ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会> 第9回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録




2012年4月6日  第9回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成24年4月6日 18:00~


○場所

厚生労働省 省議室(9階) (東京都千代田区霞が関 1-2-2)


○議題

1 指摘事項とその対応について
2 対策の骨子案について
3 その他

○議事

○椎葉労働衛生課長 本日は、大変ご多忙の中、委員の皆さま方にはご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより「第9回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会」を開催させていただきます。
 出席者をご紹介させていただきます。本日は、10名の委員全員にご参集いただいております。復興庁の尾澤参事官から、遅れるとの連絡をいただいております。
 また本日のオブザーバーですが、5名の方にご出席をいただいております。まず、原子力災害対策本部、原子力被災者生活支援チームから、須藤参事官です。同じく、茶山班長です。農林水産省からは、林野庁経営課の井出室長です。農林水産技術会議事務局技術政策課の田雑課長補佐です。本日から、新たに国土交通省技術調査課の石川工事監視官にご出席いただく予定でしたが、急遽出席できなくなられたため、同じ課の林係長にご出席をいただいております。
 なお、恐縮でございますが、事務局におきましてもこの4月から体制が変わりましたので、紹介させていただきます。新たに、労働衛生課内に、電離放射線労働者健康対策室を設置いたしました。室長は、得津室長です。それから安井が電離放射線労働者健康対策室長補佐となっております。電離放射線労働者健康対策室ですが、原発関係だけではなく、除染関係、この検討会もこの室を中心に今後対応させていただきたいと考えております。それではカメラの撮影ですが、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
                (カメラ撮り退室)
○椎葉労働衛生課長 本日の議事進行も森座長にお願いさせて頂きます。
○森座長 本日も円滑な進行にご協力お願いいたします。本日は、事務局から対策の骨子案が提示されておりますので、これを中心にご議論いただくことになります。それ以外に原災本部と門馬委員から資料を提出いただいておりますので、これらについても後ほどご説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 資料の確認をさせていただきます。まず、表紙が、専門家検討会の次第です。1頁めくりますと、資料1です。先ほど課長から説明がありましたように、組織変更がありましたので、その分だけ改訂していますが、それ以外はそのままです。3頁目が資料2で、前回の検討会の議事概要ですので、後でお読みいただき、何かコメントがあればお寄せいただきたいと思います。9頁目が資料3-1で、警戒区域、避難指示区域等の見直しの資料です。1頁めくった資料3-2が、警戒区域と避難指示区域の概念図です。13頁が、資料3-3、新たな避難指示区域設定後の区域運用の整理です。1頁めくった資料3-4は、新たな指示区域にかかる活動上の留意点についてです。21頁が、資料3-5の線量分布です。23頁が資料4、除染モデル事業等の結果の分析評価です。33頁は資料5として、復旧・復興工事における被ばく線量管理等(案)です。別綴じになっていますが35頁、資料6として報告書の骨子案です。資料は以上でございます。
○森座長 資料の不足等はございませんか。よろしければ、まず、資料3、原子力災害対策本部から提出されております「警戒区域、避難指示区域等の見直しについて」、原災本部よりご説明をいただきたいと思います。できましたら、最長10分以内でということで、お願いいたします。
○須藤参事官 須藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元9頁、資料3-1をご覧ください。資料3-1が、3月31日に原子力災害対策本部で行われました決定です。中身に入らせていただきますが、(1)川内村からご覧ください。ここで決定をされておりますのは、1つは村内の警戒区域を解除する。何度ものご紹介で恐縮ですが、警戒区域は線量ということで設定をされているわけではなくて、原発に不測の事態があったときへの対応ということで設定をされているものです。立ち入ると罰金がかかるという区域ですが、これについては解除をするというのが1です。2ですが、避難指示は継続をするという判断をしております。川内村に関しましては、そのほかについてもそうですが、線量に基づいて避難指示を継続する、新たに区域を設定をし直すということです。川内村については年間20mSvを超える区域については居住制限区域、年間20mSv以下の区域については避難指示解除準備区域と、2つの区域に設定をしたということです。
 飛びまして(2)田村市です。この区域については同様に警戒区域を解除した上で、線量に基づき、元々警戒区域であったところについては全域を避難指示解除準備区域に設定をする。こういう決定をしたところです。
 (3)南相馬市です。南相馬市についても警戒区域を解除する決定をした上で、新たに帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域を、それぞれ線量に基づき設定をしたということです。なお、施行日ですが、川内村と田村市については4月1日の午前0時に、既に実施をされております。警戒区域が解除されたということで、自宅に戻って片付け等をされている姿が報道等でも出ているかと思いますが、そういう活動が行われ始めております。南相馬市については、4月16日の午前0時に警戒区域の解除及び避難区域の見直しを行う予定としています。
 以上を地図に落としましたのが、11頁の資料3-2です。資料3-2が、元々ありました警戒区域、計画的避難区域です。この2つを合わせて、避難指示区域と言っておりますが、それが3月30日の決定により、12頁をおめくりいただき、南相馬市、田村市、川内村においてそれぞれ該当部分の警戒区域が解除されるとともに、線量に応じて3つの区域に区分をされているということです。なお、避難指示区域が出ている市町村は11市町村ございます。このうち見直しが行われましたのは、3つの市と村です。残りの8町村については現在協議を続けているところです。
 資料3-3をご覧ください。これは、原子力災害対策本部で参考資料として配られたものです。まさに、この検討会の検討内容にも関わってくるかと思いますが、実際にどのような行為が行われ得るかを整理したものが、こちらです。この3つの区域以外に、本来白地区域、全く避難指示を解除する選択肢もあり得るわけですが、今回はそれはございませんでしたので、避難指示解除準備区域以下の避難指示が継続している状況ということです。避難指示解除準備区域については一時帰宅、通過交通などが認められる。ただし、宿泊は行われない。まだ避難指示が続いておりますので、宿泊は行われない。2ですが、製造業等については事業再開が認められる。ただし、病院、福祉施設、店舗といったような居住者を前提とした事業については、準備までに限られる。営農の再開、これも注書きが必要で、実質的には準備ということになるかと思います。稲の作付け制限や、除染等を待ちながら動きが進められていく。
 ウ)は前回もご説明しましたが、付随する保守修繕、運送業務です。実際的には住宅のリフォーム、工場の再開準備のための修繕、あるいは荷物の持ち出し、逆に荷物の搬入といった運送業務などが行われるという可能性があるということです。
 居住制限区域については年間20mSvを超える線量ということですので、基本的には、現在の計画的避難区域と同様の運用が行われるということで、通過交通、公益目的のための立入り、以前からご紹介をしております特例的に認められている事業再開、事業継続などが可能性としてあるということです。
 帰還困難区域については、常盤道の再開に向けた準備という特殊な事例を除いては、物理的防護措置により住民の一時立入りのみが認められると、こういうような運用になるところです。
 続いて資料3-4、これは原災本部と同日付けに、この区域内での活動上の留意点を原災本部の私ども、原子力被災者生活支援チームから発表させていただいているものです。細かな生活上の留意点を記載しています。
 17頁になりますが、居住制限区域では、特に一般の方の立入り等が行われる場合においても、線量に気をつけた扱いです。17頁の下のほうをご覧いただきますと、屋外での滞在や作業をできるだけ控える。徒歩での移動は短時間にする。移動にあたっては、なるべく車を利用するといったような注意事項を、住民の皆さん、あるいはそれ以外での立入りの皆さんに周知をしていくこととしております。
 18頁には、※で「除染電離則あるいはガイドラインに沿ったご対応をお願いします」ということも、記載させていただいているところです。
 飛んで恐縮ですが、21頁には資料3-5、これも以前お配りしている資料と同じです。12月の原災本部決定の際に添付した線量マップを、ご参考までに添付しております。今回の原子力災害対策本部決定は、12月に行われました「基本的考え方」に整理を基づき、それを具体化するという形で行われたという位置づけです。今後、各市町村との調整が整いましたら、順次警戒区域の解除、避難指示区域の見直しが行われていくと、こういう段取りです。以上、ご報告でございます。
○森座長 ただいまのご説明について、何かご質問がございましたら、お願いいたします。
○古田委員 避難指示解除準備区域についてですけれど、宿泊はできないということですが、これはまだ避難指示が出ているということですが、この理由というのは一体何なのでしょうか。
○須藤参事官 現時点において、線量上の問題ということではございません。まさにインフラ復旧が整っていない状況の中でということですので、あるいはその防災対策とかもまだ実施しながら、復旧に向けているというところですので、残念ながら、現時点でお住まいをいただける状況にはない。逆に言いますと、インフラ復旧、あるいはその防災対策、防犯対策が進んだ場合には解除して、お住まいいただける状況にするということでして、経過的な段階として宿泊はご遠慮くださいという扱いにしているということです。
○古田委員 わかりました。実際に立ち入られる方の放射線防護みたいなのは、何かされているのでしょうか。
○須藤参事官 避難指示解除準備区域については結論から言いますと、そういう意味では防護措置ということを求めているということではありません。当然不安に思われたりする方もいますので、例えばですが、もう既に該当市町村ではやられていますが、線量計をお配りをして、個々人で線量管理をする手助けをしたり、あるいは当然こういった区域、警戒区域等に設定をされていましたので、その健康管理調査をしっかりやっていくというようなことはさせていただいております。
○古田委員 線量管理をする場合は市町村がそういう費用負担というか、測定器を貸し出しているということですか。
○須藤参事官 厳密に言いますと、資金は国のほうで手当てをして、それを県の基金に入れさせていただいています。形式的には、そういう意味では、県が予算として執行し、お配りをするという形になっています。
○古田委員 わかりました。
○森座長 ほかにはいかがでしょうか。
○杉浦委員 線量管理のところに絡むのですが、いまおっしゃられた線量計を住民の方につけていただくというのが、どういう根拠になっているかというところはちょっとおいておき、資料のところの説明をお願いしたいのです。13頁にあります資料3-3の避難指示解除準備区域のところの3には、一時的な立入りの際にはそういうものは要らないと書いてあるのですが、資料3-4の16頁のいちばん下の記述ですと、「一時的な立入り」という文言がなく、そうすると、このあと骨子のところの議論にもつながっていくと思うのですが、「この区域においてはスクリーニングや線量管理等は原則として不要」という方針を出して、その上の、例えば4とか5の製造業等の居住者を対象としない事業の再開であるとか、病院とかというところで線量管理が要らないという原則を、この3月31日の被災者支援チームの紙では書いてしまっているのです。
 だから2つのことをお伺いしています。資料3-3と資料3-4の書きぶりが若干違うところの説明と、それからこの方針、資料3-4に書かれている方針というのは、どのような意味合いで、これから我々が議論するところとどう関わりますかという質問です。
○須藤参事官 いくつか絡んでいたと思いますので、そのとおりになるかどうかですが、まず、先ほども説明の中でちょっと申し上げましたが、14頁の※の1で、除染電離則あるいはガイドラインの適用になる場合には、それに従ってくださいということを。
○森座長 14頁は白紙です。
○須藤参事官 18頁ですね、申し訳ありません。大変失礼しました。18頁の※の1番です。ここで除染電離則あるいはガイドラインに該当する場合には、この決まりを守ってくださいという注書きはさせていただいております。したがって、まさにいまこれからご議論いただくということを私どもでは想定をしておりまして、いまの段階ではこの2つのルールということだと思いますが、当然新しいルールができた場合には、これに沿って活動してくださいということです。この注書きのほうが修正をされていくことになります。
 片や住民の皆さんへの立入りというのは、まさに住民の皆さんがそこで生活をして、年間20mSvを超える状況になっているかどうかという、生活の中で年間20mSvを超える状況になっているかどうかというのが、いちばんのポイントです。これについては、その避難指示区域の解除については、12月の原災本部決定でも、当然解除した後も線量を下げる努力はしていくということは明示してあるわけですが、スタートラインとしては年間20mSvを採用するということです。生活で立ち入る方については、年間20mSv以下というのが確認できて、実際の避難指示は解除されていきますので、線量管理を求めたり、スクリーニングを求めたりという行為はしないということにしております。
 避難指示解除準備区域も年間20mSvを下回っておりますし、居住もできませんので、その意味で全体として年間20mSvを下回るということですので、スクリーニングや線量管理を求めないというのが、まさに原災本部決定の趣旨ということになります。
 片や一方で、ご不安に思う方がいらっしゃいますので、その安心への対応ということで、帰還した方々に線量計をお配りをして、付けていただいて、自分で確認できる、そういう状況を、私ども国として用意することをしているということです。したがって、線量管理を住民の皆さんに避難指示解除準備区域で求めているということではなく、当然安心のためにそういうことができるような環境を整えると、こういう位置づけです。
○森座長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。なければ、続いて資料4の「除染モデル事業等の結果の分析・評価」について、門馬委員よりご説明いただきたいと思います。これについては、最大15分ぐらいでお願いしたいと思います。
○門馬委員 お手元の23頁からになります。除染モデル事業等の成果報告のうち、放射線管理に関する部分を今日は紹介させていただきたいと思います。こちらの資料については、原子力機構のホームページで公開している資料の一部となっております。
 この頁の下のほう、1.除染作業の放射線管理です。放射線管理としてどのようなことをしたかを、大きく書いております。まず、放射線管理体制です。体制をしっかりと整備します。それから作業場所の放射線環境の把握ということで、事前のモニタリングとかホットスポットの場所といったものをあらかじめ確認して、計画を立てることになります。警戒区域等の作業区域への入退域、いわゆるスクリーニングといった場所の確保、スクリーニングの実施をいたします。除染作業の放射線管理としての、いわゆる外部被ばく管理、内部被ばく管理、休憩所への入退域に係るスクリーニング。そういったことも実施したということです。
 次の頁を開いていただき、上の2.放射線管理体制の整備です。今回のモデル事業ですが、いわゆる共同企業体、ジョイントベンチャーが3種類、A・B・Cと大きく3つに分けて共同企業体で体制を組んで実施いたしております。それぞれ現場代理人の下に、放射線管理の責任者、それから放射線管理要員を配置して、全体の放射線管理を統括する体制を組んで、実施したということです。
 外部被ばくについては、いわゆる積算型の線量計と、ポケット線量計を今回は両方着用する形で実証試験を行いました。内部被ばく管理については作業前後で全員、ホールボディカウンタによる放射能の測定を実施しております。まだ除染電離則が施行される前から実施しております定期健康診断としては、電離則の第56条に準拠して実施しております。
 教育等については、「除染に関する緊急実施基本方針及び市町村による除染実施ガイドラインに基づく除染作業における労働者の放射線障害防止措置について」に従って実施したということです。
 下の3.日々の放射線管理のフローです。まず、その日に除染をするエリアの線量の予測を基に防護装備を確認した上で、スクリーニングポイントで、その作業員が警戒区域に立ち入る前の状態を確認する。この緑で囲った部分が、いわゆる除染作業を実施している中です。除染作業の合い間、きちっと休息がとれるように休憩所を設けておりますが、そこでの確認と、1日の作業が終わってエリアから出るときのスクリーニング。1日の線量を把握して、データを蓄積して確認する。そういった一連の流れを書いています。
 25頁の上のほう、警戒区域への入退域ということで、この真ん中のほうにありますように、スクリーニングポイントとして3箇所を設けております。北側が、南相馬市の馬事公苑、南側の楢葉町の総合グラウンド駐車場。こちら2箇所についてはテントハウスを設けて、そこをスクリーニングポイントにいたしております。西側の田村市のスクリーニングポイントについては、体育館を利用する形で実施したということです。
 実際のスクリーニングの例として、この下の5.で記載しています。いわゆる、HOT側の流れが赤の線で描いております。確認後のCOLDのほうがブルーの矢印で描いているように、このスクリーニングの中にクロスコンタミが起きないように、しっかりと区域を分けて、スクリーニングを実施しているということです。
 次頁で6.現場の作業管理・休憩ということで、一例を絵にしています。先にご紹介いたしました、いわゆる警戒区域への入退域のための3箇所のスクリーニングポイント以外に、それぞれの作業場所に近接する形で、休憩所を設けております。その休憩所に入る際も、当然スクリーニングを実施しております。
 スクリーニングの結果、特に汚染がない場合は、この白いタイベックスーツと呼んでいるものを着ておりますが、必ずしもここで脱がなくともいいという管理をいたしております。
 スクリーニングの結果が下に載せてあります。この数字自体はあれですが、結果として、いわゆる基準値である1万3,000cpmを超えたような件数として、ヒトとしての基準値を超えた例は0であったということです。車両についても、ほとんどなかったのですが、数件基準値を超えるものが確認されております。これらについても、いずれもその場で除染等を実施して、基準値を下回ることを確認した上で通過しているという状況です。
 次の27頁ですが、こちらは8.スクリーニングポイント内の放射線状況、9.がその周辺の放射線状況ということで、数値を記載しておりますが、比較するものがないのであれですが、結論としては、このスクリーニングを実施した中で、スクリーニングポイントの中での汚染拡大とか、その周辺への汚染拡大が認められてはいないことを言っております。
 次の28頁、10.がスクリーニングポイントでの廃棄物の管理ということで、参考までに載せております。スクリーニングポイントで、着ていたタイベックスーツが可燃物になったり、あとは養生剤とかが難燃物になったり、いちばん右側の楢葉町については、近くに汚染の比較的高い夫沢地区という所が隣接していますして、そこで全面マスクを付けた作業をやっていますが、それらが不燃物として発生しているということです。エリア毎に特徴的なのですが、こういった廃棄物のデータが出ているということです。これは、参考です。
 11番目、作業者の外部被ばくです。当たり前ですが、除染前の作業場所の空間線量率が高い所での被ばく線量が高くなる傾向が見られているということです。
 数値としては、いちばん左端の「年間積算線量」は、除染実施区域の事前モニタリングで測定した空間線量率から単純に、そこのエリアで1年過ごした場合の積算線量を、参考までに載せております。これらのそれぞれのエリアで実際作業した日数が、左から2番目の「作業日数」です。そこで作業をしている作業者の数で、平均線量というのが、1人当たりの作業期間内における平均の外部被ばくの積算の線量になっています。個人の最大線量が、いちばん右端に載っております。
 ということで、大熊町のところで6.96mSvが、この時点での最大になっています。ただ、実はこの報告会を行った時点で、すべての作業はまだ一部終わっていない所がございまして、その終わっていない夫沢地区が、高い線量のところが終わっていないのです。最終的に全体の報告を6月ぐらいまでには全部まとめることになっていますが、その際にはたぶん最大の所は違う数値が入ることになると予想されます。ちなみに、この6.96mSvでどんな作業をしていたかですが、この方は除染作業をやった後に、仮置き場、フレキシブルコンテナというものを定置していく、仮置き場に置いていく作業、そちらに引き続き従事されたときに、この値が出ているということです。いわゆるフレコンの定置作業というのは、比較的近くに寄って定置していくということですので、そういった作業がこの最大線量に起因しているのかなということです。
 参考までに、できるだけ被ばく線量を下げる上では容器に詰めるというルールがもちろんなのですが、可能であれば、できるだけ大きな単位で定置していったり、処分場に持っていったりするというのが、全体の被ばく線量を下げる上でも有効なのではないかというのが現場の声として上がってきておりました。
 次の29頁、この記録を作った時点での12番は、作業区域ごとの線量分布です。こちらを見ていただきますと、いまの6.96mSvという人が、いちばん右端に1人います。縦軸の数値が1目盛り100人ですので、ちょっと見えてきていません。ほとんどが、いわゆる1mSv以下の被ばくにおさまっていることが、見て取れると思います。
 13番目、作業者の内部被ばくです。まず1つ目としてホールボディカウンタによる内部被ばくの結果です。いわゆるスクリーニング判定用のホールボディカウンタによって測定した結果、内部被ばくにおいて、記録レベル1mSvを超える作業者は今のところ出ていないということです。
 作業場所の空気中放射性物質濃度ですが、今回のモデル事業の作業現場における空気中の放射性物質濃度はそれほど高いレベルではなく、防護装備を装着したことによる記録レベルである1mSvを超える内部被ばく線量は検出されませんでしたという結果になっています。空気中の濃度のデータについては、近いうちに報告書としてまとまる中で、すべて公開する予定です。いまデータを整理している状況です。
 30頁目、14番目、今後の本格除染に向けてです。3つほど書いています。1つ目ですが、事前モニタリングを踏まえた放射線管理計画ということで、除染作業開始前に、事前モニタリングにより面的な放射線環境の把握、ホットスポットの状況をしっかりと把握して、計画立案に活かすことが有効である。2つ目、作業者の被ばく履歴の管理です。この度、除染電離則に基づく線量記録の保存機関として、放射線影響協会が指定されたということで、除染作業者の長期の被ばく履歴の管理も可能になる。また、これにより炉規法との重複作業の被ばく管理も可能になる。
 それから作業区域への出入り管理ということで、今回、警戒区域へのアクセスということで3箇所紹介しましたスクリーニングポイントを設置したわけです。実際、今回作業を実施して、同じ警戒区域の中においても汚染の濃淡もあります。できるだけ現場の近くにスクリーニングポイントを置くというのも1つの方法なのかなということで、そういった低減措置がなされております。
 作業者の負担軽減の観点で、作業現場の近くに休憩所を設置し、出入り管理を徹底して、休憩、飲食ができるスペースをしっかりと確保することが非常に重要であるということです。
 最後に14番、今後の本格除染に向けてです。まず、外部被ばくの管理については、日々の線量管理により作業員の被ばくは管理が十分可能であることが確認されております。高放射線環境での除染作業においては、被ばく低減に有効な除染手法と、その作業手順の組み合わせの最適化が非常に重要である。それから機械利用による作業の効率化、それによる作業時間の制限・短縮なども有効であるということです。
 内部被ばくについては、通常の防護装備により管理可能であり、装備の軽減も可能。下記の除染作業をにらみ、過剰装備による身体負荷低減への配慮も必要。これの言わんとしているところは、今回、警戒区域については、一律タイベックスーツを着てマスクを付けてといった保守側の管理をしたのですが、除染電離則で言うルールの装備で十分、当然ながら十分いけることも言わんとしているということです。今のルールが過剰であることを言っているわけではないです。今回のモデル事業では、すべての作業者について作業前、作業後にホールボディカウントを行いましたが、除染電離則に従ったスクリーニングにより管理が当然ながら十分可能であることが、改めて確認されたといったところです。以上でございます。
○森座長 ありがとうございました。それではただいまの説明について、質問がありましたらお願いします。
○古田委員 26頁の下の7で作業員の基準値超えがなかったということは、スクリーニングにかかる前にタイベックを脱いでいたからではなく、タイベックを着て測った人も含まれるという理解ですか。
○門馬委員 そういうことです。
○古田委員 わかりました。
○金子委員 いまの説明のいちばん最後で30頁のタイベックスーツの言及がありましたが、これは冬の試験です。今後夏場の作業を考えると、熱中症とか作業効率が悪くなることがありますので、タイベックスーツ無しにし、その代わりに外部被ばく量を下げる努力をすることが重要です。内部被ばくはそれほど気にしなくてよいということであれば、外部被ばく量を下げるためには、やはり作業時間を効率よくやるということが必要になってくると思います。うので、その意味でタイベックスーツは必ずしも要らないというようにされたほうが個人的にはよいと思います。
○門馬委員 おっしゃるとおりタイベックスーツは、今回の警戒区域内の作業、初めての試験でいろいろデータを取るという関係も含め、みんな一律のものにしましたが、今回、まさに今後のそういった夏場の作業のことを考えますと、いわゆる過剰な装備というふうに捉えています。
○森座長 ほかにはいががでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 先ほどの件に関して説明します。50頁に現在の除染電離則に基づくタイベックスーツの着用基準が載っております。これを見ていただくとわかりますように、50万Bq/kgを超えるような高濃度土壌を扱ってかつ、10mg/m3を超えるような高濃度粉じんを扱う場合に限って、タイベックスーツということに法令上なっておりますので、これは基準の問題ではないというのは門馬委員の説明のとおりです。
○門馬委員 そうですね。結果的に、このいわゆる50万Bq/kgを超えて、かつ10mg/m3を超えるようなエリアは今回の作業の中ではあまりなかったと認識しております。それ以外の所も、これと同様な装備をしていた部分が場合によっては過剰なのではないか、そういう解釈です。
○森部長 ほかにいかがでしょうか。
○松村委員 呼吸保護具は一部で全面型のマスクを使われたということですが、一般的にはどういうクラスのものが使われていたのでしょうか。
○門馬委員 それ以外のところでは、いわゆるサージカルマスクといった放射線用ではない、通常の防じん用のマスクとかそういったものを併せて使っていただきました。
○松村委員 使い捨て式というか、カップ型ですか、それともプリーツ型ですか。
○門馬委員 こういう、ぴたっと。
○松村委員 上がゴムというか、そういうのが付いているという意味ですか。
○門馬委員 そうです。
○松村委員 かなり性能のいいものを使われた。
○門馬委員 はい。
○松村委員 どうもありがとうございます。
○森座長 ほかにはいかがでしょうか、よろしいでしょうか。それでは続いて対策の骨子案のほうにいきたいと思います。資料5の図、復興・復旧作業における被ばく線量管理等の案と、資料6の骨子案、1「被ばく線量管理の対象」の範囲について、事務局より説明をお願いします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 それではご説明いたします。33頁の図を説明させていただきます。これは、後ほど骨子案で説明するものを概要的に取りまとめたものです。これで全体像を説明させていただきたいと思います。いままでの議論で復興・復旧作業というのは非常に多様性があるということで、現在の除染電離則のような1つの基準を押し並べてすべての作業に適用することはなじまないので、場面に分けて規制を最適なものに分けるということを念頭においているものです。
 基本原則というところで書いていますが、建山委員からも指摘がありましたように、そもそも作業を行う前に、まず除染をきちんとするということを大きく打ち出しているということです。
 図の内容の説明ですが、縦軸と横軸でグラフになっております。縦軸は空間線量率になっております。上にいけばいくほど、空間線量率が高い場所になります。横軸は、取り扱う汚染土壌等の放射性物質の濃度で、右にいけばいくほど濃度が高い。そういったグラフになっているということで見ていただきたいと思います。
 まず右上で、作業場所における空間線量が2.5μSv/hを超える。これは年間換算すると5mSvになるわけです。これは従来の電離放射線障害防止規則の管理区域相当ということです。また、ICRP等で管理区域として線量を管理すべきであるという下限値の濃度を超えているエリアです。同じく下のほうに1万Bq/kgと書いています。これはIAEA等のいわゆる安全規制免除レベルが、それぞれの放射性物質ごとに決まっているわけです。セシウム134と137については、1万Bq/kgということになっています。これを超えるものを扱うような作業ということが右上になってくるわけです。これが従来の除染電離則の想定している世界で、当然のことながら除染ですから高い線量の区域に立ち入って、高いレベルのものを扱うということを前提にすべての規制が組み立てられているということです。
 これがフルスペックであることを考えますと、左側、1万Bq/kgを下回るものしか取り扱わない、あるいはそもそも土壌を取り扱わないような作業があるということ。それから下半分、2.5μSv/hを下回るエリアでのみ活動する方がたくさんおられるということですので、その4つに区分して最適化を図っているということです。
 まず右側の一定レベルの1万Bq/kgを超える汚染物質等を取り扱う作業、これは赤枠で囲って特定汚染土壌等取扱業務と名前を仮置きしていますが、これについては当然汚染土壌を扱うわけですので、共通事項として、被ばく低減措置として当然事前に例えば空間線量、放射能濃度を測る。あるいは異常時、何かトラブルがあったときの医師の診断がいる。汚染拡大、内部被ばく防止が当然必要で、例えばそういった汚染物質を、汚染土壌等を収集、運搬、保管するためには容器を使ってください。汚染検査もしないといけない。防護マスク、保護衣を着用しなければいけないという一連の規制があります。教育についても手厚く、労働者への特別教育をやらなければいけないことです。
 これ以外の共通事項については、上のほうで申しますと、線量が高いということなので、個人線量計による外部被ばく測定を、右上の欄には義務づけるべきだと考えております。また、内部被ばくについては現在の除染電離則と同様に、この右上の欄は相当高濃度のものを扱うということですので、現状の除染電離則と同様に土壌の濃度と粉じんの濃度に応じた内部被ばく測定を義務づけるべきだと考えております。
 被ばく低減措置については、これも相当濃度の高いものを扱いますので、作業計画の稚拙によって、被ばくが高まる可能性がありますの。作業計画、作業指揮者、作業届、こういった一連のものについては必要だとしています。特殊健康診断についても当然年間5mSvを超えるところで継続して働く業体がありますので、年2回の特殊健康診断と一般健診が必要である。フルスペックが右上になっていることです。
 右下は基本的に2.5μSv/h、年間5mSvを下回っているわけですので、線量管理というのは原則として必要ないというのが国際基準です。ただ一方で、インフラ整備のように右上と右下を行ったり来たりする人がいるわけです。そういった方は当然5mSv/年を超えてくるわけです。そういった方については、右下の作業を行っているときの線量を捨てるわけにはいきませんので、簡易な測定をするということを考えています。それ以外、右上に行かない方、例えば農業とか、農地で定住的に一定の場所で作業される方、そういった場合は線量管理というのは要らないのではないかということです。当然年間5mSvを超えないわけで、そうなると特殊健康診断についても必要ないということです。
 左上に関しては汚染物質を扱わないということですので、右側にありますような共通事項に書いてあるような汚染物質関係の規制というのは全部抜けております。ただ一方、線量が高いエリアで作業を行うということですので、個人線量計による外部被ばく測定については必要だとしています。
 被ばく低減措置として、空間線量を事前に測っておくことは当然必要であろうとしています。あるいは何かトラブル時に医師による診察も必要です。教育に関しては、一定の個人線量管理を行う以上、Svの意味もわからないというわけにはいきませんので、学科による一定の教育が必要であろうと考えております。健康管理については、特殊健診は不要であると考えております。これについては、原災本部のほうで、3.8μSv/hを超えるエリアについては、製造業などの定住型の継続事業については、再開は認めていないということです。屋内については、3.8μSv/hの4割程度ということで試算することになっております。そうなりますと、1.52μSv/h程度となりますので、いわゆる製造業については、基本的に左下に全部入ります。
 左上は何があるかと申しますと、これは汚染物質を扱わない屋外作業です。例えば測量であるとか、物の運搬であるとか、警備業とかそういった業種に限定されるということです。そうなりますと、6カ月間常時そういった業務にずっと従事する、高いエリアで従事するというのはなかなか想定し得ないということから、特別な健康診断については必要ないという判断です。
 左下については、空間線量も低い、扱う土壌の濃度も低いとのことで、特段の規制はかからないということです。それで基本原則に立ち返りますが、できるだけ除染等を行うことによって、例えば農地であれば反転耕等を行うことで、そもそもの表面の土壌の濃度を下げる。こういったことをすることで、左下のエリアにできるだけ多くの方を入れていただく、そういう方向性をもって行政は進めるべきだということで、書いているものです。
 次に35頁の資料6について説明します。1、線量管理の対象です。過去の経緯については飛ばします。38頁の骨子案から説明いたします。四角で括られたところです。まず適用は、これは議論いただいたとおり、除染電離則と同様に汚染対処特措法でいう、除染特別地域及び除染状況重点調査地域ということです。これはいわゆる0.23μSv/hを超えるという指定エリアということです。
 それ以外のエリアについては適用しないということです。適用の対象となる作業は、土壌等の除去、除染または廃棄物の収集等を目的としていない作業としています。これは当然こういったものを目的としている作業は除染電離則が適用になりますので、それ以外の作業であって、1万Bq/kgを超える汚染土壌を扱うような業務です。これは特定汚染土壌等取扱業務と仮置きで置いていますが、そういった作業です。もう1つは、平均空間線量率が2.5μSv/hを超える場所で作業を行う業務です。これは作業の内容に限定がありません。これを特定線量業務と仮置いています。この中には当然、特定汚染取扱業務は含まれないとして除いています。
 (注)で、放射性物質汚染対処特措法の第28条及び第36条に基づきまして、除染実施計画が徐々に定まってきています。この中には除染を実際に実施する地域がより限定的に明確に示されておりますので、こういったものが定められた地域においては、そちらを適用対象に変えることを考えています。先ほど申し上げましたが、土壌等の除染等の業務、それと廃棄物収集等の業務については、除染電離則の適用ということで、新しくいま検討している規制の対象とはならないということです。
 (注)で汚染土壌等を取り扱う業務は当然、取扱いという一般的な日本語の意味から鑑みて、汚染土壌等を対象物として手で直接または機械・器具・工具等を介して行う作業であって、汚染土壌等を含む粉じん等にばく露されるおそれがあるものを行う業務ということで仮置きしております。作業列挙で書いています。これも伐木、枝打ち、そういったものもありますし、土壌の剥ぎ取りとか、いってみれば汚染土壌に、あるいは汚染された建物等に触れる作業ということで列記しています。漏れがありまして、例えば明示的に「耕す」という言葉が入っていないとか、まだ見直しは必要だと思います。引き続き検討させていただきます。
 海の中の作業はどうするかという指摘もあり、これも入れる方向で現在検討をしております。次の(注)で、平均空間線量率の考え方です。これは労働者が実際に作業する場所において測定することを前提といたしますので、屋内作業の方については当然屋内の空間線量率、屋外作業の方については屋外の線量率で考えるということです。そのため、屋内、屋外の作業で区分することはしませんが、実際問題としては屋内作業における空間線量は低くなるという形になるということです。
 次に5頁で、空間線量率が2.5μSv/hを超える場所で行われる、先ほど申し上げましたような屋外作業、測量、調査、そういったものについては、特定線量業務に該当するということです。一方、先ほど説明しましたが、原災本部が3.8μSv/hを超える地域においては、製造業等の再開は認めていないということになりますので、製造業等については、単純に計算をすると1.52μSv/h程度にしかなりませんので、2.5μSv/hを超えるような作業で屋内型の作業が入ってくることは原時点では想定しないということです。
 次の(注)で、運輸業の問題です。当然、車ですので非常に移動性が高いという特性を持っているわけです。これについては、まず土壌を扱わないという前提であれば、荷の搬出または搬入先が平均空間線量2.5μSv/hを超える場所にある場合は、特定線量作業に該当すると。これは当然荷待ち等もありますので、1つの現場に5時間、6時間と留まってくる場合もございますので、そこにおける被ばく線量管理は必要だとしています。
 一方、単なる通過交通については、当然のことながら原災本部のほうで9.5μSv/hを超える地域はバリケード、ブロックをするということもありますので、短時間での繰り返し程度で、年間5mSvを超えるようなことは考えられないことで、特定線量業務には該当しないということです。
 個人事業主あるいは自営業、ボランティア、いわゆる労働法上の労働者ではない方の問題も当然ありますので、そういう方についてもできるかぎり同様の安全対策が必要です。基本原則の(1)、これはALARAの原則で、電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めるということです。(2)は、今回改めて書いているもので、作業を行う前にあらかじめ作業場所における除染等を実施するように努めるべきだという大前提を置いています。これは先ほども申し上げましたが、いわゆる左下の規制にかからないエリアにできるだけみんな押し込むべきだという発想であるということです。当然除染作業を実際に実施するために必要となる水道とか道路の復旧については、当然例外としてやっていただく必要がありますし、あるいは覆土、舗装、農地における反転耕等、土壌を除去しなくても除染効果、線量的には効果が認められるような作業については、もちろんやっていただくということです。ただ一方、こういった例外的な作業以外の作業、製造業であるとか病院、社会福祉、商業、営農こういったものについては、やはり除染を行ってからそもそもやるべきではないかということを打ち出しているということです。こういった除染作業は必ずしも除染作業として別発注される必要は必ずしもないということです。インフラ復旧の工程の第1段階として、いわゆるパッケージで発注することも当然可能であろうと考えております。
 3番は、線量の測定です。これは先ほど説明したとおり、2.5μSv/hを超える所は押し並べて個人線量管理をするとしています。内部被ばく測定については、土壌を扱う作業についてはやっていただくということです。イでは、これは2.5μSv/h以下の場所については、作業の性質上、例えばインフラ整備のように2.5μSv/hを超える場所に立ち入ることが前提とされるような作業に従事される方に限定して線量管理をしていただく。逆にいうと、それ以外の定置型の作業をされる方については必要ないということで整理しております。
 (注)で、作業の性質上どういったものが2.5μSv/hに立ち入るかということになりますと、これはインフラ整備作業、当然それに付随するような保守修繕作業というのは出てくるのではないかと書いてあります。(注)の2つ目では、例えば製造業のように、作業場所が特定される、いわゆる定置型と申しましょうか、そういったものについては、作業場所が2.5μSv/hを切っていれば線量管理は要らない。3つ目の(注)では、通勤、運搬、営業等のために、車両で2.5μSv/hを超える場所を通過する場合が想定されますが、これも下に若干試算がありますが、例えば5μSv/hの場所で年間5mSvを超えようと思うと、1,000時間滞在する必要がありますので、これは通過交通とは当然いわないわけです。そういったものについては、特定線量作業になるかもしれませんが、いずれにしても一般的な通過交通については、線量管理は不要だということです。
 (2)で、これも大変重要な点です。農業従事者等自営業者、個人事業者、こういった方は、自ら線量管理をするのが正直なところかなり困難ですので、基本的にはこういった方々は除染をすることで、そもそも規制がかからない状況にすべきではないかということを述べているわけです。(注)で、今回はあまりボランティアは想定されませんが、ごく一部、例えば農業ボランティアのようなものがありますが、こういった方はいわゆる職業被ばくではないわけです。除染電離則でも、ガイドラインでも書いてありますが、1mSv/年を超えないような頻度の管理をしていただきたいということです。
 (3)の内部被ばく測定については、除染電離則と基本的に同じで、50万Bq/kgを超えるような高濃度土壌を扱って、かつ、10mg/m3を超えるような高濃度の粉じんを行う場合に限って内部被ばくを行って、その他のものについては、スクリーニングでいいというものについては踏襲したいと考えております。
 41頁の(注1)で、土壌等の汚染対象物について、放射性物質の濃度を測る必要があります。これについては、除染の場合は、まさに除染をする対象物ですので、かなり詳しく測定する必要があるわけです。今回は別にそういった高濃度のものを狙って仕事をするわけではないので、当然緩和は必要であろうと考えております。これについては59頁に別紙1がありますので、そちらの説明をいたします。
 基本的な考え方として、当然作業の開始前には測るわけです。仮に同じ場所で作業を継続するような作業がもしあった場合については、いままでは除染ですから渡り歩くわけで、今後はそういった定置型、極端な話、農業とか、そういった土を扱ってなおかつ定置型の作業というのは論理的にはあり得ますので、そういった場合には、一定の頻度で継続する測定がどうしても必要になってくるということで、2の(2)は、いま「●週間」と書いていますが、頻度について議論していただく必要が出てまいります。
 試料採取で、従来は1,000平米ごとに数点、1,000平米を大きく上回る場合は、1,000平米ごとに1点ということになるわけです。これも実際農業、あるいは林業というものに、非常に広大なエリアで作業する場合に果たしてこの基準が適当なのか議論が必要であろうと考えております。試料採取の箇所は、従来は除去するわけですので表層の数?を除去することで濃度を測っていたわけですが、今回は除去するわけではありませんので、当然平均濃度の測り方ということで、変わってくるというふうに考えております。これについては前回深さ15cmとか、そういった数字も農水省さんからいただいておりますが、これについても検討する必要があるということです。これで一旦終了です。
○森座長 ありがとうございました。資料5については、まさしく骨子案の中身なので、ここでは具体的な内容については議論せずに、この表の読み方、作り方についてのご質問に限定して受けたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか、この考え方自体の表の読み方は。
 それでは続いて骨子案のほうに移ります。骨子案もかなり項目がありまして、特に線量の測定のところは、比較的大きな議論の対象となります。まず、1の適用等と2番の基本原則についての部分でご意見があればお願いいたします。
○建山委員 感想1件と、質問というか確認事項が1件と、意見が1つです。感想で、私はこれまで放射線の危険のある箇所で作業を行うことによって、二次災害的な被災という事態が起こることはつくるべきではないというスタンスで意見を出させていただきました。そういうことで今回、除染作業を行ってから復興・復旧作業を行うということを基本原則として入れていただいたということです。ただ5頁なんかを見てみますと、結構例外規定が多く、水道、道路の復旧に必要な作業であるとか、あるいは、覆土、舗装、農地反転云々と実は主要な作業がこの中に入ってきていますので、では例外ではない作業はというと、屋内作業が中心になってきたりということになってくると、言い方が大変悪くて申し訳ないのですが、有名無実な原則になったなというのが感想です。ただ、国がそれでもあえて復興・復旧を優先してやっていくというような姿勢を示すということであれば、それは1つの判断だと思いますので、それを決して否定するつもりはありませんが、今後はそれを前提に意見を出させていただきたいというふうに思います。そこまでが感想です。
 2つ目は質問というか確認事項なのですが、そう考えると基本方針としては、放射線により被害を受ける可能性がある場所での作業はできるだけするべきではないということなのですが、でも復興・復旧のために、早期の復旧のためにやむを得ず作業を行う場合には、そういう作業が必要になってきますので、その作業関係者の被災を防ぐためのガイドラインを作るというのがこの委員会の役割というふうに理解しました。そのガイドラインの設定をし、それを事業者に任せていくことで、ここからが確認事項で、仮に事業者がこのガイドラインに沿って完璧に管理をしたとしますと、かなり厳しいガイドラインなので問題が起こる可能性は非常に少ないと思いますが、仮にそれでも何か障害が出るとかそういった事態になってきたら、やはりこの委員会の議論が問われることになるのだろうと思います。そのつもりで議論をする必要がありますねという、そういうことですねという質問というか確認事項です。
 最後に意見ですが、先ほどの33頁の基本原則にありますとおり、いちばん上のところに「事業者は、放射線を受けることをできるだけ少なくするように努める」と基本原則を入れていただいています。もちろんそのとおりなのですが、もう少し強めたほうがいいのではないのかと思います。といいますのは、建設の工事というのは、どうしても工期が優先されたり、絶対作らないといけないとなると結構無理することもあるのです。そうすると先ほど言いました、ガイドラインを超えて作業するようなことも出てきがちなものですから、そういう意味からすると作業者あるいは監督官も含めて関係者の健康管理を最優先課題に置くのだというところを義務づけるような、そこまで書くべきではないかなと思います。作業内容とか、工程を優先して健康管理を二の次にするようなことがなくて、あくまでも健康管理というのが優先される課題であるということをまず義務づける。罰則規定を設けるかどうかはありますが、それぐらい書いておいたほうがいいのではないかというのが私の意見です。以上です。
○森座長 ありがとうございました。最初の例外規定が多くてという部分の話がありましたが、これについて何か事務局からありますか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 これについては、押し並べて道路は全部やっていいという意味ではなくて、除染を進めるために必要最小限の工事にしておりますので、道路だったらすべてオールクリアーで何でもやっていいという解釈はしておりません。それが第1点です。
 第2点は、仮に事業者がこういった規制を守った上で、後に例えば放射線障害が発生したらどうするかということで、これについては、労災保険という労働者の救済制度がございますので、これは例えば法定の基準を守っているから補償しないというような取扱いはしていません。基本的には職務との因果関係が認められたものについては救済されることになります。
 もう1ついわゆる原則を義務化すべき点については、これは現状の除染電離則もいわゆる努力義務という形を置いています。「努めなければならない」という記載にはなっております。これを正式な義務化にすることは法技術的に実は、いわゆる構成要件がはっきりしないと、精神論ですので、大変恐縮でありますが義務化は難しいです。ただ、最大限強い表現で「努めなければならない」という表現は使いたいというふうに考えております。
○森座長 ありがとうございます。最初の例外については、かなり限定的だという話ですが、2つ目の働く人を保護しようという話については、補償は補償です。委員会としては健康を守るということを非常に重要なこととして議論をしたいというのは皆さん同じ気持ちだと思いますし、座長としても私はそう思っています。3つ目の件に関しては法令上どうするか、法令にどこまで書くかということ以前に、まず報告書では「放射線を受けることをできるだけ少なくするように努める」とまずあって、どうしても作業をしなければいけない場合が存在するので、そういう場合においてもしっかり健康のことを重視するのだということを特に謳ってほしいというように私は建山委員の意見を聞きましたが、そういう意味ですか。
○建山委員 はい、まず優先課題として置いていただければありがたいかなということです。
○森座長 法令上というよりも、労働者の健康が非常に重要だということを報告書の基本原則の中に一言入れたらどうかというご提案だということですか。
○建山委員 はい。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 わかりました。それは(2)の表現ぶりですので、ここに労働者の健康が重要であるとかそういったものを書き込むことは可能であろうと思います。
○建山委員 労働者だけではなくて、作業に関与する監督官とかいろいろな立場の方がおられると思いますので、そういう人たちの健康を優先して議論しましょうというのがどこかにあればいいなということです。
○森座長 次回までに検討いただきたいと思います。それ以外はいかがですか。
○金子委員 4頁の汚染土壌の取扱いについてですが、森林の場合ですと苗木を掘り起こして植え付けというときには、土壌を掘り取って、土壌を付いたものを植えるという作業があり、実際に土自体を扱うわけですが、ここに書かれている伐木、枝打ち、草刈等は、かなり範疇が広すぎるのではないかなという感じがします。それが1つです。
 あと、1万Bq/kgの扱いについて59頁でしたか、農地では15cmということですが、森林の場合は樹木の葉、表皮、落葉、落枝の代表的な部分と書かれていますが、これまで私が何回も主張しているように、森林の部分を評価するのは難しいです。それぞれの部分の代表を選ぶのも難しく、一般的には面積あたり、どれだけ溜まっているかという形で評価します。ですから、この代表的な部分でやるという考え方はどうなのかなと思います。
 2の落葉層の場合は、落葉層だけを取り上げていますが、土壌を掘り起こしたり植え付けたりの場合、農地と同じように15cmぐらいの土を扱いますので、深さでいえば落葉層自体は、濃度が高いけれども非常に薄いわけです。重さでいうと土の部分は非常に重いので?あたりで考えるときには下の土も含めて評価をする。農地に合わせて15cmで1万Bqという基準を使うなら、そうしたほうが現実に使いやすいと思います。
 伐採に関していうと、例えば粉じんが立たないということのデータがモデル事業のほうから出れば、その辺はもう少し説得力が出てくるのかなと思います。植え付けや林道工事とか、土を実際に削る作業に限定したほうがいいのではないかと思います。
○森座長 別添1に関しては2に関わる項目もあるので、そちらでまとめてやりたいと思います。意見は意見として取り上げておきたいと思います。それはいかがでしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 今回のここで列記しているものは、実は除染作業のときの作業から全部抜き出していますので、過剰であるものも含まれている可能性はありますが、入れている趣旨は線量を下げるために伐木しなければいけないという現実がありまして、ということは木自体が汚染されているケースがたくさんあります。そのため、それの濃度を評価するというのは木の表面ですので大変難しいのですが、正直なところ相当に汚染されている木の表面も、現実問題、葉っぱも含めてありますので、軽々にここから除くというのは難しい状況です。
○杉浦委員 質問も込めてですが、避難の区域が解除されて普通の平場になったとしても、この除染電離則は適用されるのですよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 あくまで、線量と濃度だけで適用します。
○杉浦委員 とすると、区域が決まっているうちはいいのですが、解除されれば当然人が帰るわけですね。人が住んでいるのと、先ほどご議論があったように、ここは厚労省の労働者を守るという観点でいま議論しているので、2.5μSv/hというのはほかのところと整合性を考えていいと思いますが、3.8μSv/hも下がったら2.5μSv/hを超えて住民は住んでいるわけですね。ですので、労働者を守るというのはもちろんですが、除染をしたりそういうことをやっていくというのは、安心してその住民の方を返すためにやっているわけですから、2.5μSv/hで労働者を守ればいいやというのはそうですが、その上に住民の方がいて、そこに住まわれる住民の方以上に労働者が守られているというのは何か逆転しているようなところがあると思います。そこのところを踏まえて、住民の方が安心して帰られるところをどこかで、ここだけ決めておけばいいやというのではなくて、そういうこともきちんと守られていますよねという補足の説明がないと、労働者ばかりを守ってしまってという法律を作ってもしょうがないと思います。それは、なんとなく私の意見というか思いなのですが、そのことを踏まえて具体的にお伺いします。
 資料5のほうがわかりやすいと思いますが、右半分の赤い枠で囲っているところは当然で、除染電離則の議論の延長でいいと思いますが、左側は先ほどの安井さんのご説明で1.52μSv/hが云々とあったと思います。ですから、この2.5μSv/hを超えてお店をやったり建物の中でやるというのは、ほとんど事例がなさそうだ、下の黄色いところに行くのだということですね。だとすれば、住民の方のほうが危なげなところになっている状況もないということになるのかなと。2.5μSv/hを超えていないところに戻っていくのだということで、そういう説明ができるのかなと思います。ですので、区域が解除になって戻ってからのことも考えるのが1点。
 もう1つは、除染特別区域ではなくて実施区域のところでこれを改正した場合に、いま現在除染が進んでいるけれども、そこら辺に住んでいてお家でお店をやったりしているような所があって、この改正になったときにいきなり外側の区域で適用になるような所というのはあるのか、ないのかも気にしなければいけないのかなということで、2.5μSv/hで労働者の保護ということは、ほかの数字は使えないと思うので、ほかのところがきちんと守られているよということも併せて示すということで進められればいいのかなと思って、気になるところを2点お伺いしました。
○森座長 おそらく省令として明確にするのは難しくても、その精神をどこかにできたら書いてほしいという趣旨ですよね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 杉浦委員のご指摘はいろいろな方からも聞いておりまして、一般住民よりも保護されているように見えるということです。これについては先ほど申し上げましたように、まず2.5μSv/hを超えるエリアというのは屋外作業しかないということが大前提です。こういった方々は職務の関係上、例えば建設業の方であれば、明日は実は50μSv/hの所に行くかもしれない。あるいは、明日は50万Bq/kgのものを扱わなければいけないということで、管理をしていないと、あっという間に年間50mSvを超えてしまうかもしれないような人たちだという前提です。ですので、住民の方は言ってみれば地域管理ということで、立入制限という形で年間20mSvを絶対超えないようにするわけですが、労働者の場合はそういう立入制限を超えて移動しますので、唯一取れる手段が線量管理しかないということです。決して、住民よりも労働者のほうが厳しいということではないということは是非理解していただけるように、何かで書きたいとは考えています。
 2点目は、実施区域は私が趣旨をよくわかっていないのかもしれませんが、重点区域の中では0.23μSv/hを切っているエリアがありますから、実施区域になれば低い区域は切り捨てられてしまう。要するに狭くなるということですので、よりジャストなというか、狭い適切なエリアで法規制ができるという趣旨ですので、その点は問題ないのではないかとは思っております。
○森座長 この部分は原則の部分で非常に重要ですが、まだたくさん細かく決めなければいけないところがありますので、また後ほど意見をいただきます。
○古田委員 杉浦先生がおっしゃったことは私も非常に大事だなと思っていますが、例えば3.8μSv/h、年間20mSvを確実に超えない地域という表現をされていると思いますが、それはイコール2.5μSv/hに近いよという解釈はできないのでしょうか。もしも、そういうことができれば住民と作業者が反転するようなことはないと思います。それが1点です。
 あと、1万Bq/kgの基準の根拠がわかりません。これは、放射性物質を取り扱う場合の線源としての基準ですから、いまは線源が広がって散らばっているような状況です。その線源によって、線量を2.5μSv/hで線量管理をするということですから、ある特定の線源を取り扱う場合には線源の管理をしなければいけないと思います。除染作業の場合は表層だけを集めて高い運搬物とかができるということで、それは線源管理ということで妥当だと思いますが、いまは線源を取り扱うという概念がないのではないかと思います。ということは、その場で作業をたまたまするという考えですので、線量だけきちんと基準を決めておけば。あとは内部被ばくを1万Bq/kgではなくて50万Bq/kgとか高いところで1個設定しておけば、内部と外部が守られるのではないかなと。この1万Bq/kgというのは、今回の一般のインフラ整備の作業とかではしっくり来ないのです。この辺を検討してもらえたらなと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 まず1万Bq/kgについては、古田委員ご指摘のとおりです。図で見ていただくとわかりますが、線量管理をするかどうかは外部線量で決めることにしていますので、2.5μSv/hを切っている所は原則として線量管理は不要としております。ただ、汚染物としての汚染管理については、引き続き必要だという概念でやっていますので、例えば汚染検査といったものはなかなか外せないとしています。
○古田委員 何かそれでもすっきりしないのですが、汚染物ということは内部被ばくを気にして汚染管理をするということですよね。そうすると、いろいろなデータも取られているし実績もあるということを考えると、1万Bq/kgというのはある程度塊という線源を取り扱う作業。私は以前に聞いたと思いますが、汚染土壌を取り扱う作業とはいったい何ですかと。たまたまそこで作業をするだけであって、その表面だけを集めてそれを汚染物として管理するような、今回はそういう除染作業とは違いますよね。そこがどうも理解できないのです。たまたま何かやっていて表面だけを集めた。それをどうやって汚染管理するかとか、その辺の切り分けもよくわからないし、そこがもう少しすっきりしないと、ルールだけを決めても空回りしそうな気がして、意味のないルールを作っているような気がして心配です。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 古田先生のおっしゃるように、1万Bq/kgには量の基準も当然あって、1万Bq/kgかつ1kg以上ですが、そういったものを扱う場合についてということで免除レベルになっています。実際、おっしゃるように1kgを絶対上回らないという保証があった場合は確かにどうにかできるような気がしますが、正直なところ農地とかで表面が1万Bq/kgを超えている。グラム数で言うと無限大に近いという問題はありますので、なかなか免除というのは困難です。
○古田委員 農地の場合は、それらは汚染土壌を取り扱う作業になるのですか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 除染はせずに、表面にベットリと付いた状態で農作業をする場合は、そうなると考えております。例えば田植えをするときには除染をしてきれいにしていれば、もちろん適用除外になると思いますが、除染をしていないで仮に上に10万Bq/kgぐらいの3cmぐらいの層がある中で田植えをするということになると、一定の被ばくはあると考えられます。
○古田委員 農水省さんのほうで、汚染土壌と線量のいろいろなデータをネットで出されていますが、大体2,000~3,000Bq/kgぐらいで1μSv/hですよね。そうすると、2.5μSv/hを超えることになってくると、5,000~7,500Bq/kgぐらいになってしまいます。そうすると、1万Bq/kgよりも低いところで線量管理をしなければいけないという2.5μSv/hで網がかかるわけです。線量のほうがどちらかというと結構広がっているという条件なので、こういう結果になると思いますが、そうなってくると線量管理の基準だけをきちんとすれば、あとは汚染の管理をどこで線を引くか。それは、どちらかというと1万Bq/kgよりもかなり上のところでいいような気がします。だから、1万Bq/kgで被ばくをするという外部放射線については2.5μSv/hで十分カバーされているということで、1万Bq/kgの意味がよく理解できないです。単独の線源としてそれを持ったり取り扱ったり、運搬したり持ち上げるとか、そういうものだったらわかりますが、今回はたまたま周りが汚染されている地域で作業されるというケースですよね。そういうことを考えると、その場の線量をきちんと管理して外部被ばくを管理する。別途、粉じん作業とかそういうところでは、内部被ばくを管理する。そうやって切り分けたほうがリーズナブルかなという気がします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ご指摘ありがとうございます。そういった考え方は十分あり得ると思いますので検討はさせていただきますが、先ほど申し上げましたように必ずしも除染作業と明確に区別できるとは限らない。表層のものを扱うような作業というのもありますので、きれいに除染がされた状態で農作業を絶対にするという大前提であればおっしゃるようなことも言えると思いますが、必ずしもそれを現時点で保証はできないということだろうと思います。
○茶山班長 前の職場での仕事において、たまたまこういうIAEAの規制免除レベルの導入を放射性同位元素の法律に図ったときにちょうど担当していたものですから、ご参考までに申し上げますと、この規制免除レベルというのは年間10μSvに相当する濃度であるということで計算されております。確かに、そういう意味では年間10μSvをはるかに上回るところの中で作業されるという前提のところにおいて、あえて年間10μSvで考えるというのが、古田委員がおっしゃられるような問題というのは考えてみるところはあるのかなと思っています。
○森座長 汚染された土壌がある場所でただ働いているのと、本当に土壌を取り扱って内部被ばくのおそれがあるというところの線の引き方をどうするかという話だったと思います。基本はこの枠組みで進めていきますが、そのあたりを引き続き検討いただくということでよろしいでしょうか。
 続いて3の線量測定、4の線量被ばく限度その他記録については除染電離則と同じですが、そこまでについて何かご意見があればお願いします。
○杉浦委員 義務的なものではないということだったのですが、先ほど須藤参事官から、住民が戻られてから線量計が配付されるようなことをお聞きしました。そうすると、2.5μSv/hを超えるような所の義務として課す線量管理との、住民の方ですから24時間の線量を測る線量計を1個持っていて、なおかつ作業に当たるところの線量管理をしろという、どう具体的にやるのかなという法律というか、規則の中ではこう書くのでしょうけれども、実際の運用のところで上手にいくのかなというのが気になっています。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 住民と、いわゆるICRPの職業被ばくと一般の被ばくという議論になろうと思いますが、ここは職業被ばくということで考えておりますので、いわゆる労働時間中の線量管理として行うということです。私の理解では住民の方にお配りするというのは、たぶん年間20mSvを絶対に超えることはないのだということの安心材料だろうと思いますので、正直なところ、放射線業務をしているときにそれをそのまま付けっぱなしというのは趣旨に反するのではないかなと思いますが、そこは原災本部のご判断だとは思います。
○森座長 よろしいですか。その他はございませんか。それ以外の点については除染電離則のことも含めて引用いただいておりまして、とりあえず今日は、ここの段階ではこれらの問題はこのとおりでいいということで、次に行きたいと思います。
 次は2の被ばく低減のための措置と、3の汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置ということで、これらを説明いただいた後議論をいただきますが、その際、先ほどありましたように別添1についても併せて議論をしたいと思います。それではご説明いただきたいと思います。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 42頁からご説明させていただきます。まず被ばく低減の措置ですが、項目としては事前調査、作業計画の策定、作業指揮者といったものがあります。事前調査項目としては、特定の一定濃度の土壌を扱う場合については、当然のことながら空間線量と土壌の濃度を測るのは必要であろうと考えています。
 平均空間線量率測定は別添2の63頁です。2の(1)で事前に測るのは当然として、これも一定程度継続する場合には、どれぐらいの頻度で測るのかという議論が必要になってまいります。3の(2)は、従来は平均空間線量率の測定、除染の場合はあえて高いところに踏み込むこともありますので、できるだけ精密に測ろうということで、1,000平米ごとに外周の四隅と中心点の5点を測って平均をするということになっていますが、今回の場合は一般的な作業をするだけですので、そこまで精密測定する必要はないのではないかということです。1,000平米というのはそのままにしていますが、最も線量が高いと見込まれる点を数点ぐらい選んで測っていただければ十分ではないのかということで提案をしています。また、(注)に書いていますが、あらかじめ除染作業をやっている場合は基本的にこの程度でいい。(3)に書いているのは例外の部分で、除染をしないまま作業をしなければいけなくなった場合については、当然高濃度のものがある中で作業をしなければいけない状況になりますので、除染電離則と同様のような時間平均の概念というのは外せないのではないかということで入れています。除染をすれば、こんなことをする必要はなくなってくるということです。
 43頁の(2)の特定線量業務は汚染物を扱わない作業ですので、こういったものについては空間線量率だけを測ればいいということになろうかと思います。ただ、ここについては一遍測って2.4μSv/hだったといった場合、平均空間線量率というのは残念ながら雨が降ったりすると変わってしまうこともありますので、低位安定するまで一定程度測らなければいけないという議論もあろうかと思います。
 2の作業計画については、作業のやり方によって被ばくが変わるというものは相当程度高い濃度の物を扱うと限られていますので、作業計画策定に基づく作業というのは2.5μSv/hのエリアで1万Bq/kgを超えるものを扱う場合に限っているということです。
 飲酒・喫煙の禁止についても、基本的には2.5μSv/hを超えて、かつ汚染の土壌を扱うものに限定すればいい。50万Bq/kgクラスのもので計算しても非常に低いレベルで出ますので、ここは緩和できるのではないかと考えています。汚染検査については従来のやり方ということです。作業指揮者についても、当然作業計画に合わせて2.5μSv/hを超える場所における特定汚染土壌取扱業務に限定する。作業着手届についても同様だということです。一方、5の医師による診察についてはトラブル対応ですので、ここは空間線量に関わらず幅広くかけておくということです。
 46頁の3の汚染拡大防止と内部被ばく防止のための措置です。これは47頁からですが、まず汚染拡大防止という観点からは、事前にある程度高濃度の表面の土壌を除去しておきませんと、工事によって拡散する。工事によって汚染が拡大することになりかねませんので、ここでは再度事前にできる限り表面の土壌等を除去することを打ち出しています。これがどうしてもできない場合というのもあろうと思いますので、その場合は当然高濃度のものを収集、運搬、保管という場面も想定されますので、それに対する規制を入れています。ここは我々が1万Bq/kgにこだわっている理由の1つです。
 (3)は一時保管。これもあまり想定したくないのですが、やらなければいけない場合があろうと思います。除染を目的にはしていないですが、とりあえず集めて保管しなければいけない場合も想定されますので、その規制は置いています。(注)ですが、土壌の湿潤化については農地とか営林のように非常に広大なものがあることと、本来の除染のように、このエリアを狙ってここを除去することをターゲットとして捉えることもできないということですので、湿潤化については規定を外しています。
 2の作業者による汚染拡大防止については、1万Bq/kgのものを扱う場合は、汚染検査については引き続き必要であるということで整理をしています。物品の検査についても同様ということです。3の身体・内部汚染防止は従来の除染電離則と同じですが、扱う土壌の濃度と粉じんの濃度に応じてマスクを使い分ける。同じように(2)のタイベックスーツについても使い分けるということです。これは当然濃度が低ければ、ほとんど適用除外になってくるという規定内容にしています。説明は以上です。
○森座長 それでは、先に別紙1、別紙2という少し技術的な話で決めないといけないことのご意見をいただいて、その上で全般的な内容に移っていきたいと思います。
 別紙1の59頁をご覧ください。この中に数字が入っていないところが3カ所あり、それ以外についてもご意見もあると思いますので、別紙1について特に作業を継続する場合、どのぐらいの頻度で測るのか、農地は深さ何cmにするのか。先ほど15cmという数字も出ていましたが、落葉層の話や、それ以外の試料採取の話、その他についてご意見があればお願いしたいと思います。
○杉浦委員 繰り返し、●週間につき1度というところの件ですが、放射線障害防止法ですと線源が固定されている場合には6カ月に1回です。小さな密封線源を動かして使うような場合には、1カ月に1回測定してくださいということが現行の法令で決まっています。ただ、現行の法令は管理区域の中で、限度を超えていないことを確認するというような意味合いで1カ月というのが決まっていると考えれば、1カ月とするのも1つの意見だと思いますが、除染をして下がっていく一方ではなくて、除染したような土壌をどこかに積むということで高くなるようなことも場合によっては考えられるので、1カ月よりは短いほうがいいのかなということでバッと半分に割って、2週間に1回というのがとりあえずの。ですから、1カ月に1回とするか2週間に1回とするかが大体の数字ではないかと思います。
○森座長 それ以外にご意見はいかがでしょうか。
○金子委員 いまの意見と全く反対になりますが、除染とか全然行わない森林の場合ですと、いくら線量調査を行ってもほとんど変わらない。先ほどの6カ月に一遍でよいかと思います。このように土地の改変をしないような場所なららば、測定間隔はかなり長くてもよいと思います。
○森座長 そうすると、変化がある所なのか、変化がない所なのかで分けるしかないというような話になりますね。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 変化があるか、ないかというのももちろん重要ですが、私の理解では金子委員のご指摘は、大変恐縮ですが高め安定という状況に測る必要はないのではないかというのもあるのではないかと思います。そうすると2.5μSv/hを超えている地域は何回測っても超えているし、1万Bq/kgを超えている地域は何回測っても、除染しないのだから超えているでしょうといった、ある程度高い地域は確かにそもそも測る意味はないのではないかという議論はあると思います。もう1つは低め安定の非常に低い場合もあるわけで、議論の対象となるのはボーダーラインというところになるとは思います。
○金子委員 単純に半減期だけで決まってくるので、触らなければその半減期に従っての変化しかないものですから、その辺も考慮した上で決めていただきたいと思います。
○森座長 変化が全くないだろうと思われるような場所ということですよね。いまの例外的にということで。それ以外に試料採取のところはいかがでしょうか。例えば試料は作業場所ごとにということがあって、1,000平米あたりということですが、非常に広い土地のことがあるので1,000平米ごとに少なくとも数点を1点ということで差し支えないようにするという例外措置を設けている。よろしいですか。農地について深さ●cmとありますが、これは小林委員お願いします。
○小林委員 前回話がありました除染の場合ですと、地表から3ないし5cmのところに全体の9割以上のセシウムが含まれているということで5cmにしたのですが、一般の農業の場合ですと作土層という作物が養分を吸収する範囲が15cmですから、営農ということであれば15cmにしていただければと思います。
 先ほど1万Bq/kgという話があったのですが、いわゆる営農をやっているような所で15cm平均で1万Bq/kgというのは全く考えられないような数値なものですから、農業の場合はあの数値があったとしても実態としては影響がないと思います。けれども、1万Bq/kgという数値を出していいかというのはご検討いただければと思います。
○森座長 前回も確かに15cmという話が出ていましたが、特にそのときも皆さんから異論はなかったと思いますが、何かありますか。それと先ほどあった落葉層の場合は深さ●cmの腐葉土ということで、先ほど下の土まで入れて15cmでいいのではないかというご意見がありましたが、これについてはいかがでしょうか。特に何cmがいいかというのは、実際に作業を行っているとかその専門の先生方のご意見の信頼性が非常に高いと思いますが。
○金子委員 そのことについては先ほど言ったのでいいのですが、古田委員から話がありましたように、そこで空間線量率を測ってやるほうが、1万Bq/kgとかいう単位で測るよりはいいのではないかと。そこの土の中にある放射性物質の量を測るやり方というのは、現実的に行うことはかなり難しいです。零細の人たちのいる中でそれを測ってやっていくのは難しくて、たぶん意見はあると思いますが、大体空間線量率とそこの放射性物質の量の相関があることはわかってきていますので、あとは森林の中での作業自体がかなり場所を移動して作業することを考えると、あまり狭い場所だけを測っても意味がないので、ある範囲の中で空間線量率がこれくらいのところは管理するということで2.5μSv/hがよいのではないかと思いますが、もう少し低いところに基準を設けるにしても土壌の放射性セシウムの量を測るというやり方は、あまり現実的ではないかなと思います。
○古田委員 何かの作業で土を掘削して、それを取り扱う作業があったりすると、その掘削の深さ、実際に取り扱う放射性物質濃度を測らないと、取り扱うこととは1対1にならないと思います。そうすると作業ごとで、農地の場合はいまおっしゃったようにそういう根拠があると思いますが、そうではなくて一般の土木工事とかは扱う量に応じた濃度の測定の仕方というのが出てきそうな気がします。実際に線源として取り扱うのであれば。この辺は非常に悩ましいところです。
○森座長 除染のとき以上に作業の種類が広い範囲をやっているので、どう評価するかは難しいところだと思います。
○古田委員 そういう意味では、最初に除染をやってくださいというのはかなりリーズナブル。除染をやったあとでということであれば線量だけで管理してください、でわかりやすいのですが。
○森座長 別紙1の2の(2)については、基本的には2週間に1回というのがあり、その状態が変わらない場合について何らかの例外規定を決めておくというご意見だったと思います。資料3の(2)については、いずれも15cm程度がいいのではないかというご意見が出ていましたが、それ以外は特に皆さんご意見がない状況で、とりあえずこれでまた次回に併せて議論する機会もあるということにして、別紙2に行きたいと思います。
 別紙2についても、同じように空間線量率の測定というのがあって、2の(2)でどのぐらいの頻度で測るのだということがあります。同じく空間線量率の測定の状況においても非常に広い農地とか森林とかの場合というのがあるので、1,000平米あたりに格子を作って数点測定ということが現実的でない場合もあるということで、ひとつ論点が出ております。別紙2について何かご意見がありましたらお願いします。
○金子委員 管理する面積とか粗放な管理というとあれですが、森林の場合は例えばこの基準をもう少し広くするとか、別のやり方のほうが現実的にいいのではないかなと思います。
○森座長 つまり1,000平米そのものを使わずに、「森林の場合は」とか「農地の場合は」とか、そういうような書きぶりにするという意味でしょうか。事務局は可能でしょうか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 これは考え方だと思います。ただ、森林だからどうこうというのではなくて、1,000平米というのにどういう意味を持たせるのかということだろうとは思います。
○名古屋委員 作業環境は70平米ぐらいが測定点の許容出来る範囲です。屋外だから、大体その10倍ぐらいの700平米より広い1,000平米ぐらいが1つの測定点の許容範囲にしてはということで1,000平米と決めた。そうすると、大体1,000平米にしておいたほうがいいのかなという気がします。
○森座長 むしろ1,000平米あたりで測定ポイントを減らすと考えておいたほうがいいだろうということですね。
○森座長 むしろ1,000平米あたりの測定ポイントを考えておいたほうがいいだろうということですね。
○名古屋委員 ただ、その変動が少なかったら、減らすのはいいけれども、基本的には1,000平米として考えたほうがいいのかなと。
○森座長 金子委員、よろしいでしょうか。2の(2)というのは、先ほど土壌については2週間に一度という数字が杉浦委員から出ていますが、この空間線量率については杉浦委員、何かありますか。
○杉浦委員 考え方は一緒だと思いますので、見ているところが土壌に注目したときは土壌が動くのかとか、空間線量だけのところはあまりその変化がないのかというのは分けて考えてもしょうがないと思いますので、土壌について2週間ともし決めるのであればこちらも2週間でいいのではないかと思います。
○森座長 それ以外にいかがでしょうか。よろしいですか。とりあえず、現時点ではここは2週間に一度という数字を入れておきたいと思います。
 続きまして、測定方法についていまご議論をいただきましたので、2の被ばく低減のための措置の作業計画の策定とそれに基づく作業、作業指揮者、作業着手届の提出、医師による診察等の部分に行きたいと思います。作業指揮者、作業着手届については2.5μSv/hを超える場所において、特定汚染土壌等を取り扱う業務に限定して書かれておりますが、この2、3、4、5についてご意見があればお願いいたします。43~45頁です。これについてはよろしいでしょうか。
 続きまして3「汚染拡大防止・内部被ばく防止のための措置」ということで、骨子案の47頁でまず汚染拡大防止についての基本的な原則が書かれていて、2「作業者による汚染防止拡大」、3「身体・内部汚染の防止」については除染電離則と基本的に同じ内容になっているということですが、この3の範囲においていかがでしょうか。
○金子委員 拡大防止についてですが、エリアとしてどれくらいを考えているのか。除染のときには決まった場所で取って、それを外に出すということでエリアはよくわかったのですが、今回の場合はどこからどこへの移動ということを想定されているのかを安井さんのほうから説明していただけますか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 現時点では、除染電離則の規定ぶりと同じようにしようと思っていまして、作業場所の近隣で汚染検査をするのが原則ですが、集合的な汚染場所というのを設定するのは可能です。その場合は車に乗って、なるべく密閉された状態で移動するのは差し支えないという規定にはしたいと考えております。そういう意味では、どこに置くかというのはかなりフレキシブルにはしたいと考えております。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○名古屋委員 49頁にサージカルマスクと書いてありますが、一般的にサージカルマスクと書かれたときに温度差があって、かなり使い方が違うので、もう少し詳しく書かれたほうがいいのかなと。普通のマスクをすべてサージカルマスクだと思って作業されている方もいらっしゃるので、サージカルマスクという言葉自体がいろいろなところで使われる形があるので、もう少し具体的に書かれたほうがありがたいかなと思いました。
○森座長 いまのお話で大丈夫ですか。何かありますか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 書こうと思うとJISのような世界に入っていくと思います。
○松村委員 サージカルマスクと一般的に言っているのはプリーツマスクのようなものを指してしまうことが多いのですが、それはまだ日本ではJISもないので、フェイスマスクとか衛生マスクとも言っていますが、これは使い捨ての防じんマスクには該当しないものを指しています。
 もう1つ私としては、47頁の4の(ウ)に書いてある過剰に高性能の防じんマスクを使った場合の弊害ですが、確かにその例として、これは先ほど門馬様からも伺いましたように、きちんとしたエラスティックの使い捨て式防じんマスクで、私が新聞でたまたま報道写真を見たのでは、アメリカ製の99.97%という高性能のマスクを使って、除染作業を警戒区域内でやっているのですが、それが全部顎のひもを外しています。カメラマンはそこがわからないで写してしまったと思いますが、よく見ると上のひもだけで、下のひもが全部外れてぶら下がっていたのですが、あれは苦しいからです。そうすると呼吸は楽ですが漏れているのですよね。もう少しグレードの低い95%程度のものだと通気抵抗が半分です。ろ過材の色がマジェンダカラーのは非常に通気抵抗が高いのです。ですから、むしろマスクをきちんと付けることを教育で言っていただきたいと思います。
○森座長 教育の内容では、保護具の具体的な着用方法については前回もそうでしたが重要だということです。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 まさに、最適なマスクを付けるべきだと。要するに過剰はよくないという注意書きを入れたいと思います。
○松村委員 マジェンダカラーは、アメリカでは放射線業務で使うことが指定されていますが、多くは屋内の用途で、非常に通気抵抗は高いです。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、残りに行きたいと思います。4「労働者教育の内容」から「その他」までを併せてご説明ください。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 51頁からご説明をさせていただきます。まず労働者教育です。従来から作業指揮者教育と労働者教育ということで打ち出していまして、作業指揮者教育については法令上は義務づけていないということです。この位置づけは従来から変えないということです。作業指揮者の選任義務については限定はしましたが、引き続き存在していますので教育は必要だと考えております。ただ、この内容については除染電離則から基本的に変える必要はないという判断です。
 汚染土壌等の取扱い業務従事者については、線量が高い所、低い所、あちこち動くということもありますので、これも除染電離則と同様の教育レベルは維持せざるを得ないという考えです。
 3は特定線量業務従事者ということです。汚染物は基本的に扱わないことになれば、相当程度教育内容は緩和できるということです。まず電離放射線の生体に与える影響は当然やるとして、あとは汚染件数のやり方とか、そういったものは不要になりますので、単に放射線測定の方法に関する知識あるいは関係法令程度でよくて、線量計をただ付けるだけですから、おそらく実技は必要ないだろうということで整理をしたいと考えています。4は農業従事者と雇用されていない労働者に対して教育するというのは難題で、これも実施上は大きな問題になろうと考えています。
 53頁は健康診断です。特殊健康診断については先ほどご説明しましたとおり、常時性の観点から常時屋外で作業する場合には、2.5μSv/hを超える場所において土壌を扱うような作業に従事される方に限定をするということです。一般健康診断についても、同じように2.5μSv/hを超える場所において土壌を扱う方は年に2回、それ以外は年に1回が妥当ではないかと考えています。
 55頁は、安全衛生管理体制です。1に安全衛生統括者を置いて、下請に対する調整業務を元方にやっていただくという規定があります。これについては従来、もともと建設業を想定して作られている条文で、今回当然、本物の建設業が出てこられるわけですので、建設業が行う特定汚染土壌等取扱業務の事業を行う元方事業者については、こういった業務をかけるということです。逆に言うと、特定線量業務については必要ないのではないかと考えています。
 2の被ばく状況の一元管理です。線量を管理するべき作業については押し並べて当然やる必要がありますので、下請をもし使うのであれば下請も含めた一元管理というものを元方にやっていただきたい。なおかつ、2の(2)にありますように、土壌を扱う場合については汚染検査等の業務が加わりますので、そういったことについても元方がしっかりやっていただきたい。そのために、放射線管理者の選任というのを引き続きお願いする。これは法令上の義務づけではなくて、ガイドラインでお願いしたいと考えております。
 3の事業者における安全衛生管理体制。これは、下請も含めてそれぞれの社員については、被ばく管理は当然きちんとやる必要がありますので、衛生管理者又は安全衛生推進者の選任、放射線管理担当者の選任についてはやっていただく。ただし、土壌を扱う方については汚染検査等の業務が加わりますので、業務の軽重はありますが両方をやっていただくということで想定をしています。以上です。
○森座長 4の労働者教育については別紙3にその具体的な内容がありますが、これについて何かご意見はありますか。このあたりは基本的に除染電離則を準用しながら、必要ないところは削って短い時間で済むようになっているという書きぶりですが、よろしいですか。
 5「健康管理のための措置」ということで、これも除染電離則又は電離則との整合性を考えて、2.5μSv/hを超えるところにおいて、特定汚染土壌を扱う場合だけ基本的にしっかりとした健康診断を行い、それ以外については一般労働者と同じ範囲で行っていくという内容になっていますが、よろしいですか。
 6「安全衛生管理体制等」についてはいまありましたように、元方事業者といった建設業で想定しているような管理体制と、放射線に関しては被ばく管理は一元管理ということを原則に書いていただいています。これも除染電離則と考え方は同じですが、基本的によろしいですか。
 58頁のその他は、ご説明いただきましたか。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 その他については古田委員からのコメントで、これを踏まえて本日門馬委員からご説明いただいたような理解です。
○森座長 一応4、5、6については基本的な考え方はこれでいいだろうということですので、骨子案についての今回の議論はこれで終わりたいと思います。今回も時間の関係で質問やコメントが十分できなかった、それからコメントをいただいた中で、もう少し具体的に事務局に考えていただいたほうがいいという追加のまとめみたいなものがありましたら、1週間後の4月13日までに、事務局に電子メールでお送りいただければと思います。次回は報告書(案)が出てきて、それで議論をさせていただくことになります。よろしくお願いいたします。
 最後に事務局より、次回の予定についてお願いいたします。
○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 次回は4月20日(金)13時30分から、16階の労働基準局第1・第2会議室です。
○椎葉労働衛生課長 以上で、第9回の検討会を閉会させていただきます。長時間にわたり、ご議論をありがとうございました


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会> 第9回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

ページの先頭へ戻る