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2012年6月6日 第3回HTLV−1対策推進協議会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成24年6月6日(水)
10:00〜12:00


○場所

厚生労働省専用第18−20会議室(17F)


○出席者

伊川構成員 石母田構成員 小森構成員 菅付構成員 塚崎構成員
永井構成員 林構成員 松本構成員 森内構成員 山野構成員
渡邉座長 出雲参考人 廣重参考人

○議題

(1)HAM(HTLV-1関連脊髄症)対策に関する現状と課題
(2)その他

○議事

○難波江結核感染症課長補佐 それでは、定刻より少し早いですが、皆さん揃われていますので、ただいまより、第3回HTLV-1対策推進協議会を開催させていただきます。開催に当たりまして、外山健康局長よりご挨拶させていただきます。
○外山健康局長 おはようございます。本日はお忙しい中、また、遠方からも本会議にご出席賜りまして、誠にありがとうございます。日頃より厚生労働行政にご理解とご協力をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。この協議会は、HTLV-1総合対策に基づく重点施策を推進するために昨年の6月に設置されまして、今回が3度目となります。それで、一昨日発足いたしました野田第二次改造内閣におきましても、野田総理のほうから小宮山厚生労働大臣に対しまして10個の指示事項というのがきておるのですけれども、その中に、乳がん、子宮頸がんなどの女性の癌、それから、HTLV-1ウイルスによる白血病などの克服を目指し、総合的かつ計画的な癌対策を推進するとともに、難病などに係る医療の実用化に向けた研究開発や革新的な新薬、医療機器創出の支援など、ライフイノベーションプロジェクトを推進するとの指示が出されているわけでございます。
 したがいまして、本協議会でもそういった観点を踏まえまして、HTLV-1対策を推進することになりますが、前回の協議会では、総合対策の取組状況を報告させていただくとともに、HTLV-1感染予防等、相談支援をテーマに、自治体での感染予防対策及び相談の実施状況を踏まえて、今後の相談支援のあり方について皆様のご議論をいただきまして、貴重なご意見をいただいたところでございます。前回の協議会でHAMに関する相談や支援についてのご意見もいただいたことから、今回は、HAM対策に関する現状と課題に焦点を当ててご議論を進めていただきたいと思っております。
 本日は参考人といたしまして、HAMの研究者である鹿児島大学の出雲先生、佐賀県健康増進課の廣重さんにお越しいただいております。構成員の方々は元より、参考人のそれぞれのお立場からの話題提供をいただくことで、より議論が活発になるものと期待しております。なお、本日のご議論を踏まえまして、当然でございますが、患者さんの立場に立ちまして事態が前に進みますように、来年度の研究開発などの予算につきまして反映できるものは反映させたいと思っております。特に、官邸でやったときの会議でいろいろ治療薬のことが話題になりましたが、ご案内のように、ATLで新薬が承認、販売が開始されておりますので、こういった研究分野についても、HAMのほうでも物が進むようにやっていただきたいと思っております。ということで、今日の会議が、それほど何回もできないものですから、意義があって、そしてそれが、やはり予算とかいろいろな施策に反映できるようにしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  
○難波江結核感染症課長補佐 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係の方はご協力のほどお願いします。議事に先立ちまして、本協議会構成員に変更がありましたので、ご報告させていただきます。この度、保坂構成員が退任されたことに伴い、新たに、日本医師会常任理事の小森構成員が就任されました。  
○小森構成員 日本医師会の小森でございます。私、この4月1日に日本医師会の常任理事に就任する以前に、地元石川県におきまして、6年間石川県医師会長を務めておりました。その折から、菅付さんのご活動や、アトムの会のご活躍を、大変素晴らしい行動をしていらっしゃるなと思って拝見をしてまいりました。今日、ちょうど当県の保健センター所長をしていらっしゃる伊川先生もいらっしゃいますが、石川県は、HTLV-1ウイルスキャリアの方が大変少ない県でございまして、そういう意味で、認識が少し甘いということをいつも感じておりました。このような会に参加をさせていただく機会を得ましたことを大変光栄に思いますし、日本医師会といたしましては、皆様方のお苦しみを共に分かち合って、私どもにできることは何なりと協力をしてまいりたいという気持でこの会に参加をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○難波江結核感染症課長補佐 また、南部構成員が退任されたことに伴い、長崎県こども政策局こども家庭課長の松本構成員が就任されています。
○松本構成員 松本でございます。よろしくお願いいたします。
○難波江結核感染症課長補佐 本協議会の構成員の本日の出席状況ですが、構成員15人中11名の方にご出席いただいています。岩本構成員、齋藤構成員、寺尾構成員、西構成員からはご欠席との連絡をいただいています。また、事務局に異動がありましたのでご紹介させていただきます。本年4月の組織改編により、新たに健康局がん対策・健康増進課が設置されました。木村がん対策・健康増進課長です。
○木村がん対策・健康増進課長 よろしくお願いいたします。
○難波江結核感染症課長補佐 三平母子保健課長補佐です。
○三平母子保健課長補佐 よろしくお願いいたします。
○難波江結核感染症課長補佐 私は、健康局結核感染症課長補佐の難波江です。よろしくお願いします。続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1「HTLV-1総合対策の実施状況の報告」、資料2-?「医療体制の整備等」、資料2-?-1「最新の研究成果」、資料2-?-2「出雲参考人資料」、資料2-?-3「山野構成員資料」、資料2-?-1「菅付構成員資料」、資料2-?-2「石母田構成員資料」、資料2-?-1「全国のHAMに関する相談対応状況」、資料2-?-2「廣重参考人資料」、それから参考資料1と2があります。不足がありましたらお申し付けください。それでは、ここから議事の進行について渡邉座長によろしくお願いします。
○座長(渡邉) 皆さん本日はよろしくお願いいたします。今日の議事の進め方はお手元の議事次第に従って進めさせていただきます。それでは、議題の1「HTLV-1総合対策の実施状況の報告」をよろしくお願いします。
○難波江結核感染症課長補佐 それでは、お手元の資料1、横紙になった資料です。HTLV-1総合対策の実施状況について、これは前回配付させていただいた資料の改訂版です。特に前回からの変更点についてご説明させていただきます。1枚めくって2頁、HTLV-1母子感染対策事業の各都道府県における取組状況です。1つ目の○、母子感染対策協議会の設置状況です。設置済または今年度中の設置予定というのが、前回11月時点では33だったのが、今年の4月時点で40と増えています。今年度中の設置を検討中も4ということで、来年度以降の設置検討予定が3となっています。2つ目の○、母子感染関係者の研修事業の状況です。実施済または今年度の実施予定という都道府県が45と、前回より3つ増えています。3つ目の○、母子感染普及啓発事業の状況です。こちらも、実施済または今年度中の実施予定が42と、前回の39から増加しています。
 続きまして4頁です。保健所におけるHTLV-1抗体検査の実施についてです。これは平成23年、昨年度から開始したものです。昨年度で17自治体が実施していまして、今年度さらに8自治体から実施予定という報告を受けています。
 続きまして6頁、相談窓口です。全国の相談窓口ですが、HTLV-1のポータルサイトのほうで案内していまして、そちらに一般、ATL、HAM、母子感染と分けていますが、前回、去年の5月31日からが括弧内でして、今年の6月の時点で一般が541、ATLの相談窓口が493、HAMが178、母子感染が625という数字になっています。
 続きまして7、8頁、医療体制の整備です。これは後ほどHAM対策のところで併せてご報告させていただきます。
 9、10頁、インターネットによる情報提供です。これは、厚労省内のHTLV-1ポータルサイト、それから、研究班運営のHTLV-1の情報サービスのほうで情報提供を行っていまして、より見やすいものに改善をしています。
 11頁、厚生労働科学研究費補助金のHTLV-1関連疾患研究領域です。こちらのほう、総額10億円という形で研究を進めていますが、12頁にあります4つの課題が今年度に新たに採択された課題となります。
 13〜15頁については、現在継続中の課題となっています。こちらの資料は以上です。 先ほど、健康局長のほうから案内させていただいたATLの新規治療薬ですが、ポテリジオ、抗CCR抗体薬です。こちらが、平成24年3月に薬事承認されて、5月29日より販売が開始されています。こちら再発または難治性のCCR4陽性のATLの治療薬で、がん抗体薬としては日本で初めて承認された薬剤となります。今後、CCR4陽性の患者さんに対しての使用効果が期待されています。以上です。
○座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明に何かご質問、補足等ありますか。ご紹介がありましたCCR抗体、新規の薬の件ですが、それに関わって、塚崎先生から発売後の今後の流れと言いますか、課題というものをちょっと補足していただけますか。
○塚崎構成員 長崎大学の血液内科の塚崎です。この新しいATLに対しての治療薬は、2006年から治験、臨床開発が進みまして、今回承認されたということで、これまで6年かかったわけです。いまご紹介がありましたように、再発難治のATLの患者さんに対しての保険適用が通ったということで、早速使われる患者さんがたくさんいらっしゃるということを当科含めて聞いています。ただ、再発難治の患者さんを対象としているということですので、ATLと診断されて、初発の高悪性度のATLへの患者さんへの適用というのがもうしばらく先に可能になるのではないかと聞いています。そのための企業治験がいま行われていまして、もう少し時間がかかるということです。
○座長 発売に伴って、それ以後、いろいろなまた臨床研究が必要になってくると理解してよろしいですか。
○塚崎構成員 そうです、そちらのほうについては、実際に保険適用となった薬剤を、医師主導でいろいろな形での臨床的にどういう使い方が有用かということについての開発研究、これも並行して進むということで聞いています。○座長 わかりました。それ以外、ご質問等ありますでしょうか。
○外山健康局長 のっけから変な質問をします。HAMへの拡大というのはまだないのですか。
○座長 ちょっと山野先生のほうからコメントを、ではお願いします。
○山野構成員 2007年から我々もずっと共同研究というのをやっていまして、そこに関するデータは、非常にたくさんのデータを蓄積しています。そこに関しては非常に良い方向性で進めていますので、そういう研究も我々の研究班の中で現在鋭意進めているということで、本日は具体的な部分はお示しできないですが、方向性についてご紹介はさせていただけると思います。
○座長 それ以外ご質問、コメント等ありますでしょうか。それでは、次の議題に移らせていただきます。皆さんご了承のとおり、前回の協議会より、その度ごとにテーマを決めてより深く議論をしていただくとさせていただいています。今回はHAM、HTLV-1関連脊髄症対策に関する現状と課題をテーマとしました。それではまず、事務局から医療体制の整備状況等の説明をお願いします。
○荒木疾病対策課長補佐 それでは、事務局の疾病対策課のほうからご説明申し上げます。本日今座長からもご紹介いただきましたが、HAM、HTLV-1関連脊髄症対策に関する現状と課題ということで、基本的には総合対策の柱に応じた形で大きく1〜4です。1つが医療体制の整備等について、もう1つが、研究の開発ということで、最新の研究成果のご報告をいただくということ。3つ目として、患者会の活動ということで、患者会ご自身でどういうご相談対応等も含めた対応をされているかという話。そして4つ目として、HAMについては難病の中の130疾患に入っています。難病相談支援センターというところでも相談対応をしていますので、全国の相談対応状況、特にその中で、相談が多かった佐賀県の対応状況については、佐賀県からの報告をいただくという大きな柱立てになっています。
 それではまず、医療体制の整備等ということで、資料2-?です。先ほどの総合対策の資料とほぼ同じですが、ご説明をさせていただきたいと思います。医療体制の整備については、まず、医療の質、あるいは診断とかいうこともしっかりやらないといけないということで、研究と少しリンクするところがあります。1つは、精度の高い検査方法の開発ということで、平成24年度も継続してHTLV-1のウイルス量測定法の標準化等も含めた実用化に向けた研究を進めているということです。診療体制の整備の部分ですが、1つは、研究班の合同で作っていただいていますHTLV-1情報サービスにおいて、相談・診療対応が可能な医療機関の情報提供をさせていただいています。さらに、同サービスにおいては、ATLに関する臨床研究の参加医療機関データベースを整備しているところです。
 続きまして、診療ガイドラインの策定ということで、これは後で出雲先生のほうからもお話があるかもしれませんが、出雲研究班において、重症度別治療指針の策定等に取り組んでいらっしゃるところです。さらに、ATLについては、診療ガイドラインの作成というのを研究班を新たに作って整備しているというところです。
 具体的に、HTLV-1関連疾患に対応できる診療機関・臨床研究機関ということで、HTLV-1情報サービスのホームページとそこからの最新のデータアップですが、HAMについては、赤で囲っています診療が可能な医療機関が全国で223医療機関となっています。特に、その1つ上にあります臨床研究参加医療機関数ということで、HAMについても3医療機関ほどがこういう臨床研究をしていますという掲載が同時に上がってきているところです。なかなかアップデートにも難しい部分はありますが、こういう形で患者さん方の目安になればと思っています。
 3頁目は前回からも出していますが、普及啓発資材ということで、出雲班等で作成されましたわかりやすい普及啓発資材、これも引き続きホームページ等に載せて活用いただいているというところになります。医療体制の整備については以上です。
○座長 どうもありがとうございました。いまの報告内容に関してのご質問があるかと思いますが、後の議論の時間の中で質疑応答の時間も併せて取っていきたいと思います。それでは続きまして、今回のテーマについて、構成員や参考人の方々から話題提供をいただきたいと思います。それでは始めに、最新の研究成果についてお話をいただきたいと思います。まず、HAMに関する研究班について事務局から簡単に紹介をいただいた後に、重症度分類に基づく治療法について、重点研究分野で、重症度別治療指針作成に資すHAMの新規バイオマーカーの同定と病因細胞を標的とする新規治療法の開発の研究代表をされています鹿児島大学の出雲先生からご報告をお願いします。15分ぐらいでお願いします。
○荒木疾病対策課長補佐 先に、事務局のほうから全体像だけご説明します。
○座長 まず最初に、事務局のほうから、ではお願いします。
○荒木疾病対策課長補佐 それでは、資料2-?-1ということで、最新の研究成果と書いていますが、その裏側にHAMに関する研究一覧、今年度走っている研究一覧です。今回、特に赤にしました出雲先生と山野先生のところに詳しくご発表いただくことになっています。特に、出雲先生のところは、平成22年度から始められて今年度はまとめということで進捗されているということとともに、山野先生については、昨年度からHTLV-1関連の候補で、医薬品開発というところにターゲットを絞った研究をしていただいています。特に、PMDA等に向けた、まさに医師主導治験に向けた研究をされていますので、その最新状況というのを是非この場で話せる範囲でお話いただければと思います。それ以外にも、シーケンサー事業の中で、ATLあるいはHAMの患者さんの検体を用いたホールゲノムの解析を進めている研究班や、あるいは、免疫性神経疾患ということで、楠先生のところで130疾患の、HAMだけではないのですが、同様な神経疾患について研究している班という構成でやっておられます。事務局からは以上です。
○座長 ありがとうございました。それでは、出雲先生、よろしくお願いします。
○出雲構成員 それでは、パワーポイントを使って説明させていただきたいと思います。               (パワーポイント開始)
 まず始めに、私の研究班と言いますよりも、これまでのHAMの発見から、現在、総合対策が始まったわけですが、それまでの流れを簡単に説明させていただきたいと思います。HAM発見というのは1986年、実際に鹿児島大学で1985年からということになるわけですが、やはり一番強調したいことは、患者さんはいたということです。すなわち、HAMの発見前に既に患者さんはもちろん鹿児島大学に掛かっていて、そして、いわゆる痙性脊髄麻痺、あるいは多発性硬化症、パーキンソン病、あるいは脊髄小脳変性症という、いわゆる今でも難治性疾患の対象疾患になっている疾患として既に患者さんが存在していた。特に、この痙性脊髄麻痺の患者さんはデータベースが大学にありまして、その中のかなりの人が実際はHAMと最終的に診断されている。特に、非家族性発症者の9割、女性では96%の方がHAMであったということです。また、これは日本だけのことではありませんで、世界的には、熱帯地方でTSP(熱帯性痙性麻痺)という名前で患者さんが報告されていたわけですが、その約60%がHTLV-1抗体が陽性であったという、これがHAMの発見のきっかけにもなったわけです。
 ということで、HTLV-1は当然の如く非常に太古の日本人が持っていた、あるいは世界中でウイルスを持っていた人がいた、それに伴って病気もあったということで、1985年、6年にかけてそれが直接関係しているということが明らかになったということです。HAMの発見以降、研究あるいは状況のトピックとしてこれだけ挙げさせていただきました。まずは臨床あるいは疾患の病理概念、これが完全に確立しました。HAMは慢性炎症性の疾患であるということです。それから、すぐに輸血後発症のHAMがいらっしゃるということが分かって、輸血用の血液の抗体スクリーンが開始されました。それに伴って、輸血後発症、緊急輸血でチェックをしていないという例が少し残っていますが、それ以降は発症が停止したということは示されました。
 それから、日本でHAMとして見つかった病気とHTLV-1陽性の熱帯性痙性麻痺は全く同じ疾患であると、すなわち、これは日本だけの問題でなくて世界の問題であるということの認識が明らかになって、これで国際共同研究が非常に活発化したということが起こりました。全国疫学調査では、これは問題点ということにもなるわけですが、全国で患者さんがいることが分かりました。とともに、やはり西南日本、特に九州に非常にたくさん患者さんが集積しているという地域偏在性も改めて認識されました。そういう中で、菅付さんを筆頭としてHAMの患者会、アトムの会が設立され、その活動の延長線上で難治性疾患克服研究事業の対象疾患になったという流れができました。
 HAMの研究の大まかな流れですが、これは、もともと先ほど紹介になりました楠班というのが免疫性神経疾患を対象とした調査研究班としてずっと続いていたわけですが、その中でHAMが多発性硬化症の関連疾患という形で見つかりました。すなわち、免疫性疾患として研究が推進されたという流れがあります。一方、HTLV-1感染症であるという流れはずっと続いていたわけで、この2つの流れが最終的に行き着いているところというのは、やはり、HTLV-1を対象にして治療のターゲットとしないといけないというところであると認識しています。
 2011年にHTLV-1総合対策がされました。ここに列挙していますのがその時点でスタートした内容だと理解しています。私の班、それから山野先生の班、それから先ほどちょっと紹介にありましたが、昨年、松田先生、高嶋先生がゲノム解析のほうからその一部の研究としてHAMを対象にしてくださることが分かっています。それで、私のいただいています研究課題というのは、ちょっと長くてあれですが、この時点でやはりHAMを研究する研究課題というのはこれ1つということで、できるだけHAMの研究の実績がある方、あるいは実際に患者さんを診ている医療機関、そういうところを網羅的に入れて研究を推進しようということで、こういう研究組織を作りました。
 実際に大きく分けると、どのような状況で診療がなされているのかという実態調査、疫学調査と言いますか、そういうことをやりました。それから、タイトルどおりに重症度あるいは疾患活動性が非常に大事だという認識の下に、それをきちんと評価するバイオマーカーを同定したりということでやっています。それから、以前からの研究の流れとして、病態解明、さらに治療法につながる基礎的な研究をやっていまして、特に最近、いわゆるオミックス研究ということで、網羅的にいろいろなものを調べて、その中から特徴的なものを拾い上げていこうということに着手をしました。具体的に動いている新規治療法の開発の話がありまして、そのことについても継続してやりました。
 まず、実態調査について。これは地域分布ということはこういうことですが、基本的には近畿、あるいは関東という大都市圏にも患者さんがかなりいらっしゃることが分かりました。それからもう1つは、この発症した年をずっと聞いているわけですが、毎年この10年余り、30名前後が具体的に発症している。全然減ってきているという傾向は全く見られない。これは実数ですので、これの約3倍ぐらいかと、100名ぐらいの患者さんが毎年新規に発症しているということだろうと考えています。特に、この1994年以前発症の方と、1995年以降発症の方の発症した地域ですが、関東中部、近畿という大都市圏で明らかに増加している。1995年以降のほうが明らかに多い。それから、もう1つの違いは、1995年以降は高齢で発症している、65歳以上の人が非常にたくさん見つかってきている。これは、HAMという病気を認識したということも大きいと思いますが、まだまだ高齢者の中でHAMの患者さんが存在するし発症してくるということが考えられます。
 少し私たちがやっています網羅的な手法を用いた研究の一端を紹介します。それは、いろいろなことをやっていますということなのですが、HTLV-1感染にかかわる糖鎖領域、非常に最近注目されている部分ですが、その特徴をHTLV-1に感染している細胞が体内でどんな糖鎖を持っているのかを調べたということが1つあります。また、マイクロアレイで調べたわけですが、さらにそれを発展させて、そのデータを用いてパスウェイ解析というものをやりました。非常に難しいので端折りますが、細胞内でどんな特徴的な動きがあるのかということです。
 いろいろな答えが、答えと言いますかデータが出てきているわけですが、私たちが注目しているのは、このHAMの患者さんの感染細胞で非常に特徴的に発現している流れがある。そこに、これは現在伏させていただいていますが、GeneXというものですが、これは1番から12番まであるのですが、そのうちの11項目に関わっている分子が見つかっている。これはキャリアだとか、あるいは非感染者では全然ここは動いていないパスウェイであります。すなわち、非常にHAMに特異的に動いている分子があると、パスウェイがあることが分かりました。これは非常に治療の格好のターゲットになり得ると考えました。
 もう1つ、もう少し具体的に、これは長崎大学の中村先生が長年の研究の成果として出てきているのですが、プロスルチアミン、単純に言いますと、いわゆるビタミンB1の非常にプロトタイプなのですが、まず、試験管レベルで感染細胞をターゲットにして殺す、感染細胞を殺すということを確認されました。それから、実際の患者さんの直接血液を採ってきて調べても、明らかにウイルスを感染細胞が減らすことを確認された。さらに、これを静注することによって、患者さんに実際に使われて、それで効果を確認されている。今回、注射をするというのはなかなか大変ですので、経口剤を開発して、開発でありますので、これは実際に物はあるのですが実際にそういう製剤となっていないという、それを製剤化して実際に試したということですが、このようなプロトコールで評価項目を決めてやって運動機能の改善が見られた。あるいは、自覚的にも排尿障害ですが、それの項目が非常に改善した。それから、実際に他覚的に排尿機能が改善をした。さらに、ウイルスが減っているというデータをお示しになられました。
 抜粋して私たちの成果のうちのいくつかをお話しましたが、現在こういうことが動いているということは先に申しましたが、今後どうなるのだろう。いま動いているものの成果が見られたとすると、まず、これは今年度中に診療指針を確立してマニュアルを作ろうと思っていますが、おそらく、それに基づいてHAMの治療が標準化していくことになると思います。それから、現在動いている新規治療法の開発が進めば、少なくとも発症しているHAMの患者さんの進行・増悪が阻止できて長期予後は明らかに改善するであろうと期待します。さらに、先ほど紹介されました松田先生、高嶋先生の研究班で進めますゲノム解析の中で、発症予測ができるようになるのではないかと期待しています。ただ、この新規治療法の開発、あるいは遺伝的背景の解明というのには、さらなるこれからの継続が必要だと思いますし、特に、具体的に使えるお薬にするというところにはものすごいハードルがあるということで、そこにやはり具体的ないろいろな対策を講じていただきたいと、そういうことを願っています。以上です。
○座長 出雲先生、どうもありがとうございました。それでは引き続き、当協議会の構成員である聖マリアンナ医科大学難病治療研究センターの山野先生に、新たな治療法開発の推進についてということでご報告をお願いします。15分程度でよろしくお願いします。
○山野構成員 よろしくお願いします。本日は、HAMの新規医薬品の開発に関する研究という研究班の活動内容について、ご報告いたします。
 本研究班は、HTLV-1の総合対策が決定後に課題が創設されました。昨年の11月前半に採択されたのですが、12月にはこの治療に関する研究班が創設されたということで、マスコミにも取り上げられまして、HAMの新薬開発に対する社会や国民の関心の高さ、また期待の大きさというものを痛感しながら研究に当たらせていただいています。
 本研究班の目的は、HAM患者の診療レベルを改善し、生活の質を大きく向上させるために画期的な新規医薬品の開発と治療法の確立に向けた研究を推進するということです。
 研究の背景ですが、HAMの治療研究に関する現状や問題点としましては、やはりHAMというのは稀少疾患ですので、患者さんがさまざまな医療機関に点在しているために、情報が効率的に集約されず、研究が進みにくいという問題があります。また、エビデンスが国内・国外ともに絶対的に不足している。特に国外が不足しているというのは、先進国でHAM患者が多いのは日本のみであるため、欧米の先進国のエビデンスが非常に少ないというのがほかの難病と比べて異なった点である、HAMの特徴であると考えられます。そのために治療ガイドラインの作成が困難で、治療方針が日本でも、また世界でも混乱しているというのが現状です。既存の治療薬ではまだまだHAMの患者さんの機能予後がきわめて不良であるのが現状でして、画期的な新薬開発の要望が非常に強い。しかしながら、患者数が非常に少ないなどの理由で、製薬企業が開発に着手しない。ですから、企業主導の研究がなかなか行われないというのが現状です。
 このような問題を解決していくためには、患者さんの情報を効率的に集約し、治療研究に必要な情報を把握できる仕組みづくりが必要です。また、日常診療に役立つエビデンスの蓄積、一方で、並行して新薬の開発を進めることが必要です。そのためには、HAMの新薬開発の基礎研究と臨床試験や医師主導治験の実施をリンクさせて行っていくということが必要であると考えました。先進国でHAM患者が多いのは日本のみであるため、これらの問題解決に課せられた我が国の責務は大きいと考えられます。
 研究方法は(1)〜(5)で、最終目標は、こちらの患者さんに新薬を届けるという医師主導治験を推進していくということですが、そのために必要な体制を(1)〜(4)で進めていきました。
 まず(1)のHAM患者登録システムの構築ですが、HAMねっとというものを作りまして、ウェブサイトも開示しています。お手元に、チラシも資料として配付してあると思います。患者会と連携して、今、登録を進めており、これは3月1日にオープンしたのですが、目標症例数300のうち、すでに180名の申込みを終えています。患者情報の効率的な集約が可能であると期待され、また、全国規模でさまざまな背景の患者登録に成功しています。臨床試験の症例集積性の向上にもつながると思われますし、また、患者さんへの最新情報の発信を可能とするシステムです。この登録システムのネットワークを用いて疫学研究も進めていまして、年に1回の調査をする継続的な調査、また横断的な調査で、このような項目の研究を進めています。その研究成果により、HAMの自然経過や治療経過、予後因子など、治療研究に必要な基盤的な情報が明らかとなり、また患者さんの実態も把握できますので、政策などにも貢献できるような情報が得られると期待されます。
 次は、本格的な臨床試験実施体制を構築しました。「本格的な」とはどういう意味かといいますと、薬事承認申請に必要なデータ収集を可能とするプロトコールを作成し、それに則って臨床試験や治験を実施し、そのデータを客観的に解析できる体制と考えることができます。ですから、HAMの専門医からなる全国HAM臨床研究ネットワークというものを形成し、この体制で専門的な臨床試験の実施を可能としました。また、高い症例集積性を実現できるということを証明しました。さらに、臨床試験検討委員会を設けていまして、薬事承認申請可能なプロトコール作成ができます。また、臨床試験のマネジメントもできるような体制がとってあり、さらに、科学的レベルの高い臨床試験・治験を実現するために、患者さんの検体を収集・保存するサンプルセンターの構築も終了しています。このような臨床試験実施体制を構築した上で、昨年度は診療上の問題点、課題を抽出しました。そこで、クリニカル・クエスチョン案を、専門家の意見として提示しています。
 このような課題を解決するための予後因子や治療に関する後ろ向き研究を今年度は実施する予定で、また前向きの国際共同臨床試験も実施し、それに向けた取組みを進めています。このような活動というのは、患者さんの普段の日常診療レベルの向上に役立ちます。できるだけ早い段階で患者さんに役立つ研究を進める研究、さらには、少し時間がかかると思うのですが、新しいお薬を開発して医師主導治験を進めHAMの新薬開発を進めるという研究を行っていきます。また、このようなネットワークは全国におけるHAMの診療・研究の拠点形成にもつながるのではないかと期待されます。
 こちらが、専門家の意見としてまとめたクリニカル・クエスチョン案です。これは、あくまでも患者の診療レベルを改善するために、今後解決すべき課題を提案するものでして、このようなものに基づきまして、出雲先生の班で主導するような治療マニュアル、あるいは、このようなエビデンスを出していくということが非常に将来大事であるということを示したものです。
 次に、国際共同臨床試験の推進についてお話します。HAMというのは、専門家の間では知られているのですが、患者さんによって経過が非常にまちまちです。1年、2年で車椅子レベルになる、非常に急速に進行するタイプから、ほとんどの患者さんは徐々に徐々に進行していくタイプが多いのですが、あるいは20年経っても杖なしで歩行できるぐらい軽症な方もいるということで、非常に個人差が大きいという特徴があります。このように経過は患者ごとにさまざまで、できるだけ早く疾患活動性を判定し、患者に合った適切な治療の実施により重症化を防ぐということが望まれるのですが、まだこの考え方を証明するエビデンスに乏しいため、臨床現場には浸透しておらず、ときに不適切な治療が実施されている場合が、残念ながらあるのが現状です。
 ですから、こちらは出雲班で私たちが行った研究成果ですが、HAMの疾患活動性マーカー、将来進行するかどうかということを予測できるマーカーを同定しました。髄液の細胞数、ネオプテリン、CXCL10濃度が非常に有効であるということを、後ろ向き研究で証明しています。つまり、HAMの患者では髄液炎症所見が高いと症状が進行する傾向にあり、治療的介入の必要性が高い群ということが想定されます。また、このように進行度に応じて最適な治療法が異なる可能性が示唆されましたので、これを前向きの臨床試験によって検証することが科学的には必要です。
 また、さらに、見出しましたこういう疾患活動性マーカーのそれぞれの特徴があります。現在保険で認められているのは、髄液の細胞数という項目だけなのですが、HAMの患者さんで非常に急速に進行する方はこの赤い山のように非常に炎症が強い、ゆっくり進行する方は炎症が中等度、あまり進行しない方は炎症が弱いということがわかっていますが、この細胞数は炎症が非常に強い方しか検出することができない。つまり、保険承認されている細胞数の検査では感度が低すぎて、ほとんどの患者さんのHAMの脊髄炎症の有無や程度を把握できないということで、こちらのマーカーの保険承認に向けた取組みも必要であると考えられます。そのような背景の中、このようなバイオマーカーの有用性の検証や進行度別に応じた最適な治療法の検証に関する前向きの臨床試験の実施が望まれ、世界の研究者も、この部分の重要性を非常に認識していまして、国際共同臨床試験という形で、できれば高度医療評価制度を用いた形で実施できないかということで進めています。
 なぜインターナショナルかといいますと、やはりエビデンスレベルが高いということと、日本だけからのエビデンスですとなかなか国際的に信用していただけないという部分もありまして、国際的な合意形成をつくっていくということが非常に重要であると。また、臨床研究グループの促進と国際貢献。世界の現状では、特にHAMの臨床試験あるいは治験を進めていく上で非常に重大な欠点は、国際標準の評価項目が確立されていないということです。例えばがんですと、生存率などというものが一般的に評価項目として確立されているので、治験を進めやすいのですが、そういうものがなかなかない。そういう中で、そういう問題点を共有した世界の研究者でそういうグループを結成し、前向きの臨床試験をやりましょうということで、プロトコール作成を進めています。この実施により、臨床の現場に迅速に還元できる治療エビデンスを創出できていくと期待されます。
 これが実際に今進めているプロトコールの骨子です。最初にエントリーした段階でさまざまな評価を行い、そのあとに、急速に進行するタイプにはこのような治療をしましょう、緩徐進行する群には二重盲検の比較試験を行いましょう、進行しない方にはベストスタンダードケアを行いましょうということで、ここでチェックするので、進行度別に応じたバイオマーカーもチェックできますし、それぞれの進行度に応じた治療が正しいかどうかという検証ができます。
 また、国際標準の主要評価項目として、これは世界中のデータを集めたのですが、10m歩行時間が非常に定量性があって、ログ変換することで非常にばらつきがなくなり、正規分布することが分かりましたので、生物統計学的な解析に乗ってくるということで、治験を行う、あるいは臨床試験での有効性を検証するに必要な症例数も、きちんとしたエビデンスを持って検出できることに成功しています。このようなバックグラウンドを進めることで、最終的な目標は治験を進めることなのですが、それを実施する上で重要な基盤情報を創出する取組みを行っています。
 新薬をどのようにして開発していくかということなのですが、基礎研究チームのほうでは、このようなさまざまな取組みを行っていまして、現在2種類の新薬を同定し、特許も出願しています。これは、治験を行う候補として2種類あるということで、すでに構築した治験の実施体制で実施することによって、この一連の流れを加速させ、できるだけ早く薬事承認申請に到達できるような医師主導治験を実施できるようにしています。
 実際に、医師主導治験の推進ですが、残念ながら、特許などの関係で本日は細かいデータはお話できませんが、HTLV-1の感染T細胞が非常に増えて活性化しているというのがHAMの特徴です。血液中からそれが脊髄のほうに入っていって、そこで慢性炎症を引き起こしているということが、これまでの病態研究で分かってきています。こちらをターゲットとした、感染細胞や脊髄での炎症を引き起こしている細胞を殺してしまう治療法を、すでに研究のレベルでは有効性を証明していますので、現在、製薬企業の協力を得ながら、安全性に十分配慮した至適投与量・投与回数などを検討するための医師主導治験の実施に向けたプロトコール作成を進めています。また、PMDAの薬事戦略相談を受けながら、薬事承認申請に耐え得るプロトコールにしていきたいという予定で進めています。
 このように、本研究班では、治療研究に必要な基盤となる臨床情報の蓄積を行い、医師主導治験が実施できる体制を整備し、また特許も出願しています。こちらの製薬企業も国内製薬企業ですので、このように医師主導治験の実施によって日本初のHAMの革新的な新薬を創出することができると期待されます。患者会と連携するなどして、また、ほかの関連の研究班と連携して、医療講演会を患者会にも積極的に行うようにして、研究の成果を患者さんにもできるだけ早く伝えるような努力を行っています。
 こちらが、最後になりますが、研究組織です。オールジャパンの専門家を動員した体制で取り組んでおり、できるだけ早く新薬を患者さんに届けられるようにと思って邁進しています。以上です。
○座長 どうもありがとうございました。続きまして、患者会の活動について、構成員の菅付さん、石母田さんにお話をいただきたいと思います。それぞれ10分以内ぐらいでお願いします。菅付さんは、日本からHTLVウイルスをなくす会を立ち上げ、精力的に活動されています。また、石母田さんは、全国HAM患者友の会、アトムの会の会長を務めておられます。それでは、よろしくお願いします。
○菅付構成員 菅付加代子です。私は、2003年、アトムの会、全国HAM患者友の会を設立しまして、2005年にNPO法人を設立しました。アトムの会では、特定疾患認定を目標に署名活動をして、国会請願を果たしました。それから、ATLの患者さんと出会いまして、これを何とかしなければいけないということで、同時進行で活動を始めて、厚生労働省と意見交換を続けてきました。主な内容は、国への陳情、全国での医療講演、シンポジウム開催、啓発活動、電話やメールの相談、それから、会員に情報を提供するためにいろいろやっています。
 なくす会の賛助会員というのは、ATLの患者、家族、キャリア184名、プラスHAM患者337名を足して、いま現在521名です。 注目をしていただきたいのが、関東が82名ということです。下のグラフでは、アトムの会の会員は45名で、倍の数字でATLの患者さん、関連キャリアの方がいらっしゃるということが分かります。それから、アトムの会のグラフのほうを見ていただきたいのですが、平成24年度は20名脱会されています。調べてみると、半数は死亡、あとは音信不通で、また「薬を待っていてもまだできないし、もう会報を見る気力もない、だから止めます」という理由でした。ATLの場合は、当事者の方は大体1年で音信不通になり、家族の方に連絡しますと、もう触れたくないので連絡をしないでくれ」という理由が主でした。 それから、相談体制についてですが、HAMとキャリアとATLの相談を全国から受け付けています。鹿児島の事務局は、電話とメールで、私を含めて2人で対応しています。妊産婦健診でキャリアと診断された母親のための、カランコエという会を作ったのですが、最近は、対策のお蔭か母子感染に関する事務局への相談の件数は少なくなりました。患者の相談において、ネットのHTLV-1情報サービスを利用して答えさせていただいたりしています。
 昨日、上京の準備をしていましたら、相談の電話がかかってきました。「今ATLの治療を受けているけれども、情報がなく何も分からない、不安で仕方がない。」という内容でした。直前にも電話がありまして、こちらが出しているATL患者向け専門冊子が欲しいということでしたので、すぐ手続をしました。こちらに電話される方の多くは、インターネットの環境を持たないために新薬の開発のことも知っておられません。
 相談実績ですが、ATLの患者さんにミニ移植を受けられる病院を紹介しまして、移植が成功し元気になられたという方の例が2件あります。こちらが発行している本を読んで、病院を見つけることができ治療に成功した例もあります。
 今日の議題はHAMですが、ようやくHAMの患者さんのことをお伝えできるということで、嬉しく思っています。資料2−?−1の3頁を見ていただきたいのですが、2003年から現在までHAMの患者会に寄せられた相談の数は大変な量になるのですが、私の記憶に入っている分をこのように箇条書きにしました。私が感じたことを主にまとめています。まず、患者の25%が輸血感染であるということは分かっているのですが、同時にC型肝炎を発症して重症化しているケースが非常に多いということです。発症して30年、長く車椅子の生活で、排尿障害などがありながら、がんの治療を受けていましたが、後に肝がんで死亡したという例。あと、私もそうなのですが、再生不良性貧血の治療に輸血を受けてC型肝炎を発症しその後HAMを発症した例。同じ血液疾患で治療のために輸血をうけHAMを発症したという患者さんが実際に少なくとも3人、C型肝炎にも苦しめられています。
 それから、北海道に住んでいる方ですが現在60歳、鹿児島在住中に子宮外妊娠で大量の輸血を受けてHAMを発症して30年目、重症化が早く車椅子生活をしているのですが、「絶え間ない痛みでもう耐えられない」「人生もう生きている希望がなく、死んだほうがまし」とおっしゃいます。感染者の多い地域では輸血がさらに広がる原因となったのではないかと思います。感染予防だけではなく、肝炎対策と同等の対策をやっていただきたい、血液行政に関わる問題ではないかと思っています。
 発症した患者を調べてみると出産後という女性の方が多いので、自己免疫とHAMの発症にそして進行の速さに関わりがあるのではと思っています。これは私も実際に体験をしたのですが、高熱が出ると下半身が麻痺して寝返りが打てなくなります。これをそのままにしておくとHAMの進行が早く進み重症化するのではないかと思っています。免疫低下が非常にあるようで、帯状疱疹、蜂窩織炎、それと、ステロイドの副作用だと思うのですが、骨折を繰り返して重症化しています。また、多くの人が自己導尿をしなければならないのですが、頻繁に膀胱炎を起こして、腎盂炎で救急車で運ばれたという話もよく聞きます。とにかく、長期にわたり進行して重症化しており痛みを伴う人が非常に多くて、手もしびれて、私もそうなのですが、物をポトンと落としたり、歯磨きをするときに途中で力がなくなってしまったりします。死亡例ですが、間質性肺炎とか腸管破裂といったHAMの独特の症状が悪化して死亡するケースも少なくなく、しびれや痛みに耐えられずに自殺をした方も患者会の中におられます。それから、寝たきり状態だった人が、間質性肺炎で死亡していますがHAM患者の間質性肺炎の死亡率は高いと思います。
 HAMが原因で離婚となりは一人暮らしの女性が多いことに、私はショックを受けています。ほとんどの方が生活保護を受けているのですが、病院に行くのを遠慮して、家にこもったまま結局肺炎を起こして死亡したケースも実際に起きています。 私は、こういう話を聞くと、映画の「楢山節考」や「砂の器」などをイメージしてしまって、悲しい気持になるのです。「風土病」という言葉が周囲や自分自身への偏見を生み出して、風土病を放置してきたことが、こういう悲しい結果を今も繰り返しているのだと思います。国は反省しHTLV-1対策を立ち上げたわけなので、対策のなかでHAMの治療薬を作ってこのような問題を解決していただきたいと思います。
 いろいろと述べさせていただきましたが、結論からいうと、HAM患者の生の声を研究につなげていくための体制をとっていただきたいと思っています。HAMはとにかく経過が長い疾患なので、HAM患者の事実を知っていただくためには、継続的な調査研究が必要だと思います。繰り返しますが、患者の実態や経過を正確に把握するためには、長い時
間をかけて研究体制を作って欲しいと思います。
 かみつき事故でHAMと劇症肝炎を発症した女性がいます。19歳で看護師をしていたと
き事故にあい劇症肝炎で倒れ、その後HAMも発症し急激に悪化して、20年経過しましたが、今はリフトがなければ身体が動かせない介護生活に入っています。特定疾患を目指して9年前から一緒に活動してきた方の半数は、もう死亡してしまいました。HAMは長いこと苦しんで、生き地獄だと訴えていました。一日も早く治療薬を作っていただきたいと思います。ATLは希少がんとして研究も進み、治療薬が開発されたのですが、HAMだけが取り残されているような気がしたので、今日は、患者のことを一生懸命伝えようと思ってやって来ました。親子でHAMを発症したケースとか、ATLを合併した発症などもあり、総合的な研究も必要だと思います。
 活動の主な評価として、南日本文化賞、国際ソロプチミスト鹿児島「ルビー賞」、平成23年には西日本文化賞を受賞しました。これも総合対策ができたお蔭だと思います。総合対策ができて患者会がどう変わったかなのですが、周囲の理解が広がったことを感じます。活動に対して行政が協力的になりました。ようやくATLやキャリアの方の協力が得られるようになって、初めてのATL患者と家族の交流会が実現したのですが、遺族の方から残された方のために協力がしたいという声も上がり、とても嬉しく思いました。現在、各地で、国や地方の行政と一緒に研修会をやっていますが、スマイルリボンの会員が参加し、当事者の声を生かすことができていることが、良いことだと思っています。母子感染予防対策が早く決断されたこと、ATLの薬ができたことが、何よりも嬉しいです。次はHAMの番だと希望を持っています。
 最後に、スマイルリボンの体制なのですが、「日本からHTLVウイルスをなくす会」
という長い名称を「スマイルリボン」に変更する手続きをやっています。そして、キャリアママの会「カランコエ」を発足し、アトムの会の代表は石母田さんに代わります。ATLネットは浅野史郎さんに代表になっていただきましたので、この3つの活動を、スマイルリボンとともに、「全国区」とここには書いてありますが、私は、世界に広げていきたいと考えています。ありがとうございました。
○座長 引き続き、石母田さんからお願いいたします。
○石母田構成員 患者会の活動に関しては、菅付様からほとんど話していただきました。私はアトムの会が鹿児島で立ち上がったと同時に参加して、その年には関東支部を立ち上げました。その後、紆余曲折ありまして、やはり鹿児島と連携しながらはむるの会という、ATL、キャリアの方も含めた活動を続けてまいりました。今日は特にHAM患者さんに関してということですので、その中から1、2、患者さんの実態をお話しようと思っております。
 資料2−?−2の1頁、57歳、女性です。高校生のころから頻尿がひどく、修学旅行に行くことができなかったつらい思いが残っています。頻尿のため、就職することもできませんでした。出産後から歩行が困難になり、整形科、泌尿器科、内科といくつもの病院を転々としましたが、病名はわからず40℃近い高熱が出ては入院を繰り返していました。平成元年、40のときに、ようやく病名がわかり、医師から治す方法はないと言われ、そのときは既に車椅子使用になっていたので、何もかもが絶望的になり死ぬことだけしか考えられず、自殺未遂を繰り返しました。病状はますます進んでいき、いまでは背中の焼けるような熱さと激痛は四六時中、痛みが和らぐことはありません。それに足のしびれと痛さで感覚がなくなり、水やお湯がかかっても、傷ができていても分からない状態です。足首からの変形もひどく、自分の足がどこに付いているのかが分かりません。上肢も1人では座っていることもできず、寝ても寝返りもできません。寝返り1つできないで、ひと晩中身動きもできない状態で、毎日を送っているのが現状です。
 また、排尿障害も進み、いまでは自己道尿もできず、留置カテーテルを入れております。排便も、薬を飲んでも出にくいので、主人に押し出してもらって、やっとできている状態です。体位も保てないので、車椅子に乗っていてもベルトで体を締め付けていかなければ倒れてしまいます。座っているときも、自分の体をテーブルで支えていなければ座っておれないので、両手を動かすこともできません。そのため、足とお尻の褥瘡が治りません。腎臓にも膿が溜まり、手術で取り除きましたが、また繰り返すかもしれないし、予防法はないと言われています。このようにいろいろな合併症が出て動けない体で、内科、皮膚科、眼科、泌尿器科と、毎月通院しなければなりません。精神的、体力的、経済的にも限界に来ています。
 この方は、このような病状にもかかわらず、厚生労働省への陳情に熊本から参加し、疾病対策課の方と面会をしたことがあります。そのときの陳情書の内容です。このとき、HAMの悲惨な症状を知ってもらうため、人には見られたくない無残な褥瘡や、やせ細った足を疾病対策課の方にお見せし、応対していただいた課長補佐もショックを受けられたようで、涙を流しておられました。しかし、この方は褥瘡による感染症で、2010年に亡くなりました。
 もう1例、紹介します。北海道で痛みに苦しむ63歳の女性患者さんは、排尿障害で早期から留置カテーテルを入れており、特に足の裏の痛みは尋常ではなく、立つことすらできません。毎日ヘルパーさんが来てベッドメークをしてくれるのですが、車椅子に移動するのにも痛くて悲鳴が出てしまいます。当然、車椅子からベッドへの移動も同じで、結果63歳で寝たきりになり、痛みに堪えて暮らしています。最近出た痛み止めの新薬も試しましたが、効果がないということです。専門医にかかりたくても東京へ行くこともできず、HAMをよく知らない医師にかかり続けています。
 宮城や岩手の患者さんで、専門医に診てもらうため、新幹線で東京まで毎月、上京している方もいます。新潟から神奈川の病院へ親子で入院に来ている方や、北海道から京都府立医大へ入院した患者さんもいます。山野先生が東京で専門外来を開設されるまで、私も含めて関東の多くの患者が、専門医を求めて鹿児島大学まで行っていました。身体的、経済的負担は大きく大変でしたが、HAMと診断され、治らない病気だからと投げ出され、途方に暮れていた中で、わずかの希望にかけて、すがる思いで鹿児島まで行っていました。
 現在、東京・神奈川の病院で、山野先生が専門外来を開設していますが、東北各県や新潟、遠くは奈良、岐阜、鳥取からも、大変な思いで東京まで受診に来ています。以前の私たちと同じ思いのはずです。このような状況を改善するために、全国各地に専門外来の拠点病院を開設していただけますよう、そして全国どこででも、きちんと診療を受けることができるように、早急に対策を考えていただきたいのです。私たちHAM患者は、こうした外からは想像のできない悲惨の症状の病気が、遺伝ではなくウイルスが原因で起こることを知り、次の世代の人たちがこのように苦しむ病気にかかることがないよう、国が全国で感染予防をするべきであると考え、患者会設立当初から、全国で感染予防対策をとるよう、厚生労働省に要望書を繰り返し提出してまいりました。幸い2010年、私たちの願いは聞き届けられ、官邸主導でのHTLV-1特命チームが発足、その年のうちに妊婦の抗体検査が全国で実施されることが決まり、また総合対策の内容も発表されたことは周知のとおりで、感謝の気持でいっぱいです。
 しかし、ことHAMを発症した患者にとっての対策は、総合対策が開始されて1年半経った今も、これまでと全く変わっていないのが現実です。2003年の患者会設立以来、感染予防対策とともに、HAMの特定疾患認定を求める要望書を提出してきました。しかしながら、HAMの特定疾患認定はいまだに実現しておりません。HAMになって体の自由を奪われ、ときに家庭も崩壊し、働きたくても働くことができずに、経済的にも追い詰められていく多くの患者にとって、病院へ行き、診察を受けることすら大きな経済負担になっているのが現状です。せめて画期的なお薬ができるまで、HAMを特定疾患に認定していただきますよう、心からお願いいたします。もしそれができないのであれば、HTLV-1総合対策の中で、HAM患者の救済方法を考えていただくよう、早急に手立てをお願いします。また、根治療薬のない現在、筋力維持のため絶対に必要なリハビリを保険の関係で継続を断られ、実施することができずに困惑している患者がたくさん出ています。怪我や手術で回復するためのリハビリと違い、HAM患者はつらいながらもリハビリを継続することで、辛うじて現状を保ちつつ、治療薬の出現を待っているのです。これでは車椅子、寝たきりへの過程がますます早まります。HAMなどの神経難病の患者はリハビリを継続的に受けることができるように、是非検討してください。
 また、体の不自由なHAM患者にとって、家事などの負担はとても大きく、介護のサポートを必要とする方がとても多いのですが、実際には介護サービスを受けることができずに苦しんでいるという声をたくさん聞きます。介護なしでは生活できない患者に、多大な負担を負わせているのはなぜなのでしょうか。是非この現状が改善するように、早急に対策をとってください。最後に、HAMの治療薬を早く作っていただけるよう、山野先生や出雲先生の研究に是非、国としても力を注いでいただき、私たちHAM患者に生きる希望を与えていただきたいと思います。ありがとうございました。
○座長 最後に、患者相談の実態について、全国の難病相談・支援センターにおけるHAMの相談対応状況の報告を、疾病対策課から、続けてHTLV-1対策に関する佐賀県の対応状況について、佐賀県の廣重さんからご報告をいただきたいと思います。それぞれ10分程度で、よろしくお願いいたします。
○荒木疾病対策課長補佐 「難病相談・支援センターにおける相談対応状況」ということで、資料2-?-1です。今回の協議会は、HAMをテーマにするということでしたので、HAMに特化した形での相談対応状況です。患者会の相談もあるのですが、それ以外の行政の対応場所としては保健所等ありますが、HAMについて難病相談・支援センターにおいてはどのような状況になっているかということで、アンケートを取りまとめた結果が資料2-?-1の裏側にあります。
 見ていただくとわかりますように、47カ所の全国の難病相談・支援センターで取りまとめた結果です。総合対策を開始して以降1年半ということですが、相談数は全国で86件。当然、これ以外に保健所等での相談はあると思いますが、難病相談・支援センターでは86件です。内数を見ていただくとわかりますように、佐賀がいちばん多くて、それ以外に宮崎、あるいは長崎、福岡、鹿児島ということで九州圏域も多いですし、岩手、あるいは京都というところも少し多い県がありました。データとして少ないので、なかなかこれといったことは申せませんが、各県難病相談・支援センターでも対応されているということです。
 主な相談内容ですが、病気の症状、予後、あるいは患者数、治療はどういうものがあるのか、あるいは身体障害者手帳が取れるのか、あるいは自分と同じような患者さん、あるいは患者会はどういうものがあるのかということが質問されています。相談としては、症状が悪化したのですが、どうしたらいいか、あるいは先ほどお話がありましたように、医療費助成の対象疾患にしてほしい、あるいは就労、生活支援の制度、専門医療機関、生活の注意点、今後の生活への不安等についての相談があったということです。全国の概要は以上で、今回のアンケートで特に相談件数が多かった佐賀県で、HTLV-1対策についてご発表をお願いしたところです。
○座長 佐賀県の廣重さんからご報告をお願いしたいと思います。
○廣重構成員 先ほど全国のHAMに関する相談対応状況ということで、佐賀が16件と上がっておりましたが、申し訳ございません。実はHTLV-1全般的な相談ということで、16件とお伝えしていましたが、HAMのみであれば8件ということで訂正をさせていただければと思います。HAM対策の現状と課題についてなのですが、佐賀県における相談対応については、いま現在5カ所の保健福祉事務所と難病相談・支援センター1カ所で実施させていただいております。相談件数については、HAMに関しては保健福祉事務所では0件ということで、HTLV-1やATLに関する相談は保健福祉事務所にあるのですが、HAMということでは保健福祉事務所には相談が上がっていないという現状があります。逆に、県に1カ所ある難病相談・支援センターには8件、4名の方からご相談があるような状況です。この中身について、難病相談・支援センターに確認をしたところ、HAMの方3名は昨年からではなくて、もっと前からずっと経年的に相談を受けられているということで、1名のみが昨年度から新たに相談に入られたということでお伺いしております。
 その中身なのですが、日常生活への不安とか、医療費、生活困窮等の問題、福祉制度の申請の方法について、治療方法の有無についての相談がメインになっているということです。福祉制度の申請も、特定疾患ではない、65歳以上でなければ介護保険も利用できないということで、難病対策のホームヘルプサービス、ショートステイサービス、日常生活用具の給付がありますので、そちらのご紹介にとどまっているというのが今の現状です。他の保健福祉事務所の相談については、先ほどから話題になっていますATLの新薬について、HTLV-1のキャリアの方にも使えるのかというご相談があったり、キャリアの方が使ってウイルスを殺すことができるのかという相談が上がったりとなっております。患者会の有無とか、検査のことについて、家族のことについてということのご相談が上がっております。難病相談・支援センターのHAM以外の相談については、ATLの方々からのご相談がありまして、お亡くなりになられた方のご親族の方からのご相談で、そのつらさを聞いてほしいということで、そういう精神的な相談もあるのが現状です。
 相談対応の現状と課題としては、HAMについては症状が出られてからのご相談で、しかも経過が長いということで、医療面に関することも主なのですが、日常生活、医療費の負担がかかるということで、特定疾患の対象にはならないのかというご相談が多いというのが現状です。仕事がなかなかできない、就職もできない、HAMに関しては難病患者さんが全般的に持っていらっしゃる問題が課題となっているのではないかとは思っております。それから、やはり医療費負担が大きいということで、医療費がどうにかならないかというご相談が大きいところで、特定疾患治療研究事業に追加を要望されているのが今の現状です。
 HAMについては、県では特にこれといって対策を持てていないのが現状です。HTLV-1対策ということで、全般的なところが佐賀県も動いており、佐賀県については感染予防対策連絡協議会を健康増進課ではなく母子保健福祉課のほうで、母子対策というところで持っていただいております。健康増進課ががん対策と難病対策を持っておりますので、そちらのほうで一緒にやっているのが現状です。協議会の構成としては、産婦人科、小児科、血液内科、医師会、看護協会、市町、臨床心理士に入っていただきまして協議会を開催しているところです。佐賀県の対策については、平成元年からATL母子対策事業がいちばん最初にスタートしており、協議会の開催および指導者用のテキストを作成、研修会の開催等、HTLV-1関連対策として母子保健福祉課が主として実施をしております。平成12年に佐賀県のHTLV-1母子感染予防指導マニュアルを作成したあとに、しばらく休会をしておりました。国におけるHTLV-1総合対策を受け、再開したという状況になっており、本年度も2回ほど開催したいということで了承を得ています。
 HTLV-1対策についてなのですが、HTLV-1相談窓口設置等事業を実施しており、地域医療再生基金を活用して、佐賀大学医学部附属病院に委託させていただいております。HTLV-1相談窓口を血液内科に設置していただいて、カウンセリング機能の充実として、臨床心理士を1名4月から配置していただいております。そこで、県内の医療機関との連携強化、県、市町、医師会との連携、産婦人科専門施設との連携・強化、検査体制の充実、献血で発見されたキャリアに対する対応、保健福祉事務所でも検査を行っておりますので、そちらでのキャリアに関する対応ということでも、今やっていただいているところです。
 3月から相談窓口を開始していただいているのですが、相談件数がちょこちょこ上がってきているような状況で、今現在12名が相談をされているということになっております。産婦人科から直接ご相談が多いということで、今のところキャリアの方のご相談が多いと聞いております。最終的にHAMということを考えれば、そちらと神経内科の先生との連携も今後、必要になってくるのではないかと思っております。
 もう1つ、同じく先ほどの事業で、HTLV-1関連に関する情報提供と啓発・研修体制の整備ということで、研修会を同じく佐賀大学に委託しており、それも2回ほどやっていただくようにしております。相談窓口担当者のスキルアップとして、全国の研修会に参加していただいたり、eラーニング教材の利用もしていただいているところです。ホームページを情報窓口として設置するということで、今現在作成中とお伺いしております。研修会については、やはり保健福祉事務所と市町村の保健師も、まだあまり専門的知識がないという方が多いので、その方々にも参加をしていただいて、相談対応ができるような体制を今整えているところです。
 検査については、先ほどから言われているように、妊婦健診における公費負担の検査がスタートしており、スクリーニング検査を行わせていただいております。産婦人科で妊婦健診によるHTLV-1スクリーニング検査をされて、確認検査まで実施されて、陽性者の授乳に関する指導、不安・悩みへの対応、妊産婦への健康管理、血液内科等への紹介を行っていただいています。また、不安の強い妊産婦については、市町、保健福祉事務所、先ほどのキャリアの専門相談窓口と連携をして、相談を受ける体制を整えていただいています。
 保健福祉事務所でのHTLV-1検査の実施なのですが、昨年9月から開始しておりますが、実際、検査に来られた方は1名のみということで、PR不足というのも変なのですが、まだまだ浸透していないというのが現状です。先ほどの専門相談窓口にも、保健福祉事務所でも検査を受けられるということでお伝えしております。ただ、保健福祉事務所の検査については、佐賀県ではPA法のみとしており、そこで偽陽性が出られた方に関しては、先ほどの専門医相談窓口をご紹介させていただくという方法をとらせていただいております。
 HAMについても、HTLV-1についてもそうなのですが、相談窓口が問題になっており、どこに相談したらいいのか分からないという患者さんがたくさんいらっしゃって、保健福祉事務所への相談も、難病相談・支援センターへの相談もできていないのが現状かと思います。その方々にどのようにして情報を届けていくのかが一番問題ではないかと考えております。先ほど来、HAMについて新薬をということで言われていますが、研究事業が行われていること自体をご存じなかったりということもたくさんあるかと思いますので、そういう情報をもっと皆様にお伝えしていけたらとは考えております。簡単ではありますが、以上です。
○座長 今まで医療体制や最新の研究内容、患者会の活動や難病相談の実態について、それぞれの方々からご報告をいただきました。さらに、HAMの対策を推進していくために、皆様と議論を深めていきたいと思います。説明やこれまでのご報告に対する質問を含めて、構成員、参考人の方で、ご意見・ご発言のある方はお願いいたします。
 私のほうから患者さんの声ということと、今の診療体制に関して気が付いた点なのですが、最初に事務局の側からのご説明にありましたように、HTLV-1関連疾患に対応できる診療機関、臨床研究機関が集計されて、資料1の8頁にHAM診療が可能な医療機関が223医療機関という形で登録されております。こういう数字と実際に患者さん、あるいは患者会の方々からの訴えを伺ったときのギャップが非常に大きい感じがするのです。全国に223施設も診療可能な所があるとするならば、先ほどの患者会の方々の実情はいったいどのようになっているのか。その辺の事情を出雲先生のほうからお願いいたします。
○出雲構成員 この200何十施設というのは、私たちがHAMの医療施設を対象とした調査をしたときに、その項目の1つに、HAMの医療について、診療施設として公表していいですか、しますかという項目に「イエス」と答えた数になります。すなわちほとんどが実際にHAMの患者さんの診療をしたことがあるというところだろうと思います。ほとんどが公立病院だと思います。そうすると、公立病院の実際の状態というのは、主治医の先生は交代します。そうすると、慢性の通常の難病の患者さんも基本的にそうなるわけですが、そういう状況の中で、だんだん足が遠のいてしまう。その他のたくさんの神経難病の患者さんの中の1つとして、HAMも診ますというぐらいの数。ですから、自分はHAMの専門医とは思っていらっしゃらないというのと、HAMの患者さんが診療のかなりの部分を占めている、例えば鹿児島大学で私もそうですが、それと随分話が違う。そこにギャップがあるのだろうと思います。
○山野構成員 少し補足なのですが、いまHTLV-1情報サービスを内丸班が引き継いでされていると思うのです。そちらのほうで、この調査をしたのが2年前で、今度の6月に再調査をするということで、今進んでいます。前回調査をしたときは、「診療対応可能ですか」という簡単な質問だけだったので、診療レベルをどこまで突っ込んで聞くかということで、今内容について検討しているところなのですが、どのレベルまで対応可能かというところを少し色を付けるというか、そのようなレベル分けがもし可能だったら、そういう情報まで収集できたらいいなという形で、今進めているのが現状です。
○座長 これに関連して、菅付さんお願いします。
○菅付構成員 一応、患者側の相談を受けている内容として、鹿児島県と、今山野先生がいらっしゃる神奈川県、中川先生のいらっしゃる京都府立大学、中村先生がいらっしゃる長崎大学、それ以外は皆さん専門医がいないとおっしゃっています。220のHAMの専門医ということなのですが、そこに行ったけれども、ただHAMですよということで、受けた治療は大量のステロイドを受けて、インターフェロンを受けて、それでおしまい。その後のフォローは一切ない、とても満足できない。治療法はないと言われるので、いちばん近い先生、例えば「京都、行けますか」とお聞きし、関西の場合はそちらを紹介したり、関東は山野先生を紹介したりというのが実態です。たぶん難病に指定されているので、神経内科と謳っている以上は、HAMを診ますと言わざるを得なくて、返事はされたのではないかと私は思っています。そして、実際、返事をされた先生も、1年後には代わっていらっしゃるので、そこに行ったけれども駄目だったという声も、よく聞いております。○座長 この件に関して、あるいはそれ以外の点でも結構です。まず、今議論しているのは診療体制です。その辺で何かご発言などありますか。石母田さん、お願いします。
○石母田構成員 実際に東京近辺は山野先生がお見えになったおかげで紹介ができるのですが、例えば北海道などで、先ほども例を挙げたように、飛行機にすら乗ることができない症状になっている患者さん。経済的にも、とても東京まで行けないという患者さん。そういう方を診てくれる神経内科医が、やはり北海道でも。「HAMは診ます。診ますけど、分かりません」とはっきりおっしゃられるそうです。例えば東京などに行って診療を受けた、その情報を教えてほしいと先生が言われるレベルでしか、いま診てもらえていないという現実があるので、何とか専門医が月1回でも、2月に1回でもいいから、そういう地方へ出向ける方法をとることができないのかという思いはあります。
○座長 この辺は非常に微妙なところなのですが、神経内科、あるいは神経内科の専門医の診療対象としては、当然HAMの患者さんも含めたさまざまな疾患を診るという立場だと思うのですが、現実的な経験を持って、責任を持って患者さんのケアができる場所は、実はどうも限られているのが実態であろうというのが今の議論かと思います。それが全国の医療のネットワークといいますか、体制を組む上で、HAMの治療のためのセンターをまた別途考えていくのか、あるいは今ある専門医のネットワークをさらに活かして、対応が可能な状況を作っていくのかというところが、これからどういう形が最も患者さんのケアに対して現実的であり、長期的な体制として適切かという議論は今後、必要になるというのが私の認識で、これは今回の話題ではありませんが、成人T細胞白血病、ATLの診療体制に関しても、全く同様の議論が当てはまるのではないかと私は思っています。ですから、この辺のところは行政の立場から見た全国の医療体制の整備ということと、現実の医療担当者の側の状況をよく踏まえて、すり合わせて現実的な体制、あるいは長期的な体制を議論していく必要があろうかと思っています。すぐには答えは出せないのですが、問題がそこにあることを認識していくのが必要かと思っております。
○山野構成員 やはり患者さんの現状が逼迫しているということだと思いますので、少しでも早く改善できるということで、今出雲班で主導されて、診療マニュアルを作ろうという取組みで、それが全国の先生方の手に入るようになると、少し改善できるかと思います。ただ、現時点でまだエビデンスが非常に少ないという現状で書かないといけませんので、あくまでもマニュアルという形になりますし、先ほどご提示したように、検査でもなかなか現状、HAMの病態をきちんと把握できる検査が非常に少ないというのが、保険診療レベルでは現状なので、そういう意味で研究班という形で、診療研究の拠点が全国にあちこちあるということの中で、研究も全国的に推進していくというのが、HAMの患者さんの診療レベルを全国的に高めていくという意味では、本来は研究の目的とはちょっと異なると思うのですが、そのような効果は期待できるのではないかと思います。
○小森構成員 さまざまな疾患、特に被ばく等に関しても、各都道府県に数名の専門医が必要だということが言われていて、中央でのいわゆる内地留学という制度があります。HAMの場合は全国で3,000名ということですから、どの程度必要かと。もちろん各地域地域に深く経験のある専門医があることは理想でしょうけれども、現実的にはなかなか難しい。山野先生がおっしゃったマニュアルという、これも非常に大切なことですが、石母田さんがおっしゃったように、北海道や東北にはHAMのご経験のある専門医が皆無に近いということですので、山野先生、あるいはまた長崎、鹿児島、京都府立医大に多くの患者さんがお集まりになっている。これは問題点があるわけですが、患者さんが集中しているということですので、そういった所に各都道府県に1人とか、あるいはもう少し広範囲でいいかもしれませんが、国の事業としてそこで内地留学をするという事業を、新規事業として立ち上げられてはどうかという提案を私はしたいと思います。事務局からお考えをいただければと思います。
○座長 今のご発言に対して、いかがでしょうか。
○外山健康局長 内地留学というのがよく分からないのですけれども。
○座長 一応、一定の期間の研修を、例えば2、3週間でもいいのですが、研修を受けに行く、あるいは一定期間、その病院に所属して、実際の診療に携わっていろいろ経験を積むという、一時的に治療のセンターになっている場所で研修を行うというような意味合いかと、私は理解しています。
○外山健康局長 北海道のどこかの先生が、山野先生の所に内地留学して、それで勉強して帰るということでしょうか。
○座長 例えばそういうことだと思います。ただ、現状は個人的なレベルではそういうことが行われてはいる。
○小森構成員 個人的なレベルでは、個々にドクターで熱心な志のある方は既にやっておられると思うのですが、これは国としての対策を検討する会という趣旨ですので、HAMの患者さんを何例も実際に自分の目で見、体験をし、そしてそれぞれの先進的な医療機関が具体的にはどのような、治療法のみならず、患者さんとの対話、対応、あるいはリハビリ、ご家庭での生活のサポートなど、総合的にやっておられる姿を現実に、短期間でいいと思うのですが、1,2週間の研修を国からサポートする。あるいは、それぞれ特定機能病院等々、いわゆる国の政策医療を担っている病院はあるわけですから、そういったところの医師を派遣して研修いただくというのも、良いのではないか。そのような募集をされることは、新しい事業としていかがかという提案です。
○外山健康局長 今実は難病対策として、特定疾患治療研究事業の拡大に端を発して、社会保障と税の一体改革の中で、そういった難病対策、とりわけ特定疾患治療研究事業の対象の拡大、医療費助成の拡大がメインなのですが、今年の2月に閣議決定で法制化を検討しろという形になっています。厚生科学審議会の疾病対策部会の難病対策委員会、金澤一郎先生が委員長ですが、今言った総合的な難病対策の中で、法制化に向けていろいろ検討しております。おそらく今いただいたご意見は、そういった文脈の中で、難病の拠点病院のあり方はどうかとか、あるいは人材養成はどうかとか、ネットワークはどうかという中で、考える事柄ではあると思います。ただ、この協議会が持つ意味というか、HAMは急ぐということですので、どの程度の範囲でそういった人材を養成したらいいのか、あるいはどの程度の期間がいいのか、あるいは送り出す側もいろいろ問題があると思います。また、山野先生をはじめ、よく相談して、打つことができるのだったら、それを検討したいと思います。ただ、もうちょっとよく考えさせてもらいたいと思います。
○座長 具体的な内容とかやり方については、また検討いただくと。ただ、今のようなご提案については、とにかく前向きに検討させていただくというお答えだと思います。それ以外に関していかがですか。
○菅付構成員 患者会からの医療体制の提案なのですが、電子カルテを使って患者の情報を知ることはできると思うのですが、HAMに関して例えば全国で5カ所、いえ、1カ所でも、2カ所でもいいのですが、重要拠点を決めて、HAMのことが分からないときはすべて患者の情報が即伝わって、指導ができないものでしょうか。例えば出雲先生がその患者に対して、即答えられるようなシステムを、これだったらすぐ、今日でも明日でも、できることではないかと思います。
 相談体制について前から提案をしているのですが、HAMのことをすべて把握できている人を育てる必要はなくて、窓口は1カ所でいいと思うのです。私は0998003112という電話番号1つで、北海道から沖縄までのキャリアの方、ATLの方、HAMの方のご相談に応じて、9年間やってきました。それを年間約1,000件の相談に応じてきております。実際、ATLの患者さんにしても、命が救われたということもありますし、HAMについても医療や生活のこと精神的悩みとかの相談を受けております。1箇所でいいから総合窓口を作る、それから相談体制を作ることも考えられることで、合理的だと思います。
 CCR抗体ができたことで、エピソードを1つお話させていただきます。神奈川のATLの患者さんから、手紙と電話で相談を3月位から受けておりまして、自分は急性になって、医師からは余命が6カ月と言われてからすでに3カ月過ぎて、6月1日が寿命の来る日なのだということでした。「自分はもうどうでもいいから、後の人たちのために何かをやりたい。このままでは死んでも死にきれない」とおっしゃって、その方の要望はATLを難病指定にして欲しいということでした。ATLはがん対策だから難しいだろうと思ったのですが、疾病対策課の窓口にその要望書を私が届けました。その方はご家族をATLで亡くされて、ご兄弟はキャリアでという、悲惨なご家系でした。
 蚊の鳴くような、生気のない声でいつも電話をくださって、一緒に厚生労働省に行こうと話していたのですが、結局、入退院を繰り返して実現できずに、私が代わりに届けたわけです。それが、6月1日に電話があったのです。まるで人が変わったような、本当に生き生きとした、「本当に何々さんですか」と言ったら、「そうだよ」と。「実はね、5月30日、ポテリジオが発売された、その日の昼に病院の先生から、薬ができたから、即入院しなさいと言われて、行ったんだ。これは日本で初めて使う薬なんだから」ということで、周りの先生がたくさん集まってて、興味津々で受けられたそうです。それを受けられて、「生きる希望が出たよ。こんなに嬉しいことはないよ」と、本当に人生が変わったようにおっしゃっていました。6月1日がその日だと覚悟していたそうで、5月30日に最初に新薬を受けられたことを本当に喜んでおられました。
 ついでに、「どうでしたか」と、ついお聞きしたのですが、「何も変わりません」ということでした。これから注射を打っていくのですが、その都度教えてくださいと、電話を切ったのです。患者にとって何が一番かというと、やはり生きる希望を持つということだと思うのです。薬ができて、全部の人がそれで助かるとは思えないけれども、可能性が出るということだけで、人生が変わるのです。昨日までは覚悟して、死ぬことしかないんだと言われていたのが、「僕だって実は生きたいんだよ。生きたくてたまらなかったんだよ」とおっしゃったときに、胸が打たれました。私は厚生労働省のやってくださったことに大変感謝しています。新薬が開発され、いち早く保険適用になって患者が使えるようになったことです。この対策があったおかげだと心から嬉しいと感謝しております。これを言いたくてすみません。長々と失礼いたしました。
○座長 いまのご発言の最初のところにありました診療体制のところで、例えば医者同士の情報交換のシステムを作って、専門的な診療情報なりアドバイスをする体制を整備するのは、傍から見ましてわりと取り組みやすいように思うのですが、出雲先生、その辺はいかがでしょうか。
○出雲構成員 実際は私の所には患者さんから直接の相談がたくさんきます。それに対して、できる限りやっていますが、正直、菅付さんが患者会を立ち上げられて、そのかなりの部分をやっていただいたということで、本当に感謝しているわけです。それが公的な窓口という形をとって、きちんとされるということは非常に大事だろうと思います。直接患者さんと電話で話す、あるいはメールというのはちょっと時間がかかって、返事がすぐできないということがあるのですが、電話での対応であれば、「僕はつかまれば大丈夫だけど」という状況の中でずっといって、それは山野先生の所も同じだと思います。どこの医療機関も同じなので、それがここだと必ず対応に応じてくれるという形をとって、それぞれが例えば当番で対応するという形をとろうということは、ある意味、直接的に効果が出てくる体制かという感じがします。
○座長 実際に診療に当たる神経内科医との情報の交換とか、アドバイス体制とか、そういうことも。
○出雲構成員 それもしばしばあります。むしろそっちのほうが多いかもしれません。
○座長 そういう体制をもう少し拡充すると、先ほど言った実際に研修に行かなくても、かなり現実的な部分の改善があり得るのか。どちらか一方ということではないのですが、補完できるような部分もあるかという気がするのです。
○出雲構成員 実際のところは、それに類する活動、例えば学会で発表する、あるいは学会で教育講演という講演の機会をいただいて発表する、あるいはいろいろな研究会があちこちであって、そこに呼ばれて話をする。そういうことはしばしばあるし、山野先生はシンポジウムとか、あるいはそのような実際に患者さんとの対話の会とか、そういうことを積極的にやっておられて、そういう活動をどんどん広げていくというのも1つだと思います。それから、最近は治療法が冊子になって、毎年発行されている本がありまして、そこの執筆依頼がよく来ますので、それにも書いてはいるのです。そういう努力も、基本的には同じことだろうと思うのですが、それは非常に間接的な効果で、どれだけ効果があったかよくわからない。そういう意味では、総合窓口みたいな、相談窓口みたいなものは、かなり直接的な効果が期待できるという感じはします。
○山野構成員 1つの案なのですが、先ほど医師会の先生からお話があったように、各県に拠点となる施設があるとより理想的で、そういう拠点の先生方が誰か、ここはHAMの拠点で、その先生方はしっかりとした治療も含めて、そういうのができる体制が全国的にできていくことを育てていく形は1つの理想なのかと。そういう拠点となるような先生方に逆に一遍に集まっていただいて、専門家から研修をするとか、そのような形で拠点形成を急いでいくというのも1つの方法かと。おそらく拠点化するというのは非常に難しいので、医師会のご協力をいただかないとたぶん無理だと思うので、医師会と連携して、そういうものを構築していって、まずは研修を行っていくというのも、1つの良い方向かと思ったりもします。
○外山健康局長 概算要求で是非聞きたいことなのですが、先ほど来話があったATLでCCR4抗体ができたというのは非常に画期的だと、朗報だったということなので、今度はHAMの番だろうということです。政府全体では、画期的な創薬に向けて医療イノベーションを、今日もまた政府全体の会議があるのです。その中で、がんについては実用化ということで、結構今までも力を入れてきているのですが、HAMの関係は、難病・がん等の実用化研究が資料1でシーケンサー、遺伝子解析のほうでやっていて、逆に山野先生は難治性疾患克服研究事業というので、まだ今プロトコールを作っているという段階ではあると思うのです。先ほども臨床治験が近付いてきているということなので、ちょっとお聞きしたいのは、行政として責任はあるわけですが、一刻も早くそういった恩恵を、今苦しんでいる人に還元しなければいけないと思っております。そういった意味で、個人的には構成を実用化研究のほうに、創薬の足場があるのであれば動かしたほうがいいかと思っているのです。そういった意味で、どういったことをやれば加速度がつくのかとか、行政でどういった枠組みをやればいいのか。早い話がいっぱいお金を取れば、治験に参加できる患者さんも増えるわけですから、単純に加わってもらうしかないのですが、何かご意見があればお聞きしたいと思います。
○座長 その点は山野先生がかなり現実的に取り組んでおられますので、ちょっと山野先生から。
○山野構成員 実際にもうそういうシーズが出てきておりますので、まずは具体化というか、そういうものを進めていくことが1つの核にはなっていくべきではないかと、個人的には期待しております。ただ、そういうことをやっていくための基盤も非常に重要なので、その基盤があって初めて成功にも結び付くので、そこを最終目標としながらも、そこを固めるための研究の項目もちょっとあると思うのです。そこを補完しながら進めていくと、いちばん早く実現できるのではないか。
○外山健康局長 逆に平成25年度必ず付ければ、平成25年度から平成26年度にかけて、フェーズ?ぐらいの治験はできるということですか。
○山野構成員 それに向けたプロトコール作成でやっているという段階です。
○外山健康局長 ありがとうございました。
○座長 今のことで、議長としての立場を離れて、個人的なコメントなのですが、がんなどに関しては精力的に出口の研究がサポートされていて、難病のほうではというお話でしたが、HTLV-1関連疾患は切り分けるべきではなくて、肝炎と同じように原因のウイルスがあって、慢性肝炎があって、肝硬変があって、がんがある。これは一連の感染症として捉える枠組みだと思うのです。ですから、今のような議論も本来でしたらHTLV-1の研究の枠組みは、先ほどから情報提供の面でも、あるいは対応の窓口もいろいろ分かれているということがありましたが、できるだけいろいろな場面でHTLV-1感染症として全体像を捉えると。ですから、基礎研究から治療の現実的な応用までのプラットフォームは、どうやってそれを共通の土俵に乗せて議論して、あるいは研究のサポート体制を組むかということについてのご検討を是非よろしくお願いしたいと、私は個人的には思っております。
 ですから、今回の例も、例えばがんのための治療薬として開発されたものが当然、関連疾患にも適用され得る可能性があるということと、もしかしたらATLに関しても、発症の危険の高い集団に対して、発症予防薬としての治療の応用もあり得るかもしれないと、いろいろ広がるわけです。ですから、なるべく一連のものとして捉えるような考え方を反映していただけるような努力をお願いしたいと思っています。
○出雲構成員 先ほど最後に新薬の開発のところにはバリアがたくさんあって、なかなか難しいと申し上げましたが、プロスルチアミンという中村先生が非常に熱心にやっておられる、それを具体的に保険適用にもっていこうとすると、製薬会社がつかない限り、どこにも持っていきようがない。いろいろな所に当たっても、そこがノーと言うと全く動かないという状況。それは小さなベンチャーの企業でもいいですし、あるいはエージェンシーといいますか、そのようなものがあって、保険適用に持っていくプロセスをリードしてくれる、そういうシステムがあれば、いろいろなシーズがあって、それをトライしてみようと思っている研究者の方、あるいは臨床の現場の方もおられるわけですが、そういうものを実際に一歩進める、そういう体制がないのだと思います。中村先生は非常に苦労されて、真っ当な所に持っていくと、けんもほろろに断られるという状況になっていますので、そういう体制を是非。これはいわゆるオーファンドラッグの受入体制といいますか、そういうことに対しての対策をお願いしたいと思います。
○座長 先ほど外山局長のご発言にもありましたが、実はフェーズ?の手前で、つまり前臨床のデータは全部揃っていて、結局然るべき枠組みに合わないために、一歩前に進まないプロジェクトは、私もいくつも知っております。そういったものが現実の治験のほうまで進めるような枠組みがありましたら、大変素晴らしいと私は思っております。そこにものすごく大きな壁があるというのは、研究をやっている立場からはそのように感じております。今の発言は座長の立場を離れて、構成員の立場としての発言です。
○外山健康局長 私自身が形式的な立場を離れており、施策が前に進むことのみ考えています。必死ですのでね。
○座長 もう1回元に戻りまして、ちょっと時間が押してまいりました。皆様、他にご意見はありますでしょうか。時間でもありますので、皆様、ご意見ありがとうございました。大変貴重なご意見を多くいただいたと思いますので、これらの意見を具体的な取組みに反映できるようにしていただきたいと思います。次回もテーマを設定して、深くご議論をいただきたいと思うのですが、前回は「HTLV-1感染予防と相談支援」、今回は「HAM対策」ということをテーマにいたしました。次回取り上げるべきテーマについて、ご意見がありましたらお願いします。
○山野構成員 ATLは非常に大事だと思いますので、1つの良い候補ではないかと思います。
○座長 次回はそろそろATLを取り上げるべきではないかというご意見ですが、こういうことを含めて、次回のテーマについては私と事務局の担当者の方々とご相談の上で決定して、またご連絡を差し上げたいと思います。本日の議事を終了したいと思いますが、最後に事務局のほうから何かありますか。
○難波江結核感染症課長補佐 次回の開催については、皆様の日程を調整させていただきまして、改めてご連絡いたします。
○座長 以上で、本日の協議会は終了いたします。長時間にわたりご議論いただきまして、大変ありがとうございました。


(了)

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