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2011年5月20日 第16回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年5月20日(金) 18:00〜20:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

阿式構成員、石田構成員、岡崎構成員、河岸構成員、河崎構成員、栗林構成員、
柴田構成員、長野構成員、西田構成員、野澤構成員、野村構成員、広田構成員、
渕野構成員、松浦構成員、三上構成員、三根構成員
江口参考人、池田参考人、坂本参考人、數井参考人

○議題

(1) 認知症に関する地域連携の状況について
(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第16回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 昨年12月に開催いたしました認知症のラウンドの本検討チーム、こちらの方で中間とりまとめを行ったところでございますけれども、本日からはその後の調査などを行っておりますので、調査結果等を踏まえ、現行制度の整理や先行事例のヒアリングなどを行い、中間とりまとめでお示しいただいた点を更に具体的に検討していくといった予定で考えております。
 また、今回、構成員の変更がございましたので、御紹介をさせていただきたいと思います。
 横浜市介護保険課長の松本構成員が人事異動によりまして現場を離れることとなりましたため、本検討チームへの出席が困難となりました。松本構成員に代わりまして、新たに構成員をお願いいたします、東京都稲城市福祉部長の石田光広さんでございます。よろしければ石田構成員から一言お願いしたいと思います。

○石田構成員 はじめまして。東京稲城市から参りました石田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。本検討チームは公開のため、検討チームでの審議内容、御発言内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですのであらかじめ御了解いただきますようにお願いいたします。
 また本日は、朝田構成員、東構成員から御欠席との御連絡をいただいております。柴田構成員、岡崎構成員からは少し遅れるとの御連絡をいただいております。
 それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題は、認知症に関する地域連携の状況についてということでございますが、最初に認知症のラウンドの進め方につきまして事務局より説明をいたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。まず、お手元の資料1をご覧ください。1枚紙で「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム第2ラウンド(認知症と精神科医療)の進め方について」という用紙であります。
 今回、この第2ラウンドを再開いたしまして、昨年12月22日に認知症と精神科医療の基本的な考え方を中間とりまとめとしておまとめいただきました。内容については後ほど御説明しますが、その中間とりまとめを踏まえまして、次のような論点について具体的な取組みについて議論をしていきたいと考えております。
 論点としましては、こちらにあります4つのポイントでありまして、1点目は「認知症疾患医療センター」。センターに求められる機能や整備目標をどう考えるかといった視点。
 2点目として「認知症の地域連携パス」。今般、中間まとめの後に実態調査を行いましたので、その結果をお示ししながらの議論。
 3点目「認知症に係る精神科医療」。これは外来医療の視点と入院医療の視点と大きく2つに分けて御議論できればと思っております。
 4点目としましては「認知症に係る医療提供体制の在り方」。「認知症を考慮した目標値について」ということで、平成21年9月の在り方検討会のまとめでも宿題になっておりました精神病床の目標値ということに関する議論ができればと考えております。
 裏をご覧いただきましてスケジュールでありますが、今、決まっております日程では第3回目までということで、本日第1回目は論点の(マル1)と(マル2)について行いたいと思っております。第2回目については、まずは外来医療についてヒアリングを踏まえながらの議論。第3回目は入院医療につきまして、主にはBPSDや身体合併症に関する状況等についてヒアリングを踏まえての議論。残りの点につきましては、7月以降に議論をしましてとりまとめまでいきたいと考えております。
 説明は以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。今、お示しし御説明申し上げました幾つかの論点について、これから構成員の皆様方に御議論を進めていただければということでございます。
 本日は、そのうち大きく2つ、認知症疾患医療センターについてという部分と退院支援地域連携クリティカルパスについてということでございますが、まずヒアリングを実施させていただければと思っております。
 まずは、そのうちの認知症疾患医療センターについて、事務局より御説明をいただければと思います。

○中谷課長補佐 それでは、資料2につきまして御説明します。お手元のパワーポイントのコピーの資料でございます。右下のスライド番号で説明をさせていただきます。
 まず、1番は資料で、2番が前回中間とりまとめの概要の「現状と課題」ということで、こちらは省かせていただきます。
 3番目のスライドで前回の中間とりまとめの「基本的な考え方」と「具体的な方向性」ということでありまして、スライドの4番、それに関する主な項目をまとめた絵でありまして、今回につきましては認知症疾患医療センター地域連携ということと、精神科の医療に関しては4番目のスライドの上にあります部分ですが、まずは地域での生活を支えるための精神科医療と地域全体の支援の機能について主に医療面での議論。また、それが入院に至った場合の医療として、BPSDを有する患者への精神科医療ということと身体疾患を合併している認知症患者への入院医療ということで、こちらにあるような論点をまとめていただきましたので、これを更に具体的に進めるということで考えております。
 6番目のスライドです。認知症疾患医療センターについて御説明しますが、現在、認知症疾患医療センター運営事業という事業でこのセンターの整備を進めさせていただいております。
 認知症疾患医療センターには、真ん中にありますように大きく2つ種類がありまして、基幹型(総合病院型)のものと地域型のものと2種類あります。基幹型は地域型に比べて専門医療を提供するということで空床の確保ができるという点が大きな違いでありますが、その他疾患医療センターとしてはこちらにありますような情報センター、専門医療の提供、地域連携の強化といった点の機能を果たすという意味で、連携担当者を配置していただいて介護のサービスとの連携、またサポート医との連携あるいはかかりつけ医との連携ということで、地域で様々な連携をしながら役割を果たすセンターということで、現在、約150か所を目標に整備を進めているという状況であります。
 7番目のスライドですが、平成20年度からの箇所数の推移等があります。5月1日現在、112か所、32道府県、7指定都市で整備が進んでおりまして、8番目のスライドの日本地図にあります色の付いた部分が整備済みあるいは整備予定ありというところでございます。整備予定ありまで含めますと42道府県、10指定都市になる見込みということであります。
 9番目、10番目のスライドですが、こちらは平成20年度、21年度の厚生労働科学研究の研究班でおまとめいただいたもので、認知症疾患に提供するべき医療30項目ということでございますが、その提供するべき医療として考えられておりますのは、1番目が詳細な診断、2番目が認知症患者の入院対応機能、3番目がかかりつけ医の機能、4番目が往診・訪問診療の機能、5番目が周辺症状に対する外来機能、6番目が介護機関との連携、7番目が専門領域の合併症に対する外来機能、8番目がその他ということが挙げられておりました。
 その下のスライドですが、認知症疾患医療センターの役割と配置数ということにつきまして、研究班の方で認知症の専門医の方へのアンケート調査からまとめられておりますが、求められる機能としては、専門の医療相談と詳細な診断、院内連携や地域連携、周辺症状、身体疾患を合併する認知症患者に対する急性期医療、また地域の保健医療福祉介護職の研修ということがあります。
 そうした機能を想定した上で、また高齢化率を20%とした場合に人口何万人当たりに1か所必要かという質問に対してお答えいただいたものをまとめたものですが、適正な配置としては中央値を用いた場合、人口30万人に1か所、70%の方を大体網羅する場合としてお答えいただいたのが人口50万人に1か所ということで、もしこの人口で整備するとすれば、今の目標よりも多くの数がいるといったようなデータもあります。
 12番目のスライドですが、事務局としましては認知症の医療体制に関する論点としまして、認知症患者について今後更に増加が見込まれている状況である中で、認知症疾患医療センターの機能について本人に専門医療を提供する医療機関としての機能、診断や医療がありますし、またプラス地域に対する機能としての相談、連携、研修といった機能がありまして、こうした医療プラスサポート医を介した地域の医療機関との連携などが求められているセンターについて、その機能の程度あるいは規模を考慮した上で設置数としてどのように考えていくべきかというところを御議論いただければと思っております。
 説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。それでは、早速、認知症疾患医療センターの地域における役割等につきまして、熊本県の取組み事例につきましてヒアリングをさせていただければと思います。プレゼンテーションを行っていただきますのは、熊本大学大学院生命科学研究所教授の池田学先生、医療法人社団平成会平成病院の院長、坂本眞一先生、熊本県健康福祉部長寿社会局長、江口満様の御三名でございます。
 プレゼンテーションに対する質疑応答は意見交換の時間に併せてお願いしたいと思いますので、まず熊本県の取組みにつきましてお三方の先生の方からよろしくお願いをいたしたいと思います。

○江口参考人 御紹介いただきました、熊本県長寿社会局長の江口でございます。
 まず、この検討チームの議論の場で熊本県の取組みを御紹介させていただく機会を与えていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
 本日は、先ほど御紹介ありましたとおり、熊本県からは私の他、認知症疾患医療センターの熊本での基幹型センターとして中心になって取り組んでいただいております、熊本大学医学部の池田教授、地域拠点型センターの一つとして八代市にあります平成病院、そこで実際地域の中で活動していただいている平成病院の坂本院長にも一緒に出席していただいております。
 まず最初に、私の方から熊本県の取組みについて全体的な概要を説明させていただきまして、それに引き続きまして熊大の池田教授に基幹型のドクターとしての立場から補足説明をしていただきたいと思っております。最後に、地域拠点型として、実際に地域の中で活動してもらっております坂本先生に具体的な取組みを説明していただくという手順で御説明をしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 資料は熊本県の資料というのが配付されているかと思いますけれども、最初の1ページをご覧いただきますと、簡単に熊本県の高齢化に関する数字のデータを挙げております。この中で見ていただきますと、平均寿命の男女、100歳以上の長寿者の割合という数字がございます。いずれも熊本県は3つの数値、指標について都道府県の中でベスト10に入っているという状況でございます。この数値全て都道府県別で見た場合、3つの指標全てがベスト10に入っているのは熊本県だけという状況でございまして、全国でも有数の長寿県ということが言えるのかなと考えております。
 こういった中、今後、高齢化の進展に伴いまして、認知症高齢者の数はかなり急激に増えていくということですので、認知症対策をどうやっていくかというのは喫緊の課題でございます。これは熊本県に限らず全国でも同じかと考えております。
 2ページ、熊本県ではこういった状況の中、認知症対策について3つの柱を立てて三位一体のものとして総合的に進めているところでございます。資料の2ページを見ていただきますと、医療、介護、地域支援と、この3つの柱で取り組んでいるところでございます。熊本県庁の中に認知症対策・地域ケア推進課という課がございます。ここが主に担当しておりまして、全国の都道府県庁の中でもこういった認知症対策というのを課の名前に付けているところは他にはあまりないのかなと思っております。
 3ページ、今、言った医療の部分で中心的な取組みとして行っているのが認知症疾患医療センターの整備でございます。熊本県では平成21年度から基幹型と地域拠点型の2層構造という形で取組みを進めております。この2層構造の取組みを熊本モデルと呼んでいるところでございます。
 平成22年度からは厚労省の方でも、先ほど御説明がありました基幹型と地域型の2つに分けて全国展開が図られているところでございますけれども、熊本ではその1年前に、今日出席してもらっています熊大の池田教授と熊本で認知症疾患医療センターに取り組むに当たってはどういう形が一番機能するかという議論を重ねて、2層構造の形で取組みを始めさせていただきました。現在は基幹型1か所、地域拠点型9か所の合計10か所で取組みを進めているところでございます。今年度から新たに2か所指定するということで全体で10か所の体制でございます。4ページは今、申し上げました熊本モデルの説明をさせていただいているものでございます。
 5ページは認知症疾患医療センターの役割分担ということで、基幹型と地域拠点型、主に厚生労働省の運営要領に沿った形での整理をさせていただいておりますが、この中で熊本県での特徴的な取組みとして、例えば2のところですけれども、基幹型においては各地域拠点型センターに認知症専門医の派遣を行っていただいております。4番目のところで、基幹型において認知症の事例検討会というものを定期的に開催していただいております。こういった取組みが特徴的なものとして挙げられるのかなと思っております。こういった点については、後ほど池田教授の方から説明をいただきたいと思っております。
 6ページからが事例検討会の説明資料になっておりますけれども、今、申し上げましたとおり、この点については後ほど池田教授の方から説明をいただければと思っております。
 資料を飛ばしまして、10ページをご覧ください。事例検討会の関係ですけれども、私自身もこの基幹型主催の事例検討会に何回か出席させていただいた中で、私なりに熊本で取り組んでいる事例検討会を開催する意義について理解しているものをここに書いております。
 1つは症例の検討会ではなくて事例の検討会であることが大きいのかなと私自身考えております。単に診断について検討するのではなくて、その方の生活歴やその人の生き方、家族構成等も含めて支援策を検討するというのが事例検討会の大きな形でありまして、そういった点からも認知症疾患医療センターのスタッフのみではなく、この事例検討会には県が設置しております認知症コールセンターの相談員ですとか、地域包括支援センターの専門職、県の職員も参加して、多職種によって様々な視点からの検討を事例を通して行っているところでございます。
 11ページからですが、熊本モデルの取組みの中で1つ特徴的なキーワードを挙げられるとすれば連携ということかなと考えておりまして、その具体的な取組みを幾つか御紹介させていただきます。
 11ページは、認知症疾患医療センターの運営事業としてどこでも行われていることですけれども、連携担当者を常勤専従で配置するということがございます。その中でも基幹型センターについては、熊本県の方では極めて重要な役割を担っていただいておりますので、通常1名配置のところをプラス2名ということで、合計3名連携担当者を配置させていただいて、全体の統括的な役割を担っていただいているところでございます。
 12ページは、基幹型が主催しまして、各地域拠点型センターの連携担当者を集めた合同会議を定期的に開催しております。事例検討会を約2か月に1度開催いただいていますけれども、その事例検討会の開催の前に必ず連携担当者の会議を開催して、担当者間の情報共有等を行っているところでございます。
 13ページは、地域拠点型の連携担当者が地域のかかりつけの方を訪問して関係を構築している図でございます。
 14ページ、地域での連携の1つですけれども、郡の医師会と地域拠点型の認知症疾患医療センターが連携してかかりつけ医の先生方向けの研修会を開催しているという事例でございます。
 15ページは、地域連携の取組みの1つですけれども、特に重要ということで我々は考えております地域レベルでの事例検討会。先ほど基幹型主催の事例検討会ということをお話し申し上げましたけれども、地域拠点型センターが各地域の中で主催して同様の事例検討会を開催していくという取組みでございます。この取組みについては、平成23年度からは県内の全ての地域拠点型センターで開催していただくということで考えております。
 16ページ、17ページは、認知症疾患医療センターに関係する熊本県の取組みとして2つの研修を御紹介したいと思います。
 まず16ページは、かかりつけ医の方向けの認知症対応力向上研修。これは各都道府県で行われている研修ですけれども、熊本県におきましては昨年度、22年度から認知症に関心の高いかかりつけ医の先生方はかなり増えてきているという状況も踏まえまして、このかかりつけ医向けの研修の充実を図ったところでございます。
 「2.全体イメージ」というところを見ていただきますと、第1回基礎編というところがございます。これは従来開催していた研修ですけれども、この研修の修了者に対して22年度からは基幹型センターと県の医師会が共催でステップアップ研修というものを開催していただいております。より実践的な内容の研修をやっていただいておりまして、これをやることによって認知症に関心の高いかかりつけ医の先生方の要望に応えられるとともに、認知症疾患医療センターに対する認識をかかりつけ医の先生方に深めていただくことが可能となり、更に地域の中でどういった先生方が認知症に関心が高いのかということを把握することにもつながるのかなと思っております。そのことによって地域での連携が進むのかなと考えているところでございます。
 17ページは本年度から新たに開始をしようと考えている研修でして、認知症医療・地域連携専門研修というものでございます。認知症疾患医療センターの周知が県内でかなり進むにつれて、認知症の新患の外来の患者さんがセンターの方に集中をしてきているという状況がございます。こういった中で、今後、認知症疾患医療センターをどんどん増やせばいいのかというと必ずしもそういうことではないと思っておりまして、今の状況に対応するためには認知症疾患医療センター以外にも地域の中では専門医の先生方がいらっしゃいますので、そういった専門医の先生と疾患センターが連携して認知症の専門医療を提供していく体制が必要ではないかと考えております。今後はセンターと併せて研修を修了していただいた専門の先生方にも熊本モデルの一翼を担ってもらうということで開催しているものでございます。
 要件といたしましては、サポート医研修がございます。この研修を受けた先生方に対して専門研修を更に実施するということで考えております。カリキュラムについては専門医療という部分だけではなくて、地域での連携が必要と考えておりますので、そういったものをカリキュラムの中に含めているところでございます。
 18ページからは、認知症疾患医療センターの主な活動状況ですけれども、これについては先ほどの事例検討会と併せて池田教授の方から後ほど御説明をいただきたいと思っております。
 22ページ、私はドクターではありませんので行政の一担当者という立場から、熊本モデルの取組みを通じて感じていることを簡単に御紹介したいと思います。
 1つは、認知症疾患医療センターを単体で考えるということではなくて、センター同士をつないで、更にはセンター以外も巻き込んだ地域全体、県全体での対応が必要かなと、そういった対応が可能となるような体制をつくっていくことがすごく重要ではないかと考えております。
 点ではなくて線、そして面での対応ということでございます。こういった点で先ほど申しました熊本県での事例検討会ですとか、連携担当者全体の会議、今年度から始める専門研修、こういったことに取組んでいるところでございます。
 もう一つ、認知症疾患医療センターの役割としては、専門医療の提供は勿論、当然ですけれども、その他の部分では地域連携という視点が極めて重要ではないかと感じているところでございます。こういった点で各地域拠点型で事例検討会を今年度から開催していただくと。そういった取組みを考えているところでございます。
 現在は、基幹型と地域拠点型の2層構造ですけれども、これを将来的には基幹型、地域拠点型と地域の専門医、かかりつけ医という、実際に機能する3層構造に発展させていくことが理想かなと考えているところでございます。
 23ページ以降のその他の取組みについては、熊本県で取組んでいる認知症サポーターの養成とか、コールセンターとかそういった関係する部分を添付しておりますので、後ほど時間があるときにご覧いただければと思っております。
 私の方からは以上でございます。

○池田参考人 それでは、引き続きまして、熊本大学の精神神経科の池田と申しますが、江口局長のお話の続きをさせていただきたいと思います。
 まずスライド3をご覧ください。先ほど御紹介がありましたように、現在、熊本県では基幹型の大学に1か所のセンターと、この春からは2つ加わりまして9か所の精神科病院の地域拠点型のセンターで、熊本県全県をカバーしようということを目指しております。
 江口局長と最初にこのプランを立てたときに、一応コンセプトとしては、県内どこでも30分以内にある程度の認知症専門医療を受けられる拠点をつくろうということでスタートしました。熊本県はご覧いただきますようにかなり大きな県でございまして、しかも熊本市を除けばほとんど公共交通機関も発達しておりませんので、ほとんどの利用者の方は車での受診ということになります。ですから、BPSDの激しくなっておられる方とか、身体合併症の重い方を自家用車で2時間も3時間も熊本市の大学病院にお連れになるということは、もともと認知症医療としてはナンセンスでありますので、できれば30分以内にそういったセーフティネットワークをつくりたいということで始めました。
 スライド5をご覧ください。先ほど話がありましたように、地域拠点型の精神科病院と基幹型の大学病院でこのような役割分担をしておりますが、大学の1つの大きな役割としては、人材育成、人材派遣です。先ほど話がありましたように、まずは目標としては週1回大学から専門医が地域拠点型に行きまして、そこで専門外来を地域拠点型の先生方と一緒に、あるいはスタッフと一緒に開催して、地域拠点型のコメディカルの人材育成もやるということを目標にしています。
 例えば坂本先生のところにも週1回大学から教官が1人大学院生の若い精神科医を連れて、2人で外来を担当しに行かせていただいています。この春までは地域拠点型は7つだったのですが、そのうち6つまでは週1回、大学から専門医が行けるようになっています。今年度中にできれば9つのセンター全てに週1回は派遣して、ゆくゆくは常勤医を1人ずつ派遣したいということを考えています。
 もう一つは事例検討会を開いて、要するに県内にセンターが10か所もできますと、当然各センターでの様々なモチベーションの違いとかレベルの違いが出てきますので、それをできるだけ均質にして全県をカバーしたいという目標を最初から掲げておりましたので、スライド7にご覧いただけますように、地道に2か月に一度ぐらい、大体土曜日の午後4〜5時間かけて事例検討会を重ねてまいりました。
 原則としては、ドクターもコメディカルも各センターで固定して必ず出席ということを義務づけています。ですから、参加者は平均して60人ぐらいです。ここにございますように、基本的には大学の基幹型で1回主催をすると、次は地域拠点型の地域に出ていって、そこの施設見学をしてお互いに意見交換をしたりとか、その病院のスタッフを集めて研修会をしたりとか、その病院の周りの包括センターの方々に来ていただいて研修会をするというようなすそ野を広げるような試みを続けております。
 スライド8、9が1回分の事例検討の一例です。このように2か月間で各センターのスタッフが直面した一番困難だった事例をプレゼンテーションしてもらいまして、それに対してみんなで様々な対策あるいは意見を言い合って情報を共有しています。再び似たような方が来られたときには、スムーズに対応できるように検証を重ねております。
 基幹型の役目として、この検討会では、BPSDの把握のポイントを私がお話しして、それから認知症の様々な重症度の評価尺度について、あるいは病歴の聴取について基幹型のスタッフが講師をするといったような試みを続けております。
 次は少し飛びますけれども、スライドの18を開けてください。ここに認知症疾患医療センターができたころとその後の1年でどのくらいそれぞれのセンターで対応した患者さんの数が変わったかというのを示してございます。
 まず専門医療相談件数についてです。相談の電話を開設した場合に、各センターに介護相談その他が殺到するのではないかということを心配していたのですが、熊本県の方で江口局長のスライド28にあります「認知症ほっとコール」というのを家族会に委嘱をして熊本市の真ん中に開設をしてくださって、ここがある一定のトリアージをすることになりました。すなわち、医療相談に限ってその利用者の相談者の一番近い医療センターに電話をつなぐ。介護保険のことに関しては地元の包括支援センターにつなぐ。介護相談に関しては家族会のメンバーですからまさに介護経験のある方々が対応するということをやってくれておりますので、スライド19にありますように、大体8つのセンターで電話相談が1か月件に250件です。250件といっても御存じのように認知症の場合1件が1時間くらいかかったりしますので、それなりの件数ですけれども、何とか8つのセンターでカバーできる数でおさまっております。
 外来の患者さんの数についてです。これも8つのときのデータですが、直近で行きますと今年3月は8つで再来の方も含めて1か月に3,500人をカバーしています。熊本の認知症の方は大体5万人ぐらいではないかと推測していますので、そのうちの一部のBPSDを出している方とか身体合併症を出している方を認知症疾患医療センターで対応するわけですから、10分の1弱という数字でこのぐらいだろうなと思っています。
 その下が実際に8つのセンターに入院された方なのですが、ご覧いただきますように決して増えておりません。1か月で、大体40〜50名、8つのセンターで入院の患者さんがセンター経由でいらっしゃいます。ですから、大部分はトリアージ機能で外来対応、介護との連携で対応しているというのがこの数字を見ていただければわかると思います。
 あと合併症に関しては、地域拠点型の病院と地域の総合病院のネットワークでカバーしております。また、どうしても悪性腫瘍でありますとかハードな治療が必要な身体合併症に関しては県の方から私どもの教室、病棟に1床、空床を確保していただきまして緊急入院が可能になっております。年にかなりの数、BPSDの緊急入院、身体合併症の緊急手術でオペ出しを精神科の病棟からするということをやって何とかカバーをしております。
 以上でございます。

○坂本参考人 では、続きまして、地域拠点型の認知症疾患センターの現状ということでお話をさせていただきます。私の方はスライド番号を付けておりませんので、下のページ数で進めさせていただきます。これは他で話したスライドをそのまま送ってしまったものですから、かなりの枚数になっております。途中、少し省略をしてお話をさせていただきます。
 まずは3ページ八代市の現状を少しお話しさせていただきます。市内合併しまして13万の都市であります。高齢化率がそこに書いてあります全体で28%なんですが、面積が広く中心部は23%ぐらいなのですが、周辺部になると40%以上とかなり高齢化率の高い地域ということになってしまいます。その中で市が6つの包括支援センターに委託してやっております。
 下の方にモデル事業のことを書いておりますが、21〜22年度に市がモデル事業を取ってくれまして、市全体でいろんな取組みをすることができるようになりました。後でお話ししますが、もの忘れ手帳の配布というのが特徴的かもしれません。
 疾患センターの活動状況をお話しさせていただきます。4ページです。センターの業務としては先ほど江口局長の方から役割のお話がありました。それに加えて、我々のセンターでは一番下に書いております定期的事例検討会を始めていることは、他の疾患センターより早い取組みなのかなとは思っております。
 5ページ、連携担当者がここに書いてありますような主な業務をやっております。写真は地域包括支援センターに定期訪問しているところでございます。
 6ページ、相談件数であります。大体月に30〜35件平均ということですが、先ほどのお話のように1件の相談時間がとても長いので、件数として見たら限界があるのかなと思っております。相談経緯は、ケアマネさんからの相談が一番多いんですが、かかりつけ医の先生からの御相談も少なくはありません。
 7ページ、相談内容は初診前の相談が一番多いんですが、周辺症状、BPSDの増悪による御相談というのも寄せられております。
 来院患者数ですが、年々徐々に高くなっております。下の初診の患者さんに関しては、センターを経由した方の件数でありまして、これ以外で常勤医が診るケースもあり、この数以上の患者さん方を診させていただいているということになります。
 8ページ、予約から受診までの流れをお書きしております。先ほど池田先生の方からお話がありましたように、もの忘れの専門外来は大学から2人のドクターに来てやっていただいております。現在初診予約でお待ちいただく時間が長くなってしまっているのですが、そこで一応連携担当者がトリアージをいたします。緊急性の必要な方々、例えば急に症状増悪してしまった、または周辺症状が出現し改善しない場合等は、常勤の精神科医が診させていただきます。同じようにCT・血液検査、心理検査などをして、必要に応じて外来、入院または紹介元にお返ししたり、合併症等で治療の必要性のある方々は周辺の協力病院にお願いするという形をとっております。
 では、成果の方を少しお話ししますが、一番上が切れておりますのであれなんですが、地域の方々の認知症に対する認識が変化して気軽に相談、受診ができるようになってきたのかなとは思います。顔が見える関係ができて受診につながって連携がとりやすくなったというところです。先ほどもちらっと申しました定期的研修会、講演会、事例検討会によってかかりつけ医やケアマネさんからの相談件数は増えております。 そこで、私どもで以前からやっています認知症認証研究会についてお話をさせていただきます。センターの役割としての研修会等の開催を、当院が事務局として平成19年よりスタートしていたこの研究会とリンクさせ進めてまいりました。
 9ページです。目的はご覧のような形なんですが、特徴的なのは10ページの世話人のところなんですが、いわゆるこの手の研究会というのは医師中心の集まりが多いと思うんですが、我々の研究会は初めから認知症に係る全ての職種の代表に世話人になっていただいて、患者さんに接する際、みんなが共通の認識を持って関わっていけたらなぁ、と考えました。
 そのため、ご覧のように研修会のときも、専門職だけなんですが、かなりの多数の参加者があり、症例報告を含めた形でこの研修会を進めております。
 11ページ、併せて医師の研修会については、他の職種と一緒の研修会であれば医師の出席率が悪いものですから、医師会の方と相談しまして、医師研修として別に年に2回のペースでやっております。
 もう一つ、先ほど江口局長からのお話にあった事例検討なんですけれども、我々が地域型でやっている事例検討会もとても皆さんから好評でありまして、今後も先ほど言いました6包括を1年間でぐるっと回るような形で予定しているところであります。
 13ページ、地域の方々に御協力いただきたいと思いまして、民生委員の研修会にも参加、講演させていただいております。田舎ですので老夫婦や独居の高齢者の割合が多くなっております。そのため、民生委員の方々に安否確認だけではなくて、少しでも認知症を知っていただいて、一歩踏み込んだ形で訪問していただきたいと考えました。これも各地区で継続していく予定にしております。
 その次は家族の会についてです。これにも積極的に関わっていこうと考えているのですが、本来の家族会の主旨に加えて、行政の方、周囲の方々に話を進めていくときの後押しをしていただけたらと思っております。
 14ページの方は、他の地域型の疾患センターとの交流として、現在私どもでやっている活動内容を話しに行ったりという形もとっております。次に、研究会の方でもう一つ、関わる職種間の情報の共有を図りたいと思いまして、何か共通のツールはないかと考え、そこにお示ししたもの忘れ相談手帳、もの忘れ受診手帳の作成を致しました。ちょうどこのときにモデル事業を市がとってくれましたので、それに乗せてまず市全体に相談手帳を配布いたしました。そこで16ページに載せておりますチェック項目4項目にチェックがあれば、掲載されているもの忘れ相談医に受診していただいて、そこで認知症の診断を受けられた方々に今度は受診手帳を渡して、それを携帯していただくということにいたしました。
 高齢である患者さん方は、皮膚科だったり整形外科だったりいろんな科に受診されます。そうすると、いろんなお薬をもらわれるわけです。先生方御存じかと思いますが、お薬によっては認知症症状を悪化させるものもありますし、認知症の種類によってはお薬で過敏反応を起こしてしまうものもあります。この手帳を持っていただくことでこの方の認知症の状態がわかって、よりよい適切な診療をしていただけるのではないかと思い作成いたしました。お薬手帳というのを御想像いただくと何となくわかっていただけるかなと思います。
 あと17ページからは内容を20ページぐらいまで載せております。相談医については市の医師会の理事の先生方に御提案し、賛同いただいた上で、かかりつけ医研修だったり我々がやっている研究会の研修だったり、それぞれに出席された先生方を全部リストアップしまして、直接御連絡を差し上げて掲載を御了解していただきました。また継続してこれらの研修会にも出席をお願いして御協力をいただいているというところでございます。
 20ページ、研究会の流れを書いております。
 21ページからはネットワークづくりのこれからということで書いております。
 成果の方で4番目ですが、周知徹底できて早期発見、早期治療に役立てたのではないだろうかと考えております。
 事例を22ページに少し挙げております。事例(マル1)は、かかりつけ医の先生から少し認知症の疑いがあるのではないかということで、専門医の受診を勧めていただいたんですが、本人の強い拒否があり、精神科受診は嫌だということで、地域包括支援センターに医療相談ということになりました。
 私が月に1回、認知症強化型地域包括支援センターへ定期訪問し、そこで一緒に面接させていただいて、顔の見える関係ができたところで私どものところに受診をしていただきました。結果、アルツハイマーだったんですが診断をつけまして、またその方のかかりつけ医の先生のところにお返ししたというふうな症例でございます。
 2事例目は、これは周辺症状が増悪したケースであります。独居の方で幻覚・妄想に左右されて、昼夜問わず徘徊し地域の方々へ迷惑行為があって対応困難なケースであり、当センターの方に近隣の方より相談がありました。幸いかかりつけ医があられるということだったので、娘さんに御相談をして、また地域包括支援センターに報告をして、当センターの方に受診していただきました。
 確かに強いBPSDが出現しており、しばらく入院していただきました。症状が改善して、在宅に戻したかったんですが、独居では困難と考え、施設の方に御紹介したという症例でございます。
 3番目の症例が、実際センターの受診にはなっていないんですが、センターの連携担当者の訪問により近医の先生で診断をしていただき、娘さんに状態を認識していただき、結果、同居になったケースということで御紹介いたします。
 24ページ、センターの課題ということなんですが、先ほどのお話のように外来の予約待ち状況があります。現在専門外来はほぼ2か月待ちという状況です。次の外来の待ち時間というのも問題になりますし、受診後落ち着いた状態となった患者さん方に、かかりつけ医の先生に戻っていただくお話をしますと少し抵抗されてしまいます。そこのところは何か改善策をと考えております。
 BPSDが先ほどのようにひどい方々をタイムリーに受け入れなければいけないと思うんですが、我々は民間病院ですのでそのために常に1床空けておくということは不可能でございます。ここのところはどうにかならないのかなと思ってしまいます。
 我々のところは内科医も常勤でおりますものですから、ある程度の身体合併症は受け入れることができるんですが、オペの必要な方々であったり、透析の患者さんだったりというのはなかなか厳しいという状況があります。
 八代市の地域連携図を次に示しております。
 最後のページに、先ほど江口局長の方から3層構造というお話が出ましたが、一応我々の疾患センターでなるべくこの形がとれたらなと考えています。県南で人吉市という都市がとってくれましたので、我々が担当する分が八代市と水俣市ということになります。今、私が年に1〜2回は水俣の方にも訪問させていただいていますので、何とか連携はとれているのではないかなと感じております。
 以上でございます。ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。それでは、ただいまの熊本県の皆様方からのプレゼンテーションを含めまして、これまで事務局の説明についてのものでも結構でございます。熊本県の皆様方のプレゼンを中心として御質問または御意見がありましたよろしくお願いしたいと思います。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 すばらしい取組みだったと思うんですけれども、1つお伺いしたいのは、熊本における認知症サポート医の位置づけはどのようにされているのか。1つは専門研修をして認知症の専門医になっていただくというのがあるんですけれども、サポート医の養成研修会の中では、サポート医は認知症専門医ではなくて、いわゆるつなぐための役目をするんだという位置づけで今までやってきたと理解しているんです。熊本ではほっとコールという形でトリアージをしてつなぎをやるということになりますと、認知症サポート医というのはもう専門医の方にシフトするというお考えなのかどうかということをお伺いしたい。
 もう一つは、様々な研修会あるいは事例検討会、八代認知症研究会とか、様々なものが開催されておられますけれども、これに対する費用等については病院の方で負担されているとなると非常に大変だと思うんですけれども、その辺がどうなのかという事をお伺いしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 よろしくお願いします。
 では、江口局長の方からお願いします。

○江口参考人 1点目の御質問に私の方からお答えさせていただきます。
 サポート医については、従前から熊本県でも養成してきておりました。ただ、サポート医に求められている役割がありますけれども、実際の熊本県での活動を見た場合には、認知症疾患医療センターの取組みを始めるまでは、毎年行っているかかりつけ医向けの認知症対応力向上研修の講師役としての関わりが基本的なものでして、実際に本来求められているかかりつけ医に対するいろんなサポート、アドバイスとかといったところがなかなか機能していないという状況がございました。
 そういった中で熊本モデルという形で基幹型と地域拠点型の2層構造の認知症疾患医療センターの取組みを平成21年度から始めましたときに、当時、地域拠点型センターが7か所でスタートいたしましたけれども、この7か所のセンターの専門医の先生方の役割とサポート医に求められている役割というのが大部分重なるのではないかということを実は議論いたしました。
 その結果、認知症疾患医療センターの取組みを始めた以降は、基本的にはサポート医の役割と地域拠点型の専門医の先生の役割はほとんどイコールだという整理をして、地域拠点型センターの専門医の先生方にサポート医の研修も受けていただくという整理できております。
 今回、先ほど御説明した資料の中で新しく今年度から開始する認知症医療・地域連携専門研修というのがありますが、この専門研修に当たっては、サポート医養成研修を受けた先生方に受けていただくという整理をしております。地域拠点型センターの専門医の先生方だけではなくて、それ以外のセンターとして指定はしていないんだけれども、その地域の中でそれぞれ専門医の先生方がいらっしゃいますので、そういった専門医の先生方と一緒になって活動してもらうということを考えております。そういった中でサポート医の役割としての活動もやっていただきたいという思いがございまして、この研修の受講要件という形でサポート医の養成研修も併せて受けていただくという整理にしているところでございます。

○福田精神・障害保健課長 あともう一つ、事例検討のためのコストについてはどちらの方の医療機関ですか。

○江口参考人 まず基幹型センターでやっていただいている事例検討会については、基本的には認知症疾患医療センターの運営事業の一環としてやっていただいております。併せて今年度からは各地域拠点型センターでも地域版の事例検討会を開いていただくということにしておりますけれども、これも認知症疾患医療センターの運営事業、県からの委託という形でやっていただきますけれども、その仕様書の中にこの業務の一環として位置づけさせていただいておりますので、センターの運営事業の一環としてやっていただいているということでございます。

○池田参考人 確かに時間がかかりまして、実際にやっていることは事例検討も各センターから挙げられた事例を基幹型が選択してパワーポントの準備をして、それがまた地域拠点型で次の年度に使えますように個人情報をマスキング処理して事例をつくってそれを各センターに配付するということをやっていますので、実際にはかなりの労力ではあります。しかし、先ほどから強調していますように人材育成というのは1つの大きなこのモデルの目標なので、そこは労をいとわず、しかも大学ですからそれが1つの役割と思っていますので、その辺りをきっちりとやろうということを目指してはおります。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 坂本先生の方から何か補足はございますか。

○坂本参考人 事例検討の費用というところですが、実は八代認知症研究会はこの事業が始まる前、平成19年から始めておりまして、そこにはメーカーさんが付いてサポートをしてくれておりました。研修に関して疾患センターの事業とリンクさせてどうかなということで、そのまま継続しております。
 他の事例検討会だったり家族会だったり民生委員という部分に関しては、無償で私たちが足を運んでボランティアといいますか一緒に勉強しましょうということでさせていただいております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、岡崎構成員、お願いします。

○岡崎構成員 個人的なことですが、自分のふるさとの活動を聞けて非常にうれしく思っています。
 システマティックな認知症に対する取組みをしてらっしゃるのはすばらしいと思います。幾つかお聞きしていてわからなかったことを教えていただければと思います。
 1つは入院患者数が必ずしも増えなかった。この3年間はむしろ減少しているといったことの背景をお教えいただければと思います。
 ドクターの活動はよくわかったのですが、コメディカルの方々の活動といいますか、役割といいますか、そういったところがいま一つ見えなかったので教えてください。認知症サポーターを養成しておられますがどういった活動、役割をその方々はやってらっしゃるのでしょうか。もう一つは、御家族というか、介護者、ケアラーのピアサポートなどの機能とか、そういった活動はいかがでしょうか。そういったことをお教ええいただければと思います。

○福田精神・障害保健課長 池田先生、お願いします。

○池田参考人 前半の2つをお答えしたいと思います。1つは入院患者数ですけれども、これは勿論、実際のところどうかというのは本当の理由はエビデンスはないですが、恐らく啓発が進んできて私も実感しているのですが、早め早めの受診が実現しております。
 地域拠点型の周りの例えばグループホームから受診されるときでも、ぎりぎりまで施設で頑張って、どうしようもなくなって受診するのではなくて、もともと精神科病院で少し敷居が高かったところがかなり一般に周知ができてきて、早めに受診されるようになりましたので、外来で持ちこたえることができるようになったという点が一番大きいかなと思っています。
 もう一つは、コメディカルの研修ですけれども、各センターの連携担当者は大部分がソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーが大活躍をしてくれていまして、かならず今日紹介された会議には全て出てもらっています。
 事例検討会も実際には勿論、ドクターが発表することもあるのですが、ソーシャルワーカーや臨床心理士が直面した事例を発表することもしばしばございまして、事例検討会では各職種がそれぞれ同じように発言をして同じように発表するという場にしておりますので、そこで研修ができているかなと思っています。
 もう一つはコメディカルの人材育成についてですが、例えばこの4月に2つ新たなセンターができましたが、新たにセンターができるたびにもともと活動を活発にやっているセンターに丸一日とか見学に行きまして、各職種がそれぞれの専門職の後ろについて、ドクターは勿論、診察を見学する。臨床心理士は家族のサポートや心理検査をやっているところを後ろから一緒に体験する。ソーシャルワーカーも一緒に活動するということで、それぞれ元からアクティブにやってきたところに行って研修を積むというようなこともやっておりますので、まだ不十分かもしれませんがかなり活発にやっているつもりです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。では、サポーターの部分と。
 江口局長、どうぞ。

○江口参考人 私の方から後半の2つの御質問にお答えさせていただきます。
 まず、1点目の認知症サポーターを養成したサポーターの活動についてですけれども、説明資料の27ページをご覧いただきたいと思っております。
 認知症サポーターについては熊本県知事が都道府県知事として初めてサポーターになりまして、それ以降、一気に養成が進みました。昨年度末、今年3月末現在で10万人を超えたところです。人口比で言いますと2年連続で日本一ということです。昨年度辺りからサポーターの数を増やすのはいいけれども、実際にその方にどういうふうな具体的な活動をしてもらうんだという声がいろんなところで出てくるようになりまして、それはサポーターの活動促進を模索していた我々にとってもものすごくありがたいなと思っております。
 サポーターの役割としては、2つに分けて考える必要があると考えておりまして、まず1つは認知症のことを正しく理解してもらうというのが第1点目だろうと思います。これはすそ野を広げるという意味で、まずこの点をしっかりやっていく。そのためにはできるだけ多くの方にサポーター養成講座を受けてもらうということが必要かなと思っております。
 その次のステップとして、サポーター養成講座を受けた方の中には、自分はサポーターになったので、それ以上にもう少し具体的な関わり方を持ちたいということをおっしゃる方がいらっしゃいますので、そういった方向けに例えばこういったことをやっていただくとすごく介護者、家族の方とかというのは助かりますみたいなことを言っていく必要があるかなと思っております。老健局の事業で認知症の地域支援体制構築のモデル事業というのがございまして、熊本県では平成19年と20年の2年間で2つの市と町、21年度、22年度の2年間で7つの市町村がこのモデル事業に取組みました。
 このモデル事業の中で認知症サポーターについては、単に養成するだけではなく、養成したサポーターに具体的にどんな活動をしてもらいたいのかを考えて実際に取り組んでくださいということをやりまして、その成果として各モデル地域から報告がありました。その中の活動の実践的な事例をまとめたものを昨年度末につくりまして、それがスライドの27ページの熊本県認知症サポーター活動促進ハンドブックというものです。具体的な活動内容というのを事例として紹介するハンドブックということで、具体的な活動内容というのを事例として紹介するハンドブックをつくって、これを全市町村に配布しているところでございます。今後はこの点に力を入れていく必要があると考えておりますが、1つだけ御紹介いたしますと、熊本県の南の方にある水俣市の方では、認知症サポーターを受けた方について、傾聴ボランティアの研修を受けていただいて、例えば特別養護老人ホームのような施設に行っていただいて、そこで入所者の方の傾聴ボランティアとして具体的な活動をしてもらっているという事例がございます。1点目の御質問については以上でございます。
 2点目の介護家族の具体的な支援というところですけれども、これも資料の28ページを見ていただきますと、認知症のコールセンターを県の方で委託しております。これは認知症の人と家族の会の熊本県支部に委託しておりますけれども、このコールセンターの役割としては大きく2つございまして、1つは実際に家族介護を経験した当事者として相談があった方へのピアカウンセリング的な機能。もう一つは、具体的な専門機関、医療機関ですとか地域包括支援センター、介護事業所、そういったところへのつなぎでして、大きくこの2点について今コールセンターの方で役割を担ってもらっているという状況でございます。
 以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他にありますか。
 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 日精協の河崎でございます。本当にすばらしいプレゼンテーション、ありがとうございました。今日、いろいろ御説明を伺って、熊本方式の非常に実際的なことの理解を深めることができました。
 幾つか教えていただきたいんですが、まず最初に実際的なことの質問としまして、いわゆる時間外の対応です。夜間であるとか、実際疾患医療センターそのものの活動が24時間、365日という形であれば、それはいつでも対応できるということなんでしょうが、なかなかそういうわけにはいかないのではないか。そうしますと、時間外とか夜間とかそういうような際に、例えば熊本県の精神科救急のシステムとか、その辺との連携なりそういうようなものは何か具体的にはお考えなり動いている部分があるのかというところが1点まず教えていただきたいと思います。
 2つ目が、これはこれまでの検討チームの昨年12月22日の中間とりまとめの中でも取り上げられているんですが、やはり医療側、つまり精神科の医療側と介護側との問題の共有化、問題意識をどのようにして共有していくのかというのが今後非常に重要であるということは、構成員全員が感じているところなんです。
 そのときに先ほど池田先生の方から、やはり入院があまり増えないのは精神科病院あるいは精神科医療に対する敷居が非常に今回の取組みの中で低くなったからそういうような入院も少ないのではないかなという説明がございました。そうしますと、熊本方式を現実的に行っていっている中で、精神科医療に対する介護者の立場ですとか、介護保険の事業所の皆さん方あるいは御家族もそうですが、その辺りの意識がどのように変わってこられたという実感をお持ちなのか。
 言い換えますと、その辺の意識を変えるために、これからどういうような活動を疾患センターとして、あるいは地域との間でやっていけばいいのかというところを教えていただきたい。
 3つ目なんですが、やはり先ほどの話を聞いていますと、行政側の認知症に対する取組みの非常にパワーと、もう一つは、基幹型となるその医療機関がどれだけ地域の単科、熊本の場合は単科の精神科病院の方たちが地域拠点型なんですが、どれだけ基幹型の医療機関が地域の拠点型の医療機関に対してサポートできるのか、それだけのパワーを持っているのかというところにかかっているような気がするんです。
 これが果たして日本全国にうまく普及していくのかどうか。池田先生のようにしっかりと使命感をお持ちであれば、これはある程度熊本で現実的になっているんだろうと思うんですが、この辺のところが本当にどういうふうに施策の中で現実化していくのか。何が一番必要とされるのか、その辺もまたヒントとして教えていただければと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、坂本先生の方から。

○坂本参考人 では、最初の時間外の対応のところをお答えさせていただきます。
 おっしゃるように時間外は業務外になりますとなかなか大変になってまいります。時間が先ほどトリアージのところと同じなんですが、待てる方であれば翌日の部分に看護師の方が御説明をさせていただきます。
 しかし、待てない患者さん方の場合は、先生おっしゃるように県内の救急医療体制を利用するということになるかと思います。ただ、一度は受診をされた患者さんであれば、もう当然自院で対応していくというふうにしております。

○福田精神・障害保健課長 では、池田先生の方から、どうぞ。

○池田参考人 確かに時間外の問題は非常に難しいです。ただ、幸いなことに熊本の場合、先ほどから御紹介していますように10のセンターがございますので、1つがたまたま満床であったりとか、非常に若いドクターが当直していて対応できなくても、そのお隣のセンターは恐らく大丈夫なので、それでカバーし合って、今のところ、私の知る限りでは大きな問題になったことはないと思います。
ただ、先生がおっしゃるように精神科救急とリンクするということはこれから非常に大事で、両方にとって有益だと思っています。
 2つ目の介護との連携についてですが、これは地域拠点型の役割が非常に大きいと思っています。坂本先生も強調しておられましたけれども、地域拠点型が目の見える範囲で各地域の医師会のドクターや介護職の皆さんと一緒になってネットワークをつくっていけるかどうかということに関わっていますので、最初のうちは依頼があれば基幹型の我々がその地域に行って様々な啓発をやったりしていたのですが、今はもうほとんどが地域拠点型のスタッフと先生方に地域の活動はお任せしています。勿論、教育資材は大学がつくって自由に使っていただくようにしていますが、ほとんどの活動は地域拠点型に目に見える範囲での連携をとってもらうようにしています。
 3つ目のポイントですが、これは非常に難しい課題です。認知症に限らず、これは精神科医療全般、児童も統合失調症も全てですけれども、大学というのはあくまでも人材育成の機関です。ただ、一人前になってもらうためには、大学での研修だけでは不十分で第一線の病院でもしっかりと経験を積む必要がありますので、少なくとも後期研修や大学院の数年間はお互いに行ったり来たりするということが重要になってくるのだろうと思っています。
 熊本の場合は、幸い割とシステマティックに、後期研修の1年目を大学で済ませて2年目からほとんど全員のドクターに公的病院と精神科病院と必ず回ってもらうようにしていますし、先ほど述べましたように大学院生も指導医と地域拠点型で活動していますので、比較的その辺はできていると思います。それでも現実問題としては県境の病院などになかなか派遣できていないとか、いろんな問題はあるので、その辺は十分これから考えていく必要があると思います。むしろ認知症を1つの皮切りにして、統合失調症や児童の方も同じようなシステムでできないかなということを考えております。

○福田精神・障害保健課長 坂本先生、お願いします。

○坂本参考人 追加で御発言をさせていただきます。
 意識の共有化というところなんですが、地道な努力しかないかなとは思います。先ほどから幾つか御紹介しましたが、幾つもの事例検討を重ねております。そうすることで非常に皆さんが意見をどんどん出してくれるようになります。最初の方はあまり意見が出なかったんです。こちらからどうですかという御指名をして発言していただくという形が、今では向こうの方から、「先生、なぜこの薬?」等と、皆さんが言ってくれるようになりました。これはもう回数を重ねていくしかないのかなと思っております。そして印象ではありますが、確かに精神科の敷居が低くなったと感じております。
 あとの3番目の部分なんですが、先生がおっしゃるように非常に行政側のパワーと池田先生の思いが、タイミングよく非常にいい形で熊本県には舞い降りたというような経過なのかもしれません。しかし、全国の地方都市はこの形が多いのではないかと思います。都市型はなかなかこの形がとれるかどうかわからないんですが、地域に大学が1個程度の地方都市についてはこの形がとれるのかなと思いますし、1つこの形ができると、例えば行政の方が異動になられても、基幹型の人材に何か変化があっても地域型さえ整って、一旦この形ができてしまうと継続できるのではないかとは感じております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 広田構成員、お願いします。

○広田構成員 皆さんがすばらしいと言っているんですけれど、私などは東北大地震が、広島、長崎原爆に匹敵したぐらいの第二の戦後を迎えていると思っていますけれど、それで長寿の局長が見えたけれど、日頃から認知症の話を伺っていてどこが長寿なのか、日本はどうなってしまうんだろうと思っているんですけれど、去年の4月から高齢者、デイサービスのお話ボラに行っていますけれど、そこでアメリカの話をすごく明確にされる方がいて、他の高齢者様が「アメリカの話はすごく詳しいんだけれど、彼女はお手洗いから帰って来られないんですよ」。「でも、それはみんな自分がやがてそうなるんですよ」と非常にほっとした話を伺っていて、他者を許容されるそういう高齢者になりたいと思って伺っています。先ほど地域支援体制のサポーターの話が盛んに出ていますけれど、「認知症地域支援推進員の配置」がありますね。これはどのぐらいの規模で配置されているのかというところと、全体の地域支援体制にお金をどのぐらいかけているのかということと、そういうふうな人に対しては全く無報酬でボランティアとしてやっていただいているのかというのがまず1点です。
 この検討チームは認知症のこと、本体のことをやっていますが、いかに税金を減らすかという意味でも予防のことにとても関心があるんです。サポーターの講座内容の中に認知症の予防と出ていますけれど、どういうふうな予防をやっていて効力が出ているのかということと、今後こんなことがあればこの国全体の認知症の予防に貢献できるということを伺いたいということ。
 ここのケースのところに、事例検討で精神症状とか認知症の症状と出ていますね。これは誰がどういう形で聴取しているのかということを教えていただきたいということと、精神疾患でもそうだけれど、事例検討というとこの国は必ず主役がいつも不在なんですけれども、ここに出ていますけれど、この人たちだけなのでしょうかということ。
 以上です。よろしくお願いします。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、最初、江口局長の方からお願いします。

○江口参考人 1点目、資料の2ページの地域支援体制のところに「認知症地域支援推進員の配置」と書いています。実は昨年度まで老健局の事業ですけれども、地域包括支援センターに認知症の連携担当者を置くという補助事業がございました。この補助事業を活用して連携担当者を置いている地域包括支援センターを認知症対応強化型地域包括支援センターと言っておりましたけれども、この事業は実は認知症疾患医療センターと対の事業という整理をされておりました。認知症疾患医療センターに連携担当者を配置していますが、原則として認知症疾患医療センターが設置されている市町村の地域包括支援センターにも、同じように専従の連携担当者を配置するという事業でございました。
 これは10分の10の国の補助事業でして、ただ、これを活用するためには認知症疾患医療センターを設置しないとその事業が使えないということでしたけれども、熊本県は7つの地域拠点型センターで運用しておりましたので、それぞれのセンターがある7つの市町村にこの事業を活用してそれぞれ7人の連携担当者を置いてお互いが連携するという事業を進めておりました。
 実は今年度から、昨年のたしか事業仕分けの関係だったと思いますけれども、市町村がもっと柔軟に活用できるような補助事業の見直しをという指摘がありまして、この認知症対応強化型の地域包括支援センターの補助事業というのが別の事業と統合されて、市町村認知症施策総合推進事業、たしかそういった事業の名前に変わりましたけれども、その中で、いわゆる強化型包括支援センターに置いていた連携担当者見合いの担当者を市町村が1人配置するという事業が今年度から具体的にスタートするということでございます。
 ですので、まだ具体的には動きは出ていないんですけれども、熊本県としてはまず少なくとも地域拠点型センターが置いてあるこれまで7つでしたけれども、それに今年度から2つ追加して9か所、ここには同じようにこれまでの連携担当者、今回から推進員と言いますけれども、それは置いてもらうということで、各市町村に働きかけをしたところです。
 実際、この9か所プラスαの市町村から手が挙がっているようですので、そういったところに配置をして、認知症疾患医療センターの医療側の連携担当者と地域包括支援センターとか市町村の連携担当者の両方が連携するようにやっていきたいと思っています。連携担当者同士の連携がうまくいって初めて本当の連携ができるのではないかというのがこの2年間熊本で取り組んだ実感ですので、そういった意味でこれまで以上にこれはやっていきたいと思っております。
 1点目は以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 では、2番、3番、4番のところで池田先生、坂本先生でお答えいただければと思います。

○池田参考人 私は予防のところをお答えします。御指摘のように予防というのは非常に大事なことです。では、具体的に熊本モデルで何がやれているかということなのですが、今のところやれていることとしては、MCIという認知症の前駆段階を非常に高率に含んだ一部の方がいらっしゃいます。精神科病院の敷居が高くて恐らくそういう方々はあまり地域拠点型には来られないと思っていたのですが、敷居が低くなることによって先ほど御紹介した1か月に来られる3,000人から3,500人の中の10〜15%は実は認知症ではなくてその前駆段階の方なのです。その方々に、それこそ坂本先生が言われたような余分な薬を飲まないように指導したりとか、活動性を維持するように働きかけて、ずっと継続的にフォローして認知症になるのを抑えていくということはかなりできつつあるかなと思っています。
 もう一つは、事例検討についてですが、様々な地域での研修会とか講演会には勿論、当事者の方や家族の会との連携を非常に深めておりますので、参加していただきます。ただ、センターだけでやる事例検討に関しては、先ほどから言っておりますように、これはあくまでも人材育成が目的で、専門家集団の勉強会ということを位置づけていますので、クローズドにした上で、しかも各センターのメンバーも限って、要するに毎回違う人が出てきたのでは情報が共有できませんので、必ず同じメンバーが1年を通して出てきて経験を重ねるということを逆に意識的にやっております。

○坂本参考人 では、私の方から。先ほど池田先生もお話になったんですけれども、予防のことなんですが、今回のスライドに入れていなかったのですが、今年度からは先ほどの包括への事例検討会訪問のときに予防教室を一緒にやっていこうかと考えております。
 御存じかと思いますが、運動と知的活動についてはしっかりとしたエビデンスが出ていると思うんですが、食物に関しては情報過多の状況です。しかし、住民の方々はどんなものを食べたらいいですかということをしきりにお聞きになられます。ですから、そういうところも我々で知り得る情報を提供して、一緒に予防について勉強していく活動もやっていこうかと考えています。
 次に事例検討に関してです。我々の地域型では市民フォーラムを年に1〜2回ぐらいやっておりますが、その中でやるとなると、個々の事例検討に関してはこれが個人情報の関係もございますし、思ったことが話せないというような形になり得るかもしれません。ですから、地域の方々で、関係のある方々が、個々のケースについて集まってもらいお話をしていけたらいいと思うんですが、全体での事例検討に関しては厳しいかなという感じは受けております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 あと、事例の選定はどなたがどんな観点でというところは補足の説明はございますでしょうか。

○坂本参考人 事例の選定に関しては、包括の方で困難事例を挙げてこられます。それに対して重なる事例であればこちらで選択させていただきますが、そうでなければ全ての事例に対して対応していこうとは考えております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。まだまだ御質問はあるかと思いますが、次の話題がありますので、まずそちらの方のプレゼンテーションをしていただいた上で、残りの時間でまとめて御意見、御質問を伺うという形にさせていただければと思います。
 では、続きまして、関連する話題ですけれども、退院支援と地域連携クリティカルパスについて、まず事務局に説明をお願いいたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。資料2の13ページからの御説明になるんですが、まず参考資料1と2をお付けしています。
 参考資料2は以前の検討チームで一度出しておりますが、地域連携クリティカルパスとはという資料です。ここで地域連携パスと我々が言っておりますのは、1ページ目の下のスライドにありますように「精神障害者を対象とする『地域連携パス』(例)」とありますが、入院から退院までという病院だけでなくて、その後、中間施設あるいは退院した後にどのようなサービスが続くかというものを同じ工程表に書いて、それを病院なり中間施設なり地域の方が共有するというツールを連携パスと呼ばせていただいております。その2枚目以降は具体的な例が載っておりますので、御参考にお願いします。
 それでは、資料2の13ページをお願いします。今、お示しした、こういった退院支援・地域連携パスが実際現状でどのくらい使われているのか精神科病院に対するアンケート調査を行いました。
 14ページ、具体的には主な精神科病院の団体様に協力をいただきまして、今年2月にアンケート調査を行いまして、685件の御回答をいただきました。
 結果ですが、15ページ。この685件でパスの使用している、あるいは過去に使用した経験があるといったところが6.6%、2.9%で1割弱。ほとんど9割ぐらいのところはその経験がないという回答でありました。
 次のクリティカルパスはどんな内容のパスを使っているかということですが、最も多いのが60%で退院支援に関わるものということでありまして、逆に診断に関わるものや退院後の支援に関わるものというのは、割合はそれより低く出ておりました。
 16ページ、このパスの作成や運用に関係する職種、どんな方々が一緒につくったり共有しているかということで職種を見たんですが、医師、看護師、精神保健福祉士などの医療機関に通常いる方々は当然割合は高いんですが、下の方にありますケアマネジャーいったような介護関係、医療機関にはいないという方の割合はすごく低く出ているということであります。
 17ページ、そのパスは具体的に他の施設や他の病院と連携しているパスですかということを聞いたところ、それについてパスをやっている65か所のうち、33.8%がそういう他との連携パスであるということでありまして、それ以外は自院の退院支援までのパスというような状況であります。
 ただ、次の今後パスを導入予定があるか、あるいは導入したいと思っているかということですが、614回答があって、3.9%は導入予定がある。56%、半分以上はない。33.1はできれば導入したいという方は、3分の1ぐらいはいらっしゃったということです。
 18ページ、これは地域との連携状況の質問ということで、患者さんの退院先選定の際にどこに相談していますかということを当てはまるもの全てをお答えいただいたんですが、多いのは介護施設や地域包括支援センターといった部分でありました。当然御家族という回答も高かったという状況です。
 19ページ、病院内に認知症に関する地域連携担当者の配置をしていますかというところですが「配置している」というところは39.3%。また、その次の問いですが、今後の支援を話し合う会議(地域連携会議など)を開催していますかということですが「開催している」が49.2%、半分ぐらいでした。「開催している」と回答した337施設について、参加しているのはどういう事業者の方ですかという当てはまるもの全てということですが、そこにありますように、地域包括支援センターが一番多い状況でありますが、認知症医療センターや地域の病院・診療所といった医療機関はそれに比べれば多くないという状況でございました。
 21ページ、以上のような結果を踏まえまして、導入されているところは1割未満ですが、導入を希望する機関は3割強ぐらいはあったと。使用経験がある方のうちはほとんどが退院支援のパスでした。
 他施設については更に3割ぐらい。パスの運営、作成に関与している職種は医療機関の配置職種に比べて、医療機関にない職種は1割ぐらい。また、支援会議については、開催しているのは半分ぐらいですが、そのうち医療機関の割合はあまり多くなかったというような状況でございまして、医療と介護がどれぐらい連携しているか、連携できてパスをやっているかという視点から見ると、このくらいであったということを踏まえまして、今後、退院支援・地域連携パスの推進は、医療と介護側の連携の推進について今後どのように考えるかということで御議論いただければと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。それでは、退院支援・クリティカルパスにつきましてヒアリングをさせていただければと思います。
 プレゼンテーションを行っていただきますのは、大阪大学大学院の數井裕光先生でございます。なお、プレゼンテーションに対する質疑応答は意見交換の時間にまとめてということでやらせていただきたいと思います。
 それでは、數井先生、よろしくお願いいたします。

○數井参考人 大阪大学精神科の數井です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日お配りしたA4サイズのレジュメを使って話をしていきます。あらかじめ事務局から配布していただいた資料は、私たちが連携のためにつくった「疾患別・重症度別治療・ケアガイドブック」、「心と認知の連携ファイル」「連携パスの全体図」、「連絡会議後のニュースレター」です。連携パスは全体図以外に各部分のパスを別途つくっています。大きな流れを示すために本日は「連携パスの全体図」を資料としました。
 「連絡会議」とは私たちが連携を円滑にするために開催している会議ですが、その会議の後には参加者、および当日参加できなかった方に会議の内容をまとめたニュースレターを送っております。
 それでは、早速始めさせていただきますが、私たちの活動は、熊本県で行っているような大規模なシステムではありません。いくつかの専門病院、近隣の開業医、介護サービス事業所、患者さんと家族介護者が参加している小さなシステムです。
 資料の1ページ目をご覧ください。まず私たちの基本的な考えを示しています。すなわち、認知症の患者さんの診療には連携が必要であるということと、認知症の診療は原因疾患の正しい診断からはじまるということです。図に従ってご説明していきますが、認知症が疑われたら、(マル1)の認知症疾患医療センターあるいは総合病院の専門病院でまず診断を受けていただきます。またそこで治療方針を決定してもらいます。その後はかかりつけ医と介護サービスの事業所に通いながら、患者さんは在宅生活を送ります。これを私達は「日常診療」と呼んでいます。この「日常診療」を安定して維持することが一番重要です。しかし、長きにわたる認知症患者さんの療養生活中には、一時的にBPSDが悪化することがあります。そのようなときは(マル3)の認知症疾患医療センター、精神科救急病院、あるいは精神科専門病院で、必要な治療を一時的に受けていただきます。そしてここでの治療が終了するとまた(マル2)に戻ります。(マル2)の生活を維持するために私達専門医がどのようにサポートするべきかが重要な課題だと思っています。
 2ページ目をご覧ください。認知症の地域連携パスの有用性についてまとめました。まだ認知症の診療の手順や流れは一般的にはよく知られていません。したがって、非専門家に認知症患者さんの診療手順を視覚化してわかりやすく提示する道具として連携パスは役立つと思います。そして認知症患者さんに関わるかかりつけ医、ケア職員、家族介護者、専門医などの多職種の人達の役割分担・連携を明確化する働きもあります。さらにパスを一般に広く公開することによって、医療の標準化、透明化ができます。これから認知症になるかもしない国民の皆さんもこういうふうに診療が行われていくのかということを理解していただくと安心できると思います。
 パスは「診断」と「日常診療」と「非日常診療」の3つの部分に分けた方がつくりやすいと思います。しかし「日常診療」の部分は実は、パス化が難しいところです。といいますのは、特別な検査や治療手順が「日常診療」には少なく、平穏に過ごすことが重要だからです。この「日常診療」にはパスを補完するシステムが必要だと思っています。我々はこの補完システムの一つとして「心と認知の連携ファイル」を提案しました。以下「連携ファイル」と略させていただきます。これは患者さんに関わる皆が情報を共有するための道具です。先ほど坂本先生からは「もの忘れ手帳」という形でご紹介があったシステムと類似していると思います。熊本県の皆さんも同様のことをお考えになったことを知り、心強く思いました。その他、私達が「日常診療」のパスを補完するシステムとして提案したのが、「疾患別・重症度別治療・ケアガイドブック」と顔の見える連携を作るための「連絡会議」です。「連絡会議」に参加するメンバーはどうあるべきかについて、私達にもまだ結論が出ていません。現在は、家族介護者、場合によっては患者さんも時々参加されることもあります、ケア職員、かかりつけ医、認知症専門医です。
 3ページ目をご覧ください。まず「連携ファイル」についてご説明します。この「連携ファイル」は認知症専門医療機関で初めて認知症の診断を下したときに患者さんごとに作成し、家族介護者にお渡しします。ただし、主介護者が作成に同意するという手続きが必要だと思っています。そしてこの「連携ファイル」は患者さんが天寿を全うするまで持ち続け、その間、かかりつけ医、他の病院、介護サービス事業所などに行くときには常に持って行っていただきます。内容についてですが、このファイルは母子手帳をイメージして作成しています。前半部と後半部に分かれており、前半部には患者さんの診療情報、患者さんの治療やケアを担当している病院や介護施設などの情報をまとめます。後半部は円滑な連携を維持するための部分で、患者さんの治療、ケアに関わっている方々が紙面で連絡し合い、質問し合い、回答し合うページです。
 後でも触れますが、この「連携ファイル」を現在試験運用しています。その過程で得られた「連携ファイル」に関する評価、感想を「試験運用中の声」として小さい文字でまとめました。その部分をご覧ください。介護サービス事業所の方の感想としては、これまで話しにくかったかかりつけ医と連絡がとりやすくなった、複数の介護サービス事業所間の情報が共有できるようになったなどが挙げられました。これまでは介護サービス事業所間の情報共有はなかったようです。この効果は私たちが意図していなかったことですが、皆さんに好評をいただいています。
 家族介護者の感想としては、「連携ファイル」を待っていると安心感がある、介護施設や病院に初めて行ったときにこれまでの経過を繰り返し話さなくてもよくなったなどが挙げられました。認知症患者さんは病院、介護施設それぞれに複数通うことが多く、それぞれの病院や施設に初めて行ったときに求められる病歴やこれまでの治療歴などの聴取に対して、家族は専門家ではないのでうまく答えられず、非常にストレスに感じると言われていました。このストレスから開放される効果が「連携ファイル」にはあるとのことでした。
 かかりつけ医の先生からは、患者さんの日常生活がよくわかった、利用している介護サービスを知ったという良い点を挙げていただきました。しかしカルテと「連携ファイル」の二重書きになるから煩雑である、電子化して欲しいという改善点もご指摘いただきました。本日配布しております「連携ファイル」の見本をご覧いただくと感じられるかもしれませんが、その他の感想として、A4サイズであるため大きくて持ちにくいということも多く聞かれました。そこで次の改訂点としては、コンパクトにすることを考えています。また前半部と後半部を分冊化することも考えています。これは多くの家族介護者、かかりつけ医の先生からご指摘いただいたのですが、診療情報をまとめた前半部は個人情報の塊だから、落としたときに大変です。だから、前半部は通常時は自宅に保管しておき必要時のみ携帯とします。後半部の連携の部分だけを通常の診療やケアの時に持っていっていただくことにしようと思っています。
 4ページ目をご覧ください。「連携ファイル」の有用性についてご説明します。「連携ファイル」は「母子手帳」をヒントに作成しました。そこで「母子手帳」と対比しながら話を進めさせていただきます。「母子手帳」は子どもの誕生と成長、母親の健康を国が支える制度です。長期間にわたる経過記録としての利便性があり、関連機関が記録を共有できる有用性があります。さらに母子を支える制度があるということを国民が実感でき安心感をもたらします。私たちの「連携ファイル」も何とか手帳という名前の方がいいかもしれませんが、「連携ファイル」は人生の最終ステージをみんなで支えるためのもので、「母子手帳」同様、利便性、有用性、安心感を利用者に提供します。もしかすると都市部での連携システムの構築に「連携ファイル」はより有用かもしれません。と申しますのは、地方にくらべて都市部では血縁に頼れないので、積極的に連携を構築するという姿勢が必要になるからです。従って地縁の薄い都市部でこそ情報共有ツールである「連携ファイル」が必要であるかもしれません。
 また、患者さんに関わる全ての人が「連携ファイル」に記入する、「連携ファイル」を読むということを通して、認知症患者さんと家族から学ぶということ、さらにそれを現場に生かすということが同時にできて、成果が共有できるのではないかとも思っています。
 5ページ目をご覧ください。これが「連携ファイル」とともに「日常診療」のパスを補完するシステムの1つである、「疾患別・重症度別治療・ケアガイドブック」です。以下「疾患別・重症度別ガイドブック」と略します。認知症の原因疾患や重症度が異なるとよく出現する認知障害、精神行動障害は異なります。一方、原因疾患と重症度が同じであれば、出現する症状は類似します。この知見を利用して私たちはガイドブックを作成しました。ガイドブックの内容は、それぞれの原因疾患、重症度ごとの出現しやすい認知障害、精神行動障害の説明と、これらに対して家族介護者、ケア職員、かかりつけ医など患者さんに関与する人たちが使える声かけの仕方、見守りの仕方など、いわゆる非薬物的対応法のまとめです。ガイドブックは全10種類で、全ての家族介護者にお渡しする「総論」1種類と以下の各ガイドブック9種類です。アルツハイマー病は早期・中期・後期の3種類、レビー小体病も早期・中期・後期の3種類、前頭側頭型認知症は早期中期版と後期版の2種類、血管性認知症は進行がないので1種類です。
疾患別、重症度別にガイドブックを分けた理由は、必要な人に必要な情報だけを提供するためなのですが、これは私たちがおこなった以前の調査結果によります。書店には認知症のケアガイドブックがたくさん並んでいます。しかし、実際調査をしてみますと、家族介護者の26%、ケア職員の30%、かかりつけ医の7%しかこれらのガイドブックを使用していませんでした。その理由をさらに調査すると、これらのガイドブックは量が多すぎて、自分がお世話している目の前の患者さんに必要な部分がどこなのかがわからない。探しているうちに難しい言葉もあるので、ドロップアウトしてしまうということでした。私たちのガイドブックは患者家族、ケア職員の方々に読んでいただき、わかりにくい文言の改訂も行いました。
 認知症患者さんに関わる多くの人たちが円滑に連携するためには共通の、考え、理解、方向性を持つことが必要で、そのためにも皆が共通して使用する教科書のようなものがあった方がよいと思ったのもこのガイドブックを作成した理由です。医療者が患者さんを認知症と診断した時にその介護者に適切なガイドブックを渡します。私はBPSDの悪化は予防できると思っています。BPSDがまだ軽度のうちにこれ以上悪化しないように適切な対応による介入を開始するのです。このガイドブックを早くから介護者に渡すことによって、BPSDの悪化の予防が円滑にできると思っています。
 6ページ目をご覧ください。私たちが考える「疾患別・重症度別ガイドブック」と「連携ファイル」の運用法をまとめます。(マル1)の認知症疾患医療センターや認知症専門病院で認知症診断時に医療者が「連携ファイル」を作成し家族介護者に渡します。またその患者さんの状態に応じた「疾患別・重症度別ガイドブック」を渡します。その後、患者さんはかかりつけ医とケア施設での診療・介護を基本としますが、このような医療施設やケア施設に通うときには必ず「連携ファイル」を持参し、かかりつけ医、ケア職員に少なくとも連携のページは読み書きしていただきます。また日常の診療生活にガイドブックを役立てていただきます。BPSDの悪化などにより短期的に(マル3)の認知症疾患医療センターなどに通ったり、入院したりする必要が生じた場合にも「連携ファイル」を持参していただきます。「疾患別・重症度別ガイドブック」については今後、何らかの形でオープンにしようと思っています。当初は、公的機関のホームページなどにおいてもらい、いつでも誰でもダウンロードできるようにすることを考えていました。しかしその後の私たちの調査で、家族介護者はあまりインターネットを使っていないことが明らかになりました。ですから、今はプリントアウトして配布するとか、低額の書籍にするというような公開法も考えています。
 7ページ目をご覧ください。現在、このシステムの有用性を検証するための前向き研究を行っています。私たち阪大病院精神科が中核となって、吹田市と豊中市の医師会、およびかかりつけ医の先生方、認知症疾患医療センターとしてはさわ病院に参加していただいています。また近隣のケア施設とその職員、および家族介護者にもご協力をいただいています。参加患者さん個々の「連携ファイル」を作成し、我々のガイドブックとともにお渡しして診療、ケアに利用していただいています。
 本研究の参加者は患者さん59人とそのご家族、かかりつけ医75人、介護サービス事業所84施設、ケアマネジャー48名で、期間は平成23年2〜7月で、本年の7月末で結果をまとめます。
 期待されるアウトカムは複数設定しており、まずメンバー間の連絡回数の増加です。かかりつけ医、ケア職員など患者さんに関わっている複数の人たちの間で、患者さんの症状、や診療・ケアの状況などに関する連絡、情報交換、情報共有の改善が見込めると思っています。また家族介護者の介護負担感の軽減、患者さんの精神症状の軽減も期待しています。さらに認知機能の改善も得られないかと思い、アウトカムに加えています。またこのシステムのいいところ、悪いところなどを参加者の感想として聴取します。
 8ページ目から10ページ目は、連携パスを作るために必要と考え、行った以前の調査結果の一部です。
 まず8ページ目ですが、これはBPSD治療目的で精神科救急システムがほとんど利用されていないという事実が明らかになった調査結果です。これはさわ病院の澤先生の研究ですが、精神科救急をしている全国の病院に前向き調査を依頼し、平成21年10月1日〜11月30日の間にBPSD治療目的で夜間、休日帯に精神科救急を利用した患者さんの人数と割合を調べました。102病院からデータが回収でき、その結果をまとめると、精神科救急を利用した患者さんのうち、BPSDの治療目的で受診した患者さんはたったの1.9%でした。従って、認知症患者さんに関わる人たちに精神科救急システムの啓発が必要だと思います。ただし急に患者さんが増加して精神科救急システムがパンクするのも困りますので、適切な利用法を同時に啓発する必要があると思います。
 次にこのBPSD治療目的で精神科救急を利用した患者さん67例について、その後に確定した原因診断を調査しました。その結果3分の2は認知症でしたが、3分の1は他の精神疾患でした。すなわち認知症による精神症状と思っていても、実は精神疾患によることも多いわけです。このことよりBPSDの救急診療は一般病院の一般科救急で対応することは困難だと思います。やはり精神科救急で対応し、もしも統合失調症であってもそのまま治療が継続できることが重要だと思いました。
 最後にこの67人の患者さんの精神科救急利用前の受診歴を調査しました。その結果、半数の患者さんはその時までに受診歴がありませんでした。これは救急受診する患者さん一般的に言えることですが、やはり認知症患者さんにおいても、早くから医療機関にかかり、かかりつけ医を持っていただくことが、救急診療システムを利用せずにすむ有効な手段だと思いました。
 9ページ目をご覧ください。以前の我々の調査で、家族介護者、ケア職員、かかりつけ医の多くの方が、どんなBPSDがどの程度出現したら専門医療機関に入院治療をお願いしたらいいのか、どの程度ならば在宅で対応すべきなのかがわからず悩んでいるとの結果が得られました。そこで、入院の目安を何とか作れないかと思い、まず現在、どんなBPSDがどの程度あれば専門医療機関に入院しているのかを明らかにするために前向き調査を行ないました。
 認知症専門医療機関にBPSD治療目的で入院した患者さんに対して入院時にNPIという精神症状評価尺度を用いて精神症状を包括的に評価しました。そして治療目的として多かった4つの症状、すなわち興奮、妄想、異常行動、睡眠障害それぞれについて、これらの症状の治療が目的で入院してきた患者さんと、それ以外のBPSDの治療が目的で入院してきた患者さんとの間でその症状のNPIスコアを比較しました。さらにROC解析を用いて、両群を有効に分けるためのカットオフ値を求めました。その結果、NPI妄想スコアが6点以上、興奮スコアが8点以上、異常行動スコアが8点以上、睡眠障害スコアが6点以上の患者さんがそれぞれのBPSDのために入院となっていました。この結果より、それぞれの症状がこのスコア以上であれば、入院治療を考慮するという基準になりうる可能性があると考えました。我々の連携パスにこの基準を組み込めないかと現在考えています。
 10ページ目をご覧ください。先程の調査では、入院後も繰り返しNPIで精神症状を評価していました。入院後6ヶ月までに退院できた退院可能群と、入院後6ヶ月の時点で退院できなかった退院困難群とに分けてNPI合計点の推移を調べたところ、左上の棒グラフのようになりました。すなわち両群でともに入院後1週間でNPI合計点が急速に改善し、1ヶ月後の時点でさらに改善しました。そしてこの1ヶ月後の得点は、退院可能群の退院時の得点と、また退院困難群の入院6ヶ月後の時点の得点とほとんどかわりませんでした。この結果よりBPSDの治療という観点だけみれば、入院期間は1ヶ月間でよい可能性が示唆されました。
 右の表は退院困難群の特徴を明らかにするために、退院困難群と退院可能群の様々な要因を比較したものです。その結果、退院困難群は、男性の比率が高く、患者さんの年金額が低いということが明らかになりました。年金額が高いと入所施設を多くの選択肢の中から選べるから円滑に退院できるのでしょうか。この点は今後さらに検討したいと思っています。
 11ページ目をご覧ください。地域連携パスを定着させるためにどのような工夫が必要か考えてみました。まずは認知症診療に関心のあるかかりつけ医先生のご協力が重要です。以前の我々のアンケート調査でも、かかりつけ医の先生が専門医を紹介してくれないことがあるという介護者の記載がありました。またサポート医の役割が重要なのですが、非常にお忙しく認知症診療に時間がとれないサポート医の先生もおられます。逆に認知症の診療連携に積極的な先生が医師会の中核におられますと連携は非常にうまくいきます。
 また開業医の先生には忙しさに差があります。私たちの研究にご協力いただいている開業医の先生の1週間当たりの平均患者数は206人です。そして標準偏差が158人と非常に大きく18〜650人の幅がありました。そのうち認知症患者さんの数は16±18人で、1〜100人の幅がありました。100人というのは精神科クリニックの先生です。このように非常に多忙な先生もおられますので、全ての先生に認知症患者さんの診療をしていただくのは、現実的でないと思います。
 私が多くの開業医の先生と話をした印象ですが、比較的患者さんの数が少なくて、若い先生の方が認知症診療には積極的です。御高齢の先生があまり積極的でないのは、認知症の勉強を新たにしても御自分が役に立てる時間が長くないと思われるからかもしれません。これはあくまで私の印象ですから間違っているかもしれません。外来診療圏ごとに認知症診療に熱心な開業医の先生がおられたらいいなと思います。その診療所の名前と地図を地域ごとに公開できたらいいなと思っています。
 地域連携パスを定着させるためには、先ほどご紹介した私たちの「連携ファイル」、あるいは「地域連携のための電子カルテ」のような情報の橋渡しとなる道具が必要だと思います。糖尿病の診療手帳というのが日本糖尿病協会から発行されており、これが参考になるかもしれません。私たちは今、研究費をいただいているのでファイルをつくることができます。熊本県の皆さんも何らかのお金が出ているから「物忘れ手帳」がつくれて配布できているのだと思います。全くお金なしではつくることも配布すること難しいです。
また多くの開業医の先生に、保険点数があったら連携パスに協力しやすいと言われました。現在は、研究だから、短期間だから協力するけれどもねとおっしゃる先生もおられました。
 12ページ目をご覧ください。今後の私たちの計画についてですが、現在の「日常診療」連携パスシステムの中の「連携ファイル」、「疾患別・重症度別ガイドブック」、「連絡会議」それぞれの効果を別々に検証しようと思います。効果の少ない介入や項目は削除して、どこの地域でも利用可能なシンプルなシステムにしようと思っています。
 また「診断パス」、「日常診療パス+連携システム」、「非日常診療パス」を連結し、かつ、「専門病院への入院基準」、「専門病院での入院期間1ヶ月間」、「精神科救急システムの啓発システム」を我々の連携パスに組み入れようと思っています。入院期間1ヶ月間は困難かもしれませんが、これでつくってみて、うまくいかなかった点はバリアンスとして整理していこうと思っています。さらにもしも可能であったら、2〜3年間の長期間の連携パスの効果の検証研究を行いたいです。そのときは、現在のアウトカムに加えて、在宅期間が長くなるというようなアウトカムも設定しようと思っています。
 以上です。どうもありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの數井先生のプレゼンテーションを含めまして、これまでの御説明について、残り時間がもう限られていますので、簡潔に今日のところは御質問のみ。今日の議論を踏まえての協議、検討、意見表明はまた次回以降にさせていただければと思いますので、皆さんが理解が深まるような御質問をたくさんいただければと思います。
 では、野村構成員、お願いします。

○野村構成員 家族会の野村といいます。
 熊本県の方にお伺いしたいんですけれども、認知症のサービスとそれを支える研修におきまして、当事者と家族の運営に関わる意見というものはどのように取り入れられているのでしょうか。あとサービスを行ったときの満足度に関するような評価を行うための調査とかということは考えられているのでしょうか。そのことをお伺いしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 いかがでしょう。では、局長の方から。

○江口参考人 認知症の人と家族の会の熊本県支部と、いわゆる我々県行政との関わりといたしましては、1つは先ほど来、御紹介いたしました認知症コールセンターの委託事業というのがまずございます。実はこの事業を始めるに当たっても、家族の会、当事者の方からの意見として行政として家族の会の活動を支援してほしいという話がございました。コールセンター事業は今、県の委託事業として家族の会にやってもらっていますけれども、それまでも一応家族の会独自でやられておりましたけれども、なかなか周知が進まないということがございましたので、そういった自分たちが一生懸命やっている活動を行政としても支援をしてほしいというお話がございました。そういった声を受けてしっかりそこは考えなければいけないなということで、実はコールセンター事業を始めた経緯がございます。
 そういった直接的な関わりが出てきました以降は、定期的に認知症に関する何らかの新しい事業とかを始める際には事前に家族の会の方にこういうことをやろうと思っているんだけれども、どうですかみたいな話もお聞きしたりしておりますし、あとは家族の会の世話人の方と定期的な意見交換、私も含めた県の職員と家族の会の世話人の代表の方、それ以外の世話人の方との意見交換会というのをやっております。私自身も含めて他の職員も、あと家族の会が毎月やっております集いの会にもたまに顔を出させていただいて、どういった意見が出ているのかというのは一応お聞きしている。次の施策に反映させることができるように、そういった形でやっております。

○野村構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 その他。
 西田構成員、どうぞ。

○西田構成員 すばらしいお話、ありがとうございました。
 最初の熊本の取組みで、先生おっしゃったように、早期の診断でその後に充実した外来医療というものが出てくると、入院の件数は非常に抑制的になるのではないかという話があったかと思います。
 もう一方で、今日のパスのお話の中でも、日常診療の中での取組みが非常に大事で、そこの質やサービスの向上によって非日常診療の割合を減らせるのではないかというお話だったのではないかと思うんですが、そういう文脈から言いますと、よけいなお世話なんですが、申し訳ありませんが、先生の御研究の中で参加者の方々のアウトカムをとってらっしゃいますが、このアウトカムの中で例えば入院日数ですとか入院件数とか、そういったものとの関係というものは御検討される御予定はございますでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 數井先生、どうぞ。

○數井参考人 当初はそれも考えていました。しかし今回は介入期間を6ヶ月間と短く設定しました。6ヶ月間の介入では入院日数や入院件数をアウトカムとするのは困難だろうと思い直し、今回の研究では見送りました。次に計画している長期研究では、是非とも在宅日数の延長、入院件数や入院期間の減少をアウトカムに加えたいと思っています。

○西田構成員 少し付け加えてもう一つだけ済みません。申し訳ありません。
 池田先生に御質問なんですが、先ほど入院件数は抑制的になるかもしれないと。入院日数についてはどうなのかということと、拠点病院で数があるわけですが、そこでのばらつきがあるのかどうか。あるとすればどういう要因がそういったものに影響してそうかということを先生の御印象でお願いします。

○池田参考人 ありがとうございます。地域拠点型でのばらつきに関しましては、明らかに認知症疾患医療センターとしての活動の期間に相関しております。ただ、もう一つは地域での啓発活動をどのくらい熱心にやっているかということも実は結構大きく影響しておりまして、県の方と私とはどのセンターにどのくらい患者さんが来られているかというのは、毎月のように実はチェックをして、大学からもどういう補強をすればいいのかということを絶えず議論をしております。
 入院日数に関しては、數井先生が言われたように、私も恐らく1か月、長くても従来、治療病棟で厚生労働省が考えられたように3か月で十分だと思っています。ただ、そこで問題になるのは、今度は年金はともかくも、要するに専門の病棟である程度BPSDが落ち着いた後の受け皿です。勿論、在宅に帰れる方はいいです。けれども、施設から精神科病院に入院される方もいらっしゃるので、その後のスムーズな受け皿がどのくらい周囲に確保できているかによって入院日数は明らかに違ってくると思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 渕野構成員、どうぞ。

○渕野構成員 日精協の渕野です。
 3点ほどお伺いしたいのですが、まず第1番目は熊本県の状況で、私のところも認知症疾患医療センターの地域型を持っていますけれども、非常に補助金率が少ないということで大変苦慮しておるんですが、熊本県は基幹型が1つあって、9つの地域型があるんですけれども、どのぐらいなものか、もしこういう場面でも話せれば話していただきたいのと、地域包括支援センターの連携担当医の方にも多分補助金というのは出ているんだと思うんですけれども、センターとそことの、いわゆる財布が違うのではないかなと思っているところが1つあります。
 2点目は、基幹型ができたときに身体合併というのを診るということがあったんですけれども、熊本の地域型が9軒あるんですけれども、9軒のおのおのの地域型の病院には連携の病院というのが多分届けが必要なはずなんです。その連携の病院というのは、身体合併を診てくれる病院を多分挙げてはいるんだと思うんですけれども、実際、毎月の実施をしていてそれを利用する件数というのは多いのかどうか。熊本大学の精神科に、いわゆる空床で身体合併もありますけれども、実際問題何例ぐらい入っているのかということと、その身体合併の必要性というのはどうなんだろうかと疑問になりました。
 パスのBPSDの入院基準、先ほどの1か月というのは非常にびっくりしましたけれども、やはり早く出さないといけないなということはわかってきましたけれども、この1か月の間に精神科のお薬の使用というのはどうなんだろうかと。いわゆる適用外使用が多い、非定型の向精神薬を使用しているのかどうかというのがわかりますでしょうか。その辺をお願いいたします。

○江口参考人 では、私の方から最初の2点についてお答えさせていただきます。
 まず1つは、認知症疾患医療センターの運営費の補助の件ですけれども、基幹型につきましては約1,000万の補助を年間出しております。地域拠点型9か所につきましては、1か所当たり年間約400万ということでございます。あと基幹型センターの方には運営費とは別に、最初の御説明で申し上げましたけれども、通常、連携担当者お一人のところをプラス2名でやってもらっていますが、これは別の緊急雇用創出事業の枠組みでやっておりますので、残り2名の連携担当者の人件費補助は1,000万とは別ということで御理解いただければと思います。運営費については、御存じのとおり国2分の1、県2分の1の補助ということでございます。
 2点目の御質問、地域包括支援センターの方に連携担当者を置いている事業、これについては昨年度までやっておりました。県の方では7つ地域拠点型センターがございましたので、それに対応する7つの地域包括支援センターに連携担当者を置くということで事業をやっておりました。老健局の方の補助事業ですので、これは人件費相当分、たしか300〜400万だったと思いますけれども、それを1か所当たり補助しております。これは10分の10の国の補助事業でございます。

○福田精神・障害保健課長 池田先生、どうぞ。

○池田参考人 身体合併の方ですけれども、確かに先生がおっしゃられるように熊本モデルの場合、精神科病院、大学も精神科ですので、一番懸念していたところなんですけれども、各地域拠点型の精神科病院が、先生も御指摘になったように十分地域で他の一般病院と連携できている病院を県が指定されたので、始めてみるとそれほど大きな問題は起こっていません。従来と同じぐらいのペースで連携をとっています。
 大学病院の方も、もともとこのセンター構想がなくても熊本には国立医療センターというところと大学病院と2か所しか精神科のベッドのある総合病院がないものですから、従来から統合失調症の方も認知症の方も、その2つがきちんと合併症は引き受けようということをやっておりましたので、それに対して県が新たなサポートをしてくださったと考えております。

○渕野構成員 いわゆる身体合併で空床という考え方というよりは、BPSDの空床ということで。

○池田参考人 両方ですね。おっしゃるようにBPSDの空床利用もかなりございます。

○渕野構成員 どちらかというと。

○池田参考人 BPSDがやや多いです。

○渕野構成員 わかりました。

○福田精神・障害保健課長 數井先生、どうぞ。

○數井参考人 BPSDの治療目的のために入院された患者さんに対してまず行うことは、薬の減量がほとんどです。薬の増量を行うことは稀です。外来診療ではBPSDに対する薬物治療がうまくいかず薬が増量となることが多いです。そこで、入院治療でまず行うことは、薬を減量する方向で調整することです。薬の適応外使用についてですが、確かに非定型向精神病薬も含めた適用外使用がゼロになることは少ないと思います。しかし非常に少量の非定型向精神病薬の単剤投与で退院できることが多いです。

○渕野構成員 要するに入ってきた人の薬を見ますと、大変量が多かったり種類が多かったりはしていますか。

○數井参考人 はい。薬が多く、その副作用がBPSDを悪くしていることが多いと感じています。

○渕野構成員 その中には非定型もそうですけれども、精神科の薬が入ったときにはあまりないのではないですか。

○數井参考人 入ったときにあまりないというのは。

○渕野構成員 入ったときに精神科のお薬というのは入っていますか。

○數井参考人 入っています。

○渕野構成員 その量は多いですか。

○數井参考人 入院時に薬の種類も量も多いなと思うことが多いです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。予定された時間は超過していますが、まだ是非という質問がございましたら。先ほど石田構成員が挙げました。では、石田構成員、三根構成員で行きたいと思います。

○石田構成員 ありがとうございます。手短に質問をさせていただきます。
 今日は非常に事例をお聞きして、ここまで認知症ケアにかかる進んだ事例があるのかなと非常に驚きました。そういった意味で、まずパスの方ですけれども、研究の中でされているということですが、いずれケアプランとの連携というものが非常に重要なるのではないかなと思うんですけれども、将来的に在宅での生活を継続するためにケアプランに位置づける、あるいはケアプランと連携するということは非常に重要かなと思うんですが、そういった研究の延長線でのお考えはあるのかどうかお聞きしたい。

○數井参考人 私もその通りだと思います。連携パスとケアプランの融合、連携パスの仕組みをケアプランに取り込むというようなことが望ましいと思います。連携パスを使ったケアプランもあり得ると思っています。

○石田構成員 もう一つだけお聞きしたいんですが、熊本の事例の中で地域包括支援センターに月1回の訪問をされているという事例があったかと思いますが、地域包括支援センターに認知症疾患医療センターの方が訪問されて連携してかかるということは継続的には難しいのかなと思うんですけれども、こういったことが制度的に進むとすれば、地域で認知症を支えるという観点から見ると心強いと思います。
 そういった意味では、継続的に進めるためにはかかりつけ医との連携を含めた地域包括支援センターと医療の連携ということが重要かなと思っていますが、かかりつけ医さんが地域包括支援センターに訪問される際にどういった立場でおられるか、あるいは連携があるのかないのかという点について何かあればお聞かせ願いたいと思います。

○坂本参考人 私の方からお答えをさせていただきます。地域包括支援センターにかかりつけ医の関係というところなんですが、相談にいらっしゃる方々は先ほど事例でお出ししましたようにかかりつけ医に勧められていらっしゃる方もいらっしゃれば、もう御自分たちで相談にいらっしゃるケースもあります。しかし、全てかかりつけ医の先生がいらっしゃるのであれば我々は連携をとるような形をとっております。
 今後、包括で事例検討していく中でも、可能であればその事例のかかりつけ医の先生に事例検討会に参加していただくという形をとろうかとは考えております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、三根先生、どうぞ。

○三根構成員 2点だけ短く質問させていただきます。
 熊本方式なんですけれども、これを展開するには恐らく非常に幸運な幾つかのことがマッチして一致して始まったような気がいたします。池田教授が来られたこと、行政が非常に熱心であること、熊本県の精神科病院協会の協力が得られたこと等々いろんなことがあったかと思うんですけれども、これを全国展開するには、果たして現実的なことであろうかと。大学病院の中で認知症メインに診ている、特に認知症の臨床をメインに診ているところはどれだけあるか。なかなかそうはないだろうと。福岡県の中でもそうでありまして、大学の仕事のごく一部の人がやっているだけでして、なかなかマンパワーもそうないと。大学病院の中で認知症をやられているところも研究を主にやられているというところはあるかもしれませんけれども、臨床も含めていろいろそれをメインにやっているところはなかなかないわけです。また、この事業は非常に行政の熱意というものを感じまして、それは財政の面でもいろんなことでも感じました。
 1点目の質問が、同じような、いわゆる熊本モデルというものをなかなか展開しづらいだろうと。もう一方で、従来からある形態があって、熊本でやられている中でどのエッセンスがあれば、あるいはどこの部分が一番必要なんだろうか。それを是非今日お聞かせ願いたいなということが1つ。
 もう一つ、先ほど池田先生から退院後の受け皿の話をされましたけれども、この事業を通して、また坂本先生から地道な啓蒙活動しかないんだということをおっしゃっていただきましたけれども、そういったいろんなことを通じて、認知症の病棟からの次の受け入れに関して何か変化があったかどうかというのをお伺いしたいと思います。

○池田参考人 あまりエッセンスと言えるものはないかもしれませんが、私は大学にいる立場から言えば、キーワードは人材育成だと思っています。人材育成を臨床の場でしていくためにこういった地域でのネットワークに逆に大学の方から乗させていただく。そこで若いドクターやソーシャルワーカー、若い臨床心理士が育っていくと。その人達が熊本県に残ってくれるのであれば熊本県の精神科病院にとっても熊本県にとっても非常に有意義なことではないかということを最初の出発点のときに予算も少なかったものですから、各病院の院長先生たちと話し合いました。
 もう一つは、受け皿のことですけれども、これはまだ地域拠点型にもいろいろ活動の違いはあるのですが、坂本先生のところとか幾つか軌道に乗っているところはもう既に受診時にかなりの方がケアマネジャーを同伴して診察室に入って来られます。そうなってくると非常に診療はやりやすいです。診療時間もたいへん短くなりますし、我々の伝えたいこともかかりつけ医の先生に非常に正確に伝わります。ですから、そこまでいくとかなりスムーズに受け皿も地域連携もできていくのではないかと思っています。

○福田精神・障害保健課課長 坂本先生から、どうぞ。

○坂本参考人 変化があったかというところなんですが、我々がもともとやっていた部分もあるんですが、疾患センターという形をとったことで注目度が集まって、非常に研究会自体も広がりを見せたような印象がございます。
 先ほど御紹介しました手帳のことについても、あれを使うことで數井先生がおっしゃった介護サービス事業所からの声が書いてありましたが、全く同じようなことが私たちのところにも寄せられまして、情報共有ができていいというお話でした。
 ついでにお話しさせていただきますと、私どもの手帳はサイズがなるべくお薬手帳のサイズにと、携帯できやすいようにと思って考えたんですが、お示ししましたようないろんな情報を入れなければいけないものですから、少し大きめのサイズになってしまいました。
 個人情報の件がありますので、18ページの一番下の方に少し同意書というのを付けております。これを弁護士と司法書士の方に確認して、これだったら落としても大丈夫だろうということで同意書を書くようにいたしました。
 そうすると、医師間の連絡表というところでは、情報提供書に関してなるべく簡潔に我々の方にお伝えいただけるかと。數井先生がおっしゃったように、ドクターは二重書きであったり、いっぱい書かなければいけないのは嫌がられますので、であればと思いまして、介護保険の主治医の意見書に似た形をとるような情報提供書をこの受診手帳の一番後ろの方に付けました。今回、これには載せていないんですが、そういうふうなことで情報の共有化をしようと考えました。
 そのことであそこの介護所はどういうタイプをきちんと受けてくれて、あそこの事業所はこういうふうなところが得意でということが市内である程度認識できてきているのかなという感じ。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。これで本日は打ち切りたいと思いますけれども、プレゼンテーションしていただきました各先生方には本当に有意義な情報、質疑に対応していただきましてありがとうございました。
 それでは、次回の日程につきまして事務局からお願いします。

○本後課長補佐 次回の日程ですけれども、6月15日水曜日の18時から、場所は厚生労働省の専用第22会議室、18階の国会側を予定しております。
 議題は先ほどお話ありましたとおり、認知症への精神科医療についてということで、外来をテーマに予定しております。
 以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 本日は、大変お忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。以上をもって閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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