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2012年4月5日 第1回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成24年4月5日(木)
16:00−18:00


○場所

厚生労働省9階省議室


○出席者

委員

阿部委員、伊藤委員、加藤委員、玄田委員、小杉委員、駒村委員、佐藤委員、
白木委員、諏訪委員、清家委員、鶴委員、樋口委員、森永委員、

事務局

小宮山厚生労働大臣、太田厚生労働審議官、森山職業安定局長、黒羽職業安定局次長、酒光労働政策担当参事官、土屋職業能力開発局総務課長、大西職業安定局総務課長、藤澤雇用政策課長、
久知良若年者雇用対策室長、宮本地域雇用対策室長、藤井雇用政策課労働市場分析官、弓雇用政策課企画官、武田雇用政策課長補佐  他

○議事

○武田雇用政策課長補佐 ただいまより、第1回雇用政策研究会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙の中お集まりいただきましてありがとうございます。私は、冒頭の進行を務めさせていただきます厚生労働省雇用政策課課長補佐の武田でございます。
 本日ご出席の委員のご紹介をします。窓側の手前から、獨協大学の阿部正浩委員です。専修大学の伊藤恵子委員です。伊藤委員は今回から新たに参画いただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、明治大学の加藤久和委員です。東京大学の玄田有史委員です。独立行政法人労働政策研究・研修機構の小杉礼子委員です。慶應義塾大学の駒村康平委員です。慶應義塾大学の樋口美雄委員です。樋口委員には、当研究会の座長をお願いしております。続きまして、東京大学の佐藤博樹委員です。早稲田大学の白木三秀委員です。法政大学の諏訪康雄委員です。慶應義塾大学の清家篤委員です。慶應義塾大学の鶴光太郎委員です。獨協大学の森永卓郎委員です。また、本日はご欠席されていますが、学習院大学の橋本陽子委員、北海道大学の宮本太郎委員、慶應義塾大学の山川隆一委員にも今回の研究会の委員をお願いしております。以上16名の委員の皆様に、今後、議論を深めていただきたいと考えております。
 続きまして、厚生労働省を代表いたしまして、小宮山厚生労働大臣からご挨拶を申し上げます。
○小宮山厚生労働大臣 樋口座長をはじめ、委員の皆様、お忙しいところお集まりいただきまして本当にありがとうございます。
 これまで、雇用政策研究会では、その時々の経済・雇用情勢に応じて、中長期的に打ち出すべき雇用政策を明らかにしてきました。前回提示していただいた「トランポリン型社会」の構築とか「多様な正社員」の環境整備などは、求職者支援制度の創設、望ましい働き方ビジョンの取りまとめなどによって具体化をしてきました。現在の日本は、私が言うまでもなく、グローバル競争の激化や円高などにより製造業が非常に苦境に立たされていて、産業空洞化の進行が危惧されています。加えて人口がどんどん減少を続け、市場が縮小していく中、雇用をどのように確保していくか、これは本当にこれからの大きな課題になっていると思います。
 今回の研究会では、今年1月に出された「日本の将来推計人口」を基に改めて将来的な労働力需給推計を行っていただくこと、それとともに、さらにこうした数値等を基にして、1つは日本の成長を担う産業の育成と一体となった雇用政策の推進、2つ目には若年者等の就労支援、3つ目に新たな地域雇用の創出、大きくこの3つのテーマについて検討していただきたいと考えています。今年の夏ごろを目途に、これからの指針となるような政策のあり方について一定の方向性を提示していただければ幸いです。是非、活発なご議論をいただきたいと思います。
 私も労働担当の副大臣のときには、皆様にお願いしている会にもなるべく出させていただきましたが、大臣になると国会につかまっていることが多くてなかなか来られないのですが、可能な限り聞かせていただきたいと思いますので、どうぞ活発にご議論いただいて、良い方向性を出していただくように心からお願いを申し上げます。ありがとうございます。
○武田雇用政策課長補佐 ありがとうございました。続きまして、樋口座長からご挨拶いただきます。
○樋口座長 慶応大学の樋口でございます。この雇用政策研究会は、久しぶりに開催ということで、1つは5年にいっぺん人口推計が新たに出たときにやっている、あるいは政策的な課題が蓄積されたとき、いろいろ問題が出てきたときにやるといった形で開いてきたかと思います。今回も人口推計が提出されたということ、それによって少子高齢化の影響がどのように社会に現れてくるのか、特に雇用面についての関心等が高まっている中で、将来見通しを立てたいということ、その一方で、ご案内のとおりジョブが不足しているという現実の社会の中で、どのようにすれば雇用という問題を解決することができるのか。
 大臣からもお話いただいたように、1つは地域の問題ということで、都市部と地方との間の高齢化の進展の度合いも違いますが、また雇用面においても違いが起こっているということで、これにどう対応していくのか、さらには若年の雇用問題も顕在化しているということがありますので、ここで皆様のご意見をいただきながら取りまとめていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○武田雇用政策課長補佐 ありがとうございました。カメラ撮影はここまでですので、カメラマンの方はご退席願います。
 それでは、議事に入ります。今後の議事進行は座長にお願いいたします。
○樋口座長 それでは、まず当研究会の開催要領及び議事の公開等について、事務局から説明をお願いします。
○武田雇用政策課長補佐 資料2に基づいて、本研究会の開催要領をご説明します。
 目的ですが、さまざまな経済構造変化の下で生じている雇用問題に関して、効果的な雇用政策の実施に資するよう、学識経験者を参集して現状の分析を行うとともに、雇用政策のあり方を検討するというものです。研究課題としては2つあり、1番目として経済構造及び労働力需要・供給構造の変化に関する分析と展望、2番目として雇用に関する問題の分析と今後の雇用政策の方向です。
 構成ですが、この研究会は、厚生労働省職業安定局長が学識経験者の参集を求めて開催するもの等です。運営については、研究会は必要に応じて開催する。分科会を設置することができる。研究会の議事については、別に研究会において申し合わせた場合を除き公開とするとしております。
 資料3、議事公開についてです。研究会は原則公開です。ただし、以下に該当する場合であって、座長が非公開が妥当であると判断した場合には非公開とするということで、個人情報の保護の必要がある場合。公開すると外部の圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見交換又は意思決定の中立性が損なわれるおそれがある等の場合。市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招く等の場合。さらに特定の方に不当な利益を与えたり不利益を及ぼすおそれがある場合ということです。これらは、厚生労働省が定める審議会等の会合の公開に関する考え方に準じているものです。以上です。
○樋口座長 ただいまの説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。それでは、いまの説明のようにさせていただきたいと思います。
 続きまして、今回、当研究会で議論を行う論点及び今後の進め方について、関連資料も含めて説明をお願いします。
○藤澤雇用政策課長 雇用政策課長の藤澤と申します。この研究会に出席しますのは、たぶん12年ぶりぐらいになろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 資料4と資料5をご用意ください。資料4ですが、当研究会において議論していただく検討課題です。基本的には、先ほど大臣が申し上げたことに尽きるわけですが、需給推計を行っていただくことと、政策課題を3点お願いしたいと事務局では考えております。
 資料の下から2つ目の※にありますように、人口推計が出ましたので、需給推計を行っていただくということで、作業自体は前回に引き続きJILPTにお願いし、この研究会でご検討いただきたいと思っております。
 上に戻って、検討テーマが3つあります。1点目が「日本の成長を担う産業の育成と一体となった雇用対策の推進」ということで、アジア、円高、産業空洞化といった課題・懸念に対応して、中長期的に日本を支える産業分野を整理・明確化していただいた上で、こうした分野の成長を支えるための人材の育成や需給のミスマッチの解消策などを検討いただきたいと思います。2点目が「若年者等就労支援」で、厳しい雇用情勢を受け、フリーターやニート対策、あるいは新卒者の就職支援対策に加え、グローバル人材の育成といった課題についてもご検討をお願いしたいと思います。3点目が「新たな地域雇用創出」で、景気の拡大を受けて、雇用機会の地域間格差が再び顕在化しつつあるのではないかと考えております。地方からの新産業の育成、地域に密着した産業を受け皿とする安定雇用機会の創出、また地域に必要な人材育成策等が検討課題であろうと思っております。この3つの課題に共通するものとしては、産業政策と雇用対策のタイアップや中小企業の支援策、あるいはミスマッチの解消策、人材育成策といったことになろうかと考えております。
 続きまして、資料5です。委員の皆様方にお願い申し上げたいのは、かなり日程が窮屈ですが、7月の終わりごろまでに、できれば報告を取りまとめていただきたいということで、いま申し上げた課題の順番で、若者、産業、地域、さらに需給推計は作業の都合があろうかと思いますので、間に挟む形でご検討をお願いできればと考えております。若者、産業、地域については、できればそれぞれ企業の方、あるいは地域での取組みを行っていらっしゃる方々等から、ヒアリングもこの場で行っていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 資料4、5は以上です。資料6で、最近の経済・雇用の状況、あるいはいま申し上げた3つの検討課題に関連する資料を準備しておりますので、続けて武田から説明を申し上げます。
○武田雇用政策課長補佐 資料6をご説明します。1頁ですが、ここからは一般的な経済・雇用の動向についての資料です。1点目は、実質GDPの推移と寄与度です。2011年の第1四半期は震災がありましたので、黄緑色の内需が落ち込んでマイナス成長となっております。その後持ち直しておりますが、青の外需が円高等によって落ち込んで、第4四半期はマイナスとなっております。
 2頁のGDPギャップですが、リーマンショックによってGDPギャップが大きくマイナスに振れております。その後持ち直しておりましたが、震災等の影響によって、2011年はまたマイナス幅が拡大しております。
 3頁、株価の動きです。リーマンショック以降大きく落ち込み、その後若干回復しておりましたが、震災、円高で昨年ぐらいからまた大きく落ち込んでおります。足下は回復しており、1万円台、上回るという状況でしたが、昨日また1万円を割り込んで、現段階では9,700円台になっております。
 4頁、各国の通貨の動きです。リーマンショックを契機に、特に紫の韓国ウォンが下落をしております。また、昨年のユーロ圏の財政危機などから、昨年来、赤のユーロが下落をしている状況です。円については、ずっと円高基調が続いており、昨年夏ぐらいから80円台を割り込む超円高水準になっておりますが、足下は80円を超え、82円ぐらいが現在の相場です。水色の中国元は、ずっと高くなってきている状況です。
 5頁が各国の失業率の推移です。すべての国において、リーマンショック後失業率が上昇しておりますが、特に欧米の上昇が顕著です。黄緑がスペインですが、20%を超えております。緑がフランス、青がアメリカ、オレンジがデンマークで、黄色のドイツを除いて失業率が高くなったままです。日本については、一時上昇しておりますが、昨年4.5%ということで持ち直してきており、欧米諸国に比べると比較的低い水準ということです。
 6頁が国際収支の推移です。青の折れ線が輸出、赤の折れ線が輸入ということで、ずっと輸出が上回ってきたわけですが、昨年は円高、原発事故等による火力発電の拡大により、輸入が輸出を上回っております。また、黄緑の対外直接投資については、これも増加基調ですが、リーマンショックでは落ち込んでいる状況です。
 7頁の鉱工業生産指数・日銀短観の業況判断です。鉱工業生産指数もリーマンショックで落ち込み、持直しの動きがみられておりましたが、震災でまた大きく落ち込んで、その後、持ち直しておりますが、最近は弱い動きということで、2月はマイナスとなっております。日銀短観も同じような動きで、特に製造業、赤が大企業、紫が中小ですが、3月は赤が横ばい、紫が少し低下となっており、弱い動きです。
 8頁は、規模別にみた売上高経常利益率の推移です。大企業が2000年以降かなり上昇して差が大きくなっており、リーマンショックで一時落ち込みましたが、再び拡大の傾向をみせております。
 9頁が労働生産性の国際比較です。日本は34カ国中20位と、低い水準ということです。
 10頁が規模別の労働分配率の推移です。これは景気後退局面で上昇し、拡張局面で低下する傾向がありますが、特に2000年以降、大企業で大きく低下をしております。
 11頁ですが、雇用者報酬の推移です。1990年代前半まではおおむね増加傾向でしたが、その後は横ばいになっております。
 12頁ですが、賃金と物価の動向です。これまでは黄緑色の物価を青と赤の賃金が上回る所が多かったわけですが、足下は、物価はデフレ基調でも比較的安定している中、賃金が低下しているところがみられます。ただ、2月は足下、賃金は上がっております。
 13頁ですが、ここからが第1のテーマである、日本の成長を担う産業の育成に関連した資料を集めたものです。最初が産業区分別の賃金カーブです。赤で青い点が製造業ですが、緑の波線の産業合計よりもカーブが急になっていて、年齢を重ねるごとに賃金が上がっております。また、サービス業も黄色の教育・学習支援やオレンジの情報通信といったものは角度が急ですが、青の医療・福祉、水色の生活関連、薄紫の宿泊・飲食といったものは比較的フラットで、年齢が上がっても賃金が上がらないということです。
 14頁が職業別の賃金カーブです。赤のシステムエンジニア、黄緑色の各種専門学校教員などはカーブが急になっています。また、製造分野ですが、青の自動車組立て、緑の機械組立て、黄色の旋盤も角度がありますが、青の介護、オレンジ点線の警備、紫の販売店店員は比較的フラットになっております。
 15頁ですが、製造業の職種別賃金カーブです。いわゆるホワイトカラー職種のほうがブルーカラー職種よりもカーブが急になっており、40から60まででその差が顕著となっております。
 16頁ですが、製造業と非製造業の1人当たりの付加価値の推移です。これを見ると、製造業の付加価値は緩やかに増加する一方、非製造業の付加価値は1990年代以降低下ということで、差が拡大しております。
 続きまして、産業別の賃金と生産性の相関関係です。電気・ガス、教育・学習支援は賃金が平均よりも高く、製造業は平均程度ですが、農業や宿泊・飲食、医療・福祉といったところは平均賃金よりも低いという状況です。また、生産性と賃金の関連でも強い相関関係があって、生産性が高い産業ほど賃金が高いという構造です。
 18頁ですが、製造業の事業所数・従業員数の推移です。リーマンショック前に一時増加をしておりますが、傾向としては事業所数が減り、従業員数もそれに伴って減っている状況です。
 19頁ですが、産業別の雇用者数の推移です。建設、製造が減少傾向にある一方、情報通信、医療・福祉といった部分が増加傾向です。
 さらに、製造業の中の雇用者の推移を見たものが20頁です。電気機械器具製造業などがマイナスとなっております。
 21頁が職業別の求人・求職の動向です。専門的・技術的職業や運輸・通信の職業、福祉関連職業などは、求人が求職を上回っております。事務、販売、生産工程・労務などは、求人を求職が上回っております。職業間でのミスマッチが生じているということです。
 生産工程・労務の求人・求職の状況を見たものが22頁です。金属加工や建設・土木の職業では有効求人倍率が1以上となっており、輸送用機械器具製造業等でも1に近いのですが、多くの職種で1を下回る職種がみられます。
 23頁が日本の人口の推移です。日本の人口は減少局面を迎えており、2060年には総人口が9,000万人を割り込む見込みで、高齢化率は40%近い水準になると推計をされております。
 24頁が少子化の進行ということで、合計特殊出生率は2005年に1.26と、過去最低を更新しております。その後は出生率は前年を上回っておりますが、依然低い水準です。
 25頁です。そうした少子高齢化、人口減少等による国内市場の縮小です。これは自動車を例に取っております。足下は復興需要によって少し上がっておりますが、また低下傾向をみせると予測されております。
 一方、26頁ですが、世界各国のGDPの推移と見通しです。新興国のGDPのシェアが拡大しており、1995年に18.4%だったものが、2010年は34%ということで、2016年には39.9%まで高まる見込みです。
 27頁ですが、これも新興国の市場の拡大の図です。オレンジ色が2010年で、青が2020年です。オレンジ色のほうは富裕層が少なくて、低所得者層が多いということになっていますが、低所得者層が2020年は減って、富裕層が増えてくるという予測で、今後年収5,000ドル以上の人が13.4億人増加する見込みという試算です。
 28頁です。海外生産比率と海外売上高比率の推移ということで、一貫して上昇傾向です。2011年度の見込みは、34.2%が海外生産比率で、これが2014年にかけて38.5%まで上がるという予測です。
 続きまして、今後の日本企業の海外市場への拡大・参入の動向です。この調査は、今年の1〜2月に厚生労働省の委託調査として行ったもので、次回詳しく委託先からご説明したいと思っておりますが、上の白と肌色と黄色が「無回答」「販売(予定)していない」「わからない」ということで、オレンジ、緑以下が実際に海外に進出を予定している企業ということです。全産業を取っているので、日本が比較的高い値になっておりますが、日本や欧米などは緑、「現状程度」といったところの割合が高くなっております。中国、インド、東南アジアは青と紺、「徐々に拡大・参入したい」「大幅に拡大・参入したい」といった意向を持っている企業が多くなっています。赤が「今後3年程度の販売先拡大・参入先として重視したい市場」で、これも全産業を取っているので日本がいちばん多くなっていて、40%を超えておりますが、大企業の製造業だけを見ると、日本は11.7%、中国は45%、東南アジアは23.4%ということで、アジア諸国のほうが日本よりも重視したいという意向を持っているということです。
 30頁です。グローバル人材に対するニーズですが、これも同じ調査です。左側は部長・課長クラスのニーズが高いということで、階層が下になるに従って外国人の現地採用を重視するということです。右側は充足感で、黄色と肌色が「やや不足している」「かなり不足している」ということで、海外で勤務を希望する人材が不足しているという回答が出ております。
 続きまして、2つ目のテーマの若者の関係の資料を集めたものが31頁以降です。31頁が大卒の内定率です。2月1日現在80.5%ということで、過去最低だった去年に比べて3.1ポイント増です。
 32頁が新規高校卒業者の内定率の推移で、今年の1月末現在は86.4%ということで、去年よりも2.9ポイント増加、2年連続の改善ということです。
 33頁は未就職卒業者数です。平成23年度で、就職が決まらないまま卒業する方が7.5万人いるということです。
 フリーター・ニートの推移が34頁です。フリーター数は左側ですが、平成23年度で176万人、ニートは60万人ということです。
 35頁が若年者の完全失業率等の推移です。平成23年の15〜24歳の完全失業率は8.2%です。
 36頁ですが、フリーターと正社員の生涯年収格差です。左側ですが、青が正社員、紺がパート・アルバイトです。大卒、高卒ともに青は年齢がいくに従って上がっていますが、紺は年齢がいっても上がらないということです。それを反映して、右側の正社員と正社員以外の賃金格差ですが、40〜50代にかけては正社員の半分程度の賃金ということです。
 続きまして、フリーターから正社員への転換の困難性ということで、これは小杉先生の本から引用しております。正社員を希望しても実際に正社員になったのは一部ということで、2001年から2006年にかけて正社員になろうとした者、正社員になった者の比率が下がっております。
 38頁は、卒業後3年以内の既卒者の募集状況ということで、新規学卒者採用枠で既卒者を募集した企業は約6割です。
 39頁は大学進学率ですが、平成元年は30.5%だったものが、平成23年には54.4%ということで、20年間でかなり上昇しております。
 40頁以降が3つ目のテーマの地域です。景気拡大局面でかなり地域間の格差が拡大しており、リーマンショック後大きく上昇していたところが下落し格差が縮小しております。しかし、景気回復に伴いまた拡大をする状況になっております。青森、鹿児島、沖縄、北海道といった地域は低位で推移しております。
 41頁が都道府県別の有効求人倍率の状況ですが、福井などの北陸地方での伸びが大きいという状況です。
 最後に、都道府県別の新規求人倍率の順位です。1位が福井、2位が宮城、3位が香川、下位のほうは45位が北海道、46位が青森、47位が沖縄ということで、赤で示したような県がかなり順位を変えておりますが、42位以降は同じということです。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。ただいまの説明も踏まえまして、ご自由にご討議いただきたいと思います。取り上げるテーマ等々、これでよろしいかということもあると思いますし、皆様から自由なご意見をお願いいたします。
○森永委員 前回の雇用政策研究会で、ジョブ・ホッピング型社会というのを打ち出したのですが、私はあまり回数出られなかったので文句を言える立場ではないのですけれども、実はあの後、リーマンショックというのが起こったのてす。今日、失業率の推移を出してくださいましたけれども、実はオランダとデンマークという2つの国があって、これはどっちもフレキシキュリティ政策のお手本だと。要するにどんどん転職させても、その転職をサポートしてあげれば新しい成長産業に雇用が張り付いて、むしろ経済は拡大し所得も増えるからいいのだというのが、当時の考え方だったと思います。
 ところが、オランダとデンマークという、ヨーロッパの中でも特に失業率の低いこの2カ国が、リーマンショックでどうなったかというと、オランダはそんなに失業率は上がらなかったのですが、デンマークは劇的に上がったのです。私はこのことの意味というのをよく考えないといけないのだと思っています。それは何かと言うと、ここはいろいろ議論があるのですが、例えばオランダの場合は解雇する場合に地方労働委員会の許可を取らなければいけないという、雇用に対する規制が非常に厳しい。デンマークと比べれば遥かに厳しいというのが、OECDの雇用保護度の数値を見ても明らかに高いわけです。日本があまり失業率が上がらなかったというのも、日本の保護率は高いわけです。結局、当たり前の話かもしれないですが、こういう大きなショックが経済に加わったときは、やはり労働市場を解雇しやすい仕組みにしておくと、失業率が上がってひどい目に遭うのだというのが、私はこの経験ではないのかなと思うのです。
 その中で日本はどうなったかというと、小宮山大臣がいる前で非常に言いにくいのですが、民主党政権は、例えば製造業の派遣労働を禁止すると言っていたにもかかわらず、登録型も含めて「やっぱりオーケーよ」ということになってしまいました。雇用情勢が厳しくなったときというのは、弱いところに全部被害が集中するというのが今までの経験であるにもかかわらず、つい先日も国家公務員の採用を半分以上削るという改革を打ち出されて、私はひどいなと思うのです。なぜ思うかというと、現実に大学生の就職の面倒を見ていて、去年、今年は無茶苦茶厳しい。今年はよくなったとはいえ厳しいのです。その中で結局、新卒者を絞って人件費を抑制するということをやると、全部しわ寄せが若者のところにいくわけです。例えば、思い切って公務員の給料をあと一律1%切れば同じだけ採れるわけです。私はそっちをやったほうがいいと思うのです。これを言うとまた公務員の皆さんを敵に回すと思いますが、例えば大学や高校を出た瞬間にフリーターなど非正規の仕事に数年間ずっと就けてしまうと、あと取り戻すのが不可能に近いぐらい難しくなるので、ここは既得権を持っている大人たちが、歯を食いしばってでも若者たちにきちんとした雇用の場を与えるというのが、いま、私はいちばんやらなければいけないことではないかと思っています。前回も満場一致で否決されたのですが、私はこういう時代だからこそ、あえて労働時間短縮をして、ワークシェアリングをして若者に正規の雇用の場を与えるということを、いま考えなければいけないのではないかと思っています。
○樋口座長 ほかに、鶴さん。
○鶴委員 私のほうからは、今回の検討テーマということにつきまして、若干コメントさせていただければと思います。私、3月まで経済産業研究所という霞ヶ関のシンクタンクにおりましたので、政策担当者といろいろお話させていただく機会も非常に多いのですが、最近、雇用の問題を考える際に、だいぶ政策に関わる人たちの考え方が変わってきたなという感じを持っています。例えば雇用という問題を考えるときも、単に雇用問題、労働問題だけでなく、それに隣接するような産業の話、逆に教育の話、省庁で言えば経済産業省、文科省という所と連携を非常に強化していかなければ、雇用の問題というのをちゃんと考えられないような感じです。これは逆に言うと、今回、この研究会で産業や地域の話も含めて出されているし、就労支援の話は、まさに先ほどご説明があったように、大学生が20年ぐらい前に比べてかなり増えているわけです。ただ、大学生になるべき適齢年齢層の人たちは減少しています。こういう中でいろいろな問題が出てきているということなので、教育の話と分けて考えることは、たぶんできないだろうということなのです。
 経産省の担当者の人たちも、産業政策を考えるときに、それだけで議論できないと。雇用の話と労働の話を一緒に考えないと、政策というのはできないところまできている。非常にそういう切迫感というのもございます。そういう意味合いにおいて、今回、ポイントを絞って議論するということで、私はテーマ設定がいいと思っています。その際、ほかの連関する政策のところにも目配りをしながら、たぶん議論しなければいけないと先ほどのご説明を聞きながら感じたところです。
○樋口座長 ほかに、どうでしょう。
○清家委員 2点あるのですが、1つは検討課題のところで、これらは全て非常にタイムリーな検討課題だと思いますけれども、政策や課題の間には必ずトレードオフの関係があるわけです。例えば従来からずっと問題になっているのは、雇用の流動性を高めるかどうかということです。労働市場の流動性、雇用の流動性を高めるというのは、一面では既にもう能力を持っている人が最適な職場に配置されて、マクロの生産性を上げるためにはいいことですけれども、一方では、雇用の流動性が高まると人的資本投資が減ります。これは本人にとっても企業にとっても人的投資の費用を回収できないリスクが多くなるので、雇用の流動化が進むと人的資本投資が減少するという意味では、まだ能力を持っていない人の能力の蓄積についてはマイナスになります。トレードオフの間のバランスをどこで取るかということが重要ですが、ともすると議論は、一方的に労働市場の流動性を高めたほうがいいとか、あるいは逆に、とにかく安定的な雇用が絶対なのだとか、そういうふうに傾きがちなので、雇用政策研究会は専門家の集団として、その中で、ぎりぎりのトレードオフの中での選択というのはどうなのかということを指し示すことが重要だと思います。まず検討課題全般についてのコメントです。
 もう1つは、それとも関連するのですが、先ほどの森永さんのコメントはとてもよかったと思います。失業率の国際比較等を見ると、もちろん危機意識というのは常に持つ必要があると思いますが、日本の雇用は大変だ、真っ暗だと言っても、国際的に見れば失業率は低いわけです。特に若年の失業率はかなり低いわけです。これも私は先ほどの森永さんの意見に同意するのですが、もちろん、そこからあぶれた人の問題というのはありますけれども、多くの若者は学校を卒業する前に就職先が決まって、企業もまだ十分に戦力になるとは思えない人を雇って、企業の中でしっかりと育てていくという雇用慣行があるから、若い人の失業率が低い状況にあるわけです。これもまたトレードオフの話かもしれません。誤解のないように申し上げると、ニートやフリーターの問題というのはしっかり対応しなければいけないと思いますが、そこで少し変だなと思うのは、日本は1回の就職で人生が決まってしまうから、こういう就職のあり方は変えたほうがいいのだとか言う人がいるわけです。それは多くの安定的な就職をした人たちを全部犠牲にして、みんなが不安定になればいいのだ、というふうにも聞こえてしまいます。そういう面では、いま厚労省が進めておられる、例えば3年間は学卒採用として認めてくださいというやり方などは、とてもよくわかるわけですが、わざわざ雇用を不安定にするほうがいいと取られかねないような話などには、しっかりと釘をさしていかなければいけない。つまり、日本のいまの労働市場のパフォーマンスがいいのはなぜかということもちゃんと分析して、日本の労働市場の高いパフォーマンスを支えている制度は変えてはいけないのだ、むしろしっかり守っていくべきなのだということについても提言していく必要があると思います。
 こういう研究会や審議会というのは、ともすると何か変えたほうがいいとか改革が必要だとか、かなり改革が自己目的化してしまったりすることがあります。そういうようなことについて、もちろん大切な改革はやったほうがいいと思いますが、自己目的化したような改革の動きに対しては、きちんとブレーキを掛けることも言ったほうがいいのではないかと思っています。
○諏訪委員 私は、今回の3つの検討テーマの柱は大変結構だと思っています。同時に、3番目の新たな地域雇用創出という部分は非常に重要な部分だと思っています。地域における産業と雇用の活性化というか活発化というのは、非常に重要なことだろうと思っています。取分け、これまではうまくいっていると思われていた部分が、海外との競争等で大企業の工場等が撤退して、大変悲惨な状況になっていくのをつぶさに見ていると、地域から決して撤退しないような産業、決して雇用の場が失われないようなメカニズムを、どうやって作っていくかということは改めて問われていると思っています。今回、雇用政策研究会が、そういう問題に分け入って議論していくことには大変期待しています。
○白木委員 今回の検討課題は3つあるわけですが、産業、若年者、そして地域です。この検討テーマの中にも書いていますが、グローバリゼーションの中で、どういう形でそれぞれ目的を達成していくかということが示されているのかなと、横串はグローバリゼーションかなと思っています。
 先ほどから議論がありますが、世界と比べて相対的に若年者の失業率の低さは誇るべきことであって、このテーマの中にありますが、成長を支える人材をどうするかということと深く関わっていると思います。成長を支える人材となると、どちらかというと若い人たち、あるいは中堅の人たちも上位層にターゲットを絞ることになるのかもしれないですが、その人たちの育成をどうするかということが重要かと思います。その場合に従来、ともすれば日本の企業というのはOJTが重要で、これに任せておけば十分うまくいくという信念が強すぎたのかなと。意外とOFF-JTというのが、ほかの国の中堅層に対する投資の労働時間などを拝見すると、非常に少ないというのが日本の企業の特徴かと思います。そういう意味で、もう少し教育投資に資源を振り向けるようなことをしないと、成長を支える人材の育成が十分できるかどうか疑わしいということを、私は問題意識として持っています。
○佐藤委員 今回のテーマで横串と言ったときに、いま白木さんからグローバリゼーションというお話がありましたが、もう1つ大事なのは古くて新しい課題ですけれども、中堅中小企業のところにどう着目するかということで、成長と言ったときに、新しい企業の創業や起業をどう支援していくかということです。また若年の就業支援も中堅中小企業だと、まだ新卒をたくさん採りたいという企業があるわけです。ですから大企業だけでなく中堅中小、新しく出来立ての企業にも若い人が行くような形で、産業間移動もそうですけれども、新しい産業をどう創業支援し、伸びてきた所に若い人たちが行くような視点で、それは地域の雇用創出もそうだと思いますから、もう少し企業の起業や創業、中堅中小の所に焦点を当てて、そこにどう人が移って行けるかを考えていくことは、結構共通の横串かなと思いました。
 もう1つ、白木さんが言われたような能力開発ということで、特に産業を超えたり職種を超えて中期のキャリアで転職ということ、あるいは後期のキャリア転職というのはすごく大事になってくると思いますし、同じ仕事で移れる所、同じ産業へ移れるということが減ってくるという意味で、リカレントというのはすごく大事になってくると思います。仕事は変わる、産業は変わるけれども、これまでの仕事で培ったスキル、経験にちょっと外から付加するとほかに移れる。そういったリカレントの部分が大事で、そういう意味で私は大学の教育かなと思いますし、そういうものを充実することは労働市場の流動化でも大事だと思います。
○駒村委員 5点ほどあります。ちょっと聞きそびれたかもしれませんが、需給見通しというのは何年ぐらいまでを視野に入れたというお話があったのか、確認させていただきたいと思います。この需給見通しは、私は社会保障も専門にしていますので、医療、介護、年金、特に年金の財政にとって見れば、いま経済前提の議論が始まっていますので、この需給見通し、例えば既婚者の女性の労働力率をどう想定しているのか。あるいは高齢者の労働力率をどう想定するのかというのが、社会保障全体のほうに関わってきますので、これは非常に重要な推計だろうと思います。
 あと個別の議論で、先ほど何人かの方からありましたように、今回の産業政策と教育政策の両方を視野に入れるというのは大変重要なことだと思っています。資料の33頁にもありましたが、未就職卒業者数がピーク時で10万人という時期があって、再び7万5,000人と増えてきているわけで、学校から職場へのつながりをどうしていくのかということ。これは別の機会に学術会議のほうでもこの議論をやり、大学の役割は一体何なのかというのが改めて問われる時代になってきているわけです。これは、いま佐藤先生がおっしゃった話にもつながりますが、雇用政策だけでなく、まさに高等教育政策の部分も重要になってくるだろうと思います。
 それから同じ若年者ですが、非正規の問題が非常に深刻な問題になっていて、見た目よりもおそらく状況は悪いのではないかと思っています。最近、長期失業の問題でヨーロッパに調査に行ったのですが、ヨーロッパは若年失業の問題が極めて重要ですけれども、日本は非正規の問題はあるとしても、ヨーロッパに比べれば緊迫感がないわけです。それは、おそらく親元のほうでかなり吸収してしまっているので、真実のかなり深刻な状況が時間稼ぎになっているというか隠蔽されているのではないか。この辺も放っておくと、後々、日本の経済成長に深刻な影響を与えるのではないかと思っていますので、ここも注目したいと思います。
 それと、今回のテーマの中に入っていなかったテーマとして、ワークライフバランスに関わることも少し頭に入れておいていただきたいと思っています。次世代法(次世代育成支援対策推進法)の見直しの話が出てくると思いますし、子ども・子育て新システムのほうでは、この労働政策との連携の部分が今一つ残されたテーマになっていると書かれていますので、その辺は意識した議論が必要なのかなと思います。
 最後に、今後の雇用を吸収する産業ということで、福祉、医療、いわゆる対人社会サービス系が最近では180万人の雇用を吸収していると、先ほどレポートがあったと思います。今後、日本人の年齢構成は高齢化率4割に近づくということですが、4割のうち約3割までが75歳以上となりますので、これは極めて医療、介護分野の需要が伸びていくことになるわけですが、このときにどっちのルートを辿っていくのか決めなければいけない。1つは、この分野は依然として公的な守備範囲できちんとやっていくということで、そこで保障する賃金も含めて公的な財源で賄っていく。そうなってくると介護報酬、その他の報酬も上げられるわけですが、当然、かなりの税負担が発生していく。もう1つは、かなり民間に任せるというか市場化していくというか、混合医療、混合介護的なほうに持っていく。そうすればある程度低コストで、逆に民間の評価のほうで賃金が決まっていくことになると思います。その辺、医療・福祉産業が伸びていくだろうと思いますが、どういう仕組みの中でそれが伸びていくのかは、ここの雇用政策だけではないですけれども、厚生労働政策全体の中で整理していかなければならないと思って考えています。
○小杉委員 私もこの3つの課題は非常にいい課題だと思いますし、すごく連関したものだと思います。グローバル化の中で変動が大きくなって、その変動の中でいちばん安定的な雇用に就きにくくなるのが若い層です。あるいは地域の中のある部分がグローバルについて行けない中で疲弊したり、非常に関連のある問題だと思います。
 そういう中で、たぶん筋として大事なのは、そういう変動の中でどうやって変動に対応するような人材を、きちんと能力開発で作っていくかという筋ではないかと思います。そういう筋で考えたときに、これまでの制度のメリットとデメリットを的確に判断していかなければならないのではないか。先ほど新卒採用の話があちこちから出ていました。新卒採用の仕組みのメリットとデメリットを、きちんと判断しなければいけない。日本の若者が低失業率だというのは、新卒採用という仕組みがあって、企業が採用してから人を育てるという能力開発の場所が、企業の中の最初の部分にあることが非常に大きいと思います。
 でも、持っているマイナスの面も同時に考えなければならない。その1つは、非正規になった人たちに対する能力開発の場がどうなるかというところで問題がある。それから学校教育の側が、企業の中での能力開発を前提として、特に高等教育が職業能力と無関係に発達してしまったという、そういう課題を持った形になっている。そこでメリットの部分を活かしながら、デメリットをどうしていくかというと、政策的には産業政策や教育政策、特に教育政策との関係というのは非常に強いものがあります。文科省のほうも、かなりその辺を意識して高等教育の質の保証をいろいろ考えていますから、連動した形で政策を展開する必要があるのではないかと思います。
 非正規に関しては、一旦、非正規になった人はなかなかキャリアが作りにくい。私の資料をここで引いてもらいましたが、実は2001年にも同じ調査をして、ついこの間刷り上がったものがあるのです。それで同じデータを見ると、2011年段階では、フリーター経験者の中の正社員になろうとする人の比率は高まっていて、でも正社員になれる比率は、2000年代の初めよりもずっと減っているという状況が明らかになっています。
 もう1つ、この調査の中で明らかになったことの1つに、非正規から正社員に変わった人はそれなりの数がいるのですが、非正規から正社員に変わった特に男性が、すごく将来展望が持てないでいる状態が見えているのです。正社員になればいいというものではないということですが、相対的に労働条件が悪かったり労働組合がなかったり、そういうところに就いている比率が高くて、何とか正社員になったけれど、その先の展望が持てない状況が起こっている。そうすると、そこでもう一度考えなければならないのが、どこでどう能力を身に付けて、どう適切な所に行けるようにするかということだと思います。非正規から正規に変わった場合、そこで能力開発が大事なのはたしかですが、行った職場で次のステップが見えなかったりという事態がある。そういうことを全体として考えて、非正規だから正規へというだけでなく、では能力をどこで伸ばして、その先のキャリアにどうつなげるかという発想から、若者対策というのは考えるべきではないかと思います。
○玄田委員 資料4を拝見すると、「今後の日本の成長を支える効果的な雇用政策を」というのが研究目的のようですが、私はやや違う方向が重要ではないかと思っています。それは日本の崩壊を防ぐ雇用政策のあり方を、いまこそ検証すべきではないかということです。前回の研究会以降にリーマンショック、アメリカで言えばリーマンクライシスがあって、東日本大震災があって、考えてみれば崩壊の危機に直面したわけです。それに対して現状をどう捉えるかは考え方が分かれるわけですが、東日本大震災からすれば、少なくとも有効求人倍率という意味では、昨年の5月、6月から急速な回復を遂げてきて、リーマンショック以降の急速な失業率の上昇以後も、比較的持ち直しが早かったとすれば、それなりに崩壊を防ぐことがある程度はできたのかもしれない。ただ、今後、おそらくまた大きな危機が起こってくるわけです。それは東海とか首都直下型の地震かもしれませんし、アジア危機かもしれないし、ヨーロッパ通貨危機に端を発した新たな金融不況かもしれませんが、今後、おそらくそう遠くないうちに、また新たに大規模なクライシスが起こる可能性があることを想定したときに、いまの雇用政策でいいのかということを今こそ検証すべきであるし、そういうタイミングだろうと思っています。
 震災関係で今回非常に思ったのは、こういう雇用政策研究会ですと、いかなる政策メニューを準備するかということが終始議論されるわけですが、その前提にある政策を打つための財源がどうあるべきかは、ほとんど議論したことがなかった。しかもリーマンショック以降、大変に評価が高かったのは基金事業のような緊急的な施策であって、政策を打つための財源はどうあるべきかについては、先ほど申し上げた危機に対応するという意味では、是非、議論しなければならないのではないか。当然、一方で、かつて構造転換を妨げるという意味で経済学者の多くが反対した雇用調整助成金の活用がなければ、今回のこの2つの危機は乗り越えられなかったわけで、そういう意味では森永さんが言われたように、移動さえすればいいのではなく、むしろ危機に対してはグッと堪えることをサポートする施策が重要であるということは間違いない。こういうことを考えると、クライシスに対して復元力のあるレジリアントな雇用政策とは何かということのほうが、いま問われているような印象を私は強く持ちます。
 3つの観点については多少キーワード的なところだけ申し上げると、産業の育成についてのキーワードは「7%」です。昨年の中小企業白書の中に、2002年から2007年に雇用創出に貢献した企業がどういう企業かという、帝国データバンクの数字を使った試算があって、実は2002年から2007年に創られた新しい雇用の半分は、わずか7%の企業によってもたらされている。白書ではそれを「ガゼル企業」と呼びますが、そういう非常に瞬発力があって成長力の高い企業が、実は雇用創出の大部分を生み出している事実を我々はどう考えるのか。かつて雇用動向調査を使って同じような研究をしたときにも、3%の企業が約4割弱の雇用を創っていました。決して批判するわけではなく、雇用政策はどちらかというと残りの93%をサポートするというイメージが、前提として強くあったように思います。先ほどの雇用調整助成金然り、非常に厳しい状況の企業を守るための雇用政策であったし、根本は今後もそうあり続けるべきだと私は思いますが、ここにあるように新たに雇用を創り出す、成長に寄与するという意味では、かつて勝ち組企業とか言われて、場合によっては非常に忌み嫌われた伸びる可能性のある企業、勝てる企業を、もっと勝てるような雇用政策に踏み出すべきかどうかというのは、実はとても大きな論点だろうと思っています。
 2番目の若年支援に関してのキーワードは「手間隙」です。手間隙をかけない限り若者の就職は生まれないというのが、この10年間の反省だったろうと思っています。平成23年度の大卒内定率が過去最低になったわけですが、実は90%を切るのではないかということを2月ぐらいまで思っていました。それが最終的に23年は91.8%と何とか9割を持ち堪えたのは、おそらく学校、ハローワーク、関連したジョブサポーターといったものが、最後のラストリゾートになって、就職から逸れた若者たちを何とか就職に結び付けたのだろうと思っています。学生が一生懸命インターネットで調べて就職活動して、孤独な闘いを続けても就職は決まらないということは、みんなが知っている事実になっている。そうすると実は若者支援というのは、ものすごく労働集約的で、手間隙かけない限り、就職開始の時期を早くしようが遅らせようが、あまり関係ない。どうやって手間隙をかけるのかということでハローワークのあり方、求職者支援制度のあり方を考えないと、制度を考えてもたぶんうまくいかないだろうと思います。
 3番目の地域の雇用創出のキーワードは「まちづくり」です。今回、震災対応ということで新たにいろいろな地域対策が起こっているわけですが、まちづくり自体をビジネス体にする、いわゆるまちづくり会社というものに、かなり被災地では期待がかけられ実際に動き出している。ポイントはコンパクトシティの再建です。高度成長期に広がってスプロール化した地域を、もう1回コンパクトな地域にして高齢者が歩いて生活できるような地域に作り直す。伝統、歴史、自然に基づいたライフスタイルそのものをブランディング化し、それを産業につなげる。まちづくり会社のような取組みが重要とされていて、それは決して被災地だけではないし、実際に一部の地域では成功事例も出てきている。つまり既存の事業体ではない、むしろコミュニティを作る、まちをつくるということを事業体にすることが、産業にもなるし高齢社会にも対応するし福祉にもなる。その起こっている芽を我々も見逃さず、それをサポートする仕組みが雇用政策であり得るかということ、そこが今、いちばん議論すべき論点だろうと思います。
○樋口座長 何となく答えがもう用意されているような感じですが、加藤さん。
○加藤委員 玄田委員の次は発言しづらいのですが、新卒の就職の話がここの資料にもありました。今年は去年に比べると内定率が少し高まってきたということですが、実は大学の中を見るとそんなに楽観視できない。例えば就職活動から身を引いてしまって留年を選ぶということで、実際は数値的にそういったところも影響しているのではないかと思われます。昨年と比べても厳しい状況は変わらないということがあります。
 それと同時に、過去のデータをいろいろ見てみると、内定率が低いときに卒業した学生は七五三現象で言えば、大卒だと3年以内に離職する人たちの割合が高そうだというのが、データを眺めているとわかります。つまり急いで就職してしまうことによって就職はできたけれども、その先が続かない。そういうことがないわけでもないのかなと思います。また資料の中にあった、3年以内の新卒の話の中で、多くの企業が既卒者の受付をしている形の資料をあちこちで見かけます。しかし、それでどれだけ採用したかとなると、どうもおぼつかないところもあります。
 先ほどフレキシキュリティの問題が出てきました。若者の不安定な状況を何とかしていかなければいけないといったときには、そういったさまざまな政策が必要ですが、なぜEUのような形でフレキシキュリティがしっかり根付いていないのか。あるいは、それがなぜ有効ではないのかといったときに、そこにはお金の出し方の問題も大きく関わってくるのではないかと思います。ご案内のように日本の場合、家族向けの社会支出がヨーロッパに比べても非常に少ない。だから十分に効果が見えないといっても、それだけお金を出していないところもあるというのは考えていくべきではないかと思います。
 2つ目は産業の話ですが、常々考えていると非常に難しいところがあって、新しい産業を考えていくときに、もう今更箱物ではないだろうし、例えば医療や介護の問題を考えて、それが新しい産業となっていったときには、何らかの新しい生産性の高いものを作っていかなければいけない。それは誰もが考えることですが、一方で現在、宮城県や岩手県で有効求人倍率が改善してきている。その大きな要員というのは復興事業であり、公共事業をやっているというところがあります。そういうような意味で言うと、公共事業というのは今まで地域における雇用の保全という意味はあったのかもしれません。無駄なものであるという評価も高かったわけですが、実際、それが雇用を守っているという側面も否定はできないだろうと思います。そうなってくると、ただ単に生産性を高めて成長産業をということだと、本当に雇用がそれに結び付いていくのか。そこら辺をどう整理していけばいいのか。逆に言えば、昔のように人を使う産業のほうが雇用を確保できる。でも、それでは日本の成長はないといったところをどう考えていけばいいのか。それを、いま自問自答しているところです。
 最後に需給見通しとの関係で申し上げると、例えばこれから労働力人口の推計をやっていった中で、今後20年間、たとえ少子化対策が非常に有効になったとしても、労働力人口あるいは就業者という意味では、ほとんど結び付かないというのは自明のことです。今回の人口推計は2060年までですが、2060年までの長い期間で考えていくときに、少子化対策等々をやっていき、その中で人の数を増やしていくことは、将来の労働力人口に非常に大きな効果を与えるのではないかと思います。手元にないのですが、私個人の試算では、夢物語ですけれども、例えば2030年までに2.1ぐらいまで出生率が戻れば、2060年でおよそ780万人から800万人ぐらいの労働力人口が増えるという計算もできます。そういった意味で推計需給見通しといった問題について、短期、中期、長期でいろいろ見ていく必要があるということです。
○伊藤委員 私は労働経済学者ではなくて、企業の国際化や貿易直接投資、生産性といった研究をしているものですから、労働経済の錚々たる先生方の前で特に大きなことを言うこともないのですが、普段、自分のこういった企業の国際化、生産性という中で考えていることを少しお話させていただこうと思います。
 先ほども、生産性を上げれば、逆に雇用が減るのではないかというお話が少し出てきましたが、生産労働者や事務的な労働者といったルーチンの仕事をする人たちと、ホワイトカラーでグローバルに海外企業と競争していくエリート的な人たちを、かなり区別して考えていく必要があるのではないかと思います。確かにルーチンの仕事を確保して雇用の数を増やしていくこと自体も重要だと思いますが、一方で海外で競争できる、かなりエリート的な社員、人材を育てていくことをしていかないと、日本の国際競争力も今後高めていけない。一律にどうこうというのではなく、どういう職種、どういう産業、どういう事が求められる仕事かということで、一律な政策でなく、多様な政策パッケージのようなものを考えていく必要があると思っています。
 特に国際的に、グローバルに活動している数少ない企業が、日本の経済成長を支えていると言えるのかもしれませんが、そういった企業に関して雇用の問題は非常に重要だと思っています。多くの企業が海外での人材管理等にも結構苦労している。たぶんそれは日本の雇用の仕組みと海外の雇用の仕組みがかなり違うので、日本の企業の場合は日本から来た社長なり偉い人が何年かいて、また帰って行く。現地で雇ったマネージャーは日本から来た社長よりも偉くなれないというので、しばらくすると転職してしまう。人をどう使うかというのが、国際的に活動する日本企業にとっても重要な問題だと考えています。
 それに関連して何が重要かというと、そういったエリート的、専門的な能力を使う職種について、多様な人材、多様な働き方をもっと受け入れていく仕組みが必要です。特に日本企業の場合、専門知識を持った人材をうまく活かせていない。さらに分業ということが日本の企業は進んでいないのではないかと思っています。もちろん日本のように、みんなが協力してやるということの良い面もいろいろあると思いますが、一方で分業が進んでいないために、能力のある人はいろいろなことをやらされてヘトヘトになってしまう。うまく専門知識を活かし、うまく人を分業で使う。そういう多様な人材、多様な働き方の人をうまく使えるような仕組みが必要ではないか。それがワークライフバランスにもつながると考えています。
 どうしたらそうなるか。たぶん今まで多様な働き方、多様な人材を受け入れることをやってきたと思いますが、その結果、非正規が増えて正規が相対的に減る。非正規は多様な働き方ができるけれど、正規はそうでないという二極化になってしまったのではないかと思います。そうではなくて、正規の社員であり、かつ多様な働き方を許容できる仕組みが必要ではないかと考えています。
 自分の仕事と周りの仕事を考えても、一律に仕事のノルマや給料が決められていて、頑張れば頑張るほど自分の首を締めるみたいな状況がある。その人のやっている内容なり働いている時間によって、もう少し多様な雇用の仕組みを確保するべきではないか。確かにそれを全部に一律に当てはめてしまうと、きっと単純労働の非正規が増えてしまうことになると思いますが、比較的専門知識が要求される部署に関しては、もっと多様な働き方を許容していく。
 一方で、単純労働というかルーチンワークの雇用をどう増やしていくのかはなかなか難しい問題で、いまのところ私としても答えが出ていません。ここは、この研究会の中でも考えていきたいと思っているのですが、諸外国の例などを見ると、日本以上に単純労働と熟練労働の賃金格差が開いていますから、日本の雇用システムの良いところを活かしつつ、いかにグローバル人材をもっとうまく使うような仕組みを作っていくか。そのあたりを自分としては問題意識として持っています。まだあまり答えは出ていないのですが、そういったようなことを議論させていただければと考えています。
○樋口座長 ありがとうございました。阿部さん。
○阿部委員 私は2つのキーワードが、いま頭の中にあります。1つはシナリオをどうするか、もう1つは男です。シナリオというのは、需給推計をやらなければいけないということで、どういうシナリオを作るかというのが、着地点をどこにするかということと関連すると思います。ここの検討テーマの??といったところで、いまの伊藤さんの話とも関係すると思いますが、製造業等の高付加価値化あるいはサービス産業の生産性向上と言ったときに、本当にそういうことが可能なのかというのがひとつあります。製造業等の高付加価値化と言っても、いま海外に出て行こうと言っている製造業は先進国にも出ると書いてありますけれども、むしろ発展途上国なわけで、そういった所でそんなに高い物が売れるかというのが、まずひとつです。
 今日、日産とルノーがロシアに工場を造って、それにプーチンが来たというニュースをやっていたと思いますが、たぶんロシアや中国など途上国向けの自動車と、先進国向けの自動車は全然違う設計をするだろうし、使っている物も違うだろうし、たぶんそれで付加価値も相当違うのではないかと思います。日本の製造業を高付加価値化しようとしたときに、そういった現業部門まで考えていくと、本当にそんな高付加価値が取れるのかというのがひとつです。先進国向けの自動車や電気製品などを見ても競争が厳しいですから、そうすると本当にそういった高付加価値化が可能なのか。もし高付加価値化が可能で、例えばアップルのようなことをやろうとすると、製造業部門は、いま話題になっている中国でやっています。あそこは頭脳だけ、ホワイトカラー部門だけでやっている。そうなると、日本の今までものづくりをやっていた層、あるいはミドルと言うのでしょうか、中間層といったところと、そうでなくてエリート層というところの分離が、アメリカのように起こる可能性は高いのではないかと思います。果たしてそういった向きで政策を考えていくのかどうかという問題もあるだろうと思います。
 サービス産業の生産性向上は私もよくわかりませんが、サービス産業で生産性が向上したときに何をしたらいちばんいいかと言ったら、提供するサービスを高くする。例えばホテルで言えば帝国ホテルやホテルオークラといった所で、高付加価値のサービスを提供して、高い生産性と言うのでしょうか、そういうものでやっていく。これもまた中間層をどう考えるかという問題は発生するのではないかと思います。だから、そういう意味で、シナリオをどういうふうにしていくかというのは需給推計を行う上で、よくわかりませんが、分厚い中間層を目指すというキーワードも、たぶんどこかであったと思います。それと生産性向上や高付加価値化といったものを、どういうふうにうまく調和させられるのかという問題が、需給推計をする上では考えておかなければいけない問題かなと思いました。
 地域雇用の創出も、よくわかりませんが、マクロ全体で見た産業育成と地域雇用が、どういうふうに一体化しているのだろうかというのが、ちょっと私には今のところあまり見えないということがあります。
 もう1つのキーワードは「男」です。最近の労働力調査などを見ると、女性の雇用は非正規も正規も増加していると思いますが、男性は非正規は増えていますけれども、正規雇用は減っています。それは主に製造業部門で雇用が失われているからだろうと思います。サービス業では雇用が増えていますが、その結果、女性の正規雇用と非正規雇用は増えています。だから男性の雇用情勢は女性に比べれば相当悪いのではないかというのが、私の問題意識としてあります。いま男性で増えているのが、特に若年層では非労働力人口です。ですから男性へのケアというのを、やらなくてもいいというのであればやらなくていいのですが、いまの雇用情勢の中では男性はかわいそうな状況にあるのではないかと思っていますので、そのあたりの視点を、若年者等の就労支援の中にもう少し付け加えて議論できたらいいのではないかと思っています。
○樋口座長 皆さんから、ほかにございますか。
○森永委員 いま阿部先生がおっしゃったことは、実はライフスタイル全体についても非常に大きな影響があって、2010年の国勢調査で「結婚している」と答えなかった30代前半男性が半数以上になっているのです。つまり30代前半の男の主流派は結婚できていないのです。これを放置しておくと何が起こるかというと、少子化もどんどん進むし年金もぐちゃぐちゃになってしまう。だから仕事に就けないだけでなく結婚もできない国になってきているというのは、若年のことを考えるときによく認識しておくべきだと思います。
○樋口座長 阿部先生からシナリオをどう描くかという話が出ましたが、前回のこの雇用政策研究会と、今回はどこがどう違ったのか。まさに周囲の環境がどう変わったのかということを考えると、前回のときは2005年の国勢調査を受けて2006年に人口推計が出て、そして2007年に雇用政策研究会と。5年経って2010年の国勢調査が出て、今度2012年に雇用政策研究会ということですが、2005年あるいは2007年のときは、どちらかというと2002年の労働市場の悪化、最悪の状況を脱して少しずつ良くなったけど、実感としては豊かさを感じられないということがだいぶ議論になり、そういった状況の中でのシナリオ描きということでした。ところが今回の場合には、その後、リーマンショックがあったり震災が起こったりと大きなショックが起こりました。玄田さんはクライシスとおっしゃいましたが、そういったものによって足下のトーンというのか、状況は大きく変わったという感じがします。
 そうしたときに当時の議論でも言われていたのが、少子高齢化にどう対応するのか。あるいはグローバル化に対する対応、IT技術、技術革新に対する対応ということが叫ばれてきて、それについては今回も同じです。ただ、その進展度合いがだいぶ進化したなということがあって、少子高齢化にしても明らかにこの5年間で高齢者の比率が変わってきた。また今後の見通しの中においても変わってきている。そのときに、前回のときははっきり言わなかったのですが、前々回のときに少子高齢化、生産年齢人口の減少をどう考えたらいいのか、市場に対する影響をどう考えたらいいのかというところで、労働力か減るのだから人手不足の時代が来る。したがって、多くの人が働けるような就業状況を作っていく必要があると言ったわけです。
 今日、資料でショックだったのは、自動車の内需の話が出ている中で、生産年齢人口の減少が構造的な縮小圧力になってくるということで、労働力も減少するけれども、それに対して商品あるいは内需が低下することにより、それ以上に労働需要のほうが減少するというトーンが、ここに書かれているのです。自動車のような耐久財は確かにそうだろうと思いますが、その一方、高齢化で増加する需要もあるはずです。医療や介護といったところは明らかに増加する。そういった産業構造の転換がかなり起こってきている中において、どうしても議論しておかなければいけないのは、デフレの状態が今後も続くと考えるのかどうかによって、これに対する対策は相当違ってくるのではないか。需要不足となればデフレということでしょうが、その結果が人件費に対する強い抑制圧力となって、物価の低下がむしろ人件費、ときには個人の給与、賃金になったり、あるいは賃金の安い人たちをたくさん雇うところで影響が出てきている。
 労働市場というのは、どうしても派生需要ということですから、製品需要の影響を受けた受け皿的な要素があるわけですが、この状況がいつまでも続くと、いろいろなショックがショックでなく恒常化してしまう。そういう状況が生まれてきている中において、デフレという問題が起こっているのかなと思います。そうなると雇調金など、確かにいろいろなショックに対して非常に優れた機能を発揮する政策は用意してきたわけですが、その状態をいつまでも脱することができないと、何となくずっとその政策を使い続けるのか。それを転換してデフレを脱却させる政策を考えていかなくていいのかと。これは労働市場は無理だということを十分承知した上で、しかし、労働市場でも労働政策でも、難があるのではないかという状況を考えていかないといけない。
 例えば雇用のパイについても、それが縮小する中において若者に雇用と言うと、高齢者はどうするのですかとなり、60歳を過ぎてからの高齢者の雇用確保となると若者に影響が出てくるではないかとなる。雇用のパイの奪い合いをやるのかという、あまり生産的でない議論になってしまうわけです。まさに雇用のパイをどう拡大するのかを議論するべきときになっているのではないか。もう遅いのかもしれませんが、そういう気がしていて、これは全く私も解を持っていないのですが、皆さんの英知をご披露いただけるとありがたいと思います。
 もう派生需要なんかしようがないんだと、製品需要が回復してくれるまで待つしかないんだということなのか。しかし、どうも景気だけでなく構造的にデフレという状況ができてきてしまっているとなると、ただ、じっと我慢して待ちましょうということにも限界が財政的にも出てくるし、どうにもならないという状況に、いま陥っているような気がしますし、独り言だと思って聞いてもらえればいいと思いますが、そんな感じを持っています。
 地方の問題もまさにそうで、地方の需給ギャップで言えば、デフレギャップといったものが何でそんなに大きいのかと考えると、少子高齢化、特に高齢化の影響が逸速く現れていることもあるのではないか。これは日本だけの問題ではないので解を求めるのは難しいかもしれないですが、やはりデフレという、ものすごい圧力がかかっている中での対応を考えていく必要はあると思います。一通り皆さんからご意見をいただきましたが、どうぞ自由に。
○鶴委員 いま、樋口座長がおっしゃったデフレの話は非常に難しい問題だと私は思います。今日、私が最初に申し上げた雇用政策がほかの産業政策、まちづくり、地域政策、教育政策、あとデフレというと金融政策、財政政策も関わってくるわけですが、そういうものと非常に連関があるということで推し進めていくと、要は雇用の問題でなくてほかのところの問題なので、ほかのところが何とかならなければ、いくらここで議論してもしようがないという話になってしまうと思います。連関も考えるべきだけれども、行き過ぎると、結局、見失ってしまうものもあるのではないかという感じもします。いま、我々がいろいろなショックを経験した中で求められているのは、長期的な視点に立って、どちらかというと供給サイドから労働の話も考えなければいけない。
 先ほど横串という話がありました。どういう観点から見るかという白木先生、佐藤先生のお話だったと思いますが、何をやらなければいけないのかとなると、この1枚紙のところにあるように人材育成が1つの大きなキーワードになるだろうと思います。いろいろなレベルで人材育成をどうするか。人のレベルが非常に高まっていくということで、例えば生産性が高まり、賃金が高くなるといった中で好循環が起こり、それに対応した人材が新たにいろいろな需要を作り出していく、新たな製品を作り出していく、サービスを作り出していく、また需要が盛り上がっていく。そういう連関を考えていくしかないのではないか。結局、あらゆる労働や雇用の問題というのも、逆に非常に大ざっぱな言い方になって恐縮ですが、突き詰めると人材の問題をどうしていくのかに、かなり帰着していく部分もあるのではないかという感じがします。どの問題を議論するときも、まさに人の問題をどうするかをやらないと、ほかのところが悪いから、結局、この問題はどうにもならないという言い訳みたいな話にどうしても終わってしまう。人というところを起点に、どうやってマクロ経済の好循環を起こしていくのかというところが、この研究会で求められているところではないかと思います。
○清家委員 デフレの問題とも関連するかもしれないけれども、かなりの問題は合成の誤謬の問題です。つまり、いま企業が、あるいは労働組合も雇用を守るために賃金の抑制をやっているということが、マクロでは経済をどんどん縮小させているわけです。あるいは、先ほどワークライフバランスの話もありましたが、消費者としての個人が、例えば夜中でも安く物を買いたいと思い、そういう要望に対応して、規制が緩和されたりすることもあって、深夜労働等などが増えるわけですけれども、本来であればそういう合成の誤謬を断ち切る、ないしは是正するために規制があって、深夜労働はものすごく賃金を高くするとか、あるいは開店時間規制を強化するわけです。だから、もともと個々の経済主体にとっての良いことと、社会全体にとって良いことというのは必ずしも一致しないので、本来はそれを是正するために規制があったのですが、その規制がどんどん緩和されているから、合成の誤謬の問題がますます拡大しているという、部分があるわけです。
 これも政府の批判をするわけではないですが、そういう賃下げでデフレが起きているときに、わざわざ公務員の給与を下げたりもしているわけです。小宮山大臣の退出された後で言うのも恐縮ですけれども、そういうこともある。そういう合成の誤謬の問題を解決するためには、どこかで規制の強化も必要になってきます。
 先ほど玄田さんが言ったことで大切だと思うのは、危機に対する対処として、今回、震災でわかったこととして、よくリダンダンシーと言われるわけですが、要するに無駄だと思われていたものが、そういう危機対応には大切だったということです。あるいは手間隙かけてやることが大切だったと。だけど、これも最近、一方で、PDCAという企業などで行われていることを政策に取り入れて、無駄といわれるものをどんどん削ってきているわけでしょう。もちろん財政の制約の下でそれはわかるのですが、そういうことをちょっと考えないといけない。雇用政策を考える際にも、雇用政策の有効性とは何なのか。非常に短期的なコストベネフィット・アナリシスで評価できるもので、雇用政策を評価していいのかどうかも本当は考えたほうがいいと思います。
 厚労省の点検評価部会なども、ともするとそういう短期のコストベネフィットみたいな政策評価に流れている傾向がある。私もそのお手伝いをしていてあれですが、本来、政策というのはそういうものだけでなく、いまは無駄かもしれないけれども長期的に非常に安定に寄与するとか、あるいはミクロとマクロの合成の誤謬を埋めるためには、非効率に見えても一定の規制は必要だという判断もあって然るべきなのです。まさに雇用政策研究会なのですから、雇用政策の評価がどのようにされるかについて、いま言ったような視点も少し考えて、提言なり議論をしたほうがいいのではないかと思います。
○樋口座長 もう1つ話題を提供すると、配付された資料6の16頁に、「製造業と非製造業の1人当たりの付加価値の推移」というのがあります。グローバル化というか、金融政策等々はありますけれども、それは除いて、国際競争に直面している製造業が付加価値を下げることが起こってくると思っていたら、非製造のほうがずっと下がっている。これを考えると非製造というのはほとんど、人件費のウエイトが高い、労働分配率が高いわけですから、これを給与や人の削減による合理化をすると、普通、それで付加価値は上がるのですが、それを下げた上でサービス価格、サービス料金というのが下がってきている。そういうことを反映した結果なのです。
 そこに今度、人がたくさん採用されるというか、雇用者数のほうで言うと第3次産業のほうがずっと高まってきているわけで、産業構造自身、良質な雇用のほうにシフトしてきているのではなくて、逆に何となく質の悪いほうのウエイトが高まってきている。これは産業構造もそうだし、あるいは同じ産業の中における正規、非正規でもそうだし、この状態では経済は発展しないだろうなと思います。ではどうすればいいのかというのはよくわからないけれど、これが現状として起こっている。
○玄田委員 デフレの懸念は大変深刻ですが、ただ、一方で足下を見ると、これだけの公共事業を震災後に打っているわけですから、これから大きな危機が起こらなければ、2012年から2016年というのはおそらく過去にも、それから将来的にもこんなに公共事業を活用するときはないのです。だからデフレよりも、いま、こういう公共事業を活用して何をするかということを、もう少し考えたほうが現実的ではないでしょうか。これから為替レートがどうなるかわかりませんので、デフレ圧力は強いかもしれませんが、まずはこの公共事業をどのように雇用につなげ、労働所得につなげるかということを検証する。いまは事業復興型雇用創出と、清家さんの生涯現役・全員参加・世代継承型ぐらいなので、それでいいのかどうか。もう1個ぐらい柱があってもいいと考えます。
 もうひとつ労働需要に関しては、研究会で提案しても政策側が何か言っても、それは企業が勝手に決めることなので、強いて言えるとすれば、去年できた雇用促進税制の基準を大幅に緩和して、もっと雇用を創り出すことが公共の利益になるのだということを大胆に訴えていき、事実上、法人税減税の枠を広げていくぐらいしか、たぶん政策的にできることはほとんどない。ただ、逆に言えば、それはまだできる余地があるので、人を雇うことが個別の企業の利益になると同時に、公共的な利益になるのだという観点で減税をもっと検討するとか、特区もそうですが、さまざまな事業を行う上でのコストを下げる施策を考えることが、いま特に重要なのではないでしょうか。
○伊藤委員 デフレに関してですが、グローバル化と言うと、日本ももちろんグローバル化していますけれども、たぶんほかの国のほうがもっとグローバル化していて、でもデフレになっているのは日本だけです。ほかの国はグローバル化が進んでいても賃金はそんなに下がっていないしデフレになっていない。どうして日本だけデフレで賃金が下がっているのかというところは、もっとよく考えていかないといけないことだと思っています。
 私が考えるのは、1つは先ほども言ったように専門的な人材に対するペイであったり専門知識に対するペイが、欧米諸国に比べて日本は少ないのではないか。また特別なサービスに対する支払いも、日本の場合、サービスの品質は当然与えられるものと考えているのかどうかわかりませんが、非常にクオリティの高いサービスを提供してもなかなか高い値段を付けられない。その辺のところは、なぜこうなのかというのを考えていくことが、1つのキーになるのではないかと考えています。
 雇用のパイの拡大ということに関して、先ほども言ったのですが、別に人が余っているわけではないというか、もっと人を雇いたいけれども雇えないところがすごくたくさんあるわけで、人をもっと雇いたいという職種なり企業が、どうしたらもっと自由に人を雇えるようになるのか。そこを考えたいというのが私の問題意識でもあります。
 政策的にすぐに効く政策というのは難しいと思いますが、政府がやれることと言えば公務員の採用のやり方を変えていくのが、いちばん政府としてできることではないかと個人的には考えています。4年制大学を卒業した学生を高級官僚として雇い、政府の中でゼネラリストとして育てていくというやり方をずっとやってきたわけですが、その中で結局、大学院に進学する学生も日本は非常に少なくて、大学院のレベル自体、国際的にものすごく低い。やはり日本の教育レベルを上げて大学院のレベルも上げていくためには、専門人材を政府が率先して活用できないといけないのではないかと思っています。政府がいちばんやれそうなことというのは、いかに公務員の中に非常に高い人材を活かしていくか。そういう新しい公務員の採用のやり方なり公務員人事の仕組みを考えていくのが、政策的にできることではないかと思っています。
○樋口座長 ここで公務員制度をどうするかという議論が始まると、ちょっとお手上げなところになってくるので、それはまた別の研究会で十分議論するべきことだろうと思います。
○阿部委員 いまの伊藤さんの話に関連して、資料6の21頁で「職業別の求人・求職の状況」というのが出ています。これは最近よく言われていると思いますが、グローバル化やICTの普及で、専門あるいは技術的職業と、いわゆる福祉関連というか、ある意味誰でもできるような仕事、アナログ的な仕事というのが増えているわけですが、これで見ても需給ギャップが大きいわけです。これをどう埋めるかというのが労働政策としてあるのだろうと思います。
 従来、事務的職業とか生産工程・労務の職業といったところに人がワーッと行って、そこの中間層というのが大きく形成され、高度成長期にはたぶんそれが購買力を持ち、さらに成長に輪をかけたということだろうと思いますが、ここがたぶん、需要がそもそもなくなっているところを考えていく必要がある。そういう意味では、専門的・技術的職業といったところの人材育成をしていく必要が、たぶんここから見るとあるのです。一方で福祉関連といった手仕事の需要というのも出てきますから、そこにも人材を動かすというか育成していかなければいけない。そういう意味では、今までの構造で考えると両極端なところに人を動かすことになっていって、分厚い中間層と言っているのとは少しイメージが違うのではないかというのが、前から思っている印象なのです。
 だから、シナリオを我々はどうするかと言ったときに、分厚い中間層を形成しようという話がある一方で、実際にはこういう流れなのだというところを、誰がやるか知りませんけれども、需給推計では何かそういうのをシナリオとして書かなければいけないわけです。それを、ここでどういうふうに考えるかというのを、少し議論したほうがいいのではないかと思います。
○樋口座長 時間もそろそろ来ているのですが、今後のスケジュールのところで先ほど資料5が提示され、こういう10回あるいは9回でいきたいということでしたが、こういう進め方でよろしいでしょうか。それぞれ皆さんから出された問題も、その都度紹介してもらってやっていくという流れで進めたいと思いますが、もしよろしければこういう形で進めさせていただきたいと思います。以上で本日の議論は終了させていただきたいと思います。本日、出されましたご意見を踏まえて、論点を事務局で整理していただき、次回にそれを示していただくということにしたいと思います。次回以降について何か事務局からございましたらお願いします。
○武田雇用政策課長補佐 次回ですが、4月25日(水)、16時から、こちらの省議室で開催する予定です。後日、改めてご案内を送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○樋口座長 4月25日の16時からということです。では本日の研究会は以上で終了します。ありがとうございました。


(了)
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