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2011年12月14日 第82回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成23年12月14日(水) 15:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1会議室


○議題

・雇用保険制度について

○議事

○清家部会長
 定刻より少し早いですが、委員の皆さまがお揃いですので、ただ今から「第82回労政審・職業安定分科会雇用保険部会」を開催させていただきます。本日の出欠状況ですが、坪田委員と塩野委員がご欠席です。
 早速、議事に入らせていただきます。今回は、前回までの議論を踏まえまして、事務局において報告書の素案をご用意いただいております。それでは、事務局から資料1について、ご説明いただきたいと思います。
○吉村雇用保険課長補佐
 それでは、事務局より資料No.1「雇用保険部会報告(素案)」について、説明させていただきます。資料No.1の1ページ目をお願いいたします。「雇用保険部会報告(素案)」について、読み上げさせていただきます。
第1 雇用保険制度の現状等
 平成20年度後半以降の雇用失業情勢の急激な悪化は、とりわけ非正規労働者の雇用の安定に大きな影響を与えてきた。
 そのため、雇用保険制度についても、平成21年から平成23年にかけて毎年見直しを行い、個別延長給付の創設、非正規労働者に対する適用範囲の拡大、賃金日額の引上げ等の措置を講じてきた。
 また、厳しい経済・雇用状況の中で、雇用調整助成金の大幅な支出増にも対応できるよう、平成22年度と平成23年度については、失業等給付の積立金から雇用安定資金への借入れを可能とする暫定措置を講じてきた。
 現下の雇用失業情勢に目を転じると、足元では完全失業率は4%台、有効求人倍率は0.6倍台で推移するなど、一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にある。
 このような状況の下、雇用保険の財政収支については、失業等給付に関しては比較的安定的に運営されているものの、雇用保険二事業に関しては雇用調整助成金の大幅な支出増により極めて厳しい状況にある。
第2 雇用保険制度の見直しの方向
1 平成21年度から実施している暫定措置について
 非正規労働者に対するセーフティネット機能を強化するため、平成21年度から平成23年度末までの3年間の暫定措置として、以下の施策を講じている。
 ・個別延長給付の創設
 ・雇止めにより離職した有期契約労働者等の給付日数の充実
 ・常用就職支度手当の支給対象に「40歳未満の者」を追加
 ・受講手当の額の引上げ(日額500円→700円)
 これらの暫定措置は、平成23年度末でその期限を迎えるが、足元の雇用失業情勢は一部に持ち直しの動きがみられるものの、依然として厳しい状況にあること、また、急激な円高の進行・高止まりや海外経済を取り巻く不透明感等が日本経済・雇用に悪影響を与えるおそれもあるため、基本的には、これらの措置を2年間(平成26年3月31日まで)延長すべきである。
 ただし、個別延長給付の延長に当たっては、重点的な再就職支援が真に必要な者に限りその対象とするなど、運用上の見直しを行うべきである。
 また、受講手当の額の引上げについては、当初予定どおり平成23年度末をもって終了するとともに、教科書代等の補助という趣旨にかんがみ、支給額の在り方を見直すべきである。
2 高年齢雇用継続給付について
 高年齢雇用継続給付については、平成19年1月9日の雇用保険部会報告において、「原則として平成24年度までの措置」とすべきとされたが、平成21年12月28日の雇用保険部会報告においては、「60歳代前半層の雇用の状況を踏まえ、平成25年度以降のあり方をあらためて検討すべき」とされた。
 高年齢者雇用安定法に基づく高年齢雇用確保措置の義務年齢が平成25年度に65歳まで引き上げられるが、高年齢雇用継続給付は、実態として労使間で広く定着し、高年齢者の雇用促進に重要な役割を果たしているのが現状である。
 こうした現状を踏まえ、雇用と年金の接続に資する観点も考慮し、高年齢雇用継続給付は当面の間は存置することとし、今後の高齢者雇用の動向に注視しつつ、その在り方について改めて再検証すべきである。
3 財政運営について
(1)失業等給付の財政運営について
 [1]失業等給付に係る国庫負担について
  失業等給付に係る国庫負担は、平成19年度から暫定措置として法律の本則
 (4分の1)の55%(13.75%)とされている。
  雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済対策・雇用対策とも関係が深く、政
府もその責任を負うべきであるから、求職者支援制度に係る財源を含め、雇用保険法
附則第15条の「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する
暫定措置を廃止するものとする」との規定に基づく措置を講ずるべきである。
 [2]平成24年度の失業等給付に係る雇用保険料率について
  基本となる失業等給付に係る雇用保険料率は、平成23年の法律改正により、平成24
年度以降1000分の14に引き下げられている。
  平成24年度の失業等給付に係る雇用保険料率については、現下の雇用失業情勢は依
然として厳しい状況にあるものの、失業等給付の収支の見通しや積立金の状況を勘案し、
弾力条項に基づく下限の1000分の10に引き下げるべきである。
(2)雇用保険二事業の安定的な運営について
 雇用保険二事業については、平成22年度及び平成23年度の2年間に限り、雇用調整助成金の支出に要する場合に用途を限定して、失業等給付の積立金からの借入を可能にする暫定措置を実施している。雇用安定資金残高は、平成22年度の決算後で3,895億円であったが、平成23年度末(3次補正予算後)では1,602億円、平成24年度末(概算要求ベース)では201億円と見込まれている。また、平成22年度末時点での失業等給付の積立金からの借入金の残高は370億円となっている。
 雇用保険二事業の多くを占める雇用調整助成金については、平成20年度後半以降の雇用失業情勢の急激な悪化や東日本大震災等に対応して、支給要件の緩和や助成率の引上げ等を行ってきたが、今後は、経済・雇用情勢を慎重に判断しながら、原則として、平成20年度後半以前の状態に段階的に戻していくことを目指すべきである。
 また、雇用保険二事業については、PDCAサイクルによる目標管理の徹底に努めてきたところであるが、現在の雇用安定資金残高や失業等給付の積立金から借り入れている現状も踏まえれば、今後、更なる効率化・重点化により不要不急な事業の廃止を行う等、これまで以上に厳しい見直しを徹底する必要がある。
 これらの取組を通じて、雇用保険二事業の財政の健全化及び借入金の速やかな返済を図るべきである。
 以上の取組を前提とした上で、現下の雇用失業情勢が依然として厳しく、円高の影響等による雇用失業情勢の悪化懸念が以前残っている現状も勘案し、雇用調整助成金の支出が急激に増大した場合に備えたやむを得ない措置として、借入れに係る暫定措置については、2年間(平成26年3月31日まで)に限り延長すべきである。
4 その他
(1)基本手当の水準(給付率、給付日数)について
 基本手当の水準(給付率、給付日数)については、現在の積立金残高や失業等給付の収支状況を考慮し、雇用のセーフティネットを拡充する観点から、雇用保険料率の引下げと併せて給付面での充実を図るべきとの意見がある。一方で、近年の制度改正により被保険者範囲が拡大されたこと等による雇用保険財政への影響や、依然として厳しい雇用失業情勢、急激な円高の進行・高止まりや海外経済を取り巻く不透明感等を考慮し、その在り方を慎重に考えていくべきとの意見がある。このような状況を踏まえ、引き続き、今後の在り方について検討すべきである。 (2)マルチジョブホルダー、65歳以上への対処及び教育訓練給付について
 マルチジョブホルダー、65歳以上への対処及び教育訓練給付については、今後の雇用失業情勢や社会経済情勢等を勘案しつつ、今後は、中長期的な観点から議論していくべきである。
 事務局で用意させていただきました報告(素案)については、以上でございます。
○清家部会長
 ありがとうございました。それでは、事務局に準備していただきました報告書の素案に関しまして、皆さまからご質問・ご意見をお受けしたいと思います。どなたからでも、どうぞご自由にお願いします。
○井上委員
 第2の「雇用保険制度の見直しの方向」の平成23年度末までの暫定措置、1〜2ページに掛けてのところです。個別延長給付などの暫定措置について、今回の素案には「2年間延長すべき」との文言を盛り込んでいただきました。これについては、妥当であると考えます。2ページにも記載がありますが、急激な円高の進行、海外経済を取り巻く不透明感、あるいは東日本大震災の影響がまだまだこれからあると思いますので、こちらの記載については、ご努力いただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。以上です。
○清家部会長
 ありがとうございました。
○遠藤委員
 ただ今、お話がございました暫定措置にかかわる記述についてお尋ねいたします。まず、2ページ目でございます。一つ目の丸のところで、基本的には2年間延長すべきであると書いてあり、その後にただし書き、それから「また」以下と、二つ付け加わっています。まず、「基本的に」という意味合いは、ただし書きがあるということを含んで読むという理解でよいのかということが1点目であります。
 二つ目は、ただし書きの中身ですが、個別延長給付の延長を行う場合における運用上の見直しということで、一つは重点的な再就職支援が必要であるのかどうかということがあり、これまで以上に厳格に審査していくという意味合いだと思います。「など」の部分について、それ以外に何か予定されている、あるいはこれから検討対象になり得るような施策展開があるのであれば教えていただきたい。
 それから、次の「また」以下のところです。「教科書代等の補助という趣旨にかんがみ、支給額の在り方を見直すべきである」ということで、前回、言及されている部分もありますが、改めてこの支給額の在り方を見直すという方向性について、お尋ねさせていただければと思います。以上です。
○清家部会長
 それでは、事務局からお答えいただけますでしょうか。
○吉村雇用保険課長補佐
 遠藤委員から三つのご質問をいただいたと理解しております。一つ目は「基本的には」という書きぶりの部分でございますけれども、遠藤委員にご発言いただいたとおり、二つ目の丸のところでただし書きがございますので、その部分を除いてという意味で「基本的」という書き方をさせていただいております。
 二つ目のご質問で、「重点的な再就職支援が真に必要な者に限りその対象とするなど」の「など」の意味は何かというご質問であったかと思いますけれども、運用面での調整ということもございまして、現時点で確定したお答えはなかなか難しい状況ではございますけれども、遠藤委員からお話がございましたとおり、真に必要な方あるいは受給者の求職活動をより促すような形、あるいは地域的にきめ細かく対応できるような形で、個別延長給付についての運用面を見直していくことを考えております。
 三つ目の受講手当の支給額の在り方についてでございますけれども、この点につきましても遠藤委員からご指摘がございましたとおり、前回の雇用保険部会でも資料として提出させていただきましたけれども、公共職業訓練におきます教科書代等の分布状況なども踏まえまして、支給額の上限を設定するという見直しを検討していきたいと思っております。以上でございます。
○清家部会長
 遠藤委員、いかがですか。よろしいですか。
 それでは、他にいかがですか。
○新谷委員
 2ページの2です。高年齢雇用継続給付と、それから実は2013年問題にも絡む問題でございます。まず、高年齢雇用継続給付については、労使ともにこの拡充に向けて意見を表明してきたところです。2013年問題に向けて年金と雇用の接続をどうするか。現状では65歳まで働ける方は半分程度に留まっているという状況の中で、希望者全員に向けての雇用と年金の接続の在り方について、別の部会で審議が進められているところであります。現在、60〜65歳までの公的給付としては、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付があって、素案に書かれていますように実態として労使で広く定着していて、高齢者の雇用促進に重要な役割を果たしているという分析はこのとおりです。我々としては、本来であれば、高齢者の賃金というものは労働市場でふさわしい賃金が形成されるべきであると前々から申し上げておりますけれども、残念ながら一律に賃金を減額して処遇制度を作っているという現状がございまして、そのような実態から考えると、公的給付の重要性というのは、在職老齢年金がなくなる中で益々高まってくる。これはずっと申し上げてきたとおりです。労働者側も使用者側もここの拡充を図るべきだと申し上げてきたにもかかわらず、素案の最後のポツの締めが「高年齢雇用継続給付は当面の間は存置することとし」「改めて再検証すべき」という書き方は、他の部分の書き方と比べてずいぶん弱いのではないかと思います。今までずっと論議してきた内容が、ほとんど反映されていないのではないかと感じます。私どもとしては、雇用と年金の接続に際して、社会で広く対処すべきではないかといったときに、労使でもこれを乗り越えるためにもちろん努力するわけですけれども、国としても、ある程度の期間は財政支出をするべきであるという観点から、平成19年に廃止された国庫負担の8分の1を復活してほしいということも申し上げてきたわけでありますけれども、これについても何の言及もされていません。ここの書きぶりについては、労働者側は口火を切ってずっと言っておりますので、ぜひ使用者側の代表委員の皆さまも、これで本当によいのかということも含めて一度発言いただいた方がよろしいと思います。このままで終わってしまうということでは、今までの論議が反映されていないのではないかと感じますので、ここはさらに拡充に向けて書きぶりを改めていただきたいと思っております。
 それから、前回も申し上げていますように2013年問題を乗り越えるといったときに、希望者全員が65歳まで働く雇用の確保をするといった方針で、今、別の部会で審議が進められていますけれども、そうは言ってもやはりご本人の健康状態であるとか、ご家族の介護の状況等で継続雇用がかなわないという方が出てくると想定されます。そのときには、やはり社会的なセーフティネットとしての雇用保険の在り方ということも、もう少し厚くする必要があるのではないかと思っておりまして、具体的には、今60歳で定年を迎えられますと雇用保険の基本手当の支給日数が150日となっていますけれども、特定受給資格者と同様の扱いをぜひ検討していただきたいと思っております。以上でございます。
○清家部会長
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員
 ただ今、お話がございました高年齢雇用継続給付についてでございます。この考え方につきましても早い段階からと申しますか、実はここ数年来同じ方向で申し上げていることであります。現状、十分活用されている制度なので、当然のことながら継続できるような環境を作っていく必要があります。その過程においては、多用な形態が進みつつありますので、今よりも使い勝手をよくしていくという方向性で拡充を図っていただきたいということです。さらには、その前提として、かつて8分の1入っていた国庫負担を再投入していただくような形でお考えいただきたいということです。この内容につきましては、終始申し上げているので、これは使用者側の意見として申し上げる次第でございます。
 それから、雇用保険給付の対応について新谷委員がご発言されていましたが、これにつきましても今後高齢者の働き方、またその働き方も含めて社会参加の過程で雇用保険としてどこまで主導していくのかという部分につきましては、少し時間を掛けて検討していくことが必要ではないかと考えております。以上です。
○清家部会長
 他に、ございますか。
○山本委員
 2ページの3の財政運営についての(1)の「失業等給付の財政運営について」ですが、ここにも書いてありますので繰り返しになりますけれども、意見として申し上げます。失業等給付に係る現行の国庫負担率については、これまでも述べているように暫定的、かつ、一時的なものですから、これに対する国の責任を明確にするという意味においても、速やかに本則に戻して健全な財政運営につなげていくことは当然の方向性であると思っています。その上で、繰り返しになりますけれども、失業等給付と求職者支援法事業に係る国庫負担を、失業等給付については4分の1、求職者支援法事業については2分の1という本則に速やかに戻していただきたい。厚生労働省には、その速やかな実現を目指して最大限の努力をしていただきたいということを繰り返し申し添えさせていただきたいと思います。以上です。
○清家部会長
 他には、いかがですか。
○亀崎委員
 ただ今の山本委員の発言に関連することを申し上げたいと思います。求職者支援制度について、現行の枠組みはあくまでも暫定的、一時的なものでありまして、求職者支援法の附則の規定に基づく施行から3年後の見直しの際に労働保険特別会計の雇用保険制度から分離独立した制度として、全額一般会計で負担する制度に移行するよう、然るべき時期にしっかり議論して検討を始めていただきたいと申し上げておきたいと思います。
○清家部会長
 他に、いかがですか。
○古川委員
 平成24年度の保険料率ですけれども、これまで労使で保険料率を引き下げるべきという意見を言ってまいりました。今回の素案で、「弾力条項に基づく下限の1000分の10に引き下げるべきである」という文言を入れていただいたことは大変妥当であると思います。どうもありがとうございました。
○清家部会長
 他には、いかがですか。
○遠藤委員
 3ページ以降でございます。雇用保険二事業の安定的な運営について幾つかお尋ねさせてください。一つ目の丸です。現状の借入れに関しまして、この記述ぶりをそのまま読みますと、「2年間に限り、雇用調整助成金の支出に要する場合に用途を限定して」と書かれています。この「用途を限定して」という意味合いですが、これは雇用調整助成金、中小企業向けのものも含めてということであり、限定されているのは運用上なのか、それとも法定上なのかということが1点目です。
 二つ目として、次の丸に書いてあります雇用調整助成金につきましては、下から2行目で、「原則として」「段階的に戻していくことを目指すべきである」としています。この書きぶりにつきましては、これまで発言した内容を反映していただいたものであり、まずはお礼を申し上げたいと思います。その上で、「段階的に」ということですが、この辺のところをもう少し何か解説いただくようなことがありましたら、お願いします。
○清家部会長
 それは、具体的に何かということですか。
○遠藤委員
 考えていらっしゃるイメージがあるならば教えて下さいということです。
○清家部会長
 それは事務局から、お答えいただけますか。
○吉村雇用保険課長補佐
 一つ目の失業等給付からの借入れの規定についてでございますけれども、この借入れについては特別会計法という法律で規定されておりまして、特別会計法の附則第20条の3で、この借入れについては雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業に要する費用を支弁するために必要がある場合に、という形で、使途が雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業に要する費用に限るという形で限定されています。具体的に雇用保険法第62条第1項第1号に掲げられている事業が何かというと、これは雇用調整助成金でございますので、法律上、使途については限定されていると解釈しています。
○清家部会長
 遠藤委員、よろしいですか。
○遠藤委員
 一つ目につきましては、法律上の規定であるとのご回答いただきました。雇用調整助成金を段階的に元の状態に戻していくということについては、何かご説明いただくことがありましたらお願いいたします。
○清家部会長
 では、事務局からお願いします。
○土田雇用保険課長
 雇用調整助成金の関係でございますけれども、支給要件と助成率あるいは教育訓練費等がございますので、その辺につきましては段階的に見直していこうと考えています。
○清家部会長
 他に、ご意見、ご質問はありませんか。
○井上委員
 今の遠藤委員と同じく雇用保険二事業の安定的な運営についての4ページの3行目からですけれども、「更なる効率化・重点化により不要不急な事業の廃止を行う等、これまで以上に厳しい見直しを徹底する」という記載があります。不要不急な事業というのは当然見直されるべきであるとは思いますけれども、その時の状況に応じて必要な措置は時限的にでも講じるべきであると思いますし、いきすぎた効率化は避けるべきではないかと思います。本当に必要な事業には十分な予算を確保して、しっかり結果を出せばよいのではないかと思います。そういう意味では、例えば雇用対策基本問題部会で現在あり方が議論されています高齢者雇用については、これまでのキャリアを積極的に活用する高齢者の戦力化を目指す視点で、助成金をさらに充実させるというような政策誘導をすべきではないかと考えます。以上です。
○遠藤委員
 雇用保険二事業に関連してです。今まさに高齢者雇用の議論がなされているところですけれども、雇用政策ですから全年齢を対象にした形で、場合によっては中堅層も若年層も含めてバランスの取れた施策展開の中で優先順位を考えながら対応していただいていると理解しています。この「更なる」という部分につきましては、今後いろいろな形でこれまでの枠組みよりもさらに進めるよう、厳しめの運用につきまして、使用者側としてはお願いしているところでございます。もちろん、井上委員がおっしゃいましたように、当該施策をどのような形で展開していくのか、重点化ということについてもぜひ取り組んでいただきたいと思っているところです。以上でございます。
○清家部会長
 他に、ご意見、ご質問はございますか。公益側の皆さまはよろしいですか。
 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員
 4ページの「その他」の(1)「基本手当の水準について」というところです。ここについては、先ほどの高年齢雇用継続給付の書きぶりとは違って、私どもが発言した意見をきちんと書いていただいておりまして、現在の残高の5.5兆円の内容ですとか、先ほどありました保険料率の引下げ等の収支状況等を書き込んでいただいています。ただ、「一方で」というところで「意見がある」と書かれているのですが、そのバランスを取る中で、最後は今後引き続き、在り方について検討すべきということで、今回は問題を先送りするという結論になっているわけであります。この「一方で」というところに書かれている「近年の制度改正により」というのは昨年の制度改正において被保険者範囲が拡大したことが書かれているのですが、雇用保険財政への影響というのが5.5兆円の残高との関係でどれぐらい効くのかということや、もちろん雇用情勢の厳しさや先行きの円高等の厳しさや海外移転の懸念などはわかるのですが、やはり保険原則からいえば収入と支出のバランスと残高、特にこの雇用保険の場合はいざというときにある程度の残高がないとリスクがあるということも十分踏まえておりますけれども、今後の在り方について検討するべきであるというのであれば、これらの懸念として書かれている部分が、どのような条件があれば今後検討するのかしないのか、あるいは今後の検討ということになるとまた1年待つことになるのでしょうけれども、その間、厚生労働省でどのようなことを調査してもらって、平成15年に苦渋の判断をして給付を下げた内容について、どのように検証してもらえるのかということを教えていただきたいと思います。
○清家部会長
 それでは、ご質問の部分について事務局からお願いします。
○土田雇用保険課長
 ここ10年余りの間にかなりの回数の法改正をしておりまして、過去10年程度の間の制度改正の内容ですとか、ここに書いてありますような雇用保険財政等への影響等につきまして、まず事務的に状況の把握をしっかり行っていくことが必要なのではないかと考えております。事務局におきましては、まず状況の把握をした上で、必要に応じて学識経験者のご意見も伺うなどして、今後の社会経済情勢に対応して、どのような在り方が適当なのかということについて検討していきたいと思っております。
○清家部会長
 新谷委員。
○新谷委員
 これも申し上げたと思いますけれども、社会保障と税の一体改革の法案が来年の通常国会に出て、消費税の増税論議も出るといったときに特別会計の残高がいろいろ注目される時期が来るのではないかと思います。もちろんこれは労使の保険料ですから他の特別会計とは扱いが違うとはいうものの、5.5兆円もあって経年的な給付を賄う金額の2年分以上を貯めていることに対して、やはり保険原則からいうと、収入はもちろん保険料の引き下げの改訂がありますけれども、給付のバランスはどうなっているのかと目を付けられると思います。今、厚生労働省の事務方で検討するという話でしたけれども、そういった世論に対する説明ということもありますし、十分な検証をしていただかないと、いつまでもこの残高が許されるものでもないと思いますので、ぜひ十分な検討をお願いしたいと思います。
○清家部会長
 遠藤委員。
○遠藤委員
 4ページ目です。「その他」の(1)の「一方で」以降に書いていただいていることは全て私が申し上げたことです。1度に申し上げたことではなくて、過去の経緯も含めて繰り返し申し上げてきたところを網羅して書いていただいたと理解しています。まず、被保険者範囲の拡大につきましては、ご案内のとおり2009年、2010年の法改正で対象が広がってきたということに加え、「等」のところに書いてありますのは、求職者支援制度の発足も含んでいるのでありまして、どこまでが雇用保険の領域であり、どこからが新制度の対応なのか、また他の福祉施策とのバランスを込めながら対応を図っていく話だと思っております。それから、その後の部分は、4兆円程度の積立金があった状況から一気に底をつくといったことを指しており、まさに過去に経験したところでございます。その過程で保険料率が過去にない形で引き上げられたということも経験しています。保険料率の部分につきましては、労使ともに負担しているものでございます。そのため、安定的な運営の中で皆さま方にお願いしているものですから、これが場合によってはまた引き上げられてしまうといったようなことがあるとすると、それは大変影響が大きいということですので、長期的な財政の見通しも十分に踏まえた上で、対応を図る必要があると思っております。それから、資料として提示されていませんけれども、昨年度同じテーマで議論したときにご提示いただいた資料の中に、給付の日数が延びていくと、受給が終わるタイミングでこれまで以上に求職活動に対して熱が入っていくことが、データ的に明らかになっています。このような求職活動における意識面、行動面への影響という部分についても十分に配慮して対応を図っていく必要があるということで、いろいろと申し上げました。以上です。
○清家部会長
 わかりました。他にございますか。
○岩村委員
 今回のこの素案につきましては、全体としてはいろいろな観点を検討されて大体妥当な内容であると思っております。若干のコメントですが、一つは高年齢雇用継続給付について先ほども議論がございました。今日の素案にも書かれていますように、もともとは原則として平成24年度までの措置とすべきであるということであったのですが、その後改められてきて現在に至っているということだと理解しております。ここはなかなか悩ましいところなのですけれども、先ほどからご発言がありましたように、現在、別の部会で高年齢者の雇用の問題についての議論がされ、雇用義務の65歳までの引上げというものが議論されている中で、確かにこの高年齢雇用継続給付というものを打ち切ってしまうということは極めて困難であろうと思います。ただ、やはり高年齢雇用継続給付というものは高齢者の雇用について寄与している部分もあるのですが、他方、賃金水準その他高齢者の雇用の諸条件に対する介入という側面もあって、本来はなければない方がよいものだろうと思っております。そういう点ではなかなかこの高年齢雇用継続給付というものを拡充する方向で考えるということは、私自身は難しいことかと思っていて、すぐにという話ではありませんが、高齢者の雇用の状況を見据えつつどのような形でこの給付について整理していくのかということは、いずれは考えていかなければいけないのかと思っております。そういう意味で、今回の素案の内容で大体よいのではないかと私は思っております。
 2番目に雇用保険料率については積立金が、先ほどもご指摘がありましたように、ある程度積み上がっているというようなこともあって、今回、弾力条項を適用して引き下げるということ自体は、私もそれでよいのではないかと思っています。ただ、今の給付水準をめぐる議論とも関係しますけれども、やはり雇用保険というのは失業がひどくなったときに保険料が上がるという最悪の状態は避けなければいけないので、そういう意味での長期的というよりは中期的な安定性というものはどうしても必要で、そういう意味での積立金というものは貯めすぎてはいけないのですが、過去の状況などの資料を見ますと4兆円より少し上ぐらいというのはどうしても必要な水準なのではないかと思っていますので、やはり給付の水準をすぐに変更するというのもなかなか難しいと思います。特に、前回か前々回に示されました幾つかの今後の中期的な見通しというものを見ると、今回、弾力条項で下げた場合の後の影響を考えると給付の面については慎重に考えざるを得ないかと思っております。以上でございます。ありがとうございました。
○清家部会長
 ありがとうございました。他に何かございますか。
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員
 お時間をいただきます。ただ今、岩村先生から言及いただきました高年齢雇用継続給付についてです。この制度が発足して今日に至るまでの過程で幾つかの見直しが図られてきたのではないかと思うのですが、どのように形が変わってきたのかということについて、お手元に資料がありましたらご説明いただきたいと思います。
○清家部会長
 では、事務局からお答えいただけますか。
○小澤雇用保険課調査官
 高年齢雇用継続給付につきましては、これまで改正が幾つかございました。まず、平成6年当初、これは創設時の考え方ですが、基本的には給付率としては当時25%で、賃金が60歳時と比べて85%以下に低下した際に給付するという制度でございました。次に、平成15年に改正がございました。この時は賃金が75%以下に低下した際に支給対象とするとした上で、給付率については15%程度と制度改正をしております。制度改正の経緯としては以上でございます。なお、平成19年度に雇用保険料国庫負担が廃止されたという経緯がございます。
○清家部会長
 よろしいですか。
 他に何か質問はございますか。野川委員、どうぞ。
○野川委員
 先ほど話題になっておりました基本手当の水準の給付率等についてのさまざまな議論でございますが、確かに現在積立金が非常に高額になっていて、それが今の事業仕分け等の関係や、税と社会保障の一体改革の中では、ある程度注目される内容であることも確かだろうと思います。他方で、一時には数千億という非常に厳しいところまで下がっていたので、そういったことを踏まえておかなければならないということも確かなので、これがいったん問題になったときに可能性としていろいろな上下があるのでこのままにしておきたいというだけでは説明責任を果たすということにはなりにくいので、トレースをして今までの経過を単なるグラフとしてこのようになったからこうなる可能性があるというだけではなくて、どのような状況の下で積立金が大きく下がる可能性が見られるのかといったことを、ある程度過去をトレースした上で見通しができるような形にしておいていただきたいと思います。やはり、それなりに大きな額が積み立てられていますと、それに対して一定の政治的な観点から注目されたとき、十分な説明がなされないと不安定な状況になるのではないかと思いますので、その点を検討していただければと思います。
 それから、「てにをは」についてですが、2ページの高年齢雇用継続給付についての三つ目の丸の2行目の最後の方ですけれども、「今後の高齢者雇用の動向に注視しつつ」ではなくて、「動向を注視しつつ」です。訂正しておきます。
○清家部会長
 今、野川委員からご提案があったような資料は、事務局において整理されることは可能ですか。事務局からお答えいただけますか。
○土田雇用保険課長
 どのような形でできるかは検討させていただきたいと思います。
○清家部会長
 他に何かご質問・ご意見はございますか。よろしいですか。
 それでは、今日いろいろご意見を賜りましたので、それらを踏まえまして次回は事務局に報告書の案を準備していただくこととし、それを基に議論を進めてまいりたいと思います。
 本日の署名委員は、雇用主代表は藤原委員、労働者代表は亀崎委員にお願いいたします。
 委員の皆さまには、お忙しい中、どうもありがとうございました。次回の日程につきましては、事務局より改めて各委員にご連絡をお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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