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2011年12月26日 社会保障審議会年金数理部会(第49回)議事録

○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、翁委員、田中委員、 野上委員、林委員

○議題

 (1)平成22年度財政状況について
    -厚生年金保険・国民年金(基礎年金)-
 (2)その他

○議事

○田村首席年金数理官
 定刻になりましたので、ただいまより第49回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
 審議に入ります前に、前回の6月の部会開催以降に事務局で異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。
 大臣官房審議官(年金担当)の蒲原でございます。
 年金局総務課長の藤原でございます。
 大臣官房参事官(資金運用担当)の原口でございます。
 次にお手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。
 資料1は「平成22年度財政状況-厚生年金保険-」でございます。
 資料2は「平成22年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」でございます。
 配付資料は以上でございます。
 次に本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は駒村委員、佐々木委員が御都合により御欠席とのことでございます。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長
 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保に関し、毎年度財政状況の報告を受けることとなっております。今回は報告書のとりまとめとヒアリングの時期を早めましたために、一部間に合わないデータがあります。その部分は後から報告書作成までに御報告いただけることになっております。
 本日は、厚生年金保険及び国民年金の平成22年度財政状況についての報告を聴取いたします。
 それでは、お願いいたします。

(厚生年金保険・国民年金(基礎年金)関係者着席)

○山崎部会長 
まず厚生年金保険の報告を聴取いたします。それでは、説明をお願いいたします。

○安部数理課長
 よろしくお願いいたします。
 まず厚生年金保険の22年度の実績につきまして、御報告を申し上げます。
 基本的に財政関係につきましては、私、数理課長の安部から御報告いたしまして、受給者、被保険者の実績に関しましては、事業企画課の調査室長の真鍋から御説明を申し上げます。よろしくお願いいたします。
 それでは「厚生年金 平成22年度財政状況等の概要」ということで、1ページ目に「1.収支状況」ということで、過去5年分の実績を並べてございます。一番右側には平成21年度から22年度にかけての比較、差額と伸び率を表示いたしております。
 主な項目につきまして、簡単に御説明を申し上げますと、収入でございます。
 収入の一番上に保険料という項目がございまして、今回、伸び率にいたしまして、+2.2%となってございます。保険料率は毎年上昇させてきておりますけれども、今回の2.2%というのは、ほぼ保険料率の上昇の分の影響でございます。それに標準報酬総額を乗じるわけでございますけれども、あとの実績のところにもございますが、21年度から22年度にかけましては、標準報酬総額はほとんど変化をいたしておりません。そのために保険料率の上昇分だけ保険料収入が増加したというのが、22年度の実績でございます。
 その下に国庫負担というものがございます。これは基本的に基礎年金に係る国庫負担、あとは厚生年金独自の国庫負担もございますけれども、大部分は基礎年金に係る国庫負担でございますが、これが8.1%と大きく伸びております。これは支出の方で御説明いたします基礎年金拠出金が増えていることに伴うものでございますので、これは後で基礎年金拠出金の方で御説明を申し上げます。
 運用収入でございますけれども、ここに2つ書かれておりますのは、括弧の外にありますのは簿価ベース、括弧の中にありますのが時価ベースということでございます。時価ベースでごらんいただきますと、平成21年度は非常に運用環境がよく、大きかったわけですけれども、平成22年度は一番下の運用利回り〔時価ベース〕にございますように、-0.26%という状況でございますので、それを反映いたしまして、約-3,000億という時価ベースでの運用収入のマイナスとなったところでございます。
 その下に基礎年金交付金とございます。これは後半の国民年金のところで少し御説明を申し上げますけれども、昭和61年にこの制度が導入されましたが、その時点で既に厚生年金とか国民年金の年金として裁定された方に対する年金額の中にも基礎年金に相当するものがございまして、それらも含めて、総額を全部基礎年金拠出金として一旦集めた上で、例えばここでいいますと、厚生年金の名前で出ていくものにつきましては、交付金という形で基礎年金勘定からお金が流れていって、それが厚生年金の給付として支給される。そういう構造になっておりまして、基礎年金としてみなされる分についての費用、基礎年金勘定から入ってくる額、これが基礎年金交付金でございます。したがいまして、基本的にこれはかなり高齢の方の給付になりますので、時系列としては減少傾向にあるということで、21年度から22年度にかけましては-5.6%ということで、減少いたしているところでございます。
 下に幾つか項目がございますが、大きなところでは、積立金より受入ということです。これは基本的に平成22年度に予算を組む段階で、収入と支出を見込みまして、大体これぐらい積立金から受け入れる必要があるということで計上されたものを、決算もそのまま使いますけれども、平成22年度におきましては、約6兆3,000億ということで、平成21年度に比べますと、増加をしているという結果でございます。
 以上が収入でございます。
 一方、支出でございますけれども、大きくは給付費と基礎年金拠出金になりますが、給付費の方は約24兆円ということで、伸び率では0.7%ということで、かなり低い伸び率になっております。これは2つの要因がございまして、20年度から21年度をごらんいただきますと、かなり大きく伸びております。21年度から22年度は余り伸びないという結果になっているんですが、21年度に大きく伸びました1つの要因といいますのが、昨年も簡単に御説明いたしましたが、年金時効特例法というものが平成19年に成立いたしまして、これは記録が訂正になった場合、さかのぼって支給されるわけなんですけれども、従来は時効で5年分しかさかのぼりをしなかったものを、時効をなくすという措置が平成19年に法律改正が行われまして、さかのぼりの給付が21年からかなり本格的に出始めております。そのために20年度から21年度というのはかなり大きく伸びました。22年度もその給付というのはかなり出てはおるんですけれども、伸び率にいたしますと、21年度より22年度の方が若干少な目になっているということで、伸び率で見たときに、これが少しマイナス要因になっているということが1つでございます。
 もう一つは、支給開始年齢を段階的に引き上げておりますけれども、ちょうど21年度から22年度にかけて、男性の定額部分の支給開始年齢が1歳引き上がっております。
 その2つの要因で、21年度から22年度にかけての給付費の伸び率というのが0.7%と低目になっているという結果になっております。
 その次でございますが、基礎年金拠出金の伸び率が7.9%ということで、かなり高い伸び率になっております。これが上の収入の基礎年金の国庫負担の伸び率の8%に反映されているわけです。
 収支の中で出てくる基礎年金拠出金といいますのは、22年度の概算の拠出金と2年前の平成20年度の分の精算の拠出金の合計になるわけなんですけれども、概算拠出金を計算する際にいろいろと前提を置いて計算をするわけなんですが、1つ、国民年金の納付率をどういうふうに設定するかということが前提としてあります。21年度まで概算拠出金を計算する際には、国民年金の納付率は80%と見込んでやっておりました。平成22年度からは大体実績を踏まえまして、22年の概算のときには納付率62%と見込んで計算をいたしました。そのために総額としては影響があるわけではないんですけれども、制度ごとのシェアが変わりまして、厚生年金の概算拠出金がその分増加をするという結果になっております。
 これはあくまでも経理上、概算、精算というやりとりをすることに伴う影響でございまして、概算のときにどういう設定をしようとも、2年後の精算で、すべて確定値で調整いたしますので、長期的な財政にこの取扱いの変更が影響を与えるわけではないんですけれども、毎年の数字を見ていくときには、それが増えたり、減ったりする要因になるということで、今回はそれが増要因になっているということで、平成22年度の基礎年金拠出金の伸び率が高くなっているという結果でございます。
 以上のような収入、支出の結果といたしまして、収支残というところでごらんいただきますと、簿価ベースで約+3,000億、時価ベースで見ますと約-2,700億という結果になっております。
 年度末の積立金も、簿価ベース、時価ベース、ここに表示しているとおりでございます。
 一番下は先ほど申し上げました平成22年度の運用利回りですが、-0.26%という結果となっております。
 これが平成22年度の収支状況でございます。
 2ページ目は、今、御説明いたしましたお金の流れを図でお示ししたものでございます。これは後ほどごらんをいただければと思います。

○真鍋調査室長
 調査室長でございます。
 しばらく実績について御報告申し上げたいと思います。
 3ページの「2.給付状況」でございます。
 一番上の右の列を見ていただきますと、受給権者数、全体では4.6%伸びております。
 そのうち老齢相当、基本的には被保険者期間が20年以上ある方々の老齢年金ですけれども、これは受給権者数でいうと4%伸びているところでございます。
 下にいっていただくと、年金総額とありますけれども、それにつきましては、全体で1.4%の増、老齢相当ですと0.8%の増となっております。
 先ほど説明がありましたけれども、今、定額部分の支給開始年齢が徐々に引き上がっている最中でございまして、男子の定額部分の支給開始年齢が平成22年度に63歳から64歳に引き上がったわけですけれども、その影響が大きく出ておりまして、平均年金額でいいますと、3.2%落ちております。ですから、老齢相当でいいますと、人数は4%伸びていますけれども、平均年金額では-3.2%ということで、結果的に年金総額は0.8%増にとどまっているところでございます。
 4ページを見ていただきまして、今-3.2%と申し上げましたけれども、下の方の表を見ていただきますと、男女合計の一番上の老齢年金平均年金月額(老齢相当)の一番右の列を見ていただきますと、3,637円減って、伸び率でいうと-3.2%ということで、先ほど申し上げた数字でございます。
 ただ、厚生年金として払われているものの平均はこの額でございますけれども、実際には老齢基礎年金も払われるわけですので、男女合計でいいますと、下の表の上から4列目、老齢基礎年金月額を加算した平均年金月額ということで、これが15万406円、これぐらいの水準であるということでございます。
 5ページは同じような表を男女別に見たものでございますけれども、22年度につきましては、男子の定額部分の引き上げの影響が大きく出ておりますので、例えば老齢年金平均年金月額、上の方の数字でもいいんですが、22年度で13万815円ということで、昨年度に比べて5,137円落ちている。これは定額部分の引き上げの影響が大きく出ております。女性でいいますと、平均6万9,980円で、214円のマイナスということで、下がり方が全然違うわけですけれども、これは平成22年度は女性について定額部分の引き上げの影響がないからでございます。
 そこをきちっと見ていただくためには、ちょっと飛ぶんですけれども、7ページからになります。7ページは男女合計、8ページが男性なんですが、これは新法について60歳、61歳、62歳、63歳、64歳と、60代前半について年齢別の平均年金月額を出しているものでございますが、一番左の平成19年3月末から見ていただくと、60歳未満はちょっと置いておいていただきまして、60歳、61歳ですと10万円台、10万2,000円とか10万8,000円となっていますけれども、62歳以降は18万円台ぐらいになっております。つまりこの差は、61歳、62歳については、報酬比例部分しか支給されていませんけれども、62歳以降の方については、定額部分プラス報酬比例部分が支給されているということの差です。
 右にいっていただくと、20年3月末、ここで男子の定額部分の支給開始年齢が引き上がっていますので、62歳までが10万円台、63歳以降が18万円台となります。
 これが3年続きまして、一番右の23年3月末となりますと、更に1歳引き上がったということで、63歳までが10万円台、64歳の方が17万7,000円ということで、こういうふうに見ていただくと、定額部分の支給開始年齢引上げの影響がよく分かります。
 ですから、63歳のところだけ見ていただいて、一番右の前年度との比較というものが出ていますけれども、ここが6万8,080円と甚だしく下がっているように見えますが、これは定額部分もあったときの額と報酬比例部分だけになった場合の額ということで、その影響がよく分かるところでございます。
 9ページは、同じ表で女性ですけれども、女性につきましては、19年3月末で見ますと、60歳までと61歳以降で水準が違うということです。女性の場合はかなり年金額が低いですから、報酬比例部分だけですと4万円代台、定額部分が付いて10万円台といったところなんですけれども、19年3月末から21年3月末までが60歳と61歳の間で差があって、22年3月末以降は61歳と62歳の間でギャップができていることを見ていただけるかと思います。
 10ページは、老齢相当の受給権者の年齢構成でございます。これは余り大きく変化はございませんで、平均年齢でいいますと、昨年より0.1歳ぐらい引き上がっているところでございます。
 11ページは適用の方でございまして、被保険者数は昨年に比べまして微増でございます。平均年齢も0.2歳ほど引き上がっているところです。
 3段目の標準報酬月額の平均ですが、これは年度末で比べますと、21年度と22年度では全体で0.5%引き上がっているように見えます。
 下の段にいっていただきますと、標準報酬月額年度累計とございます。賞与はちょっと置いておきまして、毎月の標準報酬の年度累計の総額でございますけれども、これは前年度と比べますと5,600億下がって-0.4%となります。標準報酬月額の平均というのは、大体通常の年ですと、4月から少しずつ下がり始めて、6月ぐらいがボトムで、また上がっていって、更に年度末に向けて少しずつ下がるというカーブを描くんですけれども、21年度はちょっと変わった動きをしていて、年度始めから年度末にかけてどんどん下がっていったんです。そのため、21年度については、年度末が低かった、カーブも描かずどんどん下がっていったものですから、21年度末が低くて、22年度と21年度を年度末で比べますと増えているように見えるんですけれども、年度全体で見ますと、22年度は前年度と比べて下がっているということになります。
 次の行が標準賞与年度累計、ボーナスの累計でございますが、これは若干増えていまして、5,641億円の増、率で2.6%ということですが、結局、保険料収入への影響という意味では、この標準報酬月額と標準賞与額の総額に対して賦課されているわけですから、-5,600億と+5,641億ということで、若干のプラスになっているということでございます。
 12ページからは被保険者の年齢分布でございます。12ページは男女合計、13ページは男性ですが、これは昨年度に比べて余り大きな変化はございません。昨年度も今年度も第2次ベビーブームの方が30代後半にいますから、男子でいうと、そこが一番割合が大きいといったところでございます。
 14ページは女子ですけれども、女子はまた別の要因があり、20代後半が一番多い、これも昨年と同様の分布でございます。
 15ページですけれども、これは標準報酬月額の分布でございます。これにつきましても、ほとんど昨年と同じで、22万円台が一番多いという分布をしております。

○安部数理課長
 それでは、資料の16ページ以降でございますが、16ページは積立金の運用状況でございます。先ほどの収支状況のところで御説明いたしましたとおり、真ん中よりやや下に運用利回りがございますが、22年度は-0.26%という結果でございました。
 17ページでございますけれども、先ほど御説明いたしました収支状況が、平成21年財政検証と比較してどうであったかというものでございます。
 一番上の欄が実績ということで、これが先ほど1ページ目で御説明いたしました数字なんですけれども、ただ、これと平成21年財政検証を比較できるようにするためには、何点か補正をする必要がございます。
 補正をいたしました結果が2行目の実績推計という欄でございますけれども、どのような補正をしているのかということを表示いたしておりますのが、下の特記事項の1つ目の○でございます。簡単に御説明いたしますと、マル1~マル5の5つの補正を行っております。
 マル1でございますけれども、先ほど簡単に御説明いたしました基礎年金交付金というものがございます。これは一旦基礎年金拠出金として集めて、また給付として支払われるということで、実質的には出と入りとが同じになるものでございます。財政検証ではそこは相殺した形で表記をいたしております関係で、実績推計ということで補正をする際には、収入、支出の両面から控除するという操作を行っております。具体的には収入のところには基礎年金交付金という欄がございます。1.9兆円ございますが、これをそのまま差し引く。支出の方はこれが給付費の中に入っておりますので、給付費の方から1.9兆円を差し引くという操作をやっております。これがマル1でございます。
 マル2につきましては、厚生年金基金の代行部分に関する処理のうちの1つでございます。厚生年金基金という企業年金の1つですが、国の年金の給付を一部代行しております。ただ、財政検証におきましては、厚生年金基金が代行している部分を全部含めた形で試算を行っております関係から、実績推計を比較できるものにするためには、厚生年金基金の代行部分を補正する必要があるということで、行っているものでございます。具体的には厚生年金基金に係る免除保険料、0.8兆円ほどと推計されますけれども、それを保険料に加算する。また、給付費の厚生年金基金の代行部分の1.4兆円を加えるといった操作を行っております。職域等費用納付金といいますのは、厚生年金基金とはまた別の旧三共済の統合のときの措置でございますけれども、そういったものも補正をいたしておるというのがマル2でございます。
 マル3の補正といたしましては、積立金より受入、平成22年は6.3兆円ございますけれども、これは実質的には積立金からお金を出しているということですので、その分については収入の欄から落としている。また、厚生年金基金の解散、代行返上、特に代行返上ですけれども、そのお金の出入り等を補正しているというのがマル3でございます。
 マル4につきましては、積立金に関する補正ですけれども、1つは厚生年金基金が代行部分の債務として持っております最低責任準備金、これは約23兆円と推計されますが、それを加算するということと、国庫負担につきまして、過去に繰り延べたものがまだ一部残っておりますので、それを加算するという補正を行っているのがマル4でございます。
 最後のマル5ですけれども、運用収入に関しまして、これも厚生年金基金の代行部分に関するところですが、この補正を行っております。これが今回-0.8兆円という数字になっておりますが、これについて簡単に御説明いたしますと、厚生年金基金の最低責任準備金の計算方法というのは、いわゆる転がし方式と呼ばれているものでございます。21年度から22年度にかけて、最低責任準備金を計算する際には、代行部分として入ってきた保険料を足し算して、逆に代行部分として支出した代行給付費を引き算するという、いわゆる過去法の方法で最低責任準備金は計算をされています。そのときに、最低責任準備金に係る運用収入をどのように計算するかということは、規定がございまして、これは厚生年金本体、その利回り分だけ運用が回ったと仮定した運用収入というものを計算すると規定されております。そのときに1年9か月ほど期ずれがございまして、22年度につきましては、平成20年度の運用利回りを9か月分、平成21年度の運用利回りを3か月分適用するという規定になってございます。平成20年の厚生年金の本体の利回りというのが-6.8%でございました。これが9か月分適用され、21年度は+7.54%でしたが、これが3か月分適用されるということで、平均しますと、約-3.4%、最低責任準備金を計算する際の運用収入として計算するという規定になっておりまして、それに基づいて計算いたしましたものが、-0.8兆円という数字でございます。ですから、これは厚生年金基金自身がどれぐらい回したということではなくて、最低責任準備金を計算する際の運用収入の計算結果であるという、その部分を補正しているということでございます。
 以上のような補正の操作を加えまして、2行目の実績推計を作成いたしまして、これと3行目にございます、平成21年財政検証の将来見通しとの比較を行っているというプロセスでございます。
 2行目と3行目をごらんいただきますと、まず収入の欄でございますけれども、保険料収入が財政検証では24.7兆円と見込んでおりましたが、実績推計で23.5兆円ということで、1.2兆円ほど少なくなっております。この要因は下の差の主な要因の欄に書いてございますとおり、賃金上昇率の見込みより実績が低くなっているということで、21年、22年で累計をいたしますと、見込みでは+3.5%と見込んでおりましたが、実績として-3.4%となっております。その差が1.2兆円という形で出てきてございます。
 運用収益でございますが、これが2.5兆円と見込んでおりましたのが-1.1兆円。平成21年財政検証では1.78%と見込んでおりましたが、先ほど説明いたしましたように、実績として-0.26%となって、約2ポイントほど差がございます。その差が運用収益の差として出てきているところでございます。
 その他につきましては、7.7兆円と見込んでおりましたが、9兆円ということで1.3兆円増えております。これは支出の方で御説明いたしますが、基礎年金拠出金が見込みより大きくなっていることを反映したものでございます。これは基礎年金拠出金のところで要因を御説明いたします。
 以上のような実績と見込みとの差になっておりますので、収入合計といたしましては35兆円と見込んでおりましたが、31.3兆円という実績推計となってございます。
 一方、支出でございますけれども、給付費につきましては23.1兆円と見込んでおりましたが、若干増えて23.3兆円となっております。この主たる要因は、昨年も御説明申しましたし、先ほども出てきました年金時効特例による支出というものでございます。これは財政検証では見込んでおりませんでしたものですので、それがプラス要因としてある程度効いていると考えられます。
 次の基礎年金拠出金ですが、将来見通しでは13.5兆円でしたが、実績では16兆円ということで、2.5兆円ほど見込みを上回っております。これは大きく分けまして2つの要因がございまして、後半のところで国民年金の実績を御説明するときに出てまいりますが、実は平成22年度の厚生年金の基礎年金拠出金の確定値と呼ばれるもの、要するに本当に実績として確定したものというのは約14.4兆円でございます。ですので、見込みの13.5兆円と14.4兆円の見込みというのは、実際にベースのそろった比較として約0.9兆円の差がございます。これが1つの要因でございます。これがなぜ起きているかと申しますと、国民年金の納付率の見込みが財政検証では80%と見込んでおるんですが、実績は約60%ということで、そのために基礎年金の按分の構成割合が変わる。その影響が大体8,000~9,000億ございますので、ほぼそれがそのまま確定値同士での比較の差として表われていると考えられます。ただ、これにつきましては、一時的に変動はありますけれども、将来的には納付率の差というのは、将来の基礎年金の年金額そのものに減少要因として表われてまいりますので、長期的な年金財政に与える影響というのは、極めて限定的だと考えておりますが、単年度で見た場合には、これが厚生年金の基礎年金の拠出金の増要因となっております。これが1つの要因でございます。
 もう一つは、今、申しました確定値、約14.4兆円と16兆円の差が1.6兆円ほどございますけれども、これが概算と精算の繰り返しをやっていることに伴う差でございまして、1つは平成22年度の拠出金を計算する際に、一応年度当初といいますか、1年前の21年の終わりぐらいのところで概算の見込みを立てるんですが、その概算の見込みと実績とである程度差があった。概算の方が少し高目になっていたという要因と、もう一つは、22年度につきましては、2年前の平成20年度の基礎年金拠出金の精算が加算されるわけですけれども、これは厚生年金についてはかなりプラスの精算がかかっております。この2つの要因で14.4兆円と16兆円の1.6兆円の差が発生いたしております。
 ただ、これはあくまでも単年度でのお金の入り繰り、概算、精算のやりくりでたまたま平成22年度において発生したものでございまして、長期的な年金財政に影響を与えるものではございませんけれども、やはり平成22年度、単年度を見た場合には、プラス要因、財政見通しとの差として表われてきている数字でございます。
 その他につきましては、ほぼ見込みどおりでございます。
 以上のようなことで、支出計で見ますと、36.7兆円と見込んでおりましたが、実績としては約2.7兆円ほど上回っている結果となっております。
 以上のような結果で、収支残を見ますと、-1.7兆円として見込んでおりましたものが、-8.1兆円ということになりますので、年度末の積立金を見込みと比較いたしますと、約1.9兆円ほど下回っているという結果、これが平成22年度の実績の推計と財政検証の将来見通しとの差でございます。
 18ページは被保険者数と受給者数につきまして、実績と財政検証の将来見通しとの差を整理したものでございます。
 実績につきましては、平成21年度末と平成22年度末の年度末の数字を2つ並べております。
 その下に財政検証の数字がございます。こちらの方は年度平均でございますので、数字をごらんいただく際には、実績の21年度末と22年度末の平均の数字と財政検証の数字を比較してごらんいただければと思いますが、被保険者数につきましても、受給者数につきましても、現時点では大きな影響、差は出てきておりません。
 19ページ以降は、各種財政指標につきまして、平成21年財政検証と22年の決算の結果を比較したものでございます。
 年金扶養比率でございますけれども、財政検証ベースでごらんいただく際には、括弧の中の平成22年度の数字と、下の欄にあります財政検証の22年の数字をごらんいただければと思います。被保険者数、受給者数ともに、現時点で大きな乖離はございませんので、財政検証では2.6と見込んでおりましたが、実績では2.57ということで、見込みと大きな乖離はございません。
 20ページは御参考ということで、年金種別の費用率を計上しております。これは後でごらんいただければと思います。
 21ページでございますが、総合費用率でございます。決算結果(実績)で、上の欄と下の欄の2つに分かれておりますけれども、注5にございますように、*は厚生年金基金の代行部分を補正したものでございます。括弧の外の数字をごらんいただきまして、財政検証結果と比較をして数字を見ていただければと思いますが、平成22年度につきましては、総合費用率、財政検証では18.8%と見込んでおりましたが、20.6%ということで、1.8ポイントほど見込みを上回っております。
 要因といたしましては、2つございまして、先ほどの収支状況の比較で御説明いたしましたとおりですが、1つは賃金上昇率が見込みを下回っているということで、マル2の欄にございます標準報酬総額の平成22年度の数字をごらんいただきますと、155.6兆円と見込んでおりましたものですが、実績といたしましては、149兆円ということで、ここの差が総合費用率に影響を与えるところでございます。これが分母でございます。
 分子の支出の要因といたしましては、マル4の基礎年金拠出金の差が2番目の要因として出てきております。ただ、これは先ほど御説明をいたしましたように、1つは国民年金の納付率の影響でございまして、長期的な年金財政に大きな影響を与えるものではないと考えております。
 また、もう一つの要因が概算、精算のやりとりの中で、たまたま22年度に出てきた差でございますが、これにつきましても、長期的な年金財政の構造に影響を与えるものではないと考えております。
 そういう意味で、たまたま22年度は総合比率が高目に出ておりますが、支出につきましてはそういう要因ですが、ただ、賃金上昇率の見込みの差による、分母の違いは年金財政に影響を与える部分でございます。現段階で大きな乖離が出てきているわけではございませんが、今後デフレ経済が継続していくようですと、この辺りのところは注意をしていく必要があるだろうと考えております。
 22ページは独自給付費用率の数字でございます。これも総合費用率と同じように、*の付いている下の欄の数字の括弧の外の数字、ここでいいますと、22年度15.2%、財政検証では14.4%という数字を比較してごらんいただければと思います。こちらは独自費用率ですから、基礎年金拠出金は影響を与えておりませんので、ここの影響というのは、マル2標準報酬総額の分母の差によって、独自費用率というものの乖離が発生していると考えられます。
 23ページは保険料比率でございます。財政検証では84.6と見込んでおりましたのが、実績では76.3という結果になっております。これも要因といたしましては、先ほど総合費用率のところで御説明した2つの要因によって発生していると考えられます。
 24ページの収支比率につきましても、基本的に構造としては同じです。収支比率の際には、もう一つ運用収益といったものも差が出てまいりますけれども、基本的な構造としては同じでございます。
 25ページは積立比率でございますが、これは4.9%と見込んでおりましたものが、実績としては4.8%ということです。積立比率につきましては、大きな差はございませんが、これは前年度末の積立金でございますので、21年度の非常に運用状況のよかった数字が反映されているということが、影響を与えていると考えられます。
 以上、簡単ではございますけれども、厚生年金の22年度の実績について御説明を申し上げました。よろしくお願いいたします。

○山崎部会長
 ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきましては、何か御質問等はございますでしょうか。
 どうぞ。

○牛丸委員
 ありがとうございました。
 先ほど説明をいただいたのでわかったんですが、もう少しお伺いしたいことがあります。1ページの基礎年金拠出金、財政検証との比較のところ、17ページで基礎年金拠出金のお話がありました。21年度までは納付率を80%で設定していた。22年度から実績というか、62%に変えた。もう一つは、概算と精算の両方があるということで、1ページの財政収支表の22年度の値、あるいは後ろの財政検証との比較で違いが出てくるのは、その2つの要因であるというお話はわかったんですが、21年度まではとにかく80%でやっていまして、22年度は62%に切り替えたわけですから、今年は21年度に比べて、80と62の差によっての違いが出てきているわけです。同時に22年度の場合には、20年度の精算を行う。20年度も80%でやっている。
 したがって、もし仮に想定していた被保険者数とか、そういったものがそのまま今日の22年度まできたとしても、概算のときには80を使っていたので、そのことによる違いがある。ですから、今年80に切り替えたことに加えて、精算値、20年度の違いがあるということが重なって出てきたことはわかるんですけれども、そうしますと、そこでお伺いしたいのは、今後62に切り替えたことによって、実際に確定値ということで、その年の最終的な被保険者数によって値が決まるわけですが、そのことによる違いというのは微々たるものなんですか。実際に起こってくるわけですね。

○安部数理課長
 そういう意味で、従来は80とかを見込んでいたことによる精算が出てきているわけですが、今回、実績にかなり合わせましたので、例えば2年後の精算を見たときに、この要因での差というのは余り出てこないと思われます。
 ただ、それ以外の要因、例えば被保険者数の見込みとか、実際、基礎年金給付費総額の見込みなどをやっていますので、そこでずれますと、その要因というのは2年後の精算として出てくると思いますが、いわゆる納付率の差による精算の要因というのは、2年後からはそれほど大きなものは出てこないだろうと思われます。

○牛丸委員
 過去において実際に大きい値が出たのは、概算と精算の納付率の違いが大きい要因だと思いますけれども、実際の被保険者数による影響というのは、そんなに大きくなかったんですか。

○安部数理課長
 被保険者数の見込みによるずれとか、実際に総額をどう見込むかといったことによる影響というのはありまして、そういう意味では、それに加えて納付率の見込み、3つの要因で精算が出てきて、かなり入り組んで出てきています。過去、例えば納付率の見込みが、精算が発生していた大きな要因かというと、そうではなくて、実績としてはほかの要因も全部絡み合って精算というものは出てきております。

○牛丸委員
 先ほど概算、精算のお話がありましたけれども、結局長期的には影響がない。ただ、私としては、単年で見たときに、その年に何が起こったかということを見るときに、概算を精算することでいいんですが、2年前がここに出てくるわけです。そこで、その年の数字が何なんだろうということがあるんですけれども、その辺はどうお考えですか。

○安部数理課長
 まさしくおっしゃる問題はあろうかと思います。ただ、決算の結果をベースにこういう資料を作成しますので、どうしてもこうなってしまうんですけれども、年金財政、例えば財政検証と比較する際には、もう一つ収支状況から離れて、確定値ベースの比較といったものも見ていく必要があるという問題意識は私自身も持っております。
 あと、後半で御説明しますけれども、国民年金の基礎年金のところでは、そういったこともありまして、実際の収支とは別に確定値として、22年度の基礎年金拠出金はどうであったかということは、資料としてお付けしております。そちらの方で御説明するつもりですけれども、例えば厚生年金の収支などを見るときにも、概算、精算を外して、実績としてどうだったかという比較も必要だという問題意識はございます。

○牛丸委員
 ありがとうございました。

○山崎部会長
 田中委員、どうぞ。

○田中委員
 項目内容の説明ですが、1ページ目の職域等費用納付金の意味をまず教えていただきたい。
 次に解散厚年基金等徴収金ですが、平成22年度にかなり激減をしています。それ以前は結構大きな数字が並んでおりますが、この理由は厚生年金基金の解散がそろそろ終わって、22年度ぐらいから安定してきたということを反映していると考えてよろしいでしょうか。
 この2点をお伺いしたいと思います。

○安部数理課長
 職域等費用納付金でございますけれども、これは旧三公社共済の統合に絡むものでございまして、旧三公社共済の組合員であった期間に関して、職域部分の年金額につきましては、統合によって、お金の流れとして厚生年金から支給することになっておるんですけれども、ただ、その費用を厚生年金が負担するわけではなくて、旧三共済の存続組合からお金が入ってきて、そして、それをそのまま厚生年金がお支払いするという構造になっております。そのために旧三公社共済の存続組合から費用としていただくお金、これが職域等費用納付金でございます。
 2つ目の御質問の解散厚年基金等徴収金でございますけれども、解散と申しておりますが、メインは代行返上でございまして、解散した場合、大部分はまず連合会の方にいきますので、主要な部分というのは代行返上でございます。代行返上が一時期非常に多かったんですけれども、どんどん少なくなって、最近ではほとんどなくなってきた。そういったことがこの数字に出てきております。

○田中委員
 わかりました。

○山崎部会長
 いかがでしょうか。翁委員、どうぞ。

○翁委員
 標準報酬総額について御説明されておられる11ページのところと、財政検証との比較をされた21ページのところとの関係なんですけれども、財政検証結果と比べると、実績はやはり標準報酬総額が大きく、155兆円と見込んでいたところが149兆円ということで下がっていることが大きな背景だということでした。
 11ページのところでは、21年度と比べた場合、余り大きな違いは出ていないと思うんですけれども、財政検証の結果と比べた場合に大きく寄与していのは、賞与の部分と賞与以外の標準月額の部分と、どちらの方が大きく寄与しているのかということについて、もしおわかりになりましたら、教えていただきたいです。

○安部数理課長
 財政検証の場合でございますけれども、財政検証の経済前提で賃金上昇率を見込んでおるんですが、ここは標準報酬月額と賞与で分けてはございませんで、内閣府の出しております経済見通しの中での賃金上昇率をほぼそのまま使ってやっております。
 例えば21年から22年にかけて、実績、結果としてはほとんど±0なんですけれども、財政検証ではここは3.4%と見込んでおりまして、その差が財政検証の差として出てきております。ただ、賞与でどう分かれているかといのうは、経済見通しでも分かれておりませんので、総額として適用したわけですけれども、差として出てきておりますのは、見込みの実績の差が22年度分です。あと21年度分もございますので、累積として21ページの数字に出てきております。

○山崎部会長
 いかがでしょうか。宮武部会長代理、どうぞ。

○宮武部会長代理
 4ページに減額・繰上げ支給と繰下げ支給の表が出ておりますけれども、お聞きしたいのは、例えば平成23年3月末で減額・繰上げというのが14万1,000人とあるわけですが、これは要するに何人のうちの14万1,000人なのか。母数の方はどこで見るんですか。

○真鍋調査室長
 そういう意味でいいますと、3ページに全体の受給権者数が出ております。例えば全体では3,198万ですが、老齢相当です1,441万、通老で1,186万ですから、この方々のうちということでございます。

○宮武部会長代理
 どの数字が母数になるのか。例えば月報や年報であれば、要するにどれだけの受給者がいて、そのうちどれだけが繰上げをしている、繰下げをしているという数字はきちっと出てくるわけですけれども、これを見る限り、人数はわかるけれども、一体どれぐらいの比率の方が繰上げを選び、繰下げを選んでいるのかが分からないです。ですから、母数は、今、あなたがおっしゃった老齢相当の3,198万人分の数字ではないわけですね。

○真鍋調査室長
 3,198万は障害、遺族も入っていますから、老齢相当と通老相当の2,600万ぐらいのうちということになります。

○宮武部会長代理
 しかし、これは3月末の時点で、年間で14万1,000人ということであって、その時点ですけれども、積み上げてきた数字、累積の方も当然おいでになるわけですね。累積の数もあるんですね。

○真鍋調査室長
 減額年金というのはもともと共済の制度でございまして、三共済が厚生年金に統合されたので、そういう方々がちょっと残っているということなので、14万人とすごく少ない数となっています。

○宮武部会長代理
 ただ、これからは当然ながら、厚生年金でも繰上げ受給が始まるわけですからね。

○真鍋調査室長
 将来的には勿論始まるんですが、それとはこれは意味が違うものでございます。

○宮武部会長代理
 共済の残りですね。

○真鍋調査室長
 そうです。

○宮武部会長代理
 これを見る限り、世の中の人は誤解しますね。こんなに少ないんですかという話になってしまいます。

○真鍋調査室長
 現時点では厚生年金には繰上げという制度自体が始まっていませんが、誤解があるということであれば、もうちょっと表現等は工夫します。

○宮武部会長代理
 よく見ると、注には書いてあるんですね。わかりました。

○山崎部会長
 牛丸委員、どうぞ。

○牛丸委員
 1ページの財政収支状況ですが、収入の中に積立金より受入とありまして、これは先ほど御説明がありましたように、予算段階でいろんなことを考慮して、これだけを取り崩して収入としているということです。それは理解しておりますが、最終的な収支状況のときに、収入に入っているわけです。ですから、平成22年度で見た場合、収支残が2,905億円とありますが、これは当初予算に入れてあった収入としての積立金より受入を考慮してこうですから、もし普通に積立金の収入を考えないで、収入と支出を比較して、そこで幾ら赤になったか。その分の積立金を取り崩すと考えた場合には、6兆3,431億円から2,905億円を引くということでしょうか。そうすると、22年度というのは大分取り崩した。いろんなことを考えて予算段階でやるんでしょうけれども、過去をずっと見ていきますと、21年度の場合には収支残が赤になっていますが、取り崩したのが3兆7,549億円ですから、これに7,734億円を足すわけですから、今年より合計が小さいですね。それ以前は大体3兆円程度です。予算段階でこれだけの額を考えたということは、当初から今年何かがあるということを想定されてなのか、結果的に収支残はこういう値ですけれども、積立金の取り崩しを考えた場合にはちょっと大きいという気がするんですけれども、この辺については、どのようにお考えでしょうか。

○安部数理課長
 私は予算担当者ではないので、ちょっと推測も入りますけれども、予算段階で、先ほど申し上げた基礎年金拠出金の事情、要するに概算がかなり大きい、2年前の精算がかなり入ってくるということは、恐らく予想がついたと思いますので、そういったことを考慮して予算段階でセットしたんだろうと推測いたします。推測で申し訳ありませんけれども、そういう意味で、22年度の特殊事情といいますか、特に何か起きたというよりは、むしろ概算、精算の入り繰りで、22年度は支出が大きくなるだろうということは、多分予算段階でも推測がついたので、こういう措置をしたのではないかと推測いたします。

○牛丸委員
 結果もそういうふうに考えるということですね。ありがとうございます。

○山崎部会長
 野上委員、どうぞ。

○野上委員
 17ページの財政検証との差で、予想されたというか、保険料の方が賃金上昇が少なくなって、マイナスになって、運用収益の方はデフレの経済が続いていることもあってマイナスになる。今年はその2要因だけですけれども、財政検証が変わってから1年の目の年で、来年以降、マクロ経済スライドの話が出てきて、給付の方も乖離していくだろうということで、年度を経るごとにこういう傾向が継続して出てくるのではないかという認識を持ったんですけれども、その認識には間違いないでしょうか。

○安部数理課長
 2つの要因を御指摘いただきまして、1つは賃金上昇率の差による保険料収入の差につきましては、今、21年、22年と実績を見ました結果、こういうふうになっておりますけれども、引き続きデフレ傾向が続いて、賃金が伸びないとすれば、おっしゃるとおり、更にこの差が広がっていく可能性が考えられます。
 もう一方の給付費の方はちょっと見づらいところがございまして、財政検証ではある程度賃金上昇率、物価上昇率を想定としておりますので、名目値としては、給付、支出は増えていくと見込んでおります。実際は賃金上昇率、物価上昇率も上がっておりませんので、名目値としてはそれほど伸びません。例えば23年とか、この数字をつくったときに、支出の方が見込みよりも名目値として大きく出てくるかというと、多分そうはならない可能性の方が高い。むしろ数字の出方としては、デフレ傾向による保険料の収入の見込みよりも低いという形で出てくるのではないか。あくまでデフレが続けばですけれども、そういうふうには推測いたしております。

○野上委員
 ありがとうございます。

○山崎部会長
 林委員、お願いいたします。

○林委員
 運用の話ですけれども、1ページで結構ですが、先ほど話題になりました積立金より受け入れが予算段階で6兆3,000億円あります。これを運用上はキャッシュのポジションに置くとか、そういうことはなさらないんですね。予算で数字だけ入れるだけであって、実際に積立金を運用しますね。そのときには特にそれは配慮しないという感じなんですね。

○安部数理課長
 恐らく予算のときに、これだけ出るということを踏まえて、具体的にどういうふうにするかというのはありますけれども、予算でこのように見込んだ以上、そういうお金が出ていくということは、ある程度想定して対応していたとは思います。

○林委員
 資金繰り的な運営ですね。

○山崎部会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。
 引き続き、国民年金の報告を聴取いたします。それでは、説明をお願いいたします。

○安部数理課長
 続きまして、基礎年金を含めての国民年金の平成22年度の財政状況等につきまして、御説明を申し上げます。
 1ページ目でございますが、これは基礎年金勘定の収入と支出を、過去5年間の実績としてお示ししたものでございます。
 収入といたしましては、各制度が拠出をいたします基礎年金拠出金が中心となりまして、あと特別国庫負担というもので、これは免除期間を持っている人に対する給付ですとか、20歳前障害基礎年金の給付の一部、これは特別国庫負担ということで国庫から支払われる部分がございますが、そういったものが収入のメインでございます。
 そこで集めたお金を、今度は支出の方で、基礎年金の給付として支払うのと、もう一つは基礎年金交付金ということで各制度にお金を交付する。こういうものが支出として出てきております。
 ただ、先ほどから申し上げておりますように、基礎年金のお金のやりとりというのは、概算と精算とが入り混じっておりますので、非常に見づらくなっております。そこで、2ページに平成22年度の実績としてどうなっていたのか、給付としてどうなっていて、拠出金としてどのように各制度に按分されたのかということを、整理したものをお付けしておりますので、こちらで御説明を申し上げます。
 2ページ目の一番上、給付状況がございまして、これが基礎年金の給付として、22年度幾ら支給されたのかということをまとめたものでございます。ここで基礎年金給付費(本来分)というものと、右に基礎年金相当給付費(旧法分)(基礎年金交付金)という2つの欄がございます。これが先ほど厚生年金のところで御説明いたしましたものでございますけれども、昭和61年に基礎年金制度が創設されたわけですが、その時点で既に厚生年金、国民年金、各共済、それぞれの制度で裁定されていた受給者の方々に支払う年金額のうち、基礎年金としてみなせる給付がございます。その部分というのは、引き続き、それぞれの制度、国民年金や厚生年金から支払うということは変更ないわけです。ただ、その費用につきましては、本来の基礎年金と同じように合計して費用を計算して、そして、一定のルールで各制度から拠出金としてお金を集めて、その中の一部に基礎年金交付金として、各制度が給付する費用を支給する。そういうやり方を行っております。
 そのために出てきておりますのが、基礎年金交付金というものですけれども、制度発足当初は、こちらの方がウェートが大きかったんですが、既に発足後25年が経過しておりますので、ウェートといたしましては、基礎年金給付費として裁定された本来分、こちらの方が圧倒的に大きくなっておりまして、基礎年金交付金というのは時系列的には減少傾向にございます。
 総額といたしましては、22年度、約20兆円です。一番右側の合計欄ですけれども、基礎年金の本来分とみなし基礎年金と合わせますと、約20兆円でございますが、内訳といたしましては、本来分が約17兆円、基礎年金交付金として各制度に交付される部分が3兆円、そういう構成割合になっております。
 1年前からの伸び率を見てみますと、合計の欄の約20兆円というのは、大体伸び率としては1.2%増でございます。内訳といたしまして、本来分の伸び率が約+3.3%で、基礎年金交付金として支払われる部分というのが-9.4%、これが21年度から22年度にかけての伸び率でございます。
 このようにして、基礎年金の費用としては、22年度は約20兆円という実績でございますけれども、それを拠出金として各制度にどのように案分したのかというのが、負担状況という欄でございます。
 一番右の合計の欄は同じ数字でございまして、約20兆円ですけれども、その中でまず特別国庫負担として幾らかかるかというのを計上しております。これが約3,300億でございます。これは免除期間を持っている方についての給付ですとか、20歳前障害基礎年金の給付に係る国庫負担でございます。これを最初に控除いたしまして、残りを各制度の基礎年金の拠出金として拠出してもらう必要がある金額を出します。これが一番左の欄にあります19.64兆円という数字でございます。これを一定のルールに基づきまして、国民年金、厚生年金、各共済に按分をした結果が右の欄にあるところでございます。
 按分率を計算するために用いますものが、下の欄にあります拠出金算定対象者数でございます。基本的には頭割りでございますけれども、国民年金の場合には、実際に保険料を納付された方の累計値を拠出金算定対象者数として用いることになっております。
 それぞれ被用者年金につきましては、2号と3号を合計したものが拠出金の按分のときに使われる数字でございます。下の拠出金算定者数の比率で19.64兆円を按分した結果といたしまして、例えば国民年金ですと約3.3兆円、厚生年金ですと14.4兆円というのが、22年度の確定値として、それぞれの制度の拠出金として算定されたものでございます。このうちの厚生年金の14.4兆円というのが、先ほど厚生年金のところで申し上げました、22年度の確定値としての厚生年金の基礎年金拠出金の数字になるわけでございます。
 実際にお金のやりとりをする際には、これをベースとして、概算、精算というプロセスが繰り返し行われますから、収支状況を見るときには、この数字ではない数字が出てきます。この辺りは、先ほども御指摘がございましたように、財政検証と比較する際に、もうちょっと考えていく必要があるだろうという問題意識は持っております。
 以上が基礎年金の22年度の実績でございます。
 3ページでございますけれども、今度は国民年金勘定の収支状況を、過去5年間まとめたものでございます。
 一番右側には、厚生年金と同じですけれども、21年度から22年度にかけての変化の差と伸び率をお示ししております。
 収入の欄でございますけれども、基本的には保険料と国庫負担という2つが大きな収入の柱になるわけですが、保険料収入につきましては、伸び率にいたしまして-1.4%となっております。
 国民年金の保険料は、毎年引き上げを行っておりまして、21年度から22年度にかけまして、伸び率にいたしますと3%上昇いたしております。ただ、その一方で、第1号被保険者数は減少しております。更に法定免除、申請免除、免除者数というのは、逆に増加をしているということ。また、納付率につきましても、減少傾向にあるということがございまして、保険料の単価は上昇いたしておるんですけれども、被保険者数、納付率の減少のマイナス幅が上回りまして、結果、保険料収入といたしましては-1.4%の減少というのが22年度の実績でございます。
 また、国庫負担につきましては-17.8%と大きく減少いたしております。これは後の支出のところで御説明いたします、基礎年金拠出金の支出が大きく減少していることに伴っての国庫負担の減少でございます。
 収入の欄では、基礎年金交付金とございます。これは先ほど御説明したとおりでございまして、国民年金として支払われるみなし基礎年金の部分に要する費用ということで、これは-3.6%ということで減少しているところでございます。
 一方、支出でございますけれども、これは給付費と基礎年金拠出金の2つがございますけれども、給付費につきましては、国民年金の場合、ほとんど基礎年金とみなすことのできる給付でございます。ですから、ほとんど基礎年金交付金と同じ動きをいたします。若干差がありますのは、死亡一時金ですとか、寡婦年金という国民年金独自の給付が、額は小さいんですが、ございますので、それで基礎年金交付金と少し違ってはおりますけれども、大部分は基礎年金としてみなされる給付でございます。そういう意味で、全体としては減少傾向にあるところでございます。
 また、基礎年金拠出金が約-20%と大幅に減少しておりますが、これは先ほど厚生年金のところで申し上げました、概算の段階での納付率の設定を変更したことで、厚生年金の場合には増えていたわけですけれども、逆に国民年金の場合にはそれが減少という方向に効いている。その結果といたしまして、平成21年度から22年度にかけての基礎年金の拠出金がマイナスになっているという結果でございます。これにつきましては、先ほど厚生年金のところでも申し上げましたとおり、最終的には2年後に精算という形でやって行きますので、長期的な年金財政に何か影響を与えるものではございませんが、どうしても単年度で見た場合、こういう形で出てくる数字でございます。
 以上のような収入、支出の結果といたしまして、収支残をごらんいただきますと、簿価ベースで約2,400億円、時価ベースでも約2,200億円のプラスとなってございます。
 一番下に積立金の運用利回りがございますが、-0.25%という結果となっております。
 4ページにつきましては、今のお金のやりとりを図でお示ししたものですので、これは後ほどごらんいただければと思います。

○真鍋調査室長
 5ページが国民年金の給付状況でございます。この給付状況につきましては、新法の基礎年金と旧法の国民年金の合計でございまして、先ほどから交付金という形で出ている被用者年金のみなし基礎年金がありますけれども、その方々の人数とか額は含んでいない数字でございます。
 5ページの一番上の受給権者数の計は2,885万7千人で、昨年度と比べて2.0%の伸びでございますが、その下の老齢年金でいいますと、2.5%人数が増えているということでございます。
 1つ下のブロックの年金総額でいいますと、全体では5,026億円、2.7%の増、老齢年金でいいますと、3.0%の増でございます。
 基礎年金とか国民年金につきましては、加入期間で決まる定額でございまして、特段支給開始年齢などの問題がございませんので、老齢年金の3.0%で言いますならば、人数が2.5%伸びて、平均年金額が0.5%伸びて、合計3%伸びているということでございます。何で平均年金額が伸びているかと申しますと、それは期間が伸びているといったことでございます。
 それにつきましては、6ページを見ていただきまして、大きく2つ表があって、下の方で男女合計と書いておりますけれども、老齢年金平均年金月額が22年度末で5万4,529円でございますが、これは昨年度に比べて271円、0.5%増えております。先ほど申し上げた0.5%はこの数字でございます。
 3行下の平均加入期間を見ていただきますと、昨年度から5か月増えまして、353か月ということで、月数につきましては、年々伸びているといったことで、若干ですけれども、平均年金額が上がって、人数も増えているので、全体として年金総額が増えているところでございます。
 7ページは新規裁定の表でございますが、昨年、受給権者数が併記されていなかったので、対象がどのぐらいなのかというお話がありましたので、各表に受給権者数を付け加えさせていただいております。
 8ページでございますが、これは老齢年金の受給権者の年齢構成でございます。平均年齢でいいますと、昨年度より0.4歳ぐらい上昇しまして、男子で73.7歳、女子で75.4歳でございます。
 9ページは適用、被保険者状況でございます。第1号被保険者は年々減っておりまして、22年度末でいいますと、1,938万人、率でいうと2.4%減っております。
 第3号被保険者も減っておりまして、22年度末で1,004万6千人でございます。第3号は大体1%ぐらいが男性で、99%女性なわけですけれども、女性の第3号というのが22年度末で993万人ということで、1,000万人を割っております。22年10月末から1,000万人割れをしています。もともと20~59歳の人口が減っていますから、その要素がすごく大きい、それと有配偶率が低くなっている、つまり結婚しなくなっているといったことで減ってきているところでございます。
 真ん中が平均年齢でございますが、0.1歳ずつぐらい下がっているところでございます。
 一番下が免除等の状況でございますが、やはり目につきますのが、一番上の法定免除者の増でございます。22年度末で126万人、前年度に比べて5%増えておりますけれども、御案内のように、生活保護の対象者がすごく増えておりまして、生活保護の方の統計は7月1日時点しか年齢階級別がわからないんですが、7月1日時点の20~59歳の生活保護の人数でいいますと、21年、22年と2けたで増えておりまして、21年に対して22年は8万5千人増えていますから、伸び率で15%ということですけれども、そういった影響もあって非常に大きく増えているといったところでございます。
 10ページ以降は被保険者の年齢分布でございます。10ページ、11ページ、12ページが第1号の被保険者ですが、第1号については男女ともに20代前半が一番多くなっておりまして、これは例年と同じ傾向でございます。
 13ページ、14ページ、15ページが第3号でございますが、14ページが男性です。男性3号の中で一番年齢が多いのが50代後半ということで、ここが大体3割ぐらいを占めております。これも例年の傾向でございます。
 15ページは女性でございますけれども、30代後半が一番多くなっており、昨年と同じ状況でございます。

○安部数理課長
 16ページでございますけれども、これは積立金の運用状況でございます。
 運用利回りの欄をごらんいただきますと、1ページ目で御説明いたしましたとおり、22年度は-0.25%という実績でございます。
 17ページは、先ほどの厚生年金と同じように、国民年金勘定につきまして、実績と平成21年財政検証とを比較したものでございます。厚生年金と同じように一定の補正をいたしておりますけれども、国民年金の場合には厚生年金ほど複雑な補正はいたしておりませんで、下の特記事項の1つ目の○にございますように、2つの補正をいたしております。
マル1でございますけれども、基礎年金交付金、22年度は1.3兆でございますが、これを収入から差し引き、支出の給付費からも差し引くということで、収入、支出の両方から控除をしているということが1つ。
 もう一つは、積立金につきまして、国庫負担の繰り延べ2.2兆円を年度末積立金に加えている。
 国民年金につきましての補正は、以上の2点でございます。
 そのようにして作成いたしました実績推計と財政検証の将来見通しとの比較でございますけれども、まず保険料収入でございますが、財政検証では2.2兆円と見込んでおりましたのが、1.7兆円、0.5兆円ほど差が出てきております。財政検証で納付率は80%と見込んでおりましたが、22年度実績は59.3%でございました。この差が保険料収入の差として出てきております。
 運用収入につきましては、利回りを1.78%と見込んでおりましたが、-0.25%ということで、その差で0.2兆円ほど運用収入の差が出てきております。
 その他というものがございます。これは基礎年金拠出金に係る国庫負担が大部分でございますが、これが0.8兆円ほど見込みよりも下回っております。これは支出の方で御説明いたしますが、基礎年金拠出金が見込みよりも下回っていることが、そのまま反映された結果でございます。
 一方、支出でございますが、給付費は先ほど申しました寡婦年金、死亡一時金という独自給付だけですので、金額としては非常に小さいものでございます。
 基礎年金拠出金でございますが、将来見通しでは4.5兆円と見込んでおりましたのが、実績としては3兆円ということで、1.5兆円ほど将来見通しを下回っております。
 これも2つの要因がございまして、基本的に構造は厚生年金と同じでございます。ただ、変化の向きが逆の部分があるわけなんですが、1つは納付率の見込み、財政検証で80%と見込んでおりましたが、実績推計のところで出てきますのは、概算ですので、62%ということで見込んだ数字がここに反映されております。80%と62%の差というもので、下回っている要素。
 それに加えまして、2年前の精算なんですけれども、国民年金の場合には、2年前の精算がかなりマイナスとして出てきております。その結果といたしまして、22年度の決算上出てくる基礎年金拠出金というのが低くなっている。
 この2つの要素で1.5兆円ほど見込みを下回っている結果となっております。そして、それがそのままその他の基礎年金拠出金の国庫負担の見込みとの差ということで出てきているという結果でございます。
 以上のような収入、支出の実績の結果といたしまして、収支残で見ますと、これは見込み0.2兆円と見込んでおりますが、ほぼ見込みと同じ0.2兆円という結果となっております。
 これが平成22年度の実績でございます。
 18ページにつきましては、被保険者数、受給者数についての見込みと実績とを比較したものでございますが、現時点では、厚生年金と同じですけれども、見込みと比較いたしまして、大幅な乖離は生じてございません。
 19ページ以降が各種財政指標でございますが、年金扶養比率とございます。決算の結果の方は、括弧の中の数字をごらんいただきたいと思うんですが、財政検証で2.4と見込んでおりましたが、2.42ということで、上で被保険者数、受給者数は見込みと大きな乖離がございませんので、年金扶養比率につきましても、ほぼ見込みどおりの結果となっております。
 20ページは保険料比率でございます。財政検証では、平成22年は103.6と見込んでおりましたが、22年は125.8ということで、財政検証よりかなり上回っております。この要因としては、分母にきます支出の中に基礎年金拠出金が大きく影響を与えるんですが、先ほど申し上げました事情により、かなり見込みよりも低くなっていることから、保険料比率が見込みより上回っている結果となっております。
 同じことが収支比率にも言えまして、財政検証では89.4と見込んでおりましたが、80.4という結果となっております。これも要因としては同じであると考えております。
 最後22ページ、積立比率でございますけれども、これにつきましても、平成21年財政検証では4.6と見込んでおりましたものが、一番下の欄、7.3ということで、要因としては先ほどの支出、特に基礎年金拠出金の要因と使っております積立金が前年度末ですので、21年度の運用環境が非常によかったときの積立金が分子として出てきている。この2つの要因で財政検証と比較いたしまして、高目の数字になっております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○山崎部会長
 ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
 牛丸委員、お願いします。

○牛丸委員
 22年度のお話とちょっと違ってしまうかもしれませんけれども、もしおわかりなら教えていただきたいと思います。22年ではなく、今のことなんですが、新聞等を読みますと、今回基礎年金の50%財源として交付国債が発行される。それはこちらでいいますと、年金積立金管理運用独立行政法人が積立金を提供するということらしいんですが、今、22年度の厚生年金、基礎年金、国民年金の収支の説明を受けたんですが、これからの話ですけれども、仮に過去においてそれが行われた場合、これらの収支表のどこにどういうふうに入ってくるのか。基礎年金に関しては、各制度から拠出を受けて交付するんですから、全く関係ないというか、既に拠出の中に国庫負担が入っております。各制度の中に入ってくる国庫負担は、どういう財源であれ50%入ってくるわけです。問題は財源として独立行政法人の積立金の分がそちらへいく。結局、厚年か国年かは知りませんが、そこの積立金がそれだけ減ることだと私は解釈しているんですけれども、今日御説明いただいた収支表のどこがどういうふうに変わるんでしょうか。もしおわかりならば、教えていただきたいです。

○安部数理課長
 21年度の財政状況等はちょっとあれですけれども、今回も交付国債ということで出てきていますが、別に交付国債だからどうなるということではございません。実際の資金繰りがどうなるかというのは別の話になろうかと思いますけれども、財政状況としては、きちんと50%の国庫負担は入ってくる。そういう意味で、ここでお示ししている資料に中で、特にどこか影響を受けるものではないと考えております。

○牛丸委員
 先ほど厚生年金のところで、積立金の受け入れという予算の話がありました。あれがその分増えるという解釈ができるんでしょうか。

○安部数理課長
 実際に資金繰りをどうするかは別といたしましても、経理上のお金として考えているときには、きちんと国庫負担が入ってくるわけですので、そういう意味では、経理のこういった資料、収支状況、もしくは財政検証との比較の際に、何か影響を与えてくるものではないんだろうと考えております。

○牛丸委員
 ただ、そういうことが行われたときに、国年なり厚年の財政収支がどうなっているのか。こういうことが行われたことによって、そこに何か出てくるのかということが知りたいんです。

○安部数理課長
 そういう意味でいえば、財政に影響を与えるものではないと考えています。通常のキャッシュで入ってくるわけではないとは思いますけれども、あくまでもそれは形が違うだけであって、ちゃんと国庫負担50%というのが確保されて、現金かどうかは別として、きちんと厚年、国年の財政には入ってくるわけですから、収支表として見たときに、これが違ってくるわけではないと思います。

○山崎部会長
 ありがとうございます。
 総務課長から説明があるということですので、お願いします。

○藤原総務課長
 交付国債ということで、24年度の基礎年金の国庫負担について2分の1の国庫負担を手当するという関連でございますけれども、交付国債は交付されて、年金特別会計の中では、それぞれの積立金の中にきちんと計上する扱いになります。
 年金特別会計の中の国民年金勘定ですとか、厚生年金勘定ですとか、そういうところの積立金に計上していくときに、これから年明けの実際の予算編成の作業の中で詰めてまいりますけれども、場合によっては項目を少し整理してどういう形で位置づけるか、ここの精査はこれからとりかかるところなんですが、間違いなく積立金の中にその部分は計上されます。
 今日ここで数理課長から御説明差し上げている資料にどういうふうに反映させていくかという話は、予算関連書類の財務諸表の作り方とか、決算の方も同じような話が出てまいりますけれども、そういうところもきちんと精査をして、その関連で、また必要な注記とか項目の整理が必要になれば、そういうものは検討することになります。
 今の段階では、予算の関係書類なり決算の関係書類の中で、どういう形で国民の皆様にわかりやすい形で位置づけるか、間違えなく積立金には計上されますけれども、そこの検討を至急やっておるような状況でございます。

○山崎部会長
 ありがとうございました。
 関連しますか。

○野上委員
 はい。

○山崎部会長
 野上委員、お願いします。

○野上委員
 関連しての質問なんですけれども、交付国債というのは、確かに積立金には資産として計上されると思うんですが、その利息といいますか、利息自体はかなり低いですけれども、その利息分というのは入ってくるんでしょうか。通常、現金で支給されますと、それなりの利息収入が入ってくるんですけれども、その部分についてもちゃんと入ってくるのかどうかという点でございます。

○藤原総務課長
 交付国債というのは、国債の一種ですけれども、無利子という形になります。そうでありますと、やはり利息をどうするんだという話になるわけでございます。この点に関しましては、今回、交付国債、いわゆる年金差額部分につきましては、厚労省部分と国共済、私学共済、こういう部分を併せて約2.6兆円という年金差額分になります。
 それに加えまして、利息部分についても、譲渡可能な国債で運用したときの運用収入額を見込んでいます。ただ、見込み額を確定するには、交付国債の償還のスケジュールが決まらないと見込めないところで、償還のスケジュールが決まるのは、消費税の実際の中身が決まる中で償還のスケジュールも決まっていく形になるので、数字として確定するのはもう少し先になりますけれども、考え方としては、運用収入の相当額というものも、交付国債の形で、2.6兆の年金差額だけではなくて、将来の利息収入に当たる部分も交付国債の形で加えて一緒に交付する。そこもきちんと手当するということで、24年度の予算の中でやっていくことになっております。

○野上委員
 ありがとうございました。

○山崎部会長
 私も納得いたしましたけれども、いかがですか。
田中委員、どうぞ。

○田中委員
 私の質問は、9ページのいわゆる「免除等の状況」のところです。まず学生納付特例者というのは、20歳から卒業までの間、保険料を猶予する話かと思いますが、その下に若年者納付猶予者とありまして、これは学生以外という意味でしょうか。その内容を教えていただきたいのが1点です。
 次に、免除者も被保険者の中に含まれていると思うんですが、免除者数は法定免除、全額免除は増加傾向なんですが、4分の3、半額、4分の1辺りはどんどん減っています。この原因は何でしょうか。余り使い勝手がよくないということなのか、一応細かく免除の区分を設けたが、余り受け入れられていないということなのかどうか、その理由を教えていただきたい。
 それから、免除ということで、財政上の影響は余りないと御説明を受けていますが、増えていくとそれなりに財政的にもまずいこともあると思いますので、その辺はどういうメカニズムで影響があるかということも教えていただきたい。
 そういうことで質問は、以上の3点でございます。

○真鍋調査室長
 1点目の若年者猶予でございますけれども、これは30歳未満の方で、所得が低い方に対して保険料の納付を猶予するといった仕組みでございます。学生の特例とはまた別にそういう仕組みをつくっているところでございます。
 次に申請の4分の3免除とか半額免除のところですが、確かに少しずつ減っています。なぜかというのは、よくわからないところでございます。

○安部数理課長
 財政への影響でございますけれども、基本的に全額免除者の免除期間に係る老齢基礎年金給付の費用というのは、先ほど申し上げましたように、特別国庫負担で賄われることになっております。そういう意味で、年金財政に与える影響というのは非常に限定的だろうと思っております。これが増えていくと、例えば先ほどの基礎年金拠出金の按分率に多少影響を与えますけれども、それも長期で見た場合には、極めて限定的だと思います。そんなに大きな影響はないだろうと考えております。

○田中委員
 ただ、特別国庫負担なので、国の財政への影響は勿論あるということですね。

○安部数理課長
 年金に限定すればということなので、おっしゃるとおり、国の財政という意味では影響がございます。

○山崎部会長
 宮武部会長代理、どうぞ。

○宮武部会長代理
 今のことに関連して申しますと、全額免除者はやや増える傾向にありますけれども、それ以外の免除はどんどん減っていて、きめ細かな免除で、払いやすくという形で始まった制度が活用されていない。原因が何かというのは、確定はできませんが、少なくとも旧社会保険庁の被保険者実態調査で見ても、免除制度を知っているのは6割しかいなくて、4割は知らないわけです。知っている6割の大半も、こんなにきめ細かな仕組みとは御存じではないでしょう。
 それから、私も詳しくは知りませんが、4分の3とか4分の1を免除するときに、どんな書類が必要で、どんな手続が必要なのか。そこは全然PRをなさっておられない。どこを見ても書いてないんです。これをもう少し活用してもらうようにしないと、先行き大変もったいない気がいたします。
 今、受給資格期間、通算25年を10年にするという議論が進んでいますけれども、私は皆保険であるからこそ25年という縛りをかけて、どうしても払えない方は免除制度を利用して、その間をつないでいくという仕組みと日本はなっている、と理解してきました。アメリカは10年、ドイツは5年、フランスには期限がない。それらの国々は皆保険でないから短い期間でいいわけで、要するに自分が失業すれば、制度から脱退し、保険料を払わないし、また仕事を見つければ戻ってきて入るという出入り自由な制度だから、短い期間なのです。日本の場合は25年という縛りをかけているから、免除制度をきめ細かくして、セットにして、収入がなくなっても、倒産しても、自分の所得に合わせて免除制度を利用する仕組みなわけです。10年にしてしまうということは、低年金者を大量生産するのではないかという心配があります。仮に資格を10年に短くしたとしても、よりきめ細かな免除制度の利用を進めていかないと、無年金者はかなり防止できるが、短期加入の低年金者を量産してしまうでしょう。この問題は年金数理部会で申し上げることではないかもしれませんが、田中委員がたまたまおっしゃいましたので、私の感想を申し上げています。何か反論があれば教えください。

○山崎部会長
 これは年金課長ですか。

○梶尾年金課長
 10年の話というよりは、制度の利用しやすさということだと思います。そこはおっしゃるとおりだと思いますので、事業管理課ともよく相談をして進めていきたいと思います。

○山崎部会長
 ほかにいかがですか。翁委員、どうぞ。

○翁委員
 先ほど5ページのところで、給付状況の御説明をいただいたときに、老齢年金については受給権者数が増えたことに加えて、加入期間数が増えていて、額が増えているというお話だったんですが、厚生年金保険については余りそういった傾向についての御説明がなかったんですが、それは国民年金に特徴的な動きととらえておられるんでしょうか。教えていただければと思います。

○真鍋調査室長
 厚生年金の年金額に与える影響にはいろいろ要素があります。厚生年金の場合は、加入期間が延びたりするということと、平均標準報酬月額、つまり給与の方がどうなるかということもあります。それに加えて、先ほど申し上げましたように、最近、定額部分の支給開始年齢の引き上げという非常に大きい要素があって、そちらの方が例えば22年度で大きく出てくるので、そういう説明を申し上げたわけですけれども、国民年金につきましては、期間に比例した定額給付ということで非常に簡単なので、期間がずっと延びているので、平均年金月額は増えていますということを申し上げました。

○翁委員
 ちょっと戻ってしまうんですけれども、今の国民年金の御説明に相当する部分というのは、6ページを見る形になるんですか。

○真鍋調査室長
 全体では3ページでして、それに対応する詳細なものが4ページです。
 先ほど申し上げたのは3ページで、年金総額が老齢年金でいうと0.8%しか増えていない。実際、受給権者数は4%増えているんですけれども、平均年金額は3.2%減っているので、0.8%しか増えていませんと申し上げました。
 マイナス3.2%をどこで見るかというと、4ページに2つ大きく表があると思うんですけれども、下の方、左の列でいうと、男女合計と書いてあるところの一番右上を見ていただくと、22年3月末で、平均11万1,656円。これが昨年に比べて3,637円減、-3.2%と申し上げました。
 例えば期間でいいますと、3列下にあるんですが、勿論期間は少しずつ増えているんです。別の要素として標準報酬がどうなるかということもあります。

○翁委員
 その要素としてはあるんですね。

○真鍋調査室長
 いろいろあるんですが、ともかく22年度は男子の定額部分の支給開始年齢の引き上げが大きいので、どんと下がっているということを申し上げました。

○翁委員
 同じような傾向だと思うんですが、国民年金の方が5か月延びていて、厚生年金の方は2か月とか0という感じなので、趨勢的に見ても、国民年金の方が加入期間の増加の程度が高いという感じを受けています。

○真鍋調査室長
 若干そういう傾向はあるかと思います。

○山崎部会長
 牛丸委員、どうぞ。

○牛丸委員
 2点あります。
 1つはお願いで、先ほど説明ありがとうございました。私も若干誤解があったかもしれませんけれども、交付国債のことは総務課長のお話でわかりました。お願いというのは、先ほどお話がありましたように、これからということですが、厚年にしても、国年にしても、それが最終的には基礎年金の国庫負担分に使われるわけですけれども、どういう形で、どうなっているかということが、ストックの面ですが、わかるような表示をしていただきたいというお願いをしておきます。これが1点です。
 もう1つ質問は、先ほど国民年金の保険料は、単価は上がっているが、被保険者数が減ってきたし、納付率が下がってきているという、相反する動きがあるというお話がありました。そこで、関心は、納付率は相変わらずどんどん下がってきているのか、現状はどうなっているのか。その辺について少しお話ください。

○真鍋調査室長
 平成22年度の納付率は59.3%ということで、過去最低ではあったんですが、最近少しずつ戻してきていまして、23年度の途中経緯では数年ぶりに上回りそうということもあり、そういう意味では、少しずつですが、回復傾向にあります。

○牛丸委員
 現状は60%を割っているということですか。

○真鍋調査室長
 22年度の実績、現年度分では59.3%だということでございます。

○山崎部会長
 野上委員、どうぞ。

○野上委員
 10ページの表で、細かい点なので、もしお答えいただけるようであればということなんですけれども、ここの年齢別で55歳から60歳で、被保険者期間が5年未満のところの人数が25万4千人ということで、ほかのブロックに比べて高くなってございますが、ここの部分というのは、もしかしたら早目に会社を辞められて、自営などになっておられる方だと推察されるんですが、ここの数字自体は、傾向としては増加傾向にあるんでしょうか。減少傾向にあるんでしょうか。

○真鍋調査室長
 昨年の同じ資料でいいますと、男女合計の数字ですけれども、昨年も26万4,千人ということで、おっしゃっているのは、多分そのちょっと前の年齢層より多いということだと思うんですが、やはり多くなっております。

○野上委員
 多くなっているんですね。

○真鍋調査室長
 はい。

○野上委員
 ということは、働ける年齢を上げていこうという傾向とは、逆の動きになっているという認識なんでしょうか。企業で働くだけが、働くということではないとは思いますが。

○真鍋調査室長
 逆行しているとまでは言えないと思うんですけれども、事実として、ここが若干多くなっているというのは、そのとおりだと思います。

○野上委員
 わかりました。

○山崎部会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、以上で国民年金の財政状況についての報告の聴取を終了します。
 報告者の方々には、お忙しい中、どうもありがとうございました。

(厚生年金保険・国民年金(基礎年金)関係者退席)


○山崎部会長
 それでは、これで本日予定しておりました厚生年金保険及び国民年金の報告の聴取を終了いたします。
 今後の予定につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○田村首席年金数理官
 ありがとうございました。
 次回の年金数理部会でございますが、明日27日の14時から、本日と同じこの場所、専用第22会議室にて開催をいたしまして、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度について報告を受ける予定となっております。
 以上でございます。

○山崎部会長
 本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室
(代)03-5253-1111(内線3382)

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