ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会)> 第4回社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会議事録




2012年2月2日 第4回 社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会議事録

年金局

○日時

平成24年2月2日(木)14:00~16:00 


○場所

厚生労働省9階 省議室(公園側) 東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

吉野 直行 (委員長)
植田 和男 (委員)
小塩 隆士 (委員)
小野 正昭 (委員)
川北 英隆 (委員)
駒村 康平 (委員)
西沢 和彦 (委員)
山田 篤裕 (委員)
米澤 康博 (委員)

○議題

(1)新しい人口推計の結果について
(2)最近の経済の動向について
(3)年金積立金の運用について
(4)その他

○議事

○吉野委員長 ただいまから「第4回年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」を開催させていただきたいと思います。
 今日は、まだお三方、御到着ではありませんけれども、武田委員のみが御欠席ということでございますので、あとの委員の方々もしばらくすれば来られると思いますので、これから議事に入らせていただきたいと思います。
 それでは、カメラの方、撮られたら御退席をお願いしたいと思います。
 事務局から、まず資料の確認の方を進めていただきたいと思います。
○原口大臣官房参事官 それでは、私の方から資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料でございますけれども、「次第」、それから「座席図」がございます。「座席図」につきましては、事務局側、大臣官房審議官は、本日、所用により失礼させていただきまして、若干、席の順が変わっております。
 それから、「名簿」がございまして、資料1「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」。
 それから、資料2-1「内閣府『経済財政の中長期試算』について」。
 資料2-2「経済財政の中長期試算」、本体でございます。
 資料3「専門委員会での積立金運用に関する主な意見の整理」(未定稿)。
 それから、参考資料1「独立行政法人の制度・組織改革のイメージ」。
 それから、参考資料2「独立行政法人の制度及び組織見直しの基本方針」の抜粋でございます。
 参考資料3、独立行政法人の制度及び組織見直しについて、「独立行政法人改革に関する分科会」のものでございます。
 皆様、お手元にございますでしょうか。欠落がございましたらば、事務局の方にお伝えください。
○吉野委員長 ありがとうございました。
 今日は、議題としては2つございまして、1つは、新しい人口推計の結果が出ましたので、それについて、まず御報告いただいて、それから最近の経済の動向につきましては、内閣府の経済財政の中長期試算について、2つ説明していただいて、それぞれにつきまして皆様から御質問あるいは御議論いただきたいと思っております。
 それでは、まず最初の議題でありますが、「新しい人口推計の結果について」、事務局から説明をお願いいたします。
○安部数理課長 それでは、まず資料1に基づきまして、先般、公表されました日本の将来推計人口について御説明申し上げます。
 この委員会、年金財政の財政検証を次回行う前提としての経済前提を御議論、御検討いただくことが一つの目的でございますけれども、それらを今後、定量的に御議論していただく際の一番基本的な資料の一つとなります将来推計人口の新しい推計が今週公表されました。本日は、それをまず内容を御説明申し上げまして、さまざまな面から意見交換をお願いできればと考えているのが1つ目の議題でございます。
 資料でございますけれども、文章で説明してある部分、また表なども載せてありますけれども、要約としてまとめた資料というのが11ページ、12ページにございます。基本的には、これに基づきまして概略を御説明いたしたいと考えております。11ページに推計をされた結果の要約ということが示されておりまして、次の12ページには、推計方法、どのようにして推計し、どういうふうな仮定を置いたのかということが示されております。
 順番は若干前後しますけれども、どういう前提を置いて推計したのかということをまず御説明して、その結果がこうなったと御説明した方がよろしいかと思いますので、まず12ページの方をごらんいただきたいと思います。
 将来人口を推計するに当たりましては、最も基本的な前提と言いますと、まず出生がどうなるのか、そして死亡が今後どういうふうに推移していくのか、この2つが一番大きな要因でございます。更にそれに加えて、近年は国際人口移動というものも無視できなくなっているということで、これを仮定する。この3つの要素によって、将来人口の推計というものが行われているわけでございます。
 まず、出生の仮定の要約ということで、(1)でございます。基本的には、将来推計人口、いわゆるコーホート要因法と呼ばれておりますがる、世代ごとにグループ分けをいたしまして、それらのコーホートごとにどうなっていくのかということを推計するわけです。この出生仮定の要約ということで表として載せてありますのは、基本となるコーホートとして、今回は1995年生まれを参照コーホートに設定いたしまして、それらについてどのような仮定を置いたのかという形で、この表は作成されているところでございます。
 従来から、出生、死亡もそうですけれども、一通りではありませんで、基本的なケースということで中位の仮定を置いた上で、それよりも高いケース、低いケースという3通りで行われておりますけれども、今回につきましても中位、高位、低位という3通りの仮定を設定して推計が行われているところでございます。
 出生につきましては、それを規定する主な要因として4つのファクターがを設定されているところでございます。まず、(1)としまして平均初婚年齢、(2)としまして生涯未婚率、(3)夫婦完結出生児数、(4)として再婚効果といったものがを設定されているわけでございます。それぞれごとに中位、高位、低位をどのようにして設定していったのか。特にごらんいただきたいのは、前提のところの仮定という欄が1995年生まれの世代、参照コーホートとして設定されたコーホートについて、どのように仮定を置いたのかという数字でございます。
 そして、その右側に合計特殊出生率とありますのは、そのように設定した結果として、将来の合計特殊出生率がどのように今後推移していくと見込んだのかという数字を表示しております欄でございます。
 そして、比較のための参考といたしまして、一番右側の欄にありますのは、5年前に行われた平成18年12月推計では、それぞれ合計特殊出生率をどのように見込んでいたのかというふうに表示されているところでございます。
 まず、中位の仮定の欄をごらんいただきたいと思います。
 4つのファクター、それぞれごとに見ますと、平均初婚年齢につきましては現在の実績ということで、1960年生まれの世代というのが設定されておりますけれども、現在25.7歳というものが28.2歳に上昇していくと仮定されております。また、生涯未婚率でございますけれども、現在9.4%というものが順次上昇していきまして、20.1%まで上昇すると仮定されています。また、夫婦完結出生児数につきましては、現在の2.07が、こちらの方は減少いたしまして、1.74人。また、再婚効果につきましては、0.962が0.938と設定されているところでございます。
 ちなみに、比較のためということで、資料にはございません。ちょっと口頭で申し上げますけれども、前回、5年前の18年12月推計の際に、それぞれの4つの仮定がどのような数字になっていたかでございます。前回は、参照コーホートとしまして、今回より5歳若い1990年生まれの世代が設定されていました。
 これにつきましての数字ですけれども、平均初婚年齢は同じでございまして28.2歳。生涯未婚率が前回は23.5%と見込まれていましたが、それが今回、20.1%になっております。また、夫婦完結出生児数ですけれども、前回は1.70人、それが今回は1.74人になっている。再婚効果は、前回が0.925でありましたが、0.938となっているということで、平均初婚年齢は前回と同じ数字でございますけれども、生涯未婚率が前回よりも低くなっている。その一方で、夫婦完結出生児数については、前回より少し高くなっているという前提の変化というものがございます。
 その結果といたしまして、最終的な合計特殊出生率につきましては、前回は一番右側の欄にございますが、2055年段階で1.26という数字が推計の仮定として置かれておりましたけれども、今回は0.09ほど上昇いたしまして、2060年段階で1.35になるという見込みが今回、設定されてございます。以下の高位、低位、それぞれにつきましても、数字は違いますけれども、ごらんいただいているような数字が設定されております。
 ちなみに、変化しております生涯未婚率、夫婦完結出生児数の数字だけ御参考までに申し上げますと、高位の場合の生涯未婚率というのは、前回は17.9%でございましたが、それが14.7になっている。一方、夫婦完結出生児数につきましては、前回も1.91ですから、ここは変化しておりません。
 また、低位につきましては、生涯未婚率、前回は27.0でございましたが、今回が26.2。また、夫婦関係出生児数は1.52が1.57という前回推計との比較でございますけれども、そのように仮定が変わっているところでございます。
 高位の場合につきましても、低位の場合につきましても、前回の最終的な合計特殊出生率の数字に比較しますと、0.05から0.06ぐらい高くなっているというのが今回の出生の仮定でございます。
 一方、(2)で死亡仮定の要約を示しております。
 実際には、死亡の仮定としましては、将来の生命表、年齢別の死亡率というのを細かく設定するわけですけれども、それらをすべて要約する指標ということで、ここでは平均寿命を代表的な指標として、それがどのように設定されていて、前回とどれぐらい違っているかということを表に示しているところでございます。
 この表で表示設定しておりますのは死亡中位の場合でございます。死亡につきましても、高位、低位と3ケース設定しておりますけれども、中位の場合で申しますと、男性は最終的に2060年段階で84.19年まで延びていく。そして、女性につきましては90.93年まで延びていくという仮定が置かれております。参考として、一番右に5年前の推計がございますけれども、前回は男性が83.67、女性90.34でございましたので、0.5とか0.6年ぐらい、前回に比べますと平均寿命がそれぞれ延びているという結果となっております。
 最後に、国際人口移動の仮定でございますけれども、これは基本的には直近の5年間の実績をベースとして、その直近の平均値を一定という仮定で置いているのが基本的な考え方でございます。
 以上のような推計の際の出生、死亡、国際人口移動の仮定を置いた上で推計した結果というのが、1枚戻っていただきまして、11ページでございます。
 基本的な前提の変化というのは、先ほど申し上げましたように、出生率、合計特殊出生率につきましては、5年前の推計に比べますと上方修正されている。また、平均寿命につきましても、前回推計に比べますと、若干ではございますけれども、延びている。そういうふうな前提の変化というのがあるわけです。その結果といたしまして、総人口、年齢階級別に見た場合の0~14、15~64、65歳以上の人口がどういう推計結果になり、そしてそれが5年前の18年12月推計とどのように違っているかということがまとめられた表でございます。
 まず、総人口でございますけれども、基本的な推計の結果といたしましては、前回は2055年まで、今回は5年延びまして2060年までということで表示されております。比較のために、2055年のところを横にごらんいただくと、前回の推計との変化というものが見て取れるかと思います。2055年段階で、前回5年前の推計ですと8,993万人と見込まれていたわけですけれども、それが今回の推計では9,193万人ということで、若干ではありますけれども、総人口というものが上方修正されております。これは、合計特殊出生率、出生の仮定が上方に修正されている効果がここに出てきていると考えられます。
 そして、その出生率の変化が最も強く影響しておりますが、その下の0~14歳の人口でございます。同じく2055年段階で見てみますと、前回が752万人でしたのが861万人ということで、約100万人強、年少人口見込みというのが増えている結果でございます。
 また、その効果というのは、生産年齢人口にも及んでおりまして、同じく2055年段階で見ますと、前回が4,595万人でしたが、4,706万人ということで、こちらの方も増えています。
 一番下が65歳以上人口でございますが、こちらの方を2055年段階で見ますと、3,646万人でしたのが、3,626万人、ほぼ横ばいですが、逆にここは若干減っている結果になっております。この老年人口が若干ですけれども、減っているというのは、特に出生と死亡の前提だけを考えますと、出生率というのは上方修正され、そして平均寿命は延びているということですから、ここは少し増えてもいいのではないかという感じがしますが、逆に減っているという結果になっております。
 これに関しては、どうもここは国際人口移動の仮定が、前回に比べますと、より日本国外へ出る人の割合が多くなっているという仮定になっております。そのために、前回に比べますと、65歳になる前の段階で、もしくは65歳以上になってからもあるのかもしれませんけれども、海外へ移動する人が増える見込みになっていることもありまして、若干ですけれども、2055年段階での老年人口というものが前回の推計に比べて減る結果になっているとのことです伺っております。
 以上が今週、公表されました、新しい日本の将来推計人口の概略の、簡単でございますけれども、御説明でございます。よろしくお願いいたします。
○吉野委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から、ただいまの推計に関しまして御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、私から2つ、人口の専門ではないのですけれども、先ほどの12ページで、再婚率とか離別率がどの推計も実際よりも少し少ないように思うのですけれども、これはどのぐらい人口予測に影響するかがわかれば、ひとつ教えていただきたいことと。
 それから、国際人口移動については、今後、もし構造変化が起こるとすれば、もっと大きく変わることもあると思いますが、海外に移動された方々も、年金の受給という意味では変わらないような気がするのです。そうだとすると、先ほどの全体の高齢者の人口のところに、海外に移った人たちの部分も日本人の場合、入れてこられているのかどうか、2点お聞きしたいと思います。
○安部数理課長 まず、再婚効果のところでございますが、この数字としては、実績に比べますと減少しております。特に、定量的に評価したということはないのですけれども、この部分についての効果というのは、出生や死亡に比べればそんなに大きなものではないだろうと考えております。
 それと、国際人口移動の関係でございますけれども、これもどのタイミングで移動されるかということに関係してくるかと思います。比較的若い段階で海外に出られて、それもいろいろなパターンはあるわけです。そのままずっと向こうにいらっしゃる場合には、日本の年金制度とかなり離れてしまいますけれども、日本にずっとおられて、年金をもらう前後のところで海外へ出られたりすると、これは日本の年金制度にも関連してくるものでございます。
 財政計算上の将来の給付の推計と言いますものは、過去の加入した履歴のデータを持っておりまして、そこから推計いたしますので、そういった方々にも年金というのは出ていくという前提で推計というのは行っております。
○吉野委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では、川北委員、どうぞ。
○川北委員 素人的な質問なのですけれども、1つは前回の推計に比べまして、生涯未婚率、それから夫婦完結出生児数が人口が増える方向に変わっていると思うのですけれども、この背景みたいなものがわかりましたらお教えいただきたい。
 それから、これは50年を推計しているのですけれども、その過去の推計の実績というのですか、将来、20年後とか30年後、どの程度確度の高い予想になっているのか。人口ですので、そんなに大きく外れることはないように思うのですけれども、逆に言うと、50年ぐらい先の数字というのは、どの程度当てになると言うと変な言い方ですけれども、確度の高い推計になっているのか、その辺り、わかりましたらお教えいただきたいのです。
○安部数理課長 まず、1番目の御質問でございますけれども、前回、5年前に行われたときの出生率の仮定設定のときに使われました実績値と言いますものは、出生率が史上最低となった平成17年の状況というのが最新データで推計が行われていたわけであります。そのため、当時、結婚と出生のプロセスの真っただ中におられた世代の最終的な出生子ども数というものが、どうしても前回推計では低目に設定されておりました。
 ただ、現時点で過去を振り返ってみますと、平成17年の翌年の18年から、こういった世代が先延ばしにしていた結婚・出生を取り戻す形で出生率が上昇を示して、その結果、最終的な出生子ども数というものを、前回推計の際に仮定された値よりもやや高くなる可能性が高まったと社人研の方では見ております。そのため、今回の推計で出生率の仮定というのがやや高い推移という設定になったという事情であると伺っております。
 また、この将来人口推計がどの程度実績と見込みとで乖離する可能性があるかですが、死亡の方は見込みに比べて少し乖離がありますけれども、それほど極端にずれるというわけでもない。やはり出生率をどのように見込むかというのは非常に難しいことでございます。御承知のように、過去は見込んだ数字よりも実績が下回るように、結果としてはなっております。そういう意味で、特に出生のところがどの程度信頼性があるかというのは、ちょっと評価が難しいところではございます。
 ただ、今回は、過去と比べて実績の方が上回っているということを踏まえて推計を行われたということでございますが、これがどの程度信頼性があるのかとなると、今、申し上げにくいところでございます。
○吉野委員長 いかがでしょうか。小塩先生、どうぞ。
○小塩委員 今まで、人口推計はずっと下の方にずれていたのですけれどもが、今回、上の方にずれるということで、非常に結構なことだなと思います。それの点に関連して、私は、で、私も先ほどの質問と同じなのですけれども関連しますが、生涯未婚率について興味があります。確かに出生率は改善していますし、これは結構なことだと思います。それでも、60年生まれの人の生涯未婚率9.4が、95年生まれだと20.1%になる。今まで10人の1人が生涯未婚だったのが、5人に1人になる。
 そうすると、私たちは、年金財政の議論をする場合は年齢構成だけに注目するのですけれどもしがちですが、家族構成、世帯構造の変化というのも、これから明示的に議論していかないといけないのではないかく必要があると思います。未婚のまま老後を迎えるということは、インフォーマルなリスク投入回避の仕組みがなくなってしまうことを意味。その一方でするので、公的な老後の保障というものが重要になると思いります。それをどう考えるかという問題もがあります。
 それから、所得代替率の議論もしないといけないと思いますければなりません。その場合も、夫婦2人というのがモデルでなくなって、世の中の5分の1ぐらいの人が1人で老後を過ごしているすことになりますると、夫婦2人という家族形態はモデルではなくなってしまうので、年金財政のあり方も考えないとなければいけないと思います。
 そこで、まずお聞きしたいのですけれどもが、こういう生涯未婚率の想定というのは、現在の年金の将来推計において、どれぐらいの重みを持っているのでしょうか。ざっくりとした言い方お答えで結構なのです。例えば遺族年金の想定とかにどれだけのインパクトを持っているのか。そんなに重視しなくてもいいのか、若い人とお年寄りの頭数の比率だけ考えればいいのか、それとも家族構成の変化というのは重要なのかというのが気になりますので、その点をお聞きしたいと思います。
○吉野委員長 では、お願いいたします。
○安部数理課長 確かに年金の基本的な構造というところでは、年齢階級別の人口構成というのがメインになってまいります。ただ、御指摘のように、遺族年金といったところを考える上で少し影響が出てくるということは、御指摘のとおりでございます。年金財政上で、基本的には今の1号、2号、3号といった実績データを基にいたしまして推計を行って、そして2号被保険者であった方が亡くなった場合にどうなっていくかという推計を行っております。そういう推計の際にも、ある程度実績の傾向などは織り込んでいるわけです。
 ただ、確かにこのようにして、今後も生涯未婚率というものがどんどん上昇していくということも、推計の際に考慮していく必要がある。ある程度見込んではおりますけれども、もうちょっと検討していく必要があろうかと思っております。
○吉野委員長 ほかにございますでしょうか。では、小野委員、どうぞ。
○小野委員 いつも質問ではなくて感想で恐縮でございます。けれども、まず1点は、このシミュレーションの起点となりました2010年というのは、参考推計まで含めると100年間ということですので、開き直って言ってしまえば、2010年の100年前はどんな時代だったかということを考えます。と、まだお隣では清朝ですし、そもそも元号は明治ですし、第一次世界大戦前です。
 ということを考えると、基本的に100年後はどうなっているかといった将来予想というのは、予想じゃないと思います。この人口推計の中でも指摘されていたかと思いますけれども、これはプレディクションではなくてプロジェクションであるということなので、これで結果として予想が当たったとか外れたという問題ではないということを1点、考えなければいけないかなと思います。
 それから、この部会ですので、年金のことにと絡めて考えなければいけないという点で考えますと、今、御説明いただきました50年間の結果とともに、参考推計の残り50年も考えなければいけないのではないかと思います。それで、例えば11ページに、基本的に世間では、出生率が上昇したので、少し見通しとしては明るいかなということが言われているのではないかと思います。
 御指摘申し上げたいのは、100年間の後半50年間というのは、人口構造というのは基本的に余り変わらないのです。ここでは、全人口の中の約40%を65歳以上が占めるという数字が出ていますけれども、これは残り50年を見てもほとんど変わらないですね。なおかつ、その数字というのは、18年12月推計の約40%と比べても、そんなに変わらないということだと思います。
 これはどういうことかというと、恐らく私の推定では、出生率は上昇したということがあるのですがけれども、死亡率が低下しておりますので、平均余命を見ても0.5から0.6ぐらいの数字ですけれども、これが上昇しているということなので、高齢者が前回よりもちょっと増えたということも推定できるだろうということであります。この比率だけ見ると、老齢給付のコストしか想定していなくて恐縮なのですけれども、基本的に1.35になったからといって、それだけで手放しで喜べないのではないか。
 確かに国際人口移動の件もありますがし、死亡率のことも考えますと、今回は前回と前々回ほどの、人口学的要素の変動によって年金財政に与える影響が大きいかというと、そうではなくて、基本的には前回と比べると、その影響はかなり小さいのではないかなということを私は考えているところでございます。
 以上でございます。
○吉野委員長 事務局の方、今回の推計から、今の小野委員の印象で大体よろしいのでしょうか。
○安部数理課長 まず、老年人口比率につきましては、波の形というのはちょっと動いておりますけれども、基本的に65歳以上の比率が40%強になる傾向というのは変わらないということで見ますと、劇的に様相が変わったということではないというのは、まさしく御指摘のとおりかと思います。
 ただ、出生率が増えたということは、支え手が増えるということで、そこへたどり着くまでの財政、特に保険料収入に与える影響というのは、限定的ではありますけれども、プラス効果というのもあろうかと思っておりますけれども、全体として見て、劇的にがらっと変わる状況ではないというのは、まさしく御指摘のとおりかと思います。
○吉野委員長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○吉野委員長 それでは、御質問もないようですので、次のテーマに移らせていただきまして、「最近の経済動向について」。資料2-1の方に「内閣府『経済財政の中長期試算』について」、それから資料2-2が「経済財政の中長期試算(平成24年1月24日)」の内閣府、この2つが出ておりますので、安部数理課長の方からその内容を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○安部数理課長 それでは、資料の方を御説明いたします。
 1つだけ、先ほどの小塩先生の御質問の際に、私がちょっと言い方が悪かったような気がしますのでて、もう一回ご説明いたします。未婚率ですけれども、遺族年金を推計するときの基礎率の中には、こういった未婚率の上昇というのも織り込んだ形で推計しておるということを、言い方が不十分だったかもしれませんので、補足させていただきたいと思います。
 それでは、資料2-1、2-2につきまして御説明申し上げます。資料2-1と言いますのは、資料2-2を要約する形で、御説明用に今回、概略ということでお付けしたものでございまして、御説明としては、こちらの資料2-1を中心にさせていただきたいと思います。
 内閣府が行っております経済財政の中長期試算というものでございますが、大体毎年、最低1年に1回、場合よってはもう一回ぐらい推計されることがあるようですけれども、おおむね10年間程度の今後の我が国の経済状況というものを、内閣府が持っております計量モデルに基づいて推計を行って、こういう形で公表されるものでございます。
 ちなみに、前回、平成21年に私どもで行いました財政検証で経済前提を設定しておるわけですけれども、こちらの方は、長期的には前回から御説明しております一定のモデル、私どもの方でつくっておりますモデルに従って、物価1、賃金2.5、利回り4.1を基本ケースといたしまして、そういうふうな前提を置いているわけですけれども、これはあくまでも長期的な前提として、そちらの数字を使っております。
 足元、当面の経済前提につきましては、その当時ですと、直近ですと、平成21年1月にこういう形で、ちょっと名前は違っておりますけれども、似たような経済見通しというのが内閣府から出されておりまして、その数字を使っているという性質のものでございます。そういう意味で、次回、財政検証でどのように経済前提を設定するかということが今後の課題になっていくわけですけれども、それを御検討いただく際に一つの重要な資料であろうということで、今回、資料としてお出しして御説明するものでございます。
 2-2が資料本体でございますけれども、こちらは分量も多いものでございますので、資料2-1の方で御説明申し上げます。
 まず、概要ということで、この資料の性質をと言いましょうか、御説明しておりますたものです。1月24日の閣議で内閣府から配付されたものでございます。これは、内閣府が持っております計量モデルを基礎として作成したものでございまして、いろいろな計係数、成長率とか物価とか金利といった主要指標につきまして推計を行っております。
 これらは、すべてこういったモデルから計算結果として試算されるものでございます。ですから、あらかじめ設定したものというわけではございません。また、ここで示されていますさまざまな指標ですけれども、当然さまざまな不確実性を伴いますので、相当の幅を持って見ていただく必要があるものでございます。
 この前提といたしまして、内外の経済環境に関しまして、成長戦略シナリオと慎重シナリオと名称が付けられておりますけれども、大きくこの2つの前提に基づきまして、それぞれ試算が行われております。今回、出されました中長期試算につきましては、社会保障・税一体改革素案を踏まえまして、消費税率について、ここにありますような仮定を置き、また社会保障制度改革の実施など一定の歳出増が生じるということも想定し、また東日本大震災に関連します復旧・復興対策の実施等々といったものを想定して作成されたものでございます。
 今回の試算の期間につきましては、2023年度までの12年間を対象として作成されておりまして、試算の内容といたしましては、ここに挙げられておりますけれども、特にここでの御議論の関連といたしましては、マクロ経済の姿ということで、経済成長率、物価上昇率、失業率、長期金利といった指標というものが試算の内容として含まれているものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この試算では、マクロ経済について2つのシナリオというものが設定されていまして、成長戦略シナリオと慎重シナリオでございます。
 それぞれ基本的な考え方といたしまして、経済の姿というところをごらんいただきますと、成長戦略シナリオの場合には、日本再生の基本戦略において示された施策が着実に実施されて、2011年から2020年の平均成長率、名目3%程度、実質2%程度といった経済の姿を想定しています。一方、その右にあります慎重シナリオでございますけれども、こちらの方は、慎重な前提のもとで、2020年度までの平均で見ますと、名目が1%台半ば、そして実質1%強の成長を経済の姿として考えております。
 また、生産性上昇率、労働力、世界経済につきまして、成長戦略シナリオ、慎重シナリオ、それぞれここに掲載されているような設定が行われてございます。
 そして、それぞれのシナリオに基づきまして、3ページ目でございますけれども、マクロ経済に関する主な試算結果ということでまとめております。いずれも、2012年までは同じ数字でございます。これは、基本的には単年の20124年経済見通しの数字がそのまま入っておるようでございますので、ここまでは成長戦略シナリオ、慎重シナリオ、同じ数字でございまして、差が出てまいりますのは2013年度以降の数字でございます。
 いろいろな指標がございますが、例えば名目成長率をごらんいただきますと、成長戦略シナリオでは、2013年度に2.7%となり、それ以降も波は打っておりますけれども、3%台から4%程度台の名目成長率というものが試算結果として出ております。
 また、消費者物価上昇率につきましては、2013年が1.1ですけれども、2014年3.8、2015年2.5ということで、2%から3%ぐらいの水準が試算結果として出ているところでございます。
 また、一番下に名目長期金利というものがございます。これは私どもでは、運用利回りをどのように設定していくかということと少し関連してまいりますけれども、2013年で2.0から順次上がり、最終的には5.0%という数値となってございます。
 一方、慎重シナリオの方でございますけれども、同じように名目成長率ですと、2013年の1.7辺りから、大体1%台から2%台という数字になっております。
 また、一番下の名目長期金利ですけれども、2013年1.6から順次上がっていき、2023年では3.5%といった計係数というものが中長期試算では推計結果として示されております。
 4ページでございますけれども、これは御参考としてお付けいたしましたが、前回の平成21年財政検証において、当時、内閣府の方から、少し名前は違っておりまして、「経済財政の中長期方針と10年展望比較試算」というタイトルで公表されたものでございます。内容は似通ったものでございます。そのときにもこういう形で幾つかのシナリオ、この場合には3つのシナリオが設定されていたわけですけれども、それぞれごとに経済の姿とか生産性上昇率、労働力率等々の設定というのが行われて、そして、それに基づいて足元数年間の経済の見通しというものが作成されておりました。
 21年の財政検証では、経済前提につきましても、経済の中位、高位、低位という3通りを設定いたしましたが、それは21年1月の比較試算の中では、経済前提の中位と言いますものを、2010年世界経済順調回復シナリオの数字を経済前提中位の設定として使用しておりました。以下、高位、低位、それぞれ対応するシナリオを設定いたしまして、それの係数を平成21年の財政検証の際に使用していたという経緯でございます。
 そのときの数字でございますけれども、5ページの下から6ページにかけて3つほどグラフを付けております。
 5ページにありますのが実質経済成長率でございます。3つほどグラフを並べておりますけれども、やや薄い点線で、マーカーとしては三角形を付けております。これが平成21年のときの計係数でございまして、それに対しまして、今回出されました2つのシナリオ、成長戦略シナリオと慎重シナリオのグラフを重ね合わせているという形で、このグラフを作成いたしております。
 6ページ目に消費者物価上昇率、その下に名目長期金利の計係数。それぞれ同じような形で、グラフとして比較できるようにお示ししているものでございます。これはごらんいただければと思います。
 以上が平成21年1月24日に内閣府から公表されました中長期試算の概略をまとめたものでございまして、2-2が実際に公表された資料そのものでございます。こちらの方は、またごらんいただければと思います。
 簡単ではございますけれども、以上でございます。
○吉野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、このモデルあるいはモデルの結果につきまして、何か御質問ございますでしょうか。では、米澤委員、どうぞ。
○米澤委員 今、丁寧な御説明があったのですけれども、それに付け加えて、前回の経験から2点ほど意見を言わせていただければと思います。
 1つは、今、御案内がありましたように、足元5年は、前回は丸々、この数字を使ってスタートしたわけですね。それ以降、ここでのモデルでつなげたというのが実際なわけです。当たったか外れたかというのは、先ほどのプロジェクションじゃないですけれども、当たった方がいいに決まっているのでしょうけれども、それははなから予測というつもり、ちょっと厳しいかなということで、そこはワンステップ控えて理解するとしても、5年直近がずれているとか外れているとか当たっているというのはわかるので、半分はこちらを借りているということです。
 相変わらず、こちらを用いるのかどうかというのは、1回議論していただきたいと思います。それは、国が政府としてきちっと発表したものなのだから、それを使うのは当たり前だということなので、前回はそれに依存したわけです。そうは言いながらも、私がGPIFのメンバーだったころ、極めてこの筋に近い方が、これは非常に甘く出ているということをおっしゃっていましたので、そういう意味で、もう一度これを使うかどうかというのは、どこかで1回議論する必要があるのかなと思っています。
 それから、仮にこれを前回みたいに使えたとしても、ごらんになっているように、ここのミッションにとって一番重要な賃金上昇率がアウトプットしていないのです。これは前回どうしたかというと、マクロモデルから賃金上昇率を特別、計算の途中のものとして出していただいた。それを使ったわけです。そういう意味では、政府のモデルから出てきた賃金上昇率を使ったわけですが、そこが、どう見ても、ぴょんと上がって少し下がっていくという不自然な形で動いていたのです。
 だれが見ても、これはちょっとおかしいなと思ったのです。それは公表データではないのですけれども、モデルとして出していただいたのですけれども、ほかのものがこちらのデータを使っているわけですから、賃金上昇率もそれに準じて使うということで、結果としてその数字を使っています。今でもデータとしてあるかと思いますが、非常に変な振る舞いをしておりますので、仮にこれを使うとしても、賃金上昇率のところをどうするのか。出てきたモデルを少しスムージングさせるのかどうかというのは、議論していく必要があるのかなと思っています。
 その2点だけ最初に、前回の経験を踏まえてコメントさせていただきたいと思います。
○吉野委員長 ありがとうございます。事務局で今の点に関して付け加えることはございますか。
○安部数理課長 特にございません。
○吉野委員長 人口の方は、高位、中位、低位という3つのシナリオなのですけれども、内閣府の方は成長と慎重しかなくて、一番低いものがない。慎重はそうかもしれませんけれどもね。
 それから、賃金の上昇率もどういう形でモデルの中から求めているかも、もう一つきちんとわかりませんと、分配の側から出しているのか、生産関数の限界生産力のような形で出しているのかによると思いますので、今後、賃金上昇率を使う場合、どういう形にするか。それから、内閣府の2つのシナリオで本当にいいのか、これ以外に少し付け加えたもので推計するかというのもあると思います。
 ほかにいかがでしょうか。では、小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 2点、コメントします。これは内閣府の計算ですので、厚生労働省の方に質問するのはちょっと筋違いだと思うのですけれどもが、年金財政を見る上で結構重要な資料ですし、発射台をつくってしまうわけですので、慎重に扱わないといけない考える必要があると思います。私は、基本的に年金の将来推計については、マクロの数字はできる限りコンサバティブな想定を置くべきだろうなと思います。そういう立場から2点申し上げます。
 まず、私がちょっと不安に思うのは、資料2-2の12ページの説明です。ここでは、に慎重シナリオ、成長戦略シナリオの2つのシナリオの間で、13年から16年にかけての成長の姿がどう変化するのかが書いてあります。これは、どちらのシナリオをとっても、一体改革のある場合とない場合で、それほど大きな違いがないということ説明になっていますですね。一体改革がありますとの下で消費税を引き上げまするのでと、駆け込み需要がまず発生して、その反動が後でに起こるあるという、でこぼこがはあるのですけれどもが、それ以降の経済の姿について見ると、非常にスムーズな形で成長経路に復帰するというシナリオが、どちらの立場をとっても書かれています。
 こんなにうまくいくのか。消費税引き上げの効果というのは、そんなにそれほど心配しなくていいのかなと思って、実は、先日、内閣府の研究会でそういう質問を私は申し上げたのですけれども、そのときの内閣府サイドの答えは、同じ資料の14ページ、(2)税制の4番目のポイントです。要するに、消費税の福祉目的税化がはっきりと打ち出されていると、人々は増税があったとしても、それがちゃんと社会保障にうまく使われることを認識されるするので、特に消費の径路にはそれほど大きな影響はないと言うのです。
 モデルの中がで、果たしてそういう扱いになっているのか、私、はちょっと不安でして、す。成長径路に復帰するとしても、もう少しがたがたした動きがこの5年間ぐらいあるのではないか。それをちょっと注意しておく必要があるだろうと思います。これが1点目です。
 2点目は、より重要な点で、金利についてなのですけれども、です。今度は資料2-1を見ていただきたいのです。ますと、それの6ページ、の最後に名目長期金利の数字がございあります。2023年時点で見ますと、名目長期金利は慎重シナリオで3.5%、成長戦略シナリオで5.0%ということで、今回の年金将来展望を考える上でもこれは結構いい数字だと思います。
しかし、どうしてこういう形ふうによくなるのか、足元から上昇するのかということが気になって、ほかのマクロの数字を見るのですけれどもてみました。、前のページを見るていただきますと、例えば経済成長率でも、2014年以降、横ばいで推移しているわけでます。
 それから、6ページの上のには消費者物価上昇率もありますけれどもが示されていますが、これも安定した動きを示しているということになりますいます。こうなると、それうしたマクロの数字と整合的な形で名目長期金利の上昇というのをうまく説明できるのかというのはいわれると、私はちょっと難しいなという気が個人的にいたします。ほかにも、金利については、ほかにも決定要因がいろいろあると思うので、この2つだけで話を終えるのは乱暴なのですけれどもですが、それもちょっと疑問です。
 更に、財政赤字と金利との関係がありますので、それで金利の動きを説明できるのかと思ったのですけれどもが、成長戦略シナリオの方は財政がよくなる、赤字が小さくなるということですから、金利面ではむしろ引き下げの方向に働くの力があるのではないかと思うわけです。ところが、6ページの最後の図で名目金利の数字を見ますと、成長戦略シナリオの金利は5%まで順調に回復上昇するという絵が描かれています。
 これうした状況は、今回だけじゃなくて、ではありません。最後のページで見ますと、前回の計算結果は点々で描かれているところですがけれども、これからも示唆されるように、内閣府のモデルは、放っておくと金利がうまく上昇するという結果になっているのではないか。我々、が年金財政を考える場合に、これは非常にありがたいことではあるのですけれどもが、果たして信用していいのかというのは、。ちょっとコンサバティブにならざるを得ないという気がいたし思います。
 その2点、コメントさせていただきます。以上です。
○吉野委員長 これは事務局がお答えになれることじゃないような気がするのです。ただ、今の金利が例えば5%になったとしますと、今、大体1,000兆円の財政赤字がありますから、50兆円ですね。ということは、今、90兆円が歳出ですから、5%になってフローの財政赤字が減ったとしても、歳出はめちゃくちゃに増えるはずです。ですから、この内閣府の疑問は、財政の状況と国債残高がどうなるかというのがよくわからないです。
 それから、金利の決め方が生産関数の方から決めているのだとすると、これになると思うのですけれども、国債の残高の方から見ていって、その国債市場で債券市場の方からの金利の決め方がどういうふうになっているのか。その場合に、成長シナリオであれば、本来であれば税収が増えてきてフローが減りますから、成長シナリオの方は金利が低くなっていいはずで、成長が悪い慎重の方が、金利が上がるはずなのです。恐らくこれは、生産関数の方からの金利の反映のような気がしまして、モデルがどうなっているかが、少し見えない感じがいたします。
 では、川北委員、どうぞ。
○川北委員 私も、この名目金利のところに疑問というか、どういう形どのようになっているのかと思っています。モデルで出てきたと言われると、それまでなのですがけれどもね。ただし、実体経済は、今までの状況と比べますと、例えば名目成長率が成長シナリオでが4%弱ぐらい、慎重シナリオでが2%弱ぐらいで推移しているわけですけれども、そういう状況の中で3.5とか5.0%の名目長期金利の水準というのは、今までの状況からすると、過去の経験からすると、少し高過ぎるのではないかと、1つ思います。年金財政を考えるときに、名目金利の設定をいかに想定すべきかというのが1点です。
 もう一点、先ほど吉野委員長が財政支出の国債の利払いの面から少しコメントされたのですけれども、国債を保有している側からすると、十数年先の話なので、ここまで一気に金利が上昇すると、金融機関もしくは保有機関の会計上の損失、評価損というものがかなり出てくるはずなので、市場が大混乱する可能性がある。大混乱の可能性ありと考えられるわけですね。そことの関係からしても、資料2-1の6ページにあるような、なだらかに上昇していくということはなかなか想定しづらい。
 これは単に計算しただけの結果にすぎないので、そこをとやかく言っても仕方がないわけですけれども、財政を計算する上で金利の水準をどうするのか、取り扱いには慎重なスタンスが必要なのかなという印象を受けました。
 以上です。
○吉野委員長 今までの御議論を伺っていますと、この内閣府の試算の中身がどうなっているかということが、我々、いま一つわからないわけですから、米澤先生もおっしゃったように、これをもし今後とも使うのであれば、可能であれば内閣府の方にここに来ていただいて一度御説明していただいて、それで我々から率直に質問して、こういう数字を使って本当に大丈夫なのか。
 勿論、大丈夫だとおっしゃると思いますから、大丈夫だろうと思うのですけれども、そこでモデルの中はどうなっていてというのをお聞きしないと、内閣府が決めたから、これを使いましたよといって、また全然違う数字が出てくると、この責任にもなるような気がいたします。もし可能であれば、このモデルをもう少し我々が知った方が、このモデルの特色もわかると思いますので、希望ですけれども、可能であればお願いしたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。では、小野委員から先にお願いします。
○小野委員 済みません、1つ確認をさせていただきたいのは、資料2-1の最後の6ページの名目長期金利のシナリオの件です。これと、厚労省から出てきた財政検証に関する報告の中に載っています名目運用利回り率割との関係なのです。4.1に到達するのがちょっと早いように感じるのですがけれども、これはつまり、金利の上昇に伴って債券のリターンが若干影響を受けるわけですがけれども、そういった効果を考えた上で、実際の当時の金利よりも少し低目の運用リターンが出ているという認識でよろしいのかなと思っているのですけれども、その点、ちょっとお伺いしたい。
○吉野委員長 これは、事務局の方からお願いいたします。
○安部数理課長 まさしくおっしゃるとおり、基本的な金利はこの前提を使った上で、実際には当時の専門委員会でも御指摘があった、そういうタイミングのずれによる影響というものも加味しているということと。
 もう一つは、運用利回りの場合には、金利に、あと分散投資効果で0.4ほど上乗せしているという2つの影響がありますので、これそのものが財政検証の運用利回りと一致していない理由は、その2つでございます。
○吉野委員長 ありがとうございます。植田先生、いかがでしょうか。
○植田委員 私も最後の2年ぐらいに長期金利が上がってしまうことは不自然だなと思ったのですが、そのときの数字自体はそんなにも不自然ではない。例えば成長シナリオで、名目成長率3.5に対して長期金利が5ですので、1.5高い。それは、海外のいろいろな事例で、あり得ない関係ではないような気がします。
 これをじっと見ていくと、何でそうなっているかというと、恐らく長期金利が成長率に遅れて上がっていくというフォーミュレーションになっている気がします。ですので、2014年から2016年のところは、消費税の上げもあって名目成長率は急にかなり高くなっているのですが、そこでは長期金利は余り急には上がっていないのですね。それに対して、ラグを持って長期金利が上がっていくというフォーミュレーションになっているのかなと推察されますけれども、ちょっと式を見てみないと何とも言えないと思います。
 もう一つは、こういうパターンですと、吉野先生がおっしゃった国の財政の影響ですが、資料2-2の5ページに幾つか書かれています。吉野先生のお話とは逆に、成長シナリオの方がラグになっている。これは、長期金利が上がるのは最後の方だけなので、むしろ成長で税収が伸びるということから、こうなっているということだと思うのです。
 いずれにせよ、国債、国の債務のGDP比はほとんど減らないか、どんどん増えていってしまいますし、基礎的財政収支も赤字のままですし、明らかに財政はサステナブルではないのです。ですので、このとおり経済が行こうとしたら、どこかで大変なことになるというシナリオだと思います。
○吉野委員長 先ほど申し上げたように、5%になると金利だけで50兆円になりますから、今の歳出が94兆円ですから、半分以上が金利支払いになってしまいます。やはり内閣府の方に来ていただかないと、ここで幾ら我々が議論していても、事務局にお答えくださいと言っても大変ですから。
 ほかにございますでしょうか。米澤委員、どうぞ。
○米澤委員 マクロ経済の大家の方を前にして、ちょっと恐縮ですけれども、今日の前半の人口推計の話と絡めて、標準的な一番シンプルな成長モデルを考えると、実質金利は人口成長率とそうかけ離れたものは出てこない。ということが1つあって、そこの成長率にどのぐらい技術進歩が乗るかにもよりますし、資本減耗率もあるかもしれませんけれども、経験から言って、昔は一番簡単にポートフォリオをやるときに、金利の決め方は人口成長率でぽんと決めたのです。それは、成長理論ということを余り考慮しなくて、経験則としてですね。
 というので、そこのところ、もう一度成長理論を絡めましても、そんなに人口成長率から乖離できないという認識が私はあります。ですので、そこから見ると極めて異常に高い感じがします。片や、多少上向いても労働生産人口が下がっていくのは当たり前ですので、そこは整合的に説明できるようにしておく必要があるかなと思っております。
○吉野委員長 先ほど植田先生が、ラグがあるような名目金利であるのか、どういう形でこの名目金利が生まれてきたのか、モデルの中身がわかりませんと、我々としてもなかなか使いにくいと思いますので、ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。では、小野委員、どうぞ。
○小野委員 私、経済学者じゃないので、これを評価する能力はないのですけれども、年金数理的な話から言いますと、前々回、ちょっと申し上げたと思うのですけれども、経済前提の中では、大きくは賃金上昇率と積立金運用利回りということになると思うのです。実質賃金上昇率の方が、私は年金財政に対する影響というのは大きいと思っています。思っていますというか、多分そうだろうと思うのです。
 これは、基本的に賦課方式ということを考えますと、物価に対して賃金がどのぐらい大きくなるかということが、支給開始後の年金の価値などを考えると、対所得代替率みたいな形で考えると、相対的に実質賃金上昇率が大きくなれば、その分だけ小さくなるという意味で、コストを削減する効果になると思います。一方、運用利回りの方は、基本的に積立金は多額ではありますけれども、その規模からしてバッファーファンド程度ですので、企業年金のように完全に事前積み立てをするわけではないですね。
 ですから、金利が動くと、ここが一番批判の多かったところなのかなと思うのですけれども、大分変わってしまうような印象を受けるかもしれないですけれども、実は100年間のコストの中で金利なり運用利回りが変化することの影響というのは、年金の財政だけを考えると、それほど大きくないという感覚を持った方がいいのではないかと思います。そういう意味では、実質賃金上昇率をどう見込むかというところが、米澤先生がおっしゃいましたけれども、かなり重要なのではないかと思っているところです。
 以上です。
○吉野委員長 そうしますと、賃金上昇率の数字がきちんと出てこないといけないですから、そのためにはモデルの中でどういう形でその賃金上昇率が出ているかわからないと、先ほどのように振れることになってしまいます。ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。多分ここで一生懸命議論していても、我々だけの疑問で、もし可能であれば内閣府の方に一度来ていただいて、とにかく名目賃金上昇率は、そこの数字を使うかどうかも含めて、求めないといけないわけです。そういう意味では、もし可能であれば、次の回でも是非来ていただいて、それで今、我々が質問させていただいた事項も含めて質問させていただいて、それで、この数字を我々が更に将来推計のときにどういう形で使うかということの参考にできると思いますので、可能であれば是非そうしていただければと思います。
 ほかに、このマクロモデルあるいは将来推計に関して御質問ございますでしょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○吉野委員長 それでは、少し早目ですけれども、次の議題に移りたいと思います。事務局の方から資料3で、これまでのこの委員会での積立金運用に関します主な意見の整理をしていただきましたので、原口参事官の方から、まだ整理の途中ですけれども、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○原口大臣官房参事官 次回以降、運用に関しまして少し具体的な事項の議論をいただきたいと考えておりまして、前回のヒアリングでございました説明を含めて議事録等を暫定的に整理して、本日、未定稿ということでお配りさせていただいております。この項目立てを含めまして、御意見や御指摘がございましたらば、随時変更させていただきたいと思います。それで、今回の整理、議事録等での整理でございまして、御発言ございましたとおりなのですが、順次御説明させていただきます。
 表紙をめくっていただきまして、まず「1 目標利回りの示し方」と、先般、ヒアリングの際の項目になるべく準拠しながら整理させていただいております。
 (1)賃金上昇率プラスαか金利プラスαかという論点でございます。この点につきましては、おおむね負債に合わせた形で賃金上昇率プラスαという方向の御意見が多かったかと思っております。
 それで、上から5点目の御意見では、賃金上昇率プラスαという意見に続きまして、ただ、市場と余りかけ離れた運用をしているとよくない。それをチェックするという意味で、金利水準が年金財政に影響しないかという点から、金利を見なくてよいとは言い切れないという御指摘がありました。
 その次でございますけれども、比較的一般的な考え方としては、物価上昇率というものが受け入れられている。物価上昇率に対する超過収益率というのが、運用目標として受け入れやすいのではないかという御意見もございました。
 最後の御意見でございますが、物価上昇率プラスαという目標でも、賃金プラスαでもよいのではないか。国内債券プラスαという目標でも、財政的には賃金、物価、金利が、将来的に著しく外れるというのは考えづらいということではないかという御意見もあったということでございます。
 2ページ目でございます。
 (2)目標利回りの意義という項目での整理をさせていただきました。特に、前回のヒアリングで、この目標利回りということについて、そもそもそれは何だろうかという観点の御意見、御発言がございましたので、これを中心にこのような整理をしているということでございます。
 1つ目のところですが、運用目標という言葉は混乱を与え、ミスリーディング。むしろ想定利回りというのが実態に合うのではないか。
 次の御意見のところですが、最後の行で、事前に確定できないものが行動の指針になるのだろうかということ。
 あるいは、次の項目では、リターンというのは投資行動の目標ということにはならないのではないかという御指摘がございました。
 したがいまして、1つ飛ばしまして5つ目のところでは、現場の目標としては、リスク管理をきちんとして基本ポートフォリオを維持することと、おおむねベンチマーク収益率を達成することになるのではないか。これが現実的な目標じゃないかという御意見がございました。
 それから、その次の御意見、同じような趣旨だと思います。後半ですが、目標としては、相対的な収益率、運用リターンという把握の仕方になるのではないかということでございます。
 それから、最後の御意見ですけれども、前回の財政検証の際の名目値で4.1%という収益率に関しまして、2020年以降の話なので、足元ではそんなに高いものではない。これが基本的に固定値で与件としてしまっているということになれば、問題があるのではないかという御意見などがあったということでございます。
 次のページ、(3)目標期間という形で整理させていただきました。運用に当たっての目標期間について、勿論、超長期ということで運営していく必要があるわけですが、超長期では困難な点があり、途中で検証等を行っていく必要があるという御指摘を多数いただいていると思っております。
 1つ目の御意見では、例えば今から5年、世界経済は非常に停滞していると考えたときにとの前提がございますが、この場合、少し低目の運用でも十分合理性があるのではないか。
 そういうことで、次の意見に続いておりますけれども、資産ごとに超長期のリターン目標をつくるので、5年間について言えば、目標はもう少し下ではないか。
 これに対しまして、3点目の御意見で、5年ないし、もう少し長く続くような環境を決めるファクターを見付けて利用するという話かと思うが、具体的にそれが何なのかというのは難しい。
 4点目ですけれども、一時的な変化であって、構造的な変化でないのであれば、5年以内で下ぶれがあっても構わないわけで、あるショックが起きたときに、それが構造的なものなのか、一時的なのかを判断する必要がある。そういうことができないと、そのような形で対応することはできないのではないかという御意見がありました。
 そのほかでございますが、1つ飛ばさせていただいて、100年ということになると、どうやって検証するのかということになり、結果から見て、過去5年、10年で見て検証していくということが必要なのだろうという御意見が幾つかございます。
 それから、下から4つ目のところでございますが、100年の年金財政の予定利率とGPIFが実際に策定するポートフォリオは、アンバランスにならなければ分けて考えることもできるのではないか。これは、整合性との問題、ちゃんとチェックが要るという御意見がございました。
 それから、下から2つ目ですけれども、資本市場はボラティリティが高いので、株は勿論、確定利付証券でも価格変動は大きい。したがって、過去にさかのぼって3年とか5年あるいは10年ということで見る必要がある。
 次の御意見も、中期計画は5年であり、5年でもちょっと短過ぎるのではないか。おおむね10年、20年という感じではないかといった御意見がございました。
 次の4ページでございます。運用目標に関わる事項でもう一つ、リスクに関してヒアリングをさせていただいております。このリスクの関係ということで整理させていただいております。
 1点目でございますけれども、1行目後半ですが、目標運用利回りと、その利回りを得るためのリスクは、曲線上で1カ所になるという意味で、一体的に検討する必要があるという御指摘がありました。
 それから、運用利回り目標を仮に賃金上昇率プラスαとすると、リスクについても目標と整合的な尺度にする必要があるという御指摘がありました。
 この点は、具体的に4つ目の後半でございますが、名目賃金上昇率に対する実質的なリターンのばらつきというのを、リスクとして考慮する必要があるのではないかという御指摘でございます。
 それから、中ほどでございますけれども、下から5つ目には、リスク許容度というのは余り高くないのではないか。年金というのは、一般に言われているほど長期運用ではないのではないかという御意見もございました。
 下から2つ目ですけれども、ポートフォリオのリスクの9割以上は内外の株式によるものであるので、内外株式比率をリスクの代理変数と考えてもよいのではないかといった御意見。
 それから、最後のところですが、運用収益率が物価上昇率を下回る確率といったもので目安を提示するということがあるのではないかという御意見がございました。
 5ページでございます。ここは、債務との関係という立て方をさせていただきました。運用に対しまして御指摘をいただいている事項として、ALMに関わる事柄というのが指摘されていることを第1回で御紹介させていただきましたが、そのことを含めての事項でございます。
 1点目では、積立金運用の在り方を考えるときに、債務給付義務の現在価値がどうなのかということが前提として必要。
 2点目も、年金財政の負債ということがわかる必要がある。
 3点目で、GPIFでもALMをやることは可能であろう。現在、取り崩す額が増える中で負債に配慮しないということは、年金財政にとっても余りいいことではないと思う。ここは、特にキャッシュアウトに着目して、このALMの問題があるという御指摘であると思います。
 次ですけれども、債務に対する積立金は大してあるわけではない。言葉をそのまま書かせていただいております。ということであり、この状況で債務を中心に議論することは、かなり制約を受けるのではないか。債務を中心で議論するのに限度があるのではないかという御意見がございました。
 それから、1つ飛ばさせていただきまして、当面のライアビリティサイドの問題として、年金支払いが受け取りを上回るので、そのキャッシュアウトに対応する流動性管理をしていかなければいけない。
 次、その次も、こういうキャッシュアウトに着目した御意見でございます。
 最後は、そのことを含めての御意見でございまして、ヨーロッパなどでは、Liability Driven Investmentというような、債券をキャッシュフロー・マッチングなりデュレーション・マッチングなりをするような話が出てきている。ちょっと飛ばしまして、給付が賃金や物価にスライドするなど、企業年金にない特徴があるので、こういった企業年金の考え方をいかに適用できるか、償還年限の長さというのをいかに考慮すべきかということを、この委員会で議論させてほしいという御指摘がございました。
 次の6ページでは、国債のみで運用すること等についてという立て方をさせていただきました。ここでの御意見に関しましては、いずれも分散投資ということがリスク管理上、必要であり、安全資産と考えられる国債でも、それのみということであると、それはリスクが存在する。いずれもそういう御意見でございます。
 7ページでございますけれども、運用手法についてということで、まず(1)投資対象についての御意見をまとめさせていただきました。
 1つ目の意見でございますが、今の基本ポートフォリオは、国内日本株式、国内日本債券、外国株式、外国債券の4資産という構成で、これは非常に順当なものだろうという御指摘でございます。
 2点目の御意見では、新興国が比重として大きくなっている。そこに着目することはどうかという御指摘でございます。
 3点目の御意見は、世界の時価総額に対する割合から考えて、現在、日本は11番目になっているということで、内外の資産について投資対象としてどう考えるかという御指摘でございます。
 その次の御意見でございますが、基本4資産以外の資産に取り組むということについて、全体の分散効果がきくこともありますし、インフレ追随率が高いので、運用のメリットはある。しかし、日本の公的年金の規模から考えると、どうなのかという御指摘でございます。
 それから、次の御意見、そういう債券以外のリスクをとったものを加味するということを支持する御意見です。
 最後の意見でございますが、GPIFは人員面、予算面で相当大きな制約がある。非伝統的資産に踏み出す場合に、細かく管理することが難しいという意見がございました。
 次のページ、8ページでございますが、(2)として、運用手法に関わることで、パッシブ運用とアクティブ運用ということで整理してございます。ここのところは、全体としてアクティブ運用で的確に超過収益を上げていくということはかなり難しいという御意見。それゆえ、パッシブ運用が中心になりつつも、併用になると、いずれもそういった観点の御意見と思います。
 (3)その他として書いておりますのは、運用手法につきましては、基本的に想定利回りや基本ポートフォリオを決めた先の問題であるので、執行部に任せる問題であり、ポリシーとして与えることにはならないのではないかという御意見がありましたので、ここに記載してございます。
 9ページ、その他ということで立てております。
 (1)として、組織に関わる発言が幾つかございました。
 現場で必要な能力は、ファンドマネジャーを抱えることではなくて、運用管理の専門家であるという御意見。
 それから、2つ目の後半の方にございますが、現在の独立行政法人という形でなく、一定の独立性を持って間接的にコントロールできるような組織がよいのではないか。
 その次の項では、情報開示が大変進んで行われている。結果的に運用面にマイナスになることも多いのではないかという御指摘がございました。
 最後、10ページでございます。(2)その他という形で、ここは整理させていただきました。具体的に目標なり設定をする場合に、どのような計算等を行っていくかという観点からの御意見だと思っております。
 1点目や2点目では、経済見通しについてのシナリオが必要ではないか。また、どのように描くことになるのかという御意見でございます。
 それから、3つ目ですけれども、リスクについて、実質賃金上昇率で考えていくことにした場合に、個別資産の市場リスクは、それとは分けて考える必要があるのではないか。リスクを過小評価することがないようにという御指摘がございました。
 4つ目は、基本ポートフォリオをつくる際の想定利回りについて、超長期のものと同じになってもよいのではないかという御意見があります。
 その次でございますけれども、終わりのところにございます。金融市場の実際の動きも見据えながら議論していくことが必要ということでございます。
 次の項目も同様の御意見と思います。
 その次も、同じように、当面5年から10年ぐらいというのは、保有している債券からも利回りが導けないだろうかということでございました。
 こうした形で具体的なレベルのお話を、その他ということで整理させていただきました。
 これらにつきまして、最初に申し上げましたとおり、このような形で暫定整理をさせていただいておりますが、項目の立て方、そしてここに記載・要約しております御意見の書き方など、御指摘があればいただいて、また改めてまいりたいと思います。
 資料3につきましては、以上でございます。
○吉野委員長 ありがとうございました。では、資料3につきまして、項目の立て方から含めて、御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 小塩先生、何かございますか。よろしいですか。これは、これまでのいろいろな方々の御意見を項目ごとにまとめたということですので、今日、もし大きい項目として、分け方として、こういうところというのがあれば言っていただきたいと思いますが、大体このようなことでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○吉野委員長 御意見が特段なければ、これは今後またより精緻にしていただくこととしまして、最後のところですけれども、その他につきまして、事務局の方から、横長の「参考資料」というのがお手元にあるかと思います。「独立行政法人の制度・組織改革のイメージ」が行政刷新会議から24年1月19日に出されております。
 その次の参考資料2が「独立行政法人の制度及び組織見直しの基本方針」、参考資料3、分科会報告書がお手元にございますので、事務局の方からその説明をよろしくお願いいたします。
○原口大臣官房参事官 まず、参考資料1、これは結論の部分になりますけれども、先般報告書が出され、閣議決定が行われました「独立行政法人の制度・組織改革について」、あらましをまず御説明いたします。
 ごらんいただきますと、現在、独立行政法人、一つの通則法のもとで置かれているところでございますが、現在の法人を幾つかに分けて改革していくということでございます。
 まず、一番左側は廃止ということで、現在の法人の中でも、廃止あるいは将来、民間に移管していくという方向が出されたものが幾つかございます。
 それから、その右側ですけれども、民営化あるいは他の法人制度を活用するという方針が出された法人が幾つかございまして、特殊会社化、それから医療関係についての法人をつくる。
 3つ目に、個別法により設立される法人、個別の法律の根拠をそれぞれでつくる法人ということでございまして、これの2点目をごらんいただきますと、年金積立金を運用しております年金積立金管理運用独立行政法人は、この類型に当たるということで、個別法により設立される法人に移行するという方向が出されたということでございます。後ほど詳細に申し上げてまいります。それから、民間法人化等でございます。
 それから、真ん中のところでございますけれども、これまでの独立行政法人について、仕組みを改めていくということになっている法人でございまして、成果目標達成法人とくくられております。この中身について、更にここで8類型書かれておりまして、左側には研究開発型、右側に上から文化振興型、大学連携型、金融業務型、国際業務型、人材育成型、行政事業型、その他といった類型に分けて、それぞれに応じた法制度をつくっていこう。更に、その右側には行政執行法人という類型を設けるという形で、事務事業の特性を踏まえて、もっと細かに法人制度をつくっていくことになっています。
 最後、一番右端のところですが、国に業務を移管するものもあるということでございます。
 それぞれにどのような現在の独法が当てはまっているかについては、裏面の方に個別に書かれているところでございます。
 この資料につきましては、個別の紹介はここまでとさせていただきます。
 次に、参考資料3をごらんいただきたいと思います。今回のこの独立行政法人改革に関する全体像等でございます。下の方にクレジットで書いてございますけれども、行政刷新会議に独立行政法人改革に関する分科会というものが9月に設置されておりまして、ワーキンググループをにおいて活動しておりました。この構成につきましては、一番終わりの24ページに委員の方の名簿がございます。このような方々を分科会の委員として検討が行われたということでございます。
 その検討内容に関しまして、これが分科会の報告書でございますけれども、1ページ、2ページをのところでかいつまんで御説明紹介させていただきます。
 今回の独立行政法人改革の視点ということでございます。2つ目の段落、「しかしながら」というところをごらんいただきます。独立行政法人制度については、創設から10年以上が経過し、組織の在り方と業務運営の両面でほころびが露呈するに至っているという認識で、平成21年12月に閣議決定がなされ、そして翌年、22年12月にも再度閣議決定がなされ、個別の取組みが行われてきたところであるということであります。その過程において、?から?までの4つの問題があると考えられるようになったということです。
 ?ですが、法人の内部・外部のガバナンスが不十分である。
 2点目、これはGPIFには関係ない事項になりますが、運営交付金の使途について、不透明であったり、むだや非効率ということがある。
 3点目ですけれども、目標設定が不明確あるいは評価の実効性が欠けている。
 4点目としまして、業務運営に対する第三者のチェックが不足している。業務運営の透明性が低いという問題意識が出てきたとされております。
 次の段落でございます。また、現行の独立行政法人制度について、2行目ですが、法人すべてを一律の制度にはめ込んでおり、独立行政法人に期待されていた国の政策を効果的に実施する機能が十分に発揮できない仕組みになっているという考え方があった。こうしたことで、先ほど御紹介しましたように、多くの類型に分けてやっていこうという考え方が出てきたわけでございます。
 それで、2ページの2つ目の段落に、それでどのようにするのかということが書かれてございます。
 当分科会においては、上記のような認識のもとで、全法人一律の現行制度と全法人の組織の在り方を、抜本的かつ一体的に見直すこととしたということで、また項目が4つ掲げてございます。
 まず、?としまして、国や民間との関係も視野に入れて組織をゼロベースで見直す。廃止や、自律的な経営が可能な法人は民営化等ということであります。
 2点目に、それら以外の法人について、各法人の事務事業の特性に着目して類型化する。類型ごとに最適なガバナンスを構築するということでございまして、先ほど御紹介したような類型に分けて、それぞれにこの仕組みを考えようということでございます。
 3点目に、類型を踏まえつつ、政策実施機能の強化や効率性の向上を図る観点から、法人を再編。個別の法人についての仕組みを、個別法がございますので、それをつくり直していく。
 ?新たな法人制度に共通するルール。現在は、独立行政法人通則法という1つのルールであるわけでございますが、これらについて改めて整備し直すということであり、独立行政法人という名称も含めまして、見直しをしていくような方向であると聞いてございます。
 そこで、参考資料2の方をごらんいただきたいと思います。年金積立金管理運用法人についての内容でございますけれども、閣議決定されました方針といたしまして、この管理運用法人につきましては、固有の根拠法に基づき設立される法人とするということでございまして、統一的な通則法に基づく法人ではない形にするということでございます。
 それで、考え方でございますけれども、この法人の業務が、貴重な国民の財産である年金資産の管理・運用であり、運用による損失は国の負担に直結する。それで、適切な監督権限を設け、国の関与を強化する。また、業務の特性を踏まえ、業務運営における中立性を確保しつつ、法人のガバナンスは新たな法人制度に比較し、厳格なものとする。ここで新たな法人制度と言っておりますのは、独立行政法人の仕組みを見直して新しい仕組みにするわけですが、そういったものと比較しても、より厳格なものにすることが適当ということであります。
 3つ目の項目ですが、具体的な制度の在り方としまして、例えば、国としての責任が果たせる監督権限、会社法を参考にした監査機能、リスク管理機能の強化、経営に関わる責任の明確化。それから、透明性・説明責任の観点からの積極的な情報公開。外部の目による評価の導入といった観点から検討を進める。このような方針になってございます。
 この方針につきましては、先ほど御紹介しました分科会の報告書の中で取り上げられたものの骨子という形でございます。
 恐縮ですが、先ほどの厚い方の参考資料3の方にまた戻っていただきまして、23ページに年金積立金管理運用独立行政法人について、報告書の方でもう少し細かく取り上げられたページがございますので、ごらんいただきたいと思います。
 1つ目の項目あるいは2つ目の項目については、おおむねこの趣旨が要約されて閣議決定の内容になっているということでございます。
 3つ目の項目でございますけれども、これは分科会全体でのということではなくて、分科会の中で一つの意見ということで、報告書にあえて盛り込んだものと聞いておりますけれども、年金の運用は、貴重な国民の財産の管理・運用であることにかんがみれば、非市場性国債の保有により運用するか、あるいは市場運用とするかという、そもそもの運用方針の基本的在り方についても慎重に再検討すべきとの意見があったという記載がございます。
 次の4つ目の項目は、これは分科会としての意見ということでございますけれども、合議制の導入については、会社法と同様のガバナンス、または経営に係る責任体制が明確化され、着実に機能する組織となることが前提であり、慎重な議論が必要という意見が、閣議決定の文面のもの以外に付されいておりいるということでございます。
 こうした形で、独立行政法人改革の中で、管理運用法人について、これからの在り方が指摘されたということでございます。今後につきましては、現在の通常国会に独立行政法人通則法の改正、それから、これにより必要となる個別法の改正が法案としてまとめて提案される予定でございます。個々の法人について改革していくということに関しましては、今年1月に報告いただいて、更にこれから検討ということでありますので、この国会ということではございませんで、今後、検討し、法案化されていくことになります。
 こうしたことでございますので、この管理運用法人の今後の在り方につきまして、私どもとして検討体制をどうするか、これから考えていかなければいけないと思っております。本分科会での検討に大変関わりの深い事項でございますので、このように整理されているということで、この場で御報告させていただきます。
 以上でございます。
○吉野委員長 原口参事官、どうもありがとうございました。
 今の報告に関しまして、何か御質問ございますでしょうか。どうぞ。
○西沢委員 所用で遅れて来て、失礼しました。
 独法改革なのですけれども、今の独法改革は、消費税率引き上げに向けて、政府が自ら身を切るということの一環として、公務員給与削減などと並んで行われていると思いますけれども、GPIFも独行政法人なので、この中に入っていますが、GPIFの組織形態は本当に問題があるのかどうか、私もよくわからない。本当に問題があるのであれば、改革すべきだと思いますけれども、自ら身を切るということを国民に示すという話の中でやるものなのかどうかという気がします。
 問題がなければ、別にいじる必要はないですし、それは是非、こういうところに問題があるということで、教えていただければと思います。言いたいことがうまく伝わったかわかりませんけれども、自ら身を切るということをつくるために改革する、組織をどんどんいじっていくのは、余り賛成するものではないです。
○吉野委員長 ありがとうございます。これもまた事務局がやられた会議ではないので、答えは余りないと思います。本当に今の西沢委員のおっしゃるように、行政改革はむだなコストを削減することが目的である。ですから、必要な組織は、きちんとしたガバナンスのもとに、きちんとやっていただくというのが本質だと思います。
 何か事務局の方から、ただいまのことに関しましてコメントございますでしょうか。
○原口大臣官房参事官 このような形での基本的な方針を受けて、これからどうするか、私ども、検討の在り方を考えていきたいと思っております。その中で、改めて何をしなければいけないかということは、この改革の方針を踏まえつつ、考えさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○吉野委員長 ほかに。川北委員、どうぞ。
○川北委員 感想的なことで申しわけないのですけれども、抜粋の1枚物を見させていただいて、丸印が3つ付いている。そのうちの2つ目の丸のところは、車で例えるとブレーキの強化を図ろうということですけれども、組織として、勿論ブレーキをよく効くようにするというのは重要だと思いますし、透明性の確保という観点から、計器類みたいなものもきちんと整備しようやろうというのも、わからなくはないのですけれども、もう一つ運用として重要なのはエンジンの部分ですね。
 言ってみれば、積極的なガバナンスというか、よりいい運用を達成することで、国民の貴重な財産である年金資産の管理・運用をよりよくやっていくということも重要だと思いますので、単にブレーキエンジンだけ重武装するということがないような、むしろ今、申し上げましたように、むしろ積極的なガバナンスを果たすことで国民のために資するような組織を、これを機会により強化していただければいいのではないかと、感想を持ちました。
 以上です。
○吉野委員長 ありがとうございます。では、米澤委員、どうぞ。
○米澤委員 今、西沢委員、川北委員の議論に120%ぐらい賛成ですけれども、加えて、こちらの見直しの分科会の方たちも含めて、多分運用に関してちゃんと理解されている方がいらっしゃらない。それは、前回の山田委員の御報告と絡めますけれども、マスコミ的に言うと赤字になっている。それでけしからぬというのが裏に付くと、ちょっとやっかいな問題になるなということなので、そこのところをきちっと説明していく必要があるということ。
 それから、私は少なからず、中も少し知っていたわけですけれども、そういう点も加えて、極めてコストミニマイゼーションでやっていて、先ほどのこれまでの意見のまとめのところにもありました。例えば残念だったのは、4資産以外のところを検討する際にも、人員が足りないとか設備が足りないから、ストップされてしまうぐらいに質素にやってきたので、いつも広報はうまくいかないのですけれども、運用の実際に関して知ってもらうということが重要かなと思っております。
 感想ですけれども、以上です。
○吉野委員長 ありがとうございます。植田先生、どうぞ。
○植田委員 GPIFの在り方については、私も委員で入った検討会が、何年前ですか、しばらく前にできまして、その報告書も出ていて、いろいろな問題点もあるし、解決の方法として一つに絞っているわけではないですけれども、いろいろな考え方があるという一応のものは出ていると思います。ただ、全体として見た場合に、大きく決定的に変えなければいけないという結論になっているかどうかは、読む人次第かと思いますが、一応そういうものはあるということ。この委員会でも報告があったかもしれません。
○吉野委員長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。では、小野委員、どうぞ。
○小野委員 1つ質問させていただきたいのですが、参考資料3の23ページの4つのポツの中の3つ目ですけれども、一部の御意見ということであった中に「非市場性国債の保有」というのがあるのですがけれども、これは私などはアメリカのOASDI、トラスティファンドが非市場性国債で運用されているところを想像してしまって、そんな議論ことがあったのかなという話とともに、個人的な感想なのですがけれども、交付国債と非市場性国債はちょっと似ている感じがしておりまして、必ずしもいい印象を持っていないのですけれども、この辺り、どのような御議論があったかというのがわかったら教えてください。
○吉野委員長 事務局の方で。
○原口大臣官房参事官 恐れ入ります。独立行政法人改革に関する分科会は非公開で開催されて、まだ議事録が公表されていないということがございますので、必ずしも状況は十分わかりません。ただ、今おっしゃいましたような交付国債とは、議論の流れとしてはちょっと別のものであろうと思っております。こういう御意見が議論されましたときには、アメリカの連邦の基金で行われている非市場性国債での運用例ということは、恐らく念頭におありだったのではないかと思いますけれども、詳細はわからないところがございます。
○吉野委員長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○吉野委員長 ちょっと早目ですけれども、今日は活発な御議論どうもありがとうございました。
 それでは、今後の予定につきまして、事務局の原口参事官からお願いいたしたいと思います。
○原口大臣官房参事官 本日は、人口や経済の新しく示された推計などをお示ししたところでございますが、これらを踏まえて、次回以降、更に議論を深めていただくこととさせていただきたいと思います。既に植田委員から経済モデルに関する御意見をいただいて、皆様にもお示しさせていただきましたが、次回に向けて皆様からの意見などをいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 また、これまでの専門委員会で、小野委員からの御意見でございましたけれども、債券のキャッシュフロー・マッチングやデュレーション・マッチングといった企業年金の考え方をいかに適用できるか。償還年限の長さをどう考慮するかという論点について議論したらという御提案をいただいたところでございまして、こういった点を含めまして、次回、運用に関する具体的な点についての御議論をお願いしていきたいと思います。
 これにつきまして、委員長と相談いたしまして準備させていただきますが、皆様の御意見がありましたら、事前にいただければ、資料にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 開催の日程につきましては、改めて調整させていただきたいと考えておりますので、改めて御連絡申し上げたいと思います。
○吉野委員長 どうもありがとうございました。それでは、これで本日の審議を終了させていただきたいと思います。お集まりいただきましてどうもありがとうございました。


(了)

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