ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会)> 第84回労働政策審議会職業安定分科会議事録




2012年3月29日 第84回労働政策審議会職業安定分科会議事録

職業安定局総務課

○日時

平成24年3月29日(木)15:30~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第23会議室(19階)


○議題

(1)雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について
(2)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について
(3)職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について
(4)その他

○議事

○大橋分科会長 ただいまから第84回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。局長は少し遅れて来られるようですのでご了承ください。なお、本日の委員の出欠状況は公益代表の岩村委員、樋口委員、宮本太郎委員、労働者代表は住野委員、使用者代表は久保委員、坂倉委員、田沼委員がご欠席となっております。
 それでは議事に入ります。本日の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」「その他」です。最初の議題は雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱についてです。事務局よりご説明をお願いします。
○総務課長 職業安定局の総務課長です。お手元の資料にしたがい雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱についてです。資料1-1、1-2、1-3、1-4の4種類がいまからご説明します省令案についての関連資料です。資料は1-1と1-2の2種類に分かれており、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱と題は同じですが、年度末交付、4月1日に施行されるものといわゆる本予算の成立後施行されるものの2種類に分かれています。どの部分が年度末4月1日で、どの部分が本予算成立後かについては後ほど一括してご説明したいと思います。
 まず、内容について資料1-4にしたがいご説明します。資料1-4、雇用保険二事業助成金平成24年度予算の整理表(案)があります。表紙に箱が書いてあり、助成金の種類が平成23年度は16本から、平成24年度は15本になります。資料の中に○や矢印が書いてあるものが、今回改正する内容ですので、これにつきまして順次ご説明いたします。資料1-4の1頁、「労働移動支援助成金の見直し」です。これについては内容は2つあり、求職活動等支援給付金については支援の重点化を行う観点から廃止です。平成24年度予算額で9,900万円ですが、これは経過措置で既に支給決定した部分の残りの部分の支払いに当てる金額です。同じ頁の下の段にある再就職支援給付金の見直しは、そこの矢印のように支給対象要件に、「対象被保険者に対し支給活動等のための休暇を与え、通常支払われる賃金の額以上の額を支払った事業主であること」を加えるのが1つ。もう1つが、「対象被保険者のうち55歳以上の者について、助成率を2分の1から3分の2に拡充する」という内容の改正です。
 次は2頁、「定年引上げ等奨励金の見直し」です。1つ目は中小企業定年引き上げ等奨励金の見直しです。この奨励金は65歳以上への定年の引き上げや定年の定めの廃止等を行う中小企業に助成するものです。希望者全員が65歳以上まで働ける企業の一層の普及促進を図るため、支給要件と支給額を見直す内容です。2番目の高年齢者労働移動受入企業助成金は創設です。平成23年度は空欄で、平成24年度だけに書いてあるわけです。高齢者について企業内のミスマッチによる離職を防止して、労働市場全体で経験・知識、能力を発揮して活躍することを促進するため、ほかの企業での雇用を希望する定年を控えた高齢者を職業紹介事業者の紹介により、雇い入れる事業主に対して助成を行う内容です。助成額は1人当たり70万円です。3番目は、「高年齢者雇用確保充実奨励金」の廃止です。これはニーズが低調であったということで、平成22年度の事業評価もDとなっておりますので、廃止と考えております。
 次は資料3頁、「試行雇用奨励金制度」の関係です。下の段の試行雇用奨励金ですが、見直しの概要で、就職氷河世代が40代前半に達していることから、若年者等トライアル雇用対象年齢を40歳未満から、45歳未満に拡充する内容です。上の段、「実習型試行雇用奨励金」の見直しは、平成23年度までの時限措置を平成24年度まで延長するものです。東日本大震災の被災地の厳しい雇用状況を踏まえ、東日本大震災の被災地に居住していた求職者と被災地の事業所を離職した求職者に対象を限定した上で、平成23年度までの時限措置を平成24年度まで延長する内容になっております。
 続いて4頁、「若年者等正規雇用化特別奨励金」です。平成23年度の時限措置ということで、そのまま延長せず時限の到来により廃止としたいと思います。
 資料5頁、「地域求職者雇用開発助成金の見直し」です。いちばん上の「地域再生中小企業創業助成金」については、支給要件に「公共職業安定所または職業紹介事業者の紹介により雇い入れた者」を追加するものです。次の「沖縄若年者雇用奨励金」については、中小企業に限り当該新規学卒者についても、支給対象の労働者とするという内容です。続いて地域の関係の奨励金の統合があります。平成23年度の欄は、「地域雇用創造推進事業」「地域雇用創造実現事業」と2つの事業であったものを平成24年度は、「実践型地域雇用創造事業」ということで、1つにまとめるものです。これは従来2つあった助成金のメニューを1つに統合して、一括してやっていただく内容になっております。
 次に資料の6頁です。「両立支援助成金」の関係の見直しです。これについては、子育て期短時間勤務支援助成金の中身について、平成24年7月1日の育児・介護休業法の全面施行等に伴い見直すものです。7頁、「人材確保等支援助成金の見直し」です。これは介護労働者の関係ですが、「介護労働者設備等導入奨励金」についてその内容を見直すとともに、名称も「介護労働環境向上奨励金」としたいと。雇用管理制度の整備等を行い、雇用管理の改善を行った事業主に対して、当該制度の整備等に要した費用の一部を助成する内容になります。
 8頁、障害者の関係の助成金です。「特例子会社等設立促進助成金」については、平成24年度よりも支給額を適正化します。もう1つ、「障害者就業・生活支援センター設立準備助成金」については、政策効果等を勘案して廃止すると、行政事業レベルで指摘されたところでもあるので、廃止するものです。
 資料9頁、「建設労働者緊急雇用確保助成金」の見直しです。これについては平成23年度までの時限措置ですので廃止するものです。10頁、これは能力開発の審議会でもご審議いただいていると聞いておりますが、認定訓練助成事業費・補助金の特例措置ですが、これは東日本大震災の被災地の認定訓練施設設備を災害普及するための経費について、補助率を特例的に2分の1から4分の3にしておりましたが、被災地の特例について平成23年度までの時限措置を平成24年度まで延長するという内容です。
 以上が改正の中身です。このうち予算の関係で、今回平成24年度の予算が4月1日に成立しない見込みとなっております。昨年度より施行している事業については、暫定予算を組んで事業の継続的な実施が図られる部分もありますが、新しく実施する事業については、本予算が成立後でないと実施できない状況になっております。それで若干今年は同じ名前の省令を少し日をずらして2回にわたって改正することになっております。どの部分が4月1日で、どの部分が予算成立日の翌日になるかについては、誠に恐縮ですが資料1-3に改正部分の一覧表があります。そこにいまご説明したものの一覧が載っておりますが、それぞれの制度改正の所に※が付いているものです。例えば、1の(2)「再就職支援給付金の改正」下の(2)の「高年齢者労働移動受入企業助成金の創設」。次の頁の(1)の1の「沖縄若年者雇用促進奨励金の改正」。下のほうの「介護労働者設備等導入奨励金」の改正。3頁は6の「実践型地域雇用創造事業の創設」。真ん中辺りの「試行雇用奨励金の改正」。そして最後の10頁、「認定訓練助成事業費補助金の特例措置の改正」ですが、これらについては、当平成24年度予算成立後の翌日から施行としたいと考えております。説明は以上でございます。
○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは、本件につきましてご意見、ご質問があればお願いします。
○黒木委員 先ほどの話の中で、資料1-3の3頁目になりますが、真ん中程になります7番の(1)、試行雇用奨励金の改正のところです。この中で、若年者等のトライアル雇用の対象年齢を40歳未満から45歳未満に拡充するとされていますが、若年者雇用対策などほかの施策との対象となる青少年の範囲との関係は、どうなっているのかというところをちょっと教えていただきたいと思います。
○若年者雇用対策室長代理 今回、いまおっしゃられたとおり、若年者等のトライアル雇用の対象を45歳未満まで拡充しています。それと共に、ハローワークなどで今後フリーター等の若年者として対象としていく者についても、45歳未満までを対象としてやっていくことと考えています。
○黒木委員 わかりました。ありがとうございます。
○大橋分科会長 その他いかがでしょうか。
○澤田委員 労働側としましては、雇用保険部会でこの間も要望を申し述べているわけでして、今回、この諮問されたことについては了承してまいりたいと考えています。
○高橋委員 先ほどご指摘された試行雇用奨励金の関係で、質問を1つしたいと思います。資料1-4の3頁にもありますが、試行雇用奨励金は、事業評価がC評価だったわけですね。今回の見直しは妥当な内容だとは思いますが、これは、対象の拡大ということであって、本来PDCAサイクルが目指しているのは、C評価の場合は未達成要因を分析の上、基本的には事業の廃止または見直しということで、C評価が付いた場合は思い切った見直しが求められているところであると思いますが、今回、対象の拡大という意味での見直し以外に、この試行雇用奨励金をどのように見直したのかという点について教えていただければと思います。なぜ予算額が増額になっているのかということも含めて。
○若年者雇用対策室長代理 若年者雇用対策室です。試行雇用奨励金見直しとしては、運用上では、いまも実際今年度中途からやりましたが、運用上、よりしっかり対象者を見て、より必要、真に必要な者にトライアル雇用を適応させていこうという運用上の改正はやらさせていただいています。それと同時に、今年度においては、昨年度C評価、これは、正規雇用への移行状況が若干目標値を下回っていたということでしたが、今年度においては、この目標値を上回る見込みで、上回ることはほぼ確実という状況となっているところです。また、現在の使われている状況についても、非常によくなって使用者数についても多く好調という状況でいま進んでいます。予算額については、そういったことも踏まえ、また、45歳未満に拡充することも踏まえて、トライアル雇用全体の予定額としては一定増額させていただいているところです。以上です。
○大橋分科会長 よろしいですか。
○高橋委員 本来、PDCAサイクルに基づく見直しというのは、いまうまくいっているからそのままでいいのだという、そういうような見直しではないと私は理解をしていますが。何となくいまの説明はちょっと納得感がないなという感想です。
○若年者雇用対策室長代理 確かにC評価をいただいており、反省すべきところは反省すべきと考えていますが、誠に実際上、この若年者雇用においてこのトライアル雇用というものは求人開拓を含めて非常に有意義に活用させていただいているところであり、私ども若年者雇用対策室としては、何とかしてここの、若年者向けのトライアル雇用奨励金を前年同様維持させていただければと考えてやらさせていただいています。ちょっと委員のご指摘にしっかり対応できている答えではないとは存じますが、よろしくお願いしたいと思っています。
○高橋委員 すみません、若年者雇用の重要性を誰も否定する人はいないと思いますし、それぞれの事業の重要性、必要性などを論じ初めたらそれぞれに意義があると思いますが、その上でPDCAサイクルによる見直しを進めているというところでありまして、そういった過去の事業の必要性も踏まえながら、でもしかしながらPDCAサイクルをしっかり見直していくというところとのリンケージについて是非ご検討いただきたいということです。これは別に試行雇用奨励金だけに止まらず二事業全般に言えることでありまして、事務局のほうでよりよいPDCAサイクルを回していくためのご検討を是非お願いしたいと思います。以上です。
○宮本(み)委員 ちょうどいまの項目にかかわることでご質問したいのです。若年者の年齢を40歳まで引き上げたのがついこの間で、今回40代の前半まで引き上げるということなのですが、これ、もともと若年者の定義からすると日本だけ異例の形で若年者の年齢を上げて、つまり35歳までというのも国際的に見るとかなり高いという年齢が、あっという間に40歳になって、今度45歳ですね。そうすると、この世代があと5歳経つと50代まで若年層になるという意味では、言葉の定義からするとかなりこれでいいのかなという感じがするのですが、この辺りはどういう議論があって40代の中頃まで若年者と定義することになったのでしょうか。
○若年者雇用対策室長代理 ご指摘のとおり、言葉的には45歳まで、いままで40歳未満でしたが、45歳未満まで若年者等ということでやらさせていただくことについては、ちょっと違和感があるなというのはもちろん部内でも話は出てきてはおります。違和感というか、45歳という数字でという話はありましたが、ただ、就職氷河期世代については、この学校卒業以降、若年者の中で一貫して対象として支援してきたところです。この就職氷河期世代が40歳以降に達する状況になった中で、この時点で就職氷河期世代のフリーター等、定職に正規雇用されていない方の指導を外してしまうということは、その方々が非常に立ち行かなくなりますので、今回、その就職氷河期世代の年齢が上昇するに伴って、若年者等の範囲としてそれに合わせ45歳未満まで拡充させていただこうとなったところです。
○宮本(み)委員 それはもう必然的にやむを得ないという事情はよくわかりますが、就職氷河期世代が40代にも入っているということですが、いまの状況からすると、いま社会に出る20代の、例えば前半期あたりもこの調子でいくと就職氷河期世代の次の世代のような形で、やはり40代まで問題が続いていく可能性があるので、そうすると、かなり長期にわたって日本の若年者定義は40代までということになりかねないですよね。そういう意味では、どこかできちんと言葉の定義等をする必要はあるのではないかという感じがします。
○派遣・有期労働対策部長 この試行雇用奨励金については、若年者等ということで35歳から40歳まで引き上げたというのは事実です。今回就職氷河期世代が40代に突入するということもありまして、この奨励金の対象として、要するに若年等という対象として45歳までということは今回決断しました。若者の定義としては、先生のご指摘のように、35歳未満だと我々は思っていまして、フリーターの定義についても35歳未満ということで、これは今後ともそうしていきたいと思っています。それから、45歳から後どうなるかは、これいまの段階ではなかなか予測するのが難しいのですが、またその段階でその時々の雇用情勢を見ながら考えたいと思っています。
 それから、いまの若者、25歳以下の人は新規学卒の対象ということで、新卒で3年については新卒扱いという、そういう取扱いをするということで、集中的に新卒応援ハローワークで支援するということもまた別途やりますので、新卒から3年ぐらいの集中支援は、別のところでというか別の枠組みでやると考えています。助成金についても、新卒3年についての助成金は別途ありまして、そういうものを活用してやるという考え方です。
○宮本(み)委員 新卒の問題はそういう意味ではなく、取組みはやっていますが、それでもおそらくその人たちの中の一定の割合は中年までいくだろうと、問題が、そういうことからすると、かなり長期にわたって40代まで対策が必要になる時代が続くだろうということを考えると、定義の問題はあるのではないかということで、先ほどこの奨励金のことだけではなく全体として若年者を40代前半までにするというご説明があったので。
○派遣・有期労働対策部長 それは違います。
○宮本(み)委員 違いますか。
○派遣・有期労働対策部長 はい。要するに、この試行雇用奨励金の対象として、一応若年者等という捉え方をして就職氷河期世代まではカバーするということで、助成金の支給対象としての考え方ですので、若者としてはやはり35歳未満が基本的に想定されるという考え方です。我々としてはそう思っていますし、若年者等という呼び方で35歳以上の人も対策によってはカバーしていくという考え方です。
○大橋分科会長 しかし、今後一応そういった年齢構成ですか、そういったものを見通して、新しい建付けが必要になってきますね、いつまでも若年者の枠でというのは。
○派遣・有期労働対策部長 これから40歳以降について、何て言いますか、別の建付けと言いますか、別の角度から別の対策の名前も付けてやるということが必要になってくるのかもしれませんが、それは今後検討していきたいと思います。
○大橋分科会長 そうですね。
○新谷委員 いまの論議に関連してなのですが、実は、今日の午前中、職業能力開発分科会でも同様の議論がありまして、こちらのほうは、能開促進法の施行規則の中で、実は青少年の定義自体の年齢の幅を、45歳までにするという定義に変えてしまったのです。それは、いまの建付けが法律の枠組がそうなっていて、施行規則で年齢を決めているということであれば、必要な対象者にどう手当をするかというときに現物合わせというか、弥縫策と言ってはあれですが、やられたことに対しては別にいいのですが、ただいまのご答弁だと、若者は35歳だという中で、ただその法律の定義自体がどんどん変わってきているということであれば、今後検討されるのであれば、安定局の部分だけではなくて厚生労働省の全体として、この就職氷河期の方々の手当をどういう形で支援していくのかというのは、トータルで是非検討いただきたいと思います。以上です。
○派遣・有期労働対策部長 委員のご指摘はよくわかります。就職氷河期世代の方々というのは、年齢がどんどん上がってきて、従来35歳未満だという人たちではなくなってしまうので、そういう方々向けの対策というのを特別な工夫をして作る必要があるのかもしれませんので、そういう点も含めまして今後検討をしていきたいと思います。
○大橋分科会長 その他よろしいでしょうか。それでは、特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配布をお願いいたします。
(報告文案配布)
○大橋分科会長 お手元に配布していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛、報告することとしてよろしいでしょうか。
                 (異義なし)
○大橋分科会長 それではそのように報告させていただきます。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。次は、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。事務局よりご説明をお願いします。
○雇用保険課長 雇用保険課長の土田です。よろしくお願いします。冒頭ですが、1月に当分科会でご答申いただいた雇用保険及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案ですが、昨日参議院本会議で原案どおり可決成立しましたのでご報告申し上げたいと思います。資料のほうですが、資料2~3までの資料です。資料2-1が省令案要綱です。基本的に、2-2の概要に基づいてご説明申し上げたいと思います。この省令案については、一部を除きまして、ただいま申し上げました改正法の施行を含めまして、昨年末に取りまとめられました雇用保険部会の報告書を具体化するというものです。1点目が、受講手当の支給日数上限の設定です。そこに書いてありますように、ハローワークの所長が指示しました公共職業訓練等を受けた場合に支給される受講手当について、40日分を限度として支給するというものです。これは、部会報告において、支給額のあり方を見直すべきとご提言を受けていたところでして、それを受けてこういった改正をさせていただくというものです。2点目が、通所手当の支給対象の追加です。こちら、部会報告には実はない事項ですが、震災対策として緊急的に対応する必要があるということで今回措置させていただきたいというものです。
 資料2-3の9頁をご覧いただきたいと思います。ハローワークで公共事業訓練等について受講指示をする場合、原則として基本的に受講者の負担にならないようにということで、その方の住所または居所の変更を要しない、当然地元で行うことが原則としています。しかしながら、昨年の震災によりまして、被災3県においては、被害を受けた訓練施設も多いですし、また、一方で、建設業を中心に求人が多く、そういった資格が必要とされる職業についての応募も多いということで、そういった方々の受講機会を確保するということで、昨年の三次補正あるいは来年の予算において、被災3県の求職者を対象に、ここにありますような、比較的短期間の訓練を遠方に所在する訓練施設を活用して受講できるということをやっています。現行の施行規則においては、こういった一時的な宿泊によって、宿泊施設から訓練施設まで通所するということについては、実は、前提としていませんでしたので対応できなかったところです。そのため、今般、こういった短期間の公共職業訓練等を宿泊にして受講できるようにということで、住所または居所から宿泊施設までの移動費用を一往復分。それから、宿泊施設から訓練施設までの通所費用、これらについては給付のほうで手当したいというものです。なお、あくまでも、三次補正予算ですとか来年度予算に基づきまして、事業が続く限りということで、震災に関連した事業ということで暫定措置ということで措置させていただきたいというものです。
 資料2-2に戻りまして、3番目です。常用就職支度手当に関する暫定措置の延長です。これについては、部会の報告書に基づきまして、常用就職支度手当の支給対象者について、現在、今年度末まで3年間の暫定措置として行ってきたものをさらに2年間延長するというものです。
 次の頁です。給付日数の延長に関する暫定措置の基準の見直しです。こちら、先ほど申し上げました、今般の法改正で2年間延長することとしました個別延長給付に関するものです。部会の報告書においても、この延長に当たっては、その対象者等について運用上見直しを行うべきと提言されたことに対応するものです。個別延長給付の支給対象となるか否かを判断します公共職業安定所長が、再就職のための支援を計画的に行う必要があると認める基準の中に、現在、年齢ですとか地域要件には盛り込まれています「特に誠実かつ熱心に求職活動を行っているにもかかわらず、所定給付日数内に就職できる見込みがない」という要件を追加するというものでして、これにより、求職活動の応募要件等について強化をしたいと考えているところです。
 5番目がその他です。昨日成立した改正法案の施行と併せて、来月1日からと考えています。その他、所用の規定の整備や経過措置を定めることにしているところです。以上です。
○大橋分科会長 ありがとうございました。本件については、先ほど雇用保険部会において予め議論を行っていただいています。清家雇用保険部会長からご報告をお願いします。
○清家委員 それでは、ご報告申し上げます。ただいま、事務局より説明をしました件については、本日この分科会に先立ちまして開催しました雇用保険部会において、予め議論をしましたが、その結果、内容については妥当であるとの結論を得ましたのでご報告します。
○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは、本件につきましてご質問、ご意見がありましたらご発言ください。
○新谷委員 ただいま清家部会長からご報告いただいたように、労働側としましては、雇用保険部会で要望を申し上げていますので、今回の諮問されました省令案要綱については了承申し上げたいと思っています。以上です。
○大橋分科会長 そのほかいかがですか、使側はよろしいですか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を雇用保険部会からの報告のとおり妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配布をお願いします。
(報告文案配布)
○大橋分科会長 お手元に配布していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛報告することにしてよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋分科会長 それではそのように報告させていただきます。それでは、次に移らさせていただきます。次の議題は、(3)職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。事務局よりご説明をお願いします。
○求職者支援室長 求職者支援室長の田中でございます。私から求職者支援法の施行規則の改正の関係について、資料3-1から資料3-3までに基づいて説明いたします。まず、資料3-1ですが、今回お願いする諮問文となっております。説明については、資料3-2と資料3-3でいたします。
 資料3-2です。今回ご提案しております改正案の概要ですが、2に(1)、(2)ということで、内容が大きく2つあります。1点目は(1)「通所手当に関する暫定措置関係」とありますが、求職者支援の給付、通所手当については、雇用保険の給付の通所手当と同様の扱いということで定めておりますので、先ほどご審議をいただいた雇用保険の通所手当と同様の内容の改正を行おうとするものです。
 (2)「職業訓練受講手当の額関係」ということで、計算方法を追加と書いておりますが、資料3-3の1頁で説明します。求職者支援の給付ですが、訓練の開始から1カ月ごとに区切った期間、1カ月単位で10万円お支払いをするというものですが、一定の場合には日割で計算をするという仕組みになっております。日割にする場合ですが、3にありますように(1)(2)(3)ということで、同居の配偶者が給付を受け終わられた日とか、給付の6年サイクルが終了した日からというのを決めております。もう1つ、(1)として雇用保険の受給資格者でなくなった日からということで、雇用保険を受給されていた方については、その給付が終わってから日割でお支払いをするという形になっております。
 これについて、その下の二重囲みの部分ですが、(4)として雇用保険の失業給付と同様の形で、公務員の特別の退職手当を受給されておられる方がおりますが、雇用保険並びではあるのですが、こうした方についての日割の規定がいままでありませんでしたので、新たに日割の規定を設けさせていただくものです。この給付が終わってから、日割でお支払いをするというものです。
 (5)雇用保険の被保険者となった日、「当該日の前日までの給付金を支給」と追加をさせていただきたい内容がもう1点あります。就職をして雇用保険の被保険者となられて訓練をおやめになる場合は、その日までが日割で支給されることになっておりますが、就職をして雇用保険の被保険者となったけれども、訓練があともう少しあるので、その訓練については続行されるという場合は支給をどうするかの規定がありませんでしたので、前日までを日割でお支払いすることを明確にするための規定を設けるものです。いずれについても平成24年4月1日からの施行ということでお願いをするものです。私からは以上です。
○大橋分科会長 本件についても、先ほど雇用保険部会においてあらかじめ議論を行っていただいております。清家雇用保険部会長からご報告をお願いいたします。
○清家委員 ご報告申し上げます。ただいま事務局より説明をいたしました件については、本日この分科会に先立ちまして開催しました雇用保険部会において、あらかじめ議論をいたしましたが、その結果、内容については妥当であるとの結論を得ましたので、ご報告いたします。
○大橋分科会長 本件について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○吉岡委員 先ほどのものと同じです。労働側としては雇用保険部会の中で十分な質疑を申し上げさせていただいているということですので、今回諮問された省令要綱については承認をしていきたいと考えております。ありがとうございました。
○大橋分科会長 使側もよろしいですか。それでは、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋分科会長 それでは、報告文案の配布をお願いいたします。
(報告文案配布)
○大橋分科会長 お手元に配布していただきました報告文案により、労働政策審議会長宛、報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○大橋分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。次の議題に移らせていただきます。議題の「その他」として、資料が配布されています。まず、「望ましい働き方ビジョン」について、事務局からご説明をお願いいたします。
○企画課長 派遣・有期労働対策部企画課長でございます。参考資料1に従って説明申し上げます。もともとこれは「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」という形で検討してきたもので、下にありますように、樋口美雄先生を座長とする9人の有識者の方々で構成される懇談会で検討してきたということです。清家委員にもご参集いただいてきたところです。
 次頁です。そもそもどういう所からのご指示でこういうことをやっていたかということですが、税・社会保障の一体改革、再生の基本戦略、こういった閣議決定ベースの中で、非正規労働者の問題に横断的に取り組むための総合的ビジョン(年度内に策定する)ということで、ご指示を受けてやってきて、3月27日、一昨日、取りまとめに至ったという経緯です。
 次頁です。その取りまとめに至るまでの経緯ですが、開催状況ということで、6月に立ち上げて3月までということで、途中、有識者ヒアリング、あるいは企業ヒアリング、現場視察ということもやらせていただいたという経緯です。
 今回取りまとめた内容についてですが、次頁にA3の横紙があります。本体はその後ろに付けてありますが、全部で22頁にわたりまして相当のボリュームです。時間の関係もありますので、このA3の資料に従って説明申し上げたいと思います。タイトルですが、「望ましい働き方ビジョン」です。もともと非正規雇用の問題にアプローチするということだったわけですが、政策的な方向性が見えるタイトルということで、こういう書き方、置き方にしております。サブタイトルとして~非正規雇用問題に総合的に対応し、労働者が希望する社会全体にとって望ましい働き方を実現する~ということで、労働者が希望するということではあるけれども、それが社会全体にとっても望ましいのだという方向性を明記したということです。このビジョンは、基本的に今後の政策の方向性を理念として示すということが、大きな目標です。既に公労使というプロセスでご検討・ご議論いただいております有期等の個々の制度見直しの議論ですが、そういったものについては、その成果を盛り込んだ形でこの方向性を示していくということで、今回取りまとめさせていただきました。有期あるいは派遣法といったような、既に方向性の固まったものを取り込んで、その裏にある理念を共通のものとして括り出してくるという考え方でまとめているということです。
 構成ですが、現状の労働市場の状況、それから目指すべき方向というところです。現在、野田内閣の中で、分厚い中間層の復活ということが言われております。そういう中で、やはり全員参加型社会、あるいは人材立国といったことが大事ですし、労働者の視点から見ればディーセント・ワークということも大事だということですが、今回特にこのビジョンの中で力を入れて書き込んだ部分として、その右側の悪循環、好循環という2つのサイクルの説明があります。左側の悪循環が、いわゆる望ましくない状態で、現在いろいろな形で非正規が増えている。その結果、雇用の安定、公正な処遇が後退している。これはミクロのレベルで言うと、そういうことが労使で選択されているということなわけですが、その結果、消費活動が停滞し、経済活動が停滞するという形で、またさらに非正規が増加するという悪循環、いわゆるマクロ労働経済学でいう合成の誤謬というのでしょうか、そういった問題が現れているのではないか。
 これを好循環に変えていくというところがこのビジョンの打出しの1つで、右側の赤い三角ですが、思い切って「雇用の安定」「公正の処遇」「多様な働き方」ということで、労働者を大切にする。その結果、労働者の士気が向上し、能力が向上する。そのことが企業の生産性向上にもつながり、日本社会全体の発展にもつながると、こういう絵を描くことによって、雇用政策という局面からも経済社会全体の発展を志向できることを示したということです。
 その下の「現状と課題」ですが、そもそも非正規ということの概念が、十分整理されておりませんでした。これはもともと定義のない概念ですので、そういったことがありましたが、今回、制度的見直しとして、有期であるとか、派遣であるとか、パートであるといったことをやりつつ、その全体を括るような理念を抽出するということが、このビジョンの役割です。やはり法制的な観点からこの正規・非正規という概念を整理するのがよかろうということで、そこにあるような正規雇用と非正規雇用の概念を期間の定めがあるかないか、フルタイムかパートか、直接雇用か間接雇用か、こういう切り口で整理したということです。こういった正規雇用以外のものは、すべて非正規雇用と便宜的に呼ぶという整理をしております。
 そういった整理の上で、非正規雇用という便宜的な整理ですが、こういったものに共通する課題をいちばん右側に5つほど掲げております。雇用が不安定、経済的自立が困難、キャリア形成が不十分、セーフティーネットが不十分、ワークルールの適用が不十分、非正規というレッテルを貼られることによって、雇う側も雇われる側も、労働法の保護ということが十分理解されなくなっている。それから、現場の声、労働者の声が届きにくいといったことが、共通の課題として括り出せるのではないかということです。併せて、非正規だけの問題ではなく、その下に*で入れておりますが、正規のほうにもいわゆるディーセント・ワークの観点から見れば、長時間労働等といった問題があるという指摘もあります。
 こういった認識の下で、施策の基本的方向性というのが、下の層の左のブロックで、4つほど掲げております。いちばん上が、労働者の希望に応じて無期雇用、直接雇用ということを打ち出しております。それから、どのような働き方においても、公正な処遇の確保が重要である。この3つが重要だということで、1つの総論的な考え方を示しております。先ほど高循環、望ましい状態という話をしたのに関連しますが、労働者の士気向上、能力向上によって、社会全体を発展させていくという姿勢です。
 先ほど非正規に共通する課題に合わせて、正規雇用にも問題があるというお話をいたしましたが、そういったことにもアプローチすることによって、正規・非正規両極に分かれるものではなくて、正規・非正規、共にディーセントであるように、その連続性を確保していくという基本姿勢を1つ入れております。
 4つ目ですが、今回このビジョンは有識者の方々で作らせていただいて、厚生労働省としての考え方をまとめたものですが、政労使という形ではまだ合意を得るに至っているものではありません。今後これを進めていく上では、政労使の社会的合意が重要であるということと、これを進めていくときは社会全体それぞれのプレーヤーが、それぞれの役割を認識して取組みを進めていくことが大事だろうということを打ち出しております。
 その右に移って、施策の具体的方向性ですが、7つの項目を掲げております。若者という問題が非正規の問題においても非常に重要なテーマになるということ。今回、労働基準局が中心になりまして、有期雇用の5年無期化という建議をいただいたわけですが、そういったものも含めて、正規雇用化・無期雇用化というテーマがまた1つあるのではないか。3つ目ですが、税・社会保障制度を働く者にとって、あるいは働かせるものにとっても、中立的なものにすべきではないか。4つ目が公正処遇ということで、不合理格差の解消というアプローチ。これも今回の有期法制の建議の中に取り込まれたアプローチを取り込んでおります。5つ目ですが、公正処遇に関連して、均等・均衡待遇という問題。同一価値労働同一賃金の考え方が、どこまで雇用形態の格差問題に当てはめられるかということを議論させていただいております。6つ目が職業キャリアの形成の支援ということで、先ほど好循環ということを何度も申し上げましたが、これを果たすためにはやはり人材育成が非常に大きなキーとなってくるということで、この辺は厚めの記述をしております。7番目にセーフティーネットということで、大変ご尽力いただきました雇用保険の適用拡大、求職者支援制度、それからこのあと説明します福祉施策との連携による住居・生活困窮者等への就労自立支援を今後やらせていただきたいということを書き込んでおります。
 こういった内容ですが、先程来申しましたように、これはまだ政労使という枠組みでコンセンサスを得ているものではありません。今後、若者雇用戦略といった場も含めて、このビジョンの内容を参考にしていただくということを通じて、私どもとしては是非これを国民全体、社会全体で共有するビジョンにしていきたいと思っているところです。
○大橋分科会長 本件について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○新谷委員 いまご説明いただいたのですが、社会的合意を目指したいというお話ですが、私ども労働側も使用者側委員も入っていない、職業安定局長の私的な研究会でやられた結果が出てきて、こういう三者構成の中でご報告をいただいたわけですが、これをどのように受け止めればいいのだろうというのが率直な感想です。清家委員も入っていただいた研究会なのでなかなか申し上げにくいのですが、これは出だしから我々としては懸念を持っておりまして、多様な正社員というものがどういう形で労働行政としてこれを打ち出してくるのかというところが、非常に懸念を持っているところです。具体的にものすごく気になるところがいくつかありまして、その点だけ指摘を申し上げたいと思っております。具体的には4頁のいちばん下に、いま申し上げた多様な正社員が出てきておりまして、これがいわゆる正規・非正規との概念整理の中で、要素が上の1から5まであって、1,2,3と4,5が別のもので、この多様な正社員が賃金と勤務地、業務内容が違うところで正社員という概念を位置づける。普通、勤務地限定社員とか、世の中いろいろな言われ方があるのですが、明らかに賃金についてもこれは別物なのだという定義付けをして、ここに多様な正社員という定義付けが書かれてあるという一方で、16頁に同じく正社員という言葉を使って、脚注の54番に「短時間正社員」ということで定義付けがあります。ここについては労働時間が短いだけで、賃金の算出等はフルタイムの正規型の労働者と同等のものと、また出てくるということです。我々としては、当然、多様な働き方を目指すのであれば、ここの16頁に書いてあるような短時間正社員型の、先ほどの4頁の?の賃金の決定方法についても、当然フルタイムの正社員と同じだということが目指すべきものであるはずなのに、4頁にあるような賃金の決定の仕組みが違うのだというもので多様な正社員が出てくる。これは非常に違和感を覚えるところです。この違和感があるものですから、なかなかこの報告内容をいいなと言いにくいところです。
 もうちょっと各論で、何点か気になるところで、高齢者雇用の論議がこれから国会で始まるのですが、それについても記述をされております。12頁のいちばん下に、「高齢者については有期で働く者がいて、また短時間労働を選好する者がいる」といって、42番で脚注が書いてあるのです。その中に、55歳以上の方の雇用形態のうち、パート・アルバイトが346万人いるということが脚注で書いてあって、それをもって短時間労働を選好する者がいると書いてあるのですが、これはどういう因果関係でこれを分析しているのか全くわからないというところで、これも気になるところです。
 もう1つ、14頁の下から15頁の頭にかけて、若年雇用の問題を分析されていると思います。これはちょうどいまの時間帯、内閣府で雇用戦略対話のワーキングが開催されていて、若年雇用戦略がいま論議されているところだと思います。今日は1回目で論議が始まったばかりなのですが、15頁のいちばん上に「若者雇用戦略でも、こうした具体的方向性を踏まえ」と書いてあるのです。14頁から書いてあるこの職業安定局長の私的な研究会が出された論点について、三者構成でこれからやるのに、何でこんなところに具体的な方向性を踏まえるということが書いてあるのか、よくわからないというのが率直な印象として申し上げておきます。以上です。
○企画課長 いまの3点のご指摘について説明申し上げます。まず、1点目の多様な正社員の位置づけですが、短時間正社員との関係についてのご指摘については、短時間正社員も含めたものとして、多様な正社員を考えております。それは4頁から5頁にかけて脚注10がありまして、多様な正社員についての説明をしているところです。いちばん最後に、いろいろな類型として職種限定正社員、勤務地限定正社員、短時間正社員と、短時間正社員を明確に入れて考えているということですので、まず賃金の問題については、短時間正社員の定義に沿ったようなものもこの多様な正社員の概念の中に含まれているということは明らかになっているものと思っております。
 その趣旨は、4頁の4の記述の括弧書きの所でも反映させている気持で、賃金体系が「勤続年数に応じた」賃金体系だということを書いております。要は、勤続が長いか長くないかという観点からのみを言っているだけであり、いわゆる非正規、短時間だから、あるいは派遣だからということで、賃金が安くていいという趣旨ではないということはわかっていただけるのではないかと思っております。
 2つ目の高齢者の問題ですが、12頁の脚注にありますことをもって、「短時間労働を選好する者もいる」というこの表現に違和感があるということです。表現ぶりについては、ご指摘のような見方もあるのかと思いますが、私どもとしてはそれは脚注の42にあるような事実をもって、それをストレートに評価していただければということです。これだけの人たちが現にパート・アルバイト、契約社員、嘱託という形で働いている。そういう形で現にこれだけの人が働いているということが、ここで記述した意図です。
 3つ目の若者雇用戦略の話ですが、15頁に「若者雇用戦略でも、こうした具体的方向性を踏まえ、労使、教育界及び政府が一体となって、対策を推進していく必要がある」と書いております。これはもちろん取りまとめをした私どもの立場としては、是非、公労使という場で改めて私どもの取りまとめたものも検討対象にしていただきたいということを申し上げているもので、我々が例えば若者雇用戦略の議論の場において、政府ということで、プレゼンをする場を与えられれば申し上げたいということを、こういう形で書いたものです。また改めて、そこで是か非かということはご議論いただければというつもりで書いているものです。
○大橋分科会長 その他、いかがでしょうか。
○新谷委員 論議する気はないのですが、黙っていると認めたことになると嫌なので、反論を申し上げたいと思っております。4頁に先ほど脚注との関係で、多様な正社員が脚注の10の中に含まれているのだというご説明だったのです。ところが、本文のほうは下から3行目にありますように、上記の4や5の要素を満たさないということで、明らかに勤続年数に応じた賃金を満たさない人を多様な正社員という定義付けをしておりますので、脚注でいくら短時間正社員と書かれても、そこがどこに書いてあるのだということにしか読み取れませんので、申し上げておきたいと思います。
 それと先ほどのご説明の中で、12頁の短時間労働を選好する者についての説明は全く納得できなくて、雇用形態で557万人のうち、346万人がパート・アルバイトという形態で働いているから、それが短時間労働を選好するのだという因果関係は全く立たないと思うのです。それはこういう雇用形態しか求人がなくて、そこしか働けなければ、これしか形態がないわけで、それが労働者が短時間労働を選好しているなんていうことはどこにもないわけで、どうやって立証するのだと思います。全く理解できない説明だと思いました。以上です。
○企画課長 すでに取りまとめたものですので、ご指摘については改めて受けとめさせていただきたいと思います。
○高橋委員 黙っていると、黙認したとか了解したというようにとられてしまうと非常に困りますので、新谷さんがいみじくもご指摘されました。我々としてもこれは非常に違和感を持って説明を聞かせていただきました。決してこれが本当に望ましい働き方ビジョンとして適当なのかどうか、かなり疑義があると申し上げざるを得ない。とりわけ労働者の希望ということに非常に重点を置かれたような建付けが、私個人としては非常に違和感があります。先生方の前で私が言うのもあれですが、やはり雇用は派生需要ですので、まず雇用ありきからスタートするのではなく、いま80円台の、依然として超円高基調の中で、企業が生き残りをかけて苦労している中でという、その大前提が捨象されてしまって、まず雇用からスタートしましょうみたいなところにすごく違和感が、まずあります。
 ほかにもたくさん違和感があるのですが、時間の関係でその中で代表的な1つだけ申し上げますと、この報告書の10頁のいちばん上に(3)「正規雇用の労働者についても」ということで、「雇用は安定している反面、企業の広範な業務命令や人事権の下、長時間労働や遠隔地への単身赴任も一般的であり、仕事と生活の調和を図ることは難しい」という問題があって、「こうした正規雇用の労働者の拘束的な働き方は、ディーセント・ワークの観点からも問題と考えられる」という指摘をし、こういうことの働き方を見直すみたいなことが概要に書いてあります。本当にこういうことを望んでいるのであるならば、処遇そのものの見直しまで踏み込まずに、そこは一切触れずにそういう一面の部分だけを問題とするようなところはものすごく違和感があって、考え方自体を全然否定することではありませんが、全体を通じてものすごく違和感があるビジョンだなという感想があるということを申し上げたいと思っております。以上です。
○派遣・有期労働対策部長 このビジョンについては、まさに有識者の皆さんに集まっていただいて、正規労働者に対する対応も含めて、横断的にどういう対応をしていくのかという考え方について整理をさせていただいたものです。労使の合意がとれているとはとても思っていませんので、それはこういう内容を今後、具体化していく中で、どのように調整するのかというのは今後の議論だと思っております。我々なりに目指すべき方向を整理させていただいたということで、ご理解賜ればと思います。ここで詰めるのではないのだと思いますので、あくまで私どもで取りまとめさせていただいた内容をご紹介しているということです。
○大橋分科会長 という捉え方でよろしいでしょうか。そういう捉え方で、次の議題に移りたいと思います。「生活保護受給者等生活困窮者の就労支援」について、事務局からご説明をお願いいたします。
○就労支援室長 同じく派遣・有期労働対策部就労支援室長の伊藤でございます。参考資料2により、「生活保護受給者等生活困窮者の就労支援」について、報告を申し上げたいと思います。1枚目ですが、生活保護受給者の動向です。昨日、本年1月の受給者数が公表されております。左下にありますように、209万人ということで、過去最高の水準となっており、社会的にも大きな問題となっております。自立などによる保護廃止、保護からの脱却が前年比でようやく増加に転じている状況ではありますが、保護開始がなおこれを上回っているといった状況です。生保の世帯全体としては、世帯主が65歳以上の高齢者世帯、あるいは障害・疾病の世帯、この2つで合わせて4分の3超ということで、多数は占めておりますが、これらに該当しない稼働層を多く含むと考えられるその他の世帯が25万を数えるということで、こうした層の就労支援が労働行政の立場で大きな課題となっているところです。上の右側の枠ですが、2月の一体改革大綱の中でも重層的セーフティーネット構築ということで、平成24年度における当面の対応課題として、ハローワークが自治体と連携して、これら生活保護受給者等の就労支援の強化に努めるといった位置づけがなされているところです。
 こうした方針の下で、次の2頁、3頁に関連する事業のポンチ絵、実績、グラフをお示ししておりますが、本年度から「福祉から就労」支援事業ということで、労働局、ハローワークと自治体との間で、こうした生保受給者等の就労支援にかかわる協議会を設け、また協定を締結するといった新しいスキームを整備しております。こうした協定などの中で、困窮者の就労支援にかかる目標とか、両者のチーム支援といった連携方法を確立する。こうした本格的・体系的な就労支援に今年度から取り組んでおります。
 3頁にその実績、グラフがありますが、平成23年度はまだ2カ月残しての実績見込みですが、従前の対応する事業の大体2倍ほどの実績、年間で4万数千人の方を支援対象とし、過半の2万3,000名ほどの方を就職に結び付ける、こういった実績も上げているところです。来年度、平成24年度はハローワークならではのマッチング機能等の強化も図った上で、現下のニーズに対応し、この支援の規模も、さらに7万人といった規模に拡大をする計画です。
 また、これとはスキームとしては別のものですが、国と自治体との間で協定を結ぶ連携事業という意味では共通をしております。先の1月の分科会でもご報告を申し上げたアクションプランに基づく自治体との一体的実施窓口について、いま全国で順次整備を進めているところです。こうした中でも、自治体のニーズを反映して、多くのケースで生活保護受給者等の困窮者がこの一体的実施窓口の対象の重点となっているところです。最後の頁で、この一体的実施のうちで生活保護受給者などを重点としたものの、いくつかのエグザンプルをお示ししております。新宿区等々の事例にもありますように、福祉事務所窓口のすぐ脇、あるいは庁舎の一隅にハローワークの窓口を設け、両者一体となって、こうしたワンストップ支援体制の強みも活かして、それぞれの目標を上回る大きな支援あるいは就職の実績も上げているところで、困窮者就労支援という観点でも先進的な取組み事例に位置づけ得るものと私どもは考えております。
 1頁に戻って、先ほども申しました大綱、あるいは12月の日本再生基本戦略の中でも、生活保護受給者を含めた困窮者の生活自立支援の中期プランということで、仮称「生活支援戦略」といったものが位置づけがなされているところです。ご案内のように、生活保護制度、あるいは困窮者の生活自立支援については、社会・援護局が主管しているところで、いまほど申し上げた再生戦略とのかかわりでは、今後、戦略会議なども含めたさまざまな場で議論がもたれる運びというように承知をしておりますが、その際、自立支援、あるいは自立促進という観点からしますと、これら困窮層の就労支援の部分に関して、ただいま申し上げた「福祉から就労」、あるいは一体実施、こうした関連事業の実績も踏まえながら、さらなる抜本的な強化について検討を進めてまいりたいと考えているところです。こうした取組みの強化を図る、あるいはそれについての検討を進めていく、こうした段階で、現時点での取組みの現状なり、あるいは課題の所在について、ご報告を申し上げる次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
○大橋分科会長 本件について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○宮本(み)委員 1つ伺いたいのは、生保等の困窮者支援と求職者支援制度は、どのようなかかわりを持つでしょうか。
○就労支援室長 お答え申し上げたいと思います。ご案内のように、求職者支援制度については、今日ご説明申し上げた困窮層なども含むさまざまな求職者の方々の第2のセーフティーネットという位置づけで、昨年10月から施行実施をされているところです。いまほど申し上げた「福祉から就労」支援事業による生保受給者等を含めた生活困窮者に対する就職支援の中で、2頁のフローチャートの中段に就労支援メニューといったものも位置づけをしておりますが、キャリア・コンサルティング、きめ細かい職業相談、トライアル雇用などに加えて、能力開発を通じて就職実現が期待される方については、この「福祉から就労」支援事業のプログラムの1つという位置づけで、求職者支援制度も含めた公的能力開発メニューも位置づけをしている。それぞれの方々の課題対応に応じて、適宜活用するメニューの1つ、大まかにはそういった関係です。
○宮本(み)委員 それに関連してなのですが、例えば生活保護世帯、受給世帯の子どもである若い層、あるいは受給していないけれども、そういう層の中にニート層の若者が非常に多いということは、伊藤室長はよくご存じのところです。先ほどのビジョンでも、若年者に対する具体的方向性というのでいくつか上がっている中で、ニート層に関してはニート層への取組みの強化と書いてあるだけで、あまり具体的に触れていないというところにかなり私は問題意識を持ったのです。
 その1つは求職者支援制度が始まって、仕事に就いていない若者に対して求職者支援制度を適用することによって、訓練と経済給付をセットで与えることによって、より高い動機付けを持つことができ、効果が上がるのではないかという期待があったのですが、実際に始まってみると、これは伊藤室長の前の部署であるところの地域若者サポートステーションは、求職者支援制度をほとんど使えない状態にあるわけで、ニート問題に関しては求職者支援制度はほとんど使えないということになっているわけなのです。
 その理由はいくつかあるのですが、例えば今回の求職者支援制度だと、訓練は座学中心であると。わずか3日間ぐらいOJTの職場実習ですか。こういう訓練のあり方というのが、ニート層の多くの若者にはほとんど適切でなくて、もっと実習中心の訓練のほうが効果が上がるというのは、基金訓練のときにもかなりそれで成果を上げているわけですが、今回は座学中心であるというやり方とか、その成果の目標値があまりにも高くて実態に合っていないと。ですから、初めからニート層の若者の多くは基金訓練からではなくて求職者支援制度から弾かれるということなので、経済給付による動機付けによって訓練に投入して育成していくという、この路線には乗れないということなので、サポートステーションがもてる武器といいますか、それは極めて限られていると。たくさんの人が滞留している状態にあります。そういう意味で言うと、いまの生保世帯その他、困窮層に対しても、その辺りのところはかなり限界があるのではないかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
○就労支援室長 いまの宮本委員のご指摘は、1つには生活保護受給に至る前の特に若者、ニート層の就労自立支援という観点からのさまざまなお尋ねと受け止めさせていただきました。この「福祉から就労」支援事業などによる困窮層の今後の就労支援展開の基本的な考え方として、もちろん既に生活保護受給に至っている方が重点的な就労支援の対象であることはもとより、マクロで捉えた場合、その一歩手前にある、いわばボーダー層の方々に対して、できるだけ早期に集中的な支援を行うことが重要であるという認識を私どもも持っております。そうした観点から、今年度この「福祉から就労」支援事業の対象に、生活保護には至っていないけれども、住宅手当を受給している、若者も含めての住居・生活に困窮している方々を新たに対象に位置づけています。
 また、先ほど申し上げました来年度の事業の充実の視点の1つとして、福祉事務所との連携、例えば巡回相談等々により、生活保護をまだ申請段階の方についても、就職の希望があれば、すぐにハローワークの就職支援に結び付けていく。こういった強化も図っていきたいと考えているところです。
 こうした支援対象者ボーダー層の方々の中で、いま宮本委員からもご指摘がありましたような能力開発、特に実践的な能力開発を通じた就職実現が期待できる、効果的と思われる方々が一定数いるであろうということは、本事業、あるいはいまほどご紹介いただいたサポートステーション事業などを通じて、私どもは経験則として課題認識は持っているところです。
 先ほど今後、生活支援戦略といった形で、生活保護受給者も含めた広く困窮者、その中には必ずしも世帯主ではない困窮世帯の若者も当然、対象としては含まれてくるわけですが、こうした方々に対する効果的な就労・自立支援プログラムの拡充について検討していこうという、先ほどのようなスタンスです。その中の1つの課題として、いまほどご指摘もいただきましたような実践性に重きを置いた能力開発のプログラム、それはいま若干のご質問等がありました求職者支援制度を活用するという選択肢もあるでしょうし、それ以外のスキームで対応していくという選択肢も、もちろんあり得ようかと思っております。
 そうした観点について、私どもは就労支援という観点で、安定局はもとより、生活保護制度を所管している社会・援護局、あるいは能開局とも、これから具体的な議論・検討も進めていきたいと思っております。いま現在、ニート等の自立支援ニーズを抱えた若者をいちばん多く抱えている拠点は、宮本委員からもいろいろご指導いただいておりますサポートステーション事業ですので、サポートステーションからまずハローワークにどうつないでいくのか。これも既に両者の連携をスタートしているところですが、そこの道筋をよりしっかりしたものとした上で、さらに必要に応じて能力開発にもつなげていくといった仕組みについて、今日申し上げたような大きな枠組みの中での重点的な課題の1つとして、是非、検討させていただきたいと思っております。
○澤田委員 4頁、そして2頁もそうなのですが、地方自治体を主としながら、地方自治体が主導をとりながら、ハローワークと一体となった、そのような工夫をしていこうというように、本当に理想的なことが上げられていると思います。実際、生活困窮者であっても、いちばん自治体の中で働く、私たちの仲間である人たちは、いちばんしんどい部分を知っているはずです。このことは非常に理想的ではあるけれども、自治体から国に対して要望・要請を確かにやっていきましょうというように書いてありますし、この間もそのようであったと思うわけですが、実際、国から下りてくることはたくさんあって、自治体はお金の面でも人の面でも、とてもしんどい状況にあるわけです。そのときに、この理想がちゃんと実現できるような取組みを希望しております。
○就労支援室長 一言だけコメントさせていただきますと、いまほどもご紹介いただきましたような一体的実施のスキームは、ご案内のようにそれぞれの自治体からのご提案・要望も踏まえた形で、労働局においてさまざまな協議を重ねて、より住民サービス、あるいは雇用対策上の実効性が上がるということで、協定といった形で具体的な枠組みを作り、私どももそれぞれの窓口にふさわしい国としての人的措置、あるいは職業紹介を行うための端末等の装備に関しても、それぞれ可能な限り要望に沿った形でということで、対応を進めつつあるところです。
 今日は特に生活保護受給者等を重点とした、かつ動き始めて数カ月経過をしているものだけ、ここにエグザンプルとしてお示しをしておりますが、発足して間もないもの、あるいは提案をいただいて協議中のものもまだたくさんあります。そうした今後の段階的な整備の中でも、いま委員からご指摘いただいたような点も踏まえて、可能な限り私ども国ならではの機能について、こうした一体実施の中で住民サービス、あるいは雇用対策実効性という観点から、効果があるような方向での対応をしてまいりたいと思っております。
○大橋分科会長 予定の時間が過ぎようとしていますので、次の議題に移らせていただきます。「労働者派遣法改正法関係資料」について、事務局からご説明をお願いします。
○派遣・有期労働対策部長 労働者派遣法の改正の関係のご報告です。参考資料3で、資料がいくつか入っておりますが、まず修正案要綱です。こういう修正が昨年末の臨時国会で提案されて、修正が提案されたあと、衆議院の厚生労働委員会で質疑・採決されたわけですが、会期末で時間がないということもありまして、本会議は見送られて、さらに継続審議になりまして、今年の通常国会に入りました。今年の通常国会では、3月7日に去年の年末の臨時国会で提案されたのと同内容の修正案が民自公3党から提案されて、こういう修正が衆議院の厚生労働委員会で採決をされました。そのあと、3月27日に参議院の厚生労働委員会でも質疑・採決されて、昨日、参議院の本会議で可決・成立したところです。
 審議会でご議論いただいた政府原案に、こういう修正が入った形で成立しており、参考資料3の「労働者派遣法改正法」が修正後の姿です。修正部分だけ簡単に説明しますと、1頁の第3に「物の製造の業務についての労働者派遣の禁止に関する修正」ということと、第4が「常用雇用する労働者でない者についての労働者派遣の禁止に関する修正」ということで、ここは製造業務派遣と登録型派遣に関する部分です。それぞれについて、禁止に関する規定を削除しております。第1に戻って、「日雇派遣についての労働者派遣の禁止に関する修正」ということで、政府案では日々又は2カ月以内の期間を定めて雇用される労働者について、原則禁止という考え方だったのですが、「日々又は30日以内の期間を定めて雇用される労働者」にそれが改められました。例外として、雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合、その他の場合で、政令に定める場合というのを日雇い派遣の原則禁止の例外として定めることになりました。
 3点目ですが、第2の違法派遣の受入れの場合に、雇用契約申込みみなしをするということで、派遣先が労働契約申込みみなしをするという仕組みが政府案で導入されております。その規定の施行期日をこの法律の施行の日から3年を経過する日とするという修正がされております。それに加えて、2頁の第5ですが、こういった点に関して登録型派遣のあり方、物の製造業務派遣のあり方、特定労働者派遣事業のあり方について、検討するということになっております。この検討については、労政審で検討するというのが国会の審議の過程から明確です。以上のような修正が入っております。
 もう1つ説明しておきたいのが、最後に2つ、附帯決議が縦書きで入っております。いちばん最後に参議院の附帯決議が入っております。その手前に衆議院の附帯決議が入っておりますが、参議院の附帯決議のほうが衆議院の附帯決議に書き加えた内容になっておりますので、いちばん最後に付いている参議院の附帯決議を使って、附帯決議のポイントを説明いたします。
 附帯決議の1では、登録型派遣のあり方、製造業務派遣のあり方、特定労働者派遣事業のあり方について、「本法の施行後1年を目途として、労政審で議論を開始する」となっております。ですから、審議会で今後ご議論いただくことになるということです。
 2番目ですが、専門26業務に該当するかどうかによって、派遣期間の取扱いが違うということ。その制度自体について、今後、見直しの検討をしてほしいというご指摘があります。
 3番目は運用の問題ですが、偽装請負の指導監督について、丁寧・適切に実施するということがご指摘をされております。労働者派遣の請負と派遣の区分基準をさらに明確化するといったご指摘もあります。
 4番目ですが、労働契約申込みみなし制度の創設に当たり、周知と意見聴取を徹底するということで、とにかく周知を徹底するということと、運用について関係者の意見を聞いて、運用の仕方を決めていくということが書いてあります。
 5点目ですが、労働社会保険の一層の適用促進するための制度の見直しを検討すべきだということで、これは今後の制度見直しの検討についてのご指摘です。
 6番目は運用面でのご指摘ですが、優良な派遣元事業主が育成されるような指導・助言等を行うということが書いてあります。
 7番目ですが、能力開発についてのご指摘で、教育訓練の機会をできるだけ確保して、訓練について恒久的な仕組みを考えるということで、派遣労働者の訓練をより強化するための仕組みについて、とにかく考えてほしいと、これは制度面での対応も含めたご指摘です。
 8点目ですが、本法の施行に当たっては、あらかじめ派遣労働者、派遣元、派遣先事業主に対して、さまざまなルールについての改正内容について、十分な周知・情報提供を行い、周知徹底するように万全を期すことというご指摘です。
 今後、労働者派遣法自体は公布の日から6カ月以内の政令で定める日から施行するということになっております。公布のタイミングについては、4月の前半部分が想定されるわけですが、それから6カ月以内の政令で定める日ということで、普通にやると周知期間とか施行準備の期間を十分とったほうがトラブルなく施行されると思いますので、事業主にも十分理解していただいたほうがいいと考えております。イメージとしては10月1日施行が考えられるのではないかと思っておりますが、その10月1日についても政令で決めていただきますので、労政審で議論の上、決めていただくということかと考えております。今後、集中的に関係部会、あるいは分科会でご議論いただくことになると思います。よろしくお願いいたします。
○大橋分科会長 この件について、ご意見、ご質問があればお願いします。附帯決議の中でだいぶ宿題が出ておりますが、よろしくお願いいたします。本日の分科会はこれで終了します。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員に署名をいただくことになっています。つきましては、労働者代表の古市委員、使用者代表の高橋委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。
○若年者雇用対策室長代理 質問で出ていた試行雇用の奨励金が、次年度において予算が増えているではないかという話です。これは全体としてはそうなのですが、追加して、若年者トライアル部分について見ましては、若干ではありますが減額となっているところです。最後に申し訳ございません。追加で説明させていただきます。
○大橋分科会長 それでは、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局総務課

職員厚生係: 03(5253)1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会)> 第84回労働政策審議会職業安定分科会議事録

ページの先頭へ戻る