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2012年4月13日 第1回 厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議

年金局企業年金国民年金基金課

○日時

平成24年4月13日
17:30〜


○場所

厚生労働省12階専用第15・16会議室


○出席者

委員

臼杵 政治 (名古屋市立大学経済学研究科教授)
翁 百合 (日本総合研究所理事)
小野 正昭 (みずほ年金研究所研究理事)
鹿毛 雄二 (前・企業年金連合会常務理事)
蟹江 宣雄 (トヨタ自動車企業年金基金常務理事・運用執行理事)
近藤 憲二 (住友化学株式会社経理室(財務)部長)
玉木 伸介 (大妻女子大学短期大学部教授)
永山 善二 (東京乗用旅客自動車厚生年金基金常務理事・運用執行理事)
花井 圭子 (日本労働組合総連合会総合政策局長)
濱口 大輔 (企業年金連合会常務理事・運用執行理事)
森戸 英幸 (慶応義塾大学大学院法務研究科教授)
山口 修 (横浜国立大学経営学部教授・付属図書館長)
山本 御稔 (監査法人トーマツパートナー)

○議題

(1)厚生年金基金等の現状について

(2)厚生年金基金における年金給付等積立金の運用等に関する調査について

(3)今後の進め方について

○議事

○朝比奈企業年金国民年金基金課長補佐
 ただいまより、第1回「厚生年金基金等の資産運用・財政運営等に関する有識者会議」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。座長を選出いただくまでの間、企業年金国民年金基金課課長補佐の朝比奈が議事進行を務めさせていただきます。
本日は、小宮山厚生労働大臣、辻厚生労働副大臣、藤田厚生労働政務官にご出席いただいています。第1回目ですので、小宮山厚生労働大臣より一言ご挨拶をお願いいたします。

○小宮山厚生労働大臣
 「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」を開かせていただくことになりました。一言、冒頭の挨拶をさせていただきます。委員の皆様には、ご多忙の中、お集まりをいただきまして、また、委員のご就任にご快諾いただき厚く御礼を申し上げます。
 今年は、昭和37年に日本で最初の本格的な企業年金制度である適格退職年金が創設をされて50年目という、ちょうど節目の年に当たります。この適格退職年金は、今年3月に半世紀にわたる役割を終えましたが、この間、企業年金は広く普及し、また、その選択肢も厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出企業年金と多様化してきました。
 一方、取りまく環境も大きく変わってきています。厚生年金基金などの企業年金の資産運用については、かつては資産配分規制という規制がありましたが、金融自由化の流れの中で、ちょうど15年ほど前になりましょうか、平成9年にそういう法規制が撤廃されて、各基金の自己責任の下で自主的に運用する形が基本原則になってきました。
 ただ、その後、15年経過する中で、その資産運用のやり方も多様化し、複雑化してきましたし、金融市場の変動幅も極めて大きくなってきました。今日も証人喚問が行われていますが、その中で今回注目されているAIJに関するようなことまで起きているのが現状です。
 厚生年金基金などの企業年金については、昨今の経済、金融情勢の悪化によって、積立不足が増大して、非常に厳しい財政状況にあります。特に母体企業の多くが中小企業である厚生年金基金、この厚生年金の代行部分に必要な積立金がない、いわゆる代行割れが全体の4割を占めている状況にあります。
 こうしたことから、この有識者会議では、厚生年金基金などの企業年金について、資産運用規制、財政運営の両面から、これまでの施策を検証していただきまして、今後の在り方について、制度全体の見直しも視野に入れて、幅広い観点からご議論をいただきたいと考えています。今年6月を一つの目途に取りまとめをお願いしたいと考えています。是非、委員の皆様方には、いままでの検証はなるべく短い時間でやっていただいて、これからどうすべきかというところに力点を置いて、ご提言をいただきたいと思っていますので、忌憚なく意見をお聞かせいただいて、取りまとめにご協力をいただくことを心からお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

○朝比奈企業年金国民年金基金課長補佐
 ありがとうございます。小宮山大臣は、公務により途中で退席させていただきますので、ご了承ください。
続きまして、委員の皆様のご紹介をさせていただきます。50音順にご紹介させていただきます。名古屋市立大学経済学研究科教授の臼杵政治様。日本総合研究所理事の翁百合様。みずほ年金研究所研究理事の小野正昭様。前・企業年金連合会常務理事の鹿毛雄二様。トヨタ自動車企業年金基金常務理事・運用執行理事の蟹江宣雄様。住友化学株式会社経理室(財務)部長の近藤憲二様。大妻女子大学短期大学部教授の玉木伸介様。東京乗用旅客自動車厚生年金基金常務理事・運用執行理事の永山善二様。日本労働組合総連合会総合政策局長の花井圭子様。企業年金連合会常務理事・運用執行理事の濱口大輔様。慶應義塾大学大学院法務研究科教授の森戸英幸様。横浜国立大学経営学部教授・付属図書館長の山口修様。監査法人トーマツパートナーの山本御稔様。
 厚生労働省の事務方の出席者については、お手元の座席図のとおりとなっていますので、これをもって紹介に代えさせていただきます。
 続きまして、お手元の資料をご確認いただきたいと思います。配付資料として、資料1「厚生年金基金等の資産運用・財政運用に関する有識者会議開催要綱」、資料2「厚生年金基金等の現状について」、資料3-1「厚生年金基金の運用体制等に関する調査結果(概要)」、資料3-2「厚生年金基金の運用体制等に関する調査結果(詳細版)」、資料3-3「厚生年金基金の運用体制等に関する調査結果(自由記載欄に寄せられた主な意見)」、資料4「ご議論いただきたい主な論点(たたき台)」。以上です。
落丁、乱丁などありましたらお申し付けください。よろしいでしょうか。
 議事に移らせていただきます。初めに本有識者会議の座長の選出についてです。あらかじめ本有識者会議の各委員にご相談いたしましたところ、山口委員に座長をお願いしてはどうかとのご意見がありましたが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○朝比奈企業年金国民年金基金課長補佐
 ありがとうございます。それでは、山口委員に座長をお願いすることとし、これからの議事運営については、山口委員によろしくお願いいたします。

○山口座長
 座長にお選びいただきました山口です。委員の皆様のご協力をいただきながら、円滑な議事運営に務めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 カメラの方はこれでご退出ください。よろしくお願いいたします。
 議事に入りたいと思います。このあと、事務局から資料の説明をお願いいたしますが、本日は、辻副大臣にお越しいただいていますので、これまでの厚生労働省の取組等についてご説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○辻厚生労働副大臣
 厚生労働省の「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部」の本部長を務めさせていただいています副大臣の辻です。皆様方には、本日、ご多用の中ご参加いただき、心より感謝申し上げますとともに、今後ともご指導を賜りますようお願い申し上げる次第です。
 本日の資料については、後ほど事務局より説明をさせていただきますが、私から、これまでの取組みやこの会議でご議論いただきたいことについて簡単に申し上げておきたいと思う次第です。
 先ほど大臣から既にご挨拶をいただきましたが、我が国の企業年金は退職金から発展した制度ですが、今日では厚生年金被保険者の約4割が企業年金に加入し、その選択肢も多様化しているということで今日に至っています。
 ご承知のとおり、そもそも厚生年金基金は、厚生年金の給付水準より高い給付水準を実現し、老後の生活保障を図ることを目的として、昭和41年に発足したものであり、その資産運用については、資産の保全を図る見地から制度発足当初より5:3:3:2規制などの措置が講じられてきましたが、その後同規制については、経済界からの要望、日米構造協議におけるアメリカの要請、行政改革委員会、規制緩和小委員会における指摘、金融の自由化、規制緩和の流れなどを受けて、平成9年5:3:3:2規制が廃止され、各基金が自己責任の下で自主的に運用を行うことが原則となりました。
 その際、厚生労働省としては、分散投資の努力義務など各基金における資産運用の指針としてのガイドラインなどをお示しし、それに基づいた資産運用をお願いしてきました。しかしながら、その後15年が経過する中で、資産運用の手法は多様化・複雑化し、また金融のもつ変動幅も極めて多くなりました。同時にデフレ経済の下で、厚生年金基金をはじめとする企業年金の母体となる企業の経営状況も、大企業から中小企業に至るまでさまざまな状況になっています。それらの状況に直面した今日、現行の厚生年金基金の資産運用の在り方の見直しが強く求められています。こうした中で、去る2月24日、多くの厚生年金基金等が資産運用を委託しているAIJ投資顧問株式会社が金融庁から金融商品取引法違反の疑いで業務停止命令等を受け、また、3月23日には証券取引等監視委員会の勧告を受け、登録の取消しを受けるという事案が発生しました。
 厚生労働省としては、多くの加入者・受給者約90万人の方々に影響を与えることから、この問題を真摯に受け止め、私を本部長とする特別対策本部を3月14日に立ち上げて、まずは国家公務員等の基金への再就職の状況及び基金の資産運用体制等についての実態把握のための調査を行い、去る3月28日にその結果を公表しました。
そのうち国家公務員等の再就職の状況に関しては、公募を再徹底するとの観点から、先日、大臣からの要請文及び具体的な手続についての課長通知を発出させていただきました。今後、個別の基金に対する要請とその結果の報告をいただくことなどにより、公募の徹底を図っていきたいと考えています。また、資産運用の体制の調査に関しては、後ほど詳細に事務方よりご説明させていただきたいと考えています。
 今回のAIJの問題は一義的には金融行政の問題ですが、同時に年金資産を管理・運用する企業年金側の運用体制、受託者責任の在り方にも課題が多いことが浮き彫りになりました。同時に現在、厚生年金基金等の企業年金については、昨今の経済、金融情勢の悪化により、積立て不足が増大し、厳しい財政状況が続いています。こうした状況や、先ほど申し上げました実態調査の結果を踏まえて、この有識者会議においては、厚生年金基金等の企業年金の資産運用規制についてはもとより、資産運用と密接に関連する財政運営についても幅広い観点から今後の在り方をご検討いただきたいと考えています。今後、この会議については、月2回ぐらいのペースで開催をお願いさせていただき、6月を目途に一定の結論をお出しいただければと考えています。
 前半には運用規制の在り方に関するご検討を、後半には財政運営に関するご検討をいただき、できれば5月には運用規制の在り方について取りまとめを行って、可能なものについては、できるだけ早く対忚していければと考えています。大変タイトな日程の中ですが、ご参加いただきました委員の先生方におかれては、精力的なご議論をいただき、ご協力・ご尽力をいただきますようにお願い申し上げまして、ご挨拶とご説明、ご報告とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○山口座長
 ありがとうございました。続きまして、議題1「厚生年金基金等の現状について」、議題2「今後の進め方について」に関連した資料についての説明を一括して、事務局からお願いをいたします。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 私から資料2から資料4まで一括してご説明をさせていただきます。まず資料2で、厚生年金基金等の企業年金の現状についてご説明をします。まず制度全般の概況です。2頁は、年金制度の体系です。この有識者会議でご議論いただくのは、この体系から見ると3階の職域部分です。厚生年金基金、この3月で廃止になりましたが適格退職年金、確定給付企業年金、確定拠出年金と、現在では大きな3つの制度があります。
 それぞれですが、3頁をご覧いただきたいと思います。厚生年金基金は、現在加入者数が約450万、件数は595基金、資産残高は約28兆円です。確定給付企業年金は加入者数約730万、件数はすでに1万件、資産残高は42兆円ぐらいです。確定拠出年金は企業型、個人型がありますが、合わせてすでに500万近くになっています。件数では3,705件、資産残高は約5.5兆円です。そちらのグラフをご覧いただきますと、全体としてのこうした企業年金への加入者数は10年前は約2,000万人程度でしたが、直近では1,700万人ということで、概ね厚生年金被保険者の4割ぐらいが加入している状況です。本有識者会議では、主として確定給付型と言われる厚生年金基金と確定給付企業年金の2つがターゲットになるかと思いますが、それぞれ合わせて加入者数の約6〜7割です。
 4頁をご覧ください。厚生年金基金制度です。昭和41年に創設された制度で、職域の企業年金ではありますが、公的年金たる厚生年金の一部を国に代わって支給、代行給付するところが特徴です。その下の図にあるように、厚生年金の一部を代行するということで、この部分の保険料は国ではなく基金に納め、それに基金独自の上乗せをするという仕組みで、給付・負担については基金が独立して執行する形になっております。
 5頁です。確定給付企業年金は平成13年に成立をして、平成14年度から施行されている制度で、厚生年金基金と比較すると老齢厚生年金の一部の代行を行わない3階部分のみの年金です。これについては、厚生年金基金のように独立した法人を作って行う基金型と、規約を作成して厚生労働大臣の認可を受ける規約型がありますが、大半が規約型です。
 6頁です。冒頭に大臣からお話のありました昭和37年に我が国で本格的な企業年金、適格退職年金制度が創設されて約半世紀が経とうとしておりますが、この間の企業年金制度の歩みということで大きなところを取り上げています。厚生年金基金制度は昭和41年に創設をされておりますが、平成に入ってから資産運用、財政運営の両面でこの制度については大きな見直しがありました。資産運用については後ほども申し上げますが、平成に入ってからの金融緩和という流れの中で、平成2年には投資顧問が基金の運用の委託先として参入をしました。そして平成9年に先ほど大臣からもありましたが、資産配分規制というそれまであったものが完全撤廃をされまして、受託者責任に基づく運用ということになっております。
 一方、同じ平成9年には財政運営の面でも大きな見直しがありました。これも後ほどご説明いたしますが、それまで一律に固定をされていた予定利率という予定の運用利回りが弾力化ということで、基本的には各基金がそれぞれの期待収益率に基づいて定めるというふうになりました。また、日本の確定給付年金の場合は受給者、加入者の給付水準の引き下げが一定のルールの下でできることになっておりますが、この基本的なルールを決めたのが平成9年です。その後、平成13年、14年に確定給付企業年金あるいは確定拠出年金制度という新しい企業年金制度ができました。このあと、企業会計基準の見直しということが1つの引き金になりまして、厚生年金基金については代行返上ということで、代行部分を国に戻して確定給付企業年金になることが増加をいたしました。当初は厚生年金基金は2,000近くあった時代もありましたが、現在では先ほど申し上げましたように600弱ということになっていますが、この背景にはこういった代行返上の増加というものもあります。以上が、ここ50年のざっと見た主な企業年金制度の歩みです。
 次に、資産運用についてこれまでの流れを見てまいりたいと思います。資料8頁をご覧いただければと思います。先ほど来申しておりますように、企業年金の資産運用については、かつては資産の種類ごとに配分割合の上限を定めた規制がありました。※にもありますように、5:3:3:2規制と言っておりましたが、それぞれの資産種類ごとに配分の上限というものが決められておりましたが、金融自由化の流れの中で平成9年にこういった規制は撤廃をされまして、現在はどういった資産にどのぐらい配分するかということは、それぞれの基金なり企業年金が基本方針を定め、それに基づき運用受託機関を選定し、モニタリングするというのが基本的なプロセスです。9頁は5:3:3:2規制撤廃までの主な経過ですので、省略させていただきます。
 10頁です。このように資産運用については、基本的には各企業年金に委ねられていますが、そうした企業年金の中でこういった運用に携わる者の受託者責任ということで、一定の法的あるいはガイドラインとしての考え方を示しております。運用に関しては善管注意義務と忠実義務という2つの受託者責任がありまして、法的な根拠としては善管注意義務はもともとは民法上の規定です。これを基金の役職員に当てはめますと、資産運用については主に以下の3つの義務あるいは努力義務に翻訳されるかと思います。
 安全かつ効率的な運用ということで、これは厚年法に考え方が示されておりますが、重要なことは運用の結果責任ではなくてプロセス責任が問われるということです。それから分散投資については、現在厚生年金基金令という政令で、努力義務として特定の運用方法に集中しないようにということで規定があります。それから資産状況の把握は、省令ですが、厚生年金基金規則の中で四半期ごとに資産を時価により評価をして、構成割合を確認するといったことが定められております。また忠実義務については、基金のために基金の役員は忠実にその職務を遂行しなければならないということで、これは厚生年金保険法上に明確な規定を置いております。
 こういった受託者責任ということが概括的に法令で定められておりますが、これをより具体化するものとして11頁からです。資産運用規制の撤廃をしました平成9年に年金局長通達ということで、ガイドラインが示されております。このガイドラインの趣旨としてはそこにありますように、資産運用関係者の役割ないしは責任というものを明確化し、具体化したルールの確立を図るということで、よく言われるアメリカのエリサ法などの考え方も参考にしながら、先ほど申し上げた善管注意義務あるいは忠実義務という概念を、実際に基金の役員等が管理・運用業務を行う場面を想定して、具体的にどういう行動を取っていったらいいのかという一種の行動指針ということで示されております。したがいまして、このガイドラインそのものは法令ではありませんが、一定の行動指針ということで示しております。
 かい摘んで申し上げますと、12頁です。基本的な留意事項としては、先ほど受託者責任のところでも申し上げました分散投資の努力義務、資産状況の把握、運用の基本方針についてはそれぞれの基金が個別事情に忚じて、自らの判断の下に策定をしていくということで、策定については下から2行目にありますが、理事会等の基金の内部での合議による意思決定手続に従って策定をしていくということが定められております。13頁は、運用の意思決定をするに当たりまして(6)ですが、必要に忚じて運用コンサルタント等の外部の機関に分析・助言を求めることというのも定められております。また、当然ですが基金の役員、理事長等は、そういった自己研鑽に努めるということもこのガイドラインに定められております。
 14頁の3の代議員会が基金の意思決定機関で、先ほど申しました運用の基本方針のような基金の運用の基本的なところについては、ここの意思決定が最終的に必要になってくるわけです。また、基金の中には監事という役員が置かれておりますが、この監事が適正に監査を実施していくこと。さらには理事長等を補佐するために、資産運用委員会というものを設置することが望ましいというのがこのガイドラインの現在の規定ですが、実際のそれぞれの場面において、どういった行動あるいはどういった組織が関わっていくかを定めているのがこのガイドラインです。
 15頁は、企業年金の過去の運用実績です。平成9年が基金あるいは企業年金の資産運用にとっては大きなターニングポイントになるわけですが、ご覧いただいてもわかるように平成9年以降、特に21世紀に入ってから大変金融市場のボラティリティというか、変動幅が大きくなっているところは見て取れるかと思います。以上が、基金等の資産運用の関係です。
 続いて、財政運営の関係ですが、17頁をご覧いただければと思います。厚生年金基金等の企業年金というのはそこにあるように、財政方式としては掛金の拠出、年金資産の運用によりまして、給付に必要な額をあらかじめ積み立てる積立方式の財政運営をしております。したがいまして、例えば資産の運用の見通しとか、それぞれの会社の従業員の採用とか給与の状況といったものについて一定の見通しを策定しまして、尐なくとも5年に1回こうした積立に関する長期計画を策定するというのが一定のルールです。そして、その長期計画に沿ってきちんと積立が行われているかどうかを毎年の決算でチェックをしていて、その実績が予測を下回るということもあります。そういった場合には積立不足が生じますので、一定期間内に掛金の引き上げ、あるいは給付の引き下げ等により不足を解消するというサイクルで財政運営をしています。
 18頁です。いまのような積立方式による財政運営の中で、さまざまな基礎的なデータというものが重要ですが、特に重要な指標になるのが予定利率です。これは、基金が保有する年金資産を市場で運用する際に定める予定の運用利回りということで、運用実績と過度に乖離した予定利率を設定している場合には、できるだけ予定利率を現実に則したものに下げていく必要がありますが、一方でこの予定利率を引き下げますと積立不足が生じますので、そういったものについては掛金を引き上げる、ないしは給付を引き下げるということで対忚が必要になってまいります。この予定利率については平成9年、当時はまだ厚生年金基金しか制度がありませんでしたが、制度創設以来ずっと5.5%ということで一律に定められておりましたが、これを平成9年に弾力化をして各基金が定めることになりました。ただ、現在これは基金の上乗せ部分の予定利率ということですが、581基金中507基金、約9割は上乗せ部分の予定利率は5.5%のままということです。この背景には、予定利率を引き下げると積立不足が生じるということで、これを掛金の引き上げないしは給付の見直しということで埋めていかなければいけないのですが、そこがなかなか対忚が困難であるということが、今日こういう状況が続いているということです。
 19頁は、給付の引き下げを行う給付減額のルールです。こういった企業年金においては、年金給付に関する詳細事項というのは各企業年金の規約に定められております。この規約の変更については代議員という最終的な意思決定機関の3分の2以上の賛成が必要ですし、かつその上で厚生労働大臣の認可が必要です。こういったルールが、基本的には法律や政令で定められております。現在、給付減額については確定給付年金においては、受給権の保護というのが非常に重要だという考え方から、以上のような法令のルール以外に、いわば事前手続ということで、通達でそこにあるような理由要件あるいは手続要件が定められております。理由要件としては3つありますが、?の母体企業の経営状況の悪化、?の給付減額しなければ掛金の幅が大幅に上昇してしまって、拠出が困難になるような場合ということが主たる理由要件として定められております。また手続要件については、加入者減額の場合、受給者減額の場合それぞれ要件がありますが、特に受給者については受給権保護という観点から慎重な手続を取るということで、全受給権者の3分の2以上の同意と合わせて、希望する者に対しては減額前の年金額に相当する額を一時金として受給するといった選択肢を設けることが定められていて、こういった事前手続を経て先ほど申しました法令上の手続を経るという仕組みになっております。
 20頁です。こういった積立方式による財政運営を行っているわけですが、昨今の非常に厳しい金融経済情勢あるいは厚生年金基金、現在は中小企業が集まって作る総合型と言われるようなものが8割を占めていて、そういった母体企業の経営難もありまして、年金基金の積立状況は厳しい状況が続いております。特に20頁は、最低責任準備金という冒頭に申し上げました国の代行部分に必要な積立金を保有していないところが、直近で申しますと平成22年度末で595基金のうち213基金の約4割です。21頁です。こういった積立水準が著しく低い厚生年金基金に対しては、平成16年の法律改正でできた指定基金制度というのがあります。これによりまして、厚生労働大臣がそこにある指定の要件、3事業年度連続で最低責任準備金の9割を下回った場合あるいは1事業年度でも最低責任準備金の8割を下回った場合には指定をして、特別の指導をしていくというスキームを作っています。直近では、この指定基金は81基金あります。
 22頁です。以上のような手続で、もちろん財政の健全化をしていくことが主たる目的ですが、一方でなかなか継続が困難という場合には解散に至ることもあるわけですが、現在この厚生年金基金の場合の解散手続については、そこにあるように法令上は代議員の定数の4分の3以上の多数による議決。それから基金の事業の継続が不能。例えば単独型の企業で、企業が倒産してしまったような場合が定められております。これも給付水準の減額と同じように、こういった法令手続の事前手続として通達で理由要件、手続要件が定められております。手続要件でその下をご覧いただきますと、全事業主の4分の3以上の同意、加入員総数の4分の3以上の同意などの要件が事前手続として定められています。
 23頁です。実際に代行部分を持っている厚生年金基金が解散した場合に、そういった給付あるいは負担の関係がどうなっていくのかというものを図で示したものです。厚生年金基金の解散後、「通常の解散の場合」と書いていますが、これは代行部分に必要な最低責任準備金を保有している場合です。この場合はその下の図にあるように、代行部分については企業年金連合会に移管をされて、企業年金連合会のほうで代行部分を支給する。それに見合う資産を連合会が基金から徴収することになっております。一方、上乗せの企業年金の部分については一時金として分配する。あるいは企業年金連合会のほうに移管して年金化をするという、個々の選択ができるという仕組みになっています。
 24頁です。いま申し上げたのは代行部分に必要な資産を保有している場合ということですが、4割近くが代行部分に必要な資産を保有していないという状況です。従来は、代行部分に必要なものを持っていないと解散ができない仕組みでしたが、昨年法改正をして、代行部分に必要な資産を保有していない場合でも特例的に解散をして、足りない部分については分割納付をすることができるという特例解散という仕組みが、5年間の時限立法ですが創設をされております。1にあるように、この分割納付期間については最大15年間まで分割納付ができるということで、返還額についても一定の特例措置を設けています。
 25頁です。通常は先ほど申しましたように、代行部分については企業年金連合会に引き継がれることになっていますが、特例解散の場合は代行部分の資産については国のほうに移管をするということで、国すなわち厚生年金の特別会計が、直接分割納付の場合であれば債権管理をしていく仕組みになっております。
 26頁です。基本的には特例解散の場合、いま申し上げましたように国が債権者となりまして、解散した基金から不足分を徴収していくわけですが、その場合における基金の中にある各事業所の負担の在り方について、この特例解散の措置というのは昨年創設したと申しましたが、平成17年から3年間の時限措置ということで設けておりました。この際には考え方としては分割納付をしていくときに、それぞれ基金には各社あるわけですが、先に自社分を一括して返済した事業所については、その後分割返済をしている事業所の一部が倒産してしまった場合に、この倒産に伴う負担増を負わなくてもいいと規約でも認めるということでした。ただ、そうすると残った分割事業所に倒産分が非常に重くのしかかることもありまして今回、昨年成立をした特例措置の中では、こういった特例解散をする場合の規約の認可要件として、仮に分割納付をしていて倒産が出てきた場合に、最初に一括納付をした事業所も含めて全社で責任を持つ形に変えております。また、全体のこの特例措置については最長15年と申しましたが、前回の措置のときは最長10年でしたので、その点では少し長期間にわたって返済できるようにしております。
 27頁です。冒頭来、厚生年金基金には代行部分というのがあると申し上げましたが、この代行制度について、その経緯とか財政運営について尐しご説明をさせていただきます。28頁です。そもそも、どうして代行制度というものができたかということですが、昭和40年の厚生年金保険法の改正は給付改善を行うという改正でしたが、その際の保険料の引き上げに反対する事業主側が、国に納める保険料の一部に退職金原資を加えて、自主的に運用する仕組みを提案する。当時は「調整年金」というようなことが言われておりましたが、これがそもそもの発端です。当時、そこにあるように労使それぞれ意見は分かれておりましたが、その後審議会あるいは国会審議等を経て、この調整年金というのは現在の厚生年金基金という形で誕生して制度化をされたということです。
 当初、後ほどご説明します自主運用できる保険料、いわば国に納めずに基金に納めるということで免除保険料と言われておりますが、これがどの基金でも一律だったということもありまして、比較的年齢構成が若くて代行給付を免除保険料以下で賄える企業については、その保険料を積み立てる。また、併せて予定利率、当初はすべて5.5%でしたが、これを上回る運用収益によって3階部分に手厚い上乗せ給付を行うといった代行メリットというのがありました。また、こうしたことが企業年金の普及にも寄与してきた面があります。
 29頁は、代行部分の財政運営の仕組みがどうなっているかということです。基本的に代行しているのは老齢厚生年金の一部、報酬比例部分のうち、物価スライドや再評価を除いた部分です。基金を設立した場合にはその下の図にもありますように、給付の責任というものは代行部分も上乗せも合わせて基金に移るということで、それに見合う負担ということで代行給付のコストに見合う保険料というのは基金に納付される。免除保険料収入ということで担保されます。一方、基金が解散したり代行返上をする場合には、給付は先ほど申しましたように企業年金連合会あるいは国に移るわけですが、これに伴う負担ということで最低責任準備金というものが移管をされるという仕組みになっています。
 30頁です。まず、免除保険料率というものです。これについては、過去何度かの変遷を経てきております。制度創設当初は、全基金一律に設定をされておりました。これが平成8年3月まで続いていたのですが、平成6年の財政再計算、厚生年金保険法の改正において、この免除保険料率は各基金の代行コストに見合ったものとするという改正が行われて、それぞれの基金ごとに将来の代行給付に要する費用を賄うための保険料、代行保険料率を計算して免除保険料率等を決定する。いま、当分の間の措置として上下限がありますが、それぞれのコストに見合った個別化をするという改正が行われています。その後、厚生年金本体の財政再計算等あるいは厚生年金本体の改正における保険料の凍結等で、一時この免除保険料率が凍結をされたということもありましたが、平成17年にこの凍結が解除されまして、現在に至るまではこの免除保険料率、先ほど申しましたようなそれぞれの基金のコストに合ったものという形で計算をされております。
 なお、免除保険料率の算定に用いる予定利率というのは、厚生年金本体の長期の予定運用利回りに合わせておりますが、平成16年の財政再計算で3.2%になりましたので、これに合わせて3.2%となっております。その後、平成21年の財政検証で、現在も続いていますが、長期の予定運用利回りが4.1%となっておりますが、多くの基金は経過措置によりまして現在3.2%で免除保険料率を計算しています。
 32頁です。もう1つ、基金が解散あるいは代行返上するときに移管をする最低責任準備金というものがありますが、これも最低責任準備金の仕組みというか計算方法について、過去に見直しというのが行われております。もともと最低責任準備金というのは、給付現価方式で計算が行われておりました。33頁に簡単な略図で書いてあります。将来法とも言っておりますが、これまでの加入期間に対して将来発生する代行給付を、一定の前提の下に現在価値に割り引くという考え方で給付現価を計算されていたのが平成11年9月までです。
 32頁に戻ります。平成11年の改正で免除保険料率が、厚生年金本体の保険料の凍結に伴って凍結をされたということもありまして、最低責任準備金の計算方法についても暫定的な措置として変更が行われております。これが過去法という形です。また33頁をご覧いただきますと、平成11年9月時点の最低責任準備金というものをベースにして、これに代行部分の収支と利息を加えていくという考え方での計算方式に暫定的に変わったというのが平成11年の改正です。その後、平成16年の改正ですが、平成17年4月に暫定的に取られた最低責任準備金の計算方法というのが恒久化をされました。それと併せて、厚生年金本体との財政の中立化という観点から、給付現価負担金制度というものが設けられております。
 これについては、35頁をご覧いただければと思います。各基金が積立目標としているのは最低責任準備金ですが、厚生年金本体の見直し等で例えば死亡率の見直し等が行われますと、将来分については免除保険料に反映されますが、過去分については不足が生じるということで、この過去期間の代行給付現価と、基金が目標として積立をしている最低責任準備金の差額について、一定のルールの下で政府のほうから負担をするという仕組みが過去期間代行給付現価負担金制度と創設をされたということです。逆に、過去期間代行給付現価が最低責任準備金より下回るようなことがありますと、免除保険料率で調整をすることになっておりまして、考え方としては厚生年金本体と代行部分について、財政の中立化を図っていくという基本的な考え方の下に作られている制度です。以上が、尐し長くなりましたが財政面の関係です。
 37頁からは、今回のAIJ投資顧問の関連でのいくつかのデータをご紹介したいと思います。まず38頁です。今回、投資顧問という投資の一任契約という形でのスキームでしたが、38頁の図にもあるように通常の年金信託と比較をすると、投資顧問等を使って行う場合には、年金基金は投資顧問とは投資一任契約という形を結ぶと同時に、資産管理等をする信託銀行とは年金特定信託契約というものを結びます。そして、投資顧問の運用指図によりまして、資産管理を行っている信託銀行が資産管理とか売買等の執行をするというスキームが基本的な考え方です。
 39頁は、3月24日に証券取引等監視委員会から公表された資料です。いま申し上げたようなものに具体的な名前を当てはめていくと、まさにAIJ投資顧問と各年金基金が投資一任契約を結び、このAIJ投資顧問が信託銀行等に買付指図等を行い、さらにそれが信託銀行等がアイティーエム証券を通じて買付等を行っているというスキームになりますが、こういったところで実際にアイティーエム証券なりAIJから、顧客である年金基金に対して行われていた報告に虚偽があったということで、参考資料の18、19頁に3月23日に出された証券取引等監視委員会の勧告の内容を付けています。ここでのご説明は省略しますが、後ほどご覧いただければと思っております。
 一方の年金基金のサイズとしては40頁以降ですが、私どもで把握をしている平成22年度末時点でAIJ投資顧問に投資残高のある基金は、全部で84基金ありました。このうち、厚生年金基金が大半で74基金、確定給付型企業年金は10基金で、資産残高の総額は約2,000億円でした。また、これらの84基金の加入者、受給者総数で90万人近いということで、そうした意味では非常に影響が大きいということで、先ほど副大臣から話がありましたが、私ども省内でも対策本部を立てて、さまざまな実態把握にこれまで努めてきました。その実態把握の1つとして44、45頁には副大臣からご説明がありましたが、厚生年金基金への国家公務員等退職者の再就職状況等についても調べているということです。
 もう1つの実態把握ということで、むしろこの有識者会議でご議論いただく素材として、お手元の資料の3-1をご覧いただければと思います。これが厚生年金基金の運用体制等に関する調査結果ということで、今年の3月1日時点で現存する581の基金、実際に回答があったのは558基金です。詳細は3-2にありますが、ここにおける運用体制の状況等について概要としてまとめたものです。まず資産規模で見ると、全体の約6割が200億円未満でした。また金商法上の区分ということで見ると、大半が一般投資家で、特定投資家については全体の558基金のうち106基金。AIJに委託実績のある88基金。これは過去において委託をしていたというものも含みますが、それで見ると特定投資家は22基金でした。
 2頁からは、先ほど申し上げた運用に関しての政省令・ガイドラインがそれぞれありますが、そういった点が実際にどうなっているかを対比の形で整理をしております。まず、運用に携わる役職員ということで、基金令の中では管理・運用業務を執行する運用執行理事を置かなければならないことになっております。この運用に携わる役職員の状況ですが、右下に四角で括ってありますが、調査基金で総数2,065人、単純平均すると1基金あたり3.7人ぐらいです。専任・兼任状況で見ると8割が兼任、在職年数で見ると6割が在職年数10年未満でした。
 3頁です。この政省令・ガイドライン等においては、理事長等の役職員は資産運用等の知識等について自己研鑽を積むことになっているわけです。これについて例えば運用関連の資格の有無、あるいは現職以外の運用関連業務の経験というものを見たものですが、9割程度がいずれについても、そういった資格なり経験がないという回答でした。
 4頁です。これも、先ほどガイドラインのところでもご紹介いたしました資産運用委員会の設置の状況ですが、設置をしている基金が全体の9割でした。ただ?にありますように、資産運用委員会における外部専門家の登用状況を見ると、外部専門家を入れているのは1割程度でした。5頁は運用コンサルタントということで、これについても先ほど申しましたガイドラインの中では義務ということではありませんで、そういった分析・助言を求めることが考えられるという書き方になっておりますが、採用状況を見てみると、今回の調査結果では7割は採用していない状況でした。
 6頁は、個別の運用機関の選定あるいは委託の状況です。運用機関の選定評価についての基本方針を定めているかどうかについては、約8割のところが定めていました。また、見直しの頻度等についてはそこにもありますように、1年に1回、2年に1回、3年に1回とありました。また、選定見直しに当たって重視している事項については、左下の円グラフにもあるように運用実績が4割、一方で運用プロセスとかリスク管理の方法は10%程度でした。
 7頁は監査で、これもガイドラインのところで申しましたが、監事が監査をすることになっておりますが、実際にこの運用に関する監査については、内部の監事が行っているものが8割程度ということです。監査項目は右下にあるように、運用体制については理事の配置状況や職務の具体的内容、あるいは受託機関との関係については契約関係や選定方法といったところを中心に監査を行っているということでした。
 8頁は、こういった運用の状況については代議員会あるいは加入者や事業主に定期的に報告をすることになっていますが、代議員会への報告の頻度は年に1回が8割ぐらいでした。9頁の加入員等への報告の頻度については、年2回も含めて年1回以上報告している所が全体の約9割でした。10頁は、事業主への情報提供の頻度ですが、9割が事業主に対して運用に関する情報を提供しているということでした。11〜13頁はご参考までですが、今回AIJ投資顧問株式会社に過去も含めて委託実績のあるところが全体の2割弱の88基金でしたが、12頁で実際にここがどういうプロセスで決定をしたかについては、88基金のうち61基金が資産運用委員会に諮った、40基金は理事会等に諮ったということで、何らかの形で合議には付していたということです。13頁は投資顧問の存在を知ったきっかけということですが、多かったのが「個別に勧誘された」が5割程度で、具体的には左のほうにあるようにアイティーエム証券が大半であったということでした。以上が、運用体制に関する調査結果の概要です。詳細については3-2、それから尐しクロス集計をしたものを参考に付けております。
 資料の3-3は、運用体制に関する調査を行った際に各基金から自由記載欄ということで、さまざまなご意見を寄せていただきました。これについては一つひとつご紹介はしませ
んが、それぞれの現場の基金の方々の意見なり考えがまとめられておりますので、今後この有識者会議でご議論いただくときの参考にしていただければと思います。
 資料4です。いま長々と時間がかかってしまいましたが、こういった現状を踏まえて今後有識者会議でご議論いただきたい主な論点ということで、これはあくまでも事務局のたたき台ですので、本日の会議で足りない点も含めて、いろいろご指摘をいただければと思っております。全体は大きく3つの構成に分かれております。
 1点目は、資産運用規制の在り方ということで、大きく4つの柱を立てております。1つ目は受託者責任の在り方です。受託者責任はさまざまな見方がありますが、この運用に関しては分散投資ということが非常に重要なポイントになってまいります。基本であるこの分散投資というものを徹底させる観点からどのような見直しが必要かということで、例えば今回のAIJの投資を見ても、AIJという1社に6割近く投資をしていたという事例も実態から見えてきていまして、そういった中で1つの運用機関への集中投資に関する規制というものを強化するような考え方について、どう考えるか。あるいは、かつての5:3:3:2規制のような資産の種類ごとに着目した配分規制を行うことについて、どう考えるか。分散投資の徹底という観点から、どういったことを考え得るかです。また、併せて先ほどご説明しました善管注意義務、忠実義務というものを徹底させる観点から、現在法令ガイドライン、主としてガイドラインが中心ですが、そういったそもそもの位置づけも含めてどうあるべきかについてご議論いただきたいというのが1点目です。
 2つ目は、基金の運用体制、運用プロセスです。基金の運用体制について役職員で資格とか運用の経験がない者が9割ということでしたが、こういった基金の場合は基本的には自らがインハウス運用をするわけでありませんで、外部の受託機関を適切に選定してモニタリングをしていくというものが主たる仕事になるわけです。そういう資産管理・運用という観点から求められる基本的な資質としてどういうものが必要なのかについて、改めてご議論いただいて整理いただきたいことと、そうした観点から見た場合、現行との関係で資質向上の観点からどういう見直しが必要かということ、さらには先ほど調査の中でも申しましたが、資産運用委員会とかコンサルタントとか、意思決定を支援する組織の関わり方をどう考えるかということです。また、運用プロセスの在り方については、運用の基本方針の考え方は平成9年に作ったガイドラインに示されているわけですが、その後資産運用の手法も多様化、複雑化をしておりますので、そういうことを踏まえて運用の基本方針の在り方についてどう考えるか。それから受託機関の選定評価プロセス。これも先ほどの調査で、どちらかというと運用実績、リターンのところが重視される傾向が出ておりましたが、当然そのリターンの後ろにはリスクがあるわけで、そういったものについても適切な判断が行えるようにするためにどういう見直しが必要か。あるいは基金と資産管理機関、信託銀行等ですが、あるいは運用受託機関との関係の在り方について、どういった見直しが必要かということです。
 3つ目の柱は、基金のガバナンス・情報開示です。資産管理・運用については先ほどもご説明しましたように、代議員会、理事会等といった合議の意思決定プロセスは経ているわけですが、そういったことを現状も踏まえてどういった見直しが必要か。あるいは事業主、加入者等に対する情報開示の在り方。さらに大きな4つ目の柱は、事後チェックとして現在は基金内部の監事による監査とか行政監査も行っておりますが、そもそものこのチェック項目とか事後チェックの在り方も含めて、どう考えるか。資産運用規制の考え方については、以上申しました受託者責任、運用体制・プロセス、基金のガバナンス、事後チェックという4つの柱でご議論いただければということです。
 2点目は財政運営の在り方です。ある意味、これは資産運用規制とコインの表と裏というような関係もありますが、1点目は予定利率の在り方です。基金の加算部分については予定利率5.5%になっているところが9割あるわけですが、予定利率を引き下げやすくする観点から、例えばいま予定利率を引き下げた場合の積立不足については掛金引き上げの特例措置として、開始時期を1年間猶予するという措置を今年の1月から取っていますが、こういうことも含めてできるだけ予定利率を引き下げやすくする観点から、どういった措置が考えられるか。それとも関連しますが、そもそも積立不足への対忚ということで、いまご紹介したような毎年の決算による財政検証の仕組み、あるいは財政状況が厳しい所には指定基金制度などの仕組みもあるわけですが、こういう現行制度についてどう考えるか。
 それから掛金引き上げの期間について。これは、早期の財政健全化という観点からはできるだけ早く引き上げたほうがいいわけですが、一方で母体企業への経営の影響という観点も併せ考える必要がありまして、そういった観点から掛金の引き上げ期間とか引き上げ方法についてどう考えるか。さらに、給付水準の引き下げの基準。先ほどもご紹介しましたが、法令以外にも通達で事前手続等を定めているわけですが、ここについてはこの間の国会審議等でも緩和すべきというご指摘も多々ありましたが、そういった点も含めてどう考えるか。同じように解散基準についても緩和すべきとの指摘もありましたので、こういった点についてもご議論いただければと思っております。
 また、いまは法令上は厚生労働大臣による解散命令ということができるわけですが、その発動基準についてどう考えるか。これまで発動したことはありませんが、そういったことも含めてご議論いただければと思います。
 3頁です。尐し大きな話になりますが、冒頭に大臣から制度見直しも含めてということでお話がありましたが、この厚生年金基金制度等の在り方ということで縷々ご説明をしました代行制度は、昭和41年の制度創設とともに生まれていますが、その後厚生年金本体も累次の制度改正を経ておりますし、先ほど申しましたように代行部分と厚生年金本体との財政関係というのも中立化ということで、大きな見直しが行われてきております。また、厚生年金基金のほかにも確定給付企業年金とか確定拠出年金という新しい企業年金制度も普及してきている中で、かなり創設時の状況とは違ってきているわけですが、そういった中で代行制度の今日的意義・役割についてどう考えるかということです。
 併せて先ほども申し上げましたように、現実には最低保有資産が代行部分に必要な債務に満たない代行割れが全体の4割程度となって、非常に厳しい状況が続いております。現行制度の下では、この代行部分というのは公的年金部分ですので給付の引き下げはできませんので、そこの不足は掛金の引き上げとか運用収益の増のいずれかで対忚するしかないわけですが、いまの金融環境あるいは母体企業の現状を踏まえて、こういった代行部分の積立不足の対忚の在り方をどう考えるか。また、これまで私どものほうで取ってきている指定基金制度とか特例解散制度といったものの在り方についてもどう考えるかが論点です。特例解散に関連しては、現状のところでもご説明をした、実際に分割納付をしている間に個別の企業が倒産してしまった場合、そこの分の負担を事業主間でどう分かち合っていくかも、国会等でもよく指摘をされている論点です。
 最後に、現在厚生年金基金というのは適格退職年金が終了したあとは、ある意味では中小企業の企業年金としてはかなり重要なウェイトを占めているわけですが、そういった中小企業における企業年金の普及という観点から現在の厚生年金基金も含めて、あるいは新しい確定給付企業年金、確定拠出年金も含めて、企業年金制度全体の今後の在り方についてどのように考えるか。これはあくまでも事務局のたたき台ですので、また委員各位からの過不足のご指摘もいただければと思います。以上、大変長くなって恐縮ですが、資料の一括説明にさせていただきます。

○山口座長
 非常に多面的な検討課題があるといったことが理解できたように思います。
 それでは、ただいまの事務局の説明についてご意見等ありましたらお願いします。本日は第1回目ですので、ただいま事務局からの説明のあった論点案を含めて、幅広く自由にご意見をいただければと思っております。また、先ほど辻副大臣からもお話がありましたように、前半はどちらかといえば資産運用規制の在り方に力点を置いた展開にしたいということもありましたので、できるだけ資産運用規制の在り方については今日のこの場でも積極的にお話いただければありがたいと思っておりますので、是非よろしくお願いします。


○濱口委員
 今日は初めてですので、この会議の進め方という点も含めて尐し意見を述べたいと思います。今回の問題はエージェンシー問題という、ここにおられる方でしたら皆さんご存じのことだと思いますが、それが最悪の形で出た問題だと思います。普通、エージェンシー問題というのは、いわゆる年金基金と運用機関との間で、運用機関は本当に年金基金のことを考えているのかということで語られることが多いのですが、今回もちろんそれはあって、そこは金融庁とか信託協会とか投資顧問協会がそれなりに対忚策を検討すべきだと思いますが、おそらくこの場でより議論すべきは、実はエージェンシー問題は加入者・受給者と年金基金、もしくは年金基金の事務局、理事の間にもあるということですので、その辺に対忚するために、先ほどご説明があった受託者責任ガイドラインという非常に立派なものがあるわけですが、それが本当にワークしてきたのかという問題です。今回、よく基金が被害者だという意見もあるのですが、基金と運用会社、信託銀行という関係で言うと被害者なのですが、いちばん被害を受けているのは受給者・加入者で、特に今回いま言ったエージェンシー問題が、総合型の基金、中小企業が集まって作っている基金に、しかも厚生年金基金という、縷々説明がありましたが、一言で言うと非常に複雑な形の中で表れてしまった、典型的に、しかも非常に深刻に表れてしまったということかと思います。
 これは普通の会社でしたら、トヨタさんでもそうですが、従業員がいて、その代表の労組があって、会社があって、経営者がいて、そこで議論して、それを囲む法律がありますが、基本的にはそこで解決できていく問題です。ところが、この総合型の厚生年金基金というのは、例えば加入者と受給者がいて、それが所属している中小企業があって、その中小企業が集まって基金を作って、先ほどいろいろ解散のときの手続きの話がありましたが、そういった形で関与するなど基金をまとめる役割の我々企業年金連合会があって、それを取り締まる厚生労働省があって、しかも記録のやり取りなどで年金機構があって、そこがいろいろな記録の調整や修正を現にやっていますし、先ほどあったように人材も派遣している。したがって、関係者だけ見ても片手では足りない、大変な数の関係者がいるわけです。
 そういう中で、先ほど言ったエージェンシー問題はおそらくどんどん膨らんでいったのではないかと思います。例えば、先ほど代議員の議決が必要だと言いましたが、そこの基金に来ている代議員の人は本当に末端の受給者の代表の人なのか。形式はそうなっていると思いますが、実質的にはよく言われるように中小企業の社長が出てきていろいろ議論をしているのかもわからないし、そういう意味では本当に受給者の声が届いているのか。受給者・加入者の立場から見ると、このエージェンシー問題は、普通の企業年金であれば、受給者はどう思っているかという、受給者のためにという議論で済むと思いますが、このケースは受給者は何も知らない、もちろん、厚生年金と厚生年金基金の違いも知らないのです。私も年金の仕事を始めるまで知らなかったのですが、もちろん代行なんて聞いたことがない。全く知らないのです。したがって、自分の給料から知らない間に天引きされて、知らない間に運用されて、今回のケースのように知らないうちに損失を被っているというのが実態だと思います。したがって、できれば我々としてはそういう受給者・加入者の立場に立って、その人たちがどうなっているのか、どう思っているのか、何を知らないのか、是非そういう観点で議論をするべきではないかと思っています。
 ということで言うと、今いくつか出てきましたが、私の立場は企業年金連合会で、エージェンシーの一翼を担っている組織なので、その立場で意見を言うというよりも、おそらくその意見は連合会の中の評議員会や理事会でいろいろな議論をして、この場に対してもしくは役所に対しての要望や要請が出てくると思うので、それはそれで言っていただくとして、私はこの場では一有識者、個人として受給者・加入者の立場に立って意見を言っていきたいと思います。したがって、今後、場合によっては組織の連合会から出てくる意見と私の意見とは違うかもわかりませんが、それはご了承いただいて、それはそれで十分組織として揉んだ意見が出てくると思うので非常に大事だと思いますが、私は違う立場で言っていこうと思っています。
 私はずっと年金の運用をしてきて、最近は負債サイドの数理も担当しているのですが、これはまだ勉強不十分ですが、それと個人的なことですが、私は京都に家族、親族がいるのですが、非常に多くの者が厚生年金基金の加入者・受給者なのです。しかも勤め先が斜陽産業ですのでどんどんつぶれているところも多い中で、実は今回のAIJで損失をした基金も含まれています。したがって、個人的体験でもそこの生の声は結構聞いていますので、その辺も反映できればと思っています。偉そうなことを言いましたが、私も連合会から給料をもらっているので、バイアスがかかると思うので、いろいろ批判していただければと思います。それが全体観です。
 もう1つだけ、厚生労働省にお願いしたいのですが、いま縷々ご説明がありましたが、それぞれ非常に立派な法律、ルールです。ただ、結局環境が変わり、事情が変わり、十分に対忚できなかった問題がどんどん積もり積もって、一端がここに表れたのではないかと思うのです。したがって、おそらくこの場で議論をして、ちゃんとした新しいルール、規制が必要であれば出来たとしても、そういうルールは作った翌日からどんどん陳腐化していって、状況は変わっていくので、いちばん大事なのは、その後どうフォローしてモニターしていくかということです。本来の我々が議論した趣旨が本当にそのとおり動いているのかいないのかというところをモニターするのは、ここで議論するのと同じぐらい大事ではないかと思うので、厚生労働省でも運用専門官を雇われるという記事がありましたが、是非その辺の体制も強化していただくといった対忚をお願いしたいと思います。
 これは批判になるかもわかりませんが、正直言ってフォロー、モニターということで言うと、私は民間の会社から連合会に移って6年目なのですが、その間に渡辺さんのお立場の課長さんは5人目なのです。つまり、平均在職期間は1年ちょっとなのです。それぞれ非常に有能な方なのできちんとされていると思いますが、すぐおられなくなる。役所の人事なので何となくみんなそうしているのでわからないではないですが、渡辺さんは是非4、5年ぐらい徹底的に責任を持ってやっていただくぐらいの対忚をしていただかないと、おそらくまた絵に描いた餅になってしまうのではないかと思います。

○玉木委員
 ただいまの濱口委員のお話の中で、共感することがたくさんありました。特にエージェンシー問題という概念をキーワードにしたご説明があった点は、大いに参考になるのではないかと思います。濱口委員からもご指摘があったように、総合型基金は関係者が非常に多い、立場の違う関係者がたくさんいる。また、今日この場では運用にスポットが当たっておりますが、実は掛金を集めて給付するというのは大変な事業で、これと運用を1つの組織でやるのはかなり難度の高い技です。
 それに加えて、掛金や給付という点については、いちばんの利害関係人である加入者・受給者の関心が集まりやすいし、ある程度の知識がある、あるいは勉強するという方であれば、ある程度は理解が進みます。そうであれば、自ずと基金における掛金を集める、給付をする業務についての内部におけるガバナンスも効きやすいところですが、運用になるとなかなか加入者・受給者の知識及び関心が高まらない。そうなると、情報格差が大きい状態、及びガバナンスが弱い状態になって、濱口委員の用語を使えばエージェンシー問題がより深刻になるわけです。
 この点で対忚を考えるとすれば、最も我々がケアしなければならない加入者・受給者がより効率的に知識を得る、あるいはより効率的にガバナンスを効かせるための手助けのツール、仕組みを種々考えていくことが非常に必要ではないかと思います。
 もう1つ、濱口委員からもありましたが、監督当局、厚生労働省の側の話ですが、これについては受託者責任等に関するルールメイキングがそれなりに我が国においても進捗をしてきたのではないかと思いますが、これを実効あらしめる、特に何百という基金において実効あらしめるためには、相当インプリメンテーションが大変ではないかと思います。これは厚生労働省が運用のある程度の専門的というか、具体的なことについて情報を取ることができて、金融の世界では早期是正措置という言葉もありますが、それについてどの程度こういったことをやることができるのか。これは単に財政指標がこうなったらこうするということではなくて、運用のプロセスについてこういう問題が見つかったらこうするといったものが、いまひとつ私の目にはクリアに見えていないこともあって、この辺を行政としてある程度腰を据えて取り組んでいくことも考えていただければよろしいかと思います。
 まとめて言うと、資産運用規制という概念がありますが、これについてはもちろん金融の自由化が非常に進んでいる国、例えば我が国の銀行等においても、あるいは海外の銀行業等においても、レバレッジを規制するとか、我が国だったら大口融資規制といったものはありますが、いま最も必要なのは何かと考えた場合には、資産運用規制に飛んでいくよりは、基金内部のガバナンスを向上させるための加入者・受給者に対するさまざまな手助け、あるいは行政がそれに関与して、もちろん目的は加入者・受給者を助けることですが、そのための体制をじっくり作っていくことのほうが、限られたエネルギーの中ではよろしいのではないかと考えております。

○蟹江委員
 有識者会議のメンバーに選ばれて大変光栄だと思っておりますが、それはおそらく年金基金の現場を預かる身として現場の声を当局に伝えるよい機会であること、そのチャンスを与えていただいたわけで、自分としても微力を捧げたいと思っております。
 今回、有識者会議の開催要項(案)を見ましたが、「金融経済情勢の悪化の中で厳しい財政状況が続いており、ついては厚生年金基金等の企業年金について資産運用規制と財政運営の両面からこれまでの施策を検証、及び今後の在り方について幅広い観点からの議論を行う」ということで、これまでと今後との両面に分けて説明されております。そういったことについて、自分としては大変タイムリーであると思い、当局のアクションを評価し、自分としても貢献したいと思っています。
 2つ目に、1つ触れておきたいのは、確かに運用環境や財政状況については、構造的な難しい問題があることはもちろん承知しておりますが、年金基金として安全かつ安心して資産運用していける環境は整備してほしいと思います。すなわち、公的なインフラである企業インフラは盤石なものにしてほしいと思います。
 3つ目に、怪しい金融機関、運用機関はこれまでも登場してきましたし、残念ながら今後も登場するかもしれません。規制緩和の潮流の中で、資産運用規制の撤廃や投資顧問会社の設立形態の緩和など、自由化の恩恵を年金基金も運用機関も受けてきていることは事実であると思います。しかし、自由化をいいことに、また自由には責任や自立が伴うわけですが、それを自覚せずにぬくぬくしている組織や人がいるということです。そういう意味で、AIJ投資顧問などを野放しにしてきた当局の責任は、誠に大きなものがあるということは強調したいと思います。風評や噂の中には根拠のないものもあるとは思いますが、中には深刻な事態を招きかねないものの前兆や予兆もあるわけですので、その辺りについてはもっと敏感になってほしいと思うのです。
 4つ目に、もちろん我々年金基金サイドも自由に伴う責任・規律を自覚して行動する必要があると思います。そういう意味で、受託者責任やガイドラインにも書いてある三原則、安全かつ効率的な運用、分散の運用、四半期での時価の確認は、とてもよいものだと思います。要は作ったものがきちんとワークしているかどうか、そこがポイントではないかと思うわけです。我々はもう一度原点に立ち返って、反省するべきものは反省をしなくてはいけないと思います。そういう意味で、年金ガバナンスの現状について点検する必要があると思います。もちろん、運用受託者である信託、生保、証券会社、投資顧問会社等についても同じように自覚をしていただきたいと。これは、濱口さんがいらっしゃいますが、多くの企業年金基金のリーダーである企業年金連合会においてもしかりではないかと思います。
 5つ目に、確定給付制度の持つメリット、デメリットについてはもちろん承知するところではありますが、日本的な文化や雇用慣行の下ではそのメリットも大きいと思います。確定給付制度も含めて、企業年金の維持や普及について、当局の努力を期待したいと思います。特に成熟度の高い総合型年金基金がありますが、これについても何とかして守っていくのだという意識を当局には持っていただきたいと思います。また、我々年金基金サイドも、変えるべきものは変える勇気、変えてはいけないもの、守るべきものは守る胆力が必要だと思います。
 6つ目に、企業年金には規模の大小、財政の状態、成熟度、母体経営の状況など、運営上さまざまな条件が付いて回っているわけです。ただ、残念なのはマスコミの誤解で、企業年金の運用にはプロがいるべきだ、証券アナリスト資格を持たなければいけない、勝手に運用している、コンサルなど外部のリソースを活用していない、高い予定利率を守るために高いリスクで運用しているのではないかといったことがありますが、これらは大きな誤解であると申し上げたいと思います。中小規模の企業年金などは財政状況が大変厳しいわけで、外部のリソースに頼る資金がないのです。
 また、数名の役職員で給付と運用という重大な仕事をしていかなくてはいけないことについてもご理解いただきたいと思います。この辺りについても連合会が何とか手を差しのべてほしいと思います。
 運用についても、マスコミは誤解をしております。マスコミは、「運用」というとディーリングのことであると思っているようですが、これは違います。年金基金は個別株式や債券の売買を行うものではなく、要は長期的な観点の下でよい運用機関を選択して、定期的に運用状況をチェックすることが必要なわけで、そのスキルを磨けばよいということで、アナリスト資格の取得とは全く関係ないと思います。
 最後に、自分のいまの問題意識を整理すると5点あります。年金基金の財政問題。これについては金銭面での猶予ないし時間面での猶予など、いろいろな方法があると思いますが、財政問題をどうするか。次に関係者の責任問題。これは非常に微妙な問題ですが、その責任問題。もちろん、金融機関や行政当局も含まれるわけですが、責任問題。そして、当局による規制強化の問題。今回の事件をきっかけにして、規制強化をしてはならない。立派に運営している基金は多いわけで、言うなれば角を矯めて牛を殺すようなことはしてほしくないと私は思うわけです。次の問題は、運用商品の透明化問題です。これは当然必要だろうと思います。それから、天下り問題。非常にデリケートなのですが、これも私の思いは、要は適材適所、人材配置を正しく行えば、そういった意味では天下りは大きな問題ではないと思っております。
 ということで、厚労省が所管業務について正しく立ち回るように希望したいと思っております。特に運用面について少し触れますが、運用面での適切な規制があるとしたらその在り方ですが、年金基金側にとって必要なのは環境の整備であって、規制ではないと。例えば、委託割合の上限等、基金を縛る規制は作るべきではないと思います。また、運用会社への規制についても、開示義務の強化に焦点を当てて進めるべきではなかろうかと。要は、基金から見た運用の選択肢が狭まるような規制はすべきではないと思っております。全体観として申し上げた次第です。

○森戸委員
 2、3点申し上げます。最初ですので、皆さんのように大したことは言いませんが、開催要項の趣旨には一言もAIJなどは出てこないのですが、最後にAIJの事件の説明がいっぱいあって、誰もがわかっているようにAIJ問題が起きたからこの有識者会議も開かれていて、だからこそ何か議論しなければいけないということだと思います。かつ、短期間で結論というか、何かを出そうと、それ自体はいいのですが、それであればAIJ問題がなぜ起きたかは冷静に分析していただきたいというのが1つ目です。例えばですが、極端に5:3:3:2規制がないからこの問題が起きたのだというのなら、5:3:3:2を復活させればいいのですが、短期間で議論しつつ、事件の中身はまだわかっていないところもあると思いますが、それは並行していろいろ明らかになると思いますので、何で起きたのかを並行して分析もしていただいて、冷静な議論を、とりあえず何か規制を強化すればいいだろうみたいな感じで議論するのは非常によくないと思います。それがきっかけでやっている議論ですから、それが何で起きたかをちゃんと分析する、当たり前のことですが、ちゃんとそれを強調しておきたいと思います。それが1点目です。
 2点目は問題の切分けをすべきだということで、厚生年金基金等の会議で、厚生年金基金の話だということで論点も整理されています。ただ、ご承知のとおりいろいろなルール、もちろん代行部分のあるなしでだいぶ違うのですが、確定給付企業年金においても給付減額にせよ財政のルールにせよ運用のルールにせよ、いろいろ同じようなものがあります。ここで何か厚年基金について議論することは、確定給付企業年金についても議論していることになり得るわけで、そこに波及することはすでに意識して議論しなければいけない。もし、これが代行のある厚年基金の問題だというのだったら、そこはちゃんと限定して、代行があるからこそのこういう議論であって、これは確定給付の話とは違いますね、ということはいちいち確認していかないといけないと思います。同時に、厚年基金と一言で言っても、先ほどから皆さんから出ていますが、総合型と単独と全然違う点もあると思います。エージェンシー問題等もそうでしょうが、あると思いますので、それは総合型だからこういう話だということなのか、それとも代行を持っている厚年基金についてそもそもそうだという話なのか、そこもちゃんと切り分けて、つまり厚年基金の話か確定給付の話か、単独でやっている話か総合型でやっている話か、複雑ですが、この論点はある意味全部にかかわると言えばかかわるのですが、ちゃんと意識して議論して、あまり変な波及のさせ方をしないように、しかし関係するところは全体として必要な見直しはしていくべきだろうと思います。これも当たり前のことかもしれません。
 もう1点だけ申し上げると、先ほど蟹江委員がおっしゃったことは基本的には賛成なのですが、1つ思ったのが、総合型基金などでも守るべきものは守っていくべきだということをおっしゃっていて、一般論としてはわかるのです。他方で、これは労使で作っている制度だと思いますので、もし労使がやめたいと思っているものであるならば、無理にやめさせるということはないですが、そういう方向での議論というか、そのためにはどういう手法があり得るのかということも考えていくべきだろうと。最初から厚年基金なり総合型制度は絶対守っていくべきものだと決めて議論するのはよくないのかなと。今回の3の厚生年金基金制度等の在り方は、実質的には、読んでいけば、そもそも代行制度などがあるべきなのかという議論につながることが書いてあると思うのですが、その辺はせっかくの場ですので、あまりタブーなしにというか、制度の全体の在り方も考えられるような議論はすべきだろうと思います。

○山口座長
 それでは、近藤委員から順番でお願いします。

○近藤委員
 私の立場は経団連の代表でということになっているのですが、私自身は住友化学という一企業の財務、資金運用で、運用というよりお金を借りるほうが多いのですが、運用なども業務として行っているような立場で、住友化学としては規約型の確定給付企業年金に入っております。資産規模は1,600〜2,000億ぐらいの規模の資金運用をしており、一忚規約型ということなので別法人にはせず、財務部で何人かで事務局をやっております。1997年にいろいろな規制緩和が行われたときに、運用の見直しをして、投資顧問なども採用したり、制度面でも給付利率等の見直しなど、いち速く対忚しています。そういう意味では、我々も運用はよくわかるのですが、財政制度になると企業の中では人事部門が見ており、トータルでわかっている人は非常に尐なくて、こういった資料を見てもすべてが簡単にわかるわけではなく、ものすごく難しいと思っております。
 皆さんがおっしゃったとおり、制度も複雑ですし、年金の主体自体も幅広く、いろいろな規模とか成熟度といった話もありました。こうした中で、森戸先生がおっしゃったとおり、きちんと区切って、この問題はこうだということを1回整理して進めていただければ、議論に参加しやすいと思っております。
 そういった意味で、我々のスタンスとしては、冒頭から大臣もおっしゃったように、自助努力・自己責任ということで、労使合意に基づいて発足しており、こういう基本原則を中心に据えて議論していくべきだと思っております。先ほど来出ているとおり、基金と3階建て部分だけで制度設計しているDBとは状況が違うと実感しており、代行部分がない所は自己責任が基本原則です。それは忘れてはいけないし、運用規制も全部同じで議論して、一律でやっていくというのは、あまり過度にやると足かせばかりになってしまうということがあると思います。
 基金の問題については、我々も門外漢なところもありますが、自助努力の中でやってきている人たちの中でも、公平性が確保されているのかということは外から非常にわかりにくいので、現状どのように整理されているのかはきちんと理解していきたいと思っております。

○山口座長
 整理して議論が必要だというお話だったと思います。次に、鹿毛さん、お願いします。

○鹿毛委員
 私は前・企業年金連合会の常務理事という肩書きになっていますが、これまで運用機関の立場と企業年金連合会という年金としての運用の立場と、両方の立場の経験をしてきましたので、この会議においては個人の意見として、これまで感じてきたことをお話できればと思います。この点ご了承いただきたいと思います。
 さて、この委員会の一つの目的がAIJ問題をきっかけとした規制の在り方になる以上、先ほど森戸先生がおっしゃったような、なぜ起きたかということの検討は非常に大事だと思いますが、それに加えて、なぜかなりの数の基金は被害者にならなかったかという点の検討も重要だと思います。。つまり、約600の厚生年金基金の16%は契約をしていますが、残り84%うちのかなりの部分、何百という基金は、AIJの話が来て、やっていないのです。
 ご存じの方は多いと思いますが、被害にあった約70基金の中に大阪の基金は一つもないのです、関西の基金は極めて尐ないのです。関西地方は報道によると、オレオレ詐欺の被害が最も尐ない地域だと言われています。関西の大手基金の幹部の方に「大阪の基金の被害はないですね」と聞いたら、「AIJは大阪の多くの基金にセールスには来た。」ただ、理事会で説明しなければいけないから、いろいろ質問しているうちに来なくなってしまった」ということのようです。ですから、確かに運用ガイドラインやいろいろなルールは、ある程度は存在して、多くの基金はそれに従って行動している結果、被害を避けているわけです。この手の詐欺行為は将来もなくならないでしょうから、それに対してどのように対忚すれば引っかからないで済むのか,という点も、非常に大事ではないかと思います。
 もう一点。いままで委員の先生方がおっしゃったことに、大体私も同意見なのですが、この会議の主要テーマは、基金のガバナンス問題だと思います。それを考える上で基金の執行部である理事長、理事会、常務理事のガバナンス上の役割は何なのか、という点を明確にする必要があると思います。ここが曖昧なまま、基金は運用のプロであるべきかとか、運用のプロではないといった議論が行われていると思います。基金は企業年金連合会を除けば実際の運用はすべて外部の専門家に委託しているわけです。ですから、蟹江委員が言われたように、基金の中において株式・債券運用の専門能力は直接には期待されていないわけです。しかし委託先運用機関を管理することは期待されている。
 他方、基金としては将来の基金の年金財政の姿、その中で長期的にどれぐらいの利回りが必要か、あるいは基金の親会社の財政状況を見ながらどこまでリスクが取れるのか、こういうことは内部の人間にしかわからない。そういう一口に言えば運用の基本方針を作って管理するのが基金の執行部の仕事で、実行はほとんどすべて外部の専門家に任せています。ですから、基金の財政の状況とリスク許容度を熟知して、運用基本方針を策定・管理することに関しては、基金執行部はプロであるべきなのです。しかし、ファンドマネージャーとかアナリストという意味での、世の中で言う資産運用のプロである必要は必ずしもないと。そこが非常に誤解があるし、報道上も混乱があると思われます。ですから、ガバナンスの問題として基金の理事会・常務理事の役割・責任をもう一度整理して、それに対して今回なぜ問題が起きたか、起きなかったかという議論をしていけば、自ずと今後どういう規制は必要で、どういう規制は必要でないということも、もう尐し具体的にわかってくるのではないかと思います。

○永山委員
 いま、ようやく厚生年金基金のお話になってきましたが、先般私ども厚生年金基金が、ある新聞の一面に10年以内に資産が枯渇するという記事が載りまして、私どもはその中に入ったわけです。一部分だけにフォーカスを当てた記事だったわけですが、非常に読者の年金制度への理解を妨げるというか、曲解をさせる、不安を煽るということが起きたと思います。私どもも対忚させられたわけですが、今後については年金制度、特に基金制度をご理解いただいた上で発信をしていただければと思っております。よろしくお願いします。
 本題に入らせていただきます。いまご提示いただいた資料4の主な論点ということでお示しいただいておりますが、私個人としては大方これでよろしいのではないかと思っております。時間も制約がありますので、概論を話してもいかがなものかと思っております。具体的な事例を挙げながら論議をされたほうが、非常に物事は早いのではないかとも思っております。
 いまお話がありましたが、厚生年金基金、特に総合型の厚生年金基金の代行を持っている基金が焦点になっているのだろうと私は理解しており、私にここに来いという命令があったのはそういうことだろうと思っておりますが、現場の状況は、いま鹿毛先生が言われたように常務理事は何をするのかということもありますが、これは運用の面からいくと別に運用のプロでもありませんし、私は運用のプロはどこにもいないと思っております。どこにプロがおられるのか、いるなら連れてきていただきたいと思いますが、プロが当たったかとなると、ほとんど当たらないということになりますので、基金の財政運営ということからいくと、平成9年に厚生労働省から示されているガイドラインがあります。いま、これは中身がしっかり生きていると私は感じております。これは法律ではないので、どのように具体的に各基金が行っていくかというガバナンスの問題も含めて、あるのだろうと思いますが、運用目標を立てて、そこで政策アセットミックスを作って、長期的な財政運営の中でどういう資産配分をして、リスクとリターンをどのように取っていくかということを各基金はやっていると思います。その中で、例えば理事長や運用執行理事、常務理事は、本当に簡単に書いてあるわけですが、常識的な感覚を持って物事に対処して判断をすることがいちばん大事なことですし、なかなか難しいと思います。ですから、責任を問われると、基金の財政もしくは運用については全体の給付ということになるわけですが、将来の給付を賄っていくための大きな運営の舵取りをしていくというか、判断をしていくと。修正をしながら判断をする、もしくは基本的な方針を立てていくことが仕事なのではないかと思います。
 今回のAIJの問題で、いろいろ言われています。また、結果も出ておりませんので、ここで軽々には申し上げられませんが、我々の仲間としての立場からこれを見ると、AIJは詐欺という、途中からそうなったのかなと思いますが、AIJを導入するとき説明があったのだと思いますが、そのときの説明をどのように理解し、詳細まで判断したのかということは問われるのだろうと思います。そこで運用の手法、オプションらしいのですが、そういう手法がどのようなものであるかぐらいのことは、概要だけでも理解して、その実績、先ほど別のところにもありましたが、「運用機関を変えるときに何をいちばん見ますか」と言うと、「過去の収益率がいい所をまず見ます」となっていますが、それだけではなくて、定性的なものをまた判断しなければいけないということもありますが、そういう中でAIJという投資顧問を見るときの見方が、「7%なのです」「リーマンのときもすごかったのです」ということをパッと持ってこられて、過去のトラックレコードだけでこれはすごいということで行ってしまったことはあるのではないかと思います。
 ただ、そこであるのは、何度も言われていますが、現実にご自分の財政状況が厳しかったということがあって、そこで何とかしたいという気持はあったのだろうと思います。しかし、そうは言いながらも受託者責任は問われると思いますし、今後私どもでは受託者責任の在り方についても、もしくは運用の第三者、もしくは助言者を入れるといった手法についても改善をしていかなければいけないのではないかと思っております。

○花井委員
 先ほど出ていましたように、私も最大の被害者は加入者だろうと考えております。連合の中にも中小企業が多くあって、たぶんその中に含まれていると思っており、このことについては大変怒りを感じております。
 その上で意見を述べさせていただきます。まず、厚生年金基金が公的年金と企業年金を一体的に運営していること、両者間の垣根が制度的に担保されていないことから、私たちは企業年金の欠損が公的年金に及ぶのではないかということをずっと懸念してきました。したがって、1990年代から、いずれ厚生年金基金については、この制度は廃止すべきではないかとずっと訴えてきました。現実、代行割れが6,300億円にも達するまで、行政及び基金において放置されてきたことは非常に遺憾ではないかと考えております。もちろん、代行割れしていない基金があることも承知しておりますが、4割が代行割れしていると。その代行割れが公的年金に食い込んでいる、欠損を生じさせていることについては、企業年金に入っていない被保険者、受給者からすれば、そのことは年金財政に大きく影響することであり、このことを大きく問題にすべきだろうと考えております。
 したがって、有識者会議では、公的年金と企業年金の性格の違いを踏まえて検討を行う必要があると考えております。具体的には、厚生年金基金と確定給付企業年金、それぞれについて運用やガバナンスなどの在り方を検討すべきと考えます。さらに、運用の規制の在り方がずっと論点にも挙げられておりますが、公的年金も含めて運用するということであれば、当然5:3:3:2規制をもう1回復活させるかどうかは別問題ですが、公的年金である限りは何らかの規制が必要だろうと考えております。
 企業年金については、労使で合意して運用することになるわけですから、そこについては自己責任の世界だろうと思いますが、公的年金を使っている限りは絶対自己責任にはならないのではないかと思います。そういう意味で、是非ともそこの区分けを明確にしながら検討していただきたいと強く要望しておきたいと思います。
 もう1つは、企業年金というのは退職金ですので、これは賃金ですので、それを安易に引き下げる条件を緩和する、たぶんこれから検討されていくと思いますが、そのことについては労働組合としては容易に認めることはできないということだけは述べておきたいと思います。

○小野委員
 3点申し上げます。1つはある種マスコミ批判になりますが、今日の資料でもおわかりのとおり、年金基金における運用に携わる役職員のうち社保庁OB等がいるかいないかというところと、そういった基金がAIJを採用しているかどうかという2つのマトリックスで見た場合、それぞれ社保庁OBがいない基金が206、いる基金が352で、それぞれ採用した基金数が36と52です。率にすると、社保庁OB等がいた基金は15%、いなかった基金は17%です。こういったことを考えると、社保庁OBが損失を拡大したかのようなマスコミの報道が一部あったかと思いますが、これは何を根拠にしているのかが、私としてはわからないということです。
 2つ目は今日の論点の案に関してですが、私は企業年金の規制監督のストラクチャー、在り方についても1つ論点になってくると思います。現状の体制どおりで精神論だけで頑張れと言っても、なかなか難しい面があると思うのです。私のそばにも年金数理人が結構いるのですが、現在ではDBと厚生年金基金とDCを合わせると1万5000です。それに対して、昔は厚生年金基金ですから、せいぜい1,800といった基金数で、莫大に増えているわけです。そういったところで、個別の案件の認可をしながら規制の企画をしていくという話になってくると、これは不可能に近いのではないかという感覚を持っております。私としては、企画機能とできた機能に基づいてそれを実施する、つまり監督する機能は、組織を分けるかどうかは別としても、ある程度明確に分離するような行政監督のストラクチャーを作っていかないと、いまはAIJの問題、厚生年金基金の問題ですが、時代がどんどん変わっていくとどこにリスクがあるかわからない、リスクが変わっていくという状況が出てくると思うのです。それをリスクベースで法律的な規制監督をするためには、個別の案件から上がってくる情報を、必要であれば統計情報にしたりしながら企画部門に提供して、規制の在り方を検討するといったことをしていかないと、またそれに忚じて十分な資源を提供していかないと、今後のことも考えると立ち行かなくなるかもしれないという意味では、規制監督の構造を考える必要があるのではないかと思います。
 第3点は、身も蓋もないことかもしれませんが、私自身は、私の能力も含めて有識者会議は打ち出の小槌ではないだろうと思います。私は年金数理人ですが、特に後半の論点については、課題によっては理屈の範囲を超えていることが十分想定されるのではないかと思います。その中で判断するとなると、それは年金の世界を超えた産業の問題だと思います。そういったものを考えなければいけないという意味では、考えられる選択肢にはどれも弊害や理不尽といったものが出てくる可能性があるのではないかと。そこは有識者がどうこうという提案は難しいと認識しており、どういった形かは知りませんが、最後は政治判断という局面が出てくる可能性も十分踏まえた上で検討していく必要があると思います。

○翁委員
 2点申し上げます。1つは、皆さんも強調されていることですが、私はガバナンスがこの基金制度については重要な意味を持っていると思っております。ガバナンスというのは、執行を監督するという意味があります。最初に濱口さんが強調された点ですが受給者の立場で誰が運用等をきちんとガバナンスできるのか、執行をガバナンスできるのかについて、制度をもう1回そういう視点から見直す必要があるのではないかと思っています。こちらの論点整理では、ガバナンスというのは意思決定のプロセスについて書かれておりますが、それをどのようにチェック、監督していくかという視点が非常に重要だと思います。
 その視点から考えると、規制等の関係も、規制を緩和するのであればそれに見合った形でのコンプライアンス体制、それをどのように担保するかというガバナンスの体制が取れていることが重要で、しっかりしたガイドラインがあって、先ほどの話ではワークしている部分もあったわけですが、これを必ずしも守れていないところがあったわけで、そういった点についてもっとガバナンスの効く基金制度にしていくことが基本的に重要だと思っております。厚生労働省は、通常の場合であればそれをチェックする役割であればよいと思います。
 2点目は、それよりもさらに問題が深刻化した場合で、これは厚生労働省がどのように対忚していくかについてのルール作りを、責任を持って進めていく必要があるのではないかと思っています。その点で先ほどご指摘もありましたが、代行割れがこれだけ大きくなってしまっている状況に関しては、いままでどういう取組みをやってきたのかの検証が必要だと思っております。例えば、指定基金制度のご紹介がありましたが、これが実際どのように行われていたのか、そういうことをしっかり検証した上で、非常に大きな環境変化でマーケットも厳しいし、高度成長期ではなく、今後も人口減尐ということで厳しい環境が予想される中で、非常に状況が悪くなった基金についてどのように対忚していくのか、きちんとした議論をしていく必要があると思っております。

○山本委員
 「ガバナンス」という言葉で表せる部分と「リスク管理」という言葉で表せる部分と、両方あるかと私は認識しております。基本的に運用規制はやるべきではないと考えていますが、運用とリスク管理は裏腹というか表裏一体で、リスク管理ができるということであれば運用規制は全く必要がないと思っています。
 例えば、今回のAIJの事件を捉えていくと、また新たなリスク管理の必要性、資産が本当に実在するのか、時価が本当に正しいのかという、運用という意味ではイロハのイの部分に疑問が生じるような事件が起きてしまって、「イ」の部分のリスク管理がおろそかになってしまっている場合があるために、リスク管理を強化していきましょうということだと考えます。そのリスク管理の1つの在り方として、例えばファンド監査やSSAE16、旧名称SAS70報告を取得しているかどうかを確認するという方法があります。監査報告書は取得していたけれど、その監査報告書が報道ベースでは偽造されていたと。偽造されていたということになりますと、監査報告書が偽造なのか偽造でないのかを見抜くようなリスク管理がまた必要なのか。それは監査法人等に確認すればわかる話ではありますが、ことほど左様にリスク管理はやり始めるときりがないという側面があります。運用規制をやらないということであれば、リスク管理は十分に行われるべき、あるいはガバナンスは十分に整えられるべきで、それは今回いただいた項目の中である程度カバーできるのではないかと思っています。
 企業年金加入者の権利は等しく守られるべきであると考えています。私が経験上見ている中では、ある基金は極めてガバナンスがしっかりしていて、リスク管理がしっかりできている。それは財源もあるし人もいるし、そういう状況になっている。今回AIJ事件で、犠牲になられたかどうかまだ確認はできないということですが、投資をされた方々のガバナンス体制はしっかりしているとは、一部思えないところもあります。ただ、それは人がいない、財源がないということで、十分酌量の余地もあるのかなと考えています。
 そのように考えていくと、ここで受託者責任の在り方はこう、リスク管理はこうすべきと、それが現実にできる所とできない所に差別化されると、二極化が起きてしまう。つまり、ある基金の加入者は守られ、ある基金の加入者はそれよりも劣位の守られ方をすることになると思いますので、そういったことにならないような方策が必要かと思っています。例えば、規模を拡大していく、中小の基金についてはもう尐し大きなものにしていくといったことも俎上に上ってくると考えておりますが、基本的には実行可能な策を考えていきたいと思っています。

○山口座長
 予定の時間を過ぎていますが、今日は1回目ですので、一渡りご意見をいただければありがたいと思っております。臼杵委員、いかがでしょうか。

○臼杵委員
 皆さんがおっしゃったことに基本的には賛成のところも多いので、あえて違うというか、私の個人的な考えを3点ほど述べさせていただきます。もし間違いがありましたら、次回以降いろいろご議論いただければと思います。
 1つは、ガイドラインやいろいろな政省令で受託者責任を決めています。それは確かにそうですし、非常に良いガイドラインだと思いますが、果たしてそれがどこまで実効性があったのかどうかは、検証していかなければいけないということが1つあります。
 2番目として、基本的には過剰な規制は避けるべきだと思いますが、厚年基金に関しては代行を持っている。代行については厚年基金の加入者だけではなくて、厚生年金加入者全体の連帯的な利害のものですので、完全に労使の自由にしていいのかどうかというところがあります。確かに基金の業務に従事されている方は銘柄選択の専門家である必要はないわけですが、運用機関を選択したり、リスク許容度を考えて掛金給付を設定して、その中で資産配分をすることに関しては専門家でなければならないということからすると、どう確率を上げていってもらうかというか、そのスキルをどうやって上げていくのか。そのスキルがもし十分でないとした場合に、全く国が関与しなくていいのかどうかということはあるのかなと思います。
 3点目に、厚年基金に関して言うと、確かに給付と掛金の徴収は非常に大きな業務ですので、経験のある方が仕事をされることも十分に理解できます。ただ、資産運用に関しては、私の記憶では、かつては厚年基金は代行と上乗せのところをまとめてやることで規模のメリットがあるということで推奨されてきたものだと思いますが、規模のメリットということであれば、もう尐し基金のサイズ自体を大きくすることも必要になってくるのではないかと。例えば、コンサルタントを雇う費用がないということであれば、それは大きくすればするほど資産当たりのコストは下がってくるわけですので、その辺は果たしていまのままでいいのかどうかは、全く疑問がないわけではないのかなと思います。

○山口座長
 どうもありがとうございました。今後の議論になっていくと思いますが、代行制度の在り方というか、本体の厚生年金が賦課方式に変わっていく中で、積立方式を財政方式として採っている厚生年金基金が、どのような位置づけで今後運営していけるのかといったことも含めて、現在中立化が行われていますが、そういった流れの中で例えば最低責任準備金の在り方といったものについても、できれば皆様とご議論していければと思っております。すでに時間をオーバーしておりますので、特に追加がなければこれで終わりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、事務局から次回の日程等についてお願いします。

○渡辺企業年金国民年金基金課長
 次回は4月24日(火)午後5時からを予定しております。場所等につきましては追ってご連絡させていただきます。

○山口座長
 それでは、本日の審議はこれにて終了いたします。ご多忙の折お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。


(了)
<厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課>
代表: 03-5253-1111(内線3320)

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