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2012年3月8日  第7回 除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成24年3月8日 18:00~


○場所

労働基準局第1・2会議室


○議事

○椎葉労働衛生課長 本日は、ご多忙中、委員の皆様方にはご参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第7回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会」を開催させていただきます。
 出席者を紹介させていただきます。資料1の2頁の委員名簿をご覧ください。本日より、第6回までご出席いただいていた中山委員に代わり、同じく日本原子力研究開発機構で廃棄物処理を専門とされる福島技術本部、福島環境安全センターの門馬技術主幹と、土木の施工方法を専門とされる立命館大学理工学部、環境システム工学科の建山教授のお2人に、新たにご参集いただいております。なお、大迫委員、金子委員、松村委員は都合によりご欠席との連絡をいただいております。
 メンバーの入れ替わりもありましたので、各委員の先生方から自己紹介をお願いしたいと思います。
○小林委員 農研機構中央農研で、昨年5月から表土除去を中心とする除染にかかわってまいりました。またよろしくお願いいたします。
○杉浦委員 放射線医学総合研究所の杉浦と申します。放射線防護を専門としております。どうぞよろしくお願いいたします。
○建山委員 先ほどご紹介いただきました立命館大学の建山と申します。専門は建設施工と地盤工学です。どうぞよろしくお願いいたします。
○名古屋委員 早稲田大学の名古屋でございます。労働衛生工学をやっております。よろしくお願いいたします。
○古田委員 原子力機構の古田です。環境放射線と放射線防護を専門としております。よろしくお願いいたします。
○森委員 産業医科大学の森と申します。産業医学を専門としております。よろしくお願いします。
○門馬委員 原子力機構の門馬です。放射線廃棄物の処理・管理が専門です。よろしくお願いします。
○椎葉労働衛生課長 どうもありがとうございました。本日は、オブザーバーとして5名の方々にご出席をいただいております。まず、復興庁から尾澤参事官です。原子力災害対策本部、原子力被災者生活支援チームから須藤参事官です。同じく茶山班長です。なお、須藤参事官は都合により19時で退席されます。農林水産省からは、生産局総務課の安岡室長と林野庁経営課の井出林業労働対策室長にご出席いただいております。厚生労働省の出席者は省略させていただきます。
 それでは、検討会の再開にあたりまして、宮野労働安全衛生部長よりご挨拶を申し上げます。
○宮野安全衛生部長 本日は、委員の皆様、関係各省庁の皆様、お忙しいところお集まりをいただきましてありがとうございます。第7回の専門家検討会、再開後1回目の検討会ということで、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
 昨年来、この専門家検討会は6回の会合を開催しまして、先生方に非常に活発なご議論をいただき、その結果として除染電離則のガイドライン、「特別教育のテキスト」を私どもとして取りまとめさせていただいて、除染電離則については今年の1月1日から施行されております。特別教育のテキストについても、これを使って各労働局でこれまで約6,000人の方を対象に特別教育を実施し、除染電離則の施行について円滑に実施できているということです。改めて先生方にお礼を申し上げたいと思います。
 第6回の検討会の最後にご挨拶をさせていただいて、検討会はとりあえず一区切りですが、おそらくまた近い将来にお願いすることになるのではないかと申し上げましたが、そのとおりになりまして、第7回、再開1回目の会合を、新しいメンバーの先生方も加わっていただいてお願いすることになりました。その経緯ですが、すでにご案内のとおり、政府としては3月末を目処に避難指示区域を「帰宅困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」という形で分類をし、今後、解除準備区域を中心にして復興・復旧のためのインフラ整備、あるいは製造業の事業開始等を実施することになっております。したがって、こうした地域において、これから屋内・屋外を含めてさまざまな事業が展開され、いろいろな業務を行うことになります。この場合、現行の電離則、あるいは除染電離則で対象になる事業以外の事業が、いろいろな形で行われていくことになりますが、こうしたそれぞれの事業において、放射線の防護についてどう考えていくのか。いろいろなタイプの業務がありますので、いままでの電離則あるいは除染電離則を一律に適用する形には、ならないだろうと考えておりますが、いずれにしても、それぞれの事業ごとに具体的にどういった形で適用していくのかを先生方にご議論いただきたくお集りをいただき、この検討会を再開した次第です。
 また、これも第1回から第6回と同じく、非常にタイトなスケジュールの中でご議論いただきたいと考えております。具体的には、4月中には一定の報告を取りまとめていただき、前回と同じような形になりますが、それを踏まえてガイドラインを作る、あるいは必要な部分があれば省令という形で整備していくことを考えております。非常にタイトなスケジュールではありますが、迅速確実な復興・復旧作業の実施と、作業員の安全確保、この2つが両立できるような形で実施をしていかなければならないと考えておりますので、先生方の格段のご協力をよろしくお願いしたいと思います。以上で私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○椎葉労働衛生課長 本検討会の議事ですが、事務局としてはこれまでと同様に産業医科大学の森先生に座長をお願いし、議事進行していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○椎葉労働衛生課長 それでは、森先生、議事進行をよろしくお願いいたします。
○森座長 引き続き座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 これまで6回のタイトなスケジュールの中で検討してきたわけですが、厳しい議論の中にもチームワークができてきた気がしております。これからも引き続き活発な議論をお願いします。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 資料の確認をします。1頁が次第です。資料1として、本会の開催要項です。3頁が、資料2として検討会の進め方です。5頁が、資料3「新たな避難指示区域における復興・復旧作業の放射線防止対策」です。資料4が、内閣府からの「避難区域見直しの方針について」です。11頁が、資料5-1「帰還支援に向けたインフラ復旧への取り組み」です。13頁が、資料5-2、ステップ2の完了を受けた検討課題です。27頁が、資料5-3「新たな避難指示区域における復旧に向けた取組について」です。45頁に、資料5-4として常磐道の関係の資料があります。49頁が、資料6-1「24年稲の作付に関する方針について」です。57頁が資料6-2「間伐などの森林整備事業について」です。59頁からが資料7として除染モデル実証事業に関する資料です。77頁が、資料8「対策の検討に当たっての論点」です。資料は以上です。
○森座長 資料の不足等はありませんか。
 本日は、式次第にありますように議題1~3がありますので、順番に進めていきたいと思います。まず、(1)検討会の進め方について事務局から説明をお願いします。質疑は説明終了後にお願いする予定ですので、よろしくお願いします。
○安井中央労働衛生専門官 1頁の資料1についてご説明します。「開催要項」です。これは、今日ご了解いただければ改訂をしたいと考えております。
 趣旨としては、先ほど部長からもご紹介がありましたが、避難区域の線引きの変更に伴い、除染特別地域等において公的インフラ等の復旧、製造業、病院、福祉施設、あるいは営農・営林、廃棄物の中間処理、保守修繕、運送業といったものは順次再開される見込みになっており、今回はこういった業務に従事する方の放射線障害防止対策についての検討を行っていただきたいと考えております。
 検討項目としては、(1)対象作業ということでアからカまで述べてありますが、これらの作業が予定されております。
 (2)ですが、このア~カを再度分類し、4つに分けて考えていくべきではないかと思っております。1つが、土壌を掘削する等除染に類似するような汚染物を扱う作業、2つ目が除染類似作業ではない屋外の作業、3つ目がいわゆる通常の屋内作業、最後に屋内作業ではあるけれど、汚染物を扱う、廃棄物処分等の作業ということで、大体この4つに分類して考えていけばいいのではないかと考えております。この作業について、それぞれの放射線防止対策の適用範囲とその最適な内容についてご検討いただきたいということです。
 3頁です。資料2「検討会の進め方(案)」です。これも前回の検討会と同様で、まずガイドラインの原案を念頭に置いて進めていただくということです。これについては、被ばく低減措置など一律に一定の基準を義務づけるよりも、促進的に取り組んだほうが効果的な対策が多いこと、あるいは柔軟に対策の内容を見直す必要があること、我々が法令上対象としている、いわゆる労働法で言う労働者ではない方もおられるので、そういった方も包含できるような形でガイドラインを作っていきます。その中で強行法規に盛り込むべき内容について、省令に盛り込んでいく形で検討を進めていただきたいと考えております。検討にあたっては現在除染電離則が現に施行されておりますので、それとの整合性にご配慮いただきたいと考えております。
 検討のスケジュールですが、本日が第7回で、第8回が3月27日、第9回が4月6日、第10回が4月20日という予定にしております。事務局の見込みとしては、今日は現状把握ということでフリーディスカッションになりますが、第2回目で具体的な議論をして、そのご議論を踏まえた形で、第3回には報告書の骨子案ということでより細かな議論をして、最終的に第4回で報告書案についてご議論いただいて、そこで取りまとめというイメージで現在は考えております。厚生労働省としては、この検討会の報告書を4月中には取りまとめてガイドラインを作成するとともに、新たに制定する規則に必要事項を盛り込むことを考えており、その後パブリックコメント、労働政策審議会への諮問・答申、公布後の一定の周知期間を経て規則の施行をしたいと考えております。
 6頁に検討事項についてポンチ絵にしたものがありますので、こちらでご説明します。この図は縦軸が空間線量で、上のほうが高くなっています。従来は青い部分、いちばん左の部分が施設内管理状態での放射線業務は、従来の電離放射線障害防止規則が適用されます。廃棄物を処分する場合は、引き続きこの電離則を適用します。真ん中の部分、施設外における除染等業務については、このたび1月1日から施行した除染電離則を適用します。除去土壌・汚染廃棄物の収集・運搬・保管については、廃棄物濃度10,000Bq/kgを超えるものだけを対象にしております。もう1つ、除染特別地域等における除染等作業については、除染状況重点調査地域、つまり0.23μSv/hを超えるエリアについては、すべからく線量管理等を義務づけているということです。今回ご議論いただくのはいちばん右側で、除染特別地域等における1~5に係る作業について、どういった規制をしていくのかをご議論いただくということです。以上です。
○森座長 ただいまの事務局からのご説明について、何か質問、確認がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
 よろしければ、議題2に入ります。本日は議題2と3を行っていくわけですが、状況の確認、論点整理が目的になっています。たくさん資料や説明がありますので、ある程度時間を区切りながら議事進行を行い、追加の質問や意見は終了後にメール等で取りまとめる形で進めていきたいと思います。
 それでは、「今後の警戒区域の線引き変更・復旧作業について」に入ります。本日は、委員やオブザーバーから今回の検討に必要な資料をたくさん提供していただいております。資料順にそれぞれ15分以内でご説明いただきたいと思います。まず、7頁の資料4について、原子力災害対策本部からご説明をお願いします。
○原災本部須藤参事官 原子力被災者生活支援チームの須藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 7頁の資料の下半分、「避難区域等の設定について」です。これからは解除の話題ですが、設定の考え方からおさらいします。1つ目は「警戒区域」ですが、こちらは原子力発電所からの距離を基準に規制をしております。東京電力福島第1原子力発電所から半径20km圏内での設定となっております。これは原発で不測の事態が発生したときに、まさに急性の放射線障害等が発生する可能性があるということで、同心円状になっております。何か不測の事態があったときにどちらの風向きかわからないので、同心円状で設定をされているということです。この区域は4月22日に、それまでも避難指示は出ておりましたが、改めて警戒区域と設定をされ、無許可で立ち入ることに対して10万円の罰金が科せられるという区域です。それだけ言うと、生命・身体への重大な影響が及び得るということで設定されていた区域です。対象人口が約7万7,000人ということです。
 その下の「計画的避難区域」ですが、こちらは放射線量を基準とした避難区域の考え方です。放射線量が基準ですので、当然ながらきれいな円を書いているわけではなく、同心円と関わりなく地域的に設定をされているということです。事故発生から1年の期間内に積算線量が20mSvに達するおそれがあるということで設定をされた区域です。これは4月22日からということで、去年の7月上旬におおむねの避難が完了したという状況です。こちらは、設定根拠が線量ですので、当然見直しも線量で行われていくということです。
 もう1つ、距離を基準に設定されたものが「旧緊急時避難準備区域」です。こちらは、東京電力福島第1原発から20~30km圏内が設定されており、通常はお住まいいただいてもかまいませんということですが、仮に原発に不測の事態があった際には、逃げられる準備、避難準備をしておいてください、あるいは屋内待避ができる準備をしておいてください、ということをお願いしていた地域です。この地域は、急な避難が必要になるということで、自力で避難ができる方にお住まいいただいていて、例えば介護が必要な方、あるいは入院患者等についてはこの区域から立ち退いていただけるように、あるいは学校等については開校しないという運用をしております。この区域は、いま申し上げたように原発からの距離を基準としております。すなわち、原発の状況を基準としておりますので、原発がいわゆるステップ1が終わって、そのほかの状況が整ったということで、昨年9月30日にすでに解除された区域です。
 いま申し上げたことを図示したものが、8頁の上のシートです。警戒区域は現在でも残っております。計画的避難区域も、現在でも残っており、現在はもう解除されましたが、緊急時避難準備区域があるという状況です。それぞれ基本的には円と申し上げましたが、地域の状況に応じて字界や市町村界などを1つの基準としながら設置区域の設定をしてきたということです。
 8頁の下のシートですが、避難区域の見直しについての考え方は、昨年の8月に1度整理をしております。1.緊急時避難準備区域は、原発のステップ1が終わったことも踏まえて、住民の皆さんが帰れるようにということで復旧計画の策定を踏まえて、一括して解除を行いました。これは原発が理由ということもありましたので、一括して解除を行っております。警戒区域、計画的避難区域についてはステップ2、いわゆる冷温停止状態の達成をした時点で見直しについて検討を行うことになっており、ステップ2が昨年12月に完了したので、その後これからご紹介しますが、12月26日に考え方を決めたということです。
 4.ですが、放射線物質が拡散した地域における、放射線被害に対する根本的な対応が必要ということで、こちらについて国として責任をもって除染を行うことを決めております。実際に除染作業が始まり、さらに除染電離則を制定していただいたという状況だと思います。
 9頁です。「避難指示区域等の見直しの考え方」、昨年12月のものです。これについては、先ほどご紹介した□の中ですが、ステップ2の完了により原子力発電所の安全性が確認されたと。これは外部への影響を及ぼさないという意味ですが、これにより見直しを開始して、国としてはまず基本的な考え方を提示した状況です。現在、各市町村と具体的な協議を行っているところです。
 実際の解除見直しの方針ですが、上の1.警戒区域の解除についてです。これからご紹介する避難指示区域と警戒区域は別な概念で、まさに先ほど申し上げたような急性の放射線障害が心配される、生命・身体に重大な影響が及ぶということを想定したものです。その意味で言うと、ステップ2が完了することによって原発を理由とする急性の放射線障害、生命・身体への影響が及ぶということはなくなったと想定されますが、まだこの区域内は避難が続いていたので、インフラの状況や防犯体制の確立が十分できておりません。したがって、このインフラの安全確認、防災・防犯対策についての一定程度の準備を整えてから解除することになっており、この解除時期ですが、原災本部決定では早ければ平成24年4月を目指し、大きく遅れない一定期間後に解除するという形で記載がされております。警戒区域については、早ければ来月にも解除されるということです。
 なお、ここでは記載をしておりませんが、原災本部決定では、「市町村との協議が整った場合には一部先行解除があり得る」という記載があります。これからご紹介する避難指示区域の見直しは、3月末が1つの目安となっております。可能性としては、このときに警戒区域が併せて解除される区域、全域ではなくて併せて解除される区域があり得るというのが原災本部決定の内容です。こちらは、立ち入っただけで直ちに放射線障害が発生するものではありませんが、お住まいいただくのはご遠慮いただいたほうがいいだろうということで、避難指示を出す区域です。これまでは警戒区域は距離概念で設定しておりましたが、警戒区域は同じ形で避難指示区域でもあります。警戒区域を解除しますので、これからは避難指示区域は線量を基準に区分けをするという判断をしております。線量を区分けの基準とするということですが、計画的避難区域についても、事故後1年経って放射線量に大きな変化がある地域もありますので、計画的避難区域も含めて線量で見直しをしていくということです。
 区域の区分については、3区分です。1つは「避難指示解除準備区域」です、年間20mSv以下です。これについては、私どもは1時間当たり3.8μSvで設定しようと考えております。避難指示解除準備区域については、このあと復興庁からもご説明があると思いますが、線量的には住民の皆様がお住いいただいても良い区域ということです。もちろん、線量低減は進めていきますが、この区域については除染、インフラ復旧、雇用対策など復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民の1日も早い帰還を目指すことを想定しております。
 これも、のちに復興庁の資料等でご紹介があるかもしれませんが、避難指示解除準備区域については、先ほど安全衛生部長からお話があったとおり、インフラ復旧、具体の道路を直したり公民館を直したり体育館を直したりという作業が開始されますし、一方、避難指示が継続しているという位置づけで、避難指示は解除しませんので、お住まいいただくことは不可能としておりますが、この区域において通いでの事業所の操業再開は認めることということで検討しております。それが避難指示解除準備区域です。
 「居住制限区域」です。こちらは、年間20mSvを超える区域です。先ほど申し上げた1時間当たり3.8μSv超というのが基準です。この区域は、将来的に住民が帰還をしてコミュニティを再建することを目指していくということです。この区域については、近い将来、住民の皆様が戻られるということで除染が行われます。また、インフラ復旧については、例えば管きょのもの、下水道とか水道とか時間がかかるものがあります。さらには防災の施設、消火栓といったものです。また、帰る区域と帰らない区域が出てきますので、この中で広域的なインフラについては着手をする方向で検討しております。もちろん、線量管理をやった上でですが、居住制限区域では除染・インフラ復旧、さらにこのあとご紹介しますが、ごく限られた例にはなると思いますが、一部において通勤による事業所の再開を想定しております。こちらについては、行政も関与する形で再開を想定しております。
 (3)「帰還困難区域」です。帰還困難区域については、具体的には年間50mSvを超える区域を想定しております。1時間当たりの線量に直すと、9.5μSvになります。こちらについては、自然減衰を想定した場合、5年間経ってもなお年間20mSvを下回らないおそれがある区域で、原則5年間区域を固定して、活動について、あるいは立入りについて制約を課していく形を考えております。これが帰還困難区域です。
 ここから先、先生方のお耳に入れておいたほうがいいと思うのは、現在の計画的避難区域においても例外的な事業継続が行われております。先ほどご紹介した居住制限区域で、これもまた例外的であろうかと思いますが、事業の再開が行われる可能性があります。これについては、現在、飯舘村及び川俣町の計画的避難区域内において、9つの事業所で操業が継続されております。その際の基準が9頁に書いてあります。今日は逐一ご紹介しませんが、いちばん大きなところは事業者に関する事項の2つ目の◇です。この区域で働くということですから、線量管理をしていただきます。線量管理については、通常は、管理区域内での被ばく線量ということだろうと思いますが、この計画的避難区域における例外的な事業継続は避難の一環として行っておりますので、普段の生活時間帯も含めて年間20mSvを上回ることがないようにという設定としております。これまでの1年間の実際の線量管理においても、ご自宅に帰ったあと、あるいは休日の過ごし方等をお聞きした上で積算線量を推計し、20mSvにならないように設定をしていく形にしております。女性、あるいは妊婦についての配慮については、電離則を参考にしながらやらせていただいております。
 そのほか、計画的避難区域内ということですので、さまざまな生活上の留意をしております。事業者に関する事項の4つ目の□ですが、線量管理をきちんとするということで、一部の事業所を除いて全員個人管理で線量管理を行っております。一部の事業所においては、作業グループのリーダーによる線量管理と事業形態に合わせて、線量管理を行っているということです。また、自動車での通勤に限っているとか、屋外での作業はできるだけ少なくする、あるいは土埃や砂埃についての配慮といったこと、健康診断での配慮、職場での滞在時間の制限といった生活上の留意点も含めて、避難の形態の1つとして行っているという事例があります。
 10頁のシート6の真ん中に国に関する事項がありますが、本件は線量が高くなったことについて事業者の責任があるわけではないので、国としてもダストモニタリングを行ったり、あるいは空間線量率の計測を行ったりという形で、放射線管理のお手伝いをさせていただいております。いま、まさに緊急事態の中で、こういう形で事業継続を行っている事業所があると思いますが、これからご検討いただくルールの中でこのようなところをどう位置づけていくかということも、是非ご検討いただければと思います。
 10頁の下のほうは、現在の線量の大まかなイメージです。以上です。
○森座長 大変わかりやすいご説明ありがとうございました。いまのご説明について、何かご質問、確認等ありましたらお願いします。
○古田委員 事業をされている所では何かデータを取られていると思いますが、例えばダストのデータとか被ばく線量のデータはだいぶ溜まっているということでよろしいでしょうか。
○原災本部須藤参事官 もちろん、溜まっております。事業者もものすごく配慮しながらやっておりますので、いまこの区域は周りは3.8μSv/hを上回っておりますが、事業所の敷地内では3.8μSv/hを上回っている所はありません。すでにかなり除染して、敷地内では3.8μSv/hをかなり下回っております。屋内に入ると、2.5μSv/hを上回るような事業所はなく、実際には1台とか、相当線量を下げた上で行っている状況です。線量管理をしながら、しかも生活面での線量管理も含めて行っておりますので、当然線量データ等は集まってきています。ダストモニタリングのデータ等も集まっており、ダストは最近ですとほとんど計測されないということですが、線量についても基本的には事業所内での線量というのは、年間5mSvを下回っている例というのが基本的な形です。
○森座長 私から確認ですが、今回避難区域の見直しがされて、計画的避難区域において例外的に就労を許可してきた基準が今後どう取り扱われるかということが一番重要と思います。特に「直近1年間における20mSv以下」という基準ですが、これは働いている場面も生活場面も併せての外部被ばくと理解しています。この基準は、今後はどのように位置づけられるのでしょうか。
○原災本部須藤参事官 少なくともこの委員会でのルールの設定までの間は、3月11日が過ぎてもいままでと同じ形での運用、線量管理を続けたいと思っております。ちなみに、生活上の被ばくも含めてカウントしていますので、昨年3月、4月の被ばく線量が多くなっており、事業所での被ばく線量は限られたものとなっておりますので、1年単位で取っていくと基本的には下がっていくと。生活面も含めると、明らかに下がっていく傾向です。
○森座長 それでは、追加の質問もあると思いますが、事務局に質問事項を提出いただければ、それぞれの説明いただいた方に振っていただけると聞いておりますので、2つ目のご説明に移りたいと思います。復興庁よりご説明をお願いします。
○復興庁尾澤参事官 復興庁の尾澤でございます。11頁に資料5-1がありますが、いまの原災本部からのご説明と被っている部分があります。というのは、警戒区域等の見直しに伴って市町村がどのように避難者の帰還を考えるか、そのための条件整備として除染とインフラ復旧が非常に密接に関係しているということです。ですから、必ず原災の見直しの話と除染・インフラ復旧は三位一体の形で動いていて、今日も午前中に合同チームで打合せをしたり、そういう動きをしております。
 今日は、これまでの取組と今後の取組ということでご説明します。いまご説明があったのは、これまでの取組の1で、先ほどありましたように、ステップ2の完了を受けて基本的な考え方が求められたと。
 これについて、後ろに資料を用意しております。17頁ですが、こちらにインフラ復旧ということで考え方について、非常に一般論的な書き方をされておりますが、まず災害廃棄物の撤去やガス・水道といったライフライン、道路等の復旧といったものについて、インフラ復旧の中でも先に復旧をしていきます。そういうものができてくると、今度は住民が安全・安心に帰還するためということで、学校とかまちづくりのものができてきます。インフラ復旧といっても、一遍に全部やるのではなく、順序があって、電気と水道といった基礎的なものができた上で、やっとまちづくりに対しての準備ができると。こういう順番があるということで、これが1つのポイントです。
 次に、実際にそれぞれの区域ごとにどうするかという話です。これはいま原災本部からもお話がありましたが、20頁をご覧ください。実際に線量の低い所、年間20mSv未満の避難指示解除準備区域では、インフラはどのように復旧していくかがこちらに書かれています。基本的な考え方の中では、インフラ復旧ということが入っていますが、こういう線量の低い所ではとにかく迅速にインフラ復旧を実施していくものと位置づけております。下に立入規制の区域の運用と書いておりますが、こちらに「公益目的の立入りなどを柔軟に認める方向で検討する」とあって、インフラ復旧などを柔軟に認めていただいて、とにかく復旧をしていくという位置づけになっております。
 次の頁ですが、(除染及びインフラ復旧の迅速な実施)ということで、具体的に考え方が書かれております。(ii)ですが、インフラ復旧・整備については早急に状況を把握しなければいけない。被災状況をきちんと把握し、住民の帰還のための必要なインフラ復旧を行うなど、生活環境の整備を迅速に実施するということです。まず被災状況をきちんと把握して、災害復旧ですと災害査定ということで、きちんと査定をして、インフラ復旧で何をやらなければいけないか、こういうことを手順としてやっていきます。その調査が大事で、調査をした上で実際に復旧をしていくという手順になっております。
 22頁です。さらに、居住制限区域、これは年間20mSvを超える所ですが、線量が高くなってきます。こちらについてのインフラの考え方ですが、(区域の定義及び性格)の(i)に、「将来的に住民が帰還し、コミュニティを再建することを目指し、除染やインフラ復旧などを計画的に実施する」と。高い所は迅速にではなく、計画的に実施する。これはどういうことかというと、すぐに戻ってこられないということもありますので、戻ってくるタイミングをよく見ながら、実際に高い所でも必要であれば早く手を打つという意味で、計画的に実施するという考え方の下でインフラ復旧を進めているということです。
 (立入規制など区域の運用)ということですが、こちらも公共目的の立入りとしてインフラ復旧が認められておりますので、必要なものについては先ほど言いましたように計画的に準備をしていくことになっております。下に(除染及びインフラ復旧の計画的実施)の(ii)に書いておりますが、「作業者の安全確保に十分配慮しつつ、まずは早急にインフラ状況の調査を行うことに加えて、市町村ごとの復興再生のためのプランに基づいた対応を行うことを検討する」。先ほど言った帰還のプランが大事で、そのプランに基づいて着々とやるべきことをやっていくということです。ただし、電気・水道・通信など防災上不可欠な施設、基幹道路、廃棄物処理、下水処理場など、当該地域を含む広域の地域経済社会の復興のために、早期の復旧が強く要望されるものについては、特に迅速に除染を実施し、施設の復旧・整備を進める方向で検討するということです。広域的なものというのは、その市町村だけではなくて、そのエリア全体にとって大事なもので、こういったものは少し線量が高くても早くやらないと、復旧を必要とする所に資することが必要ですので、こういう広域インフラについては必要に応じて早くやっていく姿勢を取っております。
 23頁ですが、これは帰還困難区域です。こちらは線量が相当高いところです。具体的には5年を経過しても年間20mSvを下回らないということですから、なかなか戻ってこられない地域です。こちらについては、インフラ復旧についても広範かつ大規模な作業が困難である可能性が高いところです。非常に線量が高い所でインフラ復旧をやるのは難しいという認識です。
 24頁です。立入規制など区域の運用の(ii)ですが、「市町村などの関係者から特に要望があり合意が得られアクセスコントロールが可能な常磐道については、必要な対策等の諸課題を検討の上、除染及び工事を実施するとともに、十分な防災・防犯対策、必要な被ばく防護措置などが講じられることを前提に、早期に開通することを目指す」と、ここだけ非常に先進的に、先駆的に取り組むということを書いております。これをうまくやりながら他のインフラ復旧がどうできるかということを、パイロット的にやっていくという位置づけで臨んでいくということです。
 ほかのインフラについては、その下にインフラ復旧と書いてありますが、基本的にはモデル事業などの結果を踏まえて、県、市町村や住民等関係者と協議の上、対応の方向性を検討する。何をやれではなくて、どこまでやれるかということもモデル事業の結果を見ながらやっていくという位置づけにしております。これが基本的にインフラ復旧のこれからの考え方です。
 27頁です。これは2月14日に原災本部と一緒に出した文書で、いまの考え方に対して実際に線量の低い所には本格的に取り組んでいただきたいという要請を、インフラを所管しておられる関係府省にお出ししたペーパーです。ポイントは3.で、線量の低い所ですが、立入りに関する手続の簡素化も図りながら、作業に必要な線量としての情報もきちんと提示する。大きな縮尺のマップに線量を落として出すという、入るための準備をきちんとできるように整えながら、「新たな避難指示区域の線引きを待つことなく、速やかに所管する施設の復旧について積極的に対応されたい」としています。やりますよ、という意思表示を2月14日に出しているということです。本格的に復旧のモードに入ったということを、こちらで出しているということです。4.ですが、特にということで、災害復旧事業等は迅速に進めるということです。また、先ほども言ったように、線量が高い所は広域のインフラについては鋭意取り組まれたいと申し上げています。いままで、こういうスタンスで臨んできているということです。
 11頁、資料5-1に戻ります。こういった中で、今後の取組です。今後の取組については、いろいろな課題もあって、主な課題という形でまとめています。除染とインフラ復旧の連携ということで、これはセットでやっていかなければいけないということです。ただ、除染ができないからインフラができないではなくて、インフラをやりながらも除染と同じような効果が得られることもあります。アスファルトを剥げば、除染と同じように線量を下げることもできるわけです。ですから、除染とインフラをうまく実施区域を決めながら効率的にやっていくことが必要になります。市町村を早く帰還させたいということであれば、除染はどこをやって、インフラとしてはそのためにどこの整備をしてということで、連携をうまくやっていく。これが、いまいちばん重要です。この連携を地域においてうまく取れるように、先ほど言った3チームの連携を東京だけでなく福島においても、県、市町村を入れてそういう体制を作ってきているということです。
 インフラ復旧の条件整備。これは、先ほど言った地図を用意したり、立入りの簡素化をしていただく。それだけではなくて、本日の委員会ではこの話がポイントで、作業者が安全に作業できるように、この条件整備も重要です。この委員会で大事な所は、このインフラのための条件整備として、作業者が安全に活動できるようにということで、こちらの明確な指針がほしいということです。
 広域インフラの復旧です。これは先ほど言いましたように、少し線量の高い所でもやらなければいけないインフラで、例えば基幹路となる道路、屎尿処理場やごみ処理場など、地域にたくさんあるものではなくて、それがないとどうしても帰還支援のボトルネックになってしまう施設があります。こういったものについての復旧をどう考えるか。これは非常に線量の高い所にあって、こういったものをどう復旧していくかが大事な課題になっています。
 インフラ復旧の推進ということで、こちらは先ほどお話したように、エリアごとに考えがあるということです。我々はインフラ復旧の推進をどうしていくかですが、工程表を作りたいと思っております。市町村がいつ、どこに帰還したいというゴールがあれば、それに基づいて除染の工程が書かれます。インフラもそれに合わせて工程をうまく書いて、その工程表を共有する中で、市町村が帰還支援を達成できるようにしていく。こういうアプローチを取りたいと考えております。また、これからの議論になりますが、条件が整ったらそういうものを世の中にうまくお出しして情報共有をすることによって、インフラ復旧をしていきたいということです。簡単ですが、いまのインフラ復旧の取組についてのご説明でした。
○森座長 いまの2つのご説明で、大体どのエリアでどんな作業者が入ってくるか、その時期もある程度計画的に行っていくということがありましたが、かなりイメージができたかと思います。何かご質問、ご確認があればお願いします。
○建山委員 常磐道の話が出たと思いますが、地図の中でどの辺りにするかだけ教えておいていただければありがたいと思います。
○復興庁尾澤参事官 お時間がなかったので、最後端折ってしまいましたが、資料5-4に常磐道を付けております。少しだけお時間をいただいてご説明します。
 45頁です。常磐道は、富岡までは被災するまで供用しておりました。そこから先の点線の所は工事中であったということです。これは宮城県の山元インターまでが工事中で、約70km工事をしていたエリアがあります。今回被災を受けて、警戒区域内はなかなかできなくなりました。それ以外の外側、南相馬から上は工事をすぐに再開しました。ただ、警戒区域内については、少し考え方の整理が要るということで、ここはまだやっておりませんでした。ここに書いてありますが、線量が警戒区域内でも年間20mSv未満の所、20~50mSvの所、さらに50mSvを超えている所と、非常に高い所まで全部揃っている状況です。ですから、年間50mSvを超える所をどうするかということがないと通せないという図式になっています。
 47頁です。1月26日に、低い所、先ほど低い所はやりましょうという話をしていましたが、年間20mSv未満の所で警戒区域内の約6kmについては、広野・富岡側では復旧に入りました。浪江・南相馬側では、基本的に整備の工事に入っているということで、実際に工事をやっている状況です。
 48頁です。さらに高い所ではどうするかということですが、除染モデル事業についてということで、高い所について年間20~50mSv、50mSv以上の所を3エリア選んで、除染のモデル事業をやってみることにしました。それによって、どれだけ効果があるかを見た上で、今後の工法をどうするか、やり方をどうするかを決めていこうということで、いま動いております。施工業者も決まり、3月から7月末までの非常に短い間ですが、モデル事業をやってみて、その結果を受けて個々の通し方を考えたいということです。以上です。
○森座長 それでは、まだ質問はあるかと思いますが、先ほどの進行のルールに従って進めます。
 続いて、資料6について農林水産省よりご説明をお願いします。
○農林水産省安岡室長 農林水産省の安岡でございます。今日はよろしくお願いします。どのような内容を今日ご説明すればいいかはよくわからないところがありますので、私が今日ご説明するのは、今の福島県の営農の状況、特に作付を休んでいる所がどういう所なのか、それにあたっての政府による作付制限の状況等をご説明します。
 いま作付を休んでいる所は、当然警戒区域と計画的避難区域は事業活動できませんので、いまは農業も一切行われていない状況です。それに加えて、皆さんご存じかと思いますが、稲に関しては作付制限を行っています。平成23年に作付制限を行っており、警戒区域と計画的避難区域と緊急時避難準備区域の3区域が、稲の作付制限の対象となっておりました。この作付制限は、基本的には線量というよりは食の安全という観点で、そこで作付すると食品の規制値を超える可能性がある所については、あらかじめ作付を控えるということでやっております。
 49頁です。平成24年産、これから先、稲の作付をどうするのかという方針を、先月28日に示しておりますので、それを簡単にご説明します。基本的には、今年の稲の作付については、平成23年産の結果がありました。作ったらどういう濃度になるかがわかっておりますので、その結果を基に、改めて食の安全の観点から、食品の新基準値が1kg当たり100Bqになりますので、そういう観点で米の濃度が100Bq/kg超になる可能性の高い所については作付制限をしようという考え方で行っております。
 49頁の中段ですが、Iの「稲の作付のあった地域」、さらに50頁の後段のIIの「23年稲の作付のなかった地域」のそれぞれに分けて、どういう取扱いをするかが書いてあります。49頁から流れを追いながら見ていただければと思います。平成23年産の米が500Bq/kgを超えた所については、新基準値が100Bq/kgになりますので、平成24年も超えてしまう可能性が高いということで、ここは政府として作付制限を行うということでお願いしております。具体的には、55頁の別表ですが、福島市、伊達市、二本松市それぞれで、平成23年に500Bq/kgを超えた所です。ここはいずれも作付制限ということで、いま調整しております。区域の取り方等については、市町村にご相談させていただいている状況です。これが500Bq/kgを超えた所の取扱いです。
 次の頁です。100Bq/kg超から500Bq/kg以下の所ですが、これも新基準値を超える可能性は否定できないので、作付制限を行うことを基本とするという考え方に立っているのですが、現場の中には作付を行いたいというご要望も強いこともあって、さらに言えば、地域の中には超える所もあれば超えない所もあるということもありますので、すべての米が適切に管理され、検査されることを前提として、作付を行うことも認めるということです。ですから、作付制限を基本としますが、場合によっては、適切に管理できるのであれば作付をしていただくということで、この辺の地域については調整をしております。こういった方針で、いま市町村と協議をしている状況です。
 皆さんのご関心は、IIの平成23年の稲の作付のなかった所の取扱いです。警戒区域、計画的避難区域については、これから区域の見直しなどがあるところですが、稲の作付の時期となるともう営農準備が始まっておりますし、4月になると種まきを行って、田植に向かっていくということもありますので、基本的にはなかなか作付はできないだろうということで、これらの地域は平成24年も作付制限をすることになっております。さらには、旧緊急時避難準備区域で、ここはもう解除はされているのですが、現状、各市町村は除染もまだできていないということで、平成24年作は除染を優先したいとおっしゃっていて、作付の自粛をすると市町村のほうでおっしゃっています。ここについては、市町村が作付を自粛するということですので、作付制限等は行わないことにするのですが、事前に出荷制限等を行い、作った米については万全の管理をしていきたいということです。このようなことで、いま稲の作付制限について調整している状況です。
 ほかの作物はどうなのかということですが、ほかの作物については作付制限のようなものは行わないで、基本的には作っていただいて、できた収穫物を検査するということで対応しております。
 最後に、簡単に作付の状況を申し上げると、旧緊急時避難準備区域は帰還が遅れていることもあって、さらに除染もこれからということで、残念ながら作付の再開は稲以外についても進んでいません。これからいろいろな区域の見直しが行われるところですが、いま稲で申し上げたとおりで、これから区域の見直しが行われても、春の作付はなかなか難しい状況にあるのが実情です。さらには、営農に関して言うと、この地域は水稲の作付の割合が高い地域で、特に避難区域で面積としていちばん大きいのは水稲です。それぞれが非常に零細な規模の農家で、水稲の場合10a当たりの労働時間も年間20数時間ぐらいのものしかないので、トータルで見ると労働時間も限られている場合が多いという実態もありますので、そういったこともご考慮いただいてご検討いただければと思います。以上です。
○森座長 続いて林野庁からお願いします。
○林野庁井出室長 営林の状況をご説明します。資料は57頁から写真などを中心に作られているもので、資料6-2です。今日お邪魔しましたのは、そもそも森林の中でどのような作業が行われているのかということを、マイナーな分野ですので、いま一度簡単に触れさせていただいたほうが、先生方のイメージをつくるのによろしいのではないかと思って、参上した次第です。
 まず、森林のそもそもですが、もとはといえば、材木の生産を念頭に、いまから50年ほど前の高度成長期の時期にたくさんの人工林というものが造られました。それが、現在はそれなりのサイズに成長してきていて、その森林を守っていくというのが、いま私どもの中でいちばん大きな仕事になっております。
 と申しますのが、木材の生産というのは非常に重要ではありますが、それ以上にいま注目されておりますのは、そもそも森林が健全であると水を蓄えたり、土砂の崩壊を防止したり、土壌の表面浸食も抑える。それから、生物の多様性も確保されますし、二酸化炭素の吸収源、貯蔵庫としても役に立つといったように、公益的機能と呼ばれていますが、そういった面で非常に注目を浴びるようになりまして、いまでは主たる業務というのは、間伐という言葉はお聞きになったことはあるかと思いますが、間伐を中心としまして、成長してきている森林をより健全にしていこうという作業が中心になっております。
 資料6-2、57頁の上半分の部分ですが、成長してきた木々はそれぞれが大きくなりますので、放置をしておきますと、上の写真のように真っ暗な状態になりまして、これを間伐してあげると、下の写真のように小さな木々も入ってきて、非常にいい状態が作られるというものです。もともと森林というのは、背の高い高木と、こういう小さな木々のコンビネーションで出来上がるというのが本来の姿ですので、それに近づけていかないと健全性が失われます。特に、この真っ暗な状態ですと、土砂崩壊、土壌の浸食といったことが非常に簡単に起きてしまうという状態でして、これが私どもの非常に重要な仕事になっています。いわゆる林業を通じまして、この間伐をやっていただくというのが、まず1つ大きなテーマとなっております。
 しかしながら、次の下半分ですが、ご案内のとおりで、そうは申しましても、樹木の根などの力では抑えきれないような、非常に激しい雨が最近は降るようになっていまして、ときどき大崩壊を起こすことがございます。それが下半分のほうの仕事、治山事業です。
 1度そうやって崩壊を起こしたような場合には、このときは再度植付けを行うだけでは、回復するのは難しいということで、実は簡単な土木工事を行いながら、山を安定させて、そのあとに再度木々を植えていくといったような作業がございます。これが、いわゆる防災工事という役割も果たしておりまして、今回皆さんに制限区域にご帰還いただくという点では、どちらかというと、こちらの仕事のほうがもしかすると直結するのかなと考えております。
 小さな写真で恐縮ですが、左下のグループのように、人家裏の山が崩れてしまった場合には、まず土木工事を行いまして、そこに木々を植えて、山を復活させるというのが、上の3つの写真です。
 その1段下ですが、ここも川添いに激しく崩れてしまったような場合で、これも小さくて見えないのですが、小さなダムをこの渓流の中に入れて、これ以上浸食が起きないようにして、そして周囲を森林化していくという形で、山を復活させております。
 それから、今回の大震災に関しては、ここがいちばん重要なテーマになっておりますが、海岸の防災林というものも私どもの非常に重要な仕事の1つとなっておりまして、残念ながら今回の大震災で東北地域の海岸の防災林の7割近くはダメージを受けています。
 この作業自体も、基本的には木々を植えるということになりますが、それ以前の問題として、やはり防潮堤のような施設が必要になることがございます。その場合は防潮堤を作って、そこに盛り土などをして、最後に木を植えるという、土木工事とのコンビネーションが発生します。そういったわけで、特に南相馬市辺りでは、こういった作業が発生するのではないかと考えています。
 次の裏の頁です。具体的に山の中でどのような作業が行われているのかということです。まず最初に、いわゆる一般的な林業、森林整備の世界を表しているのが、左側半分の4枚と、右側のうちの小さなバックホーで少し削っているような写真がありますが、この5つの写真が普通の林業で行われる作業です。
 左上は、まず伐採などを行って木材を搬出したあとに、再度植えるという作業です。これは最近はあまり量は多くないのですが、こういったものがございます。
 そのあと、これらの木々が成長するのに合わせて、ライバルとなるほかの樹木などを切る、その右隣に「除伐」と書いていますが、この作業がございます。それから、植えた木々の回りの下刈り作業です。草に負けないように、草刈機などを使って草を刈る作業があります。
 先ほど申し上げましたように、いまはこういった段階はかなりの森林が過ぎておりまして、いちばんよく行われるのは伐倒作業で、間伐の作業です。間引きを行うために、チェーンソーを使って成長の悪い木などを選抜して倒していく作業がございます。
 このような作業を行うに当たりましては、人が接近する、あるいは間伐作業、伐倒作業で倒しました木々は材木としても使えますので、これらを引っ張り出すためには近くまで車両が入らないといけないということで、作業道の作成作業が入ってきます。ただ、これは非常につくりは簡単なものでして、幅引はせいぜい2.5~3m程度で、基本的には土砂の切盛りだけで道を通すという作業です。
 あと残りに治山事業ということで、3つの写真がございます。先ほど申し上げましたように、山自体が壊れてしまったときというのは、こういった作業を行います。つまり、まずは土木作業、特に右下のものが典型ですが、これはコンクリートの壁をつくっています。このコンクリートの壁で、これ以上土砂が崩れないようにということで、崩れてしまった土砂は、コンクリートの壁の向こう側にもう1回埋め戻すのですが、そういったことで、山をまず押さえまして、最後はいちばん右上の写真ですが、そこが完成すると、最後は林業的に植付けなどを行って、林業的なケアを行っていくという仕事です。
 これらの仕事を支えてくださっている人たちのことを、次の「事業体の現状」で記しました。治山事業の、特に土木工事は基本的には土建業者さんにやっていただいている部分がかなり多くございます。ただ、地元の非常に小さな土建業者が対応する場合が多いところです。
 それ以上に、本来の林業のほうは、ここの表を見ていただければ一目瞭然かと思いますが、いわゆる家族営業、法人資格を取らずにやっている方々が相当数いらっしゃいまして、それプラス法人格を取って事業体としてやっている方々も、ほとんどは10人程度の社員で、現場で働く人たちが7人、8人いて、そこに事務処理をする人と社長がいるというくらいの規模でやっているところです。
 かつ、その現場で働く方々も、常勤で雇われている人たちは4割程度ということで記しているのが、右側の帯グラフです。それ以外の方々は大体農作業などとの半々の形で仕事をなさっている方がたくさんいらっしゃいまして、非常勤の形の方々が非常に多うございます。
 その次の下の部分です。とはいえ、今回の震災を特に津波災害という点で考えますと、山は比較的元気ですので、是非こちらでいろいろと仕事を作って、復興に努めていきたいという考え方を福島県庁が表に出しておりまして、そのことがこのように、県庁のホームページにも「福島復興プロジェクト」ということで記されておりまして、特に右半分の赤で囲ったところは、「森林林業の再生」ということで、非常に重要な復興のための産業だと記していただいているところです。
 以上のような状況です。特に担当してくれている事業体は山間部を支えている、非常に頑張ってくれている人たちなのですが、何せこのような小さい人たちですので、厚生労働省さんとタイアップしながら、林業労働の確保に資する法律をというものに基づきまして、こういった事業体の皆さんに、ちゃんと福利厚生も含めたしっかりした経営をやりましょうということで、もう10年以上一生懸命指導と申しますか、お願い申し上げているところですが、なかなか経営規模が拡大せずに、このような状況が続いております。
 つきましては、こういった頑張っている方々の安全を確保するために、是非先生方にご指導いただきたいのと同時に、できますれば、こういった方々でも対応できるような対策というものを、あまりお金がかかると苦しいというのもございますし、もしもお金がかかる対策がどうしても必要である場合には、何か公的なパターン、例えば市町村が支援するような形というのも提言いただけるようなことがあると、大変嬉しいなと思います。
 特に、汚染状況重点調査地域などは、福島県に限らず、ほかの山々でも広がっておりますので、是非その辺のこともご配慮の上で、ご指導のほどよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○森座長 確認ですが、これまで他の発表では、制限をされているエリアで今後どのような作業が発生するかがよくわかったのですが、いまの林野庁さんのお話の中では、作業内容はよくわかったのですが、今後これらのエリアでどのような作業が発生しそうかということが触れられていませんでした。その点について追加でご説明いただけますか。
○林野庁井出室長 林業と申しますか、治山事業も含めてですが、特に林業につきましては、これはあくまでも事務連絡を通じたお願いにすぎないのですが、とにかく長袖、手袋などを着用して仕事をするようにということを求めていまして、エリアとしては、いわゆる警戒区域と計画的避難区域は、そんなに急ぐものではないということで、避けてやっていただいています。
 ただし治山事業については、防災事業として役に立つ可能性もある事業でして、現に南相馬市の海岸林の再生については、福島県庁は、もしかしたら施設の復旧を先行してやらなければいけないかもしれないということを考えているようです。一般の林業については、とにかくやめてくれということでやっています。
○森座長 ご質問はございますか。
○安井中央労働衛生専門官 49頁からですが、500Bq/kgあるいは100Bq/kgの米が取れるエリアの土地の放射性物質の濃度、空間線量はどのぐらいなのですか。
○農林水産省安岡室長 まず、500Bq/kgを超えた所というのは、ちょうど特定避難勧奨地点の周辺の旧9市町村になっています。ですから、中には高い所もございますが、地域の中を見ると1 mSv/年を下回るような所もあったりしまして、そこはさまざまですが、高いのも含まれている地域だというところです。
 もう1段階下がって、100から500Bq/kgが見られた所になると、線量としてはもっと低いものも含まれているという状況です。
○安井中央労働衛生専門官 土の濃度はどうですか。
○農林水産省安岡室長 土壌の濃度とは完全にはリンクしていません。例えば土壌の濃度5,000Bq/kgを1つの判断の基準にして、平成23年の場合は作付制限を行ったのですが、今回の米で500Bq/kgを超える値が見られた所も、土壌では5,000Bq/kgを下回る所もあれば5,000Bq/kgを超える所もあるという状況ですので、相当多様だというところです。
○森座長 よろしいでしょうか。それでは最後の資料にいきます。最後は資料7です。JAEAの門馬委員からご説明をお願いします。
○門馬委員 資料7です。私どもの原子力機構で、現在内閣府からの委託で除染のモデル事業を実施しています。その状況を紹介させていただきます。資料は1月23日の日付なのですが、こちらはホームページにアップしている資料で、現在この実証事業がほぼ終わりになりまして、取りまとめの作業を実施しているところです。3月26日に報告会を行う方向でいまして、それに向けて情報を取りまとめている最中です。今日はデータ等については、一部上がってきているものを口頭で補足する形で説明させていただきます。
 59頁の下で、今回の事業の概要です。いわゆる警戒区域、計画的避難区域に関連する12市町村を対象に、それぞれ代表的な区域、地域をもって、除染の事業を実施しているところです。
 場所を選ぶに当たっては、まず除染対象として、さまざまなものがある所です。例えば森林だけではなくて、農地、宅地、建造物、道路といった多様なものを含む。線量率のレベルとしても、年間100mSvを超える所や20~100mSv、20mSv未満といった線量についても、多様な所を選んでいるところです。
 この右の図で、それぞれ○で示しているところが、今回の事業対象になった地域ですが、○の色で線量の違いがわかるようになっております。時間の都合でかい摘んで説明させていただきます。
 具体的には、60頁の上のほうです。こちらが対象となっている地域、主なその地域に含まれる除染の対象要素、広さが載っております。トータルでおおよそ200haぐらいのところをおおよそ2カ月半ぐらいをかけて除染の実施をしているという状況です。
 61頁の上のほうですが、スケジュールです。これは代表的なグループの例を示しておりますが、基本は11月末ぐらいから計画をスタートしまして、1つのエリアですと10~20haぐらいのところを、2カ月間ぐらいをかけて実際の除染をやっていきます。ただ、これはちょうど時期的に冬ということと、今年は雪が多かったということもあって、若干遅れ気味なのですが、何とか3月末の報告会に向けて、情報を取りまとめている状況です。
 あと具体的に、どのような除染をやっているかという紹介です。代表的なところをかい摘んで説明させていただきます。62頁の上のほうの図です。こちらが、いわゆる宅地等の除染で、いちばん代表的なものとして、屋根の除染があります。こちらは主に、一般の汎用技術である1.5MPaの高圧水で、それほど特別なものではございません。こういった汎用のものを使って、屋根の除染を実施しているというのが、1つの代表的な事例です。このほか、拭き取り除染等を行っております。屋根の除染につきましては、屋根の材質、物理的な状態によって、かなり除染が難しいものもありまして、今後の課題の1つとなっております。
 63頁の下のほうです。こちらは雨とい、側溝の除去です。いわゆるホットスポットです。報道されているように、雨といの下など、そういった所に高いポイントがあります。そういった所は、いま自動化する技術がなかなかなくて、人海戦術で人が高いポイントを除いて、といなども溜まっているものを人が除去して、そのあと仕上げに高圧除染といったものを組み合わせて実施しているというのが実情です。
 64頁の下のほうで、公園の除染です。公園と言いますと、植栽、高木といったものが組み合わさっている所なのですが、植栽については剪定をして、葉っぱ等に吸着しているものを除染しようと。高木の剪定も一部をやっておりますが、なかなか高い部分の剪定をあまりやると木が死んでしまうというのもありますので、難しいところかなと思います。これはあとの森林除染にも関係するのですが、難しい除染ポイントの1つです。あとは、いわゆる下の部分で、セシウムは土壌にかなり吸着していまして、コケなどにも吸収されておりますので、そういった部分を効果的にとろうということで、表層の土壌除去をやっています。ただ、木の根が結構浅い所にあるものもありますので、なかなか重機で一気にというわけにはいかず、難しい作業だなというところです。
 65頁はグランドです。こちらは芝と、芝のない土のグランドで構成されているのですが、芝については芝刈りを実施しましたが、上のほうをとってもほとんど除染効果がないということで、剥ぎ取りを主体に実施しております。表土についても、表面の数センチを除去するといったことが、最も短期的に効果が出る方法ということで、そういったことを実施しております。
 65頁の下のほうの道路の除染です。こちらについては、通常の高圧除染に加えて、一部「スピンジェット」と書いてありますが、200MPaぐらいのさらに圧力の高い、アスファルトの表面が少し削れるぐらいの洗浄を試しております。こちらはかなり高い除染効果を示しております。
 こういった湿式の除染以外に、66頁の上のほうですが、「TS切削機」と書いてありますが、これは物理的に路面の表面を5mmぐらい削る、一般的な道路の更新等で使われている装置です。これが乾式除染としては、非常に有効な結果が出ております。ただ、TS切削機はかなり大型の機器になりますので、細かい部分についてはなかなかこの適応が難しいということで、ショットブラストを使って、こちらはいくつかのブラスト材で試していまして、いちばん効果的なのがスチールの、いわゆる細かな鉄のグリットを噴射させるタイプでした。こういったショットブラストなども、狭いエリア等の道路の除染には非常に効果的であるという結果が見られております。
 難しいのが森林の除染で、66頁です。いわゆる下草、腐植層です。そういった所の除染については、いかに効果的に除去するかということで、吸引作業車などを使って、いわゆる掃除機のように表面のものを吸い取っていく、空気輸送していくというのが、こういった車両が入れる所については作業効率がいいという状況です。ただ、ここに「高所枝打ち機」と書いてあるのですが、これはなかなか難しいです。こういうクレーンを使ってやるというのも試験的にはいいのですが、広域に適応するにはまだまだ課題があるという状況です。
 67頁は農地です。こちらもいくつかの方法を試しています。上のほうに記載していますが、重機を用いて、田んぼの表面を回収するといった方法も試しています。ここには書いていませんが、上の層と下の層を反転するというやり方もあるのですが、実際は農地が荒れてしまうとか、いろいろな問題もありまして、反転の農地への適用というのは難しい面があるということがわかっています。その下のほうは、固化剤を散布して、比較的表面だけを効果的に取っていくという方法です。これも農地への影響が少ないような材質のものを使ってやっております。これも1つの例として、技術実証の一環でやっております。
 こういった方法で、いろいろなケースに対して除染をやっております。発生した廃棄物については、69頁の上のほうにありますが、一般に売られているフレキシブルコンテナ、フレコンバックなど、いろいろな呼び方をされていますが、そういったものに収納して、下のポンチ絵のような仮置き場に収納するという方法で、仮置きを実施しております。
 こちらの仮置き場の例は地上タイプのものですが、いろいろな地形によっていくつかの方法がありまして、半分を地下に埋めるようなもの、谷のような地形を利用して仮置き場を設置するなど、いくつかの方法を試しています。
 70頁は、廃棄物の減容化の例で、上のほうは水の処理を書いています。こちらの水の処理については、いわゆる放流基準以下にすれば廃棄物になりませんので、濾過と吸着等の技術を使って、いろいろな方法を試しています。これは1例として、カラム式水処理装置を載せていますが、こちらは活性炭とカラムとゼオライトの充てんカラムで、放射性物質を吸着するというもので、比較的濃度が低い場合に適応します。濃度が高いものについては、東電でも有名になっているSARRYのモバイルタイプを利用することも試しています。ただ、かなり多くのポイントで行われているのは、通常の濾過で、ウルトラフィルターなどの一般の濾過、市販されている凝集沈殿剤を用いて、濾過と凝集沈殿を組み合わせると、たいていのところは問題ないレベルになるということがわかっております。あまり特別なものを使わなくても水の処理はいけそうだという状況です。
 固体廃棄物です。いちばんボリュームが出てくるのが、草木関係です。そういったものについては破砕をして、充てん密度を上げてバッグに詰めているということを試しています。1例ですが、破砕することによって27.4立米が3.8立米ですので、破砕をするだけで減容化が可能になります。そのほか、この破砕後のものを焼却処理をするといったことも、一部のモデルエリアで実施しております。
 71頁の上の図です。こちらは作業安全の観点での装備です。特に、警戒区域につきましては、中での作業は内部被ばく防止のためのタイベックススーツ、マスク、ゴーグル等を着けて、線量管理をして実施しています。こういった装備を着ける過酷な作業ですので、休息所を整備して、2時間から1時間半の作業に30分の休憩を入れるといった作業サイクルで作業を実施しています。
 実際の除染の効果の例です。Cグループの例、大熊町役場周辺ということで、1つの例として、約4.5haの部分の除染の状況を示しています。72頁の上も下も線量のマップを示しています。こちらは除染前のモニタリングの結果ということで、こちらの大熊町は、福島第1発電所から近い所で、いわゆる年間100mSvを超えるような高濃度汚染の地域です。除染前については、このような状況で、年間に100mSvを超えるような所が、グランド等を中心にかなり分布しています。こういった部分を、先ほど紹介した例と被りますが、73頁の上のほうですが、代表的な除染方法を使って除染をしております。
 ここには結果がまだ載っていないのですが、1例として、役場の屋上については73頁の上の絵の1つ目のポツとしてありますが、高圧水やワイヤーブラシで実施しまして、これによって4割から7割ぐらいの除染効果が上がっておりました。公園については、例えばコケの除去をするだけで6割ぐらい線量が下がっておりました。広場の土面域の表層土壌の除去をしますと、表層土壌の除去をしますので、かなり除染効果がありまして、90%以上の結果が出ています。こちらは大熊町での事例ということです。これらは、すべての地域について、情報をまとめている最中です。
 作業員の被ばくの状況ですが、大熊町のデータを速報で聞いてみたところ、平均の被ばくとして、1人当たり、1日約60μSvぐらいです。1日の作業時間が大体4~6時間で、6時間としますと、1時間当たり10μSvぐらいの被ばくがモニターされております。大体こちらのエリアは、除染前から除染後という形での、平均的な空間線量率にほぼ違わないような状況になっておりますので、いろいろな作業をやりますが、空間線量率と作業時間で大体の被ばくが決まっているような状況が見えてきております。簡単ですが、以上でございます。
○森座長 いまご説明いただいた件について、特にご確認いただきたいところがありましたらお願いいたします。
○小林委員 先ほど反転耕で農地が荒れるという話がありましたが、私たちも先日農家の方と懇談をしたときに、モデル事業で反転耕をやったために農地が荒れたという話がありました。それは先ほどのお話にありましたように、雪が降ったり、条件の悪い中で、本来であれば反転耕を行うべき水分条件ではない時に作業を行ったためにほ場が荒れるということであって、前提条件無しに反転耕をすると農地が荒れるということをここでお話いただくと、誤解される面があると思います。反転耕は効果があるけれども、条件によっては問題があるということだと思います。
○門馬委員 そうですね、それが正解だと思います。
○森座長 一通り資料についてご説明をいただきましたので、たくさんご質問があると思いますが、先ほどお話しましたとおり、本日の議論終了後に質問を出していただいて、取りまとめて次の議論に活かしていくという形の流れでいきたいと思います。
 残された時間は30分弱になりましたが、(3)「対策の検討に当たっての論点について」に入ります。今日は、特に論点を整理していくことを中心に進めていきたいと思います。全部で7つの論点がございますので、まず1、2、それから3と4、そして5、6、7という形で、3つに分けて順番にいきたいと思います。それでは1「被ばく線量管理の対象」及び2「被ばく線量管理の方法」について、事務局からご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 77頁の資料8についてご説明させていただきます。被ばく線量管理の対象をどうやって決めていくかが、いちばん大きな問題です。ご案内のとおり、ICRPの2007年勧告では現存被ばく状況、これは現在のように放射性物質が散らばっている状態ですが、この状態においては、長期的な改善作業、これは主に除染もあるでしょうし、インフラ復旧もあると思うのですが、それに加えて、影響を受けた場所での長期の雇用によっての被ばく、これは必ずしも汚染物質を扱うような作業でなくて、単に空間線量で被ばくするような場合も職業被ばくとして管理するべきだということです。ただ、ここで言っているのは長期の雇用ということですので、当然一定レベル以上、もっと言えば被ばく限度を上回る可能性のあるような作業を念頭に置いていると考えております。
 それから電離則については、管理区域は3カ月ごとに1.3mSvで、週40時間換算で1時間当たり2.5μSv相当になりますが、こういったエリアについては現在は線量管理を求めています。また、濃度については10,000Bq/kgという下限を切っております。除染電離則は、2.5μSv/hを超える地域については、個人線量計を付けていただいて、それ以下であって、なおかつ0.23μSv/hを超えるエリアについては簡易な線量測定を認めています。濃度については、除染作業のときには下限値を設けておりませんが、廃棄物の形になった場合には10,000Bq/kgという下限を置いています。検討の対象となる作業は先ほど申し上げたとおりです。
 78頁です。検討のポイントとしてはいくつかございます。第1点目は、今回の対策の適用の地域です。除染電離則については、除染特別地域と、汚染状況重点調査地域に適用してきたわけですが、これを引き続きそのまま使うのか、あるいはいま現在策定中と伺っておりますが、市町村の除染実施計画によって除染実施区域という、個別具体的に除染をやることが決まったエリアが決まってきますので、そこに限定するということも考えられるということです。
 作業の分類については、大きく2つ観点があると思っております。1つは、汚染された土壌等を取り扱うかどうか、汚染されたものを触わるかどうかです。それから、線量が高いか低いかです。イについては、汚染された土壌等を取り扱うかについて言えば、おそらくイの1にあるような作業、具体的にいえば災害復旧作業のうち土壌の掘削など、土を扱うような作業については当てはまります。営農、営林については、必然的にそうなります。それから処分の作業ですが、汚染物を処分するわけですから、当然当てはまります。それを付帯する保守修繕であるとか、運搬するような作業も同時にかかわってきます。
 一方、土壌を扱わない作業となると、先ほど申し上げた作業以外の屋外作業は触わりませんし、屋内作業というのは、基本的に触わらないということになろうかと思います。
 ウで、線量が比較的高い地域あるいは場所での作業が見込まれるか否かという観点から申し上げますと、まず、そういった作業が見込まれるのは、災害復旧作業、例えば道路の復旧などの仕事があれば、どんなに高い線量でも立ち入らざるを得ないような職業の方が考えられます。当然、それに付帯して保守修繕、運送という作業も、高い所に立ち入る人がいれば、それを運ぶ者が出てくるということです。
 一方、そういった高い地域に必ずしも行く必要がない事業というのがありまして、例えば製造業であれば、当然工場の中から外に出る必要はありません。また、病院、福祉施設、店舗についても、設置された屋内の中で作業をするのが原則です。そういった者にサービスを提供するような保守修繕、運送業についても、同じです。あるいはそのほかの屋内職業についても、基本は同じです。
 3つ目です。事業再開のあり方によるものですが、これは営農、営林につきましては、どの空間線量で、どの土の濃度で、営農、営林をするかによって決まってきます。これは事業実施側によって決まるということです。廃棄物の処分についても、処分の作業を行う場所、どこで処分するのかということで、これも事業実施側が決める問題ということになっています。
 エの汚染された土壌です。この数字をどうするかという議論があります。除染電離則については事前に測定を行うことが極めて困難ということですので、一定のエリアで行われる除染作業については、下限値なく、土に触る人は押し並べてということにしていました。一方、廃棄物の収集、運搬、保管については、10,000Bq/kgと下限を切っています。もう1つの2のオプションとしては、今回の新しい規則の適用は10,000Bq/kgと下限を切るという考え方もありますが、これは事前に測定するということが前提になりますので、実行上極めて困難であるということです。
 オです。線量が比較的高い地域あるいは場所の数字をどうするかという、非常に大きな問題があります。まず1つの考え方としては、職業被ばくの基準である電離則の管理区域相当で、これは年間5mSvということですが、その数字を使うという考え方があります。これはICRPのパブリケーション75で、おおむね年間5mSvから10mSvを超えるようなエリアにおいては、線量管理をすべきであることとも合致をしているわけです。2、3については、一般住民のための避難区域、あるいは除染のための数字で、除染の下限値として0.23μSv/h、それから避難区域の設定基準である3.8μSv/hという数字もあるということです。
 以上を踏まえまして、線量管理の対象を考えていくということですが、オプションとしてはいくつかありまして、1にあるのは、一定のエリアにおいて汚染土壌を扱う作業というのは線量管理をする。また、線量が比較的高い地域に立ち入る見込みのある方についても線量管理をするといった考え方がございます。2はもう少し広く考えて、一定のエリアに立ち入る人は、作業の内容を問わず、すべて線量管理をするといった考え方です。
 80頁は、線量管理を具体的にどのようにしていくかです。電離則については、外部被ばく線量については、個人線量計を必ず使う。内部被ばく測定については、経口摂取をするような場所に立ち入る者、汚染された管理区域に入る者は全員内部被ばく測定としています。被ばく限度については、5年間で100mSv、1年間で50mSvにしております。
 除染電離則については、先ほどご説明いたしましたとおり、0.23μSv/hを超えるエリアについては、押し並べて線量管理ですが、2.5μSv/hを超えるエリアについては個人線量計という取扱いをしています。内部被ばくについては、汚線濃度が500,000Bq/kgを超えて、なおかつ粉じんの濃度は10mg/m3を超える場合に限って、内部被ばく測定、それ以外についてはスクリーニングを行うという仕組みにしています。被ばく限度は電離則と同様です。
 検討のポイントとしては、まず外部被ばく測定の対象者をどう考えるかで、除染電離則のように2.5μSv/hという基準を使って、それ以上、それ以下で、個人線量計を使用する、使用しないといった形にするのか、あるいはすべての線量管理は、個人線量計で全員測定を行うといった考え方もございます。内部被ばく測定についても、除染電離則と同様に、500,000Bq/kg、あるいは10mg/m3といった高濃度土壌、高濃度粉じんを扱う者に限定するのか、あるいは一定の外部被ばくをされた方に限定するのか、全員するのかといったオプションがあるということです。
 81頁の被ばく限度については、ICRPの職業被ばくについては、現存被ばく状況での改善作業については、職業被ばくで管理するということがICRPの原則になっていますので、基本的には5年間で100mSv、年間50mSvというところが基準になろうとは考えておりますが、ほかに何かご意見があればいただきたいということです。以上です。
○森座長 いま1、2番のご説明をいただきました。時間を区切りながらの議論になりますが、ご質問、ご意見があればお願いします。
○杉浦委員 確認させていただきます。区域の見直しのご説明がありましたが、区域が見直されても除染特別区域は特に変わるものではないと考えてよろしいのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 除染特別地域につきましては、現時点では除染特別地域ではほぼ全面的に除染が実施される前提に立っておりますので、除染特別地域という地域以外が変わるとは考えておりませんが、一部線量が低い所がございますので、除染が実施されないエリアは出てくる可能性があります。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○古田委員 土壌等の除染のときには表層だけを剥ぎ取ってそれを取り扱うということで、高濃度になる可能性が十分にあるということで議論してきたかと思うのですが、今回の一般の作業で、そういった表層だけを取るという作業はあまりないように思えるのですが、そういった違いというのは考慮されているのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 これは実は大変大きな問題でして、除染の場合はまさに表面だけを切り取って、そのまま必ず保管する前提ですが、公共工事の場合は穴を掘ることが目的ですので、出てくるものが一体どれぐらいの濃度になるのかというのは、かなり難しい問題になります。そのため、取ったものについて、どのぐらいのレベルのものは保管するのか、それ以外のものはどう埋め戻すとか、そういったことも含めて考えないといけない問題ではあると思います。
○古田委員 感じとしては、表層を取ったものよりも低いかなという気はするのですが、例えば重機などでかき混ぜたりすれば、その下の低い層と一緒になってしまいますから、その辺も、どういった作業で、本当に表層だけを取って高くなる可能性があるかとか、その辺の情報があれば考えやすいと思うのですが。
○安井中央労働衛生専門官 そうですね。どちらかというと、事務局で復興庁との話になると思います。どのように作業をするのかに依存すると思いますので。
○復興庁尾澤参事官 そこはまだ決まっていないのです。すべて濃度という考え方でいくのか、濃い所は除染と同じ作業をして、取って、低い所だけを処分するのか。やり方というのは、持っていきようも含めて問題がありますので、そこをどうやるかというのは、まだ決まっておりません。
○安井中央労働衛生専門官 今回後ろのほうで出てきますが、この検討会でも十分に議論させていただきたいと考えております。
○古田委員 例えば除染を前提にして、除染が終わってからインフラ整備をする場所もあるだろうし、そうではなくて、一体でする場合もあるだろうし、場合によっては除染作業をしなくても、そのままインフラ整備に入ってしまう場所もある、こういった考えなのでしょうか。
○復興庁尾澤参事官 線量が低いと、インフラのときも除染はしなくていいと。年間1mSvより低かったら要らないですし、高いとなったときに本当にどうするかは、まだ決まっていないのです。作業としては、除染として取るか、混ぜて取るかの違いだと思うのですが、基本的に線量のあるものはきちんと保管をしたほうがいい、つまり混ぜて低くなったから保管しやすいかといったら、ボリュームだけが大きくなってよくないという考え方もあるわけです。それであれば、濃いけれども少ない分を保管したほうが賢いという考え方もありますから、そこのやり方というのは、現場、現場でどうするかはまだ決まっていないと思うのです。いま、まさにこれから復旧に向けてどうするかを考えているところですから、これからの重要なポイントだと思います。
○森座長 いまの話も、先ほどの除染の方法の話もそうなのですが、そもそも誰が作業の内容を決めるかということについてお聞きしたいと思います。多くの場合は国のレベルで決めるのか、市町村のレベルで決めるのか、それともそれぞれバラバラなスペックが作業ごとに出されるのか、その辺りはどうなのですか。
○復興庁尾澤参事官 インフラ復旧の場合に基本として考えられるのは、施設管理者が復旧をするということになります。そうすると、市町村の施設管理のものであれば、本来は市町村がやることになります。代行とか、いろいろな制度があって、市町村が国や県にお願いすることもありますが、基本的な考え方としましては、施設管理者が自らの復旧をするというのが、大前提になります。
○森座長 技術的には、何らかの形で、これまでの知見に基づいて、ガイドラインが出されるのでしょうか。
○復興庁尾澤参事官 いや、それは除染の作業を見ながらということが、いまやるとしたらいちばん大事なことだと思います。除染作業を見ながら、どうしたほうがいいかというのはあると思います。
○森座長 まだ議論はあると思いますが、それぞれの項目についての皆さんの意見も、今後集約させていただくということで、続いて3、4にいきます。事務局からお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 82頁のご説明です。3の「被ばく低減のための措置」です。これは除染電離則では、除染作業を行う前の事前調査、作業計画の策定、それに基づく作業を義務づけております。作業指揮者を置いて、そのとおりに作業した上で、作業届の提出、あるいはトラブルがあった場合の医師の診察等を定めているわけです。
 こちらの検討のポイントですが、汚染土壌を扱うような作業というのは、限りなく除染作業と同じと思いますので、こういった作業を義務づけるのに非常にフィット感があるということですが、その中でこの措置は要らないのではないかという議論はあろうかと思います。
 それから、汚染土壌を扱わない作業については、過剰な措置になるため、基本的に全部要らないのだという割り切りもあるでしょうし、あるいは外部被ばくによる被ばくの低減という観点から、事前調査で平均空間線量は測る、あるいはトラブルがあったときの医師の診察といったものは残すとか、そういった折衷案もございます。あるいは、被ばく線量管理だけをきちんとやって、何も要らないのだという考え方もあろうかと思います。
 83頁の汚染拡大の防止措置です。これについては、まず発じんの防止をするための湿潤の措置、それから先ほど議論がありましたが、廃棄物を収集、運搬、保管するための容器、保管の方法というのがございます。それから汚染検査、汚染を防止するための措置。それから身体、内部汚染の防止、これはマスクと保護衣です。
 検討のポイントとしましては、汚染土壌を取り扱う作業については、基本的に同じ規制でいいのではないかという考え方もありますし、あるいは先ほども議論がありましたが、復興・復旧、あるいは営農、営林については、大量の土砂を扱うわけですので、そういったものを保管する場合については10,000Bq/kgを超えるものに限定していいのではないかといった議論もあり得るということです。
 汚染物質を取り扱わない作業については、基本的には汚染物質を扱わないのだから何もしないでいいという考え方もあろうと思いますし、あるいはマスクについては、近くで作業を行うようなことも考えて、一定の措置は必要ではないかという考え方もあろうかと思います。以上です。
○森座長 ただいまの3、4番について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。よろしいでしょうか。先ほどのお話のとおり、内容についてはご理解頂いたということで、またご意見は改めて取りまとめをしたいと思います。残りの5、6、7番についてご説明をお願いいたします。
○安井中央労働衛生専門官 84頁の労働者教育です。これは除染電離則では一定の特別教育、イにある1から5に関する科目を学科が4時間、実技は1.5時間以上実施することで定めています。今回のものについては、先ほど来ご議論いただいた規制の内容が決まれば、それを実施するために必要十分な教育内容を定めるということになろうと思います。
 6の健康管理です。除染電離則については特殊健康診断、一般健康診断を6カ月に1回行うことを定めていまして、健診項目については、電離則と同様の項目を定めています。それから、健康診断結果の事後措置、記録の保管等が義務づけられています。
 検討のポイントとしては、健康診断対象者をどう考えるかという議論があります。これは線量管理の対象者を基本にはしつつも、当然のことながら作業の常時性という議論がございます。高い被ばくが見込まれる作業に常時従事する業務というのが一体どうなるのかということをご議論いただいた上で、決まっていくことかと思います。
 それから、健康診断項目については、現状の健康診断項目に不要な科目があるか、あるいは追加する科目があるかというご議論はいただきたいと思っております。
 86頁です。7はガイドラインのみで規定しているところですが、除染の場合は建設業的な重層下請が想定されていることもありまして、元方事業者による安全衛生管理の確立、被ばく状況の一元管理といったものをお願いしています。
 検討のポイントとしては、インフラ復旧作業というのはまさに建設業ですので、これについては非常に適用しやすいわけですが、建設業以外の作業、例えば製造業などといったものについては、なかなか馴染まないところもあるのかなと考えております。ただし、被ばく管理については、いわゆる施設管理者が一元管理をするというのが原発等では一般的ですので、そういったところについて、一定の責任を元方事業者に課すというのはあり得るのかなと考えております。
 そのほか、そもそもガイドラインに盛り込まれていない新しい項目があれば、それについてもご議論いただければと思います。以上です。
○森座長 5、6、7の部分で何かご質問、ご意見はございますか。
○建山委員 基本的に線量管理で作業員の健康管理をするということだと思うのですが、それ以外のところで、例えば作業の内容、作業方法といったところでも、一定のルールを決めて縛っていくと考えてよろしいのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 健康診断ですか。
○建山委員 健康診断とは別に、例えば1日当たりの作業時間あるいは作業内容といったものも、何らかのルール化をしていくと考えてよろしいのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 必ずしも法令上はそういった管理ではなくて、被ばく限度を超えないように管理してくださいとなっており、具体的に何時間働かせるかというのは、事業者が判断することになっています。ただし、1年に50mSv、5年で100mSvを超えない範囲で管理するように工夫をするということになりますので、個別具体的に、例えば労働時間を法令上に書き込むということはないと思います。
○建山委員 そこは事業者がガイドラインなり何なりを見ながら、自分たちで作るということですね。
○安井中央労働衛生専門官 自分で判断するということになります。
○建山委員 わかりました。
○森座長 前回の除染作業の議論でも、事業者がどのくらいの規模の企業なのかということが問題になりました。当然7の安全衛生管理体制というのは、業務の請負方によって管理体制が随分変わってくると思います。先ほど林野庁さんからのご説明の中に、個人事業主のような方が非常に多いということがありました。それは直接業務を請け負っているのか、最初にどこか取りまとめをする大きな元方事業者があって、個人の方に請け負わせているのか、その辺りはどのような関係になっているのですか。
○林野庁井出室長 下請に入っているときもございますし、どちらもあります。要するに、山の持主の方との直接契約で伐採の仕事を請け負うときは、直接契約になりますし、私どもの世界だと森林組合といったような、わりとしっかりした組織もございますが、そこが発注したものを請けるという形で、ある意味下請的な形で入るときもございます。
○森座長 今回、省令でカバーする範囲は、個人事業主は直接的な対象にはならないけれども、ガイドラインに従ってやってくださいというような位置づけになるのですか。
○安井中央労働衛生専門官 法令上は、一人親方の方は労働法上の労働者になりませんので適用はございません。ガイドラインは適用できます。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○古田委員 今回は法令規則ではなくて、すべてガイドラインでカバーするという考えなのですか。
○安井中央労働衛生専門官 現在と同じようにガイドラインと規則があって、それをやや広い適用対象のガイドラインで包むというよう考えです。
○古田委員 では、第3の電離則のようなものができるという。
○安井中央労働衛生専門官 新しい規則を作るか、改正するかは決まっておりませんが、省令で定めることを考えています。
○森座長 ほかにいかがでしょうか。
○建山委員 先ほどの点で、例えば復旧工事などですと、計画を立てる上で作業員の人がどれだけ要るとか、工事量を事前に計画する人がいると思うのですが、そのときに先ほど言ったように、作業性を押さえておく必要があると思うのです。そうなったときに、先ほど原子力研究開発機構さんから少しお話がありましたとおり、例えば空間線量と時間との関係で非常に密接な関係があるという話がありましたので、そういうデータを基に、事業者がそういう計画を立てていくことになると思うので、その辺りの情報は提供していただけるのでしょうか。
○安井中央労働衛生専門官 82頁で事前調査を行うということになっておりますので、事業者に調査を行うことを義務づける形になります。実態論としては、復興庁さんからデータがございましたように、発注者側からかなりの線量データは提供されるとは思いますが、一義的には事業者に義務を課すという形にはなると思います。
○建山委員 事業者が調査までを含めて設定するということですね。
○安井中央労働衛生専門官 はい。
○森座長 よろしいでしょうか。それでは時間になりましたので、本日の議論はここまでにしたいと思います。今後の作業としまして、最初に資料の4から7について、たくさんの背景となる情報をたくさんいただきました。これについて、まだまだご質問はあると思いますので、これらについて、まず質問をいただきたいと思います。2つ目に、資料8に基づいて、今後の作業の論点を議論していただいたわけですが、これについても確認すべき質問があると思います。それから、それぞれの論点ごとに、対立した意見や可能性がかなり示されておりますので、それらについてもコメントを積極的に出していただきたいと思います。この委員会は、特にそれぞれの専門が異なる方が集まっていらっしゃいますので、この辺りは自分が意見を出すべきだと思うような場所があれば、特に意見を出していただくという形にしたいと思います。
 それから、今日は3名の欠席の委員の方もいらっしゃいますので、それぞれの専門性を考えて、特にこの辺りは意見を出してほしいということを、事務局からお伝えください。それを取りまとめて、次回はそれらを基にして具体的な議論を進めていくといいのではないかと思っています。是非よろしくお願いします。
 事務局から、あらかじめそのような質問やコメントは、3月15日までということになっております。前回の委員会のときは、3日後とか2日後ということだったのですが、今回は1週間もあるということで、前回に比べれば、でありますが、時間的な余裕がある感じがいたしますので、是非よろしくお願いいたします。
 それでは、次回の予定について事務局からご説明ください。
○安井中央労働衛生専門官 次回の予定です。3月27日(火)の18時から20時です。場所については追ってご連絡させていただきます。
○森座長 椎葉課長から何かございますか。
○椎葉労働衛生課長 特にございません。以上で第7回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会を終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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