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2012年1月12日 第2回HTLV-1対策推進協議会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成24年1月12日(木) 17:30~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館17階 厚生労働省専用第18~20会議室


○出席者

【構成員】(五十音順)

伊川構成員 石母田構成員 齋藤構成員
菅付構成員 塚崎構成員 永井構成員
林構成員 保坂構成員 森内構成員
南部構成員 山野構成員 渡邉構成員

【オブザーバー】

村上清 畑由美子 板橋家頭夫

【事務局】

藤田厚生労働大臣政務官 外山健康局長 正林結核感染症課長
山本疾病対策課長 泉母子保健課長 鷲見がん対策推進室長
林結核感染症課長補佐 荒木疾病対策課長補佐 山本母子保健課長補佐
馬場母子保健課長補佐

○議題

(1)HTLV-1感染予防と相談支援について
(2)その他

○議事

○正林結核感染症課長 それでは、定刻となりましたので、第2回「HTLV-1対策推進協議会」を開会いたします。
開催に当たりまして、藤田政務官よりごあいさつをさせていただきます。
○藤田厚生労働大臣政務官 皆様、新年明けましておめでとうございます。政務官を務めております、衆議院議員の藤田一枝でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
本日は、本当にお忙しい中、また、寒さが厳しい中、そして、遠方からもこの協議会に御出席をいただきまして誠にありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
御承知のように、本協議会はHTLV-1総合対策の一環として設置されたものでございます。そして、この総合対策は、一昨年になりますけれども、当事者の方々からの強い御要請を受けて、当時の菅総理の指示のもとにHTLV-1特命チームが設置されまして、官邸・政治主導のもとに、患者さんの皆様や、あるいは専門家の方々を交えて検討を行って、平成22年12月20日に総合対策としてとりまとめが行われたところでございます。
この総合対策のとりまとめを受けまして、厚生労働省としても、この間さまざまな対策を進めてまいりました。これも改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、妊婦健診においてHTLV-1抗体検査を実施し、その後の保健指導やカウンセリングを通じて、母子感染を予防するなど、感染予防対策の充実を図っているほか、ATLやHAMなどの疾患を含めて、HTLV-1に関連する相談・診療体制の構築を進めているところでございます。更に、感染予防や、あるいはATLやHAMなどの治療法の研究開発への予算も本年度から大幅に増額いたしまして、研究を推進しているところでございます。
引き続き、この協議会において、皆様方の貴重な御意見を賜りながら、対策のさらなる推進を図り、この総合対策を真に意義あるものにしてまいりたい、このように思っておりますので、皆様には何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
そして、今日は私、皆様のお話をしっかり伺わなければいけないのですが、どうしても会議が重なってしまいまして、ごあいさつの後に退席させていただきますことをおわび申し上げます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○正林結核感染症課長 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係の方は御協力をよろしくお願いします。
(カメラ退室)
○正林結核感染症課長 本協議会の構成員の本日の出席状況ですが、構成員15人中12名の方々に御出席いただいております。
岩本様、寺尾様、西様からは欠席の連絡をいただいております。
なお、欠席の御連絡をいただいた西様の代わりにオブザーバーとして、同会から村上清様に御出席をいただいております。
続きまして、前回から事務局の人事異動がありましたので、紹介させていただきます。
健康局総務課がん対策推進室の鷲見室長です。
同じく健康局疾病対策課の山本課長です。
そして、私が健康局結核感染症課長の正林でございます。
よろしくお願いいたします。
政務官は、ほかの業務がありますので、御退席いたします。
(藤田厚生労働大臣政務官退室)
○正林結核感染症課長 続きまして、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきます。
次第にありますように、資料1~7、参考資料となっております。不足等がありましたらお申し付けください。
それでは、ここからの議事進行につきましては、渡邉座長、よろしくお願いいたします。
○渡邉座長 皆さん、本日はよろしくお願いいたします。
さて、今日の会議の進め方ですけれども、お手元にあります議事次第に従って進めさせていただきます。
それでは、議題の(1)で、HTLV-1総合対策の取組状況について事務局から御報告をお願いいたします。
○林結核感染症課長補佐 資料2「HTLV-1総合対策の取組状況」に基づいて、前回の開催からこれまでの新たな動きについて簡単に御説明させていただきます。
おめくりいただいて、2-1ページが「HTLV-1対策関連予算(案)の内容」でございます。
まず、今年度の補正予算(案)といたしまして、妊婦健康診査におけるHTLV-1抗体検査を来年度も引き続き実施できるように、この基金の積み増しが行われるという予算になっております。
また、来年度予算(案)につきましては、昨年度から計上しておりますHTLV-1母子感染対策協議会等のための母子保健医療対策等総合支援事業の中の予算の一部をHTLV-1対策に使うこととか、特定感染症検査等事業といったものを引き続き計上しております。また、相談支援、医療体制の整備、普及啓発・情報提供、こういった事業についても引き続き実施することとしております。また、研究開発の推進として、HTLV-1関連疾患研究領域として確保した10億円の研究費につきましても、引き続き確保していくという予算(案)とさせていただいております。
続きまして、2-2ページは「妊婦健康診査支援基金の1年延長・積み増し」でございますけれども、14回の妊婦健康診査につきまして、何らかの形で公費助成をしておりまして、これを1年延長できるようにということになっております。
2-3ページ、2-4ページが母子健康手帳に関する検討会の御報告でございますけれども、母子健康手帳の様式が厚生労働省の省令で定まってございます。
2-4ページにございますように、今回全員が受けることになったHTLV-1の抗体検査につきまして、検査の記録欄に追記して、ここに書けるようにするということとなっております。これにつきましては、今年の4月1日、来年度から施行の予定となっております。
2-5ページからが研究の関係でございますけれども、10億円の研究予算を確保した上で、まず今年度につきましては、研究の追加公募を行わせていただきました。
2-6ページ、2-7ページにございますように、各事業それぞれ、HTLV-1に関連する研究を採択いたしまして、総額として10億円にほぼ近い形で研究を採択することができました。
そして、2-9ページから2-12ページまでが来年度の公募要項でございます。継続の研究が多うございますので、来年度新たに研究を公募できる課題はそれほど多くないんですけれども、例えば若手育成型、今後若手の方にこの分野に参入していただくようなことを目標とするような研究課題などを中心にいたしまして、更に公募をして、この分野により新しい研究者の方にも入っていただきたいというふうに考えているところでございます。
以上です。
○渡邉座長 今の事務局からの御説明に、何か御質問等がございましたら、ここで受けておきますけれども、よろしいですね。
それでは、次の議題に移らせていただきます。
前回の協議会において、今後は毎回のテーマを決めて深く議論していただくという方針を御了承いただきました。今回は、前回の協議会でもたくさんの御意見をいただきました「HTLV-1感染予防と相談支援」をテーマといたしております。
それでは、母子感染予防対策や保健所等での相談及び検査の自治体における取組状況について事務局からの御説明をお願いいたします。
○山本母子保健課長補佐 まず、HTLV-1母子感染予防対策の状況と課題について、資料3に基づいて御説明させていただきます。
資料3をおめくりいただきますと、最初に、HTLV-1母子感染対策事業については、母子保健医療対策等総合支援事業という事業の中でやっておりまして、実施主体は都道府県で、HTLV-1母子感染対策協議会、HTLV-1母子感染対策関係者研修事業、HTLV-1母子感染普及啓発事業から成っております。
また、妊婦健康診査におけるHTLV-1抗体検査の実施状況は、前回の協議会で御報告させていただいたとおり、検査項目を明示した受診券方式で実施しているすべての市区町村においてHTLV-1抗体検査を実施しております。
各都道府県における母子感染対策事業の実施状況につきまして、まず協議会の設置状況、今年度の11月1日現在のものですが、設置済みまたは今年度中に設置予定の都道府県は33という状況になっております。今年度中の設置を検討中は1、来年度以降設置を予定・検討中は13という状況です。
研修事業につきましては、実施済みまたは今年度中に実施予定が42、今年度中の実施を検討中が1、来年度以降の実施を検討中が4となっております。
普及啓発につきましては、39の都道府県が実施済みまたは今年度中に実施予定、8が来年度以降の実施を検討中となっております。
詳細な都道府県ごとの取組状況につきましては、3-4ページに一覧にしております。
また、母子感染相談窓口につきましては、保健所や保健センター、病院等に622か所、11月1日現在で登録されております。
幾つかの相談窓口に、どんな相談内容があるかという問い合わせをしたところ、ここに記載されているような、病気の詳細についてとか、授乳方法の相談、また、第1子陰性の場合、第2子以降に陽性になる可能性などのさまざまな相談があるという実態が明らかになっております。
相談対応につきましては、相談の手引き・マニュアル、それぞれ医師向けと保健師向けをつくりまして、それぞれで5,266部と1万1,600部を配布したほか、昨年の23年3月2日と3月9日に全国で研修を行っております。
今回の会議に合わせて、各都道府県におけるその他の取組状況につきまして、11月1日で現在の状況を調査したものが3-8ページに示しております。
妊産婦、出産時を含むキャリアが必要に応じ受診する医療機関が決まっているのかどうかという調査に対しましては、47都道府県のうち決まっているのは9県、協議会で検討中または検討予定は3県という状況でした。
HTLV-1陽性または判定保留の妊婦からの出生児の受診機関が決定しているかどうかという調査に関しましては、決定済みが9県、協議会で検討中または検討予定が3県という状況でした。
HTLV-1陽性または判定保留の妊婦からの出生児の感染状況を確認する体制につきましては、整備済みが8県、協議会で検討中または検討予定が3県という状況でした。
その他調査では、HTLV-1スクリーニングの実施状況や陽性者数を確認しているかどうかというようなことも調査しまして、それら調査の結果、HTLV-1母子感染予防対策の課題として3-9ページにまとめさせていただいております。
まず1つは、HTLV-1スクリーニングの実施状況や陽性者数を把握できていない自治体があるということ。
HTLV-1スクリーニング陽性者の確認検査の結果に応じた相談支援が必要ですが、市町村で個別の状況を把握するのは難しいということ。
また、出生児の確認検査やキャリアのフォローを含めた医療機関の連携体制が必要というような課題が明らかになってまいりました。
それらに対する対応としましては、3-10ページにまとめておりますように、自治体によっては、医療機関へのアンケート等によりスクリーニングの実施状況や陽性者数を把握しているところがあったり、産婦人科医会に母子感染防止の説明や児の追跡調査を含めて委託している自治体があったり、また、個別のフォロー体制も含めた医療機関の連携体制について、HTLV-1母子感染対策協議会で検討しているというような状況がありますので、厚生労働省では、引き続き、各自治体の相談支援や医療連携の先進的な取組みを情報収集して、引き続き情報提供することが重要かと考えております。
以上です。
○林結核感染症課長補佐 引き続きまして、資料4、母子に限らない一般的な検査・相談支援の実施状況について御説明させていただきます。
4-1ページから4-8ページまでは、前回もほとんど同じ資料を御説明しておりますので簡単に御紹介させていただきますけれども、4-1ページで、保健所においてHTLV-1抗体検査を希望する方に実施できるようにということを今年度から事業として実施いたしております。
4-2ページでございますけれども、HTLV-1キャリア指導の手引、こういったものを研究班におつくりいただいて、全国に配布させていただいております。
4-3ページ、研修ですが、先ほど御紹介した都道府県での研修や全国の研修に加えて、HAMやATL等の相談窓口に向けた研修もこのような形で実施させていただいております。
4-4ページで、相談窓口がどこにあるかということがわかるように、各都道府県の相談窓口についてホームページで公表させていただいております。一般の相談窓口、あるいは母子感染の相談窓口、こういったものを公表させていただいております。
加えて、4-5ページにありますように、関連疾患になったときに対応できるような診療機関といったものも、これは研究班でおつくりいただいているホームページでございますけれども、こういった場所で公表しているところでございます。
こういった情報につきましては、4-6ページにありますように、厚生労働省のHTLV-1に関するポータルサイト、こういったところで一元的に見られるように、相談の手引・マニュアルやその他のパンフレット等と併せて見られるように、まとめて掲載させていただいております。
また、研究班の方でもHTLV-1情報サービスという形で入念な情報提供をしていただいておるところでございます。
4-8ページには、HTLV-1のキャリアの方々への普及啓発資材として、リーフレット、小冊子等を種々用意しておりまして、こういったものもホームページからも見ることができますし、各地でお配りさせていただいているところでございます。
4-9ページ、4-10ページが、今回この会議に向けて新たに調査をさせていただいたものでございます。都道府県及び保健所を設置する市・特別区における、4月から10月までの相談や抗体検査の実施状況について調査を実施いたしました。
相談の実績としては、617か所の保健所や本庁の中で、111か所の窓口において236件の相談があったということでございます。
主な相談内容としては、例えば妊婦健診・母子感染に関することで、母乳の与え方についてのこと。第2子妊娠中の検査で陽性がわかったが、第1子への対応をどうすればよいかというようなこと。妊婦健診で陽性であったけれども、医師から詳しい説明がなく、不安なので、今後の対応について相談したいというようなことがあった。
献血でHTLV-1陽性が判明したということに関することで、これは日赤の方でも相談窓口は周知しているということでございますけれども、保健所の方にもこのような相談があったということでございます。
HTLV-1の検査、検査機関に関することとして、配偶者が陽性であった、あるいはお姉さんが陽性であったけれども、どうしたらいいかというようなこと。詳しい検査ができる医療機関について教えてほしいといった相談があったそうでございます。
キャリアからの相談として、日常生活での注意点、家族への告知の方法、かかりつけ医にキャリアであることを伝える必要があるのかどうか、こういった御相談。
それから、HAMやATL、こういった病気についての相談もあったということでございます。
自治体での取組事例でございますけれども、自治体の回答から幾つかピックアップいたしますと、例えば妊婦・母子のサポート体制として、妊婦健診の検査は医療機関に委託していますが、陽性者についての相談は公的機関で受け付けているというような回答がございました。
医療機関との連携によるサポート体制の中では、例えば2つ目にありますように、血液内科標榜の医療機関に支援の協力を求めているというような回答がございました。
相談やフォローの体制の中では、相談に対して家庭訪問等を行って、相談を行って、受診の必要性が認められれば受診をお勧めするというような御回答もございました。
3としては、総合対策とりまとめ後に自治体が実際に実施した体制整備等の例ということで、相談窓口を開設したり、研修会を行ったり、医療機関のリストをつくったり、こういった回答がございました。
保健所でのHTLV-1の検査につきましては、これは希望があれば行ってくださいということで、スクリーニングを勧めるというような趣旨ではないわけでございますけれども、現時点の実施件数という意味では4件の実施であったということでございます。
以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございました。
議論の時間は最後にまとめて取ってございますので、今、2つの御報告がございましたけれども、これに関連した御質問とか確認事項等がございましたら御発言をお願いしたいと思います。
森内先生、どうぞ。
○森内構成員 最後の4-10の一番下ですけれども、ウェスタンブロット法の32か所について、PA法とウェスタンブロット法を併用ということですが、これはPA法で陽性だった場合にしているという意味でよろしいんですか。それとも、最初から両方とも検査しているんでしょうか。
○林結核感染症課長補佐 はい、おっしゃるとおりで、併用しているという意味で、併用というのは、PA法でスクリーニングをした後で、必要があればウェスタンブロット法を使えるように体制をとっているということでございます。
○渡邉座長 私の方から確認なんですけれども、最初の方で母子感染相談窓口、資料では3-5ページなんですが、登録数が11月の段階で既に622か所設置されているということなんですけれども、これは、もしいろいろ広がっていって、どのくらいの数が期待されるんでしょうか。つまり、既に広く行き渡っていると考えるべきなのか、まだ更にネットワークが広がっていくと考えるべき数字なのかというところを確認したいんです。相談窓口の設置の数です。
○山本母子保健課長補佐 現状、その622の内訳としましては、保健所が293、保健センター・行政が321で、病院がまだ1か所という状況ではありますので、医療連携の体制はとれていない自治体が多いということかと思います。
○渡邉座長 今、お話がありましたように、例えば保健所とか保健センターの数はわかっているわけですから、そうすると、大体そういうところは設置が終わっているというふうにみなしてよろしいという感じでしょうか。
どうぞ。
○外山健康局長 いえ、それはまたこれから評価しなければいけませんけれども、数の上では保健所も保健センターももうちょっと広がるわけです。ただ、すべての保健所でやるシステムまで必要なのかどうかは、この1年の実績を見ながらやりたいと思っていますが、もう少し広がるのではないかと思っています。
○渡邉座長 わかりました。その辺のところを、今、御説明いただいたようなとらえ方を伺いたかったんです。つまり、どこまで広げるつもりか、あるいはどういうふうな体制を目標にしているかというところを確認したかったんですけれども、明らかに病院に関しては、まだ余り対応が十分できていないということでよろしいわけですね。
どうぞ。
○塚崎構成員 自治体における相談及び検査の現状ということで、資料の4-9ページのところで、実際に617か所のうち111か所では相談があったということですけれども、この相談があった地域というのは全国の中でどういうところが多かったとかというのはわかりますでしょうか。
○林結核感染症課長補佐 九州など西日本で多かったということではございますけれども、東の方でも、少ない数ではございますが、全国的に相談はあったということです。
○渡邉座長 補足はありますか。
○林結核感染症課長補佐 済みません、例えば件数として、全国で一番多かったのは鹿児島県といったところでございますけれども、例えば人口の多い関西圏あるいは首都圏などでもそれぞれ、県によっては7~8件程度の相談もあったということでございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
それでは、林さんどうぞ。
○林構成員 ちょっと関連するかなと思うんですけれども、3-8ページのところで、母子感染の相談対応の各都道府県における取組状況で、キャリアが必要に応じ受診する医療機関、受診機関と並んで3県あるんですけれども、整備済み・決定済みは9県とか8県とかなんですが、やはり地域的な偏りがあるのかなという気がして、ちょっと聞いてみたいなと思ったんです。
○山本母子保健課長補佐 どちらかといいますと、西の方が多いですが、北の方、関東の地域でも受診する機関が決まっているところもあります。
○林構成員 参考までに、それは公開してもらっても構わないというデータですか。
○山本母子保健課長補佐 とりまとめの上で、公開いたします。
○林構成員 わかりました。それでは、また個別に伺います。
○渡邉座長 永井さん、どうぞ。
○永井構成員 3-2ページに関連してなんですが、一部のものですけれども、これら1,286市区町村すべてにおいて検査が実施されているということですが、前回確認したような気がするんですけれども、再確認になるかもしれませんが、妊婦の全体が検査されたというふうに理解していいのか、あるいはいつごろから妊婦全員が検査されるというふうな体制になる見通しがあるのかというふうな点なんです。
○山本母子保健課長補佐 基本的に、各市町村に対して実施することは周知を図っておりますので、すべての妊婦さんが受けられる体制にはなっています。調査は受診券で明示している市町村数を4月の時点で確認したものになります。
○永井構成員 まだ完全ではないということなんでしょうか。いつからは完全と言っても、どこまで完全な検査か、あれですけれどもね。
○泉母子保健課長 すべての市町村でHTLV-1を受けられる受診券を配っているということですので、妊婦さん本人が拒否をされない限りは原則として受けていらっしゃるものというふうに考えています。
○齋藤構成員 追加ですけれども、日本産科婦人科学会の方の診療ガイドラインでも、妊婦さんにHTLV-1のスクリーニングをすることは推奨レベルAということで、必ずやらなければいけないということにこの4月1日からなりましたので、すべての医療機関で行われていると思います。
○渡邉座長 ありがとうございました。
それでは、総合討論はまた後ほどということで、次に進ませていただきます。
続きまして、今回のテーマであります「HTLV-1感染予防と相談支援」について、行政、キャリア及び研究者のそれぞれの立場からの御報告をお願いしたいと思います。
初めに、当協議会の構成員でもあります、長崎県こども家庭課の南部課長に、行政現場からの御報告をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○南部構成員 長崎県の南部と申します。よろしくお願いいたします。
資料5の部分でございまして、「HTLV-1感染予防に対する長崎県の対応状況について」ということで説明をさせていただきます。
下段の部分で、ATLウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会、長い協議会名ですけれども、それにおける県(行政)の役割ということでございます。
まず、1点目、協議会運営費予算、委託料としまして500万円の確保をいたしております。これが、名前も長いんですけれども、昭和62年、1987年からこの協議会を設立いたしまして、事業開始当時、委託先が日本母性保護医協会長崎県支部、現在の長崎県産婦人科医会に委託して、現在に至っているという状況でございます。
協議会のメンバーは、本日、森内先生と塚崎先生がいらっしゃいますけれども、それを含めたところで13名。長崎大学が7名で、医師会とか産婦人科医会、小児科医会、あと、県の行政ということで、13名でやっております。
県の単独事業ということで、昭和62年以来、本年まで25年にわたり毎年500万円を支出しておりますので、今年度まで累積で1億2500円といったことで、よく削減なく続いてきたという感想を持っておるところでございます。
本年度、さる平成23年10月ですけれども、こういった功績が認められまして、この協議会が第63回の保健文化賞を受賞しまして、厚生労働大臣の表彰も受けたところでございます。
2番目の指導者用テキスト改訂版の作成、県・市保健機関指導者を対象とした研修会の開催ということでございます。
1点目の指導者用テキストの作成は、協議会発足当時の昭和62年5月に初版を出しまして、その後、10年の成果と反省ということで、平成11年3月に改訂、それから、20年の成果と反省を踏まえて、平成21年3月に改訂ということで、改訂版を作成して頒布しているところでございます。
2つ目の県・市保健機関の指導者を対象とした研修会の開催で、本年度実施を予定しておりまして、2月か3月にする予定にしております。対象は県及び市の保健所の保健師等ということで、講師は協議会メンバーの土居先生を予定しているところでございます。
3番目のATLについての啓発活動ということで、講演会マスコミ発表、リーフレット作成等ということを書いております。
講演会は、県の県政記者室へ資料を投げ込んで周知を図るということにしております。ちなみに昨年度、平成22年度でございますけれども、平成23年3月29日に講演会を開催いたしております。その内容としましては、ここには記載しておりませんけれども、4つの講演を入れております。
1点目が、長崎県におけるATL母子感染予防の歩みということで、メンバーの土居先生にお願いしたところでございます。
2つ目としまして、ATLに対する事業の現状ということで、本日のメンバーでもある塚崎先生の方にお願いしたところでございます。
3つ目としまして、ATLウイルス対策において患者会としての関わり方ということで、長崎・佐賀HAM患者会ひまわりの西代表にお願いしたところでございます。
4点目としまして、全国で行われるようになった妊婦HTLV-1スクリーニングということで、これも本日のメンバーであられます齋藤先生に講演をお願いしたという実績がございます。大体2年に1回のペースで講演会を開いているという状況でございます。
リーフレットの作成ですけれども、これも広報用と啓発用ということで、本日お配りはしていませんけれども、妊娠中のお母さんは知っていますかということで、T細胞白血病・リンパ腫(ATL)ウイルス検査についてということで、Q&A形式で解説・啓発のリーフレットを作成して、県内の産婦人科医院等を通じて妊婦さんに配布しているという状況でございます。
それから、4点目の連絡・調整等ということで、協議会開催等の連絡・調整を県として行っているところでございます。
次のページの5-2でございます。協議会の内容ということで、委託先は、先ほど言いましたように、長崎県産婦人科医会の方に県から委託してやっている。事務局は、長崎県医師会の事務局の方で置かれている状況でございます。
委託業務の内容でございます。4点挙げております。
1点目が、妊婦に対するATL1次検査により、陽性または疑陽性と判定された者に対する精密検査費用及び主治医(産婦人科)による妊婦への保健指導。
2点目が、主治医によるATL抗体陽性妊婦への母子感染防止の説明及び母乳分泌の抑制。
3点目が、精密検査の結果、陽性と判定された者の児の追跡調査及び児の精密検査費用で、これは産科の退院時の受診児奨励用パンフレットということで、3歳になったらお子様の検査を受けましょうというパンフレットをつくりまして、検査の趣旨とか検査時期、3歳を過ぎてからということ、それから、検査費用について、産科の先生、医療機関から説明をしてもらっている状況でございます。陽性の場合の精密検査の費用は不要ということで、協議会の負担としております。
4点目が、ATL母子感染に関する知識の普及啓発で、これも先ほど申しました広報用のリーフレットを使って、現在の産婦人科医院を通じて配布している状況でございます。
5-3ページでございます。県内保健所で、県内に県立が8で、市が佐世保市と長崎市でございますけれども、2か所の保健所がございます。そこでの実務ということです。
1点目が、電話及び来所相談があれば、相談・カウンセリング。これは保健所の地域保健課という組織の中で行っているという状況でございます。一般的な相談・カウンセリングは、病院ですと相談を受けた産科医・小児科医、ここで言います保健所であれば、保健所の保健師が可能な範囲で対応するということにしております。
問題の多いケースにつきましては、医学的な事項は協議会で対応。また、家庭環境とかがんノイローゼ等については、こういった所管の保健所で対応。ケースに応じて、保健師嘱託の精神科医師、ドクターが対応。場合によっては、精神保健福祉センター、長崎こども・女性・障害者支援センターですけれども、そこの協力を得る。更に、非常に対応が困難なケースは、長崎大学医学部の産婦人科あるいは小児科へ連絡してつないでいくという状況になっております。
2点目の、検査希望があれば、検査を行うということで、これは保健所の対応でございますけれども、本年度、平成23年6月から実施いたしております。まずPA法でスクリーニング検査を実施し、陽性及び疑陽性の場合はウェスタンブロット法で確定検査をするということで、これは国の事業が開始されたということで、今年度から検査を開始している。所管的には別の医療政策課が所管いたしているところでございます。
その検査のフロー図を5-4ページに示しております。上の方に描かれていないんですけれども、まず各保健所で相談受付をいたしまして、検査希望者から採血しまして、ここに書いてあります県央保健所というところに、中心的な保健所ですけれども、そこに送付する。それで、県央保健所において県内全体のスクリーニング検査をするという状況です。原則、毎週水曜日までに受け付けた検体を翌日の木曜日に検査を実施して、結果は毎週月曜日の午前中に送付する、速やかにするということで対応しております。
それから、各保健所で確定検査、ウェスタンブロットをしまして、検査後、カウンセリングを実施して、場合によっては医療機関への紹介等へつなげているという状況でございます。
5-5ページで、保健所における相談等対応状況ということで、本年度4月から10月までの状況でございます。先ほど全国の集計の話がございましたけれども、長崎県内の保健所における7か月間の一般の相談等対応状況でございます。
本県におきましては、相談件数は5件。内容的にはどういった相談かといいますと、保健所で検査ができるのかどうかとか、あるいは医療費助成が何かあるのかとか、あるいはATLの治療薬について、そういった部分の相談があった。そのうち、実際に検査をした件数は2件。
また、そのほかに長崎市、佐世保市さんがございますけれども、長崎市さんは相談・検査ともに実績はなかった。佐世保市さんは、相談が3件あって、検査実績はなかったという状況でございます。先ほどの相談件数5件というものは、県立の保健所の件数でございます。
以上で長崎県の説明を終わらせていただきます。
○渡邉座長 ありがとうございました。
次に、妊婦健診でHTLV-1陽性がわかり、現在HTLV-1キャリアの会「カランコエ」で活動されております、畑由美子さんから、キャリアとしての御経験を交えて報告をしていただきたいと思います。
畑さん、お願いいたします。
○畑参考人 畑です。よろしくお願いします。
本当はパワーポイントでしようかと思ったんですけれども、資料を焼いていただいたので、このお手元の資料で説明させていただきます。
まず、私はキャリア代表として、こんなにすばらしい有名な先生が研究されて、また、厚生労働省の方もこんなに予算も使って取り組んでいただいて、本当にそのことに感謝を申し上げます。どうもありがとうございます。
それでは、資料6の説明をさせてもらいます。
今までいろいろ話す機会はあったんですけれども、先月菅付さんの方に、千葉県から専門職の保健師さんとか看護師さん相手に体験談を話してもらいたいということで、初めてまとめさせてもらったので、その資料をもとに話させてもらいます。
そのときの資料なんですけれども、自己紹介は省かせてもらって、まず、私がキャリアというふうに告知されたのは本当の普通の病院なんですが、そのとき、やはり先生との出会いであると今でも思うんですけれども、がん告知をされたようなもので、あなたの余命は何年ですみたいな感じで告知されたので、本当に今でも鮮明に覚えています。キャリアは病気ではないのに、私は本気で自分は病気で、白血病で死んでしまうと思っていました。
でも、そのときにインターネットでいろいろ調べまして、HTLVウイルスをなくす会というサイトに出会いまして、今でも本当に菅付さんには感謝しているんですけれども、この出会いがなかったら、私はもしかしたら長女を出産していなかったのかなと思います。産んでいいのか、産んでいけないのか、そのこと自体もわからなかったので、そのことも、今は多分ないのかもしれないんですが、先生方には、まずちゃんと産んでいいんだよということを最初に妊婦に伝えてほしいと思いました。
あと、多分、これもこの協議会でもしかしたら問題になっているかもしれないんですけれども、母乳を飲ませる、飲ませないはキャリアの方以外、いろいろな感染症を持っているお母さんにとって本当に一番大きな悩みだと思います。人工乳が多分、一番リスクが少ないということで、今、推奨されているんだと思うんですけれども、私は、結果的には、実は長女は感染していなかったんです。人工乳でよかったなという思いはあるんですが、やはり母乳で育てたかったなという気持ちも今でもあります。
この前、衝撃的な記事を朝日新聞で見つけたんですけれども、埼玉県の女性の方で、HTLV-1の陽性が出たので、人工乳にしたのにもかかわらず、多分HTLV-1には感染していないからということで、子どもには検査をしていなかったそうなんです。それで、次が17歳のときに初めて献血したときにその娘は陽性反応が出たということで、人工乳だったら絶対大丈夫だろうと思ってそれを選んだのに、結果的には感染したから、後悔の念で申し訳なさでいっぱいだったという記事を読んで、私はすごくショックを受けてしまって、私は結果的にはよかったんですけれども、こういうふうになる可能性もあるんだなということをしみじみ感じました。
長女への感染はお陰様でなかったんですけれども、実は長男を平成13年に1人産んでいまして、そちらの方は全く抗体検査がなかったので、しかも思いっきり1年半以上母乳を飲ませていますので、25%ぐらいの確率だと思います。それで、今後の私自身と息子へのフォローが今の悩みです。
次のページをお願いします。私も2009年6月に産んでいまして、子育て最中にいろいろな、このHTLV-1のことに対していろんな方が動かれているということは実は知らなくて、世の中がキャリアとかこういうことのために動いているということをこの9月ぐらいに初めて新聞で知った次第です。本当にいろいろなメディアから取り上げられて、私も新聞とかに載せていただいたので、いろんな人からいろんなことを聞かれる機会も多くなり、やはり初めはHIVとかB型肝炎と何が違うのかとか、病気なのかとか、いろいろ聞かれたんですけれども、最近、やはり啓発活動が盛んになっているせいか、知っているよという声も少しずつ多くなってきたので、私もこういう活動をしていてよかったなと思うのが実感です。
私も、娘が大丈夫だということはわかってほっとしたんですけれども、少し落ち着いて、自分はどうなのか。産んだ産婦人科から一応、大きな大学病院の血液内科には紹介されたんですが、行って、先生に、私は何もできないけれども、どうするみたいなことを言われて、私はこれからどうすればいいんですかと言ったら、それでは、とりあえず半年に1回、血液検査でもしようかという感じで、1年ぐらいはそこの大学病院に通ったんですけれども、私も子育てと仕事で忙しいので、先生を茶飲み友達にするには申し訳ないので、今は行っていないんですが、実際、この千葉県の講演会のとき、千葉大学の先生も来ていまして、千葉大学の先生も、実は私の病院によくキャリアの人が来るんだよ、でも、本当に何もできないんだよと言われて、畑さんのように、そのうちにジ・エンドになる患者さんがすごく多いんだよというふうに言っていたので、その辺の病院の体制といいますか、先生に茶飲み友達になってもらうのはキャリアとしても大変申し訳ないので、やはりちゃんとしたフォローをしてくれる医療機関があったらいいなと感じました。
それで、私はたまたま山野先生との出会いがあったので、今、自分のウイルスがどういうふうになっているかわかるよと言われたので、同じキャリアの方と一緒に実は再検査をしてきました。そうしたら、この資料にある、専門的な用語で私はわからないんですけれども、普通の生活をしていて全く問題ないよと言われたので、このときに自分の中で区切りがついてしまって、前は何をするにも頭の片隅に、私はもしかしたら60歳で死ぬのかなというのがあったんですけれども、最近はそんなに思い出すことも少なくなって、前の生活に少しずつ戻ってきているなというのが感想です。
やはり、キャリアはそんなに、100人いたら5人しかならないとか、1,000人に1人とか、いろいろ確率のことを言いますけれども、確率が高いからとか、確率が低いからという問題ではなくて、やはり自分がキャリアであるというのは頭の中の片隅のどこかに絶対残っていると思いますので、その不安をこういう検査で取り除いていただくということはとてもいいことだと思いました。
千葉県のときに説明したんですけれども、今後期待する支援ということをちょっと、私とかほかのキャリアの方にいろいろ聞いてまとめてみました。
一番みんなが言ったのは、母子手帳を配られたときに説明はなかったねということと、これは私の経験なんですが、第1子は母乳で、第2子は人工乳なので、人工乳は初めてだったので、家庭訪問にどうしても来てほしかったんです。そうしたら、第2子はだめだと言われて、来てもらえなかったので、すごく寂しかったです。
ここには書いていなかったんですけれども、やはりキャリアの人は相談窓口に、どこかに電話していました。でも、やはりたらい回しでした。少々お待ちくださいと言って、保留音が鳴って、そうすると、また違う何々科ですと言って、またそこで説明して、そうですか、私はその知識がないのでと言って、そうするともうどうでもよくなってしまって終わってしまうというのがよくあったと言っていました。
あと、家族の抗体検査というものはやはり大事かな。産んだ子どもに限らず、もしかしたら自分は母親からもらったものではなくて、主人からうつったものなのかなとか、自分だけで解決できない問題はたくさんありますので、家族の抗体の件は少し協議してもらって、何らかの形で反映していただきたいと思います。
専門医の紹介というものは本当に重要で、大学病院を紹介してもらったからといって、その大学の先生がこれの専門医ではなかったら全く意味をなさないと思いますので、この知識を持った先生が自分のことをちゃんと思ってくれる、例えばATLを研究したり、HAMを研究したり、そういう研究をしている先生のところを紹介していただきたいと思いました。
授乳方法の支援と相談は、ほかの感染症も同じなんですけれども、一番重要で、母親はだれしも母乳で育てたいと思っていますので、その辺のことを、支援体制をやっていただきたいと思います。
最後は、やはり新薬があったらいいなというのは常々思いますので、その辺のところもやっていただけるとありがたいなと思いました。
最後に、このときも言ったんですけれども、キャリアは決して病気ではないので、先生が告知したりとか、いろいろ報道機関とか、このHTLV-1のことに関してやっているときに、キャリアイコール発症ではないということをやはりどこかに入れていただきたいですし、私自身も自分は病気であるとは思っていませんので、皆さんと同じ普通の生活に前向きに、楽しく生きていきたいと思っておりますと伝えました。
その母子保健者研究会で感じたことなんですけれども、千葉大学の先生とも言ったんですが、最近は本当に多いねとおっしゃっていました。アンケートはお配りできないんですが、周りにすごくキャリアを持っている方がいると回答してくれた人がいましたので、私は、相談はあることはあるんですけれども、そんなにないので、本当にいるのかなと感じたこともあったんですが、やはり実際に数字は上がってきているなということを感じました。
今度、これもたまたま菅付さんに紹介されたんですけれども、秋田県でも同じ講演があるので、今日は勉強させてもらって、また次の私の実体験のことを秋田県の保健師さんに伝えるときに使わせていただきたいと思います。
アンケートなんですけれども、すごくいっぱいありまして、全部紹介したいんですが、そのうちの6つだけ記載させてもらいました。
多かったのが、先ほども言ったんですが、医療機関について知りたいということ。
あと、厚生労働省のマニュアルをもらったけれども、難しくてよくわからなくて、千葉大学の先生に相談、いろいろ説明してもらってやっと理解できたという保健師さんがすごく多かったです。
実際、キャリアということの認知度といいますか、それほど大したものではないだろうと思っていた保健師さんとか看護師さんがすごく多くて、それも私もちょっとびっくりしたんですが、今後もう少し勉強させていただきますというアンケートもありました。
やはり行政の方はとても忙しいみたいで、母親の相談窓口とよく書いてありますけれども、実際はできていなかったなということは私の講演を聞いてすごく強く思って、母親になる人と一番近くに携わっている保健師や看護師は、もう少しちゃんと、このことについて考えなければいけないという機会を与えてくれてありがとうございましたというのがとても数多く書いてあったので、私もすごくうれしかったです。
現在、私のカランコエの活動なんですけれども、育児と仕事と、あと片手間にやっているので、余りうまくやってはいないんですが、まず会員とかそういう個人情報は、やはりこういう世の中なので、そういうのはもうやめました。名前とアドレスだけ教えてもらって、例えば新聞記事でこんなものが載っていましたよとか、例えば今日こういう会議があって、こういうことが決まったみたいですよみたいなものを、ツイッターではないですけれども、そういうものでCCでみんなにお送りしているという活動を行っております。
済みません、慣れていないものでお聞き苦しい点はあったかと思いますけれども、今後ともよろしくお願いします。
○渡邉座長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、今年度からHTLV-1キャリアの母親から産まれた子どもの栄養方法による感染率等に関する研究が始まりました。その研究代表者であります、昭和大学の板橋先生から、研究の概要についてお話しいただきたいと思います。
板橋先生、お願いいたします。
○板橋参考人 昭和大学の板橋でございます。
時間も余りないので、早速始めていきたいと思います。資料はハンドアウトされておりますので、パワーポイントは使いません。この資料でごらんいただきたいと思います。
背景として、先ほど畑さんもおっしゃっていましたが、栄養法別の母子感染率の問題がございます。確かに人工栄養に関しましては、7-3ページを見ていただければ、これは齋藤先生の報告書から転用しておりますけれども、人工栄養による検討症例数が最も多く母子感染率は3.3%です。短期母乳あるいは冷凍母乳に関しましては、検討した症例数が比較的少なく、地域が限定されているという背景があります。恐らく感染率は少ないのだろうとは思いますが、エビデンスとしては不十分です。
もう一つは検査法の問題で、ウエスタンブロットによる判定保留率も高いという問題があります。
続いて、7-5ページでございます。わかっていることを明らかにし、現在わかっていないことはどういったことかという点がここに書いてあります。
母子感染では3歳までにHTLV-1抗体が陽性となることや、母乳栄養での母子感染率は15~20%、人工栄養導入で母子感染率はかなり減るということ、しかしなから、先ほども畑さんがお話ししましたように、人工栄養でも何%かのお子さんはキャリアとなり得るということが明らかにされています。
一方、わかっていないことは下半分に書いてありますが、冷凍母乳あるいは短期母乳の母子感染予防効果、あとはウエスタンブロット法による判定保留例が本当に感染するのか、しないのか、その辺りもよくわかっていないところがあります。もう一つ重要なのは、各栄養法による母親の心理的影響や児の成長や発達、健康面などのリスクはどうかといった点です。
このような点を検討することにより、最終的には母子感染予防と児の健全な育成の視点に立って、HTLV-1抗体陽性妊婦から出生した児の適切な乳汁栄養法を明らかにするとともに、将来の感染者を確実に減少させるということが本研究の目的でございます。
研究方法は、7-8ページに書いております。概略はここに書いたとおりで、現在スクリーニング検査が行われ、その陽性者に対しては、ウェスタンブロット法による確認検査を行いその結果を説明することになります。陽性あるいは判定保留となった妊婦さんたちに対する説明等を今回の研究班では病院ベースでやっていく予定にしております。研究協力施設は、全国の総合周産期センター、地域周産期センター、あるいはそれに準ずる施設で、そこに対象となる妊婦さんが受診していただき、カウンセリングや医療相談等を受けていただきます。その折にコホート研究についての説明と同意を得て、研究にリクルートされていくことになります。
基本的には、短期母乳、冷凍母乳、あるいは人工栄養の中から、説明を聞いて、妊婦さん自身が、あるいはこのことを御主人が存じ上げている場合には御家族で決めていただくということにします。この研究班では原則として長期の母乳栄養は勧めておりません。ただ、強く希望する場合には、きちんと説明し、同意を得て、フォローしていくということになります。
7-9ページでございます。これがスクリーニング検査陽性者への対応の具体的なことをここに書いております。
ウェスタンブロット法による確認検査で陽性の場合には、原則として研究協力施設に依頼して医療相談・カウンセリング行います。それから、ウェスタンブロット法による確認検査で判定保留の場合には検査の説明・同意を得てPCR法による検査を行います。これは研究費で対応します。PCR法が陽性あるいは陰性であってもフォローアップは引き続きさせていただきたいと思います。それは、現時点ではPCR法の陰性者に母子感染が絶対に起こらないという確証が残念ながら十分ではないという視点がございます。
コホート研究についての説明後に同意を取得し、この時点でウェブ登録をします。また、栄養法を記載するダイアリーをお渡しします。なお、分娩は1次健診を受けている施設を原則にします。
7-11ページでございます。これが具体的な児のフォローアップの予定でございます。
一応、キャリア率からすると年間2,000名ぐらいが産まれるのではないかと思っております。プラス1,000名で、3,000例の登録を予定しております。随時出生児のフォローアップ情報を入力していただき、3歳時点でHTLV-1抗体検査を行います。
フォローアップは、生後1か月、3か月、6か月、以後6か月ごとを3歳まで行います。アレルギー疾患、入院歴、その他の病気があったかどうか。それから、当初予定していた乳汁がそのとおり摂取できていたのか、途中で変更になったのか、そういったことも把握できるようにしていきたいと思います。
このような研究では今回初めてかもしれませんが、母子関係の評価も考えております。キャリアということを知ったお母さん方、妊婦さん方の不安もありますので、産後うつ病評価尺度を用いて、お母さんたちのストレス、精神状態なども評価したいと思いますし、1歳時点では母子関係を評価するストレステストなども予定しております。
現在、研究実施のための準備状況が7-12ページでございます。
産婦人科医会及び各自治体の母子保健担当者には、この研究班のことはインフォメーションしております。それで、12月28日現在で101施設から研究に協力するというお答えをいただいております。しかしながら、都道府県によってはまだ1か所もお返事をいただいていない県もあります。また、大分県は自身の県の指導法が決定しているとのことで、協力できないとのことでした。
この研究を始めていく上で、やはり相談者の養成が非常に重要です。医療者側のちょっとした言葉がお母さん方を傷つけることはしばしばあることです。さらには、HTLV-1母子感染についての知識のなさが様々な混乱を生じせしめることもございますので、産科・小児科医師や、助産師・保健師・看護師などを対象とした講習会を予定しております。ホームページにはオン・デマンドで、分担研究者の6名の講演内容を視聴できるようにしております。
あと、母体情報やフォローアップの内容を入力できるウェブ登録システムがまもなく完成します。
7-13ページにホームページを示しています。
研究協力施設の一覧や、各研究協力施設では倫理委員会を通していただかなければいけませんので、昭和大学で倫理委員会を通った資料を掲載しております。各施設ではこれをもとに倫理委員会で申請していただきます。あと、オン・デマンドのビデオの講習会が視聴できます。。そのほか、さまざまなQ&Aが協力施設から寄せられてきますので、それに対してのお答えもできるような欄もつくっております。
最後に、7-14ページでございます。今度、今年の2月5日に東京で、2月12日に大阪で、研究班が主催する母子感染予防対策講習会を予定しております。ここには6題のテーマが書いてありますが、内丸先生の方からATL等のお話もしていただけるということで、全部で7つの項目でやるということにしております。
ようやくエントリーが始まっています。本年度は準備の年になりましたが、来年度は本格的にエントリーしていただけるものと考えております。
以上でございます。
○渡邉座長 どうもありがとうございました。
自治体における相談等の取組状況の報告を受けて、また、キャリアの立場からのお話、それから、今年度から取り組まれている研究についてのお話をまとめていただきました。
総合対策がとりまとめられてから、この1年間、急速にHTLV-1の対策の体制整備が進められてまいりましたけれども、自治体等の現場では日々試行錯誤している状況があるようです。そのような状況が更に改善されて、取組みが充実していきますように、これから議論していきたいと思います。
それでは、構成員の方々、あるいはゲストの方で、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。
山野先生、どうぞ。
○山野構成員 2点あるんですけれども、先ほど保健所での抗体検査の件数がまだ少ないという結果が示されたんですが、やはりキャリア外来とかをしておりますと、中にはキャリアの方の子どもさんとかが献血に行って、そこで抗体検査を、自分が感染していないかどうかということで行ったりとかしているという話を聞いたりします。その方は最終的には感染していたということで、また、その結果をどうしようかということで、そういう相談を受けたりしているんですけれども、やはりそういう検査目的で献血に行くというのが、これからひょっとしたらより増えていくかもしれませんので、是非、保健所の方々あるいは都道府県で、保健所での検査をすることの意義がもし浸透していないのであれば余り好ましくないなと思いまして、そういうことが防げるようなことを進めていただきたいなというのがあります。
もう一点は、保健所の方からお伺いしたんですけれども、先ほどの畑さんの発表に関連するんですが、保健所の方が専門医療機関のリストに載っているところに紹介したんですけれども、残念ながら、そのキャリアの方が求めているニーズに応えていただけるような受診内容ではなかったということで、結局そのキャリアの方はそういうふう不安、ほとんどのキャリアの方のニーズは不安という部分が大きいんですけれども、そこになかなか応えていける医療機関がまだ少ないというのが医療の現状なのではないかなというふうな実感を持っていますので、そこを、勿論、我々も一生懸命努力しないといけないと思うんですが、どういうふうにして改善していくのかということを是非検討していただきたいなと思います。
○渡邉座長 ありがとうございました。
これに関して、何かございますか。
どうぞ。
○伊川構成員 石川県の保健所の伊川と申します。
先ほど、林補佐から、都道府県でまだ検査等の対応が十分にされていないところがあるというようなお話がありました。実際に私ども石川県でもまだ十分でない状況にあります。
現在石川県の保健所の方などでは肝炎、HIVの検査をやっておりますが、HTLV-1の検査のやっていないような状況です。多分、その辺りというものは地域での状況に随分、行政の人間の認識といいますか、感じ方、とらえ方も違うと思うんです。保健所では幾らでもそういう体制になればいたします。保健所から県に進言するということも必要かと思いますが、国として計画というんでしょうか、現状はこうであるので、全国の保健所で今後何年ぐらいの間にとか、すぐにとか、こういうことに取り組むという計画を立てて進めていくことを提案したいと思います。
あと、2つ目の医療機関の方に実際に受診しても、キャリアの方がそれだけ要望するような対応がなされなかった。多分そういうことも、今、お聞きしてあるのかなと思うんですが、先ほど長崎県の南部課長さんがお話しされてましたが、長崎県ではどうなのか。研修もされていますし、また、そもそも産婦人科医会に委託しておられるということですけれども、こういうことで産婦人科医のどの先生も、開業医の先生と大学病院とはまた違うかと思うんですが、それぞれのお立場での認識とか、キャリアの方や患者さんへの対応の仕方が問題なくされているんだとか、そこら辺のところを教えていただきたいと思います。
○渡邉座長 南部課長の方から何かございますか。
○南部構成員 具体的な部分はちょっとわかりかねる部分があるんですけれども、基本的には先ほど説明しました指導者用テキストというものを昔からずっと積み重ねて、改訂版も出しながら、そこに大体、大枠といいますか、対応の仕方とかが載っていますので、そこに応じて指導していただく、患者さんに対応していくということと、あと、産婦人科医会の方を通じての研修、これは長崎大学を通じてになると思うんですが、そこら辺の研修を徹底していくというところかなと思っております。
医療機関によって差があるというところは、私の方では把握していないところなんですけれども、森内先生で把握されていればお教え願えればと思います。
○渡邉座長 それでは、森内先生の方からお願いします。
○森内構成員 小児科の方ですので、産科の方の立場のお話をするわけにはいきませんけれども、これはやはり流行地と非流行地では全然違うんだと思うんです。つまり、長崎県も二十何年間もやっているということもございますが、産科の先生方はちゃんとリーフレットを持っていて、それを活用する機会は必ずちょこちょこあるんです。だから、既にこの件に関してはびくともしなくて、何かあったときには対応できる。それで、気になったときに医療機関を照会しましても、今日ここにおられる塚崎先生を始めとして、おもだった病院には皆さん、ATLとかHAMのことを知っている先生が必ずおられる。そういうところは全く問題ないんだと思うんですよ。
問題はやはり非流行地で、長崎であれば保健所はやはり、ときどき人事で入れ替わったりすることがあったとしても、ある程度そういうことに慣れることがあったとして、問題は、たまにしかキャリアの方が来られない。私自身はあちこちで講習会を開いていますけれども、そのときに保健師さんが、ああ、なるほどとわかられても、それを使う機会がないまま1年とか経つともう忘れてしまうのは絶対に間違いないわけですね。そこで電話がかかってくると、先ほど畑さんがおっしゃられたとおり、たらい回しというほどではないにしても、やはりうかつなことは言えないという、そういう使命感もあられるでしょうから、ついそういうふうなことになってしまわれる。
ですので、私自身、いつもそういうときにお願いしているのは、知りたいことをまずメモされて、連絡先を聞いた上で、後で責任を持って、いろんなことを確認して御連絡を差し上げますので、まずは今すぐに回答できませんからということで、それだけ承って、もしそこで見つからなかったら、私のところへ連絡してもいいですし、ほかでもいいですから、それだけきちんと回答できる体制になってお答えするようにしないと、非流行地では多分、その場での対応がすぐできるということは無理だと思います。
キャリア外来に関しても、勿論、ホームページが立ち上がっているので、そこでいろんなことを知ることもできるんですけれども、お近くであればどういったところにかかればいいということを、わかるとは思うんですが、ただ、キャリア外来に何を求めているのかということをちゃんと知った上で、そうであればどこにかかるとということはやはり事前に確認をした上でお伝えしないと、行ったけれども何にもならなかったということに恐らくなるんだろうと思うんです。
ですから、多分、これはそういうダブルスタンダードを用意しないと無理かなと正直思っています。
○渡邉座長 どうぞ。
○外山健康局長 患者さんの方に聞きたいんですが、患者さんの側から当事者といいますか、ございますでしょうか。
○渡邉座長 どうぞ。
○石母田構成員 まず、関東ではどこへ行っても、どの患者さんに聞いても、思った回答はほとんど得られていないというのが現状ですよ。例えば、私、埼玉に住んでいるんですが、保健所の対応も、まだ全くこの病気に関してといいますか、ウイルスに関しての対応はされていないというのが現状だと思います。
○渡邉座長 ほかにいかがでしょうか。
村上さん、どうぞ。
○村上参考人 今、板橋先生のお話と、それから、キャリアの方の畑さんの話を聞いて思ったんですが、1つは、研究が途中ですけれども、産道感染の可能性はどうなのかというものが思っているんです。人工栄養でも陽性が3.3%あるということで、その辺の研究はこれからまた進めていらっしゃると思うんですけれども、その場合に、例えば原因がその辺になってきた場合に、いわゆるキャリアの場合は帝王切開をすべきであるとか、そういうところまで結論が行くのかどうかというのを知りたいなと思っているんです。
2つ目に、ウイルスの検査の件で、今、保険適用がないんですよ。ドクターが申請すれば保険適用があるんですけれども、一般におけますそういった保険適用がないので、その辺でのウイルス検査に関しての保険適用の問題も1つ課題になるのかなと思いました。
以上です。
○渡邉座長 ありがとうございました。
最初の感染ルートの件に関しては、板橋先生の方からどうぞ。
○板橋参考人 これはむしろ、齋藤先生の方がよろしいかと思います。
○渡邉座長 それでは、齋藤先生どうぞ。
○齋藤構成員 富山大学の齋藤です。
実は、人工乳をしても3%前後感染してしまうんですが、そのルートがよくわかっておりません。以前は臍帯血といって、へその緒の血液を調べて、感染しているかどうかを見たんですが、途中で消えてしまう例もありまして、そのまま残ってしまう例もあります。ですから、どういったルートで感染しているのかということは、まだ医学的に十分解明されておりません。これからの問題だと思います。
ただ、先ほど言いましたけれども、帝王切開をするということは否定的でして、帝王切開をしなくても感染率は変わりませんので、あえて帝王切開せずに自然のお産をしていただいて構わないと思います。ただ、人工乳をしても2~3%は残念ながら感染が生じてしまいますので、今後どういった形でそれを防御していったらいいのかということは検討していかなければいけないと思います。
○渡邉座長 その点に関しては、ほかのウイルスと同じように、やはり感染予防のワクチンということが現実に可能かどうか、あるいはイムノグロブリンとか、ほかのウイルスで適用されている手段が適用できるかどうかという検討も含めて、研究班の中にそういうものが今度含まれてきておりますので、今後いろいろ進んでいくのではないかと思います。
患者さんとして、菅付さんの方からお願いします。
○菅付構成員 まず、畑さんのお話をここで皆さんに聞いていただいたということは非常によかったと思っています。このように厚生労働省の方々と患者側、キャリアの当事者の声を聞き、反映しながら会議を進めて、協議会を、また対策を進めていくということは非常に効果的で、合理的な、すばらしい形だと思っております。これが是非、様子見だけではなくて、継続的に続くように、また、このHTLV-1対策というものは日本だけの問題ではなくて、やはり日本が発信して、世界にいいモデルケースとしてやっていかなければならないと思うので、私は、今、日本からHTLVウイルスをなくす会としておりますが、これを一つの大きな活動の形として、スマイルリボンという名前に変えて、是非、世界の方にも発信していきたいと考えております。これはあくまでも患者側、キャリア側の話なんですが。
先ほどの保健師の方の、患者・キャリアの多い地域とそうでない地域の話なんですけれども、私は全国一律に同じような形でやっていかなくてもいいと思います。多いところは多いなりにもっと問題が増えてくると思います。例えば長崎が非常にすばらしい形で対策をやっていますけれども、それでは実際、患者やキャリアの方がそれを知っているか。知っていない方も結構いらっしゃるんです。それは鹿児島でも同じです。多い地域は多い地域なりに問題があります。ですから、少ないところは少ないなりに、1つ患者さんの相談の一例を申し上げます。
なくす会の方に電話のあった方からなんですけれども、イギリスに滞在中に献血でキャリアと判明して、これはスコットランドのグラスゴーという田舎の町です。そのときに、医師がHTLV-1について2時間から3時間ぐらい、2時間以上の説明をしてくれたそうです。その後、日本に帰国して、結婚して、静岡県内で出産して、やはり検査をして、キャリアとわかったんですけれども、そのときの先生の対応は、何も心配する必要はないの一言だったそうです。それで、自分の判断で断乳をして子どもを育てたそうです。
この方がおっしゃりたいのは、イギリスで詳しい説明があったから、パートナーの方がキャリアであっても結婚ができて、理解があって、安心して子どもを産むことができたとおっしゃっています。それで、日本に帰って驚いたそうです。こんなに患者やキャリアが多いところで、スコットランドでそういう対応を受けたので、日本では万全なんだろうと思って帰ってきたら、何とこういう説明を受けたら、日本の妊産婦の方はかわいそうだなと思ったそうです。それで静岡でカランコエの会を立ち上げてくださる約束をしてくださいました。
私は、当事者の方の声を聞くということが非常に大事だと思うので、カランコエの畑さんのようにちゃんと伝えてくださる方を全国に増やしていきたいと考えております。また、この対策がずっと継続して、また予算を10億円、これが来年も再来年も続きますように是非ともよろしくお願いいたします。
○渡邉座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○石母田構成員 板橋先生の資料の中にもありましたけれども、1次検査で陽性になった方に2次検査をしたときに、判定保留者というものがかなり出ますね。この判定保留者を、この研究では研究費でPCR検査をするということですが、これにひっかからない方も全国で検査を始めていったときにたくさんいると思うんですよ。それが、今、保険適用されていないですから、全部キャリアといいますか、検査をした方の自己負担でしか、このPCR法というものができない状態です。これを何とか保険適用するということは、厚生労働省としてはお考えになっていないでしょうか。
○渡邉座長 この点、林補佐お願いします。
○林結核感染症課長補佐 保険適用の問題については、前提として検査用試薬が薬事で承認されているということ、すなわちその検査法が標準的に使えるということがきちんと確立しているということが必要になります。抗体検査とかウェスタンブロット、こういったものは既に確立された検査でございますので、例えば1次系のスクリーニングで、PA法でわかった人を、医療機関に行ってウェスタンブロット法をやる、こういったものは保険適用されているわけです。
ただ、PCRにつきましては、今、最初にリストをお示ししただけでしたけれども、研究の中でPCRの検査を全国標準化して、どこでも同じようにできるようにしようという方法をまず確立しようという研究をやっているところでございまして、その研究班の目的は、方法を確立させた上で、更に薬事承認、そして、保険適用といったところを視野に取り組んでいくということを目的にして、今、鋭意取り組んでいただいているところでございます。
まずは、検査法を確立する。今、大学レベル等ではあちこちでPCR検査をやっていただいているわけですけれども、例えばカットオフ値がどうであるとか、まずそういった標準的に全国でできるという検査にするということが保険適用の前提にあるということですので、まずその前提の部分をクリアーしたいと思っております。
○渡邉座長 今、方法論の検討が大分進んでいて、ほぼ終わりつつあるという段階ですので、そこから先が、今、林補佐から説明があったように、具体的に保険適用の可能な条件がどうやって整備されていくかという段階だろうと理解しております。
○外山健康局長 そういう不安で困っている人がいたら、研究班に問い合わせて、そこへ行ってもらうべきということですか。
○渡邉座長 やることは勿論できるんですけれども、ただ、今の段階では得られた結果の取扱いが難しいですか。診断薬としてのオーソライゼーションといいますか、あれがないので、あくまでも研究レベルの情報という取扱いしかできない。そういう前提のもとでキャリアの方、あるいは患者さんの方に情報を提供するという、診断というレベルにはまだ条件が整っていないと思います。
○外山健康局長 いわゆる前段階で判定を保留した人を次のステップでやるためにはPCRで、今はそれしかないわけですね。
○渡邉座長 はい。
それでは、私の方で続けて御説明しますけれども、ウェスタンブロットの感度といいますか、正確さを上げるための議論がまず1つ必要だと思います。今の使われているシステムに基本的なデザイン上の欠陥があることはわかっていますので、方法論をいろいろ複数化することでより正確な判定ができるようになる。それがまず判定保留を減らす大きなポイントになると思います。
もう一つは、PCRは拡散検査というものがいわゆる確定診断のように受け取られておりますが、HTLV-1の感染症に関して言いますと、10の5乗の細胞の中にウイルスがいるか、いないかという程度の答えしか出せないけれども、個体全体で見たときに、どこかにウイルスが潜んでいるかどうかに対しての答えは得られないということで、あくまでもPCRで陰性であります。ですから、ウイルスの量としては少ないでしょうという程度のお答えしか出せないだろう。これは恐らく、最終的な診断薬となった段階でもそういう情報をという形になると思います。
齋藤先生、どうぞ。
○齋藤構成員 富山大学の齋藤です。
実際、富山県で半年間公費で補助した後、全医療機関にアンケートを取りました。100%の回収率だったので、これは確かな値だと思うんですが、抗体陽性の方が12名いらっしゃって、ウェスタンブロット法で陰性の方が6名、判定保留の方は4名、陽性の方が2名でした。この中で、これは3名の方が自費でPCR法を実施されまして、全例陰性であったので、十分なインフォームド・コンセントを取った後で母乳哺育をとられました。1名はPCR法を行わなかったので、3か月までの短期母乳という形で授乳制限をされました。
この率を見てみますと、富山県の分娩数が8,709名ですので、うち8名ですと0.092%。それから、東京の成育医療研究センターは開院以来のデータですが、1万1,000人当たり7名、0.063%と、極めて近似した値になります。ですから恐らく、このぐらいの方がいらっしゃると思います。
それを全国の分娩数が109万人で計算いたしますと、688~1,003人の判定保留者になります。恐らく、私どものところは非感染地域ですから、感染地域はもっと多くなると思います。ですから、少なくとも1,000人当たりの方が母乳をあげていいのか、それから、制限しないといけないのかということを悩まれると思います。
ですから、やはりこのPCR法というものは一つの決断になりますので、可能であれば保険適用していただきますと非常にありがたいと思います。
○渡邉座長 ありがとうございました。
森内先生、どうぞ。
○森内構成員 ちょうど富山県のデータをお出しいただいたのと、あと、板橋先生の方のスライドで7-4ページのところが、ここで流行地のある県というのはまさに長崎県のことですけれども、下の方の非流行地のある病院というものが、今、齋藤先生が御紹介になられました世田谷の成育医療研究センターのデータということになります。
大体、非流行地ではウェスタンブロットで判定保留になる例が、ここでも成育医療研究センターでも20%程度とか、こういうふうに出てまいりますけれども、上の長崎県は、実は判定保留ゼロとしていますが、これは長崎県も徹底して白か黒かどちらかになるまで検査をしているということなんです。ウェスタンブロットも勿論、しょっちゅうやっているから慣れているということもありますけれども、必要があればPCRまで含めて、必ず白黒つけるということでなっているということではあります。
ただ、申し上げたかったのは、齋藤先生のところで、富山の方ではPCR施行で3例全例とも陰性ということですけれども、長崎県のような流行地でありますと、判定保留例の結構無視できない数がPCRではやはり陽性なんです。ですから、恐らく判定保留例の中での陽性や陰性の例というものは、それぞれの本当の陽性率の多いところか低いところかで割合が随分変わってくるんだろうという気もいたします。
したがいまして、判定保留例は比較的陰性が多いという印象を持たれるのも多分よろしくないだろうということで、やはりこの辺は白黒つけないわけにはいかないことだと思います。
○渡邉座長 私の理解では、それは今、1つの研究班の中で、たしか合同ですね。
○板橋参考人 合同でやる予定にしております。
先ほど齋藤先生が、PCRで陰性なので母乳をということですけれども、結果的に3歳までフォローアップして、本当に大丈夫かどうかということについては研究班でその結果を確認してからの段階になるかなとは思っております。
○渡邉座長 山野先生、どうぞ。
○山野構成員 済みません、PCR検査の保険適用への問題なんですけれども、やはり保険承認されるためには企業が最終的には申請しないといけないわけですよ。万が一、その企業が商業ベースに乗らないということで、どちらかというとネガティブで、なかなか協力しないという事態になったときに、政策的な意味合いでの保険承認、ちゃんとしたデータというものを逆に研究という形でつくって、それを薬事承認につなげていくというふうなやり方はあり得るんですか。
○渡邉座長 これは林補佐でしょうか。
○林結核感染症課長補佐 済みません、十分なお答えができる立場にないものですから、済みません、ここではお答えいたしかねます。申し訳ありません。
○外山健康局長 要するに保険適用がどうかという問題ではなくて、今、こういう制度を、こうなったときに、保健所になるか、地域になるか、わかりませんけれども、最低限こういうことがといいますか、システムとしてやれる体制をつくればいいわけですね。
ですから、今、企業が申請せずにというのは無理だと思います。ですから、今日は宿題をもらったということで、研究ベースを更に拡大するのか、あるいは何らかの方法でといいますか、こういう人にPCRをといいますか、限界はあるにしても、何らかの形でやるシステムをつくるかどうか、検討させてもらいます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
それでは、この件に関しましてはここまでで、済みません、時間が押していますので、まず林さんの方からお願いします。
○林構成員 最初に、畑さんのお話を聞かせていただきまして、とてもよく身近な問題として理解できたと思います。ありがとうございました。
それで、これまで地域によっていろいろ温度差といいますか、対応にも濃淡があるということは仕方がなかったかなと思うんですけれども、今度、母子手帳で全国一律、この項目が追加されるわけですね。ですので、やはりこの少ないところでも必ずキャリアの方はいらっしゃるわけで、そのときにどういうふうに対応されるかということが非常にその患者さんや患者さんの家族に与える影響が大きいと思うんですよ。ですから、やはり患者さんあるいはキャリアの方の相談員の養成みたいなことが喫緊の課題になるのかなと思いました。
以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
菅付さんの方からどうぞ。
○菅付構成員 患者にしても、キャリアにしても、究極の救済は治療薬の開発なんですけれども、私の方ではよくわからないんですが、平成24年度の研究予算なんですけれども、大幅に縮小されたんでしょうか。継続されたんでしょうか。とても心配で、よろしくお願いします。
○渡邉座長 政府案は継続で、国会でどうなるかわかりませんが、継続しています。
○菅付構成員 国会で決まるんですか。
○渡邉座長 いえ、予算案ですから、予算案としてはちゃんと条項になっています。
○菅付構成員 済みません、予算案ではなくて研究事業の採択の件です。研究者の方によると、HTLV-1について募集があればどんどん応募したいと思っているのに、なかなか採択されないという声が聞こえてしまっているんです。
○外山健康局長 別に制限しているわけではなくて、ちゃんとHTLV-1はHTLV-1で研究費の量をミシン目を入れて確保しているわけですから、そんなことはありません。
○菅付構成員 研究者の方はどうですか。
○林結核感染症課長補佐 補足をさせていただきますけれども、研究班は公募という形で行っております。いい研究をやっていただくためには、実際、採択できるよりも何倍もたくさんの方に応募していただいて、その中からよいものを評価委員会で選んで採択していくということが原則でございます。
したがって、残念ながら採択されなかったという先生がいらっしゃることは、まずそれは、よりよい研究をやるためにはどうしても必要なことであるというふうに御理解いただけないかと思います。
○菅付構成員 それでは、これからはどんどん研究者の方が意欲を持って応募しても、治療薬やワクチンの開発の研究事業は、私たちにしては、今年は予算が確保されたけれども、来年はどうなのか、とても心配で、また総理大臣が替わられてしまった後の対策がきちんとなされていくかということが非常に不安です。
○外山健康局長 行政の対応はゆっくりですけれども、すぐ回れ右はしません。融通がきかない部分はありますが、一旦決めたら、それは当然、しばらくは前へ進みます。
○菅付構成員 しばらくはですか。
○外山健康局長 しばらくはというのは、それは10年か20年か続きますからね。
○菅付構成員 そこは是非とも、局長さんが替わられてもといいますか、志をずっと続けていただきたいと思うのですが、お願いいたします。
○渡邉座長 わかりました。
研究者の側からちょっとだけ補足を、余り発言できる立場ではないんですが、私は枠を確保していただいているとは思いますけれども、それをどういう領域に、どういう研究課題を持ってくるべきであるかということに関しての何らかの議論はどこか場があってもいいのかなと、適正な研究グループ、どういう部分にどういうグループが必要かという募集の枠組みは、何らか議論する場があればいいかなというのは、我々研究者の側からは思います。ただ、林補佐から説明がありましたように、募集はみんな競争的なものですし、それは研究者の側はルールとして皆さん承知しておりますので、厳しい競争の中で獲得していくということは大前提であります。ただ、土俵をどう設定するかということに関しての何らかの形での調整といいますか、議論といいますか、意見の交換のできる場があればいいかなというのは我々研究者の側の考えているところではあります。
済みません、今、時間が押しているのですけれども、配付資料のこちらの方の説明はよろしいわけですか。
○村上参考人 内容は読んでもらえればいいと思うんですけれども、最後から2枚目を開けてください。キャリア懇談会というところがあると思うんです。
今までキャリアの問題について、専門家の先生方から講習を受けるとかという形が多かったんですけれども、やはりセルフヘルプ活動の原則からのっとって、キャリアと宣言された人たちが、同じ悩みを抱えている人たちが集まって、自分たちの悩みを語って、そこから解決の道を導くというやり方で、今年の秋に長崎でこういうAグループからEグループ、キャリアで未婚の女性、キャリアで子どものいない女性、キャリアで子育て中、離乳が終わった人というふうなグループに分けて、20名ぐらいで懇談しよう。これは専門家は要らないということで、そこから何か出てくるのではないか。まず1回目をやってみて、人数的にはキャリアは多いですから、1回では終わらないと思うので、今後こういうものを継続する中で、いろんなキャリアの問題がそれぞれ、もっとリアルに出てくるのではないかなと思っています。
以上です。
○渡邉座長 ありがとうございました。
それでは、貴重な御意見ありがとうございました。司会の不手際もあって、随分時間が押してしまいまして、申し訳ございません。
大変貴重な御意見をいただいたと思いますが、これらの御意見を具体的な取組みに反映できるようにいろいろな形で工夫していきたいと思います。
それでは、協議会の開催の仕方なんですけれども、次回も、あるテーマを設定した上で、なるべく深い議論ができるようなやり方でいきたいと考えております。
HTLV-1対策としては、医療体制、研究体制、それから、ATLやHAMといった個別の疾患について、それぞれ考えていかなければいけないポイントがたくさんあるわけなんですけれども、次回の課題といいますか、テーマということで、こういうものはどうかという御意見がございましたら御発言いただければと思います。
特にここで御発言がなければ、また事務局の方々と相談いたしまして、テーマを決めさせていただきたいと思います。
次回の開催については、今後調整させていただきますけれども、また改めて事務局から御連絡を差し上げたいと思います。
それでは、本日は大変お忙しいところ、長時間にわたって、また時間がちょっと押してしまいまして、大変申し訳ありませんが、どうもありがとうございました。これで終わりにします。


(了)
<照会先>

健康局結核感染症課
03-5253-1111(2386)

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