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2011年12月26日 第58回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成23年12月26日(月)
18:30~20:00



○場所

厚生労働省議室(9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

相澤好治、明石祐二、犬飼米男、大山忠一、小野真理子、小畑明、新谷信幸、瀬戸実、谷口元、角田透、土橋律、冨高裕子、中村聡子、古市良洋、三浦武男、三柴丈典

事務局

宮野甚一 (安全衛生部長)
高崎真一 (計画課長)
田中正晴 (安全課長)
椎葉茂樹 (労働衛生課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
松井孝之 (化学物質対策課化学物質評価室長)

○議題

(1)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」について(諮問)
(2)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」について(諮問)
(3)「労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱」について(諮問)
(4)新規化学物質の有害性の調査結果について(報告)
(5)その他

○議事

○分科会長 皆さん、こんばんは。
 暮れの大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 定刻少し前でございますが、角田委員から今、電話がありまして、15分ぐらい遅れ
るとのことでございますので、ただいまから第58回「労働政策審議会安全衛生分科
会」を開催いたします。
 本日は、浅井委員、日下部委員、谷口委員、縄野委員、高橋委員、中田委員が欠席
されています。
 それでは、議事に移らせていただきます。本日の議題でございますが、労働安全衛
生規則の一部を改正する省令案要綱の諮問が2件ございます。
 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱の諮問が1件と新規化学物質
についての報告案件、除染等業務に受持する労働者の放射線障害防止のためのガイド
ラインの報告の計5件となっております。
 最初の省令案要綱につきましては、昨年12月22日に当分科会が厚生労働大臣に建
議した中に含まれていました「機械譲渡時における機械の危険情報の提供の促進」「職
場における自主的化学物質管理の促進」について、でございます。
 厚生労働省においては建議の内容を踏まえ、労働安全衛生規則の一部を改正する省
令案要綱を作成いたしました。
 本要綱案については、本日12月26日付で厚生労働大臣から労働政策審議会へ諮問
がなされ、同日に労働政策審議会会長から当分科会において検討することとされまし
た。
 本日は本要綱案につきまして、御審議をいただきたいと思います。
 事務局から内容について説明をしていただいたのち、審議に移りたいと思いますの
で、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、事務局からお願いします。
 
○安全課長 安全課長の田中でございます。
 それでは、1番目の諮問事項のうちの「機械譲渡時等における機械危険情報の提供
の促進に関わる労働安全衛生規則の改正」について御説明いたします。
 資料1に「省令案要綱」がございます。参考資料1にその概要が示してございます
が、説明は参考資料1によりましてさせていただきたいと思います。
 本改正は先ほど相澤会長からの御説明にありましたように、昨年12月22日の建議
に基づきましての資料でございます。
 参考資料の1ページをごらんください。
 「改正の背景」に示すとおりでございまして、労働災害の約4分の1を占める機械
災害を減少させるためには、機械を使用する事業場におきまして機械のリスクアセス
メントを実施し、必要な事後措置を講ずる必要があるわけでございます。
 機械ユーザー側におきます、リスクアセスメントを適切に実施するためには、機械
の譲渡者等からの機会の危険情報をわかりやすい形で確実に提供することが必要で
ございます。
 2ページをごらんください。
 バックデータを示しておりますが、まず、左上の資料でございますが、機械により
ます災害が、先ほど申しましたように約4分の1を占めております。死亡災害、さら
には身体に障害が残る災害が多発しているという状況でございます。
 左下の欄でございますけれども、事業所におけますリスクアセスメントの実施状況
でございます。
 平成22年度の結果がございますが、それによりますと5年前と比較しまして、大
企業では大きく増加しているものの、今なお中小企業におきましては普及が十分では
ないという状況がございます。
 右の欄、機械のユーザーからの機械の残留リスク情報を求めるニーズが高いという
状況にございます。
 こういう状況の中で、さらにもう一度1ページに戻っていただきたいと思いますが、
「2改正の内容」でございます。
 今回、安全衛生規則を改正いたしまして、機械の危険情報を機械譲渡者等から機械
ユーザーに提供することについて、努力義務規定を置くことといたしました。
 具体的には改正の内容の(1)ア~オ、機械の基本的な情報、危険源に関する情報、
危険源に関わる作業、さらには災害被害の最大の量というものをユーザー側に通知、
提供することといたしております。
 また、より具体的なやり方につきましては、後に厚生労働大臣より指針を公表する
こととしておりまして、それは(2)ア~エに書いてございますように、どういう作
成者の条件であるかとか、提供の時期、提供の方法、その他、提供するための配慮事
項等を示す予定としておるところでございます。
 3ページをごらんいただきたいと思います。
 真ん中に大きく実線で枠がございますが、これは既に機械の総合的な安全確保のた
めに行政通達として「機械の包括的な安全基準に関する指針」を示しておるところで
ございます。その中で点線の枠で示してある部分が、いわゆる事業所におけます、リ
スクアセスメントの部分でございます。
 今回の部分は、真ん中の矢印の部分がございまして、機械の設計、製造者が実施し
ましたリスクアセスメントと保護方策の結果、残された危険情報、いわゆる残留リス
ク情報というものを機械ユーザー側にわかりやすい形で確実に提供することを促進
するものでございます。
 これによりまして、機械メーカー、機械ユーザーの両者におきます、リスクアセス
メントの実施の促進を図ることをねらっているところでございまして、リスクアセス
メントが進むことを期待することでございます。
 以上でございます。

○分科会長 ありがとうございます。続けてお願いします。

○化学物質対策課長 では、続きまして、化学物質の情報伝達に関して御説明申し上
げます。
 要綱では資料1、3ページ第2のところになりますが、同じく先ほどの参考資料1
で御説明させていただきます。
 参考資料1の4ページをごらんいただきたいと思います。
 「改正の背景」でございます。
 これまで何度かの御説明をしているとおりでございますが、4行目などにございま
すけれども、化学物質に伴います危険有害性を踏まえまして、リスクの程度に応じて
適切な対策を講じることが必要であるということでございます。
 さらにその2行ほど下、そういったリスク評価などを適切に行うためには、化学物
質の持っている危険性、有害性をきちんと伝達する必要があるということで、ラベル
表示ですとかMSDSといった文書を交付することによりまして、譲渡提供者から譲渡
提供先へ必要な情報を提供するということが必要になってまいります。
 現在ではそこに書いてございますように、ラベル表示については104物質、MSDS
交付については640物質をそれぞれ対象としておるところでございます。
 今般、事業場で多様な化学物質が用いられている現状、あるいは新規の化学物質が
多く導入されている現状などを踏まえまして、危険有害性を持つ化学物質を広くラベ
ル表示、MSDS交付対象としていきたいと。そのための努力義務として、そういったこ
とをやっていただくような規定を設ける。それとともに、これに基づきまして、具体
的な方法を指針についてお示ししたいと考えておるわけでございます。
 「改正の内容」でございます。
 ??はラベル表示かかわるものでございますが、?は基本的に危険有害な物質を容
器に入れて譲渡する際には、名称・成分などア~クまで書かれているようなものを表
示していただくようにお願いしたいと思っております。
 ちょっと御留意いただきたいのは、クの標章でございます。
 標章というのは、いわばマークでございまして、例えば非常に危険なものでしたら
どくろのマークとか、びっくりマークとか、燃えやすいものでしたら炎のマークとい
った絵表示をつけまして、これがどういう危険性を持っているかということが端的に
わかるようなものにしていきたいと考えております。
 ?でございます。
 そういった容器に入れて渡すときの原則は?のとおりでございますが、容器が小さ
いですとか、あるいはパイプラインなんかで輸送するような格好になっておって、容
器に入れてお渡しするということはなかなか難しい。こういった場合には必要な情報
を別途文章でもよろしいですというのが?の趣旨でございます。
 ??はMSDSといいます、危険有害性情報を含んだ文書を伝達する、交付するとい
うことでございまして、?に書かれてございますが、同じように名称、成分、その他、
危険性、有害性など、ア~サにわたる項目を文書にしてお渡しいただくということを
お願いしたいと考えてございます。
 ?でございます。
 こういった文書をお渡ししますので、譲渡先はこの文書を保管していただいて、さ
まざまに活用いただくわけでございますが、もし、その文書の内容に変更が生じた場
合には、これを譲渡先に速やかに通知するようにしなければならないということを規
定しております。
 以上、?~?までの事項につきまして、具体的に示すために厚生労働大臣の名にお
きまして指針を公表する予定としてございます。
 この指針の内容でちょっと御留意いただきたいのは、ア、イでございますね。これ
はラベル表示、MSDSの交付でございますが、その次のウでございます。
 ただいま、御説明しました?、?、?、?には出てまいりませんでしたが、事業場
内において、この表示をやっていただくということをウに規定してございます。
 これは昨年、事業内表示について建議をちょうだいしてございますが、その部分に
ついて対応しようとするものでございます。
 ただいまの6ページのポンチ絵で御説明させていただきます。
 まず、背景現状はただいま申し上げましたけれども、もう少し補足いたしますと、
化学物質に起因する労働災害、年間600~700件発生しておって、そのうち、きちん
と情報が伝達されておれば防げたであろうと思われる災害が30件程度あるという状
況にございます。
 そうして、こうした化学物質のリスクアセスメントの実施率を見てみますと、なか
なかやはり難しいということで半数以下という現状でございます。
 こういったところで、先ほど申し上げましたように、物質の譲渡に当たりましては、
必要な情報を伝達していただくということで、「今後の方向性」?のところに書かれ
てございます、ラベル表示や化学物質等安全データシート(MSDS)の交付をお願いす
ると。
 ?でございます。
 先ほど、?指針の内容で御説明しましたけれども、事業場内で取扱う容器について
もラベルの表示をお願いしたいと。
 こういったことを進めまして、リスクに基づいた自主的な化学物質管理を促進して
いただきたいと考えてございます。
 ただいま、御説明しましたことをポンチ絵で御説明しますと、そこに漫画みたいに
書いてございますが、左側の工場の絵が譲渡提供者。これが譲渡提供先に渡すに当た
っては、例えばドラム缶のような容器に入っています場合には、このラベルを表示し
ていただく。それと併せましてMSDSという文書を渡していただくというわけでござ
います。
 これが職場において使用されるすべての危険、有害な化学物質を対象とするという
ことで、先ほど申し上げましたように640物質からすべてに広げるということで、新
設になります。
 事業場内での容器への表示。真ん中下の方にドラム缶を取り扱おうとしている作業
員の方の絵と右手のところにどくろのマークが書かれていることを示したわけでご
ざいますが、こういう容器への表示をやっていただくというのも、指針により新たに
設けるものでございます。
 ただいま、申し上げましたことを右側の図で御説明しますと「譲渡提供時の表示の
義務」はラベルでございますが、104物質は既に義務づけられてございます。
 「譲渡提供時の文書交付の義務」も既に義務となってございまして、640物質が対
象となってございますが、その外側、危険有害性があると認められる化学物質につき
まして、この表示とMSDSの交付をお願いしたいと。これは努力義務として付設させ
ていただきたいと考えてございます。
 こういうことを行うための省令改正でございます。よろしくお願いいたします。

○分科会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。
どうぞ。

○新谷委員 中身の論議に入る前に、ちょっと申し上げたいと思います。
 今日、省令の改正として提起されております、機械の危険情報の提供なり、自主的
化学物質管理の促進については、メンタルヘルス対策、受動喫煙対策とともに、昨年
12月22日にこの分科会での建議として、今後の職場における安全対策として4つの
課題として取りまとめられた内容かと思っております。
 前回も申し上げましたけれども、メンタルヘルス対策と受動喫煙防止対策を盛り込
んだ、労働安全衛生法の審議。これは法案提出自体が遅れたということもありますが、
今回、提起されております、機械譲渡時における機械情報の提供なり、自主的化学物
質の管理の促進についても、省令案の改正ということになるわけでありますが、これ
についてもやはり対応が非常に遅れているのでないかと思います。
 労働者の安全衛生に関わる対策について、建議として必要であるということでまと
めた内容が1年にわたってたなざらしと言いますか、放置されてきたことに対して非
常に遺憾だと思っております。
 特に今回のような省令改正に関わるところは、なぜこんなに遅れてしまったのか。
法案についてはいろいろな要因があったと思いますけれども、これはなぜこんなに遅
れてしまったのかということを、まずお聞きをしたいと思います。以上です。

○分科会長 いかがでしょうか。

○安全衛生部長 それでは、私からお答えを申し上げます。
 まず、法案それから省令を含めて、今の時期、建議をいただいてから1年後になっ
てしまったということについては、前回、労働基準局長からも申し上げたとおり、私
どもとして大変遺憾と思っております。
 法律ならまだしも、省令もということについてでありますけれども、これは私ども
としてもいただいた省令の内容について、全体として整理をしていく中で、法律で規
制すべきもの、政令で規制すべきもの、あるいは省令で規制すべきもの。これは内閣
厚生局等々も含めて、法令上の検討もしてまいりました。
 そういう中で法律として規制措置をしなければならないもの。それから省令で規制
をすべきものという形で、最終的にこういう結論に至ったということであります。
 そうした観点から、省令のものだけ先に切り離してという形にならずに、全体とし
て法令の整備という形で、同じスケジュールとして進めてきたということでございま
すので、その点は、繰り返し遅くなったことについてはお詫びを申し上げなければな
らないと思いますけれども、全体としてはそういったことであるということは御理解
をいただきたいと思います。

○分科会長 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 説明は前回もお聞きした内容ではありますけれども、やはりこれは労働
者の安全衛生に関わる政策について公労使三者でまとめた内容でございますし、こん
なに遅れてしまうということに対して、やはり労働政策審議会の権威に関わる話だと
思います。
 勿論、建議をまとめる際には当然、法制局と詰めてやられてきたと思うのですが、
やはりこの1年の空白は非常に大きいのではないかと思いますので、今後、こういう
ことがないように是非、事務局としても御対応いただきたいと思います。
 以上です。

○分科会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員 今回の機械譲渡者、機械貸与者による機械の危険情報の提供を努力義務
ということになったのですけれども、今回、具体的な指針が示されて、一応、リスク
アセスメントを定着させたいというお気持ちはよくわかりますし、これが第一歩であ
るとは受けとめたいとは思います。
 ただ、労働災害の4分の1は機械によるということは、いかんともしがたい事実で
ありまして、このところを努力義務というところで果たしてどれぐらい効果が上がる
かなということも反面、心配しているところなのです。
 ですから、私たちとしては当然、リスクアセスメント活動をもっと、特に中小のと
ころを含めて加速化するためには、やはり義務化することが重要でないかと考えてい
るのですが、それに対する事務局の考え方をまず、お聞かせ願いたいということ。
 もう一点は、参考資料の3ページにありますように、比較の中を見ますと、機械の
設計製造者が機械の使用事業者に対して、黒い矢印の中でリスク情報、残留リスクの
ところをこの改正によって努力義務化ということで、ここが充実させるということだ
と思うのです。
 一転、この機械使用事業者が今度また、機械そのものが第三者の手に渡っていくと
いうことになると、このところの認識も含めて、だんだん薄れるのではないかという
こともちょっと心配しているのですね。
 だから、製造から一義的に使用者へストレートに渡る場合は、認識として製造者に
かなり強いものがありますからいいとは思うのですが、機械使用事業者が今度は譲渡
側になった場合、果たしてそれほど強い気持ちで残留リスクの情報等を、機械譲渡と
併せて持っていかれるという、しっかりとした体制がとれるかという辺りもちょっと
懸念しておりますので、それについての考え方もあれば、お教え願いたいと思います。

○分科会長 それでは2点、よろしくお願いします。

○計画課長 それでは、私の方から前者の御質問の方についてお答えしたいと思いま
す。
 これにつきましては、業界の方に御参画いただいた検討会の時代、あるいは分科会
の議論があったわけでございまして、最終的にこういう形になったということは、分
科会としての結論であったと思います。
 そういうことでございますので詳細の話が省きますが、端的に言いまして、アプロ
ーチの仕方は義務化してごりごりやろうと。でも、ごりごりでやるためには、当然、
その対象というものはごりごりとやるべきものとして限定していかなければならな
いという。
 その結果として、化学物質で言えば何物質ということになっているのです。機械に
ついては、そういうものはないと。
 そういうふうにいく手法もあれば、一番、その事業場におけるリスクについて詳細
を知っているのは事業者なので、事業者が自らリスクアセスメントしてもらうという
ことを、義務とまではいかないまでとしても進めていくと。それをバックアップする
ために情報提供していく。
 それは、リスクアセスメントのためのバックアップなんだか限定するということで
はなくて、規制ではないわけですから、そこは広く、ありとあらゆる危険な機械の情
報は出してくださいよ。あるいは有害な化学物質の情報を出してくださいよというこ
とで、いわば、ちょっと言葉が悪いかもしれませんけれども、投網をかけるけれども、
ただ、それは事業主の方のリスクアセスメントの支援のための手法なので、そういう、
いわばソフトな手法でやっていくと。
 どっちがいいですかということのときに、まずはリスクアセスメントをやってみる
ということが効果も上がっていますので、そこをもう少し中小も含めて広くやってい
ただくための支援策として、今回、こういうアプローチをしたということでございま
す。
 それがうまくいけばそれでいいですし、仮にうまくいかない状況があった場合に、
では、それをどうするかということは将来の課題としてはあるわけです。とりあえず、
今回はまさにこの御議論の成果物としてこういう形で、いわば投網方式でやっていく
という手法をとっております。
 
○安全課長 それでは2番目の、使用者が提供者に代わったときどうだということで
ございます。
 使用者だけではなく、技術業者も恐らくそうでございましょうが、要するに危険情
報に関する情報があるとき、途切れてしまったことで認識が低いなら困るではないか
ということだと思います。
 私どもとしても、今年度もやっておりますけれども、人材の育成という中で機械メ
ーカーサイド、機械ユーザーサイド、それぞれが危険情報に関する情報提供に関して
は、研修会等を開きまして、関係者の皆様方の意識の啓発等を進めているところでご
ざいますので、そのいろいろな支援の形で、ユーザーサイドにおきましても、意識と
いうものを高めてもらいまして、次回の譲渡者に代わる場合には、そういうリスクの
ないものは勿論、メーカーにたどって出してもらう等、工夫してもらいまして、風下
に危険情報が伝わるように努めていただきたいという形での支援はしていきたいと
思っております。

○分科会長 よろしいですか。

○犬飼委員 この図にあるようにリスクアセスメントの実施率がずっと把握されて
いるわけですので、是非、今回やられた努力義務によってどれぐらい効果が上がって、
どれぐらい実施されたかという辺りを十分精査していただいて、そしてまた何かあれ
ば支援対策を打ってほしいということ。
 重ねて先ほど申し上げましたように、機械と残留リスク情報が一体となって動いて
いくという体制をとれるように是非、その辺のアナウンス効果と言うか、認識が高ま
るように是非。機械というものは仕様書として使う方法もついているけれども、当然、
残留リスクのところもついていないと機械は使えないのですよという認識を是非、高
めるようにしていただきたいことをお願いします。

○分科会長 ありがとうございました。大変大事な御指摘だと思います。ほかにはい
かがでしょうか。はい、どうぞ明石委員。

○明石委員 ともに施行日が来年4月1日になっているのですが、指針を大体いつご
ろお出しになるのか、予定日で結構ですが。

○安全課長 まず、機械の方でございますけれども、一応、今年度中2~3月辺りに
は指針を出したいと考えてございます。

○化学物質対策課長 化学物質も大体似たような時期になるかと考えています。
○分科会長 土橋委員、どうぞ。

○土橋委員 リスクアセスメントの普及、定着ということで、自主管理の促進という
方向性かと思いますが、これは昨今の世の中の流れとも合っておりますので、是非、
進めるべきと思います。
 自主管理の促進ということを考えますと、やはり法律の方も性能規定という形に変
えていかないと、なかなかうまく回らないと考えます。
 これにつきましては昨年、分科会の中でも化学物質については性能規定化を念頭に
置いた検討を少し、始めていらっしゃるというようなお話もございましたが、この辺、
現状、どのような検討状況かお聞かせいただきたいと思います。

○半田化学物質対策課長 昨年の建議をちょうだいしました後、私どもの方でまた検
討会を開催してございます。
 途中で震災がございましたので開催が間遠くなりましたが、先般11月に最後の会
議を持ちまして、大体報告書が取りまとめていただけたところでございます。
 ただいま、その報告書をパブリックコメントにかけている状況でございます。
 御指摘のように、性能要件化と胸を張って言えるようにはまだまだ不十分ではござ
いますが、前回も御報告しましたように、自分のところで、ただいま、化学物質の規
制というのは大体簡単に申し上げますと密閉設備局所配置措置となっておるわけで
ございますが、空に限らず、他の発災の抑制方法をいろいろ工夫してやっていけると
いう能力などをお持ちの事業所などにおいては、こういったところについて申請をし
ていただいて、それぞれ許可をするといった格好で、少し規制の柔軟化を進めていき
たいと。
 規制の柔軟化と言いますか、結果を重視するような取組みですね。これまで何をや
っていればよかったのか、何をやるかと問われたのに対して、どういう結果を出すか
という、結果を重視するような取組み。それを促進するような方向に少し舵を切り替
えていきたいと考えてございまして、そういう方向で今、大体検討がまとまったとこ
ろでございます。
 これを踏まえまして、私どもの方でさらに省令の案をつくってまいりたいと考えて
いるところでございます。

○分科会長 どうぞ、三柴委員。

○三柴委員 1点はお尋ねです。
 機械についても化学物質についても、譲渡先に譲渡元がそうした所定の事項を情報
伝達してくれないというときに、譲渡先は譲渡元に対して、そういう情報の請求とい
ったものが直接できるのかということですね。行政に指導という形でお願いするとい
う迂回路ではなくて、直接、そういう請求ができるかという点が1点です。
 もう一つは、先ほど労働側の委員の先生から御質問がありましたところに関連して、
ほかの課題にも関わりますので1点申し上げますと、法律論者として努力義務という
定め方を見るとどういう意味があるかということです。
 先ほど、計画課長がお話されたところと別に民事上の効果があると。ただ、民事上
も違反があったらすぐに賠償という話ではなくて、脈絡を見て、これはもっとやれる
ことがあったのにやってなかったではないか。これは事案としてひどいではないかと
いうような事情がうかがえると、事件の筋としてそういう努力義務規定を、まさに要
件というより要素として参照しながら賠償命令を出すというようなことが多い。そう
いう意味では決して意味は小さくないということをお伝えしたいと思います。以上で
す。

○分科会長 ありがとうございます。はい、どうぞ。

○半田化学物質対策課長 先に、先ほどの土橋委員の御質問とちょっと、ほかと混線
して間違ったところを申し上げましたので、訂正させていただきます。
 報告書の公表が明日でございます。パブリックコメントは年明けになるということ
でございますので、お詫びして訂正させていただきます。
 それから、三柴委員の御質問でございます。
 これは、譲渡提供者から譲渡提供先に情報を伝達しなさいという努力義務という格
好になりますので、私ども行政の側においては、例えばこれが実施されていないと指
導票というものを切って、これをきちんと伝達してくださいということをお願いする
ことができるようになります。
 そういう範囲に置いて、明確に譲渡提供先の事業者が譲渡提供元に対して請求する
ことができるといったことは書かれてございませんが、法令上はそういった私どもが
きちんと指導ができるような根拠となる規定が設けられるわけでございますので、当
然、その範囲において、提供先の事業者も提供元の事業者に対して、情報提供をお願
いすることができると考えます。

○分科会長 ほかには。はい、どうぞ。

○田中安全課長 特に機械の関係になるかもしれませんが、例えば情報提供を求める
にしても、特に機械そのものが企業機密に関わるものがもしあるとすれば、そこまで
は求めることはできないかもしれませんが、リスクアセスメントに有効に必要な、活
用に必要な情報というところまでは、一定のレベルでは求めていただくことも必要か
なと思っています。

○分科会長 ほかには。

○計画課長 補足しますけれども、この努力義務なり指針なり、つくるに当たっては、
業界の方々を巻き込んで、業界として協力してやっていこうという機運があってやっ
ているのですね。
 国からやれとか、ごり押しするというよりは、企業も業界の方もそちらの方がいい
ですよねということを言っているので、むしろ、できる、できない、努力義務という
議論の前に、まずそれでやってみるということで進んでいるということがむしろ大事
かなと思うのです。
 
○分科会長 冨高委員。どうぞ。

○冨高委員 化学物質のところで、1点質問です。
 先ほど説明いただいたように、今回、特に危険または健康障害を生じる恐れのある
640物質についてのみ、今の場合は危険有害性情報の伝達が義務づけられているもの
を今回、職場において使用される、すべての化学物質の危険有害性情報を広く関係者
に伝達するとしたことについて、一歩前進ということで評価できるものだと考えてお
ります。
 ただ、先ほど御説明いただいたように、参考資料1、ページ6にありますように、
職場における化学物質管理については危険有害性表示があれば、防止し得た災害が年
300件程度ということ。
 それから、化学物質のリスクアセスメントの実施率が低いということを考えると、
さらなる実効性を確保するべく、労働災害の危険有害性情報の伝達をやはり義務化し
て、欧州におけるREACH規制並みの規制とする必要があるのではないかと考えますが、
その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

○化学物質対策課長 REACHというのが御案内のように、一定量の化合物を製造、輸
入する場合に危険有害性をきちんと化学物質管理庁というところに届けていただく
という規則でございますが、残念ながら我が国の場合は、まだそういったところには
ございません。
 ただ、前回の建議のときも少し御説明したと思いますが、実は私ども、今回のこう
いう取組みを安全衛生法の世界だけでやろうとしているのではございませんで、経済
産業省とも協力しまして、経済産業をもう少し広くやっていこうと。
 具体的に申し上げますと、経済産業省におかれましては化学物質管理法というのが
ございまして、その中で同じように化学物質の危険有害性情報を伝達するような仕組
みをつくろうとしておられます。
 化管法の指針と私どもの指針を合わせますと、大体ほぼすべての化学物質の譲渡提
供に関する情報の部分をカバーできるかなと思ってございます。
 そういったところから徐々に進めてまいりまして、御案内のように欧州のような化
学物質管理庁みたいなのができて、こういった統一的な規制ができるようなればいい
なと思っていますが、まずそういったところに向けてできるところからやっていこう
ということを考えてございます。
 併せまして御報告申し上げますと、これも前回、御報告してございますが、この2
つの法令に基づきましてそれぞれ指針を出しますが、それぞれの指針をすり合わせす
るのは当然でございますけれども、この最大公約数といってよろしいのでしょうか。
そういった部分を新たなJISで出していただくように今、進めているところでござい
ます。
 このJISに従ってやっておれば、安全衛生法の情報伝達も化学物質管理法に基づく
情報伝達も、それぞれちゃんと満たしているということになるような仕組みにしよう
としてございます。
 つまり、このJISを持って共通のプラットホームとできるようにしていきたいとい
うことを考えてございまして、そういう取組みをしているところでございます。
 というようなことで、ささやかではございますが、できることは少しずつやってい
くところでございますので、御理解と御支援をいただければと思います。

○分科会長 よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について、当分科会とし
て妥当と認めるということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

 ありがとうございます。それでは、当分科会として妥当と答申いたします。事務局
においては、手続をよろしくお願いいたします。
 続きまして、2点目の議題に移らせていただきます。
 2点目の省令案要綱につきましては、改正項目が2点ございまして、1点目は安衛
法の免許試験の受験機会の拡大等のため、受験資格及び免許交付要件の見直しでござ
います。
 2点目は現在、国が実施しております、ボイラー等の製造時検査を登録機関が実施
できるようにするという制度の見直しでございます。
 この2点につきましては、それぞれ専門家による検討会と厚生労働省内の仕分けに
おいて指摘されたものでございまして、厚生労働省におきましてはそれらを踏まえて
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱を作成しております。
 本要綱案につきましては、本日12月26日付で厚生労働大臣から労働政策審議会へ
諮問がなされまして、同日、労働政策審議会長から当分科会において検討することと
されております。
 事務局から内容について説明していただいた後に審議に移りたいと思いますので、
よろしくお願いします。

○安全課長 それでは、2番目の諮問事項でございます「免許試験制度及び特定機械
等に係る製造時等検査の見直しに係る労働安全規則等の一部改正」について説明いた
します。
 資料2に省令案要綱、参考資料2に概要の説明でございますが参考資料2で説明さ
せていただきます。
 参考資料2、1ページをごらんいただきたいと思います。
 1点目は免許試験の受験資格の拡大について、でございます。
 先ほども御紹介ございましたが、平成22年4月に労働安全衛生法関係試験制度等
の見直し検討会の報告書がとりまとめられました。
 この中で特に危険性が高い免許試験につきまして、現行では受験資格に実務経験等
の要件を求めているところでございますが、これを廃止いたしまして、免許の交付時
の要件としてもよいのではないかという方向での意見が出されました。
 これについて検討しました結果、高圧室内作業主任者免許など、6種類の免許試験
につきまして、実務試験の時期の弾力化によります合理化。免許試験の受験機会の拡
大に資するというような点から、実務経験を受験資格から免許の交付要件とするとい
うことでございます。
 併せまして、この報告書の中で労働安全及び労働衛生コンサルタントの資格保持者
の活用の検討がされておりまして、今般、労働安全・衛生コンサルタントの試験の試
験員として、当該資格者で一定の業務経験を有する者を認めることとしたものでござ
います。
 2点目は登録機関によります、ボイラー及び第一種圧力容器の製造時等検査の実施
について、でございます。
 これは平成22年6月に開催されました厚生労働省内の事業仕分けにおきまして、
行政への効率化、民間活力活用の観点から、改革案として現在、国、実際に都道府県
労働局でございますが、実施しておりますボイラー及び第一種圧力容器の製造時等検
査。中身といたしまして溶接検査、構造検査、使用検査の3種類でございますが、製
造時等検査を登録機関が実施できる制度と書いているところでございます。
 なお現在、特定排熱ボイラーという特殊なボイラーについてのみ、登録機関が製造
時等の検査ができる制度となっておるところでございまして、これを拡大いたしまし
て、登録機関がすべてのボイラー、第一種圧力容器の製造時等検査を行うようにする
ものでございます。
 2ページをごらんいただきたいと思います。
 改正内容のポンチ絵の説明でございますが、第1点目の免許制度でございます。
 6種類の免許試験と申しますのは、上の括弧にございますように高圧室内作業主任
者免許、ガス溶接作業主任者免許、林業架線作業主任者免許、2級ボイラー技士免許、
発破技師免許、ボイラー整備士免許で、このすべて学科試験だけの試験でございます。
 例えば最初に出ております、高圧室内作業主任者免許におきましては、受験資格と
いたしまして、2年以上の高圧室内の業務を求めておりましたところでございますが、
これを免許交付時の要件とすることにより受験資格はなくなりまして、右の改正後に
あるとおり、いつでも受験できる形になりました。
 したがいまして、一方で免許の交付要件といたしまして、実務経験を要件とするこ
とになったわけでございます。
 2点目、登録機関によりますボイラー及び第一種圧力容器に関します製造時等検査
について、でございます。
 現行は特定排熱ボイラー被害につきましては、都道府県労働局が実施しております
検査でございますが、これが改正後は登録製造時等検査機関が実施できるとなったわ
けでございます。
 なお、一番下の四角の欄に書いてございますが、登録を受ける機関がない場合にお
きましては、引き続き国で検査が実施できるように措置を行います。
 ですから、制度改正後、検査がすべて切り替わるのではございませんで、登録機関
の登録や体制が確立するにつれまして、徐々に国から登録機関に検査の実施を移行を
すると考えているところでございます。
 3ページ目、制度に関連する数字でございます。後ほど、ごらんいただきたいと思
います。
 以上でございます。

○分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対して、質問をよろしくお願いいたします。
 犬飼委員、どうぞ。

○犬飼委員 今回、免許試験の拡大ということで、要件が資格要件から交付要件に代
わったということなのですが、メリットとして知識・技能の効率的な取得とか免許試
験の受験機会の拡大は歓迎すべきことだと思います。
 今回の業種が特に危険性が高い作業に関わる6免許ということですから、なぜ危険
性が高いということに指定されているかということも含めて、安全衛生水準の低下が
起こってはならないので、その辺のことが大前提になければ、ただ、今、言ったよう
なメリット論のところだけになかなか行けないのではないかと思っていますから、そ
れに対する事務局の考え方をお聞きできればと思っています。

○安全課長 試験を受けること自体は一緒でございまして、あとは経験を最初に持っ
てくるか、あとに持ってくるかということでございます。
 要するに最終的に免許を取得する際におきます経験年数というものは条件的には
変わらない。ただ、実務経験を後か先かというと、途中でもいいわけですけれども、
実務経験が後でもいいということだけでございますので、先ほど、委員からも御紹介
がございましたように、逆に知識を持って実務経験に当たれば、その知識でもって今
まで見えなかったことが見えてくることもございますので、逆にある意味では、安全
面からすれば、実務経験においても実技が上がるということがあれば、今回の形の方
がより合理的でもありますし、安全面で悪くなるというよりも、よりいい方に行くの
ではないかと考えるところでございます。

○分科会長 どうぞ。

○犬飼委員 安全課長が言われたように、そうなのですけれども、今まで厚労省とし
てやはり見習いではないのですが、体感としていろいろな経験を積んできて、それか
ら主任者になるのだという経験則みたいな雰囲気でおそらく、ここをとられたと思う
のです。
 指摘は指摘としてあったのですけれども、それをいい方向で間違わないように是非、
取り組んでいただきたいと思います。

○分科会長 ありがとうございます。

○安全課長 わかりました。

○分科会長 どうぞ。小畑委員。

○小畑委員 2点ほどお聞きします。
 1つが今の免許の関係なのですけれども、受験資格なしということで、だれでも受
験できるということなのですが、その試験に合格をしてから、実務経験を積むまでの
期間というのは別に問わないと考えていいわけですか。
 つまり、試験は合格したと。だけど、実務につかないでずっと何年か経った後に2
年の実務経験を得たといった場合でも、その段階で免許交付をすると考えていいのか
どうかという質問です。
 もう一つが、特定機械の製造時等検査の話なのですが、これは民間企業にできると
いうことなのですけれども、これまでは国が責任を持ってやってきたというものを民
間に任せていくという方向性は理解できるのですが、安全性という部分で1つ懸念が
あるなというのは、大規模災害などが起こったときに、これまでは明確に国が責任を
とると。責任の所在が明確になっていたわけなのですが、民間に任せた場合に、大事
故が起こった場合にどうするのか。
 つまり、責任の所在というものが民間に負い切れるのかという部分で、そこを明確
にする必要があるのではないかなと思うのですが、それについての事務局のお考えを
お聞きしたいと思っています。以上です。
 
○安全課長 1点目でございます。
 試験合格後、実務経験の間隔はどこまで適応されるのかという話でございますけれ
ども、特に規定はございませんが、常識的なところで通常、受けるということはそう
いう業務についておりますので、その必要性があるから受けるのではないかと想定さ
れるところでございます。
 空けることについて、どこでだめだという話にならないと思いますが、望むべくは
その期間が短い方がいいかなと思います。ただ、実務経験そのものは試験を受ける前
からあってもいいわけですし、その辺はまさに受験者の御都合によって実務経験がカ
ウントできるわけでございますので、そこはケースバイケースで判断していくしかな
いかなと思っているところでございます。
 2つ目の御質問の意味が、民間の登録機関が検査をして、その検査が原因で事故が
起こったというときにどうするかという話だといたしますれば、それは当然、こうい
う登録検査機関と申しますのは、そういうことに対します保険はかけておるところで
ございますので、その検査のミスによる保険は措置されますので、民間保険になるか
と思いますが、そういう保険制度の中で責任をとっていくという形になろうかと思い
ます。
 それでよろしいでしょうか。

○小畑委員 お金で解決というか、要はそうならないために国であれば、いろいろな
形で指導ができると思うのです。そこが民間企業にどこまで求められるかという部分
です。

○安全課長 少なくとも、検査の実施の適正化につきましては、逆に国が定期的に登
録機関の監査を行っているところでございまして、その監査によりまして、民間登録
機関におきます検査の適正さにつきましては、例えば検査の要件とか、適正な検査を
行っているかどうかにつきましては国の方でチェックをしていく。
 それは現制度以外の検査につきましても同様でございますが、そういう検査監査制
度によりまして、品質については確保しているというところでございます。

○小畑委員 いずれにしても民間に任せることによって、結果として事故が増えたと
いうことにならないようにお願いしたいと思います。

○安全課長 はい。

○分科会長 ありがとうございます。
 ほかには。どうぞ、明石委員。

○明石委員 今のボイラーの件なのですが、民間活力は十分、活用していただきたい
と思うのですが、民間に降ろした途端に、例えばメーカーとかユーザーの負担が増え
るということは、ちょっと我々、懸念しております。
 先ほど、課長がポンチ絵の下の方の※を御紹介いただいたので、少し安心しており
ますが、拙速をされずに慎重に運んでいただければと思っておりますので、よろしく
お願いいたします。

○分科会長 よろしいですね。
 ということで、ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について、当分科会と
して妥当と認めるということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、当分科会として妥当と答申いたします。事務局においては手続をよろし
くお願いいたします。
 3点目の議題に入らせていただきます。
 本政令案要綱につきましては、改正項目が2点ございます。
 1点目は健康診断を実施等すべき放射線業務に新たな項目を追加するものでござ
います。
 放射線業務につきましては、原発事故の関係でいろいろと改正等をしているところ
でございますが、この改正は今回の原発事故とは関係はございません。新たな業務の
発生に伴い生じた放射性業務を対象に追加しようとするものでございます。
 2点目は石綿含有製品の製造等の禁止猶予品として、唯一残っておりました製品に
ついて石綿を含有しない代替製品の安全性の確認できましたので、改正しようとする
ものでございます。
 厚生労働省におきましては、労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱
を作成し、本日12月26日付で厚生労働大臣から労働政策審議会へ諮問がなされ、同
日に労働政策審議会会長から当分科会において検討することとされました。
 事務局から内容について説明していただいた後に審議に入りたいと思いますので、
よろしくお願いいたします
 労働衛生課長。

○労働衛生課長 労働衛生課長でございます。まず、放射物の規制部分につきまして、
御説明をさせていただきます。
 資料でございますが、資料3と参考資料3でございます。
 参考資料3を用いまして、御説明させていただきます。
 参考資料3、左上の第一段目の四角でございますが、放射性同位元素等による放射
線障害の防止に関する法律は文科省が所管している法律でございますが、こちらが改
正されまして、平成24年4月1日から放射線装置から発生した放射線により汚染さ
れたもの。いわゆる放射化物がこの法の規制の対象とされる予定となっているところ
でございます。
 放射化物でございますが、右の方の吹き出しをごらんいただければと思います。
 極めて高いエネルギーを持つ電離放射線を浴びることによりまして、物質そのもの
が放射能を帯びました放射性物質に変化してしまう現象を放射化と言うそうでござ
いまして、そのように変化した物質を放射化物と呼んでいるところでございます。
 これは、通常のX線装置などでは発生しないものではございますが、近年、高エネ
ルギー化している加速器、サイクロトロンなどにおきまして、そういった施設がある
とこで廃棄物として多く発生しているところでございます。
 左の2段目でございます。
 私の所管しております労働安全衛生法におきましては、施行令におきまして規制の
対象とすべき放射線業務について定めているところでございますが、この放射化物に
つきましては対象となっていないところでございます。
 具体的には右の真ん中の吹き出しでございます。
 施行令の別表第2に7つの業務を放射線業務ということで挙げております。四角の
部分でございます。
 これにつきまして、放射化物を取り扱う業務というのが含まれていないところでご
ざいます。
 隣に絵がございますが、まず、左の絵でありますけれども、放射性物質がものの表
面に付着した場合は、放射線物質により汚染されたものということで規制の対象にな
るところでございますが、右の高エネルギーの放射線により浴びた場合でございます
が、ものそのものが放射能を帯びたものに変化したと。
 放射化物となった場合は同じように放射能を持つことになりますけれども、こちら
の方は規制がかからないとなるわけでございます。
 左の3段目にいっていただきます。
 このように、放射線業務が同一の業務であるにもかかわらず、労働安全衛生法に規
制がなく、不均衡を生ずることになります。現に、放射化物という放射能を浴びたも
のを取り扱う業務が生ずることになりますので、これを規制の対象とし、労働者の保
護を行う必要があるところでございます。
 この業務でございますが、下の※に書いておりますが、高エネルギーの加速器のあ
る施設の保守点検や施設の解体業務などが該当するところでございます。
 下の段でございます。
 労働安全衛生法の施行令の別表第2を改正いたしまして「放射線発生装置から発生
した放射線により汚染されたものを取り扱う業務」を放射線業務に加えたいところで
ございます。
 右の方でございますが、これによりまして放射化物を取り扱う業務につきましては、
労働安全衛生法等の規制がかかることになるわけでございます。
 具体的には作業環境測定、健康診断を行うべき業務となるわけで、詳細につきまし
ては電離則の適用になるわけでございます。
 施行は24年7月1日を予定しているところでございます。
 資料3と参考資料3につきましては以上でございますが、資料3の2ページでござ
いますが、政令の要綱案でございます。
 第1のところに「サイクロトロン等の装置から発生した電離放射線により汚染され
たものの取扱いの業務を、作業環境測定及び健康診断の対象となる放射線業務に追加
すること」というのが要綱でございます。
 3ページの第3の施行期日でございます。
 1の下の方にございますが、第1につきましては4月1日に施行するということで
ございます。私の方の説明は以上でございます。
 
○分科会長 どうぞ、お願いします。

○化学物質対策課長 続きまして、石綿関係の御説明申し上げます。
 資料3、2ページの第2「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の一部改正」
ということでございます。
 具体的には、参考資料3、2ページで御説明させていただきます。
 「1 趣旨」でございます。
 御案内のように、石綿含有製品につきましては平成18年9月1日から全面的に禁
止されたということになってございますが、とはいいながらも、そうなったら直ちに
石綿以外の物質にしますと、安全上の問題が確保できないであろうというものが若干
残ってございまして、そういったものが適用除外製品としてございました。
 そういったものは安全衛生法施行令の附則のところで明確に書きまして、ポジティ
ブリストとして、こういったものは当面、石綿を使ってもいいよという適用除外品と
していたところでございます。
 これらにつきましても、早期に石綿をなくして代替化を図っていくべきであろうと
いうことで、私ども20年4月にこの検討会報告案をまとめてございまして、大体、
それぞれの物品につきまして、いつごろに代替化が可能かということを御報告いただ
いてございます。
 こういったものを踏まえまして、これまでにも順次、代替化が可能となったものか
ら代替品を使うことにしていただいて、石綿製品の製造使用は禁止するという方向で
きてまいりました。
 1年前にも同じような改正をやってございますが、今回、最後に残っておりました
のは、ガスケットという製品についても代替化が可能ということが確認できましたの
で、この政令を改正いたしまして製造等を禁止するということにしたいということで
ございます。
 この改正を持ちまして、いわゆる適用除外品はなくなりますので、字義どおりの全
面禁止ということが達成されることになります。
 改正の内容でございます。
 2のところに書いてございますが、主に化学工業などの用に供されてございますガ
スケットという部品がございます。直径1.5m以上のものにつきましては、やはり、
かなり大きいということで石綿を使わずにちゃんとした性能を出せるかどうか、なお
確認が必要ということで残っていたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、これは代替品でもって大丈夫であるということが確
認できたということでございます。
 ただいま申し上げました、ガスケットというのは3ページに書いてございます。
 2のところに配管がございます。配管のちょっと広がっている部分をフランジと言
いますが、フランジとフランジをつなげる部分に隙間ができませんようにガスケット
をかませまして、ボルト、ナットで締め付けるわけでございます。
 こういうところに使っているガスケットを、石綿含有製品は使えないようになると
いうことでございます。
 この施行期日でございますけれども、先ほど、放射化物の方では4月1日からの施
行ということでございますが、石綿の方は既に代替化が可能とめどが立ってございま
すので、少しでも早い方がよろしいと考えておりまして、3月1日からの試行を予定
しているところでございます。
 参考資料3、最後のページでございます。
 そこにはただいま、申し上げましたところをごく簡単にポンチ絵で描いてございま
すが、1点だけ、「4.その他」を御説明申し上げます。
 ただいま申し上げましたように、これで全面禁止になるわけでございますが、経過
措置によりまして、既に設備等に組み込まれているものにつきましては製造禁止案は
適用になりませんので、このプラントをとめて次に定期検収を行う時期に交換してい
ただくことになりますので、そういったものがちょっと例外的に残りますが、基本的
にこれで完全になくなるということでございます。
 もう一点の例外は、試験研究用に供するものは、これまでどおり都道府県労働局長
の許可を得て行うことが可能ということでございます。
 このような改正を予定しているところでございます。以上でございます。

○分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等をお願いいたします。
 どうぞ、新谷委員。

○新谷委員 まず、放射化物について申し上げたいと思います。
 新しい名前で、余り耳にしなかった言葉なのですけれども、サイクロトロンとか素
粒子加速器、医学の分野で重粒子線発生装置というのがありまして、私ども、これが
どんなところでどういうことが問題で起こっているのかというのは、ちょっと職場に
ヒアリングをしてみたところであります。
 そういった意味で今回、この放射化物を取り扱う業務について、労働安全衛生法施
行令の改正をしていただいて規制をするという改正自体については評価をしたいと
思っております。
 ただ、この新しい放射化物については、やはり現場の方から聞こえてくるのは文科
省の担当になるのか、厚生労働省の担当になるのかわかりませんが、労働安全衛生で
すから多分、厚労省の担当になると思うのですけれども、放射化物の取り扱いに関す
る教育のシステムが弱いのではないかと。これは多分、事業者任せになっているので
はないかという懸念がございます。
 これは、取り扱いということでありますから、例えば、管理区域をどの範囲で指定
をするのか、それの明示をどうするのかといったところもそうですし、いただいてい
る参考資料3にありますように施設の保守点検、施設の解体業務などがあるとあるの
ですけれども、これの放射化物となったものの取り扱い、要するに持ち出しの基準は
どうなっているのかとか、廃棄の基準はどうなっているのかとか、その辺のところは
多分、文科省と厚労省で分担があるのだと思います。
 いずれにしても新しい汚染された物質が出てきますので、これについて国の取り扱
いについての基準を是非、明確にしていただきたいと思っております。
 以上であります。
 
○分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ。

○労働衛生課長 御指摘のございました教育でありますとか、管理区域の表示であり
ますとか、取り扱いについてでございます。
 まず、教育でございますけれども、放射化物を取り扱う事業者は専門的な技術を有
する事業者であると想定されることから、既にある一定の教育がされているものと考
えているところでございますが、今般、政令が改正された暁には、電離則に基づく教
育が必要となるわけでございますので、この点につきましては、事業者団体や事業者
に対する指導を徹底していきたいと考えております。
 管理区域につきましても電離則が適用になりましたら当然、この規則に基づく管理
区域の表示は義務となりますので、ここも指導を徹底していきたいと思います。
 それから、廃棄物などの取り扱いでございますが、これもまさしく電離則が適用に
なった場合は、取り扱いに関する条項が適用となるわけですから、指導を徹底してい
くこととしております。
 取り扱いでございますが、専用の作業室を設けていただくとか、専用の容器を用い
て保管するなど一定の基準がございますので、これはきちんとさせていきたいと思い
ます。
 いただいた御意見でございますが、そういう要望があったということを文部科学省
にもお伝えして、しっかりとやっていきたいと考えています。

○分科会長 よろしいでしょうか、新谷委員。ありがとうございます。ほかに、あと
どなたか。

○冨高委員 石綿の関係について、ちょっと1点、確認したいことがございます。
 まず今、御説明いただいたように直径1,500?以上のジョイントシートガスケット
と、ガスケットの原材料の製造等が禁止になることで、御説明いただいたように適用
除外製品等がなくなるということにつきましては、評価したいと思っております。
 ただ、経過措置ということで平成24年3月1日において、現に使用されているも
のについては同日以降、引き続き使用されている間は、労働安全衛生法の第55条の
規定は適用しないものと要綱の方でも書いてあります。
 欧州の方では既に石綿の使用は禁止しておりますし、日本国内においても石綿等の
使用について禁止する流れであると考えておりますが、この経過措置については、い
つまで適用されるのかというところについてお伺いしたいと思います。

○化学物質対策課長 経過措置について期限はございませんが、化学プラントは大体、
半年に1回はとめて検収工事を行いますので、その時点で、もう交換しなくてはいけ
なくなります。そういうことから考えますと、実質的には1~2年のうちには全部、
なくなるものだと考えております。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。小野委員、どうぞ。

○小野委員 石綿の方で1つ、教えていただきたいことがあります。
 在庫品の使用は不可と書いてありますが、在庫品の回収ということは、生産者の方
がするのか、買った側の方がするのか。
 要するに、在庫品を間違えて使用するということがないような、何か仕組みはある
のでしょうか。

○化学物質対策課長 義務的には持っている方が処分していただくことになります
が、使用を禁じているだけでございますので、法律的には直ちにどうこうしないと、
ただ、在庫を抱えているだけで何かの違反ということにはなりません。
 ただ、委員御指摘のようなことが現実に起こり得ますので、そういったところは適
切に処分していただくように指導してまいりたいと考えます。

○小野委員 ありがとうございます。

○分科会長 ほかにはあるでしょうか。よろしいですか。
 それでは、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱について、当分科会
として妥当と認めるということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○分科会長 ありがとうございます。
 それでは、当分科会として妥当と答申いたします。事務局については、手続をよろ
しくお願い申し上げます。
 4点目の議題でございますが、定例の分科会の報告事案でございます、新規化学物
質の有害性の調査結果に関する報告について、事務局から御説明をお願いいたします。

○化学物質評価室長 資料4をごらんください。
 最初のページの上の四角囲みのところにございますように、労働安全衛生法の57
条3におきましては、事業者が新しい種類の化学物質を製造または輸入しようとする
場合には、一定の有害性の調査をしていただきまして、厚生労働大臣に届け出ていた
だくということになっております。
 その結果に基づき、必要であれば事業者が健康障害を防止するための措置を行うと
規定されております。
 恐縮ですが、2ページ「職場における化学物質管理の全体像」ということで、一応、
位置づけを簡単に御説明したいと思います。
 真ん中辺りに化学物質総数約6万物質というのがございますが、労働現場で通常使
われている物質がおおよそ6万ぐらいございまして、上の方から労働現場でのリスク
の高さに応じまして、製造禁止から始まりまして情報の提供の義務づけ、さらに今後、
情報の提供の努力義務を課そうとしているというような物質がございます。
 右側で黒塗りしておりますところですけれども、「新規化学物質の届出」というの
がございます。真ん中の6万物質に対しまして、毎年、最近ですと約1,200物質ほど
新しい物質が入ってまいります。こういうものをフリーで入ってくるということでは
まずいものですから、変異原性の調査、試験結果をつけて厚生労働省の方に届け出し
ていただくということでございます。
 その後、右下に※1がございますけれども、変異原性というのは生物の細胞に突然
変異を引き起こす性質でございまして、こういう性質が見られるとがんですとか、重
篤な健康障害を引き起こす可能性があるということで、事業者に気を付けていただか
ないといけないということで、真ん中の行の真ん中辺りに「指針による指導」という
のがございます。
 安衛法57条3におきましては、事業者による変異原性の調査結果を踏まえて、事
業者が必要であれば健康障害防止措置を講じないといけないわけでございますけれ
ども、その指針を労働基準局長の通達で定めております。
 これによりまして、ばく露防止措置などを講じていただくということをお願いして
いるところでございます。
 1ページに戻りまして、先ほどの上の四角囲みでございます。
 厚生労働大臣は届け出していただいた物質につきまして名称を公表するとともに、
四角囲み2つ目のポツの??がございますが、この段階で特にリスクが大きいという
場合には、大臣が健康障害防止措置の勧告をすることになっております。
 ?としまして、先ほど申し上げましたように、そうでなくても強い変異原性が認め
られた物質については、それなりの扱いをしていただくということで、健康障害を防
止するための措置を実施していただく必要があります。
 この試験結果、有害性の調査につきましては、学識経験者の意見を聞いた上で、変
異原性が強いものであるかどうかを判断して、事業者の方に指導をしているところで
ございますが、これにつきましては1年以内に本審議会に報告するということでござ
います。
 下の四角囲みにまいりまして、今回の報告の概要でございます。
 今回は昨年の12月から今年の9月までに官報に名称を4回に分けて公表しており
ます。
 対象になる新規化学物質は1,163物質。これらについて、それぞれ有害性の調査を
していただいたということでございます。
 3つ目の・でございますが、学識経験者の意見ということで?~?がございます。
 先ほどの大臣が行う、健康障害防止措置の勧告ですが、これについては該当なしと
いうことでございます。
 ?につきまして、強い変異原性が認められると判定されたのが32物質ございます。
これにつきましては、先ほど申し上げましたような健康障害防止措置を講じていただ
くということで、指針に沿った措置をしていただくということになっております。
 この資料の3ページに先ほど申し上げました、強い変異原性が認められると判定さ
れました32物質のリストが出ております。
 5ページにまいりまして、先ほどの健康障害防止措置のための指針がございます。
 7ページに、意見を求めました学識経験者の名簿がございます。報告は以上でござ
います。

○分科会長 ありがとうございます。
 それでは、今の説明について、何か御質問ございませんか。よろしいですか。
 それでは、5点目の議題に入りたいと思います。
 除染作業に関わる規則については、前回の分科会において答申をいただいたところ
でございますが、その後、ガイドラインについて22日にとりまとまったということ
でございますので、論告をお願いいたします。

○計画課長 お手元の資料5-1及び5-2を御説明させていただきます。
 今、分科会長よりお話がありましたとおり、前回の12日の当分科会におきまして、
いわゆる除染電離則について諮問し、答申をいただきましたが、それを踏まえまして
22日に官報に掲載をいたしまして、除染電離則を交付したところでございます。施行
は来年1月1日でございます。
 その22日の交付と併せまして、お約束しておりましたとおり、規則自体は規則で
ございまして、ある意味、慣れない方には読みにくいわけでございまして、その辺り
をわかりやすい内容として取りまとめましたガイドラインをお示しすると申し上げ
ておりましたが、そのガイドラインも同日付で、世の中に対して提供させていただい
たところでございます。
 このガイドラインは、3つのパーツからできていまして、1つは今、言いました除
染電離則の内容をわかりやすく、もう一度書いたというパーツが大部分でございます
が、それに加えまして、電離則に基づく、いわば法的な根拠に基づく義務ではないけ
れども、物事の性質に照らして事業者の方にやっていただきたい事項というものを併
せて書くと。
 3つ目に安衛法等でもう既に書いてあるので、改めて除染電離則に書いていなかっ
たが、忘れないようにもう一度、そこで併せてやっていただきたいことを書くという、
この3つのパーツで書いていまして、いわば、このガイドラインを見ていただければ、
事業者の方がやっていただきたいことの全体像が見えるという構成になっているも
のでございます。
 その本文は資料5-2につけておりますように、非常に大部なものでございますの
で、私の方からは資料5-1に基づきまして、特に先ほど言いました、除染電離則を
2度書きしている部分はもう省略をいたしまして、それに加えた主な部分について御
説明したいと思います。
 5-1の資料の下線を引いている部分がそういう部分でございます。
 最初に、被曝管理の部分では(2)にありますとおり、よく覚えていられますか。
(a)(b)とそれ以外と3つの区分で、要するに年間の被曝限度が1mSv以下の部分は
線量管理がICRP上も不要とされている部分でして、いわばここはボランティアの方
とかにやっていただく部分ですと説明したと思いますが、そのことでございます。
 要するに、そこにありますように自営業者、住民、ボランティアの方々については、
その範囲内でやっていただくということを書いているということでございます。
 それに加えまして、除染等事業者というのは専業者のことでございますが、たまた
ま自分のところの工場なりを除染するような事業者の方についても同じと。
 いわば、プロとして除染される方は除染電離則に従って一定のことをやっていただ
くわけでございますけれども、そうではない方々は、いわば一時的に除染等の作業を
していただいてもいいのですが、それはあくまで年間1mSv、時間当たり2.5μSvの
範囲内ですよということをここに書いているということでございます。
 そうなるように例えば回数で言えば、年間数十回よりも少なくするということにし
ていただきたいということが、このガイドラインの中に書かせていただいていること
でございます。
 2ページにいきます。
 上の方でございますが、線量管理というのは、その方の性別等によって3か月に1
回であったり、6か月で1回記録をするというような規制がかかっているわけでござ
いますけれども、それにかからないような、より短期の働く方々の部分については、
このガイドラインの中で、そこにありますように3か月未満の期間を定めているのは、
労働契約で働かられる方とか、あるいは派遣によってそういう短い期間で働かれるよ
うな方については、除染電離則の義務にならないが、このガイドラインに基づき1か
月ごとに記録した上で、その結果を離職時あるいは派遣満了時に当該者に交付してい
ただくことをお願いしたいということを書かせていただいているということでござ
います。
 3の汚染拡大防止の部分でございます。
 これも前回、御説明しましたとおり、内部被曝を防止するために防じんマスクをつ
けていただくのですけれども、それは扱う業務がどの程度の高濃度の汚染土壌を使う
か。あるいはどのぐらいの粉じん濃度の中で作業するかということのマトリックスに
応じて、使う防じんマスクを分けて規制しているわけでございます。
 その両方に該当しない、要は高濃度の土壌でもないし、高濃度粉じん作業でもない
部分については規則上は何もしなくていいという形になっているのですけれども、ガ
イドラインにおいてはそこについても基本的には防じんマスクを使ってくださいと。
ただし、80%以上のものでいいですよということでガイドラインでした上で、なお、
その部分については特に危険な、あるいはほかの粉じん則などで防じんマスクの着用
を義務づけられている鉱物性粉じんが発生するもの以外の、例えば葉っぱとか落ち葉
というものを扱う作業についてはサージカルマスク、いわゆる普通のマスクでもいい
ですよということをガイドラインの中でお示ししているということでございます。
 3ページにいきます。
 教育の関係につきましても、先ほど言いましたとおり、プロではない除染をされる
ような方々については2.5μSv/hのところで働いていただく形にありますが、そこ
についても、そこにいる労働者の被曝のリスクがゼロというわけではありませんので、
必要な項目については協力をしてください。自営業、ボランティアの方々についても
同じようにしてくれるのが望ましいですよということをお示ししているということ
でございます。
 除染等の業務を発注する場合は、発注先の業者がそういう教育をしっかり受けた作
業指揮者なり労働者をきちんと確保できているということを確認した上で発注する
ことが望ましいですよということをガイドラインでお示ししているところでござい
ます。
 4ページ、安全衛生管理体制の部分でございます。
 この部分についても、安衛法の中に考え方が取り入れられておりますが、要するに
この安全衛生の管理というのは体制をとっていただくということがまず出発点でし
て、形から入るといいますか、そういう部分が非常に大事でございます。
 その点について3つのことをお願いしてございます。
 (1)元方事業者が全部総括してください。
 (2)被曝線量の管理も一元的にやってください。
 (3)下請けの方についても、衛生管理者なり安全衛生推進者を選任していただい
て、その人にしっかりと責任ある仕事をしてもらいたいということです。
 そういう意味での3つの安全衛生管理体制について、このガイドラインにお示しし
て、事業者の方に実施していただくという形で指導していきたいと考えているところ
でございます。
 ガイドラインの内容は以上でございます。
 最後、前々回に新谷委員の方から100mSvを超えて作業をされた方々がその後、ど
うなったかという御質問がありましたので、この機会に御報告させていただきたいと
思います。
 100mSvを超えますと基準を当然超えていますので、放射線業務には5年間つけない
という形になりますが、そういう方々について私どもの方で確認しましたところ、お
一方を除いて、その企業で雇用されておりまして、いわば職種を転換する形で雇用を
継続されているようでございました。
 お1人の方は退職されておりますけれども、その方は御本人の希望といいますか、
職種転換ではなくて自分として放射線業務ではありませんが、やりたい仕事があるけ
れども、そこの会社にはないということで、いわば解雇ということではなくて円満に
退職されまして、今は別のお仕事につかれていることを確認してございます。
 そういう意味では新谷委員から心配されておりました意味で言えば、きちんと雇用
が確保されていたり、あるいはきちんと手当てがされていることを御報告させていた
だきたいと思います。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございます。それでは、今の御説明に対して質問がございま
したら。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 最後に御報告をいただいた件について確か27名、東電以外の方でおら
れたと思いますが、報告を聞いて安心をいたしました。
 今、ガイドラインを御説明いただいたのですが、これについては前回申し上げたと
おり、施行日まで日にちがないということで、周知の徹底をお願いしたいということ
で、これに基づいてもっとわかりやすい機材をおつくりいただけるというお話を、こ
の前聞きましたので、その機材の作成状況なり、いつごろそれがリリースされるのか
というところがあれば教えていただきたいなと思います。

○計画課長 この中身につきましては、既に関係7県の方で労働局主催のものであっ
たり、自治体主催のものであったりという形で勉強会と言いますか、説明会が既に行
われつつありまして、既に千数百名の方が受講されたと聞いておりますが、これは年
が明けても追加的にどんどんやっていきたいと思っています。
 教材の関係につきましては、これらをすべて網羅するという形になりますと、また
読みにくくすごく大変なものになりますので、今、非常にシンプルに項目を絞ったも
のを、かつイラスト等を多用する形で、いわば、読みやすいもの調にしたようなパン
フレットのようなものをつくってございまして、これについては年内にも作成した上
で、ホームページ上には掲載したいと思っています。
 あと、当然ホームページにアクセスできない方もいらっしゃいますので、刷り物と
いう形としてもお配りしたいと思っていますが、これはちょっと時間がかかりますの
で、年明けという形になると思います。以上です。

○分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。犬飼委員どうぞ。

○犬飼委員 ガイドラインの概要と今回説明していただいたのは、今回の説明のため
に要約されたという位置づけなのですか。

○計画課長 ガイドラインについてはプレス発表もしておりますけれども、記者に対
しましても、このガイドラインを全部読んでねというわけにもいきませんで、そのと
きにつけた資料を今回、少し下線を引くような形で加工させていただいて、御提示さ
せていただいているというものです。

○犬飼委員 ちょっと気になるのは、シンプルにしようというのはわかるのですけれ
ども、例えばガイドライン概要1-?作業場所が2.5μSv以下の区域は外部被曝、個
人線量による測定が望ましいが代表者測定でも差支えないという、非常にシンプルな
のですが、この代表者というのは、ガイドラインでいけば外部被曝の数量が平均的な
数値であると見込まれる代表者なのですよね。
 余り略し過ぎると、だれでもいいのではないかとなってしまうこともあるので、概
念的に間違いのないような略し方に是非、肝心なところが落ちないようにしていただ
きたいと。
 例えば(2)でも読みにくい。改行1つしてもらえれば非常にいいのですけれども。
例えば労働者を使わせるとなって。それから自営業者、住民、ボランティア。要する
に、これは全く別な、遣わせる人の場合と自営業者と住民、ボランティアは別のこと
で同様でありますので、例えば改行するとか。
 ガイドラインを見ればわかるのですけれども、略した方をいきなり見てしまうと混
同するような面がありますので工夫をしてほしい。

○分科会長 よろしくお願いします。
 ほかにはあるでしょうか。よろしいですか。
 それでは、以上で終了いたしましたので、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○計画課長 遅くまで、どうもありがとうございました。次回の日程につきましては、
また追って連絡させていただきたいと思います。

○分科会長 それでは、本日の分科会、大変遅くまでありがとうございました。これ
で終了いたします。
 議事録の署名につきましては、労働者代表は新谷委員、お願いできますか。それか
ら、使用者代表は瀬戸委員にお願いできますか。
 それでは、1年間どうもありがとうございました。今日で終わりだと思いますので、
皆さん、よいお年をお迎えください。
 閉会いたします。

(以上)


(了)

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