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2011年10月25日 第45回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成23年10月25日(火) 15:00〜17:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室(合同庁舎5号館 12階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○議事

○大橋部会長 ただいまから、第45回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。公益代表の樋口委員、宮本委員がご欠席です。労働者代表の芳野委員については、20分遅れて出席されるということです。山下委員は遅れております。
 議事に入ります。本日は議題1にあるとおり、高齢者雇用対策についてご議論いただきます。その後、議題2の「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書を受けた指定法人の見直しについて(案)、ご議論いただきます。
 それでは高齢者雇用対策についてご議論いただきます。前回までの部会では、今後の高齢者雇用対策について、全般的なご議論をいただきました。本日は前回までのご意見を踏まえつつ、再度希望者全員の65歳までの雇用確保について、ご議論いただければと思います。まずは事務局からご説明をお願いいたします。
○野田高齢者雇用対策調査官 「資料1これまでの議論の整理 (希望者全員の65歳までの雇用確保について)」を説明させていただきます。本資料はいままでの部会でいただいたご意見等を中心に、関連するデータ等を併せて、事務局で整理して、本日のご議論のために出させていただいたものです。
 (1)背景と現状として、関連するデータや制度について簡単に説明させていただきます。最初に、「就業者数、就業意欲、労働力率」についてです。まず就業者数です。今の見込みですと、平成32年で全体で約433万人の減少、60〜64歳の就業者数は約116万人の減少が見込まれています。
 2つ目は、年齢の構成に着目した話で、団塊の世代が平成24年に60歳代後半に達して、職業生活から引退される方、非労働力化する方が増加することが見込まれています。
 続いて、就業意欲です。これも前の部会で説明させていただきましたが、我が国の高年齢者の就業意欲は非常に高く、65歳以上まで働きたいという方が、約9割を占めているという現状です。
 そして、60〜65歳の労働力率で見ると、平成16年ですと54.7%でしたが、平成21年には60.2%ということで、高齢法の改正の効果等もあると思うのですが、年齢計の労働力の推移と比較して、大きな上昇が見られるところです。
 続いて「年金制度」です。これも、既に1回説明したところですが、平成25年には定額部分の65歳までの引上げが完了し、報酬比例部分についても61歳までに引き上げられます。報酬比例部分は平成37年度までに、65歳までに段階的に引き上げられることが予定されているところです。
 次に「高年齢者に係る雇用制度の状況」です。現行の高年齢者雇用安定法では、60歳の定年、65歳までの雇用確保措置は義務化されております。ただ、労使協定によって継続雇用制度の対象となる高齢者に係る基準を定めることができるとされています。
 その実態は95.7%の企業で、雇用確保措置が導入されていまして、その内訳を見ると、継続雇用制度を導入した企業の割合が82.6%で、実態としては多くの企業で継続雇用制度が導入されているところです。
 希望者全員が65歳以上まで働ける企業についてのデータです。割合は47.9%です。平成23年10月時点での義務年齢である64歳まで働ける企業で見ると、50.8%です。
 が定年到達者の数で、定年到達者数が約43万5,000人あったのですが、基準制度によって離職された方は1.8%、7,600人ということです。以上が関連するデータ等の紹介です。
 続いて、これまでにいただいたご意見を事務局で整理したものです。便宜上、項目別にまとめさせていただきました。最初に、希望者全員が65歳まで働くことができるようにするための2013年度に向けた実現可能な措置についてです。意見をご紹介します。「少なくとも公的年金の支給開始年齢までは雇用の場を確保することが必要であり、社会的要請ではないか」「公的年金の支給開始年齢の引上げに伴う対応は、企業の努力により雇用を確保して解決するだけではなく、社会全体で取り組むべき課題ではないか」。
 法定定年年齢の65歳までの引上げについてのご意見は、「60歳以降は働き方や暮らし方に対する労働者のニーズが多様であることを踏まえると、直ちに定年年齢を65歳に引上げるのは時期尚早ではないか」「現在60歳定年制度は広く定着しており、法律による定年年齢の引上げは企業の労務管理上、極めて大きな影響を及ぼすので、議論できる状況にないのではないか」。
 次は、希望者全員の継続雇用の確保についてです。「継続雇用を希望される方が確実に雇用されるためには、継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準制度を、廃止すべきではないか」「雇用確保措置の3つの選択肢と継続雇用制度における対象者に係る基準制度は今後も維持されるべきであり、労使自治の観点からも妥当ではないか」「当面の就労を希望する高齢労働者の増加を踏まえると、同一の企業の中だけでの雇用の確保には限界があるため、継続雇用における雇用確保先の対象拡大が必要ではないか」。
 最後に、その雇用確保措置が全ての企業で実施されるようにするための雇用確保措置の実効性の確保については、「雇用確保措置をいずれも導入しない場合などにおける私法上の効果を付与するなど、実効性の確保が必要ではないか」。以上のようなご意見をいただきました。簡単ではありますが、資料1の説明は以上です。
○大橋部会長 事務局からのご説明にもありましたが、本日は希望者全員の65歳までの雇用確保についてご議論いただきます。ご意見、ご質問等がありましたら、ご発言ください。
○安田委員 事務局に確認させていただきます。希望者全員の希望者とは、そもそもどういう方を指すのかを明確にしていただきたいと思います。もう少し詳しく申し上げます。労働契約ならば、当然労務の提供があって、その対価として賃金の支払いがあると思うのですが、そもそも労務の提供そのものが困難であるケース、例えば退職時に病気で休職されていたりということもあると思います。そういう労働契約の基本をなす、労務の提供そのものができない方が希望されていても、継続雇用制度の対象となるのでしょうか。
○辻田高齢者雇用対策課長 基本的には、継続雇用を希望される方については各企業の中で雇用の場を確保していただくということで、先ほどいろいろとおっしゃいましたが、その方の健康状況等々を踏まえて、その方が働けるような職場を提示していただいて、そういった場を確保していただくというのが基本ではあると思います。ただし、いまおっしゃったように、全く労務提供能力がない方等々については、企業でもそういった職場を提供するというのは、難しいこともあり得るのではないかとは考えております。
○安田委員 その場合は、希望していても就労できない人がいることになり、希望者全員には当たらないという考え方もあるのではないかということですね。
○辻田高齢者雇用対策課長 個別ケースをよく見てみないと何とも言えないのですが、基本的には、企業において合理的な裁量の範囲内という話になりますが、そういった中で、その方にとって適当な職場を確保する、希望者全員ということですから、基本的にそういったものを確保していただくというのが前提なのですが、おっしゃるような事例については、個別に判断しなければならないと思います。
○安田委員 もう1つ関連です。そもそも論で、これは事務局なのか公益の皆様に教えていただかなければいけないのかわからないのですが、そもそも希望者全員の雇用確保ということで、一律に企業に課すことは、採用の自由という大原則にはかかわってこないものなのでしょうか。それに反したものにはならないのでしょうか、矛盾しないのでしょうか。
○辻田高齢者雇用対策課長 継続雇用制度の場合は、通常の一般の採用とは若干異なりまして、希望者全員を雇うということですから、自由というのはある程度制約されざるを得ないということで、一般の採用とは同様に考えることはできないのではないかと考えております。
 また、この高齢法の規定というか、世界というのは、基本的にそういった制度を導入していただくというのが基本になっております。つまり、個々の労働者の雇用義務を課すような仕組みにはなっていないということです。あるいは、それについて事業主に対して、罰則をもって強制するというような仕組みにはなっていないとか、あるいは単に継続雇用だけではなくて、定年の延長、定年の定めをなくすといった選択肢も用意されているといったことの全体を考えると、採用の自由との関係で、この制度が問題になるということはないと考えております。
○森戸委員 いまのご質問に関連してですが、採用の自由の話については、いまお答えいただいたのかもしれませんが、もちろん採用の自由の中身をどう解釈するかにはよると思うのですが、結びたくない契約を結ばされるのはおかしいという意味での採用の自由であれば、それは突き詰めれば私法上の効果の話になるので、そういう法律として作るかどうかという前提があると思います。それはいま事務局がお答えになったことだと思います。
 あとは、採用の自由といっても、法律が制限している場合はいいということになっていますから、そういう法律があるならそれはいいでしょうという説明はできると思うので、現に高年法にいまもありますし、派遣法にも申込み義務まではあるわけなので、特に憲法問題になるということではないと思います。むしろ、何が妥当かという観点で議論をしていいのかなとは思います。採用の自由という言葉の中身は、いろいろ解釈があると思います。
 最初の質問でお伺いしたい点が1点あります。60歳で全く労務提供不可の人がいた場合にどうか、悩ましい問題だと思います。しかし、逆にいうと、その方は全く労務提供が不可なのに、定年までは雇用を維持されていた人だという意味ですよね。定年までは、解雇できるかもしれないのにしていないという前提ですよね。その人は、そもそもいまの制度の下でも、雇用を終了し得た人かもしれないという気がするのですが、その辺りはどうですか。
○安田委員 非常に制度が手厚くできている部分もありますよね。例えば2週間休業してから戻ってきて、何日か出勤し、またお休みになるといったケースなど、長い間そういうぎりぎりのところを潜り抜けながら雇用されている方もいらっしゃいます。もちろん本当にご病気でというか、期間が短くて解雇に至らないケースもあると思います。長い間お休みされなければ、実際には解雇できませんので、そこに至らない人たちもいらっしゃると思います。
○森戸委員 どういうケースを問題にされているかはわかりました。それは確かに大事な問題だと思います。
○新谷委員 病気で欠勤がちの方の継続雇用をどう考えるかということに対して、事務局からも答弁があって、それを聞いていてよくわからなかったのです。現実の労務の提供がなければ継続雇用が発生しないというのは、日々雇用の話をしているわけではなくて、基本的には期間の定めのない雇用ですので、たまたま定年を迎える前後に休んでいたからといって、それは現実の労務の提供ができないのだから継続雇用しないというのは、契約の性質からいって違うのではないか。先ほどの事務局の答弁も、そういった意味でいくと、現実の労務の提供がないのだから仕方がないというような答弁があったのですが、それも違うのではないかと思います。
 いま森戸先生がおっしゃっていたことには共感していまして、要するに、在職中は解雇権濫用法理の下に、契約の終了の申し出が解雇に当たるかどうかというのは、社会的相当性なり客観的合理性の判断というのは、それぞれ下されるわけですから、継続雇用に際しても同じような判断があって然るべきではないかと我々は思っているのです。下級審の判断でもそういう裁判例が出てきていますので、そこのところをきちんと押さえておかないで、たまたま労務の提供がないからそこで打ち止めなのだというのは違うと思います。
○辻田高齢者雇用対策課長 舌足らずなところがございました。新谷委員のおっしゃるとおりだと思います。基本的に労務提供不能云々、いろいろと要件はありますが、継続雇用をしないことについての客観的な合理性があるのかどうかを十分に個別に判断しないと、判断は難しいのではないかと思います。
○荻野委員 使用者代表としての見解を申し上げておきます。1つは、定年延長なのか再雇用なのかということで、だいぶ性質は変わってくると思います。再雇用の場合は、一旦定年退職していただいて、そこから新たな採用ということが発生しますので、それについては、定年延長などとは条件は異なってくると考えるべきであるというのが、使用者側の判断です。
 その際は、いま話がわかりやすいように極端な例で議論いたしましたが、再雇用に当たっては、事業の正常な運営を妨げるような、わざわざ不要な仕事をつくってまで提供しなければならないというのは、求められるべきではありません。そこまでする必要はないというのが、合理的な考え方であると使用者としては考えておりますので、そのように申し上げておきたいと思います。
○新谷委員 いま使用者側の委員からご発言があったことに関連して申し上げます。我々はそうは考えていませんで、先ほど申し上げたように、それは在職中の解雇権濫用法理と同じ基準で、この継続雇用については基準を捉えるべきではないか。ずっと長い間契約を結んできて、そこで継続雇用に入るに当たってまた別の基準で、そこで線を引くというのはいかがなものかと思いますし、いまのご発言の中では、業務の正常な運営を妨げるという、まさしく時季変更権的な、その人がいると事業の邪魔になるというようなご発言があったのですが、それも判断基準としてはいかがなものかなと思います。印象的にとして申し上げておきます。
○鎌田委員 いくつかのご質問について、私なりに考えたことをお話します。まず希望者とはどういう人を指すのかという点ですが、高年法第9条第1項第2号に「継続雇用制度」と書かれておりまして、そこに「現に雇用している高年齢者が希望するときは」とあります。おそらくこれを希望者といっているので、現に雇用している高年齢者が定年を迎えて、希望した者を希望者というのは、まさにこの文言に従った解釈ということになろうかと思います。
 次に、希望者全員を受け入れることは採用の自由に反してはいないかということです。これも第9条を見ますと、「高年齢者雇用確保措置の導入についての規定」ということで、これが学説上は少し争いもあるところなのですが、個々の企業に対し、個々の労働者についての雇用の受入れ義務を課しているとは私は読めないので、そう考えますと、制度の導入についての義務づけをしているという点で言えば、言っている点のみであれば、採用の自由と直接に抵触するものではないと考えます。
 しかし、これは高年法第9条第1項に従って、私法的効果が直接表れるということではなくて、普通は就業規則で定めます。就業規則で継続雇用制度について定めた場合には、労働契約法に基づいて、周知、その内容が合理的なものであれば、当然に各企業が対象となる労働者に対して雇用する義務が発生することになりますので、これは就業規則の効力として雇うことになろうかと思われます。
 それから、先ほど来の労務提供が困難である者ということですが、この点について私なりの整理をいたしますと、希望者という点で言えば、そのときに労務ができない状態になっている人でも、希望することは当然あり得るわけですので、それは希望者ではないかと思われます。しかしながら、それが就業規則等によって、その人を受け入れること、再雇用制度を考える場合には、申込みを受けて承諾をするということになると思いますが、それについての承諾について、どのように採用の自由の範囲を考えるかというのは、また別な問題ではないかと思います。以上です。
○橋本委員 かなり技術的な話が先行しているようなのですが、そもそも基本的にここで話し合われているのは、高齢者雇用について少し規制を強めようという話です。見直した場合に、国内の雇用全体にどのような影響が出てくるのかといった点も考慮する必要があるのではないかと考えています。
 もちろん雇用を維持拡大していくというのは、企業の社会的な使命であるとは思っておりますし、そのためには持続的な経済成長が不可欠であるということは、いままでも申し上げてきているところですが、現在の厳しい経済環境下で、こういう規制強化をやるとすれば、個別企業にとって自然な企業行動として、高齢者の雇用を増やせば、当然その分新卒者、若年者の雇用を減らしていくことになるわけです。さらには、雇用の弾力性のない正規従業員の新規採用は躊躇せざるを得なくなってくると考えられます。いま社会的にも問題になっている非正規化が、さらに進展するのではないか。もっと極端に言えば、海外移転も検討せざるを得ないのではないか。このように感じるわけで、こういった点を申し上げておきたいと思います。
 その上で、何点かの確認と、お願いを申し上げたいと思います。前回までのこの部会の議論で、法定定年年齢を引上げることについては、今回は議論の対象にしないということで、労使とも意見が出ており、先ほどの整理の中にもありました。そのように認識しておいていいのでしょうか。
 その場合、研究会報告や、労働側は将来的な検討課題として、定年年齢の引上げを位置づけられておられるわけですが、使用者側としては、先ほど来出ている解雇の問題、あるいは労働条件の不利益変更といった、規制を伴う現行の労働法制下では、定年年齢の在り方そのものを検討すること自体が、大変困難であるという立場にあることを、是非明確にしておきたいと思っております。
 それから、もう1つの論点である基準制度のあり方についても、前回までに主張しているとおり、基準を含めた現行制度を維持したいというスタンスには、何ら変わりはないことを改めて申し上げておきます。高齢者雇用の促進というのは、そもそも個々の労使がそれぞれの実情を踏まえて、知恵や工夫を重ねながら、お互いに努力をして取り組んできたものであり、こうした労使自治の考え方の中で、現在とりわけ大きな問題もなく推移してきている制度を、ここであえて変える必要はないと考えています。
 それから、年金との接続といった社会的な要請については、いままでにも申し上げてきておりますように、個別企業だけではなく、例えば自助努力の奨励、セーフティネットの充実といった、ほかの政策的な選択肢も含めて検討すべきではないかということであり、この点について、政策当局としてどのように考えておられるのかをお伺いしたいと思います。
 最後ですが、これはお願いになります。これから、確かに就労希望の高齢労働者は増えてくると考えられますが、この対応として、これもすでに申し上げておりますが、継続雇用における雇用確保先の対象拡大です。これについても、例えば人材ビジネスの活用なども視野に入れながら、具体的な検討をお願いしたいと思います。以上3点を申し上げておきたいと思います。
○大橋部会長 事務局、いかがですか。
○辻田高齢者雇用対策課長 多岐にわたるご意見をいただきましたが、国内雇用への影響ということで、いくつかご指摘がございました。今回検討していただいているのは、この議論でもそうなのですが、65歳までの継続雇用を確実なものにしていくという観点から、いろいろとご議論をいただいているわけです。そういう中で、前回の調査の結果でもお示ししましたように、基準制度がなくなった場合に、どれぐらいの人に影響してくるのかということですが、退職者全体の中の1.8%、7,600人です。これについて、実際は希望しながら控えている方が潜在的にいるのではないかというご議論はあろうかと思いますが、きちんと確認できるものは7,600人です。増えても数万人という規模感だろうと思います。
 そういった方々を今回継続雇用の対象に加えることについて、どれぐらいの国内雇用全般についてインパクトがあるのかということですが、冒頭にご説明しましたように、例えば就業者全体について、この10年間で400万人ぐらい減少すること。特に、今回議論になっている60歳代前半層の方も、180万人ぐらいは減り、若い方も200万人ぐらい減ることになります。60歳代前半層を含めて就業者数が減っていく中で、この7,600人なりの規模感について、どう考えるのかということなのではないかと思います。
 それから、定年の引上げについてのご議論は、またこの中でいろいろとディスカッションしていただいて、その方向性についてご議論いただければと思います。
 年金との接続については、前回改正もそうですし、今回はその続きという形になりますが、前回の改正でも65歳までの継続雇用を確保するということで、年金との接続を中心にご議論いただいて、いまの制度が成り立ってきているわけです。いまは64歳ですが、2013年から65歳ということになります。
 今回はその延長線、その基本的な考え方を踏襲しつつ、前回、前々回にもご議論があったと思いますが、2013年度から、年金の報酬比例部分が61歳に引き上がるので、その部分について無年金者あるいは無就業者といった方々が発生する可能性が高いという中で、確実に雇用と年金の接続を図っていくべきではないかという研究会の報告もございますし、そういった線でいろいろと考えているということで、研究会報告を踏まえながら、この審議会の中でさらにご議論いただいて、一定の成果を出していただければと思っております。
 雇用確保先の拡大については、さまざまなニーズもあろうと思いますので、そういったものを踏まえてご議論いただくなり、検討していただければと思います。
○市瀬委員 9月の部会で申し上げましたが、60歳以降の継続雇用制度について、改めて申し上げさせていただきます。業種や職務内容によって、高年齢者の就業が困難な職場が、私ども中小企業にはあります。技術進歩が著しいIT産業や職場での安全管理が重要な建設業、また運輸業などからは、実際に対応が困難であるという声が多数上がっております。高年齢者の雇用確保を推進していく上では、継続雇用制度の基準の廃止といった、一律的な規制強化より、現行の労使自治の枠組みの中で対応策を慎重に検討していくべきだと考えております。
 特に中小企業においては、新たな職域開発など、対応できる手段が限られており、対応が必要だと考えておりますので、再度申し上げておきます。
○新谷委員 使用者側から大きな枠組みの話がありましたので、私どもからも改めての発言になりますが、考え方を申し上げます。公的年金の支給開始年齢の引上げというのは、女性は5年遅れますが、すべての人が対象になるものであり、雇用と年金の接続は政策的に重要な内容だと思っておりますので、希望者全員について、少なくとも公的年金の支給開始年齢までは雇用として接続させるべきであると考えております。
 いま希望者全員の雇用を確保するということになりますと、現行の高齢法第9条第1項で定める3つの雇用確保措置のうち、継続雇用制度については、高齢法第9条第2項で定めるみなし措置によって対象者の基準設定ができるということですので、論理的に言えば、みなし措置を外さない限り希望者全員にはならないということで、私どもとしては、労使協定によるみなし措置については廃止を求めたいというのは、従来から申し上げているところです。
 先ほど使用者側委員から、多くの点で論点を出していただいたので、それについてコメントを申し上げておきたいと思います。先ほどからお聞きしておりますと、高齢者を雇用することが企業経営にとって非常にお荷物という感じの印象を持ったのですが、もう少し前向きにこれを捉えられないのかなと思います。高齢者は企業の中で非常に長いキャリアを積んで、スキルを持った労働力ですので、高齢者を現状ですと比較的安い賃金で雇用することができます。これは、高齢者全員の雇用が65歳までできるということになれば、いま働いている方々のモチベーションなりモラールの維持に、大きく貢献すると思うのです。企業にとって、そういうプラス面での効果も見ていただきたいと思いますし、また、今日のように日本が世界に先駆けて超高齢社会に入ってきているわけでして、アジアの国々でこれから同じことが起こるわけで、中国にしても一人っ子政策で超高齢社会になっていくわけです。そこに大きなビジネスチャンスがある、本当に宝の山だと思うのです。日本で先に経験したことが、新しい高齢者ビジネスとして事業を開拓していく、そのために高齢者の目線で活用していく、そういうプラスサイドの見方を是非できないかと思っております。
 それと、高齢者自身にとっても、雇用というのは、毎日規則正しく会社に来ますので、健康維持の面でも、効用が高いと思っております。これは社会全体で、超高齢社会を健康に生きていくということから考えても、雇用によってそういう部分があるのではないかと思っております。
 いずれにしましても、雇用というのは生身の人間を相手にする契約で、しかもこれは継続的契約なのです。1回こっきりの売買契約ではありません。継続的契約というのは、相互信頼というか、労使関係もそうなのですが、信頼関係の中で形成されていくものだと思うのです。ですから、40年の長きにわたって定年まで勤められた方を、それではさよならということで、排除するのかということも、集団的労使関係の中でも配慮するべきではないかと思います。
 それと、法定定年年齢の扱いについては、これも前に申し上げたとおりですが、これは将来的な課題として、いずれかはやらないといけない課題だと思っております。それと若年雇用との関係ですが、これも以前に申し上げたように、若年雇用と高齢者の雇用は、いつもバーターで、トレードオフみたいな感じで比較をされるのですが、私どもは雇用の質が違うと思っております。若年者は、これから長い職業生活を送っていって、いまの就職状況でいくと、その会社に入れば辞めない限り、定年までその企業を支えていく基幹的な人材です。一方、高齢者はあと何年か、要するに定年から65歳までの5年間の雇用を考えればいい人材です。しかも、高齢者は非常にスキルが高い人材です。こういった雇用の質の違いも考えておかないといけないのではないかと思っています。
以上、私どもとしての印象を申し上げておきたいと思います。
○荻野委員 いま新谷委員のご発言をお伺いしまして、非常に同感するところが多くて、高年齢者雇用というのは労使ともに前向きに考えていく必要がありますし、またそうすべきものだと思います。高年齢者の方が蓄積されたスキル、豊富な経験は、企業としても正当にアプリシエイトして、是非とも、労使ともども成果を上げていきたいと思っているところです。
 その上において、現行の基準制度は大変に貴重な役割を果たしていると私は思っておりまして、これは個別企業の実態によっていろいろかもしれませんが、経団連が集めた好事例などを見ますと、労使間でこのようにスキルを維持し、健康を確保することによって、65歳まで活き活きと働くことができており、そういう労使間の共通の目標として、うまくこれを活用しているという事例もございます。そういったものまで一律に排除する必要は、必ずしもないのではないかと考えるところであり、先ほど橋本委員から、基準制度の維持ということを申し上げたのは、そういう趣旨もあろうかと思います。とりわけ主体的に、十分に機能している労働組合が、労働協約に基づいて対応するようなものまで排除する必要はなく、むしろそういったものは労使の主体的な取組みとして尊重すべきものではないかと考えております。
 それから、若年とのトレードオフの関係ですが、確かに新谷委員のご指摘のように労働の質に相当の違いがあるということで、すべてがすべてダイレクトに効くということはなかろうかと思います。ただ、研究会報告などでもそういう説明がされていたわけですが、日本の場合は欧米と異なりまして、誰かが抜けたときに同じ職能を持つ人を外から採用してくるやり方をしないことが非常に多く、どちらかというと、どなたかが抜けると内部昇進、人事異動などで、穴埋めをしていって、エントリージョブのところで新卒者を採るという人事管理をしている例が普及していると思います。ですから、欧米の、しかも早期退職、早期引退の事例を根拠にして、日本でも若年雇用への影響がない、あるいは軽微であると考えるのは、ちょっと慎重でいいのではないかと思っておりますので、これも併せて申し上げておきたいと思います。
○照屋委員 先ほど企業のほうからありましたように、私は企業に悪影響を与えているとは思っておりません。再雇用者においても、定年時に受けていた給与のまま、継続してお受けする方もおられるでしょうが、多くの再雇用者については、8割、7割という水準の方もおられます。また、一方の経験豊富な高齢者の技術、技能、能力が活かされるというのは、費用対効果の面からいっても、一概に企業のみに負担を押し付けているということではないと思います。
 私ども、今日時点に強引に定年年齢の引上げを主張しているわけでもなくて、少なくとも年金の支給開始年齢が、定額部分においてはすでに引き上げられて、2013年度から報酬比例部分がスタートするということからしても、定年退職時に年金が受け取れないという事態になった場合には、新たな社会問題を生み出してしまうと。こうして新たな問題に対して、後追い的に対策を講じるのはいかがなものかと思いまして、是非定年年齢、年金とのリンクについては接続が望ましいと考えております。
 特に、基準の中で、働く意思や意欲、能力あるいは体力等の問題については、本人の希望や意見を聴する機会もあります。また、組合側の一緒になった意見もあります。ただ、一方で、一方的にそれを処理されて、恣意的に片付けられているケースが多々あるということからすると、決して無理な提案ではないと考えております。
 よって、高齢法第10条に、行政による指導、助言あるいは勧告が規定されていますが、これはあくまでも根拠法に留まっておりまして、到底実効性があるようには思えません。よって、厚生労働省の研究会報告にもありますように、雇用確保措置を講じない企業に対しては企業名を公表すべきというところもありますが、これもなかなか労働者の救済にはつながらないということです。これからすると、私どもとしては、雇用確保措置をいずれも導入しない場合においては、私法上の効果を規定する法整備が必要であると考えております。以上です。
○福田委員 労働者側の意見もよくわかりますが、就業意欲が高いというのは、調査票でよくわかるのですが、就業意欲と労働意欲は違うのではないか。私のところは建設業ですが、厄介者とは言いませんが、働かない人、若い人の邪魔をする、中には静かにしているのだから置いておいてくれと、こういう人たちがいるような中で、若い人のモチベーションが上がらない。逆にそういう人たちが高齢者の地位を落としているのではないか。
 野村さんもよくご存じだと思うのですが、建設業は技能者のなり手がなくて大変な状況になっているのですが、いま現実にはいい加減な仕事をする高齢者を雇用していくことで、その人たちのために若年齢者をその仕事に就けなくてはいけない、チェックをさせなければいけないような状況もあって、やはり若い人のことも考えていかなければいけないのかなと。いろいろ問題のある人も、技能が優れている人もいます。もし厚生労働省の立場で産雇センターなどを使って、いい再雇用先を見つけてもらえれば、建設業とすれば非常に助かるかなと考えています。
○新谷委員 いまおっしゃっておられるのは、極端な事例の話かと思ってお聞きしていました。私どもは労働相談をやっていると、いい加減な経営者も結構いるのです。そこは天に唾をするような話になりますので、私どもとしては、そこは納得できないと思います。
 それと、いまのことに関連して、働き方について若者の邪魔をするとか何とかという話だったのですが、例えばいまの基準で、継続雇用の基準設定に対して、いま厚生労働省としてどのようなお考えを持っているのでしたか。基準については通達を出されています。予測可能性のある合理的な基準であるとか出されていますが、いまご発言のあった内容というのは、先ほど言った継続雇用の基準に該当すると判断されますか。
○辻田高齢者雇用対策課長 基準については、基本的に労使協定で定めていただく形になっていますが、基準の客観性と個別具体性を備えることが必要だということを、Q&A、通達等でお示しし、労使の方に、そういった形での協定を締結していただくようお願いをしています。
○新谷委員 いま通達の内容をご説明いただいたのでおわかりになったと思いますが、定性的な、あいつは気にくわないから再雇用しないというようなことがあるものですから、私どもとしては、基準設定を廃止すべきではないかと申し上げているわけです。先ほど荻野委員も、労使関係について発言されたので、私どもとしては、その労使関係の重要性というのは全く同感だと思っているのです。ただ、私どもが申し上げているのは、労使協定によって人選基準が設定できるという仕組み自体は廃止するべきだと申し上げているわけでして、そこは是非ご理解をいただきたいと思っております。
 それと、いま使用者側から、続けて継続雇用における雇用の確保先の対象を産雇センターまで拡大して欲しいという話がありましたが、私どもとしては企業の使用者責任を考えたときに、使用者側と少なくとも同じ企業グループに属していないと、使用者責任を果たしていないと考えています。現在でも、連結子会社で、親会社が議決権の50%超を保有して実効的な支配を行っている企業に限るとしているわけでして、ここの考え方は是非尊重していくべきではないかと思います。
 それと、先ほど使用者側委員がおっしゃった中で、これもいつも気になるのですが、こういう規制を強化すると企業の海外移転が起こるというご発言が出ます。これはこういう規制だけではなくて、最低賃金の引き上げのときにも同じように出て、最低賃金を上げるとみんな海外に行くというのですが、実証的な検証をされているのかどうか。例えば労働規制の強化をすれば、本当に海外に行くのかどうか。もっと違うところに要因があるのではないかと思うのです。例えば円高であったり、マーケットの問題であったりです。最近の新聞等で「6重苦」というのがあって、その中に労働規制という問題があるのですが、本当に日本は労働規制が強いのかというところで、じっくり検証してほしいのです。これはOECDのデータでも、韓国、インドネシアに比べても、日本は労働規制が緩いという評価が出ているのです。ですから、そこは十分に検証していただかないと、感覚的なもので、これをやるから海外に行くというのは、もう少し実証的なデータでお示しいただきたいと思っています。以上です。
○野村委員 先ほど福田委員からもご指名をいただきましたので、一言労働側の立場で意見を述べさせていただきます。先ほど建設業における高齢者の問題点についてお話をされましたが、労働意欲の問題については、高齢層、若年層、中年層だからという、年齢の問題ではないと私は認識しています。特に建設業の場合は、平均年齢も相当高くなってきていますし、建設の技術は一人ひとりの技能労働者の技術に裏打ちをされたものが、また若い人たちに継承されて、日本の建設業の質の高い技術を培ってきているのだろうと思っています。
 そういうことを考えますと、高齢者という人たちが、いかにこれから、いままで培ってきた技術、技能を若年層に伝承していくのか、これが1つの大きな課題ではないかと思っております。したがいまして、そういう人たちが働ける場というのは、しっかりと確保しておくことが必要だろうと思っております。
 併せて、高齢の方について、社会保障システムとの関係で言いますと、しっかりと年金との接続を果たして、安定した生活ができる、ひいてはこのことは社会全体の安定にもつながると思います。したがいまして、社会全体の安定なくして、企業の安定、繁栄はないと思っておりますので、そういう視点でも、企業側が一方的に負担を被るという発想ではなく、企業も企業としての社会的な役割をしっかり果たしていただく、そのことが企業にとっても、産業にとってもプラスになるのだという視点でのものの考え方、そういう発想も必要ではないかと思います。
○縄倉委員 いま野村委員からも言っていただき、先ほど荻野委員からもありましたが、企業が高齢者を雇用することをもう少し前向きに捉えていただきたいと思います。社会の公器としての企業というものが、まだ働ける、年金の問題等についても、先ほど年金との接続については社会的なセーフティネットのあり方を再考してもらいたいとか、自助努力であるべきだというご意見もありましたが、自助努力というには、いまの若い方たちの賃金状況はひどいものになっていて、全労働者の4割近くが非正規雇用で、年収300万円程度以下に抑えられている状況の中で、どこに自助努力の余地があるのか、これは前にもお話をさせていただきました。
 それと同時に、セーフティネットの充実で60歳からということで、先ほど発言がありましたが、セーフティネットということは、社会保障ということは税の投入になってしまいます。そうではなくて、むしろ働ける高齢者を社会的なセーフティネットで救うのではなくて、何がしかの雇用を確保することによって、社会の負担を少しずつでも分かち合っていくという前向きな姿勢での検討をお願いしたいと思います。
 その上で、希望する者すべての65歳までの雇用確保をされたとしても、例えば家族介護の理由で就労できない者も出てくる、そういった者に対してはセーフティネットの充実を求めていきたいと。働きたいけれども働けない事情がある者については、そういうものこそセーフティネットで救うべきではないかと提案します。具体的に言えば、雇用保険の失業給付については、定年退職者は最長150日に留められておりますが、倒産解雇などの場合には最長240日まで延長されていますので、そういったことも含めて、セーフティネットの見方を提起するのであれば、そういったところを中心に提起をお願いしたいというところです。
○森戸委員 使用者側の委員からたくさん発言をいただいて、現場の切実さは伝わってきまして、非常によくわかりました。私は現状を知らないので、理屈しか言えないのですが、いろいろ大変ではあるけれども、経営者側、使用者側として、定年制というものは維持したいというのはあると思うのです。つまり、アメリカのように年齢差別で定年のないような世界がいいということではないのだと思うのです。そうだとすると、定年というのは年齢を基準にして辞めてもらう制度なわけです。それなのに、この年齢で辞めさせていい、自動的に辞めてもいいというのが、年金をもらい始める年齢より低い、年金をもらい始める年齢と離れているというのは、理屈としておかしいと思います。国際的にどうだというつもりはありませんが、世界的に見てもおかしいと私は思います。
 先ほどから使用者側の皆さんから出ているいろいろな例は、考えてみると年齢で切りたいのではなくて、明らかに仕事ができないような人がいて、その人に本当は辞めてもらいたいのだということ、つまり年齢で解雇しようとしているわけではなくて、能力がない人には仕事をやってもらうのはおかしいと思うのだというご意見だと思うのです。
 そうだとすると、それは定年という節目で、あまりうるさいことは言われずに、年齢を理由に辞めていただけたのかもしれないのですが、それは正面から、年齢ではないけれども、あなたは全然仕事ができないという理由で辞めてもらえるような方向を考えなければいけないのではないかと思います。それは解雇規制が厳しいのだから困るとおっしゃるかもしれませんが、それは確かにそうなのかもしれませんが、私が思うに日本の現行法上も、少なくとも全然仕事ができない人も首にしてはいけないというルールではないと私は思いますし、解雇のルール、労働条件の変更のルールも、それなりに柔軟にはできていると思いますので、定年が変わったり、定年を延長する、再雇用を導入するということは、合理性の判断において非常に必要性が高いと判断されると思いますので、それなりにそこは柔軟な調整は可能にはなっていると思いますし、また制度が変われば、そこはある程度柔軟な判断ができるのではないかと思います。
 そうは言っても、これまでないことをやってもらうという意味では、使用者側に負担なのかもしれませんが、それが高齢化なり年金の年齢が後ろに下がっていくことの負担を均等にみんなが負担しなければいけないのだろうと思って、経営側が負担すべきことは、もしかしたらそれなのかなと。つまり、年齢を理由ではなく、能力を理由にして、正面から辞めてもらうというやり方を考えなければいけないのかもしれないという、それをやらなければいけないのかもしれないというのが、経営者側に今後課せられる負担なのかもしれないと私は思います。
 労働者側も、たぶん負担はあって、少なくとも現行法上というか、ここでわりと希望者全員の再雇用でという方向もあり得るという話になっていて、つまり定年延長ではなくて再雇用でも、何とか年金までつながればいいのだというのは、それはそれで、定年延長よりは経営者側に受け入れられやすいのではないかと思いますし、再雇用制度の中身自体には、あまり踏み込んでいない規制ですから、賃金を絶対に時給いくら以上にしなさいという規制には、少なくともいまはなっていないわけですから、そこは労使の労働契約、それこそ契約の自由で決めていいという建て前になっているわけですよね。
 それから、これは労働側は私法上の効力をもっとちゃんとしろというご意見があるのは知っていますが、少なくとも現行法は行政法規として、導入義務に留まるという規制になっていると。その辺りは、そこはある意味で、労働者側にも当然に65歳までフルの雇用が従来どおりに、右肩上がりで労働条件が上がっていくような雇用が続くわけではないという意味では、労働者側にも負担がかかっているのではないか、かかるのではないかと思います。
 それから、私は前にも申し上げましたが、本当は定年と年金の年齢が一致しているのがシンプルで、あるべき姿だと思っていて、「主な意見」には取り入れてもらえなかったのですが、本当はそう思っています。先ほどから細かい法律的な議論になりましたが、再雇用みたいな形にすることで、ものすごく技術的には考えなければいけないことがたくさんあって、いまも厚生労働省でQ&Aなどを出していますが、さらに今後非常にややこしい話になると思います。それは契約形態が1回変わる形を取る以上、非常に技術的には厄介な問題、解釈なり、いろいろな細かい規則などをどうするかという問題は考えなければいけないと思います。これは行政側の負担だと思います。それなので、高齢化、年金の問題のコストを、労側、使用者側、役所側も、それぞれそれなりに負担してやっていく方向で考えると、希望者全員という方向も、もう少し前向きに考えることができるのではないかと私は思っています。
○荻野委員 照屋委員からお話のあった実効性の件です。いまは助言、勧告であって、大変にもの足りないとのことです。研究会報告では、企業名の公表等も考えられるべきだということでありますが、企業名の公表という話は、それは法律で決められたことを守ってない、それも再三の注意、指導にもかかわらず、守らないのは確かに問題であると思います。
 一方、いま森戸先生からもお話がありましたが、制度導入の措置義務に留まっているところ、それが果たされないことによって、全く当事者の意図と異なる効果を発生せしめるというのは、均衡を欠くのではないかと思いますので、私法上の効果を持たせることには明らかに反対である、筋が通らないと考えておりますので、申し上げておきたいと思います。
 それから、新谷委員からお話のあった労働規制を強化すると雇用が減るという実証的な証拠があるのかという話がありました。確かに、そういうエビデンスに基づいて議論をすることは大事であると考えています。ただ、まさに新谷委員からもお話がありましたが、ほかの要因によって、これは過去累々として円高の度ごとに国内雇用が失われていることは確実な事実です。いま現にこういう状況が起きている中で、さらに労働規制を強化するように、トレンドの問題として、そういうことをしたときにそれが雇用を留める効果を持つのか、より流出させる効果を持つのかは、これは明白ではないかと思いますので、そのような観点からの議論も必要ではないかと思っています。橋本委員が申し上げた趣旨はそういうことではないかと思います。
 それから、縄倉委員からのご発言ですが、これは私もお伺いしていて、ほとんど労使間で認識の差はないのではないかと思って聞いておりました。縄倉委員は、しきりに「働ける高齢者」とおっしゃっておられましたし、働ける高齢者の方については、それこそ長年企業に貢献していただいた方ですから、企業としても積極的に再雇用をして、働き続けていただきたいと思っております。そこのところの認識の差は私はないものと思っておりますので申し上げておきます。
 それから、森戸先生から総括的なおまとめの議論を頂戴いたしましたが、定年年齢と年金の支給開始が接続しているのが望ましいというのは、誠にそのとおりであろうかと思います。ただ、実態として、いまの状況の中で実現可能かという問題と、もう1つ社会保障制度との関係でいきますと、この場はもちろん高年齢者雇用の議論をする場ですので、その限りの議論しかできませんが、社会保障制度全体との整合性というか、特に国際比較においては、各国で国民負担率がどのようになっているのか、社会保障の財源や給付がどうなっているのかといった議論を抜きにして、雇用と年金の接続の議論をするということも困難ではないかと思いました。若干ここの部会の限界を超えるのかなと思っております。
○新谷委員 先ほど森戸先生におまとめいただいた点については、私どもも非常に共感するところです。ただ1点、私の聞き間違いかもしれませんけれども、今回のルールの改正によって、解雇規制を変更するとか緩めるということを私どもは考えていません。そういうご発言ではなかったと思いますけれども。
○森戸委員 別にそのようなことは言っていない。ただ解雇規制というのも解雇権濫用法理なので、中身は柔軟ではないかという趣旨です。
○新谷委員 私どもも全く同じです。いまは解雇権濫用法理というものがきちんと確立しておりますので、これはその中の枠組みで対処すればいいのではないかと思っております。
 それと、実効性の確保の件です。企業名の公表というのがあるのですけれども、いずれにしても厚労省のデータというのは31人以上規模の企業について把握しているということで、前回も申し上げたように、全労働者の約2割が対象になっていないのです。それは30人以下規模の企業です。実は、ここで働く方々についてはデータがなくて、一体どれくらい雇用確保措置が講じられているかがわからないという状況です。そういう企業で働いている方に対して企業名を公表されても、ほとんど実効性がないと思っておりますので、やはりそれは労働者の権利として確定させる必要があるのではないかと考えています。立法技術論的には非常に難しい中身だと思いますけれども、私どもも知恵を出して、何とかここを突破したいと思います。是非、公益の先生のお知恵もお借りしたいと思っているところです。
 最後に、資料1の前回の論点と、前回の資料の中に検討課題というのを挙げていただいており、これらをずっと検討してきたわけですけれども、どうも検討の論点が1個抜けているのではないかというのがあります。これは定年到達者を中心に考えている。要するに正社員がその企業の中で定年を迎えて、迎えた後の継続雇用というシナリオで考えているのではないかと思うのです。しかし、例えば50代後半の雇用形態の分類をしたときに、50代後半でも非正規雇用の方々がおられるのではないかと思うのです。要するに、非正規雇用のまま60歳を迎える方がおられると思います。こういう方々の年金との接続問題をどう考えるか。いま我々は、定年制のある企業の中で働いていて、そこへ到達する、だから継続雇用だと考えているのですけれども、そこも1つの論点として入れておかないと、大きな漏れが生じるのではないかと思いましたので、今後検討願いたいと思っています。
○大橋部会長 では最後に鎌田先生。
○鎌田委員 第1に、労使の方のご意見を伺って、労使協定で基準を設けていることが労使自治であるので、これは活かすべきだというお話がありましたが、実はこれには疑問があります。なぜかと言いますと、労働組合だけではなくて、過半数代表者が締結した労使協定でもあるのです。ここは労使自治でも何でもないのです。ですから、この基準は労使自治を担保するものだという性格ではないので、ご議論を整理する上で、是非お考えに入れていただきたいということです。
 もう1つ、私法上の効果についてのお話がありました。これはいま新谷委員がおっしゃったように、大変いろいろと面倒な問題があります。もし何かご提案するのなら、また考えたいと思いますが、これには2つの問題があります。1つは、現在の9条1項の私法的効力をどう考えるかです。これは先ほど私が申しましたように、あくまでも雇用確保措置を導入する、いわゆる公法上の義務という観点で捉えており、これをもって直ちに個々の労働者が個々の企業に対して、自分を雇えという請求権が発生するとは考えていないのです。もし、そういうものをここで導入するのであれば、おそらく高年法の性格そのものを大きく変えなければいけない。
 だからといって、個別労働者の権利を無視しているわけではない。就業規則があります。定年と継続雇用などの退職に関する事柄は、労基法89条で絶対的必要記載事項なのです。これは定めなければいけないことになっているはずなので、継続雇用制度について、企業はこれに基づいて就業規則等で定めているだろうと。ただし一部には本当にごくわずか、定めていない所もあると思います。これは私法上の効力ということで問題になる可能性があります。ですから就業規則の定めの中で、再雇用における問題、解雇権濫用の問題、働こうと思っても働く能力の乏しい人の問題など、さまざまな問題が個々の労働者の権利の問題として出てくることはあり得るし、それは現在の高年法の9条1項の中でも当然想定されていることだろうと思います。
 ただし議論として9条1項を問題にしたときに、そういったレベルで議論をしているわけではなくて、あくまでも雇用確保措置の導入と、2項の基準についてどうするかが議論になっていると思うのです。その辺を議論として事務局にも少しご整理いただければ、ありがたいという感じがします。議論を聞いていると、個別の権利義務と法制度の枠組みを導入するというのを、一緒に議論している感じがしましたので、その辺を整理していただければと思います。
○大橋部会長 まだ議論はおありかと思いますが、次回の部会でも引き続き、今後の高齢者雇用対策についてご議論していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に議題2、「指定法人の見直しについて(案)」をご議論いただきたいと思います。まず事務局より指定法人の見直しについて、簡単にご説明いただければと思います。
○野田高齢者雇用対策調査官 前々回にご説明した内容なので、簡単に説明したいと思います。資料2をご覧ください。まず厚生労働省は、「独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」というものを設けて、省内の対象となる法人等について検討をして、報告書をまとめました。指定法人については下線が引いてあるとおり、在り方を全面的に見直します。そして次の行で、「その検討は関係する審議会等で行うこととする」とされております。当部会で検討を行う法人は、2に書いてある3つの法人です。そのうち港湾労働安定協会については、別途港湾労働専門委員会でご議論いただくこととなっております。
 「進め方イメージ」をご覧ください。当部会で3回程度議論をして、報告書をまとめるということを考えております。その1回目の検討が本日です。
○大橋部会長 それでは当部会で検討する指定法人のうち、社団法人全国シルバー人材センター事業協会について、事務局からご説明いただきたいと思います。
○上田高齢者雇用事業室長 それでは、資料3に沿って説明いたします。全国シルバー人材センター事業協会は、昭和57年7月に全国シルバー人材センター協議会という形で、各市町村単位にあるシルバー人材センターを会員とする形の中の社団法人として立ち上がった所です。昭和61年10月に高齢法に基づき、全国シルバー人材センター協会ということで指定を行って始めました。2番目に、組織等の内容です。平成23年4月1日現在、役職員の数は19名います。会長、専務理事、理事、監事といるわけです。会長は連合の会長の持回りとなっており、現在、東京の財団の理事長が兼務されております。専務理事については、公募で1名選んでおります。理事、監事については、これも各都道府県にある連合会長のブロックごとの推薦から、それぞれ決めているという状況です。職員は20名で、国家公務員出身者は現在3名です。
 予算規模ですが、平成23年度の予算規模は約4億円です。そのうち国からの補助等が入っているのが1億5,600万円です。
 業務概要については普及啓発事業、研修事業、連絡調整及び指導に関するその他の援助ということで、いくつか並べており、2頁に詳しく書いてあります。もともと事業概要の一番の趣旨は、1にありますように、シルバー人材センターの健全な発展及び定年退職者等、その他の高年齢者の能力の積極的な活用を促進するために、シルバー人材センターの業務に関し以下の業務を実施するということです。
 やはり一番に置いているのが普及啓発事業です。これは当然、会員の増大や就業機会の拡大といったものが、シルバー人材センター事業の生命線になりますので、これについての普及活動は常に全シ協が行っています。
 研修事業は個々のシルバー人材センターが社団法人でやっており、それぞれ違う団体です。そういった中である程度事業を適正に公益的に運営していくためには、役員たちの指導やほかの情報提供が非常に大事になっており、そういったことに関する研修があります。また、高齢者へ就業機会を与えているものですから、事故などの発生を防ぐために、安全又は法律に沿った形での適正就業をしっかりと研修しています。
 連絡調整及び指導に関するその他の事業については、各シルバー人材センターはそれぞれの独立した法人で、横との連絡調整が非常に重要になってきています。そういった観点から、連絡調整事業というものに重きを置きながら、全シ協がいろいろ指導しているところです。
 研修等の実績については3頁に、研修事業、指導・援助、安全・適正就業ということで書いてあります。研修事業については中央で幹部の研修や適正就業の研修を、連合の事務局長、事務職員たちに実施しており、その数を記述してあります。地方研修は、主にセンターと全シ協が直接ブロック単位でいろいろやりながら、事業の現状や今後の課題などについての研修を行っています。
 指導・援助については、連合が3年に1回は各連合の中身を確認するということで指導を行っています。さらに相談等、いろいろ問題のあったシルバー人材センターなどを中心に、各シルバー人材センターが回って指導を行っているという状況です。
 安全・適正就業については、全体で約350万件ぐらいの契約があるのですが、そのうち大体2万件ぐらいをよく確認し、適正就業的に問題がないかを確認しております。前年の例を見ますと、改善のあった所が約1万8,000件あります。その内訳については中に書いてあるとおりです。
 4頁に、シルバー人材センター事業が必要とされる背景ということで、いまの日本の国の現状を3つの形でまとめております。1つ目は、ここでも議論している高齢化の進行です。高齢者の割合、65歳以上の人口が相当増えていく中で、高齢者が就業を通じた生きがいのための場の機会の提供が、ますます必要になってきているのではないかと考えております。2つ目が、高年齢者の就業の意欲です。65歳以上の就業で見ても71%以上あって、高齢者の就業意欲が非常に高いという状況があります。3つ目に、現在のシルバー人材センターの状況です。どういった方たちが会員として入会しているかです。「生きがい・社会参加」「健康維持・増進」のために来ている人たちが70.8%です。一部、「経済的理由」によりという方たちが21.5%あります。ただ経済的と言っても、自分の生計を立てているわけではなく、ほとんどが年金なりが足りないので補足しているという形が若干入っています。
 しかし最近の新規会員の状況を見ますと、若干の変化があります。生きがい対策のような形で来ている人たちが70%だったのが、60%ぐらいに減っています。増えているところは経済的な理由です。リーマンショック以降、年金の不足等を補っている方たちが増えてきているというのが現状です。シルバー人材センターの会員の現状としては、こういうようになっているということです。
 それから、議論していただく指定についてです。高年齢者雇用安定法第46条における指定ということで、シルバー人材センター事業の指定をつくっております。これは下のカギの中を見ていただくとわかります。どういうことで指定しているかと言いますと、シルバー人材センターの健全な発展及び定年退職者等、その他の高年齢者の能力の積極的な活用を促進することにより、高齢者の福祉の増進を図るためには、就業機会の提供体制の整備、確立を図ることが必要であると。そういったことからマルで示してある所について、考えながら指定していきたいと思っています。国等の行政関係が自ら行うよりも、高年齢者の福祉の増進に資する事を目的として設立された民間団体において行われることが、より円滑に効率的に行われるのではないかと考えております。
 さらに、この事業については全国の高齢者を対象に統一性、継続性を持って実施されるべきです。またシルバー人材センター相互の連絡調整、業務運営、担当者の資質向上などを図っていくために、全国を通じて一社を指定することが必要であると考え、指定の制度をつくっていくということです。
 次の頁で、全国シルバー人材センター事業協会を指定する理由を記載しております。全国シルバー人材センターを会員として、シルバー人材センター事業の健全な発展を図るために、高齢者の福祉の増進を図ることを目的とした公益性をもった法人です。また、全国シルバー人材センターにおける統一性、継続性をもった事業の実施のために、研修や連絡調整を自ら行っています。指定法人として期待される役割を果たすのにいちばんいい法人ではないかということで、全国シルバー人材センター事業協会を指定しています。
 最後に、全国シルバー人材センター事業協会がどういった形で、いま業務の見直し等を行っているかを7頁でまとめております。1番目は組織のスリム化ということで、職員の数を30名から23名に減らし、現在は20名ということで合理化を図りながら、人員の整理をしっかり行ってきています。それから国からの財政支出の削減ということで、平成21年度は2億5,900万円やったところ、平成23年度は1億5,600万円まで下げており、国の補助金等の依存率も38.9%のところまできております。公益法人の補助金の依存率については、3分の2以下への解消が求められるところで、これについては少し前からうまく成功しています。
 具体的な見直し内容としては、当然人員の整理を行っているのですが、そのほかには国の補助金を入れている対象の経費の見直しを行っています。ワークプラザ奨励事業は、シルバー人材センターの事業を行っていく上で、昔は作業所のようなものをつくるのに補助していたのですが、そういったことを見直しながら効率化を図っているところです。
○大橋部会長 それでは、ただいまご説明のあった全国シルバー人材センター事業協会の内容について、ご意見、ご質問等がありましたらご発言ください。
○野村委員 シルバー人材センターについては、前回も意見を述べました。今回の説明の中でシルバー人材センターの普及・拡大が、事業協会の1つの役割という説明を受けたわけです。シルバー人材センターの事業を拡大することによって、ある意味、業種によっては民業圧迫という問題も発生するのではないかということで、前回もそのような話をしております。これについて事務局当局からは、民間業者との棲み分けにも配慮しているという答弁がありましたけれども、一方で事業の普及・拡大というものをどんどん進め、そのことが結果として民業圧迫というものをまた加速する、進めることにもつながるのではないかと私は思っております。とりわけ競合する業種の民間業者からの苦情、苦情内容、件数というものを把握して、わかりましたら教えていただきたいと思います。
○上田高齢者雇用事業室長 前回もお話したのですが、事業仕分けのときに民業圧迫の話は、やはり議論になりました。そのときにいろいろ調査を行った結果です。まず全シ協において、苦情の件数を取りました。過去5年間、シルバー人材センターに対してどのぐらいの苦情があったかを見ますと66件です。ただ、これだけがすべてではないと思いますので、都道府県の各労働局単位で業種ごとに、競合が多いと思われる表装業界や造園業界などの業種団体ごとに、ヒアリング等を行っていきました。そうするとほとんどの所に「棲み分けをしながら共存してやっていくべきではないか」というお答えをいただいております。この前もお話しましたように、私たちも共存するためにいろいろと話合いをして、どこをシルバーがやって、どこを民間業者がやっていくのかということを、しっかりとシルバーごとに、地域ごとにやっていく必要があるのではないかと思っています。
 会員の増加をしていくことについては、必ずしも事業を拡大していくということだけではありません。ローテーションでやっていけばいいのです。今もそうですけれども、事業自体、1つの事業として取ったものを数人で回してやっていくという形になっています。あくまでも事業の拡大と言っているのは、いま1,750ぐらいの市町村がある中で、実際にシルバー人材センターがあるのは1,298ということで、まだ全部は出来上がっていません。したがって、そういった地域の拡大を頭に置きながらやっているところです。いまは全体の74%ぐらいのシルバー人材センターが出来上がっています。
○福田委員 たまたま私は夏に、田舎の草刈りをシルバー人材センターに頼んだのです。そうしたら時給が1,200円で、7〜8%の事務費を取られてそれを払うのです。事務費というのはシルバー人材センターに行ってしまうのではなくて、ある程度本人たちにも入るのかなと思ったら、全部シルバー人材センターのほうに入ってしまうと。そうすると、いろいろ補助などを受けているわりには、金額が高いのではないかと思いました。
 私もいろいろな手続きをやりました。本人と直接やって、請求書も送ってきて払うのですが、シルバー人材センターの事務費というのは全然なっていないのではないかと。別にそんなお金はなくてもいいのではないかという感じがしたのです。
 もう1つは、この間のときに資料で月に3万5,000〜3万6,000円の金額だという話があったのです。私の所で調べたら、これは長野県ですが、月に43万円ぐらいもらっているということでした。ですから、すごく差があるのかなという気がしたのです。その辺を教えてもらえたらと思います。
○上田高齢者雇用事業室長 初めに、事務手数料の7%がどういうように使われているかということについてです。発注した金額全体のうちの7%をシルバー人材センターが取って、ほかのものはすべて会員に配分金という形で配っています。7%の使い道というのは、シルバー人材センターが事業をやっていく上で、1つの事業費に当たっているものが若干含まれています。そのほかに材料費です。もともといろいろなことをやるに当たって、材料費というか事務費がかかりますので、それに対して行っているものがあります。具体的にパーセンテージでは出ていないのですけれども、事務手数料で見ると、7%の事務手数料の使い道は、いま言ったような形で使われているだけですので、そんなに大きな形では取っていない。ただ、シルバー人材センターごとに自分たちの理事会なり総会なりがありますので、そこで個々に決めることになっています。いまは平均が7%ぐらいということです。
 もう1つ、43万円もらっているという例でしたけれども、具体的にどういった事業なのかがわからないですね。
○福田委員 草刈りです。場所は上田のシルバー人材センターです。
○上田高齢者雇用事業室長 そんなにもらっているというのは、あまり聞いていない。
○福田委員 1人平均それぐらいもらっているという話だったので、それだったらあれかなと。この間の3万いくらとはだいぶ違うのかな。
○上田高齢者雇用事業室長 そんな43万円ももらっている人など、ほとんど聞いたことがなく、ほとんどが10万円以下になっています。私たちが調べているものの中で全体のパーセンテージで見ていくと、月3万円未満が34.4%、3万〜5万円が28.8%、5万〜7万円が21.9%、7万〜10万円が10.8%、10万円以上が4.1%というように把握しています。たまたまというか、その事実はまた私どもも確認します。いけないというわけではないのですが、基本的にシルバー事業というのは、1つの仕事を請負で契約して、何人かの会員が回してやっていくという形になっていきますから、平均で大体9日ぐらい勤められるというのが現状だと把握しています。
○大橋部会長 いまのテーマはシルバー人材センターそのものではなくて、事業協会についての論点になっておりますので、よろしくお願いします。
○照屋委員 シルバー人材センターの会員について、少し教えていただきたいのです。先ほど、全国のシルバー人材センターを会員としてというご説明がありましたが、たしか労災保険の適用もなかったのではないかという理解をしているのです。仮に就業中の事故や災害、あるいは通勤途上災害が起きたときの対応等について、どう対応されているか教えていただけますか。
○上田高齢者雇用事業室長 それについては、先ほど事務手数料の話がありましたが、当然雇用という形にはなっておりませんので、先ほどの経費の中から民間の損害保険等に加入しております。シルバー人材センターの負担として、損害保険に掛けているというのが現状です。
○大橋部会長 そのほかによろしいでしょうか。次に介護労働安定センターについて、事務局よりご説明いただければと思います。
○福士介護労働対策室長 それでは資料4をご覧ください。まず介護労働安定センターの概要です。設立年月日は平成4年4月1日です。「介護労働者の雇用の管理の改善等に関する法律」に基づいて、介護労働安定センターとしての指定を受けております。組織ですが、本部は29名、支部は47都道府県にあり、1支部大体5名程度です。役職員数ですが、役員は13名で、そのうち公務員出身者は0名です。職員274名のうち、国家公務員出身者は22名です。
 次に予算についてです。平成23年度の予算は25.2億円、そのうち国からの交付金が18億円です。
 次が業務の概要です。介護労働者の雇用及び福祉に関する情報、資料の収集及び提供を行う、雇用の安定並びに能力開発及び向上に関する調査研究を行う、事業主その他の関係者に対して、雇用の安定並びに能力開発及び向上に関する相談、援助業務を行う、必要な知識及び技能を習得させるための教育訓練を行うということです。
 2頁が雇用管理改善等援助事業についてです。積極的な事業所訪問をして、雇用管理の改善に関する相談援助をしております。課題に応じて外部コンサルタント、専門家による心身の健康確保を含めた相談もしております。また、雇用管理責任者に対する講習、雇用管理実態調査の実施もしております。その実績ですが、雇用管理に関する相談援助は、平成22年度においては7万5,000件弱です。このうち訪問が3万5,000件強です。事業の効果については右側の表にありますように、平成22年度は全産業の離職率の平均が14.5%で、介護職種の平均が17.8%と高くなっております。そういう中で、相談援助を受けた事業所の離職率は12.5%ということで、一定の効果は出ていると思っております。
 相談事例等については、賃金や労働時間の不満等による離職の常態化を改善したいという要望があれば、支援内容として事業所の業務実態や諸規程をチェックして、介護職員の資格に応じた手当の創設又は事業所にあった賃金規定づくりを支援していきます。効果としては新給与体系の策定によって、離職者が減少しているという好事例も出ております。利用者の声は○の3つ目にありますように、「介護労働者の定着率が低い中で、無料のコンサル等、雇用管理改善の手助けをしているセンターの存在は、特に成熟していない介護業界にとってますます必要」という意見も出ております。
 3頁が介護労働者能力開発事業についてです。介護労働者で正社員等の安定した就労を目指すということで、介護職員基礎研修500時間を実施しております。この研修は、ホームヘルパー1級より高等な研修ということで実施しております。2番目が研修コーディネート事業です。事業所在職者を対象にして、事業所の担当者への研修計画の策定支援、在職者個々に応じたキャリアアップ相談・セミナー等を実施しております。その実績ですが、介護職員基礎研修について、平成22年度においては47回/1,848人、就職率は86.7%となっております。研修コーディネート事業については、平成22年度の相談件数は3万898件、能力開発啓発セミナーは開催回数が52回、参加事業者数が1,751社/2,332人の参加を得ております。受講者満足度としては88.7%ということで、(従業員のキャリア形成に取り組みたい)等々の意見が出ております。
 4頁が雇用管理改善等援助事業と能力開発事業についてです。これは厚生労働大臣が法第15条で指定して、介護労働安定センターは法第18条によって事業の実施をしております。指定法人を指定して業務を実施する理由ですが、政策課題や利用者のニーズに対応して、地方自治体や関係団体等の連携を図りつつ、全国において業務を実施することができる体制を確保することが必要ということです。その政策課題として、3つほど書いております。離職率が高いという雇用管理上の問題を抱えており、中小零細又は設立間もない事業所を中心に、これを解決しなければ介護労働への就職・定着が進まない。介護人材の確保・定着を図るためには、賃金などの処遇の向上に加えて労働時間等の労働条件、職場環境の整備等の雇用管理の改善と介護労働者の能力開発を総合的に推進することが必要である。利用者の立場からは、公益的かつ非営利的な団体が実施することが望まれるということです。
 5頁が、介護労働者雇用改善等援助事業が必要とされる背景です。下の表にありますように、介護職員は2025年度には倍程度必要となります。また、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」において、介護サービスを安定的に提供できる体制を整備することも決められており、今後介護サービスのニーズはどんどん増大していくと。このため介護分野に新たな人材の就職促進とともに、他産業と比較して高い離職率にあるという理由から、定着を促進することが必要不可欠であるというのが背景です。
 それから6頁の下のほうにありますように、介護労働者に対する調査、介護事業所に対する調査をしております。労働条件・仕事の負担についての悩み、不安、不満等の中身が出ております。また、早期離職防止や定着促進のための方策、事業所が講じている事例が出ております。このような調査からも、介護分野の人材確保・定着を図るためには、当然のことながら賃金などの処遇の向上に加えて、労働時間等の労働条件、職場環境の整備等の雇用管理の改善、介護労働者の能力開発を図っていくことが必要という背景もあります。
 7頁が予算等、平成23年度の見直し事項です。平成22年度の予算額は23.8億円、平成23年度においては20.7億円ということで、3億円ほど削っております。平成23年度の予算額は18億円ということで、ここも3億円弱減らしております。見直しの内容としては下にありますように事業を廃止する。介護雇用管理制度等導入奨励金等々を廃止しております。また3番目にありますように、実施する運営の効率化ということで、人員削減等々を行って、交付金に占める管理費率を40%未満へ縮小しているという状況にあります。そういう中で財源も絞り込んできているということです。
 では、もう1つの資料5をご覧ください。「雇用対策基本問題部会報告(案)」ということで、介護労働安定センターに関する指定法人制度の在り方、指定基準の在り方、指定法人とする妥当性については、平成25年度を目途に交付金依存体質を改めることに向けて、当センターの組織や運営の在り方について別途設置する検討会で議論を深めていきたいと。その議論を踏まえた上で、改めて検討をお願いすることになります。なお、検討会については介護労働に関する者の意見を幅広く反映するために、介護労働に関する学識経験者、使用者団体代表、労働者代表、介護事業者等々のメンバーからなる構成で実施するという報告になります。よろしくお願い申し上げます。
○大橋部会長 ただいまのご説明に対して、ご意見がありましたらよろしくお願いいたします。
○縄倉委員 日本が超高齢化社会になっていくというのは、もう目に見えているというか、紛れもない事実ですし、すでに人口減社会になっております。高齢化社会になっていったときに、介護の問題というのがクローズアップされてくることから、そもそも介護保険はスタートしましたし、こういったセンターが設立されてきたと認識しております。今後2025年度には、いまの倍の介護労働者が必要だというお話ですけれども、そのわりに離職率が全産業平均よりも非常に高い職種になってしまっている。それを指導するための事業が雇用管理改善事業という、このセンターの主な業務として最初に掲げられているものです。相談援助を受けた事業者の離職率は、全産業の平均よりも低いというデータを示していただいていますが、それでも相談を受けていない事業所はどうなるのか。
 もう1つは、パワーポイントの資料でいくと5番、「必要とされる背景」のマル1のいちばん下の枠組みの中に、介護事業開始後1年未満の事業所では30.8%の離職率とあります。非常に高い離職率を改善していかなくては、スキルアップを望んだ熟練の介護労働者というのは、なかなか誕生しないですし、折角介護事業等々を行っている事業者も、モチベーションがどうなっていくのか、その労働者のモチベーションもどうなっていくのかという課題だと思います。
 実は、私の出身の会社が介護事業をやっています。そこの組合員にはまだホームヘルパーになっていただけないのですけれども、その方たちと話をすると出てくるのは、労働条件が悪いというご意見が非常に多いのです。そのための改善資金として前回の介護報酬改定のときも、点数が引き上げられたはずなのです。しかし、それにリンクして引き上がっていない。結果的に見ると、そのリンクは全然取られていませんよね。そういう状況の中で今後、このセンターを残していくのであれば、センターが何をもっと指導していくのか、それをもっとオープンにしていただきたいと思います。
 当然、必要な事業だと思いますので、予算を付けて事業をやっていただきたいとは思います。しかし逆に言うと、予算を付けて事業をやっていただく限り、結果も出していただきたいということです。当然、離職率を引き下げることについて、どのような具体的な提案をされるのか、お考えがあれば是非お示しいただきたいところです。付言として嫌味ったらしく言わせてもらえれば、介護事業の就労者はこれだけ定着率が悪くてどんどん辞めていくのに、なぜか始まった介護サービスの事業所はつぶれたという所は聞いたことがありません。では予算はどこに消えてしまっているのかというのが非常に感覚的に出ますので、是非お願いします。
○福士介護労働対策室長 いま我々にとって大変厳しいご意見をいただきました。相談を受けた所は非常に離職率が少なく、受けていない所はどうかということですが、受けていない所の調査はしておりませんので、その辺はお答えできません。
 介護労働安定センターが非常に必要だという中で、今後どういう所に向けて、団体としてどういう業務をやっていくのかということについてのお答えですが、今やっている相談業務も非常に大切です。ただ相談業務をやった中でどういう効果が出ているかということを、もっとしっかり検証していって、いい事例をどうやって全国に広めていくかとか、いろいろなやり方があると思うのです。能力開発にしても、民間がやっていない能力開発をどのように進めていって、職場における定着促進を図っていくかということを考えていきたいと。それも含めて、専門家において検討会をやりたいということです。そこでしっかり議論したいと思いますので、よろしくお願いします。
○新谷委員 いま2つの指定法人の内容を聞かせていただきました。役職員について、国家公務員OBは、たぶん今はゼロでしょうけれども、過去10年、本省を辞められて退職後にこちらのセンターに移られた方はいなかったのですか。ゼロのときというのがあったのか、教えていただけますか。
○志村職業能力開発課長 役職員は過去にはおりました。平成23年度の当初の数字ですけれども、いま役職員についてはいないですが、職員に占める国家公務員OBが22名となっております。ただ、これは平成18年度ですから、遡ること5年程度は100名程度おりました。こういった法人改革の趣旨も踏まえて、ここは努力をしたわけです。いろいろな契約とか、比較的短期の契約で回して、そういったところでの切り替わりで人事管理面の努力を行って、このようにきているということです。
○新谷委員 だいぶ改革が進んで、いまはゼロになったのでしょう。たぶん両センターができた当時は、省の幹部の方々がこちらに行かれて業務をされていた、いわゆる天下りということではなかったかと思うのです。いまはもう改革されているのでよろしいですし、それぞれのセンターが担っている役割というのは、重要な役割を担っておられるので、それはそれで結構です。
 ただお聞きしておりますと、なぜこれに指定法人の指定をするのかという説明が、もう1つわかりにくいのではないかと思います。やはりそこを指定法人にして雇用保険二事業からお金を流していくということになると、公益というか公共ならでは、本来民間にはできないところがあるべきだと思うのです。特に介護労働安定センターでは、介護労働者の研修や能力開発をやっておられると思います。これがなぜこうでないと駄目なのか、指定法人でない所はできないのか、そういうところを今度の検討会でやられると思うのです。そこは十分考えないと、冒頭に申し上げたような過去の構造の中で、その延長線上で見られてしまうことがありますので、やはりここはきちんと襟を正してやるべきではないかと私は思います。
○福士介護労働対策室長 いまのご指摘にありましたように、しっかり議論させていただきますので、よろしくお願いします。
○大橋部会長 よろしいですか。それでは、ただいまご提案がありましたように、介護労働安定センターの組織や運営の在り方について、別途設置する検討会で検討を行い、その結果を当部会にご報告いただくという厚生労働省案を妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会職業安定分科会長に報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋部会長 ありがとうございます。それでは事務局から、職業安定分科会への報告文(案)をお配りいただきます。
               (報告文(案)配付)
○大橋部会長 お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告いたします。全国シルバー人材センター事業協会については、事務局に本日の議論を整理していただくとともに、部会としての方向性を議論するための資料を作成していただき、次回の部会でさらに具体的な議論を行っていただければと思います。特に事業協会そのものについては、さほど議論はなく、前回も今回もシルバー人材センターそのものの事業について、いろいろなご意見が出されております。そういったご意見も踏まえて、事業協会についての議論を整理していただきたいと思います。また、先ほどご議論いただいた高齢者雇用対策についても、引き続き次回にご議論いただきたいと思っております。
 次回は、11月22日の火曜日の13時から、合同庁舎5号館17階の厚生労働省専用第18会議室で開催いたします。本日の署名委員は、照屋委員及び佐藤委員にお願いいたします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 (TEL)03-5253-1111(内線5815)

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