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2012年4月24日 第2回 厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議

年金局企業年金国民年金基金課

○日時

平成24年4月24日
17:00~


○場所

東海大学校友会館「望星の間」


○出席者

委員

臼杵 政治 (名古屋市立大学経済学研究科教授)
翁 百合 (日本総合研究所理事)
小野 正昭 (みずほ年金研究所研究理事)
鹿毛 雄二 (前・企業年金連合会常務理事)
蟹江 宣雄 (トヨタ自動車企業年金基金常務理事・運用執行理事)
近藤 憲二 (住友化学株式会社経理室(財務)部長)
玉木 伸介 (大妻女子大学短期大学部教授)
永山 善二 (東京乗用旅客自動車厚生年金基金常務理事・運用執行理事)
花井 圭子 (日本労働組合総連合会総合政策局長)
濱口 大輔 (企業年金連合会常務理事・運用執行理事)
森戸 英幸 (慶応義塾大学大学院法務研究科教授)
山口 修 (横浜国立大学経営学部教授・付属図書館長)
山本 御稔 (監査法人トーマツパートナー)

○議題

(1)受託者責任の在り方について

(2)運用体制・運用プロセスの在り方について

(3)ガバナンス・情報開示の在り方について

(4)事後チェックの在り方について

(5)その他


○議事

○山口座長 ただいまより、第2回「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」を開催します。委員の皆様におかれましては、ご多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は辻副大臣にご臨席いただいています。ありがとうございます。また、藤田政務官につきましては、1時間程度遅れていらっしゃると承っております。最初に、辻副大臣より一言ご挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○辻厚生労働副大臣 ご参会をいただきました皆様、本日もご多用の中この会議にご出席をいただきましたこと、心より厚く御礼申し上げる次第でございます。第2回厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げる次第でございます。
 先の4月13日の第1回会議におきましては、今後論点となり得る項目なども含めまして、厚生年金基金等の資産運用及び財政運営の在り方につきまして、幅広くご議論をいただいたところでございます。本日は、資産運用の規制の在り方を中心にご議論を賜ればと、このように考えているところでございますが、どのような対策を取っていくのかといった点につきまして、信託協会をはじめとする関係の方々からのお話を伺わせていただきたいと、このように思っているところでございます。
 また、同時に、ご承知かと思いますが、与党の民主党のほうでもこの問題についての検討をしていただいているところでございまして、すでに新聞報道等もあったところですが、厚生年金基金制度の将来的な廃止、解散要件の緩和、中小企業への影響緩和、基金の合同運用及び合併、検査態勢の強化、情報開示、役員公募の徹底、受託者責任の強化と、こういった方向性での中間報告、取りまとめをされるべく対応されておりまして、本日この時刻ころに政調の役員会で確認をされると伺っているところでございます。その成案につきましては、正式な文書が得られましたら、次回会合でお示しを申し上げたいと思っております。
 厚生労働省といたしましては、その民主党の与党の方向性も踏まえつつ、皆様方のご議論をいただきまして、対策を決定していきたいと、このように考えているところでございます。
 なお、今後の議論の進み方についてでございますが、まずは厚生年金基金制度の在り方について、ご検討、ご議論をいただき、その結果を確定給付企業年金制度等の他の企業年金制度にも適用していくかどうかにつきましては、その後に別途ご検討をしていただければと、このように考えている次第でございます。
 委員の皆様方におかれましては、本日も精力的なご議論を賜りますようにご協力のほどお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○山口座長 どうもありがとうございました。続いて、本日の委員の皆様方の出欠状況です。玉木委員と森戸委員につきましては、遅れるということでご連絡をいただいております。しかし、委員全員の皆様にご出席いただけるということです。
 カメラの方々、大変恐縮ですが、ここでご退室をお願いできればと思いますので、ご協力のほう、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○山口座長 議事次第に沿いまして進めてまいります。本日は、前回の会議で事務局より提示された論点のうち、1.「資産運用規制の在り方」について、ご審議いただきたいと思います。審議に先立ちまして、本日は関係者の方々からのヒアリングを行いたいと思います。信託協会年金専門委員長 荒海次郎様にお越しいただいておりますので、後ほどご説明いただきたいと思います。また、企業年金連合会常務理事の濱口委員からも資料を提出いただいておりますので、ご説明いただく予定にしております。まず、事務局から、資料の確認と併せて資料1及び2につきまして、簡単にご説明をお願いいたします。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 資料の確認をします。議事次第のあと、本日大きく4種類の資料を付けています。資料1ですが、こちらは前回、4月13日に事務局より提出した「ご議論いただきたい主な論点」ということで、先ほど座長からもお話がございましたように、今日はこの1.の「資産運用規制の在り方」のところをご議論いただければと思っております。資料2-1として「『論点1.資産運用規制の在り方』~各論点に関連する現行法令・通達~」ということで、論点の関係の法令通達の一覧です。資料2-2ですが、同じく「『論点1.資産運用規制の在り方』~各論点に関連するデータ等~」ということです。資料3は、後ほどご説明いただく信託協会からの「AIJ問題に関する信託協会の検討状況について」という資料です。資料4につきましては、これも後ほどご説明いただく濱口委員からの提出資料「厚生年金基金の資産運用に係わるガバナンス改善策について」です。もし落丁、足りないもの等がありましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
 続いて、簡単に資料2-1と2-2について、ご説明をします。資料2-1は、論点1.資産運用規制の在り方について、各論点に関連する現行法令・通達ということです。論点1は、大きく4つの観点に分かれています。詳しくは、また各論点をご議論いただくときにご参照いただければと思います。
 簡単に構成だけ申しますと、1点目の受託者責任の在り方については、テーマとしては、大きなテーマは分散投資があります。これはそこにありますように、厚生年金基金令という政令に規定がありまして、これを踏まえたガイドライン等があります。受託者責任の関係では、善管注意義務です。これは民法がもともとの規定ですが、これを踏まえて2、3頁に、厚生年金基金等の資産運用に関してどういったことを果たしていけばいいか、というガイドラインの抜粋を付けています。
 3頁が、同じく受託者責任のもう1つの柱である忠実義務です。これにつきましては、3頁の下のほうですが、これは具体的には、厚生年金基金規則という省令で具体的に基金のために忠実にその職務を執行する、そういった観点からの理事の禁止行為ということで、特別な提供を受けて基金に不利益となる契約を締結させること等が載っています。それを踏まえたガイドラインが、4、5頁ということで抜粋を付けています。
 6頁からは、2つ目の大きな柱である基金の運用体制・運用プロセスについてです。基金の運用体制については、6頁の中ほどの厚生年金基金令に「管理運用業務を執行する理事を置かなければいけない」、いわゆる運用執行理事の配置についての規定があります。そういった観点を踏まえ、以下、省令、ガイドライン等で自己研鑽等の規定があります。
 7頁は、基金における意思決定を補助するということで、資産運用委員会、運用コンサルタント等があります。これらについて直接の根拠規定としては、7頁にありますようにガイドラインが根拠規定となっていまして、それぞれ設置が望ましいという書き方になっています。
 8頁は、基金の運用の基本、柱である運用の基本方針です。これについては、厚生年金保険法の法律の中に運用の基本方針を定め、それに沿って運用しなければならないという根本規定があります。それを踏まえてその下の規則、省令ですが、基金は、年金給付等積立金の運用を行うよう努めなければならない。努力義務として、長期にわたり維持すべき資産の構成割合を適切な方法により定める。いわゆる基本ポートフォリオといいますか、政策アセットミックスというものを定める、ということが載っています。
 以下、9頁からは、こういった運用の基本方針に関して、具体的にどういうことを盛り込むか、あるいは定期的な見直し等々についてのガイドラインの規定が続きます。
 10頁からですが、10頁は運用プロセスの中でも1つの重要な柱である運用受託機関の選定・評価です。具体的な選定に当たっての考え方は、10頁の中ほどから下のほうです。ガイドラインの中で選定の基準としては、運用実績等のような定量評価だけでなく、定性評価を加えた総合評価とすることが望ましいということで、以下、具体的にどのようなことをメルクマールにしていけばいいかをガイドラインで定めています。
 また、11頁の中ほどぐらいですが、運用受託機関を実際に選定したあとの管理です。真ん中から下あたりに報告の請求ということで、受託機関が運用ガイドラインに沿って運用を行っているかどうかについて、正確かつ必要な情報の報告を求めるということ、また、少なくとも四半期ごとに運用状況についての時価での報告を求めるということ、あるいは11頁のいちばん下ですが、契約上の義務に違反した場合には責任を問う、という運用受託機関の選定・管理についてのガイドラインが12頁まで続きます。
 12頁の下のほうからですが、運用受託機関の責務ということで、個々の金融機関の業法についてはそれぞれの業法がありますが、厚生年金保険法の中でも第136条の5にありますように、基金が締結した契約の相手方は、法令及び契約を遵守し、基金のために忠実にその業務を遂行しなければいけない、ということが法律の規定としてあります。
 13頁からは、今度は3つ目の柱である基金のガバナンス・情報開示です。13頁には、基金の意思決定機関である代議員会についての根拠規定があります。14頁は、代議員会に関してのガイドラインの中で、特に運用に関して、議決に当たっては専ら加入員の利益を考慮するということ、また、実際に管理運用業務を行っている理事について、適正に執行しているかどうかを確認するということ、あるいは、禁止行為に違反した場合には交代させることができる、等々の規定があります。さらに、理事に対しては、14頁の中ほどから下あたりですが、代議員会に対して、管理運用業務に関する情報を正確かつわかりやすく報告する、ということの規定があります。
 15頁は、加入員等あるいは事業主への情報提供ということです。加入員に対しては毎事業年度1回以上報告をするということ、事業主についても定期的に求めに応じて情報提供していく、ということが規定されています。
 最後、16頁は、事後チェックです。監事による内部監査ですが、監事の根拠規定があります。具体的には16頁の下にありますが、ガイドラインということで、監事監査の要綱を定め、それに沿ってそれぞれの内部監査を行う規定です。以上が現行の法令です。大半が、ご覧のとおり政省令あるいはガイドラインで決まっているものです。
 資料2-2は前回お出ししたものと重複するものもありますので、簡単にご紹介だけ申し上げます。1の受託者責任の在り方の関係の関連データとして、分散投資に関連して、今回、AIJ投資顧問に委託をしていた基金のAIJへの投資割合、これは平成22年度末の74基金ですが、半分以上の所は10%以下ということですが、一方で3割以上という所も全体の1割程度あったということです。
 2頁は企業年金連合会のデータのサンプル調査ですが、厚生年金基金、確定給付企業年金の資産構成割合の直近5年ぐらいの推移です。
 3頁は、これは私どものほうで取っている資産運用業務報告書の中で、各厚生年金基金は実際にどのぐらいの受託機関を使っているかです。ご覧いただきますと、多いのは5ないし6であるということです。
 4頁以降は、これは前回もご紹介しましたので省略しますが、各基金の運用体制についての調査の結果です。
 15頁は、事後チェックです。これについては、私ども厚生労働省で年1回運用報告書を取っているということです。16頁は、先ほど申し上げました監事監査の要綱ということで、どういうことをやるかが概括的ではありますが書いてあります。また18頁からですが、こちらは厚生労働大臣が行う行政監査でして、これは具体的には地方厚生局でやっています。19、20頁は、行政監査を行う際の資産運用に関しての主なチェック項目です。以上、ざっとですがご説明しました。
○山口座長 次に、関係者の方からヒアリングを行いたいと思います。信託協会 荒海様、よろしくお願いします。
○荒海様 三井住友信託の荒海です。現在、信託協会でAIJ問題に関する再発防止に向けた対応のアイデアを検討しています。本日は、その辺を中心にご説明したいと思います。資料3、現状の年金信託あるいは年金特定信託のスキーム、契約関係といったところを正しくご理解いただくために、最初に信託銀行の年金業務の現状からご説明したいと思います。
 3頁をお開けください。3頁は、年金信託契約と、もう1つ投資一任+年金特定信託契約、持ち替えを絵にしたものです。信託銀行は資産運用を行うとともに、運用資産の管理事務の仕事もあります。その両方を兼ねる契約形態が年金信託契約で、左半分の絵になります。年金信託契約を結ぶ際は、運用も資産管理も信託銀行が行いますので、契約契態は基金と信託銀行の相対の契約になります。
 一方で、今度は右半分ですが、投資一任+年金特定信託契約です。このスキームを使う場合には、まず運用の契約である投資一任契約が基金と投資顧問会社の間で締結されます。また同時に、その管理事務の契約である年金特定信託契約が基金と信託銀行間で締結されます。さらに、この三者間で信託事務に係る三者間協定が結ばれます。
 平成2年に投資顧問会社が年金市場に参入した際に、厚年法第130条の2等によって投資一任+年金特定信託契約の形が義務づけられているわけです。契約や協定書の中身を見てみると、当時から年金特定信託は、あくまで投資顧問会社の指図に従って信託銀行が正確に事務を行うことに特化した事務サービスという建てつけになっています。信託銀行には、運用のライバル会社である投資顧問会社の運用手法等に対して、一切口を出させない枠組というのがこの建てつけでして、時価の取得事務も含めて投資顧問会社からの指図に従うのがいまの年金特定信託の枠組です。このあたりは、今回の事件の再発防止を考える際、やはり重要なテーマになると手前どもは考えています。
 4頁をご覧ください。これは年金信託のスキームです。運用の連絡、決済事務、運用報告の流れを改めてご説明したいと思います。左下、基金から年金資金を信託銀行がお預りしたあと、信託内の運用部門が1のとおり証券会社に対して発注を行います。同時に、3のとおり資産管理部門に運用指図を行います。それを受け、証券会社から約定が成立した内容の報告が資産管理部門に2として返ってまいりますので、これが3の運用指図と照合されて、実際の有価証券売買決済が実行されていきます。そうした売買の積み重ねで完成したポートフォリオの運用状況を、6として基金宛て運用の報告を定期的に行うと、こういう流れになります。
 5頁をご覧ください。これが年金特定信託のほうのスキームになります。これも基本的には同じ流れになります。上の運用機関が投資顧問会社になるわけですが、こちらが1の売買発注とともに3の運用指図を資産管理会社である信託銀行に行います。証券会社から、約定成立したものを信託銀行に2として報告します。ここで3と2が照合されて、実際の有価証券決済が実行されます。そうした売買の内容を重ねた状況を、年金特定信託報告書として6、これは基金及び投資顧問会社宛てに信託銀行から送られることになります。また、当然のことながら、投資顧問会社も7のとおり年金基金へ運用レポートを作成し、報告を行ってまいります。これは投資顧問会社も、金商法第42条の7の運用報告を義務づけられているということから、こういう形になります。当然お客様は、運用結果に関する各種分析データなどを含めて、運用者である投資顧問会社からの運用レポートをメインの報告書として、状況を把握されているのが現状です。
 次に、6頁をご覧ください。これは今回のAIJのスキームです。少し込み入った絵でわかりづらくて大変申し訳ないのですが、AIJの全体スキームは、いま申し上げた年金特定信託の器の中で外国籍私募投信をそっくり購入するという形になっています。左上の点線の枠組が先ほどご説明した年金特金の枠組ですが、ここで投資顧問会社であるAIJが信託銀行に指図を行い、その下の販社であるアイティーエム証券から外国籍私募投信を購入するという流れになっています。また、同時に、AIJは、基準価額を入手する先についても、アイティーエム証券から入手するよう信託銀行に指図をしています。
 今回のスキームでは、販社証券会社による保護預りスキームが外国籍私募投信のスキームになっているわけですが、外国籍私募投信の名義人が、その結果、国内信託銀行ではなくアイティーエム証券のままとなっています。そのため国内信託銀行は、基準価額を算出するファンド受託銀行に直接確認しようとしても、できないスキームだったということです。こうした保護預りスキームは年々数は減少していますが、法令上認められているスキームで、今回投資顧問会社が選択したスキームだったということです。
 真ん中の点線の枠組が、いま申し上げた外国籍私募投信のスキームです。皆さんはすでによくご存じなので詳細は説明を省きますが、先般のSESCの発表では、上にあるファンド管理会社AIA、こちらが改ざんされた虚偽の基準価額、これを販社であるアイティーエム証券に伝達し、それがそのまま国内の投資家へ伝えられたのが、今回の真相です。
 国内信託銀行が基準価額を算出するアドミニストレーター、香港のファンド受託銀行と書いてあるところですが、ここのアドミニストレーターと直接連絡を取れるスキームとすること、これは今回再発防止を考える際の重要なテーマになると思います。
 8頁をご覧ください。8頁以降が、信託協会内で今回の事件を踏まえ、再発防止に向けた今後の対応策というところで議論している内容をまとめたものです。8頁、(1)、基金が運用受託機関を選任するタイミングでの確認というテーマです。ここでの問題意識は、年金基金が自ら運用者を見極め、運用スキームを評価する必要があると。この原則の中で、またそうは言っても、年金基金・運用者ともに態勢の整備状況にばらつきがある中にあって、運用者から年金基金に対する適切な説明の確保の観点から、どのような実効的な再発防止策が考えられるかが、ここでの問題意識です。
 その下に、信託におけるアイデアという欄があります。1つ目は、年金特定信託受託者である信託銀行が、運用者・運用スキームに関して、基金が事前に確認すべき点は何かを説明し、基金サイドが十分な確認をしていたかどうかをチェックするということです。
 2つ目は、公表時価のない資産を組み入れる場合には、基金が運用者から運用スキーム等に関する十分な説明を受けているか、これを受託者である信託銀行が基金から確認するという内容です。もしこれが確認不十分ということになれば、信託は受託を拒否することも視野に入れるという流れです。
 ただ、この案を実現するためには、その右にある前提条件・課題といったところをクリアしていく必要があると考えています。まずは、厚生労働省GLの中に、こういったスキームを導入するという場合には、運用者の選任時に運用者に確認すべき内容を具体的に例示、規定するということです。このガイドラインに従って信託銀行が基金サイドの確認状況をチェックしていくという形があれば、何もないときは、まさに信託銀行がライバル会社を自主的に監視するという無理な世界ではなく、堅確性を高めることが可能になろうかと考えています。
 また、一方で課題として、その下にありますが、運用者に対する説明義務の強化も必要になりますので、これは金商法ほかの手当も必要かと考えています。さらに、確認状況が十分でない場合に信託銀行が受託を拒否するというところは、実は現状、厚年法第130条の2で、正当な理由がある場合を除き、契約の締結を拒絶できないという項目があります。ここの正当な理由に当たるかどうかの整理は、1つの課題になろうかと思います。
 9頁をご覧ください。これも非常に難しいテーマですが、分散投資義務に関するテーマです。ここでは年金信託、手前どもが運用機関のケースでの話をします。問題意識は、運用基本方針・運用ガイドラインが適切な意思決定プロセスを経るよう、年金基金の態勢の確認・強化がまず必要であるということですし、また、年金信託受託者として、基金が分散投資義務を果たしていない恐れがあると信託銀行が認知した場合に、どのような対応ができるかという観点でまとめています。
 対応案としては、分散投資義務を確保する観点から、その下にある枠組を導入するということをいま検討しています。まず、運用ガイドライン受領時に、運用基本方針との整合性を運用機関側でチェックしていくということです。また、分散投資義務違反の疑念を認知した場合、基金へその旨を通知する。そして、通知後においても疑念が払拭できない場合には、基金に再考を促すべく協議を行っていく。最後に、それでも疑念が払拭できない場合には、厚生労働省へ報告・相談という展開です。
 これを実現するための条件として、右側にその前提・課題を書いています。まず、基金ごとに分散投資の基準を定めることを、厚生労働省GLに規定することが1つ必要になろうかと思います。また次に、基金は運用者に対して、運用基本方針を提示し総資産額を通知するように義務づけることが必要かと思います。運用機関は、それぞれの立場で資産全体の状況も、また運用基本方針のある意味いちばん根っこの規定についても、開示されないケースが当然ありますので、そういったものが開示されると、こういった分散投資の違反に抵触しているのではないかと、いろいろな検討ができるということです。そして、最終的に運用機関から報告を受けた厚生労働省で、基金をきちんと指導する仕組みも最後に必要になろうかと思います。また、これは信託銀行の年金信託という事例でご説明しましたが、運用機関共通の課題ですので、当然これは生保や投資顧問会社にも同様の規律を設ける必要があろうかと思います。
 次に、10頁をご覧ください。こちらは、いまの年金信託契約、つまり運用機関としての信託銀行に加えて、年金特定信託受託者としても同じ対応ができないかという問題意識の下で考えた内容です。ここでも年金特定信託受託者として知り得た情報の範囲で、分散投資義務違反の疑念を認知した場合、年金信託同様に基金に通知することを考えています。ただ、特定信託受託者という立場だけですと、1つの投資顧問にかなり集中して投資されているケース以外は、こういった情報もなかなかない中でということになりますので、ある非常に特殊な事例では機能する仕組みかと思います。
 次に、11頁をご覧ください。これは信託財産の管理態勢の高度化で、これをテーマにしたものです。その管理態勢を高度化させることで、不正を企てる者への抑止効果を高めることはできないかという問題意識です。今回の事件でも、アイティーエム証券の保護預りスキームとすることをAIJが指図してきたわけですが、名義人がアイティーエム証券となっており、信託銀行がアドミニストレーターに直接照会できなかったのが事件の背景にありました。
 ということで、対応案については、外国籍私募投信に投資する場合は、原則として、1として信託銀行を外国籍私募投信の名義人とするということ、2として信託銀行が現地アドミニから直接時価を入手できるようにすると、こういう条件を設けることでかなり堅確性は高まると思っています。
 なお、もし何らかのやむを得ない事由で1,2が実現しない場合には、その場合のリスクについては当然基金宛てに説明が必要である。また、年金特定信託報告書にも、時価の入手方法等を毎回きちんと記載していくという条件を付すことが考えられるかと思います。これも前提条件として、厚生労働省GLにこれらの条件をあらかじめ明記して、規定して条件にしてしまうことが必要かと思っています。
 12頁をご覧ください。これも1つ、新聞等でもときどきテーマになっている内容です。いわゆる監査済みファンド決算報告書の活用方法です。これは運用者が外国籍私募投信に運用する場合において、監査済みファンド決算報告書を有効に活用することで、効果的な不正の抑止を図ることができないかという問題意識です。そもそも、監査済みファンド決算報告書を入手するということは、監査法人が内容を適正であると認めたことを確認できるという意味で、それを入手するというだけでも有意義な、不正の抑止力になると思います。また、何らかの理由でアドミニから基準価額情報が入手できない事例があったときには、この基準価額を確認する態勢の整備にもなるということで、不正に対する強い抑止効果が期待できると思っています。
 本件を実現するための課題としては、年金特定信託受託者が監査済みファンド決算報告書を入手できるスキーム、先ほどから繰返しになりますが、名義人が信託銀行になれるスキームが必要となります。さらに、ファンド決算報告書の中に、基準価額情報が必ず掲載されていくことが必要になるということになります。
 これらによる基準価額チェック対象は、現実的には、通常アドミニからデータが取れるという先についてはあまり必要がありませんので、現地アドミニから直接時価が入手できない特殊なケース、こういったときには非常に有効になるのかと。これに限ったチェックが現実的な方法と考えています。
 最後に、13頁です。その他ということで、これはいまの厚労省GLでもかなり推奨なり望ましいということで、すでに書いてある内容と重なりますが、例えば運用コンサル機関の活用、ALM分析の活用といったところ、かなりもう一段強めの推奨というところも、堅確性を高める意味では重要なことかと思っています。その他気づいた点については、このように記載していますので、参考にしていただければと思います。
 まとめますと、ある程度厚労省GLの中に、こういったスキームを導入する際に必要な確認事項、スキームの中でも堅確性を高めるための条件で、ある意味でそういったものを原則の条件にするといったことを規定した上で、実際に受託する際に信託銀行がそれぞれのチェック項目を確認して、最後、受託につなげていくことをしますと、かなり堅確なスキームが事前チェックの段階でも確保できるのではないかということです。私からは以上です。
○山口座長 荒海様、どうもありがとうございました。後ほど意見交換の時間はまとめて取る予定ですが、いまのご説明に対して、現時点でご質問はありますか。
○濱口委員 保護預りがまだスキームとして生きていたのを実はよく知らなかったのですが、顧客勘定と証券の自己勘定との分離とかいろいろ難しい信用問題があると認識しています。いま保護預りを禁止するというと、相当問題が起こるのですか。それほどケースは多いのですか。
○荒海様 いや、それほど多くあるわけではないのですが、例えばこれは外国籍私募投信だけではなくて、国内の株式とか幅広く有価証券に投資するスキームの中で、まだ結構現状は生きているスキームなのです。ですから、金商法の中でも保護預りスキームを前提にした法律はかなりきちんと整理されているものですから、例えば外国籍私募投信に限ってどうのという議論はあるのかもしれませんが、保護預りスキームを全部駄目にするという話になりますと、かなり幅広い議論がまだ必要と思います。
○濱口委員 年金資産は原則信託勘定で全部保管しているのに、信託勘定の先に保護預りがあると、信託勘定の意義がある意味なくなってしまうわけですが、だから年金運用についてだけは保護預りを禁止するとか、それで具体的に運用にどの程度支障が出るのかわからないのですが、十分に検討してもいいのではないかと思うのですが。
○蟹江委員 とてもいい提案かと思いますので、信託協会の反省に立ってのご提案だと思うのですが、でも、これは年金基金の現場からは結構嫌われますよね。それをやり抜く決意はあるのですか。
○荒海様 確かに少し受託の際の手続が繁雑であったりということはあって、おっしゃるようにもう少し簡単にならないのかという声も出てくるかもしれませんが、最終的には基金のためにもなる話ですし、実際、制度を維持していくためにも必要な内容だと思っています。また、もちろん我々にとってもその分負荷はかかるのですが、よりよくこの制度を残していくために必要なプロセスであるということをご説明しながら、もちろん最終的にどういう形になるかはこれからの議論があるかと思いますが、こういったスキームを加えることで、より再発防止、皆さんに安心していただきながら投資していただけるスキームを作っていく、という趣旨をご理解いただきたいと思って、これは説得していきたいと思います。
○蟹江委員 信託協会としてやられるのであれば、是非、信託銀行共通にやっていただきたいと思います。言いにくい話ですが、AIJに関して年金特金契約を締結するときに、ある信託は拒否をした、でも、別の信託はいいとして受け入れたという話も聞いていますので、協会として強いリーダーシップでやる限りは、そのあたりを是非すべての信託銀行がそれに従う仕組みをお願いしたいと思います。
○臼杵委員 私も(1)と(2)はかなり、年金基金と信託銀行は場合によってはベクトルが反対に向く、要するにうるさく言うと嫌われてしまうことが現場でマイナスに働くのではないかという気はするのですが、(3)と(4)に関してはベクトルはどちらかというと同じ方向で向いているのかと思います。
 1つお伺いしたいのは、(3)(4)の場合に、これは実際にコストとか、あと運用の選択肢が場合によっては少し狭まることもあると思うのですが、その辺については何かお考えはおありでしょうか。
○荒海様 特に監査済みの報告書を入手してチェックしていくというところは、どのぐらいの範囲にするかというところで、おっしゃるようにコストの問題が出てくるかというところは思っています。ただ、ポイントは正しい、信託銀行が時価の厳選にきちんとタッチできるようにすることと、併せて堅確性を高めるために、有効なレベルでの監査済みファンド決算報告書を活用するというところを見て、なるべくお客様から見てもコストが上がらない内容の中で堅確性を高めるというところが大事になるのかと思っています。
 ちなみに、(3)の現地アドミニストレーターと、いわゆる信託名義に全部していくというところは、もちろんそれはコストアップ要因ではあるのですが、すでに現状でもかなりの数の扱いをしていますので、この点だけで何かコストアップになるとは我々は考えていません。
○山本委員 2つありまして、現状、年金特金のフィーがかなり安くなっていて、今回こういう、どの項目が実際、現実に運用されるかわかりませんが、コスト面ではある程度高くなる考え方をお持ちかという点が1つです。
 チェックポイントがいくつか出てきた中で、信託銀行が仮にミスをされた場合に、その場合責任はいったいどういう形になっていくのか。例えば、ミスをしたが故に一定程度の損失が出たときには、損失補てんみたいなところまで考えておられるのかどうかをお聞かせください。
○荒海様 (1)(2)あたりのところ、先ほどのファンド監査のところは、またその対応する数に応じてのコストは結構あろうかと思うので、ここの議論はどこまで対象が絞れるかというところが出てくるのです。原則、いま申し上げた内容の中で、厚生労働省GLに明記していただき、我々が受託時にチェックをしていくというときに、すみません、これは信託各行でそれぞれスタンスが違うと思いますが、いま手前どもが考えているレベルでは、それをもって委託者サイドに大きな報酬増加を押しつけるみたいなことは考えていません。ある意味、現状の中でできる範囲の中で吸収できるレベルではないかとは考えています。
 一方、例えばチェックをした際、明らかに我々のチェックミスで何かが起きたときというところは、個別に具体的にどういう内容のものなのかによるのだと思うのです。ただ、ここではあくまで基金サイドが最初にスキームの内容を正しく理解していたかどうか、あるいは正しく情報の確認をしていたかどうかという確認の中身そのものについては、一義的には委託者サイドに責任はあるのだろうとは思っていますが、ものによっては我々もそこで関与して、一緒に確認しなくてはいけないベースの内容のものがあれば、そこは当然応分の負担を受けるのだろうと思っています。
○蟹江委員 11頁の高度化のところで、私はこれは気になるので確認したいのですが、例えば我々はなるべくよいファンドと付き合いたいわけです。日本籍のファンドでいいファンドがなかなかない場合、海外籍のファンドを採用するケースが結構あると思うのです。そのときに我々としてよい独立系の投資顧問会社、海外籍の人たちと付き合っていくときに、中にはこのスキームについて馴染まないところも出てくると思うのです。
 そういうときに排除するというのではなくて、我々としても何とかよい外国籍の投資顧問会社と付き合っていくために、うまく誘導してほしい感じがするのです。これだけを見ていますと、何となくこれを機会に国内の信託銀行が、お客さんを全部総ざらいしてしまえと見えてしまうのですが、是非、そのあたり、お互いのプラスになるようにやっていただきたいと思います。
○荒海様 おっしゃるとおりだと思います。そこは、(3)も、例えば我々が名義人のところ、またアドミニに直接タッチできるところは、わざわざ原則の条件にしているのですが、やむを得ない理由でそういうスキームが取り得ない先については、お客様のほうでそのリスク認識をきちんとされていて、その上でもここはいいのだというご判断をされているときに、それまで排除する枠組はやり過ぎだと。それはおっしゃっていたとおり、我々がライバル会社を排除する建てつけは決して好ましくないと思っていますので、そこは必ずそういう確認をしながら、最後はそこまできちんと認識された上で導入されるところを確認したときには、当然排除しないという枠組を我々も想定しています。
○山口座長 時間の関係もあるのですが、資料の関係ですので、私から1つだけ確認してもいいですか。5、6頁で、特定金銭信託と指定金銭信託の違いは、契約における運用対象が指定されているか特定されているかの違いだと思います。それで、5頁の図だと、運用指図が3であって、そして投資顧問から1で売買発注が行われているということですよね。
○荒海様 はい。
○山口座長 ところが、6頁でいくと、運用指図が信託銀行に行われて、その買付申込みが信託銀行から行われているということですよね。
○荒海様 はい。
○山口座長 ですから、運用指図に基づいて自己執行をするのが受託者たる信託銀行の仕事だと思うのですが、そうすると、5と6はなぜ違うのかということについて、簡単で結構ですから説明していただけますか。
○荒海様 6は受益権の売買でして、証券会社を通して買うと、ここでは国内の販社、このファンドの独占販売権を持っていたアイティーエム証券という、証券会社が販社になっていたわけなのですが、その受益権を購入するというスキームだったために、結果、AIJ投資顧問の指図に基づいて国内信託銀行が実際の売買執行を行っているということです。
○山口座長 なぜ、AIJ投資顧問が直接アイティーエム証券に売買発注をしなかったのですか。上の図と整合的に考えるならば、そのようにするのが普通ではないですか。
○荒海様 いまの実務、5頁は、例えば具体的な上場株式とか、債券の実際の運用をやるケースなのですが、いまの年金特定信託の実務のスキームとして、投資顧問が実際に信託銀行を通して、信託銀行が実際の売買を行うという自己執行を行うのではなくて、現実、すでに投資顧問会社が証券会社に直接発注をするというスキームが認められていますので、もともとの信託銀行の行っていた、それこそ数十年前にあった特定信託のスキームではなく、通常のマーケットもののスキームとしてここには記しています。
○山口座長 恐縮ですが永山委員、あとでまた質問の時間はありますので、ここで先に進めたいと思います。引き続いて、濱口委員から資料のご説明をお願いします。なお、これはあくまでも濱口委員個人のご意見ということで理解していまして、連合会の組織としてのご意見ではない、ということをあらかじめお断りしたいと思います。よろしくお願いします。
○濱口委員 残念ながら今回の事件で企業年金、特に厚生年金基金への信頼は非常に傷んだので、加入者・受給者の信頼を取り戻すためには、ガイドラインの修正とか、研修をしっかりやりましょうといった小手先の対応では不十分で、基金の実務体制の変更に踏み込んだ対策が必要ではと考えます。
 先ほども渡辺課長からお話がありましたが、現行のいろいろな通知、政省令、ガイドラインは非常に立派で、あのままやっていれば、こういう問題はなかったとも思いますし、連合会でやっている研修等もほぼ毎日行っている状況で、それなりに充実している。
 ガイドラインでより突っ込んだデューディリジェンスをこういう点についてもやるべきだとか、研修の中でファンドのスキームはどういう問題があり得るかとか、そういう項目を追加するということはありますが、それで今回のような問題が解決するとは思えません。
 今回の事件はそれなりに経験が長かった人もおられたので、経験がある、ないの問題ではないとか、プロ、素人の問題ではないとかいう意見も一部あるようですが、ここまで被害が広がったのは、やはり基金の運用責任者の中で、知識、経験、専門性が充分ではなかった方が多かったのが背景にあるのではないでしょうか。
運用の問題、課題としては、このAIJのケースはほんの一例で、このケースより難しい判断の必要がある課題も数多くあります。
 私は受給者の方から直接いろいろ意見を頂いたことがあるのですが、先日も申し上げた通り、特に総合型の場合には、ほとんど事情をご存じない。どういう人事になっているかもご存じない。そういう中で加入者・受給者の立場からしますと、自分の貴重な年金の財産を運用している職業に必ずしも社会通念上求められる経験者とか、専門家でない方がおられたということに、相当驚かれていまして、なぜそのようなことになっているのですかという憤りを覚えておられる方もありました。
 具体策に入る前に、基本的考え方を書いています。1つは、資産運用業務を実際にやられた方はおわかりでしょうが、1人でできることが結構多いということです。したがって、私のような運用の責任者ですと、リスク管理でいちばん気にするのは、人、人事です。どういう人間をどういう仕事に就けるのかや、あらゆる意思決定に複数の者が関与しているかなどに、いちばん気を遣います。それが最も重要なリスク管理の要であると考えているからです。
 したがって、運用規制、ガイドライン強化は、それなりにやればいいが、それだけでは再発防止ということでは不十分で、かつ非効率な面がいろいろ出てくると思います。
 先ほどの信託協会の提案は、いいところもあると思いますが、一方おそらく、紙とプロセスばかりできて、実態が伴わない非効率なところも出てくるのではないかと思います。
 市場は常にどんどん変化しますし、規制を作ってもすぐ陳腐化します。規制逃れの商品もすぐ作られてくるのが、過去の金融市場の歴史です。特に問題になっている分散投資のために、資産配分規制や運用受託機関1社当たりの委託割合制限をするというのは意味がないと思います。分散投資は当然リスク分散のためにするわけですが、運用の現場をご存じの方はすぐおわかりだと思いますが、デリバティブ・レバレッジを使用した商品が最近非常に多くなっており、運用内容がますます複雑になっているので、表面的な金額とか割合は、実質的なリスク量とは大きく乖離するケースが結構多いのです。
 例えば1社当たり2割とか3割とかいう規制を掛けたとしますと、実質的なリスクが大きいにもかかわらず、2割、3割ぐらいまではいいのだ、という誘導といいますか誤解を生む恐れもあるのではないか。これはヘッジファンドだけではなくて、例えば不動産ファンドなども最近いくつか事件がありましたが、レバレッジが高くて、結局全損になってしまった例もあります。最悪でも2割の全損で済むということで、全然意味がないとは言いませんが、ポートフォリオの2割がゼロになるのは大変なことで、そういう逆効果があり得ることを考えると、私はむしろ否定的です。
 一方で、最近欧米でよく話題になる、アウトソーシングと言いまして、いい意味で1社に全部委託するケースも出てきており、これはいろいろな条件がそろわないともちろん問題なのですが、条件次第ではメリットのある運用形態でもあるので、逆にそういう発展を阻害する恐れもあります。
 では全部人の問題にしてリスク管理ができるかというと、一般的な基金はいいと思うのですが、例えば代行割れをしている基金ですと、相当に問題が膨らんでいるわけで、よりハードな規制とかモニタリングが必要かと思います。
 ただ、形式的な規制ではなくて、おそらく個別のモニタリング、総幹事の信託銀行とか生保の協力を得ながら、個別にどういう運用になっているのかをしっかりチェックしていくといった対応も必要かも知れません。
 次に「運用」と「運用管理」は違うのかという点についてです。これは日本の年金業界ではよく言われますが、例えば運用業界で運用のキャリアと運用管理のキャリアを別に分けていることはないわけで、海外でもあまりそういう話は聞きませんし、私もそうは思いません。最後に別紙を付けていますが、年金業界では、運用とは株の銘柄選択とかディーリングで、そのようなものは年金基金の運用執行理事の経験としては要らないと言われます。でもそれらはいろいろある運用経験のごく一部をさすのであって、運用とは普通は、それこそ証券アナリストの試験の内容でもありますが、経済とか、金融とか、証券市場を理解して、投資理論とかポートフォリオ理論を理解して、それから株とか、債券とか、為替の運用をし、バランス運用であれば資産配分を決めていくのが運用でして、一般に世の中で言うファンドマネージャー、ポートフォリオマネージャー、アナリストなどの業務のことです。
 一方、運用管理と言われているのは、一般の年金基金の仕事で、資産配分を決めて、運用受託機関を選んでいくということだと思いますが、そういう意味だとすると、運用管理は、先に述べた運用の知識と経験を積み重ねた上での集大成としてのいちばん高度な応用問題で、そういう姿勢で取り組むべき仕事です。
 したがって、運用管理を適切に行うためには、運用の知識とか経験が絶対必要とは言いませんが、当然有用であり、重要ではないのでしょうか。少なくとも不要だということはないでしょう。運用機関の選定はある意味ではファンドマネージャーの人事評価みたいなところがあるので、ファンドマネージャーを自らやっていた人のほうが評価しやすいということです。
○山口座長 濱口さん、できるだけ手短かにお願いします。
○濱口委員 わかりました。AIJの様なヘッジファンドの個別の評価をしようと思えば、オプションの知識なり経験は必要なわけで、最近はそういう複雑な商品も多く、証券市場もますます高度になっています。しかも投資理論も定説がなく、運用商品、運用受託機関も多様化しているので、運用の基礎知識・経験は非常に重要かと思います。
 さて具体的な対策に移りますが、厚生年金基金が主要なテーマなので、厚生年金基金の運用執行理事には、運用経験者の配置を原則義務づけるということでいかがでしょうか。運用経験者というのは、例えば証券アナリストの資格もしくは同等の資格の保有者で、その次が大事なのですが、かつ少なくとも5年、できれば10年以上の運用実務経験がある方とします。
 運用執行理事の配置を義務づけた法の元来の趣旨はそういうことではなかったのでしょうか。受託者責任ガイドラインの中に、管理運用業務に精通している者が、通常用いるであろう程度の注意を払って業務を執行しなさいという善管注意義務がありますが、精通しているということは、当然運用もしくは運用管理に関する一定水準以上の専門的能力と経験が必要なわけで、当初はそういう前提であったはずだと思います。
 私が聞いている範囲では、1996年に5:3:3:2規制が廃止されたときに、資産配分規制を外す代わりに、知識・経験のある運用執行理事が必置になって、当初は年金局長が個別に運用執行理事候補者を面接して、運用経験が十分かどうか確認して認可していたということのようです。ただ、1件1件の面接で大変な時間がかかるので、2年間続けたあと、1998年にそういうプロセスをやめて、自由に運用執行理事になれるようにしたそうですが、残念ながらそれから運用経験の少ない運用執行理事が多くなった様です。いまさら年金局長が面接することはあり得ないですが、インハウスの運用をする場合にはファンドマネージャー登録をしますが、それと同様に運用経験等を書いて厚労省に届け出るプロセスで十分でしょう。
 運用執行理事は専任が望ましいと思います。といいますのは、運用はいろいろなストレスも多いし、第三者的チェックも必要で、相互牽制という意味で、常務理事と運用執行理事が別にいて、お互いに牽制し合っていくのが普通の形かと思います。やむを得ない事情があれば兼務も現状通り認めていいかと思いますが。運用執行理事は必ずしもフルタイムでいる必要もないので、例えば週2、3日とかのパートタイムでも十分ワークするでしょう。
 次に、これは細かいようで大事なことだと思うのですが、運用執行理事の人件費は年金経理で処理出来るようにする。これはよく小さい基金ですと、そのようなコストは払えないと言われるのですが、そういう経験のある人は適切な運用に必要不可欠ということで、そのコストは、年金経理で運用手数料とかコンサルタント料と同等の扱いで落としていったらいいのでは。
 仮に市場相場で適任者を採用するには、例えば1,000万円とか、大きな基金では1,500万円要るとしますと、200億円の年金基金の規模ですと、それは5ベイシスポイントでして、そういう基金は運用手数料を大体40ベイシスぐらい払っていますので、それとの比較でいっても、決して払えない金額ではないし、必要なものであれば、その程度のコスト増はやむを得ないと思います。
 この義務づけは、当面、代行部分があって運用責任が重い厚生年金基金に限定し、確定給付企業年金には適用しないということでいいかと思います。そういうことで義務づけ、例えば3~4年といった経過猶予期間を置いたとしても、なかなか採用が難しいというケースも結構出てくるでしょうから、その場合には、それを理事会で議論していただいて、その上で次に申し上げます代替策について、加入者・受給者に説明していただく。その代替策が運用コンサルタントを採用すること、もしくは積立金の運用すべてを企業年金連合会に委託するということです。
 運用コンサルタントは今回もいろいろ話題になっていますが、十分に注意する必要があり、当然金商法の投資助言業の登録が必要です。ただ、それだけでも数が相当多く、個人商店的な所もありますから、しっかりした体制とか、年金基金との契約実績があるとか、その辺はしっかり吟味するように指導していく必要があると思います。
 企業年金連合会の受託について、簡単にご説明します。これをするためには法律の改正が必要です。厚年法なり関連政省令で、厚生年金基金は信託銀行、生保、農協組合連合会、それから投資顧問に追加して、企業年金連合会に委託できるという規定を入れる必要があります。当面、厚生年金基金に受託先は限定する。理由は連合会も厚生年金基金も代行部分があって、ポートフォリオは細かいところを除けば似かよっていますので、受託のコストもミニマイズできる。
 この形で提供できれば、いま連合会は約10兆円の規模ですが、その規模の利益を中小の基金にも提供でき、非営利ですから、運用実費で低コストで受託できる。あと、この点が大事だと思うのですが、営利のための無理な商品の売り込みはないということで、エイジェンシー問題がないとは言えませんが、相当少ないだろうと思います。ただ、連合会が受託するとなると、それでいろいろ問題が解決すると誤解をされても困るわけで、運用で解決できることには限界があることを十分に基金に説明して、必要であれば掛金増とか給付減額の対応も提案していく必要があるでしょう。
 最後に、厚労省での事後チェック体制の強化ですが、すでに始めておられるように、運用専門官を配置され、さらに増強していただいて、現在提出している資産運用業務報告書の内容の充実と、実質的なチェックができる形にしていただく。
先日申し上げたように、世の中、市場はどんどん変化していくわけで、そういう状況のモニタリングが非常に大事です。そのためには、この間、渡辺課長に5年やってくださいと言いましたが、おそらく無理でしょうから、厚労省と業界でそういう情報を共有して、モニターしていくひとつのツールとして、例えば厚労省と年金基金、それから受託機関で連絡協議会のようなものをつくって、そこで資産運用状況、財政状況、制度問題などを定期的に議論し、問題があれば、指導などをしていくというシステムが必要ではないでしょうか。
 AIJにしても、報告書にAIJという名前が入っていたはずなので、雑誌で取り上げられ業界でも話題になっていた際に、ちょっと金融庁に調べてもらおうよということができれば、未然に解決できたかもしれない。しかし、どうもいまの基金と受託と企国課の関係ですと、そういう気安い会話はなかなかできないということも感じています。現にいまほかの運用でも私はいくつも気になる点があるのですが、そういうところも、いろいろざっくばらんに情報交換していく機会があればいいと思っています。
○山口座長 いまからディスカッションに入りますが、その前に蟹江委員から発言の要請がありましたので許可したいと思います。
○蟹江委員 信託協会さんと濱口さんのことについても議論したいのですが、まずそもそも論として申し上げたいことがありますので、2、3分お時間をいただきたいと思います。
 前回の会議でも述べましたが、資産運用規制を考えるに当たって大切なことは、安全かつ安心して資産運用していける環境が整備されていることが出発点です。マスコミなどでは、加害者である運用機関がのさばっていたのはなぜかということをあまり取り上げずに、被害者である年金基金の落ち度だけを責め立てているように思えるわけです。これは、明らかにバランスを欠いているのではないかと思うわけです。我々は2つのこと、つまり1つ目は詐欺に引っかからないためにはどうするべきか。2つ目は、より良い運用を行うためにはどうするべきかという観点が要ると思います。
 まず、詐欺に引っかからないためにはということについては、万能の対抗策はないと思います。そうはいっても、行政当局の再発防止努力は不可欠であります。いくら分散投資を徹底しても、法令ガイドラインを徹底しても、おそらく完全に防ぎきることは不可能ということです。今回でも、84の年金基金が引っかかっているという事実は重いものがあると思います。4年前のアメリカのマドフ事件を見れば、運用のプロである機関投資家、名だたる欧米や日本の機関投資家までもが引っかかっているわけです。悪意を持った運用機関は、必ず存在する。したがって、行政当局が目を光らせること。怪しい噂があれば調査を行い、事件が起きれば徹底調査の上、犯罪性、違法性があれば厳罰に処するという姿勢を明確化することが大切であると思います。
 中部の年金仲間である被害基金から2つの情報提供を受けました。1つは日にちが大事なので言いますが、平成21年3月3日付のAIJ投資顧問グループ アイティーエム証券から被害基金に当てた手紙。もう1つは、平成21年4月9日付の関東財務局長からアイティーエム証券代取へ当てた手紙、すなわち通知書。前者の証券会社のほうの手紙ですが、「年金情報誌2/16日号の記事をコピーしてAIJだということを風潮している心無い金融機関もあるようです。裏を取らずに解約を迫った信託も在るようですが、この件を当局に問合せしたところ事実ならとっくに検査に入っているとのコメントでした。ご安心頂きたく念のため関連資料をお送りいたします」というものが最初の手紙です。後者のほうは、検査結果通知書として、「平成21年2月23日現在で貴社を検査した結果、証券取引等監視官の所掌する事項については特に指摘する問題が認められなかったので通知する」というものです。この基金は、平成21年3月、AIJのファンドを採用して現在に至っております。まさに犠牲者。行政当局の手抜きに乗じた悪意を持った運用機関の犠牲者ではないかと思います。より良い運用を行うためにというのはまたこれから議論されていきますので、私は一言だけ申し上げたいのは、基本は健全な常識、健全な猜疑心の涵養。猜疑心とは疑問を持つ力、質問能力ということです。あえて、そもそも論として申し上げた次第です。
○山口座長 ただいまいろいろご説明いただきましたことへの質疑も含めて、資料1で提示されている項目に沿って議論をしていきたいと思います。できるだけ多くの人にご発言していただきたいと思いますので、皆さん方、簡潔に要点を中心にお話いただき、ご協力賜りたいということを予めお願いしておきたいと思います。
 まず資料1の「受託者責任の在り方について」、分散投資の徹底について、ご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○翁委員 分散投資については皆様おっしゃっているように、そういった資産の種類に5:3:3:2のような配分規制を復活するのは意味のないことですので、むしろいまお配りいただいている資料2-1を見ても、分散投資と書いてある内容に関しては非常にあっさりとしたもので、例えばいまいろいろご説明ありましたが、分散投資というのは具体的にどういうことをチェックポイントとしてやっていけばいいのかを示す必要があるのではないかと思います。運用方法、受託機関などのご説明もありましたが、ポートフォリオ全体のリスクが分散されていればいいはずで、そういった具体的なチェックポイントについての指針をきちんと出していく必要があるのではないか。分散投資というのはどういうことを意味していて、どういうことをチェックしてやっていけばいいのかについてガイドラインをより充実させることも、1つ重要な点ではないかなと思っております。
○永山委員 先ほどの信託協会さんの中で1つ申し上げさせていただくと、11頁の(3)の「管理態勢の高度化」の中で、左側に2として現地アドミニからの直接時価の入手ということがありますが、これを是非急いでご努力いただいて、簡単に言えば残高証明みたいなものだと思いますが、基金サイドが投資している残高を取り寄せる。それを投資家のほうに提示するというスキームを作り上げていただきたいと思っております。
 戻りまして、受託者責任の在り方ですが、私ども厚生年金基金はいまもお話にありましたが、現行の分散投資、ガイドラインとか年金法、基金ですが、この中でいま十分機能していると理解をしております。いちばん大きな問題は、このような法律やガイドラインとかがある中で、運用にタッチしている理事とか関係者が忠実にそれを行うことがまずスタートであり、最後であるだろうと思っておりまして、運用管理という立場からいけば蟹江さんもおっしゃいましたが、常識的な一つひとつチェックをする、細かいところまで疑問を持って確認をしていく作業を忠実に、何度も繰り返すことが求められているのかなと思っております。
 それから今回のことを受けて、私のほうから反省するということでもないのですが、スキームとして運用に携わる理事とか役職については、できれば企業年金連合会さんを中心にして再度新たな、例えば年何回とか何日とかと定期的な講座を作っていただいて、そこで運用管理に関するスキームも含めて、新しいものがどんどん出てきますので、研修をして効果も図るためにテストみたいなものをしまして、それがうまくいかなければ再度講座を受け直すということは必要なのではないか。自動車の免許の更新みたいなことになるかと思いますが、そういった努力も自己研鑽というガイドラインにある中で必要なのではないかと思っています。
 それから、コンサルの活用ということは当然必要になってくると思っています。コンサルティング会社のいまの位置づけというのは、特に登録は要らないと聞いておりますが、今後はコンサル会社を厚生労働省が定性的なものの届出を受けまして、一応資本関係とか人的な関係とかをチェックをして、大丈夫であるというものを一覧として示されて、その中から各基金が選んで契約をする。弁護士さんの顧問契約みたいなものがありますが、基本的な契約をしておいて、何か大きな問題が出たときにはまた別の形でやっていくこともあるのかなということで、運用機関とかそういうところに対する総合的な牽制という意味からいっても、小規模の特に基金さんについては有効なのではないかと思っております。
 この件に関して、先ほど信託協会さんのほうでいちばん最後にコンサルのこともというようなことが若干書いてあったように思いますが、受託機関がコンサルもとなると利益相反という問題もありますので、ファイアーウォールがどこまでできるかという問題も含めて検討することは必要かと思いますが、一応コンサルの利用ということでセカンドオピニオンを活用することは今後の対応としては必要なのではないか。フィーが高いということをよく言われますが、これも業務経理ではなくて年金経理からこれは必要経費であるということで支出すれば、解決するのではないかと思っております。私からは以上です。
○花井委員 私は専門家ではないので、加入者の立場から見た感想と少し受託者責任に関しての意見を述べたいと思います。まず、大変驚いたのは基金に専門家がいなかったということ。急激に金融市場が変動しているにもかかわらず、そこに対してのチェックがほとんど働いていなかったのではないかという感想を持ちました。それから、どんな法制を作っても防げないのだといいながらいままで何十億円あるいは何百億円という公的年金も含めたお金が運用されてきたということに対して、大変驚いています。とても恐ろしいというのが正直な気持です。その上で意見を述べたいと思います。
 厚生年金基金というのは公的年金を使っているわけですので、全く自由であっていいとはならない。そこは皆さんも同じ考えかと思いますが、ただ5:3:3:2規制のようなものは、いまから作るのは大変難しいだろうとも思って、私たちが非常にこだわりたいのは、ガバナンスの在り方をどうしていくのかが重要ではないかということです。いま委員長がおっしゃったところからずれるかと思いますが、今回いろいろ資料を見させていただいて、代議員会の在り方が、いちばんここが危うい。例えば、厚生年金の代議員会が置かれなければいけないとなっていますが、代議員数が偶数であって、半数が事業主が事業所に使用される者のうちから選定するということと、他の半数は加入員において互選されるという2通りあります。それが、具体的にどのような選出のされ方をしていて、どういう人がなっているのか。あるいは人数がどのぐらいなのかとか、それから代議員会で決定されることが決まっていると思いますが、それが忠実に実行されているのか。運用の結果が、きちんと代議員会に報告されているのか。その辺が調査結果を見ると非常にきちんとされているところと、されていないところの差が相当大きいのではないかなと思います。
 私たちは労働組合ですので、過半数のところで使用される者という場合、通常は過半数の労働者を組織する労働組合がある場合はその労働組合の代表とか、そういう選び方があると思いますが、その辺がもう少し解明される必要があるのではないかということです。もう1つは加入者に対しての情報の開示の在り方についてですが、どのような形で加入者に対して運用結果などが報告されているのかがこの調査ではわからないので、そのガバナンスを強めていく、高めていくような法令の在り方というのももう少し検討されていいのではないかと思います。以上です。
○山口座長 ガバナンスの話は次にやる予定でしたので、続いてこのままそちらのほうに入っていってもいいのですが、最初の受託者責任の在り方の部分で、まだ何かご意見があればお願いします。
○蟹江委員 いまは分散投資の徹底のパートですから、それに限って申し上げたいと思います。これまで年金基金から厚労省当局に年次で提出している決算についての報告書にも、資産別の残高と資産構成割合と運用機関別資産残高(信託銀行別、生保別、投資顧問別)に明細が書いてあります。したがって、当局は注意深く見るとおおよその分散状況がわかったはずだという意味で、当局の手抜かりということを指摘したいと思います。今後については、いまの年次報告書の体裁を多少変更して、分散投資の現状を年金と基金と当局が意識しやすいようにすれば十分だと思います。規模の違いとかリスク許容度の違いなど、個別基金にはそれぞれ特有の事情がありますので、細かく規定するのではなくて、いまのガイドラインがきちんとワークしているか。実態的にガイドラインが守られているかを見守れば十分ではないかと思います。
○山口座長 いまの話も、ガバナンスの外部コントロールのカテゴリーの話だと思いますので、次に入りたいと思います。「基金の運用体制・運用プロセス」と「基金のガバナンス・情報開示」は関連する事項ですので、この2つの項目については一括して議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○臼杵委員 分散投資の話から先に少し話します。分散投資は、基本的には市場リスクを分散するという目的で作られていますので、今回のようにAIJの場合、ある意味オペレーショナルリスクの管理を最初からあまり目的として念頭に置いていなかったのかなという気はしています。では、オペレーショナルリスクをどうするか、デューディリジェンスをどうするかという問題ですが、例えば先般も申し上げましたように、非常に小さな規模の厚生年金基金さんがデューディリを自分でやる、デューディリがきちんとできていたかどうかというのを自分でチェックするのはかなり難しいところがあるわけです。これは1つの提案というか考え方ですが、先ほどからコンサルの活用ということがありました。むしろ、投資先の候補になるファンドが、コンサルからデューディリをファンドを自発的に受けるような仕組み、それを世の中に我々のファンドはデューディリについて、きちんとあるコンサルからお墨付きをもらいましたという形で公表させるような、いわばある意味で、無担保社債について発行体が自分で格付けを取るわけですがこれと同じような形でファンドのほうがデューディリについて格付けを取って、それをパブリックな情報として利用するような仕組みができないのかなということは思っています。
 厚生年金基金の情報開示については、先ほどからいろいろ議論が出ていますが、ある意味公的年金の一部を担っているわけですから広く、アメリカですとこれは公的年金ではないですが、各年金の当局に届けた届出書がパブリックになっているわけです。そういう形で当事者kら」だけでなくて、チェックを受けるような仕組みがあってもいいのかなと思います。
 最後に、アナリスト資格がいいかどうかはよくわかりませんが、濱口さんからご提案のあった厚年基金の理事について一定の知識と経験というものを求めることについては、1つのあるべき方向かなと思います。以上です。
○山口座長 ほかにご意見はありますか。
○山本委員 いまの臼杵委員の格付けのところに関連してきたり、情報提供という、少し異質な情報提供かもしれませんが、私は監査法人におりますので、先ほど協会様の資料にもありましたが例えばファンド監査とか、GPIFさんが一定程度要求をされている、昔の呼び名でサスセブンティ(SAS70)、いまはSSAE16があります。財務目的で内部統制の検証を行う。そういった第三者的な機関によるお墨付きとまで言っていいかどうかはわかりませんが、何らかの評価というものを組み込んでいくというのは、有効なものになる可能性はあると思っています。
 それから、先ほど濱口委員からありましたが、個々の基金さんが自分たち自らそういった評価をやっていこうとするとコストがかかります。何人もおいでにならないところでコストをかけて運用コンサルを雇ったり、監査法人の監査を付けたりというのも大変になると思いますので、そういった点を連合会さんと言ってしまうと問題があるのかもしれませんが、運用の知見を集めて、その人がいろいろな基金さん、特に総合型の基金さんのポートフォリオについてアドバイスを加えていくことも実態的には可能なのではないかと思っています。そんなに何度もポートフォリオの中身を変えることはないと思いますし、年に一度、評価をしていけばいいということでもあろうと思います。そうすると、危ないところとか良いところの情報も自然と集まってくると思いますので、そういった総合的なやり方もできると思います。
○玉木委員 いまお聞きした委員方のご意見に、私も賛同するところが大変多いわけですが、金融の世界で似たような問題があるときに、ある1つの対応が取られている所を思い出したので、それをお話したいと思います。
 金融の世界でも大銀行ばかりではありませんで、特に市場での取引についての知見の蓄積がなかなかしにくいような小規模な地域金融機関とか、農協とか労働金庫とかの系統金融機関と呼ばれる金融機関においては、上部団体が全国ベースでありまして、そこがさまざまな情報の面での支援あるいは知見を集めて共有するといった仕組みがたくさんできているように思います。総合型の基金の方々に大きな基金あるいは金融機関と同じような知識を持てといっても、これは難しいところがありますので、いかに総合型基金等、情報格差のある方々を支援していくかという場合には、何らかの上部団体的なもの、これは企年連かもしれませんが、そういった組織においてさまざまな知見を溜めておいて、それを随時共有できるようにする。あるいは「これでいいのだろうか」と基金がお悩みになったときに、駆け込んでいけるような機能を持つことが大変重要かと思います。と申しますのも、いろいろな金融機関あるいはコンサルティング会社とかが、たくさん基金にアプローチしてくるわけですが、それが果たして正直な方々なのかとか、そういった方々が本当に頼っていいのかという不安を持つ方は多いと思います。そういったことを多少でも解消できるような道があれば、これはあまりコストもかかりませんし、国民の目から見てもわかりやすいのではないかと思います。
 もう1点は、金融の世界でまた例を引いて恐縮ですが、情報開示の中身については、業務の態様が非常に違う場合には、情報開示が違って当然だ。これはそうです。もう1つは、情報開示をするためのリスク管理指標といったものをコンパクトに既に自分で持っているところは、自分のやり方に従ってやればよかろう。他方で、そこまでリスク管理的な情報を煮詰めることが難しいところにおいては、ある意味雛型的なものを国全体で作ってしまう。それによって預金者の信任を得られる。きちんとした情報開示は最低限はやっているのだという形にすることはできるだろうと思います。非常に技術水準が高い、あるいはいままでも、しっかりした運用をやってこられた基金において創意工夫を活かせる道を残しつつ、最低限のところをすべての基金で確保していく道を探っていくやり方が1つあるのかなと思います。以上です。
○鹿毛委員 いまお伺いしていて、皆さんのご意見に大きな差はないのだろうと思います。今日のテーマ、運用規制をどうするかということになると、受託者責任、運用体制、ガバナンスを中心に再発防止のために何ができるかということだろうと思います。今回の事件の主たるプレーヤーとは、投資顧問と信託と年金基金の三者で、三者契約を結んでいる。法体系なり管理監督制度はある程度はきちんとできている。ほとんどの場合は真面目な人がきちんとやっているにもかかわらず、今回のような犯罪に近いようなことが起こったときに非常に大きな被害が出る。こうした被害の再発を防ぐためにどうするかということだろうと思います。振り返ってみれば三当事者それぞれに「こうすればよかったな」という反省もあろうかと思います。先ほどの信託協会さんのご意見にもその点伺えます。
 信託さんの今後を考えた場合に、今回のケースでは三者の中での役割は言うまでもなく財産管理面であって、運用については投資顧問会社が責任を持っているわけです。財産の管理・報告のところで、いろいろ制約条件があって十分にできなかった、ケイマンのユニット・トラストの中身がどこまでわかるようにできるかとおっしゃっていましたが、そういうところがいちばん肝心要だと思います。それ以外に長年年金をやってこられた専門家として、こういうこともできますというのはその次の段階でしょう。本件の対応策としては優先順位があって、財産管理のところをできるだけ確認するところに焦点を当てて、検討していただければいいのではないかなと思います。
 投資顧問に関しては、多くの投資顧問に受託者責任があってきちんとやっている中で、今回AIJに関しては完全にワークしなかった。要するに投資顧問、一任業者というのは基金の代理人であって、法律上は専ら基金のために働く立場にある。ここに受託者責任が働いているわけですが、本件は投資顧問業者が基金を利用して、そこから利益を上げている。受託者責任が働いていないということになります。投資顧問業者、特に投資顧問の経営陣にそうした事態を起こさないようにするという観点から、一種の資格要件が検討課題となると思います。証券業、金融業を長年やってきたから、受託者責任ある仕事がすぐできるとは限らないわけですから、投資顧問の社長、信託の社長になるためには、受託者責任のある仕事の実務経験が何年か必要であるとか、そういう資格要件が必要になってくるのではないかなという感じはいたします。
 同様に、年金基金にとっても今回AIJの担当者や社長にいろいろ質問をしたら、結局来なくなった、という話も聞きますそういう意味での受託者責任を果たしていて被害に遭っていないというケースがある中で、引っかかる基金も出てきた。ここで基金の責任者、特に常務理事でしょうか、ある種の資格要件というのが必要なのだろうか、という議論が出てくると思います。先ほどの御説明のように、運用の専門経験が必要だと議論もあろうかと思います。私は、運用経験がなくていいとは思いません。もちろんあるに越したことはないですが、それがあれば、基金が期待されている資産配分・リスク管理というような、まさしく指摘されたような運用経験の集大成というか、最も専門性の高い仕事が出来るのか?という点に疑問を持ちます。
 先程の資料、4頁に「運用経験のない人による運用管理が陥りやすい傾向」という指摘があります。しかし、私も長年運用業界にいた経験上、こういうことがきちんとできる運用の専門家は日本でもそうそうはいないし、世界の一流の機関でもなかなかいないのが実態です。だから運用経験が必要ないということではないのですが、今回の再発防止策として、5年、10年の運用経験がある人を持ってくれば解決する、という事になるかどうか、疑問が残ります。それが目玉になるかというと、私は目玉にはならないのではないかと思います。4ページにリストアップされた課題は世界中の運用機関や年金基金が、一生懸命やり続けてなかなかうまくいかないけれども、それでも頑張っている、という性格のものではないかなと思います。
 年金基金ができる限り自分で全部責任を背負って、自分で全部決めること自体がいろいろな意味で無理なわけだし、事実、責任も持ちきれないのだと思います。ですからコンサルを使うとか、外部の専門家の意見を聞くとか、基金内に経験者を雇うとか、いろいろな手段を取っていくわけですが、これにはコストもかかります。ですから、資産規模の小さい基金でそれだけの態勢を作っていくこと自体も無理があるわけです。ここのところは何人かの委員が言われた、運用全体を外部のところに任せていくことのほうが、一つひとつの基金がそれぞれ人を揃えてやっていくことに比べれば現実的なのではないかという感じがします。以上です。
○山口座長 信託協会さん、いまのお話に関連して何かコメントはありますか。
○荒海様 もちろん当事者が三者であって、我々も現状の枠組の中で今回の事件の発生の課題になったようなところというのが当然ある。その認識の下で、再発防止に向かって何ができるだろう。それも、できる限り手前どもの努力でどこまでできるだろうというので、今日お話させていただいた内容をさせていただきましたので、おっしゃるとおりだと思います。
○花井委員 私は、最大の犠牲者は受給者と加入者だと思っております。新聞に記事が出る度に、私どもの事務所に問合せが来るような状況で、みんな大変不安な中にいることだけご理解いただきたいと思います。
 それから、先ほどの代議員会の内容について、資料があれば出していただきたいというお願いをしたいと思います。
 さらに、2点ほど資料の請求をしたいのですが、1つは、1990年代後半当時に、2階部分と3階部分の間での財政中立論というのが年金審議会で議論になったと伺っていますが、それに関する内容についてのポイントで結構ですので、その資料をお願いします。もう一点は、日本紡績の基金が破綻したときの状況の資料ももし残っておりましたら、提出していただきたいと思います。以上です。
○翁委員 ガバナンスの点で一言補足をさせていただきたいです。代議員会もそうですが、監事監査についてもより充実させていく必要があると思います。これはかなり古い要綱になっていますが、業務が適正に行われているかに関して監査基準をきちんと作って、ガイドラインに沿って基本的な業務が行われているかが監視できる仕組みを構築することが重要だと思います。
○小野委員 受託者責任という話ですが、インフラをいろいろ整備するというのが非常に重要かと思いますが、例えば外部のコンサルに委託したとかいったとしても、結局理事の責任というのは免れないという話は、受託者責任の運用ガイドラインの中にも書いてあったのではないかと思います。そこのところはひとつ留意すべきかなと思います。
 少し反れますが、昨年の12月にOECDがオルタナティブ・ファンドとデリバティブ投資に関するガイドラインのようなものを公表しております。それを見ると、年金基金の理事会というのが、こういった商品の戦略とかリスクに対して十分な理解をしておくこと及び、その十分なリソース、人の面とかテクノロジーの面といったものを確保しておくことが必要だということで、通常の伝統的な運用は別として、こういったデリバティブなり高度な運用をするというのは、それはそれで意義はありますが、ボードが理解していない限りは仕方がないですよねと。わからないものはやらないのが、まずいちばんだということだと思います。そんな関係でいうと、運用ガイドラインの中に会議録の作成というのがあります。例えば理事の業務執行の記録、理事会の会議録といったものを詳細に記録し、整理・保存するものとするということがきちんと決まっているということなので、問題はこの実効性と、例えばAIJのお話でいうとそのあたりの判断が、受託者責任というのはプロセス責任だと思いますので、そういったことが立証できるような十分な記録が残っているかどうかは論点として出てくると思います。
 資産管理関係でいうと、疑念ありといったところで当局に通報するという話はアイデアとしては1つあろうかと思いますが、これで連想したのはイギリスの企業年金におけるホイッスルブローイングの仕組みです。アクチュアリーとか会計監査人などが、その基金の監査をして不正が発覚したときに、それを直接当局に言う仕組みがあろうかと思いますが、こういったものを活用するかしないかも含めて日本的な対応というのはあると思いますが、大枠の中で考えて、その結果として健全な企業年金が育成できればいいのではないかということなので、もう少し輪を広げたような議論に発展していったほうがよろしいのではないかなと思います。以上です。
○永山委員 いまガバナンスのお話が出ましたので、実際に厚生年金基金でどのようなことが行われているかを簡単に2つほど申し上げます。
 まず、監査のことについてお話がありました。監査の規程があってお2人の監事さんがおられますが、例えば監査委員会という委員会方式を作りまして、四半期ごとにその委員会を開催する。そこには、本来の選定と互選の監事さんも入り、学識というか、そういうことをよくおわかりになる方がお一人おられて、さらにそのほかに事業主側と労働側というか、従業員側から代議員がそれぞれ入って四半期ごとに監査をしていくというやり方をしております。ここでは運用も含めて、すべて監査をするやり方をしていることがあります。
 もう1つは議事録の点です。これもガバナンスとして資産運用管理委員会を設置するとか、いまは設置すべきとなっておりますが、この辺の今後の対応もあるかと思いますが、必ず会議を開かれたあとについては議事録を作成して保管することは特に行われているのではないかと思っております。以上です。
○山口座長 既に最後の「事後チェック」の項目に入っていただいておるわけですが、事後チェックの部分についてほかにご意見がありましたらお願いしたいと思います。
○山本委員 一部の年金基金様のほうから、監査法人に監査に入ってくれというご要望をいただいていることもあります。会計基準という基準が存在する場合に、私どもは監査法人であれば基準に応じて見ていくことになります。一部、いま公認会計士協会のほうでも基金の監査というものがどの程度できるかを検討しているところですが、現状我々が監査を見に行く基準というものは一般の企業、株式会社が行っているような基準とはだいぶ違います。そこをどういう形で整備をしていくのか次第で、かなり不正であるとか内部統制であるとか、適正性であるとかというところも見ることができるかと思います。現状は監事監査であったり、そういった内容をできるだけ会計面において整備をしていくことが重要になってくると思いますが、もう少し中長期的には基金というものに対する基準づくりをやっていくことが重要になってこようかと考えております。
○山口座長 いままで3つのセッションに分けてのお話をいろいろいただいていますが、最後に全体を通して言い忘れたとかというところがあれば、是非ご意見をいただきたいです。
○蟹江委員 受託者責任について少し触れておきたいと思います。私はいまのガイドラインがとにかくワークしているかどうかということを、厚労省に見ていただきたいと思います。ポイントは基金においては、理事長と運用執行理事に対する教育ではないかと思います。企業年金連合会は、会員基金に対して常にガイドラインの存在をアピールして、関係者を教育する、意識を喚起するべきであると思います。理事長の中にはガイドラインの存在を知らないという人もいると聞いてはいます。連合会は理事長セミナー、常務理事セミナー、運用執行理事セミナーというのをやっているわけなので、その場をもっと十分活用してやればいいのではないかと思います。例えば案ですが、新しく就任した理事長とか運用執行理事にガイドライン遵守について署名をさせる。連合会の理事長宛に。連合会の非会員も結構いらっしゃいますので、その場合には厚労省に出せばいいと思いますが、署名は精神的なプレッシャーにはなると思います。
 それから、業界団体に対して強く言いたいことがあります。ガイドラインの対象者というのは基金の理事ほかで、運用受託機関など外部者はガイドラインを尊重して行動するとあります。信託協会、生保協会、証券業協会、投資顧問業協会など、業界団体は協会自らが率先して、会員各社にガイドラインを守るということで署名をさせたらどうだろうか。特に年金基金と取り引きするに当たっては、よりそういった高い立場が要るのではないのかなと思います。大変言いにくい話ですが、母体との関係を利用してシェア獲得に圧力をかけてくる運用機関を取り締まってほしいという声が実際にあります。是非、厚労省から生保協会と信託協会に対して、そのあたりを強くアピールしていただきたいと思います。以上です。
○山口座長 ほかにご意見はありますか。近藤委員、何かありますか。
○近藤委員 私はDBの運用に携わっていますが、ここでの議論が基金とDBで分けて議論されているのは良いことだと思っています。年金の運用リスクというのは、さまざまな制度管理とかリスク管理の中の1つで、自分の会社の自己責任としてやっていまして、我々は組織として運用機関とか上司とか会社加入者、受給者へ説明していくような役割を負っていまして、それがうまくできないと結局サラリーマンとして駄目だねということで代えられてしまったり、いろいろなプレッシャーがあります。それがガバナンスなのかはよくわかりませんが、そういう機能が基金の中でもきちんと働いているのかなというのを感想として思いました。
○山口座長 ほかにご意見、ご質問等はありますか。
○臼杵委員 私も資料のお願いですが、よろしいですか。次回以降、2.と3.がおそらく議論になると思いますので、3つほどお願いしたいのです。1つ目は積立基準に関して、海外と日本の比較。英米あるいは欧州大陸の国等の比較で継続基準、非継続基準があると思いますが、それが1つです。
 2つ目は3.の基金制度の在り方についてです。代行割れの基金が何パーセントというのがわかったのですが、金額にしてどのぐらい割れているのか。最低責準未達の金額、ある意味で規模を分けて積立比率別にそれを知りたい。それから、最低責準を仮に特例解散と同じように最初から転がしにしていた場合に、それが未達額がどのぐらいになるのか。
 3つ目は最後のところと関係しますが、上乗せの給付はいったいどのぐらいあるのか。代行と比較して、実際に受け取っておられる方あるいは給付の制度の制計としてどのぐらいあるのかを教えていただければと思います。必ずしも次回でなくても結構ですので、教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○山口座長 よろしいですか。特にないようでしたら、この資産運用規制の在り方については本日さまざまな意見が出ましたので、これらを踏まえて次回に事務局からこれまでの議論の論点を整理したたたき台のようなものを準備していただきまして、また本日の議論も踏まえまして各委員の皆様におかれましても、さらにご意見、ご提言をいただきたいと考えております。次回も資産運用規制の在り方について議論をしまして、それをまとめていくような方向で進めていきたいと思っています。したがいまして、臼杵委員からのご要望は財政の話になりますから、たぶんその次に準備させていただくことになろうかと思っております。よろしいですか。
 本日はこれで終了したいと思います。事務局から次回の日程等についてお願いをいたします。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 次回は5月16日、午前9時からになります。場所等については、また追ってご連絡をさせていただきます。どうもありがとうございました。
○山口座長 それでは、本日の審議はこれにて終了といたします。ご多忙の折り、お集まりいただきまして誠にありがとうございました。


(了)
<厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課>
代表: 03-5253-1111(内線3320)

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