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2012年7月3日 第8回 労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成24年7月3日(火)10:00〜12:30


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室


○出席者

【委員】 岩村座長、石井委員、大胡田委員、北野委員、駒村委員、杉山委員、武石委員、野澤委員、森委員、山岡委員


【事務局】 中沖高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、吉田障害者雇用対策課長補佐、安達障害者雇用対策課長補佐、西川障害者雇用対策課長補佐


○議題

1.今後の主な論点「第3 職場における合理的配慮」のうち、「合理的配慮の提供の実効性を担保するための措置、特に、事業主の負担に対する助成の在り方」と「過度の負担について」
2.報告書(素案)について
3.その他

○議事

○岩村座長
 定刻になりましたので、ただいまから第8回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する検討会を始めます。まず、いつものことではございますが、会議の開催に当たりまして、会議の進行について皆さまにお願いをしておきます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障という観点から、ご発言などをされる場合は、まず発言者の方は必ず手を挙げていただきたい。ついで、手を挙げた発言者に対しまして私から指名をさせていただきます。指名を受けられた発言者の方は、氏名をお名乗りいただいてからご発言いただく、そのような運営を行ってまいりますので、ご協力をよろしくお願いをいたします。今日の委員の出欠状況でございますけれども、田中委員がご欠席です。また杉山委員は少し遅れて到着されます。
 それでは早速本日の議事に入ります。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。前回の研究会では、今後の主な論点のうち「事業主への助成の在り方」と「過度の負担に関する論点」の2つについて、第6回に続いてご意見を頂戴したところです。特に前回、この2つの論点に関し、これまでこの研究会で概ね合意を得られている事柄と、更に検討すべき論点などについて事務局から資料を説明していただき、そのうえで皆さまに更に検討すべき論点について様々なご意見をいただいたと思います。ただ座長の議事進行の不手際もあり、時間が少し足りなくなってしまい、また一定の結論には至っていないのが前回までの状況でした。
 このことを踏まえて今日は、当初の予定ではこの研究会のとりまとめを議論するということになっておりましたけれども、前回に引き続き、まず「事業主の助成の在り方」と、「過度の負担に関する論点」の2つについて議論をいただきます。そのうえで、報告書のとりまとめの議論に移ってまいります。その関係で事務局から事前に皆さまに連絡があったかとは思いますけれども、当初とは予定を変え、本日は時間を30分延長ということにさせていただきました。したがって12時30分までということで、今日は行います。大変お忙しい中、また長時間ということにはなってしまいますけれども、委員の皆さまにはご協力をいただきます。
 それでは、まず議題の1です。今後の主な論点について、事務局から資料を用意していただいております。まず、それについての説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 課長補佐の西川です。おはようございます。それでは前回に引き続き、事業主の負担に対する助成の在り方、それから過度の負担についてご議論をお願いします。
 まず資料1です。前回お配りしました論点について、第1回から6回までいただいたご意見を記載したものに、前回の第7回に頂戴しました意見を記載しております。簡単に説明いたします。2ページです。真ん中辺り、「対象事業主について」です。武石委員から、「合理的配慮をする事業主に一定の助成をする場合、対象は合理的配慮をする全事業主となるが、一方で納付対象をどうするかという問題が生じるのではないか。全事業主から集めたお金をプールし、やっていくということが現実的なのか」というご意見をいただいております。続いてその下の○です。石井委員から同様に、「小規模の事業主まで納付対象を広げることが、事務手続き上も現実的ではないのではないか。また、対象の拡大が事業主の理解をどこまで得られるのか」という意見をいただいております。石井委員の意見の後段には、「大枠は変えないで内容等の充実を図るということで検討していただきたい」とあります。
 2ページ目の最後です。「対象障害者について」です。こちらは野澤委員から、「対象障害者については精神障害、発達障害というのは当然入れるべきではないか」という意見をいただいております。
 3ページ目の上から1つ目の○です。武石委員からですが、「合理的配慮に関して対象障害者を広げることは重要なことである。ただ、助成対象についてオール企業で考えるのか、現行の納付金制度をベースに考えていくのかでは、かなり違うのではないか」という意見をいただいています。
 続いて「納付すべき額について」です。野澤委員から「納付すべき額はもっと上げてもいいのではないか。発達障害、知的障害、精神障害者に対する合理的配慮は何かと考えていったときに、内容が広がって、当然費用も上がっていくのではないか」。それから北野委員からですが、「現行でやっております納付金制度の特別費用の調査項目には、ほぼ、ある意味で合理的配慮の基本的な項目のいくつかは入っている。今後これらを精査して、これに入れないといけない項目もあり得るかもしれないので、具体的には合理的配慮の内容を検討していく中で、この項目以外にも要るのかどうかを検討すべきではないか」。
 3ページ目の最後ですが、「義務化されている部分(合理的な配慮)の提供は納付金制度の枠組みを活用し、過度の負担に該当する部分は、一般会計や特別会計による助成をするという理屈になるのではないか。合理的配慮について、本来企業が自分の責任で自分の費用でやるべきところを、経済界全体で他の事業主も助けて負担調整をしようという制度として、対象事業主として全体でどこまで負担ができるのか、どこまで支援を求めるのか。現実的には現状の経済情勢に照らすと、引き上げの議論は現実的ではないのではないか」という意見を石井委員からいただいております。
 6ページです。過度の負担に関しての議論ですが、6ページの一番上の○です。「過度の負担については企業規模を考慮していくのかどうか、まだ決着がついていない。絶対的に考えるのか、相対的に企業規模や負担力から見て過度というのか、議論しなければならないのではないか」と、駒村委員からいただいております。
 その他の項目です。「その他」の1つ目ですが、大胡田委員から「公務員の関係についても合理的配慮に対してきちっと財政的な裏付けをもった支援ができるような仕組みが必要ではないか」。それから田中委員ですが、「一般会計、特別会計での助成もあり、そういった助成も活用しながらいろいろな配慮が必要な部分を盛り込んでいくべきではないか」。1つ飛ばして岩村座長からですが、「制度の大枠を変えないで工夫するとした場合に、現在支給している調整金の幅をいまよりも薄くして、その分をむしろ助成金の財源に当てる、そういった考えもあるのではないか」という意見をいただいております。資料1については以上です。
 続いて資料2です。こちらは第7回で各委員からご指摘をいただいた事項について資料を提出しております。まず1ページ目です。これは駒村委員から、まず報奨金の現行の性格がどのようなものなのかという指摘をいただきました。お渡ししている資料については、法律のコメンタールをそのまま抜粋しております。1ページの後段辺り、下線を引いておりますが、ここが報奨金の性格です。中小企業の事業主に対しても何らかの方法によって障害者の雇用に伴う経済負担の、調整ではなく軽減を図る。そして、その雇用を奨励し維持する必要があるということで、一定水準を超えている事業主に対しては、当分の間、報奨金を支給するという暫定措置をいま講じています。
 この背景には、昭和52年から制度を導入しておりますが、下線部分のパラグラフを1つ上がって「しかしながら」というところに書いてありますように、昭和51年、52年の当時は大企業よりは中小企業が障害者の雇用が非常に高い状況にあった。そうすると大企業に比べて雇用状況が高いということであれば、雇用に伴う経済負担が、「余計に」と書いてありますけれども、余分に中小企業が負っているという状況もあったことから、納付という負担は求めないけれども、報奨するという意味での報奨金を暫定的に支給するというのが、報奨金の性格です。
 2ページ目です。こちらについては現行の納付金制度、これまでも何回もお示ししている図です。杉山委員から、「お金の流れが、ある一定の推計を置いた場合にどのように流れるのか」。駒村委員からは「現行制度から変わった場合にどのようなフローチャートになるのか」という指摘だったかと思います。
 ただ、前提として現行の納付金制度の考え方を変え、例えば納付する額、支給する額を一定程度変えるとした場合にどの額が妥当なのかということで、その額を設定して推計をするが非常に難しい。それでは、まず現行制度が対象企業数、対象の障害者、お金の総額がどのようになっているかを示して、その対象企業数がどれぐらいに増えた場合に金額が大体どれぐらいの規模になるのかが、わかるような形で説明をさせていただければと思います。
 まず左側の上の「納付対象」です。前回の研究会でも説明しましたように、現在未達成の企業が1万2,500社で、納付金の不足を算定する際の対象障害者については現行の雇用率制度に連動しておりますので、身体障害者と知的障害者の不足数、1人当たり5万円という形で納付をして、平成23年度の見込額ですが総額186億円を納付いただいている。その186億円の財源をもとに、右側に移って「支給対象」ですが、大きく四角を3つ囲っております。
 経済負担の調整という制度ですので、雇用率を超えて雇用をしている企業に対して、現行6,400社に調整金を支給している。ただし調整金については精神障害者も含めて雇用した場合にその超過分を計算して、超過している1人当たり2万7,000円を支給する。総額では約88億円になっています。次の四角ですが、先ほど説明した200人以下、納付対象にはなっていない企業で一定要件を満たす企業に対して報奨金を支給している、それが総額で44億円。
 最後の四角は助成金の要件です。それぞれ参考資料をお配りしておりますけれども、助成金の要件を満たす企業に対しては雇用率を達成か、否かにかかわらず、その助成金の要件を満たせば支給するということになっております。対象の障害者については身体障害、知的障害、精神障害、その他ということで発達障害とか難病をお持ちの方も含めて、合計で69億円を支給しているのが現行の納付金制度の流れになっております。
 3ページです。前回の資料3で示した、「更に検討すべき論点」で、4つの点があったかと思います。合理的配慮に対応した形の経済負担の調整をするといった場合に対象事業主、支給する対象障害者、納付すべき額、支給すべき額をどのように設定するかという議論をいただいたかと思います。駒村委員からは、これが制度を変えた場合のフローチャートという質問だったのですが、先ほど申し上げたように対象事業主、納付すべき額、支給すべき額も連動して動くものですから、こういった形の現行制度から合理的配慮の提供義務基準というものに変えた場合にどのような問題が生じるのかを示している図になります。
 現行が左側で雇用率基準です。雇用率に達成しているか、それとも雇用率を超えているかということで現行制度を動かしております。「対象事業主について」のマル1で納付すべき対象事業主については、200人を超える規模の企業のうち未達成の企業から納付する。支給すべき対象事業主については、その逆で、200人を超える企業規模のうち、雇用率を超えて雇用している所に支給する。その他先ほどご説明したように報奨金、その他の助成金という形で対象事業主を決めている。この図については仮に納付すべき額、支給すべき額をある一定の前提をおいて、いくらかは知りませんが、変えないといった場合で、対象事業主だけを合理的配慮の提供基準に変えた場合にどのような変化が起こるかというのを示しております。
 真ん中の矢印が3つありますが、いちばん上の(1)合理的配慮の提供義務の達成・未達成による経済負担を調整する場合に、対象事業主についてどのような問題が生じるかが、その右側になります。合理的配慮については、皆さんご議論いただいているとおり個別性・多様性が高く、合理的配慮の義務の達成または未達成というものが、例えば何人分達成しているのか、何人分不足しているのかの判別が非常に難しいということで、それによって経済負担を調整していくのが現実的には不可能ではないかと考えております。
 真ん中の矢印の2つ目、3つ目です。(2)で一律に対象事業主というのは決めてしまって、仮に全企業から納付をいただくという制度にした場合が、前回説明したように納付対象企業が56人以上の企業規模で7万5,000社、30人以上の企業規模で13万8,000社となります。先ほど1万2,500社と申し上げましたので、約10倍以上に増えていく。そのときに、特に200人以下については現在納付を求めていないということですので、納付を求めることが非常に難しいのではないか。それから、10倍以上対象企業が増えますので、事務的経費の増など実務的にも困難ではないかという課題がある。
 逆に真ん中の矢印の3つ目ですが、(2)で、1人でも障害者を雇用している企業に支給するとした場合には、これも同様に支給対象企業が約5万社、56人以上の企業で5万社ですので、そういった増加についての事務費などの増加で、現実的には非常に困難ではないか。
 4ページです。これは逆に、対象事業主にある仮定をおき、全企業なのか、ある一定の企業に支給するとしたときに、額の設定を変えた場合にどういった課題が起きるか、額の面から見ているものです。左側が現行制度、額の設定についてです。まず納付すべき額については、雇用率を達成するまで障害者を雇用する場合に1月当たりかかる平均額を基準として、不足している障害者1人につき5万円を納付するという制度になっています。支給すべき額が、現行は雇用率を超えて雇用した場合にかかる特別費用の平均額を基準として、超過している障害者人数について1人当たり2万7,000円を支給するという制度になっています。
 真ん中の矢印の(1)ですが、合理的配慮の提供義務についての達成・未達成による経済負担という形にした場合には、右側ですが、合理的配慮の提供義務というのは、先ほどと同様に未達成が達成するまでにかかるであろう納付額を判定するのは非常に難しい。逆に達成しているものを超えて必要な額を支給することが非常に難しいのではないか。設定が困難だということで、これも真ん中の矢印の(2)ですが、全企業からも固定した一定額を納付するとした場合には、固定した額をどのように設定するのか。現行では不足している人数に単価を掛けて総額が決まっていくわけですが、納付すべき対象の障害者数の不足分が合理的配慮については出せないということもあって、どのように考えていくのか。
 逆に(2)の3つ目の矢印ですが、1人でも雇用している企業に一定額を支給するという場合に支給する額の設定もどのように考えるのか。特に、納付すべき額を仮に合理的配慮にかかる平均的な費用について全企業が納付するといった場合に、支給する額も合理的配慮にかかる平均的な額となって、納付すべき額と支給すべき額については基本的に変わらないということになってしまいますので、その違いについてどのように考えるのかという問題が生じるのではないかということです。
 5ページ、6ページについては、前回、後半で大胡田委員から税制についても特例措置を考えられるのではないかというご意見で、事務局からは既に障害者雇用については他の雇用対策と異なっており、非常に多数の国税、地方税、それぞれ税制優遇措置が講じられているということで説明しています。5ページが国税、6ページの後半からは地方税の特例措置を記載しておりますので、参考にしていただければと思います。説明については以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。いま事務局から前回の研究会における委員の皆様からの主な意見と、委員の皆様の指摘事項に対する説明をいただきました。資料3の2ページ目に前回、議論が尽きなかった4つの論点があります。対象となる事業主をどう考えるか、対象となる障害者をどう考えるか、納付すべき額をどう考えるか、4番目として支給すべき額などについてどう考えるかということが課題として残っております。これらの4つにつきまして、いま事務局から説明いただきました資料の2も踏まえて、ご意見があれば頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 時間の制約もありますので、まず最初に少し議論を整理させていただいて、順番にご意見が伺えればと思います。対象事業主のところはどう考えるかということがございます。先ほど資料2で、どこをどう動かすとどうなるかという説明は、特に2ページ、3ページ、4ページでご説明をいただき、そこで事業主の範囲の問題についても事務局から説明をいただいたところです。対象事業主については資料の3ページです。そういったことも踏まえて少しご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○杉山委員
 連合の杉山です。少し質問をさせていただきます。ここで言われていることを、もう1回整理したいのですが、資料2の3ページに書いてあることで言えば、合理的配慮の提供義務の達成・未達成によって、経済負担を調整することは困難ではないかというところです。確かにそういう視点があるとすると、実際は合理的配慮義務は全事業者に課しますと、しかし、助成の対象は限定しますという理解になるということでよろしいのでしょうか。
○障害者雇用対策課長
 これは、助成ではなくて、あくまで経済調整の仕組みとしてということです。
○岩村座長
 西川課長補佐、お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 補足をさせていただきますと、前回、たしか後半だったかと思いますが、経済負担の調整ということと、合理的配慮の提供義務を課すことが、若干混同されて議論をされていた部分もあったのかなと。これまで第1回から第6回までご議論をいただく中で、対象障害者、対象事業主について、この権利条約に批准するためには、特に対象事業主の範囲については、一定程度の準備期間等が必要だというご意見も当然ございましたが、まずは目標とすべきは、全事業主に課すべきではないか。そこの部分というのは、この経済負担の調整の規模がどれぐらいなのかということとは、また別でして、まずは全事業主に目標としては課すのだろう。それから対象の障害者についてはさまざまな議論がありますが、まずは障対法の2条の対象障害者、手帳の有無にかかわらない、いわゆる困難を抱える者について認めていくべきではないか。その点については過去に障害があった方、家族なども含めてのご意見もあるかと思いますが、そういった形で広く見るべきではないかというのは、まず前提として変わらない。
 ただ、事業主に対して合理的配慮を提供するときに、何らかの経済負担が発生するけれども、その負担については義務を課しているものですから、法的な支援をするのが非常に理屈上は難しいという中では、現在、納付金制度があって、事業主間の経済負担の調整という仕組みがあるから、それは何らかうまく活用できるのではないか。では、今度は事業主の経済負担の調整という仕組みを、どこまでその対象範囲を広げて、それから、どこまで支給する額を変えていくのかという中で、あまりに対象を広げてしまうことは、非常に難しい問題が生じるのではないかということをお示ししたのが資料の2になります。
○岩村座長
 座長から一言加えると、ここで出ているのは、要するに納付金と調整金・報奨金ということで、ある意味で合理的配慮の義務を課すことによって発生する経済的負担についてのベーシックなところは、この仕組みを使ってカバーする。あともう1つ、助成金その他があるので、そのベーシックなところにプラス助成金などでカバーをしていくという考え方でできないのかというのが、ここでの基本的な発想だと思います。
 ですから問題は、そのベーシックなところの現行制度でいうと、納付金・調整金・報奨金というものの仕組みの規模ですね。対象企業という形で見たときの規模を、いまより大きくするということで考えられるのか。もちろん理念としては考えられるにしても、実際に制度をつくる、政策を考えることになると、リアリスティックでなければいけないので、そのリアリスティックな面との間でのすり合わせを考えたときに、どうなのでしょうかというのが、ここでの、特に事務局からの問題の投げかけであるというようにご理解いただければと思います。
○野澤委員
 野澤です。A5、1枚の資料を今回用意させていただいたので、それを説明しながら。出典も何も書いていないのですが、これは私がかかわっているNPOが3年ほど前にやった調査で、東証一部上場企業の500社に対してアンケートをしました。いちばん左上の表は「障害者を雇用している数」が横軸で、そのうちの「知的障害の割合」が縦軸です。すると、500人の障害者を雇用している、かなり雇用している企業がありますが、知的障害はゼロ。300人以上というのも結構あるのですが、知的障害の割合はほとんどゼロというのが結構あるのです。その一方で数はまだまだ少ないですが、知的障害の人の割合がかなり高いという企業も出てきています。
 左下、「積極的に知的障害の人たちを雇用したい」という企業が29.6%ある。「積極的ではないけれども雇用する」が27.1%、つまり6割ぐらいの企業が知的障害の人たちに対する雇用意欲がある。右下、これは面白いのですが、既に知的障害の人たちを雇用している割合が多い企業ほど、もっともっと雇用してみたいという意欲が強いということがあったのです。
 これは何とでも解釈できるかもしれませんが、これから基本的に2.0%に雇用率がなっていくと、どうしても知的障害とか、もちろん発達障害を含むのですが、精神障害の人たちの数が増えていくだろうと思われるのです。それともう1つは、ここに書いていないのですが、実は障害者の雇用を斡旋する仕事がありますよね。そういう業界の人に聞いてみると、相場として身体障害の人の場合に、企業に1人斡旋すると、年収の3割が手数料としていただける。つまり年収300万円の方だと90万円、400万円だと120万円斡旋料としていただけるのです。知的障害、精神障害はと聞いてみたら、成り立たないと言うのです。つまり、企業にとってみれば、多分、身体の人を指しているのだと思いますが、身体の人たちの場合には、90万円、120万円払っても雇うメリットがある。ところが知的の人や精神の人たちはそういうメリットがない。それでも知的障害の人たち、精神障害の人たちが、最近雇われているのが多いのですべてだとは思いませんが、その是否とか評価は別として、現実として、そのような企業の見方があるということを指摘しておきたいと思います。
 私は、一概に知的の人達や発達障害の人たちが職場定着が難しいとは思っていないですし、彼らを雇うメリットはあると思っているのですが、企業の意識としては、まだまだそうではないかもしれない。そうしたときに、500人とか300人以上の障害者を雇用している企業があって、先ほど言った基準から見れば、まあ、定着しやすいというか、メリットがあると思われている人を、これだけ雇って調整金・報奨金・助成金をいただいている企業がある一方、非常に難しい、苦労をしながら知的、発達、精神の人たちを雇用している企業も出てきた。それを一律に調整金・報奨金を出すことはどうなのかなという気がします。これは事務的な面、それから、そういうことで障害種別を分けていいのかという議論はあると思いますが、現実として、その難しい人たちを雇おうとして、しかも職場定着をこれからきちんとやろうとしている企業には、もっと手厚くバックアップしていってあげたほうがいいのではないかなと思います。
 いまの経済情勢のことを考えると、どこまでかというのは辛いところなのですが、むしろこういう情勢のときでも、難しい知的障害、発達障害の人たちを雇用しようとする企業は、やはりもっと背中を押してあげたいというのが、私の本意です。
○岩村座長
 ありがとうございます。前回私もちょっと申し上げましたが、それができるかどうかはともかくとして、先ほど申し上げたように、そのベーシックな部分というように仮に言うとすると、そういう調整金・報奨金のところの部分と、もっと的を絞った助成金の部分との配分の割合をどうするかと、そういうアプローチもあるのかもしれないという気はいたします。
○障害者雇用対策課長
 いま重度の人に手厚くというのを、この納付金のスキームの中でしていくことについては、1つには調整金の算定だとかで考えるということはあるのですが、重度の人をダブルカウントして見ることについては、タブルカウントそのものについての議論がいろいろある中で、ちょっと難しいところがあります。ただ、納付金に基づく助成金制度については、例えば知的障害者、発達障害者の人たちとか、重度に対して手厚くするということは、当然できる話かと思います。
○岩村座長
 ほかにこの対象事業主の範囲についてご意見がありますか。
○大胡田委員
 まず納付対象事業主は、やはり雇用義務のある全企業とするべきだろうと思います。これは経済情勢もあるので、なかなか難しいことはよく分かっているのですが、やはり、義務がある以上は、経済界での費用負担のバランスという以上は、これは2%になれば50人以上という規模になるはずですが、その事業主には納付義務があるということにして、一方、受けられる企業という意味での対象ということであれば、全企業とするべきであろうと思います。なぜならば、企業規模にかかわらず障害者を雇って頑張っていこうというような零細な事業主がいるとすれば、それを応援するべきだからと考えています。
○岩村座長
 ありがとうございます。では、課長、お願いいたします。
○障害者雇用対策課長
 企業規模については、現行制度においても、27年の4月からは現行200人超の企業から徴収している納付金について、100人超に拡大されることが現在決まっています。私どもが、これは委員の中でもそういったご意見は出ましたが、対象企業数がある意味、大幅に増加することに伴って、より規模の小さい所から徴収して、逆にもっと小さい所に対しても調整金が支給できるというスキームにはなるのですが、一方で、事務的な経費もそれに引っ張られる形で増加するということがあります。
 そもそもこの差別禁止、合理的配慮の提供をめぐっては、障害者施策の1つではありますが、もう一方で、規制をする施策という2つの側面があって、政策目的そのものに正当性があったとしても、それをどういう形で実現するかについては、規制に伴うコストパフォーマンスの問題ということも、一方で我々は気にしなければいけないということです。
 おそらく、この差別禁止法制全体の話にかかわってきますが、障害者施策として適切かどうかという問題と、規制の在り方として、労働分野については企業に対する規制ですが、差別禁止法制全体からすれば、これは全事業者、全国民に対する規制になりますので、それとしてどこまでその手段が正当化できるか、納得が関係者にいただけるかというところとのバランスで、どう考えるかというところも、やはり我々としては気にするところです。
○岩村座長
 ありがとうございました。簡単にコメントを加えますと、大胡田委員のおっしゃることもよく分かるのですが、他方で、例えばいきなり法定雇用率2%への引き上げとあわせて企業規模50人以上というところまでもっていくかどうかは、またちょっと考え方というか、そこに到達するためのプロセスを考える必要があるだろうということと、事務局は奥歯に物が挟まったような言い方をされていますが、要するに事務的経費の増というのが、いま国の行政のいろいろな仕分けとか何かの中で、実際には非常に実現は難しいというのが、大きな足かせになっているということは、ご理解をいただければと思います。北野委員、どうぞ。
○北野委員
 実はアメリカのADAのほうも1990年に25人からの規模で規定しまして、1991年から15人、いまだに15人の規模でゼロにはなっていませんで、15人から今後どう展開するのかはわかりませんが、いまのところ15人以上の企業ということになっています。
 むしろ私が気になっているのは、ADAが成立した1990年から1990年代の後半まで、障害者の雇用が進んでいないというデータが出ています。これをどう分析して、日本でそうならないようにするためにどうしたらいいのかということが、とても大事だと思うのです。一般的な研究ではどう言われているかといいますと、事業主のほうは競争原理の中で動いておられて、その合理的配慮に必要な助成が受けられない場合は、同様の能力を有する合理的配慮を必要としない労働者を選択するということが、経済合理性にかなっていると、それがおそらくいちばん大きな原因であろうと言われています。ですから、経営的に豊かな大企業でも社会連帯的な義務とかCSRですね、つまり企業の社会的な責務だけでは労働者の権利性や事業主の義務というのは、それだけでは成立しないのではないかなと思われます。
 ですから、やはり経済合理性を大きく逸脱しない形で合理的配慮と過度の負担を考える。つまり、企業の規模と財政力に見合った形で、合理的配慮は経済合理性と大きく矛盾をしてしまいますと、基本的に成立しませんので、そこは明確にしておいて、一方で大事なことは、障害当事者の側と事業主の側と、被雇用者側と一般社会で、それぞれ納得のいけるような合理的配慮と過度の負担についての明確なものを作っていくことが1つです。
 もう1つは過度の負担がある場合、法定雇用率に基づいて、アメリカの場合はありませんが、障害の方を採用している場合は、合理的配慮は明確にしておくべきだと思うのです。ご本人が能力を十分に発揮するためには、基本的にやるべきだと思います。もしそれが過度の負担という場合があったとしても、その過剰分については、雇用促進法の助成金であるとか、一般税を投入して、利用者の権利性を担保するだけではなくて、国の裁量権とか措置権を越えて、事業主に補助を受ける権利性を担保しなければいけない。つまり、そうしないと雇用は展開しませんので、ある程度、雇用主・事業主にそういう助成を受ける権利性を担保することも、今後考えていくべき状況ではないかなと理解しています。以上です。
○岩村座長
 いまはどちらかというと助成金の在り方、特に過度の負担のところの考え方、それに対する助成金ということで、企業規模といったものを踏まえて考えないと、というところも入った上でのお話だった、ということでよろしいでしょうか。
 対象障害者についてはいかがでしょうか。現行法の下でもいまの促進法の2条の範囲で考えるというようなご意見、ということで出ていますが、現行法では雇用率の制度、納付金制度は、雇用率の対象となる身体障害者及び知的障害者ということで、その経済的負担を調整するということになっていますが、ここのところはどうなのか。先ほどご説明がありましたように、調整金等を受ける側については、少しそれとはずれた形にはなっていますけれども。山岡委員、どうぞ。
○山岡委員
 日本発達障害者ネットワークの山岡でございます。発達障害者の団体から出ておりますので、一言申し添えたいと思います。これは報告書(案)にもあるのですが、実はここでいきますと、手帳を持たない発達障害者というのは、いまはこの雇用率に入らない状況になっていて、これはいわゆる障害者雇用促進法の中で、発達障害者がきちんと位置づけられていないということがあります。発達障害者支援法については、平成17年4月に施行されて、発達障害者に対する支援は国及び地方公共団体の責務というように、きちんと位置づけられているわけですが、それを受けて、そのあとの各種の法律が改正される折に、実は発達障害は精神障害の中に含まれているという厚生労働省の解釈はあるのですが、それがありつつも、法律の改正時、わざわざ「発達障害を含む」というのを精神障害の後に付けていただいているのです。これは何を意味しているかというと、発達障害は精神障害の中に含まれているという解釈はあると言っても、地方へ行ったり、市町村に行くと、それが明確に理解されていないこともあって、わざわざ法律上謳わなくてもいいのに謳っていただいているという事情があります。
 ですから、それについては平成22年12月に改正されました障害者自立支援法においても、精神障害のあとに(発達障害を含む)と入れていただいていますし、平成23年7月に改正された障害者基本法においても、同じように「精神障害(発達障害を含む)」と、わざわざ謳っていただいております。
 今回は障害者雇用促進法そのものを改定するような議論ではないので、やむを得ないところがあると思いますが、このあとに出てくる報告書(案)においても、発達障害について明記が足りないのではないかと思われます。ここは一言、「発達障害を含む」ということを、きちんとどこかで明記をしていただきたいと思っております。実はそういう範囲について発達障害だけではなくて、難病や高次脳機能障害等も含まれると思われるわけですが、特に発達障害については法律にきちんと明記された障害ですので、そこはどこかで、報告書(案)の中でも、範囲の中で、きちんとどこかに明記をいただきたいと思っております。
 実は今回、野田委員と同じように、資料を提出させていただいています。この研究会の中で合理的配慮については個別性が高いので事例を出していただきたいという座長からのお話を受けてお出ししています。
 この1枚目のものは、関係団体から意見を聴取して、複数の団体から意見をいただいて、それをまとめたものです。これは、発達障害については、非常に分かりにくいところがあるので、合理的配慮について、きちんとこの事例を発達障害の団体から出しておかなければいけないと思ってお出ししています。
 例えばいちばん上のページにありますが「読みに困難がある場合」というのは、ディスレクシアと言いますが、視力もきちんとしているし、お話もきちんとできるし、明らかに字は見えているはずなのに、上手く文章を読めないという、非常に分かりづらい障害なのです。例えばPCに特殊な色のシートを付けることによって分かりやすくなるとか、ちょっとした工夫や配慮で働きやすくなるという事例があります。
 3ページ目の真ん中辺りに、自閉症、高機能広汎性発達障害、アスペルガー症侯群の例があります。例えば構造化ですね。視覚的な手がかりには強いケースがあって、例えば工程表や写真などを貼り付けることによって、作業工程が明らかになって作業がしやすくなるとか、こういったことはちょっとしたことなのですが、障害特性を知らないと思いつかないことだと思うのです。このように発達障害のある方がもつ困難というのは、見た目でよく分からない、理解しづらいところがあるので、こういった事例を出すことが大切だと思って出しております。
 5ページ、6ページ、7ページ目以降の資料ですが、これは文部科学省の中教審で、やはり合理的配慮等について検討をしていまして、合理的配慮のワーキンググループと中教審の特別支援教育の在り方に関する特別委員会で、いま報告書がまとまろうとしているところです。その中でも合理的配慮について議論がありまして、その最終報告の中に、障害がある児・者を雇用する件について触れています。これは教員あるいは教職員として雇用した場合に、どのような合理的配慮が必要なのかということが、議論になったことがありました。
 この提出資料は発達障害を代表して出ている私の立場を超えているのですが、先ほど申し上げました中教審の委員として出ていた方々の中に、盲・ろうを代表して出てこられた方がおられ、盲・ろうのある方が教職員として雇用された場合に、どのような合理的配慮が必要かについて、意見をお出しいただきました。これも、お出しいただくに際しては盲・ろうとかの各団体、あるいは職員の方、関係者からご意見を集めた上で出していただいた意見です。それを私は立場を超えて出しているわけですので、委員会の資料として参考にしていただきたいと思っております。以上です。
○岩村座長
 大変貴重な資料をご提出いただきまして、ありがとうございました。時間の関係もあるのですが、「納付すべき額」と「支給すべき額」という2項目が残っていますが、いかがでしょうか。野澤委員、どうぞ。
○野澤委員
 いまの発達障害のことですが、手帳がなくて、発達障害があって、大学生で、もう片っ端から面接試験で落ちていると言う人がたくさんいるわけです。昨日もNHKの朝の番組でもやっていましたが、毎年毎年、数千人単位でいるという人もいるくらいです。そういう方たちも少し合理的配慮をしてあげると、相当な戦力になるだろうと思われます。そういう人たちの就職、就労を促していくために、助成金等を発達障害を対象にするというのは、私は大賛成です。
 次の、通常1カ月当たりの特別費用の額の平均額を基準として算定し、未達成の企業から雇用率に不足する障害者雇用について、一律に同額を徴収する。たぶんこれから、知的・発達の人たち、精神の人たちが増えていく。もっと特別費用が、メニューもたくさん、中身ももう少し濃くしていかないと、なかなか定着が難しいと思われる方たちが多くなってきたと想定されると、この額が増えると思うのです。なので、この納付すべき額も増やさざるを得ないのではないかと思います。
○岩村座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。またご意見があればお出しいただきたいと思うのですが、いままでいただいたご意見を座長の独断でまとめてみますと、当然のことながら、合理的配慮の提供に関する事業主への支援は必要であるということ。そして、現状を前提とすると、おそらく納付金制度を活用すべきだろう。ただ、対象事業主とか対象障害者の範囲については、いろいろご意見はありましたが、特に対象事業主に関しては徴収などの実務的な面、それから財政均衡を図るというような制約もありますので、一定の制限とか限界はあるだろう。ただ、対象事業主、障害者の範囲ということになりますと、いまは特に発達障害などをめぐっては、その部分については広げる、含めるというようなご要望が出たところだろうとは思いますが、特にここになってくると、たぶん事業主側の予測可能性の問題が出てきますので、その辺との関係でどこまでできるかということが、問題となろうかと思います。
 それから納付すべき額、支給すべき額についても、いまの制度をベースにしながら考えるとすると、これを一定の線ということで、ある程度考えた上で、当然、現行の納付金制度による特別費用については、いま野澤委員からご発言もありましたように、今後、合理的配慮の内容について考えていく上で、当然精査が必要であるということになってきますし、それによって変化は生じ得るでしょう。ただ、他方で、たぶんその合理的配慮の提供義務の達成を満たせという形で、何か組み分けていくかというのは、現実問題としては難しいだろうというように考えられる。
 他方で気をつけなければいけないものとしては、現行の納付金制度でも、納付対象でない事業主に対しても報奨金による支援が行われているということ。雇用義務の対象ではない障害者に対する助成金による支援が行われている、ということも留意すべきであろうと考えております。
 そういったことを踏まえますと、次のように言えるのかなと考えております。つまり合理的配慮の提供に係る事業主負担に対する支援は、これはもう既にご議論いただきましたが、合理的配慮をすること自体が、個々の事業主に対する義務づけということになるので、したがって、本来それは個々の事業主によって合理的配慮を行うのが原則である。しかし、現行の納付金制度で、一定以上の事業主には、先ほど申し上げたように、実質的に納付金という制度を使いつつ、調整金と報奨金というところで、一定のベースの部分を行い、さらに、助成金という形でやっている所もあるということですので、その制度の大枠は変えないで、しかし、助成金の内容であるとか、対象障害者の範囲などを見直していくという方向ではないのかなとは思います。
 今日はこういう議論をさせていただいて、事務局でこれを受けて、あとでご紹介がありますが、今日、報告書の素案が出ます。実は今日議論をしていただいた部分はまだ空白になっています。今日のご議論を踏まえた上で、そこを埋めたものが次回に出てくることになろうと思いますので、そこでまた改めていま申し上げた整理を前提というよりは踏まえつつ、もちろん別のご意見もあろうと思いますので、遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。それを次回議論させていただければと思いますが、いかがでしょうか。杉山委員、どうぞ。
○杉山委員
 連合の杉山でございます。いま座長におまとめいただいた中身に、ほぼ合意しております。その上でまとめに今後入っていくという意味合いも含めて、少し頭の整理をさせていただきたいのです。先ほど座長のおっしゃっていた報奨金制度なり、そういった仕組みを使っていくが、ただ、実際問題として、合理的配慮をするすべての企業が対象になりますが、すべての企業に対して報奨金なりそういったものを配ることはできないということは、そこは過渡的にやらなければならないことは全くそのとおりだと思うのです。
 ただ、いままでの雇用率制度に基づく義務化と、今回の合理的配慮という権利条約に基づいてしなければいけないことを考えたときに、対象とならない企業でも障害者を雇う合理的配慮をしなければいけない事態が生じる。その際に心配するのは、報奨金・調整金等の財政支援がないがために、合理的配慮をしなくてもいいという結論にいくことはないだろうかということです。その辺はどう考えたらいいかということを踏まえていくと、例えば何回かの会でお話したと思うのですが、この合理的配慮の関係は行政指導というよりも、どちらかというと障害者本人に対して私法上の効果を与えたほうがいいのではないかという考え方を持っています。そのときに、助成金・調整金・報奨金の対象ではないところで起きた場合、その扱いをどうするのか。雇用促進法の枠の中だけでできるのかどうか。もしくは差別禁止法というのが一方で議論されていて、そことの関係性の中では、どう整理したらいいのかということを、まとめに入る前に整理させていただけたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
○岩村座長
 ありがとうございます。では、雇用対策課長、お願いします。
○障害者雇用対策課長
 基本的に合理的配慮の提供を、個々の事業主の提供義務とするということは、財政支援がないから義務が果たせないというロジックにはまずはならないというのが大原則です。そうした中で、そういった合理的配慮の提供に伴うコストを事業主間で調整するようなスキームとして、いまの納付金制度が使えないという議論はありますが、一応そこはすべての大前提なので、合理的配慮の提供を個々の事業主に対して義務づけないことが前提であれば、それをすべて納付金制度で背負わなくてはいけないということになれば、それは納付金制度をある意味で徹底的に建て直さなければいけないですが、大前提として合理的配慮の提供の義務が存在していて、その上でどうするかということとすれば、事業主間の調整も必要ないと割り切ってしまうということもあり得るわけです。ただ、現行の納付金制度がその後押しができるような仕組みとしてあって、これまでの研究会、分科会でも、それを使ったらいいのではないかというご議論は出ていた流れの中で、いまの議論がありますので、やはり原点の合理的配慮の提供義務があるというところは、忘れてはいけないところだと思います。
 あと、差別禁止法との関係については、差別禁止部会で、こういった公的な助成の在り方がどうあるべきかという議論は、それほどは深くはしてなかったと思います。まだ相当部会が開かれると思いますので、整理した資料が現在ではありません。
○岩村座長
 コメントしますと、報奨金・調整金の対象ではない事業主の場合、企業の場合であっても、助成金の対象にはなり得るので、したがって、最終的には過度の負担のところで、助成金をどういう形で考えていくのかということになるのだと思います。そのときに、先ほど北野委員からご指摘がありましたように、どういうメカニズムというか、どういう筋道で、では、助成金をもらう、付けるというところにつなげていくかという、そこの問題は、また別途あるかと思いますが、考え方、整理としては、過度の負担のところは助成金の仕組みを活用することによって、調整可能になるのかなとは思っています。その上で、合理的配慮をするしないということで、当事者間での問題が起きたときに、それをどういう形で解決するかは、紛争解決の筋道の作り方としても、どういうものを仕組むかというところに、最終的には流れていくということかなと、私としては考えているところです。よろしいでしょうか。杉山委員、まだ何かあればご遠慮なくどうぞ。
○杉山委員
 連合の杉山です。異論があるわけではなくて、クリアにしたいという意味合いで、いまのお話も十分理解しました。助成金という考え方でやるということもわかりました。先ほど資料2で、合理的配慮の提供義務の達成・未達成によって、経済負担の調整をすることは困難ではないかということがありました。このことは、例えば助成金を出すにしても、個別判断をしていくような仕組みで全部対応するのは難しいということを受け止めました。そうすると、ある程度一律的に対象を別にしてやるのが現実的かなと思います。そのときに、先ほどの繰り返しになりますが、その対象にならなかった場合に、合理的配慮は義務だと言われても、調整金をいただいている所といただいていない所で、合理的配慮の提供具合に対する判断・評価が変わることはないかどうかというのが、もう少しクリアにしたいことなのです。
○岩村座長
 これも私のほうでコメントしますと、結局、合理的配慮をしているか、どの程度しているかしていないかを、実際には報奨金・調整金の指標として使うことは困難ですので、それはむしろ、ある意味では雇っている対象障害者の数で決めざるを得ませんねということだと思います。ただ、他方で、その報奨金・調整金の対象にならない事業主の場合は、合理的配慮との関係で、助成金というメニューが使えることが考えられる。そこのところで、もし、過度の負担ということが問題になれば、そこは助成金が使えるということであれば、助成金との絡みで過度の負担という、ある意味で事業主の抗弁をいわば塞ぐというか、そういうことはできるでしょう。助成金のほうは逆に言うと、どういうメニューを作るか。報奨金・調整金はもう画一的にやるしかないので、報奨金・調整金があるということだけで過度の負担が発生しないということにはならないのだと思いますが、ある程度画一的にそこの雰囲気はできるでしょう。しかし、対象とならない事業主の場合、企業の場合であれば、過度の負担という主張が出てくること、事業主の抗弁が出てくることに対して、助成金を組み合わせることによって、そこを塞ぐ可能性が出てくる。そうすると、あとは助成金というものを、そういう状況にうまく対応できるような仕組み方ができるかどうかと、そこにかかってくるのだと、私は考えて理解しているのですが、何か事務局であれば。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 いま座長からおまとめいただいたことで考えているわけですが、その前に、座長がこの議論をまとめていただくときにおっしゃったように、まずは合理的配慮については、個々の事業主の義務付けとなるため、その雇用率という制度に連動する形で経済負担の調整という仕組みがある。それは合理的配慮の義務か差別禁止かという議論とはまた別の枠組みであって、それは理屈上は別の制度として成り立っているのだけれども、実質的にはそれにほぼ包含されるようなものが対象になっているわけだから、200人以上については、そこは調整金と納付金という形で調整がされるのであろう。
 200人以下については助成金なり報奨金なりの仕組みを合理的配慮を講じたときに、どのようなメニューがあるのか、対象範囲はどうなるのかということを考慮して、それに合わせた形でやっていくのが、方向性としてはあるのではないか。ただ、そうは言っても、合理的配慮については自己負担でやっていただくという原則、それとは全く別の理屈でやっている制度があって、それはもう別々であるという考え方でやっていくのではないか。
 過度の負担の議論があまりされていないのですが、これまでの分科会や、20年の研究会等で議論されている、企業規模や経営状況、それから公的助成の在り方といったときの、その公的助成というのは、当然この納付金・調整金・助成金、それから一般会計、特別会計も含めた諸々の助成の仕組みの中で、過度の負担についても合理的配慮と表裏一体で、個別性・多様性が非常に高いので、おそらくそこは紛争解決の段階で、どういった状況、どういった職場において、どういった障害をお持ちの方に対して、どのような配慮が必要だったかどうかを議論する際に、どういうメニューが利用できたのかとかいうことを、考慮していくのではないかと考えています。
○岩村座長
 結論だけ言いますと、いまの助成金・調整金・納付金の制度に乗らない小規模の事業主の所は、すべて個人の負担で合理的配慮をやってくださいね、とはならないようにしましょうと裏からうまく制度を仕組んで、何らかの形で財政支援が入るような形にしてあげて個人の責任、事業主の責任というようにはしない方向で、制度設計を考えましょうということで、ご理解いただければと思います。駒村委員、大胡田委員でお願いいたします。
○駒村委員
 資料の2ページは、前回、資料2-2から3を整理してくださいと言いましたが、よく整理していただきましてありがとうございます。いまの座長のまとめを聞きますと、なるべく現行制度のフレームはうまく活用していきましょうというお話だったと思います。2ページの納付金と調整金の対象企業については、今後100人ぐらいまでという話で、本来そこをどこまで広げていけるかというのが、どこまで行政、実務上、費用上可能なのかというのと、経済合理的にも可能なのかという話があったと思います。いまの納付金の5万円というのは、特別費用の平均額である。これが合理的配慮をすることによって、この数がより増えていく可能性があるだろう。そこが合理的配慮のコストをどう反映していくのかは、今後の財政調整の仕組みをまたきちんと見直していかなければいけない。
 今度、調整金は動いた関係なのですが、前回質問させていただいた報奨金ですが、報奨金は200が100人になるわけで、一定要件が今どうなっていて、今後どうなっていくのかをむしろ頑張っていただくと、調整範囲に乗らない企業もたくさん支援がもらえる可能性がある。ただ、この報奨金のボリュームが、そうなると少し膨らんでいくので、そういう意味では納付金制度は、かなり合理的配慮のほうを、いままでの量的な問題から質的な問題に入ることによって、別のステージに入ってくると思いますので、この辺が一定の要件とか、いま言ったような補助が無い、有るかによって、企業行動がどう違っていくのか。これをかなり精緻に定期的にチェックしていかないと、実効性のある仕組みにならないのではないかと思いお聞きしていました。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。事務局、お願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 報奨金を支給する際の一定要件ですが、冒頭、資料2で説明したように、まず報奨金というのは納付金の納付対象にならない企業から、経済負担を調整するのではなく、経済負担を軽減する意味で支給をするという、当面の間の暫定措置ということです。一定要件というのは雇用率よりも高く設定をして、それを超えている所に支給する性格になります。現行では、報奨金の支給要件については、まず雇用率で判定する場合には4%を超えているか、雇用率ではなくて実際の雇用者数で判断するときには、1カ月当たり6人、年間では72人を超えるときで、4%か72人のいずれか多い基準を取って、企業規模によって変わってきますので、そのときにいずれか多い数を超えるときの、その超えた分から支給をすることになります。例えば100人の企業規模であれば、4%を適用すれば4人を雇わなければならないことになりますので、年間で言えば48人。ただし、72人のほうについては、1カ月当たり6人ですから、当然72人のほうが高い基準になりますから、その72人のほうを適用した上で、例えば75人を雇っていた場合には、その3人分を報奨するという仕組みになっていますので、非常にハードルは高い状況です。
○駒村委員
 4%という根拠は、一体どこから出ているのでしょうか。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 これについては、そもそも報奨金の金額も含めてなのですが、納付をしない所から支給だけをするということもあって、この制度創設以来、何らかの算定式があって4%と決めてきたかというと、若干は変更はしていますが、ここの基準については明確に公式というかルールがない。そういう意味では駒村委員のご指摘のように、助成金だけではなくて報奨金という、いま財源として44億円分ありますが、そこの要件を変えていくだとか、額を変えていくという形で、対象にならない人たちに、もう少し広く支援ができるような仕組みというのは、検討の余地はあると思います。
○岩村座長
 障害者雇用促進法ができて、この枠組みができた当初に考えられたメカニズムなので、現状に合わせてこれを今回、また再検討する余地はあるだろうということです。4%というのは、そういう意味では、何か伺っているとエイヤと決まったという感じがしなくもありませんが、当時は何か論理があったのでしょうけれども。大胡田委員お待たせいたしました。
○大胡田委員
 座長の整理でだいぶクリアになったのですが、雇用主の合理的配慮義務というのは個々の義務である。これに対応する権利というのは、個々の労働者の私法上の権利であるという整理でよろしいのか、これを確認したいです。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 権利といいますか合理的配慮について、個々の障害者の請求権のようなものとして位置づけるのか、それとも措置義務という形で事業主に義務づけをするのかといったときに、権利条約の仮訳に照らしてみますと、「職場において合理的配慮が提供されることを確保する」、というように規定がされていることを考えると、「障害者が障害者の求めに応じて合理的配慮が提供されること」という書き方にはなっていない。諸外国の状況によってはさまざまですが、諸外国の例を見たときにも、事業主への義務として、確実にそれを提供させるという義務としていますので、個々の障害者に請求を権利として付与するのは、法律上はそのどちらかしかできないわけですが、措置義務としてというのが、ここでの議論だったと考えています。
○大胡田委員
 実はまだ私はそれには賛成はしておりませんで、合理的配慮義務というのは、私法上救済を受けられるきちんとした権利義務関係であるというふうに整理されるべきだと。これは杉山委員もおそらく同様でお考えが近いのかなとは思って聞いていました。これを私法上の義務なり権利なりとしなければ、最終的に救済を受ける術が非常に限定されてしまいますし、以前の議論では、民法上の一般条項ですね、不法行為だとか、いろいろな解雇権濫用法理、そういったところでの救済があり得るのではないかと言われましたが、これ、私法上の義務にならないと、不法行為の注意義務なり何とか義務ということの基礎にもならない。結局、何の救済も受けられないということにならざるを得ないわけです。ですから、この点、少し順番を飛び越えてしまいますが、報告書の中では、私自身がこういう意見を述べたということが明記されるような形でお願いいたします。
○岩村座長
 はい、ありがとうございました。
○野澤委員
 2ページのいちばん最後の「カバーされない特殊なケース」についてはあまり議論がされていなかったのではないかと思ったのです。私はとても興味を感じているところで、量的にはともかく、質的な面で言うと、ここをどうするかによって日本の障害者雇用の大きな特徴を何か打ち出せるのではないかなと思います。しかも、ここをすごく議論していくことによって、過度の負担の概念とか基準みたいなものにも影響を及ぼしていくのではないかなと思いました。
 では、どのような枠組みで支援かと、なかなか良い知恵も浮かばないのですが、例えば納付金・助成金の枠組みとか、あるいは雇用促進法の枠組みもあるのですが、自立支援法、総合支援法との組み合わせの中で、こういう特殊なケースについてカバーしていくことは、結構いけるのではないかなと思っているのです。
 私は日本の企業について、結構厳しいことを言っていますが、日本の大企業は相当頑張っていると実は思っていて、特に大都市部でのオフィスで相当難しい人たちを雇用できているわけです。こここそが、私は世界に誇れるところだと思っているぐらいです。ここの特殊なケース、数はたぶんそれほど多くはないと思いますが、こんなことまでできるのだということを示すことが、障害者全体に大きな希望を与え得るのではないかと思って、あえてここは是非、取りまとめの中でも入れてほしいなと思っております。
○岩村座長
 ありがとうございます。あと、過度の負担との関係で、支援措置についてどう考えるか、という問題と結び付いているわけですが、ここのところは資料1の9ページで、平成20年の研究会の中間整理で「企業規模、業種、従業員数、環境の特性、地域の文化・慣習等を参考にして判断すべきではないか」という意見があったところです。いままで伺っている感じでは、ある意味で企業規模、その他、そういった指標を考えつつ、過度の負担というものは考える。そうすると、当然それに対する事実上の経済的な支援も、こういったものを勘案しながら考えるということになるのかなと思うのです。そういう理解でここのところはよろしいでしょうか。
                 (了承)
○岩村座長
 ありがとうございます。その他ご意見はいろいろあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、このあと事務局で取りまとめの素案を検討していただく中で、具体的な案が出てまいりますので、そのときにまたご意見という形で出していただいて議論をすることにさせていただきたいと思います。
 私の不手際で時間の配分がうまくいっておりません。申し訳ありませんが、ここで本日の議題2に移ります。報告書(素案)についてということです。これについて資料4が出ていますので、まず、事務局から説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 資料4になります。資料4については、1ページ目が目次になっていまして、ページ数が振ってある1ページ目からが本文となっています。今日お示しをしている研究会の報告書の素案については、参考資料4「研究会での主な意見」を参考に事務局で取りまとめたものです。資料4の目次です。今回お示しをしている本文については、まず1「はじめに」、2「これまでの検討経緯等」、4「おわりに」は割愛していまして、ここについては、ご意見を頂戴するというよりは事実関係を記載するということですので、最終回ではお示しをしたいと思っています。ですので、本日は、3「権利条約への対応の在り方について」の本文をお配りしています。
 本文に入ります。1ページです。3「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方について」の(1)「基本的枠組み」で、まず「権利条約に対応するための法制的な枠組みについて」をご議論いただきました。「これまでの検討経緯」にも記載をする予定ですが、現在、内閣府に設置された差別禁止部会においては、あらゆる分野についての障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供に関する差別禁止法の検討がされています。2つ目の○です。一方、労働・雇用分野については、これまでの分科会の「中間的な取りまとめ」では、「実効性を担保するための仕組みを含めて国内法制に位置づけることで異論がなかった」ということで、ここでは権利条約に対応する法制的な枠組みを検討するに当たっては、いかに差別の禁止、合理的配慮の提供の実効性を担保するかが重要ではないかというご意見だったと思います。○の3つ目です。差別禁止法については、第2回だったと思いますが、座長から、法制的には一般法として位置づけられるのではないかと。
 1ページの最後です。雇用・労働分野については、2ページのいちばん上ですが、雇用促進法の中には、ハローワークなどによる職業リハビリテーション、障害者雇用に関する指導・助言の仕組みがありますから、それを活用していくのが効果的ではないかということで、第4回に石井委員からご意見を頂戴しました。最後の○で、一般法に対する特別法として雇用促進法の改正で対応を図るべきではないかと。それから、雇用率制度についてもご議論いただき、これについては、概ね皆様から同様のご意見をいただいています。最後の2行目です。雇用の確保に関して成果を上げてきていると評価ができることから、積極的差別是正措置として位置づけ、引き続き残すべきである。
 マル2です。差別禁止等の枠組みの対象範囲についてです。まず、「障害者の範囲について」です。○の1つ目です。中間的な取りまとめの分科会でのご意見です。「障害者雇用促進法の2条に規定する障害者としてはどうかとの意見が出され、異論はなかった」とされています。○の2つ目です。実効性を担保することが重要だということで、その観点から、それらが義務付けられることとなる事業主にとって予見可能性を十分に担保する必要があって、そうした観点からは一定の範囲に決めておく必要があるのだろうと、これは第4回で石井委員、武石委員からもご意見を頂戴しています。3つ目の○です。現行の障害者雇用促進法の第2条の「障害者」の定義を書いていますが、先ほどご説明したように、障害手帳の有無にかかわらず、いわゆる長期の職業生活に相当の制限を受けるかどうかを個別に判定して職業リハビリテーションを提供していることから踏まえると、対象範囲としては第2条の障害者とするのが適当である。
 3ページのいちばん上です。ただ、なお書きで書いていますが、過去に障害の履歴を有する場合、障害者を持つ家族など、可能な限り広く捉える必要があるとの意見、これは大胡田委員からいただいたご意見です。それから、発達障害、精神障害、内部障害など外部から判断しづらい障害に対する予見可能性への配慮が必要ではないかということで、山岡委員からご意見をいただいています。
 「事業主の範囲について」は、○の1つ目で申し上げましたが、公的な支援の整備状況、段階的な実施、十分な準備期間を設けるなどの措置が重要だとのことで、石井委員からご意見をいただいています。2つ目の○です。一方で、権利条約については、いわゆる人権の問題であることから、「原則企業規模で差を設けるのではなく、全ての事業主とすることが必要である」とのことです。
 3ページの真ん中からです。今度は、「障害を理由とする差別について」です。1つ目が「直接差別について」です。こちらは、ご議論いただいたというよりも、これは当然ではないかということで、2つ目の○に書いていますが、障害を理由とする差別のうち、直接的な差別的取扱い、いわゆる障害であることを直接の理由として差別を受ける場合というのは当然禁止すべきものであると。
 3ページの最後です。「間接差別について」です。間接差別については、外見上中立的でも、いわゆる実質的に障害者だけが差別をされるという間接差別については、どのようなものが間接差別に当たるのかといった具体的な基準とか要件が明確にされなければ、先程来申し上げている実効性のある差別禁止規定にはならない。これは4回目に石井委員からいただいたご意見だと思います。
 4ページのいちばん上です。特に障害については、多様性・個別性があることも考慮しますと、現段階では、間接差別の禁止規定を設けるのが困難であり、まずは具体的な相談事例、それから今後の裁判例の集積などを行って、何が具体的な要件、基準として確定ができるのかを集積するべきではないかとのことで、第4回、こちらも石井委員からいただいたコメントかと思います。
 次の「合理的配慮の不提供」、拒否についてです。権利条約においては、明確に合理的配慮の不提供は差別に当たると仮訳上されています。2つ目の○です。では、合理的配慮の不提供を「差別」に位置づけた場合に、それが法制上「直接差別」と「間接差別」という、いわゆる日本の差別類型に該当しない新たな類型として実際整理ができるのかと、こちらは座長をはじめ石井委員からも同様のご意見をいただいています。さらに、権利条約においては、合理的配慮というのは、「職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保する」とされていることを考えれば、合理的配慮を事業主に義務付けて、それを確実に担保することで対応していくべきではないかと。最後、これは法制的な実務上の問題ですが、これは第4回の石井委員のご意見を記載しています。なお、合理的配慮の提供を作為的義務として課すとした場合に、同じ行為について、それを提供しないことが差別に当たるということで、それを不作為義務としてしまうと、法体系の中では当然、1つの行為に対して作為義務と不作為義務が同一に生じることになりますので、法体系の中でも整理がつかないのではないかというご意見だったと思います。
 最後は「ハラスメント」です。こちらも間接差別と同様に、ハラスメントが法令上当然定義もない状態の中で、基準、要件が明確でないと石井委員からご意見をいただいています。ただ、一方で、虐待防止法の中では、暴言ですとか拒絶的な対応、不当な差別的言動ということで法令上定義がされていまして、そういったものが既に「使用者による虐待」の行為として禁止されていることですから、そういった施行状況を見ていくべきではないかとのことで、石井委員からのご意見を記載しています。
 5ページです。いちばん上です。「労働能力に基づく差異について」は、こちらは特段ご意見がなかったかと思いますので、中間整理、中間取りまとめで記載されていた内容について、そのような取扱いにすべきだとして記載しています。
 それから、「差別の正当化事由や適用除外、私法上の効果について」です。まず、「間接差別」に関連して、いわゆる差別の正当化事由というのが諸外国の例でも考えられるというので、業務の本質的な遂行に必要な能力である場合には差別に当たらないということを設けるべきではないかというご意見を北野委員、大胡田委員からも頂戴したかと思います。ただ一方で、これは座長からのご意見でしたが、諸外国と比べると、我が国の雇用慣行とか契約の内容といったものに違いがあることを考慮して検討すべき課題ではないかというご意見だったかと思います。2つ目の○の私法上の効果については、先ほども大胡田委員をはじめご意見がありましたが、第4回の石井委員から、公序良俗違反で無効となる、あるいは不法行為に該当する蓋然性があるので、特段法律上規定を置かなくても問題はないのではないかといったご意見を頂戴しています。ただ、これは座長からですが、例えば、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の第8条の規定では、60歳未満の定年を定める就業規則の規定は、その部分について無効という解釈で、そういう形をとることで、法律上に規定を置かないといった場合でも、そういう解釈で機能をもたせることもできるのではないかというご意見だったかと思います。
 「差別が禁止される事項について」は、これは条約上も「あらゆる形態の雇用に係るすべての事項に関し、障害を理由とする差別を禁止すること」で、こちらも特段ご意見がなかったのでそのような取扱いでいくべきと思っています。
 6ページです。「職場における合理的配慮について」です。まず、法律上の位置づけをどう考えるかのところで、先ほどと同じ内容になりますが、合理的配慮については、権利条約においては、「職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保する」となっていますから、そこは作為義務でまずは義務付けをして実効性を担保するのが重要ではないかということで書いています。
 次の不提供については、先ほどのものの再掲をしていますので割愛します。
 6ページの最後、「合理的配慮の枠組みについて」です。7ページの冒頭です。合理的配慮については、多様性かつ個別性が高いことはこの研究会でも合意が得られていると思っています。ですから、「法律では」ということで、概念を定め、枠組みを定めて具体的な中身はガイドライン等で定めるべきではないかということで、これは杉山委員、北野委員のご意見を記載しています。次の○です。ただ、その際に、合理的配慮が多様性・個別性が高いことを理由にして法律の施行が困難であるとならないように留意すべきであるのが、北野委員のご意見です。それから、時系列の問題についても留意すべきということで北野委員からのご意見を記載しています。さらに、合理的配慮を求めたことにより不利益な取扱いを受けることのないように明確にしておくべきであり、不利益取扱いを受けた場合の私法上の効果も併せて明確にしておくことが望ましいということで、これは先ほども出ましたが、杉山委員のご意見を記載しています。
 「合理的配慮の内容について」は、基本的に、中間整理、中間取りまとめでもかなり具体的な例を挙げて議論をしている部分についてはご了承いただいているのではないかと思いますが、それに加えて大胡田委員から、例えば、適切な訓練機会、特別休暇の提供、そういったものも対象になるのではないか、また、食堂などの福利厚生における施設、それから福利厚生の制度も対象になるのではないかというご意見がありました。次の、通勤時の移動支援については、かなりご議論いただきましたが、第5回の石井委員の意見で、労働法上は通勤は時間外、労働時間外という整理がされていて、事業主の配慮すべき範囲とはいえないのではないかと。ですから、福祉サービスで対応すべきとの意見がある一方で、野澤委員からのご意見ですが、通勤を義務付けるのは非常に難しい部分もあるので、逆に、事業主が通勤の配慮又は便宜を図っている場合にそれを支援していく仕組みが必要であるとのご意見だったかと思います。その他で、7ページの最後には、障害特性を踏まえた合理的配慮の内容として、精神障害について、発達障害について具体的な配慮の内容のご意見をいただいています。
 8ページです。「合理的配慮の提供のための仕組みと実効性の担保について」です。まず、企業内でどのような仕組みにおいてその実効性を担保していくかという点で、1つ目の○です。こちらは概ね合意が得られているかと思います。合理的配慮の内容、紛争に至る前の段階で当然解決されることが、まず望ましい。それから、合理的配慮の提供に当たっては、企業の中で当事者同士が相互理解ですとか検討を行った上で配慮が提供されていくのが非常に重要だと、そのためには、当事者同士が話し合うことのできる相談窓口などの体制を整備することが必要ではないかと。2つ目の○です。企業内の相談に当たっては、当然企業の中で相談に応じる専門家を配置することもありますが、企業規模ですとか、そういった必要に応じては、ジョブコーチなどの外部の専門家、それからハローワーク等の公的機関を利用して、適切な助言・指導が受けられるような仕組みとすべきではないかと。さらに、こちらは野澤委員からのご意見で、企業内での管理者、相談に応じる者、雇用現場の担当者には、研修によって十分障害特性の理解を促すような仕組みを整備する必要があるし、ハローワークなどの公的な機関の職員に対しても当然助言、アドバイスをする立場ですから、障害特性を十分に理解させるような専門性の向上が必要であるとのご意見をいただいています。企業以外の相談機関等の仕組みについてで、こちらは、先ほどのハローワーク等の公的な機関での助言・指導で、企業の相談に際してそういった受けられるような体制整備、専門性の向上が必要ではないかというご意見で、同様のものを記載しています。
 先ほど、座長からお話があったように、まず、「事業主の負担に対する助成の在り方」と、次のページの「過度の負担について」は、第9回目で本日の議論を踏まえてお示しをしたいと思っています。
 9ページの「権利擁護(紛争解決手続)について」です。まず、「企業内及び外部機関による紛争解決手続きについて」で、中間取りまとめの中では、企業内における労使の十分な話合いや相互理解によって、できる限り自主的な解決がされるべきであることで異論はないとなっています。2つ目の○です。これは第5回、石井委員からです。そういった仕組み、規律を踏まえて、現行の男女雇用機会均等法、パートタイム労働法などの仕組みを踏まえつつ、まずは企業内での自主的な解決と、その仕組みで解決をしない場合には、行政機関の労働局長からの助言・指導、それから、必要に応じて調停制度による調整的な解決で整備をしていくべきではないかというご意見だったかと思います。第5回で大胡田委員からは、次のなお書きですが、さらに助言・指導に加えて、いわゆる勧告できるような制度とすべきではないかとのご意見がありました。最後の○です。また書きです。現行の紛争調整委員会を活用していくことでご意見は概ねまとまっていたかと思いますが、加えて、そこに出頭命令を付与すべきではないかとのご意見が大胡田委員からあったものを掲載しています。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。いま説明がありましたように、この素案については、今日議論した論点以外の論点について、皆様のこれまでの研究会へのご意見をまとめたものを参照しつつ事務局で作成したものです。今日、時間の許す限りで見てご検討をいただきたいと思います。まずは、目次と、それから前半部分の3「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方について」の(1)「基本的枠組み」、そして、(2)「障害を理由とする差別の禁止について」まででご意見があれば、あるいはご質問があればお願いしたいと思います。
○大胡田委員
 大胡田でございます。障害を理由とする差別とは何かについて、今回の報告書では、間接差別とハラスメントはいまだ事例の集積が足りないので外すことになっていますが、これには私は反対です。だいぶ議論も最後になりましたが、ちょっと情緒的な話をさせていただきます。この法律は、これまで法律がなくて救われずに泣き寝入りをしていた人たちへの、いわば救命ロープのような形になる法律を目指すべきだと思っているわけです。ところが、このご意見だと、まだ屍が足りないと、もっと屍を増やせと聞こえてしまいます。ですので、もしかしたら先取りなのかもしれませんが、あえて先駆的な法律を作りたいと私は強く思っています。もっとも、抽象的概念なので不安だという気持もよくわかるところです。そこで私が思いますのは、間接差別については、使用者側から正当化事由の立証があれば差別に当たらないということで、いわば立証責任の転換のような建て付けにはなりますが、それを残すことによって、間接差別が膨大に広がってしまって使用者側を非常に制約させると、そのようなことにはならないと思っていますので、こういった建て付けが望ましいと思います。また、ハラスメント、これも抽象的概念ではありますが、まず問題は、この虐待防止法によって禁止されているのは使用者による虐待なわけです。使用者による暴言だとか差別的取扱いが禁止されているわけでして、我々が日々直面しているのは使用者のみならず、同僚や取引先、そういったところからのハラスメントがまさに重要な問題なわけです。この虐待防止法ではそれがカバーされていません。ですので、その点はきちんとこの法律の中でカバーしていきたいと思っています。いまだ抽象的だとは言いますが、この虐待防止法においてある程度類型化がされていますので、これを参考とすれば定めることは可能だと思います。長くなって申し訳ありませんが、合理的配慮の不提供、これは常々私は差別の1類型とするべきだと申し上げていますが、今回はそれが外れているので、これはきちんと差別の1類型であると、それが条約批准に向けた国内法整備としてあるべき姿だろうと考えています。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございます。まず石井委員からお願いします。
○石井委員
 いくつかあるのですが、大胡田委員からのご意見で、まず、間接差別の点についてです。やはり、これはまだ我が国においては概念として根付いていないところがあって、均等法でもまだ極めて限られたものしか定められてないところです。さらに、今回、合理的な配慮の提供が義務付けられますので、中間的な、中立的な基準であっても結果として差異が生じる場合に、そこに合理的配慮が本来求められるはずですので、合理的配慮が入ることによって、結果が是正されます。したがって、間接差別の概念もちょっと違ってくるのではないかという気がします。ここはやはり、待つのはどうかというご意見がありましたが、まずは、合理的配慮の提供がきちんとなされるように担保する制度をつくった上で、さてどうするかが検討の順番ではないかと思います。
 同僚等からのハラスメントについては、この法律だと、いずれにせよ事業主への義務付けの形でしかできないのではないかと思いますので、ここに盛り込むのは無理ではないかと思います。反対意見ばかりで恐縮ですが、あとは、合理的配慮の不提供を差別、新たな第3類型とするかどうかについては、繰り返しになりますが、合理的配慮の提供が担保される、事業主の義務であるという方向で、本日議論しました経済的な負担の調整の仕組み等も含めてですが、その方向で法体系あるいは制度を完成すべきで、何か裏側から不提供が差別であるというのは、どうも全体の仕組みとして整合性を欠くことになるのではないかと思います。不提供が差別だといっても、そこで終わってしまうので実効性があるかどうかですね。具体的にどういう配慮が提供されるべきか、例えば相談体制等からも含めて、そこの仕組みをつくるのが今回ではないかと思っています。あと、障害者の範囲についてですが、この案では、過去の障害ですとか、あるいはご家族まで含めるという意見があったところですが、合理的配慮は事業主の義務となるので、そうすると、やはり予見可能性は担保していただきたいと思います。現時点での障害の有無で判断すべきではないかと考えていますので、その点、意見として追記していただければと思います。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございます。では、お手が挙がっていました北野委員。
○北野委員
 あまり労働法制がよくわかっていませんので、ちょっと幼稚なことを言うかもしれません。私はよくわからないのですが、今回の障害者権利条約の批准に基づくいろいろな法改正の中で、1つは、例えば労基法の第3条で、労働者の国籍、身上、社会的身分が入っていますが、障害は入っていません。これは、障害が入っていなくてこういうものが成立するのか。つまり、労基法の第3条で、やはり障害というのを差別的取扱いの1つとしてきちんと入れる必要があるのではないかと思います。2つ目は、改正障害者基本法の第3条で、「全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること」という表現があります。それから第19条の2で、「事業主は、適切な雇用機会を確保するとともに」といって、やはり「確保」という表現になっています。ですから、雇用促進法第3条の「障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会が与えられるものとする」という表現であるとか、第5条で「すべて事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであって、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに」という表現になっていますが、これは、もう障害者基本法が改正されましたので当然、「与える、与えられる」関係ではなくて、「確保する、確保される」関係に、つまり恩恵的表現からより公正性の高い表現にまず変えられるべきであると思います。これはまず最初の全体の議論の前提としてそう考えています。
 そうしますと、全体のこの中身を受けて私がいちばん気になったのは、1ページの下から2つ目の○で、「差別禁止法については、現在その内容は検討中であるものの、あらゆる分野における障害を理由とする差別の禁止及び合理的配慮の提供等を規定していくこと」とされており、法制的には一般法として位置づけられると。2ページ目の1つ目の○で、「したがって、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応は、一般法である差別禁止法に対する労働・雇用分野における特別法として、障害者雇用促進法を改正して対応を図るべきである」という表現がありますが、これもこういう理解でいいのかどうかちょっと気になっています。
 なぜかといいますと、差別禁止法と雇用促進法との関係なのですが、差別禁止法は、いま、おそらく差別禁止部会で議論されていますが、一般法でも障害者基本法のような理念法ではない、つまり、裁判規範性を有する人権法であるといわれています。ですから、差別禁止法イコール一般法、雇用促進法イコール特別法という関係の理解では、理解が十分ではないかと思われます。ですから、これは、雇用促進法をどこまで改正できるかに関係していると思うのです。雇用促進法は、これまで国からの事業主に対する給付措置的な法律体系であると理解できると思います。それを合理的配慮の請求が基本的に障害者等からなされて、それが正当な場合には事業主はそれを提供する義務を負うということで、つまり、事業主と被雇用者の間に、いわゆる義務権利関係構造をもつという形で改正する必要があると思うのですが、それは可能なのかどうかがすごく気になっています。
 もしそれが被雇用者である障害者の権利性ではなくて雇用主の措置義務における反射的利益と言いますか、そういうものであるとすれば、これは差別禁止法の障害者の合理的配慮の不提供は差別であるという、いわゆる障害者の権利性とは異なると思われますので、差別禁止法とは住み分けをされるのか、つまり住み分けをする形で両方が存在すると考えるのか、その辺の理解をどうしたらいいのかを、私としてはいま大きな疑問に思っているところです。
 あともう1つは、その次の障害者雇用率制度の位置づけなのですが、当然これは我々皆このように理解しているのですが、たぶん、イギリスでなぜ差別禁止法ができるときに障害者の雇用制度をやめたかも考えると、つまりこれはこういうことなのです。障害者の雇用率制度が差別禁止法に抵触しないようにしようと思ったら、法定雇用率に基づいて雇用された障害者に一切の不利益な取扱いをしてはならないということを明確にしておく必要がある。そこがなければ差別禁止法と抵触しますので、その辺は明確にしておく必要を書いておいたらどうかと思った次第です。以上です。
○岩村座長
 事務局のほうで、何かいまの北野委員のご意見についてございますか。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 複数の論点をいただきましたので、もしメモ等がありましたら事務局に提出いただければと思います。まず、労基法の3条の観点で言いますと、そこは労基法自体を所管していないので、第9回までに所管部署にどのような考え方の整理をするのかを聞いておく必要があるかと思います。ただ、労基法の性質上、当然罰則に係る規定があって、男女間の性差別については雇用機会均等法という、いわゆる法律で対応していることも念頭に置く必要があると思います。それから、表現振りについて、「される」「する」という書き方は、工夫できるところというか、訂正できるようなところは変えていくべきではないかと。それから、差別禁止法の議論をされていますが、北野委員も差別禁止部会でのご議論をご承知だと思いますが、かなりあらゆる分野での差別禁止になるので横断的な議論がされています。差別禁止法については裁判規範の形で議論がされています。仮に一般法ではなく、というか、そこを一般法というか個別法というかの整理の問題かもしれませんが、裁判規範があって実効性を担保する形で定義されたとしても、雇用分野については、我々としてはというか石井委員からの意見があったように、実際の行政指導ですとか、監督官庁というか、そういったものがいま現にあるということと、それから職業リハビリテーションのサービスが既にあることを合わせて考えていく必要があるかと思っています。それから、イギリスの制度で雇用率制度をやめたことで、ご意見としては、では日本の雇用率制度もやめるべきではないかということなのでしょうか。
○北野委員
 いや、置いておくべきだ、日本の場合も国連でもこれを認めていますので、国連の権利条約でむしろ積極的差別是正を評価しています。私も高く評価しています。日本の場合、特にアメリカのADAなどでは、雇用が進まない理由の中で、やはり合理的配慮を求めてしまうことによって最初の雇用が進まないと、ですから、法定雇用率は非常に大切な日本の価値ある制度ですから、これは基本的に活かしたい。しかし、法定雇用率で採用された方が、つまり雇用された方が不利益な取扱いを受けることになりますと、少しでもそういうことがありますと、これは差別禁止法に抵触しますので、そうならないように、労働者としての真っ当な権利をすべて持っているのだということだけを明確にしていただければいいというだけです。以上です。
○岩村座長
 いまのにコメントしますと、仮にこの枠組みで行っても、法定雇用率、法定雇用率制度で雇用されているということにはならないとは思うのですが、雇用されている障害者の方については、結局この差別禁止がかかりますので。
○北野委員
 そうですね。
○岩村座長
 ですから、ご懸念のような問題は起きないと私は理解しています。森委員、どうぞ。
○森委員
 森でございます。先ほど大胡田委員のご説明にありました、ハラスメントの問題、合理的配慮、差別を否定するということ、それと、間接差別の問題と聞いて、私もまったく同感です。といいますのは、差別禁止法ではハラスメントが相当大きな問題で検討されていると思います。先ほど北野委員がお話したとおり、差別禁止法は一般法で、それで、この雇用促進法が特別法だという形の整理が、どうも私もよくわからないのです。やはり差別禁止法という大きな柱の下で特別法が、職業関係の問題はそこでいいと思いますが、一般法に反するような形に整理されてしまうと理論がおかしくなるのではないかという気がして、先ほどお話しているとおり、大胡田委員の意見とまったく同じだと思います。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。他にはいかがですか。
○野澤委員
 ハラスメントといってもあまりピンとこないのですが、虐待防止法だと基準要件が割と明確になっていると思います。10月から施行される障害者虐待防止法だと、身体的的虐待から経済的虐待に至る5類型を示していますし、厚労省が作ったガイドラインでも具体的に、例えばどういうことなのかというのは細かく載っていますし、その基になっているものとしては、児童虐待防止法が2000年、それから、高齢者虐待防止法が2005年、この間10数年の蓄積があるわけで、この中身については、ハラスメントという言葉はともかくとして、虐待についてはかなり明確であると思います。それと、障害者虐待防止法についていうと、これはいろいろな場があるのですが、職場内での虐待が元々の出発点なのです。1995年の滋賀県のサン・グループ事件、これは、社長には重い刑事罰が問われましたし、国と自治体には監督責任が問われて、2億6,000万円もの賠償金を地裁が命じて、確定しております。さらに、1996年には水戸のアカス事件、これも社長に対する刑事責任が確定していますし、社長に対する賠償命令も下っております。その他にも延々ときているわけですね。
 今回の障害者虐待防止法の中にも、第4条に、国と自治体に対していろいろな義務を、虐待を防止するためにいろいろな措置をとりなさいということがかなり手厚く書き込まれております。この時期に、この法律の「対応状況や施行状況を見ていくべき」というように後ろ向きになっては、私はむしろ国の責任を問われかねないと思いまして、現場を守るためにも、行政機関が自らの責任を果たすためには、やはりここは踏み込んで、ハラスメントという言葉はどうかわかりませんが、虐待についてきちんと対応するべきだと思います。それでも現場で基準や要件が明確でないとするならば、この機会にそういう基準や要件を明確にするような、職場内のハラスメントについてもきちんとガイドラインを作るべきだと思います。水戸の事件のときなどは職安が、逮捕された社長の助命嘆願署名を従業員の親たちに集めさせたりしているわけですね。サン・グループ事件のときだって、障害者から何度もSOSを労基署に訴えておられながら、手紙までもらっていながら黙殺していたということで、その怠慢・不作為を問われているわけで、遅すぎるぐらいです。せっかくこういうものを論議しているのですから、ここは重点的に、踏み込んで対応することが基本だと私は思います。
○岩村座長
 ありがとうございました。
○武石委員
 武石です。何を差別とするかですが、やはり雇用の分野で、事業主にいろいろな差別の禁止を求めていき、それをされなかった場合には一定の措置を講じるとなると、ここにも書いてありますように、実効性の担保や予見可能性を前提にしないとなかなか難しい気がします。ハラスメントは、もしかするとかなり具体的なものがあるのかもしれません。間接差別に関しては、男女雇用機会均等法でやっと間接差別が入りましたが、男性と女性という2つの類型しかない状況であっても、やっと間接差別の禁止の具体的要件が明らかになったので、障害者に関して具体的な基準や要件が明らかになるのかという、非常に疑問があるというのが1点です。
 それから、細かい言葉のことで恐縮ですが、3ページの「事業主の範囲」で、基本的には、規模とかそういうものにかかわらず障害者の権利が守られるように、事業主に対して差別禁止をしていくべきだと思います。「事業主の範囲」の、私はこの2つ目の○に賛成で、「企業規模によって差を設けるべきものではなく、障害者を雇用する全ての」と書いてあるのですが、障害者を雇用していなくても、採用とかそういう部分での差別の禁止がかかると思うので、「障害者を雇用する」という文言は要らないと思いました。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。その他、いかがですか。
○杉山委員
 連合の杉山でございます。意見を申し上げておきます。今回、このまとめで素案が出されましたが、先ほど大胡田委員が発言された中身と、それに賛同する意味合いで発言しておきたいと思います。
 やはり、私法上の効果の関係で、この中で書かれているところはわかる訳ですが、最初に書かれているように、合理的配慮の提供などの実効性をどう担保するかが非常に大きな目的、テーマになってくるわけで、その際に、様々な合理的配慮の適切さ、内容について、もしくは、話をする仕組みまでこの中で議論しています。ただ最終的に、そこを実効的にどう担保するかという意味合いでいけば、当事者に私法上の効果、不当解雇とか不当な扱いをさせないという裏づけをしっかりと担保しておくことは必要だと考えています。そういった意味では、5ページに、「法律上に規定を置かなくとも私法上の効果をもつ規定として機能させることもできるのではないかとの意見もあった」という記載がされていますので、少なくとも同等に、「実効性を担保するためには私法上の効果をきちんと明確にしたほうがいい」という意見ももちろんあるのだということを発言しておきたいと思います。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。
○山岡委員
 他にもあるのですが、「障害者の範囲」の所です。もう1回だけ述べさせていただきますと、2ページのマル2「障害者の範囲について」。平成20年の研究会のとき、私は直接は参加していないのですが、参考意見を出させていただきました。先ほど言いましたように、そのときと状況が変わっていて、例えば発達障害は、障害者自立支援法や障害者雇用促進法に謳われていますし、今年4月に施行された児童福祉法の中でも発達障害が明記されています。要するに、意識して明記しないと、対象から落ちてしまうということで、わざわざ明記をいただいているのです。4つ目の○でもかまわないのですが、そこを何か謳っていただかないと。いまの障害者雇用促進法の第2条の範囲でいきますと、精神障害の中に入っているかと思ってそこからひもとくと、施行規則の中の第1条の4を見ると、統合失調症と躁うつ病の点しか謳っていないわけです。このように政省令をひもといていっても発達障害が法令の中に出てくるわけではないので、この研究会の意見としては、この中のどこかで意図的に書いていただきたいということを、もう一度要望しておきます。
○岩村座長
 ありがとうございました。まだご意見があるかと思います。それは後で申し上げますが、次回までに事務局に個別にお寄せいただいて、できるものは報告書の中に反映したいと思います。そうすると、次が資料4の6ページからでして、(3)「職場における合理的配慮」、そして、9ページになりますが、(4)「権利擁護について」はいかがでしょうか。ご質問あるいはご意見があればお願いします。
○大胡田委員
 度々になって申し訳ありません。合理的配慮義務の点なのですが、先ほどの、私法上の効果をもたせるべきという杉山委員の意見は、差別禁止に反するところについて私法上の効果を持つという意見になると思われましたので、合理的配慮義務についても私法上の義務をいうのだと、ここでも明らかにしていただきたいというのが私の意見です。
 加えて紛争解決の段階ですけれども、企業内で解決できることが望ましいのは皆さん一致するところかと思いますが、現状でいうと、使用者側が労働者側からの協議の申入れや相談にも一切応じない、門前払いというケースが非常に多いと聞いております。ですので、使用者側にはそういった合理的配慮に関する調整・協議に応じる義務があることを謳っていただきたい、義務という言葉が強いのであれば誠実に協議しなければいけない、そういったことでも結構ですが、いずれにしても使用者側に、何とか話合いに応じてほしい。解決する事例は比較的多いわけでして、話合いにさえ応じてくれれば、それ以降の第三者機関や裁判所まで行かずに解決するケースが増えるはずです。ですので、企業内できちっと話合いが持たれるテーブルをこの法律で設定していただきたいという意見です。
○岩村座長
 ありがとうございました。ちょっとご質問なのですが。1つは、紛争解決の中でそういうものを謳うというのと、それを合理的配慮の中に突っ込んでしまうというのと、可能性としては両方あるような気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
○大胡田委員
 そうですね。これはやはり中身として、合理的配慮の義務という、北野委員がよく言われますように、双方協議して定めていくのが必然的に内包されている制度だと思います。ですので、双方協議のプロセスも「合理的配慮義務」の「義務」の内容だと明記したいと考えております。
○岩村座長
 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。
○石井委員
 石井です。紛争解決手続きについてです。この原案だと、最後に出頭命令、出頭義務についての記載がありますが、これはいわゆる行政ADRですから、話合いで解決しましょうという部分についてですので、無理矢理出頭させても解決にはならないと思います。こういった紛争解決手続きについていえば、出頭義務を課すのは相いれないのではないかと考えています。私法的救済なら、民事調停なら出頭義務はあるのですが、あるとはいえ、実務上はそこは死文化しているという運用が実態だと思います。それはやはり無理矢理来させても成立しないからでして、ここはむしろ、十分な話合いができる場という形で考えていただいたほうがいいと思います。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。
○大胡田委員
 重ねて恐縮でございます。先ほど申し上げたように、まずは1つ、使用者が話合いのテーブルにつかないことが間違いの始まり、というケースが大変多いように聞いております。もちろん、無理矢理来させれば解決することはないのはよくわかるのですが、まずはテーブルについて、お互い理解し合う土台をつくる必要は当然あると思います。ですので、これは義務付けが必須だと考えます。男女雇用機会均等法においても出頭義務が当然ありますので、障害者の分野だけ出頭義務がないのは非常におかしいバランスだと思います。そもそも合理的配慮義務というのは、辞めた後にいくら賠償が取れるかという問題ではなくて、これから働くために、どういう配慮があれば能率よく能力を発揮できるかという判断をするためのものなので、話合いができないとどうにもならないと考えております。ですので、出頭義務はいちばん重要だと思います。
○岩村座長
 ありがとうございました。
○石井委員
 追加です。企業内での話合いについては、企業内での自主的解決を図るべきであるという、これは均等法と同じですが、順番としてはまず、中でよく話し合うようにと、次に助言・指導等、行政による援助があって、それから、必要に応じて行政における調停という順番ですので、話合いが重要だというのは当然の前提としております。どういう条項になるかわかりませんが、均等法とかパート労働法だと、企業内で苦情処理機関をつくるなどして十分対応するという規定になっているので、同様の条項になると思います。苦情というより、ここは相談・協議になると思いますが、そこは当然きちんとやるべきと考えております。
○岩村座長
 ありがとうございました。その他、いかがですか。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 課長補佐の西川です。最後の、9回目でも、正確な所は担当課に確認をしますが、いま大胡田委員から、均等法では機会均等調停会議に出頭しなければならないという義務が課せられているということでしたが、条文を見ますと、まず法律の第20条に、「委員会は調停のため必要があると認めるときは、関係当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる」という「できる規定」になっていまして、省令の中で、出頭を求められたときは会議に出頭しなければならないという規定がされていると。ただ当然、上位法令が法律でして、法律は「聴くことができる」という「できる規定」になっていて、その解説を読むと、出頭は強制的な権限に基づくものではなく、相手の同意によるものだというところが均等法の解釈ですので、出頭義務までは課せられていないのではないかと思います。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。出頭義務のところは大変難しいのですが、他方で、使用者がテーブルについてくれないと、結局どんどん重い手続きでやっていかなければならないことになるという部分もあって、その辺のところをどう考えるかとも関係するかと思います。大企業はあまり問題ないのですが、中小になるとどうしても、この辺はなかなか難しいところがあるかという気がします。では、森委員。
○森委員
 森です。7ページの下から2番目の○です。通勤時の移動支援についてですが、この書きぶりでいくと、後ろに「福祉的サービスで対応すべきとの意見がある一方で」と書いてあるのですね。私の記憶では、そういう話になっていないのではないかという気がします。というのは、実は総合福祉部会のときにもこの問題が出ました。1つは、通勤上の問題と教育上の問題、学校の問題ですね。そのときにも結論は出なかったと思います。基本的にいうと、これは全部福祉になって、莫大なお金になっていってしまうという意見も、だいぶ強かったと私は記憶しているので、こういう書き方でいうと、「福祉サービスで対応すべき」という意見だけが書かれているので、私としては、これは困るなという気がします。以上です。
○岩村座長
 ただ、「ある一方で」ということで、こういう意見もあるということなのですが。
○森委員
 そのとおりです。後ろにも、「支援をしていく仕組みは必要であるとの意見があった」というように並列してあるのですが、「福祉的サービスで対応すべき」という意見はどのぐらいの人から出たかということになると思います。私がはっきり聞いていれば反対すると思います。
○岩村座長
 そこはもう1回、過去の議論を確認します。
○北野委員
 森委員がおっしゃっている、通勤時の問題なのですけども、確かに法的な問題がいろいろとあるのでしょうが、森委員がおっしゃるように、やはり書きぶりが物足りないのですね。通勤というのは雇用・就労にとって不可欠な要素であり、特に障害者の就労を拒む大きな要因の1つになっています。ただ、通勤時の移動支援は個々の事業主の配慮を超えた部分もあり、必要な合理的配慮を超えた部分については助成が受けられたり、いろいろな仕組みを構築・検討すべきであるとか、進めていくのだと、前向きにやるのだという表現をもっと入れていただきたいと思います。障害者の雇用の問題で移動というのは本当に大きな問題です。是非とも前向きの表現をしていただきたい。
 あと、最後の紛争解決の中で、1つだけ○を増やしていただければと思います。野澤委員がおっしゃったように、今年10月、虐待防止法の関係で各都道府県に権利擁護センターが立ち上がります。そのときに、被雇用者に対する虐待やハラスメントに関する問題、案件を扱う権利擁護センターが設置されます。それから今後、差別禁止法の部会での議論等をふまえて、障害者の人権救済とか障害者の権利救済の機関も立ち上がる予定ですので、それについての連携等も今後検討されるべきであると、どこかに明確に入れていただければと思います。
 それから、ちょっと気になったのは、5ページの「労働能力に基づく差異」で、そのとおりなのですが、つまり、最初の○では、「そのような取扱いはなされるべきである」という強い表現でして、2つ目の間接差別のところでは、「我が国における雇用慣行や雇用契約の内容、違いを考慮して」と書いてありますね。つまり日本の場合、労働能力の評価によって賃金等に差が生じることにストレートになっていない状況がありますので、それについてはやはり、職種や職場の労働慣行等を踏まえて、適切な取扱いがなされるべきであると書かれるべきです。日本の社会は曖昧なのですね。だからこんなふうに、障害者だけが違う取扱いをされるように読めてしまうような文章はやめていただきたいと思った次第です。以上です。
○岩村座長
 ありがとうございました。
○野澤委員
 先ほどの通勤についてですが、私が言ったのですね。横で聞いていたたまれなくなったのです。私の意図としては、何らかの形で通勤を支援してほしいのですね。事業主の義務が難しいのであれば、福祉的なサービスか、あるいは事業主がそういうものを配慮することに対して、財政措置なり何らかのバックアップする仕組みがほしいということであって、福祉サービスでやらなければいけないと言っているつもりはないのです。福祉サービスでも対応できないかと検討はしてみる価値があると私は思います。
 それと、ハラスメントのところで、いま気がついたのですが、我々がずうっと問題にしている虐待は主に、昔から職工屋さんの流れるような所が多くて、それは使用者による目茶苦茶な虐待なのです。ここで想定されているハラスメントは主に大企業で、使用者間によるいやがらせみたいなものかということがあって、そこを分けて考えるか、あるいは、両方にまたがるような書きぶりにしていただきたいと思います。ひどい虐待は、職場での虐待が圧倒的にひどいので、やはりそこはどこかに入れ込んでいただきたいと思います。
○岩村座長
 私から1点質問です。障害者の関係者の感覚として、障害者虐待防止法で言っている虐待とハラスメントとは、立法上区別されるものなのかどうかなのですね。つまり、障害者虐待防止法でかかる部分については改めて法律を作る必要はないので、そうだとすると、それにかからないものを考えるのかどうかという話なのです。それが結局、今日のペーパーで出てくる、概念がはっきりしないという、元々の問題と絡んでくる話なのですが、そこはいかがでしょうか。
○野澤委員
 私の個人的な考えですが、連続していると思います。考え方によってハラスメントに思えることも、よくよく調べてみると、やはり許し難い虐待だと言われることがかなりあります。最初は障害者がなかなか言ってくれないので、ちょっとしたいやがらせとか行き違いぐらいに思われて、発覚してくるケースがかなり多いのですね。よくよく調べてみるとひどい状況だったということがあります。もし仮に、虐待防止の対応をするから、これに書き込む必要はないとするのであっても、ここで書かれている「対応状況や施行状況を見ていくべきである」とはどうなのかと、書きぶりとしてはどうなのかなと思いますし、現場を守るためにも、ここでもそういう、規定というか、ガイドラインとかマニュアルを作っていったり、その検証をやったりというものを組み込んでいくのは必要ではないかと私は思います。
○岩村座長
 ハラスメントについては、例えば、ガイドラインとかを組み込むという考え方もあると思いますし、先ほど石井委員がご指摘になった、現行の雇用促進法の枠組みでいくと、使用者・事業主が対象になっていて、従業員については、事業主に対する義務づけという形で何らかの対応することも考えられなくはないのですが、ちょっと間接的なので実効性の問題が発生しますが、可能性としてはそういうこともあるかもしれません。監督責任になってしまうので、そこは実効性の面で弱い部分はあるかもしれない感じがします。ただ、セクハラでも環境型だと、事業主で環境についての整理をせいという形にはなりますけれども。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 いま座長からお話があった点に関連してです。虐待防止法の中でも、使用者による虐待の中には、同僚による障害者への虐待を放置することも、それもネグレクトに入るということで禁止されているという法体系になっています。
 野澤委員のお話を聞いていますと、虐待とハラスメントを明確に切り分けて考えるのは非常にニアリーイコールな部分があって、当初はハラスメントかと思っていた部分が実際には虐待にまでいってしまうというのが、事例としては多いのかもしれないと。そうすると、虐待とハラスメントを切り分ける、また、それを差別として禁止していくとなると、法律上は定義がしにくくなるかと思います。ただ一方で、事業主に研修を行うとか、ガイドラインなどで、こういった行為は禁止されるべきであることを法律上に位置づけるのではなくて、別のそういった枠組みの中でやっていくべきだとコメントできるのではないかと。対応状況を見ていくべきだという、静観をして、何もしないのではなくて、合理的配慮や差別禁止の議論をしていく中でそういった議論があったわけで、そういった法律とは別の枠組みの中で整理ができないのであれば、何か対応できることも精一杯書いておくべきではないかというご意見でよろしいですか。わかりました。
○岩村座長
 ありがとうございました。ほぼ予定の時間になっています。先ほど申し上げたように、多分まだご意見が尽きないかと思いますので、申し訳ありませんが、そういったご意見を個別に、できるだけ早く事務局にお寄せいただければと思います。今日はここまでとさせていただいて、次回は報告書の取りまとめとなります。今日の素案には入っていなかった冒頭の部分と、それから、本日議論をいただいた「事業主への助成の在り方」「過度の負担について」という部分を加えた報告書の全体案を示します。そして、それについてご議論をお願いしたいと思うので、よろしくお願いします。毎度申し訳ありませんが、限られた時間の中での議論になりますので、先ほどの繰り返しになりますが、あらかじめご意見等があれば事務局にお寄せいただければと思います。
 それでは、次回の日程について、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐(西川)
 課長補佐の西川です。次回は第9回でして、7月25日(水)10時からとなっています。場所は19階の専用第23会議室になっているので、よろしくお願いします。
 また、先ほど座長からありましたように、報告書の修正をすべきという案文で、今日コメントをいただけなかった点については、大変恐縮ですが、今週中に事務局宛にメールをお送りいただければと思います。
 今日は北野委員をはじめ、非常に複数のご意見をいただいた部分もありまして、それについても何か、メモ程度で結構ですので、こういった発言をされたことがわかるものもあれば、それも6日までにお送りいただきたいと思います。以上です。
○岩村座長
 お忙しい中、恐縮ですが、ご協力のほどをよろしくお願いします。
 これをもって本日の研究会は終わりとします。今日は2時間半という長丁場の中、大変ありがとうございました。


(了)

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