ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 障害保健福祉部が実施する検討会等 > 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム > 第18回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録




2011年6月28日 第18回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年6月28日(火) 16:30〜18:30


○場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)


○出席者

石田構成員、岡崎構成員、河岸構成員、河崎構成員、栗林構成員、柴田構成員、
長野構成員、西田構成員、野澤構成員、野村構成員、東構成員、広田構成員、
渕野構成員、松浦構成員、三上構成員、三根構成員
田口参考人、釜江参考人

○議題

(1) 認知症への精神科医療について(入院)
(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第18回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。
 念のために申し上げますけれども、本検討チームは公開のため、検討チームでの審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解くださいますようお願い申し上げます。
 また、本日の出欠状況でございますけれども、朝田構成員、阿式構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 本日は議題に沿いまして、ヒアリングを実施する予定でおりますので、まず御説明していただく先生方を御紹介させていただきます。
 医療法人(社団)静風会大垣病院院長、田口真源様でございます。
 財団法人浅香山病院認知症疾患医療センター医長、釜江和恵様でございます。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 本日の議題は「(1)認知症への精神科医療について(入院)」でございます。BPSDを有する患者への入院医療、身体疾患を合併する認知症患者への入院医療について御議論をいただく予定といたしております。
 まずは事務局から資料に基づき説明をさせていただき、その後、精神科病院におきます認知症疾患患者への入院医療について田口先生から、続きまして、総合病院におきます認知症疾患への入院医療につきまして釜江先生から御説明をいただき、その後、意見交換の時間を設けたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず資料に基づきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。
 資料は「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム第2R(認知症と精神科医療)6月28日 資料」というものをご覧ください。
 昨年12月、中間とりまとめをしていただきました中から、今日の論点に沿います入院医療に関するものを抜粋しております。
 2番のスライドですが「BPSDを有する患者への精神科医療」ということで、主に入院関係については、こちらにあります3点「(マル1)BPSDへの適切な治療」「(マル3)認知症患者に必要な入院医療」「(マル4)治療抵抗性の重度の認知症患者の状態像の整理とその受入れ」がございまして、マンパワーの充実、人材養成などの意見をまとめていただいております。
 3番目のスライドでは「身体疾患を合併する認知症患者への入院医療」という項目で、こちらの3点がございます。「(マル1)合併症の状態像に応じた精神病床の受入先(総合病院精神科と精神科病院の役割分担)」「(マル2)慢性疾患を合併している認知症患者への対応」「(マル3)精神科医療機関と一般医療機関間の連携のあり方」でございます。精神科病院でどれぐらいの合併症を診ればいいのかといったようなことや、それでも診られない専門診療科とは他の医療機関と連携を推進するといったことなどについて御意見をまとめていただいております。
 4番目のスライド、入院の状況ですが、精神科医療機関に対する調査453の回答のうち、入院の理由として最も多かったのは、精神症状・異常行動が著明となり、在宅療養や介護施設等での対応が困難となったためということで、72%がBPSDなどが原因での入院が多い状況があるということです。
 5番目のスライド、入院前はどのような場所にいたかということですが、47%は自宅ということでございまして、残りの半分は医療機関と介護施設からというデータでございました。
 6番目のスライド、研究報告の中からの抜粋です。総合病院型の認知症疾患医療センター8施設を対象にした、平成19年11月1か月に新規入院した65歳以上の認知症高齢者21人についてのアンケートです。
 入院の理由として、95%がBPSD対応困難であったということ。また、14%は身体症状悪化もあったということでした。43%は即日入院が求められていますが、そのうち医師の診断等の結果で89%が即日入院になっている。また、この対象のうち中等症以上、これは下の注1という囲みの中にありますが、臨床的認知症尺度、CDRと言われる尺度に基づきまして判断したということですが、中等症以上の方が80%以上だったというデータがございます。
 入院経路としては、57%が自宅から、28%が医療機関、14%が施設ということで、昨年、当課で行った調査と似たような入院経路になっておりました。
 7番目のスライドですが、入院の理由としてBPSDが診られないということなんですが、実際に認知症のBPSDと介護の負担度の相関関係について示すデータがありましたので、御紹介します。
 こちらは囲みの中にありますが、※1、ZARIT、介護負担尺度というものを用いて、親族を介護した結果、介護者が情緒的、身体的健康、社会生活及び経済状態に関して受けた被害の程度を測定できる尺度というものがございます。これが最初0点から88点までつく尺度なんですが、点数が大きい方が負担度が重いということになっておりまして、これがグラフの縦軸になります。
 横軸が囲みの下にDBDとありますが、痴呆行動傷害尺度というもので、こちらは最小0点から最大112点ということなんですが、点数が高いほど症状が多いという状況になりまして、症状が多いほど介護負担度も上がるということで、相関関係を示すデータでございます。
 8番目のスライド、これは既に御提示していますが、通常のADLと身体介護への抵抗を踏まえた実際のADLとを比較しますと、抵抗を踏まえたADLの方が重いということが傾向としては出てきております。
 9番目のスライドは、昨年の調査で454名の認知症患者の方で、過去1か月間の精神症状の頻度を聞いたものであります。こちらにつきまして、同じ方が複数の症状があるかどうかというところの分析がなかなか難しいんですが、前提として、10番目のスライドにありますが、下の囲みで1つの症状がほぼ毎日のものがあれば4点、週に2〜3回程度のものがあれば3点、週に1回程度のものがあれば2点、月に1〜2回程度を1点、それ以下を0点を置きまして、例えば1人の回答者が2つの症状について、週に1回程度ということであれば2点×2つということで4点という合計点を出してみるということをやってみました。
 このグラフにありますように、大体2点、3点、4点辺りに多くの方が出ていて、更にそれ以上の方、一部点数が高い方もいるという状況でございます。複数持っているか、1つの症状かでいろいろあると思いますが、大体週に2〜3回ぐらい何らかの症状があるような方が多いというグラフになっております。
 11番のスライド、こちらは身体合併症に関するデータです。これも既にお示ししておりますが、上が入院治療が必要な程度を要する身体疾患の分布、高血圧や脳血管疾患といったものが出てきていますし、肺炎が多く出ております。
 下のグラフが日常的な管理、外来通院が適当な程度の身体疾患の分布です。高血圧、脳血管疾患、心疾患なども出ております。肺炎は入院に比べて少なくなっております。
 12番目のスライドですが、調査日における身体的管理ということで、どのような医療行為が行われているかということを調べたものです。薬物治療が下から2番目のところで出ておりますが、それ以外に胃瘻や経管栄養、点滴、喀痰吸引、血糖検査といったものが出てきておりました。
 13番目のスライドですが、更に調査対象に過去1週間に使用した薬物の有無というものを聞いております。抗精神病薬、向精神薬については、大体半分あまりの方があるというお答えでございました。抗認知症薬については、数としては少なく出ております。身体疾患治療薬は8割以上の方が薬物療法ありという回答でございました。
 14番目、医療機関間の連携で問題と御指摘がありますのは他科受診なんですが、実際にどのぐらい他科受診があるかということを調べたものですが、過去1か月間の他科受診のり有無を尋ねますと、あるという回答が20%、2割となっています。
 その2割のうち、どの診療科にどのぐらい受診しているかという内訳がその表ですが、一番下の内科が最も多く、他科受診ありの90名中70名という結果で、月に7.6回ということなので、週に2〜3回ぐらいかかっていらっしゃる方が多い。その次に多いのが皮膚科ということですが、圧倒的に内科が多いということが出ております。
 最後15番目のスライドは、前々回、認知症疾患医療センターの御議論をいただいていますので、認知症疾患医療センターで1施設当たり外来や入院をどのぐらい診ているかということを参考までにまとめたものでございます。
 入院については、1年間で1〜20が一番多く出ておりますが、大きな病院もありますので、200件以上というところも出ております。
 外来件数については、0〜500件というところがかなり大きな数になっておりますが、一部大きな件数を示しているところもあるといった分布になっておりました。
 これは御参考までということです。
 以降は参考資料として、症状の説明と診療報酬の評価の資料を付けさせていただいております。
 説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 続きまして、精神科病院における認知症患者への入院医療につきまして、田口先生からよろしくお願いしたいと思います。

○田口参考人 それでは、御説明させていただきたいと思います。
 事前にいろいろ御要望をいただきましたので、その順番に沿って資料をつくってまいりました。
 2枚目、今日お出しするデータのことなんですが、日本精神科病院協会で老人保健推進等の補助金事業で、平成19年、平成20年、平成22年のデータを中心に持ってまいりました。
 その中で平成22年ですが、昨年のものですけれども、退院患者さん、入院患者さんという言葉が出てくるんですが、この中の退院患者さんは平成22年4月1日から平成22年9月30日に認知症で入院した患者さんで、同期間内60日以内に退院となった方の中で、誕生月が3月、6月、9月の患者さんについてということで調査を行っております。これは日本精神科病院協会の会員病院364病院から回答がありまして、1,418名の患者さんについてのデータであります。
 それから、入院患者さんというのは、平成22年10月1日の午前0時現在入院中の認知症患者さんのうちで、平成22年4月1日から平成22年9月30日の間に入院期間60日を超えた患者さんで、やはり誕生月が3月、6月、9月についてで、これについては292病院から回答があって、1,195名の患者さんについてのデータです。
 平成19年の事業では、老人性認知症専門病院の機能の向上と効率的な運用並びに地域との連携の促進の在り方に関する研究というものがありまして、これでは会員病院200病院からの回答のデータです。
 更に平成20年度には、認知症高齢者とその他の高齢精神障害者の身体合併症と治療同意についてということで、調査、研究を行っています。これについては、やはり299病院からの回答がデータであります。
 これを一応押さえておいて、まず状態についてです。これは22年の調査研究の中からのデータです。退院できた患者さんと入院中の患者さんということです。入院前にいたところは、先ほどの御説明にもありました研究事業の中身が違うのであれなんですが、やはり自宅というのが多いという結果になっております。続いてグループホーム、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、その他の医療機関ということで、退院に至っていない患者についても大体同じような値を示しているということです。
 退院に至った患者さんの方では、入院の理由として、中核症状の進行、BPSDの悪化、身体合併症などがあって、BPSDの悪化が一番多いというのは先ほどのデータと同じです。ちょっと違うのは、中核症状の進行というものも入院の結果に表れてきています。
 これは後でお話をするつもりでデータをつくってきたんですが、BPSDというのはあるか、ないかというものではなくて、例えば睡眠障害などの非常に軽微なものも含めれば、ほとんどの患者さんに伴っている症状だという意味合いがあると考えておりまして、それが先ほど御説明のあった資料とこの資料で若干データが違うという印象を持つ原因だと思っております。
 BPSDの悪化という中の内訳なんですが、一番多いのが興奮、次に徘徊、睡眠障害、せん妄という順に並んでおります。多くのデータがこのような形になっているという印象を持っております。
 これが入院したときの状態です。それから、退院したときにどのような症状が改善してきたかということですが、やはりBPSDの改善というのは大きくて、身体合併症の改善、悪化、この場合、転院も退院に含まれておりますので、悪化の場合は退院になってしまう場合もあって、ここにデータとして挙がってきていると思います。その中でやはり興奮、せん妄、徘徊、睡眠障害等が改善して退院できたということだと考えます。
 次の退院時の中核症状なんですが、これは先ほど御紹介した別の19年のデータからで、主治医の判断ですので、少しエビデンスは弱いんですが、中核症状が改善して退院されていきましたという答えが全体の約30%ほどを占めていたということです。これは中核症状そのものの改善というよりは、むしろ周辺症状といいますか、BPSD等、中核症状の増悪因子であったものが改善してきて、それが中核症状を改善したという話になっているのではないかと考えております。
 認知症患者の状態について、これはまだ入院している患者さんのものです。
 入院の理由としては、やはりBPSDの悪化が多くて、あとの内訳というものは、退院できた患者さんと特に大きな違いはないのではないかという印象を持っております。
 8番のBPSDが改善しないという理由ですが、興奮、徘徊、妄想、せん妄がなかなか改善してこないというのがアンケートとしては返ってきております。
 次に入院に至った患者さんの症例を何例か紹介してほしいというお話でしたので、3例ほど症例を持ってきました。
 まずBPSD悪化によって入院となった症例ですが、81歳の男性で、元来温厚で人当たりがよく、社交的であって、特に人とのトラブル等はなかったんですけれども、入院の3か月ほど前に長男が死去されまして、そのときの葬儀費用の支払いが未払いなのに支払いったと言って、葬儀屋さんとトラブルになったらしいんです。
 その翌月、今度は奥様が急病で救急車で当院があります大垣市の一番大きな総合病院、大垣市民病院に搬送されました。救急車で搬送されるということは、かなり緊急を有する疾患であったのではないかと思われますが、このような状態になりました。そうしましたら、毎日のように奥様のところに出かけて行って、早く退院させてほしいと言って無理やりベッドから引きずり下ろすような行為をされる。周りの人が止めようとすると興奮されまして、奥様の主治医から退院はまだ難しい旨を説明されますが、納得されないということで、精神科の受診を勧められまして、当院を受診されました。
 入院時、長谷川式が7点で、見当識障害、記銘力障害あるいは人物誤認に加えて、徘徊とか暴言なども認めました。入院後は興奮が著しかったので、一時的に隔離室の使用もせざるを得ないような状況でした。入院時に少量のリスペリドンを使用しまして、症状が徐々に改善したため入院7日目に隔離室から出ました。1か月ほどで暴言・暴力等のBPSDは改善して、特に病棟で問題を起こすようなこともなくなりましたので、家族と病院スタッフを交えて病気の説明、対応等について学習していただいて、家族環境調整ということをしまして、平成22年12月31日に退院されました。
 その後、自宅で生活できる環境が十分ではないということで、老人保健施設に入所しながら当院の外来に通院されています。
 こういう患者さんです。
 次は中核症状を中心に治療していましたが、一時的にBPSDが悪化して入院に至ったケースを御紹介したいと思います。
 77歳の女性で、11年前に夫が死亡後、独居になりまして、6年前より家事、金銭管理に支障が出てきました。翌年、食事を摂っているかどうかもわからなくなって、更に近所で道に迷うなどの状況のため当院を初診されました。これが平成17年8月26日です。
 ドネペジルを投与しまして、当院の重度認知症デイケアを利用されました。独居は非常に難しいと思ったんですが、近くに住んでおられる長女がかなり献身的に援助されまして、その援助と重度認知症デイケアの通所ということで生活をされていました。ただ、このころより金銭管理ができないということで、訪問販売員との契約トラブルがたびたびあったり、外出したときに踏み切りの遮断機が下りているのにわたるなどの行為がありまして、元来大変穏やかな方であったんですが、ときどきデイケアでも不機嫌で、スタッフの関わりに対してかなり不穏になられることも出てきました。
 老人保健施設のショートステイを利用することになりましたが、どうも落ち着かれないということで、かなり易怒的になられまして、平成22年5月14日に医療保護入院となりました。
 入院して少量の向精神薬を使用して、4週間ぐらいで攻撃的な面も見られなくなりましたので、中核症状がかなり進んでいるということで、試みにドネペジルも中止しました。これでも特に変化がないので、バルプロ酸を感情調整剤として1錠のみ残しまして、観察しております。入院したときの中核症状としては、MMSEで4点までいっておられましたので、かなり重度だと思います。
 施設が空いていないとか、そういう背景があって退院に結び付かなかったんですけれども、グループホームに入所が決まりまして、今、退院手続中の患者さんです。
 それから、ドネペジルが不安焦燥をかえってあおってしまったのではないかというケースを御紹介したいと思います。
 81歳の女性で、非常に攻撃的な言動をするのでも、穏やかになってほしいという要望で受診されました。
 平成20年8月ごろより離れに住んでおられたんですけれども、別宅の息子さんの家のチャイムを何度も鳴らすとか、家事ができなくなってきたということで、近くの病院を受診されて、そのときに長谷川式15点。ドネペジルを処方されて、当初は効果があって、少し意欲も出てきたということで、デイサービスなどにも積極的に参加されるようになってきました。
 平成22年5月ごろより、多動、デイサービスでかなり他の方に攻撃的な言動が目立つようになりました。そのときに長谷川式は9点ということで、ドネペジルを10mgに増量したところ、暴言、多動がかえって強くなるということで、クエチアピンを追加されたようですが、改善しなさいということで当院を受診しまして、9月17日に入院になりました。
 入院時に完全右脚ブロックがありまして、かなり努力性の呼吸で息が荒いということがありました。どうも副作用ではないかということがあって、ドネペジルを中止しました。御家族も薬が合わないのではないかという印象を持たれていたので、その辺りは説明をしながら10mgを5mg、3mgと漸減してきまして、反対にバルプロ酸を200mgから400mgというところで調整してみました。大体2〜3週間で穏やかになられまして、そのときに長谷川式をやらせていただきましたら17点で、MMSEが15点となって、少しよくなった。
 先ほど言いましたように、BPSDが中核症状を増悪させていたのではないかということをこの症例で考えていたわけですが、退院しまして、今、グループホームで問題なく穏やかに過ごされています。グループホームの顧問医がバルプロ酸を処方していまして、書くのを忘れましたが、今200mgを投与されているということです。現在は当院には通院されておりません。
 このように3つの症例を紹介させていただきましたが、認知症の症状として13番のような表がよく表に載っているんですが、下の表を見ていただきたいと思います。やはり中核症状とBPSDというものは個別にある、なしという形であるわけではなくて、相互にかなり関連しているということをお話したいと思っています。特に概日リズム障害などが記憶障害に悪い影響を与える。記憶障害が物取られ妄想を惹起するということで、いろんな形で関連があるということです。なので、中核症状の治療、増悪因子としてBPSDを改善していくことが、少なくとも中核症状の増悪因子を取り除く働きがあるのではないかと考えております。
 15ページは、身体疾患における症状の連続性というか、高脂血症、動脈硬化、高血圧、糖尿病などがつながっていくと、だんだん疾患が重篤になっていくのと同様に、やはり認知症における症状、特にBPSDは軽い睡眠障害から始まって、概日リズム障害、徘徊、せん妄、興奮や妄想というものにつながっていくという連続性、相互の関連だけではなくて、症状としての連動性もあるのではないかと考えております。
 そこで、17ページのグラフを見ていただきたいんですが、私に与えられたのは入院医療という話なんですが、入院、外来も含めて早期から治療的な関わりないしは主治医としてという意味ではなくて、医療的な関わりは必要なのではないか。その中でBPSDが増悪するときには、認知機能も悪くなる可能性がありますので、そういう時期にできるだけ短期に入院治療をしていただいて、少しでもQOLを底上げして、それが1回になるのか、2回になるのか、3回になるのかわかりませんけれども、できるだけ初期から関わって、入院についても短期に関われたら患者さんにとっても非常に利益になるのではないかと考えております。
 そういうことで、入院治療の目的でありますが、BPSDの治療、中核症状についての治療、更に先ほどから申し上げていますように、BPSDが増悪因子となった中核症状の悪化の改善というものも1つの目標として挙げたいと思います。
 それから、3つ目に挙げましたように、薬物の投薬量や内容の評価、そういうことも外来で難しい場合は、入院していただいて調整をするということも1つ機能としてはあるのではないかと考えております。
 更にBPSDが激しくて、一般病院での対応が困難な身体合併症治療ということも機能としてあると考えます。
 ただし、全てについてできるだけ短期の入院を目指すということは言うまでもありません。
 次に「(マル2)身体疾患を合併する認知症患者の状況や対応について」ということで、お話をしたいと思います。やはり平成22年度のデータを中心にお話をしようと思います。
 身体合併症というものがありますが、入院の理由として23%に出てまいりました。これは数としては無視できない数ではないと考えています。
 21ページ、認知症の状態についてということで、入院患者さんを挙げました。
 右の方を見ていただきたいんですが、先ほどのお話にありましたように、呼吸器系の合併症というのは一番多い。呼吸器系、循環器系という形で内科系の疾患はどうしても多くなってくると思っております。
 それから、同じ研究事業の中でどのような治療をしているかという治療内容なんですが、気管切開をしているというところから、高血圧・糖尿病・不整脈等の治療ということです。その病院でできることはいろいろやっていると考えております。
 25ページです。前のページが認知症治療病棟入院料1で、こちらは2をとっている病院の回答です。内容はほとんど変わらないと思います。
 次に「(マル3)他の診療や他の一般医療機関との連携について」ということですが、これは平成20年度のデータなんですけれども、連携先の病院としては、一般の民間医院、一般の民間病院、国公立・公的病院とあります。若干ですが、連携先がないという病院もありました。
 うまくいっているか、うまくいっていないかということですが、大体うまくいっているとうまくいっているを合わせると、76%がうまくいっているのではないかという答えが返ってまいりました。
 27ページをお願いします。連携をうまくするためにどのような工夫をしていますかという質問です。卒後研修に協力するとか、普段から紹介患者さんを積極的に受け入れるなどの連携をとっているとか、勉強会などの交流をしている、往診とかリエゾンみたいな協力体制をとっているということで、こういう形になります。いろんなチャンネルで連携は努力していますという回答ではないかと思います。
 次に「(マル4)退院促進のための取り組みについて」なんですが、22年度のデータに戻りますと、退院後の治療先なんですが、精神科の外来が一番多くなっています。他の精神科外来も含めてだと思いますが、48%が精神科外来です。一般の医療機関も40%ということです。
 精神科の外来の中では、自院が72.8%で、他の精神科外来ないしはクリニックに紹介しているものが14.7%であったということです。
 それから、退院患者さんが退院した後に受けているサービスということですが、やはり介護保険サービスがかなり多いんですが、重度認知症デイケアというものも22%の方がサービスを受けておりまして、重度認知症デイケアを運営している立場からいうと、入院の防止だけではなくて、退院後の受入先といいますか、在宅を支えるという機能も重度認知症デイケアでは果たしているのではないかと感じております。
 31ページですが、認知症地域連携パスというものも最近いろいろつくられていると思います。ここでお示ししましたのは、日本精神科病院協会でつくっているものと、当院が地域の医師会と連携をしながらつくっているものです。日本精神科病院協会の地域連携パスの作成とリンクして仕事をさせていただいていますので、両方で意見をすり合わせて、現在作成中のパスであります。医療者用と患者さん用、計画書ということで、この3つでつくられております。
 最後になりますが、認知症患者さんの状態についてということで、平成22年度に医療機関に退院できない患者さんにとってどのような施設があれば退院可能かということを自由回答欄に書いていただきました。時間もなくなりましたので、これも参考にしていただければと思います。
 どうもありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、総合病院におきます認知症患者への入院医療につきまして、釜江先生からよろしくお願いしたいと思います。

○釜江参考人 浅香山病院の釜江です。よろしくお願いします。
 総合病院の立場からということなんですけれども、私が所属します浅香山病院というのはとてもユニークな形態の病院です。精神科が母体の総合病院ですので、その辺も踏まえてお聞きいただけたらと思います。
 今日の御報告の内容というのは、浅香山病院の認知症センターでの入院医療の取組みについて、あと具体的な症例等についてもお示しくださいということと、多職種のチーム連携についてということですので、それについてお話させていただきます。
 まず堺市の置かれている概要なんですけれども、スライド2になります。83万人の政令市になります。7区からなっております。
 スライド3ですけれども、認知症疾患医療センターが堺市には2つございます。北部の地域が当院、浅香山病院が担っておりまして、南ブロックは同様に精神科の病院、阪南病院さんが担って、基本的に認知症の方については鑑別診断の内容であったり、問診の事前に送らせていただく様式、紹介状、返信の様式というものはこの2つの病院で統一して、堺市の医師会さんを含めて連携して行っているという状態です。同じような運営の仕方で両者が回っている形になります。
 当院、浅香山病院を御紹介させていただきますが、先ほど申し上げたように精神科が母体の総合病院になります。
 精神科・神経科が948床で17病棟ございます。認知症の患者さんを主に診ております病棟というのは、認知症治療病棟が60床×2病棟、今日お話しに挙がりました身体疾患の合併症の病棟、これは急性期の身体疾患の合併を診る病棟になりますけれども、精神科の病棟として、閉鎖病棟で50床1病棟を備えております。
 一般科の方は、お示ししました248床がございまして、基本的に脳神経外科を除いてはほとんどの科が網羅できているという状況になります。
 スライド5をお願いします。浅香山の認知症疾患の事業内容としましては、厚生労働省から定義されている上記のようなものになります。
 スライド6「受診の流れ」ですが、まず専門相談員がお電話で情報収集して専門医に上げて、この中で連携という意味からいきますと、病状から脳卒中であったり、脳炎のような救急を要するような内科疾患が疑われるような場合のときには、他施設を早急に御紹介するということになりますし、早急にBPSDの治療を要するケース、早急に鑑別診断を要するケース、緩徐であるが、BPSDは目立たずに鑑別診断のみを有する、ある程度待機可能なケースということで分類をして、診察に当たっております。
 スライド7をお願いします。状況としましては、鑑別診断、初診の枠を1週間に17枠、そのうち7枠は早急に対応、例えば入院が必要なケースという形で直前まで空けて待機をしているという形です。既に鑑別診断がついているようなケースにつきましては、精神科の一般の初診で対応する場合もございますし、当日、緊急に入院が必要な場合というのは精神科の救急の当番医が診察を行って、当日受けられるという3段構えの診察体制にしております。
 浅香山病院の認知症疾患医療センターの最近の動向ですが、昨年10月から12月の3か月ですけれども、相談件数は大体月70件、鑑別診断が55件、認知症治療病棟への入院が月17件、急性期の病棟、精神科の救急病棟へも月7件程度の入院があるという状況です。
 スライド9になりますけれども、こちらが相談経路になります。堺市は医師会の先生方の御協力が得られて、かかりつけ医からの御紹介というのがかなりの件数に上っております。
 続きまして、本題の入院治療の方のお話をさせていただきます。スライド10になります。
 認知症治療病棟のコンセプトとしては、与えられておりますように、BPSDを急性期から集中的な治療をしましょうということで、これは診療報酬のこともありますが、2か月から3か月で退院を目指して、自宅が理想であるけれども、不可能であれば施設を勧めていくという形になります。
 スライド13になります。入院数の認知症の割合です。これは認知症病棟へ入院した方、昨年10月から12月の3か月なんですけれども、52件です。
 52件中、当科の外来で長期フォローをしていたのは3件だけでして、他のケースは全てかかりつけ医であったりとか、ケアマネであったりとか、それまで当院に受診歴がない方の飛び込み入院紹介例という形になりますので、当院でお受けする入院の方というのはほとんどが初対面という形で、長期に当院で外来でフォローしていた方が認知症病棟、BPSDが悪化して入院に至るというケースはごくまれな形になります。
 認知症病棟でどんな治療をしているかということなんですけれども、スライド14です。医師の方は勿論BPSDに対する治療なんですけれども、看護師は疾患別のケアの実践と非薬物療法の選定、これは一番最後の方に当院の看護師が書いた文献等が載っておりますので、また御参照ください。作業療法士は生活機能回復機能訓練を行いますし、臨床心理士は回想法を行っております。ソーシャルワーカーは家族支援、退院後の処遇の検討やケアマネの調整を行うという形で、チーム医療をしております。
 スライド15、16をお願いします。これは少し字が抜けてしまっているんですけれども、52件の方の割合というのは、男性の方が若干多いです。女性22名、男性30名で、先ほどもCDRの説明がありましたけれども、中等症の方が多いです。
 これはグラフが抜けていますけれども、スライド15の方で一番多いのはアルツハイマー病、続いて脳血管性認知症、その次が前頭側頭型認知症という割合になっております。
 入院・退院後の処遇につきましては、これも先ほどの田口先生の報告と同じように、入院前で一番多いのは在宅・家族同居、その次が在宅・単身、12%が老健から、その次がグループホームという形です。
 退院先は、逆に21%が家族が同居、31%が老健、その後グループホームと続いております。
 スライド17をお願いします。当院の治療病棟では入院治療のパスを作成中です。詳細は一番最後のページにエクセルの表が載っておりますので、時間があるときに御参照いただけたらと思います。
 チームとしまして、医師はBPSDに悪影響を及ぼす要因の除去、これは薬物の除去であったり、身体疾患の改善であったりしますが、その次に精神薬での治療を開始。
 看護師としては、先ほど申し上げたように、非薬物療法を選定して、疾患別のケア、介護者の指導を行う。
 ケアワーカーは、その中で生活援助。
 病棟担当の精神保健福祉士は、病状や疾患の特性、家族の介護力、経済状況に合わせた介護サービスを入院中からケアマネージャーや地域の包括支援センターの者と相談をしていくという形になります。
 作業療法士、臨床心理士も同様の形で関わっていきます。
 パスとしては、恐らく疾患別と退院先別に作成するのがより望ましいのではないかということで、現在作成中です。
 実際にどういう治療が行われているかということをお示しいただきたいということがありましたので、スライド18になりますけれども、当院ではBPSDの評価はNPI−NHといって、認知症の入所者の精神症状を評価する尺度ですけれども、妄想であったり、幻覚であったり、興奮であったりを頻度と重症度のかけ算で計算して点数化して評価するものですが、これを入院前、入院1週間、1か月、3か月、退院時ということで評価をして、それぞれの時点でプランを立て直して、最終的にはそのデータを退院先の入所施設であったり、通所するデイサービスのスタッフに申し送るという形をとっております。
 スライド19をお願いします。具体例です。症例ですけれども、76歳のアルツハイマー型認知症の方です。
 72歳のころから物忘れが目立つようになって、自分から何もしなくなって、74歳からデイサービスを利用されていた。
 76歳時、胆嚢炎のために3週間入院して、退院してきましたけれども、デイサービスに行きたがらずに家で過ごすことが多くなって、昼間からうとうとしていることが多くなった。
 退院後1か月後には昼夜のリズムが逆転して、自宅が自分の家ではないと言って訴えたり、興奮して攻撃的になったり、夕方にはカーテンの陰に誰かいると訴えるようになって、在宅困難になって、入院になったという形です。
 入院前のNPIの評価というのは、妄想、幻覚、興奮でそれぞれ点数があった状況です。
 スライド21をお願いします。入院時の段階で診断はアルツハイマー型の認知症と昼夜逆転によるせん妄。
 入院の原因となる症状というのは、せん妄による妄想や幻覚、興奮。
 せん妄の原因は、日中の活動性の低下による睡眠障害。
 家族の負担が最も大きいのは、妄想とそれに伴う興奮ということでした。
 スライド22をお願いします。計画としては、医師はせん妄に対する薬物治療の必要性の有無の検討。
 スタッフは、せん妄改善のために日中の活動性を維持して、睡眠覚醒リズムを改善させるためのプランの作成。
 ソーシャルワーカーとしては、自宅退院を見据えて、せん妄を起こさないような介護サービスの利用の仕方を検討、準備することになります。
 スライド23をお願いします。入院1週間後のNIPの評価ですが、まだ妄想であったりとか、幻覚、興奮、睡眠の障害というのは、頻度、重症度ともに残っているという状態です。
 そのときに必ず1週間、1か月でカンファレンスを行いますので、治療の方針が修正されます。
 医師は、せん妄に対して薬物治療、セロクエル、クエチアピンですけれども、開始します。
 ケアスタッフは、注意して昼間起こしていましたけれども、なかなかリズムがついていないということで、光療法、午前中に30分屋上で日光浴をしましょうというプランを立てます。
 作業療法士は、日中の活動性を更に上げる必要があるので、集団のレクリエーション以外に個別の活動を検討するという形です。
 1か月後、NIPの評価はこういう形で、無為・無関心は残りましたけれども、幻覚や妄想、興奮、睡眠症状はほとんど改善しましたので、退院直後からデイサービスに行けるようにします。事前にケアマネージャーさんにも来院いただいて、ケースワーカーと相談をしながら、退院したら翌日からデイサービスが週4回できるように準備をしてから退院して、デイサービススタッフにも病棟での活動の様子を伝えて、活動性の維持を依頼しました。
 こういうのが典型的なうまくおうちに帰られるようなケースになります。
 BPSDの治療についての問題点ですけれども、これは当病院の方で抱えている問題点になります。
 まず包括医療と看護基準等から重篤な身体合併症・低ADLの方には対応が困難です。事前に資料をお示しくださったように、看護配置の問題、保険点数、診療報酬の問題からいきますと、それはなかなか難しい現状で、重篤な身体合併症であったりとか、低ADLの方というのはどうしても精神科救急・急性期病棟を使用するしかない状態です。そうしますと、そこにはかなり激しい統合失調症の患者さんであったりとか、感情障害の患者さんも入院されておりますので、どうしても隔離の期間が長期化してしまいます。そうしますと、よけいにせん妄などの精神症状悪化を招きかねないという悪循環が起こってしまうという問題点があります。
 また、在宅から入院しても在宅に退院が難しいケースが多い。特に老老介護で奥様が介護者の場合というのは、一度介護から開放されると、なかなか戻ることが難しい。特にせん妄状態で御主人が非常に興奮されて、暴力を振るわれたという過去がありますと、おうちへ帰るということを希望されないケースも多いです。
 中には、介護度の中ではサービスが足りないという方もいらっしゃいます。
 問題点の2点目ですけれども、急性期病棟であるが入院が長期化しております。後に示しますように、経済事情から老人保健施設、特別養護老人保健施設にしか入所できないことがあるということです。
 そこに大阪府で大体どれぐらい費用がかかるかということを書いておりますが、グループホーム、有料老人ホームに入られる方というのはスライド28を見ていただいたらわかりますように、比較的早く3か月以内に帰られる方が多いんですが、老健、特別養護老人ホームを待つのが厳しいという場合は、入院が長期化してしまっているのが現状です。
 もう一点としましては、介護保険を利用できない40歳未満の若年性の認知症の方が入院されております。当院でも認知症病棟に変性疾患による30代の認知症の方が3名入院されております。こういった方は退院できる精神症状になりましても、介護保険が使えませんので、そういった施設に行けないということが大きな問題になっております。
 もう一点としては、虐待事例の医療保護入院の保護者の問題が最近は挙がってきております。虐待事例ではあるけれども、施設措置では対応できないBPSDがある患者さんというのがやはりいらっしゃいます。その場合、医療保護入院になりますので、暴力を振るっている御主人を保護者にしていいのか、あるいは経済的搾取をしている息子さんを保護者にしていいのかという問題が生じてまいります。この辺についても明確な基準が必要になってくると考えております。
 退院先による日数の差異というのはそこにお示ししたとおりで、費用負担が比較的軽い老人保健施設や特別養護老人ホームになりますと、6か月ぐらいかかってしまうという現状にあります。
 スライド29に進んでいただけたらと思います。BPSD多施設共同調査を昨年行いましたので、結果を少しお話できたらと思います。
 ここでは浅香山病院と大阪大学の精神科、東加古川病院、ためなが温泉病院、いずれも精神科の治療をしているところで、BPSDがどれぐらいになったら入院して、どれぐらいになったら退院しているのかという調査を行ったものです。
 スライド30に移りますが、4施設で176名が登録してくださいました。6か月以内に退院できた方が92名、退院ができなかった方が48名になります。
 スライド31をお願いします。入院を要する目安というのは、先ほど申し上げたNIP、頻度と重症度をかけ合わせたもので、妄想だったら6点以上、興奮だったら8点以上という大体の目安が見えています。
 NIPの合計点の推移といいますのは、入院時に大体50点から60点ぐらいあるんですけれども、1週間後には3分の1ぐらいに下がって、1か月後には10点台に下がっています。色が付いている方が退院可能群で、白い方が退院ができなかった群ですけれども、退院した群、退院できなかった群に差はありません。入院時などでいえば、退院できなかった群の方が比較的軽いぐらいなんです。ですので、入院期間としては恐らく1か月ぐらいで治療できるケースは終了するという形になります。
 退院を困難にする因子なんですけれども、スライド34に進んでいただけたらと思います。いろいろ検討しましたが、差が出たのは、女性より男性の方が退院しにくいということと、御本人の年金の金額、経済的に幾らぐらい介護に費用が負担できるかということで、年金額が少ない方の方が退院が難しい、この2つだけに差が出た状態です。
 スライド35で、介護者の要因については、特に退院を困難にする因子としては差はありませんでした。
 スライド36ですけれども、退院が困難であった理由として、精神症状としては性的逸脱行為であったり、大声、暴力、盗食、放尿、介護抵抗といったものが14例挙がりました。特に性的逸脱行為というのはなかなか難しいと考えています。ですが、患者さん以外の要因、治療はできているんだけれども、受け入れる施設が経済的に難しいであったりとか、家族が関わりを拒否しているというような本人の病状の要因以外の問題が約半数を占めた状況です。
 スライド38をお願いします。当院の認知症の合併症の急性期病棟についてお話させていただきます。
 当院は精神科病床として、閉鎖病棟で50床の急性期合併症病棟を持っております。ここは一般科医師が中心なって、一般病棟で対応困難な精神症状のある精神疾患の患者さんの合併症の急性期の治療に当たるという病棟です。ですので、統合失調症の方、感情障害のある方、あるいは知的障害でかなり興奮がある方等も対象になっております。
 当院では、基本的には認知症があっても、精神科ではなくて一般病棟で入院を受け入れる方針になっております。一般科病棟の方には病棟担当の精神科医師を配置して、必要に応じて共観をとっております。認知症患者さんのうちで非常にBPSDが激しい場合のみこちらの病棟を使うという形になります。
 入院の基準については、身体疾患の入院治療の必要性は一般科の医師が判断しまして、合併症病棟、精神科の入院が必要かということについては、精神科の医師が判断して、一般科の医師と精神科の医師のダブル主治医制をとって治療を行っております。
 スライド39になります。去年1年間の合併症病棟での認知症の患者さんの割合は28%です。これは年々3%ぐらいずつ増えてきている状況にあります。確かに閉鎖病棟ですし、離院の心配もございません。以前は合併症病棟は開放病棟の精神科の病棟だったんですけれども、かなり離院してしまう可能性が高いということで、今は閉鎖病棟になっているんですが、そういった意味で精神科と一般科の先生がダブルの主治医で治療を行えるという意味では、理想的ではあります。
 スライド40に進みます。院外からの紹介件数は非常に多いんですけれども、他の精神疾患の患者さんの合併症の治療も行っておりますので、認知症の方だけをおとりしますと、多分他の疾患の方をおとりできないという形で、なかなか受け入れられない状態にはあります。
 こういう病棟がありますということを地域の先生方も御存じですので、認知症という病名だけで、特にBPSDが目立たなくても診断がついているだけで、一般病院からもうそちらで診てくださいという形で紹介されてきてしまうケースもあります。
 あと、在宅から入院して、身体疾患の治療を終了して退院可能になっても、御家族がなかなか在宅への退院を受け入れられずに、認知症病棟へ転棟せざるを得ないケースがあるというのが実情です。
 最後になりますが、多職種のチームの取組みということで、スライド41は堺市医師会のホームページになります。
 堺市医師会と堺市の方で地域との連携という意味で、疾患センター以外にスライド42に示しますような鑑別診断が可能な施設であったり、BPSDの外来治療ができるとか、入院治療ができる、急性期の合併症が診られるであったりという施設をリストアップして公表してくださっています。
 当院では、多職種のチーム連携という意味で、一番それが発揮できるのは若年性の認知症ではないかと考えています。特に今回認知症疾患医療センターの1つの中に若年性認知症の方の支援をしっかり行いなさいという項目がありますので、スライド43になりますけれども、当院ではラフラフという65歳未満の若年性認知症の方で、まだ介護保険のサービスにのらないような軽い方、きちんと告知を受けている方に対して、週1回2時間の外来作業療法という形でグループ活動を開始しております。
 その中で、多職種といいますのは、作業療法士は疾患別の特性を生かした取組みであったり、臨床心理士が心理的なサポート、PSWは経済的あるいはいろんなサービス、制度について、家族に適切な支援をしていくという情報提供を行っています。
 どういった方が利用しているかというのは、またお時間があるときにお読みいただけたらと思います。
 最後のスライド51、52なんですけれども、その他の多職種との連携、堺市との連携についてお話させていただきますが、1つは堺市の包括支援センターと認知症疾患医療センターである浅香山病院と阪南病院で連携と処遇についての事例検討会を行っています。これは症例を基に処遇、困難例にどういった利用可能なサービスが地域にあるのか、あるいは新たにどういうものが必要なのかということをケースを通じて検討していく会で、3か月に1回行われております。そこで得られた必要なサービスであったり、システムの検討、議題というのは、認知症疾患医療センターの連携協議会に上げて検討していく形になります。
 最後の52のスライドですけれども、浅香山病院にしましても、もう一つ認知症疾患のセンター阪南病院さんにしましても、アウトリーチ機能は持ちませんので、特に入院治療が必要な方であったりとか、医療になかなかのらない方にどうやって対応していくかということで、堺市の方では堺市認知症対策連携強化事業としまして、そこに書いてありますように、認知症の専門医、嘱託医を5名地域包括支援センターに配属しております。その先生方というのは、神経内科の先生であったりとか、精神科の先生であったり、サポート医の先生であったりするんですけれども、月に1回それぞれの先生が困難事例の在宅を訪問して、適切な医療であったり、適切なサービスへつないでいくというアウトリーチ機能を持つような形に、今、動いてきているという状態です。
 病棟で行っているような細かなこと、どんな工夫をしているかということは、後の資料にお付けをしておりますので、また読んでいただけたらと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまからプレゼンテーションをしていただいた先生方への御質問や、それを踏まえての意見交換とさせていただきたいと思います。
 テーマとしては、大きく2つでありまして、1つはBPSDを有する患者さんへの入院医療についてという部分と、もう一つの方は身体疾患を合併する認知症疾患の患者さんへの入院医療ということで、前半はBPSDを中心に、後半は身体合併という形で、一応2つのテーマに分けて御質問や御意見をいただければと思っております。
 プレゼンテーションしていただいた先生方への御質問も、それぞれのテーマの部分で、できるだけ御配慮して質問していただければと思います。お願いいたします。
 残りが大体1時間弱でございますので、時間配分は適宜見ながら、それぞれのテーマで議論がちゃんとできるように進行したいと思います。
 それでは、いわゆるBPSDを有する患者さんへの入院医療について御質問あるいは御意見がある方、構成員の御発言をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 日精協の河崎です。
 田口先生、釜江先生、どうもありがとうございました。
 釜江先生に確認の意味でお聞きしたいと思っているんですが、先ほどの話の中で、特に先生のスライドの13番のところなんですが、よろしいでしょうか。認知症の治療病棟に52件のケースが入院をなされた。この方たちは、その後、大体何か月ぐらいに退院なり、あるいは在宅、施設というところのデータはいかがなんでございましょうか。

○釜江参考人 ちょっとスライドの文字が抜けているんですけれども、スライド16がその結果になります。
 スライド16の退院先の21%というのが在宅で介護者がいらっしゃる状況です。

○河崎構成員 大体どれぐらいの期間で在宅なり、あるいは施設なりへうまく退院をなされていっているのかというところの資料があれば、教えていただきたいんです。

○釜江参考人 それは少し差異はあるかと思うんですけれども、スライド28の退院先による日数の差異というところで、これが昨年度1年間の主なデータですので、大体こういう形だと思います。

○河崎構成員 そういたしますと、多くの方は約3か月ということですね。

○釜江参考人 二極化すると思います。半年近くなってしまう方と、3か月以内で退院できる方という形になるかと思います。

○河崎構成員 そうしますと、例えば1年間の残存曲線のようなものをイメージしますと、1年経った段階で入院なされた方の約3割程度はまだ先生の病院で残っておられる、もしくは認知症の治療病棟で残っておられるということは、先生の病院ではあまりないと考えていいんでしょうか。

○釜江参考人 3割は残っていないです。ただ、先ほど申し上げしたように、二極化ということで、施設を申し込んでから待機の期間が半年以上あるというケースもありますので、1年を超えて3割以上ということはないかと思います。

○河崎構成員 その辺のところは、このラウンドの中でも前半部でかなりいろいろ話があったんですが、全国的なデータからしますと、認知症の治療病棟の方たちの残存曲線を見てみると、1年経っても約3割から4割近い人がまだ病棟に残ってしまっている。これは専門の治療病棟の方から地域へ出す力が必要なのではないかという意見も多々ございました。逆に医療を提供している立場からしますと、地域の方たちの受け皿としてのパワー、その辺がもっと強くなればいいのではないかということで、意見が対立とまではいかないけれども、たくさんあった部分なんです。
 そういう面で、先生の今日の御報告をお聞きしていると、その辺りは全国的な平均よりは、先生方のお力を地域へ出していった結果としてこういうふうになっているのか、あるいは地域との連携なり介護保険施設等との連携が非常にうまくいっているからこういう結果になっているのか、すごく興味があったし、教えていただきいと思います。

○釜江参考人 基本的に帰られる方は早くというのがあるかと思います。というのは、グループホームさんであったりとか、特別養護老人ホームであったりとか、有料老人ホームから来た方というのは、先ほどデータをお示ししましたように、BPSDの治療は基本的には1か月から2か月でほとんど終了しておりますので、少なくとも受入先があれば、その時点で退院ができる状況になります。
 あとは、入院時点で、特に男性が患者様で奥様が私がもう家では見られないとなっていて、経済的にも厳しいとなると、行き先が限られてしまいますので、そういった方というのは治療が終わってから待機する時間が物すごく長くなってしまいます。そういったケース、事前にこの人の退院先は苦慮するという場合は、ケースワーカーは入院当初からその方の御家族と相談しながら、経済的な部分あるいは病気の重症度を踏まえて、退院先を探していくというような動きはしております。

○河崎構成員 ありがとうございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御意見、御質問はございませんでしょうか。渕野構成員、お願いします。

○渕野構成員 同じく釜江先生に質問です。
 BPSD、身体合併というのは必ず2つ考えられるわけですけれども、まずBPSDで認知症治療病棟に入ったケースで、身体合併があまりない場合、今、言ったように1〜2か月以内に退院を目指すということはよくわかるんですが、先生が言うように、病棟が二極化されてきて、出せる人と停滞する人があるんだと思います。今、言ったように、受け入れが悪いとかいろいろな条件もありましょう。認知症病棟は当然二極化されてくると思って、何とか機能を分ける必要があると考えています。それが1つです。
 それから、身体合併症の問題なんですけれども、最初から入るときにBPSDで入る数の方が圧倒的に多いですね。

○釜江参考人 はい。病棟自体がBPSDの治療をするための病棟です。

○渕野構成員 そうすると、身体合併というのは、入る前から持っているケースもあると思うんですけれども、入った後、入院した後にそれが悪化して移る。どういうケースの身体合併ですか。

○釜江参考人 基本的に合併症病棟に移らないといけないようなケースというのは、入院後の転倒骨折であったりとか、心疾患の急激な悪化、あるいは誤嚥性の肺炎、その3種類が圧倒的に多いと思います。誤嚥性肺炎ぐらいであれば、病棟の方でそのまま治療は可能だと思うんですけれども、やはり骨折、手術というのが一番多いと思います。

○渕野構成員 それは当然BPSDで、いわゆる行動傷害などによる二次的な身体合併ですね。

○釜江参考人 はい。

○渕野構成員 昔から話の中にあります、いわゆる総合病院の身体合併症に移るというものの多くは、骨折だとか、そういう二次的に認知症の症状として身体が悪くなるというケースでよろしいですね。

○釜江参考人 うちの病院で入院した以降に移るケースというのは、そういうケースが多いです。

○渕野構成員 だから、最初から総合病院の身体科に入る認知症というのは少ないと考えていいですか。

○釜江参考人 総合病院の身体科への認知症の方の入院というのは、うちの病院は基本的に認知症があっても、一般の病棟の方にまずは入院というコンセプトをとっておりますので、その中には普段の糖尿病が悪化した方であったりとか、腎機能が悪化して一時的に入院であったりという普通のお体の病気の方と同じような形でいらっしゃいます。

○渕野構成員 そこに入る場合の認知症の入院形態は、一般病院ですから、普通の入院形態ですか。

○釜江参考人 普通の入院形態です。

○渕野構成員 認知症の急性期の合併症の治療病棟の閉鎖というところがありましたけれども、当然そこは医療保護入院になるわけですね。

○釜江参考人 医療保護入院です。

○渕野構成員 わかりました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 東構成員、お願いします。

○東構成員 私も釜江先生にお尋ねをします。大変興味深いデータをお示しいただきまして、先ほどの河崎先生の御質問にも関連するんですが、先生のお示しされた52件のデータの転記がスライド16になるんですが、これを見てみますと、私は老健をやっているものですから、ついついそちらの方に興味がいくんですが、入院前の老健からというのは12%、退院先の老健が31%で一番多いんですね。

○釜江参考人 29%です。

○東構成員 21%が自宅で、31%が何ですか。

○釜江参考人 済みません。31%が老健であっています。

○東構成員 29%がグループホームでしたね。

○釜江参考人 はい。

○東構成員 ということは、退院先は老健が一番多いんです。
 スライド28を見ますと、老健に入るまでに185日とあります。これも長いとはいえ、老健が結構受入先を果たしていると見ました。
 私が興味があるのは、31%を老健が受け入れて、実際にここで終生的になっているのか、実際にここを経て老健が中間機能を果たした上で、また自宅に帰っている方がいらっしゃるのかどうかというのが、非常に興味深いところでございます。
 後の方にも連携がいろいろ書いてあったんですけれども、そこら辺に老健がどのぐらいまで絡んでいるのかも是非お聞かせていただきたいと思います。

○釜江参考人 詳細な追跡はしていないんですけれども、老健に移られる方というのは、恐らく特別養護老人ホームまでの中間的なもの、在宅を目指してではなくて、特別養護老人ホームに入れるのを待つという方が大半なのが現状です。

○東構成員 ということは、老健で受け入れているけれども、そこで止まっていることが多いということでございますね。

○釜江参考人 はい。

○東構成員 あと、老健との連携に関してはいかがですか。

○釜江参考人 それにつきましては、逆に入院の依頼がかかってくることは多いですので、入院の依頼があった場合は速やかにおとりするということをしてはいるんですが、だからといって、老健にいた方が入院をして、治療が終わったので、また入れますかと言っても、初めから待機をしてくださいということがほとんどですので、その辺はなかなかうまくいっていないのが実情です。

○東構成員 そうですか。問題の意見が出ましたけれども、ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 野村構成員、お願いします。

○野村構成員 家族なものですから、わからないことがたくさんありまして、教えていただきたいんですけれども、お二人の先生にそれぞれお伺いしたいと思います。
 田口先生には、抗精神病薬、抗認知症薬というものがございまして、他にも向精神薬というものがございますが、認知症の中にもアルツハイマー病、脳血管症、レビー小体型、前頭側頭型とかいろいろあるようなんですけれども、これらの認知症と薬との関係、治療するときにどのようにして薬を選んで使っていくのかということと、薬の効果というものについては、大ざっぱにいってどの程度の効果の期待ができるのかということを教えていただきたいと思います。それから、認知症に効く抗精神病薬というものは、大体どんな薬がどのように効いていているのかも教えていただければありがたいです。
 釜江先生にお伺いしたいのは、スライド14に「認知症治療病棟での治療」というものがありますけれども、お医者さんはBPSDに対する治療を行うときに、その下に看護師さん、作業療法士、ソーシャルワーカーさんがそれぞれ役割を担ってやっていらっしゃる中で、看護師さんは非薬物療法の選定と実践が入っていらっしゃるんです。真ん中の作業療法士さんでは生活機能回復訓練、臨床心理士さんは回想法と書いてあります。ソーシャルワーカーさんはここで家族支援ということが書かれているんですけれども、それぞれについてごく簡単でよろしいんですけれども、説明をお聞きしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 まず田口先生からお願いします。

○田口参考人 大変難しい御質問で、コンセンサスを得られるお話を十分にできるかどうか自信がないんですが、抗精神病薬を例えば妄想であるから処方するというのは、少し違うのではないか。これは個人的な意見ということになってしまうんですが、背景にある症状、中核症状、先ほども言いましたようにBPSDの質があります。例えば背景に概日リズム障害とか睡眠障害があるとすれば、まずそちら側を治療のターゲットとして治療すべきだと私は考えていますし、抗精神病薬は効果があるときは非常にありますけれども、やはりリスクも大きいので、症例はかなり限られてくると思います。
 1人の個人の医師としては、抗精神病薬を認知症についてはあまり使いません。例えば感情調整薬をちょっと使ってみると、睡眠導入剤も極力使わないようにしています。逆にせん妄を起こってしまったりとか、転倒などの危険もありますので、極力そういうものは使わないようにするというのが臨床医の方向としてあります。
 薬物治療の御質問をされたのに、ちょっと違う御回答をして申し訳ないんですが、非薬物治療というものをどの程度足していくか。先ほどお話がありましたように、特に光療法などはかなり効果があると思いますので、積極的に加えていくとよろしいかと思います。意識障害、せん妄、リズム障害、睡眠障害というものは、BPSDの増悪因子として大きいと思いますので、直接妄想をダイレクトに向精神薬で治療するというのはなかなか難しいですし、場合によっては見当違いということがありますので、そういう方向から攻めていくということを治療戦略として考えています。
 そんなところです。お答えになりましたでしょうか。

○野村構成員 抗認知症薬というものは、どのように使うのでしょうか。

○田口参考人 抗認知症薬については、認知機能障害、当然それが主なターゲットになるかとは思うんですが、今のBPSDの治療と真逆のスタンスもあると思います。つまり認知機能が落ちたことによってBPSDが激しくなることもあり得ますので、そういうときにはむしろ積極的に使った方がいいと思いますし、もともと抗認知症薬そのものはBPSDのレビー小体に効くとか、今いろんなデータが出てきていますので、直接そういう効果もあると考えています。
 もう一つ申し上げたかったのは、入院されてから、減量方向での薬の調整というのが結構あって、外来で方向が違って投与をしてしまったり、外来治療の中で薬物療法が行き詰ってしまったときに、先ほど最後にお示ししましたような症例がそうなんですが、逆に入院していただいて、薬物療法だけではなく生活的な治療、光療法も含めて、そういうもので治療の見直しをして、うまくいったというケースも結構あります。その辺は認知症に関わっている精神科医の治療のスタンスとして、目の前にある症状について、すぐにモグラたたきみたいに対応するということではなくて、何が問題で、どういう攻め手から治療戦略を練ったらいいかということを常に考えているつもりではいます。

○野村構成員 しつこくて済みませんけれども、認知症の病名が3つか4つありますね。これに対して薬の使い方というのは、かなり違うんでしょうか。

○田口参考人 例えばBPSDの前方型FTDと言われている病気であれば、声が出たり、逸脱行為と言われているものが表れたりということがありますから、かなり対応は違ってくると思います。今、抗認知症薬が効果があるかと言われると、臨床医の立場としては、アルツハイマー型認知症やレビー小体型と比べると、少し効果は難しいと感じています。レビー小体については案外抗認知症薬が効くのではないかと思っています。
 それから、自分としては経験が浅いのであれなんですけれども、今年3種類ほど薬が出まして、文献等を見てもかなり期待ができるのではないかと考えています。
 そんなところでよろしいでしょうか。

○野村構成員 田口先生、ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 釜江先生、お願いします。

○釜江参考人 看護師の疾患別ケアの実践についてですけれども、先ほどのお話にもありましたように、認知症の種類によってアルツハイマー病とレビー小体型の認知症、あるいは前頭側頭型の認知症では全く症状が違ってまいりますので、その症状に応じたプランを立てる。例えばレビー小体型の方というのは、転倒のリスクが他の疾患に比べて10倍以上高かったり、誤嚥のリスクが高いということはわかっていることですので、そういう方が入院されてきたら、そういう予防のプランを立てるということであったり、あるいは特徴的な症状を生かした看護環境をつくるということは行っています。
 非薬物療法につきましては、田口先生がおっしゃったように、私自身もBPSDの第一選択薬は非薬物療法ですので、先ほど申し上げたように、睡眠障害によって症状が悪化している方は、光療法であったり、日中の活動性を上げたりというようなプランを立てるというのが、非薬物療法の選定という形になります。
 作業療法士の生活機能回復訓練というのは、1つの大きなものとしてはレクリエーションです。多くの方が退院した後、デイケアやデイサービスへ通っていくという形ですので、集団の中で楽しめるようなことを身につけてもらうといったらおかしいですけれども、そういう場を提供するということ。
 もう一つは、中には疾患の特性によって集団での活動が難しい方、あるいはそれによって逆に精神症状が悪くなってしまう方もいらっしゃるので、そういう方には個別のケアを提供したり、身体的に骨折後の方であったり、パーキンソン症状が強く出ている方については、理学的なリハビリを行ったりということもいたします。
 回想法については、集団が会話、コミュニケーションができる方については、心理士の方がワンクール大体10回をめどに、例えば昔懐かしいような品物であったりとか、道具であったりとか、アルバムであったりとか、そういうものを毎回テーマに沿って持参して、それを基にメンバーの中で会話をふくらませていくということを週に1回1時間程度行っております。その中にはケースワーカーも同席して、その方が集団の中でどういう活動ができるかということを見極めて、この方は退院した後どういうサービスが利用可能か、心理士以外にケースワーカーが活動の中に入って、退院後に利用できるサービスの状況を模索しているというところがあります。
 最後のソーシャルワーカーの家族支援につきましては、経済的にサポートできることがないかとか、これまで受けていなかった福祉的なサポートを退院後に受けることができないかということで、特に先ほど申し上げたように、当院の外来に全くかかっていなくて、初めて入院して関わるというケースが入院の場合は大半ですので、逆にいうと、そういうサービスを御存じない家族が多いのが実際ですので、まずそれぞれの方に適切に必要なものを情報提供して、かつ高齢の御家族同士だと、それに対して御家族が実際に動くことが難しい場合は、その手続の援助を行ったりということを入院中から行っています。

○野村構成員 田口先生、釜江先生、貴重な御回答をありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 野澤構成員、お願いします。

○野澤構成員 釜江先生に幾つかお話を伺いたいんですけれども、基本的なことで、もう言わずもがななのかもしれませんが、退院できない要因として、年金の額というのはわかるんですが、男性が多い理由というのは何なんでしょうか。

○釜江参考人 1つは、受入施設側に男性の枠が少ないということも実際にあると思います。男性は空いていないんですという回答が多いのが実際です。
 あとは、やはり入院前に興奮されたりということで、奥様がどうしても恐いので家では見られない。すごくよくなって外泊などをしても、もし興奮をされたら、暴力が出たりということが一度あると、家では恐くて見られないんですと形で、こちらはよくなって退院できるという形で外泊を勧めても、外泊することすら恐くてできませんとおっしゃる方がいらっしゃいます。特に老老介護の奥様というのは多いと思います。

○野澤構成員 男女の受入先の枠というのは、あるものなんですか。

○釜江参考人 多分施設が枠をつくっていることはないと思うんですけれども、女性の方だったら今すぐいけますが、男性は空いていないんですという返答をいただくことが多いというのが実際です。

○野澤構成員 それと、27番のところで、虐待事例の医療保護入院の問題で、暴力を振るっている夫を保護者にしていいのかとか、経済的搾取をしている息子を保護者にしてよいのかというのは、すごく切実的な問題だと思うんですが、具体的にはどうされているんですか。

○釜江参考人 愛情あっての暴力というのはいいことはないんですけれども、御主人の暴力があっても、医療保護入院などの説明をしたら、私も入院治療して少しでもよくなってくれるんだったら、その方がありがたいと言って、入院させないということに至ったことはないんですけれども、そういう事例で、施設で一度措置で受けたけれども、興奮がすごく激しかったりして施設で対応できないケースで、御主人が入院はさせないとなった場合が今後出てくると思いますので、それは考えておく必要があるかと思います。まだ明確な回答は出ていないので、この場では問題提起させていただきました。

○野澤構成員 それと、全体的なお話を聞いていて、退院できるか、できないかというところの要因として、医学的、医療的な要因よりも、社会的な要因の方が圧倒的に大きいのではないかと思いました。つまり社会的な要因さえ解決すれば、かなりの方が必要な治療を受けて、割と短期間で外に出られるのではないかという印象を受けるんですが、そういうことですか。

○釜江参考人 私自身はそういうふうに思っていますし、それが望ましいと思っています。といいますのも、認知症治療病棟といいますのは、すごく重症の方も急性期で入院してきますので、物がほとんどなくて、私物も全くないという日常生活とはかけ離れた状態での入院ですので、その期間の入院というのは極力短く抑えて、より家庭的な状況のところへ戻っていただくというのが理想だと思っています。

○野澤構成員 そうすると、医療機関や医療スタッフだけがいろんなことを担っているよりも、地域の自治体や福祉と連携をとって、自治体や福祉にもっと頑張ってもらえれば、もっとスムーズにその辺の流れができると思います。
 堺市の場合、堺市認知症対策連携強化事業がありますね。例えば他の自治体でもそういう形で行政や福祉の側がもっと動くようになればいいと思っているんですが、医療機関や先生方の働き方というか、自治体や福祉の側への働き方というのは、堺市の場合、どういうふうにされているんですか。

○釜江参考人 まだまだできていないのが実際で、やっとかかりつけ医の先生とセンターとの連携が少しずつ回り始めた状況で、退院先の福祉施設との連携までは整っていないのが実情で、これからの課題です。

○野澤構成員 今日、発表していただいたように、こういうことを示していただければ、地元の自治体は自分たちが何をやらなければいけないかがわかると思うんです。逆にこういうものを示していただかないと、自治体も何をやっていいのかわからない。だから、なかなか前へ進まなくて、医療機関だけがいろんなものを担っているという状況になっているのではないかという感じがするんですけれども、いかがでしょうか。

○釜江参考人 先ほど言ったように、病棟というのは生活からかけ離れた空間にあって、早く退院して、機能的に御本人の能力を生かせるような環境にというのはいつも思っていますので、持ち帰って、次の会議のときには話をしていかないといけないと思います。ありがとうございます。

○野澤構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 残りが大体20分から25分くらいになってまいりましたので、身体疾患を合併する認知症患者への入院医療も併せて、これからは御議論をしていただければと思います。
 御意見のある方はお願いします。松浦構成員、お願いします。

○松浦構成員 田口先生に御質問させていただきたいんですけれども、私も認知症の非薬物療法については、経験上も非常に大切なことだと思っています。やはり抗精神病薬を使うことによって介護がしにくいという事例は多々経験をしております。それに比べまして、BPSDの背景要因をきちんと分析しながらBPSDに対応していくことの方が、より短期にBPSDの解決ができると考えているところです。
 その中で16ページの認知症の症状における連続性というスライドが非常に興味深いと思いました。この図で示しますように、軽い症状のうちからだんだん中核症状が進み、様々な生活障害や不安が表われることでBPSDが表われてくるわけですから、できるだけ生活の場から離れたところでの治療ではなく、生活の中で治療するというスタンスが私は非常に大切だと思っているんです。
 ちょっと極端な意見かもしれませんが、御家族と離れたところ、隔離されたところで長い間治療が進みますと、いずれ家族のもとに戻したいと思っても、なかなか関係が復活できない。
 もう一方、認知症治療病棟の方は日常生活からかけ離れた状態の中での生活で、やはりおうちに帰るというのは差が大き過ぎてしまう。その辺のギャップをもう少し詰めるようなことも考えていかなくてはいけないと思うんですけれども、先生いかがでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 田口先生、お願いします。

○田口参考人 認知症の連続性ということについて、敢えてこういうスライドを出させていただいた1つの大きな理由は、入院治療ということから離れて、センターの役割の1つでもあると思うんですが、まず精神科的な医療を必要とするか否かというところから、薬物治療も含めて判定をしていくべきだと思います。この患者さんは本当に治療が必要なのか、それは何がターゲットなのかということを判定することがまず必要なのではないかと思います。
 逆にいうと、例えば不眠症、不眠症の話ばかりして恐縮なんですけれども、高齢の方というのはもととも睡眠が非常に浅いという傾向があって、この治療をきちっとしないと、後々いわゆる夕暮れ症候群を起こしてしまったり、夜間せん妄につながっていくということもあると思います。なるべくなら入院していただいたり、濃厚な治療をしないで済むわけなので、そういう点で全体的に目配りをして、軽いうちから対応していく。軽いというのは、妄想の芽を摘むということではなくて、例えばこの方はちょっと不眠もあるので、やるとすれば少し積極的に治療をする必要があるとか、そういう知見も重ねて、こちらもそういう目を養っていくことが、治療としては必要なことではないかと常々考えているものですから、こういうスライドをつくってきたわけです。
 今、お話されたように、治療の場というのは、生活の場とはかなりかけ離れた環境であるということは確かであります。その場の中で長期におられない方がいいというのは全くそのとおりだと思います。ですから、そういう点でもいろんなことが短期で済むようにということです
 もう一つスライドを見ていただきたいんですけれども、本当に必要があって、何か問題があったら、とにかく早く入院していただいて、早く退院していただきたいというのが入院治療をやっている人間としての気持ちであるわけで、その辺をくみ取っていただけたらと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 三根構成員、西田構成員、三上構成員、広田構成員の順番でいきたいと思います。時間の関係があるので、手短に要点でお願いしたいと思います。

○三根構成員 釜江先生に1つだけです。退院を困難にする因子の中で、男性と経済的な理由というのは全く同感でございまして、例えば私が診ている中で一番恵まれている方は、非常に大変なBPSDのある方なんですけれども、介護保険外で昼夜必ず誰かをつけています。家族はいません。単身ですけれども、つけてみれば退院できるわけでして、ただし、そういう方はあまりいないというのも現実だろうと思います。
 敢えて経済的な理由の中で1つ意見を出したいのが、精神科の認知症治療病棟といいますのは、入院料が非常にお安いです。私もヒアリングのときにお話しましたけれども、介護保険にもういいですと移るときに、自己負担が高くなる例が非常に多いというのも、現実的な原因の1つになっているという意見を発表したいと思います。
 それから、先生にお尋ねしたいのは、うちの例ですと、家族の状況が退院できるかどうかに関連すると思うんです。先生のところではあまり関連していないんですか。

○釜江参考人 これは4施設が一緒なので、うちだけのデータではないのであれなんですけれどもね。

○三根構成員 例えば単身の例の場合も最初から次のステップまで考えて、事前に対応されているということはあるんですか。

○釜江参考人 それはあります。

○三根構成員 もう一つ合併症の件で、先生のところのように1,000床ぐらいあるところですと、病棟を50床つくるというのは可能かもしれませんけれども、一般の中小の精神科の中で合併症が出て、全ての疾患を近隣の急性期の病棟へというのは、100%というところはあまりないと思います。対応できる半月あるいは1か月以内ぐらいで濃厚に内科的な治療をして、内科医がそろっていて、施設内で病棟が変わって治療をするというところが結構多いと思います。
 その中で1,000床あって50床ぐらいが適当だとしたら、精神科の病棟の中でそういう合併症の方を診るというよりは、1つユニットという考え方で、それはそれなりの規模の中で、10床なのか20床なのか、何床なのかわかりませんが、そういう概念で合併症に対するユニットの単位で新たな看護基準、新たな基準の中で診たらうまくいくのではないかと常日ごろから個人的に考えていたんですが、それに対して先生から御意見があれば、よろしくお願いいたします。

○釜江参考人 おっしゃるとおりだと思うのは、50床の身体合併症病棟も全ての方が認知症ではなくて、認知症の方というのは、その中でも年間大体3割ぐらいです。60床の認知症治療病棟の中で、観察室というか、密に合併症のケアをしないといけない方というのは、当院の病棟であれば常に4〜5名ぐらいですので、そういう小さいユニットで内科、外科の先生が頻繁に足を運んでくれて、かつ看護スタッフもそこへ1名つけられるような体制ができれば、病棟の中でもある程度のところまでは可能だと思います。
 現状、夜勤などでしたら看護スタッフが非常に少なくなりますので、合併症が重度の方を同じ認知症治療病棟の中で完結しようと思うのは、かなり困難があると思いますので、病棟の中に小ユニットがあれば、患者さん自身も病棟を移動して環境が変わらずに済みます。身体合併症が起こってきますと、どうしても認知症自体の方も進行してきますので、環境が変わらずに同じ空間で小さいユニットで診てあげられる、よくなったら、すぐにいつもいたフロアの方で出ていただけるということになれば、より理想的だとは思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 西田構成員、お願いします。

○西田構成員 お話ありがとうございました。
 釜江先生に1点お伺いしたいんですけれども、先ほどBPSDの治療自体は1か月ぐらいで大体見通しが立つというデータをお示しいただきましたが、平均在院としては3か月ぐらいということですが、残りの2か月間は退院に向けての調整ですとか、そういうことに恐らく中心的な課題があって、そういう作業をされていると思います。そうしますと、治療自体は1か月ぐらいで効果があって、その後の退院に向けての調整に非常に力点があるわけですけれども、そこは今ソーシャルワーカーの方がいろいろな関係資源の調整と御家族への支援をされているというお話ですが、先生の60床の病棟で何人ぐらいケースワーカーの方がいらっしゃって、そういう形がもし増えて機能が強化されたときに、この2か月は更に短くなっていく可能性があるのかということ。
 それから、今日事務局から出されている一番最後のスライドに精神科地域移行実施加算というものが出ていますけれども、こういうものは今5年以上入院期間を超える方に対しての適用ということになっていますが、例えば認知症の方を地域で見ていくという機能を強化していくときに、こういったものが認知症の患者さんの退院時にも応用すべきかという点について、先生の御意見を聞かせていただければと思います。

○釜江参考人 ありがとうございます。
 認知症治療病棟には病棟専属のソーシャルワーカーが1名、必置基準にありますので、当院では各病棟1名ずつ規定どおりになっています。

○西田構成員 1名で60床を診ているということですね。

○釜江参考人 そうです。非常に忙しい状態ですので、その人数が増えて、在院日数が短くなるかということはやってみないとわからないですけれども、入院時のインテークといいますか、面談が毎日1人か、2日に1人ぐらい新たに入院が入ってきて、退院の人が同じぐらいの数出ますので、そういう意味では非常に忙しい中でケースワークをしておりますので、増えるにこしたことはないかとは思いますが、それが施設の待機であったり、御家族の外泊の準備であったりということは、ソーシャルワーカーだけでの要因ではない部分もありますので、それが即在院日数が短くなるということに結び付くかどうかはわからないです。

○福田精神・障害保健課長 あとはあまりあれですけれども、診療報酬のインセンティブの話も今ありましたが、何か御意見ありますでしょうか。

○釜江参考人 特に在宅へ帰られる方というのは、病棟の看護師というのはおうちがどんな様子になっているのかということを直接診る機会はないですから、おうちへ帰ってから、おうちでの御家族のケアのアドバイスといいますか、指導みたいなものがなかなかできません。その方の暮らし自体は、御自宅を訪問するような機会がないと難しいんですけれども、施設であれば想像もつくので、施設で今こういうことをしているので、施設さんでもこういうことをしてくださいという継続性があるんですけれども、おうちへ帰られる方の御家族への支援というのが、看護師の方からできにくい状況がありますので、人員に余力ができれば、退院前に一緒に在宅を訪問して、病棟でしている夜の排泄であったりとか、こういうふうにしていますみたいなものを実際に援助したり、相談に乗ったりということができれば、在宅へ帰ることを弱れている御家族などにはお力になれると思います。

○西田構成員 一言だけいいですか。

○福田精神・障害保健課長 時間の関係があるので、三上構成員、先にお願いします。

○三上構成員 日本医師会の三上でございます。
 退院できない理由として、身体的な問題よりも社会的要因の方が多いということでしたが、厚労省の精神保健関係の検討会の中で様々な調査の結果をみましても、条件が整えば退院できるという患者がかなり多くいるとのことでした。一方で、条件が整わないという社会状況があるのではないかと思うのですが、経年変化で見て、そういった割合がどんどん増えているのかどうか教えていただきたいと思います。
 もう一つは、浅香山病院は1,000床を超える非常に歴史のある、伝統のある病院ですので、様々な機能を持っておられると思います。老健施設等も持っておられるわけですが、退院先として老健施設が非常に多かったのですけれども、やむを得ず自院の併設施設で受け入れる割合がどの程度あるのかということを教えていただきたいと思います。
 また、その中でアウトリーチ機能を持たれなかった理由についても、少し教えていただきたいと思います。
 それから、堺市が認知症対策総合支援事業を拡充したということで、見ますと、5人嘱託医を入れているということですが、これは市町村の支援事業だと思いますけれども、嘱託医に対する報酬について、どの程度支払われているのか教えていただけたらと思います。

○釜江参考人 わかりました。
 まず経年的なことなんですけれども、認知症の方についていえば、介護保険ができまして、施設であったり、在宅サービスをたくさん受け入れるようになっていますので、そういう意味では、困難事例を地域へ帰せる確率というのは増えていると私自身は思っています。ですから、難しい例も地域でどんどん見てくださっていっているという実感があります。
 もう一つ、自院の施設については、逆にほとんど退院はございません。多分1年間で数例というぐらいだと思います。九十何パーセントが施設の方は他施設へという形になります。
 当院がアウトリーチ機能を持っていないというのは、ひとえに精神科医の数がいつもぎりぎりというか、少ないというのが病院の大きな事情だと思います。人員の余裕があれば勿論できるんでしょうけれども、多分精神科の病棟、外来を診るだけで手いっぱいの人数しかいないというのが一番大きいと思います。
 あと、堺市の嘱託医への金額は、半日で税抜き25200円だったと思います。

○三上構成員 わかりました。ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 残りが5分強でございますので、広田構成員にお話いただいて、柴田構成員、あと時間があれば岡崎構成員ということでお願いします。

○広田構成員 広田和子と申します。
 他の構成員は耳にタコができるほど聞いているんですけれど、精神医療の被害者で、廃人のような姿で入院し、退院しても重い睡眠障害なんです。今日、光治療があるということで、私もやってみようと思ったんですけれど、私自身は退院後12時間ぐらいずっと寝ていました。厚生労働省で委員を10年間させていただいていますが、前は出てきても机の上に伏すような形でしたけれども、8年前にラッキーに足を骨折しました。リハビリにスパに通っているんです。そうしましたら、そこで睡眠時間が短縮して8時間になったんです。とてもいい睡眠になって、お薬も減らしてきているんです。
 ですから、入浴が体にいいということで、15歳の少女もうつを直したりしていますから、そういうことも取り入れていただきたいということと、そちら様の病院では1週間に何度ぐらいお風呂に入っているのか。清潔にしましょうと言いながら、精神病院は昼間ちょこっとお風呂に入れさせているぐらいで終わってしまうんです。人間らしい尊厳を持って生活が成り立っているのかということを松浦さんのような方がいると言いやすいんです。精神だけだと言いづらいんです。
 私の母は私が被害を受けていますから、精神病院をすごく嫌がっていて、後年、近所の人が自分を見張っているとさんざん騒いだんですけれど、たまたま私の相談者と私の愚痴を言っている間に、どういうわけか留守電にふき込まれてしまって、それで良心の呵責で垂れ流し状態になって、救急車で入院した先が内科だったんです。そこで結果的に亡くなるんですけれど、入院した先ではそういう嫌な人がいないために妄想的なことは出てこなかったんです。
 今、警察の現場とか救急隊などにずっとはり付いて行っていますけれど、解離性障害とかいわゆる統合失調症の高齢者とか、認知症とかの人がいるんです。私は医療ミスで誤診だとも言われているんですけれど、認知症というのは誤診はないんでしょうか。精神科医というのは、物すごく医療ミスに対して鈍感なんです。もし私のケースが内科や外科で起きていたとすれば、私は別に新聞に出たいわけではないけれど、間違いなく出ていたケースなんです。ところが、精神科はやみからやみです。去年22年8か月ぶりに謝罪を受けたんですけれど、そういうことで、是非いいことを進めていただきたい。なるべく薬物を減らして、光療法と入浴のこととか、音楽療法とか、絵画を描くとか、文章を書くとか、そういうことをやっていただきたいということです。
 総合病院の中の精神科に、本来精神疾患を持っている合併症の人が行ったときに、合併症のところの病棟に入れてもらえないで、「なぜ精神科の方に入れられてしまうのか」ということを多くの医者から相談を受けているんです。そういうことが論議としてはなかなか日の目を見ないんです。先生のところはやたらと精神がいっぱいあり過ぎて、精神のデパートみたいなところに、ちょこっと小売店がくっ付いているような総合病院ですけれど、そういうような話を伺いませんか。いわゆる精神疾患を持った患者さんが総合病院の精神科に入れてられてしまって、治療のところに行っていない。その原因はどこなのかということを知りたいんですけれど、そういうことがもしわかったら教えていただきたいと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 お答えできる範囲で結構ですので、釜江先生からお願いできますか。

○釜江参考人 直接明確なお答えができないんですけれども、確かに病名がついているだけであったりとか、症状的なところよりも先に病名などがひとり歩きしてなかなか引受先がなかったりとか、認知症についても、認知症と診断されているので精神科の方でお願いしますとか、すごく軽い例で、家族も1人で入院もできるだろうし、入院の同意もちゃんとできる方なのに、認知症という診断がついているだけで精神科の病棟があるところでないと難しいですという形で適切な医療を受けられないことがあるというのは実際だと思います。
 逆に堺市で取り組んでいるのは、総合病院の先生方に認知症については、特にBPSDが目立たないケースというのは、自分たちがそれまで診ていた患者さんは是非続けて入院などもお引き受けしてくださいということで、認知症の入院中に出てきそうなBPSDの勉強会であったりとか、せん妄が起こったときの対処の方法など対策の勉強会は随時検討していっている状況です。
 それぐらいしかお答えができないんですけれども、済みません。

○福田精神・障害保健課長 済みません。時間の関係があるので、後で場外でやってくだい。
 あと3名の方が手を挙げていらっしゃったので、柴田構成員、岡崎構成員、河崎構成員で閉めたいと思いますので、よろしくお願いします。
 柴田構成員、お願いします。

○柴田構成員 ありがとうございました。
 これまでの検討会の中では、非常に入院期間が長いという結論が出ていました。今日のお話から、入院期間を短くしながら努力なさっている姿が見えたと思います。
 質問は先生の資料の4ページです。財団法人浅香山病院が今の状況になるのに、どれぐらいの期間がかかったのかというのを是非伺いたいことと、これだけの取組みがされるようになったのは、釜江先生のおかげなのか。突拍子もない質問かもしれませんが、そういう過程が読めませんので、是非今日の発表のそこの部分は伺いたい。
 難しい課題が残っていると仰っておりましたが、今後そこに取り組んでいく意欲が病院全体にあるのかどうか。在宅を介護している人間としてどうしても伺っておきたいと思いました。よろしくお願いします。

○釜江参考人 私の経歴は先生の横にお座りの長野先生が一番よく御存じなんですが、私は長野先生がいらっしゃる愛媛から結婚して大阪へ参りまして、この病院に勤めて9年目になります。既に私が参りましたときには、認知症疾患センターをとっておりまして、同じような病棟も120床ありましたし、合併症病棟も既に同じように動いておりました。
 それ以前の古い歴史については勉強不足で申し訳ないんですけれども、ただ、その時代から既にケースワーカーはおりました。そのころはまだ認知症の専門医はおりませんで、精神科医が認知症を診ておりましたが、既にソーシャルワーカーはかなり熱心に在宅へということを進めておりましたし、病棟の看護師も専門的な治療を担っておりました。逆に医師の方が認知症の方は後から追いついてきたという現状があります。
 今後の課題ですけれども、今、特に力を入れて取り組んでいることは、病棟では疾患別のケアということです。看護師が病気の特性をよく理解して、プランを立てて、少しでも精神薬を少なく、看護師が手持ちの非薬物療法の選択肢を増やしてプランを立てていって、かつ少量の精神薬で早く治療して、在宅へ戻っていただこうということを頑張っているというのが現状です。
 あと、ソーシャルワーカーの方が特に力を入れているのは、若年の方、65歳より若くて発症した方というのは、ケースワークがとても大事になりまして、経済的なことの支援であったり、御家族、お子さんの心理的なサポートなどがあります。まだお子さんが小さいケースもありますので、心理的なサポートのところにケースワーカーは近年はすごく力を入れておりますし、継続していこうと思っています。

○柴田構成員 是非アウトリーチをお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 岡崎構成員、お願いします。

○岡崎構成員 大変苦労されているというのはよくわかります。なかなか大変ですね。外来で入院が必要だと診断されてから、入院までにどれぐらいかかるでしょうか。診察においでになる前の時点で既に退院をできにくくする状況、御家族が懲りたり、不適切な対応をしたりして、御本人が御家族に対して不安感を持ったり、恐怖感を持ったりする状態が生じていることが多いと思います。BPSDが発生することにも恐らく大きく関係していると思います。発生してから、すぐに入院しようとしてもできないということもありますし、その場合、家族を支援する仕組みも十分ではありませんので、その辺りが充実しなければ、幾ら入院医療で解決しようとしても、なかなか大変だと感じています。
 確かにケースワーカーの人数が増えれば、退院もある程度早くなります。しかし患者さんが増えてくれば、また同じことです。だから、入院医療中心で認知症の方の医療を何とかしようと考えるのはやはり無理がある。地域で早目に困難に陥らない、社会的要因をつくらないような仕組みをつくっていかなければ、なかなか大変だと思います。
 確かに事務局から出されたまとめのように、環境調査を行って、専門のスタッフ、人材養成をしてマンパワーの充実を図るということができれば、部分的に解決できると思うんですけれども、根本的な解決にはなかなかならないと思います。
 そういうことで、時間がないもので、先に意見を述べさせていただいて恐縮なんですが、先生がやっておられて、実際に入院されるまでに結構問題が醸成されていて、退院しにくくするということが大いにあるのではないかと感じているんですが、いかがでしょうか。

○釜江参考人 報告しましたように、入院例の全てではないですけれども、大半は初対面の御家族であったり、介護施設からの御紹介になりますので、自分たちが長い間関わってきた方で、BPSDが増悪して入院するケースというのは本当に少数です。大変な状況で引き受けるという形になりますので、おっしゃるとおりです。
 入院の期間といいますのは、高齢の方というのは、先ほど申し上げたように合併症が悪化したことによって、精神症状が悪化しているケースもありますので、まず一度は外来で全身のチェックを行って、その後2〜3日以内には入院という形をとっています。御紹介をいただいて、できたら次の日には来ていただいて、翌々日ぐらいには入院という形で、1週間以内には完結する形にはしております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 最後に河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 簡単に済ませます。
 今日のお話の中で、合併症のお話をもう少し述べたいというところがあったんですけれども、退院できない理由の中にやはり地域の行政の関わりとか、あるいは介護保険施設等との連携が非常に重要だということがあったんですが、田口先生のデータから見ると、退院できない理由の一番大きなものとして、身体合併症の問題が重要な問題としてあるんだと思います。
 その際に田口先生にお聞きしたいんですけれども、例えば認知症の治療病棟、これは診療報酬上包括払いの病棟でございます。診療報酬の上では、積極的な身体的な治療は非常に難しいところがあると思います。現在のところ、精神科身体合併症管理加算などがありますが、1週間だけしか算定できないとか、あるいは前回の診療報酬の他科受診の際に入院基本料が3割減、あるいは包括の場合には7割減ということが起こりました。これは臨床の場では大きな混乱あるいは問題としてあろうかと思っているんですけれども、先生の御診療の経験から、その辺りで何か御意見があればお願い申し上げたいと思います。

○田口参考人 釜江先生のところみたいに立派な病院でないのであれなんですけれども、まず自分の経験上からもそうですし、今日御紹介した中の平成20年のデータの中にもあるんですが、入院時に合併症を発症していなかった患者さんは4割ぐらいしかいらっしゃらなくて、何らかの治療が必要だという患者さんは6割を占めていらっしゃるということで、総合病院でなくても身体合併症というものは、当然横に置いておくわけにいかないということは常に感じております。
 私の病院もそうですが、内科の医師もいますし、常勤医がいる精神科の病院はかなりの数を占めているということは先生も御承知だと思うんですが、浅香山みたいな濃厚な治療ができなくても、臨床診断等についてはかなりの施設を持ってやっております。どこから精神科医がサポートするか。逆に精神科の治療が主体となって、合併症をというのはなかなか線引きが難しいと思います。
 今日のお話では出なかったことだと思うんですけれども、認知症が主たる治療の中心ではあるんだけれども、合併症も放っておけないという患者さんは結構いらっしゃるわけです。そういう患者さんが今度は身体合併症でなかなか退院に結び付かないとか、認知症がかなりひどいので一般の病院ではなかなか治療ができないというケースもあるわけで、私もかなり勉強させていただいて、身体合併症を自分でも診ておりますし、実際に精神科の主治医がかなり身体合併症を診ていて、自院の内科医等がサポートする。逆に病棟は変わらなくても、内科医が中心になって精神科医がサポートするということは、常日ごろからかなりあると感じています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 熱心な御議論をありがとうございました。
 大変申し訳ないんですが、時間です。司会の不手際で何人かの先生方の発言を途中で切ってしまいまして、大変申し訳ございませんでした。おわび申し上げます。いずれにしても、まだ議論は続きますので、その際に引き続き御議論いただければと思います。
 それでは、最後に事務局から次回の予定につきまして、お願いします。

○本後課長補佐 ありがとうございました。
 次回につきましては、7月26日火曜日、18時から20時までです。場所は厚生労働省の省議室、9階の公園側を予定しております。
 議題は認知症を考慮した目標値です。これは一昨年の精神の在り方検討会の中で宿題にされていた事項でありますけれども、それについて御検討いただきつつ、既に3回議論をいただいておりますので、議論の整理に向けた御検討もお願いできればと思います。
 以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 以上をもちまして、検討チームを閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 障害保健福祉部が実施する検討会等 > 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム > 第18回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

ページの先頭へ戻る