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2012年6月8日 第5回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成24年6月8日(金)
16:00−18:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

加藤委員、小杉委員、佐藤委員、諏訪委員、清家委員、鶴委員、橋本委員、
樋口委員、山川委員、(株)日立製作所菅原副部長、経済産業省角野産業構造課長

事務局

太田厚生労働審議官、森山職業安定局長、黒羽職業安定局次長、酒光労働政策担当参事官、土屋職業能力開発局総務課長、大西職業安定局総務課長、藤澤雇用政策課長、
久知良若年者雇用対策室長、宮本地域雇用対策室長、弓雇用政策課企画官、藤井雇用政策課労働市場分析官、武田雇用政策課長補佐  他

○議事

○樋口座長 ただいまより第5回雇用政策研究会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙の中お集まりいただきましてありがとうございます。
 今回から2回にわたりまして、「日本の成長を担う産業の育成と一体となった雇用政策の課題」についてご議論いただきたいと考えております。まず、事務局から本日の論点、現状と課題等について説明していただいた後に、本日お越しいただいております経済産業省産業構造課の角野課長から、今後の成長分野についてご説明いただき、ご議論いただきたいと思っております。また、本日は株式会社日立製作所グローバル人財本部副本部長の菅原明彦様にお越しいただいております。どうもありがとうございます。後半では、菅原様から日立製作所のグローバル人財戦略についてご説明をお願いしたいと考えております。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○武田雇用政策課長補佐 資料1に基づいて、本日の論点について事務局からご説明申し上げたいと思います。資料1をご覧いただければと思います。日本の成長を担う産業の育成と一体となった雇用政策の推進ということで、日本の成長を担う産業としては、?進展する高齢化に対応した産業、?日本のもともとの強みを活かした産業、?増大するアジアの市場を取り込む産業等が考えられますが、このほかにも候補等は考えられるかというものです。また、こうした成長産業と一体の雇用対策を実施することで、国内の効果的な雇用創出が図られると考えてよいかというものです。また、成長産業と一体の雇用政策を推進するため、?人材のマッチング機能の強化、?人材育成支援の充実、?雇用管理改善支援の推進、さらには?雇用創出策の強化の4点が考えられるが、そういうことでよろしいかということです。
 第1の柱の「人材のマッチング機能の強化」ですが、成長分野に適切に人材をマッチングさせていくため、企業、求職者、教育訓練機関などに対する支援策としては、それぞれどのようなことが考えられるか。マッチング機能の強化に向けて、これまでもハローワークをはじめとするさまざまな機関が施策を推進してきたが、今後、さらなる強化策としてはどういったことが考えられるか。労働移動が円滑に進まない理由としてさまざまな背景が考えられるが、社会的な需要のある産業への人材移動を促すためには、どのような支援が考えられるかといったものです。
 2頁は、第2の柱である「人材育成支援の強化」です。日本の雇用は、できる限り内部労働市場を活用して配置転換等を図り、失業の発生を防止してきたという実績があります。今後、企業が成長分野に進出する際にも、できる限り内部労働市場の活用によって適切に人材育成が図られるよう支援していくべきと考えるが、具体的にどのような方策が考えられるか。各分野における「高度人材」「中核となる人材」には、具体的にどのような能力が求められるか。具体的にどのような教育訓練が有効と考えられるか。これまでも、政府として人材育成支援の観点から、公的職業訓練、さらに各種助成金の施行等を図ってきたが、こうした取組みのさらなる利用促進、効果発現のため、どのような取組みが必要と考えられるか。正規雇用労働者として定着したあとの「学び直し」の支援といった観点も重要と考えられるが、企業の協力を得るため、具体的にどのような方策が考えられるかといった課題を掲げております。
 第3の柱は、「雇用管理改善の推進」です。企業が人材確保を図るに当たり、同時に雇用管理の改善も図っていく必要があると考えられるが、具体的にどのような改善が従業員から求められており、どういった方法が効果的な取組みとして考えられるか。雇用管理の改善による企業・従業員双方に対する効果としては、どのようなことが考えられるかといった課題です。
 3頁は、「雇用創出の推進」という柱です。創設からの年数、産業区分等の観点から、どのような企業が雇用を生み出すのか。また、そうした企業への支援策として、雇用促進税制のほかに具体的に考えられる施策はあるか。起業・開業、社会的企業等の支援も、雇用創出の観点から重要であるが、具体的に考えられる施策はあるかという問題です。最後に「グローバル人材、海外事業展開支援」ということで、国内市場の急激な拡大が望めない中、成長する海外市場の取り込みは重要と考えられるが、企業が海外事業展開(アジア市場への進出のほか、製品の輸出開始も含む)することによる、国内雇用の影響はどのように考えられるか。いわゆる「グローバル人材」には、企業の求める人材像と、労働者側の認識などに大きなずれが生じているが、どのように育成するのが効果的か。その育成・確保を支援するための効果的な支援策はどのようなものが考えられるか。さらに、海外事業展開を有効に支援するため、現在求められているものとしてはどのようなものがあるか。併せて、海外市場の需要を適切に取り込みつつ、国内雇用も増加させる方策としてはどのようなものが効果的か。以上を論点案として、事務局のほうで提示させていただきたいと思います。
 資料2をご覧いただきたいと思います。これは、先ほど申し上げた論点案に関係する資料を事務局で用意したものです。1頁めくると「日本の人口の推移」ということで、人口が減少局面を迎えておりまして、2060年には9,000万人を割り込み、高齢化率も40%近い水準になると推計されております。2頁は、それに伴いまして、国内市場は構造的な縮小圧力がかかってきているというものです。そういったことを背景にして、3頁は製造業等の雇用の減少が続いている一方で、高齢化に伴いまして医療・福祉等の需要が伸びているというものです。
 4頁は、製造業と非製造業の一人当たりの付加価値を比較しておりますが、製造業の付加価値が高い。製造業と非製造業の間に差があるということです。5頁は、一方で、アジアを中心とした新興国の成長が著しく、大きな市場が拡大しているというものです。6頁は、それらを背景として、今後伸びる分野、成長する分野ということで、新成長戦略では、グリーン・イノベーション、日本の強みを生かした分野ということで環境分野、高齢化に対応した分野ということでライフ・イノベーション、健康関連市の市場が拡大している。アジア、さらに観光・地域ということで、これを支える基盤として科学・技術、雇用・人材、金融の7分野を戦略分野と位置づけているところです。7頁はJILPTのほうが整理をした4分野が、どのような産業分野に今後影響してくるかというものを整理をしたものです。
 8頁以降が、人材のマッチング機能に関する資料を集めたものです。9頁は、職業別の求人・求職動向ということで、専門的・技術的職業や福祉関連職業の需要が多くなり、一方で事務的職業、生産・労務の職業は求職側、供給側が多いという状況です。10頁は製造業を細かく見ている部分ということで、分野によってばらつきがあります。11頁は、産業別の就職の状況です。上の数字が就職者数、下のグラフの数字が充足率です。2011年のハローワークで就職をされた方195万人のうち、大きなところですと製造業31.6万人、43.1%と比較的高くなっておりますが、飲食や医療・福祉、サービス業は就職者数は多いのですが、充足率が低くなっている状況です。
 次に、それを職業別に見たものが12頁です。専門的・技術的職業や販売の職業というのは充足率が低くなっている。一方、事務的職業や生産・労務の職業は求職者も多いということで、充足率が高い状況になっています。
 13頁は、入職率と離職率を産業別に見たものです。製造業は入職・離職とも少ない。一方で宿泊、生活関連サービス、医療は入職率・離職率が比較的高くなっているということです。14頁は転職入職者における職業間の移動です。専門的・技術的職業は、他の職業から入ってくるのも他の職業から出るのも少ないということですので、比較的同じ仕事で収まっている。一方で、管理的職業は他の職業に行くのは少ないけれども、他の職業から入ってくるのは多いということです。また、保安職業等はどちらも多いということです。15頁は、成長分野といわれている「環境」「健康」「アジア」の雇用に関する阻害要因というか、問題意識を企業に聞いたものです。必要な知識・スキルを持つ人材が内部に少ないとか、なかなか人員を増やす余裕がないといったもの。また求める人材像が明確になっていない、求める人材の応募が少ないといったところが多い回答になっています。
 16頁は以前お示しした図で、生産性と産業別の賃金には相関があるということです。17頁以降は賃金カーブです。17頁は大企業のほうが賃金カーブが急である。18、19頁は職業別、産業別に見たものです。サービス的な職業が、比較的賃金カーブが寝ている。年数が経っても賃金が上がらないということです。
 20頁は、中高年求職者・在職者が抱える悩みということで、比較的若い層が給与、待遇、休暇など、雇用条件が悩みである。また、自分の技能が悩みであると答えておりますが、年齢を行くに従ってそれが薄れていくということです。仕事内容と自分の適正というのは、年齢が変わってもあまり変わらないという状況です。21頁は、転職による職業の移動です。転職者がいまの会社を選ぶに当たり、最も重視したものということで、仕事の内容・職種に満足がいくから、自分の技術・能力が活かせるからといったものが高くなっております。年齢別は右側の緑のほうを見ると、中高年に行くに従って、自分の技術・能力が活かせるからという方が増えております。一方で、不満というものは賃金面、労働時間面の不満という答えが多くなっております。22頁は転職の阻害要因です。中高年の方の転職の阻害要因としては、今まで年功序列で上がってきた給料が下がってしまう、退職金の額が下がる、住宅ローンが返済できない等が多くなっているということです。
 以上、現状を見てまいりまして、23頁以降は現在行っている対策を掲げています。最初はハローワークで、ご承知のとおり職業紹介、雇用保険、雇用対策ということで実施をしております。24頁は、平成17年から直近までの状況ということで、横軸が新規求人倍率、縦軸が就職率ということで取っておりますが、リーマンショック以前に比べてリーマンショック後、平成21年以降はその線が上にシフトしている。同じ求人倍率の場合に新規求人倍率の場合の就職率というのは高まっていて、ハローワークでいろいろ努力している成果で、マッチングが促進されているのではないかと考えております。
 25頁は産業雇用安定センターです。ここは失業なき労働移動に関する情報提供相談を行っている機関ということで、実績としては、平成23年度1万4,155件の送出しに対して、成立が8,582件、成立率60.6%となっていて、出向等による失業なき労働移動を図っているところです。26頁の人材銀行はハローワークの付属施設で、全国に6カ所設置しております。主に40歳以上の管理職、専門・技術職に特化して、職業紹介等を行う機関です。実績としては求職者3.2万人が登録されていて、就職件数6,000件になっております。
 次に、人材育成の関係の資料を集めたものです。計画的なOJTを実施している部分ということで、薄い色が正社員以外というものですが、比較的計画的なOJTはサービス分野において正社員以外の方の実施割合が多くなっております。一方で、Off-JTについてはOJTと比較して、製造業や情報通信業が、正社員も正社員以外も実施割合が比較的高くなっているというものです。30頁は、教育訓練を行うに当たっての課題です。従業員が忙しすぎて教育訓練を受ける時間がないとか、外部の教育訓練機関を使うのにコストがかかりすぎるとか、従業員のやる気が乏しいといった部分が多い回答となっております。
 31頁は、「求める能力」の明確化と教育訓練方針の関係です。これは従業員に聞いたものですが、「求められる能力の明確化の程度」が、非常に明確であるというほうが、数年先の事業展開を考慮して人材育成を行っていると感じている、という回答が多くなっております。32頁が能力開発の効果ということです。長期的な観点から能力開発を行っている企業は、能力開発のメリットとして、生産性の向上や顧客満足度の向上、モチベーションの向上等を上げている企業が多くなっております。33頁は、31頁をもう少し細かく見たものです。34頁は、「中核的技能者」に求められる知識・ノウハウです。特定の作業に関する知識・ノウハウというよりは、品質管理や生産ライン全体の改善といったものが中核的技能者に求められているということです。それから、中核的技能者の育成のための取組みということでは、担当業務のほか、ローテーションで経験させるということで、幅広い分野を持たせることに重点が置かれているということです。
 36頁は、そのやり方です。組織経営や部下の指導・育成に関するもの等が多くなっております。また、自己啓発支援の内容ということですが、受講料支援や情報提供が多くなっていますが、時間的な配慮は少なくなっているということです。38頁は、「中核的技能者」の育成がうまくいっている要因・うまくいかない要因です。うまくいっている要因は、定着状況が良好なのでうまくいっている。うまくいかない要因は、育成を担う従業員が不足している。それから、教育訓練のノウハウが不足しているといった答えが多くなっています。雇用システム関係ですが、今後もできるだけ多くの社員を対象に長期安定雇用を考えている企業が多くなっていて、右側は長期的雇用を前提に能力開発、人材育成を会社主体で行う企業が、1997年に比べて2007年は多くなっているということです。
 40、41頁は、長期雇用のメリット・デメリットです。メリットとしては、知識・技能の継承や人材育成がしやすい。デメリットとしては、経済状況の急激な変化に対応することが難しいとか、新しい発想が生まれにくいといったことを挙げております。
 時間が限られていますので、進めさせていただきたいと思います。42、43頁は、最近の新入社員や従業員の長期雇用に関する意識ということです。どちらも同じ会社で働きたい。「一企業キャリア」を中心に考えたいという方が多くなっているということです。44頁以降が対策です。1点目は成長分野の人材育成事業。これは成長分野の事業所がOff-JTを行った場合に20万円を上限に支援を行うというもので、平成22年11月から直近までで2,388件の申請がされています。次が、キャリア形成促進助成金です。これも事業主による職業訓練の助成で、Off-JTの経費・賃金助成ということで、中小企業ですと3分の1の助成を行っているというものです。支給実績は以下のとおりです。46頁は公共職業訓練。離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練ということで、全部で27万8,000人が受講しています。求職者支援制度は、前回ご紹介したので省略します。48頁は、教育訓練給付です。これも8,000近い講座を指定していて、12万人に受給いただいているということです。
 続きまして、雇用管理の改善です。従業員側から感じたギャップということで、モチベーションを上げるために賃金を引き上げるとか、仕事上、上司からフォローが得られることというものを従業員は望んでおりますが、赤のほう、実際には実現できていないと感じている方が多いということです。一方で51頁は企業側の考え方で、青が意欲が低下していると感じている企業、赤が意欲が向上していると考えている企業です。青の部分は評価制度を整えるなどを重視しているのに対し、向上している、うまくいっている企業は経営方針の情報提供を行っているということで、ギャップが生じているということです。
 53頁は雇用創出です。2011年度は新たに開業した事業所割合は8.5%ですが、その事業所が37.6%の雇用増を生み出しているということで、情報通信や複合サービスの増加率が高くなっております。55頁は起業時、起業後の課題です。質の高い人材の確保等が起業後の課題として挙げられております。56頁は雇用促進です。これはこの前ご説明をいたしましたので、省略させていただきます。58頁以降がグローバル人材で、これも第1回の資料で付けていましたが、海外に進出している企業については、中国、インド、東南アジアに拡大したいという割合が多くなっています。59頁はグローバル人材のどの分野で不足感があるかということですが、部長、課長といったところが必要と感じているということで、全体的に不足感が強いということです。60頁は前回ご紹介申し上げましたが、海外部門を増やしている企業が、同時に国内部門も増やす横這いの所が多いということです。61頁は、東南アジアへの進出をしている企業で、国内事業においても雇用者数、それから雇用者一人当たりの付加価値額が増加している傾向があります。グローバル人材像に対する企業と従業員の意識の乖離で、企業が言語スキル、赴任・勤務国の知識、海外事業所において自立的・自主的に発言・行動ができる等の能力を求めておりますが、従業員側は自信がないと答えているということです。
 66頁は、海外子会社の利益の使途ということです。平成21年度の税制改正で海外子会社の配当金不算入制度というものが設けられましたが、それが導入後、本邦への配当還元が多くなったということです。これを何に使っているかが右側ですが、研究開発・設備投資に使っているところが多いということです。以上、簡単ではありますが資料についてご説明を申し上げました。
○樋口座長 ご質問はあとで受けることにして、続きまして経済産業省の角野課長から説明をお願いいたします。
○経済産業省角野産業構造課長 お手元の資料3-1というA3の紙に基づきまして、説明させていただきます。表紙に「経済社会ビジョン」とありますが、昨年秋から産業構造審議会の中に「新産業構造部会」というのを立ち上げまして、枝野大臣の下で、今後日本は何で稼いでいくのかということをテーマに議論を重ねまして、ちょうど先週、第7回の最終回を終えまして、取りまとめたものです。この内容をご紹介しながら、特に成長分野について重点的にお話をさせていただければと思います。
 1枚めくりまして、現在の日本経済の状況についてです。「やせ我慢」の経済と書いてありますが、これは左の上の真ん中にあるサイクルで示したものです。デフレが継続している中で、企業も我慢の経営をしている。つまり、なかなか稼ぐことができずに賃下げ、値下げ競争に走ってしまっている。その結果、雇用環境が悪化し、雇用者報酬も低迷していく。家計部門からすると、なかなか所得が増えないということで消費も低迷していく。それがデフレの継続につながり、結果として、また企業経営も我慢を強いられる。この悪循環に続いて回ってきたのが2000年代以降の日本経済だったと分析しています。その原因は右側のボックスで書いてありますが、1つは経済社会構造の行き詰まりの、特に企業戦略・産業構造の行き詰まりです。高度成長期以来の「大量生産・価格競争」の成長モデルというのは限界に来ているのではないかということです。例えばここのグラフにありますように、輸入物価指数というのは各国ともそれなりに資源高で伸びているわけですが、輸出物価指数は日本はフラットになっていて、中国、韓国、新興国と闘う中で、価格競争力でなかなか価格を引き上げられない、稼げないという構図があるのではないかというのが上側です。
 一方で、下側は2つ目の就業構造の行き詰まりで、「終身雇用・正社員・男性中心」の就労モデルの限界です。終身雇用・正社員自体が悪いということではありませんが、高度成長期以来のある意味で硬直化・同質化した組織というものがひずみを生んできているのではないだろうか、ということです。例えば下に「やせ我慢の生産性向上」と書いてありますが、一人当たりの生産性については、その伸び率は日本は先進国の中でも遜色ないのですが、水準ベースの時間当たり労働生産性になるとかなり低い。つまり、正社員が残業をしながらなんとか生産性を上げているということで、これはワーク・ライフ・バランス上もいろいろ課題があります。また、一方で、正社員になれない非正規社員は働くことのスキルを蓄積することはできない。そういう意味で、いろいろな課題があると認識しております。
 2頁は、さらに悪いリスクシナリオということも考えております。いまは非常に厳しい円高水準になっております。また3.11以降電力の制約、エネルギー制約といった問題に直面しています。こういった中で、いま空洞化というか海外に生産拠点を移転しようという動きがあります。これは将来、円高になっても簡単に国内に戻って来られない「根こそぎ空洞化」の可能性もありまして、これまでのような加工・組立業だけではなくて、その上流のサプライヤーである部・素材も海外に移転をし始めるということですので、ここは注視しなければいけないと考えております。こういった状況が仮に放置されますと、貿易赤字構造が定着し、さらに右側に書いてありますように経常収支も赤字化していく恐れがあります。そうしますと、日本国債の消化が限界に達する恐れがありまして、いろいろな問題が噴出していくということで、こういうリスクシナリオをいかに回避していくかが大事だと考えています。
 3頁は、成長分野についての話です。そういったリスクシナリオを回避して、我が国が目指すべき経済社会ビジョンということで掲げております。先ほど申し上げた産業構造や就業構造の行き詰まりを転換して、国家としての成長と個人の豊かさというものを再接合していく、つまり「成長のための成長」ではなく「豊かさを実感できる成長」へ転換していこうと考えています。「経済成長ビジョン」と「人を活かす社会ビジョン」という二本立てにしておりまして、人口減少の中でも一人当たりの国民所得、GNIを増大し、「全般的な貧困化」を脱却して全員参加で「厚みのある中間層」を形成しようというビジョンです。
 経済成長ビジョンのキーワードは「成熟を力に」した価値創造経済社会の実現ということです。右側の上にある赤い2つのサイクルですが、基本的なコンセプトは国内の潜在需要を掘り起こして、消費を喚起していく。そして内需型の産業を拡大すると同時に海外の需要を取り込んで、かつ海外で稼いだ収益を国内に還流するということを通じて、国内の経済を活性化していこう、雇用の場を確保していこうという発想です。
 具体的に、どういう方法で進めていくかについては左側の下に???と書いてありますが、?から説明させていただきます。まずは新しい産業を創出していこうということですが、多様な稼ぎ頭の「八ケ岳」構造と書いてあるのは、これまで自動車産業を中心に「一本足打法」で来たけれども、引き続き自動車産業は重要で主軸であるけれどもそれ以外にも稼ぎ頭の産業を育てて多様な産業が育つ構造にしていこうということです。具体的には「成熟した豊かさ」に対しての社会的ニーズというのが、いろいろ広がっております。そういったものについての新しい産業の芽が存在し始めています。右側の下に図で示していますが、いちばん上が「課題解決型産業」という括りです。これからの少子高齢化やエネルギー制約という社会的な課題に対し、むしろソリューションを提示していこうという産業が生まれつつあります。例えばヘルスケア産業やヘルスケアサービスのほかにも医療機器、あるいはエネルギー制約については省エネ産業、蓄電池、再生可能エネルギー、スマートコミュニティ、スマートグリッドというところがあると思います。
 左側はクリエイティブ産業です。クールジャパン、観光、伝統工芸品、農業を含めてクリエイティブ産業と位置づけております。その課題解決型産業とクリエイティブ産業を合わせて、2020年には15兆円のマーケットができるだろうと考えており、それに向けて取組みを進めていきたいと思っております。また、先端産業ということで、ロボットや宇宙、次世代航空機といった産業を育てていきたいということで重視しているところです。
 お手元に、資料3-2という参考資料があります。これの21頁から、いくつか事例を載せています。説明は割愛させていただきますが、ヘルスケアあるいは介護ロボットを含めたサービスロボット、子育て支援サービスの保育事業、エネルギー産業ということで再生可能エネルギーや蓄電池、風力発電、次世代自動車、クリエイティブ産業と、いくつか事例を載せておりますので、ご参考にしていただければと思います。
 元のA3の紙に戻りまして、?のグローバル展開です。先ほど厚労省さんの資料にもありましたが、攻めの経営で海外展開していった企業は、国内においても雇用が増えているというデータが私どものほうの分析でもあります。例えば参考資料の34頁ですが、アジアをはじめとした新興国市場が、これからどんどん拡大していくだろうと。アジアの中間層、つまり日本の商品を十分買えるマーケットというのは10億人増加していくということです。そういった中で、36頁ですが、海外の生産高を直近3年間で増やしている企業は、むしろ国内の生産高や従業者数も増えているというデータです。こういったところについて、人材も非常に求められてきていると考えております。
 ?は企業戦略の転換です。これまでの低価格競争、すなわちコモディティ化した製品を中国、韓国、新興国と競争していても、価格競争の中でどんどん切り下げを求められているということです。それと違う、要するに差別化をして、価格交渉力を高めて価値創造競争に持っていこうではないかということをここで謳っているわけです。これについては参考資料の42頁をお開けいただければと思います。私どもがアンケート調査をしたグローバル・バリューチェーン分析で、企業がどの業務工程で付加価値貢献度を最近高めてきているかというデータです。図の左側からマーケティング・商品企画、研究開発、生産、営業・販売、サービス、そしてメンテナンスとありますが、明らかにスマイルカーブというか、真ん中の生産工程の付加価値が伸び悩む中で、川上の商品開発、研究開発、あるいはアフターサービスといった川下の部分の付加価値工程が高まってきております。併せて、今後拡充したい業務工程、国内、海外についてそれぞれ問うたところ、国内で商品開発や研究開発の分野は拡充したいということがあります。こういったことを踏まえて、私どもはいろいろな企業にヒアリングしてきました。43頁以降にいくつか事例を載せています。詳細は割愛しますが、例えばこういった円高の中でも営業利益率が2割以上とか雇用を維持しているとか、付加価値経営を高めている企業群があるという事例です。
 A3の紙に戻って4頁です。産業構造審議会の部会での議論は、こういった産業構造の転換を円滑にしていくためには、就業構造もそれに合わせて転換していくことが重要であるということで、後半、人材の議論に焦点が当たってまいりました。それで、人を活かす社会ビジョンということで、女性、若者、高齢者、障害者など、一人ひとりが置かれた環境と能力に応じて、こういった価値創造経済に参画して、成長を分配し合うことで活き活きと働く人々が増える社会へ持っていこうではないかと考えております。キーワードは、「ワーカー」から「プレーヤー」へということです。また併せて、女性の就労を拡大し、「ダブルインカム・ツーキッズ」を実現して、世帯所得を上げていく。高齢者も社会に参加し、働き、「全世代で支え合う社会」へ転換していこうではないかということで書いてあります。そのために、具体的には???とありますが、ダイバーシティー・マネジメントを進めていこうではないかとか、価値創造をリードするイノベーション人材あるいはグローバル人材といった人材を育てていこうとか、また、円滑な労働移動と書いておりますが、これは右側のグラフにある通りです。私ども、産業構造の2020年に向けたマクロモデルのシミュレーションをしまして、それに合わせて就業構造もどうなるかということを、いろいろな前提がありますが試算しました。
 先ほど述べました成長分野、あるいは輸出、グローバル展開がうまくいった場合、そうした政策がうまく噛み合った場合ということで見たのが右上の図です。一言で言いますと、高齢者の定年等による自然減を考慮すると、製造業の雇用者数はあまり今後も変化はない。一方で右側の対事業所サービスや対個人サービス、あるいは医療・保健といったB to B、B to Cのサービス産業は、相当の就業者が増加していくだろうと考えられます。また下側ですが、先ほどバリューチェーンの分析についてお話しましたが、それを就業構造に当てはめますと、生産工程の労務者が減少する一方で、専門・技術職業従事者あるいはサービス従事者で200万人規模の職種転換が必要ではないか。あるいは女性の就労、高齢者の就労が必要であると試算しています。したがいまして、左のいちばん下に書いてありますが、社会人の「学び直し」が重要で、この学び直しサービスを供給する「人を活かす」産業を創出していきたいと考えております。
 5頁です。以上の成長分野を達成するためには、足下の円高問題についてもしっかり考えていくことが必要であるということで、左上に「自産業と他産業に対する国内雇用誘発効果」と書いてありますが、縦軸の他産業の誘発効果の高い自動車、エレクトロニクス、機械産業も、引き続ききちんと国内で柱として維持していくことと、一方で右側にあるヘルスケア産業のような、雇用吸収力は高いけれども、ある意味で生産性はまだ低い産業の需要を拡大して生産性向上も図って、一人当たり付加価値額を増やしていく取組みも必要と考えています。このため、右下にあるように、いまのような状況の中で立地補助金とか、その他の税制、法人税減税といったもので、国内の立地環境をきちんと維持していく取組みを進めているところです。6、7頁は、そういったことを進めていくための施策、取組みで、説明は割愛させていただきます。
 以上の点をまとめますと、こういった成長分野を私どもがいろいろ分析する中で、そこで求められる人材の需要として3つが特に求められるのではないか。1つ目は、先ほど申し上げた新しい産業ということで、ヘルスケア、エネルギー産業といった分野です。2つ目は、あとでまたお話があると思いますが、グローバル展開ということでグローバル人材です。特に大企業のみならず、中小企業もこれから海外展開をしていくことが必要だということで、その支援をするための法案をいま中小企業庁に出していて、他方で中小企業がこれから海外展開していこうということでも、なかなかそれを実現できる人材がないということで、いかに大企業なりスキルを有した人材を獲得していくかが大事だと思っています。3つ目は、バリューチェーン分析でお話しましたように、川上、川下に当たる人材というものが、これからますます重要になってくるのだろうと考えております。私の説明は以上です。
○樋口座長 どうもありがとうございました。いまお二人からご説明いただきましたので、その報告についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○小杉委員 経済産業省のビジョンについて教えていただきたいのです。足りない人材、専門・技術職と並んで事務職もこれから増やしていくとありますが、厚労省の資料では事務職は供給過剰のデータがあります。ここで述べられている事務職のイメージというのは、どんなイメージでしょうか。
○経済産業省角野産業構造課長 おそらく、いろいろな前提の置き方によって、また違うと思います。ここで言っている事務従事者というのは、製造業の場合にはビジネスを展開していけるマネジメント人材や管理職人材を支える人材、あるいは介護にしてもヘルスケア産業にしても、まだまだ中小のところですので、そこについてのある意味で生産性を向上していくための人材というか、マネジメントの経営サポートといった人材が必要ではないか。これはヒアリングも含めて、そういったイメージを持っています。
○加藤委員 先に角野課長にお伺いします。例えば、こういったグローバル人材やイノベーション人材が必要だといった取りまとめは非常に大事だと思いますが、これをどう育てていくかについての経済社会ビジョンの中での議論というのはあったのでしょうか。つまり、どうやって育てていくかについて、もしあれば教えていただければと思います。
○経済産業省角野産業構造課長 参考資料3-2の54頁をご覧いただきたいと思います。「多様な人的資本」による「価値創造」の実現ということで、グローバル人材やいろいろな人材が必要だ、それをどう育てていくのかというご質問に対しては、いろいろな切り口の考え方があるのだろうと思います。これは1つの考え方ですが、54頁のいちばん左上の「マスの層」としていろいろな方がおりますが、特にその中でも「スキルと経験を持つ層」というのが多くいるでしょうと。製造現場の中堅人材、40代、50代の、ある意味で生産管理のスキルを持った人材、定年退職したOBの方でも相当スキルを磨いてきた方、マネジメントをやってきた方、あるいは出産等で職場を離れていますが、スキルや資格を持っている女性といった方が、右側にあるような「職種転換」と書いた川上、川下の部門に行くとか、「グローバル展開企業」と書いた中小製造業に行くとかについては、可能性としてはあり得るのではないかなと考えております。また、もしこういったスキルを持った方が成長分野に円滑に移動して、この産業を育てていただきますと、事業が拡張して新しい雇用が生まれてくる。そうすると、左端と右端とがつながりまして、「マスの層」の雇用も増えて、円滑な就業構造の転換が図れるのではないかと考えていて、このスキルを持っている層と成長分野をどうつなげるかが1つの焦点と考えています。
 それだけではなかなか結び付かないのではないかというご議論もあるかと思いますが、審議会の中で議論があったのは、55頁にいくつか例示していますが、左下にある「東大ものづくりインストラクター養成スクール」という藤本先生のスクールの事例です。ここに、あるメーカーの50歳過ぎの生産工程で働いているプロフェッショナルが行きますと、そのメーカーの生産工程の中の方言というか、そこでしか通用しない言葉で語っていたものが共通言語化できる。生産管理全体として自分が持っているスキルというのは、ほかの分野も通用するのだということを1カ月ぐらいの研修で学びます。それによって、会社にまた戻って、ほかの部門で生産改善で貢献していくとか、あるいは、定年退職しても、地場の中小企業あるいはほかの分野でも活躍していくという事例が出始めまして、地方にも徐々に拡大しています。そういうことで、1つはスキルの汎用化ということを気づかせるというのがあると思います。そういったことも、場合によっては介護ビジネスやほかのエネルギービジネスに広げていくことができればいいのではないかということで、55頁にある、いろいろな人を活かす産業の担い手となるサービス産業の人たちが徐々に現れてきているので、こういったことを応援していきたいと思っています。こういったことをやっていくためには、厚生労働省さんと経済産業省が連携してやっていくことが大変重要だろうと考えております。
○樋口座長 ほかにどうでしょうか。いくつかのシナリオの中で、空洞化を回避できた場合と空洞化が実現してしまった場合と、好対照に、明るい未来と暗い未来ということになってくるわけですが、その空洞化を回避する施策として、例えば5頁の右下にあるような施策ということが出ているのかなと思いますが、これだけで大丈夫なのかなという、率直なところです。これで空洞化を回避できますかねということですが、いろいろ想定を置いていると思いますが、どんなことを想定されているのかなと。いかがでしょうか。
○経済産業省角野産業構造課長 そこは非常に苦しいところで、今回立地補助金はトータル5,000億円で、重要な分野について新規投資のサポートをしたわけですが、これが定常的に続くという施策でもありませんで、あくまで緊急避難的な措置です。したがって、海外の立地環境とイコール・フッティングな環境を作ることが王道だと思っております。そういうことからすると、企業さんのニーズとしても2頁にもありましたが、法人税の減税や電力制約、電力不安の解決、経済連携を推進していくことが大事だということがありまして、法人税減税についても若干時期が後ろ倒しになったこともありますが、確実に進めていきたいということと、経済連携を着実にやっていくことかと思っています。足下は、また円高が戻ってしまって、電力不安もあるということで厳しいところではありますが、そういう意味でここは非常に注視しながら手を打っていかなければいけないと考えています。
○樋口座長 ほかにはどうでしょうか。よろしいですか。お二人からのご説明は以上にしたいと思います。どうもありがとうございました。
 続きまして、後半は株式会社日立製作所グローバル人財本部副本部長の菅原明彦様に、日立製作所のグローバル人財戦略についてお話をいただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○?日立製作所菅原副本部長 ご紹介いただきました菅原でございます。ひとつよろしくお願いいたします。まず、最初にお願い事で、お配りいただいている資料は2つの冊子に分けております。配布資料?は、「持出不可」と書いてありますが、こちらはもしご興味がおありになれば、お持ち帰りいただいて結構です。資料?は、これはいろいろな権利関係、データの取り方などがありまして、今日は重要だろうと思ってご紹介するのですが、これは社外秘になっていますので、お持ち帰りいただかないようにお願いしたいと思います。
 今日お話させていただくわけですが、いま角野課長から幅広い産業構造の転換と産業の対策ということでありまして、不勉強なのであまり確かなことは申し上げられませんが、マクロ的には当然、産業界も日立もそういう方向になるべきだということを前提にしておりますが、おそらくこれからご紹介させていただく内容は、なぜそのようにならないか、企業の中でなぜそのように向かえないのかというところを、こういう場ですので赤裸々に述べさせていただきたいと思っております。ですから、その辺は誤解のないように、対立構図ではなくて、共にどのように歩んでいくかというための材料として提供させていただくというようにご理解願えればと思います。
 最初に、日立の紹介がありますので、概観を簡単に説明させていただきます。資料1-1ですが、これは2010年と2012年の売上高の比率で、日立グループ全体で見ると、それほどグローバル比率は高くない。実はこれはつい3月に、日立グローバルストレージテクノロジーという会社をウエスタンデジタルに売却したのが影響して、それを除いていますので、また少し下がったところもあります。なぜ売却したかはあとから出てまいりまして、これは先ほどの角野課長のお話と一致するところがあります。
 人数が下に書いてあって、2010年では、日本では21万2,000人、海外では約10万人ということで、3割程度の海外人員比率です。それが2012年度、今年度の見通しでいうと、実は国内はそれほど変わっていない。海外のほうが37%になって、12万5,000人、2万5,000人増えているというのが実態です。ラフにスケッチすると、2020年には人員は海外のほうが5割を超えるだろう。海外売上高比率も50%を超えるだろうという見通しです。
 次は、もう少し詳しく地域別にどんなことになっているのかということです。インドはここで掲げていないのですが、日本を含めて6つの地域に分けて考えております。いちばん人数が多いのが左下にあるアジアで、売上高も多いし、人員も多いと。その中で中国だけ取り出してあって、中国だけでも売上げが1兆円、社員も4万2,000人という実態、これがまず事実です。しかも伸び率が、日本は正直言って良くて横這い。その中で、間違いなくその国のGDPの伸び率以上には伸びているというのが事実です。
 次頁です。これは配布資料?です。なぜグローバル化、あるいはグローバル人員を増やしていく、あるいは海外人員を増やしていくかというインパクトについての話で、まずKPI(キー・パフォーマンス・インディケイタ)にしている、海外人員比率です。そのロジックは簡単なロジックで、当たり前と言えば当たり前なのですが、X軸に海外売上高比率をとり、Y軸に海外人員比率を取っていくと、これはおおむね相関するということなのです。ここで言いたいことは、グローバルカンパニー、右上に書いてある企業は、その比率が極めて高いのに対して、私ども日立は、「カンパニー」と書いてある、あるいは「全社」「主要Gr会社」と書いてある3つで日立グループ全体なのですが、相対的に低い位置にあるということなのです。ただ、これはこれをどのように右肩へ持っていくかというのが経営の課題なのか、どのあたりまで持っていくべきかというところが出てまいります。ただ、オーガニックにいくと右上に上がるというのが一般的な戦略であると思います。
 日立グループの中にもいろいろなビジネスがありまして、ビジネスモデルで説明しますが、トランスナショナル型、つまりこれは社会インフラの大規模システムと捉えていただいて結構だと思うのですが、それを担当しているのがここに書いているような分野なのです。これを支えている部分は、左下が現状で、矢印の先が15年度なので、現状だけ見ると極めて左下に寄っているというのが実態なのです。当たり前の話ですが、社会インフラと呼ばれるものは日本の成長とともに歩んできて、今日現在もまだ日本の中にしかいないというのがその実態で、これを右肩のほうにもっていく、このチャレンジをいま一生懸命しているというのが実態です。
 もう1つ、マルチナショナル型と呼んでいるのですが、これは日本語で言うと地産地消とイメージしていただければ結構なのですが、ここに具体的な私どものグループ会社名も出ております。こちらは程度の差はあるのですが、現状でもかなりグローバルな進展が見られているということですが、これは必ずしも今日現在は売上高比率と海外人員比率の相関が強くないということ。これが正しいのかどうか。やはり右上のほうにみんな寄っていくべきなのかどうかというのが、いまの検討事項です。
 次が非常にタッチーな話題なのですが、これは人件費とグローバル成長の問題の相関を考えていて、三段論法で、海外売上高比率と海外人員比率がおおむね相関をするということを前提にしていて、1-3で左側に掲げているのは、X軸に海外売上高比率、Y軸に海外売上高の伸びで、実態としてはこう伸びていくということ。問題は右のほうなのです。これはX軸に海外人員比率、Y軸に1人当たり人件費、つまり単位当たりの人件費で比較してみると、海外人員比率が高くなれば高くなるほど、1人当たりの人件費が安くなる、こういう実態になるのです。海外人員比率というのは、先ほど申し上げたように海外売上高比率におおむね相関しているので、言い換えれば、海外売上高比率が高まれば高まるほど、1人当たりの人件費が安くなる。つまり、固定費が安くなることを表しているのです。これが実態なのです。
 これは日本も含めたグローバルな統計ですから、こういう中で日立グループの経営の課題が出ているわけで、ここにGEとSIEMENSということが書いてありますが、これもある種の想定から出しているのですが、欧米の人たちも含めた数値なのです。ですから、GEとSIEMENSが欧米の人たちを抱えていても、こういう水準になっているというのがその統計なのです。これが私どもからも脅威で、これがプライスにどのように影響し、それが事業の競争力にどう影響していくのかということで、大きな悩みがあるということなのです。これも1つの事実として見ていただきたいと思います。
 次に、簡単にこういう中で日立グループはどういう経営の方向を目指しているかということについて、ご紹介したいと思います。当たり前の話ですが、1-4で書いてあるのは経営基盤を強くしなければいけないということです。ご承知のとおり、日立は過去に大きな赤字を計上せざるを得ない事態がありまして、今年度だけはいろいろな論評でプラスの方向で支持いただいているマスメディアの記事もありますが、財務体質は非常に悪化しており、この財務体質を強くしておかないと海外の投資ができないというので、ここをどのようにするかが最大の課題です。そういう中で、「コスト構造改革」と書いてあるのですが、まさにトランスフォームしなければいけないということです。つまり、コストリダクションを個別にやるということではなくて、コスト構造を変えることが、社長のプロジェクトとして進んでおります。先ほどの角野課長の発表にはスマイルカーブで両端のほうへということであるとか、あるいは付加価値の高いものを日本でやっていくというご紹介があって、まさにそうありたいと思っているのです。
 一方で、海外との壁が低くなってきた中で、良い物だから高くても仕方ないだろうという論調が日本の中でも通じなくなってきている。ここの悩みです。したがって、こういうコスト構造改革を断行する中で、日本でも勝てる構造を作らなければならない。この1つは、雇用にできるだけ影響させたくないともちろん考えておりますが、固定費のほうでも、どういう形にするのかが大きな悩みになっているということです。そういう中で、経営リソースの重点投入ということで、社会イノベーション、社会インフラ、経営資源を集中する中で、グローバル戦略に基づく重点地域への投資を拡大。これは人的投資も含めて、これが課題になっているとご理解いただきたいと思います。
 1-5のグローバル成長戦略ですが、これも先ほどの角野課長のご報告の中にあったとおりで、バリューチェーン全体を海外にシフトするということがおおむね書いてあるわけです。コーポレート機能のグローバル化も、まさにこれは経営判断の機能の一部を海外に移すぞということが書いてあり、今年、「日立グループ中国・アジア地区総裁」という機能を海外に移したのです。現状はまだまだそこまでは至っておりませんが、考え方はそういうことです。右側に、その一部としての「中国事業戦略2015」とありますが、これは中国のそれぞれの5カ年計画、いま第12次5カ年計画になっているわけですが、ここにリンクした形で事業拡大への施策が書いてあります。つまり、「内陸をどうするか」であるとか、中国の国民の生活の向上とともに、どのように売上げを伸ばしていくかということへの挑戦をしているわけです。今後の注力地域が、まさに中国、インド、ASEAN、さらにはミャンマー、あるいはブラジルに対して集中投資をしていくという決意をしているわけです。
 この中で、大きなリソースの転換をしなければいけないのが人財で、まさに私がいま悩みながら進めているのがこの部分です。ここには「ボーダレスな人財の最適活用と効率化」と書いてありますが、一気にこんなことができるわけではありませんので、まず日本企業であって、日本にナレッジが蓄積されているという事実はありますので、まず日本人がグローバルのところで先頭に立っていかないとというのは紛れもない事実で、その部分が大いに遅れているというのが大いなる悩みと問題です。そういう中で、グローバル人財マネジメントを推進し、特に世界共通、グローバル共通のプラットホームを作りながら、各地域、各事業に固有の戦略をその上で取っていくことを進めているわけです。
 1-7が1つの事例です。今年度グローバル成長戦略の中で、ガバナンスもグローバル化していこうということで、これは6月22日の株主総会で提案する内容ですので、決まった話ではありませんが、会社側提案として、外国人の取締役はいま1名しかいないのですが、2名増やして3名にしていきますということです。アメリカとシンガポールから、こういう方々にボードに入っていただいて、まさにグローバルな知見を経営の基本方針に反映しようということに挑戦をするわけです。結果、社外取締役が過半数になりますし、その中で外国人の方が3名になると。こういうことからスタートしていくということです。
 次に、日立のグローバル事業について、少し詳しくお話します。日立グループは、1999年にも大きな赤字を出して、2007年にも大きな赤字を計上することになったのです。そのころにアナリストの皆様、あるいは投資家の皆様からご指摘・ご批判をいただいていたのは、日立グループのような、コングロマリットビジネスはもう成り立たないのだと。早く分化していくべきだということを言われたのですが、今日現在どういう状況かというお話をしたいと思います。この図は、左下に書いてあるとおり、かなり古いのです。1989年にBartlett and Ghoshal、2人の学者の当時のグローバルビジネスのモデルで、私たちはまだこれで進めていけると思っております。X軸はローカル適応の強さ・弱さということで、それは国ごとに、例えば、仕様が違うとか特質が強いか弱いか、そういう要素です。Y軸に書いてあるのはグローバル統合、国境を意識しないで、グローバル、つまり地球規模で経営をやるべきという要素で、この2×2の絵で説明しているわけです。
 左側から簡単に説明します。インターナショナルモデルとこのとき言っていたのは、日立グループで当てはめると、これは輸出型モデルであって、ほとんど成り立たないだろうと言われているモデルです。ですが、日立の中には電子顕微鏡という事業がまだ厳然とありまして、歴とした輸出型で、いまだに伸びているわけです。なぜなのか、またあとで説明します。左上のグローバルというのは、最適地型と呼んでいるのです。これは半導体とか、最近、紙面を賑わしているディスプレー、ディスプレーといってもディヴァイスのほうの話です。この間、私どもの売却したハードディスクドライブなどがこのモデルであり、日立グループはここのビジネスモデルからどんどん離れているのです。つまり、経営できなくなってきているのです。右側のほうに集中投下するというのが最近言っている話なのです。それは社会インフラと申し上げていますが、地産地消型であるマルチナショナル。トランスナショナルというのは、このお二方の学者は、当時はこのモデルは、学説的なモデルであって実在しないとおっしゃっていたのですが、あえて私は社会インフラの大規模システム、発電事業に代表されるようなところではないかと考えていて、こういう4つの象限で、日立グループも右側半分に特化せざるを得ない状況になっているということ。これは角野課長のご指摘と合っています。
 どんな特徴があるかというのはここに書いてあるのですが、2番目のグローバルモデル、これは日立がどんどん放しているところですが、特徴的に言うと装置産業型になっているのが多くて、世界標準仕様なのです。ですから、どこで作っても同じ物を作るというものです。超量産品が多いのです。ハイテクなので、初期投資が多いのです。一方で、コモディティ化のスピードが速いのです。ですから、フロンティアエフェクトを得たいということで、まさに国境を意識しない、税制、あるいはロジスティックスの問題も含めて、最適地位をどう構成するかということが求められていて、ここのところがいま日本の産業の中では非常に問題視されているところだと思います。事例は右に書いてあるような事業の例だと思っています。
 マルチナショナルは、先ほど申し上げたように国ごとに仕様が違う、求めるものが違うというもので、これも量産品が多いのですが、一般的には相対的にローテクの組合せで、これはバリューチェーンの大半が現地に行かざるを得ないモデルです。参入障壁が低いものですから、いろいろな企業がこの領域に入ってきます。したがって、順番にマーケットを開拓していったら、終わりのほうではもう手遅れになってしまうので、複数のマーケットを同時進行でやらざるを得ない。そうしないと勝てない。本国で本当に必要な基本的な設計はしますが、それぞれの国のリクワイアメントに応じて、カスタマイズ設計から入らざるを得ない。当然サービスもここでやるということです。これは家電であり、建設機械であり、自動車部品であり、エレベータであり、多くの事業がここに属していると考えています。
トランスナショナルは、先ほど申し上げました右の事業の例で書いてあるような大規模インフラシステムです。これは特徴的には、いまだに藤本先生がおっしゃっているすり合わせ技術、機械技術の部分が多いのです。そうすると、例えば発電システムはエネルギー源は別にしてお湯を沸かすわけです。それで、蒸気でタービンを回す。それで発電機を回して発電をするという構図で、実はそれぞれがものすごい機械システムなのです。それをまた組み合わせて、配管も組み合わせて、大規模なシステムを構成するのです。
 ですから、正直言って、設計がいくら間違えていなくても、ものづくりも全く間違えてなくても性能が出ないのは当たり前なのです。そこをすり合わせで性能を出していく、チューニングをしながら性能を出していくということをこれまでずっとやってきたのです。したがって、こんなことを簡単に海外に持っていけないのです。これはやはり経験の成せる業です。ですから、ここはこれから海外でこういうビジネスをやっていくときに、当然日本にもそういうナレッジを置きながら、一方で海外と日本とのコミュニケーションをどうしていって、それで性能を上げてお納めしていくかということが問われている、非常に複雑なビジネスなのです。ですから、この部分は日本にもかなり人は残りますし、残った人たちが単に設計ということだけではなくて、グローバル人財として設計を担当する、あるいはサービスを担当する、あるいは研究を担当する、製造を担当する、このようなビジネスだと思っております。
 いま申し上げたことを絵で書いていて、バリューチェーンがどうなっていくかという話で、そのほとんどが海外に行きますというので、マルチナショナル、地産地消は大量に日本人がいて立ち上げますが、2年も経つと、現にインドにあるエアコン工場は、3,000人の工場の中で日本人は3人です。これは長期的に見ると、日本人が大量にここに絡んでいくというのは成り立たないビジネスです。これが最後に説明したトランスナショナル、大規模システムです。絵のイメージは、日本が当分の間、中心を占めなければいけない。逆に言うと、この日本が中心を占めている部分が海外に移転されたら、もう日立は日本企業でなくなってしまうということで、この是非はものすごく大きいです。ですから、これを悩みながら、どうしていくかということをこれから決めなければなりません。
 これが人財にどういう影響を与えるかということです。右の赤で示されている、2-2の?に◎で書いてあり、先ほども申し上げましたように、これもグローバル人財は必要なのですが、ここは日立グループから切り離してしまったのです。なので、必要な人財は日立グループがいま抱えているマルチナショナル、トランスナショナルのところで、非常に多くのグローバル人財が必要とされているのですが、一般的に申し上げてマルチナショナルなビジネスモデルはローカルのグローバル人財がより多く求められて、トランスナショナルのほうは日本人人財とローカルのグローバル人財、双方に多くの人財が求められるということです。数値でなかなか示せないのですが、一般的にそのような流れになっています。
 こういう現状の中で、これから予想される変化と対応なのですが、いろいろな事業モデル、トランスナショナルもマルチナショナルも、多くの海外拠点をどのようにグローバル企業としてガバナンスを利かせていくかということで、ローカル中心に海外のマネジメントがいまよりも進んでいく中で、どういう形にしていくか。その中で、マルチナショナルは海外のリクワイアメントにと言いながらも、“This is HITACHI?”というのは何なのだろうと。つまり、品質はどのように考えるのが日立であるか。ここが差別化ですので、そういうことをグローバルにどう求めていくかが課題であって、そこにも人が大きく影響してまいります。
 2番目です。これまで申し上げましたように、そういう中で、どのモデルにとってもこれまでよりはバリューチェーンが海外に移転せざるを得ない。その中で、日本というマーケットについてどのようにしていくかは、大いなる課題であります。日本人赴任者の役割も変わってまいりますし、量も変わってまいります。当然にローカルの経営者の促進、リーダーの促進も大きな課題です。
 次に、いまの日本人の役割のところで少しフォーカスして考えていきたいと思います。日本人が海外でたくさん活躍すればいいではないかと。雇用という枠組みをもう少し広げたときに、日本人が海外で大量に活躍するというのも1つの雇用と考えたときに、なぜ日本人を大量に海外に出せないかという1つが、コストなのです。先ほどの角野課長のレポートの一部にあったと思うのですが、納得できる処遇制度、オープンな処遇制度が、日本の中でも当然求められております。つまり、アカウンタビリティがここで求められております。ところが、いま行われている日本からの出向制度は、オープンに認識されている、つまりアメリカ型の購買力補償方式というものであって、ある種の生活のインデックスで、日本人が海外に行ったときに日本にいるときとほぼ同じレベルの生活ができるということが、いまの海外赴任者に保証しているやり方なのです。
 これまでずっとこういうやり方でやってきたので、はっきり申し上げて、1人当たり日本でかかっている人件費の2.5倍ぐらいかかります。何とかこれを直したいのです。そうすると、下にあるように海外現地法人に転籍をしてくれと。つまり、現地のルールで再雇用したいと言っても、こんなことに簡単に応じる人はいないのです。これは本人とサインを交わさないといけない話ですから、希望者は稀です。よほどインドが大好きで、インドに骨を埋めたいという人は別にして、ほとんどいません。
 転籍にしろ、ローカル採用にしろ、先ほどの2.5倍ではなくて、1倍でやっていくことを我々も求めているのですが、日本人が海外で活躍するというのは、こういうことからも実はものすごい制約があるのが実態なのです。長い間には変わるのでしょうが、どうしていくかと。あとから申し上げますが、現状はお金だけではなくて、お金をもらっても新興国に行きたくないという人が多い中で、ましてお金もこういうことでという、二重、三重の苦しみの中で海外展開をしているという1つの事例です。
 その中で、2-5で言っているのは、グローバル事業で本当にどのぐらいの人が不足しているのだろうと。こういうことを非常にラフに算出するテンプレートを私どもの部署で作って持っております。これを各事業に重ね合わせて、その不足感を国別、国別というのは日本人・外国人別、拠点別、職種別、ポジション別にシミュレーションするというシステムを持っております。これでいろいろな事業の将来をラフに見通しています。これは配布資料?のいちばん最後に載っているものです。先ほどのスキームを使って将来を予測したときの日本人の不足感を示しているのです。ここで書いてあるのは、Supplyサイドの日本人で、A人財はグローバル人財と考えてください。それが2015年に先ほどのモデルでシミュレーションをかけたら、353人しかいない現在に対して、日本人だけで525人必要だと。170人不足しているというのが出たのです。いないのです。
 この人たちをどう育成しようかというモデルもありますが、先ほど申し上げたように、育成したとしても、今度はコストの視点から本当にこの人たちを海外に出せるのかという、もう1つのハードルがあります。そもそもいない、育成のハードルも高い、コストのハードルも高い。結果的にローカル人財を活用するしかないという選択になってくるのです。
 こういう中ではありますが、そうは言っても日本人グローバル人財を育成しないことには次の選択肢が生まれないのです。もう1回、資料に戻っていただきたいと思います。3-1で、日本の採用方針を大胆に転換しました。国内の新卒採用は、昨年度の採用から、つまり今年入ってきた人からすべてグローバル人財を採用すると宣言をして、採用しました。しかしながら、来年度入ってくる人たちからは、日立グループ全体で減らさざるを得ないという決断をしました。これは1つは長期的な育成では間に合わないという視点があります。つまり、新規採用ではなくて、スキル・経験を持った人で補わざるを得ないという判断があります。長期的視点も大事なのですが、やむなくこのようにさせていただきました。
 一方で、今日お示ししていないのですが、長期的に見たときに日本のマーケットは縮小せざるを得ないという中で、日立がシェアを高めて優位なポジションを得ると事業サイドは絵を描いているのですが、経営者の見方は、そうはいかないだろうという経営判断もあります。こういう中で、国内の雇用は厳しくせざるを得ないようになっている。
 ちょっと視点を変えて、そうは言っても長期的に若手の育成をしなくてはいけないということで、どういう施策をやっているかというのが海外派遣のプログラムです。一言で言うと、仕事を向こうでやる前に、主に新興国に1カ月から3カ月出して、タフな経験を重視するようなプログラムをやっています。真ん中の対象者のところに書いてあるとおり、20代を中心に約1,000名、昨年は1,060名出しました。今年も1,000名以上の人をこういう形で出してまいります。こういうことで、日本の豊かさに慣れているわけで、それについて私は全く否定しません。日本は私も大好きですし、こういう国を作るのを目標にやってきたわけですので、否定しているわけではありませんが、海外でビジネスをするときにはそれだけでは駄目なので、せめてハイブリッドに価値観も共有してもらうような人財を育成したいというのがこのチャレンジです。ここに詳細が書いてありますが、いろいろなことをやっております。ここは省略させていただきます。
 3-3に書いてあるのが、今度はマネジメント層のマインドチェンジです。これは国の政策と同じ目的で、成長戦略とグローバルリーダーシップをマネジメントのキーに据えて、この2つだけに絞ったマインドチェンジのプログラムを昨年から始めており、部長以上の層は全員、2012年度中に、課長層については50%をいまのコンセプトで徹底的にマインドチェンジを図ることを、私どもの日立総合経営研修所を通じて実施しております。
 3-4は、グローバル共通のマネジメント研修の1つの事例です。まず、マネジメント層に共通に持ってもらいたいことがコアバリューで、そこのところをまず最初に。次に、コミュニケーションの問題がものすごく大きな問題で出ています。これは日本と海外もさることながら、海外同士も起きておりまして、この点です。
 次に、グローバル共通に行っていくプラットホーム。例えばパフォーマンス・マネジメントであるとか、あるいはコーチングとか、こういうことについてのニーズやリクワイアメントを議論する。こんなことを2006年から進めてきて、ほぼ1巡はしました。これは全部英語でやっているのですが、中国だけは中国語でやりました。
 3-5でお示ししているのが外国人向けの幹部研修ということで、これは日本に呼んでくる研修です。これは主に経営に触れる人、あるいは候補者の方々に、それぞれのビジネスの事例を話していただいて、当社の会長、あるいは社長とディスカッションする中で、グローバル共通にやっていくことと、各社、各グローバル企業が成長することをこういうやり方で展開をしております。そういう事例です。
 次に示してあるのが地域におけるローカル人財の育成ということで、これはグローバル共通にという部分のほかに、地域ごとに特徴がありますので、グローバル共通にやるエグゼクティブ層は別にして、それ以外のところは地域ごとにいろいろな育成施策を展開しており、これは中国の事例です。例えばグループ研修は2004年から始めて、データが古いのですが、2009年現在でも1,200名を超える人たちがこの日立グループ研修に参加しているという状態になっています。
 グループ採用も現地で展開されていて、日立グループ全体での合同採用をやっています。これは新人も経験者もやっており、2万人以上の応募者の中からロングリストからショートリストに展開してやっていくというやり方です。ノウハウについては、下にあるような処遇制度について、年々環境も法律も変わる中国において、どういう報酬サーベイをやっていって、どういう戦略で展開していくかということを、中国のHRの皆さんでシェアする。あるいは、ここ2年間ぐらい話題になっている中国の国家戦略の転換の中で、いろいろな労働争議が起きているわけで、そういうことを未然に防ぐようないろいろな労務施策についても、現地のローカルの中で共有していく。こんなこともやりながら、グローバル経営を推進していくということです。そのためには、ネットワークが必要だということです。
 まとめですが、冒頭の問題意識に戻りまして、私どもも日本の雇用、国内の雇用をどう維持するかというのが大きな観点で、あえて、タイムラインは示せないので示していないのですが、今日現在がいちばん左の棒グラフ、右側が例えば2020年とか、そのぐらいのイメージで捉えていただきたいのです。今日現在はやはり事業によって差はありますが、日本国内はミスマッチであるとか、余剰感が強いです。そういう中で、これは日立グループ内も含めて、先ほど言った採用縮減だとかOutplacement、こういうことをやっていかざるを得ないというのが正直なところです。
 一方で、この間においては、赤で示したほうはどんどん伸びてまいります。棒グラフの日本人人財、グローバル要員も、大体いま25%ぐらいしかいないのですが、これが40%、60%というように作っていくと。問題は、いちばん右のほうにどのように行くかというところなのです。先ほどの事例もあったように、グローバル化が進めば進むほど、日本人の雇用も増えてきているのだという統計データは正しいと思います。それはなぜかというと、我が社で言うと、海外はまだ投資の段階で、立上げの段階なのです。したがって、日本人財を、そこにたくさんかけていかざるを得ないということがあるので、日本人の雇用は増えていますし、その中でプロジェクトマネジメントの人財も、社外からどんどん採用していく。現地でも経験者を採用していくことも増えているので、そういう時期にあると思います。特にマルチナショナルなビジネスモデルにおいては、その時期を過ぎていくと、現地化がどんどん進んでいくということなので、マーケットにどのぐらい参入できるかという実行段階において、ここの線で示しているように、楽観的ないちばん上の線に行くか、悲観的ないちばん下の線に行くかによって、日本の雇用にも大きな影響が出るだろうというのが正直なところです。
 何としてもいちばん上に行きたいと思っていまして、私どもはソウルに行って、サムスン電子の人事担当役員と2日間、大議論をしてきたのですが、サムスンは韓国人の雇用は50%なのです。その中で海外売上高が90%を超えているのです。なぜそんなことができるのだという議論もしてきたのですが、はっきりとは言いませんが、明らかに違うのは、いま経済産業省にご努力いただいている、例えば法人税の実効税率の問題であるとか、あるいは最近また言われているユーティリティ、特に電気料金の問題であるとか、韓国政府がどのぐらい意図的にやっているかは存じませんが、結果としてのウォン安の問題であるとか、いまの私どもからすると、この線がどちらに行くかというのは、そういう面も本当に関心があるところです。国の皆さんとも大いに議論しながら、いちばん上の線に行けるように、何とかやっていきたいというのが今日の発表の趣旨です。ありがとうございました。
○樋口座長 すごく刺激的なお話で、どうもありがとうございました。ご質問をお願いします。
○佐藤委員 どうもありがとうございました。大変刺激的で勉強になりました。1つ伺いたいのは、スライドの19で、国内で新卒の育成も大事だけれども、時間のことを考えると経験者採用、あるいは外国人の採用という形で、特にグローバル人財を確保するためというお話があったのです。特に国内の経験者なのですが、1つは国内にいるのかどうか。つまり、マーケットにそういう経験者がいるのかどうか。ですから、いて採れるということと、いないのだけれども、少し経験ある人を採って育成するということを含めているのかです。もう1つは、採ったときに、そこは出したい企業がいて採れるのか、あるいは引き抜いてくるという感じで、日本全体では日立が採ると足りなくなるのか。経験者というのがどんな者を想定されているのか。あるいは、各社、大手がこうやったときに、たぶん日立さんだけではないと思うので、日本全体としてどういう影響があるのか、それをちょっと伺えればと思うのです。
○?日立製作所菅原副本部長 私ども日立グループの中で、いちばん経験者としてニーズが高いのが、ずばりと申し上げますと、例えば日揮さんでありますとか、東洋エンジニアリングさんでありますとか、海外でプロジェクトマネジメントを実際にやってこられた方、しかも新興国でということなのです。例えば日立の火力事業は、国内のマーケットも予定調和性が高いので、20年前から、1990年代の終わりには日本の需要がほぼなくなって、リプレイス市場しかなくなるというのは、もう見えていたのです。したがって、20年前からグローバルのいろいろな挑戦をしてきたのですが、必ずしもうまくいっていません。つまり、それはどういうことかというと、日本の中で、日立は発電の中でどういう役割を果たしているかというと、発電機器を電力供給者である電力会社、あるいは国の電力の政策に従って、必要な機器を開発してお納めするという役割しかやったことがないのです。そういう日立が海外に出ていったときにどういう受注モデルになるかというと、我々はEPCと呼んでいるのですが、エンジニアリングとプロキュアメントとコンストラクション込みなのです。最近では、それにオペレーションが加わっているのです。
 オペレーションというのは、いまの電力の例だと、電力会社の仕事も海外で日立がやれと言われる。これをやらないというのは、もうその入札に入れないのです。そんなプロジェクトマネジメントは日本だって難しいのに、アメリカの慣行の中で、コンストラクションの会社を、日立がプライムを取って、その下で牛耳るなんて、普通素人が考えたらあり得ないです。
 それが各地で起きていて、それは電力だけではなくて、一方で良いニュースとしてイギリスの鉄道事業のニュースも最近流されておりますが、イギリスの高速鉄道車両を日立が大量に取ったという話が出ているのですが、このモデルも実は先ほどのEPCに近いのです。発電所とは違うのですが、これも実はオペレーション契約まで、あるいはアフターサービス、つまり車両の補償まで日立がやるということでやっているので、車両を納めるだけではないのです。したがって、ここのリスクも取っているので、今後どうなるかわからないです。こういうことなのです。
 いま申し上げた事例でおわかりだと思うのですが、こういうことをまとめられる可能性が高い人がいるかいないかと言ったら、端的に言っていないのです。少ないのです。少ないけれども、いらっしゃいます。これは各社取合いになります。これが1つです。
 もう1つは、例えば制御系の技術者が、海外の中では日立のいちばん稼ぎどころという意味では多いのですが、こういう人たちは実は日本の中にいらっしゃるのです。ただ、分散しているのです。それぞれの企業はそれぞれの戦略がおありになるので、必要なのです。そういう人財をどこに集中するかというのは取合いです。雑駁ですが、以上です。
○鶴委員 貴重なお話をどうもありがとうございました。グローバル人財を考える場合に、先ほどちょっとお話があって、日本から人を出すと非常にコストがかかると。逆の裏の意味を言うと、これだけコストがかかっているのだから、しっかり外に出ていった場合は活躍してほしいという意味が込められていると思うのです。これは御社だけではなくて、ほかの企業も共通する部分はあると思うのですが、そのグローバル人財で活躍するために何が足りないのかということで、先ほどの配布資料?のいちばん最後に、いくつかの人財が現状不足している能力ということで、具体的にお書きになられていて、マネジメント、コミュニケーション、業務遂行ということがあるのです。
 それをやや敷衍するというか、細かく考えていった場合に、先ほど若手海外派遣プログラムをご紹介されて、そこにタフな経験を重視ということでお書きになられているというか、これを非常に重視されている。私はここで概要のご説明をお伺いしたときに、むしろ実際の企業の仕事よりも、NPOとかそれ以外とか、日立グループのお客様の所に行かれたりという、少し通常の研修とは違うようなものもここに入っていると理解したのです。逆に言うと、これがそういうタフな経験を積むのに役立っている部分があるのかとか、もう少し具体的なお話がわかれば、特にこういう部分が効果が出ているのだということを何かお話をお伺いできればと思います。
○?日立製作所菅原副本部長 まず、効果があるかないかということを結論から申し上げますと、昨年だけの例で非常に効果が出ていると私は感じています。もともとこのプログラムを開始するときに、100%うまくはいっておりませんが、数億円の投資をしてやっているものですから、若者たちに、「自らの意思で面白そうだからやってみたいという人間しか推薦するな」と。「上司が、こいつは優秀だからというだけで推薦するな」と、このようにできるだけやったのです。そういう人財しか活躍しませんというか、この価値を認めてくれません。逆に言うと、上司から「お前、ちょっとこういうのがあるから行ってこい」と言われて行った人が、「何の意味があるんですか。目的がよくわかりません」と言って帰ってきた人もいます。だから、そこのところは非常に大きな話なのです。逆に面白そうだから行ってみたいという人間はどのぐらい多いか、どのぐらいいるかというのが、この場ではないですが、文部科学省がやられているようなどんな人材を育成すべきかというところにつながってくるのだと思うのですが、そういうことかとは思います。でも、実はいます。世の中で言われているように、そんなにネガティブな人たちばかりではありません。そういう人たちが行くのが、まず前提です。
 そういう人たちがお客様の所に行くというのは確かにあるのです。実際にどこのお客様の所に行ったかという1つの例を言うと、UAEのお客様の所へ行くわけです。当然お客様の所へ行くわけですから、「何しに来たんだ」と。もちろん包括的には歓迎すると言ってくれるのですが、実際に職場に行くと「何しに来たんだ。お前、何ができるんだ」という話になるのですが、そういうところから帰るわけにいかないですから、「いや、私はこういうことで」と言って、入り込んでどうやって自分の価値を売り込むかということです。
 実際に2種類の人間が行って、1人はHRから出して、もう1人は中央研究所から出したのです。それぞれ持ち味を活かして、何とか2カ月の間に入り込んで、ある仕組みを提案して受け入れられて帰ってくるということをやってきたのです。だから、成果というのは目に見える成果ではなくて、そのプロセスにあると思っているのです。ただ、そう言ってしまうと身も蓋もないので、当然「成果に結び付けてこい」と我々は言うのですが、実際にはプロセスが大事だと思っています。
 あるいは、例えば中国に行って、語学研修中心なのですが、これは一方で語学を学ぶということは、私は文化を学ぶことだと思っておりますので、それをやりながら文化を学ぶ。中国人なら中国人の人たちと交流する。そのために、例えばクラブ活動、サークル活動を強制していたり、ボランティアを強制するのです。そうすると、社会の中に当然入っていかざるを得ないので、いろいろなことを見てくる、経験する。彼らの生活もわかってくる。1週間、2週間では経験できないものを、彼らは見てくる。それは当然、自分がそんな所へ行って本当にできるだろうかという面も見てくるのです。
 ですから、おそらくこれから先にこうやって行った人たちは、いまのところは効果はあるのですが、実際のところは、まだ打率があると思っています。研修としての価値が5割の打率があったとして、次に行くのは仕事で行くわけで、インドに行け、しかもインドの西ベンガル州に行けなんて言われて、「よし、行ってこよう」なんていうのは、たぶん打率がまた下がってくるのだと思うのです。ただ、これをやっておかないと、プールができないという考え方です。やりたいことはそういうことです。
○鶴委員 ありがとうございます。
○山川委員 非常に興味深いお話で、いまのご質問と若干関係あるのですが、2つ目の資料の最後の「人財の見える化」の量的アプローチに関して、不足している能力がマネジメント能力であるというご指摘があります。これはいったいどういう点で不足しているのか、あるいはどういう点が、特にグローバル人財という点から望まれるのか。いまの質問へのお答えで何となく見えてきたような気もするのですが、ご説明いただければと思います。
○?日立製作所菅原副本部長 ご質問いただいたので大変ありがたいのですが、これは先ほどまさに角野課長が報告された内容の中にもあったのです。遠回りで申し訳ないのですが、日本の高度成長期にどのような組織と組織機能を求めてやってきたかということを、ちょっと紹介したほうがいいと思うのです。私も1980年の入社なので、その時期を経験しておりませんので、半分想像ですが、日本のマーケットの拡大に乗って組織も拡大していくと。そうすると、専門分野にどんどん分けていって、はっきりと予定調和がいまよりは相対的に高い時代だったので、専門分野に組織を分けて、部分最適をやる。つまり、全体最適のリスクはありながらも、部分最適をそれぞれに追求するほうが全体最適に最も近付くという時代が長かったのです。いまの組織も実はそれから変わっていないのです。
 なので、部分最適の組織というのは、発想はあっても全体最適を設計できない難点があって、いまここで言っているのは、いちばん不足しているのはある1人の設計者、設計の課長とか、部長とかやっている人間、それも部分最適なのです。その部分最適をやっている人が急に、例えばインドなりインドネシアの会社の責任者なりナンバー2になって、経営しろと言われても、日本の経営すらやったことがないのです。そういう意味です。ですから、先ほど言ったのと少し見方が違うのです。
 つまり、私たち日立の中も、いま検討しているのは、いま申し上げたようなビジネスパラダイムが変わったときに、我々の組織なり人の役割をもう1回変えないといけないと。そのためには、極端に言うと、もう1回組織も人もスクランブルにして、縦に考えていたのを横に考えるとか、こういうことをやらないと、この問題は解決しないし、それをやっても10年はかかるかもしれませんが、というように感じています。
○樋口座長 最初の資料の26頁、これがすごく私にとっては刺激的な図であったのですが、「人員推移の仮説」というところです。左側が現在、75%は国内ですか。それが仮にということでしたが、2020年になると、右のような国内労働者40%と。これは先ほどご説明でもありましたように、矢印が60%から40%になるときがあって、上になるように頑張りますというお話だったと思うのです。これは日立さんのほうも頑張って、国内の人財を育てることによって、国内のところを増やそうということもあると思うのですが、外部環境として円高とか為替レートの影響が相当強いと考えていらっしゃるのか、あるいは法人税の話も出ました。そういった外部環境によって、これは相当変わりますという話なのか、もう変わるのは棒の長さだけだと。4対6というのは、これはもう比率は変わらないという、何となくそういう印象も受けたのですが、ちょっとその辺をご説明いただけますか。
○?日立製作所菅原副本部長 結論から申し上げますと、この4対6というのはたぶん変わりません。おそらく変わりません。いまご指摘いただいた円高の問題の例は、日立グループ平均的な数値で申し上げますと、直接材料費コストは70%ぐらいあるのです。したがって、それは付加価値を生まない部分です。かつて、まさに1985年のプラザ合意以降、ものづくり部門を海外にどんどんシフトせざるを得なかったといういちばんの要因は、そういうコスト構造にもあって、調達部品のインバランスを解消するというのが最大の目的で、最大の効果なのです。ですから、円高の問題は、いまでもものすごく影響は大きいのですが、かつてほどではありません。小さいと言うのはちょっと問題があるのですが、相対的に過去ほどではないと。
 それよりグローバル全体の売上げ規模を確保・拡大するという中で、一定の役割を占めるであろう日本に、どのぐらいの価値と仕事と人を残すことができるかというほうがよほど大きいと思います。つまり、そこの部分まで海外に持っていかなくてはいけないとすると、これは右の線にしかいかないと思います。実はそうなるリスクもありまして、例えばマザー工場という言葉がよく出てくると思うのです。ところが、日本がマザー工場化するというのは、なかなかやりにくくなってきた。部品の調達というのは、先ほど言った輸出のインバランスの問題もありますし、新興国は賢いですから、国内調達部品比率を定めて、国内調達比率70%以上とか、こうやるわけです。そうすると、部品がグローバル化すると、品質保証もグローバル化せざるを得ないので、その土地でしか設計できないのです。品質保証できない。
 そうすると、国内に残る分はもうちょっと上流の、研究とか、本当にプロタイピングの開発しか残れなくなってしまうという、1つの恐ろしい仮説があるのです。本当かどうかという検証をしないといけないし、本当だとしたらどうしなければいけないかということをしないといけない。
 もう1つ、研究はパテントの問題を私どもも非常に気にするので、ブラックボックス化、日本でしたいというのはあります。ありますが、その十分な人財は海外でも調達できそうな時代になってきてしまったというのがあります。それはアメリカとかヨーロッパということだけではなくて、例えばインド工科大学という1つの例を見ても、新興国の特徴というのはハイエンドな技術も持っているし、日本の50年前と同じ環境も持っているしというところなので、ハイエンドの人財というのは人口も多いし、絶対的な人たちがいるのです。ですから、その人たちを日本に連れてきてということだって可能性はありますし、もしかしたら、パテントの問題などをうまく処理できるのであれば、インドでなどという可能性だって出てきてしまっているという問題があります。
 ですから、いま申し上げたマザー工場の事例とハイエンドの研究事例というのは1つの例ですが、いま私がペシミスティックに考えると、そういうリスクも現に出てしまっているということだと思っています。
○樋口座長 もしかしたら、そのときには円高どころか、相当な円安に、ペシミスティックに考えるとなっているということも。
○?日立製作所菅原副本部長 不健全な円安になってしまうかもしれませんね。そうならないようにしなければいけないというのがテーマです。
○小杉委員 大きな話ではなくて小さな今の話ですが、例えばこの4,400人採用される人というのは、みんな今イメージされているグローバル人財要員なのですか。
○?日立製作所菅原副本部長 端的に申し上げますと、グローバル人財要員として採用をしております。どんな人を採用しているかというと、今の前提がはっきりしていなかったのですが、ホワイトカラーの一般的に総合職と呼ばれている人たちの数です。ブルーカラーとかクラリカルワークしている人たちは入っておりません。ただ、学歴は大学卒だけではありません。高校卒業の方もそこを目指す人もいますし、高専卒の方もいますし、専門学校の方もいらっしゃいます。その合計です。まず、それが前提です。
 これはグローバル要員の定義の問題になってくると思います。それこそ英語もネイティブで海外経験もあって、まさに海外にすぐ行ってできる人をグローバル要員と呼ぶのだったら、それは違います。その説明している意味というのは、スキルの問題です。典型的に代表されるスキルの問題は、私は必要条件だと思っていて、グローバル人財の十分条件だとは思っていないのです。十分条件というのは、先ほどの若手の育成のところのコンセプトとまさに同じで、日本にあっても、例えば価値観とか年代とか、まさにダイヴァースされた環境の中で仕事ができる人はグローバル要員の要素を持っていますし、そういう人たちがスキル、リテラシーをつけていくというのが私の目指しているグローバル要員なのです。
 ですから、入口はどっちからでもあります。語学なり海外帰国子女みたいな方も、もちろん入ってこられますが、語学だけできる人たちで、ちょっと私どもの採用基準に合わないという人たちで、失礼ながら採用できない方もたくさんいます。一方で、そういうスキル、リテラシーが低いのだけれども、この人はダイヴァースな環境の中でやれそうだと思う人も、たくさん採用しています。そういう人たちには、「入社するまで徹底的にやってこい」と発破を掛けていますし、会社に入ってからもそう申しますし、意欲があればそういう人たちに先ほどのような投資をしていくということです。ちょっとお答えになっているかどうかわかりませんが、いろいろな人が含まれています。
○樋口座長 予定している時間がまいりましたので、本日はここまでとさせていただきます。お二人の方、外部から来ていただきまして誠にありがとうございました。今後、お話を活かして研究会を取りまとめていきたいと考えております。次回以降について、事務局からお願いいたします。
○武田雇用政策課長補佐 ご説明申し上げます。次回の第6回雇用政策研究会ですが、6月20日(水)10時を予定しております。また、委員の皆様方には既にご連絡をさせていただきましたが、資料4で日程を付けております。第7回は7月6日(金)14時から、第8回は7月11日(水)16時から、第9回は7月23日、これは以前ご案内していた時間よりも1時間遅れて11時からを予定しております。なお、日立製作所様から提出された資料は、ご希望により回収いたしますので、机の上に置いたままにしていただければと思います。よろしくお願いします。
○?日立製作所菅原副本部長 ?1はお持ち帰りいただいて結構です。
○樋口座長 以上で終了します。本日、資料1の雇用政策研究会論点(案)について、時間がなく議論できませんでしたので、次回議論したいと思います。お目通しのほど、よろしくお願いいたします。本日の研究会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
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