとおり、主な活用例ということで特に課題別情報収集で実施した「諸外国における職務評価を通じた均等賃金促進の取り組みに関する調査」については、政務三役から直接説明を求められ、それぞれ個別にお話があったわけですが、大臣、副大臣、政務官とそれぞれ説明を求められ、ご説明に調査員が伺ったということで、労働政策の検討にもかなり活用されたと考えているところです。そのほか日経新聞にも記事を投稿したということもあります。
以上のような成果を踏まえて、この評価シートについては自己評価「A」という形にしています。
27頁、評価シート9「各種統計データ、図書資料等の収集整理」です。そこにありますとおり、さまざまな形で各種統計データを収集・整理しています。左側にありますとおり、まず、「主要労働統計指標」、それから「最近の統計調査結果から」ということで、取りまとめをしてホームページで提供しています。23年度の取組としては「都道府県の労働統計」、あるいは「労働統計Q&A」というものを新たに作成をして、利用者の便を図ったところです。
[2]としてOECD、ILO各国の統計ですが、そういったものについても「データブック国際労働比較2012」ということで公表しています。[3]として労働統計加工指標を作っていまして、成果については「ユースフル労働統計2012」という形で公表しています。[4]として労働統計データベースという形でデータを蓄積して、研究員だけではなくて幅広く皆様方にご提供しているということで、それについても仕様を改めて改修を実施しています。「更新作業を効率化」と書いていますが、従来、職員が1日更新作業にかかっていましたが、それが1時間でできるという形で効率化が図られたという状況になっています。
[5]としてそのほか情報の収集・整理というだけではなくて、アンケート調査をした個票データがありますが、それを研究者等に提供するといったデータアーカイブ事業を実施しています。23年度、10本のアーカイブデータを新たに公表し、累計で27本ということで二次的利用のための取組も着実に実施しているということです。そのほか、[6]として、厚生労働省の要請に応じて、将来の労働力需給の推計の作業もしていますが、研究会を1回、作業部会を2回開催したということです。[7]ですが、これも厚生労働省の要請に応じて、雇用創出・消失指標の推計についても試算をまとめて結果を発表しています。
以上のような取組の活用状況ですが、27頁の右側にあるとおり、ホームページを通じた活用ということで、アクセス件数が116万件という形になっています。前年が90万件ということで大幅に増えたという状況になっています。それから「データブック国際労働比較」、あるいは「ユースフル労働統計」については、有識者アンケートで3分の2以上の評価を得るということですが、97.3%が有益との評価をいただいているということです。
それから審議会や各種白書での活用ということで、そこに記載があるとおり、「データブック国際労働比較」が「平成23年度版厚生労働白書」あるいは「平成23年度版高齢社会白書」において引用されていますし、「ユースフル労働統計」についても、中央教育審議会あるいは「社会保障改革に関する集中検討会議」への準備作業会合で活用されています。
その他行政官アンケートでも高い評価を得たということで、このシートについては自己評価「A」という形にしています。
29頁「研究者等の招へい・派遣等」についてです。研究者の招へいですが、ドゥリッシャー・イドゥルスさん。マレーシア国際看護・厚生科学大学の副学長という方を1名お招きしています。「日本とマレーシアにおける民間ヘルスケア部門の比較研究」というテーマを選ばれて研究をしていただいたところです。「労働政策研究への反映」のところに記載があるとおり、プロジェクト研究の「労働関係が個別化する中での安定した労使関係を構築するための総合的な研究」に関連して、ヘルスケア産業全般における調和のとれた職場環境・労使関係の構築、その政策対応についての日本との比較という観点から、最新の情報を提供していただいたということで、私どもの政策研究に貢献をいただいたところです。
招へいは1名ということですが、派遣は4名です。「ISA世界社会学会議」のワークショップに研究員が出て論文を発表する。それからEUのシンポジウムの準備会合に研究員が1名派遣されて、研究成果の発表をしています。それからILOアジア労使関係学会専門家会議に1名派遣。労働雇用関係協会の年次総会に1名派遣して研究成果の発表をしたということです。
そのほか海外の研究機関とのネットワークも非常に大切になっています。我が国の労働問題について、ほかの国との共通する課題もかなり多くなっているということもありますので、ネットワークづくりが非常に重要になっているということで、OECDのクラブにも加盟するという形にしていますし、外国人の研究者の受入れにも力を入れています。インドネシアの政労使訪問団、香港の労働局の訪問団、そのほか欧米各国の研究者等の受入れをしています。海外からの日本の労働政策、労働事情の資料要望、問合せについても129件ありました。
海外への情報発信ということで、研究報告書の「要約」11点を英訳してホームページで公表していますし、「日本の労働事情と分析」というものを英文で作成してホームぺージで公表しています。それから日本の労働政策研究に関する情報の提供を目的として、英文雑誌のJapan Labor Reviewを季刊発行しました。
以上のような取組を踏まえて、この評価シートについては自己評価「B」という形にしています。以上です。

○今村部会長
委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いします。ご質問等ありましたら、適宜ご発言ください。
小さな確認ですが、27頁の左の「各種統計データ等の収集・整理」のところの[6]、[7]です。厚生労働省との関係は、ハイレベル会合等を通じて緊密にやるということですが、この厚生労働省から要請を受けて統計を整備して提供するという業務は、従来はやっていたのでしょうか。あるいはこれは新しい動きなのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
これは従来からやっていまして、ハイレベル会合というよりは下の担当者レベルで、こういった形での情報がほしいといったような要望があって実施をしています。

○今村部会長
厚生労働省の中でデータを取るのではなくて、直接、機構のほうにデータをほしいと。

○労働政策研究・研修機構総務部長
そうですね。単純なデータというよりは指標の推計ですので、新たに指標を作るということで研究会を作って、学識経験者の先生にも入っていただきながら検討して試算をしたというものです。

○今村部会長
はい。わかりました。よろしいでしょうか。特になければ引き続きご記入をいただきながら次に進みます。
次はグループ3、「研究等の成果の普及・政策提言」の項目について評価を行います。法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分となっています。それでは法人から説明をお願いします。

○労働政策研究・研収機構総務部長
グループ3ですが、31頁、評価シート11「労働政策研究等の成果の普及」です。私どもの研究成果の普及の手法としては、ホームページ、ニュースレター。これはBLTになりますが、ビジネス・レーバー・トレンドという雑誌、それからメールマガジンといったさまざまな媒体を通じて、成果の普及を実施させていただいています。右側に数値目標の達成状況を記載していますが、5年連続で数値目標を達成しています。そこに赤字で書いてありますとおり、特にメールマガジンは創刊から9年連続で95%を超える高い評価をいただいています。
[1]ホームページは、コンテンツの強化をかなり実施しています。ページビュー数は約2,866万件で、前年度が1,600万強ですので、大幅に伸びている状況になっています。具体的には、32頁にどういうホームページの改善を実施したかを記載してあります。1つ目の○にありますとおり、従来の「ビジネス・レーバー・サーベイ」をリニューアルしまして、調査員取材記事のバックナンバーが一覧で見られる「国内労働情報」を公開しています。具体的には、[3]の国内労働情報を開いていただくと、一覧表が出てくるといったような見やすい紙面づくり、ホームページづくりをさせていただきました。
2つ目の○、アクセシビリティの向上に向けたホームページの改修ということで、「文字サイズ拡大・縮小ボタン」を新たに追加しました。それから、専門業者に委託しまして、ウェブサイトの診断を実施しています。具体的には、画像・写真についてはテキストを入れて視覚障害者等が音声を聞いても判別できるような改善にも取り組んだということです。
3つ目の○にありますとおり、皆さんエンジン検索で来られる方も多いということで、グーグル等サーチエンジン検索の結果で上位に機構のホームページが表示されるように、改善をさせていただきました。そういった取組がありまして、ページビュー数が大幅に伸びた状況になっています。
31頁に戻りまして、[2]ニュースレター(ビジネス・レーバー・トレンド)です。ビジネス・レーバー・トレンドについては、読者アンケートによる有益度について、80%以上の評価を得ることになっていますが、94%と大幅に上回っています。下の矢印に書いてありますとおり、「日経テレコン21」からの依頼を受けて、有料によるデータ提供も実施をさせていただいています。利用件数としては7万6,000件強、収入にしまして58万円となっています。
[3]は、メールマガジンです。これは、週2回発行させていただいています。読者数の目標数値が2万4,500人以上となっていますが、それを大幅に上回る3万41人となっています。読者アンケートにおいて「役立っている」という評価も96.3%いただいていまして、目標の80%を大幅に上回る状況となっています。
[4]の研究専門雑誌です。「日本労働研究雑誌」、レフリー付きの研究専門雑誌ですが、こちらについてもテーマに沿って編集企画をしていまして、有識者アンケートにおいても「有益」とする割合が94.9%となっています。
説明し忘れましたが、メールマガジンの読者数は3万人強ですが、これはメールマガジンのポータルサイトのマグマグというのがありますが、そういった読者数のランキングと比較しても、行政・政治・地域情報のジャンルで第1位。ニュースジャンル全体でも第3位に相当する規模となっています。
以上、成果等を適切な各種媒体、方法により提供する、あるいはその目標をすべて達成する、読者アンケートによりましても高い評価を得ているということで、この評価シートについては自己評価「S」とさせていただいています。
続きまして34頁、評価シート12「政策論議の場の提供」です。労働政策フォーラムについての評価シートです。労働政策フォーラムについては、労働に関する最近の重要なテーマについて報告・討議する場として設けています。昨年度は、年度計画6回を上回る7回開催しています。参加人数については、前年の実績を上回る2,107名の方にご参加をいただきました。7回のうち5回のフォーラムで、90%以上の有益度を獲得しています。各個別のフォーラムの状況については、下にあります。私どもの調査研究で得られた政策的知見の成果を披露するということで、平成23年度は特別に「震災から1年、被災地域の復興と労働政策を考える」といった、震災からの復興といった国民的な課題も積極的に取り上げて、フォーラムの企画に取り組んだところです。
それから、この場でもご指摘がありましたが、より幅広い方に提供すべきというお話がありましたので、これまで広報誌であるBLTで紙上で再現するということもしていましたが、会場あるいはBLTでご覧いただくだけではなく、You Tubeでも動画配信をするといったような新たな取組も開始させていただいたところです。
これも新規事項ですが、幅広く政策論議を起こすだけではなくて、厚生労働省との政策論議も当然大切だということで、理事長からもお話がありましたとおり、平成23年度からは厚生労働省幹部等との政策論議の活性化ということで、研究報告会を新たに開催させていただきました。労働関係の部局別に4回開催をしました。厚生労働省側からは、そこに記載がありますとおり、厚生労働審議官、官房長、政策統括官、それからそれぞれのテーマに関係する局長にご出席をいただいて、活発な論議・意見交換を実施したところです。
以上のような取組を踏まえまして、フォーラムでは毎回多数の参加をいただき、有益度も高い、あるいは厚労省幹部等との政策論議といった新たな取組も実施したこともありますので、自己評価については「S」評価とさせていただいています。
続きまして評価シート13です。37頁をご覧ください。「労働教育講座事業の実施」です。これは、私ども広く労使の実務家を対象として教育講座を実施させていただいています。大きく「総合講座」と「専門講座」に分かれています。総合講座ですが、「人事管理・労働経済部門」それから「労働法部門」の2部門で実施をさせていただいています。受講者数については398名ということで、前年を少し下回るような結果となっています。これは震災の影響がありまして、急遽取りやめられる方がいらっしゃったということで、若干人数が下がった形になっています。受講者の満足度は92.9%ということで、9割以上の方から高い評価を得ました。
専門講座ですが、こちらはゼミナール形式で実施をしているもので、「労働法コース」「人事管理・労働経済コース」の2コースで実施をさせていただいています。ゼミナール形式で行っていることもありまして、募集人員は100名で実施をさせていただいています。受講者の満足度は、ゼミナール形式でやっていることもありますが、満足度100%で、5年連続で9割以上の方から高い評価を受けている状況になっています。
「参加者からの声」を右側に入れていますが、裏づけとなる論理を体系的に学ぶことができた、あるいはフリーター・ニートの出現の経緯や若年者における課題について、マスメディアでは読み取れない情報を得ることができた、といったご意見もいただいています。総合講座の受講者を対象として、受講終了後半年経ったあとにフォローアップ調査もしていますが、その結果も中段のフォローアップアンケートのところに入れてあります。個別案件で活用できる。新たな制度導入等についても、最新データを使用した説得力のある資料作成が可能となった、といったような受講生の実務にも貢献したことが窺えるような結果を得ています。
こうした実績を踏まえまして、自己評価については「A」評価とさせていただいています。以上です。

○今村部会長
ありがとうございます。それでは、委員の皆様、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。ご質問等ありましたら、適宜ご発言ください。
1つだけ簡単な質問とお願いなのですが、34頁の「政策論議の場の提供」は、非常に新しい試みをやられて、You Tubeに公開されたり、厚労省幹部との政策論議ということで、これは高く評価されると思います。お願いですが、You Tubeはどのぐらい公開されたのか書いていないのですが、こちらの厚労省幹部との政策論議の日付を見ますと、7月5日、7日、8日とわりとまとまって直前になってやっていらっしゃるようなのですが、これは年度を通じて満遍なくやられたほうが効果があるのではないかと思うのですが、より目的の効果が発揮されるような時間配置を是非検討していただきたいと思います。

○労働政策研究・研修機構総務部長
平成22年度に、統括官と理事長とのトップ会談を定期的に年4回していますが、その場で話が決まったということで、急遽実施することになりまして、日程が固まりました。大変評判が悪くて、日程をもう少しばらしてくれないかということで、今年度は少しばらすような形で実施をさせていただいています。直近の報告書をベースにいろいろお話をしますので、どうしても春から夏にかけて政策をまとめる段階のときに実施をさせていただいています。時期については、もう少し検討させていただきたいと思います。

○今村部会長
いかがでしょうか。特にないようでしたら、引き続きご記入をしていただきながら次に進みたいと思います。
次は、グループ4「効率的な業務運営」の項目についての評価となります。法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分、合計30分となっています。では、法人から説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
グループ4、評価シートの1です。39頁をご覧ください。「業務運営の効率化」ということで、左側の「省資源・省エネルギーの推進」です。平成23年度は通常の取組に加えまして、1つ目の○にありますとおり、東日本大震災による電力不足に対応するということで、節電実行計画を策定しまして、夏季の節電を強力に実施をさせていただきました。
取組の主な内容は、下の囲み枠に入っています。一斉閉庁をする、あるいは休校も実施をしていますし、ノー残業デーの日数を増やす、あるいは空調も抑制することもしていますし、サマータイムも実施をさせていただきました。そういった諸々の取組を実施しまして、年間を通じても使用電力の削減に努力したということで、上石神井事務所については9%減、朝霞労働大学校については12%の削減を図ることができました。それから、光熱水料についても、これは灯油代を含んでいますが、前年度を6.3%下回る形になっています。金額にしましても、約300万円程度の節減を図ることができた状況になっています。
「一般競争入札の積極的な導入等」です。件数ベースの割合が書いてありますが、平成19年度が55.5%、平成20年度が67.9%、平成21年度が73.9%、平成22年度が76.9%、そして平成23年度が77.6%と、着実に一般競争入札の割合が増加してきています。競争性のない随意契約の件数ですが、平成23年度は98件中22件となっています。
契約に関しては、随意契約を厳しくチェックする体制をとっています。右側にありますとおり、決裁過程において契約担当部門以外、総務課でも仕様書の審査をしますし、理事、理事長の決裁を行ったあとに、監事にも回付する形を取らせていただいています。それから、「随意契約審査委員会」は内部の審査委員会ですが、四半期ごとに随意契約の案件について審査をしています。結果については、理事長、監事にも報告して、ホームページでも公表させていただいています。
3つ目は「契約監視委員会」です。これは監事2名と外部有識者3名からなる委員会ですが、こちらでもさらに審査をしまして、すべての随意契約、そのほか企画競争、一者応札・一者応募の案件についても審査をいただいています。いずれも、適切に行われているという評価をいただいています。一者応札・一者応募についても、複数社から見積を取ることを行うべきだといったご意見もいただいていますが、適正に行われているという結果をいただいています。以前ご指摘があったシステム案件については、開発業者でなければ対応が難しい改修と通常の保守部分を切り離して入札にかけるようにすれば、一者応札が回避できるのではないかというご提案が委員からされたということで、平成23年度はそういった趣旨に沿った仕様書の改善を図りまして、一者応札の回避につなげています。
40頁ですが、「総人件費改革の取り組み」です。総人件費改革については、国家公務員の給与の動向等も踏まえつつ、毎年度、給与の見直しをしっかり実施させていただいています。具体的な取組事項は右側に記載していますが、機構独自として平成16年度から平成18年度にかけて給与の大幅な削減をしています。[1]に「継続事項」と書いてあるのは、平成16年から平成18年に実施をしてきたものですが、事務職員の本俸2%削減や、全職員の本俸4.8%削減、事務職の定期昇給の抑制といったようなことを実施しています。そのほか、[2]のとおり、平成21年度から国と異なる諸手当の見直しということで、職務手当の定額化や、深夜超勤手当の割増率の削減に取り組ませていただいています。[3]にありますとおり、法定外福利費の見直しも実施をさせていただいています。
そうした取組の結果、ラスパイレス指数は平成23年度事務職で101.3で1.2ポイントの減少、研究職については97.2で0.8ポイントの減少という形で、研究職は既に100を達成していますが、事務職についても100に向けて着実に進展しています。なお、平成24年3月に厚生労働省から国家公務員の給与減額措置に関連して、機構職員の給与についても必要な措置を講じるように要請を受けました。平成24年3月から交渉しまして、6月に最終的に組合と合意したということで、公務員に準じた給与減額措置を講じました。
こうした取組を踏まえまして、自己評価については「A」とさせていただいています。
続きまして、評価シート2「業績評価制度の運用」についてです。42頁をご覧ください。業績評価制度については、中期目標・中期計画に基づいて年度計画を策定しまして、実施すべき事項の明確化、組織目標と個人の人事評価との有機的な連結を図っています。そうした上で、内部統制維持の強化や、PDCAのサイクルを図るということで、「業務進行管理」のところにありますとおり、経営会議の場における毎月の業務実績報告や進捗状況の把握・共有化を図っています。その上で、内部評価、外部評価を実施して、最終的に外部評価においては「総合評価諮問会議」といった外部評価委員会を設置して、外部の各界の有識者の方にメンバーになっていただいて、年に2回評価をいただいています。評価結果については、評価基準ともどもホームページに公表させていただきまして、透明性の確保に努めているところです。
また、「外部からの意見の把握」ということで、43頁になりますが、「有識者アンケート」を実施させていただいています。有識者アンケートでは、94.7%の方から機構の業務活動全般について「有益である」という評価をいただいています。目標数値が3分の2以上ですので、それを大幅に上回る高い評価を得たということです。特に、前年度に比べて政策論議・政策立案の基礎となる重要な知見の提供に対する評価が増加したというような結果になっています。
有識者アンケートとともに、「行政官からのアンケート」もいただいています。厚生労働省の労働関係部局55課室を対象としたアンケート調査を実施していまして、機構の成果を活用した課室が38ありましたが、いずれの課室も「機構の成果が業務に有益であった」といった評価をいただいています。「大変役立った」といった評価の課室が6件増加しているとともに、評価理由としても新規施策の検討のために役立ったというところが大幅に増加をしている状況になっています。
こうした状況を踏まえまして、評価シート2については「A」評価とさせていただいています。
続きまして、45頁の評価シート15「予算、収支計画及び資金計画」の関係です。運営費交付金の収入については、前年より減少しまして25億9,600万円となっています。一方、交付金債務は、使い残しですが、そちらが1億9,800万円となっています。また、財務諸表には詳しく記載をさせていただいていますが、期間進行基準対象経費における業務効率化により、当期利益は着実に増加していまして、平成23年度は約2,000万利益が出たという形になっています。
「その他業務運営に関する重要事項」です。[1]は内部統制の徹底ということで、理事長のリーダーシップの下、経営会議を設けまして、職員の服務規律、コンプライアンスの厳格化、役員選任の適正化など内部統制の強化に取り組んでいます。平成24年度からは、専任の部署も新たに設けて、引き続きガバナンスの強化に努めることにしています。[2]決算情報の公表の充実ですが、より理解しやすい表現に改めるなど、記載内容の充実を図っているところです。[3]の一般競争入札の積極的な実施については、先ほどの評価シートの1で説明したとおりです。
[4]の土地・建物等の効率的な活用ですが、これは平成21年度の業務実績に関する政・独委の二次意見で、利用率が低調と指摘されました労働大学校の宿泊施設について、施設の有効活用ということで、厚生労働省のご協力も得て、労働行政担当職員の研修以外の研修についても、施設の貸出し等を実施させていただいたところです。また、先ほど説明しましたとおり、東日本大震災で被災した新卒者等に対しても、首都圏での就職活動を支援するために、宿泊施設を無料で提供させていただいています。
[5]の福利厚生費の見直しですが、互助組織に対する支出の見直しを行っていまして、法人としての支出は全廃しています。健康保険料の労使負担割合について見直しを行いまして、平成23年度から労使折半という形にさせていただきました。
46頁は、「一般管理費及び業務経費の削減」です。一般管理費を平成18年度と比較しまして、平成23年度は15%以上の削減。業務経費については25%の削減が目標となっています。一般管理経費については15.01%の削減、業務経費については36.69%の削減を図ることができました。
以上のような取組を踏まえまして、この「予算、収支計画及び資金計画」の評価シートについては、自己評価「A」とさせていただきました。
続いて、評価シート16「人事に関する計画」です。48頁をご覧ください。人事に関しての評価シートですが、先ほども説明しましたとおり、公募により労働法関係の任期付研究員2名を採用したということで、優秀な人材の確保に努めているところです。
「人員の抑制」ですが、常勤職員数134名を第2期末に115名にするという中期計画になっていましたが、管理部門の合理化により、さらに削減数を追加して、常勤職員数は114名となっています。アルバイト、非常勤職員についても、派遣職員等による対応により、全体で34名となっています。
「職員の専門的な資質の向上」を図るということで、先ほど説明しましたが、研究双書の発行をしていますし、勉強会に新任の任期付研究員の方に参加を促すこともしています。学会活動の奨励もさせていただいたということで、これも先ほど説明したとおりです。そのほか、主任調査員が修士号を取得したといったこともありますし、専門社会調査士の認定を受けました。そのほか、業務研修への参加等を積極的に奨励していまして、部門別の業務研修については59件実施していますし、コンプライアンスの推進に係る研修については3件実施をしました。
以上のような取組を踏まえまして、こちらについては自己評価「A」とさせていただいています。
最後の評価シートは、50頁です。「施設・設備に関する計画」です。施設・設備の主だったものは、労働大学校に関するもので、竣工後30年経っており、施設・設備に老朽化がみられるということで、中期計画に基づいて改修・更新を実施させていただいています。「特に」というところに記載がありますとおり、熱源が朝霞エネルギーセンターから供給の熱源をいただいていましたが、廃止を見据えて自前熱源の整備に努めていて、そちらに約6,900万円程度、資金を振り向けて電気・空調設備の更新等を実施しました。
こちらについては、計画どおり実施をしたということで、自己評価は「B」とさせていただいています。以上です。

○今村部会長
ありがとうございました。では、委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いいたします。ご質問等ありましたら、適宜ご発言ください。

○川端委員
38頁の評価シート1なのですが、この「数値目標」のところに、業務経費については研究費の縮減等により云々で25%と。中身を見ると、研究費は減らしたとは見えないのですが、どうして研究費がここに入ったのか、よく経緯は知らないのですが、研究費というのは生命線ですよね。ですから、実際はなかなか削れないのだと思いますが、この研究費の節減についてはどのように。

○労働政策研究・研修機構総務部長
これは、研究を実施するうえで、アンケート調査などを実施するわけですが、それを競争入札で行います。結局、競争入札をすると半額などで上がってきますので、そこで節減をしています。

○川端委員
そこのところなのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
ですから、研究の本数を減らすということではありませんで、目一杯やって、結局、一般競争入札による節減でこれだけ実施ができています。

○川端委員
いわば、研究に支障はないわけですね。

○労働政策研究・研修機構総務部長
そうです。

○今村部会長
特にご質問がないようでしたら、一旦打ち切らせていただきます。これで、すべての項目の評価が終わったことになります。事務局から、このあとの取扱いについて説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
本日お配りしています資料の送付をご希望される場合については、部会終了後に事務局にお申し付けいただきたいと思います。また、評価の記入が終わっていない委員の方については、本部会が終了したあとに会場にお残りになってご記入いただくことが可能となっています。また、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入いただくことも可能です。なお、お持ち帰りになる場合については、26日(木)までに事務局まで評定記入用紙をご提出いただくか、部会の出席の際に事務局へご提出いただければと思います。また、本日送付させていただく予定の電子媒体版でもご回答いただけますので、よろしくお願いいたします。

○今村部会長
それでは、次の議題に移ります。役員報酬規程の変更についてです。まず事務局から説明し、続いて法人から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
労働政策研究・研修機構から厚生労働大臣に対して、役員報酬規程の変更について届出がありました。独立行政法人通則法第53条第1項において、「厚生労働大臣は届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知する」こととされています。また、同条第2項において、「評価委員会は、その通知に係る報酬等の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、意見を申し出ることができる」とされています。つきましては、この度の役員報酬規程の変更が、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、ご意見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○今村部会長
それでは、法人からの変更の内容の説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
お手元の資料5-1に基づいて説明させていただきたいと思います。今回の改正の趣旨ですが、?に記載がありますとおり、平成23年9月に出されました人事院勧告と、我が国の厳しい財政状況、それから東日本大震災に対処する必要に鑑みまして、国家公務員の給与支給を削減するために「国家公務員の給与改定及び臨時特例に関する法律」が平成24年3月に施行されました。そうしたものを見つつ、厚生労働省から必要な措置を講ずるように要請されたことを受けて、今回役員報酬規程の改定を行うこととしたものです。
改正の内容ですが、(1)の役員の本俸月額については、指定職俸給表の引下げ率に準じて改定をし、0.5%の削減となっています。(2)は、公務員の給与改定・臨時特例に関する法律並びの改正です。本俸については100分の9.77を減額、特別調整手当についても本俸に準じて減額します。期末・勤勉手当についても100分の9.77の減額となっています。これは5月から実施ですので、(3)で4月分については6月の期末手当から調整をする形にしています。
後ろに、新旧対照表を入れています。具体的には、新旧対象表の2頁の附則2に記載されていますが、理事長については91万8,000円が82万8,312円、理事については75万9,000円が68万4,846円、監事については68万7,000円が61万9,881円、非常勤監事については24万1,400円が24万200円と改定になっています。私からの説明は以上です。

○今村部会長
ありがとうございます。ただいまの内容について、ご質問等がありましたらお願いします。特にご意見がないようですので、本部会としてはこの変更について意見なしということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

○今村部会長
ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。本日の議事は以上となります。次回の開催等について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
既に開催案内でもご連絡をさせていただいていると思いますが、次回の開催については今週木曜日の7月26日16時から、場所は厚生労働省内の共用第8会議室になっています。また、次々回については、7月31日(火)9時30分から、厚生労働省内の専用第18、19、20会議室になっています。以上です。

○今村部会長
それでは、本日は以上とさせていただきます。朝9時から長時間にわたり、熱心なご審議をいただきましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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