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2012年3月26日 第1回「統合医療」のあり方に関する検討会議事録

○日時

平成24年3月26日(月) 16:30〜18:30


○場所

厚生労働省専用第18〜20会議室


○議題

1.「統合医療」について
2.その他

○議事

〇佐々木調整官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回「『統合医療』のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、年度末の大変お忙しいところ、本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に、私から本検討会の構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。
 まずは、大阪大学大学院医学系研究科教授の伊藤壽記構成員でございます。
〇伊藤構成員 伊藤でございます。よろしくお願いします。
〇佐々木調整官 独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三構成員です。
〇梅垣構成員 梅垣です。よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 独立行政法人国立長寿医療研究センター総長の大島伸一構成員です。
〇大島構成員 大島でございます。よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 それから、本日は御欠席と御連絡をいただいておりますけれども、元日本学術会議会長の金澤一郎構成員でございます。
 続きまして、社団法人日本医師会副会長の羽生田俊構成員です。
〇羽生田構成員 よろしくお願いします。
〇佐々木調整官 千葉大学法経学部総合政策学科教授の広井良典構成員です。
〇広井構成員 広井でございます。よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 順天堂大学医学部公衆衛生学教室教授 丸井英二構成員です。
〇丸井構成員 丸井です。どうぞよろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 読売新聞医療情報部長の南砂構成員です。
〇南構成員 よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 公益財団法人がん研究会有明病院病院長の門田守人構成員です。
〇門田構成員 門田でございます。よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 慶応義塾大学医学部漢方医学センター診療部長の渡辺賢治構成員です。
〇渡辺構成員 渡辺でございます。よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 ありがとうございます。
 また、本日は、「統合医療」の関係者の方々に参考人として御出席いただいております。
 まずは、一般社団法人日本統合医療学会理事長の渥美和彦参考人です。
〇渥美参考人 渥美です。よろしくお願いします。
〇佐々木調整官 続きまして、社団法人日本東洋医学会前会長であり、現在は東亜医学協会の理事長である寺澤捷年参考人です。
〇寺澤参考人 寺澤です。よろしくお願いします。
〇佐々木調整官 ありがとうございます。
 参考人の方々には後ほど御発表をいただく予定でございます。
 続きまして、事務局を紹介させていただきます。
 まずは、医政局長の大谷でございますけれども、本日、急遽、国会の対応にて席を外させていただいております。
 また、医政・医療保険担当審議官の唐澤につきましても、急用のため欠席とさせていただいております。
 健康・医業指導・医療安全・医薬食品担当参事官の木村でございます。
〇木村参事官 木村でございます。よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 医政局総務課長の池永でございます。
〇池永総務課長 よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 同じく、医療政策企画官の徳田でございます。
〇徳田企画官 徳田でございます。よろしくお願いします。
〇佐々木調整官 同じく、総務課長補佐の知念でございます。
〇知念課長補佐 よろしくお願いいたします。
〇佐々木調整官 最後に、私は、保健医療技術調整官の佐々木でございます。どうぞよろしくお願いします。
 まずは、事務局を代表いたしまして、参事官の木村よりごあいさつを申し上げます。
〇木村参事官 ただいま事務局から御案内がございましたように、本来であれば、当検討会の主催者でございます医政局長の大谷がごあいさつすべきところでございますけれども、急遽、国会業務でどうしてもこちらに出られないということでございましたので、代わりに私がごあいさつをさしあげたいと思います。
 まず、本日お集まりの皆様方におかれましては、構成員の任を快くお引き受けいただきまして、また、年度末の大変お忙しい中お集まりいただきましたことを、心より御礼申し上げたいと思います。
 さて、いわゆる「統合医療」につきましては、近代西洋医学のほか、我が国の伝統医療とも言えます漢方や鍼灸、そして、私たちの日常生活でもなじみのありますあんま・マッサージ、柔道整復、また、いわゆる健康食品と、非常に多岐にわたるものが含まれると言われてございます。
 このような中、平成22年1月に、当時の鳩山内閣総理大臣が、施政方針演説において、健康寿命を延ばす観点から、「統合医療」の積極的な推進について検討を進めることを表明されました。
 これを受けまして、私ども厚生労働省におきましても、同年、省内に「統合医療プロジェクトチーム」を設置いたしまして、「統合医療」についての議論を深めますとともに、厚生労働科学研究事業によります研究支援等の取組を行ってきたところでございます。
 一方で、「統合医療」については、国民や医療界においていまだ共通認識が確立していない状況にありますこと、また、多種多様であるがゆえに、安全性や有効性に関する科学的根拠が求められていることなど多くの課題もあるところでございます。
 このような状況を踏まえまして、私どもといたしましては、今般、本検討会を開催しまして、有識者の皆様をお招きし、それぞれの御専門の立場から御意見をいただくところといたしたところでございます。
 今申し上げましたように、大変課題の多いテーマかとは存じますけれども、「統合医療」を推進していくに当たって、果たして今後、どのような取組が必要となってくるのか、また、これらにかかわる関係者の方々のヒアリングも交えながら、検討を鋭意進めてまいりたいと存じておりますので、どうか御忌憚のない御意見を何卒ひとつよろしくお願い申し上げまして、まずは、本日の検討会開催の冒頭に当たりましてのごあいさつにかえさせていただきます。本日は、何卒よろしくお願い申し上げます。
〇佐々木調整官 それでは、続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元、議事次第、座席表のほかでございますけれども、まず、資料1として、本検討会の開催要綱、資料2として、「統合医療」と厚生労働省の取組、資料3として、一般社団法人日本統合医療学会提出資料です。資料4が、社団法人日本東洋医学会提出資料。そして、資料5として、論点メモでございます。
 あと、縦紙で、参考資料として、「統合医療」に関する厚生労働科学研究事業の一覧表。それから、テーブル席のみの配付とさせていただいておりますけれども、今日プレゼンをいただく渥美参考人から、追加の資料、カラー刷りのものを配らせていただいております。
 資料に欠落等がございましたら、事務局にお申しつけいただけたらと思います。
 よろしかったでしょうか。
 では次に、本検討会の座長についてお諮りしたいと存じす。座長には、独立行政法人国立長寿医療研究センター総長の大島構成員にお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇佐々木調整官 ありがとうございます。
 それでは、皆様方の御賛同を得ましたので、大島構成員に座長をお願いしたいと思います。大島構成員におかれましては、恐れ入りますが、座長席に御移動をお願いします。
(大島構成員が座長席へ移動)
〇佐々木調整官 それでは、座長に一言ごあいさついただいた後、以降の議事運営をお願いいたします。
〇大島座長 大島でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私は、今、国立長寿医療研究センターに2004年から奉職しておりまして、もう8年以上過ぎたというところであります。それ以前は名古屋大学にいまして、移植という先端医療をずっとやってきました。私たちの世代は、医療、医学と言えば、科学、科学で、徹底した教育を受けてきた世代であります。しかし、実際の臨床の現場にいますと、科学ですべてが解決できるかと突き詰めて考えていけば、これはもう限界があることもわかってきます。私自身は決して科学原理主義者ではないと考えておりますけれども、ずっと長い間、科学にさらされてきましたので、どうしても頭の中あるいは行動についても、科学的な考え方が身にしみついていると思います。「統合医療」のこの座長を引き受けるに当たり考えているうちに、この議論の着地点がなかなか見えにくい、議論そのものが相当困難な状況に向かうのではないかなと想像しております。しかし、今の日本の状況あるいは世界の状況を考えますと、この問題を避けて通ることはできない、むしろ正面からどこかできちんと対峙をしなくてはいけない問題だろうと思っています。特に、今、私がいる長寿医療研究センターでは、高齢者の医療・介護等の問題を直接に扱う場でもありますので、これは避けられない問題だと認識をしています。相当困難な議論のプロセスがあることも覚悟をしておりますので、よろしく皆様方の御協力をいただきたいと思います。
 まず最初に、御確認と御了解を得たいことがございます。構成員で出席ができないときには代理出席でもよい許可をしていただきたい。ただし、事前に事務局を通してその了解を得ることと、それから、当日この場で、出席の構成員の方から御了解を得ることを前提として、代理出席を認めていただくことをお願い申し上げたいと思います。いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
〇大島座長 ありがとうございます。
 それでは、代理出席については、そういう扱いにさせていただきます。そして、この会議は公開で行うということで、議事録についても、事務局でまとめたものを各構成員にお目通しをいただいた後、厚生労働省のホームページで公表するという段取りにしたいと思いますので、この点についても御了解をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、議題に入らせていただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、厚生労働省から、これまでの取組と、この会が立ち上がってきた経緯等について説明をお願いします。
 よろしくお願いします。
〇知念補佐 それで、資料2につきまして、御説明させていただきます。お手元の資料2をごらんください。こちらでは、「統合医療」についてと厚生労働省の取組について御報告させていただきます。
 まず、「統合医療」についてですが、本検討会の「統合医療」にもかぎ括弧をつけさせていただいておりますが、現在、その定義や内容については、関係学会や海外の機関が提唱しているものが挙げられますが、いまだ共通認識は確立していないと認識しております。本日もヒアリングでお越しいただいていますが、例えば日本統合医療学会の定義を拝見させていただきますと、「統合医療とは、さまざまな医療を融合し患者中心の医療を行うものです。科学的な近代西洋医学のみならず、伝統医学と相補・代替医療、さらに経験的な伝統・民族医学や民間療法なども広く検討しています。」との記載がございます。
 おめくりいただいて3ページ目になりますが、こちらでは、海外の機関の定義を挙げさせていただいております。
まず、アメリカの衛生研究所 相補・代替医療センターによる統合医療の定義でございます。「統合医療とは、従来の医療と安全性と有効性について質の高いエビデンスが得られている『相補・代替医療』を組み合わせたものである。」と定義がございます。
また、下の枠になりますが、WHOによる伝統医療の定義になります。「『伝統医療』とは、それぞれの文化に根づいた理論・信心・経験に基づく知見、技術及び実践の総和でしり、健康を保持し、さらに心身の病気を予防、診断・改善、治療することを目的としている。」とございます。
ただ、いずれにしても、例示で挙げさせていただいておりますが、いまだ共通の理解はないものと事務局では考えております。
また、その中で、具体的な例について4ページ目に提示させていただいております。こちらの例については、厚生労働科学研究の中で行われた際に、アンケート調査で利用させていただいた例示を挙げさせていただいておりますが、例えば、はり・きゅうとか、各種マッサージが挙げられておりますが、これに含まれないものも含めて「統合医療」の範疇に入ると見解を示されている学会も多かろうと考えております。
続きまして、厚生労働省の取組について御報告いたします。スライド5ページ目をごらんください。
厚生労働省においては、統合医療プロジェクトチームを平成22年2月に省内に設置し、「統合医療」に関する現状の把握と今後の取組方策について概括的に検討をしてきたところでございます。政策として、民主党の政策集にも記載がございますが、「統合医療の確立ならびに推進」で、漢方、健康補助食品やハーブ療法等について、予防の観点から統合医療として科学的根拠を確立します、というふうな政権公約がございます。
また、冒頭、木村からも御紹介させていただきましたが、鳩山前首相の施政方針演説の中でも、「健康寿命を延ばすとの観点から、統合医療の積極的な推進について検討を進めます」とございます。
次に6ページ目をごらんください。具体的にこれまでしてきた取組について、研究の観点でございます。「統合医療」に関する知見の創出を目的として、厚生労働科学研究を実施してきました。平成21年度は、予算額:約8千万の8課題程度でございましたが、平成22年度、政権交代後、予算を大幅に拡充しておりまして、平成22年度から予算額が約10億、34課題の研究を実施しております。23年度も引き続き、研究費全体の枠の縮小の中ではございますので、額は若干低下しておりますが、約8億4千万の研究課題を継続して実施しております。
また、並行して「統合医療」に関する実態把握等を目的として、平成22年度の厚生労働科学特別研究においても、「統合医療」に関する科学的な評価法の検討や国民による「統合医療」利用の調査等を行ってきました。
以上につきまして、厚生労働省のこれまでの取組について御報告させていただきます。
〇大島座長 ありがとうございました。
 何か御質問・御意見等はございますか。
 いかがでしょう。
〇伊藤構成員 大阪大学の伊藤でございます。
 今まで、統合医療に関する研究助成の項目ですけれども、漢方については存じ上げているのですが、そのほかの領域についてございましたでしょうか。例えば、鍼灸、アロマセラピーとか、いわゆるサイコセラピーとか、あるいは、機能性食品とか、他にもあろうかと思うのですけれども、いかがございましょうか。
〇佐々木調整官 お手元の資料で、参考資料をおつけしてございます。こちらの厚生労働科学研究事業、ここ数年の一覧表となってございますので、こちらを御参照いただけたらと思いますが、御指摘どおり、確かに、多くは漢方に関する調査・研究が多いかと思いますけれども、鍼灸に関する研究とか、また、「統合医療」全般に関しての評価のあり方等についての研究などが盛り込まれているところでございます。
〇伊藤構成員 ありがとうございました。
〇大島座長 ほかにいかがでしょうか。
〇羽生田構成員 羽生田でございます。
 一番最後のページ(6ページ)の2.の2番目の「・」に、「国民による『統合医療』利用の調査」が書いてあるのですけれども、これは、結果はどのようなものがあるのか、後ほどでも教えていただけますか。
〇知念補佐 こちらの研究につきましては、次回の検討会の際に、研究代表者の先生に概要を御報告していただこうと考えておりますので、その際に詳細を御説明できればと思っております。
〇大島座長 よろしいでしょうか。
〇羽生田構成員 はい。ありがとうございます。
〇大島座長 ほかにいかがでしょう。
 研究の中で、日本の「統合医療」はこう考えるべきであるとかというような定義に近いような中身の研究はなかったのですか。
〇佐々木調整官 座長御指摘の概念整理みたいなところまで至る研究はなかったものと承知しております。
ただ、先ほど少しお話がありました平成22年度の「統合医療」の情報発信等のあり方に関する調査・研究の中では、一応「統合医療」、相補・代替医療はこういうものがあるよという形で列挙をさせていただいた上で、その認知度に関する実態調査などをさせていただいております。次回、その辺りは詳細を御報告したいと思いますけれども、「統合医療」の定義そのものを詳細に分析した研究は、これまでになかったものと承知しております。
〇大島座長 いかがでしょう。
 具体的な例示されたものをみれば、そこからあるイメージが出てくるということはありますね。そして、それに具体的に例示された以外のものを「統合医療」としては認めないという話ではないですね。範囲はここまでだというようなことは今のところは一切ないわけですね。主なものがこうだという理解でよろしいですね。
〇木村参事官 座長のおっしゃるとおりでして。今、明確にこの範囲だということがあるわけではございません。ただ、日本の今の主力でございます日本統合医療学会では、先ほど1ページで御説明しましたように、このような御定義で学会としては活動されていると、そういう状況でございます。
〇大島座長 ほかにいかがでしょう。
 多分、これを厳密にやっていこうと思うと、相当いろいろな議論が出て、収拾がつかなくなる可能性もありますので、大ざっぱと言うといいかげんな言い方になりますが、大まかなところでこんなところなのかなという大体のそのイメージを持っていただいて、先へ進みながら、議論を深めていくというようなことで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
〇丸井構成員 今の座長の御意見に賛成ですけれども、例えば4ページの?で、相補・代替医療の例がざっと挙がっております。「統合医療」を考えていくときに、恐らく1つどうしても考えていかなければいけないのは、だれが行うのかということを考えていく必要があります。医療というときに、その医療を行う主体がだれなのかということです。狭い意味での医療になるのでしょうか。それとも、ここに挙がってくるようなものになりますと、いわゆる医療者とは別の、いわゆる普通の人が行うものも「統合医療」の中に入ってくることになります。そうすると、恐らく始めに座長がおっしゃられたように、収拾がつかなってくることがあります。我々は常に、これはだれが行うのかという主体というか主語、だれがだれに対して行うのかというのを少し念頭に置きながら議論をしていく必要があるのではないかと思います。
〇大島座長 ありがとうございます。非常に重要なポイントです。その先へ行けば、多分、医療とは一体何なのかというような議論になるかと思います。
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、先へ進めさせていただきたいと思います。
 今日は、渥美先生と寺澤先生に参考人としておいでいただいております。最初に20分ずつ、お二人の先生に非常に短い時間ではありますけれども、まとめていただきまして、現状が一体どうなっているのかということを我々に御教示いただければと思います。
 最初に、渥美先生からプレゼンテーションをよろしくお願い申し上げたいと思います。
〇渥美参考人 渥美です。それでは、始めたいと思います。構成員の方々には資料がプリントされていると思いますが、これからスライドで説明したいと思います。
 まず、私は、統合医療は歴史的観点から広くとらえる必要があるということを申し上げたいと思います。
 現代は不安定、不確実、不透明の時代といわれています。これは、世界二大宗教であるキリスト教とイスラム教の争いに象徴される、いわゆる東西二大文明が衝突し、融合する時代であるともとらえられます。統合医療を考えるときにも、先ずはこのような大きな歴史観から考えることが重要です。
 それでは、四大文明はどういうものであるか。エジプト、メソポタミア、インド(インダス)、中国という四大文明が世界にはあります。それぞれの文明には各々の文明の医学があり、そこから、ユナニ、アーユルベェーダ、中医学という、いわゆる三大伝統医学が生まれました。これが韓国では韓医学、日本では漢方に分かれてきました。また、ユナニやアーユルベェーダ、中医学がヨーロッパに入って近代西洋医学の基礎になったと考えられています。
「医療の歴史」という視点から広く医学や医療をとらえますと、人類は生まれてから、いろいろな病気、災害に襲われてきました。太古の人類はその時々において、人智を超えた災いに対し、恐らく宗教などで癒したのでないかと思います。その後、三大伝統医学が出てきて、それがヨーロッパに入り、近代科学と結合して近代西洋医学となりました。それが今日の現代医学や最先端医学に連なり、将来、恐らく統合医療というかたちに進化するのではないかと考えています。
 統合医療になるのは、必然的流れであると考えられます。その理由は三つあります。一つは、東西文明の融合。これは皆さん恐らく感じておられると思います。二つ目は、世界の資源は有限であって、これを有効利用する必要があること。実は以前、私はオーストリアのIIASAという研究所にいて、地球の資源の有効配分のシミュレーションモデルをつくっていましたが、それと同じように、これからは食糧、水、エネルギー以外に、ヒューマンリソースも有効配分していく時代になると思います。このような世界資源の有効配分という視点から考える必要もあります。三つ目は、医学が進歩して、皆さんご存じのように、臓器治療はやがてどこかで収斂するでしょう。これからは理想とされるような予防医学、病気にならないように、体のみならず精神的なものや社会的なもの、あるいは霊的なものを含めた全人的な医療になるのではないかと考えています。
 また、この度の東日本大震災は大変不幸なことでしたが、このときに、実は統合医療は非常に貢献しました。それは、電気や水、ガスといったライフラインが断たれたため、残念ながら近代西洋医学は十分に能力を発揮できなかったのです。そこでは、これから説明します伝統医学や相補・代替医療が非常に役立ったことが報告されています。
 私は先ほどから述べているように、これからの医療はだんだん変わってくるのではないかと考えています。それは、次の三つの理由からです。一つ目は、実は今までエネルギーを消費していた医療から、これからはだんだんエネルギーを余り消費しないエコ医療へと移り替わっていくことが必要になるのではないかと考えるからです。二つ目は、今まで医療は治療に中心を置いた医学を利用していましたが、これからは、理想とされるような、病気にならない方向、予防とか健康増進の方向に行くのではないかと考えるからです。三つ目は、これが今回の東日本大震災で最も大きかったと思いますが、自分の健康は自分で守るというセルフケアの時代にこれから入っていかないと、本当に必要とされる医療を維持できないのではないかと、こういう三つの理由です。つまり、エコ医療から予防医学、それから、セルフケアと、こういう大きな医療の流れの中で恐らく統合医療は必要になってくるのではないかと考えています。
 次に統合医療の定義、これは先ほど述べましたが、これは実は非常に難しいようで、議論しますと、なかなか大変なことになると思います。わかりやすく考えれば、統合医療は患者中心の医療です。今までの医学は、どちらかといいますと身体を中心とした医学でしたが、社会や精神、霊性(魂)、そうしたいわゆる全人的医療といいますか、ホリスティック医学という方向に行くのではないかと思います。治療のみならず予防や健康が重要視されてくる。こんなところが統合医療の定義の中心ではなかろうかと思います。それから、50年前にこういう概念が出されましたが、生まれて死ぬまでの包括医療が必要になってくるのではないかと思います。
 それでは、統合医療の範囲はどこまでかということですが、医学は国の文化によっても大きく異なりますし、風土によっても異なりますので、この範囲は各国あるいは地域によって異なるのではないかと考えられます。例えば日本で伝統医学というと、漢方や鍼灸があります。それから、伝統的に温泉療法などというのは我が国あるいはドイツ辺りでなされています。この様に統合医療の範囲は変わります。あるいは、いろいろな伝統医学が進歩してくればくるほど、また、いろいろなものが取り上げられてくるのではないかと思います。例えばアジアでは、インドのアーユルベェーダや中国の中医学、あるいは韓国の韓医学、日本の漢方が利用されているということになろうかと思います。
 統合医療とは一体何かといいますと、近代西洋医学と、それ以外の伝統医学や相補・代替医療が、一つにまとまり、統合したものです。
 ここで私が申し上げたいのは、まだ誤解されていることです。統合医療と近代西洋医学とは対立しません。統合医療は近代西洋医学と対立するのではないかという誤解がありますが、統合医療は近代西洋医学が中心で、それを補完するべき伝統医学や相補・代替医療など、いろいろなものがあるという形で統合するということで、どうも誤解されているところがあります。
 これをもう少し申し上げますと、近代西洋医学で最先端の医学がありますが、むしろ、こういうものも統合医療の中に入っていて、これがある意味においては統合医療の軸になっているということを申し上げたいと思います。 アメリカでは約20年前から、NIHが中心になって、伝統医学や相補・代替医療の調査研究を推進していますが、1999年に、NIHの中に、相補・代替医療をまとめる国立相補・代替医療センター(NCCAM)ができました。そこでは、いろいろな政策あるいは研究費が投じられております。NCCAMの相補・代替医療の分類では、いわゆるアーユルベェーダや中医学というようなもの、それから、心と体との関係を扱う分野、あるいは、生物学に基づく療法、これには食事療法やビタミンなどいろいろなのがあります。それから、手技療法として、鍼やマッサージ、カイロ、オステオパシーなど、いろいろなものがあります。エネルギー療法としては、気功などがあります。
 これはアメリカのNIHの相補・代替医療の分類ですが、今、私が申し上げました医療の実践の中で使われているものとして、いわゆる伝統医学の分野があります。それから、2番目にあるような薬理学的な方法、あるいは、食事・栄養・ライフスタイル、ハーブ、それから、用手療法、これには指圧、マッサージ、いろいろなものが入っています。それから、磁気療法、心身のコントロールという、マインドボディコントロール、こういう分野も広く精神療法から、瞑想やヨガ、それから、芸術療法、音楽療法、ダンス療法も入っています。こういうところの範囲は幅広くなっているということかと思います。
 統合医療は、各国によっていろいろと状況が違います。統合医療モデルには、先進国型あるいは発展途上国型、あるいは、その中間として中国・インド型と、3つに分けていいのではないかと思います。特に欧米の先進国では、多様な医療ニーズにどう対応するか、あるいは、医療費の節減、それから、治療医学から予防へという大きな問題と流があると思います。発展途上国では、どちらかというと、伝統医学や民間療法が中心であり、それに近代西洋医学を利用して、医療の質を高めようとしていると思います。中国とインドは、その中間と申すべきでしょうか。この2国には、伝統的な医学、いわゆる中国には中医学や鍼灸がありますし、インドにはアーユルベェーダやヨガがあり、伝統医学という大きな一つの武器を持っていますので、それらを発展させながら近代西洋医学も入れていくという形です。この両大国は非常に国が大きく、人口も多いので、近代西洋医学が浸透していくには時間がかかると思います。この二大国は、恐らく統合医療の道を将来は歩むのではないかと考えています。
 それでは、先進国であるアメリカではどうなっているかということですが、99年にNIHに国立相補・代替医療センターができ、年間、約500億円以上の研究費を出して、いろいろな調査研究を進めている状況です。特に「相補・代替医療を推進する大統領委員会」があり、実際に国策として、これらの調査研究を進めていいます。オバマ大統領についても2009年2月に調印された「アメリカの回復と再投資法(回復法)」において、相補・代替医療の調査研究を進めています。
 私、先ほど、中国とインドの話をしましたが、この二大国は伝統医学を持っているほかに、国が非常に大きくて、人口が多いものですから、簡単に近代西洋医学をくまなくへき地まで浸透するわけにはいきません。そのため、どうしても両方の医学の共存が必要であり、伝統医学や相補・代替医療と近代西洋医学を合わせたものが国の医療を推進していくことに多分なるのではないかと考えています。この二大国は、統合医療の格好でかじを切っておりますが、これは世界の医療に大きな影響を与えるだろうと考えられます。
 それでは、日本は一体どうなのかということですが、国家資格としては、はり・きゅう、あんま・マッサージ、柔道整復というようなものがあり、国家資格以外では、アロマセラピーやカイロなど、いろいろなものが行われています。先ほど、だれがだれにやるかという点などは、こういう資格の問題とも関係してくると考えております。
 日本の公的資金は一体どうなのか。これは先ほど厚労省の方々から報告がございましたが、文科省でもこれらの研究を進めており、平成16〜17年辺りから文科省・厚労省で、いろいろな研究報告が発表されております。
 それでは、我が国では学会は一体どうなっているかということですが、いろいろな学会がございます。我々は日本統合医療学会と申しますが、これまで国際的な会議をいろいろと開催しており、2004年から、日中韓やアジア諸国との会議、最近では、がんに対する国際シンポジウムを東京で開きました。アメリカのNIHのがんセンターの方々や中国あるいは韓国の方々に集まっていただき、統合医療でがんがどのように予防できるのかというシンポジウムを開催しました。
 統合医療によってどんな利益があるかということですが、ミクロな利益とマクロな利益と2つに分けますと、細かいことは申し上げませんが、ミクロな利益としては、1番目は、がん難民や難治性疾患に対し、近代西洋医学では治療ができない場合がございます。例えば進行がんのときに、一体患者さんをどうするのかというときに、もしこういうところで統合医療が役立てば、これは一つの選択肢ではなかろうかと考えています。2番目は、災害のとき、ライフラインが断たれ、電気が使えない、ガスが使えないとき、近代西洋医学はその真価を十分に発揮できない状況も考えておく必要があると思います。3番目は、近代西洋医学では、治療によっては、必ずしもすべてに副作用がないわけではありません。そういうときに、伝統医学や相補・代替医療により、副作用を軽減し、治療効果を高める、あるいは、QOLの向上に役立てばいいのではないかと考えております。4番目は、これからは恐らく、健康や予防に伝統医学や相補・代替医療が使われるのではないかと思います。これが先ほど委員会の委員の方々から言われた、どのような方々にどうするのかということとも関係していくわけです。ですから、医療あるいは健康増進、それから、予防を一体どういうぐあいにやるのか。実際は、国が大きな責任を持っていただくことになろうかと思いますが、国民にも、予防や保健、災害のときにどうするのかについても一応答えを考えていただくといいのではないかと考えています。
 マクロなところではどうなるかということですが、1番目は、費用対効果は、医療経済のところでいろいろな検討がなされておりますが、統合医療で医療費が節減できれば、小児科や産婦人科など、費用や人材が足りず、必要とされる医療分野に、統合医療で節減出てきた費用を有効に使っていただければ、日本の医療のためになるのではないかと考えています。2番目は、アメリカやヨーロッパでその気配が伺えますが、今後、治療中心の医療から予防の方向に世界の医療は大なかじをとっていくと思います。その際に必要な考え方や有効な介入方法が、統合医療の中から検討されるのではないかと思います。3番目は、統合医療により新しい医療や福祉、健康産業が創出され、雇用拡大に繋がるということです。政府もそこに期待をしているようですが、それが一体どういうものになるのか、我々は検討を進めております。4番目は非常に重要で、アジア各国では自国の伝統医学を文化遺産や知的財産として尊重し、自国の伝統医学で用いられるいろいろな生物遺伝資源や伝統的知識を守ろうとしています。文化戦略、産業・経済戦略など、国益の視点から、これらのことも検討しなければならないと思います。
 統合医療の将来展望ですが、1番目は国民中心の医療の実現です。今までの医療は、少なからず国民中心ではなかったと言われても仕方がないと思いますが、少なくとも国民中心の医療が統合医療によって実現できるのではなかと思います。2番目は、高齢者医療の問題はこれから必ず重要りますが、そこに統合医療を応用できるのではないかと思います。3番目の医療費の節減にも関係しますが、現在、医療費の半分ぐらいは高齢者医療で使われています。そのうちの3分の1に統合医療を使いますと、13%の医療費が節減されるという計算は、我々のグループに所属する医療経済の専門家によって試算されていますが、本当にそうかというようなことも含め、実際に是非調査研究していただきたいと思っています。4番目は、進行がんや難治性のがんは、近代西洋医学では十分に対応できないこともありますので、伝統医学や相補・代替医療で何とか次の手を考えられないかということです。5番目は、統合医療による健康増進や予防医療の展開によって医療資源の節減が期待されることです。6番目は、統合医療を医療や福祉の新しい分野に展開することにより、雇用の拡大が期待されることです。7番目は、統合医療はウエルネス・ツーリズムやハーブ生産、伝統医学の知的財産の保護などにも関係し、新しい健康産業の創出に寄与できると言われておりますので、これらも検討する余地があると思います。8番目は、統合医療の国際的調査研究で、国際的な統合医療の調査研究の組織化がこれから必要だと思います。これらにより、日本国民のための活力ある未来型健康長寿社会の創生ができると考えております。
 また、先ほど木村参事官が言われた「伝統医学や相補・代替医療の安全性、有効性、経済性の評価」は、今後、必要なことです。そのためには、実際にいろいろなデータを収集し、比較、検討をする必要があります。それから、統合医療による利点と利益を明確にすると同時に、統合医療の欠点も指摘する必要があります。そのためには、伝統医学や相補・代替医療を評価し、統合医療を運用する基準をつくらないといけないのではないかと思います。
 そこで、今後検討すべき事項ですが、いろいろな医療にガイドラインがあるように、統合医療のガイドラインを検討していただきたいと思います。先ずガイドラインをつくらないと前に進めないのではないかと思います。そのためには伝統医学や相補・代替医療の評価基準が重要です。相補・代替医療にはいろいろなものがあります。先ほど座長も言われましたように、「統合医療にどこまで何を入れるか、これをやっていると切りがない」、確かにそうです。伝統医学や相補・代替医療には、いいものと悪いものとが今は混在していると思います。そのため、評価する基準を明確につくる必要があります。それから、国内外には統合医療に関するたくさんのデータがございますが、これをもう少し整理し、実際に分析する必要があります。数年前、WHOが伝統医学や相補・代替医療に関するデータを集めたとき、日本には答えられる明確なデータがありませんでした。このような日本及び世界の医療政策に役立つデータの収集も必要かと思います。相補・代替医療は玉石混淆で、何が実際に必要で、何にどのような効果があるのかを科学的に洗い出す必要があります。そのためには統合医療の各分野の研究項目の洗い出しと研究の実施が必要です。また、これらを進めるためには、統合医療センターがどうしても必要となりますので、是非検討いただきたいと思います。さらに、今後の有事の際の伝統医学や相補・代替医療(人・物)の活用についても検討することが必要かと思います。
そんなことで一応時間がありますので、随分はしょって説明させていただきましたが、以上であります。ありがとうございました。
〇大島座長 渥美先生ありがとうございました。限られた時間で、全体を本当にコンパクトにお話をいただきました。
 何か御質問等はございますか。
〇門田構成員 わかりやすくお話しいただいたのですが、私たちも、最後におっしゃっていただきました統合医療の評価基準の検討と作成という点で、どう評価されているのかということは常に疑問に感じていたところですけれども、たちまち学会として、この辺りの基準あるいは評価はもう既に行われたか、その辺りのことはどこまで進んでいるのでしょうか。
〇渥美参考人 文科省の研究が3年続いたのですが、そのときの一番大きな問題点は、どのようにして評価するかという基準をつくることだったのですが、それが最後までなかなか結論が出なかったわけです。理由は、いわゆるランダマイズ・コントロールスタディというような方法でやると、これでは十分にできない分野がたくさんあるというようなことですね。特にこういう統合医療のある分野に入りますと、個人のレスポンスが違う。こういうものをどういうぐあいにしてランダマイズしてやるかということはなかなかできない。ですから、例えばがんの統合医療評価を今アメリカのがんセンターでやっていますが、個人的評価をどうするかというので、なかなかいい結論がまだ出ていない。そこで、総合的にいろいろなデータを集めてやるというようなことで、評価・基準をつくるのは非常に難しいというところまでは出ていて、我々、文科省の3年間のスタディの後、欧米を回ったのですが、今言ったような個人的な評価まで入れるとなかなか難しいと。しかし、やれるところはランダマイズ・コントロールスタディをやれますので、そこがやれるところはやっていくし、やれないところは、新しい基準をつくるというようなところまで来ているというわけでありまして。ランダマ・コントロールスタディでやれるところはできるだけやっていくというぐあいにやっていくしか手がないのではないかと思っております。
〇大島座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょう。
 よろしいでしょうか。
 それでは、次に寺澤参考人のお話を伺いたいと思います。
 寺澤先生、よろしくお願い申し上げます。
〇寺澤参考人 私に今回与えられたテーマは、この大きな統合医療という枠組みの中で漢方が果たす役割で、今、比較的大きなグローバルな話は渥美先生にしていただきましたけれども、漢方に焦点を当てて、この切り口から攻め込んでみたいと思います。
 実は、この1月の末に、『吉益東洞の研究』という本を私が出しました。この副題が「日本漢方創造の思想」です。これは実は時代が書かせたものです。なぜかといいますと、現在、中国政府が上海に巨大な事務局を構えまして、中国の伝統医学を国際的な標準にしようという国際標準規格のISO/TC249を国際的に提案していまして、これは黙っておりますと、すべて国際的標準が中国医学の方法論によって、資格制度も含めて統一されてしまうという事態を迎えました。私ども、日ごろ、実は日本の漢方、これは中国をもとにしているのですが、江戸時代の中ごろに革命的な革新が起こりまして、日本独自の漢方が形成されていまして、今、中国大陸本土で行われている伝統的な中国医学、いわゆる中医学と日本の漢方は大きく異なった内容になっている。ところが、では、日本の漢方は、今、中国大陸で行われている中医学と本質的に何が違うのかということについて問われますと、十分な答えが出せなかった。そこで、この本を書いたわけです。そこから見えてきたことを中心に今日はお話しさせていただきます。
 結局、日本の漢方を特徴づけるのは、構造主義という言葉はちょっと耳慣れないかもしれません。構造主義に基づく医療体系であって、これは中医学と名をかえてもいいのですが、西洋医学は要素還元主義に基づく医療体系であるということです。そうしますと、統合医療は構造主義を基盤に要素還元主義をも取り込んだ医療と定義してよいと、私は東洋医学会の前会長として見解を述べさせていただくのですね。こうすると、割と物がすっきりする。先ほど大島座長が力強いことを言っていただいたのは、私は科学原理主義者ではないとおっしゃられたのですね。うれしいのですよ。つまり、今の医学ははっきり言えば科学原理主義。科学原理主義と言ったら何か。それは要素還元主義です。人間の体の不調とか心身の不調がすべて要素に細かく細分化していけば、トータルが理解できるというのが要素還元主義です。要素還元主義と実は医療技術が結びついたのは150年ほど前の話ですが、その間に、要素還元主義を手に入れたために、ここまで医学が科学的に進歩してきた。それはいい。ただ、渥美先生と私の意見が一点違うところがあるとすれば、これはこのまま放置しておいたのでは、決して両者の融合はあり得ないのです。よほど努力して統合するというベクトルを働かせなければいけない。そういうことです。このまま行くと、分散に分散を重ねていってしまう。医療の現場で今何が起こっていますか。臓器別に縦割りの医療がどんどん細分化している。私どもの時代には、第1内科と第2内科、あるいは第1外科と第2外科ぐらい、外科分野も2つぐらいだったのが、今は、心臓血管外科、消化管の外科、腎臓外科、甲状腺、乳腺外科とか、これは将来予測しますと、ますます細かくなっていきます。そうしないと研究の先端の部分は突き抜けられないわけです。お金とマンパワーをそこに入れていくということは、この動きは止まらない。特に我が国においては。これを統合していくという大きなモメントを働かせなければいけない。ここで、非常に幸いなことに、我が国は、今、渥美先生からNIHが巨大な予算をつぎ込んで、アメリカということで今は統合医療をやられています。また、あそこにはワイル博士というような人もいて、要素還元論は誤りだというところで全体的に持っていくという動きもありますが、それは必然的にはそこに行かないのです、みんな、まだ怪しいものだ、いかさまだと思っているところもある。しかし、幸いなことに、私たちは、日本は漢方という一つの構造主義的な、もともと統合医療の根幹を成すような考え方に則った医療を展開してきている。だから、一つのキーワードは、このことを足がかりにして、先ほど言われましたように、評価の問題とか、構造主義的な物の考え方をどう評価していくのかとか、あるいは、普遍性をどう担保していくというようなところをとっかかりにしていくと、統合医療全体の枠組みの中での評価とか取組の方向性が見えてくる。私の見解でございます。
 構造主義という言葉は人類学者のレヴィー・ストロースという人が唱えたことです。各地の神話とか民族学を研究しているときに、要するに、物事は一つの要素では決まらないと、いろいろ相互にある要素が連合したら全然違う意味を持ったり、ある特定の意味を持ったりすることに気がついて、物事は要素還元的には決まらないことを提唱したわけです。例えば漢方の処方で構造主義を提示しますと、よく使う桂枝湯というという薬があります。これは桂・芍薬・大棗・生姜・甘草で成り立っておりまして、感染症の初期、頭痛、悪寒、発熱、脈がこういう(浮・数・弱)状態で、自然に発汗する。自然に発汗して脈が弱いところが、葛根湯や麻黄湯とは違う病態です。同じインフルエンザにかかっても、虚弱な人は桂枝湯に落ち込んできて、これで対処できるということになります。おもしろいことに、桂枝去芍薬湯という処方が『傷寒論』という今から1800年前に書かれた本に書いてあります。桂枝湯から芍薬を取り去った処方です。中身は桂皮・大棗・生姜・甘草になりますと、桂枝湯が風邪薬に対処するものであったのに、この処方は、突然ホットフラッシュがあって、カーッとのぼせて動悸がして、物に追い立てられた気分になって不安感に襲われる。いわゆるパニック障害などに使います。こういう桂枝湯とは全く異なった処方として意味を持つようになるのです。
 もう一つ、桂枝加芍薬湯は、桂枝湯の中にもともと芍薬が入っているわけですが、その量を倍増したものですが、こうなると、お腹が急に痛んで、腸運動の失調状態があって、便秘したり、下痢したりする。いわゆる過敏性腸症候群と言われるような状態に対処していく薬になってしまうのです。
 ですから、漢方薬の研究も、よほど注意しないと、要素還元論者が、桂枝がどうなっているか、その成分がどうこう、芍薬はこうこうでとかというふうな話になっていくのですが、決して要素還元的なものを積み上げたからといって、最終的な経験値といいますか、各々が持つ処方の意味がわからない。今現在行われている中医学と日本の漢方の本質的な違いです。中国の人たちは、要素還元的に積み上げていけば正解にたどり着けると思っています。日本の漢方は違います。あるがままの患者さんの形をばっと見抜いて、ある病態が桂枝去芍薬湯が適応と成る容であれば、この処方で問題を一挙に解決するというふうな構造主義的な認識をしている。これが漢方の薬の面から見た構造主義の1例です。
 柴胡桂枝湯を具体例として挙げます。これは私が毎日使っている薬ですが、先ほどの桂枝湯に柴胡が入った、小柴胡湯との中間の処方ですが、急性熱性疾患の場合とか、慢性疾患の場合ですが、一つのパターンが、精神的には、神経過敏で、上下熱下寒というのは、上の方ばかりのぼせて、足が冷えてしまう。汗をかきやすく、暑がりで寒がり、消火器系の愁訴を伴うことがあって、時には慢性膵炎とか、急性膵炎の腹部の激痛とか、そういったものにも応用されるわけです。そして、胸脇苦満と言って、肝臓のところを圧迫すると、緊張があって不快感が出る。こういった一つの生体があらわしている、精神的には神経過敏、非常に攻撃的だったりするのですが、こういうトラブルメーカーみたいな人で、肝臓の辺りを押してみると不快感があって、そして、汗をかきやすい。上の方がのぼせて、足が冷えるというような患者さんが来ましたら、その人が西洋医学的にどんな病名に分類されようが、例えばその人が慢性肝炎を抱えていることもあれば、腎炎のこともあるし、あるいは、更年期障害みたいなこともあります。この柴胡桂枝湯をバシッと打ち当てると問題が解決できるということになっています。
 それと、これは要素還元主義的にアプローチしますと、個々の生薬の成分分析が全く無駄だとは私は言いません。こういう研究も推進していかなければいけない。取り出した単一化合物の薬効・薬理を教えられる。それらの複数の結果から柴胡桂枝湯にするのが、これまでの一般的な流れで、科学原理主義の流れでいくとこうなる。しかし、構造主義的なアプローチをしていくと、柴胡桂枝湯を一つの薬物単位と見なして、その薬効を心身両面を見据えた評価基準によって客観的な評価を試みるという視点ができてきます。統合医療の視点からすると、研究対象とする疾患・病症をもし評価しようとすれば、漫然と調査・研究の対象とはできませんので、ある程度の絞り込みをしておいて、しかし、それは単なる検査数値の動きとか、そういった客観データばかりではなく、QOLも視野に入れたような評価を行って、局面に応じて、当然のことながら、例えば血圧が高い人であれば、降圧剤を併用するかもしれない。そういったことも入れた一つの統合的なアプローチのトータルアウトカムを6か月なり3か月続けたときに、どれくらいのトータルアウトカムがあったか。よくなったか、悪くなったか。そういったことを評価していくのが一つの道筋ではないかと思いました。
 つまり、統合医療と漢方の役割は、要素還元主義に基づく医療体系、だれもが気づいている。だれもが気づいているけれども、その具体策がわからない。そこで、統合医療という言葉が登場しているのですが、欧米諸国と日本とでは異なった文化を持っていて、日本は漢方という構造主義的手法をする点で圧倒的に有利な医療環境にあります。保健・医療のシステムの中でこれを使っていける状況ですから、この漢方の持つ構造主義的視点を活用して、西洋医学の英知も取り込んで統合医療の方法論を構築していくことが我が国の統合医療。決してアメリカとそっくり、この差異はアメリカよりも明らかにアドバンテージを持っている。この点を誇りを持って推進していかなければいけないのではないかと思います。
 時間になりました。ありがとうございました。
〇大島座長 ありがとうございました。お話を聴いていると、何かすぐにでもそちらの方へ向かわなければいけないような感じになってきます。
 御質問はいかがでしょうか。
〇渥美参考人 寺澤先生の意見に全く賛成で、私は実は、最近、病気で東大病院に入院していたのです。そして、いろいろな専門の人に分けて分析していただいたけれども、まだよく原因がわからないのですね。それはなぜかというと、全体を見て判断する人がいなくなったのです。専門化されたために、専門の人が診ていますと、今言った構造主義的ですか、全体を診る人がいないから、病人の理解ができないのです。ですから、私は、今の先生が言われたような構造主義的なことを中心として、その中に西洋医学的なものを持っていくという、逆に言うと発想の転換ですね。アメリカで言われているような統合医療とは違う発想の転換を、日本的な統合医療の中では持っていく必要があるのではないか。ですから、全体を診るのが恐らく漢方の本質ではないかと思いますが、そういう医学の中に細かい専門家を入れていくという格好については、先生には賛成でございます。
 そういうことでちょっと申し上げたい。ここに1つ資料が出ていますが、これは何かといいますと、今度、東日本大震災でいろいろな事件が起こったわけですが、そこで、医療にどういうぐあいに役立つかということで、実は、今言った漢方あるいは漢方薬、はり・きゅう、ヨガが非常に役立ったわけです。そういう意味で地域で統合医療センターをつくろうという提案が出ていますが、この中心は実は漢方の人たちが中心になってこれをデザインしているわけです。それが1点ですね。私は、日本独自の統合医療をやるにはどうしたらいいかというようなことでは、先生と意見は一致したということでいいのではないかと思っています。
〇寺澤参考人 ありがとうございます。
〇大島座長 ありがとうございました。
 ほかに、寺澤先生に御質問等はございますか。
〇伊藤構成員 先生、すばらしい御発表ありがとうございました。資料にも先生が書いておられますように、客観的な評価をどうしていくか。これは今後の課題だと思います。漢方に限らず、鍼灸にしても、ほかのものもみんなそうですけれども、漢方の領域で何か客観的な評価が恐らく新しいテクノロジーを導入することによって可能になるのではないかなという気はするのですけれども、何かそうしたアプローチはございますか。
〇寺澤参考人 要素還元主義を代表にしましたけれども、例えばプルトニウム解析が可能になってきて、容易にできるようになってきますと、出現するたんぱくのパターンが治療によってずっと改善、正常化することはとらえています。これもおもしろくて、一つひとつのシグナルがどういうたんぱく質でと、分子量だけはわかりますけれども、追求していったら、100年たっても結論は出ないのですが、ある種のパターンが消えていったり、出たりするというような評価も新しい手法としてはあります。
〇伊藤構成員 そうですね。鍼灸にしても、ファンクショナルfMRIを使って脳の活動を見るとか、それから、機能性食品も、先生おっしゃったように、プロテオミクスにしてもメタボロミクスにしても、いわゆるオミクスの技術を使えば、これは客観的に恐らく今までのブラックボックスであったところがわかってくるのではないかと考えます。
〇寺澤参考人 おっしゃるとおりです。
〇大島座長 ほかにいかがでしょうか。
 今までの評価法で頭に浮かぶとすると、すぐ数値ですが、その数値による評価法の限界を超えるものがあるという、その見通しというのか、方向性のようなものは幾つか考えられるのではないかというような理解でよろしいのでしょうか。
〇寺澤参考人 そうですね。
 ですから、QOLを評価する場合に、例えば自覚症状をとらえていくのは非常に難しいのですが、バス値というのがありますね。私は、治療前はこれくらい悪かったけれども、あるスケールでバッテン(×)をつけてもらうのですけれども、あんなものは実は絶対数値にはなり得ないのですが、その人の過去とある治療が介入した場合の前と後では確実に評価できるおもしろいアナログシステムですね。バス値と言って、ビジョアル・アナログ・スケールと言って、このくらい悪かったのがここまで行ったとか、そういうのもこれからの統合医療を論じる場合には、評価として、単に血液のデータとかそういうことだけでなく、もう少し主観的なものも評価していけるようにするといいのかなと、こんな気がいたします。
〇大島座長 いかがでしょう。
〇渥美参考人 実は学会としては、こういうデータを取ったり評価したりするためには、しっかりしたところでやらないといけないのではないかというわけで、九州大学、大阪大学、東北大学、3つを挙げまして、大学の中にこういうものをしっかりとするような拠点をつくりまして、そして、実際にはり・きゅうがどのようなところで役立つのか。どのような形で経済的にもプラスになるのかというようなことを評価するようなことをやらないといけないのではないかということで、実は拠点をいろいろと推進してきたわけですが、恐らく今の寺澤先生のそれもそうだと思いますし、こういうものを国がもう少し評価したり、実際にケーススタディをやるようなところの拠点をつくらなければいけないのではないかと私は考えているわけです。
 漢方と西洋医学はいわゆる体系が違いますので、同じように論じることができないところがたくさんあると思いますが、私は、漢方でないとできない分野が多分あるのではないかと思います。西洋医学ではできない、漢方ではできる。逆に、漢方ではだめで、西洋医学が得意なところ、こういうのをもうちょっとしっかりと棲み分けしていきながら、実際に漢方でないとできない分野を是非強調したいと私考えまして、そういうものから言うと、こういうものを実際に評価するような拠点、大学レベルのところをどうしてもやっていただかないと、こういう学会とか個人のレベルでは、なかなかデータが出ませんので、是非、国として、そういう評価基準も含めて実際のことをやっていただくようなことをお願いしたいと思っております。
〇大島座長 ほかはいかがでしょうか。
 渥美先生の頭の中では、相当いろいろなことが整理されて、前へ進んでいるので。
〇渡辺構成員 慶應大学の渡辺でございます。
 漢方の補足ですけれども、評価手法は、これから個別化医療に対応しなければいけないというのもありますが、とりあえず今の時点では、無作為比較試験、いわゆるRCTが一般的な評価手法になっておりますので、それに関するものは日本東洋医学会としては集めております。ホームページからアクセスできるのですけれども、現在345のRCTが構造抄録とともに和文と英文とありますhttp://www.jsom.or.jp/medical/ebm/index.html。英文の方はコクランのライブラリーに入っておりますので、そういった意味では日本からの発信を努力しております。
 それから、基礎医学的な要素還元論的な手法は、我々としては、勿論、将来的には打破しなければいけない部分はありますけれども、漢方薬自体は医療用として、1976年から大々的に日本国内では保険収載されていますので、基礎医学の分野では、英文・和文ともに蓄積された論文がかなりございます。先ほど寺澤先生が、漢方薬、生薬の中にもこんな成分ということでおっしゃられましたけれども、その要素還元的なアプローチ、勿論それだけではないのですけれども、要素還元的なアプローチの積み重ねというようなものも現在までには相当ございます。それだけ補足させていただきます。
〇大島座長 ありがとうございました。
 ほかに、寺澤先生に対する御質問等はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、残りの時間をフリーディスカッションということで、この会を一体どのようにしていったらいいのかとか、あるいは、こういう点は問題だろうというようなことも含めて、ご意見をいただきたいと思います。今日御参加いただいた構成員の皆さんからは少なくとも1回は必ず御発言をいただくというようなことでお願いをしたいと思います。
 まず、その話題提供という意味で、事務局から論点メモについてお話をお願いします。
〇知念補佐 では、事務局より今回の論点メモについて御説明させていただきます。資料5をごらんください。
 順に、今回御議論いただきたい内容について列挙させていただいております。
 まず、「『統合医療』を、どのような概念としてとらえるべきか。」次に、「『統合医療』について、現時点において、どの程度の科学的知見が得られていると言えるか。」次に、「『統合医療』の安全性・有効性等について、どのように評価したらよいか。」最後に、「『統合医療』を推進していくためには、どのような取組が必要か。」でございます。
 以上の点につきまして、御議論いただければと存じます。
〇大島座長 ありがとうございました。
 というようなことで、特に何かに的を絞ってというようには考えておりませんので、この点をもう少しきちんとやるべきではないか、あるいは、こういう方向に持っていくべきではないか。こういう点は明快にしてから進むべきではないかといったようなことも含めて御意見をいただければと思います。
 いかがでしょうか。
〇伊藤構成員 「統合医療」の定義とか概念を論じる前に、まず皆さんの認識を共有したいと思います。なぜ「統合医療」という言葉が叫ばれてきたかという中に、近代西洋医学は万能ではないという状況があり、渥美先生のご講演にもございましたように、それは今回の震災が良い例だったと思います。急性疾患は、確かに近代西洋医学の力は多大なものがありますけれども、がんを始めとする生活習慣病については、慢性疾患がほとんどですから、何らかの限界があるということ。それから、寺澤先生もおっしゃいましたけれども、近代西洋医学は細分化・専門化がどんどん進んでいって、全体を見失っている。そこで展開されている、部分的な医療は患者の視点からの全人的医療ではないと、そういうことがございます。それから、医療費がどんどんふくらんでいく中で、何らかの歯止めをかけなければならないという背景の中で「統合医療」が必然的に現れ、これから真摯に検討していかなければならない、そういう統合医療が現れてきた背景があることを共通の認識として持っていただければと思います。
〇大島座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
〇羽生田構成員 今お話を聴いて、非常に効能・効果が高いという評価が発表されたわけでございますけれども、厚労省もいろいろな「統合医療」のものを4ページに挙げておりますけれども、最後までまだ信用できない部分には、副作用あるいは医療事故につながっているものが現実あるのですね。ですから、その辺をいわゆる「統合医療」の安全性・有効性をどのように評価したらいいかということが非常に重要であって、安全性・有効性がきちんとした形で確立されなければ、自分は推進できない。推進するためには、この安全性・有効性は非常に大事であるということを特に私は、是非、真っ先に考えていただきたい。NCCAMIですと、まず安全性・有効性が第一に出ているような定義のつけ方ですね。ですから、十分効くものもあるけれども、危険なものもある。それから、先ほど言われたように、だれがだれに対してやるかというのは、今は、いわゆる国家資格ということで担保された人たちが、患者さんあるいは一般の方に対してやっているという、そこら辺も非常に重要なところで、それが結果としての安全性にもつながるもので、そういったものをどこで担保していくというところも考えていかなければいけないのではないかと思っております。
〇大島座長 ありがとうございました。非常に重要な指摘だと思います。
 いかがでしょう。
〇伊藤構成員 我々も臨床試験という形でいろいろなCAMの手法を導入してやっております。通常、薬の臨床試験と同じように、フェーズ1、フェーズ2という形でやっていく必要があり、我々も具体的に言いますと、大規模災害の臨床試験では、もう3年以上たった症状の固定した方に対して鍼灸、アロマ、それから、カウンセリングが安全に行えるかどうかということをまず確認した上で次のステップというように行っております。すべてがそうではないかもわかりませんけれども、アカデミアの中におりまして、そういうステップを着実に踏んでいかないと最終的なゴールには到達しないと認識しております。
〇大島座長 いかがでしょう。
 一覧表に出てきた、いわゆる「統合医療」と言われるものについて、今の国の中での扱いは、どうなっていますか。その点について簡単に説明をしていただければと思います。
〇佐々木調整官 参考資料で、厚生労働科学研究事業を示してございますけれども、冒頭の説明の中で申し上げましたように、省内のプロジェクトチームの中でも、「統合医療」についてはいろいろなものがありますと。言い方は悪いですが、玉石混淆、玉もあれば石もあるという中で、先ほど来お話に出ています安全性・有効性について科学的知見を積極的に集めていこうと、そのような方針が確認されたことを踏まえまして、最近の年度でございますけれども、今、研究事業を進めている、そういう位置づけとなってございます。
〇大島座長 ありがとうございました。
 しかし、実態として、薬などは物すごく厳しいですね。薬は非常に厳しい臨床試験や、薬事も通らなければいけない。片一方で、例えばテレビのコマーシャルの中に出てくるようなものもありますね。ああいったものも広い意味で「統合医療」の対象になると考えたときに、実際には、規制とか評価とかというようなものはないのではないかと理解をしています。あるいは、その中間のようなところで、特定保健食品といったようなものがありますね。多分、幾つかの段階のものが実態としてあるのではないかと思うのですけれども、その辺について簡単にこういう実態にあるということを説明していただければと思います。
〇木村参事官 では、事務局から簡単に説明させていただきますが、今、特に座長さんからお話があったのは、いわゆる健康食品のような概念のものではないかと思いますので、これを例に取りましてお話し申し上げたいと思います。
 世の中にいろいろといわゆる健康食品と言われるものが非常に多数出回っていることも事実でございますけれども、その中で、効能・効果がはっきりとあるものについては、これは薬事法でまずは判断されるということで、いわゆる薬品としての扱いの審査になろうかと思います。一方、それ以外については食品でございますけれども、その食品の中でも、今話がございましたように、保健機能食品という一つのジャンルがございまして、その中でもより詳しく分けますと、特定保健栄養食品と、それから、栄養機能食品と、いわゆるビタミン剤とか、そういうふうな一群のものがございます。これらにつきましては、今現在、身体の機能に一定の影響があるようなものについて審査の対象に、特に、特定保健栄養食品については、特別の審査がございまして。これは今、平成21年9月から消費者庁に厚生労働省から権限が移っておりまして、消費者庁さんで審査を行われますけれども、保健機能食品という一群がございます。それ以外に該当するものについては、食品でございまして、法的には何も位置づけはございませんけれども、そこらについてのいわゆる健康食品といった一群のいろいろと報道などがされているようなものがあると、そのような法律改定でございまして、食品については、有効性はどちらでもないようですけれども、安全性については、人体に影響を及ぼさないようにということで、食品衛生法上で規定されていると、そんなような法律体系になっているところでございます。
〇大島座長 ありがとうございました。
 というような全体の今の状況。非常に厳しいものから、安全性についてはある一定の評価をしているもの。そして、食品に非常に近いものという、そういったものに関しては、今のところは特に規制とか評価、審査はないと、こういう状況にあるということです。
 いかがでしょうか。
〇梅垣構成員 今、特保とかの話があったのですけれども、特保とか、栄養機能食品は、あくまでも食品で、消費者の人が、自分で何かをするというものです。だれが何かを行うかという、その「だれか」というときに、食品の場合は、消費者自らです。そういう場合に一番問題になるのは、いい情報しか流れないのです。例えばテレビのコマーシャルを見ていると、いいことばかりアピールされている。有害な影響を受けた人も中にはいるという情報が出ていっていないという、そういう問題があります。医療関係者が、例えば患者さんに何かアドバイスをして使っていれば、問題が起こったときにすぐ対応ができるのですけれども、食品は手軽にだれでも使えるものです。そのときに何か有害な事象が起こっていてもわからない状態でどんどん症状が進んでいく。結局、患者さんがまともな医療にアクセスできないという問題が現状ではある。それがいわゆる健康食品とかの抱えている問題です。根本的に、食品はだれでも使えるものです。でも、今のお話の中の医療の場合は、専門職が何かをするのだったら、考え方は多分違うと思います。その部分を区別した方が、私はいいと思います。
〇大島座長 いかがでしょう。
 最初に、丸井先生から、だれがだれにということが非常に重要だとおっしゃられました。今のお話もそうですけれども、有害事象というのか、いわゆる安全性の問題を軽視すると、国民にとって非常にマイナスになることもあり得る。このように考えると「統合医療」というものを議論する場合にはここで線を引いてしまえというような考え方も出てくるわけですね。医療と言う限りは、ある一定の安全性・有効性の担保は必要だという、そういう物の考え方があっても不思議ではないということも言えるわけですね。
 いかがでしょう。
〇伊藤構成員 サプリメントに関しての話ですが、消費者側から見ると、サプリメントは錠剤であったり、カプセルであったり、食品というイメージがないですね。そして、薬と誤解してしまうというか、そういう感覚で飲んでしまう可能性がございます。今、サプリメントを規制する法律は食品衛生法しかないわけで、これは欧米では、安全性が担保されてちゃんと飲んでいただくことができるというものは、別のDSHEA法(健康・栄養補助食品教育法)という法律がございまして、そういう法律で担保されないといろいろな問題がこれから生じてくると思うのですね。多くの方は、生活習慣病ですから、何らかのお薬を飲んでおられて、薬との相互作用もいろいろな有害事象を起こし得るものですから、その辺も含めた情報発信を消費者に正確に伝える必要があるわけですね。従って、安全性、有効性が示されたものを格上げして、そして、それが法律で担保されるというような形をとる。これがこれから必要になってくると思っております。
〇大島座長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘ですけれども、何だかだんだん危ないところへ足を踏み込んでいる感じがしないでもないです。
 いかがでしょう。
〇丸井構成員 議論として、非常に難しいところに入りかけていると思います。例えば、先ほどのようにリストが挙がっているものでも、同じことをしても、現在でも、例えばいろいろな温熱療法などでも、整形外科のお医者さんがやれば医療だけれども、そうでない方がやると医療とは認めないということがおこります。先ほど「だれが」ということをお話ししましたけれども、だれがだれに対して、どこで、どういう状況で行うかということです。医療かそうでないかが決まってきているということで、先ほどの座長のお話のように、医療とは何かというところに戻ってしまうと確かに思います。
 また、「統合医療」というところにサプリメントあるいは食品の話を入れてくると、あるいは、安全性という話を食品などで考えていくと、私は食物アレルギーのことにここ何年かかかわっておりますけれども、食物アレルギーなどの場合には、食物は安全なものですけれども、たまたまそれでアレルギーを起こす方に当たると、それは大きい危害を与えるという種類のもので、食べ物それ自体がいいか悪いかという議論ではないのですね。そういう意味で、先ほどの寺澤先生のお話のように、特定のものを悪者にしても始まらない。あるいは、特定のいわゆる何とか療法がいいか悪いかというだけでなくて、それがたまたまいい、効く方に当たるか、それが害になる方に当たるかということもあります。その療法自体がよいか悪いかという、悪者にするか、論じるのではなく、食べ物の場合のように、不特定多数の方に行き渡るようなものの場合には、だれがそれを使うかというところで結果が変わってくることになります。安全性あるいは害があることが起きてくるのが、食物アレルギーのときに象徴的にあらわれていると思うのですね。ですから、何かを善・悪、悪者にするというだけでは済まないのです。それを一定の、例えば先ほど来のお話のように、専門家が管理できる場所で行う限りにおいては、安全性を要求できるけれども、そうでない場面では、それはできないというようなことになってくることも起きてきます。物あるいは方法を白か黒か、いいか悪いかというふうな分け方はできなくて、そういう意味では寺澤先生のお話のように、全体システムの中でどう考えるかということまで立ち戻らないといけないと思います。さらに、ある意味では「統合医療」というときに、一つの方法は、場面を限定して、専門家がある一定の場所で行うものについては、コントロール可能かもしれないと、そういうところに戻る必要があるかもしれません。医療とは何かというようなところにも戻りますけれども、そんなことを思います。
〇大島座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょう。
〇広井構成員 今の点にも関連して、少し基本論になってしまうのですが、私は科学史あるいは科学哲学を学部のときに専攻しておりましたので、今日ずっと話題になっております科学とは何かというテーマにずっと関心を持ってまいりました。「統合医療」の議論を通じて一つ問われているのは、今日ずっと出てまいりました科学あるいは近代科学というものをどうとらえるかということで、今日、寺澤先生のお話でも、要素還元主義ということが出てきたのですが、最近の科学の方向性が、むしろ、そういう従来型の近代科学を超えるような方向がいろいろな分野で出てきていると思うのですね。以前から、物理などの分野で複雑系ということはずっと言われてきていますし、最近は脳の研究でソーシャルブレーンというようなことで社会的な関係性みたいなことを重視するとか、社会疫学、これは公衆衛生の関連の分野で、病気が社会的な要因によって生まれているとか、そういった見解が出てきています。したがって、渥美先生が既におっしゃられたことですけれども、西洋医学と「統合医療」を必ずしも対立的にとらえる必要はなく、むしろ、ある意味で新しい科学のあり方なり、医療のあり方といいますか、そういうものを提起し、つくっていくといいますか、そういう視点で考えていっていいのではないかというのが1点でございます。既に出てきた議論だとも思います。
 それから、もう一点は、アジアという視点が重要ではないかと思っていまして、寺澤先生のお話の中でも、中国が最近積極的にこうした分野で動いていると。私、3年ぐらい前まで、厚労省の研究費で各国の「統合医療」に関する政策がどういうふうになっているのかというのを少し調べる調査に参加したことがあって、その中で、中国や韓国を訪問して調査したりもしました。皆さんはもうご存じかと思いますが、中国や韓国は、以前から、東洋医学の医師を西洋医学と同等に制度の中で位置づけて、それ以外も含めて、かなり積極的にいろいろな政策を展開して、特に中国などは、それをかなり国際的なところで発信しようとしている。中国の存在感はいろいろな形でこれから大きくなっていきますので、そういった視点、つまりアジア諸国の動向とかそういったことも視野に入れてこのテーマを考えていくとよいのではないかということで、ちょっと一般論になりますけれども、発言させていただきました。
〇大島座長 ありがとうございました。非常に大きな意味での方向性の提示をしていただきました。
 いかがでしょうか。
〇渡辺構成員 広井先生ありがとうございました。
 「統合医療」を欧米型ではなく、アジア型のものをつくることは、私も大賛成ですね。アジアにしかできない、もしくは日本にしかできないものがあると思っています。今、広井先生からお話があったように、中国は衛生部(厚生省)というものの中に、伝統医学の部門がありまして、70名の方が働いている。そのうちの10名が国際化を推進しているということで、非常に活発ですけれども、いつできたかというと、実は開放政策後なんですね。たかだか歴史的には20年ちょっとという中で、今、市場規模が10兆円を超えています。産業として非常に魅力があるということで政府が動いているのですけれども、戦略的に、国際的にも中医学を、医薬を売るためのソフトに中医学という学問そのものを一緒にして売るというような政策をとっております。我々も福井次矢先生の前の年に、黒岩祐治先生を班長として、「漢方・鍼灸を活用した日本型医療の創生のための調査研究」http://kampo.tr-networks.org/sr2009/という特別研究をやらせていただいたのですけれども、この結論は、中国脅威論は間違っている。中国は国として当たり前のことをやっているのであって、日本がもう少し戦略的にやるべきだという結論になりました。ですから、日本の伝統医学の扱い方、日本型の「統合医療」のあり型をお考えいただければ大変ありがたいなと思っております。
〇大島座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
〇門田構成員 私自身もお話を聴きながら、非常に難しいというのか、聴いていくと、哲学と西洋医学の間のような話で、これはなかなか理解しにくい。理解しにくいだけでなく、これから、この会がどう展開していくかということを考えていくと、余り難しく考えていきだすと、解決策というか、目的のところに到達しにくくなるのではないか。だから、もう少しスタートの段階で、例えば渥美先生もはっきりおっしゃられたように評価できるものにしぼるという方向性に行くのか、評価できなくても「統合医療」としては意味があるというのか、その辺りを分けて進むべき方向性を決めていった方が、何がしの結論に近づくのではないかなという感じです。第1回目にして、もう既にそんな感じを受けたのです。
〇大島座長 いかがでしょう。
〇渥美参考人 これは非常に難しく考えると泥沼に入ると思うのですね。ですから、最初に座長が言われたように、ある程度のところで定義、範囲を決めて、それでスタートしていって、そして、実際の必要なデータを集める、評価基準をつくるということをやられたらいいのではないか。ですから、定義はこの程度にするとか、範囲はこの程度にするとか、ここまで入れるとか、例えば日本でははり・きゅう、あんま・マッサージ、柔整は認められているわけですから、これをまず中心としてやっていくとか、そういうような形で具体的にスタートしていくうちに、いろいろと積み重ねてくると、私はそういうぐあいに考えているわけです。
 アメリカのような国がなぜこれを始めたかといいますと、3つなんですね。1つは、国民のニーズで、もう西洋医学だけでは限界があるので、それ以外のものをやってみたらどうだという、この多様な選択を希望すると。これが1つですね。それから、2番目は、これからの医療は、治療から予防に行かなくてはいけないのではないか。それから、3番目は、医療費がとても大変なので、何とかして医療費を節減すると。この3つの方向だったのですね。これは日本でも当てはまると私は思うんですね。ですから、まず、やるべきところからやっていただいて、近代医学ではできなかったものを一体どういうぐあいにして相補・代替、補っていくのかということが「統合医療」ですから、そういう基本に基づいて、ある程度の範囲と定義を決めていただいて、それで、ガイドラインをつくられて、私たちも、玉石混淆で石が多いのは感じていますので、何とかしてこれを排斥したいと考えておりますので、こういうガイドラインを是非つくっていただくという形でまずは進んでいただいたらいかがかと私は考えております。
〇大島座長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
〇羽生田構成員 私が申し上げたのを誤解されると困るのですけれども、「統合医療」を否定しているものではございませんので、それは御理解いただきたいと思います。
 渥美先生の資料の13ページに5分類がありますけれども、今、いわゆる臨床家という、患者さんを診ている方々は、近代医学で検査あるいは治療に薬を使う、手術をすることは勿論あるわけですけれども、特に薬の場合に、患者さんを診ているときに一番使う療法は、いわゆるムンテラというものですね。これが入ってないのは非常に残念ですけれども、これは臨床家としては必ず使う。同じ薬を出しても効く・効かないは、ムンテラで違ってくることも当然あるわけですね。ですから、そういう意味では「統合医療」の中に入れてもいいくらいのものだと。いわゆる近代医学をやっている臨床家と言われる方々も、既にその辺も、自分が話したことをどう相手が受け取って、どう変化していくのかというのを見ながらね。体系的にはできていませんけれども、一人ひとりの患者さんを診たときに、常にそれを考えながらやるムンテラというものをしているわけですね。ですから、そういったことを含めて「統合医療」を私は全く否定するものでもないし、そういったいわゆる近代医学と東洋医学と、そういったものとの融合といいますか、両方がうまく融合していくことは、当然、これからはよけい必要であると思っておりますので、その辺の評価、あるいは安全性という点についても、いろいろな方々がいろいろなことをやっているわけですから、それぞれの評価は出てくるであろうと私も期待をしているところでございます。
〇大島座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
〇梅垣構成員 やはりだれがやるかというのは非常にひっかかるのですね。例えば科学的な根拠がある・ないということで、再現性がないとサイエンスではないと思います。再現性があるかどうかというのを、経験でもいいのですけれども、しっかり検証できるというものがなければ、何かはっきりしない、もやっとしたものになると思います。いろいろな人が何かをやると、だんだん広がっていって、結局、収拾がつかなくなってしまう。あるいい現象を見つけても、変な現象が出てきて、それがちゃんと検証されてないものであれば、全体がわからなくなってしまうと思います。ですから、結局、「統合医療」はだれがやるか。医療関係者とかそういうしっかりした人がやるという前提で進めていくのか。もっと幅を広げてやるのかというのを明確にしないと、全体が何かぼやっとしてよくわからなくなってくるように思います。
〇大島座長 今、再現性がなければサイエンスではない、科学ではないという言葉が出ました。それから、評価できるものとできないものの区別をして、きちんと分けていくというお話がありました。次には、現時点で認められている方法で評価できないものをどうするのかという話になってきます。先ほど構造主義というお話を寺澤先生がされましたけれども、私などは言葉では理解できるのですが、では、具体的にどうするのかという話になるとうまくイメージできません。今までやってきたサイエンスの手法ばかりが頭の中に浮かんできてしまう。従って、評価できるものを考えると従来の科学的な手法が頭に浮かび、そこで区別すると、今までの枠組みからどのぐらい拡大できるかと考えても相当限られたものになってきます。最初にいわゆる効果があるとか、あるいは自分でいいと思って選択するものはすべて「統合医療」の対象になるとどうなるのでしょうか。しゃべりながら、一体何を言いたいのかわからなくなってくるのですが、どの辺りに的を絞っていったらいいのかですね。
〇渡辺構成員 再現性という言葉の定義だと思うのですけれども、集団としての再現性なのか、それとも個人個人における再現性なのか。要するに、ある人にある事象が起こった場合に、もう一回同じことをやったらば同じことが起こるという再現性もあると思うのですね。そういった意味においては、個別化医療の時代にだんだん入ってくるだろうと思います。特に遺伝子が簡単に調べられる時代に入ってきますので、そうすると、今までのようにRCTで集団のエビデンスを出すというよりは、個人個人に合わせたオーダーメイドのエビデンスになってくるだろうと考えるわけです。まさに「統合医療」というキーワードを考えた場合に、RCTは必ずしもうまくいかないのですね。先ほどNCIのお話が出ましたけれども、NCIでも、RCTをあきらめたのは相当前で、今は、ベストケースとか、ケースレポートをやっています。イギリスなどはナラティブ・ベイスト・メディスンという形で今はやっていますし、RCTという手法にするのか、それとも個別化的な評価の手法にするのかということは大きな分かれ道になるかと思います。
〇伊藤構成員 評価をする場合に、エビデンスのレベルはいろいろな段階があってもいいと思うのですね。これは西洋医学の中でも、エビデンス・レベルの高いものから低いものまで棲み分けしておりますように、方法論はどういう方法論であれ、エビデンスの評価としては、非常に有効であるというようなものは、これは将来的には保険の方に収載するような方向に持っていくでしょうし、中間的なものであれば、それは患者さんの選択肢に任せていく。あるいは、有害なものは確実に排除していくという、その辺の棲み分けを、評価システムを確立してやっていかなければならないのではないかなと思います。
〇大島座長 ありがとうございました。
 エビデンス・レベルに様々なものがあるのは勿論よくわかっているので、例えば臨床でいけば、事例報告から始まって、事例報告をどれだけ積み上げればという議論は一方ではあるにしても、それが再現性とか普遍性というところまで持っていこうと思うといわゆるコクランのエビデンス・レベルでいけば、多分、最も低い評価しかされないということになりますね。
 というようなことを考えると、従来の評価手法とは違った方法が求められるだろうということにならざるを得ないのですが、ということで、予定の時間まで来てしまいました。多分こんなところで最初のところは終わるのだろうと予測しておりましたが、全く予測どおりで、次の展開をどうするのかをいろいろ考えながら、右へ行ったり、左へ行ったりしながら行くしかないのかなと思っていますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
なぜ、この委員会が設けられたのかを考えてみますと、基本的には、現実にサプリメントも含めて、健康食品、漢方は勿論ですけれども、そういったいわゆる「統合医療」と全世界的には言われているものが非常に広がっている。しかも、どんどん広がっていて、そして、医療界の中でも、従来のいわゆる医学モデルという単一疾患を対象とした臓器中心に治療を目指すという疾患モデルから、高齢者が増えて、老化に慢性病が加わってというような非常に複雑な病態になってきて、これまでの医学モデルだけでは対処ができない。いわゆる科学だけでは対処ができないことが非常に広く実感できるような状況になってきたという背景があるかと思います。
一方で、国というレベルで考えていくと、何か健康障害が起こったときに、それはあなたが勝手に選んでやったんだから、そんなことはあなたの問題でしょうというふうに言い切ってしまっていいのかどうかというような問題が多分これから頻発してくるだろうし、もうすでにそういった問題も起こってきている。そうすると、国民の健康を国として守らなければいけないと考えると、現実的な問題として、どこまで介入をしたらいいのかという問題が出てきます。効果の面よりも、マイナス面での問題が無視できない問題になってくるだろうという現実があるのかと思います。こうした中で、鳩山首相が「統合医療」を民主党の政策として取り上げると公言して、民主党の政策の中にもはっきりと打ち出されているという背景があります。
と、今のような検討会が設けられたのは、ある時代の大きな必然的な流れなのかなと思います。この流れを次にどうやって展開させていくのかというのがこの検討会に求められている役割で、個人的には、これは相当頭が痛い感じがしますが、こういった背景を十分に御理解していただいて、何回かかるかわかりませんが、改めてよろしくお願い申し上げたいと思います。
最後に、次回のあり方等について、事務局からお願いします。
〇佐々木調整官 次回の開催日時・場所につきましては、調整の上、追って御連絡申し上げます。
〇大谷医政局長 医政局長の大谷でございます。国会の都合で遅参をいたしまして、大変失礼いたしました。
あいさつは、先に、木村参事官から申し上げましたけれども、遅れてきて、ちょっと拝聴しただけでも、この問題の難しさはよく感じられるわけでありまして、大変難しい、深遠なテーマになるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
〇大島座長 ということで、最後に、局長からもごあいさつをいただきまして、第1回目はこれで終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課 (内2513、2520)

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