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2011年11月4日 平成23年度女性の活躍推進協議会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成23年11月4日(金)15:30~


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

女性の活躍推進協議会(平成23年11月1日現在、50音順、敬称略)

大野 智彦 (中部電力株式会社 代表取締役副社長執行役員)
岡部 義裕 (東京商工会議所 常務理事)
久保田 政一 (社団法人日本経済団体連合会 専務理事)
佐藤 京子 (イオン株式会社 ドラッグ・ファーマシー事業 新規事業担当 兼コスメーム株式会社 代表取締役社長)
柴田 実 (株式会社日本色材工業研究所 取締役人事総務部長)
瀬戸 実 (全国中小企業団体中央会 理事・事務局長)
高松 和子 (ソニー株式会社 VP 環境推進センター長)
福原 義春 (株式会社資生堂 名誉会長(※座長))
横井 千香子 (株式会社キュービタス 顧問)
高井 康行 (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)
石井 淳子 (厚生労働省大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化担当))
吉本 明子 (厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課長)
森本 頼子 (厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課均等業務指導室長)

○議題

1 ポジティブ・アクションに関する最近の動き
2 「ポジティブ・アクション宣言」の取組の進捗状況、今後の展望等
3 平成23年度以降の活動について(案)

○議事

○吉本課長 定刻より少々早いのですが、ご出席の予定をされている方は皆様いらっしゃいましたので、よろしければ始めさせていただきたいと存じます。本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまより「女性の活躍推進協議会」を開催します。しばらくの間私のほうで進行させていただきたいと存じます。雇用均等政策課長の吉本と申します。よろしくお願いします。開会にあたりまして、雇用均等・児童家庭局長の高井よりご挨拶を申し上げます。
○高井局長 本日は、お忙しいところご参集いただきまして、ありがとうございます。去年8月から厚生労働省雇用均等・児童家庭局長を拝命しております高井でございます。
 さて、人口減少社会が到来する中におきまして、活力ある社会を維持・発展させていくために、多様な人材が、その意欲と能力を最大限発揮できる環境を整備することが重要な課題と認識いたしております。特に意欲と能力がある女性がもっと活躍できる場をつくるということが必要でございます。その中でポジティブ・アクションが不可欠であると考えているところであります。
 昨年度5月に新成長戦略が決定されていまして、そこにおきましても「潜在的な能力を有する人々の労働市場への参加を促進する」ということで、女性のM字カーブ解消のために2020年までに25歳から44歳までの女性就業率73%という目標、また第1子出産前後の女性の継続就業率55%とする目標が設定されております。この女性の就業促進、能力発揮、活用促進の観点から、男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための企業の自主的かつ積極的取組でありますポジティブ・アクションを協力に推進する必要があると考えているところであります。
 この協議会ですが、平成13年度発足以来、企業のトップの方にお集まりいただきまして、経営者団体と行政との連携のもと、ポジティブ・アクションの推進のための各種活動を展開してまいりました。企業トップの方々から、女性の活躍推進の必要性・重要性について発信していただくことで、企業や産業界にも浸透が図られてきていると考えております。
 ただ、現状を見ますと、ポジティブ・アクションにつきまして、その意義・必要性については理解するものの、実際の取組に着手していない企業も未だ多く見られ、特に中小企業における取組が進んでいない状況にあります。また、大企業においても一度取り組んだものの、その後取組を中断している企業も散見されるところでございます。
 本日は、昨年7月にこの各委員の方にご発表いただきましたポジティブ・アクション宣言を踏まえまして、その後の状況も発表いただくとともに、今後の展望等を広く社会に発信していただくことによりまして、これから取組を進めようとされている企業、またもう一段の取組をしようとされている企業の経営者の方々に、エールとも言えるご発信をお願いしたいと思っております。
 また、今後のこの協議会の取組につきましても、忌憚のないご発言をいただければ幸いでございます。私からの挨拶とさせていただきまして、本日はよろしくお願いいたします。
○吉本課長 議事に始ります前に、委員の交代がありましたのでご紹介します。お手元の参考資料の後から2枚目に参考資料1として委員の名簿を配付しています。中部電力株式会社の人事異動に伴いまして、新たに大野智彦様に委員にご就任いただいていますので、ご紹介申し上げます。
○大野委員 大野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉本課長 なお、本日は、株式会社ベネッセコーポレーションの岡田委員、オムロン株式会社の立石委員、みずほフィナンシャルグループの前田委員、株式会社アテナの渡辺委員がご欠席ということでご連絡を頂戴しているところです。
 また、事務局においてもこの間に異動がありましたので、ご紹介します。先ほど高井雇用均等・児童家庭局長はご挨拶申し上げましたが、審議官も異動になっています。石井審議官です。
○石井審議官 よろしくお願いします。
○吉本課長 以後の議事の進行については、福原座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。
○福原座長 福原です。どうぞよろしくお願いします。従来どおり皆さまのご意見をまとめる、あるいは司会をする形で進めさせていただきますので、どうぞご協力をお願いします。本日の議題ですが、ポジティブ・アクションに関する最近の動きと、各委員によりますポジティブ・アクション宣言の取組の進捗状況、女性の活躍推進について、今後の展望についての報告、平成23年度以降の活動についての検討を予定しています。
 議題1ですが、ポジティブ・アクションに関する最近の動きについて、事務局からご説明をお願いします。
○吉本課長 資料に基づいてご説明申し上げます。ポジティブ・アクションの取組状況ということで、資料1-(1)をご覧いただきたいと存じます。図1ですが、最近のポジティブ・アクションの取組状況です。少々細かくて恐縮ですが、いちばん上が規模計です。平成18年度から21年度にかけていちばん左の灰色のところですが、10%ほど一旦伸びたわけですが、平成21年度から22年度にかけて少々ではありますが取組企業の割合が減少しているという状況にあります。
 また、その左から2番目の欄が、「今後取り組むこととしている」とする企業の割合ですが、これが10.6%ということで、これまでと変わらずここに一定数ここにそういう状態の企業が存在するといった状況が続いています。
 規模ごとにご覧いただきますと、上から2段目の5,000人以上規模の所はかなり取組が進んでおり、74.9%が取り組んでいるとされている所ですが、以下、規模が小さくなるに連れてその割合が少しずつ低くなっているということで、中小企業の取組をさらに促していくということと、また、「今後取り組むこととしている」という企業を確実に取組に結びつけていくといったことが課題かと考えているところです。
 次の頁をご覧いただきますと、図2ですが、産業別の状況になります。産業により、ややばらつきがありますが、特に取り組んでいる企業の割合が高い産業としては金融保険業、情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業といった所、一方で取組企業割合がやや少ないという所としては鉱業、不動産業、物品賃貸業、製造、建設業といった所になろうかと思います。
 少々細かくなりますが、前年度から以前は取り組んでいたとする企業の割合を取っており、産業によりましては数パーセントではありますが、以前は取り組んでいたというお答えも見受けられるところです。
 次に図3ですが、これは女性の活躍を推進するうえでの問題点について、複数回答でお聞きしたものです。問題点として多く挙げられていますのは、「家庭責任を考慮する必要がある」、「女性の勤続年数が平均的に短い」、「時間外労働、深夜労働をさせにくい」といったあたりで、これはこれまでの傾向と大きく変わっていません。ただ、そうした問題点を挙げる企業の割合がいずれもかなり減っており、結果として、いちばん下、問題点が「特になし」とする企業が今回3割を超えるに至っているところです。
 その次の頁は、同じ問題点について企業規模ごとに見たものです。ご参考にしていただければと思います。
 その資料の最後の頁、縦書きの「女性活躍と企業業績との関係」というものです。これは、昨年度、みずほ情報総研に委託して実施したアンケート調査から引用したものです。図1は、左軸が5年間の管理職のうちの女性比率の増減で、右軸が5年前と比較した経常利益が高くなったか減少したかというものを見たものです。5年間で管理職の女性比率が増えた、大幅に増えた、やや増えたとする所ほど、経常利益についても高くなった、やや高くなったとするものが多いといった相関関係が見てとれます。
 図2については、左軸が社員全体に占める女性の割合、右軸が売上高の5年前との比較です。これも若干ではありますが、女性割合が高いという企業ほど5年前と比べた売上高が高くなったり、やや高くなっているとする企業の割合が高目に出ているといった関係が見てとれるところです。
 続いて参考資料、横書きの「データで見る均等法施行後の変化」という資料をざっとご紹介したいと思います。今年度は均等法が施行されてからちょうど25年という節目の年にも当たるわけですが、そういうこともありまして、この25年間の変化を女性に関する主だった指標で取ってみましたので、ご紹介申し上げたいと思います。
 1頁ですが、労働力人口です。水色の男性については10数年前から減少傾向に入っているところですが、女性については上昇あるいは最近は横ばいの状況が続いています。生産年齢に限って労働力率を見ますと、男性についてはこの間微増ということですが、女性は8.4ポイント増えているというのが見てとれます。
 また、2頁のM字型カーブですが、これもこの25年間でかなり大きく上方にシフトしたというのがご覧いただけると思います。右のグラフがM字型カーブを未婚の方と有配偶の方に分けて見たグラフですが、上のほうの山型が未婚の方です。ここもこの25年間でかなり上に上がっていますが、それと合わせてなかなか労働力率が上がりにくいとされていましたところの有配偶の25~30歳代前半、ここがかなり上がってきていることが見てとれるところです。
 3頁が就業者数の変化です。就業者数、これは自営業者、家族従業者も入れた雇用者に合わせて取ったものですが、その中の割合で見ますとこの25年間に、特に女性については家族従業者あるいは自営業者の割合は減って、雇用者の割合が高くなっていると。その結果として4頁ですが、雇用者で見ますと、オレンジのところ、女性の雇用者の数はいまなお増加傾向が続いていると申し上げていいかと思います。ということで、雇用者全体に占める割合も42.6ということで過去最高の水準を更新しています。
 このように見て女性の参画はかなり進んできているわけですが、その質といいますか内容がどうかというのを以下で見ています。管理職割合については、これも傾向的に見ますと係長級から部長級までいずれも上昇傾向ということですが、課長級以上というところに○を付けたものでご覧いただくと、25年前は1.6%だったのが、直近では6.2%まで来ていると。特に係長級、裾野のところはかなり急速に上がってきているということがご覧いただけると思います。
 次に勤続年数ですが、これも徐々にではありますが、女性の平均的な勤続年数も長くなっていまして、男性との差が平均的に見ても少しずつ縮まっていると。右のほうのグラフでは年数ごとの分布を付けていますが、なお女性と男性ではここでは差はありますが、それでも25年前と比較しますと、いちばん上と真ん中のところで見ると、長期の中年以上の割合が相当高まってきているところです。
 次に、7頁の賃金格差です。一般労働者の男性を100とした場合の女性の割合ということで、これも昭和61年では59.7%から直近では69.3%ということで上昇していますが、なお7割程度にとどまっている状況です。
 最後に、雇用形態の変化です。ここでは、正規・非正規という労働力調査の分類を用いて見ています。薄いところが正規、濃いところが非正規です。赤い濃いところがかなり増えてきている。男性も青い濃いところが少しずつ増えてきていますが、特に女性は全体の雇用者に占める非正規の割合ということで見ますと、53.8%ということで5割を超えているということが新しい現在の状況としてご報告申し上げられるかと思います。
 続いて、資料1-(2)です。ポジティブ・アクションの推進のために私どもで実施しています施策について、ご紹介を申し上げます。1ですが、ポジティブ・アクション周知啓発事業です。(1)に掲げていますのは、まさに本協議会での活動内容です。こうした協議会は1年に1回程度開催していますが、最近では宣言をしていただいたというのと、右にあります「きらら」のマーク、これを一昨年度公募し、昨年度名前まで決めていただいたということで、広報啓発に使っているところです。
 また、企業表彰、企業内のポジティブ・アクション、実施体制の整備ということで、企業内に選任していただいています機会均等推進責任者あてにさまざまな情報提供活動の支援を行っているところです。
 2のポジティブ・アクション推進戦略事業、これは民間団体等に委託して実施しているものです。今年度から新たに実施しているのが、(1)の「見える化」の推進といったものです。後でその中に出てまいります「見える化支援ツール」というもののイメージもご覧いただきたいと思いますが、趣旨としては、男女間の格差であるとか偏りといったものが見えにくくなっているのではないかと。制度上はかなり同じような形になっているということ、また労使でも調査をしてみますと、格差があるといった意識が薄れてきているという結果も出てきており、そうはいっても事実上の偏りとか差異というものがないのかどうか、その辺を検証してポジティブ・アクションにつなげていこうという趣旨で、その検証をするためのツールを作成しています。それを今年度からは業種ごとにより使いやすいものにして、業界団体、労働組合にも入っていただきまして、業界ごとの労使の取組を推進していきたいということで実施しているものです。
 (2)は、従前から継続的に実施している情報提供の事業です。そのすぐあとにポータルサイトのちらしを入れていますが、それの中身を開いてご覧いただきますと、女性活躍推進状況診断ということで、そのサイト上で各社がご自身の状況をお答えいただきますと、それぞれの会社のポジションが同業他社などと比較してわかるといったものでありますとか、例えば右のポジティブ・アクション応援サイトということで、先進的な取組をしていただいている企業の事例を業種あるいは地域ごとに検索してご覧いただけるような、そういう情報提供もしています。
 そのいちばん裏ですが、これが昨年度、委員の皆様方にも発表していただきました宣言にかかわるもので、その宣言はこうした宣言コーナーを設けましてアップをしていますとともに、今年度からは一般の企業からの宣言も募集をし、広報の活動に使っているところです。
 その他、委託事業としては、中小企業に対するコンサルティング、その実施事例を基にしたマニュアルの作成・普及でありますとか、セミナーなどを実施しています。そのすぐあとにある緑色のペーパーが、今年度、主にこれからのものがまだかなりありますが、ポジティブ・アクションのためのセミナーを各地で開催する予定にしているものです。
 続いて資料1-(3)です。先ほど少しデータでもご覧いただきましたが、男女間の賃金格差は縮まってきていますが、現在69.3%ということで、これを縮めるための一層の取組をする必要があるということで、労使で取り組んでいただく際のガイドラインを昨年度改訂したところです。そのポイントは、2の下の括弧書きで囲んでいますが、ポイントとしては1に書いた、先ほど少しご紹介しました「見える化」を推進していこうということで、ちょっと細かくなりまして恐れ入りますが、そのあとにこうしたガイドラインのパンフレットをお付けしています。
 あと後ろのほうにガイドライン、14頁からはガイドラインの本文が付いています。さらに、ツールと先ほどご紹介申し上げたのは21頁からになりますが、各社において採用、配置から定年退職等に至るまでのそれぞれの局面における状況をチェックするための指標を入れていただく、こういうものをツールとしてご紹介申し上げています。先ほど申し上げましたように、これをより多くの企業に使いやすくするようにということで、今年度から業種ごとの取組を始めたところです。私からは以上です。よろしくお願いします。
○福原座長 ただいま最近の状況、近未来に起こることについても、細かくご説明をいただきました。いまお話になった中身で、もしご質問ご意見等がございましたら伺いたいと思いますが、いかがですか。ございませんか。それでは、これで終わらせていただきます。ありがとうございます。
 議題2、昨年の7月に本協議会の企業委員の皆様から、それぞれポジティブ・アクション宣言をご発表いただいたわけです。この宣言は、女性の活躍推進に向けた各社のビジョン、あるいは取組内容等をまとめたもので、まず、協議会が先頭に立ってモデル事例を例示し、これから女性の活躍推進のための取組を進めていこうとする企業に参考にしていただくという目的でした。
 本日は、委員の皆様から取組状況をご発表いただくとともに、女性の活躍推進、ご自分の会社等について、今後の展望などについても併せてお話をいただければと思っています。
 今日、ご出席の方は数が少なくて申し訳ないのですが、皆さんお一人お一人、大体5分ぐらいでまとめていただければと思っております。いつもあいうえお順にご指名することになりますので、今日は逆に50順の反対の順番でご発表いただきたいと存じます。いちばん初めは横井委員にお願いするということになりますので、よろしくお願いします。
○横井委員 キュービタスの横井と申します。よろしくお願いいたします。昨年、ポジティブ・アクションに関するメッセージを提出させていただきました。本年は、このメッセージも内容の一番上に掲げた基本的な考え方という点におきましては、そう変わりはなく、男女の差もなく、当社におきましては、多様な働き方と多様な価値観をもった人材を活用し、ワーク・ライフ・バランスを重視しながらも、能力主義を第1として進めております。こういった観点からは同じです。
 具体的な取組については、1番に挙げた能力主義を重視した女性社員の積極活用という面です。提出した資料におきましては、2009年度時点の実績です。新卒採用の2010年度の4月は、97名で全員が女性でした。2011年の春は83名採用して、入社して82名が女性、1名が男性ということで、圧倒的に女性からの支持が多いということになっております。
 2番目の直接雇用者の男女構成比については、昨年は女性が71%対男性が29%でしたが、2011年は女性が77.7%、男性が22.3%で、女性が圧倒的比率で、結婚しても、育児をしても、辞めなくなったということと、入社する社員も女性が多くなりましたので、割合が多くなっています。
 役職者の男女別構成比については、リーダー職以上というのは係長職以上ですが、こちらは女性が52%、男性が48%となっております。2011年度も女性が52%、男性が48%は変わりません。先ほど「管理職の割合」と全体の割合が出ておりましたが、この内訳での役職はかなり違っております。全体の社員数が減少しております。2010年度の部長の女性が2名、男性が21名でしたが、本年度は女性が3名、男性が22名で、両方とも1名ずつ増えましたが、女性の割合が8%から12%に上昇しました。
 課長職は、昨年は女性が10名、男性が76名でしたが、本年度は、女性の課長が12名、男性の課長が61名、女性が2名増えておりまして、男性が15名減少しております。ですから、女性の割合が13%から16%に上昇しました。係長職にありましては、ほぼ同じで女性が98名、男性が27名でした。今年は女性が係長が99名、男性が27名ということで、割合とすれば78%はそう変わっていません。しかしながら、部長職、また課長職に占める割合が増えてきて、また力をつけて、女性を引っ張りながら推進していく形は上昇しておりますので、大変喜ばしいことでありますし、会社の品質等も上がるということが立証されております。
 さらに、当社はシステム開発を行っておりますが、これまでシステム開発部門には女性の課長はおりませんでした。補佐的な契約社員とか、派遣の方が多かったのですが、直接雇用を増やし、課長職を登用し、システム開発部門に女性の視点を入れて見ますと、間違いが少なくなる、そういった意味からも非常に喜ばれ、要となって登用された人は活躍しております。そういったところがメッセージ一番上の「能力主義を重視した女性社員の積極的活用」というところです。
 2番目の雇用形態と配置転換制度の多様化と働き続けるための運用については、制度的にはなお推進しながらも、制度より一歩進んだ運用を行っております。1点だけ補うことは、アルバイト形態の雇用者では、これまではアルバイトということで、社会保険適用外の時間内での働き方でした。しかしながら、アルバイトの方も、社会保険に入りたいという方もいますので、アルバイトの形態ではあるけれども、社会保険を適用した、本人が望む時間数、週何日とか、時間を長くして、アルバイト形態でもワーク・ライフ・バランスを重視した形態が選べるような内部の規約を改正しました。
 また、当社は人事制度がクレディセゾンと人事部はプラットホームが一緒で、給与体系もすべて一緒です。これまで育児休暇といったものは、本当に恵まれております。ただ、契約社員では、短時間でも週5日でした。しかし、現在、世の中は厳しいといいますか、慌ただしいし、子育て中にも、いろいろなことがありますので、短時間であっても、週3日、週4日も選べるようになりました。週5日でなくても、継続して社員として働けるということで、育児休暇の使い方など、そういった社内制度を上手に活用しながら、ほとんどの女性が辞めないということで、キャリアを中断することなく、一定期間を置いたときにまた時間を長くしてキャリア形成、キャリア開発を推進するように努力しています。そういったものは組合とも一緒になりながら推進しておりますので、女性のキャリア開発でも、大変力をつけつつあります。それは大変喜ばしいことと私たちも思っております。
 3番目に挙げた「個と組織のモチベーションアップにつながる制度提供」については、自己申告となるローテーション等を推進しておりましたが、そういった制度だけではなくて、私どものキュービタスは、クレディセゾンから借りている形になっていますが、中野にユビキタスという大きなオフィスがあります。そちらの1階エレベーターホール前は、30m以上分の大きなフロアがあります。そちらのほうで今年は、福島応援フェアを行ったり、定期的にイベントを行っています。当社は24時間の勤務体制ですので、日常が忙しくて、女性がお買い物へ行けない方もおります。ですから、そういった方々の、リクエストに応じて、家庭用のグッズや、マグカップなど、日常品を適正な価格でそこで販売をして喜ばれております。おいしいものやスイーツなども時々買える。そうして業務終了後、仲間と夕方から8時ぐらいまで、定期的に月に1回か2回ですが、おいしいお茶を飲んだり、お酒をちょっと適量飲んだりしながら、短い会合をして、働く人のモチベーションアップにつながるような仕組みを作って、大変喜ばれております。女性はなかなか外へ行きづらい人もいるものですから、本当に30分、1時間でいろいろな形で人とコミュニケーションを取って、また明日も来ようという元気な気もちで、仕事を続けるようになりました。こういったところが、今年喜ばれたことです。
 また非常に喜ばれていること、それは、個人表彰制度をスタートさせました。それは業務上、いろいろな部門がありますが、いろいろな部門間でのやり取りの中で、「あの方は急いでいた仕事をすぐやっていただいた」とお礼をしたいと思うことがよくあります。そういったことでサンクスカードというものを作りまして、あの人はすごくきちんとしてくださって、お客様からお礼を言われたというときは、その人にお礼のメッセージを書いて投票する。それが年間集まって、サンクスカードをいちばん受領できた人が社長から表彰される。そして良い仕事、お客様から喜ばれる。社会から喜ばれる。いろいろなことに結びつけながら、非常にやる気が出るというか、モチベーションアップにつなげております。
 これは男女を問わず、お互いに褒める。または感謝する文化を醸成するという目的で始めたのですが、大変好評でございます。こういったところが具体的に取り組んだものです。制度的にはずっと推進はしております。
 最後に、今後の展望として、先ほどお話しましたように、システム開発部門に女性を登用しましたが、営業部門、または経営企画の中でも、女性が力をつけて、いま一生懸命やっています。ですから、すべての部門で女性が活躍できるような配置と、人材育成、サポートということで、女性だからこういったというような限られた部門ではなく、すべての部門で活躍できるような体制を築きながら、政策決定に関した部門に女性を入れて、さらなる人材育成に取り込んで、活力ある企業としていきたいと思っております。以上でございます。
○福原座長 ありがとうございました。横井さんの所は、従来の制度を使いながら、それをいかにフレキシブルに使うか、運用していくかということによって、働く人が喜び、また自分の力がついていくようなことも併せてなさっているということは、とても素晴らしいことだと思います。
 アルバイトの人に特別な、いわゆる正社員的なところも若干これから付けていくということは、私は昔から言っているのですが、正規、非正規という分け方は、あまりに単純でどうにもならないので、これから先は正規でありながら、非正規のような要素もあるし、非正規社員でありながら、正規の社員であるような要素の付く人がたくさん出てくる。簡単に言えばグレーゾーンが多くなってきて、そういう単純な分け方では捉えられないのではないかということを考えていたのですが、だんだんそのような方向になりつつあるようで、ありがたいことだと思っています。
○横井委員 今後とも努力してまいります。
○福原座長 今後ともどうぞよろしくお願いします。
○横井委員 ありがとうございました。
○福原座長 それでは逆の順番なので、ソニーの高松委員にお願いします。
○高松委員 ソニーの高松でございます。資料2の10頁に、私どもの女性活躍推進宣言が掲載されております。ソニーでは、女性の活躍推進といいますか、ダイバーシティのプロジェクトを2005年からスタートしております。
 これは人事のメンバーではなくて、一般の女性の管理職を中心に、20人ぐらいのプロジェクトで、女性が活躍するためには、どんなことを行うべきかというような活動をしております。その後、2007年、人事部門にダイバーシティ開発部が設立され、その人事の部門とプロジェクトの両輪で活躍推進を進めてきております。
 この活躍推進宣言は、その活動の趣旨をそのまま宣言という形にまとめております。取組の方向性として4つ挙げておりまして、個々にご説明を差し上げたいと思います。
 まず、あらゆる組織階層で、女性社員が活躍する状況を作ろうということです。まずは女性の管理職を増やしていこうということで、これから管理職に昇格していくような女性の係長層を対象に、まず意識を高めるという活動を進めてまいりました。
 プロジェクトのほうとしては、そういった方々にネットワークの機会を提供する。あるいはフォーラムをやって、外部の方の講演をいただいたりということもやりました。いちばん効果があったのは、人事のほうから、各部門の統括部長さんといいますか、部門長さんに対して、その部門に、近い将来に昇格させられるような女性がどれぐらいいるのかという洗い出しをしたことです。その候補に上がっている人たちを中心に、きちんとキャリアアップの研修をするということで、ずっとキャリアをつなげていけるような体制を作っていこうということです。
 これでいちばん効果があったのは、まず上司の皆さんです。今まではどちらかというとソニーというのは理工系の会社ですので、圧倒的に男性が多くて、管理職が集まると男しかいなくて、真っ黒気の会議という感じになるのですが、そう言えばこの人頑張っているよねというところを見つけてくださった。そういう人を半分無理矢理かもしれませんが、とりあえず、管理職に上げてみると、意外と活躍できるということで、女性もきちんとポジションを与えれば、それなりの活躍ができるという認識を一人ひとりに持っていただいたと思います。当然のことですが、女性を使った経験がないと、そこがいちばん大きなハードルであったりするわけです。そういうことで、上司の方も女性を男性と同様に育成していこう。あるいはキャリアのローテーションの中に組み込んでいこうという意識を持っていただきました。
 それと、周りの女性が1人ポコッと課長クラスに上がりますと、それまでは女性は管理職にはなれないのではないかとか思っていたような周りの方や、自分にはとてもあんな課長職なんていうのは務まらないわと思っていた周りの女性も、1人がなってみると、自分にもできるかもしれないというようなところから、キャリアの意識が変わってきています。
 そういう意味で、これは単なる参考のデータとしてご紹介しますが、ソニーグループの管理職の女性比率というのが、2006年には2.8%とか2.9%ぐらい、3%を切っていたのですが、昨年度で3.6%ということです。数字だけで見ると、非常に小さいのですが、母数が結構多いので、3桁の数字の女性の管理職が増えたという形になっております。
 そういう意味では、周りにロールモデルというのが徐々に見えてきているということもありますので、ダイバーシティのプロジェクトではウェブ等を介して、社内にいるロールモデルのこれまでのキャリアを紹介したり、そういった座談会のような形で情報提供をしているわけです。実際に生のロールモデルが身近にいるのと、ウェブで見るのとではだいぶ違ってくるというところがありました。
 ライフイベントをうまくマネジメントして、継続就業をしていただくための環境整備に関しては、制度的にはほぼ完璧に整備をされておりまして、それなりに社外からもご評価をいただいております。そういう意味では、結婚するので辞める人はまずおりませんし、出産退職というのも聞かなくなってきたと思います。
 仕事と育児を両立しながらキャリアを構築していくための支援としてワーキング・マザーフォーラムといって、毎年秋ごろ、その年度に育児休職から復帰した女性社員と翌年度の4月16日までに復職予定の女性社員を集めたイベントを開催しています。社外有識者の話を聞く、お互いに相談や情報共有、あるいは先輩の話を聞くような場を提供するというようなことをやって意識啓発に努めております。
 また、女性を公正に評価して、上位職に積極的に登用するということです。女性管理職の比率が増えて、母数も増えてきたというところで、いわゆる職位を持った統括職という課を持ったり、部を持ったりというところに就く女性の管理職が、女性管理職比率を上回るくらいになってきておりまして、意外に女性のほうが統括的な業務をきちんとやれるという実績を積んできております。
 また、それまで部門長職という形でいるという女性が、1人しかおりませんでしたが、3名という形で増えてきています。本当にまだ微々たるものですが、着実に歩を進めてきているかなと思っております。
 今後については、女性の活躍を推進するというと、メンタリティに関わる部分もありますので、大変時間がかかることであるというふうには思っております。継続してやっていくことが何よりも重要で、ここを継続しないで、途中で止めてしまうと、本当に均等な状態になってからであればいいかもしれませんが、まだ途中経過の段階で留めてしまうと、後戻りしてしまうであろうと思っています。
 5年ぐらい継続してやってきておりますが、一歩ずつ一歩ずつ進んできていると考えております。やはり、女性が入っていろいろな議論をすることで、社内の議論もかなり活性化しているという部分もあります。どうも女性のほうが歯に絹をきせない発言が見られるとか、わりとストレートに発言をしてくれるので、かえって会議がうまく進むということもありまして、いま大変弊社は厳しい経営環境にございますが、社内の活性化という意味で、さらに明確な数値目標を持ちながら進めていきたいと考えております。以上です。
○福原座長 ありがとうございました。大体、原則として大きな会社というのは、なかなか変わり身ができないのです。しかし、いまお話を伺いますと、一歩一歩進んでいるところがあって、これは核分裂ではないのですが、臨界点まで来ると急によくなるのです。もう少しで臨界点に来そうな気がしますが、どうぞ頑張ってください。次は瀬戸さんの順番ですが、団体の方を後回しと言っては悪いですが、最後にお願いしたいと思います。その次は柴田委員にお願いします。
○柴田委員 日本色材工業研究所の柴田でございます。よろしくお願いいたします。私どものポジティブ・アクション宣言は、資料の12頁にあります。ここにあるとおり、当社は化粧品のOEM製造を行っている会社で、特にメイクアップ化粧品に強い会社です。商品の企画・提案から、一貫生産を行いまして、OEMサービスを日本の化粧品メーカーさん200社、海外50社に及ぶ化粧品メーカーさんにご提案してお納めしている会社です。
 私どもの作っている化粧品は、本当に専門性の高い高度な専門技術、情報力というものを要求されますので、化学系の技術者を採用するというのが人事の大きな役目になっているわけです。特に化粧品を中学生、高校生の頃から触れる機会もありまして、女性の場合は、大きくなったら化粧品を作りたいというような強い希望を持たれて、化学系を専攻されて、当社のような会社を希望されるという方もおります。そういった意味で、女性の技術者には、大変関心をお持ちいただいている会社です。ですから、女性の技術者を採用することに関しましては全然問題はないのですが、男性を採用するというのが当社の課題でもある。ただ、そういった採用の中で、女性の技術者をたくさん採用させていただいているにもかかわらず、いままでの中では、10年前は男性のほうが圧倒的に多い採用数でした。そういった中で、女性に使っていただいている化粧品を、私どもは作っているにもかかわらず女性をたくさん採用しない。女性の感性を活かして、女性により良い、より使っていただくものを作るためには、女性を活用していかなければいけない。そういう意識が出てまいりましたのが、ここ10年です。過去10年は、資料にもあるように、女性のほうが採用数は男性を上回って採用させていただいております。ただ、女性の場合は過去10年以前の流れを見ますと、やはり、結婚やご出産というエポックがあって、なかなか環境が厳しいということもあり、ほぼ退職されていたというのが現状です。その中で、この5、6年、会社としても折角採用した女性技術者に長く勤めていただいて、その知識、経験をより良く会社の製品に活かしてもらおうということで取組を始めまして、様々な職場環境を改善する。また、働きやすいように制度を変える等々努力をしてまいりました。
 そうは言っても、過去5、6年の話ですので、過去に退職された方々の結果、管理職の適職年齢になる前に女性が辞めてしまうという現状がありました。昨年度で言いますと、管理職、いわゆる課長級以上です。当社は400名にも満たない中堅企業ですが、その中で管理職級と言われる人間が31名おります。31名のうち女性がたったの3名ということで、非常に管理職の割合が低いという中でしたが、昨年のポジティブ宣言をさせていただいた結果、優秀な女性をラインの管理職に登用していこうという気運が目覚めまして、昨年の秋の人事異動で、管理職待遇の3名中、2名をラインのリーダーに登用いたしました。
 1人が営業部の国際営業チームのチームリーダーで、もう1人が営業部の商品企画チームのリーダーに登用させていただきました。
 当社は海外比率が、現在26%とまだまだで、海外への開きが少なく、今後、10年以内に海外比率を50%まで高めたいという希望を持っております。その尖兵となる国際営業のリーダーに女性を1人。この女性はフランス語、英語がビジネスレベルのフルーエントに話せる女性です。そういった優秀な女性に引っ張っていってもらおうということです。
 また営業部の商品企画チームのチームリーダーに1名登用しましたが、この女性はもともと研究部門におり、営業部門に移りまして商品企画、また実際の第一線の営業も行っていた女性です。当社はOEMの商売ですので、お客様からこんなものは作れないかというご提案をいただいて、それを研究開発してご提供するといった流れが多いのですが、それとはまた別に、当社のほうからお客様にご提案をして、こういった化粧品が開発できましたが、どうでしょうかといった提案営業の割合も徐々に増えております。その企画を提案する女性がもう1人就いているのですが、3名でいま商品企画チームは動いておりますが、そういった形で女性に活躍する場を実際に提供するという行いをいたしました。
 本年4月には、女性の中から経営戦略部長を1人登用して、5月の株主総会で取締役に選任されております。そういったことで、過去10年間の採用で、女性の数を徐々に増やしてきたということで、なかなか管理職への昇格適性年齢に達していない状況でございますので、この管理職をポジティブ・アクション宣言の中で、今後10年の中で30%は女性の管理職を生み出したいという宣言もしておりますので、この女性の定着率をいかに高めるかというのが、ポジティブ宣言を根本から支える方法だということで、いままでも努力してまいりましたが、今後も働きやすい職場環境を目指して、様々な努力を積み重ねていきたいと思っております。
 いままでの努力のお蔭で、よほど特別な事情がない限りは、結婚してもお辞めになるということはなくなりました。特別な事情と申しますのは、名古屋に在住の方と結婚なさって、当社は名古屋に事業所がないものですからお辞めになるとか、そういった例はありますが、ほぼそれ以外は結婚されてもそのままお勤めいただいているというのが現状です。
 これは生産現場である工場でも、研究所でも、一般管理部門でも同じですので、各職場で働きやすい職場環境を作るということは努力をした結果、それは出てきているのかというように思っております。
 またご出産という場合も、現在、女性社員は100名前後おりますが、過去6年間で延べ27名の方が育児休業をお取りになりまして、100%の復帰率ですので、これもお子さんを抱えながらも働ける環境が整備できたと思っております。その中で2人目を出産された方も、3名、4名と産んでいらっしゃいますので、そういった意味で当社としてもいままでの取組がやっと芽ばえてきたかなというふうに思って喜んでいる次第でございます。
 今年度に限って言えば、6名の方が職場に復帰されておりまして、新たに3名の方が育児休業をお取りになっております。現在、合計7名の方が育児休業中です。出産という場合には、なかなか計画的に職場のほうで人員計画が組めないという事情もありまして、なかなか苦労もしているのですが、派遣の方をお願いしたり、そういったことで対応している次第です。ちなみに男性の育児休業の取得者がまだいないものですから、この取得者が出れば、当社も「くるみん」を取得できるということで、何とかこの要件をクリアすべくいま努力している最中です。この女性が定着率を向上している状況と、新卒採用が過去10年間で増えているということです。現在、中堅スタッフクラスは、完全に女性のほうが男性の数を凌駕しております。
 今後、4年、5年間で、管理職1歩手前の副主事、主任クラスの人数も増えてくるだろうと考えております。このメンバーが徐々に昇格、育ってまいりますと、今後10年の中で管理職への昇格適格年齢の人員も増えてくるだろうということで、当社がポジティブ宣言を行った今後10年の中で、管理職の割合を30%まで持っていきたいというのも、徐々に徐々に、1歩1歩ですが進んでいるのかなと思っております。今後も地道な努力ではありますが、進めさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○福原座長 ありがとうございます。先ほどのソニーさんの話と違って、母集団としては女性の量、あるいは専門の質からいっても、全然逆なのです。その中で、どういうふうにやっていくかということだろうと思うのです。どっちかというと、やりやすい立場にあるのですが、どうやってリーダーをつくっていくかということの問題が今度あるわけです。
○柴田委員 そうですね。
○福原座長 ひとつよろしくお願いいたします。
○柴田委員 ありがとうございます。
○福原座長 次は佐藤委員にお願いするのですが、どうぞ5分以内でお願いいたします。
○佐藤委員 私どものポジティブ・アクションの宣言は、お手元資料6頁にございますとおり「女性の活躍推進に対する我が社のビジョン」と宣言しています。イオンは創業時から伝統的に非常に女性を育むという体質がある会社だと思っています。そういう中で、私どもは女性に限らず広い意味でのダイバーシティという考え方を導入することを、今年3月に制定されたイオンサスティナビリティ基本方針の中のKPI策定において、2020年までに「女性の役員比率を30%にする。」また、「外国籍の従業員と日本の従業員の比率を一対一にする。」という目標を掲げております。この1年間非常にダイナミックな変化を遂げた理由は、おそらくこういった企業の戦略があったからと考えます。
 また、私どもの中期経営計画の一つとして、今後新しい成長機会の獲得のため、ASEANへシフトしていく、大都市にシフトしていく、それからシニア領域にシフトしていくという3つの大きな戦略の柱を立てました。まず、ASEANシフトのためということで、3本社制を敷き、日本、中国、ASEANに本社機能を設立しました。これには大規模な人事異動が行われ、例えば、ASEAN本社が統括するイオンマレーシアの社長はマレーシア人の女性を起用しました。また、大都市シフト、シニアシフトとして新しい領域に進んでいくときは専門性をもった子会社化を図っていくようになり、今はその関連の子会社6社では社長に女性が就いております。
このように企業の戦略が変わっていく中で、必然的にダイバーシティというものを推進せざるを得ない状況に会社の環境が変化していったと実感しています。
 さらにそれに加えて、今年は3月の大震災の影響も伴い、幕張にございますイオンタワーにて、サマータイムを導入いたしました。元々、このイオンタワーでは、以前より20時を消灯にして、時間外勤務時間を減らす取り組みを行っていましたが、このサマータイム導入と同時に、就業時間は8時から、そして消灯を18時15分に切り上げただけでなく、エレベーターの稼働停止を18時半までということを実行いたしました。つまり、25階建てのイオンタワーのエレベーターを止めてしまうという、大胆な施策を行いました。
 それに基づいて、皆さん仕事の仕方を変えざるを得なくなり、実施後のアンケートでは、独身の女性社員は資格取得やスポーツを始めたり、男性社員は家族と食事をする時間が増えたというような結果がございました。サマータイム勤務については、夏が終わっても、新しい働き方として、就業時間や消灯時間やエレベーターの稼働時間などは継続するという方針が出ました。まだ、この取り組みが具体的に女性の活躍推進のための直接的な数字に表れるかはわかりませんが、震災を経て、節電をはじめとして働き方そのものを変えるきっかけになり、いつしかダイバーシティを推進していく原動力にうまく結び付けられてきているのではないかと思います。そういう意味では、いろいろな社会環境の変化をダイバーシティ推進のためのフォローの風として、どのように戦術に落していくのかということが、これからの課題と思っています。
○福原座長 ありがとうございました。とても大事なことを学ばせていただいたのですが、1つには会社のビジョンと言いますか、あるいは事業戦略にこの問題は大きく関わっているということと。それからあのビルに私もずうっと出入りしていましたが、あのビルで、25階エレベーターがなかったらどういうことになるかというと、これ、もう想像に絶する話ですよね。そういう外部的な圧力といいますか、構造変化によってこの問題が推進されるということで、一方で職場ごとあるいは部門ごとの推進計画みたいなものがあるべきなのですが、一方でいまのような大きな枠を提示することによって、構造が変わってくることがあるということを表わしていただいたわけです。ありがとうございました。
 私の番なのですが、私は現場の仕事に関わっておりませんので、今日は紙でお配りしてございますので、後で見ていただいて何かご質問があれば、私はお答えできないので、人事部の担当者がおりますので、お答えいたします。
 私がお話したいことは、ポジティブ・アクションみたいなものの考え方を、何か変えなければならない時期にきているのではないかと思うのです。それは東京都で男女平等参画のための東京都行動計画があります。これは5年前にかなり厚い冊子で出ているわけですが、同時に「東京都配偶者暴力対策基本計画」がありまして、これは3年前に出ているわけです。男女平等参画の行動計画は5年目になって、見直しの時期に入ったわけです。配偶者暴力対策基本計画は3年目で見直しということになりましたので、これもまた見直すことになっているわけです。今年、5年目と3年目で、それを一本化して新しい東京都の行動計画を現在作成中です。もうネットには出ております。そして、パプリックコメントを募集しておりますので、どうぞご覧ください。
 そこまでは出来たのですが、この会長を引き受けてくれというので、私は嫌だと言ったのですが、どうしても引き受けろと言うのです。なぜかというと、前にあなたのお作りになったものの改訂版だというわけですね。そう言われると仕方がないので、それでは前に作ってから今日までどれだけ進捗があったか聞きましたら、率直に言って大した変化がないのですよね。指標によっては悪化しているものもあり、指標によっては多少良くなっているものもある。一体この完璧な行動計画というのは何のために作ったのかということで、今日の状況に対して、前の計画をとりあえず補充するようなことで今度作っているわけですが、しかし、このままではそれほど結果が思わしくないだろうと考えて、いまそれとは別に、今日のような時代に際して、何か別な切口があるべきではないかということを考えております。それをどう扱うかはわかりませんが、そういうような状況にあるということを申し上げたいと思います。
 その原因は、日本の経済というのは、どうも2つあるいは3つの大きなショックの後に、恐ろしい構造変化が出来ているわけです。1つはリーマンショックですし、1つは最近のショックです。そこへもってきて今度は物理的な円高がおそってきましたので、状況がどんどん変わっています。そして、高齢化も現実の問題になりました。こういう状況の中で、では、男女平等参画をどのように新しい切口で作るかということについては、いままでのものを手直しする程度では、本来出来ないのではないか。意外と細かいところに実は問題がある。それは例えば具体的な例を申し上げますと、東京都のある町の商店街組合、そこの婦人部長の方が出ていらしたのですが、商店街の組合の理事は全員男性です。婦人部会でいろいろ催事の提案をし、婦人部会に属する人たちが販売員になり、そしてお客様の多くは女性の方なのですが、全部男の理事会で決まりますので、ほとんど予算が回ってくることがないという嘆きをされているわけです。
 これは5年前の行動計画に、そういう団体であっても、ある程度のパーセントで女性を入れるべきだということが書いてあるのですが、法律ではありませんので、実際に行われていないわけです。どうもそういう細かいところに問題がある。当然大会社は大会社で、その結果がきているわけです。今日は皆さんに現状をお聞きして参考になるのですが、どうも別な考え方を来年あたりからしなければならないのではないかと、私は感じているところです。余計なことを申しましたが、新しく参加されました大野委員にお願いいたします。
○大野委員 資料ということもありませんが、いちばん下にあります委員提出資料の中の最後の1枚に、簡単な資料が1枚付いているのですが、これは太字のところが中部電力のポジティブ・アクション宣言でして、四角の箱で書いたところが具体的な活動内容を書いたものです。
 大きく3つから出来ているわけですが、1つ目が基本的に女性そのもの、あるいは管理職に対する教育・育成的なものです。2つ目がワーク・ライフ・バランスのための環境づくりというのでしょうか。そういう制度的な仕組み、3つ目が社会全体への貢献の話とございます。
 実は中部電力、先ほどの高松委員のお話でもありませんが、真っ黒の人間ばかりの会議ばかりで、しかも仕事柄、例えば発電所は3交替でやっていますし、一般の事業場も宿直、当直をもっています。さらに災害時などの緊急呼出しには常に待機するという関係もあります。さらに汗臭い職場になります。そういうこともございまして、女性の比率が1割程度の会社です。実際にその中で、技術系の人間が3分の2ぐらいあります。事務系の中でいいますと、4分の1から3割ぐらいが女性になっています。
 平成19年、4年前に女性活躍推進室というプロジェクトチームを作りまして、いろいろ推進してまいりました。その結果としまして、その2つ目の箱にあるような環境づくりは仕組みなので、入れていけばできてまいります。したがって例えば小学校1年生を終わるまでは時間短縮した勤務ができるだとか、あるいは育児休暇を2歳まで取れるということで、例えば男性でも12人が育児のための休職を取ったという実績も出てまいりまして、少しはそういう意味で変わってはきてはいますが、先ほどの管理職の比率のような話をさせていただきますと、平成19年時点で1.3%しかなかったものが、平成23年度は1.7%ですので、割合でいうと5割も増えたのですが、比率は非常に低い水準になっています。
 これは元をたどっていけばといいましょうか、例えば号令をかけて管理職をつくれと言おうとしましても、管理職になるためには、その前に管理職予備群のポストにいないと、そういう役割を与えていないと急に管理職になれるわけではない。これを紐解いていきますと、先ほどの高松委員の中にもありましたが、仕事を与えるのは男性ですから、女性に高い役割を与えるとなると、男性が見ているかぎりはいつも心配でしようがない。これがありまして、これをどう意識改革していくかが、1つの大きな柱です、それがいちばん上の箱の中の「管理職による育成強化」というところで、男性管理職に対して女性を教育していくという活動を、どうさせるかという教育を中心にやっていること。それから、そもそも女性の能力評価をあまり真面目にやっていないというのが正直なところでしたので、それをどうさせていくかということで、いまその意識づけを一生懸命やっている最中という感じです。
 他方で、では、女性のほうはといいますと、実は先ほど言いましたような環境ですので、女性側の意識にも将来リーダーになるのだという意識を持って仕事をしている人は非常に少ない。要はどうせ私たちは実務的ないわば職人の世界でやっていけばいいという前提で考えていますので、管理職としての振舞いを男の管理職がどうやっているかを見て、それを習おうという意識が非常に少ないということで、いま女性に対して教育・研修機会の充実として、男性中心の仕組みが中心になっている中で女性が役割意識をもって、組織の視点で全体を見るようにできるかという視野を持たせる教育を中心に、取り組んでいるところです。
 そういう視点もあったこと、それから、たまたま実は福島第一原発以降に変わってしまったのですが、いままでの環境としては、オール電化とかいろいろ家庭に関わる企業活動が増えたということもありまして、職域が広がりました。そこに女性にたくさん活躍する場が与えられたこともあって、意識は変わったのですが、こういう環境の中で今後そういう職域をどうしていくかも含めて、考えていかなければならないところにあると思われます。
 いずれにしましても震災以降、あるいは福島第一原発の事故以降、この業界がどうやってお客様の信頼を回復していくかが、いまいちばん大きな課題になっていますので、その辺でどうやって女性の能力を活躍させて、男性管理職に対してきちんと理解させるかが、これからの課題になっていくかと思っています。以上です。
○福原座長 ありがとうございました。これこそいちばん難しそうな職場で、そのような努力をされて、早く何かの結果が少しずつ出ればと願っております。先ほど団体の方々は最後と申しましたが、今度はあいうえお順で、まず東京商工会議所の岡部さんからお願いします。
○岡部委員 今日は特に資料をお配りしてございません。前回、福原座長、覚えておられるでしょうか、ダイバーシティのレポート冊子をお配りいたしました、私ども東京商工会議所の基本方針といたしましては、現在8万の会員企業さん、今日ご列席の皆様の多くも会員さんでいらっしゃいますが、中小企業の会員が9割ですから、そういう方々の経営改善、経営力アップのために日々活動をしているわけです。当然その中のいちばん重要な課題は、人、人材の活性化です。当然、女性の活用でございます。先ほど厚労省さんからの均等法施行25年後のデータをいろいろご説明いただきました。長いスパンですが、就業促進も大変進んでいるのではないかな思った次第でございます。
 少し所感で申し訳ないのですが、中小企業におきましても、いまは大変厳しい、先ほど福原座長がおっしゃったような環境の中で、伸びようとする企業は女性、男性にかかわらず、優秀な人材を使いましてグローバル化を進めています。中小企業であろうともアジアの成長を共有していきたいというわけです。それからシニアマーケット、高齢化にどう対応していくか、あるいはITですね、新しい技術に対してどう対応し生産性向上、そういう多くの課題を突きつけられております。そういう中で優秀な女性の採用には極めて積極的ではないかと思っています。
 事務局でデータを調べましたところ、総務省の就業構造基本調査2007年度によりますと、中小企業は当然ですが、分母が小さいのですが、5人から299人の中小企業では、正規の女性従業員の割合が26.7%です。大企業を300人以上といたしますと、こちらは20.6%というデータが出ています。やはり均等法施行後の25年間の間に、先ほどデータがございましたが、この前後の時系列について分析していませんが、中小企業も正規の女性従業員の比率を高めているのではないかという印象をもっています。
 ただ、一方で中小企業250万社、事業所では400万超と言われていまして、規模、業種がさまざまです。いろいろな業種がある中で、東京商工会議所だけの調査結果を見ましても、正規の女性従業員がいない、先ほどと反対ですが、正規の女性従業員が1人もいらっしゃらない中小企業も全体の会員さんの中では10.6%、約1割あるということです。そういうことで、今日お話しいただきました企業さんの例とはまた違う状況ですが、基本的な傾向としては、女性の活躍の場が広がっているとは思いますが、まだまだポジティブ・アクションが目指すところの目標にはこれからであるという状況にあろうかと思っています。
 そうした中で私どもダイバーシティということで、女性が活躍する場所をもっと広げていかなければいけないのではないかという調査・研究、あるいは普及啓発活動も行っております。それは前回お示したようなレポートで会員企業の皆様に啓発をしております。
 一方で、さまざまな法令遵守あるいは新しい制度のセミナーも数限りなくやっておりますが、どうしてもポジティブ・アクションの、本日資料などで出ました内容よりも、まだワーク・ライフ・バランスの普及ということで、どうしてもそちらのほうがウエイトが大きいというのが現実でございます。一般の会員の皆様はだいぶ理解をしていただいておりますが、出産・育児に関わりましても、女性が仕事を継続していただけますように、出産・育児あるいは介護の問題につきまして、経営者の皆様により先進的な制度を導入していただくように、そういう部分でいま力を入れているところでございます。同時にポジティブ・アクションが目指しておられるような女性管理職の問題にも今後さらに力を入れていきたいと思っているわけです。
 最後に、私ども経営者団体ですので、女性が活躍する場は以前から大変多いわけです。女性経営者の会というのもございまして、そちらの皆さんも女性のベンチャー企業を輩出するように、いろいろ表彰制度なども毎年行われております。いわゆる勤労者ではございませんが、女性ベンチャー企業の経営者を生むように、一方で努力をしているというところでございます。雑駁な説明でございますが、現状を報告させていただきました。ありがとうございました。
○福原座長 ありがとうございました。東京商工会議所にしても、経団連さんにしても、大きい所から小さい所、それから男の数が多い所と女の数が多い所と、雑多な方々を抱えているので、それらに共通するような指導方針といいますか、将来目標みたいなものを作って提示することは、なかなか大変なのです。ある方々は賛成していただけるが、ある方々はあまり賛成できないみたいのがあって、とても難しいのだろうと思うのですが、その中で、いまワーク・ライフ・バランスと男女共同参画という2つの柱をどうしていくかということがあるわけですが、私の感じでは、どちらかというとワーク・ライフ・バランスを向上させることによって、男女共同参画もやりやすくなるだろうと思うのですが、どんなものでしょうか。これもケース・バイ・ケースだと思うのです。
○岡部委員 おっしゃるとおりだと思います。一般的にはまだまだそのところをしっかり根付かせて、それから座長のおっしゃった次のステップへ進めていければと思っております。
○福原座長 どうぞよろしくお願いします。それでは経団連の久保田委員にお願いします。
○久保田委員 ありがとうございます。結論的には、いま座長が言われたようなところではあるのですが、冒頭課長からご説明いただいた資料1-(1)で、平成22年度の雇用均等基本調査のご紹介がございました。確かに資料の1ページ目を見ると、ポジティブ・アクションに取り組む企業の割合は、前回の調査に比べて低下しております。今日は資料として提出されていませんが、この同じ調査において、「ポジティブ・アクションに取り組まない理由」を聞いております。これを見ると、44%の企業が「既に十分に女性が能力を発揮し活躍しているため」と回答しております。経団連の会員企業の取り組みを伺ってみますと、確かにそのような認識の会社も結構あるのかなと感じます。これは、皆さんのご尽力もあり、各社の取り組みが徹底した結果、かなりポジティブ・アクションの役割としては、もう十分に浸透しているという認識のところもかなり出てきているのではないかなという感じがしております。
 先ほどの座長の話につながるのですが、子ども・子育て支援について、これは国家戦略として取り組まなければいけないという議論であり、そのなかでの企業の役割というものは、ワーク・ライフ・バランスの積極的推進にあると捉えております。そこで、経団連としても、各企業の先進的取組み等、ベストプラクティスとして、皆さんにご紹介して、どんどん推進していくことを広く呼びかけている状況でございます。いま私の感じでは、女性の活用を考えない企業というのは、もう存続できないのではないかというように感じています。そういう意味では、施策を推進していく上で、追い風というか、もうどの企業もワーク・ライフ・バランスや女性の活用に取り組まざるを得ないような状況なのではないかと思っています。
 今後、さらに推進するに当たっては、ベストプラクティス等を示していくことが重要であり、特にこの資料に示された取り組み割合を見ますと、まだ中小・中堅企業の取組状況について、これから取り組むという企業も多いようですから、そういったところに対して先進的な取組を地道にアピールしていくことが重要かと思っています。
 他方、いろいろガイドライン等で普及を図ることも重要ではありますが、企業によって人事・労務管理や賃金政策について、いろいろと状況も違いますので、一律に指導するという方向ではなく、企業の人事権あるいは労使自治の尊重というものを大前提としてやっていただきたいと考えています。以上でございます。 
○福原座長 ありがとうございます。経団連さんもいろいろな業種、いろいろな状況の方々がご一緒なので、やはり難しいところがあると思うのですが、一歩一歩前に進んでいらっしゃることは間違いないと思うので、よろしくお願いします。最後になりましたが、全国中小企業団体中央会の瀬戸委員にお願いするのですが、いまお聞きになってもおわかりのように、ここがいちばん難しいところなのですね。どのようにお考えになっているかをお聞かせください。
○瀬戸委員 全国中小企業団体中央会の瀬戸でございます。名称からわかりますとおり中小企業者の組織体の支援をしているところでございます。先ほど座長から商店街組合の話をされました。その商店街組合での役員が男性が中心で、女性の意見をなかなか聞かないというようなお話がありまして、私どもの取組の弱さを痛感しながら拝聴していた次第でございますが、そういった実態も1つの事実としてあるということでございます。私どもは今後も、ますますこのポジティブ・アクションについても、周知・普及・啓発に努めていきたいと、改めて思った次第でございます。それらを踏まえまして、私どもの行っています活動状況につきまして、ご報告をさせていただければと思っております。
 私どもこういった中小企業の経営者団体ということですので、これらのポジティブ・アクション推進に関しましては、その周知であるとか啓発等々が中心になろうかと思っております。その中で研修会、講習会という面から見れば、本年の1月あるいは10月に中小企業団体等の支援・指導を行う都道府県中央会の指導員を対象にいたしまして、ポジティブ・アクション、ワーク・ライフ・バランス、次世代育成支援対策をテーマとした講習会を開催し、周知・普及に努めているところでございます。またもう一つには機関誌等を通じての普及促進ということです。それらを通じて啓発に努めているところです。
 先ほど東商さんからも、女性経営者ということでのお話が出たかと思います。私どもにおきましても、女性経営者等の自己研鑽、交流を進めるためのレディス中央会を組織化いたしまして、本年10月、先月ですが、大阪市におきまして全国フォーラムin大阪ということで開催をし、女性経営者、女性の果たす役割等をテーマとした講演、研修、総合研鑽を図ったところでございます。
 中央会自身のことで申し上げさせていただきますと、今回全国中央会におきましても役員にレディス中央会の会長を登用するなど、女性の参画を推進しているところでございますし、その活躍に大変期待しておるところです。さらに都道府県中央会の団体におきましても、役員への女性の登用、管理職への女性の登用など、女性の活躍の機会を拡大する取組を進めているところでございます。
 また、全国中央会及び都道府県中央会におきましては、ワーク・ライフ・バランスの推進、次世代育成支援対策を推進する見地から、次世代育成支援対策推進センターとして、中小企業における一般事業主行動計画の策定であるとか、実施のための支援を行っているということでございます。
 再々来座長からもお話がありますように、私どもの中央会も中小企業、あらゆる業種が会員組織の中に関連されていまして、なかなか統一的な指導テーマとか、そういった推進がなかなか困難ですが、一歩ずつやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
○福原座長 ありがとうございます。おそらくいまのような状況になりますと、特に中小企業の製造現場を持っておられる所は、外地に移ってしまうというところが出てきますね。そういう場合などは非常に難しい対応になると思うのですが、そういう可能性も考えて、うまく適応していただく必要があるのではないかと思うのです。どうぞよろしくお願いいたします。
 というのは、先ほど申しましたようにリーマンショック、それから最近の不況と言いますが、私は不況でないと考えて、これはもう構造の問題だと考えていますが、それと円高という問題、いくつかの段階を経るごとに、どうも会社組織、あるいは団体でもそうですが、中身が劣化してしまっているのではないかという気がしてならないのです。劣化というのはいろいろな言い方がありますが、余裕がなくなってしまった。余裕がなくなった中で、最後の黒字か赤字かという利益のところを追及することになると、ますます寛容性といいますか、いろいろなことを企業で考えてそれを態度に示していくことが難しくなってくると思うのです。一方、ITを導入して生産性が上がらないということをずいぶん言いましたが、結局のところ、ITを導入したそのために人手が減ってくるということも事実です。女性の採用が少ないという話もありましたが、実は男の採用も先進国はみんな少ないのです。男女共に採用が少ないという状況で、日本はまだ失業率では10%程度ですからまだまだいいほうで、聞くところによるとアメリカでもそうですし、フランスとかイタリアでも、若い人たちの失業率はかなり高いようですね。そういう段階にきて、これから先、この問題も全く違う取組をしていく必要があるのではないかということを思っているのですが、今日、では、こうしたらいいというご提案はできませんので、皆さんに一緒に考えていただきたいと思っています。
 今日、各委員から大変中身のあるご発表をいただいたわけですが、これはいままでと同じように、厚生労働省のホームページに公表されることになりまして、それを全国企業が注目して、場合によったらエールになるだろうということを期待しているわけです。ありがとうございます。
 議題の3ですが、平成23年度以降の活動案について、事務局のご説明をお願いします。
○吉本課長 資料3の平成23年度以降の活動について(案)をご覧いただければと存じます。今年度につきましては、この協議会の開催自体が震災等の影響もございまして、この時期にかなり遅れてしまったわけです。この時期に、さて、今後の活動についてというご提案になってしまったわけでございますが、これから申し上げますとおり、メッセージ集を作って、来年度以降の普及・啓発につなげていければということで、ご提案申し上げたいと思っております。
 「ポジティブ・アクションメッセージ集」の作成、普及ですが、趣旨・目的としましては、先ほど来ポジティブ・アクションの最近の動向などもご説明させていただき、皆様方からのご発表もございました。さまざま取り組んでいるわけですが、オールジャパンの状況としては、なかなか目に見えた増加が見えてこないような段階にあるということで、きめ細かなさまざまなノウハウ提供とかいうのは、先ほどご紹介しましたとおり、委託事業などの中でやらせていただいておりますが、この協議会といたしましては、そもそもこの協議会の趣旨にも立ち返りまして、1つは企業トップにおいたメッセージを改めてではございますが、こうした状況の中どう考えていったらいいのかと、経営判断としてこの問題にどう取り組んでいくべきかといったことについて、取組がなかなかできていない、一歩が踏み出せないでいるような企業も想定して、決断を促すようなメッセージをいただいてはどうかというのが1つです。
 それから一方で、そうした企業のご決断、方針を受け止めて、女性の側としても、さまざまな不安とか課題だとかあろうかと思いますが、そこは臆せずチャレンジしてもらいたいというようなメッセージを集めまして、これも女性の方々向けに発信をしていけないかという問題意識でおります。内容といたしましては、1と2と企業向けと女性社員向けと2つに分けて考えていまして、企業向けについては、巻頭には福原座長からこの協議会の歩みなども含めまして、経営戦略としてのポジティブ・アクションの現在、今後の展望などについて、お寄せいただければと思います。
 また(2)としまして、トップからのメッセージということで、団体の皆様方、委員の各企業の皆様方、それからさらに可能でございましたら、団体の皆様方には中小企業のご推薦を含めて、何社かメッセージを寄せていただけるような企業があればご推薦をいただきながら、全体としては20社程度からメッセージをいただけるような形で取りまとめていけないかと思っております。
 2の女性社員向けにつきましては、これも各委員の皆様方のご協力を得て、企業の中で活躍をしておられる先輩方といたしまして、管理職クラスの方、それからもう少しそれに至る前の若いクラスの方を集めていただくことができましたら、ご推薦をいただきまして、先ほど来出ていますような女性のライフイベントといわれるものを、どう乗り越えてきたかとか、あるいは昇進とか転勤とかいったチャンスに対して悩みがあるかもしれないけれども、どう受け止め、それを自分のものとしてチャンスとしてこられたか、といったようなことについてお寄せいただき、また、先輩社員からのメッセージのところでは、もう少し若い層の方々から現在携わっている仕事の例などを挙げて、仕事のやりがいなどどういうふうに感じているか、あるいは困ったり悩んだりしたとき、こんな形で乗り越えているといったような身近なヒントになるようなものをお寄せいただく。それらを取りまとめられないかと思っております。
 具体的には編集者が取材・インタビューをさせていただく形か、あるいは原稿の形でお寄せいただくのか、その辺りは詳細をそれぞれご相談させていただきながら進めてまいれればと思っております。以上でございます。
○福原座長 ありがとうございました。ただいまの吉本課長のお考えにつきまして、皆さんのご意見あるいはご提案があれば伺いたいのですが、いかがでしょうか。皆さんありませんか。もしございませんでしたら、私の考え方を1つだけ申し上げたいのですが、いまのお考えの中で、働きがいというお話があったのですが、これは誠に重要なことで、まず女性が何パーセントということも大事なのだけれども、その裏付けになることが大事なので、その十何パーセントのうちの1人の女性がこの会社で働きがいがあるか、生きがいがあるかということを確かめるのがとても大事なことだと思うのです。いまややもすると、外形的な数字だけで皆さんご判断をされるわけですが、外形的な数字というのは、実は中身によって左右されるというところがあるのです。先ほど女の人がリーダーにもともとならないつもりだという話もありましたが、リーダーになった女の方が、とてもこの会社は働きがいがある所で、これだったら早くリーダーになっていればよかったと思われることが次、それがロールモデルになるのではないですかね。よく私は思うのですが、ロールモデルというと、女性の先輩で大変活躍をしていらっしゃる方、お名前を言ってはどうかと思うのですが、例えば緒方貞子さんのような方をお考えになりがちなのですが、実は同じ年代のモデルが必要なのです。同じ年齢のロールモデルがいかに自分を自己開発してきたか、そして自分の能力を向上してきたか、そしてその結果、自分の働き方あるいは生き方に満足をしてきたかどうかということを尋ねるのが、いちばん重要なことなので、これから先はこの運動を外形的な数字だけで考えるのではなくて、そういう中身は一体どうなっているのだ。ことによると中身としては管理職にはしてもらったけれど、かえって私はそうではないほうが良かったなんて思う人があったら、それだけで次の候補者の意欲を減殺することになると思うのです。そういうことをご参加の企業、あるいは団体の方々も事務局も一緒に考えていただく必要があるということ。
 それから、事務局からただいまご案内した提案の中身については、さらに皆さん個々に事務局にご提案いただければと思うのです。その際、同じ業界の中で、あるいは同じ地域の中でモデルになるような企業ですとか、あるいはモデルになるようなロールモデルといいますか、いろいろな階層の働いている女性で満足していらっしゃるような方をご紹介していただくことが、とても重要だと思いますので、是非ご覧になっていて、こういう例があるよというように教えていただければ、事務局の活動に大変助けになるはずです。そういうことでよろしくお願いいたします。このことに関わらずほかにございませんでしょうか。それでは時間はまだあるわけですが、とりあえずこの辺で事務局にお返ししたいと思いますのでお願いします。 
○吉本課長 福原座長どうもありがとうございました。ただいまのポジティブ・アクションメッセージ集につきましては、本日ご欠席の委員の方々もおられますので、改めてご説明いたしまして、ご相談し、ご意見も踏まえて進めさせていただければと考えております。また、本日は皆様方から大変貴重な意見を多くいただきましたので、私どもの今後の活動に反映させてまいりたいと考えておりますので、今後ともご指導をいただければと幸いでございます。よろしくお願いいたします、本日はどうもありがとうございました。
○福原座長 どうもありがとうございました。


(了)

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均等業務指導室 TEL:03-5253-1111(内線:7844)

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