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2011年12月13日 第8回社会保障審議会生活保護基準部会議事録

社会・援護局

○日時

平成23年12月13日(火)14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

駒村 康平 (部会長)
岩田 正美 (部会長代理)
阿部 彩 (委員)
庄司 洋子 (委員)
栃本 一三郎 (委員)
林  徹 (委員)
道中 隆 (委員)
山田 篤裕 (委員)

○議題

・生活保護基準の検証について
・その他

○議事

○駒村部会長 こんにちは。それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第8回社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について事務局よりお願いいたします。
○古川課長 本日の委員の出欠状況でございます。本日は全委員の御出席をいただいております。
以後、議事進行を部会長におかれましては、よろしくお願い申し上げます。
○駒村部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
まず、事務局より本日提出された資料1、2、3、参考資料1及び2について併せて御報告をお願いしたいと思います。
○古川課長 資料1から御説明をさせていただきます。
基準に関しましても、さまざまな場面で議論が行われているところでございまして、最近の動きについて、まず御報告をいたします。
資料1でございます。「行政刷新会議『提言型政策仕分け』」、これが11月23日に行われまして、生活保護に関しても議論されております。その中で論点が3つございましたけれども、その論点マル1といたしまして、「『最低生活の保障』」と『自立の助長』を両立させるための支給額はどうあるべきか」ということで議論がなされました。
提言といたしましては、「生活保護基準(支給額)については、自立の助長の観点を踏まえ、基礎年金や最低賃金とのバランスを考慮し、就労インセンティブを削がない水準とすべき。なお、社会保障審議会生活保護基準部会においては、こうした方針を反映していただきたい」、このような整理がされているところでございます。
このほか論点マル2「生活保護医療の適正化」や、論点マル3「貧困ビジネスの対応」につきましてもそれぞれ御提言があったところです。
資料2をごらんいただきたいと思います。「厚生労働省社会保障改革推進本部の検討状況について(中間報告)(抄)」という資料です。
下の枠の中ですけれども、厚生労働省といたしまして、社会保障改革について、「社会保障・税一体改革成案」で示された個別分野の具体的改革項目にしたがって、着実に改革に取り組むという観点から、現時点での考え方を取りまとめたものというものです。
そうした中におきましても、「改革の方向性」として、「1 未来への投資(子ども・子育て支援)」、「2 医療・介護サービス保障の強化」に続きまして、「3 貧困・格差対策の強化(重層的セーフティネットの構築)」として「すべての人の自立した生活の実現に向け、就労や生活の支援を行うとともに、低所得者へきめ細やかに配慮」をする記述がされております。
また、関連いたしまして、「4 多様な働き方を支える社会保障制度へ」ということで「短時間労働者への社会保険適用拡大、被用者年金の一元化」。
「5 全員参加型社会」というところで、「若者をはじめとした雇用対策の強化、非正規労働者の雇用の安定・処遇の改善」等々の整理がされているところです。
こうした論点を踏まえまして、4ページですけれども、「6.貧困・格差対策の強化(重層的セーフティネットの構築・逆進性対策)」というところで少し具体的な記述があります。
「(1)社会保障制度における低所得対策の強化(逆進性対策の実施)」。
○ 消費税収は全て国民に還元するという観点に立ち、消費税引き上げに伴う低所得者への影響に対する措置として、以下のような措置を講ずることといたしまして、
マル1 生活保護基準、各種福祉手当については、物価スライド等の措置により、消費税引き上げによる影響分を手当額に反映する。
 という方針が示してあるところです。
 また「(2)社会保険の適用拡大」については、先ほど申し上げたとおり、短時間労働者に対する適用の拡大などが記載されております。
次の5ページですけれども、「(3)重層的セーフティネットの構築・生活保護制度の見直し」というところです。
○ 生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて、総合的に取り組むための生活支援戦略(名称は今後検討)を策定する。(24年秋目途)
マル1 生活困窮者対策の推進
 ○ 第2のセーフティネットの構築に向け、求職者支援制度に併せ、以下の取組を進める。
  1 生活困窮者に対する支援を実施していくための体制整備等を進めるため、国の中期プランを策定。
  2 生活困窮者の自立に向けた生活自立支援サービスの体系化、民間の生活支援機関(NPO、社会福祉法人等)の育成・普及、多様な就労機会の創出等を図るため、必要な法整備も含め検討を進める。
マル2 生活保護制度の見直し
○ 国民の最低生活を保障しつつ、自立の助長をより一層図る観点から、生活保護法の改正も含め、生活保護制度の見直しについて、地方自治体とともに引き続き検討する。
一番下の〈平成24年度における主な関連施策〉ということで、現時点で、24年度から着実に取り組む案件として、就労・自立支援の充実、電子レセプト等を活用した適正化の取組などが記載されているところです。
 関連いたしまして、昨日、「生活保護制度に関する国と地方の協議」の中間取りまとめというものが整理をされました。文章編とコンパクトにまとめました表の形にしているものがございますけれども、表のほうをごらんいただきたいと思います。個別項目といたしまして「運用改善等で速やかに実行する事項」と、実施するために引き続き法改正などが必要である「引き続き検討を進める事項」という大きく2つに分けまして議論の整理がされております。
 速やかに実行する事項といたしましては、国から自治体に対して、期間を設定して集中的な就労支援を行うこと。
「福祉から就労」支援事業を含め、就労サイドが福祉に一歩を踏み出す、福祉サイドが就労サイドにも一歩踏み出し、その便宜を図っていくということ等々の取組が指摘をされているということです。
これは、先ほど申し上げた厚労省の推進本部でまとめた報告と考え方は軌を一にするものであります。
2ページにまいりますけれども、医療扶助や住宅扶助等の適正化の話、生活保護費の適正支給の確保などにつきまして、それぞれ具体的な取組をまず進められるものから進めるようにという指摘がされているところです。
併せてマル4ですけれども、ケースワーカーなどの業務の負担の在り方の見直しについても、常にこうした取組を行う際には配慮すべきと整理がされているところです。
昨日の議論の中におきましても、基準部会につきまして、委員の方から客観的な基準に基づいて検証していただきたいとのコメントがございました。現行では就労インセンティブに乏しく、なかなか保護脱却に結びつかないという話があり、そうしたことを踏まえて基準部会への期待が示されたというところです。
○伊沢課長補佐 引き続きまして、資料3について御説明させていただきます。
前回の部会におきまして、道中委員から御質問がございました医療費通知の実施の状況でございます。概要につきまして、調査ができました佐世保市の例を参考にいたしまして検討させていただいてございます。
 定量化したものではございません。ちょっと御用意ができませんでしたので、効果等を文章でお示ししております。佐世保市のほかにも医療費通知につきましては、複数の自治体で実施をしているという状況がございます。例えば大阪市では平成17年から医療費通知の仕組みを導入いたしまして年2回ほど実施をしているという報告を得ているところでございます。
資料は用意しておりませんけれども、前回の部会におきまして、このほかに庄司委員から、病児保育にかかります費用について御質問がございました。担当課に確認いたしましたところ、病児保育、病後児保育、休日保育、こういったものにつきましては、市町村の独自事業のため全国一律で無料というわけにはいかず、各自治体で独自に負担額を決めているということでございました。
なお、生活保護の運用上でございますが、就労に伴う託児の費用、これは収入から控除することができるという取り扱いになっておりますので、病児保育にかかりましても、費用を御申請いただければ収入から控除することは可能だということでございます。
続きまして、参考資料1につきまして御説明をさせていただきます。
「東日本大震災に伴う被災者からの保護の相談等の状況把握について(10月)」でございます。生活保護の相談件数でございますが、全国で135件、申請件数が全国で54件、保護の開始世帯数が34世帯となっております。
月毎の推移を下のほうに書いてございますが、例えば相談件数で申し上げますと、6月の413件から7月が229件、8月が183件、9月が142件、10月が135件ということで、徐々にではございますが、落ちつきを見せてきているのではないかという状況でございます。
参考資料2でございますが、「生活保護の動向(速報)」でございます。
被保護実人員につきましては、前月公表分でございます7月分で、これまで受給者過去最高でした昭和26年の204万を超えております。8月の速報値でも205万9,871名と過去最高を更新している状況でございます。厳しい社会経済情勢の変化や高齢化の進展といったものが反映されているものではないかと考えております。
参考資料につきましては以上でございます。
○駒村部会長 続けて資料4についても併せて御報告をお願いいたします。
○伊沢課長補佐 引き続き、資料4につきまして御説明をさせていただきます。
資料4を1枚おめくりいただきますと、2ページに、今回の検証に至ります経緯を簡単ではございますけれども、まとめさせていただいております。平成16年に「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」におきまして、「今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある。」というご報告を受けたところでございます。
これを踏まえ、平成19年には「生活扶助基準に関する検討会」において、平成16年全国消費実態調査を用い、資料にございますとおり、マル1~マル4までのテーマに沿った検証を実施いたしました。
前回の検討会における検証から約5年が経過し、平成21年全国消費実態調査の公表も行われたところでございます。改めて現行の生活扶助基準額の妥当性を検証するため、本部会を開催することになったということでございます。
検証の目安といたしまして、今後のスケジュール案を資料の下のほうに載せております。現在、総務省との間で全国消費実態調査等の個票データを借り受けるための手続を行っているところですが、早ければ今月下旬20日前後にデータを入手する手はずとなっております。データ入手後に本部会での検証に活用できるようにするため、全国消費実態調査等のデータを特別集計をさせていただきます。時系列での変化を確認させていただくということもございますので、基本的には19年の検証の際に使用しましたプログラム等、既存のフレームを活用させていただきたいと考えております。
本日の部会におきましては、この特別集計の作業を行う上で留意すべき点、またはデータ処理で工夫を要するであろうと思われる点につきまして幅広く委員の御意見をいただければ幸いでございます。予定では次回以降の部会におきまして、特別集計の結果、得られたデータに基づきまして、各テーマに沿った検討をお願いしたいと考えております。できましたら月一回程度の頻度で部会を開催させていただき、おおむね来年の10月ごろを目途に報告書をまとめていただければと考えております。
それでは、個別のテーマに沿って、事務局で整理した論点等を資料に基づき御説明をさせていただきます。3ページをお開きいただけますでしょうか。
まず「生活扶助基準の水準について」です。過去の検証等を踏まえますと、以下の3点が論点として挙げられるのではないかと考え、提示をさせていただいております。
まず、第1点目ですが、「現行の水準が一般低所得世帯の消費と比べて妥当なものになっているか」という点でございます。御案内のとおり、昭和59年以来、現在に至るまで国民の消費実態との均衡を維持、調整するという意味での水準均衡方式が採用されているところですが、国民の消費実態との均衡がとれているのかどうか、保護を受給していない低所得世帯における消費実態との均衡が適切に図られているのかといった観点につきましては、水準均衡方式を採用している現行運用の下、検証には不可欠ではないかと考えております。
2点目でございますが、「比較対象とする一般低所得世帯をどのように設定すべきか」でございます。平成16年の生活保護制度の在り方に関する専門委員会におきましては、基準の改定を行う際、従前からでございますが、3人世帯を基軸としていたことを踏まえ、「夫婦子1人(勤労3人世帯)で年間の収入を階級で並び替えまして、第1/10分位に属する世帯、こちらの消費支出と生活扶助基準の比較をしております。また、平成19年の生活扶助基準に関する検討会では、被保護世帯のうち、3人世帯は平成18年度の平均で大体5.5%ぐらいという非常に少ない状況でした。それに比べまして、世帯の全体の約3/4(74.2%)が単身世帯だったというところに着目し、夫婦子1人世帯と単身世帯という2つの類型で、年間収入階級第1/10分位に属する世帯の消費支出と生活扶助の基準を比較しております。
3点目でございますが、前回までの部会において、岩田部会長代理から御報告がございました家計実態アプローチ、また阿部委員から御報告がございましたMISなど、さまざまなアプローチを御提案いただきました。「消費による検証結果を補完するものとして、どのような検証方法が考えられるか」ということについても、論点として挙げさせていただいております。
これらの論点を踏まえ、先ほど申し上げましたが、平成19年の検証では、「(有業者あり)夫婦子1人世帯」と「単身60歳以上」の世帯について、年間収入階級第1/10分位の生活扶助相当支出額と生活扶助基準額の比較を実施しております。この資料の「※1」にございますが、その際に(60歳以上)の単身世帯の分位設定においては、年間収入だけではなく貯蓄の取崩し分も反映した指標を用いさせていただいております。
また「※2」にございますが、ここで使用しております「生活扶助相当支出額」は、一般世帯の総支出額から、家賃、医療等生活扶助に相当しないものを除いたものとなっております。
この分析の結果の詳細につきましては、恐縮ですが、第1回部会の際お配りした資料の23ページ以降を後ほどごらんいただければと思います。要点のみ申し上げますと、「夫婦子1人(有業者あり)」世帯の第1/10分位の消費実態では、生活扶助基準額が生活扶助相当支出額より若干高めということが出ております。また、第1/5分位では、生活扶助基準額が生活扶助相当支出額よりもやや低めでした。併せまして、「60歳以上単身」世帯の第1/10分位での消費比較でございますが、生活扶助基準額が生活扶助相当支出額よりも高めに、第1/5分位で均衡していたという結果でした。
4ページをお開きいただきますと、過去2回の検証で比較対象とした一般の低所得世帯を年間収入階級第1/10分位としてきているところでございます。
そこで、平成19年の検証においては、その妥当性を確認するために、耐久消費財の普及率や必需消費品目の購入頻度、これを平均と第1/10分位で比較しております。その結果、第1/10分位の消費水準は、平均的な世帯の消費水準に照らし、相当程度に達している。また必需的な耐久消費財の普及状況に大きな差はなかった。必需的な消費品目の購入頻度もおおむね遜色ない状況であったという結果を得ております。
これらの点を踏まえ、資料の下にございますが、具体的に本部会で御議論いただきたいポイントをまとめさせていただきますと、大きく平成19年検証の際の手法を今回も用いることについてどうお考えになるかという点と、消費による検証を補完する方法についてどうお考えるになるかという2点を挙げさせていただいております。
特に後者の点につきましては、水準均衡方式が採用される契機となった昭和58年の中央社会保障審議会におきまして参考資料として示された「変曲点」という概念がございますが、現在、改めてどのようなものが考えられるかといった点もお含みおきの上、御意見・御議論をいただければと考えております。
続いて、1枚おめくりいただきまして、「生活扶助基準の体系について」でございます。水準同様、資料の構成といたしましては、論点の提示と平成19年検証時の分析方法、それに具体的に御議論をいただきたいポイントの3つの構成となっております。
まず、論点としては、世帯構成など異なる生活保護受給者の間におきまして、実質的な給付水準の均衡が図られているのかといった点での検証が必要ではないかと考えております。具体的には、単身世帯や多人数世帯といった世帯人員別の違いや稼働年齢層や高齢者といった年齢階級の違いなど、それぞれの世帯に応じて基準額が一般低所得世帯の消費実態と比べ妥当なものとなっているのかどうかといった視点で検証を行う必要があるのではないかと考えております。
2点目の論点ですが、現在、世帯人員や年齢階級による需要の違いに対応するため生活保護制度でルール化されております現行の仕組みがうまく機能しているのかどうかといった点を検証いただきたい。具体的に申し上げますと、個人的経費でございます第1類費と世帯共通経費である第2類費、こういった区分が基準額の算定上策定されていますが、その区分の在り方について、先生方がどのようにお考えになるかといった点を御議論いただきたい。
平成19年検証時では、被保護世帯における世帯人員別の構成割合を見たところ、一般世帯に比べ、単身世帯の割合がかなり高く、また、過去の検証においても、多人数世帯に優位な基準設定になっているのではという御指摘をいただいております。こういった点を踏まえ、平成19年の検証では、世帯人員別に生活扶助相当支出と生活扶助基準額の比較を実施しております。また、現在、栄養所要量等を参考に設定されております年齢別の基準額についても、単身世帯における年齢階層別で、生活扶助相当支出と生活扶助基準額を比較して検証をしております。
その結果ですが、世帯人員別で申し上げると、単身を基軸に検証したところ、4人以上の多人数世帯に関しましてはやはり優位な結果、世帯人員が少ない世帯にとっては不利な状況であったということがわかりました。また、年齢階級別ですが、こちらも単身60歳を基軸に検証を実施したところ、20歳~59歳で60歳に比べやや低め、70歳以上でやや高めという消費実態からはやや乖離した状況が判明いたしました。
これらの結果から、第1類費相当支出額にもスケールメリットが見られ、また第2類費相当支出額にも世帯員の年齢階級別の差があるといったことがわかりました。
 これらの結果の詳細については、第1回の部会資料39、41ページに掲載しておりますので、後ほどごらんください。
 6ページですが、具体的に御議論いただきたいポイントとして、平成19年検証時と同様、一般低所得世帯の消費支出の実態と被保護世帯の生活扶助基準額との相違が世帯人員や年齢の変化に応じてどう変化するのか、これを見ることを前提に、生活扶助の算定ルールである第1類費、第2類費の考え方が妥当かといった点などについて御議論をいただければと考えております。
続いて、1枚おめくりいただき「地域差について」ですが、現行の級地制度は地域における生活様式や物価差を反映して生活水準の差を生活保護基準に反映させることを目的に設定したものです。最も高い級地と最も低い級地の基準額の格差は現行22.5%となっています。
平成16年の在り方専門委員会の報告書でも、「一般世帯の生活扶助相当消費支出額を見ると地域差が縮小する傾向が認められる。今後、詳細なデータによる検証を実施する必要がある。」と報告されていました。その報告を受け、平成19年の検討会では、級地制度が地域間における生活水準の差を反映しているのかどうか、その点に関して評価・検証を実施しております。
その結果、現行の級地制度における地域差は、この地域差を設定した昭和59年当時の消費実態等と、平成19年の検証の際には16年のデータを使っておりますので、16年の消費実態を比較いたしますと、地域差は縮小している傾向が見られるという報告がありました。今回、16年から5年が過ぎた平成21年の全国消費実態調査のデータが入手できますので、これに基づき、実態はどう変化したのか。また、市町村合併も落ちつきましたので、改めて検証を行いたいと考えます。
平成19年検証時には、平成16年全国消費実態調査に基づき、収入階級別に一般世帯の「生活扶助相当支出額」と「生活扶助基準額」を指数化するなど、傾向性の分析を行っております。今回も19年検証と同様、全国消費実態調査等のデータに基づき、一般世帯の地域差の実態を把握したいと考えております。
続きまして8ページですが、「勤労控除について」です。勤労に伴う必要経費を補てんするとともに、勤労意欲の増進及び自立の助長を図るという勤労控除の目的に照らし、一般世帯の消費実態及び勤労に伴う必要経費はどの程度認められるのか、評価・検証を行うとともに、現行の仕組みが勤労意欲を効果的に高めるものであるのか、こういった点を御議論いただきたいと考えております。
論点としても、実際、就労関連経費が幾らぐらい必要かといったことを把握するとともに、「就労インセンティブを効果的に高めるにはどのようなことが考えられるか」といった2点が議論のポイントになるのではと考えております。
最後になりますが、10ページ、「特別需要に対応する各種加算制度の妥当性など」についてです。基準検証の議論の過程においては、併せて検討が必要と考えられる事項が何点か出てまいるかと思われます。生活扶助基準に限定することなく幅広く御議論いただければと考えております。
以上、簡単ではございますが、資料4に関する説明を終わらせていただきます。
○駒村部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえ、御議論いただきたいと思います。事務局には、総務省から今月中に特別集計に係る統計データを入手し、次回の部会で何らかの集計結果を示すようお願いしておりますので、そのデータ処理において配慮すべき点などについて、御意見・御質問がございましたら、お願いいたします。
少し整理をしながら進めたいと思いますので、まず、生活扶助基準の水準に関しての御意見等ございましたらお願いいたします。お手元の第1回の資料なども併せて見ながら、この部分などは議論したいと思います。よろしくお願いいたします。岩田委員、お願いいたします。
○岩田部会長代理 これは次の3ともちょっと絡むのですけれども、平成19年の検証は、「夫婦子1人世帯」と「単身60歳以上」世帯の2つをモデルにしてなさったわけですけれども、従来は夫婦子1人世帯がモデルで、ほかの世帯類型はそこから展開という方法でやってきているわけです。この検証の結果、2つのモデルができたと考えて今回もやるのか、それとも依然モデルは夫婦子1人で、あとは展開でやると考えるのか、その辺がもう一つわからないということなんです。
○駒村部会長 あくまでも基準はモデルでいくのか、それともモデルとは別に、もう一つ、単身がある種モデルとして確立したいという考えでいいのかどうなのかという点でございますけれども、事務局からこの辺の整理をお願いできますでしょうか。
○伊沢課長補佐 前回の19年の検証の際には、単身60歳以上というモデルをセットさせていただきましたが、その際の考え方としては、標準3人世帯で従前、基準の改定等を実施してきたという点を踏まえ、過去の検証におきましても、標準3人世帯というのが、標準といいますか、基本的な考え方でございます。前回の19年の検証の際には、実態におきます生活保護の世帯構成割合から見て75%が単身世帯という大きな世帯層でしたので、その部分についても、今後伸びる可能性があるだろうという視点から、60歳単身世帯のモデルを設定いたしました。
今回、新たに21年全消を使い検証するわけですが、どういったモデル世帯の設定が必要かという御議論をいただきたいと考えているところです。
○駒村部会長 前回、60歳で区切りをつけたのは多数世帯として扱ったということで、今までどおりのモデルは、この標準3人という形で、前回は、ある種、基準ベンチマークとしては考えたと。今の後半の部分は今回の標準自体を考え直すという意味ではなくて、今の最後のところ、もう一度お願いできますか。
○伊沢課長補佐 基本的には標準3人世帯で比較対象をすべきだと考えております。この部会の中で、その他の世帯モデルも必要だということが御議論の中であるようでございましたら、そこの部分については議論を詰めていただきたいということでございます。
○駒村部会長 今の点について御議論をお願いしたいと思います。委員、お願いします。
○岩田部会長代理 これは多分平成19年もそうでしょうし、平成16年の専門委員会のときも単身モデルをつくるべきだとか、つまり標準モデルそれ自体が生活保護世帯の非常に少ない人々にしか当たらないということは議論されてきたのですね。これは余りに根本的な話で、随分長い時間経ったのですけれども、そこが全然詰められてないとすれば、もとに戻ってやるしかないかなと。つまり多いということでもう単身に変えましょうというのは、それはそれで意味があるのですが、では単身からの展開をどうやるかという、その方法論がないとちょっと難しいかなと。
○駒村部会長 そこは標準3人から展開する際のさまざまなケースをどうするかという話を体系のところで議論をするというアプローチがあると。あるいは思い切り変えて、単身から逆に展開していくというアプローチもあるだろうと。先生は御意見としては、従来どおりでいいのだけれども、展開方法についてきちんと議論したほうがいいと、こういう見方でよろしいのですか。
○岩田部会長代理 そうですね。私は勿論単身モデルつくったほうがいいと言った張本人ですから、そうしたほうがいいと思うのですけれども、そこからの展開方法についての議論が詰められてないわけですから。今、このスケジュールでやるとすると、標準3人で妥当性の検証をすると。これは昭和59年以来のやり方を踏襲するしかない、こういう結論です。
○駒村部会長 わかりました。ほかの委員の皆さんいかがでしょうか。この辺の検証のモデルのとらえ方というのは、今、事務方からありましたように、単身であくまで多数世帯の事例として出していて、基準はこの標準3人で踏襲したい。岩田委員も技術上はそういうタイムスケジュールでもそうでしかないのだろうという御意見ですが、ほかの委員の御意見もいただきたいと思いますが、山田委員お願いします。
○山田委員 私も基本的に岩田先生の御意見に賛成です。事務局がおっしゃられるように、基準が現在標準3人世帯であるので、まず、それを基準として水準を見て、その後で、また展開の仕方は展開の仕方として別に検証するというやり方で、それぞれに類型を使って水準を比較するというよりは、基準世帯をあくまでもベースに考えて検証していくべきだということについてはそのとおりだと私も思います。
○駒村部会長 ほかの委員はいかがでしょうか、この部分について。比較のベンチマークやモデルの置き方、これも大変大事な点でございます。このことによって直ちに個々の世界別の給付額が決まる話ではなくて、そこからの展開が、この体系論として重要な議論になってくるわけでありますけれども、最初のスタートラインとしては今の方法でよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○駒村部会長 よろしいですか。そうしましたら、水準の話、また、過去の検証について、細かい御議論、御質問がありましたら、時間の許す限り、また、戻るということにしまして、次に体系についての議論に入りたいと思います。資料としては、今度は体系の話ですから、資料の5ページの論点ということになるかと思います。これに入りたいと思います。委員の皆さんから、御意見・御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。
事務方、お願いいたします。
○伊沢課長補佐 補足でございますけれども、この議論の参考資料になるかと思いますが、第2回の際お配りしております資料3の6ページですが、現行の生活扶助基準の設定方法ということで、標準3人世帯から展開してという流れがこちらで出ております。現行体系といたしまして、第1類と第2類がどういう形でなっているのかという姿でございますので、これを御参考いただければと思います。
○駒村部会長 事務局からのアドバイスが6ページであります。今日配った5ページのほうで、この展開のプロセス、論点は2つですね。1つは、世帯人員のことについてどのように考慮するのかということ。あるいは1類と2類の区分についてどう考えるのかという点です。この点について御議論をお願いしたいと思います。
○岩田部会長代理 これ以外のところでも、平成19年の検証時の分析方法が書いてあるのですけれども、結局どうなったか。それで何が提言されて、何は既にもう直しましたとか、この年齢別、世帯人員別の検証がありますね。特にここでは高齢者だけではなくて、20歳以上の単身世帯の結局のところ同じことをやっているのですね。生活扶助相当支出額と基準額の比較をしていて、そこの中に1類、2類の相当支出と実態の支出が出てきていますけれども、この結果、どういうところにこの展開の問題点があるという話になったのでしょうか。
○駒村部会長 事務局からお願いします。
○伊沢課長補佐 平成19年検証の際の結果では、世帯人員4人以上の水準を申し上げますと、単身世帯を1.0としたところ、4人以上の多人数世帯で生活保護の場合は2.27、一般の場合で1.99、5人ですと生活保護の場合は2.54、一般ですと2.14ということでした。単身を基軸に検証した結果、4人以上の多人数世帯には有利に働いているのではないか、世帯人員が少ない世帯については反対に不利になっているのではないかといった御指摘でした。
これを受けて何か制度面で変更があったのかとの御質問ですが、19年の検証後、総合的な判断のもと、実態として基準改定が行われてきていないため、制度面での変更も行っておりません。
併せまして、年齢階級の部分ですが、単身の60歳を基軸としますと、生活扶助基準額では20~59歳まではやや低め、70歳以上でやや高めという結果でした。この点につきましては、16年検証の報告に基づきまして、17年以降、4人世帯、5人以上の世帯について控除率の設定を行っております。
○岩田部会長代理 第1点目については、4人以上のところは、平成19年のときのグラフがありますのでよくわかるのですが、これを見ますと、もう一つの問題は、逆に多数を占める単身世帯への展開の妥当性、あるいは3人から、2人、1人の世帯への展開の仕方の妥当性が問題のはずですね。ですから、そこがどうかということと、年齢別のところはもう一つ、ここの論点は1類、2類の区分問題です。ですからこの区分の割合比があると思うのですけれども、それについて変えてこられたのか、それとも変えたほうがいいのか、そもそも中身が問題なのか、その辺を伺いたい。
○伊沢課長補佐 現在、65.9が第1類費、残りが第2類費という構成割合になっておりますが、これは昭和62年の家計調査等からの実態数値に基づいて実施しているところでございます。
○駒村部会長 ここで出てくる話というのは、先ほども事務局が紹介しました第2回の資料の6ページ目で、1つは、3人世帯で出されてきたこの基準額がバランスとれているかどうか。その次に、ここから先が体系論の話になってきて、1類と2類をその割合で分けていくと。次に分けられた1類の中のウェートづけは、栄養所要量で年齢で行っているということ。この中は食費だけではなくて、被服費等と入っているのですけれども、食費は栄養所要量で分けるというのはよくわかるのですけれども、ほかに何を入れてこのウェートづけをしているか、ここは1つ議論の点なのかなとは思います。
その上で、更に第2類については、1人世帯で81、5人世帯で104と。この係数自体もまたどうかなのか。先ほど検証した結果、基準額計では多人数世帯に有利に出ていますねということで、この1つひとつを議論していくということでよろしいのでしょうか。岩田委員としてはそういう御趣旨でしょうか。
○岩田部会長代理 つまり平成19年の検証で言われているわけですから、多人数世帯については、現実よりも有利になっているというので、そういう修正したというのは私も知っているところですけれども、ここの問題は、先に言ったように1人世帯にどうやって展開していくか。2人、1人のところの展開が妥当かというところにより現実的な問題があるわけです。そうすると3人から2人、1人に展開するときの係数が、平成19年検証と、今回も検証してみるとして、検証した結果、おかしければ直すという方向でいくのでしょうねということですけれども。
そうするとデータをいじる前に、いじる前にというか、真っ先に、まず、その検証をやってみるということが必要かなという、そういう意見です。
○駒村部会長 ということは、古いデータの指数で1類、2類を分けていることの意味、もっと別のデータでできないのかといったことや、1類、2類の費目の分け方等々、全消の個別データを見る前にしっかり考えたほうがいいのではないかということです。事務局どうしますか、この論点については。
○古川課長 昔からの形で変わっていないために、実態と合ってないという御指摘があるのであれば、そこは入れかえ等も含めて検証すべきことだと考えております。
○駒村部会長 例えば、第1類のところで、栄養所要量というふうなものであれば、食費でいいと思うのですけれども、ここに被服費が入っている理由とか、そういうのは、これまでの経緯ということですか。
○伊沢課長補佐 その部分も含めまして、調査させていただきたいと考えております。
○駒村部会長 今の体系に関わる点ですけれども、ほかの委員の皆様からも御意見いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。阿部委員、お願いします。
○阿部委員 これは質問と意見と両方になるかと思いますけれども、標準の3人世帯でやるとして、比較の対象として持ってくる全消のほうからの3人世帯のグループがありますね。それを集計するわけですけれども、そのときには、男性、女性、子どもというだけのカテゴリーと見てくるわけですね。年齢等は余り制限しないで持ってくると。そうしますと、夫婦と子というのでも、経費が子どもの年齢等によってすごく変わると思うのですね。それで、こちらでつくるときには年齢を設定して、しかも4歳としているという点。なので、そこが本当に比較対象となるかということはもう少し吟味する必要があるのではないかと感じたことが1点あります。
また、たとえ子どもの年齢を少し区切ったとしても、第2回のときの資料に、なぜ4歳になったのかいうのも書いてあるのですが、4歳とかという年齢で、夫33歳、妻29歳というと、妻が働いてない場合が非常に多い、一般世帯では。そうしますと、そこでの消費の実態と、後でそれを比較対象する生活保護世帯の3人世帯というのが、恐らく共働き等を前提とするような世帯というのが、本当に比べられるものかというところがちょっと心配なところなんですね。標準3人世帯と一口で言っていても、どのグループと比較をするべきなのかというところを考えたほうがいいのではないかと思いました。
○駒村部会長 今のところは技術的な問題も含まれていて大事なので、事務局から解説をしてもらいたいわけですけれども、第1回の資料の23ページで、前回の比較の作業のエッセンスが出ているわけですけれども、マル1左側が生活扶助基準額、ただ、これは平均値という形になっている。その平均値はどういうふうに出されたのか。それから、右側も、これは該当するグループの金額ということですから、同じグループで比較しているかどうかということに関わってきて、ピンポイントで4歳の子どもを持つということを比較しているわけではないですし、恐らく2つのグループを同じ年齢構成が近いようになるように何らかの加工はしていると思いますので、その辺、事務局から解説をお願いします。
○伊沢課長補佐 内容は私のほうから御説明させていただきまして、詳しくは西尾のほうから補足ということで説明させていただきます。
夫婦子1人世帯(有業者あり)ということでモデル世帯の設定をさせていただきましたのは、サンプル数の確保の関係がございます。5万7,000世帯の調査対象でございますけれども、どうしてもクロスをかけるたびに縮小してまいりますので、サンプル数といたしましては5,000件ぐらいが、夫婦子1人世帯でもマックスぐらいだったというふうに記憶しております。そういった問題がございますので、先ほど阿部委員からお話がございましたが、年齢も揃えてということになりますと、かなりサンプルの確保が難しくなるのではないかと考えられます。
○駒村部会長 サンプルの確保が難しくなったので、どういう作業をして平均値を出されたのかというのまでお話しいただいて、阿部委員からの御質問が続けてあるのではないかと思います。
○伊沢課長補佐 簡単に申し上げますと、「夫婦子1人世帯(有業者あり)」の方の第1/10分位を抽出いたしまして、その方たちの個票から、一般低所得世帯としての消費実態がそちらの積み上げでございますけれども、それを平均いたします。併せまして、その世帯が仮に生活保護の受給対象になった場合、扶助費として基準額は幾らかといったものを仮置きでございますが、算出いたしまして、それを平均したものが左側の赤ということでございます。
○駒村部会長 一応同じグループになるような加工はして扶助基準を出している。扶助基準のほうを合わせているということですね。阿部委員いかがでしょうか。
○阿部委員 そういうやり方も1つあるかと思います。もう一つのやり方は、生活扶助基準のほうは、実際の生活扶助で3人世帯のほうを持ってきて、消費実態のほうをそちらに合わせるような形にするという形だと思うのですけれども、それは消費実態のほうのサンプルをどんどん分けていくということではなくて、重回帰分析といったら、子どもの年齢階級別の人数とか、1人当たりがどれくらい消費しているかということを区切ることができるかと思いますので、それでこちらに合わせるということもできる。例えば33歳、29歳、4歳という世帯だとすれば、どれぐらい使っていただろうという数値は出るのではないかと思うのです。
○駒村部会長 推計上のシミュレーション値で比較するということです。説明力が高ければ1個のやり方なのかなと思いますけれども、ダブルチェックとしては1つの方法かと思いますので、また、これも作業においては少し可能性を検討してもらいたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか、体系論は。ほかの議論としては。今のような議論を、栃本委員、お願いします。
○栃本委員 先ほど事務局のほうで、具体的に議論いただきたいポイントとして幾つか挙がっていますね。先ほどの論点、その前のものについては、基軸というのは3人世帯だというので整理されたわけですが、5ページ、6ページの部分についての、一番下の6ページの【具体的にご議論いただきたいポイント】の第1類費と第2類費、そして第1類費について年齢別の基準設定を行うことの妥当性と、あと2類の世帯人員別の基準設定を行うことの妥当性と、もう一つは、第2回目のところで出てきた第1類と第2類の分類の区分けの仕方が、それでいいのかどうかということについてはまだ議論してないですね。
○駒村部会長 今、一通り、どういう作業をやっていたのかというのを。
○栃本委員 まだ議論してないでしょう。
○駒村部会長 ただ、どうすべきかみたいな話ではない。
○栃本委員 そうですね。
○駒村部会長 御意見ありましたらおっしゃってください。
○栃本委員 後ほど言います。
○駒村部会長 今、これは体系の話ですから、今、おっしゃってください。
○栃本委員 5、6ページについての今までの議論というのは、繰り返しになるけれど、6ページのものについてのことには直接の議論ではないということを言いたかった。つまり議論してもらいたいポイントというのは6ページのところだから、生活扶助基準における第1類費と第2類費という区分について、3人世帯で年齢層が、先ほどのような組み立てで、その中にあって、そもそもが共通消費というか、消費部分というものと個人消費の部分についての区分けというものを、こういう基準の体系でいいかどうかということについての根本議論ということでしょう。
○駒村部会長 わかりました。そこの深い議論は、先ほど少し触れましたけれども、まだ、これから深くやる余地はあると。今回は問題提起なのかなと思っていて、だから、先ほど1類、2類の構成比が古いデータを使ってやっているとか、1類の範囲が食費のみならず別の費目まで入ってしまっているとか、更に2類の中の指数の展開もどういう根拠で行われているのかと。
○栃本委員 今回のものというのは、留意点とか、そういうものについて出し合うというぐらいのことなのか。
○駒村部会長 当面行われる検証は、まず3人標準世帯の水準の比較が行われて、水準の確認を技術的な部分についてのコメントが阿部委員からあったと。その次のステップとして、それが出たところで、直ちに扶助基準の見直しというわけでもないわけで、個別の扶助基準の、幾らをどこでという話は体系の話に入ってくるわけで、体系の話については、今日は頭出しというか、問題点の指摘というふうにとどめるということです。
いかがでしょうか。また、先ほどの阿部委員のように関わっていきますので、また、水準の話に行きつ戻りつで結構でございます。とりあえず体系の話は、また時間があれば戻るということで、問題点の指摘としては、先ほど言ったような整理をしなければいけない。古いデータでやっている部分があるのではないかという話で。
次の話としては、「地域差について」の御議論というところに入っていきたいと思います。資料は7ページに入ります。委員の皆さんからの御意見・御質問をいただきたいと思います。お願いいたします。林委員、お願いいたします。
○林委員 確認させてください。先ほどのモデルをつくってどうのこうのというのがあったと思うのですけれども、それに合わせて生活扶助が幾らになるのかというのがありましたね。資料の何ページか、水準というものですね。先ほど御指摘いただいた。
○駒村部会長 第1回の23ページですね。
○林委員 そうです。この青色のほうだと思うのですけれども、この青色のほうのグラフは地域差みたいなものは加味されているのですか、それとも排除されているのですか。
○伊沢課長補佐 それぞれの個票から世帯に合わせて、仮に生活保護を受けた場合はということで、個票が地域を特定しておりますので、級地も反映した形で保護費の設定はさせていただいております。
○林委員 ということは、青いほうは地域差は当然なくて、赤いほうが地域差が反映されているということですか。
○西尾課長補佐 補足させていただきますと、赤のほうは、先生おっしゃるとおり、勿論級地を反映してございます。青のほうにつきましても、これは全消の個票のサンプルでございますので、Aさんの個票は大阪市、Bさんの個票は長崎市といったそれぞれ地域に分けておりそれぞれの皆さんお住まいの地域ございますので、そこの級地による消費水準がそもそもございますので、そういった意味で級地は反映されております。
○駒村部会長 よろしいですか。
○林委員 はい。
○駒村部会長 ちょっとわかりづらいと。例えば私が第1/10分位に相当したと。私の支出と、私が生活保護をもらった場合の金額を比較していると。これを対象者の皆さんについてやったとこういう理解ですね。
○西尾課長補佐 はい。
○駒村部会長 山田委員、お願いします。
○山田委員 これは第1回でお尋ねすべきだったのかもしれないのですけれども、同じく第1回の資料の25ページの「級地別にみた消費支出額と生活扶助基準額の比較」というところが、今、論点に挙がっている、端的にあらわす表なのかもしれないのですけれども、これは前回の検証では、これをどういうふうに読んだのかというのを教えていただきたい。と申しますのも、ブルーの四角であらわされた生活扶助相当支出額、これは特別集計から見た値だと、質問としては実は2点あるのですけれども、103、103、101、102とほぼフラットになっていて、3級地-1、3級地-2にかけてがたがたと落ちています。ここでは直線を当てはめているので非常になだらかな直線を描いているのですけれども、そのまま線を結べばほぼX軸に対して平行になってがたがたと落ちています。この点について何か議論があったら教えていただきたいというのと、あとは、これは全国平均を100と置いているのですけれども、両方とも100と基準化しないでやった場合にはどういう位置関係、ブルーの線と赤いのがどういう位置関係にあったのかということ。
今日、いきなりこういう質問をして、なかなか回答も難しいと思いますので、もしお調べいただき、何かそういった議論が残っているのであれば、今回の論点に挙がっていますものですから教えていただきたいということでございます。別に次回以降でも構いませんけれども、もしわかる範囲で何かありましたら、よろしくお願いいたします。
○駒村部会長 事務局からお願いします。
○伊沢課長補佐 御指摘ございました点につきましては次回以降ご提示させていただきたいと思います。19年の際の検証結果といたしましては、左側のところに文章で書かれておりますが、「現行の級地別の生活扶助基準額の地域差に比較して、地域間の生活扶助相当支出額の差は縮小」しているという結論は出ているということだけございます。
○道中委員 基本的なことでお尋ねをさせていただきます。現行の級地区分は、3級地に枝級地を入れまして計6区分になっていますね。具体的に抽出されているサンプル数というのは細かく区切っていきますと、実際少なくなってくると思うのですが、例えば10万世帯であれば、実際、各級地別ではどれぐらいの世帯がこのサンプルに挙がっているかということなのです。勿論統計的には、抽出されている数は有意ということなのですが、どうもその辺の10万世帯でどれぐらいの数が大体平均値として代表値になっているのかということを少し教えていただきたいと思います。
○駒村部会長 御質問の趣旨は、1級地から6分類あるわけですけれども、全消は10万もないですね。何万でしたか。
○伊沢課長補佐 5万7,000でございます。
○駒村部会長 約6万が1万ずつ存在するのかというのも、例えば3級-1、2の青いところはやや変な形に、山田委員のおっしゃるように、1級、2級のところはほぼフラットだと見るべきであって、3級のところがむしろ落ちているのが変なので、これはサンプルが少ない理由ではないか等々の御質問だと思うのですけれども、各級地別のサンプルはわかりますか。
○伊沢課長補佐 全体で5万3,294世帯ございまして、1級地-1が8,721世帯、1級地-2が6,208世帯。2級地-1が1万3,429世帯、2級地-2が3,144世帯、3級地-1が、1万4,402世帯、3級地-2が7,390世帯でございます。
○駒村部会長 一番多いのは2級地-1と3級地-1ですか。
○伊沢課長補佐 そうですね。2級地-1の1万3,000と3級地-1の1万4,000になるかと。
○駒村部会長 2級地-2が割と少ないのですね。
○伊沢課長補佐 3,100という、少ないです。
○駒村部会長 わかりました。道中委員、こういう答えでよろしいですか。
○道中委員 級地間でのサンプリングにばらつきが大分出てくるということですね。
○岩田部会長代理 今の、質問なのですけれども。
○駒村部会長 岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 2人以上全世帯(1人当たり)扶助基準額、消費支出額という部分で、この1人当たりというのはどういう計算で1人当たりなのでしょうか。
○駒村部会長 頭数で単純に割ったらどうかという話ですね。もしわかれば、単純に割った話なのかと。
○伊沢課長補佐 1人当たり生活扶助相当支出額は1世帯当たりの生活扶助相当支出額を平均世帯人員の平方根で割っております。
○駒村部会長 平方根。そうすると若干、世帯構成の違いも出るのか、この辺、山田委員どうですか。
○山田委員 今、ちょうど頭の中で、どういうふうなバイアスが出るのか出ないのかでちょっと考えている最中です。
○駒村部会長 お願いします。山田委員が考えている。ほかの委員の方に、岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 たまたま今の前のページで、先ほどの水準の話なのですけれども、今のページの前、24ページに、平成19年の体系というところの、先ほどの世帯人員別の比較のグラフですけれども、私、誤解して3人を基準にしてやったのかと思ってよく読んだら、1人を基準にしているのですね。たまたま3人もぴったり1つになっているのですけれども、展開は3人から展開するので、3人を基準にしてやってみるというのも出していただくといいのでは。まず3人で比較する。その上で展開するわけですから、その展開のなるべく合理的に直せるやり方を今回探るとすれば、3人を基準にして展開するとどうなるかというようなことを現行の展開でやってみて、それで少しずれているところを修正するという考えになるのではないかと。たまたまここ一致して、何でだろうと思います。
○駒村部会長 同じですね。
○西尾課長補佐 指数ということでございますので、1を基準にして3を見ているのは、3を基準にして、ちょうど逆になりますので、数理的には等価でございますけれども、阿部委員から御指摘ありましたような年齢構成の違いも考慮すべきといった問題もございますので、そういったことも踏まえながら検討させていただければと思います。
○駒村部会長 山田委員、お願いいたします。
○山田委員 先ほどの御質問で「級地別にみた消費支出額と生活扶助基準額の比較」という25ページのところですけれども、これは生活扶助基準額についても、各級地の世帯人員数別の世帯数などでウェートをつけているのであれば比較として多分変なゆがみは出てないと思うのですけれども、そういう修正をしてなければひょっとしたら傾向が異なって出ているのかもしれないと考えました。ですから生活扶助基準額、多分生活扶助相当支出額は単に等価所得に直したものをそのまま平均しているので、これは世帯ベースなのでいいと思うのですけれども、生活扶助基準額の平均値の赤いラインを書くときにどういう計算をしたか、どういうウェートを置いたのかというので、傾向がちょっと異なったりするのかもしれないというふうに考えました。
○伊沢課長補佐 詳細はまた調べさせていただきますけれども、現時点で把握している段階ですと、基準毎の基準額に全消の人口ウェートで加重平均をしていたのだと思います。
○西尾課長補佐 当時の集計仕様を確認しましたところ、データの級地別世帯数による加重平均をしておるということでございます。
○駒村部会長 世帯人数ベースの加重平均で割っていると。要するにどこかの地域は多人数世帯が多いとか、どこかの地域は単身世帯が多いとかというようなことの影響は除外してあるということですね。
○西尾課長補佐 これは等価尺度で割りまして1世帯が1人にしてしまっておりますので、その結果として、世帯のウェートと人員のウェートが同じになってしまいますので世帯をウェートにしたということかと思います。
○駒村部会長 世帯規模の調整がルートでいいのかどうなのかというのは考えなければいけない。山田委員、ありますか。
○山田委員 私もそこら辺は今回検証するときには慎重に考えたいところだなと思います。なぜかと申し上げますと、生活扶助相当支出額というのは実際にそれで暮らしている人たち、要するに世帯の規模の経済性がきっちり実態をもって発揮されている世帯の支出額である一方で、先ほどの展開の話とも絡みますけれども、生活扶助基準額のほうでは、世帯の規模の経済性のカウントが、もし実態の家計消費構造と比べて何か乖離があるのですれば、同じルートで割ることによって世帯に働く規模の経済性を調整しすぎてしまったり、調整しなさすぎてしまったりというのがひょっとしたら出てくるかもしれないので、そこら辺は比較するときにはもう一回よく考えて掛けていかなくてはいけないところだと考えています。
○駒村部会長 ちょっとその辺は、ルートで展開していいのかどうなのかというのはまた再検討ということで再検証してみると。その結果、もしかしたら、また違う絵が見えてくるのかもしれないというところでよろしいですか。あと、地域に関して、栃本委員。
○栃本委員 すごい簡単な質問なんだけれども、前回の検証では、級地別の生活扶助基準額の地域差に関して、生活扶助相当支出額の差は縮小していたという結論になっているでしょう、第1回目はなっている。その場合、生活扶助相当支出額の部分というのは、先ほど言った1類と2類があるでしょう。だから1類と2類で区分けしてみると、項目それぞれありますね。両方にわたって差は縮小しているのですか。
○駒村部会長 ばらして比較しているということですね。
○伊沢課長補佐 前回までの検証ではそういった検証はしておりませんが、今回データとして可能かどうか、検討させていただきたいと思います。
○駒村部会長 これは1類と2類について、差のつけ方を工夫する余地があるのではないかということですね。
○栃本委員 1類と2類を併せて生活扶助基準というのをしているわけですね。項目というのは。先ほどの議論と関係あることを、私なりの表現をしただけなので、1類、2類で項目立てがあるじゃないですか。2類のほうは共同消費支出みたいになっているわけなのだけれども、その部分と個人単位でやっている1類、それぞれ区分けが、これがいいのかというのは1つ議論があるのだけど、それと同時に、それが地域で差があるのかどうかというものはどうなのかという質問なのです。そういうのは見たのですかという質問をしたら、そういう区分けはしてないという話ですね。それで大体わかる。
○駒村部会長 その話というのは発展形としては、1類と2類で地域差のつけ方に差をつけていいのかどうなのかというインプリケーションにもつながってくるわけで、これは非現実的な話になってくるのでしょうか。
○栃本委員 そうではなくて、つながる話で。
○駒村部会長 今の検証としてはそれをやったほうがいいということにとどまるわけですけれども。
○林委員 今、議論になっているグラフですけれども、赤い色と青い色のグラフ、25ページの。私、素人感覚で、これを最初拝見したときになぜ青と赤が、これ、間違いではないかと思ったのですね。級地差をつけたからフラットになるのが常識的な受けとめ方だと思うのですけれども、現実はそうではないということは、要するに地域差をつけ過ぎなのではないかという素朴な疑問なのですけれども。
○駒村部会長 それがこの報告書のエッセンスだったわけですけれども、この青い線も赤い線も、これでいいのかどうなのかという話が今出てくる。前回の報告書は、今の生保は地域差をつけ過ぎているというインプリケーションだったわけです。そこの検証を今後やろうというのでしょう。
ほか、地域差についてはいかがでしょうか。岩田委員、いいですか。
○岩田部会長代理 地域差と割合ダイレクトに関係するのは多分2類の公共料金か、その辺が入ってくると思うのですけれども、そもそも1類、2類の区分が、大昔のことなわけですよ。だから、前回かなんかに出していただいた表を見ても、例えば携帯電話なんていうものの普及が当然前提にされてないわけですから、どうするかというのはあるのですけれども、仮に今、1類、2類で分けてやったとして、先ほどのルートの問題を考えると余計ややこしい。2類がどうすることもできないかもしれないので、なかなか難しいかなという感じがします。
これはもっと根本の、生活扶助相当額とはなんぞやというのがある。だから、それがそもそもなんで、そのうちの何が1類で、何が2類か。勿論完全にだれもが納得するように合理的に分けられるかどうかというのは難しいと思うのですけれども、そういう分け方でやるか、それとも単純に1類も2類も併せて、ただ世帯人員の変化、大人と子どもの違いというようなことに着目した考え方でいくかというのは、今後は問題になると思いますけれども、今は差し当たり、余りひどいのだけ直してやるしかないかなと。
○栃本委員 私は基本的にドイツの比較でどうしても見ているものだから、どちらが合理的で、どちらがどうこうということは言う気はないのだけれど、いろいろ加味して加味して、こうなっていろいろ複雑なというか、そういう形にして、そのために検証作業も非常にわかりづらいものになっている。それで質問したのです。
あともう一つ、どのぐらい、先ほど分けてやってないという話があったでしょう。そういう形でしているのだなという事実確認はできた。
○駒村部会長 そうしましたら、地域差は今のような、まず、一通りの御指摘があって、今後の地域差の検証について考慮していただきたいという話だと思います。
続きまして「勤労控除について」の議論に入っていきたいと思います。委員の皆様から、また、この点について御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 19年の資料、検証はどこを見ればよかったですか。すぐに見つからない。それをまず開いていただいて、何ページでしょうか、第1回の資料。
○西尾課長補佐 第4回の資料2の生活保護制度における勤労控除等についてという資料がございます。
○伊沢課長補佐 「勤労控除の概要」ついてが2ページにございます。現行の基礎控除の仕組みは5ページになっております。
○駒村部会長 これは今日の資料の9ページも併せて「就労インセンティブの効果的に高めるためにはどのようなことが考えられるか」ということで、具体的にはこのポイントのところがあるわけです。例えば2番目の勤労控除分を積み立ててというような考え方、こういうことは現行の仕組みの中では無理なのでしょうか。これは一応確認までです。
○羽野課長補佐 現行、こういう積み立てるという方式はないわけですけれども、もし積み立てるという方式をしたときにどういうやり方があるか、それによると思います。例えばそれぞれ実際に勤労控除として、今、控除されて残る部分を一回一回積み上げていくということであるのか、それともそうではなくて、もうちょっとおおざっぱな計算の方法でやっていくのか、それは結局は実施主体である各自治体の事務量にも影響してきますので、その辺をどうやって仕組んでいくかという実務面にも関係がしてくると思っております。現実に全く不可能ということではないと思っております。
○駒村部会長 この辺は手取り所得がどのくらい労働供給に影響を与えるのかという研究が1つあるわけで、一般的に中核的な世帯主の行動というのはそれほど影響があるのかどうなのか。ただ、限界的な部分では大きい影響があるのではないかと。どのくらいがいいかというのは、そういう実証研究なりの結果で見てみなければいけないのですけれども、逆に言うと、こういう分野は余り研究はこれまでなかったのではないのかと思いますので、直ちに就労行動の変化がどのくらい勤労控除をコントロールすることによって期待できるのかというのは、定量的な議論ではなかなか難しいと思うのですけれども、委員の皆さんの中に海外の事例やこういうアプローチで検証みたらどうかというアイディアがございましたら、お話しいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○古川課長 若干補足をさせていただきますと、先生方には定量的なもしそういう検証方法があれば是非お示しをいただきたいと思いますが、先ほど御報告いたしました国と地方の協議の中でも自治体の皆さんの御意見を踏まえて報告書の中にも書かせていただいているので読み上げさせていただきます。「現在、生活保護受給者の就労インセンティブ強化策として勤労控除制度がある。現在、基準部会につきまして議論をしていただいているけれども、その結果を踏まえて適切に対応する必要があるが、そうしたインセンティブの強化を図るために勤労控除の一定額の積み立てや廃止に一時扶助等で還付する方策について検討してもらいたい」。このように現場からするとこういうものは非常に意味がある取組だという御意見はかなり強かったということを報告させていただきます。
○駒村部会長 そういう制度が、今、ないわけで、もしかしたら現場で何かそういう工夫をやられていて、知見があるとやりやすい議論ではあるかなと思いますが、現場の感覚として、そういう声が出ていると。
○古川課長 きっとやったら効果があるのではないかという御意見でございます。
○駒村部会長 なるほど。
○栃本委員 ちなみにこの部会で議論することではないから言わないつもりなのだけれども、ドイツの従来の社会扶助から区分けして、就労の部分と2つに分けて、あと生計扶助というか、その部分は共通にして、そういう組み立てを変えたでしょう。変えたのです。そういうのも本当は参考になるのだけれども、この部会は違うから言わない。
○駒村部会長 海外で勤労控除に工夫をした取組をやっている国があるのですね。
○栃本委員 ドイツ。
○駒村部会長 その効果を御紹介いただければ。
○栃本委員 効果については、先ほど山田委員は、その場で考えて答えが出るという神業的なことをされたのだけれども、これについてはまた調べないといけないから。
○駒村部会長 是非とも教えてください、よろしくお願いします。
○栃本委員 また、先ほどと同じように単純な質問なのですけれども、平成19年の検証時において、就労に伴う就労関連経費を全消の60歳未満の単身(有業世帯)と夫婦子1人世帯の収入分位について見ていくことの妥当性と言うとあれなんだけれども、つまり生保に行っている方々がそこから就労を再開するとか、チャレンジするといった場合に係るスタートラインというか、そういうものと、そっちのほうに行ってない、行ってないというか、一般で比較的というか、低所得者の方々が就労に係る全消的に3か月分。
○駒村部会長 3か月というのは。
○栃本委員 3か月分の部分で見るわけでしょう。
○駒村部会長 はい。
○栃本委員 それとの比較というか、それの持つ意味というのはどのくらいの意味があったのですかということなんです。
○駒村部会長 ここの部分は全消は余り参考にならないのかなと、就労インセンティブの部分は。
○栃本委員 就労インセンティブというよりも、全消でも実際どのくらいかかったかというのを見たわけです。
○駒村部会長 検証はしていますね。意味合いというか。
○栃本委員 そうそう。それからすると、妥当なものが出てくるものなのか。
○駒村部会長 検証の意味が一体どういう意味があったのかと、この辺ですけれども、これは参考程度にしかならないのではないか。事務局から、どうぞ、何かお考えがあればと思うのですが。
○伊沢課長補佐 実際に一般低所得世帯の方たちが就労に関連する経費をいかほど使っているのかという、おっしゃられたとおり、ある程度参考資料になるかということであって、生活保護の被保護者が就労をすることによって脱却する際の金額として適当なのかといった観点の調査ではなかったということだと思います。
○駒村部会長 この点については、是非厚生労働省にお願いしたいのは、自立支援も就労支援も今後やっていくわけですけれども、1つは、経済的なインセンティブが弱いということで、それが進まないのか、雇用の場がないのか、そのほかの障害があるのか、支援のプログラムがまだ不十分なのかというようなあたりの情報収集といったことを少し整理していただいて、その上で経済インセンティブがきく可能性について少し議論を深めたいと思いますが、今日はこれだけの資料だと余り議論が深まらないのかなと思います。よろしいですか、とりあえずそういう整理で、今後少し資料も提示していただくということで。
あと、その他の検討課題もありますので、10ページの「その他の検討課題」のほうについては、特別需要に対する加算の妥当性について、あるいは季節的需要、住宅扶助基準(特別基準)の水準についてというのもテーマに挙がっていますけれども、これについては、何か今の時点で御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
 これは国と地方の協議の中でここについての議論というのはあったのですか、加算や特別基準については。
○古川課長 そこまでの議論は、運用で対応できる事項が中心でございましたので、ございません。
○駒村部会長 阿部委員、その次に山田委員。
○阿部委員 これは意見なのですけれども、加算制度だけに着目するとかえって議論が混乱してしまうのではないか。例えばあえて申しますけれども、母子加算ですとか老齢加算についても、第1類、第2類の分け方ですとか、年齢別の基準のどういうふうに分けるかということにすごく依存しますので、もしかしたらそちらに全部吸収してしまうということも考えられるわけですから、加算が妥当かどうかという議論ではなくて、全体的な体系の中での話にすればいいのではないかと思います。
○駒村部会長 確かにこれまでの議論でもその部分が大事で、その部分だけ取り除いてやってもしようがないという話があったと思います。山田委員からも。
○山田委員 データの制約についてなんですけれども、全国消費実態調査の調査時期は10月を挟んで9、10、11月ということになりますと、夏季加算とか、そもそも加算というのを1類とか2類というのをどういうふうに考えるのかというところからやったら、この話自体が検証の中に含まれていくということも考えられますし、また、データの制約から、消費の季節性みたいなのをどう考えていくのかというところで、夏季についてはちょっとどういうふうに取り扱うのかというのは、現実問題として私はデータの制約が突破できればいいですけれども、今回は難しいかなというふうな印象を持っています。
○駒村部会長 道中委員、お願いします。
○道中委員 これは私の意見でございますけれども、生活保護の場合に最低賃金との兼ね合いに関しましては、ここ5年ぐらいで最賃がかなり増額されてきました。最賃が保護基準を下回っているところは、あと残るところ3県ということになり、大分最賃が生活保護基準に追いついてきています。残念ながら本年10月は1桁ぐらいにとまってしまっていますが、この間の最賃と生活保護基準との不整合な部分が調整されてきたと思います。
しかしながら、もう一方の年金の基礎年金部分でございますけれども、これは比較そのものが制度設計が異なるので荒っぽい議論はしたくはありませんけれども、国民の目線からのポバティラインという視点からは、年金の納付率が60%を切っているというような状況から見て、「保険料を払わず年金がなくてもいざとなれば生活保護あります」というようなことになってしまいかねません。年金を受給している被保護世帯と無年金の方の被保護世帯というところで、同じ受給層の中でも随分と違いが出てくるということであります。そこで、これまでの年金の保険料をキチンと納めてきた人と、そうでない人との違いみたいな差別化を図るような公正な視点で何か考えられないか。1つの方法としては加算ということがありますけれども、どうも加算については非常にデリカシーな部分がありますので、生活保護を受けて年金をもらっている人については幾らかの年金控除というような形で、例えば年金受給者については月額1万円を年金から控除をするというようなことは実際現実問題として可能ではないのかと個人的に考えるわけですね。そこらあたりのところで少しナショナルミニマムのところでの差がつくであろうということなのですけれども、あと、基準部会で、その辺のところも、また検証の部分に入れていただくようなことがあればと考えています。
といいますのは、展開の段階で、高齢者の年金を受給されている人の場合と、年金を受給されてない無年金者、そこらあたりの部分の違いがどれぐらいの格差があるのかなというふうにちょっと考えています。したがいまして、何とかこれまでも非常に生活保護と年金という対比の中で国民の目としては不整合感を抱き不公正に映っているというようなことが確かにあると思うのですね。そこらあたりで、生活保護基準部会としましても、年金制度への後方支援と申しましょうか、そういった年金制度に対する信頼、収納率の向上というものもありますので、一旦、生活保護にドロップアウトしても、その辺で無年金者と年金受給者との違いがはっきりとわかるようなこともあってもいいのではないかと思っています。加算ではなく、年金控除とか、一定額の収入認定しない取り扱い、というような制度運用の改正も考えてもいいのではないか。
○駒村部会長 ありがとうございます。稼働可能世帯に対しては勤労控除があると。高齢世帯に対しては、年金制度のインセンティブを維持するためにも、年金分については工夫をする、払った意味があるように評価してあげるべきだと、こういう御意見、考え方についてはいかがでしょうか。
○伊沢課長補佐 実態ベースといたしまして、データでございますけれども、被保護高齢者65歳以上でございますが、65歳以上の被保護人員65万人に対しまして年金受給者が30万強でございます。年金受給率といたしましては、47.3%の方が何かしらの年金を受けていらっしゃるということでございますので、そういった方たちに対するインセンティブ的なもの、1つの考え方、アイディアとして承りたいと思います。
○古川課長 ちょっと補足をさせていただきますが、今、人数は大体40数%でございます。平均額を単純にいたしますと、約4万6,000円程度ということでございます。ただ、最低生活というのはどう考えるかという根本に関わる話がありますので、そこは1つの御提案としては、にわかにすぐ答えは出ませんけれども、受けとめさせていただきますが、そこの部分に触れる部分なので慎重な議論は必要かなと思っております。
ただ、関連するような話としまして、先ほどの国と地方の協議の話の中でも、直接ではございませんけれども、就労に結びつきにくい方の就労促進のような観点から、ボランティア、社会参加のような方を積極的に関わるようにという観点で、そういう意味でのインセンティブの強化を図るための何かを考えたらいいのではないかという意味で、生活保護の中の加算というよりは、別途いわゆる普通の何かプラスするような意味での加算のようなものといいますか、インセンティブもあってもいいのではないかという御提案はありましたけれども、それも補足をさせていただきますが、いずれにいたしましても、最低生活と関わるものなので慎重に、御提案を受けとめさせていただきますが、考えさせていただきたいと思います。
○駒村部会長 岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 私の意見ですが、道中委員の御意見は心情的にはわかりますけれども、生活保護と年金の一番大きな違いは、生活保護は結果として生活困窮している人に対して無差別平等に与えられるものですので、そういうコントリビューションに対する何というか、よくやったねというようなものを持ち込む場ではないと思うのですね。就労の場合は生活保護から脱して労働市場に戻ると、そういうことが連動して考えられるためにインセンティブ的な要素がどうしても出てくると思うのですけれども、年金の場合、もうそれはできないわけですね。頑張ろうと思っても、もう高齢期になって。ですからそれはやはり大変難しいと。
それから、勤労控除についても、インセンティブの問題と同時に、実際に就労にかかる費用というのが当然あって、靴が要るとか、多少はましな服が要るとか、そういうことがあるわけですね。ですから、まず、それがあって、その上でなるということですが、インセンティブの場合は生活保護制度だけで考えられませんので、むしろ賃金の問題と連動していくので、そこと一緒の設計をしないと難しいのですね。勿論貧困のワナみたいな議論がありますから、当然そういう設計が社会保障全体では必要だと思いますけれども、勤労控除自体としては、就労経費をどう考えるかということと、そこに多少貯蓄的な要素を認めるかというような問題が、これは全体として若干の金融資産を許容するかという問題は出てくると。
○駒村部会長 この辺はいろいろと議論がまだあるのではないかと思いますけれども、ほかに御意見・御質問ございますでしょうか。阿部委員と岩田委員。
○阿部委員 これ以外のところで。
○駒村部会長 はい、結構です。
○阿部委員 非常に大きな話になって申し訳ないのですけれども、今まで、今日お話ししたことは皆重要なことで、実際に水準を決める際にはやらなければいけないことだと思うのですけれども、これと同時に、生活水準というのを消費額だけでははかれないものがあります。ですので、生活保護の扶助額でやっている受給者の皆さんの本当の生活水準といいますか、他人との交流ですとか社会参加という意味も含めて、低所得世帯の状況を比べて、それが出たからどうなるかというものではないかと思いますけれども、議論の際に少なくともそれを横に置いていって、国民の皆様がみんな見ているときだと思うんですね。
そういう意味で、検討会のときには、たしかそのような比較が同時になされていたかと思いますけれども、今回も是非そのようなこともやっていただきたいなというのが私の願いです。
新しく調査をせよということではなくて、既存等の調査などで一緒に考えていくべきではないのかということです。
○栃本委員 それは前回か言ったように、例えばドイツの新しい扶助制度の中では、従来はヒューマンライツみたいな、そういうものに対する制度だったのだけど、人間の尊厳を実現する、人間の尊厳を保持するためのものというのは大事で定義自身を変えているのです。だから、そのことは非常に関係あるもので、つまり参加意識というのと、参加とか交流とか、先ほどの2類でいうと交際費、その部分というのは極めてそれに関わるもので、動物的な生存ではなくて、いわゆる人間としてのというか、そういうものをちゃんと見ろということですか。
○阿部委員 同時に、例えば貧困の連鎖とか考えるときにも、一般世帯の子どもに比べて何%が妥当という話ではなくて、これは将来ほかの子と同じレベルにあるという立場で議論するべきであって、そのためには生活水準ですとか考える必要があって、いわゆる検証から外すべきところというのもあると思うのですね。例えば教育費であったりとか、そのほかにも社会的に交流することによって就労をまたする機会があるのかもしれないですし、そこら辺は考えていくべきではないかと思うんです。
○駒村部会長 事務局から。
○伊沢課長補佐 第4回部会の資料3にありますとおり、今回の基準検証に合わせ、「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」を、国民生活基礎調査の後続調査として実施しております。その調査で、一般世帯、大体2万7,000程度が確保できておりますので、一般低所得世帯についても、ある程度の意識調査はできているのではないかと考えております。
次の4ページ以降に調査票を付けております。具体的な質問項目を示していますが、一般世帯の方がどういった意識を持っていらっしゃるのか、ある程度の把握は可能ではないかと考えております。この集計につきましても、まとまり次第、御報告させていただきます。
○駒村部会長 この資料の3ページを見ますと、10月以降に集計及び公表となっていますけれども、状況としては。
○伊沢課長補佐 国民生活基礎調査のデータを今いただいたところでございます。
○駒村部会長 わかりました。これからですね。今の阿部委員の御質問についてはまさにこのことですね。
○阿部委員 はい。
○駒村部会長 わかりました。この10%ぐらいに相当する人たちが一体どういう社会とのつながりを持っているかというのも横目でちゃんと見ましょうと。
岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 先ほど山田先生がおっしゃったことと関係するのですけれども、検証に使う主なデータとして全国消費実態調査、これは最後に参考で付けていただいていますが、対象数とか内容からいって、このデータを使うのが一番妥当といいますか、これしかないということはそのとおりだと思います。問題は9月から11月ないしは10月、11月の時期にだけなされているので、季節調整をしないと、1か月当たり、年平均の最低生活費というのが得られないので、家計調査は毎月やっていますので、家計調査等で季節調整をできるような対応を見つけていただいて、季節調整をするというのを今回一度やってみたらどうかなと思います。いつもちょっと不安になるのはそういう点なので、データ自体もしっかりしたものにして、説明能力のあるデータを使ってやってみたいと思います。
○駒村部会長 季節の影響も考慮する工夫はしたいという御意見ですが、いかがでしょう。
○西尾課長補佐 おっしゃるように家計調査は9月から11月の消費が年度平均に比べてどれぐらいかといったデータは確かにとれるのでございますが、一方で家計調査には一定のスパンで調査対象世帯が入れ替わるというバイアスがございますので、そういった調整を行うべきかどうか慎重に検討させていただければと思います。
○駒村部会長 よろしいでしょうか。議論すべき点が終わりました。予定の時刻にほぼなりましたので、本日の審議はここで終了させていただきたいと思います。
最後に次回の開催について、事務局から御連絡をお願いいたします。
○古川課長 次回の日程につきましては、調整の上、また御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○駒村部会長 次回の部会では、そろそろ具体的な数字に基づいた議論に入ってくるかと思います。事務局には本日委員から出された御意見を踏まえて、全国消費実態調査の特別集計結果等についての内容を精査の上、御提出をお願いしたいと思います。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。


(了)

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