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2011年10月17日 第10回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年10月17日(月)14:30~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省9階 省議室


○出席者

【出席委員(五十音順)】

味澤委員 岡部委員 小野寺委員
北村委員 木村委員 倉田委員
竹内委員 丹野委員 林委員
廣田委員 深山委員 古木委員
保坂委員 蒔田委員 南委員
蒔田委員 渡邉委員

【事務局】

外山健康局長 正林結核感染症課長 神ノ田新型インフルエンザ対策推進室長
中嶋感染症情報管理室長 林結核感染症課長補佐 平賀疾病対策課長補佐

○議題

(1)「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」の改正について
(2)「性感染症に関する特定感染症予防指針」の改正について
(3)新型インフルエンザ対策行動計画の改定について
(4)その他

○議事

○林課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第10回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会を開催いたします。
 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでということでお願いいたします。
 傍聴の方は、傍聴に際しての注意事項を守っていただきますよう、お願いいたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は青木委員、相楽委員、澁谷委員、東海林委員、菅沼委員、高橋委員、吉川委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 それでは、会議の開催に当たり、外山健康局長よりごあいさつをさせていただきます。
○外山健康局長 健康局長の外山でございます。開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し述べさせていただきます。
 本会議に御出席賜りまして、誠にありがとうございます。また、日ごろより感染症対策推進につきまして御指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
 前回の会議は、東日本大震災の直後でありまして、持ち回り審議とさせていただきましたが、委員の皆様には御審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。本日の会議は後天性免疫不全症候群と性感染症に関する特定感染症予防指針について御審議いただきたいと考えてございます。また、新型インフルエンザ対策行動計画の改定について御報告させていただくほか、前々回、前回の会議で御審議いただきました対策の進捗を御報告させていただきたいと考えております。
 委員の皆様方には、真摯で闊達な御議論をいただきますようお願いいたしまして、簡単でございますけれども、開催に当たってのごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○林課長補佐 外山局長は他の公務のため途中で退席させていただきますので、御容赦のほどお願い申し上げます。
 カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力お願いいたします。
 ここからの会議の進行は渡邉部会長にお願いいたします。
○渡邉部会長 皆さん、こんにちは。これから本日の会を始めますので、よろしくお願いいたします。
 皆さんのお手元に議事次第がございますので、それに基づいて会を進めていきたいと思います。
 まず、本日は、資料の確認の後、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針と性感染症に関する特定感染症予防指針について審議していただくことになります。その後、新型インフルエンザ対策行動計画の改定及びインフルエンザ入院サーベイランスに関する省令改正、多剤耐性菌対策、四類感染症に追加されたチクングニア熱に関する報告をしていただきたいと思います。委員の皆さんには、円滑なる議事進行にどうぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 では、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○林課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料が1~7と参考資料となっております。
 資料1「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正(概要)」。
 資料2「性感染症に関する特定感染症予防指針の改正(概要)」。
 資料3「『新型インフルエンザ対策行動計画』の改定のポイント」。
 資料4「インフルエンザ入院サーベイランスの導入について」。
 資料5「多剤耐性菌対策について」。
 資料6「チクングニア熱の四類感染症への追加について」。
 資料7「新たに確認された一類感染症の原因病原体の一種病原体等への追加について」。
 参考資料として「エイズ予防指針作業班報告書」。
 以上でございます。不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○渡邉部会長 資料はよろしいでしょうか。
 では、まず第1番目として、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針について、事務局から説明をお願いいたします。
○平賀課長補佐 事務局でございます。後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正に関しまして、資料1を中心に説明させていただきたいと思います。なお、この後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針に関しましては、ワーキンググループによりまして議論を進め、かつ、その下部に設置させていただいておりますエイズ予防指針作業班で議論を進めさせていただきました。その中での議論に関しまして報告書にまとめておりますので、そちらも適宜御参照いただけたらと存じます。
 では、資料1に関しまして説明をさせていただきたいと思います。
 まず、一番最初のページでございますが、議論に関します概要を簡単にまとめさせていただいたものでございます。
 おめくりいただきまして「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正について(目次)」という項目がございます。平成18年の前回の見直しにおきましては、第八まででございましたけれども、今回の議論におきまして第四「検査・相談体制の充実」を追加いたしまして、第九の項目までで構成されております新しい指針とさせていただきたいと考えております。
 次のページからでございますが、上の構成が改正後、下が改正前ということで、改正前が平成18年に見直しを行った指針に関しての記載でございます。上の部分は見直しを行った後でございます。変えている部分におきましては、隣に線を引いております。
 では、説明に関しましては、資料1の表紙でございます。概要を中心に説明させていただきたいと思います。
 我が国のエイズ動向は、ハイリスクグループである個別施策層、特に青少年やMSM(男性と性行為をする男性)を中心に新規HIV感染者・エイズ患者ともに依然として増加傾向にございます。一方で、エイズ治療の進歩によりまして、患者の延命が図られ、長期・在宅療養等の新たな課題も生じているところでございます。このような状況を踏まえまして、今般の指針改正に当たりましては、以下の重点的に取り組む新たな対策を中心に社会全体で総合的なエイズ対策を実施していくべきであるという方針を示させていただいております。
 大きくは4つの視点を示させていただきます。1つ目の視点としましては、検査・相談体制の充実の位置づけを強化させていただきました。具体的には、検査・相談体制の充実はエイズ対策の重要な施策の一つであるため、新たな単独の章として位置づけるべきではないか。また、場所や時間帯等、受検者の利便性に配慮した検査を実施し、医療機関受診を促すべきではないか。このような形で検査・相談体制の充実の位置づけを強化させていただきたいと思います。
 2番目の項目といたしましては、個別施策層に対します検査について、目標設定の必要性を明記すべきではないかということで、具体的には、個別施策層に対しまして効率的に検査を実施するという観点で、重点都道府県等、これは人口10万人当たり感染者数の多い都道府県ないしは都市を指しておりますが、重点都道府県等に定量的ないしは定性的な目標設定を求めるべきではないかといった点。
 3番目でございます。地域における総合的な医療提供体制の充実が必要ではないか。各種拠点病院と地域の診療所等の診療連携体制を構築すべきではないか。また、都道府県に1か所以上設置しておりますエイズ中核拠点病院におきますコーディネート機能、患者さんの福祉ないしはサービス、診療連携等々に関します調整を行うコーディネート機能を担う看護師等の配置を推進するべきではないか。また、肝炎・肝硬変等の肝炎ウイルス等の重複感染を認めております患者さんもおられます。そのような肝炎・肝硬変等の併発症・合併症等対策は、当該研究及び医療について診療科間の連携のもと、その取り組みを強化するべきではないか。また、精神医学的介入による治療を円滑に行うために、精神科担当医療従事者に対します研修を実施するべきではないか。また、診療連携を進め、長期療養・在宅療養の患者等を積極的に支える医療体制整備を推進するべきではないか。
 また、4番目ですけれども、エイズ対策におきます多くの局面の中で、NGOとの連携が欠かせない状況となっているところでございます。それにかんがみまして、NGO等との連携の重要性を明記しているところでございます。具体的には、個別施策層に対する施策の実施及び普及啓発等において、NGO等と連携し、施策を実施すべきではないか。
 また、一番最後の「※」でございますが、施策の実施状況等の継続的なモニタリングと評価を行い、必要な改善を行っていくべきではないか。こちらは国としても都道府県としても、適宜施策の内容を見直しながら、よりよいものとしていくべきではないかということで記載させていただきました。
 簡単ですが、概要の説明はこれで終了させていただきたいと思います。事務局からは以上でございます。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 検査を受ける人の数は減っているけれども、感染症またはエイズ患者数が増えているということと、特に、個別施策層のMSMの患者が増えているところが一番問題だろうということで、その辺に対しての対策等をどうしたらいいだろうかということで、今、事務局から説明があったような問題点が指摘されたわけですけれども、このワーキンググループの座長をされました木村先生から更なるコメントがありましたら、お願いいたします。
○木村委員 今、事務局から説明のあったとおりですけれども、座長が言われたように、平成20年をピークに検査が平成21年、平成22年とかなり減ってきているんですね。それを反映した形で、いわゆるいきなりエイズが増えてきているということがありまして、これは感染予防と同時に、早期に検査を受けていただくということが非常に大事になってくるので、説明がありましたように、検査・相談体制の充実ということで独立した章とさせていただいた点が一番大きいことかなと思っております。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 それでは、エイズ予防指針作業班の報告書及び資料1の感染症予防指針の一部改定の中身に関しては、この資料は前もって、先週皆さんのお手元に届いていると思いますので、読まれたという前提で質問等がありましたらお願いいたします。
○倉田委員 よろしいですか。改正はよろしいんですが、今、木村先生から説明があったように、私も動向に関して非常に注目しているんですが、若い人がどんどん増えていますよね。それに関してどこをやったらどうなるということを予測しているかということが問題なのと、もう一つは、薬は追いかけっこだし、ワクチンは当分見込めないと。2年前ですか、3年前ですか、ジャスト・エデュケーションと非常に見事なことを言っていますが、エデュケーションというのはこういう体制ではなくて、多分、文部科学省はそれなりに意味がある立場にあると思うんですが、その辺との教育をどうするか、教育におけるHIVの問題はどう扱われているのか。
 何年か前に、そのことを木村先生と一緒に研究班のこともあったので、そのまとめも兼ねてお話ししたときに、文科省の担当の人は検討しますと。その3~4か月後でしたか、今から3年前の7月28日の読売新聞の社会面トップに、不適切なことをしている人にそういうことを教えるというのは文部科学省がやることではないと、教育審議会もそんなことをやることではないと。つまり、高校生を含めて不適切な性の問題に関して、そんなことをやる立場にはないということを見事に出しておりますが、その後それがどう推移しているかということと、でき上がった後に対する厚生労働省の責任感とやることに関しては、何も問題がないくらいに、世界では相当いいことをやっていると思うんですが、その辺の教育の問題はどうなっているかお聞きしたいんですけれども、もし、行政側で何か。
○平賀課長補佐 事務局から答えさせていただきます。こちらのエイズ予防指針作業班でも多くの議論が認められました。まず、教育に関しますところ、倉田先生御指摘のところでは、例えば、学習指導要領でございますけれども、高校生に関しては、確かに時間的なもの、質的なものはどうあれ、既にエイズとして記載はあるというところ、そういったところで理解を深めていくということは文科省でもされているところでございます。
 我々事務局といたしましても、まず、厚生労働科研や多くの事業の中で、例えば、保健所の看護師等々を通じた研修を行いながら、保健所を通じたところで教育関係者、養護教諭ないしは保健師等々へしっかりアプローチしていく。文科省における教育を補完するような形で厚生労働省としても連動を高めていくような形で教育の質を高めていきたいと考えているところでございます。それは予防指針作業班で議論させていただいたところでございます。
○渡邉部会長 竹内委員どうぞ。
○竹内委員 今の倉田先生の質問に関連して、多分、今おっしゃった高校生を対象にいろいろなことを教えるべく準備されているというお話だったと思うんですが、間違いないですか。
○平賀課長補佐 エイズ対策研究事業の中で、例えば、青少年へのアプローチを研究している班がございます。そういったところで、例えば、保健所を通じた青少年への啓発や、御家庭への啓発といったところを厚生労働科研を通じて研修等々をさせていただいているところでございます。
○竹内委員 もうちょっと海外の事例を参考にされた方がいいと思うんですが、例えば、西アフリカなどでは小学校の健康教育の中に、パッケージとしていわゆるセクシャル・ビヘイビアとか、そのほかの感染症も含めてワンパッケージでやるんですね。小学生には誰がやるかというと小学校の先生がやるんですよ。これは、いわゆるスクール・ヘルス・ベースト・アプローチと言って、要するに、ヘルスのイノベーションを起こすには最適なやり方の一つなんです。私は久しぶりに委員に戻ってきたんですけれども、3年前でしたかそういう意見があって、そのころから小学生を対象にしてやるのが実は世界的な趨勢で、一番効率が高いと。厚生労働省としてはどうにもならんテリトリーかもしれませんが、早期にやることによって、ワールドバンクのデータなどを見ると、年齢がいくにしたがって感染率を見ると、インターベンションを兼ねたグループは見事に感染率が低く推移しているというデータもありますので、その辺をちょっと御参照されて対応された方がよろしいのではないでしょうか。
○渡邉部会長 先進国の中で日本ぐらいしか減少していないというか、ほかの国は大体減少しているわけですね。スウェーデン等ではこういうセクシャル・エデュケーションというのは非常に若いときから学校教育としてやっているということで、その教科書等も見たことがあるのですけれども、その辺、北村先生がもしかすると詳しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○北村委員 私は、日本人の性意識・性行動調査というのを厚労科研でこの10年回で5回やってきておりますけれども、国民が期待するいわゆる性教育というものと、学習指導要領の中に描かれているものとの間には実は大きな乖離がございます。例えば、以下のことについて何歳ぐらいまでに知っておくべきと考えるかという問いかけを、これはかなりしっかりとした疫学調査でして、層化二段無作為抽出法という方法で3,000人を対象にしてやっているんですけれども、そうしますと、65%近くの国民は義務教育までの間にコンドームの使い方を是非知っておくべきであると考えるんですけれども、どうも現状、学習指導要領などでは、コンドームの使い方を中学生に教えるのは不適正であるというような状況がございまして、この辺りの乖離が、結局は今のお粗末なというか、先進国の中で日本だけがHIV・エイズ患者が増えているというような事態をつくっているんじゃないかと。私は、根本は性教育の立ち後れというものに非常に大きな原因があるのではないかと思っております。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 林補佐どうぞ。
○林課長補佐 文部科学省が今日出席できておりませんので、事実関係だけ補足させていただきますが、現行の学習指導要領で高校か小学校かという話がありましたけれども、この点について一番記載がございますのが中学3年生、一応義務教育の期間内にやるということでございます。内容を読み上げますと「中学3年生の感染症の予防」というところに「エイズ及び性感染症の予防」という部分がありまして、「エイズ及び性感染症の増加傾向とその低年齢化が社会問題になっていることから、その疾病概念や感染経路について理解できるようにする。また、予防方法を身につける必要があることを理解できるようにする。例えば、エイズの病原体はヒト免疫不全ウイルス(HIV)であり、その主な感染経路は性的接触であることから、感染を予防するには性的接触をしないこと、コンドームを使うことなどが有効であることにも触れるようにする。なお、指導に当たっては、発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切である」。現行はこのようになってございます。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
○北村委員 コンドームが有効であるとは書いてあっても、コンドームをいかに使うかというところまで踏み込めていない。これが間違いなく学校現場の現状だろうと思います。学習指導要領が非常に足かせになっているというのは、現場の声としてよく聞くところでございます。
○渡邉部会長 倉田委員どうぞ。
○倉田委員 一方で、この間パピローマのワクチンが認可されて、しかも、接種が始まったということになると、これはなぜ8歳か、なぜ9歳か。これは英国政府もドイツ政府もはっきり担当と話をして言っていますけれども、そのころから男女の性交渉が始まるからだと。だから、そのときにやっておかなければだめなんだと、その論理で日本の子どもたちも始めたわけですよね。だとしたら、HIVの方は高校生になってからの教育という話だと、今、北村先生がおっしゃったように相当な乖離がある。だから、8歳、9歳から教えないと、とんちんかんな話になると思うんですね。そこを思い切ってジャンプしないと、これは厚労省の問題ではなくて、厚労省が後のことをやっているのはわかりますが、文部科学省はきちんと教育の問題に関して、前に私が調べたときはHIVの問題は高校の教科書にたった半ページしかありませんでした。今は何ページありますか。ポリオは1ページあったんですけれども。それをアメリカのウイルス研究者が、これは相当遅れているということを10年前に大きな声で指摘されていました、学会に来て特別講演をやったときに、こんな国はほかにないよと。今はそれが何ページになっていますかね。私は今の子どもの教科書を見ていないからわからないんですが、そこは大きな基本的な教育の問題で、よその国はみんなエデュケーション、エデュケーションと、日本だけはエデュケーションという声がちっとも上がってこなくて、起きてしまった後の厚労省の対応は非常にきめ細かくなっているんですが、そこのところは何かしないと。これは我々が口を出すことではなくて、厚労省と文科省と話をして、基本的な教育のところを変えていかないとまずいんじゃないですかね。そうしないと、どんどん増えているのを、そのうちロガリスミックになったらどうしようもないですよね。だから、そういうところを考えられた方がいいんじゃないでしょうか。
○渡邉部会長 保坂委員どうぞ。
○保坂委員 話がエイズの話ではない話、学校教育における健康教育という話が基にあって、その中でエイズの教育というものもある。エイズの教育だけが特別にできるわけではなくて、学校教育全体の中で健康教育が我が国においてどのくらい重視されているかという背景がまずあって、非常にそれが軽視されていて、今何ページありますかというお話もありましたけれども、教科書でも非常に少ししか触れられていない。あと時間がないんですよね。そういう授業の中で全然時間がない。
 もう一つ大きな問題は保健体育なんですね。体育の一部ということもないけれども、その中で今の学校教育がやられているので、そこが変わらないとなかなか難しい。もう一つは性教育をタブー視していることと、その2点。ここは厚労省の会議ですので、ここで幾ら言っても反映することはなかなかできないかもしれませんけれども、傍聴の方もいらっしゃるし、その他関係者の方が常にそのことを言い続けていただかないと、その部分だけ変えるというのはできないと考えています。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 今、ここに文科省の方がいらっしゃらないので、今の皆さんの御意見を是非、文科省にも厚労省から伝えていただきたいと思います。
○正林結核感染症課長 大変貴重な御意見をいただきましたので、文科省とよく相談したいと思います。
○渡邉部会長 ほかに質問、コメント等がありましたら、お願いいたします。
 ちょっと伺いたいのは、今回、確かにエイズの患者が増えているということですけれども、HIVと診断された後にエイズになった患者さんの動向のデータは何かお持ちでしょうか。なぜかというと、HIVの抗HIV薬の治療がされているわけですけれども、結核の場合もそうですが、DOTSがうまくいくかどうかによって、その後に耐性が出現してしまって、その後なかなかうまくいかないという例が出ているわけで、将来HIVに関しても同じようなことが起こることを私自身は危惧しているのですね。なぜかといいますと、結核の場合だとある一定期間飲めばいいんですけれども、HIVの場合は生涯飲まないといけないということで、より耐性等が誘導されやすいと。そうすると、ちゃんとした形で投与されていないと、気がついたときには、それこそHIVの耐性ウイルスだらけになってしまうということになるので、その辺はいかがでしょうか。
○木村委員 HIV感染者の中からエイズがどれくらい発症しているかということについては、病状の変化ということで発症の届けを出す建前にはなっているんですけれども、現実には非常にその報告が少なくて、そこがきちんと把握できていないという状況にあります。今回の見直しの中でも、そういったことの報告の徹底を図っていこうという方向で見直しが行われました。
○渡邉部会長 岡部委員どうぞ。
○岡部委員 ちょっと補足的になりますけれども、感染症法の中ではHIVまたは感染者あるいはエイズ患者の報告はあるけれども、HIV感染者がどういう経過になったか、あるいはエイズを発症した人の予後というのは感染症法の中では届出にはなっていないんですね。ですから、先生のおっしゃっている届出というのは委員会や何かの届出であって、法律に基づいた届出になっていない。また、そこが正確に把握できない部分でもあるんですが、背景として人権の問題、その他いろいろあったんでしょうけれども、そういう欠点があるというところはちょっと申し上げておいた方がいいと思います。
○渡邉部会長 そこは勿論、欠点として私も理解しているんですけれども、ただ、今後を考えた場合には、当然そういう耐性ウイルスも含めた形で問題となってくるというのは、ほかのことを見れば事例として挙がっているわけで、当然予測できるのではないかと思うのです。その辺に関して、ある一定の考え方を持った形でのサーベイランスというものを展開した方がよろしいのかなと思いますが。
○岡部委員 私は、そこの部分は改善していくべきところだろうと申し上げたいと思います。
○木村委員 研究班レベルでかなりカバー率はいいんですけれども、全国的に耐性変異の調査をしていまして、一応、現状では、その研究班からの情報で、耐性の状況は7~8割の治療者が対象になっていると思うんですけれども、状況が把握できているという形ですが、もう少し徹底できれば、なおいいかなと思います。
○渡邉部会長 よろしくお願いいたします。
 今のことを含めて、もうこれは変えられないのでしょうか。この予防指針を読ませていただくと、そういう耐性問題に関して余り触れていなさそうな感じがしたのですけれども、是非17分の11ページの「3 十分な説明と同意に基づく医療の推進」ということで「具体的には、医療従事者は医療を提供するに当たり」、そこに例えば、HIV薬等の正しい服用等を含む適切な説明・指導を十分に行いとか、何かそういうことを加えていただくと、今の耐性の問題等も考えているのだということになるのかなという気がするのですけれども、事務局で後でその辺を検討していただければと思います。
 ほかに何かございますか。
○味澤委員 昔は確かに薬を飲むのが大変で、一日3回、4回飲んで、薬の数も20個以上というような状態だったんですけれども、現在の薬は大体3~4個で、せいぜい一日1回か2回で、副作用も大分低減していまして、昔に比べますと飲み続けるのは非常に楽になっています。したがって、私の病院の感じでは、きちんと病院に来て薬を飲んでいって耐性になるということは、まず考えづらいですね。
○渡邉部会長 ほかに何か質問ございますか。
○廣田委員 この動向を解釈するときでございますけれども、一般的に数が増えているとか、あるいはクロスセクショナルに何歳台で多いとか、そういった結果が出てくるわけですが、是非とも、こういうものは必ず出生コホート別に解析していただきたい。すなわち、1980年代の前半に生まれた人がどのように伸びていくかとか、各年代ごとの出生コホートの動きを見るというのが適切な対策をする上では必須だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○渡邉部会長 サーベイランスの仕方というか、その辺の時系列的な動きも含めた形でのサーベイランスができるかどうかということだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○木村委員 作業班の中でも今の御指摘を広瀬先生からいただいて、恐らく仕事としては疾病対策課というか、サーベイランスの委員会の中での解析になるのかなと思うんですけれども、そういう観点からも解析していくということで、文章の上には出ていなかったかもしれませんが、会議でそういうことは大事であるという議論をいただきました。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
○竹内委員 細かいところなんですが、
ページの第1パラグラフにおいて、日本ではMSMにおける発生が多いというのは前から御承知のとおりだろうと思います。「エイズ発生の予防において、MSMに対する普及啓発及び教育は特に重要である。MSMに対する啓発等においては、国及び地方公共団体と当事者・NGO等との連携が必須であり、対象者の実情に応じた取組を強化していくことが重要である」と、これは本当に実施できるんでしょうか。1990年代から、いわゆる同性愛者間のSTDというのは世界じゅうで、HIV・エイズに限らず、私も厚生労働科研で随分長くやったアメバ、その他、その他、その他わんさかあって、HIVだけ取り上げてどうだこうだというのは余りプラクティカルじゃないかなとも思えるし、実はアプローチが難しいグループでもあるし、NGOの方がどの程度把握されているのかというのは知りませんが、この4行は書いてみればこうなるんでしょうけれども、実際問題としてどの程度のフィージビリティがあるのかなという気がしているんですが、どなたか御存じでしょうか。
○渡邉部会長 これは木村先生か事務局かどちらか御存じですか。
○木村委員 HIVの領域において、ここ数年NGOというのは非常に発達してきたというか成長してきて、まだ経済的な基盤が脆弱であるという点はあるんですけれども、かなり積極的に活動しているNGOもありまして、自治体との連携、やはり自治体等の行政はMSMになかなかアプローチが難しいということで、どうしてもNGOに頼るところがあるんですけれども、その連携がうまくいっている地域では対策も進んでいるという事例もありまして、すべての自治体で適切なカウンターパートとしてのNGOが見つかるかどうかはちょっと問題がありますが、HIVの多い重点自治体については、エイズ予防財団も協力しながらNGOと行政との結びつけをやっているのが現状で、それを更に強化していくことが重要であるという文章になったということでございます。
○渡邉部会長 セクシャル・ビヘイビアが絡むと、社会的な問題も含めて対応はなかなか難しい点はあると思うのですけれども、徐々にNGOと厚労省、また、関係団体が協力し合いながらやっていかないと、それも長期的な目で見ながらやっていかないと、なかなか解決できるものではないと思うのですが、このような書きぶりでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○渡邉部会長 ほかにコメント等がありましたら。もし、ないようでしたら、今の御意見を踏まえながら、改定できるところは改定して、この予防指針を進めるという形で御承認いただけますか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、性感染症に関する特定感染症予防指針について、事務局から御説明をお願いいたします。
○林課長補佐 資料2をごらんください。「性感染症に関する特定感染症予防指針の改正」。1枚目は概要となっております。先ほどのエイズの指針と共通しておりますけれども、この指針というのは感染症法第11条に基づいて定められているものでございます。エイズのほか、性器クラミジア、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、淋菌、あと、その他幾つか感染症について定めることと決められておりますけれども、性感染症に関しましては、この5つの疾患について対象としてまとめて定めているものでございます。前回の改正から5年が経過するためにワーキンググループにおいて検討を行っていただき、このたびワーキンググループとしての案をいただいているものでございます。
 改正のポイントでございますけれども、「1.発生の予防・まん延の防止」という観点から3つの点が挙げられております。コンドームによる予防に加え、コンドーム以外の予防方法等に関する情報提供を推進するということで、今般、子宮頸がん予防ワクチンの中で尖圭コンジローマの予防にも効能を有するワクチンが承認されましたけれども、こういったワクチンが尖圭コンジローマの予防にも有効であることの情報提供を進めることや、コンドームだけでは防げない性感染症があることや、正しい使い方など具体的情報の普及啓発を推進するといった記載をより充実するという案でございます。
 次に、より精度の高い病原体検査を推進するということで、性器クラミジア、淋菌感染症について、抗体検査が行われている例が実際に多うございますけれども、より精度の高い病原体検査を推進するということ、そして、検体採取の方法が障害になっているという御意見がございますけれども、簡便な尿検査によって病原体検査を実施できるということも明記するという案になっております。
 次に、個人の実情・心情等に配慮した普及啓発等の実施ということで、感染者のパートナーの意向を尊重して情報提供や支援を実施するということを明記したり、犯罪被害者支援、緊急避妊のための診療の場でも総合的な支援が必要であるということを明記しております。
 次に「2.医療の提供」でございますけれども、この部分につきましては、医療の質の向上とアクセスの向上という2つに大きく分けておりますが、性感染症の専門家養成のための教育・研修機会の確保、あるいは標準的な診断や治療の指針等について積極的に情報提供・普及を推進するといった内容を記載するほか、アクセスの方では、若年者等が受診しやすい医療体制の整備や、検査から受診につながる環境づくりを促進すること。検査や治療についてわかりやすい情報提供の実施をすること、こういったことを学会等で連携しながらやっていくということを記載しております。
 「3.情報収集・調査研究」でございますが、発生動向のより的確な把握のため、感染症発生動向調査の定点の指定の基準づくりを進めていくことですとか、性感染症のリスクに関する意識や行動についての調査を実施するといったことを追記いたしております。
 全体の構成としては1枚おめくりいただきますとわかりますように、第1~第6という項立てになっておりまして、次のページ以降、上が改正案、下が現行でございまして、上段の棒線部分が今回追記するところでございます。
 今申し上げましたほかに、例えば、12分の1ページでは近年、口腔性交が行われる例が多く、また、咽頭へのクラミジア等の感染が問題になっておりますので、現状認識の中でこういった部分についての記載をさせていただいております。
 また、12分の2ページでは、若年層における発生の増加が報告されているという、5年前の現状認識はこうでございましたけれども、現在は感染症発生動向調査によりますと、報告数は全体的に減少の傾向が見られるものの、若年層の発生の割合が高いことや、性行動の多様化により咽頭感染等の増加が指摘されているといった現状認識が少し変わっているということでございます。
 これ以降の改正点の主なポイントについては、最初に御説明させていただいたとおりでございます。
 以上です。
○渡邉部会長 ありがとうございました。
 このワーキンググループの座長であります木村先生から追加の発言がありましたら、お願いいたします。
○木村委員 最近、性行動の多様化というようなことが広がってきているので、前文にあったような修正を加えたということと、この5年間でワクチンが開発されたということがありますので、そのことを盛り込んだということ。
 それから、議論の中でかなり時間をかけて話し合われたものに、定点の選び方ということがあったと思います。それについては、4ページの真ん中辺りにあります定点選定法ということで、ごく簡単に基準をより具体的に示すというような程度の記載になりましたけれども、婦人科と泌尿器科、STDの診療科のバランスをとった定点、あるいは病院の規模の観点からある程度選んでいく必要があるのではないかということと、もう一つ、何年間にもわたってずっと報告数がゼロという医療機関は、きちんと調査した上でゼロと報告しているのか、怠っていてゼロなのかという辺りも、行政的に監視していこうというような議論がございました。
 以上、追加させていただきました。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 皆さんの方からコメント、また御意見がありましたら、お願いいたします。
○竹内委員 12分の7ページで「四 対象者の実情に応じた対策」の第2パラグラフに「その際、学校における教育においては、学習指導要領に則り、児童生徒の発達段階及び保護者や地域の理解を踏まえることが重要である」と、まさにこのとおりで、先ほどの議論でも出たことなんですが、こちらでは「児童」ですから、多分、小学校を想定して書かれているのだろうと思いますが、その点を確認したいのと、それから、1ページの「医療へのアクセスの向上」ももっともで、2番目に「検査や治療について分かりやすい情報提供の実施」というのがあって、本文を読むとインターネットとかいろいろなことで情報提供するんだと書いてあるんですが、エイズの場合はNGOを最大限に活用すると書いてあるのに、何でこちらはNGOを活用するとか協力するというのがないのかなと。関係団体と協力するという一文はあったんですが、関係団体というのはNGOなんですか。「関係団体」よりも「NGO」というキーワードを載せる方がはるかにいいんじゃないかと。さっきのエイズと関係してそう思ったんですが、どうでしょう。
○木村委員 議論があったので、事務局からお願いできますか。
○林課長補佐 まず、1点目に関しましては、学習指導要領においても小学校において指導する内容、例えば、病気の予防について病気は病原体、抵抗力、生活行動、環境がかかわり合って起こることとかいろいろありますけれども、そういったことで発達段階に応じて小学校からさまざまな病気や感染について、それを予防することについて教育が行われているということでございまして、そこはこれまでの記載のとおりでございます。
 2つ目の御質問につきましては、エイズの指針ではNGOと書いてありますけれども、最終的には大臣が告示する文書になりますので、定義しないと使えないということで、資料1の17分の1ページの上の段でございますけれども「国、地方公共団体、医療関係者、患者団体を含む非営利組織又は非政府組織」という記載でございまして、これが何度も出てくるということで「以下NGOと言う」という略称をここで定義したという構造になってございます。
 資料2の性感染症の方で見ますと、例えば、12分の12ページで「国及び都道府県等と医師会等の関係団体並びに性感染症及び後天性免疫不全症候群対策等に関係する各種民間団体との連携等幅広い連携を図る」ということで、趣旨はこの中にも入っているわけでございますけれども、NGOという略称を何度か使うということに形式的にはなっていないというところでございます。事務局としてはそういうことですが、もし、こういった観点で民間団体を活用すべきという御意見があれば、そこについて御検討させていただきたいと思いますが、NGOという言葉に関しては、そういう事情でございます。
○竹内委員 NGOという言葉を使えば、NGOの方たちは国の指針の中でNGOに期待されることは有意義なものがあるということで、ちゃんと協力されるんでしょうが、関係団体でひとくくりにするというのは、いかにも厚生労働省のやり方だなと思って。どちらでもいいんですけれども。
○渡邉部会長 整合性をとっておいた方が多分わかりやすいのではないかと思うので、その辺は検討していただければと思います。
○木村委員 そのワーキンググループの検討の中でも、今と同じ御意見が出たのですが、事務局と相談の上、何回も出てくるわけではないので、略語を使ってあちこち使うのであれば別だけれども、1か所か2か所程度なので、民間団体というような表現でまとめたということでございます。
○渡邉部会長 ほかに御意見ありますか。
 性感染症のところも12分の10ページの「三 発生動向等に関する疫学研究の推進」のところに、薬剤耐性菌の発生動向調査は入れていただいた方がいいのかなと思います。なぜかといいますと、昨今、淋菌においてセフトリアキソン耐性菌というのが出てきました。今まで淋菌の場合はニューキノロンとか、βラクタマーゼに対して耐性菌はたくさんあったのですけれども、セフトリアキソンが非常に効果のある治療法であるということで、臨床等ではこれを好んで使われていたと思うのですけれども、これに対する耐性菌が出てきてしまうと、かつ、まん延してしまうと、また淋菌に対しても非常に大きな問題が出てくると思うので、その辺は疫学研究の推進の中に入れて注意を払っていただければと思いますが、その辺、小野寺先生いかがでしょうか。
○小野寺委員 今、部会長がおっしゃったような淋菌の薬剤耐性の問題があります。ただ、これは例えば、性感染症学会等で出しているガイドラインにはっきりと指針が明記されておりますので、情報としては入れておく必要があるかもしれませんが、違った形での情報の提供があるということは事実です。
○渡邉部会長 これは告示に出るものですから、結構重きはこの文章は大きいと思うので、そういう方向性で国も考えているということを言っていただくと、学会も多分動きやすいのではないかと思いまして。
○小野寺委員 それは、おっしゃるとおりだと思います。場所としてはどこになりますか。確かに、特に耐性菌が問題になっているのは今は淋菌だけなんですね。ですから、そのことを明記することは意味があると思います。
○北村委員 耐性菌のことは記述があるんです。新たな治療薬及び耐性菌を出現させないような治療薬の開発。
○小野寺委員 そうですね。
○渡邉部会長 12分の10ページは治療薬の開発なので、勿論、耐性菌と治療薬というのは裏腹の関係なのですけれども、「三 発生動向等に関する疫学研究の推進」の中に入れていただくと、いろいろな意味でやりやすいのではないかという気がします。
○小野寺委員 3番目の病原体の分子疫学的な研究に少し込められていると思うんですが、薬剤耐性菌ということをつけ加えていただければ、それでよろしいかと思うんですが。
○林課長補佐 例えば、病原体の分子疫学や薬剤耐性に関する研究というようなことでまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
○渡邉部会長 ほかに何かございますか。もし、ないようでしたら、今の幾つかの御意見を踏まえた形で改定させていただいて、これを承認していただくということでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 では、次に移りまして、新型インフルエンザ対策行動計画の改定について、事務局から説明をお願いいたします。
○神ノ田室長 それでは、資料に沿って御説明を申し上げます。資料3を御用意いただきたいと思います。
 1枚目でございますが、こちらは改定のポイントを全体を俯瞰する形でまとめてございます。赤字部分が今回改定されたところでございます。次のページ以降に解説を加えておりますので、そちらを用いて御説明申し上げます。
 1枚おめくりいただきまして、まず、1ページでございますが、検討の経緯をまとめております。昨年6月に総括会議、こちらはH1N1の経験を踏まえた総括を行っていまして、その報告書が取りまとめられております。また、今年2月28日に専門家会議としての見直し意見が取りまとめられ、公表されております。こういった報告書を踏まえまして、政府として検討し、今年8月15日に局長級会議において改定案が取りまとめられました。この改定案についてその後パブリックコメントにかけ、正式には9月20日閣僚会議において改定が決定されております。
 内容についてでございます。2ページに総論的事項をまとめております。旧行動計画におきましては、病原性の高い新型インフルエンザのみを想定していたということで、2009年の経験を踏まえまして、ウイルスの病原性・感染力等に応じた柔軟な対策を迅速・合理的に実施視できるようにするということで見直しがされております。
 4点ございますが、「1.行動計画の対象の明確化」ということで、発生するウイルスにつきましては病原性・感染力等はさまざまな場合が想定されるということでございます。それを行動計画上も明記したということです。
 「2.行動計画の運用の弾力化」ということで、対象となる新型インフルエンザの多様性を踏まえ、対策も多様であるということを明記しております。また、発生当初はこういった情報が不足しておりますので、強力な措置を講じる必要がございますけれども、このウイルスの特徴に関する情報が得られ次第、その程度等に応じて実施すべき対策を決定していくという方針も位置づけております。
 「3.意思決定システムの明確化」ということで、政府対策本部、厚生労働省対策本部、新型インフルエンザ専門家会議といった政府の意思決定にかかわる組織を整理いたしております。
 また「4.地域の状況に応じた対策の必要性」ということで、前回の経験でまん延状態になっている県の隣の県では1例も出ていないといった、地域によって発生状況が大幅に異なることが認められておりますので、地域の状況に応じて判断を行い、対策を推進していくという考え方が盛り込まれております。
 これを踏まえて、国レベルでの発生段階に加えて、地域レベルでの発生段階を新たに設置するということで、次のページに図で整理しておりますけれども、国レベルでは未発生期から海外で発生したことを受けて海外発生期になり、また、国内での初の患者の発生を受けて国内発生早期になります。次に、国内のいずれかの都道府県において患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった時点を目安として国内感染期になります。患者の発生が低い水準にとどまるということを受けて小康期、その後再燃期ということでまとめておりますが、これに対応する形で地域においても発生段階を整理しております。
 県ごとにこれを判断していくということで、下に書いてありますけれども、まだ県内で発生してない段階が地域未発生期、その後、初の患者の発生を確認した上で地域発生早期になり、疫学調査で追えなくなった段階で地域感染期になるということで、考え方を整理しております。
 また、国の発生段階と都道府県の発生段階はリンクしておりまして、一番最初に地域発生早期になった段階で、国の発生段階も国内発生早期になります。資料では、A県で地域発生早期になったことを受けて国内発生早期になります。また、リンクが追えなくなったという県が一番最初に認められた段階で、国内段階も国内感染期になるという考え方を整理しております。ここで言うとB県がそれに該当いたします。
 次に、サーベイランス・情報収集についてですけれども、前回は発生時に特別なサーベイランスを立ち上げるということで、現場に過大な負担をかけたということでございました。やはり平時から実施していないことは、こういう緊急時にも実施できないということを踏まえて、平時と発生時のサーベイランス体制を整理いたしております。
 「1.平時からのサーベイランス体制確立」ということで、ここに記載しております4つのサーベイランスを平時から実施するということでございます。全国的な流行状況、入院患者の発生動向、ウイルスの亜型や薬剤耐性、学校等における発生状況を平時から実施するということで整理しています。
 「2.発生時に強化するサーベイランスと縮小・中止の判断」ということで、発生時にはこちらに記載しております3つのサーベイランスを実施いたします。患者の全数把握、また入院患者の全数把握、学校等における発生状況の把握の強化を行います。ただ、これにつきましても、発生初期のみ強化をするということで、全国での患者数が数百人程度に増加した段階で縮小・中止していくという考え方を行動計画上、位置づけております。
 次に、5ページでございます。情報提供・共有についてでございます。こちらも3点ほどまとめておりますが、「1.情報共有の重要性の強調」ということで、対策の現場である地方自治体や関係機関との双方向の情報共有が重要であるということを盛り込んでおります。また、直接的コミュニケーション手段としてのインターネット活用を検討ということも記載しております。
 「2.情報提供体制の具体化」ということで、一元的な情報提供を行うための組織体制を構築していく必要があるということも記載しております。
 あと「3.情報提供の内容の明確化」ということで、対策の決定プロセス、対策の理由、対策の実施主体を明確にし、わかりやすく情報提供していくということも記載しております。結論だけ情報提供するのではなくて、プロセス、理由等についてもしっかりと情報提供していくということです。
 次に6ページの感染拡大防止についてです。
 「1.目的の明確化」ということで、発生段階によって対策の目的も変わってくるということを記載しております。国内発生早期におきましては、感染拡大の抑制が主たる目的になりますし、既に感染が広がっている国内感染期におきましては被害の軽減が主体になってくるという考え方を整理しております。
 こういった考え方に基づきまして「2.対策の実施時期の明確化」ということで、目的・段階によって実施すべき主な対策を切り替えていくという考え方を記載しております。地域発生早期におきまして、個人対策、具体的には入院勧告ですとか、濃厚接触者の外出自粛、健康観察等を行うことになっておりますけれども、これも地域感染期になった段階で中止していくということでございます。
 もう一点は、地域全体での学校等の臨時休業、集会の自粛につきましても、地域感染期に入ってから一定期間については実施を継続いたしますが、更に感染が拡大した段階では必要に応じて実施するということで切り替えていくという考え方を行動計画上明記しております。
 次に、水際対策ついてでございます。水際対策につきましては、検疫の有効性に限界があるということを踏まえて、見直しを行っております。
 「1.水際対策の位置づけの明確化」ということで、この対策の趣旨を脚注に記載しています。あくまでも国内発生をできるだけ遅らせるために行われるものであって、ウイルスの侵入を完全に防ぐための対策ではないということを明記しております。
 また、検疫等によって国内発生をできるだけ遅らせ、国内発生の遅延と早期発見に努めるということで、2つほど書いておりますけれども、発生が疑われる場合には、WHOのフェーズ4宣言前でも検疫強化等の水際対策を開始するということを記載しております。また、検疫の強化を行っても感染者は入国し得るということで、海外発生期の段階から国内の医療体制等を整備していくという考え方も盛り込んでおります。
 「2.機動的な縮小」ということで、前回、水際対策を長期間やり過ぎたのではないかという御批判もございましたけれども、ウイルスの特徴や発生状況等に関する情報を踏まえて、合理性が認められなくなった場合には、機動的に措置を縮小していくという考え方も記載しております。
 あと「3.検疫集約港の追加」ということでございますが、停留を実施する場合に集約化を図るということと、集約港につきまして空港については羽田空港、また海港については博多港を今回追加いたしております。
 次に、医療体制についてですけれども、前回の経験で発熱外来が患者が集中したことによって機能しなかったということがございました。また、第1例目の患者さんが発熱外来以外の診療所で発見されたといったことも踏まえて見直しを行っております。
 「1.外来診療の役割分担の明確化」ということですが、「発熱外来」は「帰国者・接触者外来」ということで名称を変更しまして、対象者を明確化できるようにいたしております。帰国者・接触者以外の患者については、一般医療機関で対応するということも記載しておりまして、こういった一般の医療機関からも新型インフルエンザの患者が発見される可能性があるということを行動計画上、位置づけております。
 「2.段階にしばられない弾力的な運用」ということで、都道府県の判断によって一般医療機関での対応に切り替えるということも記載しております。いつまでも帰国者・接触者外来での対応を続けるということではなくて、パンクしそうな状態になったら全医療機関という切替えも都道府県の判断でできるということでございます。
 「3.ファックス処方を検討」ということで、在宅療養の患者に対する対応として前回も行われておりましたけれども、ファックス処方を行うということを行動計画上、位置づけております。
 「4.被害想定」についてですが、患者数等の数値は想定として置いております。想定数値については致死率2%としておりますけれども、これは旧行動計画と同じ数値を置いていますが、随時、最新の科学的知見を踏まえ見直す旨明記しております。
 あと、最大入院患者数については、前回「増加すると推計」と記載されておりましたところをしっかりと数値を明記しようということで、39.9万床と記載しております。
 次に、ワクチンについてでございます。
 「1.事前準備の推進」ということで、6か月以内に全国民分のワクチンを製造することを目指して、新しいワクチン製造法や投与方法等の研究・開発を促進ということを記載しております。
 また、国産ワクチンでの対応を原則としておりますけれども、そのための生産体制が整うまでは、必要に応じて輸入ワクチンの確保方策について検討が必要ということも記載しております。
 あと、円滑な流通体制の構築、また、病原性等が高い場合には、公費で集団的な接種を行うことを基本にすることを記載しております。
 「2.発生時の迅速な対応」ということで、発生時には速やかにワクチン関連の対策を決定できるように、決定事項及びその決定方法について可能な限り事前に定めておくということ。
 また、接種の法的位置づけや優先接種対象者等について決定するということも記載しております。
 「3.プレパンデミックワクチンの備蓄について」、現状、原液の形で備蓄しておりますが、これを製剤化するのに1か月半ぐらいかかるということで、発生時に迅速な接種が行われるように、必要量をあらかじめ製剤化した形で備蓄するということも今回の改定で盛り込まれております。
 最後になりますけれども、社会・経済機能維持ということで、発生時の社会的な影際を踏まえて4点ほど加わっております。事業継続のための法令の弾力運用の周知や、生産・物流事業者等への医薬品・食品等の円滑な流通の要請、また、買い占め等に備えて監視や国民相談窓口の設置、中小企業などの経営安定に資する政府関係金融機関への要請といったことも盛り込んでおります。
 説明は以上でございます。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 報告事項が全部で5課題ありますので、すべて終わった後に質問をいただきたいと思います。
 続いて、インフルエンザ入院サーベイランスの症例改正について、お願いいたします。
○中嶋室長 資料4で御説明させていただきます。「インフルエンザ入院サーベイランスの導入について」。
 この内容については、前回3月末日でしたけれども、感染症部会での議決、持ち回り審議でさせていただきました。御協力いただいて、ありがとうございます。
 議決いただいた内容としては、1ページ目の2番目と3番目の「○」になります。
 2番目の「○」は、新型インフルエンザ対策で急遽2年前に導入した重症サーベイランスを季節性インフルエンザ対策として、報告方法や内容を見直して入院サーベイランスとして実施すること。
 3番目の「○」ですが、重症サーベイランスは応急的に事務連絡で実施しておりましたが、入院サーベイランスについては恒久的に行うために、基幹定点からの報告対象として制度的に位置づけること、このようなところで審議いただきました。
 2ページで、導入した入院サーベイランスの概要、これも御報告になりますが、以下のとおりとなっております。
 目的としては、インフルエンザによる入院患者の発生動向や重症化の傾向把握。既に、先月9月5日から開始させていただいております。
 実施方法としては、週1回保健所に報告いただくこと。届出の医療機関としては3ページの赤いところにございますように、全国約500か所の基幹定点で行っております。
 調査内容としては、ICU、人工呼吸器、頭部CT等、性別・年齢等で情報を収集しております。
 この収集した情報の公表につきましては、既に毎週しておりますけれども、6ページのすごく小さい印字で恐縮ですが、これは9月末日のものですが、一番下で今456か所基幹定点がございまして、そのすべてからゼロ報告含めて情報をいただいておるところでございます。
 2年間導入した重症サーベイランスを入院サーベイランスにして、現在はインフルエンザのサーベイランス、今シーズンからは5ページの4つ、患者さんの流行トレンドを見ていく方法、それから、ウイルスがどういうウイルスかを見る病原体のサーベイランス、3番目として、インフルエンザの発火点となります学校でどういう動向があるか。それから、この入院サーベイランスでどのくらいの重症者が実際に出ているのかを見ていくということで、今後毎シーズンインフルエンザのサーベイランスを行っていこうというところでございます。
 7ページ以降は、御審議いただいた結果を基に作成した症例等でございますので、この場での御説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 続きまして、多剤耐性菌対策についてお願いいたします。
○林課長補佐 資料5「多剤耐性菌対策について」でございます。これは昨年10月、第8回のこの部会で御審議いただいたことに関する御報告でございます。
 これまでの取り組みとして、昨年10月に御議論いただいた発端となったのは、平成22年9月に帝京大学医学部附属病院において、アシネトバクター・バウマニの多剤耐性菌の院内感染事例があったいということ、そして、国内で初めてNDM-1(ニューデリーメタロ-β-ラクタマーゼ1)を産生する耐性菌が検出されたという報告があったこと等でございました。
 この後、平成22年9月10日からは都道府県等に依頼いたしまして、NDM-1多剤耐性菌などの新たな耐性菌に関する実態調査を9月15日から12月28日までの間で行いました。
 10月1日には、この部会にお集まりいただきまして、薬剤耐性アシネトバクター感染症について、感染症法上の五類感染症に指定すべきとの結論をいただきました。9月から始めた実態調査と、五類感染症にアシネトバクター感染症を指定したという御報告を以下させていただきます。
 実態調査でございますけれども、10月、11月と国内2例目のNDM-1耐性菌、あるいはKPC型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌といった新たな耐性菌が報告されまして、12月までの取りまとめとして、NDM-1産生肺炎桿菌が2例、KPC型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌が1例、これは同一患者から2検体出ておりますけれども、こういった報告がございました。
 2~3ページは、その報告の集計表でございます。これ以外のIMP型といった既存の耐性菌が多く出ておりましたけれども、KPC、NDM-1といったものも若干ではございますが、既に国内で検出されたということでございました。
 4ページ、感染症法上の取扱いでございますが、10月1日の感染症部会の御議論を踏まえまして、これまで5種類の耐性菌が五類感染症であったものに1つを加えて、薬剤耐性アシネトバクター感染症を指定いたしました。届出基準としてはβ-ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンの3系統の薬剤に耐性を示す薬剤耐性アシネトバクター属菌による感染症患者ということで、全国の基幹定点、先ほどのインフルエンザのところで御紹介した約500ということでございますが、こちらで届出をお願いするようになりました。2月1日から届出をお願いしておりまして、2月以降8月末までで11例の届出が出ております。
 資料5につきましては、以上でございます。
○渡邉部会長 ありがとうございました。
 続きまして、チクングニア熱についてお願いいたします。
○中嶋室長 資料6「チクングニア熱の四類感染症への追加について」を説明させていただきます。
 これについては、第8回部会でチクングニア熱について危機管理の観点より、感染症法に基づき四類感染症に位置づけることについて御審議いただいて、了解いただいた件でございます。
 チクングニア熱は「※」で、蚊が媒介するウイルス性の疾患。東南アジア地域で感染が拡大。国内では原発性の発生には至っておりませんが、媒介蚊がいると。
 それから、イタリアやフランスでは患者さんが帰ったところが起点となって、流行が拡大してしまったということがありまして、危機管理の観点から、患者さんの発生状況の把握をまずすべき。それから、必要に応じて媒介動物対策を講じることが可能なようにといことで、四類感染症への追加ということで御了解いただいたところです。
 報告事項としては、政令改正によりまして、本年1月14日に公布、2月1日に施行ということで、今シーズンに間に合わせることができました。
 3番目ですが、施行後の状況としては、現在までに2月に3名、6月に2名の帰国者がおりますが、いずれも海外で感染したという方でございました。
 以上でございます。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 続いて、新たに確認された一類感染症の原因病原体の一種病原体等への追加について、お願いいたします。
○中嶋室長 資料7で御説明させていただきます。
 第8回部会で、感染症法に基づきます病原体管理制度に関して、制度の施行以降に新たにエボラ出血熱、南米出血熱の病原体が確認されまして、一種病原体として扱うことについて御審議いただいて御了解いただいた件でございます。
 なかなか読みにくい名前なんですけれども、新たな病原体はエボラウイルス属ブンディブギョエボラウイルスというもの、それから、アレナウイルス属チャパレウイルスという2つでございます。
 政令改正を本年1月14日に行いまして、1月24日から施行しております。
 なお、御審議のところでも御意見をいただきました検査法ですが、厚生労働省科学研究によりまして、診断方法(RT-PCR法)、中和方法も一部開発をされておりますが、このようなところが進んでおりまして、一部については既に学術論文に投稿済みでございまして、また、新たな投稿も今予定しているところでございます。
 以上でございます。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 5課題についての報告をいただきましたけれども、それぞれに関して御質問等がありましたら、お願いいたします。
○廣田委員 よろしいですか。最初の新型インフルエンザ対策行動計画のプレパンデミックワクチンですけれども、当面プレパンデミックワクチンの備蓄というのは、H5ワクチンを想定しているんでしょうか。
○神ノ田室長 はい、H5を備蓄しております。
○廣田委員 そのH5ワクチンを備蓄した場合の期限、最初に備蓄した分は3年以上経ってくると思うんですが、期限の考え方とか、期限切れになる前に接種をしようと。プライミングに使おうといった検討、考えはあるんでしょうか。
○神ノ田室長 期限につきましては、原液備蓄の場合であれば3年間ということで、タイターもちゃんとはかっておりますけれども、3年経ったら廃棄するというような形になっております。既に廃棄されたワクチンもございます。
 あと、もう一点付け加えますと、今回、事前製剤化もするということになりましたが、製剤化いたしますと有効期限は1年間になってしまうということで、ロスが生じることになります。どのくらいの量を製剤化するかというのは、廃棄に伴うロスと、事前に製剤化しておけば速やかに接種できるというメリットを天秤にかけて判断していく必要があります。
 あと、事前接種についてですけれども、これまで安全性・有効性について調査研究しておりますが、まだ現時点では事前接種については時期尚早ということで、WHOもまだ推奨しておりませんので、そういった勧告等にも従いまして、今の行動計画では引き続き研究を行っていくという整理になっております。
○渡邉部会長 ありがとうございます。ほかに御質問がありましたら。
 インフルエンザ対策は、前のいろいろな反省を踏まえて非常にフレキシブルに対応できるように書いてあると思いますけれども、ここにかかわって岡部先生何かコメントありましたら。
○岡部委員 委員会で一応取りまとめて、昨年末ぐらいに報告書を出していますが、その後、政府案としてまとめて、途中で大震災等々があって時間もかかったけれども、最終的には政府案として出たと聞いています。ですから、私たちの最終報告案としては出し終わっているので、それを取り入れてディスカッションしていただいたということです。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 ほかに何かコメント等ありましたら。
○倉田委員 いいですか。これは、多くの地方の病院、その他場合によっては24時間の態勢が7月24日以後もずっと続いて、そういう努力で結構抑え込めたわけで、その努力は買うべきだと思うし、フレキシブルにしたという言葉いいんですが、そういう対応がルーズになるかなという気がしないわけでもない。今はいい薬がありますから、感染防御に大きな効果がない現行のワクチンに過大な期待を抱かせない方が私はいいと思います。要するに、接種していてもH3N2とH1N1にかかった人はいっぱいいるわけで、2年続けてかかった子どもさんもいるわけです。やっておけば確かに間違いなく死なないというのはわかりますから、それはいいんですが、感染を防御するには今の皮下接種ワクチンではまだ難点があります。
 ですから、今の薬は非常にいいのがあるわけで、体制はこうなっていますよということと、もう一つは、各個人が学校だとしたら子どもさんも熱があったらすぐ病院に行けと、薬の投与を受けろというようなことを徹底的に各家庭に届くようなことをしないと犠牲者を減らすことにはならないと思うし、日本の198か200名の犠牲というのは物すごいことで、こんな国はどこにもないので、素晴らしい成果だったと。それは現場の先生の努力もあったので、それは今までどおり努力してもらうことはいいと思いますし、そのための検査も地方衛生研究所で全部やってきたわけで、その点はむしろ強化の方向にいく方が犠牲者を減らすことになると。今は200以上でこの体制によって、また新たな体制で犠牲者が増えていくようだったら、何だこりゃということになりかねないところがありますので、そういうところは一般の皆さんに少しお知らせする方がいいかなと思います。それはいろいろな自治体がやることでしょうけれども。それだけです。
○渡邉部会長 確かに、外国でこういう話をすると、日本がそんなに少なかったことに対して驚愕の声が聞こえてきます。1つは、いろいろな衛生状態が勿論いいということと、あとタミフルを使ったことが効果があったのではないかというようなコメント等もあります。実際、科学的にもそうだという報告も出ていますので、日本の対応というのはそれなりの評価が外国からされているのだと思いますので、その辺は一つの誇れる点として、どこかに記載しておいた方がいいというのが倉田先生の御意見かと思うのですけれども、事務局から何かコメントはありますか。
○神ノ田室長 日本の医療体制、対応が素晴らしかったということについては、総括会議の報告書にもしっかりと記載されてございます。今回の行動計画では、資料3の一番上の黄色いところに書いてありますけれども、緩めるだけではなくて強化する部分もございました。2つ記載していますが、1つ目のポイントとしては、病原性が高い新型インフルエンザの発生・流行に備え、医療、社会機能維持等の対策を強化ということで、医療については今、御指摘のあったようにしっかりやろうという考え方でございます。
 また一方で、弱毒性のものにも対応できるようにということで、それは病原性・感染力の程度に応じた合理的な対応という考え方も、今回の改定で盛り込んだところでございます。
○倉田委員 いいですか。言葉はそうなんだけれども、合理的とかそんなものはわかるわけないじゃないですか。それは非常に抽象的過ぎて。
 もう一つ、この言葉は気をつけてもらいたい、「病原性が高い」とあるけれども、これは全部H5N1のことを言っているんですよ。新型という言葉で気をつけなければいけないのは、この中でも見事にそうですが、H1N1とH5N1がごちゃごちゃに使われているんですね。これは予防指針でも私は文句を言いましたけれども、これはまずいと思うんですよ。だから、何を想定してこれをやっているか。H5N1をトップでこんなことをやっている国は世界のどこにもないので、ちょっと違うんじゃないかと思います。通常のインフルエンザの対応を少し合理的に書いたという話はわかるんですが、ここで使う型の問題、出だしは「A/H1N1」となっていますよね。今おっしゃったのは病原性が高いという言葉でH5N1を想定してやっているとしたら、ごちゃごちゃに言葉を使うのはいいことではないんですよ。だから「新型インフルエンザ」という言葉ではなくて、新しいインフルエンザの今回のPDMの株とか、株の名前をはっきり記すべきですね。
 それから、プレパンデミック、プレパンデミックと随分日本は騒いでいますけれども、よその国は全然騒いでいませんよ、プレパンデミックという言葉も使っていませんし。それは14年前の話ですから、そこの言葉の使い方もちょっと注意された方がいいと思いますよ。そういうことばかり警告されるインフルエンザの専門家の先生はいますけれども、14年間1つも当たっていませんよね。
○渡邉部会長 言葉の使い方という形で今出ましたけれども、確かに、新型とH5N1の高病原性は専門家の間でも少しごちゃごちゃしていると。一般の人から見ると確かになかなかわかりにくいところもあるように見受けられますので、事務局でもう一回見直して、適切な言葉に変える必要がある場合は検討していただければと思いますが、また、先生方ももう一回見直して、こういうふうに変えた方がいいんだというコメントがありましたら、是非事務局にお願いしたいと思います。今ここでそのことを議論している時間はないので、コメントを神ノ田室長に送っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかに何か御質問がありましたら。
○岡部委員 これで行動計画の方の政府案が出たわけですけれども、従来ガイドラインもありましたよね。それについての計画もお話しいただいた方がいいんじゃないかと思うんですが。
○神ノ田室長 この行動計画については、既に先月9月20日に政府として閣僚会議で決定されていますので、こちらは報告事項ということになりますが、いただいた御意見については次回改定する機会があれば、そちらに盛り込んでいきたいと思います。
 行動計画の対象とする範囲なんですが、H5N1という強毒性のものだけではなくて、すべての新型に対応できるようにということで今回整理して、まとめて改定をいたしております。
 今後の作業でございますけれども、今回、行動計画を改定いたしましたので、今後更に詳細な対応をまとめておりますガイドラインについても、主に専門家会議の作業班で検討していただくことになっておりますので、また、まとまりましたら御報告等をさせていただきたいと思っております。
○渡邉部会長 ありがとうございます。
 ほかに何かコメントありますか。
○木村委員 別の件でもよろしいですか。資料6でチクングニアが施行後、5人患者さんがあったということですけれども、このウイルスがどれくらい血中に存在するのかよく記憶していないんですが、この5人はいずれももう既往ということでしょうか。周りへ蚊を介して伝播するような可能性はなかった事例ということでいいのでしょうか。
○中嶋室長 お答えさせていただきます。聞いているところでは、既にウイルスが血中から消失して抗体が上昇している段階の帰国者という方もいらっしゃって、ちょうど2月は蚊の媒介のシーズンではなくて、6月にかかって懸念はしたんですけれども、そういった事案ではなかったと聞いております。
 以上です。
○渡邉部会長 ほかに御質問等はございますか。
 耐性菌のところでNDM-1に関して昨今のアンパブリッシュデータによると、インドにおいて大腸菌の50%以上ですか、あと、クレブシエラの30%ぐらいが分離されるもののNDM-1はポジティブであるということと、あと、環境内にこれが大分入ってしまっているという報告が出ていますので、日本としてもそういうものが今後入ってくるかどうかに関しては、十分注意を払っておく必要があると思います。特に、これはいろいろな抗菌薬がほとんど効かないような状況になっていますので、この辺のサーベイ等については病院も含めて十分監視していただければと思いますので、この辺もよろしくお願いいたします。
 ほかに何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。もし、ないようでしたら、本日の議題はすべて終了いたしましたので、これで会議を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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