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2012年5月17日 第1回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会麻しんに関する小委員会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成24年5月17日(木) 9:00〜11:00


○場所

専用第14会議室(22階)


○出席者

遠藤委員 岡部委員長 小森委員 竹田委員 多屋委員
中野委員 増田委員 皆川委員 南委員

○議題

(1)麻しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて
(2)その他

○議事

○結核感染症課長補佐(難波江) それでは定刻になりましたので、ただいまより第1回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会麻しんに関する小委員会を開催いたします。開会にあたりまして、外山健康局長よりご挨拶申し上げます。
○健康局長(外山) おはようございます。健康局長の外山でございます。委員の皆様、また参考人の皆様にはご多用中にもかかわらずご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろより麻しんをはじめ感染症対策の推進につきましてご指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 さて、麻しん対策につきましては、平成19年に策定されました麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、平成24年度までに国内からの麻しん排除を達成することを目標に対策を進めてまいりました。麻しんの排除に向けた取組につきましては、皆様方をはじめ関係者のご尽力によりまして、平成22年度の第1期の予防接種率が95%を超えるなど、着実に実施されてきておりまして、国内での患者数は平成19年には1万人以上でしたが、平成23年には400人程度と大幅に減少しております。しかしながら現時点ではWPROが定めます麻しんの排除の基準には達しておりませんで、さらなる対策の推進を検討する必要があると考えております。また、輸入例を発端とする事例の割合が増していることなど、直近の状況への対応も必要となってきております。
 麻しんに関する特定感染症予防指針は、少なくとも5年ごとに再検討することとされております。現行の指針の最終年に当たりまして、最近の麻しんをめぐる状況を踏まえ、今般、指針の再検討を行うため、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会の下に本委員会が設置されました。各委員の皆様におかれましては、麻しん排除に向けた対策について活発なご意見をいただきますことをお願いいたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。
○結核感染症課長補佐(難波江) 続きましては本日は第1回目ですので、委員のご紹介をさせていただきます。事務局より向かって中央にお座りいただいております、川崎市衛生研究所長の岡部信彦委員です。続きまして事務局に向かって右側、福島県県北保健福祉事務所長の遠藤幸男委員です。社団法人日本医師会常任理事の小森貴委員です。国立感染症研究所ウイルス第三部長の竹田誠委員です。国立感染症研究所感染症情報センター第三室長の多屋馨子委員です。続きまして向かって左側、川崎医科大学小児科学教授の中野貴司委員です。群馬県沼田市立沼田南中学校長の増田郁夫委員です。愛知県衛生研究所長の皆川洋子委員です。読売新聞東京本社編集局医療情報部長の南砂委員です。
 また、本日は参考人ということで2名のご出席をいただいております。国立感染症研究所感染症情報センターの島田智恵委員です。本日遅れておりますが、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康保健教育課の有賀学校保健対策専門官にもご出席いただく予定となっております。
 続きまして事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご挨拶させていただきました健康局長の右横、正林結核感染症課長です。向かって左側、結核感染症課予防接種室の飯野補佐です。結核感染症課、梅木課長補佐です。結核感染症課、喜多ワクチン対策専門官です。私、課長補佐をしております難波江でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。お手元、クリップ留めの資料ですが、2枚目に配付資料一覧があります。配付資料1-1「厚生科学審議会感染症分科会感染症部会麻しんに関する小委員会の設置について」。1-2「今後のスケジュール(案)」。2-1「麻しんに関する特定感染症予防指針(概要)」。2-2は、予防指針の本文です。3-1「麻しんおよび風しんの発生状況」。3-2「麻しんの検査診断の現状」。資料4-1「これまでの麻しん風しん対策について(厚生労働省)」。4-2「これまでの麻しん風しん対策について(文部科学省)」。資料4-3「麻しん風しんワクチンの接種状況について」。4-4「感染症流行予測調査」。5-1「麻しん対策推進会議における議論の概要」。最後に遠藤委員提出資料がございます。不足がありましたらお申し付けください。
 ここからは委員長に進行をお願いしようと思います。資料1-1にありますとおり、本委員会の委員長については、感染症部会長が指名することとなっております。感染症部会長より岡部委員とのご指名をいただいておりますので、岡部委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岡部委員長 先ほどご紹介いただきました川崎市衛生研究所の岡部です。どうぞよろしくお願いいたします。最初からここに座っていて申し訳なかったのですが、部会長からのご指名ということなので、お引き受けすることにいたしました。議事が限られた時間ですので、どうぞ進行にはご協力をよろしくお願いしたいと思います。
 ここの委員会では資料1-1に書いてありますが、副委員長は私が指名をするというようなルールになっているようですので、指名をさせていただきたいと思います。麻しん対策専門の先生方が多いのですが、長く臨床方面あるいは研究方面でこの分野にご造詣の深い川崎医大の中野先生に副委員長をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
                (意議なしの声)
○岡部委員長 ありがとうございます。それでは中野先生よろしくお願いいたします。それでは事務局から、ここからの進行その他についてよろしくお願いいたします。
○結核感染症課長補佐(難波江) 申し訳ございませんが、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは委員長よろしくお願いいたします。
○岡部委員長 それでは、この議事次第に従って議事を進行していきたいと思います。先ほど局長からもご説明がありましたように、麻しんの状況は確かに以前に比べると随分よくなっていまして、この特定予防指針ができた5年前と比べますと、本当にいろいろな擦った揉んだがあったと思うのですが、各方面で麻しんを少なくしよう、1例でも少なくしてゼロに近付けるということにご理解をいただいて、排除までもう一歩ではありますが500例を切って、450例も切っているというような状態にはなっています。もう一歩をどうするか、また特定指針には排除になったならばそれを確認していくということもありますので、それに向けてどのようにしていったらいいかというようなことが、この小委員会の主な目的であると思います。
 少し長くなりますが、特定感染症予防指針ですが、これはご存じのようにエイズ、結核、STD、インフルエンザ、これに加えて麻しんがあるのですが、我田引水のようですが、きちんとその計画に則ってここまで少なくなっているというのは、病気の性格ももちろんありますが、この麻しんについてこの指針がよく機能していたと思います。それをさらによく、きちんとそのエリミネーションを確認しながら、子どもたちから、子どもだけではなく人々からこの麻しんという病気から守ろうということについて引き続きやっていきたいと思いますので、議論もどうぞよろしくお願いいたします。
 今日の予定としては資料の説明を事務局からいただいたあと、フリーディスカッションという形にしたいと思います。多くの方は、この資料の内容については麻しんの検討会などでも発表されていますのでご存じだとは思いますが、初めての方もおいでになりますし、またリマインドをするのは何回やっても必要ですから、そのようなことで背景を確認した上で、これからの議論としてどういうことが重要かどうか、必要かどうか、そのようなことについて自由にご意見をいただいて、それをあとで事務局でまとめて、これからの課題、議論をしていく順番についてまとめて、次回につなぐということにしたいと思います。次回のスケジュール等々も含めて、資料について事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくどうぞ。
○結核感染症課長補佐(難波江) 資料1-1、本委員会の設置についてという文書です。「設置の趣旨」については先ほど局長の挨拶、委員長のご説明にあったとおりで、平成19年に設けられた指針に基づき対策が講じられてきましたが、かなり数は減ったけれども、麻しんの排除という目標はまだ達成できていない状況にあります。もともとこの指針は5年ごとに再検討を加えて、必要があると認めるときは変更することとされておりまして、この規定に基づき厚生科学審議会運営規定第8条によりまして、感染症分科会の下に設置されたものです。
 2番目、「委員」は裏にありますが、別紙のとおりとするとなっております。委員長は部会長指名、副委員長は委員長が指名できることとする。必要に応じて参考人を招集できることとする。「その他」の規定として、委員会の議事は原則公開とする。委員会の庶務は、結核感染症課が行うこととするとされております。
 続きまして資料1-2です。この指針の見直しのスケジュール(案)です。まず本日、小委員会第1回目を開催し、その後、委員会を数回開催して、9月ごろを目途にこの委員会に指針の見直しについてご意見をまとめていただき、親部会である感染症部会にそのご報告をいただきます。そこでの審議を踏まえましてパブリックコメント等を経て、年度内には新しい指針の告示ができればと考えております。
○結核感染症課長補佐(梅木) 続きまして資料2-1「麻しんに関する特定感染症予防指針について(概要)」について説明いたします。平成19年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」、及び「予防接種法」の規定に基づき、「麻しんに関する特定感染症予防指針」が策定されました。その背景となっているのが、同年10代及び20代を中心とした年齢層で、麻しんの流行が生じ、多数の学校が休校措置を行うなど、社会的な混乱がみられました。こうした事態に対応するために、国として麻しんに関する特定感染症予防指針を大臣告示として策定しました。また、本指針は少なくとも5年ごとに再検討を加えることとされており、平成19年に策定されてから、5年経過するたびに再検討を行う必要があります。
 本指針の構成と主な内容です。構成については前文がありまして、本文として第一「目標」、第二「原因の究明」、第三「発生の予防及びまん延の防止」、第四「医療の提供」、第五「研究開発の推進」、第六「国際的な連携」、第七「評価及び推進体制の確立」の7項目となっております。概要については以上です。
 続いて資料2-2、指針の本文に移ります。少しかい摘まんで説明をさせていただきます。前文ですが、なぜこのような特定感染症予防指針を立てなければならないのかという理由について、平成19年に大流行が起こったということを書いております。「一方」という段落がありまして、その1項について、本頁のいちばん下の行から次の頁にかけてになりますが、平成24年度までに麻しんを排除し、その後も排除状態を維持していくことを目標とし、そのために地方公共団体、医療関係者、教育関係者等が連携し、取り組んでいくべき施策について新たな方向性を示したものであり、本指針については少なくとも5年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときにはこれを変更していくものであると書かせていただいております。
 本文に移ります。第一「目標」。平成24年度までに麻しん排除を達成し、かつ、その後も麻しんの排除状態を維持することを目標と掲げております。
 第二「原因の究明」については、二において全数報告をしようということです。三については、症状の診断ではなく検査室で確定診断をしたものを報告する。ただし、平成19年時点ではまだ発生患者数が多く難しいということで、麻しんの患者数が減少した場合にはそうするもの、そういう予定であるということが書いてあります。またそのことについて、四において医師会等と連携をするということを書かせていただいています。五においては、麻しんの流行におけるしっかりとした積極的疫学的調査をする。そして、そのための人員要請を行うということが書いてあります。
 第三「発生の予防及びまん延の防止」です。ここは定期接種として経過措置として5年間、中1と高3に相当する年齢の者に2回目の接種の機会を与えるということを真ん中の下、三の1で書いており、それを実施する際になるべく円滑にいくように、また接種率が上がるようにするようにやらなければいけないということを以下のように書いております。三の2では個別の通知等、確実な接種勧奨を行うようにする。
 4頁、三の3では、文部科学省と連携をして定期の健康診断等を利用できるようにすること。三の4、保護者同伴要件の一定条件下での緩和等、予防接種を受けやすい環境づくりの徹底。三の5については、試薬やワクチンの確保。使用するワクチンとしては、原則として「麻しん風しんも含んだ麻しん風しんワクチン」とすることが望ましいということ。四については、麻しんに罹患すると重症化しやすい者と接触する機会の多いプロフェッショナルな職種の方々等に対して、予防接種の推奨を行う必要がある。そして、その推奨のために日本医師会等の関係団体に協力を求めるということ。5頁の真ん中の五については、情報提供をしっかり行っていくということです。
 6頁の第四「医療の提供」についてです。麻しんのように感染力が極めて強く、稀に重症化のおそれがある感染症については、早期発見、早期治療が特に重要であること。そのために医師に流行情報などの必要な情報提供であるとか、国民に対しても当該疾病に罹患した際の初期症状や早期にとるべき対応について、広く周知することが望ましいということを書かせていただいております。二について、積極的な情報提供、普及啓発等について書かせていただいています。
 第五「研究開発の推進」です。二、現行の麻しんワクチンは非常に効果の高いワクチンの1つとされていますが、今後の使用状況等を考慮し、国が必要に応じ研究開発を推進していくものとすること。また、これらの研究の成果は的確に評価する体制を整備し、情報公開を積極的に行うことが重要であること。三、予防接種歴の確認が容易になるソフトウェアを感染研において開発、提供及び利用促進をするということが書いてあります。
 7頁真ん中、第六「国際的な連携」です。一、国は世界保健機関をはじめとする関係国際機関との連携を強化し、情報交換等を積極的に行うことにより、世界的な麻しんの発生動向の把握、麻しんを排除した達成国の施策の研究等に努め、我が国の麻しん対策の充実を図っていくこと。二においては、世界保健機関において2回の予防接種においてそれぞれ接種率95%の達成目標を掲げられているほか、世界保健機関西太平洋地域事務局においては、2012年までに同地域の麻しんの排除を目標と掲げており、我が国も同目標達成のために必要な対策を講じるものとするということを書かせていただいております。
 最後の第七「評価及び推進体制の確立」です。二に、国において「麻しん対策委員会」、現在の名前としては麻しん対策推進会議となっていますが、を設置し、施策の実施状況を毎年評価、公表し、必要に応じ施策の見直しを含めた積極的な対応を講ずること。
 8頁です。三、都道府県はそれぞれに麻しん対策の会議を設置し、発生動向、予防接種の接種率及び副反応の発生事例等を把握し、地域における施策の進捗状況を評価する。また、厚生労働省は麻しん対策の会議が施策の進捗状況を把握するために、当該会議が学校などから必要な情報を得られるよう、文部科学省に協力を求めること。四については、厚生労働省は迅速に予防接種の接種率を把握するために、都道府県知事に対し情報提供を依頼し、文部科学省に対し学校の臨時休業の情報の依頼をする。また2については、予防接種により生じた重篤な副反応の情報等を迅速に把握するための仕組みの構築を関係機関等と連携して、ということを書かせていただいています。
 以上が特定感染症予防指針の概要です。
○健康局長 追加いたします。資料1-2の見直しスケジュールのところですが、感染症部会での審議を経てパブリックコメントを実施と説明がありましたが、この小委員会の設置、感染症部会での審議も、指針を変更する場合にはあくまでも感染症法に基づきまして、国は厚生労働大臣は厚生科学審議会の意見を聞かなくてはならないという付議規定が、感染症法の第11条の第2項にあるものですから、感染症部会の審議のあとで、形式的には厚生労働省の指針の告示案を厚生労働省で作ってお出しして、それに対して最終的なご意見を伺うという形がステップとして入るものですから、その点をちょっと強調しておきたいと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。プロセスについて補足的な説明もいただいたのですが、主にスケジュールと、この会の設置目的と、特定感染症予防指針のここがいちばん課題になっているところですが、この概要のご説明をいただきました。5年前に書いたものが、先ほど申し上げましたように、かなり具体的なところが一つずつ実現されて実行されているのではないかと思うのですが、その結果としても麻しん報告数は少なくなっていますが、いろいろ戦略として足りない部分が今後出てくるだろうと思われます。具体的なこれからの提言や対策についてはフリーディスカッションの中でおっしゃっていただければと思うのですが、まずはいまの事務局のご説明に対する質問ということで何かございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いまのところはよろしいですか。
 それではあとでまとめてこれの意見を伺うということにしまして、次に具体的な現在の麻しんの背景等についてのご説明をいただきたいと思います。最初が資料3-1「麻しんおよび風しんの発生状況」。これは麻しんに対する小委員会ではありますが、この特定指針のところにも、この風しんに対する免疫を保有していない者が一定程度おり、流行を阻止できない可能性が指摘されているところから、風しん対策の観点も考慮というのがありますので、風しんもこの中でひとつ取り上げてやる。ただ、中心はあくまでも麻しんですが、そういうわけで風しんも一緒に入っているので、風しんの背景も含めて島田参考人どうぞよろしくお願いいたします。
○島田参考人 よろしくお願いします。資料3-1のスライドです。本日の内容はこのようになっていますが、時間も限られておりますので、最初にこれらの発生動向の結果と申しますか、所見と申しますか、その特徴を申し上げたいと思います。
 まず、麻しんについて3つあります。1つは報告数全体の中で成人の占める割合が増加していること。2つ目は地域流行がまだ観察されている。つまり、麻しんウイルスに対する感受性者が一定数存在すると思われること。3つ目は、検査結果に対する判断について問題点が明らかになったことです。風しんについては、昨年に引き続き地域流行が認められておりまして、先天性風しん症候群のリスクが高まっていることです。以上が所見のまとめになりますが、あとかいつまんでご説明申し上げます。
 2枚目。これは先ほど事務局からの紹介もありましたが、以前、特定感染症予防指針が発出される前は定点報告疾患だったのですが、そのころの推移になります。その当時は全国約3,000からの小児科定点からの報告数と、あと全国基幹定点、約450からの成人麻しんとしての報告がある状態でした。
 2008年から全数報告疾患になりまして、それ以降、2011年までの経過がこのようになっています。2008年には10代を中心とした大きな流行がまだ認められましたが、2009年以降は順調に減少していまして、2011年は434例という状況でした。
 2012年の状況は、詳しくは当センターのホームページ上でも情報提供をしていますが、スライド3枚目の裏になります。累積報告数の週別の推移はご覧のようになっています。2011年、434、四角の折れ線のほうですが、これは人口100万単位にすると3.8という状況でした。2012年は18週までで、これが5月9日現在になりますが112例となっています。赤い線が今年の部分です。昨年の3月、4月の立ち上がりのような流行がなければ、順調にいけば200例を切るような報告数になる可能性もあるかと思います。
 6頁、7頁は「都道府県別人口百万対麻しん報告数」の推移です。2009年から2011年までを示していますが、全体の報告数の減少とも合わせまして、都道府県別麻しんの報告数が十分少ない数とする指標です。人口100万人当たり1という数を切る自治体が年々増えていることがわかると思います。
 8頁、これは昨年の「年齢別接種歴別麻しん累積報告数」になります。これは2008年には10代に大きな山があったのですが、2009年以降は昨年と大体同じような傾向になっています。昨年は右の円グラフに示してありますように、20代以上が約半分の47%を占める状況でした。
 年齢群別の割合に関しては、次のスライドに推移を示してあります。2008年からの推移を見ますと、2008年は青いところで、10代の症例が約40%中心だったのですが、2009年以降は、この年代は約15%で推移するようになっています。これは第3期、4期の定期接種の効果も反映されていると思われます。一方、20代以上の成人が占める割合は年々増加しています。
 接種歴別の推移では、接種歴のない症例の割合が増加しています。各年ごとに1回接種のある症例も目立ちますが、これについては昨年の報告例で少し詳細を述べたいと思います。
 8頁に戻りますが、ワクチンの効果が十分に残っていると期待できるにもかかわらず、1回接種歴のある症例の割合が比較的多い5歳以下について示しています。この年齢層で1回接種歴のある症例は、上に示してありますように63例でした。このうち10例は接種から4週以内に発症したと報告されていまして、麻しんワクチンが感染に間に合わなかった、またはワクチンそのものの反応で、麻しん様症状が出た可能性のある症例が含まれていると思われます。同様にこの63例中、下に*で示してありますが、このような確実な検査診断が行われたものは、わずか4例にとどまっていました。残りの症例の中には、ほかの発疹性疾患の可能性もあると言われているIgM抗体価が弱陽性を根拠とする検査診断例や、PCR陰性もしくはIgM検査が陰性の結果を受けて、臨床診断例として報告例として残したという症例なども含まれています。これは検査診断が行われる割合が増えることで明らかになってきた、検査の結果の判断についての問題点といえると思います。
 その検査診断についてですが、11頁は「病型別麻しん報告数割合」です。これは、臨床診断例と修飾麻しんを含めた検査診断例の割合の推移を表わしています。特に2010年の11月にPCR検査を中心とする検査診断を推奨する厚生労働省からの通知が出まして、それ以降、かなりPCR検査を中心に検査診断が行われるようになっています。実際に2011年は検査診断例が311例あったわけですが、そのうちの41%に当たる128例でウイルス検出、PCRまたは分離がなされておりました。今年はまだ18週までの結果ですが、検査診断例91例中54例、約60%にウイルス検出、PCRまたは分離が行われている状況です。このようにウイルス検出が多く実施されることによって、遺伝子型別の検出状況がより把握できるようになりました。
 スライド13枚目になります。遺伝子型別の検出状況です。上が2006年から2008年まで、下に移りまして、スケールが4分の1になっていますが、下が2008年から2012年3月までの結果です。これで分かりますように、2008年まで主流であったD5型は2010年5月を最後に検出されておりません。2011年、また、今年に入って遺伝子型が判明した症例はすべて海外で流行している遺伝子型であるD4、D8、またはD9などでした。ただし、もともとはD5も海外由来のものであったものが、その後、日本で定着してしまい、流行の中心となったものです。今後、D4などの海外由来のウイルスが国内で感染拡大しないよう、かつてのD5のように定着しないように、国内の麻しんの感受性者、つまり、未接種、未罹患者を十分に少なくすることが重要だと思います。
 次のスライドです。ワクチンが広く用いられる前は、例えば麻しんのようなものでしょうと、広く誰もが一度は経験するものの代名詞のように言われていました。確かにその部分はあり得るのですが、誰もが軽く済む感染症では決してありません。麻しんの重篤な合併症の1つに脳炎がありますが、これは教科書的には麻しんの患者さん1,000人につき1人ぐらいの割合で発生するといわれています。実際に1万1,000人の症例が報告された2008年には、9例の麻しんの脳炎の合併例の報告がありました。また、2009年から2012年にかけて累計では1,000人を超えるような状況ですが、2012年には1例、30代の男性の報告がありました。ご覧になりますように、成人の患者さんの中では脳炎の合併率が高いということが推察されると思います。
 次のスライドからは世界の状況になります。海外では日本以上に麻しんが流行している国が少なくありません。17頁、18頁の表でもおわかりになりますように、日本よりも流行している国には、旅行先として人気のあるヨーロッパや、近いのでよく旅行者が行かれている東南アジアなども含まれております。海外旅行の前にMRワクチンの接種の必要性も認識していただくことが重要かなと思います。
 風しんの発生状況に移ります。21頁です。これも麻しんと同様に、定点当たりの報告数の推移を示してあります。風しんは麻しんよりも不顕性感染も多いこともあって、2000年以降、定点ではなかなか拾えないくらいの報告数となっていました。
 次の頁が、全数報告疾患になった2008年以降の推移です。2008年も麻しんが1万1,000を超えたことを考えると、かなり低い数ではありました。それ以降、2010年までは順調に報告数が減っていたのですが、昨年は一部の地域で、例えば職場内での流行があったりとか、施設内での流行が報告されるように、地域流行などが報告された年で、2008年以降では最多の年になりました。
 2012年はどうかといいますと、次のスライドの23頁になります。これは週別の累積の報告数の推移を示していますが、赤い折れ線が今年で、紫にばってんの折れ線が昨年、全数報告疾患になって以降、最多であった2011年になります。昨年の同時期の2倍の発生で推移している状況です。
 これを都道府県別に人口100万対の報告数に直すと、次のスライドのように、上が昨年で下が今年、これが15週までの報告ですが、このような状態になっています。昨年は福岡、大阪、神奈川などが職場などでの流行が報告されていましたが、今年は関西地域、兵庫県、大阪を中心に患者数が多く報告されている状況です。また、福岡県など、それ以外の地域からもそうだったのですが、例えば職場で感染してきた夫から感染した妊婦さんという症例も複数報告されています。
 次のスライド。25頁です。これは今年ですが、昨年も大体同じような傾向でした。今年の15週までの症例で、男女別、年齢別にワクチン接種歴で見た報告数です。左が男性、右が女性になります。これをご覧になってわかりますように、圧倒的に成人男性が多いことがわかります。女性は30歳から今年49歳になる年代までは、中学生のときに補足的に定期接種があった年代です。この年代は確かに、かなり発生が抑えられていることがわかるかと思います。
 風しんそのものは麻しんに比べると軽症で済むことの多い、また不顕性感染も多い感染症なのですが、いちばんの問題点は妊婦さんに感染してしまうと、その胎児に感染して先天性風しん症候群が発生するおそれがあるということです。先天性風しん症候群も全数報告疾患ですが、1999年から今年5月現在までに報告されている先天性風しん症候群の表が26頁にあります。昨年もベトナムで感染した妊婦さんからの報告がありました。先ほど申し上げた妊婦さんの風しんの症例です。そのあと、その経過がどうなったかは発生動向調査ではまだ確認できていない状況です。以上です。
 「まとめ」です。繰り返しになりますが、全体としては報告数が少なくなって、発生数が十分少なくなっている自治体も増加しています。一方で、報告数の中で成人の占める割合が増加しています。また、検査診断、PCR検査などの検査診断を行う環境が整ってきたことで、以前、主流であったD5という遺伝子型はもう検出されていないという状況もわかってきましたが、一方で、いわゆる輸入例といわれているそのほかの遺伝子型ですが、これが入ってきたときに、まだその地域で流行してしまう様子も窺われます。今後、海外由来型を国内に定着させないためにも、予防接種の徹底が必要であると思われました。また、診断方法や検査結果の判断の基準についても、問題が明らかになっています。
 風しんについては、今年も引き続き流行が懸念される、先天性風しん症候群発生のリスクが高まっているといえると思います。以上です。
○岡部委員長 どうもありがとうございました。現状ということでご説明をいただいて、昨年よりは麻しんについてはよくなっている、風しんは少し増えている状況にあるといったようなことですが、国内で流行していた麻しんウイルスD5は、一応見つからなくなっているということですから、国内のウイルスはいなくなったと言っていいと思うのですが、ただ、海外からのウイルスが定着してしまうと元の木阿弥になってしまうので、そこに対する注意が必要です。検査診断はあとで竹田委員からも述べていただきますが、いままでの状況について何かご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○中野委員 資料15頁の修飾麻しんの脳炎合併例について、教えていただきたいことがございます。と申しますのは、麻しんが成人で重篤合併症が多いというのは、もちろんテキストにも書いてございますが、世界中のいろいろなデータを見て、中枢神経合併が多いかどうかというところまで、言及している具体的データはないと思うのです。この2008年3例、2012年1例で4例あるわけで、もし、成人で修飾麻しんであっても中枢神経合併例が多いのであれば、大切な情報だと思うことが1点です。その重篤度、予後がどうなのか、転機が残念ながら4例ともわかっていないのですが、できれば転機がわかるといいなと思いました。
 もう1点は、接種歴が不明3例、無し1例となっていますので、成人なので修飾麻しんであれば乳児の母親からの移行抗体がある場合の修飾麻しんとは話が違いますので、接種歴無しで修飾麻しんであったということが、どういうことであったのかなと。もっと申し上げれば、この人が本当に麻しんであったのかというところもデータとしては、サーベイランスはとても大事だと思うので、そのような気がいたしました。以上です。
○島田参考人 ご指摘の点、もっともだと思います。ただ、これはいつも発生動向調査、感染症法の下のサーベイランスの限界でもあるのですが、感染症法が求める報告以上に情報を取ることが非常に難しい場合があります。例えばこういう症例が出たときは、こちらも気をつけて問合せをするのですが、5類疾患なので、患者さんの名前とか、個人を特定するような情報が、発生動向の届出には含まれていません。もともと断わられたり、問合せをしても「いや、もうこれ以上、情報はありませんよ」と言われたりすることもあります。また転機も同じように、必ず問合せをするようにしていますが、その中で返事が帰ってきたのがこの4例ということになりまして、そのうちの1例は高次脳機能障害が残ったことになります。
 同じ理由で、例えば本当に麻しんですかというのは、特に2008年は検査診断、例えばウイルス分離、PCR検査をする環境がまだ十分には整っていなかったので、こちらの症例の中でPCR検査をされている、もしくは分離をされている症例はたしかなかったように思います。そこは感染動向調査の結果の限界ということだと思います。
○中野委員 ありがとうございます。これだけのデータでも、本当に一生懸命集めていただいているのだなと私も理解できます。おそらく麻しん排除というのは、天然痘根絶と違って、ワクチンもサーベイランスもまだやめることはできないと思うのです。そうなりますと、今後5年間どう考えるかは、サーベイランスとワクチンをどう続けていくかという話になるので、今後の方向に向けて大切なことだと思ったので、コメントをさせていただきました。ありがとうございます。
○岡部委員長 ほかにはいかがでしょうか。
○小森委員 素朴な疑問で大変恐縮でございますが、D5の株がほぼ消滅をしてきて、海外移入と思われるD4あるいはD8等が多くなってきているということですが、現在のMRワクチンにおいて、その株に対する効果についてはもう十二分に検証されて、ほかの株についても十分な効果があるというお考えなのでしょうか。
○岡部委員長 これは竹田委員からお答えいただいたほうがいいと思いますので、竹田先生お願いいたします。
○竹田委員 十分検証されていると思います。全くどの株にも問題ありません。効果があります。
○岡部委員長 いろいろなところでご質問をいただくので、もっともなご質問なのですが、ウイルスのほうの遺伝子型が変わっていたとしても、いまのワクチンに関しては、少なくとも現状では大丈夫であるということが科学的に検証されているということですので、そこは安心していまのワクチンを使える。ただし、これが10年、20年、30年になるとわからないので、そこはきちんとやっていかなければいけないだろうと思います。ほかはいかがでしょうか。 
○遠藤委員 先ほど中野先生がおっしゃった修飾麻しんに関するお話なのですが、麻しん疑いの検体を実際にウイルスのPCR検査、ウイルス検査をかけた5例の症例が福島県でありまして、その5例のうち1例だけウイルスは発見されなかったのですが、その中にはヘルペスウイルスとか、パルボウイルス、そしてIgM抗体が少し上がるような突発性発疹とか入っておりましたので、きちんとPCRを検査することの意義が福島県の衛研で検査したデータからもわかるということで、追加発言をさせていただきました。
○岡部委員長 ありがとうございました。あとで麻しんウイルスの状況については竹田委員からご説明いただきますが、皆川先生のおられる愛知もそうですし、私が異動した川崎もそうですし、いろいろな衛生研究所で検体が搬入されて、どのぐらいが陰性になったかというのは現在は表にあまり出ていないのですが、実は陰性例がたくさん出ているということなので、この辺のデータも今後のこととしては入れていく必要があるのではないかと思うのですが。島田先生、何かその辺はありますか。
○島田参考人 麻しんは排除に向けるということで、特別扱いではないのですが、発生動向調査でも、一旦、臨床診断例として疑った症例を1回登録していただいて、検査診断で陰性ということがわかれば取り下げていただくことも、ご協力いただくことがあります。それは登録上は削除例と申しますが、その削除例は年々増えていまして、今年はここに示したように、これまでにもうすでに112例ありますが、その倍以上の削除例が登録されている状況です。これも検査診断の環境が整ってきた結果だと思います。
○岡部委員長 この間の麻しん検討会でも、この取下げのことについては話題が出たのですが、臨床診断で行ったものが検査診断で否定されたような場合に、これは決して医療側を責めるとか、間違っているではないかということではなくて、きちんと診断しているかどうかということで、むしろきちんとやっているということの証明なので、臨床の先生方にも、取下げは決して恥ずかしいとか変なことではなくて、科学的にいろいろな検証を加えた結果であるということを強調しておこうというのも、この間の検討会の結論であったように思います。地域で、臨床の先生方にも丁寧な説明がその点必要ではないかというようには思います。今回は、きちんとやってみると陰性例が増えてきている、というような状況も併せてご説明をいただきました。
 ほかに何かご質問がありますか。それでは、検査診断のこともあるので、いまのことも踏まえて、竹田委員から麻しんの検査診断の現状についてということで、ご説明をお願いします。
○竹田委員 よろしくお願いいたします。検査診断という視点でお話させていただきます。「麻しん排除計画の世界的背景と行動計画」ということで、少し背景をお話させていただきます。
 2000年ごろは世界の小児死亡のうちの4%が麻しんが原因であったということで、国連の総会で「ミレニアム開発目標」という8個の目標が上げられまして、その4番目が小児の死亡率を減少させるということ。その中のインディケーターとして、麻しんの予防接種率が掲げられたことが、一つ麻しん対策が大きく推進され始めた理由ではないだろうかと私は理解をしています。そして、本年もいくつか目標、そのための戦略がWHOを中心として掲げられて、より一層推進していくことが決まっております。
 次のスライド。WHOの「麻しん排除へ向けての進展モニタリング」についてのWHOの考え方を、私がポンチ絵にしたものです。麻しん排除というのは、「12カ月以上にわたりその地域の流行株による麻しんの伝搬がないこと」というように定義されています。それを質の高いサーベイランスで証明するということになります。そのサーベイランスの質を保証するために検査が重要で、精度管理された検査室によって麻しんウイルスを検出したり、実験室検査をする背景の下で実験・検査診断が行われます。
 次のスライド。その麻しんウイルスの検出や実験室検査の確認というのは、どの程度やるのかということが、1つ書いています。80%以上の麻しん症例においてやらなければならないとか、流行があったらその流行のうちの80%の流行では、麻しんウイルスを検出して遺伝子型等を調べなければならない、ということをWHOでまとめております。
 次のスライド。「麻しん検査診断実施の根拠となる法律、通知等」についてまとめてみました。もちろんいちばん大本にありますのは、いちばん上の感染症法。そこに麻しんは全例届出、また、届出基準が書いてあります。麻しんに関する特定感染症予防指針については、先ほどご紹介があったとおりです。平成21年1月15日に、検査診断をしっかりとしてくださいという事務連絡が厚生労働省から出ております。平成22年、麻しん検査診断についての通知を出していただきまして、臨床検体をしっかり確保して、患者の検体の提出、遺伝子検査等を積極的に推進するようにという通知が出されました。それを受けまして、全国の自治体でかなり熱心に検査が行われるようになりました。
 次のスライド。これも少しポンチ絵にしましたが、現在、我が国ではいちばんベースにあります感染症法、また特定感染症予防指針によって、麻しんと診断したら全部届け出るように決まっています。そのときに、通知によりまして、麻しん患者の臨床検体を可能な限り確保して遺伝子検査を実施するように、また管内の医療機関への患者検体の提出依頼を積極的にするように通知が出されています。その上で医療機関は、麻しんを診断しましたら全例届け出て、なお検体も保健所へ提出する。そして、保健所と地衛研が連携をとって、きちんとウイルス遺伝子検査をすることが定められております。
 次のスライド。それは麻しんと診断された、麻しんの届出基準に合致したものの話です。実際の臨床の現場では、麻しんを疑った、もしくは、それほどは疑っていないけれども鑑別する必要があった、というような症例はたくさんあります。黒くしているところですが、そういうものの多くは民間検査によって血清学的検査(IgM ELISA検査)がかなりの数行われています。そのうちの一部のものが麻しんと診断されて、先ほどの流れに乗るような枠組みになっています。
 次のスライド。「全国地方衛生研究所の体制と検査の状況について」、厚生労働省の研究班でまとめられたものです。実際そういう検査が地衛研のどれほど負担になっているか、実施できているかということです。平成22年にまとめていただいたときには、技術的にはほぼ全部の地方衛生研究所が、そういうPCR検査ができるけれども、全例をやるのには人員、予算等に無理があるということを言われていたのですが、昨年度の報告書をいただきまして、実際には患者数は激減したので、ほぼこのような検査は混乱なく全国の地方衛生研究所で実施できているというようにご報告いただいています。
 次のスライド。実際どのようなデータが出ているかということです。2008年から2012年まで、麻しん報告数の下に実際に遺伝子検出されたウイルスの数を出しています。患者数は大幅に減っていますが、そのうちの4分の1、あるいは3分の1ぐらいが現在PCRでウイルス検出がされています。遺伝子型については後のスライドでお話したいと思います。
 次のスライド。これも厚生労働省の班でまとめさせていただいたものです。先ほどは陽性と出た数ですが、実際に検査された数はその10倍もしくは数十倍の数が総検査数として出していますが、調査した範囲では910例検査されて、43例の陽性例が見つかっています。ここにはすべて網羅できているわけではないので、ほかにも検査されている自治体があるかと思います。
 次のスライド。このような検査を推進する上で、衛生微生物技術協議会の麻しん風しんレファレンスセンター、10カ所の地方衛生研究所にご尽力いただいて、中心となって活動をしていただいております。
 次のスライド。遺伝子型について時々誤解がありますので、それについて説明させていただきます。麻しんウイルスというのは、インフルエンザウイルスのように血清型に多様性はありません。病原性などウイルス株ごとの性質もほぼ一様で、遺伝子型が異なってもウイルスとしては全く違いはありません。遺伝子型とは何かといいますと、ウイルス遺伝子の塩基配列の極わずかな違いからウイルス株を分類したもので、流行経路を明らかにするために有用であるということで用いております。
 次のスライド。これは何を示したものかといいますと、免疫保有率が上がって麻しんの流行がぐっと抑えられると、遺伝子型を検査すると、海外からの株が増えて、しかも、さまざまな遺伝子型が増えてくるということが分かっております。
 次のスライドは島田先生のスライドですが、これは本当に患者が減ってきたというスライドです。
 次のスライド。「2006年以降わが国で検出された麻疹ウイルスの遺伝子型分類」です。これが示しているのは、やはり患者数が減ってきて、遺伝子型のバリエーションが増えて、さらにそのほとんどのものが海外からの輸入株、しかもさまざまな所から入ってきた株であるということが明らかになってまいりました。
 次のスライド。より簡単に書いたものですが、「日本の麻疹ウイルス流行株の変遷」。このように以前の株が消えて、たくさんの株が増えてきている。これはある意味、排除に向かっているということの大きな指標にもなります。
 次のスライド。系統樹というものを書いたものです。ただ、例えば「D9」という株が流行っていますが、よく言われるのは、昔もD9があったら、D9が入ってきたら昔のか今のかわからないではないかと言われますが、実際には遺伝子塩基配列を解析して、このように系統樹を書くと、D9の株でも新しいものであるのか以前のものであるのかということは、ある程度の判別がつくということを示したものです。
 次のスライド。「実験室診断の向上のための課題」です。これは先ほど示しました図と似たものですが、麻しんを疑った症例の多くのものはIgM ELISAの検査が民間で行われます。そのうちの陽性例のものが、少なくとも麻しん患者として届けられるのですが、問題点としては、偽陽性例は実はたくさんありまして、そのうちのものは麻しんと判断されて発生届出がされている現状があります。この偽陽性例として届けられてしまうもの、それから、きちんと偽陽性と判断されて排除されるものの、この比率はいまのところ分かっていませんが、現実にはかなりのものは、やはり間違って麻しんと届けられているというふうに考えています。
 最後のスライド。「検査診断における今後の課題」です。最も重要なことは、麻しん患者数の発生を少なく維持することです。次としては届出と検体の提出が確実に実施されるようにすること。血清診断の偽陽性による誤診をなくすこと。ウイルス遺伝子検出の精度、感度の維持ならびに向上に努めることと考えております。以上です。
○岡部委員長 ありがとうございました。先ほどの島田先生の発表のところにもあったように、しばらく国内流行株であったD5がなくなっているという状況です。よく発生動向調査ですと、レポートされていない例が多いのではないかということが言われます。確かにそういうのもあるのかもしれませんが、検査診断例がもう少し増えてくると、逆にいまの報告例はもっと下がってきている可能性がある。つまり、疑い例でその辺は確認されていないのがまだもう少しあるというところなので、きちんとした実験室診断は国際的にも求められているところなのです。
 この中には衛生研究所という言葉が随分たくさん入ってきています。これは私もいまいる所なのですが、そういう検査のベースになっているのは、衛生研究所が検査をきちんとできている体制も整ってきたということですが、皆川先生、この辺、地方衛生研究所として何か補足がありますか。
○皆川委員 愛知県は今年もすでに私どもの検査だけで26例の陽性例が出ているような状況ですが、実験室診断について補足させていただきますと、麻しんの遺伝子診断とIgM ELISAの関係で、IgM ELISAが陽性と判明したあとで取られた検体ですと、PCR検査があまり判断根拠として使えないというところが、ちょっと弱いのかなといつも思っております。検査の検体を取っていただくときに、発熱あるいは発症後何日間で取ったものがよいというものが出ておりますが、偽陽性例を減らしていくためには、より検体を採取あるいは保存される側の立場に立った検体の取り方を提言していく必要があるのかなというのを日ごろ感じております。
○岡部委員長 ありがとうございます。ご質問、ご意見がありましたらどうぞお願いします。実際に検査、検査というのは、こういう立場、こういう所で言うのは簡単なのですが、やはり現場で患者さんを目の前にして、血液を採らせてください、おしっこくださいというのは、なかなか難しいところでもあるのですが、その必要なのは、きちんと確認をして、国際的にも信頼度のある診断状況であるということも示していかなければいけないわけですのでえ、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、もう1つは、検査はこの場合は保健所から臨床の先生のところに取りに行って、検体を一つひとつ持ってくるという、非常に煩雑なところがあって、それが検査が負担になりすぎるのではないかということがあったのですが、だいぶ協力をいただいているようになってきていると思います。その辺は中野先生、小森先生、現場としてはいかがでしょうか。
○小森委員 今後、本当に排除ということに向かっては、いまご指摘のようなことが大事と思っていまして、特に検体の採取ならびに保存等について、さらに現場の医師に理解をしていただく、協力をしていただくことが必要だと思っています。1点教えていただきたいのですが、先ほど竹田先生のご発言の中で、IgM ELISAで、要するに結果として偽陽性だった例の割合は不明確だけれども、というふうにおっしゃったのですが、ザックリとした数字でどれくらいというふうに考えればよろしいでしょうか。
○竹田委員 割合というのは、何に対する割合をお答えすれば。
○小森委員 疑い例で民間検査会社に出されて、IgM ELISAが陽性であって、その結果、保健所を通じて地衛研で検査をされて陰性であると、麻しんではないというふうに判断される例の割合です。 
○竹田委員 その点については把握しておりません。ちょっと想像も出来ません。ただ、突発性発疹ですとか、パルボウイルスの感染症とかでの偽陽性率というのは、具体的な数字はまだ出せませんが、10%とかあるいはそれ以上ぐらい高いですので、稀に出るというものではないので、そういう意味では鑑別に使うには、日本の麻しんの減った現状ではすごく注意が必要だと考えております。
○小森委員 教えていただきたいのですが、そういう例の中で採取法あるいは保存等の問題、検査はすべて万能ではありませんので、その結果、地衛研で検査をされて麻しんであるという証拠がないと。しかし、検体の採取法や、検体そのものの保存等の問題に起因する可能性があるという例も、ある程度は含まれている可能性があると理解してよろしいのでしょうか。あるいは、その例はあるけれども大変少ないという理解でよろしいのでしょうか。
○岡部委員長 先ほどの検査・検体のタイミングや何かもあると思うのですけれど、皆川先生、保存なども含めて、いまの小森先生のご質問に何かお答がありますか。割合というのはなかなか難しいと思うのです。検体のその母数をどうやって集めるかによって違うわけです。
○皆川委員 大変難しいと思うのですが、麻しんの場合、ウイルスが陽性の時期がインフルエンザなどに比べると短いため、これは中野先生のほうがお詳しいかと思いますが、私どもはPCRが陰性とお返しする際に、それだけで麻しんを否定する根拠とは申し上げておりません。
○岡部委員長 ほかのウイルスが出てくれば、例えばHHV-7が出ればHHV-7ですよと、突発性発疹でしたというのは言えるのですが、PCR陰性がイコール麻しんを否定できるというゴールドスタンダードにはならないのではないかと思います。竹田先生も中野先生もこの辺は何かご意見があるのではないかと思うのですが、どうですか。
○中野委員 確かに何かが採れれば陽性だということが言えると思うのですが、否定はやはり100%私もできないと思います。でも、私が先ほど竹田先生のご発表をお伺いして思ったことは、私も臨床医の1人として、衛研を通じてのラボ診断が始まったとき、本当にこんな大変なことできるのかなと、すごく心配をしたのですが、資料の8頁を見ますと、2011年が麻しん報告数の約4分の1で遺伝子検出されておられますし、2012年は3分の1を超えているわけで、是非このペースで推進していっていただきたいなと私は思っています。それで、質問なのですが、現在、遺伝子検出された例については、すべてが遺伝子のタイピング、型も同定されていると考えてよろしいですか。
○竹田委員 全部でないと思いますが、ほぼすべてに近いくらいは確認されています。
○中野委員 分かりました。もう1点お伺いしたいのが、自分の少ない経験なのですが、先ほどワクチンを打って短い期間の間に麻しんと診断された例もあるということで、ワクチンによるウイルス血症の時期に、血液を採ってウイルス分離をしますと、CPEが認められる例があると思うのですね。その場合、遺伝子型とかを判別したときに、ワクチン株だということは、ほぼ100%完璧に断定はできるわけでしょうか。 
○竹田委員 はい、間違いなくできます。
○中野委員 いままで国内でそういう例はございましたか。
○竹田委員 はい、数例は見つかっております。
○小森委員 同じようなことをお聞きしましたのは、これだけ発生数が減ってきまして、根絶ということに向かうためには、やはりその辺りのことの確認と、現場の医師がいかに協力をしていくかということが、正確な数値を出していくことに大切だと思いましたので、しつこく質問をさせていただきました。
○岡部委員長 ありがとうございました。
○多屋委員 検査診断のところなのですが、IgM抗体の弱陽性の部分につきましては、現在多く使われているIgMの検査キットで、5未満の非常に低い値のときに麻しんではないかもしれないという意識を、臨床医の先生にもお伝えしていかないといけないかなというのが1点です。もう1つはPCRを含めたウイルスの検出は、発疹が出て1週間以内に検体を地方衛生研究所にお送りくださいということを、もう少し臨床医の先生に情報を提供していく必要があるのではないかなという2点について感じましたので、よろしくお願いしたいと思います。
○岡部委員長 ありがとうございました。5年前のこの指針ができたときのバックグラウンドの状況と、それから検査に対する理解と、それこそIgMのクロスの問題などというのは、新しくだんだん分かってきていることがこの5年間でもありますので、いまの点も含めて特定指針のほうにも、検査診断のあり方といったようなことはリバイスしていかなければいけないのではないかなと思います。
 では、次の資料のご説明にいきたいと思うのです。これまでの麻しん風しん対策、これのまとめをやっていますので、これは事務局からご説明をお願いします。
○結核感染症課長補佐(梅木) それでは、資料4-1に移ります。厚労省の取組として、麻しん対策について「麻しんに関する特定感染症予防指針」を策定しております。それ以降、予防接種法施行令の一部を改正し、第3期及び第4期の予防接種を追加しております。また、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正し、麻しんを全数把握対象疾病に位置づけております。平成23年度のみ予防接種法施行令の一部を改正し、第4期の対象者に高校2年生相当も追加しております。5に5つほど記載しておりますが、各種ガイドラインも策定しております。
 6の「接種の促進に関する通知」に移りますが、これも毎年出しております。これらはすべて時系列で並べておりますが、内容ごとに説明いたします。(1)(2)(3)(5)(8)(11)の通知については、接種状況に合わせて、麻しん風しんの予防接種における未接種者に対する勧奨をお願いしております。各都道府県衛生主管部局長に対して、第2期〜第4期の実施状況の調査結果を受けて、教育関係部局との連携を密にして、積極的勧奨に取り組まれるようお願いしてきております。また適宜、文部科学省の関係課長に対しても、未接種者等へ情報提供と接種勧奨の協力をお願いしております。
 (4)(6)(9)の通知ですが、これらは「夏休みの期間を活用した接種の勧奨」ということで、第3期、第4期の接種対象者の大部分の方が学生又は生徒であるということで、夏休み休業が見込まれることから、授業が実施される時期と比べて接種を受けやすくなる機会を利用して、未だ接種を受けていない方が接種が完了できるようにということで、各都道府県衛生主管部局長に対して、麻しん風しんの第3期、第4期の予防接種の推進について、市区町村に対して、夏休み期間の未接種者への接種勧奨を実施するよう指導をお願いしているものです。併せて文部科学省学校健康教育課長に対して、各都道府県教育委員会等を通じての積極的勧奨をお願いしています。
 また(7)と(10)は、それぞれの年度の予防接種の実施状況調査の結果に基づく接種の勧奨になりますが、内容としては、各都道府県、県衛生主管局長に対して、麻しん風しんの第3期、第4期の予防接種の促進について、定期接種の麻しん風しん予防接種実施状況の調査結果を踏まえ、第3期、第4期の全国平均接種率が目標を下回っていることから、改めて市区町村に対して、再度の個別通知の徹底、電話による積極的勧奨等を実施していただくようお願いしています。併せて文部科学省学校教育課長に対して、各都道府県教育委員会部局と衛生主管部局との連携体制と学校機関等においての積極的勧奨が実施されるよう協力をお願いしました。
 7に記載してある「麻しん施設別発生状況に係る調査」を平成21年以降、毎年各学校の類型別、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学、短期大学、高等専門学校、その他といった施設における発生状況についての調査を依頼しているところです。
 8については、平成23年4月に東京都と神奈川県での麻しん患者の増加を受けて、一層の麻しん対策をお願いした事務連絡です。
 9については、先ほどから話が出ておりますが、麻しんの検査診断について、各都道府県、政令市、特別区衛生主管部局長に対し、精度の高い検査実施のために発生早期の検体を可能な限り確保し、遺伝子検査を実施するとともに、管内の医療機関に麻しん患者の発生届けと併せて検体の提出を依頼するようにお願いするものです。説明は以上です。
○岡部委員長 学校との連携というのは随分出てきていますが、文科省の取組についても、続いて有賀専門官がおいでになっているので、お願いします。
○有賀参考人 文部科学省の有賀です。文部科学省の取組について、資料4-2でご説明したいと思います。まず、厚労省からも説明いただきましたが、学校における麻しん対策ガイドラインの策定から始まり、その後、ガイドラインなどを受けて、麻しんの予防接種勧奨リーフレットの作成、送付を毎年やっております。平成22年度についてはタイアップポスターということで、子どもたちに配るリーフレットだけではなく、日本医師会、文部科学省と連携したポスターを作って配布しております。
 先に、4の「接種の促進に関する通知・事務連絡」です。こちらは基本的には厚生労働省から出された通知に則って、特に学校に関係の深いものに関しては、そのまま教育委員会を通じて学校で周知を図っていただくようにということで送っているものです。ほとんど厚労省のものと被るので、一つひとつ読み上げることは省略します。
 また、それを受けて3ですが、毎年「健康教育行政担当者連絡協議会」が5月、6月の時期にあって、そこでは都道府県及び政令指定都市の学校保健担当が来ていますが、そこで必ず麻しんについての話はしております。平成24年度についても5月、6月に予定されておりますので、その際にお話できればと思っています。文部科学省からは以上です。
○岡部委員長 学校というキーワードが出てきましたので、増田先生、何か追加、補足あるいは学校側の現状などがあましたらお願いします。
○増田委員 いま文部科学省からご説明いただいたように、それを受けて各都道府県教育委員会、市町村は具体的にはリーフレットの配布によっての啓発、調査等も確実にしています。調査をして勧奨をする具体的な場面の中心は養護教諭等にお願いして、個別でのきめ細かい勧奨ということですが、その部分、最後の出口の部分が夏休みを利用してということでは、一般的には言えるのですが、ほかの虫歯等を含めて、いろいろな治療勧告とともに、最後の出口のところが現場とすると弱いかなと。その辺の確実な徹底をすることで、調査を活かして根絶等に向けてというところでは、今後課題になるかと思っています。以上です。
○岡部委員長 何かご意見、ご質問がありましたらお願いします。いままでの経過ということで、ポリティカル・ウィルが非常に重要であることがスタートのときから言われていますが、それを厚労省あるいは文科省でやっていただいているという、いままでの経過のご説明でした。
 引き続き資料の説明をいただきたいと思います。次は資料4-3の「麻しん風しんワクチンの接種状況について」、事務局からお願いします。
○結核感染症課予防接種室長補佐 資料4-3の「麻しん風しんワクチンの接種状況について」、ご説明いたします。1頁の「第1期麻しん風しんワクチン接種状況」ですが、平成20年度の麻しん風しんワクチン接種率は、どちらも94%となっています。平成22年度は95.7%で、1.4%の伸びとなっております。
 2頁の「第2期麻しん風しんワクチン接種状況」は、平成20年度の麻しんワクチン接種率は91.8%、風しんワクチン接種率が91.9%。平成22年度は92.2%で、麻しんが0.4%、風しんが0.3%の伸びとなっています。
 3頁の「第3期麻しん風しんワクチン接種状況」は、平成20年度の麻しんのワクチン接種率は85.1%、風しんのワクチン接種率が85.2%。平成22年度は87.3%で、麻しんが2.2%、風しんが2.1%の伸びとなっています。
 4頁「第4期麻しん風しんワクチン接種状況」は、平成20年度の麻しん風しんのワクチン接種率はどちらも77.3%で、平成22年度は麻しん78.9%で1.6%の伸び、風しんが79%で1.7%の伸びとなっています。
 5頁の図4「第2期麻しん・風しんワクチン接種状況」の平成22年度の同時期の比較では、平成23年度麻しん72.3%、風しん72.3%、それぞれ1.4%の伸びとなっています。
 6頁の図5の第3期の平成22年度同時期の比較では、平成23年度麻しん71.9%で3%の伸び、風しん71.9%で2.9%の伸びとなっています。
 7頁の図6の第4期の平成22年度同時期の比較では、平成23年度麻しん62.5%で3.7%の伸びで、風しん62.6%で3.7%の伸びとなっています。簡単ですが、説明は以上です。
○岡部委員長 あとは感染症流行予想調査とかなりリンクするところもありますので、先に多屋先生のお話を聞いたあと、追加の資料として、東北地方というか被災地の状況、そのときのこともありますので、遠藤先生はあとのほうでご説明をいただき、先にいま出ている資料でお願いします。それでは、多屋先生、お願いします。
○多屋委員 それでは、私から、感染症流行予測調査事業で行っている麻しん抗体の保有状況と予防接種状況について、ご説明したいと思います。この資料は昨3月に開かれた麻しん対策推進会議の会場で、感染症情報センターの佐藤からご説明した資料です。この事業は厚生労働省健康局結核感染症課が実施主体となって、都道府県及び国立感染症研究所がこれに協力するという事業です。2011年度が現在の直近の調査に当たりますので、これについてご説明します。この年度は27都道府県でこの調査に協力がなされました。
 次頁は「感染症流行予測調査の概要」について、いま私が申し上げたことについてまとめたものです。麻しんについては、毎年抗体保有率を集計していることと、予防接種歴に基づいて、その抗体保有率を検討しております。また、年齢群別、年度別に比較したものも検討しております。
 次頁には、麻しん含有ワクチンの予防接種の状況を2011年について示したものです。これについてはその次の頁のグラフとともにご覧いただきたいのですが、毎年、感染症流行予測調査事業は概ね7月〜9月に実施することをお願いしておりますので、7月〜9月ぐらいのこの年齢における予防接種の状況という理解をしていただければと思います。
 3頁のグラフは接種歴が不明の方を除いた5,262名のものですが、その次の頁は接種歴不明という方が特に成人層で非常に多く、これを含めた8,377名についてのグラフを示したものです。ですから、成人層については2枚目のグラフをご覧いただいたほうがより実態に近いかと思います。小児については接種歴不明の割合は非常に少ないので、最初のグラフで概要をご覧いただければと思います。
 最初のグラフに戻って、赤色が2回以上の接種歴がある方で、第2期、第3期、第4期の施策を反映して、この年齢層で接種を受けた方が多くなっているのがわかります。一方、1回のみの接種の方は青色を付けていますが、第2期、第3期、第4期の年齢であっても、これが初めてであったという方も一定数おられることが、このグラフからわかります。
 もう1つ、1歳の予防接種率については、ある1点の接種率ですので、その後、2歳になるまでに受けている方がいると考えますと、8割ぐらいの接種率というのは非常に高い接種率だと思います。2歳のところでご覧いただいて、ここが95%以上になっているというところに現在の麻しん排除に向けた対策の目標に近づいていることがわかるかと思います。
 次に、抗体保有率についてグラフを示しました。2011年の抗体保有率ですが、年齢群別に0〜5カ月から70歳以上までを年齢、年齢群に分けて示しました。赤いグラフは麻しんPA抗体価が1:16以上ある方の割合、青いグラフは麻しんPA抗体価1:128以上ある方を示しています。PA抗体というのは非常に感度も高くて1:16以上あれば陽性と判定されますが、できれば1:128以上欲しい。麻しんと修飾麻しんをともに発症を予防する目標としては1:128以上欲しいと見ている値ですが、このグラフに示すように、先ほどの予防接種歴とともに、第2期を待っている年齢群、第3期を待っている年齢群、第4期を待っている年齢群が、2011年はまだ存在しますので、その年齢群の抗体保有率が低いことがこのグラフから明らかにわかります。
 次のグラフでまた予防接種に戻ってしまいますが、2回接種が始まったのが2006年度からです。2006年度から第2期、小学校入学前1年間の小児(5歳と6歳)に相当しますが、この方に2回目の接種が始まりました。そして2008年度からは中学1年生、高校3年生相当年齢の方に2回目の接種が定期接種で始まりましたので、ちょうど12、3歳と17、8歳がこの対象になります。第2期は2006年度からですから、2011年度はこの制度が始まってちょうど5年目、第3期、第4期については3年目の状況を示しています。赤いグラフが2回以上接種を受けた方、青いグラフが1回のみですが、2回目を受けた方が非常に増えていて、若干1回目の方であったというのが一部残っていることが、このグラフからもわかります。
 次に、これと同時に見ていただきたいのが抗体保有率です。2回接種が始まる前の2006年と、始まってからの2011年を比較検討したものです。PA抗体1:16。この値も持っていないということは、麻しんに対して全く免疫を持っていないと考えて、麻しんウイルスに曝露を受けると、不顕性感染がほとんどない麻しんの場合、ほぼ100%に近く麻しんを発症し、一部は先ほど島田先生がお話になった、脳炎あるいは死亡される方の割合を示したものです。
 2歳以上の抗体保有率で見ますと、2006年は約半数の年齢群で95%以上。いわゆる半数の年齢群はまだそこに達していなかったのですが、2011年は4歳、いわゆるもうすぐ2期を受ける年齢を除いて、すべての年齢群で95%以上の抗体保有率を達成しました。
 次に1:128以上の抗体保有率について見ますと、右のグラフになりますが、2006年度2〜4歳と6歳のみで90%以上。1歳で受けてすぐの年齢と、2期が始まってすぐの年齢についてのみ90%以上を達成していたという結果でしたが、2011年度は2012年度(今年)第2期、第3期、第4期を受けることを待っている人たちの年齢層以外の人では、多くの年齢で90%以上の高い抗体保有率を獲得してき始めていることがわかります。
 その次のグラフは、ワクチンを受けたら抗体がどのようになっているかを示したものです。いちばん左の未接種者については、ワクチンを受けていない方の抗体保有率、いわゆる罹った方ということになります。PA抗体1:128以上の高い抗体を持っている方が多い。一方でワクチンを受けていなくても、まだ成人まで罹らずに済んでいるという方が一定数いることもわかるかと思います。0歳の方については一部、移行抗体を含んでいますので、そのようにご覧ください。
 では、1回のワクチンを受けた方がどうかを示したのが真ん中のグラフです。グレーの色は麻しんのPA抗体が獲得できなかった。いわゆるプライマリー・ワクチン・フェイラーの方に相当するかと思いますが、5%未満おられるということは、これまでもずっと言われてきたところです。
 次に、接種を受けてから年数が経ってくると免疫が下がってきます。周りで麻しんが流行すると自然感染によるブースター効果も働きましたが、患者数が減ると自然感染によるブースター効果、いわゆる免疫増強効果が得られにくくなって、10歳以上から抗体価が下がってくる方がおられます。これがちょうど黄色の1:16、32、64というPA抗体価の方と考えておりますが、この方が10%以上おられることがわかります。2回以上受けますと、1歳〜4歳はn数が少ないのでこのようになりますが、まず抗体が付かなかった人は非常に少なくなって99%ぐらいの抗体保有率があります。一部黄色で若干低い人がいらっしゃいますが、1回だけに比べると、その割合は低いことがわかります。
 最後のスライドはまとめです。予防接種について、1回以上の接種率は1歳は83%ですが、2歳になるまでに受けるという方を残しているとご覧ください。2歳以上19歳までは95%以上は達成されています。2回以上接種者の比率は、2006年度と比較して、明らかに2011年度は増加しています。2012年度の第2期、第3期、第4期の方は、今年度是非忘れずに受けていただきたいと思いますが、この年齢層の予防接種率はもちろん低い状況となっております。
 抗体保有率も同様です。PA抗体を1:16以上持っている人の割合はすべての年齢層で95%以上達成が目標ですが、2011年に、初めて4歳を除くすべての年齢層で95%以上を達成することができました。これは多くの方々が予防接種を受けていることの努力の成果だと思っています。1:128以上の抗体保有率をここに示したように、今年度の第2期、第3期、第4期の接種対象者のみ90%以上となっていないということがあります。
 感染症流行予測調査から見た抗体保有率と予防接種の状況については以上です。

○岡部委員長 予防接種歴と、それも反映している流行予測調査事業の結果について、すでに発表されていることですが、追加でのコメントあるいはご質問などがありましたらお願いします。
○小森委員 資料4-3の接種状況ですが、平成23年度は海外旅行、修学旅行等の問題があって、平成23年度については高校2年生相当の方についても、これを第4期として行うとなっていると理解しています。4月1日〜12月31日はそのために4%増えているわけですが、この効果がどの程度あったか。つまり、高2相応あるいは高3相当の分類をしている数字なのかどうか。その解析と考え方について、できれば教えていただきたいと思います。
○結核感染症課長補佐(難波江) 最後の頁の第4期ですが、2011年(平成23年)4月1日〜12月31日までの数値として、麻しんで62.5%となっていますが、このデータ自体は高校3年生の方だけのデータとなっています。昨年度、高校2年生の方にも接種が開始されていますが、このデータには含まれておりません。
 平成24年度は去年受けた方が今年度の対象者に入ってきますので、そのときの数値としては、その方はすでに接種を受けたものとして、分子に加えて計算するという形になっています。
○小森委員 わかりました。是非、楽しみにしております。
○岡部委員長 ほかにいかがですか。それでは、特殊な状況というと大変失礼なのですが、東北大震災と麻しんの接種あるいは状況について、遠藤先生が資料を用意してくださいましたので、遠藤委員から追加発表ということで、よろしくお願いします。
○遠藤委員 現在、東日本大震災の影響で30万以上の方が避難されており、福島県においては16万人が県内外に避難しております。18歳未満については、直近でも3万人ちょっとの方が避難しているという状況です。
 そういう中で、特に避難所において一番心配しましたのは、もちろんインフルエンザの流行です。感染性胃腸炎、呼吸器感染も含めて、特に麻しんの流行にも気を付けて、避難所サーベイランスは国立感染症研究所のご協力で逸早く取り入れさせていただいたわけです。そういう避難している状況の中において、予防接種を円滑に推進できるようにというのは、避難所サーベイランスをやっている中で、現場ではかなり意識しておりましたが、総務省から平成23年11月15日付で「原発避難者特例法に基づく特例事務の告示」ということで、総務大臣から厚生労働大臣にも同日提言されたところです。
 「特例事務の概要」の上から5つ目のポツに「予防接種に関する事務」がありますし、3頁の上から3つ目の○に「予防接種に関する事務」で、被災地から避難している避難場所の市町村でも、円滑に予防接種ができるというのが改めて明確にされたということも実際にあります。住所は福島県の被災された市町村に置きながら移動しているわけで、避難所と同様に借上げ住宅、仮設住宅で実態を把握するというのは訪問以外にはありません。そういう中での影響が平成23年3月11日以降も、特に含まれていませんでしたが。
 もともと福島県自体は予防接種率は高いほうではありませんが、そういった大震災のことが平成23年度も影響していることもありましたが、さらに麻しんの予防接種を円滑にするためには、今後、麻しんに関する特定感染症予防指針の中にも、これからいろいろな災害が発生し、それが長期化する、南海トラフにおける東南海地震等、3連動、あるいは首都直下型地震等も想定される中、災害時も麻しんの予防接種も含めて、その実態の把握も含めて、より円滑に全国のネットワークが必要ではないかと思います。
 幸い麻しんの発生は平成23年度については、福島県はゼロ、平成22年度は7、平成21年度は9という数字ですが、より正確なサーベイランスというか、実態把握と予防接種の推進については、今後見直す予防指針についても検討していく必要があるという意味で、第1回のこの会議の現場からの声ということで、発言させていただき大変ありがとうございます。
○岡部委員長 ありがとうございます。ご提言も含めて、非常に重要なことだと思います。大震災あるいは避難所のような所では、麻しんの流行は世界的にすぐに対応しなければいけないのですが、幸い我が国の場合には、おそらく予防接種を受けている方が多かったということもあって、現実には避難所あるいは大震災被害を受けられた所からの麻しんの発生はなかった。ニアミスはありまして、外国から持ち込まれたり、ボランティアの方の発症というのはヒヤッとしたのですが、そこから拡大がなかったのは日常からの対策の重要性を示していると思います。遠藤先生、どうもありがとうございました。
 それでは、麻しん対策推進会議の議論の概要を簡単に事務局からご説明いただいて、そのあと限られた時間ですがディスカッションと、メディアの関与がこの5年間はかなり重要ではなかったかと思いますので、南先生がおいでになるので、どういうことかを事務局の説明のあとにお願いします。
○結核感染症課長補佐(梅木) それでは、資料5-1の「麻しん対策推進会議におけるこれまでの議論」について、ご説明します。これまで指針に基づき設置された麻しん対策推進会議が第9回まで開催され、その都度、評価・提言を行っております。その会議中で紹介された取組やご意見をまとめています。
 1頁の「サーベイランスの強化」は、紹介された取組として確定診断、麻しん全数把握実施事業、積極的疫学調査といった取組があります。ご意見としては、すでに対応し現実しているものもありますが、PCRによる確定検査を実施すべき。届出基準の運用方法について整理すべきといったこと。それから麻しん患者が、本当に麻しんか否かをきちんと検討すべきといったこと。積極的疫学調査に関することのご意見も出ております。
 2頁は「予防接種法に基づく予防接種」ということで、個別通知に関する取組、就学時健診における取組、集団接種といった取組、予防接種台帳の電算化といった取組が紹介されております。
 「主なご意見等」としては、個別通知や電話による勧奨を進めるべきだ、学校入学や海外渡航の際には接種証明書の提出を求めるべきだ、集団接種の推進を検討すべきだ、予防接種台帳の整備を進めるべきだといったご意見がありました。
 3頁は「予防接種法に基づかない予防接種」ということで、取組としては任意予防接種に対する助成を実施しているといったものがあまりした。
 「主なご意見等」としては、定期接種対象の年齢以外についても公費助成が行えないか。3期、4期の未接種者への対応を検討すべきだといったご意見がありました。
 4「広報/普及啓発」は、国レベルのキャンペーン戦略あるいは麻しんの怖さを伝える啓発、学校での教育、ガイドライン等の効率的な情報提供の検討に関してご意見がありました。
 5「研究開発の推進」は、抗体価の持続についてどう考えるのかといったご意見があります。
 6「評価及び推進体制の確立」は、「はしかゼロ達成」の確認について、感染研の取組の紹介。推進対策・推進会議の役割、都道府県の役割について、ご意見がありました。接種率の低い地方自治体等に関する意識づけ、動機づけ。地域レベルでの排除宣言を実施してもよいのではといったご意見がありました。
 5頁の「第9回麻しん対策推進会議での指針の見直しに向けたご意見」ですが、第9回の麻しん対策推進会議において、本指針の見直しに向けたご意見をいただいております。これまでの日本の麻しん対策は世界からも非常に高く評価されており、今後の対策も注目されている。麻しん対策について、小児科に加え、内科、皮膚科といったさまざまな診療科の医師への周知が必要である。予防接種について、2期の接種期間の延長や第3期、第4期で接種し損ねた人に対する対応等が必要である。海外渡航時・入学時等、何らかの機会に予防接種歴が確認されるべきといったご意見が出されています。資料の説明は以上です。
○岡部委員長 この麻しん対策推進会議でも、かなりディスカッションをされているので、このような意見があり、これが全部反映されるかどうかはこれからの議論になるわけですが、このようなことが課題になると思います。
 それから、先ほども申しましたように、この5年間あるいは10年間はメディアの方々も随分いろいろなキャンペーンなどに取り組んでいただいて、節目ごとに報道していただいたりしていますが、そのようなことも含めて、メディアの役割が今日の中にはこれまでになかったので、南先生、発言をしていただけないでしょうか。
○南委員 あまり周到に用意をしていないものですから感想めいたことを申し上げます。感染症に対する意識は、私どもも折々に、キャンペーンなどはするのですが、それはそのときに何か大流行になったものとか、水際で止めるのが非常に大変だったとか、何かニュースがないと、大きなキャンペーンはなかなか張りにくいものです。
 麻しんに関しては、最初に局長のお話にもありましたように、随分官民挙げた努力を重ねた結果、非常に減ってきました。とはいえ、WPROの提示しているラインにもう一息という意味では、いまが頑張りどころなのだなということが今日よくわかりました。地道な感染症対策の1つのモデルとして非常に興味深いというか、取り上げる意味が大きいと思いました。目前の大変な脅威として新型インフルエンザなどに目が奪われがちですが、私どもメディアでも、こういった旧態依然として子どもの健康を脅かす、まだまだ目の離せない病気について、きちんと対応していく必要があると思います。
 それから、もう一息ということであれば今後、偽陽性の問題は検査の精度向上と、患者からの検体の採取などについての、患者の理解も必要になると思いますので、そこは私どもの役割かなと思いました。
○岡部委員長 どうもありがとうございました。資料の発表に基づいてご説明いただいたり、すでにこの指針について、どのようなことが必要かというご意見もいただいているのですが、残り15分ぐらいですが、いままでになかった部分あるいはこんなことも必要ではないか、資料の中でのご質問等ありましたら、ここからはフリーディスカッションということで、よろしくお願いします。参考人のお二人も何かあったらおっしゃってください。
○竹田委員 検査診断のときに、いつも血清やIgMのこと等、そういったPCRの結果で、それだけでは判断がつかない症例がいっぱいあるのではないかということが議論されるのですが、LDHやGOPなど、生化学データ等については全然話題に上らないのです。私は短い臨床経験しかありませんが、そういうのを加味すると、相当診断率が上がるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○中野委員 私も最近、麻しんの患者が減ってまいりましたので、診ないのは本当にありがたいことですが、先生がおっしゃられたLDHは大事でしょうし、血小板が少ないことも大事でしょうし、臨床症状はとても大事だと思います。インフルエンザなどの場合は疫学的なリンクがある場合には、診断にすごく有用であると言われますが、検体をお願いするときに、岡部先生からも少しご指摘がありましたが、検体を出してみて違ったら取り下げる。これももちろん臨床にとって、あってもいいと思うのです。
 臨床医でもう1つ心配することは、こんな検査を保健所、衛生研究所を通じてお願いしてしまって、あちらもかなり手間を取るなとよく思うことがあります。臨床のほかの先生から相談を受けても、咽頭、血液、尿を全部採って、結構手間もかかることです。やはり臨床的に医師がそうだと思ったら、麻しんと臨床診断したら、診断をお願いしてもいいのではないかと本当に思います。LDH、血小板は大事で、GOTもおっしゃるとおりだと思います。
○竹田委員 そういった目安的な、要するに生化学的な検査データのこういうことが参考になるというものがあれば、私たちがPCRやIgMの検査結果をこう理解してくださいというときに、そういうことも書き加えられたらいいなと思いますので、先生方等からそういうものを作っていただけると助かると思っています。
○中野委員 頑張ります。ありがとうございます。
○岡部委員長 推進協議会からの1つの提案だったのですが、個別の臨床医と保健所の担当の人の2人のやり取りで、これが麻しんかどうかという判断は実は大変難しかったり、お互いに遠慮があったり、全体的なところの判断ができないと思うので、数が相当少なくなってきたら、次の課題としてはそういうものをきちんと評価する委員会みたいなものがあって、臨床的あるいはリンクも含めて、これは全体としてはこう考えるのですというところがないと、最後のこれが本物だ、本物ではないというのは現場だけの判断では、責任も含めて、なかなか難しいのではないかと思うので、そのようなことも次の課題として是非考えていきたいと私は思っています。ほかにご意見がありましたらお願いします。
○皆川委員 前回、指針が作られたときとはかなり様変わりして、麻しんの輸入例あるいは輸入関連麻しんが大多数を占める状況になっているようですが、海外から入国するときに、すでに有熱だった方など、いろいろ情報をいただいています。輸出は絶対してはいけないのですが、入国の際にすでに症状がある方への対応等について、是非一度考えていただければと思います。
○岡部委員長 実際に検疫での有熱のチェックみたいなことも入ってきますから、検疫の方なども、そういう話の中には必要になってくるということですね。
○皆川委員 そうですね。実は2012年の愛知県の集団発生は遺伝子型的には輸入麻しんと思われるのですが、患者と外国から帰ってきた方等との接触が疫学調査からは全く出てきておりません。そのような症例が他県でも今年は増えているように聞いておりますので、疫学的リンクをはっきりさせるには、今の体制では弱いのではないかと思います。
○岡部委員長 そこは積極的疫学調査などの重要性ですし、今後、飛行機の中で何か発生したか、あるいは日本で発症した人が飛行機に乗っていた場合の対応なども国際的にも必要になってくると思います。5類感染症の中での枠組みはなかなか難しいこともありますが、しかし、エリミネーションがあれば、ある程度そういう枠組みの中でも、この病気はきちんと取り扱わなければいけないのではないかという議論も、重要ではないかと思います。
 それから、これは思い付きですが、いま麻しん輸入の話がありました。今度ロンドンのオリンピックがあります。それから例えば海外でワールドカップなどが行われたときに、いまヨーロッパは少し落ち着いていますが、まだ麻しんの発生があったりしているので、そういう機会にも持ち込まれないような、あるいは向こうに行って感染しないでくださいといった、一般の方へのお知らせが必要ではないかと思います。それも継続的に、世界的な状況を見ながらやっていかなければいけないところだろうと思います。
○小森委員 麻しんに対する対策は、平成19年の大流行以来、世界中でもこんな短期間に患者数、発生数が少なくなったというのは、素晴らしい取組をされてこられたと本当に尊敬をしております。最終的には1億2,000万人ということですので、120人以下、100人以下を目指すということになりますと、最後の決め手のところで、岡部委員長がおっしゃられたような、何らかの確定例をしっかり決めるコミッティみたいなものが必要でしょうし、南先生がご発言になったように、現場の医師が6割を超えて検査検体を出すというのは、かなり限界に近づいてきていると思います。それはやはり母親の理解がなければとてもできないことですので、まさに最後の根絶に向けて、母親、家族、保護者の検体採取に対する理解が大変大事だと思っておりまして、格段のご尽力を南先生その他マスコミの方々にあえてお願いを申し上げたいと思います。
○岡部委員長 ありがとうございます。貴重なご提言だと思います。
○多屋委員 予防接種率のことですが、2期、3期、4期年々上がってきて、1期については95%以上達成という素晴らしい成果です。その一方で3期、4期については受けそびれたまま卒業してしまった、年齢を過ぎてしまった方が一定数おられるということと、その方に対する対応を今後どう考えていくか。
 それから、私も病院に勤めていたときに思ったのは、医療従事者が発症してしまった場合の周りに与える影響は計り知れないものがあるということと、保育関係者の先生や学校関係者の先生が発症されたときの影響も考えますと、そういった方への予防接種が受けやすい環境づくりも、今後は必要になってくるのではないかと感じました。
○岡部委員長 今後もどこかで発生することはゼロではないので、あり得ると思います。そうなったときの対応で、この間愛知県で、出てしまったことはしょうがないのですが、そのあとの対応が非常に素晴らしかったなという印象もあります。緊急接種とか、なかなか難しいことをやられたのです。皆川先生、そのような紹介というか、大変だったことも含めてお話いただけますか。
○皆川委員 衛生研究所はそういうことは基本的にはあまりやっていなくて、緊急接種等を実際におやりになったのは中核市である豊田市です。豊田市から私ども県衛研がはウイルス検査を受託している関係で聞いた話になってしまいますが、予防接種を受けていない方たちのリストアップをして、大変な努力をなさったと聞いております。
 また2010〜2011年の流行においては、中核市である岡崎市は予防接種台帳が電算化されており、患者が発生したときに接種していない方がすぐわかるようなシステムになっていると聞いておりますが、そちらでも努力をされています。
○岡崎委員長 いままでの対策指針は、現在あるものをどうやって減らそうか、そしてそれを維持していくにはどうしたらいいのかといったことが中心の話だったので、いくつか手を打ってきているわけですが、次の対応指針の中には緊急という言い方がいいか悪いかはわかりませんが、やむを得ず発生することはポリオのような根絶を目標とすると違う病気なので出てくることがあります。そうやったときにそれが拡大しないようにするため、それは先ほど遠藤委員からもご発表のあった、あってはほしくありませんが、何らかの自然災害のときの対応だったり、あるいは学校で起きたときの緊急的な対応をどうするか。これも次の対応指針の中の、いままでと違った部分で対応していく、それで維持をしておくことも必要な課題だろうと思います。ディスカッションの時間としては短くなったのですが、何か一言あればお願いします。
○遠藤委員 やはり保健所管内というか、それぞれの地域で感染制御のネットワークをどう構築するかが大切です。特に学校、保育所、幼稚園、児童社会福祉施設、医療機関、市町村、そして保健所がかなりの人数の集団発生ではなく、もう少し手前の段階でお互いに関与しながら、それを早期探知して、疫学調査に積極的に関与するとともに、拡大しないようにする必要があります。麻しんについても市町村だけとか、保健所だけ、医療機関だけということではなくて、地域の感染制御ネットワークを構築する必要があります。これは多剤耐性も含めた院内感染対策の加算が認められたところですが、それも含めた広い意味での保健所が積極的に関与するような地域の感染制御ネットワークが必要だということも、麻しんを通じて、今後そういった組織が全国に拡大できればと思って追加させていただきたいと思います。
○岡部委員長 ありがとうございます。南先生も先ほどおっしゃっていたように、麻しんが主なテーマですが、これを1つのモデルとして、広い意味での感染対策の大きい基礎になっていくだろうとも思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 少し時間を過ぎましたが、今日の会議はこれで終了としたいと思います。9月までに数回開催予定というスケジュールは、たぶん月1回ぐらいはありそうだと思います。夏休みに入ったり、いろいろお忙しいと思いますが、麻しんをうまくコントロールしていくというところで、是非ご協力をいただきたいと思います。
 これまでの推進会議のこと、今日の会議でいくつかのことを事務局もノートしていると思いますが、それをまとめて次回以降の課題として、具体的にこれが必要か必要ではないか、あるいは強調するべきかどうかを引き続きやっていき、最終的な提言にまで向けていきたいと思いますので、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、会議としてはこれで終了にしたいと思います。事務局から今後のことも含めて連絡事項等々をお願いします。
○結核感染症課長補佐(難波江) 委員長からお話がありましたとおり、本日いただいた意見を、委員長とも相談させていただきながら事務局としてまとめて、次回以降に整理したものを提出させていただければと思っております。
 次回の日程については、改めてご連絡いたします。本日は以上になります。長時間どうもありがとうございました。


(了)

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