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2012年5月25日 第6回 社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会議事録

年金局

○日時

平成24年5月25日(金)10:00〜12:00


○場所

東京都千代田区平河町2−4−2
全国都市会館3階「第1会議室」


○出席者

吉野 直行 (委員長)
植田 和男 (委員)
小塩 隆士 (委員)
川北 英隆 (委員)
駒村 康平 (委員)
武田 洋子 (委員)
西沢 和彦 (委員)
山田 篤裕 (委員)
米澤 康博 (委員)

○議題

(1)経済前提の設定に用いる経済モデルについて
(2)年金積立金運用について
(3)その他

○議事

○吉野委員長 それでは、時間になりましたので、ただいまから第6回目の「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」を開催させていただきたいと思います。
 今日も御多忙の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 本日は、小野委員だけが御欠席という御連絡をいただいております。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 資料の確認をさせていただきたいと思いますので、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○原口大臣官房参事官 では、私、参事官の原口の方から、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料ですが、表紙に議事次第を1枚目にお付けしておりまして、座席図と名簿がございます。
資料1−1 経済前提の設定に用いる経済モデルについて
(さらにご議論を深めていただきたい論点)
 資料1−2 経済前提の設定に用いる経済モデルについて
       (指摘事項、検討事項等)
 資料2   国民経済計算の基準改定が各種指標に与える影響について
 資料3   カナダの公的年金の運用目標・基本ポートフォリオについて
       (年金積立金管理運用独立行政法人提出資料)
 植田和男委員提出資料 「経済前提の設定」で使用されているモデルとそれによる利潤計算について
 以上の資料をお配りしております。
お手元にあるかどうか御確認いただきまして、もし欠けている場合には、事務局へお知らせいただければと思います。
○吉野委員長 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 まず第1番目は、横長の資料1−1「経済前提の設定に用いる経済モデルについて」です。これは武藤管理官から御説明をお願いしたいと思います。
○武藤数理調整管理官 数理調整管理官でございます。
 本日は、私から資料説明をさせていただきます。
 資料1−1「経済前提の設定に用いる経済モデルについて(さらにご議論を深めていただきたい論点)」に沿って、御説明したいと思います。
 まず、資料の位置づけ等ですけれども、本専門委員会は昨年10月よりスタートして、本日で6回目となっております。大きく議論を分けて、経済前提の設定に関する部分と積立金の運用に関する部分とありますが、経済前提の設定に関する部分につきましては、昨年中の3回行われたところでは、まず平成21年財政検証時の経済前提専門委員会で設定されたモデルを復習いたしまして、今後のために検討が必要な事項を御議論いただきまして、一当たり御議論をいただいたという状況でございました。
 その後、年明けに第4回、第5回が開催されておりますけれども、年明けに公表されました新人口推計ですとか、内閣府の経済財政の中長期試算の概要など、あるいは国民経済計算の基準改定の数字を確認したところで、これらの数字が経済前提の設定において基礎データとなりますので、これらの数字を確認したという状況でございます。
 本日、6回目でございますけれども、再び経済モデルの御議論に戻っていただきまして、まず本資料に沿って説明を始めたいと思っているところです。
 論点が7個ほど大きく分けられております。
 1点目は、コブ・ダグラス型生産関数は供給サイドからのアプローチであるが、需要サイドからのアプローチも考えるべきではないかとの御意見がございました。
それに付随する論点として、需要サイドからのアプローチを具体化すると、どのような方程式に基づく経済モデルになるかでございますとか、需要サイドからのアプローチにより、物価上昇率を内生変数として取り込めるかという論点がございます。
 2点目は、海外の経済動向も踏まえるべきではないかという御意見もございました。
付随する論点として、具体的には、経済モデルにどのように織り込めばよいかとか、将来の海外の経済動向を具体的にどのように設定すればよいかなどの論点がございます。
 3点目は、経済モデルを用いる対象期間をどうするか。それ以後の期間の経済前提をどう考えるかということがございます。
 これは御案内のとおりでございますけれども、平成21年の財政検証時の経済前提専門委員会で用いられたモデルというのは30年程度の推計を行っておりまして、おおむね100年間の財政計算のための経済前提はそれをそのまま用いてやっているということでございます。そういう30年程度の推計を行っているところでございますが、例えば本日この後、植田先生から御説明いただく資料などでは、定常状態で考えるという話も盛り込まれておりますので、そういう考え方もあるのかもしれないということでございます。
 4点目は、経済成長率などについて、政府の政策目標とはどういう関係にあるかということがございます。
 この辺までは大きな論点で、次は5点目で、これは前回モデルの技術的な言ってみれば改善点みたいなところだと思いますけれども、将来の長期金利を利潤率の関係性をもとに推計したことについてどう考えていくかという論点がございます。
 付随する論点として、この方法は適切か。長期金利と利潤率の関係性はどうなのか。あるいは他のアプローチで長期金利を推計する方法は考えられないのかということがございます。
 6点目は、平均的な経済前提を一定と設定せず、変動を織り込んだ前提とするべきではないかという御意見もございました。
 ただし、その際は変動の幅ですとか、周期を具体的にどのように設定すればよいのかという論点があると思います。
 7点目は、足下の経済前提と長期の経済前提を分けて考えるべき否かという御意見がございました。
 具体的には、内閣府の「経済財政の中長期試算」をどのように取り扱うべきかという論点でございます。
 資料1−1は以上でございます。
 資料1−2は、昨年の平成23年12月19日の配付資料と同じものでございまして、「経済前提の設定に用いる経済モデルについて」の指摘事項ですとか、検討事項等についてまとめたものでございます。
 こちらの資料を抜粋した主なポイントが、ただいま説明しました資料1−1になりますので、柱だけざっくりなぞって、細かい説明は省略したいと思います。
 ?経済モデルの建て方に関して、こちらに挙げられておりますような細かい点の論点がございました。
 ?労働力率の設定に関して、2ページの後半部分のような論点がございました。
 ?長期の経済前提に関して、
(ア)物価上昇率の設定に関して
(イ)賃金上昇率の設定に関して
(ウ)運用利回りの設定に関して
(エ)変動を織り込んだ経済前提の設定について
ここに挙げられているような論点がございました。
 ?足下の経済前提の設定について
 ?その他で、こちらに挙げられているような論点がございました。
 本日はこの辺の論点を基にして、モデルの御議論をいただきたいと思っております。
 続きまして、資料2でございます。こちらは前回の続きではございますけれども、国民経済計算の基準改定が各種指標に与える影響についてながめてみたものでございます。
 1ページでございます。
 国民経済計算が平成12年の基準から平成17年の基準へ改定されたことに伴う影響。これは第5回、前回の専門委員会で説明した特徴でございますけれども、簡単におさらいしておきます。
 まず、有形固定資産、資本ストックに当たる部分ですが、これが3割程度上方に改定されているという特徴がございました。
 名目GDPですが、2005年度以前は1〜2%程度上方に改定され、以降は若干下方に改定されているということでございました。
 雇用者報酬ですが、1〜3%程度下方に改定されてございます。
 営業余剰ですが、2割程度上方に改定でございます。
 固定資本減耗ですが、時価評価の導入により動きが変化しております。
 総固定資本形成ですが、2004年度以降は2〜3%程度下方に改定されているということでございました。
 本日、これらの数字を基にして、経済モデルへの入力パラメータなどの4つの指標をながめてみて、確認していきたいと思っております。
 2ページ、資本分配率でございます。
 資本分配率の定義式は、1つ目の○に書いておりますように、雇用者報酬の割合を1から控除したものということでございますけれども、雇用者報酬の下方改定と営業余剰の上方改定によって、2〜3ポイント程度上昇しているということでございます。
 過去10年の平均ですが、平成17年基準の新しい基準で見てみますと、10年平均で42.6%、平成12年基準の旧基準で見てみますと40%ということで、2〜3ポイント上昇ということになっております。
 ちなみに平成21年財政検証のマクロ経済試算に使用した数値は、過去10年平均ということでございますけれども、39.1%となっておりました。
 3ページ、資本減耗率でございます。
 資本減耗率の定義式は、1つ目の○にありますように、有形固定資産に対する固定資本減耗の比ということになりますけれども、有形固定資産の上方改定によりまして、2ポイント程度低下ということでございます。
 過去10年の平均につきまして、新しい17年基準の方が7.2%。それに対して旧基準の12年基準では9.2%であったということでございます。
 ちなみに、平成21年の財政検証のマクロ経済試算に使用した数値は、8.9%ということでございました。
 4ページ、総投資率でございます。
 総投資率の定義式は、1つ目の○に書いてあるようなことでございます。
 名目GDPの改定などにより1ポイント程度低下しておりまして、過去10年程度の平均を確認してみますと、新しい平成17年基準ですと22.1%、旧基準の12年基準ですと23.3%ということでございます。
 平成21年財政検証では、緩やかに低下傾向にある過去の実績傾向を対数正規曲線によって外挿して計算した数値を使用しているということになっております。
 5ページ、利潤率でございます。
 1つ目の○に利潤率の定義式が書かれております。
 2つ目の○に書かれておりますように、特徴としては、有形固定資産の上方改定などにより、1ポイント程度低下しているという状況でございます。
 具体的には、過去10年の平均で見てみますと、新しい平成17年基準では7.5%、昔の平成12年基準では8.5%となっております。
 平成21年財政検証のマクロ経済試算では、過去の利潤率(実績値)と将来の利潤率(推計値)との比率を用いて、将来の実質長期金利の水準を推計するということでございまして、その次に、この辺をもう少し詳しく見ておきたいと思います。
 6ページに、これらを受けての留意点がございます。
 平成21年財政検証における長期金利の推計につきましては、次に書いているような式で推計しているということでございますけれども、長期金利と利潤率に正の相関が認められるということに着目して、平成16年の財政再計算時に経済前提の設定モデルを検討されたときに考えられた推計モデルということでございますが、こういう式で推計していたということなのですが、ここで書いてある過去の一定期間については、25年間、20年間、15年間の3通りの幅をもって見ております。具体的に平成21年財政検証で実質長期金利の推計をどうやってやったかということが表に書かれております。
 2つ目の○の論点は、平成17年基準による利潤率は、現時点では過去10年分のデータしか得られておりません。ということで、過去の平均を使うというときに同様の方法をとるには、更に過去の利潤率をどう取り扱うか検討が必要ということになってきます。つまり、※印でも書いてありますように、実質長期金利を他のアプローチで推計する方法は考えられないのかということも含めて、考えていく必要があるかと思っております。
 一方で、国民経済計算統計というのは政策の企画立案とか、経済分析などを行いますときに最も基本的な統計なので、世の中からのニーズも高いと思われますし、それなりの遡及作業というのは、今後は行われていくものと想像はしますけれども、現段階ではこういう状況にあるということでございます。
 最後に、資本分配率及び資本減耗率は、平成21年財政検証における長期の経済前提設定では過去10年間の実績値の平均値で一定とされていたということでございます。
 以下は参考資料でございます。
第5回専門委員会で配付しました資料の抜粋でございまして、主な指標による基準改定による変化を参考として、名目GDP、有形固定資産、総固定資本形成、固定資本減耗、雇用者報酬、営業余剰と数字を記載させていただいておるという状況でございます。
 私からの説明は以上でございます。
○吉野委員長 ありがとうございました。
 引き続きまして、植田先生の方から御提出いただいた資料につきまして、御説明をいただけますでしょうか。資料番号はありませんが、一番最後のものだと思います。お願いいたします。
○植田委員 これは、ここにあるような計算で将来の金利を推計したらいいですよという意味で計算したのではなくて、これまでの財政検証で用いられているモデルで結果が出ているわけですが、例えば16年から21年に移るときに結果が変わるわけですが、いろいろな前提を変えている結果、金利等の予測が変わるわけですが、どのパラメータの変更がどれぐらい影響しているかというのが直ちには明らかでなかったので、この財政検証で使っているフレームワークに近いものを使って、それを明らかにすることはできないかという問題意識でやったものです。
 簡単に申し上げますと、厳密に同じではないのですが、財政検証で使われている枠組みは経済理論で言いますと極めて簡単な成長モデルを使っています。そのモデルの大体前提に近いような前提が使われています。ただ、微妙な違いは、財政検証ではいろいろなパラメータが時間とともに少しずつ動いていくという前提が組み込まれていますが、成長理論でもそのようにできますが、簡単に結果を見るにはいろいろなパラメータがずっと現在から長期にかけて一定であるとして解くのが簡単であります。そこは違うのですが、恐らくそこのところを修正しても、結果は大差ないような気がいたします。
 私の資料の1枚目の(2)式というところに、記号の定義等をちゃんと書いていない部分もあって恐縮ですが、長期的にこういう成長モデルでは、金利がある一定の水準に収束していくということが簡単に証明できます。その収束していく水準は幾つかのパラメータで決まりまして、そのパラメータは財政検証で使われているようなパラメータであります。
例えばSというのは一定と仮定されている「貯蓄率」は、この財政検証では「投資率」という名前になっているわけです。βは資本のシェア、資本分配率。δが減耗率、εがここでは技術的な言葉になりますが、労働節約的技術進歩率という技術進歩率です。nが人口成長率。ということで、(2)式で金利の水準が決まります。簡単にわかりますが、nという人口成長率がそのように入っていますので、人口成長率が低下すれば長期的な利子率も低下するということが当然出てまいります。
 私がちょっと変だなと思ったのは、人口成長率が長期的にもっと低下するという前提の変化の中で、21年財政検証で利子率が高めに出ているということは何から来ているのかということですが、結局、人口成長率以外のパラメータを置き直した結果、全体としては利子率は高まる方向になってしまったということであります。
 2枚目の真ん中のところにある表は、16年と21年の財政検証で利子率が変化しているわけですが、その変化に対して、それぞれのパラメータがどれぐらい寄与しているかということを計算したものです。
 下から3番目にnがありまして、人口成長率は確かにマイナスの利子率を下げる方向に効いていますが、ほかの動き、特にδ、資本減耗率が動いた分、貯蓄率が減少していくとみなした分、これらが金利を高める方向に動いてということでございます。
 こういう前提の変化がいいか悪いかということは、にわかには決定し難いことですし、また、次に財政検証をする際にどういうパラメータを置いたらいいかということも大きな問題ですし、今日お話にありましたような基準改定で次のパラメータを置く際の1つの情報が提供されているということかと思います。
 それはそれとしまして、2ページの下から書いてあることですが、こういう計算をするとして、いろんな留意点を考えてみますと、人口成長率は下がるということですが、どれぐらい本当に金利等に影響を与えるかは技術進歩率がどう動くか次第で、これも全くにわかにはわからないわけであります。いろんなケースを計算するということかとは思います。
 人口成長率が下がって、金利が下がるというメカニズムはあるわけですが、一方で、高齢化の中で貯蓄率が減少していって、これ自体は金利を上げるという方向に働くわけですが、それはそれでいいけれども、その先はいろいろ考えないといけないということだと思います。
 特に(4)ですが、先ほどの紙にもありましたが、開放経済で考えますと、一国だけ金利が上がっていくというのはなかなか資本移動が自由な世界では難しいであろう。日本の金利が特に上がっていってしまうということであれば、海外から資本が入ってきますし、逆に人口成長が減少して金利が下がるということであれば、資本が海外に出て行きまして、金利の低下は思ったほどではないということになるかもしれません。こういうことを考慮した上で財政検証、その他がやれれば一番望ましいわけです。
 というのが、この提出した紙のポイントでございます。
 あと数分で、最初にいただいた論点と関係するようなところを二、三申し上げてみたいと思います。
 ここでは貯蓄率を一定と仮定するという極めて簡単な経済理論モデルで利子率が長期的にどうなるかという計算をしています。経済理論や成長理論やほかの枠組みというか、成長理論のパターンもありまして、例えば貯蓄率をいろいろな条件を考慮して、家計が最適に毎期毎期決めていくというケースで長期的に利子率がどうなるかということを解く枠組みもあります。それはまた2つに分かれまして、抽象的な話で恐縮ですが、抽象的な世界なのですが、人々がずっと先の無限大まで生きるという世界と、有限の後死んでしまうんだけれども、次々と新しい世代が生まれていって、みんな少しずつオーバーラップして、経済の動きが決まっていくという世界と両方あります。前提次第なのですが、やはり人口成長率が低下すると長期的な金利は低下するという結論は、幾つかの例外というと行き過ぎですが、幾つかのケースを除いて出てまいります。
 特に今後をにらんで、この委員会あるいは年金積立金の運用をにらんで、応用の可能性があるなと思うのは、今、申し上げた中では、英語でOverlapping generations modelと言うのですが、日本語は何ですかね。世代重複モデルですかね。それは前提を現実に近いような値、パラメータにいろいろ置き直して、長期の経済がどういうふうに動いていくかというシミュレーションをやってみられるようになっていまして、その計算、アルゴリズムの方法等についても、最近非常にコンピュータの計算能力の上昇に伴って進歩しています。今後をにらんで、恐らく大事なのは、そういうモデルでは、例えば財政全体はどういうふうに動いていくかということが貯蓄率に影響を与えるんです。単純に考えますと、消費税率は向こう数十年の間に相当な水準に上昇して、これが止まれば、また下がってくるというパスを考えることもできます。年金に関するパラメータ、所得代替率から始まって、そういうのも変わるかもしれません。
 このようなことが貯蓄率に大きな影響を与えて、したがって、金利に大きな影響を与えます。同時に、財政のパラメータ、年金のパラメータを含む経済の動きが年金積立金に入ってくる保険料収入と、そこから出て行くキャッシュアウトみたいなもののパターンにも影響を与えるということか出てまいります。更にそういうことには、インフレ率が現在のゼロ近辺から2〜3%までにどういうタイミングで上がるかとか、あるいはもっと上がるかということも影響するわけです。こういうものを全部入れて、その上で積立金の運用であれば、あるケースで出てくる利子率とキャッシュフローを見てどうか。そして、そういうパターンにはいろんなリスクがあるので、その変動を踏まえた上でどういうリスクを最小化するのかという計算を解いてみるのが理想的な姿という感じがいたします。
 とても無理かと思っていたのですが、例えば昨日たまたま大学でセミナーがありまして、元同僚がやっていた発表は、こういう計算を今の理想的な姿からすると半分とか6割ぐらいは、ある種のケースについて解くという作業をしたものでした。ですから、全く無理でもないと思うんです。
 1つ、最初のポイントとの関連を申し上げますと、こういうので例えば消費税率が25%に上がって、また15%くらいに下がってくるという動きが50〜60年の間に起こりますので、到底ステディ・ステートというか、物事は変化しない状態に何年か経つといって、そのままずっといるということではないんだと思うんです。経済がいろいろな動学的な古い均衡から新しい均衡へ動いている状態のまま何十年も推移するというところをつかまえないと、現実的な結果にならないというインプリケーションがあるんだと思います。このような感想を持ちました。
 後半は、ないものねだりという面があるかとは思いますが、前半は簡単な計算の結果の御説明です。
 以上です。
○吉野委員長 どうもありがとうございました。
 そのモデルを使った(2)式は非常に参考になりました。ありがとうございました。
 後半の方のお話は、今ここの計算はコブ・ダグラスの供給関数でやっているんですけれども、それが本当にいいのかどうかという議論にも関係すると思いますので、ありがとうございました。
 それでは、ほかの先生方から。
 米澤先生、いかがでしょうか。
○米澤委員 今、植田先生の件に入る前に、1点だけ。
 資料1−1でまとめてもらった中で、●で1点付け加えていただきたいのは、物価上昇率をどう見込むか、です。前回までは非常に簡単にというか、ほとんど議論しないで1%というのも使ってきたのが実際ですので、それは一番上の●の2つ目の項目と関係しますけれども、当面ここで求められているアウトプットは、運用利回り、賃金上昇率、物価上昇率とかなり重要な点なので、改めて●として物価上昇率をどう考えるのかというのを避けて通れないという問題ですし、それがある意味で一番外れていた気もしますので、そこのところを●に追加していただきたいということです。
 2番目は、植田さんのまとめで、これは大分前にいただいたので、そのときはそうだなということで、我々も十分認識してつくったのですが、植田さんの方から説明があったように、16年も21年も、すなわち長期定常状態と考えないで毎年ぐるぐる回していて、そうは言いながら、今、事務局の方から説明がありました30年以降は、一定値にして100年まで持っていく。30年以降の一定値というのは確固たる議論があるわけではなくて、その先はわからないということで一定値にした記憶があります。
 ということで、植田さんの前半の話を踏襲すれば、これはまさに30年以降の長期均衡で使える話かなと。30年に行くまでは、もしかしたらいろんな我々のアプリオリで先見的なもので、そこにところをアドホックに入れていくという手があるのかなということです。
 ここでは、私はこれの方がいいと思うんですけれども、ステディ・ステートを決めるのでハロッド中立型の技術進歩が必要で、TFPの成長率とかを少し変更しなくてはいけない点はありますが、こちらの方がよくて、これでもって長期均衡をとっていくというのは、1つ簡便法として使えるのではないかと思っています。
 以上です。
○吉野委員長 今の最初の方は、先ほどのモデルの中で需要サイドまで考えてきて、物価を内生するかどうかということにも関係しますね。
○米澤委員 そうですね。
○吉野委員長 総需要、総供給でやるかどうかと。
 もう一つの点は、植田先生のハンドアウトの1ページの(2)式のところのrは、資本の限界生産力から出しているrでして、必ずしも国債の利回りというわけではないわけですね。
○米澤委員 そこは、仮に利潤率からやっていく場合でも変換はやるわけですけれども、長期的にもきくいかどうかということを調べるときに、ベンチマークとして長期的に40〜50年先どうなるかというときに、このモデルはすごくいいのではないかと思っています。
 あと、国債の利回りだとか、そういうところに変換はアドホックにやっていたわけです。ヒストリカルのところで合わせにいったわけです。その前のマクロ経済モデルで言うところの資本の限界生産力を探しに行くときは、この長期均衡を使えるのではないかと思っています。
○吉野委員長 1つは、こちらの生産の方から行く部分と、もう一つは、財政がありますね。だから、財政の方から国債の利回りがどうなるかということをこれとは別に出す方法も可能で、かといって、こちらの方からそちらを全部考慮して国債の利回りを出し直すというやり方と分かれる気がするんです。
○米澤委員 この間の内閣府の方は、どちらかというと財政のことを入れて、国債のリスク、リスクプレミアムがあるので、随分金利が上がるという説明がされましたね。
○吉野委員長 だから、こちらで行くのか、財政の方から来るのか、その両方をどうするのかということはあると思います。ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 小塩先生、いかがでしょうか。OLGモデルまで含めても結構です。
○小塩委員 いろんな論点がありますので、私もまだ十分整理し切れていないのですが、まず、植田先生のご説明に対する印象から申し上げますと、2ページ目のところで、それぞれのパラメータが財政検証での数字の変化にどういう寄与をしたかという計算をなさっています。これを見て、非常にびっくりしました。我々はどちらかというと、人口の増加率の変化に注目が行くのですが、それ以外のパラメータも、設定を変えることによってかなり結果に違いが出てくることが明らかになっております。そうすると財政検証はかなり難しいのかなという印象を改めて受けました。
 この人口成長率(n)は、社会保障・人口問題研究所が推計してくれるし、方法論も非常にはっきりしていますが、それ以外の変数は、推計の方法論はあるようでないような、非常に難しい推計をしないといけませんので、推計結果を出すときも1本だけではなくて、ある程度幅を持たせた結果の示し方がやはり必要だと思います。それが1つです。
 将来推計を今までと大きく変えて、Overlapping generations modelをつくってやればどうかという御意見もありました。私もそういう方法をやっていいのではないかと思います。今のやり方は、いろんなマクロ変数はとりあえず外生変数として与えて、それが年金財政にどう影響するかという分析をしているわけですが、本来は金利やそのほかのマクロ変数も内生的に決まるので、マクロ経済と年金との間のフィードバックを何らかの形で見るということは重要だろうと思います。
 ただ問題は、OLG、Overlapping generations modelは、制度をなかなか忠実に再現することが難しいという点です。勿論、最近では非常に研究者の方がいろんな精緻なモデルをつくっていらっしゃいまして、現行制度をかなりの程度反映させたモデルに基づいて非常に精緻な分析をされているのですが、今まで財政検証でいろいろ出てきたような細かい数字をどこまでOLGで表現できるかと言われると、ちょっと難しいところがいろいろあるのではという気はいたします。
 ただ、先ほど申しましたように、OLGというのは非常に重要な役割を潜在的に持ちますので、現行の仕方とOLGみたいなモデルと両方使う仕組みを考えておく必要があると思います。
 とりあえず、以上です。
○吉野委員長 そうすると、小塩先生は供給サイドで大体いいということですか。それとも、この疑問の中にある需要サイドは、短期だけで考えるので、長期的には考えなくていいということですか。
○小塩委員 OLGというのは、基本的に供給サイドにウェートを置いたようなモデルですので、ベースは供給でよろしいのではないかと思ってはおります。
○吉野委員長 物価水準は、やはり外生ということになりますね。ありがとうございます。
 OLGの方が今のモデルはいいのは、働いている層と退職した層と全部分かれてきますから、そういう意味ではフレキシビリティが出てくると思うんです。ただ、DSGモデルでOLGモデルを入れるのは、まだうまく開発されていないという話は聞きましたので。
○植田委員 昨日見たのは、人口構成のパターンは予測どおりにつくって、年金制度についてもマクロスライドもちゃんと入れていますし、デフレのときにはそれが効かないというのも入れているし、所得代替率も5割になったらそこから下がらないという制約も入れて、その制約を取っ払ったらどうなるかとか、そういう計算もしていますので、かなりの程度、現実の制度をコピーしたようなモデルではありました。
 ただし、インフレのところは、こういうモデルがリアルなモデルなので扱えないので、インフレについては外生的にゼロであったり、ゼロから2にどこかでなったりというショックを与えて、計算結果がどう変わるかというものを見ていただけですが、そこはそのようにせざるを得ないかという気もします。
○吉野委員長 OLGでやった場合には、海外部門をどうするかというものもありますね。そうすると、先ほど先生がおっしゃっていた、金利の資本移譲のところをどう入れるかというのもあると思います。
川北先生、いかがでしょうか。
○川北委員 全体的な感想になるんですけれども、1つは、既存のモデルで計算をしたときに、今日いただいた資料にありますように、基準改定が行われると、かなり変わってしまう。資本減耗率にしても、利潤率にしても、分配率にしても、いろんな数字が大きく変わってしまって、本当にどこまで現実の姿を過去の統計が表現しているのか。その辺りが非常にあやふやになってしまう。
その結果、モデルは過去の平均との比較を使っているので、こういう改定がどういう影響を与えるのかというのは必ずしも定かではないものの、安定性が悪いなという印象を受けました。
それと同時に、前回も申し上げましたが、利潤率というか、資本分配率にしましても、現状の足元の影響といいますか、全体として資本当たりの生産性がすごく低いので、企業が自分たちの利潤を高めるために労働分配率を抑制してきているという面があって、これが永続的なのかどうなのか。もしくはどこかで反転するのか。過去の平均値を使った場合、こういうところを明示的に取り入れることができない。将来を考えるときに、どういう水準が考え得るのか。その辺りを明確にしていかないと、単に平均との比較で定めましたというだけでは納得性といいますか、責任を持った推計が難しいのではないかという印象を受けました。
 そういう意味で、植田先生が提案されたOverlapping generations modelというのは魅力的だし、1つの考え方だとは思うんですけれども、そのときに年金などの制度の問題はともかくとして、もう一つ、こういうモデルを使うときに気になるのは、今までの過去の事例というのは、どうしても人口が増えている状態に依存をして、人口が増えているときに現在の世代が次世代に対してどういう行動をするのかを反映すると思うんですが、そのときに、人口が今後減少していく中で、過去の反応、行動パターンが通用するのかどうか。その辺りも考慮する必要性があるのではないかという印象を受けています。
 かつ、いろんな要素を入れることが、どうしても現状では難しいわけなので、そうすると、現実的な今回の推計方法としては、やはり主要な変数に関して幾つかのシナリオを想定して、複数の変数に関して幾つかシナリオをつくっていくと、どうしても累乗的に増えていくわけですが、当初はかなりのシナリオの数で検証をやって、その中で妥当性があるといいますか、あり得るようなパターンを抽出して、平均的な姿を描いていくとか、そういうやり方なのかという印象を受けました。
 植田先生が昨日ごらんになったというシミュレーションがどういうものなのか、余りイメージがないので、ひょっとすると適切ではない印象を述べたかもしれないと思いますけれども、以上です。
○吉野委員長 駒村先生、いかがでしょうか。
○駒村委員 植田先生の資料で、やはり小塩先生と同じですけれども、パラメータの選び方が非常に影響を与えていると改めて確認して、なるほどなと思いました。
 議論が今ありました物価を内政化する、あるいは海外部門の扱い、この統計の影響、それぞれどう考えるか、とてもとても悩ましいところですが、我々がやらなければいけない作業というのが、100年後を見ながら、5年後には微調整をしていくという作業なので、やはり方法論については、学術的、技術的にある程度学会の中で確立したものでなければいけないというところと、パラメータの選択がやはり恣意性がなるべく低く、なおかつ後世に説明できるような透明性のあるようなものでなければいけないなと思います。
今、お話を聞いて、いずれも内政化の問題もすごく難しいなと思って聞いておりました。感想になります。
○吉野委員長 物価は、為替レートが変わると、石油価格とか大きく変わるでしょうから、すごく物価が変わってきますね。だから、物価を外生にするといっても、やはり海外部門は必ず考えないといけないと思います。
 こちら側に行きまして、西沢委員、いかがでしょうか。
○西沢委員 私も2つ。
 1つは感想めいていますけれども、経済学でこうやって資料1−1のように問いを立てられると、回答できるかのような印象を一般に受けるかもしれないということです。一流の経済学者の先生が集まっていて、問いを立てられると、あたかも答えられるかのような感じがありますが、できれば、ここは答えられて、ここは答えられないといったことを一般にわかるように明確にしていくことが必要ではないかと思います。結構わからないことがあるというのが今までのお話の総括であったので、それが1つです。
 あと、今までのお話とちょっとそれますけれども、資料1−1の6番目で「平均的な経済前提を一定と設定せず、変動を織り込んだ前提とするべきではないか。」というのは、これは「べきではないか」というよりも「しなければいけない」だと思うんです。少し難しいかもしれませんが、マクロ経済スライドが名目年金下限型を用いている以上、この設定の仕方によって、マクロ経済スライド適用期間がかなり延びてくると思いますので、事務局の方には、過去の変動とかを参考にしながら、できれば数パターン出していただいて、物価を1%にするとしても、0.5になったり、1になったり、1.5になったり、平均として1になるといった場合、例えばマクロ経済スライドの適用期間はそれだけでも10年、20年延びていってしまうかもしれませんから、マクロ経済スライドが終わった後は平均値で全く問題ないと思うんですが、それまでの間は変動を織り込んでいくといった作業が重要ではないかと思っております。
 以上です。
○吉野委員長 変動を織り込む場合には、ある程度、外生変数がどのように動くかという、例えば先ほどの植田先生のお話ですと、消費税率をあるときまでは少し上げて、その後は下げるとか、そういうことを考えないといけないと思うということが1つです。
 あともう一つは、30年以降100年までというのも考えるのか、それとも、ある程度推計できる少し短期のところを変動するかどうかというのもあると思うんです。
○西沢委員 30年以降は変動しなくていいと思うんです。一定でいいと思います。というのも、マクロ経済スライドが恐らく希望的に言えば終わっているでしょうから、一定で全く問題ないと思うのですが、マクロ経済スライドが終わるまでの間については、変動を見込んでおきませんと、マクロ経済スライドの適用期間が最も短い期間で計算されてしまいますので、そうではないケースを見ておかないといけないのかと思います。
 ですから、足元はある程度シナリオ的なアプローチといいますか、消費税が上がったら物価が幾ら上がるといったもので、あとは財政状況、内閣府の国債のリスクプレミアムも織り込んでいましたが、そういったシナリオアプローチでどのようにしようかと入れて、長期的なところは、先ほど言った理論的なモデルでといった使い分けができるのかなと思います。
○吉野委員長 山田委員、どうぞ。
○山田委員 資料1−1の4番目と今の西沢委員のお話とが関係すると思うんですけれども、やはり将来変動をどのように織り込むかということで、今これから打とうとしている政策を織り込んで推計していいのかどうか自体が、非常に議論の余地があると思うんです。
 どうしてかと申しますと、例えば労働力率とか何かを見ますと、今、使おうとしている将来の労働力率というのは、第1子出産前後の女性の継続就業率が38%から55%まで増えると、そういったものを使うということです。それは、今、打っている政策がうまくいって、それで労働力率が上昇するということを前提としているわけです。
 同じく消費税についても上げると。25%に上げて、また15%にという話が先ほど出ていましたけれども、そうしたものを織り込んでいいのかどうかというのは、非常に慎重に検討しなくてはならないと。むしろそのように、このまま行ったらどうなるのかということを前提として、将来こうなりますと。それに対処するためには、こうした政策をむしろ打つ余地があると残しておいた方がいいかもしれないと。
 感想めいたものですけれども、そのように思いました。
○吉野委員長 武田委員、何かありますでしょうか。
○武田委員 2点申し上げます。
1点目は、先ほどから話が出ているOLGというモデルについてですが、私はそれほど詳しいわけではございませんが、お話を伺う限り、1度そのモデルと現行モデルとを可能であるならば、比較検討してみるといいのではないかと思います。
 2点目は、OLGモデルを比較検討の1つの課題とする話は少し置いておいて、現行モデルのもとで何が変更できるかということを考えますと、1つは、先ほど植田委員の方から御説明いただいたパラメータの仮定です。確かに数字の大きさの面では、ほかの委員の方もおっしゃったように、貯蓄率や減耗率の金利の変化に対する影響が思っていた以上にありますので、そのパラメータの改善の余地があるかを少し考えてみるということと、2つ目として、長期のモデルとしては、今、使っている現行モデルのような古典的なモデルが一般的に使われるのだと思いますが、この10年、20年のタームで考えますと、供給を下回って需要が推移してきたため、需給ギャップが生まれてきたのが現実ですので、一定期間、それを5年にするのか、10年にするのか難しいんですが、少なくとも足元の一定期間、需要の動きを加味して、物価の見通しの設定も幾つかのパターンを想定してみるというのも1つの選択肢ではないかと思いました。
 以上です。
○吉野委員長 ありがとうございます。
 資料1−1の7つのポイントのところは、今までの御議論を考えてみますと、まず一番上のコブ・ダグラス型生産関数は、やはり直した形でOLGモデルとかにすべきであろうと。ただし、多くの方々は、OLGモデルのところにそれを使いながら、需要サイドは余り考慮しないでOLGで行くといいのではないかということが多くの方々だったかと思います。
 そうしますと、2行目の物価上昇率は、内政とならないと思いますので、どこかから与えておかなくてはいけないということではないかと思います。
 2つ目は、海外の経済動向等を踏まえるべきか。これは非常に大きな問題で、先ほどの植田先生からも、資本移動が変われば貯蓄が変わりますし、資本ストックも変わってくると思います。あと、先ほど申し上げたように、為替レートが物価にも影響すると思います。
 ■の2番目ですと、将来の海外経済の動向で、これも大変で、例えばユーロがこれからどうなるかとか、そういうことを考えると、大きなショックがあるとすると、日本の輸出、輸入に影響するわけですから、これもある程度シナリオを考えないといけないと思います。
 3つ目は、経済モデルを用いる対象期間で、大体の先生方は、30年の中では少し変動も考えて、それ以降は、先ほどの植田先生のような長期のモデルというのが1つあるかと思いました。
 4つ目は、政策の目標をどう考えるか。これは財政政策と金融政策も本当は金利には関係してくるわけですから、こういう非常に超緩和の政策がどこまで続くかによって、金利の状況というのは大きく違うのではないかと思います。ですから、政策として財政政策と金融政策を、勿論外生で与えなくてはいけないんですけれども、それをどんなふうに与えるかというのが出てくるかと思います。
 5つ目は、将来の長期金利の推計のところは、先ほどの利潤率の方から持ってきて、それによって国債の運用利回りも考えるというやり方と、財政の方から考えてきて、そしてそこから国債の利回りを出す。最終的には同じになると思うんですが、それがあると思います。
 6つ目は、変動は織り込んだ前提というところで、ここも労働力率とかさまざまな変数をある程度入れることによって変動を織り込む。
 一番下の内閣府の経済財政の中長期試算をどう取り扱うかということだと思うんですけれども、先ほどの植田先生の2ページ目でいけば、このパラメータをいろいろ考えるときに、これまでのモデルを考えてそれで入れてくる。それから、外生変数を考えるときに参考にするというのがあると思いますが、今回のように基準が改定されると、こんなに大きく数字が変わってしまうわけでして、それをどのように考えたらいいかということは非常に悩ましいのではないかと思うんです。1つのやり方としては、幾つかのシナリオをつくってやるということだと思いますが、100年間を推計しなくてはいけないのですが、今から100年前というのは1913年ですね。当時の人が2013年の日本経済をどのように考えますかという会議に参加されていたときに、どういう推定をしながら考えたかということを考えると、やはり100年というのは非常に長いので、ある程度長期のモデルで考えざるを得ないというのは仕方ないことだと思います。
 今のことを踏まえまして、またもう一度ぐらい御意見があればいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
 植田先生、お願いいたします。
○植田委員 責任を感じて一言だけ申し上げたいのですが、私が最初に申し上げたいことは、OLGモデルでいろいろやるというのは魅力的な方向なのですが、すごい大変だということを申し上げておきます。
 つまり、私が計算したようなソロモデルの計算だったら、1時間もかからないでできてしまうわけですけれども、昨日発表した人たちのは、まだ完成した論文にはなっていませんで、恐らく始めたのは1、2年前だと思うんです。それくらいかけて計算して、いろんな人の意見を聞きながら、また計算をし直してということを繰り返していまして、恐らくゼロから我々あるいは政府で外部に発注するとしたら、かかるお金は数百万円ではなくて、少なくとも数千万円の単位のような気がするんです。そういうものであるということを、ひとつ御了解いただきたいと思います。
○吉野委員長 山田先生、どうぞ。
○山田委員 ですから、OLGモデルというのは確かに魅力的なモデルというのは私も賛成しますけれども、先ほど川北先生もおっしゃったように、要するに人口減少という社会になったときに、長期的に今まで常識と考えられていたシナリオというのがちょっとずれてくるような可能性もある。例えばTFPというのも、国際的なパネルデータなどに基づくNIRAが出している『高齢化は脅威か?』という報告書だと、就業人口が減少するにつれてTFPというのもどんどん下がっていく。現在の線を伸ばせば、2020年代半ばにはネガティブになるという報告も出ているので、それはOverlapping generation modelではないですが、そういった将来の長期的な行動変化がどうなるのかというときに、OLGモデルの知見を生かすというやり方はあり得るとは思いますけれども、ただ、それを今ここでごりごり使うかというと、やはり今おっしゃったように難しいかという気はいたします。
○吉野委員長 米澤先生、どうぞ。
○米澤委員 質問の前に、働いている人とリタイアと、それは何期ぐらいに切っているんですか。相当に切っているんですか。
○植田委員 1人の人が112歳で必ず死ぬというモデルにしていまして、1年ごとだと思います。
 ですから、数千万円かけてやることもできますけれども、勿論、間はあると思うんです。割と簡単で、多少意味があるというもの。
○吉野委員長 だから、もうちょっとジェネレーションのところの幅を大きくするとかということもあるでしょうし、そうであれば、OLGモデルの方に一度来ていただいて、発表していただいた方がいいと思いますね。
 やはり、今のこれまでのモデルというのは、私から見ても余りにもプリミティブと言っては失礼ですが、余りにも簡単なモデルで、これでいいかなという気もしますのでね。
○米澤委員 だから、1セクターで、政府部分を少し明示的に入れて、もっともらしくするかという手もありますね。財政のところが大事であるとすれば、タックスではなくて、年金財政を入れてということですかね。確かに諸外国でOLGとかいろいろやっているんですけれども、それを使って政策当局がやっているというのは少なくて、後ろに下がったところで研究機関がそれを使っていろいろやっているというのは、確かに幾つか見たことはありますが、政策をやるときにそれを使っているかどうかというのはちょっと違うのかな。ほかの国を見ても、意外と素朴になっているというのが実感です。それは学問的というか、どちらがいろんなアウトプットが出てくるかというのは、それはOLGの方だと思いますが、コストベネフィットで、まず先ほどの予算を聞いただけでも、多分無理ではないかと思います。
○吉野委員長 ですから、その辺を非常に精緻化しても、外生変数が違うと、途端に大きく違ってしまいますから、やはりコストベネフィットを考えたときに、ある程度ハンドルできるモデルでいろいろな外生変数を与えることによって、どういうシナリオ分析ができるかというものを見た方がいいかもしれません。
○米澤委員 私の乏しい経験ですけれども、無限期間モデルと違って特異な金利の動き方などもするので、ちょっと注意した方がいいのかなという感じもしました。
 一体型は、特に吉野さんなどは、需要サイドをかなり強調されているんですけれども、ただ、今、需要サイドは深刻で、政府が発表するところを見ると、少なくとも10年、20年ぐらいすごいデフレギャップがあるわけです。こんなにデフレギャップが続くというのも、経済学者としては考えにくいわけです。ある一定の計り方をすると出てくるのは事実です。
 1つは、これまでと同じような5年間を見込んだ足元の予測をするときに、そこはやはり需要サイドのところを使わざるを得ないということで、内閣府の試算を使うかどうかというのは、私が言いだした気もあるんですが、全面的にそれを使うかどうかは別として、それを参考にしながら、そこのところでデフレギャップを入れて、これはオークンズローか何かを入れるわけですか。インフレみたいなところを入れて、物価も可能な限り内生化して、今、言ったデフレからゼロにという格好ですかね。そういうところで工夫して、5年後は物価をどこかほかから持ってきて、うまく接続させるというのがひとつ便法かなという感じがしていますので、5年ぐらいのところまでは入れるべきかと思っています。
 西沢さんが言ったように、マクロ経済スライドの話が出てくると、5年よりもう少し先まで行くかもしれません。だから、そこは割と近めのところは入れていって、やっていくのが1つの方法かと思っております。
○吉野委員長 資料1−1の下から2番目の●のところで、変動を織り込むのを5年にするのか、30年にするのかは。
○米澤委員 30年は長過ぎますね。
○吉野委員長 だから、ある程度は5〜10年入れて、それからある程度長期になれば一定にして考えるということでよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○清水室長 技術的な点でよろしいでしょうか。
 1つは、今、長期金利を利潤率で伸ばすという形に推定されているわけですけれども、そのときのまず前提の実質長期金利の計算が、例えば名目の長期金利が1.5%で、ずっとデフレだったわけで、デフレが−0.5%にすると、1.5を引くことの−0.5ということで、実質2%という状況にセットしているわけです。これでよく考えると、多分その時点で−0.5%のデフレが10年も続くとはマーケットは余り思っていない。そのうちデフレは解消すると思っている。でも、そうすると、結局実質金利の2%が若干オーバーエスティメイトになっているという可能性もあるのではないか。これは非常に難しい話かもしれないですが、そういう指摘もあるということが1点。
 もう一つは、利潤率と長期金利の関係について、いわゆる統計学で言う単位根検定といいますか、本当にきちんとした相関があるのか、見かけ上の相関なのかというところについては、何らかの形でチェックした方がいいのではないかということでございます。
 以上でございます。
○吉野委員長 何度も申し上げていますが、長期金利の方は生産関数の方から持ってきまして、多分、運用の利子率の方は国債の市場の方から決まってくるので、結局は関係しているんですけれども、そこのところがあると思います。
 今の名目金利と実質金利の話もおっしゃるとおりでして、これが一次的なのかどういう状況かというのはきちんと考えないといけないと思います。ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 よろしければ、少し先のカナダの公的年金の基本ポートフォリオについての方に進ませていただきたいと思います。
 それでは、資料3でカナダの公的年金の基本ポートフォリオについて調べていただきましたので、清水室長の方から御報告いただければと思います。お願いいたします。
○清水室長 GPIFの調査室長をしております清水と申します。資料3に基づきまして、私の方から御説明を上げたいと思います。
 カナダの公的年金の基本ポートフォリオについてということで、まず、カナダの公的年金制度でございます。1ページ目でございますが、老齢保障年金というOAS、これが日本で言えば基礎年金にも該当する部分で、プラスして、いわゆる報酬比例年金というものがくっついている。ただ、カナダの場合は、歴史的経緯の中でケベックだけフランス的ということで特別でございますので、CPPとケベックペンションの2つに分かれているということが特徴的なのだろうということでございます。
 このOASの方は、基本的に全額税方式ということでございますけれども、このCPP、報酬比例年金の部分につきましては、保険料方式という形でございまして、そこのは財政方式が修正積立方式になっているという形でございます。したがいまして、そこの部分から積立金が発生し、運用につながってくるということでございます。
 簡単にOASとCPPそれぞれの給付をおさらいいたします。
 OASでございますけれども、支給開始年齢は65歳。物価スライドは行うけれども、賃金スライドは行わない。支給開始後は物価スライドを年4回行う。ただし、物価がマイナスの場合には、マイナス改定は行わないということでございます。大体年金額的には、月額4万円弱というぐらいと聞いております。
 CPPでございますけれども、1965年に創設されて、支給開始年齢はOASと同様に65歳ということでございます。このCPPの給付でございますが、新規裁定時に賃金再評価、いわゆる賃金スライドを行って、それ以降は物価スライドということでございますので、これは日本の厚生年金とほぼ同じとご理解いただければということでございます。
 2ページでございます。
 CPPの制度でございますけれども、これはいわゆる財政計算あるいは財政検証というものが政府アクチュアリーにより3年に1回行われることになっております。2009年のアクチュアリーレポートによりますと、制度側で想定している物価上昇率は、2010〜2016年までは2%、17年度が2.1%、18年度が2.2%、それ以降が2.3%。実質賃金上昇率は、2012年が0.6%、それ以降は0.1%ずつ上昇し、19年以降1.3%。こんな前提の下に財政計算が行われているということでございます。
 特に積立金の運用に関連しまして、実は1997年にCPPの抜本改革が行われておるところでございます。これはさかのぼるところ、1993年の財政検証におきまして、2015年にCPPの積立金が枯渇して、当時5%強であった保険料率が2030年には14.2%まで増加するといった見通しが出されたということでございまして、これを改善するために制度改革が行われたと理解しておいるところでございます。具体的には1997年に給付の9.3%の削減。これは一時期ということではなくて、なだらかに9.3%削減していくとともに、保険料率を、98年は6.0%、更に以後、2003年までに段階的に9.9%まで引き上げるということでございます。
 あと、積立金の運用でございますけれども、それまではいわゆる非市場性償還20年の州政府再建では運用が行われていたわけでございますが、こうした保険料率の引上げに合わせて、積立金が形成されていくということと併せまして、いわゆるCPPIB(Canada Pension Plan Investment Board)を設立して、分散投資を行うという改革が行われたということでございます。ここでCPPIBがかなり大きな運用方針というものが変わるきっかけになったと御理解いただければということでございます。
 そのときに導入された財政方式、これは「Steady-state-funding」と一般に言われているものでございまして、それまでのカナダの財政計算では、歴史的におおむね大体給付の2年分の積立金を持つ賦課方式という形で計算されてきたわけでございますが、それを変えて、どの時点でもおおむね5年分の給付費、または債務の約25%に相当する積立金を保有するということで、ここで積立の強化を図ったということでございます。
 これは日本とは若干対象的で、日本はこれまでずっと積立金を5年分ぐらいを持つという形で財政計画が行われて、それが100年の有限均衡方式になって、最終的には給付1年分ということになったわけでございますので、そこは若干違うと御理解いただければということでございます。
 そういう中で現在のCPPの運用資産額は、11年12月末時点で11.5兆円ということでございます。
 カナダの人口でございますけれども、大体日本の約4分の1ということでございまして、このペースで進むと10年後ぐらいで30兆円ぐらいの積立金が形成されるといった見通しが立てられているということでございます。
 次に、2.基本ポートフォリオの策定です。
 これはCPPIBの目的、法律にどのように書いてあるかということについて、ここでは3点挙げさせていただいてございます。
 まず1つは、CPPが、同制度の被保険者あるいはその受給者に対する義務を果たせるように支援すること。
 2つめに、CPPの被保険者及び受給者の最善の利益となる形で資産を運用すること。
3番目がかなり具体的なマンデートでございまして、過度の損失リスクを伴うことなく、CPPの積立に影響を及ぼす可能性のある要因及びCPPがいかなるときも財政上の義務を遂行しなければならないことを考慮しつつ、最大のリターン達成を目的として投資することとなっております。
 この3つ目が、実は基本ポートフォリオを構築するときに最も重視されていると理解しているところでございまして、具体的には、この「いかなるときも財政上の義務を遂行しなければならない」ということであり、CPPの長期的な年金債務遂行の観点から、いわゆる「Reference Portfolio」というものを策定している。CPPとしては、このReference Portfolioを策定することによって、年金財政の維持可能性にコミットしていると考えられるわけでございます。
 この部分につきましては、実は政府アクチュアリーとは若干別に、CPP独自でここにコミットしているという事情がございます。これは後ほど御説明いたしますが、このReference Portfolioというのは、政府アクチュアリーが、CPPが財政的に持続可能であるために必要と推計しているリターンを、合理的で長期的な予測の下で獲得できると考えられているとされています。
 したがいまして、ここでCPPIBに対して、いわゆる数値的なマンデートというものは必ずしも与えられていなくて、ここではあくまでも制度の維持可能性というものにコミットするということが規定されていると私どもは理解しているところでございます。
 具体的な手法でございますけれども、最後でございますが、ICAPMという手法を利用して、このReference Portfolioを策定しているということでございます。
 このICAPMでございますが、3ページ目の真ん中に、注1、注2が書いてございます。細かくて恐縮ではございますけれども、Intertemporal Capital Asset Pricing Model、これはいわゆるCAPMの多期間版と御理解いただければと思います。
 戻っていただきまして、そのような意味において、いわゆる1期間平均分散法との主要な違いは、1つは先ほどの意味で多期間モデルであるということと、もう一つは、ポートフォリオのリスクを単純なリターンの分散としてはとらえていないということでございます。
 それでは、具体的にポートフォリオのリスクをどのようなリスク尺度でとらえているのかということを示したものが3ページ目の一番上でございます。
 ここはCPPIBでございますけれども、実は複数のリスク尺度を設定しているということでございまして、まず1つは、特定時点での負債分の積立金額、つまり積立水準でございます。特定時点での積立水準がある値を下回る確率ということでございます。
 2点目は、ある特定時点までの積立比率がある値を下回る確率の累積ということでございまして、1と2の違いは、1は、例えば20年後であれば、20年後の積立比率だけに着目して、そこがある特定の値を下回っているものについては失敗であると認識するのに対して、2は、時系列的にその20年間をずっととらえて、そのうち1回でもその特定の値を下回れば、それは失敗であるという形でその計算をするといった違いだと御理解いただければということでございます。
 3点目は、その積立水準がある値を下回るまでの時間、そういう意味で言えば、下回るまでの時間が長ければ長いほど財政の健全性が高く、短ければ短いほど財政の健全性は低く、早く積立不足に陥るといった指標でございます。
 最後は、制度変更の可能性ということで、いわゆる積立不足が出ますと、それによって給付を削減するか、保険料を上げるかしなくてはならなくなる。その不足額の現在価値でいわゆる制度変更の可能性というものを見るということです。
 こういった複数のリスク尺度をセットしているということでございます。
 ただ、このCPPIBがどの時点、どういう形でこういうものをリスク尺度として見ているのか、あるいはこのうちの何を見ているのかについては、実はここはディスクローズされていないということで、非常にコンフィデンシャルな部分でございますので、我々として調べられるのはここまでと御理解いただければということでございます。
 いずれにしても、こういった指標をにらみながら、何らかの形で上記のリスクの最小化を行うという形でReference Portfolioを策定するといったことでございます。
 そういうことでございますので、このReference Portfolioの期待収益率でございますけれども、こういうものはそういったリスクの最小化、つまり、制度の維持可能性を担保するようなためのリスクの最小化。それによって最適化されたReference Portfolioでございますので、この期待収益率というのは、いわゆるそういった結果として得られたポートフォリオの期待リターンにしかすぎない。つまり、目標ではない。ここがちょっと留意が必要だなといった点であります。
 あと、これは植田先生からの前回の御指摘のような形で、どれだけ運用サイド、運用機関として年金財政にコミットしているかということを端的にお示ししたものでございます。このCPPIBは確率的負債モデル(Stochastic Liability Model)を開発して、政府アクチュアリーとは別に独自で年金負債や将来推計などの年金財政計算を行っていて、そういうものと併せて最適なポートフォリオというものを構築している。ここが日本と大きく違うところでございます。
 このため、このモデルの開発やRPを策定するために、CPPIBは複数のPh.D.を含む専属の組織を設けているということでございます。
 このSLMでございますけれども、先ほどの植田先生の御提案の内容に若干かぶる部分が、詳しくまではなかなか調べ切れてはいないのですが、あるところはオーバーラップするところがあると考えておりまして、これは人口ブロックあるいは保険料・給付ブロック、経済ブロックの3つのブロックから構成されて、これらが相互に関連をしながら、年金負債側の長期(75年)の推計を可能としているといったモデルである。特に財政計算と違うのは、日本も同じですけれども、財政計算の場合は、1つのデターミニスティックな率のシナリオをセットして、それでどうだという話になるわけでございますが、ここはあくまでもストカスティックでございますので、そういう確率的な時系列モデルというものをこういったかなり大がかりなモデルとして組み込んで、それとの関係で最適なポートフォリオを構築するといったことでございますし、この経済ブロックでございますが、実質TFPをキードライバーとしたマクロ経済モデルがベースであり、需要・供給・労働力、ここに政府が入っているかどうかはわからないのでございますが、そういったマクロ指標が依存関係を持って時系列的に変動するようなモデルであるといった内容でございます。
 一応最後でございますが、現行のRPでございます。これを大雑把に申し上げると、株式が65%で、債券が35%。それぞれの内訳として、株式につきましては国内株が15%、外株が45%、エマージングが5%。債券につきましては、国内債券が25%、外債とインフレ連動債が5%ずつといった内容でございます。
 以上、簡単ではございますけれども、説明に代えさせていただきます。
○吉野委員長 ありがとうございました。
 株式の比率が大分多いので、日本と大きな違いでびっくりしました。
 1つだけですけれども、先ほどのカナダのモデルは、どこかで公開されていますか。これで見ると需要サイドも入っているようにちょっと見えるものですからね。
○清水室長 実は、このモデルについて、私どもが3年前にCPPIBに現地に調査に入りまして、そこでのミーティングを通じて入手した情報でございます。
 実は、ここはかなりコンフィデンシャルで、私どもとそのCPPIBの信頼関係の中で意見交換の情報交換として得ているという情報も結構あるわけでございますので、こういう公の席では、私どもとして説明できる内容はここまでということを御理解いただければと思います。
○吉野委員長 ホームページにでもモデルが出ていれば、今日我々が議論させていただいたところと、どんなモデル使っているかがわかるかと思ったものですから、では、無理かもしれないですね。ありがとうございました。
 では、駒村先生、どうぞ。
○駒村委員 これは政府アクチュアリーは政府アクチュアリーの方で財政検証を行われているということですか。
○清水室長 はい。
○駒村委員 そちらの方はオープンになっているわけですね。
○清水室長 オープンです。
○駒村委員 そちらのさまざまな前提と、こちらのCPPIBをやっているさまざまなデータの共通性みたいなところまでも、やはり教えていただくことはできないんでしょうか。例えばどのように政府アクチュアリーモデルを使ったのかなと思いましてね。
○清水室長 そこは、基本的には独立でございますので、例えば物価上昇率については、例えば中央銀行の想定シナリオを使っているとかいろいろ情報はあるんですが、基本は政府アクチュアリーとはある意味独立で、独立に財政計算をしているという意味で申し上げますと、政府の財政計算とCPPIBの運用サイドが推計した財政というのが違うというか、そういう形になっているということにはなる。
 ただ、CPPIBとしては、財政を担保するというマンデートがありますので、これはちょっと複雑で2ページ目に書いてございますけれども、非常に微妙な言い方でございまして、「このRPは、政府アクチュアリーがCPPが財政的に持続可能であるために必要と推計しているリターンを、合理的な長期的予測の下で獲得できると考えられている」と。ですから、そこは結果として担保しているという言い方をしていると御理解いただければということでございます。
○吉野委員長 米澤先生、どうぞ。
○米澤委員 今のことは、私も質問と回答を興味深く聞いたんですけれども、これはとにかく具体で恐縮ですが、政府としてはここでいろいろ数字を出すわけですね。それから、負債を見るのが任務ではないんですが、負債なども一応関知しているわけですね。要するに、GPIFなどの方では、それは今のところは一切関知していなくて、与えられた3つの数字ぐらい、もっと言うと運用利回りですね。これだけ与えられて基本ポートフォリオをつくるというのがマンデートになっていますね。ですから、そこでそれだけに飽き足らず、例えばCPPIBの方が独自に負債の方を別途推計して、それに当てはまるようなReference Portfolioをつくっていると解釈していいんですか。
 政府とは別に負債の方は別途推計して、もらえる情報はもらったりして推計して、そういうものを考慮してポートフォリオをつくっているという理解でいいわけですか。
○清水室長 はい。
○米澤委員 最初、私はGPIFがポートフォリオをつくっているだけというときに一番心配したのは、負債のことを考慮していないということで、ある意味で考慮しなくてもいいという認識だったのかなということで、それは私もGPIFの委員をしているときに、やはり何人かの人は年金財政と負債を考慮してポートフォリオをつくるべきだという意見が出たんですけれども、結局、まだキャッシュアウトは考慮しているが、年金財政全部のことを考慮してポートフォリオをつくっているという状況ではないわけですね。
○清水室長 そこはGPIFといたしましては、GPIF独自として、例えば人口の予測をしたり、そういう予測をしているということではなくて、あくまでも厚生労働省で行われた財政計算の基本的な前提といいますか、収支見通しといいますか、そういうものに照らして、将来の積立金額の水準とか、そういうものを見に行っているということはあります。
 ですから、財政の方は、ストカスティックではなくて、デターミニスティックな厚生労働省の財政計算の収支見通しを前提として、あと資産サイドだけは確率的にいろいろ上に行ったり、下に行ったり動くだろうという前提で、将来の例えばここにあるような、いわゆるコンディショナル・バリュー・アット・リスクであるとか、そういうショートフォール確率みたいなものを、最終的にはチェックしているということでございますが、ただ、それをリスク尺度として最適化するまでには行っていないと御理解いただければと思います。
○米澤委員 そういう理解ですか。
 何かもう少しこちらの海外の方は、年金財政とか負債のところに踏み込んで独自に調査してやっているということなので、ちょっとそこのところが違うのかなと。
 ただ、整理すると、やはり政府とは別に独自でやっているので、それは今のGPIFでも、そういうことであればできなくはないなという感じで聞いていたんです。
○清水室長 現行は、やはり財政に責任を持つのは、当然、厚生労働省として財政計算をやっているわけで、それで独立行政法人という中で我々に与えられるものは、運用目標といいますか、そこの部分なわけです。
○米澤委員 条文としてはね。だから、建付があって、こちらはどうなっているのかがはっきりしない。
 ただ、やっていることは、こういう負債のことを見てやっているということですね。
○清水室長 CPPIBは、おっしゃるとおりです。
○米澤委員 1点だけお聞きしたいんですけれども、2ページ目の2.のところで、財政上の義務を遂行しなければならないことを考慮しつつ、最大のリターン達成を目的として投資することということで、この辺に抽象的に書かれているんですが、要するに、負債のことをかなり考慮して、支払いをつつがなく行うためにポートを組んでいて、それでインターテンポラルもやっていますよと。
 普通、ファイナンスの知識があると、それだと仮に負債の方が確率ではなくてぴたっとわかっている場合には、これを100%遂行するには、安全資産で運用するしかないというのが答えなんです。3ページ目を見ると、半分以上を株式で運用しているというのは、そちらにしっかりと合わせるつもりはないですが、どうも納得がいかないということで、やはり100%負債を何とかというのではなくて、そんなには積立金があるわけではないので、少しはリスクを侵してやってもね。だけれども、そこは注意しながら見ているということなんですね。
○清水室長 多分ポイントは、このCPPIBの負債モデルは確率的だというところだと思っています。
 というのはどういうことかというと、厚生労働省の財政計算、例えば賃金であれば2.5%がずっと続くという前提ですね。ところが、CPPIBの場合は確率的でございますので、賃金が動く場合にはそれに連動して、例えば金利も動くし、あるいはそれと株式リターンの関係がどうなのかということもそのモデルに内在化されていますので、そうするとそこをヘッジしようとすれば、逆にその株式比率が上がるという結果があっても、それはそれでおかしくないということに結局なるのかなとは思っています。
○米澤委員 わかりますけれども、半分以上株式になるというのは、とても考えられないんです。細かいところがないのでわかりませんがね。
○清水室長 ここら辺は、私どももここまでの調査ということで、恐縮ではございます。
○吉野委員長 川北先生、どうぞ。
○川北委員 モデルに関する質問ですけれども、確率的負債モデルといったときに、モンテカルロ的にケース相互間の相関とか、そういうものを考慮してつくっているというイメージでしょうか。
 もう一個は、これは今回のモデルの話とは余り関係ない質問ですけれども、アセットクラスのリスクリターンはどのように設定されているのか。これも例えば国内の債券の金利であれば、そこも確率的に動かして推計をしているのか。それとも、これは通常のポートフォリオをつくるときのように、過去の実績値から将来を推計しているのか。
 その2点をお教えいただければと思います。
○清水室長 1点目は、御指摘のとおりで、そういうモンテカルロ的な確率的シミュレーションということでございます。
 期待リターンにつきましては、こういうモデルという形で連動しているということが基本的な考え方になっております。
○吉野委員長 ほかにございますでしょうか。
 駒村先生、どうぞ。
○駒村委員 この政府アクチュアリー型側の財政検証については、どのぐらい精緻にやっているのか。もしあれでしたら、資料があればなと。
 あともう一つ。これだけある種オープンにしない部分があって、お任せしている部分があることは、かなりこのCPPIBのガバナンスに対して信頼が高いのかという感じがしました。
○吉野委員長 お願いします。
○武藤数理調整管理官 今の駒村先生からの御質問ですけれども、各国を比べてみますと、数理計算をきちんとやっている国と、そうでもなさそうな国とあって、日本は割ときちんとやっている国で、カナダもそういう国だと思っております。
 カナダは3年ごとに財政検証をやっておりまして、それごとに数理レポートをきちんとしたものをつくっておりまして、その範囲内では経済前提の設定の仕方を含めて公開されておりますので、その範囲でどの程度やっているかということがわかります。
 先ほど、米澤先生からも少しお話がありましたけれども、諸外国の年金財政計算の方の経済前提設定というのは、割とおおらかな感じでやっていますので、そこら辺りを今回の話も含めていろいろ調べていますので、もしよろしければ、次回以降にでも資料を準備していこうと考えております。
○駒村委員 おおらかかどうかは、やはり積立金の持ち量によって違ってくるんですか。
○武藤数理調整管理官 その辺りも準備していきたいと思いますけれども、例えば先進主要国、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンという6か国ぐらいで比べてみますと、積立水準の高い国と低い国とございまして、高い国は、アメリカ、カナダ、スウェーデンでございます。これは日本も高いグループですが、賦課方式を基本としつつ、割と高い積立金の水準を持っているという国でございます。
 一方、イギリス、フランス、ドイツというのはそれほどでもなくて、特にドイツなどは、1月分の支出も持っていないという状況の時もございますので、それに応じて経済前提の設定とか運用利回りの考え方というのが違うところがございます。あと、運用の手法も、アメリカの場合ですと御案内のとおりですが、全額非市場性の国債で運用しておりますので、そこはやはり日本の参考になるかというと、ちょっとそうでもない面があります。
 そういったこともいろいろ踏まえまして、次回以降の資料とかを考えていきたいと思います。
○吉野委員長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 清水室長、どうぞ。
○清水室長 先ほど、株式の比率が高いという御指摘ですけれども、アクチュアリーレポートの中では、CPI+4%ぐらいが運用の前提になっています。そうすると、これは2ページを見ていただきますと、大体CPIは政府として2%ぐらいで、更にそれに加えてαを4取るというのが目標になりますので、やはりどうしようもなく株の割合が結局多くなるという結果になるんだろうと思われます。
○吉野委員長 西沢委員、どうぞ。
○西沢委員 古い知識かもしれないですけれども、CPPIBに運用を委託するかどうかは、政府に選択権があったかのように記憶しています。ですから、預けるも預けないも、政府に選択権がある。それは古い知識かもしれないので、もし御存じだったら教えていただきたい。
 あと、それまで州政府の20年債で運用していたのを切り替えたというのは、州政府でまだ残存期間があるということですか。だから、政府にまだ州政府の債券が残っていて、それをトータルで見ると11.5兆円より現預金が多くなるということですか。
○清水室長 それは日本の財投がうちに返ってくるのと同じような形で、なだらかに州政府に20年債が償還されて、それがCPPIBに寄託というか、こちらの方に持ってきて、それでだんだん増えてきているという状態です。
○西沢委員 それと連結すると、3ページの基本ポートフォリオのところは、債券の値段割合が高くなるということですか。
○清水室長 基本ポートフォリオはCPPの資産全体を対象としており、州債は既に含まれております。
○西沢委員 あと最後に質問ですが、3ページ目で、「期待リターン」であり、「目標」ではないというのが重要だと思うんですけれども、日本だと例えば運用利回りをここで設定すると、それがそのままあたかもGPIFの目標であるかのようになってしまいますが、目標にしても余り意味がなくて、ここが前のページの後半の微妙な書き方にもあるのかもしれません。
 ですので、ここはあいまいな形で日本は処理しているのかもしれませんけれども、単に期待されるリターンなのか、本当に目標なのかということはもう少し明確に取り扱うべきものなんですか。ここはカナダの方も、かといって、期待リターンが達成されなければ、年金財政がやられてしまいますし、共通の悩みを抱えているのかもしれませんが、済みません、質問でもないですが、ここをもう少し議論して処理していかないといけないかなということを申し上げます。
 以上です。
○吉野委員長 小塩先生、どうぞ。
○小塩委員 今のお話は、ポートフォリオの運用についてのお話だったのですが、財政検証全体に対しても結構重要な示唆があると思います。先ほどの言葉で言えば、デターミニスティックな、といいますか、あるいは大まかな形で蓋然性の高いシナリオを設定し、その結果を年金財政に使ってもらうという形で、いろんな作業をするということを、この専門委員会がやるべきだという点は、我々はよく認識しています。しかも、今までの財政再計算もそういう形で動いてきたと思うのですが、今日のお話を伺っていると、もう一方で、リスク管理も同時に必要だという気がします。今のまま走って、果たして、それこそデターミニスティックに想定していた目標にちゃんと到達できるのかを常にチェックしておく必要があると思います。特にマクロ変数が変化したときに、今の制度はちゃんと維持できるのかというのは、カナダでは確率的負債モデルで、ポートフォリオの運用面からチェックされているということですが、日本でも、運用面だけではなくて、その制度全体の持続可能性を常にチェックしていく仕組みが必要になってくると思います。
 以上です。
○吉野委員長 3ページには、そういうものが入っていると思います。
 植田先生、どうぞ。
○植田委員 質問ですけれども、2ページの下から3ページにかけての記述全体を理解するとすると、まず2ページの下で、政府アクチュアリーの方はわからないですが、答えは何%というリターンが欲しいというのを出してきて、一方で、年金の方は自分たちのモデルを前提に3ページの上にあるように、例えば積立金残高がある程度以下になってしまうリスクを最小にするようなポートをまず考えてみて、そちらのポートの期待リターンを計算してみると、政府から言われたものを上回っているという結果になっているということですか。
○清水室長 そのように信じられているというか、そこが非常に微妙な言い方で、it is believedという言い方を、そこが非常に微妙といいますか、多分CPPIBの合理的な長期的予測の下では、政府アクチュアリーの示すことが必要と思う4%プラスCPIみたいなものというのは確保できると考えていると。
○植田委員 そちらのリスク管理であってもですね。
○吉野委員長 ほかにございますでしょうか。
 カナダのこともどうもありがとうございました。
次回は、各国で調べられるところを御報告していただいて、どういうモデルがあるか、あるいはどういうスタンスか。
あと、植田先生のOLGの方にもし来ていただけるのであれば。
○植田委員 アメリカにいるんですよ。
○吉野委員長 旅費が出せればいいんですがね。
○駒村委員 次回調べていただくときに、先ほど幾つか説明していただいて、物すごく賦課方式の度合いが高い国と、積立金をある程度持っている国で、積立金も運用が市場にかなり期待しているカナダ。そして、スウェーデンもたしか5基金で別れてやっていますので、財政検証で出されている数値と積立金を運用している機関に対して、どういう要請、関係になっているか。今日も微妙と言えば微妙な表現回りでわからないんですが、スウェーデンの方は例えばどうなっているか教えていただければと思います。どのぐらいの財政検証の仕組みになっているのか。それを受けて、運用機関の方はどういう責務を負ったのか。
○吉野委員長 米澤先生、どうぞ。
○米澤委員 今のこととプラスしてお願いなんですけれども、小塩委員の方からも出たんですが、年金数理部会で結構検証されていますね。その検証結果は、もし直近の数字でもしわかれば教えていただきたいというか、ある意味では公開されていますので、21年改正から1、2年経っているわけですので、そこでもって積立金の条件はどうなっているかというのは、ある意味ではリスク管理のヒントになるのかもしれないと思いますので、可能な範囲でお願いしたいと思います。
○武藤数理調整管理官 まず、駒村先生からのお話ですけれども、各国、財政計算は割としっかりしたレポートをつくっている国と、そうでない国もありますので、その範囲では御報告は可能だと思いますが、運用との関係ということになってきますと、なかなか難しいところがありますので、順番にできるところからやっていきたいと思います。
 後半、米澤先生からお話のありました数理部会での資料というのは、恐らく財政検証の見通しと実績がどれぐらいずれたかというところの資料だと思いますので、今後の委員会運営の進め方の中で準備していきたいと思います。
○吉野委員長 細かい話ですけれども、スウェーデン語がわからないと思われるので、もしどうしてもスウェーデン語が必要という場合は学生がいますから、是非言っていただければ幾らでも調べます。
○武藤調整管理官 それは大変ありがたいお言葉です。
 スウェーデン語もそうですし、ドイツ語、フランス語もそうなんです。
○吉野委員長 ドイツ語もフランス語も3人いますので、言っていただければすぐ調べさせます。
○武藤調整管理官 よろしくお願いいたします。
○駒村委員 22年の財政状況報告が出ていますね。あそこは最低必要ではないかと思います。
○吉野委員長 よろしいでしょうか。
 今日は活発な御議論をどうもありがとうございました。
 今後の予定につきまして、事務局の方からお願いしたいと思います。
○原口大臣官房参事官 日程につきましては、改めて調整させていただきたいと考えております。本日いただきました御指摘を受けて、準備させていただきまして、後日、改めて連絡をさせていただきたいと思います。
○吉野委員長 今日も活発な御議論をどうもありがとうございました。
 これで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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