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2011年12月26日 第98回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成23年12月26日(月)
16:00~16:30


○場所

中央合同庁舎5号館17階 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、岩村委員、権丈委員、田島委員、村中委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

工藤委員、島田委員、新谷委員、?松委員、中島委員、宮本委員、安永委員

【使用者代表委員】

池田委員、伊丹委員、田中委員、三浦委員、宮地委員、輪島委員

【事務局】

金子労働基準局長、熊谷審議官、前田総務課長、田中労働条件政策課長、青山労働条件政策課調査官

○議題

1 有期労働契約について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 では、定刻となりましたので、ただいまから第98回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催することにいたします。
 本日は使用者代表の伊藤委員が御欠席ということでございます。
 また、村中委員が若干遅れて来られるということでございます。
 議事に入ります前に、定足数につきまして事務局の方から報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○青山調査官 定足数について御報告いたします。
 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数が満たされておりますことを御報告申し上げます。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りたいと存じます。お手元の議事次第にございますように、本日の議題は「有期労働契約について」ということでございます。
 前回の分科会におきまして「有期労働契約の在り方について(報告)(案)」というものを提出いたしまして、御議論をちょうだいしました。
 本日は、前回の御議論というものを踏まえて修正を加えたものが資料No.1ということで、改めて事務局から提出されております。
 それでは、まず事務局から資料の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○澁谷労働条件政策課課長補佐 それでは、資料No.1を説明させていただきます。読み上げをもって説明に代えさせていただきます。
有期労働契約の在り方について(報告)(案)
 有期労働契約の在り方について、労働政策審議会労働条件分科会において平成22年10月26日以後、17回にわたり検討を行い、精力的に議論を深めてきたところである。
 労働契約の期間の定めは、パート労働、派遣労働などを含め、いわゆる正社員以外の多くの労働形態に関わる労働契約の要素であるが、労働市場における非正規労働者の割合が増大している中で、有期労働契約の利用に関する明確なルールがないことによる問題として、有期契約労働者の立場からは雇止めへの不安や処遇に対する不満が多く指摘されている。
 また、有期労働契約が雇用機会の確保や業務量の変動への対応に一定の役割を果たす一方で、労働者の継続的な能力形成や処遇の改善における課題も指摘されている。
 こうした有期労働契約の利用に関する課題に対処するためには、有期労働契約の適正な利用のためのルールを明確化していく必要が高まっていると考えられる。
 このような考え方に基づき等分科会において検討した結果、有期労働契約の締結、更新、終了等に関するルールについて、下記のとおりの結論に達したので、報告する。
 この報告を受けて、厚生労働省において、次期通常国会における労働契約法の改正をはじめ所要の措置を講ずることが適当である。

1 有期労働契約の締結への対応
  有期労働契約は、合理的な理由がない場合(例外事由に該当しない場合)には締結できないような仕組みとすることについては、例外業務の範囲をめぐる紛争多発への懸念や、雇用機会の現症の懸念等を踏まえ、措置を講ずべきとの結論には至らなかった。
2 有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応
  有期契約労働者の雇用の安定や有期労働契約の濫用的利用の抑制のため、有期労働契約が、同一の労働者と使用者との間で5年(以下「利用可能期間」という。)を超えて反復更新された場合には、労働者の申し出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み(転換に際し、期間の定めを除く労働条件は、別段の定めのない限り従前と同一とする。)を導入することが適当である。
  この場合、同一の労働者と使用者との間で、一定期間をおいて有期労働契約が再度締結された場合、反復更新された有期労働契約の期間の算定において、従前の有期労働契約と通算されないこととなる期間(以下「クーリング期間」という。)を定めることとし、クーリング期間は、6月(通算の対象となる有期労働契約の期間(複数ある場合にあっては、その合計)が1年未満の場合にあっては、その2分の1に相当する期間)とすることが適当である。
  また、制度の運用にあたり、利用可能期間到達前の雇止めの抑制策の在り方については、労使を含め十分に検討することが望まれる。
  さらに、制度導入後に締結又は更新された有期労働契約から、利用可能期間の算定を行うこととすることが適当である。
  なお、この仕組みによる期間の定めのない労働契約への転換が初めて生じ得る時期から3年を経過した場合において、利用可能期間満了前の雇止めが懸念された議論の過程を踏まえ、施行の状況を勘案し、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとすることが適当である。
3 「雇止め法理」の法定化
  有期労働契約があたかも無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、又は労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない雇止めについては、当該契約が更新されたものとして扱うものとした判例法理(いわゆる「雇止め法理」)について、これを、より認識可能性の高いルールとすることにより、紛争を防止するため、その内容を制定法化し、明確化を図ることが適当である。
4 期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消
  有期契約労働者の公正な処遇の実現に資するため、有期労働契約の内容である労働条件については、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、期間の定めを理由とする不合理なものと認められるものであってはならないこととすることが適当である。
5 契約更新の判断基準
  有期労働契約の継続・終了に係る予測可能性と納得性を高め、もって紛争の防止に資するため、契約更新の判断基準は、労働基準法第15条第1項後段の規定による明示をすることとすることが適当である。
6 1回の契約期間の上限等
  労働基準法第14条の1回の契約期間の上限については、現行の規制の見直しの有無について引き続き検討することが適当である。
7 その他
  雇止め予告を法律上の義務とすること及び有期労働契約締結時に「有期労働契約を締結する理由」を明示させることについては、措置を講ずべきとの結論には至らなかった。
以上でございます。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 報告(案)につきまして読み上げて説明をいただきました。修正箇所などにつきまして、事務局の方から補足説明があればいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○田中労働条件政策課長 1点だけ補足をさせていただきます。
 記2の第2段落目「この場合」以下の部分でございます。この段落につきましては、ここに定義しておりますとおり、クーリング期間について述べた部分でございます。クーリング期間についてはここで6月と記載させていただいておりますが、そこに括弧が付いております。括弧の「通算の対象となる有期労働契約の期間(複数ある場合にあっては、その合計)が1年未満の場合にあっては、その2分の1に相当する期間」というふうにございます。
 1年以上の場合には6月のクーリング期間が必要としつつ、契約期間が1年未満の場合、例えば8か月のような場合については、その2分の1に相当する期間でございますので、4月あればこれはクーリング期間であると記載させていただいております。
 更に「複数ある場合にあっては、その合計」と書いてあります。例えば8月の契約期間の後、2月の間隔を開けて更に8月の契約を結んだとしますと、8月の契約の後に2か月しか空白期間がございませんので、ここで言う2分の1に相当しない、それに満たないということでクーリングされません。そうしますと8か月と、その次の8か月を足していただきまして、16か月に対してクーリング期間を決めるということでございます。16か月、すなわち1年以上でありますので、その際には原則に戻って6か月のクーリング期間が必要だということでございます。
 若干複雑な部分がございますので、括弧書きで記載させていただいております。
 以上、補足をさせていただきます。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました報告案につきまして、議論を行いたいと存じます。御意見あるいは御質問などがありましたらお願いしたいと思います。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 1年以上にわたりまして、このテーマで論議を重ねてまいりました。今回まとめていただきました報告案につきましては、労働側といたしましてはこれまでの審議の状況をおおむね反映していただいていると思いますので、報告内容については基本的に異論はございません。
報告をとりまとめるに当たりまして、意見と要望を3点申し上げたいと思います。
第1点目、有期労働契約は非正規労働問題の中心的な課題と私どもはとらえておりますが、有期労働契約については、これまで法的な整備が十分に取り組まれてこなかったという認識があります。今回、雇用の不安定と処遇格差など、有期労働契約の課題の改善に向け一定の法整備が図られることの意義は大変大きいと考えておりまして、このとりまとめ内容については評価をしたいと思います。
第2点目は、この報告案の記2のところにまとめていただいております、利用可能期間の制限についてです。これについては我が国で初めてこのような規制を導入するということですので、報告にも記載がありますように有期の期限直前に雇止めが起こる懸念がある。これの抑制策について十分に検討することが重要であると考えています。
また、クーリング期間であるとか、無期の際に労働者の申し出ということが要件になっておりますので、実際の運用に関わる部分については、詳細事項について、今後引き続き検討をして詰めていくことになると思います。その際、労使に無用な混乱や誤解の生じることのないよう、明確に定めることが重要であると考えています。また、この報告書案にもまとめていただいておりますように、法施行後の検証がこの中に盛り込まれましたが、必要に応じて制度の見直しを行うことが重要であると考えています。
第3点目、今回この報告書には盛り込まれておりませんけれども、今回の有期労働契約の法整備でありますとか、今、国会で継続審議になっている労働者派遣法の改正法案等々、労働関係諸法の適用を回避する目的とした個人請負への移行が起こらないように、対策をとることが必要であると考えています。労働基準局はもとより、厚生労働省全体としてこの問題に対する認識をいただきまして、必要な対応をとっていただきたいと思います。
意見と要望については3点です。
以上の意見や要望を申し上げまして、労働側といたしましては、この報告案を了承したいと思います。
分科会長始め、公益の先生方、関係者各位に感謝を申し上げたいと思います。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでございましょうか。審議官、お願いします。
○熊谷審議官 今ほど労働側のお話の中で要望というものが1点ございましたので、事務局の方から御説明をさせていただきたいと思います。
 今ほどお話にありました、労働契約から契約形態が請負等の契約に変わるケースについての御懸念の表明があったわけでございますけれども、労働関係法令はその実態を見まして実質的に使用従属関係が認められる等によりまして、労働者性が認められる場合には当然に適用されるというものでございます。
 今後とも引き続きまして労働基準関係法令、これは労働者である限りきっちりと適用してまいるということで、しっかりと対応してまいりたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでございましょうか。輪島委員、どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
 私どもの考え方ということで、意見と要望を申し上げたいと思っています。
 まず、本日このような形で報告の案をお示しいただいたということでございますけれども、これまでの審議会で議論した中身、審議会での議論を踏まえた内容となっていると考えておりますので、その点については理解をしております。
 しかしながら、労働市場への混乱であるとか、企業の人事管理上の実務的な負担増ということが心配されていると考えておりまして、その点の心配が完全にぬぐい切れるという状況ではないと思っております。
 また、現下の厳しい経済情勢の中での規制強化となりますものですから、私どもとしては慎重に考えるべきだと考えております。
 要望でありますけれども、とにかく今回の審議会での特徴なのかもしれませんが、時間が余りにも短くて、実質的な審議の時間がなかったということが、振り返ってみれば大変悔やまれる点であります。今後につきましては分科会長にも審議会の日程等々も含め、御配慮をいただきたいと考えているところであります。
 私の方からは以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 今、御要望としてありました審議会の審議の進め方については、今後注意してまいりたいと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。三浦委員、どうぞ。
○三浦委員 ありがとうございます。
 今回、確かに議論する時間が十分ではなかったと思っております。特に例えば労働者の能力形成を継続的に行っていく場合、これは一企業の中だけで解決できる問題ではなくて、もう少し幅広く労働市場における能力形成、一企業を超えた能力形成の問題についても考えなくてはいけないということがあるだろうと思います。
 もう一つ、制度改正の影響というのは、特にそれへの対応能力というものが小さい中小企業に大きな影響を与えるところが、かなり考えなければいけない問題であると考えております。そういったことがこれからも十分考慮されて議論がされるということを希望するということで、意見を述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○岩村分科会長 ありがとうございました。
 ほかよろしゅうございますか。
 それでは、この分科会では昨年10月に有期労働契約の議論を始めまして、精力的に御議論をいただいてきたところでございます。報告書案につきましても前回と今回の2回にわたって議論をいただき、この間、労使双方がその考え方、立場が大きく異なるという状況の中ではございましたが、真摯にこの課題に向き合っていただき、あるべき方向性を模索していただいたところでございます。
 私としましては、この辺で議論を終えて、本分科会の意見をとりまとめるということが適当な時期に至ったのではないかと考えております。
 そこで、皆様に以下のような御提案をさせていただきたいと思います。
 有期労働契約の在り方につきまして、この分科会の検討結果といたしまして、報告(案)の内容で労働政策審議会の本審に報告をし、更に厚生労働大臣に建議をしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村分科会長 ありがとうございます。
 それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
 では、事務局の方で建議と報告のカガミを配ってください。
(資料配付)
○岩村分科会長 それでは、お手元にあります建議と報告の案について御確認をいただきたいと思います。
 労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規定によりまして「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」と定められております。
 そこで、今、配付いただきましたカガミ文の内容で会長に報告をし、この報告のとおり厚生労働大臣あて建議を行うことにしたいと考えますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように取り計らいたいと思います。
 この段階まで御議論いただきました委員の皆様の御協力に、改めてこの場で感謝を申し上げたいと存じます。
 労働基準局長から、ここでごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○金子労働基準局長 ただいま有期労働契約の在り方について建議をいただきました。
 昨年10月以来、17回にわたりまして分科会長始め、委員の皆様方に大変御熱心に議論をしていただきました。本日とりまとめていただきましたことに、深く感謝を申し上げたいと存じます。
 有期労働契約の適正な利用のための、重要な内容の建議をいただいたと受け止めております。この建議を基に所要の法案等を作成いたしまして、改めて本分科会にお諮りした上で、次期通常国会に法案を提出したいと考えております。
 委員の皆様方には、これまでの多大なる御協力に改めて感謝を申し上げますとともに、今後とも厚生労働行政、労働基準行政に対しまして、一層の御支援をいただければ幸いと存ずるところでございます。
大変ありがとうございました。
○岩村分科会長 それでは、事務局におかれましては今日の建議に基づいて法案作成作業を速やかに進めていただき、本分科会に法案要綱を諮問していただくよう、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、事務局の方からございますでしょうか。
○青山調査官 次回の労働条件分科会の日程につきましては、調整の上、委員の皆様にお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○岩村分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきます。
 なお、議事録の署名でございますが、労働者代表につきましては宮本委員に、使用者代表につきましては田中委員にお願いをいたします。
 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。これで閉会といたします。


(了)

労働条件政策課
企画係(内線5353)

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