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2011年12月14日 第47回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成23年12月14日(水) 13:00〜14:30


○場所

厚生労働省専用第18会議室(合同庁舎5号館 17階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○議事

○大橋部会長 ただいまから、第47回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。欠席者は、公益代表宮本委員、公益代表鎌田委員、労働者代表芳野委員、使用者代表佐藤委員です。なお、佐藤委員の代理としまして、全国中小企業団体中央会の小林信労働政策部長様が代理出席なされております。それでは議事に入ります。
 前回の部会では、ご意見の集約ができた部分やご意見がまだ残っている部分がありましたが、これまでのご議論を踏まえて、今後の対策の方向性についてのたたき台を作成していただくよう、私から事務局に対してお願い申し上げたところです。本日は、事務局において作成していただきましたたたき台に基づいて意見の取りまとめに向けて議論を行いたいと思います。それでは、事務局において作成していただいた今後の対策についてのたたき台をご説明いただきたいと思います。また、前回のご議論の中でご質問等のあった部分についてもご説明ください。では、よろしくお願いします。
○野田高齢者雇用対策調査官 それでは、お手元の資料1「今後の高年齢者雇用対策について(たたき台)」と資料2についてご説明いたします。まず、資料1「今後の高年齢者雇用対策について(たたき台)」について説明させていただきます。これは、前回の部会で、部会長から、これまでの議論を整理し、今後の方向性についてのたたき台を作成するようにとのご指示を受けまして、これまでの部会で公労使の各委員からいただいたご意見を踏まえて事務局が作成したものです。この中には、これまでに労使のご意見が必ずしも一致していない点も含まれておりますことを付言させていただきます。それでは読み上げさせていただきます。
 今後の高年齢者雇用対策について(たたき台)。少子高齢化が急速に進展する中、全就業者数は、2020年には2009年と比較して約433万人減少することが見込まれており、2012年には、団塊の世代が60歳代後半に達し、職業生活から引退して非労働力化する者が増加すると見込まれている。一方、我が国の高年齢者の就業意欲は非常に高く、65歳以上まで働きたいという者が高齢者の大部分を占めている。
 このような中、現行の高年齢者雇用安定法では、60歳定年及び65歳まで(平成23年12月時点では64歳)の雇用確保措置を義務化しているが、例外的に、労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を講じたものとみなしている。
 雇用確保措置を導入している企業の割合は、31人以上規模企業のうち95.7%に達しており、全企業のうち、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%であり、希望者全員が64歳(平成23年12月時点での雇用確保措置義務年齢)まで働ける企業の割合は50.8%である。また、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準により離職した者が定年到達者全体に占める割合は1.8%(定年到達者約43万5,000人中約7,600人)となっている。
 一方で、年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられており、男性については、定額部分は平成25年度に65歳までの引上げが完了し、同年度から、報酬比例部分についても61歳に引き上げられる(平成37年度までに65歳まで段階的に引き上げ)ため、無年金・無収入となる者が生じる可能性がある。
 また、高年齢者については、長い職業人生で培ってきた職業知識や経験を経済社会において有効に活用することが重要であり、そのためには高年齢者がその意欲及び能力に応じて働くことができる生涯現役社会を実現するための環境を整備することが必要である。
 当部会においては、このような問題意識の下、マル1希望者全員の65歳までの雇用確保策、マル2生涯現役社会の実現に向けた環境の整備のための方策について検討を行ったところであり、その結果は以下のとおりであるので報告する。
 この報告を受けて、厚生労働省において、法的整備も含め所要の措置を講ずることが適当と考える。
 1.希望者全員の65歳までの雇用確保について。少子高齢化が進展し労働力人口が減少する中、現行の年金制度に基づき公的年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられることを踏まえると、無年金・無収入となる者が生じないよう、65歳までは、特に定年制の対象となる者について、希望者全員が働くことができるようにするための措置が求められている。
 (1)希望者全員の65歳までの雇用を確保するためには、法定定年年齢を公的年金支給開始年齢と合わせて引き上げることも考えられるが、現在60歳定年制は広く定着し機能しており、法律による定年年齢の引上げは企業の労務管理上、極めて大きな影響を及ぼすこと、60歳以降は働き方や暮らし方に対する労働者のニーズが多様であることなどを踏まえると、直ちに法定定年年齢を65歳に引き上げることは困難であり、賃金制度などの労務管理上の課題に関する環境整備を含めて、中長期的に引き続き検討していくべき課題ではないか。
 (2)しかし、現行制度では65歳までの希望者全員の雇用を確保することとなっていないため、2013年度からの老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引上げに伴い、無年金・無収入となる者が生じないよう、雇用と年金を確実に接続させるため、現行の継続雇用の対象となる高年齢者に係る基準は廃止することが適当ではないか。
 その際、例えば長期にわたり労務提供が困難であることが明らかな者の就業規則における取扱いについて、考え方の整理が必要ではないか。
 (3)また、継続雇用制度の基準を廃止する場合であっても、就労を希望する高齢労働者が増加していくことを考えると、同一企業の中だけでの雇用の確保には限界があるため、事業主としての責任を果たしていると言える範囲において、継続雇用における雇用確保先の対象拡大が必要ではないか。
 (4)雇用確保措置はほとんどの企業で実施されており定着していると考えられるが、未だ雇用確保措置を実施していない企業が存在するため、今後全ての企業で確実に措置が実施されるよう、指導の徹底を図り、指導に従わない企業に対する企業名の公表を行うことが適当ではないか。また、個別労働紛争解決制度などについて周知を行い、個々の労働者の救済を図ることが適当ではないか。
 (5)希望者全員の65歳までの雇用確保についての普及・啓発や、同制度の導入に関する相談支援等について、政府としても、積極的に支援することが必要ではないか。
 2.生涯現役社会の実現に向けた環境の整備。2025年には65歳以上人口が全人口の3割を超えると見込まれる中で生涯現役社会の実現が求められるが、高齢期は個々の労働者の意欲・体力等に個人差があることなどから、それらに応じて正社員以外の働き方や短時間・短日勤務やフレックス勤務を希望する者がいるなど、雇用就業形態や労働時間等のニーズが多様化している。このため、このような高年齢者の多様な雇用・就業ニーズに応じた環境整備を行うことにより雇用・就業機会を確保する必要がある。
 また、中高年齢者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しく、いったん離職するとその再就職は困難であるため、再就職しやすい環境整備が一層必要である。
 (1)生涯現役社会の実現のためには、高年齢者も含め高齢期を見据えた職業能力開発や健康管理の推進が必要であるが、労働者自身の意識と取組を前提としつつも、企業の取組の支援など国としても高齢期を見据えた職業能力開発や健康管理の推進に一層取り組むことが必要ではないか。
 なお、現在の高年齢者等職業安定対策基本方針に定める事項は65歳までの雇用機会の確保を主眼としたものとされているため、生涯現役社会の実現を目指す観点から、変更が必要ではないか。
 (2)高年齢者で定年まで雇用されていた企業ではなくその知識経験を生かすことができる他の企業での雇用を希望するような者が、再就職できるよう、高年齢者の円滑な労働移動の支援を強化する必要があるのではないか。
 (3)求職活動支援書は再就職支援のために有効であると考えられるが、活用状況が低調であるため、求職活動支援書やジョブ・カードの作成・交付について周知・徹底が必要ではないか。
 (4)高年齢者の就業ニーズに応じ、多様な雇用・就業機会を確保するため、高年齢者に配慮した職場環境の整備などに対する支援が必要ではないか。資料1は以上です。
 続きまして、資料2「諸外国の年金制度と高年齢者雇用対策の概況」について簡単に説明します。これは前の部会に1回お出しした資料ですが、法制についてご指摘を受けましたので、もう1回調べ直して、内容を補充できるところを補充したものです。
 アメリカにつきましては、高年齢者雇用対策の2つ目のマルの2行目のただし書以下を追加しました。これは「雇用における年齢差別禁止法」で、記載したとおりのただし書の規定が設けられているためです。
 イギリスにつきましては、年金制度の引上げの年度が若干変わっていたそうなので、そこを修正しました。また、高年齢者雇用対策につきましては、根拠の法律名を載せつつ、2つ目のマルと3つ目のマルを追加しました。
 ドイツにつきましては、高年齢者雇用対策の2つ目のマルを追加しました。社会法典によって、公的年金支給開始年齢より前の定年の定めは、一定期間内における労働者の同意がない場合、その支給年齢が定年とみなされるという旨の規定が設けられているとのことです。
 フランスにつきましては、年金制度の支給開始年齢が60歳4カ月だそうなので、ここを修正したのと、最初のマルの根拠法の部分に差別禁止法を追加しました。2つ目のマルに「年齢を理由に退職を強制することはできない。ただし、満額年金の受給権者については年齢を理由として労働契約を破棄しうる」という規定があるようなので、追加しました。非常に簡単ですが、以上です。
○大橋部会長 ありがとうございました。それでは資料1及び資料2につきましてご意見、ご質問等があれば、ご発言ください。
○野村委員 今後の高齢者雇用対策についてのたたき台、資料1が提出されておりますが、これについて意見を述べたいと思います。この中で「1.希望者全員の65歳までの雇用確保について」の(2)です。ここに今回、「雇用と年金を確実に接続させるため、現行の継続雇用の対象となる高年齢者に係る基準は廃止することが妥当ではないか」という文言が盛り込まれております。現在、労使協定により対象者の基準設定によるみなし措置があるわけですが、この議論のポイントは、「希望者全員」という、この「全員」がポイントだと思っております。
 現行の制度ですと、基本的には「希望者全員」ということにはなり得ないわけですので、まず、「希望者全員」が65歳まで雇用確保を担保されるという制度にしていくためには、たたき台の文言は極めて妥当ではないかと思っております。特に公的年金の支給開始年齢の引上げ、これはすべての人に適用されるものであることから、雇用と年金を接続させるためのこの見直しは極めて必要だと考えておりますので、この文言は極めて妥当だと判断しております。以上です。
○大橋部会長 ほかにご意見はいかがでしょうか。
○橋本委員 このたたき台に関してなのですが、1.の希望者全員の65歳までの雇用確保ということに関して、ここは主として公的年金の接続ということに論点が置かれてまとめられているようですが、従来からも繰り返して申し上げておりますように、公的年金との接続という問題については社会全体で対応すべき課題であります。仮に定年制の対象となるものに限定するとしても、企業による雇用確保のみにその対応を求めるということになれば企業の活力を削ぐことになって、ひいては雇用全体に悪影響を及ぼしかねないということをまず申し上げたいと思います。特に若年者雇用への悪影響が大いに懸念されるということは、これまでも再三指摘してまいりましたが、その点が一切考慮されていないということは大変遺憾だと思います。取りまとめに際しましては、是非、言及していただきたいと考えております。
 それから、2つ目としまして、(1)にあります、法定定年年齢のあり方についてです。下から3行目の「直ちに法定定年年齢を65歳に引き上げることは困難であり」という、この点に関しては労使、一致した見解だと認識しておりますが、そのあとの最後の部分、「中長期的に引き続き検討していくべき課題ではないか」という点については、私どもとしては認識の共有はできていないと申し上げたいということです。
 私どもとしましては、いままでも、労務管理上の課題の解決が図られる環境が整わない限りにおいては検討はできないと主張してきております。具体的に申し上げれば、労働条件の不利益変更の法理とか解雇法制、こういったものも含めて、必要な法制度の整備が図られてから初めて定年制のあり方というものについて検討できる状況になると考えております。この点を強く申し上げておきたいと思います。以上です。
○市瀬委員 いまの基準を廃止すべきというご意見についてですが。私どもで、この基準を廃止することになった場合に大きな影響を受けるという中小企業に聞いたところによりますと、約半数の企業から、新卒者の採用抑制を行わざるを得ない、という回答を得ております。基準制度の廃止は若年者雇用への悪影響が懸念されておりますので、もう一度繰り返し申し上げますが、定年前の解雇に厳しい規制がある中では、対象者の基準廃止という一律的な規制強化には反対しております。若年者雇用への悪影響に加え、高年齢者のための新たな職域開発など、企業負担が非常に大きくなることも懸念されておりますので、現行の労使協定の枠組みを維持すべきだと考えております。以上です。
○安田委員 使用者側からの意見が続いておりますが、私からも、やはり対象者の基準の廃止が適当であるという記述については納得いかないということについて、違う視点から申し上げたいと思います。
 以前も申し上げましたが、やはり再雇用というのは新たな採用の場面ということもありまして、それを一方の当事者である労働者の希望のみで雇用を確保しなければならないということは、やはりどう考えても企業の採用の自由、あるいは契約の合意の原則にも反してくるのではないかと思わざるを得ません。また、いまも一律の雇用というような話がありましたが、これまでの基準においても、個々の企業の実情に即した対応ということで、労使協定による基準の設定というものを設けていたということ。これは本当に個々の企業の実情が違うということについて、それぞれで、労使できちんと制定をして結んできた今の基準だということを考えますと、やはり現行の労使協定に基づく基準の制度は維持すべきだと考えております。以上です。
○縄倉委員 今ほど経営者側の皆さんのお考えをお聞きしていると、非常に後ろ向きというか、高齢者はもう働いてもらわなくてもいいんだと、かえって高齢者を雇うことは企業にとって損失なんだと、ご意見としてそのように受け止めざるを得ない発言なのです。これまで高齢者は、定年退職に至る60歳になる方々は当該企業においてそれなりの働きをされてきたわけで、定年直前までその労働力を企業としても使われていたわけですよね。それを定年退職になったからといって、いきなり邪魔者扱いではなくて、むしろ再雇用ということであれば労働条件の見直しは可能なわけであって、その中で、いままでと同じスキルの労働力を持った方をいままでより安い労働力として使えるんだ、そういった活用を図っていくんだというような前向きな考え方がどうして出てこないのか、非常に疑問に思います。60歳を迎えた労働者はもう世の中にとって邪魔者なんだ、というような言い方をされているようにしか聞こえませんでした。非常に残念だと思います。
 我々としてはこの技術を持った人間をこれからも活用していってほしいですし、まして、いま製造業などでよく行われている、技術を持った労働者が定年後に開発途上国に移られて、その国の若者たちに対してその技術を伝承している。我が国において製造業等々で技術の伝承をされるのであれば、まずその技術は我が国の若年労働者に伝承されるべきであって、その部分の視点が今のご発言の中には欠けていると思わざるを得ないと思うのです。その辺りを含めて、是非、もう少し前向きに捉えていただくということをお願いしたいと思います。
○小林代理(佐藤委員代理) 現場を申し上げますと、かなりの高齢者の方に現場で就労していただいていますし、現に中小企業の多くでも、65歳までの定年の引上げをしている企業もあれば、70歳のところもあれば、定年制をとっていないところもあります。この間、ある現場に行ったら70歳の方が元気に働いている状況というのはあるわけで、すべてを否定しているわけではないということは十分認識していただきたいと思います。
 ただ、言えることは、中小企業の場合はやはり従業員の数が限られているわけです。従業員の数が限られている中でさらに継続的に雇用していくということになると、先ほど使用者側の委員が言っていましたが、若年者雇用の枠が失われるのは確かなのです。その点はやはりすべて、大企業さんも違うところもあるとは思いますが、中小の場合は特に若年の雇用が難しいという部分があります。その辺は十分認識していただければと思います。
 もう1点言えるのは、やはり人間、加齢、年をとればそれなりに体力的な衰えがあるというのは、一部にも書いてありましたが、それはやはり否定できない部分ですよね。それで実際の現場の中で引き続き、年をとられてその職場で働き続けることが難しい状況というのもやはりあるのだと思います。そのときに、従業員が少ない中でやって新しい職域を創り出そうというのはやはり難しい部分が、業種によっては、ある面で影響を受ける業種や業態というのはあるのだと思います。それをすべて一律に同じようにやるというのはやはりどうかなというのは十分お考えいただきたい、というのは1点で言っているわけです。ですから、いま現在、かなりの中小企業でも継続雇用制度をとってきています。その中で基準制度というのは定着している部分もあって、その部分を本当に廃止していいのかというのは十分考えていただきたい。
 さらに申し上げるのであれば、安全衛生という側面でも言えるわけです。いろいろな形で、世の中では車が動いていたり、建築の現場では安全衛生の側面で配慮しなくてはならないというときに、先ほど申し上げた、すべての人間が同じように働けるかというのは考えなければいけない。というところがあって是非とも見直しをしていただきたい、というのがお願いです。以上です。
○山下委員 使用者側からいろいろご意見等が出ておりますが、その中で特に若年雇用の抑制になるというのを何人かの委員も発言されているようです。まず、基本的に日本は将来的に人口減少社会と、そして、そのことによって労働力人口は減ってくる、これは紛れもない事実、そういうことだろうと思っております。そういうことを考えますと、いずれにしても、これからは高齢者も含めていろいろな立場の人たちがそれなりの立場でまたいろいろな仕事に就いていく、また仕事ができる、そういう雇用環境の充実は必要不可欠だろうと思っております。いま、何か高齢者の雇用を拡大することがすぐ若年の雇用抑制になるんだと。それは、直期的に言えばそういう部分もあろうかと思いますが、やはり企業というのは永続的に活動を続けていくわけですから、そういう意味では中長期的な視点も企業経営の中には必要なのではないのかなと思っております。それとあと、高齢になりますと、加齢による体力的な衰え、こういうものが生じてくるということです。これも当然、そういうことは、年齢的な問題で出てくるとは思います。
 そういう中で安全衛生の問題に少し触れられておりますが、安全衛生の問題というのは、年齢差の中で安全衛生問題を取り扱うべきではないと思っております。年齢にかかわらず安全衛生というのはしっかり確保、担保して安全を配慮していくというのは企業経営にとっては当たり前の話ですので、年齢の問題と安全衛生の問題をリンクしてお話をされるのはいかがなものかと思っております。
 いずれにしても、高齢者の雇用を確保することによっていろいろな意味でのコストがかさむというようなお話も出ておりましたが、ある意味では、高齢者の活用の方法というのは、いままでその人たちが仕事の中で培ってきた技術、技能、資格というものを有効に活用することが基本で、そのあと未来永劫、長く働いていただくということではありません。したがって、その仕事に必要不可欠なスキルアップ等はあろうかと思いますが、それはごく限定的、限られたものと私は受け止めております。そういう意味では、一般の若年雇用等に関わるような、就業に関わる教育訓練等のコストは私はかからないのではないのかなと思っております。したがって、企業は、とりわけ企業経営者はいかに高齢者をうまく活用していくのか。そこは企業経営者の、ある意味では能力といいますか、役割ではないのかとも思っておりますので、是非、前向きに受け止めていただければありがたいと思っています。以上です。
○橋本委員 先ほど来出ておりますが、決して後ろ向きに考えているわけではございません。前回も申し上げましたように、企業としては高年齢者のいわゆる経験とか技能とか、こういうものを是非活用していきたいと思っているところは、これは誤解のないように申し上げておきたいと思います。特に意欲があって能力があって、こういう方がついては是非長く働いてほしいと、そういうつもりで今も再雇用制度をやっておりますし、そういう方がたくさん働いていただいているというのは間違いないことだと思います。ただ、申し上げておきたいのは、ここでいちばん大事なのはやはり意欲と能力、これがある方に関しては一切拒否するつもりはないのですが、これがない方も含めて希望者全員を雇えと、そういう形はあまりにもいきすぎではないかなと、こういうことを以前から申し上げているということだけは申し上げたいと思います。以上です。
○山下委員 1.の(2)の関係ですが、やはり雇用と年金が確実に接続できるという点はきちんと確保すべきだろうと考えております。したがって、基準の廃止は適当だろうと思っております。SR、いま社会的責任というのがISO26000のほうでも出ているわけですので、そういった意味でも、企業も含めて社会全体で対応することが必要なのではないかと思っております。やはり希望する人が全員65歳まで雇用を確保されるという、そういった対応をしっかりとやるべきではないかと思っております。
 また1.の関係で、私は個人的には片仮名があまり好きではないのですが、ディーセントワークの実現といったことを是非、前書きのところにでも入れていただいたらどうかなと。これは若い人だけではなくて、すべての年齢層の方にとって大事なことだと思いますので、検討していただいたらどうかと思います。
 あと、2.の関係になろうかと思いますが、先ほど意欲と能力というようにお話が出ましたが、高齢期に達する前にその前段で、キャリア形成というのでしょうか、技術、技能あるいはノウハウを高めていくような職業訓練といいますか、能力開発をもっと推進するべきではないのかなと思っております。2.の(1)で触れられているとは思うのですが、現状の、国が中心の職業能力開発、これはこれで十分機能されているとは思いますが、例えば、いま仕事の現場もどんどん変わっていくということですとか、求められる職業キャリアも場合によっては変わっていくということもあろうかと思いますので、例えば労使も含めて、三者構成といいますか、労使も参加あるいは協力をしながら職業能力開発を進めると、そういった施策なども必要なのではないかと思います。とりわけ、ものづくり、私たちは建設業なわけですが、熟練した技術、技能あるいは経験といったものは大変重要な世界ですので、そういったこともよく配慮していただいて職業能力開発を進めていただくようなことをやっていただければと思います。併せて、能力の評価といいますか、経験の評価といいますか、そういったこともしっかりと行っていただくことが賃金なり労働条件なりの確保ということになると思いますので、ジョブ・カードの活用なども出ておりますが、こういったこともしっかりと進めていただきたいと思います。
 あともう1点だけ。シルバー人材センター事業について、この間、あり方とか改善すべき点とか、意見、議論がたくさん出ているわけですので、全く触れられていないのはいかがなものかなと思いました。以上です。
○福田委員 いままでいろいろお話してきたのですが、やはり高齢者にはどうしても個人差があるのかなと、これはやむを得ないことなのかなと。それで、すごく働く意欲のある人には、私どもも当然、感謝するとともに何か報いなければいけない。その報いる方法にはどんなことがあるのかなといろいろ考えてみているのですが、「2生涯現役社会の実現に向けた環境の整備」というところで、やはり生涯現役の形をとるのであれば、先ほど山下さんもおっしゃいましたが、58歳とか59歳の辺りで転籍して、産業雇用安定センターとか、そういうところを利用して労働移動をして、いいところを世話してあげて、自分の持っている技術をそこで活用すると。先ほど山下さんから建設業というようなお話もあったのですが、やはり同じところにいて技術を伝承するよりも、ほかの場所で技術を伝承させてあげたほうが若い人に対しては非常に意欲が出てくるのかなと、やはり若い人のモチベーションも上がってくるのかなと。いろいろ意見を聞いていると、高齢者がいることによってなかなか若い人の意欲が出てこないというようなことは非常にあるので、その辺はよく考えていただきたいと思っています。産業雇用安定センターなどの活用は厚生労働省のほうで積極的に取り組んでいただきたいと、このように思っています。以上です。
○照屋委員 いまのお話で継続雇用における雇用確保先の対象拡大の関連だと思うのですが、やはり、企業が再就職支援を行うために通常そういった産業雇用安定センターを活用することについて異論はございません。そういった方法は考えられることではあります。ただ、それを今回の雇用確保措置の対象とすることについては、やはり定年の引上げ、あるいは継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進という事業主の義務を果たしているとは思いません。そういう意味では、高年齢者雇用安定法の目的から逸脱しているとしか考えられません。そういう意味でも今の発言については反対です。
○福田委員 私は以前、ちょっと勘違いされたかなと思ったのですが、60歳からそういう雇用安定センターを使って紹介をするというのはやはり違法かなとは思いますが、定年前にそういう紹介をするというのは決して違法ではないのかなと思うのです。それはいかがでしょうか。
○新谷委員 関連して申し上げます。私は福田委員のおっしゃるその論理がよく呑み込めなくて、すごく働く意欲のある方に対する「報いる」という表現で、要するに、あたかも何か恩恵的に雇用契約をしてやっているような受け止め方をしてしまったのです。労働契約というのは双方合意の世界ですので、ちょっとニュアンスが違うのではないかと思います。それと、産雇センターは「失業なき労働移動」ということで、それはそれで目的としては素晴らしいと思いますし、需給調整をきちんとやっていただくといいのです。しかし、転籍の場合は、民法の基本原則に則れば、労働者の同意がないと転籍できませんので、何か使用者側で一方的に転籍させるようなニュアンスで聞こえたものですから、そこの基本ルールというのはきちんと押さえた上で話をされたほうがよろしいのではないかと、私はそのように受け取りましたので申し上げたいと思います。
○福田委員 誤解があって、それはやはり労使ともに話し合ってやることであって、決して一方的な話ではないということを付け加えておきます。
○縄倉委員 先ほどの話の続きになるのですが、安全衛生の面から言って体力的な面も含めて個人差があるということは、我々としても否定するものではありません。その中で、ただ60歳を迎えた方を、先ほどすごくうれしい言葉がいただけたのですが、意欲と能力のある高齢者の方では活用していきたいというそのお考え、これは、我々としてもそれを望むものです。ただ、もしそうなったときに、意欲と能力のある方は活用していきたいということであれば、60歳以降の雇用を希望するということは、意欲はあると我々としては受け止めるのです。そこであと問題になるのは能力判定、働ける能力があるのかということだと思うのです。では、その部分について、今の高齢法9条2項を残せば能力判定は確実に担保されているのかというところが問題だと思っているのです。今の高齢法9条2項のいうルールでは、結局、客観性とか、先ほども出ましたが、CSRの問題とか、そういったところで本当に社会が企業に求めているものを担保できるのかというところはもう少しお考えいただきたいというところです。
 それとあと、本当に働ける能力があるのかというところで、今回は出ていませんが、前回までの論議の中で、働いていける能力があるかとか休職している人間はどうだとか、そういったお考えも出ていましたが、その辺りは非常にレアケースだと思っていますので、それはそれと別として少し捉えるべきではないのかなと思っております。是非、最初におっしゃられた意欲と能力のある方は活用していきたいという、その基本的な考え方で対応いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○安田委員 いまおっしゃっていただいたとおり、能力、基本的な労務提供ができるかということは大事だと思うのですが、第9条2項で、先ほど申し上げたように、そのために労使で基準を設けてやっている、それぞれの個々の企業の状況に応じて、その能力というものを見極めるために、労使で協定を結んで、その基準を作ってきているというところが、まさに合理的な能力を見極めることになってきているのではないかというのが1つです。
 また、いまのに関連させて少し申し上げますと、たたき台の2頁の(2)ですが、廃止した場合ということで、「例えば長期にわたり労務提供が困難であることが明らかな者の就業規則における取扱いについて、考え方の整理が必要ではないか」とあります。まさに再雇用ということでいうと、長期というのは何を指すのかが疑問でして、再雇用、その時点で労務提供が困難であるかどうかということが1つの判断基準にはならざるを得ない、このような段階で「長期」ということを使うのが、どうしても不適切ではないかなと思います。企業の経営状況、健康状態等を含めて、適正な職務が提示できないケースというのもあると思いますので、そういう意味で就業規則のみでの対応というのは、あまりにも制約が多すぎるのかなということも付け加えておきたいと思います。
○新谷委員 労使でというご発言がありましたが、高齢法第9条2項で言っている労使というのは、労働組合だけではなくて、労働組合がない場合、あるいは過半数を取れていない場合は、過半数代表も含むという労使であります。私どもとしては、ここが労使と言われると、本当に運用の実態からいって、労使の代表制はうまく機能しているのか。これも前回、事務局にお聞きいたしましたが、高齢法第9条2項の労使の代表の選出手続というのは、労働基準法施行規則の第6条の2に従って、きちんと公示をすることによって、この人が代表になる、挙手または投票で選出するという手続きを踏まえなければ、その要件を満たさないわけでして、少し古い調査ですが、JILPTの調査によりますと、多くの企業でそういう実態を踏まえていないという結果が出ています。私どもがいろいろな労働相談をやると、過半数代表が誰かわからないというのがあります。それは36協定も含めてなのです。よく聞くのが、中小企業においては、管理部門の新入社員に近い職員の印鑑を借りて提出しているという実態も聞くわけです。
 私どもとしては、手続の問題として、ここを労使と言われるのは片腹痛いという思いがありまして、ここは本来であれば、労使協定は元々免罰効から始まったものであるにもかかわらず、高齢法第9条第2項における労使協定は労働条件を実質的に決定する基準となりうるところまで拡大してしまったというのは、拡大しすぎではないかということがありまして、今回これはそういった意味でも見直しをするべきではないか。
 ただ、本当に労使ということであれば、労組法上の労働協約の締結権というのは労働組合にありますので、労使できっちりと協議をして、書面による協定を取り交わして、労使交渉の実を上げていくことが本筋であり、本来的な集団的労使関係の中で対処するべきではないかなと思います。
 もう1つ、いま「長期に」とおっしゃって、現に労務の提供ができないのではないかとおっしゃるのですが、そこもよくわからなくて、これも前回申し上げたように、いまの高齢法は3つの雇用確保措置の義務を事業主に課していて、どれかをやっていただく必要があるということで、しかも雇用契約というのは継続的契約ですから、1回だけの売買契約とは違うわけです。契約切替えのときに労務の提供ができなかったら締結しませんというわけにはいきません。例えば、極端な例では、切替えの日に風邪をひいて休みますといったら、現に労務の提供はできないわけです。それをもって更新を拒否するのか。そこの長期というのはここに書いてあるとおりでありまして、雇用契約の性質をよく読み込んでいただいて、そういうご趣旨ではないとは思いますが、ここに書かれているような、就業規則における取扱いで処理するのが、現実的な処理としては相応しいのではないかと私は思っております。
 その上で質問ですが、ここに書かれている「その際」という、(2)の下の2行のところですが、「就業規則における取扱いについて、考え方の整理が必要ではないか」とあります。ここによくわからないところがあって、例えば65歳までの雇用確保といったときに、3つの雇用確保措置があって、かつここで問題になるというのは、第9条第1項第2号の要件に該当する、継続雇用制度を入れた場合だと思うのです。
 継続雇用制度を入れたときに、雇用の変動のフェイズというのはいくつかあるのですが、1つは切替えのときです。定年を60歳とすれば、60歳のときに労務契約の内容を切替えます。それが再雇用なのか継続雇用なのか、いろいろありますが、切替えの瞬間と、もう1つは切り替わったあとです。現状ですと9割以上の企業が、1年ごとの有期雇用で更新という形で、65歳までつなぐという制度を入れているところが多いと思うのです。そうすると、60歳で切り替わって、有期で1年経ったときに61歳を迎えて、更新の時期を迎えます。そのときに更新の拒絶が起こるか起こらないかといったフェイズがあると思います。ですから、切替えの瞬間と、61歳、62歳、63歳、64歳とある更新の時期、それぞれにおいて、最近の裁判の流れが変わってきていると思いますが、公益の先生に教えていただきたいのは、その辺の切替えの瞬間と、継続雇用に切り替わったあとの更新拒絶における、最近の裁判例の動向について、おわかりであれば教えていただきたいと思います。
○森戸委員 裁判例の動向についてというのは長い話になりそうなのですが、趣旨としては、どういうことですか、60歳のときではなくて、61歳のときの。
○新谷委員 切替えの瞬間と、更新に入ったときの更新拒絶の問題で、それをここに「就業規則における取扱い」とあるので、その辺の絡みがあるのであれば、どのように解釈すればいいのかというのを教えていただきたいのです。
○森戸委員 ここの文書の趣旨は、私も必ずしもはっきりはわかりませんが、事務局がどのような趣旨で書かれているのかは、あとで教えてもらいたいのですが、簡単に言えば、解雇権濫用法理の類推の範囲で、客観的、合理的な理由があるかということで、判断されるのだと思うのです。ですので、就業規則において、どういう定め方をするかというのは現場では問題なのでしょうけれども、はっきりしていることは、どの時点であっても、もちろん雇止めとはいえ、実際上、そのルールは類推適用のようなこともあり得るので、就業規則に書いておけばそのとおりにいくとは限らないのではないでしょうか。それは裁判においては、就業規則にこう書いてあるから辞めなければならないのですという話には、たぶんならないということは言えると思います。この趣旨によるかと思います。これがどのような意味で入っているのかを聞いてから、もう一度お答えしたいと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 趣旨をご説明いたします。これまでの議論の中で、先ほど来お話に出ています、労務提供が継続的に困難な場合についてまで、こういった継続雇用制度の対象にするのはいかがなものか、どういう取扱いにすべきかというご議論がございました。
 その中で、公益の先生その他から、就業規則云々というお話もございまして、いわゆる高齢法の継続雇用制度を実際に運用するためには、各企業で就業規則なりに落として運用されていくという形になるわけですが、そういった中で、先ほど来お話になっている長期に労務提供ができないようなケースについて、例えば退職事由等に該当するような場合という形になるのかもしれませんが、そういったものについて、継続雇用の対象にしないといったようなことについて、合理性が認められるような場合についての取扱いはどう考えたらいいかといった視点を、ここでお示ししたということです。
○森戸委員 そうすると、同じことを言うようですが、それは制度でどう定めても、更新なり60歳のときでもいいですが、切替えのときに、高年法から直接というよりも、実質上高年法の趣旨からして再雇用するようになっているわけだから、解雇権濫用法理の類推適用のような範囲の中で、あまり合理的ではないような理由で切られてしまうことに関しては、裁判所が何と言うかは会社の制度によるので何とも言えませんが、裁判所がそこに歯止めを掛ける可能性はあるのではないかなとは、一般論としては思います。
 ただ、いずれにしても高年法は、民事的にどうなるかという話までは、一応別な話かなと思うので、そこは就業規則の話をどの程度報告書に書くのかというのは考えなければいけないとは思うのですが、とりあえずそのようなところでいいでしょうか。
○荻野委員 少し遡りますが、労働者代表からいろいろと問題提起があって、議論ができていないところがいくつかあると思いますので、まとめて発言させていただきます。
 1つ目は、定年退職された高年齢者の方が、技能を海外の途上国などで伝承されているというご指摘がありまして、これは一義的には民間の国際貢献として、大変結構な話ではないかと思っております。確かに、海外のライバル会社に対して技能を伝承するということも、まま見られるわけですが、これについては、そういった可能性も織り込みながら、しかし雇用を終了するのが合理的であるという経営判断の下に行われていることだということは、まずご了解いただきたいと思います。
 その上で、そういったことを抑制することにも外部経済があるということであれば、それは国に負担を求めることは正当化できると思いますが、その方法としては、使用者がすべて雇用するのがいいのかというと、これは別の議論ではないかと思いますので、一言申し上げておきたいと思いました。
 それから、労働力人口が減少するという前提の置き方についてですが、これは前回か前々回も申し上げたと思いますが、成り行きでは、足下のみならず、残念ながら中長期的にも労働需要の減少が労働力人口の減少を上回るという試算も出ているので、これを議論の前提とすることについては否定はしませんが、相当慎重であるべきではないのかなと感じたところです。
 先ほど新谷委員から、団体交渉、労働協約によって、個別労使における本音で私法のあり方について規制をしていくというご発言がありまして、大変に同感をするところです。もちろん使用者代表としましては、現行の労使協定による基準制度の維持を前提に議論させていただいているわけですが、その留保を置いたとして、日本の集団的労使関係の法制度は労働組合の結成、対等な立場での団体交渉、労働協約の締結を通じて、労働条件の改善、労働者の地位・福祉の向上を意図しているということを踏まえますと、そういった、例えば過半数労組、もっと言えば労働協約に定めた労働者を除いて全員が労働組合員になるというような、いわゆるユニオンショップ協定の下で、労使関係が成立している場合に、労働協約によって基準を定める基準制度というものは、否定すべきではないと考えております。
 と申しますのも、具体的な事例として、これは経団連の会合の中で紹介された事例なのですが、ある企業の組合から、年金支給開始年齢の引上げを踏まえて労使協議を持ちたいという提案があって、受けられたところ、内容が、その企業は定年退職後の生活支援の給付制度を持っているのですが、その給付の金額を上げてくれ、基準についてはいまのままで結構だと。個別労使の事情によってあり得ると思うのです。そのときに、そういった、どちらが労使にとって幸せなのかということの選択を許さないといった法制度にするということが、本当にいいのかどうかというと、これは大変に疑問ではないかと思っております。
 それから、再雇用の確保先について若干の議論があったかと思います。ダイレクトにミートしていないかもしれませんが、現行基準制度を維持したとしても、年金の支給開始年齢が引き上げられるということも踏まえれば、いままで以上に再雇用先の確保に努めなければならないことは明らかであろうと思います。
 その上で、再雇用先の確保というのももう少し幅広に見ていく必要はあるのかなと思います。例えば、いまホールディングカンパニーを持って、その下に事業会社がたくさんあるという事業構造を持っている企業が増えておりますので、そういった場合は子会社の形になっている事業会社間での再雇用といったことも十分に考えられるのではないかと思いますし、さらに言えば、持分法適用子会社あるいは銀行法における近密な関係のある子会社といったような、関係の深い子会社も十分に考えられると思います。あるいは、これは中期的な課題になるのかもしれませんが、高年齢者の継続雇用先として適当であると厚生労働省が認可をした人材ビジネスといったものも、今後、高齢化が進展する中で視野に入れていくべきものなのかなとも思っているところです。
 もう1点です。これはたったいま議論の出た場面ですが、初回以降、継続雇用というのと、労使で定年の延長は今回は難しいということで言っている、定年延長との違いは何だろうかとたびたび問題提起をさせていただいたわけでして、議論の過程では、公益代表の先生から「それは職務及び労働条件の任意性にある」というご発言もあったかと思います。先ほど労働者代表委員からも、定年後の高年齢者については、柔軟な処遇の下で活用できるのだから、活用を是非考慮してほしいというようなご発言もあったこともありまして、ただいま議論のあった点について、もちろん最終的には労働契約法を類推適用して、裁判所の判断ということになるのかもしれませんが、その合理性、相当性等の判断に当たっては、定年前に比べると、一定程度緩やかに考えられるべきものであるという、考え方を雇用対策についての取りまとめの中に織り込んでいただくことを希望するものです。
○市瀬委員 少し遡ってしまうのですが、高齢者の方を邪魔者扱いにしているとか、そのようなことは私どもは毛頭思っておりませんし、若い方にきちんと伝承して、育てていっていただく枠組みが回っているということであれば、いちばんいい形だと思っているのですが、いまこういう厳しい経済環境の中で、中小企業としましては、義務化をされてしまうこと、義務化をされてしまえば新卒者の抑制を、どうしても半減せざるを得ないところが、いちばんの問題でありまして、義務化をしていくことに対して、当然のことですが、反対をしているということです。  先ほど新谷委員がおっしゃった現行の労使協定の拡大されてしまった枠組みを見直していくということに関しては、吝かではないのですが、とりあえず義務化をされてしまうということに関して、反対させていただきたいということをもう一度表明させていただきます。
○大橋部会長 最初に高齢者の働き方に対してネガティブなニュアンスが少しあったと思うのですが、それは一律に対する反対ということで、少しそれを強調されたので、高齢者の労働全般に対してネガティブな雰囲気を与えたのではないかと思うのですが、働く意欲と能力のある方については、もちろん大歓迎という視点は同じだと思います。
 それで、私がこれまでの議論で非常に不思議に思いますのは、いかに60歳定年を迎えられて、ここの言葉でいうと「長期にわたる労務提供が困難である」という方を排除するかというところに議論が絞られてきているのですが、例えば60歳定年で、荻野委員もおっしゃられましたが、雇用が切り替わるのです。つまり、職域が切り替わります。例えば嘱託、契約社員です。そうすると賃金制度、休暇制度も変わります。つまり、人事の方に聞くと苦労されるのは、うつ病などといった形で長期間休まれている方については随分苦労されている、これはよくわかります。だけれども、それは正規の社員の方で、新たにそういう形で職域も変わられた方に対して、同じような発想でいいのかなというのが、私の疑問なのです。
 そういう就業が困難な人を排除するという視点もあるかもしれませんが、雇ってもそれなりに労務提供がなされなければ、それはまた別の問題になりますので、そういう対応もあり得るかなと思うのですが、その辺の議論があまりなされないなと。その辺については、就業規則の観点からはどうなのでしょうか。就業規則の中に、正規社員と非正規社員で違うわけですが、そこに対応して、60歳以降の雇用に対応するという考え方は難しいですか。
○森戸委員 きちんと理解しているかわからないのですが、部会長のおっしゃったように、60歳で雇用形態、労働条件等が変わることは確かなので、そこについて、どのような労働条件のどのような契約が結ばれるかに尽きるので、先ほど荻野委員もおっしゃいましたが、60歳までと違う労働条件になることは確かだと思うのです。ただ、その範囲で合意をして契約をしているものなので、少し話が飛んでしまうかもしれませんが、先ほど「採用の自由にかかわる問題ではないか」という使用者側の発言もありまして、そうかもしれないのですが、これはまさに新しい雇用を使用者側がオファーして、それで合意があれば、それでも希望があれば雇いなさいということなので、そこで私は採用の自由の話は、そこになおあるのではないかと思うのです。決して定年延長をそのまま延長しろということではないので、そこは労使が折り合わなければ雇用されないので、それはまさに希望者全員というのも、当然、希望する雇用の中身が変わっていいという前提で、今回考えられていますので、その意味では会社側の採用の自由というのは、一応そこでは担保がまだあるのではないかと私は思います。
 その関係で、60歳以降はどのような就業規則にするかというのは、もちろんまた別の話です。いまある制度から、いまの基準の下で、60歳以降の雇用についての基準がある、今回そこが強化されるのであれば、会社として少し労働条件について見直しを、あるいは不利益な変更をしたいかもしれません。その場合は先ほどから出ているように、合理的な範囲で制度の変更をするということはおそらく可能ですし、そのときにこのように高年法が変わって、少し使用者側が負う義務が厳しくなったという点も、必要性で考慮されると思いますので、そこはバランスを取った労働条件の見直しは可能なのではないかと、一般論ですが私は思います。あくまでも、それは裁判所などでどのように判断されるかは、決してここで決める話ではないのですが、一般論としては、そういうことは可能なのではないかと思います。
 あと、先ほど労使の方、いつにもましていろいろ現場からの声を受けて発言なさっていて、私は現場はわかりませんので、それぞれ現場での問題があるのだなと思って聞いておりましたが、私は理屈でしか話はできませんが、いろいろと制度というのは完璧に作ったつもりでも、いろいろと穴があったりするわけです。ただ、この制度を、ここで何も決めずに、結局従来どおりとやると、年金の支給開始年齢が引き上がれば、雇用と年金の間に制度上穴があるというものになってしまいます。そうすると、私は個人的には恥ずかしいと思います。雇用と年金が接続しなくてもいいということを、経緯はどうあれ公のところで決めるというのは、正直そこに参加したいという気はしません。
 雇用と年金の接続の仕方は、アメリカのように年齢差別でしてしまうなど、いろいろあると思うのです。ほかのヨーロッパの国のように、年金をもらえる年齢で辞めてもらうのがいいのではないかというのが、わりと普通の接続の仕方かなと思います。いずれにしても、そこに雇用と年金が接続しないこともあるのだというのを、日本としてそれをおおっぴらに出すというのはどうかなと思います。
 「公的年金との接続は社会全体で対応すべきだ」という発言が使用者側からありまして、そのとおりだと思います。ですから、決して企業だけに負担を押し付けるものではないと思いますし、私は経済的なことはわからないので、若年雇用への影響などはわからないのですが、数字で見ると、報告書のたたき台の最初のほうにあったように、1.8%の人の話だと思うので、それがどのぐらい影響があるのかというのは、私にはわからないのです。
 社会全体で対応すべき問題なのですが、ぎりぎり何とか原則、雇用と年金に隙き間がないようにするのが、いま企業側に求められている対応なのではないかと思います。それとセットで、この報告書、たたき台の中にも企業側への事情の配慮もなされているのではないかと個人的には思っています。
 それから、決して意欲と能力がない人を雇えという制度を作ろうとはしていないのではないかと私も思います。仕事の中身は、新しい仕事のオファーがあっての希望なので、もちろんこの仕事をやりたいという意欲があるかという確認があるわけですし、能力のほうも、もちろんちょっと体の具合が悪い、では雇用はしないよというわけにはいかないでしょうけれども、本当に仕事ができない人まで、能力も意欲もない人まで雇うことを義務づけるものではないと思います。それは仮に今度新しいやり方が導入されて、いまのたたき台のような案になったとしても、決して全く仕事をしない、できない、やる気のない人を雇わなければいけないと要求するものではないと思っています。
 もしそうなってしまう恐れがあるのであれば、それは会社の中での、これまでの、逆に言えば意欲と能力のない人を、60歳までは雇ってきたということなので、それはそれで、根本的な考え方の見直しは確かに必要なのかもしれないと思います。
 あとは、荻野委員がおっしゃったことの趣旨はよくわかるのですが、高年法を今後どうするかということなので、60歳前までより切りやすいとか、そういうようなことはなかなか言えないし、おそらく60歳から新しい雇用になるので、その雇用の趣旨として、途中で雇止めするような理由があるかという話になって、そのときに高年法の趣旨のようなものも裁判所の解釈の中に入ってくるのではないかと思うのです。つまり、高年法は年金年齢までは雇いなさいという趣旨だということがあるので、例えば年金が62歳ということで、60歳から再雇用したけれども61歳で切るということに関しては、裁判所はそれなりの考慮はするような気がします。ただ、これは憶測なのでわからないですが。いろいろ報告書において問題点を指摘するのはいいと思うのですが、民事上の効力に関することをあまり書いてしまうと、それはそれでミスリーディングになってしまうかなという気もします。ただ、そこは議論の中なので、そんなにこだわるものでもありませんが、結論的には、私は持論としてはいろいろあるのですが、雇用と年金を何とか接続させると、今回はとりあえずこの先の議論に向けて、雇用と年金に穴を開けておくのはやめようということは決めなければいけないのではないかと思います。
 労側がおっしゃったことで、労使の選択で自由に決められる部分もあるのではないか。おっしゃるとおりで、ただ、荻野さんがおっしゃったようなことも、新しい制度になってもできないことはないのかなと思います。あと、究極的には、雇用契約を結ぶか結ばないかというのは、やはり個人の話なので、組合の方がいらっしゃるので申し訳ないのですが、労使で決めていいことと、その人が雇用をどうしたいかということは、究極的には個人の判断だと私は思うので、それは限界があるのではないか。労使がバックアップできる部分はあるのでしょうけれども、そこは違う次元も考えなければいけないのかなと思います。
○樋口委員 資料2「諸外国の年金制度と高齢者雇用対策の概況」ですが、これは前回私からお願いして作っていただきました。どうもありがとうございました。これを見てはっきりしてきたのは、上のほうにも書いてありますが、「欧米では年齢を理由とする雇用に関する差別は禁止されている」と、したがって、定年制ということについても同じような解釈というようなことがあるということで、前回私がこれを申し上げましたのは、前回の資料1で配付されたところに、「法定定年年齢の65歳までの引上げについて」とありまして、これはどなたの意見だかはわかりませんが、意見として事務局が整理した中にありました。「諸外国の制度に照らしても、法定定年年齢は公的年金支給開始年齢と合わせて引き上げるのが自然ではないか」と書いてありまして、これは違います。ほかの国でも、法定定年年齢を持っているところは、逆にいまはないということですから、この根拠として諸外国を使うのでは、諸外国がどう言うかと思いますので、この意見というのは違うかなと思いました。
 いま森戸さんから出た若年雇用との代替についてどう考えるか、これは私よりも大橋先生のほうがいいかもしれませんが、経済学者の間でも必ずしも意見が一致しているとは言えない面があります。また、就業環境さらには経済成長との関連、企業の成長との関連によって大きく変わってくるわけですから、新成長戦略の中で議論しているような2%の成長が今後も達成可能だということであれば、そういった懸念はないだろうと。そういったところに大きく依存してくるということは申し上げるまでもないかと思います。
 今回の議論というのが、定年の年齢引上げということであれば、正社員としての雇用延長ということになりますので、これは直接的に、たとえ成長率が低いといった場合に、若年の正社員の雇用には影響するかもしれませんが、いま議論しているのは正社員の定年年齢の引上げということではなく、60歳の定年年齢はそのままにして、そのあと嘱託あるいは契約といったものでもいいという形、ただし希望者は全員ということになっているのでありまして、これが実施されたときに若年の正社員がどこまで減るのかというようなことになると、果たしてそういう議論は直結するのかどうかということについては、少し疑問を持つというところで、もしかしたら若年の非正規を減らすという可能性はあるかもしれませんということが言えるのではないかと思います。
 その上で、1点、今日議論になっていないところなのですが、「生涯現役社会の実現に向けた環境の整備」、3頁の(1)のなお書き以降ですが、「現在の高年齢者等職業安定対策基本方針に定める」云々と書いてあります。これは、確かに高齢法の下に置いているところというのは、65歳までの雇用機会の確保を主眼としていたということですが、これ以外にも、いま雇用政策の中で65歳までということを限定して考えているものが、いくつかあるのではないかと思います。
 例えば雇用保険はどうなっているのかという、現行の雇用保険において65歳というのがあったような、あるいはハローワークにおける職業紹介のところについての主眼点というのも、現実には65歳を超えると難しいという話で、ここのところはないわけですが、もちろん高年齢職業定安対策基本方針について、これを拡大していくようなことは必要なのだろうと思いますが、逆にほかのところについて、まず現行はどうなっているのか、例えば先ほどの雇用保険の適用上限年齢の現行はどうなっているのか、それについてどう考えるのかということを、この部会では、雇用保険はまた別のところでやるということだと思いますが、雇用対策全体について、審議会としては議論する必要があると思いますし、この部会でもそうかなと思いますので、触れられていないところについて、事務局はどう考えているのかについて、お伺いしたいと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 他制度のことまで十分に整理ができていないのは申し訳ないのですが、今後は整理していきたいと思います。今回の制度改正等を踏まえて、今後、樋口先生がおっしゃるように、65歳を超えた高齢者雇用対策は非常に重要な役割を果たしてくると思いますので、将来的な課題として、そういったものもきちんと対応していく必要があるのではないかと思っております。
○樋口委員 今回の議論の中では、高齢法のところに限定して議論するという方向なのでしょうか、それとも高齢者に関連するところは、ほかにも諸々あるわけですが、一般法も含めて、たぶん森戸さんのところも、一般法のところと高齢法のところの関係をどうするかという議論も少し出てきていると思いますが。
○辻田高齢者雇用対策課長 基本的には今回の議論は、高年齢者雇用安定法の周辺部分というか、その関係の部分について、ご議論いただいて、一定の集約をしたいと思っています。先生もご承知のとおり、なお書きの部分について、特に基本方針において、法律上、雇用増大の目標が65歳までということで、法律上書ききっている部分がありますので、それを実態と合わせる、あるいは今後そういったところの対策を重点的にやっていくという形でやらせていただきたいということで、今回はこの部分に限ってお願いできたらと思います。
○樋口委員 非常に重要な、特に雇用保険の話というのは、65歳までではなくて、そのあともというような議論になってくるかと思います。たぶん労使も相当に関心のあるテーマになってくるわけです。
 参考意見という形でもいいですから、何か触れないと、労使にお願いしますと言っていながら、政府はどうするのですかというようなところも、議論になるかと思いますので。
○辻田高齢者雇用対策課長 いまご指摘になった雇用保険の部分もありますので、それは担当の課あるいは部会に、十分にご趣旨をお伝えするようにしたいと思います。
○森戸委員 先ほど樋口先生のおっしゃった意見というのは、事務局が私のものをまとめたもののことだと思います。私の趣旨が伝わらなかったのかもしれないのですが、要するにこの表のとおりなのですが、もともと私は定年は年金の年齢と同じにするのが、いちばん単純でいいということを、持論としてはここで言っていて、諸外国では、もちろん年齢差別禁止が一般的なルールなのですが、採用のところはうるさいのですが、やめるところはドイツ、フランスを見ても、年齢差別でいいとは言わないのですが、やめるときは別だという考え方を、イギリスは少し変わったのかもしれませんが、アメリカ以外はわりとしていて、年金の年齢でやめさせることはいいですと。簡単に言えば、定年ではないのですが、もう年金をもらえる年齢だろという理由ではやめてもらっても構わないというのが、大陸ヨーロッパの基本的な考え方だと思うので、それからしても、定年と年金の年齢がずれているのはおかしいという趣旨で、それを日本で言えば法定定年年齢を年金のところまで上げてくるのが、国際的に見れば普通なのではないかという意見をまとめてもらった意見です。それですので、この資料2にあるようなことを前提にお話したつもりでした。補足です。
○新谷委員 先ほど来森戸先生にまとめていただいた内容と、先ほど荻野委員がおっしゃっていた内容を含めて申し上げます。
 先ほど私がお聞きして、下級審ながら最近の裁判例の動向をお聞かかせいただく中で、解雇権濫用法理の類推適用の事例があると、それは労働契約法の第16条の合理的理由、社会的相当性を求められるという解説をいただいたわけです。
 就業規則との関係が(2)に書かれているのですが、先生におっしゃっていただいたとおり、労働契約法というのはまさしく民事ルールなので、そこに就業規則なりというかかわり方は難しいというところはあるのですが、この高齢法は行政指導法ですので、そこは労使の行為規範になるようなものがあったほうが、現実の運用としてはいいのではないかと思うのです。裁判規範には当然なりませんが、行為規範になるようなものを例えば、行政解釈として継続雇用の際の拒否、あるいは雇用継続したあとの更新拒絶に対しては、合理的理由なり社会的相当性が求められるような裁判の例もあるし、そういう解釈があって然るべきではないかといったような記述があると、労使が混乱なく、うまく処理できるのではないかと思います。
 それと、荻野委員が先ほど私の発言に対して同意をされて、労使で決めればいいではないかという発言があって、それに対して森戸先生からもありました。私と荻野委員で言っていることと中身が違っていて、私は森戸先生がおっしゃったように、労働契約法の世界というのはまさしく強行法規なので、強行法規を下回るような内容はできないと思っていますし、協約自治の限界も出てくると思うのです。ですから、労働契約で何でも決められるという意味ではなくて、私はプラスの方向での労働協約の協定をして、仮に就業規則でそういう形になったとしても、就業規則と協約法理との関係できちんと整理すればいいのではないかという意味で申し上げたわけでして、そこは同床異夢だったと思いますので、併せて申し上げておきます。
 それと荻野委員から雇用確保先の対象拡大についてご発言があったのですが、これについては私どもも検討することは吝かではないのですが、どこまで拡大するのかというときに、先ほど持分法というお話もあったのですが、企業としての責任が取れる範囲ということでいくと、実質的な支配力が及ぶかどうかというのが、1つのメルクマールになると思っていまして、それも実質支配といっても外形的にどう見るかというのがあるので、やはり外形的にわかるような基準をしっかりと示していただきたいと思っています。例えば荻野委員は子会社間での出向・転籍という話もおっしゃっていましたが、絵で誤解のないように次回辺りまでに、どの範囲までお考えになっているのかというところを1度提示していただかないと、私どもは判断できませんので、是非お願いしたいと思います。
 あと2つほど2.のところで申し上げます。2.の環境整備のところについて、前回も申し上げましたが、「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告」の中にも入っていたのですが、有期労働契約のままで60歳を迎えられて、年金との接続を考えないといけない方々がおられます。高齢法の世界というのは、どうしても無期雇用で定年を迎えるという前提でやっていますので、有期雇用のまま60歳を迎える方への対処についての環境整備についても、是非何らかの言及が必要ではないかと思っております。
 もう1つは、前回も申し上げたように高齢法第9条第2項の扱いを含めて、希望者全員という扱いをしたとしても、ご本人の健康状態で、オファーがあったけれども応じられないという方が出てくると思います。そういったときには年金との空白期間が生じますので、そこは雇用保険も含めた公的給付のあり方についても、何らかの言及が必要ではないかと思います。もちろん部会が違いますので、ここの部会ではないと承知しておりますが、ここのトータルの高齢者雇用のあり方を考えるのであれば、是非、言及をすべきではないかと思います。
○野村委員 いま進められている議論と少し内容を異にしますが、いま雇用確保措置が講じられている立場での議論が進められておりますが、実際はまだ雇用確保措置が取られていない企業も存在するわけで、たたき台の(4)では、「ほとんどの企業で実施されており」と書いてありますが、これは31人以上の規模が対象でありますし、実際30人以下の規模の企業というのは、日本の中でも相当数を占めているわけであります。したがいまして、雇用確保措置が未実施の企業に対する対応も重要な課題ではないかと認識しておりまして、この中で厚生労働省の研究会報告の中で出されている「雇用確保措置を講じない企業に対しては企業名を公表すべき」という報告から、こちらに引用されているのではないかと思いますが、前回か前々回のこの部会でも発言をされていると思いますが、企業名を公表するというだけで、どれだけ実効性が担保されるのかというのは甚だ疑問である、という発言もさせていただいております。したがいまして、これだけでは労働者の救済にはつながらないと判断をしておりますので、雇用確保措置のいずれも導入をしない場合には、私法上の効果を規定する法整備が必要ではないかと考えております。
 ただ、法整備ということになりますと、困難な部分もあろうかと思いますので、それに代わり得る実効性を担保する措置をしっかり講じていくことが必要ではないかと考えておりますので、是非ご検討お願いしたいと思います。
○荻野委員 だいぶ私の名前が連呼されましたので、少しコメントさせていただきます。森戸先生からちょうだいしたお話ですが、定年年齢と年金支給開始年齢の接続については、年金支給開始年齢が引き上がったことを雇用の延長の直接的な根拠にされることについては、使用者代表としては重大な懸念を持っているところです。先ほど、残念ながら高齢法のことだけで雇用保険のことはやらないという話ですので、ましてや年金の議論などはできないわけですが、問題は我が国の経済状況や労働市場の状況を考慮することなく年金支給開始年齢の引上げを決めた社会保障審議会にあるのではないかと考えれば、森戸先生がそんなに恥ずかしく思われる必要はないのです。
 何を申し上げたいかと言いますと、この立論でいきますと、年金が67歳になりました、では雇用は67歳までですねと、68歳までになりました、それでは68歳までは当たり前ですね、もちろん重々配慮はするのですが、当たり前のようにそういうことが行われることに対しては、使用者としては重大な懸念を表明しておきたいと思います。これについては、当面65歳の年金満額支給を堅持すべきというのは労使双方の意見だったと思いますので、当然デマケの問題としてこの報告案に書くかどうかは別としても、改めて確認をしておく必要があろうかと思っているところです。
 もう1つ年金と雇用の接続の関係でいきますと、我が国の労働市場や労使慣行の実情を考えると、必ずしもそれが公的年金との接続であることを要するとまで本当に言えるかどうかというのは、これも議論が必要ではないかと思いましたので、補足的に申し上げておきます。
 森戸先生がご指摘された中で大変大事だと思いましたのが、今回のたたき台の柱書きの部分で、「1.8%、約7,600人」という数字があるわけですが、あたかも今回の議論の影響がそれだけに留まるという書き方をしているのは、事実ではないとは申し上げませんが、若干ミスリーディングだろうと思います。現実には、年金支給開始年齢が引き上がる等の理由によりまして、現在20数パーセントおられる継続雇用を希望されない方の中から希望される方が出てくると。これがどのぐらい出てくるかは、なかなか読みにくいわけですが、そのことは十分に念頭に置いておく必要があるわけでして、その辺は是非丁寧な記述をお願いできればと森戸先生のご意見を聞いて感じたところです。
 樋口先生からご指摘のありました若年雇用への影響ですが、たしか前回にご紹介したと思いますが、経団連と東京経営者協会が実施した調査でも、「若年雇用への影響がある」と回答した企業は4割に留まっております。したがいまして、まさに先生がご指摘のとおり、まずは非正規労働のほうに影響が出てきます。影響が出ていいのかどうかという議論はあろうかと思いますが、若年雇用への影響は限定的かとは思います。
 ただ、一部には、例えば労働界の誤謬のようなものを持ち出してきて、若年雇用への影響があたかも全くないようなことを言う議論というのがありまして、それも間違いではないかと感じておりますので、それは影響は少なくとも0ではなくて、かなりあるということは言ってよろしいのではないかと思いました。
 新谷委員と有意義な歩み寄りができたのかと思ったのですが、違ったようでありまして、残念でしたけれども、繰り返しになりますが、使用者側としては労使協定方式の継続ということを留保しつつも、先ほど申し上げたような、労使の自己選択まで禁止するような制度にするということについては、日本の労使関係に非常に大きな禍根を残すのではないかと懸念しているところです。
 私法上の効果については、繰り返しになりますが、いま労働者代表委員からもそれに代わるものというような趣旨でのご発言があったかと思いますが、使用者代表としては私法上の効果の付与というのは、手続上の瑕疵をもって当事者の意思とは全く異なる効果を生じせしめるということで、適当ではないと考えています。繰り返しになりますが申し上げておきます。
○猪熊委員 発言をあまりしていなかったので、いろいろ勉強させていただいてありがとうございます。自分の意見なのですが、生涯現役社会ということで、日本の人口の4割を65歳以上が占めるという話、将来推計人口で女性の寿命もゆくゆく90歳を超え、男性も85歳を超え、100歳人口も現在4万人いる人たちが、将来的に68万人になるという状況を考えると、高齢者にきちんと現役として働いてもらうという、生涯現役社会を築くのが非常に重要ではないかと思っています。
 あと年金支給延長の話が出ましたが、もちろん公的年金だけではなくて、私的企業年金の活用という話もありますが、一般の人にとっては公的年金というのが非常に支えになるものなので、これが65歳から67歳、68歳、70歳という議論がある中で、私は雇用と年金はきちんと接続させておくべきだと思っています。
 定年延長という方策を考えたほうがいいと思うのですが、今回はそれはいろいろな問題があって難しいということがありますので、継続雇用をいかにつなげるかをきちんと考えたほうがいいと思います。
 あと企業の方の話を聞いていて、企業の負担というのは確かにそうなのですが、企業だけに負担を負わせるわけではないのですが、企業も負担の一部を担うことは重要であって、年金も否応なしにもっと早くもらいたい、払いたくない人も、否応なしに上がっていくので、そこは若年雇用の影響、採用の自由などがあったにしても、雇用のほうも国の制度としてきちんと穴を埋めていかなければいけないのかなと思っています。
 前回よく聞けなかったので、前々回までの議論を聞いていて思ったのは、企業側もおっしゃったように、すべて雇いたくないと言っているわけではなくて、いちばん心配されているのは勤務態度が悪いというか、働くのに問題がある人のことを懸念されているのだなということがよくわかったのですが、ただ、そういう人というのは定年から突然問題のある勤務行動をするというよりは、60歳前でもそういう問題があるのでしょうから、そういうところは解雇法制を適用するなり、きちんとそういうところを定年前でも見ていかなければいけないでしょうし、働く労働者側も能力を磨いたり、そうならないように努力することが必要かなと思います。
 今回の継続雇用の基準の話は、前回改正でできたものの穴を埋める形だと思うので、できるだけ早くやって、継続雇用のあり方、中身の話、継続雇用と有期雇用で1年ごとに続くと言っていても、本当に続いていくのかということ、定年延長のような話、団塊の世代も65歳、75歳になっていく中で、早く進めなければいけないので、基準の改正という穴を今回ここできちんと埋めておくのが大事ではないかと思っております。
○照屋委員 年金との接続をスムーズに押し進める観点から、3頁の(4)の支援に関するお願いなのですが、現状は高齢者の賃金を定年時の賃金から一律に減額した水準にする企業が多いと思われます。しかし、今後、高齢者が急増することを考慮した場合には、本来あるべき姿である、能力、仕事、成果から賃金を決定するよう、例えば賃金制度再設計の際の企業に対する助成金の導入などによって、政策誘導すべきであると考えておりますので、是非ご検討いただきたいと思います。
○樋口委員 前回の高齢法の改正のときに、年金の支給開始年齢の引上げ、そこまでの確保措置ということが議論されてきたわけですが、前回のときには定額部分の引上げということだったわけです。今回は報酬比例部分もというようなことで、前回はどちらかというと、一部分の年金の支給が減額されるという話だったのですが、今回は0になるという話になっているわけです。
 だとすると、これに応じて、どのように働き方を変えていくかということが求められているということで、深刻度が厳しくなってきているということですので、労使ともに是非そこら辺を考えて、今後ご議論をいただきたいと思います。
○大橋部会長 時間がきましたのでこれで終了させていただきたいと思いますが、森戸先生も樋口委員も、雇用と年金の接続が必要ということで、基準の廃止は必要と考えられますが、公労使、まだいろいろなご意見があるところから、年金などの社会問題があるという状況等をご理解いただきまして、次回はそのことを念頭に置いて議論していただきたいと思います。
 これは余談になりますが、先日ある会合で、どのような高齢者が使いやすいのかを聞きましたら、能力、技術ということも出てきましたが、とにかく可愛い高齢者が人事としては使いやすいということです。したがって、企業サイドのご努力も必要ですが、高齢者も可愛い高齢者になっていただきたいということで、そういったことも必要かなと思いました。
 本日はたたき台を基に、さまざまなご意見をいただいたところですが、それぞれのご意見が残っている部分もあります。意見の集約できた部分もあります。そこで事務局には、本日の議論を踏まえ、今後の対策の部会報告案を作成していただき、次回の部会ではそれに基づいて議論を行った上で、最終的な意見の集約を行いたいと思います。次回は12月26日(月)の午後1時から、中央労働委員会講堂で開催いたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。本日の署名委員は、山下委員、福田委員にお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 (TEL)03-5253-1111(内線5815)

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