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2012年4月26日 第1回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成24年4月26日(木)17:00~18:30


○場所

厚生労働省 19階 専用第23会議室


○出席者

池田、大島、椿原、松田、松原、村川(敬称略)

○議題

1.平成24年度介護報酬改定の結果検証等に係る調査について
2.その他

○議事

〇宇都宮老人保健課長 それでは、まだ松田委員が遅れているようですが、定刻になりましたので、ただいまから、「平成24年度介護報酬改定検証・研究委員会」の第1回の会議を開催したいと思います。
 本日は、御多用のところ、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、本日第1回でございますので、本検討委員会の委員に御就任いただいた皆様を御紹介させていただきたいと思います。資料の一番下に委員名簿がございますが、この名簿について読み上げさせていただきたいと思います。
 まず、池田省三委員でございます。
 大島伸一委員でございます。
 田中滋委員でございますが、本日御欠席ということでございます。
 それから、椿原彰夫委員でございます。
 松田晋哉委員はちょっと遅れておられます。
 続いて、松原由美委員でございます。
 村川浩一委員でございます。
 それでは、議論に入る前に、本検討会の議事の公開について御説明いたします。
 本検討会の議事は、原則公開とさせていただき、議事録については後日公開をさせていただきます。あらかじめ御了解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本検討会の座長については、事務局から提案させていただきたいと思います。
 国立長寿医療研究センター総長の大島伸一委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇宇都宮老人保健課長 それでは、大島委員に座長をお願いしたいと思います。
 以降の議事の運営を大島座長にお願いしたいと存じます。それでは、よろしくお願いいたします。

〇大島座長 大島でございます。座長に御指名をいただきましたので、これからの議事の運営についてよろしくお願い申し上げたいと思います。
 最初に一言だけごあいさつを申し上げたいと思います。
この委員会が設置された理由は、言うまでもなく、今回の報酬改定が、もともと予測したとおりの効果につながっているのか、あるいは、結果的に適正な改定であったと言えるのかどうか。もしそうでなければ、一体何が問題だったのか。そして、今後、それをどう生かしていけばいいのかということが1つ。
もう一つは、改定時の議論の中で、限られた財源ですから、それをどう適正にうまく使っていくのかというところで優先順位をつけざるを得ないということです。その議論の過程の中で様々な意見が飛び交ったと思いますけれども、データが十分に備わっていないために、あのデータが欲しい、このデータが欲しいというようなことがあって、そのために十分な議論が行われなかったという部分もありますので、そういったところで出てきた要望とか御意見について、改めて、調査・研究をしていくという2つの面があるかと思います。
 簡単に言ってしまえば、公的な資金が有効かつ公正・適正に使用されたかどうか。そして、これからも使用されるようにするためにどうするのかということに尽きると思いますので、よろしく御議論をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 まず最初に、事務局より、本日の資料の確認、続いて、資料の説明をお願いいたします。

〇大竹介護保険データ分析室長 それでは、資料の御確認をさせていただきます。右肩に資料番号がついております。資料1「介護報酬改定検証・研究委員会の設置について」1枚紙でございます。そして、資料2「平成24年度介護報酬改定検証・研究委員会における調査の実施について(案)」、更に、参考資料。「平成24年度介護報酬改定について」、参考資料2「介護保険に係る既存の調査について」。
 以上4点でございます。
 なお、机上にのみ、参考資料2に関する調査の調査概要・結果概要を御参考までにお配りしてございます。
 資料の不足等がありましたら、事務局にお申しつけください。
 よろしければ、引き続き、資料の御説明をさせていただきます。
 まず、資料1についてですが、これは、研究委員会・検証委員会の設置について、2月28日介護給付費分科会においてこれを使用された際のものでございます。
 目的として、平成24年度介護報酬改定の効果の検証、そして、「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」において検討が必要とされた事項に関する実態調査等を行うことを目的とされております。
 また、検討内容でございますが、1点は、介護報酬改定効果検証に係ること。そして、2点目として、介護報酬改定の調査研究に係ることとされております。
 委員については、以下のとおりでございます。
 引き続き、資料2の御説明をさせていただきます。
 資料2「平成24年度介護報酬改定検証・研究委員会における調査の実施について(案)です。
 目的として、先ほど申し上げた「審議報告」において検討が必要とされた事項等に関する研究を行うための資料を得ること等を目的としております。
 2番として、「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」昨年12月に出されたものについて検討が必要とされた事項を、再度、確認の意味でも載せております。
 まず1点目は、認知症にふさわしいサービスの提供を実現するため、調査・研究を進め、次期報酬改定に向けて、結論が得られるよう議論を行う。
 2点目、介護サービスの質の向上に向け、具体的な評価手法の確立を図る。また、利用者の状態を改善する取組みを促すための報酬上の評価の在り方について検討をする。
 そして、ケアプランやケアマネジメントについての評価・検証の手法について検討し、ケアプラン様式の見直し、その成果の活用・普及を図る。また、ケアマネジャーの養成・研修課程や資格の在り方について検討会を設置し、議論を進める。
 4点目。集合住宅における訪問系サービスの提供の在り方については、適切に実態把握を行い、必要に応じて適宜見直しを行う。
 サービス付き高齢者向け住宅や、定期巡回・随時対応サービス、複合型サービスの実施状況について、適切に実態把握を行い、必要に応じて適宜見直しを行う。
 介護事業所、介護施設における医師・看護職員の配置の在り方については、医療提供の在り方の検討と併せて、適切に実態把握を行い、必要に応じて見直しを行う。
 生活期のリハビリテーションについて、施設から在宅まで高齢者の状態に応じたリハビリテーションを包括的に提供するとともに、リハビリ職と介護職の連携を強化する。そして、リハビリテーションの在り方について検討をし、リハビリテーションの効果についての評価手法について研究を進める。
 予防給付は、介護予防や生活機能の維持・改善に効果があるものを更に重点化する観点から、効果が高いサービスの在り方について、引き続き検証・見直しを行う。
 以上とされております。
 引き続きまして、2ページです。本「審議報告」に記載された事項に沿いまして、まず、24年度の改定の効果の検証という意味で、それぞれテーマを抽出させていただきました。また、それぞれについて、研究・調査のねらいを記載させていただきました。
 まず「(1)平成24年度改定効果検証」について、平成24年度、本年度実施するものについて御説明させていただきます。
 サービス付き高齢者向け住宅の実施状況
入居者の属性、そして、居宅サービスや協力医療機関との連携状況、受入可能な要介護度や医療の必要性等についての実態調査。
 (マル2) 定期巡回・随時対応サービスの実施状況
    市町村ごとの整備状況、要介護度や認知症自立度などの利用者像と提供サービス内容、オペレーターの資格要件と対応状況等についての実態調査。
 (マル3) 複合型サービスの実施状況
    市町村ごとの整備状況、要介護度や認知症自立度などの利用者像と提供サービス内容等についての実態調査。
(マル4) 集合住宅における訪問系サービスの提供状況
    集合住宅の介護保険サービスの併設状況、調査対象住宅に居住する要介護高齢者数、当該利用者を担当する指定居宅介護事業所数等についての実態調査
 (マル5) 介護老人保健施設の在宅復帰支援機能の検証
    在宅復帰支援機能の高い基本サービス費、在宅復帰支援機能加算を算定している施設の具体的な取組みや周辺環境の実態把握と在宅復帰機能を高める要素について実態調査
 (マル6) 短期入所生活介護等における緊急時のサービスの提供状況
    緊急短期入所体制確保加算、緊急短期入所受入加算等の算定状況、緊急時の状況、緊急利用者受入促進のための方策等についての検証
 続いて、25年度に調査をするものとして、
 (マル1) 20分未満の身体介護の提供状況
    サービスの利用実態、利用時間帯別の具体的なサービス内容について実態調査。定期巡回・随時対応サービスの実施状態と併せて検証
 (マル2) リハビリ職と介護職との連携の実施状況
    リハビリ職と介護職との連携を評価した生活機能向上連携加算について、具体的な取組みと課題についての実態調査
として挙げております。
 続いて、「(2)調査研究」。次期改定に向けて調査が必要なこととして挙げさせていただきました。
 (マル1) 要支援者の状態像と介護予防サービスの提供に関する実態調査
    要支援者の状態像として、ADL、IADL、認知機能、疾病の状況、生活環境について、また、サービスの提供実態として、具体的なサービス内容、提供時間等について実態調査
 (マル2) 認知症に対して現在実施されているサービスの実態調査
    要介護度に応じたグループホーム等でのサービス提供の実態、利用者の状態とふさわしいケア内容についての実態調査
(マル3) 介護事業所、介護施設における医師、看護師が担っている役割の実態調査
   通所介護等の介護事業所や介護老人福祉施設、介護老人保健施設等の施設における医療職の勤務実態、医療・看護の提供状況についての実態調査
(マル4) 生活期において実施されているリハビリテーションの実態調査
   生活期リハビリテーションの具体的内容、リハビリテーション・機能訓練のアウトカムの評価方法について検証
 また、審議報告に記載されておりますケアマネジメント、ケアプランについては、「ケアマネジャーの資質の向上と今後の在り方に関する検討会」等、別途検討会の中で検討することと考えております。
 最後に4ページは、「検証・研究の進め方」と簡単に記載させていただきました。本日第1回の報酬改定の結果検証に関する調査項目について御議論をいただき、その後、調査を進めた上で、平成25年3月、来年の3月になりますが、その調査・研究の内容について報告と議論をしていただきたいと思います。また、併せまして、25年度必要な調査・研究内容についての御議論をしていただければと思っております。
 以上が資料で、続いて、参考資料1を簡単に御説明させていただきます。参考資料1については、平成24年度介護報酬改定について記載したものであります。
 まずおめくりいただきまして1枚目は、24年度の改定率について、昨年12月21日に出された確認文書であります。介護報酬改定については、+1.2%の改定率とすること。そして、改定の方向として、サービス提供の効率化・重点化・機能強化を図る観点から、効果的な配分を行い、施設から在宅介護への移行を図ること。24時間定期巡回・随時対応サービスなどの在宅サービス、リハビリテーション、自立支援型サービスの強化を図ること。介護予防・重度化予防については、真に利用者の自立を支援する観点から、効率化・重点化を図ること。そして、介護職員の処遇改善について、確実に行うために、事業者が人件費に充当するための加算を行うなど、必要な対応を講じることが記載されております。
 3ページに関しては、各サービスの収支差率と賃金・物価の動向を参考として挙げさせていただいております。
 また、4ページは、平成24年度介護報酬改定のポイントについて記載されております。地域包括ケア推進に向けて、4本柱がございます。
まず1点目は、在宅サービスの充実と施設の重点化。中重度の要介護者が住み慣れた地域で在宅生活を継続できるようなサービスの適切な評価・施設サービスの重点化ということで記載しております。具体的な内容としては、右に記載がございますが、定期巡回・随時対応サービスの創設、そして、複合型サービスの創設、更に、緊急時の受入の評価、認知症行動・心理症状への対応強化、そして、個室ユニット化の推進、重度化への対応等がございます。
2点目が、自立支援型サービスの強化と重点化でございます。介護予防・重度化予防の観点から、リハビリテーション、機能訓練などの自立支援型サービスの適切な評価及び重点化を行うことを目的としております。具体的には、訪問介護と訪問リハの連携の推進、短時間型通所リハにおける個別リハの充実、在宅復帰支援機能の強化、機能訓練の充実、生活機能向上に資するサービスの重点化です。
3点目が、医療と介護の連携・機能分担でございます。診療報酬との同時改定でありましたので、その連携・機能分担を推進するという目的です。具体的には、入院・退院時の情報共有と連携を強化すること、そして、看取りの対応の強化、更には、肺炎等への対応の強化、そして、地域連携パスの評価とされております。
4点目、介護人材の確保とサービスの質の向上ですが、介護職員処遇改善加算の創設、そして、人件費の地域差の適切な反映と、サービス提供責任者の質の向上、等で記載してございます。
以下、各サービスの改定項目について詳細を載せておりますが、ここでは割愛させていただきます。
続きまして、右肩の参考資料2は、介護保険に係る既存の調査について整理をしたものです。6点ございます。
1点目が、介護サービス施設・事業所調査。これに関しては、サービスの提供体制、内容を把握することにより、基盤整備に関する基礎資料を得ることを目的としております。
そして、2点目が、介護給付費実態調査。こちらに関しては、介護報酬の改定など、介護保険制度の円滑な運営、政策の立案に係る基礎資料とすることを目的としております。
そして、3点目、介護事業実態調査等。各サービスについて、この費用の実態を明らかにし、介護報酬設定のための基礎資料を得ることとしております。
続いて2ページ目は、4番として、介護従事者処遇状況等調査。こちらに関しては、従事者の処遇改善が適切に反映されているかどうか、この検証を行うための基礎資料としております。
5点目として、介護保険事業状況報告。介護保険事業の実施状況を把握し、円滑な運営に資するための基礎資料としております。
最後に、介護労働実態調査です。こちらに関しては、介護労働の実態・労働者の就業の実態、こうしたものを明らかにするための調査でございます。
以上、6点の調査について、参考として、その概要を机上に配付させていただいております。
資料の説明は以上です。

〇大島座長 ありがとうございました。
 今日は初めてということもありますけれども、今日御参加いただいた全員の方からできるだけ御意見をいただきたいと思いますので、御自由に御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。何か質問があれば、御質問も含めて。
 どうぞ。

〇池田委員 資料2について、サ付きや定期巡回・随時対応サービスのところは、「必要に応じて適宜見直しを行う」と書いてありまして、その下2つ目の行で、「介護事業所、介護施設における医師・看護師」「必要に応じて見直しを行う」2つ書いてありますが、これはどこが違うのですか。「適宜」というのは、きめ細かく、回数の多いという意味なのだろうか。ちょっと霞が関文芸はよくわからないところがあるので、そこを最初にちょっとお伺いしたいと思います。

〇宇都宮老人保健課長 資料2の1ページ目のお話でございますね。これは、「審議報告」の議論を給付費分科会でしていただいたときに、いろいろな検証についての御意見をいただいたわけですけれども、サービス付き高齢者向け住宅の話等について、委員の中から、検証の結果、必要があれば、3年後を待たずに見直すことも含めて考えろということで、そういうものについては、この「適宜」という文言が入っているということでございます。

〇大島座長 よろしいでしょうか。

〇池田委員 よくわかりました。

〇村川委員 意見というよりは質問です。資料2の1ページの2番にある8項目の趣旨はおおむね理解いたしたのですが、次の2ページに入りまして、「(1)24年度改定効果検証」ということで、まさにこれから始まっていくこととは思うのですが、そのうちの1つは、(マル3)の複合型サービスでありまして。これは新しいサービスですから、まだ年度も始まったばかりということで、実態的にもこれからかという気もいたしておりますが、具体的な調査はこれからだろうと推察はいたしますが、何分新しいサービスでありますので、実態をとらまえて行われる必要もあろうかと思いますので、どれぐらいの市町村、自治体、地域で取り組まれるのか、今のところ考えられる対象であるとか、それが1つです。
 それから、2つ目は、(マル6)の短期入所生活介護等で、これはその言葉からお見受けすると、いわゆる特養、介護老人福祉施設、場合によっては短期入所施設もあるのかなとは見るわけですけれども、これは緊急時のサービス提供に限られるのか、それとも、そこを含めて短期入所のサービス提供の在り方といったようなことなども含まれるのかという、ちょっと当たり前のような質問です。
 もう一つは、1ページ目に戻りまして、1ページ目の一番下の最後の予防給付は非常に重要な要支援者にかかわる、また、今後の在り方にかかわるところではないかと見ておりますが、これに対応する事柄としては、3ページ目にあります(2)の24年度調査実施事項の(マル1)と対応していると考えてよろしいのか。あるいは、この対象としては、いわゆる地域包括支援センター等、どういったことが想定されているのか、その辺りをお聞かせいただきたいと思います。

〇大竹介護保険データ分析室長 まず、2ページの(マル3)の「複合型サービスの実施状況」ですが、自治体数、保険者数で言うと、今110か所ぐらいが予定しているという話であります。具体的な箇所数になると、また、ちょっと離れてくると思いますので、そこはまだ把握できてないという状況であります。
 それから、(マル6)の短期入所生活介護等においては、これは療養のショートも含めて、また、緊急時のみ対応ではなく、それぞれ空床確保等の措置も行っておりますので、そうしたことも含めて調査をしていきたいと思っております。

〇宇都宮老人保健課長 最後の御質問をちょっと聞きそびれてしまったのですが、一番下の予防給付ですか。申し訳ございません。

〇村川委員 1ページ目の一番下、8項目目の予防給付の位置づけがありまして。これは要支援者等にかかわる非常に重要なものだと理解をしておりますが、具体的な展開としては、3ページ目の(2)の平成24年度調査実施事項の(マル1)と対応すると考えてよろしいのか。また、その中では地域包括支援センター等が対象となるのか。現段階で考えられる実態調査の進め方などについて教えていただきたい。そういうことです。

〇宇都宮老人保健課長 大変失礼いたしました。
 今、先生の御質問のとおり、1ページの一番下の予防給付の部分について、3ページの今後に向けたところについての調査を行うところでございます。今のところ考えているのは、必ずしも地域包括支援センターに限らず、つまり、予防給付の部分については、実際サービス提供を事業者の方でどのようなサービスを提供しているのかとか、あるいは、こちらに書いてございますように、実際に利用されている方の状態像についての調査をすると。まだ具体的なものが固まったわけではございませんけれども、漠然としてそのようなイメージで考えてございます。

〇大島座長 ほかにいかがでしょうか。

〇椿原委員 私はリハビリテーションの立場から、この介護保険が地域で生き生きと生活できること、それから、自立支援をしっかりと促進していく、つまり、要介護度が軽減される、あるいは、維持していくことができる、あるいは、それによって長寿社会を継続していくことができるというところが目標になるかと思うのですが。それに合うようなリハビリテーションのサービスの内容、実際には、訪問リハビリテーション、あるいは通所リハビリテーション、あるいは、デイサービスの具体的な内容をよりわかる形で調査をしていただいた方がいいのではないかと思っております。
 現状では、なかなかわかりにくい内容で、しかも、例えば通所のリハビリテーションと通所の介護の差が非常にわかりにくくなっていたりしている現状がありますので、その辺がもう少し明らかになるような形の調査をお願いしたいと思います。

〇池田委員 関連して。

〇大島座長 どうぞ。

〇池田委員 今、大変重要なことを御指摘になったと思いますけれども、介護給付費分科会の議論、それに引き続く、介護報酬改定の流れを見ますと、通所介護と通所リハがなかなかうまくかみ合ってないという感じがします。リハビリテーションは非常に医療的な要素が強くて、通所リハと訪問リハの方に限定されている感があるのですが、通所介護の方の生活回復の取組みは、このリハの中に含めて検討するという理解でよろしいのでしょうかということです。

〇大竹介護保険データ分析室長 この調査の目的の趣旨として、通所リハビリと通所介護の違い、それから、評価を検証したいと思っていますので、ここに含めてという趣旨であります。

〇池田委員 その場合、特に介護予防に余り特化しないで、全体的な要介護度の高いところもかなり改善されているのは間違いないし、たとえば要介護5は、低栄養改善で簡単に軽減するという例もあるので、その辺も少し視野を広げていただきたいと思います。

〇大島座長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょう。

〇池田委員 読ませていただいて、意見幾つかございますけれども、まず資料2の2ページ目ですが、「平成24年度改定効果検証」の(マル5)ですね。「介護老人福祉施設の在宅復帰支援機能の検証」で、いわば本来型老健はかなり介護報酬が高くなっていまして、恐らく該当する施設はかなり数が少ないと予想されています。非常に厳しい3条件がついておりますので、それをクリアしなければならないということで、それはそれでいいと思うのですけれども、それだけでいいのかという感じもありまして、この中の検証の中身に、回転率が早くて退所した、その退所した人は一体どういう在宅サービスを受けているのかというところまで目を届けていないと、いいところ取りというか、決して性悪説に立つわけではないのですけれども、そういう事例が出てくるので、そこに一つ目を配っていただきたいというのが1つ目のお願いでございます。
 もう一つは、全体に言えることですが、各事業の例えば収支とか、内部留保は非常にばらつきがあります。前回の経営実態調査でも散布図が出ておりますが、本当に大きくばらついている。介護報酬は平均額をもって一応考えていくことになっていますので、この平均額から非常に飛び抜けて収益の高いところは安定するし、低いところはやっていけないということになってしまう。一番低いところに合わせたら、いいところは大儲けになってしまうし、いいところに合わせたら零細企業はやっていけなくなる。なかなか難しい問題ですが、そのばらつきの理由を探るような、そういう調査手法はとっていただけないだろうかということです。
 具体的には、事業のスケールメリットは、ある程度はあるはずです。そのスケールメリットの問題。もう一つは地域性ですね。これは主に人件費の問題が大きいと思うのですけれども、その地域性によってどの程度の差があるか。これは前回の経営実態調査に一部出ておりますので、もう少し詳しくやってもらいたい。3つ目は、事業所が事業を始めてからの年数ですね。これによって人件費が動いたり、様々な問題があって、それが1つ収益差につながっているのではないかという指摘もありますので、そういったところに目を配っていただく。ほかにもあると思いますが、差し当たって今考えられるのはその3つですけれども、それを検証していただくこともお願いしたいと思います。
 次に、意見というよりも質問に近いのですが、いろいろな調査委員会がありまして、その役割分担がしっかりしていれば、大体フォローできると思うのですけれども、隙間に落ちてしまうようなところがあるとまずいので、幾つかお聞きしたいのです。
 まず、資料2の1ページ目の2の「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」の上から2つ目、3つ目のところです。介護サービスの質の向上に向けてと、ケアプランやケアマネジメントの評価。実は、介護サービスの質の一番大もとはケアプラン、ケアマネジメントだと思うのですね。その中で提供されている個別サービスがどうなのかということになっていくということで、これはトータルに見ないと、なかなか評価というか検証は難しいと思うのですね。
そうすると、片方で、ケアマネジメントについては別途検討会ができておりますので、そこと競合すると思うのですけれども、そこの成果を押さえながら、このところは、単に個別のサービスの質の向上だけに目を向けないで、ケアマネジメントの中でどのような効果を示されているのかという、そういう視点が必要なのではないかという感じがいたします。これは2つの検討会にまたがる問題なので、取扱いを少し留意していただくとありがたいと思います。
 もう一つは、これがどこになるのかよくわからないのですけれども、そのばらつきの問題のところで申し上げたのですが、内部留保問題です。これは特別養護老人ホームの内部留保問題がこの間出て、中身がよくわからないし、一体根拠がある内部留保はどれほどであって、いわゆる剰余金がどれほどかと余りわからないのですね。これは、単に特別養護老人ホームだけでなく、ほかの事業は内部留保をどれだけ持っているのかと、いわば比較するものもないということで、一体これはどこで取り扱うのだろうかということがよくわからない。少なくとも今日お読みしたものの中には入っていませんから、この委員会ではないと理解しますけれども、全くないのもまずいので、それをどうするか、これは教えていただきたいことだと思います。
 差し当たっては以上です。

〇大島座長 いかがでしょう。

〇大竹介護保険データ分析室長 まず1点目、老健の在宅復帰について、退所者がどのようなサービスを受けているか。恐らくショートや訪問介護等の組み合わせとかもあろうかと思いますので、その辺もしっかりと調査を進めていきたいと思っています。
 それから、各事業所の収支ばらつき、また、その始めてからの年数、人件費への影響、こうしたことに関しては、別途、また、経営実態調査委員会等とも御相談をしまして、その内容については検討していきたいと思っております。
 それから、ケアプラン、ケアマネジメントの質は、これはもう切っても切り離せない関連項目だと思いますので、お互いに情報を共有し合いながら、また、別途、得られた成果を見ながら、併せてそごがないように検討を進めていきたいと思っております。勿論、この委員会における検討いただいた調査内容も含めて、併せて検討を進めていきたいと思っております。

〇深澤高齢支援課長 池田先生から特養の内部留保のお話が出ました。これは、昨年の12月に介護給付費分科会にも御報告させていただきました。また、今年の1月に行政刷新会議にも御報告をさせていただきまして、私どもとしても、問題意識を持っているところでございます。今年度、老人保健健康増進等事業の1つのテーマとして、公募のテーマに挙げてございます。その中でよく実態を調べて、内容としては、恐らく調査実施委員会の方に報告させていただくことになるのかなと思いますけれども、まず今年度はよく実態を調べていきたいと思っておるところでございます。
 以上です。

〇大島座長 いかがでしょうか。
 内部留保問題は、物すごく大きな差があるのですか。

〇深澤高齢支援課長 特養について昨年調べさせていただきましたが、1,087施設のデータが集まりまして、いわゆる内部留保と言われるものの単純集計の平均ですと、1施設当たり3億円ちょっとということでございます。おっしゃるとおり、施設によって大きいところから、これまでの経営の赤字があるところがありますので、マイナスのところもあるということで、かなりばらつきはあるところでございます。その辺、どういう理由からそういうばらつきが生じるのかというのは、先ほど池田先生もおっしゃいましたように、スケールメリットの話もあるでしょうし、地域的な問題もあるのかもしれない、また、事業を始めてからの年数もあるかもしれませんので、その辺も含めて実態が調べられればいいなと思っております。

〇大島座長 いかがでしょう。

〇村川委員 今、池田委員から、内部留保問題などの問題提起がございましたが、私も、それとは違う角度から、資料2の1ページ目にあります介護給付費分科会での審議報告を踏まえた8項目が、この検証・研究委員会の基本的な課題だということは、私自身も承知はしております。ただ、ここにはないが、しかし、介護給付費分科会でもかなり議論になった点で、ちょっと私が気になる点が2つほどあるので、あえて述べさせていただきます。
 今回この中では余り触れられていない1つは、福祉用具の報酬等をどう見るのかということがございまして。これは、私の記憶では、全国市長会を代表する委員の方、私も若干発言いたした時期もあったかと思いますが、少なくとも複数の委員が問題意識を持っているということで、直ちにやってくださいということではないですが、例えば、少し先の25年度でもよろしいと思うのですが、福祉用具という事柄については、給付費の一定部分構成要素でもありますので、こうした事柄を対象にすることも1つあってよいのかなと思います。
 それから、もう一つは、先般の法改正において、介護保険法と並びまして老人福祉法の一部改定が行われたわけですが、つまり、有料老人ホーム等の関係がございます。これは老人福祉法の角度、それから、介護保険制度における、いわゆる特定施設ですね。今回のこの調査事業等においては、直接的に特定施設が検討対象とはなっていない。確かに、具体的には2ページにもあります集合住宅あるいはサービス付き高齢者住宅、そういったことも特定施設に一部関連した要素もあるのかなとは見ておりますが、これは有料老人ホーム周辺には一部不祥事等もある分野ですから、それにメスを入れるような検討が、あるいは、関連して特定施設の在り方についても、やはり検討が行われて然るべきではないかといった意見を持っております。
 以上です。

〇大島座長 いかがでしょう。

〇川又振興課長 1点目の福祉用具の点ですけれども、今回、福祉用具は報酬ということではありませんけれども、用具についての個別サービス計画を事業者に義務づけるということを入れたところでございますし、価格のばらつき、外れ値といった問題はなお課題であると考えておりますので、市町村、保険者の給付費通知の取組みを一層進めていくことと並行して、次に向けて、価格のばらつき等の調査については、これは研究事業などを活用して、データについては、次期改定のときに議論の材料になるようなものは収集していく、調査していくということにしております。

〇深澤高齢支援課長 村川先生からの有料老人ホームのお話を特定施設の絡みでいただきました。お話がございましたように、有料老人ホームについては、前払金あるいは権利金等の関係でいろいろなトラブルもあったということで、今回、4月から、改正された老人福祉法が施行されているということでございます。これらについては、また、もともとの問題提起の消費者委員会からもございました案件でございますので、その辺の有料老人ホームのサービスの実態については、関係する団体とか、また、老人保健健康増進等事業を使いまして、よく実態を踏まえた上で、また、問題点等をきちんと整理をした上で検討を進めていきたいと思っております。

〇大島座長 よろしいでしょうか。
 私なんか余り詳しくないので、すぐストレートに言って、いろいろと物議をかもすのですが、何を調べるのかというのを、もう少し具体的に、こういう項目、こういう項目と出していただけると非常にわかりやすいのですが、不祥事という話も、これを調べないとその不祥事がどうかというのはよく出て来ないぞと。ここを調べればその実態はよく見えるのではないか。例えば、福祉用具についても、こういう点を調べろと。項目としてこうだというふうに出されると、多分非常にわかりやすいのですが、いかがなのでしょうか。

〇村川委員 大島先生からのお尋ねですので、私なりには、これまでの給付費分科会でも、以前委員を務められました全国市長会を代表してお出になりました石川委員さん始め、また、先ほど振興課長の御説明にもありましたけれども、いわゆる外れ値という福祉用具の購入あるいは貸与両面あるかと思いますが、非常に極端に値段の高いものを利用者に押しつける傾向のある事業所が一部あるということで、これは既に東京都の稲城市とか、それから、東京都の豊島区等の取組は、これはたしかフジテレビ系とかでも取材されて、かなり公になっている事柄で、そういうことは無視し難い。勿論、まじめな事業者もありますから、そういったところで、まず1つは実態把握ということかなと。
 それから、もう一つは、これは全く別の医療保険のことをこの場で言うのはどうかとは思いますが、医療保険であれば薬価基準などがあるわけですから、私自身の自説としては、福祉用具についても、いきなり福祉用具価格基準とは言わないまでも、何らかの参照価格なり、あるいは、価格の幅なり、あるいは手数料等についても見込まれる幅などを考えていきませんと、これはよろしくないのかなと、そういうふうに思っておりますので、そういう観点も含めた項目取り、これは今回のこの項目にはありませんので、もし、福祉用具等について行うとすれば、貸与のレンタル事業、並びに、購入で行われているもの、その両面について精査すべきことがあると見ております。
 それから、もう一つの有料老人ホーム、特定施設の関係ですが、先ほど、高齢者支援課長の御説明にもありましたが、消費者委員会の指摘もあったようでありまして。明らかな不祥事としては、契約が解除されたにもかかわらず、入居一時金が返還されないなど、この際、全国的に、入居一時金がどうなっているかということは、すべての有料老人ホームとすべての特定施設において実態を把握すべきではないだろうか。少なくとも最低限そこから出発して、部屋の広さ、食事提供。食事提供については、これも一部マスコミ報道、あるいは、私も個別に聞くところによりますと、一定料金を集めていながら、非常に粗末な食事しか提供していない、近くのコンビニからサンドイッチを買ってきたり、お握りを買ってきたり、そういうことで朝・昼を済ませて、そして、夕食はややまともな食事とかといった非常にずさんな運営の事業所も一部あるやに聞いておりますので、これは確かに考え方によっては、介護保険の給付外だから自由ではないかという発想もあるけれども、そうではない。明確に特定施設として指定をされ、認められ、給付が行われる以上、そこでの利用者の、高齢者の生活という観点から、高齢者の権利擁護というような観点からも、きちんとその項目を起こして、狭義の給付費が適正かという、確かに介護サービス上の事柄もあるけれども、特定施設等は、関連するそうしたものが一体となって実態はあるわけでありますから、そうしたことも調査項目等に落として検討を進めていただくということがあるのかなと。
したがいまして、関連して、サービス付き高齢者住宅についても、恐らく前向きに取り組んでおられる事業所、法人が多いかとは思いますが、その場所の提供だけで、サービスの方が場合によってはつたないところなど、問題点も想像されますので、そこのところを、これはサービス付きということを標榜した以上は、そのサービスにかかわるこの介護保険の保険給付かどうかということではなくて、そこでの高齢者の生活の成り立ちという生活構造に着目した構造的な調査をやらないと、これは意味がない。あるいは、介護サービスの実効性を上げていく点でも、そうした項目は盛り込まれるべきではないかと、そんな気がしております。
以上です。

〇池田委員 私は村川委員とは少し意見は異なるかもしれません。介護保険で非常に重要なことは、契約によるサービスの提供であるということです。したがって、契約の場合は、当事者は2人いるわけであって、提供する側と提供される側が存在するわけです。提供される側が対等の立場にあるかどうかとなると、それは必ずしもそうではないわけで、そこにケアマネジャー、ケアマネジメントという意味があると、そういうふうにつくられていると思うわけです。
 したがって、重要なことは2つあって、契約によるサービスの提供を考えるならば、できる限り規制は緩和した方がいい。勿論、給付の中身として明らかに不合理なものは、これは当然、保険者・被保険者として意見を言っていくべきですから、それは入れるべきですけれども、保険給付以外の問題について余り厳しくすることに関しては賛成できません。そのような観点はこの調査には持ち込んでほしくないというのが、私個人の意見であります。
 具体的に、例えば福祉用具の外れ値ですけれども、一体何が外れ値かというと、これもなかなか難しい。とんでもない外れ値はわかりますけれどもね。ただ、そこにメンテナンスあるいは助言、そういったものが入ってきた場合、当然、その価格はどうなるのかということがあるので、そこのところはある程度見なければいけない。これは私だけの意見かもしれませんけれども、福祉用具だけは自由価格だというのは、絶対にこの制度の中に残しておくべきことなんです。それが契約というものだということ。その象徴としても非常に必要だと思っております。
その場合、重要なのは、何をチェックするかというのは、外れ値じゃないと思うのですね。むしろ、例えば車椅子の付属品だけを借りている。何も使ってないわけですね。あるいは、つえを10本借りている。あり得ない話ですね。これは、それは勿論レンタル事業者が悪いに決まっていますけれども、それをケアマネジメントに組み込んだのはだれですか。ケアマネジャーでしょう。つまり、ケアマネジメント、ケアマネジャーのところに問題があるわけであって、そこのところをチェックした方がいいと思うのです。例えば車椅子の付属品1個をあっせんしただけで、10,000~13,000円のケアマネジメント費が毎月払われるわけですよ。これはとんでもない話なわけであって、そういうふうにトータルに見ていただく。そういう調査項目は立てられると思うので、その辺を考えていただきたいと私は思っております。
 以上です。

〇大島座長 ありがとうございました。
 火をつけながら、何か本質的な議論に行きそうで、これをやり始めると相当時間がかかりそうな感じがするのですが、こういう意見があるというのは非常に重要なことだということで。
 ほかにいかがでしょう。

〇宇都宮老人保健課長 今の件で確認させていただきたいのですが、そうしますと、例えば福祉用具の件については、この委員会で今おっしゃったようなことで調査をしろということなのか。あるいは、今の池田委員のお話ですと、むしろケアマネジメントの方ではないかということなので、ケアマネジメントについては、別の検討会で検討をすることになっていますけれども、その辺ですね。この委員会でこれをやるのか、あるいは別のところでいいのかということを。それから、もう一つの特定施設などについても、これは、サービス付き高齢者向け住宅の調査・検証をやることになっていますけれども、この中に今の御意見は組み込めるものを組み込んでということでよろしいのか。その辺、ちょっと御確認させていただきたいのです。

〇大島座長 今の課長の意見ですが、村川委員と池田委員ではちょっと考え方が違っているようですが、ほかの委員の方から、御意見いかがでしょう。
 そもそもの制度の根幹の在り方のところまで下りると、ちょっとこれは簡単な話ではないなという感じがするのですが、いかがでしょう。

〇村川委員 私自身が問題提起したこともありまして、これは私として2点申し上げておきたいと思います。
 福祉用具については、確かに池田委員のおっしゃるケアマネジャー、ケアマネジメント、ケアプラン関連の要素はありますが、まず第一義的にはこの介護保険給付として行われている福祉用具の貸与、それから、福祉用具の販売購入、この2つの側面についての実態調査という点では、これまでの既存調査でも部分的にはカバーされるかとは思いますが、しかし、既に問題提起がなされている外れ値等、そうした問題状況を含めて調査が行われることは、この介護保険事業に関連した事柄でありますので、まず第一義的には、もし可能であれば、24年度あるいは25年度、事項を追加してやっていただいてはどうか。応用的な中で、もう一方でケアプラン、ケアマネジャーの検討もあるようでありますから、そういう中での福祉用具の位置づけなどは、また、それはそれで更に議論を深めていただくということで、確かに、そこは重層的な議論はあってよいと思っております。
ただ、これ以上言うと、いろいろ論争になる可能性がありますが、私は、介護保険が事業者の市場的な側面だけを強調した制度ではなく、これは第1条にあります、高齢者、要介護者等の尊厳、高齢者の利益を踏まえますと、今日の年金制度等の枠組からして、経済的には、費用的には、できれば低額の負担が望ましい側面、勿論、選択的にいろいろ幅があるという部分もあろうかとは思いますけれども、そういう点では外れ値のようなことはあってはならない。厳しいという見方もあるかもしれませんが、私は、福祉用具については、将来的には、財源制約もありますので、貸与、販売購入、両方の側面である段階で参照価格ということは考えられてよい。直ちにそれを結論としてくださいと言うつもりはありませんが、まずは実態を正確に把握することが大事ではないか。
それから、2点目の特定施設ないし有料老人ホームですが、有料老人ホームという全体枠組としては、これは確かに老人福祉法の関連でありますので、そういった角度で幅広く、しかし、詳細に把握をしていただくという作業がどこかに位置づけられる必要がありますので、本委員会が目指すべきとすれば、特定施設として指定を受けたところの実態、これも既存の調査である程度はわかるわけでありますけれども、高齢者の処遇上問題がないのかどうかという点については、やはり精査をすべき項目はあるのではないか。それをしませんと、特定施設ですね。私も、具体的には東京周辺の幾つかの自治体の介護保険事業計画の動向を見てまいりましたが、保険料が高まる一つの原因として、特定施設の数、結果としての入居者が増えてきている。これは無視できない一つの傾向であります。特に、東京・神奈川・千葉・埼玉など、引き続き介護サービスの支援が必要な地域でそういった流れが増設される向きがあって、単純に水をかけろと私は言っているわけではないのですが、一方で介護のサービスの質向上が2項目目にもございますが、こういう観点は当然特定施設にも求められるわけですから、特定施設の関係についてデータを得ていくことは、中長期的に見ても、非常に意味のあることではないかと、そんなふうに思っております。
以上です。

〇池田委員 簡単に。どこでも僕はいいと思うのです。どこでもいいと言ったらおかしいのですけれども、まず、例えば福祉用具は一品のみサービスと根拠があればいいのですけれどもけれども、このデータは簡単に取れますね。そうすると、その一品のみの福祉用具利用というケアプランは、要介護度別にどんなふうに分布していて、それで、本当にこれは役に立っているのだろうかという、これはケアマネジャー、ケアプランの方の検討会でやっていただいた方がなじむだろうということで、この委員会でやる必要は必ずないと僕は思います。
 もう一つ、実は、この委員会の名称をもう一回考えていただきたいのですね。介護報酬改定検証・研究委員会と書いてあるのですね。「検研委員会」と私は略しておりますけれども、検討ではなくて検証なのです。評価ではなくて研究なのです。ということですから、一定の目的意識的な理念、僕も理念を言ってしまいましたし、村川先生もまたその理念をおっしゃっていて、それは対立するかもしれないけれども、それをここであんまり持ち込んではよくないという意味合いでこの委員会はつくられていますから、そういった意味では、そこのところは淡々と検証・研究をするということで、余り意味づけを持たないでデータを集めた方が僕はいいと思います。理念でいくと、やはりちょっとぶつかりますから。

〇大島座長 どう扱うかということと、それから、実態を知るということは、ちょっと距離があるような感じがするのですね。実態を知るということについては、それはとことんイエスかノーかというところまでこだわることではないというふうに理解してよろしいですか。

〇池田委員 はい。

〇大島座長 では、最初の福祉用具については、どこの委員会でやるかということも含めて検討をしていただくということで、データを取ること自体は許容するという扱いにしていただきたいと思います。
 時間が6時までになっていまして。今日は参加していただいた委員のすべての方から御意見をいただきたいというのがありまして。松田委員と松原委員からも一言ずつ御意見をいただきます。

〇松田委員 いろいろ聞かせていただいて、僕自身はリサーチャーですので、これにかかわる研究を幾つかやっていますので、私の方からいろいろとお話しできることもあるなと思いました。
 1つ思うのですが、これは介護給付費分科会でありますので、最近、たしかOECDのレポートだったと思うのですけれども、このまま放っておくと、日本は介護給付が2~3倍になるというレポートが出ています。それは今のような施設を少し重視した給付を続けていくとそうなるであろうと。それはどうなるのかということで問題提起をしているのですけれども、そうすると、例えばこういうサービスが今回入ったわけですが、これが入ることによって、これが入らない場合に比べて、どのような将来の介護給付費の動向になっていくのかということは、多分どこかで検証しなければいけないだろうと思います。そんなことを少し今思いました。

〇大島座長 ありがとうございます。
 2~3倍になるということは、介護保険料も2~3倍になると、こういうふうに考えていいわけですね。

〇松田委員 もっと上がるのかもしれませんけれども、そのようなレポートをコロンボさんという人が出していますので、今度何か機会があればお配りしたいと思います。

〇大島座長 ありがとうございます。
 ある意味で非常にミクロ的な議論をしていますけれども、マクロ的な見方をしていかないと、その積み上げでとんでもないことになるという御指摘だったと思います。
 松原委員、よろしくお願いします。

〇松原委員 素晴らしいサービスは皆さん欲しいと思います。しかしサービスの質とコストは比例します。財源は無限ではないので、質とコストとの兼ね合いをどうつけるかが問題です。その点で、効率化のチェック、検証もやはり重要ではないかと思います。効率的に行っているところがあれば、それは何故なのか。コストの大半は人件費ですが、たとえば人材を効率的に活用しているのか、または単純に人件費を削減しているのか、それも一人当たり人件費を不当に下げているのか、配置を減らしているのか。そういった検証も重要だろうと思いました。
 あと、今回の調査の話からは離れますが、事業者側から見ると、たくさんの国の調査が行われています。情報開示にも応じ、社会福祉法人や医療法人は財務諸表も都道府県に提出している。そういった既存データをもっと活用できる環境整備が必要だと思います。そうすれば、調査票も調査件数も少なくなります。今回すぐには、いろいろな制約があって出来ないと思いますが、今後の中長期的な課題として指摘させて頂きます。

〇大島座長 ありがとうございました。
 予定時間が過ぎています。

〇池田委員 発言が多くて申し訳ございません。
 介護保険事業報告の方にかかわるかと思うのですけれども、高額介護サービス費、これだけが施設と在宅が分けられていない上に、要介護別にも分けられていません。実は、高額介護サービス費は、ほとんどが施設で使われていると私は分析しております。つまり、在宅ではほとんど使われてないと思うのです。それをはっきりさせると、利用料が高いからサービスを受けてないのは俗説であることを立証できるわけであって、その辺のところをこの委員会に示してほしい。これは集まったデータを分析するだけですから簡単なはずです。それをお願いしたいのが1点です。
 もう一つは、これは短い時間では言えないのですが、認知症の問題の検証項目が非常に抽象的・一般的であって、何をするかよくわからないのです。ここのところをもう少し詳しくやってほしい。特に、アセスメント方式から全部始まるわけであって、一体どんなアセスメント方式をとっているのか、その問題から始めて、かなりきちんとしたデータみたいなものをつくることをお願いしたいと思うのですね。どうも、認知症は10年の空白、失われた10年という感じを私は強く思っていますので、今回の介護報酬改定はそれをひっくり返す大きな力になると思うので、これは特にお願いしたいと思います。
 以上です。

〇大島座長 これだけは言っておきたいということはよろしいでしょうか。
 それでは、予定時間を超えていますので、これで第1回目は終わりたいと思います。
 今後の予定等について、事務局から報告をお願いします。

〇宇都宮老人保健課長 先ほどの御説明がございましたように、次回は来年の3月を目途になってございますが、本日いただいた御意見を踏まえまして、調査の実施に移らさせていただきたいと思います。また、本日の検討内容も含めて、分科会に御報告・承認いただいた上で調査ということになります。それを来年、年が明けてから、こちらの方に検証・研究の結果の御報告、それから、来年度の調査についての検討という予定をさせていただいておりますので、また、具体的な日程等が決まりましたら、御連絡申し上げます。よろしくお願いいたします。

〇大島座長 それでは、これで第1回目の委員会を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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