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2011年9月28日 第3回労働政策審議会安全衛生分科会労働災害防止団体改革検討専門委員会議事録

○日時

平成23年9月28日(水)10:00~12:00


○場所

経済産業省別館944会議室(経済産業省別館9階)


○出席者

〈委員:五十音順、敬称略〉

相澤好治、五十嵐邦彦、市川佳子、高橋信雄、田極春美、谷口元、三柴丈典

事務局

宮野甚一 (安全衛生部長)
田中正晴 (安全課長)
中山理 (石綿対策室長)
園部昌嗣 (計画課課長補佐)

○議題

(1)陸上貨物運送事業労働災害防止協会からのヒアリング
(2)林業・木材製造業労働災害防止協会からのヒアリング
(3)港湾貨物運送事業労働災害防止協会からのヒアリング
(4)鉱業労働災害防止協会からのヒアリング

○議事

○相澤座長 おはようございます。定刻になりましたので、今日のヒアリングを開始したいと思います。「第3回労働災害防止団体改革専門委員会」を開かせていただきます。
本日は、陸上貨物運送事業労働災害防止協会、林業・木材製造業労働災害防止協会、港湾貨物運送事業労働災害防止協会、鉱業労働災害防止協会に対してヒアリングを実施する予定です。ヒアリングの実施方法について、事務局から説明をお願いします。

○石綿対策室長 ご説明します。各災防団体に対するヒアリング事項につきましては、前回、中災防と建災防に対して行ったものと同様となっております。本日は、まず資料に基づいて事務局から説明し、その後、各団体の理事と事務局からご出席をいただいておりますので、各委員の方から団体に対しヒアリングをお願いしたいと思います。ヒアリングの時間は、1団体当たり15分を予定しております。1つの団体について説明、ヒアリングの後、順次同様に各団体の説明、ヒアリングを行っていきたいと思います。
はじめに陸上貨物運送事業労働災害防止協会、次に林業・木材製造業労働災害防止協会、続いて港湾貨物運送事業労働災害防止協会、最後に鉱業労働災害防止協会の順番でお願いします。
本日ご出席いただいておりますのは、陸上貨物運送事業労働災害防止協会からは佐藤専務、小林総務部長、林業・木材製造業労働災害防止協会からは角田専務理事、原田事務局長、港湾貨物運送事業労働災害防止協会からは遠藤常任理事、本間事務局長、鉱業労働災害防止協会からは理事のご出席はありませんが、事務局から君嶋総務部長と下出事業部長にご出席いただいております。事務局からの本日の進行についての説明は以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。いまの事務局からのご説明に対して、何かご質問はありますか。よろしいですか。
それでは、はじめます。事務局から、陸上貨物運送事業労働災害防止協会について説明をお願いします。

○石綿対策室長 資料1「ヒアリングシート」でご説明します。1.「労働災害防止計画に即応した業務」ということで、その中で特に重点とする事項として3つ挙げております。リスクアセスメント・労働安全衛生マネジメントシステムの導入、荷役運搬作業の安全の確保、交通労働災害の防止となっております。進捗状況ですが、そこに記載しておりますように、リスクアセスメント研修の実施等をこういった計画に従って実施しております。
2.「労働災害防止規程の法令水準との比較」ですが、2にありますように、フォークリフトの交通労働災害の関係等、上乗せの規定が行われております。規定を追加・変更する際の仕組みですが、2にありますように、常任理事会で改正内容の骨子について審議したのち、検討委員会を設置して内容を検討する。その後、各支部長から、これは理事を兼ねているのですが、意見聴取。また関係の労働組合、学識経験者等からの意見聴取をしたのち、常任理事会で審議・承認、最終的には厚生労働大臣の認可を受けての変更という流れになっております。
続いて、3.「理事」の数です。現在89名いらっしゃるのですが、この数を置いている理由としては、47都道府県支部を有する当協会としては、各支部に理事を置き、協会の円滑な業務運営を図る必要があるという理由を述べております。
4.「理事会」の開催実績ですが、平成22年5月に常任理事会を開催し、同じく理事会も開催しています。12月にもう一度常任理事会を開催し、翌年3月にも常任理事会を開催することとしておりましたが、震災により中止ということで、会長一任となっております。
3頁です。理事会における審議内容ですが、記載内容をご覧いただけばわかりますように、事業計画、予算等の承認となっております。コンプライアンスにつきましては、登録教習機関である支部に対する監査指導状況等についての報告が行われております。
5.「サービスの向上の取組」ですが、研修等の際に受講者にアンケートを実施しております。
6.「支部」ですが、支部の運営主体は都道府県トラック協会となっております。支部に理事、監事、総会が存在する理由ですが、各支部が責任を持って各支部の状況を踏まえた運営を行うことが、労働災害を防止する上で効果的・効率的という理由を述べております。
4頁です。財政の関係ですが、会員会費につきましては、ほとんどの部分を支部経費として使用しているということです。賛助会員の会費については、本部経費の割合が多くなっているという状況です。支部運営費の財源ですが、事業費は会費収入、支部事業収入、国庫補助金の三つで構成されております。人件費・管理費については、本部では把握していないという状況にあります。
資料2は、会員へのアンケートの結果です。2に会員としての効果が複数回答でまとめられています。「安全衛生活動の活性化」「安衛水準向上」「職場リスクの減少」等となっております。
3の会員として取り組んだ事項ですが、「教育・研修の受講」「技能講習の受講」といったものの割合が高くなっております。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。それでは、委員からご質問をお願いします。時間の関係で、お答えはなるべく簡潔にお願いします。

○市川委員 連合の市川です。時間がありませんので、簡単にお聞きします。資料の2頁ですが、「労働災害防止規程の法令水準との比較」ということで、水準を上回っているという項目がいくつかありますが、会員の企業等々については必ずこれが守られているというチェックがあるのかどうかが1点です。これに絡んで、私ども連合・労働組合としては特に自動車運転者、もちろん陸上貨物の輸送トラックも含みますが、長時間労働について非常に大きな問題意識を持っています。この点について、何らかの取組があるのかということをお聞きしたいと思います。
もう1つ、アンケート調査が付記されておりますが、6頁を見ますと、1の会員歴ですが、10年以上という所が非常に多く含まれていて、会員歴の短い企業は少ないわけです。回答全数866件で、会員に占める割合がどの程度なのかは承知しておりませんが、会員歴が長い所が非常に多いので、新たな入会の勧誘といったことはどのぐらい行われているのかについてお聞きしたいと思います。

○佐藤専務理事(陸災防) 端的に言いますと、努力義務を定めていますが、それの結果についてのチェックは行っておりません。
2点目の労働時間の改善基準の件ですが、陸災防における労働災害のうち、特に重篤と位置づけられる死亡災害は約6割です。これについては、交通労働災害防止という角度から、特に国からガイドラインも定められております。それに基づいて各種の研修会等を進めておりますし、我々と連携して全日本トラック協会の各都道府県協会も、この改善基準については非常に大きな重きを置いて活動しており、その点は我々が特に力を入れているということです。
会員歴ですが、私どもの会員の構成は、国交省の調べですが、ざっくり言うと、貨物事業用トラックを使用している業者の75%がトラック協会に加盟をしております。トラック協会の加盟業者の95%は、陸災防の会員ということです。したがって、全体としては平成8年から10数年、4万7,000会員ということで変わっておりませんが、新規会員についてはトラック協会ともども努めておりますが、総数自体は変わっていません。ただ、アンケートでは、この方法にも少し問題があったのかもしれませんが、各支部に15事業所を選定していただいてアンケートをしてこういう結果になったということで、アンケートの条件設定の上で問題があったかなとは思っております。

○高橋委員 経団連推薦委員の高橋です。ただいまのご説明で、3頁の審議内容の上から3つ目のコンプライアンスのところですが、2つ目の黒ポツで「外部委員による当協会の評価を行う労働災害防止対策委員会」とあります。これは、監査的な役目を果たしているのかなと理解したのですが、この委員はどのような方で構成されているのでしょうか。また、こちらで審議され、それが常任理事会に具申されるということですが、その内容はきちんと反映されているのか、その辺の状況を教えていただきたいと思います。

○佐藤専務理事 この労働災害防止対策委員会ですが、構成員は11名で構成しております。委員は全員外部の方で、学識経験者と陸運業界大手の各安全担当役員、ないしはそれに準ずる立場の方で構成しております。その結果については、10月に対策委員会を開催しますが、対象は平成22年で、これについては12月に開催される常任理事会に上げられて、そこで審議をされます。また、この結果については次の事業計画が同時期に策定されておりますが、それに反映すべく事務局で原案を練ることになっております。

○五十嵐委員 公認会計士の五十嵐です。支部の財務的な、経理的な位置づけについてお尋ねします。支部運営費の財源を見ますと、人件費・管理費については本部で把握していないとあります。ということは、本部のいわゆる監事にとっては、支部にお金を出せばそこで責任は終わりということで、支部は別の団体というイメージで仕事をされているという認識でよろしいでしょうか。それが1点です。
もう1点は、逆に経理は各都道府県トラック協会が運営主体になっているということですが、これといわゆる内の支部との経理を明確に区別しているのか、区別しているけれど、本部で把握していないのか、それとも区別していなくて、県協会に入り込んでしまっているので把握していないという意味なのか、その2点についてお伺いしたいと思います。

○佐藤専務理事 第2点から申し上げます。各都道府県トラック協会と私どもの協会の支部とは、財政上は全く別個にしております。私どもが人件費・管理費について本部で把握していないことについては、私どもはその経緯において、設立当初から全国運送事業労働災害防止協会と地方運送事業労働災害防止協会と両方あって、それを発展的に1つの団体にまとめたわけです。したがって、支部の独自運営性が非常に強いということです。支部で運営を行っているということです。本部と支部との関係で言いますと、会費収入については本部が規程に基づいて徴収をして、10%は本部経費として、90%は支部の経費とすることと、支部は独自の運営をしておりますので、支部の事業費、講習等の事業費は支部運営費に回すということです。
支部の運営については、準則ということで規程を設けており、これは各支部が本部の定めた会計基準の準則に基づいて経理処理を行っているということです。したがって、私どもは年度末の協会の決算として事業費の報告は求めておりますが、人件費・管理費の内訳は求めておりません。事業費ということで報告をいただいております。
また、国庫補助金も支部の収入と運営費の財源となっておりますが、これについては本部を経由して安全衛生活動のみの支出で、当然本部ですべてについてチェックを行っております。

○五十嵐委員 回答がよくわからないのですが、要は本部が全体を把握すべきものについては全部把握しているということではなくて、個別に外部の団体に対して補助金を出したものについてはチェックしますが、支部は自分の体の一部という認識の中で、監事も責任を持ってチェックするという意識はないという理解でよろしいでしょうか。

○佐藤専務理事 補助金につきましては、当然陸災防全体の安全衛生活動に対して補助金が給付されるわけで、実際の活動は支部が行うことが多いので、その活動費用の透明性というか、実際使用したかどうかはチェックする義務があるということで、国庫補助金についてはチェックして証明資料をいただいているということです。

○相澤座長 よろしいですか。どうもありがとうございました。それでは、林業・木材製造業労働災害防止協会についてご説明をお願いします。

○石綿対策室長 9頁の資料3をご覧ください。1.「労働災害防止計画に即応した業務」の特に重点とする事項ですが、林業現場責任者安全衛生教育訓練事業、振動障害予防のための特殊健診の定着促進といった項目を挙げております。
2.「労働災害防止規程の法令水準との比較」ですが、96項目で法令水準を上回っており、例えば第16条の立木を伐採する場合の近接作業の禁止等、業種特殊的な自主規制を定めております。また、規程を追加・変更する際の手順ですが、規程変更検討委員会における審議の後、ブロックの支部長会議において説明し、それをさらに常任理事会において承認し、理事会・総代会、最後に学識経験者、労働者代表の意見聴取をした上で、厚生労働大臣への認可申請を行うという手順になっております。
3.「理事」ですが、現在、総数60名いらっしゃいます。人数を必要としている理由ですが、広範かつ幅広い意見を聴取し審議するためには、各都道府県支部長、林業中央団体役員に理事になっていただく必要があるという説明です。
4.「理事会」の開催状況ですが、昨年度は6月と3月にそれぞれ理事会・総会と常任理事会を開催しております。審議の内容としては、委託事業について、災害件数の増加に対応した事業等の項目で事業計画についての質疑が行われております。
収支改善については、協会の財源と現状、収支の隘路を打開するための方策を探るということで、「協会の在り方に関する検討委員会」を発足させて、今年度中を目途に結論を得るとの説明を行っております。コンプライアンスの関係では、支部長に法令違反の情報の提供と今後の再発防止を要請するといったことを行っております。
5.「サービスの向上の取組」ですが、講習、研修の際にアンケートを実施しております。
12頁ですが、6.「支部」の関係です。支部の運営主体は、都道府県の木材組合連合会、森林組合連合会となっており、その他に都道府県労働基準協会、林材業関連団体で構成されております。支部の運営に対する本部のチェックに関してですが、監事による支部総会資料の分析、支部事業の実態聞き取り調査を行うこととしておりますが、平成22年度は実施していないということです。
13頁は財政関係ですが、会費の収入については専ら支部の経費に当てられております。賛助会員の会費については本部経費としております。支部運営費の財源ですが、人件費・管理費については本部で把握していないという状況にあります。
資料4ですが、アンケートの結果です。2.会員の年数については10年以上の割合が高いというのがアンケートの回答になっております。
3.林災防会員となってからの労働災害防止効果ですが、いちばん下の「使用者としての労働安全衛生に対する意識が高まった」が最も多くなっております。(2)林災防の会員として取り組んだ事項ですが、安全教育、研修・講習の受講が最も多くなっております。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。それでは、委員からのご質問をお願いします。

○市川委員 林業・木材製造業については、非常に特殊な現場でもあり、危険な現場でもあると承知しておりますし、日本においては年々とこういう現場が少なくなっている、あるいは事業者も減っている傾向にあるともお聞きしております。こういう特殊な立場の産業の中で、かといって環境問題等々から林業をきちんと守っていくことも重要であるということは、当然認識しておりますが、そういう中で林災防として会費収入だけでこれをどんどん拡大して、安定的財政に持っていくのは非常に難しい状況にあるのではないかと拝察します。
この点についてどのような危機感をお持ちなのかということと、林業は仮に採算が合わないとしても、環境保護の観点から国策として守っていかなければいけない部分もあると思うのです。こういった点で、例えば林野庁のような所が力を入れて、日本の林業をどうするかということを考えておられるのではないかと思いますが、そちらとの連携、林災防だけで成り立っていけるようなものなのか、あるいは厚労省だけでなくいわゆる林野庁からの財政的な支援も考えられるのではないか、統合ということも考え得るのかどうか、その辺りをお聞きしたいと思います。

○原田事務局長(林災防) 経営上・財政上の問題があって、歳出の削減、特に平成23年度より補助金が約1億円減っております。それに対応するためには、会費収入の増加は認められなかったので、職員の削減、残った職員の20%~50%までの間の削減で、大体手を付けられるところは付けたということです。また、収入増対策として、支部の皆さんから大変お叱りをいただいたのですが、私どもの本部で作っている図書を、いままで講習会のためのテキストとして作っていたのですが、インターネットで一般に販売をするということで収入策を設けました。これが平成22年度の実績として非常に高かったと。
それだけで本部の維持・経営ができるわけではありませんので、今日も1時半から協会の在り方検討委員会で今後の協会の組織の在り方、あるいは経理上の在り方、コンプライアンスとガバナンスの話が出ておりますが、その点を林業関係者の委員2名、木材関係者の委員2名、大学の先生方、特に林業あるいはガバナンス、経理上の問題もありますので、そういう造詣の深い弁護士の資格を持った大学の先生といった方々に入っていただいて、今年度中にどうしようかと言うことをやっております。
そんなことで、何とか会員の皆さんも非常に苦しい、会費を値上げすることもできない、とはいえ、社会的にきちんとした団体でなければいけないということもありますので、今日は第2回目の検討委員会ですが、将来どうするのかをやることで今年度中に対応して、平成24年度の協会の運営に役立てていきたいということで取り組んでおります。
林野庁との問題ですが、従来「緑の雇用」ということで、全国森林組合連合会を通じてやっておりましたが、平成22年度末で約2億円の安全対策費が、安全衛生教育に使う形で再委託というか、その部分を私どもに委託されました。その「緑の雇用」が、安全対策の経費の約半分になっております。また、私どもは職員の削減を大幅にしてぎりぎりの生活をしているものですから、今年から委託事業をすべてやめました。それによって緑の雇用の受託能力がなかったということがありますので、将来この辺をどうするのか、林野庁とやるのですが、本部の職員の給与を払う財源がないということがいちばん問題なので、その確保をしてからでないと新たな対策が打てないだろうと考えております。

○市川委員 誤解があってはいけませんが、私は林業の危険な職場で安全衛生活動が大事だという前提で申し上げておりますので、その辺はご理解いただきたいと思っております。

○田極委員 資料の11頁の理事のところですが、現在の理事数を必要とする理由で、「広範かつ幅広い意見を聴取し審議することにより、的確かつ適正な事業運営を確保できる」と書かれています。こういった場は、総会とか総代会でもできるのではないかと思いますので、これが理事数60名の理由になるのか疑問に感じたのですが、どうして必要なのかを詳しく教えていただけたらと思います。

○角田専務理事(林災防) 理事数につきましては、47都道府県ありますので、各都道府県それぞれからと中央団体から出ていただくことになっております。その理由ですが、林業は、大きなものもあるとは思いますが、小さな事業体が多くて、各地方の小さな声をたくさん集めることが大事ではないかと。総代会、あるいは総会というものは年に1回、あるいは臨時で開くこともありますが、それだけでは十分なことができないと困るという危惧もあって、各地域をきちんと代表していただけるような、ご意見を集められるような仕組みということでやっております。
長い間こういう仕組みで続けてきており、それぞれが責任を持って意見を言っていただくような、私は総代会や理事会では意見が活発に出るような雰囲気を感じておりまして、そういう意味では趣旨は活かされてきているかなと思います。ブロックにまとめて数を減らそうという考え方もないわけではなくて、これは在り方検討委員会の中で議論されるのだろうと思いますが、そうしますと、小さな意見が反映されにくくなるのではないかということも考えております。

○田極委員 それに関連して、審議内容などを見ると、先ほどブロック別支部長会議というお話がありましたが、ここで「支部長に法令違反の情報の提供と今後の再発防止を要請した」となっているのですが、プロック別支部長会議、理事会での役割というか、その整理ができているのかどうかを教えていただきたいと思います。

○原田事務局長 大体5~6月に理事会、総代会があって、その前に、3月末に常任理事会があります。2月中旬から3月の頭にかけて、来年度の予算案、事業計画案といったものを本部から、各ブロックの支部長が理事になっているので説明し、そこで練って本委員会にかけるということです。先ほど専務が申し上げたように、活発に議論が始まるものですから、理事会・総代会が延びて、いつになっても終わらないということが過去にあったようなので、その前に各支部長に理解をしてもらおうという形で、だいぶ前から新年度の事業計画や予算の話、あるいは翌年度はこういう状況に入っているとか、12月に予算の内示があって、こういう国の方針が決まったとか、そういう情報提供等の場にもなっております。
今回の専門委員会で議論された、あるいは国がそういう角度で物事を見ているということも支部長に伝達していかないと、我々が最近は大変だと言っても理解していただけないので、その場を踏んで、理事である支部長のブロック会議で議論し、総代会・理事会にかける案件を常任理事会にかけて、4月以降に理事会・総代会という形で、四つの根回しというか、そういう段取りをしてからやろうということで、最近はそれによって理事会・総代会が形骸化しているわけではありませんが、全47都道府県から来ていただいた支部長のご意見が多いものですから、そういう形でやっております。

○田極委員 いまのお話でよくわかったのですが、ブロック支部長会議イコール支部長は理事ということなので、本来、理事というのは事業や事務管理の執行機関なので、そこについてもう少しスリム化したほうが、こういった厳しい経営環境についても機動的に議論ができると思うのです。その点も、新たに設けられた検討委員会で今後議論されると理解してよろしいでしょうか。

○原田事務局長 はい。

○谷口委員 連合委員の谷口です。10頁に、重点事項と進捗状況の記載をいただいております。現場の作業の特性上、こういった教育訓練事業や現場のパトロールは非常に重要ではないかと認識をしております。目標数を記載していただいておりますが、安全衛生教育訓練事業の目標数2,350名、あるいは現場パトロール376回といった目標をどのように設定しているのかということ、また、今は期中ですので、昨年度でも結構ですが、どの程度の進捗が図られているのかという点についてお伺いできればと思います。

○原田事務局長 安全衛生教育の中で、現場を直轄している現場責任者、班長や職長と言われている人たちが安全に対する知識がないと災害防止に役立たないということで取り組んでおりまして、現場責任者は都道府県で1研修会・講習会につき50名で、複数以上やるという形で計算すると、47都道府県×50以上ということで、2,350と出しております。9月末現在の予定は4分の1終わっております。ですから、予定数は年度内にクリアしたいということで、目標値を完全実施する形でやっております。
これを実施するにあたって、ありとあらゆる機会に、会員向けに「林材安全」という月刊誌がありますので、そこにも何月からどこの県ではこういう講習会、研修会をやっていますので、ご参加くださいと広報もしていますし、10月に行う全国大会の中にも、誰でも参加できますよ、無料ですよという広報をしております。
その他の部分も、パトロールも1人当たり各県8回から10回、何かといいますと、死亡事故が全国で50件近くありますので、死亡事故で1回死亡事故調査があるでしょうと。また、安全週間、衛生週間、年末年始の時期にある地域の森林組合その他で休業4日以上の災害が多発しているような所を狙ってパトロールをするということで、これも計画上は完全実施する予定で進んでおります。8月末で35%、131件実施済みですし、山の中なものですから、1日に1件ぐらいしかこなしきれないということと、1つの山に行ったら、その山ばかりではなくて違う山も行かなくてはいけない、材木屋にもたまには行かなくてはいけないということで、体が空かない日が多い。限度はあるのですが、目標値は完全に実施したいということでやっております。

○高橋委員 ただいま話題になっていた教育訓練事業とか調査員によるパトロールは、業態の特殊性を考えると大変大事なことだと思います。それに加えて巡回特殊健康診断もやられているということですね。そういうときの経費は、先ほど林野庁の2億円というのがありましたが、それ以外は協会からの持出しなのでしょうか、それとも受講する方、あるいは対象になる方が一部負担されているという費用構成なのでしょうか。

○原田事務局長 特殊健康診断については、本来なら事業主が労働者のためにやらなくてはいけないのですが、零細事業場で山の中では、町場に出てきて特殊健康診断をやることは難しいので、国の補助事業で一部を補填していただいています。1人につき5,000~6,000円かかろうかと思いますが、そのうち1,500円の特殊健康診断促進の一部補助金をいただいて、何とかそれを活用して事業主が残りの3,500円なり4,000円を払ってでもやってくださいと。
また、これは各地区の病院の特殊健康診断の皆さんのご配慮をいただいて、ドクターや看護師のチームで山の中に入っていただいて、健康診断を受診していただくと。森林組合の建物を使う場合もありますが、そこに集まっていただいて受診するということでやっております。これも長い歴史があるのですが、だいぶ定着しておりまして、今年から特にお国からの補助事業として応援をいただいて、林業労働者と統計的に言われている人たちの3分の1ぐらいはカバーしたいと。そうすると、3年実施すると、計算的には3年未受診者がないことになるだろうということです。これは振動障害が起きてからよりも、事前にやるほうがコスト面からも保険財政上も非常にいいということで、国の補助を一部いただいています。

○五十嵐委員 また支部のことで、3点ばかりお伺いします。まず、13頁の財源のところで同じように「人件費・管理費は把握していない」とあり、一方12頁の「監事による支部総会資料の分析を行っている」と書いてあるので、総会資料の中には当然決算資料もあって、人件費も管理費も含まれていると思うのですが、これがどういう関係になっているのかを教えてください。
2つ目は、監事による支部の実態聞き取り調査等を行う等、支部に対する監査をする意識はあるかなと思うのですが、本部の監事と支部が選んだ監事の交流というか、会議、統制、意見交換といった、何らかの関係を持つようなことを行っているのかいないのか。
3つ目は、平成22年度は実施していないとありますので、必要があるからやっていたと思うのですが、実施しなかった理由と、しなかったことによって監事の監査の代替的な手続を行う、あるいは意見を限定するなど、何らかの例年との違いがあったのかどうか、その3点をお願いします。

○原田事務局長 支部については、林災防協会として直接雇った職員がおらず、各県の母体となる団体の職員が兼務をしていただいています。ですから、その部分が人件費、あるいは事務委任になるのか、委託を受けた形でやるのか、そういう形でバラバラなものですから、不明だということです。
年の各県支部の理事会、総会が終わりましたら、本部に総会資料を提出させると。その中には、おおまかなそういうものが書いてありますし、それを監事が精査して、おかしな点があればご指示をするというシステムになっていたのですが、平成22年度は監事が行政OBの排除ということで急遽辞めなくてはいけない事態になって、常勤の監事がいなくなってしまったことから、平成22年度からやっていないという形になっております。

○五十嵐委員 確認ですが、要は支部の監事と本部の監事との連絡協議とか監査報告はないということでよろしいですか。

○原田事務局長 原則ないということです。

○相澤座長 どうもありがとうございました。時間の関係で、次に移ります。港湾貨物運送事業労働災害防止協会について、事務局からご説明をお願いします。

○石綿対策室長 資料5でご説明します。18頁をご覧ください。1.「労働災害防止計画に即応した業務」の特に重点とする事項ですが、記載がありますように、リスク低減対策の実施及び労働安全衛生マネジメントシステムの導入の促進、荷役運搬機械安全対策の徹底、墜落・転落災害防止対策の推進、メンタルヘルス対策の取組の促進等となっております。
2.「労働災害防止規程」についてですが、法令水準を上回っている部分については、マル2にありますように船内荷役などの港湾荷役作業の実態に則した規程、危険物又は有害物の事前連絡、これは荷物の中身が外からはわからないということで、何が入っているかを、危険物・有害物については荷主・船主間で事前の連絡をするということを定めております。
3.「理事」の数ですが、現在61名となっております。その理由としては、港湾毎に事業環境が異なるということで、そうした多様な環境に則した運営を行っていくためには、各支部からの意見を聞く必要があるということで、現在の理事数が必要というご説明です。
4.「理事会」の開催状況ですが、平成22年度は理事会を6月に開催しております。常任理事会については、5月と3月に実施していますが、3月については震災のため持ち回りでの開催となっております。審議内容は、ほかの団体と大体同じかと思いますが、事業計画案の承認、予算案の承認という内容になっており、コンプライアンスについては平成18年度~23年度、該当事項はないということです。
5.「サービスの向上の取組」ですが、会員企業の代表者も含む評価委員会を開催するなど、研修等の参加者からのアンケートを取っているという取組をしております。
6.「支部」についてですが、支部の運営主体は日本港運協会各地区の陸運協会となっております。
19頁です。支部の運営に対する本部のチェック体制についてですが、各総支部から管下の支部の分も含めて、事業や経理の状況の報告をしていただいて、それを監事による監査、常任理事会、理事会における確認・承認という体制でチェックをしております。
支部に理事、監事、総会が存在する理由ですが、総支部、支部毎に事業計画、予算を策定するということで、それぞれ意思決定機関、執行機関、監査機関を置く必要があるとなっております。
20頁の財務面の状況ですが、会費については総支部・支部の経費として大半が使用されており、賛助会費については本部で専ら使用しております。総支部・支部運営費の財源ですが、事業費については国庫補助金収入と会費等収入です。会費等収入の内訳は、下に記載がありますように、会費と本部事業収入と支部事業収入になっております。人件費・管理費については、会費等収入によって賄われているという状況です。
資料6「会員へのアンケート調査結果」です。22頁をご覧ください。2に会員として取り組んだ事項がありますが、研修、講習の受講が多くなっております。以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。それでは、委員からご質問等をお願いします。

○市川委員 先ほど説明があったかもしれませんが、総支部と支部の関係について少しご説明いただきたいと思います。19頁には、例えば運営に対するチェック等々が総支部より管下支部の分も含めて云々とあって、20頁の財務の表についても、総支部・支部運営費が1つの表になっておりますが、本部としては総支部のものだけをつかんでおられるという理解でいいのかどうか。
また、第1回目のこの会の資料の「支部の運営主体」のところで、これは陸災防もそうなのですが、支部の支出の中に「本部への納付金」という項目があります。この意味はどういうことなのかをお聞きしたいと思います。

○本間事務局長(港湾災防) 港湾災防協会の総支部と支部の関係ですが、私どもの活動は、災防活動というのは地域での具体的な活動を積み上げていく、着実に実施していくということで、そういう意味での活動は支部が中心主体となっています。一定のブロックの単位で、総支部が上部機関として組織されているということで、私どもの協会の本部からの指示は総支部を通して、総支部から各支部に指示がされるということです。マンパワーとしても、支部で従事する職員が相対的に多い構造になっております。ただ、総支部としても総支部全体として取り組まなければいけない課題、あるいは支部ごとにやるには非効率的な仕事、研修とか教育などは総支部が主体となっています。他方、それぞれの地域でやらなければいけないことは各支部がやるという実態があります。
他の協会も同じだと思いますが、この協会が昭和39年に設立されるに至る前に、地方組織をどうするかということで重い課題になったようです。今は総支部・支部という構成になっておりますが、当時は支部・分会の設置ということで、これを全国的に作らなければいけないと。それも1年ぐらいの中で何とかしなければいけないということで非常にもめまして、結果的に港運協会の会員を網羅したものでやっていかなければいけないだろうということで、地区組織においては港運協会と密接な組織になっています。ただ、主要な総支部・支部では、港運協会からは切り離された組織になっているという状態です。
会費の徴収につきましては、支部において徴収をされております。必要に応じて会費の一部を納付させているという実態です。

○相澤座長 支部から本部へお金が流れているというのは。

○市川委員 第1回の資料です。

○本間事務局長 いずれにしても、従前、毎年必要な経費がある程度まとまって、急に大きく変わるものではありませんので、一定額を納付すると。ある意味では慣行としてそのようになっているというか。

○市川委員 「支部から本部へ」ですか。

○本間事務局長 総支部を通じてです。組織的に総支部・支部となっておりますので、支部から直接本部ということは、お金にしても仕事にしても必ず総支部を通してということになっています。これは組織的なものです。

○相澤座長 よろしいでしょうか。

○田極委員 いまの点とも関係するかもしれませんが、理事会ですが、18頁を見ると理事会は年に1回開催ということで、主に事業報告と事業計画案の承認、収支改善を見ても決算報告及び平成22年度予算案の承認となっています。理事会のメンバーを見ますと、人数も理事の数が61名と、ほかの団体もそうだったのですが、非常に多くなっております。本来、理事は執行機関としての役割を果たすべきところですので、もう少し機動的に動ける体制が必要なのかなと思います。
前回の資料で収支状況を見ますと、平成23年度予定の損益計算書について、赤字の見込みを立てていますが、これについては常任理事会で予算案を承認されたということですが、赤字の予算案を承認と理解してよろしいですか。
もう1つ気になるのが、平成23年3月の常任理事会については、東日本大震災のため持ち回り開催となっていて、おそらくこの予算案について審議する予定だったけれど、持ち回りで話をされたと。本来であれば赤字見込みとなったときにどうするか、どうしたら収支改善を図れるかを議論する必要があると思うのですが、こういった議論はどこかでなされたのでしょうか。

○本間事務局長 最初に、理事の数についてお話します。私どもの支部の数は79ありますが、それに対して理事は61名という実態です。他方、我が国の港湾の数は全国で997、約1,000あります。そのうち主要な港湾と言われているものが、国際戦略港湾が5つ、国際拠点港湾が18、重要港湾が103、都合126あり、実態としてはその約半数部分に当たっているということです。
先ほど、設立当初のことをお話しましたが、災防活動というのは各地域での定着した、しっかりした活動が大事であるということで、それを実現していくのはまさにその地域のリーダーなのです。そのリーダーの方々に理事になっていただき、協会全体の運営に関わる重要なポストに就いていただくことの効果は、非常に大きいのではないかと思います。
また、常任理事会の今年度の予算の関係で、予算上は赤字予算となっていますが、一応承認をいただいているということになっています。持ち回りで行ったのは3月ですが、平成23年5月に常任理事会を開き、6月に理事会・総代会を開き、そういう議論の場はあったということです。収支上は取崩しがなければ赤字ですが、これは前年度との比較の中でマイナスになったということです。

○田極委員 いまのご説明で少しわからないところがあったのですが、例えば広報事業収入や事業収入については、平成22年度と比べてかなり増額の見込みを立てていらっしゃいます。この辺りは理事会などで具体的な戦略、これを達成するための戦略が話し合われたのでしょうか。

○本間事務局長 平成23年度の事業としては、国の補助対象事業が現場の安全衛生パトロール及び港湾店社に対する個別支援ということで、そこに力を入れようという方針に基づいて計画を組み、承認されて実施しているということです。いずれにしても厳しい財政状況の中で、当然人件費を含めて節減・節約を図りつつ、事業費の収入をいかに上げていくかということで、総支部・支部各会にできるだけ理解をいただく努力をしつつ、実務上取り組んでいる最中です。

○田極委員 理事会でこういう議論はされたということでよろしいでしょうか。

○本間事務局長 そういう議論の場があったということです。

○五十嵐委員 また支部のことですが、19頁で支部の経理状況、事業報告についても「監事による監査を行い」とありますが、総支部も13あって、かなりの分量だと思いますが、具体的にどのぐらいの日数をかけて監事監査をやっているのかを教えてください。
もう一つ、下の支部・総支部の監事といわゆる本体の監事との間の連絡調整会議とか重点監査項目の指示とか、何でもいいのですが、そういった相互の交流の仕組みがあるのかどうか、その二点をお願いします。

○本間事務局長 本部における監査については、中間で1日、年度が終わって1日、都合2日です。本部の監事と地方の監事の直接的な交流は、制度上はありません。ただ、仕組み上は規約準則の中で各総支部・支部ごとに監事を置き、その監事の機能で監査をする仕組みになっています。

○五十嵐委員 最初の2日というお話ですが、それはこの支部のチェックだけで2日ということですか。それとも、本部を含めた監事監査が2日ということでしょうか。

○本間事務局長 本部を含めてということです。

○相澤座長 いかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。次に移ります。鉱業労働災害防止協会のヒアリングをお願いします。事務局から説明をお願いします。

○石綿対策室長 資料7をご覧ください。29頁です。
1.「労働災害防止計画に即応した業務」の中で特に重点とする事項は、リスクマネジメント・リスクアセスメント研修を中心とする教育事業、労働災害に関する情報を提供する広報事業、調査研究事業などを強力に推進する内容となっています。
2.は、労働災害防止規程の内容です。これについては真ん中にあるように、貯鉱糟内での作業に関する規程、会員に対して休業4日以上の災害についての報告を求める規程を行っています。これは最新の災害状況を把握し、会員に周知することを目的としています。規程を追加・変更する際の仕組みは、理事会において議論して総会において承認を得るプロセスになっています。
3.「理事」の数は現在24名いらっしゃいますが、この理由は鉱業関係中央5団体、鉱種毎の中心的会員から理事を出していただくためにこの数が必要ということです。
4.「理事会」の開催実績は、理事会を6月に1回、常任理事会を5月と11月の2回開催しています。審議の内容は、事業計画は第2回目において、国庫補助方式の大幅な変更その他団体を取り巻く環境の変化への対応協議をやっています。収支の改善については、人員削減や事業のやり方の改善による収支改善を審議して、これについて了承を得ました。コンプライアンスについては、理事会等において指摘されたことがないということで、審議の実績もない形になっています。
5.「サービスの向上の取組」は、理事会、常任理事会のほか、有力会員の部長クラスで構成する「鉱業労働災害防止対策委員会」、課長クラスで構成する「鉱業安全衛生推進委員会」をそれぞれ年2回程度開催し、事業の内容、運営方法等について幅広く意見を聴取しています。有識者8名からなる参与会議も毎年開催して、前年度の事業についてその実績評価をいただいています。
6.「支部」の運営主体は、鉱山支部9支部については鉱業会、鉱山会、石灰石鉱業協会、日本砕石協会で構成されています。また砕石支部は、いずれも日本砕石協会の支部となっています。
30頁は、本部からのチェック体制です。各支部において実務を担っている事務局長を集めた会議、ヒアリング等を実施して本部からの指示を徹底させるとともに、支部の予算及び決算については本部でチェックをしている。支部の事業についても、監事による監査を実施しているとのことです。
31頁は財務面です。会費は、ほとんど本部経費。賛助会員会費についても、ほぼ本部経費として当てられています。支部運営費の財源は、事業費については支部事業収入と国庫補助金収入、人件費については会費収入、支部事業収入、国庫補助金収入、管理費については専ら国庫補助金収入が当てられています。
資料8の会員からのアンケートのご説明を申し上げます。33頁の3.で会員として取り組んだ事項は、ここも研修、講習の受講が多くなっています。この講習の受講は、82%の方が「役に立った」との評価をしています。事務局からは以上です。

○相澤座長 ありがとうございました。委員からのご質問をお願いしますが、いかがですか。

○市川委員 質問です。34頁に「採石業における労働災害の推移」という表を付けていただいていますが、平成15年「これ以降、鉱災防の加入対象」と書いてあるのは、加入している所だけの数字という理解でよろしいですか。

○君嶋総務部長(鉱災防) これは説明が、ややぶっきらぼうだったかもしれません。鉱災防については、私ども鉱山会員と採石会員と大きく分けて2つあります。鉱山会員に関しては昭和39年のスタートのときからずっと会員であるわけですが、採石に関しては平成15年度から定款改正によって新しく入った。この資料を付けたのは、採石業はかなり災害が多い、であるがゆえに私どもの会員になったわけですが、一応20年をとってみて、会員対象になる前と後でどういった有意の差が出ているのか、出ていないのかということを調べた数字です。結論としては、鉱災防に入ったことがそれにどれだけ寄与したかどうかは別にして、平成15年度以降、相当大きく死傷災害も死亡災害も減っている。下がごちゃごちゃしていますが、単年度ですとどうしてもぶれが大きくなりますから、この20年間を4年ごとで区切ってみて、最初の平成3年から平成6年の4年間を指数化して100とすると、直近の平成19年から平成22年の4年間は死傷者数が51.3%、死亡者数が47.9%とほぼ半減になって、採石業が鉱災防に加入したというのは、それなりの成果が出てきているのではないかと受け止めています。

○相澤座長 労働者数はどうですか。変わっていないですか。

○君嶋総務部長 厳密にやりますと、労働者数も併せてやらなければいけないわけです。労働者数は若干減少傾向にあると思いますが、そう大きな、顕著な変化はないと受け止めています。鉱山の場合は劇的な変化がありますが、採石業はこの20年ぐらいですと、それほど極端な変化はないだろうと思っています。

○相澤座長 市川委員、よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

○五十嵐委員 また支部のところですが、支部のことも全部含めて監事の監査を受けているとあります。確認ですが、当然、直轄の2支部だけではなくて他団体にくっ付いている支部についても、同じように全部やっているかどうかが一つ目です。
二つ目は、支部ですから通帳をはじめ、いろいろな資料は分散して各支部が持っていると思いますが、これを具体的にチェックするのはいったいどういうやり方をしているのかを教えてください。
三つ目は、二つ目とも関連しますが、現実に支部に監事が直接訪問して、監査をした実績がどのくらいあるのかを教えてください。

○君嶋総務部長 第1点の監査対象は、すべてです。直轄以外のものも全部含めて、同じようにやっています。
チェックの具体的な手法は、3番目のほうを先にお答えしたほうがいいかと思いますが、監事が直接足を運んでということはありません。私どもの本部として、日常的に電話、メール等で接触をしていますが、それで支部から必要な書類を必要な時期にきちんと整理して、監事の監査を受けている。監事は定款上3名となっていて、1名は公認会計士の方をお願いしています。1名は非常勤ですが、前は4回でしたが毎月大体2回程度出勤していただいて、日常的に監査というか実情をきちんと把握していただいて、5月に公認会計士の方も入っていただいて監査を受ける。これは当然支部の者も含めて、監査を受けています。

○五十嵐委員 資料を集めるという話ですが、具体的には通帳とか領収書原本といったものも全部集めてという理解でよろしいですか。

○君嶋総務部長 直轄2支部に関しては、原本でそういった通帳その他のチェックをしていますし、それ以外の鉱山でいえば7支部、採石の支部に関してはコピーをとって、それをチェックしています。

○田極委員 まず、理事会の審議内容で収支改善について審議をされたというところですが、ここに書いてあることを読むと「人員削減や事業のやり方の改善によって収支改善を図る旨説明し、了承を得た」となっていますが、具体的に前回の資料6を見ると、平成23年度は広報事業収入や教育事業収入など、平成22年度に比べて大幅に増やし、事業収入を増額させる予定となっている。このあたりについては、具体的な戦略を理事会で話し合われたのでしょうか。

○君嶋総務部長 おっしゃるとおり、平成23年度事業収入を大きく増やす予算になっています。これはほかの団体も同様ですが、国庫補助を受けて行っていて、特に私どもはこの中ではいちばん小さな団体で、国庫補助の率がいちばん高い団体だろうと思います。大体5割の補助を受けて、金額として平成22年度は8,900万円ほどの補助を受けています。平成23年度で大きくその補助が削減されて、大体3,000万円近く落とされましたが、そういう中でなんとか均衡に持っていきたいということで、正直を言ってかなり無理した予算になっていることは事実です。そういったことも、理事会、総会では説明していて、そこでいい案が出たかと言われると、こうすればすぐにうまくいくではないかという案は確かに出てきていませんが、赤字になることは間違いないと思います。その旨も全部説明しています。少しでもその赤字幅を小さくするように、いまは各事業、経費の削減。平成23年度も12名を10名に落とすという人件費の削減もしているので、それと併せて少しでも赤字を減らそうということで努めています。

○田極委員 収支の均衡の見込みというのは、今後はどうでしょうか。

○君嶋総務部長 いちばんつらいところですが、前の資料にも載せていますが、ここずっと赤字でした。単年度収支、この4年間ずっと大体600~700万円から1,000万円前後の赤字が続いていて、これではいけないということで平成22年度にかなり手を打ちまして2人職員を減らしたことと、直轄支部2つと申し上げましたが、札幌と東京は意味が違いまして、もともとは札幌だけでした。東京に関しては、東京の鉱業会に支部をお願いしていたのですが、東京ですから地理的にも近いわけですので、これは本部直轄でやろうと、経費節減の観点で行いました。それで200数十万円落としました。札幌の支部も従来常勤職員がいましたが、正直を言って常勤を置くほどの仕事がなくなってきたことから、その職員を本部に配置転換して、そこを非常勤の職員1人にする。そういった諸々の方策を取った上で、なんとか平成22年度はギリギリ、黒字と言えるほどではないですが、収支とんとんまでは持ってきたという状況があります。

○相澤座長 よろしいですか。ほかにはいかがですか。

○高橋委員 ただいまの審議内容のコンプライアンスについて、平成18年度から平成23年度まで指摘はないということで大変結構なことです。ここで、コンプライアンス上の指摘がなされるというのは、理事会とその他とありますが、その他とは、どういうところが想定されるのでしょうか。
もう1つは、これは想定ですが、コンプライアンス上の課題について、協会として、どういうことかと認識されていらっしゃるか。この2点を教えていただきたいと思います。

○君嶋総務部長 第1点は、一つは監事監査だろうと思います。それと事務局からの説明もありましたが、参与会に外部の有識者として、大学の先生や鉱山会社の安全衛生の責任者にお願いしていますが、そういった参与会も一つの場だろうと思っています。
コンプライアンスはいろいろな場面があると思いますが、不正とかそういうのは悪いと決まっていますから論外として、一つは先ほども支部との関係でご指摘がありましたが、国から私どもは補助金をいただいて、それに会費収入なり事業収入と合わせて事業を行っていますので、国の補助金の意図がきちんと全うされるのかどうか。本部ももちろんですし、支部の事業においてそういったことがきちんとなされているかは事業計画のときにチェックしますし、年度に入って実際に事業を遂行する過程で何か問題があれば、そういったことについて指摘をして是正させていくことが必要だろうと思います。ただ、平成18年から平成23年と書いてありますが、いまのところ特に具体的な場面には遭遇していないのが現状です。

○相澤座長 1つだけ伺いますが、ほかの3災防団体では理事の方にご出席いただいていますが、そちらは部長。

○君嶋総務部長 私は総務部長ですが、専務理事の職務を執行する立場でして、前は専務理事でしたが国の方針もあって、私も労働行政OBですから理事を外れるようにということで、ただ、そのあとは選任ができていません。あまりこんな所で言う話ではないかもしれませんが、もともと非常に零細団体で、人件費もできるだけ抑えるということで、私は専務理事の報酬はなしでの兼務だったので、報酬ゼロで来てくれる方はおられないということで、常任理事会等で呼びかけてはいますが、やると言ってくれる方がおられないので現状のままということです。役割としては、一応私は専務理事の役割を担っているということで、ご理解いただきたいと思います。

○相澤座長 理事会の中で、理事の方々は十分理解して執行されていると理解してよろしいですか。

○君嶋総務部長 はい。

○相澤座長 ほかにはよろしいですか。それでは4団体の方々、お忙しいところありがとうございました。これで終了します。

○石綿対策室長 ご出席いただきました各労働災害防止協会の皆さん、ありがとうございました。ご退席をよろしくお願いします。


              (ヒアリング出席者退席)


○相澤座長 時間があと30分残っていますので、今日のいくつかの問題点を挙げていただければと思います。まず理事会について田極委員から質問していただきましたが、いかがですか。何かご感想を。

○田極委員 最初の陸災防さんについてはお伺いできなかったのですが、いちばん人数が多かったです。最後の鉱災防さんを除いて、人数がかなり多いところはあって、例えば林災防さんなどは支部長会議のメンバーと理事会のメンバーがかぶっているというところで、意見は支部長会議でもたくさん出て、なかなかまとまらないことをおっしゃっていて、支部長会議でも根回しして理事会でそのメンバーがそのまま横に流れるようなところもあるので、ちょっと非効率になっているのかなと感じました。
あとは、経営環境が非常に厳しい団体もありますが、その中で予算案などについても具体的に、本当にその予算が実行できるのかどうか。事業収入などは、特に戦略的なことをあまり話し合われていないような印象を受けたのですが、そういったところは理事会が形骸化してしまっているのかなという印象を受けています。
予算案が赤字見込みのままというのは問題なのかなというところで、それをなんとかしなければいけないわけですが、そのまま呑んでしまっているところは問題だと思います。

○相澤座長 他にはいかがですか。意見を吸い上げるとか伝達するという機能は理事が果たしているようで、本来はそうではないと思いますが、例えば評議員とかをこういう団体では設けるということはどうでしょうか。

○田極委員 そういった形なり、総会、総代会と重なって混乱している団体が多いので、そのあたりは本来の理事会としての役割を果たせるように、団体によって事情が違いますが、別のそういったところを設けるなり整理する必要があると思います。こういった厳しい、情勢がいろいろ変わる中では、理事会が形骸化せずに機能を発揮できるようにしておく必要があると思いますので、スリム化は必要なのかなと。

○相澤座長 2番目のサービス向上の取組についてご意見を伺えればと思いますが、いかがですか。

○市川委員 災害防止の取組についてですが。

○相澤座長 災害でも結構です。

○市川委員 少しずれるかもしれませんが、一昨日も含めて、ニーズの汲み上げもそうですが、やっておられることが本当に労災防止に資する実効性のある取組がなされているのかなというのが、よく見えないヒアリングだったので、もっと違うやり方をすればよかったなという思いがしています。
今日は陸災防だけにお聞きしましたが、業種別ではそれぞれ法令よりも高い水準の災害防止規程を設けていますが、それが本当に会員さんたちで守られているのかがはっきりしない。そうでなかったら設けてもお題目だけですから、一昨日も申し上げましたが、労働組合ですと執行委員会で幅広く周知することになります。それは、意見を聞くためと言いましたが、労働組合の場合でも執行委員会はそういう意味で、役員に出ていただいた所は決まりを守るとか、執行委員を出している単組が、これをやらないのは恥ずかしいではないかという逆の縛りがあるわけです。だから、いまの理事会を多くするという意味はわからないでもないですが、労働組合の場合は執行委員を出している単組が恥ずかしい。副会長を出している組織が外部に顔向けできないという中で、ルールを広めていっている効能はあります。会員であることによって、いろいろなところで向上しているというのがもう少し見える活動をして欲しいなという思いがあります。

○相澤座長 守っているか、守っていないかというのは災害の数とかでやるしかない。

○市川委員 本当は、会員企業の方がこれだけいいですよということをもっと数字を出してくるはずです。他の一般の災害の発生率よりも、会員企業はこれだけいいですよという数字をもっとアピールされてもよかったのではないか。そういう数字がもっと出されてもよかったのではないか。会員企業のアンケートで、満足しているとか役立っているというのも大事ですが、実際どうなのかが重要です。

○相澤座長 非会員の災害発生率が出ないと、比較できないですよね。

○市川委員 労働災害の因果関係を探るのは、そう単純ではないということも一方で理解はしますが、これをやったから即効果があるということでもないでしょうし、非常に難しいなと思いました。

○三柴委員 私も、確かに市川委員と同じようなことを感じます。
たしかに、発言者の方々にとっても、様々な事情をおもんばかって、発言の仕方が難しいご事情があったかと存じます。しかし本質的な問題は、実際、利用者、エンドユーザーの方にとって、そういう団体がどれほど顔の見える存在なのか、役に立つ存在なのか、ということだと思います。けれども、お話しを伺っている限り、有益性などの面で新しい戦略で業界をリードするというアイディアは、なかなか見えないと言わざるを得ません。
例えば、研修が核になっている所は多かったと思います。ほかに情報誌といった取組もありますが、研修1つを取っても参加事業数や人数が、どうしても目標値に比べて業界を取り込むと言えるほど多くないというのは認めざるを得ません。案外、規模は小さいとおっしゃっていましたが、鉱災防さんは数字の面でも実際の取込みという面でも比較的に形が見える感じもしましたが、中災防さんはともかく、その他の団体さんの多くにおいてどうかという点では正直疑問に感じています。
情報誌などで情報を発信するにしても、情報を取らなければいけないわけですが、どこまで業界の内側に入っていけているのかに疑問を感じます。つまり、どうやって情報を取っておられるのか、という問題です。たしかに、会議の場という形式はあるのでしょうが、会議の場で生々しい詳しい情報が出てくるとは思えないので、独自の情報ルートをどう確保するかが改めて問われざるを得ない。その点については、専門調査員とおっしゃったところもありましたし、安全管理士や衛生管理士を挙げられたところもありましたが、そうすると結局、現場の熱意の問題に任されてしまいます。これらも確かに、団体の在り方、制度の問題に関わるにしても、少し離れてしまいますので、どうしたら制度的に改善を図って頂けるのか、というところで私自身も頭を悩ませている次第です。少し時間をかけて考えないといけないと感じました。ありがとうございました。

○高橋委員 先ほど田極委員が触れていましたが、事業展開において効率的運用は大事だと思いますが、その中身については、法的にやらなければいけないこと、協会が自主的にやること、会員が便宜上あったらいいなというリクエストで運用することなど、幾つかレベルがあると思います。そういうものをきちんと特定して、資金的な裏づけを考えるべきだと思います。皆さん、苦しいとか補助金が減ったという訴えが多いですが、必要なことは自主的にやってもらわないといけませんし、苦しくて及ばないところは補助金を考え、さらにそういう部分がきちんと見えるような運営を図っていただきたいというのがいちばんの印象です。
二つ目は、今回のアンケートは、ほとんどが協会がやっていることの評価で、協会員のリクエストとか運営上困ったことなどは聞いていないようです。効率的・効果的な運用を考えるときに、個人的にもいろいろ耳に聞こえてきていることがありますので、そういうことが改善の方向に結び付けばよろしいと思います。
三つ目は、前回の中災防は特に大きい組織で、新しい理事長が来られて民間でやっているような事業体、組織の運営手法が導入されているという印象を持ちました。それは、組織の改革という意味で大事なことと思います。一方で、忘れてはいけないことがあると感じました。中小とか地域で専門スタッフがいないところまでカバーしようと思うと、コストパフォーマンスに加え、別な角度の意識を忘れてはいけないだろうと思いました。以上三点です。

○相澤座長 ありがとうございます。よろしいですか。
次に、支部との関係については五十嵐委員に聞いていただきましたが、感想を。

○五十嵐委員 鉱業災防は本当の意味での支部という意識でやられているわけですが、支部に理事、総会、監事という役職を置いている所は、明らかに別団体という意識で運営されているなということです。例えば監事という名称で本部の監事になったときに、支部のところは支部の監事が責任を負って、自分は本部だけでいいだろうとたぶん皆さん思っているのではないかなということを感じます。少なくともガバナンスは一つでないとおかしいので、名称も含めて少し地方組織については独立した団体ではなくて、あくまでも全体の一部なのだということが明確になるようにしないと、変わらないだろうなと思いました。
お金の流れは精査してみないとわからない面がありますが、支部は自分たちの事業で支部がお金を獲得しているのだから、他の都道府県とは関係なく自分たちで運営するのだということで、おそらく全体で統一的な行動が取りにくくなっているところが多いのではないかなという感じがします。どこまで中央集権的にやったほうがいいのかはわかりませんが、その辺のお金を含めたマネジメントについて少し全体として検討するべきかな、と思いました。

○相澤座長 本部、支部についてはいかがでしょうか。よろしいですか。
財政の関係については、田極委員と五十嵐委員ですが、田極委員いかがですか。

○田極委員 鉱災防さんは、国庫補助が少なくなっているところは収入面で苦しい。費用面については打てる手は平成22年度に打ったということで、「収支改善の見込みは」という質問に対して、今後の予定をあまり明確におっしゃっていなかったのですが、もう打てる手は打ってしまって、これ以上改善するのは難しいのかなという印象を受けました。こういったところが今後、どう存続できるのかというのが一つの大きな課題なのかなという印象を受けました。

○五十嵐委員 逆に鉱災防が厳しいということで、事務を含めて全体で対策を考えられるという、たまたまそういう状況なのでやっているだろうと。他は、おそらく全体を眺めてそういうことを考えたことは、あまりないのではないかなと。経理の資料を見ても、あまりそういう実態がきちんと見えるような形の経理資料になっていないのではないかなという危惧がありますので、どの辺まで可能かどうかはわかりませんが、財務情報をつかむ仕組みそのものも少し検討したほうがいいのかなと思います。

○相澤座長 財政について、何かご意見のある方は。

○三柴委員 これまでの経過で問題点はいろいろ出てきたと思いますが、結局は、それらをどう解決するか、特に問題を多く抱える団体さんにどのようにすればモチベーションを持って頂けるかが大事だと思っています。第1回で申し上げたように、外国の例ですと、予防に力を入れないと保険金が出ていくという意味で直接的に財政的プレッシャーがかかる構造があると申し上げましたが、では日本ではどうするのか、ということだと思います。例えばお金でプレッシャーをかけるのか、それとも労災が減れば人命などが助かり公益にも貢献するといった、もう少し人道的というか道徳的なところで満足を得られるということなのか、どういう形でモチベーションアップを図るのが適当なのかが、財政規律と絡んで、理念としての整理が必要な点ではないかと思いました。

○相澤座長 労災が少なくなれば、もちろん労災の保険金も減るとか、そういったところも外国ではありますね。

○三柴委員 はい。要は、労災保険の運営団体が予防を一緒にやっていますから、予防活動に力を入れると保険金の拠出が減るということです。日本の場合、そこは行政のリードの下で、こうした団体が運営されてきたということなので、これからは、どこか羽を付けてさしあげるというか、自由に飛べる条件も付与しながら、公益性の枠内での工夫は、ある程度自由にできるのですよ、と。しかし、基本枠は守ってくださいということだと思うのです。具体的な手順とすれば、どうにも赤字が出てしまうところ、中災防さんもおっしゃっていたように安全診断とか、いくつか公費を入れなければいけない部分、これは公益のために赤字が出るけれども必要ですというところをまずピックアップする。そして、自主事業に委ねる部分については、公益性との関係で利益相反にならないように、どこまでが許されるのかということを整理しないといけないのかなと思います。

○相澤座長 大変大事なご指摘だと思いますが、確かに中災防でやっているリスクアセスメントなども、やっても、それだけのいいことがなければ会社のほうもやらないので、そういったインセンティブを付けることもこれから考えなければいけないと思います。ほかに何かご意見は。

○市川委員 私たち連合が危惧しているのは、効率が悪かったり赤字だったりする問題点を孕みながらも、この災防団体の在り方を考えていくときに、災害防止のためにいろいろ果たしてきた役割がなくなると、非常に困ると思っています。きちんと運営してこなかったから、それぞれの団体の自業自得ではないかと言われてしまっても、労災で困るのは労働者ですから、在り方の改革はいいのですが、ただ闇雲に補助金を減らすとか事業を縮小するとか、人を減らす方向も、やむを得ないかもしれませんが、それだけでは困ります。まず、災害防止のためにどういう効果的な活動をしたらいいのかということから考えて、そしてそれに必要な組織の在り方という順番で検討していくことが重要ではないかなと思います。

○相澤座長 急に国費が減りましたね。この団体にとっては、ものすごくショックなのですよね。ですから、やる気もなくなってくると大変困るので、もう少し計画的に減らすとか、そうしていただいたほうがいいと思います。

○高橋委員 全体を見て細かいことですが、二つ申し上げたいと思います。
一つは、最初に中災防の理事長がおっしゃった民業圧迫にはならないようにという話に関してです。いろいろな団体で話題になっていましたがメンタルヘルスケアも、いろいろな所が取り組んでいます。国ももちろんですが、一般のEAPとか、そのディスパッチ機関、そしてこういう協会でもやっていらっしゃるということですが、そういうときの役割分担というか、どんな位置づけでやるかということをきちんとしないといけないと思います。ある事業ではそこに行くとただで、他に行くと有料という話も出ています。そういうことの調整を考えないといけないと思いました。
もう一つは、表彰や顕彰です。例えば中央労働災害防止協会が全国大会で安全衛生上の功労者を表彰しています。これは、関係従事者のモチベーションの向上に大きく寄与しています。最近予算のためか、発明考案表彰の中止など、縮小される傾向にあるように見受けられます。安全衛生活動というのは毎日地道にやらなければいけないことで、それを支えている人たちがいい役割を果たしています。こういう協会の中でも要職にあると思います。そういう方の顕彰の機会をもう少し強化してもいいのではないでしょうか。こういう提言も入れていただけたら、ありがたいと思いました。以上です。

○相澤座長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。

○谷口委員 この事業の評価をずっと見ていたのですが、今日ですと陸災防の事業評価のアンケート結果だけ、「役に立った」の割合が少なく出ている。理由はいろいろあるでしょうけれども、いずれにしても事業の評価をきちんとやって、重点化をしていく姿勢がやや皆さんに見られないところが残念だった気がして、実はもっとやらなければいけないこともあるのではないかというPRをしていただきたかった。それによって、事業の重点化なり削減なりを、きちんとやっていくことが非常に重要ではないかなと考えました。

○相澤座長 よろしいですか。他にはありませんか。今回、協会の行ったアンケート調査の結果を見ると、前回もそうですが団体の事業を利用した会員事業場から「役に立った」という評価が高いわけですが、市川委員からもお話がありましたが、会員としての効果や安全衛生活動での活性化、労働災害の減少ということにはあまり効果が現れていない、あるいはデータがないという感想を持ちました。これらについては、さらに調査を必要とするのではないかと考えました。
他に全般的にはよろしいですか。これで終了したいと思いますが、2回にわたってヒアリングを行っていただきましてどうもありがとうございました。
議事録の署名は、市川委員、高橋委員にお願いします。
次回、第4回専門委員会は、これまでの審議とヒアリングを踏まえて報告書案についてご審議をいただくことになります。この報告書案の起草委員として、田極委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
事務局から連絡事項をお願いします。

○石綿対策室長 次回の当委員会は10月31日を予定していますのでよろしくお願い申し上げます。以上です。

○相澤座長 予定は、10月31日の午前中ですね。よろしくお願いします。
今日は、お疲れさまでした。どうもありがとうございました。


(了)

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