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2012年3月27日  第8回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成24年3月27日 18:00~


○場所

厚生労働省 省議室(9階) (東京都千代田区霞が関 1-2-2)


○議事

○椎葉労働衛生課長 本日は、年度末の大変ご多忙の中、委員の皆様方にはご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻よりは少し早いですが、皆様お揃いですので、ただいまから「第8回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会」を開催させていただきます。最初に、ご出席の皆さまをご紹介させていただきます。本日は、10名の委員全員にご参集いただいています。前回欠席されました大迫委員、金子委員、松村委員は本日参集頂いております。前回自己紹介をお願いしておりますので、大変恐縮ですが一言自己紹介をお願いしたいと思います。まず、大迫先生からよろしくお願いします。
○大迫委員 国立環境研究所の大迫と申します。廃棄物処理を専門としています。よろしくお願いします。
○椎葉労働衛生課長 次に、金子先生、よろしくお願いします。
○金子委員 森林総合研究所放射性影響評価監をしています金子です。前回から委員をしています。よろしくお願いします。
○椎葉労働衛生課長 松村先生、よろしくお願いします。
○松村委員 産業安全技術協会の松村です。産業用の防じんマスクと防毒マスクの検定に携わっています。
○椎葉労働衛生課長 どうもありがとうございました。本日もオブザーバーとして、5名の方にご出席をいただいています。復興庁から尾澤参事官です。原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チームから、須藤参事官です。同じく、茶山班長です。農林水産省からは、林野庁経営課の井出室長です。農林水産技術会議事務局技術政策課の田雑課長補佐です。それでは、以後の進行を森座長よろしくお願いします。
○森座長 本日は再開後2回目になります。今回は、全体的な方向を議論していただくことになりますので、是非活発な議論をよろしくお願いします。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の確認をさせていただきます。1枚目は次第です。1頁めくっていただきますと、資料1開催要綱があります。次は資料2で、議事録があります。これは、32頁まであります。33頁からは資料3で、質問事項とそれに対する回答です。39頁は資料4-1で、これは前回お配りしたものをもう一度お配りしています。53頁は資料4-2で、これも前回の資料ですが、新たな避難指示区域における復旧に向ける取組についてという文書です。75頁は資料5-1として、福島県の農地土壌の放射性物質分布が付いています。85頁は、森林の放射性セシウムの濃度測定結果です。87頁は、土壌放射能濃度測定用試料採取方法です。93頁は、資料5-4です。95頁は資料6で、空気中浮遊粉じんの推定吸入摂取量と有効なマスクの使用についてです。105頁からは、資料7、対策の検討についての決定です。資料は以上です。
○森座長 ありがとうございました。今日は、前回の検討会及びそれ以降に出された「質問事項とその回答について」と、「対策の検討にあたっての論点について」の2点が主な検討事項です。まず、質問事項の回答について、各回答者から説明いただき、全体が終わったところで最後にもう一度質疑の時間を設けたいと思います。事務局より説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 事務局より、資料3について説明させていただきます。33頁をご覧ください。事務局が作成したものだけをざっとお答えさせていただきます。No.1は、汚染土壌等の処分の作業の処分の定義です。これについては、除染電離則という除染を対象にした電離則で「収集・運搬・保管」を定めています。この中には、汚染廃棄物等の処分、上下水道施設や放射性物質、中間処理施設、埋立て処分場等における処分の業務は含まれていません。
 14番ですが、これは5年100mSv年50mSvという意味ですが、これは5年100mSvを超えずかつ年50mSvを超えないという趣旨です。15番は、個人線量計による測定と簡易な被ばく測定の合算です。簡易な被ばく測定は、例えば代表者の方が線量計を付けていただいて、その測定線量を全員の共通の被ばく線量にして、個人別に記録します。記録は、それぞれバラバラに行います。個人線量記録では、個人線量計を付けたあとの記録を先ほどの代表者測定の記録とそれぞれまた個人別に合算して管理します。測定の方法にかかわらず、それぞれ被ばく管理は個別に行います。以上です。
○森座長 ありがとうございます。続いて、原災本部より回答をお願いします。
○須藤参事官(原災本部) 原災本部の須藤です。質問番号の2番をご覧ください。古田先生からのご質問です。避難区域の見直しと冷温停止状態の関係です。いわゆるステップ2が昨年12月16日に終わっています。これを踏まえて、避難指示区域の見直しができるような状況になったということで、12月26日に原災本部決定をしました。ステップ2と区域見直しまでの間の時差がありますのは、線量の測定をしたり、あるいは市町村の調整の兼合いです。ステップ2をもちまして、敷地の外への影響は管理できるような状況になりました。即ち、避難区域の見直しができる状況になったというのが、2番目のお答えの趣旨です。
 3番目は、当面どのような場所でどのような労働が発生する可能性があるか、一覧表で整理することが望まれると。これは、恐縮ですが、55頁をご覧いただきますと、一覧にしています。注釈が若干必要な情報ではありますが、新しい避難指示区域の設定が行われたあと、どのような区域が存在をしてくるかです。この3つのほかに、当然ですが、完全に解除された白地区域があります。こちらは、制約はありません。これから多く発生してくるのは、線量の関係では避難指示を解除していい状況、即ち年間20mSv以下であることが確認される状況でありながら地震の被害、津波の被害等、インフラ被害があり、まだ住める状況ではない。まだ避難指示は継続するが、復旧に向けて全力で取り組んでいく地域が多く想定されます。これが、避難指示解除準備区域です。左から4つ目の枠の中にありますように、この区域では公的インフラの災害復旧、それから雇用の確保の復興の拠点ということで、製造業等の事業再開が行われる予定です。3は、この地域は避難指示は継続していますので、住民はいらっしゃいません。したがって、病院や福祉施設、店舗といった居住者を前提とした事業はできないわけですが、再開準備はしていただいて結構ですという形になります。4営農ですが、これは注釈付きが必要で、農水省によって行われます作付け制限、あるいは環境省、農水省によって行われます除染との関係はありますが、原災本部としての制約はこの区域では設ける予定はありません。
 5として、保守修繕、運送業務があります。これは、インフラ復旧等は進んでいなくて、まだ住める状況ではありませんが、例えばお宅のリフォームや引っ越し屋さんによるさまざまな荷物の持ち出し等が考えられるのが、この避難指示解除準備区域です。居住制限区域については、一部の防災上不可欠な施設、例えば消火栓あるいは基幹道路の復旧というような限定的な形でのインフラ復旧が行われます。それから、特例的な事業再開ですが、これは、1回目でかなり時間をとってご紹介をさせていただきましたが、一部の特養や一部の製造事業所で継続して事業再開がされている所があります。こちらについては、避難前に線量の高い所にお住まいであったことも視野に入れて、保守的な運用をするということで、事業所での線量のみならず、ご自宅で休みの日あるいは夜過ごされた線量も含めて、線量管理をするという前提の下で、特例的な事業継続をしています。こういった考え方については、居住制限区域で引き続き行われる可能性があるということです。
 帰還困難区域、年間線量が50mSvを超える所ですが、こちらについては常磐道の復旧工事など、限定的な工事のみが行われる予定です。1回目の説明と重なる部分もありますが、またご質問があればお寄せいただければと思います。
 33頁に戻ります。4番目の建山先生からのご質問です。特に小規模事業者の対応、あるいは国の責任をどう考えるかです。これは、まさにこの委員会での今後の論点となってくるかと思いますので、回答では事実関係だけをご紹介させていただいています。製造業、病院の再開及び再開準備は、原則として年間線量が20mSv以下となる避難指示解除準備区域において、さらに原則として屋内作業を中心として実施されるものについて認める方針としています。この点では、除染や廃棄物の処理とは、働く内容、形態については当然差があるかと思っています。  一方、2つ目のポツ、年間20mSvを超える居住制限区域において、特例的に認められている事業継続、あるいは事業再開は、1回目で説明しました現在の計画的避難区域において運用されている事業継続基準を用いる。先ほど紹介しましたような生活部分まで含めた線量管理を行うという形での運用を想定しています。3つ目のポツは、公的インフラ、災害復旧事業あるいは製造業を再開するときに工場を直したりというようなことで、外での作業が発生する可能性があります。これらについては当然ながら、どう放射線管理を行うべきかという課題があろうかと思います。それから、このあとのご質問とも一部関連しますが、除染等インフラの前後関係ですが、「なお」以降で掲げさせていただいているのは、当然ながら先行除染をしてインフラ復旧を行っていくのが通常のパターンであろうかと思います。これは、場合によってはということですが、除染をするためには道路が直っていないとできないとか、除染をするためには水道が直っていないとできないというようなことがあろうかと思います。したがって、こういった区域においては、論理的には除染に先行してインフラ復旧が行われる場合と、これは可能性の議論としてはあることを、このなお書きで掲げさせていただいています。縷々申し上げましたが、先ほどご紹介をしました計画的避難区域の事業継続基準を含めて、いくつかの基準があろうかと思っています。この整合性をどう取るかなどについては、まさにこの委員会でご審議いただくものと理解をしています。また、必要なデータ等を含めてお出しさせていただきながら、ご審議を賜れればと思っています。以上が、原災本部からの回答です。
○茶山班長(原災本部) 質問の16番になります。重点地域の中でも、追加被ばくによる線量の違いに基づいて、ゾーニングすることはできないかということのご提案です。このような考え方もあろうかと思われますが、どういうラインで決めるか。そのときには、避難指示区域の見直しの基準として用いているような放射線量との関係を整理するというようなことで、特にこういった事業活動について過度に阻害するようなことがないような慎重な検討をお願いできればと思いまして、回答を書かせていただきました。以上です。
○森座長 ありがとうございました。続いて、復興庁より回答をお願いします。
○尾澤参事官(復興庁) 復興庁の尾澤です。33頁の5番、古田委員からの質問です。除染とインフラ整備との適用範囲の違いで、どちらがどこまであるのだという話だと思うのですが、先ほどの4番でもありましたように、どちらが先とか、線量の低い所ではインフラの整備を進めていくこと。これは、年間20mSv未満であれば、できるだけインフラ整備もどんどんやってくださいということで進めています。これは、前回もお話をさせていただいたと思います。ここに書いてありますように、低い所では、これも現場ごとにいろいろな状況が異なりますので一概には言えないのですが、基本的には放射性物質の汚染廃棄物の発生を抑制していく、つまりできるだけ出ないようにリデュース、リユース、リサイクル、3Rといいますが、できるだけ発生をしないような方法論をとっていくことが基本になります。そして、除染効果も兼ねた整備をやっていくことが基本になってきます。例えば道路ですと、アスファルトを剥ぎますと、ほとんど除染と同じ効果を発揮することになります。ですから、インフラ整備と言いながらも、これは実は除染と同じようなことをやっています。そこをうまくやっていきたいということです。
 高い所は、大体除染をしていただいたうえでインフラをやるのですが、先ほど4番にありましたように、除染をするためにもインフラがいることも考えられると。そういったところは、工夫してインフラが先行しながらも、除染とうまく連携を取っていくという考え方でやっています。当然、処理は除染と同じように、線量に応じて適切にやっていくということです。
 6番は、建山委員からの質問ですが、常磐道について効果はどうか、必要な被ばく防護措置はどうしているのか、また誰の責任かです。常磐道は、前回も少しお話させていただきましたが、広域の幹線道路で、福島県の浜通り地区の南北の交通物流だけではなく、東京方面への交通物流にとって、非常に大事な道路です。そういう意味では、地域からの要望が最も強いものになっていまして、この効果は非常に大きなものがあります。
 進め方は、前回お話をしましたように、実は除染モデル事業を線量の高い所でやっています。そこで得られた知見で安全性を十分確保したうえでの工事、供用を図っていきたいと考えています。そのためにも、関係省庁とNEXCO東日本から構成される合同チームをつくって、そのやり方については検討しています。必要な被ばく防護措置等をどうしているかですが、除染電離則が決まっていますと、その考え方に基づきながら今回議論していただく内容をきちんと我々の検討の中に入れて、今後施工していきたいと思っています。施工について、当然事業者、施工者それぞれの責任、つまり計画側での問題もありますし、それを受けて実際事業をする側の責任もあります。それぞれの責任の中において、対処をしていくことを考えています。以上です。
○森座長 ありがとうございました。最後に、農林水産省から回答をお願いします。
○田雑課長補佐(農水省) 農林水産省技術会議の田雑です。34頁の7番と8番について説明させていただきます。農地土壌の放射性物質の濃度の分布については、これまで農水省としては2回にわたり調査を行い、先週最新の調査結果がまとまったところですので、その結果に基づいて説明させていただきます。
 1ポツ目ですが、農地土壌の放射性セシウムについては、耕していない農地や、生産はしても耕やさない果樹園などでは、地表面に近ければ近いほど多く分布しています。それが、野菜などを作るときに耕すと作土層に均一に混じりますが、こういったこともありまして、農地土壌の放射性セシウム濃度を測定するときには、農水省としては地表面から15cmまでの土壌の濃度を測定しています。濃度の測定法、採取法については、別刷りの資料5-3の87頁から述べています。採取のときは、30cmまでの土壌を採取しますが、基本的には測定は15cmまでの土壌が対象です。この15cmとなっている理由は、通常耕作される深さがこの程度ということと、農業の場合は放射性物質が根を通じて植物体に移行することに着目する必要性が高く、根が張る深さまで放射性セシウムの濃度を測ることが重要なので、15cmまでとしています。
 一方、放射性障害防止のガイドラインは、表面から5cmとなっていますので、非常に大雑把な試算ではありますが、15cmまでの農地土壌で概ね表面から5cmまでの所に、大半の、場合によってはほとんどの放射性セシウムが分布しているというデータがありますので、5cmまでの土壌の測定値のほうが、15cmまでの測定値よりも3倍程度高い測定値が得られると考えられます。このような前提の下で、資料5-1の75頁をご覧ください。この図が、先週の金曜日に農水省がプレスリリースしました福島県をはじめとする15都県の農地土壌の放射性物質濃度分布図になります。これは、放射性セシウムの実測値を色分けした丸い点で、放射性物質濃度の推定をした農地の所在地を色分けした面で示しているものです。76頁以降は、この検討会で言及されている1万Bq/kgという基準を超える農地が存在すると思われる市町村について、資料を提示しています。福島市をはじめとする各市町村の農地の放射性セシウム濃度を示しておりますが、この1万Bq/kg以上の区分は、オレンジ色とそれより濃い色になります。しかし、果樹園などは、約3,300Bq/kgを超えますと、これを3倍して1万Bq/kgを超える可能性がありますので、この色分けで緑色の場所の一部は、5cmまでの土壌の測定になると、1万Bq/kgを超える可能性があるということになるかと思います。ですから、この5,000Bq/kgを超えている、黄色とこれより色が濃い所は、果樹園だと1万Bq/kgを超えますし、果樹園でない一般の水田や野菜などの場合は、1万Bq/kgを超えないということになります。頁をめくっていただきまして、旧警戒区域、計画的避難区域などがある市町村ですと、かなり高い数字が出ている所がありまして、1万Bq/kgを超える所も多くあります。基本的には、旧緊急時避難準備区域と警戒区域、計画的避難区域は耕作されていません。また、この濃度分布図で示されている濃度は15cmまでの濃度ですが、5cmまでの濃度を測定するとこの3倍ぐらいの濃度が検出されることになるかと思います。ですから、ご質問のあった1万Bq/kgを超える農地土壌が存在する地域については、ほぼここに挙げたような福島県の中通りと浜通りに限定されると思われます。
 それから、8番は除染特別地域等における農地の空間線量の分布についてのご質問です。空間線量は、農地土壌の濃度分布に大体類似します。既に、別に付けられている空間線量の分布に関する資料からも概ね推測されますが、汚染状況重点調査地域の空間線量は、大半の地域では0.23μSv/h程度になるものの、高い地点では2.5μSv/hとなる箇所も存在すると考えられます。これについては、先ほどの地図で黄色く示された地点がみられた市町村の中には、汚染状況重点調査地域に当たる市町村もあります。それから、除染特別地域については、2.5μSv/hを超える地点は少なからず存在しますが、この地域については作付けは基本的に除染が終わってから行われることになると考えています。以上です。
○井出室長(林野庁) 続いて、森林関係のことについて、林野庁の井出から説明申し上げたいと思います。同じ頁の9番、森先生からご質問いただいているものです。除染特別地域等における営林、森林の復旧、再生事業の実施予定はどうなっているのか。現時点では、警戒区域及び計画的避難区域については作業を行わないようにということで、県庁を通じて業者の方々にご指導申し上げていて、それを着実に実施していただいているところです。今後についても、この基本姿勢は変わりませんが、先ほども災害対策本部あるいは復興庁さんから説明がありましたように、一部営農、営林の復活が検討されるエリアが出てくれば、私どももその状況に応じて県庁などとも相談しながら、実際にその営林の再開をすべきであろうかといった判断を今後していく部分は出てくるかと思います。現時点では、原則、警戒区域、計画的避難区域では実施しないということです。
 そうなりますと、基本的には汚染状況重点調査地域に限られています。ただ、前回も説明申し上げましたが、私どもがやっています事業の中では、いわゆる災害復旧事業のような役割を果たす治山事業というものがあります。こういったものについては、これも先ほど復興庁さんなどから説明がありましたようなバランス感覚や兼合いが重要かとは思いますが、場合によっては警戒区域などの中で先に海岸林の再生などに取り組まねばならない場合も出てくるかとは考えています。
 次は、10番です。小林先生からのご質問で、場所については9番と同じような感じです。その中の、放射性物質の濃度の分布はどうなっているのかです。こちらについては、ここに書きましたように、最近福島県の森林における土壌等に含まれる放射線セシウムの濃度の測定結果を、林野庁として公表しています。391点のポイントを取りまして、うち283ポイントが汚染状況重点調査地域に該当します。そのほかの所は、基本的には警戒区域など、あるいは汚染状況重点調査地域以外の所、もっと線量の低い所に該当しています。特に、いま申し上げましたように、作業場所というのは汚染状況重点調査地域に限られていると今回の議題の中では考えますので、先ほどの農地の話と同様で、森林の土の上にかぶせてある落葉層がセシウムで汚れている状況なのに対して、土壌そのものはそれほど汚れはひどくないことが、データとしてわかっています。283箇所のうち、土壌を計測したものについては36箇所、13%のみなのに対して、落葉層で計測したものは9割が1万Bq/kgを超える状況になっています。もともと、落葉というものが比重も軽いので、1kg集めると非常に稼いでしまう傾向があります。そういう意味では、森林などは、どちらかというと平米単位などでこういったものを評価するのが正しいのではないかというような意見も、聞いています。
 これに関して、図を添付しています。85頁をご覧ください。資料5-2です。私どもが提出しましたPDFの資料の状態が悪くて、色がわかりにくくて大変申し訳ありません。最初の所が、いま申し上げました汚染度の高い落葉層の部分について記したものです。雑ぱくに申し上げまして、80キロ圏という大きな円弧が見えるかと思いますが、その内側の所にはもうほとんど1万Bq/kgを下回る場所はありません。南のほうに部分的にある程度です。それに対して、左側半分の会津方面にいきますと、会津磐梯や会津磐下などについては、一部1万Bq/kgを超えている所もありますが、本当の山奥に行くとほとんど1万Bq/kgは超えていないという状況になっています。9割のポイントで1万Bq/kgを超えると書きましたが、面積でいうと大体6、7割が1万Bq/kgを超えている感じです。
 1枚おめくりください。これが、土壌の結果です。これについては、逆に1万Bq/kgを超えるポイントが、いわゆる計画的避難区域に沿ったラインと、白河市の北部の辺りに限られています。それ以外の所は、ほとんど1万Bq/kgは超えていません。後ほど、森林総研の金子先生からもしかしたら説明があるかもしれませんが、計測方法については森林総研でやっています計測方法なども参考にしながら、その一部分を拝借してやっているものです。つまり、落葉層については、とにかく落葉層そのものをそのまま単純に計測する。そして土壌については、落葉層をどかした残りの土がむき出しになった部分を5cm掘り下げて、そこをサンプリングして計測するやり方でやっています。したがって、私どもが土をいちばんいじるのは、植付けのときなのですが、農地と同じような作業だからということで、例えば15cmで計測したとすれば、先ほどの農地のデータとほとんど同じような結果になるなと推測しています。
 11番も、小林先生からのご質問です。除染特別地域等における営林、森林の復旧、再生を実施する予定地の空間線量の分布はどのようになっているのか。先程来申し上げていますように、汚染状況重点調査地域が中心ですので、ほとんどは0.23~1μSv/hの間に収まっています。ただ、皆様ご案内のとおり、部分的には2.5μSv/hを超えるか超えないかといった所も、スポット的には存在しています。
 12番の建山先生からのご質問で、森林に関しては除染は行わないのか。放射性物質汚染対象特措法の基本方針に基づき、森林の除染も計画はされています。ただ、現時点で計画されているのは、居住地域から20m以内のまさに集落に直接放射線を届かせてしまうようなエリアだけを対象として除染をしましょうということになっています。基本的には、落葉層を外に引っぱり出して適切に処理するというようなことをやろうということで処理しています。他方森林全体については、実はいろいろな意見がありまして、いままさにいろいろな対策の効果を検証しています。一様に森林の落葉層を剥ぎ取って除去してしまうのが本当にいいのか、処理のことまで考えますと、場合によっては山奥はどちらかというと浸食が起きないような対策をとったほうがいいのではないかというような考え方もあります。そういったことも含めて、どのような除染が行えるのかを、現在データを集めながら林野庁で対策を練っているところです。この中に誤字がありまして、私がいま申し上げました後段の部分ですが、木の「棚」などの設置によると書いてありますが、これは棚ではなくて「柵」の間違いです。木柵と言いまして、杭を打ち込んで横木を渡して、土壌が崩れにくくするような対策です。そうすると、落葉層も押さえることができるのではないかと考えています。どちらかというと、除染というよりは、その場に押え付けるというような対策が、どの程度効果があるのかといったようなことまで含めて、現在検討しているところです。以上です。
○森座長 では門馬委員からお願いします。
○門馬委員 13番のところの質問の内容が、「除染は繰り返し行うのでしょうか、経時変化を見て必要ならば繰り返し行うものでしょうか」というもので、私ども原子力機構でモデル事業等をやっている中、それから専門家としていろいろな回答をしている中での話ですが、いま環境省の除染に係るガイドラインというものが第1版として出ていまして、その中では参考に書いてありまして、これに対する直接的な答えではないのですが、経時変化や繰り返し除染という観点で少し関係するものとして引いております。そちらをまず読み上げます。
 「なお、除染作業の対象の外からの放射線の影響や汚染の特徴によっては、効果的に除染が行われた場合であっても、長期的な目標である追加被ばく線量が年間1mSv以下となることを直ちには達成できないことがあります。このような場合は、時間の経過に伴う放射性物質の減衰や風化による放射線量の低減効果を踏まえて、再度除染するかどうかについて判断することも重要です」。
 こちらのガイドラインでは、1度の除染で達成できない場合は、その後の状況を見て、再度除染も選択肢の1つだという回答になっております。その趣旨からいきますと、経時変化で、1度除染したところが、時間によって目標が達成されなくなるようなケースについても、必要に応じて除染ということを再度行うことが十分に考えられると思います。
○森座長 それぞれ質問事項へのご回答をいただきましたが、どこからでも結構ですので、追加の質問やコメントがありましたらお願いいたします。
 1つ、私から復興庁の6にかかわることで伺いたいのですが、いちばん最後のところで、被ばく防護処置に関して、事業者や施行者のそれぞれにおいて対処しているという部分なのですが、通常、放射線の問題にかかわらず、それぞれの責任というのは決まっていると思いますけれども、それを超えて中小事業者のために施行者に余分に配慮を求めているようなことが、このガイドラインの中には含まれているのでしょうか。
○尾澤参事官 余分と言いますか、その放射線に対してどうするかというのは、通常はないものですから、それは余分というか、別途のものとして考えていかなければいけません。例えば個人別に線量管理をしなければいけないとか、こういったことは普通は全くありませんから、全く新規でそういうものをやってくださいと事業者も言いますし、施工者もそれを受けて、きちんと遵守するという形を取っております。
○森座長 そうすると、今日の議論の最後にも出てくると思いますが、中小事業者、零細事業者をどうするかが大きな課題になってくると思います。その場合に、例えば施工者、発注者といったところにも、その対応をするようなことは強調されているのですか。
○尾澤参事官 きちんと決まっていることがガイドラインとか、こういう形でありましたら、それは当然施工者も事業者も、理解をした上でやっていくということですし、たぶん施工者の中で、そういう教育もきちんとやらなければいけないと思いますし、そこはできるだけガイドラインを作る際に、こういうことが大事だということ、例えば教育も大事だとか、こういうところもセットで決めていただくと、皆さん漏れなくやることはできると思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○建山委員 6の常磐道の話で、一部帰還困難区域に制限が入っていたと思うのですが、仮にここで常磐道をつくったときに、そこの利用はどういう形になるのでしょうか。一般の車は通れるのでしょうか。
○尾澤参事官 それも含めて、まずは今、モデル除染の中で、どこまで線量が下がってということを、まず見極めたいと思っています。その後、当然供用というのは安全に車が通れる状況ですので、その状態をどのように確保できるかという方策を検討していきたいと思っております。
○建山委員 先につくって、除染が後追いになってしまうと、つくったものがさらに汚染されて、そこまで除染しないといけないということにならないように計画する必要があるという話だと思います。
○森座長 ほかにいかがですか。それでは、前回の議論を基にした、今回の質問と回答については、とりあえずこれでよろしいということで扱っていいでしょうか。
(異議なし)
○森座長 それでは次に、(2)「対策の検討に当たっての論点について」です。資料7です。毎回同じですが、項目が1から8までありますので、最初に、基本となる1「被ばく線量管理の対象」、2「被ばく線量管理の方法」について、事務局から説明をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 資料7の105頁です。1「被ばく線量管理の対象」ですが、これについて、まず(3)「前回の検討でのコメント」から議論します。適用範囲については、まず森先生から「避難区域に関する区分けも踏まえないといけないのではないか」というご議論がありました。門馬先生から、「できれば除染実施区域に限定すべきではないか」というご意見がありました。建山先生からは、区域というか、除染作業とインフラ整備の順番というか、分け方ということです。先生のご提案としては、「除染作業をまず優先すべきであって、その除染の効果がある程度確認されたあとに、十分に被ばくを最小限に留めることを踏まえつつ作業すべきである」というご意見がありました。
 「作業の分類」です。これは森先生から、「土壌を取り扱うことの有無と、屋内外ということもあるのではないか」というご指摘がありました。古田委員からは、建山委員の先ほどのご議論と同じなのですが、インフラ整備と除染作業の取り合いという関係でして、インフラ整備において除染で集めた高いものはどうするのか、その辺が明確になっていないと決め難いのではないかというご意見です。
 金子委員からは、「除染作業と営林というのは相当違う」というご指摘で、「営林ということで一括りにして、土壌を取り扱う作業と区分するというのは適当でない」というご意見です。
 小林委員からは、営農ということについては、土壌を直接的に取り扱う頻度というのは必ずしも高くないということで、「こういった実態について考慮すべきだ」というご意見です。
 線量が比較的高い地域については、門馬委員から「線量基準でいいのではないか」というご意見です。
 ここは今回十分ご議論いただきたいところですが、汚染された土壌の定義をどうするのかです。除染電離則では下限を切っていないのですが、ご意見は門馬委員だけですが、「1万Bq/kgという下限を切ったほうがいいのではないか」ということです。
 ここも重要なポイントですが、線量が比較的高い場所というのをどのような数字で押さえるかということです。これも門馬委員からのご意見しかありませんが、「電離則の管理区域(2.5μSv/h)がいいのではないか」というご意見をいただいています。
 これらを踏まえた形の線量の管理の対象者をどうするかについては、門馬委員から、「土壌を扱う作業をする方、線量が比較的高い地域での作業の2つを、線量管理の対象とすべきではないか」というご意見です。
 小林委員から、営農に関しては、例えば0.23μSv/hというエリアで8県109市町村、約46万人の農業従事者がおられるということで、「線量管理というのは現実的ではないので、もっと限定すべきではないのか」。「限定の方法としては、例えば除染特別地域に限定することと、あるいは重点調査地域の場合は、作業時間とか、土壌の取扱いの頻度などで、小分けにしたらいいのではないか」というご意見です。
 9頁です。これに関しては、我々が今回ある程度方向性を出していただきたいと考えていますのは、営農部分の土壌の下限を切るのか切らないのか、切るのであれば1万Bq/kgを使うのか、ほかの数字を使うのかということです。それと、線量が高いか低いかということの基準となる数字を決めていただきたいということです。線量管理の対象ですが、これも一括で考える必要はなくて、例えば外部線量の管理はこういう方、内部被ばくはこういう方と分けていただいても差し支えないということですので、その辺りを是非ご議論いただきたいと思います。
 2の線量管理の関係です。これも(2)の「前回検討会からのコメント」から始めさせていただきます。まず、外部被ばく線量の対象者としては、森先生から「外部被ばくの測定としては、2.5μSv/h以上でいいのではないか」ということで、門馬委員からも同意見がございます。
 内部被ばく測定については、森先生から「汚染土壌の取扱いがある場合に限定した上で、除染電離則でいい」ということです。資料6を付けていますが、これは第3回の委員会で松村先生から出していただいたものです。これは濃度と粉じん量に基づく被ばく選定をしていまして、98頁に表5というものがあります。例えば除染対象物が10万Bq/kgであって、粉じんが極めて高いような場合でも0.3mSvしかないとか、我々が基準として除染電離則で使っている50万Bq/kgというところで、やっと1mSvを超えてくるといった関係から、除染電離則においては、50万Bq/kgであって、なおかつ粉じんの濃度が高い作業についてのみ、内部被ばくを課しているわけですが、そういったことでいいのではないかというご意見です。
 110頁に戻ります。門馬委員も同様のご意見です。あと古田委員からは、「除染則でホールボディーカウンターによる測定を行っているので、バックグランドでそれを使い、評価線量、そういったものの標準化が必要だ」というご意見をいただいています。
 ウの被ばく線量については、森先生から「ICRPの職業被ばく線量である5年100mSv、年50mSvで問題ない」ということです。あと門馬委員も同様のご意見です。これについては、111頁ですが、先ほどご説明しました外部被ばく測定の対象者と、内部被ばく測定の対象者は一致させる必要は特にありませんので、外部被ばくだけを測る人もいれば、内部被ばくだけを測る人もいるということですので、一般的な考え方としては、外部被ばく線量は空間線量によって決めるものであって、内部被ばくというのは、汚染物の濃度によるのではないかというのが一般的な考え方だと思いますので、そういった観点でご議論いただければと思います。以上です。
○森座長 1、2の範囲で、説明の中には特にここは議論として押さえてほしいという言葉もありましたが、順番にいきたいと思います。まず、1の「被ばく線量管理の対象」の検討ポイントの中で、「対策の適用地域について」は、除染特別地域及び除染状況重点調査地域とするか、除染実施区域に限定するのかというところが論点になっておりますが、これについて何かご意見がございましたらお願いします。
○杉浦委員 いままでの検討で、除染特別区域についてはきちんとやるけれども、その他のところについてもガイドラインなりでやっているというところはあったわけです。今回の見直しの議論は、主に除染特別区域の中であって、外で除染以外の作業があるとすれば、先ほどご説明のあった森林の中をいじるかどうかぐらいで、外の区域というのは、人が住まわれている区域で、特に今回何だかんだと変える必要はないのかなと思っているので、今回の見直しについては、除染特別区域で、3つの区域に分けられようとしているところでどう考えるかという感じかなと思っているのですが。
○森座長 いままでの考え方と同じでいいのではないかということですね。ほかにいかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 これについては、なぜこういう提案をさせていただいたかというと、重点調査地域は0.23μSv/hを超える地域を指定することになっているのですが、市町村単位で指定するのが大原則ということもあって、0.23を下回っているところもたくさんありまして、過剰ではないかというご意見がいまかなり出ておりますので、そういった観点から、より絞り込まれた除染実施区域というのもオプションとしてあるかなということで、提案させていただいております。
○須藤参事官 オブザーバーが発言して恐縮です。事実関係として、1点だけ先生方にも改めて整理をさせていただければと思っておりますのは、警戒区域です。現在警戒区域に設定されているところは、国が除染を実施するということで、除染特別地域になりますが、ご案内のとおり、警戒区域は線量によって決められたものではありません。東京電力福島第1原子力発電所から20kmということで、これはまさに原子力発電所が安定していなかった、したがって、いつ不測の事態が起きるかわからなくて、そのときに風がどちらを向いているかわからないということでしたので、海を含めて、円で警戒区域を設定しているということです。
 線量の図面をご覧いただきましたように、当然ですが、警戒区域の中にも相当線量の低い所がございます。したがって、除染特別区域という切り口で言いますと、かなり線量の低い地域も含まれてしまいますので、この辺については、あくまでも今回原発については、少なくとも敷地外への影響を及ぼすという意味においては、安定したということですので、それ以外の区域については線量での判断を行っていくということで、今回の3つの避難指示区域設定をしています。したがって、もともと警戒区域だったから規制が厳しくなるということですと、これは当然事業者さんにも、納得感のないところが出てくるかと思います。この辺についてはお含み置きをいただければと思います。
○森座長 おそらく省令の適用の範囲を決めて、その中で空間線量率を測って、それで線量管理をやるかどうかという流れになると思うので、最初からそれを狭めてしまうと漏れも出てくるということになります。おそらく皆さんのご意見は、ここについては除染電離則と同じでいいということかと思いますが、よろしいでしょうか。
○杉浦委員 確認ですが、前回もそのことが気になったのでご質問させていただいて、警戒区域が解除になると、除染特別地域は変わるのかというご質問をさせていただいて、安井さんから「その区域であっても、除染を当然行わない区域はあるでしょう」という、いまと同じご説明をいただきました。
 ですので、いま座長がおっしゃられたとおり、やらないところはあるかもしれないけれども、それは除染をやらないだけであって、それは区域としては取っておくことが必要なのだけれども、いまここで別な作業をやろうとしているところで、そこに入っていった人に過度な規制がかからないように、そこは除外規定のようなもので読めるような方策が必要ではないかと思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○建山委員 私はいままでの議論を知らずに、後ろ向きな発言をさせていただいているのですが、先日ある企業の方で、除染に関係している人の話を聞きますと、現場に入ってきちんと管理しているのだけれども、仕事をやり出すとなかなか終わらないときがあるようです。例えばこのエリアを除染しなさいと言われて、3分の1を残してしまうと、そこでリミットがきたから上がれという話になると、なかなか上がれなくて、やはり責任感というところもあって、結局超えがちになって、そこをどうコントロールするのかというのは実は非常に難しいという話を聞いたことがあります。
 そういうこともありまして、こういう基準を作るということは大事なことなのですが、それを超える人が出ないかというと、おそらく何らかの形で出てくることは避けられないのではないかと思います。それが軽度で、少数であれば問題ないのかもしれないのですが、その人数が多くなって、中にシリアスな人が出てくると社会問題になるかもしれないです。そうすると、この委員会はどのような議論をしていたのかということも問われますし、そういう意味で、決してやめましょうという話ではなくて、そういう事態も起こり得るということを想定した上で議論をしたほうがいいのではないかということが、私が言いたいところです。
○森座長 おそらくそういう意味では、まず対象範囲を広げておいて、空間線量率などで線量管理をやるところを決め、個人線量管理の中で、一定の値を超えた場合にどうするかという、3段構成のような管理を想定しているのだと思います。
○建山委員 それとともに、実際に現場で作業する人に、単に基準がこうだというだけではなくて、その基準の持つ意味、例えば先ほどあった年間50mSvというのがどのような意味を持って、健康被害にどのぐらいのリスクがあるのかとか、教育という話は先ほどありましたので、しっかりと教育した上で現場で作業していただくというのが、大事なのではないかと感じたところです。
○森座長 5の「労働者の教育」というところで、その問題はしっかり触れられなければならないと思いますので、その辺りでもう一度ご議論いただければと思います。
○建山委員 はい。
○森座長 イとウに関しては、どう作業を分けるかということです。最終的には、エとカの部分を、どのような数字にするかによって、どのぐらい影響が出てくるのかが変わってきますので、先にエとカの部分にいきます。要は、汚染された土壌とはどうするのか、線量が比較的高い地域をどうするのか、これらがそれぞれ線量管理をどうするのかに影響してくると思います。現在、汚染された土壌等については、ご意見で出ているのは1万Bq/kgという数字です。それから、線量が比較的高い地域というのは、2.5μSv/h相当という数字が出ております。これについて、何かご意見がございましたらお願いします。
○金子委員 エの1万Bq/kgの土壌についてですが、先ほど井出室長からも説明がありましたが、森林はちょっと特殊でして、落葉層の濃度が高く、土壌は非常に低くなっています。5cmの深さで土壌を測ることになっている点については、森林では落葉層と土壌5cmまでを合わせてキログラム当たり1万Bqという方法を森林には適用することが現実的であると思います。
○森座長 ですから、基準を決めた上で、実際の作業に応じて少し定義の説明を加えていくことですね。
○安井中央労働衛生専門官 測定の問題は大変難しい問題でして、いままでは除染ということですので、いちばん濃い所を削ぎ取るということになっていましたので表面は深さ3cm、農地は5cmといった基準を作っておりましたが、これは作業に応じるわけですので、実際に労働者の方が触る有り様を適切に測定できる方法がいちばんいいと思いますので、先日伺った話であれば、例えば農地であれば15cmの平均がいいとか、そういった測定方法の改正というか、変更というのは、十分に実態に合わせていくことはできると思います。
○森座長 そういった意味では、基準を決めて、具体的な中身になったときに提案をいただき、その妥当性を皆さんで検討して、その適用をしていくというような方法になるかと思いますが、そういう感覚でよろしいですか。
○金子委員 それで結構です。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。数字は大変重要なことなので、ご意見があればぜひお願いします。1万Bq/kgという数字と、2.5μSv/hという数字ですが、ほかに根拠がある数字が持ってこられないので、こういう数字が出ていると思いますが、基本的にこれでよろしいですか。
○古田委員 この土壌の取扱いですが、これを除染として集めた土壌であればきちんと管理しなければいけないのですが、工事の途中にこういう土があった場合、全部回収して、汚染土壌ということで取り扱うというようなイメージなのでしょうか。例えばインフラ整備の作業をして、2.5μSv/hを超えれば、1万Bq/kgのところはあり得るぐらいの濃度になるのですが、そういうところで表層だけをうまく取れば、確かに1万Bq/kgぐらいになると思うのですが、何らかの作業をしていて、その場で作業すること自身が取り扱うことになるかどうか。その辺の定義をきちんとしておかないと、何が何でも、落ちているもの全部を回収するのか、あるいは作業をやったあと、それが例えば撹拌されて均一化されて、それで線量が低くなっていればよしとするのか、その辺で、汚染された土壌をどう考えるかというのが、ちょっと明確でないかと思います。
○森座長 被ばくの問題と汚染の問題があって、高い線量の土壌を扱った場合に、そのあとの汚染の問題をどうするかというところに利いてくる話だと思いますが。
○古田委員 取り扱うということは。
○森座長 汚れる可能性があるという考え方ではないかと思います。
○古田委員 取り扱うというのは、その場で作業をするということが、イコール取り扱うということですか。
○森座長 そういうことだろうと思います。
○安井中央労働衛生専門官 人為的に触るということを念頭に置いております。
○古田委員 例えば2.5μSv/hぐらいであれば、5cm深さの土壌で1万Bq/kgぐらいに大体なると思うのですが、そういう場所で作業をするということは、イコール取り扱うことだということですか。
○安井中央労働衛生専門官 事務局も整理しきれていないのですが、さまざまなケースがあると考えております。例えば道路の整備のように、通常のJAさんがやられているような、除染をまず先にできるようなものについては、まず先にやっていただくのが大原則であろうと思います。
 それ以外に、例えば覆土するとか、アスファルトを敷くとか、わざわざ除去しなくても線量を下げる手段は山ほどありますので、そういったことを兼ねて、除染をせずに復旧してしまうというパターンもあろうかと思います。
 農地の場合は、いま農水省さんで検討されているのは反転耕といって、表土を引っ繰り返すというやり方もございます。あと、もちろん表土を剥ぐというものもありますので、ケース・バイ・ケースだとは思います。ただ、建山先生からのご提言もあったのと、我々としても、除染もせずに、下げられる線量も下げようとせずに、作業員を派遣するというのは望ましくないですので、除染できるものは先に除染してほしいということを打ち出した上で、同時に覆土をする、アスファルトを敷く、反転耕するように、復旧、復興作業と同時にやったほうが効率的なものについては、それでいいというような前提でものを考えていくのが現実的かなと考えております。
○古田委員 そうすると、どういう作業のときにはこういう仕様にしましょうというような、かなり作業手順に近いものから考えていかないと、この辺のルールがどうなるかというのは、かなり曖昧な点が残ってしまうと思うのです。
 例えば除染の作業のときには土を集めてくるから高い塊ができるでしょうということであれば、それに対してきちんと放射線管理をするということで、大体そのやり方は見えてくるのですが、そうではなくて、今回はいろいろなケースがあると。除染をやってから作業をする場合もあるし、除染しなくて作業をする場合もある、いろいろなケースがあるということなのですが、では、どういうときにどういう手法を取るべきかぐらいまでは。例えば立ち入るだけでかなり被ばくしてしまうというときには、除染をしたほうがいいでしょうし、この辺の考え方をある程度クリアにしておかないと、かなり議論が発散してしまうような気がするのです。
○安井中央労働衛生専門官 おっしゃるとおりでございます。まず、空間線量というのは大きな問題としてあろうかと思いますので、空間線量が高いのであれば外部被ばくの線量管理をするのは当然だろうと思われます。
 土壌の濃度は何に影響があるかといえば、事務局で考えているのは、1つは内部被ばくの問題があると。これは作業の内容に依存しますが、粉じんが出るかどうかということになるのではないかと思います。
 あとは汚染の検査で、この2点に結局かかわってくるのかと思いますので、濃度をどう考えるかについては、粉じんがあるのかということと、汚染検査をどうするのかということで判断していただければいいのではないかと思います。
○松村委員 作業場でどのくらい粉じんが出ているのか、私が前回試算したものを適用していていいのかが気になっているのですが、放射線量については50万Bq/kgを超えそうもないのですが、労働科学研究所の方たちの報告例を見ても、粉じん量については10mg/m3を超えている場合はあるようです。その場合も、粒子の大きさの情報がないので、どのくらい吸入しやすいかというのはよくわからないのです。
 超えていても、1桁も超えるようなことではない気もしますので、防じんマスクの選び方としては、そう大きく変える必要はないのかなという気はしますが、全体としては簡易なものではなくて、95%捕集効率ぐらいのもので、エラスティクな面帯が付いているものを使われたほうが、より安全になる状況ではないかという気がしております。
○森座長 いまのご議論は、4の「内部被ばく防止のための措置」のところで、もう一度取り上げたいと思います。
 どのような管理をするのかは大変重要ですが、まず管理をする対象の範囲、下限を決めないといけません。その上でそれ以上の部分、たとえば内部被ばくをどうするのかという順番になると思います。まずここについては問題がなければ、下限の数字としては、1万Bq/kgと2.5μSv/hという数字基本的な適応の範囲に用いる数字とさせていただきたいと思います。ただ、原則としては、建山委員からもあり、また事務局からも説明いただきましたように、いたずらに高い所で人が働くというのは望ましくないので、この検討会としても除染がまず原則で、どうしてもそれができない場合や、またはやむを得ない都合がある場合に高い線量の場所での作業があり得るという原則は示した上で、数字を出していくという流れでよろしいでしょうか。具体的に、さらにその中で、どのように管理をしていくかに移っていくという形になろうかと思います。
○杉浦委員 イで話をするのがいいのか、ウで話をするのがいいのかわからないのですが、イの?の(イ)の「屋内作業で土壌を使わない作業」ですが、これを避難区域解除準備区域については適用しないことはできないでしょうか。いまでさえ、例えば計画的避難区域では継続的事業として、20mSvを1年間で超えるような人も、入って仕事に行かれているわけです。避難区域解除準備区域というのは、年間20mSvを下回っている所で屋内作業なので、いま認めているものよりももっと低い所が存在してくるわけです。それを新たに、いままで法律で縛っていないものをここで法律で縛りますかというのがあるので、先ほど森先生の、どんな作業が発生するのかというところで、33頁に新チームからご説明いただいた表、居住制限区域で特別な事業を再開されるという屋内作業にのみ、これは適用されるのかなと。
○森座長 55頁ですね。
○杉浦委員 55頁の避難指示解除準備区域のところは、屋内作業については病院であっても、営業、その他製造業というのは、あまり線量管理の対象にならないで、その上の居住制限区域の特例的な事業再開のうち、屋内作業について、ここは年間20mSv以上で線量が高いので、線量管理の対象とするというような項目としての切り分けで、それが先ほどの2.5μSv/hは数字としてはそれを決めるしかないので、その関連がどうかというところは若干心配なのですが、作業としては、そこを除くといっておかないと、いままでのこととの整合性もあるし、やりすぎではないかというのが意見です。
○森座長 いまのご意見からすると、例えば避難指示解除準備区域のようなところで、2.5μSv/hを超えるようなことがあるかないかということが1つ重要になってくるということですか。
○杉浦委員 それはないと思うのです。年間20mSvを超えないので、避難を解除できる区域になっていると思います。
○森座長 基本的にその理解でよろしいのですか。
○須藤参事官 事実関係だけを申し上げますと、避難指示解除準備区域については、年間20mSv以下ということですが、これは時間当たり線量に換算しまして、3.8μSvを適用するということにしております。もちろん現実的には、当然屋内で作業をします。いま申し上げましたのは外での線量ですので、屋内は2.5μSv/hを下回ることのほうが可能性としては圧倒的に多いとは思いますが、事実関係を申し上げると、外での線量が3.8μSv/h、もう1つ事実関係を申し上げますと、この区域割りというのは、1件1件、ご自宅とか工場ごとにやるということではなく、面的にいたします。この区域、この字については、この行政区については解除準備区域にします、あるいは白地にします、居住制限区域にしますという設定ですので、例えば居住制限区域は3.8μSv/hを超えるとなっていますが、この区域の中でそれを下回る事業所というのは、可能性としてはあると。これが事実関係です。
○杉浦委員 意見を取り下げます。除染特別区域が約2.5μSv/hに相当すると言っていたのは、線量が下がってきていて、年間20mSvで計画的避難区域で逃がしたけれども、周りの線量が下がってきたからそうなって、下がってきているからこそ、そこが解除できるということですね。私ちょっと状況を勘違いしていましたので、すみません、意見を取り下げます。
○安井中央労働衛生専門官 森先生からも、屋内と屋外で分けて考えるべきというご意見を伺っておりますので、これはそれなりに意義のある区分のようでもあるわけですが、先ほど原災本部さんからもご説明がありましたように、3.8μSv/hまでは屋外の可能性がありますので、屋内だからといって必ずしも2.5μSv/hを下回るという保証は必ずしもないということと、いくつかのケースで伺っているところによると、窓が割れていたりして屋内が汚染されている場合がありまして、屋内の線量が相当高い所も出ていると聞いておりますので、屋内、屋外という区切りで切るのはやや難しいかもしれないというのが1点です。
 さはさりながら、例えば2.5μSv/hという数字を使わせていただくのであれば、あくまでも屋内の数字を使うべきではないかとは考えておりまして、製造業であれば屋内で仕事をしますので、その屋内の線量が2.5μSv/hを上回るのか下回るのかということで判断することは重要だろうと考えています。
○森座長 杉浦先生、そのようなことでよろしいでしょうか。
○杉浦委員 はい。
○森座長 私も屋内、屋外の話は、最終的に被ばく低減をどうするかといったときに違いがでてくると思います。屋内というのはなかなか被ばく低減の方法がないなということが前提で、ここで少し整理しておいたほうがいいかと思います。数字としてはそういう形でいきたいと思います。
 それでは、2の「被ばく線量管理の方法」に入ります。検討のポイントは、まず外部被ばく測定の対象者を一定の数字で決めるということになれば、具体的な数字はどうするかということです。空間線量率の測定は基本的に必須になってくると思いますが、作業をどのように進行していくかによって、測定の頻度をどうするかという悩ましい問題があります。その上で、一定の数字を超えれば、個人線量管理をしていく。個人線量管理の中でも、全員個人ごとに測定をするのか、代表者のような簡易的な方法を認めるのかという課題もあるかと思います。まず、空間線量率の測定については、何かご意見はございますか。事務局のほうでは特に論点には挙げていませんが、頻度の問題はどのように整理されていますか。
○安井中央労働衛生専門官 座長のご指摘のとおりでして、実態論としては、112頁の事前調査のところで、いままでの除染電離則は除染を行う前に1回測るという発想で考えていたわけですが、例えばこれが製造業などになりますと、そこにずっと継続して仕事をするということになりますので、測定を1回やればいいということにはなりません。どのぐらいの頻度、あるいはどのぐらいに線量が落ち着いてきたら測らないでいいか、そういう下限を決める必要はあろうかと思います。
 ただ、これについては環境省で、仮置場の線量測定の基準をある程度作られているのでそういったところを参考にしながら頻度等は決められるのではないかとは考えています。
○森座長 むしろ定期的に測って、管理をしなくてもよくなったほうがいいのだろうと思いますが、頻度は検討課題としておくということでよろしいでしょうか。
 その上で、一定の線量率があれば外部被ばく測定を行うということですが、いまオプションとしては、2.5μSv/hを超える所としてそれ以下については簡易の外部被ばくの測定をするということと、線量管理の対象者は全員とするというオプションがあります。全員に行うというのは現実的ではないのかなと思いますが、これは先ほど1つの基準としてご理解いただいた、2.5μSv/hを超える所では、個人線量管理を行っていくという方法でよろしいでしょうか。
 その上で、もう1つの管理として、内部被ばく測定があって、内部被ばくについては除染電離則では、粉じん濃度と50万Bq/kgという数字でマトリックスを作って区分を作り、簡易的な方法なのか、ホールボディーカウンターで測定するのか、といったような原則を作ったわけですが、これについて何かご意見がありましたらお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の作り方をご説明させていただきますと、(3)のアですが、外部線量の測定については、除染電離則については2.5μSv/hを超える場合は個人線量計、それ以下の場合は簡易線量となっております。
 これは、なぜこのようにしているかと申しますと、除染ですので、今日は2.5μSv/hを下回る所で働いたとしても、明日は50μSv/hの所に行くかもしれないという意味で、測定漏れがないように両方とも測っておきましょうという発想です。
 ただ、今回の場合は、例えば製造業、営農といった場合は、働く場所が決まっておりますので、例えば働いている場所が2.5μSv/hを下回っていれば、その方がもっと高い所に行くことは基本的に考えられないので、そうなってくれば、いわゆるICRPの大原則である年間5mSvぐらいで線量管理の下限を切れるのではないかという考え方もあるということです。
○森座長 ということは、2.5μSv/h以下においては、除染電離則の場合は簡易測定ということで代表者が行ったけれども、この場合にはそもそも線量管理そのものが要らないという考え方もあるというご提案ですが、これについて何かご意見はございますか。
○古田委員 妥当な考えだと思います。例えばいまの電離則でも、管理区域は設定しなければいけないのは2.5μSv/hですので、それとは整合が取れているので、非常にリーズナブルかなと。特に除染作業のように、線量が上がったり下がったりとか、そういう所では先ほどおっしゃったような管理が要るかなと思うのですが、そういう一定の線量の場であれば、いまおっしゃったような、2.5μSv/hを下回っていれば特段線量管理をする必要はないかなと思います。
○森座長 いまのご意見について、何か追加でご意見がありましたらお願いします。なければ、基本的な考え方としては、2.5μSv/hを超える所においては個人線量管理を行うが、それ以下については基本的に安定した、むしろ下がっていく方向なのでいいだろうという考え方で、皆さんご了解を得たということにします。
 続いて内部被ばくに関してですが、土壌を取り扱わなければ内部被ばくはない、屋外で建設の場合もありますが、粉じんが発散しないような場所においては問題ないということなのですが、内部測定の対象者についてのここでのオプションは、1案は除染電離則を基本として考えるということです。一方で2番目にあるように、年5mSv、先ほど出てきた2.5μSv/hを基本に考えて、それ以上の被ばくをした人だけが内部被ばく測定を行うということです。これは理論的に少し難しいところがありますが、そういった案が出ています。これについてご意見があればお願いします。名古屋委員、いかがですか。
○名古屋委員 内部被ばく測定のところは土壌汚染がないということなので、被ばくのところの線量のところで行えばいいのかなと思っています。考え中です。
○森座長 ほかにご意見はございますか。
○古田委員 除染作業をいまやられているということですので、その辺のデータ、実績を最大限に活用すべきではないかなと思います。聞くところによると、ほとんど検出されずという結果も出ているということなので、そのデータをうまく活用して、過度な内部被ばく管理はしなくてもいいかなというような感触なのですが、データが貯まっていると思いますので、その辺をきちんとレビューして、それを基に考えることが重要ではないかと思います。
○森座長 おそらく土壌を取り扱う中にも、ほとんど内部被ばくの可能性のないものから、先ほど松村委員からご説明のあった中で、それなりの粉じんが出ている作業まで、かなり幅広くあると思います。したがって、ある程度限定的でないと過剰な制限になるのかなということですよね。次回の議論でもいいのですが、データについては事務局からいかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 データにつきましては、労働安全衛生総合研究所にお願いして、粉じん濃度と放射能のフィルターの分析を含めてお願いしているのですが、正直なところ、今回の検討会の4月末までというスケジュールには、データを揃えられない状態です。
○古田委員 実際の問題として、例えば夏場になってくると、いろいろな装備で熱中症とか、そちらのリスクがかなり高いという話も聞いています。ということを考えると、装備は必要最低限のものにして、作業員の負担を減らして、守るところは守るということでいいのですが、装備を少なくして、軽減化することはリスクの上では重要ではないかなと考えます。
○名古屋委員 あと前回モデル事業をしていましたが、そのときは粉じんは測っていないのですか。
○門馬委員 モデル事業は昨日大方の作業が終わりまして、報告会を開いております。内部被ばくに関しましては、基本的に今回の装備で全く内部被ばくは確認されていません。それから粉じん濃度については、今回ほとんど有意に出ている情報があまりなかったということと、一部高いエリアでの作業が継続中のところもありまして、明示的に説明はされていないのですが、ほとんど高い濃度は確認されていません。一部、例えばブラスト除染のような舞い上がるような作業については、当然検知されていますが、いわゆる思っていたほど内部被ばくは大きく問題にならないのではないか。
 報告の中でもあったのですが、今後の夏場の除染作業等を考えると、内部被ばく防止のための装備ももう少し合理的に、軽減すべき部分もあるかもしれないという内容も、昨日の発表の中ではありました。
○森座長 そうしましたら、ここは今日数字を明確にすることは難しいですし、そのあとの被ばく低減の問題ともかかわりますが、基本的な考え方としては、複合リスクで別のリスクが高まることもあるし、過剰な制限にならないように基本的な考え方をすることでまとめておきたいと思います。そのデータについては次回以降、少し考え方をまとめて、ご意見もいただいて、検討していくということでよろしいでしょうか。
 ウの「被ばく限度」についてで、これはあくまでも上限の話でありまして、おそらく非常に高い被ばくが想定されること、除染作業以上のばく露があるということは考えにくいわけですが、その場合の上限として、現行では5年間で100mSv以下、1年間で50mSv以下という数字が提案されていますが、あくまでも上限ですので、こういう数字はほかとの整合性を考えて、一緒ということでよろしいですか。
○杉浦委員 数字自体は問題ないのですが、現状被ばく状況に該当するものとして、「職業被ばく」と書かれると、少しICRPを勉強しているものとしては書きぶりが違うということになりますので、職業被ばくは計画被ばく状況に適用されるものであって、除染などをするときには計画被ばくで整理するということになっています。
 ただ、気になるのは、病院をやる、お店をやるといったのが職業被ばくかと言われると、ICRPの考え方でもどうかなというところはなくはないです。現存被ばく状況で住んでいるし、働きもするし、線量は高いという状況なのですよね。ですので、今回は何らかの区域があるところを超えて入っていくので、厚生労働省が労働者を保護するという意味合いで、そういったものも管理区域的なところに入っていくから、労働者として線量管理をするということで、計画被ばく状況の職業被ばくの限度を適用するというような整理をしていただけると、放射線審議会でも揉めないのではないかと思います。
○森座長 書きぶりの問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 書きぶりについては、杉浦先生のおっしゃるとおりです。現存被ばく状況においては、ここに書いてあるような状況においては、計画被ばくの被ばく線量限度を適用すると書いてありますので、そのように直したいと思います。
 ポイントとしては、ここで書いている改善作業というのは、除染やインフラ整備だと思うのですが、影響を受けた場所での長期の雇用というところが、非常に一般的に書かれていて、これを見ると、おっしゃるような商店の人なども除外するという理屈がなかなか考えつかないという実態もありまして、少し幅広に考えざるを得ないと思っております。
 少し戻って恐縮ですが、内部被ばくの関係です。測定の結果がどうなるかということですが、先ほどの松村先生の試算に基づいて基準は作っていますので、50万Bq/kgで、10mg/m3出たらこのぐらいの被ばくが出るということで、基準は作っています。
 それに基づいて、例えばマスクのレベルを変えるということになっていますので、仮に、いま粉じん測定の方法自体が確立されておりませんので、それを確立することが第一ですが、それを測ったところ、10mg/m3を超えることはほとんどないということがわかれば、基準を変えることなくして、マスクのレベルを落とすことは可能になってきますので、基準の話と装備の最適化というのは、また次元の違う話ですので、そこはご検討いただければと思います。
○松村委員 粉じんの発生の状況ですが、単に除染作業とか、それで放射性の塵を吸うということだけでなくて、今回の作業の中には、建築物の解体とか、修理とか、建設物にかかわるような工事が入ってくると、放射能の量としてだけではなくて、鉱物性の塵の量としてはかなり多くなる状況が、場面としてはあるのではないかという気がするのです。
 ですから、そういうときには内部被ばくだけの観点ではなくて、塵が立つ作業に対するマスクの使い方は、これは別の意味からの労働安全衛生の一般的な配慮になると思うのですが、そういう観点でのマスクの使い方も必要になってくる場面があると思います。
○古田委員 内部被ばくの話が出たので追加で申し上げたいのですが、除染則のときに、内部被ばくでホールボディーカウンターをしなさいということを義務づけていると思います。ただ、このホールボディーカウンター自身、実際には標準化など、その辺がきちんとされていません。だから、そういう意味で私は書かせていただいたのですが、例えば作業者の中には、以前発電所で働いていましたということで、作業の前に測ってみると、セシウムが見えるという方も中にはおられます。そうしたときの被ばく管理のあり方、それをどうやって差し引くかとか、スクリーニングとして、小さければいいと考えるのか、その辺の取扱い、評価の仕方、この辺の標準化も別途考えていただけたらと考えます。
○森座長 今回の議論以外で、本来検討しなければならない事項があるという話ですね。また次回に議論を細かくできる時間があると思いますので、2までの大まかな論点を整理できたということにさせていただきます。続いて3の「被ばく低減のための措置」、4の「汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 3の「被ばく低減の措置」、112頁です。これも(2)から説明させていただきます。まず、「汚染土壌取扱い作業での被ばく低減措置」ですが、森先生のほうから除染電離則と同じ条件を基本とするものの、一定の要件を満たせばより簡易な対策、マスクは不要とすることもあり得るのではないかということ。門馬委員からは、除染電離則で基本的にいい、土壌を扱うのであれば同じでいいのではないかということです。土壌を扱わない作業については、森委員から、基本的に(1)にあるような特段の対策は要らないのではないか。線量管理があればいいのではないかということです。門馬委員は、?は外部被ばくにおける被ばくの低減という観点から、線量が比較的高い地域における作業については、被ばく関連規定を除いた規定ということです。具体的には、空間線量率の測定などは当然やっていただく必要があるということで、何らかのものは必要だということと、医師による診察は要るのではないかということですので、ここを残すということで門馬委員からは意見をいただいております。
 「検討のポイント」については、汚染土壌を扱う場合は除染電離則と変えるポイントがあるかどうかということと、汚染土壌が取り扱わない作業の場合に、どこまで基準を緩和するかということだと思います。
 114頁の4に「汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置」があります。これも(2)から説明します。汚染土壌等を取り扱う作業での汚染拡大防止措置については、森委員からは屋内の話が出ましたが、屋内であっても汚染土壌の持ち込み防止とか、定期的な空間線量の測定は必要だというご意見です。門馬委員からは、除染電離則と同様の措置が必要ではないかということです。金子委員からは、空間線量が2.5μSv/hに達していなければ、汚染検査は緩和できないかというご意見です。小林委員からは、粉じんの発散抑制ということで湿潤化するということがあるのですが、これは除染の場合はここの土を剥ぎ取るというのを、完全にターゲットを決めておりますので、できるわけですが、営林・営農という広大なエリアにおいてはあり得ないというご意見です。同じく小林委員から、汚染検査というのは46万人ということですので、2.5μSv/hということで1万Bq/kgというところで議論が進んでいるわけですが、一定の絞り込みの基準が必要ではないかというご意見です。
 汚染土壌等を取り扱うような作業での汚染拡大防止についてはあまりご意見がなかったのですが、門馬委員から、特になくてもいいのではないかというご意見が出ております。
 115頁の「検討のポイント」ですが、除染電離則は下限を決めずにいろいろな基準を作っておりますが、それをそのまま使うのか、先ほどご議論いただきました例えば1万Bq/kgというのは、下限を切った上でやるのかということです。これについては、特に古田委員からもご指摘がありましたが、保管とか、要は除染であれば収集して保管して、どこかへ運び出すわけですが、インフラの場合は別に運び出すことを目的に作業しておりませんので、高濃度のものが出てきたときにどうするのかという問題が、非常に大きな問題として出てまいります。まず、先に除染をして、残ったものについてはもう塗り込めるというルールを決めてしまうのか、それとも1万Bq/kgを下回るまで徹底的に撹拌するとか、いろいろあろうかと思います。それか保管するか。そういった容器以前の問題として、いったいどうやって保管するのかという議論がちょっと必要な状態となっております。
 イの「汚染土壌等取扱い作業」については、だいぶ簡単です。当然、汚染検査は要らないと思いますが、ここでご議論いただきたいのはマスクと保護衣をどうするかという点だけです。以上です。
○森座長 3の「被ばく低減のための措置」についてです。汚染土壌等を取り扱う作業と汚染土壌等を取り扱わない作業という整理をされております。まず、汚染土壌等を取り扱う作業の中で、私の中で1つすっきりしないのは、除染のときは比較的作業があって、粉じんが舞うことを想定しながらやっていたわけです。当然のことながら、被ばく管理をするためには、土壌そのものの放射能量を測るのはいいのですが、粉じんまで測るか測らないかというのが、明らかに粉じんが舞わないような作業まで粉じんを測るのは、現実的でないと思います。粉じん量を測定するか、しないかはどう考えたらいいでしょうか。同じ土壌を使うとしても、おそらくたぶん作業で明らかに粉じんが出るものと出ないものがあると思います。この辺りについてご意見はありませんか。
○安井中央労働衛生専門官 除染電離則の組立ては、粉じん測定は義務付けておりません。粉じんをきちんと測定して、それに基づいてマスクなり、あるいは内部被ばく措置の対応を決めることも結構ですし、あるいは土壌の剥ぎ取りみたいに一定の作業を行うのであれば、これはきっと高いとみなして適用するという、どちらか選択できるようにはしておりまして、測定を義務付けてはおりません。
○森座長 ですから、それと同じように、特定の作業が列挙できるかどうかというのは、いかがでしょうか。
○松村委員 ごく限られた例なのですが、労働科学研究所の人たちが1月21日版で発表されているのを見ますと、落ち葉を集めるとか、これはトラクターとか大きい規模の作業ではなくて、素手で研究者自らやっていることですから、それは粉じん量は10mg/m3には瞬間的に達するぐらいで、ほとんど5mg/m3以下なのですね。だけど、手持ちブラシでコンクリをこするとか、石の面をこするとか、そのようなことだと、もう50、60mg/m3ぐらい、瞬間的には出ているのです。ですから、私は建築物についての何か工事が始まったりすると、こういう状況がもっと多くなるだろうなという気はしているのです。ただ、トラクターなどで乾燥した土壌を掘り起こして走るようなことがあれば、それはこの報告よりも高くなるだろうと思いますけれども。
○森座長 そうすると、基本的な考え方は除染電離則と同じという考え方になるのかと思いますが、いかがでしょうか。
○名古屋委員 粉じんの場合、作業によっては一瞬で粉じん濃度は高くなるけれども、今回の場合はインハラブルで大きな粒子ですから、すぐ粉じん濃度は下がってしまいます。そうすると、粉じん濃度が一瞬高いからどうかというのはなかなか難しいので、やはり除染電離則のほうがいいのかという気がしますけれども。
○森座長 何かご意見はありますでしょうか。
○金子委員 例えば森林でも農地でもそうですが、先ほど作業内容を列挙するというお話がありましたが、やはり列挙して、この仕事はどちらに該当する、しないということを決めざるを得ないのかと思います。もしそういうことができないと、全部にかかってしまうので、その方法は何らか農林水産省から出ないですかね。どうでしょう。
○森座長 おそらく、すべての作業を列挙するのは難しいので。
○井出室長 お答えしてよろしいでしょうか。農地のことは私はわからないのですが、森林についてはまだ調査件数としてはちょっと少ないとお叱りを受けるかもしれませんが、それなりに調べております。たぶんいちばん粉じんが舞うであろうと思われているのが伐採の作業です。バタンと木を倒す作業。これですら、私どもが調べた限りにおいては、0.1mg/m3とか、そういったレベルにしか辿り着かないことがわかっております。ましてやほかの普通のその他の作業においては、ほとんど出ていないというのが実はデータとしてあります。これはひとえにもともと森林が水を蓄えるのが得意な生態系ですから、非常に湿度が高い。したがって、最初から散水をしたような状態になっているということも大きいのかと思います。ですから、森林の場合で、仮にそういう列挙をしろと言われると、たぶん舞わない、舞わない、舞わないという感じで列挙することになるのではないかと思います。
○金子委員 私がいま言ったのは、粉じんということだけではなくて、そこで土壌を取り扱う作業が具体的に何があるのかイメージがつかないと思いますので、そういうことも含めて何か必要ではないかと思います。
○井出室長 失礼いたしました。土壌を取り扱うか、取り扱わないかという点は、まさに取り扱うがいったい何なのかというのが最後の議論になるとは思いますが、本当に土壌そのものを掘ったり、一旦どかして、林業の場合はそれをまた外に押し出すということはなく、埋め戻しという形で、要するに植え木ですね。同じような作業をやるわけですが、これは植付作業以外では、あまり土壌そのものを扱うことはないです。要するに森林の中を歩き回って、切らなければいけない木を見つけてはそれを切るという作業になります。
 ただ、前回も説明申し上げましたが、そこに人が辿り着くため、あるいは木材を運ぶために、小径を付けるときがあります。このときは、小さなバックホーなどを使って、大体深さにすれば高いほうで1m50cm程度だと思いますが、削ってはこちら側に1m50cm盛ってというような形で道型をつけるという作業をやりまして、これが土壌という点ではいちばん扱う作業になるのかと考えます。
 防災グループの仕事については、山が崩れたときにちょっと壁を作って、山を直しますという説明をしたと思いますが、治山事業については通常の土木作業に非常に近いような作業が発生します。したがって、相当量の土をいじりますが、それを持ち出すということは基本的にありません。以上です。
○森座長 ほかに何かご意見はありますか。
○小林委員 前回検討で、農業の場合に粉じんが問題になるのは、あくまでもホールアウト以前からある稲藁や雑草のある所など汚染のひどいケースについて話をしました。そういう条件が今度のところではなくなりますので、埃が問題となるのは通常の営農でも埃の多い例えば穀物の乾燥や、脱穀作業が対象となります。そういった意味で先ほど松村先生からお話があったように、一般的な粉じん管理は必要だと思うのですが、除染とは全く違うレベルでの対応が求められると思います。
○森座長 基本的に高い粉じん量で、当然高いレベルの放射能の量であれば、除染電離則と同じような管理が必要だということは、おそらく皆さんも同じでしょうが、実際の作業においてはそういうことがほとんど想定できない。汚染土壌等を取り扱う作業の多くがそのようなものであるから、その部分をこの中でどのように取り扱うかということの工夫がいるのだと、基本的にそのような考え方でよろしいでしょうか。それを次回細かく詰めるということで。
○古田委員 除染作業のときは表層の5cm程度の所を、本当に汚染されている所を集めることが前提だと思いました。それと深さ5cm程度の汚染された土壌ということで、いろいろ定義付けしたかと思うのです。何かどうも話を聞いていると、そこを専門に扱うような作業ではなくて、むしろ先ほどおっしゃった1mとかそのぐらいの所を削り取るとか、そういう作業だと、きれいな所の土も扱っているではないのという気がしてならないのです。そうすると、実態に応じた基準を設けるとかいうことも必要ではないかと思うのですけれども。
○森座長 先ほどもありましたが、そもそも土壌の扱う範囲。土壌とは何か。それらの点をどうするかとか、1万Bq/kgの測定をするときの土壌は何センチまで採取するのかというのは、それぞれの作業に応じてという話も先ほどありましたので、その辺のところを少し配慮したものにしないといけないと思いますが、事務局、お願いします。
○安井中央労働衛生専門官 古田委員のご指摘ですが、115頁にありますように、除染電離則と同じように、下限を決めずに何でもかんでも管理する必要はないと思うのですが、上限を決めるとすれば先ほどの1万Bq/kgでいいのかとか、1万Bq/kgで決めたら、どうやって測定するのかとか、芋蔓でいろいろな問題が発生してまいりまして、なかなか難しい問題ではあります。
○森座長 ということで、いまはすぐに回答が出ないということのようです。3については、先ほどありましたように、基本は高い被ばくの可能性があるような状況もゼロではないということで、除染電離則の考え方を基本的に取りながらそうでない作業が多いことを少し配慮しながら検討するということで、ここではまとめたいと思います。
 4の「汚染拡大防止内部被ばく措置の考え方」について、何かご意見がありましたらお願いいたします。
○杉浦委員 先ほど除染ではないインフラ復旧で、高濃度の土壌が出てきたとき、どうするのだというお話があったのですが、固体廃棄物については放射性廃棄物は濃縮保持、気体と液体については稀釈・拡散というのが基本的な考え方としてあるのです。ものすごく広い範囲で、ものすごくたくさんの物が出てくるのに濃縮保持という考え方ができるのかというところはあると思いますが、インフラ復旧で出てくるボリュームとしてはそれほど大きくないので、人が住み出してコンパクトに固まっていれば、それをどこか仮置場なり、あとから処理することができるので、その段階で薄めてしまえという8,000という数字に縛られて薄めて広げることは、あまり好ましくないのではないかと思います。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○金子委員 ここでの拡散防止のときの基準は8,000という話でしたか。1万というか、基準はもう決まっているのでしたか。
○森座長 1万です。
○金子委員 1万ということは決まっているのですか。はい、わかりました。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○松村委員 除染の技術ですが、いまこういうニーズが出てきて、やはりいろいろな除染技術が開発されつつあるのだと思うのですね。屋根とかスレートとか、そのような所にセシウムがくっついてしまうとなかなか取れないという話で、高圧水洗でも取れないけれども、粘着テープのようなものでフタロシアニンか何かがくっついているもので、拭くという除染法があるようなのです。そういう新技術をなるべく推奨するというか、そういう動きはどうなのでしょうか。
○森座長 除染にかかわることですが、いかがでしょうか。
○門馬委員 除染については、昨日の報告会の中でもそういった話もありました。屋根については、高圧水除染はあまり効果的ではないと。1つの方法として、材質にもよるのですが、10%の酢を使って拭き取るというのがかなり効果的な場合がある。そういった内容も提案されております。なので、比較的粉じんが舞わないような屋根の除染が提案されている。
○森座長 「検討のポイント」ですが、まず「汚染土壌等を取り扱う作業について」の「汚染拡散拡大防止措置」ということで、除染電離則と基本的に同じにするという案と、営農・営林まで考えるとそもそもそういった汚染防止をする範囲を容器保管の措置について1万Bq/?を超える物に限定するという案がありますが、これについて何かご意見はありますか。
○茶山班長 関係府省で相談中ですので、まだ確定したわけではないですが、例えばこういったものの一部に復旧作業で生じる大量の土砂があります。これはもし通常の場合であれば、建設リサイクル法の関係の対象になるだろうということで、その取扱いについてどう考えるべきかということを、いま関係府省と相談をしておりますので、あるいはそういう議論がまとまりましたら、また参考までにご紹介できるかと思います。
○森座長 基本的には除染電離則が原則であるけれども、いまの検討の結果とか、その他現実に合わせて、少し内容を修正していくということかと思います。ここについてはご意見がなければ、原則は同じとして取りまとめていただくということでいいですか。
 残りは5から8までありますが、事務局のほうでご説明を続けてお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 最後ですが、116頁、5の「労働者教育」です。これについては、コメントはほとんどなかったわけです。これはいままでご議論していただいた中で、規定の内容が固まってくれば、当然それに対する必要十分な教育を行うということになろうかと思います。
 117頁の6については、外部被ばくの測定の対象となる方、内部被ばくの測定となる方ということに、ある程度決まってくる形になると思いますので、基本的にはその方をターゲットにした規定になろうと思います。ただ、健康診断対象者の常時性が必要になりますので、実際問題としてはインフラ作業のように汚染物を扱わないような仕事で、2.5μSv/hにずっと常時する方がおられるかというと、さほどでもないと思いますので、そこは現実に即した形でまとめたいとは考えております。
 118頁の「安全衛生管理体制」は、前回のコメントとしては、森委員から個人事業主や小規模事業主でもきちんとできるように、元方事業者のみでなく、発注者の責任も何らかの方法で盛り込めないかというご意見があります。門馬委員から、請負形態によらずに、一様に実施すべきだといったご意見です。
 8の「その他」です。これは小林委員から、これは営農の関係だと思いますが、事業主負担ということになると、商品サービスの価格、競争率の低下ということがあるので、何らかの支援策が必要ではないかというご意見が出ております。以上です。
○森座長 5の「労働者の教育の内容」ですが、しっかりとした知識が必要だということは、今日も建山委員からもご意見が出ておりました。あとはどこまで現実的に合わせてコンパクトにできるかということかと思いますので、その点は検討いただくということで、これについては基本的にはよろしいでしょうか。6番目の「健康管理のための措置」ですが、作業そのものをすべて特殊健診の対象にするということは難しいということです。健康診断の対象者として、電離則や除染電離則との関係を綱領した場合に、5mSv/年を超えた場合には、基本的に何らかの特殊健診が要るだろう。ただし、その5mSvについては、2.5μSv/hを超えた場所で作業を行うから年間5mSvを超えていると判断するようにすぐに換算するということは、常時性の観点から問題があるので、その常時性ということも含めて、この対象者を決めていくということでどうかということで。これについて何かご意見はありますか。基本的な考え方は、それでよろしいでしょうか。それ以外は、基本的には一般健診、普通の労働者と同じような形になるということです。
 7の「安全衛生管理体制」は、基本的には労働安全衛生法の原則があるけれども、門馬委員もたぶんその趣旨でのご発言があったと思いますが、小さな企業では管理できないのではないかという懸念が示されておりましたので、一元管理が規則にできなくても、何らかの形で盛り込めないかということを考えたいと思いますが、それについていかがでしょうか。
○杉浦委員 そこの一元管理というところで、いまの座長のご質問に直接ではないのですが、前に考えたときは除染作業に携わる人は電離則で管理されていた、原発で作業されてきた方が回ってきて、新たに除染電離則のほうで2つ管理されていて、その個人はトータルで考えるということです。今回の商店をやるような方が将来、原発関連で働くことはないですが、初めに除染電離則で管理の対象になった人が、次に原発関連の電離則の対象になるような人の所のこちら側のデータをちゃんと持っていけるかというその体制は、どう考えるのかは1つ問題かとは思っています。
○森座長 建設とか土木関係では、十分それはあり得るということですね。これについて事務局には、何かお考えはありますか。
○安井中央労働衛生専門官 これは除染電離則を制定したときも、電離則とのデータのやり取りができるのかというのは、かなり厳しくご指摘がありまして、除染電離則上は新しく規制として、まず労働者が離職するときには必ず線量の記録の写しを渡すということを、新たな義務として義務付けております。これは従来、電離則からありますが、雇入れ時に過去の被ばくデータを、健康診断の一環として事業者は聴取しなければいけないという義務を掛けております。義務規定としてはそれで完結しているのですが、さはさりながら実行上どこまでいけるかという問題は、また別途残っております。被ばくの一元管理というのはすごく長い物語にまた戻ってきますが、そこも考えていく必要はあるとは考えております。
○森座長 基本的にはいまのご回答でよろしいでしょうか。「検討のポイント」の中には、元方事業者の管理対象として、建設業、いわゆる特定元方の場合には、元方の責任を少し大きく考え、それ以外のものでも構内で請負作業が行えるような場合には、元方事業者に被ばく管理の一元管理のみを求めるといったオプションもあると書いてあります。門馬委員は、たぶん?のほうでどうかというご意見だと思いますが、基本的にできるだけ小さなところまで含めて、少しでも管理ができる範囲、方法を少し検討していただくということでよろしいでしょうか。
 8の「その他」については、ここで議論ができる内容ではなさそうですので、小林委員からこういった意見がありましたということで、小林委員、よろしいですか。
○小林委員 はい。
○森座長 「その他」の中で、それ以外に何かご意見・コメントがありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小林委員 特別教育についてよろしいですか。現在、除染電離則の中でも特別教育がありまして、私どもも除染の実証を行う際に、実証試験が特別教育の対象になるのかということも含めて、受けようとした場合にお金がかかるということや機会が限られスケジュール的に受講が難しいことなどが問題とされました。前回の除染電離則の中では、「自営業・ボランティア等、雇用されていない者に対しても同様とすることが望ましい」ということがあったのですが、実態としてそのような人たちに対する特別教育が、いまどういった状態があるのか、もしわかったら教えていただければと思います。
○森座長 事務局、いかがですか。
○安井中央労働衛生専門官 ダイレクトにボランティアの方が何人とか、それはちょっとわからないです。ただ、当省が直営でやったので約6,000人、これは無料講習です。まだ継続されていますが、環境省が行ったのが約3,000人現時点でおられます。それ以外に当然、もう民間の有料講習がどんどん始まっておりますので、総数としては軽く1万を超える人数の教育はできていると認識はしております。ただ、その中にいったいどのぐらいボランティアとか、そういう方がおられるかというのはちょっとわからない状態です。
○小林委員 いまお尋ねしたのは、今回営農がどれだけ対象となるのかというのはわからないのですが、農業者に対する特別教育を考える中で、無償の研修がどのくらいの割合で行われているのかをお尋ねいたしました。ありがとうございました。
○森座長 実際に必要だが、どこでどう受けられるのかというご懸念であったということですね。
○古田委員 除染電離則ができて、実際にどうやって運用されているかということが、やはり私どもは気になっています。こうやってものを決めたら、品質保証によるPDCAを回して、果たして妥当であったかどうだったかと、本当はチェックをした上で次にステップするというのが普通の仕事のやり方だと思うのです。そういう意味では、除染電離則を決めたその結果がうまく適用されているかとか、効果的かと、そういった観点でのアプローチも必要ではないかと思います。切羽詰まっておられるのはわかるのですが、そういったこともしながら本当は決めていきたいと思っています。以上です。
○森座長 今回、多くの項目は除染電離則に倣うみたいな話になっているので、今回の検討を進める上でも多少重要なことかと思います。わかる範囲で結構ですので、次回か次々回、少しご報告いただければと思いますが、可能でしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 実態論として伺っているのがモデル事業しかありませんので、JAEAさんからご意見を伺う、もしくは元方事業者から話を聞くしかないという実態があります。次回というのはあと10日間しかなくて、なかなか厳しいですが、JAEAさんとはご相談をさせていただきます。
○森座長 できる範囲でよろしくお願いいたします。少し時間をオーバーしておりますので、これで今回の議論は終わりにして、次回につなげていきたいと思います。次回は、本日議論した論点を整理いただいて、具体的なこともさらに詰めていくという形になろうかと思います。また、時間の関係で質問やコメントができなかった先生方もいらっしゃると思います。特に粉じん関係の部分、内部被ばく管理、被ばく防止の部分をどうするかのところについて、追加の意見がありましたら事務局にお送りください。今回は3月30日(金)までということで、時間的に大変ですが、よろしくお願いいたします。最後に、事務局より次回の予定についてお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 次回の日程ですが、4月6日(金)18時から、この場所で開催させていただきます。
○森座長 最後に、労働衛生課長、お願いします。
○椎葉労働衛生課長 3月30日までにご意見をいただきたいと考えております。以上で、除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家会議を閉会させていただきます。本当に活発なご議論をありがとうございました。


(了)

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