ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 石綿による疾病の認定基準に関する検討会> 第9回石綿による疾病の認定基準に関する検討会議事録




2011年12月6日 第9回石綿による疾病の認定基準に関する検討会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成23年12月6日(火) 17:30~


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第12会議室(12階)
(千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

参集者:五十音順、敬称略

審良正則、岸本卓巳、神山宣彦、篠原也寸志
廣島健三、三浦溥太郎、森永謙二、由佐俊和

厚生労働省:事務局

鈴木幸雄、河合智則、神保裕臣、児屋野文男、渡辺輝生、倉持清子、大根秀明、斎藤将

○議事

○大根中央職業病認定調査官 検討会の開催に先立ちまして、傍聴される方にお願いがございます。本検討会は原則公開としておりますが、傍聴される方におかれましては、別途配付しております留意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴いただくとともに、参集者の自由な意見交換を旨とする検討会の趣旨を損なうことのないよう、会議の開始前後を問わずご留意をお願い申し上げます。
 それでは、定刻となりましたので、これより第9回石綿による疾病の認定基準に関する検討会を開催いたします。本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。なお、宮本委員におかれましては、本日の検討会はご欠席との連絡をいただいております。
 本日の検討会は、オブザーバーとして環境省環境保健部石綿健康被害対策室の桑島室長にご出席いただいております。また、厚生労働省安全衛生部労働衛生課の田原中央じん肺診査医にも同席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 写真撮影等は以上とさせていただきますので、以後の写真撮影はやめていただくようにお願いいたします。それでは、座長の森永先生に議事の進行をお願いいたします。
○森永座長 初めに、本日の配付資料の確認をお願いします。
○大根中央職業病認定調査官 お手元の資料の確認をお願いします。本日の資料は、資料1「石綿による疾病(肺がん)の論点メモ」、資料2は、繊維・年関係の文献で、資料2-1、資料2-2の2点があります。資料3は、石綿小体・石綿繊維関係文献等です。資料3-1から資料3-5まで文献が5点、資料3-6は「石綿小体計測マニュアル」となっています。資料4は、労災決定事案の分析結果として、資料4-1「作業別の決定状況」、資料4-2「作業別の石綿小体5千本到達年数」です。資料5として、びまん性胸膜肥厚に併発した肺がん関係文献が1点あります。資料は以上です。不足等はありませんか。
○森永座長 今日は肺がんの認定要件、資料1で議論を始めたいと思います。資料もたくさんありますが、一応2時間で終了したいと思います。資料1に基づいて始めますが、肺がんの発症リスクの2倍を基準とする考え方ということで、前回は、今後もこの考え方を踏襲していくのがいいのではないかというお話があったと思います。今日は資料2-2が提出されており、2倍のリスクの考え方が資料2-2の第4章の27~34頁に、比較的詳しく書かれています。特に34頁のConclusionに2倍のリスクということが書かれています。この考え方は先進国では一般的な考え方になっていることを、改めて確認できる資料の1つになると思います。
 肺がんの発症リスクが2倍になるばく露量は、前回の検討会では、とりあえず25繊維・年という考え方で話を進めていこうということになりました。新しい見解があれば、そこで検討したらいいと思いますが、2についても一応肺がんのリスク2倍について、特に25繊維・年の考え方を仮置きとしたわけですが、委員の先生方、何かご意見はありますか。
 2倍にしたときの参考文献が資料2-1です。527頁のいちばん上が、石綿のセメント業、2番目が石綿の紡織、3番目が石綿の断熱で、それぞれ2つずつ疫学調査があって、横軸に繊維・年、縦軸が肺がんの標準化死亡比、肺がんの相対危険度と同じと考えていただいていいと思います。一応リニアな関係にあるとして見てみると、いちばん上ではWeillという疫学調査では303繊維・年が2倍のリスクになる、Finkelsteinの報告では21繊維・年。Petoの疫学調査では132繊維・年が2倍のリスクで、Dementの論文が24繊維・年。断熱作業のほうはSelikoffの論文では50繊維・年、Seidmanの報告では22繊維・年と。これを一応丸めて25繊維・年という言い方をしているわけです。534頁のいちばん上の右側にはアンフィボールだけだと21繊維・年、クリソタイルだけだと43繊維・年という考え方もあるという文献を紹介しております。
 角閃石とクリソタイルについては、ばく露量についても少し違いがあるのだということをヘルシンキクライテリアのグループ自身が述べているわけですが、このことについては石綿繊維小体の話でもう一度詳細に議論をするということで、以前の検討会で25繊維・年という考え方でいきましたから、とりあえずはそのままで行くということで次に話を進めていくようにしなければ、話が前へ進みませんので、そういうことでよろしいですね。
 そうしますと「論点メモ」の資料1の1と1の2は一応確認しました。資料1の3の「石綿肺所見を指標とする考え方について」も、既に石綿肺の1型以上あるという方については昭和53年のときからの認定基準ですから、疫学的にも確認が取れています。前回も、今後とも維持すればいいというお話でしたので、前回も確認したという確認の意味で私が発言をさせていただきました。
 4番目の「胸膜プラーク画像所見を指標とする考え方について」ですが、前回の検討会では、胸部の単純なX線で胸膜プラークが確認できて、それがCT画像によってもプラークと確認できるもの、あるいは胸部のCT画像で胸壁内側の1/4以上のプラークが確認できるものについては、こういうのを新たに認定要件に追加すればいいのではないかということで、委員の先生方の合意が得られたと理解しています。
 ただプラークの関係では、胸膜プラークがあって、石綿ばく露作業の従事歴が10年以上ある。この10年の定義が誤解もいろいろあり、この現行の要件について議論をする必要がありますが、このことについては「ひらの亀戸ひまわり診療所」の名取医師から意見書が提出されると事務局からお聞きしましたので、その意見書が出るのを待って、それも含めて検討することにしたいと思います。
 ですから、今日は5番目の「石綿小体数、石綿繊維数を指標とする考え方について」ですが、小体数5,000本以上、繊維数が5μ以上が200万本、1μ以上が500万本というヘルシンキクライテリアで示された数値がありますが、これについて委員の先生方から意見を伺いたいのですが、神山委員から意見をお願いします。
○神山委員 現行で肺がんリスク発症2倍の基準というのは、座長がおっしゃったように、石綿小体5,000本以上、石綿繊維200万本あるいは500万本と長さによって違うということになっています。特に石綿小体ですが、その後、その基準に関して変更を加えるような、あるいはディスカッションの対象になるような重要な論文がそれほど見当たらない状況でもありますし、現実にいろいろな所から出てくる報告というか、ケースを考えても、その5,000本というラインは、そんなに大きな問題になる数字ではないということも踏まえて、いまのところはあまり変更する必要はないと基本的には考えています。
○森永座長 これはほかの認定基準があって、それを満たさない方で、肺がんを手術すると肺の組織の石綿小体の数が調べられるので、そういう形でできるだけ拾っていこうということでできた基準ですからね。
○神山委員 ほかに医学的所見のプラークとか繊維化などでほぼ決まるケースが圧倒的に多いと思います。それだけでは決まらない人の副次的なというとちょっと語弊があるかもしれませんが、医学的所見データとして加わってきています。ですから今後、いろいろなケースでデータの積重ねが増えていくことが期待されますし、一方でいろいろな疫学論文なども出てくる可能性はあると思いますが、いまの状況ではそれをリバイスするほどのデータは揃っていないということだと思います。
○森永座長 クリソタイルが小体を作りにくいのだということと、クリソタイルのクリアランスのことが、いつも話題にはなるのですが、そのことについて、いままでやってきたデータもありますので、クリソタイルのクリアランスと発がん力の問題について、資料も用意しましたので、神山委員から一言触れていただけませんでしょうか。
○神山委員 まず、クリソタイルは多くの方がご存じのとおり、角閃石石綿に比べて、クリソタイルのクリアランスというのは肺内で早いということが大体認識されてきております。クリソタイルのクリアランスの推定を試せる論文として、自分の論文で恐縮ですが、資料3-1をご覧いただきたいと思います。この資料はSelikoffが有名な北米断熱作業者の疫学研究をした症例2万ケースぐらいのうちで、現在ではたぶん7,000~8,000からそれ以上の亡くなった方の肺組織を中心とした組織がマウントサイナイ医科大学に集められていると思いますが、1991年の段階で、それらの中から石綿肺や肺がん・中皮腫になっている方々を13例ほどをピックアップして、その症例の肺内、腫瘍部、プラーク部と部位に分けて石綿小体と石綿繊維の種類別の定量を行った論文です。
 論文の結論としては、これらの断熱作業者というのは、クリソタイルとアモサイトに高濃度にばく露していることが、肺内のアスベスト小体ないしは繊維量からはっきりと推定できたこと。もう1つ重要な知見としては、クリソタイルが肺からプラーク、その他の部位へ、ほかのアスベストに比べて非常に容易に移動していることを発見したということが書かれています。
 クリソタイルのクリアランスについては、ヘルシンキ国際会議のコンセンサスリポートでも、アンフィボール系、角閃石系に比べて、クリソタイルは肺内で減少するということは述べているのですが、その定量的な問題がまだ解明されていないということで、ご存じのようにクリソタイルの肺がん発症リスク2倍に相当する繊維数は明示されていないわけです。また、動物実験では、クリソタイルをばく露させたネズミ等の実験で、肺内の経時的な変化からクリアランスというのが研究されており、そういう論文もいくつかあるのですが、いかんせんネズミのライフスパンは2年、3年で、人間においては潜伏期間20年、30年ということで、無機繊維であるクリソタイルの耐久性及びクリアランスを、ネズミの実験から外挿するのは非常に厳しいところ、難しい面があります。そういうことで、直接人の肺内組織からクリソタイルのクリアランスを研究した例は、あまり見当たらないわけです。
 そういう状況で、私が最近必要があっていろいろ考えたときに、資料3-1の論文の測定結果から、クリソタイルの減少速度が人において推定できるのではないかということに気付いて計算を行ったことがあります。その論文の北米断熱作業者というのは、Selikoff等の疫学調査の結果によって、高濃度のクリソタイルとアモサイトに大体6:4ぐらいの割合でばく露している集団だということが言われていた集団です。そうしますと、クリソタイルのクリアランスを見るときに、肺内で減少しないか、あるいは減少してもほとんどそれが無視できるぐらいのもの、つまり、それが角閃石系の石綿になると仮定できるわけですが、それとクリソタイルに同時にばく露していて、クリソタイルと角閃石の石綿のばく露の段階での量比がわかっていれば、その後のクリソタイルの減少を見ることができるという「必要条件」を満たす貴重な例だということです。
 そこで、その分析結果から計算をしてみますと、クリソタイルのクリアランスが、35~40年という期間がこのケースはほとんどですが、仮に40年で平均29%に減少している。つまり、13例の平均値が約1/3弱で、標準偏差的なばらつきを見ても、1/2(50%)から1/5(20%)ぐらいの範囲に収まっているという結果が出たということです。これがすべてではないと思いますが、1例として検討する、あるいはクリソタイルのクリアランスを角閃石に比べてどのぐらいかということを推定する一助になるのではないかと考えております。
 もう1つは、クリソタイルのクリアランスはそのように角閃石に比べて早いことが、ある程度数値的に、数十年で例えば1/3ぐらいに落ちていくのだということがわかりますが、一方で発がん力という問題については、資料3-2、3-3、3-4辺りの論文でも、かなり細かくレビュー的にまとめられておりますので、読んでいただくとわかります。例えば、資料3-2においてはHodgson、Darnton等が、数種のコホート調査をレビューして、「クリソタイルと角閃石による肺がんの発症リスクは1:10から1:50の間にある」ことを明らかにした上で、「クリソタイルに単独ばく露した場合の肺がん発症リスクは、角閃石石綿の1/10~1/50の範囲にある」ということが結論として述べられております。
 資料3-4はイギリスの政府の科学事務局が主催した「クリソタイルの(発がん力の)分類と法規制に関するGCSA会議」という題名になっており、発がん力というのは書いてありませんが、クリソタイルの分類というのは、発がん力に関する分類というニュアンスだと思います。この中でHodgsonとDarnton、それから資料3-3で挙げているBermanとCrumpの論文を重要な論文として取り上げて、特にこれらのMeta-analysisの結果を評価した上で、クリソタイルへのばく露による肺がん発症リスクは、角閃石石綿へのばく露と比べて、ばく露レベルがもし同じならば、ワンオーダー、つまり1/10の範囲内にあるだろうという結論を述べております。政府レベルでのレビュー結果でも、そのようなことで1/10程度ということが言われているわけです。これらはいろいろな専門家を集めた、特にスペシャリストを集めた会合で得た結論ということで、私としてはかなり評価に値する結論かと考えております。
 以上でクリアランスと肺がん発症リスクの両方が、今そういう状況にあると考えていいのではないかということですが、いかがでしょうか。
○森永座長 なかなか大部な資料3-2、3-3は読むのもしんどく、精力的にレビューしている論文です。その要約が資料3-4にあると考えたらいいですよね。
○神山委員 そうですね。資料3-4が、3-2と3-3をいちばん明快にまとめていると思います。
○森永座長 資料3-3ですが、肺がんはどちらかというと、ある程度の太さが関与しているということも書いてありますが、肺がんと中皮腫を全く同じように考えるわけにはいかないというのも、このレビューでよくわかる話ですね。
 それから、皆さんはHodgsonとDarntonの中皮腫がクリソタイルを1とすると、アモサイトが100で、クロシドライドが500。肺がんはクリソタイルを1とすると、角閃石族は10~50という話はいろいろな所でお聞きになっていると思いますが、その根拠は資料3-2の論文だということです。
 資料3-3は、3-2とは別の方法でレビューをしても、肺がんについてはクリソタイルを1とすると角閃石は10~50倍ということで、資料3-2と3-3は肺がんについては、繊維の種類別の評価については同じような結論になったと。石綿の紡織についてだけは、非常に長い繊維を使うので別扱いで評価をするということが言えると思います。そのように私も読んだのですが、ほかの委員の先生方は、この論文について意見がございますか。
○岸本委員 妥当な見解だと思いますし、私も従来そのように思ってまいりました。
○森永座長 資料3-4はイギリス政府の見解ということになるのですかね。
○神山委員 英文ではワンオーダーという所を、森永座長のほうで確認しているのですね。
○森永座長 はい、大体常識で1/10ということですね。普通はそう考えますけれどもね。ワンオーダーというのは1/10ということで、せいぜい1/5~1/10と。角閃石族の発がん力に比べてクリソタイルは1/10~1/5と考えるのが妥当だと思いますね。
○神山委員 そのようにすると、いまの我が国での認定基準で石綿繊維5μ以上の長さ200万本/g(乾燥重量)、1μが500万本/g(乾燥重量)で、ヘルシンキクライテリアはアンフィボール、角閃石族と言っているわけですが、それを前回というか、この委員会の前の段階で石綿繊維という形で広げているわけですが、その辺に関しては森永座長から明確に、いまのリスクを掛け算するという意味合いで言っていただけると。
○森永座長 ですから、どちらかというと、繊維をいまの基準でいくと、クリソタイル単独ばく露については、むしろやさしい評価になるわけです。ですから、それでいいのではないかと思います。ただ、繊維が最終的には決め手になると。角閃石族と同じ本数で評価をするということは、どちらかというと、繊維でいうとやさしく見ているということになりますよね。
○神山委員 仮に肺がんの発症リスクが角閃石族に比べて1/5だとすると、5倍のクリソタイル量をばく露しないと同じリスクにならない。それに対して、クリアランスが、最大を取ってみても仮に1/5に減少していたときには、最初の角閃石族の繊維数に戻るという感じで、200万なら同じ200万、あるいは500万なら500万で評価していいだろうというのは、数値的にいえばそうですが、前回ではそれを漠然とそういうイメージで角閃石族を石綿に言い換えていいだろうということだったのです。
 日本の場合はクリソタイルの使用量が相当多いわけで、それに対しての労災認定をクリソタイルを除外してしまうと、非常に狭いものにしか適用できなくなるので、労働者の福祉というメリットも含めて考えると、そういう方法がある。前回はそんなことが暗黙の考え方にあったと思います。
○森永座長 ですから、繊維については、全く繊維の種類を問うことなく、あの本数で十分評価できると。
○神山委員 そのように考えられます。
○森永座長 2倍のリスクで行けるという考え方でいいと思いますね。問題は石綿小体が5,000本ある、1μ以上の繊維が例えば500万本あるときに、職業ばく露を確認すれば、職業ばく露があって本数があればいいという認定基準になっていたのです。つまり、年数の縛りは何もなかったのですね。
○神山委員 ないですね。
○森永座長 だけど、一応は中皮腫と同じように、労働者のばく露期間が1年以上と決めておいたほうがいいでしょうね。10年でもいいかもしれませんが、中皮腫と同じで1年で。
○岸本委員 そうですね。日本のいまの石綿肺がんの胸膜プラーク、プラス10年というのは、我々もアジアの国々へ行ってこの基準を話したときに、根拠がわからないと質問されました。
○森永座長 それは昭和53年のときは、石綿製品製造業、保温・断熱作業の10年なのです。ですから、それはそれで科学的根拠はある程度あったわけです。それは別におかしくはないのです。
○岸本委員 昭和53年のときは、まだそれがありましたから。
○森永座長 それは、そのまま引き継いでいると考えなければいけないのです。ですから、繊維については、石綿の種類のことは特に問わずに、とりあえず職業ばく露、労働者としてのばく露が1年以上あれば、繊維本数が満たされればそれでいいという考え方で、事務方もそれでいいのですよね。中皮腫と肺がんは違うから、10年のほうがいいということもありますか。
○渡辺職業病認定対策室長 はい。10年というのは、ちょっとあり得ないかなと思いますが、確かに中皮腫と肺がんのばく露と発がんの関係という意味では、たぶんだいぶ違うのだろうと思いますが、そこがどのぐらい違うかというのも、いまの時点ではっきりしていないということもありますし、一応労働者として発症に至るばく露が確認できるということであれば、そういう認定をしていくことは合理性はあるだろうとは思います。
○森永座長 資料3-3の話は、繊維は10μ以上のものがもっと効くという話なのです。しかし、いろいろな環境データも、いままでは5μ以上を測定してきている。ですから、そこのところはクリアカットには答が出ません。資料3-3のいままでにない知見が得られたのは、職場の大気中の濃度をPCM法で測っていた。それは昔のサンプルが残っているので、TEMで調べ直すと、もっとPCM法では見えない繊維の長さ・太さとの関係が見られるようになって、それを当てはめたらどうだったかということで、最近のTEMの知見を基にして、それを適用して、神山委員が読んだ範囲で解析しているわけです。ですから、その中で肺がんはもっと長い繊維で、ある程度の太さがなければいけない。それがよく効くという話で、どんどん考え方が進歩してきているわけです。ですから、場合によっては1μ、500万本というのはもっと厳しくしなければいけないのかもしれませんが、それはいままでそういう測り方でやってきていますから、どちらかというと緩い考え方です。それでいいという考え方ですよね。
○神山委員 そうですね。環境測定もそうだし、肺組織内も5μ以上とか、1μと切っているわけで、例えば10μとやった場合は、過去のデータと整合性が悪くなるわけです。もしやった場合には厳しい方向へ移るし、それによるメリットを考えると、こういう論文で言っているような長いほうへの移向というのはどうかなと思います。従来の5μ以上のもので、200万本というのは実際にも肺内で見ていったときに、10μ以上のだけ拾っていったときと、5μ以上とそう大きな本数の違いがあるかと言われると、ケース・バイ・ケースですが、それを10にするのはちょっと忍びない感じがします。最近、実際に症例をたくさん見ている篠原委員は、10μでカットするという方向への移向はどうですか。
○篠原委員 確かに測定を速くするという意味では10μのほうがやりやすいと思いますが、実質的にはかなり短い繊維がたくさんあって、むしろそちらをきちんと評価しないと、という気がしますので、大きいほうにシフトするのはあまり良くないと思います。
○神山委員 特にクリソタイルはクリアランスというのを含めて、肺内で時間とともに細くなってきますから、それを含めて考えるとどうかな、と思います。
○森永座長 クリアランスが早いから、肺がんのリスクが小さくなるということもありますが、逆に短い繊維まで測ることは、人のばく露量の推定には役立っているという理解でいいのですか。
○神山委員 そういう理解ですね。つまり、短いものが高いリスクを持っているかどうかは別にして、ばく露の証拠として。ですから、あとで議論が出てくるかどうかわかりませんが、石綿小体で角閃石石綿に比べて、クリソタイルは石綿小体を比較的作りにくいというのは、これもまた1つの知見になっているわけですが、そうであると5,000本で切ったときにヘルシンキクライテリアでも、いわゆる石綿小体と言っているだけですが、クリソタイルばく露者で5,000本なくても、5,000本に相当する量ではないかという議論をする方も出てくるわけです。そんなことも含めて、5,000本以下の症例でクリソタイルばく露が非常に強く職歴等から疑われるときには、肺内の繊維数レベル、これは短くなっても残っているということも考えて、強い証拠になるので、できるだけ繊維の計測を信用できるデータとして用いるのが方向としてはいいと思うのです。
○森永座長 そうですね。石綿紡績などは長い繊維の、クリソタイルを使っているので、当然肺がんのリスクも高いのですが、肺内の石綿小体も見えてくる。
○神山委員 比較的多いですよね。
○森永座長 ですから、必ずしもクリソタイルだからと言って、石綿小体は作りにくいというわけではないのです。長ければやはり作りますからね。クリソタイルの使用量が日本では多いと言いますが、実はアモサイトが非常に使われているわけです。クリソタイル単独のばく露というのは特定の職種に限られてきますので、そういうことを加味して、一応石綿小体数は5,000本を基準にして、いままでは1,000本以上、5,000本未満については慎重な判断が必要だということで、確か本省協議ということになっていたと思いますが、その考え方でよろしいでしょうね。ほかの先生方、意見がございますか。クリソタイルも含めて1,000本以上については評価を慎重に考える。ばく露の形態、ばく露の種類も含めて考えると。
○渡辺職業病認定対策室長 いまの件ですが、これまでの取扱いとしては、石綿小体を計測したものについては、1,000本以下のものも本省で個別に判断をするということでやっております。先生はいま、これまで1,000本以上とおっしゃったように思ったので、そこはちょっと違うのではないかと思います。
○神山委員 1,000本以下も検討はしていたのですね。
○渡辺職業病認定対策室長 これまでは一応小体を計測して、1,000本以下も含めて本省と協議して、個別の判断というか、検討会に諮って判断をしていたということです。
○神山委員 本省協議の対象になった中で、1,000本以下もあったということです。
○森永座長 少なくともブレーキライニングの修理というのは、クリソタイル単独ばく露なのです。小体数1,000本未満で繊維数基準を満たした例はなかったと思います。ですから、そういう経験からいうと、1,000本以上だけ全部協議に回すということでいいのではないでしょうかね。繊維の計測は費用と時間もかかりますし、1,000本以上ということで裾を切っても切り捨てることにはならないと思いますが、どうですか。
○篠原委員 ただ、職歴からどうしても小体を作りにくいようなことが考えられる場合は、繊維も判断していただければと思います。原則1,000本辺りを目安というのは、ひとつかと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 これまでの実際の個別の案件では小体数1,000本以下のものも含め、かなりの事案について小体計測から繊維計測へ回しています。その中には確かに小体数が5,000本に満たないものであっても、繊維計測に回したところ、200万本なり500万本という繊維が確認されたものはありますが、1,000本以下のものについては、やはり繊維の数としては少ないということは、これまでの個別の計測結果からは言えると思います。
○森永座長 それはいいのではないですか。
○神山委員 いいと思います。それと小体の計測の均一というか、レベルも均一に上がってきていますので、ミスするケースもないだろうと思いますし、いいのではないでしょうか。
○森永座長 それはそれぞれの所で、本当にクリソタイルばく露で高濃度ばく露だという職歴など、別のインフォメーションがあった場合は、個別にまた上げてもらうとして、原則は1,000~5,000本を繊維で測るということでいいのではないでしょうか。ただ、いま神山委員が触れられたように、小体の計測については資料3-6で、マニュアルの第2版ですが、1版と違うところはBALでしたか。
○神山委員 BALがより詳細になったのです。
○森永座長 BALの測定法について、かなり詳しく書かれたもので、肺組織のほうはほとんど変わっていません。この方法でもう少し厳密に言えば、このマニュアルで研修をした人の測定結果でなければ、正直言って精度管理という問題からは信用できないというと語弊がありますが、このマニュアルで研修を受けて精度管理に参加している所からのデータでなければ評価はできず、それ以外の小体計測の結果が出てきたものについては、考え直さなければいけませんね。そこは別途協議するようにしますか。
○神山委員 そうですね。いま小体マニュアルがありますが、これは1つの基準として出してあるわけです。なおかつ、いま座長がおっしゃったように、目合せというか、特に典型的な小体というのは、誰が見ても小体と判断できるわけですが、裾野に相当する、これを小体と取るべきか取らざるべきかというようなものが、人によっては多々出てくる場合があります。その辺は講習会等で、統一的な目合せをしておくことが必要になってきております。
 それから、資料の作成も適宜講習で一応経験しておくことも必要ですが、その両面で過去何年もやってきているわけで、それに参加した人は、ある程度安心して測定結果を評価することができるのです。参加せず、自分なりに開発した方法は、それはそれで結構だとは思いますが、それがこのマニュアルに準拠するものと比べてどの程度のデータになるのかというのが、もうひとつ分からないようなケースが出てきた場合には、もう一度やり直していただくか、やり直しができないのであれば、本省協議で厳密にどう考えられるかということを検討する余地を残しておいたほうがいいのかと思います。データの統一性も含めて考えるとそう思いますが、いかがでしょうか。
○篠原委員 同じ意見です。
○渡辺職業病認定対策室長 先ほどの話の中で、1,000本以下については特別なインフォメーションがある場合以外は、協議の対象としないというお話がありましたが、私どもの経験からすると、この手法によらないで計測したものは大体少ない小体数で出ている傾向があります。つまり、1,000本以下の小体数で出ているのがありますので、そういう意味でも別の方法で計測したものについては、1,000本以下だから駄目と言わないで、もう一度計測するなり、計測が不可能なら、いまある情報の中で判断するという意味で、本省の協議対象とするのがいいのではないかと思っています。
○神山委員 そのとおりですね。要するに、マニュアルに沿わないでやった場合には、多く出るケースはまずありません。それは、このマニュアルが最大の値を取っていると評価できるわけです。少なめに出ているものは、それでどう評価できるかというと、いわゆる石綿小体をほとんど全部さらって数えたものの評価基準とは別な評価基準を作らない限り、活かせないわけです。それはもう一回やり直していただくか、別基準というか、いろいろなものを総合化して、ここは低いが、高く評価できるかどうか。例えば繊維計測を1,000本以下だがやってみるかとか、そういうものでやり直す必要が出てくるとは思います。
○森永座長 普通は小体で労災かどうかという判断するときは、大体手術しているか、亡くなられた方の場合ですから、基本的には再検査できるはずですよね。
○神山委員 そうですね。組織が残されていればですが、大体残っているとは思いますね。
○森永座長 まずはこの方法での再検査ということで、最初からいきなり本省協議にはならないと思います。まずは再検査です。
○渡辺職業病認定対策室長 地方で、現場で小体計測がマニュアルに沿ってやられたものか、あるいは別の独自手法でやられたものかが、きちんと判断できればですね。
○森永座長 そのぐらいは判断してもらわないと困ります。
○渡辺職業病認定対策室長 例えば地方の局医でも、これがこのマニュアルに沿って計測されたものであるか、あるいは独自手法の計測であるかということが判断できるのであればその方法でよいと思いますが。先ほど申し上げたとおり、独自手法での計測というのは、これまでの例では多くが1,000本未満で計測されていますので、1,000本未満では駄目ということをやるのは、少し慎重にしたほうがいいかなということです。
○森永座長 それは、いままでの経験では、独自の方法はこの方法よりははるかに感度が悪い方法なのです。ですから、やはりこの方法でやり直すのが基本で、やり直す材料があれば、まずそれをしてから。そういうものがどうしてもないという場合は、本省協議でいいと思いますが、最初からみんな本省協議と言ったら、本省の検討会も大変ですから。
○渡辺職業病認定対策室長 小体計測をした場合には、このマニュアルに沿った手法で計測したものか、それ以外の方法でやったものかを必ず確認をするということと、違う方法でやった場合には、この方法で再計測が可能かどうかを確認して、再計測が可能なら、この方法でやるということをはっきりとするということですね。
○森永座長 ほかに小体と繊維の話でご意見はございますか。なければ資料1の6ですが、「石綿ばく露作業従事期間を指標とする考え方について」で、石綿小体計測マニュアルに沿って行われたデータに基づいて解析したわけです。資料4の説明を事務局からお願いします。
○大根中央職業病認定調査官 この労災決定事案の分析の関係で、まず訂正をさせていただきたいと思います。前回提出しました資料7「石綿肺がんの労災決定事案の概要」ですが、決定事案数が3,008件、そのうち不支給決定件数が533件となっておりましたが、この一部に集計漏れがありました。正しくは決定事案が22増えて3,030件、そのうちの不支給決定件数が同じように22件増えて555件となります。決定事案数の3,008件が3,030件、不支給決定件数の533件が555件という数字が正しい数字です。この場をお借りしましてお詫びして、訂正をさせていただきます。
 続きまして、本日の資料4-1、4-2の関係です。医学的所見とは別に、石綿作業従事歴のみを要件として認定している国がいくつかあります。前回、検討会で説明申し上げましたように、ドイツを除いては、その対象を極めて高濃度ばく露が明らかな特定な業種に限定をした上で、従事した年代を限定したり、あるいはまた必要年数を10年以上としたりする要件とされております。
 最も幅広い認定要件を設定しているドイツにおいては、作業ごとの繊維濃度を年代別に測定した数値があり、これらの数値を個々の労働者の石綿作業に従事する時間数まで特定して当てはめると。そして、その労働者の累積ばく露量を繊維・年の数値として算出して認定をしているというわけです。この方法はとても精密で良い方法だということですが、日本においては古い年代の作業ごとの繊維濃度についての記録がないということです。また、作業内容を時間単位で思い起こして、それを検証することはほぼ不可能であることから、ドイツのようなやり方の採用は日本においては困難と考えるところです。
 今回、現行の認定基準策定以降に決定している肺がんの事案について集計して、いろいろ分析をする中で、石綿小体数が判明している事案については、その小体数と従事期間の関係で、従事した作業におけるばく露濃度が推計できるのではないか。それを作業の種類ごとに分類して一定の傾向が出れば、その作業における従事歴要件に用いることが可能ではないかという考えに基づいて分析したものが、本日の資料4-1、資料4-2です。
 資料4-1ですが、平成18年2月9日から平成22年11月30日までに決定した事案について、石綿による疾病の認定基準に掲げられている15の作業、この作業が複数ある場合には、最も長い期間従事した作業に分類をしましたが、その15の作業の区分ごとに集計をしたものが資料4-1です。例えば上から2番目は02となっておりますが、2の02「倉庫内等における石綿原料等の袋詰め又は運搬作業」については、データとしてある決定した件数が85件、そのうち石綿小体を測定している件数が9件あるということを示しているわけです。ちなみに、01から03-05、それから08、09については、工場等の特定の場所で作業に従事するというものです。一方、04から07までは、建設等の現場で行う作業ということになるわけです。
 続きまして、資料4-2です。いま申し上げた15の作業区分のうち、石綿小体を計測した事案のないもの、01については小体計測件数が0ですので、この01を除く14の作業区分について、小体を計測したもの1件ごとに、石綿小体数5,000本に到達した年数をドットで示しております。石綿小体数5,000本に到達した年数は、具体的には小体計測数、これは個々に出てくるわけですが、それをその事案の作業従事年数で割って、1年当たりの小体本数を算出する。その上で、5,000本をその1年当たりの本数で割ったものが5,000本到達年数と言えるかと思いますが、そういう形で算出をしたものです。
 例えば小体計測数が仮に2万本ということで、その場合の作業従事年数が20年というケースがあったとすれば、2万÷20で1年当たり1,000本。したがって、5,000本到達年数は5年ということになるわけです。この数字が短ければ短いほど、高濃度のばく露があったもの、要は5,000本に早く到達するということですので、短ければ短いほど、高濃度のばく露があったものと考えられるわけです。図の縦軸が5,000本の到達年数を示すものです。
 この結果から、例えば03-01については、いちばん右にある225.4、これはほかとの差があまりにも大きいということで、異常値として除外して考えれば、その次の最長で4.1年という従事年数で5,000本に到達している。最長4.1年で5,000本到達ということで、それまでのドットで示されているものと大きなばらつきがない、ということが言えるかと思います。これと同様の傾向を示しているのが03-02、04、この3つについては大きなばらつきなくまとまっているということが言えるのではないかと思います。
 それ以外のものについては、5,000本到達年数が事案によっては1年前後の短いものがあるということですが、はるかにそれよりも長いものもあるということで、かなり大きなばらつきが生じているのではないかと見て取れるのではないかと思います。資料4-1、資料4-2については以上です。
○森永座長 資料4-1の作業の分類は、肺がん用ではないのです。これは中皮腫用なのです。それをまず理解してもらわないといけない。だから、不純物の09とか11番の間接的ばく露というのがあるのです。だから、本来的には中皮腫のばく露を、今回、肺がんにも応用して解析したという理解です。石綿ばく露作業はこういうのがあると書いてあるのはいいのですが、どちらかというと中皮腫向けの石綿ばく露作業の説明なのです。そこを認定する側も、される側も、誤解されている可能性があるとは思うのです。いまの説明で、委員の先生方は何かご意見はありませんでしょうか。
○神山委員 資料4-1は、肺がん決定件数ですよね。分類は、目的は中皮腫用に作られたということですが、これは間違いないですね。肺がん決定件数ですね。
○大根中央職業病認定調査官 はい。
○森永座長 03-01は石綿の紡織でしょう。そういうことですね。
○岸本委員 そうです。
○森永座長 だから、逆に言うとクリソタイルだけでも、これだけ石綿小体がいっぱいあるということでしょう。
○神山委員 そういうことですね。
○森永座長 石綿小体、クリソタイルで認められるのです。だから、皆さん、クリソタイルは作らない、作らないと言うけれども、そうではないのですよ。長い繊維だから作るのです。やはり肺がんは種類も問題ですが、繊維の形状も非常に作用しますので、それを無視して考えるといけないということです。ほかの委員の先生方、この図表でご意見はありませんか。遠慮なくおっしゃってください。03-01の外れというのは何ですか。事務作業でもしている人とか、そんなものかな。これは不認定も含まれているのですか。
○渡辺職業病認定対策室長 不認定も含まれている数字です。ですから、そこまで具体的に石綿を手で触わっていたなどという人なのか、それともその会社にいて事務をやっていたという人なのか、というところまで詳しくわかっていない事例もあると思いますが、こういう例はたぶん普段は事務をやっていて、時々石綿を取り扱う作業もやっていましたという人が含まれる可能性は十分にあるという数値です。ですから、これがそういうものではないかという推計は可能だと思っています。
○森永座長 実は紡織でも、ロビングと混綿とは、1年の作業年数でもばく露はかなり違うのです。そこまで今回は無理ですが。委員の先生方、意見はありませんか。
○岸本委員 05というのは、断熱・保温作業と理解していいのですよね。だったら、この作業はもっとアスベストばく露量が多いと思うのです。ただ、05のこの図が私はよくわからないのです。これだと04に比べると、とても濃度が低くて、5,000本に達するまでの期間が長いように感じるのですが、これはどのように理解すればよいのですか。数が出ていないので、私はよくわからないのですけれども。
○森永座長 05は67例を解析しているのですね。
○渡辺職業病認定対策室長 67例と数が多いものですから、ドットが重なって線のようになっておりますが、これは67ドットあるのです。
○岸本委員 これは04と近似と考えていいのですか。
○大根中央職業病認定調査官 05については、左下のほうは5,000本到達年1年未満のものがドットの分だけあるということですので、この部分についてはやはり高濃度であるということは言えると思うのです。ただ、右のほうにいきますと。
○岸本委員 そうではないですね。
○大根中央職業病認定調査官 ということなのです。ですから、相当ばく露濃度の幅が広いと。事案によって、かなりの高濃度のものと言っていいものもありますし、そうでないものもあるという結果を示すと理解をしております。
○岸本委員 そうですね。作業内容の聞き方が、あまり良くないのではないかなと思います。
○森永座長 いやいや、これは両方やっている人はどっちに入っているのですか。吹き付けと断熱・保温作業を両方やっている人は。
○渡辺職業病認定対策室長 これの集計に当たりましては、この中にある15の作業の複数を経験している人は、一応いちばん長い所に分類しております。
○森永座長 だから、05のいちばん左のほうは、吹き付けをやっていた人が入っている可能性があるわけですね。
○渡辺職業病認定対策室長 そうです。ですから、ここで注意して見なければいけないのは、建設関係のところでは、一時的に吹き付け作業もやりましたという人は、その一時的な吹き付け作業で高濃度ばく露があるのですが、その人はそれは本当に一時だけであって、ほかの所がメインですというと、ほかの所にばらけているというところがあります。これは取り方をいちばん長い所に当てはめるというようにした関係上、それはもうそういうことになってしまいます。
○森永座長 05の左側の人の線は、吹き付け石綿をやっていた人も入っている可能性があると。
○渡辺職業病認定対策室長 そうなのです。ですから、特に建設関係の所で極端にばく露濃度が高い人については、そういう可能性が十分考えられると思っております。
○岸本委員 断熱・保温作業というのは、例えば化学工場の断熱・保温の専属でやっていた方がかなりいるのです。そういう方の中には明らかに石綿肺が出ているので、そういう方と建設業で一時的に保温をやっている人とはクオリティが全然違うので、別で考えていただいたほうがいいのかと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 たぶんそうなのだろうと思うのですが、今回こういう区分でしか取っていないものですから、どこに当てはめるかというのは、結局そこに当てはめるしかない。いちばん長く従事した作業がどれか、というところで分類してしまったものですから。
○森永座長 石綿の吹き付けは04で見たら、5年、吹き付けをやっていたらもう。
○岸本委員 それはよくわかるので。
○森永座長 よくわかるから、それでいいのではないですか。
○岸本委員 わかりました。断熱作業を専属の方とそうでない方と分けていただければと思ったのは、労働衛生課の石綿健康管理手帳のときには、石綿断熱専属者は1年でも石綿健康管理手帳をもらえるとしました。そちらに入っています。なおかつ、石綿吹き付けや石綿製品製造に近いぐらいの高濃度ばく露者があったものですから、そういう専属者と建設業で補修作業等をやった人とは、クオリティを変えて考えていったほうがいいのかと思ったので、ちょっと発言させていただきました。
○神山委員 これはそういう線に沿って分類できるのですか。
○渡辺職業病認定対策室長 いや、いまのデータの中でそういう分類をすることはちょっと難しい。
○岸本委員 わかりました。了解いたしました。
○森永座長 ほかに委員の先生、この資料を見てご意見はありませんか。紡織は、03-01で5年で十分出てきていますよね。
○岸本委員 この作業はもちろんの話だと思いますから。
○森永座長 03-02もどうですか。1つ58.3という外れ値があるけれども。
○神山委員 これもほとんどいいのではないですか。短期間ですね。
○岸本委員 アスベストとセメントを混合するという作業者というのは、高濃度ばく露だと思いますので、私は妥当だと思います。
○森永座長 よほど大手でない限り、原料の混合とか成形とか、一緒にやりますからね。よほど大手だと職種が分かれていますが、それでも私が聞いた話では最初は混合をやって、それから成形をやって、最後に仕上げをやるとか、いろいろな工程を回っています。ですから、特定の工程だけを何十年やるという形態は、大きな会社でもたぶんないと思います。聴取りをしたとき、そうでしたね。
○篠原委員 はい。
○森永座長 03-01は5年、03-02も5年、04も5年でいけるのではないですか。駄目ですか。
○岸本委員 いまのお話は妥当な線だと思いますし、いずれも石綿高濃度ばく露を来たす作業なので、ここに出されている値というのは理想とは言いませんが、妥当な線だと思います。
○森永座長 石綿の紡織は、手帳は何年でしたか。
○岸本委員 1年のはずです。ただ、石綿紡織は日本では過去の作業ですので、大阪泉南辺りしかないのですが、ほかの地域では行われていませんよね。
○森永座長 あれは何年ぐらいまでやっていましたか。泉南辺りで、最近までやっていましたよね。石綿セメントは手帳は何年ですか。
○岸本委員 一応10年になっているはずです。1年の中には入れていません。
○田原中央じん肺診査医 1年には入っていないと思います。
○岸本委員 入っていません。
○森永座長 1年ではないですね。5年、10年。
○田原中央じん肺診査医 年数での要件は1年か10年です*。
(*会議後に確認したところ、石綿セメントを含め、石綿製品製造業務は1年で交付対象となる)
○岸本委員 1年でないものは10年にしていますから。
○森永座長 どうですか。由佐委員や三浦委員、この辺で何か意見はありませんか。
○由佐委員 いまの3つの業種を5年でというのは、妥当だと思います。むしろもっと短くても、1年程度でも、結構5,000本に達しているという例もありますので、個々の例では5年というように限らないで、もう少し短くても、実際にその業務に従事しているということがわかれば、個々に判断してもいいのではないかとも思います。
○森永座長 5年だけど、1年以上は本省協議、そういうご意見ですか。
○三浦委員 紡織も吹き付けも0.0いくつとか、0.0と、非常に高濃度ばく露者が入っていますね。ですから、この辺は。
○森永座長 紡織はすべて本省協議。5年以上はオーケーで。
○三浦委員 そうですね。
○渡辺職業病認定対策室長 基準として5年としておいて、それ以下の場合は本省で個別に検討するという方式はあるのだろうと思います。
○森永座長 紡織と石綿セメント製品は、社会保険の記録などで大体とれますよね。
○渡辺職業病認定対策室長 そうですね。紡織とかセメントの関係は、大体工場勤務だと思いますので、年金の記録などもはっきりしていて、工場とか、こういう定常的な仕事の場合はずっとやっていますので、雇用期間イコール従事期間と、大体そういうことが言えるのだろうと思います。建設的なものの場合には定常的な仕事ではありませんので、なかなかそうもいかないだろうと思います。少なくとも紡織、あるいは石綿セメントについては、大体そういう形で年金の記録を調べれば、何年間勤めていて、その雇用期間は大体従事年数ということで認定ができるのだろうと思いますけれども。
○森永座長 製造業は5年でいって、ただし紡織は先ほど言ったように混綿とか、作業工程でまた違いますからね。混綿だと1年でいいようなものもありますので、それは5年以下であっても、本省協議のほうがいいかもわからないですね。あるいは職種の情報を合わせて評価しないと、紡織の場合は本当に混綿は高濃度ばく露ですから。混綿とか機械のメンテナンスというのは、結構高濃度ばく露なのですよ。針を研ぐメンテナンスなどというのは非常に高濃度ばく露なので、5年でいくとちょっと気の毒なところが出てくる可能性がゼロではないので。
○渡辺職業病認定対策室長 たぶんこういう人たちは、この基準のほかにも例えば写真でしっかりしたプラークが見えるとか、場合によっては多くは紡織の人はこれまでは石綿肺の人もたくさんいたわけですが、石綿肺であればそれですぐ認定されるのでしょうし、今度プラークのある程度の大きさがあればいいというもので認定されて、それでも駄目ということであれば、こっちで、この5年を満たせばもうそれでいいという要件で、それでも駄目というのであれば、個別に協議をする。そういうことで十分対応できると思います。ただ、本省に協議が上がってくるものというのは、相当絞られたものだろうと思いますけれども。
○森永座長 そうでしょうね。石綿肺がどうか、また難しい問題があるので、石綿紡織5年だったら、それが石綿肺であろうが、間質性肺炎であろうが、肺がんを合併すればそれは石綿肺がんとみなすという考え方になりますよね。
○岸本委員 いいのではないですか。それなりのばく露濃度がある作業ですから、それはいいのではないですか。
○森永座長 よろしいですか。
○三浦委員 はい、いいと思います。
○森永座長 問題は吹き付けをどうするかですね。04をみると5年でほとんどカバーはできるのですが、製造業と違って必ずしも毎日やっているわけではないので、どうしましょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 それは従事期間といいますか、作業がどのぐらいあったかという事実確認の問題だと思いますので、そこはどのようにすればきちんと事実確認ができるかということで、私どものほうでそこは考えられるかと思っているのですけれども。
○森永座長 吹き付け石綿も5年で、みんな5年のほうがわかりやすい。ということで、よろしいですか。この3職種については従事年数のみで、それが確認されれば肺がんを合併した場合は石綿肺がんとみなすと。ただ、吹き付け石綿については、従事年数の確認は、年に1回では無理ですけれども、月に何回かやっているという情報があれば、それを5年間やればみなすという考え方でいけばよろしいですか。
 実は審良委員と岸本委員は、資料1の4番のプラークの前回決めたことについて、欠席をされておられましたので、何か一言ご意見はありますか。前の検討会で一応、議論したのですが、「いや、ここだけは私は言っておきたい」ということが、お二人はこの間欠席されたので、何か意見はありますか。
○審良委員 これでいいと思うのですけれども。
○森永座長 一応、レントゲン単純でプラークは確認できたけれども、CTでも確認しましょうと。
○審良委員 それは助かります。
○森永座長 岸本委員、どうですか。
○岸本委員 「X線写真によって胸膜プラークが確認でき」というのがとても抽象的なので、これは「典型的な石灰化胸膜プラークが横隔膜上等、好発部位にある」とか、そういう1文がほしいなというのは、医師によっても胸膜プラークの診断がとてもばらついておりますから、もう少し客観的な文言があるといいなと思いました。CT画像によって、プラークと認められるものはもちろんそうなのですが、レントゲンによって胸膜プラークの見方というのがバラエティがあるので、その辺で文言が何かあると、より客観性が増すのかと思いました。
○森永座長 由佐委員や三浦委員、どうですか。
○由佐委員 岸本先生がおっしゃるとおりで、前回のときにも三浦先生からそのご指摘があって、誰が見ても客観的にレントゲン写真でプラークといえるものを「明らかなプラーク」というようにして、それを出す。見る人によって、胸膜の肥厚がありそうだというぐらいのところで、プラークという診断をしたりということでばらつきがあると思うのです。ですから、ある程度どこかで線を引くようなクライテリアといいますか、基準的なものを設けたほうがいいかとは思います。
○森永座長 そうしたら「明らかなプラーク」として、「X線写真によって明らかな胸膜プラークが確認でき、CT画像によってもプラークと認められるもの、ここでいう明らかな胸膜プラークとは云々」というのを一言付け加えるべきだと、こういう意見ですね。
○岸本委員 はい。
○森永座長 それを今度までに考えましょう。事務局のほう、よろしいですか。
○渡辺職業病認定対策室長 はい。
○森永座長 「明らかな」というのは、実は平成18年の検討会ではそれを入れていたのですが、環境省が削ってしまったのです。それでもめることもあるので、「明らかに」を入れましょう。ここへ定義を入れましょう。
○岸本委員 はい、それは必要だと思います。
○森永座長 そうしましょう。それは次回までに原案を委員の先生方と私とで考えて、事務局に提案しますから、それでよろしいですか。
○岸本委員 はい、よろしいです。
○森永座長 今度は、逆にレントゲンで結核性の病変としか思えないような石灰化があって、だけどCTで撮ったら両方あるというのもあるのです。両方あるというのは、石灰化の所見が結核になった人で、かつ石綿を吸った人は、逆に単純X線だけではわからないです。そういう経験をしていますが、どうですか。
○三浦委員 あります。
○森永座長 ありますよね。ですから、やはりプラークについてはCTが必要なのですよ。
○神山委員 いまのようなケースの場合は、CTを診たあと、また単純X線に戻るわけですか。戻って、明らかな胸膜プラークがあるということを確認する形をとらないといけないのですか。
○三浦委員 原則は単純写真で、まずあるということです。それで、CTで見つかったからよく単純写真を見直したら、ここにもある、ここにもあるというのは、普通は明らかな胸膜プラークとは言わないのです。ただ、先ほどの結核性胸膜炎などの派手な石灰化とは別に。
○神山委員 偶然、発見されたわけですね。
○三浦委員 ここはどうも結核性の病変ではなくて、胸膜プラークと考えられるような病変を一緒に持っている症例なのです。それはもうCTで確認して、ここは確かにプラークですねということが単純写真でわかっているけれども、単純写真では派手な結核性胸膜炎の跡があるものだから、そっちにいってしまうと、胸膜プラークが見落とされてしまう。だけど、単純写真でも明らかにそういうものがあって、それをCTで確認できたと。これはもう明確な胸膜プラークと言えるのです。CTのほうから入って単純写真を見直したらではなくて、その辺があると思います、違うと思いますから。
○神山委員 戻らないで、最初に見つけることを第一にするわけですね。
○三浦委員 そうです。臨床的には、特に若い先生方、胸膜プラークを見たことがない先生方は逆ももちろんありますし、派手な石灰化した胸膜炎の結核性の病変を最初からプラークだと照会してくる先生もおられますから、その辺は確認する必要はあると思います。
○岸本委員 石綿肺がんというのは本省協議で決めるものではなくて、大体これは地方労災医員が地方で決めていますから、地方労災医員にも胸膜プラークがどういうプラークかというのがわかるような、そういう文言を使っていただきたいと思います。
○森永座長 岸本委員が中心になって考えましょう。次に、びまん性胸膜肥厚の併発した肺がんです。資料5、これについて、廣島委員から意見はありますか。
○廣島委員 この論文の要約をすればよろしいでしょうか。
○森永座長 はい。
○廣島委員 この論文は、石綿ばく露歴があり、びまん性胸膜肥厚が認められた13例の肺内の石綿繊維の濃度を分析したものです。Table2にそのサマリーが載っております。13例のデータがすべて載っております。石綿繊維の数を見ますと、いちばん少ないものは1g当たり300万本ですが、多いものは3億本と非常に高濃度の石綿繊維を認めます。石綿ばく露がある症例でびまん性胸膜肥厚を認める場合は、高濃度の石綿ばく露を受けていると言えるという論文です。
○森永座長 びまん性胸膜肥厚で労災の対象になっている方は、その後、肺がんが合併した場合には、それはそのまま石綿による肺がんとみなしてよろしいのではないか、という提案の裏付けを説明してもらったと。こういう解釈でよろしいですか。ほかの委員の先生方、どうですか。
○三浦委員 追加させていただきますと、ここの繊維の長さも、ほとんど2μ以上だったと思います。Table5、平均が2.77とか、胸膜直下と肺の真ん中辺と両方ともあまり差はなくて、長さもすべて2.5μ以上のものがある。だから、先ほどの最低300万本も十分な濃度と本数と考えます。繊維数と考えます。
○森永座長 今日の議論すべき課題は、これでほぼ終了したと思うのです。あと名取先生の意見書が出るということなので、その意見も参考に議論をしなければならないわけですね。ですから、一応それまでのところでの議論を踏まえて、報告書の案を一応作成して、名取先生から意見が出てくるので、それを議論すると。次回はそういう段取りですね。
○大根中央職業病認定調査官 はい。
○森永座長 次回の日程はどうなるのですか。
○大根中央職業病認定調査官 次回ですが、年明け1月中旬を目途に開催ができればと考えております。具体的な日時については、また別途調整をさせていただきたいと思います。
○森永座長 すみません。資料3-5の説明を忘れていました。218頁で、図3の説明が左上の3行目から少しあります。この図3は、基準値を達成した事業所数をグラフ化して、それが1984年では80%ぐらいだったのが、1990年ぐらいにはほとんどが達成したという数字です。ただ、いちばん左上のパラグラフのいちばん下で0.1という基準値は、いくつかの紡織の工場を除いてはみんな満たしていると。逆に言うと、石綿の紡織は守られていないと。乾式ですから、なかなか難しいのだと思います。
 そういうことで、年代を考慮すべきなのですが、石綿の紡織はこういうことでクリアされていない所があるから、年代は考慮しなくてもいいと。吹き付け石綿は、原則昭和50年で禁止ですよね。ですから、これも別に年代は考慮しなくてもいいと。ところが、石綿セメント製品については、やはりちょっと時代の検討も考えなければいけないのではないですか。5年だと言っているけれども、昭和50年代の5年と平成の5年とは、やはりかなり違うのではないですかということも、ちょっと考えないといけないですね。従事期間で見る場合の考え方。だから、紡織と吹き付けは、もう年代のことを考慮しなくてもいいのではないですか。石綿セメント製品製造業は、どうするかというのを考えなければいけない。これは考えないでもいいというデータがあれば、それはそれでいいのですけれども。
○神山委員 03-02がいつごろのものか、あとで調べて、それにもよるのではないですか。かなり古い時代のばく露に限られていれば、いまのような形で、新しい時代、作業環境がだいぶ見直されてきてからのものを別途、考慮する必要があるかもしれません。それを含めて6例のほとんどが最近のものも含んでいれば、あまり考える必要はないのかもしれないとか、1つ考慮の課題になるのではないですか。この6例がどのぐらいの時代のばく露者だったかという。
○森永座長 これはたぶん昔の時代だと思いますけれどもね。
○神山委員 昭和50年以前、あるいは昭和50数年以前であれば、確かにその後、作業環境は極端に良くなってきていますからね。
○森永座長 だから、これはいまの患者については、たぶん前の時代の話だから、5年でいいのです。20年後、30年後のとき、どう考えるのか。
○神山委員 今後のケースということですよね。
○森永座長 ということがあるから。でも、認定基準は20年前もそのまま引っ張るのだったら、平成の時代、つまり2004年末で作業は大体やめているわけですよ。その間のばく露と、それ以前の特に特化則以前のばく露は全然違うでしょうと。そこのところの年を、今はいいですよ、今はいいけれども、将来のことを考えたら、そこのところは何か検討しておかないと駄目なのではないですかと。イギリスでも何年以上と何年以前とでは、年数の評価も変えているわけです。それはちょっと今日の宿題で、少なくともこの6例はすぐ調べられると思うので、それは一遍。
○渡辺職業病認定対策室長 実際、03-01とか03-02とか、そのデータのばく露開始時期は、やはりみんな古いですね。昭和30年、40年代だということです。
○神山委員 大体そうですよね。
○渡辺職業病認定対策室長 今回の個別に拾ったドットというのは、やはり多くは昭和50年以前のばく露期間のものであるということです。ですから、当然これがもう平成に入ってからのものであれば、ばく露状況が大幅に違うことは間違いないと思いますが、少なくとも当面はこれでいって、またある時期、同じような評価をして。
○森永座長 差はわからない、どうなのか。このままずっといくかもわかりません。昭和53年の認定基準が平成15年まで、そのままいっていたのだから。だから、何年ですか。昭和53年から平成15年まで、1/4世紀、変わっていないのですよ。それはやはり、今から考えておいたほうがいいですよと。そのころ我々はもう亡くなりますけれどもね、当事者は。なおさら、どういうときにどういう考えでそういうのを決めたかということが、理解がされるように残しておかないといけませんから、それはちょっと考えましょうよ。それも次回の宿題。宿題は2つあります。
○神山委員 これは2005年まで製造は続いたのですよね。石綿セメント、あるいはスレート。
○森永座長 石綿セメント製品は、2004年10月に一応、禁止です。だから、2004年いっぱいと考えたらいいのです。
○渡辺職業病認定対策室長 クロシドライトなどの規制は早いのです。
○神山委員 平成7年で禁止です。
○渡辺職業病認定対策室長 それ以外のものについては、要はクリソタイルですが、これは平成15年まで使っているというか、使うことは禁止はされていなかったのです。ただ、先ほどの森永座長の資料のように、禁止はされていないけれども、事実上、ばく露量としてはどんどん減ってきているというのが先ほどの資料だと思います。禁止されなくても、企業側が自主的に規制をしていったのだろうと思います。そういう意味では、実態的には平成15年以前であっても相当少なくなってきているのだろうと思いますが、そこはいまそういうものを表す資料は、今回出してもらった以上のものは、なかなか見つけられないのだろうと思っていますので、難しいというのが正直なところです。
○森永座長 1990年以前と以降は1/2に勘定するとかでもいいのではないですか、それは事務方のほうも検討してみてください。よその国、ベルギーもイギリスもそういう考え方を採っていますので。やはり良くはなってきていますよ、それは。それと、明らかな胸膜プラークの定義を岸本委員を中心に考えるということで。
○岸本委員 いやいや、滅相もないことです。
○森永座長 本当はできるだけ早くしたほうがいいのですが、以上で今日の議論は大体終わりましたので、事務局に返します。
○大根中央職業病認定調査官 まだ予定しておりました時間には多少早いですが、議論が終わりましたので、これで終わりにしたいと思います。本日はありがとうございました。
○森永座長 次回の日程調整を早くしてくださいね。
○大根中央職業病認定調査官 はい。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 石綿による疾病の認定基準に関する検討会> 第9回石綿による疾病の認定基準に関する検討会議事録

ページの先頭へ戻る